リプレイ
李・風美
「まいどー! ご注文のディアボロスお届けアル~!」
【商術・泡銭】を使用。
本来は妨害用ですが今回は火消しに使うので避難を阻害しないように加減して。
投げた札から噴き出す細かい泡で火元を覆います。
消化したら武器:呪妖刀/凶鬼幽刀でスパスパと枷を解いて市民を解放していきます。
市民を安心させるために明るく振る舞いますが、
避難が終われば不快な輩に啖呵の一つでも。
「けったいな出前取ってくれたな? 料金はアンタらの断末魔や。たんまり払ってもらおか」
獅子城・羽鳥
※連携・アドリブ歓迎
(故郷じゃないのにスペインが踏み躙られてるのが胸が痛い…
いや故郷でも何ともなくともクソみたいな魔女共の所業には心底ウンザリだ
猟奇好き変態吸血貴族、蹂躙大好き亜人に続いて『一匹残らず、生まれた事を後悔させながら駆除する』リスト入りな)
そんなにショーをやりたきゃ自分達だけでやれ
手伝ってやるからお前らだけが好きなだけ悲鳴あげろよ
消火器を持てるだけ持ち込み住民の消火
スエニョは住民に当たらない&火刑台が倒れないように注意して薪の山をキャノンでふっ飛ばす
【活性治癒】では炭化した部分は戻らないがないよりはましだろう
火傷用の救急箱も持参して応急処置
消火と住民の解放、応急処置を終えたら亡骸に大きな布をかける
足りない時はせめて顔だけでも隠してやる
スエニョは住民にそっと寄り添って慰めてくれ
魔女共がこんな事してる理由は俺達ディアボロスへの逆恨みと八つ当たりだ
いくら恨んでも罵倒してくれても構わないが俺たちには生き残った人だけでも救出し
あなた方の代わりにそこの根性腐れの魔女共に手を下す義務がある
田淵・あゆみ
(復讐心と怒り、俺たちディアボロスとキマイラウィッチの原動力。
どちらもとても強い力になりうるけれど、こうも違ってしまうなんて)
よく頑張った、もう大丈夫。後は俺達に任せて
飛び込みながら怪物のような叫びを上げて【相殺サイレンス】発動
水源から水を火元にぶちまけて消火、あちこちから伸びる黒い手で拘束具を破壊し、捕らえられてる人を受け止める
新宿島からシーツやタオル等の布を持ち込んでくよ、
濡らしてから焼かれた部位に掛けて、水をかけて冷やし続ける
もう大丈夫だと声を掛けて励まし、少しでも体を休められそうな所へ寝かせる
周りの人達にも声を掛けて集まってもらうよ
こんなもんに喝采を送る感性は俺には判んないよ、かつて自分が体験したというならなおさら。
これがショーだなんて言わせない、やらせない。
観客に気持ちよく帰ってもらうのが、ステージに立つ人間の矜持だよ
アドリブ連携歓迎
●序幕
名もなき小さな町の入り口から伸びる名もなき細い街道。
名もなき旅人や行商人や荷馬に踏み固められたその路面の上に、JR山手線の車両に似た列車が停まっていた。
異様な光景ではあるが、その列車がパラドクストレインとなれば、話は別だ。
「着いたアルー!」
車両側面に並ぶ黄緑色の扉が一斉に開き、瓶底眼鏡にチャイナドレスという出で立ちの女がそのうちの一つから降り立った。
サイボーグの李・風美(胡乱でチャイナな瓶底眼鏡・g00381)である。
指先を隠してもまだ余りあるほど長丈の袖をぶらぶらさせながら、彼女は町のほうに目を向けた。
「さーて、ワタシたちディアボロスをご所望のお客様がいるのは――」
「――この町だな」
と、二人目の降客である色黒の男が後を引き取った。声がやや掠れている。首元にある大きな傷がその原因だろうか。
田淵・あゆみ(人間のサウンドソルジャー・g06882)という名の彼もまた風美と同じように町を見つめた。
より正確に言うと、町から立ちのぼる幾筋かの煙を見つめた。
あゆみも風美も判っている。それらの煙が昼餉の支度などによるものではないことを。もっと忌まわしいものであることを……。
「復讐心、怒り……」
複雑な思いを掠れ声に込めて、あゆみは呟いた。
「俺たちとキマイラウィッチはどちらも同じ感情を原動力にしているのに……こうも違ってしまうとはな」
「いや、同じじゃないさ」
そう言いながら、金髪の若い男がパラドクストレインから降り立った。豆柴に似た小さなパンツァーハウンドとともに。
「俺たちの感情と奴らの感情――どちらも同じ言葉で言い表せるが、断じて同じものじゃない」
その男はサイボーグの獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)。パンツァーハウンドの名は『スエニョ』。
「仮に同じだとしても、絶対に相容れることはできない」
吐き捨てるようにそう言った後、羽鳥は心の中で付け加えた。
(「ロシアの猟奇好き変態吸血貴族どもやイスカンダルの蹂躙大好き亜人どもに続いて、『一匹残らず、生まれたことを後悔させながら駆除する』リスト入りだな。あのクソみたいな魔女どもも……」)
そして、彼は仲間たちとともに町の入り口へと向かった。
長くなっていく一方のリストを少しでも短くするために。
●獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)
俺たち(俺、風美、あゆみ、それにスエニョ)は入り口の前に並んで立った。
呼吸を整え、心の準備。
そして――
「……行くか」
「はいアル!」
「おう」
「わん!」
――同時に走り出した。
入り口をくぐり、広場に続いているであろう大通りを突き進む。
「来タ!」
「来タッ!」
「来タァーッ!」
「でぃあぼろすドモガ来タァーッ!」
甲高い叫びが四方から聞こえてきた。もっとも、その不愉快な声を聞くまでもなく、そいつらの気配(というか、殺気かな?)は町に入る前から感じていたけど。
走り続けながら、視線を右斜め上から左斜め上に巡らせ、屋根の上にいる声の主たちの姿を改めて確認した。半人半鳥のトループス級クロノヴェーダ。令震は『鳥女』と呼んでいたっけ?
