【大戦乱群蟲三国志奪還戦】美酒、美膳、それに美衣(作者 一条もえる)
#大戦乱群蟲三国志
#【大戦乱群蟲三国志奪還戦】麋竺
#大戦乱群蟲三国志奪還戦
#麋竺
⊕
「さぁさぁ、『断片の王』となられた我が君のために。皆、祝いの品を用意なさい!」
「美酒、美膳、それに美衣。まだまだ足りませんわよ!」
蕩蛛宮妓どもがケラケラと笑いながら、跪く民衆を見下ろしている。蜀将・麋竺麾下の者どもである。
『断片の王』となった劉備は、東方の鎮撫に麋竺を使わした。曹操の死によって空白地帯となった徐州の平定を行うことが目的のはずだが、将の器量のせいか、兵の質はいかにもよくない。
とある県に至った宮妓どもは住民の代表である三老をはじめとする人々を集め、「献上品」を求めていた。民衆が裕福なはずはない。しかし蟲将の求めを無碍には出来ず、人々は田畝を耕すための牛を殺して肉を献じ、わずかな蓄えから食料を差し出した。
ところが。
「不味いですわ。こんな貧乏くさいものではなく、マシなものをよこしなさい」
「こんなものが美衣のつもり? こんなボロ布では、祝宴で舞うこともできませんわ!」
宮妓どもは一口食べただけで肉を吐き出し、受けとった衣服を土の上に投げつけた。もとより、遊んでいるのだ。
「わたくしたちに恥をかかせるつもりですわね?」
「まぁ! なんて身の程知らずな人間どもでしょう」
「マシなものを差し出すつもりがないならば、殺しますわよ」
「ひ、ひぃッ!」
「ついに、この時がやってまいりました……」
許・伯隼(人間の無双武人・g03617)は天を仰いで目を閉じ、大きく息を吐き出した。伯隼は『大戦乱群蟲三国志』の生まれである。そして、他のディアボロスたちと同じく多くの親類縁者を失っていた。
「これ。まだ感慨に浸っておるときではないわ。さっさと状況を説明せい」
と、孫・浩然(人間の破軍拳士・g01370)がその肩を小突く。
「や。これは失敬」
気を取り直した伯隼であったが、その興奮は隠しようがない。
「呉王・孫権に続き、魏王・曹操を倒すことに我々は成功しました。これも、皆様の奮闘の結果。心よりお喜び申し上げます」
と、一同に拝礼する。
「もともと『大戦乱群蟲三国志』は、三国の王が争い、それに勝ち残ることで強大な『断片の王』を生み出すつもりでした。
いま劉備が王の座についたとはいえ、曹操、孫権を自らが滅ぼしたのではないために、その力は十分ではなく、また排斥力も低下しています」
他のディヴィジョンの介入を招いたのも、そのせいであろう。
「今、昭烈帝となった劉備は魏と呉の旧領を制圧し、その地に住まう人々を皆殺しにすることで力を得、その死体を利用して大量の蟲将を生み出そうとしています。
その力と戦力で、我々と他のディヴィジョンからの侵入者を撃破しようという心づもりでしょう」
そう言った伯隼は一同の顔を見渡した。
「無論、万民を苦しめる暴挙を許すことは出来ません。
こちらから『大戦乱群蟲三国志奪還戦』を仕掛け、民を救い、この地の奪還を目指しましょう」
「三国の戦いの中で、関羽を失ったことを除けば蜀はどちらかと言えば傍観者でありました。
故に、その戦力の多くが残されているはずです」
そこに魏や呉の残党、そして洛陽・長安を抑えていた司馬懿の軍勢も加わっており、
「けっして侮ることはできぬ勢力ではあります」
そう言った伯隼ではあるが、ふと表情を和らげる。
「しかし、魏・呉を降した我らの力はそれ以上。そうではありませんか?」
と、一同を見渡した。
「麋竺という名は、徐州の富豪として聞き及んだことがあります。なんでも万にも及ぶ使用人がいるとか……。
その名を奪った蟲将は、兵を率いることに巧みではない様子。
まずはこれを撃破して、攻略の足がかりと致しましょう!」
リプレイ
陳・桂菓
素っ裸でヘラヘラ踊るのが仕事の卑猥蜘蛛どもが、美衣なんぞ手に入ったところで持ち腐れだろうに。
何にせよ、この上の狼藉は許さん。
使用武器は苗刀『飛竜』
プランAは、髪の檻に囚われるより先に【蚩尤超限暴】の速度をもって檻の範囲から脱し、一息に懐に入って斬り捨てる。
それができず檻の中に入ってしまったら、プランB。飛竜の切れ味に物を言わせて敵の髪を斬り裂いて血路を拓き、やはり一気に距離を詰めて斬る。
