【大戦乱群蟲三国志奪還戦】白軍司令は密命を携えているか(作者 北瀬沙希)
#大戦乱群蟲三国志
#【大戦乱群蟲三国志奪還戦】白軍司令コルチャーク
#大戦乱群蟲三国志奪還戦
#コルチャーク
#吸血ロマノフ王朝
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●大戦乱群蟲三国志・北東部――とある草原の片隅
春の風が吹き抜ける草原の一角に掘られた塹壕の中で、血なまぐさいクロノヴェーダが長銃を構え待機している。
その視線と射線から異質のクロノヴェーダの気配を察したか、草原を通過しようとした蟲将たちが足を止めた。
だが、クロノヴェーダたちはなぜか攻撃しようとせず、蟲将たちを偵察している。
蟲将たちが困惑するのを感じ取りながらも、クロノヴェーダたちは攻撃せず、ぼやきを漏らしていた。
「一つ聞きたい。俺たちはディヴィジョンを超えて戦争に来たはずだが?」
「……あぁ、そうだな」
「目の前にいる軍勢は、敵だろう?」
「……その通りだ」
「では、何故にらみ合うだけで戦わないのか?」
「……コルチャーク様の命令だ。仕方ないだろう」
「そうか、なら待機を続ける」
ぼやきながらも、クロノヴェーダたちは決して視線と射線を蟲将から外さない。
指揮官たるジェネラル級ヴァンパイアノーブル『白軍司令コルチャーク』からの命令があれば、いつでも蟲将たちに対し行動できるように。
血なまぐさいクロノヴェーダ――『吸血ロマノフ王朝』のトループス級クロノヴェーダ『血影殲兵』たちは、蟲将たちとにらみ合いを続けていた。
●新宿駅グランドターミナル
「緊急の案件だ。ディヴィジョン『大戦乱群蟲三国志』で大きな動きがあった」
パラドクストレインでごった返す新宿駅の中で、時先案内人藤森・智樹(人間の魔導忍者・g08569)が、集まったディアボロス達を前に声を張り上げていた。
「『大戦乱群蟲三国志』は、曹操・劉備・孫権の三英傑を争わせる事で強大な断片の王を生み出し、七曜の戦の勝利を目指していたが、現在は周辺ディヴィジョンから侵略を受けている状態だ」
そのきっかけは、ディアボロスが三英傑の一体『呉王・孫権』に加え、三国最大勢力であった『魏王・曹操』をも撃破したことにある。
「孫権、曹操の撃破により、消去法的に『蜀王・劉備』が断片の王に覚醒したけど、棚ぼた的に転がり込んできたからか、その権力基盤は弱くてね。結果、排斥力が低下した『大戦乱群蟲三国志』に、周辺ディヴィジョンが一斉に侵攻し始めたんだ」
この状況を打開する為、蜀王・劉備が宣言したのは――『魏への北伐』と『呉への東征』。
そのために諸葛亮に『出師表』を読み上げさせ、史上最大規模の大戦乱を引き起こすべく全軍に出動命令を下した。
「大戦乱を引き起こす目的は、魏や呉の領土内の全ての人間を殺し尽くし、そこから生まれるエネルギーとその死体を利用して大量にトループス級の大軍勢を生み出し、隣接ディヴィジョンからの侵略者とディアボロスの双方を討ち取ることにある」
もちろん、このような暴挙をディアボロスが許すことは出来るはずもないだろう。
「そこで、劉備が大戦乱を引き起こす前に【大戦乱群蟲三国志奪還戦】を仕掛け、大戦乱から人々を救いつつ、中国大陸の最終人類史への奪還を目指すことになった」
手始めに、中国全土で大戦乱を引き起こそうとする蟲将の軍勢と周辺ディヴィジョンからの侵略者の軍勢、双方に戦争直前に攻撃を仕掛けて戦力を削り、戦争の機先を制したい。
「このパラドクストレインの行き先は、大戦乱群蟲三国志北東部のある草原。侵入した吸血ロマノフ王朝のジェネラル級ヴァンパイアノーブル『白軍司令コルチャーク』が率いる『血影殲兵』の大群が、草原で蟲将たちとにらみ合っている」
