吸血実験城館の決戦

 支配する大領地で様々な実験を行い、非人間型のヴァンパイアノーブルを生み出していた、ジェネラル級ノーブルヴァンパイア『創造伯アレクセイ・K・トルストイ』と決戦を行います。
 アレクセイの本拠地は、深い森の奥に建てられた城館です。
 各地の実験室から成果物や資料が集められ、アレクセイの手で更なる研究が行われているようです。
 城館の周囲の森には、多くの『トループスもどき』こと人面コウモリ(ウプイリ)が放たれていますので、その対処をしながら城に向かい、アレクセイを撃破してください。
 アレクセイは研究者気質で、プライドが高いようです。
 うまく会話を行う事で、情報を引き出す事が出来るかもしれません。

創造伯アレクセイ・K・トルストイ

血と狂気の研究者・創造伯アレクセイ(作者 天木一
22


#吸血ロマノフ王朝  #吸血実験城館の決戦  #吸血実験室  #ウプイリ  #創造伯アレクセイ 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#吸血ロマノフ王朝
🔒
#吸血実験城館の決戦
🔒
#吸血実験室
🔒
#ウプイリ
🔒
#創造伯アレクセイ


0



●狂気の研究者
「ここをこうして……ああ、人間の腕はいらないな」
 赤黒く血で汚れた城館の一室で『創造伯アレクセイ・K・トルストイ』が実験体の人間の両腕を無数の触手となっている下半身を使って無造作にもぎ取った。
「ぎゃあああああああああ!!!!」
 血を噴き出しながら拘束された人間の男性が悲鳴を上げる。
「ふむふむ、違うアプローチを試してみるのもいいか……コウモリの特性は超音波。より叫ばせることでその特性が強く出るかもしれない」
「流石はアレクセイ様。素晴らしいアイデアですわ!」
「きっと超音波を得意とするウプイリになるに違いありません!」
 付き従うメイド達が口々に主を褒め称える。その視界には涙を流して悲鳴を上げる人間がいるのに気にもしていない。
「ふむ、では早速実験だ」
 アレクセイは男性の傷口から触手を突っ込んで、止血しながら痛みを与える。
「いっ、いだっ止めて! あがああああああああああ!!!! もう、やめっいだいっ!! 死ぬ、死ぬがらぁ、お願いだがらあ!!!!!!」
 触手が体内を這い回り、玩具にされている男性は激痛に暴れようとするが拘束されていて動けず、ただただ叫び声を上げ続けるしかなかった。
「これはいいウプイリが出来そうだ」
 満足そうにアレクセイは嗤い、悲鳴も懇願も一顧だにせず実験を続ける。その目は犠牲者をただのモルモットとしか見ておらず、冷静に観察してデータを取っていた。そうして痙攣し肉体に変化を見せた男性は、身体がコウモリのものへと姿を変え、人面コウモリ(ウプイリ)へと変貌した。
「キィイイイイ!!!」
 人の言葉を忘れたように、人面コウモリの口から鳴き声が響いた。
「やはり、質の良い作品の素材には、絶望に染まった人間が一番だ」
 満足そうにアレクセイはウプイリの出来具合を調べ、触手を器用に使って成功部分や失敗部分を書類に記し、詳細なデータを集めていく。
「肉体的なもの、精神的なもの、さまざまなデータが必要だ。研究が進めばもっと強力なトループス級が制作できるようになるだろう」
「はい、人間などいくらでも集められます」
「アレクセイ様の偉大な実験に使われて人間も光栄に思っていることでしょう」
 部屋にはその惨劇を目にし、顔を青くして恐怖に震えている人間達がまだまだ拘束されていた。
「よろしい、では次の実験といこう。そうだな、頭を弄ってみるのもいいかもしれない」
 何の良心の呵責もなく、ただ実験動物としてアレクセイは人間を弄りさまざまな絶望を与えていった……。

●新宿駅グランドターミナル
「あー……、めちゃ酷い実験を繰り返して、大勢の人々を犠牲にヴァンパイノーブルを生み出している大領主、『創造伯アレクセイ・K・トルストイ』の城館の位置がわかったよ」
 パラドクストレインから情報を読み取った音葉・遥風(風は遥か彼方に吹く・g03189)が青ざめ気分を悪くしながら説明する。
「実験城館は、雪に閉ざされた深い森の奥にあるみたい。森の外側まではパラドクストレインで行けるから、森を突破して城館に向かってもらうことになるよ。だけど森にはたくさんの人面コウモリ……ウプイリって呼ばれる、人がヴァンパイノーブルに改造された存在が配置されてて、侵入者を襲うようになってるみたい」
 実験の犠牲となった人々が人としての意識を失い、トループス級として操られ元凶であるアレクセイを護るために働かされている。
「戦闘力は普通のトループス級よりも低いみたい。だけど数がとっても多いから、油断しないでこう」
 戦闘力は劣るが人が居れば作れる為に、実験の犠牲者となった分だけ数が増えて戦力とされていた。
「ウプイリにされた人々は、以前の事件で出会ったのと同じで、まだ人間の心を残してる場合もあるみたい……だから奥底に眠ってる人の心を言葉で揺り動かしてあげれば、人だったことを思い出して攻撃してこなくなるかも。でも元に戻すことはできないから、倒して助けてあげて……」
 人面コウモリにされてしまった人々は死しか救いが残されていない。心まで完全に失って化物に成り果ててしまう前に、倒すことで楽にしてやるしかない。

「実験城館は多くの実験室があって、アレクセイが招いたヴァンパイアノーブルの研究者たちもいるんだって。だけど、侵入者に気づいたら巻き込まれないように早々に逃げ出すみたいだから、アレクセイとその護衛のメイドだけに集中できるよ」
 研究者達は配下ではなく研究仲間として集まっている。その為に己の命を優先して早々に逃げ出してしまう。
「本当はぜんぶ倒したいとこだけど、乱戦になってアレクセイに逃げられたら元も子もないからね。今回はアレクセイだけを狙っていこー」
 研究者達に逃げられてしまうが、研究グループのリーダーであるアレクセイを倒すほうを優先したい。
「護衛に使用人みたいなトループス級『ノーブルメイド』の部隊がいるけど、それくらいなら簡単に勝てると思うよ」
 主を護ろうと道を阻むが、元より侵入者が城館まで来るとは想定していない。使用人として使われている者達なので倒すのは難しくないだろう。
「アレクセイは研究者だから、戦いには慣れてないみたい。でも頭がいいのが自慢で、研究データを使って自己強化をしていて戦闘力を高めてるから、能力自体はジェネラル級のものを持ってるよ」
 能力はあれどもそれを戦闘で十全に使いこなすセンスや経験は持っていないようだ。
「生物改造の研究の権威としてプライドが高くって、傲慢で何でも自分の思い通りにいくと思ってるから、怒らせたりしたら単調な攻撃になって戦いやすくなるかも」
 感情が乱れればそれを抑えることができず、戦闘も傲慢な感情のままに振る舞い御しやすくなるだろう。
「もしアレクセイと会話をして情報を引き出すなら、怒らせずに褒めて機嫌を良くしてあげたら、ぺらぺら喋ってくれるかも、たぶん」
 怒らせればもはや会話は不可能になるが、逆に称賛して気分よくさせてやれば会話が成り立つ。上手くやれば何か情報が得られるかもしれない。

「アレクセイはたくさんの非人間型トループス級を生み出した功績で、大領主の地位を得たみたい」
 多くの血が流れる研究の成果で地位を得た生粋の研究者だ。そして多くの犠牲を生み出した大量虐殺者でもある。
「自分自身も研究成果の技術を使って強化していって、強くなるほどに研究が進んでいるって喜んでるみたい」
 研究に没頭し、自身すらも改造の対象となって、怪物のような下半身に変わり果てていた。
「研究者気質でプライドが高くって、理屈ばっかりで強くはなっても人間狩りで試すくらいで、実戦には出ずに研究だけを続けてるから、頭でっかちって感じなのかも」
 引き籠り自己肯定ばかりで否定されるような環境にないため、精神は鍛えられずプライドばかりが増大している。
「でも、研究に関しては本物の天才だから、このまま放置するとどんどん犠牲者が増えて強力なトループス級が生み出されるかも。そうならないように、ここで絶対に倒してしまおう。みんなでこの悲劇を止めてきて、これ以上泣く人がいなくなるように……」
 すでに手遅れとなった助けられぬ人々を想い、遥風は暗い顔でディアボロス達を見送った。

●ウプイリの森
「キーーー!!」
「キィキィイイ!!!」
 城館を囲む鬱蒼とした深い森。そこには1m以上にもなる巨大なコウモリの群れが生息していた。
「キィッ!!」
 コウモリ達は動く動物を見れば襲い掛かり、口を血塗れにして血を吸い上げる。その顔は人間のもの――人面コウモリであるウプイリは人の心を忘れ血を貪り喰らう。
「ゴホッゴフッ……キ、ゥアアア………」
 だが慌て過ぎたのか血に咽たウプイリが咳込んで吐く。すると実験で無理矢理動物の血を飲まされていたことを思い出し、人としての意識が僅かに戻ってしまった。
「ア……ア、ア、アアアアアアァ!!!!! ゥゥアア……イヤ……ダ………。ダレ、カ。コ……ロ……シ………テ……」
 自身が怪物になってしまっている事実を思い出し発狂したように騒ぎ立てると、涙を流しながら死を望む声を嗚咽と共に放つ。だがその声は虚しく森の闇に消えていった……。
 やがて泣き声は鳴き声に変わり、森の中からコウモリの騒々しい声だけが響いた。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
2
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
7
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
3
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【未来予測】
3
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【神速反応】
2
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【託されし願い】
2
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
4
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【トラップ生成】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【平穏結界】
2
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【完全視界】
3
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
5
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【建造物分解】
3
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【ハウスキーパー】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【寒冷適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。
【コウモリ変身】
1
周囲が、ディアボロスが小型のコウモリに変身できる世界に変わる。変身したコウモリは最高時速「効果LV×50km」で飛行できるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【防衛ライン】
2
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV7 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV10(最大) / 【ガードアップ】LV4 / 【フィニッシュ】LV2 / 【反撃アップ】LV3 / 【アクティベイト】LV2 / 【ラストリベンジ】LV3 / 【先行率アップ】LV4 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【アヴォイド】LV2 / 【ロストエナジー】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

天木一
 こんにちは天木一です。
 人体実験を繰り返す外道研究者、大領主『創造伯アレクセイ・K・トルストイ』との決戦です!

 ②ウプイリの放たれた森を突破します。人として扱い呼びかければ心を取り戻して攻撃をしてこなくなります。
 ③護衛のトループス級『ノーブルメイド』との戦闘です。
 ①創造伯アレクセイとの会話ですが、戦闘で怒らせてしまうと会話できません。
 ④アレクセイとの戦闘です。自らが造り出したウプイリを使った攻撃などをしてくる強敵です。怒らせると有利に戦えます。

 それでは、非道な研究でこれ以上の犠牲者を出さない為にも、大領主アレクセイを倒しましょう!
117

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎

……本当に惨すぎる
もっと早く俺達が創造伯の存在を知っていれば……っ!

せめて此れ以上犠牲者は出させないからな!

少しでも痛みが和らぐ様に彼等に向かい〇活性治癒
其の上で自分に向かう牙は敢えて受け彼等に穏やかに語り掛ける
彼等を送る時は一瞬で送れるよう〇高速詠唱の〇雷斧と〇誘導弾で可能な限り痛みが無いように送る

痛かったよな、苦しかったよな……
其の怒り、其の嘆き、俺に叩きつければ良い

姿なんて関係ない
貴方達は人だ
奴等の望んだ化生の心の侭で死ぬなんて悲しいじゃないか

貴方達の痛み……あの外道、創造伯に叩き込んでやる
そして約束する
創造伯だけじゃない……何時か奴等の首魁たる断片の王を必ず討つと……!


タラス・ジュラヴリョフ
こんな事を思いつく黒幕の思想と顔を漸く拝めるんだね
気合い入れて全部否定してやろう

ウプイリを見るのは三回目、慣れはしないけど新鮮さは無くなった
【友達催眠】を使い平静に、友人へ充てるように語り掛けよう
「Привет……僕のことが分かるかな。あなたに会いに来たんだよ」
「ここまで来ても何もしてあげられない自分に苛立ちを覚えるよ
みんなの想いと最後の望みを聞き届けることしかできない…許してくれるなら、どうかあなたの想いを教えて」
攻撃は声を聴くまでは反撃せず受け止め
望みを聞き届けたら速やかにパラドクスで眠るように終わることを命じる

どこかで違う形でまた出逢えることを願うよ
その為にも…やるべきことをやらないとね


ロザーリヤ・ユスポヴァ
アレクセイなる「貴族もどき」の蛮行はこの目で見て来た
奴には最も忌まわしい死をくれてやらねば憤慨が収まらん

だが先に、この森の悲劇を終わらせねばならん
【寒冷適応】で寒さを対策しながら進むぞ

攻撃は≪魔性契約『血も凍る夜』≫
氷雪使いの力の限りを尽くしウプイリを速やかに凍死させる
傷も痛みもなく、眠りにつかせるようにな

完全に狂乱し自我を残さない様子なら、交わす言葉はない
怪物と化した己を意識せず死ねるならそれもよかろう
反撃は『死せざる■■■■■』で斬り払う

人の心を残す者には言葉を
この惨状の張本人たる外道に、これより裁きを下す
あなた方の復讐心は全てぼく達が背負おう
最期だけは苦しい想いを忘れ、安らかに眠ってくれ


エヴァ・フルトクヴィスト
森を駆けていく中で犠牲となった人々が変化したウプイリに出会ったら、
攻撃に耐え浄化の力を込めた鎮魂歌を。
間に合わなくてごめんなさい。
辛かったでしょう、怖かったでしょう。痛かったでしょう。
それももう終わりです。だから最後に心の残りの想いを聞かせて。

ありがとうございます。聞かせてくれて。
その今生最後の想い、奪う命の重さ。この身に罪として刻み伝え、決して忘れませんから。
そして短剣で苦しまない様に終わらせます。

…光栄に思っている?
そうだと信じて疑わない輩に!
人々の怨嗟の声を届けましょう!

質の良い作品には絶望に染まった人間が一番?
自分が上位だと思い上がっている輩に!
人は恐ろしい存在と識って貰いましょうか!


アルラトゥ・クリム
ウブイリを見るのは何度目だっけ…
どの道、人をこんなにして悦に入ってる手合とは、相容れそうに無い。

コネクトでサウンドユニットと『Once Again』を召喚装備
サウンドを変換した衝撃波で間合を確保しつつ
PDで歌声と演奏の音波内に仕込んだ情報ウィルスで
人知れず精神構造や中枢神経を破壊して、ウブイリ達に介錯を施す
(IS:光のアリア(GE2))

…例え改造され、姿や精神を弄られても。
人の心が欠片でも残っているのなら…
せめて人の矜持と、尊厳を思い出して逝っていって貰いたいから。
もしかしたら残酷かもしれないけれど
それでも貴方達を、人間として逝かせてあげたいから…
だから届いて、この歌が。

アドリブ&絡み連携歓迎


赤上・イズル
■アドリブ・連携歓迎

ついに創造伯アレクセイとの決戦…
必ず奴を倒しあの狂気の人体実験を止めてみせる!

決意を燃やし【完全視界】にて視覚を確保しつつ
光量の少ないだろう森の中を仲間と共に進む
ウプレリとの対峙は心を押し殺す

俺は…あなた方を救う事は出来ません
ですが…最期に言い残す事があれば聞きます
…救えなかった俺達への罵倒でも、恨み事でも
なんでも受け止めます!俺に、ぶつけてください!

ウプイリ達の声を受け止め
それから彼らを一瞬の居合術で断ってゆく
返り血を浴びてもただ冷静に…最期の一瞬まで目に焼き付ける

…共に参りましょう。アレクセイを討ちに

彼らの無念の声を胸に、想いを背負いアレクセイのいる実験城へと歩みを進む


レイラ・イグラーナ
これまで巡った吸血実験室。
そこで見た光景の根源がこの奥に……
逸る気持ちを抑え、森の奥へと進みます。

皆様、どうかお聞きください。
私たちはこの奥にいるアレクセイ・K・トルストイを討ちに参りました。
アレクセイの手により、醜悪な実験の犠牲となる方がこれ以上出ないように。

……申し訳ありません。
私たちには、皆様を元の体に戻し、お救いする力はございません。
ですから、せめて。
背負わせて頂きたいのです。
皆様の嘆きを、怒りを、無念を。
人としてあるべき感情を。
皆様の人としての叫びを。

ウプイリとされた方々の最期の言葉を受け取ったなら【手製奉仕・縫】。
痛みも恐怖も感じないよう、一瞬で心臓を貫きます。


リップ・ハップ
人だった時の意識が微睡んでんなら今更呼び起こすのも新たな痛みってもんだろ
何が悲しくて自分の死を乞わなきゃならん?
怪物になっちまった事を改めて自覚しなきゃならん?
だからそのまま最期の眠りをくれてやる
それが私にできる私なりのせめてもだ

見つけ次第パラドクスで斬って、殺す
真正面から受け止める必要があんだ、ああだこうだ言ったって殺す必要があるから殺すって事を
今はまだ助ける手段のねいこっちの都合だって事を
同情や悲哀を自分納得させる理由にはしねい
真正面から、刃は鈍らせねい【精神集中】

攻撃止める気も無しだ
それをこいつらの叫びとして身体と心に刻む
そして一つでも多く背負うよ
私は怪物狩りの狩人だ
一匹残さず狩り尽くす


伏見・萬
(連携アドリブ歓迎・有効な残留効果は活用する)
人面コウモリに語り掛ける。聞こえちゃいねェかもしれねェが
攻撃してくるなら避けない

俺はお前らの仲間を喰った
…あいつらが俺の中に置いていった、恨みや苦しみがこれだ

【千の黒翼】使用、人面コウモリを喰らっていく
(靄の蝙蝠は、自分の中の呪詛の靄と、以前喰った人面コウモリの怨嗟が混じった物でできている)

俺には、こうする事しかできねェ
好きなだけ怒れ、恨め
あいつらと同じように、重たいモンを全部吐き出して
俺の中に置いて、静かな所に逝くといい

(俺もいつか、あの冷たくて静かな所に戻るんだろう
色々なモンを喰って混じっていく俺が、その時「何」になってンのかは、わからねェが)


アレクサンドラ・リーヴェン
アドリブ・連携歓迎

ついに追い詰めたわよ、アレクセイ。
ロマノフの民を材料にするおぞましい実験を止めるためにも……その首狩らせてもらうわ。

ウプイリ、当然ここにもいるわよね。
憐れな実験の産物。帰れず惑う民の残滓。
悪いわね、ここで止まるわけにはいかないの。私はシスターではないのだから、懺悔を聞く謂れもない。
せめて、苦しみを感じぬまま逝きなさい。
『刻命魔術【氷精の吐息】』で生み出した氷の矢で凍結して、蛇腹剣で打ち砕く。この繰り返し。

ウプイリの残骸を踏みしめて前へ。
私を恨むなら存分に呪いなさい。その怨嗟、すべて彼の大領主にぶつけてきてあげるから。


ノイン・クリーガー
なんでこんなことが起こる?
あまりにも常軌を逸している。
許されざる研究だ。
…いや、科学そのものに善悪はない。
倫理なき狂人が玩具を得ればこうなるのは必定か。

実験城を目指し、森を駆ける。
ウプイリに対し、呼び掛けるか否か…。
せめて最期は人として…というのは俺自身のエゴに過ぎまい。
それに、この手の事件に関わったのは初めてではない。何を言いたいかは解る。
もはや人としての意識がないなら、それは一種の救いではある。
苦しみが少ないように、銃で頭を撃ち抜き、カランビットで首をはねる。
…赦せとは言うまい。恨めよ。


括毘・漸
非道な行いは止めましょうとも………これ以上命を散らさぬように。

森の中を突き進むなか、襲いかかってくる被害者の方々には武器を振るいません。
噛み付いてくるなら、それを受け止めます。

血は美味しいですか?
美味しくないですよね。その顔を見ればわかります。
美味しくないのに、吸いたくないのに血を求めてしまう。衝動のままに襲ってしまう。
ですが、貴方達は化け物ではなく、人です。
だって人の心があるからこそ、辛さ、苦しさ、悲しさを感じるんです。
だけど、もう大丈夫です。もうそんな苦しさとはおさらばです。
目を閉じれば安らかな眠りが待っています。ゆっくりと休んでください。

吸われた血を炎に変え、燃やします。

安らかな眠りを。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
残留効果活用

防水防寒の雪中迷彩服、帽子と手袋も着用
スノーシューで移動し実験城を目指す
悪魔の根城もかくやだろうな……
ただ狂気しか感じない

攻撃されても反撃はせず防具での防御のみ
ウプイリ達へ呼びかけを

これから城の主を倒す
二度とあなた方のような悲劇が起こらぬよう
非道な実験も終わらせる
囚われ人は解放した……
もしも、いまだ無事で囚われていた親しい者がいるならば
もう案じないで良い
侵略者達を、この非道を許しはしない
あなた方の怒りを引き受けよう

俺がしてやれる事はほんのわずかだ
ヴァイオリンで鎮魂歌をPDで演奏、天の国での安寧を祈ろう
だからどうか
嘆きも、憂いも、悲しみも、今は音色に委ねて
安らかに眠れ


イオナ・ガルバローゼ
アドリブや連携など歓迎です

何度見ても辛い、自分もこうなって居たかと思えば猶更
しかし、そうならなかった幸運があるなら
彼ら、彼女らを人として終わらせる義務がわたくしにはあるでしょう
救えぬのならと切り捨てずせめて祈りましょう

