リプレイ
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
ミウ・ウルに目をつけたのは良い判断ですね
しかし、そう簡単に落とせると思わないでください
隠れて近づける所までは隠密に
仕掛ける時は仲間と合わせて一気に攻め立てましょう
宙に展開した鍵盤で「白の舞踏」を演奏
泥濘の地も発動させ、敵の足並みを乱し
動揺を誘った所をすかさず
喚びだした白骨の死神に地面へと引きずり込みます
仲間と攻撃対象を揃えて各個撃破
リーダー格を早めに狙い多少でも相手の士気を削げれば僥倖
反撃のナイフには魔力障壁を展開して凌ぎ
攻撃は最大の防御と胸に刻み
多少の負傷は厭わず敵の撃破を優先します
ある程度倒しきれば無理せず撤退
まだまだ戦いはこれから
熱くなりすぎず、冷静に戦局を見ておきます
朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と
七曜の戦って大戦の影に隠れて要所を狙う
まさしく暗殺者って感じがするなぁ
賢いというのか狡いというのかだけれど
バレちゃったからには失敗させてあげないとね
どこか一つの部隊を狙っていこうか
地形や遮蔽物なんかを利用して姿を隠しながら
様子を観察しながら距離をつめよう
地形の有利より先手を確実に取ることを重視して
隙を見つけたらレオと呼吸を合わせて一気に仕掛けよう
まずはダッシュで手近な一体に近づき
扼腕を振るってご挨拶を
跳ね回られる前に数を減らしておきたいところ
敵の攻撃はレオと互いに死角を補い合って防御しつつ
飛び込んできたところを叩き落としてやりたいね
全員確実に
逃がさないようにね
朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と
いよいよなんだね、七曜の戦い
きっと一筋縄ではいかないよね
だからこそ私たちの勝利を確かなものにするためにも
今からできることを少しずつでも確実にやっていかないとだもんね
と言う訳で!暗殺者部隊がいるならそれも潰さないとだね
敵がそうである様に私たちにもやるべきことがあるんだもの
少数部隊から狙って確実に減らす為に
物陰に身を潜めて奇襲を狙うよ
隠れたら偵察・情報収集してリオちゃんが接敵するのに合わせて
私は双翼魔弾で援護射撃を放つね
死角からの攻撃に関してはお互いに背中をカバーし合うよ
こうやって隠れては奇襲の繰り返しで確実なものとしたいよね
私たちも簡単には道を開けないよ
シル・ウィンディア
暗殺者かぁ。
死角とかついてくるから苦手なんだけど
でも、そうはいってられないよね。
この陸上艇を落とさせるわけにはいかないから。
エアライドでの機動力は気を付けないと。
複数回のジャンプによる三次元機動に警戒を払いながら、高速詠唱を開始。
惑わされずに…。
暗殺者ってことは、裏どりをしてくることが多いから…。
岩とかあれば、そこを背にして後ろを取られないように動いていくよ。
目の前の敵の動きに惑わされずに、視認したタイミングで時空精霊収束砲っ!
あったれーーっ!!
投げナイフはマントで包むようにして防御。
少しでも本数が減ればダメージ少なくなるかな?多分。
統率されているけど、攻め落とすにはちょっと足りないかな?
ノスリ・アスターゼイン
飛んで火に入る夏の虫、だっけ
新宿島で知った言葉だけど
焦熱の荒野にもなかなか似合いじゃない?
味方とタイミングを合わせ
身を潜めるついでに坐していた崖から飛翔で降り立ち
教団員の背後か傍らに
ね?
