南フランス霧地帯の調査

 ディアボロスの活躍により、オーストリア周辺地域をクロノヴェーダから解放する事に成功しました。
 既に解放済のイタリアのパルマと合わせ、断頭革命グランダルメの東部地域を、ディアボロスの勢力圏とする事ができました。
 この状況によって、フランス南部で存在が確認されていた『ディヴィジョン境界の霧が出ている地域』の探索が可能になっています。
 攻略旅団の方針に従い、南フランスに向かって、霧が出ている地域の調査に向かってください。

 霧が出ている地域には、イタリアのナポリを支配するジェネラル級自動人形『ジョアシャン・ミュラ』の軍勢が展開しています。
 まずは、この軍勢を撃破したのち、調査に向かいましょう。

南仏の濃霧地帯に潜む淫夢(作者 塩田多弾砲
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「ウィーン周辺地域に関して、だけど、『安定化』したようだね」
 リュカ・アルベージュの言葉が、君たちディアボロスへと伝えられる。
 現在は攻略旅団の方針で、ウィーン周辺地域と、イタリアのパルマとの間で、交易も始まる様子。なので……、
「ここから、両地域の基盤を強化する事が出来ると思われる。そして……」
 そして、ここから『南フランスの調査』も行う事が可能となった。
 現在、南仏には『濃霧』が出ている地域があり、そこにはミュラ元帥の軍勢が存在するらしい。
「攻略旅団からも、南フランスの調査依頼、およびその方針が示されている。なので、まずは濃霧発生地域のミュラ元帥の軍勢、これを撃破し、然る後にその地域の調査を行って欲しい」
 本格的な探索は、ミュラ元帥の軍勢を撃破後となるだろう。
 しかし、この調査で判明した情報があれば、その後の探索の方針が立てやすくなる。故に、極めて重要な作戦と言えるだろう。リュカはそう付け加えた。

「それで、詳細だけど……」
 現時点で判明しているのは『南仏に展開しているミュラ元帥の軍勢は、以前より強化されている』という事。
 これはおそらく『獣神王朝エジプト奪還戦』における、ジョセフィーヌやランヌの勝利を想定し、次の作戦準備を行っていたためだろう。
 だが……エジプト奪還戦で、予期せぬ敗北を喫したため、この軍勢は目的を失い、遊兵化して混乱しているのが現在の状況との事だ。
「この混乱した敵軍、および指揮官を撃破する事で、作戦目的は達成される。指揮官の撃破後には、続けて『霧地域の探索』を行って欲しい」
 これは、安全制圧したわけではないので、長時間の探索は行えない。しかし、たとえ僅かであっても、ここで得られた事前情報を元にすれば、後に改めて本格的調査を行う事ができる。
 つまりは、すべきことは二点。
『其の1』。最初にトループス級、そしてアヴァタール級と戦い、これを撃破。
『其の2』。続けて、濃霧地域内部に入り、探索。

 任務『其の1』。それは、普通に『敵クロノヴェーダと交戦し、これを撃破』という戦闘任務。
 注意すべきは、この敵クロノヴェーダは『遊兵・遊軍となっているだけで、決して弱いわけではない』という点。現時点では混乱しているだけ、むしろ、正規軍に組み込まれても良いくらいの『実力』を有している……と言っても過言ではない。
 構成されているのは、自動人形『モラン・ドール』。
 自律思考・行動が可能であり、なおかつ理知的・効率的な思考パターンを持ち、しかも魔力砲弾や光線砲などで武装している。ルックスもイケている美女・美少女のそれ。外観も、無駄に色気を振りまく系ではなく、清楚さも感じさせる『できる女性』を思わせるもの。
 そして、それらをまとめ上げているのが、アヴァタール級の淫魔『晒し溺れる雌獣・ウルリケ』。
 猫耳で露出度のやや高い服を着た、胸が大きい美少女。元はトループス級『暴かれ待つ膜中の淫魔』の一個体であり、それが進化したものだという。それゆえに……、
『溜めこみ、膨れ上がりながらも、押さえつけて来た欲求や快楽』
『それらを隠すのをやめ、 快楽に溺れる様を見せつける。そうしながら周囲も引き摺り込もうとする』
 という事を生業としている。
「……まあ、いつもの淫魔。そしてディアボロス諸氏の中には、こういう事にその意図が無くとも巻き込まれたり、あるいは好んで巻き込まれたり……という者も少なからずいると思う。実際……このアヴァタール級ウルリケもまた、選択によっては『異なる態度』を取るようだ」
 具体的には、濃霧内に展開した陣地のテント内に、司令室兼自室を設置しており……、
 ディアボロスたちが、ウルリケが待機しているその司令室テントに攻め込むと。場合によっては……相手からも『話合い』を申し出て来るというのだ。
 これは戦闘前のちょっとした会話。その申し出を受ける事で、今回の主目的の一環である『情報収集』に関しても、さらに多くの情報が得られるかもしれない。
 言うなれば、任務『其の1・補足』。
 なので、最初に『全面的に話合い無用で戦闘開始』するか、『まずテントに入り込み、ウルリケと話し合い情報収集』を行うか。どちらも可能というわけだ。
 もちろん、戦いの回避までは至らないが。
「もっとも、その『話合い』、そして『申し出』を、受けるか否かはディアボロス諸君の選択次第だけどね」と、リュカは付け加えた。
 すなわち、『話合いが不必要と判断したら、申し出を受けず、問答無用で戦いを挑み、撃破する』という選択も可能との事だ。

 そして、任務『其の2』。
『濃霧発生地帯に潜入し、これを探索。海岸地帯へと到着し、周辺の地形や地理の把握を行い、撤収』。
 だが、これは戦闘よりも困難な任務かもしれない。この『霧』は濃いのみならず、どこか……不快かつ、嫌な気配をかもしているというのだ。
「……それから、最も重要な点として。現在の南仏のディヴィジョンの状況を把握する事が挙げられる。」
 具体的には、『濃霧の中を進み、森を抜けて海岸に向かう』という内容。
「ただ、漂う不快で嫌な気配は……霧の向こうのディヴィジョンの影響が関係しているかもしれない。なので……」
 ディアボロスの皆には、霧の中を進み、海岸まで到着。そこから周辺地域の『だいたいの地理』を把握し、その情報を得たうえで帰還してほしい。リュカはそう言った。
「多くの海岸の情報が集まれば、この南フランスのディヴィジョン……ここに展開している範囲を、想定する事が出来るだろう」
 つまり今回は『戦闘』と同時に『情報収集』が重要だと、そういう事になる。

「南仏に別のディヴィジョンが存在するらしい事は、以前より判明していたが、状況的に探索が出来なかった。なので、詳細の調査は後回しにされていたけれど……」
『オーストリア地域解放』、および、獣神王朝エジプト奪還戦にて『断頭革命グランダルメ軍勢の作戦阻止』。これらのおかげで余裕が生まれ、今回の作戦の機会が得られた。これに成功すれば、南仏ディヴィジョンに対し、本格的な探索も可能になるはず……と、リュカは述べる。
「加えて、今現在、ミュラ元帥の軍勢は混乱している。これを利用し、ミュラ元帥の軍勢と『対話』を行えば、情報を得る事もできるかもしれない」
 全ては、ディアボロスたちの行動と活躍にかかっている事は違いないが。
「……もしも参加してくれるなら、急いでお願いしたい。やってくれるか?」
 リュカが君たちに訊ねた。君たちは当然とばかりに、返答した。

 南仏。
 濃霧地帯。
 駐屯部隊基地。同、司令官のテント。
『報告! K7地点よりM2地点までの哨戒任務、完了!』
 トループス級『モラン・ドール』の一体、『アドレサンス』が、任務の報告を行う。
『はい、ご苦労さまー。……あらー、どうしたのかしら? どこか、不満そうねえ』
 アヴァタール級『ウルリケ』……司令官たる淫魔が、アドレサンスへと声をかける。
『……不満、というより、「不可解」なのであります。司令官。発言の許可を願います』
 ウルリケの司令室を見渡しつつ、アドレサンスはそう言った。
 ここは、『テント』の中。
 そして今、アドレサンスが居るのは、書類整理を行うデスクがしつらえられている、『司令室』。
 垂れ幕を取って入ったら、大きく広い部屋になっている。大きな机を広げれば、ここで作戦会議を開く事も可能なほどの広さ。
 そして、部屋の端のデスク、その後ろには、寝室となっているもう一つのテント。その入り口が、半ば開いていた。
『いいよ、許可するー。……で? 発言の内容は?』
『……はっ。我々の部隊がこの地点で『待機し続ける』事が、不可解なのであります。聞くところによりますと、他の拠点でも襲撃を多く受け、状況は決して楽観視できないとの事。ですが、待機命令が出ているとはいえ、この場所に我々がとどまり続ける事は、いささか不可解だと考えます!』
『……でもねー、待機命令が出ているんじゃあ、私達は動けないわけだし。命令を無視して動くわけもいかないし。貴官は、どうしたいわけ?』
 ややのんびりした口調で、ウルリケが問いかける。
『自分は『確認』の許可を頂きたいです。陣頭指揮を取られるミュラ元帥が、なぜ来て下さらないのか。その真意および理由を判明するための行動許可を願います。加えて……』
『まだあるの? 何?』
『はっ。加えて、昨今の『霧の中』についての調査許可も願います。我々『モラン・ドール』が任務遂行中に、霧の内部に『化け物めいた何か』の影が見え隠れする、という報告が多数寄せられております。それとともに『何かが潜んでいるような、嫌な予感がする』とも。自分の管轄内で、部下に調査をさせましたが、それらしき存在は発見されませんでした』
『……ふーん』
『待機任務及び周辺哨戒にも影響が発生する事も危惧されますので、本格的な調査活動の許可をお願いします』
 アドレサンスのその申請に対し、ウルリケは、
『……二つとも、却下』
 そう言った。
『……なぜでありますか。我々は此処で、このまま待機し続けろと?』
 いきり立つ彼女に対し、ウルリケは、
『……まあ、聞いてよ。確かに待機命令は出ているけど、こちらも独自の情報網くらいは持ってるんだよー。それによると……』
『………本当でありますか? ジョゼフィーヌ皇妃殿下が、自ら出陣されたと? それに……ウィーンが陥落?』
『パルマでも、淫魔の幹部が殺されたって噂もあるからねー。まあ、あくまでも『噂』であって、根拠も乏しいんだけど……』
 もしこれらが本当だとしたら、ちょっとヤバいよね。……と、のんびりした口調のまま、ウルリケは言った。
 だが、その目つきは鋭いそれ。そして、何か腹に一物あるように、にやりと笑みを浮かべていた。
『……だけど。噂の内容はともかく、本陣はあちこち大混乱なのは確実。ならば……本陣の命令系統が壊れてるか、あるいは……私らの事忘れてるか。そんなトコでしょ。おそらく命令は来ない。それに……』
『……それに?』
『貴官の言ってた、『濃霧の中の得体のしれないもの』は、私も感じた事あってねー。ここから遠くない場所……対岸が見える海岸線に、独自に調査した事があったけど。そこに……』
『そこに、何があったんでありますか?』
『その、『得体のしれない何か』の影が、濃霧で立ち込めた海の向こうから感じられたんだよねー。その『何か』が何かはわからないし、知るつもりもないけど。……『復讐せよ』だの、『侵略者を、全てを殺せ』とか言ってるのを聞いたよー。あれはおそらく、かなりヤバい代物ね。だから……』
『……なるほど、あと数日ここに待機し、それ以降は……』
『……ここから撤退するよー。表向きは『ディアボロスの襲撃を受け、危険と判断したため』って名目でね』
『ですが、撤退先は?』
『フランスを北上して、自分たちが乗っ取れる村か町でもあったら、そこを占拠するよー。地図を見て、適当に見繕っといて。……虐殺と、淫梵とが楽しめる場所をね』
 そう言って、ウルリケはニヤリ……と、笑みを浮かべた。
『……了解しました。我々も人間を殺害できる機会が無く、文字通り錆付きそうな気分でありました』
 アドレサンスも、ニヤリと笑う。
『それじゃあ……どの村か町を襲うか、奥の寝室で話し合おうかー』
 ウルリケは立ち上がりながら……服を脱ぎ始めた。
 全裸になり、テントの奥へ姿を消す。
『……はい、失礼します』
 アドレサンスもまた、それに続き……服を脱ぎつつ、ウルリケとともに寝室へと入っていった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
2
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【エアライド】
2
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【スーパーGPS】
2
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【無鍵空間】
2
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【土壌改良】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【パラドクス通信】
3
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【建物復元】
1
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【アイテムポケット】
2
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【猫変身】
1
周囲が、ディアボロスが猫に変身できる世界に変わる。変身した猫は最大「効果LV×10m」の高さまで跳躍できるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【防空体制】
1
周囲が、飛行する存在を察知しやすい世界に変わる。ディアボロスが屋外を飛行中の敵を発見するまでに必要な時間が、「効果LVごとに半減」する。

効果2

【能力値アップ】LV7 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV4 / 【先行率アップ】LV2 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV4 / 【ロストエナジー】LV2 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

塩田多弾砲
 こんにちは、塩田です。
 今回は、
 ①クロノヴェーダとの対話(選択式)、
 ③👾大群のトループス級『モラン・ドール』、
 ④👿アヴァタール級との戦闘『晒し溺れる雌獣・ウルリケ』、
 ②南フランスの霧地帯の調査。
 以上の順序で、進めていく事になります。

 最初に、
 A:「ウルリケの司令テントに入り込んで、相手と話合い情報収集を行う」
 B:「問答無用で戦闘に突入」
 このどちらかを選択する事になります。と言っても、本陣から離れているため、ナポレオン他軍主力部隊に関した情報はあまり得られないかもしれません。
 Aを選んだ場合、⓵のプレイングを行います。このプレイングには戦闘行為は無く、あくまでも「話合いからの情報収集」である事を忘れずに行って下さい(近づいての不意打ちや、爆弾仕掛けるなどはできません。ウルリケがそれらを防ぐか、彼女の周囲で見張っているモラン・ドールに見つかり、無効化されると考えて下さい)。話合いの内容およびプレイングの詳細はお任せします。

 ①が不必要だと判断したなら、Bを選択して即座に③・④での戦闘開始でもOKです。
 もしも大多数が、最初にAを選択せずにBを選択した場合、⓵は行わず、③からのプレイングとなります。この選択自体は、皆様にお任せします。その際に、⓵の「話合いをまず選択する(しない)」と明言して頂ければ幸いです。
 多数決で決めたいと思いますので、選択した方の数が多い場合、そちらに従います。

 ③、④で、戦闘及び殲滅させた後、②に移ります。
 ③ではモラン・ドールとの集団戦、④ではウルリケとの戦いになります。
 ②では、この部隊が占領していた地域から、霧の内部を南下。海岸に赴き、周辺地帯の地形を記録して下さい。ただし、霧の内部に『強烈な害意を有する、不穏なる何か』の存在や気配をおそらくは感じ取ると思われますので、それらももれなく記録する事も忘れずにお願いします。
 海岸まで到着し、大体の地理を把握した上で帰還となります。

 というわけで、皆様のご参加をお待ちしています。
72

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
Aで
司令室テントへ向かう
……ウルリケ殿、失礼する
復讐者だ。これから霧地帯の調査へ向かう所
貴殿らも知りたい事があるのではなかろうか?