反逆の呪歌【Orléans】を持って【歌唱】、歌いながら呼びかけます

血を穢され心も蝕まれ
なんと悍ましい運命なのか
けれどもそれでもどうか
心だけ名前だけはどうか思い出して
貴方の名前は? 貴女の名前は?
どんな姿でもこの声が届くあなたは化物じゃない
私は人の、あなたの最期を忘れない

この反逆の歌があなたの運命への反逆を助け
これ以上の苦しみ無く、その魂が天へと迎えられますようにと
そう祈ります


●悲劇の森
 狂気の実験によって生み出された人面コウモリ『ウプイリ』の住まう森。悲劇が詰まったような森に囚われた呪われし人々を一人でも多く救おうと、ディアボロス達はいくつものルートに分かれて吸血実験城を目指す――。
「……本当に惨すぎる。もっと早く俺達が創造伯の存在を知っていれば……っ!」
 ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は数えるのも嫌になるほどの人数が犠牲になったのだと、森に多くのウプイリの姿があるのを見て理解してしまった。ここにいるのは成功したもの。失敗したものを含めればその数はどれだけになるか想像もつかない。
「せめて此れ以上犠牲者は出させないからな!」
 ここで必ず倒そうと雪の積もる森に足を踏み入れ城館を目指す。
「こんな事を思いつく黒幕の思想と顔を漸く拝めるんだね。気合い入れて全部否定してやろう」
 タラス・ジュラヴリョフ(大衆の聲・g07789)は何時もよりも気合を入れ、ルィツァーリと共に森の中を城館に向かって進む。
「キィッ!!」
「キィイイイイイ!!」
 するとウプイリ達が侵入者に気付き、獲物だと襲い掛かった。その牙を敢えてルィツァーリとタラスはその身で受け止めた。
「ウプイリを見るのは三回目か、慣れはしないけど新鮮さは無くなったね」
 人の顔のコウモリに腕を噛まれても平静に、タラスは【友達催眠】を使い友人へ充てるように語り掛ける。
「Привет……僕のことが分かるかな。あなたに会いに来たんだよ」
「ィ……ア、アアイ、アイニ………」
 真っ直ぐ視線を合わせて語り掛けられたウプイリが動きを止める。その顔には理性が戻っていた。
「ここまで来ても何もしてあげられない自分に苛立ちを覚えるよ」
 タラスは結局本当の意味で助けては上げられない無力さを感じる。それでも自分にできるのはこれだけだと言葉を紡ぐ。
「みんなの想いと最後の望みを聞き届けることしかできない……許してくれるなら、どうかあなたの想いを教えて」
「ア、オ、オレ……シ、ニ、タイ……」
 その口から出た願いは自らの死――。
「ドン、ドン……ワスレテ、イク………カゾク、ジブン、オモイ、デ………」
 時間が経つほど人としての心は摩耗し、完全に怪物へと変貌していくのを実感していた。
「ダカラ……コ、ロシテ………」
「わかった。あなたの願いを聞き届けるよ。もうお休み……永遠に」
 タラスは僅かに心乱して眉間にしわを寄せ、パラドクス『権力的放送局(アダブリエーニイ)』を発動して語り掛ける事で生命活動を休ませ、眠るように目蓋を閉じて命を終わらせた。
「痛かったよな、苦しかったよな……」
 【活性治癒】で少しでも苦しみを取り除こうとしながら、ルィツァーリは血を吸うウプイリに話かける。
「其の怒り、其の嘆き、俺に叩きつければ良い」
 血を吸われるがままにじっと獣ではなく人を見る目を向ける。すると不思議そうにウプイリが首を傾げた。
「姿なんて関係ない。貴方達は人だ。奴等の望んだ化生の心の侭で死ぬなんて悲しいじゃないか」
「ヒ、ヒト………ソ、ウ。ヒト、ダッタ………アアゥウアアアアッ!!」
 ウプイリがその心の温かさに触れて人の心を思い出し、涙を流してルィツァーリの胸に寄り掛かって自分は人間だったのだと何度も口にする。
「ワ、ワタシ。モウ、モドレ、ナイ……コ、ロシ、テ………ヒト、ワスレル、マエ、ニ………」
 人であるまま死にたいと涙で真っ赤になった目で願う。
「貴方達の痛み……あの外道、創造伯に叩き込んでやる。そして約束する。創造伯だけじゃない……何時か奴等の首魁たる断片の王を必ず討つと……!」
 ルィツァーリは抱きしめながら必ず報いを受けさせると約束し、パラドクス『ペルーン神の雷斧』によって痛みを感じぬ雷撃で命を絶った。
「必ず……!」
 腕の中で息絶えた彼女をルィツァーリは優しく地面に寝かせ、怒りを胸に城館へと足を踏み出す。
「どこかで違う形でまた出逢えることを願うよ。その為にも……やるべきことをやらないとね」
 この悲劇の元凶を叩かねばならないと、亡骸を一瞥したタラスも速度を上げた。

●森に木霊す慟哭
「…………」
 エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)は無言で急いで森を駆ける。
「キィキィッ!!」
 そこへ木にぶら下がっていたウプイリが強襲し、肩に噛みついて血を啜った。
「ごめんなさい……」
 痛みに耐えながら抵抗せずに謝るエヴァは鎮魂歌を紡ぐ。
「キィィ……ゥゥウアッ! アアッ……ウ、タ………ウタ、ダ………」
 優しく心鎮める歌声にウプイリの目に理性が戻る。
「間に合わなくてごめんなさい。辛かったでしょう、怖かったでしょう。痛かったでしょう。それももう終わりです。だから最後に心の残りの想いを聞かせて」
 人の心を取り戻したのを確認してエヴァが最後の想いを尋ねる。
「シニ、タイ……シ、ンデ、ムスメニ、アイ、タイ………」
 目から涙を零し、記憶にある愛娘の笑顔、そして研究の犠牲となった最期の無残な姿が目に浮かぶ。
「アアッ!! クヤ、シイ!! ナゼ、オレタチ、ガ、コンナメニ……!!」
 慟哭して顔をぐしゃぐしゃにして崩れ落ちる。
「ありがとうございます。聞かせてくれて。その今生最後の想い、奪う命の重さ。この身に罪として刻み伝え、決して忘れませんから」
 その想いを受け止めたエヴァは顔を隠すように三角帽子を深くかぶり、短剣を振り下ろして苦しまない様に終わらせる……。
「キィーー!!」
「キィキィキィッ!!!」
 仲間がやられると報復するように飛翔するウプイリ達が獣のように飛び掛かる。
「非道な行いは止めましょうとも………これ以上命を散らさぬように」
 そこへ姿を見せた括毘・漸(影歩む野良犬・g07394)は、襲い掛かってくる被害者であるウプイリに武器を振るわず、その牙を身体で受け止めた。肩や腕に牙が喰い込み血が吸い上げられる。
「血は美味しいですか? 美味しくないですよね。その顔を見ればわかります」
 漸は優しく語りかけながらその顔を見ると、眉間にしわを寄せた険しい表情で、ただただ必死に衝動のままに動いているようだった。
「美味しくないのに、吸いたくないのに血を求めてしまう。衝動のままに襲ってしまう。ですが、貴方達は化け物ではなく、人です」
 その苦しそうな顔を見て、心は人のままだと伝える。
「だって人の心があるからこそ、辛さ、苦しさ、悲しさを感じるんです」「キィ……ヒ、ト…………」
 人の顔からコウモリの鳴き声ではなく、人の言葉が零れ出る。それを見て漸は頷いた。
「ソウ、ダ……オレ、ヒト、ダッタ………」
「クル、シイ……カラダ、コウモリ……ウマク、ウゴカ、ナイ………」
 正気に戻ると目からぼろぼろと涙が零れ落ちる。そしてコウモリとなってしまった我が身を見下ろして絶望する。
「もう大丈夫です。もうそんな苦しさとはおさらばです。目を閉じれば安らかな眠りが待っています」
 優しく優しく漸は子守歌のように言い聞かせて落ち着かせる。
「ダイ、ジョウブ……」
「ネムル、ゼンブ、ユメ、ナラ………」
「そうです。ゆっくりと休んでください」
 目蓋を閉じる人々に、漸はパラドクス『瀉血法・血尽火滅(シャケツホウ・ケツジンカメツ)』を発動して吸われた血を炎に変え、内部を燃やし尽くす。一瞬にして内側から焼かれ、目を閉じたまま眠るように崩れ落ちた。
「どうか安らかな眠りを……」
 漸は黙祷しその魂が安らかに眠れることを祈った。
「……光栄に思っている? そうだと信じて疑わない輩に! 人々の怨嗟の声を届けましょう!」
 その光景を見ながらエヴァは出発前に聞かされた敵の言葉を思い出し、怒りに震えて犠牲者の恨みを背負う。
「質の良い作品には絶望に染まった人間が一番? 自分が上位だと思い上がっている輩に! 人は恐ろしい存在と識って貰いましょうか!」
 絶望するのはそちらの方だと、潤む目で前を向き城館へと駆け出した。

「ついに創造伯アレクセイとの決戦……必ず奴を倒しあの狂気の人体実験を止めてみせる!」
 赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)は決意を燃やし【完全視界】で薄暗い森の視覚を確保しながら進む。
「これまで巡った吸血実験室。そこで見た光景の根源がこの奥に……」
 逸る気持ちを抑え、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)も草を踏分けて森の奥へと進む。
「ギッキィ!!!」
「キィイッ!!!」
 ウプイリ達が気付いて上から襲い掛かる。それを前に居たイズルは一歩引いて躱し、驚くウプイリ達へとレイラが声をかけた。
「皆様、どうかお聞きください。私たちはこの奥にいるアレクセイ・K・トルストイを討ちに参りました」
 獣ではなく相手を人として、暴力ではなく言葉を与える。
「アレクセイの手により、醜悪な実験の犠牲となる方がこれ以上出ないように」
「ギッ、……アレ、アレク、セイ……アレクセイ!!!」
 悲鳴のようにその名前に反応して声を上げる。
「ヤメ、テ! コウモリ、ナンカニ、ナリタク……ナイ!!」
 実験と称して好き勝手に玩具にされた記憶が蘇り、翼で顔を隠して小さく屈む。
「タス、ケテ……ヒトニ、モドリ、タイヨ………!」
 人の意識とコウモリの身体。その変わり果てた今に絶望し救いを求める。
「……申し訳ありません。私たちには、皆様を元の体に戻し、お救いする力はございません。ですから、せめて――」
 レイラは己の無力さを噛み締めながら途切れそうになる言葉を続ける。
「背負わせて頂きたいのです。皆様の嘆きを、怒りを、無念を。人としてあるべき感情を。皆様の人としての叫びを」
 その全てを己の心に刻みつけようと、同じ人としての想いを聞き出す。
「アァ……タス、カラナイ……ゥウウアアアアッ」
 泣き崩れて人の顔はびしょびしょに濡れる。
「俺は……あなた方を救う事は出来ません。ですが……最期に言い残す事があれば聞きます」
 ぐちゃぐちゃになりそうな心を押し殺し、真っ直ぐ視線を合わせて尋ねる。
「……救えなかった俺達への罵倒でも、恨み事でも、なんでも受け止めます! 俺に、ぶつけてください!」
 自然と感情が溢れるように声が大きくなり、その心がウプイリへと伝わった。
「ギッ……タ、タス、ケテ……クルシイ、ノ………」
「チ、チ、チィ……モウ……チヲ、ノム、ノハ、イヤ、ダ…………」
 ぽつりぽつりとコウモリとして生きていかねばならぬ苦しみを吐き出す。
「ラク、ニ、シテクレ……」
「イヤ、シニタク、ナイ……キッ! アゥッ!! イヤ、イヤイヤ! コウモリニ、ナル、クライ、ナラ……コロシテ!」
 生きたいと思う気持ちを、完全にコウモリになってしまうという悪夢が上回り、絶望しかない生に終わりを望む。
「わかりました……」
「その想い、私たちが背負っていきます」
 イズルが無骨な日本刀〈無銘一鉄〉の柄に手をかけ、居合術で一瞬にして首を刎ねて命を絶った。噴き出す返り血を浴びても冷静に、最期の一瞬まで目に焼き付ける……。地面を転がる顔は、救いのない嘆きに歪んでいた。
 レイラもまた針の一刺しで心臓を貫き、痛みも恐怖も感じないように一瞬で絶命させた。
「その無念、叫びをアレクセイにぶつけましょう」
 最期の言葉を受け取りレイラは必ず無念を晴らそうと強く針を握る。
「……共に参りましょう。アレクセイを討ちに」
 無念の声を胸に刻み、想いを背負ったイズルはアレクセイのいる実験城へと歩き出した。

●人として安らかな眠りを
「アレクセイなる「貴族もどき」の蛮行はこの目で見て来た。奴には最も忌まわしい死をくれてやらねば憤慨が収まらん」
 ロザーリヤ・ユスポヴァ(“蒐集卿”・g07355)は創造伯のおぞましい実験の結果を目にし、その蛮行の報いを受けさせなければならないと憤る。
「だが先に、この森の悲劇を終わらせねばならん」
 【寒冷適応】で雪の積もる凍えるような気温を無視して森の中を進む。
「キィイイ!!!!」
 そこへウプイリ達が飛び掛かり、血を吸い上げようと牙を剥く。
「傷も痛みもなく、安らかに眠れ――」
 ロザーリヤはパラドクス『魔性契約『血も凍る夜』』(デモニックパクト・ブラッドカードル)』を発動し、「霧状の何か」を放出して辺りに漂わせる。それに触れるとウプイリが一瞬にして凍結し、何が起きたかもわからぬまま凍死していった。
「怪物と化した己を意識せず死ねるならそれもよかろう」
 ただ獣として死したウプイリを見下ろす。そこには悲しみも葛藤もなく、ただ獣の本能だけが浮かんでいた。
「キキィーーーー!!!」
 薄暗い森をウプイリが飛び回り、侵入者であるディアボロスから血を吸い上げて仕留めようと襲い掛かる。
「ウプイリを見るのは何度目だっけ……どの道、人をこんなにして悦に入ってる手合とは、相容れそうに無い」
 アルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)は全て悲しい出会いだったと思い出し、悲劇を生み出す創造伯への怒りを覚えながらコネクトで〈マギウスサウンドユニット〉とエレキギター〈Once Again〉を召喚する。
「思い出して……」
 そしてギターを弾いて音を衝撃波に変えて放ち接近を阻み、パラドクス『悪魔の甘い唇(スイート・リップ)』を発動して、演奏に歌を乗せて響かせる。
「キィッィイイイイイ!!!!」
 音波に仕込まれた情報ウィルスが脳髄へと侵入し、コウモリの精神を破壊していく。苦しそうにウプイリは地面に落下した。
(「……例え改造され、姿や精神を弄られても。人の心が欠片でも残っているのなら……せめて人の矜持と、尊厳を思い出して逝っていって貰いたいから」)
 アルラトゥは止めずに歌い続ける。その歌声に想いを乗せ、ただただ救いたいと願う。
(「もしかしたら残酷かもしれないけれど。それでも貴方達を、人間として逝かせてあげたいから……だから届いて、この歌――」)
 アルラトゥの願いが届いたように、ウプイリが顔を上げる。
「ウ、タ………アア、オレ、ニンゲン、ダッタ……」
 歌に耳を傾け、人だったことを思い出して理性を取り戻す。
「ソウ、オレハ、ニンゲン、ナン、ダ……バケモノ、ジャ、ナイ………」
 自分は人間だとそう何度も呟き、歌に聴き入るように目を閉じて穏やかに息絶えた。
 それでもアルラトゥは歌い、その魂が天に昇るまで歌声を空へと届けた……。
「人の心が戻ったか……」
 ロザーリヤは言葉を思い出した者たちに歩み寄る。
「ウ、ウゥゥ……ドウ、シテ、コンナ、メニ………」
「この惨状の張本人たる外道に、これより裁きを下す。あなた方の復讐心は全てぼく達が背負おう」
「フク、シュウ……! ヤ、クソク!」
 涙し恨みを呟く者たちに優しく語り掛け、その復讐心をロザーリヤは自らのものとした。
「最期だけは苦しい想いを忘れ、安らかに眠ってくれ」
 そして氷漬けにして涙を拭い、人として静かに眠らせた……。

「悪魔の根城もかくやだろうな……ただ狂気しか感じない」
 防寒仕様の雪中迷彩装備のエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、雪積る道をスノーシューで軽快に進む。
「キィッ!!」
 だが行く手を阻むように、城館に接近する者へとウプイリ達が襲い掛かる。
「狂気の生み出した犠牲者か……」
 その攻撃を反撃せずに受け止め、防寒着を通して牙に噛まれながらウプイリ達へ呼びかけを行う。
「これから城の主を倒す。二度とあなた方のような悲劇が起こらぬよう。非道な実験も終わらせる」
「キギ……アァ………オワル……ドウシテ、コンナ、メ、ニ………」
「ミ、ンナ、ミンナ、バケモノ、ニ、サレタ………」
 奥底に眠っていた人の心を思い出し、牙を抜くと口から久し振りに掠れた言葉が紡がれる。
「囚われ人は解放した……もしも、いまだ無事で囚われていた親しい者がいるならば、もう案じないで良い」
 安心させるように優しく語り、少しでもその内に渦巻く不安を取り除く。
「侵略者達を、この非道を許しはしない。あなた方の怒りを引き受けよう」
「……ゥウアアアッ!! コドモ、ドコカニ、コウモリ、サレタ、コドモ!!」
「カゾク、ミンナ、バケモノ……ミンナ、モウ、イルカ、ワカラ、ナイ…………」
 家族のことを思い出し、人の眼から涙を流し悲しみと怒りにコウモリの身体を震わせる。
「何度見ても辛い、自分もこうなって居たかと思えば猶更……」
 自身も同じように吸血鬼に作り出されたイオナ・ガルバローゼ(空染めの一輪・g07485)は、涙するウプイリを見て自分も同じようになっていたかもしれないと境遇を重ねる。
「しかし、そうならなかった幸運があるなら――彼ら、彼女らを人として終わらせる義務がわたくしにはあるでしょう」
 僅かな道が違っただけで大きく結果が変わった両者の結果がここにある。イオナは同胞のように感じ、その末を見届けなければならないと近付く。
「せめて祈りましょう……」
 救えずともできることをしたいと、パラドクス『Orléans(エルネスト・ルヴァバスール)』を発動して反逆の呪歌を高らかに響かせる――。
「――血を穢され心も蝕まれ なんと悍ましい運命なのか
 けれどもそれでもどうか 心だけ名前だけはどうか思い出して
 貴方の名前は? 貴女の名前は?
 どんな姿でもこの声が届くあなたは化物じゃない
 私は人の、あなたの最期を忘れない――」
 その呼びかける歌を耳にすると深く深く体の底に反逆の意思を灯し、コウモリの本能に埋もれていた人の心が立ち上がり表に出て来る。
「ゥ、アアッ!! ウ、ウタ……ワ、タシ、ハ………マルッタ!!」
「オレ、ナマエ、テーム……!」
 ウプイリ達が声を上げ、自身の名前を思い出した。
「オレ、ニンゲン、ダッタ……」
「アアアアァッ! コンナ、カラダニ、ナッテ、シマウ、ナンテ!!!」
 はっきりと記憶が戻ると自身の改造されてしまった体を嘆いて涙を零す。
「俺がしてやれる事はほんのわずかだ……」
 そんな彼らにしてやれること――エトヴァはヴァイオリンで鎮魂歌を奏で、パラドクス『Paradiesmelodie(パラディースメロディー)』を発動する。美しき旋律が祈りのように響き渡り、嘆いていた者たちはいつの間にか演奏に聴き入っていた。
(「天の国での安寧を祈ろう。だからどうか……嘆きも、憂いも、悲しみも、今は音色に委ねて。安らかに眠れ」)
「ア……アァ……ソコニ、イタノ、カ……スグ、イクヨ………」
「」
 演奏を聴きながら天に導かれるように、穏やかな顔で永遠の眠りに落ちていった……。
(「これ以上の苦しみ無く、その魂が天へと迎えられますように――」) そんな人々の心を少しでも救おうと、ヴァイオリンの音色に乗せてイオナは歌う。それは祈りの歌――。
「ナン、ダカ……ネムイ………」
「アァ……イイ、ユメ、ガ、ミレソウ…………」
 化物となってしまった苦しみを一時忘れ、穏やかな顔で倒れ伏し息絶えた……。

