白を踏む足音(作者 花々実コノネ
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#吸血ロマノフ王朝  #北欧革命軍移住阻止作戦  #革命軍  #北欧 

 大地は一面雪の白。
 吹き付ける風も雪をまいて白く。
 その中を進むのは赤い軍服を身にまとい、顔に包帯のような覆面を被ったクロノヴェーダたち。
「この辺りでしょうか……」
 欺く従姫フロロフカが、覆面をした顔で吹雪の向こうを透かし見る。
 その呟きを受けて、ブラッディサクリファイスが頭を低くして答えた。こちらもフロロフカ同様、赤い軍服と包帯のような覆面といういで立ちだ。
「おそらく、もう少し進めば集落が見えてくるかと思います。生き残っている者がいるかどうかは不明ですが」
 この辺りの寒さはひときわ厳しい。
 食料にも事欠く人々が極寒の中生き抜くのはかなり難しいことだ。
「だからこそ、ストックホルムへの移住を提示すれば飛びつくことでしょう」
 その言葉に、フロロフカは頷く。
「生きているすべてを送り込むのです。ストックホルムにはまだまだ人間が足りていないのですから」
「はい」
 足を急がせるブラッディサクリファイスの後ろから、フロロフカは落ち着いた足取りで雪を踏んでいった。


 ディアボロスによって、ストックホルムへの潜入調査がなされ、住人である一般人たちが北欧の各地から集められてきていることが判明した。
 その結果を受け、北欧の住民たちをストックホルムに連行しようとしている革命軍のクロノヴェーダを撃破することが、攻略旅団にて採択された。
「ストックホルムに人を集めるのがクロノヴェーダの作戦というなら、させるわけにはいかないわよね」
 ディアボロスの行動でストックホルムへの住人の連行を阻止できれば、革命軍の計画を狂わせることができるかもしれないと、グレーテル・ベッカーは依頼の説明をはじめた。

 ストックホルムの調査では、厳しい暮らしから逃れるために、望んで移住している住人たちも多くみられた。
 それだけ北方での暮らしは厳しい。ストックホルムに行けば助かった命が、集落に残ることで失われる、という事態もあり得る。
「まずは集落に向かって、住人が生命を繋ぐことができるように、食料を支援したりして生活の補助をしてあげてね」
 最終人類史では、各ディヴィジョンごとの『排斥力に排除されない物資』を製造・準備している。これらの物資を利用するのも良いだろう。
「それから、集落に向かってくる敵を探してちょうだい」
 住人が戦いに巻き込まれないよう、敵の撃破は集落から離れた場所で行いたい。そのためにも、哨戒活動によっていち早く敵を発見することが必要だ。先に敵を見つけられれば、有利に事を運べるだろう。
「発見できたら、あとは倒すだけよ」
 クロノヴェーダを撃破すれば依頼は成功となる。

「揃いの赤い軍服に包帯のような覆面……今回の革命軍のクロノヴェーダは、ずいぶん特徴的な恰好をしているようね」
 雪の中を進む革命軍は、まるで白い大地に広がる血の染みのごとく。
「どうしてそんな恰好をするようになったのかしら。もしかしたら革命軍の上層部に何かあった、とか?」
 グレーテルは気になる様子だったが、今はそれを知る由は無い。
「とにかく、ひとつずつ確実に敵の作戦を妨害していきましょう。よろしくお願いね」
 そう言ってグレーテルはディアボロスたちを送り出した。


 薪は貴重だから火は小さく焚いて。
 小さな火が発する弱い熱の周りに、家族全員が集まり身を寄せて暖を取る。
 火にかけられた食事は、雪を溶かした水にぱらぱらと草が浮いているだけのスープ。必死に雪を掘り、やっと見つけたわずかばかりの雑草だ。
 この寒さでは農作物を育てることもかなわない。
「せめてもう少し南の土地に……」
 そうすれば畑を作ることもできるだろうに。だがこの土地から出てゆくことを許されていない彼らにできるのは、夢想することだけだ。
 母親は末の子どもをぎゅっと抱きしめる。やせこけた身体のどこからと思うほど、腕の中の子どもは熱い。口から出るのは浅く荒い息ばかりで、呼びかけても目を開けてくれない。
 隣の家では母親が凍死したと聞く。生まれて間もない赤子もほどなくその後を追うことだろう。
 すぐ近くまで迫った死の足音を聞くまいと、母親は一層しっかりと子どもを胸に抱え込む。
 ああ、どうか。
 この子に明日がありますように。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
2
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【寒冷適応】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。
【アイスクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が3mの「氷の立方体」を最大「効果LV×3個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。出現させた氷は通常の氷と同様に溶ける。
【猫変身】
1
周囲が、ディアボロスが猫に変身できる世界に変わる。変身した猫は最大「効果LV×10m」の高さまで跳躍できるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【反撃アップ】LV3 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV2 / 【ロストエナジー】LV2 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

花々実コノネ
 北の集落の住人がストックホルムに移住させられるのを阻止するシナリオです。

 依頼の流れは、
 ②一般人への食糧支援→①敵部隊哨戒任務→③トループス級の撃破→④アヴァタール級の撃破、を予定しています(一部、重なることもあります)。
 アヴァタール級の撃破以外の選択肢は必須ではないので、④以外の選択肢は飛ばすことが可能ですが、②はできれば助けていただければ、と思いますし、①を飛ばすと集落が巻き込まれたりしますし、③を飛ばすと④の邪魔になるかも……ですので、特に飛ばす作戦でなければ、順番に進めて参ります。

 ②……主体は食糧支援です。それ以外の支援も含めていただいて構いませんが、あまり時間はありません。
 ①……早く見つけられれば、こういう地形で戦いたい、という場所に誘い込むことも可能です。見つけるのが遅かったり、見つけられてしまったら、有利な状況を作り出すのは難しくなるでしょう。
 ③④……ぼこりましょう。

 ではでは。プレイングお待ちしております。
42

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
残留効果を活用

新宿島から物資持ち込み、アイテムポケットあれば借り食料と薪を
俺は温かい食事と保存食を中心に支援
協力・分担歓迎

柔らかいパンと、肉と野菜のボルシチを調理して振る舞う
まずは栄養をつけ、身体を温めてもらおう
なるべく消化の良い材料を煮込み
味付けはマイルドに、地元の風味に寄せよう

保存食は黒パン、干し肉、ドライフルーツやナッツ、野菜の酢漬けや乾物、チーズなど
ビタミン類や栄養も摂れるように

どちらも【口福の伝道者】で増やし、手渡しで配ろう
この辺りの寒さなら保存もききやすいだろうか

……よく耐えてきたな
まずは腹を満たして

調子の悪い者には持参の医薬を
仲間の支援や人々の困り事は率先し手伝う


ジョルジョ・ストレッポーニ
連携アドリブ歓迎

長期的な支援を出来ればいいが案内人の話では住民の状態は一刻を争うようだ
命の危険を脱する応急処置的なものしかできそうになく、申し訳ない

すぐに食べられるカーシャやボルシチの鍋、ミルク
排斥力で排除されない保存食と防寒具、医薬品、燃料
もし余裕があれば寒さに強いビーツやジャガイモの苗を【アイテムポケット】と背嚢、台車で持参

味方の効果も借りて手伝えるものは手伝う
体を温めて死の危険から脱するのを優先
すぐに【寒冷適応】と燃料を使い防寒具も配る
手持ちの救急箱で対処出来る病気と怪我の応急処置
持参したミルクと料理を温めて【口福の伝道者】で振舞う
もし【土壌改良】が使える場合は狭くとも畑を耕し苗を植える


フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、絡みok

時間があれば、本腰を入れて支援出来たのでしょうが、この状況では手段は限られますか。

何にせよ、まずは喫緊の問題からです。
新宿島で、排斥力に排除されない保存食と持ち込めるだけの薪を用意して、村を訪問です。

最初に寒冷適応発動。
村人達に、支援しに来た旨を伝えて保存食を配りつつ、もし食料庫などがあるなら、口福の伝道者を利用して保存食を増殖及び保存し、当面の食料にして貰います。
持ち込んだ薪は、必要な所に持ち込んで暖を取る足しにして貰えれば、ですね。
他に出来る事もあれば手伝います。

もし身元を聞かれたら、ディアボロスと名乗り、革命軍と敵対する存在だと説明、革命軍に対する注意喚起も加えます。


フルルズン・イスルーン
状況が非常にまずい。とても不味い。
とりあえず何ができるか色々と聞いて回りたいところだけど。
状況が喫緊にすぎる。

メディスン・ゴーレムくん、突入だ!

