台湾島準備攻撃

 台湾島潜入偵察作戦の情報から、台湾島が冥海機ヤ・ウマトの重要拠点の一つである事が確認されています。
 台湾島の港湾では、大戦乱群蟲三国志奪還で失った戦力を再建する為なのか、日々、多くの艦艇が建造されているようです。
 この台湾島の軍港に向けて強行突入し、迎撃に来た水上部隊と戦闘を行いつつ、港湾地域の造船ドックや軍事施設を破壊する、準備攻撃を行ないます。
 準備攻撃により、敵の戦力を低下させることが出来れば、台湾島攻略作戦を発動させることが出来るでしょう。

台湾島の軍事施設を破壊せよ!(作者 刈井留羽
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#冥海機ヤ・ウマト  #台湾島準備攻撃  #台湾島 


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●台湾島・高雄警備府
 台湾島南部の港湾都市に築かれた海軍基地の司令室は緊迫した空気に包まれていた。
「そうですか……軍港内に侵入したのはディアボロスの偵察部隊だったのは間違いないでしょうね」
 ディアボロスが軍港に侵入したとの報告を受けたジェネラル級冥海機『翔鶴』は、側近のアヴァタール級を見回し、即座に命令を下す。
「ただちに台湾島の防衛に戦力を集中し、ディアボロスの襲撃に備えなさい。島の周辺海域に出せる限りの艦艇を展開。不測の事態に備えて、施設内の警備も厳重にしておくのです」
 翔鶴の指示を受け、側近達は慌てて司令室から出ていく。
 そして、一人残された翔鶴は虚空に視線を向けたまま、小さくため息をついた。
「念のため、台湾島から撤退する準備も進めておくべきでしょうね……」
 中国大陸で受けた傷も完全には癒えてはいない。万が一、この基地が破壊されるようなことがあれば、台湾島の放棄も止むを得ないだろう。戦況を冷静に見極めた翔鶴は秘密裏に行動を開始するのであった。

●新宿駅
「台湾島への侵攻作戦が決行されることになりました。まずはこの作戦を成功させ、台湾島の上陸作戦への道筋をつけましょう」
 新宿駅に停車したパラドクストレインの前で凪波・クララ(零式英霊機のサイコソルジャー・g09822)は淡々と状況説明を始める。台湾島はジェネラル級冥海機『翔鶴』が支配する重要拠点。翔鶴は中国大陸での戦いで受けたダメージのせいで万全と言えないようである。
 そこで、台湾島で戦力の立て直しを図る翔鶴と早々に決着をつけるべく、台湾島への偵察作戦で得られた軍港の情報を元に、台湾島上陸に向けた準備攻撃の敢行が決まったというわけだ。
「この作戦が成功すれば、今度こそ翔鶴の首に私達の刃が届くかもしれません。慣れない海戦と、敵拠点に侵入しての破壊活動……今回は少々煩雑な作戦になりますが、ご静聴願います」
 そう言ってクララは会釈をすると、台湾島の周辺海域を記した地図を懐から取り出した。

●作戦概要
「この作戦における目的地は台湾島の南岸に築かれた港湾都市にある軍港。ですが、パラドクストレインが停車するのは台湾島から少し離れた海域です。そこから台湾島まで各自で海を移動し、軍港を目指していただくわけですが……」
 台湾島の周辺海域には既に敵艦隊が展開し、厳重に哨戒している。発見されずにやり過ごすのは不可能である。
「いずれにせよ、このディヴィジョンで海戦を避けることはできません。まずはこの海域に突撃して突破口を開いてください」
 台湾島に近づけば敵艦隊の哨戒の網にかかり、否応無しに海戦が開幕するだろう。
 敵艦隊及びトループス級の数は、少なく見積もってもこちらの数十倍。台湾島からの増援も続々と合流するため全滅させるのは困難だが、敵艦隊と交戦して警戒網に穴を空ければ、砲撃をかいくぐって軍港にたどり着くことも難しくはないだろう。
「軍港に到着したら、速やかに造船ドックの門扉を破壊して内部に突入。速やかに施設破壊を開始してください」
 ちなみに、偵察作戦で造船ドックはクロノオブジェクトであることが判明しており、施設内ではトループス級冥海機が警備に当たっているが、とにかくパラドクスを発動して邪魔者を蹴散らしながら施設を破壊すればいいのだと、クララは淡々と述べる。
「要するに施設内で派手に暴れればいいのです。手加減はいりません。施設内を徹底的に破壊すれば新たな艦艇の製造を阻止し、敵戦力に大打撃を与えることができるはずです」
 そして、破壊活動が一段落したら、海域にいるアヴァタール級の指揮官を倒せば作戦は完了となる。
「作戦を完遂したら速やかに離脱してください。今回はあくまでも前哨戦。無茶をして命を失えば、元も子もありませんから……」
 そう付言し、クララは作戦の説明を締めくくると、最後にもう一つ留意すべきことがあると前置きして口を開いた。

「敵の艦艇に乗船しているのは一般人です。彼らは軍人として冥海機の味方をしていても、『倒すべき敵』ではありません。そのことを忘れないでください」
 海戦で失われた人命は新たな冥海機を生み出す糧となるため、艦艇を撃沈してしまえばかえって敵戦力の増強に力を貸してしまうことになる。戦略的にも心情的にも、一般人の犠牲は少ないほうがいい。
 クララはわずかに眉根を寄せて願いの言葉を紡ぐと、パラドクストレインに乗り込むディアボロス達を見送るのだった。

●厳戒態勢
 雲がまばらに浮かぶ蒼穹に、初夏の太陽が輝いていた。軍港周辺の海は陽光を受けて鏡面の如くきらめき、時折吹く爽やかな風が湿気をさらっていく。一見して平穏な海。だが、海上には多数の軍艦が集結し、殺伐とした空気が漂っていた。
 ひときわ大きな巡洋艦を中央にして、同心円状に多数配置された神風型駆逐艦。その隙間を埋めるかのようにトループス級冥海機『メタルクルーズ』の集団が散開し、哨戒任務を遂行していた。
 それはジェネラル級冥海機『翔鶴』の配下の艦隊。旗艦である巡洋艦の甲板の上で、アヴァタール級冥海機『ノーチラスディーヴァ』が口を開く。
「ディアボロスはもうすぐここにやってくるでしょう。一匹たりとも逃してはいけませんわよ!」
「「「アイアイサー!!」」」
 上品な歌姫然とした指揮官の声に反応したのは、メタルクルーズの一団。その後方で駆逐艦の船員たちも、支援砲撃の準備に余念がなかった。
 その一方で、台湾島の軍港でも緊張感が高まっていた。
「警戒を緩めるなよ。貴様らは重要施設を重点的に巡回。侵入者を発見し次第、八つ裂きにしてやれ!!」
 上官と思しき軍服姿の冥海機『オクトリア』の鋭い指示が響き渡り、その部下のオクトリア達が体中から伸びる触手を蠢動させながらそれぞれの持ち場へと散っていく。
 警備のために陸に上がった冥海機は支援砲撃を受けられないが、自在に動かせる触手を持つオクトリアは屋内での戦闘も不得手ではなく、侮れない相手である。
 海と陸。ディアボロスの襲撃に備え、台湾島では厳戒態勢が敷かれているのであった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【避難勧告】
2
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
3
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【水面走行】
2
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【操作会得】
2
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
2
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【水中適応】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV2 / 【反撃アップ】LV2 / 【先行率アップ】LV3 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV2 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

刈井留羽
 こんにちは。オープニングをご覧下さりありがとうございます。今作における各選択肢の概要は以下の通りです。

●選択肢
 ①ヤ・ウマト海戦準備。
 パラドクスなどを使用して戦闘準備を整えながら目的地に向かって移動する選択肢です。

 ②護衛するトループス級。
 台湾島に接近するとアヴァタール級『ノーチラスディーヴァ』が率いる敵艦隊が、護衛のトループス級『メタルクルーズ』の集団を伴って迎撃に出てきます。まずはメタルクルーズ達を蹴散らし、突破口を開きましょう。

 ③敵施設破壊戦闘。
 造船ドックに突入し、施設警備のトループス級『オクトリア』の妨害を振り払いながら施設を破壊します。

 ④アヴァタール級との決戦。
 敵施設への破壊活動が一段落したら、指揮官である『ノーチラスディーヴァ』を討伐して撤退します。

 なお、選択肢の執筆優先順は、①>②>③>④です。
 それでは皆様のプレイングを心よりお待ちしております。
8

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


三笠・濃藍
さて、久しぶりの実戦だ…
水中戦の準備をしないとな

そう言って残留効果を発生させながら水中へと潜る
冥海機との海戦ではいかに相手よりも巧みに海戦の戦術を練り上げるかにかかっている
ある程度最終人類史のディアボロスがノウハウを獲得してくれて助かったよ
お陰でディヴィジョン時代よりも取り回しが効く

兵装やサイキックエナジーの調子を確かめながら海に潜航
海上の敵にも対応出来るよう立ち回る感覚を思い出しながらウォーミングアップを

さて、これからが楽しみだな…冥海機
無表情な様子で台湾島の方面へと視線を向ける


柳瀬・渚
今度は台湾かぁ…
艦艇が作られなくなれば、それに乗って戦う人も減るし、その結果クロノヴェーダを増やさないことにも繋がる……だったよね?
敵がいっぱいいるなら突っ込むのは怖いけどスライムも一緒なんだし頑張んないとだね。

とりあえず【水面走行】が使えるようにしておくね。

水面での準備運動を終えて準備が出来たら、【水中適応】の効果を借りて水中での動きも試してみるよ。

前は海上での動きしかしてなかったし、重巡級海戦装を水中で使ったらどんな感じになるかっていうのは知っておいたほうが良さそうだもんね。
水圧の影響が無くても、海上で運用するのとでは違いとかもありそうだもんね。ぶっつけ本番は怖いし今のうちに試しておくね。


レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。

敵のジェネラル級を含め、戦力が減少している機を逃す理由はございませんからね。
七曜の戦いまでに翔鶴を退ける事が出来れば…
この台湾島を最終人類史に奪還出来る可能性が高まるはず。
頑張りましょう!

