リプレイ
水蓮寺・颯
それを言うなら『将を射んとする者はまず馬を射よ』ですけど……確かに美味しいご飯は大事ですよね!『腹が減っては戦はできぬ』とも言いますし、美味しくないよりは美味しい方が個人的に嬉しいです!
もう何度目かになる高野登山、苔むした足元にも少し慣れがでてきました。
それにこれも修行と思えば、身も入るというものです。
……でもさすがに少し疲れてきましたね……。
丁度いい岩に風呂敷を敷いて、茶道具を広げます。
水出しの煎茶です、甘みがあって美味しいですよ!皆さんもいかがですか?
持ってきた塩むすびと竹のコップを差し出して。
何と言っても『将を討たんとすればまずいより旨いがいいよ』ですからね!
(アドリブ、絡み 歓迎です)
捌碁・秋果
※連携アドリブ歓迎
(自然に馴染みがないため、聞いたことのない動物の鳴き声にきょろきょろしながら登山)
何の鳴き声だろ。鹿? 雉?
動物ってあんまり可愛い声で鳴かないんだなあ…。
…あ、この花は可愛い(携帯端末でぱちり)
(道半ばを過ぎて来た道を振り返る)
…これが風光明媚。
風景画はたくさん観てきたけど、本物の風景。胸を打つ景色。これが画家が筆を執る原動力になるんだろうな。
洋の東西を問わず人は自分の感動に挑むんだ…
おまちかねのお弁当です!
多めに拵えてきたので、どなたか一緒に召し上がりませんか?
高野山に因んで高野豆腐の煮物を持ってきました。
精進料理?
ううん、普通に唐揚げと卵焼きもあるよ。美味しいですからね。
●初夏の高野を征く
「……正しくは『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』なんですけど……『腹が減っては戦はできぬ』と混ざったんでしょうかね……」
パラドクストレインを降りた水蓮寺・颯(灼がて白く・g08972)は、予定通り山道を行きながら呟いた。
なんで今になってひとりごちたかというと、「たしかに美味しいご飯は大事だし、美味しくないよりは美味しい方が個人的には嬉しいなあ」とか、そんなことを思ったからである。つまり、颯も颯で色々とのんびりした女の子だった。
「まあそれはそれとして、もう何度目になりますかね登山は……っと、おや?」
そこでふと、なにやら周りをきょろきょろ物珍しそうに見ている捌碁・秋果(見果てぬ秋・g06403)に気付く。
「今の鳴き声、なんだろ? 鹿? それとも雉??」
どうやら秋果は、あまり自然に馴染みがないらしい。風景は写真や動画で見れるが、匂いや音はそうもいかないものだ。
「今の鳴き声は、アオゲラですよ」
たす、たすと土を踏みしめながら、秋果に言う颯。
「アオゲラって、鳥の? へえ……」
秋果は素直に感心した。
すると遠くから、アオゲラの地鳴きとは異なる甲高く長い鳴き声が響く。
「うわ。今のも野鳥の?」
「いまのが鹿ですね。オスの鳴き声だと思います」
「あれが鹿の鳴き声なの!? へええ、動物ってあんまり可愛い声で鳴かないんだなあ……」
野山に慣れた颯にとって、このあたりの動植物は庭先に生えた雑草のようなものである。
すごいなあ、とか、びっくりしたねえ、みたいな声を漏らす秋果はすっかり尊敬の眼差しを向けていた。
「よかったら、他にも色々解説してくれないかな。私、こういうところに慣れてないから何もかも珍しくて」
「お安い御用です! これも修行の一環ですね!」
颯は小さな身体で意気込んだ。秋果は、愛らしいヒルコの仕草ににこにこと微笑んでいたが、ハッと何かに気付いた。
「助かるよ……ってあれ、もしかして……あの、失礼ですがお歳は……?」
「? 19歳です!」
「やっぱり……」
秋果は一転して片手で目元を抑えた。
それからしばらくして。
「びっくりしました、まさか急に畏まってあんなにぺこぺこお詫びして頂いてしまうとは……!」
「いやあ、年上の方には敬語を使うことにしてるので……」
頭をかく秋果に対し、颯は特に気にしていない様子だ。慣れているのだろう。むしろ秋果の丁寧な態度に、好感を持っていそうな表情である。
「その程度構いませんのに……ん」
まだ申し訳なさそうな秋果に苦笑する颯が何気なく一瞥した花に、秋果も興味をそそられた。
「あ、この花は可愛い。これはなんていう花なん……です、かね?」
「シャクナゲですよ。この時期がちょうど花期なのです」
少しぎこちない秋果の敬語に吹き出しつつ、解説する颯。秋果は携帯していた端末を取り出すと、なるほどと頷きながら花を撮影した。
「これが風光明媚……風景画はたくさん観てきましたけど、本物の風景はやはり違うというか……」
「そうですね。匂いも音も風も、絵では味わえませんから」
ちょうどそこに、二人の間をさあっと涼やかな風が吹き抜けた。
胸を打つ景色は、芸術的な感動を与えてくれる――秋果にとっては、景色そのものだけでなく、歴史上の芸術家と同じ感慨に耽っている、という喜びも大きそうだが。
「洋の東西を問わず、人は自分の感動に挑むものなんですね」
「ふふふ。慣れた景色を気に入っていただけると、なんだか自分のことのように嬉しいですね」
はにかむ颯……のお腹が、ぐぅ~と景気よく響いた。
「「……」」
二人は沈黙し、吹き出す。
「えへへ……面目ありません。少し疲れてきたせいでしょうか」
「いえいえ、私もちょうどお弁当にしようかと思ってたところですし」
二人はもう少し歩いたところで手頃な岩を見つけると、そこで食事を摂ることにした。
となれば当然、始まるのは見せあいっこである。
「なんだか時先案内人の話を聞いてたら、ちょっと気合を入れて拵えちゃったんですよね」
言いつつ秋果が開いた箱の中には……!
「おおっ、これは! ……煮物、ですね」
中身は茶色かった。しかも煮物は煮物でも、肉じゃがとかではなく高野豆腐の煮物である。
「高野山に因んで用意してみたんです」
「な、なるほど……!」
お弁当というと、もっとカラフルなものなのでは? と颯は言いかけたが、他人の食事に口を突っ込むなど失礼かつ野暮だ。
きっとダイエットとか、食事の好みとか、そういうのもあるのだろう、と内心で納得した。
「まあ普通に唐揚げと卵焼きもあるんですけどね」
「あるんですね!?」
その思いは秒で裏切られた。
「でも、僕の選んだものもぴったりかもしれません」
颯はそう言って、岩の上に敷いた風呂敷になにやら茶道具を並べ始めた。
「ほ、本格的だ……!」
「ふふふ。水出しの煎茶です。甘みがあって美味しいですよ! きっと煮物にも合うかと」
そしてさらに、塩むすびと竹のコップ。準備は万端だ。
「将を射たんとすれば……」
「まずいより旨いがいいよ、ですからね」
颯の言葉を秋果が補って、二人はくすくすと笑った。
「じゃあ、せっかくだしご馳走になりましょう。代わりにこちらの唐揚げをどうぞ」
「!! ありがとうございます……!」
颯は目をキラキラさせた。
そうして二人はしばし腰を落ち着け、美味しいお弁当と塩むすびとお茶と最高の風景という、これ以上ない幸運を楽しんだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV2が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
レイ・ディース
【モフ紀行】
絡みアドリブ歓迎
高野山の自然は全然飽きないし
ここでエインとスエニョちゃんと一緒に遊べるの楽しみ!
見頃の石楠花も綺麗…
ある程度広い場所なら遊べるかな?
※大はしゃぎで追いかけっこするモフ達
他の人達に迷惑かけないように気をつけて見守る
いつもお疲れ様
二人は凄く仲良しさんよね…
※森で隠れんぼするモフ達
やがて、名前は知らないが高山植物の可憐な花一輪ずつ持ってくる
二人とも、これ私にくれるの?ありがとう!押し花にして大切にとっておくね
※むぎゅっと抱きしめてモフモフ堪能
元々美味しい物だと思うけど、二人が食べてるとこ見てると、ますます美味しくなるわ
※あむあむ、ぱくぱく、もぐもぐと良い食べっぷりのモフ達
獅子城・羽鳥
【モフ紀行】
二人とも絡みアドリブ歓迎
高野山は先日に来たばかりだがサーヴァント達の慰安旅行だ
すぐに激戦が待ってるが、この依頼を受けなかったとしてもどうせ他の依頼に行くんだぜ…
折角だからここで英気を養うぞ
※民間人宅に間借りしてる癖に一年以上寝てたので必死に働いてるらしい
弁当とおやつは何とか調達できた笹ずしに柿の葉寿司、胡麻豆腐、くるみ餅、笹巻あんぷ、こないだ仔山羊も気に入ったやきもち、だ
※目を輝かせるモフ達
こんなにしっぽ振って、いい食いっぷりだ…
こいつらも可愛く見えて頼もしいし、新米のレイももう俺に追い付いてる?