とにかく食料と防寒衣類、そして薬草を中心とした医薬品もって救援なのだ。
そして即【活性治癒】発動! ご飯を食べる体力をまず稼がないと色々怖い。

病人は風邪か肺炎か。
効果があれば大丈夫だとは思うけど、薬草湿布張って呼吸を楽にしたり四肢末端の凍傷を保護。
まずは一時しのぎでも命を繋いで、のちに体を満足に動かせるようにするのだ。
薬草なら化学製品として排斥はされないはずだし、使い道を絵図にして置いておこうか。
子供は体調崩しやすいしね。

後は可能なら家屋の隙間修繕かな。


 パラドクストレインを降りたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の目に映るのは、見渡す限りの雪の白。
 何もない。
 そう見える行く手に、エトヴァの目は建物の落とすささやかな陰影を捉えた。
 うっかり通り過ぎてしまいそうな、半ば雪に埋もれた家々がぽつぽつと。
 あと一押しされたらすべてが白に塗り潰されてしまいそうな、その中で人々の暮らしが営まれているとは到底思えないそこが、目指す集落だ。
「状況が非常にまずい。とても不味い!」
 時先案内人から聞いた状況は、一刻を争うものだった。フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)は少しでも早く集落に着こうと足を急がせた。
「時間があれば、本腰を入れて支援出来たのでしょうが、この状況では手段は限られますね」
 呟くフィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)の横を、ダンジョンペンギン『ユリウス』がわしわしと雪をかいて進んでいる。ユリウスの様子に元気をもらって、フィーナは寄せていた眉を緩めた。
「案内人の話では住民の状態は一刻を争うようだね。長期的な支援を出来ればいいが、まずは命の危険を脱することだな」
 ジョルジョ・ストレッポーニ(Il Voce Grande・g10013)は思いつく限りの物資をアイテムポケットに詰め、入りきらないものは背嚢で背負い、手にも抱えて持ち込んだ。それでも、この量でいつまで持ちこたえてくれるかと考えると、心もとなく感じられてならない。
 沈み込む雪をもどかしく踏んで、ディアボロスたちは集落へと入る。
 まずは生命を脅かすこの寒さから住人を解放しなければと、フィーナが【寒冷適応】を発動させた。これでフィーナの周囲では、人々は極寒に体力を削り取られずに済むだろう。
 他のディアボロスも寒冷適応の残留効果を使用すると、集落に散っていった。


 小さな火を囲んでいても、きりきりと凍みる寒さ。それがふっと緩んだ。
(「ああ、死んだのか……」)
 ゲオルギーは反射的にそう思った。昨晩妻が死に、この上自分が死んだら子どもたちはどうなるのだろう。自分の死よりもそれが心残りだ。
 ……が、それにしては変だ。そろそろと視線を巡らせたゲオルギーの目が、同じように怪訝な表情をしている子どもたちの目と合う。そのとき、ノックの音がした。
「ご無事ですか?」
 声をかけつつドアを開けたフィーナに、家族は目を丸くする。こんな場所に外から人が訪れるとは。
「あんた、一体どこから……いや、何者なんだ」
 立ち上がりやってきたゲオルギーにフィーナは答えた。
「私たちはディアボロス、革命軍と敵対する存在です。皆さんの支援に参りました」
 これをどうぞ、とフィーナは保存食を差し出す。
「くれる、のか?」
 信じられないような目でゲオルギーはフィーナから渡された食料を見る。
「はい、お渡しするために持ってきたのですから。この集落には食料庫などはありますか?」
「あるが今は空っぽだ。種一粒残ってはいない」
「では後程、そちらに案内していただけますか」
 そう頼んでおいて、フィーナは今度はアイテムポケットから取り出した薪を家の隅に積んでいった。多くは持ってこられなかったが、これで身体を温められたら動きもとれるようになるだろう。
 フィーナが積む薪の傍らに燃料を置いた後、ジョルジョは防寒具を手渡していった。
「寒かっただろう。これを着て温まって」
 火を囲む子どもたちの間にぽつんと寝かされた赤子に気付くと、ジョルジョはその上にも防寒具をかけてやり、ミルクも取り出した。
「料理も用意してきたよ。炊き出しをしたいんだが、どこか借りられる場所はあるかな」
「広場……は雪に埋まっていて使えないな。良かったらうちを使ってくれ」
「ありがとう。遠慮なく貸してもらうよ」
 ジョルジョがアイテムポケットからカーシャやボルシチの鍋を出すと、家族は仰天した。
 そしてまた、温めたそれをジョルジョが【口福の伝道者】で増やすと、驚いた子どもたちの叫び声が賑やかに響き渡った。


 集落に到着してすぐフルルズンが飛び込んだのは、時先案内にあった熱を出した子どもがいる家だった。
「メディスン・ゴーレムくん、突入だ!」
 癒しの女神を模したゴーレムを呼び出して展開するのは【活性治癒】。
 溢れ出す生命力が、回復にかかる時間を半減させる。
「これで大丈夫だとは思うけど、ちょっと病人の様子を見せてもらえるかな。その間にこれ食べててくれる? 身体が弱ってると、この子の病気がうつっちゃうかもしれないし」
 持ってきた食料を家族に渡すと、フルルズンは床に防寒衣類を敷いた上に、熱にあえぐ子どもを寝かせてもらった。
「熱が高いね。風邪か、あるいは肺炎か……息は苦しいかな?」
「ううん」
 子どもは小さく首を振った。顔は熱で真っ赤になっていて、コンコン咳をしているけれど、フルルズンには病気自体が重篤であるようには見えない。問題なのは病気を治すための体力が不足していることなのだろう。
 暖かくして栄養があるものを食べていれば……だが、この場からディアボロスが離れれば寒冷適応は及ばなくなり、支援した食料も今後のことを考えれば節約しながら食べるしかない。今できるのが、とりあえずの命を繋ぐことだけなのがもどかしい。
 寒冷適応と活性治癒の効果か、少し落ち着いた様子の子どもに、フルルズンは薬草湿布をしてやり、状態を確かめた。
「足に凍傷ができてる。他の子は……ああ、やっぱりあるね。こんなに寒いんだから当然とはいえ辛いよね」
 凍傷の手当をし、残った薬草は使い方を説明して家族に渡しておく。
「防寒具はここに置くよ。あとこの隙間、塞いでおくね」
 自分たちが立ち去ったあとに戻る寒さに対応できるように、とフルルズンは風が吹き込む壁の隙間を塞ぎにかかった。


