【大戦乱群蟲三国志奪還戦】杯酒会戦(作者 土師三良)
#大戦乱群蟲三国志
#【大戦乱群蟲三国志奪還戦】黄忠
#大戦乱群蟲三国志奪還戦
#黄忠
⊕
●大戦乱群蟲三国志にて
荊州の一角に築かれた蜀軍の陣営。
甲虫を模した一輪手車を押す蟻型の蟲将たちが忙しなく走り回りながら、時には手車に荷物を乗せ、時には手車から荷物を下ろし、時には手車を並べて簡易防壁を築いている。
彼らを指揮しているのは見事な白鬚を蓄えたオニヤンマ型の蟲将だ。
いや、指揮とは言えないかもしれない。
「おいおーい。皆、張り切りすぎるでないぞぉ」
地面にだらしなく座り込み、四本の手を使って二つの瓢箪から二つの杯に酒を注いでは飲み干し、また注いでは飲み干し……戦場にいるとは思えぬリラックス振りである。
「のろのろ動いてだらだら進めるのは論外じゃが、きびきび動いててきぱき進めるのも考え物よ。全力を出すな。大抵のことは七分か八分の力で足りるのじゃ。うぃーっく」
「もそっとしっかりしてくださぁーい!」
酒臭いしゃっくりをもらすアヴァタール級に向かって、蟻型トループス級の一体が苦言を呈した。蟲将なので表情は判りづらいが、声から察するところ、半泣きになっているようだ。
「此度の大戦さには蜀の……いえ、大戦乱群蟲三国志の命運が懸かっておるのですぞぉ!」
「へいへい。うぃーっく」
「なんですか、その気の抜けた返事は!? 嗚呼、劉備様がこの体たらくを御覧になったら、なんと仰ることか……」
「なにも仰るものかよ。劉備様は寛容じゃ。この程度のことで目くじらを立てるはずもない。まさに、大徳を持つ理想の君主よのう。うぃーっく」
「……」
トループス級は無言で溜息をつき、その場から離れた。
きっと、彼には聞こえなかっただろう。
酒浸りの上官が小声で付け加えた言葉は。
「大徳の唯一の欠点は、自分を脅かす優秀な部下を許容できないところじゃ。下手に目立ってしまったら、関羽殿の二の舞よ」
二つの杯を続けざまに空にして、『黄忠』の名を持つアヴァタール級は自分に言い聞かせるように呟いた。
「生き残るためには、ほどほどに働くのがちょうど良い」
●新宿駅グランドターミナルにて
「このパラドクストレインの行き先は『大戦乱群蟲三国志』だ」
パラドクストレインの車内に足を踏み入れたディアボロスたちにそう告げたのはインセクティアの精悍な青年。
時先案内人の李・令震である。
「現在の大戦乱群蟲三国志の情勢はまさに風雲急を告げるってやつだ。呉の孫権に続いて魏の曹操が撃破されたことによって、蜀の劉備が断片の王として覚醒した。しかし、消去法というか棚ボタ式で得た王座だから、その権力基盤は強固とは言い難いし、排斥力も低下しているようだ」
そして、山積みの内憂を解決できないうちに大きな外患が……そう、周辺のディヴィジョンがここぞとばかりに攻め込んだ。
それらを打ち倒すべく、劉備は魏への北伐と呉への東征を宣言。諸葛亮に『出師表』を読み上げさせ、全軍に出動命令を下した。
「劉備は史上最大規模の戦乱を引き起こし、魏や呉の領土内の人間を殺し尽くすつもりらしい。そこから生じるエネルギーと死体を利用して大量のトループス級を揃え、他のディヴィジョンおよびディアボロスに対抗しようって腹なんだろうな」
