聖なる教会と呪われたお屋敷(作者 baron
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#幻想竜域キングアーサー  #ロンドンのドラゴン信仰を打ち砕け  #ロンドン 

「ロンドンに調査に向かったディアボロスから、興味深い報告があった。現在のロンドン市内には、ドラゴンや竜鱗兵の姿が無く、一般人の『司祭』が『教区』の管理を任され、同じ一般人の住民にドラゴンへの信仰心を植え付けているようなのだ」
 アウグスト・エステルブリッツ(人間の思想家・g08506)が説明を始めた。
「目的は不明だが、ドラゴンが、なんらかの実験の為に行っている可能性が高いだろう。さて、この情報を踏まえ攻略旅団から『ロンドンのドラゴン信仰を打ち砕く』という方針が示された。皆には、この方針に従い、ロンドンの『教区』の一つに潜入し、住民の信仰を打ち砕く活動を行って欲しい」
 ロンドンの信仰を打ち砕く事に成功すれば、ドラゴンの目論見の一つを阻止する事が出来るだろう。
 アウグストはそう言いながら、重要な事を説明する。
「問題なのはディアボロスがロンドンに潜入して活動している事が露見すれば、ドラゴン側も対策を始めることだ。可能な限り、ディアボロスの関与が疑われないように活動を行って欲しい。簡単に言うと、パラドクスやその残留効果を出来るだけ使用しないという事だな」
 要するにパラドクスを使えば、そこにディアボロスが居るという証左になる。
 失敗したならば中断する可能性があるが、ディアボロスが邪魔したならば有効だと考える可能性があるからである。

「今回、皆に潜入して貰いたいのはロンドンの『教区』の一つで、『唄う屋敷』のある場所だ。もっとも……唄うと言っても多くは遠吠えの類だがな。担当司祭はカーマイケルという男だ」
 そう言ってアウグストは教区のある盆地状のエリアを示した。
 そこは周囲の建物などですり鉢状になっており、町の中心には大きな屋敷が鎮座している。
 そして教会は街の南側に位置しており、少し小高い場所に立っているのだという。
「現地で起こっている事件は、クロノヴェーダが関わっていない事もあり、詳細な情報は実際に『教区』に潜入して収集して欲しい。情報を得る事が出来たら、あとは、その情報を元に住民の信仰を打ち砕く準備を行う事になる。当然ながら『教区』の信仰は『司祭』が中心となっているので、『司祭』の不正や悪事を暴く事が出来れば、信仰を打ち砕く事が出来るだろう」
 ただ、不正や悪事の証拠を掴むだけで無く、それを、住民に納得させるための手段も重要になる筈だ。
 水掛け論になった場合、当たり前ながら住民の多くは、これまでの信頼関係から『司祭』を支持する可能性が高い。
 そうさせないだけの決定的な証拠を用意する必要があるだろう。
「繰り返すが目的は、信仰を打ち砕く事だ。司祭を罠に嵌めたり、証拠を捏造するなどの行為も可能だが、不正が露見してしまうと、一気に信頼を失ってしまうので、多用は禁物だろう。やるなら一度だけ、見つからないようにするべきだな」
 そして今回の事件では、可能な限り『パラドクス』『残留効果』を使用しないように心がけて欲しいと繰り返した。

「ロンドン市民に必要な食料などは、司祭を仲介して教区に運ばれており、司祭の権威の一つになっているようだな。即物的な話だが、生きることは戦いである。それを助けてくれるのだから、信仰以前に信頼関係があると言っても良い。ゆえに教区の中では、司祭が大きな権限を持っており、教区のルールをいろいろと用意しているようだ。例えば河で活躍する漁師から魚を徴収し、それも炊き出しに加えて、金持ちから金をせびっているなどな」
 アウグストはその関係性に一定の理解を示した。
 たとえ偽善でもしないよりはマシだし、圧政で力を得るよりは健全だからである。
 だがそれで世界を歪めている事を見過ごせなどしないのだが。そういった点で、偽りの平穏を崩そうとも、彼がこの点で誰かを咎めることはない。むしろ、その勇気を讃えるであろう。ましてや司祭は権力や信頼関係を利用し、自分たちの名声を高めるために使っているのも問題だろう。
「また教区間の住民の移動については、司祭が許せば認められているようだ。今回潜入する教区においては、一定の数の転入者も転出者もいる為、転入者を装って侵入する事も可能だろう。何しろ呪われた屋敷があり、それを沈めている司祭が居るくらいだからな」
 移動の許可などを司祭に取れば、町に移住することは簡単だ。
 また、問題の屋敷を見学に行ったりすることも、護衛を兼ねた監視が付くかもしれないが、許可されやすいという。
 なんといっても現地では呪われた屋敷が唄う光景が偶に置き、司祭が清めると静まるというのだから、許可が出似合訳ではないのだ。
「面倒な事件かもしれんが、お前たちならばやり遂げられると確信している。任せたぞ」
 アウグストはそんな風に激励するのであった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【熱波の支配者】
10
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【光学迷彩】
3
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。

効果2

【ダメージアップ】LV4 / 【反撃アップ】LV5(最大) / 【アヴォイド】LV3

●マスターより

baron
baronと申します、よろしくお願いしますね。
今回はロンドンで謎を解き、マッチポンプを解いて解決する話となります。

①状況を確認する。
何故、こんな事が起きているのかを確認します。
この選択肢は普通にクリアできますが、推理物などが好きな方の為に若干です人数が多くても採用いたします。

②マッチポンプを暴き立てる。
ドラゴンの力をバックにした権力、呪われた屋敷を鎮めているという評判を用いて、あちこちから物資や金を徴収して居ます。
ドラゴン経由で送られてくる物資にそれも加えて、評判を高めているようです。
これらを暴いて評判を落とすのも良いでしょう。もちろん、この間に証拠を集めたり仲間と相談するのも良いでしょう。

③事件を解決する。
基本的にはそれほど難しい謎ではありません。
どちらかといえば、カーマイケル司祭を断罪する説得力の方でしょうか。

④情報を聞き出す。
信仰心を蓄えるクロノオブジェクトがあるかを調べます。
この選択肢は他のシナリオでクリアさされているなどと言う場合は、無理にクリアする必要はありません。
また、①②③のどれかと並行して多なう事も可能でしょう。

繰り返しますが、パラドクスの使用は避けた方が賢明と思われます。
ただし、ディアボロスの基本能力である、なんとなく単語の意味を理解したり、違和感が無くなる力は使って問題ありません。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


光道・翔一
アドリブ、連携歓迎

案内人の助言に従い、必要なら服装を現地に合わせ、転入者を装い教区内へ

…思惑あってとはいえ、マジでクロノヴェーダの影一つないんだな。
…まぁ敵の息がかかってるのは何時も通り、さらにそれとは関係なしに問題がありげな様子だ。
目論み潰しも含めて、早速対処にかかるか。

…教区のルール作りは司祭が主導してるんだったな?
ならその辺を聞き回ってみるか。

住民への挨拶や生活についての聞き回りを装って、
不自然に見えない程度に司祭の人となりや教区内のルール(具体的な用例や傾向)について情報を集めるか

そこを糸口に何か噂話が無いか聞き出したり、できれば実際にルールが用いられている現場に立ち会いたい所だ



「ここか」
 光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)は素朴な装いで教会を見上げた。
 盆地状になった教区の南側、川辺にその教会は立っている。
(「……思惑あってとはいえ、マジでクロノヴェーダの影一つないんだな」)
 翔一は転入してきたフリをして、この教区に訪れていた。
 その過程で一度もクロノヴェーダの蠢動を感じた覚えはない。
(「……まぁ敵の息がかかってるのは何時も通りか。さらにそれとは関係なしに問題がありげな様子だな」)
 翔一は教会の向こうから流れて来る霧に苦笑を浮かべた。
 イギリスで霧は珍しくないと言うが、川霧が通る道はこの教会がイの一番になる。
 どう見ても悪の拠点にしか見えない。理由や手段はどうあれ、その目論みを潰さねばなるまい。
(「……教区のルール作りは司祭が主導してるんだったな? ならその辺を聞き回ってみるか」)
 全てのルールを司祭が取り決める以上は、挨拶するのも当然だ。
 もちろん素知らぬ顔も出来るが、地域の顔役のトップが司祭である以上は、才覚のある人間は必ず通る道だろう。他の顔役の元で働いて『あいつは知らんぞ何者だ』と言われたら、因縁を付けられるだけでは済まないのだから。