●復讐を背負いて
「ついに追い詰めたわよ、アレクセイ。ロマノフの民を材料にするおぞましい実験を止めるためにも……その首狩らせてもらうわ」
 アレクサンドラ・リーヴェン(吸血姫・g09048)は元凶であるアレクセイを討とうと森の中に入る。
「キッキィイイ!!」
「キーーッ!」
 その姿を見つけたウプイリ達が鳴き声を上げ、バサバサと空を飛ぶ。
「ウプイリ、当然ここにもいるわよね。憐れな実験の産物。帰れず惑う民の残滓」
 アレクサンドラはその変わり果てた姿を見上げた。
「悪いわね、ここで止まるわけにはいかないの。私はシスターではないのだから、懺悔を聞く謂れもない。せめて、苦しみを感じぬまま逝きなさい」
 パラドクス『刻命魔術【氷精の吐息】(マギノクロフィア・レディナスティーラ)』を発動し、周囲に無数の氷の矢を浮かべると、次々と放ってウプイリ達を射抜いていく。
「ギャッ!!」
「キィキイイイイッ!!!」
 慌てて右往左往しながらウプイリが逃げようとするが、矢が命中すると傷口から凍り付き飛べなくなって落下してしまう。そこへアレクサンドラが蛇腹剣〈кнут королевы〉を振るって打ち砕いた。
「キ、キィ…………」
 何か言いたそうな目でアレクサンドラを見上げてウプイリは息絶える。
「…………」
 無言で受け止めたアレクサンドラは次のウプイリに向けて剣を振り抜き、辺りにバラバラの死骸を転がしていった。
「おい、聞こえてるか?」
 伏見・萬(錆びた鉄格子・g07071)が侵入者を迎撃しようと飛び回るウプイリに語り掛ける。
「キィイイーーッ!!」
 ウプイリが急降下して動かず受け止める萬の首に牙を突き立てた。
「俺はお前らの仲間を喰った……あいつらが俺の中に置いていった、恨みや苦しみがこれだ」
 パラドクス『千の黒翼(ヴェンジェンス)』を発動し、己が宿す呪詛と、かつて喰らったモノの怨嗟で出来た黒い靄を放ち、それが蝙蝠の群れへと姿を変えてウプイリを逆に喰らう。
「ギィッアァ!!」
 ウプイリ達は驚き逃げようとするが、黒い靄は既に周囲を囲み次々と襲い掛かってウプイリを喰らっていった。
「俺には、こうする事しかできねェ。好きなだけ怒れ、恨め」
 苦しむウプイリが恨めしい目を萬に向ける。その感情を正面から萬は受け止めた。
「あいつらと同じように、重たいモンを全部吐き出して、俺の中に置いて、静かな所に逝くといい」
「ギィァアアア!!」
 漆黒の闇に覆い尽くされるように、靄の蝙蝠がウプイリを覆い尽くした。そして再び飛び立つとそこには何も残っていなかった。
「ギィイイ!!」
 どうしてと悲鳴のような声を放ちウプイリがアレクサンドラの足元の雪の上に落ちて白を赤く染める。
「私を恨むなら存分に呪いなさい。その怨嗟、すべて彼の大領主にぶつけてきてあげるから」
 アレクサンドラはウプイリの残骸を踏みしめて前へと進む。決して後ろを振り向かず、その目はアレクセイのいる城館へと向けられていた。
(「俺もいつか、あの冷たくて静かな所に戻るんだろう。色々なモンを喰って混じっていく俺が、その時「何」になってンのかは、わからねェが」)
 自分もいずれはそこへ戻ることになると、萬はウプイリの姿を自分に重ねる。その時がいつかは分からないが、自分も彼らとそう違いはないと、喰らった負の感情を自らの内に溜め込んで歩き出した……。

「人だった時の意識が微睡んでんなら今更呼び起こすのも新たな痛みってもんだろ」
 リップ・ハップ(Reaper Harper・g00122)は眉間にしわを寄せて、悪趣味な研究の成果が巣食う森を歩く。
「何が悲しくて自分の死を乞わなきゃならん? 怪物になっちまった事を改めて自覚しなきゃならん?」
 吐き捨てるように言い放ち、怒りをぶつけるように足元の石を蹴る。それが前方の木に当たり、吊り下がって獲物を待っていたウプイリが甲高い鳴き声を上げて飛び掛かる。
「キィーーッ!!」
「だからそのまま最期の眠りをくれてやる。それが私にできる私なりのせめてもだ」
 リップはパラドクス『Rest In Pease・HAPpies(リップ・ハップ)』を発動し、迫るウプイリを大鎌〈伯爵〉を一閃して両断し即死させた。
「真正面から受け止める必要があんだ、ああだこうだ言ったって殺す必要があるから殺すって事を――」
 怪物にされてしまった人々を自らの手で殺す。殺さねば進めない、殺さねば救えない。血飛沫が飛び散りリップを赤く染める。
(「今はまだ助ける手段のねいこっちの都合だって事を――同情や悲哀を自分納得させる理由にはしねい」)
 殺す理由があるから殺すのだと言い訳せずに自らの行いを真正面から受け止める。
 その刃は血に濡れるほど鋭さを増し、一秒でも早く殺してやるとリップは大鎌を振るい続けた。
「なんでこんなことが起こる? あまりにも常軌を逸している」
 森を駆けるノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)は人体実験の末に作り上げられたウプイリ達を見て理解できないと首を横に振った。
「許されざる研究だ。……いや、科学そのものに善悪はない。倫理なき狂人が玩具を得ればこうなるのは必定か」
 科学に没頭し非人道的なことも平然とやってしまう狂った科学者も世に存在していると思い直す。
(「ウプイリに対し、呼び掛けるか否か……。せめて最期は人として……というのは俺自身のエゴに過ぎまい」
 人の心に戻して死なせる。それは相手を苦しめるだけではないかとノインは思った。
(「それに、この手の事件に関わったのは初めてではない。何を言いたいかは解る」)
 クロノヴェーダによって苦しめられた人間の残す言葉は既に幾つも聞いたことがある。それはどれも救いなどないものだった。
「ギィッ!!!」
 ウプイリが襲い掛かり噛みつく。だが避けもせずにリップは腕を噛まれながら大鎌を首に当てた。
「私は怪物狩りの狩人だ。一匹残さず狩り尽くす」
 大鎌を引いてウプイリの首を刎ねる。
「ギッ……」
 死したウプイリが力無く落下していく。受けた傷を叫びとして身体と心に刻み、一つでも多く背負わんと無数のウプイリの群れに突っ込んだ。
「キィッ!!!!」
 木に吊り下がっていたウプイリ達がリップへと四方八方から襲い掛かる。
「もはや人としての意識がないなら、それは一種の救いではある」
 獣のように猛るウプイリに、ノインはパラドクス『ゴーストデータリンク』を発動して外部補助電脳を起動することで脳機能を高め、相手の動きを予知したように先読みし、構えた拳銃〈P218〉を発砲してリップを狙うウプイリの頭部を撃ち抜き、自身へと接近した相手は三日月状のナイフ〈ファイティングカランビット〉を一閃して首を刎ねた。
「ギ、ギィ…………」
「……赦せとは言うまい。恨めよ赦せとは言うまい。恨めよ」
 転がった頭部と目が合い、ノインはそのざまざまな感情を受け止めて、次の相手に向かって引金を引いた。
「まだ残っている。仲良く眠らせてやるよ」
 森を駆け抜けるリップは縦横無尽に大鎌を振るい、一体でも多くのウプイリを狩った……。
 雪で白く覆われた広大な森は赤く染まる――。
 救いようのないウプイリ達を永遠に眠らせ、ディアボロス達は創造伯アレクセイの本拠地である吸血実験城へと辿り着いた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV2が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【コウモリ変身】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV2が発生!
【先行率アップ】LV2が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ガードアップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV4が発生!
【フィニッシュ】LV2が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

●吸血実験城
 タブーなど存在しないさまざまな生物実験が行われている吸血実験城の正門が破られ、侵入者が突入してきた音が響く。
「アレクセイ様! 何者かがこの城に侵入してきたようです」
 城館内を管理しているトループス級『ノーブルメイド』がすぐに研究室に報告に現れる。
「……私は今忙しい。次は脳を弄るつもりだが、どこの部分を弄っていこうか思案中なのだ。侵入者などそちらで勝手に処理したまえ」
 腕を組み次の人体実験について怯える人間の前で思案している創造伯アレクセイは、この城に脅威など現れるはずがないと適当に命令を出した。
「嫌ッ! 止めて――止めてえええええええ!!」
「おお、右脳に刺激を与えればこうなるのか、ではこちらは……」
 そして悲鳴を上げる人間の脳に細い触手を突っ込み、ぐちゅぐちゅと弄り回して改造していく。
「はい、ご命令のままに」
「偉大なるアレクセイ様の研究の邪魔はさせません。早々にお引き取り願いましょう」
 命令を絶対とするメイド達は侵入者の迎撃に動き出した――。
タラス・ジュラヴリョフ
ノックは派手にやってあげたつもりだけど、家主は姿を現さないか
メイド達も案内する気はなさそうだね
それじゃあ勝手に上がらせてもらおうか

【未来予測】で状況を予測しながらと仲間達と声かけをして連携し、孤立を避ける
[挑発]で僕自身へと攻撃を向けさせている間にパラドクス展開
炎の鞭で対処できないくらい沢山の折紙の蝙蝠で、逆に取り囲み返してから襲い掛からせる

この子達が奪い取るのはお前達が世界に在ったという存在情報
血一つ残しはしない、思想すら残させない
綺麗さっぱりこの世から片付けてやる

ウプイリ達の末路はみんな悲惨だった
だけど僕達はその想いを聞いた。みんなを覚えているだけ少しは救いがある
お前達にその救いは要らない


ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
【奴崎組】

貴様等に彼等の痛み叩き込んでやる
覚悟しろよ、外道!!

此の程度の痛み彼等の味わったものに比べれば遥かにマシだ!
お前達は此処で討ち取る!!

敵の近接攻撃対策として〇飛翔しての〇空中戦で距離を取りつつ飛び回り戦闘

〇結界(術)を己の周囲に張り〇高速詠唱の〇連続魔法で〇電撃(使い)の〇誘導弾の〇弾幕を展開
其の弾幕に誘導弾に〇看破しにくいレベルで偽装した〇双翼魔弾を織り交ぜ敵に放つ〇フェイント攻撃〇攪乱
通常の誘導弾の中にも魔弾があるかもしれないと敵に思わせ布石を打ち通常の誘導弾弾幕も無視して突っ切る等出来ない様に

誘導弾の弾幕を味方の攻撃と同時に別方向に展開
敵の回避を妨害する等支援も


リューロボロス・リンドラゴ
【奴崎組】
地の利は奴らにある。《不意打ち》には気をつけるとしよう。

ふん、出迎えご苦労。では死ね。
我らは今、機嫌が悪い。
アレクセイの為に死ねるのなら光栄であろ?
安心せよ。貴様らの主もすぐに地獄へと送ってくれるわ。

軌跡に炎の渦か。
下手に避けようとするよりも最短距離正面突破が一番被弾も少なかろう。
それに、だ。
……温い。
この程度の炎で。
我が。ドラゴンが!
燃やせれると思うたかあああああああ!
実際のダメージなど関係ないわ!
犠牲になった者達の悲痛な声の方が何倍も、何十倍も痛かった。
それだけよ!
故に、沈め。貴様たちが流させてきた涙へと沈め。

悲鳴が止まぬ。侵入に気付いても実験の手を止めぬか。
急ごう、同胞たちよ。


ガンドラ・ブラッディア
【奴崎組】
連携可・個別採用可

ほう。しっかりと客人を、出迎えに来るとは、出来たメイド達だ。
殺気立つのを、隠せない部分は、未熟だがな。
案内は無用、押し通らせて貰う。


呪対蜃気楼を発動し、呪槍を振るう事で炎熱光線と冷却光線をメイドへ向けて放つ。【未来予測】を補助に、少しでも当たるようにする。
相手からは基本距離を取りつつも反撃は相手の手や構えを注視し、武器等で逸らしたり出来るよう構え、此方も【未来予測】の補助にアヴォイドも加えつつ、なるべく戦闘続行できるよう致命打を避けるように動く。

我輩の心臓、お前達に、くれてやるつもりは、無いのだ。
失せよ、外道なる者達。


赤上・イズル
■【旭日革命軍団】
■アドリブ連携歓迎
■個別採用OK

即刻そこを退いて貰いますよ
…あなた方の主を倒しに行きますので

立ちはだかるノーブルメイド達に冷たく言い放ちながら
抜刀の構えを保ちつつ素早く視線を動かし周囲の状況と敵の数を確認
【完全視界】にて暗がりにいる敵すら見落とさぬように

あなた方がなんと言おうとも…押し通る!

敵の早業に対しこちらも【神速反応】のて速度を高め
【フェイント】と【残像】の動きで敵を翻弄

遅い!そこです!

1秒先の未来の敵の攻撃を【神速反応】でかわし
すれ違いざまにパラドクス【神速】の抜刀術を浴びせる

血は…赤いのですね
同じ色だというのに同じものだとは…到底思えません
と刀についた血を血振りする


レイラ・イグラーナ
【奴崎組】
何をしようと犠牲になった彼らを救うことはできません。
ですが、人民全ての奉仕者として、彼らの最期の願いを聞き届けないこともまたあり得ません。アレクセイ……!

銀の針を両手に持ち戦闘。
赤い血のような鞭を振るうノーブルメイドに対し、【手製奉仕・彗】で一息のうちに鞭の間合いよりも内側に入り込み、そのまま喉や心臓などを狙い銀の針を突き立てます。

彼らはアレクセイの名を呼ぶことはあれど、貴女たちに言及することはございませんでした。
ただ上位に従うことしかできない貴女たちなど、憎むべき者ですらない、アレクセイを討つための障害物に過ぎません。
ただ速やかに……排除させて頂きます。


ロザーリヤ・ユスポヴァ
【奴崎組】

給仕姿の「貴族もどき」は何人も見て来たが、その中でもお前達は不運だな
最悪の主人を得たばかりに、殺意に猛る復讐者を相手取るのだから

仲間との連携の中で、前衛が攻撃した後の隙をカバーするように立ち回るとしよう
またWIZを切り捨てているレイラとガンドラに対しての攻撃はディフェンスを試みる

まずアートの技巧を凝らし、『落涙の絵筆』で≪幻想贋造『舞い踊る銀の月』≫を描こう
生成したシミターを念動力で操作し、仲間に攻撃しようとする敵の側面や背後から襲いかからせる
友よ、存分に怒り、突き進むがいい。背後の護りはぼくが受け持つ1

反撃の鞭には愛剣『死せざる■■■■■』で斬撃
切断ないしは軌道のズレを狙うとしよう


イオナ・ガルバローゼ
実験施設のメイドどもは他のアレクセイの施設では実験の手伝いに勤しんでいましたね
ここでもそうなのでしょう

暗闇による死角を消すのに【完全視界】
散らした犠牲者たちの願いがあるなら【託されし願い】を
【未来予知】で敵の奇襲に備えます

連中の武器はあの燃える血鞭かあるいは赤く染まった貫き手による内蔵破壊
そう言う風に訓練されているのか大体心臓を狙って来ますね

心臓を狙って来るとわかれば反撃も難しくありません
メイドの貫き手が肌を貫いて心臓へ到達するまでにmasterpieceを使用
血液を鋭利な刃物へ変えて腕を切り落とし
その血を使った武器で逆に相手の心臓を貫きにかかりましょう


白水・蛍
【奴崎組】
アドリブ歓迎
タグ外含め連携積極的に。
POWで周囲の味方をディフェンス

守ろうとする気概は認めましょう。
でも、こちらはそれを突破します。あなた方ただの通過点に過ぎないのです。
飛翔で相手に急速に接近。無双馬のフローレライトと共にパラドクスで魔力の弾丸を発射します。
威力に特化した魔力の弾丸。その身に喰らって頽れよ。

相手の反撃並びに道中の攻撃は装備で魔力の障壁と飛翔による回避で致命傷を避けます。
多少のダメージは問題ありません。突破するまで、いえ、アレクセイを倒すまで倒れるつもりはありません!


リップ・ハップ
わざわざお出迎えご苦労さん
そしておめでとさん、これでお役御免だ

距離を詰めて無駄なく、淡々とパラドクスでぶった斬る【ダッシュ、突撃、斬撃】
この後がまだあっから、余計な時間かけてらんねんだわ

あっちの攻撃はわざわざ心臓狙い?
読めりゃ的を動かすなり腕を弾くなりで致命傷の避けようはある。【未来予測】で適宜対応
的の小さい所ご苦労さん

こっちは部位に拘らず、長柄のリーチ活かして斬りつけるのみだ
傷をつければ、血に触れれば、そいで伯爵には十分
そして見せつけるように伯爵に啜らせた血で負った傷を塞いでく
奪われて利用される側の気持、最期に勉強していきな


アレクサンドラ・リーヴェン
【奴崎組】
アドリブ、連携可・個別採用可

あら、この館のメイドが出迎えてくれたようね。
せいぜい盛大に歓待しなさい。アンタたちの最期の仕事なんだから。

さぁ、教育してあげましょう。従者として相応しい姿勢というものを。
アンタの鞭さばき、まったくなってないわね。支配者はこう振るうのよ。
蛇腹剣を鞭形態で振るい牽制。『刻命魔術【風精の嘆き】』で発生させた風の刃を追撃させて、生み出された炎の渦ごと切り裂いてやりましょう。

さあ、愚かな主人の元へと向かうとしましょうか。対価をもらいに、ね。


ノイン・クリーガー
【旭日革命軍団】個別採用OK
コードネーム:ゴースト


出てきたか。随分と顔色の悪い使用人どもだ。
今更気づいても遅すぎる。
こいつらはただの障害物として処理する。

まず発煙弾を投げ入れ、煙幕で【撹乱】しつつ【完全視界】で敵の姿を捉え、G45Sによる【制圧射撃】を行いながら前進する。

鞭を振り回してくるようなので、【未来予測】を使い、鞭の軌道を避けつつ前進し、再度攻撃を行う。

狙いはあくまでもアレクセイ。
こんな所でもたつくわけにはいかん。
速やかに制圧し、前進する。

※アドリブ・連携歓迎


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【旭日革命軍団】
チーム外連携、個別採用OK
連携アドリブ歓迎

……度し難いな
一刻も早く、こんな事は終わらせよう
――通せ

寒冷適応、完全視界、ほか効果を活用
味方と積極連携
偵察、観察しつつ戦況を把握
トラップ生成で辺りにワイヤーを張り巡らせ、メイド達の鞭や服を引っかけ連携を乱す
本命はPDの糸をワイヤーに紛れこませ、鞭を絡め、敵の動きを封じて糸で斬る
味方と狙い合わせ、撃破を重ねて数を減らそう

反撃には魔力障壁を展開し防御しつつ
鞭の動きと腕の振りを観察、未来予測と合わせ炎の渦を回避

血塗られた城に、狂った城主……
そんな研究は、もう二度と行わせない
早く、一刻も早く止めに行く
邪魔をするな。

冷静だが、ひどく血が熱いんだ


括毘・漸
【奴崎組】
さっさと失せろ外道どもが。
用があるのはこの先です。
邪魔だてするなら一切合切ぶった斬る!

両手にナイフ、口にサーベルを咥え、ナイフを爪代わりにして両手を地面に着け四肢で駆け抜ける。
両手のナイフを楔にし、急な方向転換、急ブレーキに急加速を織り交ぜ動きの残像を発生させ、相手が貫手届く前に三振りの刃を振るい、刻んだ相手をそのまま斬り飛ばし、集団に突っ込んでいく。

おいおい、そんなに心臓に殺到されても一つしかありませんよぉ。
まっ、心臓への入場料でその手を置いていって貰いましょうか。

心臓狙いの貫手に対し、刃を添え、心臓からずらしその勢いのまま斬り飛ばす。

あと一歩ですな、邪悪と止めにいきましょう。


シューニャ・シフル
【旭日革命軍団】
チーム外連携、個別採用OK
アドリブ連携歓迎

護衛にしちゃ大したことなさそうな奴らだな。
まぁいい。戦場に立つなら強いも弱いも関係ねぇ。まとめて相手してやるぜ。

【未来予測】で心臓を狙う腕を
銃把で打ち払って、メイドどもで遮蔽を作りながら全身に銃弾を撃ち込む。

そんなもんじゃ俺の心臓はやれねぇな。戦いもせずに遊んでたんじゃこんなもんか。

*敵を貶すような発言はしません。


月見里・千隼
【奴崎組】
※連携、アドリブ、個別採用OK
残留効果ある分フル活用

ふむ、屋敷に突撃した俺達をメイド達が態々丁重にお出迎えしに来たのかご苦労様なこった

俺達は貴様らの創造とは名ばかりの血生臭く反吐が出る程外道な主人に用があるのでな…
とっととタイムカード押して退勤して道を開けるかこの世から退場願おうか

暗闇対策には完全視界を
『血腥月』で炎の魔力を込めた弾丸で敵を撃ちつつも
何人か爆発刻印を付け銃撃しながら
その敵周りに他の敵を追い込み密集させてから起動し爆発させて更に粉塵爆発させて一体でも広く多く敵を討伐していくぞ

反撃は未来予測を使い
貫手で心臓を抉り取られぬよう急所を突かれぬように『血腥月』で逸らしていこう


光道・翔一
【奴崎組】
アドリブ等歓迎

…ここ絡みのアレコレは話に聞いた程度だが…それでもここらの空気感は、まるでいい気がしねーな。
…ひとまずは目の前のメイド達への対処が先か。
まぁこっちは手早く終わらせるとするかね。

…逆説連鎖戦である以上完封まではいかねーだろうが、炎攻撃なら水で対抗するのが妥当だろうな。
……幸いここは雪国。「水分の元」には事欠かねぇ。


事前にパラドクスによって外の雪を元手に大量の水を生成
これを用いて厚い水壁を作り出し、敵攻撃から身を護る盾とする
必要に応じて同行者のディフェンスにも利用

水壁で防御しつつ、壁から水分の一部を水の弾丸や高圧水流に変換し、『不意打ち』気味に放出して敵を撃破していく


四葩・ショウ
救援機動力が働く方へと
時に最高速度の飛翔も使って、急いで合流を
手薄なら窓から直接入ってでも

そのまま攻撃して地上に降り立ち
攪乱するように、惹き付けるように敵間を駆ける
狙いは常に一番傷ついた敵へ
仲間と照準あわせて、すこしでも早く殲滅出来るように
それから自分が孤立しないように
仲間を孤立させないように
戦況を注視して果敢に攻め込む

貴女たちの主は、さ
神さまにでもなったつもりかな?
随分と好き勝手にしてたみたいじゃないか
(どれだけの血がながれたかなんて、考えたくもないけど)

