イタリア蹂躙戦団を叩け

 《七曜の戦》でイスカンダルが強奪したイタリア半島南部は『共和制ローマ』の時代へと変貌しています。
 この『共和制ローマ』の人々が、砕城者・デメトリオスが率いる亜人軍団の襲撃によって蹂躙されようとしています。

 共和制ローマの人口は、数百万人(ローマ周辺だけで数十万人)となり、亜人戦力増大の為の絶好の狩場となっています。

 ディアボロスが、砕城者・デメトリオスが率いるイタリア蹂躙戦団の迎撃に失敗すれば、数百万人が犠牲となり、数十万体以上の新たな亜人が生まれる事になるでしょう。

 この作戦に成功すれば、砕城者・デメトリオスに決戦を挑み、イタリア蹂躙戦団を撃退する事が可能です。
 撃退に成功すれば、次の軍団が編成されるまで、最低数か月はイタリアの安全を確保する事が出来るでしょう。


砕城者・デメトリオス

烟りしヘムロック(作者 皆川皐月
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#蹂躙戦記イスカンダル  #イタリア蹂躙戦団を叩け  #イタリア半島  #砕城者・デメトリオス 


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 煙る砂が晴れた時、遠目に見えたのは人々の営み在りし村々。
 橙色の一つ目の巨人 破城者 デメトリオスが背後に並び立つ亜人の軍団へ叫ぶ。
「――お前ら喜べ!!この先はまだ誰も蹂躙してないまっさらな土地!!」
 ウォォオオオオ!!と上がる歓声は野蛮で、密やかな下卑た笑いがいとも簡単に伝播してゆく。
 その嘲笑を片手を上げ止めたデメトリオスがニィっとわらった。
「もう隠れてる奴らを探し、僅かな蹂躙に一喜一憂する必要などない。見ろ、人間だ!」
 デメトリオスの示す先には、乾いた大地で必死に生きる人々の姿が亜人達の目にはよく見えた。
 口々に“人間だ”“女だ”“ガキがいる”“殺せ”“奪え”という呟きは合唱へ。そうして徐々に高揚へ!
「聞け」
 他度片手を上げたデメトリオスの合図に、亜人はぴたりと口を閉じ高揚感を隠さぬまま言葉を待つ。
「奪え」
 “奪え”と復唱する。
「殺せ」
 “殺せ”と嗤う。
「奪い殺し簒奪せよ!!新たなる同胞を生み我らに繁栄を!人間に死を!」

 “うぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!”

 木霊す喝采と共に亜人はギラついた目で進軍する。
 迸る欲望のままに、ただ。

●地揺らすなら
 自身の車両前で待っていたヴィハニール・アリャン(綴り手・g03389)が、その姿を見止め微笑んだ。
「皆様、お疲れ様でした。《七曜の戦》を乗り越え、最終人類史に多くの大地を奪還する事に成功したね」
 今までの成果の結実のように得た勝利はとても大きく、それぞれの糧になっているのは間違いない。だが、ディアボロスの戦いはまだ終わるはずも無く……。
「では、始めましょう。我々は再びディヴィジョンに分割された世界で虐げられる人々を救う仕事で」
 そう微笑んだヴィハニールが“大地を強奪したクロノヴェーダに復讐の鉄槌を”と、変わらぬ笑顔で口にする。
「ご損じと思いますが、《七曜の戦》ののち各ディヴィジョンの状況は大きく変化しています。今後は《七曜の戦》後の状況に合わせた作戦を展開していく……つまり変わらず、いえ、より臨機応変に参りましょう」
 そう言ったヴィハニールが展開したのはイタリア南部。《七曜の戦》で、蹂躙戦記イスカンダルが断頭革命グランダルメから強奪した場所だ。
「この地にて現在“共和制ローマ”時代の一般人達が暮らしているようです。彼らは“共和制ローマ』の時代の知識を持っており、クロノヴェーダに支配された……といった改竄された歴史の知識をもっていないようです」
 その言葉に驚いた顔をする者、納得した顔をする者様々いたが誰もが良い顔をしない。
「おそらく、蹂躙して殺し尽くすので歴史を改竄する必要は無い……と考えているのかもしれません」
 当然とも言えた。
 誰がこれから略奪と殺戮をしに行く相手に予告などするものか。しかしそれを事前にディアボロスが知った今ならば、打つ手がある。言葉の続きを促すように見つめられたヴィハニールが、笑う――というより、瞳を細め告げる。
「クロノヴェーダの侵攻など想像もしていない街の人々を護り抜き、亜人達を撃退してください」
 “遅れなど取らせません”――そう笑うヴィハニールの青が挑発的な色を含んでいた。

「皆様もお察しとは思いますが、蹂躙戦団の亜人達は人間がいる場所の気配を頼りに襲撃を仕掛けてくるでしょう。よって人々を完全に避難させるのではなく、守れる範囲に置くのです」
 つまり人々を逃せば他に飛び火する、とヴィハニーは続けてから、“それを防ぐため皆さんは手分けして農村部の人々を地域の中核都市に避難させ護りやすいようにするのが一番でしょう”と添える。
「人々の中には、この地を離れたくないと断る人もいらっしゃるはず。どうか言葉を忘れず、向けてあげてください。何事も、力や能力だけでは解決できないこともあるもの。心からの素直な言葉だからこそ、胸に響くものもありましょう」
 思い出の地だが、生きるために――……そう言葉として言うのは簡単に言える。
 だが、考えるべきは“言われた側”なのだろう。ならばいっそこの地と死ぬと頑なにさせてはいけない。無理に連れ出せばきっと危険な方へ逃げ出す者もいるかもしれない。思案するディアボロスへ、更にヴィハニールが指を2本立てて。
「同時に一つ目、中核都市の側の対策も必要です。周囲の農民が大挙して押し寄せれば住む場所も食料も足りなくなってしまう」
 “その対策、二つ目ですが”とヴィハニールが桃とアプリコット、トマトとズッキーニの映像を展開させる。
「幸いなことに、今南の果樹園は桃とアプリコットの収穫が。東の野菜農園ではトマトとズッキーニの収穫が忙しいので、ご婦人や子供達と収穫をお願い致します!……ですが、収穫は実りだけではない。どうか“思い出”も共に」
 迫るのは亜人の蹂躙。畑が無事とは限らないからだ。
 パ、パと変わりゆく地図は拡大され中央の巨大な街を中心に周囲は農村部となる地を示していた。ディアボロスが確認するのを見止めたヴィハニールが次に展開したのは農村部。既にヴィハニールが挙げた東の野菜農園、西の小麦畑、南の果樹園の三種。
「更に、皆様にはもう一つお仕事が。都市を支配している貴族の中には、農民が大挙して押し寄せてくることを良く思わず、兵士を使って追い払おうとする者もいるでしょう」
 それも、クロノヴェーダという脅威を知らぬがゆえ。
 知っている側からの非道も、知らぬ者からすれば分らぬゆえの反抗。それへ、脅威や村人を集めた意味を説かねばならない。
「手法は様々ですが、私のオススメは穏便に快く農民を迎え入れさせることです。そうですね――……例えば、丁度度誕生日で12歳になる筆頭貴族のお孫さんの誕生日の宴を盛大に行う、などでしょうか」
 ウインクしたヴィハニールが“うまくお願いしますね”と朗らかに笑ってからパンッ、と手を打つ。
「――さて、人々の避難対策を終了させた後は都市に向かってくる亜人の部隊を迎撃と撃破。つまりはいつものお仕事ですね」
 どこか達観した様に見えるヴィハニールのロッドペンの杖先で車両の床を突くいた。
 浮かぶのは東西南三門が存在する城壁の街。門無き北部は恐らく筆頭貴族の屋敷だろう。次に映ったのは今回の盗伐相手。
「山の長老 ハサン率いるマミー暗殺兵です。ハサンは一見弱々しい山羊人の老人のようですが並の者ではなく、また弱った女や少女少女のフリを教え込まれた暗殺マミーも並の人間ならば危険でしょう。ですが――……我々はディアボロス」
 欺かれるなど有りはせず、侮るなどするはずも無い。

「と、此処で皆様にお知らせです。七曜の戦を経たことで我々は敵を知り、敵もまた我々を知りました。よって、【飛翔】や【使い魔使役】は慎重を期すべきでしょう」
 使い方一つ、匙加減一つ。
 だが今は試す時間ではなく、見誤るわけにはいかない場面なのだ。
「幸い、この時代の人々は無垢で騙されやすい。……あぁ、悪い意味ではありません。ですが幸いなのです。我々の話しを疑わず、きちんと耳を貸してくれますから。だからこそ、その無垢な信に応えると致しましょう」
 命を繋ぎ、未来の頁を綴り続けるために――!

●路傍の白き花の可憐よ
『……ホホ』
『いやあああ!!!』
『たすけて、たすけてぇぇえええ!!』
 天を指す一対の捩じれた角を有した老人が指差した人々が悉く死んでゆく。
 駆け寄ったマミーに腹を抉られたお腹の大きな女性。
 女性を庇おうとした老人はその手は、女性へ届く前に引き摺り倒され深々と背から心臓へ刃が突き立てられる。
『や゛め゛ろ゛ぉおおおおおお!!!!』
『  ハ、』
 音も無く幾度もマミーに背を差され呻く老人が慟哭すれば、ふうと煙管から煙を吐いきニンマリと嗤った。
『夢を見よ。死の夢よ。憐れなり人類。憐れなり弱き民よ。力無き己を恨むがいい。人に生まれたことを、悔いるがよい』

 目にも止まらぬ一閃が、マミーの引き摺り出した赤子の首を斬り落とす。

 ――これは、在り得た未来。
 だが今ならば、まだ。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【未来予測】
2
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【友達催眠】
4
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【液体錬成】
2
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【コウモリ変身】
1
周囲が、ディアボロスが小型のコウモリに変身できる世界に変わる。変身したコウモリは最高時速「効果LV×50km」で飛行できるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV1 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【アクティベイト】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ダブル】LV1

●マスターより

皆川皐月
 お世話になっております、皆川・皐月(みながわ・さつき)です。

 遠く、迫る砂煙を人々は見た。

●戦場データ
 ▷現場:イタリア南部のとある周囲に円状に農村部のある街
     北部に門は無し。堅牢な壁のみ。東の野菜農園、西の小麦畑、南の果樹園の三種です。
 ▷時間:昼
 ▷敵
 トループス級:マミー暗殺兵
 アヴァタール級:山の長老 ハサン
 ▷各章
 ①:拠点都市への避難
  🌟この選択肢を👑せず④:山の長老ハサンをクリアした場合、残された農村部住民は蹂躙されてしまいます。
 ②:拠点都市の受け入れ準備
 ③:マミー暗殺兵
   俊敏に迷いのない刃で生命ある人間を殺戮せんとしています。
 ④:山の長老 ハサン
   指先一つでマミー暗殺兵団を指示し、煙の如く人間を襲う暗殺者の長老です。