「はいはい、まいどー!」
トループス級たちの殺気に臆する様子も見せず、風美が陽気な声を出した。祝勝パレードに参加しているスター選手よろしく、手まで振っている。
「ご注文のディアボロスをお届けアルー!」
もっとも、それはポーズに過ぎないだろう。声が陽気だからといって、心も踊っているわけがない。
そう、踊るはずがないんだ。
進行方向から漂ってくるのだから。耐え難い臭いが……。
聞こえてくるのだから。悲痛な叫びが……。
人が焼かれる臭い。
そして、焼かれている人たちの叫び。
広場に近づくにつれ、それらはより激しく、より大きくなっていく。
やがて、叫びとは別のものも聞こえてきた。何者かの拍手と『ブラボー』という歓声。
「こんなもんに喝采を送る感性……俺には判んねえよ」
と、横を走っているあゆみが重々しい声を吐き出した。
「かつて自分が体験したというなら、尚更だぜ」
●李・風美(胡乱でチャイナな瓶底眼鏡・g00381)
二階席(実際は二階よりずっと高い屋根の上だけどね)に陣取っている観客――トリ人間どもの視線を浴びながら、ワタシたちは走り続けたアル。
そして、ついに広場に到着。
そこでは目を覆いたくなるような光景が繰り広げられていたアル。
磔にされて、足下を炙られている人たち……猿轡を噛まされて、それを見せられている人たち……その様子を楽しそうに眺めているトリ人間の親玉……きっと、こいつが『白翼のセイレーン』とかいうアヴァタール級アルね。
『目を覆いたくなるような』とは言ったけども、ワタシはこの地獄絵図から目を逸らしたりしなかったアル。もちろん、羽鳥とあゆみも。それにスエニョもね。ちっちゃな体を震わせながらも、ウルウルお目々をしっかり見開いて直視してるアルよ。
だけど、セイレーンはワタシたちの視線を涼しい顔で受け流し――
「さて、前座芝居は終わりね」
――広い袖に包まれた翼をはばたかせて、垂直に舞い上がったアル。
そして、ワタシたちの頭上に滞空。トループス級たちと同じく、文字通り高見の見物と洒落込んでるアルよ。
「期待してるわよ、ディアボロス。この前座芝居も十二分に楽しかったけど、あなたたちのショーはもっと素晴らしいはず。ふふっ! 今はそうやって憎々しげな目で私を睨んでいるけれど、いずれは苦悶と屈辱と絶望に顔を歪……」
「ヴォォォーッ!」
三文芝居の悪役みたいな陳腐な長広舌を怒声が断ち切ったアル。
いえ、怒声ではないのかも? その咆哮を発した人――あゆみは怒りのあまりに叫んだわけじゃなくて(心の中ではめちゃくちゃ怒ってるだろうけどね)、パラドクスを発動させるために吠えたみたいだから。
●田淵・あゆみ(人間のサウンドソルジャー・g06882)
「ヴォォォーッ!」
ライブで鍛えた喉を震わせ、デスボイスを響かせる。
それに応じて、足下に水流が生じた。パラドクス効果の『水源』だ。
現れ出たのは水流だけじゃない。何本もの黒い手が四方八方から伸びてきて、水を掬って火にぶちまけた。
もちろん、仲間たちも動いているぜ。羽鳥くんは消火器(新宿島から持参したらしい)を手にして、泡状の消火剤を噴射。スエニョは、磔台の根元に積まれた薪の山めがけて背中の大砲を発射。
そして、風美さんは――
「バブル到来アルよー!」
――紙幣を撒き散らしている。
もちろん、それもパラドクス。宙を舞う無数の紙幣から細かい泡が噴き出し(『バブル』ってのは本来の意味だったようだ)、羽鳥くんの消火剤ともに火を覆い尽くした。
「消化完了アル!」
すべての火が消え去ると、風美さんは両手に刀を持って、人々の縛りめを断ち切った。デスボイスで召喚された黒い手たちも同じように人々を解放して回った。
「とうちゃーん!」
「あなたぁーっ!」
「ハジサブー!」
火刑を見せられていた市民たちは猿轡を解かれると、口々に叫びながら、火刑に処されていた市民たちに駆け寄った。逆に後者が前者に駆け寄ることはなかった。当然だ。自力で歩ける者など一人もいやしねえだから。
「よく頑張った。もう大丈夫だ。後は俺たちに任せて」
俺は被害者たちに声をかけつつ、水流で濡らしたシーツやタオルを焼かれた部位にあてた。
羽鳥くんもまた応急手当をしながら、被害者に語りかけている。だが、彼が口にしているのは励ましの言葉じゃなくて――
「すまない」
――謝罪の言葉だ。
「魔女どもがこんなことをしている理由は、俺たちディアボロスへの逆恨みと八つ当たりなんだ。だから、俺たちのことをいくら恨んでくれて構わない。気が済むまで……いや、済むわけがないが、罵ってくれても構わない」
「聞き捨てならないわね」
と、空の上からセイレーンが口を挟んだ。
「私を突き動かしている憎しみは正当な感情よ。逆恨みでも八つ当たりでもないわ」
周囲にいるトループス級たちが『ソウダ!』と同意の声を一斉にあげた。
「じゃかましいわ!」
と、トループス級たちを一喝して黙らせたのは誰あろう風美さんだ。
瓶底眼鏡越しの視線をぐるりと巡らせ、彼女は威勢よく啖呵を切った。先程までとは違う口調で。
「ようもけったいな出前取ってくれたな? 料金はアンタらの断末魔や! たんまり払ってもらおーかい!」
「風美さんだけに料金を取り立てさせはしないぜ」
そう言って、俺もトループス級たちを見回した。
「こんなショーを楽しむような連中は絶対に許せねえからな」
いや、そもそも、これを『ショー』と呼ぶのが許せない。ショービジネスに携わってきた者として。ステージに立ち続けてきた者として……なんて偉そうに言っても、実はインディーズバンドのヴォーカル風情に過ぎないんだけどな。だが、それでも絶対に譲れない矜持ってもんがあるんだ。
「すべての観客に気持ちよく帰ってもらうのが理想のショーだ。だけど、これはショーじゃないから、おまえらを気持ちよくさせる必要はないよな?」