 ゆえに翔一の行動を誰も咎めなどしない。
 警戒するなら襲い掛かるかどうかの問題であろう。そして翔一はそんな真似をする気などない。
「へえ。この辺りに漁師の頭目が居るんだ。それと取水場も」
「ああ。荷運びならそこがお勧めだぜ。カーマイケル司祭の口利きならまず雇ってもらえる」
 翔一は司祭に挨拶した後、そのまま働き口を教えてもらった。
 仕事にはいろいろあるのだが、教会が魚やら水の権利を一部をピンハネしているらしい。
 この土地はすり鉢状になっており、一番低い位置にある『呪われた屋敷』にしか井戸が無いのも、大きな利権になっているとか。
(「金の源泉を抑えるのは権力者の定番だな。井戸を使わせない為なら呪いの一つもでっちあげるだろう……動機は二重三重にあるか」)
 翔一は司祭が利権を独占して居る事、その動機までは掴んだ。
 残るはその屋敷の秘密なのだが……。
「そういえば呪われた屋敷があるんだって?」
「ああ。晴れてると陽気になれるはずなんだがな……偶に屋敷が唄うんだ」
 イギリスの人間は日本人と並んで天気の話が好きだという。
 誰に聞いても唄うの晴れであり、毎回ではない理由があるのかと言えば、司祭様が封じていると言った。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!

アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎

なるべく目立たないよう現地に合わせた装いで、他の教区からの転入者として進入します

教会に赴き司祭へ接触
屋敷に興味があるように振る舞い、道すがら屋敷に関する逸話や噂話などを聞いてみます
司祭の不正を暴くために有用な話が聞ければ良いのですが

司祭に接触出来れば屋敷の見物をしたいと申し出ます
呪いを鎮める奇跡を見てみたいなどと、さりげなく持ち上げておけば警戒もされ難いでしょうか

見物が叶えば不審に思われない程度に屋敷や司祭に対し何かしらの仕掛けが無いか観察
許可は出ないと思いますが、屋敷の中や周辺も見たいと尋ねておきます
断られるにしろ、過度な否定など何かしら怪しい反応の有無を確認出来そうですね



「ごきげんよう。新たな転入者よ。そなたの道をドラゴンさまが守ってくださるように」
「司祭さまにもご機嫌麗しく。司祭さまが末永くこの町をお導きになりますように」
 アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)は仲間と同じように教会を訪れていた。
 カーライル・カーマイケル司祭と仲良く懇談し、彼から話を聞こうという算段だ。
「そういえば町で一番下にあるあの怪しいお屋敷は何なのでしょうか?」
「ああ。あれはね。こともあろうにこの地を支配し、ドラゴンさまに成り代わろうとした罰当たりの家だよ」
 アイネリスは本来の町の有力者が、問題の屋敷を所有していたという事を聞いた。
 あの屋敷が呪われていたという風聞が広まる方が都合が良いらしく、この辺りの話はよく聞けるそうだ。
「まあ……。ドラゴンさまに勝てるはずがありませんでしょうに」
「それがね。死者を操ろうとしたらしい。愚かな事だ。それで勝てるはずは無いし、そもそも成功するはずもない。そしてそれが理由で呪われてしまったのだ」
 アイネリスはその話を聞いて思わず首を傾げた。
 アンデッドを操るとか、死体型のサーヴァントって居たっけ? と言う意味ではない。
(「表情からして嘘くさいわね。単にカタコンベとかロンドンがロンデニウムと呼ばれた時代の名残なのかもしれないわね」)
 カーライル司祭が死人使いの話を信じている様子どころか、そもそも嫌悪感を感じない。
 話の一説をそのまま語っているかのようで、まさしく『設定』でしかないのだろう。
 墓地か何かがあり、他にも屋敷を封鎖したい理由があって、邪悪な有力者が居たことにしたのかもしれない。
「まあ恐ろしい……。屋敷自体は見てみたいのですが……死人が動くのであれば近づきたくありませんね。司祭さまのお力でどうにかできないのでしょうか?」
「はっはっは。あまり呪われた場所に近づくべきではないね。だが、定期的に聖なる祈りを捧げておる。問題はないとも」
 アイネリスが理屈をつけて尋ねてみたいと口にし、同時に司祭ならば可能ではないかと持ち上げてみた。
 案の定、尋ねることは否定され、逆に能力があるということには嬉しそうにするのであった。
 これでは現地に何かあるとしか思えないではないか。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

人の手により広がるドラゴン信仰か
教えに縋るのも人ならば
悪事を働くのもまた人で、実に興味深い話だね
どんな謎が潜んでいるか、先ずは確かめに行くとしよう

現地に適した服装で、転入者として潜入する

世話好きで噂好きな町の人を見つけ
司祭の人柄や、件の屋敷についてなど
この教区の基本情報を一通り収集してから、実際に司祭に会いに行く

呪いを鎮める程の力を持つ司祭に憧れて、この地まで来ましたと伝えて
司祭の下で修道士となり、修練を積みたいと申し出る

観察により司祭や周囲の人々の人柄などを見極めつつ情報収集
呪いを鎮めに出向く司祭に同行させて貰い
何が起きているのか、可能な範囲で実際に見てみたい



「人の手により広がるドラゴン信仰か。教えに縋るのも人ならば悪事を働くのもまた人で、実に興味深い話だね」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は町をうろつきながら色々と尋ねて回った。
 どんな謎が潜んでいるか、先ずは確かめて行くのは探偵の所業である。
「やあ、生憎の天気ですね。晴れて居たら良い景色だったろうなあ」
「何日か待ってみな。そりゃあ最高の晴具合になるさ」
 霧の都ロンドンと言えば、郊外汚染の代名詞かもしれない。
 しかし霧が立ち込めるのも本当で、住人達は天気の話をするのが好きなのは陰陽師ある雪人に負けないほどだ。
「そういえばあのお屋敷って、なんであんなに洪水に弱そうな場所に作ったんです?」
「判るかい? あそこには井戸が幾つかあってね。高台になってる此処じゃあ、重要な場所だったんだよ。呪われてさえなきゃ井戸が使えたんだがね」
 雨の多い日本であんな場所に屋敷を作ったら大変であろう。
 しかし乾燥した日が多く雨も少ない欧州だとそうでもない。
 もちろん霧の都なので天候自体はうっとおしいが、水没するような災害は無かったそうだ。
「そいつは残念ですね。でも司祭様なら何とかできるんでしたっけ?」
「まあ、一応な。晴れてる日にはたまに見かけるよ」
 雪人の言葉にその老人は面白くも無さそうに答えた。
 文句を言う程ではないが、あまり楽しい話題でもないらしい。
「呪いを鎮める程の力を持つ司祭に憧れて、この地まで来ました。司祭さまの下で修道士となり、修練を積みたいのですが」
「それは素晴らしい事じゃな。暫く下働きをして見なさい。能力があるならば何処かの修行場に推薦してやろう」
 雪人が修行者であると申し出ると、カーマイケル司祭はお茶を濁した。
 労働力として自分の場所で使い、もし才能がある場合は他人の教会に預けるという。
 美味しい所だけ持って行くという感じで、案外、即物的な男なのかもしれない。
「あの……お力を見せていただいても良いでしょうか? 故郷でお力を振われる方々を見て憧れておりまして……」
「呪われた屋敷に赴くのは感心せんな。だが、お前の力が役に立つこともあるだろう。今は修行として働きなさい」
 雪人が動向を申し出ても許可はしてくれない。
 だがその言動は何処か首尾一貫してはいるようだ。
 現地には近寄るなということだ。
(「あれ? このスケジュール怪しくない?」)
 世話好きの老人の話では晴れた日に呪いを解くことをしているらしいが……。
 そもそもあまり出歩くこともない様に思われた。
 現地にあまり移動しても居ないのに、人々には呪いが解かれていると感じるようだ。
 また同じ状態で、司祭が居ない時は同じ現象が起きているからこそ、司祭の力として信じられて居るということになる。

 つまり特定の条件が成立する。
 それは単純に、音ができる自然現象ではないのだろうか?
 この地に集ったディアボロス達は、集めた情報を出し合ってそう結論を出したのである。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!

