奪還のチェーンバレン・プライド(作者 海鶴)
#幻想竜域キングアーサー
#【《七曜の戦》アイルランド防衛】マン島強襲作戦
#《七曜の戦》
#人類史防衛戦『アイルランド』
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●ミセス
深緑たる竜鱗を持つ特務竜部隊『ジャメヴ』たちは胡乱なれど、しかし剣呑たる視線を己達の前に淑女然とした所作でもって現れたジェネラル級『ミセス・モーガン』へと送っていた。
その視線は常人であったのならば恐れも感じたことだろう。
しかし、『ミセス・モーガン』は、その淑女たる所作を全く崩さず特務竜部隊『メジャヴ』たちに告げる。
「断片の王たるアーサー王は、アイルランドの破棄を決定しました」
その言葉に『ジャメヴ』たちは頷く。
それは尤もであったし、また同時に賢明で最善の決断でもあったからだ。
「しかし、アイルランドのベルファストには、逃亡した竜の花嫁の存在が確認されています」
竜鱗兵たちはドラゴンの生贄である『竜の花嫁』が、命を捧げることで出現する『卵』から生まれる。『メジャヴ』たちも例外ではない。故に彼らは静かに頷く。
「王妃竜グィネヴィア様は、この花嫁達を救うべく、我等に任務をお与えくださいました。《七曜の戦》が始まると同時にベルファストへと侵攻、制圧し、アイルランドの民と竜の花嫁を、我等の手に取り戻すのです」
彼女の言葉に『メジャヴ』たちの瞳は僅かに潤むようであった。
それまで彼らの瞳に浮かんでいた胡乱なる気配は消え失せ、誇りに満ちた輝きが満ちているようにさえ思えたことだろう。
「王妃竜グィネヴィア様が我等に命ぜられたのです。この戦いに赴き、例え死するのだとしてもこれ以上の誉れはありません。故に向かいましょう。なんとしてもベルファストを、我等が手によって王妃竜グィネヴィア様へと捧げるのです」
その言葉に特務竜部隊『メジャヴ』たちは凄まじい咆哮でもって応えるのだった。
●パラドクストレイン
レーネマクダ・デルトダウ(テト・カフ・g08563)は集まってきたディアボロスたちを前に静かに一礼する。
「お集まり頂きありがとうございます。《七曜の戦》が始まろうとしています。この戦いの帰趨によって最終人類史の運命が決まることは言うまでもないでしょう。そして、そのために出来得ることをしなければなりません」
彼女の言葉が示すのは幻想竜域キング・アーサーにおけるアイルランドのベルファスト地域である。
そこには今まさにジェネラル級『ミセス・モーガン』の率いる特務竜部隊『メジャヴ』たちの軍勢が迫っている。
彼らは《七曜の戦》の開始と共に一気にベルファスト地域に侵攻、制圧しようとしているのだ。
そのため、マン島に竜鱗兵たちの戦力が集中しているようである。
「確かに彼らの大戦力であれば、それが可能となるのでしょう。ですが、私達も手をこまねいて見ているだけではありません。マン島に敵戦力が集中している今こそ、強襲を来ない、敵の機先を削ぎ落としましょう」
そうすれば、この戦いの結果では《七曜の戦》でのベルファスト防衛の成功は近づく。
「敵の目的は確かにベルファストのみ。仮に防衛に失敗したとしてもベルファスト以外のアイルランドは、最終人類史へと奪還することができるでしょう」
だが、ベルファストはアイルランド随一の都市。
多くの一般人が暮らしているために、彼らを正しい歴史へと帰還させたいと思うのも当然であった。
「ベルファストには一般人の他にも、皆様が救出してくださった竜の花嫁の方々も暮らしています。もしも、ベルファストが制圧されれば、彼女達もドラゴン勢力に奪われてしまうことでしょう」
だが、気がかりなこともある。
どのようにして敵は竜の花嫁がベルファストに暮らしていることを察知したのか。
「恐らく王妃竜グィネヴィアがなんらかの方法で竜の花嫁の居場所を察知することが可能なのでしょう。仮に竜の花嫁たちをベルファストから疎開させたのならば……その場所に襲撃が行われてしまうでしょう」