血影殲兵たちはコルチャークの命に従い、蟲将たちとにらみ合うだけで手を出していない。
何とも奇妙な状況だが、ジェネラル級がそう命令したこと自体に何らかの意味があるのだろう。
「コルチャークが怪僧ラスプーチンから密命を受けている可能性も否定できないけど……正直事情を調べる余裕はないから、今は素早く一撃を加えて離脱してきて」
敵は大戦力に加え、ディアボロスに対しては即座に攻撃してくる。
引き際を間違えず、充分な打撃を与えたらすぐに撤退する事が重要だ。
「現地で目にすればわかるけど、吸血ロマノフ王朝は、本気で戦いに介入するつもりはないようだ」
だが、そのまま放置しておけば、大戦乱の趨勢が決した瞬間、蟲将らに攻撃する可能性もある。
「いずれにせよ、無粋な侵入者の思惑通り動くのは面白くないから、ここで少しでも戦力を削っておいて」
頼んだよ、と一礼する智樹に見送られながら。
ディアボロス達はパラドクストレインに乗り込み、大戦乱群蟲三国志に赴いた。
リプレイ
終夜・香宵
いよいよこのディヴィジョンでも奪還戦の機会がきたのですね。それと同時に他のディヴィジョンが攻めてくる、という流れにも慣れて来たような気がします。この好機を逃さぬためにも、少しでも多く敵を殺して奪還戦を迎えたいですね。
敵は蟲将の偵察をしているとのことですので、奇襲を狙ってみましょう。
【殺気】を極力抑え込み、敵の視界の外から素早く近付き、
射程に入ったらすぐに【爪たい夜風】を食らわせましょう。
見晴らしも良さそうですので、気付かれても先に攻撃できれば良しとしましょう。
敵が完全に体勢を整えるまではできるだけ攻撃を続けたいですね。
峰谷・恵
「放置してこっちの得になることだけは絶対に無いから、本番前にできるだけ削っておかないとね」
可能な限り連携を取る。アドリブOK。
地形に身を隠しながら敵陣へ接近。気付かれるギリギリ手前まで近寄れたら炸裂気功撃を敵陣へ叩き込んで攻撃、撹乱。同時に通信障害を展開する。
敵の反撃に対してはLUSTオーラシールドを構え、軌道が変化する瞬間にLUSTオーラシールドか竜骸剣を叩きつけて防ぐ。
その後は敵塹壕内に炸裂気功撃をどんどん放り込んで攻撃、撹乱して味方が攻撃しやすい状況にする。
HPを半分以上削られるか包囲されそうになったら撤退。
「特別サービスで教えるけど、西には絶対行かない方がいい。上司に伝えといて」
夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
『劉備』が戦いの場に積極的に出てこないのは
てっきり戦力を温めているのかと思っていたが…
戦いを避けていたことで、こういった影響があるとは
中華の地を奪還するにはまたとない機会
『諸葛亮』の名を持つ者が、この事態を予測できなかったとは考えにくいが
でも結果として、この四面楚歌の状況になってしまったか
だが冀州は俺の故郷で、河北は主と別れた場所
――…これ以上、蹂躙されてたまるか
仲間と連動して奇襲を仕掛ける
蟲将の動向に注視している隙に<地形の利用>もしつつギリギリまで接近
【泥濘の地】で咄嗟の動きを妨害し、偃月刀で畳みかける
反撃には侵略者どもを魔弾を避ける楯にし
敵陣内で立ち回り場を<撹乱>
イシュア・アルミゴス
なんでおんなじ奴ばっかり連れてきてるんだろう
ロシア内部のごたごたで戦力連れてこれなかったとか?
やっぱ落ち目のラスプーチンだね。
とりあえずこもられても面倒だからブチかまそうか
籠ってるなら好都合、セルケトテイル融合開始…完了
過剰電撃供給開始…完了。電撃使いの僕でも結構きついんだよ?
さぁ、大地を走る雷光ご覧あれ!