慎重派の劉備にしては大胆な策と言えよう(他に選択の余地がなかっただけかもしれないが)。大胆なだけでなく、有効な策と評してもいいかもしれない。
しかし、この策には大きな瑕疵がある。
ディアボロスの迅速かつ柔軟な対応力を見誤っていることだ。
「喧嘩の必勝法は、殴られる前に殴ること。というわけで、劉備の野郎が大戦乱を引き起こす前にこちらから『大戦乱群蟲三国志奪還戦』を仕掛けることととなった。今回の任務はその前哨戦だ。各地に配置された敵の部隊を叩き、戦力をできるだけ削ってくれ」
このパラドクストレインに招集されたチームが向かう場所は荊州。オニヤンマの蟲将である『黄忠』が制圧せんとしている地だ。
「黄忠は複数の部隊を率いている。おまえらに叩いてほしいのは、働き蟻のトループスで構成された輜重部隊だ。兵站輸送を専門としている連中だが、戦闘能力が皆無ってわけじゃないから、油断はするなよ。それに数も多い。全滅させるのはまず無理だ。削れるだけ削ったら、さっさと退却しろ」
任務の解説を終えると、令震は感慨深げに吐息をついた。
「大戦乱群蟲三国志が解放される日は近い。もちろん、勝利なくして解放はないが……おまえらが負けるはずはないよな。いや、ちょっと気が早かったか。まずはこの前哨戦を勝利で飾ろうぜ」
照れ笑いのような表情を一瞬だけ浮かべた後、時先案内人は力強い声で宣言した。
「では、行くぞ!」
パラドクストレインが走り始めた。
リプレイ
音羽・華楠
……酒浸りに見えて、案外聡明な将のようですね、黄忠は。
ああいうのが本気を出して指揮を始めると、雑兵でも精兵と化しそうです。
そうなる前に――削りましょう。
木兜流馬を並べて簡易防壁にすればこちらは攻めあぐねる……と思いましたか?
残念ですが、そんなもの飛び越えて襲い掛かりますよ、私の《雷幻想・瑞鳳》は!
雷の鳳凰の式神を雷速で飛行させ、木兜流馬の陰に隠れたトループス級たちを上空から襲撃させます。
何なら雷撃で木兜流馬に火を点けて、炎上させていくのも良いですね。
それで発生した煙は、撤退時の目眩ましにもなりそうですし。
令震さんに勝利を信じてもらってますから。
その期待、裏切りませんよ私たちは!
アマネ・モルゲンシュバルツ
酔えば酔うほど強くなるタイプね、あれは…
とは言え酔い醒ましの一撃を食らわせてやるわよ!
敵の兵站がここにあるというのなら、
兵站ごと焼き払うまでのこと!
やり方は少々あくどいかもしれないけど、まぁこれが戦争ってやつだし
勘弁して頂戴!
火炎と風使いとか両立させて
効率よく敵を焼き払えるような攻撃をしたいところね
敵の黄忠さんにも一つ挨拶をついでにしておくかな。
イェーイおじさん!首を取りに行くから待ってなさいよ!
三苫・麻緒
いびきをかいて寝てばかりな駄目おじさん相手だったら楽だったんだろうけどね…
無い物ねだりしてもしょうがない
冷静になられる前に手遅れな状態にしちゃおう!
数には数をってことで、魔弾を惜しみなく《連射》していくよ
弱った個体から狙って確実に数を減らすことを重視
ついでに兵站も巻き込んじゃおう
折角運んだものを台無しにされたショックとかで隙を見せてくれたら上出来
見逃さずに攻撃したいね!
…虫型クロノヴェーダのご飯だからきっと虫用のご飯
私の好みとは違うはず…っ!