贖う時が、きただけだよ
貴女たちも、アレクセイも

非道な実験も、
犠牲となったかれらの苦しみも
今日限りですべて、終わらせる
そのためにも


●招かれざる客
「ノックは派手にやってあげたつもりだけど、家主は姿を現さないか」
 開いた大きな扉から中を覗くタラス・ジュラヴリョフ(大衆の聲・g07789)は、姿を見せた『ノーブルメイド』達を観察する。誰も彼もが招かれざる客を排除しようと殺気を漂わせていた。
「メイド達も案内する気はなさそうだね。それじゃあ勝手に上がらせてもらおうか」
 無許可でタラスは中に足を踏み入れた。
「お客様。この城は許可なき者の来訪を禁じております」
「無断で立ち入ったお客様はおもてなしして、死体となってお帰りいただくことになります」
 冷たく微笑むメイド達が鞭を手にした。
「帰るつもりはないよ。まだ用事を終わらせてないからね」
 そんな殺気を受け流し、タラスは挑発して自身へと意識を向けさせてパラドクス『噂の伝搬者(ビェスパリャードク)』を発動する。すると紙新聞の束〈информация〉が勝手に折りたたまれて蝙蝠の形となり生き物のように羽ばたいて次々と飛び出し、バサバサと紙の雑音が響き渡った。
「紙の蝙蝠?」
「燃やしてしまうだけです!」
 燃える鞭を振るって折紙の蝙蝠を叩き落とす。しかしその数は多く視界が遮られ、全方向から耳障りなガサガサという紙の音が聞こえ、くらりと眩暈がしてメイドは膝をついた。
「これはなにが……?」
「この子達が奪い取るのはお前達が世界に在ったという存在情報。血一つ残しはしない、思想すら残させない。綺麗さっぱりこの世から片付けてやる」
 折紙の蝙蝠達が飛び回って天井に張り付く。すると先ほどまでいたメイド達は元から居なかったように消滅していた。
「どうやらどこかの勢力の刺客のようです。油断せずに掛かりなさい」
 メイド達が警戒度を上げて臨戦態勢に入る。
「わざわざお出迎えご苦労さん。そしておめでとさん、これでお役御免だ」
 リップ・ハップ(Reaper Harper・g00122)がするりと距離を詰めてパラドクス『Reinvest・Harvest(リーンヴェスト・ハーヴェスト)』を発動し、無駄なく、淡々と大鎌〈伯爵〉を振るってぶった斬る。
「キャアアアア!!」
 袈裟斬りに切断されたメイドが悲鳴を上げて大量の血を噴き出す。
「この後がまだあっから、余計な時間かけてらんねんだわ」
 リップはそのまま勢いを止めずにさらに作業のようにメイドを斬り捨てた。
「賊がよくも!」
 近くのメイド達が左右から赤い魔力で手を染めて鋼のように強化するとリップの心臓を狙って貫手を放つ。
「わざわざ心臓狙い?」
 リップは【未来予測】で狙いを把握して一歩引きながら大鎌で腕を弾き、軌道を逸らせて刃は胸ではなく肩を抉り血が流れる。
「的の小さい所ご苦労さん」
 構わずリップは大鎌を引いて伸びた腕を落とす。
「ギャアッ!!」
 その血を伯爵が啜って【ドレイン】によってリップは肩の傷を塞いだ。
「血を! あなたも吸血鬼なの?!」
「どうしてアレクセイ様の領土に!」
 メイド達が驚きながらリップに手刀で攻撃するが、動揺した攻撃を容易く大鎌で捌く。
「奪われて利用される側の気持、最期に勉強していきな」
 大きく振るった大鎌の刃がメイドの首を刎ね飛ばした。
「強い、皆をすぐに呼びなさい!」
 メイドが声を上げ、城館で働くメイド達全てを集めるように指示する。
「ウプイリ達の末路はみんな悲惨だった。だけど僕達はその想いを聞いた。みんなを覚えているだけ少しは救いがある。お前達にその救いは要らない」
 一切の救いを与えずに消し去るのみだと、タラスは表情を変えないが強い意志で以って悲劇を生み出した手先を葬り去る。
「呼び集めてくれるなら好都合。どうせ全員仕留めるんだ」
 リップは次々とやってくるメイドに向けて大鎌を振るって血を撒き散らした。

「こちらです! 一人残らず始末してしまいなさい!」
「「はい!」」
「実験施設のメイドどもは他のアレクセイの施設では実験の手伝いに勤しんでいましたね。ここでもそうなのでしょう」
 イオナ・ガルバローゼ(空染めの一輪・g07485)は侵入者を排除しようと動くメイドを見て、悪事の片棒を担ぐ倒すべき敵だと城内を進む。
「犠牲となった人々の無念を晴らすため、アレクセイの元まで突き進みましょう」
 【未来予知】で敵の動きを予測していると、物陰からメイドが飛び出して貫手で胸を狙ってくる映像が浮かんだ。
(「連中の武器はあの燃える血鞭かあるいは赤く染まった貫き手による内蔵破壊。そう言う風に訓練されているのか大体心臓を狙って来ますね」)
「不審者は排除します」
 映像と同じくメイドが問答無用で攻撃を仕掛けて来る。
「心臓を狙って来るとわかれば反撃も難しくありません」
 それを予期していたイオナはパラドクス『masterpiece(フランシス・メイアン)』を発動し、自身の血液を鋭利な刃に変えて振り下ろしメイドの腕を斬り落とした。
「ぅくっ! 気付いていたのっ!!」
 慌ててメイドが一歩引いて体勢を立て直そうとするところへ、今度はイオナが踏み込んで血の刃を突き入れ心臓を貫いた。
「お返しです」
「そんな………」
 口から大量の血を吐いてメイドが崩れ落ちる。
「これ以上の無法は許しません!」
「燃やし尽くしてあげるわ!」
 メイド達が鞭を振るい、イオナの周囲に炎を巻き起こす。
「無法を働いたのは貴女たちの方だよ」
 そこへ四葩・ショウ(Leaden heart・g00878)が窓を突っ切って飛び込み、敵陣に急降下するとパラドクス『Casablanca(カサブランカ)』を発動して白羽根の百合を身体に咲かせ、舞い散らせると敵に触れて植物の種が大地に落ちるように根付く。
「貴女たちの主は、さ。神さまにでもなったつもりかな? 随分と好き勝手にしてたみたいじゃないか」
 どれだけの血が流れてしまったのか、考えたくもないほどの人々がこの城で犠牲になったのだと充満する血の匂いから察してしまう。
「アレクセイ様は偉大なるお方」
「その崇高な研究の邪魔はさせません」
 メイド達はアレクセイに心酔し、その行為を全肯定して褒め称える。
「贖う時が、きただけだよ。貴女たちも、アレクセイも」
 そんなメイドの態度に許せないと怒りを燃やし、ショウは植え付けた白羽根に花を咲かせる。
「っキャアアアア!!」
「この花は? 痛いっ! 体内を根が這いずるようなっ!!」
 罪の数だけ裂く白羽根の花が満開となり激痛をもたらす。
「こんなっ! 私たちがなぜ!」
「苦しいっ、はやく止めないと」
 痛みにのたうつメイド達が止めようとショウに鞭を向ける。
「仕えるべき主を間違えましたね」
 そうはさせじとイオナが血の刃を振るって止めを刺していった。
「非道な実験も、犠牲となったかれらの苦しみも。今日限りですべて、終わらせる。そのためにも……」
「ア、アレクセイ様……この侵入者は、危険です………」
 こんなところで足止めされる訳にはいかないと、ショウは白羽根の花を無数に咲かせてメイド達の心を凍てつかせた。

●逃げ出す者たち
「何の騒ぎだ!?」
「侵入者? トループス級がやられているのか? これはいかん。こんなところで巻き込まれて万が一にもこの天才の頭脳が失われれば世界の損失だ!!」
 ディアボロスとメイドの戦いをヴァンパイアノーブルの研究者達が血生臭い部屋から覗き見て、すぐに部屋に戻ると持てるだけの資料をかき集めて逃げ出していく。
「黙っていても素材が集まるいい研究施設だったのに残念だ」
「なに、創造伯が問題なく事を収めればまた戻ればいい」
「万が一にもこの私の頭脳が失われる訳にはいかんからな!」
「それをいうなら私の頭脳の方が重要だ」
「いいや、私の方が優秀だとも! いずれ研究成果で証明しよう!」
 自尊心の高い研究者達は自分達の命を最優先に城から脱出していった……。

●強行突破
「侵入者です。アレクセイ様の研究の邪魔にならぬよう、早急に片づけてしまいましょう」
「はい、縛り上げてまとめて掃除してしまいましょう」
 城を管理していたメイド達がディアボロスの迎撃に集まり、威嚇するように鞭でパシッと床を叩く。
「出てきたか。随分と顔色の悪い使用人どもだ」
 ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)が人ではないメイド達に向かって発煙弾を投げ込む。
「煙幕!?」
「今更気づいても遅すぎる。こいつらはただの障害物として処理する」
 視界が塞がれたところで【完全視界】を使い敵の姿を捉え、パラドクス『奇襲戦術(キシュウセンジュツ)』を発動して煙幕に紛れてサブマシンガン〈G45S〉による制圧射撃で薙ぎ倒しながら前進する。
「銃弾は向こうから来てるわ!」
「反撃します!」
 メイド達が鞭を振るって煙幕を切り裂き視界を戻す。
「護衛にしちゃ大したことなさそうな奴らだな」
 そこに姿を見せたシューニャ・シフル(廃棄個体 No00・g07807)はメイドの姿や戦い方を見て、戦闘向けではないと判断する。
「まぁいい。戦場に立つなら強いも弱いも関係ねぇ。まとめて相手してやるぜ」
 邪魔するなら蹴散らすだけだとパラドクス『Around Kill(アラウンドキル)』を発動して、挑発しながら曲芸じみた動きで飛び回りながら、2挺のハンドガン〈M92FS-C〉を乱射してメイド達の全身に弾丸を撃ち込む。
「キャアッ!!」
「うっ! こんな……もので!」
 被弾して致命傷を受けたメイド達が倒れ、傷の浅い者はシューニャを睨みつける。
「心臓を貫いてあげるわ!」
 そして手に魔力を宿して一気に駆け出した。
「一撃必殺のつもりなんだろうが、喰らわなきゃどうってことねぇ」
 シューニャは【未来予測】で心臓を狙う攻撃を読み、銃把で打ち払って体勢を崩したメイドの身体を遮蔽物に使い、他のメイド達の全身にに銃弾を撃ち込んで、倒れ込んだメイドにも弾丸を見舞った。
「……度し難いな。一刻も早く、こんな事は終わらせよう」
 警戒し辺りを見回すエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の視界に、逃げ出した研究員が扉を開けっ放しにしている研究室が映り、あちこちに染み付いている鮮血と解体された元がわからない何か――濃厚な死の匂いを嗅ぎ取り、多くの悲劇がこの城で起こったのだと実感してしまった。
「――通せ」
 内から湧き上がる感情をぶつけるように、通路を塞ごうとするメイドに向かって【トラップ生成】を使いワイヤーを張り巡らせる。
「これはワイヤーですか?」
「こんなもので私達を止められると思われたのなら心外です」
 ただのワイヤーなぞ足止めにもならないと、メイドが鞭を強引に振るってワイヤーを引き千切る。
「さあ、次は貴方の――?」
 勢いづいて鞭をエトヴァに叩きつけようとする。だがその腕がぽろりと切断されて床に落ちた。
「血塗られた城に、狂った城主……そんな研究は、もう二度と行わせない」
「キャアアアアッ!!」
「私の脚が!?」
 エトヴァがワイヤーに紛れさせパラドクス『斬糸結界』によって極細の糸を通路に張り巡らせていた。それに触れたメイド達が動く度にバラバラに切断されていく。
「ここはアレクセイ様の城。賊に好き勝手させるものですか!」
「叩き出します!」
 メイド達が何としてもこれ以上の進行を阻止しようと現れる。
「即刻そこを退いて貰いますよ……あなた方の主を倒しに行きますので」
 赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)は立ちはだかるメイド達に冷たく言い放ち、腰に下げた日本刀〈陽炎一文字〉の柄に手を触れ抜刀の構えを取って対峙した。
「アレクセイ様を倒そうとは愚かな!」
「偉大なる我らが主様のお手を煩わせることはありません。私達で処理します」
 メイド達がイズルに向けて鞭を振りかぶる。だが【神速反応】でイズルは先手を打つ。
「遅い! そこです!」
 イズルはパラドクス『神速(シンソク)』を発動し、腕を上げた隙をついて一瞬にして間合いに踏み込み、刀を抜き打ち一閃するとメイド達を横に両断し、そのまますれ違って通り抜けた。
「え……?」
「ごふっアレクセイ様……申し訳………」
 何が起きたかもわからずに斬られ、驚いた顔をしたメイドが崩れ落ち、倒れ伏したメイドは血を吐きながら主に詫びて息絶えた。
「血は……赤いのですね。同じ色だというのに同じものだとは……到底思えません」
 イズルは血の色だけは同じだと、血振りして鮮血を床に撒き散らした。
「この城でこのような無法! 許せません!」
「償いとしてその強き命を主様の研究材料として捧げなさい!」
 メイド達が腕に魔力を纏い心臓を狙い襲い掛かる。
「そんなもんじゃ俺の心臓はやれねぇな。戦いもせずに遊んでたんじゃこんなもんか」
 迎撃にシューニャは銃弾を頭部に撃ち込んだ。
「狙いはあくまでもアレクセイ。こんな所でもたつくわけにはいかん。速やかに制圧し、前進する」
 ノインはマガジンを替えると弾を撃ち続けてアレクセイへの道を制圧していく。
「そうですね。こんなところで足止めを食らっている暇はありません」
 イズルもまた抜刀の構えに戻って駆け出す。
「あなた方がなんと言おうとも……押し通る!」
 振るう刃が敵を薙ぎ払い、道を切り開く。
「早く、一刻も早く止めに行く。邪魔をするな」
 頭は冷静に状況を判断している。だが脈打つ血はひどく熱く、エトヴァを急き立てるように足を踏み出させた……。

●止まらぬ怒り
「お客様。ここは偉大なる創造伯様の城。お招きされていない方の入城は許されておりません」
「アポイントメントのないお客様は地獄へ案内させてもらいます」
 メイド達がアレクセイの元に向かう通路に集結し、侵入者に対して鞭を構えた。
「ほう。しっかりと客人を、出迎えに来るとは、出来たメイド達だ。殺気立つのを、隠せない部分は、未熟だがな」
 ガンドラ・ブラッディア(黒矛・g03101)はじろりと手にした鞭を見た。
「案内は無用、押し通らせて貰う」
 そしてパラドクス『呪対蜃気楼(ジュツイシンキロウ)』を発動し、呪槍を振るい呪いを帯びた炎熱光線と冷却光線を放つ。
「通すものですか!」
 メイド達が散開するが【未来予測】で敵の反応を読み軌道を修正しながら光線で撃ち抜く。
「火が! 熱いッ!!」
「身体が凍っていくわ!」
 燃え上がらせ、凍り付かせ、メイドの身体を破壊した。
「迷惑なお客様にこれ以上暴れさせません」
 すっと音もなく現れたメイド達が反撃に動き出す。
「ふん、出迎えご苦労。では死ね」
 そこへ割り込んだリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)が吐き捨てるように言い放つ。
「我らは今、機嫌が悪い。アレクセイの為に死ねるのなら光栄であろ? 安心せよ。貴様らの主もすぐに地獄へと送ってくれるわ」
「我らが尊き主を侮辱する暴言。許せるものではありません」
「燃やしてゴミに出してしまいましょう」
 メイド達が鞭を振るい、その軌跡に炎の渦が巻き起こる。
「軌跡に炎の渦か。下手に避けようとするよりも最短距離正面突破が一番被弾も少なかろう」
 それを避けずにリューロボロスは逆に踏み込んで接近する。
「それに、だ。……温い。この程度の炎で。我が。ドラゴンが!」
 鞭を受けながらも踏み止まり前に足を踏み出す。
「燃やせれると思うたかあああああああ!」
 咆哮のように怒声を上げ、リューロボロスはパラドクス『竜王の涙雨(リューロボロス・ティアラメント)』を発動する。
「実際のダメージなど関係ないわ! 犠牲になった者達の悲痛な声の方が何倍も、何十倍も痛かった。それだけよ!」
 龍の巨躯でさえも背負うに重い悲しみが雨を呼び、室内に一瞬にして濁流を生み出しメイド達を押し流す。
「み、水が!」
「キャア………!」
「故に、沈め。貴様たちが流させてきた涙へと沈め」
 叫ぶ間もなくメイド達は押し流され壁に幾度も叩きつけられ、大量の水が消滅するとずぶ濡れて叩き潰された姿で地面に転がっていた。

「偉大なるアレクセイ様へ刃を向ける不届き者のようです。排除しましょう!」
 ディアボロスが先に進もうとすると、それを阻むメイド達が続々と現れる。
「ふむ、屋敷に突撃した俺達をメイド達が態々丁重にお出迎えしに来たのかご苦労様なこった」
 月見里・千隼(硝煙と魔弾の騎手/現代ラストジョッキー・g03438)は勤勉なメイド達を見渡し、まるで招かれた客であるように堂々と歩み寄る。
「俺達は貴様らの創造とは名ばかりの血生臭く反吐が出る程外道な主人に用があるのでな……とっととタイムカード押して退勤して道を開けるかこの世から退場願おうか」
 正面から突破せんと魔法拳銃〈朧月夜〉を抜いてパラドクス『血腥月(ブラッディムーン)』を発動し、炎の魔力が込められた弾丸を早撃ちでメイドや地面や壁に撃ち込む。
「くっ、この程度ならば問題なりません」
「一気に仕掛けましょう」
 出血しながらもメイド達は魔力を帯びて反撃しようとする。
「気付いてないようだが、お前らの身体には既に刻印が刻まれている」
「刻印?」
 メイドが思わず弾丸を撃ち込まれた場所を見る。そこには刻印が刻まれていて光を帯び始めていた。
「血のように、紅く爆ぜろ」
 爆発を起こして体が吹き飛び、弾丸を撃ち込んでいた床や壁も爆発してメイド達を薙ぎ払った。
「こんな……!」
「まだ……動けます!」
「いいや、もう終わりだ。ご苦労さん」
 瀕死のメイド達が起き上がろうとすると、千隼が追加で粉塵爆発を起こして止めを刺した。
「……ここ絡みのアレコレは話に聞いた程度だが……それでもここらの空気感は、まるでいい気がしねーな」
 光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)はあちこちにむっとする血の匂いがこびりついているのに気付いた。それは多くの人がむごく殺された残滓……。
「……ひとまずは目の前のメイド達への対処が先か。まぁこっちは手早く終わらせるとするかね」
 翔一は千隼が起こした爆発音を聞きつけ慌ててやってきたメイドへと視線を向ける。
「何事です!」
「これほどの賊の侵入を許してしまうなんて!」
 メイド達は鞭を構えて侵入者に対して戦闘態勢に入った。その鞭を振るえば軌跡が燃え上がり炎の熱気が室内を満たす。
「……逆説連鎖戦である以上完封まではいかねーだろうが、炎攻撃なら水で対抗するのが妥当だろうな。……幸いここは雪国。「水分の元」には事欠かねぇ」
 翔一はパラドクス『集水魔法(ウォーター・キャプチャー)』によって外に積もった雪を元手に大量の水を生成し、水壁を敵との間に作り出して炎の熱を防ぐ。
「貴様等に彼等の痛み叩き込んでやる。覚悟しろよ、外道!!
 ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)が堂々と声を上げて人々を苦しめる外道を糾弾した。
「彼らとは誰の事でしょう?」
「さあ? ともかくアレクセイ様の城に勝手に踏み入ったのです。早々に掃除してしまいましょう」
 人間を苦しめていることを言われているなどと思いもせず、メイド達は魔力で赤く染めた手を刃のように突き入れる。それをルィツァーリは長剣〈Аянга довтлогч〉を抜いて防ぐ。心臓狙いの貫手は脇腹を抉った。
「此の程度の痛み彼等の味わったものに比べれば遥かにマシだ! お前達は此処で討ち取る!!」
 ルィツァーリは【飛翔】して高い天井まで飛び上がり、電撃魔法弾の弾幕を張る。それに混ぜてパラドクス『双翼魔弾』を発動して誘導する魔弾を放った。
「こんなただの魔法が通じるとでも?」
 眩い電撃弾はメイド達に簡単に掻き消される。だがそれに紛れた魔弾はその身体を貫いた。
「キャアアッ!!」
「気を付けて! パラドクスの弾が混じっているわ!」
 仲間が撃ち抜かれたのに気付いたメイドが警戒して魔弾を魔力を通した腕で防ぎ、なんとか致命傷を免れようとする。
「注意を引きつけておきます。今のうちに!」
 ルィツァーリがそうして弾幕で敵の注意を頭上へと引き付けている間に仲間達が動く――。