俺も新曲(音楽使うパラドクス用)練るとするか
この神聖で風光明媚な景色と旨い空気の中でな
●もふもふサーヴァントとの登山道
ディアボロスの日常は忙しくもあり穏やかでもある――なにせ、彼らの戦いは彼ら自身の怒りと「許せない」という感情に拠って立つ。誰かが強制できるものではないからだ。
背負った想いにどれほど応え(られ)るかはディアボロス次第であり、本人が戦おうとしなければ寝て過ごすことも出来なくはない……といっても、限度はあるわけで。
「……このあと激戦が待ってるとしても、どうせ他の依頼だって同じことだしな……」
「? 獅子城さん? あっちの方になにかあるの?」
なにやら遠い目をする獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)に、レイ・ディース(光翼のダークハンター・g09698)は首を傾げた。
「ああ、いやなんでもないよ。ただこう、ちょっと自分の立場を噛み締めたっていうか……」
「……???」
レイにはピンときていないが、羽鳥には羽鳥なりの矜持というか、一応の居候としての立場みたいなものがあるようだ。
ディアボロスが戦う理由は人それぞれ……「さすがに働いておかないとまずいな」という妙な追い詰められ精神も、まあ戦う理由としては十分なものなんだろう。多分。
「ま、それはさておきだ。こないだ来たばかりだけど、やっぱりいい景色だよな、山って」
羽鳥はやや強引に話題を変えた。レイはまだ不思議そうな顔をしつつも、景観に触れられればにこりと微笑む。
「うん。エインもスエニョちゃんもとっても楽しそうだし、来てよかったね」
言いつつ視線は前へ移る。二人の先を行くようにして、メーラーデーモンと柴犬めいたもふもふなパンツァーハウンドがじゃれあい飛び跳ねていた。
桜はすっかり散ってしまい、景色は夏めきつつある。そろそろ本格的な梅雨に入る頃だし、この新緑の景色を楽しめる期間は意外に短いもの。これはこれで風光明媚というものだ。
「石楠花がとっても綺麗。それに、まだウグイスも鳴いてる」
春を告げる鳴き声はまだ止まない。こうしていると、ここがクロノヴェーダの圧政に支配されたディヴィジョンであることを忘れてしまいそうになる。
「戦いが待ってるからこそ、こんな時間を大切にして英気を養わないとな」
「エインとスエニョちゃんのためにもね」
羽鳥は苦笑して頷き、相棒に目をやった。当のスエニョはというと、ひらひらと舞う蝶を追いかけて右へ左へ元気よく駆け回っている。ちょうどいい高さに降りてきた蝶を捕まえようとジャンプし前肢をぱしっと閉じたが、その瞬間に蝶はひらりと舞い上がってしまった。スエニョはお腹からぼふっと着地し、しばらくだらんとしていた。惨敗である。
「……って、あら? エインはどこだろう」
レイはきょろきょろと周りを見渡す。相棒の姿がない。
「まさか、もう敵が? でも気配はないし……」
「……あそこじゃないか?」
不安げにしていたレイは、羽鳥の指差す方に顔を向けた。すると木々の間に、ひょこりと見慣れた尻尾と羽が飛び出している。どうやらあれで隠れているつもりらしい。
「ふふっ、かくれんぼしてたのね。びっくりしちゃった」
「スエニョ、ほら。遊んでやれ」
羽鳥がぽんぽんと砲身を叩いてやると、相棒は「わん!」と元気に鳴いて起き上がり、木々の中へまっしぐら。
がさがさと草むらに飛び込んで頭や尻尾を覗かせたり、かくれんぼ合戦でもしてるのか、木陰や木の上に駆け上がって身を隠したりと縦横無尽に遊び回る。
「本当に元気だな、あいつら。レイも遊んできたらどうだ?」
「じゃあ私も……って言いたいけど、あの仲良しぶりを見てたら邪魔するのも悪い気がしちゃうわ」
そう言って、レイは見守るに留めた。景色よりも、仲睦まじい二匹のじゃれあいが何より彼女の心を和ませる。
しばらくして太陽が中天に上ると、二人と二体は手頃な場所で食事を摂ることに。
「おーい、そろそろご飯だぞ。戻ってこい」
羽鳥が呼ぶと、木の葉だらけの二体が何やら一輪の花をそれぞれ携え駆け寄ってきて、それをレイに差し出した。
「わ、ふたりとも私にくれるの? ありがとう!」
名も知らぬ可憐な花がふたつ、それぞれ色鮮やかな赤と青の花弁を美しく咲かせていた。レイは輝くような笑顔を浮かべてそれらを受け取る。
「押し花にして大切にとっておかなきゃっ」
感謝の気持ちを込めて、むぎゅっと二体を両手に抱えた。もふもふを堪能したいなんて邪念は一切ない。本当に(と言いつつむぎゅっと感触は楽しんでいるが)
「そんな抱きついたら、レイまで砂で汚れちゃうんじゃないか? まずはご飯な」
羽鳥は手拭いを差し出してやる。この間に用意したお弁当とスイーツ……笹の葉や柿の葉を使った寿司に、ごま豆腐や胡桃餅といった、遅めの春に相応しいラインナップだ。
「わあ、美味しそう。よかったねエイン、スエニョちゃんも」
二体とも目をきらきらさせ、さっそくお餅をはむっと頬張る。スエニョも尻尾をちぎれんばかりに振ってご満悦だ。
「たくさん用意したから遠慮せずに食べろよ。にしても、いい食いっぷりだな」
羽鳥は楽器を腿の上に置いて足を組み、柿の葉寿司をひとつ手に取った。
「ほら、レイも。お腹すいたろ?」
「うん! ありがたくいただくね、獅子城さん」
二人は並んで昼餉に舌鼓を打った。爽やかな風がひとつ通り過ぎ、金色の髪をなびかせる。
「……美味しい! ふたりを見ながらだと、一段と美味しいわ」
「そりゃ何より。食事の楽しみ方は味だけじゃないもんな」
風光明媚な景色と、可愛らしい相棒たち。そして頼れる同居人。穏やかな時間は羽鳥にいいインスピレーションをもたらしてくれた。
戦いの前の僅かな時間を、二人と二体は惜しみながら贅沢に楽しんだのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
新城・橙花
エレナお姉ちゃん(g00090)と参加するねっ。
うんっ、山登り楽しみだねー。
新宿島から甘味のクッキーもらってきたよっ。
うーん、歩くのは得意だから一日で大丈夫じゃないかなー?
もちろん、途中のお弁当は大歓迎だよー。
エレナお姉ちゃん、おにぎり食べる?
蛍は綺麗だけれど、死者の魂って話もあるから、ちょっと物悲しいよね…。
もしクロノヴェーダの犠牲になった人たちなら、次は幸せになってほしいかなー。
もちろん、この先も進むよ?
置いてけぼりは勘弁してねっ。
エレナ・バークリー
義妹の橙花(g01637)と
前からお話してた山登り、実現出来ましたね。さあ、紀伊の山々を越えていきましょう。
お茶はたっぷり持ってきましたよ。熱中症にならないように、こまめに水分を補給しましょうね。
んー、見渡す限り新緑の世界。清々しいですね。ちょっと開けた場所があれば、そこでお弁当にしましょうか。
一日で全行程行けますかね?
夜になったら、谷川で蛍狩りも出来そうな?
あ、飛び始めましたよ。綺麗ですね。大自然にとっては、人間もクロノヴェーダも関係ないことというわけですか。
橙花、私はこのまま結界の破壊まで進みますが、あなたはどうします?
――はい、それじゃ最後までご一緒しましょう。心強いですよ、私の橙花。
●春と夏の合間に
日本の四季は――特にこの時代においては――色鮮やかで、そして儚い。春も夏も秋も冬も、移ろいとめどなく過ぎ去っていく。豊かな自然はクロノヴェーダの邪悪も人々の苦痛も関係なくひしめくものだ。
「前からお話していた山登り、実現できましたね。ちょうどいい機会が出来てよかったです」
「うんっ、ずっと楽しみだったの。だから今日は美味しいクッキー持ってきちゃった」
はにかむ新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)を見て微笑むエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)。これから待っているのは天魔武者との激しい戦いだ、それを思うと心から安らかにレジャーを楽しむのは難しい――しかしだからこそ、こうした日常の一瞬を忘れてはならないことを、エレナはよく知っている。
「私も、お茶をたっぷり持ってきましたよ。ディアボロスとはいえ熱中症にならないように、水分補給は忘れないようにしませんと」
「さすがだね、エレナお姉ちゃん。橙花も頑張らなきゃ!」
二人は意気込み、楽しみながらも険しい山々を懸命に進んだ。
その間二人の五感を楽しませてくれるのは、まさに儚い四季の合間のわずかな一時……言うなれば、春の残り香と夏の気配を同時に味わわせる、二色のグラデーションめいた景色だ。
花々は色鮮やかに咲き誇り、少しだけ夏めく爽やかな風が肌を撫ぜる。鳥たちや虫の鳴き声は、いわば自然の合唱といったところだろうか。
「清々しい新緑の世界、ですね。これはこれで、桜とはまた違った趣があります」
「そうだねー。こうしていると、戦いに行こうとしているなんてことを忘れちゃいそうになるかも」
橙花はすん、と山の匂いを嗅いだ。新宿島では馴染みのない、新鮮な土と緑の香りが肺いっぱいに満ちる。
すると、くぅ、と控えめなお腹の音。エレナは一瞬きょとんとして、思わずくすりと笑った。
「あ! エレナお姉ちゃん、いま橙花のこと笑ったでしょっ?」
「ごめんなさい。可愛らしいおなかの虫さんだったから、つい」
ふふっと穏やかに笑う姿を見て、橙花は少し赤らんだ頬を膨らませた。だが太陽の位置からすると、昼飯にはちょうどいい頃合いだ。
「まあ、お弁当にはちょうどいいタイミングかな。おにぎり持ってきたけど……食べる?」
「ええ、ぜひ。私も色々用意してきたんですよ」
途中で見つけたちょうどよさそうな広々とした空間にマットを敷いて、二人はしばし穏やかな時間を楽しんだ。
……山道は険しくなかなかハードだが、出迎えるのはなにも木々ばかりではない。
「あ、見てエレナお姉ちゃん」
橙花が見出したのは、せせらぎとともに流れる川である。上質な絹糸のように、日差しに輝く水は透明だ。
「少し休憩しましょうか。時間があれば、ここで釣りでも出来たかもしれませんけど」
エレナの言葉を肯定するかのように、どこかで川魚がちゃぷんと跳ねた。夜になれば、きっと句にも残されたような蛍が鮮やかに光を放つことだろう。
「大自然には、人間もクロノヴェーダも関係ない……なんて、少しセンチメンタルな気持ちになっちゃいますね」
「うん……天魔武者に苦しめられた人たちも、蛍みたいに暖かな光に包まれていけたらいいな」
この先の戦いの準備をするように、二人はしばし川の音に耳を傾け、互いの気持ちを通じ合わせた……。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
イリヤ・レダ
※アドリブ・共闘歓迎です
高野山、ね
ホトケって概念は独特だけど、随分と攻め入るのが大変そうな地域だね
山地らしくて高低差もありそうだから、足回り等の装備品は事前にしっかりと機動力を確保できるモノにするよ
この時代の出来事は知らないケースばかりだけど、ディアボロスの中には情勢に詳しい方もいるかもだね
情勢や軍事に詳しそうな方が居たら、指示に合わせて連携しようかな
パラドクスは「緋閃の断影」を
あちらさんは陸・海・空の各種ユニットなるもので立ち向かうみたいだけれど、そのユニットごと断ち切って見せる
遮蔽物等も利用しながら一撃離脱を心掛け、一機ずつ確実に機能を停止させていこう
ルキウス・ドゥラメンテ
ほう、確かに隙のない布陣のようだ
油断はできまい
だが、連携や陣の敷き方が上手かろうが、個々の戦力はどうだろうな
無論此方も味方と連携して当たるとも
地上から攻める味方と機を合わせて飛翔し、空より攻める
奇襲を狙うか、此方に注意を向けさせるかは状況次第だが
上から周辺の地形と敵の陣形を見て脆そうな箇所を押さえに行くか
おや、あれはイリヤか?