反撃の砲撃はエネルギー放出段階で攻撃方向を察せないかな
察したらあとは直撃回避のために回避行動を取りつつ、避けきれなかった分を加護の力で防御したいね
●序幕
レールが敷かれていない草原に、JR山手線の車両に似た列車が停まっていた。
異様な光景ではあるが、その列車がパラドクストレインとなれば、話は別だ。
「史実の黄忠はどうだか知らないけど、蟲将の黄忠はかなりの呑兵衛なんだとか」
車両側面に並ぶ黄緑色の扉が一斉に開き、継ぎ接ぎだらけの学生服を着た少女がそのうちの一つから降り立った。
サイボーグのアマネ・モルゲンシュバルツ(憤怒のドラッヘリッター・g00313)である。
「酔い醒ましの一撃ってのを食らわせてやりましょうか!」
「いえ、既に醒めているかもしれませんよ」
気合いを入れるアマネに続いて、妖狐の少女――音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)が降りてきた。巫女装束のような衣服を纏っているが、『ような』が付くことからも察しがつくようにそれは原型を留めておらず、白い肩や形の良い足が剥き出しになっている。
「『酒浸りに見えて、存外と聡明かつ堅実』という評も聞きましたから」
「酒浸りに見えて、か……あーぁ。見たまんまの酒浸りダメおじさんなら、楽だったんだろうけどね」
三人目の降客が情けない顔をして溜息をついた。ミント色の魔力の翼とチョコレート色の髪を有したデーモンの少女だ。
「でも、ないものねだりしてもしょうがない。相手が酒浸りロールプレイに興じてる間に叩きまくって、手遅れ状態にしちゃおう!」
表情を引き締めて、その少女――三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)は拳を空に突き上げた。
●三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)
仲間たちと肩を並べてずんずん進んでいくと、敵の陣地が見えてきた。働き蟻型のトループス級たちがいっぱい。
当然、向こうも私たちの姿を捉えた。
「敵襲ぅーっ!」
「南方の首なし野郎どもか!?」
「いや、ディアボロスっぽいぞ!」
蟻さんたちが大声で騒ぎ出すと、アマネさんが苦笑した。
「『ディアボロスっぽい』って、なによ? ぽいじゃなくて、正真正銘のディアボロスだっての」
『正真正銘のディアボロス』を前にして、蟻さんたちはまだ騒ぎ立てているけれど、手足がお留守になってるわけじゃない。よく訓練されていることが判る動きで以て、甲虫みたいな形の手車を素早く配置して防衛線を築いた。Y字型の角が横一列にズラっと並ぶ様は壮観。鉄壁っぽい感じがするわー。
まあ、ディアボロスにとっては紙切れも同然だけどね。
ぽいじゃなくて、本物の鉄壁だったとしても。
「手車を並べて防壁にすれば、こちらは攻めあぐねる……とでも?」
華楠さんが歩を速めて前に出た。肩で風を切るように堂々と。
切られた風が長い袂(露出度の高い着物だけど、袂の部分には布をたっぷり使ってるの)をはためかせ、袖の先から覗く手に吹きつけ、指先に挟まれてる御札をパタパタと揺らす。
その『パタパタ』がいきなり消えた。
華楠さんが足を止めたから。
「生憎ですが、そんなもの飛び越えて襲いかかりますよ。私の『雷幻想・瑞鳳(ファンタズム・ヴィゾフニル)』は!」
叫びとともに手が振り上げられ、宙に舞った御札が神々しい鳥に変わった。
鳥は電光の軌跡を刻み、鉄壁っぽい防衛線めがけて一気に急降下。何人分かの悲鳴が続けざまに聞こえてきた。手車の裏で身を伏せていた蟻さんたちが嘴で突っつかれたり、爪で引っかかれたりしたんでしょうね。
でも、死には至らなかった模様。鳥が飛び立つと、突っつかれた/引っかかれたと思わしき(だって、傷だらけだし)三体の蟻さんが半身を手車の陰から覗かせた。
そして――
「うおー!」
「てぇーい!」
「とりゃあー!」
――咆哮と呼ぶにはいまひとつ迫力に欠ける雄叫びをあげ、両の掌を勢いよく突き出した。
●音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)
蟲将たちの掌から放たれたのは、実体なき力で構成された光弾。『戦闘能力が皆無ってわけじゃない』という令震さんの言葉は正しかったようですね。
しかし、私の胸に深く刻まれているのは別の言葉です。
『おまえらが負けるはずないよな』
はい。私は、その期待を裏切ったりしませんよ。
私だけでなく、他の皆も――
「――決して裏切りません!」
叫びざまに飛び退り、光弾を回避。
