【大戦乱群蟲三国志奪還戦】翔鶴

 このシナリオは【大戦乱群蟲三国志奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 大戦乱群蟲三国志のジェネラル級及び、排斥力の低下した大戦乱群蟲三国志に攻め込んできた、吸血ロマノフ王朝、冥海機ヤ・ウマト、蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ、アルタン・ウルクの4ディヴィジョンの軍勢に対して、戦闘を仕掛けます。
 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。

 このシナリオの攻撃対象は、冥海機ヤ・ウマトのジェネラル級『翔鶴』の軍勢です。
 『翔鶴』の軍勢は、上陸は行わず、外洋で状況を分析しているようなので、ファーストアタックでは海で戦う必要があるでしょう。
「成功したシナリオ数×5%」だけ、「⑭翔鶴」の敵残存率を低下させます。

【大戦乱群蟲三国志奪還戦】冥海機たちの偵察(作者 大丁
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 黒髪の女性は、赤い瞳から光をほとばしらせた。
「インディアナポリスの上陸作戦は成功しそうという事ですか」
「ハイ……」
 報告にきた配下は、ニィっと口の端を持ち上げる。彼女の目元は頭部の装備に隠れて見えない。
「どうやら、ディヴィジョン境界を守るジェネラル級は存在しないようですね」
 『大戦乱群蟲三国志』を臨む、海上でのことだ。
 このクロノヴェーダたちは、いずれも女性の容姿と艦船を思わせる装備を一体化させていた。黒髪女性は、そのジェネラル級だ。
「しかし、排斥力の急激な低下には何か理由がある筈です、しっかり警戒を行い、正確な情報を持ち帰るべく尽力してください。大本営は、正しい情報を心待ちにしている筈ですから」
「ハイ……」
 配置に戻るトループス級は、まるで上半身裸のように見え、それでいて下半身は艦船の寸詰まり。例えば一人用カヌーに乗っているというわけではなく、腰から下が直接メカなのだ。
 彼女たちは大群をつくり、波に揺られている。

「さっそく、【飛翔】の性能強化を生かす機会が訪れましたわ。『大戦乱群蟲三国志』においても、奪還戦がはじまります」
 ファビエヌ・ラボー(サキュバスの人形遣い・g03369)は、頬を紅潮させた。戦争の前で、いつもよりテンションがあがっている感じだ。
 人形のおチビさんたち、ジョスとジュリが戦場マップの端を掲げて広げる。
「大戦乱群蟲三国志は、曹操・劉備・孫権の三英傑を争わせる事で、強大な断片の王を生み出し、七曜の戦の勝利を目指していました。しかし、ディアボロスは、三英傑の一体『呉王・孫権』の撃破に成功、更に三国最大勢力であった『魏王・曹操』を撃破する事にも成功したのです。孫権、曹操の撃破により、消去法的に『蜀王・劉備』が断片の王に覚醒しましたが、その権力基盤は弱く、排斥力の低下により、周辺ディヴィジョンの侵略を許してしまったようですわ」
 すでに衝突している相手や、情報を探っている対象、そして見慣れぬ敵の数々。
 ファビエヌは差し棒を操って、『劉備』の目論見を暴く。
「まず、『魏への北伐』と『呉への東征』を宣言。諸葛亮に『出師表』を読み上げさせると、史上最大規模の大戦乱を引き起こすべく全軍に出動命令を下しました」
 大戦乱により、魏や呉の領土内の全ての人間を殺し尽くし、そこから生まれるエネルギーと、その死体を利用して生み出すトループス級の大軍勢で、隣接ディヴィジョンからの侵略者とディアボロスの双方を討ち取ろうというのだ。
「もちろん、このような暴挙を許すことは出来ませんわね。劉備が、大戦乱を引き起こす前に『大戦乱群蟲三国志奪還戦』を仕掛け、大戦乱から人々を救いつつ、中国大陸の最終人類史への奪還を目指しましょう」
 今回の依頼は、ファーストアタックだ。
 中国全土で大戦乱を引き起こそうとする蟲将の軍勢と、周辺ディヴィジョンからの侵略者の軍勢に対して、戦争直前に攻撃を仕掛けて戦力を削る事で、戦争の機先を制する事が出来る。
「敵は大戦力である為、引き際を間違えず、充分な打撃を与えたらすぐに撤退する事が重要になりますわ」