【通信障害】用い話し合い
皇妃ジョゼフィーヌは、外征先のエジプトの戦いで散った
ウィーンは陥落し、淫魔のジェネラル級たちはもういない
信じるかどうかは任せる

……ミュラ元帥は霧の中の獣相手に敗退し、ナポリに引きこもっているようだ
要は貴殿らは見放されたという事
……ミュラ元帥は軍の指揮が下手なのかい?
こんな所に貴殿らのような精鋭を放っておくとは、勿体ない事だ
あまり良い指揮官ではないのかな?
元々ここでどんな予定だったんだい?

相手の反応を観察し、ミュラ元帥の策や手腕について聞き出す


楠井・十佐
【心情】
僕の目的は元々世界中の異文化を知る事。
それを奪ったクロノヴェーダへの復讐と、元の世界の文化を取り戻し訪問する為の戦い。
だけど今の世界にも歴史と人々がいる。偽りとしても、僕はそれも知りたい。
その為なら復讐は後回しでもいい。

【行動】
テントを訪れウルリケと会話を図る。手土産に酒でも持ち込むか。
話があるんだけど、時間を貰えるかな?

湿地の調査に赴く旨を伝え、この地に滞在していた彼女達の調査内容と見解を聞きたい。
ある程度までは調査を進めてるんだ。そこから先へ行けてない。何か思い付けてないアプローチがあるんじゃないか。
君達がどう調査してきたのか等教えてくれないか。
こちらの得た情報も可能な限り提供する


夕月・音流
A
こんにちはー…♪
えへへ、ちょっとお話したくて、お邪魔しに来ました…❤
折角出会ったのに、いきなり戦いじゃ…味気ないもん、ね。
(ちらりと胸元見せながら)

ボクらもね、ここの霧の先にナニがあるのか気になるんだよねー。
知ってるコトあったら、教えて欲しいなーって…♪
何がいるのか、それが何をして、何を言っていたのか…とか。
ボクからも、聞かれたことは知ってる範囲で教えてあげる。

教えてもらうために、対価が必要なら。
お相手にアレコレさせたり、逆にボクの方から【肉体改造】で身体を変異させて仕掛けたりしちゃおう…
パラドクスじゃないから、傷はつけないけど…刺激は感じてくれると、嬉しいな…❤


嵐柴・暁翔
ウルリケの司令テントに近付くとモラン・ドール達から用件を聞かれて、話合いを求めるとボディチェックを要求されます
大人しくしていると口の中に何か含んでいないかとキスをされて舌を入れられたり、尻に何か隠していないかと尻の穴を舐められたりしている間につい反応してしまいます
そうするとその凶悪な拳銃の弾は抜かせて貰うと複数の相手とまぐわう羽目に…

漸くウルリケに会うと飲み物を出され話合いに来たなら飲めるだろうと煽られ飲むも、強力な精力剤のようで…
ウルリケからは女性捕虜の尋問方法は知っているかと彼女相手に実践させられもっと乱暴にしないと効かないと煽られるままに何度もまぐわい…
寝物語で多少は話を聞けた、かな…?


メルセデス・ヒジカタ
はい、ごきげんよう
私達が、ここまでやすやすと来たってことは……あなた方がご存知の「噂」というものも、結構信憑性があると、言えると思いません?

「お前ら如き、脅威にあたらない」
と仰っしゃられたら、笑って誤魔化すしかないですが

さて、ひとつ提案ですが……この霧には、あなた方も難儀なさってるでしょう
私達も、この霧には難儀してます

視界を塞ぐだけでなく、害意を持つ気配を感じたり、何物かの影をみたり
そこで、情報交換といきませんか?

互いに、この霧の件に関する情報を出すと
でも、あなた方もお仕事

私達を生かして帰せないでしょう
こちらも同じです

ですので、得た情報は、生き残った方がすべて持ち帰る
うまくやれば総取りですよ?


マリアラーラ・シルヴァ
ウルリケは不満溜め込んでるけど切欠あれば愚痴りたいタイプの女の子でしょ?
情報交換の体でお話聞いてあげるの

不満を受け止めたら
軍状に疎いのを逆手にとって
仮定を元に貴女達は悪くないと断じてスッキリさせてあげるね

ミュラもネイも自分の裁量で防備固めるのに必死だし
ダブーやその部下達はみーんな待機命令で動けないうちにやられちゃったんだよ

それもこれもナポレオンがずっと行方不明してるから

淫魔宰相の左遷も皇妃様の出撃も
ウルリケと部下達が放置なのも
みーんなナポレオンが不在なのが悪いの
悪いこと言わないから別ディヴィジョンに逃げた方が良いと思うよ?


もし交換で質問に答えてくれるなら
「対岸が見えた」海岸線の場所が知りたいな


クリアルト・ハイランド
ひとまずは情報収集だね
戦う前に危機出せる事は聞いておきたいかな
でもテントに入るのはかなり勇気がいりそうだね…
でも覚悟を決めて正面から入り込むよ

村や町を襲うならまずは僕達を相手にして
欲しいかなと名乗りをあげるよ
どうせなら本当に襲撃があった方が
言い訳も立つのじゃないかな

話の後は雌雄を決する事になるだろうけれど
濃霧の中の得体のしれないものについて聞いておきたいかな
その代わりに出来る範囲で何かしてあげたり
答えたりはするつもりだよ
誰かを傷つける行為は断るけれどね
声を聞いたみたいけれど男の声なのか女の声なのか
それとも複数なのかを詳しくだね
影でもその姿を目撃したなら大きさも聞いておきたいね


アイン・トロイメライ
A
「話し合いがしたい」…というのであれば一旦耳を傾けざるを得ないわね
内情に踏み込み、相手方さえ理解の乏しい状況から得られる物はあるはず
ただし、わたしも夢見がちな子供ではありませんもの
淫魔とは甘い言葉で人を惑わし、心の隙間につけこんで利用するのが関というもの
「話し合い」とは名ばかりに相手方の都合のいいフィールドへこちらを引きずり込む腹つもりという可能性は常に有り得る

最初は「話し合い」として応対するのだからお茶とお菓子を用意
猜疑心を隠して向こうの考えや状況の把握に努めるけど
仲間達との対談を観察し会話の裏にある本心を【看破】
決して油断せず仕掛けるつもりなら罠に囚われる前に反撃させてもらうわ


●ニシン樽はいつでもニシン臭い
「……どんなきれいな樽でも、ニシンが入っていれば、ニシンの臭いがする。そこから……『内面にあるものは、外面に現れる』。……たしか、そんなことわざだったのね」
 マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)は、フランスのそんな諺を思い出していた。
 彼女の視界にあるのは『テント』。霧深い中にたたずむように、その司令テントは張られていた。
 そのテントは小奇麗だったが……マリアラーラは感じていた。
『醸し出されている』のを。恐ろし気な『何か』、近寄りがたい『何か』。そんな『何か』が、醸し出されている。
 この中には、確実に『危険な存在がいる』。醸し出されている『何か』は、その事を嫌でも実感させるものだった。
 しかし、ここで立ち尽くすわけにもいくまい。意を決し、皆とともに一歩を踏み出したマリアラーラは、
テントの垂れ幕にあと少しの所で、呼び止められた。
『お前ら、止まれ』
 声の主は、自動人形『モラン・ドール』の一隊。それが霧の中から現れ、自分たちを囲むのを知った。
 全身のあちこちを展開し、各種砲の砲口を展開。それらを向けている。
『何者だ。名乗れ』
 彼女らのリーダーと思しき個体が進み出る。
「……ディアボロス、なの」
 マリアラーラのその一言で、周囲の『モラン・ドール』たちはいきり立つが、
『……! 鋼鉄兵団・『モラン・ドール』第28号部隊・隊長『アドレサンス』。お前たちが、ディアボロスか?』
 アドレサンスのその問いかけに、
「……そうなの」
 一瞬、皆と目くばせし、頷き合ったマリアラーラは、そう答えた。
『全員、両手を上げろ。姓名を名乗れ!』
 アドレサンスの言葉に従い、マリアラーラは両手を上げる。ディアボロスの仲間たちも、それに続いた。
「マリアラーラ・シルヴァ。よろしくなの」
『次! 小娘、お前から名乗れ。何者だ?』
 彼女の後ろに、横一列に並ぶディアボロスたち。その端の一人に、アドレサンスは詰め寄った。
「……ボクは、クリアルト・ハイランド(人間の妖精騎士・g01311)。あと、小娘じゃないよ」
 まさに然り。クリアルトは、美少女にしか見えなかったが、『少年』である。
『了解した。次!』
「楠井・十佐(ファントムスレイヤー・g02957)。言うまでもないだろうが、僕は男だ」
 灰色の瞳をした青年が、返答する。
『次!』
「ごきげんよう、メルセデス・ヒジカタ(冥腐魔道・g06800)と申します。淑女ですよ」
「エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。男性だ」
「ふふっ……ボクは、夕月・音流(変幻自在の快楽天・g06064)! このおっぱいとお尻で、女のコってわかるよね?……♪」
「わたしは、アイン・トロイメライ(子どもの夢でさようなら・g00491)。見ての通り、少女。よろしく」
「俺は、嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)。男だぜ」
 それぞれ名を名乗ったディアボロスたちは、アドレサンスが自分たちをじろじろとねめつけているのを見た。
『……目的はなんだ』
 改めて問いかけたアドレサンスに対し、
「……『情報交換』。話合いにきたの」
 マリアラーラは、そう答えた。
 モラン・ドールの隊長は、マリアラーラ、そしてディアボロスたちを交互に見つめると、
 しばらくして、
『わかった、入れ』
 と言われ、テント内へと招かれた。
『だが入る前に、ボディチェックを行う』
 と、モラン・ドールたちは彼らの体中を触り、武器や危険物などがないかをチェック。
 その際に音流が、触られて「ひゃっ! あんっ、そんなトコ触っちゃ……♪」などと反応したりはしたが、概ね問題は無く、そのまま通された。
 しかし、最後にチェックした暁翔に対しては、
『へえ、まだ若いのに、逞しい……』『あらあら、イケメンなルックス……』『ふうん、身体の締まり、良さそう……』
 などと、モラン・ドールたちがぼそぼそとそんな事を呟くのを、他のディアボロスたちは聞いた。
 そして、
『……お前はもうしばらくチェックを受けてもらう。他の者達はそのまま中に入って良し』
 アドレサンスは命じた。その口調から『拒否は受け付けない』と全員が悟る。
「……彼、どうやら連中に気に入られたようだけど……」
「ああ。……助けるべきだろうが、この状況なら仕方なかろう」
 別室……すぐ隣のテントに通されるのを見つつ、司令テント内に入る十佐とエトヴァ。
「ですね……これ、相手をおじ様にしたら、本のネタになりそうな気が……グフフ」
「ふふっ……♪ なんだかちょっと、羨ましいかも……♪」
 メルセデスと音流は、妄想しつつにやにや。色々な意味で美味しいシチュに、心躍ってしまう。
「まあ、それは別にしても……もうさっそく、『話合い』という名の戦い、始まっているようね」
 アインは、既に『戦い』に突入している事を実感。
「……と、とにかく。彼の事は後で考えよう。ボクたちは……」
「そうなの。……これから、ラスボスとやりとりしなきゃならないのね」
 クリアルトとマリアラーラは、暁翔の無事を祈りつつ、目前の問題へと向かうのだった。

『まあ……本当に逞しい……』
『強そうなのに、綺麗な肌……』
『見てるだけで、ぞくぞくしちゃう……』
 別室では、数人のモラン・ドールが、暁翔の上半身を脱がせ、手でべたべたと触りまくっていた。
「……な、なあ。チェックは……というか、なんで俺だけ……他にもいただろうに」
『してるわぁ。アナタはどうやら、危険そうだからぁ……』
『入念にチェックしないといけません。ええ。私たちも本意ではないです』
『ひょっとしたら、どこかに武器を隠してるかも……例えば、口の中とか……』
 と、いきなり唇を奪った。そのまま彼女たちは、舌を口中に差し入れ、かき回す。
「んむっ!? んっ……むぅっ……!」
『あらぁ、だめよぉ。抵抗しちゃあ』
『逆らったものとみなすわよ? ……あら、こっちにも何か隠してそうね』
 と、いきなりベルトに手をかけ緩め、そのままズボンを下げ……脱がせてしまった。
『ま、やっぱり隠してたわね。大口径の火器を発見しましたわ』
『足開いて……あら、後ろにも何か挿入口が……』
(「な、なんだこれ……ひゃっ!」)
 いきり立った前、そして、尻の穴。それらに、モラン・ドールたちの舌が舐め回すのを感覚で感じ取る。
 即座にキスしている前の彼女を突き飛ばし、自分の前後を舐める彼女と、お尻に顔を埋めている彼女も突き飛ばす。
……と、行動するつもりだったが、できなかった。
(「わ、悪く……ないかも、な」)
 このモラン・ドールたち。自動人形にしてはかなり整った外観をしている。いや、美少女・美女と言うに相応しい。
 真面目そうなキャリアウーマンといった感じだが、それぞれどこか幼げだったり、大人の女性的な雰囲気も有していたりと様々。その顔立ちといい、身体付きといい、正直……男として『そそられる』。
 そして、
『あんっ。もう、情熱的……♪』
『ですが、その股間には……凶悪な『武器』を隠し持っていましたね』
『ええ。……ならば、その巨大な武装の弾丸……抜かせていただきましょう』
 言うが早いが、彼女たちは暁翔を押し倒した。……ふかふかしたベッドの上に。
『尋問官どの、自分たちも、凶悪な武装の無力化に……』
『協力したく思いますが、よろしいでしょうか?』
 と、更なるモラン・ドールたちが。彼女たちもまた、負けず劣らずの美女・美少女ばかり。その全員が、服を脱ぎ……美しくも豊かな女体を露わにすると、
 暁翔にのしかかった。
「って、おい! ……んっ! くっ……」
 当初は抵抗していた暁翔だったが、
「……ま、こういうのも……悪くないな……あっ……くっ……」
 喘ぎ声とともに、次第に受け入れ、身体も反応し……、
 自動人形の女性たちと、交わり続けるのだった。