と軽やかな笑み添えて告げた諺を
彼らは勿論知る由も無いだろうけれど
地を擦るかの飛翔で眼前に肉迫
かと思えば急旋回で背後を獲るなど
軌道を読ませず撹乱し
彼らの連携を断つよう混乱を齎そうか
戦況全体をよく見て把握
声を掛け合いながら皆と連携
死角をカバーし合って
ディフェンスも行おう
跳躍しても魔弾が追うよ、逃がさない
各個撃破のこの好機を過たず掴み取って
ミウ・ウルを護り抜くだけではなく
俺たちの過去も未来も
全てを掴み取ろうじゃないの
黒桐・凜
砂舞う荒野を踏むのは久々で
何処か懐かしい心地さえある
皆が愛した空と大地
それを奪い、支配すると宣う者が蔓延るのなら
その根が潰えるまで戦うよ
――その為にも、まずはこの地の防衛だ
入り組んだ地形を能く利用しながら
ぎりぎりまで相手の目を欺く
初撃は味方の攻撃とタイミングを合わせ
最大効率で叩き込めるように
連携の得意な相手だ
可能な限り囲まれ難い位置取りを心掛ける
空間の概念は逆説連鎖戦に於いて余り意味をなさないけれど
相手との位置取りを常に意識する方が
冷静に対応できるだろう
また、此方も味方と連携しやすいよう
互いの位置取りには十分に気を遣う
標的は合わせて殲滅を優先
急所を外しはしないよ
“そうなる”ように出来ているから
ラヴィデ・ローズ
ミウ・ウルちゃんたら、またかい?
手のかかるところもかわいいねぇ、ハハハ
前にも護衛した縁
なにより、未来への希望の為だ
程々に奮っていこうじゃないか
ミウ・ウルが目に入る遮蔽に身を隠し
仲間とタイミングを合わせ急襲
【光学迷彩】を発動しておき
極力近くまで油断させたまま引き付けたい
パラドクスは『レゼル』にて
見せる残像は『ドラゴンオーラ』由来
大群に取り囲まれぬよう仲間と死角を減らしあう
連携を崩す為にも、狙いを合わせ早急に頭数を削ろう
敵攻撃に対応する際は残像で鎖の狙いを乱し
縛めたと見せかけ虚をつく形で
此方からも急所狙いの反撃に出ようか
肉を切らせてなんとやらで、ね
ひりつくような死との距離感
……おっと、まだ死ねない
ゼキ・レヴニ
ミウ・ウルとは一緒に砂漠を突っ走った仲でよ
妙にド派手な見た目にも愛着が湧いてきてたとこだ
壊させる訳にゃいかねえな
敵に気取られんよう身を隠して近づき
味方とタイミング合わせて急襲
ピョンピョン跳ねて鬱陶しい白山羊サンだ
そんならこっちはもっと上から行くぜ
鉄の翼に変じた『躯』を掴んで【飛翔】し
敵陣に突っ込み切り込んでは上空に離脱を繰り返し撹乱を狙う
特にジャンプ中の奴を狙えば、空中で姿勢を崩させられるかね
奴らが煙幕に隠れたなら、翼を羽撃かせて風を起こし煙を散らそう
この翼の”持ち主”は空の遠くに自由を望んでた
七曜の戦がその一歩目なら、血反吐吐いても切り開く
ミウ・ウルにゃその先も突っ走って貰わにゃならんからな
クーガ・ゾハル
ミウ・ウルは、おれたちの仲間だからな
まだ、どこまでもいきたい
なにより
この砂のにおいがするところで
何かうばわれるのは、もういやだ
カゲにふせて待つのは<罠使い>のワザ
仲間にあわせて<不意打ち>
攻撃のスキをうめて、死角をまもる
するどい岩も、切りたった地形も
ツラくないのは、さすがヤギってとこだな
でも、すばしこいのは、おまえたちだけじゃないぞ
おれは【飛翔】で
岩から岩へガケからガケへ、水平に
軌道にちかいやつを「虚葬」でつらぬく
――と見せかけて、そいつをけって別の方向
やつらのレンケイをくずしながら、一瞬をねらう
あつくてギリギリなのにすこし笑ってしまうのも
背中がびりっとするのも
キカイのコショー、じゃなさそうだ
ノエル・オプスキュル
防衛…ってのは、あんまり得意じゃねぇんだよな
自分以外の何かを守ろうなんて、考えたことも無かったから
けど…まあ、少しは分かってきたつもりだよ。そういう流儀も
まずは出来る限り隠密で敵に接近
息を潜めるってのは、路地裏時代からの得意分野だ
射程距離まで近付いたら、ランドボットを陣形を組ませて展開
挨拶代わりに一斉砲撃を叩き込む
第一射を避けて接近してくる連中は…ああ、俺を直接狙う判断は正しい
見ての通りただのガキだからな
けど…
続けてガードボット、スパイボットも展開
防御障壁で攻撃を受け止め、スパイボットで収集した情報を他のドローンとリンク
二手に分かれたところで、これだけの目から逃げられるか?
