台湾島準備攻撃

 台湾島潜入偵察作戦の情報から、台湾島が冥海機ヤ・ウマトの重要拠点の一つである事が確認されています。
 台湾島の港湾では、大戦乱群蟲三国志奪還で失った戦力を再建する為なのか、日々、多くの艦艇が建造されているようです。
 この台湾島の軍港に向けて強行突入し、迎撃に来た水上部隊と戦闘を行いつつ、港湾地域の造船ドックや軍事施設を破壊する、準備攻撃を行ないます。
 準備攻撃により、敵の戦力を低下させることが出来れば、台湾島攻略作戦を発動させることが出来るでしょう。

台湾島に雨は降る(作者 つじ
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#冥海機ヤ・ウマト  #台湾島準備攻撃  #台湾島 


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 海軍基地『高雄警備府』の司令部にて、この場を取り仕切る翔鶴が、部下からの報告を受けていた。
 内容は先日ディアボロス側の実施した偵察作戦について。軍港内に侵入した者達を、翔鶴は既に偵察部隊であると看破していた。ゆえに、これが始まりに過ぎないことも、彼女にはよくわかっていた。
「ディアボロスの目的は、台湾島の制圧とみて間違いないでしょう」
 中国大陸おいての戦い、そして今回の作戦によって接触したディアボロスの戦力は、決して侮れるものではない――油断なくそう結論付けて、翔鶴は部下達に命令を下した。
「台湾島の防衛に戦力を集中し、ディアボロスの襲撃に備えるのです」
 姿勢正しく応じ、訓練された部下達は素早く対応に動き出す。そんな冥海機達を見送って、彼女はひとり、小さく呟いた。
 そう、ディアボロスの戦力は、決して侮れるものではないのだから。
「場合によっては、台湾島の放棄もあり得るでしょう。口惜しい事ですが……」

●台湾島強襲
「先日の台湾島偵察作戦により、軍港付近の情報を得ることが出来ました」
 時先案内人、盾祀・楓(人間の風塵魔術師・g03193)が提示するのは、『冥海機ヤ・ウマト』の一角、台湾島の地図である。そこは中国の奪還戦にて遭遇したジェネラル級冥海機『翔鶴』が支配している区画。軍港が設けられ、軍事施設や造船ドックを備えている、重要拠点であることが明らかになっている。
「翔鶴は先の戦いで受けたダメージから、万全の状態とは言えない様子。今の内に叩けるだけ叩いてしまいたいところですね」
 偵察を終えた次の一歩は、所謂『準備攻撃』だ。海上から軍港に突入して戦闘をしつつ、港湾施設を破壊していき、後の上陸作戦のための地ならしを行うというもの。
 首尾よくいけば上陸後に翔鶴との決戦に入ることができる。そうなれば、台湾島の制圧も視野に入ってくるだろう。

「パラドクストレインで台湾島の近海までお送りします。皆さんにはそこから開戦準備を行った上で、軍港へと突入していただきます」
 先日偵察作戦や他のディアボロスの襲撃によって防衛体制が整えられつつあるが、敵将が未だ全快してない影響か、その警備は完全ではない。突破か潜入か、いずれにせよつけいる隙はあるだろう。そうして軍港に至った後は、迎撃に出てくる冥海機と戦闘を行いつつ、軍港内の造船ドックや軍事施設などを攻撃して破壊を目指すことになる。
「軍港にまで至ってしまえば、敵は戦闘艦艇による砲撃支援などを行うことができなくなります。、冥海機も陸上に上がって戦わざるを得ないので、比較的有利に戦闘を運ぶことが出来るでしょう」
 とはいえ、そこは敵の拠点だ。増援はいくらでも来るだろうし、高く飛翔するなど目立つ行動を取れば、そこら中からパラドクスが飛んでくるような事態を招くだろう。ある程度の成果を得たら、引き際を誤らずに撤退するのが肝要だ。
「その場を指揮するアヴァタール級を一体倒せば、敵の警備の混乱を招くことが出来るはずです。そこを突いて脱出を図ってください」

 そこまで言うと、楓は手元の資料を閉じる。眠たげな眼を、改めて一同へと向けて。
「冥海機ヤ・ウマトは、広大な領土を持っているようですが、その多くは海洋です。台湾島のような大きな島は戦略的な価値が高い、と言えるでしょう」
 恐らく中国大陸のディヴィジョンに対する防衛拠点として整備されていたと思われるこの島は、放っておけばそのままディアボロスに対する軍事拠点に作り替えられる恐れもある。ここで叩いておくに越したことはないだろう。
「皆さんの奮戦を期待しています」
 最後にそう締めくくって、彼はパラドクストレインへの道を示した。

●鈍色の軍港
 ざあ、と音を立てて雨が降る。地面で跳ねる雫が、軍港に漂う鉄と錆、そして油の匂いを際立たせていく。冥海機達にそれを気にした様子はないが、このまま降り続けば、やがてその匂いも雨水と共に流れて行ってしまうだろう。
「警備を固めろって言われてもね」
「ここじゃ海戦もできないものね……」
 港湾の造船ドックに配備されたトループス級、『オクトリア』達は、タコの足を思わせる体で陸上を歩く。他の魚や艦船型の者に比べれば、地上での動きはスムーズなものかもしれないが、やはりその歩みはどこか窮屈そうな様子が見て取れる。
「まあ、いざとなったら周辺海域の戦力が何とかしてくれるでしょ」
「蟻の子一匹見逃すなって命令だものね。真面目にやりましょ」
 でも、身体が重いのよねえ。そんな愚痴を吐きながら、彼女等はディアボロス達を待ち構えていた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【隔離眼】
2
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【完全視界】
3
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【水面走行】
5
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【建物復元】
1
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【水中適応】
6
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV5 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV8 / 【ガードアップ】LV2 / 【フィニッシュ】LV3(最大) / 【反撃アップ】LV2 / 【先行率アップ】LV4 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV2 / 【ダブル】LV2 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

つじ
 今回の舞台は、『冥海機ヤ・ウマト』。軍港襲撃作戦です。皆さんカチコミは得意ですよね。

●舞台
 台湾島の軍港。順当にいけば造船ドック部分に辿り着くことになるでしょう。
 特に戦闘に影響はありませんが、現場は雨です。

●選択肢
 ①→②③④
 上記の順で展開します。①の移動パートクリア後はお好きな所へプレイングをかけてください。
 ③は陸上戦になりますが、②と④は海上戦力との戦闘になります。③をクリアした場合、②と④を陸上に誘い出すことができるかもしれません。
 また、④撃破で撤退成功、シナリオクリアとなります。

①ヤ・ウマト海戦準備
 海上もしくは海中を進み、敵の警備を抜けて軍港に至るまでのパートになります。
 残留効果溜め等にどうぞ。

 以上、皆さんのご参加お待ちしています。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


樹・春一
【海開き】
雨天決行ですね神よ!
いやあ、天気が悪めで助かりました!
晴れてたら照り返しやばかったですねこれ

それにしてもさすがの広さです! 陸とはスケールが違います!
夜に思い切り歌っても許されそうじゃないですか? ここまでくるの大変ですけど!

なんと! 姉さんが暇を持て余しています! これはいけません!
ここはひとつイルカもびっくりの光るサメパフォーマンスを

いらないですか? 乗りますか?
うちの近所にはいませんでしたからね、サメ!
全男子の憧れですよ! 最近は空も飛びます!
乗りますか?

水中適応って不思議ですよね。水の中を飛んでるみたいな感じです!
水着の方がよかったでしょうか。でも雨降ると寒いですからねえ


奴崎・娑婆蔵
【海開き】
やって参りやしたぜェ、ヤ・ウマト
どんなクロノヴェーダが居るやら、乗り込んでみたかったんでさァ
(年長ぶって引率MC)

陸でも海でも、所構わず八ツ裂きにしてやりまさァ!
(あっしのヤ・ウマト限定レア開戦時口上)

今の内に【完全視界】を積みィの、と
砲雷に煙る海面やらを思えば、こいつァあって損はあるめえ


●由乃と
箒で飛べねえ、加えて水の上
めちゃくちゃフラストレーションたまってそうでさァ……

●春一と
しかしお前さん、いつからそんなサメ推しになったんで?
いかしたサメ映画でも観やしたか?

●舞剣と
舞剣の、ステイ
爆発はドンパチ始めまでとっておきなせえ

●小鳥遊と
カハハ、出やしたぜ
小鳥遊のお嬢のいつもの恨み節でさァ


小鳥遊・英
【海開き】
翔んじゃダメです
穴だらけになっていいならいいですけど、後々面倒だし盾が一枚なくなるのでダメです

張り付いた前髪がうっとうしいなーとか思いながら回線安定に小型通信機の用意をさせます
ほら円滑なコミュニケーションの為に頑張るんだよオラッ

ちょっと噴火したら大変すぎるのでやめてもろて……
あ、でも樹さん(同い年くらいの方)は自称神(笑)だし
できるんかね。すげーな
いやサメ光らせたりそもそも水の上歩いてるだけですげーけど

しかし刻逆前にクソほどハマったあのゲームの世界に来たみたいでワクワクすっぞ
…アホほど課金したんだけどデータ残ってるんかな?
消えてたら許さんぞクロノヴェーダ
ど、同志?サーバーどこでした?


樹・由乃
【海開き】
私に海の上を歩かせるとは命が惜しくないと見えますね
敵のことですよ

撃ち落とされたくはないので素直に歩きますけども
大地がないというのは落ち着きませんね。土とも岩ともつかない踏み心地が新鮮で慣れません
あとなんもなくて遠い。海ひたすら広くて遠い
せめて私を楽しませる景色のひとつふたつ用意しておくのが礼儀ってものじゃないですか

あっ大丈夫です目立つんじゃありません。光るな爆ぜるなはしゃぐなお黙り
この広い海が戦場ですからね。敵のレンジもそれに合わせて馬鹿長いはずです
なので陸から少しずつ地面を増やして海を侵食する作戦がいいと思うんですよ

火山がちょっと噴火するだけでいいんですけど
なんとかなりませんかね


舞剣・荊
【海開き】
翔んじゃダメ?
そっか
……翔んじゃダメ?
そっかぁ

○準備
施設の隙間など陰を伝って移動
雨は遠くが見えにくくなるしラッキーだけど
放っとくと鼻水とクシャミ止まんなくなるよね
花粉症ってヤツ?