事前の打ち合わせも何も出来ていないが号令くらいはかけてやろう
そら、お待ちかねの敵襲だ
パラドクスで連撃を叩き込みながら暴れ回ってやろう
矢は斬撃で斬り伏せられれば上々、多少受けても構うまい
斬り合いは負ける気がしないので大歓迎、極力接近戦で立ち回りたい
●緋と黒
トループス級一体一体の戦力は、ディアボロスに劣る。数という単純明快な力こそが奴らの最大の強みだ。ゆえに、通常の戦いであれば、いかに消耗を避けて敵を効率よく倒すかが重要となる。
だがそこに、優れた作戦と指揮が加わるとどうなるか――答えは明快。数の利に連携という要素が加わり、相乗効果で数倍にも厄介さを増した精鋭集団が出来上がる。
(「布陣からして隙がないな。噂のアヴァタール級はなかなか辣腕らしい」)
ルキウス・ドゥラメンテ(荊棘卿・g07728)は物陰から敵の陣形を伺い、赤い目を細めた。愛馬エスカミーリョは『今は』いない……機動力で撹乱する作戦は取れないだろう。
(「……だが」)
精鋭を切り崩す方法はひとつではない。ルキウスは取るべき作戦にすでに目星をつけていた。その鍵となるのは、緋白の少年。
(「ろくに打ち合わせも出来ていないが、問題あるまい」)
ルキウスは軽く考えた。楽観ではなく信頼ゆえにだ。そして彼は、あえて空高く飛び上がった!
「! 敵襲! 敵襲ーっ!」
目ざとい足軽隊はすぐさまルキウスを見咎め声を荒らげた。魔力の弓弦がきりきりとひし形を描き、光の鏃がルキウスを狙う。
「いいぞ、"俺に注目した"な」
あと数秒で矢衾になるのを待つのみだというのに、ルキウスは白い歯を剥き出すように笑った。
……何故なら、敵の注目を集め囮となることが彼の狙いだったからだ!
「行け、イリヤ!」
鋭い声が発破をかけた。その瞬間には、すでに緋白の少年は影のようにしめやかに、そして水銀めいて滑るように地を蹴っていた。
「いきなり無茶をやらかすんですね、ルキウスさん!」
イリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)である。傍を滞空していた念隔式飛刀『緋刃』が、身を低くして駆ける彼を追い抜き敵に殺到!
「新手だと!? 奇襲のつもりかッ!」
しかし敵も見事なもので、対白兵戦用装備の超硬刀を振るい緋刃を弾き落とす。作戦失敗か――否、イリヤの薄い笑みは消えていない。
「オレの"本命"は、こっちだよ」
緋刃は、いわばフェイント。飛翔したその軌跡をなぞるようにして、時間差で「射出」されたもう一つの刃が足軽の腰部を真っ二つに両断した。
それは、血だ。刃のように凝縮された血を掌から放っていたのである。搦手による二段構えの斬撃!
「なっ!?」
一撃で両断された味方の死が、精鋭に混乱を生んだ。実時間にすれば数秒あるかないか、ごくわずかな間隙……ルキウスがこじ開けるには十分すぎる亀裂である。
「俺を忘れていないか? 足軽ども!」
落下速度を乗せた黒茨剣が、空中を墨で塗り潰したような不気味な剣閃を描いた。光を通さないぬばたまの闇を、袈裟懸けにされた足軽のオイルとスパークが鮮烈に穢す。
「は、疾……」
「当然だ。斬り合いで負けるつもりはないぞ」
言葉を発した時には、黒い剣はV字を描くように跳ね上がり敵を裂いている。踊るようにくるりと回転し、さらに円弧の斬撃が魔力矢ごと敵を斬り伏せる。遅れて吹き飛んだ敵の残骸は、いわば鉄の徒花といったところか。
「さすがですね、ルキウスさん」
「そちらも見事なコンビネーションだったぞ、イリヤ!」
二人は互いを称え合い、次の瞬間には戦士の貌となって荒々しくしなやかな連携で敵を攻め立てた。
緋と黒の刃が煌めくたび、足軽はスクラップと化して地を転がる。電光石火とはまさにこれ、韋駄天もかくやの奇襲で火蓋は切られた!
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【イルカ変身】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
テテル・グリーズ
さて、俺様の技量でどこまで通じるか勉強させてもらうとしますか
相手は弓兵、接近戦主体の俺様ははっきり言って分が悪い
だからこそどうするか、実戦で考えなきゃなァ!
まずはカースブレイドを抜刀し矢を斬り落とせるか試すか
パラドクスをクロノ・オブジェクトで止められるかっつーのが正直よくわかってなくてなァ
失敗して食らっても、失敗は成功の母、くじけず戦いを続けるぜ
最初にカースブレイド持ち出したのにはもう一個ワケがあってよ
ポイとカースブレイドを投げ捨ててパラドクス発動!
カースブレイドより巨大化した腕のほうが射程がなげーんだわコレが!
カースブレイドを見て射程調整してきてた奴らを鬼神変でぶっ飛ばしていくぜ!
水蓮寺・颯
登りきった先はこの有様ですか……せっかく楽しい参拝道中だったのに。
僕の憧れの地を我が物顔で占拠するなら、それ相応の心を以ってもらいたいものです。
弓兵ですか、厄介ですね……。
離れた位置から【光学迷彩】を使用し、一方的に射かけられる危険を減らしましょう。
できる限り近づき、遠距離攻撃の優位性を無くしておきたいところですね。
今更飛び立っても遅いですよ。
『其は――』
読み上げが必要な術ですが、前に立ってくださる皆さんを信じて。
『目眩ませ、金青天水鉢』
光の魚が飛び跳ね、弓兵に一筋の閃光を伸ばす。
……いつもなら目を狙うはずですけど、あの弓兵、どこが目なんでしょう……?
(アドリブ、連携 歓迎です)
エレナ・バークリー
義妹の橙花(g01637)と
ここからが本番です。頼りにしてますよ、橙花。
敵は足軽とはいえ、油断は出来ません。橙花は弓矢に気をつけてくださいね。
では、「全力魔法」「蹂躙」で天地逆しまなれば岩礫降り注ぎを行使します。
いかがですか、岩塊の雨は? このまま「連続魔法」で岩を降らせ続けて、生き埋めにしてしまいましょう。
地面に岩塊が積もれば、機馬で駆け回る邪魔にもなるはずですし。
敵の足が鈍れば、即席の岩場を「ジャンプ」しながら接近して、機馬の脚を「斬撃」「薙ぎ払い」で潰します。機馬はクロノヴェーダじゃないですから、パラドクスでなくてもいけますよね。
橙花、そっちの方はどうですか? お手伝いいります?
新城・橙花
エレナお姉ちゃん(g00090)と一緒に参加するねっ。
大剣型呪刀【譲葉】で[風使い][念動力]と合わせて敵の攻撃をはじきつつ、お姉ちゃんの攻撃の間はそばで待機。
討ち漏らしが来たら[ダッシュ]で踏み込みつつパラドクス呪剣【護法一閃】
「天地神仏に願い奉る…我に邪を断ち切る刃を…斬!」
で吹き飛ばすよー。
声をかけられたら
「うん、大丈夫だよ、お姉ちゃん。ここはね、通行止めなんだっ」
気づいたら【エイティーン】でちょっとだけ大人っぽくなっているかも。
●雑兵を払い進め
ディアボロスの奇襲を受けた『今川弓足軽隊』は、しかし浮足立つ戦線をなんとか整え再び陣形を構え直した。
「うろたえるな! 数は我らが上だ!」
「矢衾にしてやれ!」
互いに声を掛け合い、足並みを揃えて矢を番える。一糸乱れぬ射撃姿勢が立ち並ぶ様は、まさに鋼の城壁の如し。
「へぇ、あの状況からここまで勢いを取り戻すなんてな。こりゃ手強い連中だ」
テテル・グリーズ(まがいもの・g08976)は口元は不敵な笑みのまま、猛禽のように鋭い瞳をスッと細めた。あれは、実戦経験を積むための相手としては願ってもない強敵だ。
抜刀したカースブレイドの鋒を、光の鏃に対抗するように敵に向け、軽く腰を落とす。睨み合いの構図である。
(「あの方、たったひとりで挑まれるつもりでしょうか。隠れはしましたがどこで出たものか……」)
そんなテテルの、勇敢だが無謀とも言える背中を物陰から見つめる少女がいる。水蓮寺・颯(灼がて白く・g08972)だ。
少女、といってもそれは見た目の話。100cm程度の背丈は年頃で言えば片手で数えられる程度を思わせるが、敵味方の僅かな一挙一動を見落とすまいと集中する表情は大人びていて、その裏には天魔武者への敵意が滾っていた。
(「……ともあれ、どう動くにしてもなんとか敵の不意を――おや?」)
颯は新たな2つの気配に気付いた。テテルも、それが敵ではなく味方のものだと同じタイミングで察したようで、口元の笑みが愉快げに深まるのが見えた。
「面白くなってきやがった」
彼がそう呟いた瞬間、2つの風が両勢の間を吹き抜けた。
「睨み合いの真っ最中に、横から失礼しますよ――橙花!」
「うんっ、エレナお姉ちゃん!」
互いの名を呼び合い敵の虚を突いたエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)と新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)は、矢が射掛けられるよりも一瞬早くパラドクスを発動していた。まず降り注いだのは、エレナの魔力が生み出した岩の雨だ!