●食べるほど食欲がでる
『……ふぅん。可愛いお嬢ちゃんに……女装美少年。いわゆる『男の娘』ってやつ? それに……』
 ウルリケが、アドレサンスとともに、ディアボロスたちをねめつける。
『巨乳の女のコちゃんに、眼鏡のお嬢様と、獣耳の……軍人少女? あとは……』
『青き瞳の天使に、灰色の瞳の青年。あと、ボディチェック中の者が一名おります。以上が、来訪者になります』
 アドレサンスが言い添える。
『ご苦労。アドレサンス、丁重にもてなすように。我が隊名物の、まずい紅茶でも持って来てやれ』
『はっ』
『さて……ま、とりあえずはその机にでも座るといいわ。『話合い』するなら、文明人らしくしないとね』
 会議用デスクとおぼしき机は折り畳み式で、やはり折り畳み式の椅子もあった。丁度人数分はある。
(「仕掛けは、無いみたいなのね」)
 マリアラーラは注意深く観察した後、それに座った。
 クリアルトに十佐、エトヴァも座り、
 メルセデスに音流、アインも、席に着く。
『で、目的は『情報交換』『話合い』との事だけど……』
 ウルリケもまた、席についた。彼女の姿は、獣耳と尻尾を付けた少女のそれだが……ビキニのような服を着て、大き目の胸とお尻とを露わに。スカートのベルトからは、剣を下げている。
 悪戯っぽい笑顔は、ごく普通の少女……美少女ではあるが、先刻から強く漂う『殺気』までは隠しきれていない。
『……ま、その前にとりあえずは茶でも飲んで、リラックスする事ね。正直誰もここに来ないし、戦うったってそれもないし、退屈してたのよねえ』
「……たいくつ?」
『そ、退屈。だいたいねえ、こんなうら若き乙女をこーんな僻地に追い込んで、本陣の方は何を考えてるやら。そもそも私は淫魔、淫魔っつーと人から精気を獲るのが仕事だっつーのに、その取る精気すらなし。ここで腐らせるなんて、何考えてるのよーって話。はぁ~』
(「最初の、狙い通りに進んでくれてる……?」)
 マリアラーラは、ウルリケを『予想』していた。
『普段は不満を溜めているが、きっかけがあれば愚痴る』という、そんな人物だと。
 何より、進化前のトループス級の時から『秘密を暴き出したい』という特徴を有する淫魔だったのだから。それが出来ない状況が長く続いていたなら、不満が溜まらないはずがない。
 なんとかそれを利用できないかと、マリアラーラは思っていた。

 すぐにアドレサンスが、アルミのマグカップとポットとを持って来た。
『ティーカップをと思ったけど、ここは戦場ゆえに用意が無くてね。紅茶自体は楽しませてもらってるわ。英国の食文化はイマイチ気に入らないけど、このアフタヌーンティーに関しては別ね』
 確かに、軍隊用の実用一辺倒のそれは、見ていて味気ない。だが、
「……ああ。それなら、わたしが」
 と、アインが申し出た。
「わたし、お茶とお菓子を用意してきたの。ウルリケさん、まずは、ご一緒にどうかしら?」
 と、アインは自前のお菓子を差し出す。
「僕も、酒を用意した。上物のブランデーだ」
 十佐もまた、持参した瓶を見せた。
『あら……いいわね。アドレサンス、出すのを手伝いなさい』
『はっ。ただいま』
 ケーキスタンドが並び、菓子も並び……、
 味気ない机の上とテント内は、より賑やかな様相を。
 アインの用意したのは、派手ではないが美しい意匠のティーセット。湯が入れられ、ティーポットと茶葉から、紅茶がカップに淹れられ……ウルリケを含む皆の前に供された。
「ブランデー、垂らす?」
『そうね、お願い』
 十佐のブランデーを、紅茶の香り付けに垂らしてもらうウルリケ。
 アドレサンスにも用意したが、
『私は結構。人間の食物は摂取できないので』
 そして、
 三段のスタンドには、それぞれの段にサンドイッチ、スコーン、ペストリー(ケーキ)が並べられていた。
(「……以前に英国に行った時に見た、ちゃんとした英国式アフタヌーンティーになってるな」)
 十佐は、それらを見て思う。かつて父親に連れられ、世界中を飛び回ったものだが。その時には英国にも赴き、アフタヌーンティーを体験していた。
「それじゃ……わたしが取るわね。何を御取りしましょうか、ウルリケさん?」
 尋ねるアインに、
『そうね。それじゃ、スコーンを貰おうかしら』
 そう答えるウルリケ。すぐに美しい皿に乗せられたスコーンが、彼女の前に出される。
「皆さんは?」
「僕もスコーンを頼む。クロテッドクリームも忘れずに」
 十佐と、
「ええと、マリアにもスコーンをお願いするの。クリームとジャム付きで」
 マリアラーラも、アインに頼む。
「俺には、キューカンバーサンドイッチ(キュウリのサンドイッチ)を貰えるか」
「ボクには、ローストビーフとスモークサーモンのサンドイッチを」
 サンドイッチを頼む男子二人……エトヴァとクリアルト。
「ボクは……迷っちゃうな。これって確か、食べる順番があったんでしょ?」
 音流の問いに、
「ええ。正式には、サンドイッチ、スコーン、ペストリー……ケーキの事ですね。その順番で口にするのが基本です。ですが、あくまでも基本なので、あまり気にしなくても良いですよ。好きなように食べればいいです」
 メルセデスが答えた。
 二人はそれぞれ、ペストリーのラズベリータルトとパウンドケーキを頼むと、
「わたしも、スコーンを頂くわね。ラズベリージャムを添えて」
 アインは己の皿に、
 すぐに各人の前に、取り分けられたスイーツや料理の皿が置かれ……、
 ここに、ティータイムがはじまった。

●アーモンドを食べるためには、殻を割らねばならぬ
 ティータイムが進むにつれ、
(「……このベーダから、どうやったら情報をひきだせるか……」)
 マリアラーラは考えていた。考えつつ、お茶を口にしていた。
『……いい茶葉ねえ。垂らしたブランデーの香りも、味わいもたまらないわぁ。それに……』
 と、スコーンを口に運んだウルリケは、うまそうに噛む。
『……良いスコーンを選んでるじゃあないの。ジャムやクロテッドクリームも良いけど、何もつけないで食べる方が好きねえ』
 微笑むウルリケ。
「……マリアは、ジャムとクリームは欲しいの。やっぱり、ある方が良いと思うのよ」
「わたしも同感ね。スコーンそのものの味を楽しむのも良いけど、クロテッドクリームが、それを引き立てると感じるもの」
 と、アイン。
『……ま、人の好みはそれぞれよね。で、先刻から聞いてたら。あなた達は……』
「うんっ。ボクらもね、ここの霧の先に、『ナニがあるのか』気になるんだよねー」
 と、タルトを食べ終えた音流。
「ああ。先刻から言ってる通り、僕らは湿地の調査に赴くからね。この地に滞在していたあなた達の、調査内容を伺いたい」
 と、十佐。しかし、
『……でも。そちらに一方的に教えるとしても……こちらにどんなメリットがあるのかしら? 教えたところで、私たちに『得』が無いんだけど』
 ウルリケは彼に、そんな返答を。
「……『対価』が必要なら、その……ボクは、ご奉仕してもいいかなーって……」
『……あら、それは……ちょいとソソるわねえ』
 音流に対し、ぺろりと舌なめずるウルリケ。
 そこに、メルセデスが割って入った。
「まあ、ご奉仕は後で行うとして。確かに仰る通り、私達があなた方、どちらかが『一方的』に、情報を得る・提供するというのは、アンフェアかと」
 言いつつ、紅茶を一口。
「さて……そこでひとつ『提案』ですが……この霧には、あなた方も難儀なさってるでしょう?」
『……まあ、確かにね』
「私達もです。そこで、互いに『情報交換』といきませんか? 視界を塞ぐだけでなく、害意を持つ気配を感じたり、何物かの影をみたり、そういった事を感じてらっしゃるのでしょう? 私達は、あなた方の『霧』の件に関する情報を出す、と。そして……」
 深呼吸すると、メルセデスは、
「……こちらからは、私達が知っている『ミュラ元帥他、本陣の状況』についてお教えしましょう。ディアボロスが、現在どのような戦況になっているか。その情報をあなた方に提供しようじゃないですか」

 別のテント内。
「……はっ、はっ、はっ……」
『あっ……あんっ、こ、この人の……重火器……すごぉい……あああっ!』
『こ、こんな大口径の……凶器を隠してたなんて……あああっ』
『だ、だめぇ!……私……イッちゃう! 天国に……イッちゃううううっ!』
 ビクビクと痙攣する、三人のモラン・ドール。彼女らを見下ろした暁翔は、
「……もう、全員か? さて、チェックは終わったと思って良さそうだな」
 その場に居たモラン・ドール全員を昇天させた事を知ると、上気した身体のまま、服を着始めた。

『……それは、本当か? ジョセフィーヌ様が、エジプトで散ったと? それに……ウィーンも陥落?』
 提案を承諾したウルリケは、最初に『そちらから情報を提供しろ』というので、エトヴァが口火を切った。
 そして、それを聞き……クールを装いつつも、ウルリケは動揺した様子を見せていた。紅茶のカップを持つ手も、細かく震えている。
「ああ。淫魔のジェネラル級たちは、既にもういない。フランス内陸部では、既に指令系統は瓦解状態というわけだ」
 それを聞き、アドレサンスの方がいきり立つ。
『嘘だ! 我らが瓦解するなど、そんなはずがない!』
「信じるかどうかは、任せる。だが、これだけは言っておく。俺の言った事は『事実』だ」
『……ミュラ元帥閣下は? あのお方はどうなさってる?』
 ウルリケの問いに、
「……ミュラ元帥は霧の中の獣相手に敗退し、ナポリに引きこもっているようだ」
 エトヴァが答える。
「要は、貴殿らは見放されたという事だな。……ミュラ元帥は軍の指揮が下手なのかい?」
『貴様! まだ愚弄するか!』
『アドレサンス、落ち着け! ……ま、最近はどうもおかしいと思ってたけど……しかし……』
 ウルリケは、なんとか落ち着きを取り戻した様子。
 それに対し、エトヴァはあえて煽るように尋ねてみた。
「こんな所に、貴殿らのような精鋭を放っておくとは、勿体ない事だ。あまり良い指揮官ではないのかな? そもそも……貴殿らは元々ここでどんな指令を受け、どう行動する予定だったんだい?」
『……私らは以前に、ここで待機命令を受け、事態が動きだしたら新たに指令が下る……って聞かされてたのよ。有事の際に、戦力を温存しておくつもりだったのでしょうけどね。周辺地域の調査は、周囲への警戒も兼ねていたのだけど。それにしても……』
 と、嘆息するウルリケ。
『……私の情報網が掴んだ情報、そう間違ってはいなかったという事か』
「……ミュラもネイも自分の裁量で防備固めるのに必死だし。ダブーやその部下達は、みーんな待機命令で動けないうちに……やられちゃったんだよ」
 と、マリアラーラが続ける。
「それもこれも、ナポレオンがずっと行方不明してるから。淫魔宰相の左遷も皇妃様の出撃も、ウルリケと部下達が放置なのも……みーんなナポレオンが不在なのが悪いの」
 こうやってやや煽り気味に言ってみたら、感情的になって情報をもらしてくれる。そう期待したマリアラーラだったが、
『…………』
 ウルリケは、考え込むように沈黙した。
「……だから。悪い事言わないから、別ディヴィジョンに逃げた方が良いと思うよ?」
『……紅茶、もう一杯貰える?』
 アインは紅茶を、空になったウルリケのカップにそそぐ。
「…………」
 そそぎつつ、ウルリケの本心を看破しようと試みたが、
(「あまり、隠し事はしていない? しかし……」)
 どこか静かな様子なのが、やや不気味だった。
「……こちらからの情報は、以上だ。今度はそちらからの情報を聞きたい」
 そして。今度は十佐が、
「この地に滞在していた、あなた達の調査内容と見解を聞きたい。ある程度までは調査を進めてるんだ。そこから先へ行けてない。つまりは、何か『思い付けてない』アプローチがあるんじゃないかと思う。君達がどう調査してきたのか等、教えてくれないか」
 申し出た。
『…………』
 紅茶のカップを傾け、
『……ま、約束だしね。良いでしょう』
 ウルリケは、語り出した。

●行ける所まで行き、然るべき場所で死ね
「……おい、俺の事、忘れてんじゃあないだろうな?」
 と、そこへテントに入り込んできた暁翔が。
『あら、これは……ハンサムねえ』
 ウルリケが心惹かれるように、彼を見る。
「あの、何してたの?」
「こっちは、これから彼女からの話を聞くところだが」
 マリアラーラとエトヴァに言われるも、
「いや、ちょっとな。っていうか、なんだアンタらの部下! それにあのチェックも! ……まあ、色々な意味で、悪くは無かったけどよ」
『……ふぅ~ん?』
 ウルリケはニヤリとすると、
『じゃ、お詫びに私のとっときの一杯を。アドレサンス、あれ、ごちそうしなさい』
『はっ』
 すぐにモラン・ドールのリーダーは、奥から琥珀色の液体が入ったグラスを持って来た。
『最上級のミード(蜂蜜酒)よ。お詫びのしるしに飲んで』
「酒か、俺まだ未成年なんだがな……」
『あら、話し合いに来たってのに、私からの一杯が飲めないとはねえ。いわゆる『ざぁこ』ってやつなのかしら?』
 プークスクス……という笑いに思わずムカつき、
「飲めらぁ! んっ……ごくごく……っぷはぁ! へっ、なかなか美味かったぜ」
 暁翔は反射的に飲み干してしまった。
『さて、それじゃあこちらからの情報だけど……』
 と、ウルリケは語り出した。