 時先案内人は、戦場マップ右側の上下を指した。
「吸血ロマノフ王朝は、本気で戦いに介入するつもりは無さそうですね。『冥海機ヤ・ウマト』も、威力偵察の延長というところです。この、艦船型クロノヴェーダ勢力については、わたくしたちディアボロス側からも『TOKYOエゼキエル戦争』のディヴィジョン境界を通じて情報を集めてきましたが、まだまだ謎が多いですわ。……とはいえ、お名前が判ったのは、イイコトですわね♪」


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
4
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)が不可能な世界に変わる。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV3 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

大丁
 オープニングをお読みいただきありがとうございます。
 マスターの大丁です。

 今回は、『大戦乱群蟲三国志奪還戦』のファーストアタックシナリオとなっております。

 戦場で出くわす相手は、『冥海機ヤ・ウマト』からきたトループス級、『メタルクルーズ』の大群です。
 どういった位置、状態にあるメタルクルーズを、どこまで、どのように攻めるかは、ディアボロスのみなさまの作戦に任されています。
 海上での戦闘となるので、【飛翔】や【水上歩行】は役にたつことでしょう。
 戦果を上げれば、ディアボロス・ウォー当日の敵勢力を減らせるばかりではなく、有利な要素が発生するかもしれません。
 確率は低いですが、場合によっては、ジェネラル級『翔鶴』との遭遇もありえます。

 戦いに、冒険に。そして、ドキドキを。
 みなさまの素晴らしいプレイングをお待ちしております。
60

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


河津・或人
まぁこのゲーマーにお任せあれ、ってな


態度は表向きはクールな理系人間
直感よりも理論を優先して行動するが
気を抜いても構わない場では年相応にヤンチャな一面もある

戦闘スタイルはガジェットを利用して
デフォパラドクス各種をエミュレートしたり
手段を選ばず攻略するバグ技愛好ゲーマーっぽいオリジナル技を使うのが得意
正攻法で戦う場合は射程に合わせてブレードや銃撃を使い分け

『他者存在について分析・解釈して模倣を行う』
『行動するタイミングの道筋立て』
といった事を重点的に考えて行動する

作戦に指示があれば積極的に動き、裏方ムーブも好き

公序良俗に反する行動や迷惑行為はNG
連携アドリブ歓迎、よろしく頼む!


エヴァ・フルトクヴィスト
今の私達でどこまで『冥海機ヤ・ウマト』と相対出来るかは分かりませんが。
その実力の立ち位置を含め、少しでも情報を持ち帰ると共に。
戦力を削って、正確な情報収集を持ち帰るのを妨害をさせて貰いますよ!

飛翔の力をお借りしつつ。
パラドクス通信を発動させて、こちらは皆さんとやり取りを行い、連携を密に。

相手の動きの観察での追跡や殺気で攻撃を看破。
速度の緩急のフェイントや残像、水中適応もあるので海に潜ったりと、
極力敵の攻撃を攪乱し回避。
回避が難しい場合、ミュルニルを高速詠唱し、雷の弾幕で防御も兼ねた攻撃を展開。

包囲が形成され始めたり、ジェネラル級が出てきた段階で撤退を指示。
速度で引き離して陸方向を目指しますよ!


月城・木綿紀
「水中から一択かな……こっちは潜水艦イメージだし……」
水着姿で挑み、水中適応で水中から挑む。
水深200mくらいから近づいて接近。
ボビンと連携しパラドクスで縫い付けて動きを封じる上に空中に逃げられないようにしてからパイルバンカーを撃ち込んでぶっ壊す!