どのみち、彼女達を守るためにもベルファスト防衛は必須となる。
レーネマクダはそう告げ、ディアボロスたちをパラドクストレインへと見送り、一礼するのだった。
リプレイ
アンナ・ラークリーズ
ああ、竜の花嫁って要するに生贄だろ?多くの家族を持っていた身としては幸せを掴んだ女性達の居場所を奪うことは許せない。
防衛戦を勝ち抜くには敵の戦力を削ることが重要だ。敵は多い様だから最初から全力で行こうか。【高速詠唱】でバロールの魔眼を発動。ささやかな幸せを奪おうとする者には魔女の魔眼の呪いをプレゼントだ。存分に食らってくれ。
敵の攻撃は【残像】で逸らし、竪琴剣で受け流す。術を唱えられる体勢なら問題ない。
敵は大軍勢だからね。ある程度減らしたら撤退する。殲滅が目的じゃないしね。引き際は見誤らないさ。
陳・桂菓
敵は多数。楽な戦いにはならなさそうだが、まあ当然か。前哨戦とはいえ七曜の戦。手も気も抜けん。
使用武器は双短戟『騰蛟昇竜』
敵の頭数が多いなら、せめてこちらは手数では負けられんな。
敵は衝撃波を放ってくるようだが、こちらも同じ間合いから【蚩尤怨剣波】の斬撃波を撃ちまくって対抗。
ただ、波動の威力で負けない自信はあるが、死を恐れずこちらを足止めにかかる面々は厄介だな。数がないなら近寄られる前に斬り払えもするだろうが、押し包まれればどうにもならん。
引き際が肝要とのこと。近寄る敵群が手に負えなくなる前に退却しよう。私の斬撃波が敵の前衛を突破できず、後方で衝撃波を放ってくる敵に届かなくなったあたりが目安か。
白水・蛍
アドリブ歓迎
連携を密に
周囲の味方をWIZディフェンス
さて、前哨戦ですわね。
しかし、1つ1つに全力を。その1つ1つが我々の力となる。
その為にも手を抜くわけにもいかないのです。
精神集中させ、パラドクス発動。
この声を聞きなさい。この歌を聞きなさい。
この歌は敵の全てを眠らせる。眠りに陥りその動きを鈍らせる。
そして、この歌はその力を奪い取る。力を奪われ、眠りについたまま、夢を見たまま、命を散らせよ。
反撃が来た場合は相手の刀をブレイドハープで薙ぎ払い、両断し、吹き飛ばしましょう。ダメージは受けるでしょうが致命傷でなければ問題ないですわ。
ある程度敵を倒せたら撤退しましょう。倒しきるのが目的ではないですから。
アイルランド随一の都市ベルファスト。
その都市を奪うというのは大言壮語ではない。そう思えるほどにマン島に集結した竜鱗兵たちの軍勢は圧倒的であった。
トループス級特務竜部隊『ジャメヴ』たちの士気は高く、誉のためにこそ戦う戦士たちであることを示しているようでも在った。
咆哮が轟いている。
「王妃竜グィネヴィア様の為に! 我等が竜の花嫁を奪還してみせるのだ!」
打ち鳴らされる斧。
大地を激震させるほどの凄まじい声量。
どれをとっても彼らが脅威であることをディアボロスたちは理解する。
これを捨て置いてはおけない。
例え、防衛に失敗したとしてもアイルランドにおいてベルファストを失うだけに留められるのは幸いであった。けれど、それをディアボロスたちは良しとしない。
何故なら、彼らにとって守るべきは人の生命であったからだ。
「竜の花嫁って要するに生贄だろ?」
だが、この幻想竜域キングアーサーに生きる人々にとって竜の花嫁となることは、何物にも代えがたい栄誉なのだ。
それを正しいあり方だとアンナ・ラークリーズ(清光のフィエリテ・g09972)は認めない。
己が多くの家族を持っていた身である以上に、ベルファストへと逃れてきた竜の花嫁たちの今後を奪うことなど許せるはずもない。
奪った、奪われた、という感情は奪い返す、という感情へと変貌を遂げる。
「前哨戦。一つ一つと参りましょう。これがきっと後に繋がることになるはずですから」
アンナの怒りを受けるように、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は歌う。