「守ろうとする気概は認めましょう。でも、こちらはそれを突破します。あなた方ただの通過点に過ぎないのです」
 その隙を見逃さず、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は無双馬の『フローレライト』と共に【飛翔】して真っ直ぐ敵に突っ込み、パラドクス『喚来芒星晶魔砲撃(ヨビテキタルハアキラカナルボウセイノマホウゲキ)』を発動して構える〈墨流しの奏刀〉が風を受けて音を響かせる。その音色が魔力塊を召喚した。
「威力に特化した魔力の弾丸。その身に喰らって頽れよ」
 蛍とフローレライトがその魔力塊を操って分割し、大口径の魔弾として連射する。
「しまっ――」
 直撃を受けたメイド達が腕を脚をもがれ、胴体に大穴を開けて吹き飛ぶ。そのまま敵陣を貫いた蛍とフローレライトは急減速しながら衝突の勢いを消すように壁に着地した。
「動きを止めた今なら倒せる!」
 生き延びたメイドが反撃に移り、手に魔力を集めて攻撃してくる。それを蛍は剣で受け止め、心臓目掛けて押し込まれそうになるのを受け流し、致命傷は受けぬように受け続けて手刀を凌いだ。
「何をしようと犠牲になった彼らを救うことはできません。ですが、人民全ての奉仕者として、彼らの最期の願いを聞き届けないこともまたあり得ません。アレクセイ……!」
 レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は最期の願いを叶えようと、この先にいるだろうアレクセイへの殺意を膨らませ、邪魔するメイドに冷たい視線を向ける。
「彼らはアレクセイの名を呼ぶことはあれど、貴女たちに言及することはございませんでした」
 レイラは犠牲となった人々の言葉を思い出す。
「ただ上位に従うことしかできない貴女たちなど、憎むべき者ですらない、アレクセイを討つための障害物に過ぎません。ただ速やかに……排除させて頂きます」
 ただ命令を実行するだけの道具に用はないと、パラドクス『手製奉仕・彗(ハンドメイドサービス・コミェータ)』を発動し、両手に〈銀の針〉を持つと駆け出し、敵の視界から消えるように加速する。
「消えた!?」
 鞭を叩きつけようとしていたメイドの眼が泳ぐ。そして遅れて目の前に踏み込まれていることに気付いた。
「はやっ――」
「貴女が遅いだけです」
 一息で懐に飛び込んだレイラが銀の針を心臓に突き入れ、絶命させると足を止めずにすぐに近くのメイドに接近する。
「来るなっ!」
 メイドが鞭を振るうよりも速く、レイラはすれ違いながら喉を貫いていた。
「締め上げて焼き殺してあげるわ!」
 距離のあるメイドが鞭を振るう。それがレイラに届く前に割り込んだ剣で弾かれた。
「給仕姿の「貴族もどき」は何人も見て来たが、その中でもお前達は不運だな」
 愛剣〈死せざる■■■■■〉を手にしたロザーリヤ・ユスポヴァ(“蒐集卿”・g07355)は不運なメイド達に告げる。
「最悪の主人を得たばかりに、殺意に猛る復讐者を相手取るのだから」
 先ほどの光景を見てしまったディアボロス達は、復讐の炎を燃え上がらせ、邪魔する者を全て灰燼に帰す勢いで攻撃に入っている。
「すぐに主人も送ってやる。先に逝くがいい」
 その怒りに燃える一人であるロザーリヤもパラドクス『幻想贋造『舞い踊る銀の月』(フォージェリィ・ダンシングシミター)』を発動し、〈落涙の絵筆〉を振るって秘宝『舞い踊る銀の月』の「贋作」を描く。すると月の輝きを宿すようなシミターが実体化し、飛んで回り込み鞭を振るうメイドの背中をざっくりと斬り裂いた。
「がはっ………」
「剣を叩き落としなさい!」
 血を吐いてメイドが倒れると、シミターの危険性に気付きメイド達が鞭を振るって落とそうとする。
「友よ、存分に怒り、突き進むがいい。背後の護りはぼくが受け持つ!」
 ロザーリヤは背中は任せよと矢のように飛ぶシミターの放つ衝撃波で敵を薙ぎ払う。その隙にレイラが針と突き立て止めを刺した。

「まさか、他のメイドたちは全滅?!」
「止めなさい! アレクセイ様の元に向かわせてはいけません!」
 城に残った最後のメイド達が止めようと集まってくると鞭を振るって炎を渦巻かせて道を塞いだ。
「あら、この館のメイドが総出で出迎えてくれたようね。せいぜい盛大に歓待しなさい。アンタたちの最期の仕事なんだから」
 アレクサンドラ・リーヴェン(吸血姫・g09048)はそんな騒々しい歓迎を受け、余裕の態度で正面に立った。
「さぁ、教育してあげましょう。従者として相応しい姿勢というものを」
 パラドクス『刻命魔術【風精の嘆き】(マギノクロフィア・ローパストヴィアトラ)』を発動し、自らの血液に刻み込んだ魔術の内の1つ。 ≪黄の章 第一節≫ によって風の渦を発生させる。
「アンタの鞭さばき、まったくなってないわね。支配者はこう振るうのよ」
 蛇腹剣〈кнут королевы〉を鞭形態にして見本を示すように振るう。その刃は容易く鞭に防がれるが、風の刃が追撃して炎を切り裂きメイドの身体を断ち切った。
「え……?」
 唖然とした顔で何が起きたか分からずにメイドが崩れ落ちる。
「風よ! 風で攻撃してるわ!」
 対抗しようとメイドが鞭を構える。
「さっさと失せろ外道どもが」
 括毘・漸(影歩む野良犬・g07394)が怒りをメイド達にぶつけるように睨みつける。
「用があるのはこの先です。邪魔だてするなら一切合切ぶった斬る!」
 口にサーベルを咥え、両手にナイフを持つと、パラドクス『猟犬参首·地獄番犬(ミツクビ・ケルベロス)』を発動してナイフを爪代わりに、両手を地面に着け四肢で獣のように駆け抜ける。
「ここはアレクセイ様が選んだ知識人の集まる城。獣の如き存在は実験体以外必要ありません」
 メイドが手に魔力を集めて仕留めようとするが、漸は両手のナイフを床に刺して楔にし、急激に方向転換して躱し、急ブレーキに急加速を織り交ぜた動きで翻弄し、貫手よりも速く三振りの刃を振り抜き、メイドを切り刻んですり抜ける。
「獣風情に!」
 メイド達が集団で一気に仕留めようと包囲して貫手を心臓目掛けて放つ。
「おいおい、そんなに心臓に殺到されても一つしかありませんよぉ。まっ、心臓への入場料でその手を置いていって貰いましょうか」
 漸は三振りの刃をそれぞれの腕に添え、心臓から軌道をずらしながら刃を振り抜き斬り飛ばした。
「私の腕がっ!」
 驚愕に顔を歪めたメイドの首を漸は斬り落として包囲を抜けた。
「心臓を貫くのよ! 強き命の宿った心臓ならいい研究材料となるわ!」
「アレクセイ様がお悦びになります!」
 メイドが手刀を構えて跳躍する。
「我輩の心臓、お前達に、くれてやるつもりは、無いのだ。失せよ、外道なる者達」
 ガンドラがそれを光線で迎撃して撃ち落した。
「アレクセイ様をお守りするのが我らメイドの使命!」
「ここは通しません!」
 メイド達が鞭を振るおうとすると水の壁が目の前に現れる。
「……そのアレクセイとやらを倒すのが俺達の使命だ。押し切らせてもらう」
 翔一は壁の水を使って弾丸や高圧水流を放ち、メイド達を吹き飛ばした。
「このっ!」
 倒れながらもメイドが鞭を振るって行く手を遮るように炎の壁を燃え上がらせる。
「多少のダメージは問題ありません。突破するまで、いえ、アレクセイを倒すまで倒れるつもりはありません!」
 蛍はフローレライトと共に残りの魔力弾を全て放ち、炎を破り道を抉じ開ける。
「さあ、愚かな主人の元へと向かうとしましょうか。対価をもらいに、ね」
 アレクサンドラは風の刃を撒き散らし、残ったメイド達を血に染めた。
「悲鳴が止まぬ。侵入に気付いても実験の手を止めぬか。急ごう、同胞たちよ」
 リューロボロスはどこからか悲鳴が聞こえると耳を澄まし、そちらに向かって足を速めた。
「あと一歩ですな、邪悪を止めにいきましょう」
 漸は如何なる障害も突き破るほどの怒りに燃える仲間と共にメイドが守っていた道を進み、アレクセイの居る研究室へと向かった――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【飛翔】LV4が発生!
【水源】LV2が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【活性治癒】がLV3になった!
【完全視界】がLV2になった!
【トラップ生成】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【未来予測】がLV2になった!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV2が発生!
【ダメージアップ】がLV7になった!
【アヴォイド】LV2が発生!
【命中アップ】LV3が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ドレイン】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【先行率アップ】がLV3になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!

●高慢なる創造伯
「騒がしい、何をしている?」
「ひぃっ!!」
 全滅させたメイド達が厳重に護っていた道を突き進むと、そこには他よりも一際立派な部屋があり。その扉を破って中に入ると、そこには今にも人間の頭を開けようとしていた『創造伯アレクセイ・K・トルストイ』が居た。
「む? メイドどもではない?」
 何者かと訝しむ顔でじろりと観察するようにディアボロスを見渡した。
「なるほど、私の研究を盗みに来たスパイといったところか」
 勝手に納得すると堂々とその身を晒し、下半身の触手をうねらせた。
「見たまえ、多くの研究の結果強化された私の身体を。この肉体は他のジェネラル級を超えているだろう」
 どれだけの数の人間を犠牲にして生み出した技術なのか、その研究成果であるジェネラル級のボディは強靭で生命力が溢れている。
「そして、私が作り出したトループス級ウプイリ達」
 部屋の高い天井を見上げれば、ずらりとウプイリ達がぶら下がっていた。
「人がいればそれだけトループス級が生み出せる。研究を続ければもっと強力な個体も作れるようになるだろう」
 長々と説明するのは自分の研究成果を誇り自慢したいが為。そして何があろうと自分が負けるなどと思わぬほど自惚れているからだった。
「さあ、それで? 君達は私に挑むつもりなのかな? この圧倒的な力を手に入れた創造伯アレクセイに?」
 ニヤニヤと嗤い相手の反応を窺うように創造伯アレクセイは居丈高に威圧する。
 創造伯アレクセイから情報を得るには怒らずに、戦闘や会話で褒めて機嫌を取らねばならない。
 だが逆に怒らせれば隙を見せて倒しやすくなるだろう。
 怒りのままに倒すか、怒りを堪えて褒めて煽てるか、ディアボロス達は今にも飛び掛かりたくなる心で考えた――。
レイラ・イグラーナ
聞きたいこと:最新の研究・他の吸血貴族との関係

ご多忙の所失礼いたします。

まさか。貴方に恨みなどはございません。むしろ敵対しなければならないのを非常に惜しく感じております。
立場上あなたとは敵対する身ではございますが、吸血実験室やここに至るまでに見た人面コウモリ。もはや新たな生命を創造しているといっても過言ではない、大変すばらしい研究です。
更にまだこの技術は進化を続けていることとお見受けいたします。最新の研究では私など想像もつかない領域に至っておられることかと。
トルストイ卿に比肩する頭脳をお持ちの方はこのロマノフでも居られないのではないでしょうか。ここに人間を送っている方々も鼻が高いことでしょう。


八栄・玄才
ウプイリの実験は世辞でも褒めたくはねぇが……、

ヘッ、これはまた極まった下半身、自分の身体すら改造してみせる熱意は敵ながら天晴れだと言わざるを得ないぜ
武術家(オレたち)は改造ではなく修行を方法とするが、肉体改造の重要性にそれに伴う苦痛は本心、分かるつもりだ

おたくの部下は、同じ吸血貴族を生み出す方法でも、野蛮なルスブン卿の食人儀式より実験こそを崇高と言ったが、こうして見るとその矜持も理解させられるな

……オレが気になるのは『アレクセイがルスヴン卿を知っているか?』だ
配下のアヴァタール級はルスヴン卿のことを知らなかったが、同じジェネラル級のこいつはどうか?
知っているなら、情報を漏らしてくれないかな?


ノイン・クリーガー
乗せられやすい性格ではあるようだが、何が悲しくてこんな奴の機嫌をとらねばならんのか。
…これも情報の為だ、やむを得ん。

「突然お邪魔して悪いね、あまりに見事な研究だったもので、ノックが手荒くなってしまった」

「我々も昔、あなたと同じことをやろうとした。
しかし上手くいかなった」

「変異したあと、元に戻らないんだ。
それではあらゆる状況に対応できない。完全ではない」

「あなたの研究は我々より数段上だ。どうすれば元に戻せる?」

「アナタのような優秀な人材にはもっと相応しい場所がある。
我々の所へ来ないか?
もっと良い設備を用意できる。
断片の王の支配から脱却する方法もある(大嘘)」


●狂気の研究者
「ご多忙の所失礼いたします」
 レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)が姿勢を正しメイドらしく頭を下げる。
「メイドの君が私に挑むと?」
 アレクセイは愚者かどうか試すようにレイラに声をかけた。
「まさか。貴方に恨みなどはございません。むしろ敵対しなければならないのを非常に惜しく感じております」
 恭しく相手を上位と態度で示し、少しでも情報を得ようと首を垂れ続ける。
「なるほど。私の偉大さがわかっているようだな」
 それを当然の態度とアレクセイは見下すように頷いた。
「立場上あなたとは敵対する身ではございますが、吸血実験室やここに至るまでに見た人面コウモリ。もはや新たな生命を創造しているといっても過言ではない、大変すばらしい研究です」
「フフ、その通りだとも。少しは私の偉大な研究について理解しているようだ」
 内心は全く表に出さず、レイラは相手を煽てて口を軽くさせるべく褒め称える。
「更にまだこの技術は進化を続けていることとお見受けいたします。最新の研究では私など想像もつかない領域に至っておられることかと。トルストイ卿に比肩する頭脳をお持ちの方はこのロマノフでも居られないのではないでしょうか。ここに人間を送っている方々も鼻が高いことでしょう」
「はぁ………研究の何たるかもわからぬ凡骨が」
 途中まではご機嫌だったアレクセイは、途中から笑みを消して不快そうな顔になって溜息を吐いた。
「最新の研究が実を結ぶまでは、様々な試行錯誤が必要であり、失敗もまた重要な過程である。それがわからぬような低能と話す価値は無い」
 レイラから興味を失ったアレクセイは視線を外してしまった。
(「何がまずかったでしょうか……」)
 もう自分が何を言っても聞き入れられないと悟ったレイラはどの言葉が不快にしたのかを考える……。
(「私など想像もつかない領域に至ってと言ったあたりで表情が変わった気がします……」)
 そこから後に言われた言葉も合わせて考えると、まだ最新の研究が実を結んでいないのだと予測できた。
(「ウプイリの実験は世辞でも褒めたくはねぇが……」)
 八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)は天井に張り付いているウプイリを見上げ、森でのウプイリの悲劇を思い出し、今すぐにでもアレクセイに攻撃したくなる衝動を抑えて話しかける。
「ヘッ、これはまた極まった下半身、自分の身体すら改造してみせる熱意は敵ながら天晴れだと言わざるを得ないぜ」
「ほう、少しはこの私の研究成果を理解出来る頭を持つ者もいるようだ」
 アレクセイは自慢の研究成果である己が身体を称賛されて相好を崩す。
「武術家(オレたち)は改造ではなく修行を方法とするが、肉体改造の重要性にそれに伴う苦痛は分かるつもりだ」
 研究も武術も一朝一夕にはいかない。日々の積み重ねが大事なものだと玄才は己の得意とする武術に照らし合わせていた。
「その通り。研究とは日々の積み重ねだ。毎日毎日人間を弄り回してようやくここまで辿り着いたのだ」
 アレクセイは下半身の触手をうねらせ、それが多大な人体実験の成果であると見せびらかす。
「おたくの部下は、同じ吸血貴族を生み出す方法でも、野蛮なルスブン卿の食人儀式より実験こそを崇高と言ったが、こうして見るとその矜持も理解させられるな」
「フンッ、私の研究が崇高なのは確かだが、ルスヴン卿のアプローチもなかなか面白いものだ」
 アレクセイはルスブン卿の研究も自分とは方法が違うが面白いと語る。
「研究者としての実力は私と比肩しうるものがある。だが私の方が一歩進んでみせるがね」
 同じ研究者として実力を認め、切磋琢磨して自らを高められる相手だとライバル視していた。
(「敵対はしていないのか。そして口ぶりからするとこいつとライバルなのかもしれねぇ」)
 玄才はルスブン卿もまたアレクセイと同様に、早々に倒さねば犠牲が増える相手だと再認識した。
(「乗せられやすい性格ではあるようだが、何が悲しくてこんな奴の機嫌をとらねばならんのか。……これも情報の為だ、やむを得ん」)
 ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)は嫌々ながらも声を作り、礼儀を以ってご機嫌取りに称賛を送る。
「突然お邪魔して悪いね、あまりに見事な研究だったもので、ノックが手荒くなってしまった」
 内心煮えくり返りながらも頭を下げて謝る。
「我々も昔、あなたと同じことをやろうとした。しかし上手くいかなった」
 天井に張り付いたウプイリ達を見上げ、感情を出さぬように努めて言葉を続ける。
「これは非常に困難な研究だ。私のように才ある者が居なければ頓挫するのも仕方ないだろう」
 アレクセイがさもありなんと大きく頷く。
「変異したあと、元に戻らないんだ。それではあらゆる状況に対応できない。完全ではない」
 ノインは研究者のフリをしてそれっぽく語り、ウプイリについての情報を聞き出そうとする。
「あなたの研究は我々より数段上だ。どうすれば元に戻せる?」
 一番聞きたいのはウプイリにされてしまった人々を元に戻す方法――。
「ウプイリの汎用性を高める方法か。悪くない案だが、ウプイリの製造方法を利用して、用途ごとに別のトループスを量産したほうが現実的だろう……」
 アレクセイが暫し考え、ウプイリを改造するより新たなトループスを生み出した方がいいと助言する。
「ウプリイを人間に戻すなど、この私でも不可能なのだから――」
「不可能……あなたの頭脳をもってしても不可能なのか?」
 絶望的な答えに脱力しそうになるのを堪え、ノインは何とかならないのかと再度尋ねる。
「考えればわかることだろう? 二つの生物を混ぜるのすら困難な作業であるのに、それを再び分けるなど、それは神の領域であろうよ」
 馬鹿な質問をする学生相手のようにアレクセイは呆れた顔を向けた。
「それよりも、この研究はまだまだ先がある。ウプリイなどではなく、もっと完成されたものを作り出す研究をせねばなるまい。その為にも実験には新たな人間を集める必要がある」
 人間などいくらでも勝手に増えるモルモットとしか思わず、アレクセイはただただ研究について考えていた。
「アナタのような優秀な人材にはもっと相応しい場所がある。我々の所へ来ないか? もっと良い設備を用意できる。断片の王の支配から脱却する方法もある」
 怒りに声が震えそうになるのを堪えながらノインが断片の王との関係に探りを入れる。
「フンッ、何を馬鹿なことを。君達――ディアボロスが陛下よりも力があるとでも?」
 アレクセイはその言葉を鼻で笑い飛ばした。ディアボロスがアレクセイの挙動を観察していたように、アレクセイもまた侵入者が何者であるか研究者らしく観察していた。
「私を勧誘したいのなら、せめて人間の千や二千は貢物に連れてくるのだな。口だけならば何とでも言える」
 一顧だにする価値のない提案を蹴り、アレクセイは話はここまでだと切り上げた。
「やはり愚者の類であったか。ここまで辿り着けた故に多少は面白いかと思ったが、ディアボロスという輩もこの程度か。時間の無駄だったな。私の素晴らしい強化実験の検証の為に、いま、ここで殺してやろう」
 興が醒めたとアレクセイは下半身から伸びる触手を室内に這わせる。するとウプイリ達がキィキィと泣き喚いた。
「案ずるな、お前達ディアボロスの死体は、私の実験に余すところなく使ってやろう。お前達にとっても名誉な事だろう」
 本気でそう考えるアレクセイは、圧倒的な能力でディアボロスを粉砕せんと力任せの攻撃を開始した――。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV5になった!
【防衛ライン】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV8になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV4になった!

イオナ・ガルバローゼ
私も仲間のように情報収集に参加できればよかったのですが
嘘でも褒められるような所が何も無くすみません
もはや怒りや憎しみを通り越して呆れ果てました

人からトループを作るやり方は他のディヴィジョンでもありましたよ
貴方のやり方より少しは上等な奴がね
人の命を無駄にしてこの程度だったのは多分貴方が初めてでしょう
このロマノフの生まれとして恥ずかしいばかりです
さっさと消えて下さい

虚しすぎる。皆こんな愚かな者の玩具になる為に死んで行ったと思うと。
この男が死んだら逃げ出した研究者も始末しなくては。
せめてこのパラドクスの花を手向けにしましょう。


タラス・ジュラヴリョフ
会話終了後に戦闘

お前の思想はよく分かったよ
震えが止まんないね、寒気がするほどつまんなくてさ
【託されし願い】と【勝利の凱歌】を戦場に展開
よく見ておきなよ、多くの思想がお前に滅んでくれ、もう屈しないと言っている
僕もみんなと同じ気持ちさ

周囲の研究機材や備品を拡声器で殴って挑発、このゴミ達は攻撃を避ける際の盾にもできるかな
あとは口と行動でいっぱい煽って怒らせてやろう

みんなの犠牲で手に入れた体がタコの足とかほんと報われないよ。そっくりだけど
食えるだけタコの方がマシかな

狩り立てるような動きをするならその動きに逆らうように【神速反応】で触手を避けながら接近
パラドクスを込めた拡声器でイカれた頭を叩き割ってやれ


四葩・ショウ
なにが研究だ
なにが創造伯だ
貴方がやっていることはただの、冒涜だ……!

怒りに燃え盛るこころのまま、
間合いへとびこんで、ひたすらに攻め込む
思考の隙をあたえない
実験体となっているひとは、せめて護り抜いてみせるから
敵の攻撃も身を挺して甘んじて受けるのは
反撃を活かすため
それから宿敵主のひとの動きを支援するように動くよ

貴方の自慢のウプイリは
わたし達が解放する、ううん……してみせる
たとえ方法がひとつしかなくたって
貴方が費やした研究はぜんぶ、無駄に終わるんだ
挑発して隙をつくり、注意を攻撃をひきつける

ほら、余所見してて、いいの?