「ああ。ないね」
と、セイレーンたちに代わって、羽鳥が答えた。
そして、気持ちよく帰れないであろう観客たちに宣言した。
「一匹残らず、駆除してやる」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
●幕間
鳥人型トループス級の群れはディアボロスに手出しすることなく、救助作業を屋根の上から見物していた。おやつの時間を待ちきれない子供さながらにそわそわした様子を全身で表しながら。
そして、市民たちへの応急処置が済むと――
「サア、皆殺シダ!」
「皆殺シ!」
「皆殺シ!」
「皆殺シ!」
「ミ、ナ、ゴ、ロ、シィィィーッ!」
――トループス級は観客から演者へと変わった。
屋根から飛び立ち、空中で円陣を形成して、眼下の獲物を取り囲む。
「さっき、代金として断末魔の叫びを要求していたわね?」
と、円陣の中央に滞空しているセイレーンがディアボロスたちに語りかけた。
「でも、ごめんなさい。私たちはそんな通貨を持ち合わせてないの。とはいえ、あなたたちにタダ働きなんかさせないわ。生涯最大の惨苦と生涯最後の絶望という代金を払ってあげる。それはもうたっぷりとね。もちろん――」
セイレーンがすべてを言い終える前にトループス級たちはディアボロスへと襲いかかった。
「――お釣りはいらないわよ」
田淵・あゆみ
(……俺等に全て意識が向いてるのは幸運か、敵だけ見てれば良いんだから)
さぁ行こうか、やろうか!
【狂騒ダイバー】でコネクタを生やし、シールドを伸ばして飛び回る
コネクタは何処にでも、そう相手の体にも生やせるんでね。速く翔ぶならそれだけ俺も同じだ
飛びついて蹴ったり、逆に相手ごと振り回して敵に叩きつける
空中戦は苦手だけど、このやり方なら俺でも飛んでる奴らをやれる
翼の根本を縛るようにシールドで拘束を試みる、羽ばたかれなきゃ威力は落ちるかも……ってやっぱ無理か!?ちくしょーパラドクスだもんなぁ!
地面に叩き落されて相手を見上げながら立ち上がる
ニヤリと笑うと、地上のあちこちに生やしておいたコネクタから一斉にシールドを伸ばす
「飛んで来るなら面で捕らえるまでさ」
まるで投網のように相手に絡みつき地上に引きずり落とす
アドリブ連携歓迎
●田淵・あゆみ(人間のサウンドソルジャー・g06882)
空がダークグリーンで斑に染まった。鳥人型トループス級たちのドレスの色だ。
もっとも、綺麗なおべべを着ているからといって、おつむのほうも人間並みというわけではなく――
「皆殺シ!」
「皆殺シ!」
「皆殺シ!」
――名実ともにトリ頭って感じがするな。
何人かの仲間はセイレーンに戦いを挑もうとしているようだが、俺はこのトリ頭どもの掃討に専念させてもらおう。
幸いなことに敵方もディアボロス狩りに専念するつもりらしい。今のところ、市民たちに手出しする気配はない。あくまでも『今のところ』だけどな。万が一にもディアボロスが全滅しちまったら、次は市民を餌食にするだろう。
だからこそ、俺たちはここで死ぬわけにはいかない。
そして、トループス級どもを生かしておくわけにもいかない。
「さあ、いこうか! やろうか!」
空に向かって叫ぶと、何体かのトループス級が攻撃を仕掛けてきた。嘴みたいな仮面で突っついてきたわけでもなければ、鳥に相応しい強烈な蹴り(丈の長いドレスに隠されているので、蹴爪が生えているのどうかは判らない)を繰り出してきたわけでもない。
威嚇するかのように翼をバサバサと激しく動かしたんだ。
次の瞬間、小さな竜巻がいくつも(正確に言うと、翼を動かしたトループスの数と同じだけ)発生し、俺にぶつかってきた。
砂煙が巻き起こる中、俺はあちらこちらに弾き飛ばされ、そこかしこに傷を負った。だが、やられっぱなしってわけじゃない。竜巻の群れにもみくちゃにされながらも、パラドクスの布石――鈍く輝くコネクタをばら撒くことができた。
地面に、あるいは周囲の建物の壁に、次々と突き刺さっていくコネクタ群。それらから黒いシールドケーブルが延び、蛇のようにのたうち回り始めたことに敵も気付いたかもしれない。
気付いたからといって、なにもできやしないだろうけどな。
「空中戦ってのは苦手なんだが――」
最後の竜巻を食らった後で、俺はシールドケーブルの一本を掴んだ。
「――このやり方なら、俺でも飛んでる奴らをやれるぜ」
地面を蹴り、ジャンプする。ケーブルの反発力を活かして高度を稼ぎ、そのケーブルを離すと同時に別のケーブルを掴み、更に高く。竜巻を起こした奴らのうちの一体に蹴りを浴びせ、その反動で(それにケーブルの力も借りて)軌道を変え、別の一体にも蹴りつけ、同じ要領で三体目にもぶちかまし……といった具合に、反撃を食らわせた。攻撃人数分ときっちり同じだけな。
そして、着地。いや、着鳥だ。最後に蹴ったトループス級の背中にしがみついてやったぜ。
「ハナセ! ハナセェーッ!」
喚き散らすトループス級を無視して、その体にコネクタを打ち込む。
で、そこから伸び出たケーブルで翼の根本の辺りを縛り付けようとしたが――
「おっと!?」
――その前に振り落とされちまった。
俺は受け身を取って転がり(ライブと違って、ダイブを受け止めてくれる観客はいないからな)、すぐに立ち上がった。
新たなケーブルを手に取りながら、敵を見上げる。
戦いはまだ始まったばかり。さっきは反撃側に甘んじたが、今度はこっちから攻めさせてもらうぜ。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【壁歩き】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
李・風美
アドリブ連携歓迎!