 ぐつぐつと鍋からたちのぼる音と湯気。
 消化の良い食材を選んで、エトヴァは肉と野菜のボルシチを作る。調理のための薪も持ち込んでいるから、火力は十分。これまで消えそうに焚かれていた火と違い、生命力を感じさせて赤々と燃えている。
 その間、エトヴァが楽しげに歌う鼻歌に、火を借りた家の人々は目を閉じて耳を傾けた。
 マイルドに味付けたボルシチが出来上がると、エトヴァは皿によそう。
 ごくり、と喉を鳴らす住人に、
「申し訳ないがもう少しだけ待ってくれ」
 そう声をかけ、ボルシチの隣に柔らかいパンを、そして持参してきた保存食を並べた。
 すぐにでも配ってやりたいが、この量では集落の人々すべての腹は満たせない。だからまずは。
 やさしい味わいのボルシチを食べ、パンを口にし。
 黒パン、干し肉、ドライフルーツやナッツ、野菜の酢漬けや乾物、チーズなど、栄養を考えて選んだ保存のきく食べ物を食べる。
 エトヴァが食べ終わった途端、【口福の伝道者】によって増えた食事が皿に盛られて現れる。
「……よく耐えてきたな。まずは腹を満たしてくれ」
 待ちきれない様子で食べ始めた家族の頬に、涙が伝った。
 増えた食事を、エトヴァは他の家を回って手渡しで配ってゆく。
 どの家も拝むようにして食事を受け取り、むさぼるように食べ始めた。
 湯気のたつ料理と、料理の持つ栄養が生み出す熱は、凍え切った住人を腹の内側から温めた。


「こちらです」
 フィーナが案内された食料庫は、住む人のいなくなった家らしき建物だった。
 種一粒無い、と言っていた通り、棚や籠が少し置かれているだけで、食べられるものは何も無い。
 がらんとした空虚な建物で、フィーナは食事として保存食をとった。
 強化された【口福の伝道者】が、取った食事を増やしてくれる。それをフィーナは食料庫に収めていった。
「これで当面はなんとかなると思います」
「ああ。この辺りの寒さなら保存もききやすいだろう」
 エトヴァが増やした保存食も運び込まれ、空っぽだった食料庫の中身はこれまでになく充実し、それを見る集落の人々の目に、安堵の色が浮かんだ。
 病気やケガも、ディアボロスたちによって出来る限りの治療がなされた。活性治癒の効果もある。この様子ならしばらくの間は生きていけることだろう。
「ありがとうございます……ありがとうございます……」
 それ以外の言葉を失くしたように、住人はディアボロスに礼を言い、何度も何度も、頭を下げるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

藤菱・由紗 (サポート)
若輩ながらも、落ち着いた雰囲気の大和撫子タイプの少女。
誠実で「和を以て貴しとなす」が基本路線だが、刃を抜くべき時には抜く。
頭脳労働、実働ともに、それなりにこなし、突出した結果は残せないが、どんな状況でもそつなく対応する

■調査・情報収集
調査対象にもよるが、基本的には対人対話で情報を集めるよりかは観測などの方法で人を介さない直接的に確認しての情報収集を好む

■戦闘
武器は刀と自動拳銃
刀での攻撃が主。
自動拳銃は牽制や誘導、陽動などに用いる。左手で扱うので命中率は悪いがそこは、距離を詰めることとフルオート射撃の弾数で補う。


王・天花 (サポート)
『皆が愛した国は、歴史は、私達が取り戻します……!』
 人間の無双武人×破軍拳士、16歳の女です。
 普段の口調は「礼儀正しい(私、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、独り言は「凛々しい(私、~さん、だ、だな、だろう、なのか?)」です。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


 一時止んでいた雪が、また振り始めた。
 それほど多くはないけれど、風に乱され降る雪がヴェールをかけるように、視界を遮り見通しを悪くする。
「このどこからか、クロノヴェーダが集落に向かっているのですね」
 集落を背に、藤菱・由紗(刀術士・g01827)は、雪まじりの風に漆黒の髪を靡かせながら、ぐるりと周囲を見渡した。
 一面の銀世界は厳しく、そして美しい。そのどこかに、クロノヴェーダの一群を隠して。
「まずはどこから調べましょうか」
 手分けして探すのが良いだろうと由紗が尋ねる。
「そうだな……」
 王・天花(人間の無双武人・g03356)は思案するように呟くと、懐から何かを取り出した。
「それは何ですか……?」
 見慣れぬ物品に興味をひかれて、由紗が天花の手元をのぞき込む。
 素材は竹だろうか。細く削られた竹が何本も束ねられ、竹に結ばれた色とりどりの紐が垂れている。
「私が独自に考えた占い道具です。あてがないこんな場合にこそ、占いが生きるというものでしょう」
 天花はその道具を広げ、閉じ、を繰り返して眺めていたが、結果を読み解いたのだろう。やがてひとつの方角を指した。
「私はこちらに向かうことにしましょう」
 進む方向に迷うときこそ、占いの導を。
 天花の進む方向はひらけており、身を隠すものがほとんどない。けれど占いが示したそちらへと、天花は恐れげもなく踏み出した。
 集落へ向かっているクロノヴェーダたちは皆、赤い軍服のようなものを身に付けていると聞いている。ちらりとでも赤が目に入りはしないかと、雪の向こうに目を凝らす。
「では私はこちらに参りましょうか」
 由紗は天花とは別方向に、クロノヴェーダの姿を求めて歩き出した。
 由紗の右手には祖父の家にあった長い刀身の【銘なき刀】。シンプルな刃文のこの刀を、由紗は気に入っている。
 そして左手には【Glock17C】。
 荒事を好むわけではないが、探す相手はクロノヴェーダ。対処するために、武器に物言わせなければならないこともあるだろう。
 雪が隠すの先に危険が待っているかも知れない雪原。
 けれどそこを進む由紗の足取りは、ぶれなく落ち着いていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】がLV2になった!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

プターハ・カデューシアス
アドリブ・連携歓迎
残存効果や技能は適宜利用

特に寒さは苦手なので【寒冷適応】と防寒装備はがっつりと
氷ったら大変です、アムリタも服の中へ避難させましょう
地上ではスキーを利用

私は一足先に哨戒任務を
【パラドクス通信】展開し仲間と情報共有

針葉樹林の上か、小高い場所から地形の確認
誘い込みや挟撃に有効な立地を探します
(視界が悪いとは思いますが完全視界などあれば利用)
幸運にも敵を見つけられたなら、目星をつけた場所に誘い込めるよう誘導しましょう

しかし雪の中で目立つ、揃いの赤い軍服を纏うとは
見つけてくれと言っているようなモノですね
我らが来ないと油断しているのか、別の思惑があるのか
その理由が少し気になるところです


ジョルジョ・ストレッポーニ
連携アドリブ歓迎
味方の効果も活用

もう少し早く来られたら助かった人は…
いや、今は助けられた人の数を数えていよう

雪中迷彩装備と双眼鏡を用意
雪目の防止を兼ねて【完全視界】使用
【PD通信】で味方との連絡はしっかりやる
敵を発見しても深追いせず静かに味方に連絡、状況により敵を誘導
移動は静かにできるだけ遮蔽物を利用
敵の姿、物音(職業柄耳は良い)、気配、足跡にも注意
可能なら敵の足跡を伝って利用、自分の足跡は残さない