●断罪の時
「お前の思想はよく分かったよ。震えが止まんないね、寒気がするほどつまんなくてさ」
 タラス・ジュラヴリョフ(大衆の聲・g07789)は無表情に敵を見つめ、声に少しばかり感情を乗せて吐き捨てる。
「よく見ておきなよ、多くの思想がお前に滅んでくれ、もう屈しないと言っている」
 【託されし願い】と【勝利の凱歌】によってウプイリにされた人々の復讐を望む形相が浮かび、咆えるような歌声が響く。
「僕もみんなと同じ気持ちさ」
 その怒りをぶつけるように周囲の機材を拡声器〈Proof of existence〉で殴りつける。
「正気かね? その機材は君の命よりも価値あるものだぞ? 君の妨害でもし研究が遅れたらどうする? 研究の為に命を差し出した人々が君を恨むことだろう」
 アレクセイにとっては人々の怨念など何の感情も抱かせず、それどころか勝手に犠牲者の気持ちを代弁してタラスの行動を咎める。
「なにが研究だ。なにが創造伯だ。貴方がやっていることはただの、冒涜だ……!」
 その言葉を聞き怒りに震える四葩・ショウ(Leaden heart・g00878)は、犠牲になった人々の事を想い怒りに燃え盛るこころのまま駆け出し、間合いに飛び込む。
(「思考の隙をあたえない。実験体となっているひとは、せめて護り抜いてみせるから」)
 部屋には今まさに実験に使われそうになっていた人々がいる。その人たちだけでも護ってみせるとパラドクス『Lilium(リリウム)』を発動して、胸より花咲く一輪の清らなる光を引き抜く。それが手の中で形作り、白のスピアとなって突き入れる。
「冒涜? この崇高な研究が理解できないとは、やはりディアボロスは凡夫ばかりだな」
 その一撃をアレクセイは触手で受け止めた。光に触れた触手が何本も千切れ飛ぶがすぐに他の触手が槍を押し出すように現れる。
「私の身体に傷をつけるとは、許しがたい愚行だが、その身体ならよい触手が作れそうだ。喜ぶがいい、私の一部となれることを」
 アレクセイが実験体『ヴルダラク』達を召喚する。女性の姿をしたそれが仲間を増やそうとショウに噛みつきにかかる。
「ウプイリの他にも実験体が――」
 ショウは槍で受け止めるが、腕に噛みつかれて血が流れ落ちた。
「私も仲間のように情報収集に参加できればよかったのですが、嘘でも褒められるような所が何も無くすみません」
 イオナ・ガルバローゼ(空染めの一輪・g07485)は謝りながら、アレクセイの研究の犠牲者であるヴルダラクを見つめる。
「もはや怒りや憎しみを通り越して呆れ果てました」
 この調子ではウプイリ以外にもさまざまな実験体がいそうだと溜息を吐く。
「人からトループを作るやり方は他のディヴィジョンでもありましたよ」
 他にも同じようなことをしていた敵の事を思い出す。
「ほう、他のディヴィジョンにも知者はいるようだな」
 アレクセイは自分と同じことを考える者がいるのかと笑みを浮かべた。だがその顔は次の言葉で崩れる。
「貴方のやり方より少しは上等な奴がね。人の命を無駄にしてこの程度だったのは多分貴方が初めてでしょう」
「何だと? この私の研究をこの程度だと言ったか?」
「このロマノフの生まれとして恥ずかしいばかりです。さっさと消えて下さい」
 研究を貶められ怒りに顔を歪ませたアレクセイに、イオナはさらに愚弄して怒りを買う。
「……何とも、愚かな者には私の研究の素晴らしさがわからないか。その頭を開いてどれほど空っぽなのか調べようか!」
 口では冷静を装いながらも怒りに震えるアレクセイが触手を刃に変えて振り回す。それをイオナは左右に持った二対の短刀〈玄い睡夢〉で受け止め、押し込み体を掠める刃に押されて後退した。

「どうしたどうした! 逃げ回るだけか! ハハハハハッ! 達者なのは口だけのようだな!!」
 調子に乗ったアレクセイが触手を次々と動かして攻め立てる。
「みんなの犠牲で手に入れた体がタコの足とかほんと報われないよ。そっくりだけど。食えるだけタコの方がマシかな」
 タラスは敵の自慢の下半身馬鹿にして煽る。
「やれやれ、この素晴らしさがわからんとは、やはり愚物よ」
 怒りに殺気を漲らせたアレクセイは荒々しく触手を刃に改造して攻撃を仕掛ける。それは獲物を狙う猟犬のようにタラスに迫った。
「どちらば愚物か、その頭に解らせてあげるよ」
 【神速反応】で斬撃を拡声器で受け止め、火花を散らしながら間合いを詰めてパラドクス『愚者への行使(ドゥラーク)』を発動して拡声器を振り下ろす。
「イカれた頭を叩き割ってやる」
 全力でアレクセイの頭に叩き込むと額が割れてどくどくと血が流れる。
「この、叡智が詰まっている私の頭を! 何をしたかわかっているのか!! この頭脳が破壊されれば世界の進歩が遅れるのだぞ!!」
 顔を血で染めながら激高したアレクセイが触手を薙ぎ払い、拡声器で防ごうとするタラスを吹き飛ばした。
「貴方の自慢のウプイリも、他の実験体も、わたし達が解放する、ううん……してみせる」
 槍を振るいヴルダラクを引き剥がしながらショウは決意を語る。
「たとえ方法がひとつしかなくたって、貴方が費やした研究はぜんぶ、無駄に終わるんだ」
「クク、夢物語を語るものだ。私ですら無理なことを君達がやってみせると? フハハハハハッ!!」
 戯言をアレクセイが笑い飛ばす。
「残念だが、妄想に付き合っている暇はないのでね。終わりにしよう」
 アレクセイはショウに向けて触手を伸ばす。だがそれをショウは槍で切り払い飛び退く。
「ほら、余所見してて、いいの?」
 ショウが注意を引いている間に、イオナが回り込んで死角に入っていた――。
「虚しすぎる。皆こんな愚かな者の玩具になる為に死んで行ったと思うと」
 パラドクス『York and Lancaster(エイドリアン・グラファト)』を発動して、滴る血から122mm榴弾砲を生み出して砲口を敵に向けた。
「この男が死んだら逃げ出した研究者も始末しなくては。せめてこのパラドクスの花を手向けにしましょう」
 フレシエット弾が発射され、アレクセイの身を守ろうと壁となる触手に直撃する。弾が炸裂すると弾頭は6000本もの薔薇の杭をばら撒いた。
「何だこれは!」
 突き刺さった薔薇の杭が触手に根付いて血を奪い真紅の花を咲かせていく。
「私の血で花を咲かせるだと!? ふざけた真似を!!!」
 アレクセイは触手を暴れ回らせ、花を肉片ごとこそぎ取り、さらにはイオナとショウを薙ぎ払って辺りを荒らし回っていく。
「キーキー!!」
 主の怒りを感じ取った天井のウプイリ達が怖がって鳴き声を上げた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【未来予測】がLV3になった!
【勝利の凱歌】がLV3になった!
【活性治癒】がLV4になった!
効果2【先行率アップ】がLV4になった!
【ラストリベンジ】がLV2になった!
【ドレイン】がLV5(最大)になった!

伏見・萬
(会話終了後に参加)
(連携アドリブ歓迎・残留効果はできるだけ有効活用する)
…難しいこたァわからねェ。俺ァただ、てめェを喰いにきただけだ

(相手が精製する呪詛を見て、怒りのようなものを感じる)
(好き勝手に弄り回して…その恨みまで利用するか)
俺の中にも、同じ呪詛がある
俺が喰った人面コウモリ達が、俺の中に置いて逝った呪詛だ
こっちへ来い、お前らも全部、俺が飲み込んでやる
(そして一緒に奴を倒そう…なんてのは、傲慢だろうが)

周囲の仲間と連携し、隙や死角ができないように立ち位置と動きを調整
【捕食者の追跡】使用、人面コウモリの群れを喰らいながら前進し
アレクセイに攻撃を叩き込む
自分の負傷は気にせず、攻撃を優先


エヴァ・フルトクヴィスト
情報を引き出された方々には心より感謝を。

そして貴方の研究成果は良く分かりました。
多くの人々の生命の犠牲を以って生み出された技術である事を。

因果に応じた、人々の絶望と哀しみ、そして怒りの報いを受ける刻!
高速詠唱で魔法陣を統率、陣による包囲網を形成。
精神を集中し相手の動きを観察し、殺気も合わせて攻撃を看破。
未来予測に神速反応、飛翔の速度の緩急を組み合わせて、
残像によるフェイントで相手を攪乱。
攻撃体勢が整ったら発動、動きを追跡させて、さらに連撃を行います!

託された想いを込めて!滅びなさい、怒りの炎に焼かれて!

最後は犠牲者の方々を弔って。改めて誓いますよ。
クロノヴェーダに奪われた事象を、取り戻す事を。


アルラトゥ・クリム
自分を殺して、此奴と対話してくれた人達には最大の敬意を。
だけど正直、此奴の自己中を再確認するだけだったね…
むしろやる気になってくれて助かったよ。

原初の詩を紡いで、踏破してきた森とこの施設に満ちる
人々の嘆きと無念の意思を自身に集約して断罪の光球群を生成し
自身の魔力と生命で白銀の鳳を顕現させて身に纏い、超高速で突撃
虚空に満ちる人々の意思の力を以て
足止めを引き千切り、相打ち上等で真正面から光球群と鳳を叩き付け
似非研究者を物理因果の双方から討滅する

「この一帯に満ち満ちる、お前の自己満足の犠牲になった人々の無念と。
復讐者と魔法使いの矜持に賭けて…お前の道楽は、此処で終わらせる!」

アドリブ&絡み連携歓迎


「ウプイリよ、ディアボロスどもを駆逐せよ」
 アレクセイが犠牲者達の負の念による呪詛を精製し、それをウプイリの群れに変換して突撃させる。
「キィイ!!」
「キーィ! キーーーイ!!!」
 人間性を失っているウプイリ達が凶暴に襲い掛かった。
「……難しいこたァわからねェ。俺ァただ、てめェを喰いにきただけだ」
 伏見・萬(錆びた鉄格子・g07071)は呪詛を見て、怒りのようなものを感じる。
(「好き勝手に弄り回して……その恨みまで利用するか」)
 身体だけでなく残った恨みまでも全て好きなように使われてしまう犠牲者に、記憶も命も奪われ萬は共感していた。
「俺の中にも、同じ呪詛がある。俺が喰った人面コウモリ達が、俺の中に置いて逝った呪詛だ」
 正面から迎え入れるように両手を開き無防備な格好をしてパラドクス『捕食者の追跡(プレデター・トラッキング)』を発動する。
「こっちへ来い、お前らも全部、俺が飲み込んでやる」
(そして一緒に奴を倒そう……なんてのは、傲慢だろうが)
 言葉には出さないが、恨みのを引き継ごうと迫るウプイリに先ほど喰らったウプイリの身体で作った刃〈貪食〉を突き立てて喰らいながら進む。
「ギキィ!!!」
 ウプイリが萬の身体に噛みつくが、萬は止まらずにアレクセイの元へ向かう。
「生きながら干乾びて死ぬがいい」
 しかしアレクセイがさらにウプイリをけしかけて萬の全身が黒く覆われ、前進が止まった。
「自分を殺して、此奴と対話してくれた人達には最大の敬意を。だけど正直、此奴の自己中を再確認するだけだったね……」
 話を聞いて余計に怒りを覚えることになったと、アルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)は不快そうな視線をアレクセイに向けた。
「むしろやる気になってくれて助かったよ。遠慮なく滅ぼせるからね!」
 相手がその気ならこっちも遠慮なくやれるとパラドクス『Akashic Nova(アカシック・ノヴァ)』を発動する。
「この一帯に満ち満ちる、お前の自己満足の犠牲になった人々の無念と。復讐者と魔法使いの矜持に賭けて……お前の道楽は、此処で終わらせる!」
 績が原初の詩を紡ぎ、踏破してきた森とこの施設に満ちる人々の嘆きと無念の意思を自身に集約し、断罪の光球群を生成して、自身の魔力と生命で白銀の鳳を顕現させて身に纏い、超高速で突撃する。
「私を終わらせるだと? 笑わせてくれる。生きたまま研究素材としてやろう」
 アレクセイは触手を伸ばしてアルラトゥの動きを止めようと絡みつかせる。
「こんなもので人々の想いが止められるものか!」
 だがそれをアルラトゥは引き千切り、真正面から光球群と鳳を叩き付け、似非研究者を物理因果の双方から討滅せんとする。
「私の触手があっさりと消えていく? なるほど、パラドクスによる超常現象で存在を消しているのか」
 驚きながらもそれがどういった現象かを判断し、アレクセイはヴルダラクを呼び出す。女性型の実験体達が盾となって消し飛んでいく。その間にアレクセイは触手をさらに増やして身を守った。大きく下半身の触手が抉られるが、光が消え去った中で生き残っていた。
「冷静に対処すればどうということはない」
 アレクセイは残ったヴルダラクに飛び掛からせ、アルラトゥに噛みついて血を吸い上げた。
「さらにウプイリもけしかけてやろうか。そろそろ血を吸い終わった頃だろう」
 アレクセイがウプイリの塊へと視線を向ける。
「キ?」
「キィイイ!?」
 だが巨大な団子のように集まっていたウプイリが吹き飛ばされる。
「何?」
「てめェを喰らってやる。お前が生み出したこいつらもそう言ってるぜ」
 驚くアレクセイの目の前に血だらけの萬が飛び込み、腕から伸びるウプイリの刃が触手を切り裂き腹に突き刺さった。
「私にこんな傷を……! 貴様の身体はウプイリの餌にしてやる!」
 アレクセイが触手を叩きつけて萬を押しやり、ウプイリの群れに放り込んだ。

「情報を引き出された方々には心より感謝を。そして貴方の研究成果は良く分かりました……」
 エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)は仲間に感謝し、そして鋭い目をアレクセイに向けた。
「多くの人々の生命の犠牲を以って生み出された技術である事を」
 その強力な力を誇る肉体は大勢の犠牲の上に成り立っている。
「因果に応じた、人々の絶望と哀しみ、そして怒りの報いを受ける刻!」
 多くの犠牲者を生み出した報いを受けさせねばならないと、パラドクス『攻囲撃滅陣(ミズガルズ)』を発動する。
「理解に苦しむな。私の研究の為に命が使われるならば喜んで死ぬべきであろう? その為に人間とは存在しているのだから」
 ディアボロスの怒りが理解出来ないとアレクセイが困惑して眉間にしわを寄せた。
「絶対に許しません!!」
 そのあまりな物言いにエヴァは怒り、数多の魔法陣を統率し陣による包囲網を形成する。
「魔法陣か、私の専門外ではあるがなかなかの造形……」
 アレクセイはそれに興味の視線を向ける。それは自分が負けるなどと一切考えていない顔だった。
「託された想いを込めて! 滅びなさい、怒りの炎に焼かれて!」
 エヴァはそんな余裕の顔ごと滅ぼしてしまおうと、別空間で威力を高めた魔術を包囲した魔法陣から放ち、飽和攻撃を仕掛ける。
「炎の魔術か!」
 アレクセイは触手を全身に巻き付けてガードする。肉の焼け焦げる嫌な臭いが漂い、触手がぼろぼろと崩れ落ちていく。
「調子に乗るなディアボロス!」
 アレクセイは実験体ヴルダラク達をさらに呼び出し、エヴァの血を吸い仲間に加えようと襲い掛かる。
「貴女たちも実験の犠牲者なのですね……」
 エヴァは反応して回避行動を取るが、ヴルダラク達は包囲して迫りその身体に牙や爪を突き立てる。
「ごめんなさい……でも、クロノヴェーダに奪われた事象を取り戻すまで、負けられません!」
 血を流しながらエヴァは肉体ではなく心が痛いと悲しそうな顔を向け、魔法陣から炎を放ってアルラトゥと萬が交戦していた者もまとめてヴルダラクとウプイリを焼き払った……。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【完全視界】がLV3になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【勝利の凱歌】がLV4になった!
効果2【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!
【ガードアップ】がLV3になった!

リップ・ハップ
とりまお前より力あるよ、そいつを今から確かめさせてやる
実証実験の時間だ、付き合いなマッドサイエンティスト

その数の触手、どんだけ効果的に動かせる? どこまで思い通りに操れる?
戦場に於ける経験と集中力、戦いの中で磨き上げてきたフィジカルで触手に相対する【戦闘知識、精神集中、肉体改造】
つって手数の差は歴然、受けるでなく往なす、躱す方針で。致命傷は避けてこ【時間稼ぎ】
掴まえてみな。大層なもん付けといて獲物一匹獲れねーか??

苛立ってくれたらいい感じ。攻撃が大振りや一本調子になったらそこを突く
鋭く、精緻に踏み込み伯爵一閃。パラドクスでバッサリだ【ダッシュ、突撃、斬撃、解体】

虚飾だな
喰い応えねーだろ、伯爵も


八栄・玄才
作りあげた下半身は大層なモンだが、なら上半身を攻めるだけよ
……いや、上半身も腹筋バキバキだな
あれも人体改造の産物なのか?
まっ、メスや薬で見せ筋は作れても、実戦経験なしに戦士にはなれねぇぜ!

触手に捕まらないよう足を止めずに壁を駆け上がる
そこから【ジャンプ】して《飛翔》で天井方向へ
狙うはアレクセイの人間の身体部分の真上、下半身の触手では狙いが付けにくそうな位置へ

そこから天井を蹴って【突撃】
身体を前回転させての『超重回旋撃』
身に宿す雷、錬気帯電を解放して落雷の如き一撃を食らわせる

改造技術は最前線でも、戦闘(こっち)の方は遅れてんな
嫌なモン見せられた割に、経験としては実入りが少ねぇ戦いだったぜ


「思ったよりはやるようだ。だが私の作り上げたこの身体には勝てん。我が身はジェネラル級の中でも高みに登っているのだ!」
 傷つきながらもアレクセイが改造した自身の肉体を誇り、まだまだ余裕で勝てると笑みを浮かべた。
「とりまお前より力あるよ、そいつを今から確かめさせてやる」
 リップ・ハップ(Reaper Harper・g00122)が敵の前に飛び出す。
「実証実験の時間だ、付き合いなマッドサイエンティスト」
 マスクの下で凶暴な笑みを浮かべ、大鎌〈伯爵〉を手に接近する。
「いくらでも確かめるといい、私の研究成果をな!」
 自信を持ってアレクセイは触手を刃に変えて伸ばす。
「その数の触手、どんだけ効果的に動かせる? どこまで思い通りに操れる?」
 リップは戦場に於ける経験と集中力、戦いの中で磨き上げてきたフィジカルで触手に相対する。
(「つって手数の差は歴然、受けるでなく往なす、躱す方針で。致命傷は避けてこ」)
 迫る触手を伯爵で受け流し、払い、少しでも時間を稼ぐ。
「掴まえてみな。大層なもん付けといて獲物一匹獲れねーか??」
「フンッ、狩りの醍醐味を知らぬのだな。じっくりと追い詰めて逃げられぬようにしてから仕留めるのがいいのではないか!」
 アレクセイは触手を回り込ませ、逃げ場を削るように攻める。その刃がリップを掠めていくが、致命傷だけは避けていく。
「……当たらん………まだ粘るか!」
 少しずつ苛立ちを見せるアレクセイのコントロールが甘くなり、触手が大振りになっていく。
「やっぱ経験が浅いと勝負勘ってもんが育たないね」
 その隙を突いてリップは鋭く、精緻に踏み込み伯爵を横一閃に振り抜いた。
「なっ!?」
 驚きながら左腕を上げたアレクセイの腕を切断し胸まで刃が届く。
「虚飾だな。喰い応えねーだろ、伯爵も」
 ジェネラル級というには軽い手応えにリップは所詮作りものだと笑う。
「貴様!!!」
 激高したアレクセイが触手を怒涛の勢いで放ち、伯爵で受けるリップを押し流して壁に思い切り叩きつけた。
「フンッ! その気になればいつでも倒せるのだ!」
 アレクセイはこれで倒せたと余裕を取り戻す。
「作りあげた下半身は大層なモンだが、なら上半身を攻めるだけよ……いや、上半身も腹筋バキバキだな」
 八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)は目の行く触手の下半身から上を見ると、剥き出しの上半身も鍛え上げられていそうだと油断なく無手で構える。
「あれも人体改造の産物なのか? まっ、メスや薬で見せ筋は作れても、実戦経験なしに戦士にはなれねぇぜ!」
 相手の目の動きや警戒の仕方から戦闘慣れしていないのを察し、どれだけ強力な力を得ていようと恐れる必要はないと駆け出す。
「力と理論があれば戦いなど簡単なものだ!!」
 アレクセイが触手を刃にして薙ぎ払う。すると玄才は跳躍して壁を駆け上がり、【飛翔】して天井に着地する。
「室内で動き回ろうと逃げ場はない!」
 触手が壁から上に向かって追いかけていく。
「はなっから逃げるつもりはねぇ」
 天井を蹴って触手の間を抜けて真っ直ぐ最短距離でアレクセイの頭上に迫る。
「落雷の如き一撃を食らわせてやる!」
 パラドクス『超重回旋撃』を発動し、身体を前回転させて身に宿す雷、錬気帯電を解放して自らを雷と化したように、踵落としを敵の頭に叩き込んだ。
「ぐぅがああああああああああ!!!!」
 守るように頭を抱えアレクセイが倒れ込む。
「改造技術は最前線でも、戦闘(こっち)の方は遅れてんな」
 無防備に動かず触手だけ使う戦い方に素人そのものだと玄才は見下ろした。
「貴様貴様貴様!!! この私の頭脳を傷つけたな!!」
 頭が陥没し目を血走らせたアレクセイが玄才を睨みつけ、触手を怒涛の勢いで襲い掛からせて、回避行動を取る玄才を追いかけまわして刃で傷を負わせていく。
「いいのか? オレの相手ばっかりしててよ」
 そうして玄才が注意を引いている隙に、起き上がったリップが背後から伯爵を振るう。
「なにぃ!?」
「獲物が死んでるかどうかも確認しないとか、それじゃ狩りは無理だね」
 リップは背中を斬りつけて血を噴き出させる。
「おのれぇ!! ならばバラバラに解剖してくれる!!」
 アレクセイが触手を大暴れさせ、リップと玄才を力任せに薙ぎ倒し部屋の壁を破って放り出した。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【防衛ライン】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【旭日革命軍団】
連携アドリブ◎
効果活用

貴様は壊しただけ……何も生み出してなどいない

敵の動きを未来予測し観察
泥濘の地と括り罠・虎挟のトラップ生成で足を止め挑発し、立体的に撹乱飛翔し回避
自慢の足が邪魔そうだな
数が多いだけで使いこなせないとはお粗末だ
光栄? くだらない研究が?
利用された人々はさぞや無念だったろう

終わらせると約束した
負った怒りは……俺がぶつけよう

PDで鎮魂歌を演奏、音色にのせ伝える
糧とされた者の恐怖、苦悩、恐慌
一滴残さず味わえ
託されし願いがあるなら、一条の矢と届けよう
無念を晴らせ

……手向けだ
二度と、こんな真似はさせないよ……

反撃は魔力障壁を展開し防御
哀れな犠牲者達……
迷わず天の国へ行け


赤上・イズル
■【旭日革命軍団】
■アドリブ・連携歓迎
■個別採用OK

社長(ノイン)、皆さん、話合い本当にお疲れ様でした

どこをどう斬ればどんな痛みを感じるのか…
アレクセイ、今度はあなた自身で確かめてみましょう

【完全視界】にて視覚を鮮明にしアレクセイを見据える
【未来予測】にて先の未来の敵の攻撃を読み【神速反応】でかわし間合いを詰めていく

死者を…冒涜するか…!

