リプレイ
赤上・イズル
■アドリブ・絡み歓迎
感情のない俺でもこんな事態はむごい事と思います
まだ、救えるのですね。ならば幸いです
マリコさん、行きましょう。エルフの子供達を助ける為に
モーラットのマリコさんに声をかけ出発
妖精郷に入り村人と接触
攫われた子供達を助けたいと思い来ました
これから子供達を探しに森へ行こうと思います
どうか情報を教えてください
【情報取集】を駆使して村人たちに話しを聞き回りそこへ至る順路を入手する
孫を攫われた老女に「必ず助け出します」と真摯に伝える
【パラドクス通信】を発動させておいて同じく来てくれるディアボロス達と通信が出来るようにしておく
ゼルギウス・パティオ
機械化ではなく、妖精種とはいえ生物をクロノヴェーダ化する技術。私のクロノヴェーダ生体工学兵器仮説を立証するいいサンプルになりそうだ。妖精種自体も気になる所だ。彼らはクロノヴェーダを間に挟んで対立しているようだが、我々がディヴィジョンを調伏した暁にはどのような扱いになるのだろうかね。
戦闘員出撃を展開し、一体を子供らしく変装させて私の孫に見せかけて情報を聞き出そう。孫の一人が行方不明になってしまったが、何か知らないかと。謝礼は金額等ではなく、もし子どもを見つけ出せたなら共に連れ帰るということで交渉してみようか。
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
獣神王朝エジプトのリターナーをマミーとする儀式…どのクロノヴェーダも戦力増強に余念が無いわね
善き魔法の竜神として、その非道を許す訳にはいかないわ
妖精郷の村民を●観察
誘拐事件に思う所ある住人や縁者を●看破
私達は子供達を追っているの
ドラゴンを妖精郷より退けた存在の噂はご存知かしら
そう、それが私達ディアボロスよ
貴方達が畏れる森の存在もきっと退けてみせるわ
行方の手掛かりや心当たり、森で気を付けるべき事があれば教えて頂けるかしら?
子供達それぞれの名前や嗜好、為人についても知りたいわ
怪物に変じても、早い段階なら私達は元に戻す事が出来る
だけど重要なのは当事者の意志
子供達の心に届く呼び掛けの為に必要なの
3名のディアボロスたちは、誰ひとり何を言うでもなく、村の手前で別れた。
その内の一人、ゼルギウス・パティオ(人間のデーモンイーター・g04932)。知識欲を鉄面皮の裏に隠し、歩を進める。
「私はそのような存在を連れているわけではないが」
風が吹いた。枯れ木の間を吹きすさぶような、不気味なその音は、メロディに化す。
「孫、というものは、ときに有効に活用できる」
はためく白衣の裾、ゼルギウスの足元に、すると一体の小妖精が抱きついていた。ゼルギウスはかれに小さな服を着せ、眼鏡を与え、人間の子供に見えるように変装を施す。
「よろしい。では君は今からしばらくの間は私の孫だ。そのように振る舞い給え」
「パラッ!」
言われ、好奇心を隠さず駆け出す子供のように振る舞うそれを、ゼルギウスは鷹揚に追った。
と――。
「あの子はあなたの家族かい」
「そうだが」
言われ、答える。振り向くと、現地のエルフらしき男がいた。疑い深い、鼠のような目をしている。
没交渉は時間の無駄だと、ゼルギウスから言葉を発した。
「あの子のきょうだいの一人が近くの森で行方不明となったと聞き、こうして私自ら捜索に来たのだ。もっとも、アレにそういう事情は関係ないらしいが」
「人間の仔もか? 考えにくいが……」
「うん?」
「……なんでもない、忘れてくれ」
あからさまな失言だったと、男はそういう表情をしている。
ここをあまり深く追求しすぎると、協力関係を失うかもしれない。ゼルギウスはそう判断し、事前情報の確認に話題を変える。
「この村でも、そのような事件が起きていると聞いた」
「ちょうど、あの仔ぐらいの歳さ。……歌が聞こえると言っていた。気をつけさせろよ」
「そうさせてもらう、ありがとう。他になにか、知っていることはあるかね」
小妖精がこちらに戻り、孫の演技を続ける。ゼルギウスは、その頭を優しく撫ででやる演技をした。
「……他には何も。だが気をつけろよ。目を離したりしないように」
「ああ」
男は一礼し、道を引き返していく。ゼルギウスは踵を返し、森への道を進んだ。
得られた情報は――『攫われるのはエルフだけ』ということ。十分な収穫だ。
「なるほどね」
木陰から、若い女の声がした。ゼルギウスは小妖精を格納し、そちらに目線を飛ばす。
「聞いていたのかね」
「一部始終」
女――ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)は、すると男の後を付けて行く。
集落のある方向だ。
「もうすこし情報が欲しい。特に子供たちの名前ね。
呼びかけるにしても、名前を知っているかいないかは、大きな違いだから」
「なるほど、一理ある。後ほど私にも共有させてくれるかね」
「当然でしょ。同じディアボロスですもの」
「ふむ」
ゼルギウスとツィルニトラはそこで別れた。
ツィルニトラが集落の入口まで来ると、なにやら騒ぎになっているらしく、人々の話し声が聞こえてくる。
「声のトーンからして、ケンカではないようだけど」
中央広場、エルフたちの肩越しに中央を見ると、どうやら三人目のディアボロスがそこにいるらしい。
「――どんなに些細なことでも構わない! 森の事、子供たちの事、この事件に関わりそうならなんでもいい! 俺に教えてくれないだろうか?」
柄になく大きな声を出しているのは、赤上・イズル(無銘の刃・g04960)だ。モーラット・コミュの『マリコさん』は、彼の肩に後ろ向きに立ち、それとなく周囲を警戒している。
「ん……じゃ、私も乗りましょうか」
ツィルニトラは人垣をすり抜け、イズルの横に立った。胸に手を当て、堂々と訴える。
「皆さんは、ドラゴンを妖精郷より退けた存在の噂はご存知かしら。
竜鱗兵の攻勢を、ドラゴンそれ自体を、単純な武力で退けた、そんな存在のことを」
「ドラゴンを……?」
その単語には、否応なくの反応があるらしい。イズルが続く。
「そう。それが俺たち、ディアボロスです。
だから――と言うわけでもありませんが、俺たちのすることに、どうかご協力いただけないでしょうか?」
「こればかりは、信じて、と言うしかないわね。でも私たちは本気。
本気で、子供たちを助けたいの。それには貴方たちの助けがいる。
助けてくれるなら、貴方達が畏れる森の存在も、きっと退けてみせるわ」
村人たちがざわめく……その間を、一人の老女が割って現れた。
走るほどの速さではなく、歩くだけの弱々しさでもなく。
「エダのこと……グレダちゃんのこと……本当に?」
イズルは膝を曲げ、老女と目線の高さを同じくした。
「……はい。はい! お約束します、必ず!」
「――わたしじゃ、わたしじゃどうにもできなかったの! ねえ、お願いよ!? お願いだから、エダもグレダちゃんも、ネイミちゃんもユールちゃんも、ヒヒキちゃんもシオネちゃんもパーシタちゃんも、お願いだから、どうか……ッ!」
老女が、イズルの胸の中で少女のように泣いた。本当の感情のゆらぎ。
それを目の当たりにしてイズルは何を思うのか――。
「……」
ツィルニトラも、エモを引っ張られるのをぐっと堪えて、今出た『子供たちの名前』に反応した大人たちを見極めた。
――その中で、最も感情のブレが大きかった夫婦を、選んで話しかける。
「ね。どんな子供だったのかしら。聞かせて?」
「ひ……ヒヒキとシオネは、中の良い双仔でした。どこに行くにもいつも一緒で、女の仔なのに冒険が好きで、森は危ないから深くに行くなって、いつもあれほど――」
「うん。うん……」
……あ、ダメだこれ。泣いちゃうかも。
ツィルニトラは、瞳の潤いを、まばたきで押し留めようとした。
「どこで知ったのか、あ……あの仔たちは、『森の秘密』を使って、森に入ってしまったようなんです」
「おい! それは!」
外野から非難の声が上がるのを、別の男が制す。
「いいんだ……いいんだ。ここで教えない後悔は、ぜったい、大きくなる」
「――ああ。そう、だな。そうだ、確かにそう……だ」
シン、と集落が静まり返った。その静寂を、おそらく権力者の娘であろう、若いエルフの女の一声が、静かに破った。
「皆さんのお仲間に伝えてください」
と、成り行きを見守っていたマリコさんが、ぴんと立った。
これより伝えられる重要な情報は、付近のディアボロスに伝達される――!