たかなし普段よりほそくなってね
風呂入ったネコみてーね
上着あげる


姉ーち海ダメだっけ
去年バナナボート乗ったり釣りしたりしたじゃん
存在しないキッズ?まっさかぁ

やっぱヒマだよな
イバラ、動きます
とりまはるーち光るし
アタシはカメもガンダで逃げる爆発ワザをちょちょっと

ダメ?
は~い
シャバゾーセンセーきびしーよなー

サメも回線安定丸も光るし
明かりはいらなそう
【壁歩き】つけて動きやすくしとこ


●雨の海原
 パラドクストレインの停まったそこは、雨の海。上も下も灰色に濁ったその場所、波打つ海面に、奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)が降り立った。
「やって参りやしたぜェ、ヤ・ウマト」
 残留効果でしっかりと海面を踏みしめ、真っ直ぐに立った彼は、手で庇を作って彼方を見遣る。
「どんなクロノヴェーダが居るやら、乗り込んでみたかったんでさァ」
 目指す台湾島の周囲には恐らく敵兵が配備されているのだろうが、ここからではその姿形までは確認できない。遭遇まではまだしばし、ここは年長らしく余裕のあるところを見せておくべきだろう。
「陸でも海でも、所構わず八ツ裂きにしてやりまさァ!」
 戦意に満ちたセリフを吐いて、ふっと鼻を鳴らしてみせる。聞きましたか、今のヤ・ウマトでしか聞けないレア開戦口上ですよ、といったところだが。
「そうですか」
 樹・由乃(堕ちた翠星・g06228)の反応はいつも以上に塩だった。
「ユノの姉御……」
 そちらを探るようにしながら、娑婆蔵が呟く。海の上を歩くというアクティビティもよくよく考えれば彼女にとっては地雷である。いつもより目つきが悪い、というかそこはかとなく剣呑な気配を漂わせているように見えるので、とりあえず一歩距離を取ることにして。
「……私に海の上を歩かせるとは命が惜しくないと見えますね」
「声に出てやすぜ姉御」
 良いんですよ、敵に言っているんですから。溜息交じりにそう口にして、由乃は帽子の下から半眼で先を睨む。
 足元は確かだが、土とも岩ともつかない踏み心地はどうにもしっくりこない。やはり陸が、大地がないと落ち着かないもの。
「あと何もなくて遠いですね。無駄に広くて遠い」
「小学生みたいなこと言い始めましたよこのヒト」
「姉ーち海ダメだっけ」
 由乃の難癖を聞き流しながら、小鳥遊・英(Code name/Falcon・g00772)と舞剣・荊(Thorm.・g02226)も海面に着地する。前髪から滴る雨水を鬱陶し気に払う英の横で、その辺りには無頓着な様子で荊が首を傾げた。
「でもさー、去年バナナボート乗ったり釣りしたりしたじゃん」
「キッズ枠で参加した覚えはないですけど」
「そうだっけ?」
 言われてみればバナナボートは乗ったのではなく凶器に使ったような気もする。彼女が記憶を手繰っている内に、樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)もフォローに回る。
「だだっ広いのも悪い事ばかりではありませんよ! ほら、夜に思い切り歌っても許されそうじゃないですか?」
「そのために、わざわざここまで飛んでくることあります?」
「ありませんね!!」
 即答だった。キッズの相手は疲れる、とばかりに息を吐きつつ、由乃が続けて呟く。
「せめて私を楽しませる景色のひとつふたつ、用意しておくのが礼儀ってものじゃないですか」
「なんと! 姉さんが暇を持て余しています! これはいけませんよアキラさん!」
「えっ」
「やっぱヒマなのはよくないよな」
 こっちに振らないで、と首を振る英とは逆に、荊がうんうんと頷いて返す。
「ここはひとつイルカもびっくりの光るサメパフォーマンスを!」
「じゃーアタシはカメもガンダで逃げる爆発ワザをちょちょっと」
「舞剣の、ステイ」
「やめなさい目立つんじゃありません」
 光るな爆ぜるなはしゃぐなお黙り。暇つぶしで暴れだしそうな二人を、娑婆蔵と由乃が制止する。
「いらないですか? 乗りますか?」
「乗りません」
「えー、ダメ?」
「爆発はドンパチ始めまでとっておきなせえ」
 遮蔽物のない海の上では少々目立ちすぎる。ともすれば敵の大集団を呼び寄せる結果になるやも――など懇々と説明したのが良かったのか、渋々ながら荊は頷いて返した。
「シャバゾーセンセーきびしーよなー」
「でも……良いんですか? サメですよ?」
「お前さん、いつからそんなサメ推しになったんで……?」
 何かそういう映画に感化でもされたのだろうか。娑婆蔵が訝し気に問うと。
「サメは全男子の憧れですよ! うちの近所にはいませんでしたし! 最近は空も飛びます!」
 こりゃァ完全に映画のやつ。まあわからないでもないが、と娑婆蔵は頷く。
「ということで、乗りますか?」
 乗らないから。もう一度否定の意を返しながら、由乃は深く――今日何度目かわからない溜息を吐いた。
「この広い海が戦場ですからね、それに合わせて馬鹿長いはずです。なので敵のレンジも陸から少しずつ地面を増やして海を侵食する作戦がいいと思うんですよ」
「はあ……」
「火山がちょっと噴火するだけでいいんですけど」
「ちょっとそれは大変すぎるのでやめてもろて……」
 こちらはこちらで問題があるようだ。引き気味に応じた英は、しかしそこで少し考え直す。自称神(笑)であるところの樹さんならば、それくらいできるのかもしれない。多分同い年くらいなのにやべーな。
「……」
 あっ何か睨まれてる。怖いので急いで目を逸らした彼女は、傍らの回線安定丸に働かせ、小型通信機の仕度を始めさせた。いつもはふわふわした回線安定丸も雨に濡れて機嫌が悪そうだが。
「ほら、円滑なコミュニケーションの為に頑張るんだよオラッ」
 主の権限で作業を進めさせていく。そんなパワーをハラスメント気味に振るう彼女を横目にしていた荊は、何かに気付いたように「ふむ」と鼻を鳴らした。
「たかなしちょっと痩せた?」
「急に何言ってるんです??」
「回線安定丸も風呂入ったネコみてーね」
「濡れて縮んだって言いたいんですか???」
 大体雨のせいである。別段嬉しいことはそんなにないが。
「いやあ、でも天気が悪めで助かりましたよ! 晴れてたら照り返しやばかったですねこれ」
 言われてみればそれはそうかもしれない。空の灰色を映す海面を眺めていると、荊がくしゃみをひとつ。
「花粉症かも」「それはないでしょ」「この季節とはいえ雨に打たれると冷えますからね! お大事に!」
 まじかーたかなし上着要る? なんだそれ彼氏か? いい加減にしなさいよお前達。相変わらず放っておくと収拾がつかなるキッズ達を由乃が咎めて、とりあえず先に進むよう促す。
「春一、潜って先行なさい」
「了解しました姉さん!!」
 喜んで、と水中適応で海へと沈んでいったサメを見送って。
「じゃーアタシは空から行くか」
「待て待て待て」
「話聞いてやしたか舞剣の?」
 意気揚々と飛ぼうとした彼女に由乃と娑婆蔵が再度ステイをかけた。
 飛んだ方が早そうなのは確かだが、撃ち落とされるのが先になるだろう、そう説き伏せる。
「……翔んじゃダメ?」
「ダメです。盾が減るじゃないですか」
「そっかぁ」
 渋々と諦めた彼女の様子に溜息をひとつ。英もまた彼方の台湾島を見遣る。敵基地付近には、艦船を纏った女性のようなクロノヴェーダ達が配されているのだろう。ちょっと詳しく描写するとヤバそうだが、それはどうしても刻逆前に流行ったあのゲームを思い出す。その世界に入り込んだような状況に心躍る部分もある。何しろアレにはアホほど課金もしたわけで。
「データ消えてたら許さんぞクロノヴェーダ……!」
「カハハ、出やしたぜ。小鳥遊のお嬢のいつもの恨み節でさァ」
 ようやく『復讐者』らしい空気になってきた、と娑婆蔵が強引に締めくくって。
「どんな相手が来たところで、陸でも海でも、所構わず八ツ裂きにしてやりまさァ」
 もう一回レア台詞を吐いてみたが、それはすんなりとスルーされた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【水面走行】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!

アミリアス・ヴェルザンディ
・アドリブ連携歓迎

ヤ・ウマトには、訪れたいと思っていたところさ。
特に噂の冥海機は、今後、我の水中戦に於ける研究対象だね。
本格的な水戦仕様なんてロマンが湧くじゃないか!

今回の目標である敵の港湾施設の破壊は、次の展開に於いて重要になってくるだろうから、味方が準備してくれた水中適応と水面走行の状態はしっかり確認しておこう。まだこちらの手札は少ないが、水戦での立ち回りや動きは大事だからね。
あとは上陸後、敵との交戦で味方との連携が上手くいくように【パラドクス通信】の方も活性化しておこう。

さて、このデヴィジョンには、こちらの好奇心を生み出してくれるような目ぼしいものがあるかね。


●好奇心
 曇った空の色を映し、波と共に上下する海面に、アミリアス・ヴェルザンディ(【自称】天才科学者・g01902)が降り立つ。味方の残留効果によるものだろう、凪へと変わった水面は、思ったよりも足場としてしっかりしている。歩き、走り、戦闘するという行為に至っても、地上と変わらぬ振る舞いができそうだ。
「とはいえ、噂の冥海機は本格的な海戦仕様だからね」
 どこまでやれるかな、という冷静な計算とは裏腹に、アミリアスの濁った瞳の奥には渇望の色が渦巻いていた。敵の在り方は研究対象として申し分ない上に、海戦特化という単語は、既にその時点でロマンに溢れている。
 そういう意味では今回の仕事は渡りに船。今回の目標である敵の港湾施設の破壊は、次の展開に於いて重要になってくるだろうし、何なら敵の造船所だって見れるかもしれない。
「このディヴィジョンには、こちらの好奇心を生み出してくれるような目ぼしいものがあるかね……?」
 楽しみだな、と口の端を吊り上げるように笑いながら、アミリアスは海中へとその身を沈めた。
 水面走行の後は水中適応の具合を確認。頭が海面を過ぎたところで、響いていた雨音が消えてなくなる。呼吸は問題無し、水圧や水の抵抗を感じない海の中は、どこか空を飛んでいるような不可思議な感触を覚える。
「まだこちらの手札は少ないが、やれるだけやってみようか」
 これから始まるであろう戦闘に備え、アミリアスは立ち回りを確認するように水中を泳ぐ。ウォーミングアップとこの後の確認を兼ねて、しばしそうして過ごしてから。
「後は連携を密にしていきたいね」
 上陸後に味方と素早く情報共有できるよう、通信機の準備を行う。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!

レナ・レッドフィールド
◆アドリブ・絡み歓迎!

なるほどなるほど!今のうちに叩けるだけ叩いておこうってことだね!まっかせてよ!
まずは【水中適応】を使って水中を移動するよ
軍港につくまでは敵に見つからないように進みつつも
水中から海面がどのようになっているか時々潜望鏡で確認しつつ注意するよ

何か変わったことや、分かったことがあったら
水中でも会話ができるようになったってことだから
周囲の仲間と連絡を取り合って情報等共有していけたらいいね!

水中戦はしたことがないから水の中でどれだけ動けるかも確かめたいしね
ウォーミングアップを兼ねつつ体を慣らしておくよ

水の中でも呼吸ができて自由に動けるってすごいね!ちょっと楽しいかも!


ライラ・ロスクヴァ
砂の都出身故、海は不慣れではありますが
卒なくこなせるのがディアボロスというもの
既にもたらされている残留効果を用いて、海上を進みましょう

……す、水中にも慣れておいた方が良いのでしょうか……
水に顔を……いえ、まだその時ではないですね
水面に恐る恐るつま先を乗せて
……あら、下さえ見なければ普通の地面となんら変わらないですね
……と、なると……問題は水中ですか

水の中とはどのような世界なのでしょうか
水流で目標を見失っては事です
完全視界を重ねておきましょう
…………うう、少しだけ、少しだけ怖いですね
えいっ!


●ウォーミングアップ
「なるほどなるほど! 今のうちに叩けるだけ叩いておこうってことだね!」
 示された方針は彼女にとっても納得のいくものだったらしい。「まっかせてよ!」と強く請け負ったレナ・レッドフィールド(赤き小悪魔・g09160)は、台湾島へと続く海原の上へと足を乗せた。パラドクストレインから降りたそこは、灰色の海――ではあるのだが、その海面はしっかりと体重を支えてくれている。
 そんな彼女の一歩後方、レナの様子を見て、ライラ・ロスクヴァ(セレーネ・g00843)は恐る恐ると言った様子で爪先を水に乗せた。
「この程度、卒なくこなせてこそディアボロスというもの……!」
 砂の都出身のライラには、この大海原の光景は刺激の強いものだったらしい。慎重に体重を移した彼女は、ゆっくりと時間をかけてその水面に両足で立つ。
「……あら、下さえ見なければ普通の地面となんら変わらないですね」
 少しばかり歩いてみて、拍子抜けしたように彼女は言う。これならば問題あるまい、一瞬表情が明るくなったが、その晴れ間は一瞬のことだった。
「……す、水中にも慣れておいた方が良いのでしょうか……」
「それは……そうだろうね」
 躊躇いがちな彼女の言葉に、思わずレナがそう応じる。
「水中戦はしたことないし、水の中でどれだけ動けるかも確かめておいた方が良いよね?」
「……うう、水に……顔を?」
 そこから? 一瞬笑ってしまいそうになるが、本人にとっては重大な問題なのだろう。口を出す代わりに、レナは先導するように水の中へと飛び込んだ。
 雨粒の打ち付ける水面を抜けて、何処か静かな海中へ。水中適応効果により呼吸も問題なく、水の抵抗も感じない――これは泳ぐというより飛ぶというのが近いだろうか。その不可思議な感触を確かめ、身体を慣らすように、彼女は自在に水中を舞ってみせる。
「水の中でも呼吸ができて自由に動けるってすごいね! ちょっと楽しいかも!」
「ほ、本当ですか……?」
 楽し気なその様子に引っ張られるようにして、ライラはレナの潜った水面を見つめる。
 少しだけ、ほんの少しだけ怖いけれど。意を決した彼女は、レナの潜った残滓に揺れるそこへ、思い切って飛び込んだ。
「……えいっ!!」
 水の上とは違い、身体を打ち付ける雨の感覚が消える。うねる水流の向こうを完全視界で見通せば、空中に投げ出されたような光景が広がる。
 泳ぐ生き物や水流に添う泡、空からの光が徐々に薄くなっていくのがはっきりとわかるその世界は、ライラにとってはやはり見慣れぬもの。
「目標を見失わないように、気を付けないと……」
 姿勢の制御にはまだまだ練習が要りそうで、ヘタをすれば上下さえわからなくなってしまいそうだが……とりあえずは、あの鮮やかな赤色を追いかけるのが丁度良いか。
「それじゃ、ウォーミングアップがてら台湾島を目指そう」
 そんなライラの様子を一瞥してから、レナは水面近くに浮上しながら静かに進み始める。
「出来れば、軍港につくまでは敵に見つからないように進みたいね」
 時折潜望鏡で水面の上を探りつつ、素早く。警備体制の隙間を探るようにしながら、ディアボロス達は敵基地へと侵攻していった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】がLV2になった!
【完全視界】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

瀬鍔・頼門
この防備の先にかの冥海機はいる…。いずれ追いすがってみせるぞ、翔鶴。
まずはここの守りと施設を崩していかねばな。冥海機を産み出す要因をひとつでも断つのだ。

【水面走行】と【水中適応】を使い、無双馬と共に海上を駆け慣らす。
さらに持ち込んだ【完全視界】を使い、雨天でも海上と水中に目が利くようにしよう

それにしても海原を騎馬にて駆ける感覚…何度目かではあるが夢でも見ている心地だ。…っと、いかんな。戦の前だというのに。
我に返り弓の弦の具合、太刀筋を確認していこう

仲間の提案や情報の提供には耳を傾け、連携したい。肩ならしをしたい者がいれば、付き合おう。
この雨は我らの強襲の追い風と信じたい。ゆくぞ…!