『……オーストリアと、北イタリアとの情勢も不穏なのは間違いないわ。加えて、この南仏戦線、さっきそこのハンサム天使(エトヴァ)が言ってたように、ナポリのミュラ元帥は指揮して下さらず、安穏とした状況では無いみたいね……』
 と、サンドイッチをつまみながら、戦線に関する事を口にする。
『あなた達の言う事が、仮に……仮に正しいとしたら。私達は……戦線を広げ過ぎたのかもしれない。信じたくはないけど……ジョセフィーヌ皇妃に万が一の事があったとしたら……大変な事になるわ』
「軍内部の、情報網はどうなっている? まだ機能しているのか?」
 エトヴァの問いに、頭を振るウルリケ。
『いいえ。自分の放ったスパイによると、正直……命令系統はほぼ機能してないわ。あなたの言う通り、組織自体が本当に『瓦解』してると考えるべき、なのかもね。あるいは……私達の排斥力が、弱まっているのか』
 ウルリケの表情が、忌々し気なそれに。
「……それで、この『霧の中の影』に関しては? 何か分かっている事があったら、教えてほしい」
 今度は、十佐の質問。
『……確かに、霧の向こうの情勢……海向こうの件は怪しいわね。けれどこちらも、詳細なデータは得られてない、ってのが現状よ』
「というと?」
『部下たち……自動人形だけど、その多くが目撃したのが『まるで化け物みたいな、非人間型の影』を見たと言っているわ』
「その『影』の詳細を聞きたいのだけど、大きさや数はどのようなものなのかな?」
 十佐に続き、クリアルトが質問した。
『それは、彼女に聞いて。アドレサンス』
『はっ』
 アドレサンスが進み出る。
『部下からの報告によると、ある者は『ドラゴンのようだ』。別の者は『巨大な蛆』と言い、別の者は『多数の手足を持つ怪物』と言う者も居た。その数も、『象ほどの大きさの、巨大な個体が一体』という目撃例の他、『等身大の個体が多数』『超巨大な何か』という報告もあり、正体は不明のまま。で、調査隊を向かわせたら……』
「…………」
 まるで、怪談を聞いているような面持ちで、ディアボロスたちはアドレサンスの話を聞いていく。
『……その全てが、行方不明、または破壊され残骸が発見されて終わった。結局、『正体不明』という結論になり、現在に至っている』
「具体的な『場所』は?」
『こちらの地域内もあるが、多くはここから南下した場所の……対岸が見える海岸線。その海上だ。そこが一番多く目撃される』
「……じゃあ、今も影を目撃することがあるわけだね?」
『そうだ。こちらから下手に接近せず、手を出さずにいれば、被害は無いため、現在は放置している』
 それから……と、ウルリケは付け加える。
『一部では、『声』も聞こえたという報告もあったわね。でしょ? アドレサンス』
『はっ。自分もその声を、遠くからですが聞きました。破壊された部下の残骸が、ボートに乗って漂流していたのを発見した際にも『声が、何か言っていた』と報告し、直後に機能停止しました』
 その、言っていた内容は……、
『侵略者を、燃やし尽くせ』
(「……つまりは、霧の影は多く見たけど、その影の主とはまだ出会っておらず、調べに行ったら返り討ちに。それに……不穏な言葉も吐いていた、と」)
 十佐、そして他の皆も、それを聞き……戦慄していた。
 間違いなく、『危険な何か』が潜んでいる。だが、その『何か』は正体不明のまま。
「……その『声』は、どんな声だったかはわからない? 男性か、女性の声か、複数だったかとかは?」
 クリアルトに対し、アドレサンスはかぶりを振る。
『そこまではわからん。ただ……件の部下は機能停止寸前に、『恐ろし気な声』で、『響き渡る声』だった事を報告していた』
「……その、『対岸が見えた』海岸線の場所は? どこにあるの?」
『ここだ』
 と、マリアラーラの前に、地図を広げる。確かに現在位置からはそう遠くはない。
 彼女はメモを取り出し、その位置を手早く書き記した。後になり……役立つかもしれない。
 だが、情報を得ても、『安心』はできなかった。
 むしろ、知る事で、より危険に、狂気に近づいているような。そんな『不安』が、ディアボロスたち全員に浸透しつつあった。

●邪心野心は闇に消え、後に残るは怪しい噂
「……で、これからどうするの?」
 今度は、クリアルトが言葉を放つ。
『……どうしたものかしらね。いっそフランスのどこぞの村か町を占拠し居座り……そこを本拠地にして自分の居場所にするかしら。勢力も拡大し、一地方を乗っ取ったりして』
 先刻までの、引き締まった雰囲気から離れ。ウルリケは再び飄々とした態度を取り始めた。
『……というか、上がそんなになってるんなら、好き勝手やっても良いわけよねえ』
 ウルリケは笑みを浮かべた。
『何か』を思いついたかのような笑みだった。笑みを浮かべるだけの、『何か』を。
「……だったら。もしも、村や町を『襲う』なら……まずはボク達を相手にして欲しいかな」
 その笑みに対し、真摯な顔つきで。クリアルトが言葉を放つ。
『あ? 美少女な少年クン。それはどういう事かしらん?』
「この話の後には、雌雄を決する事になる。そう予想してたからね。でも、もしもここを離脱した後で独自に動くんだとしても、ナポレオン軍の『上層部の残党』はまだいるし、勝手に動く事の大義名分は無い。なら……どうせなら、ボクらのようなディアボロスからの襲撃が、本当にあった方が、言い訳も立つのじゃないかな」
 彼に続き、メルセデスも、
「ええ。下手に和解や停戦などを持ち込むより……この方がお互いスッキリします。得た情報は、勝った方が全て持ち帰る。うまくやれば、総取りですよ?」
 クリアルト、そしてメルセデス。二人からの提案を聞いたウルリケは、
『……面白いじゃない。勝った方が全て手に入れ、負けたら死んでオシマイ、とはね』
『……私は賛成です。この場で全員皆殺ししましょうか?』
 武装展開した自動人形だが、
『落ち着きなさい、アドレサンス。焦らないの……その素敵提案、受けましょう』
 淫魔の笑みは、愛想の良いそれ。
『今この場で殺しても良いんだけど、それじゃ簡単すぎてつまらない。何せこちらの戦力は……おっと、そこまで教える必要は無いわね。さて、私達とあなた達、どっちが勝つかしら?』
「……和解し、人とともに生きるという選択肢は?」
 十佐の問いかけに、
『はっ? 淫魔の私にとっては、人は快楽を吸い取るための餌。愛だの思いやりだのといった生ぬるいものなど、願い下げだわ』
『私もだ。戦うための自動人形たる私は、平和だの和解だのといった概念は不必要』
 ウルリケとアドレサンスの言い分に、
「……それで『納得』してるなら、マリアたちも何も言わないよ。それじゃ……戦うという事で、いいのね?」
 マリアラーラは確認した。
『ええ。あなた達とのこのお茶会が終わってから、お互いに準備するって事で……二時間もあればいいかしら?』
「二時間? それはかまわないけど……」
 何か、含みのある彼女に、マリアラーラ、そしてディアボロスたちは少し訝しく思ったが……、
「……あー」
「そういう、事か」
「……まあ、淫魔だしなあ……」
 すぐに、理解した。暁翔が股間を押さえ、息を荒くしていたのだ。
「はあっ、はあっ、はあっ……な……なんだか知らないが……さっきから……」
『でしょうねえ。先刻のミード、『精力剤』としても、結構強力なのよ。ねえ、『女性捕虜』の尋問方法、知ってるかしら?』
 と、近づいてくるウルリケ。そのまま胸元を開き、ちらりと見せる。
『司令官、この男はボディチェック時に、自動人形たちを悶絶させておりました。おそらくは過去にかなりの女性をよがらせてきたかと』
 と、アドレサンス。
『いいわねえ。……もしもわたしと、もうちょっと語らいたいというなら、歓迎するわよ? 奥の寝室で、たっぷりとね』
『……更なる情報。聞けるかもしれないぞ。まあ……強制はしないが』
 要は……肌を重ねるという事だと、ディアボロスたちは即座に理解した。

 数刻後。
 テントから出てきたのは、二人を除いたディアボロスたち。
「……情報は得た。あとは……」
「……この自動人形の部隊と、司令官の淫魔を倒す。そして……」
「……海岸線まで向かい、地形の情報収集を行う事で、任務完了。でしたね」
 アイン、十佐、エトヴァが今後の行動を確認する。
「まあ、後の問題は……二人だね」
「……妄想が滾りますが……それは後で……グフフ」
「……そうなのね。本当に……毎回ベーダも、よくやるの」
 クリアルト、メルセデス、マリアラーラは、テントの中へと思いをはせる。
 まあ、おそらく戻ってくるだろう。だが……戻って来てからは、殺し合うことになるのだ。
 肌を重ねる事で、支障が無ければいいがと思うディアボロスたちだった。

 そして、
『さあ、どうした……その程度では尋問にならないぞ……ああ、そうだ。……立派なイチモツ、持ってるじゃないか……あああっ!』
 ウルリケに尋問方法を教えられ、『もっと乱暴に』と言われ、それを実践させられ、
「くっ……あっ……くううっ!」
 暁翔はウルリケにより、何度も絶頂させられ、相手を絶頂させた。
 そして、音流も。
「ふああ……いいよ、気持ち良い……」
『はあっ……この胸と尻……フカフカしている……』
 アドレサンスと交わり、その両胸とお尻とを揉まれ、顔を埋められ、
 快感を与えられ、逆に相手に刺激を感じさせていた。
 こうして、二人もその肉体と引き換えに、快感と快楽を互いに与え与えられた後、解放された。

「……やれやれ、やっと治まったぜ」
「ぼ、ボクも……」
 暁翔と音流は、ふらふらとした状態でテントから出て来る。
 しかし、そのかわりに……新たな情報は得られた。
「……モラン・ドールたちは、この霧の中。K7地区の『ぬかるんだ沼地に敵を追い込み、迎撃するのを得意とする』って言ってたっけな」
「うん。そして……『そのK7地区の沼地は、内陸部の霧が特に濃く、視界がほぼ利かない』とも言ってたよね」
 余裕なのか、引っかけなのか。あるいは、自分たちの事を気に入ってくれたゆえのご褒美か。
 戻ったら、この事を皆に知らせ……改めて対策を練ろう。そう決めた二人は、仲間たちの元へと向かうのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【通信障害】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV2が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【防空体制】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!

楠井・十佐
戦う事になったか。それでいい
。話合えば分かり合える。その上で落とし所を付ける為に戦う。
馴れ合いの和平よりは余程禍根を残さない。紛争地域を巡ってそう学んだ

連携し戦闘
敵の射撃の狙いを付けさせない様、常に移動し続け遮蔽を利用し防御。かわせない弾はなるべく防具の装甲で受けて「忍耐力」で耐える
【レイブラスト】で攻撃。アイウェア型の制御バイザーを外し、精神力を破壊光線に変えて両眼から発射する。銃口の数では負けても、こっちは狙いを外さないし引き金を引く必要もない。速度と精度で勝負
弾幕が厚ければ完全遮蔽を取り身を守りつつ、木々や壁に反射させ死角から「不意打ち」で攻撃する。乱射乱撃は見えなくても位置を探りやすい


メルセデス・ヒジカタ
牧場では軍馬の繁殖シーズンですっけ
あなた方……馬とか、お好きそうな外見ですよね

あと、睦み合うのもお好きなんでしょ?

じゃあ、お馬さんとかけ算(意味深)してみますぅ?
というわけで、敵を迎え撃ち、脳内かけ算(意味深)で敵の存在を歪めちゃいましょう

具体的には、敵が背負ってる武装を、盛った牡馬にでも変えてやって
あらまあ、こんなところで……お馬さんに後ろから乗っかられちゃうんですか?

とか、散々に煽ったら、怒って沼地に追い込むのも忘れて、こっちに向かって来ないかな

敵の反撃で、連携解除や同士討ちを誘われそうなら、敢えて連携せず独自に動き、敵を撹乱
攻撃の際も飛び道具は使わず、刀が届く範囲にし同士討ち等リスク回避


嵐柴・暁翔
さて、ウルリケの言葉をどう捉えたものか…?
真偽どちらだと断定する根拠も無いし、額面通りに受け取れるものとも限らないんだよな…
一応霧対策に【完全視界】は使っておくか…

戦術を駆使する相手なら此方の分断を狙うだろうし【パラドクス通信】でしっかり連絡を取り合うようにしておく
相手も何かしら通信をしているようなら【通信障害】も使用します

地の利がない以上誘い込まれているのか判断は難しいにしても深追いは避けます

《落ちる男再現》でモラン・ドールの胸に飛び込みその感触を堪能します
状況によってはウルリケ直伝の女性捕虜への尋問方法をモラン・ドールに試してみます
さっきの借りも返したいし男なら弄ばれるより弄びたい、ってね


マリアラーラ・シルヴァ
準備時間にベーダ達を見学するよ

拒否されても
準備中拘束しないのは偵察も織り込み済みだからだよって押し通し
ついでのようにウルリケの狙いを騙り褒めあげる中に
正念場で歩調を乱す種を蒔きつつ
敵規模や練度を確認するの

上が咎めないなら更に進化してジェネラルやその先だって狙えるね
その邪魔されないよう準備時間で報告に動くスパイを炙り出し
「戦功次第」で貴女達から幹部を選別する気かな
遣り手の司令官だね


戦闘中K7に追い詰められたら
霧に紛れ【水面歩行】で沼での足場確保し
パラドクス影絵の象さんや多段肩車ピエロを作り
スピーカーから恐ろしげな声で威嚇するよ
きっと戦功を焦る部隊が突出するから
その隙を反撃に繋げたいなって作戦なの


夕月・音流
さっきはイロイロできて、楽しかった。
でも、ボクらはこの先へ行きたいから。
…せめて痛くないように、イカせてあげる、ね?