文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

さて、唄う屋敷の調査は仲間が向かってくれてるし
俺の方は司祭の周辺を調査して、不正の証拠集めをしていこう
後の脅し……質問にも役に立つかもしれないしね

修道士の修行として喜んで下働きを任されよう
掃除に洗濯、買い物に料理、やれる事はいっぱいあるね
これなら教会内部を自由に動ける立場を得られるし、調査もし易くなるというものだ

魚や水の利権から掠め取った利益は何処に流れているのだろうか
密かに資金の流れを追って司祭の不正の証拠を掴みたい

司祭の人となりも見極めておきたいね
観察眼を活かして司祭の食の好みを看破して
美味しい料理で油断させつつ
色々と煽てて自慢話とかも聞いてみよう
これはこれで興味深いかも



「さて、唄う屋敷の調査は仲間が向かってくれてるし、俺の方は司祭の周辺を調査して、不正の証拠集めをしていこう」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は教会を拠点と定めた。
 仲間がいる以上、同じことをしても新たな発見は難しい。
 もちろんアプローチの仕方によっては気が付かないこともあるが、初動は少なくとも別れた方が確実だと判断したのである。
「叩けばホコリが出てきそうだし、後の脅し……質問にも役に立つかもしれないしね」
 これまで調査した同様の事件での司祭たちは、たいていがアレだった。
 自分の為に権力を利用しているものが大半で、そうでないものも『独善』を押し付けるために使って居たりする。そうした独自の判断というものは、他者から見れば言い掛かりだったりするので、調べておくと話の持って行き方によっては有用なのだ。
「これを綺麗にすれば良いんですか?」
「ああ、そうだ。水を使うのは構わんが、その分だけ水汲みもやっておけよ」
 雪人は率先して下働きをすることにした。
 他人がやりたがらない仕事を担当するのは重宝される物だ。
 きっちりやっておけば切られることも無いし、自由に動く根拠になる。その昔、世界中で中国人労働者が溢れた時、よく似た外見の日本人は『なんだ洗濯屋か』と言われるほどであったという。

 そして暫く働いていると日常的な行動の中で話が合わない事も出ており、それをトータルな情報を持っている矛盾が見えたりするのである。
(「買い物はツケなのに購入している扱いか。こりゃ相当誤魔化してるなあ」)
 雪人は買い出しに行ったり、食料が不足すると納入を伝言したりする。
 チーズやエールは日常的なものだが、小麦などは教会の行事でも使うので結構な量だ。
 漁師から手に入れる魚もそうで、貧しい人への炊き出しという理由は判るのだが、それを寄付させた上で自分でも支払っている扱いなのである。
(「あそこは立ち位置禁止か……。後でコッソリ入ってみよ。駄目だと言われたら気になるよね」)
 また自然と立ち入り禁止な場所も判って来た。
 選択に掃除は下働きの仕事だが、入ってはいけない場所もあるのだ。
 そこだけは司祭が担当し、初心を忘れないようにしているのだという。言葉だけならば立派なのだが……。
「司祭様。本日は自分が担当いたしました。お好みにあえば良いのですが」
「そなたか。そなたの料理はちゃんとしておるのう。下手な者に任せると、スジもとっておらぬしロクに味もつけておらぬ。精進致せ」
 ちなみに雪人の料理は新宿仕込み。
 ちゃんと下味も付けるし、堅い肉はスジも取る。
 だがこの時代にそこまでする人間はそう多くなく、一部の料理人の秘伝……とまではいかないが、コツのような物であったという。
「では明日もまた持ってまいりましょうか? どのような味付けがよろしいでしょう?」
「朝は頼むとしよう。じゃが昼は呪われた屋敷を払いに参るし、夜も地域の会合に出かける故な」
 その話を聞いた雪人は、素早く計算を立てた。
 仮に見張られているとしてもずっとではないだろう。
 夕方くらいならば、一人に成れる時もあるはずだと、その日は朝から仕事を色々を買って出たのであった。
「これは……グレーゾーンかな。何で飾ってないのか分からないけど」
 そして立ち位置禁止エリアにあったのは、ドラゴンたちの黄金像であったという。
 これは必要なモノなのか、それともドラゴン信仰という名前で隠した財産なのか分からない。
 だが、魚や水の利権から掠め取った利益は何処に流れているとしたら……証拠品なのかもしれなかった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎

どうあっても屋敷には近づかせたく無いようね。
これでは探ってくださいと言っているようなものだわ。

……さて、『定期的に聖なる祈りを捧げている。問題無い』という事であれば、踏み入ってしまったとしても大丈夫でしょう
呪いは鎮められているのですから

目立たないように霧に紛れて屋敷の周囲と内部を探索します
音が鳴るという事は風か何かが影響していると踏み、風の通り道や音が反響するような地形などを探ってみましょう

井戸を独占しているのであれば、定期的な出入りがありそうです
通常の出入り口に加え、他にも通行した形跡が無いか見ておきます

音が自然現象である事、ひいては呪いが作り話である事の証明を目指しましょう



「晴れた日には呪いを払いに行くこともある……か」
 アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)は仲間からの報告を受け、周囲から様子を見ていた。
 確かに言われた当日、司祭が呪われた家とやらで何かをしている様には『見える』のだが……。
「特にパラドクスを使った様子は無し。家の外から少し確認してゴニョゴニョ言っただけ? 怪しいわね」
 遠くから見たところ、適当にルーチンをこなしたようにしか見えない。
 何か所かを見た上で『そこが何も無ければ問題は起きない』と知っているかのようではないか。
「周囲をあれだけ伺って……。どうあっても屋敷には近づかせたく無いようね。これでは探ってくださいと言っているようなものだわ」
 屋敷を見るよりも、誰かが居ないかを確認して居る方が多いくらいだ。
 そして大本が自然現象であるならば、魔女であるアイネリスには見当が付く。
 例えば霧に巨人が浮かび上がるブロッケン現象であれば、横合いから光が挿すことで、霧をプロジェクターにしているということだ。似たような形で『晴れ』+『ナニカ』が=『音』になるのだろう。
「……さて、『定期的に聖なる祈りを捧げている。問題無い』という事であれば、踏み入ってしまったとしても大丈夫でしょう。呪いは鎮められているのですから」
 アイネリスはしれっとその場を立ち去り、その数日間を避けた。
 もし見つかって居ても困るし、逆に言えば晴れてはいない霧の日であれば問題ないと判っているのだから。
「音が鳴るという事は風か何かが影響している可能性は高いでしょうね。風の通り道や音が反響するような地形などを探ってみましょうか」
 その日までは、町をブラブラして道と建物を確かめていく。
 すると判ったのは、すり鉢状になったこの町で、一番高い風上の場所は教会なのだ。
 また川風の通り道は教会であり、霧が発生するかどうかを一番最初に理解できるのも、水利や漁業関係者から聞くことができるのも教会関係者であった。

 そして霧が立ち込めると判った当日のこと。
「……井戸を封鎖することで、水利権を得ているということかしら? 後はこの井戸自体も笛の役目をしそうね」
 アイネリスが屋敷の敷地に侵入すると、まず井戸が複数掘ってあり、全て封鎖されていた。
 一人が使うには多す過ぎので、元はおそらく住民たちの分だろう。
「こちらは封鎖されているにしても別件ですね。穴を掘ること自体が放棄されている……カタコンベでしょうか?」
 同じ時期の竪穴だが、こちらは正規の手段で埋め戻されたような感じだ。
 竪穴を掘る途中で埋め直したのだろう。仮にカタコンベであれば、この下に無数の死体があるだろう。
「……司祭としては封鎖により、自分が呪いを鎮めたと言い切って良いはず。……誰かが通行したのでしょうかね」
 アイネリスは色々と調べるうちに、『誰か』が周辺を移動した形跡を見た。
 封鎖された井戸であったり、屋敷の中を伺おうとして中断したような感じである。
 奇しくもそこは、司祭が屋敷を伺った場所であった。
「場所は小さく低い……子供たちが肝試しに使った? それとも水を手に入れて、薪で煮る事が難しい人々?」
 おそらくは『生活に困った誰か』が、この屋敷ならば何かがある。
 あるいは水を汲んでいくことが出来ると思って出入りしようとしたに違いない。
「そして形状的に狭い場所で教会の方に穴が向いている……と」
 その時に司祭が施した『音を鎮める封印』を解いたことに気が付かなかったのだろう。
 何しろ位置的にその場所は、笛などの様になりやすい場所であった。
 流石に教会で歌っても届くかは分からないが、強風が吹けば風の通り道が奇妙な音を立てかねないのだから。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】がLV4になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!