いやぁ、それにしても水練が盛んですね、ボクも混ぜて頂きましょう。
【水中適応】をお借りして水中に潜ります。
ゴーグル型デバイスの『Boetia』と神経を接続、各武装の起動チェック。
そして水中適応を施した水中で、フライトデバイス『アクロヴァレリア』がどんな挙動をするか確認しておきたいです。

それは空を飛ぶ時と同じ精密な挙動をしてくれるのか
それこそ…海を飛ぶような、そんな感覚になれるのでしょうか


西堂・千衛蔵
単純に暴れればいいとは、やりやすい仕事だぜ
不意打ちや騙し討ちじゃなく、敵もこっちを警戒して待ち構えていると来た
「腕が鳴るぜ、なあ赤煙!」
……何、一般人がいるから被害を出すな?(よく聞いてなかった顔)
「わかったよ、無益な殺生は避けないとな」

【水中適応】も大事だが、一般人の被害を無傷で退けるとなれば、【避難勧告】が役に立つこともあるだろう
阿弥陀如来様に祈って、頭の上の燈篭に無称光を宿すぜ

水中で準備運動を始めている人達もいるな
残留効果が付加されたら、自分も混ぜてもらおう
できそうなら模擬戦でもやってみるかな


●潜航する復讐者達
 パラドクストレインは台湾島近海の大海原へと到着する。
 そこは波の穏やかな静かな海域。ディアボロス達はここから台湾島の南西部・高尾市の軍港を目指し、しばらく海を進むことになる。
 
「それじゃ、とりあえず水面走行を使えるようにしておくね」
 列車の出入り口に立った柳瀬・渚(人間の海戦装姫・g09826)は伸びをしながら、さりげなく【水面走行】の残留効果を発生させ、海上に降り立つ。
「さて、久しぶりの実戦だ。まずは水中戦の準備をしないとな……」
 渚に続いて三笠・濃藍(藍色の静寂・g09861)が【水中適応】の残留効果を展開し、先陣を切って海へと飛び込む。水飛沫が上がり、それを見た渚も海に飛び込もうとしたが、すぐに足を止める。
「……その前に準備体操を念入りにしておかないとね」
 きちんと筋肉をほぐしておかないと足を吊って大惨事になりかねない。
 すぐに飛び込むのは自殺行為に等しい……というのは少々大げさだが、ストレッチ多めの準備運動で列車移動で凝り固まった筋肉をしっかりとほぐし、渚は水面をじっと見つめる。
 透明度が高く、波が穏やかな海。燦燦と照りつける陽光で水温も上昇していることだろう。実際にこの時期の海は温かい。そのまま入ったほうが気持ちよさそうだが、今日はバカンスにきたわけではないのだ。渚は真剣な表情になると、今度は【水中適応】の効果を使用。水面を蹴り、そのまま放物線を描いて海中へと飛び込んだ。
「腕が鳴るぜ、なあ赤煙!」
 列車の屋根に仁王立ちし、西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)は首に巻いた相棒のミニドラゴン『赤煙』に同意を求めるも、赤煙は千衛蔵に不安げなまなざしを向けていた。
「……何、一般人がいるから被害を出すな?」
 赤煙の忠告にポカンと口を開け、首をかしげる千衛蔵。そんな彼をたしなめるように赤煙は尻尾でその首を軽く締める。
「うぬっ……わかったよ。無益な殺生はさけないとな」
 ようやく今回の任務の留意点について思い出した(?)千衛蔵は、その大きな両手のひらを正面で合わせ、神妙な顔で目を閉じる。すると、千衛蔵の頭頂に鎮座する灯籠にポウッと明かりが灯る。
「備えあれば憂いなし、というからな」
 灯籠の中で輝くのは阿弥陀如来様が放つ無称光。光が灯るとともに【避難勧告】の効果が発生していた。
「これでいつでも一般人に避難を促せるな……」
 今は敵対しているとはいえ、敵軍の一般人は被害者なのだ。備えを万全にした千衛蔵は【水中適応】の効果を使用して海へと飛び込むと、頭を海底へと向け、力強く水を蹴り、水掻きの如き大きな両手のひらで海水を掻き分け、水の中へと分け入っていく。

「まずは兵装の確認からか……」
 海中に潜った濃藍は水中で声を発することができることを確認するかのようにつぶやくと、『権能』を解放。周囲の環境からエネルギーと質量を抽出し、またたく間に周囲の環境に適合した『海戦装』が構築されていく。
 まずは海戦装の試運転。推進機を起動してスクリューを回し、色とりどりの魚が泳ぐ海中をゆったりと潜航する。視界に映るのは、まるで水族館のように色鮮やかな魚達が泳ぐ穏やかな海。海底は起伏の富んだ地形で、ゴツゴツした岩礁も目立つ。海底火山へと連なる傾斜もあり、大規模な地殻変動の跡もうかがえる複雑な地形だった。
「海戦装の具合はよさそうだな。あとは実戦を想定してウォーミングアップでもするか……」
 海戦装は問題なく動く。今度は海上を移動する仲間を敵影に見立てて実戦さながらの訓練を始める。敵影を発見。照準をセット。即座に火砲を発射するイメージを描く。
 当然、実際に砲撃することはないが、敵艦との戦闘を脳内で何度もシミュレートし、水中戦闘の感覚を体に染み込ませ、緊張感を高めていく。

「えと、水中適応は……大丈夫そうだね」
 渚はあえて声を出して、水中で会話できることを確認する。定温の海水と水中呼吸。泳ぐ速さは普段とはそれほど変わらない気がするが、重要なのはこの状況で普通に戦えるかどうかだ。
「あとは兵装の確認っと……」
 海戦の主体となるであろう重巡級海戦装を展開する。水上、水中、空中。すべての環境の敵に対応できる重巡洋艦を模した携行型砲台は、渚と並走するように海中を優雅に航行し、命令に従ってその船首を水面へと向け、主砲の照準を合わせる。
「……こっちも問題なさそうかな?」
 他の兵装も水中で動作することを確認し、安堵する渚。標的の機影を目視できれば水中からでも、火砲や対空機銃で攻撃することも可能だろう。
「おっ、先客がいたようだな。少し邪魔するぜ……」
 海中を潜航する同僚達を見つけた千衛蔵は軽く挨拶を交わし、水中での動きを確認していく。【水中適応】のおかげで海水と一体化したかのように動ける。これならば水中でも地上と遜色なく戦えるだろう。できれば水中での模擬戦もしたかったが、同僚達は水中戦の準備に余念がない様子。千衛蔵はそれに倣い、一人で体を動かし実戦に備えるのだった。

「いやぁ、それにしても水練が盛んですね、ボクも混ぜて頂きましょう」
 水中を移動しながら装備の確認をする同僚達に触発され、海へと飛び込んだレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)はゴーグル型デバイス『Boetia』との神経接続を開始する。
 デバイスから発信された電気信号が稲妻の如くシナプスを駆け巡り、0と1の奔流が脳内で弾け、人と機械との境目を粉砕していく。
 ほどなくして接続完了。【完全視界】によってレイの視界は霧が晴れたように明瞭となり、水中でも遠くまで見通せるようになっていた。さらに背中に装着したフライトデバイス『アクロヴァレリア』を起動。翼を広げるように展開されゆく飛行補助装置。
 そして、レイは紅い炎の如き炎を背部から噴射して加速。脚部に装着した【Leprechaun】を使って軌道を微調整し、行く手を遮る岩礁の間をスイスイとすり抜けながら、軽快に潜航する。
「少し違和感はありますが、海を飛んでいるように感じますね……」
 海中を潜航している感覚は確かにあるものの、普段通り空を飛んでいるような挙動だった。
 水中でフライトデバイスを使えるのか少し不安だったが、速度、機動性ともに安定している。水中でも戦闘に支障が生じることはなさそうだった。
 周囲にはきらびやかな熱帯魚が泳ぎ、海中から見上げる水面は陽光が乱反射して星々の如く瞬いていた。沿岸のほうに行けば美しいサンゴ礁の群生地も見れることだろう。
「まぁ、そんな余裕はなさそうですが……」
 そう、今日は戦いに来たのだ。七曜の戦に向けて、まずは台湾島を奪還する。決意を新たにレイがこれから始まる戦闘のことを考えていると、兵装の動作確認を終えた濃藍が声をかけてくる。
「みんな、問題なさそうだね」
「やはり【水中適応】の効果は装備にも適用されているとみて間違いないでしょうね」
「そうそう、万能感がすごいよね」
 濃藍とレイの会話に渚も混ざり、各々の装備が問題なく動作することを確かめ合う。
 すると、千衛蔵も近くにやってきて口を開く。
「なんだか体力の消耗も普通に潜るより少ない気がするぜ」
 水中呼吸が可能で、水温や水圧の影響を無視できる。泳ぎに自信があるディアボロスなら素潜りでも自在に動き、長時間戦うことも可能であろう。

「……海戦の勝敗は、相手より巧みに戦術を練り上げられるかにかかっているだろうな」
 互いに情報交換を済ませると、濃藍は台湾島方面へ視線を向け、独り言のようにつぶやいた。
 海戦は戦術が物を言う世界。パラドクスの打ち合いとなる逆説連鎖戦では敵艦をいち早く目視することが優先される。潜航して行動すれば敵から発見されるリスクは軽減され、奇襲や潜伏も容易になるが、水上よりも敵影を目視しにくなる。
 攻撃すれば即座にこちらの位置を特定され、反撃も飛んでくるだろう。海中に戦力が偏れば逆に敵に狙い撃ちされやすくなるかもしれない。敵の索敵能力も未知数だ。
 水中と水上。ディアボロスの実力なら力押しも可能だが、海戦では自分と敵の位置関係を意識し、敵の出方に応じた立ち回りも求められるだろう。潜航するディアボロス達は海戦での戦術を考えながら目的地を目指すのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】LV1が発生!
【水面走行】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!

十埼・竜
ハロー、こちらRadio-DINO。
攻撃は正直苦手だけど、音を届けるならぼくの出番だ。
さあ、放送を始めよう!

速やかに侵入、破壊、離脱作戦となれば連携が大事だよね!
【水中適応】、【水上走行】は他のみんなに頼らせてもらって
僕らはパラドクス通信の用意をしよう。
……ってわけで、イオン。きみの初陣だよ。
頑張ろ……僕のお尻を攻撃すんのやめよう!?
何!?初めての戦場でテンション上がってんの!?今日は暴れていいよって言ったから!?
……違うな、お前は僕が気に入らないだけだな……!!

走って潜って避けて、一通り全力で体を動かす練習にはなったよ
……本番はこれからだからな……


「速やかに侵入、破壊、離脱作戦となれば連携が大事だよね!」
 【水面走行】の効果を使って海上に降り立った十埼・竜(スカイセンサー・g02268)は、相棒のミニドラゴン『イオン』を見つめ、屈託のない笑顔を見せる。
「……ってわけで、イオン。きみの初陣だよ」
 その声に応じたイオンが周囲に振動波を撒き散らし、【パラドクス通信】の残留効果を発生させる。
「ご苦労様、イオン」
 仲間達と通信できる小型機械を懐に忍ばせて満足げに微笑む竜。だが、その視線の先にいたイオンは忽然と消えていた。その時。
「うごっ!!」
 いつの間にか背後から忍び寄っていたイオンに尻尾で一撃を喰らい、臀部を押さえる竜。
「何!? 初めての戦場でテンション上がってんの!?」
 うんうん、お出かけの日はテンションあがるよね。そんな感じで生暖かいまなざしを向けようとすると、イオンは長い尻尾を振り回し、往復ビンタの如く容赦のない打撃を放ってくる。
「ちょっ、まっ、と、とりあえず僕のお尻を攻撃すんのやめよう!?」
 必死の抗議も全く届かない。イオンが発するのは怒気を孕んだ威嚇の声。そして、竜は今更感のある結論を導出する。
「違うな、お前はただ僕が気に入らないだけだな……!!」
 かくなる上はと、踵を返す竜。そのまま海面をバシャバシャと蹴り、水飛沫を跳ね上げながらトップスピードで疾走。海面スレスレを飛翔して追撃してくるイオンから必死の形相で逃げ回る。
「もう、こうなったら水中に逃げてやる!!」
 そんなわけで突如として始まった追いかけっこは、ついに水中戦に突入。
「なんでそんなに執念深いのっ! 水中まで逃げてんのに!!」
 【水中適応】を使っているので水中でも大声が出せる。そのことを図らずも実感する竜。
「これで断末魔も叫び放題だね! ……って、縁起でもないこと言っちゃったよ!!」
 走って潜って避けて。執拗な追撃を受け、竜の心がポッキリ折れかけたところで、ようやく満足したように攻撃を止めるイオン。
「はぁ、はぁ……本番はこれからだからな……」
 だいぶ疲労困憊な様子だが、僕たちの戦いはこれからだ。一通り全力で体を動かし無事に準備運動(?)を終えた竜は目的の海域へと急ぐのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