銃砲の向きや配置から、砲撃の射角を見切って躱しつつ、手近な敵の懐へ潜り込む。
そうしてパラドクスを発動、抱きついて口づけを仕掛けて攻撃。
うん、それはもう…熱く激しく舐り合うようなヤツを、ね。

彼女のコトをたっぷり味わって、その味、感触をしっかりと記憶。
せめて、ボクの思い出の中で生き続けて…ね。


クリアルト・ハイランド
情報を得られた経緯とか気になる事は
あるけれど今は作戦に集中だね

戦う事になったからには正々堂々と挑むつもりだよ
遠距離戦は不利だろうし、戦騎疾駆で一気に距離を詰めて
モラン・ドールたちに挑みかかるよ
沼地に追い込む戦いを得意とするようだし
沼に踏み入れて足止めされないようにかな
追い込まれる前に18発の魔力の粒子光線砲による
砲撃を潜り抜けて重槍で仕留めたいかな
見た目は可憐な相手だけれど紛れもない
強敵だし手加減はしないよ

「い、今は戦いに集中しないとね…」
「躊躇ってはいられないよね!」


アイン・トロイメライ
霧の中にいる正体不明の怪物、間違いなく上位のクロノヴェーダかしら
そうとしたら同士討ち紛いの事をやっているのは妙な話ね
まあ、全ての個体が仲良しこよしって連中と思っているわけではないのだけれど

考えるのは後にしましょう
先ずは沼地を根城にしているモラン・ドールからよ
霧の中での活動を予期して展開した【パラドクス通信】で仲間と通信・連携
今回の計略は『風読』で沼地の上に空気の足場を作り敵集団の強みを潰す
そして撃ちまくってくるみたいだからその弾道から発射地点を予測して霧の中でも居所を暴いてみせるのだわ
ついでに濃霧が風の力で晴れないか実験してみましょうか
攻撃手段は風の刃を使った斬撃と武器改造で展開したガジェット


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ可

ウルリカとの情報交換は有意義だったようだ

仲間から聞いた情報をもとに沼地へ
偵察、観察、技能を活かして

地形の利用し、霧や木々などの遮蔽に紛れながら攻撃

沼地の影響を受けぬよう、少し浮く程度の飛翔で立ち回り

反撃には魔力障壁を展開し防御


●霧の中の進軍
『霧』は、どんどん濃くなっている。まるで晴天の中の雲が、そのまま地上に降りたかのように、周囲の風景を白く包み、染めていった。
 本来『白』は、純潔や善良、安全をイメージさせる色であり、悪や不安を連想させる『黒』とは正反対。
 なのに……目前の風景は、不安や邪悪を連想させていた。『白い暗闇』という、矛盾めいた単語が脳裏に浮かぶ。
「…………」
 その霧を見つめつつ、アイン・トロイメライ(子どもの夢でさようなら・g00491)は、考えていた。
『霧の中にいる、正体不明の怪物』に関して。
「……おそらくは、上位のクロノヴェーダに違いない。だが、それならばなぜ『同士討ち』まがいの事をやっているのか……」
 反乱か、乱心か。新たな敵対勢力か、別ディヴィジョンの存在か。
 色々と考えてはみるが、どれも……確信が持てない。
 考えにふけるアインの隣でも、
「ウルリカとの情報交換は、『有意義』だった」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、逆に意義を見出していた。
 確かに、『霧の中の何か』は、正体は不明のまま。しかし……いままでこちらは、『不明である事すら不明』だったのだ。気休めではあっても、一歩だけ……謎に近づけた。これに意義が無いとはいえない。
 他の二人も、霧を見つめつつ思う。
「……そういえば、こういうホラー小説だか映画だかがあったっけな。怪物が潜む霧(ミスト)に囲まれ、スーパーの中で立ち往生する……だったか」
 そのうち一人、楠井・十佐(ファントムスレイヤー・g02957)は幼少期の事を、父に合衆国に連れていかれた時の事を思い出していた。
「……私も、似たような作品を存じてます。船乗りの怨霊が、霧(フォッグ)とともに、復讐のため港町に戻ってくる……というものですが」
 かたや、メルセデス・ヒジカタ(冥腐魔道・g06800)も、思い出していた。こんな時に思い出すべきものではないとは承知ではあるが、それでもやはり……『連想』してしまう。
「……まあ、今は、作戦に集中しよう?」
 少しでも不安を払拭せんと、クリアルト・ハイランド(人間の妖精騎士・g01311)は言葉をかけるが、その試みは失敗。
 しかし、彼は彼で、思うところがあった。
(「情報を得られた『経緯』。未だ判明していない、霧の中の『何か』。そして……」)
 そして、これから相対せねばならない、敵自動人形たち。彼女たち……『モラン・ドール』は、いかなる戦法で攻め込んでくるのか。その総数はいかほどで、戦って勝てるだろうか。
(「……二人は、別の意味で『一戦』を交え、情報を得てはいるけど……」)
 クリアルトは、後方の二人……仲間である二人へと目をやる。
 嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)と、夕月・音流(変幻自在の快楽天・g06064)。
「…………」
 その片方、暁翔は……何か考え込んでいるかのように、黙っていた。

(「……ウルリケの言葉、どう捉えたものか……?」)
 暁翔は、モラン・ドールたちの他、そのリーダーであるアドレサンス、そして……、
 淫魔であるウルリケと肌を重ね、快感と快楽とを与え、与えられ、交わっていた。
 その際に、『情報』を伝えていた。
 曰く『この周辺の、最も霧が濃いK7地区の沼沢地。かの部隊は、敵をそこに追い込んでの迎撃戦が得意』。
 しかし、疑問が湧く。自分たちにとって不利になる情報を、敵方に知らせるだろうか。
 念のために『完全視界』を用いて、霧内部の視界はクリアにしているが……。周囲には今のところ、モラン・ドールたちの姿は見えない。
「……真偽を断定する根拠は無し、額面通りに受け取れるものともいえない。……どうしたものかな……」
 そんな暁翔と比べ、音流は、
「……ふふっ。さっきは、楽しかったなぁ……」
 対照的に、思い出し笑いを顔に浮かべている。彼女も大きなお尻と胸で、自動人形たちと楽しんでいた。暁翔よりも、ある意味楽しんでいたかもしれない。
 やがて、
「……ん?」
 暁翔は見た。霧の中から、何者かが接近してくるのを。
 ディアボロスたち全員が警戒するも、
「……偵察から、戻って来たの」
 それがマリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)の小柄な影と知ると、すぐに警戒を解いた。

 少し前。
 暁翔と音流とともに、皆が去っていった後。
 マリアラーラはその場に残り、
「……見学させて、もらうのね」
 と、テントおよびその周囲を、観察していた。
『貴様! いいかげんに……』
 モラン・ドールのアドレサンスはいきり立つも、ウルリケはそれを止め、
『やめなさい。……どうせ拒否したところで探るだろうし、拘束しても……逃げるでしょうよ』
 と、観察を許した。しかし、
『とはいえ……わたしが客人としてあなた達をもてなすのは、そろそろ終わり。今はまだ、殺す気分じゃないし、なにより……普通に『戦って殺したい』と思っているからね。ゆえに、今のところは目こぼししてあげてる事は、理解してもらうわ』
「……その点は、理解してるの。温情に感謝なの」
『温情? まあ、確かにね』
 それを聞き、ウルリケはにやり……と、笑みを浮かべた。
『ここは敵地、そして……貴女は『無数の敵』に囲まれている。部下の中には……血の気の多いものも少なくはない。敵の貴女を見つけたら、いきなり攻撃する者もいるでしょうねえ』
 先刻の、お茶会で見せた笑みとは異なる笑みだった。『邪悪にして凶悪』、かつ、『残忍冷酷』な笑み。そして……、
『あと、もう一つ。わたしは戦闘開始したら……敵を勝手に見くびって、敵陣に勝手に残る間抜けな子供には、優しくないからね……』
 まあ、あなた達、とくに貴女に関しては、気に入ってるのは確かだけど。
 と、付け加える。
「…………」
『アドレサンス。貴官には『やめなさい』とは命じたが、それ以外の兵士には……その限りではない。わかるか?』
『……はっ!』
 アドレサンスも、にやりと笑った。
 そして、その場へと。
 モラン・ドールと思しき者たちの足音が響いてきた。

 数秒の僅かな間、長い思考と逡巡の後に、
 マリアラーラは逃げた。後方から迫る足音と、響く銃声。そして、
 自分の身体を掠める銃弾の感触を覚えつつ、霧の中へと潜り込み、姿を隠す。何発かの銃弾が、自身の身体を掠めていくが……幸いにも直撃はしなかった。
 走りながら、彼女は考える。
 確かに少しばかり迂闊だったが、今のやりとりでいくつか分かった。
(「一つ:ここまで余裕を見せられるという事は……余裕を見せられるほどの『戦力』がある、という事なの」)
 先刻、霧の中に、多数のモラン・ドールたちが待機しているのが見えた。その数、40から50体以上。
 そして、
(「一つ:沼沢地でも、難なく移動してたの」)
 まるで、宙を移動するかのようだった。
 暁翔と音流の言っていた事の一部は、おそらく事実だろう。そして、自分たちが沼沢地に追い込まれたら、不利になる事も間違いはない。
 だが、どう追い込むのかは想像がつかない。
 逃げながら、もう少し偵察し、情報収集してから……戻ろう。
 マリアラーラは決断すると、霧の中を駆けだした。

「……というわけなの」
「わかりました。どうやら、兵力はかなりいるものと思って間違いなさそうですね」
 メルセデスがうなずく。
「……となると、ウルリケが言ってたのは嘘ではないか。戦力差があり過ぎるゆえの、余裕? だが……」
 暁翔は安心したかったが……できなかった。まだ何か、見落としているような気がしてならない。
「沼沢地の……水面上を難なく移動していたのも、間違いないんですね?」
 十佐の言葉に、マリアラーラはうなずいた。
「ほとんど影になってて、遠くからだったから良くは見えなかったけど。まるで水面に浮かぶような感じで、滑るように移動してたの。それからもう一つ。このメモによると……」
 マリアラーラが、メモを見せた。
 それは彼女が逃げる際に、奪ってきた指令書の一部。断片しか判明できなかったが……。
『K7地区に、兵力の多くを駐在』という内容らしい事が書かれていた。
「……心にとどめておきましょう。何が役に立つかはわかりませんが……」
 クリアルトも、吟味するように考え込む。
 そして、アインは、
「情報を、整理するわね。
:敵の総数は非常に多く、数の暴力でこちらを簡単にひねりつぶせる。
:モラン・ドールは、沼沢地、とくにその水面を移動する事が可能。
:K7地区に、多くの兵力がいる。
 まず、沼沢地のK7地区に追い込まれないように、こちらも注意しないと……」
 静かに、述べた。
 少なくとも、こちらもただ突っ込むだけでなく、確実に勝利を得られるように……注意しつつ動かなければ。
「地形はどうなっている? それを利用して紛れつつ接近し、攻撃しようと考えているが……」
 エトヴァに、十佐は頷く。
「俺もそれに賛成だ。敵は射撃してくるだろうが、俺はその狙いを付けさせないように、移動し続け遮蔽物に隠れ、移動し接近するつもりだ」
 彼に続き、
「そうだね。遠距離戦は不利だろうし、一気に距離を詰めて奇襲をかけるのがいいと思う」
「ボクも同感。敵の攻撃をかわしながら懐に潜り込み、攻撃するつもりだよー」
 クリアルトと音流が述べた。
「ただ……地の利が無い以上、深追いはしない方がいいだろう。誘い込まれているかどうか、判断が難しいだろうし、な」
 暁翔のその言葉を聞き、ディアボロスたちは作戦内容をまとめていく。
 そして、話し合いは続き、
「……それじゃあ、いくよー」
 音流の声とともに、彼らは霧の中へと足を踏み出した。

●霧の中の激突
 霧の中を進むディアボロスたちは、
「……いるぞ。前方に……数は20……いや、30体以上!」
 暁翔の声に、立ち止まった。
 彼の『完全視界』で、視覚は確保できている。その視覚は、霧の中に敵の姿を見出していた。
 全員が、整った顔立ちの美女・美少女。小奇麗な軍服に身を包み、そして……ぬかるんだ地面の上に『立って』いる。
「…………」
 全員が、身を低く、または近くの枯れ木の陰に隠れ……霧の先を見据えていた。
 刹那、
「!」
 近くの地面に、砲撃が炸裂した。それも一発だけでなく、二発、三発と、連続で打ち込んでくる。
 ディアボロスたちはすぐに、左右に別れ……駆け出した。
(「……やはり、思った通り! 分断を狙ってきたな!」)
 左側に駆け出した暁翔は、近くの岩の陰へと隠れる。
「……こちらは大丈夫だ。そっちは?」
「……大丈夫よ!」
 パラドクス通信を用いると、アインからの返答が聞こえてくる。
「こっちは、十佐とマリアラーラ、クリアルトが一緒にいる!」
「こっちは、エトヴァにメルセデス、音流が一緒だ!」
 乾度良好。今のところは、通信障害は行っていない様子だ。
 再び、近くに着弾する。
「……今のところ、負傷者はいない!」
「こっちもだ。それでは……先刻に打ち合わせした通りに。オーバー(通信終了)!」
「了解、オーバー!」
 二人は通信を切った。
 分断されたとしても、それは予想の範囲内。作戦遂行に支障はない。
 霧の中の空気を、深呼吸すると、
「じゃあみんな、行くぜ!」
 エトヴァ、メルセデス、音流とともに。暁翔は霧の中へと駆け出した。

「……弾道は……」
 左側に別れたアインは、マリアラーラ、クリアルト、十佐とともに……枯れかけた木々の陰へと身を隠していた。
 敵の弾道が、『見える』。
「……弾道から、この小隊の位置は……」
 その弾道から計算し、敵の位置を確認するアイン。
「……暁翔たちは?」
「現在、右側を遠回りして、先行しているとの事よ」
 しかし、それを聞いたマリアラーラは、
「…………」
 考え込む様子を見せた。
「どうしたの?」
「何か、気になる事でもあるのか?」
 クリアルトと十佐が問うが、
「……ちょっと……」
 返答する前に。放たれた粒子光線砲が彼らに襲いかかり、
 着弾し、爆発。彼らの言葉を、消し去った。

『やったか!?』
『ああ、ブチ当てたはずよ!』
 アインたちへ砲撃した『モラン・ドール』の小隊、ないしはその兵士たちは、得意げになっていた。
『死体を確認して来い。まったく、我々に戦いを挑むなど、愚劣極まりないが……すぐに済んだな』
 自動人形『セリバテール』、この小隊の隊長が、つまらなさそうに鼻を鳴らす
『アドレサンス殿は用心しろと言われていたが、買いかぶり過ぎだ。この程度の雑魚など……』
 そこまで言った、セリバテールは、
 霧をかき分けて、『無双馬』に跨ったクリアルトの突撃を目の当たりにしていた。
「『戦騎疾駆』! いざ尋常に、勝負!」
 その姿は、可憐なる少女。まるで王女や令嬢そのものといった外観だが、その駆使する馬は力強くも猛き巨獣。
 突進し、一気に距離を詰めて来るその騎馬と騎士に、
『ふん、少しは骨があるようだな!』
 セリバテールは、身構えた。
『小隊! 戦闘編成! 砲展開! 『フリーダム・ビック・バーサ』、撃て!』
 すぐに陣を組みなおした『モラン・ドール』の兵士たちは、全身に内蔵された、魔力粒子光線砲の砲口を展開。突撃するクリアルトとその無双馬へと砲撃した。
 だが、その粒子光線砲の砲撃にひるむ事なく、クリアルトを乗せた無双馬は猛進。
「……はーっ!」
 その姿は少女、しかしその内面は豪傑。
 その手に携えた重槍アースクェイクが、無双馬の勢いとともに突進し、モラン・ドールたちを蹴散らす。
『ひっ……』『ぎゃあああっ!』
 先刻に砲撃した二体のモラン・ドールが貫かれ、引導を渡される。
『ひるむな! 陣形を組みなおせ!』
 セリバテールは、軍旗を掲げ、歪んだ美の言霊を放たんとする。
『ラ・ピュセル・ド・グランダルメ』。言霊の力を用い、敵の連携を崩し、味方に再起の意思をもたらすパラドクス。
 しかし、それを放っても、
「撃ち抜け!『レイブラストε』!」
 別の方向から接近した、十佐。彼の両目から破壊光線が発射。
 新たなモラン・ドールが、その光線を受けて破壊され、果てる。なんとかそれを回避したセリバテールだが、
 光線は、反射した。小隊内を跳ねまわり、複数のモラン・ドールを道連れにして、破壊音という音楽を奏でていく。
『ひっ!』
 そして光線は、小隊の半数を血祭りにあげ、セリバテールの片脚を吹き飛ばした。
 残りの半数は、クリアルトと交戦。彼の身体に光線を掠らせはさせたものの、
「遅い!」
 炎の軽鎧・アーマー・オブ・ファイアが攻撃を防ぎ、アースクェイクの穂先が、残りのモラン・ドールたちへと襲い掛かる。
 容赦無き刺突が、自動人形の小隊の残り全てを貫き通し……、勝敗を確定させた。
 しかしなお、セリバテールは腕に内蔵した砲を展開し、抗おうとする。
「……答えてもらうわ。あなた達の戦力の詳細と、他の小隊がどの位置に待機してるかを……」
 アインが近づくが、
『教えるか! グランダルメに栄光あれ!』
 セリバテールは自分の有していた、書類カバンを吹き飛ばし、更には頭部に腕の砲を押し付け発砲。自ら、果てた。
「……自害するとはね」
 かぶりを振るアイン。そこに、
「……ねえ、アイン。さっき言い損ねた事なんだけど……」
 十佐とクリアルトとともに、マリアラーラが近づいてきた。