 ご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

 最後までご閲覧下さりありがとうございました。
 どうか、ご武運を。
56

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


シアン・キャンベル
嗚呼――貴様、其処の貴様だ
唐突な話に頭が追い付かないだろうし、何より、この地を棄てるなど、まったく難しい事だ。私もな、昔、貴様と同じく故郷を棄てなければならない事があった。そうして、私は、莫迦みたいに生き延びていると謂えよう。だが、生き延びたオカゲで今を楽しめ、何よりも奴等に復讐する事が出来るのだ。貴様、貴様等、友よ……私は貴様等にもチャンスを掴んでほしい
いや、勿論、疑わしい事は承知しているとも。まるで平和な、平穏な状況でいきなり『化け物が攻めてくる』などと謂われても、呑み込めないだろう。ならば、せめて、安全な場所で『どのようなもの』が来るのか視てはくれないだろうか。きっと納得は出来る筈だ。そのうえで、しっかりと『判断』してくれたら嬉しい。大丈夫だ、少なくとも、私は……我々は。貴様等が思っているよりも強いのだよ

最初は一人に、徐々に人数を増やして中核都市に皆を集める
たとえ反応が悪くても怖いもの見たさについてくるかもしれない
そして、そう、我々は友達なのだ
……話くらいは聴いてくれても良いのだよ


●言葉織の機に腰掛けて
 容赦無く日光照り付ける中、豊かな黒髪の女がふらりと歩む。
 ふと畑で作業をしていた村人その姿に気が付いた時、女 シアン・キャンベル(ルログ・g01143)が口を開く。
「嗚呼――貴様、其処の貴様だ」
『何か御用ですか?こんな所にそんな装備で……どうか村でお休みに、』
 何も疑わない。
 ただ砂塵舞う国には少々足りない装備にも見えるマントを羽織りショートパンツとナポレオンジャケットを纏うシアンはこの国の民には物足りなく見えなくもなかったのだ。しかし唐突に表れた旅人のようなシアンを心配するその心遣い。それは尊いものの一つである、とはシアンには分かる。
「唐突だが、聞け」
『?』
 だからこそ、生きて欲しい。
 シアンはあえて包み隠さず話した。飾らず、そして淡々と。ただ“生きて欲しい”という祈りを込めて。
 最初はきょとんと不思議そうな顔で話を聞いていた村人の顔は徐々に険しくなり、最終的に押し黙る。
 そして恐る恐る、シアンの言葉を確認するように問いかけた。
『……つまり此処は危険、ということですか?』
「そうだ。唐突な話に頭が追いつかないだろうし、何より、やはりこの地を棄てるなどまったく難しい事だろう」
『そう……ですね。俺はここで育ち、ここは祖父から譲られたので』
 その言葉に逡巡ののち、引き込まれそうな黒の瞳でシアンは村人を見て――そっと話しだすのは過去のこと。
「私もな、昔、貴様と同じく故郷を棄てねばならなないことがあった」
『あなたも……!?』
 村人からすれば想像もつかないことだった。
 しかしシアンは経験あればこそ、心を籠めて話した部分もある。何故なら“失われたものは二度と戻らない”という実体験があるからだ。
 同時に、敵を知らねば戦えぬことも。
「……そうして、私は、莫迦みたいに生き延びていると謂えよう。だが、生き延びたオカゲで今を楽しめ――そして、“奴ら”に復讐することができるのだ」
『復、讐……お若いのに、辛いご経験をされたんですね』
「私のことは良い。だが貴様、いや貴様等、友よ」
 淡々と。けれどシアンの言葉に真摯に耳を傾ける男の後ろから幼い子供がにこにことシアンを見た時、シアンは思った。この目の前の男とその家族は生かさねばと、強く。
「私は貴様等にもチャンスを掴んでほしい。いや、勿論、疑わしい事は承知しているとも」
 当然の思考だ。平和な国に突如現れた女がこの地に化け物が来る、家も土地も捨てて逃げろなど、一体誰が信じるだろう。
『そりゃ、信じられないというか、現実的ではない気もしますが……俺、人と野菜を見る目はあるんです!きっと貴女は大変な目に遭ったからこそ、俺にもこの子にも声を掛けてくださるんでしょう?』
「……吞み込むのか、私の話を。この平和な、平穏な状況でいきなり化け物が攻めてくるという話を」
 今度は逆にきょとんとしたのはシアンの方だ。
 表情はほとんど変わらないが、知っているものが見れば“シアンが多少驚いている”ことはよく分かるだろう。
『信じます。けどどうしよう、今日収穫したかったんだけど間に合いますか?』
「クク、良い“判断”だ。だが焦るな、急げ。そして安全な場所で“どのようなもの”が攻めてくるか視てはくれないだろうか」
『ありがとう、お嬢さん。……よし、急ぐぞお前達は収穫!ハルラはお腹が大きいから俺と荷造りだ!』
 “はーい!”と明るい幼い声が二つ。遠く、ハルラと呼ばれt立ち上がろうとする身重の妻へ駆け寄る男の背を見送り、振り返ったシアンは砂塵の向こうを見た。

「大丈夫だ。少なくとも、私は……我々は。貴様らが思っているよりも強いのだよ」

 迫る迫る。
 遠き足音が徐々に、迫る。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
ラズ(g01587)と先に打ち合わせ
プラチナチケット、友達催眠を活用

……なんて美しい風景なんだろう
踏み躙られるなど度し難い……

ラズに合わせ人々へ説明
ここに、未曾有の脅威が迫っているんだ
どんな蛮族よりも恐ろしい
神話から抜け出た怪物のような……猛獣より獰猛で、酷い奴らが大挙して押し寄せてくる
出くわせば、生き残る者はないだろう

俺は奴らと戦うために来た戦士だ
この村の人々を余さず守る
全員を守り抜くために、街へ避難してほしい

……でも、その前に
この、豊かな実りは大切な宝……
皆で収穫をやらないか
協力を得たら、収穫の道具や、荷車も借りて
人手も総動員で、素早く収穫を
農園や村で起きた出来事を聞きながら
励まして、思い出も一緒にもっていこう
収穫物と共に全員で街へ向かおう
食べるものがあれば安心だよ
種子も持っていくな

作物は命を繋ぎ、食べた人を幸せにするな
この恵みを守って
たとえ踏み躙られても、蘇らせるのがあなた方の仕事だ
生きてくれ。いずれまた、この地に戻って農業ができると信じて
俺たちはそのために来たんだ


ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)と先に打ち合わせて
僕は別の農村で亜人に襲われ、エトヴァに助けられた人で行こう

急いで襲われる村へ行き
【友達催眠】を使い旧知の知り合い風に村人に助けを乞う
故郷の村が…南の村が襲撃されたぁ…
半ベソかきながら、ここにも奴らが来る早く逃げてと
その時の状況を、恐怖を語り人々に危機感を持ってもらう
僕はディアボロスのお兄さんに助けてもらったとエトヴァを見上げ話しを繋ぐ
優しい村民は僕に熟れた野菜を食べさせてくれるかな?
そうしたら、美味い!と落ち付こう

ディアボロスに守ってもらう為にはバラバラよりも中央都市に集まった方がいいと思うよ
今採れる野菜を出来るだけ収穫して行こう
僕の村では野菜も全部ダメにされたし…

収穫時には僕も手伝い大収穫、凄いねと喜びを分ちあう
急ぎつつも収穫は喜ばしく自然と顔も綻びそう
子供達と協力して馬車や荷台に運び
ヤツらを退ければ、きっと戻ってこられるよ
沢山の野菜もまた作れるよ
その為にも、今は逃げよう
この野菜達と一緒に中核都市で食べたら元気も出る
僕がそうだったみたいにね


●繋ぐ意味
 青々とした葉が擦れ合い、奏でるのは涼しげな音。
耳を澄ませば遠く聞こえた子供達の笑い声は、平和そのものだった。
「……すごい綺麗だね、エトヴァ」
「あぁ。なんて美しい光景なんだろう……」
 乾いた地にあるとは思えぬ潤いの街は、遠くなく蹂躙される。
 人は死に絶え、搾取など温い簒奪が行われ、惨たらしい“再利用”が待っていることを知るのは、ディアボロスのみ。
 全ては戦いだ。人々の誘導もまた、戦いであり、その先もまた――……。

「おーい!おおーーーい!!」
『ん?』
 半分泣きながら村へ駆け寄るラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)の声に顔を上げたのは、一人の農夫。
『どーしたぁー?』
「どうしようっ、大変だよ爺ちゃん!」
『……?あ、お前さんえーっと、あーっと、なんだったかあいつのとこの坊主だろ!』
 “どうしたどうした、泣くんじゃない”と言いながら、本当は演技であるラズロルの涙を拭い、落ち着かせるように背を撫でた老農夫の友好さは、少しの催眠と一瞬チラつかせチケットの力だろう。
 “あんたも大丈夫かい?”と心配そうにエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)と老農夫が心配すれば、汗を拭いながら“ありがとうございます”と答えしたエトヴァが、ちらりとラズロルへ目配せ。

 ――実は二人共、此処に来るまでに細やかな打ち合わせをしたのだ。
 話の齟齬が無いよう、違和感を感じさせないようなリアリティを持った警告の打ち合わせを。
 一概に逃げろと言って相手が聞いてくれる保証は無いなど、承知の上。ならば懐に入るのが近道だろう。

