【《七曜の戦》中国陝西省防衛】アルタン・ウルク迎撃

 このシナリオは《七曜の戦》に関連して発生する特別シナリオ人類史防衛戦の一つです。
 このシナリオでは、ディアボロスが奪還した「大戦乱群蟲三国志」の北西「中国陝西省(せんせいしょう)」に攻め寄せる「アルタン・ウルク」に対して、「迎撃戦」を行ないます。
「迎撃戦」を成功させれば、最終人類史の「中国陝西省」周辺地域を防衛する事が出来ます。

※最終人類史
 戦場が『最終人類史』の領域であるため、全てのパラドクス効果が最高レベルで発揮されます。
 その為、シナリオの難易度が1段階下がっており、有利に戦闘を行う事が可能となっています。
(元々高難易度のため、入手EXPやPPは通常と同等です)

匈奴のごとくに(作者 一条もえる
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#最終人類史(新宿島)  #【《七曜の戦》中国陝西省防衛】アルタン・ウルク迎撃  #《七曜の戦》  #人類史防衛戦『中国陝西省』  #アルタン・ウルク 


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#【《七曜の戦》中国陝西省防衛】アルタン・ウルク迎撃
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#人類史防衛戦『中国陝西省』
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#アルタン・ウルク


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 黄土高原の広がる、中国陝西省北部。
 『大戦乱群蟲三国志』の勝利によって奪還したこの地域に、再び危機が迫っている。
 シュゴォォォォ……シュゴォォォ……。
 鳴き声とも唸り声ともつかぬ音を発しつつ、アルタン・ウルクの群れが押し寄せている。どこまでが1体なのか見分けるにも苦心するそれらが、黄土を埋め尽くすようにして進軍していた。
 蹄が地を踏むごとに、全身の触手が蠢く。
 いくつあるのかもわからぬ全身の口が、牙を鳴らす。
 何処を、何を見ているのかもわからぬ無数の赤い眼球が、ギョロギョロと不規則に動く。
 シュゴォォォォ……シュゴォォォ……。
 数多の蟲将どもを飲み込んだ怪異が、長城を越えんとしていた。

「ついに《七曜の戦》が始まりましたね!」
 新宿駅グランドターミナルには、未曾有の規模と言ってよいパラドクストレインが次々と発着している。ディアボロスたちの姿を認めた綿抜・カスミ(サイボーグのサウンドソルジャー・g01177)は、片目をつぶりながら右手を挙げた。
「すべてのディヴィジョンが『決戦時空』にそろい、世界各地で先端が開かれています。
 この戦いの帰趨によって、私たちディアボロスの、引いては最終人類史の運命が決まるんです!」
「心して掛からねばなりませんな」
 そう言って姿を見せたのは許・伯隼(人間の無双武人・g03617)であった。「お待たせいたした」と詫びながら、集まったディアボロスたちに絵図を見せる。
「歴史の奪還戦だけが《七曜の戦》ではありませぬ。その地を再び奪われることのないよう、努めねばなりません。
 そこで、皆様に防衛に向かってもらいたいのは、幷州(へいしゅう)……匈奴や鮮卑の跋扈する、朔北の地ですな」
 と、伯隼は遊牧民族の名を地図に墨書した。
「いや、失礼。現在で言うならば、陝西省の北部となります。
 そこに『大戦乱群蟲三国志』の奪還戦にも介入してきた、アルタン・ウルクどもの大軍勢が迫っているのです」
 その主力はもっと東のシベリア方面に向かっているようだが、こちらの敵も侮ることは出来ない。
「ご承知の通り、奪還戦においては少なからぬ蟲将どもが、その抑えに配されておりました。
 それにも関わらず、アルタン・ウルクによって蹂躙されてしまったのです。恐るべき相手です」
 しかしディアボロス側にとっては有利なことに、この戦いは『最終人類史』である。その力は大幅に増幅された状態となる。
「ただし。その状態であっても互角であると、それがしは見ております」
 真剣な眼差しで、伯隼は居並ぶ一同を見渡した。
 そののち、伯隼は「ふ」と息を吐いて表情を和らげる。
「彼の地にはいまだ人々の『帰還』は行われておらず、もともと無人の地域がほとんどです。
 『墨守せねばならぬ』と頑なにならぬ方がよろしいでしょう」
 その場合、明代の長城の遺構である鎮北台を利用した防衛線を引き、以東の守りを固めることは可能である。