「では、森の秘密をお教えします。代々伝えられてきた、この森を作るルール。
すなわち、『赤い花は右、青い花は左』。すべての曲がり角でこのルールを守れば、森の深奥へとたどり着けるでしょう。
さもなくば、森の迷宮は侵入者を惑わし、あらぬところへと導きます。
これこそがルール。代々守ると決めてきた、この森の決定事項――」
「赤い花は右、青い花は左……ですね」
イズルは復唱し、深く胸に刻みこんだ。ツィルニトラも、また……。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
緋詠・琥兎
………随分と、胸糞悪い趣味を持っているようだな
何故、子供を狙うかは知らんが
見つけ出そう
…………本当は気乗りしないが、いざという時は燈杜美も頼む
村で得た情報を元に迷宮森林の中を探索
輝華護颯で【植物活性】を使い
話せる妖精郷の森の植物たちにコンタクトを試みよう
その間に燈杜美に何か歌が聞こえるなどの異変があったら伝えるように頼んでおく
異変があれば、罠などに気を付けて燈杜美に誘導してもらう
森が何の反応も示さないようであれば
燈杜美と共に奏でる音楽に浄化の力を更に込めて
輝華護颯を謳おう
植物知識や光使いなどでわかることがあれば
それも留意して後のディアボロスに伝えるようにする
アドリブ
連携歓迎
ざわざわと自然を嘯く葉陰が、エルフたちのうめき声にも等しい、この森。
不穏な予感が、踏み入る最初の一歩から絡みつく。
緋詠・琥兎(歴史の侵略者処刑代行請負人・g00542)の横には、オラトリオ『燈杜美』が、そっと寄り添っていた。
「…………」
燈杜美の手前でなければ、唾棄しそうな程に、ここは琥兎の気分をも悪くさせる。
見た目は間違いなく美しいから、なおさら――。
「――さて。花の色と、歌だったか。燈杜美も何か聞こえたら、私に教えてほしい」
頷きの気配が知れた。琥兎自身も耳を澄ます。
……さささ、すそそさ。ただ、ただ、木陰が嘆いていた。
「(話に聞く『聞いたことのないような高音の歌』では無いが)」
依然その声からは、苦しみ以外の感情を伺い知れない。であれば、やはり。
「森は弱っている……と、判断すべきだろうな」
これらは病床だ。末期の死の病に侵された、希望のない患者たちの嘆きが、残っている。
その病の大本を、自分たちが『担わされている』という後ろめたさが、汚れた泥土となる。
森の精神を磨り潰すには十分だろう。琥兎の肩に触れた燈杜美は、既に楽器を携えていた。
「…………ああ。やろう。この森に息吹を吹き込もう、燈杜美」
そして少女天使は地面に降り立った。背中合わせ、寄りかかる琥兎だけを自立のよすがとして、呼吸する。
琥兎は肺腑を開いた。己の内のがらんどう。
燈杜美の奏でる優しい音楽が、その虚構にこそ、響く。
――輝華護颯(フロース・トゥテラヴェン)。
「(儚くも その緑の輝きよ)」
「尊き息吹と為りて 駆け抜けん」
ざあっ。
と、風の疾さで、彼女たちの願いは音楽となって駆け抜けた。
その足跡に――ぽん、と白い花が咲いた。
ぽん、ぽん。ぽ、ぽぽぽぽぽぽぽぽぽ。
花咲く木にはその花が。咲かぬ木にはヤドリギが。咲く、咲く、咲いて咲いて咲いて笑って。
「――――――♪」
燈杜美は彼処に居て演奏を続ける。琥兎は其処から離れて前へ進んだ。
別天地かと、見違えるようだ。琥兎は他意なく、手前の花を拈華する、と。
「……? これは……」
その白い葛の花に、血液でも通ったのか、赤の色がついた。
娘の話を思い出す。曰く『赤い花は右、青い花は左』。目印に植えられているものかと思ったが。
「森自身が、教えてくれるのか」
……さささ、すそそさ。そうだよ、そう。ありがとうね。
その声は、確かに人の声として、琥兎の耳に届いた。
成功🔵🔵🔴
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
フェルナンデス・ミカ
アドリブ連携うえるかむ
アイアンブレインの能力で周辺地域と自分を
ハッキング
自分の位置情報を書き換えフェイントをかけながら移動し続け
森の迷宮を広範囲に
高性能レーダーの電波を
アイアンブレインから飛ばしてマッピング
情報収集完了
機械を持った仲間に
森のマップを
注意点を添え送信
提供しておく
サイキックオーラで
障害物から身を守ったり
どかしたりして
忍び足で進む
妖精郷の植物は
村を目指す者達を迷わせようとしてきて厄介
簡単な会話は可能らしい
意思の疎通ができそうな植物を探しだし
植物に合った性質の液体肥料アンプルを提供し
機嫌をとる
ミカの見つけ出した
森の地図を紙に書いて見せ行方不明になったエルフの居場所を聞いてみる
「わ、ここの次元ぐっちゃぐちゃ……負荷だけですごいことにならないかな?」
空を仰ぎながら、フェルナンデス・ミカ(アイアン・ブレイン・g03347)が何かを言っている。
ただ、実際に彼女が見ているのは、あれらの不気味な木々の森ではない。脳内に埋め込まれたハッキングツール『アイアン・ブレイン』が意識領域に構成している、WIPなこの森のマップだ。
「この辺独自の魔法体系かなあ……あ、ホール見っけ。よしよし、いい子いい子……」
察するにどうやら佳境らしい。両手の指が、一見アトランダムに動いている。
「ッターン……」
と、左右同時に、何かしらのキーを威勢よく叩くようなジェスチャー。
ミカの施した対界ハッキングは、同時に二つの効果をもたらした。
『/put number(32,58,08) into _geomegrid(00,00,00) -f5』
――シュンッ。
まずはミカの姿が消えた。前述の命令文が、元いた場所に発光しながら現れて薄れる。
「……よし、かべのなかにいない」
そこから少し離れた木枝の上に、ミカはいた。満足げな笑みを浮かべて、端末を取り出す。
「古い構文だけど、動いてよかった。マップの測量も実装済み……と」
実際の所ミカは、自分の再描画を世界に命じていたのだ。ただし、そこから座標を変えて。それが一つ。
もう一つは、手元の端末にアップロードした、アイアン・ブレイン内のデータ。それが今、再配布可能パッケージにコンパイルされ、端末もディアボロス専用の通信機に接続された。
「それでは、ミカの特製マップアプリ、リリースします」
ぽちっ。
「――しました。終わった……!」
という一連の、偉業ながら実に地味なミカの戦いは、ここにひとまずの終戦を迎えたのだった。
盛大なファンファーレも派手な光線もなく、フィードバックも多分なく、後々でレビューが来れば儲けもの。
ただ、達成感だけを胸に、ミカは幹へと倒れ込んだ。ここでしばらく休憩して、それから、また――。
成功🔵🔵🔴
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
村から最後に消えた子の私物を借りて来たわ
この器物の匂いを【使い魔使役】で手懐けた森の熊に辿らせましょう
捕食動物の嗅覚は侮れないわ
照明代わりに魔法角に光を灯し(魔術知識、光使い)
後は『赤い花は右、青い花は左』の曲がり角のルールに従えば森の深奥に辿り着ける筈
その前に
聞こえているのでしょう、森の植物達!