「あのさ、村が……俺のっ、南の村が」
『南の?どうしたんだ!』
 気付けば老農夫以外にも、妻と思しき老女や中年の男性、女性、青年や少女など人増えていた。ラズロルの様子に不安や心配気な様子であった。
「襲撃されたんだぁ……」
『襲撃……!?一体、そんな』
 驚きから声の大きくなった老農夫の言葉に驚いたのは村人達だ。
“襲撃?!”、“嘘!”、“なにそれ”、“どうして?”、“大丈夫なの?”など様々な声が入り乱れ生まれたのは小さな混乱だ。
 だが、真剣な目をした老農夫がラズロルの背を撫でながらエトヴァを見やり、穏かな声で尋ねたのは件の“襲撃者”のこと。
『坊主、泣くな。落ち着くんだ……なぁ兄ちゃん、お前さんは知っているんだろう?』
「はい。ここに未曾有の脅威が迫っているんだ。どんな蛮族よりも恐ろしい、神話から抜け出た怪物のような……」
『そうか、分かった。ありがとうよ、教えてくれて』
 その問いにエトヴァが頷きラズロルがしゃくりあげながら“みんな逃げて”と言えば“泣くんじゃあない”、そう口にした老人もどこか不安が増しているように見受けられれば、今度はラズロルがエトヴァへ合図するように見つめて、次の段階へ。
「……僕はこっちのディアボロスのお兄さんに助けてもらったんだ」
『ディアボロス?』
 騒めく人々ではあったが、ロズロルの“助けてもらったんだよ”の言葉に徐々に静まるも、ラズロルの言葉に沢山の期待に満ちた視線が向けられる。
「……これから、先程お話した怪物が大挙して押し寄せてくる」
『なぁ兄ちゃん、そりゃどうしてもわしらに降りかかるのかい?』
『ここに居ちゃだめなの?』
『おやさいいっぱいできてるよ!』
 子供の背を撫でた男性が問いかければ、“ほら、おいしいよ!”と二人の子供がエトヴァとラズロルへ差し出しだしたのは熟れた桃。
 洗われ冷たいそれを食めば、瑞々しく僅かな酸味と目が醒める美味しさにラズロルは反射的に“美味しい!”と声を上げるほど。
「……出くわせば生き残る者はいないだろう。だが、この豊な実りは大切な宝……みんなで収穫をして、街へ避難を」
「うん!ぼく――……ディアボロス達に守ってもらう為に、バラバラより皆で一緒に野菜を持って中央都市に集まった方が良いと思う!」
 一瞬“僕達ディアボロスが、”と言い慣れているせいか言いかけた言葉を飲みこみ上手く修正したラズロルが村人を力強い視線で促すエトヴァを後押しするように声を上げれば、お互いを見ていた村人達が下した、苦渋の決断。
『……分った。忙しくなるぞ、お前達!それに坊主、兄ちゃんにも手伝ってもらう』
「勿論。皆で収穫をしよう。それに種や苗も持って行かないか?荷車はあるだろうか、道具を積もう」
 誰もが今、生きるために一つになる。
 エトヴァが示した荷車は少し古い物を納屋から持ってきた者が農具を乗せながら“もう一台あったぞーー!”と明るく笑うが、よく見れは僅かに指先が震えていた。
「(……不安だろう。だけれど、俺達は今急いで連れて行かなければ)」
 堅牢なる城壁の向こうへ、命を。
「わ、すっごい!この桃一番大きいかもだね!」
『ほんとだー!』
『おにいちゃんすごいねぇ!』
 大人達と道具や未来的に必要になるであろう種子、苗木の類を上手く荷造りできるようアドバイスをするエトヴァが尽力する一方、子供達とわいわい収穫に精を出すのはラズロルだ。
 大ぶりの桃に喜びを分かち合い、子供達曰く“いつもの箱”に詰めてゆく。
『ねぇ、おにいちゃんのむらは……だめだったの?』
「うん。僕の村は野菜も何もかも、全部ダメにされたんだ……」
『そっか……じゃあさ、あのお兄ちゃんとお兄ちゃんと、わたしと、おとうさんとおかあさんと、ミミ達wといっしょにこれたべよーね!』
 “だいじょーぶだよ!”とお姉さんの顔をする小さな女の子が抱えた“ミミ”とは黒猫の子供。
「お嬢さん、この子はその子の兄弟かな?」
「エトヴァ!」
「あー!ココ!」
 ニャァン、と甲高い声で鳴いた一匹を受け取った少女の両手は一杯一杯。
 大人達との作業を終えたエトヴァが布を抱っこ紐のように結び女の子に使い方を教えれば、黒仔猫の兄弟はすっぽりそこへ納まって。
「青いおにいちゃんありがとー!そしたらココもミミもいっしょにいられるねぇ!」
「どういたしまして。さ、ママが呼んでいるよ」
『あ、ほんとだ!』

 少しだけ、この地とお別れをする。
 生きる一瞬を繋ぐために、けれど後悔が無いように準備をして。

「……ヤツらを退ければ、きっと彼らはこの地へ戻れるよね、エトヴァ」
「ああ、きっとまた彼らはこの地にもどって農業に精を出す日々を取り戻せる。俺達はそのために来たんだ」

 じっと砂塵舞う向こう見つめ決意を新たにしたエトヴァが“支度を急ごう”と果実の詰まった箱を持ち上げラズロルと共に荷造りへ。

 迫る迫る。
 醜い足音が、悍ましい存在が。

 強い日差しがラズロルの髪を煌めかせ、ごうと吹いた風がエトヴァの翼を揺らしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!

シアン・キャンベル
【プラチナチケット】【友達催眠】使用
筆頭貴族との会話を希望、それに相応しい服装に着替えておく

嗚呼――勿論、只、農民を受け入れよと告げているのではない
友のよしみで、頼む、と、頭を下げるだけで貴様等は納得しない筈だ
ならば、そう、丁度いい『理由付け』として友よ、
友の『孫』の誕生日と耳にしたのだよ
なんでも12になるとか
……で、在れば。盛大に祝うのが友としての役目
私が出来る事であれば幾らでも『やろう』ではないか
ああ、友よ、頷いてくれたら有難い
何? 食料などは如何するのか?
食料に関しては問題ない筈だ、私の知り合いがしっかりと、人数分『用意』しているのだよ。しかも、美味しい物を、だ

それと、ふむ。都市の防衛の強化も考えておいてほしい
世の中は思っていた以上に物騒らしくてな、なんでも、
ロクでもない連中が迫っているようだ
……ああ、安心してほしい
友である私が、私達が『出撃』する予定なのだ
確実に連中の首を獲ってきて魅せよう
つまり、この提案は『備えあれば患いなし』の話だ
私は友が賢明だと知っているのだよ


●シンプルな一杯のお茶は、シンプルな物事とはほど遠い
 落ち付いた上品な黒のワンピースに、繊細な金細工のブローチ。
 シアン・キャンベル(ルログ・g01143)が裾を上品に翻し、楚々とした令嬢然の如く背筋伸ばし門番を越え、今は女中の持て成しを受けながら主を待った。
『待たせたね、友よ』
「――いや。この国の茶を味わうには十分な時間であった」
 一見好々爺のようなシアンの目の前の老人こそ、この地の筆頭貴族。
 シアンの様子を見ると軽く手を上げ執事も女中も下がらせた。
 真意をすぐ察したシアンがクッと喉を鳴らし笑うと、カップの茶に口をつけ笑む。
『で、今日はどんな悩みごとだね』
「まるでいつも厄介を持って来るような言い草ではないか。なに、“友のよしみで頼む”と頭を下げるだけでは貴殿が納得し得ないこと、と言っておこう」
 “ほほ”と笑う老貴族の顔に一切の嫌味は無く、ただシアンと言葉遊びの片鱗を楽しんでいる様子で、あえて“まるで初めて聞く”ような役者面で顎髭を撫でてていた。
『ほう。厄介かね』
「まさか。いや、嗚呼――そうだ。只、農民を受け入れよと告げているわけではない」
 ちらりと窓の向こう、眼下の広場で荷を纏めた村人達の姿を見止めた老貴族が“ならばなんとする?”と興味深げな色を宿した目でシアンを見る。
『何か面白い物でも渡してくれるのかね』
「いいや?違うとも言えるし、そうとも言える。そして丁度良い“理由付け”とも言えるさ、友よ」
 弧を描く唇に見せたシアンの何かを老貴族が感じられたのも一瞬のこと。すぐに目配せの催眠は認識を“友”とした。
『なるほど、余程私の喜ぶものと見た』
「友の“愛孫”の誕生日と耳にしたのだよ」
 シアンがそう微笑んだ瞬間、ぴくりと老貴族の眉が跳ね上がる。
『……くくく、なるほど。考えたではないか、友よ』
「なんでも12になるとか……で、在れば。盛大に祝いのが友としての役目。私が出来る事であればなんでも“やろう”ではないか」
 “そうだろう?”と優雅に笑むシオンに老貴族は微笑むばかり。
 もう湯気の立たぬカップを手に、シアンと同じく優雅に笑んで見せた。
『まったく。君と話すのが楽しくて茶が冷めてしまったではないか』
「なに、もうすぐこの話は終わるとも。友がただ、頷いてくれたなら有難いのだが」
「良い。好きにして構わんよ、友よ」
 大きく息を吐き背凭れに背を預けた老貴族が“食料は”と問えば、待ってましたと言わんばかりにシアンはなおも微笑んでみせる。
「何? 食料などは如何するのか?食料に関しては問題ない筈だ。私の知り合いがしっかりと、人数分“用意”しているのだよ。しかも新鮮で美味しい物を、だ」
『そうかね?多いように見えるが……鮮度が良いものは良い。我が孫は成長期でね』
老紳士の言葉に愉快そうに髪を払ったシアンが瞳細め宿したのは、僅かばかり剣呑な色。
「そして――……ふむ。都市の防衛も考えておいてほしい」
『何が来るのだ。大した災害は来ていないぞ、ここ数年』
「なに、世の中は思った以上に物騒らしくてな。なんでも、ロクでもない連中が迫っているようだ」
 “ほう”と顎髭を撫でる老紳士が身を起こし、目で問う。
「なに、不安になるな……安心したまえ、友である私が、私達が“出撃”する予定なのだ」
 シアンの背後で優雅なカーテシーをした目元隠すエンジェルのメイドが違和感を宥めすかしてしまう。
「確実に連中の首を獲ってきて魅せようつまり、この提案は“備えあれば患いなし”の話だ」
 “笑ってくれ友よ、さぁ祝の支度をしよう”
 微笑むシアンが部屋を出る老貴族の背を見送り、ぽつりと呟いた。

「私は友が賢明だと知っているのだよ」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)と一緒に
連携アドリブ歓迎
新宿島から食材、調理器具を持参

収穫の荷を牽いて、農村部の人々を連れて、中核都市へ入城しよう
筆頭貴族の方の名前を聞いておかねばな

貴人のお孫さんの生誕を、皆で祝いに来たんだ
美味い料理を振舞い、宴に美味を添えたい
俺は液体錬成で地下等の冷暗所に持参のワインと収穫した桃のジュースを仕込んでおく
迎えてもらったら、貴族の館へ

ラズの料理を食べて口福の伝道者でどんどん増やし
ワインと一緒に宴に持ち込もう
農民たちも一緒に盛大に祝って
保存食も増やしておけば、いずれ農民たちの食糧になるだろう

お孫さんにジュースを
貴族にワインを勧めて
実は……お耳に入れたい事がございます
じきに、この地に亜人という恐ろしい怪物が攻めてきます
俺達は異国の戦士
必ずやこの都市を護ります