「なっ、岩が……降ってくる!?」
巨大な岩の礫が陽射しを遮り、驚愕する足軽をズズン! と圧殺した。第一の岩塊が地面に衝突して割れて砕けると、飛び散った破片は新たに降り落ちてきた岩で微塵と還る。もうもうと立ち込める土煙を切り裂き、生き延びた敵兵の超硬ブレヱドが白く冴えた。
「おのれっ!」
出番に餓えた矢が、待ってましたとばかりに風を裂いた。が、それらは橙花の大剣型呪刀『譲葉』で真っ二つに切り払われる――いや、切り払われ『ていた』。斬撃さえも後にするほどのスピードで、橙花がすでに踏み込んでいる!
「な」
「天地神仏に願い奉る……我に、邪を断ち切る刃を!」
口訣が天地に満ちる気を橙花の体内に集める。天地の気は息継ぎ一つの間に全身の経絡を巡り、妖狐としての霊格を一気に上昇させた。橙色の瞳が破邪の色に燃え、その光が刃を走る!
「――斬ッ!!」
ごうっ、と烈風が地面を剃刀のように削いだ。
「「「ぐわあああっ!!」」」
小さく聳えた岩の山もろとも、弓兵を薙ぎ払う護法の一閃!
橙花の起こした剣風が土煙を払い、視界を明瞭とする。一見すると反撃の好機が訪れたように思える――事実、足軽隊もそう考えた。
だが、それは迂闊と……いやむしろ、不運とすら言える。なぜなら奴らは、迫りくる凄烈な鬼人の笑みを目の当たりにしてしまったからだ。
「そうら、次は俺様の番だぜ!」
足軽隊は、テテルの身体が何倍にも巨大に膨れ上がったように錯覚した――猛然と迫るその勢いと殺気が奴らを飲み込み、本能的な恐怖と死の予感がそのような幻視をもたらしたのだ。
「や、矢を構えッ!」
それでも二の矢を番えて放てただけ、敵を練達と呼ぶには十分すぎるだろう。狼狽えながら放たれたにしては、その矢の鋭さはなかなかのものだった。
もっとも、すべて呪われた片刃剣が真っ二つにしてしまったのだが。
「遅いぜッ!」
紫色の瞳が殺意の赤を孕み、鮮血で染まった筆を走らせたかのような一文字を描く。それは斬撃の軌道をなぞって……いや、違う。見よ、テテルが繰り出していたのは剣ではない、異形化した片腕による豪快な拳だ!
「ぐえ――」
断末魔は、拳に遅れて逆巻いた猛烈な旋風が残骸ごと吹き飛ばしてしまった。ファルシオンで斬撃を繰り出してくるものと身構えていた足軽隊は、まんまと鬼神変の直撃を受けてしまったのである。
「こっちのが射程がなげーんだわ、コレが! それに……拳のが話が速ぇんでなァ!」
テテルは勢いを殺さずさらにその場で一回転すると、全体重を乗せて拳を下に振り下ろした。
接触点を中心にクモの巣状の罅が走り、バガンッ!! と轟音を立てて地面が砕ける。
「い、いかん!」
己の運命を悟った足軽兵は虚しく叫んだ。しかしその時にはもう、奴らは騎馬もろとも空中に舞い上げられている……そこにエレナの召喚した岩の塊が落下してくるというわけだ。すなわち衝突ダメージは倍!
「すごいパワーですね! 橙花、こっちも負けてられませんよ。お手伝いはいりますか?」
「ううん、大丈夫だよお姉ちゃん。それに橙花だって、こんなもんじゃないんだからっ!」
テテルに負けじと奮起する義妹の姿に、エレナはふっと微笑んだ。
「包囲せよ! 一斉射撃で、奴らを一網打尽にする!」
ダカダッ、と鋼鉄の蹄が凸凹の地面を削った。敵は大きく散開して壊滅を避け、再び地の利を取り戻してこちらを圧殺するつもりらしい。
「四番隊は空を抑えろ! 地上にいなければ、何が降ってこようと恐れる必要はない!」
「って、飛ぶなんて卑怯じゃない! ここは通行止めなのよ!」
飛行ユニットに瞬時換装した敵を橙花が阻もうとするが、垂直離陸の速度は呪剣をわずかに上回った。
「くっ、やっぱタダじゃやらせてくれねぇか!」
さすがに三方向からの同時攻撃が相手では、テテルの怪力も分が悪い。反撃ダメージを少しでも抑えるため、異形化した腕を盾のように構え備えるテテル。
「もらったぞ、ディアボロ――」
「いまさら飛び立っても、遅いですよ」
勝ち誇る足軽隊の背筋が凍った。天魔武者に悪寒という人間的な感覚があるかはともかく、それに等しい恐怖と絶望を奴らは味わった。
「ぐわっ!?」
突然苦悶したかと思うと、首をもがれた蜻蛉のようにコントロールを失って狂い飛ぶ足軽兵。何が起きたのだ?
「なんだ? まさか太陽が眩しくてクシャミしたとか、そういうアホな話じゃねえよな?」
「いえ、あれは……」
エレナは目を眇めた。陽射しに紛れ、ぴちょんと空中を跳ねる光の魚の影を、彼女は見逃さなかった。
「とにかく……抜け駆けは、させないんだからっ!」
気風を取り戻した橙花が呪剣を振るう。敵はなすすべなく破邪の剣に両断され、それを逃れたとしても鬼神の拳に打ち砕かれた。ただ右往左往する敵を叩き潰す程度、彼らには造作もないことだ。
「ど、どこだ!? どこからの攻撃だ、何が起き……ぎゃああ!?」
混乱する足軽兵の視界が白く灼けた。ぴちょん、と魚の跳ねるような音が聞こえ……それが奴の冥土の土産となる。降ってきた岩の塊が、跡形もなく押し潰してしまったのだ。
ぴちょん、ぴちょん――鉄火場の血腥さも混迷も我関せず、魚たちは飛び跳ねる。只中に、いつの間にかひとりの少女が……つまり颯が佇んでいた。薄く微笑む彼女の手には一冊の詳録が収まっていて、開かれた頁には丸い魚鉢の絵が認められていた。
其れは、かつて三度の災火を逃れし邸(やしき)の魚鉢。曰く、鉢を一杯の水が満たす時、邸は悪意を逃れ火矢さえ退けたとされる。
「目眩ませ」
じゃらりと数珠を鳴らし、颯は唱えた。
「――"金青天水鉢"」
じゃらり、じゃらりと数珠がひとりでに伸びて延びて少女を取り囲む。よく見れば、その一つ一つが水で満ちた魚鉢を映し出している。鏡像の魚鉢がたぷんと水を溢すと、雫は像から実体となりて空中を泳いだ。一匹また一匹、光り輝くこの世ならざる魚の群れが戦場を幽玄に満たす。
「きれい……」
橙花は、それを蛍だと錯覚した。立ち込める土煙が、さながら逢魔が時のような薄暗がりに代わって、光の群れを際立たせたのだ。ぱちぱちと瞬くと美しい幻視はかき消えて、光の魚たちが伸ばす一筋の閃光を捉えた。奴らを苦悶させたのは、あの光の御業というわけか。
「おのれ、ヒルコ風情が……!」
「お生憎様ですが、霊山に相応しき心も持たぬ粗忽者に言われる筋合いはございません」
颯は晴れやかに笑った。目は笑っていない。
「それと僭越ながら。警戒すべきは僕ではないのでは?」
「戯れ言を――」
ざん。
呪剣が首を刎ね、拳と岩塊が残骸を微塵に砕く。それが最後の一体だった。
「あんだけ見事に気配を殺しておいてよく言うぜ。敵ながらちっとばかし不憫だな」
テテルの言葉に、颯は目元を綻ばせた。エレナと橙花も互いの無事を確かめ合い、こくりと頷く。いずれも、気力はまだまだ満ち満ちていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【リザレクション】LV2が発生!
獅子城・羽鳥
【モフ部】
他の方との連携アドリブ歓迎
残留効果活用
足軽隊は充分みたいだからレイ共々、行き先変更
二手に分かれて敵を掻き回そう!
即【トラップ生成】発生
サーヴァントは【光学迷彩】で隠れながらお堂の破壊
俺とレイは可愛いモフ達に敵の目が行かないよう立ち回る
【未来予測】で敵の動きを先読み
【防衛ライン】で敵群を囲み
【トラップ生成】で馬防柵と空中に見えないワイヤーをたくさん設置して敵の動きを鈍らせる
敵が気付いて避けてもそれはそれで移動先が限定されるだろう
PDでの攻撃は弱った敵から一体ずつ狙う
反撃は【飛翔・エアライド】《一撃離脱・ダッシュ》で対処
高度は極力抑える
そんなに彼岸が好きならお前達だけ逝ってりゃいいだろ
レイ・ディース
【モフ部】
他の方との連携アドリブ歓迎
残留効果活用
たっぷり英気を養ったし…
(むしろさっきまでのほのぼの時間とギャップが有り過ぎ!)
厄介な敵群を先に片付けるの、了解
…って、足軽隊には充分集まるから、私達はお堂に回って撹乱と破壊
【未来予測】で敵の先読み
【エアライド・飛翔】で機動力を上げる
高度は最低限に抑える
【光学迷彩】で僅かな間だけ姿と気配を消しての《不意打ち》を積極的に狙う
エインとスエニョちゃんはお堂破壊に回り、私と獅子城さんで敵を引き付けるように立ち回る
積極的に《光遣い》で目眩まし
反撃は【飛翔・エアライド】と《一撃離脱・ダッシュ》で対処
狂信者って、うるさくて嫌ね……
ルキウス・ドゥラメンテ
イリヤ(g02308)と
結界とやらを壊すのに何をどこまで壊せば良いのだろうか
攻城戦よろしく徹底的にやってやろう
援護は頼んだぞ、イリヤ
パラドクス発動の上、愛剣に炎を纏わせて敵に対峙
斬り結ぶ間にも火炎使いで炎を操り、施設のそこら中燃やしてやろう
しかしこの絡繰りどもにはどうやら熱気が足りなかったか?