追跡するなら当たる場所を誘導するってことも可能ってことじゃん
明らかに溜めてますよという行為を堂々とすることで敵に先手を譲り
地形を利用し後退しながら弾丸を引き付けジャンプし一気にパラドクスで
叩き落しそのまま敵にブチかます
モリオン・スモーキー
アドリブ・連携歓迎
SPDにて周囲の味方ディフェンス
籠られておりますか。では、釣りだして参りましょう。
補給の当てもなしにする籠城戦でもありませんでしょうし。
飛翔であえて近寄りつつパラドクスで吶喊します。
相手の陣地に魔力の雨を降り注がせて攻撃しましょう。
そうしたら釣られて出てくるのもいるでしょうから。
まあ、此方が相応にボコられる事になるとは思いますが、飛翔の速さと衝撃波や薙ぎ払い、ダッシュ等で回避を試みながら動きましょう。
後は適当なところで撤退すればよいかなと。
●
――寒気混じりの春風が吹き抜ける、大戦乱群蟲三国志北東部にて。
「いよいよ、このディヴィジョンでも奪還戦の機会がきたのですね」
草原に掘られた無数の塹壕を眺めながら、終夜・香宵(闇夜・g00869)は、ですが、と続ける。
「……同時に、他のディヴィジョンが攻めてくる、という流れにも慣れて来たような気がします」
――この好機を逃さぬためにも、少しでも多く敵を殺して奪還戦を迎えたいですね。
そう、続ける香宵を横目で見つつ、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)は、塹壕越しに蟲将たちとにらみ合うヴァンパイアノーブル側のトループス級『血影殲兵』の姿を見て首を傾げていた。
(「なんでおんなじ奴ばっかり連れてきてるんだろう。ロシア内部のごたごたで戦力連れてこれなかったとか?」)
おそらく、容姿が蟲将に
そして、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)もまた、顎に手を当てながらううむ、と唸っていた。
「『劉備』が戦いの場に積極的に出てこないのは、てっきり戦力を温めているのかと思っていたが……戦いを避けていたことで、こういった影響があるとは」
(「『諸葛亮』の名を持つ者が、この事態を予測できなかったとは考えにくいが、でも結果として、この四面楚歌の状況になってしまったか」)
現状、大戦乱群蟲三国志は、四方から他ディヴィジョンの侵略を受けている状態。
ディアボロスにとっても決して楽観視できる状況ではないが、一方で中華の地を奪還するにはまたとない機会なのも事実だろう。
「放置してこっちの得になることだけは絶対に無いから、本番前にできるだけ削っておかないとね」
峰谷・恵(フェロモン強化実験体サキュバス・g01103)がいかに気取られずに移動するか思案していると、モリオン・スモーキー(存在奪われし魔術発明家・g05961)が口を開いた。
「塹壕に籠られておりますか。では、釣りだして参りましょう」
――補給の当てもなしにする籠城戦でもありませんでしょうし。
そう、恵たちに言い残しながら、モリオンはふわりと飛翔し、あえて吶喊。
「とりあえずこもられても面倒だからブチかましてくる」
だから頼んだぜ、と言い残し、イシュアもまた塹壕に向かって歩き出す。
「それでは、私たちも」
「ああ、行こう」
「行きましょうか」
ふたりの姿を見届けた恵と錬晏、香宵は、草むらに身を隠し、あるいは殺気を可能な限り消しながら、塹壕に向かって移動し始めた。
●
先んじて飛翔したモリオンは、あえて飛翔したまま敵陣に近寄り、月を思わせる巨大な魔力塊を虚空に出現させる。
「襲撃……ディアボロスか!!」
「野郎、空から来やがった!?」
モリオンを目撃した殲兵たちが頭上を見上げた直後、巨大な魔力塊から魔力の雨が降り注ぎ、真っ先に気づいた4体を塹壕の底に沈めた。