敵の頭数も手数も、脅威。こちらの要は速度ゆえ、とにかく一瞬たりと足を止めず剣を振るい続けよう。
虐げられる民衆たちを保護なり支援なりもしたいが……今は敵の殲滅が最優先。歯がゆくはあるが、今は後回しにさせてもらう。
黄泉王・唯妃
アドリブ&連携歓迎
ふふふ、どうやら勘違いした愚か者がいるようです。
貴方達も所詮は私の巣で惑い狂うだけの餌だというのに。
【早業】で【斬糸結界】を展開。同時に【トラップ生成】で普通の蜘蛛の糸も。蜘蛛の糸には相手をどうこうする力はありませんが触れれば相手の挙動が読めますから孤立しそうになる味方の包囲網に穴をあけて撤退させやすくいたしましょう。
自分? もとより敵陣深くに飛び込むのは避けて外から外から斬り刻んでまいりますよ。
「撤退のタイミングはお早めに。冷静に、冷酷に、冷淡に。蟲を潰していきましょうね」
エルフリーデ・ツファール
アドリブ&連携歓迎
(魔法を使う媒体の為、常にタバコ吸ってます)
なんか敵の蜘蛛とは違う見覚えのある蜘蛛もいる気がするが。
まあ、いいか。別に仲良しこよしってわけでもないしな。
敵の数が減るならそれも利用するさ。
数が多いってのは脅威だが逆に考えりゃあ『特に狙いをつけなくてもいい』ってことだ。そいつァ楽でいいさ。
【高速詠唱】で比較的敵前線を狙ってパラドクスを立て続けに放つ。【魔術知識】で底上げされた【火炎使い】の炎、死ねなかったとしても目を、喉を焼き、武器を歪ませるだろう。
さあ、どこまで戦意が維持できるかねェ?
大和・恭弥
兵士の質は将の実力を表すという、彼らを見れば一目瞭然だな。
権威にあぐらをかき、悪用する奴らが真の力を得られるわけがない。
だがそれとは別に民に苦しみを強いる現状は赦しがたいな。
俺の戦う理由はそれで充分だ。
宮妓、お前たちの暴挙はここで止める。
藍雪花染を抜刀し、呪詛の力を開放、妖刀が宿す思念体の姿へ
仲間と方針を合わせ光学迷彩などで気配を薄めながら距離を測る
攻撃してきたら呼吸を読みながら応戦を。どのような姿であれ、お前達の淀んだ魂はごまかせない。
妖刀が喰ってきた悲哀と絶望を殺気に変えて、結界を形成しながら舞を躱しつつ肉薄していく。
秘技「虚無剣・花染雪ノ抹消」を発動して空間ごと斬り拓き虚無に返してやる。
エアハルト・ヴィオレ
まだ戦力に余裕があるからと言って無辜の民の命を脅かし、命の糧を奪い取る所業が罷り通る訳がないでしょう。遊びで罪無き人々を虐げる、その愚かな所業の報いをその身で思い知るといい。
敵の攻撃は無数の手数を持つため厄介ですね。【光学迷彩】で姿を隠し、【戦闘知識】【観察】で敵軍の動きを見ましょう。上手く多数を巻き込める位置を【看破】したら【ダッシュ】で近づき、陽焔の一撃で【薙ぎ払い】ます。
攻撃した時点で【光学迷彩】は解ける為、ある程度減らしたら深入りせずに退きたいですね。この戦は前哨戦。少しでも戦力を減らす事が目的ですからね。撤退する時は愛用の銃で敵軍の前に【弾幕】を張って目眩しを。
下弦・魔尋
※アドリブ・連携歓迎
こんな時にまた俗な事してる奴らいるなー
ま、ならこの状況を利用しよっかな
町人っぽい衣装と見た目に変装し
怯える演技をしながら献上品として笛に偽装した虎落笛を持っていく
相手が油断して拒絶した瞬間
すかさずパラドクスを発動して強化した虎落笛で敵の急所を斬撃
悪いね、キミらに献上するのは暗殺で十分だよ♪
味方の攻撃も始まったら忍び足で駆けながらの斬撃で攻撃
毒の散布は範囲外への離脱や空風から発生させた風で吹き飛ばしでダメージ軽減
ある程度ボクの斬撃の記憶が空間内に溜まり
その空間に敵が集まったらその記憶から斬撃を【ダメージアップ】で一斉発射し一網打尽ー♪
麋竺出現か戦力を限界まで削れたら
援護し撤退
平良・明
壁の中に潜入して即断離脱、ぱぱっといきましょう
紅花さんとよく協力していきます
なれた手つきで壁をよじ登って潜入します
遊ぶならもうちょい楽しい遊びがよさそうです
お楽しみ中の敵には後ろからこっそり近づいて
「究竟剣」を使い、懐に隠した妖刀「直」を振るって攻撃