光道・翔一
アドリブ等歓迎

…証拠集めは他の復讐者が向かってる
…とはいえ、最近教区に来たばかりの面々の糾弾が、そう易々と教区全体に広がるかと言えば…だな

教えてもらった働き口で実際に働いてみるか
「早く教区での生活に馴染みたい」とでも言って、多く仕事を貰って教区を手広く回って住民と接触していくぞ

…探したいのは、糾弾時に司祭への不信を周りに広げてくれる住民だ
推理モノで探偵の推理を「○○はそういうことだったのか!」って補強してくれる役回りとかだな

司祭の権力で損してて司祭に不満のある奴、頭が回って不正と教区内の出来事を繋げられる奴、顔が広くて言うことが信用され易そうな奴がいればいいが…これ漁師の頭目は全部該当するか?



 ロンドンの一角、唄うお屋敷のある教区。
 すり鉢状になった町だが、重要な場所と言うのは意外に少ない。
(「……証拠集めは他の復讐者が向かってる」)
 光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)は町の手前で働いていた。
 高台になる前、その手前の川で煮運びをしていたのだ。
 多大の上に立つ境界を見つめながら、あの場所での調査は行わないと決めていた。
(「……とはいえ、最近教区に来たばかりの面々の糾弾が、そう易々と教区全体に広がるかと言えば……だな」)
 今回の任務で重要なのは、信仰を失わせることだ。
 計画の全てを砕く必要はないが、大部分の人が呆れて興味を失うとか、少なくともあの司祭は駄目だと思わせねばならないのだ。
「これはあそこの商会で、こっちは向こうの工房だ。道は覚えたかい?」
「なんとかな。まあ少し間違えても昼までには戻れるだろうさ」
 翔一は紹介してもらった漁師の所で朝働いた後、昼間は荷揚げして、場合によっては相手先まで運んでいる。
 現代で言う宅配サービスのような仕事だが、物流を眺めるという点ではうってつけの場所であった。
 最初に『早く教区での生活に馴染みたい』と多く仕事を貰って教区を手広く回って、ディアボロスの体力で積極的に働くことで住民と広く接触していったのだ。
「注文の品だ。中身と確認してく欲しい」
「ああ、ちょっと待ってくれ。……開けた様子は無し、中身は……ちゃんと揃ってるな。だが……」
 翔一が探したいのは、糾弾時に司祭への不信を周りに広げてくれる住民だった。
 自分たちでは信用が無くとも、地域の顔役ならば話は変わって来る。
 例えば商人の中でも商会を作って大きな取引をしている場所だとか、今入る工房を持って居る職人などだ。
「何か? 船主はまだ数日こっちに居る。確認に行くが」
「駄賃を上げると言われてな。まあ仕方がないんだが……急ぎじゃないなら、これなら陸路の方が良くなっちまう……いや忘れてくれ」
 当たり前の話だが、陸路と水路で得意分野が違う。
 特に上流から下流への移動は、川の独壇場だ。
 本来ならば運送料は特急便以外は安く上がるはずなのだが……どうやらお安くはないらしい。
「運んで来た俺が言うのもなんだが、船主に文句を付けたらどうだ? 商会の人も難しい顔をしてたぞ」
「あいつじゃないんだ。新しく来たお前さんは知らんだろうがな……。まあ『どっち』に払うかは少し考えるさ」
 この場合の『どっち』とは陸路の事であろう。
 だが直接の駄賃ではなく、間接的に取って居る教会への寄付金の話かもしれない。
 翔一が求めていたのは彼らの生の状況であり、推理モノで探偵の推理を『○○はそういうことだったのか!』って補強してくれる役回りの人間を求めていたのである。
「そういえばあの爺んところでも働いているんだったか?」
「ああ。朝一番は町じゃすることが無いからな。あそこでの作業はキツイが稼ぎは良い」
 翔一が目を付けているのは、漁師の網本とでもいうべき頭目だ。
 何人かいる漁師たちの元締めであり、船便の船主と違って何時でも地元に居るのが大きかった。
「また今度呑みに行くとでも伝えておいてくれや」
「判った。伝えておこう。だが最近は癇癪が多いからな、飲み過ぎには気を付けた方がいい」
 船主と違って、常に町に居るという事はそれだけ不満も大きいという事だ。
 何かに付けて寄付金を求められ、魚自体もピンハネされているのだから堪らない。
 今の話にように工房の主や、時には商会の主人たちと顔を連ねて愚痴でも言い合っているのだろう。

 翔一はここ暫くの労働で、それを直接確認していた……。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!


 この町で信頼されて居る司祭が、『呪われた屋敷』を使って何をやっているか段々と判明して来た。
 自然現象で起きる音を呪いだと言い、出入り禁止にすることで音がしないようにしたというマッチポンプでしかない。
 おそらく呪いを鎮められるという実績を利用して、信仰と資金を集めていたのだろう。
 そしてそのお金が何処に隠してあるかは判明した。
 誰に対して証明すれば良いかも把握することが出来た。

 さて、もう少し証拠を集めるべきだろうか?
 それとも調査に見切りをつけて、司祭の断罪イベントを起こすべきだろうか?
 あるいは他に、為したいことを今のうちになすべきだろうか?

 全てはディアボロス達の手に委ねられている。
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

皆のお陰で色々と見えてきたけれど
もう少し調べておきたいかな
特にあの黄金像
儀式の道具なら実際どう使っているのか
引き続き調査してみよう

教会内と像周辺の風通りを確認
一応、像の目立たない所に釘で小さな傷をつけて
クロノオブジェクトでないかも確認しておこう
まあ信仰のエネルギーの蓄積機と考えるのは
如何にも過ぎて違う気もするけどね
確認の上で、後に司祭を脅す材料にしたい

それから
折角だしここは文明の利器、隠しカメラも使ってみよう
黒猫印の探偵七つ道具(アイテム)から
偵察用の超小型カメラを複数取り出して
立ち入り禁止区域に見つからない様に設置する
人目を盗んで司祭が何をしているのか、遠隔操作で確認するよ



「皆のお陰で色々と見えてきたけれど、もう少し調べておきたいかな」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は少しだけ考える。
 集めて来た状況証拠で司祭を追い詰めることはできるだろう。
 だがサッカーで言えば強引なドリブルで突破し、強烈なシュートを打てるだけだ。望む光景へ辿り着けるかは微妙。
「特にあの黄金像。儀式の道具なら実際どう使っているのか……」
 奥の間に置いてあった黄金のドラゴン像。
 ソレは幾つかの可能性があった。
「引き続き調査してみようか」
 スケジュールはだいたい判るので、司祭不在のタイミングを狙った。
 それまでは不必要に探ったりせず、むしろただの下働きに徹しておく。