峰谷・恵
「パラドクスだからまあいいけど、横、後ろ、上に対応できるのが2つの主砲だけって兵器としてはどうなんだろう?」

可能な限り連携を取る。アドリブOK。
飛翔最高速で上空から敵へ接近する。
敵の直上を取ったら急降下して魔気裂空弾で攻撃。
敵の反撃は反転急上昇しながら回避機動を取って避ける。避けきれないものはLUSTオーラシールドで防ぐ。
その後はLUSTビームマシンガンの連射で敵の注意を引き付け、味方が攻撃しやすい状況を作る。機を見てLUSTビームマシンガンの弾幕に混ぜる形で魔気裂空弾を放って攻撃を仕掛ける。
HP半分以上削られるか敵増援に包囲されそうになったら撤退。

「今のところ女性型ばかりだね。艦船だから?」


月下部・鐶
情報を持ち帰るのは、こっちだって同じだよ
すっかり丸裸にして戦場で徹底的に叩いてやるんだから!

後方で戦場を[偵察、観察、情報収集]して、敵の情報、地形を確認
パラドクスの準備のために手にしたキャンバスに敵を描こうとして憤慨
ホントに裸じゃない、ハレンチな敵!

みんなが攻撃開始したら、あたしは後ろからパラドクス発動!
敵が砲撃を、突撃をする前にキャンバスの絵に描いた鎖を切って、吹き飛ばして[かく乱]するね

しっかり戦況を見て敵の反撃が本格的になる前に逃げ遅れないように注意!
みんなの撤退も助けながら《飛翔》で一気に離脱するね
敵の情報をしっかり描きとめて味方に持ち帰るよ!

アドリブ、連携、大歓迎!


瀬鍔・頼門
いずれぶつかり合う日はくるであろうが、こちらもできうる限りの情報を得なくてはな。冥海機とやらの手応え、見せてもらおう。

【飛翔】を借りられれば使い無双馬と共に海上を飛行移動。海面ぎりぎりを飛び、多数の敵の遠距離攻撃の的となるのは避ける
味方との連携を意識して波状攻撃を仕掛ける
【春日ノ御太刀】で攻撃し敵の陣形を崩してみたい

敵の攻撃に対しては無双馬と共に身を翻し回避、鎧の大袖で避弾経始を行って耐えていこう
【通信障害】を利かせ敵の通信妨害ができるかも確かめてみたいところだ

戦いながら敵陣形や隊列に呑まれないよう意識。情報収集や離脱する際も味方へのフォローをなるべく行う


渕上・澪乃
あれが艦船型のクロノヴェーダか……
報告でそういうのがいるとは聞いていたけど、実際にこの目で見るとどこか不気味だね

向こうが海の上にいるなら【飛翔】を使って空中戦を仕掛けよう

【雨月】で上空から氷の弾丸を飛ばして攻撃していこうかな

敵が隙を見せたら急接近して勢いをつけたまま「蒼月」で斬りつけようか
一体ずつ確実に、ある程度倒せたら無理せず撤退するよ


伊藤・芳男
「艦艇に見えないこともないか、ファイター1-1、攻撃開始!」
海面すれすれをなめるように飛翔し敵艦隊に接近、左右に微妙に機体を揺らし敵の対空砲の照準を惑わしながら艦体ぎりぎりで急上昇、敵艦の真上で失速機動を行い反転、敵の生体パーツめがけて急降下爆撃を敢行し、そのまま一撃離脱、加速して敵の対空砲の範囲外に一気に逃げる