横薙ぎに首の両断を狙っていきます
髪というか、あたま切るってやつです
刃物を使うとすぱっとお仕事できていい感じです
潜入にも離脱にも障害物があれば【一刀両断】して道を拓きます
脱出は手早く正々堂々、門を速やかに駆け抜けておさらばします
杏・紅花
明(g03461)サンと突っ込むぞおっ
たべもの大事にしないやつ、きらぁい。お肉なんてなあっすんごい貴重なんだぞっ!新宿島だって、最初たどり着いたとき食べられなかったんだからあっ!!
明サンと壁よじ登って潜入だあっ
影や人混みに紛れて敵の背後から接近
おんなの髪の毛、つよ~い念がこもってるもんねえ
じゃあ、あたしがそれを切ったげる
「切裂花」で【戦覇横掃】、敵の髪をざっくざく
怨念こもった髪の毛なんて、美しくもかぐわしくもないんだもん
切ってさっぱりしちゃいましょっ!
それに~、髪長いと、ごはん食べるとき、一緒に口に入ってきちゃうからさ!
これならおいしく食べられるんじゃないかな~っ
「マシなものを差し出すつもりがないならば、殺しますわよ」
蕩蛛宮妓どもは冷たい目で跪く民衆を見下ろした。顔には、笑みを浮かべたままで。
「ひ、ひぃッ!」
人々が恐れおののく中、
「よろしければこれを……」
と、ひとりの娘が手にしたものを差し出した。
「これは……笛? ふん、こんなもので……」
受け取った宮妓が顔をしかめ、一瞥しただけでそれを投げ返そうとした、その時。
娘は突如として身を起こし、笛を掴んだではないか。
一見するとただの篠笛にしか見えないそれは、短刀の仕込まれた暗器であった。
「イヒヒ、過去からの斬撃で切り刻んであげる!」
それを抜き放った下弦・魔尋(淫魔導機忍・g08461)は、虚を突かれた宮妓の喉元を一気に掻き切った。
「き、さま……!」
しかし、さすがに蟲将と言うべきか、血を流しながらも宮妓は魔尋に掴みかかってくる。その髪は触手のように広がり、敵は魅了の毒をばらまこうとした。
だが、立て続けに振るわれた魔尋の刃は、その空間に斬撃の記憶を残していた。それは時間差をおいて、一斉に宮妓に襲いかかる。
「が……!」
全身を裂かれ、崩れ落ちる宮妓。
「悪いね、この大事なときに俗なことしてる奴らがいたから、利用させてもらったよ。
キミらに献上するのは、暗殺で十分だよ♪」
「お、おのれッ!」
宮妓どもが魔尋に殺到する。さすがに真正面から戦うのは得策ではない。距離を取り、
「潜入してたのは、ボクだけだと思う?」
と、少年は笑う。
「なんですって?」
そこに、
「たべもの大事にしないやつ、きらぁいッ!」
杏・紅花(金蚕蠱・g00365)が鋭い爪を閃かせ、敵の背後から跳び込んだ。
「お肉なんてなぁッ、すんごい貴重なんだぞッ! 新宿島だって、最初にたどり着いたときは食べられなかったんだからぁ!」
不意を突かれた宮妓どもはなすすべなく、その爪に蹂躙される。反撃を試みようとする者もいたが、それを紅花はものともせず、戦場の覇者の如く当たるを幸いに薙ぎ倒した。
「く……いったいどこから」
狼狽する宮妓どもを睥睨した紅花は、
「明サンと、壁よじ登って潜入してたんだもんね!」
と、得意げに胸を反らす。
「いつのまに……ぁ!」
呟いた宮妓の首が飛ぶ。
「あなたたちが、遊んでいる間に」
背後から襲った平良・明(嶺渡・g03461)は、懐から抜いた変幻自在の刃物『直』を弄びながら、敵群を見渡す。
「遊ぶなら、もうちょい楽しい遊びがよさそうです」
その磨き上げた技で横薙ぎにされた刃が、敵を一刀のもとに両断したのだ。
「なに、登るのはさほど難しいことではありませんでしたよ。版築で築かれた土に埋め込まれた磚(せん)の城壁……その隙間に指をかければ」
「ねー!」
頷く紅花。
「おのれ!」
宮妓どもは怒りに目を血走らせながら襲いくるが、明は怯むことなく、
「刃物を使えば、すぱッとお仕事できていい感じです」
と、髪を振り乱し煽情的な舞いを見せつつ襲いかかってくる敵に、刃を構えて応戦した。
「おんなの髪の毛、つよ~い念が籠もってるもんねぇ」
紅花も『切裂花』をカチャカチャと鳴らして、
「怨念こもった髪の毛なんて、美しくも芳しくもないんだもん。あたしが切って、サッパリさせてあげる!