●進軍
 波に揺れる海原の向こうには、目指す台湾島が見える。水中に、水上に、無数に配された防備を遠目に眺め、瀬鍔・頼門(あかときの影狼・g07120)は鋭い視線を向けた。
 決して薄くはないこの警戒網の向こう、軍港を越えた先に、かの冥海機が控えているのだろう。
「いずれ追いすがってみせるぞ、翔鶴」
 先の戦争にて交戦したジェネラル級、この前線基地を束ねる者の名を口にする。決意を新たにした頼門は、そのための一歩を確実に刻む算段を付け始める。
 かの敵を確実に追い詰めていくのなら、この守りを破り、冥海機を産み出す施設を崩していくのが肝要だろう。
 跨った無双馬、綾目草に命じて、海の上を駆けさせる。海面こそ凪いではいるが、絶え間ない雨と風が頼門と共に馬身を濡らす。少々過酷ではあるが、慣らしとしては丁度良いか。完全視界で雨の向こうを見通しながら、確かめるような足取りで走る無双馬は、やがて足元の感触を掴んだのか、地上と変わらぬ速度で駆け始めた。
「しかし……改めて見ても、夢のような心地だな」
 広く平らな、どこまでも広がる海の上を、愛馬と共に行く。戦場に向かっているという状況でさえなければ、さぞ心地よいことだろう。
「……っと、いかんな。戦の前だというのに」
 意識を目の前のことに引き戻し、頼門は戦いの準備に集中する。弓の弦の張り、そして太刀を振るうことでその重みを確かめていく。
 弦の音色、そして鞘走る太刀の切っ先が、降り来る雨糸を両断する。その軌跡には鈍りはなく、雲間から差す光明の如し。
「ゆくぞ……!」
 準備も、そして心構えも十分だろう。あとはこの雨を強襲の追い風と信じ、彼は進む。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

椎名・理
帰って来たぞ我が故郷、と…
早速ウォーミングアップしよう
俺は呉の工兵だったからな
そっちも取り戻したいが今は台湾が先
さてどんなもんだろうか

水中適応で万が一の対応と退路の確保の為に動く
こっちだって水中戦用だ。そうそう後れは取らんよ
その上で情報収集、潮流や水温を見取って
最適な襲撃タイミングや経路を策定しよう
先の先まで考えておけば、ドンパチする時悩まずに済むだろう

後はこのロートルの身体がどの程度動けるか
実際にパラドクスで全身を慣らしながら進もうかね

俺は英霊機のなりそこないだ
故郷へ帰還出来る日をどれだけ待ち望んでいた事か
今度こそこの身を賭して世界を奪還してみせるさ
半端な機械だとしても魂までは錆びちゃいない


青天井・イカス
アドリブ・連携、お任せ

【水面走行】ヲ準備
【水中適用】は誰カのを拝借スるゼ
発動シてルなら【完全視界】モ

残留効果を発動デきタら、早速ウォーミングアップ
チョいト走ってミたリ、潜ッて水中デの動キ方や視界を確認すル
手の空イテる復讐者ガいたラ簡単な手合ワせシテも良いカもナ?

造船ドックの破壊ヲ速ヤかニ行うなラ、潜入の方がイイだロが、マ、他の復讐者達の方針次第カネ
強襲・即破壊ッツー勢いデ押シ切るのモ、俺ァ好きダシ
破壊工作は諜報員とシちャ十八番
ソノ辺りは同伴者等ノ様子に従ウゼ
まァ、奴サんも来るノが分カッてテ見ス見す素通リ赦すヨな莫迦ジゃネェ
ひと悶着はアるダロが

トまレ、準備出来たンなラ、イザ出陣ってカ
楽シもうゼ


●工作員
 降る雨を受けて、無数の飛沫を散らす台湾島の海面、その一角を蹴り付けて、青天井・イカス(このうえなく・イカス・g02133)が宙を舞う。身を捻って相手の攻撃を躱した彼は、水面に着水すると、そのままの勢いで水中適応効果を活かし、潜航姿勢に入った。
「――やるな、アンタ」
 反撃の隙を窺うイカスの動きに、椎名・理(サイボーグ残党兵・g03165)が呟く。ディアボロスがこのディヴィジョンを訪れてからまだ日が浅いはずだが、この短期間に戦闘経験を詰んだ彼の戦いぶりは、ヤ・ウマト出身の者に引けを取らない。ならば遠慮は要らないだろう、と理はパラドクスを発動し――。
「仕舞わせてもらうぜ」
「待てマテまテ、それハさすガにキツい」
 全身に漲る力の程を見て、イカスが両手を上げてみせる。慣らしの手合わせにしては少々重い、というアピールに、理は少々残念そうに「そうか」と応じた。
「このロートルの身体がどの程度動けるか、もう少し見ておきたかったが……」
 拳を握り、開き、確かめるようにした彼は、思考を切り替え、向かうべき台湾島の方角へと目を向けた。
「ロートル、ねエ……」
 少々を含みを持たせた返しをしながら、イカスの方も同じ側を向く。できれば続きは敵陣で、クロノヴェーダを相手にやってほしいと言わんばかりに。
「造船ドックの破壊ヲ速ヤかニ行うなラ、潜入の方がイイだロ」
「確かに、最初から無駄に目立つ必要はないな」
 どちらにせよ、脱出の際には大軍を相手取ることになるのだから。
「勢いデ押シ切るのモ、俺ァ好きダけど」
「暴れるのは、その後の破壊工作で存分にやれるだろう」
 見える状況を分析し、理は潮流と共に敵の配置を予測する。読み取った情報と合わせて、極力敵と遭遇しない経路を策定するが。
「まァ、奴サんも来るノが分カッてテ見ス見す素通リ赦すヨな莫迦ジゃネェ。ひと悶着はアるダロ」
 そううまくいくことばかりではない、というイカスの言葉に頷いて返す。
「その時は……こっちだって水中戦用だ。そうそう後れは取らんよ」
 先の先まで考えようとも、ある程度『出たとこ勝負』になるのは避けられない。となれば、万が一と、最悪の場合に備えたなら、後は出目の良さを祈るまでだ。
 その辺りの認識は共有できたようで、ディアボロス等はそこで進むべき航路を定めた。
「トまレ、準備出来たンなラ、イザ出陣ってカ」
 楽シもうゼ、というイカスの声に理が応じる。海上に踏み出した彼の足取りは、地上と変わらず、しっかりとしたもの。
 海上に刻まれる轍。その上で、ざあざあと降る雨の音に紛れるように、理は小さく呟いた。
「帰って来たぞ我が故郷、と……」
 理の奪還したい呉への道はまだ遠い。しかし、この台湾島の制圧は、必ずそのための糧となるはず。
 これは彼にとって、待ち望んだ最初の『反抗』。今度こそ、この身を賭して世界を奪還してみせるのだ。未だ錆びぬ魂に、もう一度火を入れるようにして、理は戦場への道を急いだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】がLV3になった!
【水面走行】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!

ルーシド・アスィーム
雨、ですか
視界を妨げ、匂いを消す効果を上手く取り入れたいものですね

【水中適応】の効果を重ね、水中戦を有利に運べるように留意しつつ自前の『ナジュムの遠見』を活用しつつ敵の配置(布陣や戦力の薄い点、哨戒パターン)及び敵地(構造、戦闘のしやすい空間)を【観察】、【偵察】
敵の動きを把握し、侵入が見破られない範囲で前進。より詳細な情報を得られるよう立ち回ります。海面には出たり入ったりで敵避けも
得た情報は【パラドクス通信】や会話で仲間と共有

侵入と戦闘行動のサポートを兼ねて「水使い」「風使い」の魔術を展開、不自然になりすぎない範囲で波を立てての消音を試行
雨でそうは目立たないでしょうが、念には念を入れましょう


月鏡・サヨコ
高雄警備府に打撃を与えておけば、復讐者を強く警戒する翔鶴の動きを抑えておける
あわよくば、七曜の戦での台湾制圧、そして奪還すら狙えるかもしれない
重大な作戦だ……
あいにくの雨だけど……往こう、桂

≪巡洋戦艦海戦装『黒姫』≫を纏い【水面走行】を借りて台湾島に向かう
道すがら≪試製型攻性電探≫と、共に海を行くパンツァーハウンドの視界や嗅覚を合わせて索敵
海洋知識を活かして、船の通りが多そうな場所は避けるなどの工夫もしよう
残留効果で水面が凪ぐから、船を避けた結果、荒れ海に乗り出すことになっても問題ない

漁船や軍船との遭遇が避けられない時は【水中適応】を借りて潜水
人の眼をやり過ごして台湾島の近海まで到達しよう


●軍港へ
 戦争においての接触から、翔鶴はディアボロス達の実力を認め、警戒を強めている。先の戦闘でのダメージから回復しきっていないためもあるだろう、守りに入った今ならば、高雄警備府への攻撃がより効果的になるはず。翔鶴の動きを抑え、あわよくばその先、台湾制圧と奪還へと繋げることも夢ではない。これは重要な任務である――。
 月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は、改めて行く手の海を見遣る。開けた海原の向こう、見落とすはずもない敵の拠点、台湾島は、煙る雨の中に沈んでいた。
「今日はあいにくの雨だけど……」
「とはいえ、敵の視界を妨げ、匂いを消す効果も期待できますよ」
 航海日和とは言い難いが、考えようによっては進軍に向いた状況とも言える。ルーシド・アスィーム(星轍・g01854)の言葉に頷いて、サヨコはパンツァーハウンドの桂と共に、大洋へと漕ぎ出した。
「往こう、桂」
 『黒姫』と名付けられた海戦装を纏い、進む彼女の前では、荒海さえも凪へと変わる。ヤ・ウマトの海域に慣れたサヨコの歩みは極めて順調、高出力のレーダーにて敵の位置を探りながら目的の台湾島へと近づいていく。
「桂、何か見つけたら教えて」
 雨中でも鼻の利く相棒と共に、通常船の通りたがらない航路を選べば、ぎりぎりまで警備に気付かれずに接近できるはず。
「……それでも、この辺りが限界ですかね」
 こちらはこちらでダンジョンペンギンを引き連れ、海上を進んでいたルーシドが呟く。『ナジュムの遠見』を通して見える敵の配置は、徐々に分厚く、隙間は少なくなってきている。前回の偵察隊の件もあり、敵の警備も厳重になっているためだろう。
「見張りの船が接近」
「やり過ごせると良いんですが……」
 さすがにこれ以上の迂回は出来ない、サヨコの察知した巡回の船を前に、二人は海中へと身を沈ませた。
 雨に煙る海面から下へ、隠れるように深く潜航したいところだが、それはそれで海中の部隊に見つかりやすくなってしまう。適度な深さを保ちながら、ルーシドは魔術を駆使し、海面を波で乱すようにして敵の視界を阻む。雨音と波音、それからこんな近くまで接近されているとは思っていない敵の意識の間隙を突くように、二人はその巡回の兵をやり過ごした。
「……このまま盾になってもらうのは?」
「良いですね、静かに付いていきましょう」
 通信機越しに意思の疎通を取り、ディアボロス達は台湾島方面へと舵を切った巡回の船に隠れるようにして、後へ続く。
 この潜入はいずれ気付かれてしまうだろうが、その時にはこちらは敵の懐まで入り込めているだろう。

 クロノヴェーダ達の陣取る港湾施設は、ほどなく戦火に包まれる。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】がLV4になった!
【建物復元】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!

●雨の軍港
 敵の警備を無事やり過ごすのに成功し、ディアボロス達は敵の軍港へと辿り着いた。桟橋に当たる部分の影で、水の中から顔を出した一行は、港を巡回するトループス級達――タコを思わせる兵装の冥海機の姿を確認する。
 潜入は上手くいったが、さすがにそれもここまでだろう。これ以上進むのならば、確実に姿を見られることになる。

 港に寄せる波の音と、鉄を打つ雨垂れの音。薄暗い灰色の空の下で、一同に選択の時が来る。
 当初の目的通り軍港から上がり、設備に対して破壊工作に入れば、警備の者達のみならず海上から警備部隊がやってくるだろう。
 ここから仕掛ける方向は、勿論各自の判断に委ねられている。
レナ・レッドフィールド
◆アドリブ・連携歓迎!