すると、敵陣へと進んでいく『他の皆』のうちの一人とすれ違いました。
アマネさんです。
「Entsiegelung……レーヴァテイン……すべてを焼き尽くしてしまおうか」
何者かに語りかけながら、アマネさんは胸の辺りに手をやり、真横に素早く払う動作で剣を抜き放ちました。刀身に炎を帯びた剣です。
後ろに下がった私にはアマネさんの背中しか見えませんが、懐中に忍ばせていた剣を抜いたのでないことは断言できます。その剣はどこかに忍ばせられるような大きさではありませんし(その上、燃えていますし)、そもそも彼女の衣服には懐などありません。では、どこから抜いたのか? それは判りませんが、パラドクスを用いたことだけは間違いないでしょう。
「そぉーれっ!」
アマネさんは腰を大きく捻り、燃える剣を一薙ぎしました。
その豪快な斬撃を浴びたのは、『雷幻想・瑞鳳』を受けた蟲将のうちの二体。彼らは胴を両断されると同時に燃やされ、四つ(それぞれの上半身と下半身です)の大きな消し炭へと変わりました。
「ひ、怯むな! 撃ちまくれーい!」
残った一体が叫ぶと、他の蟲将たちが次々と光弾を放ちました。
それらを躱しつつ、反撃の太刀を続けざまに振るうアマネさん。
更に麻緒さんも動きました。
「目には目を! 歯には歯を! エネルギー弾には――」
魔力の翼を展開し、私たちの頭の高さまで舞い上がり、蟲将たちと同じように実体なき光弾を発射。デーモンのディアボロスが得意とするパラドクス『双翼魔弾』です。
「――エネルギー弾をね!」
●アマネ・モルゲンシュバルツ(憤怒のドラッヘリッター・g00313)
あたしは戦場を走り回った。エネルギー砲を撃ち込んでくるトループス級どもを斬り伏せ、斬り捨て、斬り殺しながら。
レーヴァテインを振るう度、燃える刃が唸りをあげ、火の粉が散る。この魔剣のパラドクスで狙える相手は一度に二体までなんだけど、それは先程のようにこちらが攻撃を仕掛けた場合の話。攻撃を仕掛けられた側になれば、時間や距離に縛られることなく、仕掛けてきた奴ら全員に(こちらの命が続くかぎりは)反撃できる。なぜかは知らないし、べつに知りたくもない。逆説連鎖戦に常識や理屈を求めても無駄だしね。
走り続けながら、低空飛行中の麻緒をちらりと見上げてみた。彼女もまた次から次へと放たれるエネルギー砲を避けつつ、双翼魔弾で反撃している。
「もしかして――」
麻緒に声をかけながら、トループス級を逆袈裟に斬り上げた。レーヴァテインの刀身から炎が派手に飛び散り、傍に置いてあった手車の上の荷物に引火した。
「――あたしと同じことを考えてる?」
「たぶんね」
答えると同時に撃ち出された双翼魔弾は二体のトループス級を吹き飛ばした。別の手車もろとも。
そう、あたしと麻緒は敵を攻撃するだけじゃなくて、糧食を燃やしてるんだよ。少々あくどい戦い方だけど……まあ、これが戦争ってやつだし、蟲将たちはもっとあくどいことをやり続けてきたんだから、文句を言われる筋合いはないよね。
「でもぉー! 食べ物を粗末するのは断腸の思い!」
麻緒が苦悩の叫びを発した。あたしみたいに簡単に割り切ることはできないみたい。
「……あ? よく考えたら、そんなに気にすることでもないかな。これは虫用のご飯だから、あたしの好きな食べ物とはまったく違うだろうし」
訂正。スパッと割り切っちゃいましたー。
「なにはともあれ、焼き討ち作戦は大成功だね」
そう言って、麻緒はドヤ顔を見せた。
確かに大成功。一部のトループス級は『消せー! 消せー!』と騒ぎながら、戦闘そっちのけで消火作業をしてる。こうなると、こっちがめちゃくちゃ有利だよね。攻撃と放火は両立できるけど、攻撃と消火は(水系や氷系のパラドクスでも使わない限り)両立しにくいから。
「炎上させるのは良いですね。発生した煙を撤退時の目眩ましに使えますから」
華楠が印を切ると、例の鳥が稲妻に変わり、トループス級たちを『ゴロドロドーン!』と打ち据えた。その拍子に雷光が跳ね飛び、またもや手車に引火。
炎がどんどん燃え広がっていく。
「イェーイ! おじさーん!」
赤く染まりゆく戦場のどこかに控えているあろう黄忠に向かって、あたしは叫んだ。
「いずれ、首を取りに行くから、待ってなさいよぉー!」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV2が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
鳴神・雷羅
※アドリブ、絡み歓迎
お上に睨まれたら怖いから目立たずテキトーにやるってか?