髪が長いと、ごはん食べるとき一緒に口に入ってきちゃうからさ!」
と、自身の髪は棚に上げ、敵へと躍りかかった。血飛沫とともに、宮妓どもの髪も切られて舞う。
さらに陳・桂菓(如蚩尤・g02534)も敵群を睥睨する。
「これ以上の狼藉は許さん!」
桂菓は苗刀『飛竜』を構え、敵に立ち向かった。
ちらりと脇に視線を向けると、突然始まった戦いに怯え、逃げ散る民衆が目に入る。
「……今は敵の殲滅を最優先させてもらう。すまない」
虐げられる彼らを援けたい。それが桂菓の偽らざる本心だが、大戦の迫った今はとにかく、時間が惜しい。忸怩たる思いで奥歯を噛みしめ、宮妓どもに挑みかかる。
自身の内に眠る古代の戦神の力を呼び覚まし、その高揚感が呼吸と拍動を速め、桂菓の頬を紅潮させていく。
「喰らいなさい!」
触手のように蠢いた宮妓どもの髪が、一段と伸びた。それは檻のように桂菓を押し包み、締め上げる……つもりであったのだが、桂菓はさらに地を蹴って敵の懐へと跳び込み、逃れた。
「素ッ裸でヘラヘラ踊るのが仕事の、卑猥蜘蛛どもが!
美衣なんぞ手に入ったところで、持ち腐れだろうに!」
と、四方を囲む敵を刃で一気に薙ぎ払う。
「えぇい、囲むのよ!」
宮妓どもとその髪が、なおも桂菓を囲む。舌打ちして周りを見渡した桂菓ではあったが、その苗刀が唸りを上げた。髪は無残に断ち切られ、眼前に迫られた宮妓は恐怖に顔を歪めた。
「麋竺に伝えておけ! この戦場に、私が来たと!」
桂菓の言葉に従ったわけではないが、
「あなた、麋竺様にお知らせしなさい! ディアボロスどもだと!」
と、宮妓どもの中でも、それを束ねる地位にあるらしき者が指図した。
指図された宮妓が慌てて駆け、町を出ようとする。しかしその前に、黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)は立ちはだかった。
「どこに行くつもりかしら?」
唯妃は黄色と黒の縞模様をした女郎蜘蛛の指先を頬に当て、嘲笑を浮かべた。
「新手か!」
宮妓どもが色めき立つ。
「……兵の質は、将の実力を表すという。彼らを見れば、麋竺の将器も一目瞭然だな」
身を潜めた大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)はため息を漏らし、
「えぇ。無辜の民の命を脅かし、命の糧を奪い取る所業……。
搦め手ですが……必要ですよね」
エアハルト・ヴィオレ(天籟のエヴァンジル・g03594)も同じく物陰から様子を窺いつつ、長剣を抜いた。
「わたくしの舞いに見惚れながら、死になさい!」
宮妓は甲高い声で罵りながら唯妃に襲いかかるが、唯妃は対照的に落ち着き払った様子で敵を見据え、
「ふふふ、どうやら勘違いした愚か者がいるようです。
貴方たちは所詮、私の巣で惑い狂うだけの餌だというのに」
その肩が急激に盛り上がる。その腕が、巨大な蜘蛛の足に変じたのだ。
「なんか、敵の蜘蛛とは違う、見覚えのある蜘蛛がいるな……」
エルフリーデ・ツファール(紫煙の魔術師・g00713)は苦笑いしつつ、口から細く紫煙を吐き出す。
「まぁ、いいか。別に仲良しこよしってわけでもないしな」
師から受け継いだ帽子のつばを持ち上げたエルフリーデは、使い込まれた樫の杖を軽く手のひらに打ち付けた。
宮妓の煽情的な舞いが突如として速さを増し、その鋭い手足が唯妃に襲いかかる。しかし、唯妃の蜘蛛足はそれらの悉くを弾き返し、逆に引き裂き、叩き潰す。