自我を持つ事は知っているわ
この惑わし…そして子供達への非道はそちらの総意?
それとも森の魔女の要請かしら?
それを厭うなら力を貸して
私達はドラゴンに抗するディアボロス!
(近くの岩を【怪力無双】ハルバードで●粉砕)
不干渉でも、中立でもいい
魔法の竜神の(現状、名前負け)権能と命を賭して、子供達を救う事を誓うわ
「(ものすっごい視線を感じるわね……)」
ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)は、そうは思うが振り返らない。
間違いなく、いま、目の前でそこらのちょうちょと遊んでいるあの大柄な子熊の――。
「グルルゥ……」
――母熊のものだろうから。
あーもーごめんってば。あのサイズでカブだとは思わないわよ。元気そうなお子さんでなによりです。
「さっさと手伝ってもらって使い魔化を切って、それでお母さんの所に返してあげましょ……」
子熊(ギガント)の鼻先に差し出したのは、子供たちの遊び道具。
無理を言って借り受けてきたものだ。子熊(ジャンボ)のじゃれ付きに注意して、様子を見る。
「ヴォフ♪」
すぐに子熊(でかい)は反応した。森の奥――やはりか――に向けて、一目散に駆け出す。すると。
「■■■■■■■■■ーーーーーーッッッッッ!!!!!」
母熊が。ツィルニトラを。後ろからの猛追で。
「あ――っぶなっ!?」
轢かなかったのは単なる幸運だった。遅れて感じる戦慄に、ツィルニトラは身震いしてひとりごちる。
「さ……さすが、捕食生物ね! 母性本能も半端じゃないってこと……!」
学びを得た。ならよし。よしということで、ツィルニトラは次の目的を果たすべく。
「――――――?」
果たすべく、追おうとした母熊の足跡を、『自発的に見失った』。
「っ!」
カァン!
足下の石土をハルバードの石突で砕く。
「このツィルニトラを侮るか森の植物達ッ!」
ぱらぱらと散る石礫の音が終わるまでと決めて、己を落ち着ける。
「すう……ふう。大丈夫、落ち着いたわ。私は今、ひどく冷静よ。
自我を持っているくせに子供に非道を働くこの森の植物共をいますぐ焼き払わないくらいには」
――さささ、すそささ。
「でしょうね。森の魔女の要請だから。命令だから仕方ない、そうよね。わかる」
――さささ。
「なら、それを上書きしてあげる。聞きなさい!」
たぁん、と。ツィルニトラは尻尾で地を叩いた。その音、ガベルのごとく森を透る。
「我が名はツィルニトラ・プリルヴィッツ! 魔法の竜神にして、ドラゴンに抗うディアボロスのひとり!
我らの誇りと誉れに賭けて! 我が名の権能と命を賭して!
子供たちを救う事を……誓うわ」
――さす、すそ。
そのささやきを契機に『扉が開いた』、という感覚がある。
気がつくと、そこには赤い花の壁と。
「……ふふ」
おそらくクマのものだろう、爪で土をひっかいた、右曲がりの印があった。
成功🔵🔵🔴
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
伊斗浜・蘭華
【円卓】
「赤い花は右、青い花は左」ですか。赤上さん先行聞き込みご苦労様ですよ。
では森の中の花に注意して進むとしましょうか。
植物が道を邪魔するようなら焼き払えば良いんじゃないでしょうか。え?だめですか?嗚呼、神様。この世は優しさで満ち溢れてますね。私は感動しました。仕方ありません渋々進むとしましょう。
・・面倒くさいですね焼き払いましょう。(仲間に止められる)
普通にアドバイス通り赤い花は右、青い花は左に進みつつ
行方不明者の落とし物や痕跡を探しましょう。エルフという種族がどんな種族かは知りませんが。
リスなどがいれば【使い魔使役】を使い探させてみるのも良いですね。
(アレンジアドリブ大歓迎)
赤上・イズル
■【円卓】
■アドリブ・絡み歓迎
団長!聖女さん!