 沖合に波が膨らみ、それにつれて灰色の影がいくつも見えた。
 海上で下車したディアボロスたちは、『飛翔』をいくつも足して向かって行く。『大戦乱群蟲三国志』を見張っているだろう敵に。
「情報を持ち帰るのは、こっちだって同じだよ」
 月下部・鐶(さいつよのお姉ちゃん・g00960)は、白いキャンバスを顔の前にかざす。
「すっかり丸裸にして戦場で徹底的に叩いてやるんだから!」
 彼女こそ、露出度高めのスタイルだが、水着ではない。
 束縛からの自由をめざすタマキ流のファッションだ。河津・或人(エンジェルナンバー・g00444)は形式どおり、理路整然としている。
「まぁこのゲーマーにお任せあれ、ってな」
 ハッキングツールの『パラドクスエミュレータ』は、銃とも剣ともつかない形状である。
 操作する或人は落ち着いた様子。けれども、名前が判明したばかりの新ディヴィジョンについて、早く分析してみたい。
 ふたりの挙げた任務に加えて、エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)は。
「今の私達でどこまで『冥海機ヤ・ウマト』と相対出来るかは分かりませんが……。可能なかぎり戦力を削って威力偵察の妨害をさせて貰いますよ!」
 連携を密にすべく、『パラドクス通信』を開いた。
 短く返事がはいり、メンバーは散開を始める。
 青い、紋章のような翼を広げて、デーモンの渕上・澪乃(月の番人・g00427)が上昇していった。後に続く、峰谷・恵(フェロモン強化実験体サキュバス・g01103)は、伝統的なコウモリの翼だ。
 空に吸い込まれるようにして、ふたりは高度をとる。
 無双馬『綾目草』に跨ったままの瀬鍔・頼門(あかときの影ぼうし・g07120)は、下降した。
 航空突撃兵、伊藤・芳男(自称戦闘機乗り・g04524)の機影も眼下にあり、水着姿の月城・木綿紀(月城家三女の【裁縫】の魔術師・g00281)も下がる。
 頼門と芳男は、波のかかるギリギリのところで加速して、超低空飛行に移った。
 木綿紀は、そのまま海にドボン。
 オウム貝型ドローンの『ボビン』を放った影だけが、透かし見える。通信によれば。
「水中から一択かな……こっちは潜水艦イメージだし……」
 と、いうことだ。
 無双馬と航空突撃兵が、敵艦隊に近づいた。
 頼門は、手綱を操って『綾目草』の鼻先を振り、トループス級の砲撃の的にならないようにする。
「いずれぶつかり合う日はくるであろうが、こちらもできうる限りの情報を得なくてはな。冥海機とやらの手応え、見せてもらおう」
「あれも……艦艇に見えないこともないか、ファイター1-1、攻撃開始!」
 芳男は引き続き、海面すれすれをなめるように飛翔したあと、やはり左右に微妙に機体を揺らして、敵の照準を惑わしていた。
 『メタルクルーズ』たちが、艦首滑空砲を連射してきたのに合わせて、急上昇をかける。いっぽう、頼門と無双馬は低空を維持したまま突っ込んだ。
「駆け参る……、『春日ノ御太刀(カスガノオンタチ)』!」
 太刀に雷電を纏わせ、神鹿の駆け跳ねるが如く斬りかかった。喫水線より上にある部分に、刀傷がつく。
 転覆したその一体に構わず、トループスたちは陣形を保ったまま、砲撃を繰り返す。頼門は無双馬と共に身を翻したが、回避しきれない。
 なんとか、鎧の大袖で砲弾を逃がしたくらいだ。
 平安の鬼狩人が敵を引き付けているあいだ、航空突撃兵は『木の葉落とし』を仕掛けていた。敵艦の真上で失速機動を行い反転、艤装のうち、生体パーツめがけて急降下爆撃を敢行する。
 船の形の部位と、違いがあるかは判らなかった。
 芳男は、そのまま一撃離脱して、彼女らの対空砲の範囲外に一気に逃げる。数体、あるいは数隻は仕留めたはずだ。頼門も太刀をふるって敵を引かせると、『綾目草』ともに上昇に転じた。
 冥海機につけた傷から電光がとんでいる。
「通信妨害になっていれば、いいのだがな……」
 仲間に報告を入れると、声と同時に高高度に、デーモンとサキュバスの翼も見えた。彼と彼女も敵艦の頭上をとるつもりだろう。
「あれが艦船型のクロノヴェーダか……」
 澪乃は目を凝らす。
「報告でそういうのがいるとは聞いていたけど、実際に見るとどこか不気味だね」
「うん。それに、パラドクスだからまあいいけど、横、後ろ、上に対応できるのが2つの主砲だけって兵器としてはどうなんだろう?」
 恵はそう言いつつ、コウモリ翼に強化サキュバスフェロモンを充填し、下方へと身体を傾ける。
 紋章状の翼は、高度を維持したまま、氷の弾丸を飛ばした。