…飽和攻撃、開始
●
乾いた風が地を薙ぎ払い、熱と塵とを巻き上げる。
西アジアと中東を繋ぐ地、ペルシア。最終人類史ではイランとして知られるこの地域は、蹂躙戦記イスカンダルが統べる時代においても優れた文明を誇っている。しかしながら、この広い大地に人類の居住地――そして亜人の拠点――は未だ点在しているに過ぎず、大半は不毛の荒野であった。
ミウ・ウルが駐屯している地域、そして暗殺者たちの辿る進路も、そうした無人の地である。
「確かに、ミウ・ウルに目をつけたのは良い判断ですね」
遥か崖の上より亜人の一群を見下ろし、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は一人ごちる。
流石に比較的目につきにくい位置取りをしているものの、暗殺者たちは殊更に自分の身を隠そうとしていない。それも当然である。ミウ・ウルの傍ならともかく、未だ距離のあるこの地に監視の目など考えづらい。見つかる訳がないのだ――普通ならば。
「少人数の部隊を多数送り込んで、一度に襲い掛かる。クロノヴェーダ相手なら、実に有効な戦術でしょう」
だが実際は、ソレイユたちディアボロスは此処に在り、襲撃者たちに奇襲の刃を突き立てんと狙いを定めている。時先案内人、そしてパラドクストレイン――ディアボロスたちが反攻するための切り札が、この有利な状況を生み出していた。
「ええ、そう簡単に落とせるとは思わないでください」
指抜きのグローブ、その甲をそっと撫でた。ぶん、と小さな音が響き、虚空に幻影の鍵盤が浮かび上がる。最初は光の板、そして、実物と見分けのつかぬテクスチャが広がっていった。
「そうだね。私たちのミウ・ウルを、落とさせるわけにはいかないよ」
眼下の暗殺者たちから目を離さぬまま、彼の言葉に応えを返すシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)。魔杖を砲身へと変じ、両の腕でしっかりと構えた彼女は、ゆっくりと息を吸う。
(「……暗殺者は、死角とか突いてくるから苦手なんだけど」)
近接戦闘にせよ砲撃戦にせよ、シルの戦い方は高速機動と大出力の大技の組み合わせだ。となれば、確かに搦め手を得意とする相手は、相性が悪いのかもしれない。
けれど。
「でも、そうは言ってられないよね」
そんな相手でさえも圧倒的なパワーで捻じ伏せてきたのが、シルという精霊術師であった。だから、今回もやることは変わらない。
そう、圧倒的なパワーで捻じ伏せる、ただそれだけだ。
「世界を司る四界の精霊たちよ、時を刻みし精霊の力よ――」
一語に複数の意味を持たせる圧縮詠唱。大規模術式の展開に必要とされる長大なスペルを僅かな詠唱で代替し、高速で魔力を編んでいく。
「――混じりて力となり、全てを撃ち抜きし光となれ」
詠唱が重ねられるたび、纏う魔力に彩が重なった。滾る炎。波打つ水。吹き抜ける風。そして荒ぶる大地。四大の力を束ね、縒る。規格外の魔力に時間の力さえ乗せて、力任せに抑え込み、そして。
「いくよっ! あったれーっ!」
解き放つ。
それこそは光の奔流。暴れ出しそうな砲身を抱える彼女の背中には一対の翼。青白く輝くそれを目一杯広げ、余すところなくエネルギーを敵のど真ん中に叩きつけた。
「流石……! ですが、まだまだこれからですよ」
眩い光に耐えかねたか、腕で目を覆っていたソレイユもまた、周囲に展開を終えた鍵盤に指を滑らせる。