 しかし。
「かつて匈奴の冒頓単于は、隣国が侮って駿馬や后を求めてきたときにはそれに応じました。しかし、互いの間にある荒れ地を求められたときには、『土地は国の基である』と怒り、隣国を攻め滅ぼしたのです。
 我々の戦いも、地を取り戻すことが第一義です。むざむざと奪われるのは、口惜しいですな」
 敵は匈奴のごとくに、長城に迫っている。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【断末魔動画】
2
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【コウモリ変身】
1
周囲が、ディアボロスが小型のコウモリに変身できる世界に変わる。変身したコウモリは最高時速「効果LV×50km」で飛行できるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV3 / 【フィニッシュ】LV1 / 【アクティベイト】LV2 / 【ドレイン】LV2

●マスターより

一条もえる
 こんにちは、一条です。
 先制攻撃に続いて、迎撃戦が始まりました!
 皆さんに向かっていただきたいのは、中国陝西省。ここに侵攻してくる『アルタン・ウルク』の軍勢を迎撃してください。
 アルタン・ウルクは、他のクロノヴェーダと比較しても異質な集団です。コミュニケーションを取ることも出来ず、いくら傷を負わせようと怯まず、皆さんを押し潰さんと押し寄せます。
 そのため、迂闊に敵中に飛び込んだのでは呑み込まれてしまうだけでしょう。慎重な、粘り強い戦いが求められます。
 周囲は人家もほとんどありませんし、そもそも住民がまだ帰還していない地域です。そのため激戦が行われようと、損害は気にするほど多くはありません。

 では、よろしくお願いします。
 いつも感想、ありがとうございます。一言でも長文でもとても励みになりますので、よろしければぜひ。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


杏・紅花
大喰らいのもぞもぞたち、いなごよりでっかいぶん、食べる量も多くて厄介だあっ!
明サンとよーく連携して、脱出経路も確保しつつ戦うぞお

でっかいやつはつよい、と思うから、正攻法よりひとひねりっ
どこ見てんのかわかんないけど、分かんないなら視線を奪う
「誘蛾の灯」で敵本体の注意を逸らしてワイヤーソーである程度距離をとりつつ攻撃
足の触手を狙えたら狙う

牙の群れもワイヤーソーで絡めとっていなしていく

あいつらが食べた大地を奪還したら、弱体化するのかなあ
土地こそが大事なのは、とてもよく分かる
これ以上はあいつらに与えたくないねっ!


平良・明
全てを刈り尽くす砂嵐みたいなやつらです
食い止めるのは大変ですが、がんばりましょう
紅花さんとはよく連携して臨みます

平らな大地を順調に進ませるわけにはいかないのでしっかり進路を妨害していきます
「スカーレットステーク」の血の杭を地面に潜ませて迫る敵を貫いていきます
でかいアルタン・ウルクを狙って転ばせれば多少の妨害になるでしょうか
狙う敵はよく選びます