どこまで本音か知らねえが、つまんねー生き方だよな!
こっちの劉備も、演義と違って人徳はないと見える
まあいいさ、あたいらがやるこたあ一つ
「殺られる前に殺れ」だ!
周囲の障害物や建物の影に隠れるなど「地形の利用」しながら接敵
長距離砲撃持ってる相手だ。見つかったらヤバい
隙を突いてバールのようなものをぶん回し
敵の脳天目掛けて破壊!強打!
一発殴ったら一撃離脱で距離を取り
反撃には落ちた積み荷や虫車を盾にしてダメージ軽減
頭数を減らしたら【防衛ライン】を敷いて撤退だ!
酒飲みジジイ!余裕ぶっこいてられるのも今だけだぜ
首を洗って待っていな!
アルメア・グラウプナー
「戦争において前線に立つ兵士達を相手取るのも良いが、後方を引っ掻き回してやるのも別の面白味がある。さて、精々暴れてやろうじゃないか」
「…ま、あの輜重兵達には少しばかり同情するがね、はっはっは!」
・行動
では希望に沿って敵部隊を叩けるだけ叩いてやろう。
跳躍撃で奇襲を掛け、部隊の中心に居る敵を潰すと共に火砲やミサイルでの【砲撃】【制圧射撃】【爆破】【誘導弾】で攻め立てていく。
反撃に対しては【飛翔】を使う他、跳躍撃で回避しつつカウンターで攻撃する。
同時に少しずつ敵陣の外に出やすい様に移動していく。
身動きが取れなくなる前に撤退だ、爆裂鉄球で道を切り開き、ミサイルの爆風を煙幕代わりにしながら解散としよう。
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
輜重隊……つまりは兵站部隊か。
真正面から撃ち合うのではなく後方の補給拠点を叩いての絡め手……派手さは無いけど手堅い作戦ね。
●行動
【飛翔】し【空中戦】技能を活かして敵陣を空襲。
【偵察】技能で敵陣を航空偵察し、身を潜める敵輜重兵を見付け出すと共にダイブアンドズームで強襲。
【戦闘知識】と【地形の利用】から隠れるのに適した地点にアタリを付け、手早く敵を捜索する。
攻撃後は【一撃離脱】で空中へ退避すると共に友軍へも情報共有。
反復攻撃を繰り返して敵戦力を漸減させる。
……敵指揮官、黄忠は弓の名手と聴く。
オニヤンマの蟲将だと言うなら、飛行能力にも長けている筈。
どれ程の空戦技量を誇るのか、気になる所だわ。
呉守・晶
兵站輸送の輜重部隊か、確かにパラドクストレインで現地に直行できる俺らはともかく、向こうはそういう部隊が必要だよな
まぁそういった後方部隊を襲撃するのは常套手段だな!
……しかし、劉備は此処の指揮を取ってる黄忠にもアレな評価をされてるな
そういう奴だから残されたわけだが
ともあれ、今はやるべきことするか
時先案内人の言う通り、削れるだけ削って逃げるってな!