心強い駆け付けてくれた所属旅団のお二人にも情報を提供し共に行きます
エルフの子供達がいるという森の『最奥の方角』、その方角を村の人達に聞きます
そして先ほど教えてもらった『そこに至る順路』…『赤い花は右、青い花は左』を守り森を進みます
行く前に、森の秘密を教えてくださってありがとうございました
必ず行方不明になった皆を助け出し皆さんの元へ連れ帰りますね。と伝える
周囲を【観察】し花の色を辿り森の最奥へ
途中聖女さんを制ししたり…
駄目ですよ…森は生きているんですから
靄や霧がある場合は【完全視界】にしてクリアにする
先に入られたお二人が迷われていたら見つけ次第合流
ユーベリアル・ヴァルトグラーフ
■【円卓】
■連携・アドリブ歓迎
旅団『円卓世界』のメンバーの赤木イズルくんに加勢すべく、聖女殿(伊斗浜・蘭華)と救援に駆け付ける。
「先行部隊の皆さんが得た情報をもとに最奥を目指すとしましょう」
全ての曲がり角で例の赤右、青左の法則を使用すれば何処からスタートしてもゴールは同じということでしょうか。
残留効果の【パラドクス通信】を用いて、他の捜索部隊と情報の共有化を行い、連携を行っていきましょう。
また、捜索中は契約している4体の妖精を展開して周囲の見回りを実施。
■警戒
・花の色を幻覚で変えられていないか【完全視界】を用いて注視する。
・聖女殿が森に火を放たないように構えておく。
『来てくれてたんですね! 団長、聖女さん!』
通信機から聞こえる赤上・イズル(無銘の刃・g04960)の声は、いつにもまして元気なものだった。
受話口のユーベリアル・ヴァルトグラーフ(天籟の妖精人形遣い・g00107)も、仲間の無事を素直に喜ぶ。
「イズル君も、村落の調査はご苦労さま。『赤い花は右、青い花は左』だったかな」
『大事な、大事な情報です。きっと、子供たちを助けましょう』
「ああ。ところで、この森での君との合流だが――」
ユーベリアルは周囲を見渡した。森の木々に咲く色とりどりの花の中に、言われてみれば赤と青の2色は稀だ。黄色、白色、微妙だが紫色、病に褪せた緑色。
それとピンク髪の伊斗浜・蘭華(悪霊憑きの聖女・g00580)。
「――順路を辿れば、どこから入っても最奥につくと考えるのが妥当だろう。ならばいずれ、私たちのいる所にも追いつけるはずだ、イズル君」
「狼煙を使えば一発では?」
『そうですね。すぐに向かいます。……ですからその、あまり急がないようにと』
「ああ、もっと簡単な手を思いつきました。燃やしましょう森を。こっちから村に向けて燃やす。イズルさんから私たちに向けて燃やす。つまり挟み撃ちの形になりますね」
右手と左手の指の先をくっつける蘭華である。その少女のたおやかな爪の間には、仮想の業火が燃え広がっているかのよう。
「ね?」
『ね? と仰られましても……聖女さん……』
「すまないイズル君すぐにかけ直す」
ガチャン。
ユーベリアルは通信を切った。
「ッフウウウーーーー………………」
「おや、どこかお具合でも悪くされましたか。でしたら、あちらのイイ感じのお花を神様のレシピで煎じてさしあげましょうね。ささ」
「いや、いい……」
先の提案。別働隊の通信機が都合よく難聴を起こしていることを祈るばかりである。
「……それよりも蘭華君。森を燃やすという、君のユニークなアイデアだが」
気を取り直して、ユーベリアルは言うべきことをぼかして言う。
悪手であるのは論をまたない。が、悪手もまた手段なのだ。この先彼女のアイデアが、本当に私たちの窮地を救うことだって、あるかもしれないじゃないか。
旅団『円卓世界』の団長として考えるなら、その希望の芽を摘み取るのは惜しい……惜しいかな。惜しいよね。
「はい。採用しますか? でもよく考えたら毒ガスとか出るかもですね。なのではい、ホッケーマスクどうぞ」
どこから取り出したのか蘭華君ホッケーマスクとかかぶってるけど惜しいね。いや惜しいは惜しいでもその『惜しい』ではなくて。
「ホッケーマスクどうも……で、その、だね」
不承不承受け取るユーベリアルに、蘭華は憂いの視線を向ける。
「……そうですか。罪のない生命の命をやたらと奪うのは、よくない、と」
「(わかってるんじゃん……!)」
「ああ。嗚呼、神様。この世は優しさで満ち溢れてますね。私は感動しました。
ですので、行きましょう、仰るとおりに。ルールに従えば合流も難しくないかと。
――聞こえてますね、イズルさん?」
そういえば通信機はディアボロス全員の手元に現れているのだった。
『はい。この森は、生きています。その場から動かないということは、逆に危険なのかもしれません。ここにいる他のディアボロスの報告にそういった情報はありませんので、あくまで仮定ですけど』
「いや、その推理は間違っていないと思う」
自分の通信機を再度繋げるユーベリアルである。
「今こうして、立ち止まって君と交信することで気づけたことがある。
曲がり角が増えているんだ。いや、減っているのか? 分からないが、ともあれ――。
――ここはもう、私たち二人がいた場所ではない!」
「おや」
今気づいた、という表情の蘭華の手を、ユーベリアルは引いて進み始めた。
通信の向こうで、イズルも即座に森に入る。駆ける。
暗く咲き呼吸する異色の華がイズルを迎えた。
「こいつらは、赤くも青くもないか……」
ならば直進、直進だ。イズルは視神経を開く。
赤と青、この森では決して見逃してならないその色を見つけるために。
一方蘭華とユーベリアルも、気づいた途端に牙をむく森に、意図的な無視をすることで対抗していた。
意味深長なロープの結び目、煮炊きの痕、手記の山にはじまり。
古ぼけた看板、誰かの足跡・呼び声、日向と日陰のコントラスト。
轍や獣道に至るまで、つまり森の痕跡ほぼ全てが、赤と青のルールからねじれていた。
「見るべきものは赤と青。そうですよね、神様?」
「事前に知らされていなければ、確実に迷っていただろうな、これは」
「次は赤か。右だ、蘭華君!」
同時、通信機からイズルの声が流れてくる。
『青、左か……』
「あ」
蘭華が気づき、ユーベリアルの注意を引いた。松明で。
「前方注意」
「火の元注意ではなくてでいいんだね!?」
『前方の霧を祓います――九字切流・白夜!』
ざ……ぱぁん!
「ん!」
「おお!」
「ほら」
三者三様。水に似た斬開音とともに、ついに【円卓】は合流した。
「あ……あれ? 団長、聖女さんとは、確かかなり離れていたような」
「味方して、くれているのか、森が……」
――さささ、すそささ。
森は応えない。無音の囁きに、答えを探そうとして、耳を澄ます二人。
他の一人は銃火器を構えた。
「邪魔したり味方したり邪魔したりと面倒くさいですね。やっぱり焼き払いましょう」
全力で止めた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【植物活性】がLV2になった!
【完全視界】LV2が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
赤上・イズル
■【円卓】
■アドリブ・絡み歓迎
最奥に着いたら即座に周囲を確認
そこにいるヴァインビーストの数を調べる
妖精郷で聞いたの行方不明の妖精の子の名は7名でした
7体、いるでしょうか
エダ、グレダ、ネイミ、ユール、ヒヒキ、シオネ、パーシダ…
それぞれ聞いた名を思い起こす
皆さん!村の皆があなた方の帰りを待っています!
一緒に帰りましょう!妖精の郷に!
グレダおばさん、トッカさんがとても心配してました!
エダさん!お母さんがシチューを作って待ってますよ!
思い出してください!あなた方の本当の姿と名前を!