あんなものに食べられたくはないので引く時はしっかり引きます
彼らの正体、いずれははっきり確かめてみたいものです


峰谷・恵
「土地まで削り取って取り込んでたことは強行偵察で判明してる。あいつらに無人でも土地を取らせるのはまずい」

孤立しないよう可能な限り連携を取る。アドリブOK。
地面スレスレの飛翔最高速で敵を迎撃に向かい、接敵したら敵へ魔気裂空弾を叩き込み、同時に泥濘の地を発動して敵の進軍速度を下げる。
敵の反撃は斜め後方に後退して触手を引き付け横方向に急加速しながら切り返して回避。避けきれないものはLUSTオーラシールドと竜骸剣で受け流す。
その後は敵を泥濘の地に捉え続ける範囲で飛翔で後退飛行しつつ魔気裂空弾で引き撃ちし、可能な限り敵の数を減らす。
これ以上は持たなくなると判断するか敵ジェネラル級出現で撤退。


風祭・天
なんかパなくゾワるわ…ぴえん。
とか言っても…やること、やらなきゃね☆ おしゃおしゃ、レッツゴー☆

突貫したら物量に押されてプチン案件でぱおんだし、仲間との攻守に渡る連携が必須っぽい☆ 協力して大群に当たるのってエモいよねー☆

この敵、あんまし怪我とか気にしない感?
それだと突出して来たヤツを確実に斬り捨てて行く方が良いよね…ってことで、陸式抜刀でゴーゴー☆ 討ち漏らしがないようキチンとしないとね☆


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎

膨大な量だろうが、このまま中華の地に進行させるわけにはいかない
1体でも多く、ここで屠る

偃月刀の刃を朱殷の闘気で龍頭を模した形に<武器改造>
仲間との戦線を崩さないよう気を付けながら
【セルフクラフト】で壁を積み上げて進行を妨害しつつ
<地形の利用>で壁の上から偃月刀を叩き下ろし強襲
自分の重みも乗せた強烈な一撃で<両断>するように偃月刀を突き立てる

【エアライド】で立ち位置を変えつつ<残像>を使い
触手の狙いから逸れながら龍の牙で噛み砕き、反撃を軽減

<戦闘知識>から引き際を見誤らないようにして
【トラップ生成】で花火を打ち上げ撤退の合図を
逃げ遅れがいれば迷いなく手を貸す

皆で帰ろう


ア・ンデレ
「アンデレちゃんの、かてとなれ!」
アンデレちゃんは、シュゴォシュゴォと鳴くアルタン・ウルクに対抗するように、「うおおおおお!」と咆哮する。
泥濘の地を使って足止めし、星喰らいでアルタン・ウルクを一体ずつ、喰らっていくよ。
万が一飛んで逃げたら、飛翔で追いかけて、喰らう。絶対に逃がさない。
触手もぐもぐ。目玉もぐもぐ。角もぐもぐ。全部もぐもぐ。
「まっず。」
アルタン・ウルクを喰らうことにより得た力で、他のアルタン・ウルクを喰らいにいく。
アンデレちゃんの力はどんどん高まっていき、喰らう速度も上がる。
どんなにまずくても、人に止められても、喰らうのをやめない。
喰らっていいのは、喰らわれる覚悟があるやつだけだ。


エレナ・バークリー
アルタン・ウルク――他のクロノヴェーダと比べてさえも異質な存在。
あれらに最終人類史の大地一片とて渡すわけにはいきません。

修復された万里の長城の遺構を最大限に活用して防御しつつ、射程ぎりぎりから攻撃を繰り出しましょう。
「全力魔法」「連続魔法」「精神攻撃」「闇使い」で、無明なる終焉の刻を行使。
始原の恐怖をもたらす闇は、あれらにも効果はあるでしょうか?