赤い服の革命軍ねえ…
史実の革命についてはとやかく言わないが革命家とも呼べない侵略者がそれを名乗ってるのはグランダルメと似たようなものか?
赤い服は非常に目立ちそうだが敵もそれは承知だろう
油断はすまい


フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、絡みok

まだこの村への脅威は消えていません。
ひとまず最悪の事態を防げただけでもよしとしましょう。

白いローブを纏い雪景色に紛れ、周辺地形や光学迷彩も利用しながら移動、敵集団を索敵します。
その際、なるべく音は立てず、足跡も残さないよう動きます。
パラドクス通信で、仲間と協力して索敵範囲を広げましょう。
索敵の際、雪景色で赤服は目立つと思いますが、服だけに拘らず、気配や物音、足跡にも注意しましょう。

敵集団を発見したらすぐに仲間に連絡。
予想進路が直接村に向かうようなら、村から遠ざけるように誘導しましょう。
可能なら、足跡など村人っぽい痕跡を残して、それとなく目的地を誤認させた方が良さそうですね。


 雪を巻き込んだ風は、切りつける痛みで吹き付ける。
「これは厳しいですね……」
 寒いのが苦手なプターハ・カデューシアス(招福龍・g03560)は、防寒装備に寒冷適応を重ね、しっかりと寒さ対策をしていた。だが、寒々とした風景の中、スキーで雪を踏みしめて歩いていると、目からの情報で凍えそうな気分になる。
 アクアスライムの『アムリタ』はすっぽりと服の中に避難させてある。それでもちょっと心配になって、指でつついてみた。
 ぷにぷにぷにょん。
 その弾力に、アムリタの無事を感じるとともに、癒しをもらって。
「そちらはどうですか?」
 集落に行ったフィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)にパラドクス通信で尋ねると、すぐに返事があった。
「まだ、村への脅威が消えたわけではありませんが、ひとまず最悪の事態は防げたと思います。今はそれでよしとしなければなりませんね……索敵を開始します」
 困窮する人々を目の当たりにすれば、やりたいことは尽きない。けれど、革命軍を近づけてしまえば、集落に被害がでる恐れがあるから、長くは留まれない。
 フィーナは雪景色に溶けるような白いローブを纏い、集落を後にした。
 万が一、敵に自分の足跡を発見され、集落までの道を教えてしまうことのないよう、フィーナは歩きながら雪を乱して足跡を消した。ざっと消しておけば、あとは降る雪が乱した痕跡も埋めていってくれることだろう。
「私も出るよ。探していない方角を教えてくれ」
 ジョルジョ・ストレッポーニ(Il Voce Grande・g10013)も、集落を出た。雪中迷彩装備を身に着け、手には双眼鏡。吹雪いても視界が妨げられぬよう、完全視界の効果も発生させておく。
 集落を背に踏み出す足が重く感じられるのは、積もった雪の所為ばかりではない。
(「もう少し早く来られたら助けられた人がいただろうか……」)
 使える時間は有効活用して支援を行ったが、助けが間に合わなかった住人もいる。寒さの限界に挑戦させられているような集落だから、ほんの少し何かがあれば、あるいはそんなきっかけなどなくとも、人は簡単に死へとおいやられてしまう。
 すべてを助けることは出来ないのは分かっているけれど……。ジョルジョは助けることのできた人の数を数えることによって、心に走る痛みを鎮めようとした。

 だらだらとした上りが下りへと転じる雪原で、プターハはいったん足を留めた。
 見下ろす土地は、大きなすり鉢状になっており、周囲にはすっぽりと雪を被った木々が立っている。
「ここに誘い込めたら一網打尽といけるでしょうか……」
 クロノヴェーダがどの位置にいるかにもよるが、誘い込みの候補地として、他のディアボロスたちにも伝えておいた。
「敵の思惑通りにさせない為に、打ち漏らしはしたくありませんからね。といっても、揃いの赤い軍服を纏っていては、雪に紛れて逃げられる恐れはなさそうですが」
「赤い服の革命軍ねえ……」
 通信に答えながら、ジョルジョは思案を巡らせる。
「(史実の革命についてはとやかく言わないが、革命家とも呼べない侵略者がそれを名乗ってるのはグランダルメと似たようなものか?)」
 その革命軍がストックホルムに一般人を連れ去ろうとしているのは、いったい何故なのか。裏にどんな企みがあるのかは分からないが、計画通りにさせてはならない。
「目立つ赤い軍服姿では、見つけてくれと言っているようなモノです。我らが来ないと油断しているのか、別の思惑があるのか……」
 革命軍がわざわざ目を惹く赤い軍服を選ぶ理由が、プターハには少し気になるところだ。
「そうだな。赤い服は非常に目立ちそうだが、敵もそれは承知だろう。あえてその恰好をしているというのなら、油断は禁物だな」
 警戒しておくに越したことはないと、ジョルジョが一層気を引き締めたそのとき。
「敵集団を発見しました」
 ささやくようなフィーナの声が、パラドクス通信を通じて聞こえた。

 赤い軍服だけに拘らず、気配や物音、足跡にも注意して索敵を行っていたフィーナは、木々の向こうにクロノヴェーダらしき一団を発見した。
 すぐさま仲間たちに連絡すると、盛り上がった雪にぴたりと身を寄せて、フィーナはその進路を窺った。
 まだかなり距離はある。だが赤の一群は、まっすぐフィーナのほうに近づいてきている。それは、フィーナが背にしてきた集落に向かっている、ということだ。
「こちらに誘導できそうですか?」
 フィーナのいる場所へと向かいながらプターハが尋ねた。
「うまくいくかどうかわかりませんが、そちらに向けて足跡を残してみます。村人の痕跡だと誤認してくれれば良いのですが……」
 誰かがこの辺りまできて、集落に帰っていった。そう思わせられればと、フィーナは目立つように雪を踏み、プターハが目星をつけた場所へと移動してゆく。
「敵に見つからないように、くれぐれも気を付けて。私もそちらに向かうよ」
 急ぎ駆けつけようと、ジョルジョはすぐに方向を変えて進んでいった。


「フロロフカ様、あそこに足跡らしきものがございます」
 ブラッディサクリファイスが示した足跡に、欺く従姫フロロフカはやや考える様子を見せた。
 そのまま進むか、痕跡を辿ってゆくか。
 足跡は目指している方向とは少しずれている。だが、この辺りには他に集落はないはずだ。この土地に留め置かれている住人でなければ、好んでこんな場所に住みはしないだろう。
「こちらに進みましょう」
 フロロフカが指したのは、足跡らしき痕跡が続く方角だった。
 集落への最短ルートではないかもしれないが、通行が困難な場所を避けてのルートの可能性があると見たのだ。
 痕跡が途切れるか、あるいは集落の住人の足跡でないと判明するまで、しばらくはこの跡を辿ってみよう。
 赤い軍服の一群は方向を変え、フィーナのつけた足跡を追い始めた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

プターハ・カデューシアス
アドリブ・連携歓迎

フィーナ様のお陰で上手く誘い込めたようですね
お疲れ様でした

仲間と通信で連携を取り、四方囲むように配備
可能であればタイミングを合わせ同時に奇襲攻撃といきましょうか

攪乱して浮き足立てば有利に戦いが進められそうです

私は桜散春風で攻撃
桜花で護衛を視覚面でも分断しましょう

そういえば、この敵
攻撃がどれも痛々しい…
いや、なんで自分の血犠牲にするのか
手数増えたら貧血にならないのですかね?
自滅してくれたら楽なのですが

反撃を受けながらそんなことを考えるも
アムリタの入っている所だけは死守しましょう
クロノヴェーダの血など取り込んでしまったら穢れてしまいますからね


フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok

無事に誘引は出来そうですが、最後まで気を抜かず、ですね。
途中で足跡が消えるのも怪しいので、誘い込む土地を越えて、森の奥まで行きましょう。
誘引が成功したら、すぐに引き返して加勢です。