「ぎゃあッ!」
「その程度なの? 厭だわ、退屈……」
ため息を漏らした唯妃だが、その間にも蜘蛛足は敵を痛めつけている。
「これで少しは、紛らわせてくれるのかしら?」
目を細めた唯妃の蜘蛛足が、宮妓の顔面を刺し貫いた。
「お、おのれ!」
宮妓どもは唯妃に殺到しようとしたが、
「囲え覆えよ窯の蓋、地獄の底で身を焦がせ……ッ!」
それよりも速く、エルフリーデの詠唱が完了した。
樫の杖を突きつけると、赤黒い炎が敵群を包む。
「あああああああああッ!」
その光景は地獄である。敵は炎に身を焼かれ、天を仰ぎつつ倒れていく。
「あの程度、私が切り刻めたのに」
くすくすと笑う唯妃。エルフリーデは、
「敵の数が減るなら、何でも利用した方がいいだろ?」
と、鋭い歯を見せつつニヤリと笑う。
「まぁ、そうね。冷静に、冷酷に、冷淡に。蟲を潰していきましょうね」
蜘蛛足を蠢かす唯妃を横目に見つつ、
「数が多いってのは脅威だが、逆に考えりゃあ狙いをつけなくてもいいってことだ。
そいつァ楽でいいさ! さぁ、どこまで戦意が維持できるかねぇ?」
エルフリーデは再び詠唱を開始する。
そのふたりが敵の目を引きつけている間に、エアハルトが敵の死角から跳びかかった。
「遊びで人を虐げる、愚かな所業の報い。その身で思い知らせてやりましょう!」
咄嗟に敵が繰り出した腕を弾き、エアハルトの長剣が宮妓の脇腹を斬り裂く。もう1体が繰り出した突きも身を屈めて避け、下から繰り出した刃でその腕を斬り飛ばした。
「権威にあぐらをかき、悪用する奴らが真の力を得られるわけがない……」
呟いた恭弥の手で、『藍雪花染』の刃は妖しく煌めく。
「だが、それとは別に。民に苦しみを強いる現状は赦しがたい。
俺の戦う理由は、それで十分だ」
妖刀が吸収してきた人々の哀しみ、絶望、そして後悔の感情は呪詛となって蠢いていた。それを宿した刃は、空間さえも斬り裂く。
「宮妓。お前たちの暴挙は、ここで止める。
死してなお、存在まで滅された者たちの感情を思い知れ……!」
腕を断ち斬られてのたうっていた宮妓は、空間ごと胴を割られ声もなく倒れた。その骸は牡丹雪のように散って、消え失せる。
「どのような姿であれ、お前たちの淀んだ魂はごまかせない」
あらかたの敵を薙ぎ倒したディアボロスたちではあったが、さすがにこの騒ぎは周囲に知れることとなったようである。このあたりの郡県には麋竺の兵が多く展開している。
「あそこだ!」
増援の兵どもが、こちらを指さした。
「撤退のタイミングはお早めに、ね」
まだゆとりがあるとでも言うように、唯妃は薄く笑う。
「麋竺が直々にお出ましならよかったのにね☆」
と、魔尋は肩をすくめた。
「でも、さすがにそろそろ撤退かな」
「十分でしょう」
愛銃を抜いたエアハルトは敵群に銃弾を浴びせ、その間にディアボロスたちは城外へと急ぐ。
「あとは、決戦までお預けです」
明は閉ざされた城門を閂ごと破り、扉を開いた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【光学迷彩】LV2が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【能力値アップ】LV3が発生!
【ダブル】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!