敵に距離を詰められれば、後方の遺構に下がってパラドクスの攻撃を継続します。特に距離を保つことが今回は重要。最後は走りながらパラドクスを放つ事になるかもしれませんね。

終点の万里の長城へ辿り着けば、その上に登って最後の攻撃を仕掛けます。
これで殲滅出来れば。


新城・橙花
他の人たちと協力して頑張るよー。

それにしても数が多いねー。
このあたり高原地帯で地形も平らだから、数は脅威だねー。

とにかく接近されないように、遠距離からパラドクス呪法【狐火乱舞】で焼いちゃうよー。
「消毒だよー」
敵の密度の高い所を[火炎使い][風使い]を併用してしっかり焼いて、なるべく数を減らす。

接近されそうなら一旦[ダッシュ]して後退、地域は明け渡して距離を取ってはまた焼きにかかる。
「下がれる場所があるのはいいことだねっ」
下がりつつ少しずつ数を削って敵を漸減させていくよっ。


地鉛・要
アドリブ連携可

やっぱり何度見てもイカスミパスタの塊が動いていてるように見えるんだよな・・・
元気なイカスミパスタ・・・腹減ってきたな

だが、それはそれとして滅ぼすべき敵
意思疎通出来ない化け物にはご退場願おう

召喚した植物や種袋から取り出した種を活性化させるどで足止めをし、パラドクスを発動。
お前が生き物ならこれはよく効くだろう
効かずとも植物の群れは攻撃の盾にも、味方の攻撃の隙になるだろう


●アルタン・ウルクの波1
 飛び出すようにパラドクストレインを降りて、ディアボロスたちはアルタン・ウルクどもの押し寄せる戦場へと駆ける。
 小石と乾いた土で出来た丘を越えたとき、彼らの眼下は蠢くアルタン・ウルクどもで満たされていた。
「うわぁ」
 思わず杏・紅花(金蚕蠱・g00365)は顔をしかめた。敵は密集し、どこからどこまでが1体なのかもわからぬままに、こちらに押し寄せている。
「すべてを刈り尽くす、砂嵐みたいな奴らです。食い止めるのは大変ですが、頑張りましょう」
 平良・明(嶺渡・g03461)はいちど帽子を脱ぎ、髪をかき上げてから改めてかぶり直した。
「そうだね。あの大食らいのもぞもぞたち、イナゴよりでっかいぶん、食べる量も多くて厄介だぁ!
 行こう、明サン!」
「えぇ」
 ふたりの後に続いた峰谷・恵(フェロモン強化実験体サキュバス・g01103)は頷きつつ、
「砂嵐やイナゴというのは、言い得て妙かもしれないけれど……それよりもっと厄介だね」
 と、挑戦的な瞳で敵群を睥睨した。
「あいつらが土地まで削り取って取り込んできたことは、強行偵察で判明してる。
 たとえ無人の地だろうと、土地を取らせるのはまずい」
 そう言った恵は肩をすくめ、
「『地は国の基』っていうのとは、少し意味合いが違うけど」
 翼を広げて速度を上げた恵は、蠢くアルタン・ウルクどもを目指して一直線に跳ぶ。
