復讐の輪舞曲(作者 小鳥遊彩羽
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#火刑戦旗ラ・ピュセル  #キマイラウィッチの火刑場  #イベリア半島 

 火刑台の上で、下半身が炭になった老人が崩れ落ちる。
「……もう少し耐えられるかと思っていたが、弱すぎんだよ」
 キマイラウィッチのアヴァタール級――ヘキサトリニティは、ただの亡骸となった老人を雑に放り投げると、次なる“獲物”を探すように視線を巡らせ――そして、幼子を連れた母親に目を留めた。
「お願いします……どうか、どうかこの子だけは……」
 震える声で懇願する母親を見つめながら、ヘキサトリニティは告げる。
「そうか。じゃあ次はそのガキを炙れ」
 ヘキサトリニティの言葉に、トループス級――翼ある聖歌隊の女が母親から嫌がる幼子を引き剥がし、火刑台へと引きずっていく。
「や……っ、いやあああああっ!!!」
「やだあああ!! おかあさあああん!!!」
 母親の、幼子の、悲痛な叫び声が響き渡る。
 だが、同じように火刑の時をただ待つことしか出来ない人々は、最早立ち上がる気力さえ失っていた。
 圧倒的な絶望を前に、人々の心にはもう、抗う力も残っていないのだ。
「そうだ、もっと泣き叫べ! お前たちの悲鳴を、ディアボロスへ届けろ!!」
 肌が爛れ、喉が焼けて、声が出なくなっても叫べと魔女は嗤う。
 ――そうやって少しずつ、少しずつ。
 ただディアボロスをおびき寄せるという目的のためだけに、人々は焼かれ続けていた。

●復讐の輪舞曲
 ――《七曜の戦》を乗り越え、ディアボロスは最終人類史に多くの大地を奪還することが出来た。
「これも君たちの力があってこそだ。改めて、お疲れ様」
 アレッサンドロ・カリオストロ(人間の錬金術師・g08632)はそう言って穏やかに笑い、けれどすぐに表情を引き締める。
「とは言え世界は再びディヴィジョンへ分割され、各ディヴィジョンの状況は《七曜の戦》を経て大きく変化している。言わば、これからが本当の戦いと言っても過言ではないだろう。……皆には、これから断頭革命グランダルメのイベリア半島、その北東部にある都市に向かってほしい。現代で言うならば、バルセロナの辺りだ」
 酷い話だ、と前置きして、カリオストロは続ける。
「……現在、この地域はディヴィジョン境界の霧を越えてきた火刑戦旗ラ・ピュセルのキマイラウィッチによって制圧されている。それだけではなくてね、住民たちが、火刑によって焼き殺されようとしているんだ」
 キマイラウィッチの目的はただひとつ――ディアボロスに“復讐”することであり、そのためには手段を選ばないということなのだろう。
 無論、このような暴挙を許すわけにはいかない。
 急ぎイベリア半島に向かい、人々を助け出して欲しいとカリオストロは言った。

 都市の近くまでパラドクストレインで移動し、そこからキマイラウィッチが支配する都市に向かうことになる。
「火刑場は街の中心部、大通りが交差する広場に設置されていてね、住民たちもそこに集められている。キマイラウィッチは火刑場に駆けつける君たちを止めることはしないだろう。……それこそがキマイラウィッチの狙いだからね」
 つまり、わざと街の中心にある火刑場に招き入れ、一般人を救出して脱出しようとするディアボロスを包囲し、確実に殲滅しようとしているのだとカリオストロは続ける。
「……残念ながら、もう手遅れの者もいるだろう。だが、まだ救える命は決して少なくはない。人々を救出した後はこの包囲網を突破して、都市から脱出してほしい。包囲網であるトループス級を指揮するアヴァタール級もいるが、こちらは今回は倒さなくとも構わないよ。とにかく人々を助け、包囲網を作っている多くのキマイラウィッチを撃破し、都市から脱出する。それだけを考えてほしい」

 一通りの説明を終えたカリオストロは、最後に告げる。
「……そうだね、もし余裕があれば、だけれど」
 火刑に処されようとしている人々は、キマイラウィッチの悪意によって精神が大きく疲弊している。
 そんな彼らの心に響くような言葉や想いを届けてほしいとカリオストロは言う。
「【勝利の凱歌】も使えなくはないけれど、ディアボロスが帰還すれば効果が失われてしまう。でも、……君たちの心からの想いや言葉はきっと届くはずだ」
 再び立ち上がるための勇気を、少しでも灯してほしい。
 彼らが、生きる気力をこれ以上失ってしまうことがないように。
「キマイラウィッチはディアボロスへの復讐のためならば、今回のように手段を選ぶことはしないだろう。これから目を覆いたくなるような光景を目にすることになるかもしれないけれど……、まだ救うことが出来る人々はいる。――どうか、宜しく頼むよ」

●火刑台の前で
 くすくすと、密やかな笑い声が響く。
「もうすぐ、もうすぐディアボロスを殺せるのね」
 火刑台からは、先程引きずっていかれた幼子の鳴き声が聞こえてきていた。
「まず、目を焼きましょう」
「いいえ、手足が先よ」
「どんな声を聞かせてくれるのかしら」
「そうして炭になるまで焼いてあげましょう。何度殺したって足りないわ……」
 翼ある聖歌隊の女たちは口々に、囀るように言いながら――ディアボロスがやって来るその時を、今か今かと心待ちにしている。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
4
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【活性治癒】
8
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【液体錬成】
3
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【アイスクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が3mの「氷の立方体」を最大「効果LV×3個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。出現させた氷は通常の氷と同様に溶ける。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV3 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【反撃アップ】LV3 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV2 / 【グロリアス】LV3

●マスターより

小鳥遊彩羽
 ご覧くださいましてありがとうございます、小鳥遊彩羽です。
 今回のシナリオは、『火刑戦旗ラ・ピュセル』よりお届けします。

 まず①で火刑場に突入し人々を救出、その後③包囲するトループス級のクリアでシナリオは完結となります。
 ②キマイラウィッチへの弾劾(人々への演説)、及び④アヴァタール級との戦闘はクリアに必須ではありませんので、参加をご希望の際はトループス級のクリア前にお願いします。
 各選択肢とも、成功に必要な人数(+若干名)での進行となりますので、ご了承の上でのご参加をお願いします。

 以上となります。どうぞよろしくお願い致します。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


アー・フーベート
……信じ難い
クロノヴェーダとて知性ある生命体
これほど残虐に狂えるものなのか
もはやヒトを模していることさえ悍ましい……!

――ヒトも魔物も聴くがいい!
復讐者はここにやって来たぞ!

火刑場に突入
大声で注目を集め、ひかりを放ち【活性治癒】を発動
一刻も早くクロノヴェーダを駆逐したいところだが、それは後
遺体の弔いもしてやりたいが……これも後で余裕があれば

先ずは生きている者の救出を最優先に動きます
処刑台から降ろし意識を確認
清潔な布(シーツ等を持ち込みます)で身体を覆い、
煙や火の粉から庇いつつ抱えて処刑場の外へ移動
家族や恋人がそばに居るなら逢わせてやりたい
おなじ場所で、堅く手を繋いでいるように言いましょう

自力で動ける者には
混乱に陥らないよう、情熱をもって激励
散りぢりに逃げ惑わないよう号令をかけ統率をとる
――絶望のただなかにあって、よく耐えてくれた!
もうちょっとの辛抱ってのも残酷だが…どうかご安心を
お前たちはわれわれが必ず守ります


ミシェル・ロメ
※アドリブ、連携歓迎

僕たちを誘き寄せるため『だけ』に、無辜の人々の命が奪われる……
奴等の非道卑劣を決して許すことは出来ない。
だけど今やるべきことは、これ以上犠牲を出さぬこと。
今は怒りを抑え、勇気を振り絞り立ち向かう。

天使の翼で【飛翔】し、一目散に火刑に処されようとしている人々のもとへ。
時間との勝負だ。敵に見つかることも覚悟の上。
罠であることは元より承知。
邪魔されないなら敵の目を誤魔化すよう気を遣う必要もない。
正々堂々突入し、一人でも多くの人命を救う
奴らへの誅罰はその後だ。

逃げないように縛られていたり火刑台に括り付けられている人を解放
新宿島から小型の金切鋸を持ち込み、人々を拘束する縄や鎖を切断する。

自力で動けそうな人は安全な場所へと誘導し。
幼子は惨たらしい遺体を見せないよう抱きかかえて飛翔し移動。

落ち着いて、ここで待っていて。
憎しみと復讐心に囚われれば奴等の思うつぼ。
後のことは僕たちに任せて。
必ずやこの残酷劇を終わらせて、皆さんを救ってみせます……!


シル・ウィンディア
罠?そんなのしらないよっ!
何の罪もない人たちを火刑にするとか、絶対に止めないとっ!

急いで広場に突入するよ。
誘っているとはいえ、妨害がないのはありがたいね。
それの対策を立てるの大変だし…。

広場にたどり着いたら、火刑台へまっすぐ突入していくよ。
まずは連れ出された幼い子供を救うことが先決だからっ!
固定されているなら、固定具を剣で破壊してから
マントで子供をくるんで火刑台から離脱するよ。

傷を負っているなら、活性治癒の効果を使用して癒しを…。
怖かったね。もう大丈夫だから
そういって、落ち着かせてから母親の元に行くよ

その後は、一般の方へ呼びかけるよ。
ここから脱出するために、わたし達も頑張るから、もうちょっと頑張ってほしいの。
これから戦闘が起きるけど、この火刑台の付近が安全地帯になるから、だからこのあたりに集まってほしいの。
小さい女の子だけど、大丈夫。心配しないでね?

さて、そこで見ているキマイラウィッチさん。
そろそろやりましょうか?
…こんなことして許されるわけないってわかってるよね。
後悔させてあげるよっ!


風花・波那
復讐を力にするキマイラウィッチか。
こうして目にして納得出来たよ。これなら私達も復讐の感情で来るかもね。でもそうはいかない。感情は抑えて、抑えて……。
〜〜無理!非道すぎる!絶対に、許せない!! 復讐がなによ!正義の心で上書きしてやるわ!

まずは住民達の救出。
突入したら走りつつ周りの状況を良く観察。救出対象の位置を把握。
走りながら風花の幻影を発動。幻影で敵を蹴散らしながら、火刑台の幼子から助ける。
抱きかかえたらすぐ離脱して母親の所へ。幼子を優しく預けて声をかける。
大丈夫!絶対に助けるから心を強く持って!ここで待ってて。他の人達も連れてくるから皆で動かないようにしてて。
まずは皆を一箇所に集めて、少しでも安心出来る空間を作るには……。
あ、そうだ。これ持ってて。
髪を結ぶリボンを解いて笑顔で幼子の手に結び。
安心の魔法をかけておいたよ!近くの人にも効果あるから掲げててね。

最初に確認した救出対象者を担いで幼子の近くへ。怪我に負担をかけないように優しく。迅速に。
全員に言葉をかける。
大丈夫。絶対に助けるから。


アヴィシア・ローゼンハイム
連携、アドリブOKよ

……悪趣味、としか言いようがないわね
誘き寄せの策としては合理的なのでしょうけれど、でも
こんな惨劇は認められない、こんな狼藉を許してなんてやらない、罠だとしても関係ない
罠も謀略もすべて払い除けて、この怒りを力に変えて
救える限りの命を救いに行きましょう

街に入り、火刑場を見つけたら、迅速に住民の元へ救助へ向かうわ
火刑台に縛られている人がいたら、拘束具を断ち切って
怪我をしている人がいたら【活性治癒】でできる限り怪我を癒していきましょう
絶望の中、よく頑張ったわね、もう安心よと子供はそっと抱きしめて親の元へ
間に合わなかった人たちの遺体は、目が開いていたらそっと閉じて
間に合わなくて、ごめんなさい
願わくば、魂の安らぎが在らんことを
貴方達の無念は、必ず晴らすから、と決意を胸に

住民たちを集めて火刑場の周囲に集めましょう
此処から抜け出すために、奴らを打ち倒すわ
だから、安心して此処で待っていて

大鎌を怒りのまま敵に突きつけ
この報いは必ず受けさせるわ、幽冥の彼方へと墜ちる覚悟はいいかしら?