果たしてモリオンの狙い通り、血の気の多い殲兵は塹壕から飛び出し、モリオンを呪われた黒き血を纏わせた魔弾で狙い撃ち始めたが、一方で襲撃の一報を耳にした殲兵たちのほとんどは、塹壕に身を隠しながら長銃の狙いをモリオンにつけていた。
モリオンに向けられた銃口の数は、悠に百を超えている。
「撃て、撃て!!」
塹壕の中から、空中のモリオンに向けて一斉に呪われし魔弾が発射される。
百を悠に超える魔弾を振り切ろうとモリオンも飛翔速度を上げるが、パラドクスたる魔弾を全て振り切ることはできず、次々とモリオンの身体を貫いた。
(「相応にボコられる事になるとは思っていましたが、やはり厳しいですね」)
逆説連鎖戦において、双方の距離はほぼ意味を成さない。
ましてや、空中にいる間は、戦場外にいる大勢の敵兵にも姿を目撃されるため、非常に危険だ。
(「仕方ない、落とされる前に撤退しましょう」)
少しでも魔弾を相殺しようと衝撃波を放ちながら、早々に戦場からの撤退を決めるモリオン。
そんな彼を、殲兵たちが撃墜しようと追撃を試みるが、殲兵が魔弾を発射するためには、一端空中のモリオンに気を向けざるを得ない。
殲兵たちの気が僅かに地上から逸れたのを見て、イシュアは対物貫通生体槍尾『セルケトテイル』と一体化し、自身の身体に電流を流し始めた。
「セルケトテイル融合開始……完了。過剰電撃供給開始……完了」
(「これ、電撃使いの僕でも結構きついんだよ?」)
ゼエゼエと荒い息をつきながらも、一本の槍と化した己と空中に魔弾を撃ち続ける殲兵たちを交互に見やりながら、穂先に雷を溜める素振りを見せる。
「あそこにもいるぞ!!」
「撃たれる前に殺せ!!」
果たして、イシュアが隙だらけと見た殲兵たちが、長銃の狙いをイシュアにつけ、無造作に魔弾を撃ち出す。
だが、その頃にはイシュアも準備万端だ。
「さぁ、大地を走る雷光ご覧あれ!」
イシュアは魔弾を引き付けつつジャンプで後退しながら、反撃も兼ねて電撃の槍を撃ち出す。
電撃の槍は、イシュアを狙う魔弾を呑み込みながら、たちまち殲兵4体を焼き尽くした。
だが、戦場にいる殲兵はあまりにも多く、イシュアひとりだけで相手するには流石に荷が重い。
(「みんな、うまくやってくれよ」)
この戦場の何処かにいるはずの仲間にそっと呼びかけながら、イシュアは次なる電撃の槍を撃ち出すために再度力を溜め始めていた。
●
その頃、地形に身を隠しながら塹壕に近づいていた恵と錬晏、香宵は、塹壕まであと少しの地点で殲兵に発見されていた。
「こっちにもいるぞ!!」
(「気づかれましたか。でもおふたりの覚悟、無駄にはできません!」)
発見されたと気づくや否や、恵はパラドクスを塹壕内に撃ち込んだ。
「破ァッ!!!」
気合と共に塹壕内に打ち込まれた闘気の塊は、不規則に跳ねまわりつつ塹壕内の殲兵を吹き飛ばした。
殲兵たちが体勢を崩した隙に、恵と錬晏、そして香宵が塹壕内に突入する。
「狙え! 狙え!!」
「ここから逃がすな!!」
ディアボロスの侵入を許したと察した殲兵たちは、復讐者たちを蜂の巣にしようと、次々と自在に弾道を変化させる魔弾を発射。
塹壕内を飛び交う魔弾を、恵はLUSTオーラシールドで少しでも逸らそうとするが、シールドの存在に気づいた殲兵がシールドを避けるよう弾道を変化させたため、全ては逸らせない。
シールドを避けた魔弾に貫かれながらも、恵は炸裂気功撃を塹壕内に撃ち込み、新たな殲兵を闘気塊で吹き飛ばした。
一方、戦場の騒ぎにあえて背を向け、蟲将から目を離さぬ殲兵の背後に、錬晏が接近していた。
「咆えろ!」
殲兵が気づくより早く、錬晏は黒龍偃月刀の柄を地面に叩きつけ、衝撃波を放つ。
衝撃波は、黒龍の咆哮のような地鳴りとともに放射状に広がり、油断した殲兵を吹き飛ばした。