 その片翼には魔力を、もう片翼には闘気を。それらに、常人ならばその眼差しを浴びただけで腰砕けになってしまいかねない強力なサキュバスのフェロモンを混ぜ合わせて。
「裂き貫けッ!」
 そうやって生み出された2発の徹甲弾が、それぞれの翼から放たれた。2発は狙い過たず、先頭を行く2体のアルタン・ウルクを貫き、引き裂く。しかし敵の触手は変わらず蠢き、
「どれくらいの打撃を与えたのかさえ、わからないな……」
 敵を認めたアルタン・ウルクどもは、その蹄をカツカツと鳴らして突進してきた。咄嗟に跳び下がった恵ではあるが、すれ違いざまに、蠢く触手によって腕を裂かれる。
 さらに追いすがる触手を『竜将骸剣』で打ち払い、盾で弾き返す。その蹄はぬかるんだ地面に半ば埋まっているが、それでも敵は諦めず襲いかかってくる。
「恵さん、もう一歩後ろに!」
 明の声を、忠実に実行する恵。すると、地面から無数の杭が飛び出して、敵群の腹を貫いた。鮮血の杭に貫かれ、アルタン・ウルクどもの足が止まる。
「この平らな大地を、順調に進ませるわけにはいきませんからね。しっかり妨害していきますよ」
 敵の蹄は地面から浮き、バタバタともがいている。しかしやがて、その巨躯のために杭は深々と食い込んでいった。敵にとっては、かえってそれが幸いらしい。再び地面に届いた蹄で杭をへし折りつつ前進し、ギョロリと各部の眼球が明を睨む。
 放たれた光線に焼かれつつも明は、
「紅花さん」
「りょーかい。土地こそ大事ってのは、よくわかる。これ以上は、あいつらに与えたくないね。
 でっかいやつはつよい、だろうから。ここは正攻法よりひとひねりッ!」
 敵の正面から逃れつつ、袖をひと振り、ふた振り。
「どこ見てんのかわかんないけど……よそ見したら、だめだぞッ!」
 翻る袖の影からは、無数の蚕蛾が次々と現れる。それはアルタン・ウルクどもの周囲をひらひらと舞った。敵群は……それは知性と言うよりも本能であろう……触手を蠢かせてそれを貫こうとしたが、それはまぼろし。舞い散る鱗粉はアルタン・ウルクさえも幻惑し、その隙に間合いを詰めた紅花は、敵の頭……とおぼしきところを、渾身の力で殴りつけた。
 敵の頭蓋が砕け、血飛沫が飛ぶ……のだが、触手は変わらず蠢き続け、全身のあちこちにある口が雄叫びとも呻きとも知れぬ「声」をあげる。それに呼応し、虚空より出現した牙が、紅花の肩にかじりついた。
「痛ッ!」
 退きつつ、続けて襲ってくる牙をワイヤーソーで絡め取る紅花。
「あんなものに食べられたくはありません。引きましょう」
「保つか保たないか、ギリギリまで試したくはないね」
 明の杭が敵の突進を阻み、恵も再び徹甲弾を放って、敵を爆ぜさせた。
 あとは、背を向けて一目散に逃げるだけである。
「あいつらが食べた大地を奪還したら、弱体化するのかなぁ?」
「さぁ……彼らの正体、いずれははっきり確かめてみたいものです」
 迫り来る触手をすぐ後ろに感じながら、紅花と明はひたすら走った。