敵の卑劣な攻撃に怒りを燃やしつつも
しかし怒りに任せ突っ込むのは奴の思う壺と思い留まる

…あなたはそうやって他者の力でしか強くなれないのですか?
所詮あなたは未完全だという事です!

アレクセイを煽り隙を見出す
犠牲となった人々の想いと共に渾身のパラドクス【紅蓮雀】を放つ


ノイン・クリーガー
【旭日革命軍団】
個別採用OK
アドリブ・連携歓迎


余計なことはよく喋る口だ。
そろそろ黙ってもらおうか。

!挑発!
「大して期待はしていなかったが、使えない奴だ。
知ってるか、実際は無能な奴ほど自己評価が高いらしいぞ?
お前さんのことだよ」

ネメシスモード発動。現代的な忍者の姿になる。
振り回す触手は【神速反応】を用いて避ける。
召喚してくる蝙蝠や実験体は【臨機応変】に対処するしかあるまい。

攻撃の好機があればゼーゲ・シュリケンと高周波振動手裏剣を投げると同時に【泥濘の地】を発動、【未来予測】でその隙を突き、電磁誘導で加速させた高周波ソード【斬撃】で【両断】する。


シューニャ・シフル
【旭日革命軍団】
チーム外連携、個別採用OK
アドリブ連携歓迎

俺は別にてめぇのやってること自体にどうこう言うつもりはねぇが、時間と材料かけて作れるのが戦力にもならねぇトループスもどきってんなら、てめぇは無能だろ。

右腕を異形化して【ダッシュ】で突っ込む。
狩りは出来るみてぇだけどよ、殺し合いはろくにやってねぇな。動きが単調だぜ。
触手を左手でつかんで右手で引き裂く。かわせねぇぶんは喰らっても下がらねぇ。
右腕を振りかぶった状態から左腕でアレクセイの頭をつかんで膝蹴りを叩き込む。

そんなんだからこの程度の【フェイント】にも引っ掛かるんだよ。


「くっ……何という愚かな……私の頭脳は新たな生命を生み出す世界の叡智だ。それを傷つけるなど、許されざる暴挙だ!」
 傷付いた頭を押さえるアレクセイは、ディアボロスの愚かしい行為に怒りに震えていた。
「貴様は壊しただけ……何も生み出してなどいない」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は怒りを籠めて言い放ち、【泥濘の地】と【トラップ生成】で地面を泥に変え括り罠と虎挟を仕掛けて、じっと【未来予測】で敵の動きを観察する。
「壊した? ああ、実験動物のことか。新たな生命を生み出す為に使われたのならば、光栄に思っていることだろう」
 人の命も意思も、尊い実験の前にはあってはないようなものだと、アレクセイの顔に感情の揺れは全くなく悪いとは微塵も思っていなかった。
「光栄? くだらない研究が? 利用された人々はさぞや無念だったろう」
 その態度に怒りを煮えくり返らせエトヴァは罵倒する。
「下等な君達に私の偉大な研究が理解出来るなどと思ってはいないが……愚者は口をつつしめ!」
 苛立つアレクセイは触手を動かす。泥によって阻まれ罠によって押さえられながらも、少し動きを鈍らて強引に突破してエトヴァに迫る。
「自慢の足が邪魔そうだな。数が多いだけで使いこなせないとはお粗末だ」
 さらにエトヴァは相手を馬鹿にして煽る。
「その口を黙らせてやる!! 見ろ、実験体達も喜んで貴様を喰らうだろう!!」
 アレクセイは声を荒げて触手でエトヴァの足を捕まえると共に天井に張り付いていたウプイリの群れを放った。
「俺は別にてめぇのやってること自体にどうこう言うつもりはねぇが、時間と材料かけて作れるのが戦力にもならねぇトループスもどきってんなら、てめぇは無能だろ」
 駆け出したシューニャ・シフル(廃棄個体 No00・g07807)が異形化した右腕でウプイリを薙ぎ払って接近していく。
「私の歴史に残る研究が理解出来ぬ愚か者め。今はまだ研究の過程に過ぎぬ。最終的にはトループス級を超えた存在すら作ってみせよう!!」
 接近はさせないとアレクセイの触手が刃となって襲い掛かる。
「狩りは出来るみてぇだけどよ、殺し合いはろくにやってねぇな。動きが単調だぜ」
 触手を左手で掴むと、右手でぶん殴って道を開ける。
「何故強者である私が殺し合わねばならん? 私はただ圧倒して殺すだけだ!」
 さらに触手を次々と間に入れてシューニャの足を強引に止めた。

「社長(ノイン)、皆さん、話合い本当にお疲れ様でした」
 赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)は情報収集の為とはいえ、あんな外道を褒める言葉を嫌々ながら口にした仲間に感謝する。
「どこをどう斬ればどんな痛みを感じるのか……アレクセイ、今度はあなた自身で確かめてみましょう」
 【完全視界】で視覚を鮮明にしアレクセイを見据え、【未来予測】にて先の未来の敵の攻撃を読む。
「フン、そんな子供騙しの脅しが私に効くとでも? そもそも人を解剖させれば私の上を行く者などいない。君よりも私の方がどう切れば痛みを感じるか把握しているとも。私が切り刻めば皆喜んで叫び声を上げてくれたものだ。このようにな!」
 鼻で嗤うアレクセイが今まで無数の人間を刻んできたことを自慢げに吹聴し、人々の絶望の念から呼び出したウプイリの群れを呼び出し、その一匹を無造作に触手で突き刺す。
「キィッ!!!」
 悲鳴を上げたウプイリがびくびくと痙攣した。
「死者を……冒涜するか……!」
 それを目にしたイズルは燃え上がる怒りに任せて突っ込みそうになるのを堪える。
(「怒りに任せ突っ込むのは奴の思う壺だ……!」)
 強く握っていた〈陽炎一文字〉の柄から手を放し、ゆっくり息を吐くと頭を冷やして機を待つ。
「冒涜? そういえば先ほどウプイリを元に戻せるかどうかと質問していたな? クク、もしやこんな実験動物に憐れみをかけているのか?」
 信じられないとアレクセイが頭に手をやり大袈裟に首を横に振った。
「余計なことはよく喋る口だ。そろそろ黙ってもらおうか」
 ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)は先ほどまでの礼儀正しい振る舞いをかなぐり捨て、押し殺していた殺気を解き放つ――。
「凡人の君達に私が何を話したところで理解できまい」
 その刃物のような殺気を受けても何処吹く風で、黙るつもりなどないとアレクセイは高慢に見下して馬鹿にする。
「大して期待はしていなかったが、使えない奴だ。知ってるか、実際は無能な奴ほど自己評価が高いらしいぞ? お前さんのことだよ」
 そう言い放ちながら内から溢れ出る怒りをエネルギーとしてネメシスモードを発動し、ノインは現代的な忍者の姿になる。
「フンッ、少しばかり姿が変わったからどうだというのだ!!」
 アレクセイは触手を振り回して襲い掛かる。それをノインは【神速反応】で避けていく。
「ちょろちょろと逃げ回るだけか。それならば追い込むだけだ」
 アレクセイがウプイリの群れを使って包囲する。

「終わらせると約束した。負った怒りは……俺がぶつけよう」
 エトヴァがパラドクス『Herzenspfeil(ヘルツェンスプファイル)』を発動し、ガラスフルート〈Glasflöte:In der Fremde〉に口を当て、美しくも儚い音色で鎮魂歌を演奏する。
(「糧とされた者の恐怖、苦悩、恐慌。一滴残さず味わえ」)
 ウプイリにされしまった人々の無念の願いを乗せ、音色は矢のような衝撃波となってアレクセイを貫いた。
「ぐぉっ!? これは音による攻撃か? 精神にまで影響を与えているな」
 アレクセイは身体を斜めに傾けながら、耳を塞ぎながらその攻撃の性質を読み取る。だが耳を塞ごうとも身体に響き渡る。
「ウプイリよ! この音を止めろ!」
「キィイイ!!!」
(「哀れな犠牲者達……迷わず天の国へ行け」)
 エトヴァはさらに音色を響かせると、襲い掛かろうとしたウプイリ達の眼に涙が流れて動きが止まる。
(「……手向けだ。二度と、こんな真似はさせないよ……」)
 優しい音色がウプイリ達を楽に眠らせ、アレクセイには心を蝕む激痛を与える。
「おのれ役立たずが!!」
「……あなたはそうやって他者の力でしか強くなれないのですか? 所詮あなたは未完全だという事です!」
 死したウプイリに罵声を浴びせるアレクセイに向けてイズルが怒りを込めて挑発する。
「なんだと! この力は私が生み出したものだ! 私が作ったものは私の力の一部だ!!」
 アレクセイが挑発に反応して大振りで触手を叩きつけんと隙を晒したところに、敵の動き出しを予測したイズルがここだと【神速反応】でパラドクス『紅蓮雀(グレンジャク)』を発動する。
「犠牲となった人々の想い……その身で思い知れ!」
 摩利支天の加護により炎を刃に纏わせ、翼を広げた炎の鳥の如く踏み込み渾身の一撃で触手ごと胴を薙いだ。
「うがっ!! ディアボロス風情が!!」
 アレクセイが触手を振り回し、それ以上の攻撃を阻止しようと距離を取る。
「こんなもんで俺を止められるかよ」
 シューニャは触手を踏みつけてアレクセイに飛び込み、右手を振りかぶって殴る体勢に入る。
「フンッ、見え見えだ」
 その右腕にアレクセイは触手を巻き付けて止めた。
「やっぱり殺し合いは素人だな」
 狙い通りだとシューニャが空いた左腕でアレクセイの頭を掴む。
「そんなんだからこの程度のフェイントにも引っ掛かるんだよ」
 そしてパラドクス『ตี เข่า ระเบิด(ティ・カウ・ラブート)』を発動し膝蹴りを顔面に叩き込んで顔を陥没させた。
「ぐっ―――――ふがあああああ!!!」
 息が詰まるようにアレクセイは大きく仰け反り、潰れた鼻から血をぼたぼたと流して叫び声を上げた。
「畳みかける」
 ノインが〈ゼーゲ・シュリケン〉と〈高周波振動NINJA手裏剣〉を顔に向けて投げると同時に【泥濘の地】を使う。
「くぅうおおおお!」
 それを体勢を崩したままのアレクセイが触手で払った。
「お前の敗因は自分が強いと驕ったこと、そして俺達を怒らせたことだ」
 その触手を死角にして駆け出したノインがパラドクス『電磁誘導抜刀術』を発動し、〈高周波式電磁抜刀剣【蒼影】〉を電磁誘導で加速させて抜刀し、すれ違いながら一閃して首を薙いだ。
「がっ!?」
 首から血が噴き出したアレクセイが驚愕に顔を染める。
「ふ……ふ、ざけるなぁああああ!!」
 触手を巻き付け無理矢理に傷を塞ぐと、怒鳴りつけたアレクセイが研究室ごと粉砕する勢いで触手を暴れさせ、周囲のディアボロス達を撥ね退けた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】がLV2になった!
【活性治癒】がLV5になった!
【無鍵空間】LV1が発生!
【怪力無双】がLV3になった!
効果2【ラストリベンジ】がLV3になった!

ルィツァーリ・ペルーンスィン
【奴崎組】
アレンジ連携歓迎
創造伯との会話終了後仕掛ける

口を開けば怒りの言葉が止まりそうにないから終わる迄我慢してたが漸く此の矢を貴様に放つ事が出来るな

此の場でお前は狩る側でなく狩られる獲物だ
貴様の罪、ヒューマンジー実験以下の禄でもない研究の報い受けて貰おう!
彼等の無念と怒り思い知れ!

残留効果は活用
〇飛翔し〇空中戦
敵の動きを〇見切り回避し避けきれぬ攻撃は〇結界術での障壁や〇斬撃でいなし防ぐ
〇高速詠唱で〇光(使い)の〇誘導弾による閃光弾擬き〇連撃で〇攪乱も
そうして凌ぎつつ〇焔矢から〇誘導弾を己の全て込めぶちこむ!

此の程度彼等の痛みに比べれば……!

彼等との約束今果たす!
我が神の焔矢で滅び去れ外道!!


リューロボロス・リンドラゴ
【奴崎組】戦闘開始は他者①後
ふん……よく我慢をしたと自分を褒めてやりたいわ。
随分と誇らしげに語っておったが。
いったいどこが創造伯なのだ?
他のクロノヴェーダ共と似たりよったりな悪趣味さではないか!
そもそも簒奪者である貴様は存在自体がアレクセイ某のパクリではないか!
盗用伯とでも改名したらどうだ?
墓石に刻んでやろう!
くははは、墓など作ってやらぬがな!

ふん、一方的な狩りばかりしておったやつが!
まともに戦えると思うてか!
竜を狩れるというなら狩ってみせるが良い!
狩り立てる?
逃げなどせん。
懐に飛び込み、打ちのめそうぞ!
貴様の血肉にされた者達を天へと還してくれるわ!
貴様は地獄に堕ちるのだがな!


月見里・千隼
【奴崎組】
※連携、アドリブ、個別採用OK
残留効果は有効活用、会話後参加


不愉快、もう二度と喋るなこの外道研究者もどき
二度と呼吸するな心臓を脈動させるな
創造を冠するには烏滸がましい実験で
浪費し犠牲にした数多の人々の悲嘆と怨嗟と痛みを込めてぶつけるように撃つ
これが今までの貴様のツケ
復讐者達に狩られて血生臭い実験室ごと迅速に滅べ

壁、床、そして家具や器材などに『弄月』で生成した音響兵器や閃光弾みたいな魔力の罠を設置し
不意打ちも交えつつ撹乱させ罠に誘導させつつも
刃のような触手も敵本体も早業の如く素早く的確な銃撃する

反撃は【未来予測】【ガードアップ】で触手攻撃の動きや軌道を読み対処して致命傷を避ける


ガンドラ・ブラッディア
【奴崎組】
会話後参加
連携・アドリブ・個別採用可

御託は済んだか。”くだらない実験が為”、積極的に人を、物が如く消費して、嗤う……そのような外道、万死に値する。
不愉快極まる、実験場と共に、塵となれ

近場に生きている一般人が居れば「我輩らに、命を預けよ」と言い、託された願いも発動させる

呪速割断爪を発動。刃と化した触手群使いにインファイトで臨む。
攻防共に未来予測・神速反応の補助を受けつつ、攻撃時は怪力無双も加えて少しでも重い一撃を与えていく。
反撃に対し、致命傷だけを避けるように防ぎ、継戦を主軸とする

お前の触手や、肉体の幾分かは、犠牲者のもの。そうやって、どこまでも穢すは、許し難い。切断し、解放してくれる


アレクサンドラ・リーヴェン
【奴崎組】
会話後参加。
アドリブ・連携歓迎。

申し訳ないけれど、あの傲慢な研究者きどりを偽りであっても褒めるなんてとても無理。
私にできるのは、他の復讐者が情報を抜き取るその時を待つこと。とはいえ、我慢はそう長く続かないわよ。

さぁ、もういいわね。受け止めた怨嗟、アンタにぶつけなければ気が済まないのよ!
はっ、今更呪詛の1つや2つ増えたところで足して変わらないわ。
特攻してくるウプイリを【未来予測】と【神速反応】を駆使、致命傷を避けるように蛇腹剣で斬り祓って。
『刻命魔術【闇精の羽搏き】』による闇の炎をアレクセイにぶち込んでやるわ。消えぬ怨嗟にもだえ苦しみなさい!


白水・蛍
【奴崎組】
アドリブ歓迎
タグ外含め連携は積極的に。個人採用OK。

……御託は終わりましたか?
我々はそれを聞くつもりはありません。
これから行うは此処で無碍に消費された命への弔いの歌、ですわ。

飛翔・空中戦で相手に急速に接近。
至近距離でパラドクスで威力に特化した魔力の弾丸を発射します。
外れそうなものも念動力で軌道を強引に修正して敵に全弾ぶち当てます。
道中攻撃・反撃は飛翔・未来予測・神速反応・残像で致命傷を回避します。
ダメージもガードアップや連続魔法・念動力・オーラ操作で魔力を体に集めて装備も含めて魔力で障壁を張り、減らしましょう。

この戦いは、お前の叫びが彼らへの鎮魂歌と知りなさい!


光道・翔一
【奴崎組】会話後参加
アドリブや外部との連携、個人採用OK

…お喋りは満足いくまで済ませられたか?
こっちは事績を大層自慢げに語ってもらったおかげで……心底不愉快だ。
…とっととその畜生行為諸共、くたばってもらおうか。


強化を施した偃月刀を手に敵と相対

一定の距離を確保し、繰り出された触手は『精神集中』し【神速反応】も用い動きを見切り、偃月刀を『薙ぎ払い』切断

回避の合間に敵が攻撃を思うように当てられないことを指摘、暗に研究成果をけなし怒りを溜めさせる

怒りで隙ができた所で『ダッシュ』し接近、偃月刀での全力の一撃を叩き込み敵を『両断』する


…頭脳自体は本物だったかもしれねーが、将としちゃ三流もいいとこだったな。


ロザーリヤ・ユスポヴァ
【奴崎組】
①クリア後に参加

嗚呼、お前を一度しか殺せないのが残念でならん
復讐を望む魂は幾百でも足りぬというのにな

【未来予測】と【神速反応】を組み合わせ、飛来する蝙蝠に対応する
『死せざる■■■■■』の斬撃で切り払い、『星界の天幕』を翻して避け
『■■■の龍殻』と肉体改造による頑健さで耐え
あらゆる手で攻撃を凌ぎ、ダッシュで敵に迫る

肉薄して放つは≪魔性契約『灼裂の贖罪』≫
燃え盛る刃の連撃を浴びせ、肉体を焼き尽してやろう
火達磨にして下半身の触手を焼却し、逃走は赦さん!

外法で強化を重ねたお前の肉体、容易くは滅ぶまい
故に死までの責め苦は長くなることだろう
……喚くな。最期まで楽しんでみせろ。己が研究の成果をな!


レイラ・イグラーナ
はぁ……
これ見よがしに溜息を。

溜息の一つもつきたくなります。まさかこれほどの無能を相手にお話しをしていたとは思っていませんでした。
成果は続かず、新しい試みも否定する。
研究者? トループス作りだけが能の一発屋の間違いでは?

革命家としての姿であるネメシス形態に。
強力な呪詛、多数の人面蝙蝠、そして……怒りと能力に任せた力任せの特攻。
実戦を知らない机上で作られた動きなど、予測するのは容易です。
研究室を駆け、蝙蝠が追尾する軌道を予測し避けながら人面蝙蝠を形作る怨念を「惨禍鬼哭血革針」へと呼び集め、十分に溜まったなら「天上奉仕・慟哭」。両断を狙います。

貴方がこれまで害した人民の叫び、その身に刻みなさい!