赤上・イズル
冥海機ヤ・ウマトですか
どのようなディヴィジョンなのか興味深いですね
もちろんどのようなディヴィジョンであれ気を抜く気は一切ありませんが

さて、まずは海を移動せねばですが…
【水中適応】と【水面歩行】はお借りするとして…
俺は【完全視界】を使用し、水中での視界を確保し
水面と水中うまく使い分けつつ進みましょう

目的地接近ギリギリまでは敵に見つかりたくはありませんので慎重に進みつつも
周囲の状況、敵の様子なども知りたいですね
敵に気づかれない範囲で収集できる情報は漏らさずに行きたいところです
それとどれだけ海中で動けるかも試しておきたいです

水中でも会話ができるようになったとのことなので
得た情報は仲間と共有しましょう


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
偵察した時はすぐに撤退するしかなかったが今度は絶対に破壊してやる
準備はしっかりしておいて損はないだろう

【行動】
水中適応や水面走行は持って行ってくれる人がいるみたいだし
俺は通信障害を持っていこう
報連相は大事だから全て邪魔してやろう
自分がやられたら嫌な事は敵に行えばいいんだよ

あとは水中適応を使った俺がどれだけの速さで泳げるかやってみよう
瞬間的にスピードを出さなければならないだろうし
どれだけの時間でトップスピードに至れるのかは確認しておきたい


●水泳
「まずは水中適応を試してみるか……」
【水中適応】の効果を使用し荒田・誠司(雑草・g00115)は水面に飛び込むと、力強いストロークで水を掻き、水を蹴る。そのまま息継ぎもせずにグングンと加速。やがてトップスピードへと至る。
「そこまでは変わらないか……」
 数分後。誠司は拍子抜けしたような声を漏らす。水中適応を使って全力で泳いでみたが、なんとなく速く泳げたような……気がする程度だ。水中適応のおかげで、呼吸のために顔を出す必要がなく、水温や水圧の影響を受けずに動ける。その分だけ体へ負荷が軽減され、持久力も高まっているような気もした。
(「素潜りで泳げる速さは概ね個々の身体能力次第、推進機を使う場合は推進機の性能次第と、考えたほうがよさそうだな。それよりも……」)
 水中でも地上とそれほど変わらず動けることのほうが、戦闘において有益な情報といえるだろう。海戦での水中戦闘について考察しつつ、誠司は海を泳ぎ、目的の海域を目指す。

●情報収集
「目的地までもうすぐですね……」
 水面走行を使って水面を走り、台湾島を目指していた赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)は、敵艦隊のいる海域に近づくと一旦立ち止まり、今度は水中適応に切り替えて水中からわずかに顔を出しながら慎重に進んでいく。
「このあたりが限界でしょうね……」
 敵艦隊が集まる海域との境界。そこで立ち止まると、【完全視界】を使用。明瞭になった視界で敵艦隊に目を凝らし、細心の注意を払いながら海域の外縁をゆっくりと泳ぎ、敵の配置とその動きを観察する。

 敵艦隊の外縁ではトループス級冥海機『メタルクルーズ』が海上を滑るように機敏に航行し、哨戒任務に尽力している。
 メタルクルーズの装甲は薄く、機動性を重視しているように見えた。素早く舵を切り何度も方向転換して縦横無尽に走り回り、監視の目を光らせている。
 その姿はまさに海上の警備兵。不気味な笑みを浮かべて哨戒するメタルクルーズの群れの後方には、一般人の海兵が乗船する駆逐艦の船影が整然と並んでいた。
 ここからでは旗艦と艦隊の指揮を取るアヴァタール級の姿は確認できないが、おそらく艦隊の中央で指示を出しているのだろう。
「機動力重視の駆逐艦……おそらく、この時代の艦艇にもソナーくらいはついているでしょうね」
 この時代でも潜水艦からの攻撃に備え、ソナーを搭載した軍艦が普及していた。それなら潜航したまま敵艦隊に気づかれずにやり過ごすのは不可能。かといって空中を強引に突っ切ろうとすれば、メタルクルーズの集中砲火を浴びてしまうだろう。
「……やはり戦いは不可避ということですね」
 そう結論付け、情報収集を終えたイズルは、【パラドクス通信】による通信機を使用し、一緒に来た仲間達と情報を共有する。
「……そんなら【通信障害】が必要になるな。集団戦では報連相は大事だからすべて邪魔してやろう」
 イズルから話を聞いた誠司が即座に【通信障害】の残留効果を発生させる。
「これで敵を分断できればいいんだが、そう簡単にはいかないだろうな……」
 敵は訓練された軍隊である。その継戦能力は侮れない。おそらく通信障害が発生しても僚艦の動きから状況を判断し、海戦を難なく継続できるだろう。
 だが、通信を妨害できれば、不測の事態への対処は確実に遅れるはずだ。
「とはいえ……今すぐ通信妨害を使ってしまえば、敵艦隊に異変を知らせることになるだろうな……」
 とりあえず環境を整えた。あとはいいタイミングで通信妨害を使うだけである。

 これにて各々の戦いの準備が完了し、敵艦隊が展開する海域との境界にディアボロス達が続々と集まってくる。この海域を突破すれば、台湾島南西部の軍港はすぐそこだった。
 軍港の重要施設の破壊。それを実現するためにはまずこの海域でメタルクルーズの群れを蹴散らし、包囲網を切り崩さなければならない。
 そして、意を決したディアボロス達はそれぞれ海域へと突入し、海戦の幕が上がるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】がLV2になった!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【グロリアス】がLV2になった!

赤上・イズル
■【蒼炎】
■アドリブ・絡み歓迎

目的地である軍港は目前ですが
上陸するには哨戒しているメタルクルーズが障害ですね
【通信障害】を使用したならあちら側も異常に気付くのは時間の問題でしょう
出来るだけその前にこちらから仕掛けるとしますか

合流した仲間、レイちゃんと目配せし、行動開始
敵艦隊に捕捉されるギリギリの位置まで【水中適応】にて接近
捕捉直前に【水面走行】に切り替え海上に浮上と共に
【不意打ち】の一撃を加え海戦の口火を切る

遅いです!こちらですよ!

【水面走行】と【神速反応】にて敵の砲撃の連射を搔い潜り
『フェイント』と『残像』で敵を翻弄しつつパラドクス【神速】を放つ

突破口を作りつつ上陸を試みる仲間の援護をする


レイ・シャルダン
【蒼炎】
連携・アドリブ歓迎です。

地図を確認して目をまんまる。
ドイツ人のボクは当然知らない事なんですけど
ははぁ、台湾と日本ってこんなに近かったのですね。

水中でもフライトデバイスが使える事がわかって安心です。
折角検証したのですから、使わない手はありません。
【水中適応】を使用して、水中から敵に接近します。

『Boeotia』のテンプルをノックして起動し
【完全視界】とその超視覚で敵を補足しパラドクスを発動
水中から矢を放ち、イズル君の不意打ちに合わせて敵を貫きます。

敵の反撃は『アクロヴァレリア』による推進力
【水面走行】を駆使し、水中、水上、低空飛行と立体的な機動を行い
【一撃離脱】して回避します。


「上陸するには哨戒に出ているメタルクルーズが障害ですね。先程話した通りに行きましょう」
 敵艦隊が展開する海域。水中に身を隠し、機を伺っていた赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)は、レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)に目配せすると、水中から敵陣へと切り込んでいき――。
「このあたりが限界でしょうね……」
 ギリギリを見極めて一気に浮上。水飛沫を上げ、水中から飛び出すとともに【水面走行】の残留効果を用いて水面に着地。間髪入れずに『無銘一鉄』の鯉口を切ると、そのまま水面を疾駆し、一気に距離を詰める。敵の虚を突いた電光石火の奇襲。だが、海面を猛然と突っ込んでくるイズルに、眼前のメタルクルーズが即座に反応する。
「何だ!?」
「奇襲か!?」
 突然現れたディアボロスを視界に入れるやいなや、二体が咄嗟に艦首に搭載された主砲を向けるも、イズルは標的を見据えたまま、更に加速。
 ――九字切流・神速!
 寸分のためらいのない踏み込みとともに、抜き放たれる漆黒の刃。降り注ぐ陽光を反射して白刃が煌めき、海水が滴る後ろ髪が揺れる。直後、横薙ぎに振るわれた流麗な太刀筋が無防備なメタルクルーズ二体の胴をなぞり――。
「な……!」
 神速の一太刀が断末魔の声を飲み込み、両断されたメタルクルーズの残骸が海中へと沈んでいく。
 だが、それをきっかけに敵艦隊がにわかに殺気立ち、支援砲撃を要請するメタルクルーズの声が響き渡った。

「始まりましたね……」
 【水中適応】を使用し、フライトデバイス『アクロヴァレリア』で海中をゆったりと飛翔しながら身を潜め、戦況をうかがっていたレイは、水中の視界の悪さを補うべく【完全視界】の効果を使用し、両眼を覆うサイバーゴーグル『Boeotia』のテンプルを人差し指でトンと叩く。
 それを合図にしたように『Boeotia』に内蔵されたAIが起動し、レンズに映し出された視覚情報を高速演算。その結果をレイの視覚へとフィードバックさせる。
(「見えた……」)
 レンズ越しの瞳に映る敵影。そして、その先には水面を縦横無尽に走り回るイズルの気配もあった。
 ならば、狙うべきはそこだ。レイはイズルを狙う一体のメタルクルーズを視界の中央に収めると、機械魔導弓『ACRO』に魔術で編んだ矢をつがえ、即座に放つ。ボクはここにいる。あえてそのことを示すように。

「弾幕を張れ! アイツを絶対に突破させるんじゃねぇぞ!!」
 一方、水上ではイズルを止めるべく、メタルクルーズが声を張り上げていた。
 支援砲撃の要請に応じ、数秒遅れて後方から発せられる怒号の如き砲撃音。複数の駆逐艦から鋼鉄の砲弾が間断なく発射され、弾丸の雨が降り注ぐ。そんな中でも、イズルは涼し気な表情。
「遅いです! こちらですよ!」
 【神速反応】で反応速度を上昇させ、挑発の声を投げかけながら砲弾の雨の中を疾駆する。
 その動きは残像が見えるほどに俊敏。だが、想定以上の動きをするディアボロスを警戒し、方方に散っていたメタルクルーズ達が集まってきて――。
「これでも喰らえ!!」
 先頭の一体が艦首に搭載された滑空砲を放たんとした。そのときだった。
「ぐぁあ!!」
 唐突に上がる悲鳴と爆発音。そう、レイが水中から放った『電撃戦の一矢』が、船底からのメタルクルーズの機関部を撃ち抜いたのである。そして、レイは水上に立つイズルに視線を向けた。
「ホーミングの精度に問題はないようですね。このまま攻勢をかけましょう」
「水中に伏兵!? 散るぞ!」
 眼前で仲間を撃沈させられたメタルクルーズの群れは動揺をあらわにし、慌てて散開。ようやく水中にいるレイを捕捉し、主砲を発射しようとしたとき、イズルの神速の刃がメタルクルーズを両断した。
「よそ見してると……こうなりますよ」
「……そうですね。よそ見してると船体に穴が空きますね」
 イズルに気を取られていたメタルクルーズの船体を、間髪入れずにレイは水中から魔導弓で撃ち抜いた。
 水上を駆けるイズルと水中から狙撃するレイ。二人の連携が噛み合い、メタルクルーズは次々と撃破され、その対応に追われる敵艦隊の陣形が崩れ始め、乱戦の様相を呈するのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【神速反応】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

十埼・竜
※連携歓迎

【水中適応】のお陰で、水の中でもよく聴こえるよ
まずは気付かれないようにコソコソ、敵の動きを〈情報収集〉
警戒網の穴を見つけたらみんなに【パラドクス通信】で〈号令〉!
さあ、攻め込もう!