●アルタン・ウルクの波2
「それにしても、数が多いねー」
 押し寄せるアルタン・ウルクどもを見渡して、新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)は呟いた。
 風が強い。袖ははためき、長い髪も揺れる。
 橙花はそれを押さえながら、
「このあたり、高原地帯で地形も平らだから、数は脅威だねー」
 と、正しい分析ながら、どこかしら緊張感のない様子で敵勢を見据えていた。
 一方で、傍らの風祭・天(逢佛殺佛・g08672)は顔をしかめ、
「なんか、パなくゾワるわ……ぴえん」
 と、ブルブルッと身体を震わせた。
「そう……かな」
 地鉛・要(微睡む双翼・g00242)が小首をかしげる。
「やはり、何度見てもイカスミパスタの塊が動いているように見えるんだよな……」
「うぇ……。やめてよ、イカスミパスタ、食べられなくなっちゃうじゃん」
 天はべぇ、と舌を出す。
「ゾワるとか言っても、やることはやらなきゃね☆ おしゃおしゃ、レッツゴーッ!」
 自らを励ますように声を上げた天が、敵を目がけて駆け出す。
「元気なイカスミパスタ……」
「だから、やめてってば」
「……腹減ってきたな」
「それマ?」
「とにかく、接近されないようにするよー」
 橙花は、ひときわ触手の密度の高い辺りに狙いをつけて、両手を突き出した。
 その手のひらからは青白く燃え上がる狐火が生じて、アルタン・ウルクどもへと押し寄せた。
「消えずの妖火よ、燃やせ燃やせ、全てを灰と化せ」
 狐火は敵群の周りを踊るように舞ったかと思えば、一斉に炸裂してその触手を焼き尽くしていく。辺りには肉ともなんとも知れぬものが焼ける臭いが漂って、どうにも気分が悪くなった。
「見た目はともかくとして、滅ぼすべき敵だ。意思の疎通も出来ない化け物には、ご退場願おう」
 要は取り出した『非現実幻想植物図鑑』のページをパラパラとめくり、最終人類史には存在しない植物を召喚する。呼び出されたそれは陽光に反射して虹色にも光る花粉を周囲にばらまいた。
 それを全身にある口から吸い込んだアルタン・ウルクどもはビクリ、ビクリと身を震わせて、フラフラと覚束ない足取りを見せた。
 その隙に、天が飛び込む。
「フッ!」
 と、鋭い呼気を天が発したとき。その手の内には、2尺8寸の刃が抜き放たれていた。
「電光影裏に春風を斬る!」
 その速さと優美さは「攻めの華」とも称されるという。その刃はまさしく電光の如くに、アルタン・ウルクを深々と斬り裂いた。どろりと濁った体液が噴出した。
 橙花や要の方を振り返った天は笑貌を見せて、ピースサインを作る。
「協力して大群に当たるのって、エモいよねー☆」
 橙花も同じくピースで返し、要はわずかに口元を緩めて笑顔を見せた。
 ディアボロスたちの猛攻を受けたアルタン・ウルクどもの肉塊が、あちこちに転がっている。
 それでも敵群は、呼吸ともうめき声ともつかぬ音を発しながら押し寄せてくる。
「この敵、あんまし怪我とか気にしない感?」
 迫ってくる敵に斬りつける天であったが、アルタン・ウルクどもはまったく勢いを止めることなくぶつかって、天を吹き飛ばす。
 また敵の一部は橙花にも襲いかかり、橙花もまた吹き飛ばされた。
 地面に叩きつけられて肺腑の空気をすべて吐き出す羽目になったふたりだが、雲霞のごとく押し寄せる敵群に飲まれなかったのは、むしろ幸いであろう。
 顔をしかめた要が、敵群に向かって再び花粉をばらまく。巨大な牙が要を狙って出現したが、突如として生い茂った杉の木が、それを阻んだ。
「すこしばかりの盾にはなったようだ」
 杉の木は虚空より現れた顎に粉砕されてしまったが、その間にディアボロスたちは敵勢から距離を取る。
「このままじゃ、物量に押されてプチン案件でぱおんだねー☆」
「うん。そろそろ下がろう。下がれる場所があるのは、いいことだねッ」
 天が斬りつけた敵を「消毒だよー」と焼き払いながら、橙花は後ろを振り返った。