エトワール・ライトハウス
アドリブ連携◎

――復讐そのものを否定しようとは思わないんだけどね
俺たちがそもそも復讐者だし、キマイラが『処刑』されたのは一応事実だそうだし
けど、それがジャンヌ・ダルクの仕込みだと知ると……哀れだね、あの子達の復讐も

さて、感傷は置いておいて助けられる人を助けないと
無双馬レオンに乗り、速やかに火刑場まで駆けつけよう。とにかくスピード勝負だ
火刑に処されてる人たちの下へたどり着いたら、槍を振るって拘束から解放していく
多少のやけどは仕方ない、躊躇して人死増えるとか嫌だからね

ひとまずの救出を終えたら、【活性治癒】を用いて自分と人民達の火傷を治療していく
上手く他の人と残留効果を重ね合わせられれば重畳だ
……手遅れの人も居るだろうが、まだ助けられる人達を救うのも大切なことだからね

応急処置も終わったなら、人々を火刑場周辺に集めていく
自力で動けない人はレオンの出番だ
待っててね、もう少しだけ我慢してくれれば、きっと助け出すから


四葩・ショウ
全速力の【飛翔】で
都市の中心を、火刑場を目指す

ああ……なんて、ことを

燃える
燃える
燃えていく

目の当たりにしたひどい光景に
視界が真っ赤に染め上げられるような怒りを、感じながら
……ずいぶん鄙劣なことを、するじゃないか

わたし達は
復讐者は――ここにいる!
集められた住人たちの前へと立ちはだかって
叫ぶように、声を上げる

魔女の動きを気にかけながら
……脱出まで手を出す気はないのかな
それならわたしは
集められたひとびとを、かれらを救いたい
……救えなかった命の分も、
救うことが出来る命の為に、この腕をのばす

だいじょうぶ
あの子はかならず仲間が、たすけてくれる
ほら、と視線を向けて
だから、さぁ 貴方も
【活性治癒】を灯しながら
手をさしのべ寄り添って、あるいは抱きかかえて

恐がる子どもがいるなら
これから、悪い魔女は斃してみせるから
皆とここで、じっとしてて、と声を

――わたし達は復讐者
貴方達を、たすけにきたんだ

自分に言い聞かせるように、そう誓って


 ――燃える。燃える。
 ――燃えて、いく。

 街の中心にある、広場。
 火刑台から上がる炎は、まるで復讐者たちを導く篝火のようであった。
 そこに、天使の翼を広げたミシェル・ロメ(とわにひびくうた・g04569)が、そして共に全速力で翔けてきた四葩・ショウ(Leaden heart・g00878)が飛び込んでくる。
 飛翔しての移動にキマイラウィッチたちが気づかぬはずはなかったが、誰ひとりとして邪魔をしてくるものはいない。
 罠であることは元より承知の上であるし、邪魔をされることがないのなら、敵の目を誤魔化すために気を遣う必要もない。
 正々堂々と突入してきたミシェルとショウの二人に続き、すぐに他のディアボロスたちも到着する。
「ああ……なんて、ことを」
 目の前に広がる凄惨な光景に、ショウはそう零さずにはいられなかった。
「復讐を力にするキマイラウィッチか。こうして目にして納得出来たよ」
 風花・波那(夢詠の花果・g00593)はそう呟いて、唇を噛み締める。
 生きているのに生きることを忘れてしまったような、まるで全てを絶望で覆われてしまったかのような人々。
 そして、火刑台の上で今この瞬間も焼かれ続けている、人々。
 惨たらしいとしか言いようのない光景だった。
 これならば、ディアボロスも復讐の感情で来るかもしれないと思うくらいには。
 ――怒り、そして復讐心。それこそがディアボロスの力の根源であることに違いはないけれど、振り回されて我を忘れてしまえば相手の思う壺だ。
 ゆえに、波那は冷静に心を落ち着かせようとした――けれど。
「~~無理! 非道すぎる! 絶対に、許せない!! 復讐がなによ! 正義の心で上書きしてやるわ!」
「……ずいぶん鄙劣なことを、するじゃないか」
 叫ぶ波那の隣で、視界が真っ赤に染め上げられて塗り潰されていくような怒りを抱きながら、ショウは静かに告げる。
「……悪趣味、としか言いようがないわね」
 力を持たぬ人々を“餌”に、復讐者たちを誘き寄せる――。
 復讐のためならば、手段を選ばない。
 火刑戦旗ラ・ピュセル――キマイラウィッチのやり方を目の当たりにしたアヴィシア・ローゼンハイム(Blue・Roses・g09882)は、吐き捨てるように呟いた。
 策としては合理的なのかもしれないが、無論、このような惨劇を認めるわけにはいかない。
 胸に燈る怒りが確かな力へと変わってゆくのを感じながら、アヴィシアは真っ直ぐに前を見据える。
 こんな狼藉を、どうして許すことなど出来ようか。
 これが罠だとしても、敵の謀略に乗るだけなのだとしても、関係なかった。
 すべてを払い除け、そして、救える限りの命を救うだけだ。
(「……復讐そのものを否定しようとは思わないんだけどね」)
 大通りを駆け抜けてきたエトワール・ライトハウス(Le cabotin・g00223)は、逸るように尚も駆けていこうとする無双馬のレオンを一度落ち着かせるように引き止めて、目の前に広がる光景に眉を寄せる。
 そもそも自分たちがディアボロスであり、ディアボロスによってキマイラウィッチが“処刑”されたのも一応は事実だ。
 そして、火刑に処されたことで復讐の心を抱いたジャンヌ・ダルクは、断片の王として更なる力を得て覚醒した――。
 そう、すべてはジャンヌ・ダルクによる“仕込み”でしかないのだ。
 今までも、そしておそらくはこれからも。そう思えばこそ――。
(「……哀れだね、あの子たちの復讐も」)
 エトワールはそう思わずにはいられなかったが、感傷に浸っている場合ではないことも十分に理解している。
「……信じ難い」
 目の前に広がる光景に、アー・フーベート(光輝なる義務・g01578)は呆然とそう零す。
 今もなお生きたまま焼かれ続けている人々。
 いずれ己がそうなる時を、ただ絶望に震えながら待つことしか出来ない人々。
 そして、下半身が炭化した――まるで壊れた玩具を捨てたかのように無造作に積み上げられた幾つもの亡骸。
 ただディアボロスを誘き寄せるためだけに、キマイラウィッチは無辜の人々を、ゆっくりと時間をかけて火炙りにしていたのだという。
(「クロノヴェーダとて知性ある生命体。これほど残虐に狂えるものなのか……?」)
 アーの胸の裡で渦を巻く疑問と困惑は、けれど、すぐに怒りへと変じていく。
「もはやヒトを模していることさえ悍ましい……!」
 居ても立ってもいられず、アーは灰に満ちる空気をすべて声に変え――叫んだ。

「――ヒトも魔物も聴くがいい! 復讐者はここにやって来たぞ!」
「そうだ、わたしたちは、復讐者は――ここに、いる!」

 アーに続き、集められた人々の前に、壁のように立ちはだかって。
 ショウもまた叫ぶように、声を張り上げる。
「ディアボロス……!」
 その声にヘキサトリニティが、そして翼ある聖歌隊の女たちが歓喜する。
 次々に火刑場へなだれ込んで来たディアボロスたちを、キマイラウィッチは止めることはなく、それどころかただ面白がるように見ていた。
 行く手を塞ぐ敵はパラドクスで蹴散らしてやるつもりだった。
 だが、ディアボロスの存在を認識していながら、キマイラウィッチは誰ひとりとして邪魔をしてくる気配はない。
 それどころか好きにしろとばかりに、火をつけられたままの人々をそのままに、次々に火刑場から離れていく。
 敢えてディアボロスを火刑場へ誘い込み、逃げられぬように包囲する。
 それこそがキマイラウィッチの思惑だと、案内人は言っていた。
 けれど、シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)にとってはどうでもいいことだった。
「罠? そんなのしらないよっ! 何の罪もない人たちを火刑にするとか、絶対に止めないとっ!」
 キマイラウィッチの思惑通りとはいえ、邪魔が入らないのは寧ろ好都合だ。
 ディアボロスを誘き寄せるため“だけ”に、無辜の人々の命が奪われる――。
 キマイラウィッチの非道で卑劣な行いは、ミシェルにとっても決して許せることではなかった。
 だが、憎しみと復讐心に囚われれば、キマイラウィッチの思う壺だろう。
 今は沸き起こる怒りを冷静に抑え、代わりにミシェルは胸に勇気を燈す。
 これ以上の犠牲を出す前に、キマイラウィッチを止める――そのために。
 火刑台へ跳び上がったシルと波那は共に幼子を縛る縄を切る。
「怖かったね。もう大丈夫だから」
 シルが活性治癒を展開させれば、幼子はどこかほっとしたように小さく息をついた。
 火傷は24時間では治るようなものではないから、活性治癒を重ねたとてすぐに目に見える効果が出るものではない。だが、少なくともディアボロスがこの地にいる間は傷の治りが速くなる。
 シルが幼子を素早くマントで包み、しっかりと抱き上げるのを確かめた波那は、更に隣で磔にされていた少女を素早く火刑台から下ろした。
 少女は酷い火傷を負っていたが、活性治癒で少しでも癒えるように願いながら、波那もまた少女を抱え上げる。
「大丈夫! 絶対に助けるから心を強く持って!」
 火刑台には、他にも磔にされている人々の姿があった。
 ――亡骸を弔う時間は、おそらくはないだろう。
 だが、まだ生きている人々は救えるはずだ。
 アーもまた活性治癒を重ねながら火刑台へ向かい、磔にされた青年を下ろして意識の有無と火傷の具合を確かめる。
 一刻も早くクロノヴェーダを駆逐したい、そう思うのはアーだけではない。
 今はそれよりも――なすべきことがある。
「……遅くなってしまって、すまない」
 そう告げながら、アーは新宿島から持ち込んだ清潔な布で身体を覆って抱え上げ、煙や火の粉から庇いつつ、火刑場の外へ運んでいく。
 震えながら駆け寄ってきた少女は、この青年の家族だろうか。
 大丈夫だ、と告げてから、アーは静かに続ける。
「しっかり手を繋いで、……離れないように」
 アヴィシアとエトワールもそれぞれの武器で縛られている人の縄や拘束具を断ち切りながら、活性治癒を重ねていく。
 肌を焼く炎など、気にしている暇はない。
 まだ救える命があるのだから、諦めるわけにはいかない。
 その一心でエトワールは槍を振るっていた。
 躊躇っていればその間に助からなくなる誰かがいるかもしれないし、無論、それはエトワールの望むところではないのだ。
「待っててね、もう少しだけ我慢してくれれば、きっと助け出すから」
 自力で動けぬ者はレオンに乗せ、エトワールは火刑台の外へ連れて行く。
「絶望の中、よく頑張ったわね、もう安心よ」
 シルに抱えられた幼子に優しくそう告げてから、アヴィシアは次に火刑台から放り投げられたかの如く無造作に散らばっている亡骸の元へ向かった。
 ――彼らが一体、何をしたというのだろう。
 息絶えた人々はみな両腕や下半身が炭になり、時には骨まで覗く程だった。
「……間に合わなくて、ごめんなさい」
 アヴィシアは双眸に悲痛の色を湛えながら、彼らの目をそっと閉じてやる。
 そして、彼らの魂が少しでも安らげるように願い、決意と共に紡ぐ。
「貴方たちの無念は、必ず晴らすから」
 どこからともなく集まってきている魔女たちからは、こちらに手を出す素振りは窺えない。
(「……脱出まで手を出す気はないのかな」)
 魔女たちの目的は、ディアボロスへの復讐。
 ならば、魔女たちが動き出すとしたら、それはディアボロスが脱出のために動いたその時だ。
(「それなら……わたしは、」)
 火刑台へ向かった仲間たちへ信を置き、ショウは火刑のために集められた人々の元へ駆ける。
 ――救えなかった命の分も、救うことが出来る命を救うために、腕を伸ばすのだ。
「だいじょうぶ。あの子も、みんなも、かならず仲間が、たすけてくれる」
 ほら、と視線を向けた先には、幼子だけでなく、次々に解放されていく人々の姿。
「だから、さぁ――貴方も」
 幼子の母親へ手を差し伸べながら、ショウは告げる。
 力なく握り返された手は、震えていた。
「動ける方はこちらへ! どうか落ち着いて、待っていて下さい」
 火刑台の周囲にも、縄で縛られた人々が多く集められていた。
 彼らの元へ向かったミシェルはその縄を素早く切り、動ける人々を誘導すべく声を張り上げる。
「後のことは僕たちに任せて。必ずやこの残酷劇を終わらせて、皆さんを救ってみせます……!」
 ミシェルと共に、アヴィシアも住民たちを火刑場の周囲に集めて回っていた。
 混乱して散り散りになるよりは、このほうが守りやすい。
 優しく言い聞かせるように、アヴィシアは告げる。
「此処から抜け出すために、奴らを打ち倒すわ。だから、安心して此処で待っていて」
 怪我に負担をかけぬよう、少女を優しく地面に下ろして、波那は告げる。
「ここで待ってて。他の人たちも連れてくるから皆で動かないようにしてて」
 だが、少女は完全に怯えきっており、こちらの言葉に頷くことすら出来なかった。
「ここから脱出するために、わたしたちも頑張るから、もうちょっと頑張ってほしいの」
 幼子を母親へ託したシルもそう人々へ呼びかける――が、やはり同じ。
 ディアボロスのことも認識出来ていないのだろう。
 絶望の深い底まで落とされてしまった人々に、こちらの声を届かせるにはもう少しの時間と言葉が必要そうだ。
 恐怖と絶望に心を支配され、立ち上がる気力さえない人々の姿はひどく痛ましいものだった。
 それでも次へ繋げてゆくために、シルは続ける。
「これから戦闘が起きるけど、この火刑台の付近が安全地帯になるから、だからこのあたりに集まってほしいの。……小さい女の子だけど、大丈夫。心配しないでね?」
「……あ、そうだ。これ持ってて」
 波那は髪を結ぶリボンを解いて、幼子の手に結びつけた。
 リボンが放つ淡い輝きを不思議そうに見つめる子どもに、波那は優しく笑いかける。
「安心の魔法をかけておいたよ! 近くの人にも効果あるから掲げててね」
 それから、波那は人々に力強く告げた。
「大丈夫。絶対に助けるから」
 無辜の人々が火刑を逃れたとて、その先には魔女がいる。
 もしも逃げようとするならば、聖歌隊の女たちは鎌を振るうことを躊躇わないだろう。
 震えて動けぬ者たちが、散り散りになって逃げ惑うことのないように。
「――絶望のただなかにあって、よく耐えてくれた!」
 アーは込み上げる想いを声に変え、人々に呼びかける。
「もうちょっとの辛抱ってのも残酷だが……どうかご安心を。――お前たちは、われわれが必ず守ります」