デモニックボムで空飛ぶ悪魔爆弾の群れを放つぜ、木兜流馬を障害物にしようが意味ねぇぞ!
爆弾が飛んで障害物を無視して直接敵を爆撃するからな!
とはいえ、数が多すぎて全体で見ると嫌がらせレベルか
まぁいいさ、削れるだけ削ったら【フライトドローン】を囮にして撤退だ
●幕間
炎の魔剣を振るうアマネ。
双翼魔弾を乱射する麻緒。
電光の鳳凰を飛ばす華楠。
戦場に死と混乱をもたらす者はその三人だけにとどまらなかった。
「真正面から撃ち合うのではなく、後方の輸送部隊を狙った搦め手か……」
匍匐飛行で敵陣に近付いていくのは、フライトデバイスを装備したサイボーグの少女。
エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)である。
「派手さはないけど、手堅い作戦ね」
「うむ」
と、頷いた軍服姿の女――アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)もまたサイボーグだが、空を飛ばずに地を駆けている。
「前線に立つ兵士たちを相手取るのもいいが、こうやって後方を引っ掻き回してやるのも別の面白味があるな」
「パラドクストレインで現地に直行できる俺らと違って、敵さんは輸送部隊の類がフツーに必要なんだよな。ご苦労なこった」
アルメアの右隣を行くのは呉守・晶(TSデーモン・g04119)。和柄のスカジャンを纏ったデーモンの少女だ。
「まあ、その『ご苦労』なところに付け込むのが戦争での常套手段ってやつなんだけど」
「確かに常套手段だな」
全身からこれでもかとばかりに戦意と殺意と漂わせた女がアルメアと晶を追い抜かした。
鬼人の鳴神・雷羅(獄道デスペラード・g02984)。硬化した手は赤く、そこに握られたバール(のようなもの)の先端も赤い。クロノヴェーダの返り血が染み着いているのかもしれない。
「『殺られる前に殺れ』ってのはよぉ!」
●アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)
「令震もそう言ってたしな」
と、物騒な発言の後に雷羅が付け加えると――
「いやいやいやいや!」
――晶が慌ててかぶりを振った。
「俺の記憶が確かなら、令震は『殴られる前に殴れ』って言ったんだよ。『殺られる前に殺れ』じゃなくてな」
「へっ!」
と、雷羅は狂犬めいた笑みを見せた。
「『殴る』も『殺す』も変わりゃしねえだろうが」
彼女の辞書に載ってる動詞はすべて『殺す』と同義語なのかもしれない。いや、ひょっとしたら、他の品詞も……。
そうこうしているうちに、殴るべき/殺すべきトループス級たちがパラドクスの射程に入った。当然のことなら、それはこちらが敵の射程に入ったことも意味するのだが。
「いくわよ!」
エリザベータが高度を少しばかり上げた。飛行速度も上げたが、そちらは『少しばかり』ではない。
「おう!」
と、飛び去るエリザベータに応えた雷羅であったが、トループス級たちに突進したりはしなかった。逆に足を止め、殺気だけはそのままに姿勢を低くして、バールのようなものを構えている。意外と(などと言ったら、失礼かもしれないが)猪突猛進型ではないらしい。
一方、晶は堂々と歩き続けた。
横一列に並べられた手車(本家の三国志でも言及されている木牛流馬とやらの昆虫バージョンだ)に向かって。
「新手が来たぞぉーっ!」
「迎え撃てぇーっ!」
「これ以上、荷を燃やさせるな!」
手車の奥からトループス級たちの喚き声が聞こえ、何発かのエネルギー弾が飛んできた。
しかし、晶はそれらを躱しつつ、蝙蝠の翼が生えた球体の群れを放った。魔創機士お手製のデモニックボムだ。
「手車を障害物にしたって、意味ねえぞ!」
と、晶が叫んでいる間にボムたちは翼をはためかせて手車の裏側に降下。