「お釣り?またまたご冗談を。払い切れると思うなや!」
「“復讐者”として同業でも、こっちは相手が世界中におるんや!場数が違う!」
【銅鑼轟音咆哮】(ドラゴンシャウト)を使用。
銅鑼を打ち鳴らし、衝撃波による広域攻撃を仕掛けると共に、
「音」や「声」の効果に対抗する力を持つ銅鑼の響きで敵の呪いの言葉をかき消す攻防一体の構え。
隙あらば、武器「商龍砲」「九連砲筒」による射撃を叩き込みます。
ちょこまか飛ばれようが関係ない面での攻撃や。
決定打にならんでも、追撃のええ的になってくれるやろ。
パラドクスを真っ向から打ち破って復讐心ごとへし折ったるわ。
二宮・緋々
*アドリブOK
どっちも綺麗なおねーさんでオレ迷っちゃうー
命が楽器なら音色は一生物っしょ。片っ端から聞き試したいのも納得じゃん
一面真っ白い雪の中に足跡を刻む征服感とかさ。自分だけがそれを踏み荒らす権利を有する優越感や独占欲とかさ。
ぐっしゃぐしゃに荒らして使い尽くして尊厳を踏み潰す感じ。オレも思うんだよね。やっちゃいけないことってすっげぇ美味しいの
だからいいよね? あんたの命をオレが嬲るのもよ
『サイクロイド』と『レパード』二つの異なる性質を持ったエネルギー弾を射出
空じゃ遮蔽物もないっしょ。少しずつその無垢な翼を嬲ってやるからよ。スタッカートの悲鳴をオレの耳まで届けてな
あんたも歌えるでしょ。阿鼻叫喚の合唱会の独唱はお任せすんよ
シェルを薄く伸ばして全方位を囲んだら遮音。影響減らしてみよっか
てかそれさ。もう狂気に呑まれてる奴に効くのかね
きゃははは! 可愛さあまって憎さ100倍って知ってるぅ? オレって愛されてんねー
痛みも生の証。いくらでも歌いあげてやるよ。代わりにあんたのも聞かせろよ、セイレーン
獅子城・羽鳥
※連携・アドリブ歓迎
住民をディフェンス
スエニョはパラドクスに加わらず、住民の慰撫と万一の時の盾(ダメージは俺が肩代わり)
ショーだの公演だのいい加減うっせーよ!
そんなにショーをやりたきゃ、逆恨みで八つ当たりな根性腐れ魔女たちの断末魔をアンコールしかないだろう?
むしろ俺たちが今からアンコールを手伝ってやるよ
さっきも言ったように、住民の代わりにお前たちに手を下す義務がある
敵と住民の間に割り込んで隔てるように【泥濘の地・水源】使用
相手は飛行系だから効果はないが、距離と障害物で少しでも住民の恐怖を少しでも和らげたい
パラドクスでカタルーニャの守護聖人サン・ジョルディ(聖ゲオルギウス)と、中世イベリアの英雄エル・シッドを歌い上げてどちらも騎乗した幻影を作り、敵を蹂躙。俺も共に攻撃をくわえてやる
ディアボロスの復讐心はお前たちと同じでもそれ以下でもない
逆恨みの八つ当たりに正当性など微塵もない!
今更お前たちの呪い(聖句)に揺さぶられたとて、何もなかったようにすぐ立ち直るさ
●獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)
ゴミ捨て場にたかるカラスの群れさながらにトループス級の鳥女どもが騒ぎ立て、暴れて回っているが、そいつらに構うのは後回しだ。まずは親玉たるセイレーンの相手をしよう。
そう決めたのは俺だけじゃないらしい。
「うわー。綺麗なおねーさんばっかりだから、目移りしちゃうなー」
赤い頭髪から猫耳を覗かせたウェアキャットのにやけた少年――緋々もセイレーンを見据えている。『目移り云々』という言葉とは裏腹に。
もう一人――風美もまた標的をセイレーンに絞ったようだ。
「お釣りはいらない? まーたまたご冗談をー」
空中にいるセイレーンに向かって、彼女はニヤリと笑いかけた。
そして、その笑みを消し、憤怒の形相を見せた。
「あんたらの心の財布に入ってんのは、小銭程度のチンケな恨み辛みだけやろ! そんなもんで払い切れると思うたら、大間違いやで! 復讐者としては同業やけども、こちとら相手が世界中におるんや! 踏んできた場数が違うっちゅうねん!」
憤怒の形相ではあるものの、大きくて分厚い瓶底眼鏡というフィルターのせいで迫力はいまひとつ。
それでも、怒りは十二分に伝わってくる。
一方、緋々がにやけ面から発している感情は怒りよりもどす黒い……忌まわしくて言語化したくないような類のものに思えるのは気のせいか?