ノリの悪いやつらめ
ついでだ、爆破も加えてやるか
それにしても畏れ入るな
自分が徳を積む為に信仰や信条を他人にまで押し付けようとは
あのお節介な反撃、強いて受けてやろう
斬撃で得物ごと斬り伏せてやるつもりだが
まだまだ精進が必要らしいぞ、絡繰坊主
戦局を見つつ必要があればイリヤの加勢に回ろう
味方とは適宜連携
イリヤ・レダ
※アドリブOKです
※ネメシス化している場合は頭上の輪と翼だけでなく、頭髪も緋色に染まります(長髪化します)
ルキウスさん(g07728)と
うーん
ホトケの道とやらは機械仕掛け連中ばっかりだね
それって、ホントに人間に歩める道なのかなあ?
まあ、ディアボロスは皆独自の道を征くだろうけれど
パラドクスは「刹那の絶影」を
一糸乱れぬ隊列で進軍しようとも、それも虚構の群れ
一撃離脱を仕掛ければ次第に綻ぼうというモノ
…一方でホトケに謝るとか出来る気がしないし真っ平御免だ
ルキウスさんは火責めを意図してるのかな?
ならば、オレは遊撃手
これはいつも通りだね
そして、守りが薄くなったら結界の破壊だね
これはまあ、見れば判りそうだ
●堕落の俗僧を討て
足軽隊を殲滅したディアボロスたちは、この勢いに乗ってお堂の破壊に臨んだ。しかし、もちろんそれを敵が許すはずはない。
「坊官衆よ、前に! なんとしてでも奴らを阻むのです!」
入田局は我が身を顧みず叫んだ。ともすれば奴自身を叩くチャンスでもあるが、ディアボロスの一番の目的はこのお堂の破壊である。ゆえに、どれだけ無防備だろうと入田局のことは後回しにせざるを得ない。
(「……と、いうこちらの狙いを解った上であの大胆な動きというわけか」)
ルキウス・ドゥラメンテ(荊棘卿・g07728)は入田局の思考を推測し、ふんと鼻を鳴らした。実際、こちらは奴の思い通りに動かされている。戦局的には優勢に傾きつつあるが、どうにも気に入らないタイプの相手だ。
「ルキウスさん? 敵が来てますよ、集中しないと」
「……ああ、そうだな。攻城戦よろしく、徹底的にやってやろう」
どこか上の空めいた、あるいは八つ当たりのようなルキウスの言葉に、首を傾げるイリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)。だがまあ、やることは同じなのだからそれ以上には突っ込まなかった。
「では、オレも全力でやりましょうか」
スーツの襟元を正すように、ばさりと翼を羽ばたかせる。すると裡から溢れる天使の力に白い髪が波打つようになびいた――見えない力の波が、外から裡へ返る。それは、なびく髪が先端からじわじわと緋色に染まることで可視化された。
敵は一筋縄ではいかない。実感として肌を突き刺す殺気が、応報の名のもとにイリヤの潜在能力を引き出したのである。
もう一方から坊官衆を挟み込むのは、獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)とレイ・ディース(光翼のダークハンター・g09698)のコンビだ。
「たっぷり英気を養ったぶん……私たちも頑張りましょう、獅子城さん」
「そうだな。せいぜい敵をかき回してやるとするか」
羽鳥の手にはサプレッサーつきの大型拳銃と一振りの西洋剣。遠近どちらにも対応できるよう用意した装備だが、これだけではとても心もとないと直感が知らせていた。
「……奴らはきっと、手足を吹き飛ばそうが構わず突っ込んでくるぞ。多少はダメージを覚悟しておいたほうがいい」
「了解……狂信者の相手って、毎度毎度嫌になるわ」
じりじりと間合いを詰める坊官衆には、いますぐにでも破裂しそうな熱がある。それは、レイにはまったく共感出来ない宗教的な熱狂だ。無機質なはずの天魔武者のボディが脈打っているように見えるほど、油断ならないオーラを放っている。
ディアボロスは【未来予測】した結末を変えられる――だがこと逆説連鎖戦において、その力は確実な有利を意味しない。予測した未来に対応しようとした時点で、その未来視は絶対ではなくなるからだ。
むしろ敵が精鋭ならば、対応しようとするディアボロスの動きにさらに対応し、逆に虚を突いてくる可能性すらありうる。坊官衆は、その「もしも」がありうる練度を有していた。
睨み合いは長く続いた――実際の時間経過はともかく、一同がそう感じるほどの緊張が場を支配している。
「霊山を土足で穢す仏敵どもめ……」
読経めいた低く這うような恨み節が、黒雲に蠢く稲光めいて不穏に響く。
「まさにどの口がほざくか、だな。霊山を穢しているのはどちらだ? 侵略者ども」
ルキウスは笑い飛ばした。クロノヴェーダごときがかの地を我が物顔で占拠することこそ罰当たりというものだ。
「ホトケの道とやらを説く割に、機械仕掛け連中ばっかりだね。それって、ホントに人間の歩める道なのかな?」
まあ、ディアボロスはみんな独自の道を征くものだけれど、とひとりごちるイリヤ。敵の戯言に耳を貸すつもりはなかった。
「罰当たりな……我らが彼岸に送ってくれる。因果応報なり」
「……ほんと、教信者ってなんでこう喧しいんだろ」
「そんなに彼岸が好きなら、お前たちだけ逝ってりゃいいだろ」
嘆息するレイ、憮然と言い返す羽鳥。
どろりと、両者の間の空間が殺意に濁った――直後、全員がほぼ同時に動いた!
ルキウスは愛用の茨剣に獄炎を纏わせ突撃、イリヤはそれに続く形で地を駆けた。
もう一方からは、飛翔した羽鳥とレイが迫る。敵はそれを迎え撃つだけでよい。【防衛ライン】が周囲を覆うように展開されていたが、そうするまでもなく地の利は向こうにあった。
「天罰!」
「「「覿面!!」」」
じゃらりと錫杖を鳴らし、花開くように奔る武僧! 張り巡らされた無数のワイヤーがそこらじゅうでブツブツと音を立て爆ぜるようにちぎれた。狂信と傲慢な思い込みで支えられた堅固な精神に拠る突撃は、まるで猛牛の群れの怒涛の如し。
「なるほど。偉そうなことをほざくだけはあるんだ」
イリヤは鼻っ柱強く言った。その気概を叩き折ろうと、怪力を乗せた錫杖が振り下ろされる。
「――でも、「この一瞬」だけはオレの方が上だ」
「!?」
イリヤは……背後だ! 錫杖が土を掘った瞬間には、まるで瞬間移動したように死角に回り込んでいる!
極限まで自身の力を練り上げ、一瞬の明鏡止水の境地に至り一撃を叩き込む。1秒を千に刻んだごくごく僅かな刹那にのみ可能とされる絶影の技――緋色の髪が嘲笑うようにたなびいた。
「ぐッ!!」
武僧は苦悶し蹌踉めいた。逢魔の緋刀による斬撃が脇腹に叩き込まれている。抉れた傷口から血のようにオイルが溢れ、ダメージの深さを報せた。苦し紛れに錫杖がイリヤの頭部めがけ薙ぎ払われるが、その時には少年は二歩分後ろへ。一呼吸置き、緋色の影は追撃を加えようと再び影を絶った。その向こうではルキウスの火炎が大気を焦がす。錫杖と撃ち合うたびに爆ぜる火花すら飲み込んで、獄炎は燃え盛るばかり。
「ふん、ノリの悪い奴らめ。盛大に火の手をあげてやろうというのに、邪魔をするな」
ルキウスは己を阻む武僧どもに言い放った。彼の狙いはお堂の焼却による破壊……突撃経路を阻む敵との斬り結びは彼の本意ではなかった。しかしてルキウスにばかりかかれば、横合いからイリヤの鋭刃が突き刺さるのである。
妨害の手を突き攻勢を仕掛けるのは、羽鳥とレイも同じだ。
「鬱陶しいだろう? なら、早くその天罰とやらを俺にぶつけてみろ!」
マズルフラッシュが、羽鳥の挑発的な表情を照らした。横から繰り出された錫杖をもう片手の長剣で払い、くるりとバトンを手繰るように刃を返し横薙ぎ一閃。敵は身軽に飛び退ってそれを躱す。一進一退か? 否!
「もらったわ」
そこにレイが待ち受けている。揺蕩うように揺れる翼から零れ落ちた光の羽が、風に逆らうようにして舞い上がってくるくると翻り……そのうち鋭い光の剣に変じて、突然磁石で引き寄せられるように鋒を下に向け降り落ちた!
「小癪なり!」
敵は錫杖をプロペラよろしく回転させ、光の刃を弾いた。飛び散ったそれらは空中でぱきんと割れて粒子に変わる。儚い残滓を羽鳥の拳が吹き飛ばし、錫杖と打ち合いガキン!! と金属質な音を響かせた。
「まだまだよ……倒れなさい」
衝撃でザリザリと後退する武僧に、新たな光刃の驟雨がぶつけられる。さしもの防御も間に合わず、無数の刃が鋼の身体を串刺しに爆散せしめた!
「ぬう、出来る……! しかし本堂はやらせぬ!」
徐々に坊官衆は圧されていた。しかしお堂の防衛という本懐はまだ果たしていた……はず、だった。
「……待て!」
一体の僧が叫んだ。4人をそれぞれに警戒していた坊官衆が振り返り、うぐ、と呻いた。
ドウン! 見た目に相応しくない物騒な砲声が、奴らの驚愕と苦渋を嘲笑うように響く。それは、密かに戦いの混乱を突いてお堂に接近していた、パンツァーハウンドの砲撃だった! それだけではない、傍らにはメーラーデーモンもいる。可愛らしいモフモフとしたサーヴァントたちだが、お堂に対する攻撃は結構エグかった!