激しく吹き続ける嵐か、それとも狂気を孕んだ月光か。瞬時、演奏すべき曲を迷った彼は、砂色の翼を顕現させたノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)をちらりと横目に見て、最初の一音を決めた。
――死を忘れること勿れ。
優雅たるワルツのテンポに乗せられた、ともすれば真逆の不安を掻き立てるメロディ。ソレイユの奏でる旋律は、クロノヴェーダたちへと届くや否や、その周囲を拠り所のない泥濘へと変える。
そして、暗殺者たちの脚を掴む白骨の手。地の底から這いあがってきた亡者たち。彼の旋律は、生者と死者の境目を溶かしていく。
「――!」
その時、爆発の土煙と煙幕のようなもので包まれていた眼下の戦場から幾本かのナイフが飛来し、ソレイユの眼前、不可視の障壁に突き立った。
己を狙う刃の正確さにひやりとしながらも、それでよい、と思う。敵の注意は崖の上に釘付けであろうから。
既に姿を消している砂色の翼が、その隙を見逃すことなどないだろうから。
「各個撃破の好機を作ってくれたんだ、折角なら全てを掴み取ろうじゃないの」
敵の浸透戦術が発動すれば、窮地に追い込まれていただろう。だが、実際にはノスリの言葉のように、敵の戦力を殲滅する絶好の機会である。
ミウ・ウルの守備。いや、その先に続く蹂躙戦記イスカンダルとの戦いに思いを馳せ、ノスリは立ち上る土煙の中へと飛び込んだ。
直滑降から大地に激突する寸前で直角に曲がりし、腹を擦るほど地表すれすれに飛行。そのまま敵陣を引き裂くように駆け抜け、急旋回のUターンを決める。
琥珀色の瞳が映すのは、砂塵の向こうに輪郭を描いた亜人の後ろ姿。
(「――ああ、飛んで火に入る夏の虫、だっけか」)
ディアボロスの防衛線に飛び込んできた亜人たちの背に、新宿島で学んだ日本の諺を思い出す。獰猛な笑み。ノスリが自分の名を採った『野擦』――小さき狩人との共通点は、何も砂色の翼だけではないのだ。
「日本だけじゃなくてさ。焦熱の荒野にも、なかなか似合いの諺じゃない?」
ねっ? と、言葉だけは軽やかに。
振り向いた暗殺者に掌を向ける。その先には圧縮された魔弾。何を言っているか亜人たちには知る由もないと判っているから、返事など待たずに解き放った。
だが敵もさるもの、咄嗟のバックステップで、ノスリの攻撃を避けようとするが。
「そうすると思った。……魔弾が追うよ、逃がさない」
野擦の爪は獲物を逃がさない。ノスリの双翼は敵を逃がさない。彼の言葉通り、輝ける魔弾はぐん、と加速して軌道を変え、逃げる暗殺者たちを穿つのだった。
●
「――くっ!」
剣戟の音と爆発音が巻き起こる戦場。背後で聞こえた兄の呻きに、朔・麗央(瑞鏡・g01286)は思わず声を上げた。
「リオちゃん!?」
「前を見て!」
腕の痺れに顔をしかめながら、朔・璃央(昊鏡・g00493)は鋭く警告を発する。乱戦の中、頭上高くから襲い掛かった蹄を手甲で弾き返したものの、その衝撃は無視できるものではなかった。
(「まさしく暗殺者って感じがする、けれど」)
大戦の影に隠れて要所を狙う――クロノヴェーダの作戦こそ露見したものの、それはこの暗殺者たちの実力不足を意味しない。むしろ、アヴァタール級の指揮抜きに敵本拠地を攻撃できる戦力であり、相当に練度が高いと考えるべきだ。
初手の奇襲で何体かの亜人が倒れた。だが、敵も単なる雑魚ではないということか、ひとたび乱戦へと移り変わったならば、暗殺者たちは一切の動揺を見せずに攻め立てる。
(「跳ね回られる前に、もう少し数を減らしておきたかったけれど」)
翡翠の瞳。そこには璃央が常に浮かべている硬質の冷ややかさも、妹にだけ見せる柔らかさもない。緊張、そして少しの焦り。これくらいの鉄火場も初めてではない、と自分に言い聞かせて。それでも、気は逸る。