「ふふっ! どんなに場数を踏んでいようと……」
と、セイレーンが風美に反駁しかけたが――
「うんうんうんうん。オレ、おねーさんの言ってることはよく判るよ。もう同意しかできないわー」
――緋々が強引に割り込んだ。
「そう、なんというか……一面の真っ白い雪に足跡を刻む征服感? 自分だけがそれを踏み荒らせるという優越感? ぐっしゃぐしゃに荒らして、尊厳を踏み潰しちゃう感じ? そういうのはオレも大好物だよ。リョーシキある人たちに『やっちゃいけない』と言われてることって、どれもこれもすっげぇ美味しいもんねー。だから――」
にやけ面はそのままにウェアキャットの魔少年は両手をゆっくりと差し上げた。
「――いいよね? オレがあんたの命をさんざん嬲り、いたぶり、辱めた末に奪っちゃってもさ?」
セイレーンに向けられた二つの掌から光弾が撃ち出された。
「ヒトの命が楽器だとするなら、その音色ってのはヒトが生まれてから死ぬまでの期間限定品じゃん。片っ端から聴きたくなるも納得納得ぅ」
と、緋々が語っている間に二発の光弾はセイレーンめがけて一直線に飛んでいく。
「共感を得られて嬉しいわ。だけど――」
セイレーンは翼をはばたかせ、光弾をあっさり回避した。
「――勘違いしないでね。このショーで聴き手の立場を享受できるのは私だけ。あなたたちは期間限定の悲しい音色を奏でることしかできないのよ」
しかし、光弾は逃がさない。意思ある生物のように軌道を曲げて、相手の前後に回り込み、挟み撃ちを仕掛けた。
●李・風美(胡乱でチャイナな瓶底眼鏡・g00381)
誘導ミサイルさながらにセイレーンへと迫る二発の光弾。
セイレーンは急旋回して、それらを回避したけれど――
「つれないこと言わずにスタッカートの悲鳴をオレの耳に届けてよ」
――緋々が三発目と四発目の光弾を続けざまに発射。
セイレーンはそれをモロに食らったアル。きっと、最初の二発を躱すことに全力を注いでいたから、追撃に対処することができなかったネ。
「※※※※※!」
奇妙な叫びがセイレーンの口から飛び出したアル。緋々が期待していたような『スタッカートの悲鳴』じゃないヨ。あまりにも早口すぎて聞き取ることができない奇妙な言葉。
でも、憎しみに満ちたその声が呪詛の言葉だってことは理解できたアル。
そして、パラドクスだということも。
緋々はサイキックオーラらしきものを咄嗟に展開して、パラドクスの声を遮断しようとしたけれど、防ぎ切ることはできなかったみたい。耳や目や鼻から血が流れてるアル。
もっとも、当人はそんなダメージなんかどこ吹く風。余裕たっぷりに振る舞ってるアルよ。
「おっほー! おねーさんの憎悪がびんびん伝わってくるよー。だけど、これってオレがめちゃくちゃ愛されてるってことだよね? 可愛さあまって憎さ百倍って言うしー。ぎゃはははははは!」
いえ、余裕じゃなくて……狂気? さすがのセイレーンもちょっと鼻白んでるみたいアル。
その心の隙を衝くように羽鳥が動いたアル。
「『聴き手の立場を云々』とか抜かしていたな? じゃあ、たっぷりと聴かせてやるよ」
彼の左腕に装着されていた機械がガチャガチャと音を立てて変形し、ソードハープやマイクになったアル。
「だが、聴き手に徹することはできないぞ。おまえも歌え。性根の腐った魔女どもの断末魔を! 歌えないというのなら――」
ハープの弦の上を走る指先。
流れ出すのは美麗かつ勇壮な調べ。
「――手伝ってやる! おまえらみたいな腐れ魔女を一匹残らず駆除するのが俺たちの義務だからな!」
そして、羽鳥は朗々と歌い出したアル。『義務』を果たすために。
「Oh Sant Jordi, dóna'm llum♪ Oh El Cid, dóna'm força♪」
その演奏と歌唱に応じて、二体の幻影が傍に現れ出たアル。馬に跨がった騎士の幻影アルよ。一人は長い槍を構えて、もう一人は重そうな剣を持ってるネ。
「わんわんわーん♪」
市民の皆様を守りつつ、パンツァーハウンドのスエニョも主人の『義務』に参加。勇ましくも可愛いわんわんコーラスで盛り上げてるアル。
●二宮・緋々(Force・g10327)
「※※※※※!」
羽鳥ちゃん(&スエニョちゃん)の歌声に対抗するかのように、おねーさんが例の怪鳥音――恨みと怒りの呪いの叫びを吐き出した。
オレがそうだったように羽鳥ちゃんも怪鳥音にダメージを受けたようだ。耳から血がダラダラと流れ落ちてる。
だけど、オレがそうだったように羽鳥ちゃんもダメージなんか意に介さなかったようだ。歌声を咆哮に変え、パラドクスで反撃した。
「おまえらの逆恨みの八つ当たりに正当性など微塵もない!」
騎士を乗せた馬たちが嘶きとともに空に駆けのぼり、おねーさんへと迫る。
そして、槍の騎士がグサッ!
剣の騎士がザクッ!
更に羽鳥ちゃんが演奏を中断して右足を折り曲げ、膝から突き出た迫撃砲をドカーン!
スエニちゃんも背中の大砲をドォーン!
激しい連続攻撃(パラドクス自体は一つだけどね)を受け、おねーさんは襤褸切れのように宙を舞った。
それでも、なんとか体勢を立て直して――
「※※※※※!」
――三度目の怪鳥音。
オレはさっきみたいにサイキックオーラ『シェル』を展開しようとしたけれど、今度の標的はオレじゃなかった。羽鳥ちゃんでもなかった。
風美ちゃんだ。
「えーい! やかましいわ!」
怒声をあげ、勢いよく腕を振る風美ちゃん。同じサイボーグの羽鳥ちゃんが足から迫撃砲を出したんだから、彼女も凄く物騒な武器を出に違いない……と、思いきや、チャイナドレスの広い袖口から出てきたのは銃火器にあらず。
それは大きな銅鑼だった。
「目には目を! 歯に歯を! 音には音や!」
おねーさんの呪いの言葉をかき消すべく、銅鑼を連打。ジャーン! ジャーン! ジャーン!