……とはいえ、僕は攻撃が不得意な方だ
そういうのはみんなに任せて、僕はお手伝い……
……違うんだってイオン、これはサボりじゃなくてね?
ほんとだって、見てろって!

この海に沈んだ悲嘆と無念を喚び起こそう
大丈夫、僕にはみんな聴こえているよ
mo@n child、〈呪詛〉の泥を纏わりつかせて敵を〈捕縛〉
お前たちに空は翔ばせない
動きを鈍らせ【未来予測】で攻撃を回避しながら造船ドックを目指す


柳瀬・渚
連携とアドリブ歓迎

凄い数の敵だけど、今やらないとなのは軍港に到達する事……焦ってやたらと攻撃するんじゃなくて、軍港への侵入を妨げている敵の排除に集中しなきゃだね。

【水中適応】を使ってギリギリまで近づいてから【水面走行】に切り替えて戦っていくね。【完全視界】があれば水上に展開中の敵を先に見つけられそうかな?

一般人が乗っている周りの艦艇に気をつけつつ【復讐の刃】で攻撃するよ。
投げるなら……投槍とかかな?そういうのを出現させて投げていくよ。

敵の攻撃は重巡級海戦装の対艦装甲で受けつつ軍港に向かって進んでいくね。
下手に避けるより、がっしり構えて受けたほうが安全、だと思いたい……


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
わざわざ底面を見せてくれてありがとう。防げる物なら防いでみろ!
機械を扱えるのはお前らだけじゃないぞ!

【行動】
パラドクス通信で仲間と連絡を取り合い積極的に連携していく

まずはパラドクスで爆薬が仕込まれた投げナイフを製作
敵の攻撃は盾や警棒で受けつつ
ボディの下部を見せた敵に製作した投げナイフを投擲し攻撃する
敵の形状だと底面に攻撃されれば上手く防げないだろうし
爆発で穴を開けることができたなら上々
そうじゃなくても投げナイフが爆発したら多少の隙は出来るだろう
その時に畳み掛ける

必要なら臨機応変に対処する


「……水中って意外と静かだね。これなら海上の音も聞き分けられそうだ……」
 【水中適応】を駆使して海中に身を潜めた十埼・竜(スカイセンサー・g02268)は、耳を保護するために装着しているヘッドホンに手を当てて聴覚に意識を集中させる。すると、相棒のミニドラゴンのイオンが冷ややかな視線を向けてくる
「な、なんだよ……僕は決してコソコソ逃げ隠れしてるわけじゃ……」
 そう、竜は断じて……断じて攻撃が不得手だから逃げ隠れしているわけではないのだ。
「……」
 イオンの目はジト目過ぎて糸のように細くなっている。
 オマエ、日和ってんじゃねぇよ。そんな声が聞こえて来そうな雰囲気である。
「……違うんだってばイオン、ホントのホントに、これはサボりじゃなくてね?」
 必死に弁解を試みるも、イオンからは陽炎の如く怒気が発せられていた。
 とはいえ、イオンとて空気が読めるミニドラゴンである。こんなときに攻撃はしてこないはず……。
「僕はちゃんとね、みんなのお手伝いを……ほんとだって、見てろって!」
「……」
「おい、何、無言で尻尾を振りかぶってるんだよ!」
 そんなふうに一触即発のやり取りが続き、いよいよ身の危険を感じ始めたときだった。
「……見つけた!」
 先陣を切って動いた仲間達の活躍で敵艦隊の陣形が崩れ、警戒網に空いた穴。そこを聴覚と観察力、窮地に陥った人間が発揮する火事場のなんとか力によって発見した竜は【パラドクス通信】の通信機を使用し、海域に散る仲間達にその位置を伝達する。
「みんな、今がチャンスだよ。合流して一気に攻め込もう!」

「了解……だが、まだ敵は多い。孤立しないように互いに連絡を取り合いながら進もうぜ!」
 竜に通信に応じた荒田・誠司(雑草・g00115)は互いにフォローしながら進むことを提案する。
「了解だよ。でも艦艇に乗ってるのは一般人だから怪我をさせないように気をつけなきゃだね」
 柳瀬・渚(人間の海戦装姫・g09826)も通信に応じ、指定の場所へと針路をとる。
 今、優先すべきなのは軍港に到達すること。先の戦いに向けて余力を残しておくためにも、こちらを妨害してくる敵の排除に集中すべきだろう。そう冷静に判断した渚は、敵の警戒網を縫うように海中を航行し、時折顔を出して周囲を警戒して余計な戦闘を避けながら移動する。
「あれは……」
 渚がふと目を留めたのは、メタルクルーズの群れ。ディアボロスの動きを察知したのか、それとも偶然なのか、ディアボロスの集合地点に向かっているように見えた。
「早めに排除しておいたほうがよさそうだね……」
『そうだな。俺ももうすぐ合流できそうだから、可能な限りフォローする』
 相手に視認される前に先手を打つ。誠司と通信機で会話しつつ、渚は【水面走行】の残留効果を使用。水中から飛び出して水面に立つと、【完全視界】で視界を明瞭にする。遮蔽物なし。標的を確認。さらにパラドクスを発動した渚は『己の復讐の意思』を武器へと変える。
「この武器で……!」
 奴らを倒す。渚が携えるのは二本のジャベリン。それは古代ローマ時代にも用いられた古典的な武器――いわゆる投槍である。そして、渚はジャベリンを続けざまに投擲し、放物線を描いて飛翔する槍の鋭利な穂先が、先頭を航行する二体のメタルクルーズの肩に突き刺さる。
「ぐぬっ、弾幕を張れ、弾幕だ!!」
 思わぬ不意打ちに体をよろけさせるも、二体ともまだ撃沈はしていない。怒りの形相で後方の僚艦に声を張り上げて支援砲撃を要請し、自らは艦首の滑空砲を連射する。
 対する渚は『重巡級海戦装』を正面に展開して防御。直後、襲ってきた砲弾をなんとか弾くも、このまま防戦一方になれば苦戦は必至。だがそのとき――。
「そっちにばかり気を取られてると、痛い目見るぜ」
 水中を潜航し、敵の背後から現れた誠司が放ったナイフが、先頭のメタルクルーズの船体に突き刺さり、その衝撃で起爆。機関部に引火して大爆発するメタルクルーズの断末魔を、爆炎と爆音が飲み込んでいく。
「むっ、伏兵か!!」
 派手に轟沈した仲間を見た残りの者達は素早く散開。急旋回して背後の敵に対峙する。
「来いよ、俺は逃げ隠れもしないぜ」
「チッ、馬鹿にしやがって!!」
 あえて挑発の言葉を発し、水面に立った誠司に、逆上したメタルクルーズは宙へと浮かび上がり、低空を滑走するように突撃。ボディの下部に設置されたブレードが鈍く輝き、誠司の眼前へと迫る。
「くっ!!」
 誠司は『フェイク・プリドゥエン』を突き出して敵の突撃を正面から受け止める。
 盾と刃が衝突し、硬質な音とともに火花と鮮血が飛び散った。無傷とはいかなかったものの、かすり傷程度だ。そして、衝撃で後方に弾かれたメタルクルーズは、空中で船底をこちらに向けていた。
「的がデカくて助かるぜ」
 誠司は即座に飛び退いて距離を取り、爆薬を仕込んだナイフを投擲。船体に突き刺さったナイフが爆発し、致命傷を負ったメタルクルーズは海の藻屑と化す。
「行くぞっ!! アイツを集中攻撃だ!!」
 無惨に沈みゆく仲間の姿を見せつけられては黙ってはいられない。
 憤懣やるかたない、といった表情で誠司を睨みつけ、メタルクルーズが集中攻撃に動こうとした、そのときだった。
 ――お前たちに空は翔ばせない。
 水中から響き渡る声。その声は海戦で沈んだ数多の人々の悲嘆と無念を呪詛へと変え、呪詛が浸潤した海底の泥は、おぞましき触手の形を成す。
「な、何だ!?」
 泥の触手に囚われた者達は驚愕の声を発してその場から逃れようとするも、時すでに遅し。そのまま海中に引きずり込まれ、泥の触手に握りつぶされる。
「なっ、僕はやるときはやる男だって言っただろ?」
 攻撃の機会を水中からコソコソと……もとい、虎視眈々と伺っていた竜は、得意満面な様子でイオンをに微笑む。すぐに竜は「調子に乗るな」と言いたげな様子のイオンに小突かれていたが、とにかく戦況はディアボロスの優勢に傾いていた。
「……よくわからんが、このまま一気に攻めるぞ!」
 通信機を通じて皆に呼びかけながら、誠司は爆薬が仕込まれたナイフをメタルクルーズの残党に投げつけ、爆発で怯んだ隙を狙い、渚が後方からジャベリンを投じてトドメを刺していく。
 そして、邪魔者がいなくなると、先行して敵艦隊と戦っていた者達も続々と合流。ディアボロス達は危険な海域を突破することに成功するのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV4になった!

●造船所
 台湾島南西部、高尾市に築かれた軍港。
 秘密裏に上陸したディアボロス達は軍艦を建造するドックや関連施設がいくつも連なる造船所のような区画へと到着する。ドックの形状は屋根付きの乾船渠。天井が高く超弩級戦艦も余裕で建造できる大きさである。事前の偵察で施設の位置は判明していたため、門扉もすぐに見つかり、後は突入するだけとなる。
 施設内の警備にはトループス級冥海機が多数動員されており、発見されれば問答無用で襲いかかってくることが予想される。
 とはいえ、作戦は施設の破壊なので隠密行動をするのは困難だ。施設内を手当たり次第に破壊し、長期戦になってこちらが消耗する前に早々に離脱するほうがいいだろう。
 ちなみに、ドックはクロノオブジェクトであるため、パラドクス以外の攻撃は受け付けないだろう。
 ディアボロス達はそのことをもう一度確認し合い、いよいよ敵施設破壊作戦は実行に移されるのであった。
玖珂・藤丸
台湾島への突破口は開いて頂けたようですね。
それでは本拠地に乗り込んで破壊作戦を実行しましょう!

造船ドッグの門扉の破壊はシンプルにタックルし、そのまま入り込むことにしましょう。
突入に成功したら、警備が来るはずなのでそのまま戦闘です。
【玖珂式想起術"火喰い鳥号の出港"】を使用します!
我らが魂たる漁船『火喰い鳥号』の群れを召喚し、ハープーン砲を一斉放射!