団長、聖女さんと協力して全員の名を呼び掛け訴える
意識を取り戻したら魔骸連刃で攻撃
元に戻ったら【活性治癒】の効果で傷を癒す
ゼルギウス・パティオ
さてさて、倒すとはどこまでのことを指しているのか。首を落としてもエルフに戻るのかな?それとも原型を留めてさえいればいいんだろうかね。
ともかく声を掛けなければ先に進めまい。依り代となった子ども達よ聞くがいい。君達を元に戻すことなど造作もないことだが、そのためには多少の痛みを伴うだろう。だが、親元に戻りたければその痛みに耐え勇気を示すのだよ。さすれば君達を心配している親や友人の元へ必ず連れ帰ると約束しよう。
まぁ、呼びかけはこの程度でいいだろう。早速クロノヴェーダ化する術式を解読させてもらおうか。なに、多少の痛みがあるだけだよ。腹は食い破られるかもしれないが。
蟲籠召喚発動、融合の術式の解読を試みる
ユーベリアル・ヴァルトグラーフ
■【円卓】
■連携・アドリブ歓迎
合流した仲間たちと共闘
「植物と子供の融合……。何を目的にそのようなことを…」
「子供たちを元の姿に戻さねば、元凶を叩いても救えないとは、厄介な敵ですね」
■行動
イズル君の行動に倣い、子供たちの名を呼び掛けて、エルフとしての意識を取り戻させる。
■戦法
自動人形と妖精を融合させるパラドクスを用いて戦う。
音と闇属性の妖精トートロジーを選択。大鎌による両断を得意とする。
また、相手植物に対して【腐食】効果を使用し、部位破壊を狙っていく。
「覚醒して間もない獣。ならばその動きもまだ本能としてのものではないでしょう」
「その四肢、刈り取らせていただきます」
伊斗浜・蘭華
【円卓】
騎士ユーベリアルと赤上さんが熱く必死な形相で呼びかけてる間
聖女は黙って見守ることとしましょう。何分私は空気の読める聖女ですから
決してこの空気の邪魔はしませんよ。何なら旗でも小さく振って応援だって致します。
蔦を伸ばしてきたり鋭樹の牙で攻撃をしてくるようであれば、その部分をショットガンで打ち抜き仲間の安全を確保しましょう。
意識が戻った兆しが見えれば出番ですね。待ってましたとばかりにショットガンにアイテム【属性弾丸B】を装填し除草作業と参りましょう。
仲間の攻撃の合間に接近しパラドクスを使用しますね。
神託を下します。シチューが冷めるのでさっさとお帰りなさい。
(アレンジアドリブ大歓迎)
緋詠・琥兎
…………酷いものだな
パラドクス通信で得ている子供たちの特徴を元に
名を呼びかけよう
未だに子供達の中で歌が蝕んでいるのなら
燈杜美の演奏で引き戻す試みをする
思い出せ
自分を、家族を、友を…………
思い出を!
『自分は此処だ』と、ありったけの気持ちを叫べ!
必ず、助けよう
自分を持ち続けろ
怖いのは一瞬だ
その間に自分らがお前らを蝕むものを引き剥がす!
狂宴の捕食で意識を取り戻したエルフの子から
ヴァインビーストの―――クロノヴェーダの部分を喰らい、引き剥がす
同時に活性治癒で治療を施す
ガスは浄化の風(浄化・風使い)を燈杜美と共に発生させ
元に戻った子供達が巻き添えを喰らわないように注意して
対抗しよう
アドリブ
連携歓迎
邪悪がそこにいた。地の底、樹製牢域の示す湿った腐葉土色の、真ん中の其処にいた。
「…………」
ふっ。
邪悪は何も言わずに消えた。
気配は残る。視線がおのおのの額に刺さる。声が聞こえた。
「――バースディ・パーティだねェ――」
するとボトボトと、7つの何かが落ちてくる。
羽化する蝉を思わせる澄んだ緑色の何かが、こわばり、かたまり、本体である無個性の蔦の集合体を見せた。
その、一瞬だけの透明に。
赤上・イズル(陽炎の剣士・g04960)たちは、七人の子供たちのシルエットを見た。
「エダ、グレダ、ネイミ、ユール、ヒヒキ、シオネ、パーシダ……」
胎児のように丸まっていた子供たちのそれぞれに、イズルは愛された名前があることを思い出す。
「全員、いるな」
喜ぶべきか、悲しむべきか。希望ではある。絶望の前仕掛けでもある。
全ては、自分たち次第だ。緋詠・琥兎(歴史の侵略者処刑代行請負人・g00542)は、目を細めた。
「…………酷いものだな」
変態を終えた子供たちは、『既に』そこには居ない。視覚情報だけを信じるなら、そのように見える。
否、どのようなチャンネルを用いても、名前と個体が一致しないと感じられた。
「が、手遅れにはさせないさ」
「ふむ。それこそが、この術式の問題点だ」
と、ゼルギウス・パティオ(マッドなお医者さん・g04932)。
「確かにアレは完成を見た。生体は完了し、精神も融解しているだろう。
だがしかし、どうだろうね。アレは、呼びかけることでアプローチ可能だというのだから――」
ゼルギウスは見解を確定した。
「――もとより不完全だ。手遅れという状態に、本来なら至っていて然るべきだ。
アレの基礎理論がそれを是とするなら、不可だ。落第は免れまい」
興味深くはあるがね、と言わずに呟く。言うべき言葉は選ぶ。
ユーベリアル・ヴァルトグラーフ(天籟の妖精人形遣い・g00107)は、ゼルギウスの言葉に頷かず続いた。
「……何を目的に、そのようなことを」
わかっている。問うて答えの戻る問いではあるまい。
仮に戻ってきて、納得することもまたあるまい。
だから、これは疑問ではない。叫びだ。
叫びだしたくなる感情に被せる理性の網だ。
問うことで『問うことができる自分』を確定しているのだ。
だが復讐者として、自分は理性的に感情を走らせなくてはならない。
これだけは、譲れない……!
「熱くなっていますね騎士ユーベリアル。その頭はヤカンですか?」
ゴリッ。
伊斗浜・蘭華(悪霊憑きの聖女・g00580)がゴリゴリとユーベリアルのあたまをショットガンのグリップで削った。
「ごーりごり」
「……あの。あの、痛いです聖女殿」
「痛くはしていませんよ。応援ですから、イコール祝福。
まあ私は聖女ですので、この辺にしておきます。せいぜい私が後ろで見守っていることを、忘れないでくださいね」
がしゃこん、と神性鉄槌『カラミティ』を肩に構える蘭華。
前を指差した。
「ほら見なさい、ヒヒキさんとシオネさんが来ています」
「ッ!」
琥兎もその様子を見ていた。ヴァインビーストのうち2体、殊更に息のあった様子でこちらを包囲しに来る個体だ。
「確かに……!」
蘭華の言ったとおり、アレは間違いなく、ヒヒキとシオネの双仔だ。
心が溶けてなくなって、それでも残る魂の奇縁か。
「燈杜美、演奏を」
琥兎に手渡されたハーモニカを、オラトリオ『燈杜美』は唇に添える。
すると琥兎の足下の影がぼこぼこと湧いた。黒いタールのような盛り上がりが獣となり、シオネ=ビーストに駆けつけていく。
「GBRRRRRRRRR!」
獣が爪をかけ、引き倒し、しかしシオネ=ビーストも対抗する。拮抗した。
「ヒヒキさん、シオネさん! 思い出してください! あなた方の本当の姿と名前を!」
イズルは、それとは逆方向に走った。ヒヒキの方だ。
「ブシャアアアアアアァァァァァァ!」
ヒヒキ=ビーストの、乱杭牙の口が開き、その全身から芳香が吹き出した。花の香にもにた腐食性ガスだ。
イズルは突っ込んでいく。彼の突き出した刃――魔骸連刃が、一人分の安全地帯を切り開いていた。
「ヒヒキさん……!」
切っ先が届く寸前で、イズルは横に反れた。まだ十分に言葉が届いていない。
すれ違うその一瞬で、わずかに体側を焼かれる……。
「聞くがいい……!」
朗々と、芝居じみたゼルギウスの声が響く。
「依り代となった子どもたちよ聞くがいい。君たちを元に戻すことなど造作もないことだが、そのためには多少の痛みを伴うだろう」
――それは、ヴァインビーストたちの注目を引いた。
ゼルギウスの周囲を、数体が取り囲む。
「我々は君たちを切り刻む。麻酔なく切開し、針なく縫合する。
だが、親元に戻りたければその痛みに耐える勇気を示すのだ……私のように!」
「ギギギィッ!」
四方より。文字通りに、ゼルギウスの体がヴァインビーストたちに覆われた。
どう、と倒されるゼルギウス。咀嚼音にも似た唸り声。
その発生源のいくつかを、大鎌の背が薙いで弾き飛ばした。
「今だ! その牙を断て、ブランク!」
大鎌の担い手は、ユーベリアルの所持する自動人形だ。ぐるぐると、風車めいて回される大刃の向こうに、『トートロジー』という黒衣の容姿が確定する。
シィイン――!