歌声が響く。
戦場に似つかわしくない歌声に特務竜部隊『ジャメヴ』たちは、これがパラドクスによる攻撃であると一瞬で悟ることだろう。
そして、おのれ達に敵意を向けた存在、ディアボロスである蛍の姿を捉える。
「いたぞ、ディアボロスだ! 我等の誉を阻む者! その首を持って我等の誉となり、王妃竜グィネヴィア様のために屍となるがいい!」
一気に踏み込んでくる『ジャメヴ』たち。
その手にした斧の一撃を陳・桂菓(如蚩尤・g02534)は受け止め、振り払う。
腕がきしむ。
だが、それでも桂菓は躊躇わなかった。
「何一つとして楽な戦いにはならない。わかっていたことだ。前哨戦とは言え、《七曜の戦》。手も気も抜けん!」
彼女の両手にある青龍戟が閃く。
パラドクスの輝き。
戦神の力を宿す青龍戟の刃が瞬く間におのれに斧の一撃を叩き込まんとした『ジャメヴ』の胴を切り裂く。
「蚩尤怨剣波(シユウオンケンハ)……容易く防げるとは思わぬことだ!」
互いの間合いは同一。
されど、桂菓には仲間がいる。
蛍のエターナルスリープたる眠りによって意識を奪われかけた『ジャメヴ』は隙だらけであった。そこに斬撃を叩き込むことは容易であり、また迫る大軍勢を前にして彼女は当たるを幸いとばかりに斬撃を乱れ撃つ。
彼女の戦いぶりは勇将そのものであったことだろう。
「勇猛果敢なるは見事! さぞや名のある将であると思えるが! ならばこそ我等が貴様の首を持って誉とさせていただく!」
だが、その斬撃の嵐を前にしても『ジャメヴ』たちは恐れを抱かない。
まるで死ぬことこそが己たちにとっての最も誉ある生き様であるというかのように、数でもって刻まれる屍すら乗り越えて桂菓に迫るのだ。
「誉という言葉で幸せを望む者から奪おうというのならば、魔女の魔眼をくれてやるとしよう」
静かな言葉に怒りを滲ませながら、アンナの瞳がパラドクスに輝く。
「バロールの魔眼(バロールノマガン)……例え、忌むべき力であるとしても、誰かの幸せを守るためになるというのならば、存分に使わせてもらう」
迸るパラドクスの輝き。
その一撃が『ジャメヴ』たちの体を打ち据え、さらに敵の軍勢の注意を引き付ける。
「我等の誉となるがいい! そのためにこそ我等は今まで存在してきたのだから!」
叩きつけられる斧の一撃を受け止めながらアンナはきしむ竪琴剣を支え、パラドクス宿す瞳でもって『ジャメヴ』を吹き飛ばす。
大地に叩きつけられる『ジャメヴ』の上に降り注ぐようにして桂菓が青龍戟の残液を打ち込み、絶命させる。
血潮が大地を濡らし、汗が滲み出してくる。
それほどまでに『ジャメヴ』は手強く、そして敵の軍勢は圧倒的だった。
「やはり敵の数が多い……!」
「ああ、引き際が肝要とのことだったが、この勢いは……!」
「死を恐れぬ大軍勢というのは眉唾ではないようだね」
三人は示し合わせたように後退を始める。敵の勢いは苛烈にして勇猛そのもの。
通常の軍勢であるのならば、此方の勢いに多少なりとたじろぐものであろう。しかし、『ジャメヴ』たちの士気は異様に高い。
死を恐れぬ、と言葉にすれば単純であったが、単純であるがゆえに数で勝る彼らはこちらを押しつぶさんとする。その勢いに付き合う必要はない。
呑み込まれ、消耗しては来る《七曜の戦》において力を発揮できないだろう。
「ここらが潮時か。他の仲間たちも居る。敵の突出を狙ったんだ。このまま惹きつけて後退だ」
「殲滅が目的じゃない。見誤らさないさ」
「次につなげる戦いです。さあ、此方です。急いで」
蛍の言葉に促され、アンナと桂菓は敵と切り結びながら、後方より駆けつけるディアボロスたちへと戦いを繋ぐのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
シル・ウィンディア
まぁ、敵の士気がすごいことになっているね。
これは捕まったらたまったものじゃなくなりそうだけど…。
でも、こっちの士気も高いからねっ!