 そして誰も居ない時間を狙いそーっと猫のように侵入していく。
「風向きは無関係からこれは送風用ではない。次にクロノオブジェクトかどうかは傷を付けて見れば判る筈……ふむり」
 まず風を送るとしても、位置関係が悪いことが確定する。
 指定位置の風を停止し、凪を起こす物である可能性はゼロではないが……。
 なんと、釘を使うと簡単に傷がついてしまった。普通の黄金だろう。
「後は信仰エネルギー蓄積機と考えるには、如何にも過ぎて違う気がするんだよね」
 こういっては何だが、黄金なんかに価値を求めるのは即物的な人間である。
 一般人には出来ないことを、奇跡だと言ってやって見せる方が、ドラゴンの偉大さを見せつける事が可能だろう。トンネルを掘るとか橋を瞬時に掛けるとか、偉大さなんて簡単に表現できるはずだ。
「カメラで画像を録画すれば、何をやってるか特定できるかな」
 ディヴィジョンと技術格差のある道具は、一日くらいで壊れてしまう。
 その点、クロノオブジェクト化した自前のアイテムなら回収に時間が掛かっても大丈夫だろう。
 もちろん一般人が見つけたら、価値を理解できずに捨てられてしまうだろうけど。
「あちゃー。気味の悪い物を見ちゃったなあ。現代ならともかく流石に魔術のある世界では直接証拠にならないかなあ」
 後日、雪人が確認すると司祭が嬉しそうな顔で頬擦りしたり、磨いている姿が映っていた。
 明らかにクロノオブジェクトではあるまい。
 やはりあの像はドラゴンの形を借りた、ただの隠し財産なのかもしれない。

 財産目録など見ても居ないのに、載せられていないことがアリアリと想像できる雪人であった。
 その日の雪人は無性に可愛い女の子とか、綺麗な花を見て気分を変えたくなったという……。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】がLV5になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎

さて、仕組みは分かりましたね……
もとより司祭への不満は少なくないようですから、住民たちに疑念を植え付けるため
『館の呪いは自然現象である』とこっそり噂を流してみましょうか

目立ちすぎないよう噂話を流す相手は商店の店主や話が好きそうな者など少人数に絞り
なるべく住民の間でのみ広まるようにします
井戸は館の中……利権を司祭が握っているとなれば、疑惑の目が向くことでしょう

霧の発生時期を漁業関係者から聞いているようですし
不信感を煽って偽の情報を流すように仕向ければマッチポンプを崩す手段に使えるかも知れませんね



 ロンドンの一角で行われているドラゴン信仰を集める計画。
 ディアボロス達の調査と、信仰を失わせるカウンター作戦は大詰めを迎えていた。
「さて、仕組みは分かりましたね……」
 アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)たちは教区のあちこちに別れることで様々な準備を行っていた。
 ある者は証拠を集め、ある者は有力者を調べ、アイネリスは唄うお屋敷に関する仕組みを調べていたのだ。
「もとより司祭への不満は少なくないようですから、住民たちに疑念を植え付けるため『館の呪いは自然現象である』と噂を流してみましょうか」
 こういってはなんだがマッチポンプなんかやってると、ばれれば信頼を損なうものだ。
 それでなくても怪しいのに、権力を増すために色々細工を施して居ればなおさらである。
 あり得ない事だが……もし、善意で町の経営の為にやって居たら……説得は難しかっただろう。しかし実際には、資金を自分の愉しみに流用し、蓄財に励んでいるので、人々を先導するのは難しくはなかった。

 そしてアイネリスは相手を選んで噂を広げることにした。
 直球で有力者を説得するよりも、噂好きな人に紛れて間接的に伝える方が安全というのもあるだろう。
「悪いね。また値が上がっちまったんだ」
「……水の代金ですか? 薪も必要ですし仕方ないですね」
 アイネリスは商店の店先で話を始めた。
 お客である主婦は話が好きし、店の親父は相手になるために話も付き合える口だ。
 そしてこの教区で物価が上がる理由は一つしかない。井戸が封鎖されている為、丘向こうの川への利権が関わり、同時にロンドンは都市部なので他所から薪を仕入れるのも川での輸送が関わって居た。要するに川を抑えた司祭が居る以上は、値が張るのだ。
「そういえばお屋敷にある井戸は使えないんですか? 呪われてると聞きましたけど、何も起きませんでしたよ」
「ああ、外から来たばかりなんだっけ? あそこは司祭様が清めておられるんだよ。奇妙な音が出ないようにね」
 物価が上がると困るのは主婦の共通である。
 不満には思って居ても、司祭相手では文句が言えない。
 だから問題がある事を口にしつつ、司祭のお陰であると間接的に口にしているように思えた。
「それなんですけどね……。他所の土地では普通のことでしたよ? 乾いた日に出るのは風の音だと聞いたことがあります」
 アイネリスはここで天候の話と、他所の地域では普通であると説明した。
 つまり水の値段を無理やり上げるため、井戸を使うとしても教会の人間だけが使うのだと匂わせたのだ。
「本当なのかい? あんなおかしな音がねえ」
「同じような町だと、何処でも同じような感じですって」
「その辺は今度聞いてみるさ。まあ今はこいつを買うか、買わないかを決めておくれ」
 それは嘘であると同時に真実も混じって居た。
 他所の町というのは嘘だが、似たような場所があれば同じような音が出るだろう。
 それこ洞窟のある場所だと良くある話である。
 だが、乾いた場所で音が出るということくらいは調べたら判るので、嘘が本当になり、やがて広まっていくものと思われた……。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】がLV6になった!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!

文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

証拠も揃って仕込みも十分
ここからは攻勢に転じていこうか

立ち入り禁止の密室で黄金の像を愛でている司祭の所に
慌てた様子で踏み込もう
「大変です司祭様、街中で司祭様の力が偽物だという噂が広まっているようです!」

しかし明らかに不正な蓄財を前に、ショックを受けた様子を見せて
まさか噂は本当なのかと司祭に疑いの目を向ける演技をするよ

司祭は言い訳を並べ取り繕うだろうか
「本物の司祭である証として、ドラゴン様から授かったものはありませんか」と話を誘導
如何にしてドラゴン様に認められ、如何にして司祭になられたか
説明していただけるなら、きっと皆も信じますと

司祭の反応を確と観察し
語る言葉の真偽を見極めよう


アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎

クロノオブジェクトがあるとして、用途を隠している可能性もありますし
彼に『信仰を蓄積する物』という認識があるかどうかはわかりませんね
直接授かった貴重品、あるいは処分しないように厳命されたものがあるか探ってみましょうか

まずは司祭に面会
呪いを鎮める力を称えて、おだてた上で情報を聞き出します
『司祭様程のお方ならば、ドラゴン様から賜った特別な品もあるのでは?可能なら拝見させていただきたい』
などと尋ねてみましょう
自身の力に自負があるようですから、上手い具合に褒め称えて口を滑らせて欲しいものです



 ロンドンのとある教区、その一角。
 ディアボロスたちが秘かに情報を交換していた。
「ただの黄金像だったよ。傷もついたし」
「ですがそういうタイプのクロノオブジェクトである可能性も有ります」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)とアイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)は事前に話し合っていた。
 情報を共有し、教会に隠された謎のドラゴン像について話し合う。
「彼に『信仰を蓄積する物』という認識があるかどうかはわかりませんね」
 アイネリスは目を閉じて、思考を巡らせてみた。
 傷ついた以上は十中八九、ただの隠し財産だろう。
 しかし、何も知らずに踏み込んだ場合はどうだろうか? 念の為にいろいろと調べるし、同時に権威の象徴ではないかと確認するだろう。
「用途を隠している可能性もありますし、他にも直接授かった貴重品、あるいは処分しないように厳命されたものであるのか探ってみましょうか」
 やるべきことを決めたアイネリスは目を開けて歩き出す。
 彼女とは反対方向に雪人は歩きつつ、それらのタイミングを計った。
「証拠も揃って仕込みも十分。ここからは攻勢に転じていこうか。ひとまず俺は調整に回るよ」
 雪人は司祭が立ち入り禁止にしている場所や、そこに入って悦に入る時間を伝えている。
 話がし易いのはその辺であろうし、アイネリスがその時間を使うにせよ使わないにせよ、自分はその後に話しかける気でいた。