トートロジーの赤い瞳が糸光を曳き、主の言うとおりの戦果を叶えた。
破断音の余韻に浸り、自動人形は薄く目を閉じる……。
「という一連の流れを、後ろで見ていた私です」
蘭華である。
「ええ、見ていたからこそ一番良くわかります。どれが誰で、誰がどれなのかを。
騎士ユーベリアルと赤上さんが熱く必死な形相で呼びかけてる間、私はつとめて冷静に状況を把握し戦況を理解し――ばんっ」
唐突に、蘭華はショットガンをブッ放した。排莢が木漏れ日を受けて光る。
至近射を受けたヴァインビーストの一体が、空中で体勢を直し、木を捕まえた。
「人の話は最後まで聞きなさいと、いつも言われているでしょう、パーシダくん」
「!?」
パーシダ=ビーストが動きを止めた。ずるずると、木の幹を滑り降りてきた。
さて――俗に、天使が通る、と言われる奇妙な現象がある。
騒がしい集まりの中で、ふとした瞬間に皆が黙りこくるという、その沈黙を例えての表現だ。
この時に訪れた静寂は、まさしくその『天使が通った』瞬間であり――。
だからこそ『今』、燈杜美の吹く曲は、ここにいる全員の心に沁みた。
「~~~~~~~~♪」
誰もが知らないが、誰もが聞いたことのあるような、暖かなメロディ。
シチューの暖かさ。隣人の笑顔。暖炉。朝日。清らかな森。
それらを思い起こさせる。だから、ヴァインビーストたちも……燈杜美の方を向いた。
「GYARR!」
琥兎の獣が、隙を見せたシオネ=ビーストの喉笛を食い破る。容赦なく体内へと潜り込み、そこから臓腑に似た何かを抉り取った。
生きているように胎動する、それは――。
「……ありがとう、燈杜美」
――羊膜に包まれた、シオネであった。それを恭しく受け取る琥兎。
微笑んだように見えた。
「言っただろう、造作もないことだと」
と、倒され貪られるままに見えたゼルギウスが立ち上がる。赤い血を流す彼の腕に、大小様々の黒蟲が這いずり回っていた。
それらの蟲は、見るとヴァインビーストたちの眼窩から湧き出しているものだった。ゼルギウスの姿勢変更とともに、それらの体躯は重力に負け、ぼとりと腐り落ちる。
あとに残ったのは、ネイミとユールだ。傷もなく、生まれた直後のように、生命力に満ちているように見えた。
「ふむ……クロノヴェーダの単離には失敗したか。まあ、我々の目的は達成されるのだから良しとしよう」
言いながらもなお、ヴァインビーストの残滓を探るゼルギウスであった。
「エダ君、グレダ君!」
戸惑いながら、なおもユーベリアルに襲いかかる、エダ=ビーストとグレダ=ビースト。その暴れる四肢を、トートロジーの大鎌が遮る。
返す刃で撥ねた。
「ギャアアアアアァァァァ!」
ぶちぶちと千切れた繊維が、しかし接続先を求めて新芽を伸ばしていく。全体としては動きが止まり、そこにユーベリアルとトートロジーが、迫る。
「すまないね、痛くさせてしまったか……」
がぎょんっ!
逆上がりの大鎌二連。トートロジーが開いたそれぞれの傷口に、ユーベリアルが手を差し入れた。抵抗の牙が腕を、肩を、頬を突く。破る。
構わず。
「見つけたよ、エダ君、グレダ君も」
大事なものを、そこから引き抜いた。春の新芽を思わせる、胞衣に包まれたエルフの少女たち。
震えて目を開く彼女たちを、ユーベリアルは両の腕で抱きしめた。
「…………ぱたぱた」
一方、蘭華は白旗を振っていた。
木々のあいまを背に、袋小路の出口にはパーシダ=ビースト。
「ぱたぱた」
「グゥウルルル……」
逃げ場のない死地。が、蘭華に怯えた様子はなく、パーシダ=ビーストにもまた、それ以上間合いを詰める様子はなかった。
「今度は話を聞いてくれるのですか。いい仔ですね」
蘭華は旗を懐にしまった。代わりに引き出すのは、さっきのショットガンだ。
「実のところ、もう話はありません。言葉よりも雄弁な暴力で、貴方を救います。
神の御下にある私に、除草の加護のあらんことを」
「ルルルウァァア!」
パーシダ=ビーストが跳んだ。ゆるやかな半円は、頂点から落ち行き、蘭華への道をたどる一つの長直線に相似する。
「神託を下します」
ッパアァン!
撃ち出された散弾が一つ一つ、ヴァインビーストの外皮を弾き飛ばした。
剥かれて残った、パーシダ少年の体が……。
「ほっ」
聖女の腕に抱きかかえられて止まった。
少年は安らかに眠っている。
「ヒヒキさんっ!」
最後の一体、ヒヒキ=ビーストに向かうイズル。焼くような毒の痛みが、危うく心臓まで迫ってきているその感覚を、一歩一歩に踏み潰しながら。
「救いますからッ……!」
絞り出すように、魔骸連刃を伸ばしていく。
余計なモノのみを切除するために、研ぎ澄ました。
キィイイイイインンン――――。
刃鳴りが、超音する。その時に切ろうという意識もなく、イズルは切り開いていた。
元々そうであったかのように、ヒヒキ=ビーストの体が上下に別れている。
截断面の中から……。
「目を開いてください!」
……零れて落ちるヒヒキを、イズルが拾う。ぐにゃりと、ゴム細工のように力ないその姿は、しかし。
「…………ん、んぅ~~?」
間もなく、覚醒した。ぼんやりとした瞳の焦点が、イズルの心配そうな表情にある。
「ん……知らない、おにいちゃんだぁ……?」
「ヒヒキさんッ!」
「……ふぇ」
――わけもなく、なみだがあふれてとまらない。
――なんだか、わるいゆめをみていたみたい。
――もう、おもいだせないけど。
「うえぇ、え。あ、うわ、うわーーーーーーん!」
ヒヒキの泣き声が、あたりに響いた。
続いて、シオネも。
エダも、グレダも、ネイミもユールも。
パーシダはしばらく堪えていたが、蘭華の促しに負けて……泣いた。
生まれたばかりの赤子のように。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【活性治癒】LV2が発生!