あなた達に、この地で幸せになった人たちを奪わさせたりはしないからっ!
ここは先手必勝でっ!
敵軍を視認したら、高速詠唱からの天翔残影砲で攻撃っ!
纏めて撃ち抜かせてもらうよっ!
わたしの前に攻撃する人がいたら、その人が攻撃した対象を中心に攻撃を展開していくよ。
少しでも数を削らないとね。
敵の攻撃は背中に展開した光の翼を体の前面にもってきて防御。
癖を見抜かれるなら、そこをあえて狙わせればいいんだからっ!
敵の数が増えてきたら撤退を開始するよ。
さすがにこの数は無理ーっ!
クロム・エリアル
…ん、ベルファストの防衛
任務了解、クロムも戦線に参列する
敵戦力の維持には竜の花嫁は重要
ここで守り切れば、敵勢力には痛手
概要理解、戦闘開始
地を這い身を隠し、敵部隊の配置を確認
慎重に近付き此方の射程に入るまでは隠密行動に努める
双銃『Libra』を構え移動し敵が射程に入り次第Ex.Bullet.Recoillessで攻撃
本当ならもっと距離を詰めたい、けれども撤退を考えるなら当たるギリギリの位置でジャメヴを釣る
弾丸をばら撒き、ジャメヴの注意を引いたら即座に転進
敵の衝撃波を利用し来た道へ吹き飛ばされながら、引き撃ちでジャメヴを削る
クロムが敵を倒す必要は無い
注意を引き、釣り出すそれが目的
それだけで良い
タタミ・ヤスマ
【念動力】灼光気を操って蜃気楼で姿を隠し、
戦端が開いたら、幻影の戦列歩兵を【召喚】、【銃剣突撃】
走らせ、その勢いのまま銃剣を突き付けて、メジャヴ達の気を散らす。
死ぬのも名誉なら、死んでしまえばいい。
幻影を払う為に斧を振ったジャメヴの頭をライフルで狙い、
【火炎使い】灼光弾の凝縮した熱光を『念動光線』として射出。
撃ち、焼き貫く。
私達は、生きる。
生きて、戦い抜いてやるから…!
敵の攻撃は、斧は竜魂銃剣のオーラ刃や、
【オーラ操作】岩の投擲を灼光壁を展開して防御、
そして、【光使い】展開した灼光壁から光を放ってメジャヴの眼を焼き、攻勢を弱める。
死を恐れない、だから、敵を見据えるその眼を焼く。
リューロボロス・リンドラゴ
死をも恐れぬ敵か。厄介だの。
まともに殴り合えばこちらの被害も洒落にならぬか……。
こちらの襲撃にもすぐに対処してくるであろう。
ならば!
我が風にて皆の先行率アップよ!
反撃も受けるが数体でも反撃前や行動前に倒せればその分被弾も減ろうぞ!
撤退時にも先に動けるに越したことはないしの!
さあ、我が闘気砲で片っ端から撃ち抜いてくれるわー!
数を減らすの重視だからの。
味方が攻撃しておる相手に合わせるなどするぞ!
くはははははは、竜槌何するものぞ!
我こそは龍、我こそはドラゴン!
リューロボロス・リンドラゴ也!
奴らからすれば見過ごせぬ名乗りであろうがお互い様よ!