一拍の間を置いて、爆発が起きた。
●呉守・晶(TSデーモン・g04119)
手車の列の向こうで爆炎が巻き起こる。
それをバックにしていくつかのシルエットが舞った。
俺を狙ってエネルギー砲を撃ち込んでいやがった蟻野郎どもがまとめて吹っ飛ばされたんだ。
そいつらは受け身も取れずに地面に叩きつけられた。でも、くたばってはいない。すぐにまた立ち上がった。
そのうちの一匹がエネルギー砲をまた撃ち出すためにハドーケンめいたポーズを決めた瞬間――
「お゛るぅら゛ぁぁぁーっ!」
――横手の物陰から雷羅が飛び出してきた。後ろのほうでじっとしていると思ってたけど、いつのまにやら身を潜めて移動していたらしい。
雷羅はバールのようなものをぶんぶん振り回して勢いをつけ、蟻野郎の脳天めがけて叩き下ろした。
蟻野郎はハドーケンのポーズのまま、背中から倒れ込んだ。でも、後頭部が地面に激突することはなかった。てゆーか、後頭部なんて、もう存在していない。バールのようなものを食らった瞬間に首から上は粉微塵に砕け散ったからな。
「ひえっ!?」
と、傍にいた別の蟻野郎(そいつも俺の反撃で吹き飛ばされた奴らのうちの一匹だ)が悲鳴を声をあげ、雷羅から距離をあけた。そして、少し離れた場所にあった半壊状態の手車の陰にヘッドスライディング。なんとも情けない姿だけども、ただ逃げたわけじゃなくて、一時的に姿を隠した上で攻撃するつもりなんじゃないかな。たぶん。
だが、思惑通りにはいかなかった。
「こんなところで隠れんぼ? 俄仕立ての農民兵だって、もうちょっと場をわきまえてるわよ」
エリザベータが急降下してきたからだ。
空飛ぶ鬼(雷羅のような鬼人のことじゃなくて、隠れんぼの鬼だぜ)は敵が隠れてる手車の辺りにダイブアンドズームを仕掛け、爆撃槌を炸裂させた。
そして、一気に急上昇。
後に残されたのは小さなクレーター、粉々になった手車の破片、同じく粉々になった蟻野郎の肉片。
いやはや、雷羅に負けず劣らず、エリザベータの攻撃もパワフルだよな。
たぶん、この二人だけじゃない。
「さて、せいぜい暴れてやろうじゃないか」
そう言って動き出したアルメアも相当なもんなんだろうぜ。
●鳴神・雷羅(獄道デスペラード・g02984)
アルメアの得物は爆撃槌。エリザベータがブン回しているやつと違って、ドデカい鉄球が先端についてる。かなり厳つい代物だ。こんなのに比べりゃあ、あたいのバール(のようなもの)なんざ、可愛いもんだよな。
「輸送部隊の兵士諸君! 貴殿らには少しばかり同情するがね!」
見得を切る歌舞伎役者さながらのダイナミックの動作で以て、アルメアは鉄球を叩きつけた。
敵じゃなくて、自分の足下の地面に。
途端に爆発が起き、アルメアの体はワイヤーアクションみてえに『ぴょーん!』と飛び上がった。爆風を利用したジャンプ。棒高跳びならぬ爆高跳びってところか。
「だからといって、容赦はせんよ! はっはっはっはっはっ!」
楽しそうに笑いながら、放物線を描いて降下。
そして、一体のトループス級の頭に蹴りを撃ち込んで……というか、頭を思い切り踏みつけて、その反動を利用し、バク転からの着地。華麗な動きじゃねえか。爆高跳びがオリンピックの正式競技になったら、金メダルを狙えるだろうよ。
蹴りを受けたトループス級のほうは即死してる。あたいやエリザベータがブッ殺した奴がそうであったように、そいつも晶の爆弾で既にダメージを食らってたからな。
もちろん、そいつの近くにいたトループス級どもは黙っちゃいない。アルメアめがけて、エネルギー砲を矢継ぎ早に発射した。
アルメアは飛び上がり、それらを回避。今度は爆高跳びじゃなくて、パラドクス効果による飛翔だ。だが、すぐに着地して爆高跳びからの蹴り、また着地しては爆高跳びからの蹴り……と、エネルギー砲の標的となった回数だけ反撃を繰り返していく。跳ぶ度に爆発が起きるから、うるさいったらありゃしねえ。
