伊勢国外周制圧作戦

 攻略旅団の方針に従い、伊勢国への侵攻を開始します。
 伊勢国を支配するジェネラル級天魔武者『織田信雄』は、伊賀がディアボロスによって制圧された報を受けると、伊勢各地の有力戦力を居城である『松ヶ島城』に集結させ、籠城の構えを取ったようです。
 伊勢中の戦力が集中する松ヶ島城を正面から落とす事は、ほぼ不可能といえるでしょう。
 しかし、この戦力の集中は愚策といえます。
 松ヶ島城以外の伊勢国内が手薄になり、ディアボロスによる解放作戦が可能になったからです。
 松ヶ島城を除く伊勢国を解放し、松ヶ島城を孤立させてしまいましょう。
 松ヶ島城が孤立すれば、焦った織田信雄が更なる愚行を行ってくれるかもしれません。

織田信雄

憂虞(作者 七凪臣
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#天正大戦国  #伊勢国外周制圧作戦  #伊勢国  #織田信雄 


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 やたらと声を張り上げる物に、有能な将はあまりいない。
 そこに『折角』だとか、『無能者め!』と配下を罵るならば、なおのこと。
「九鬼嘉隆が、ディアボロスに敗れたというのか! 折角、この私が策を授けたというのに、時間稼ぎにもできぬのか、あの無能者め!」
 そして伊勢国『松ヶ島城』の天守で息を荒くする織田信雄もご多分に漏れない側の将であった。
「すぐさま、伊勢の戦力と貴重品の全てを松ヶ島城に集めるのだ。ディアボロスを迎え撃つ準備を行ないつつ、援軍の要請するぞ」
 戦力を集めようとするのは、悪くない。
「ディアボロスは、山名宗全殿を討ち取った敵、伊勢国単独で相手になどできるものか」
「松ヶ島城以外は切り捨てて構わん、全ての戦力を投入して私を守るのだ」
 なれどせっかく集めた戦力を小出しにするのも、辛酸を舐めさせられた相手を今以て侮るのも、決して褒められたものではない。
 加えて云えば、下す命は歯車の噛み合わない無理難題。
 なれどジェネラル級の下知は、配下にとって絶対服従。叛く気概が僅かも浮かばないが、
「ははぁ」
「仰せのままに」
 士気が上がるか否かは、また別の話。
 そして厄介なことに。士気が上がらぬからこそ、うっぷん晴らしの蹂躙は凄惨さを増す――。

●天正大戦国、伊勢国にて
 伊賀国を解放した事で、新たに『近江』と『伊勢』への侵攻が可能になっていたが、『伊勢』への侵攻を優先させる事になったのは、攻略旅団の方針だ。
 このディアボロスの動きに狼狽した織田信雄は、国内の全戦力を本拠地である『松ヶ島城』に集める手に打って出た。
 確かに大戦力で護りを固めた『松ヶ島城』は、正面からの攻略は難しかろう。
 だが逆を言えば、手薄になった周辺地域はディアボロスの自由が効く。
「この機を逃す手はないよな」
 新宿駅グランドターミナル。既にディアボロス達の乗車を待ち侘びるパラドクストレインに背を預けた浅野・紅葉(鬼狩人・g03177)は、不敵にわらう。
「目的は、伊勢国の人々を救い、村を復興すること。圧政なんざ、さっさと終わらせてしまおう」
 天魔武者が消えたおかげで、村は一先ず落ち着いている。
 だが急な出来事は、いつまた天魔武者たちが戻って来るか、という不安と怯えを村人たちに植え付けてもいる。
「だから皆で村人たちを安心させて欲しい」
 村の復興は、圧政で力を得ている天魔武者にとっての痛手になることは間違いない。そしてその数が多ければ多い程、与えるダメージは大きくなるはずだ。

 なお、復興に必要な資材は新宿島で準備可能。伊賀国での実績もあるので、復興作業の妨げになるものはない。
「村人たちが活気を取り戻したら、間違いなく織田信雄は松ヶ島城から戦力を出してくる」
 紅葉が言い切るのは、クロノヴェーダが力を失うのを見過ごすわけがないという確信があるからだ。
「とは言え、織田信雄の性格から推察するに、村の奪還に大戦力を割くことはないだろう」
 今の織田信雄にとっての最優先は、松ヶ島城の護り。
 つまり戦力は小出しにされる――その方が、討ち破られ易いと気付きもせずに。
「撃破は派手な方がいいな。その方が村人たちも安心できる」
 ちなみに、と。紅葉は送り出される戦力についても語る。
「トループス級は『撃水』という天魔武者だ。そしてアヴァタール級は怨嗟の凝り――化け鮫の鬼火」
 何れも水場を得手とするクロノヴェーダではあるが、陸上戦も不得手とは言い難い。
 けれども今のディアボロスならば、勝てぬ相手ではあるまい。信じているより、それを事実として知る紅葉は、そこで思い出したようにひとつ付け足す。
「同時進行で、伊勢神宮に関する調査も行える。けど、こっちは少数で頼む。余力を割きすぎて、村の復興が手薄になったら困るからな」
 情報は必要だが、重きを置くのは復興だ。それほどまでに村人たちの困窮ぶりは度を超しているから。

「松ヶ島城の戦力は強大だ。いきなり決戦を仕掛けるのは無理だが、おかげでこっちも出来ることが増えたと思えば上々だろう?」
 ふ、と。幾らか大人びた笑みを口元に刷き、紅葉はパラドクストレインに乗り込むディアボロス達の背中を見送る。

●憂虞
「ねえ、おかあさん。おなかがすいたよう」
「……そうね」
 近くを川が流れるその村は、田畑だけは幾らか恵まれていた。とはいえ、殆どを収めさせられた食料の残りなどたかが知れている。
 それでも、無い、ではないのだ。
 されど空腹を訴える幼子に応える痩せ細った母の反応は薄い。
 そして似たような光景は、村のそこかしこにある。
 敷かれた圧政のせいで、家はおろか衣服までも襤褸切れ同然だ。複雑に張り巡らされ、往来を儘ならなくさせている水路が、その象徴。
 村人の心はとうに折れてしまっている。
 残る気力は、生への執着。ならば、食えるときに食わねばなるまい。だと言うのに怯えた眼の村人たちは、竈はおろか水飲み場にも近寄ろうとしない。
 その様は、水や火まで恐れているようで。
「ねえ、ねえ。おかあさ――」
「これでも食べておきなさい」
 縋る子に、母は干乾びた何かの蔓を差し出した。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
6
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
2
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【エアライド】
2
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【光学迷彩】
3
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【修復加速】
1
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【寒冷適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV5 / 【ガードアップ】LV5 / 【反撃アップ】LV3 / 【リザレクション】LV2 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV2 / 【ダブル】LV2 / 【ロストエナジー】LV2 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

七凪臣
 お世話になります、七凪臣です。
 今回はディアボロスの皆様を天正大戦国へご案内させて頂きます。

●シナリオ展開
 選択肢①=②→③→④の順で概ね進行いたします(①は必ずしもクリアーしなくても構いません)。
 状況により導入部の追記があるかもしれませんが、展開はOPならびに随時公開されるリプレイで分かると思いますので、必ずしも導入部をご確認頂かなくても大丈夫かと思います。

●採用人数
 採用は👑達成に必要人数(+αが若干名)になります。
 挑戦人数によっては、プレイングに問題はなくともお返しする可能性があります。
 中でも①は採用人数を絞ります。
 そのこと、予めご了承ください。

 シナリオ進行状況等はMSページでもお知らせしております。
 合わせてご確認頂けますと幸いです。

 皆様のご参加、心よりお待ちしております!
 よろしくお願い致します。
153

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エトルリア・メイオール
連携、アドリブは歓迎だぜ

敵をおびき寄せられてイイこともできるんなら一石二鳥だな
早速復興支援にかかるぜ

新宿島から持ってきた、急を凌げるだけの衣料と食料、あと田畑を再興するための苗や種籾なんかを荷車に積んで村に行くぜ
あたしらが復興支援に来たこと、これから松ヶ島城の勢力と戦うことを説明して、各家庭に物資を配備するぜ

……にしても何だこの水路は?
こんなもんがあったんじゃ作業も物流もままならねえ
これが敵の水中戦力の経路なのか?

村人に確認して、村の生活用水か農業用水に関係ねえ水路は全部破壊して、道か田畑にしちまおう
【建造物分解】を使えば効率的にできるかな


無堂・理央
水に怯えるとか流石に異常、どんな圧政が敷かれてたのやら。


木工用の手斧や土木工事用の槌に現地に合わせたシャベルモドキを新宿島から持ち込んで無双馬『クロフサ』に騎乗して現地入り。
馬に乗ってたら確実に目立つし、軽く演説と言うか説明入れてから支援開始だね。
ボク等は天魔武者の圧政から人々を解放する為に来た者達だよ!
この国の主は城に閉じこもってるし、天魔武者達を恐れる必要は無い!


村の支援だけど、水路への対応だよね。
不要な水路は潰した上で土で埋めるとして、必要な水路にも簡単で良いから橋を渡して往来を良くしよう。
土木作業に必要そうな道具は一式揃えてるし、【怪力無双】で一気に工事して行っちゃえ!


●破壊と創造、そして安堵
 快晴だ。
 餓え、心までもが痩せ細った人々にとっては、痛く、憎らしいばかりの快晴だ。
 その見上げるしかない蒼天に、凛々しい影がすっくと立つ。
「ボク等は天魔武者の圧政から人々を解放する為に来た者達だよ!」
 馬上からの視界に、無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)は自分の目論見が上手くいったことを確信する。
 漆黒の毛並が美しい無双馬の『クロフサ』に跨って村へ入れば、人の目と意識を引けると思ったのだ。
 実際、晴れ空に似合いの理央の姿と声に、村人たちの気持ちは寄せられている――が、近付いてくるまではしない。
(これは、なかなかにひどいね)
 クロフサに軽快な歩を踏ませながら、理央はひそかに眉を顰める。
 人々の目には生気がない。身体だってすっかり痩せ細っている。水路を流れる水の輝きがだけが美しいのは、どんな皮肉だ。
(水に怯えるとか流石に異常、どんな圧政が敷かれてたのやら)
 普通に育った少女らしい苛立ちが、理央の裡に芽吹く。主の不快を悟ったのか、クロフサもが鼻息を荒くした。
 故に理央は、腹の底から高らかに声を張る。
「この国の主は城に閉じこもってるし、天魔武者達を恐れる必要は無い!」
 それは違えぬ未来を誓う宣誓。

「……にしても何だ、この水路は」
 この村は立体迷路か何かか?
 時に家々の合間を縫い、時に畑まで割る水路にエトルリア・メイオール(ロストロード・g01211)は竜の翼を震わせ、不機嫌に唸った。
 敵をおびき寄せられる上に、人の為にもなるという、一石二鳥のイイコト尽くしに上々だった気分も、急降下を禁じ得ない。
 衣料に食料、それに田畑を再興するのに必要な苗や種もみなど。急場を凌ぐには十分な物資を、新宿島から持ち込んでいる。しかしそれを運ぶ荷車を通すことにさえ不自由する有り様だ。
「こんなもんがあったんじゃ作業も物流もままならねえ」
 妖精めいた愛らしい顔立ちにはいささか不釣り合いな口調でエトルリアは呟き、がりっと新緑色の髪を掻く。
(そういや、言ってたなあ)
 水中戦を得手とする輩が送り出されて来ると聞いたことを思い出し、なるほど、とエトルリアは得心する。
 元々この村を支配していたのも、同種の天魔武者だったのだろう。
(これが敵の水中戦力の経路ってわけか)
「とくれば、埋めちまうか!」
 決めた方針に、エトルリアは景気よく両手を打ち鳴らした。そんな時だ、一人の幼子がエトルリアへ話しかけて来たのは。
「きれいな髪のおねえちゃん。あれ、壊してくれるの?」
 十には満たないだろう男児の眼には、期待の欠片が覗く。そして一人が口火をきったのをきっかけに、さらに二人の子らがエトルリアを囲む。
「壊して大丈夫か?」
 用心深い大人たちより、好奇心が勝ったと思しき子らへエトルリアは快活に笑む。
「そんなのいらない!」
「うん。それがあるから、こわいのが来るんだ」
「じゃあ、壊せるだけ壊しちゃおう」
 我先にと言い募る子らの声を聞きつけ、輪に加わったのは理央だ。
「本当? 壊してくれるの?」
「あれ、もうなくなる? おとうさんやおかあさん、いじめられない?」
「あたし達、隠れなくていい?」
 ――おとうさんやおかあさん、いじめられない?
 ――あたし達、隠れなくていい?
 思った通りを口にしただけに過ぎない子らの言葉に、理央とエトルリアは顔を見合わせる。つまりはそれがこの村の現状ということだ。
「もちろん! 不要な部分は潰して埋めちゃおう。残すところに橋をかけたら、みんなも遊びやすくなるよ」
 土木作業に必要な道具一式も揃えておいた理央の提案に、エトルリアも口の端を上げる。
「いいねえ。埋めた部分の一部は、田畑にしちまおう」
 『大地』を司る竜の力を解放したエトルリアにとって、“壊す”力仕事はお手の物。建造物の分解も得意中の得意だ。
 そしてクロフサを伴う理央の怪力ぶりは、まさに無双。
「じゃあ、さっそく始めるとするか!」
「そうだね。ぱぱっとやっちゃおう」

 作業に取り掛かろうとする二人の元へ、おずおずと大人達が近付いてくるまであと僅か。
 その顔には一様に、安堵の色があった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!

朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と

伊勢神宮かぁ…
名前は知ってるけど行った事なかったよね
日本の総本山……出雲が一番偉いわけではないんだね
神様にも色々あるんだねぇ

そんな場所の本宮が焼け落ちてるのか
罰当たりとか気にしないのかなぁ
犯人は現場に戻るとか言うし
ちょっと潜んで様子を見ていきたいね

レオの光学迷彩も使ってスニーキングだね
身を隠しながら周囲の状況を観察して
人や敵の気配がないかを確認しながら進んでいこう
何かしらの姿があれば隠れて様子を伺うよ
天魔武者じゃなければこの状況についての話を聞けるかな?

帰る前に燃え落ちた本宮に手を合わせて
取り戻せたらまたお参りに来ないとだね


朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と

こんな形でお伊勢さんに来ることになるとはちょっと残念な気持ち
前々から参拝したいって思ってはいたんだけど
荒れ果てた様子をみて思わず眉尻が下がっちゃう
これじゃ天照様も悲しいよね

私も詳しくないけど出雲とお伊勢さんは成り立ちが違うみたい
そこが日本の神社の面白いところなんだけどね

念の為に敵に警戒、光学迷彩を使用して身を隠しつつ
情報収集をしながら偵察を行うよ
隠れた術式の後とか敵が残した痕跡とかないかも見て回ろう

もし敵に遭遇した場合は見つからない様に息を潜めてやり過ごすよ
見える範囲で何してるか情報収集したいね
向かった方向なんかも見ておきたい

調査後には兄に倣って手を合わせ


●痕跡
「ひどいね……」
「……そう、だね」
 眉尻と言葉尻を下げた朔・麗央(瑞鏡・g01286)の呟きに、双子の兄たる朔・璃央(昊鏡・g00493)も短く頷くしかできない。
 伊勢神宮――内宮の中心となる天照大御神を祀る正宮、皇大神宮がし焼け落ちていたという情報は得ていた。
 しかし、識っているのと、目の当たりにするのでは、衝撃の度合いが段違いだ。
「これじゃ天照様も悲しいよね」
 手を伸べたい。でも触れただけで残骸さえ朽ちてしまいそうな惨状に、麗央の淡紅の眸子は深く沈む。
 家族との日々が当たり前であった頃、お伊勢参りと言えば修学旅行の定番コースのひとつでもあった。それでなくとも、日本国民の総氏神とされる特別格の宮なのだ。一度は参拝したいと思っていた――いつか参拝できると思っていた――機会が、こんな形で叶うなんて、いったい誰が予想し得たろう。
「大丈夫。きっと神様はご無事だよ」
 子供だましの戯言だとは思いつつ、璃央は麗央の肩で二度、掌を弾ませる。
 伊勢神宮を詣でたことがないのは璃央も同じだ。知っていたのは名前と、神議りが行われるといわれる出雲大社との違いくらい。
 とはいえ、伝統や格式という事情を別にしても、現状は目を覆って余りある。
 だが悲しんでばかりもいられない。
「何か痕跡がないか、探そう」
「うん、リオちゃん」
 注意深く、璃央と麗央は廃墟と化した伊勢神宮内部の探索を開始する。光学迷彩を纏ったのは、罰当たりな犯人との遭遇を危惧してのことだ。
 けれど焼け跡にあるのは、静寂のみ。天魔武者はおろか、人っ子一人いやしない。
 誰かから情報を得る、ということは出来なさそうだ。同様に、天魔武者からの襲撃を受けるおそれも今のところない。
「  」
「  」
 双生の二人が意を交わすのは、視線を交わらせるだけで十分。
 警戒を幾らか解いた璃央と麗央は、互いの死角を補い合いつつ、一帯の探索を続けていく。
「偶発的に起きた火災じゃないね――意図的に取り壊したように見える」
 焼け残り方から、璃央はこの地で起きた破壊を推察する。柱だったものだろう残骸の折れ方が、不自然だったのだ。他にも、ばらつき方に違和感がある。
 人の手が加わっての火災であるのは、調べれば調べる程、明らかだった。
 それを成したのは誰だ? 困窮に喘ぐ周囲の村々の人々の暴走か、それとも――。
「来て、リオちゃん!」
 思案に耽る璃央の耳に、天啓にも似た麗央の呼び声が届く。明らかに高揚した音色は、確信に近い何かをみつけた証だ。
「どうしたの、レオ」
「これ見て」
 言って麗央は慎重に大振りなかけらを抱え上げる。
「――クロノ・オブジェクト?」
 神宮の建物の一部だったと思しきそれに、璃央は息をひそめて呟く。
「やっぱりそうだよね」
 兄が辿り着いた結論に、妹は気を急かされたように幾度も幾度も頷きを繰り返す。
 クロノ・オブジェクト。それはディアボロスやクロノヴェーダの装備、特殊な魔力を持つアイテムや障害物のことであり、一般法則破壊の影響を受けないもの。
 つまり、ただの火災で燃えるはずのないもの。
「ね、これって天魔武者たちが自分たちで破壊したってことになるのかな?」
「……そうとしか考えられないね」
 掴んだ“尻尾”に、双子はごくりと喉を鳴らした。

 廃墟からの去り際、璃央と麗央は正宮跡へ手を合わせる。
「次は取り戻した世界でお参りに来よう」
「うん、必ず」
 ――誓いは、未来への約束。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!

ルキウス・ドゥラメンテ
ユート(g08952)と

…悲惨だな
圧政と呼ぶことすらも憚られる
圧政だろうが卑しくもまつりごとを名乗るなら、力なき者にこのような暮らしを強いるべきではなかろうよ

アイテムポケットで物資を持参
保存の利きそうな携行食と、それから飲み水を中心に
後はユートの勧めるものを

民の怯えを解くのはユートとペニュに任せよう
彼らが水路に近寄らぬのはクロノヴェーダが原因か?
探りながら、水路の位置や村の地形を把握することに努める

事情は概ね理解した
だがその理不尽も今日で終わりだ
…俺が強いかどうかは別に、全力は尽くすとも
何よりこの彼はどうやら随分な世話好きらしいので、存分に頼ってやると良い


水蓮寺・颯
人が住んでいるとは思えぬ荒れた村の様子に眉を顰め、子供の声に目を伏せる。
悲しむのは後だ。このままでは皆病気になってしまう。

――ね、お腹空いたね。お姉ちゃんのごはん、半分こしようか。

二つある握り飯の片方を子供に差し出して、触れた手へ【クリーニング】を発動しひと安心。
話を聞いて、家族の所にも連れて行って貰います。

温かいお茶を淹れて、手渡して。
つらかったでしょう……よく頑張りましたね。皆様のこと、仏様はきっとお救いくださいます。
大丈夫、もう大丈夫ですよ。

子供に向き直って、微笑みを向け
……今は皆、少し心が疲れてるだけだよ。温かいものを口に入れたら、きっと元気になれるからね。


(アドリブ、連携 歓迎です)


ユート・チュールスキー
ルキウス(g07728と

ルキウスにアイテムポケットの力を借りて水や食料、ストールや衣服を持参

圧政で民が虐げられてるのを見ると胸がザワザワする
……僕は大丈夫だよ、ペニュ
それより皆を助けなきゃ

近くの親子に持参した食料を渡す
怖くないよ
食べてみて
躊躇うようなら先にペニュに飲み食いさせる
ほら、美味しいっていってる

圧政はいずれ終わる
僕達ディアボロスが終わらせる
だからどんな時も生きるのを諦めないで
子供と母親の肩にストールをかけ、衣服を差し出す
良かったら使ってね

どうして水場に近づかないの?
勝手に飲んじゃ駄目って言われてるの?
そんな理不尽なこと言う奴がいたら僕達が倒すから安心して
特にこのお兄さんはとても強いから


ラヴィデ・ローズ
色濃い暴虐の跡
何度目にしても――いや、
覆せる力があるんだ、今は

【修復加速】発動
仲間が齎した残留効果も活用したい

衣食住も心のケアもどれも大切だね
オレは持ち込んだ資材を用いて
主に家屋の修繕や補強に精を出そう
別の村でも屋根の修理とか色々手伝ってきたけど
詳しい村人がいれば指示を仰ぎながら、がいいね
ああ、無理はせず休んでいてくれ
今日のことは、そうだなぁ……
頑張ってきたご褒美とでも思って
明日からまた頑張ってね

オレの故郷では
花の輪を編んで門戸に飾る魔除けの風習があったんだ
もしも塞ぎ込んだままの子がいれば
一緒にどうかと誘おう
好きな花はあるかい?
そう……
怖いことはもうお終い。この花輪と、オレたちが約束するとも


三苫・麻緒
火も水もトラウマ級の災害を齎し得るものだけど、そういう話じゃなさげだよね
…ホント、酷いことしてくれちゃってさ

新宿島から野菜の種と早めに食べてもらう用の食べ物を持ち込もうかな
どちらもこの時代にあって不自然じゃないものを、食べ物はそれに加えて水分多めのものを選ぶよ
水を飲めないのは命に関わるからね
食べ物で抵抗感を減らしたら水分取ってくれないかな…?

種は新しい水路の近くと少し離れた場所の畑に撒いて【植物活性】を使用
クロノヴェーダが来る前は、きっとこれが日常の風景だったんだろうな
心の傷はすぐには癒えないだろうけど、原因を取り除く前に少しでも元の景色に近いものを見せて、未来はあるんだよって伝えたいな


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

……水も火も、生活の友だってのに。鱶が村の人を虐めたのかな
赦せないけれど、今は怒りを棚に上げとかないと

久しぶりのおさんどんタイム、張り切っちゃうよ!
【アイテムポケット】を拝借出来るなら持ち込む食材を増やしてと
あ、台所お借りしますねっ
出汁を利かせた味噌汁をベースに、
細かく切った豆腐と黒豆納豆、油揚げを投入
村に野菜が残ってれば折角だし拝借してっと
出来上がり。滋養汁を黒豆納豆にアレンジして炭水化物を抑えたんだ
これを【口福の伝道者】で増やして振る舞おう
【おいしくなあれ】は流石に高望みかな?
兎も角、飢餓がひどい人には量を調節しないと
さあどうぞ。身体がびっくりしないよう、ゆっくりね


●過渡
 不要な水路を、道や田畑へ作り替える作業に、村は徐々に活気づいている。
 資材はディアボロスが持ち込んだものだ。女たちは荷解きを手伝い、力のある男たちの中には、運搬に名乗りを上げる者もいる。
 けれどそれらはまだ、村人たちのほんの一部だ。
 しかし久し振りの賑わいに、皆が一様に安堵しているのは事実。そして安堵は、強い空腹感を呼び覚ます。
 ――ぐううう。
 大きく聞こえた腹の虫の音に首を巡らせた水蓮寺・颯(灼がて白く・g08972)は、十を過ぎた頃と見受ける少女の元へ歩み寄った。
「お腹空いたね」
「、っ」
 見知らぬ人に空腹を知られたことが恥ずかしかったのだろう。少女の頬がぶわりと朱に染まる。でも続けざまに飢えを叫ぶ腹は誤魔化しようがない。
「お姉ちゃんのごはん、半分こしようか」
 にこりと笑い、颯は竹皮の包みからひとつの握り飯を取り出し、少女へ手を伸べる。
「え?」
 颯に触れられた途端、衣服が浄められたことに少女は目を丸めた。いや、衣服だけではない。肌や髪の汚れも、湯あみをしたばかりみたいにピカピカだ。
「はい、どうぞ」
 綺麗になった少女の手に握り飯を乗せ、颯は改めて笑み、不安を拭ってみせるよう、まずは自分が握り飯を食む。
「ありがとう、ございます――」
 何もかもを許す笑顔に、恥じらいよりも空腹が勝った少女は、勢いよく米を食み始める。
 その必死さに、颯は密かに胸を痛めた。
 荒んだ村の居住環境は、お世辞にも『良い』とは言えない。衣服や身の汚れも、痩せ細り方も、いつ病に倒れてもおかしくない程度だ。いったい誰が、こんな窮状を生んだのか。
(「……怒るのも悲しむのも、後」)
 少女にばれぬよう唇を噛み、そうして再び笑んだ颯は、あっという間に握り飯ひとつを平らげた少女へ、村の人らへの仲介を願う。