 そして二人はタイミングを調整して話しかけに行った。
「この町にあったという呪いなんかまるで聞きませんでしたわ。司祭様のお手でしたのですね」
「うむうむ。儂がこの町で研鑽を積み、そうならぬように努力しておるのだ」
 噂の方が嘘だと看破したくらいだが、アイネリスはそこは割愛して置いた。
 あくまで司祭を調子に乗らせる為でしかない。
 腹が立つとしたら卑猥な目線で色々とこちらを眺めている事くらいか。男子のコッソリ、女子にとってはガッツリというが……胸元とかを見る目線は不快であった。でも我慢我慢。
「それほどの御業を使われるのです。ドラゴン様から賜った特別な品もあるのでは? 可能なら拝見させていただきたいのですが……」
「ドラゴン様から……じゃと? まあそのような事もあるやもしれぬな。しかしのう……そういう訳にもいかんでな」
 アイネリスがニコヤカな笑顔のふりをしておねだりすると、司祭の目線が動いた。
 胸元から奥にある間へと視線が動き、暫くして元に戻る。
 おそらくは黄金像をドラゴンからの下げ渡し物だと称して、自慢したくなったのだろう。元よりこの時間は黄金像を愛でるタイミングであり、ちょっと自慢するくらいなら問題ないのではないかと思い易い。そして何より、呪いの力を疑っているのではなく、払う力があるからこそ、授けられたというのは力の証明であると言い訳し易くなるからだ。
「申し訳ありません……ドラゴン様からの預かり物、一介の信者に見せるなどいきなりこんなことを言うのは不躾でした」
「そうとも言うな。まあ機会があればいずれ御開帳しても良いと思うのじゃが……」
 ここでアイネリスは、あえて引いてみた。
 言っても良いか、悪いかを判断している所である。
 ここで引けば、なにがしかの交渉材料があればOKと言い易い。
 言うではないか、押して駄目なら引いてみよと。そんな時、その条件を叶える手段が、アイネリスの魅力以外に起きたらどうだろうか?」
「た、大変です司祭様!」
「なんじゃ騒々しい。わしはこっちじゃ! そこに立ち入るではないわ!」
 そこへやって来たのは慌てた様子の雪人である。
 雪人はいつもの時間なら黄金像を愛でている時間なので、そちらに顔をだして
「大変です司祭様。買い物先で聞いたのですが……街中で司祭様の力が偽物だという噂が広まっているようです!」
「なんじゃと? そのような訳があるか!」
 雪人はこの部分のみ、真実を口にした。
 仲間が話を広めたため、町では少しずつその噂が流れていたのである。
 目の前にいるアイネリスもそうだし、色々な場所で、司祭はペテンをしているのではないか……。その裏には『ペテンだったら金を治める必要はないのに!』という願望込みで広まって居たと言えよう。
「どんな噂じゃ! もうしてみよ!」
「司祭様には呪いを晴らす力はない。不正な蓄財をする為に、自分に力があると言い張っておられると……。司祭様は本当に力を持っておられるのですよね?」
 雪人は覗き込んだ立ち入り禁止の部屋に視線を向け、司祭に戻した。
 そして次に司祭からアイネリスの方に目を向け、もう一度司祭に戻す。
 何というか……どう見ても権力を利用して、不正蓄財をしたり、見目麗しい女性に言い寄っている現行犯でしかない。
「まさか噂は本当なのでしょうか? そんなことはありませんよね。本物の司祭である証として、ドラゴン様から授かったものはありませんか?」
 如何にしてドラゴンに認められ、如何にして司祭になったのか?
 それを説明していただけるなら、きっと皆も信じますと雪人は口にした。
 心の底からそれを証明して欲しいと、疑いと信心の入り混じった目で司祭を見つめる。
「何を馬鹿な事を! 司祭とは前任者が同輩より見出す物だ。むろん、竜鱗兵の方やドラゴン様に見出された者もおるがな。儂が見出された事、ドラゴン様たちにお声を賜った姿を見た者も沢山おろうよ。引継ぎの資料で良ければ幾らでも見せてやろうぞ!」
(「んー。証言者と引継ぎ資料か。まあそこ変は仕方ないよね。……でも、証明する証があるとは言ってないね。クロノオブジェクトがあるなら一瞬なのに」)
 司祭は過去からの流れを冷静に説明した。
 普通はソレが証明であり、ドラゴンがワザワザ判子を押す訳も無い。ので意味も判る。
 だが逆に言えば、一般人にとっては不滅性ゆえに判り易いクロノオブジェクトを所持して居ないとの証明であったと言えるだろう。あの黄金像がドラゴンより授けられたのであれば、その事を知っている者もいる筈だからだ。
「では司祭さま。ここはお力を皆の前で見せつけてはいかがでしょうか?」
「そうですね! みんなの前でやって見せたら、疑うどことか、信仰を強めると思いますよ!」
 アイネリスと雪人は、司祭を信じる、そのフォローをする態で追い込むことにした。
 マッチポンプを民衆の目の前で解決し、その理由を有力者だけでも説明すれば簡単に追い込めるからだ。
「そうじゃの。儂の為だけにみなを呼び集めるわけにはいかぬ。日を改める故、追って連絡をすると伝えよ」
 二人はあくまで司祭側として言葉を連ねていた。
 その力を見たいとは言っても、直接に疑っているわけではない。
 信じたいと思う物ならば騙し易い事もあって、司祭は能力を見せることを説明したのであった。

 だが、自然現象だと知っている者にとってはどうだろうか?
 その事に気が付かないまま、司祭は納得してしまったのである。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【熱波の支配者】がLV8になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!

文月・雪人
カードは揃った、愈々謎解きの時間だね
司祭が力を見せてくれるというのなら
その流れを利用させて貰おうか

司祭の指示に従う形で
風のある晴れた日に有力者達を集め
彼の為の舞台を用意しよう

司祭は皆にはバレない様に作業を行うのだろうけど
司祭が風の通り道を塞いだら
頃合い見てクダ吉が密かに開けて妨害を

止まない音に皆の不審が高まったら
皆で現地へ確認に行く様に仕向けて
呪いが自然現象である事を白日の下に晒してみせる

重要なのはここからだ
仲間と連携し
油断なく司祭を追い詰めよう

ショックを受けた弟子を演じ
黄金像の蓄財も暴露して
「司祭の力もドラゴン様も、全て出鱈目だったのですね!?」
と涙も交え煽ろうか

司祭の裁きは住民達に任せよう


アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎

……十分ですね
では、仕上げと参りましょうか。
その力が本物か否か、見せて頂きます。

まずは司祭に同行し清めの儀式の妨害に立ち会い
住民たちの不信が高まった所で屋敷の探索を行った事を明かし、屋敷へ先導します
封鎖された井戸や水を手に入れようとして侵入した形跡を見せ
探索を行った私自身含め呪いの影響など無い事を証明しましょう

呪いもそれを鎮める儀式もただの作り物であり
全てはこの水源を独占し利権を得るためのもの
我々が何事も無く立っていられる事がその証左です
さて……司祭、ひいてはドラゴンの掲げる教義に従う必要はあるのでしょうか?