機動力と足場の確保のため飛翔しますが、低空飛行に留めます。

戦闘は『極光の波動』で射撃戦。
精霊達やユリウスの力を借りて波動を放ち、敵をすり鉢の中央に吹き飛ばします。
ここから逃がすつもりはありません。
最優先は戦場を離脱する敵、次いで弱った敵。
確実に敵を仕留め、数を減らします。

敵の放つ血霧は、波動で敵諸共消し飛ばします。残った分も極力吸わないように注意ですね。

後は孤立する味方が出ないように立ち回ります。


 雪の大地に点々と足跡を刻みながら、フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)はプターハ・カデューシアス(招福龍・g03560)が目星をつけておいた窪地までやってきた。
「フィーナ様のお陰で上手く誘い込めそうですね。お疲れ様でした」
 プターハからかけられた労いに笑みを返しながらも、フィーナは進む足を止めない。
 窪地を通り過ぎてゆくフィーナを不思議に思い、プターハは尋ねた。
「どこまで行かれるのですか?」
「途中で足跡が消えていれば、敵に怪しまれる恐れがあります」
 足跡が途切れていれば、クロノヴェーダたちはそれが集落の人々がつけたものではないことに……誰かが意図的につけたものであることに気付くだろう。
 それでは攪乱の効果が下がってしまいかねない。
「最後まで気を抜かず、ですね」
 フィーナは誘い込む土地を越えて、森の奥まで足跡をつけていった。

 クロノヴェーダたちはつけられた足跡を辿って、雪原を進んだ。
「食べ物を探し歩いているのでしょうか」
「そんなことをしても、幾らも生き延びられないでしょうに」
 食べ物を捜し歩いているに違いない足跡の主を嗤いながら、ゆるやかな傾斜を下りたとき。
 ひゅうと音を立てて、鞭が風を切った。
 プターハの仕掛け式の鞭、メルセゲルが打ち振るわれたその空間に、雪ではなく桜吹雪が生まれ、舞う。
 白い雪とほのかな薄紅の桜が混ざりあって吹雪くさまは、まるで夢幻。
 だが雪がその冷たさで身を苛むように、プターハのパラドクス【桜散春風】はその一片一片が電磁波をまとう薄く鋭い刃となって身を削る。
 ブラッディサクリファイスを包み込む桜花の乱舞は、敵への攻撃であり、敵を分断する帳であり、そして同時に窪地の四方で待機していた仲間への、攻撃開始の合図でもあった。
『精霊達よ、どうか、私に力を貸して。共に歌を紡ぎ、その想いをもって極光の導きと成し、我が敵を討ち果たせ……!』
 フィーナの周囲に、雪、氷、光の三精霊が現れ、オーロラの領域を作り出す。ゆらめき輝くオーロラの中心でフィーナが歌えば、精霊たちも声を揃えて歌を紡いだ。
「ユリウスも力を貸してくださいね」
 フィーナはダンジョンペンギンのユリウスにそう言ったあと、厳しい視線をブラッディサクリファイスへと当てた。
「あなた方をここから逃がすつもりはありません」
 討ち漏らせば、そのクロノヴェーダに苦しめられる人々が出てしまう。ここで確実に断ち切らなければならない。
 フィーナの視線にそうように、魔力と一体化した氷光のオーロラから波動が放たれる。
 何事が起きたのかと、ブラッディサクリファイスは慌てて雪と桜を透かし見た。そしてディアボロスたちに気付くと、次々に自身の手首を切り裂いた。
 噴き出す血液は霧となってフィーナ周辺に広がった。吸えば体内を蝕む毒霧だ。
 その毒霧諸共、フィーナの波動がブラッディサクリファイス2体を消し飛ばした。残った霧を極力吸わぬようにと、フィーナは素早く飛び下がって避けた。
「この敵、攻撃がどれも痛々しいですね……」
 手首から流れ落ちる血液を剣の形として切りかかってくるブラッディサクリファイスに、プターハは眉を寄せた。
 自分の血を犠牲にし、自分の身をなげうって、彼女らはプターハに向かいくる。
「手数増えたら貧血になって自滅してくれたりしませんかね」
 そうすれば楽なのに、いや、そうなるほどトループス級に何度も攻撃をさせるのは果たして楽と言えるのかどうか。
「おっと……」
 反撃のブラッディブレードがアクアスライム『アムリタ』を入れているところに向かうのを、プターハは棒状に戻したメルセゲルの柄で受け流した。敵の血で出来た剣がアムリタを傷つけるなど、想像するだけで寒気が走る。
「クロノヴェーダの血など取り込んでしまったら、アムリタが穢れてしまいますからね」
 ぽんと軽く服の上からアムリタの感触を確かめるプターハの視線の先で、桜花に無数に切りつけられたブラッディサクリファイスがばたばたと倒れていった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【通信障害】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV2が発生!

小笠原・琴葉
※アドリブ・連携は歓迎※

上手く敵を誘い込んだみたいだから聞いた場所に待機
十分に引き付けてから味方と一緒に攻撃

露払いは、任せて……

スレッジハンマー片手に
敵の攻撃にひるむことなく攻撃、反撃

貴方達の…好きに、させない……
ここで、叩き伏せる……


月読・栞 (サポート)
『本はお好きですか?』
 人間のガジェッティア×モーラット・コミュ『ナラティ』、15歳の女です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、機嫌が悪いと「攻撃的(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


 誘い込みに成功しそうだというパラドクス通信を受けて、小笠原・琴葉(揺蕩う亡者・g04432)と月読・栞(新宿駅文庫の時先案内人・g03459)は窪地へと駆けつけた。
「あれが、革命軍……」
 戦闘開始の合図を待ちながら、琴葉はそっとクロノヴェーダたちを観察した。
 揃いの赤い軍服。そして顔をぐるぐると覆った包帯。
 見れば見るほど異様な一群だ。
「あの恰好がクロノヴェーダ流の美意識なのでしょうか」
 理解しがたい様子で栞は首を振る。雪の白さと対比しての赤は、まるでこの地を汚す血だまりのようだ。
 移動してくる赤を息を殺して見つめることしばし。
「行きます」
 パラドクス通信から連絡の声、そしてプターハが振るう鞭が桜吹雪を生み出した。
 それを見て取った瞬間、琴葉はスレッジハンマーを握りしめ、ブラッディサクリファイスへと駆けた。
「露払いは、任せて……」
 勢いを付けて振り回したスレッジハンマーを、琴葉はパラドクス【パワースイング】で敵へと叩きつける。
 力任せ。それは琴葉にとって、もっとも単純かつ高威力な攻撃方法なのだ。
 ハンマーで殴りつけられたブラッディサクリファイスがバランスを崩す。崩れた体勢を立て直そうと踏みしめた雪が、ぐっと沈み込んだ。
 ブラッディサクリファイスは憎々しげに琴葉を睨みつけながら、自らの手首を切る。
 溢れた血は脈動するウォーターカッターとなり、琴葉の腕を切り裂いた。それでも琴葉はひるまない。
「貴方達の…好きに、させない……ここで、叩き伏せる……」
 スレッジハンマーを握り直すと、再び大きく振りかぶった。
 栞は血の剣を掲げるブラッディサクリファイスへと問いかける。
「血を武器にしているようですが、一番強い武器が何か知っていますか?」
 その答えは栞のパラドクスにて。
『ここに綴られたは希望の物語……現れ紡げ、勝利の頁を!
 現れたのは無数の本。
 ペンは剣よりも強し、つまりそれがまとめられた本は何よりも強きもの。
 ブラッディサクリファイスのウォーターカッターなどなにほどのこともないとばかりに、栞は出現した本を叩きつけた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【怪力無双】LV2が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