敵の反撃たる噛みつきですが、海の漢はタコに噛まれた程度では負けません!
反撃を受けようとも施設の破壊に集中。
我が相棒『杭喰具』を用いた《突撃》で施設内の装置を破壊し尽します。

やるだけやったら、あとは撤収!
来るアヴァタール級との戦闘に備えます。


柳瀬・渚
連携とアドリブ歓迎

施設の破壊だね。警備している敵がいるのはちょっと怖いし、暴れるのって苦手だけど頑張るよ。

施設はパラドクスじゃないと破壊ができないってことは対象範囲が広い【絶海砲戦】を使ってみるのが良さそう、かな?一度の攻撃で施設を沢山壊せれば効率も良さそうだもんね。
ということで、施設に突入すると同時に【避難勧告】をしつつ施設に対して重巡級海戦装に搭載した武装を使った一斉射撃を行っていくよ。

警備のトループス級については、こっちの行動を妨害しようとしている個体を狙って、パラドクスの砲撃で施設の破壊と同時に攻撃していくことにするね。


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
破壊するってんなら派手に行かないとな
一般人を戦場に連れてくるのはやめてもらうぞ

【行動】
パラドクス通信で仲間と連絡を取り合い積極的に連携していく

完全視界を使い索敵しつつパラドクスで製作した時間差で起動する爆弾をあちこちに仕掛ける
出来るだけ施設の奥まで入り込み爆弾を仕掛け
敵に発見されれば引き返しつつ順次に爆弾を起動する
爆発に巻き込まれてくれれば御の字だ

敵からの攻撃は未来予測や神速反応を駆使して盾のフェイクプリドゥエンや電光警棒で防ぐ
追いつかれそうなら盾をジェットボードに変形させて素早く脱出する

必要なら臨機応変に対処する


「さて、ここでは小細工は不要でありますね」
 今回の作戦は施設破壊だが、一般人がいれば避難誘導も必要かもしれない。誰かが正面から突っ込み敵を惹きつけたほうが、仲間達も行動しやすくなるだろう。
 その役目を引き受けた玖珂・藤丸(海の漢・g09877)はドックへと通じる金属製の門扉の前で一つ深呼吸をすると、門扉から数歩下がり、地を蹴る。
 肩から体当たりし、ドゴッと派手な音がしてぶち破られる門扉。そのままの勢いでドック内に突入した藤丸の視界に入ってきたのは、中央の船台の上に設えられた新造の戦艦、さらにそこかしこに様々な資材や機器類が整然と置かれた広々としたドックだった。
「侵入者だ! 八つ裂きにしてやれ!!」
 突然現れてた侵入者に、トループス級冥海機『オクトリア』の警備兵達に緊張が走る。
 そして、奥から複数の足音が近づいてきて、藤丸の視界に敵影が映った。
「早速、お出ましですね」
 迫りくるオクトリアの集団。藤丸は落ち着いて眼前の敵を見据え、その脳裏にかつで自らが乗船していた漁船『火喰い鳥号』を思い描くと、頭上にミニチュアの漁船群が出現。漁船に搭載されたハープーン砲から一斉に銛が射出される。
 虚を突かれたオクトリアは群れを成して飛来する鋭利な銛を躱すことはできず――銛が体中に突き刺ささり、その勢いで盛大に吹っ飛ぶ。その背後には山のように積まれた資材。そのまま資材の山に突っ込むも、オクトリアの双眸から光が失われることはなかった。
「くっ……貴様はこれで噛みちぎってやる!!」
 猛烈な殺気を放ち、触手で邪魔な残骸を弾き飛ばし、銛についたロープを引きちぎるオクトリア。
 直後、背中からニュッと黒い大蛇のようなものが伸び、その先端が風船の如く膨張。瞬時に形成された黒蛸の頭部に横一文字に亀裂が入り――。
「ギャァアア!!」
 耳を劈く咆哮。それはノコギリの如き牙が生えた黒い頭が発した威嚇の声だった。
 肌を刺すような殺気を感じ、素早く身構える藤丸。そのとき、彼の反対側からやってきた一人のディアボロスが動いた。

「……暴れるのは得意じゃないけど、遠慮なくいかせてもらうよ」
 突入してすぐに【避難勧告】を発令し、一般人の避難を促していた柳瀬・渚(人間の海戦装姫・g09826)は眼前の敵を標的に定め、重巡洋艦海戦装に搭載されたすべての兵装に発射の命令を下す。
 耳を劈く轟音。それは陸海空を攻撃する各兵装が発射された音だった。
 対空機銃からばら撒かれた大量の弾丸が敵の動きを牽制。足止めされた複数のオクトリアの足元で、地を這うように飛来した魚雷が炸裂。爆風と爆炎が吹き荒れる中、主砲から発射された砲弾がその体を穿った。
 そして、モウモウと粉塵が立ち昇る中、対空機銃の掃射で崩落した天井の一部の残骸が散乱し、魚雷によって陥没した床の中央で倒れ伏す数体のオクトリアだけが残された。
「……派手に暴れるとはこういうことなのかな?」
 渚は少し首をかしげ、つぶやく。重巡洋艦海戦装に搭載された兵装の威力は充分。攻撃が成功して安堵しながらも渚は、すぐに真剣な表情で視線を前方に向けた。
「やっぱり来るよね……」
「……ですね。迎え撃ちましょう」
 喧騒とともに近づいてくる複数の足音。派手な砲撃音を聞きつけて警備を担うオクトリアが集まってくるのは予想できた。施設破壊を優先しなければならないが、ここは迎え撃つしかないだろう。
 そう判断し、渚と藤丸が身構えたとき――唐突に爆発音。はるか前方で何かが崩れる音が響き渡った。二人は音のしたほうへ行くと、そこにあったのは何かの爆発に巻き込まれ、粉砕された資材に埋もれるオクトリアの遺骸。さらに、程なくして遠くで次々に爆発が起こり、こちらに向かっていたオクトリアも踵を返し、爆発のあった場所に走っていく。
 そのことに安堵し、施設の破壊を再開する二人の元に一人のディアボロスから通信が入る。

「どうやらうまくいったようだな……」
 通信機で仲間たちに爆発のことを周知した荒田・誠司(雑草・g00115)は、仲間達にオクトリアが殺到しかけたのを察し、施設の奥を目指しながら警備兵の撹乱に動いていた。
 幸い、彼がパラドクスで行使できる『小型爆弾』はどこにでも設置でき、時間差で起爆できるものだ。【完全視界】で明瞭になった視野で索敵し、警備兵の動きを把握。その移動経路に小型爆弾を仕掛けて時間差で起爆させることで、敵の足止めと施設破壊を同時に行うという一挙両得の戦術だった。
「まぁ、さっきのように爆発に巻き込まれてくくれれば御の字なんだがな……」
 無論、誠司はそう簡単に行くとは思ってはいなかった。巡回の警備兵は多く、自在に動く触手は厄介だ。囲まれればひとたまりもないだろう。
 とはいえ、施設内の警備兵は派手に爆発を起こせば、おびき寄せることができる。これを利用してうまく誘導してやれば、警備を混乱させ、敵との遭遇を極力減らすことくらいは可能なはずだ。誠司はそう見込んでいたのである。
(「ここを破壊すれば、戦禍に巻き込まれる一般人が少しは減るといいんだがな……」)
 今の任務は敵を殲滅することではく、この施設を破壊すること。一般人を海戦で戦死させて力を得ている冥海機。その非道な所業を止めなければならない。
「おそらくこの奥に電源室やクレーンの制御盤もあるはず……」
 ようやくドックの重要区画にまで到達した誠司は周囲を見回す。だが、そのとき――。
「おい、貴様!!」
 不意に背後から声をかけられ、誠司は肝を冷やす。
 声の主は警備兵のオクトリアだが、そこは先程爆弾を仕掛けた場所である。起爆し爆発が起こるも、爆発に巻き込まれたのは先頭の一体のみ。後方にいたオクトリアが触手から魚雷を放った。
「くっ!」
 その弾道を予測して神速で反応し、誠司は盾の形状をした『フェイク・プリドゥエン』で防ぐも、無傷とはいかなかった。さらに魚雷の爆発音によってオクトリアがさらに集まってくる.
(「このあたりが潮時か……!」
 壁を破壊すればここから離脱するのは容易い。誠司はフェイク・プリドゥエンをジェットボードに変形させる。
 このまま爆弾で壁を破壊すれば脱出できる。そう思った矢先――。
「助太刀します!」
「助けにきたよ」
 敵の後方から藤丸と渚の声が響き、二人の砲撃によって誠司を包囲せんと動くオクトリアの集団が倒れ伏した。それを見た誠司は安堵のため息を漏らした。
「助かったぜ……このままこのあたりを破壊して脱出しよう!」
 いずれにしても長居は禁物。合流した三人は、置き土産にクレーンの制御盤がある一角を破壊し、ドックから離脱するのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【水面走行】がLV2になった!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】がLV2になった!
【アヴォイド】がLV2になった!

赤上・イズル
■【蒼炎】
■アドリブ・連携歓迎

軍港に着きましたね…
これより施設内へ突入、破壊活動へと移りましょう

レイちゃんと次なる目的を再確認し造船ドックの門扉を破壊し内部へ
一般人がいるとのことなので【避難勧告】を発動
見かけた際にも声をかけ避難を促す

さぁここは危険です。速やかに避難してください
俺達は今からここを破壊しますので…って、
マリコさん…?安全ヘルメット?は、張り切ってますね…?

ふと傍らを見ると破壊活動する気満々のサーヴァントのマリコさんが。
おっきなハンマーにて施設を破壊していく

マリコさん前方に敵です!

マリコさんはお構いなしに敵もどっかんどっかん攻撃

…今回俺の出番はないようですね…マリコさんすごいなぁ…


レイ・シャルダン
【蒼炎】
連携・アドリブ歓迎です。

ええ、まずは順調ですが本番はここからですね。
やるべきことは決まっています。
時間もかけられない、ならば一気に行きましょう!

うん、マリコさんも頑張りましょう。(ぐっ)

ドックの門扉を突破して内部に突入
『Boeotia』のテンプルを弾いて起動し
その超視覚を用いた【観察】による【情報収集】と高速演算で
一般人に被害が及ばない場所を瞬時に判断

全武装を一斉に起動し、パラドクスを発動
この施設とクロノヴェータを纏めて攻撃します。

Tanzende Walküre
Löwebrüllen
Neunundneunzig Jäger
照準良し…!
撃てーーーーー!!!!