とはいえ熱くなり過ぎはせぬ。
引き際は見誤らぬよ。
「死を恐れぬ敵か。厄介だの」
その言葉に尽きる。
トループス級、特務竜部隊『ジャメヴ』たちの勢いは凄まじいものだった。
先んじて敵の部隊を攻撃したディアボロスたちの後退に追いすがるようにして、マン島に集結した竜鱗兵である『ジャメヴ』たちはディアボロスのパラドクスによって打倒されても、まるで構わぬというような士気の高さでもって迫っているのだ。
後退してきたディアボロスたちと入れ替わるようにしてリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)たちは、タイミングを合わせるようにしてパラドクスを煌めかせる。
「やはり此方の襲撃にもすぐに対処してきたか。ならば!」
彼女の竜翼が羽撃くようにして残留効果を手繰り寄せる。その輝きは敵に先んじること。
己たちの仲間であるディアボロスたちへと追いすがってきたというのならば、敵の視線は撤退する仲間の背へと注がれていることだろう。
ならばこそ、リューロボロスは叫ぶ。
「まともに殴り合えばこちらの被害も洒落にならぬ。ならば、こそ、我が闘気、受けよ!」
合わせた両の掌が竜の顎を思わせるようにして開かれ、パラドクスの輝きとともに双竜闘気砲(リン・ドラゴニック・ダブルノヴァ)が解き放たれる。
その一撃は撤退するディアボロスたちの背後に迫っていた『ジャメヴ』たちを打ち据えんとするものであったが、しかし、その一撃だけではなかった。
そう、此処には己以外にも目的を同じくするディアボロスがいる。
「まあ、敵の士気がすごいことになってるのはわかっていたからね。でもね、こっちの士気も高いんだからねっ!」
吹き荒れるは力。
敵を認識することによって逆説連鎖戦は始まる。
先行した仲間たちが数を減らし、しかも敵を引き付けながら撤退してきたことにより、『ジャメヴ』たちの気性も相まって突出した一群を生み出していた。
その機を逃さぬのがシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)であった。
彼女はリューロボロスの放つ闘気の一撃と合わせるように己のパラドクスを輝かせる。
背には展開された光の翼。
放出される魔力砲撃――天翔残影砲(シルエット・ブラスト)の一撃が闘気の砲撃と合わさりディアボロスを追う『ジャメヴ』たちを一気に吹き飛ばす。
それは敵の戦力を削る、という意味においては効果的な重撃となることだろう。
放たれた砲撃はまるで道を示すようだった。
「射程に入った。戦闘開始」
その砲撃の跡に走るのは、クロム・エリアル(近接銃士・g10214)であり、同時に生み出された幻影の歩兵の戦列であった。
「伏兵! 笑止! 小賢しい! 我等が進撃を止められると思うたか! 誉のために我等は立ち止まらぬ! 揺るがぬ! 怯まぬ! ディアボロス! 怯え、その生命を持って我等が誉となるがいい!!」
その咆哮をタタミ・ヤスマ(幼幻弱視竜・g01941)は聞く。
魔力と闘気の砲撃による一撃が叩き込まれる直前までクロムとタタミは姿を隠していた。
伏していたのだ。
敵を殲滅するためではない。敵を消耗させるためであり、また同時に己たちが消耗しないためだ。
なぜなら、これは前哨戦。
この戦いをもって敵の戦力を削れば、アイルランドのベルファストに迫らんとする竜鱗兵たちから人々を守ることができる。
「そうなれば、敵勢力には痛手。概要理解。だから、クロムはこの戦線に参列した」
クロムの構える双銃より放たれる弾丸がパラドクスの輝きを軌跡として『ジャメヴ』たちに叩き込まれる。
大地を蹴る。
即座に走り抜け、さらに弾丸を叩き込む。
ばらまかれる弾丸は『ジャメヴ』たちにとっては、痛烈であれど、しかし死に至ることはない。それはクロムも理解してる。
パラドクスによって生み出された幻影の歩兵たちを壁にするようにして走り、クロムは転進と突撃を繰り返し、『ジャメヴ』たちの機を惹きつけるのだ。