「この雨はどこまでも降り続けるよ。『雨月(ウゲツ)』!」
 洋上に、木の葉のように浮かぶ敵に対して、澪乃の弾丸は広く撒かれる。メタルクルーズたちも、左右に装備された『自由駆動二連砲塔』を傾け応戦してくるが、氷は魔力製だ。
 途中で進路を変えて砲弾と衝突させた。その間をすり抜けるように、恵は急降下していく。
 自身でも、『LUSTオーラシールド』を張り、敵艦の砲撃を防いだ。
 落下に上乗せした速度のぶん、手の甲にくる振動も重いものとなる。
「裂き貫けッ!」
 翼には魔力と闘気も溜まった。『魔気裂空弾(マキレックウダン)』として発射する。
 甲高い悲鳴のようなものをいくつか聞いた。身を起こして恵は反転急上昇。
「この敵は今のところ、女性型ばかりだね。……艦船だから?」
 『LUSTビームマシンガン』も取りだすと、牽制の射撃を行いながら回避機動をとる。
 離脱を助けるために、澪乃もフェアリーソード『蒼月』を手に降りて来ていた。
「女ばかりの敵、なのかな……」
「ホントに裸じゃない、ハレンチな敵!」
 鐶の怒鳴り声が、通信にのる。リアライズペインターとして、パラドクスの準備のために敵の姿を描く必要があった。或人はかわらず、クールに観察をし、ガジェットに吸わせたデータを確認すると、ふいに口の端をつり上げた。
「まあ、収集もほどほどに。俺はここいらで、エミュレート結果を試してみるよ」
 飛翔を解除して、自ら落下する。
 水面に着地した。軽い足取りで、『水上歩行』をしている。
「『水掻き要らず(フィンレスグリッチ)』だ。船の子たちは、どうでる?」
 或人だけでなく、メタルクルーズたちの周囲でも波が消えた。一時的に推進力も空回りしているらしい。まさに的で、ツールを変形させてコピーした『艦首滑空砲』を連射した。
 当然、トループスたちは慌てている。
 遠巻きに観察していたエヴァも、混乱の中にも強い殺気があることを感じた。
「海に浮かんでいるだけじゃありませんね。私も水中適応を使わせていただきます!」
 ざぶん、と水に入る。
 まだ、顔を出しているうちに、通信をとばした。
「冥海機は、潜水も得意なようです。或人さんのコピー砲撃を逃れた部隊が、下から私たちを囲いこもうとしているみたいよ」
「僕の位置からも、そう見える。無理せず撤退するよ」
 空襲グループを代表して、澪乃が応えた。
 陣を引くにしても、ある程度のダメージを与えて機会をつくらねばならない。エヴァは完全に潜ると、急接近してくる艦影に『界雷の鎚(ミョルニル)』を放った。
 かつての雷を司る神の象徴。その寓話から雷の力を呼び出し、世界に満たす。
 海中でも同じことだ。いくつかの冥海機が、痺れて動作を鈍くした。
 通信のやり取りを聞いていたのだろう。ずっと、水中戦をしていた木綿紀が、『ボビン』と共に、殿の打撃に加わりにくる。
 『弥針杭打(ミシンバンカー)』は、このオウム貝ドローンとミシン風パイルバンカーによって発動できる、縫合接続を強化したパラドクスだ。
 トループスたちが、空襲されながらも浮遊攻撃に移らなかったのは、木綿紀が海に縫い付けていたからである。
 口元からブクブクと泡を吐いた。
 おそらくは『世界は布、私は糸、表裏を伝い万物を繋ぐ』と詠唱しているのだろう。
 沈みかけのメタルクルーズの艦底にまわると、『エネルギーブレード』ごとパイルバンカーを撃ち込み、下半身の船をぶっ壊した。
 その後は、水着のバタ足が、エヴァにも見えたから、ふたりして陸方向を目指す。
「よーし、敵の姿はしっかり描きとめた! 味方のところに持ち帰るよ!」
 絵筆を振りぬくと、鐶はキャンバスから顔を上げる。
「けど、その前にあたしからも贈らせてもらうからね。作品名……『重力』!」
 乱気流の絵には、鎖が描かれている。
 白い絵の具で鉄環を消すと、現実の海では竜巻が起こっていた。
 縫われたまま沈むもの、解放されたが宙をまってしまうもの。いずれにせよ、偵察のはずの冥海機がいくつも沈没したのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面歩行】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【飛翔】LV4が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV3が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2023年04月15日