ジョルジョ・ストレッポーニ
※連携・アドリブ歓迎
味方の効果も有効活用

味方が上手いこと誘引出来たようだ
私が台無しにしてしまわないよう気を付けねばな

目的地まで自分の足跡は残さず静かに【光学迷彩】を纏い、【飛翔】の低空飛行で急行
出来れば敵を囲めるように【PD通信】で仲間としっかり打ち合わせて奇襲

敵群の足元を【泥濘の地】にして足止めして
戦場から抜け出そうとする敵から優先的に狙って行こう
王佐土砂計で土石流をぶつける
敵の攻撃手段となる血を押し流してやりたいが逆説連鎖戦では必ず反撃を喰らうか…
魔力障壁でダメージを抑え、《呼吸法》で早く毒霧を吐き出そう

自らの血を流して武器にするのは痛々しいが
あの集落の悲惨さを思えば同情など出来ないな


フルルズン・イスルーン
あるいは、キミ達はあの集落に住む人たちの救いであったし、
それを妨げるボク達はお門違いかもしれない。
でも、そもそも移動許さず苦境に置いてるそっち側なんだよねぇ。
理不尽強いても許されるのは神と大自然とボクだけって知らない?

さあ、氷礫の如く敵を撃て! アイスゴーレム!

良い仕事だ。
待ち伏せを疑う余地がないからねぇ。
こんな風に素直に引っかかってくれる。
残念賞は更なる吹雪をプレゼントだ。そのまま寒さで倒れても良いんだよ?
まだ頑張るつもりなら、ゴーレムくんの冷たくかたーい四肢が打ち据えるので覚悟するように。

偽りの救援隊は氷に閉ざされるがいいよ。


「上手いこと誘引出来たようだ」
 パラドクス通信を受け、誘導地点へと急行したジョルジョ・ストレッポーニ(Il Voce Grande・g10013)は、身を隠しながら窪地を見下ろした。味方が導いてくれたこの状況、自分が姿を見られて台無しにすることのないように。
 一面の銀世界。
 そこを横切る足跡と、足跡を辿る赤の一群。
「良い仕事だ」
 フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)はうむうむと満足そうに頷いた。
「待ち伏せを疑う余地がないからねぇ。こんな風に素直に引っかかってくれる」
 革命軍の彼女らが目しているのは、集落に行き、一般人をストックホルムに連れてゆくこと。容易い任務に向かう足取りに警戒は見られない。
 革命軍を取り囲むように手分けして散らばると、ディアボロスたちは戦闘開始の合図を待った。

 戦いの火ぶたを切って落としたのは、プターハの桜散春風。
 その合図を受け、ジョルジョは桜舞う戦場へと、パラドクスを放った。
 使用するのは【王佐土砂計】。
 生み出された土砂は斜面をすべり、ブラッディサクリファイスを土石流に巻き込んだ。土砂はそのまま場に残ってぬかるみ、【泥濘の地】と化す。
 不意を突かれて流されたブラッディサクリファイスは、土砂をかいて這い出た。
 白い服装は泥に汚され実に無残な見た目だ。その上に、ブラッディサクリファイスが切り裂いた手首から溢れた血液が、今度は赤い染みを広げる。それだけに留まらず、血液は赤い霧となってジョルジョへと押し寄せてきた。
 ブラッディサクリファイスの攻撃手段は、自らの血。
 自分を切り裂くその様子は見ていて痛々しいが、
(「あの集落の悲惨さを思えば同情など出来ないな」)
 心を揺らさず、ジョルジョは周囲に魔力障壁を展開する。
 障壁を回り込んでなおも迫る毒の霧が体内から侵食してくるのを、ジョルジョは痛みを堪えながら吐き出した。
「キミ達はあの集落に行こうとしてるんだよね」
 フルルズンは赤い軍服の彼女らを、じっと見下ろした。
「あるいは、キミ達はあの集落に住む人たちの救いであったのかもしれないし、それを妨げるボク達はお門違いかもしれない」
 革命軍が何を目的として住人たちを連れて行こうとしているのかを、フルルズンは知らない。
 だが、吸血ロマノフ王朝の中でも特に厳しいこの地域に留め置かれている集落の人々にとっては、ストックホルムに移住させようという革命軍は、有難い存在となったことだろう。
「でも、そもそも移動許さず苦境に置いてるそっち側なんだよねぇ。理不尽なことに」
 そう言って、フルルズンは革命軍に笑みを向ける。
「知らない? 理不尽強いても許されるのは神と大自然とボクだけだってこと。――さあ、氷礫の如く敵を撃て! アイスゴーレム!」
 呼ばわると同時に、フルルズンの中に宿る氷結魔法が高速で構築されてゆき、氷雪のゴーレムを物質化した。
「目的が果たせなくて残念だったね。残念賞に更なる吹雪をプレゼントだ」
 アイスゴーレムが周囲一帯に冷気を放つ。それでも踏ん張ろうとするブラッディサクリファイスを、ゴーレムの冷たく硬い四肢が容赦なく打ち倒した。
 倒れながらも、ブラッディサクリファイスは最期の力でフルルズンを血の毒霧で包み込んだ。
 内側から蝕んでくる霧に咳き込み、だがすぐにフルルズンは顔を上げてブラッディサクリファイスたちを見据える。
「偽りの救援隊は氷に閉ざされるがいいよ」
 集落の人々が必要としているのは、本当の救い、本当の未来。
 そうはなり得ない革命軍はこの場で氷漬けになってもらうとの意志をこめて。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok

後は貴方を残すのみ。
北欧の人々をこれ以上苦しませる訳にいきませんから、貴方もここで倒します。

機動力と足場の確保を兼ねて、『輪舞曲』で精霊と憑依、次いで飛翔し低空飛行。
また、細剣にも精霊の魔力を宿らせてパラドクスの一撃とします。

敵が銃火器と弾丸で追尾を狙うなら、此方はそれを上回る機動力で引っ掻き回すまでです。
まずはユリウスに魔弾での牽制をお願いして敵を足止め。
その隙に敵に接近し、細剣で刺突攻撃しながら接近戦に持ち込みます。
さて、銃剣術か体術か、接近戦の心得はありますか?