●誓約請負人
 ――悲惨だな。
 村に足を踏み入れた瞬間、ルキウス・ドゥラメンテ(荊棘卿・g07728)が思ったのはそれだった。
 何もかもが搾取された有り様は、もはや『圧政』と呼ぶことさえ憚られる。民なくして、国は成り立ち得ぬのだ。
「圧政だろうが、卑しくも為政者を名乗るなら、力なき者にこのような暮らしを強いるべきではなかろうよ」
 主君を持つ騎士ゆえに、ルキウスは政(まつりごと)の何たるかを知る。そして人々の虐げられぶりに胸をざわつかせていたのはユート・チュールスキー(氷晶・g08952)も同じ。
「……」
 ユートに過去の記憶は無い。だのにぺたりと寝た頭上の耳に、察するものがあったと思しきダンジョンペンギンが、ユートの腕の中で手足をばたつかせた。
「僕は大丈夫だよ、ペニュ」
 まるで励ましてくれているかの如き仕草にユートは肩の力を抜き、ルキウスのアイテムポケットに仕込んでおいた食料を取り出すと、人々の元へ駆け出す。
「良かったら食べて?」
 胸の深淵の疼きよりも、皆を助ける方が先――思考からして献身的なユートの態度に、村人たちが怯える様子はない。が、すぐに手を伸ばす風でもない。
 そこに生き疲れた人らの不安を見て取ったユートは、同じ食料をペニュにも食べさせてみせた。
「大丈夫、怖くないよ。ほら、ペニュも美味しいって」
 咀嚼し、飲み込んだペニュはご機嫌に尾羽を振る。可愛らしい仕草を目にし、人々は恐る恐るの体でユートの振る舞いに手を付け始める。
(やはり馴染みのあるものが安心するか――)
 人々の怯えを解くのをユートに任せていたルキウスは、痩せた手が真っ先に掴んだものが饅頭であったのに得心を頷く。
 なれど人々は一向に水をとろうとしない。甘味に喉はますます乾いているだろうに、だ。
 その不自然さに、奥歯をぐっと噛み締めたユートは、努めて自信に溢れた声で語り出す。
「圧政はいずれ終わる――ううん、僕たちディアボロスが終わらせる。だからどんな時も、生きるのを諦めないで」
 言いながら、骨と皮だけのような老婆の肩へ、ユートは優しくストールをかけた。丈が合わない衣服を着ている子供へは新しいものを差し出す。
「ねえ、どうして水場にも近づかないの? 勝手に飲んだら駄目って、誰かに言われてるの?」
 人々の空気は十分に和らいでいた。しかしユートが問いを口にした途端、大人たちの顔が一様に強張った。
 だからユートはさらに声を明るくする。
「そんな理不尽なことを言う奴がいたら、僕たちが倒すから安心して。特にこのお兄さんはとても強いから」
 視線を送ることで、ユートはルキウスの存在を示し。示されたルキウスも泰然と首を縦に振る。
 ルキウスは体格に恵まれた男だ。その何物にも動じぬ様に、大人たちは詰めていた息を吐き――口を開く。
「あいつら、水からバケモノを呼ぶんです」
「炎のバケモノなの」
「……炎に何人も焼かれたよ」
 最後の小声は、子供たちに聞かせたくなかったからか。いずれにせよ堰を切った人々の訴えに、ルキウスは内側に炎を灯す。
「事情は概ね理解した」
 皆を不安がらせないよう冷静を装うも、ルキウスの赤い眼には怒りが燃える。
「だがその理不尽も今日で終わりだ――俺が強いかどうかは別に、全力は尽くすと約束する」
 騎士の礼を尽くすルキウスに、二人と一匹を囲んでいた村人たちの気配が、目に見えて一段と落ち着く。その機をルキウスは逃さない。
「何よりこの彼はどうやら随分な世話好きらしいので、存分に頼ってやると良い」
 ルキウスの言葉に合わせて、ユートが水を差しだす。
 最初におずと手を伸ばしたのは、ストールをかけられた老婆だ。彼女がごくりと水を嚥下すると、次々と水を求める声が上がる。
「大丈夫、水もたくさん持ってきてるよ。ほら、どうぞ」

●褒美
 化け鮫の鬼火の関与を元から疑っていたロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は、聞えた村人の言葉に眉根を寄せた。
「とんでもないことをする鱶だね」
 見目は少女めくとも、発された声は少年にかわりゆくもの。装いはしても、偽るつもりのないロキシアは、覚えた怒りも隠さない。
「まったく天魔武者は。水も火も、生活の友だってのに」
「……ホント、酷いことしてくれちゃってさ」
 いつもは溌剌としている三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)の声も、今ばかりはさすがに低い。
 火も水も、トラウマ級の災害をもたらし得るものだ。けれど今回は人為的に過ぎる。
 だが、今は。
「……赦せないけど。一先ず怒りは棚に上げて、と」
 やるべきことの多さにロキシアは意識を切り替え、麻緒も頷く。そこへ駆けてきたのが颯だ。
「向こうのお宅の台所を貸して下さるそうです」
 キャスケットと一緒に声を弾ませる颯に、麻緒とロキシアは顔を見合わせ、どちらともなく「ふふふ」と笑う。
「まずは私の出番かな?」
 颯の案内で開けっ放しの扉を潜った麻緒は、「お邪魔します」と一言おいて、新宿島から持ち込んだあれやこれやを広げると、まずは瑞々しい碧を取り上げる。
 ルキウスとユートに励まされた村人は、水を飲んだ。しかしそうでない者の数はまだ多い。ならば、と麻緒が選んだのは漬物だ。
(「これなら、この時代にあっても不自然じゃないし。漬かりが浅いものなら、水気も十分。ついでに絶対、ご飯とお水が欲しくなる!」)
 シャキシャキシャキ、と歯切れの良い音をたてて、麻緒は手際よく青菜の漬物を一口サイズに切り揃える。
 あとは颯によってクリーニングが施されたかわらけに乗せて配るだけ。
「はい、どうぞ。美味しさは私が保証するよ」
 人好きのする麻緒の笑顔と、如何にも美味しそうな漬物に、村人たちは躊躇を捨てて漬物を頬張った。
 直後、誰とはなしに鳴った喉に、颯が素早く温かいお茶を淹れる。
「これまでつらかったでしょう……よく頑張りましたね。皆様のこと、仏様はきっとお救いくださいます」
 湯気をたてる茶碗と、温かい言葉をくれる颯の手渡し。
「大丈夫、もう大丈夫ですよ」
「いただきます!」
 最初に呷ったのは、一人の男だった。すると一気に輪は広がる。
「――ああ、美味い」
「本当に、美味しい」
「生き返る心地ね」
「となれば、いよいよ僕の出番だね!」
 人々が口々に吐く安堵の声に、意気揚々と竈の前を陣取ったのはロキシアだ。
「久しぶりのおさんどんタイム、張り切っちゃうよ――あ、お台所お借りしますねっ♪」
 言うが早いか、ロキシアはレースが重なる袖を肘までまくりあげる。
 そこから先もすこぶる早い。
 煮干しと干ししいたけ――両方ともこの世界にあっても違和感がなさそうだからだ――で出汁をとる。その間に、持ち込んだ豆腐と黒豆納豆、油揚げを同じくらいに大きさに切り揃えた。ついでとばかりに、台所の壁にかけてあったサトイモの茎を分けてもらい、豆腐たちと同じように刻んでおく。
「……手際がいいなあ」
「なんだかとってもいい匂いね」
「ふふふ、とっておきをご馳走するからね」
 興味深く覗きに来た若い女たちへロキシアは笑顔を振りまくのも忘れずに、竈にかけておいた鍋から出汁の香りがたちはじめたら、具材を投入する。
 あとは湧いたところに味噌を溶き入れ、もう一度煮立ったところで完成だ。
「出来上がり! みんな、遠慮なく食べてね」
 村人たちの食欲は、すでに火がつけられている。ロキシアが配る椀を拒むものは一人もいない。
「かあちゃん、これうまい!」
「ほんとね、ほんとね」
「ああ、生き返る……」
 黒豆納豆でアレンジした滋養汁が、人々の胃に収まってゆく様をロキシアは堪らない気持ちで見つめる。
「慌てないで、身体がびっくりしないようゆっくりね! そこのおじいちゃんは特に、一口ずつ、一口ずつだよ」
 炭水化物を控えたのは、食に不慣れになってしまった人々への気遣いだ。これならば、疲弊しきった身体にも優しく沁みてくれるはず。
 おいしくなあれ、と祈り唱える必要もないほど、ロキシア特製滋養汁は歓ばれた。香りにつられて覗きに来た人々へも、口福の伝道者を用いて存分に振る舞った。
「もう、大丈夫」
 温かい食事は、身体だけではなく心の疲れまでをも癒すもの。
 最初に握り飯を分けた少女へ、颯は目を細める。
「これで皆、身も心も元気になれます」
「うん、ありがとう! さっきのごはんもすっごく美味しかった!」
 ――元気の良い応えこそ、ディアボロスにとって何よりの褒美。

●光
 木槌を振るう手を暫し休め、ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)は屋根の上から周囲の様子を眺め遣た。
 エトルリアと理央の作業は順調そのもので、水路だらけだった村の景色は劇的変貌を遂げている。
 水の流れは村の外周のみが残され――ルキウスの進言により、堀の役目も兼ねている――、行き来がしやすいよう橋も架けられた。増えた田畑の濃い土色は、生命力に満ちて見える。
 家々の修復を請け負った当初、ラヴィデの視界にあったのは暴虐の限りが尽くされた跡。
 これまで幾度も目にしてきた光景だ。でも慣れる気配は微塵もない。
(「……」)
 疼いた芯は、刻逆以前の記憶に根差すもの。けれど、今は――。
「覆せる力があるんだ――ねえ、ベル」
 呟きは、低く。呼びかけは、明るく。
 まさに覆されゆく様にラヴィデの気持ちも浮き立つ。それこそ、連れのミニドラゴンに完全スルーを決められても鼻歌を歌えるくらいにだ。
 と、その時。
「そっち、手伝うー?」
 聞えた声に軒先を覗くと、たくさんの種を抱えた麻緒がラヴィデを仰いでいる。どうやら出来立てほやほやの畑へ向かう途中らしい。
「こっとは大丈夫。落っこちる心配はないし」
「あはは、確かに! こういう時、翼があるって便利だよね」
 ミント色の翼で風を送って来る麻緒に、ラヴィデも竜翼で応える。新たに得たもので、出来る何かがあるのは、嬉しいものだ。
「じゃあ、私は畑を緑いっぱいにしてきちゃうね」
 五月の風のように颯爽と駆けて行く麻緒には、植物たちを活性化させる力がある。
 麻緒の手にかかれば、この村の田畑が、クロノヴェーダが来る以前の景色を取り戻すのもあっと言う間だろう。
「未来はあるってこと、伝えたいのかなぁ?」
 十は年下の少女の志に想いを馳せ、ラヴィデは木槌を振るい出す。
 村人たちが心に負った傷は、そう簡単には癒せないのを麻緒もラヴィデもわかっている。今日を救っても、悪夢にうなされる夜があるはずだ。
 だからこそ、『未来』を伝える意義がある。
「すまない、次は向こうの家をお願いできるか?」
「もちろん!」
 穴だらけだった屋根を一通り塞ぎ終えた頃、かけられた声にラヴィデはにこやかに是を返す。
 ラヴィデへ手伝いを申し出る村人はそれなりの数がいた。けれど痩せ細った人々を、転落の可能性もある屋根に登らせたりしたくなくて。
 ――今日はオレに任せて? これまで頑張って来たご褒美ってことで。
 ――だから明日から、また頑張ってね。
「おーい、そっちが終わったら、あっちの壁の補強も頼めるかー?」
「いいよ、ちょっと待っててね」
 気付くとラヴィデは村人たちと打ち解けていた。
 気安くかけられる声が、ラヴィデの耳に心地よい。生気を取り戻した笑顔は、真夏に咲く大輪にも思えた。
(「力付けるはずが、力付けられてるねぇ」)
「――ん?」
 内側から湧く活力に頬を緩めていたラヴィデの目に、遠慮がちに佇む少女の姿が映る。
 何かを言いたげな大きな瞳が、ラヴィデの気を引く。
 大人達に遠慮しているだけかもしれない。或いは、踏み出すきっかけを作ろうとしているのか。
(「どっちにしても、ね」)
 ひょいと屋根から飛び降りたラヴィデは、見過ごせない少女の元へ舞い降りた。
「ねえ、良かったら花輪を作ってみないかい?」
「――え?」
「オレの故郷では、花の輪を編んで門戸に飾る魔除けの風習があったんだ」
「……魔除け?」
「そう! みんなを守るための」
 昏く沈みがちだった少女の瞳が、光を取り戻してゆくのをラヴィデは見る。
(「この子も、誰かの力になりたかったんだね」)
「好きな花はあるかい? 怖いことのお終いの記念に、一緒に作ろう」
 少女の頭を撫でながら、跳ね放題の髪を整え、ラヴィデは誓う。

 怖い事は、もうお終い。
 この村に残すのは、未来への希望という光だけ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!