 そうして、火刑台の周りに人々は集まり、彼らを守る盾のように、ディアボロスたちはキマイラウィッチと相対する。
「悪い魔女はわたしたちが斃してみせるから。皆とここで、じっとしてて」
 身を寄せ合って震える幼いきょうだいたちへ優しく告げながら、ショウは静かに魔女の群れへと向き直った。
「――わたしたちは復讐者。貴方たちを、たすけにきたんだ」
 燈す誓いは、己に強く、言い聞かせるように響く。
「さて、そこで見ているキマイラウィッチさん。そろそろやりましょうか?」
 シルの声に、ヘキサトリニティがにやりと顔を歪めて嗤う。
「……こんなことして許されるわけないってわかってるよね。後悔させてあげるよっ!」
 怒りに満ちた声を叩きつけるように告げるシルに続き、アヴィシアも青薔薇と月が輝く瑠璃色の大鎌を怒りのままに突きつけながら紡いだ。
「この報いは必ず受けさせるわ。――幽冥の彼方へと墜ちる覚悟はいいかしら?」
 既に周囲は翼ある聖歌隊の女たちが包囲している。
 この包囲網を突破して帰還することで、今回の作戦は成功となる。
 翼ある聖歌隊の女たちを倒しさえすれば、人々の命は守られるのだ。
 だが、人々はキマイラウィッチによって、底知れぬ恐怖と絶望を植え付けられている。
 このままでは、ここでキマイラウィッチを退けたとて、彼らの心が安らぐことはないだろう。
 もしも人々へ想いを届けたいのならば、まだ戦いが始まっていない今が最初で最後の機会となる。
 想いを届けたとて、それがどのような実を結ぶか、今すぐにはわからない。
 けれど、人々の心に僅かでも生きるための勇気を燈すことが出来たなら、それはきっと、ディアボロスがここにいたという事実が排斥力によって掻き消されてしまっても、彼らの心に残り続けることだろう――。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV4が発生!
【飛翔】LV2が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV4が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!

四葩・ショウ
どんなに願っても
痛みも悲しみも
代わってあげることは、出来ない
かれらの絶望を、なくすことは……わたしには未だ、

無力な掌をぎゅっと、握り締めて
避難するかれらの元へ

わたしは家族を――母と妹を、奪われたあの日
たくさん、たくさん泣いたんだ
それでもつらかったから、顔を上げたの
これ以上涙が、こぼれてしまわないように
わたしはそれしか……知らなかったから

(わたし自身の怒りや、託された誰かの怒りがあったから
立ち上がることが出来た、けど)

でも、気付いたんだ
こころに嵐が吹き荒れる日も
絶望に塗りつぶされたような夜も
輝く星は、なくならない
『救い』も、きっとそうなんだ

まっすぐに瞳を見据え
その手を力強く握って
貴女達がくるしむとき
わたしは
かならず救け(たすけ)にくる――かならず

だからどうか、『祈って』
自分達をたすけてくれる、そんな存在がたしかにいるのだと
排斥力で忘れてしまっても
懐く灯火になれるよう、祈って
真摯なる誓いを、告げる

これだけはどうか、どうか憶えていて
貴方達は――生きている
そして、ひとりじゃないんだ


 ――たとえ、どんなに願っても。
 失われたいのちは戻らず、彼らが抱いている痛みや悲しみを、代わりに引き受けることも出来ない。
(「かれらの絶望を、なくすことは……わたしには、未だ、」)
 想像を絶するほどのものであるはずなのに、代わってやれないことの無力さを、今ほど実感したことはない。
 ぎゅっと手のひらを握り締めながらも、それでも四葩・ショウ(Leaden heart・g00878)は絶望に怯え、震える人々の元へ向かった。
 人々の心に寄り添うように、彼らの前に膝をついて。
 そっと目線を合わせるようにしながら、ショウは静かに語りかける。
「わたしは家族を――母と妹を、奪われたあの日。たくさん、たくさん泣いたんだ」
 伸ばした手は、すり抜けてしまった。
 ありふれた、幸せな日常のすべてが奪われ、はじめからなかったことになった。
 在るはずのものがなくなり、続くはずの未来が、平穏が、崩れ去って。
 突然ひとりぼっちになってしまった世界で、どうすればいいかわからなくて――。
 声が枯れるまで、否、枯れてもなお、泣き続けた。
「それでもつらかったから、顔を上げたの。これ以上涙が、こぼれてしまわないように。わたしはそれしか……知らなかったから」
 言いながら、ショウは――“あの日”、こころに宿った怒りを思い出していた。
 それはショウ自身の怒りであり、ショウに復讐者として想いと力を託した“誰か”の怒りであった。
 その怒りがあったからこそ、ショウは立ち上がることが出来たのだ。
 けれど、それは。
 今、目の前で絶望に怯えている彼らには――ないものだ。
「……でも、気付いたんだ」
 そう、ショウは知っている。
「こころに嵐が吹き荒れる日も、絶望に塗りつぶされたような夜も。輝く星は、なくならない」
 何があっても――たとえ、世界が変わってしまっても。
 星は変わらず同じ場所で輝き続けていて、いつだって、進むべき道を教えてくれる。
「――“救い”も、きっとそうなんだ」
 絶望に閉ざされかけた瞳を真っ直ぐに見つめ、震える手を力強く握り締めて。
「貴女たちがくるしむとき、わたしはかならず救(たす)けにくる。――かならず」
 ショウは、真摯に、胸に抱く想いと誓いを言葉に変える。
「だから、――どうか、“祈って”。いつだって自分たちをたすけてくれる、そんな存在がたしかにいるのだと」
 たとえ彼らが排斥力で忘れてしまっても、いつだって懐く灯火になれるように。
 いつだって、どこかで輝く星に、なれるように。
 ――自分たちがそう在ることが出来るのは、ひとびとの祈りがあるからこそだ。
「……そして、これだけはどうか、どうか憶えていて」
 人々の瞳に、ほんの少しではあるけれど――。
 ちいさなひかりが燈り始めた兆しを感じ取りながら、ショウは願いを重ねて紡ぐ。
「貴方たちは――生きている。そして、ひとりじゃないんだ」
 ――その時。
 ショウは確かに、手のひらに伝うぬくもりを、籠められた僅かな力を感じ取った。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV3になった!
効果2【グロリアス】がLV2になった!

風花・波那
キマイラウィッチは倒す。でもその前に言ってやるわ。
こんな非道な行いに屈せずに、人々の心に一粒の希望でも残すために。
キマイラウィッチに、そして背中に守る人々に聞こえるように凛とした大声で語りかけるよ。

聞け!キマイラウィッチ!!!
お前達がやっていることは何も生み出さない悪の行いそのものよ。
こんなことをしなくても私達は逃げない。復讐の心ではなく、助ける心で私達は動く!

たとえお前達が恐怖で人々を支配して抑えつけたとしても!絶望への道を敷いて傷つけようとしても!
人々は心に勇気と希望さえ残っていれば、正しく生きる道を歩むことが出来る!

私達はどんなに小さな希望だろうと、それを見捨てることはしない!
どんなにか細い勇気であっても、それを繋ぎ続けてみせる!
涙一粒であろうと見逃さず、何度だって助けに来る!

単なる悪行で生きることに何の意味も価値も無い!
人としての誇りを持って正しく生きる道こそが価値のある生よ!

(夢幻の花果を前に突き出して)
お前達をこれから打ち倒すのは私達の力だけではない!
人々の勇気と希望と知れ!


シル・ウィンディア
キマイラウィッチが植え付けた恐怖を上回る希望、か…。
小さい炎かもしれないけど、これが次に続くことを願って…

最初は優しく語り掛けるように
キマイラウィッチ達の残虐非道な行い、それはとっても怖いものだよね。
亡くなった方もいるし、けがをした人もいる。
きっと、希望を持つことが出来ずに、絶望を押し付けられていたんだね。

でも、それはここから変わるから。
希望がないというのなら、わたし達があなた達の希望になる。
残虐非道な行動を行う、キマイラウィッチの魔物を打ち破る剣になるよ!