怪鳥音と騒音がぶつかり合う。でも、相殺とはいかなかった。オレや羽鳥ちゃんと同様、風美ちゃんもちょっとダメージを受けたようだ。
ただし、あくまでも『ちょっと』ってレベル。
戦意のほうは『ちょっと』どころじゃない。
「この程度で怯むと思うなや! 踏んだ場数が段違いや言うたやろ! 踏んで踏んで踏みまくったおかげで、足の裏が鉄板並みに厚うなっとるんやでぇ!」
鉄板並みという足を地面にぐっと踏み込んで、風美ちゃんは銅鑼を鳴らし続けた。それは防御だけじゃなくて、攻撃も兼ねた……いや、攻撃のほうが主体で防御がオマケだったのか? まあ、とにかく、激しいパラドクスのようだ。
「ふふっ! 無粋な技だこと……」
おねーさんがせせら笑いながら(無理して笑っているように見えるけどね)、ジグザグに飛んだ。銅鑼の音の攻撃を躱そうとしているんだろう。
でも、無駄な足掻きだ。
「ちょこまか飛んだところで、面の攻撃は躱されへんで!」
目には見えない(けど、耳にはうるさい)『面』が空に広がり、おねーさんを打ち据えた。
●幕間
ディアボロスを包囲殲滅せんとしているトループス級たちに動揺が走った。
首領たる白翼のセイレーンが劣勢を強いられているからだ。
いや、劣勢どころではない。パラドクスの猛攻に曝され、赤い血と白い羽を撒き散らし、突風に巻かれる落ち葉さながらに頼りなく舞う――その無惨な姿が想起させる言葉は『敗勢』だ。
「わ、私に構わないで! あなたたちはこのディアボロスどもを殺すことだけを考えない!」
残された力を振り絞り、セイレーンはトループス級たちにそう命じた。
そして、眼下のディアボロスたちを睨みつけた。
散り際の美学を示すべく、印象的な捨て台詞でも吐くつもりなのだろう。
だが、しかし――
「わた……」
――彼女が口を開いた瞬間、鳴り響く銅鑼が、曲線の軌道を描く光弾が、幻影の騎士たちが、怒濤のように荒れ狂い、懇親の捨て台詞をかき消した。
こうして、悪趣味極まりないショーの開催者はその幕引きを見ることなく、途中退席を余儀なくされた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水源】がLV2になった!
【フライトドローン】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
シャムス・ライラ
住民達は避難完了
頭目も倒れた
後は貴方がただけ
因果応報
今度は其方ちが追い詰められる側になったということ
とはいえ
ここで詰めを誤れば住民達を危険から守れませんので
油断せずに
フライトドローンとエアライドを組み合わせ
空中を不規則な軌道で跳びまわって空中戦を
飛翔とはまた違った戦いですがやりようはあるかと
敵に捕捉される前に足場を変え素早く動いて攪乱
住民には目もくれぬよう引き付ける
ショーだというなら音楽をお望みでしょうか
さらに琵琶を爪弾き
嵐で敵の翼をねじ切るがごとき烈風を
さらに風圧で跳ね飛ばし
可能なら敵同士を衝突させて叩き落す
地面では泥濘の地を発動
飛べなくなって叩き落された敵の動きが少しでも鈍り
戦闘に有利に働くよう
仲間と連携し
狙いを定めて一体ずつ確実に倒す
…あれだけの事をしておいて
まさか逃げられるなんて思っていないでしょう
遠慮なさらず演者の気持ちを味わっていただいて良いのですよ?
敵攻撃の羽の雨は
嵐の風圧で吹き飛ばし
ドローンとジャンプ、エアライドで
最適な回避経路を選択
可能な限り損害を減らす
アドリブ等歓迎
二宮・緋々
*アドリブOK
きゃはは!ごめんなー、つまらなそうだったから話遮っちゃったわ
あーあー、エグいことになっちゃって。見なよこの残骸。オレらの作品も悪くない出来じゃん。秀作もらえんじゃね?
オレみたいないたいけな男の子が血ぃ流してるのは絵面的にないっしょ
パーカーで拭いて視界と聴覚もクリアに。ぺっぺっ、鉄の味まずぅ
んで、次にああなりたいのはそっちの露出多めなおねーさんなわけな。会うとこが違ったら声かけちゃったのになー、惜しいわ
『残月』を居合いみたいの構えて切り込みに……って空にいたら当たんねぇじゃん。こっち降りてこいよ、おねーさん
とか言葉と動きでフェイントったら『閃光残月』で邪魔な障害物ごと敵さんを一刀両断
これ扱うの苦手でさぁー。出来るだけ苦しんで死んで欲しいんだけど、狙ったとこと違う場所斬っちまったら悪ぃね。
お前らクロノヴェーダを殺すのはさ、世界が認めてくれてんだ。
崇高な使命も夢もオレにはないけど。こんな楽しいこと見過ごせないわ
巨悪を潰すんはいつだって別の悪なんよ。勉強になった? じゃぁ逝っといで
李・風美
アドリブ連携歓迎!
そろそろ“らすとーおーだー”アルヨ。ご注文お決まり?
お好きな復讐者を選んで料理されるヨロシ。
大挙するお客様に当店自慢のパラドクスをもれなくご提供。
「そっちが“弾丸”ならこっちは“砲弾”や! 味わってみぃー!」
【無掌底供・風鳴弾】を使用。
連発できる空気弾で対空砲火を行います。
敵パラドクスに口径の格差で真っ向勝負。その豆鉄砲ごと撃ち落としたる!