「とりあえず避難勧告を発令しておきましたが、人の姿は見えませんね」
 造船所のドックに突入した赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)はドックの中央に鎮座する建造中の艦船を見上げる。
 船台に載せられた巡洋艦。船の上にはクレーンがいくつも設置されている。おそらく整備のために艦艇を持ち上げたり、資材を運搬したりするものなのだろう。
「避難した後なのでしょうか? あっ、向こうに何かが……」 
 レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)はサイバーゴーグルの『Boeotia』のテンプルを指先で弾いて起動させると周囲を見回し、人影を探す。すると、遥か前方にあるドックと隣接する休憩室のドアが開き、作業着姿の男が飛び出してくる。
「あっ、そっちは……!」
 男が走っていったのは仲間のディアボロスと警備のトループス級が交戦している方向。そのことを『Boeotia』の解析によって把握していたレイは、慌てて男へと駆け寄った。
「ひぃっ!」
 小さく悲鳴を上げて尻もちをつき、怯えた表情で硬直する男にレイは駆け寄り、助け起こした。
「私達はあなた方に危害を加えるつもりはありません」
「さぁ、向こうは危険です。速やかに避難してください」
「は、はい……」
 礼儀正しく応対する二人に男は戸惑った様子だったが、こちらが敵意がないのを察したのか、すぐに聞き入れてくれた。さらに休憩室には逃げ遅れた整備兵が何人か残っていたので、先程の男と同様に安全に外に出られるルートを教え、避難を促す。

「あとは、ここを破壊して脱出するだけですね……って、マリコさん、そのヘルメットは……?」
 避難誘導を一段落させたイズルは目を丸くする。その視線の先いるモーラット・コミュの『マリコさん』は安全ヘルメットを被ってやる気満々なご様子。
「マリコさん、は、張り切ってますね……?」
「準備万端ですね。マリコさん、頑張りましょう」
「もきゅっ♪」
 自らも戦闘準備を整えたレイはマリコさんにサムズアップ。それに応じるように、声をあげたマリコさんはピキーンと凛々しい表情になり、つぶらな瞳がキラキラと輝く。
 イズルはなんだか蚊帳の外に置かれている気分になりつつも、おっきなハンマーを召喚。それをマリコさんがジャキンと装着。目標に向かってイズルはビシッと指を差す。
「マリコさん、ドカンとやってください!」
 標的は船台の載せられた新造艦。マリコさんはハンマーを振り上げ、弾丸の如く飛翔。標的に向かって猛然と突っ込んでいき、巨大ハンマーを振り下ろす。ドッカーンと轟音を奏で、舷側に穿たれる大穴。その音を聞きつけて警備のオクトリアが集まってくる。
「マリコさん、後方から敵です!」
「もきゅっ!」
「おい、やめろっ!! 貴様、何をやって……ぐごっ!」
 イズルが敵の声に反応した刹那、マリコさんは既に動いていた。空中でクルリと旋回して一気に距離を詰め、頭上から振り下ろされた巨大ハンマーがオクトリアを頭から押し潰し、砕け散った石の床に血まみれのクレーターが描かれた。
「もきゅっ~♪」
 一撃粉砕。邪魔者の警備兵を瞬殺したマリコさんは再びハンマーを振り回し、何事もなかったかのように施設破壊を再開する。
 一方、レイは『Boeotia』を使って索敵し、周囲を警戒していた。
(「やはりマリコさんは目立ちますね……」)
 巨大ハンマーでドッカンドッカンしてるので目立つのは当然のこと。
 しかし、マリコさんが注目を集め、自由に動ける今が好機でもあった。
 【完全視界】の使用によって視界はクリア。そして、レイは徒党を組んでやって来たオクトリアの集団を視界に収めると、Boeotiaが照準補正を完了させる。
「照準良し……! 撃てーーーーー!!!!」
 3種の兵装への発射命令。その瞬間、翼のように広げられたフライトデバイス『アクロヴァレリア』の両翼に収束された高密度のエネルギーが解放され、さらに両肩部の固定砲台とフライトデバイスに搭載された32門の小型砲台の砲門が開き、一斉に放たれる。
 王獣の咆哮の如き轟音とともに、乱舞する砲弾。さらに両翼から放たれた光の槍の如きレーザー光がオクトリアの体を貫き、貫通したレーザーがクレーンの支柱を直撃。倒壊したクレーンが新造艦の艦橋を押し潰した。
「ははは……マリコさんも、レイちゃんもすごいなぁ……今回俺の出番はないようですね……」
 攻撃は最大の防御。警備兵を蹴散らして容赦なく新造艦と船台を破壊し、さらに周囲の壁や床を破壊しまくるレイとマリコさんを、イズルは後方で見守るのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】LV2が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

西堂・千衛蔵
アドリブ・連携歓迎

「どうせ見つかるんだ、派手にやろうぜ」
門の破壊に時間はかけたくない
他の皆とタイミングを合わせて一気にぶち破るぜ

「この施設を叩き潰す
あんた達にも戦う理由があるのはわかるが、どうか退いてくれ
逃げる者は追わねえ。約束する」
【避難勧告】を使用するが、もし一般人を見かけたら【友達催眠】も使って撤退を促す

何かを「破壊」するのは得意だ
施設のどこを壊せば被害が大きいのか詳しくはわからんが、複雑そうな機械を「臨機応変」に壊していけばなんとかなるだろう

「八つ裂きか、できるもんならやってみやがれ!」
冥海機達が何を考えて戦っているのか?
牙と拳を正面からぶつけ合い、全力で戦ってみればわかる、かもな


十埼・竜
※連携歓迎

引き続き、戦地放送といこう!

施設はパラドクスで壊せる、とはいえこの規模は僕の手に余る
それなら餅は餅屋で適材適所!
破壊と闘争のために生まれた、きみたちに頑張ってもらおっか!

さあ、その手でゆりかごを壊してくれ
パラドクスで敵機を〈ハッキング〉、でたらめな敵情報で操って狂わせ同士討ちを誘い、自ら施設を破壊させる
施設のスピーカーも乗っ取って【避難勧告】、一般人の避難を促そう

【モブオーラ】で目立たないよう立ち回るけど
見つかったら【未来予測】【神速反応】で捕まるのだけは避ける!
僕、本当にか弱い存在だからね
いざとなったらイオン、壁壊して逃げ道作って!
…壊したついでに、何か持ち帰れる資料とかないかな?


「……イオン、行こうか」
 ディアボロス達の襲撃が始まり、ドック内が騒然とする中、目立たぬようにと【モブオーラ】を発生させて物陰に隠れながら十埼・竜(スカイセンサー・g02268)はミニドラゴンのイオンとともに行動を開始する。
 ここはパラドクスを使えば壊せるが、竜はこの規模の施設を派手に破壊する力は持ち合わせていない。それなら自分がやれることをやるだけだ。
「餅は餅屋で適材適所! 破壊と闘争のために生まれた、きみたちに頑張ってもらおっか!」
 物陰からひょっこりと顔を出した竜は、トループス級冥海機『オクトリア』の集団を発見すると、イオンを起点にして発生させた強力な電磁波によってまたたく間に戦場を電波ジャック。3体のオクトリアをハッキングし、その脳内に虚偽情報を流布する。すると……。
「お前、スパイなのか!?」
「何言ってるんだ。お前がスパイだろ!」
「煩い! お前ら二人とも裏切り者じゃねぇかよ!」
 戸惑いと怒りの声があがる。仲間の中に敵のスパイがいる。それは目の前にいる奴だ。スパイは見つけ次第、抹殺せよ。この任務は最優先で実行すべきであり、戦闘で施設内が破損しても責任は問わない。そんな内容の虚偽情報は三体のオクトリアを疑心暗鬼に陥らせ、使命感で互いに敵意を向け、感情的に触手を振り回して威嚇。やがて血で血を洗う三つ巴の争いへと発展する。
 三体の冥海機は壁や床、機材が壊れるのも厭わずに触手と鎖を放ち、裏切り者を抹殺せんとするも、その実力は拮抗しているため、やがて膠着状態となる。
(「うまくいったけど……このままだと正気に戻るのも時間の問題だろうな……」)
 とはいえ、この攻撃は敵の撹乱が目的。既に目的は達成している。今は戦闘よりも、施設の破壊を優先するのが最善。竜はそう判断し踵を返す。
「僕は自分で戦うのが怖い、ってわけじゃないんだからね。僕は僕ができることを精一杯やってるんだよっ」
 背後から殺気混じりの視線を感じた竜は慌ててイオンに言い訳し、足早にその場を去る。
 やるべきことはまだまだある。竜はスピーカーをハッキングして【避難勧告】を発令すると、その後も遭遇するオクトリアに虚偽情報を流布して周り、警備を引っ掻き回すのであった。

 竜の情報工作が功を奏し、警備を担うオクトリアの統率は崩れていた。施設内ではあちこちで怒声が響き渡り、騒然としている。
 そんな中、西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)は逃げ遅れた人々と対峙していた。
「俺達はお前らを危害を加えるつもりはねぇ。ここにいたら建物の倒壊に巻き込まれるぞ、早く逃げろ!」
 そこはドックに併設された倉庫。扉一枚で隔てられたそこは艦艇の代替部品や工具などが放り込まれた部屋で、千衛蔵は隅で怯えていた整備兵の男達を発見したのである。 
「どうせ見つかるんだ、派手に暴れてやるか!」
 無事に男達の避難誘導を終えた千衛蔵は、拳をポキポキと鳴らし首をグルリと回すと、瞳を爛々と輝かせ、水を得た魚のように駆け出す。
 そして、千衛蔵が見つけたのは、部品加工に使用する工作機械が並べられた一角。
「よくわからんが、複雑そうな機械だな。とりあえず破壊しておくか……」
 複雑な構造の機械は重要なものであり、徹底的に破壊すれば修理が困難であろう。そのことを本能的に察したのか、千衛蔵はパラドクスを発動し、拳を握りしめる。そのとき――。
「おい、貴様。何やってんだ!!」
「決まってんだろ!」
 背後からの声に反応し、千衛蔵は振り向きざまに背後にいた二体のオクトリアに渾身の拳を叩き込む。強烈なボディブローを腹部に受けたオクトリア達は弾き飛ばされ、工作機械に激突。轟音を奏でる。
「くっ……貴様、八つ裂きにしてやるぞ!」
 それでもオクトリア達はすぐに立ち上がり、冷酷な視線を向けてくる。
 その刹那、背部から黒い蛸の頭部がヌッと顔を出し、牙が生えた口を開いて襲いかかってくる。
「八つ裂きか……できるもんならやってみやがれ!」
 鋭利な牙で両肩を噛みつかれ、迸る鮮血。鋭い痛みが走るも千衛蔵は闘争心を失わない。眼前の敵を見据えて歯を食いしばり、黒蛸の頭部を力づくで引きはがしながら前進。左右の拳で猛ラッシュを見舞う。
「「ぐぁっ!!」」
 顔面に直撃を受けた二体のオクトリアは工作機械に激突し全身を強打。ピクリとも動かなくなった。
「……どうやらこの機械は重要なもののようだな」
 相手からは絶対にここを守らねばならないという意志が伝わってきた。戦いの中でそのこと知った千衛蔵は周囲の機械を念入りに破壊していくのだった。


そして、しばしの時が流れ、ディアボロス達によって軍港のドックは倒壊寸前にまで至る。そこかしこに築かれた瓦礫とスクラップの山。壁や床には大穴が空き、建物の損傷も激しい。そろそろ潮時。ディアボロス達は軍港から離脱し、再び敵艦隊が展開する海域に戻ってくるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【通信障害】がLV2になった!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV2になった!