お願いがあります
この善良な農民たちを、都市で保護しては頂けないでしょうか
当面の食糧も持参しております
安全が確保されるまで、雨露を凌げる場所をお貸し頂ければ幸いです
この料理も酒も、彼らの心からの祝いです
と頼み込もう


ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)と一緒に
中核都市に移動したら
野菜を麻袋に入れ事情を説明しに筆頭貴族の下へ向う
お孫さんの誕生日に農村の野菜や果物を使った珍しい料理を振舞おうと思いまして!
訝しまれたら新宿島持参のジャムを渡し味見してもらおう
厨房借りまーすと言って料理を始めるも、作るのは3人前を二人分!
小麦粉を練って伸ばして彩り野菜にチーズとトマトソースを乗せ焼けばピザ
甘いジャムを挟んだパイも作ろう
新宿島持参の食材と獲れたて野菜を使って
少量の料理をいろいろ作っていく
出来たらエトヴァと二人で食べるよ!【口福の伝道者】で
羨む使用人さんちょっと待ってね?
と完食すれば2400食皿付きで出来上がり
さぁ、運んで運んで~
桃とアプリコットはカットして乾燥…途中でも食べて増やす
ドライフルーツにすれば保存も効くしね

楽しい誕生日会を楽しめば
筆頭貴族に助言を
南の村も既に壊滅です…ここも二の舞になる前に対策を…

食料なら大丈夫
今日の食材も全て農村のものだし
暫く食繋ぐ量はあります
近隣貴族にお達しをお願いします

必ず、この地は守るから


●必ず、この地は守るから
 村人を引き連れやってきたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)とラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は人数とその荷物から一度門番に拒否されそうになると、そっと忍ばせ見せたプラチナチケットで即座に招かれた客へと変じ、街の中央へ一旦村人達を集合させていた。
 逡巡はしたが、既に祭りが始まりかけの此処ならばと即席の調理場を整え“この世界に違和感なく”村人や村長達に手伝ってもらい、祝いの料理を作り始めれば他の祝いの料理を作っていた街人達が“お祝いに駆け付けてくれたのか?”と嬉しそうに笑う。
 多少困惑を見せた村人達だが、街人との間をエトヴァやラズロルが繋ぎ、徐々に良好な交流が出来始め賑わいも増してきた。
「案外イイ感じに溶け込めそうではあるね」
「そうだな、ラズ――……筆頭貴族の名はフェリクス・コルノーリス・ノーラッグ。コルノーリス家のフェリクス氏が筆頭だそうだ。お孫さんは男の子、名前はマルウス」
「じゃあ、マルウスくんの12歳のお誕生日をフェリクスさんは祝いたい……だからもうこんなに街が装飾されてるんだね」
 見上げた空には花弁が舞い、誰もが迫る危険を知らずに笑顔で過ごしている、壊されるべきではない幸福であり日常だ。
「……そうだな。守らなければならない場所だ」
「ん、だね」
 ラスロルの言葉に頷いたエトヴァが、祭りが始まりかけの街で即座に収集したのは筆頭貴族の情報。有名人だけあって知っている人間は多く、案外簡単に手に入り内心どこかホッとしてしまう。
 そして、想定通りフェリクスが孫であるマルウスを溺愛しているということと、フェリクス自体は穏やかな人間であり、沢山の人間が尊敬していることも皆の話口から察することが出来ていた。
「さっき教えてもらったけど、屋敷の厨房も祭で案外気軽に貸してくれそうみたい」
「よし、なら上手くお孫さんにも接触できればいいが、最低限フェリクス氏とはよく話をせねばな」
 ここが上手くいかねば、もしかすれば人的被害を招く可能性があるのだから。
 こつんとぶつけたお互いの拳を信じ、ラズロルとエトヴァは屋敷へと向かう。街の噂を信じ、筆頭貴族へと会いに。

「――こんにちは!あの、お鍋をお借りしてもいいですか?お孫さんの誕生日に農村の野菜や果物を使った珍しい料理を振舞おうと思いまして!」
『ん?あんたぁどこの人だい?』
「あっ、おれは~……」
 今回ラズロルとエトヴァはあえて別の方向から入り込んでみる。二人で筆頭貴族 フェリクスへ会いに行った場合、門前払いや押しかけたと思われることなど、あってはならないからだ。
 ならばあたり方を変えればいい。信頼を得るには唯一人からでなくとも良いのだから。
『……こ、こりゃあなんだい?!いったいどんなもんを使ったらこれができるんだ!』
「んー、これはおれの秘蔵の品だからちょーっと言えないかなー」
『頼むよ、ああここは好きに使ってくれ!けどこいつの作り方、いやあんたの料理を見せちゃくれないか!』
「勿論!」
 屈託の無い笑顔で厨房へと入り込んだラズロルはさり気無く新宿から持ち込んだ苺ジャムを味見させ、味わったことのない品で屋敷の料理人達の関心を買い徐々に距離を縮めることに成功していた。
「この生地はまず、これとこれと混ぜて――……」
 手始めに作ったのは簡単なピザ。
 生地を捏ね、寝かせる間に村人から分けてもらったトマトを使い作るのは真っ赤なトマトソース。
 あえて複雑なスパイスは使わず、複雑な調理法を用いないことで料理人へ更に沸かせるのは親しみだ。
「まずこのトマトはとても味が良いんだ。だから潰してこうすればソースになるし、野菜は火が通りやすいように薄切りにしておこうか」
『色も綺麗だな』
『あっつ!跳ねちまった……煮込むとちいと酸味が飛ぶなぁ』
「こっちは甘いトマトだったから混ぜて見たんだけど、どう?」
『『おお』』
 休ませ軽く発酵させた生地を伸ばし、トマトソースを塗り先程の野菜を彩り良く並べ、上にチーズを散らせば料理人達は興味津々。生地を厨房の窯で焼けば、立ち昇ったのは香ばしい香り――即座にピザの完成だ。
 わぁっと上がる歓声。気付けば厨房には女中や料理人以外の人間も増え、わいわいと賑わいを見せていた。

 一方、エトヴァは執事へ孫の祝賀へ訪れた旨と、村人の理由を話したいと筆頭貴族への取次を願い、通された応接間で静かに待っていた――その時。
小さなノック。
「はい」
『……ねぇねぇ、おきゃくさまなの?』
 ノックの主は小さな男の子。
 物珍しさというよりも、怖いもの見たさでこの部屋を訪れたらしい好奇心旺盛なその子がこの宴の主役なのだとエトヴァはすぐに気が付いた。
「初めまして、俺はエトヴァ。君は……マルウス様?」
『うん!エトヴァはどうしてここにいるの?』
『おおマルウス、お前がどうしてここに……』
 “おじい様!”と喜んだマルウスに飛びつかれ微笑む好々爺こそ、筆頭貴族 フェリクス。
 突如部屋へ訪れたフェリクスへ礼をしようとしたエトヴァを手で制し、“構わんよ”と笑った老人が孫と共にエトヴァの向かいへ腰かけ、柔らかに笑む。
『……さて、話は何だね。うちの者から君が料理人だとは聞いているが、私にはそうは見えぬ』
「いえ、嘘偽りはありません。ただ、彼等には混乱を避けるため言えないことがありました」
『なるほど。で、“私”への話しかね』
「こーんにーちわっ!美味しい食事は出来立てが一番ってね!」
 タイミングよく部屋へとやってきたのは、両手に料理を持ったラズロル。テーブルへと並べられた数多の料理に驚いたフェリクスが言葉を発すより早く、大きな声で喜んだのはマルウスだ。
『わぁぁぁ!!すごい!おいしそう!ねぇねぇおじい様、食べてもいい?いいよね?ぼくもうおなかすいたもん!』
『あぁマルウス……』
 ちらりとエトヴァとラズロルを疑うフェリクスの視線も一瞬。
 次に部屋を訪れた屋敷の料理人が興奮した様子でラズロルの料理と持参した野菜などの食材や苺ジャムなどの料理を褒めたことで一変する。
 ラズロル自身、エトヴァと食べる姿を見せることで安心させようとしたのだが、初めて見る料理に子供であるマルクスは大喜びし、瞳を輝かせ祖父へとおねだりする様子と、どうもあの料理人にフェリクスは信を置いているらしく結局根負けし緊張したはずの部屋の空気は徐々に緩まってゆく。
『……――毒見というには無粋か。マルウス、気を付けて食べるのだよ』
「フェリクス様、マルウス様。こちらも是非ご賞味いただきたいのですがよろしいでしょうか」
 そうエトヴァが進めたのはワインと桃のジュース。カップへ注ぎ、普通なら疑いそうなところをフェリクスは“降参だ”と言いたげな顔で静かに口を付け笑った。
『まったく……貴殿らは何者だね。あのような料理も、そしてあの子の喜びようも、私は初めて見た』
 そう呟くと、フェリクスが二人に目配せし向かったのは窓辺。女中と執事にマルウスを任せ、ここで“話”をしようと言うのだ。
『で……何故彼らを率いて来たのだね』
「実は……お耳に入れたい事がございます」
 エトヴァの言葉に、フェリクスがぴくりと眉を揺らしたのは一度だけ。“言うてみよ”と続きを促す言葉にエトヴァは静かに話を続ける。
「じきに、この地に亜人という恐ろしい怪物が攻めてきます」
『亜人……?聞いたことも無い。嘘は大概にせよ』
「いいえ。南の村も既に壊滅です……ここも二の舞になる前に対策を……」
 一言でフェリクスが信じないことは二人の想定の範囲内。
 ラズロルは微笑みを消し、真剣な顔でエトヴァの言葉を後押しすればフェリクスに浮かんだのは戸惑いだ。
『まったく、突然……いや、待て。私の“友”も、突然君達のように私のもとを訪れ、そう突然君達のように――……』
 “なに、世の中は思った以上に物騒らしくてな。なんでも、ロクでもない連中が迫っているようだ”……という言葉が、フェリクスの脳裏を過る。
『……ロクでもない連中、かね』
「「はい」」
『……なるほど。まったく、どうしろというのだこの老いぼれに』
 “まったく”とガリガリ頭を掻いたフェリクスの瞳をじっと見据えたエトヴァが告げるのは、決意。ラズロルが告げるのは後顧の憂いを断つ言葉。
「俺達は異国の戦士。必ずやこの都市を護ります」
「それに食料なら大丈夫。今日の食材も全て農村のものだし、暫く食繋ぐ量はあります」
 迷惑を掛けず、更に守るというエトヴァとラズロルを交互に見ると、ふっと先に笑ったのはフェリクスだ。
『なるほど。貴殿らが友の言った用意であったか。まったく……奴めハッキリとものを言えば良いものを。よい、分かった。して、貴殿らは私に何を求める』
「お願いがあります。この善良な農民たちを、都市で保護しては頂けないでしょうか」
『……――承知した。友の置き土産もいるのでな。あまり変わらんさ』
「安全が確保されるまで、雨露を凌げる場所をお貸し頂ければ幸いです。この料理も酒も、彼らの心からの祝いです」
「近隣貴族にも、お達しをお願いします」
『なるほど。彼らを保護し、あ奴らを押さえろということか。ククク、構わん。私は我が孫が、あの子がああも年相応に喜ぶ顔を久々に見た。その礼を――……貴殿らからの祝いに報いるとしよう』
 チリン、とフェリクスがベルを鳴らせば、即座に侍る執事へ“文を”と指示が飛ぶ。
「ありがとうございます」
『ほほ。なに、安いものよ』
「俺達が必ず、この地を守るから」

 “行っちゃうの?”という幼気なマルウスと凛然と当主の顔をするフェリクスに別れを告げ、行くは門の外。
 筆頭貴族の指示で各門が徐々に閉じられてゆく。
 迫る砂煙を退けるように、堅牢に。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!