【迷宮化】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV2が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
ベアトリス・リュウフワ
ごきげんよう。
随分素敵なご趣味をお持ちのようで、結構ですこと。
あら、大変。貴方、随分と生い茂っていらっしゃるようで。
わたくしが剪定して差し上げましょう――この剣を以て。
童たちの安全を確認次第、駆除作業を始めましょう。
必要ならば、童たちの守護に回りますわ。子供すら守れなくて、王を名乗るなど不可能でしょうから。
弾丸を打ち放つ攻撃。それすなわち『点』の攻撃ですわよね?
【ダンス】に基づいた華麗な身のこなしで回避、ないしは、【斬撃】による受け流しを狙います。
二発目は放たせません。
瞬時に肉薄し、我が剣による斬撃の嵐をお見舞いいたしましょう。
――ごめんあそばせ。
貴方は剪定する部分『しか』ございませんでした。
赤上・イズル
■【円卓】
■アドリブ・絡み歓迎
みな元に戻ったようで良かったです
残るはこの子達をヴァインビーストに変えた張本人ですね
妖精郷の守り手とのことですが
所詮は自身の領域を守る事だけなのではないですか
その為にはそこに住まうエルフさえ手駒にしようとする所業…
(残留効果【託されし願い】で思い出しつつ)
どんな思惑があろうとあのエルフ達をこれ以上悲しませはしません
あなたを倒して子供達を連れ帰ります!
団長と聖女さんと連携して戦う
聖女さんがロケランを使うそうでその爆風と炎上に紛れて俺がブルームウィッチに一気に詰める
こちらの視界は【完全視界】でカバーし【白夜】で斬り込む
それにしてもロケラン凄かったです(髪一部チリチリ)
ユーベリアル・ヴァルトグラーフ
■【円卓】
■連携・アドリブ歓迎
引き続き、旅団「円卓世界」の面々と行動する。
■戦法
自動人形ブランクに風の妖精マーシャを装填。
【風使い】の能力を用いて移動速度を上げ、打撃戦にて対応。
■連携攻撃
聖女殿のロケットランチャーが外れ、森へ被害が出そうになった場合に発動。
マーシャ・ブランクの風使い能力を使用して、ロケット弾の軌道を変え、敵へと再度向け直す。
着弾後、イズル君による斬撃に期待する。
ゼルギウス・パティオ
君の活動はどうやら遅すぎたようだね。私たちの介入を招くいい口実になってしまっているじゃないか。まぁ、そんなことはどうでもいい。
君達の首魁が何を企んでいるのか、今回の術式ごと奪い去ってあげよう。
おそらく円卓組の攻撃でダメージは十分だろうから私は相手を解体しつつクロノヴェーダ化するための核になるものか発動キーになるものを探るとしよう。
術式そのものは書物なんてあるわけないだろうけど、痕跡くらいは見つけられるといいね。
あとは、体の一部でも持ち帰れれば御の字だけれど、それも難しいなら諦めよう。2度と戻って来れないように念入りに解体して燃やしてあげようじゃないか。
伊斗浜・蘭華
【円卓】
さあいよいよ元凶との戦いですね。大丈夫ですよ神様は全てをお許しになられます。その穢れた両手も澱みきった思考も全て捧げなさい。生まれ変わらば浄化されましょう。全ては神様の御心のままに。
というわけで戦闘です。殺戮に酔うと致しましょう。
序盤は普通にショットガンで牽制しつつ2人と共に戦いましょう。
それにしても花粉が邪魔ですね。そうですね空気を入れ替えましょう。そうしましょう。
適当にロケットランチャーを撃ちます。(パラドクス)
避けられても騎士ユーベリアルがフォローしてくれるでしょう。
やはり雑草は焼くにかぎりますね。
嗚呼、神様、無様な魂がまた一つ浄化されました。
(アレンジアドリブ大歓迎!)
墨乃・しるし
(サポート)
妖刀ビーム正宗や妖刃チェーン長船という胡乱な武装で戦う、溶接マスクが目印の妖狐です。
一人称は我。基本的に二人称は貴様で、特定して呼ぶときは(苗字)の何某というような呼び方です。
元「神」的な視点で話すので、やや偉そうな語り口調ですが、基本的にはですます口調です。
行動理念は、楽しく。
それと信仰を大切にしており、そこに生きる者、生きていた者の願いを叶えることが指針です。
パラドクスはどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはお任せします。よろしくおねがいします!
「じゃ、返してくれる?」
子供たちの泣き声が、一斉に止んだ。
子供たちの泣き顔が、一斉に病んだ。
その怪物のたったの一言で。
「『そ れ』」
冷たい視線を、糸のように繰るのは、子供たちの心臓を縛るのは敵。……ブルームウィッチ。
森の大木の一柱を、玉座のように捻じ曲げて座っている。
下等種族からの当然の捧げものを待ちもしない、暴君。
「あら。一体どれのことを言っているのやら。説明する言葉が足りないのではなくて?」
ベアトリス・リュウフワ(強欲と傲慢のミルフィーユ・g04591)が、鷹揚に応える。
「それとも、足りないものが別にあるのかしら。例えば、そうね――」
遠慮のない値踏みの目を、臆することなく刺し返した。
「――慎みとか」
ブルームウィッチの眦が、ぴくりと動いた。
その緊迫した状況に、伊斗浜・蘭華(悪霊憑きの聖女・g00580)が割り込む。
「良いですね口撃戦。神の愛はまず言葉にて伝えられるべきです。そう、いつものように」
言いつつ蘭華は、カチャカチャカチャと忙しなく両手を動かしている。
カッキーン、と金属の心地よいLock'n'Loadedが流れた。
「貴方にも福音を。大丈夫ですよ神様は全てをお許しになられますから。マジで」
「(聖女さまの『福音』に『ばくえん』ってルビが振られてるのが見える気が……)」
この隙に子供たちの避難を遂行しているのは、赤上・イズル(陽炎の剣士・g04960)とユーベリアル・ヴァルトグラーフ(天籟の妖精人形遣い・g00107)ら、【円卓】メンバーだ。
蘭華が敵の気を引いている間に、ユーベリアルの人形が子供たちを先導、イズルがその周囲を警戒する……という、実のところアドリブの手筈。こういう時に誰がどのように動くか、知り尽くしているからこその動きであった。
「さすがは聖女殿ですね。アイコンタクトの一つも無しに、このチームワーク……」
「(素じゃないでしょうか?)」
「(それは……言わぬが花だよ)」
「何か?」
「なんでもありませーん!」
という一連の様子を、墨乃・しるし(墨狐・g01114)が見ていた。彼女はぽんと手を叩いて、つまり合点。
「(時間稼ぎですね!)」
声に出さなかったのはさすがの(元)神的存在。えらい。
しるしがどこからともなく取り出した『妖刃チェーン長船』が、ギュイーンドルドルドルドルと妖しく刃鳴りを吐いた。
「まず一つ、我に強請るならば相応の対価を用意しなさい、粗忽者。
次に一つ、子供たちの命に釣り合う対価などありません、愚鈍者。
そして一つ――あの子供たちにしたことの報いは、この我と我らが下します、罪咎者」
こちらに注意を向けるためでもあるが、言葉に嘘はない。
徹頭徹尾、そうするつもりだ。ブルームウィッチを逃がすつもりも、ない。
ゼルギウス・パティオ(マッドなお医者さん・g04932)は、その様子を外巻きに眺めていた。
「……随分な自信だねえ、クロノヴェーダ君」
が、すでに観察は終えた。残るはフィールドワークだ。
「君は遅きに失している。見給え、子供たちはああして逃げおおせている。
なによりその遅さが、私たちの介入を招くいい口実になってしまっているじゃないか?