小さいからって、女の子だからって…
例え、外から見たら小さな希望の光だって、あなた達を覆う闇を打ち払うから。
それに、わたしは一人じゃない。
仲間もいる。
そして、あなた達がいる。

護るものがあるから…
護りたいって思うから、無限に強くなれる。

…キマイラウィッチ、聞こえているんでしょ?
あなた達がどれだけ人々を虐げたとしても無駄。
わたし達がすべて打ち払ってみせるからっ!

人々の痛みを、この剣にのせて…
あなた達を討伐するから。
さぁ、覚悟はいいかなっ!!


アー・フーベート
率直なところ――
戦場にあって冷静で居られたことなんかない
剣を抜いて立つときはいつも
憤怒と憎悪でぐちゃぐちゃだ
いまもそう

だが
擦り切れそうな声を聴いたら
絶望に澱んだ瞳を見たら
……私が取り乱してちゃだめだ
勇気と忍耐力で激情を抑え、深く息を吸って……
救出した人びとに語ろう

こんなにも深く傷つくのを許してしまったこと、
いまなお完全には癒せないことを、心苦しく思います
それでも……救いたい
打ち据えられて壊れかけていようと、まだ息をしてるなら
われわれは生命を諦めたくない
――いいや、諦めない
救ってみせる!

もう一度言うよ
お前たちはわれわれが守ります
守るべきモノのある限り、わが背は不壊の盾となる
遮るモノを退ける、無敵の矛ともなりましょう!
だから――忘れないで
あすに願った、希望のひかりを!

いざや剣を掲げて
輝け
わが怒り、ひとの痛み、ねがいを糧に
もっと輝け!

キマイラウィッチ――傲慢なる魔女の群れ
殺戮に酔ったけだものの群れ!
巧く罠にかけたと思うな
ここは貴様らの処刑場だ
火刑の炎より強いひかりで
灰も遺さず、灼き棄てる!


「キマイラウィッチたちの残虐非道な行い、それはとっても怖いものだよね。亡くなった方もいるし、怪我をした人もいる」
 シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)は人々へ優しく、穏やかに――彼らの心に寄り添うように語りかける。
「……きっと、希望を持つことが出来ずに、絶望を押し付けられていたんだね。――でも、」
 それはここから変わると、シルは力強く続ける。
 ――そう。
 変えるために、自分たちはここにいるのだから。
「希望がないというのなら、わたしたちがあなたたちの希望になる。残虐非道な行動を行う、キマイラウィッチの魔物を打ち破る剣になるよ!」
 それはシルの心からの想いであり、誓いであった。
「小さいからって、女の子だからって……たとえ、外から見たら小さな希望の光だって、あなたたちを覆う闇を打ち払うから。それに、わたしは一人じゃない。仲間もいる。そして――あなたたちがいる」
 魔女を、この地を覆う闇を払うのは、自分たちディアボロスの力だけではない。
 この地に生きる人々がいてくれるからこそ、その存在が何よりの力になるのだとシルは言う。
「護るものがあるから……護りたいって思うから、わたしたちは無限に強くなれるんだ」
 彼らの心に灯すことが出来るのは本当にちいさな、ささやかな炎かもしれない。
 だが、この炎が次に、これから先に続くことを願いながら、シルは魔女の群れへと向き直った。

 ――剣を握る手に、知らず力が籠もる。
 戦場にあって、冷静で居られたことなど一度もなかった。
 胸の裡から湧き上がる憤怒と憎悪は抑えようとしても抑えられるものではなく、容易くアー・フーベート(光輝なる義務・g01578)の心を掻き乱していく。
 ――今だって、そうだ。
 残忍に、残酷に。
 罪なき人々を甚振り、その心を踏み躙った魔女たちを一刻も早く屠るべく駆け出してしまいそうだった。
 だが――。
 人々の擦り切れそうな嘆きの声が。ここではないどこかを見つめる、絶望に澱む瞳が。
 アーの心を、繋ぎ止めてくれていた。
(「……私が取り乱してちゃ、だめだ」)
 心を落ち着かせるように、深く吐き出した息を吸い込む。
 いのちを燃やした熱を孕む空気が、肺に満ちていく。
 ――この熱は、人々の痛みそのものだ。
「こんなにも深く傷つくのを許してしまったこと、いまなお完全には癒せないことを、心苦しく思います」
 アーは静かに、けれど迷いのない声で、救い出した人々に語りかける。
 魔女たちの残虐な行いによって心に深い傷を負った彼らを癒すのは、そう簡単なことではないだろう。
 それでも救いたいのだと、アーは紡ぐ。
「打ち据えられて壊れかけていようと、まだ息をしてるなら、われわれは生命を諦めたくない。――いいや、諦めない。救ってみせる……!」

「――聞け! キマイラウィッチ!! お前たちがやっていることは、何も生み出さない悪の行いそのものよ!!!」
 まるで、刃そのもののように。
 鋭く響き渡った風花・波那(夢詠の花果・g00593)の凛とした声は、キマイラウィッチだけでなく、背に守る人々にも届けられていた。
「こんなことをしなくても私たちは逃げない。復讐の心ではなく、助ける心で私たちは動く!」
 魔女たちの非道な行いに、この地に生きる人々が屈することがないように。
 人々の心に、たった一粒でも希望の欠片を残すために。
「たとえお前たちが恐怖で人々を支配して抑えつけたとしても! 絶望への道を敷いて傷つけようとしても! 人々は心に勇気と希望さえ残っていれば、正しく生きる道を歩むことが出来る!!」
 胸に宿る怒りを、込み上げてくる想いを、波那はキマイラウィッチの群れに叩きつけるように叫ぶ。
「私たちはどんなに小さな希望だろうと、それを見捨てることはしない! どんなにか細い勇気であっても、それを繋ぎ続けてみせる! 涙一粒であろうと見逃さず、何度だって助けに来る!!」
 たとえ改竄された歴史に排斥されたとて、何度だって扉を抉じ開け、救ってみせる。
 それが“ディアボロス”なのだと知らしめるように、波那は想いを響かせる。
「……キマイラウィッチ、聞こえているんでしょ?」
 こちらを包囲する魔女の群れを射貫くように見つめながら、シルは告げる。
「あなたたちが、どれだけ人々を虐げたとしても無駄。わたしたちがすべて――打ち払ってみせるからっ!!」
 キマイラウィッチが人々の心に植え付けた恐怖も、絶望も。
 そのすべてを打ち払ってみせるとシルは高らかに告げながら、創世の光剣を真っ直ぐに構えた。
「人々の痛みをこの剣にのせて、あなたたちを討伐するから。……さぁ、覚悟はいいかなっ!!」
「単なる悪行で生きることに何の意味も価値も無い! 人としての誇りを持って正しく生きる道こそが価値のある生よ!」
 愛用の魔法のペン――夢幻の花果を突きつけながら、波那は怒りに満ちた声を叩きつける。
「お前たちをこれから打ち倒すのは私たちの力だけではない! ――人々の勇気と希望と知れ!」

 辺りに満ちる、一瞬の静寂。

「――もう一度言うよ。お前たちはわれわれが守ります」
 己の、そして仲間たちの想いと強い熱意を少しでも多く人々に届けるべく、彼らの心にほんの僅かでも勇気を燈すべく、アーは今一度、はっきりとそう口にする。
 事実、ディアボロスたちの言葉と想いは、人々の心に少しずつ届き始めていた。
 絶望に打ち拉がれ、顔を上げることすら出来なかった人々は、今、確かにディアボロスたちの言葉に耳を傾けている。
 そんな彼らの瞳に生気が戻りつつあるのを、アーははっきりと感じ取っていた。
「守るべきモノのある限り、わが背は不壊の盾となる。遮るモノを退ける、無敵の矛ともなりましょう! だから――忘れないで。あすに願った、希望のひかりを!」
 絶望を、希望に。
 そして――。
「輝け、わが怒り、ひとの痛み、ねがいを糧に。もっと輝け――!」
 燃え盛る怒りを、ひかりに変えて。
「キマイラウィッチ――傲慢なる魔女の群れ、殺戮に酔ったけだものの群れよ! 巧く罠にかけたと思うな。ここは貴様らの処刑場だ!!」
 憤怒なくして抜くこと叶わぬ剣を掲げ、アーは声高に告げる。
「火刑の炎より強いひかりで、灰も遺さず、灼き棄てる――!!」

「……言いたいことはそれだけか?」
 下卑た笑みを浮かべたまま、ヘキサトリニティは吐き捨てる。
 だが、それと同時にディアボロスを取り巻く翼ある聖歌隊の女たちが、一斉に声を上げた。
「復讐を――!」
「ディアボロスに、復讐を――!!」
 どこまでも怨嗟の声が響き渡る中、ヘキサトリニティは哄笑した。
「そうだ、お前たちの誰ひとりとして逃がしはしない。愚かなディアボロス共よ、我らキマイラウィッチの糧となれ!」
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【液体錬成】がLV2になった!
【エアライド】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

風花・波那
後は逃げるだけだね。
トループス級だけ倒して急いで逃げることを優先するか、それとも……。
数瞬迷うも、後ろに守る人々の目を見て決断する。
……まだ、大丈夫。それなら!
今後の憂いを断つ為にあいつはここで倒す!

この場を仕切ってるのはお前でしょ。
逃がしはしないですって?逆よ。逃げられると思ってるの?

敵に考えさせる余裕は与えない!すべての行動は即断即行動。
トループス級は一旦無視。敵陣形を観察して瞬時に判断。ヘキサトリニティに向かってエアライドも駆使して最短距離まで接近するよ。
間髪入れずに風花の幻影で敵を描き、トライアングルキャストを使わせて敵を攻撃。
反撃は最小限のダメージで済むように花の盾を描きガード。人々の苦しみに比べたらこれしきの痛みなんてどうってことないよ!

接近後は仲間との連携も意識。
もう一発行くよ!と叫びつつ、ペンを振るう攻撃のフェイントで敵の注意を引き付け味方の攻撃チャンスを作る。

復讐でパワーアップするキマイラウィッチは厄介だと思うけど……。
逃さなければ復讐も何もないんじゃない?問題ないよ!


四葩・ショウ
包囲するキマイラウィッチ達を
まっすぐに見据え

包囲を崩すんじゃ、なくて
ヘキサトリニティへと迷わず駆けて、貫いて
或いは先に駆ける仲間がいるなら、白焔の嚆矢を放って

自棄になったと嗤うのなら、それでいい
……そうだ、って言ったら
どうする? と笑んで見せよう

翼ある聖歌隊がもし動きを見せるなら
いいの? 貴女達が包囲を崩したら
わたし達が、にげてしまうかも

微笑んで、余裕をみせる演技で牽制しよう
どっちがほんとうの狙いだと、思う?

ゆるさない、ううん、ゆるせない
貴女達がしたことの
なにもかもが
だから燻る感情のままに
燃える硝子のレイピアで、貫いて

手のひらに伝ったぬくもりを
僅かに籠められた力を思い出す
かれらのちいさなひかりを
絶やしてしまわない為にも

……でも時間は、かけられない、ね
聖歌隊の包囲が強硬になってないか
意識を向けながらも、それでも

この魔女を倒したい、かならず
それでかれらにすこしでも
安寧を与えられるなら
わたしはどんな痛みだって耐えられる
逆境だって、困難だって受け入れて

残念だったね
貴女の復讐はここで――終わりだ


エトワール・ライトハウス
アドリブ連携◎

まず、包囲してるトループスが厄介だが……【エアライド】を織り交ぜた無双馬の脚力で陣内を駆け巡ろう
連中の目当てはディアボロス、包囲を緩めればすぐ逃げると警戒させよう

そしてヘキサトリニティ
奴のブレス攻撃、騎馬の機動力で距離を取って対処したいが、囲まれてるからなぁ……こういう時こそ、しっかり集中して相手の札の性質を見極めないとね

三種のブレスの厄介なところは触れた時点で此方にダメージが入ること
そして弱点は、熱と電気と毒、いずれも質量としての力を持たない点と、それを『ブレス』という空気の流れとして打ち出す点
つまり解答は――物理的な力押しで3つの吐息を吹き飛ばす!