もっとも、爆発音を轟かせているのはアルメアだけじゃない。
「まだまだいくぜー!」
晶も羽付き爆弾をバラ撒いてるよ。
爆破担当はこの二人に任せて、あたいは『可愛い』得物での狩りを続けさせてもらおうか。
さて、どいつを殺ろう? ……と、迷っていたら、エリザベータの声が降ってきた。
「雷羅さん! 九時方向!」
●エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)
三流の兵士なら、私の言葉を正しく受け取ることができず、悠長に聞き返したりするでしょうね。
雷羅さんは瞬時に反応し、三流でないことを証明した。バールのようなものをプロペラさながらに回転させながら、左手にある大きな岩に向かってダッシュ。そして、二秒と経たぬうちに敵と対峙。岩の陰に隠れていた(けど、私の目からは隠れられなかった)トループス級よ。
「コソコソしてんじゃねえぞぉ!」
雷羅さんはバールの回転を止めた。相手の側頭部に叩きつけるという形で。
トループス級はよろめきながらも、両手を突き出し、エネルギー砲で反撃した。
雷羅さんは後方にジャンプ。着地の際、放置されていた手車の取っ手を踏みつけるようにしたのは偶然ではないはず。手車は梃子の原理で撥ね上がり、彼女の前面で爆発四散した。エネルギー砲の直撃を食らい、即席かつ使い捨ての楯としての使命を果たしたのよ。
トループス級は二発目のエネルギー砲を放てなかった。その前に息絶えてしまったから。他ならぬこの私が仕掛けたダイブアンドズームで。
私は止まらなかった。いえ、止まれなかった。続けざまにダイブアンドズーム、ダイブアンドズーム、またダイブアンドズーム。息絶えていない敵たち(山ほど残ってるわ)が次々とエネルギー砲を撃ってきたので、そいつら一人一人への反撃が否応なしに発生するというわけ。
「ドッカンドッカンと派手に爆発させてはいるけれども――」
デモニックボムを四方八方に飛ばしながら、晶さんが言った。
「――これほど大規模な部隊が相手だと、嫌がらせレベルにしかなってないな」
「戦争における嫌がらせってのは馬鹿にできないわよ。嫌がらせの積み重ねが勝利に繋がることもあるんだから」
何回目かのダイブアンドズームで何体目かのトループス級を仕留めつつ、視線を素早く巡らせて戦場の状況を把握。後続の敵が私たちのところに集まり始めている。
「とはいえ、潮時のようね」
「では、帰るとしようか」
アルメアさんがまた爆風でジャンプして――
「見送りは結構だ」
――芝居がかった調子で敵たちに語りかけながら、空中で一礼。
雷羅さんもまた語りかけた。
だけど、相手はトループス級たちじゃない。
「余裕ぶっこいてられるのも今だけだぜ! 首を洗って待ってな!」
そう、黄忠よ。
黄忠はオニヤンマの蟲将らしいから、きっと空を飛べるはず。
はたして、どれほどの空戦技量を有しているのか……いずれ、この目で確かめさせてもらうわ。
●終幕
戦場から撤退するディアボロスたち。
働き蟻型の部隊はそれを追撃せず、荷を焼く炎の消火作業だけに努めた。輜重兵たる彼らの使命は敵を倒すことではなく、味方に物資を届けることなのだ。
「兵站こそが軍の要!」
「輜重なくして勝利なし!」
「腹が減っては戦はできぬぅ!」
作業を続けながら、トループス級たちは部隊のモットーを口々に叫んだ。
自分を鼓舞するために。
仲間を激励するために。
拭い切れぬ不安――どす黒い破滅の予感から目を逸らすために。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【飛翔】がLV4になった!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!