愚昧か、それとも傲慢か? 私を倒して、十分に間に合うと?」
――と。
おとなしくディアボロスたちの言葉を聞いていたブルームウィッチは、その態度に飽いたのか、口を開く。
「ふふ、ふ……譲歩に気づかないとは、滑稽ここに極まれり、ね。
私の命令に抵抗しなければ、キモチヨク死ねたのに」
片手を上げた。ブルームウィッチの全身の花が、咲き開く。
えも言われぬ芳香と、目に見えぬ花粉の風……それらが、森の花々を強制受粉させた。
異質の種を飲み込んだ花は、喘鳴し、花萼をわななかせる。
華々しくのたうち毒々しく叫びまわる、ブルームウィッチの戦闘区域と化した。
「狂い回ってキモチワルク死になさいな。いえ、長く苦しく生きさせたほうが、おもしろいかしら?」
「! マーシャ、来い!」
咄嗟にユーベリアルは、我がもとに人形を呼び戻す。
「展翅開闢……風と共に色彩を取り戻せ、ブランク!」
ゴォオオオオッ!
憑けられて早々状況を理解した妖精『風絶のマーシャ』が、ブルームウィッチに肉薄する。
パパァン!
ステップインからの軽快なワン・ツーで、花触腕の接近を阻んだ。
「今だマーシャ! アレが来るぞ!」
右ストレートのリーチ内、そこからまさかの――ステップアウト!
空いたスペースに、外からの火炎弾が飛び込んでくる!
「さすが神様ですね。海割りならぬ間合い割りの奇跡をお見せになるとは」
聖女の――ロケットランチャーだ!
その暴れ弾を見たマーシャが、にやりと笑う。
「おや」
蘭華と言えど、そこからマーシャが見せる行動には驚きを隠せなかった。
マーシャは……渦風纏う右の拳に、ロケット弾を横取り装填する!
「なればそのように聖あれかし。祝福を」
蘭華は指先に、マーシャは弾頭に……唇を当てた。
ド……ッゴオオオオオオオオ!
チョッピングライトでブッ放された弾丸が、閃光と爆炎を存分に振り散らす。
その白の舞台に、上がる二つの影。
「引き甲斐がある!」
一つは、しるし。既に長船を抜刀している。ならば行く先は唯一つ。
「聖女さんとマーシャさん、二人が作ってくれたチャンスを!」
一つは、イズル。光曳く瞳を、ゆめ瞬かぬよう大きく開いて。
「生かしてみせます! ――九字切流・白夜!」
同じ色の光が、イズルの刀『陽炎一文字』に宿った。
……それは、ゆらぎを断つ武神。道をひらく者の守護神。
さきがける神性。
イズルは『それ』になる。
「例えあの、聖女さんの炎といえど……!」
切り裂いた。返す刀で、同じように敵を斬る。
ブルームウィッチの驚愕の表情を、見ることはなかった。
その部分を、黒い何かが隠したからだ。
「一閃馳走、首刈御免――『墨引き』」
しるしの曇りなき斬撃が、そこの光を削り取ったからだ。
「我が長船に引けぬ線なし、区切れぬ境もなし」
チン、と白熱したチェーンブレードが、余韻に鳴いた。
「とはいえ、さすがに一撃とは行きませんか」
爆炎の自然消滅が、中にいるブルームウィッチを顕わにする。
怒涛の四連撃に、消耗は明らかだが……まだ、居る。
あの悪がまだ居る。それが許せなかった。しるしは頭を振る。そうじゃない。
「だとしても楽しく、何度でも引きましょう。そこの貴様、我の共をしませんか?」
「はい……はいッ!」
答えたイズルの周囲に、ホログラフィックめいた映像が展開する。
村の人々だ。嘆き、悲しみ、救いを求める彼らの――。
「――願いが、力を与えてくれるから!」
「そうだな。まさしく、そのとおりだ……」
ドルゥゥゥン!
長船が、みたび鳴いた。
「おのれ易々とォ!」
ブルームウィッチを、領域の木枝が絡め取る。緊急避難を遂げながら、全身の魔力を放出した。
「立ち上がれ『深緑の魔弓』! 眼前の敵を――鏖殺せよ!」
「あらあら」
さ、とベアトリスの髪が吹き流れる。
ブルームウィッチの魔力弾とすれ違ったそれに、しかし一房の犠牲もない。
「やはり足りませんわね。ええ、無為に満ちすぎていて何一つ足りていない。
その見苦しく生い茂った草々は、私が充分に剪定して差し上げましょう」
全くの無手で、歩いている。
直撃すればただでは済まない魔弾の雨の中を、午睡前の散歩のように。
ヒュッ――。
「――では、ごめんあそばせ」
その言葉を、言葉だけをブルームウィッチは明瞭と聞いた。
納刀の音すらも、ベアトリスは鳴らさない。
「何を……が、っ」
ぶづん、と、ブルームウィッチの大きな経が絶たれた。否、絶たれていた。
脈打つ己の命が、あちこちの切開傷から流れ出すまで、そこを『切られた』ことをわからなかった。
「謝罪いたしますわ。前言を撤回いたします。
貴方には、剪定する部分『しか』ございませんでした」
――ばさっ。
斃れ、指先だけを動かすブルームウィッチを、ゼルギウスが見下ろす。
「医者として宣告しよう。手遅れだ。ああしまった、手遅れだなこれは……献体ですらない……」
「k……k……ッ!」
ブルームウィッチの開いた喉から、発声されえぬ怨嗟が漏れる。
「こ? なんだね君、なにか言い残すことでも?」
「k……こ、ろ……ssss!」
……さささ、すそささ。
森の声が、哀れんでいた。
自分たちと同じ声しか上げられなくなった、その肉の生き物を。
生き物の肉を。
ブルームウィッチの喉笛から、泡が溢れ出る。
「『殺してくれ』か? すまないな、安楽死はそう簡単には施せない。
少なくとも生前の意思表示が……違う、と言いたそうだが」
「gwwwwwwrrrr!」
ブルームウィッチは、最期の力を振り絞って、立ち上がった。
そこを。
「まあ、どうでもいいか」
ゼルギウスの魔骸連刃が、容易く解体した。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【水面歩行】LV1が発生!
【完全視界】がLV3になった!
【エアライド】LV1が発生!
【活性治癒】がLV3になった!
【託されし願い】がLV2になった!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【フィニッシュ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【ダブル】がLV2になった!