「サーヴァントを遣わせたのか、考えたな!」
ルキウスは快哉めいて叫んだ。仮に己の愛馬がここにいたとして、騎馬一体での機動戦を基本とするルキウスでは考えつかない戦術だっただろう。羽鳥とレイはニッと不敵に笑い返す……つまり、敵がディアボロスにかかずらう状況こそ、二人の狙い通りだったのだ!
「おのれ!」
そしてもちろん、坊官衆は反射的にサーヴァントを狙う。ここで奴らが冷静に考えるべきだったのは、いくら防衛網を抜けたとはいえサーヴァント単独での物理的ダメージはたかが知れているということ――最悪、二体は捨て置いても戦闘「そのもの」には致命的影響を与えなかっただろう。
だが! 奴らには誇りと矜持があった。それは狂信とともに、奴らの戦闘力を支えている礎である。
守るべきお堂に攻撃を許してしまったという事実が、プライドを揺るがせた。動揺は混乱を生み、突くべき間隙を齎す……潮目が変わった!
「スエニョ、エイン! よくやったぞ!」
相棒たちを称える羽鳥の声は、武僧が思っていたよりも近くにあった。ハッと我に返ったその時には、すでに彼は懐に潜り込んでいる。反射的に錫杖を手繰る――ぎちりと、鋼糸が絡みついて動きを阻んだ。
「お望み通り、彼岸に送ってやる……!」
シャキン、と機械腕から飛び出したブレードが脇腹から肩甲骨部分を貫く形で突き刺さった。天魔武者は生身の存在ではないが、ここが致命的であることは変わりなし。血の代わりにオイルを吐き出し絶命!
「ふたりに手は出させない……このまま、お堂もろとも穴だらけにしてあげる!」
光の刃が横殴りのスコールめいて一気に敵陣を襲った。眩い輝きに思わず両腕で防御姿勢を取ったのが運の尽き。その防御ごと、ルキウスの豪快な太刀がざくん!! とボディを両断!
「ば、バカな……」
「自分の功徳のために信仰を他者に押し付けるそのふてぶてしさ、畏れ入る。だがまだまだ精進が必要のようだぞ? 絡繰坊主」
獄炎が凄烈な笑みを照らした。蹴り飛ばした残骸が虚しく爆散し、ばたばたと土煙を舞い上げる――突き出された槍めいて埃を切り裂き、イリヤという名の疾風が敵陣を劈いた!
「ホトケに謝るとか出来る気がしないし、真っ平御免だよ。そのまま果てろ」
緋色の閃光が真一文字に煌めく。ぶわりと吹き荒れた衝撃が敵を吹き飛ばし、そのまま4人は雪崩を打ってお堂を攻撃!
「い、いけません、結界の要が……!」
「それを壊しに来たのだよ。さあ、盛大に燃え上がらせてやるぞ。堪能しろ!」
ルキウスの刃が突き刺さり、燃え上がる獄炎の波濤に光の刃が降り注ぐ。楔めいて炎を縫い止めたそれらを狙い、放たれた弾丸と緋色の念刃が交叉――溢れたエネルギーが盛大な爆発を起こし、高野山の静謐を斬り裂いた!
「……あとはお前だけだ、入田局」
かちゃりと、羽鳥の銃口がアヴァタール級に向けられる。己の策を徹底的に貶められては、理性的な入田局とて怒りに肩を震わせるばかり……!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
【フライトドローン】がLV2になった!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
【リザレクション】がLV3(最大)になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
テテル・グリーズ
聞いた話(予知)によると
このアヴァタール級ってのは随分のキレ者みたいじゃねーか
ネメシスモードを発動すれば鬼人の特徴は消え、人間と同じ姿になり、服装も黒一色のコートに変化
狙ってるワケじゃねーが隠密行動に最適だな
同時に攻め込むディアボロスがいるならそれに便乗させてもらうか
障害物の影にじっと身を潜め、味方が一撃を喰らわせる瞬間に鋼糸を脚に投げつけて転倒させてやる
その後も身を隠しておき、隙を突いてシルバーブレイドで暗夜の一撃をプレゼントだぜ
欠点を指摘されたら素直に感謝するぜ
今後の参考になるからな
でもな、指摘されたことをあえてやるって選択肢もあるんだぜ
指摘してくれるんだ、見事に躱せるんだろ?やってみろよ
獅子城・羽鳥
【モフ部】
ネメシス形態使用
見た目は変わらない
※他の方とも連携・アドリブ歓迎
残留効果活用
今は怒ってるとは言え、かなりの切れ者で軍略も精神攻撃も厄介な相手か
下手に俺の頭で対策を考えるよりは物理で攻め立てるのがいいだろう
(脳筋全開)
【防衛ライン】と【トラップ生成】でのワイヤーで敵を足止め
サーヴァントはパラドクス使用時以外は回避に専念
自分も【飛翔・エアライド】《一撃離脱・ダッシュ》での回避は考えるが、多少のダメージはお構いなしでパラドクスを撃ち込み続ける
仲間のパラドクス使用時は敵の近くに《制圧射撃・砲撃》を当てて音と硝煙で撹乱しながら援護
数奇な生涯を送った人物の名を騙った切れ者もここで終わりか…
レイ・ディース
【モフ部】
ネメシス形態使用
見た目は変わらない
※他の方とも連携・アドリブ歓迎
残留効果活用
この敵相手に余計な事を考えるよりは、怒ってる内に畳み掛けてしまおう!
サーヴァントはPD使用時以外は回避に専念
自分も【飛翔・エアライド】《一撃離脱・ダッシュ》での回避は考えるが、多少のダメージはお構いなしでPDを叩き込む
エインも戦士の皆さんもよろしくお願いします!
仲間のPD使用時は敵の近くに《氷雪使い・連続魔法》で吹雪を当てたり《光遣い》で目眩ましして撹乱
八葉の結界破壊はここで完了なのね
高野山をどう攻めるか考えるのは攻略旅団など精鋭ディアボロスのお仕事
私達はまた一息つきましょう
※サーヴァント達を撫で撫で
●知略と猛攻
怒りは激しいエネルギーだ。時に普通では不可能なことを達成させるほどの爆発力を持つが、それだけに冷静さを失わせ、隙を作ってしまう……そのデメリットは非常に大きい。
「おのれ……おのれ、ディアボロス! 絶対に許してはおけません……!」
入田局ほどの知恵者がそれを心得ていないわけもなく、奴は燃え上がる怒りを限界まで抑え込むことでデメリットを克服しようとしていた。ぶるぶると震える御幣は、その危うさの象徴だ。
「怒り狂ってがむしゃらに突っ込んでくる……なんて迂闊な真似は、してくれないみたいね」
「話に聞いていた通り、厄介な相手みたいだ。なら……」
レイ・ディース(光翼のダークハンター・g09698)と獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)は互いに目配せし、頷いた。
「「下手に頭を使うよりは、物理で畳み掛ける……!」」
やや脳筋気味だが、決して間違った判断ではない。それに今は、スエニョとエインも戻って万全の体勢で挑めるのだ。
切れ者相手に軍略勝負をするぐらいなら、慣れ親しんだコンビネーションで攻めたほうがずっと勝機がある。己の得手不得手を心得て、恥じずに戦えるのは立派な戦士の証拠である。
そして二人は、まっすぐ地を蹴って飛翔した。最短経路を一直線に詰め、最大の攻撃を叩き込んで殲滅すべし。
「阿蘇の火の神よ、我が身に加護を……!」
ばさばさと紙垂が揺れた。すると火の気もないのにぱちぱちと火の粉の爆ぜる音がディアボロスの耳朶を叩く。爽やかな初夏の心地は何処かへ失せ、明らかに危険な熱波が復讐者の肌を突き刺した!
(「多少のダメージは覚悟しないと、攻撃は決められないな……!」)
羽鳥はキッと眉間に力を込めた。いまさら被弾を恐れるほど、彼は臆病ではない。後ろを駆けるスエニョも、主人に倣うようにキリッとした表情で疾走の勢いを増した。
「来るわ……! エイン、それに戦士の皆さんもよろしくお願いします!」
レイの翼がはばたくと、光の粒子が鱗粉のように飛び散った。蛍の光を思わせるその輝きの中から現れたのは、北欧神話に名高きヴァルハラの戦士めいた、勇敢な騎士たちの幻影である。声なき雄叫びを上げ、槍や剣を掲げ突撃する騎士たち。
「まとめて消え失せてしまいなさいっ!」
熱波が凝縮し、目が眩みそうなほど燃え上がる真っ赤な猛炎となって結実した。
ごおうっ! と灼けた大気の断末魔が響く。炎は巨大な城壁を思わせる規模で炸裂し、ディアボロスの行く手を阻む……!
「ぐ……ッ! この程度で、止まるか! 合わせろスエニョ!」
飛行軌道をギリギリで変え直撃を避けた羽鳥とスエニョが、炎の帳を切り裂いて姿を現した。応報のニーグレネードとスエニョの背中の砲撃が、同時に入田局を襲う。しかしその砲弾を再び炎の波が迎え撃ち、入田局の眼前で爆散してしまった!
「愚かな……飛び道具など、この阿蘇の火ですべて燃やし尽くしてしまえばいいのです!」
入田局は高慢に一笑した。砲弾を迎撃した炎は、さながら高波が地のすべてを飲み込み薙ぎ払うようにディアボロスを焼き尽くそうとする……!
しかし、その時だ。勝ち誇る入田局は、がくんと体勢を崩してしまった。
「なっ!?」
咄嗟に両手で地面を突いて、転倒を防ぐ入田局。怜悧な思考が加速し、状況を理解しようとする。なんらかの身体的不調で膝を突いてしまったのか? いや、そんなことはない。五体満足に力が漲り、どんな攻撃が来ようと完璧な反撃を叩き込める自信があった。では何故!?
「いくらキレ者でも、あんな勢いで正面からくる敵には集中せざるを得ねーよなぁ?」
ぞくりと悪寒がした。あげつらうような野卑な声は、入田局が思っているよりずっとすぐそばで彼女を嘲笑ったからだ。
「貴様……」
「いまさら気付いたところで、遅いぜッ!」
炎の熱と光、そして砲弾の炸裂が生んだ影から飛び出したテテル・グリーズ(まがいもの・g08976)である!