――背を預けた妹が、もし傷ついたならば。
「一筋縄ではいかないって、わかってるよ」
そして、行き所のない熱を冷やすのもまた、彼の唯一だ。
落ち着いた、あるいは押し殺した麗央の声。七曜の戦に連なる防衛線、その重圧は彼女も同じだろう。けれど。
「だからこそ、私たちがここで頑張って、確実に潰していかないとね」
勝利を確かなものにするために、傷つく覚悟をしたのは一人だけではないのだと。無論、それは互いが互いを庇う自己犠牲をも孕んでいるのだが――。
「……そうだね。逃がさないように、全員確実に」
璃央の口角が僅かに上がった。逃がさない。自分たちは狩る側なのだ、と肚を据える。二人ならば尽きぬはずの万能感。僅かでも気圧されたことを恥じるかのように、拳を握った。視界の端に映る味方の姿。ちらり、視線を投げる。
「合わせて、麗央」
返事を待たずに地を蹴った。狙うは、たった今自分を蹴り飛ばした山羊もどき。せっかくこっちに飛び込んできたのだから、ご挨拶の一つもしなければ。
「歓迎するよ。そして――爆ぜろっ!」
殴りつけた。瞬間、視界が染まる。
喰らってきた天使と悪魔の力。それを惜しげもなく解き放ち、自爆も辞さぬ勢いで爆発させる。眩い光。のけぞって体勢を崩す白い翼。
「遠くまでご苦労様。でも、私たちも簡単には道を開けないよ」
その背後、兄の身体越しに暗殺者を見据えた妹は、黒い翼を目一杯に広げて飛び上がる。彼女の視界にも仲間の姿は入っていたから、カバーはしてくれると信じていた。
「と言う訳で! ここで退場してもらうね!」
素早く打ち出された魔力弾。麗央の翼と同じ黒い槍がまっすぐに虚空を駆け、既に膝を突いた暗殺者を貫いた。逃がさない、という兄の言葉通りに。
「まあ、頼られた分は働かなきゃならねぇな」
兄妹の戦いからやや離れた場所で、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)はそう独りごち、右手のショベルをぶんと振った。。
彼らの目配せの意味は判っている。視界が悪い戦場ではヒットアンドアウェイが基本だ。乱戦の中、脚を止めて戦わざるを得ない二人は、援護がなければいい的だろう。
「兄ちゃんも頼んだぜ」
「ああ、程々に奮っていこうよ」
視線は投げずに背後の気配へと声をかける。敵の放った煙幕の中から姿を現したラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)が、飄々として請け負ってみせる。
「ミウ・ウルちゃんも、手のかかるところが可愛いからねぇ」
「おれも、ミウ・ウルとは一緒に砂漠を突っ走った仲でよ」
ド派手な見た目にも愛着が湧いてきたところだからな、と言い残し、ゼキは大きく右手を掲げる。手にしていたショベルは、いつの間にか金属の翼へと変わっていた。
短い助走。羽ばたきに合わせて大地を蹴れば、彼の身体がぐい、と舞い上がる。
「ピョンピョン跳ねて鬱陶しい白山羊サンだが――こっちはもっと上から行くぜ」
加速。爆風を掴んだか、一気に土煙と煙幕の外側に抜け出した。戦場を見下ろし、『敵』を視認。ちらり、視線を遠くに投げた。
――赤い大地の向こう、抜けるように青い空。
(「あの子は、空の遠く、砲弾さえ届かねえ高みの先に自由を望んでた」)
脳裏をよぎる、鷹を連れた少女の姿。家族とも呼んだ一人。そのシルエットが、眼下で戦う少女のそれと重なって。
「血反吐を吐いてでも切り開いてやる。七曜の戦があの子の願いを叶える一歩目ならな」