●霧の中の戦闘
「……大丈夫だ。周囲に敵の新手は見えない……」
 エトヴァは、新たに発見した小隊に接近。待機しているその小隊の周辺の地形の情報収集をしつつ、偵察をしていた。
 場所は、M2地区付近。
 先刻に、アインらが交戦したのとは別の小隊と戦い、倒した後。彼女らが所有していた地図を手に入れ、それを元に霧の中を進んでいたエトヴァ、暁翔、メルセデス、音流の四人は。
 新たな小隊を発見していた。地図によると、どうやら……アドレサンス直属の親衛隊らしい。
 全員が、ぬかるんだ土の上に整列して立ち、待機している。その背中に背負っているのは、様々な増設兵装。
「じゃあ、まずは私が……」
 エトヴァの言葉を聞き、メルセデスが単騎で先行する。
「援護します」
 彼女に続き、エトヴァも突撃。その後ろに暁翔と音流が、距離を置いて続く。
「『リングスラッシャー』!」
 エトヴァが放った光輪が、霧を裂き、宙を舞いつつ、待機していたモラン・ドールに切り込んだ。
 数体がそれの斬撃を受け倒れるが、ほとんどは回避。そこに、
「あなた方、お馬さんお好きそうな外見ねえ。睦み合いも、お好きなんでしょ?」
 メルセデスが、躍り出た。
『な、なんだ!』『おのれ! 奇襲とは!』『馬? 何の事よ!』
 混乱している中に、嘲るような口調でメルセデスは言い放つ。
「ふふっ、わかりませんか? 異種間で異種姦を! お馬さんと『かけ算』してみますぅ? ……って事ですよ!」
『わけのわからん事をほざくな! 死ね!』
 その場に居たモラン・ドールたちが、背部兵装を展開させようとしたその時、
『……え? なんだあああっ!?』
 背部兵装は『牡馬』へと、その姿を変えていた。それは大柄で、しかも……『発情』していた。
 盛った牡馬。それに背中からのしかかられ、前方へと倒れ込むモラン・ドールたち。
『な、なんだこれは!』『ばかな!背嚢が馬に!?』『これは、敵の攻撃か……あああっ!』
 まさに然り、メルセデスの『脳内かけ算(意味深)(ノウナイカケザンカッコイミシン)』により生じた牡馬たちにより、モラン・ドールたちは後ろから大きなそれを、『貫かれて』いた。
「なるほど……まさに異種姦コミュニケーション。このカップリング、アリ寄りのアリアリ……かどうかは、ちょっと判断に苦しみますが」
 しかし、カプ云々はともかく、攻撃手段としては有効。自動人形たちは凶悪なそれにより、無力化させられ、果てていた。
 だが、
「……メルセデスさん!」
 エトヴァが、駆け寄って来た。
「小隊の別動隊に、暁翔さんと音流さんが……追い込まれました!」
 そして、それに続き。
 アインからの『パラドクス通信』が、入って来た。

「……ここは……地図によると、K7地区……『ではない』んだよねー?」
 音流が暁翔に確認する。先刻のモラン・ドールの一隊が有していた、この近辺の地図。
 暁翔も見てみるが、現在位置はK7地区ではない様子だが……、
「しかし……妙だな。なぜか……足元のぬかるみが、前よりひどくなってる気が……」
 いや、『気が』ではなく、確実に『ひどくなっている』。
 地図によると、ここはM2地区。K7地区と隣接した場所にある。そして……書き加えられたメモによると、司令室のテントもこの付近に移している様子。
 霧も、どんどんひどくなってくる。『完全視界』のため、視界は確保できているが……。
 それでも、心細さは変わらない。
 先刻に、メルセデスが攻撃を仕掛ける際。彼女とエトヴァが先行した。その隙に、別の方向からモラン・ドールの一隊に攻撃を受け、それから逃れたらここに来ていたのだ。
 逃げつつ戦い、追手のモラン・ドールたちは破壊した。しかし……、
 気が付いたら、ここに居た。
 加えて、非常に歩きにくい。地面が柔らかく、踏むと足が土に沈み、歩くのを邪魔してくる。
「通信で、他の皆に連絡を……」
 が、それをしようとした矢先。
『おやおや、これはこれは……お早い再会ねえ』
 アドレサンスが、十名ほどの部下を引き連れて……、
 まるで『宙を舞う』かのように、地面すれすれのところを浮きつつ、進んできたのだ。
「「!」」
 すぐに暁翔と音流は、警戒する。
「……ウルリケの言葉は……」
「……やっぱり、罠? 嘘だったって事かなー?」
 それを聞き、アドレサンスは笑みを浮かべつつ、浮かんだまま言い放った。
『……『罠』というより……『嘘』が、半分だけ……ってとこかしら』

「アインさん、マリアラーラさん。つまり、こういう事ですか? 『ウルリケの言っていたことは、半分が正しく、半分が虚偽だった』と?」
 パラドクス通信でメルセデスが、アインとマリアラーラと会話する。
「ええ。こちらも倒した敵の持ってた『地図』を複数照らし合わせたけど……K7地区には、確かに沼沢地はあるわ。けど……『K7地区の沼は、あまり広くない』のよ」
「そうなの。……本当に広く、足場が悪い沼沢地は、M2地区の方だったの!」
 と、マリアラーラ。
「つまり……こういう事ですか?」
 エトヴァも、会話に参加する。
「『沼沢地に追い込んで攻撃する』という情報は事実。しかし『その沼沢地がK7地区』という情報が嘘だった、と」
「ええ。ウルリケは暁翔と音流にわざと虚実半々の情報を与えて、私達の混乱を狙ったんでしょうよ。地図を精査してみたら……K7地区が危険だと判断して迂回し進む際、地形的にM2地区を進まなくちゃならないからね」
 与えられた情報が怪しいと思い、K7地区を迂回したら、足場の悪い沼沢地であるM2地区に『追い込まれる』。
 逆に、K7地区をそのまま向かっても、そちらの方にはM2地区よりも多数の兵力が配置されている。
 先刻に倒した部隊長・セリバテール。彼女が有していた書類カバン内には、半ば吹き飛ばされた地図や指令書とともに、兵力派遣の指令書の断片が入っていたのだ。苦労して読み解いた結果、それが明らかになった。
「で、こちらの状況的にも……敵のモラン・ドールたちが、大量に接近してきます」
「正直、この数を相手するのは、きついところだ」
 クリアルトと十佐が、そんな事を口にする。つまり、簡単には救援に来れない、という事。
「……最悪の状況ですね」
 メルセデスはそう呟き、
「……でも、想定内です」
 二人が、暁翔らが消えた霧の中へと、視線を向けた。

 M2地区。
『……ま、そういう事だ。ここM2地区は沼沢地であり、下手に内部に進んだら、底なし沼となって沈む。でなくとも、足を取られ移動もままならない。かといって、K7地区に戻っても、そこには我々の主戦力が控えている。お前たちは、チェックメイトという奴だ』
 アドレサンスは勝ち誇った口調で、暁翔と音流へ言い放っていた。
「……それじゃあ……なんであんたらは、その沼地を進めるんだよ」
『この背中の兵装のおかげだ。……おっと、逃がすか! 『マジカル・エイティ・エイト』!』
 回り込もうとした暁翔と音流を、目に見えぬ『重力』が上から襲い掛かった。
 聖火型大口径高射砲から放った、重力の波動。それが上から二人を押さえつけ、ぬかるみに押し付ける。
「ぐわっ!」
「きゃっ!」
『……この装置は、魔力を用いた実験的な装置でな。この高射砲と同じく、『重力』を操作し、ある程度軽減させられる。浮遊や飛行は出来ないが、沼地の水面に浮かぶ程度なら可能! ゆえに……沼沢地の水面をこのように動けるわけだ』
「……そういう、わけか……」
『納得できたようだな? ま、ウルリケ殿と私のピロートークを本気にしても、疑っても、お前たちはあの時点から負けていた、という事だ。はっはっは!』
 アドレサンスの哄笑が、沼地に倒れ押し付けられている二人の耳に、不快に響いた。
「……ねえ。最後に教えて? ウルリケは今どこに?」
 音流が、質問する。
『……死ぬ前に聞くにしては、呑気な質問だな』
「さっきあなたと一緒に、イロイロできて、楽しかったからさぁ」
「ああ、俺も聞きたいな。あんたの反応も、中々……可愛かったし、身体の相性も悪くなかったし、な」
 暁翔もそれに加わった。
『まあいい。この先の、司令テントの中だ。お前たちがよろしく言っていたと、伝えておいてやろう』
 そのままアドレサンスは、二人を泥の中に埋めんとした。が、
「二人とも、よくやってくれたわ!」
「あとは、任せるの!」
 アインとマリアラーラの声が聞こえてきた。
 二人の少女は、霧の上、空中から、その声を響かせていた。

●霧の中の決着、そして……
『なっ、なんだ!?』
 霧の一部が、風により吹き飛ばされるのをアドレサンスは見た。
 そして、
「『風読』ヴェッターハーン(カゼムキハオモイノママ)! 沼地の上を歩けるのは、あなたたちの専売特許じゃあないわよ!」
 風の流れを支配する、アインのパラドクス。それは沼地の上に、空気の『足場』を作り出していたのだ。
 アインとマリアラーラはそれを用い、移動していた。
『何をしている! 相手はたった二人! 殺せ!』
 アドレサンスが慌てふためき、命じるが、
「たった二人? 甘く見ないほうがいいわ!」
『風読』の力を用い、アインは『風の刃』を放った。粒子光線砲が展開される前に、数名のモラン・ドールたちが刃を受け、切断されて果てていく。
『くっ……こ、このっ!! ……ぐわああっ!』
 アドレサンスの背中の装置にも、風が襲い掛かり破壊。重力が戻り、彼女もまた沼沢地に足を取られてしまった。
 そして、マリアラーラは。沼沢地の水面に、ふわり……と降り立った。
「ねえ、サーカスは嫌い? マリアが今から、夢みたいなサーカス、始めるよ!」
 マリアラーラの周囲に、いつしか『影絵』が生じた。それはゾウやライオン、クマや犬、それに多数の道化といった姿を、影と化し、沼地の水面へと映し出る。
「アン、ドゥ、トロワ……『夢魔の影絵サーカス(ドリーミーナイトサーカス)』、開幕だよ」
 影絵は、まさに夢のように、獣は吠え、道化たちは踊る。
 道化たちは肩車を重ね、梯子のように、百足のように、モラン・ドールたちを翻弄する。
 獣の咆哮は、モラン・ドールたちを威嚇させ、その動きを止めさせる。
『な、なんだこれは!』『畜生、攻撃が利かないわ!』『撃つな! 味方に当たる!』
 そして、その隙を突かれ。アインの『風読』の刃が襲い掛かり、反撃させずに終わらせる。
『こ、こんな馬鹿な! 戦力差はこちらが有利だったはず!』
 立場が逆転した事を、認められない……とばかりに、アドレサンスは狼狽える。
『ええい、応答しろ! K7地区の主力部隊! お前たちの頭数なら……』
 応答はない。代わりに、
「サーカスには間に合ったようね。K7地区のモラン・ドールたちは今頃、クリアルトと十佐が掃討している頃よ」
「雑魚は何人いても、所詮は雑魚。数が多ければそれで良いわけではない。単純な理論だ」
 駆けつけたメルセデスとエトヴァが、それに答えていた。
『み、認めるか! こんな事が、認められるか……んむうっ!』
 悪あがきせんとしたアドレサンスだが、いつの間にか懐に潜り込まれていた音流に抱きつかれ、その唇を奪われていた。
「……んっ、んっ……はあっ、つかまえた……」
 艶っぽく吐息とともに呟き、再び口づけをする音流。
 快感を無理やり注がれ、動けないかのように、アドレサンスの動きが止まる。
『こ、これは……ひああっ!』
 熱く、激しく、アドレサンスの体中を舐り、口づけをし続け……甘い『毒』を注ぎ込む。
 先刻も交わり、肌を重ね合った者同士。音流は動けないモラン・ドールの隊長の身体を、服の上から、服を脱がせ、その体中にキスの雨を降らせまくった。
「『甘い夢を見せてあげる(フェイタル・キッス)』……さっきはとっても気持ちよくしてくれたから……気持ちよくイカせてあげる……♪」
『はっ……はっ……はっ……こ、これは……先刻より……はうっ!』
 アドレサンスは、思考力と、行動力とを奪われていた。凛としたその表情は、呆けたかのように緩み、口を開け、快感をねだっている。
『さ、さっきより……す、しゅごい……も、もっとぉ……き、きもちよくぅ……し、してくらはぁい……』
 服も、半分以上が脱げている。その状態で、
「俺の道は、『おっぱいダイブ』! そして『落下』と共にある!」
 まるで、高空のヘリから落下してきたかのような幻視をともない、暁翔が空中から突撃してきた。
 そして、彼のその突撃は、アドレサンスのその豊かな胸元へ飛び込む事で終わった。
 暁翔の『落ちる男再現(リライト)』。それが決まると同時に、
 メルセデスとエトヴァ、アイン。
 そして、クリアルトと十佐。
 ディアボロスたちの攻撃の前に、全てのモラン・ドールは打ち倒され、破壊されていた。

「……アドレサンスちゃん。たっぷり……味合わせてもらったよ」
 機能停止したアドレサンスに、音流は近づく。
「ああ。……あんたは良い女だった。俺は、あんたを忘れない」
 暁翔も近づき、倒れた彼女の身体を整え、横たえさせる。
「……ボクも、感触をしっかり覚えたよ。せめて……ボクの思い出の中で、生き続けて……ね」
 アドレサンスの唇に、最後の口づけをした音流は。そっと、その目を閉じさせた。
「……どうやら、そっちも終わったようだな」
「K7地区のモラン・ドールたちは、ボクと十佐で掃討したぜ!」
 そして、その場に十佐とクリアルトもやってくる。
 マリアラーラは全員が集合した事を見て、
「……この後は、ウルリケとの戦い、だね」
 次の戦いへ、想いを馳せた。
 おそらく単騎であっても、ウルリケはかなりのやり手だろう。
 この霧の中に潜む『何か』のように、ウルリケの持つ未知なる『力』。
 それに挑み、勝たねばならない。その後で、地形を調べないと。
 ディアボロスたちは気を新たにして、霧の中へと再び、一歩を踏み出すのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【土壌改良】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

嵐柴・暁翔
ウルリケはこの先の司令テントの中、ね…
これだけ派手に戦って此方が近付いているのは隠しようがないんだしどう出るのやら…?