殲兵たちが頽れるのを見届けるより早く、錬晏は侵略者たる殲兵を弾避けとし、果敢に偃月刀で斬りながら咆哮の如く暴れる衝撃波で吹き飛ばし続ける。
その胸中に燻るのは、故郷を蹂躙する侵略者への怒り。
――冀州は俺の故郷で、河北は主と別れた場所。
――……これ以上、蹂躙させてなるものか。
そんな錬晏の意を踏み躙るべく、殲兵のひとりが周囲を鼓舞し、錬晏に気を向けさせようとする。
「うろたえるな! 敵は少数……」
「どこを見ているのでしょうかね?」
しかし、場に似つかわしくないのんびり丁寧な声が殲兵たちの耳を打った直後、塹壕内を爪のように鋭い夜風が吹き抜けた。
――ドサッ……。
その風を浴びた殲兵のうち2体が、身を裂かれ、塹壕内に倒れ伏す。
倒れる殲兵が最後に見たのは、殺気を隠し接近した香宵だった。
(「気付かれても先に攻撃出来れば良し、のつもりでしたが……」)
既に気づかれたならば、残る殲兵が体制を立て直すまでの間に、1体でも多く減らすまで。
そう心に決めながら、香宵は再度夜風を塹壕内に吹き荒れさせた。
●
「……ラスプーチン殿の予測通りか。この地も機械化ドイツ帝国同様、ディアボロスに侵略されていたのだな」
戦場を遠くから眺めながら、白い軍帽のヴァンパイアノーブルが独りごちる。
殲兵と刃を交えているのがディアボロスなのは明らかだが、今は殲兵だけで追い返せそうだ。
「どうやら、ディアボロスの第一波は塹壕の防衛ラインで撃退できそうだが……これは、厳しい戦いになりそうだ」
そう、虚空に独り言を乗せながら。
白い軍帽のヴァンパイアノーブル――『白軍司令コルチャーク』は、白きマントをはためかせ、踵を返した。
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その後も、恵が闘気塊を塹壕内に跳ねさせて味方が攻撃しやすいよう撹乱している間に、錬晏が衝撃波で、香宵が夜風で殲兵たちを斬り裂いてゆく。
当初の予定とは異なり、やや力押しになった側面は否めないが、数々の戦場を渡り歩いてきた3人は、即席の連携で次々と殲兵を撃破していった。
やがて、3人は塹壕の一角にいた殲兵を全滅させ、制圧するが、負傷は決して軽くない。
「これ以上の進軍は、無理でしょうか……」
なお殲兵が駆けつけそうな気配を察し、恵が撤退を進言する。
彼女は【通信障害】を展開し、他部隊との連絡を遮断しようとしていたが、初手でモリオンが多数の殲兵に目撃されている以上、通信を遮断しても他部隊には既に気づかれているだろう。
さらに、現状では塹壕戦慣れしている相手に圧倒的な地の利がある。
撤退するなら、攻撃の波が途切れた今しかないだろう。
(「殲兵たちに、西には絶対行かない方がいい、と教えたかったのですが、この状況では聞く耳は持ってくれないでしょう」)
「モリオンは一足先に戻ったか」
「なら、イシュアさんと共に撤退しましょう」
空中にモリオンの姿がないことを確認し、塹壕から飛び出した3人は、孤軍奮闘していたイシュアと合流。
「イシュアさん! 撤退です!!」
「わかった!」
仲間が駆け付けたと気づいたイシュアは、最後にもう1発だけ、後退しながら電撃の槍を撃ち出す。
戦場を貫く電撃に殲兵たちが巻き込まれるのを確認する前に、恵と錬晏、香宵とイシュアは、急ぎその場を後にした。
かくして、ディアボロス達は、塹壕の一角を制圧し撤退する。
ディアボロス達の姿が消えた戦場一帯に、今後の戦いの厳しさを予感させるかのような、寒気を含む春風が吹き荒れていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【通信障害】LV2が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!