敵からの攻撃は、魔力障壁を張って防ぐか、銃火器を破壊して射撃妨害。
あるいは敵との位置入れ替えで自滅狙いです。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
寒冷適応、他効果を使用

モスクワから繋がった、赤い軍服……ラスプーチンの思惑、ここで潰そう
この地の人々に、ただ平穏な暮らしを

パラドクス通信で情報を受け合流
雪の中で赤い服など目立って仕方なかろうに

偵察、観察しつつ戦況を把握、雪中戦
宙に絵筆で敵の分身を描き出し、対峙させよう
己の力量を知るならば、どう出るか
泥濘の地で足止めしつつ
分身から銃で狙撃と見せ、取っ組みあいで動きを封じる等
味方の攻撃へつなげよう
敵の動きを観察し銃撃のタイミングを読み
攻撃の合間や、仲間との攻防から生まれる隙を看破

反撃には魔力障壁を展開し防御
盾で銃火器自体を振り払いつつ、方向を逸らしガード

革命軍の謀略はここで阻止する


プターハ・カデューシアス
アドリブ・連携歓迎
残留効果・技能は適宜利用

ヴァンパイアノーブルは「隷属」がエネルギー源
しかも支配地域の人間は多いほど、過酷な状況下であるほど搾取できるとか

ならば、みすみす革命軍の拠点に集めさせるわけには行きません
わざわざ過酷な生活をさせてから、親切なそぶりで拠点へ誘い
待っているのは更に劣悪で支配された環境なのでしょうか?
革命軍…、集めた人間達で一体何をしようとしているのか
どちらにせよ、碌な事ではないでしょう
邪魔立てさせて頂きます

竜翼翔破で一撃離脱戦
無数の弾丸を全ては避けられないでしょうが
できる限り「指定範囲」外の上空に飛翔し躱しましょう
仲間とは可能な限り連携し
P弱点の仲間にはディフェンスを


 ブラッディサクリファイスが倒された戦場に立つ敵は、『欺く従姫フロロフカ』ただひとりとなった。
 フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)はフロロフカを見据えた。その身には次々と、精霊が加護をもたらさんと憑依してゆく。
 満ちる力を感じながら、フィーナは抜き放った白銀の細剣『ヴィントリート』を、山猫のような鋭い目つきでフロロフカへと突き付けた。
「後は貴方を残すのみ。北欧の人々をこれ以上苦しませる訳にいきません。貴方もここで倒します」
 自分に向けられている剣に動じた様子もなく、フロロフカは嘯く。
「極寒の飢餓から逃れられるのです。苦しむどころか感謝して良いのではありませんか」
 フロロフカはディアボロスたちが既に集落を訪れ、食料支援をしたのを知らない。
 ひとまず集落は飢えから脱している。とはいえ、生きていくのが難しいこの地から、ストックホルムへ移れると聞けば、人々は涙を流さんばかりに喜ぶことだろう。
 だが、とプターハ・カデューシアス(招福龍・g03560)は考える。
(「ヴァンパイアノーブルは『隷属』がエネルギー源。しかも支配地域の人間は多いほど、過酷な状況下であるほど搾取できるとか……」)
 ならば、その思惑通りに動かされるのが、人々の為になるとは到底思えない
「わざわざ極寒の地から移動を禁じて過酷な生活を強いておいて、親切なそぶりで革命軍の拠点へと誘う。その先に待っているのは、更に劣悪で支配された環境なのではないのですか?」
 革命軍がなんのために人々をストックホルムに集めようとしているのか、その理由はまだ判明していない。だがおそらく碌な理由ではないのだろう。
「邪魔立てさせて頂きます」
 プターハは包帯の下を見通すような目で、フロロフカに宣言した。
「そうだな。モスクワから繋がった、赤い軍服……ラスプーチンの思惑、ここで潰そう」
 パラドクス通信を受けて駆けつけたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が頷く。
「革命軍の謀略はここで阻止する」
 この地の人々に、ただ平穏な暮らしがあるように。そう願いながら宙に伸ばしたエトヴァの手が握るのは、青水晶の柄を持つ絵筆。
 筆先はさらさらと宙を滑り、色づける。
 宙に描かれたのはフロロフカの姿。
 描き終えると同時にそれは実体を持ち、フロロフカへと銃を向けた。
 さあどう出るか。
 観察しているエトヴァの視線の先で、有利な位置に立とうとしてかフロロフカは身軽に下がろうとし……その足が、展開されていた泥濘の地の泥をはね上げた。
 フロロフカの包帯のような覆面をした顔が、ちらりと足下に向けられる。
 その一瞬に、リアライズペイントで描かれたフロロフカの絵姿が、本物のフロロフカを狙撃……と見せかけて、躍りかかった。
 不意を突かれたフロロフカはバランスを崩し、泥の上に押し倒された。
「……っ」
 転倒しながらも、すぐさま反撃のトゥリードゥヴァーの囁き。
 突如として真横に出現した銃火器を、エトヴァは盾で振り払いながら、魔力障壁を展開した。
 撃ちだされた銃弾がわずかに方向を逸らされ、魔力障壁に減衰されてエトヴァへと届く。
 その銃弾の軌道に意識を向けながら立ち上がろうとしたフロロフカは、はっと何かに気付いて顔を上向けた。
 だがその時には既に、プターハはフロロフカ目掛けて急降下。
「狙ってくださいといわんばかりの服装ですね」
 白い雪にも泥濘にも、赤い軍服はくっきりと目立つ。
 恰好の的へとプターハは竜翼翔破を食らわせた。
 攻撃をまともに受けたフロロフカは、泥から立ち上がるタイミングを逸した。だが反撃は抜かりなく、銃火器でプターハを取り囲む。
 降下から一転、急上昇へと変じ、範囲からの離脱を目するプターハを追うように、銃口が火をふいた。
 それと同時に、フロロフカの間近で魔弾が炸裂する。
「ユリウス、ありがとう。――さて、銃剣術か体術か、接近戦の心得はありますか?」
 低空飛行で素早くフロロフカに迫ったフィーナは、しなやかな動きでヴィントリートを突き出した。
 パラドクス【精霊の輪舞曲】は、精霊の憑依によって、山猫のような身のこなしや神速をフィーナへともたらす。
 接近戦に持ち込まれたフロロフカは細剣を銃で振り払おうとした。だが転倒したままの体勢ではその動きはうまくいかず、ヴィントリートでの刺突をまともに受けた。
 細剣につけられた傷口を抑え、フロロフカが無言で呼び出す【トゥリードゥヴァーの騒めき】。
 覆面に隠されたフロロフカの感情を表すかのように、銃弾は魔力障壁を砕きながらフィーナを狙い撃った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【猫変身】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!

ジョルジョ・ストレッポーニ
※連携・アドリブ歓迎
残留効果活用

この歌(PD参照)を作った音楽仲間は
ロマノフにはもっと酷い、陰湿で残虐な変態までウヨウヨいるとも言っていた
そこまで行かなくともさっきの集落のように限界まで追い詰められている人々が大勢いるのだ…
いつか全土を奪還する日まで対峙するヴァンパイアノーブルにこの歌を叩きつけ仕留めていこう
願わくば人々にも抵抗の意志が届くように

【泥濘の地】で足止めしながらPDで身も心も削り
反撃には魔力障壁を展開、急所を武器でガードして致命傷を防ぐ


※PDの歌詞の続き↓(激しく力強い曲調になる)

屈従の日々に別れを告げよ
復讐者という名の剣を取れ
我が怒りは焔の矢となり
我が血涙は氷の刃となる


フルルズン・イスルーン
さあ、終わりの時だ。
もはや軍と呼べるような数でもなし。
如何なる企みと言えど、一人で成せるようなものじゃないだろう?

グレイシャー・ゴーレム。圧倒せよ!