パラドクス『チック・タック・ロア』は強力な音……つまり空気の振動で相手をぶん殴る技だ
コイツでブレスを押し返してそのまま敵を叩く! ……まあ、タイミングミスったらモロに食らうんだけど

そこはほら、コイツ俺たちの【活性治癒】見てるでしょ
すぐ治るかすり傷でなくクリーンヒットさせたいのは向こうの方……読み合いはこっちに有利な勝負だ!


アヴィシア・ローゼンハイム
アドリブ、連携OKよ

彼らの演説のおかげで、人々に希望の道筋を示すことはできた
後は、それを証明して見せるだけね
さあ、幕を上げましょう
此処からは先は、希望の満ちた未来へのプロローグよ

開戦と共に敵将へと向かうわ。トループス級は一旦無視ね
敵将を抑えれば、離脱もしやすくなるでしょう
青薔薇の大鎌を振りかざし、一気に接近
鍔迫り合いと共にグラキエスを発動するわ

ヘキサトリニティ、といったかしら?貴方でしょう、この集団のリーダーは
復讐、復讐というけれど、貴方達のそれは謀略による、ただのマッチポンプでしょう
そんなものにくだらないものに付き合う気はないの、それに……
復讐は、こちらの言葉よ
今まで奪われた無辜の人々の恨み、思い知りなさい

さあ、花開きなさい。蒼氷の薔薇よ
眼前の敵を飲み込み、砕きなさい
魔法陣より現出する茨はどこまでも伸びるわ。絶対に逃がさない
攻撃もされるでしょうけれど、できうる限り大鎌で防いで致命傷は避けつつ
茨で攻撃を続けるわ

貴方達の復讐心ごと、凍らせて世界に溶かしてあげる
此処が貴方の終焉の地よ


シル・ウィンディア
そうだね。言いたいことはこれだけ。
あとは…。
行動で示すのみっ!!
キマイラウィッチ、あなたたちを倒してここから帰らせてもらうからねっ!!

さすがに飛ぶと危険な気がするしね。
ここは味方と敵の動きをよく観察。
敵の動きに変化があったり、体勢を崩したりとかしたら、パラドクス通信で味方に連絡をして情報を伝えるよ。
観察するとしても、その場で止まっているわけにはいかないから動き回っての観察だね。

本格的に動くときは…。
左手に創世の光剣を抜いてから、敵に向ってダッシュ。
剣の間合いに入る手前で、サイドステップを行ってフェイントをかけて攪乱を行うよ。
単純な行動だからこそ効く撹乱もあるっ!!

着地と同時に高速詠唱を行いつつ、敵の周りを走り回るよ。
詠唱が終わったと同時に、エアライドのジャンプで敵の真上を取るように動いてから…。
全力魔法の七芒星精霊収束砲!
さぁ、これがわたしの全力の魔法だよ。
…その復讐心をすべて撃ち抜かせてもらうよっ!
さぁ、わたしの全部、遠慮せずにもってけーっ!!

…あとは、ここから脱出するだけだね


アー・フーベート
これからはじまるのは、戦いだ
剣や炎が怖いなら
目を伏せて
耳を塞いでたっていいよ

そう伝えたら、もう振り向かない
俯いていた顔を
すこしでも上げてくれたから
あとは――勝利をもって実証するのみ!

もとより一匹たりとも逃すつもりはない
場の決定に異論などある筈もなく
アヴァタール級を目掛け、駆けましょう
無論、仲間とともに!

敵の包囲陣形を観察
囲い込まれて手狭になるのは避けたい
茶々入れてくるトループス級は
呪剣で薙ぎ払い退けるよ

穴が見つからなきゃ多少強引にだって構わねェ
わが身を《つるぎ》と化して突破、一気に肉薄する!

【エアライド】の跳躍力を利用
初撃は上から斬り下ろし、
着地後、早業ですかさず斬り上げて連撃を与える
敵のおもな攻撃手段である、獅子や山羊の頭を狙って斬り落とすように
全身全霊で両断

回避にもエアライドを活用
空中を蹴り横跳びに避ける
防ぎきれずに噛まれても、むしろ憤怒と憎悪を焚きつけて
接触箇所から呪詛を込めたひかりで灼こう

しかるべき報いを受けろ
貴様らはこの痛みを
いいや
これ以上の苦しみを
力なき無辜の人びとに――!


ミシェル・ロメ
※アドリブ、連携歓迎

ああ、最早彼女たちの言う「復讐心」は、僕たちの胸にもある「それ」とは違う。
憎い相手を滅ぼすためならば無辜の民の犠牲も厭わず、あまつさえ道具として使い潰す。
愛や希望をせせら笑い、人々の心を踏み躙る。
憎悪と狂気を煮詰めたような、邪悪の権化。

僕たちは決してお前たちのようにはならない!
大切なものを守るために戦うべき敵を、成すべきことを違えない!

トループス級の包囲をかわしながら、ヘキサトリニティに向かって一気に駆け抜ける。
部下を盾にしてでも自分だけは逃げおおせられると思うな。
此度の首魁として率先して人々を傷つけ殺めた、その報いは必ず受けさせる。

口ずさむは神父様の教えてくださった聖歌。
どんな困難にも打ち勝てるように、強く優しい心を携えよと。
獣の声も、呪詛の言葉も、希望の旋律でかき消して。
この身より溢れる浄化の光で、悪しき魔女に神罰の一撃を。

たとえどんな悪意が世を覆うとも、
古より僕たちを見守ってきた希望の星は、変わることなく輝き続ける。


 ――魔女たちの手から、人々を救い出すことは出来た。
 後はトループス級の包囲網を抉じ開けて、この場を脱出するだけだ。
 急いで逃げることを優先するか、それとも。
 風花・波那(夢詠の花果・g00593)は僅かの間、逡巡する。
 だが、ちらりと振り向いた先。
 ディアボロスの言葉によって希望を取り戻した人々の瞳を見れば、迷い自ずと振り切れた。
(「……まだ、大丈夫。それなら!」)
 向き直ればヘキサトリニティと目が合った。
「――それで? 逃げるのか?」
「まさか! 逃がしはしないですって? 逆よ。逃げられると思ってるの?」
 まるでこちらの心を見透かしたかのような侮蔑の声と眼差しを、波那は跳ね返すように睨めつける。
「この場を仕切ってるのはお前でしょ。なら、ここで倒すわ! それにどうせ、逃がすつもりはないんでしょ?」
 ならば、こちらも受けて立つのみだ。
 復讐により更なる力を得るというキマイラウィッチは、ある意味厄介な存在と言えるだろう。
 だが、倒してしまえば復讐も何もない。
「そうだね。こっちの言いたいことはこれだけ。あとは……行動で示すのみっ!!」
 ヘキサトリニティの眼差しを真っ向から受け止め、シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)もまた、力強く告げる。
「キマイラウィッチ。あなたたちを倒して、ここから帰らせてもらうからねっ!!」
 波那とシルの言葉に笑みを歪ませるヘキサトリニティは、ディアボロスへ“復讐”が出来る喜びに打ち震えているようでもあった。
 今にも戦いの火蓋が切って落とされそうな緊迫した状況の中、アー・フーベート(光輝なる義務・g01578)は背に守る人々へ静かに告げる。
「……これからはじまるのは、戦いだ。剣や炎が怖いなら、目を伏せて。耳を塞いでたっていいよ」
 ――その間に、すべて終わらせる。
 そう伝えたなら、後はもう振り向かずに前を向くだけだ。
(「あとは――勝利をもって実証するのみ!」)
 俯いていた顔を上げてくれた、彼らの想いと願いに応えるために。
 自分たちが守るのだと告げた、その言葉を、想いを、確かなものとするために。
 仲間たちの想いが、人々の希望の道筋を示した。
 その様子をどこか眩しげに見つめていたアヴィシア・ローゼンハイム(Blue・Roses・g09882)は、紫の双眸をすっと細めて、ただ静かにヘキサトリニティへ言い放つ。
「復讐、復讐というけれど、貴方たちのそれは謀略による、ただのマッチポンプでしょう。そんなものにくだらないものに付き合う気はないの。それに……」
 魔女たちの振る舞いを思えば思うほど、揺るぎない怒りの火が燃え盛る。
「復讐は、こちらの言葉よ。――今まで奪われた無辜の人々の恨み、思い知りなさい」
 すべてを奪われたあの日から抱き続けているこの激情が、“同じ”であってなるものか。
 ――キマイラウィッチ。
 そう名付けられた魔女たちの“復讐心”は、自分たちの胸にも在る“それ”とは、違う。
 憎む相手を滅ぼすためなら無辜の民の犠牲も厭わず、あまつさえ道具として使い潰す。
 言うなれば、それは――。
「愛や希望をせせら笑い、人々の心を踏み躙る……憎悪と狂気を煮詰めたような、邪悪の権化よ!」
 ミシェル・ロメ(とわにひびくうた・g04569)は、復讐者のひとりとして、胸の裡から溢れる想いの丈を叫ばずにはいられなかった。
「僕たちは決して、お前たちのようにはならない! 大切なものを守るために戦うべき敵を、成すべきことを違えない!」
「――さあ、幕を上げましょう」
 アヴィシアは青薔薇の大鎌を今一度ヘキサトリニティへ向けながら続ける。
「此処からは先は、希望に満ちた未来へのプロローグよ」
 そう、ディアボロスの言葉が、想いが、真実のものであると――後は魔女たちを祓うことによって証明してみせるだけだ。
 元よりキマイラウィッチは――クロノヴェーダは、一匹たりとも逃がすつもりはない。
 それは、この場に集った復讐者たち全員の揺るぎない意志であった。
 ゆえにディアボロスはまずアヴァタール級――ヘキサトリニティを倒すべく、逆説連鎖戦を開始する。