引き続き【完全視界】で霧の中での視界を確保
【未来予測】を併用して奇襲に備えておきます
司令テントへ入る前にウルリケに声を掛けてみます
お邪魔します…なんてな
中で待ち構えているなら相手がテントに入る瞬間なんて攻撃の好機だし、逆に外に隠れていて相手がテントに入ってから攻撃するという手もあるか…

落とし穴でもあれば【エアライド】で、足場に問題があれば【飛翔】で対処します

《伝承顕現》でエクスカリバーを作り出し接近戦を挑みます
情溺の口逢わせで唇を重ねている間はウルリケの胸やお尻を弄っておきます


ガートルード・シェリンガム
前の癖で、つい駅で列車を乗り換えたつもりが……今度は、南フランス行きの列車!?
ホント、何でもありなのね……

【パラドクス通信】で仲間と更新を試みたら、ノイズ混じりで激しい息遣いが聞こえたりしたらどうしよう

油断して、敵に背後を取られたりしたら大変
この体は借り物だし、傷物になんかできないから

もし、背後から敵に拘束されそうなら、【エアライド】で跳び退きざまにフェアリーコンボで攻撃
淫魔ってエロゲとかのアレだよな……捕まったら大変だ

反撃されて、
「倒された副官のかわりに、たっぷり開発したげる」

とか言われたら、思わず寒気がして腰が引けそうだが……自分の身は自分で守らないと
【強運の加護】に期待し、仲間と合流だ!


楠井・十佐
さて、戦いに行こうか。今回の任務の最難関だ。
未知の領域の探索は困難だけどそれなりに楽しい。駄目でも次がある。
だけどウルリケとの勝負は、負ける訳にはいかない。更に勝ち目の薄い強敵。その上、ああいう女は敵に回したくない。
まぁ、やってみるか。

遮蔽を利用しながらの射撃戦。完全視界で視界を確保、エアライドや飛翔、水面歩行で足場の悪さに対応。
デストロイヤーとしての破壊能力を両眼に集中凝縮した破壊光線で攻撃。君達と同じように、僕も眼差しで人を殺せる。
相手の動きを凝視観察し反撃を回避。東欧のサバトや南米の生贄儀式、半裸で踊る女には嫌な記憶しかないけど、目を逸したら負けだ。気迫と勇気を視線に込めて撃ち抜く。


マリアラーラ・シルヴァ
信偽どちらに傾いてても罠…
また一つウルリケの貌を見せつけられちゃった
さすが百戦錬磨の進化ベーダなの

きっと交渉に来た一事すら分析してるよね
パラドクスも暴かれ時代のアレンジを加えてるかもだし
そういう風に注意を戦法に逸らす事で
もっと想定外な戦術を仕掛けてくるかも
マリアに似ててマリアの上を行く難敵なの

ならマリアにも予測できないパラドクスをするよ
魔術的指パッチンで外の人形ベーダが背負ってた「魔力を用いた実験的な装置」を暴走させ
色々あってウルリケがひどい目に合うよう仕向けるよ

逃がしたらきっとクロノスに進化して歴史の狭間に逃げられちゃう
「普通に『戦って殺したい』思い」を逆手に取ってでも
ここで倒させてもらうね


メルセデス・ヒジカタ
あらあら
既に交戦中の方がいらっしゃるようですね

では、忍び足を活かし敵の背後から敵に忍び寄り……グラップルを活かし敵の首根っこを押さえ込み、剣虎拳を叩き込みましょう
油断大敵でしてよ?

敵が怒って、
「このズベタがあっ! 【ピー】にワイン瓶突っ込んで、お前の仲間に直飲みさせてやろうか!!」

とか言われたら……お里が知れますわよ?
とでも軽く返して

敵の反撃には、敵の剣の動きに意識を集中
あのしなりと戻り、鋭さ……なかなかの業物

とか思いつつ、刀でいなして受け流せば……敵の技にはまらずに済むかも

【完全視界】で霧や煙から視界を確保し、【パラドクス通信】で連絡態勢確保
足場が悪ければ【水面歩行】、【エアライド】でカバー


クリアルト・ハイランド
ウルリケとの直接対決だね
色々な意味で危険な相手だけれど
騎士として臆すつもりはないよ
正々堂々と先陣をきって挑むつもりだよ
向こうは感情のままに攻めて来る
タイプのようだし強く意志を持ってはねつけたいかな
不意を突かれて密着されたり劣情を注がれても
戦意だけは失わずに反撃したいかな
動きを止めた所を狙って騎士天槍による一撃を食らわせるよ
反撃する為にもレイピアによる致命傷は受けないようにも注意だね

「やっぱり侮れない相手のようだね」
「肉を切らせて骨を絶つ…少し違うような気はするけれどね」


アイン・トロイメライ
作為的に情報を伏せる程度で「勝てる」と思われていたのなら随分舐められたものね
結果はこの通り、用意していた策で十分に対処ができた
流石にアヴァタール級のウルリケにはこれで「勝ち確」とは行かないでしょうけど…まあイーブンって所かしらね?

引き続き【パラドクス通信】で仲間と連絡・連携
【完全視界】【エアライド】【水面歩行】で地形の不利を解消
ウルリケの性質を鑑みるに相手の得意な間合いで戦い続けるのは不利
接近戦が得意な味方の後ろに控えてこちらへの攻撃手段を制限し
有利な間合いを探る「計略」によりとっておきの『最終楽章』を叩き込む

能力に自信があるんでしょうけども
不可視の砲弾はいかがかしら?


夕月・音流
うん、やっぱり戦わないといけないみたい…
せめて、アナタのカラダの感触、めいっぱい味わわせてもらう、ね…?

お互い、使うパラドクスは密着しての攻撃。なら、避けるよりは凌ぐことになる、かな。
抱き締めて、下腹部に【肉体改造】で肉の槍を形成。それで以て、ウルリケさんの下腹を貫きにかかる。
キスを受けるのは避けられないから、注がれる劣情を返すかのようにこっちからも貪りつきつつ。
それに負けない勢いで腰を使って、奥の奥まで貫いて攻め続けていく、よ。

…こんな感覚、はじめてかも。
アナタのコト、きっと、忘れられなくなっちゃう…


●霧に隠された悪意
「……参ったな、列車を乗り換えたつもりが、ここに来てしまったとは」
 ガートルード・シェリンガム(転生者の妖精電脳騎士・g09370)は、『パラドクス通信』で……、
「……もしもし?」
 依頼遂行中の、他のディアボロスに連絡した。
「……はあっ、はあっ……くっ……な、何?」

「……なるほど、そういういきさつが。だいたいわかったわ」
 数刻後。
 先刻に連絡された場所へ……すなわち、『鋼鉄兵団『モラン・ドール』第28号部隊』の司令テントへと、ガートルードは赴いていた。
「そういう事。既に『モラン・ドール』たちと、その隊長は倒した。後は……」
 司令官の淫魔・ウルリケを倒さなくちゃあならないんだ。
 クリアルト・ハイランド(人間の妖精騎士・g01311)は、ガートルードにそう告げる。
「……それはいいけど、なぜさっきは、息遣い激しかったのかしら?」
「ちょっと、力仕事してて……はぁ、はぁ……」
 と、夕月・音流(変幻自在の快楽天・g06064)が、先刻同様に熱っぽく返答した。
「……詳細を言うと、テント内で重たい書類棚が倒れてきてね。それを元に戻した直後に、連絡が入ったんだよ」
 クリアルトが補足するが、音流の喘ぎを妙に怪しく思うガートルードだった。

 そして、そのテント内には、
「お邪魔します……なんてな」
 嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)と、
「……中は、もぬけの空か」
 楠井・十佐(ファントムスレイヤー・g02957)たちが入り込み、内部を調べていた。
「そのようだな。これだけ派手に戦って、こちらが接近してくるのは筒抜けだろうし。……ちっ、重要書類らしきもんは、全部燃やしてやがる」
 テント内のストーブを、暁翔が確認する。そこは薪以外に、書類が燃やされた痕跡もあった。
 厨房用テント内も覗いてみるが、食材はほとんど残ってない。作りかけのスコーンと、その材料の小麦粉やバターなどが、無造作に散らばっているのみ。
「……暁翔君、『なぜ』だろうね」
「? なにがだ?」
「どうも、焼き捨てた書類の燃え残りを改めたら……『霧の中で見た何か』に関するものもあった様子。でも、『なぜ』……それに関する書類を燃やしたと思う? 僕らの本来の任務は、『霧の中を進み、地形を調査する』事。そして……『霧の中の何か』も調べる事。この部隊は、そのデータを少なからず持っていたはずなのに……」
 なぜ、そのデータを焼却したのか。
「……そうね。最初にお茶会した時にも、知ってた事を教えてはくれたようだけど。おそらくあの会話内容が『知ってた情報全て』じゃないはず。……私達が知りたいデータを渡すまいと、単なる嫌がらせで行った?」
 メルセデス・ヒジカタ(冥腐魔道・g06800)も、困り顔。少なくともウルリケは……こちらの事を色々と予測してはいるだろう。
「でもまあ……これから『戦う』事に関してなら、確実な事は一つ言えるわね」
 メルセデスの言葉を聞き、アイン・トロイメライ(子どもの夢でさようなら・g00491)は確信めいた口調で呟く。
「……作為的に情報を伏せる程度で『勝てる』と思われていたのなら、随分舐められたものね。実際、結果はこの通り。こちらが用意していた『策』で、充分に対処できたのだから」
 しかし、勝てたとは言え、彼女の部下たちである『モラン・ドール』に対してであり……ウルリケ個人にではない。
 こちらの勝利確実……とは断じて言えない。しかし、イーブンにはなっただろう。
「そうなのね。……ウルリケ。彼女に対しては、用心に用心を重ねて越したことはないの」
 考えても始まらないが、考えねばならない。マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)は、思考した。
(「それにしても……また一つ、ウルリケの貌を見せつけられちゃったの」)
 元の淫魔は、いわば一兵卒。その優秀な個体がアヴァタール級に進化したのだ。トリックスターとして、自分に……マリアラーラ自身に似て、なおかつその上を行く。
 真偽どちらに傾いていても、罠にかける。色々と想定外な戦術を仕掛けてくる事が、その証左。ならば、
「……マリアも、予測できないパラドクスをするよ」
 そう呟いた彼女は、先刻に倒した『モラン・ドール』の一体……隊長『アドレサンス』が残した背嚢、ないしはそれと一体化した装置に歩み寄った。

 しばらくディアボロスたちは、テント内部を家探しした。しかし、やはりめぼしいものや、重要と思しきものは発見できずにいた。
 爆弾などの仕掛けは、最初に確認したが……それも見当たらない。ならば、安全だろうか?
 だが、次の瞬間。
 外から『声』が聞こえてきた。
「……?……!」
 最初に外に出たのは、ガートルード。だが……、
「大丈夫か!?……おい、どうした?」
 暁翔、十佐がすぐに出るが、ガートルードは呆然としたまま。
「……オレ、見た……今、一瞬……何か巨大な『影』が、霧の中に……」
 と、自分の口調が戻った事に気付き、
「……見間違いかもしれません。ですが、あの辺りに何かの影を見ました」
 口調を直すと、霧の中を指差した。その方角は、南側。ちょうど海岸線に向かう方向だったが……、
『…………ーっ!』
 そこから現れた人影、そいつの剣戟が、いきなりガートルードに襲いかかった。

●霧に隠された殺意
 ウルリケの剣がガートルードの喉元に迫り、切り裂かんとした。
 だがその刃は、喉元には届かなかった。ガートルードが自身のレイピアで防いでいたのだ。
『……あーら、先刻のお茶会に未参加の娘のようだけど、かわいいっ』
「それは……どうも!」
 ウルリケの剣の刃と、ガートルードのそれが、互いに鍔迫り合う。その隙に、他のディアボロスたちも臨戦状態に入るが……、
『……ねえ、私の愛奴にならない?』
 たっぷり開発して、あ、げ、る……。
 まるで耳元で囁いたかのような、艶っぽい言葉が……ガートルードの聴覚を貫いた。
 それには、『力』が感じられた。甘く、切なく、聞いただけで身体の芯が震えてしまう、誘惑の『力』が。
「彼女から離れろ!」
 十佐の言葉に、
『仰る通りに』
 そのまま後ろに下がり、霧の中に消えるウルリケ。
「くっ!……あいつ、沼地の水面を……!」
「沈むことなく、そのまま滑って後退していったようだ」
『完全視界』で、霧の中の彼女の動きを見る十佐と暁翔。背負った背嚢は『モラン・ドール』たちと同様の装置らしいが、彼女らのそれより小型化されている。
「逃がすか!」
 霧の中へと追撃する暁翔。
「暁翔君! 俺も!」
 十佐もそれに続き、霧の中へと駆け出す。
「……全員、全方位に気を付けておくべきね。この先、M2地区よりも広くてややこしい沼沢地になってるわ」」
 メルセデスの言葉とともに、ディアボロスたちは迷宮に挑む冒険者パーティーのように、
 隊列を組み、二人を追った。彼女もまた、『完全視界』で霧を見通す事が出来る。
「ええ。……けれど、細い路地が走っているから、一列になれば普通に徒歩で進めるわ」
 同じく『完全視界』でそれを確認するアイン。エアライドと水面歩行で、足場がなくとも何とかなるが……足場はあるに越したことはない。
「皆、気を付けて。空中や地中……いや、水中からも奴は襲って来るかもしれない」
 クリアルトはそう言いつつ、空中と地面にも視線を向けた。
「今の襲撃で、あいつの性格がだいたいわかったわ。なるほどね、たしかに危険だわ」
 ガートルードも用心しつつ、レイピアを構える。
「……ウルリケ、どこから襲って来るのかな……」
 音流もまた、用心し周囲を警戒する。しかしどこか、その口調には『期待』もこもっていた。
「おそらくあのベーダは、今の襲撃で驚かせ、視界の効かない霧の中に誘い出し……」
 そのまま、沼地に足元を捕らわれた時に、襲撃する。そんな腹積もりなのだろう。
「……本当に、むかつくほど考えてるのね」
 マリアラーラが口にしたのは、敵への賛辞めいた腹立たしさ。
 しかし、こちらも無力に狩られるだけの存在ではない。
「……魔力を用いた、実験的な装置。それを使わせてもらうよ」
 呟き、彼女もまた進んだ。