うっわー!タコ足うねうね!
でもこいつ達を倒せば他の敵を陸上戦に持ち込めるのね
そっちへ行った仲間たちが気づかれないように上陸できるよう
海上にいるメタルクルーズ達の気を引くことにするよ!

【水面走行】にて海上での足場を確保し戦闘態勢に入る

足元よーし!ウォーミングアップもお陰もあってかばっちり!
あなた達はレナがお相手するよ!さぁかかってこーい!

と挑発するかのように言葉を放ちメタルクルーズ達の注意をこちらに向ける
海上を【フェイント】な動きをしつつ敵を翻弄させ
敵の攻撃の標準からそらしつつ自分も攻撃態勢に入る

さぁ、これでも食らっちゃってー!
とパラドクス【飴色時雨】をお見舞いする


ライラ・ロスクヴァ
彼女のおかげで水中を飛ぶ事にも馴染みました
新宿島に来てから得たこの翼で飛ぶように、動けば良いのですね

幸い通信機もあることですし、上手く連携をとりながら行きたいものです
鉄扇を手に、いざ参ります
そちらが誘導弾を使うのでしたら、こちらも
水中、水上を行き来し、的を絞らせません
ここぞというタイミングを見て、わたくしも魔弾を放ちます
鉄扇を舞うように動かし、その先から魔弾を打ち出します
ひとつ入れたらまた水中、水上を動き回り、他の方の攻撃が入りやすいような隙を作り出しましょう


●陽動
 軍港の端に辿り着いたレナ・レッドフィールド(赤き小悪魔・g09160)は、桟橋の影から敵の軍事施設を覗き見る。雨空に沈む灰色と黒、そして錆色の威容。どれもこれも無骨で堅牢な作りに見えるが、パラドクスを駆使すれば破壊は十分に可能なはずだ。
 問題があるとするならば、その場を守る警備のトループス級達だろうか。
「うっわー! タコ足うねうね!」
 見たままの感想であるが、あの武装はそうとしか言えない。何人かのグループで巡回するオクトリアから身を隠しつつ、レナは反対側――洋上へと目を向けた。当然ながら、こちらに配備されたメタルクルーズ達も捨て置けないだろう。施設破壊を優先すれば陸上に誘い出すことも出来るが、それは同時に破壊工作に回った者達が後背を突かれるという意味でもある。
「それなら――」
 味方が無事に上陸し、憂いなく仕事を完遂できるように、レナは洋上へと戻った。
 波打つ海面に足を乗せ、凪を生み出しそこに踏み出す。
「足元よーし! あなた達はレナがお相手するよ!」
 ウォーミングアップのおかげもあって、その動きに淀みはない。軽やかなステップで海面を走り、彼女はメタルクルーズ達に存在をアピールしてみせた。
『えっ誰?』『もう潜入されてるじゃないの!?』
 何やってたのよ警備兵、と互いに互いを罵りながら、レナに気付いた海上の部隊が迫り来る。殺到する敵の群れに、彼女は笑みを浮かべて応じた。
「さぁかかってこーい!」
 先頭を進むメタルクルーズが飛び上がり、艦底部のエネルギーブレードを起動、レナへと迫る。ロッドを構えた彼女がそれに応戦し、戦いの火蓋は切って落とされた。
 体重を乗せた一撃を、フェイントを交えて逸らすように受けながら、レナは敵の集団に抗する。刃による攻撃では仕留めきれないと判断した後続のトループス級が、主砲を動かし援護に入ろうと動くが。
「そうはさせませんよ……!」
 水中から飛び上がったライラ・ロスクヴァ(セレーネ・g00843)が、虹色に輝く瞳でその敵を捉える。海上で振るわれる鉄扇、舞うような優雅な動きに相応しく、そこから撃ち出された魔弾もまた複雑な軌道を描き出した。
 夜色の魔弾は洋上の雨糸を切り裂くように走り、ライラの視線の先、メタルクルーズを撃ち抜く。
『この……ッ!』
 機先を制された彼女が反撃のために動く前に、ライラはそのまま水中へと飛び込み、相手の照準を乱しにかかる。なおも構わず海中へと撃ち出される冥海機の砲弾、それに対応して、彼女は迷うことなく翼を振るった。
「ようやく、馴染んできた気がします……」
 当初は顔を浸けるのも躊躇していたほどだが、今ではこの通り。翼を自在に操り、飛ぶようにして水中を舞う。こちらも本番前の練習が功を奏した形だ。先導してくれた彼女のおかげとも言えるだろうか――海上で戦うレナの方を一瞥し、ライラは続けて別の敵へ、味方の攻撃のタイミングを作るべく仕掛けていった。
 再度放たれた魔弾が狙撃体勢に入っていた敵を撃ち抜く。それによって生み出された一時の空白を逃さず、レナは魔法の杖を振るった。
「さぁ、これでも食らっちゃってー!」
 虹を描くようなその軌道に添って、カラフルな弾丸、もとい大量の飴玉が降り注ぐ。敵の一団をまとめて巻き込みながら、レナは軍港の方へと一度視線を送った。
 そして、洋上の敵を引き付けるという当初の目的を十分に果たすべく、追撃の構えを取る。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV2になった!

月鏡・サヨコ
……施設の破壊ついでに敵を水揚げ出来るなら、重畳
懸念があるとすれば、一般人が残っているかもしれないことか

軍港に上陸したら、速やかに軍事施設へと突入を
そこに一般人が残っているなら【避難勧告】
≪銃剣付歩兵銃≫で脅してでも撤退を促そう
海戦の死でなければ、冥海機は生まれない……それでも、陸で徒死する?

一般人への被害がないと確認したところで、『機甲軍犬連携砲撃』を発令
≪巡洋戦艦海戦装『黒姫』≫から放つ無数の砲弾と機銃弾、更に桂の援護射撃により
施設やそこにある兵器を、容易に再建できないよう破壊してゆく

施設警備隊も適宜砲撃に巻き込んで倒し、退路を塞がれないようにする
敵の砲は≪海戦装用増設防盾≫で防ぎ、耐える


ルーシド・アスィーム
結果は上々、今こそ仕掛ける時ですね
わたゆき、僕にしっかり掴まっていて下さい。サディーク、今度は君も働いて貰いますよ!

【水面走行】【水中適応】を駆使し、引き続き水面を上下して相手を撹乱しながら颯爽と上陸

破壊工作の支援も兼ね「バステトの託宣」を紡ぎ、その牙を己が身に突き立てて頂きます
罪なき人々を虐げる貴方達に我が神はお怒りである。その罪、命を以て償いなさい
相手が態勢を立て直す前に【高速詠唱】【連続魔法】【光使い】で紡いだ無数の光玉を展開、敵陣で弾けさせ視界の妨害も試みます

その隙にサディーク(ジン)は双剣の【斬撃】、わたゆきは【氷雪使い】の力で作った雪玉をぶつけ施設破壊を実行
遠慮なくお願いしますよ!


椎名・理
細工は流々、ここまで近づきゃあ外す事ぁ無えだろ……
使えそうな残留効果やパラドクス通信で仲間と密に連携して
水中適応で海中に隠れつつ施設破壊を狙うぜ
無論、一般人の避難があればそれが終わり次第
仲間の陽動に乗じて作戦開始だ
イマジナリキャノン発動――砲兵達の幻影よ、やっちまえ
46㎝3連装砲の一斉砲撃で造船ドックや軍事施設をブッ壊す

粗方片付いたら仕上げの為に上陸だ
タコ姉ちゃんが邪魔してくるなら海戦装から晴嵐を飛ばして牽制
蛸足と鎖の捕縛から逃れられればそれでいい
俺はキャノンボールデバイスの衝撃波や海戦装の単装砲で
残る施設とかを片っ端から砲撃だ
もし捕まってもオーラ操作と忍耐力で我慢する
……後は任せるぜ、先輩達


●施設破壊
 先に仕掛けた味方の手により、海上の警備網は乱れ、目指す軍港までの距離は僅かなもの。今こそ仕掛ける時だとばかりに、ルーシド・アスィーム(星轍・g01854)はダンジョンペンギンとジンへ呼び掛ける。
「わたゆき、僕にしっかり掴まっていて下さい。サディーク、今度は君も働いて貰いますよ!」
 ここから先は潜入に拘る意味もない、水面を上下するように残りの距離を一気に詰めて、彼等は颯爽と陸へと上がった。
『何だ? この時間に寄港する船なんて――』
「……ここの職員か」
 突入した軍港内、最初に目に付いたのは、ここで働く技術者達の姿だった。今回の任務は破壊工作、当然犠牲はついて回るものだが。
 銃剣付きのそれを突きつけるようにして、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は彼等に告げた。
「海戦の死でなければ、冥海機は生まれない……それでも、陸で徒死する?」
 いたずらに人々を巻き込むのは本意ではない。【避難勧告】効果によって非常灯と思しき赤い光が明滅し、軍港にサイレンが鳴り響く。それを聞いた彼等は、迎撃よりも撤退を優先、慌てて彼女等に背を向け、走り出した。
『あ、ちょっと、持ち場を離れないで……!』
『仕事をしなさい、仕事を……!!』
 ディアボロス等の突入に気付いたオクトリア達が、彼等を囲むように駆け付ける。その声を味方の通信機越しに聞きながら、椎名・理(サイボーグ残党兵・g03165)は水中で呆れたように息を吐いた。
「潜入を許した警備員が言うことか……?」
 まあ、こちらはしっかりと仕事をこなさせてもらおう。ここまで近づけば外すこともあるまい、理はかつて散っていった砲兵達の幻影を生み出し、彼等の操る砲塔を、軍港に向けてずらりと並べる。
「――やっちまえ」
 『イマジナリキャノン』、46㎝3連装砲が一斉に火を噴き、オクトリア達の陣容、そして彼女等の守る軍港へと砲弾を降らせた。雨雲からの水滴などとは一線を画す、重く速い砲火の雨は、軍事施設に着弾し、抉り飛ばすように貫いていく。
 オクトリア達からすれば突如降り注いだそれらに、迎撃態勢の形成が遅れる。明らかなその隙を食い破るように、サヨコとルーシドは各々に仕掛けた。
「狩りを始めようか、桂」
 サヨコの備えた『黒姫』が、両腕を広げるようにその武装を展開し、パンツァーハウンドがその背を固める。砲弾と機銃が次々と発射され、武装に見合った無数のそれらが、製造中の艦船や兵器、施設そのものを次々と破壊していく。
『よくも、私たちの港を』
『それ以上はやらせない……!』
 後手に回ってしまったオクトリア達も、さすがにそこまでされて黙ってはいられないとばかりに、タコの足を思わせるその武装を展開、サヨコを押し留めにかかる。だが、そこにルーシドが立ち塞がった。
「罪なき人々を虐げる貴方達に我が神はお怒りである」
 紡がれる神聖魔術によって、その言葉には力が宿る。
「――その罪、命を以て償いなさい」
 罪禍を刃に、『バステトの託宣』の影響下に置かれたオクトリアは、タコ足で自らを掻き抱くように絡め、きつく締め付け始めた。その間にも理とサヨコの砲撃、そしてジンの刃とダンジョンペンギンの生み出す雪玉が、施設を蹂躙していく。
「その調子で、遠慮なくお願いしますよ!」
『この、いい加減に……!』
 オクトリアの従えた蛸状の怪物が牙を剥いて、その身を掠める。がちがちと歯を慣らす不気味なそれに、サディークは双剣で以て牽制を仕掛けた。そうして相手の動きを押し留めたそこに、上陸してきた理の単装砲が着弾、一撃でそれを弾き飛ばす。さらに施設破壊に従事していたサヨコがそのオクトリアを巻き込むように砲撃し、ついでとばかりにとどめを刺した。
「さて、先手は取れたが……」
 周囲の様子を探りながら、理は呟く。戦いの口火を切り、警備の足並みを乱し、施設破壊も順調、先陣としては十分な突破口を作ったと言って良い。だがまだまだ敵の数が多いか。
 海戦装から支援機を飛ばしつつ防御の構えを取り、生き残った敵の攻撃――絡みつく蛸足と鎖に耐え、時間を稼ぐ。
「……後は任せるぜ、先輩達」
 後は、そう。『先輩達』がいかに戦果を得るか、その戦いぶりを見せてくれることだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV3になった!