凍土より掘り起こされしゴーレムが今盾を構えて突撃をする。
もしそのライフルが今踏みしめてる地面を割れるというなら、撃退出来るだろう。
出来るものならして見せるがいい。

ギリギリの回避を狙うかい?
ならば盾の内より氷の剣が伸びてキミを貫く。
鋭く冷たい刃を味を知ることになるだろう。

何処までも距離を置くのは悪手だね。
ここにはボクとゴーレム以外にもたくさんいる。
なにより、ゴーレムは何処までも追い続けよう。
そして、最後にはその背に剣が飛ぶだけさ。


リュウ・ターレン
アドリブ/連携歓迎
POWディフェンスで周囲の味方を守る

人々がほんまに欲しいんは安寧に暮らせる未来。
さて、与えられるかどうかはお前らには無いと思うで。
お前らも人ではなく。クロノヴェーダなら。
得る方法は結局のところ吸血鬼たちと同じであるならば。
違うというのならその方法を見せえ。

パラドクス発動。魔力の弾丸を発射する。
相手の銃火器も全部全部。薙ぎ払え!
ダメージも反撃も織り込み済み。致命傷さえ避けて耐えればいい。


 ディアボロスの攻撃によって、フロロフカには負傷が刻まれてゆく。
 鮮やかに赤い軍服も破れ目を見せ、色に紛れて目立たないが血の染みも広がっている。
「もはや軍と呼べるような数でもなし。如何なる企みと言えど、一人で成せるようなものじゃないだろう?」
 ひとり抵抗して何になるのかと言う、フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)にフロロフカは答える。
「人間どもを連れてゆくなど、私ひとりいれば出来ることです」
 喜んで着いてくる者たちを先導するだけだ。目が行き届かなくなる分、途中で死ぬ者が増えるかもしれないが、それだけのこと。減った分は他で調達すれば良い。
 そんなフロロフカにリュウ・ターレン(奪われた者。奪い返す者。・g07612)は視線を当てる。
「人々がほんまに欲しいんは安寧に暮らせる未来。お前らには到底与えられそうには無いなあ」
 極寒の地からストックホルムに移動したとしても、人々に安寧の未来はやって来ないだろう。革命軍は人ではなく、クロノヴェーダなのだから。
「結局のところ、得る方法は他のヴァンパイアノーブルたちと同じなんやろな。違うというのなら」
 猟銃の名を持つヴァンパイアノーブル、フロロフカへとリュウは水晶の万年筆を掲げた。
「その方法を見せえ」
 デーモンの力を宿した魔晶筆が、空に文字を描き出す。
『我空にえがく。その字は飛と弾。即ち、飛ぶ弾丸。なんてな。』
 パラドクス【字曰「飛」・「弾」】。
 デーモンから引き出されるのは、『飛』と『弾』……空中を飛ぶ力、それをもって魔力の弾丸をフロロフカへと発射する。
「全部全部薙ぎ払え!」
 リュウが弾丸を浴びせれば、フロロフカはその周辺に無数の銃火器を呼び出し、凄まじいばかりの弾丸を浴びせ返す。
 そんな反撃も、反撃から受けるダメージも織り込み済み。リュウは致命傷を食らわないことにのみ注意を払い、フロロフカからの銃弾に耐える。
「結構な武器を持っているようだね。だけど、その猟銃は今踏みしめてる地面を割れるのかな? ならば撃退も出来るだろうが」
 出来るものならしてみせるがいいと、フルルズンは両手を広げた。
『凍てついたる 氷河の 闘争』
 構築された氷結魔法が生み出すのは、永久凍土のゴーレムだ。
 凍土を複合装甲とした鎧、手には氷の剣と盾。帯びたルーンは”ᛏ”。
「グレイシャー・ゴーレム。圧倒せよ!」
 流麗に動く芸術品。戦闘特化のゴーレムが、盾を構えて突撃する。
 フロロフカは真正面から攻撃を受けるのを避けるように、横に飛びのいた。
「ギリギリの回避を狙うかい? ならば」
 フルルズンの言葉に重なるように、フロロフカが短く声を上げた。
 グレイシャー・ゴーレムがフロロフカの横を過ぎる、瞬間。盾の内から氷の刃が伸び、フロロフカを貫いたのだ。
「鋭く冷たい刃の味はどうかな」
 フルルズンへの応えは、
「弾丸の味よりは落ちると思います」
 絞り出すような声と、至近距離に現れた銃火器からの弾丸で。
 その声からは、これまで受けてきた傷の深さが窺えた。
 必ず倒しきる。その決意をこめて、ジョルジョ・ストレッポーニ(Il Voce Grande・g10013)は抵抗歌『復讐者という名の剣を取れ』のうちの、ロマノフに生きる人々の悲哀と絶望を描いた一節を歌い続ける。
『♪ 涙も凍る雪原の風 残るは無力な己のみ 氷獄で抑え続ける嘆き 胸の中に燻ぶるもの』
 歌はパラドクス【雪原の嘆き】を発動させ、フロロフカの精神を苛み削り取っていった。
 フロロフカからの反撃に反射的に急所をかばった十字架の短剣が、銃弾の威力に振れる。フロロフカが傷を受けているように、ジョルジョもまた幾つもの銃弾を受けているが、ひるんではいられない。
『♪ 屈従の日々に別れを告げよ 復讐者という名の剣を取れ』
 ジョルジョが歌う抵抗歌を作った音楽仲間は、ロマノフにはもっと酷い、陰湿で残虐な変態までウヨウヨいるとも言っていた。そこまではなくとも、さっきの集落のように限界まで追い詰められている人々が大勢いる。
「(いつか全土を奪還する日まで、対峙するヴァンパイアノーブルにこの歌を叩きつけ仕留めていく)」
 願わくば……人々にも抵抗の意志が届きますように。
『♪ 我が怒りは焔の矢となり 我が血涙は氷の刃となる』
 歌い続けるその先で、フロロフカの姿勢が崩れていった。
「そろそろおしまいやね」
 リュウが宙にくっきりと描く『飛』と『弾』。
 避けようと身を翻すフロロフカ。
 その背にグレイシャー・ゴーレムの氷の剣が振り下ろされる。
 反撃の銃弾をばらまきながら、赤い軍服姿のフロロフカは泥中に倒れ伏した。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【寒冷適応】がLV2になった!
【アイスクラフト】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダブル】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2023年08月06日

北欧革命軍移住阻止作戦

 潜入作戦の結果、ストックホルムの住人が、北欧の集落で集められた一般人である事が判明しました。
 攻略旅団の方針に従い、北欧の集落から一般人を連れ去ろうとする革命軍を撃破する作戦を行ってください。

 この作戦を成功する事で、ストックホルムに新たな一般人が集められることが無くなり、革命軍の計画を狂わせることが出来るでしょう。

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#吸血ロマノフ王朝
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#北欧革命軍移住阻止作戦
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#革命軍
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#北欧


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選択肢『敵部隊哨戒任務』のルール

 周囲を警戒し、近づいてくる敵部隊を発見します。
 うまく成功すれば、敵に発見される事無く、一方的に発見する事が出来ます。
 一方的に敵を発見する事で、後の行動の成功率が大きく上昇する場合があります。
 周囲の状況や、近づいてくる敵部隊に関する情報などは、オープニング及びリプレイを参照してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『一般人への食糧支援』のルール

 なんらかの理由で食糧が不足している地域の一般人に、食糧を振舞って支援します。
 新宿島には食糧が充分にありますので、ディアボロスが自力で持ち運べる分は任意に持ち込めます。
 残留効果などの工夫があれば、より多くの一般人を支援できます。
 食糧を振舞うと同時に、支配者であるクロノヴェーダへの不満や不信感を増大させるような工作を行っても良いでしょう。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾護衛するトループス級『ブラッディサクリファイス』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『欺く従姫フロロフカ』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「ティベルデ・バルツァー」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。