 戦いの始まりを告げるが如く響き渡る嘶きは、エトワール・ライトハウス(Le cabotin・g00223)を背に乗せた無双馬レオンのものだ。
「おっと、失礼するよ」
 エアライドによるジャンプを織り交ぜながら戦場を駆け巡るエトワールを、トループス級の翼ある聖歌隊が黙って見ているはずはなかった。
「逃がすな! 囲め!!」
「復讐を――!!」
「……復讐、復讐って、本当にそれしか言えないんだな」
 思わず呆れたような声が出てしまうのは抑えられなかったが、女たちの動きはエトワールの予想通り。
「……いいの? 貴女たちがそうやって包囲を崩したら、わたしたちが、にげてしまうかも」
 エトワールを追うように動き出した聖歌隊の女たちへ、四葩・ショウ(Missing wing・g00878)がやんわりと告げる。
「……ッ!」
 復讐の念に囚われた魔女たちを真っ直ぐに見つめながら、浮かぶ微笑みは余裕さえ窺えるもの。
「何を戯れ言を……この状況で、お前たちに何が、」
 聖歌隊の女は忌々しげにそう答えるけれど、動くに動けないのは――こちらの本当の狙いが読めぬから、だろう。
「……どっちがほんとうの狙いだと、思う?」
 完全に包囲され、退路を断たれているというのに――復讐者たちは誰ひとりとして動じていない。
 それは、魔女たちの心をざわつかせるには十分だった。
(「……でも、」)
 時間はかけられない。
 あくまでも必要なのはトループス級の包囲網を突破することであり、こと今回に関しては、アヴァタール級は倒さなくともいい。
 時間をかければかけるほど、聖歌隊の包囲はより強固なものになっていくだろう。
 ショウは聖歌隊の動きに意識を向けながら、それでも、ヘキサトリニティへと向き直る。
 ――手のひらに伝った確かなぬくもりを、僅かに籠められた力を思い出す。
 絶望に塗り潰された彼らがやっと見つけることが出来た、ちいさなひかり。
 それを絶やしてしまわないためにも、この魔女を必ず倒したいと、そう思うから。
 そうすることで、人々に少しでも安寧を与えられるのならば。
 どんな痛みも耐えられるし、逆境も、困難だって受け入れられる。
 ――そう。
 降りかかる火の粉も、魔女たちの牙も。
 すべて、祓ってみせる。
 刹那の攻防が巡る中、波那は空間を超えて一息にヘキサトリニティへと肉薄していた。
 当然周囲のトループス級、翼ある聖歌隊の女たちも動き出す――が、波那が攻撃を繰り出すほうが早い。
「自分の技を味わいなさい!」
 波那は間髪をいれずに魔法のペンを宙に走らせ、ヘキサトリニティの幻影を描き出す。
 実態があるように動く幻影が用いるのは、“本物”と同じ技。
 力強く描き出された獅子と山羊の鳴き声が、詠唱と共鳴する。
「チッ……!」
 それを察したヘキサトリニティもまた詠唱し、氷嵐を解き放った。
 真正面からぶつかり合う二つの嵐が衝撃を伴って吹き荒れる。
 波那は咄嗟に花の盾を描いて防ごうとするが、憎悪の氷嵐に心までも呑み込まれ、斬り裂かれるような痛みを覚えた。
「人々の苦しみに比べたら、これしきの痛みなんてどうってことない! ――もう一発行くよ!」
 歯を食いしばって耐え抜いた波那はすぐさまもう一度魔法のペンを振るい、幻影を描く“ふり”をした。
 僅か一瞬の動きは、攻撃と見せかけたフェイント。
 攻撃の機を掴んだミシェルは碧眼でヘキサトリニティを真っ直ぐに見据え――。
「部下を盾にしてでも自分だけは逃げおおせられると思うな。此度の首魁として率先して人々を傷つけ殺めた、その報いは必ず受けさせる――!」
 そうして大きく息を吸い込み、いつだって共に、心に在る聖歌を紡ぎあげる。
 ――信じる人よ。夜空に星は輝けり。
 楽園は己が胸にありて、神は愛し児を見守りたもう――。
 それは、あまねくすべての人の幸を願う歌――いと高き希望の星(エトワール・ドゥ・レスポワール)。
 たとえどんな悪意が世を覆うとも、古より人々を見守ってきた希望の星は、変わることなく輝き続けるのだと知らしめるように、ミシェルは想いを籠めて澄んだ歌声を響かせる。
 狙いはヘキサトリニティただひとり。
 どんな困難にも打ち勝てるように、強く優しい心を携えよと――大切な人に教えてもらった、大切な歌で。
 溢れる浄化の光は神を罰する一撃となって、獣の声も、魂を揺さぶるような呪詛も、希望の旋律で掻き消していく。
 響き渡る獅子と山羊の鳴き声は、怨嗟の咆哮そのものだった。
 ミシェルへ反撃の氷嵐を放ちながら、ヘキサトリニティは次にレオンを駆るエトワールへ目をつけたようだ。
 ディアボロスへの憎悪と狂気に満ちた眼差しがエトワールを捉える。
「おっと、情熱的なのは嫌いじゃないがね」
 だが、相手がクロノヴェーダであれば話は全く別だ。
「ディアボロスの分際で! 大人しくくたばりやがれ!」
 それはこっちの台詞だとエトワールは内心思ったが、敢えて言わずにレオンの機動力で距離を取る。
 ヘキサトリニティが放つ手札は獅子と山羊、そして蛇の三獣が吐き出すブレスだ。
 獅子の炎に山羊の雷、そして蛇の毒が合わさったそれは触れるだけで多少なりともこちらにダメージが入るし、まともに受ければひとたまりもないだろう――が。
 エトワールは冷静に心を研ぎ澄まし、パラドクスの力を編み上げる。
 熱と電気と毒、いずれも質量としての力を持たないそれらを“ブレス”という空気の流れとして打ち出すならば――。
 こちらは物理的な力でもって、三つの吐息を吹き飛ばすのみ。
「――安心しな、うるさいと思う暇もないよ」
 チック・タック・ロア(オルク)。言葉と共に響いたひとつの銃声が瞬く間に膨れ上がり、音の大砲へと姿を変えて放たれる。
 真っ直ぐに駆ける音波は強烈な衝撃波となって、三種のブレスごとヘキサトリニティを飲み込んでいく。
 一瞬の攻防の後、エトワールは肌に突き刺すような痛みを覚えた。
 炎か雷に焼かれたのか、あるいは蛇の毒が掠めたのか。いずれにせよこちらも無傷とはいかなかったが、どうやら“読み合い”はエトワールに分があったようだ。
 叩きつけられた空気の振動、見えざる衝撃波に吹き飛ばされたヘキサトリニティの懐へ、間髪をいれずショウが飛び込んでいく。
「ゆるさない、……ううん、ゆるせない。貴女たちがしたことの、なにもかもが」
 ――魂の花心より咲き誇るは、復讐の白焔。
 火種となるのは、あの夏の日に得た、今なお心に燈り続ける怒り。
 燻る感情のままに白き焔を纏う硝子のレイピアの切っ先で貫けば、ヘキサトリニティの笑みが殊更に歪む。
「どうした、自棄になったか?」
 ヘキサトリニティが、嗤う。
 獅子が牙を剥き、山羊が角を振り回す。
「そうだ、って言ったら。――どうする?」
 肉を噛み千切らんばかりの衝撃と毒に襲われようとも、ショウは笑みを絶やさぬまま、告げた。
「……残念だったね。貴女の復讐はここで――終わりだ」
 直後――。
「邪魔を……するな!!」
 行く手を阻まんとするトループス級たちを呪剣で薙ぎ払い、退けて。
 アーはそのまま一息にヘキサトリニティへと肉薄した。
「しかるべき報いを受けろ――!!」
 憤怒によって輝く呪剣とひとつになったアーは、己が身そのものをひかりの刃と変えて、高く跳躍する。
 それは憤怒に研がれし呪詛をもって――息吹をも断つ、冴えたるひかり。
「貴様らはこの痛みを、……いいや、これ以上の苦しみを、力なき無辜の人びとに――!」
「ギャアアアアッ!!!」
 憤怒を叩きつけるように、アーは振り翳した刃で上から斬り下ろし、着地と同時にすかさず斬り上げる。
 全身全霊を籠めた刃が、ヘキサトリニティの肩から生えた獅子と山羊を断ち斬った。
 すかさず反撃に転じた魔女が放った蛇の毒牙を、アーは空中を蹴って横に跳ぶことで紙一重で避ける。
「随分と品のない悲鳴じゃないか。大口叩いてた割にはその程度かよ」
「ッ、煩ェ!! テメェ……!」
 わざと焚き付けるように告げれば、憎悪でぎらついたヘキサトリニティの双眸がアーを捉える。
 その目にすかさず呪詛を込めたひかりをぶつければ、生じた僅かな一瞬を手繰るようにシルが駆け出した。
 一息に空間を超え、距離を詰めて。
 左手に構える創世の光剣の間合いに入る手前で斬りつけると見せかけて、サイドステップを交えたフェイントを仕掛け、僅かな隙を強引に生じさせる。
 単純な行動だからこそ効く撹乱もあるだろう。
「六芒星に集いし世界を司る六人の精霊たちよ、過去と未来を繋ぎし時よ……! 七芒星に集いて虹の輝きとなり、――すべてを撃ち抜きし光となれっ!!」
 そして、着地と同時にシルは高速で詠唱を終えていた。
「……これがわたしの全力の魔法だよ。その復讐心を、すべて撃ち抜かせてもらうよっ!」
 シルの背には魔力の反動を抑える四対の魔力翼が展開し、そして、ひとつに束ねられた膨大な魔力が七彩の光となって放たれる。
「さぁ、わたしの全部、遠慮せずにもってけーっ!!」
 全身全霊、全力で解き放たれた七芒星の輝きが、ヘキサトリニティを撃ち抜いて――。
「さあ、花開きなさい、万物を凍てつかせる、蒼氷の薔薇よ。眼前の敵を飲み込み、砕きなさい――」
 歌うように紡がれたアヴィシアの詠唱が響き渡った。
 蛇絡む十字の杖と大鎌が交錯し、刻まれた瑠璃月が輝きを帯びて――。
 詠唱と共に描き出された魔法陣から氷の茨と蔓が伸びて、決して逃さぬとばかりにヘキサトリニティに絡みつく。
「貴方たちの復讐心ごと、凍らせて世界に溶かしてあげる」
 美しく煌めいて咲く蒼氷の薔薇。
 それを砕かんと吹き荒れる氷嵐に包まれながらも、アヴィシアは真っ直ぐに、射貫くようにヘキサトリニティから視線を外すことはない。
「――此処が、貴方の終焉の地よ」
「……ッ」
 さいごには、悲鳴すら上げられぬまま。
 舞い踊る蒼き氷の花弁とひとつになって、ヘキサトリニティは世界に溶けていった。

 そして、一瞬の静寂が辺りに満ちる。
「ッ、……復讐を!」
 ヘキサトリニティが倒されたことを知った、翼ある聖歌隊の女たちが、叫ぶ。
「ディアボロスに、復讐を――!!」
「……あとは、ここから脱出するだけだね」
 小さく息をついて、シルは呟く。
 憎悪と狂気が渦を巻き、ディアボロスたちに襲いかかろうとしていた。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【液体錬成】がLV3になった!
【活性治癒】がLV5になった!
【避難勧告】LV1が発生!
【アイスクラフト】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【グロリアス】がLV3になった!
【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!

風花・波那
安心感を与えるためにも、一旦人々の近くに戻って声をかけておくよ。
あと少しだからね、大丈夫!

連戦だけど、まだまだ戦える。
七曜の戦を乗り越えて私達だって強くなってるんだから。
花守の氷剣を構えて、自分と周囲を鼓舞するように声を出す。
私が皆を守る!行くよ!

包囲網を作っている、翼ある聖歌隊に突撃。仲間と連携して人々を守る陣形を維持しながら敵と対峙。
つむじ風のように敵の周囲を駆け巡りながら、しっかりと周囲や敵を観察。
敵の攻撃はしっかり見て最小限のダメージで済むようにエアライドも使って回避行動を取るよ。
確実に仕留めるために、氷剣を振りながら牽制して敵の動きを見定め、隙が出来たら撃つ!氷剣を構え、敵に突くような動作で花焔を発動。

敵を倒したら人々を誘導して脱出。
皆動ける!?脱出するよ!
立てない人は私がお姫様抱っこしてあげるから安心してね!
半分は本気、半分は場を和ませるための冗談だけど。

脱出しながらも最後まで人々に伝え続ける。

……もう少しだけ、待っててね。
皆の笑顔は必ず取り戻すからね。
私がいつの日か、必ず!


シル・ウィンディア
守るって決めたから。
守るって約束したから。
だから、絶対にここからみんなを連れ出して見せるよっ!

…さ、それじゃ行きましょうか。
こんなところからは、さっさと飛び出そうっ!