アミリアス・ヴェルザンディ
・アドリブ連携歓迎

【水中適応】を利用しながら、水中より港湾に近づくにしても、外海側を警戒する敵がいるならば、簡単にはいかないだろうね
しかし、陽動してくれる味方がいるならば、湾内に侵入する隙も生まれるものさ
後は、陽動に陽動を重ねこちらの土俵に持ち込むとしよう

ノスタルジックという意味では、こういう施設荒らしは少々勿体ない気もするが…まぁ、大体見るものも見たし、もう破壊していいかな?

施設破壊していけば、ドック側の敵も私達が海から奇襲を仕掛けてきたことが分かるだろうね。対処に湾内へ出てこようとする冥海機たちもいるかもしれないから、その時は私の発明品『外海神の顎』ハーヴグーヴァの餌になってもらうとしよう


青天井・イカス
陸にオびき出セる可能性ガある…ッテんなラ、ヤらナイ手はネェな
他の復讐者ノ動向をチラリと横目デ確認シ
施設破壊に向カう奴ァ何人カいる…カ
ソレじャあ俺は足止メでモスるかネと思考
施設破壊側ノ同胞のサポートに回るゼ

ヨォ、邪魔スんゼと敢えテ声掛ケ、複数体を自分に引キつケル
復讐者がイるとアッちャ、お前サン等は無視出来ネぇヨナ
【万雷】使用
タコ相手に接近戦タァあンまリ美味カねェが、まァ、ヤレるヨウにヤるシかネェな、俺等みたイのハ
吸盤に貼り付カれヨウと構ワず殴る
千切ラれル前に打チのメセば良いンだワ
タコの締メ方と同じダな?

施設破壊ガ達成シタなラ帰還
っト、ソノ前にモウ一仕事
立ツ鳥跡を濁サず
海のお掃除シて行こウゼ


瀬鍔・頼門
この雨天を追い風に、冥海機に仇なす嵐とならん
連携や協力できる仲間がいれば積極的に同行する

海上を無双馬で駆ける勢いのまま港湾基地へと突入する。
【完全視界】を活かし艦船ドッグなどの敵施設を見分け、【春日ノ御太刀】で攻撃。
冥海機が邪魔をしてくるならばそのまま攻撃をかけよう。敵もろとも施設まで切り倒す勢いでいく。
敵の足や鎖がまとわりつくならば電撃帯びたままの太刀で切り振り払おう。

偽りの誉を与え人の死を求めるは許しがたい。冥海機にまつわるものは灰となるのを覚悟せよ!

とはいえ、一般人が紛れている可能性は慎重に見分けていかねば。万一一般人がいるなら逃げるよう警告して巻き込まぬように去る。


●応戦
「こっちも上手く潜り込めたね」
 水中から顔を出したアミリアス・ヴェルザンディ(【自称】天才科学者・g01902)が、軍港の一角へと上陸する。海上では陽動に出た味方が戦闘を開始しており、付近の施設でも既に破壊工作が始まっていた。上がる火の手と黒煙は、曇り空にもよく映える。それらをぐるりと一望して、彼女はひとつ溜息を吐いた。首尾は上々、それは間違いないのだが、ノスタルジックという意味では少々勿体なくも感じてしまう。
「まぁ、大体見るものも見たし、もう破壊していいかな?」
「今後のコトを考エれバ、ヤらナイ手はネェよな」
 そもそもそれが目的でもあるし、増援を陸地に誘い出すことにも繋がる。これは欠かせない選択なのだと頷く青天井・イカス(このうえなく・イカス・g02133)に続いて、海上から到達した瀬鍔・頼門(あかときの影狼・g07120)がその傍らを駆け抜けた。
 赤い鬣を靡かせ、速度を緩めることなく軍港に踏み込んだ無双馬が、艦船ドックへと至る。
「命が惜しければ、速やかに去れ!」
 襲撃に慌てる港湾スタッフ、一般人達に向けてそう告げると、頼門は太刀を抜き放った。
『こら、逃げるな……!』『ここで取り押さえないと……!』
 逃げ惑う人々を跳び越え、立ち塞がるオクトリア達にも怯むことなく無双馬は駆け、その勢いのままに、頼門は刀を振り抜く。パラドクスの力によって紫電を纏った『春日ノ御太刀』、その一閃は雷光の如く闇を引き裂き、敵と同時にその後ろの軍施設を両断した。
 それは冥海機に仇なし、彼等の野望を挫く嵐の如く。なおも彼は敵地を駆ける。
「派手にやってるねえ」
 人馬一体のその後ろ姿を眺めつつ、アミリアスとイカスは周囲に注意を向けていた。
「ダガそうなルと、敵モ増援を出シてくるよナ」
 そうだね、とアミリアスが頷く。破壊工作は順調なのだから、後はそれを邪魔させないだけで十分に成果を上げられるだろう。
 その辺りの認識は共通したもの、一足早く動いたイカスは、炎上中の港湾施設に向かおうとする一団を見つけると、後ろから声をかけた。
「ヨォ、邪魔シテんゼ」
 敢えて発したその言葉、『侵入者』を認識したオクトリア達は、当然その足を止めることになる。
『ここにも敵が!?』『ワタシ達を甘く見ないで……!』
 彼女等の影が、展開された蛸足型の兵装によって、一瞬で大きく膨れ上がる。それが絡みつく目前で、イカスは既に拳銃を抜き放っていた。
 雨音を切り裂く轟音、一発の銃弾が先頭の一体の頭を欠けさせる。しかし倒れゆく彼女に構わず、残りの敵が鎖を、蛸足をこちらへと伸ばしてきていた。
「マ、当然コうなルか」
 柔軟で力強く、文字通り手数の多いタコ相手に接近戦を挑むのはあまり良策とは言えない。そんなことは彼も重々わかってはいるが。
「まァ、ヤレるヨウにヤるシかネェな、俺等みたイのハ」
 我が身を縛るそれに抗い、力ずくで体の一部を自由にする。貼り付く吸盤、引き千切らんばかりに力の籠る足に構わず、イカスは敵を思い切り殴りつけた。
『が、ハ……!?』
 スマートとは言い難いやり方。しかしそれでも、腕力で勝利は掴み取れるもの。
「千切ラれル前に打チのメセば良いンだワ」
 タコの締め方と同じだ、と冗談めかして言いながら、イカスはその一団を叩き伏せた。
 同時に、洋上からの増援に対しては、アミリアスの放った戦闘機械が迫っている。
「さぁ、我の可愛いハーヴグーヴァ、餌の時間だよ!」
 深海から現れた巨大な鯨型のそれは、大顎を開いて冥海機へと喰らい付く。反撃の暇もあらばこそ、ハーヴグーヴァはそのまま敵を海中へと引きずり込んでいった。
 直接の警備部隊を打ち倒し、妨害を遅らせたことで、敵施設の破壊は順調に進んでいる。ここまでやれば、そう簡単には元通りにはならないだろう。
「偽りの誉を与え人の死を求めるは許しがたい。冥海機にまつわるものは灰となるのを覚悟せよ!」
 纏わりつく敵の足を斬り払い、帯電した刃を掲げて頼門が宣言する。朗々たるその声は、この戦場の勝利を物語っていた。後は、可能な限り無事で離脱するだけだが……。
「っト、ソノ前にモウ一仕事カ」
 その気配を察して、イカスが呟く。破壊された施設の炎とは対照的に、暗く沈んだ水の中から、冥海機が一体現れる。
 こちらもそれまでのオクトリアと同じ、蛸を思わせる武装ではあるが、備えた砲門の数が、質が、まるで別物であると主張していた。
「立ツ鳥跡を濁サず。海のお掃除シて行こウゼ」
 アヴァタール級。彼女を下さなくては、生きての帰還は果たせないだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】がLV5になった!
【水面走行】がLV3になった!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
【グロリアス】LV1が発生!

樹・由乃
【海開き】
無礼者どもめ、ようやく姿を現しましたね
おまえたち。海を爆破して陸にして差し上げなさい

私は潜りません

働け?
敵の砲を避けるのに忙しいんです。こっちは徒歩なんですよ
私が手を下さなくとも優秀な戦士であるおまえたちなら負けることはないでしょう
ですよね優秀な戦士ブルー。おまえは働きなさい

まあ援護射撃くらいはしますけど
よく御覧なさい。この水面から芽吹く弾丸が
真下へ飛んでいく様を

魔法弾は環境に左右されなくて便利ですね
銃火器は水中で威力を失ってしまいますから。厄介な場所です
こういう場面では特に有力うわ爆発した

……は?

爆発するようなものにした覚えはありませんが
まあ愉快っちゃ愉快です。褒めて遣わしましょう


樹・春一
【海開き】
神はおっしゃいました
派手にやれと!

しかし初手派手では先制攻撃を許してしまいますので、潜伏モードのサメで海中を移動します
何配達したんですか? どこに? そこに? いつの間に?
あっ姉さん師匠敵ですよ敵! 敵敵!
突撃しますか! していいですか! しますか!

とつげきーーーー!!!

高速移動ならサメだってキャーッ爆発!
本当に何を配達したんですか! サメでなければ一緒に爆散してましたよ!
しかし敵も動きにくいはず! 迂闊に動けば配達ですからね!

基本攻撃が姉さんに向かないように下から攻めましょう
急に光って目くらましもできますよ! ぴかっ!
敵に噛みつけたらそれを盾に体当たりをぶちかましてまいりましょう!


奴崎・娑婆蔵
【海開き】
ドンパチ解禁でさァ
行きやすぜ、各々方
いざ出港、いやさ、帰港……?

……。
ヨーソロー!八ツ裂きにしてやりまさァ!(こまごま考えるのを止めた)


・【水中適応】パワーを頼みに『トンカラ号』をこぎこぎ、いざ【水中戦】へエントリー
・舞剣や春一と敵警戒方角を分担し合うよう、自分も自分で【完全視界】を利かせつつ敵陣を広く観る


ところでユノの姉御は……アアやはり、後衛からの飛び道具屋さんでござんすよね……

応とも!
マア矢面はこの優秀な戦士に任せておきなせえよ!
この!優秀な!戦士に!(やる気↑)


・【トンカラ大王斬り】発動、敵陣を広く薙ぐ
・【召喚】した巨体の影へと適宜入り、敵攻勢とか爆発とかをシノいでいく構え


舞剣・荊
【海開き】
たかなしのゲームデータ
あと地球のミライのため
ディアボロス出港!
え?アッチが港?
てことは帰港か


○戦闘
跳べないし潜っとこ
組長はるーちと分担行動
【地形の利用】【幸運】【戦闘知識】を併せ
敵の見える範囲
海中への対応を【観察】
『配達』も済ませとく

姉ーちから爆発オッケーの神託キタ!
じゃやっちゃお~
指パッチンを合図に……
水ん中だから鳴らねーや
はるーち!なんか言って!
はるーちがなんか言ったら【配達】した小包を続々起動し爆破

サメーちが飛び回ってる時に届けといた!
楽しいっしょ?姉ーち

合間に敵を【強打】したり【撹乱】したりで味方がカッコ良く攻撃キメる【時間稼ぎ】しとく

じゃ組長いつものセリフよろ!


小鳥遊・英
【海開き】
右舷左舷よーそろー!
水中には行きませんよ、ゲームの中では海面を滑るように移動してましたからね!
……あれ?でもプレイヤー的には指示出しするだけでは……?
……よっし、キミたち頑張ってくれたまえ!

……っう、うそうそうそ!ちゃんとやりますって!!!!
でもほらトンカラブラック……ホワイト?のやる気がマックスですしわたしはよくないです?……よくないですか……
魔法銃に爆裂弾をちょいと詰めて……
オートエイムは楽でいっすね〜
あっちょっ、まっ、何今の?!
うわーー?!
樹さん(年下の方)が光るのはいつもの事ですけどこの爆発はあばーーーー?!