レイと羽鳥の吶喊、それ自体を隠れ蓑にしていたのだ。この状況にあって味方にさえその存在を悟らせずに雌伏しチャンスを待つとは、なんという辛抱強さと抜け目のなさか!
入田局の思考が加速した。あまりに思考速度が早まったせいで、入田局の主観と実際の時間に乖離が生じ、世界がスローモーションになったかのような錯覚に陥る。
俗に言う走馬灯は、この極限の緊張がもたらす主観時間の鈍化の中で、脳が過去の経験から最適な対処法を割り出そうとすることで起きると言う。
(「つまり、死にかけているというのですか? 私が!?」)
客観的事実が、入田局を打ちのめした。その絶望感に打ちひしがれているような暇はない。テテルの追撃が来る――いやそちらにかまけてはダメだ、本命というべきレイ達の猛攻!
「か、数に任せた攻撃など……」
「そんな指摘、私たちには不要よ。信頼できるエインと、仲間がいるものっ!」
泥のように粘ついた時間を切り裂いて、光の騎士たちの鉾が雪崩を打った。阿蘇の火をもってしても迎撃しきれぬほどの多勢が、あらゆる障害物を蹂躙する猛獣のように入田局を切り裂く!
「ぐ、きゃあああ……っ!?」
「まだまだっ!」
エインとレイの素早い連続攻撃が、空中に舞い上げられた入田局を責め苛んだ。一心同体たる主従のコンビネーションに隙はなく、入田局の浅はかな指摘など欠片も通用しない。
「今度こそ汚名返上といくか、スエニョ!」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべた羽鳥と、ぐっと凛々しい顔つきになったスエニョが後を請け負った。空中で弄ばれながら、それでも苦し紛れに生み出そうとした阿蘇の種火を、それを上回る砲撃の熱量と勢いが文字通り雲散霧消させる。スエニョのと羽鳥はバツ字を描くようにクロスし、交叉点に入田局を捉え同時ゼロ距離射撃を叩き込んだ――軌跡をなぞるように燃える爆炎!
「がは……ッ!」
血の代わりにオイルを吐き出し、黒焦げの入田局ががしゃりと地面を転がる。炎をもって復讐者をなぎ払おうとしたその身が光と熱によって灼かれたのは、皮肉なものだ。
「ほっとしている暇はないぞ、まだ終わりじゃないのを忘れたか?」
羽鳥の挑発的な言葉が、薄れかけた入田局の意識をハッと引き戻した。しかし、だからといって続く連撃を避けられるわけもない。
「今後の参考にするからよ、指摘出来るもんなら是非してくれ。そして、見事な回避ってやつをやってみろよ」
姿なき復讐者の声が、入田局の自尊心を踏み躙る。もっとも奴が万全だったとしても、巧妙にミスディレクションしたテテルの一撃の冴えを前にしては、十九どころかひとつの指摘さえ出来なかっただろう。
「ひ、卑怯、な……!」
「それは指摘じゃねーな」
シルバーブレイドが、入田局の脇腹に深く突き刺さっていた。傷口からバチバチとスパークが漏れ出す。テテルはギラリと鋭く敵を睨みつけ、さらに容赦なく力を込めて刃をねじ込んだ。
「うぐっ!!」
「俺様でも知ってるぜ。そいつはな――負け惜しみ、っつーんだよ」
オイルを吐き出し、苦痛に悶える入田局の無惨な姿を、研ぎ澄まされた銀の刃は無慈悲に映し出した。それを取り囲むディアボロスたちのシルエットは、光と熱のせいで蜃気楼のように滲んでいる。
……怒りとは激しいエネルギーだ。入田局の力は、むしろ普段より冴えていたかもしれない。
しかし奴は知らなかったのだ。ディアボロスを突き動かし、支える力もまた、奪われた者たちの怒りであるということを……!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【アヴォイド】がLV2になった!
ルキウス・ドゥラメンテ
イリヤと
かなりの手練と見たが、女と言うのは大変だな
嫁ぐ相手を間違えるとろくな人生にならないらしい
尤も、可愛げのないこの絡繰には貰い手もないだろうが
ネメシス形態使用
巨大な黒い魔狼の姿
武器はBlack baccara
火炎使いは俺も多少齧って居てな
パラドクスで炎をぶつけよう
成る程、火の神の加護とやらは伊達ではないらしい
熱いな、そこらのサウナよりは
やや押されるか膠着状態を作って気を引きながら、敵の逃げ場を失くす位置に炎の障壁を張り巡らせる
敵がイリヤ相手にご高説を垂れ始めたら武器と爪牙にパラドクスの炎を纏って突撃
よく勉強して来たようだが、衒学的な辺りもやはり可愛くない
燃え尽きろ
味方との連携は適宜
新城・橙花
エレナお姉ちゃん(g00090)と一緒に参加するよっ。
目つきが悪い巫女さん?だねっ。
アヴァタール級だから、真面目に…かかります(強敵相手の冷静冷酷口調)
敵を見ながらチャンスを見計らって一気に[ダッシュ]で踏み込む。
相手の攻撃は受けないように左右に移動経路を振ります。
近接したら、大剣型呪刀【譲葉】を振るってパラドクス呪剣【金剛豪閃】。
「我纏うは金剛力士が剛力…吹き飛べっ!」
とエレナお姉ちゃんの攻撃しやすい場所へ[怪力無双]つきで吹き飛ばす。
「貴方を終わりの旅へと誘いましょう…」
連携したエレナお姉ちゃんのパラドクスが命中したら
「うんっ、完璧だねっ」
口調が元に戻ってご機嫌で尻尾フリフリだよー。
エレナ・バークリー
義妹の橙花(g01637)と
火の国の巫女というわけですか。いいでしょう、ならば私は天を味方にするまで。
橙花と一緒なら負ける気はしません。
「連続魔法」「電撃使い」で雷光宿したる灼滅の宝珠を行使。
複数の球電を敵の周囲に展開し、動きを制限して橙花の攻撃を助けます。
上手く橙花の攻撃を支援出来れば。
お見事、橙花!
橙花が敵を吹き飛ばしてくれたら、周囲に浮かべていた雷球を全部一気にその身体にぶつけて破壊しましょう。
反撃があった場合には「氷雪使い」で氷を上塗りした魔法障壁を積層させて防ぎます。耐えてくださいよ。
橙花はお疲れ様でした。
これで、結界の要がまた一つ落ちましたね。高野山へ進む日も遠くはなさそうです。
水蓮寺・颯
平静を取り戻されたら厄介ですね……頭が煮えたままで、お家騒動の泥を被って討たれたご夫君と同じ所へ逝ってくださると嬉しいのですけど。
まぁ、そう容易い相手ではないですよね。
『其は――』
顕現するのは、黒七弦白七弦の糸を束ねた羽衣。
腕にふわりと撓むその糸は、次の瞬間、冷たい光沢を持って戦場に巡らされる。
『――慧敏なり、白虎十四弦雁渡』
人は誰しもが修行者であり、輪廻に於いて未熟であるもの。
……それが分からないあなたには、やはりこの場所は相応しくありませんね。
白黒の糸を撚り合わせ、縄となった其れで首を狙います。
……南無大師遍照金剛。ご冥福を、お祈りします。
(アドリブ、連携 歓迎です)
イリヤ・レダ
※アドリブOKです
※ネメシス化している場合は頭上の輪と翼だけでなく、頭髪も緋色に染まります(長髪化します)
ルキウスさん(g07728)と
ああ、機械仕掛けの絡繰り共の中で
貴方はちょっと真摯な感じだね
けれど真剣なのはこちらも同じ
己が全てで貴方を斬ろう
ルキウスさんはまず退路を狭める狙いみたいだから
フェイント気味に飛ばした飛刀と機動力で惑わせつつ、「必殺の一撃を見舞う機を伺う」フリをする(そのまま追い込めるならそれでいい)
退路を阻み移動範囲を絞れば、遠隔攻撃といえども射角は推測できる
そこからはどちらの一撃が先に入ってもいい 追い込む口火となる
パラドクスは「緋閃の断影」を
錯覚や苦痛で止まると思わないで
●破綻
「……ありえません……」
ぽたぽたと、血の代わりに流れるオイルを溢しながら、入田局は呻いた。
「こんな……ことは、あってはならないのです……!」
「……入田局、だったか。名の由来は聞いていたが、嫁ぐ相手を間違えた女というのは大変なものだよ」
ルキウス・ドゥラメンテ(荊棘卿・g07728)は冷たい声音で言った。
天魔武者を憐れむような趣味は、ルキウスにはない。ましてや、奴をここまで追い詰めたのは他ならぬ自分たちディアボロスである。これから息の根を止めようというのだ。
「もっとも、可愛げのないこの絡繰には、史実のそれと違って貰い手もなかろうが」
こちらを射抜くように睨む、戦意を漲らせた眼差し。そこに宿るのは敵対者への怒りと憎悪……そして、結界に拠る己らの支配を揺るがせるわけにはいかないという鉄の忠誠心だ。
女と呼ぶには、あまりにも頑なすぎる。なにより、どれだけ忠義厚かろうと、人々を苦しめる圧制を是としたものを認めるわけにはいかなかった。
「でも、機械仕掛けの絡繰どものなかでは、ちょっぴり真摯な感じがしますね」
イリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)は助け船を出すように呟いた。が、波打つ緋色の髪は、いわば放たれる寸前の弓弦……決着のため高めた力をいつでも撃てるようにしている。撃鉄が起こされた拳銃を向けているも同然だ。
「もっとも、見逃すつもりはありません。こちらも真剣勝負のつもりでここまで来ていますから」
己の全てを以て、これなる敵を斬る。その決意と覚悟に迷いは欠片もないのだ。
「ならば……私もまた全身全霊を賭けあなた達を阻みます……! 阿蘇の火よ、私に加護を……!」
震える手が御幣を持ち上げると、再び周囲の熱が高まりぱちぱちと火花が生じた。奴の言う火の神とやらが実在するのかはこの際重要ではない。そう名付けたパラドクスによる熱と炎は決して無視できない威力を秘めている。問題はそこだ。
「火の国の巫女、というわけですか」
エレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)は、入田局の信念と揺るぎなき信仰心には理解を示した。敵ながら、それだけは評価するに値するものだと彼女は思ったのである。
「いいでしょう、ならば私は天を味方にするまで。まあ、そうは言っても頼れる味方は十二分に揃っていますがね」
紫色の瞳が、立ち並ぶディアボロスらを順繰りに見やる……最後に視線が留まるのは、当然全幅の信頼を寄せる新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)だ。
「エレナお姉ちゃん、嬉しいけど相手はアヴァタール級だよ。だから……真面目にかからないと、ね」
少し恥ずかしそうに言いつつ、橙花はスイッチを切るようにすっと表情を消した。赤らんだ頬の色は失せ、橙色の瞳は無機質なイミテーション・ダイヤのように冷徹に敵を睨む。
「誰が相手だろうと、立ちはだかるならば容赦はしません。ただ、斬り伏せるのみ……です」
ともすれば、機械的な印象を与える表情だった。油断できない戦いでは、橙花はこの別人めいた振る舞いを必ず見せる……あるいはこちらこそが、本当の橙花なのかもしれない。
じりじりと戦場の熱が高まる。ディアボロスが口火を切って飛びかかった瞬間、阿蘇の神の火は壁となり渦となりその身を灼くだろう。あまりの熱量に周囲は猛暑日のように夏めき、ディアボロスたちの肌を緊張の汗で濡らした。
(「やはり、容易い相手ではありませんね。これ以上平静を取り戻されたら厄介です」)
水蓮寺・颯(灼がて白く・g08972)は、仲間たちの勢いに乗ってひとつ口撃でもしてやろうかと考えたが、開きかけた唇を仕方なく閉じた。張り詰めた緊張を軽口で乱したら、逆に仲間のペースを崩してしまいそうな気がしたからだ。
破裂寸前の沈黙が、死闘らしからぬ静寂をもたらす。不吉な熱を一陣の爽やかな風が洗い流し、さあっと揺れた木々から緑葉が一枚はらりと溢れた――その葉が地に落ちた、瞬間!