急降下。背後から兄妹を狙う暗殺者へと、土煙を羽ばたきで割り、上空よりゼキが迫る。だが、激突寸前、彼はわずかに身を捩った。当てたのは自分の身体ではなく、鋭く磨かれた翼。すれ違いざまに斬りつけて、そのまま地表すれすれに滑空していく。
「なにより、未来への希望のため、だからね」
そして、ゼキが離脱した後を埋めるように、ひたり、とラヴィデが迫る。僚友が斬った獲物を薄鈍色の瞳に映し、煙幕の中に身を隠して。
「さぁて――働くとしますか」
手には弓の三日月にも似た黒き剣。刀身を取り巻く紫黒の炎が、その姿を膨らませた。暴れる炎のシルエットが、暴龍のそれをなぞり。
描く。
幾つもの残像。ラヴィデを追って巻き起こる炎が視界を埋める。得物より漏れ出る紫焔よりも、なお鮮やかな紅い焔。
それはブレス。それは顎。そして、業火の中で黝く蠢く、鋭き牙――。
「肉を切らせてなんとやらで、ね」
紫焔の牙、ぬらりと呪を纏う剣が、暗殺者の胴を薙ぐ。手応え。クロノヴェーダを仕留めるに不足のない一閃。
だが。
「……兄弟よ……頼む……!」
背筋が、ぞわりと慄く。咄嗟に身を捩るラヴィデ。一瞬の後、暗殺者の手甲から飛び出した鎖が彼の腕と巻き付いた。中途半端に絡んだ鎖を構わずに引き、敵の身体ごと半回転する。次の瞬間、突然現れた新手が、彼が先ほどまで居た空間――倒した敵の身体へと刃を突き立てた。
「――おっと、悪いね。まだ死ねないんだ」
死線の上、剣舞はまだ続く。
●
永遠に続くかと思われた死闘にも、いつしか終わりがやってくる。
ここに至るまで、ディアボロスたちの誰一人として倒れずに済んだのは僥倖というものだろう。トループス級とはいえ、暗殺者たちの個の実力は相当に高い。加えて、乱戦の中で確実に連携を取ってくる練度の高さは、ディアボロスたちに勝るとも劣らないものであった。
ならば。ならば、ここまで圧倒的な結果を納めようとしているのは何故なのか。その理由の一つは、黒桐・凜(月幎・g09216)たちディアボロスが遍く抱く想い、なのかもしれない。
「――ああ」
深く息をつく。この熱砂の大地を踏むのも、本当に久しぶりだ。それが七曜の戦という大舞台で、何かを護るために戦うというのは――実に望むところだった。
「そうだったね。皆と過ごした大地も、こうだった」
それだけではない。
凜にとって、この大地は正しく『取り戻すべきもの』だ。幾人かの姿を思い出す。彼ら彼女らが愛し、共に過ごした大地。
最終人類史という大きな話だけではなく、自分自身と失われた命のために、取り戻さねばならぬ土地なのだ。
「それを奪い、支配すると宣うのなら……その根が潰えるまで戦うよ」
決して大きくはなく、戦場音楽の中に呑み込まれて消える程度でしかない呟き。唯一それを耳にしたのは、遠距離支援を続けていた、ノエル・オプスキュル(路傍の石・g08194)ただ一人だ。
「自分以外の何かを護ろうなんて、考えたことも無かったな」
凜も年少の部類に入るが、ノエルは更に幼い。世が世なら、彼らが戦いに身を投じる事などそもそもなかっただろう。だが、二人はそれぞれの理由で復讐者となり、この戦場に居る。
「けど、まあ……少しは判ってきたつもりだよ。そういう流儀も」
生きることに必死だった彼にとって、護る、ということは、随分と贅沢な行為かもしれない。自分以外のためとなればなおさらだ。だから、そう出来る今の自分を、ノエルはほんの少し受け入れて。
「凜だっけか。行くんだろう? 援護してやるよ」
彼の呼び声に合わせ、飛来する何体ものドローン。機械音。各々の機体に積まれた機銃や砲身が、暗殺者たちの生き残りへと向けられる。