間合いを詰めてくる輩には、鎖付きトゲ鉄球「大黒点」を袖から繰り出し、
振り回し、薙ぎ払い、直撃させる等で撃墜します。
●二宮・緋々(Force・g10327)
さーて、アヴァタール級のおねーさんはブッ壊れちゃったから、次はトループス級のおねーさんたち(めんどくさいから、以降は『トルねーさん』でいこうっと)と遊ぼうかなー。
あゆみちゃんが何体も始末してくれたけど、オレたちが楽しめるだけの数はまだ残ってるようだ。ありがたいことで。
「せいれーん様、殺ラレタ! せいれーん様、殺ラレタ!」
「許セナイ! 許サナイ! 許シテオカナイ!」
「皆殺シ! 皆殺シ! 皆殺シ!」
アヴァねーさんが襤褸雑巾みたいに死んじゃったもんだから、トルねーさんたちは興奮気味。これもありがたい。冷めた相手と遊んだって、つまんねーし。
「はい! そろそろ、らすとーおーだーアルよ。ご注文はお決まり?」
風美ちゃんがトルねーさんたちに呼びかけた。関西弁からアルアル口調に戻ってるけど、あいかわらず元気いっぱい。殺る気満々。
頼れる仲間は他にもいる。琵琶っぽい楽器を持ったリターナーのおにーさん――シャムスちゃんだ。
「なにを騒いでいるのやら……」
ギャアギャア鳴き続けているトルねーさんたちを見回して、シャムスちゃんは呟いた。
「因果応報。無辜の民をさんざん苛んできた報いを受け、今度はそちらが追い詰められる側になっただけのこと」
風美ちゃんと比べるとテンション低めだけど、心はめらめら燃えまくっていると見た。
「もっとも、我々としては――」
琵琶を『べべん!』と鳴らすシャムスちゃん。
「――追い詰めるだけで済ますつもりはありませんが」
ただでさえ騒がしかったトルねーさんたちの群れにどよめきが生じた。
自分たちと同じく空を飛ぶ集団がいきなり出現したからだ。
それはドローンだった。どうやら、シャムスちゃんがパラドクス効果を使って呼び出したらしい。
「ナンダ、コノ機械ハ!?」
「メザワリダ! メザワリダァーッ!」
「皆殺シ! 皆殺シ! 皆殺シ!」
トルねーさんたちは手当たり次第(ってゆーか、羽当たり次第?)にドローンを壊していく。ヤバげな戦闘兵器だとでも思っているのかも。
「あいやー!」
空から降ってくるドローンの残骸をひょいひょいと避けながら、風美ちゃんが肩をすくめた。
「やっぱり、フライトドローンは戦闘では役に立たないアルね。指示を出せるのも一機だけだし……まあ、出前をする時とかは便利かもしれないけど」
「そうでもありませんよ。なんでも使いようです」
その言葉を地上に残して、シャムスちゃんがジャンプした。『エアライド』でもって、更にジャンプ。そして、まだ壊されていないドローンに飛び乗った。
「あなたがたはショーをお望みなのだとか? では、ショーには欠かせぬもの――耳心地の良い音楽をお聞かせしましょう」
空のステージでシャムスちゃんはまたもや琵琶を鳴らした。
『べべん!』の後に続いたのは『ぶぉー!』という轟音。
パラドクスの突風が吹き荒れたんだ。
●李・風美(胡乱でチャイナな瓶底眼鏡・g00381)
シャムスの爪弾く弦の調べに合わせて、パラドクスの疾風が大暴れしてるアルよ。
対セイレーン戦で羽鳥が披露してくれた技と違って、シャムスのそれは演奏だけ。歌唱はなし。でも、聴き応えはばっちり。歌声の代わりに響きまくってるアル。横から叩きつけてくる強風に、あるいは下から吹き上げてくる旋風に、あるいは四方八方から次々と押し寄せてくる烈風に蹂躙されてるトリ人間どもの悲鳴や絶叫がネ。
緋々もこのショーを気に入ったみたい。目を細めて尻尾を振り振りしてるアル。
「シャムスちゃんってば、『お聞かせしましょう』なんて上品な言い方をしてたけど、これは『ぶちかましてやろう』っていう表現のほうがしっくり来る激しさじゃーん」
確かに激しいアルね。とはいえ、トリ人間どもは一方的にぶちかまされてるわけじゃないアル。突風に翻弄されながらも、腕を兼ねた翼をばさばさ動かして、手裏剣めいた羽根をシャムスめがけて発射したアルよ。
でも、シャムスは――
「翼なき身ではありますが、空を自由に動き回ることはできますよ」
――ひらりと跳んで、攻撃を回避。
「足場はいくらでもありますからね」
そして、まだ落とされていなかった別のドローンの上に乗り、そこに敵の羽根が飛来すると、すぐにまた別のドローンに跳び移り、間髪を入れずに四番目のドローンへ……と、縦横無尽に翔け回ったアル。『べんべんべーん!』と琵琶を弾いて、新たな風を起こしながら。
「猫もびっくりの軽快な動きアルねー」
「ウェアキャットとして負けてられないなあ……と、言いたいところだけど、オレは地上戦でいこうっと」
緋々が金属の筒を手に取ったアル。たぶん、火刑戦旗ラ・ピュセルの光剣という武器ネ。ほら、光線の刀身が『ぶぉん!』と伸びるやつ。まだ刀身を発生させていないそれを緋々は腰の辺りに持っていったアル。見えない鞘に収めるかのように。
「おーい。こっち降りてこいよ、おねーさん」
ウェアキャットの殺し屋は可愛くもヨコシマな笑顔をつくり、トリ女たちに声をかけると――
「先着順で、あれと同じ感じにしてあげっからさ」
――地面に転がってるセイレーンの死体のほうに目を向けたアル。
「見てみなよ、あの残骸! エグいことになってんだろ? いやー、我ながら良い仕事したわー。ノーベル賞に死体制作部門ってのがあったら、オレらが確実に受賞してるよな。あ、そうだ! そういう部門が本当に設けられた時に備えて、今のうちに受賞のコメントを考……」
「ダ、マ、レェー!」
「皆殺シ、皆殺シ、皆殺シィー!」
緋々の言葉が終わらないうちに二体のトリ女がけたたましく叫び、攻撃の構えらしきものを見せたアル。