「塵さえ遺さず燃え尽きなさいっ!!」
入田局が御幣を突き出した! 膨れ上がった風船が爆ぜるように、凝縮された熱は巨大な爆炎となってディアボロスを襲う!
同時に、ディアボロス5人はそれぞれ別の方向に素早く散開していた。先ほどまで微動だにせず沈黙するに任せていたとは思えないほど、瞬発的な動きで入田局を包囲し攻勢をかける。
「なるほど、火の神の加護とやらは伊達ではないらしい。ぬかるなよイリヤ、丸焦げになったお前を運び出したくない」
「言われるまでもありませんよ。オレよりもご自分のことを考えてください」
口さなく軽口を叩き合う二人。まずイリヤが刃を飛ばしてフェイントをかけ、まるで必殺の一撃を見舞うチャンスを窺っているかのように立ち回る。この程度で仕留められる相手なら、それはそれで演技通り一撃で仕留めるまでのこと。
「言ってくれるな……可愛げのなさでは、あの女といい勝負かもしれんぞ!」
ルキウスは狼が喉を唸らせるような声で冗談めかした――いや、比喩ではない。
身体のシルエットがぞわぞわとざわめき、波打つフォルムは人でなく獣のそれへ変じる。牙を剥き出して地を駆ける応報の姿は、まさしく漆黒の巨狼ではないか!
「炎の扱いなら、こちらも多少齧っていてな!」
腹の底に響く雄叫びとともに迸る黒い荊めいた獄炎が、阿蘇の火とぶつかり対消滅した。爆ぜた熱波は肌を焦がすほどの飛沫となり四方八方へ散るが、そこへ飛び込む橙花とエレナが臆することはない。
「こちらも仕掛けますよ、橙花!」
「はい。合わせてくださいね」
のたうつ蛇めいて渦巻く炎を飛び越え、多少の時間差を置いて連続攻撃をかけるエレナと橙花。まずエレナが、イリヤのフェイントに乗ずる形でいくつかの紫電の球体を出現させ、それらを不規則に射出し入田局に回避行動を強制させる。
「くっ! この程度の飛び道具など!」
物理的な飛び道具ならば、阿蘇の火を弾幕代わりに広げることで迎撃もできよう。しかし、落雷に匹敵する熱量を秘めた球電は、飛び退って回避するしかない。今の入田局の深手では、そのダメージを承知の上で反撃に徹するには分が悪すぎる。
「かかりましたね。そこは――」
「……私の、間合いです」
「!!」
バックステップしたところに待ち受ける橙花! 両手で呪刀の柄を砕けそうなほど強く握りしめ、無機質な瞳を刃じみて細める!
「我纏うは、金剛力士が剛力――吹き飛べっ!」
パラドクスによって強化された剛力を乗せ、譲葉が横薙ぎに振るわれた。あまりの膂力に、風切り音が剣閃に遅れて響く――次いで、斬撃を浴びて吹き飛ばされた入田局が地面に叩きつけられ、破鐘のような轟音をどよもした!
「がっ!!」
地面が衝撃で爆ぜ、土埃に包まれながらバウンドする入田局。その思考は極限の中で再び鈍化し、二度目の走馬灯を去来させる。状況を打開すべき策を過去の経験から探そうと頭脳が高速回転する……だが見つからない。浮かぶのは過ちの記憶ばかりだ。それを糧に策を編み術を練り、仕えるべき君を正しく導くはずの己が! なんの打開策も見出だせない!?
「ありえ、ません……ありえて、なるものかっ!!」
意地が入田局を突き動かす。ごうごうと荒ぶる火は戦場を包む巨大な帳を生じさせ、その熱がいよいよ大気を飴のように濁らせた。
「なんだ、陽炎か?」
「……錯覚や苦痛で、止まるとでも!」
訝しむルキウスに対し、イリヤは勝負をかけにいった。あの陽炎をそのままにしておくのはまずい、これ以上敵のパラドクスが本格化する前に仕留めねば逆転されると判断したのだ。事実それは正しい……圧制の錯覚をもたらす陽炎は、物理的な熱と相まって敵対者の心をへし折る。鋼のように強靭なディアボロスでも、耐えられるか怪しいほどのダメージを与える凶悪なパラドクス「だった」。
「霊山を土足で踏み荒らす愚か者どもめ、己の不足と愚昧さを悔やみながら狂い悶えなさい……!」
入田局は超然と嘲った。窮地において地金が晒されたのか、あるいは死に際の執念が狂い火めいて頭を惑わせたか。
いずれにしても、それが入田局自身の過ちであったことは確かだ。
「やはり、天魔武者であるあなたには何も理解できていないのですね」
状況を注視していた颯は、呆れと哀しみが混ざったため息をついた。クロノヴェーダは所詮、どこまでいっても侵略者であり奪うものでしかない。すでに幾度も味わい痛感したことだが、こうもまざまざ示されると徒労感も浮かぼうというもの。
「何、を……!?」
入田局は瞬間的に激高しかけ、訝しんだ。熱がどよもした陽炎……より具体的に言えば、ゆらめく像となって半現実化しかかった圧制の象徴すなわち無数の天魔武者の首が、まったく同時にばつんと胴体から離れたのである。
「人は誰しもが修行者。輪廻に於いて未熟であるものです」
よく見れば、胴と首の間にぴんと張られた一筋の糸があった。灼熱地獄じみた戦場で、燃えることも焦がれることもない白い線は、地獄に垂らされた菩薩の糸を思わせる……あるいは彼岸と此方を分かつ境界か。
「それがわからないあなたには、やはりこの場所は相応しくありません」
それ以上に冷たいのは、颯の瞳だ。入田局は本能的な畏怖を呼び起こされ、びくりと身を竦ませた。
"其は慧敏なり、白虎十四弦雁渡"。
仇なす者には虎の爪めいて応報する十と四の刃糸が、かたちなき陽炎をばらばらに「裂いた」。うだるような熱はばっと花散るように消えて失せ、猛烈な風で流れていく――それは、橙花の振りかぶりが起こした剣風だ!
「あなたを終わりの旅へと、誘いましょう……!」
待て、と言いかけた入田局の脳天を、再び譲葉が打ちのめす。割れた額からばっと鮮血じみて得体のしれない液体が噴き出した。それらが橙花を、地を汚すより先に球電が殺到し、稲妻の熱で瞬時に気化させる。いわんや、強烈な斬撃を受けた本体をや!
「ぐ……ぎゃあああっ!?」
「お見事です橙花! それに皆さんも!」
溌剌とした賛辞は、剣風のあとに吹いた爽やかな風に似ていた。颯はにこりと笑みで応じ、裏腹に冷たい糸はぎゅるりと入田局を雁字搦めにする。首に幾重も絡みついたそれは断頭台の刃に似た。
「そして……南無大師遍照金剛」
ぎしりと糸が引き絞られた。苦し紛れに繰り出そうとした熱の種火もろともに、その身体を研ぎ澄まされた血の刃が一閃する。
「オレは――オレ達は、アナタには止められないよ」
一瞬の好機を窺っていたイリヤの、必殺の緋閃だった。
「止まるつもりも、ないけれどね」
空間ごとすべてを断ち切るような冴え冴えとした一撃が、一縷の歪みもない一文字を描く。亀裂の内側から、悪魔の鉤爪めいて滲み出た獄炎が一瞬で燃え広がり、もはや身動きの取れぬ入田局を内外から灼き尽くした。
「あ、あああ……! わ、私が、こんな……!!」
「衒学趣味は疎まれやすいぞ? 今日までよく勉強してきたようだが、来世があるなら少しは可愛げを学んでおけ」
狼の瞳が嗜虐的に細まった。燃え尽きよ、と牙の隙間から漏れた言葉に従い、バラバラに引き裂かれた絡繰は残骸すら遺さず熱と炎に苛まれ、そして消失した。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】がLV3になった!
【怪力無双】がLV2になった!
【強運の加護】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【イルカ変身】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【グロリアス】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
【先行率アップ】がLV2になった!