新城・橙花
支援とか調査は人が足りていそうだから、戦いの方を担当しようっと。
他の人がいれば協力するねー。

小出しに小集団が出てくるみたいだから、こっちは少し高い丘とかに隠れて相手を[偵察]。
隙ができたら横か後ろから【飛翔】しながら奇襲するよっ。
一気にパラドクス【妖葉乱舞】でまとめて攻撃だねっ。
「呪いの葉の乱れ撃ちだよっ」

混乱させることができたら落ち着く前に畳みかける。
「水も陸も苦にしないみたいだけど、空はどうかなー?」


エトルリア・メイオール
連携、アドリブは歓迎だぜ

そろそろ敵が来る頃合いか?
それじゃ迎撃の準備始めっか!

村の人達には安全なとこに逃げてもらって、物陰に潜み攻撃の準備だ
一帯を雷の力で満たし、敵が踏み込んだら炸裂するようにしておくぜ
あ、敵にしか飛ばねえから安心しな

敵を目視できたら【パラドクス通信】で味方と情報を共有だ
敵が射程内に入ったら順次雷を落として迎撃していくぜ
その間、囲まれたりしねえよう位置取りには注意だ

敵が小出しだからといって、こっちも調査に割いてるから油断できねえ
地道な戦いになるだろうが、味方が戻るまでの辛抱だ

味方の増援が来たら【パラドクス通信】で即座に戦況を伝えるぜ


●水の災厄、来たる
 多くのディアボロスが、支援の為に村へ入ったのを新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)は確認した。
 復興の手助けとしては、十二分な人数だ――ならば、と橙花は村にほど近い川の提に身を潜ませる。
 野放図に伸びた草から覗くのは、黄金色の耳と尾だけ。誰かの目に留まっても、どこからか紛れ込んだ狐と勘違いしてくれるに違いない。
(「来るなら、きっと川から」)
 差し向けられる戦力が水中戦を得意としていることを鑑みて、橙花は川に意識の網を張る。
 村から聞こえる声が活気づくのに比例し、橙花の緊張感は増していった。
 そうして数時間の後、視得た波に橙花は草むらを飛び出す。
「呪いの葉の乱れ撃ちだよっ」
「何!?」
「っち、待ち伏せかっ」
 橙花の狙いはビンゴ。呪力を込めて編んだ木の葉の竜巻に、数体の天魔武者が水中から顔を出す。そして硬度を上げた葉に鋼の肉体を裂かれた二体が、橙花目掛けて大型キャノン砲を構える。
 仕掛けた以上、反撃が来るのは必然だ。故に橙花は直撃を避けようと空へ飛ぶ。
「水も陸も苦にしないみたいだけど、空はどうかなー?」
 高く結い上げた髪の先と、左肩を光学砲へくれて尚、橙花は軽快な口振りで天魔武者たちを煽った。
 ひと、ふた、み、――。
 橙花の襲撃に姿をみせた天魔武者の数は十。一人では御しきれない数に、橙花は逃げるように村へと飛ぶ。
 だが意気揚々と橙花を追う天魔武者は、すぐさま予想だにしていなかった状況に直面する。
「……水路が塞がれている、だと?」
「これはいったいどういうことだ?」
「まさか連中、水路を潰しやがった!?」
 ざわついたまま天魔武者たちは、川から続いた水路から上がる――否、上がろうとしたところで本能的に総毛立つ心地を味わう。
 果たしてその直感は正しい。
「響け! 伝われ! 竜の雷!」
 陸へと足をかけた三体が、まとめて雷に打たれる。轟音と閃光を伴うそれは、エトルリア・メイオール(ロストロード・g01211)の一撃。
「はは、引っ掛かったな!」
 解放した竜の力で、天魔武者たちの出鼻を完全に挫いたエトルリアは、粗暴に言い捨てながら一撃離脱を試みる。
 先手を取ったとはいえ、相手はクロノヴェーダだ。トループス級と言えど、油断は禁物。ただし離脱の先は、敵陣のど真ん中。
「やっぱあたしはこうでないとな――突撃ぃ!」
 竜翼で低く飛び、浴びる小型のミサイルを連射で天魔武者たちの混乱を誘う。そしてそのまま、エトルリアは村の外周へ張った水路すれすれを征く。
「このまま予定通りだっ」
 パラドクス通信で、他のディアボロス達とも状況は共有している。
 村人たちも今ごろは、家の中に隠れてくれているはずだ。
「っち、追え、追え!!」
「今のうちに仕留めろ!!」
 追ってくる声を背に、エトルリアはひたすら飛ぶ。この水路の整理には、エトルリア自身が携わっている。つまり何処へ向かうも、エトルリアの手の内だ。
 目指すのは、まだ水も引いていない田んぼ。天魔武者たちが遮蔽物に利用するものもなければ、厄介な凹凸もない。広さだって十分だ。家々が建つ場所からも、離れている。
「水を引き入れる前に、一緒に耕すとしようぜ!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ダブル】LV1が発生!

無堂・理央
おー、砲撃型が他の人を追ってくる追ってくる。
じゃ、追ってきた天魔武者はきっちり叩き潰しちゃおっか。


無双馬『クロフサ』に騎乗して敵を待ち構え。
パラドクスで重装騎兵隊を呼び出したら、あえて敵に見える形で重装騎兵隊を整列させる。
で、敵がこっちに気づいたら重装騎兵隊に突撃命令を出す。
全騎、前方の敵を蹂躙せよ!

敵も砲撃してくるだろうけど、こっちは数で圧し潰すまで。
砲兵に対して騎兵突撃はよくある対応法、砲撃の雨を掻い潜って肉迫して重量を活かす武装で、重装化した騎馬の蹄で敵を一騎残らず叩き潰し踏みつぶしちゃえ!


ラヴィデ・ローズ
さあ、もう一仕事だ
励むとしよう。約束したからにはね

通信のおかげでのびのび動けそうだ
念の為、村側に被害が出ないような方角に砲撃を引き付けつつ
直撃弾には花散る『Sweetie』の結界(術)を
一時でも緩衝にして耐える間に
不可視のパラドクスを届かせ、不意をつけるといい

共闘することがあれば
弱った個体を優先的に狙い、頭数を減らして有利をつくっていければ

今はオレ自身も『レゼル』すらも囮のうち
武具で攻撃するかの素振りを見せかけ
別方向からパラドクスを見舞ったり
惑わし、乱し、こちらのペースに持ち込みたい

反抗される心構えもなく来た、って様子だな
残念だったね。この地に絶望は根付かないよ、二度と


三苫・麻緒
ん、理不尽のお出ましかな?
問題は根っこから解決しないと繰り返しちゃうからね
埋めたところで肥料になりそうにもないし、ここできっちり倒しちゃおう

救援機動力で駆けつければ武者が戦いやすそうな場所にいるうちに接敵できるかな?
【飛翔】による速度も駆使して大急ぎで向かうことは前提として、接敵したら速攻で交戦にはいっちゃおう
≪高速詠唱≫で攻撃と攻撃の間を短縮して隙を減らしていくよ
敵は機械兵器を使うみたいだし、≪機械知識≫で構造上の弱点がわかったらそこを突いて攻撃の妨害もしていきたいね

ミサイルは加護の力で耐えるか霰で迎撃するかしたいかな
霰の粒の間が狭ければそこをくぐり抜けるのは大変なんじゃない?


●制す機先
 一度、二度、と。
 無双馬のクロフサが右前脚の蹄で土を掻く様に、馬上の無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)は心を浮き立たせる。
 共にここを拓いたエトルリアが引き連れてくる砲撃型の天魔武者――水陸両用天魔武者『撃水』の数は十だと聞いた。しかも現れるのは、眼前の水路から。
「さーて、きっちり叩き潰しちゃおっか」
 燦燦と注ぐ陽に、理央は黒曜の眸に戦意を灯す。深い紫めく眼の彩は、待ち構える者の威風堂々さを醸すものだ。
 ――そして。
「歴史の果て、時代に埋もれた騎兵達、我が呼び声に応え、この地に影を落とさん」
 肌を撫でる風に変化を視た瞬間、理央は唱える。
 召喚するのは、馬もろともに見事な鎧を纏った重装騎兵の幻影たち。つまり肉の器を持たぬ者らだ。だのに聞える気がする猛者たちの息遣いに、理央の気持ちはますます高揚する。
「コール! 全騎、前方の敵を蹂躙せよ!」
 突撃命令は、最初の一体が水面に顏を出したのに合わせて。
「な?」
「ここにも待ち伏せか!?」
 立ちはだかる壁が如き騎兵たちを視認した撃水たちに動揺が走った。五月蠅く飛ぶ虫を撃ち落とすつもりで、此処まで来たつもりだったからだ。
 とは言え、彼らも武者。この日三度目の奇襲に、果敢に態勢を立て直す。
「怯むな、撃て!」
「まとめて薙ぎ払えっ」
 全ての射線は、理央の騎兵によって塞がれている。ならばと撃水たちは、在り得ぬ軌跡を描き得る光学系の砲を放つ。
 四本の光が、幾重もの屈折を繰り返し、騎兵の頭である理央を目指す。天魔武者らは『捉えた』と確信したはずだ。
 なれど違和感は、すぐ傍に。仄甘く昏く、薫るダマスク・モダンを纏って。
「やあ、みんなの頑張りのおかげでのびのび動けそうだ」
「!?」
 低く、低く。騎馬たちの足元をすり抜けて飛ぶラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)は、撃水が頭部のセンサーと思しきパーツを点滅させるのを見止め、内心で口角を上げる。
 確かに理央は被弾した。けれど威力は天魔武者の想定を大きく下回った。理由は二つ。一つは理央の準備が万端であったこと。もう一つは――。
(「Sweetieの香りは、ふれあう世界を遠ざける」)
 ガーディアンローズの一輪を礎に展開した結界術の効は、ラヴィデの狙った通り。完全なる遮蔽は叶わないが、幾らかの減衰にならば功を奏す。
「さあ、もう一仕事だ」
 見送る時にぎゅっと手を握ってくれた少女の心配そうな顔を思い出し、ラヴィデの裡はいっそう奮起する。
 交わした約束を違えることは出来ない。
「存分に励ませてもらうよ」
 混戦の様相を呈している戦線を、ラヴィデは竜の翼で征く。自在な緩急に、水からあがったばかりの天魔武者は翻弄された。
「っち、邪魔ばかりしやがってっ」
「まずはあいつを墜とせ!」
(「いいよ、その調子だ」)
 ラヴィデに敵意を向ける天魔武者たちは気付かない。自分たちの砲口が、家々が並ぶのとは真逆に向けさせられていることに。
 そして十分に引き付けた刹那、ラヴィデは一転、急旋回で身を翻す。
「――やれやれ」
 姿勢を整える間もなく、ラヴィデは紫黒の呪炎を纏う長剣を薙ぎ払う。けれどその切っ先は、空を切った。
「おいおい、威勢だけか?」
「とんだこけおどしだな!」
 盛大な空振りに、撃水たちは調子づく。しかし彼らは我が身を以て、誤認の事実を知るのだ。
「――!?」
「ッ、は」
 衝撃は不意に襲ってきた。撃水たちは、何が起きたか理解できない。ラヴィデが繰ったのは、不可視の竜爪だったからだ。飛翔も、これみよがしな剣閃も、全ては虚を突く為の布石。
「残念だったね。この地に絶望は根付かないよ、二度と」
 既に理央に先制を浴びていた天魔武者にとって、ラヴィデの一撃は重い。見るからに挙動が悪くなった二体を目の当たりにしたラヴィデは、空へ声を放つ。
「反抗される心構えもなく来たキミらにはご褒美をあげなきゃね――今だよ!」
「任せて――あられやこんこ。霰降りも乙女もかしましく!」
 降る、降る、降る。高らかな威勢と、抉る霰が地上へ降る。爽やかな薄いミントの色味に反した鋭い霰が、狙いと定めた二体を目掛けて降り注ぐ。
「まさ、かっ」
「アアアア、ぁッ」
 弾は小さな氷の塊だ。ひとつひとつの威力は決して高くない。だが弾幕も斯くやという厚みは、鋼の装甲を穿ち貫き――弱り切った天魔武者に終焉をもたらす。
「……ふぅ」
 霰を生み出していた魔法陣を霧散させた三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)は、ミント色の翼を広げたまま額に浮いた汗を拭う。
 計算づくでの連携だが、事が思惑通りに運ぶかどうかは、最後まで分からない。
 上手くいく自信はあったけれど、それなりに緊張はしていたのだ。
「さーて。このまま埋めたところで肥料になりそうにもない理不尽たちは、残らずきっちり倒しちゃおうか」
 空の高みにあるおかげで、麻緒の視界は広い。
 育てあげたばかりの緑は目に眩しい。修繕が施された家々も、雨風に対しては堅牢になったように見える。
 とはいえ、この村の安寧は未来永劫を確約されたものではない。
「問題は根っこから解決しないと、繰り返しちゃうからね――今度は奥から上陸くるよ」
 第一陣が喰らった痛手に、天魔武者らも機転を利かせ、騎兵隊の背後をとろうと上陸箇所を変えたようだ。されどその計略も空に麻緒がある以上、通用しない。
「くそっ、一気にいくぞ!」
「怯むな、怯むなぁ!!」
(「敵は機械……なら、きっと」)
 一気呵成に攻めかかろうとする撃水たちの挙動に、なおも麻緒は目を見張る。機械に対しる造詣は浅くない麻緒だ。見定めるコツは心得ている。
「排水のせいで、ワンテンポ遅れるよ! 攻めるなら、今!!」
「了解、残り二体ごと巻き込んでいくよ」
 麻緒の号砲に、再び重装騎兵たちを召喚した理央が応えた。
「思い切り征っていいよ。フォローは任せて」
 その狭間に、ラヴィデは仲間を扶く優美な香りを漂わす――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダブル】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!