●アルタン・ウルクの波3
「アルタン・ウルク……他のクロノヴェーダどもと比べてさえも、異質の存在。
 あれらに最終人類史の大地一片とて、渡すわけにはいきません!」
 そう言ってエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)は、頼みとする無骨な両手剣を構えた。
「無論のこと。膨大な量だろうが、このまま中華の地に侵攻させるわけにはいかない」
 夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は『黒龍偃月刀』を握りしめ、石突きを力強く地に打ち付ける。
「1体でも多く、ここで屠る」
「ぜったいに、にがさないよ!」
 と、ア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)は鬼の両腕で力強く握り拳を作り、押し寄せるアルタン・ウルクの群れを恐れもせず、突き進んでいった。
「血気に逸るなよ」
「だいじょーぶッ!」
 シュゴォォォォ……シュゴォォォ……。
 蠢きながら迫ってくるアルタン・ウルクどもに対抗するように、アンデレは、
「うおおおおおッ!」
 と、雄叫びを上げた。その周囲はいつしか泥濘み、敵群の足もわずかに鈍ったであろうか。
 その敵中に、アンデレは飛び込んでいく。
「くらっていこーッ!」
 声を張り上げるや、アンデレは敵の触手に文字通り「喰らいついた」。犬歯も剥き出しに大口を開けて、気味悪く蠢く触手に喰らいつく。引きちぎったそれらを咀嚼したアンデレは、
「まっず」
 と、濁った色の唾を吐き出した。それでもアンデレは喰らいつくことをやめず、鮮血のように赤い目玉にかぶりつく。ブシュッと、赤い体液が噴出する。
「凄いですね……」
 思わず言葉を失いかけたエレナであるが、気を取り直し、天に目がけて剣を掲げる。
「世界の始まりが闇なれば、世界の終わりもまた深淵の暗闇。瞬きの如き生を終え、母なる闇黒の懐へ還るべし!」
 すると戦場は瞬く間に闇に包まれ、その闇は、アルタン・ウルクどもの……あるのかないのかもよくわからない精神に染み込んで、それを砕いていった。
「始原の恐怖をもたらす闇は、あれらにも効果があったようですね」
 エレナが安堵の息を吐く。
「よし」
 錬晏は【セルフクラフト】によって作り出したコンクリート塊を足場とし、跳躍した。
 大上段に振り上げた偃月刀に陽光が反射し、煌めく。
「我が刃は牙の如く……!」
 偃月刀の刃に闘気が満ちて、龍の頭を模した形状へと変化していく。その刃は龍の牙の如くにアルタン・ウルクを斬り裂き、また、喰らいついてその肉を引き裂いた。肉片をまき散らしながら、膝を屈するアルタン・ウルク。
 しかし、敵は「同胞」が崩れ落ちようとも一顧だにせず、次々と襲い来てはディアボロスたちを呑み込もうとしていた。
 赤い眼球が光を増すと、そこから放たれた光線がエレナに襲いかかった。とっさに戦装束『冥火』を翻して防いだが、焼けた腕はジンジンと痺れた。
「ち……!」
 錬晏の着地点を狙って、敵群は彼を呑み込もうとしていた。舌打ちした錬晏は空中を蹴ってもう一段飛び上がり、突進を喰らいざまに偃月刀で斬りつける。
 体勢を整え直したふたりが目の当たりにしたのは、敵群に呑み込まれてもなお、喰らいつくことをやめないアンデレの姿であった。
「くらっていいのは、くらわれるかくごがあるやつだけだ!」
 そう叫びながら敵の牙に喰らいつくも、四方から襲いかかる触手が、その身を引き裂いていく。
「アンデレさん!」
「エレナ殿、頼む!」
 悲鳴を上げたエレナに声をかけ、錬晏は跳んだ。エレナもそのうちを瞬時に解し、アルタン・ウルクどもを暗闇に閉じ込める。
 敵中に飛び込んだ錬晏は、止めようとしても敵に喰らいつくことをやめないアンデレの首根っこを掴み、触手の海から引き摺り出した。アンデレの全身は真っ赤に染まり、傷ついていないところを探す方が難しい。
「ぜんぶ、もぐもぐ……!」
「気持ちはわかるが、無茶が過ぎる」
 錬晏もまた、触手に脇腹を引き裂かれる。それでも肩に担ぎ上げたアンデレを離すことはなく、作り上げたコンクリートの壁で……わずかであれ……時間を稼ぎながら後退した。
 エレナは走りながら振り返り、再びパラドクスを放つ。
「最悪、鎮北台まで下がることが出来れば……!」
「いや。おそらく皆も、十分にやってくれただろう」
 錬晏は花火を打ち上げ、撤退の合図とした。そう遠くないところで戦っているはずの仲間たちにも、伝わるであろう。
 ディアボロスたちは傷つきながらも、大いに敵群を食い止めたと言えるであろう。この戦場で勝利したのは、彼らであった。

『ア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)は重傷を負った』
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【コウモリ変身】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【断末魔動画】LV2が発生!
【水源】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV3が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【ドレイン】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【アクティベイト】LV2が発生!

最終結果:成功

完成日2023年08月20日