●護衛部隊殲滅
 パラドクスによる破壊活動によって、軍港に火の手が上がる。降り来る雨を赤く染めて、火勢を上げるその光景に、冥海機達も泡を食い、浮足立っているのがわかる。中には警備網を形成していた一団も、そこに駆け付けようと動いてはいるが。
「無礼者どもめ、ようやく姿を現しましたね」
 待っていましたとばかりに、樹・由乃(堕ちた翠星・g06228)がそれを捕捉する。
「おまえたち。海を爆破して陸にして差し上げなさい」
「お、爆発オッケー?」
「神はおっしゃいました! 派手にやれと!」
「ドンパチ解禁でさァ! 行きやすぜ、各々方!」
 舞剣・荊(Thorm・g02226)と樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)、そして奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)が威勢よく応じる。こそこそ動くよりはこちらの方が向いているのだろう、その様子は嬉々として。
「たかなしのゲームデータ! あと地球のミライのため!」
「いざ出港でさァ!」
 海戦の幕開け、船出の時である。小鳥遊・英(Code name/Falcon・g00772)もまた懐かしいゲーム画面を思い出し、それに続こうとするが。
「でもあっちが港じゃありません?」
「てことは出港じゃなくて帰港か」
「……いざ、帰港……?」
 正しくはあるのだが、語呂が悪いというか締まらないというか。一瞬立ち止まって考えてしまったけれど、ここで重要なのは勢いだろう。娑婆蔵は速やかに思考を放棄した。
「ヨーソロー! 八ツ裂きにしてやりまさァ!」
「はい! 右舷左舷よーそろー!!」「ヨーソローってよござんすみたいな意味でいーの?」「よしなに、的なアレですかね!」
 わいわいしながら潜航していく荊と春一だが、キッズ枠のもう一人はそれに続く様子がない。
「……小鳥遊のお嬢?」
「水中には行きませんよ、ゲームの中では海面を滑るように移動してましたからね!」
 言われてみればそんな感じだったろうか、良い感じに再現したいところではあるが、彼女はそこではたと気付く。
「……あれ?でもプレイヤー的には指示出しするだけでは……?」
 司令官枠なら自然とそうなる。ならば丁度良いとばかりに、英はコンソールを開きながらその場で腕を組んだ。
「……よっし、キミたち頑張ってくれたまえ!」
「は?」
 あっ目つきの怖い人しか残ってない。慌てて目を逸らした英に代わって、娑婆蔵が問いかける。
「ちなみに、ユノ姉御は……?」
「私は潜りませんよ」
 なにせ徒歩ですからね、と胸を張る彼女の答えにも予想はついていたのだろう、娑婆蔵は「アア、やはり」と頷いた。とはいえその辺りの反応が気に入らなかったのか、由乃はもっともらしく言葉を付け足す。
「私が手を下さなくとも、優秀な戦士であるおまえたちなら負けることはないでしょう」
「……優秀な、戦士……」
「ですよね?」「応とも!」
 食い気味に答えた娑婆蔵は、そこで勢いよくトンカラ号のペダルを踏んだ。
「マア矢面はこの優秀な戦士に任せておきなせえよ! この! 優秀な! 戦士に!」
「ちょろい……」
 海中へと消えていく組長を見送って、英が思わず呟く。ともあれ、これで前衛は十分に足りるだろう。足りるはずだ。一人納得しながら、恐る恐る視線を上げると、由乃がやはりこちらを見ていた。
「というわけで優秀な戦士ブルー」
「えっ、トンカラブラック……ホワイト? のやる気がマックスですしわたしはよくないです?」
「働きなさい」
「ハイ……」
 肩を落とした彼女は、とぼとぼと前線へと向かっていった。

 灰色の空を映した水面を抜ければ、雨音のしない海の中。クリアになった英の視界には、水中でチャリを漕いでいる娑婆蔵の後ろ姿が映っている。まあまあおかしな光景ではあるがしっかり進んでいるのだから問題はあるまい。そしてそのもうちょっと前方に居るのはサメ……のオーラを纏った春一だ。
「あっ姉さん師匠敵ですよ敵! 敵敵!」
「やかましい」
 ちょっと落ち着きなさい、と通信機を耳から遠ざけながら由乃が言うが、ちょっとそれどころではないらしい。接近する集団、メタルクルーズ達を発見し、彼は素早く臨戦態勢に入る。
「突撃しますか! していいですか! しますか!」
「春一の、先陣はあっしが――」
「とつげきーーーー!!!」
 聞きやしない。尾鰭部分のオーラを振るって、輝くサメがかっ飛んでいった。艦首の滑空法で応射する敵に対し、春一はパッと眩くオーラを輝かせて、眼を眩ませて牽制する。その隙を突いて最大速度で突進、敵陣に切り込んでいった。
 力ずくで敵を撥ね飛ばし、引っ掻き回しにかかる春一だが、目立つおかげで敵集団に狙い撃ちにされかかっている。その一斉射撃を試みる隊列に、そうはさせじと巨大な太刀が降り注いだ。
「まァそんなに急ぎなさんなってェ」
 トンカラトン大王、水中に召喚された包帯塗れの巨人は、娑婆蔵の意に応えてその巨大な刃で敵陣を薙ぎ払う。速度と巨大さ、それぞれの手法で敵を穿つ二人の様子に、英は早々に「これもう適当に撃っておけばいいな」と悟った。
 自動照準の銃に魔弾を込めて、味方の撃ち漏らしに向かって援護射撃。楽でいいですね、などと思っていたが、敵の何体かの砲撃、その流れ弾が水面に向かっていったようで。
「ちょっと下の方、真面目にやりなさいよ」
「やってますけどー」
「は?」
「すいません何でもないですがんばります」
 英の返事に不満げな溜息を吐きながら、砲撃を防いだ由乃もまた、水面下で戦う味方のために援護射撃を仕掛けた。
 彼女の撒いた種は水面で下向きに芽吹き、海底へと向けて大量の魔弾を降り注がせる。通常の火薬と違ってパラドクスならば、こういった戦場でも効果的なはず。ばら撒かれた弾丸は集団をまとめて叩き、そして爆発する。
「……は?」
 爆発? なんで?

 時間を少し巻き戻し、「これパワハラで訴えたら勝てませんかね」などと呟きながら通信を切った英は、そこで何やら難しい顔をしている荊を発見する。
「何やってんですか舞剣さん?」
「んー? なんか水中だとうまくいかなくてさー」
 どうやら指をパチンと鳴らしたいようだが、良い感じにできないらしい。何故そんなことを? というか今までどこにいたんです? などと疑問が浮かぶが、英がそれを口にする前に。
「はるーち! なんか言って! それ合図にするから!」
「はい?」
 よくわかりませんけど、と言いつつも春一は素直に応じる。
「ハレルヤ!!」
 その声をきっかけに、何か水中で無数の爆発が巻き起こった。
 乱戦の只中で弾けたそれは、敵をいくらか吹き飛ばしたようだが、前振りなく発生したおかげで味方も目を丸くしている。咄嗟にトンカラトン大王を盾にしていた娑婆蔵が、間髪入れずに追撃の構えを取りながら問う。
「――今のは一体?」
「わかりません! サメでなければ一緒に爆散してましたよ!」
「え? アタシの配達したやつだけど」
「配達? 誰に? というかいつの間に!?」
 さっき春ーちと組長が暴れてる間に、とあっさり応じた荊は、特に悪びれた様子もなく水面の上を見上げる。
「楽しいっしょ? 姉ーち」
「……まあ言いたいことはありますが、愉快っちゃ愉快です。褒めて遣わしましょう」
 由乃からいいねがつくのは珍しい。おもむろに、荊は追加の『小包』を取り出した。
「んじゃ張り切っていくか~」
「え!! 爆破はもういいですけど!!!」
「やめてくださいせめて私が離脱するまで待っ」
 あばーッ、みたいな味方の悲鳴が響いたが、気のせいだろう。連携して周辺の敵に攻撃を仕掛けて、少しばかり余裕もできたところで。
「じゃ組長いつものセリフよろ!」
 いつものセリフってどれ? さっきのあれか? とにかく大太刀を振るったトンカラトン大王の前で良い感じに見栄を切って。
「陸でも海でも、所構わず――」「それあんまり言うとレア度下がりません?」「師匠! 敵まだ残ってますよ!」
 そうしてなんやかんやで護衛部隊を壊滅させ、海上に出ていた一行は陸に上がった仲間との合流を目指す。破壊工作を終えた港湾部には、上陸したアヴァタール級の姿があった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面走行】がLV5になった!
【水中適応】がLV6になった!
【友達催眠】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV4になった!
【アヴォイド】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【反撃アップ】LV1が発生!

樹・由乃
【海開き】
おお愛しの大地よ。地に足がつく歓びよ
この際緑が少ないとか文句を付けるのは後です
蹴り回す

地上は私の場所。魚雷もタコ足もセーラーガールも箒の錆となりなさい
なんなら空も私のものです。魚が勝手に飛んでんじゃありませんよ
光るサメ? ちょっとわからないですね……
爆発物ならさっき見ました。二度も同じ手を食うと思わないでください
いや味方のものではありましたけど

いいですか。脚ってのはこう使うものです(淑女的フォースヤクザブレイクキック)
小僧、おまえも手本を見せてやりなさい。大人としての役割です
ほら青いのだってやる気出してるじゃないですか

レアですね

優秀な戦士としての自覚を得たようで何よりです


樹・春一
【海開き】
きましたね!
ハレルヤタイムが!

ハレルヤタイムっていうのはつまり、ハレルヤタイムです!!!

姉さんも急にやる気ですし僕も絶好調ですよ!
そちらからインファイトを挑んでくださるのであれば尚更! 都合がよいというもの!
くらうのです! 老若男女水陸平等パンチ!!!
そして必殺! ハレルヤキーック!!!

今回は配達してませんよね?
突っ込んで大丈夫ですよね?

ていうかこれキックでも光るんですね
ヒーローみたいでかっこよくないですか!

アキラさんも遠慮なさらず! 好きなだけ走っていいんですよ!
折角陸に上がってきたのですから! キックバトルで勝負しましょう! さあさあさあ!

もしかしてタコの方が足多くて有利ですか?


奴崎・娑婆蔵
【海開き】
やはり喧嘩は地に足付けてに限りまさァ
お前さんがここいらの首魁でござんすか

手前、姓は奴崎名は娑婆蔵
人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』

始めやしょうぜ、海に港湾にと大忙しのセーラー女子よう
陸でも海でも、所構わず――八ツ裂きにしてやりまさァ!(レア口上?何それおいしいの?)

八ツ裂き、そう八ツ裂きに……
アッへい
蹴りで揃える仕儀でござんすか、あい分かりやした(由乃に従う)

オオオオオ!
喰らいなせえ!
居合い――キック!
(刀を抜くぞ抜くぞと見せ掛けてケリ入れるという高等フェイント)


・敵に対し真っ向から接近、舞剣が観察を働く間を稼ぐ
・【砲撃】の知見を以って、敵武装の射線を【看破】しつつ接近、砲塔を【粉砕】せん


小鳥遊・英
【海開き】
敵艦発見っぽい!
……ねぇこれ海上でやりたかったんですけど

まあ仕方ないですね、わたしはいつも通り後方からデバフでも…
いいですいやです走りませんキッズじゃないので
ご遠慮ではないのですやめてください樹さん(年下の方)そのサキュバス的な人たらし顔をおやめなアバー!!
えっ?!なんでみんなそんなにキックめいてるの?!
神(笑)が仰ったから?!

うわああ!もう!わかりました!
その顔やめて!!
コンソールを開いて、この世の理を歪めます
そう、『わたしが放つキックがいい感じにクロノヴェーダに当たる世界』へと
…やっぱ後衛が性に合ってますね

こんだけ頑張ったんです
なんか拾えないかな〜レアドロないかな〜(部品を漁る)


舞剣・荊
【海開き】
空と陸はあねーちので
海と神ははるーちの
人は組長が束ねてるし
インターネットはたかなしの庭
アンタらに分けれるモン無いね
じゃ👋

○戦闘
【壁歩き】で建物の壁を伝い
敵を頭上から回り込む
飛ぶのも配達るのもダメだし
徒歩で来た!
とりま敵を観察しとこ

ブキとタコは硬そうだけど
人間部分は人間ぽい
叩けば折れる骨と
殴れば裂ける肉だ
つまり
アタシもキックバトる~

壁から飛び降り勢いに任せ【連続キック】
123……5人で蹴ったら実質タコじゃん
脚10本あるし


ココ陸じゃん
てことは……🫰
鳴った!よし!