シアン・キャンベル
友達催眠は本当に便利なものだ。人を操り、心を弄び、その度に私に、悦びを齎してくれる
嗚呼、楽しいとも。愉しいのだ。しかし、神は――混沌は――私を赦してはくれない
嘲笑うのみよ――!

さて――友を裏切る事は騙した事に等しい大罪だ。この奈落のような罪を濯ぐ為に、貴様等、土に還ってくれないか。嫌なのか
友にも告げた通り、出撃――と、謂うべきだが、相手の数を思惟して突撃は危ういか。相手の出方を壁の裏側で伺いつつ隙を見せたら攻撃を仕掛ける
まあ、連中、私の予想では暗殺が得意そう故、何処まで通用するのか不明だが
未来予測で相手が動いたところに冒涜王だ。文字通りの神罹り、或いは憑り、貴様等に我等が神の盲目さ、白痴さ、耐えられるとは思えんが

もしも此方が不利になるような場合、仕方がない。私が盾となって時間を稼ごう。友との約束が枷に成るとは、いあ、まさか。私が私以外の者にお優しく成り果てるとは――!
ふむ。莫迦な事をしたな。相手が私を狙ってきたところを、復讐者、貴様等、未来予測で攻撃すると宜しい……
あとは任せたぞ、貴様等


●“友”へ
「(……“友達催眠”とは本当に、実に便利なものだ)」
 欺くことに長けた、ディアボロスが扱える力の一つ。
 シアン・キャンベル(ルログ・g01143)の熱かったそれは、端的に言って人を操り誤認させ心を弄ぶような行為だ。誰もが実に素直に騙され、そうして純粋すぎるほどの信頼をくれる。
「(あぁ、なんて)」

 ――なんて甘美なことだろう!

 “友”と自身を呼んだあの老人の、とは会ったこともないのに安心したあの顔!
 なんということだ、平素ならば由々しき事態だ。
 シアンを迎えたあの執事の、“きっと主もお喜びになりましょう”だと!あぁ……あぁ、なんて。
「……心を弄ぶ度、私に悦びを齎してくれる」
 口角が上がるのを隠しきれない。嗚呼なんて!なんて楽しいのだろう。愉しすぎるのだろう。
 いっそ鼻歌でも歌ってしまおうか。いや――いや、しかし。
「神は――混沌は――私を赦してはくれない、嘲笑うのみよ――!!」
 異星の異形神の羽音がする。

「さて――友を裏切る事は騙した事に等しい大罪だ」
 それはもう、ふるえてしまうほどに。
 閉じかけていた門にほんの少しの隙間を開けてもらい窺っていたシアンはふと、見つけた。
憐れみを以て門の隙間に伸ばされた日焼けした指先を!
「なるほど、誘うか。宜しい――」
 死の影纏った黒きナイフを叩き落し憐れみ誘うような上目遣いの隠されない殺意をシアンはわらった。
「――享受せよ」
 どろりとした声で囁くはPD―冒涜王―!
 飛び掛かって来るであろうマミーを羽音の如き風切り音で撓る鞭で打ち据え弾き飛ばす。
 目を潰し弱った肉ごと振り回し撓らせた一撃で切るように殴ればマミーの肉体が泣き別れ。更に僅かばかりの未来を読み背後取った一体へシアンがわらい脳天を思い切り打ち据え割く。
「(存外数が多いな)」

 一群が迫っているというのは想定の範囲内だが、どうやらマミーは死体の癖に存外足が速いらしい。恐らく引っ込んでしまえば何としてでも奴らはこの街へ入り込もうとするだろう。
 ゆえに、此処で盾になる以外の選択肢は無い。
「ふふ、あははっ……!嗚呼なんと、“友”との約束が枷に成るとは!」
 ……――きっと、破ってしまっても良かった。
 バレることなんて永劫ない筈だから。けれどどうしてだろう、どうしてこの仕事を終えればシアンを忘れてしまうであろう老人と、出際に“いってらっしゃい、またね!”と無垢に笑んだ孫という少年の顔が過るのか!
 失態か?
 覚えたことも無い郷愁か?
 いいや、
「(いあ、まさか。私が私以外の者にお優しく成り果てるとは――!)」
 喝采を。
 我らが“友”の愛孫生誕せし日に喝采を!
「さて、貴様らは幾度重ねたら私の未来を越えられる?」
 砂をものともしない足捌きで迫るマミーを避け、羽音の如き風切り音発す鞭を振るおう。
 紙一重で首捻って躱したナイフを蹴り上げ軽快に!
「宜しい、未来凝望す我が脳――いや、目を貸そう。あとは任せたぞ、貴様等」
 回る回る回る。
 鞭撓らせ打ち据えナイフを掠めて限界まで。
 
 
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

エルティ・アーシュ (トレインチケット)



●天高らかに響く歌よ
 背にした壁の向こうでは、この地を治める筆頭貴族の愛孫の誕生日を祝う宴が開かれている。
 誰もが笑顔で誰もが幸せな、守られるべき平穏な日常の最中。
 緑の髪をなびかせたアウリーネが微笑みかければ、“うん!”と頷いたエルティ・アーシュ(受け継ぐ小竜・g01898)が高き塀の上から急降下!
「みんなのため、平和のために、負けないのっ。行こ、アウリーネ!」
 迫りくるマミーの首を塀から飛び降り様、勢い殺さず振るったソードハープで着地の勢いで一刀に処す。
 だが後詰のマミー暗殺兵が素早くエルティを囲もうと、声なき歌声で森精の四重奏歌い上げたアウリーネの巻き起こす木々揺らす風が影の刃を跳ね飛ばしてみせた。
 エルティにとって戦いは一人のものではない。
 いつだって二人で支え合うものだから。
 蜜色の瞳で見た僅かばかりの未来で影の刃を受け流し、エルティは飛ぶ!
 木々無きこの場で、唯一の花は陽光に萎れ弱ったところをマミーに踏み躙られる姿は、まるでこの地で犠牲になる可能性を持っていた人々のよう。
「そんなことさせない……ぼくの歌で、みんなの声を届けるの……!」
 姿勢低くダッシュすれば元々小柄なエルティはいとも簡単にマミー共の足元を抜け、振るった刃の軌跡が起こされた死体たちを真の死へと送り出してゆく。
 不意突くように背後から振るわれる影の刃も強運過ぎる加護が奇跡をあらぬ方へ逸らした時、アウリーネがエルティの裾を引く。
「アウリーネ?あぶな――……あれは、」
 兵を上がろうとするマミー暗殺兵の一団――!
「そんなことさせないのっ!」
 竜翼羽搏かせ塀駆け上がりながら振るったエルティのソードハープが全てを無へと帰す。
 声なき声上げ迫るマミー暗殺兵団が八方から刃を手に迫る。 
 
 
 
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
ラズ(g01587)と密に連携しディフェンス
仲間の残留効果借りる

叶うならば、守りたいんだ、すべてを
せめて、手の届くだけは守る

迷彩コートを羽織り城壁の上に伏せて、双眼鏡で偵察
行軍の接近を示す砂煙を発見し、方角を確認
すでに地上から目に見える範囲なら、地上から偵察し
敵の方角や距離を、仲間へPD通信で報せよう

地を掠める低空飛翔は速やかな移動の補助に
敵の来る方角で、ラズとおびき寄せを行う

なるべく農園を避けた場所で、焚火を狼煙のように焚き
装備のスピーカーから欧州の収穫祭の動画の音声を流し
大勢の人々の笑い声、楽の音色
現地衣装を纏い
人がいると見せかけておびき寄せ

敵軍が現れたら交戦

戦況と敵の動きを観察
ラズと狙いを合わせ、挟撃に持ち込んだり弱体化した個体から狙う
周囲の被害は最小限に抑えるよう立ち回り
暗殺の動きに備え、互いの死角を補いあう
塗料弾を炸裂させ色彩の花々を浴びせよう

反撃には魔力障壁を展開
敵の動きや踏み込みを観察し看破、盾を掲げて防ごう

ただ、そこにある暮らしを、人々の魂の平穏を守るんだ


ラズロル・ロンド
アドリブ連携歓迎
エトヴァ(g05705)と息のあった動きで
最初は別々に行動し僕は敵おびき寄せ準備に走ろう

街中で催しの飾りや人型デコイなど持てるだけ持って
P通信で敵の位置を聞きつつ
砂煙を上げる団体の方へ走ろう
近ければそのまま戦闘に
距離があれば
畑に被害を出したくない
農村部を抜けた場所で焚火で煙を上げて
人が集まっている偽装をし
カカシやデコイを飾り
ロープで繋いで少し動くようにしたりして
僕等も囮になって
遠目からは得物が居るように見えるかな
畑を踏み荒らされる前に攻撃を仕掛ける

おや、エジプトでよく見た顔がここにも居た
襲う人が被害者面かい?
ま、どんなクロノヴェーダも容赦するなんて事はあり得ないんだけどね

ラアドザウバアで捉えた1体と周辺を巻込んで竜巻を吹き荒らし雷の一撃を放つ
反撃は残像を目で追うフリをして、急所の一撃を狙うんならココだなって位置を魔障壁でガード
暗殺者ならそう動くよね解る解る〜
と、自分がナイフで狙いそうな位置をガードして躱そう