ルキウス・ドゥラメンテ
ユート(g08952)と

水から現れる炎のバケモノ…ではなくこれは三下か
ユートの謎の全幅の信頼に応える為にも仕事はしっかりしてやろう

愛馬に騎乗して対峙
追尾型のミサイルなんてご大層なものは俺には不要だ
そんなものなくとも貴様ら如きを相手に逃げも隠れもしないとも
ダッシュで接敵して近接戦を仕掛ける
攻守共にパラドクスにて
俺を仕留めるには少々火力が足りないな?

ユートの戦いぶりは視界の端に収め、彼に危険が及ぶ様なら身を挺して庇うことも吝かではない
力と言うものは本来何かを護る為に使うものだ
だが、虐げる為に使うと言うなら俺が手本を見せてやる
蹂躙し尽くすぞ、エスカミーリョ


ユート・チュールスキー
ルキウス(g07728と

共闘は初めてだけどルキウスの強さは以前別の戦場で見かけて知ってる
だから助けてもらおうと思ったんだ
虎の威を借る狐だって構わない
人々を助けられるならね

僕はまだ力不足だけど彼なら足手纏いとすら思わないだろう
きっと余裕だよね
…うん、思った通り
彼はすごいね、ペニュ
僕らも頑張ろう

パラドクスで攻撃
反撃はエアライド利用して避け人がいない方へ砲撃を誘導
延焼範囲にパラドクスの氷の薔薇園を広げて消すと同時に氷の花弁で攻撃も兼ねる
光学砲撃にはパラドクスの氷で光の威力減衰を試みる
お前達じゃルキウスには勝てないよ
地獄で反省したら?

ちょっと彼に頼りすぎじゃないかって?
ううん、これは信頼だよ、ペニュ


●蹂躙と氷の花園
 天魔武者が滴らせる雫なぞ、ルキウス・ドゥラメンテ(荊棘卿・g07728)が繰る愛馬――無双馬『エスカミーリョ』が巻き上げる土煙からすれば、些事の極みだ。
 湿りを帯びて色を変えた地面を、エスカミーリョの蹄が踏む。起こしたばかりの田は、水気を吸う前に均され、飛沫の代わりに乾いた風塵を舞わす。それらは半ば、煙幕だ。
「っち、よく見えない」
「ならこっちは弾幕だっ」
 気の急いた撃水が、足音を頼りに両腕の銃口から小型のミサイルを連続で撃ち放つ。
 数と追尾機能に優れた攻撃だ。これならば馬で戦場を駆けるルキウスを捉え得る――なれどそれこそルキウスが待ち侘びたもの。
「そんなものなくとも貴様ら如きを相手に逃げも隠れもしない」
 冷淡に言い放ち、ルキウスは自ら渦中へ手綱を切った。
 不意に乱れる狙いに、ミサイルたちの軌道も狂う。互いで墜ち合い、数を減らす。とはいえ、あくまで“減る”だけ。天魔武者の攻撃の一切を消失させたわけではない。
 だがルキウスにとっては、それで十分。
「俺を仕留めるには少々火力が足りないな?」
 浴びた衝撃に、白い肌へ無数の傷を負っても、ルキウスの余裕が失われることはない。むしろ水を得た魚かの如き速さで撃水の間合いへ至る。
 攻め手こそ、最大の守り。同時に、捨て身の反撃はルキウスの最も得手とするところ。
「道を開けろ」
 荒れ馬が、蹄を繰り出す。跨る騎士は獣めく獰猛さで黒き茨纏う剣を薙ぐ。
「――わ、あ……」
 ルキウスとエスカミーリョに蹂躙された天魔武者二体の首は、あらぬ方へと曲がり、捥げかけていた。その様を間近に見たユート・チュールスキー(氷晶・g08952)の口から零れるのは、感嘆のため息ばかり。
 ルキウスとの共闘は、これが初めてのユートだ。しかし彼の強さは、別の戦場で見かけて知っていた。
(「だから助けてもらおうって、思っていたけど」)
 ウェアキャット特有の俊敏さでルキウスとの並走を続けたユートは、青鹿毛の無双馬が常に自分の盾になってくれているのに気付いていた。無論、そうさせているのはルキウスだ。
 謂わば、約束された安全領域。そこから攻勢に転じるのは、虎の威を借る狐も同じ。
 でもそれでもいいと、ユートは自分を許す。
(「みんなを助けられるなら、僕がどう思われたって構わない」)
 見栄や自尊心なんて、糞を食らえだ。名を捨てて実を取る方が、ユートにとっては価値がある。
「彼は本当にすごいね――けど、ペニュ。僕らも頑張ろう」
 守られたまま、ユートはダンジョンペンギンと手――ペニュにとっては翼――を取り合う。そうして発動させるのは、光り輝く氷の花園を創り出す魔術。
「綺麗は素敵、素敵は綺麗。さあ、咲き誇ろう」
「な、なんだこれは!?」
「一先ず退け、退けっ!」
 不意に咲いた凍てた薔薇は、氷の花弁を刃に換えて舞い、首が捥げかけた撃水たちを斬り刻む。
「お前達じゃルキウスには勝てないよ。地獄で反省したら?」
 頭部と胴が分かたれ倒れ伏した天魔武者に、ユートの謗りは届かない。代わりにルキウスが僅かに苦く笑う。
 ユートの厚すぎる信頼の輪郭は、ルキウスにとっては不明瞭のまま。
 確かにルキウスはユートを守っている。なれど二体の撃水へトドメを呉れたのは、ユート自身に他ならない。つまりユートも立派なディアボロスのひとりであるとうこと。
(「だが、その信には応えよう。民草を虐げるだけの為政者を悉く屠るためならば」)
「手本を見せてやる。蹂躙し尽くすぞ、エスカミーリョ」
 気勢を吐いて、ルキウスは征く。
「うんっ! ペニュ、僕らも往こう」
 影に添うユートもまた、ルキウスに倣って天正大戦国を駆ける。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
【飛翔】がLV4になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【グロリアス】がLV2になった!

朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と

よし、戦いには間に合ったかな
村のお手伝いができなかった分をしっかりと挽回しないとね
急いできた分、身体はほぐれて準備運動はばっちりだから
思いっきりぶっ飛ばしてやろう

辿り着いたらまず目に入った一体に標的を定めて
アイツを狙おうとレオと視線を交わす
狙いが決まれば後は真っ直ぐに
変なビームは飛翔とエアライドの力も使い
極力回避と固めた腕で防御をしながら
最短距離で一気に詰め寄ろう

殴れる距離まで近づけたらこっちのもの
金属ボディだろうが気にせずに
固めた拳でぶん殴ってやろう
ひしゃげる音を派手に響かせたいところだね

他にも残ってるならどんどん行こうか
まだまだ体力は余ってるからね


朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と

お伊勢さんから急行して来るよ
リオちゃんの言葉にそうだね、と頷き
きっちりいっぱい倒して村の人たちの不安を取り除きたいね

兄の視線に了解!と頷き
せーのでタイミングを合わせて一体ずつ叩くね
そんな感じで確実に敵の数を減らしていきたいよね
狙いを決めたら飛翔とエアライドで最短かつ確実なルートで接敵し
双翼魔弾を撃ち込むよ
リオちゃんが狙われていたら魔弾を撃ち込んで牽制する様にしたいね

敵の攻撃は、同様に飛翔とエアライドを活用して躱したり
下がって防ぎたいところね

うん、全部倒しちゃおうね
最終人類史の為にも今この時代を生きる人の為にも
クロノヴェーダは残さずやっつけちゃいたいもの


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

そういえば先に攻撃するって連絡があったね
Praetorianiγ'の1体が肩に乗り、
【パラドクス通信】の小型通信機を耳に当てられる形で通信
みんな士気たっかいなー。まあ、僕もだけれど
“魔槍”片手に、傍らの妖精などに語る
気持ちの良い笑顔を見れたし、もう一働きってね

田んぼね、りょーかいです
黒熊を仕舞い、妖精を引き連れ急行するよ
先行させた妖精が泥を喰らわせるなど悪戯を見舞ったところへ
よ、い、しょ!
特徴的なヒールによる一歩の距離が長く、瞬発力に富んだ戦闘機動が
素早く、鋭く。槍による【斬撃】を振るい。踊るように戦う