たかなし~
クエストクリアの報酬持って帰ろーぜ


●陸上戦
 海上の戦いにひと段落つけて、凪の水面から灰色に濁った軍港の上へ。靴裏に感じる大地の感触に、樹・由乃(堕ちた翠星・g06228)は溜息を吐く。ようやく、そうようやくである。この際土の感触とか緑が少ないとかその辺りは後回し、感じ入るようにその両足を踏みしめて。
「蹴り回す」
 うわっなんか物騒なこと言い出した。その隣から引き気味に距離を取った小鳥遊・英(Code name/Falcon・g00772)は、代わりに向かうべき陸上に敵の姿を認める。
「あ、敵艦発見っぽいですよ!」
 一回言ってみたい系の台詞ではあったが、惜しむらくはここが陸上であることだろうか。海戦じゃないのは少しがっかりだが、それを口にするとまたすごい目つきで睨まれそうなので黙っておくことにする。
「やはり喧嘩は地に足付けてに限りまさァ」
「ついにきましたね! ハレルヤタイムが!」
 奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)と樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)もやる気は十分なようで。
「はるーち、ハレルヤタイムってなに?」
「ハレルヤタイムっていうのはつまり、ハレルヤタイムです!!!」
 なるほど。まったくわからないがわかったような顔で頷いて、舞剣・荊(Thorm・g02226)が続く。そしてまあ、これだけ騒げばさすがに気付くか、アヴァタール級『駆逐級融式』――その視線と砲門が、一斉にこちらを向いた。殺意の線が色濃く見えるようなそれに対し、娑婆蔵は真っ直ぐに応じる。
 手前、姓は奴崎名は娑婆蔵。人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』――そう名乗りを上げて。
「始めやしょうぜ、海に港湾にと大忙しのセーラー女子よう」
 返答の代わりは盛大な砲声、海戦装から伸びた無数の大砲が、雨音を掻き消すように火を噴いた。相応の質量と速度を誇るパラドクスの砲弾、音を置き去りにして突っ込んでくるそれを抜き放った刀で逸らしながら、娑婆蔵は前へ出る。
「陸でも海でも、所構わず――八ツ裂きにしてやりまさァ!」
「それ今日何回目だっけ?」
「レア口上って何だったんでしょうね」
 などと言いながら荊は周囲の鉄骨を足場に高所を目指し、英はいつものようにコンソールを広げる。そんな一同に対し、敵は砲撃のみでは飽き足らぬと追撃を仕掛けてきた。背部の海戦装が展開し、露になったミサイル群が曇天に向けて飛び上がる。煙の糸でその軌跡を描きながら、トビウオ型のそれは独特の機動で彼女等に突撃していった。
「爆発物ならさっき見ました。二度も同じ手を食うと思わないでください」
 まとめて箒の錆にしてやろうと、由乃が箒を空へと浮かべ、それに対する防御とする。しかし迎撃するそれらの合間を縫って、トビウオ型魚雷は彼女の元へと降り注いだ。爆発攻撃を見切ったと言ってもさっきのは味方の使ったものだ、そううまくはいかないか。
「――魚が勝手に飛んでんじゃありませんよ」
 思わず毒吐いたそれに反応し、春一が振り返る。
「え!? サメも駄目ですか!?」
「光るサメは……あー……」
 いいからさっさと行きなさい。めんどくさげに手を振る由乃に応じて、春一は敵の懐へと潜り込むべく地を蹴る。
「荊さん! 今回配達はしてないですよね!?」
「あー、してないしてない」
 それなら大丈夫ですね! 砲撃の雨を掻い潜れば、敵もまた近接戦闘でそれを迎え撃つ構えを取る。砲撃に徹していた背面のそれとは別に、下半身から伸びた蛸の脚状のそれが、力強く、しかし鞭のように撓る。
 叩きつけられたそれが灰色に舗装された地面を叩き砕く、一瞬のそれから身を躱して、春一はさらなる追撃に対して拳を振るった。
「くらうのです! 老若男女水陸平等パンチ!!!」
 金属製の重い脚が、光り輝く一撃によって弾き上げられる。威力は互角か、だが天を仰ぐ脚の隙間には、既に由乃が跳び込んでいた。
「――悪くはありませんが。いいですか、脚ってのはこう使うものです」
 淑女然としたお上品なヤクザキックが命中し、靴裏から流し込まれたオーラが敵の身体を貫き爆ぜる。仰け反った敵に対して、今度は春一が跳躍して。
「こうですね! 必殺! ハレルヤキーック!!!」
 恩寵の光をその脚に。眩い輝きと共に繰り出された一撃が冥海機を穿つ。「ヒーローみたいでかっこよくないですか」と盛り上がりかけたところだが、敵は未だ健在、足元をすくうように振るわれた別の蛸脚が、春一の身体を投げ飛ばした。
「春一の――!?」
 宙を舞う彼の身体を、敵と至近距離でやり合っていた娑婆蔵が見上げる。ヘタをすればそのまま的になるところだが、高所に回っていた荊がそれを受け止めた。
「はるーちおつかれー」
 お疲れ様です、と返しながら春一は頭を悩ませる。そして。
「アキラさん、足の数が足りません!」
「え!?」
 なんでこっちに振った? という顔で英が応じる。それはさすがに予想外というか。
「わたしはいつも通り後方からデバフという重要極まりない役目が――」
「遠慮なさらず! 好きなだけ走っていいんですよ!」
「いいですいやです走りませんキッズじゃないので」
 頑なに抵抗する声を背中で聞きながら、由乃は娑婆蔵の方に発破をかけた。
「小僧、青いのが珍しくやる気ですよ。おまえも手本を見せてやりなさい」
「いや、あっしはほら八ツ裂き、そう八ツ裂きに……」
「小僧」
「アッへい」
 早々に抵抗を諦めて、娑婆蔵はそれに従うことにした。一度納刀したそれを腰だめに構え、鞘に、柄に、絞るようにその掌を添える。姿勢を低く、地を蹴って。
「オオオオオ! 喰らいなせえ!」
 突進と共に放たれる一閃、だがその見え見えの軌道の前には、既に束ねられた機械の脚が立ち塞がっている。刀を抜いても振り切れぬ、しかしその盾を叩いたのは、徒手の掌。弾き逸らし乗り越えるようにして、娑婆蔵は敵の前に我が身を捻じ込んだ。
「居合い――キック!」
 よくわからないがとにかくフェイントにはなっただろう。蹴りの一撃が敵を捉える。しっかりと成果を上げたそれは確かにお手本として申し分ないが。
 ……え? なんでみんなそんなにキックめいてるの? 普段そんなんじゃなくない? 英は外堀が埋められつつあるのにようやく気付いた。
「さあ! 折角陸に上がってきたのですから! キックバトルで勝負しましょう!」
「もう! わかりました! その顔やめて!!」
 微塵も悪意のない厄介な笑顔は、ゲームで徹夜した後の太陽みたいに後ろめたさを煽る。敗北した英はせめてコンソールを叩いて、自らの攻撃が有用に働くようバフをかける。若干腰が引けてはいるが、半ば自棄になって跳び込んだ英の蹴りは、敵の装甲を砕いてダメージを与えた。
 が、もちろん敵の反撃も即座に来る。
「アバーッ」
 顔面に飛んでくる蛸脚の一撃、それをまともに喰らって、英はその場で仰け反った。別に後衛に居たって喰らうダメージ自体は変わらない。しかし迫力とか圧とか数字に出来ない感覚は、やはり別物なのだと味わって。
「だからいやなんですよ前衛はァ!」
「ええ、優秀な戦士としての自覚を得たようで何よりです」
「会話! 会話してもらえません!?」
 軽口を叩きながらとはいえ、決して気の抜ける敵ではない。至近距離での応酬、それを凌ぎながら、娑婆蔵は上方へと目配せを送った。
「舞剣の――」
 見えやしたか? そう視線で問う。こうして攻め立てることによって、高所に陣取った荊はアヴァタール級の注意から外れている。そう、当初から彼女は一歩引いた位置へと見に回り、その分析を行っていたのだ。
 娑婆蔵の視線に、荊が確信を持って頷き返す。見切った、みたいな笑みで。
「ブキとタコは硬そうだけど、人間部分は人間ぽい!」
「ははあ」
 もしやそれ一目瞭然ってやつじゃあ? 一瞬浮かんだそんな考えを、娑婆蔵は拾い上げないようにして流した。大丈夫、重要なのは結論の方である。つまり。
「アタシもキックバトる~」
 舞い踊る魚雷の合間へと飛び込んで、荊もそれに参戦。少女の身体の元に飛び降りた彼女は、踏みつける軌道で靴裏を叩き込んだ。
 肉と骨、衝撃にそれらが軋む感触。ここならば食い破ることも不可能ではないはず。
「これでこっちの脚も10本になったし、実質タコじゃん?」
 お、陸上だからちゃんと指も鳴る。パチンと良い音を立てたそれを合図に、彼女等は連携して敵に仕掛けた。
「たかなし~、さっさと倒してクエストクリアの報酬持って帰ろーぜ」
「こんだけ頑張ったんですから、レアドロくらいあっても良いですよね!?」
「そういう時ほど出ないもんでさァ」
 荊の言葉に、英の訴えと娑婆蔵の渇いた笑いが続く。包囲するように展開しながら、一行は敵を追い詰めていった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【腐食】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【隔離眼】がLV2になった!
【無鍵空間】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【能力値アップ】がLV4になった!

椎名・理
水兵服に海戦装たあアンタも海で沈んだ口か?
まあ……こうなっちゃあ仕方ないが、多少は可哀想だって思ってるぜ
適当に煽って注意の矛先をこちらに向けさせる

そのまま残留効果の壁歩きやフライトドローンの足場を使い
相手と距離を取りつつ徐々に高度を稼ぐ
近接戦闘を狙ってくるなら、それでもしつこく食いついて来るだろうよ
だがお空はお船の天敵なんだよ。知らないのか?

敵が乗ってきたら気を整えて冷静に敵の弱点を探る
爪と触腕で仕掛けてくるなら、それを外した瞬間がチャンスだ
あえて攻撃を受け、忍耐力で耐えた所で衝撃波放出し空中へ跳ぶ
空中回転、姿勢を整えオーラ操作で爪先に集中
更に衝撃波放出し勢いをつけ跳蹴り――強打をブチ当てる!


アミリアス・ヴェルザンディ
さて、破壊工作も進んだことだし、残すはアヴァタール級の駆逐級融式だけだが、あの冥海機を排除しない限り、安全な撤退もままならないだろうね。

陸上に上がったからとは言え、依然、火力面では優れていると思うよ。
こちらも遠距離から牽制を仕掛けて封じるのがベストだが…おっと、白兵戦かい?まぁ、陸上ならば、それこそが正解だろうね。間合いの詰め方もそうだが、まともにぶつかるのは得策じゃないね。ここは味方と連携しつつ、その勢いを利用した【不意打ち】で決めさせてもらうよ。

こちらも切れる札が少ない…とは言え、君は運が良い!
今日は、私の生み出した子をもう一体連れて来たんだ。
『断頭蟹刃』グランキオ出番だよ。


瀬鍔・頼門
そうだな、この防衛の任を担うお前を倒さねば終わるまい。そしてまた一つ、冥海機として捧げられた魂を解放する時…!

協力できそうな仲間とは積極的に動く。
【飛翔】を使い無双馬と共に駆け、地上の敵へ【石清水ノ託閃】を重藤の弓で射かける。
敵の周囲上空を駆け回り、時に地上を駆けて【未来予測】も使い敵の砲撃に的を絞らせないように機動する。砲撃を躱しきれずとも注意を引き付けて味方にチャンスを作れれば叶ったりだ。
その体で地上から的を絞れるか、試してみようではないか!いざ!
大きな隙を作れたならその身に、騎射の犬追物の如くさらに射込む。

翔鶴よ、またひとつお前の守備は崩された。再び相見えようではないか


ルーシド・アスィーム
アドリブ、連携歓迎

多くの血が流れました…否、僕達が流した
もう此処は防衛線としては機能不全も良いところ
後は速やかな撤退を……とは参りませんか

陸の戦であれば引けを取るつもりはありません
舞うは【カルガの黎明】
かつての、そして今尚虐げられる無辜なる魂が為に奇跡を降ろしましょう
仲間達と高めた残留効果も乗せ、多くの力にて焼き尽くします

追撃も仕掛け相手を阻害
サディークと共に「氷雪使い」の力を宿した刃を走らせ、海戦装や機械腕を凍らせての「捕縛」を試みます
ダメージが与えられずとも、攻撃を止める事が出来なくても構いません
生死を分けるほんの一瞬を作り出せれば仲間が貴女を仕留めるでしょう

力を合わせるとはこういう事です


●肉薄
 ざあ、と一際強く雨が降る。崩れた施設と油の燃える赤黒い炎、破壊された軍施設の光景が、雨の帳に滲んでいた。
「さて、破壊工作はこんなところかな」
 戦果としては十分だろう、と呟くアミリアス・ヴェルザンディ(【自称】天才科学者・g01902)に、ルーシド・アスィーム(星轍・g01854)が頷いて返す。降り注ぐ雨は戦いの跡をなぞり、流れた血さえも洗い流していく。海へと還っていくその流れを見遣ってから、ルーシドは改めて視線を上げた。
「もう此処は防衛線としては機能不全も良いところ、後は速やかに撤退しましょう」
「そうしたいところだけどねえ……」
 アミリアスが言葉を濁すそのわけは、ルーシドにもよくわかっていた。軍港の先、海へと逃れる途上では、アヴァタール級の駆逐級融式が既に戦闘態勢に入り、他のディアボロス等と激戦を繰り広げている。
「あの冥海機を排除しない限り、安全な撤退もままならないだろうね」
 警備も護衛も倒し切り、残りは彼女一体ではあるが、状況を把握している彼女が増援と合流すれば、すぐさま退路を断たれる可能性が高い。
「やはり、この防衛の任を担う奴を倒さねば終わるまい」
 そんな見立てに瀬鍔・頼門(あかときの影狼・g07120)も同意して。
「また一つ、冥海機として捧げられた魂を解放する時……!」
 無双馬と共に、アヴァタール級の戦う場へと駆け出した。