約束があるからね
ロクでもない連中は漏れなく倒れてもらおうか


●雷光に百花

 ――地を耕そう。
 悪しき者共を焼き祓い、この地で必死に知恵と工夫で生きる人々へ雨と花の恩恵を。

「ラズ、いけるか?」
「任せて、エトヴァ」
 名を呼ぶ数多の意味を、俺/僕は知っている。
 刃交える直前まで、少し遡る。

 高らかにわらう淑女めいた同胞を中心とした暗殺兵共の集団とは、別の一団が砂煙を上げ迫っていた。
 砂色の迷彩纏い城門上に潜伏するエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は酷く冷静に砂煙を観察していた。
「――ラズ、どうやら一番最初に観測された集団から此処へ向かっている集団は減っているようだ」
「へぇ。なら分かれたっていうのが相場かな」
「だろうな」
 恐らくそれは他の街を救助に向かったディアボロスが対応していることだろう。
 今は、迫りくる第二陣の相手がエトヴァとラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)に課せられた役目。
 斥候は城門目前に“彼女”ともう一人、少女が相手にしてくれているから。
「よしっ、と。じゃ、僕はあっち――果樹園の向こうで。城門前、たぶん平気だと思う」
「あぁ、たしかに。“どの未来”でもまだ無傷なら、この先もそうだろうしな」
 未来視が見せたのは、舞うように躱し決して斥候を逃がさない彼女達ばかり。
 なら迫る本体と自分達が先に接敵するのも悪くないだろうと拳を軽く当て、エトヴァは引き続き距離の観測を。ラズロルへパラドクス通信でエトヴァと通信しながら借りたスピーカーをデコイに仕込み焚火前での“祭”を。
「………――あぁ、そうだよ!今日は良い日だよね!」
 迫る。
 迫る。
 迫る。
『――!――――、―――!』
「勿論!じゃあ僕達も踊った方が良いかな?」
 “ラズロルだけ”が賑やかに。
 祭から飾り付けた衣装飾っていたデコイごと借り設置し、エトヴァと相談し熾すことに決めた焚火を囲むラズロルが“拍手”に合わせて踊る。
 実際塀の向こうで誰かが盛り上げるのに踊っているのだろう。タイミングが良いな、と街で見た足取りそのままに衣装を翻し舞った時、その耳に届いたのはエトヴァの声。
「(ラズ、果樹園500……400、300、もう向かう。来るぞ)」
「りょーかいっ、っと!」
 一方、パラドクス通信で距離を伝えたエトヴァもまた城門からの急降下の際、壁面を蹴り出し平行に加速する。
 常に観測していて気が付いたのだ、“マミー暗殺兵団”は正面を見据え猛進している……と。
 迫るマミー達の空中を奪いながらエトヴァは思う。
「(叶うならば、全てを守りたい)」
 数多の人を救い、クロノヴェーダを屠り、様々な大地の奪還に尽力してきたからこそ、それが少々欲深い願いであると若干の自覚はある。
 けれど、これは一人の願いではない。
 丸で気付いていないフリの上手なラズロルが踊るフリをしてエトヴァに笑顔で手を振って。
 未来の見える目を貸してやる、そうわらった同胞の挑発的な笑みは先んじて押さえろ“貴様らが”という言葉が含まれていた。
「――なら、手の届く範囲で良いさ」
 “守る”
 ディアボロスとして世界を渡る意味を此処に。

 敢えて敵軍の頭上から裡にエトヴァが飛び込み様、筆を振るった瞬間弾けた色の群れに、マミー達は驚愕する。
 砂と風ばかりの世界にどうと降り注いだのはPD―Farbenfrohe Blumenwiese―!
「Sehen Sie das Elysium?」
『!?』
『……!!』
「――あぁ、そう驚かなくていい。それに、」
「あはは、ちょーっとそういう急所狙いって――……単調すぎだよね?」
 エトヴァの背、翼の狭間に浄化の塗料で身を瓦解させられながらも一矢報いんとしたそれを真っ直ぐ駆け寄りエトヴァの肩に手を着き宙返りの要領でマミーを蹴り飛ばしたラズロルが笑いながら、既視感のある顔に気が付いた。
「おや、エジプトでよく見た顔がここにも居た」
『……た、たす……け、』
「――襲う人が被害者面かい?」
 冷えた目でラズロルがマミーを見下ろしたのも一瞬、くるりと表情を変えると一息に砂塵孕む風でその首を斬り飛ばす。
「ねぇエトヴァ、“かわいそう”?」
「まさか。あまり上手ではないし俺は惹かれないな」
 “だよねぇ”と笑ったラズロルが風の魔術で迫るマミーを切り裂き、“惜しいほどでもないし”とこの浄化の塗料で不浄なるマミーを焼く。
 敵陣に飛び込もうと互いの背を任せてしまえば二人にとって恐ろしいものなど何もない。
「……ねぇエトヴァ、ちょーっと目晦ましの影が多いし、吹き飛ばしちゃお――っとぉ!」
「いいんじゃないか、合わせ……早いっ!」
『――、あはは』
『ふふ、ふふふ』
 けれど、未来視の目が本来の致命傷を全て無きものとする。
 あぁ貴様らは憐れだな?とわらう女の声が、マミーの耳元掠めようと死体は聞く耳を持たなかったのは実に憐れな現実。
 薄笑いを浮かべ影の群れを目晦ましにラズロルの首狙わんとしたナイフを障壁纏った手で受け止める傍ら、鳩尾に迫る影纏ったナイフを紙一重、障壁で防いだエトヴァが目配せ。
「ラズ、いけるか?」
「任せて、エトヴァ!――繋げ雷鳴 砂塵巻き上げ 嵐を呼べ」
 唸る暗雲巻き上げ踊れよ竜巻。
 暗雲の毛皮を纏い雷光の宝石を纏え。PD―ラアドザウバア―!
「なんたって今日は“お祭”だからね」
 叫喚の全てを雷鳴で喰らおう。
 エトヴァの浄化咲かせるインクの花畑に足取られた死にぞこないの全てを無へ帰して!

『      !!!!!』

 視界を真白くするほどの雷光が一条、砂さえ焦がす一撃で影すら残さず悲鳴ごと全てを焼いた。
 
 この雷は雨を呼ぶ。
 風に揺れる花々は花弁一片たりとも傷付けぬ雷雨が、たった一人立つ一対の角を湛えた老人を待っていた。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!

●哀れみで何を買おうというのか
 
 気が付けば吹きすさぶ風が冷たくなっていた。
 日が暮れ、街に燈された篝火――おそらく、筆頭貴族 フェリクスの指示だろう。城壁へ燈された篝火が煌々とディアボロス達の影を伸ばす。
 ふと顔を上げた時、砂塵の向こうに人影。
 ――問わずとも、分かる。
 一見して齢よりもしゃんと背筋を伸ばしたその“男”は、人ならざる者。その証拠に、頭上の捻角が一対、天を指していたのだから。

『……なるほど』

 今まで、彼の姿を見たディアボロスは幾人もいるだろう。
 だがあくまでそれは全て写し身。そして勿論、眼前の男――否、老人もまた、同様。

『ホホ……なに、構わんよ。儂の腕一本でも後ろの“それ”を潰すことなど容易』

 一歩、迫る。

『“人”など数多おり、そしてまた生まれる。潰しても潰してもキリなどあるまい、貴様等のせいで』

 淡々と。
 しかしどこか狂気に染まったようにも見える凶暴な光を宿した瞳で怪翁 山の長老ハサンからふわりと紫煙が立ち昇る。

『この年寄りに、一つ譲ってくれんかね。あれで良い。あれ一つで良いのだ』

 ハサンが“あれ”と細く節くれだった指が示したのは、ディアボロスが襲撃から守った街。
 “先の短い年寄りの頼みだ”と薄笑い浮かべ、また一歩。――なんと鼻につく、煩わしい香の臭いか。
 
 
***

▷Time:日の沈み切る直前の誰彼時
▷Advantageous
 ・筆頭貴族による城壁の篝火
 
 
 
シアン・キャンベル
嗚呼――貴様、老いたと宣うには些か、不穏だとは思わないか。いや、不穏などと言葉にすべき代物ではない。貴様は『滅ぼさなければ』厄介な『なにか』と私は認識する。それにしても、枯葉のような輪郭だ。枯れた花のように、におう……?
【未来予測】【強運の加護】で敵の動きを、攻撃を避ける、または受ける――違う――あれは私か?
ならば、より、読み易い
成程、素晴らしいほどの嫌がらせだ。では、私は私が最も苦手だろう、故に最も得意な、精神への攻撃を仕掛けてやろうではないか。勿論、先の残留効果を使って『先手』を取れるようにな。殴り合いに等しい
なあ、私、仲間に裏切られた気分は如何だ。私は、今、気分が悪くて、吐きそうで、眩暈がしている。ならば、私も、貴様もそう在るべきだ
――貴様(わたし)の方が裏切られた際の、死に様は最悪だろうがな!

いやはや、愉しい光景だった。ありがとう、貴様に感謝しておくべきか。ご老体!
身体に鞭を打っての戯言ご苦労、私は友の為に全力を奮わねば、揮わねばならぬ
此処で屈するほど私は賢くないのだよ――ふふふ