「これだけの数なんだ。逃がすかよ」
あるいは、その言葉はノエルの精一杯の強がりだったのかもしれない。だが、同時にそれは、力ある強がりだった。
クロノヴェーダを退けるという、確固たる意志だった。
「――飽和攻撃、開始」
彼の号令に合わせ、数多のドローンが一斉に火を噴いた。
雨霰とばらまかれた銃弾。
轟音を立てて吠え猛る火砲。
飽和攻撃、とノエルは言った。それは単なる意気込みではなく、文字通りの――周囲を更地にするほどの徹底した火力による集中攻撃である。
再び舞い上がる土埃。クロノヴェーダたちを覆い隠す砂のカーテンを前に、凜は首に巻いたショールを口元まで上げた。
「おれも、あわせる」
クーガ・ゾハル(墓守・g05079)がその横に並ぶ。地形を生かして飛び回っていた彼だが、息を切らしていないのは流石というべきか。
「ミウ・ウルは、おれたちの仲間だからな」
また、ミウ・ウルといっしょにどこまでもいきたい。そう告げるクーガに、凜は胡乱げな視線を投げた。だが、彼は気にした様子もなく言葉を続ける。なにより、と。
「この砂のにおいがするところで、何かをうばわれるのは、もういやだ」
翠の瞳が大きく見開かれた。その言葉だけで十分だった。お願い、と言い残して、凜は視界の利かない土煙の中へと身を躍らせる。
「……そこだね」
足元から伸びた『影』が、ぬるりと立ち上がって容を成す。ある時は針に、ある時は鉤に、またある時は銃に。千変万化に影を操る凜がこの時選んだのは、やや細身の短剣だった。
足音を立てずに跳んで、おそらく最後であろう暗殺者の下へ。黒き刃をその背に沈めんと振り下ろす。気配を感じた敵は咄嗟に逃げようとするが、もう遅い。
「外しはしないよ……“そうなる”ように出来ているから」
貫いた。肉を裂く確かな手応え。だが、僅かに浅い。仕留めるには僅かに足りないと、影の刃はそのままにバックステップ。一瞬の後、短剣が消えて傷がばくりと開く。
反撃を試みながらも離脱しようとする暗殺者。だが、凜は焦らない。ノエルの砲撃に乗じて、自分は刃を突き立てた。そして。
「任せたよ」
「まかせろ」
たとえ自分が仕留めきれなくても、三の太刀――クーガがその眼に獲物を捉えているのだから。
「さすがヤギってとこだな」
険しい地形を駆け上り、距離を取ろうとした暗殺者。だが、黒き狼は逃さない。
CODE――解放、捕捉。右目の奥でキカイが叫ぶ。加速。加速。ひりりと背に力が入る。ばちり、と紫電が走った。残像が残るほどの加速で敵を追い越し、崖を蹴って反転。
「でも、すばしこいのは、おまえたちだけじゃないぞ」
機械仕掛けの刃が、けたたましいほどに吠え猛る。
チェーンソーの牙を剥いた狼。それを迎え撃つのは山羊の蹄。クーガを空中で仕留めようと伸びた脚を、彼の得物が受けとめ――そして。
「ここだ」
山羊の脚を横にいなし、胴へと一息に叩きつけた。刃が喰らう。刃が引き裂く。そして、刃が両断する。そうして、最後のクロノヴェーダは、どう、と赤い大地に身を横たえたのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
【飛翔】LV4が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【完全視界】LV2が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV5が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!