光道・翔一
アドリブ、連携歓迎

…条件が揃って、種明かしに丁度いい流れもできた、と。
…ここらで司祭の化けの皮を剝がすとするかね。

有力者らが集められる側に混じり教会へ行き、司祭の儀式の披露に立ち会うぞ
何人か噂好きの野次馬がついてくのに混じれればなお都合がいいな

儀式の様子をあくまで住民側っぽく伺い、下のタイミングでさりげなく話題を持ち出して、有力者たちの不信を高めていくか
・儀式が妨害され音が止まない所に他の復讐者が流した噂
・例の黄金像の存在が明るみになったら寄付金やらの話

…住民から不当にせしめた金が元手なら、その黄金像を売っ払って全額寄付する位はしてもらいたいモンだな。
…それを誠意と看做すかは住民ら次第だが。



 その日のロンドンは良く晴れていた。
 特に理由は無くとも、霧の多いこの地方では天気の話題は口癖の一つだ。
 しかし今日ばかりは、別の意味を持っている。
(「……条件が揃って、種明かしに丁度いい流れもできた、と。……ここらで司祭の化けの皮を剥すとするかね」)
 その日、光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)の予定を空けていた。
 普段は仕事で忙しいのだが、潜入工作もこれまで、種明かしの会場に向かう事にする。
「親方たちも見物に行くんですかい?」
「ワシらは呼ばれていくんじゃよ。……まあ関心が無いわけではないがの」
 向かう先では漁師の網元が居たり、工場の親方たちが居た。
 何度も顔を合わせている事もあり、特に咎められることはない。
 司祭が行うという儀式に関して、見物人を集めている訳だが、証人は多い方が良いので特に職業や年齢の差は問題となっていないからだ。
「お客様。準備が整いましたので間もなく、司祭様が現地に赴かれます」
「ありがとうございます。ご一緒させていただきますね」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は客人を呼びに教会の一室に向かった。
 そこには見知った顔が居るが、親しいそぶりは見せないでおく。
「……暫く、誰も居ないかな。クダ吉、しばらく見張ってて」
 雪人は管狐のクダ吉を見張りに出し、少しだけ話を確認することにした。
 パラドクス通信を使って居ないので、仲間とは言葉を使う必要があるし、後で使うためのネタ晴らしだ。
「と言う訳で、クダ吉に色々とやっておいてもらうつもりなんでよろしく。後、集まってる人も順調だってさ」
「多様な人を集め、その前で証明してみせるつもりがある……十分ですね」
 潜入していた雪人の報告にアイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)は決行可能であると理解し頷く。
 彼女は以前に訪れた時、司祭の能力を認めた上で、疑われる光景を目撃したことから招かれていたのだ。
「カードは揃った、愈々謎解きの時間だね。司祭が力を見せてくれるというのならその流れを利用させて貰おうか」
「ええ。では、仕上げと参りましょうか。その力が本物か否か、見せて頂きます」
 雪人やアイネリスは司祭の力が偽物であることは推測して居た。
 だが確証が持てたわけでは無いし、クロノオブジェクトか何かであれば対処しようと、今回の流れを計画したのだ。
「それでは失礼しますね」
「はい。また後程」
 ふたりはタイミングを変えて司祭に同行する。
 雪人は司祭の手伝いとして色々準備に関わり、アイネリスは見届け役の一人と言う訳だ。

 そして現地では、既にボー~、オー! と音がすることがあった。
「ひっ。またあの音だ!」
「大丈夫さ。司祭様が何とかしてくれんだろ。……しかし、初めて聞いたぜ」
 先に現地入りした翔一はその音を聞いて苦笑する。
 笛の一種というまで言う程に高音ではない。
 だが洞窟などで聞こえるレベルの音であり、もい甲高い音にしたら船の汽笛かと思う内容だった。
「ここ数日、偶に聞こえ始めたっていうんだろ? どうしてなんだろうな。やはり司祭様を疑ったから、司祭様がお清めをサボったのかな」
「これ。滅多なことを言うな。教会の連中に聞こえてたら厄介だぞ」
 翔一は司祭に能力が無いという論調は使わなかった。
 清める事ができるが、さぼる事で司祭が町の住民を脅していると匂わせたのである。
 近場に居合わせた商人が咎めるのだが……彼もそのこと自体は否定しなかったのだ。司祭がその力を使って他にしかねないから、聞かれて困るなとだけ注意したと思われる。
(「……よし。司祭に悪意があるという所までは広まってるな。後は、向こうのメンバーがネタ晴らしをすれば良い」)
 翔一はそれ以上余計な事は言わず、状況の推移を見守ることにした。
 彼の出番は音が止んだり、再会した後。
 司祭が失敗したのではなく、自然現象だと広まった所で『なんだって!』と騒ぎを起こす役目である。

 そして儀式が始まり、小細工が始まった。
 司祭が直接に携わっては問題なので、弟子たちを使った攪乱工作からである。
「まずはこの聖なる紐で括るのじゃ。決して落として汚す出ないぞ」
「はい。司祭様、お任せください」
「手分けして、落とすことなく括ってまいります」
 幾人もの弟子たちが手分けして作業に当たる。
 この時に相互監視する為、誰かが不正に何かをする事は難しい。
(「なるほど。この紐で屋敷を括ろうと思えば、窓を閉じて行く方が早いものね」)
 雪人は自然に音が出る部分を開閉するカラクリに気が付いた。
 この紐で窓を括り他にも似たような事をさせれば、自然と音が出る場所が消えるという訳だ。
 それこそ掘られた穴などは、幾らでも理由が付く。
「かつて、この地では死者を操ろうとする試みがあった。死んだ子供を蘇らせたい気持ちは判る。だが、それは邪悪なのだ! ゆえに私はここに封じる!」
(「司祭が直接触ったのは井戸にカタコンベの入り口に……なるほど。信憑性を作り易く、弟子では問題のある場所ばかりですね。そして、ソレは人目を惹き付ける場所でもあると」)
 アイネリスはもっともらしい話を聞くたびに、それらしく頷きながら確認していた。
 説明用の台詞はそれらしく聞こえるが……。
 音の出る場所であり、この地に近寄らせない言い訳染みていると、明らかに意図的だったのである。

 子供がおぼれ死んだという理由で井戸に蓋をし、死者を掘り返した穴を封じている。
 その間にも紐で屋敷を括る作業が行われ、扉は締められ、あるいは通り道に柵が設置し直される。
(「紐自体は少しずらしてっと、……クダ吉、後は任せたよ」)
 雪人は紐を地面に落とさぬよう、他の仲間と大きくズラさない程度に上下させた。
 そしてクダ吉を陰から影に動かし、窓を開けさせ、次の指示で何か言われてもそこも元に戻させておく。
 弟子たちが通った後で柵で庭に入れなくなるのだが、その柵もまた風を止めるための物だろう。これをワザと開けることで、風の通り道を作って置いたのだ。

 そして作戦決行の時がやって来る。
 音自体は減ったのだが、減っただけで音は一向に止まないのである。
「まだなんか聞こえるぞ。ぼーぼーって……」
「……おいおい。まだ君の悪い音が聞こえるじゃねえか」
 音は小さくなっても、ギャラリーの誰かが気が付くものだ。
 その声自体は人が多い程に小さくなるが、翔一は確かにその通りだと言い切った。
「そんなバカな……。いや、これは何かの間違いである! 現に音は減っているではないか。きっと、清め足りてないだけであろう! お前たち、ちゃんとやったのであろうな!」
「は、はい。司祭様! 紐は落としておりませぬ」
「あの通り、結ばれたままであります!」
 司祭は怒鳴る事で、話の流れを持って行こうとした。
 しかし現に音が鳴っているのだ。少々のことで話が流せるわけはない。
 音の絡繰りに頼っており、サクラを用意したり根回ししているわけでもないので説得できるはずもない(なお、その場合は翔一が気が付いたと思われる)。
「もう良い! 私が確認して来る!」
「いえ、その必要はありませんよ。司祭様」
 ここで雪人は司祭の動きを静止した。
 時間を稼げば稼ぐだけ、クダ吉が頑張ってくれるはずだ。
 それに、締めて回られたら面倒なことになる。