括毘・漸
【奴崎組】
人々の悲鳴をこれ以上、聞くわけにはいかないんでねぇ。
子どものおままごと以下のお前の実験なぞ、ここでお終いにしてやりますよ。
いや、実験というのも烏滸がましいですね。お前がやっているのは、自己満足の手遊びがお似合いです。

両手に握るナイフを爪に、口に咥えるサーベルを牙に見立てる三刀流から、両手を地面に着き、猟犬の狩りのように四肢で駆け抜ける。

駆け抜ける先に見据えるは、うねうね蠢く気色悪い触手。

猟犬の狩りを、刻んでやる。

両手の爪(ナイフ)で触手を斬り払い、牙(サーベル)にて根本から断ち斬る。
襲い掛かる触手に対しては、駆け抜けるスピードが落ちないように、四肢に絡まりそうなものを受け流す。


「ディアボロスめ……唯一無二の私の頭に傷をつけるなど、許されることではないぞ!」
 アレクセイは陥没した頭を何とか治療しようと、ぼこぼこと触手を内部に這わせてシルエットだけは元に戻す。
「……お喋りは満足いくまで済ませられたか? こっちは事績を大層自慢げに語ってもらったおかげで……心底不愉快だ」
 光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)は聞いているだけでも不快になったと眉間にしわを寄せた。
「……とっととその畜生行為諸共、くたばってもらおうか」
 あとは二度と口を利けなくするだけだと、〈偃月刀〉を手に敵と相対する。
「クク……私が死ぬはずなかろう!! 死ぬのは貴様らディアボロスだ!!」
 刃と化した触手が次々と振り下ろされていく。それをじっと瞬き一つせずに集中した翔一が【神速反応】で対応し偃月刀で受け流す。
「どうした、まだ死んでないぞ? 当てるつもりがあるのか?」
 平然とした顔で、翔一は攻撃を凌ぎながらアレクセイを煽る。
「ぬぐああああああっ!!! 押し潰してくれるわ!」
 触手の数で押し切ろうと激高したアレクセイが攻勢を激しくする。苛立ちが増すたびに触手の動きが雑になっていた。
「大振りにし過ぎだ――」
 翔一はその隙をついて一気に間合いを詰め、パラドクス『強化魔法による一撃(エンチャント・ウェポン)』を発動し、威力増強魔法をかけた偃月刀を振り下ろす。その一撃をアレクセイは触手で防ごうとするが、それを容易く両断し、避けようと身を逸らすアレクセイの右肩から腰にまで刃が届いた。
「あ、あっぐぅあああああああっ!!!」
「……頭脳自体は本物かもしれねーが、将としちゃ三流もいいとこだな」
 右肩がもげようとするのを触手で押さえ、アレクセイは叫びながら触手を暴れさせる。それを翔一は斬り飛ばして数を減らしていった。
「はぁ…………」
 レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)はこれ見よがしに溜息を吐く。
「何だその溜息は!?」
「溜息の一つもつきたくなります。まさかこれほどの無能を相手にお話しをしていたとは思っていませんでした」
 アレクセイの問いにレイラが呆れかえった目を向けて答える。
「成果は続かず、新しい試みも否定する。研究者? トループス作りだけが能の一発屋の間違いでは?」
「……貴様っ! 私の研究が理解できぬからと愚弄するか!! それならば貴様もウプイリの仲間にしてやろう!!」
 アレクセイが怒鳴りながら人々の怨念からウプイリ達を生み出して襲わせる。
「強力な呪詛、多数の人面蝙蝠、そして……怒りと能力に任せた力任せの特攻。実戦を知らない机上で作られた動きなど、予測するのは容易です」
 レイラは凛々しい革命家としての姿であるネメシス形態に変身し、室内を駆けてウプイリに追いかけさせ、軌道を予測してパラドクス『天上奉仕・慟哭(メイドインヘブン・ルイダーニェ)』を発動し、ウプイリを形作る怨念を針状の細剣〈惨禍鬼哭血革針〉に呼び集める。
「逃げられんぞ!」
 アレクセイは逃げ道を塞ぐようにウプイリを展開した。
「貴方がこれまで害した人民の叫び、その身に刻みなさい!」
 レイラは足を止めるとアレクセイへと駆け、惨禍鬼哭血革針を横一閃してウプイリごとアレクセイの胸を切り裂いた。
「がはぁっ!!」
 血を吐いたアレクセイが胸を押さえながらよろめく。強い怨念の籠もった一撃は深々と強化された肉体に刻み込まれていた。
「おかしいぞ……この私が何故追い詰められている!?」
 理解できないとアレクセイが困惑した顔を見せる。

「この身体がどれほどの実験を繰り返した末に手に入れたと思っているのだ? 最強の私が負けるはずがない!」
 アレクセイが負けるはずがないのだと自身に言い聞かす。
「御託は済んだか。”くだらない実験が為”、積極的に人を、物が如く消費して、嗤う……そのような外道、万死に値する」
 ガンドラ・ブラッディア(黒矛・g03101)は研究を馬鹿にして挑発する。
「くだらんだと? 研究の何たるかも理解できぬ有象無象が生意気に私に意見するな!! 貴様達も人間同様実験材料となればいいのだ!」
 怒りにアレクセイは声を震わせ、人間もディアボロスも研究の材料に過ぎないと怒鳴りつけ、触手を刃とかして振り抜く。
「不愉快極まる、実験場と共に、塵となれ」
 ガンドラはパラドクス『呪速割断爪(ジュソクカツダンソウ)』を発動し、肉体と妖刀に呪われた魔力を纏わせ、触手の動きを【未来予測】で読み一閃して切り落とす。
「少々斬られたところで! まだまだ触手はある!!」
 触手は斬られても斬られても続々と襲い掛かる。
「お前の触手や、肉体の幾分かは、犠牲者のもの。そうやって、どこまでも穢すは、許し難い。切断し、解放してくれる」
 ガンドラは致命傷さえ受けなければ構わないと、妖刀を振り続けて触手があちこちに落ちていく。
「ひっ――」
 それが部屋の片隅、実験されそうになっていた人間達の近くに落ちて、手に口を押さえ押し殺した悲鳴が漏れる。
「我輩らに、命を預けよ」
 ガンドラはそれを守るように立ち塞がる。恐怖に涙を流しながら、希望に縋るように人々は頷いた。
「くだらん。貴様らの命は全て私のものだ!!」
 アレクセイが一斉に触手を放つ。それを一歩も引かずに、ガンドラは【神速反応】で対応し斬り落としていった。
「ふん……よく我慢をしたと自分を褒めてやりたいわ」
 リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は相手の言葉をじっと聞いていて、苛立ちのあまり飛び出したくなるのを我慢していた。
「随分と誇らしげに語っておったが。いったいどこが創造伯なのだ? 他のクロノヴェーダ共と似たりよったりな悪趣味さではないか!」
 そこらのクロノヴェーダと変わりないと創造伯という称号をこき下ろす。
「そもそも簒奪者である貴様は存在自体がアレクセイ某のパクリではないか! 盗用伯とでも改名したらどうだ?」
「貴様………!」
 あまりの怒りに目が眩みそうになり、アレクセイは言葉を失う。
「墓石に刻んでやろう! くははは、墓など作ってやらぬがな!」
 高笑いするリューロボロスに向け、アレクセイが触手を怒涛の勢いで伸ばす。
「殺す、貴様は生きたまま全身を刻んで殺す!!」
「ふん、一方的な狩りばかりしておったやつが! まともに戦えると思うてか! 竜を狩れるというなら狩ってみせるが良い!」
 それをリューロボロスは純白の龍の頭部を模した盾〈月皇龍シールドヴルム〉で受け止める。
「貴様は獲物だ! 狩り立ててやるぞ!」
 アレクセイがどうやって解剖してやろうかと既に勝ったつもりでいた。
「狩り立てる? 逃げなどせん!」
 リューロボロスはパラドクス『我竜天征(リン・ドラゴニック・オーバースカイ)』を発動し、【飛翔】して真っ直ぐ飛び迫る触手を抜けて接近すると、羽撃きでアレクセイを打ち上げる。
「ぐぉっ!?」
「貴様の血肉にされた者達を天へと還してくれるわ! 貴様は地獄に堕ちるのだがな!」
 自身も上昇して尾で叩きつけて床に叩きつける。
「ぐぅがっぅあああああっ!!」
 その衝撃で大理石の床が砕け散り、アレクセイは転がって壁にぶつかった。

「……もっとだ。もっと研究しさらなる強化が必要だ。強化が足りないからディアボロス如きに苦戦せねばならん。もっと人間を集めて研究を進めねば……」
 アレクセイが起き上がりながらぶつぶつと研究について考える。
「嗚呼、お前を一度しか殺せないのが残念でならん。復讐を望む魂は幾百でも足りぬというのにな」
 ロザーリヤ・ユスポヴァ(“蒐集卿”・g07355)は殺されたり改造された多くの人々の復讐を果たそうと殺気の籠もった視線を向けた。
「復讐? 私の研究の礎となった者は皆喜んでいるとも! その声を聞かせてやろう!」
 アレクセイは実験の犠牲となった人々の絶望の念からウプイリの群れを呼び出す。
「キィイイイイイイ!!」
 それが甲高く鳴いてロザーリヤへと襲い掛かる。
「どれだけの犠牲を強いたのか、その復讐の念をその身に思い知らせてやる」
 ロザーリヤは【未来予測】でウプイリの動きを見切り、【神速反応】で先んじて動き真正の悪魔を封じた剣〈死せざる■■■■■〉を振るい切り払い、外套〈星界の天幕〉を翻してアレクセイへと接近する。
「お前の罪には火刑だけでも、斬刑だけでも足りぬ。僅かなりとも今まで殺してきた人々の苦しみを味わえ」
 パラドクス『魔性契約『灼裂の贖罪』(デモニックパクト・レンディングフレイム)』を発動し、「真正の悪魔」に由来する闇の力で腕を異形化し、刃に炎を纏わせると目にも止まらぬ斬撃を浴びせ、邪魔な触手を切り裂き燃え上がらせた。
「私の身体を!! 許可なく近づくな!」
 アレクセイは何とか距離を保とうと触手で牽制しながら後退する。
「逃走は赦さん!」
 その触手も斬り捨て火達磨にして燃やし間合いを詰める。
「外法で強化を重ねたお前の肉体、容易くは滅ぶまい。故に死までの責め苦は長くなることだろう」
 精々苦しめと逃げようとする背中を切り裂いた。その傷口が燃え上がって炎を背負う。
「ぐぁああああああついぃいいっ!! 燃える! 背中が焼ける!!」
「……喚くな。最期まで楽しんでみせろ。己が研究の成果をな!」
 ロザーリヤは苦しめられた人々の恨みを思い知らせるように斬撃を浴びせていった。
「何故だ、何故下等な人間を少々使用したくらいで責められねばならんのだ? 人間なんぞ勝手に増えるではないか!」
 アレクセイがディアボロスの言う事が全く理解できないと、心底不思議そうな顔で口にする。
「不愉快、もう二度と喋るなこの外道研究者もどき」
 月見里・千隼(硝煙と魔弾の騎手/現代ラストジョッキー・g03438)が睨みつけて冷たい声で荒々しい言葉をぶつける。
「二度と呼吸するな心臓を脈動させるな。創造を冠するには烏滸がましい実験で、浪費し犠牲にした数多の人々の悲嘆と怨嗟と痛みを思い知れ」
 人々の恨みを弾丸に込めて、パラドクス『弄月(ロウゲツ)』を発動し魔法拳銃〈朧月夜〉とリボルバー型拳銃〈逢魔刻〉の二丁から銃弾を実験室のあちこちに撃ち込む。
「どこを撃っている! そんな腕で私の心臓を止めるつもりか! 逆に貴様の心臓を抉り出してやろう」
 アレクセイが強靭な触手で千隼を両断しようと叩きつける。だが弾丸が撃ち込まれた壁、床、そして家具や器材などに音響兵器や閃光弾といった魔力で出来た罠が仕掛けられ、それが作動してアレクセイを驚かせる。
「なっ!? 何事だ!! ……トラップ?」
 アレクセイが不測の事態に辺りを見回す。そしてそれがトラップの類だと気付いた。
「先ほどの弾丸か!!」
「その通りだ。だが気付くのが遅かったな」
 背後に回り込んでいた千隼が背中に二丁拳銃で連射して弾丸を撃ち込み、穴だらけにしていく。
「がはっ、こんな小細工で!!」
 血を吐いたアレクセイが振り返り、触手を薙ぎ払って罠も千隼も叩き潰そうとする。
「こんな罠に引っ掛かっているようでは、頭の出来もそれほど良くはなさそうだ。そんな頭で創造など出来る訳がない」
 侮辱しながら千隼は触手を凌ぎつつ弾丸を撃ち込んで気を引く。
「この私を……研究を、侮辱するな!!」
 アレクセイは怒り触手であちこちを粉砕し罠を排除した。

「人々の悲鳴をこれ以上、聞くわけにはいかないんでねぇ。子どものおままごと以下のお前の実験なぞ、ここでお終いにしてやりますよ」
 括毘・漸(影歩む野良犬・g07394)は悲鳴を止めようと、転がった実験道具を蹴飛ばして敵の前に立つ。
「いや、実験というのも烏滸がましいですね。お前がやっているのは、自己満足の手遊びがお似合いです」
「遊びだと? 私の研究が理解出来ぬだけでなく、遊びと言ったか!!」
 こめかみに青筋を立てたアレクセイが怒鳴りつけ、触手が唸りを上げて辺りを破壊した。
「無知は罪……否、罪を通り越して悪である!!」
 捉えようとうねうね蠢く触手の群れ、それを前に漸は銀製のサーベルを口に咥え、両手にナイフを握り、牙と爪に見立てる三刀流となってパラドクス『猟犬参首·地獄番犬(ミツクビ・ケルベロス)』を発動する。
(「悪はお前だ、地獄の番犬が悪を狩る――」)
 両手を地面に着き、猟犬の如く四肢で駆け出して触手を爪(ナイフ)で薙ぎ払い、素早く接近すると牙(サーベル)で根本から切断する。
「私の触手を! 犬の真似が好きならば犬と合成してくれよう!!!」
 アレクセイが触手を次々と叩きつける。しかし漸はそれを受け流していった。
(「猟犬の狩りを、刻んでやる」)
 触手の間を最速で飛び込んだ漸の爪と牙に犬の首が顕れ、触手を噛み千切りアレクセイの体勢を崩した。
「このくらいで!!」
 アレクセイはすぐに触手で身体を支え反撃しようとする。
(「猟犬の役目は、敵を追い詰めることだ」)
 そうはさせじと漸は触手を減らし、敵の戦闘力を削っていく。
「私の研究成果が! どうしてだ! 私の方が勝っているのにどうして倒せん!! 私の方が知能も戦闘力も勝っているのに!!」
 ディアボロスの猛攻によってアレクセイの下半身の触手が貧相になり、身体を支えるのも不安定になっていた。
「申し訳ないけれど、あの傲慢な研究者きどりを偽りであっても褒めるなんてとても無理」
 アレクサンドラ・リーヴェン(吸血姫・g09048)はあんな敵に褒め言葉を言う姿を想像しただけで虫唾が走ると顔をしかめる。
「情報を抜き取ったならさっさと片付けてしまうわよ。もうこれ以上の我慢は無理だわ」
 情報を吐いたなら一秒でも早く倒してしまおうと蛇腹剣〈кнут королевы〉を手に取る。
「受け止めた怨嗟、アンタにぶつけなければ気が済まないのよ!」
「くだらん。私を恨むなどお門違いというもの。逆に私に感謝するべきなのだ! 私の貴い研究の糧となれたのだぞ? それを感謝せず恨むなど逆恨みも甚だしい!」
 人々の恨みからアレクセイはウプイリを生み出し、アレクサンドラに襲い掛からせる。
「はっ、今更呪詛の1つや2つ増えたところで足して変わらないわ」
 特攻してくるウプイリの動きを【未来予測】で察知し、【神速反応】を使って蛇腹剣で斬り払い受け流す。
「フン、それならば覆い尽くすほど増やしてやろうか!」
 アレクセイが次々とウプイリを生み出して、周囲を飛び交わせて包囲する。
「さあ、どうした? この状況でもまだ生意気な口が叩けるのか?」
 厭らしい笑みを浮かべていたぶろうとじりじりと包囲を縮めていく。
「獲物を前に舌なめずりするなんて、三流もいいところね」
 アレクサンドラはパラドクス『刻命魔術【闇精の羽搏き】(マギノクロフィア・プロキリーナ)』を発動し、手の平から黒き炎の火線を放出して射線のウプイリを焼き払い、身を守ろうとする触手ごとアレクセイの右胸に大穴を開けて貫いた。
「あっがっ!! 熱い、内側から燃える!!」
「消えぬ怨嗟にもだえ苦しみなさい!」
 炎が広がり苦しむアレクセイにアレクサンドラは犠牲にしてきた人の分まで苦しめと言い放った。

「やめろ! 私は創造伯だぞ!! この頭に詰まった叡智は世界の宝なのだ!! それを貴様らは世界から失わせようとしているのだぞ!」
 深手を負ってとうとう本当の命の危機を感じたアレクセイが叫び、己を殺すことの愚かしさを説く。
「……御託は終わりましたか? 我々はそれを聞くつもりはありません」
 白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は聞く価値もないと断じて〈墨流しの奏刀〉を構える。
「これから行うは此処で無碍に消費された命への弔いの歌、ですわ」
 【飛翔】して急接近するとパラドクス『喚来芒星晶魔砲撃(ヨビテキタルハアキラカナルボウセイノマホウゲキ)』を発動し、刃が発する美しき音色と共に魔力塊を呼び出し、それを分割して威力に特化した魔力弾を発射する。
「騒々しい! 叩き落としてくれるわ!」
 アレクセイが刃と化した触手を振るい魔力弾を撃ち落す。だが魔力弾は触手と貫いてアレクセイの身体に穴を穿った。
「ぐぎぁっ!! 何故こんな弾如きを落とせん!!」
 苛立ちながらアレクセイは一部の触手で身を守り、さらに触手を薙ぎ払う。それを蛍は魔力の障壁で受け止める。強い衝撃が来るが、重なる残留効果によって耐えきった。
「この戦いは、お前の叫びが彼らへの鎮魂歌と知りなさい!」
 蛍は剣を振るい、寂しそうな音色と共に残った魔力塊を全て弾にして放ち、誘導する弾は全てアレクセイに命中し、身を守る触手を穴だらけにして、全身を貫き真っ赤に染め上げた。
「ぐあああっ!! 何故だ何故だ何故だ!! 私が負ける道理がない!! 私の知能は未来を切り開くのだぞ! こんなところで栄光が途絶える訳がない!!」
 アレクセイは自分ではなく世界が間違っているとばかりに咆え、子供の癇癪のように触手を叩きつけた。
「口を開けば怒りの言葉が止まりそうにないから終わる迄我慢してたが、漸く此の矢を貴様に放つ事が出来るな」
 じっと我慢していたルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は、怒りを胸に敵の前に立つ。
「此の場でお前は狩る側でなく狩られる獲物だ」
 そして長剣〈Аянга довтлогч〉の切っ先を向けた。
「貴様の罪、ヒューマンジー実験以下の禄でもない研究の報い受けて貰おう! 彼等の無念と怒り思い知れ!」
 そう言い放ち敵に向かって【飛翔】する。
「私が獲物だと……ありえぬ。こんなところで私の栄光の道が途絶えるなどありえぬぅううう!!!」
 アレクセイは触手を使って叩き落とそうとする。それをルィツァーリは〈魔力障壁〉と長剣で受け止め、弾かれるが壁に着地してまた飛んだ。
「此の程度彼等の痛みに比べれば……!」
 閃光魔弾をばら撒いて少しでも敵の視覚を遮り、パラドクス『ペルーン神の焔矢(ホムラヤ)』を発動する。
「空駆けし天空の神よ、偉大なる雷神よ!我が敵を討つ為に御身の焔矢を降らせたまえ!」
 巨大な大砲を顕現させると、莫大な魔力が砲弾となって装填される。
「彼等との約束今果たす! 我が神の焔矢で滅び去れ外道!!」
 ルィツァーリが掲げた剣を敵に向けて振り下ろす。それを合図に轟音と共に巨大な誘導弾が放たれる。
「死ぬはずがない……この私がぁ!!」
 それをアレクセイが残った触手の束で受け止める。だが砲弾はそれを容易くぶち破り、アレクセイの胴体に当たり爆発して上半身を粉々に吹っ飛ばした。
「わ、私が、強化した肉体がっ……夢だ、これは悪い夢なのだ……」
 首だけになって転がったアレクセイが砕け散った自慢のボディを見て、これは悪い夢だと現実逃避して天井を見上げる。
「これが夢なら良かった。だがお前が犠牲にした人々も現実だ。自らの悪行を悔やんで地獄へ行け」
「やめろ! 私は創造伯だぞ!! 新たなる生命を生み出す――」
 黙らせるようにルィツァーリが眉間に剣を突き立てて止めを刺した。

「もう大丈夫です。創造伯アレクセイは倒しました」
「助かった……?」
「本当に?」
 ルィツァーリが呼びかけると、信じられないと研究室で後少しで解剖されていただろう数名が半信半疑で辺りを見回す。
「もうあなた方を縛る者はいない。これで故郷に帰れるだろう」
 そんな人々にロザーリヤが優しく声をかける。
「故郷に……帰れ………」
 人々は帰るべき場所を思い出して安堵し、ぼろぼろと緊張が解けて泣き出した。
「とにかく外に出ましょうか、ここは血の匂いが強すぎます」
 漸がこの血と死の匂いが充満する実験室に居させるのはよくないと、半壊した部屋から外に出す。
「でも、村のみんなは生きてるのかな……」
 共に連れ去られた家族や知り合いの事を思い出す。
「皆様、全員ではありませんが、救出できた人々もいます」
「そうよ。一度帰って確かめてみるといいわ」
 レイラとアレクサンドラが少しでも生きる希望を与えるように伝え、今まで助けた人々の中に家族や知っている顔があればいいと願う。
「……そうだな、村に帰ってみるよ」
「助けてくれてありがとう!」
 生き残った人々は感謝の言葉をディアボロス達に伝え、小さな希望を胸に故郷へ向けて歩き出す……。
 その先に希望があることを願い、ディアボロス達は後姿が見えなくなるまで見送った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【動物の友】LV1が発生!
【飛翔】がLV7になった!
【トラップ生成】がLV2になった!
【神速反応】がLV2になった!
【建造物分解】がLV3になった!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
【平穏結界】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV7になった!

最終結果:成功

完成日2023年03月21日
宿敵 『創造伯アレクセイ・K・トルストイ』を撃破!