●待ち構える歌姫
 ディアボロス達は軍港のドックを壊滅状態に追い込み、無事に脱出を果たす。
 後は、台湾島南西部の海域で待ち構えているアヴァタール級冥海機『ノーチラスディーヴァ』を撃破して海域を突破し、パラドクストレインが迎えに来る海域まで戻るだけである。
 しかし、海域にはノーチラスディーヴァが足場として利用する巡洋艦を取り巻くように駆逐艦が展開されていた。多くの一般人が乗る艦艇を盾にして戦えば、海戦による犠牲者が多数出るだろう。それを狙った陣形であることは明らかであった。
「フフフッ、わたくしの殺戮コンサートの開幕ですわ。貴方達はここを無事に突破できるかしら」
 巡洋艦の甲板上に設置した特設のステージで歌姫はほくそ笑むのだった。
レイ・シャルダン
【蒼炎】
チーム外連携・アドリブ歓迎です。

一般の艦隊を盾に…やはりクロノヴェータはクロノヴェータか…。
連中の注意は引きつけます、どうかその間に撃破を。

『Boeotia』のテンプルを叩いて起動しパラドクスを発動
『アクロヴァレリア』を点火して【飛翔】を行い
一般人艦隊からの注意を引きつけて行動します。

パラドクスへ昇華したその超視界と人機一体の精密制御
【未来予測】【神速反応】を駆使して襲い来る砲撃を回避
避け切れない物は『アルヴァーレ』『シャルダント』『ナノマギア』による三重の【結界術】を駆使して防ぎます。

手に宿した蒼き灯火を機械魔導弓『ACRO』に番え
ノーチラスディーヴァに向けて放ちましょう。


赤上・イズル
■【蒼炎】
■アドリブ・連携歓迎

殺戮コンサートですか…。そうですね、俺もご一緒いたします
ただしあなたを滅殺する旋律…、その一手を担わせて頂きましょう

二刀の刀を携え【水面走行】を使用し海上へ
【完全視界】で水飛沫に煙る視界をカバー
【パラドクス通信】でレイちゃんや仲間達と連絡を取りつつ海戦の状況を見極める
レイちゃんが一般人艦隊を引き付けたら一気に敵へと距離を縮める

悲しい歌ですね…
しかし我々は悲しみを乗り越えるために戦っています
悲しいからと立ち止まってはいられないのです!
この歌はそのままそっくりあなたへ鎮魂歌としてお返しいたします!

滑るように海面を走り速度を変えずそのまま敵の懐へ
パラドクス【絶剣】を放つ


玖珂・藤丸
※アドリブ連携歓迎

現地の方々を巻き込んでいるとは許せません!
被害を抑えることを念頭に置きつつ戦いましょう。

まずは海戦からの避難誘導です。
【水面走行】を使用して、一般人が乗る艦艇に乗り込みます。
誘導はあえてディアボロス側を脅威に受け取るようにしましょう。
「偉そうにふんぞり返っているオウムガイもどきを倒したら、次はあなた達です。命が惜しければとっとと撤退した方が良いでしょう」
【避難勧告】を使用しながら諭します。

誘導がある程度終わったら、あとは戦闘です!
我が相棒『杭喰具』を振りかぶると見せかけて、【玖珂式模造術"不意打ち上等逆巻く銛打ち"】を使用。
敵の足元から無数の銛を打ち出します!


柳瀬・渚
連携とアドリブ歓迎

敵の冥海機、殺戮のコンサートとか言ってるのマジで怖いし、戦いの中で一般人の犠牲を出そうとするしで最悪…このままって訳に行かないしどうにかしないとだよね。

とりあえず【水面走行】をしつつ【避難勧告】を発動して周囲の軍艦を戦闘区域から脱出させなきゃだよね。【通信障害】を使って艦同士で連携が取れなくなれば、混乱してより早く逃げてくれるかもしれないから試してみるよ。

敵の攻撃、あんな大きな殻で来られたら対艦装甲でも耐えられなさそうだし、連装主砲に【特殊砲弾「撃滅砲弾」】を装填して敵を迎え撃つよ。
向かってくるんだったらこっちから近づく必要はないんだし、落ち着いて対処すればなんとかなるはず…


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
一般人が乗る艦艇を盾にして戦うか、さすが冥海機、汚い
出来るだけ被害が出ないようにして戦うしかないな

【行動】
パラドクス通信で仲間と連絡を取り合い積極的に連携していく

まずはパラドクスを使用し空中や水中を高速で飛ぶダツを製作
完全視界で敵を捉えたらダツの目標にして攻撃させる
これは相対した敵を追いかけるから一般人の艦艇は狙わないはずだ

未来予測で敵の攻撃を察知し
神速反応で敵の攻撃を盾のフェイク・プリドゥエンや電光警棒などで防ぎいなす

必要なら臨機応変に対処する


西堂・千衛蔵
自分が守る軍港を破壊されたというのに、コンサートとは暢気なもんだ
「あれは何か策があるのか、それとも油断なのかな? どう思う赤煙」

兎も角、巡洋艦の上のステージに行かなきゃ始まらねえ
味方が駆逐艦を引き付けてくれている間に、水面すれすれを【飛翔】して一気に押し込むぞ

「冥海機はあんた達を盾にするつもりだ……奴のために命を捨てる理由がないのなら、逃げるんだ」
巡洋艦に乗り込んだら、乗員に【友達催眠】と【避難勧告】を使用して艦から脱出させよう

後はやることは一つだけだ

「貴様の殻と俺の腕、どっちが硬いか試してやろう!!」
上から襲ってくることがわかっていれば迎撃はできる
殻に向かって肘を突き上げ、真っ向勝負するぜ


十埼・竜
みんなと連携、【通信障害】で艦の連携を断ち【避難勧告】で一般人の退避を促そう。

…ふぅん、そういうこと、するんだ。
この僕の前で。
救いのない歌を歌い、殺戮をショーだなんて言うお前を、
ラジオは、僕は絶対に赦さない。

イオン、ちょっと協力して。
…僕だって敵を殴りたくなる時があるんだよ
今とか。

イオンを陽動に【未来予測、神速反応】で攻撃を躱し
全速力の【飛翔】で敵に接近

これ、僕も辛いからすっげー嫌なんだけど
ノイズイーター、オフ。
“スカイセンサー”制限解除。
至近距離、振動でブチ壊れるほどのノイズの嵐に相手ごと巻き込み
僕の渾身を、歌を掻き消す【大声】に乗せて叩きつける
多少の怪我は織り込み済みだ
「黙れよ!!!」


●軍人たち
「一般の艦隊を盾に……やはりクロノヴェーダはクロノヴェーダか……」
 レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)はサイバーゴーグル『Boeotia』のテンプルを指先で叩いて起動しながら、前方を見据える。
 台湾島沖の海域。穏やかな海を塗りつぶすかのように、駆逐艦を主体とした艦隊が展開していた。
 艦隊の中央に配置された巡洋艦の上で待ち構えるのは、酷薄な笑みを浮かべた歌姫・ノーチラスディーヴァ。一般人の乗船する艦隊は冥海機の力を増強する生贄。敵戦力の増強を阻止するためにも、一般人の犠牲は一人も出したくない状況だった。
 そんな中、玖珂・藤丸(海の漢・g09877)はいち早く動いていた。
「まずは駆逐艦の一般人に接触してみるか……」
 駆逐艦に乗船するのはこの世界の軍人だが一般人である。なんとか撤退を促せないかと考えたのである。駆逐艦の一つに秘密裏に近づいた藤丸は、水面を蹴って甲板に飛び乗ると、一気に艦橋へと駆け昇って指揮室に突入。指揮室にいた軍人達は藤丸を視認するやいなや、護身用の小銃を取り出して問答無用でぶっ放す。訓練された的確な行動だが、ディアボロスである藤丸に銃弾が命中するはずもなかった。
「……さて、これ以上の抵抗は無意味です。まずはこの船の撤退命令を出してください」
 あっという間に制圧が完了し、藤丸は指揮官に軍刀を突きつけながら言い放つ。
 だが、圧倒的な力の差を見せられても、指揮官は首を縦に振らなかった。
「偉そうにふんぞり返っているオウムガイもどきを倒したら、次はあなた達です。命が惜しければとっとと撤退した方が良いでしょう」
「……そ、それはできない」
 あえて威圧するような言葉を選んだが、指揮官は困惑顔で言葉を絞り出すだけ。戦場での敵前逃亡は重罪。敵前逃亡を図った艦艇を砲撃する許可も与えられていることだろう。それに戦闘要員は国を守るために命を失うことは名誉なことだという思想を植え付けられているのかもしれない。
(「彼らの命は……冥海機のためにあるということか……!」)
 拳を握りしめ、怒りをこらえる藤丸。ともあれ、説得は難しいということがわかっただけでも収穫であろう。藤丸はこのことを通信機で仲間に伝えると、アヴァタール級に鉄槌を下すべく駆逐艦を後にする。

●突撃
「……逃げたくても身動きが取れない状態なのかな? それはマジで厄介だね……」
 通信機で藤丸の報告を聞いた柳瀬・渚(ダウナーな海戦装姫・g09826)は嘆息する。
「うん、避難勧告の効果がほとんど出てないのもそのせいだろうね」
 十埼・竜(スカイセンサー・g02268)も渚に同意し、表情を曇らせる。
 【避難勧告】を発令しても、【通信障害】で敵艦隊の連携を阻害しても、艦艇同士の相互監視は機能する。そうでなくても敵前逃亡した艦艇は、冥海機に撃沈される可能性も高いだろう。上官は部下を処断する権限を持っているからだ。
「やっぱり先に指揮官を倒すしかないよね」
「そうだね」
 指揮官を失った艦隊は撤退するしかない。今は指揮官の撃破が最優先。ならばせめて戦いに巻き込まないように戦うしかない。
「それなら私が連中の注意は引きつけます。どうかその間に撃破を……」
 駆逐艦は機動力重視の比較的小型の戦艦。おそらく大口径の長距離砲やミサイルの類は備えてはいない。射程も長くはないので、空中で敵艦隊の注意を引き付ければ、迎撃のために船を動かさざるを得ず、敵艦隊の陣形は次第に崩れるはず。
 そう判断したレイは背部に装着したフライトデバイス『アクロヴァレリア』を点火。推進機に光が灯り、浮上。そのまま一気に高度を上げ、敵艦隊が展開する海域へと突撃する。ほどなくして駆逐艦の索敵にかかり――。
「目標捕捉、対空射撃、放てッ!!」
 各艦艇の指揮官の命令とともに対空機銃が放たれる。
 断続的な射撃音。嵐のように降り注ぐ弾丸の群れの中を、レイは涼しげな表情で飛翔し、ギリギリで回避する。撃墜できそうでできない状況を『演出』することで、敵の注意を引きつけ、敵艦隊を誘導していく。