●その煙を噛み締めて、あなた
「嗚呼――貴様、老いたと宣うには……些か、不穏だとは思わないか」
『おやおやお嬢さん、儂は何もできんさ。街の一つを、潰せる程度だとも』
 “街一つ潰すこと”などさも大したことではない、と言いたげにわらう皺枯れた存在にぴくりとシアン・キャンベル(ルログ・g01143)の眉が動く。
「……訂正しよう。不穏などと言葉にすべき代物ではない」
『そうだろうとも、儂は――』
 あぁ、気がおかしくなりそうだ!
 怒りも虚しさも通り越し、いっそ笑いたくなるなるような感覚。なんて酷いのだろう、あぁなんて馬鹿々々しい!
「貴様は“滅ぼさなければ”」
『なんじゃと……?』
「分からんのか。厄介な“なにか”、と私は認識すると言っているんだ――随分と枯れ枝のフリが上手いものだ」
 睨み合う二人の狭間を、風が流れた。
「枯葉の輪郭に枯れ花の――……(におう?)」
 何故だ。そうシアンが問うより先に、眼前にあったのは“わらい”シアンを覗き込む自分自身!
 あぁ、なんて。
「『ほう』」
 殴り上げるような自身の掌底を仰け反り躱し、続けて放たれる蹴りを運よく察知し躱しながらシアンは考える。
「(さて、どうしたものか。いつからだ。いつから“私”は間違え――いや、間違えさせられていた?)」
 これは誤認だ。
 下らぬ手品に過ぎぬ。
「……しかして、今、“私”は食らっている」
 瞳を伏せ考えながら、実に下らぬ児戯に引っ掛かったような気持ちになる。
 こうも読みやすい相手と戦えなどと……あぁ、なんて。
「成程、実に素晴らしい嫌がらせだ」
 シアンが“シアン”には無い運とたった数秒先の未来で不利だと思われた天秤をひっくり返す!
「私は“私”が最も苦手だろう。故に最も得意な――……精神への攻撃を仕掛けてやろうではないか」
『っ……っっ!』
 拳を振るう“シアン”の身をするりと躱し、シアンが“シアン”へ囁いた。
 これは小さな“かみ”ろまみえる魔法の言葉。すてきなすてきな“おまじない”!
 PD―離間の計―!
 上がる口角を抑えきれない。
 先程まで視線躱した同胞に裏切られる“シアン”を。
 言葉を交わした“友”に、“村民”に襲われる“シアン”を!
 裏切りは重罪だ。裏切りは恐怖だ。怖くて怖くて足が震えてしまう。あぁ!あぁ!
「そう怯えるな」
 怯え目を見開いたまま幻影へ怯え喚き散らす“シアン”の耳元でシアンは囁く。
「――“私”よ、聞け。なあ、私、仲間に裏切られた気分は如何だ」
『―――    !!!』
 声にならぬ悲鳴さえ拍手に過ぎぬ。
「私は、今、気分が悪くて、吐きそうで、眩暈がしている。ならば、“私”……否、」
“貴様”もそう在るべきだ――!
 三文芝居もいいところ。それ以下なお決まりのセリフはきっとニセモノの口から出るだろう。
『“私”は仲間だと思っていたのに――』
「私は仲間だと思っていたのに――?……わらわせる。お決まりにしてももう少し上手い回しができないものか。がっかりだ」
 既視感しか産み落とさぬステレオタイプの申し子ももう限界だ。
 目につき耳にこびりつく大根役者はとっととご退場願わなければ!

「あぁ、でも。――貴様(わたし)の方が裏切られた際の、死に様は最悪だろうがな!」

 その肉に刃を突き立てて、離さないであなた。
「いやはや」
『む、』
「愉しい光景だった。ありがとう、貴様に感謝しておくべきか。ご老体!」
 皺くちゃの枯葉を踏み潰せ。
 いつか腐って崩れて肥やしになるのさ、この乾いた土地の。
「身体に鞭を打っての戯言ご苦労、私は友の為に全力を奮わねば、揮わねばならぬ。此処で屈するほど私は賢くないのだよ――ふふふ」
 
 
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV4になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!

エルティ・アーシュ
…あの街では今、穏やかで楽しい、平和な時間が流れてるの
一人一人が、誰かにとって大切な人…そんな人々が暮らす街を、きみに渡すわけにはいかないよ

幻術は対処が大変かもだけど、真っ暗でも勇気を出して…攻撃が来る方向が見ていた先だったとか、もし効くなら【強運の加護】が働いてくれるといいな
おじいちゃんが使うのが幻術でも…攻撃は現実なら、【未来予測】で何処から攻撃されるかは見えるかな
アウリーネと一緒に、試してみよう
攻撃が来たなら、こちらも負けずに応戦するよ
一撃離脱と、薙ぎ払いで敵の動きを止める事も忘れずに

街を、人々の平和を守るために…風さん、おじいちゃんも、この煙と臭いも一緒に斬っちゃって!

仲間やアウリーネとは連携するよ
状況を見て追撃したり、回避を支援
仲間やアウリーネが危ない時は捨て身の一撃も覚悟なの
アウリーネもフォローをよろしくね

お孫さんを思ってお祝いするおじいちゃんの声は、とても幸せそうだったよ
…きみが求めるものは、そんな幸せを壊すもの
あの平和を潰すなんて言うなら…絶対赦せないよ

アドリブ・連携歓迎


●聲を聞く
 乾いた地に風が流れる。
 日中と打って変わって冷たくなった夜風はエルティ・アーシュ(受け継ぐ小竜・g01898)の頬を叩く半面、エルティの目の前で服の裾さえ揺らさぬ亜人の翁の裾さえ揺らさない。
 一見して異常と分かるその翁に、エルティは齢より冷静な瞳を投げかけていた。
「……あの街では今、穏やかで楽しい、平和な時間」
『なるほど、既に皿には乗っているか』
「街はお皿じゃないし――きみに渡すわけにはいかないよ」
 一人一人が日々を一生懸命生きている。
 それは決して奪われるためにあるのではなく、昨日の続きの今日と明日をまた笑顔で迎えられるように。辛くとも、悲しくとも、分け合える誰かのために目いっぱい幸せ生きるためにあるのだから!
「っ!(暗い……!)」
 睨み据えたはずの、山の長老がいない。
 ましてエルティに“見えるものがない”――!
 味わったことの無い暗闇の恐怖に息を吞んだ時、微かな風の音。
「ぅっわ!」
「   !!!」
『おや切り損か』
 叫んだのはおそらくアウリーネ。
 ――切り損?広がる血生臭さのする方をハッと見ても、エルティには何も見えないまま。
「アウリーネ!」
『怖がるでない。わしが一撃で仕留めてやろう』
「わぁっ!くっ……!」
 ハサンの刃を紙一重で躱し続ける幸運と僅かばかり見える未来を糧にまた間一髪で躱す。
「(さっきは耳、今度は目……!)」
『ホホホ』
「アウリーネ、右!」
「……!!」
 羽ばたき躱すアウリーネの行動が見えずとも聞こえてくる。
 神経を集中し“二人分の未来を見る”のは幼い神経を擦り減らすには十分だが、エルティは街がハサンに侵されるなど心底嫌だった。
『……小癪よな』
「きみは知らないよね。お孫さんを思う、おじいちゃんの声も、とっても幸せな気持ちも」
『領土にも糧にもならぬではないか』
 “そんなもの”、そう吐き捨てる亜人が腹立たしい。
 傷つけることが、当たり前の世界なんてあっていいはずがない。
 “そんなきみは、進ませない”――そう囁くエルティの琥珀色の瞳が、見えぬはずのハサンを捉えた。
『……なに』
「ぼくはきみに負けないよ」
その視線の交わりを、何も見えていないエルティは知り得ない。
 信じているのはほんの一瞬見える未来と幸運。そして必死に少な音を聞き分け時にエルティの手を引き逃すアウリーネの献身のみ。
「……きみはそんな幸せを壊すだけ。あの平和と幸せを潰すなんて言うなら、ぼく達は絶対に赦さない」
『なんだなんだ、一体お前に何ができる?逃げ続けているだけのお前に!!』
「できるよ。見えなくても風と一緒に歩けばいい。飛んでしまえばいい――……そうだよね、アウリーネ!」
「   、    」
 巻き起こるはPD―風精の行進曲―!
 香りも世界も何もかも音と風が教えてくれる。
「今度は右、きみはぼくの胸を狙う」
『!』
「そこから腕を振り上げて、狙うのはぼくの頭。躱されれば切り上げの刃で踏み込んで狙うんだね」
 振り下ろされる刃を仰け反り避けながら、バク転の要領で躱し風纏う一蹴を!
『ガハッ』
「そう当たったように見せかけ、捨て身できみは踏み出す――けれど、きみの足を風がとる」
「なんだと……!?」
 ふわりと宙を舞いながら程いた拳が遠目にハサンの足と重なった時に握りしめれば歌う風が素早く動き出そうとした枯れ枝の足を取る!
「アウリーネ、光を!」
「  、    !」
 “ええ、もちろん!”そう笑った家族の声を、エルティの耳は確かに聴いた。
 見えぬ世界――その影を今、天使の紡ぐ光が打ち破る!
『ギャアアアアアアアアア!!!』
「あの平和を、ぼく達が守る!」
 強烈な目つぶしに踏鞴を踏んだハサンの身を、指揮棒の如く振るわれたエルティの指先なぞるように、風の刃が断ち切った。
 
 
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】がLV2になった!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

白水・蛍
アドリブ連携歓迎
連携積極的に
周囲の味方をWIZでディフェンス

平和を崩す者を許すわけにはいきませんね。
ええ、あなたも覚悟しているでしょう?
何かを成そうとするならばそれを妨害する者もいるという事を。
では、参りましょう。

幻術相手でも問題ありませんね。それが「自分自身」であったとしても。
私は私。その戦法をよく知ってるのも「私」というわけです。
で、手加減するとでも?動揺するとでも?今更ですよ。
それに……「自分自身」と戦えるなんてわくわくするではありませんか!
不意打ちかましてパラドクス発動。
血の杭を。その身に打ち付けます。早業+高速詠唱+風使い+弾幕でいくらでも弾は補充出来ますよ!

相手の反撃はどうしましょうかね。同じパラドクスを使ってくるなら手足と致命傷だけ避けれるようにしときましょうか。
即ち、魔術知識+高速詠唱+早業+風使い+弾幕で相手の杭を致命傷の部分だけうち落とせばよいかと。
そして反撃で相手本体に打ち付けてさしあげましょう!