攻撃の起点になればいい。
手近な敵に対して、高速詠唱からの精霊収束砲を撃っていくよ。
フェイントはなし、サクッといかせてもらうためにも、どんどん撃っていくよっ!

対象は一番少なくても、威力は折り紙付きっ!
弱っている敵を落とすのは、複数体を攻撃できる人に任せて…。
わたしは敵の体力を削ったり、うまくいけば一撃で仕留めてみたりで頑張るよっ!

聖歌を歌いあげられても、ね。
そんなまやかしの聖歌でわたしの心をどうこうすることはできないんだよ。

いま、わたしの胸にあるのは…。
ここに集められて、火刑にされた人達、されそうになった人たちの代わりにあなた達に怒りをぶつける為の感情だから。

殺意?狂気?
向けられるならいくらでも向けて見なさいっ!
そんなもので、わたしはくじけないし、止まらないからっ!

突破したら、一般の人達に向って笑顔を向けるよ
…大丈夫だからね


ミシェル・ロメ
※アドリブ、連携歓迎

こんな……こんな狂気と悪意に満ちた禍々しいものが「聖歌」だなんて、僕は認めない。
僕の知る聖歌は、命を寿ぎ、慈愛に感謝し、希望の光を紡ぐもの。
救国の聖女の名も、神に捧ぐ旋律も……これ以上僕の拠り所を穢すな!

だから僕は、全身全霊を懸けて歌うよ
こんな地獄のような世界でも、限りある儚い命でも
それでも慈愛の心を手放さずに懸命に生きる「強く優しい人々」に
絶望の呪詛に負けないほどの祝福を!

どんな地獄の業火でも、人が生まれ来る子に孫に託した希望は
連綿と受け継がれてきた幸願う意志は焼き尽くせない
狂える呪歌の旋律に惑わされないように、心を強く持って
僕の信じる「祝福の聖歌」を捧げ
この身に溢れる生命の光輝を聖槍の如くに変えて
邪悪を穿ち貫く神罰の一撃を

さあ、みんなで急いで逃げよう。
助けられなかった人々の分まで、彼らが見ることの叶わなかった未来の光を見届けるために。
生きて、生き抜いて、どんな悪意にも折れない魂の強さを証明するんだ。


アー・フーベート
仲間と連携、協力
単純な数なら敵のほうが勝るんでしょうから
圧されるまえに、すばやく片をつけましょう

【飛翔】の機動力や【エアライド】の跳躍力を活用し
戦場を縦横無尽に
敵の包囲陣形を掻き乱すように動きます
呪剣の放つ《ひかり》をまとい
多数の敵を巻き込んで、斬撃を与えてゆきましょう
人びとにも手出しなどさせない
――斬り伏せる
貴様らが牙を剥くよりも、私の剣のほうが疾い!

私のひかりは、浄化でなく呪詛のひかり
仇を灼き、己をも灼く、熾烈なる滅びの輝きだ
希望と祝福によってひとを救いたいのは本心でも
……私の技とは、こういうもの

それでも――
狂気に呑まれることなく剣士として立てるのは
守るべきものがあるからこそ!
憤怒と憎悪と
それをも凌駕する勇気とに鎧われたわが心に
よこしまなる歌声が響く道理は無い!

道が拓けたなら
人びとに手を伸べて
むこうから手を取ってくれるなら、もっとうれしい

お前たちが立ち竦み、縋る手を伸ばすとき
私たちもまた、その手を掴むべく腕を伸ばしてる
いま、わずかに兆した希望を棄てずに
生きてくれるって、信じてるよ


アヴィシア・ローゼンハイム
アドリブ、連携OKよ

さて、残りはあの聖歌隊ね
将を失った今、統率は崩れているはず
此処で一気に突破しましょう

さあ、次は貴方達よ。覚悟はできたかしら?
青薔薇の大鎌を携えて、放つ技はメメント・モリ
どちらかが倒れるまで終わらない死のワルツ
ステップを踏むように、踊るように切りつけましょう
大鎌で鍔迫り合いになりながらも、力を抜いて体勢を崩したら
くるり、と回って舞い踊るように切りつける

切られても、貫かれても、大鎌の舞は終わらない
貴方達を滅するまでは止まらないわよ
敵を切り裂き、落としたら次の相手へと
次に私と踊ってくれるのはだれ?
決まらないのなら、私からいくけれど、ね
さあ、踊りましょう?私と一緒に、終わりのないワルツを

敵を倒し、脱出できるようになったら都市からの脱出を支援しましょう
立てない人や、手助けがいる人がいたら手を差し伸べて助けていくわ
さあ、もう大丈夫。此処から脱出しましょう

現状はまだ、予断は許さないけれど
絶対にこの地を取り戻すと誓うわ
いつの日か、人々に笑顔が溢れる日々が訪れるように


四葩・ショウ
孤立しないよう気をつけて
声をかけ、一番傷が深い敵を巻き込みながら
先ずはすみやかに敵の数を減らしていきたい

彼女達が奏でる聖歌は――ああ、なんて邪悪で、おぞましくて
やっぱり認めたくないな
……こんなものが聖歌、だなんて
だけど、意識さえも、うばわせない
かぶりをふって、こころを強く持つ

住人の彼らを護りたいと、希うから
彼らを照らすひかりになりたくて、
光の魔力と融合する術を得たのだから
どんな状況でも、微笑んでみせて
一体でも多くを、と
いくつも白焔の嚆矢を放つ

戦いながらも観察するのは
あらかた殲滅できそうなのか、それとも強行突破すべきなのか
たとえば
敵の層が薄い場所があればそこを集中突破したり
統率する敵を失った混乱に乗じたり
わずかな綻びでも、突破が出来そうだったら
仲間への伝達は【パラドクス通信】で密かに行う