「レイちゃんのおかげで敵艦隊の陣形が崩れた……皆さん、行きましょう」
 【水面走行】を使って水面に立ち、海域に展開する艦隊の動向を見守っていた赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)は通信機で仲間達に合図を送ると、水面を蹴って水飛沫を上げながら敵陣に切り込んでいく。
「……意外と警戒心が強いね。多少強引に突っ込まないとダメかな?」
 渚の視線の先には他のディアボロスを警戒して陣形を穴を埋めようとする駆逐艦。念のため重巡級海戦装を展開し、対艦装甲を盾にしながら【水面走行】を使って水面を疾走し、敵陣に突撃する。
「うむ、今が好機か……このまま一気に押し込もうぜ!!」
 イズルから通信機で連絡を受けた西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)も【飛翔】の残留効果を自らに付与し低空飛行で水面スレスレを飛行し、駆逐艦の包囲網を難なく突破。巡洋艦の甲板のステージの上に立つ冥海機を視界に収めた。
「あれは何か策があるのか、それとも油断なのか……どう思う?」
「いずれにせよ、このまま戦えば巡洋艦も無事では済まないでしょうね」
「うん、あの船から引き離さないとマジでヤバそう……」
「……では、私がステージの上から落としましょう」
 通信機を通じて千衛蔵、イズル、渚の会話を聞き、名乗りを上げた藤丸が先陣を切って巡洋艦に突撃。
「てめぇはこいつで串刺しだぜ!」
 あえて相手の視界に入ると、水面を蹴って飛び上がり、身の丈ほどの巨大銛『杭喰具』を振り上げる。
「来ましたわね!!」
 当然、ノーチラスディーヴァは頭上からの攻撃に身構えるが、その瞬間、ステージから無数の銛が針山の如く出現し、その巨体を真下から串刺しにする。
「……くっ、卑怯ですわよ!」
 足元からの不意打ちを喰らい、青紫色の鮮血が迸る。だが、損傷は軽微。態勢を立て直すべく歌姫は巡洋艦から飛び降りて着水。藤丸から距離を取った。
 そして、巡洋艦から離れたその瞬間を見逃さず、千衛蔵は即座に水面を蹴って巡洋艦の甲板に着地すると、大声で叫ぶ。
「あの冥海機はあんた達を盾にするつもりだ! そんな奴のために命を捨てる必要はない! 今すぐ逃げるんだ!」
 その言葉を聞いて巡洋艦のブリッジでざわめきが起こるも、一般兵である彼らには上官を捨てて撤退するという決断はできない。それでも無駄ではない。今ので上官への不信の種は確実に植え付けられ、いざというときの危機回避につながるだろう。
 だが、その声に憤慨したノーチラスディーヴァは海面から飛び立つと、甲板の上に立つ千衛蔵を頭上から見下ろし――。
「煩い蝿は叩き潰してさしあげますわ!!」
 硬い外殻を下に向け、急降下攻撃をしかけてくる。避ければ巡洋艦に大穴が空き、沈没は必至。
 それを見越した上での攻撃であることは明らかだったが、千衛蔵はニヤリと笑い、真っ向勝負を豪胆に決断する。
「ならば、貴様の殻と俺の腕、どっちが硬いか試してやろう!!」
 丹田に力を溜め、両足で甲板を踏みしめると、千衛蔵は鬼神の力を解放。握りしめた右拳に鬼神の力を集中させると右腕が瞬時に膨張。巨大化した右肘を勢いよく突き上げる。
 硬質な衝突音が鳴り響き、巨大な肘と、巨大オウムガイの外殻が激突。破損した殻の破片が礫の如く四方八方に飛散し、皮膚を切り裂くも、千衛蔵は痛みをものともせずに力を込めた。
「せいっ!!」
 気合とともに巨大な肘が振り抜かれ、その衝撃で鉛直に打ち上げられてもなお、ノーチラスディーヴァは怯まない。
「まだですわ!!」
 空中で反撃の意思を見せ、再び急降下しようとした瞬間。
「いい加減、しつこいよ!」
 渚も巡洋艦の甲板に飛び乗り、その視線がターゲットを捉えた直後、重巡級海戦装の主砲が火を吹いた。直下からの短距離射撃。絶好のタイミングで放たれた『特殊砲弾』が炸裂し、直撃を受けたノーチラスディーヴァはクレーターの如く外殻を穿たれ、その衝撃で二段ロケットのように高く打ち上げられた。
(「見えた……!」)
 無防備な今が狙撃の好機。敵の姿を空中から視認したレイは機械魔導弓『ACRO』を一方の手に携え、もう一方の手に宿した蒼き灯火が瞬時に矢の姿へと変わる。
「このまま、あなたには旗艦から離れていただきます!」
 一般人を巻き込ませない。『Boeotia』に映し出されるターゲットマークが明滅し、ジャストなタイミングで放たれた光の矢は、蒼き光芒を引きながら、一直線に飛翔。
「ギャッ!!」
 深々と体に突き刺さった魔導の矢が弾け、その反動で後方に吹き飛ばされたノーチラスディーヴァは、巡洋艦から離れた海上に落下。巨大な外殻が海面を叩き、大きな水飛沫が上がる。
 しかし、怒涛の攻撃で深手を負いながらも歌姫は即座に浮上し、ディアボロス達を睥睨する。
「……まだ、わたくしの優位は揺るぎませんわよ!!」
 陽炎の如く立ち昇る殺気。巡洋艦のステージから引きずり降ろされた歌姫は、海域に展開する駆逐艦の間を縫うように滑走し始めた。

「やはり切羽詰まると、こうなるか……」
 追い詰められ、暴走気味の冥海機を見た荒田・誠司(雑草・g00115)は嘆息する。
 海域に展開している駆逐艦はすべて奴の盾。要するにこちらが一般人の犠牲を避けたいという心理を利用して戦況を優位に進めたいのだ。一般人にできるだけ被害が出ないように奴を倒さなければならない。そんな難題をクリアすべく、誠司は『解析能力補助ゴーグル』を起動させ、箱型の罠作成ツール『トラップメーカー』に接続する。
 壁のように立ち塞がる駆逐艦の盾。こちらが攻撃すれば艦艇の背後に陰れて一般兵もろとも駆逐艦を海に沈めるつもりなのだろう。
 さすが冥海機、やることが汚い。内心で悪態を付きつつも、解析結果は既に出ていた。
(「……ならば、盾を避けて指揮官だけを狙えばいい!」)
 それがゴーグルに内蔵された解析能力補助装置によって導き出された結論。それを実現させるべく誠司はトラップメーカーを操り、瞬時に兵器を完成させる。
 それは銀色に輝く槍の穂先のような魚。その実態は先端に鋭い針を備えたダツ型の兵器だった。
(「これなら奴だけを狙える……」)」
 そして、兵器を完成させた誠司は標的に接近。即座に照準を合わせ、ダツ型兵器を放った。
「おバカさんですわね!」
 水上を滑るかの如く低空かつ直線的な軌道で飛来するダツを見て素早く駆逐艦に隠れ、ほくそ笑むノーチラスディーヴァ。だが、ダツ型兵器は直撃の寸前で急上昇して駆逐艦を飛び越え――。
「なっ!?」
 想定外のダツ型兵器の襲来に、驚愕の声を上げて飛び退くも、既に遅かった。標的を追尾するダツの弾頭がノーチラスディーヴァの脇腹に突き刺さり、鮮血が迸った。
 痛手を追ったノーチラスディーヴァは悔しげな表情でその場を慌てて離れるも、さらにディアボロスの猛攻は続く。

●歌姫の最後
「ぐぬぬ……絶対に、皆殺しにしますわぁああ!!」
 ヒステリックな声を上げ、追撃にやって来たディアボロス達を睨みつけるノーチラスディーヴァ。既にかなりのダメージを受け窮地に立たされても戦意を失わぬのは、この状況を打開する術を持っているからなのだろう。
「さあ、聞くがいいわ! 悲しみの歌を!!」
 そして、狂気の歌姫は戦域のど真ん中で女性型音響ユニットを展開し、歌声を放つ。それは海に沈んだ数多の魂の叫びを代弁するかのような、悲しみに満ちた歌だった。

「うっ、これは……!」
 射程距離内にいたイズルは歌姫の声に触れ、動きを止める。
 油断すると悲しみに支配され、自ら海に身を投げてしまいたくなる。
 しかし、イズルは人心を狂わせる歌声を冷静に受け止めてもいた。
「……悲しい歌ですね。でも、我々も悲しみを乗り越えるために戦っています。だから……」
 ここで立ち止まっているわけにはいかない。ディアボロスは多かれ少なかれ、喪失の悲しみを背負っている。悲しみから目を逸らさずに立ち向かえば必ず乗り越えることができる。己の心に「信念」という楔を打ち込んだイズルは大きく息を吐いて呼吸を整えると、鯉口を切り、歌声の発生源を目指して海面を駆ける。

「……歌声による精神攻撃か……ふぅん、そういうこと、するんだ……」
 一方、竜は歌姫の歌声を聴き、静かな怒りを燃やしていた。
「イオン、ちょっと協力して!」
 怪訝な視線を向けるイオンを、竜は真剣な顔で見返す。
「僕らしくないって顔してるな……そんなことはわかってるさ。でも、僕だって敵を殴りたくなる時があるんだよ。例えば今とかね」
 自らの信念と真っ向から対立する敵を目の当たりにした竜は奮い立つ。
 ラジオは人々に明日を生きる活力を与える希望。救いのない歌で絶望を撒き散らすお前は、絶対に許さない。その熱い想いに応えるかのようにイオンは時間稼ぎのために敵陣に突撃し、歌姫の注意を逸らす。そして、竜は耳を覆うヘッドフォンに手を当て――。
(「ノイズイーター、オフ。“スカイセンサー”制限解除」)
 ――ぁああああ!!
 苦悶の声が漏れる。ノイズイーターの保護が失われた竜は、電磁波、脳波、思念波などあらゆる事象の"波"に苛まれ、脳が金属の棒で撹拌されるかのような激痛に襲われていた。同時に強烈なめまいにも見舞われ、耳から流血もしている。だが、こうなることは覚悟の上だ。自らがノイズの嵐の発生源にならなければこのパラドクスは成立しないのだから。
 そして、脳が爆発しそうな苦痛の中、血の涙を流しながら竜は息を大きく吸い込み――。
「黙れよ!!」
 剝き出しの魂から迸る声音。大気を鳴動させるその轟音は、またたく間に歌姫へと到達し、歌声をかき消すとともに、音の衝撃波をもたらす。
 衝撃波が直撃したが、それでもなんとか持ち堪える歌姫。まだ終わってはいない。態勢を立て直し再び歌声を発しようとしたその時、猛然と海面を疾駆し、一気に距離を詰めてきたイズルが歌姫を視界に捉える。
(「あなたの歌はそのままそっくり鎮魂歌としてお返しいたします!」)
 ぐっと奥歯を噛み締め、イズルは鞘に納めた刀の柄を握りしめる。
 歌姫の悲嘆に満ちた歌。海戦による人死を糧にして生まれる冥海機は、冥府から蘇った存在といえるのかもしれない。ならば、この一太刀で再び命を海に還す。
 鎮魂の想いを込め、摩利支天の加護をその身に纏ったイズルはそのまま速度を緩めずに、ノーチラスディヴァの懐に飛び込むと、刀を抜き放ち――。
 ――九字切流究極奥義・絶剣!
 抜刀とともに横薙ぎに振るわれた刀身が虚空を滑り、刃と化した衝撃波がノーチラスディーヴァの全身を切り裂き、その命脈を絶つのだった。
 
●黄昏
 ディアボロス達の猛攻によってついに力尽き、沈みゆく歌姫の口が歌詞を紡ごうと動いた。だが、その声は大気を震わせることなく泡のように消えゆき、やがてその躰は海の藻屑と化す。
 既に太陽は傾き茜色に染まる海域には、上官を失った敵艦隊だけが残されていた。一般兵達に既に戦意はなく、既に台湾島へと撤退を始めていた。
 ジェネラル級冥海機『翔鶴』との決戦は近い。大きな戦果を上げたディアボロス達は次なる戦いのために新宿島に帰還するのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】がLV3になった!
【操作会得】がLV2になった!
【土壌改良】LV1が発生!
【避難勧告】がLV2になった!
【水中適応】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【フィニッシュ】がLV2になった!
【ドレイン】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2023年07月12日