●赤い緞帳
 当たり前に崩される平和など、存在するわけがない。
 好々爺のフリをしたクロノヴェーダなど、どう足掻いても人々にとって唯のバケモノだ。
「――平和を崩す者を許すわけにはいかない、と言ったらどうします?」
「そうじゃのう」
 視界の端で揺れた砂に溶け込む色の花を白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は見て見ぬフリ。飄々とハサンへと問いかければ顎髭を撫でたハサンがふっと口角を上げた瞬間“それ”は花開く。
 蛍が口元を手で覆おうとももう遅い。
『ホホホ。沈め沈め現へ沈むがいい』
「わぁ、驚いた――と、言って上げられたらよかったのですけれど、」
 全ては逆だ。
 白水 蛍は全てを知りながら待っていた。
 手の内を知る自分自身との闘い?そんなもの――なんて面白いのでしょう!と。
『死んでください』
「まぁ、そんな程度で動揺もしませんし、」
 火花散らす打合いは幾度も。
 タスティエーラで激しく打ち合えば互いに増えるのは小傷のみ、決定打は生まれない。
「私は“私”をよく知っている。手加減をするとでも?今更でしょう!」
『ぐっ!』
 振り抜いた一撃が“蛍”を弾き飛ばし踏鞴を踏ませれば、歯噛みした“蛍”が指を鳴らし現れたのは鮮血の杭。
「いいですね、撃ち合い!自分自身となんてわくわくするではありませんか!で、こういう時に真後ろ――でしょう?」
『なんで……!』
 蛍の後頭部貫かんとした“蛍”の杭が高速で織られた風の刃で切り刻まれる。
 ハッと動揺を見せた“蛍”は無邪気に笑む蛍を初めてしっかりと見た。
「さぁ“私”、始めましょう!」
 PD―スカーレットステーク―!
 流星の如く撃ち合う鮮血の杭が互いを潰し合う中、時に分裂するような一撃が蛍の肌にぴりりとした痛みを走らせる。
「(打ち崩される前提の散弾式、面倒だけれど勝手が良いのは分かります。私も仕掛けましたし、っと!)」
 真上から降る杭の雨の一撃目を首捻り躱し二撃目にそのまま体を捻れば右肩の前後を杭が掠め、服が裂けた。
 揺れたポニーテールの先を掠めた一撃は致命傷にはなり得ない。
 それは“蛍”も同様だったらしい。だが蛍より多い傷跡から察されるのはやはりハサンの知らない蛍の戦闘経験だろうか。
『ハッ……ハッ、!』
「そろそろ頃合いですね」
 蛍は自身の杭“全て”に風の刃纏わせブーストと切られて尚刃になるよう風の重ね掛けをしている。
「(目線射出は距離誤認の目を狙いまっすぐ。けれど同時に退けば貫ける背の中央を不意打ち。よって、)」
 しゃがみながら居合い抜く!
 すればしゃがんだ自身を狙わんと殺到した杭は両断され、蛍の杭から逃げ遅れた自分自身が、乾いた大地を鮮血で潤していた。
「いい勉強になりました」
 風の唸りが解けた時、戦場に立っていたのは蛍たった一人。
 心中の冷静な分析の間に解け煙の如く消えた“蛍”から踵を返し、猫のように細められた瞳が得たのは小傷と引き換えの学習。
 実に残念だと言いた気な蛍から毀れた笑みを、ハサンは知らない。だが知らぬままでいいだろう――どこか剣呑な輝きを宿した瞳など、見れば逃げてしまうだろうから。
「さ、もうお終いの時間です」
一太刀に処された幻影見せる煙の世界が吹き飛ばされ、数百メートル先にハッキリ見えたはハサンの背中。
『!、な』
「――何かを成そうとするならばそれを妨害する者もいる、という事をお忘れですか?では、参りましょう」
 自身の術が打ち破られたことに気付いたハサンが振り向いた瞬間、その眼前に鮮血の杭の切っ先。
 息を呑む。
「覚悟するには十分な時間をあげたでしょう?」
 勢いよく射出された蛍の編んだ鮮血の杭が、逃れようと身動ぎしたハサンの頭蓋を寸分違わず貫いた。
 
 
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【コウモリ変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

ラズロル・ロンド
アドリブ連携歓迎

今度は好々爺のフリかい?
か弱いフリしてその腕一本で街一つ壊滅させる気満々じゃないか。
流石に不愉快が過ぎるってもんだよ

【完全視界】で暗闇の視界確保しつつ
街の篝火の協力的な気持ち、無下にはしたくない
ジジイの駄々こねに付き合う気は無いね
この街には指一本も触れさせないよ
早々に老い先全うしてもらおうかっ

暗闇に潜むように周り込み仲間と交戦する横っ面を砂の海嘯で不意打つ形で足下を掻っ攫い、楔で穿ち大地に縫い止めよう

引続きエトヴァと息の合った連携と他の仲間ともタイミングを合せて畳み掛けよう。

反撃の暗闇は
おおう、本当に完全視界も真っ暗だと一瞬の驚きリアクションを見せつつも
ハイハイ急所狙うよねと魔障壁で急所を防御
目には頼りきらず狐耳をすまし
匂いと動きの気配と暗殺者ならではの動き予測で目星を付け
防御行動を取ろう

自分自身と戦う勢もある意味楽しそうだな…なんて不謹慎に思いながらも
時にはディフェンスに入り応戦しよう
エトヴァのや蛍君の動きは多少なり予測出来そう


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
ラズや味方をディフェンス

篝火が心を照らす
それがために、戦っているのだと背を押してくれるんだ

……力を誇示しておきながら、譲れとは
それは恐喝ではないかな?
実に都合のいい言い分だ

未来視の力を届けてくれた味方へ目礼を
駆けつけてくれた味方へ微笑みを

引き続きラズと密な連携に
PD通信で仲間達と連携を取り、包囲や挟撃の位置へ
光の側から挑んで引き付け
ラズが縫い留めた好機は逃さない
未来予測で攻防の隙を狙う

自分自身と戦えか……面白いことをするな
しかし、所詮は幻覚
周囲の仲間の姿かたちを取るならいざしらず……
己の幻覚ならば、遠慮なく打ち倒す

宙に絵筆を走らせて
俺が描くのは狡猾な長老
彼自身に立ち向かわせる
幻影が描くのは俺自身か、それとも……俺が三人に分身したら笑ってやろう
「それ」ではオリジナリティが足りないよ
未来予測も交え観察、一瞬でも上回ればいい
魔力障壁で身を護りつつ幻影を打破
さあ、超えてゆけ

その一つに、どれだけの価値と重みがあるかなど……知るまいな
この手の届く範囲に収めたなら
……守り抜く。俺たちが


●紡いだ明日を守るため
 篝火の意味を、知っている。
 おそらくあの場で出会った全てに“心配”されているのだ、またねと笑ったラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)とエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)と、交渉の席についた同胞が、未だ帰らぬことを。
「……ねぇエトヴァ、なんだかちょっとくすぐったいよね」
「そうだな、けれどやはり嬉しいよ」
 “そりゃあそうじゃない?”と笑うラズロルが柔らかく瞳を細めた顔にエトヴァも眦を緩めたが、そこまで。
 ――ここから先は、全て夢幻へと返すべき時間。
 好々爺のフリが上手な悪を“なかったこと”にする。

「……力を誇示しておきながら、譲れとは。それは恐喝ではないかな?」
『“交渉”と言ってもらおうか。上品ではないか、聞いてやっているのだから』
 まるで感謝しろとでも言いたげなハサンの言葉にぴくりとゆれたエトヴァの眉。
 だが、クッと喉鳴らしわらったラズロルがその怒りを代弁する。
「“おじいちゃん”のフリかい?か弱いフリで街壊滅って――僕らが許すと思うのかな?」
『ホッホッホ……なんだ、どうせ“ディアボロス”は他にもおる。なら、お前達も替えが利く。当然、人間もだ』
 破城した理論だ。
 たしかに替えの利く物も人もあるだろうが、それは“存在が”ではない。替えが利くのはせめて“仕事”だけ。けれどそれだって替えが利かぬものもある。
「僕ら、ジジイの駄々こねに付き合いにきたんじゃないんだよね」
『…………なに?』
「だーかーらー、駄々こねんのやめてくれる?」
 “もう一度言っとくね?”とわらって見せたラズロルの視界が暗夜へと転換する。
「おおう……まぁ――そういうのは多少経験があるっていうか、」
 鋭い一撃をギリギリだがガードすると刃から感じるのはハサンの一瞬の動揺。
 ラズロルは魔術師でもあり諜報員でもある。不意打ちをするのもされるのも経験があり、まして急所狙いなど“よくあること”だ。
 完全視界でも見えない暗闇は面倒と言えば面倒だ。だが、風が全てを教えてくれる。
「(なるほど、エトヴァも今はなんだろ……ん?翼?そうか、)」
 エトヴァは今、“エトヴァという幻影”と戦っている!
「おっと!」
『ほう、幸運に恵まれているか!』
「へーえ、強がり?」
 振るわれているのはおそらく短剣と思しきナイフ、衣服の下に隠していたのだろう、ハサンの発す音は少ないが、風塵魔術で風で追い食らいつく!
「っ!」
『カカカ、諦めい!』
 ギリギリで一撃一撃を躱し、増える小傷と首掠める一撃を皮一枚犠牲に躱し退けば小さな舌打ちが聞こえてきた。
 更に聞こえる耳に届く仲間の戦いの音に、ふっとラズロルは笑ってしまう。
「(あ、蛍君は――そっか、うわあ凄い撃ち合い。風の魔術の重ね掛け、細かいなぁ。それにエトヴァは、)」
『余所見をしていていいのかね?』
「別に、見えないし。僕が紡ぐのは砂塵の楔。砂の海嘯は我が意のまま――貫き縫い留め、」

 そう詠唱するラズロルの向こう側。
 エトヴァは自分自身の幻影と争っている傍ら、徐々に夜が明けてゆく。水平を奔る陽光の気配。が迫っている。

 “一歩”を躱す未来予測にエトヴァもまた首皮一枚を犠牲に躱し続けていた。
「(自分自身と戦う。けれど、)所詮は幻影、か」
『そんな余裕があるんだな』
「あるさ。面白い趣向だとは思うが、言い換えれば遠慮のいらない戦いができるということだろう?」
 艶やかに彩を引くエトヴァの筆先。PD―リアライズペイント―!
 鮮やかな絵の具で迷わず描くのは先程相対した山の長老 ハサン――!
『!』
「(さて、“俺”が描くのは誰だろう?)」
『“そういうこと”ならそうさせてもらおう……!』
 まさか、でもなく予想の範囲、“エトヴァ”が描いたのはエトヴァだった。
 いっそ笑ってしまいたいほど、偽物と偽物の応酬は凄まじく、エトヴァの描いたハサンは躊躇いなく“エトヴァ”の描いた見た目だけが精巧なエトヴァを断ち切り、猛然と“エトヴァ”へ向かってゆく!
「そうだ、ラズは……!」
 見ればハサンと争っている様子だが、目を瞑っている。
 だが、その時。猛然と殺到する砂の波。悲鳴上げるハサンが飛ぶように逃れ、乾いた大地を転がり咳き込み佇んだ、瞬間。
 ごぶりと鮮血を吐き出した。
『ゴッ、ガ、ゲホッ……!』
 海嘯がハサンを捕らえると同時にエトヴァが描いたハサンに打ち破らせた“エトヴァ”という幻影が頽れた衝撃がハサンの身を貫いた。
「おじいちゃん、老い先短いなら早めちゃうのどうかな?」
「都合の良い言い分はここで終いにしよう」
『……お゛の゛れっ、おのれ、貴様等ァァァッァアアア!』

 いくつもの刃が同時にハサンの身を貫き、息絶えたハサンの影が、迸った陽光に焼かれ影を伸ばしてゆく。
 “次こそ”――そのつぶやきを最後にこと切れたハサンの腕が、力なく落ちた。

「まさか。次なんてあるわけないよ」
「何度でも、俺達がおまえを倒すさ」

 太陽が昇ってゆく。
 また昨日の続きの今日が、“明日”がやってきた。
 
 
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【液体錬成】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2023年10月02日