反撃に際しては量産型“魔槍”を射出、
迎撃し魚雷威力を減じる努力をするね


●ラストダンスと断末魔
 疾く、疾く、疾く。
 疾く翔け征き続けた朔・璃央(昊鏡・g00493)と朔・麗央(瑞鏡・g01286)は、翠玉と淡紅の視線を交わす。
 探索で出向いた伊勢神宮から、川辺の村までの距離はさほどなかった。故に、パラドクストレインを使わず、二人は天使と悪魔の翼で空の旅路を急いだのだ――おかげで、ウォーミングアップは十分だ。
「  」
「  」
 意思の疎通に要するのは、瞬きひとつ。然して四つの眼は、混戦の輪から外れかけの一体へと狙いを絞る。
 直後、中空に制止した麗央は黒から紅へと移ろう翼へ己が魔力を集約させた。そして空をかき抱くような羽搏きで、魔力の弾丸を放つ。
「また、新手――かっ」
 迫る不穏に気付いた天魔武者が空を仰ぐ。その反応の良さは、見事なものだ。しかし魔力弾に気を取られた彼は、降り来る魔力の影に紛れたもう一人に気付きそびれた。
「機械なんですよね?」
「!?」
 麗央の魔力弾から逃れようと、回避行動をとった撃水は、耳元で聞こえた聲に硬直する。
「なら、目じゃなくてセンサーに頼った方が良いんじゃないですか」
「貴様、何処から」
 天魔武者からは、確かに璃央は視得なかった。翼を畳んだ璃央が、虚空を足場に不規則な跳躍を繰り返し、死角を突いたのだ。
「上空からの襲撃に、飛翔は必ずしも必要じゃないということです」
 飛び込んだ零距離に、璃央は拳を固める。
 全身金属の相手だろうが、知ったことではない。むしろ純白の硬質化した腕には好都合というものだ――その力の出処が、かつて喰らった天使と悪魔にあるのは些か不本意ではあるが。
「ひ、ひぃ――」
「――憐れみを、わたしに」
 一撃必殺の一打に、撃水が怯む。だが璃央は微塵も容赦はせずに、アラートに明滅する顔面へ拳を叩き込んだ。
 硬質が硬質を砕く破砕音は甲高く、シンバルの音にも似て一帯へ響き渡る。その軽快な鐘の音は、家の中でじっとしている村人たちの耳にも届いたはずだ。
「やったねリオちゃ――」
 兄の戦果を妹が称えるのはいつものこと。なれどこの時ばかりは、麗央は終いまで口にすることなく、璃央の片腕を掴むと一気に空へと舞い上がった。
 一拍置いた後、璃央がいた場所を光の砲弾が掠める。
「っち、外したか」
 必中の一撃を躱された天魔武者が臍を噛む。が、苛立ち度合いは麗央の方が間違いなく大きい。
「今、リオちゃんを狙ったでしょ?」
 瞳を眇め、声からも抑揚を消し。静かに燃やした怒りを、麗央は魔力の弾丸へと換える。
「最終人類史の為にも、今この時代を生きる人の為にも――クロノヴェーダは残さずやっつけちゃわないとね」
 麗央は、己が渾身を編む。翼に集まる魔力量に、舌を打ったばかりの天魔武者が怯むほどの。
 斯くて麗央が放った一撃は、鋼の武者を文字通りのスクラップに変えた。
「ありがとう、レオ。かっこよかったよ」
「ううん、リオちゃんの方がかっこいい」
 何時だって麗央を守ってくれる璃央。でも兄を守りたい気持ちは、妹も同じ。そしていつもの会話に興じているようでも、双生の二人の意識は戦場を捉えている。
「村のお手伝いができなかった分をしっかりと挽回しないとね」
「そうだね、きっちりいっぱい倒して村の人たちの不安を取り除いちゃおう!」
 璃央と麗央、余力は十分。気力と覇気は、十二分。

 肩に乗せた黒のテディベアに小型通信機を押さえさせたロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は、「いいね、いいね」と満足を頷く。
 パラドクス通信で入って来る戦果は、後を絶たない。濛々とあがる土煙で濁った視野にも、天魔武者の数が減っているのが明らかなほどだ。
「みんな士気たっかいなー。まあ、僕もだけれど!」
 ご機嫌に語尾を遊ばせつつ、ロキシアは利き手で握った魔槍の切先で、鋼の屑へと変えたばかりの撃水を突く。
 からんころんと響く乾いた音色が、ロキシアの耳には心地よい。
 それにしても、とロキシアは戦況を振り返る。
 先んじた二人が撃水を誘導したのも、戦場を開墾したての田にしたのも、二重丸を超えて花丸な判断だ。
 そして情報共有は速やかな任務遂行の要。
「減点するとこさえないし」
 きゃるん。纏うゴシックな装いとは裏腹の明るさで満面の笑みを咲かせ、ロキシアは尖ったヒールで残骸を蹴飛ばす。
 村人たちの良い笑顔を見られたおかげで、久々のおさんどんの疲れもない。それどころか、底なしみたいに活力が湧いてくる。
「じゃあ、最後のもう一働き、いっちゃおうか!」
 踏み出すタイミングは、空の双子からの合図。魔力弾で追い立てられ、拳で撥ね飛ばされた天魔武者の落下地点はロキシアにとってのジャストポジション。
「全員揃ってる~?」
 肩のテディベアをポケットに仕舞い、代わりに喚んだ妖精たちとロキシアはとっておきを企む。
「それじゃ過激なイタズラ、いってみよう!」
 窓辺にミルクはなくても、ロキシアの求めにならば妖精たちは応える。それが悪戯へのお誘いならば、我先にと。
「っ、ぶはっ」
 小さな手がこねた泥団子を喰らった撃水が、破裂するみたいに息を吐く。
「――っ」
 そこへ水鉄砲を食らわせたのも妖精だ。そして最期を踏むのは、ロキシアの踵。
「よ、い、しょ!」
 ロキシアの身長を幾らも高くするヒールでホップ・ステップ・ジャンプ。鋭く跳ねて、リズミカルに舞って、狙いを定める。
「く、くそう! このままで、終わると思うなよ。この口惜しさ、必ず晴ら――」
「はいはい、喚びたければどうぞ。それもきっちり倒してあげるから♪」
 無駄に動かれないよう槍で頭部を穿ち、数えて十体目の撃水の胸部へ、ロキシアは全体重を乗せた踵を呉れた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【飛翔】がLV5になった!
【エアライド】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV2になった!

エトルリア・メイオール
連携、アドリブは歓迎だぜ

数は片付いたな!
ここからはド派手モードだぜ!

屋根や樹の上に潜んで敵が来るのを待ち伏せだ
敵を発見次第【パラドクス通信】で味方と情報共有しつつ上空から攻撃開始だ

敵はまだ水路が変わってることを知らねえはず、面食らってるところを空から不意打ちして一気に仕掛けるぜ

武器は銛を使うぜ
突風に乗せて加速した銛を敵にぶっ刺したら、鋼線を引いて敵を水路から引きずり出してやる

敵の動きを制限しつつ、竜巻の槍で立て続けに攻めるぜ
敵が寄らば退き、退けば引き寄せて最適な間合いを保ちつつ、敵を消耗させていくぜ

敵の攻撃に対しては暴風で逸らして、味方が攻め込むチャンスを作るぜ
派手に決めちまってくれ!


●炎の災厄、来たる
(「せっかくだから、見張り台も造っておけばよかったか」)
 撃水らの最期を、田圃からもっとも近い家の屋根から見守ったエトルリア・メイオール(ロストロード・g01211)は、薫風に新緑色の髪を、翼をそよがせる。
 土煙が収まりゆく視界は、まさに五月晴れ。ディアボロスの手により芽吹き、成長した緑が青々と耀いている。
(「けど、まだ終わりじゃねぇ」)
 ――ニカリ。
 エトルリアは口元だけで快活に笑む。
 数は、片付け終えた。残るは本丸のみ。
 負ける気はしなかった。だって村人たちの笑顔をたくさん見たから!
(「必ず勝って、あいつらをもっと笑わせてやるんだ」)
「!」
 決意と兆しのタイミングが重なったのは、ただの偶然だ。差異は、風が孕んだ僅かな熱。だが見過ごせないそれにエトルリアは四方へ視線を馳せる。
 今や水路は村の外周のみだが、その何処から“炎のバケモノ”が現れるか分からない。家々の裏手だったら、最悪だ。しかしその最悪にもエトルリアは応え得る。
「やっぱりか!」
 ちら、と見えた紅に、エトルリアは竜翼で空を叩く。碌でもないクロノヴェーダのことだ、人の気配に引かれるのは当然の帰結。だから炎の全容が明らかになるより早く、エトルリアは巨大な鯨をも仕留める超大型の銛を投じた。
「、よし」
 感じた手応えに、エトルリアは鋼線を一気に引く。
 そうして釣り上げられたのは、紅蓮に盛るマグマで出来たような巨大な鮫『鬼火』。
「なるほど、確かにこいつは炎のバケモノだぜっ――飛べ! 舞い上がれ! 竜の旋風!」
 鬼火の体躯が宙に浮いた機を逃さず、エトルリアは解放した風を司る竜の力に乗って、我が身を嵐に変える。
 火の粉ひとつ、眼下の屋根に落とすわけにはいかない。そして仲間たちが待つ戦場まで鬼火を送り届けるのがエトルリアの役目。
「吹っ飛んじまえっ」
 全力で体当たる。そこへ指向性を持たせた暴風を吹かす。分かり易い力技だ。なれど地に軸を持たない鬼火は、巨躯と炎を風に煽られた。

「派手に決めちまってくれ!」
 狙った通り、鬼火が田圃へ落ちたのを見届け、エトルリアは声を張る。
 鬼火は隙あらば水中へ戻ろうとするはずだ。それを許してしまえば、次こそは家々に――人々に被害が出るかもしれない。
 けれど撃水たちを瞬く間に一掃せしめたディアボロスならば必ず――。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV6になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!

ユート・チュールスキー
ルキウス(g07728と

厄介なのが来たね……
やっぱりトループス級とは格が違うな
僕はルキウスの補佐メインに動くよ
あれを倒せば村人達は助かるんだよね?
もう一息だよ、ペニュ
絶対に村を守ろう!

パラドクスで撹乱
水路の水を凍らせるの最優先
村人達の所へは行かせない!
可能なら同時に敵にも攻撃
体表温度を下げ視界を奪えばきっと水中へ逃げられにくいよね
これならルキウスの役に立てるかな

敵の反撃はエアライドとパラドクスで回避
躱しても熱を感じてゾッとする
でもこの局面で足手まといになる訳にはいかない

ルキウスの炎、すごい……!
でも彼の炎なら怖くない
結局また守られちゃったな
でも彼はすごく強いから足手まといだとも思わないだろうね


水蓮寺・颯
ありがとう、これで村の方や家屋に被害を出さずに済みますね。
鮫を見事打ち上げてくださった仲間の方へ首肯を返し、目の前の鬼火へと向き直る。
ようやく皆さんに希望が戻ってきたんです。もう二度と、悲しい顔をさせはしません。

読み上げる間の時間はきっと、仲間が稼いでくれるはず。
数珠を鳴らし、本を開く。
『其は――』
鮫から分離した炎の塊が袖を、頬を焼き、一瞬身が竦む。村を、父を焼かれた日のことを思い出す。
でも、だからこそ。
この村は、あの子の家族は、僕が守ってみせます…!
碾け、『宗定喜代松』!

この田畑が黄金に染まるころには、絶望も、恐怖も、僕たちのことも……全て忘れられることを祈って。


(アドリブ・連携 歓迎です)


朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と

この時代にあんなビジュアルの敵がいるのって意外だね
そうだね、確かに天魔武者……ではなさそう

兄が言う「鼻っ面を殴るのがいい」という言葉に
へぇ、そうなんだ!リオちゃん物知りだね、と頷く
了解だよ、一点を一緒に狙っていけばいいんだね

リオちゃんみたいに殴る術は持っていないから
ペネトレイトレーザーをリオちゃんが接敵するのと同時に放つね
エアライドと飛翔を活用しつつ近づき
撃っては下がり、また撃つの繰り返しでダメージを与えたいところね

燃える牙で噛みつかれるのは厄介ね
敵の反撃は攻撃と同様にエアライドと飛翔を活用しつつ躱したいな

正しい四季の移ろいを感じたいもの
あついのはまだ早いよ


朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と

おや、鮫映画で主役みたいなのが出て来たね
あれは流石に天魔武者とは別かなぁ
何の因果でごうごうと燃え盛ってるかは知らないけれども
頭も身体も冷やしてあげないとね

サメは鼻っ面を殴るのが良いらしいよ
丁度正面ど真ん中で狙いどころだしね
あそこを狙おうと意思を交わして
そうと決まれば即決即断だね

炎の熱さは一時のものだと我慢のこころで
一撃離脱を心掛けて一気に詰めよう
迫る牙はよく見て、エアライドも使って回避を狙い
返す刃は固めた拳のプレゼントだね
爆ぜる勢いも利用してそのまま距離を取ろうか

ふぅ、やっぱり季節外れの猛暑はこりごりだよ
次に訪れる平和な夏の暑さを
存分に堪能してもらいたいものだね


三苫・麻緒
もう一個の元凶も無事発見っと
残念だけどおいしいフカヒレは取れそうにないし、さっさと消火しちゃおう
人は災害を乗り越える生き物だし、ここでいい踏み台になってもらうよ

水の中に戻ろうとするらしいけど、そうはいかないからね
≪高速詠唱≫で攻撃と攻撃の間の時間を短縮
化け鮫を翼で素早く縫い留めて動けないようにするよ
クロノヴェーダが血を流すか微妙なところだけど、血の匂いで感覚を狂わせることができたら儲けものだね
狂ったところをまた翼で刺して、最終的に刺身にしちゃおうね
…表面が燃えてるから鮫のたたき?