残念だな
今日はもう、貴女達と踊れないんだ
……だから、またね

強く、願うのは
彼女達の手からすべての人々を救いたい
復讐の焔が、燃え盛って消えないこの胸の怒りが
いつかこの身さえ焼いてしまうのだとしても、それでも


「――復讐を! ディアボロスに復讐を!!」
 口々にそう叫ぶ、翼ある聖歌隊の女たち。
「あと少しだからね、大丈夫!」
 少しでも安心感を与えるべく、人々の近くへ一旦戻り、そう声をかけてから。
「……復讐、復讐って、煩いのよ!」
 風花・波那(夢詠の花果・g00593)は、行く手を塞ぐトループス級を鋭く睨みつける。
「さて、残りはあの聖歌隊ね」
 視線を向けた先、忌々しげに表情を歪めている聖歌隊の女たちを瞬く星の双眸で見やり、アヴィシア・ローゼンハイム(Blue・Roses・g09882)は微かな笑みを浮かべていた。
「将を失った今、統率は崩れているはず。此処で一気に突破しましょう」
「そうだね。こんなところからは、さっさと飛び出そうっ!」
 アヴィシアの言葉に頷いたシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)は、改めて翼ある聖歌隊の群れへと向き直り、続ける。
 守ると、そう決めたから。
 守ると、そう、――約束したから。
「……絶対に、ここからみんなを連れ出して見せるよっ!」
 駆け出すと同時、シルは背に青白い魔力翼を展開させて舞い上がった。
 パラドクスの力によるそれは、周囲の空間の治癒効果を高める効果を持つものだ。
「――闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ……混じりて力となり、全てを撃ち抜きし光となれっ!!」
 そのまま詠唱を開始したシルは攻撃の起点となるべく精霊収束砲(エレメンタル・ブラスト)を連射していく。
 一点集中のパラドクスだが、精霊魔法を得意とするシルが用いるならば威力は折り紙付き。
 今回はフェイントも交えず、敵陣の只中を手近な敵を狙ってひたすらに撃って回っていく――そうするのは、たとえ一撃で仕留められなくとも、その先に繋がることを知っているからだ。
 邪悪なる聖歌を紡ごうと羽ばたいた聖歌隊を、どこからともなく飛んできた白焔の嚆矢が貫いた。
「ありがとう、ショウさんっ!」
「うん、任せて」
 パラドクス通信の通信機越しに響いたシルの声に四葩・ショウ(Rupert's Drop・g00878)は笑み含む声で答え、更なる焔を胸に抱く。
 こちらも精鋭の復讐者たちが揃っているけれど、ひとたび敵群に呑み込まれてしまえば忽ちの内に怨嗟の刃に裂かれてしまうことだろう。
「みんな、孤立しないように気をつけて」
 皆にそう声をかけながら、ショウは速やかに敵の数を減らすべく、敵の動きに目を配る。
 ――なおも天から降り続く、美しい歌声。
 宙を飛び回る聖歌隊が紡ぐは、狂気と殺意に満ちた邪悪なる聖歌。
(「――ああ、なんて邪悪で、おぞましいんだ」)
 どれほどうつくしいものでも、そこには悪しき呪いが、狂気が満ちている。
 ゆえにこそ、認めたくないと――ショウは思うのだ。
「……こんなものが聖歌、だなんて」
 意識のひと欠片だって奪わせはしまいとかぶりを振って、ショウは心に狂気を跳ね除けるほどの怒りを纏う。
 復讐を歌い続ける、心を掻き乱す狂気の旋律。
 だが、それをはるかに上回る怒りがシルの胸の裡で燃えていた。
「そんなまやかしの聖歌で、わたしの心をどうこうすることなんて出来ないよっ!」
 それは、ここに集められて火刑にされてしまった人たちや、されそうになった人たちの――。
 彼らの代わりに、彼らの分まで魔女たちへぶつけるための、尽きることなく燃え上がる、揺るぎない怒りだ。
「殺意? 狂気? 向けられるものならいくらでも向けてみなさいっ! そんなものでわたしはくじけないし、絶対に止まらないからっ!」
「こんな……こんな狂気と悪意に満ちた禍々しいものが“聖歌”だなんて、僕は認めない」
 翼ある聖歌隊が響かせる“聖歌”に、ミシェル・ロメ(とわにひびくうた・g04569)もまた、更なる怒りを覚えずにはいられなかった。
 戦場に満ちる、悍ましき旋律。
 魔女たちが紡ぎ奏で上げるのは――狂気と殺意に満ちた、邪悪なる歌。
 このようなものが、聖歌であって良いはずなどあるだろうか――否。
「僕の知る聖歌は、命を寿ぎ、慈愛に感謝し、希望の光を紡ぐもの。救国の聖女の名も、神に捧ぐ旋律も……これ以上僕の拠り所を穢すな!」
 怒りを祈りに変えて、ミシェルはただ、全身全霊を懸けて光あれと歌う。
 偽りの聖歌を掻き消すように、声を張り上げる。
 たとえどんな地獄のような世界でも、限りある儚い命でも。
 それでも慈愛の心を手放さずに今を懸命に生きる“強く優しい人々”に、絶望の呪詛に負けないほどの、それ以上の祝福があることを願い、祈って。
 ――光あれ。
 生命の始まりと共に世を照らす星よ。
 輝ける陽よ。燃ゆる焔よ。
 其は生きとし生ける者を導く力。何者も――穢すこと叶わじ。
 人が生まれ来る子や孫に託した希望の光は、過去から今へ連綿と受け継がれてきた幸願う意志は、どんな地獄の業火にも焼き尽くせないとミシェルは知っている。
 狂える呪歌の旋律に惑わされぬよう心を強く持ちながら、ミシェルはミシェル自身が信じる“祝福の聖歌”を人々に捧げ――。
 そして、己が身にあふれる生命の光輝を聖槍の如くに変えて、邪悪を穿ち貫く神罰の一撃を解き放った。
「――大丈夫。まだまだ戦えるよ。《七曜の戦》を乗り越えて、私たちだって強くなってるんだから」
 アヴァタール級からトループス級への連戦にも、一切の疲れを覗かせることなく。
 煌めく花守の氷剣を構えながら、己と、そして周囲を鼓舞するように波那は声を張り上げた。
「私が皆を守る! 行くよ!」
「そうね、往きましょう。――《七曜の戦》の、更なる先へ」
 星空と青薔薇のドレスを翻し、身の丈まである青薔薇の大鎌を手にアヴィシアが駆ける。
「……さあ、次は貴方たちよ。覚悟はできたかしら?」
 Memento・mori(メメント・モリ)――どちらかが果て尽きるまで終わらない、死のワルツ。
 夜色の髪を靡かせて、くるりくるりと軽やかなステップを踏むように。
 優雅に、可憐に、情熱的に、踊るように、アヴィシアは次々に斬りつけていく。
「ディアボロスに、復讐を――!」
 対する聖歌隊も翼で空へと舞い上がり、邪なる力を宿した大鎌で斬りかかってくる。
 大鎌による鍔迫り合いの、交錯は一瞬。
 微笑んだまま、アヴィシアはわざと力を抜いた。
「っ!?」
 次の瞬間、力の行き場を失くした魔女は思わず体勢を崩し――。
 アヴィシアはくるり、とその場で回りながら大鎌を一閃させ、魔女を斬り伏せた。
 絶えず響き渡る、狂気と殺意に満ちた邪悪なる聖歌。
 悍ましき旋律は、聞いているだけで心が蝕まれてゆくようで。
「気味の悪い歌ね! もっと明るく歌えないの!?」
 囚われそうになる意識を繋ぎ止めながら疾く風のように駆け抜けて、波那は氷剣を突き出す。
「魔を吸い燃え咲け! ――花焔(ハナホムラ)!」
 切っ先が喉元を貫くと同時、蒼く煌めく軌跡が氷霧のように輝き花開く。
 魔力と血を吸い上げた蒼い氷花は赤く染め上げられて、命ごと凍りつかせて散らしていく。
「――次!」
 その場に崩れ落ちた翼ある聖歌隊を超えて、波那は更に先へと駆け出した。
 単純な数ならば、敵のほうがはるかに勝る。
 ゆえに、圧される前に、人々へかの狂気が再び及ぶ前に素早く片を付ける――そのために。
 空と地上を埋め尽くさんばかりの翼ある聖歌隊の群れの只中を、白き天使の翼を羽ばたかせながら縦横無尽にアー・フーベート(光輝なる義務・g01578)は翔け巡る。
「――斬り伏せる!」
 飛翔の機動力とエアライドの跳躍力を用いて敵の包囲陣形を掻き乱しながら、アーが振るうは呪われし剣。
「貴様らが牙を剥くよりも、私の剣のほうが疾い!」
 憎悪に比例して輝きを増す呪剣のひかりを纏い、アーはこちらの気配を捉える間さえ与えず、神速で斬撃を浴びせていく。
 輝く剣がひかりの尾を引いて、彗星のような軌跡を残す。
 それは熾烈なる滅びの輝きにして――。
 仇を灼き、アー自身をも灼く、呪詛のひかりだ。
(「――そう、これが私のひかり」)
 浄化ではなく、ただ滅するもの。
 希望と祝福によってひとを救いたいと希う、その心に偽りはないけれど。
(「……私の技とは、こういうもの」)
 それでも、アーが狂気に呑まれることなくひとりの剣士として立つことが出来るのは――守るべきものがあるからこそだ。
 アーが描いた彗星の軌跡をなぞるように、アヴィシアは鎮魂の刃を閃かせる。
 静謐な夜めいた瑠璃色は、呪われし獣たちに醒めることのない永遠の眠りを齎してゆく。
「さあ、次に私と踊ってくれるのは……誰?」
 名乗り上げるものがいなければ、それでも構わない。
 ふわりと星々の煌めきが鏤められた夜色のドレスの裾を靡かせながら、すぐに次なる敵へと狙いを定め――アヴィシアは踏み込んでいく。
 たとえ敵の大鎌で斬られても、貫かれても、アヴィシアの舞は終わらない。
 世界を、歴史を奪った悪しきものたちを滅するまでは、止まらない。
「さあ、踊りましょう? 私と一緒に、終わりのないワルツを――」
 流れる血潮で舞台に更なる彩りを添えて。次々に敵を斬り裂き、落としながら。
 アヴィシアは、更なる敵を求めて大鎌の刃を閃かせる。
 空を舞う魔女の聖歌隊たちが、口を揃えて呪詛を唱える。
 紡がれる歌声は憎悪と狂気に満ちて、聞くものの心を揺さぶらんと見えざる波動となって襲いかかってくる。
「憤怒と、憎悪と、それをも凌駕する勇気とに鎧われたわが心に――」
 だが、アーは惑わされることなく毅然と声を張り上げた。
「――よこしまなる歌声が響く道理は無い!」
 刹那。
 つるぎの輝きは、より一層増して。
 鮮烈な光の軌跡が、悪しき魔女たちを断罪する。
 アーが導いたひかりを眩しげに見つめながら、ショウもまた、光を抱きしめる。
 この地に生きる彼らを護りたいと、彼らを照らすひかりになりたいと、ショウも希うから――だからこそ。
 どんな困難が待ち受けていようとも、どれほど傷つこうとも。
 ――だいじょうぶだと、伝えるように。
 どんな状況でも、微笑んでみせるのだ。
 地を駆け、宙を翔けながら、ショウは機を見定めるべく目を凝らす。
 すべてを倒すか、それとも敵の層が薄い場所に力を集中させて道を抉じ開けるのか。
 いずれにしても――僅かな綻びを見出した瞬間に、ショウは息を吸い込んでいた。
「シルさん、いける?」
 パラドクス通信の通信機越しにそっと呼びかければ。
「うんっ! 任せて!」
 ショウの見つめる先を追うように視線を動かしたシルが、力強く答えて。
 同時に放たれた光が、僅かな綻びを穿ち、広げてゆく。
「――残念だな。今日はもう、貴女たちと踊れないんだ。……だから、またね」
 でも、その前に、と、ショウは目を細めて、告げる。
「……かえしてもらうよ。貴女たちが奪ったもの、ぜんぶ」
 そうして指先に、復讐の白き焔の嚆矢を番えて――。
 ショウは悍ましき歌を響かせる天使たちを、撃ち落とした。

 いつしか魔女たちの気配は消えつつあり、ディアボロスたちはみな、道が拓かれたことを悟る。
 小さく息をついたシルは戦いの様子を見つめていた人々に振り返り、そっと笑いかけた。
「……大丈夫だからね」
 このままではいつまた魔女たちがやって来るとも限らない。
「皆動ける!? 脱出するよ! 立てない人は私がお姫様抱っこしてあげるから安心してね!」
 波那はそう声を上げ、拓かれた道の先へ人々を誘導する。
 半分は場を和ませるための冗談のつもりだったが、もう半分は本気だ。
「さあ、みんなで急いで逃げよう」
 助けられなかった人々の分まで、彼らが見ることの叶わなかった未来の光を見届けるために――。
「……生きて、生き抜いて、どんな悪意にも折れない魂の強さを証明するんだ」
 そう告げて、ミシェルも人々をいざなう。
「もう大丈夫よ。此処から脱出しましょう」
 優しく微笑み、人々に手を差し伸べるアヴィシアの隣で、
「――ゆこう」
 アーもまた、人々に手を伸べる。
 人々は、震えながらも――しっかりと伸ばされた手を握り返し、立ち上がった。
(「ああ、――うれしい」)
 向けられる眼差しが、伝う確かなぬくもりが、ディアボロスたちへ想いを託してくれているとわかるから。
 明日を諦めず、歩んでゆこうとしてくれているから。
 それが、アーは何よりも嬉しかった。
 共に脱出しながら、波那は最後まで人々に伝え続ける。
「もう少しだけ、待っててね。皆の笑顔は必ず取り戻すからね。私がいつの日か、必ず!」
 人々に寄り添って歩きながら、ショウは、強くつよく願わずにはいられなかった。
 ――魔女たちの手から、すべての人々を救いたい、と。
 いつかを誓う復讐の焔が、あの夏の日から燃え盛って消えない、この胸の怒りが。
(「……いつか。この身さえ焼いてしまうのだとしても、それでも」)
 ――現状はまだ、予断は許さない。
 けれど、アヴィシアは胸に、誓いを新たに刻み込む。
「絶対に、この地を取り戻すわ。だから、どうかそれまで、待っていて」
 いつの日か、再び。
 人々に、笑顔が溢れる日々を取り戻すために。
「お前たちが立ち竦み、縋る手を伸ばすとき。私たちもまた、その手を掴むべく腕を伸ばしてる」
 アーは願いを重ねるように、人々へ告げる。
「いま、わずかに兆した希望を棄てずに生きてくれるって、――信じてるよ」
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【活性治癒】がLV8になった!
【飛翔】がLV4になった!
【傀儡】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2023年09月05日

キマイラウィッチの火刑場

 イベリア半島の北東部である、バルセロナやバレンシアを制圧したキマイラウィッチは、その地の住民を、貼り付けにして火刑に処す事で、ディアボロスをおびき寄せようとしています。
 ディアボロスが来るまで、何十人でも何百人でも住民を焼き殺していくつもりなのです。

 目的は、人間を殺す事では無く、ディアボロスを誘き出す事なので、火刑は時間を掛けてじっくりと、苦痛に泣き叫び絶望させながら殺していくようです。

 キマイラウィッチの多くは『火刑によって殺された過去』を持つので、非常に残忍です。
 ディアボロスが罠にかかると、敵は、ディアボロスを逃がさないように包囲しつつ戦闘を行ってきます。


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#火刑戦旗ラ・ピュセル
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#キマイラウィッチの火刑場
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#イベリア半島


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選択肢『処刑場への突入と住民の救助』のルール

 キマイラウィッチが住人を火刑にしようとしている処刑場に突入してください。
 キマイラウィッチの目的は、ディアボロスを火刑場に呼び寄せる事なので、火刑場に突入するディアボロスを邪魔する敵はいません。
 今まさに、火刑場で焼かれている住民や、次に焼かれる為に集められてる住人の元に向かい彼らを救助してください。

 街の周囲はキマイラウィッチとの戦場になるので、救助した住民は火刑場の周囲に集めて、動かないように指示を出すと良いでしょう。
 ディアボロスがキマイラウィッチに勝利すれば、彼らの安全を確保することが出来ます。

 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『キマイラウィッチへの弾劾』のルール

 戦闘を行う前に、キマイラウィッチの悪行を非難し、処刑場に集められて絶望している人々に、勇気を与えるような演説を行います。
 ディアボロス帰還後は、排斥力によって、ディアボロスの記憶は曖昧になりますが、彼らの心を強く揺さぶる事が出来れば、キマイラウィッチの恐怖による統治に楔を入れることが出来るかもしれません。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

※補足 【勝利の凱歌】などのパラドクス効果によって与えられた勇気や希望は、排斥力の影響を受けやすい為、ディアボロス帰還後に影響を与える事が出来ません。
この時代の一般人が理解できて、かつ、大きく心が揺さぶられるような演説が効果的となるでしょう。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『登場人物(NPC)との会話に専念する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾包囲するトループス『翼ある聖歌隊』のルール

 ディアボロスを包囲し殲滅しようとするトループス級です。
 包囲網を打ち破る事に成功したら、街から撤退を行ってください。
 方向網を打ち破る前に、アヴァタール級を撃破しておくと、救出した住民の安全に寄与することが出来るでしょう。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵が撤退し、シナリオは成功で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との戦闘『ヘキサトリニティ』のルール

 事件解決の為に、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破するだけでは事件を解決できないので、戦闘終了後、必要な行動を行ってください。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※このボスの宿敵主は「シメオン・グランツ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。