 そんな頼門よりも一足早く、敵の元へと向かっていた椎名・理(サイボーグ残党兵・g03165)は、アヴァタール級の気を引くようにその前へと飛び出す。
「水兵服に海戦装たあアンタも海で沈んだ口か?」
 そして先に戦っていたディアボロス達から距離を取ろうとしていた彼女を、その場に縫い留めるように言葉を選び。
「まあ……こうなっちゃあ仕方ないが、多少は可哀想だって思ってるぜ」
 煽るような言葉に反応したのか、鋭く蛸脚の一本をしならせる融式。注意を引くのには成功したか、敵の攻撃が飛んでくる直前に、理は咄嗟にその身を逸らせた。
 その程度でアヴァタール級の攻撃を躱すことなど出来まいが、目的はそれではない。
「我が心中の八幡座より清水を徹す……!」
 一条の光、理の後方を走る頼門の矢が、射線の通ったそこを駆け抜け、振るわれる寸前の蛸脚を貫いていた。
『くっ……!』
 足を一つ撃ち抜かれながらも、融式は即座に反撃に出る。背部の海戦装から伸びた砲塔が旋回するのを見て取り、頼門はそのまま無双馬に命じ、飛ぶようにその周囲を駆けた。
「その体で地上から的を絞れるか、試してみようではないか! いざ!」
 翻弄するような動き、それを追うように次々と砲弾が射出され、轟音と衝撃波が雨粒を霧散させる。
「さすが、陸に上がっても火力は衰えてないみたいだね」
 鳴り響く着弾音に頭を低くしながら、アミリアスが言う。しかしながら得意の海戦に移らせず、戦えているのもまた事実。このまま遠距離から牽制を仕掛けて封じるのがベストだが……。
「それでも、陸の戦であれば引けを取るつもりはありません」
 味方が敵を引き付けているそのタイミングで、ルーシドはひとつ神に捧げる舞を展開する。『カルガの黎明』、かつての、そして今尚虐げられる無辜なる魂のために舞われたそれは、敵の足を止め、炎によってその身を灼く。
 炙られた機械化脚部から立ち上る熱が、敵の周囲の光景を歪ませる。身を捩らせ、拘束から逃れるようにした融式は、そのまま複数ある脚部を撓ませ、力ずくでその身を動かした。突進めいたその機動から、白兵戦を仕掛けるつもりなのは明白。
「まあ、そう来るよね」
「サディーク!」
 ルーシドとジンがそれを受け止める合間に、アミリアスは敵の側面へと回り込んでいる。陸上で小回りは効かないようだがその重量、攻撃力は健在、まともにぶつかれば押し負けてしまうだろう。
「こちらも切れる札が少ない……とは言え、君は運が良い!」
 敵の不意を打つように、姿を現したのは彼女の発明品――機械で形作られた巨大な蟹だった。
「出番だよ、グランキオ」
 『断頭蟹刃』、冥海機のそれに対抗するような巨大な機械脚、鋏状のそれで以て、グランキオが襲い掛かる。鞭のように打ち付けられる蛸脚の一撃を受けながらも踏みとどまり、鋏で逆にその脚を掴む。機械腕同士が互いを捻り合うようにして、火花と軋みがにわかにその場を彩った。
「不注意だな」
 その声は敵の頭上から。蛸と蟹による力比べが展開されている隙に、理はフライトドローンを足場代わりにして敵の頭上へと跳び上がっていた。
「お空はお船の天敵なんだよ。知らないのか?」
 先程と同様、あえて気を引くような台詞を投げる。反応したアヴァタール級の、咄嗟に振り上げた別の脚が理を捉えたところで、彼自身もまた衝撃波を放ち、反動で『吹き飛ばされる』。通常ならば、空高くに上がれば敵集団から蜂の巣にされる流れだが、増援の追い付いていない僅かな時だけは、この手が使える。
 ルーシドの刃が触腕の一つを貫いて、敵を地面へと縫い付ける。その間に、理は空中で姿勢を制御し――。
「力を合わせるとはこういう事です」
「さあ、当たると痛えじゃ済まねえぞ……!」
 『猛蹴撃』、落下と共に衝撃波でさらに加速し、防御を掻い潜る。理の最大限にオーラを込めた蹴りが、敵の身体を貫いた。
 地に叩きつけられるように伏して、冥海機が呻く。ふらつく身体を機械の脚で支え、立ち上がろうとするが、その目を光が射抜く。霧のような雨の向こうでも確かに輝くそれは。
「翔鶴よ、これでまたひとつ、お前の守備は崩される――!」
 『岩清水ノ託閃』、頼門の闘志は眩い光となって、その右手に宿っていた。
 弧を描いた重藤の弓から、閃きが放たれる。翔鶴、この場を統べる敵将まで届けと言わんばかりに、その矢は真っ直ぐに敵を射抜いた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
【飛翔】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【フィニッシュ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV7になった!

青天井・イカス
ンじゃ、最後の大掃除ダ
気張っテ行こウゼ

陸上なラ、コっちモ残留効果使わズに戦エるッテわけダ
マ、必要な時ハ適宜使用はスるガナ

雨なラ逆に陸地ハ滑るカも知ンねぇシ、足取ラれナイよウにだケ気ヲつけテ行動
雨の中デも足音消スなンざ、復讐者なラ造作もネェ
仲間ノ攻撃に気ヲ取ラれテる敵の背後に忍ビ寄り【アサシネイトキリング】使用
敵を裏かラ全力デ打ん殴ル

反撃のトビウオ魚雷ハ、砲口を手で塞ギ敵の砲台減らシを試ミる
間近デ被弾+手がブっ壊レるなァ免れネェが…生憎、痛ミを失っタ体ダ
死体一個デ手前の手数削レるなラ、案外悪クねェ取引だロ?
サ、年貢の納め時ダ

片が付イたらトっとト帰ロウぜ
こンナ雨の中じャ、煙草モ吸えヤシねぇカらナ


レナ・レッドフィールド
◆アドリブ・絡み歓迎!

皆なかなか派手にやっちゃってるねー!
敵さんは作戦通りのこのこ陸に上がって来てくれたみたいだね!
まな板の上の鯉…?陸にあがった河童…?
え、えっと…こういう時はなんて言ったらいいのかな…?
ま、まぁなんでもいいよね!レナ達がとにかくやっつけてあげるんだからね!

でも相手はアヴァタールだもんね!十分に気を付けて戦うよ!
【パラドクス通信】で仲間達と連絡を取り合って上手く連携を取って行動するよ!

さぁ、いくよ!

【未来予測】で敵の攻撃を読んでできるだけ直撃を受けないようにするよ
レナは【フェイント】な動きをして敵を惑わしつつ攻撃のタイミングを図るよ

レナの特大の攻撃、受けちゃって!【超新星】!


月鏡・サヨコ
レナ……気を付けて
冥海機は「海戦が得意」なだけで「陸上では弱い」わけじゃない
そして不利な状況だろうと、一人でも多くの道連れを求めて戦う
……勿論、そうはさせないけど

思惑通り陸上戦に持ち込めた
【フライトドローン】を足場兼砲撃への壁にして高く跳び、一気に敵へと接近
着地後、残りの距離は仲間の攻撃に乗じて地を駆けることで詰める

白兵戦の間合いに入った後は【未来予測】で敵の動きを読み
動きの出かかりを潰すようにして、素早く≪対艦軍刀『銀鉤』≫を抜き放つ
──『月鏡流抜刀術・迅雷風烈』
神速の居合斬撃を放ち、逆袈裟の一閃で両断を狙う!

冥海機として最期を迎えれば……最早死を利用されることもない
波に揺られて、静かに眠れ


●退路確保
 砲火と砲声、そして乱舞する蛸脚が地面を叩き砕くその音色は、敵の数が減った今もなお軍港を荒々しく彩っている。当然それに対するディアボロス達の反撃、パラドクスによる火花もまた、激しく明滅しているわけだが。
「皆なかなか派手にやっちゃってるねー!」
 繰り広げられる戦場に、レナ・レッドフィールド(赤き小悪魔・g09160)が追いつく。当初の狙い通り、敵を陸地に引っ張り上げることには成功したらしい。そしてここまでの流れから、そのまま順調に追い詰めてきているようだが。
「こういう時なんて言うんだっけ。まな板の上の鯉……? 陸にあがった河童……?」
 でもあれ蛸だよね? とレナが首を傾げる。
「袋のネズミ、とかデモ良いカもナ」
「……でも気を付けて、冥海機は「海戦が得意」なだけで「陸上では弱い」わけじゃない」
 青天井・イカス(このうえなく・イカス・g02133)の言葉に月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)が補足を加える。実際のところ彼女の理解は正しい、アレは決して油断できる相手ではないのだから。
「そして不利な状況だろうと、一人でも多くの道連れを求めて戦う……勿論、そうはさせないけど」
 このディヴィジョンでの敵、冥海機の在り方に思いを馳せるサヨコに対し、レナも頷いて返して。
「レナ達がここでやっつけてあげるんだからね!」
「ンじゃ、最後の大掃除ダ、気張っテ行こウゼ」
 踏み出した足が水たまりを蹴り付けて、雨中に透明な飛沫を上げる。だが次の瞬間になった砲声が、それを千々に霧散させた。
 敵の海戦装から伸びたいくつもの砲塔、ディアボロス等に次々と狙いを定めたそれが、重い砲弾を投じてくる。接近を阻むようなそれに対し、サヨコはあえて身を晒すようにして、敵の狙いを引き付ける。敵の懐に踏み込むための一手。ただし駆け抜けるのは、サヨコではなく赤色の魔法少女だ。
「さぁ、いくよ!」
 迫るレナに応戦するように、蛸脚型の機械腕が唸りを上げる。だがそれと衝突する一歩前で、レナは得物を振り上げた。
「レナの特大の攻撃、受けちゃって!」
 赤い軌跡、真っ赤なハートの杖の先端から、輝く光が迸る。まるで『超新星』の爆発を思わせるそれが、軍港を光の色に染め上げた。激しい雨を丸ごと吹き飛ばすような衝撃波が吹き荒れ、融式は複数の触腕で我が身を包むように防御姿勢を取った。
 極大の一撃をどうにか耐え切り、凌ぐ。破壊の波が行き過ぎれば、一瞬の静寂がその場に戻る。だがそこを雨音が包み込む前に、その背後にはイカスが忍び寄っていた。
 解ける触腕、眩んだ目で敵を探るアヴァタール級、その隙を逃さず、彼は全力の一撃を叩き込む。この曇り空のように飾り気のない、錆に覆われた鈍器が、肉を潰し骨を砕く。驚愕に眼を剥いた融式は、咄嗟に飛び退きながら背部の海戦装を展開、反撃に出るが、イカスはそこにさらに踏み込んでいた。
「――マ、安いモンだロ」
 無造作に伸ばされた腕は、そのまま魚雷の発射口に突っ込まれる。爆ぜる轟音が周囲に響き、炎と煙が雨の下で広がった。
 衝撃に砕け、ぶすぶすと焦げた音を立てるそれを引きながら、イカスは口の端を吊り上げる。痛みを忘れた死体一つでこの間が作れるのなら、取引としては上々。
「サ、年貢の納め時ダ」
 濁った視界と回る五感、一瞬の混乱状態に陥った敵の前には、既にサヨコが跳び込んでいた。
 腰に差した軍刀の鞘が、低く唸る。内部回路に電流が生じ、電磁誘導によって内包する刀身、対艦軍刀『銀鉤』を射出。それによって実現するのは、超高速の居合斬りだ。
 『月鏡流抜刀術・迅雷風烈』。稲光のような斬撃が両者の合間で一瞬、閃く。
「……波に揺られて、静かに眠れ」
 かちりと鍔が鳴るのと同時に、斬り裂かれた冥海機は地に伏した。

●撤退
 海戦で死する者達とは違い、冥海機として最期を迎えた彼女には、ひとつの終わりが訪れるはず。それが安らかなものであることを願って、サヨコは力尽きた敵から視線を上げた。
 戦いの痕、崩れた地面や燃える軍施設を、降り注ぐ雨粒が同じ色に染めていく。この僅かながらの静寂が、ディアボロスの得た戦果と言えるだろう。
「さ、トっとト帰ロウぜ」
 戦いを終えた一同に、イカスが声をかける。アヴァタール級を倒したことで、周囲の敵はいなくなった。程なく敵の増援もやってくるだろうが、指揮者が不在の分、こちらを追う体勢を整えるのには時間がかかるだろう。今ならば、無難に帰還することも叶うはず。
「こンナ雨の中じャ、煙草モ吸えヤシねぇカらナ」
 そう呟いて、空を見上げる。雨はまだ、止む気配はないようだ。

 台湾島の一角、敵の前線基地への準備攻撃を成功させ、ディアボロス達は帰路へと付く。
 海軍基地『高雄警備府』、翔鶴の待つそこに仕掛ける決戦の時は、きっとすぐそこまで迫っていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】がLV3(最大)になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【反撃アップ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2023年07月12日