反撃の炎は一応口の方向に注意して位置取りをして、がっつり直撃を貰うのは回避
避け切れなかった分は加護の力で耐えるね


無堂・理央
残るは指揮官と言うか鮫だけだね。
しっかりと地面に沈めて村の人達を安心させよっか。


引き続き無双馬『クロフサ』に騎乗して敵を討つよ。
今回は珍しく?メイスを取り出し、パラドクスでメイスに破邪の炎を宿す。
敵の攻撃は炎を宿らせた歯らしいし、そのまま咬みついてくるだろうね。
なので、クロフサを走らせて正面から受けて立つ!
敵が咬みつく為に口を広げたら、口の中目掛けてメイスを叩き込む!
身体の表面が見事なまでに燃え上がってるなら、体の中も同じように見事に燃え上がらせたげる!


ルキウス・ドゥラメンテ
ユート(g08952)と

これが噂の化け物か
民を苦しめた報いは高くつくぞ、化け魚

水に潜られると厄介だが、そこはユートが何とかしてくれるだろう
彼のおかげで俺は蹂躙に専念出来る

炎を操る敵だと聞いている
俺にも少々心得がある
貴様の得意な火炎使いで正々堂々勝負してやろう
パラドクスで敵を囲い込む様に炎の障壁を展開
敵の炎で周りへの被害の出ぬ様に
無論、ユートとペニュにも火の粉のひとつ降り掛からせまい
俺への反撃は上等だ
剣に炎を纏わせて真正面から受けて捨て身の一撃を返す
…ふん、随分と温い炎だ
だが焼かれて死んだ者らにはそうは言えまい
仇は討とう
消し炭にしてやる、地獄で悔いろ


ラヴィデ・ローズ
この機を逃す手はないな
抜かりなく、連携して畳み掛けよう

手傷は織り込み済。喰らい付いてくるなら歓迎だとも
牙も炎も鮫肌も構わず断つ意気を込め
『レゼル(長剣)』にて呪炎を纏う一撃を
どうだい? オレの味は気に入ってくれたかな
仮に鍔迫り合い状態になったとしても
その隙に仲間が決めてくれれば問題ないね

時代の所為だからと諦めた顔を、数え切れぬほど見てきた
平穏を踏み躙る行いを許せはしない
――なんて
口に出さぬ代わり剣に乗せる

水路は勿論、村へは飛び込ませぬよう敵の進路に注意
必要とあらば【飛翔】の速度も活かし、カットする動きを取ろう

はあ
魚肉にでもなってくれれば村の役にも立ったんだが
残念だね。キミはお役御免ってわけだ


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

――勿論。大一番、ここで仕留める
きみが最後に焼くものは、己の業とその身だよ
“魔槍”を手に【防衛ライン】を展開、
味方の策と合わせ十重二十重に水へ戻らせないよう阻む

大凡味方の戦い方は頭に入れてる
軽快な戦闘機動はそのままに、あまり動かない人の攻撃に続くよう動く
敵の狙いが集中しないようにね
一番怖いのは、また村が襲われること……だから!
牙や炎であっても、鮫が沢山来ようと!
Moon-Childを両脚に集中・活性化させ急加速する【ダッシュ】で
障壁を展開、槍による突撃で貫く!
……恐れはしない!

反撃に際しては槍を回転させるなどして威力を減じるよう努力
もっと苦しんだ人々に比べたら!こんなもの!


●大一番
 びたん、と尾鰭で土を叩いた巨大鱶――鬼火が大きく跳ねた。そして中空で身を翻す。
「行かせないよ」
 水路に戻る気だ。即座にそう判断したロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は、槍型決戦兵器“魔槍”を握る手首を返した。
「――大一番、ここで必ず仕留める」
 かのゲイ・ボルグを可能な限り模した魔槍の切先を、地に突き立てる。すると目に見えない壁に行く手を阻まれたように、鬼火が再び田圃へ落ちた。
「きみが最後に焼くものは、己の業とその身だよ」
 僅かに頬を紅潮させたロキシアの、赤い瞳の奥がいたずらっぽく光る。魔槍を基軸に防衛ラインを展開し、鬼火の退路を断ったのだ。
「ありがとうございます」
 大鮫を寄越してくれたエトルリアと、出鼻を挫いてくれたロキシアへ、水蓮寺・颯(灼がて白く・g08972)は首肯で礼を告げる。
 これで村人や家屋に被害が出る確率は、限りなく低くなった。
(「防衛ラインの維持はおおよそ一分」)
 狂ったように幾度も跳ね、炎を吹き上げる威容へ颯は正対する。届く熱波に、颯の肌もちりりと焙られた。
 しかし颯の視線は揺れない。この場に鬼火を留めておけるのは、短い時間だと分かっているのに。
「ようやく皆さんに希望が戻ってきたんです。もう二度と、悲しい顔をさせはしません」
「その通りっ!」
 颯には“続く”確信があった。言い換えるなら、ディアボロス達が鬼火の自由を許すはずがないと知っていた。
 事実、一番槍と化した三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)が空から真っ逆さまに降って来る。
「このまま縫い留めちゃうよっ」
 ミントグリーンの風を連れた麻緒は、鬼火の総身を俯瞰し、目を眇めた。
(「――よし」)
「ちくっとする、じゃ済まないからね! お覚悟ー!」
 狙いを定めるのは一瞬。高速の詠唱にて力を顕現させるのも一瞬。
 清風色の魔力翼の一端が、ぐんっと伸びる。鋭い刃にも、槍にも似たそれは、巨大鱶の鰭の付け根を穿つ。
 どこを狙うのが最適解かは分からない。が、空を飛ぶ機械類なら尾翼の損傷は致命的だ。
「取り敢えず、上手く跳ねられなくなりますようにっ!」
 軽快な祈念と共に、麻緒は翼を通して鬼火へ魔力を注ぐ。一気に流し込まれた異質なそれに、大鮫は雷に打たれたように身を痺れさせ、尾鰭を萎れさせた。

●水端
「あれを倒せば、村人たちは助かるんだよね?」
 ごくりと喉を鳴らしたユート・チュールスキー(氷晶・g08952)の、ダンジョンペンギンのペニュを抱く腕にも力が入る。
 身の丈もそうだが、アヴァタール級である鬼火は、存在そのものがトループス級とは一線を画している――そのことを肌で実感したのだ。
 とはいえ尻込んではいられない。
「あともう一息だよ、ペニュ」
 絶対に村を守る。その一心でユートは巨大鱶の横をすり抜けると、水路を前にペニュを傍らへ下ろす。
「よく見てて」
 空いた手に、ユートは銀の長杖を握り締めた。
(「村人たちの元へは、行かせないよ」)
 思いを込めた一振りに、水面に氷塊が生まれる。フリーセル――ユートのクオータースタッフが持つ錬成能力の発現だ。そして伸縮自在なフリーセルは、ペニュも使うことができる。
「ペニュ、覚えた?」
「ユート、構えろ」
 杖をペニュへと託そうとしたユートは、ルキウス・ドゥラメンテ(荊棘卿・g07728)の声に振り返った。けれど緑の双眸が驚きに瞠られることはない。
 水路を目指すためとはいえ、直ぐ近くを駆けたのだ。鬼火が襲い掛かって来ないはずがないことを、ユートも理解していた。
(「また頼っちゃった」)
 接敵を遅らせようと立ちはだかってくれたのだろうルキウスの姿を視界の端に、ユートは唇を噛み締める。
 経験がルキウスに及ばないのは事実だ。
(「けど、僕だってルキウスの為に出来ることがある――」)
「十重二十重に、夜の帳と積もる雪。風よ凍れ、雪よ吹雪け」
 杖を介しペニュと繋がったユートは、戦場へ雪を降らす。敵の動きを鈍らせ、徐々に生命力を奪う雪だ。同時に雪景色は鬼火の視界を暗い暗い夜の闇へ変える。
 離した杖をペニュへ渡し、ユートは虚空を蹴って空を跳ねた。直後、開いた紅蓮の大口が、ユートの腕を掠める。
 直撃を回避してなお、焼け爛れるような痛みにユートは慄く。だが、成し得た成果も小さくはない。
 降らせた雪に、水面もうっすら白む。下がった温度は水の香を消し、鬼火の嗅覚を幾らか惑わせるだろう。そして覆った闇に巨大鮫の視覚はしばらく儘ならない。
(「この局面で足手まといになる訳にはいかない」)
「見事だ」
「っ、ルキウス!」
 確信を持てずにいた首尾をルキウスに賛えられ、ようやくユートの顔が輝く。となれば今度はルキウスが魅せる番だ。
(「これが噂の化け物か」)
 村人たちの訴えを思い出し、ルキウスは「っは」と短く棘を孕んだ笑い声をあげる。
「民を苦しめた報いは高くつくぞ、化け魚――そう熱くなるな」
 刹那、ルキウスは直立のまま炎の障壁を前面へと展開させた。
「お前も炎を操るのだろう? 俺にも少々心得があってな」
 口元に先ほどの笑いの余韻を残し、ルキウスは鬼火をけしかける。炎使い同士、正々堂々と真っ向勝負を挑んでやっているのだ、と。
「どうした、来ぬのか?」
 人語を解したかどうかは定かではないが、鬼火が炎の障壁ごとルキウスを噛み砕かんと大口を開ける。
 ぶつかり合う炎に、夥しい火の粉が弾け飛ぶ。そこへルキウスはさらに一歩、踏み入る。
「……ふん、随分と温い炎だ」
 掲げた腕は、炎の牙へ呉れてやった。激しい痛みは、丸ごと持っていかれたのでなければ、ルキウスにとっては些事に過ぎない。
「だが焼かれて死んだ者らにはそうは言えまい」
 銀の髪を紅蓮に染めて、ルキウスは死を経験した者特有の膚に血色を刷いて、黒き茨を纏う剣を片手で薙いだ。
「消し炭にしてやる」
 苦悶の内に息絶えるしかなかったろう、顔も知らぬ村人たちの仇を討つと決めていたルキウスだ。剣閃は鋭く重く――熱い。
「地獄で悔いろ」
 炎の蕾をつけた刃を、ルキウスは全身を使って鬼火の喉へ捻じ込む。そこで開花した大輪の薔薇は、巨大鱶の内側で爆ぜた。
「……すご、い」
 間近で見たルキウスの妙技に、ユートは感嘆を洩らす。無数に散った火の粉がユートには僅かも届かなかったのも、ルキウスが炎を御した結果だろう。
「また守られちゃったな」
 鬼火のものとは異なり、ルキウスが未だ纏う炎は輝かしいばかり。その鮮やかさにユートは目を細めた。
 そして間合いを取り直したルキウスもまた、同じような眼差しをユートへ向ける。
「ナイスアイディアだよ!」
 水路への対策を考えていたラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)の称賛も、
「ぐっじょぶ!」
 空から鬼火の動向を見張る麻緒の労いも、ユートへ贈られたものだ。
「胸を張れ、ユート。お前がいるから俺も蹂躙に専念できる」
 出来る事は、其々に。役目もまた、各々に。