死体のほうを余所見してる緋々には、それに対処する余裕なんて――
「はい、待ってましたぁーっ!」
――実はあったヨ(たぶん、余所見はポーズに過ぎなかったアル)。
抜刀の挙動とともに光剣の柄が振り上げられると、その端から光線の刃が何十メートルも伸び、空中のトリ女たちを引き裂いたアル。
●シャムス・ライラ(極夜・g04075)
攻撃/回避のためにドローンからドローンへと飛び移っていると、視界の隅で赤い光が閃きました。地上から光線が発射されたようです。
動き続けつつ、視線を下方へ……ふむ。『発射』という表現は正しくなかったようですね。光線の発生源は、緋々殿が手にしている剣だったのですから。
光線は二体のトループス級を傷つけていましたが、完全に仕留めたわけではありません。当然、その二体は緋々殿へ反撃を仕掛けました。
「皆殺シ! 皆殺シ! 皆殺シ!」
「皆殺シ! 皆殺シ! 皆殺シ!」
おなじみの喚き声とともに翼を激しくはばたかせ、小さな竜巻を緋々殿めがけて投下。更に他のトループス級たちも同じパラドクスを次々と繰り出しました。
「うわー。トルねーさんたちってば、愛情表現が過激すぎるわ。とてもじゃないけど、オレ一人では受けきれないよ」
軽口を叩きながら、緋々殿は台風を回避。
そして、反撃へ。光剣の刀身を常識外の長さに伸ばし、斬り裂いていきます。もちろん、その間も軽口は忘れていません。
「これ、扱うの苦手でさぁー。出来るだけ苦しんで死んでほしいんだけど、狙ったとこと違う場所を斬って即死とかしちゃったら、ごめんねー」
「その点、ワタシは狙いを外したりしないアルよー。的確かつ迅速に御提供するアル。当店自慢のパラドクスを!」
と、風美殿もアピールを始めました。
それに反応して、空飛ぶお客様たちが彼女に殺到しました。もっとも、直に押し寄せたわけではありません。地上に向かって、パラドックスを撃ち出したのです。緋々殿の時は竜巻でしたが、今回は半透明の礫のようなもの。空気を小さな弾丸状にしたのでしょうか?
風美殿はジグザグに走って、それらを回避しながら――
「そっちが弾丸で来るなら、こっちは砲弾や! 味わってみぃーっ!」
――口調を威勢のいいものに戻して両腕を空に差し上げ、袖口からなにかを連射しました。その『なにか』というのもまた半透明の礫です。いえ、礫と呼ぶには大きいですね。はっきりとは判りませんが(半透明ゆえに視認するのが難しいのです)、当人が仰ったように砲弾サイズのようです。
「その豆鉄砲ごと撃ち落として、口径の格差を思い知らせたるわ!」
間断なく飛び交う銃弾と砲弾。
数の上では前者が勝っていますが、後者のほうが優勢です。何体かのトループス級は『口径の格差』なるものを思い知ることができたでしょう。そう、あくまでも『何体か』であり、全員ではありません。
思い知る暇もなく、一撃で死んだ敵もいますから。
「これはまた凄まじい威力ですね」
私は思わず呟きました。
「ふっふっふっ」
私の独白が聞こえたのか、地上にいる風美殿が不敵に笑いました。その笑みに調子を合わせるかのように眼鏡がキラリと光ったように見えたのは気のせいでしょうか?
「確かに威力もゴツいけど、このパラドクスの一番の長所は他にあるねんで」
「一番の長所?」
と、緋々殿が興味深げに聞き返しました。光剣を振り続けながら。
「そう。それは――」
風美殿もまた空気の砲弾を撃ち続けながら、いつもの口調で答えました。
「――弾代がかからないことアル! 空気はタダだからー!」
商魂たくましいですね……。
●終幕
ディアボロスを十重二十重に包囲して攻撃を加えていたトループス級ではあるが、それは自分たちもまたディアボロスから攻撃を加えられることを意味していた。
戦いが続くうちに十重二十重は五重十重になり、一重二重になり……やがて、包囲網は完全に崩れ去った。
「皆殺シ! 皆殺シ! 皆殺シ!」
そう叫びつつ、トループス級たちは言葉とは反対の行動を起こした。
撤退である。
いかに好戦的なトループス級といえども、この状態でセイレーンの弔い合戦を続けるほど愚かではないらしい。
もちろん、ディアボロスはそれを黙って見送ったりはしなかった。
「当店はお残し厳禁! 最後の一口までしっかり味わってもらうでぇーっ!」
風美の空気砲弾が連射され、それらを食らったトループス級たちが墜落した。
そこに緋々が斬りかかる。
「おまえらクロノヴェーダを殺すのはさぁ、世界が認めてくれてんだ。崇高な使命とかとは無縁のオレだけど、こんな楽しいことが世界公認でできるんなら、見過ごせないわー。ぎゃはははははは!」
哄笑が響き、光剣が走り、血飛沫が散った。
その惨劇の犠牲にならなかったトループス級もいる。彼女たちは再び空へ……飛び立とうとしたが、無様に転倒する羽目となった。
泥濘化した地面に足を取られたのだ。
「あれだけの事をしておいて、まさか逃げられるとでも?」
パラドクス効果の『泥濘の地』を用いたシャムスがドローンから飛び降り、トループス級たちの前に立ちふさがった。
「遠慮なさらず、演者の気持ちを味わっていただいていいのですよ」
琵琶が鳴り、最後の『演者』たちが死んだ。
ショーの幕が閉じた。
ディアボロスたちはクロノヴェーダの死体など一顧だにすることなく、広場の隅へと向かった。
そこで事態を見守っていた観客――傷ついて疲れ果てた市民たちを改めて癒すために。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【エアライド】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV2になった!