 いや、締めるという事は、こちらから提示すべきなのだ!
「なんだと! 貴様、この状況が判っておるのか!」
「全て判っております。音を立てる仕組みがあり、それを停止させるのですよね? 呪いなどなく、ただの楽器に過ぎないのですから」
 司祭がやりたいことを、雪人が説明した。
 ただし呪いを止めるためではなく、ただ単に楽器を止めると言い換えて。
「なん……だと。あの音は楽器だったのか?」
「言われてみればいつも同じ音だな」
 その言葉を聞いて誰かが首を傾げたところで、翔一が肯定した。
 良く晴れて乾いた日に、風が吹くと音が出る。
「この笛と同じ理由なんですよ。笛のような楽器であり、大掛かりな事をやってるだけで、ただの自然現象です!」
「馬鹿な! 何を言っておる!」
「いいえ、その通りです。私はこの屋敷に触っても無事でした。」
 雪人の言葉を司祭が邪魔する前に、今度はアイネリスが説明を引き継ぐ。
 そして司祭が蓋を締めた井戸や、弟子が占めて行った扉、地下への入り口を指さしていく。
「ここを見てください。誰かが通った後があります。この場所や窓や井戸が空いていると、笛のようになるのです。そしてそれは何の為か? 誰が何のために此処に来たのか、司祭様はどうして嘘を吐いたのか!」
「止めよ! 世迷言は止めよ!」
 アイネリスは屋敷を触って見せ、井戸の蓋を取って見せた。
 そして締められた地下への入り口を開けて行く。
 我々が何事も無く立っていられる事がその証左なのだと言わんばかりに!
「全てはこの水源を独占し利権を得るためのもの。この土地では水は貴重ですので、井戸で子供が死んだことにしたのです! 地下墓地というのを知りませんか? 昔は地下に道を作って、死者を弔っていたのですよ!」
「そういえばそうだな。それと水の代金は高いのは確かだ。水を買うとしても、此処が使えれば随分と楽なはずだ」
 アイネリスの言葉を翔一が補足していく。
 この土地ではカタコンベから土葬に切り替わっているだけで、そうではない地域はまだ存在する。
 そして何より、彼は色々な物がよその土地よりも高い事を知っていたのだ。
「水の利権の為にそんな事をするだなんて見損ないました! やはりあの黄金像は私腹を肥やすためなのですね!」
「黄金像だと……」
「我々の金をそんな事の為に……」
 雪人の暴露で人々はドラゴン像の事を初めて知ったようだ。
 もし大々的に広めていたら、ここまでショックは無かっただろう。
 もちろん広めた場合は、黄金である理由が無いのでツッコミを受けるのは間違いが無いのだが。
「親方。こんな奴に寄付金払うのは無駄じゃないですか? 魚にしても荷揚げにしても、もうちょっと何とかなると言ってたじゃないですか」
「それを言われちゃあ、お終いだがよ」
「これ以上は勘弁してもらいたいってのが正直なところだな」
 翔一が質問すると、親方も網元も否定はしなかった。
 教会が権威を持ち、特に司祭が優れているという話だから、仕方なく出していたのである。
 下手に断ると信者を使って追い出されかねないからだが、今の状況でそんな事はありえまい。
「司祭の力もドラゴン様も、全て出鱈目だったのですね!?」
「さて……司祭、ひいてはドラゴンの掲げる教義に従う必要はあるのでしょうか?」
 雪人とアイネリスは司祭のマッチポンプを暴き、そのままドラゴンに大して疑義を口にした。
 別にドラゴンと戦えなどとは言わない、ただ、信じるに値しないと口にしただけである。
「そんな事は無い! ドラゴン様は真に偉大であり……」
「俺らはドラゴンについては良いとも悪いとも言わねえよ。ただ、……住民から不当にせしめた金が元手なら、その黄金像を売っ払って全額寄付する位はしてもらいたいモンだな」
 それを誠意と看做すかは住民次第だが、翔一は黄金像を金に変えろとだけ言った。
 何しろ民衆にとって、重要なのはその日の暮らしだ。
 ドラゴンと戦えとか、ドラゴン信者を追い出せとかまでは言わない。
 だが翔一の言葉を否定する者は居なかった。何しろ、自分たちの寄付金で私欲を満たした司祭を庇いたい者などはいないからだ。
「どうなんだよ! 話を聞かせてくれよ!」
「うるさい! 私に触るな!」
「おい。教会に見に行こうぜ。黄金像ってのを……」
「や、やめろ! 止さぬか! バチあたりめ!」
 やがて話を誘導しなくとも、司祭が問い詰められ始めた。
 食い物の怨みは恐ろしいと言うが、生きるための水を使って町を締めあげたバチが当たったのだろう。

「こんなところでしょうか?」
「そうだね。後は人々に任せよう」
「俺達は司法でも何でもないからな」
 ディアボロスたちは暫く人々と司祭を見ていたが、誰も司祭を庇おうとしない所で引き上げを決める。
 直ぐに立ち去るわけではないが、それぞれのペースで町を去るだろう。
 こうしてまた一つ事件が解明され、ドラゴン信仰によるエネルギー蓄積を狙う試みが砕かれたのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】がLV10になった!
【光学迷彩】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【アヴォイド】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2023年05月02日

ロンドンのドラゴン信仰を打ち砕け

 攻略旅団の方針により、ロンドンのドラゴン信仰を打ち砕くための作戦を行います。
 ロンドン潜入作戦で得た情報では、ロンドンは多数の『教区』に分割され、それぞれの『教区』ごとに、様々な方法で、ドラゴンへの信仰を集めているようです。
 『教区』の代表は『司祭』と呼ばれているようですが、この『司祭』も含めて、ロンドン市内には、ドラゴンや竜鱗兵の姿はありません。
 おそらくドラゴンは、『ドラゴンや竜鱗兵が関与』する事無く、一般人だけで、ドラゴンへの信仰のエネルギーを集める実験をロンドンで行っているものと思われます。

 この実験が成功した場合、ドラゴンを崇める宗教を広めるだけで、事件を起こさずにエネルギーを得る方法を、ドラゴンが得てしまうでしょう。
 これを防ぐためにも、ロンドンに潜入してドラゴンの信仰を打ち砕かねばなりません。


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#ロンドンのドラゴン信仰を打ち砕け
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選択肢『教区への潜入と調査』のルール

 ロンドン市内に潜入し、目的とする『教区』に潜入して調査を行います。
 この調査により、教区の信仰を打ち砕くための手段を知る事が出来るでしょう。
 ディアボロスは『違和感を与えにくい』能力を持つので、他の教区から引っ越してきたばかりの市民といった演出をすれば、情報収集は可能です。
 ここで得られる情報は、
====================
・教区の多くの住民は全く信じていない、信憑性の低い噂話を耳にする。
・住人に迫害されている、被害者と交流して情報を得る。
・偶然ディアボロスが事件現場を見掛けてしまう。
====================
 などとなります。
 行動としては、信憑性の無い噂話を聞き出す方法や、教区の多くの人から嫌われたり迫害されている人を探して仲良くなる行動や、事件が起こりそうな場所に当たりを付けて監視する……ような行動を行うと良いでしょう。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『信仰を打ち砕く準備』のルール

 『教区への潜入と調査』で得られた情報を元に、信仰を打ち砕く準備を整えます。
 多くの一般人は、純朴に司祭を信じてドラゴンを信仰しているようなので、決定的な証拠を示す必要があるでしょう。

 司祭の悪事を暴き、それを、多くの市民が目撃するような状況を造り出せれば最良となります。
 なお、目的は『信仰を打ち砕く事』であるので、その過程で、ディアボロスがおとり捜査を行って里、証拠を捏造したり、司祭を騙して誘導するといった行為を行うのは問題ありません。
 準備が充分に整い、これ以上必要ないと判断した場合は、この選択肢が成功していなくても、事件の解決に挑戦してもOKです。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『事件の解決』のルール

 教区の一般人達の信仰を打ち砕く為の決定的な証拠を示して、事件を解決します。
 多くの市民の前で、司祭の悪事を証明する事ができれば、決定的な証拠となるでしょう。
 『信仰を打ち砕く準備』のリプレイで、準備を整えてから、事件の解決に挑戦してください。

 事件を解決する為の準備が足りていない場合は、この選択肢のリプレイは執筆されません。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、シナリオは成功で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『【攻略旅団】信仰を蓄積するクロノ・オブジェクト』のルール

 攻略旅団の方針により、ロンドンに信仰のエネルギーを蓄積する役割のクロノオブジェクトがあるかどうかを調査します。
 『教区の代表である司祭』を脅すなどすれば、ある程度の情報を得ることが出来るかもしれません。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『選択肢で提示された、攻略旅団からの調査・探索依頼関連の情報を収集する。情報を得た場合、その精度が上昇しやすい。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。