●正念場
 尾鰭の推進力を早くに奪われ、視野にも阻害を受けた鬼火との戦況は、ディアボロス側スへ大いに傾いている。
 なれどアヴァタール級と対峙して、歴戦の復讐者たちも無傷ではいられない。
「折っても折っても生えて来る歯って、本当に厄介だよ、ねぇっ」
 今にも我が身に突き立てられそうな鬼火の歯を至近距離に見つめるラヴィデは、全身から暑さと緊張感が綯い交ぜになった汗を拭き出させる。
 気紛れな女王様――ミニドラゴンが状況の打開を目論み、大鮫の口の中で暴れているが、変化の兆しはない。
 つまり噛み砕こうとするら鬼火と、そうはさせまいと剣で閉口を遮るラヴィデの力は、大いに拮抗しているということ。
 唾液のように落ちる炎礫に、ラヴィデの肌が焼ける。爛れ落ちないのは、ガードアップの恩恵に与っているおかげだ。
 でも、それもラヴィデの“読み”の内。
(「――許さないよ?」)
 時代の所為だから、と。慰めにもならない言葉で諦めた顔を、ラヴィデは幾つ見たか覚えていない。
 諦めさせたくはなかった。しかし手を行き届かせることも出来なかった。されどそれらは既に過去。
(「平穏を踏み躙る行いを許しはしない」)
「勝つよ」
 抱えた想いは口に出さず、未来を引き寄せる気勢を吐いて、ラヴィデは剣に呪炎を纏わせた。
 糧と捧げたのは自らの生気。つまり一刀の後に、鬼火との力比べにラヴィデが敗北するのは決定事項だ。
 でもここは正念場。出し惜しみは、あり得ない。それに――。
「別に、オレじゃなくてもいいんだよ」
 生き物めいた蠕動を始めた剣――レゼルに、ラヴィデは竜翼の羽搏きを合わせる。そして半ば無理やりの力技で、ラヴィデはレゼルを押し込み、鬼火の上顎を斬り裂く。
 ぎりぎりで保たれていたバランスが、ついに崩れた。傷つきはすれども、戦闘不能に陥ったわけでもない鬼火がラヴィデへ牙を振り下ろす――かに見えた時。
「この一撃、耐えれる?」
 無双馬『クロフサ』の足音を高く響かせ、無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)が肉薄する。
 理央が手にした得物は、本人としても珍しさを覚えるメイスだ。
「指揮官が鮫ってのも、可笑しな展開だよね」
 零距離までクロフサを駆けさせながら、理央は金属製のメイスの頭部へ破邪の炎を灯す。
「でも鬼火を倒したら、今度こそお終い。村の人たちは安心できる!」
 ゆるく結った黒髪をなびかせた理央は、熱の坩堝へ果敢に踊り入る。
 ラヴィデが作った好機を無駄にするつもりはない。繰り出すのは、全身の筋肉をしなやかに撓らせた、渾身の一打。
「身体の表面が見事なまでに燃え上がってるなら、」
 人馬一体となった理央の突撃は、ある意味、超巨大な砲弾。その加速までを味方につけたフルスウィングが生み出すエネルギー量は絶大だ。
「体の中も同じように見事に燃え上がらせたげる!」
 閉じかけの口を、下から掬い上げるように打つ。
 帯びた炎で質量を増したメイスは、厚い肉を破って鬼火の口内に清らかな火を灯し、その巨体を盛大にカチ上げる。
 重力に逆らい、大鮫が吹っ飛ぶ。土煙を高く上げて地に沈んだ鬼火が、すぐに反転攻勢に出ないのは、それだけのダメージを喰らったということだ。
「大丈夫?」
 馬上から手を伸べた理央の心配に、二者の激突に乗じて窮地を脱したラヴィデはにっこりと笑う。
「平気、問題ないよ――けどあの様子じゃ、うっかり魚肉になれても、焼け焦げちゃって村の役には立ちそうにもないね」
 緩い冗句で、ラヴィデは無事を示す。概ね想定内の展開だ。唯一の誤算は、続いた麻緒の威勢。
「そうだよね、美味しいフカヒレでも取れればよかったのに!」
 腹ペコ少女は、いつだって健在。『魚肉』に食いつき、勢いを増す。
「仕方ないから、翼で捌いて刺身にしちゃおう。あれ? 炙ってあるから鮫のたたき?」
 魔力翼を鋭く尖らせる麻緒の思案に、理央とラヴィデは口を揃える。どっちにしてもあんまり美味しそうじゃないよ、と。
「それもそうだね! じゃあ、ここで村のみんなの為の踏み台になってもらおう」
 人は災害を乗り越え、強さを得る生き物だ。
 水の災厄は既に葬った。残るは災厄いだけ。
 麻緒が伸ばしたミントグリーンの銛は、ひっくり返った鬼火の腹を穿った。

●決着
 頬に感じた敵愾心に、朔・璃央(昊鏡・g00493)は白い天使の翼を、目隠しするように前へと広げる。
(「狙いは俺じゃない」)
 幾度でも生え変わる歯に炎を燃やし、肉薄する巨大鱶が意識を注いでいるのは、璃央の双子の妹である朔・麗央(瑞鏡・g01286)の方だ。
 常に共に在るから、二人一緒に攻撃対象にされるのはよくあること。そのような中で、どちらへ向いた狙いなのか判じることが出来るのは、璃央が誰より麗央を案じている――溺愛ともいう――からに他ならない。
「レオっ」
 突き飛ばすのではなく、手を引いて。真白の内に麗央を巻き込み、璃央は後方へ跳びながら鬼火の殺意を受け止めた。
(「熱いのは一瞬だけ」)
 直撃のタイミングをずらしたおかげで、被害は翼の一面を焼かれたに終わる。
「リオちゃん!」
 翼を空へ舞わせ熱と炎を払った璃央は、麗央の不安と立腹が綯い交ぜになった声へ、余裕を笑み返す。
「さっきのお礼」
「ん、もう。私はリオちゃんが怪我するのも嫌なの!」
 攻撃のために詰めていた間合いを、麗央主導で双生の二人は取り直そうと、それぞれの翼で高く舞う。
 しかし飛んでなお、麗央の心配度数が減じないようなので、璃央は話題を切り替える。
「そういえばさ。あれ、鮫映画の主役みたいだよね」
 怪我の話題はここまで――明確に示された璃央の意図に、麗央は小さく息を吐いて、表情を和ませた。
「そうだね。この時代にあんなビジュアルの敵がいるのって意外だなって思ってた」
「あれは流石に天魔武者とは別かなぁ」
 兄の推測に、妹も「確かに」と頷く。
 機械生命体には見えない鬼火が、天魔武者ではないのは明らかだ。だとするならば、種としては妖怪に類するだろう。
「妖怪って、忌み嫌われるほど強くなるんだったよね?」
「ここにはうってつけだ」
 麗央が記憶から攫った知識に、璃央は想像に容易い村人たちの窮状を思い、眉間に皺を寄せる。
「――じゃあ、また鼻っ面を殴りに行こうか」
 眼下に燃える鬼火を見て、璃央は一度解いた拳を固め直す。
「サメは鼻の頭を叩くのがいいんだよね」
 先ほど璃央から授けられた豆知識に、麗央はくふふと笑う。
 鬼火の弱点が、現実の鮫と同じとは限らない。が、攻撃を一点へ集中させるのは有効だ。おかげで炎の巨大鱶の顔面は、すっかりずたぼろである。
「燃え続けてたら、暑いだろうし。さっさと頭と身体も冷やしてあげないとね」
 身を翻した璃央が、翼を畳んで空を滑り征く。
「道を作るよ!」
 璃央のように、直接『殴る』術を持たない麗央は、そろそろ夕刻が近くなってきた日差しの指向性を認識し、それの意図的な操作を試みた。
「今度はリオちゃんに触らせもしないんだから――」
 光を編んで、魔力の光線へと変え、真っ直ぐに迸らせる。
 この日、何度目かの策だが、その分だけ精度が上がっている自信が麗央にはあった。そして麗央の思惑通り、璃央へ最短ルートを示した光は、鬼火の鼻っ面を見事に貫く。
 被った苦痛に、鬼火が身悶える。なれど璃央の接敵は、鮫の頭部位置がブレるより早い。
「――爆ぜろッ!」
 珍しく直情的な気勢を吐いて、璃央は天使と悪魔の力を凝縮させた拳で、麗央に灼かれたばかりの鼻っ面をしたたかに殴りつける。
 手応えは十分だった。そして璃央が思い描いた通り、鬼火の顔面が爆ぜる。

 ――グォァアアァアア!!

 頭部を激しく損傷した巨大鱶が、初めての苦痛を吼えた。いや、吼えざるを得なかった。それは生体としての咆哮というより、魂での絶叫。
「!?」
「そのままで」
 思考を失くした鬼火が、文字通り暴れ狂う。その熱を近くに感じた颯が、手にした和綴じ本から顔を上げかけるも、その目が文字から離れる前にロキシアが制す。
「大丈夫、続けて」
 この地に集ったディアボロス達の戦い方のおおよそを、ロキシアは把握している。
(「この人の次の一撃が、トドメになる」)
 背中に颯を守ったロキシアは、確信を胸に、回転させた魔槍を仮初めの盾として、鬼火が無数に散らした炎の小鮫たちを凌ぐ。
 今際の際の渾身なのだろう、ガードアップが機能していても、ロキシアは自分まで炎になったような心地を味わう。
(「けど、もっと苦しんだ人々に比べたら! こんなもの!!」)
 尖ったヒールを地面へめり込ませ、ロキシアは熱と圧に耐える。それに気掛かりなのは、せっかくの華やかな装いが傷むことの方。
「やられたら――」
 黒を甘く縁どる白いレースを焦がされたのを視界の端に、ロキシアは意識下にあるナノマシン流動体――Moon-Childを両足へ集中させ、脚力の強化を図る。
「――やりかえすだけ! 怖れを知る者にこそ、勇気ある戦いを!」
 踏み出しは、力強く。
 長いヒールで抉り出した土を蹴り上げ、着いた爪先で身体を前へ押し出し。50mを一息に駆け抜ける加速で、ロキシアは鍔ぜり合う鬼火を圧し凌ぐ。
 零距離の炎は、熱いを超えて、痛い。
 体表の水分という水分が蒸発するようだ。それでもロキシアは赤い円らな瞳を大きく瞠った。
(「……恐れはしない!」)
 顔のへしゃげた鮫を見据えて、穿つべき最良を見抜く。
 然して魚雷も斯くやの勢いで鬼火に迫ったロキシアは、ぐずぐずの肉の最奥へと矛先を突き立てた。

 ――グォァ、……アア、ア!

「其は嘗て不老の薬師が用いし薬研」
 途切れがちになった鬼火の呻きを耳に、颯は急く心地を抑えて、数珠を鳴らし、和綴じ本を読み進める。
 読み上げが必要となる術だ。要する時間は、仲間が稼いでくれると信じていたし、実際に稼いでもらった。
 幕引きを託されたのも分かっている。ともすれば気負いに力みそうだ。そんな時こそ、過去となってしまった日のことを思い出す。
 ――搾取されるだけの集落の、心の支えとして生きてきた。
 ――そのために学び、そのために力を得た。
 だというのに、村は、父は、焼かれてしまった。
(「だから、こそ」)
 肌で感じる炎の熱に、颯の身体は本能的に竦みそうになる。その臆病風と颯は、強い想いと願いで捻じ伏せた。
「今ひとたび目を醒まし、その呪禍を示し給え」
(「この村は、あの子の家族は、僕が守ってみせます……!」)
「碾け、『宗定喜代松』!」
 『永代御預品目録』十三頁二項。
 とある寺にて蔵匿されし薬研の凶禍を顕現させる御業。
(「善なる魂持つ者の傷を癒し、悪しき魂を持つ者は微塵に碾き裂き給え」)
 ひとつ、またひとつと数珠を手繰って、颯は刃なき力で鬼火を千々に裂く。
 徐々に小さく割れゆく炎の礫は、さながら花火にも似て。
 そうして夕刻迫る地にさいた赤い大輪は、断末魔さえ残せずに散り逝った。

●忘却を願う
 夜の気配を密かに連れる風が、再び静寂を取り戻した田圃を撫でる。
 ようやくの人心地に璃央は、妹と揃いの長さの髪を背へ流す。
「ふぅ、やっぱり季節外れの猛暑はこりごりだよ」
「本当! あついのはまだ早いよ」
 兄の額をびっしり埋める汗を見止めた麗央は、ハンカチを手渡してから、四方を見渡す。
 熱の余韻に香りを濃くしているが、茂らせたばかりの緑は無事だ。これならば、豊かな実りをこの村へもたらすだろう。
「やっぱり正しい四季の移ろいを感じて欲しいよね」
「だね。次に訪れる平和な夏の暑さを、存分に堪能してもらいたい」
 手庇で麗央が見ているのは、状況を察して家々から出て来た村人たちだ。口々から上げているのだろう歓声も、聞えて来る。
(「この田畑が黄金に染まるころには」)
 ヒルコとして生まれ落ちながら、贄として終わることもなく、故郷の礎ともなれなかった颯は、村人たちの歓喜に目を細めながら、ひっそりと祈る。
(「絶望も、恐怖も、僕たちのことも……全て忘れられますように」)
 ディアボロスの介入を、ディヴィジョンの人々が記憶に留めることはほぼない。けれどそれで良いと颯は思う。
(「憂虞の日々を忘れて、幸せな日々を生きてください」)
 ――あなた達が忘れても、僕が憶えていますから。
 握り飯に破顔した少女の姿を脳裏に描いた颯は、西へ傾く太陽へ手を合わせた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV3になった!
【照明】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV5になった!
【リザレクション】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2023年05月14日