「ならば、ここで死せる運命と定めよ! 我等の誉のために!」
振るわれる拳の一撃を受けてクロムの体が吹き飛ばされる。だが、敵の攻撃をクロムは利用して距離を取る。引き撃ちするように後退しながらクロムは、あくまで『ジャメヴ』の注意を惹きつけ続けるのだ。
「クロムが敵を倒す必要はない」
「何を、言っている! 貴様は!」
「簡単なこと。注意を引き、釣り出す。それが目的」
クロムは笑むこともなく、己の目論見が達成されたことを理解するだろう。敵の戦線は伸び切っている。
確かに『ジャメヴ』の突進力は士気と数でもって脅威そのものだ。
けれど、伸び切った一群は細く頼りない。
「それだけで良い」
「なんと消極的な! 死することを厭う者の言葉など……」
「なら、死ぬのも名誉なら、死んでしまえば良い」
タタミの前髪の隠れた、その奥にある瞳がパラドクスに輝く。
彼女の瞳は見ていた。
シルとリューロボロスによって穿たれた砲撃の跡。そこに躍り出たクロムに引き寄せられた敵を。
そして、一瞬にこそ彼女は勝負をかけた。
掲げたライフルが水平に構えられ、その銃口が『ジャメヴ』の頭部を狙う。
凝縮された灼光弾の一撃が念動光線となって『ジャメヴ』の頭部を射抜く……否、吹き飛ばす。
「私達は、生きる。生きて、戦い抜いてやるから……!」
だから、負けはしないと言うようにタタミの構えたライフルから次々と光線が解き放たれ、クロムによって惹きつけられた『ジャメヴ』たちを射抜いていく。
タタミは死を恐れない。
生きるということは死を恐れることではない。
懸命に生きようとするからこそ、得られる力がある。だからこそ、タタミの光線の一撃は狙い過つことなく『ジャメヴ』たちを射抜き、その誉のみにて生きる原動力とする彼らの生命を奪う。
「今だよね! クセなんて見抜かれる前に合わせてぶっ飛ばしちゃえば良いんだよ!」
「くはははははは、竜槌何するものぞ!」
タタミの射撃に合わせるようにしてシルとリューロボロスも砲撃を叩き込む。
敵はさらに己たちへと殺到するだろう。大立ち回り、と呼ぶにはあまりにも苛烈な攻勢。
「……ん、敵の誘引には成功」
だけど、と彼女は己達に勝る数で迫る『ジャメヴ』たちを見据える。
シルも理解したことだろう。
マン島に集結した敵の数を。その圧倒的な軍勢を前に、これらを滅ぼし切ることなど不可能だ。ならばこそ、ディアボロスたちは引き際を見誤ることはない。
「砲撃もおっつかなくなってきたね! 流石にこの数は無理ーっ!」
「わかってる。現衛兵たちに『ジャメヴ』たちの注意を引き付けさせる」
「撤退か。ならば、敵の注意を惹きつけること、我にもやらせてもらおう!」
タタミの見出した戦列の幻影兵たちと共にリューロボロスは迫る『ジャメヴ』たちを前にして息を吸い込み、裂帛たる気合を解き放つように叫ぶ。
「我こそは龍、我こそはドラゴン! リューロボロス・リンドラゴン也!」
その言葉に『ジャメヴ』たちの瞳は怒りに染まる。
「ドラゴン様を語るか! ディアボロス風情が!!」
烈火の如く発露する感情を受け止めながらリューロボロスは笑う。
「お互い様よ! だが、知るが良い。この戦いなぞ前哨戦。貴様らの怨敵は我等と知るが良い!」
ではな、とタタミがけしかける幻影兵たちを盾にリューロボロスは翻る。
己の心にあるのは熱き血潮の如き感情。されど、熱くなりすぎてもならぬと知っているからこそ、彼女は即座に後退を決定づける。
「……ん。後退」
クロムの乱射する弾丸と共にリューロボロスは戦場を駆け抜けていく。
シルとタタミと合流した彼女達は己たちの背中を射抜くような苛烈なる『ジャメヴ』たちの視線を受け止めながら、敵の損耗が浅からぬことを確信し、追いすがる『ジャメヴ』たちを振り切って後退していくのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!