 この沼地……あちこちにサソリのような虫が蠢いていたが、ディアボロスたちが近づくとすぐにおびえた様子で逃げていった。
 先刻にテントで見た地図によると、海岸方面のこちらは、R9地区。やはりM2地区同様に、広大な沼沢地になっている。
 が、小さな小道が……足場がかろうじてしっかりしている通路めいた道があり、それが集まって一つの広場のようになっている。
 その広場がいくつも、沼地の中に小道とともに繋がっているのだ。まるで迷路のようでもある。
 先に進むと、戦闘音、そして、
「……見えた! 暁翔さんと十佐さん、ウルリケと交戦中よ!」
 沼地の広場の一つにて、ウルリケと戦っている二人の姿を、メルセデスは確認した。

「喰らえ!『レイブラストζ』!」
 十佐の両目から放たれた破壊光線が、ウルリケに襲い掛かる。
 だが彼女は、それを剣の刃で受け、反射させ、暁翔へと狙わせた。
「うわっと! ……ちっ、やるな!」
 なんとかそれを回避した暁翔は、手にした剣を構え直す。
『伝承顕現』で作り出した、エクスカリバー。たとえ本物でなくとも、英国の王者の剣である事に違いはない。
 しかし、
『……ふふっ、なかなか楽しい3Pねえ。けどムッツリメガネのお兄様、焦ってびゅびゅっと発射するのは気を付けた方が良くてよ? 味方に当たっちゃうかも』
 ウルリケはふわりふわりと舞いつつ、挑発的にそんな事を。
「……くっ」
 東欧のサバト、南米の生贄儀式。半裸で踊る女には、十佐にとって嫌な思い出ばかり。
 正直、目前の彼女も、苦手なタイプであり、あまり見ていたくはない。が、
(「それでも、目を逸らしたら負けだ!」)
 ではあるが、飛び道具はかえって不利かもしれない。暁翔に当てるのは、さすがにまずい。
「……え? うわっ!」
 ウルリケは次に、十佐に即座に接近。
 ……隠し持っていた紙袋を取り出し、口を開いた。
 中から出てきたのは、多量の粉。それを彼の顔面に吹きかけ、大量にぶちまける。
 十佐はすぐに、それが先刻のテント内で見た小麦粉だと悟った。その一部だろう。毒性など何もない、単なるこけおどし……。
 と思っていたが、十佐は『レイブラスト』を再び放たんと、今まで凝視していた。そこにいきなり粉をぶちまけられたのだ。目つぶしに混乱しつつ……咳き込み、目を閉じてしまった。
「がはっ!げほっ!」
「十佐! ……んむっ!」
『……ふふっ、よそ見しちゃ、だーめ……んむうっ』
 暁翔にウルリケは抱きつき、唇を重ねる。
『情溺の口逢わせ』
 相手に接近、密着し、強い情欲のままに唇を奪い、己の情欲を相手に注ぎ込みつつ貪るという、ウルリケのパラドクス。
「んっ……んっ……んんっ……」
『んっ……んっ……ふふっ、えっち……♪……んむっ……』
 暁翔はまさに、情欲に流されつつあった。夢中になって彼女の唇を貪り、彼女の豊かな胸を大きくつかみ、そのお尻も掴み、撫でまわし、揉み込み、弄ぶ。
 それだけでなく、身体も密着させ、擦り合わせ、快感を求めていく。
 手のエクスカリバーは、既に脇に投げ捨てていた。この快感、この口づけ、そして待っているだろうその先の交わりへの期待の前には、何もいらない。
「……あ、暁翔君! げほっ!」
 咳き込みつつ、十佐はなんとか顔を、目をぬぐったが、
『……貴方も、いただきまーす!』
 腑抜けて、フラフラになった暁翔を突き飛ばしたウルリケは、十佐にも襲い掛かった。
(「! だめだ、かわせない……!」)
 一撃を食らう覚悟をした十佐だが、
「……!」
 接近してきた、メルセデスが。彼を助けた。その後ろには、ガートルードが続く。
「男の子だけでなく……私とも遊んでくれませんっ!?」
 剣歯虎のように素早く、そして力強く飛び掛かった彼女は、ウルリケの首根っこを引っ掴んだ。
 ……と思ったが、彼女は寸前でそれを躱す。
『おや、これはメガネのお腐れ様じゃあないですか。怖い怖い、周囲の沼地のように、殿方同士の睦み合い沼に引きずり込むおつもりで?』
 ウルリケもまた、姿勢を低くして距離を取り、即座に反撃。
 自らの身体を、まるでさらけ出すかのように……艶めかしさとともにくねらせる。
「このっ! 『フェアリーコンボ』!」
 妖精とともに、連携攻撃を仕掛けんとするガートルードだが、
(「んんっ!? こ、これはっ……!?」)
 なぜか、ウルリケの身体から、目が離せない。彼女の淫らさに、意識が持っていかれる。
『ほら……たっぷり突いてあげる!『照牝重ねし閃刺』!』
 レイピアの刺突が、ガートルードに襲いかかった。
「くっ! がっ! はあっ!」
 なんとか踏みとどまり、防御するが……刺突の一部は避けられない。剣圧により、後方に吹き飛ばされ……、
『くすくす……女のコをイタダくのも嫌いじゃあないけど……どっか男のコっぽくもあるのよねえ、あなた……』
 欲望を隠さず、ウルリケは、
 先刻のように、レイピアの切っ先をガートルードの喉元に付きつけ、淫靡かつ狂気めいた笑みを浮かべていた。

●霧に隠された邪気
「ガートルードさん!」
 メルセデスが助けようとするが、
『動かないの。次は、あなたよ」
 そのまま、ウルリケは彼女を牽制し、剣を突き刺さんとする。
 やられる……と、ガートルードが思ったその時、
「隙あり!」
 動きを止めたウルリケへ、
「『騎士天槍(ハイランドゲート)』! この一撃で、道を切り開く!」
 クリアルトの、巨大にして強大な槍の一撃が襲いかかった。
『!? ひっ!……』
 驚愕の表情を浮かべたウルリケに、満足を覚えつつ……槍の一突き。
 槍の穂先が彼女に刺さり、強烈な衝撃波がウルリケを襲い、霧ごと沼地へと吹っ飛ばした。
「や、やった!」倒れたままのガートルードは、快哉を述べたが、
「……いいえ、浅いわ!」アインと、
「そうなの! ……彼女、『逃げるため』に、『あえて攻撃を受けた』みたい!」
 マリアラーラは、淫魔の行動を見抜いていた。
 クリアルトのパラドクスを利用して、攻撃を受けたと思わせつつ、
 衝撃波をあえて受けて、遠くまで『吹っ飛ばされる』事で逃げ、距離を取った。
 そうでなければ、クリアルトの強力な攻撃を受けたのに、致命傷を負わず、吹き飛んだだけで済むわけが無い。
 全員が、その広場に……路地が合わさりできた小さな足場に、背中合わせになって立つ。
「ガートルードさん、傷は大丈夫?」
「大丈夫よ、メルセデスさん。……ダメージあるけど、浅いわ」
 と、手を取ってもらい、立ち上がるガートルード。
「……す、すまん。彼女にやられちまった」
「僕もだ。くっ、こんな子供だましにやられるとは……」
 立ち直った暁翔と十佐も、立ち上がる。
「……さっきの、テントの中で愛し合ったのとは違って、結構ハードだね……」
 音流もまた、十佐と暁翔が立ち上がるのを助けつつ言った。実際彼女は、暁翔とともにウルリケと肌を重ねていたのだから。
「皆さん……何かが、沼の中に立ってます」
 やがて、しばらく目を凝らしていたメルセデスは、霧の中に『何か』を発見した。
 暁翔と十佐も、同様に目を向けてみる。メルセデス同様に、『完全視界』で霧の中を二人は見通せるが、
 それゆえに、見逃さなかった。
 沼の中に、長めの杭が突き刺さり、それに……女性らしきものが縛り付けられていたのだ。
「……あれは、『モラン・ドール』の残骸か?」
「この位置からじゃ、少し遠いですね……」
 暁翔と十佐は、それを見据えた。
「私も見えるわ。まったく、囮のつもりかしら?」
 アインもそれを見て、呟く。だが……何かを仕掛けてくるようで、気になる。
 幸い、それらの近くに路地は伸びていた。再び一列になると……ディアボロスたちはそちらへと向かっていった。

「やっぱり、『モラン・ドール』の残骸だね。動く様子は……」
「……無いみたい。というか、壊れちゃってる……」
 杭の一つ、一体の至近距離にまで、近づいた一同。クリアルトと音流がそれを調べてみる。
 それは、長い杭に胴体をぞんざいに縛り付けられ、沼地の土に立たされていた。間違いない。ウルリケは自分の部下の残骸を……杭に縛り付け、かかしのように沼地に突き刺し立たせたのだろう。
 さらにその『モラン・ドール』、ないしはその残骸は、
「足は、足首が片方失われてるし、折れたみたいに曲がってる……」
「そうだね。首も骨が折れたみたいに、グギッて感じで曲がってるし」
 これでは再起動しても戦えないだろう。実際に調べてみて、それを確認し確信できた。
 だが……それでもやはり疑問が残る。
「……あの女。なんでこんなものを……?」
 メルセデスは訝しみ、
「……囮? その割には、雑な扱いだけど……」
 アインは怪しんだ。
「…………」
 マリアラーラは、敵の意図を見出そうと、考え込んでいる。
 その途端、
『……あら、わざわざ罠に引っかかってくれるなんて、メルシーボークー♪ それじゃ……たっぷりと、殺しあい、愛しあいましょうか』
 と、不快な声の響きが。
「……っ!」
 マリアラーラは、それに対し、仕掛けようとしたが、
『おおっと、全員動かないで。残骸とはいえ、『モラン・ドール』の体内の火器は……こうやって動くのよ?』
 霧の中、杭の一つの残骸から、
『モラン・ドール』の腕が伸び、腕に内蔵された小型砲が展開し、発砲してきた。
「うわっ!」
 ディアボロスたちは、それを躱す。だが……、
「……って、まさか!」
『そのまさか。いまあんたらが立っている場所は、この『モラン・ドール』の残骸に囲まれた、中心部なのよね。言っておくけど、今来た方向に後退してもだめよ。ほら……』
「きゃっ!」
「な、なんだっ!」
 と、今度はディアボロスたちのすぐ後ろ、今まで通って来た路地に着弾した。それも一発だけでなく、数十発の砲撃が。
『あなたたちが後ろに逃げる間、この残骸たちの砲撃乱舞を全て躱せるかしら?』
 アインはそれを聞き、
「!」
 たった今まで、クリアルトと音流が調べていた『残骸』も動き出し、腕の砲を展開して伸ばしたのを見た。

 即座に、アインは叫んだ。
「クリアルト!そいつを壊して!」
「はっ!」
 反射的に、クリアルトも反応。目前の残骸を槍で壊す。
「……やっぱり……これは、ワイヤー?」
 アインは改めて残骸を調べ、細い鋼線が繋がっているのを確認した。鋼線はかなり長く、沼の中に消えていた。引っ張ったが、既に切られているようで、手ごたえが軽い。
「このワイヤーで、残骸を操ってるのか? ……くそっ、こす狡いやつめ」
 暁翔が吐き捨てるも、
「来るよ!」
 音流の叫びとともに、霧の中、沼の水面を踊るように舞うウルリケが現れた。
 煽情的に、艶めかしく、淫らに、激しく舞う
『さあ、もっと私を見て! 気持ちよくして! そして……殺されて!』
 続き、剣風が放たれた。踊りつつ、ウルリケのレイピアが宙を切るたび、
 鋭き刃の風が、ディアボロスたちに襲い掛かる。
『『娼乱の刃艶舞』! ああっ、気持ち良い!』
 乱射されるその剣風を、ディアボロスたちは躱し、あるいは剣で受け流すが、
「痛っ! くそっ!」
 浅くだが、暁翔、そして、
「くっ! くうっ! あああっ!」
 音流は、刃の風の口づけを受けてしまった。
「舐めるな! はーっ!」
 再び、『レイブラストζ』を放つ十佐。その直撃を、再びレイピアで受け止めるウルリケだったが、
『!? ぐっ!……ああっ!』
 今度は弾き返せず、後方へと吹っ飛ばされ、きりきり舞いした。
 だがすぐに体勢を立て直したウルリケは、すっ、すっ……と、沼の水面を素早く、軽やかに舞っていく。
「……狙い撃ちたいけど……これじゃ……」
 アインは距離を取っていた。
「……接近出来たら、ボクが抱きついてなんとかなるかも、だけど……」
 音流は呟いたが、抱きつく事はおそらく『無理』。霧の中、足場が悪い中、さらには『モラン・ドール』の残骸からの砲撃もあり……素早く動き回る彼女に対し、接近するのは困難この上ない。
「……私もです。なんとか接近戦に持ち込みたいところですけど……」
 メルセデスも、己の刀剣を構えつつ呟いた。
 砲撃してくるか、或いは接近して切り付けて来るか。
 どちらにしても、厄介な敵。
 やがて、マリアラーラが、
「……マリアのパラドクスで、何とか……してみせるの」
 口を開いた。確実に、事態を好転させられる保証はない。しかし……このまま手をこまねいていたら、確実にこちらが不利になり、倒されてしまう。それだけは避けねばならない。
「でも、マリア……」
 アインが呼び止めるが、
「失敗すれば、マリア1人が倒されるだけ。でも成功すれば、皆が助かる突破口になるの! それに……賭けるの!」
 マリアラーラは返答を待たず、飛び出した。

●霧に隠された行方
 ぬかるみの中、マリアラーラは進む。足を取られ、中々動けない。
『……どういう、おつもりかしら? 何を仕掛けたかは知らないけど、無為無策に真っすぐ突っ込んでくるだけとは……失望したわ』
 ウルリケは呆れ顔で、杭の一つ、その上にふわり……と、飛び乗っていた。
『まあいいわ。そのまま……『モラン・ドール』の残骸砲の餌食になりなさい』
 彼女の言葉に対し、マリアラーラは、
「どういう『つもり』? 仕掛けた、『つもり』だよ。それで、何を仕掛けたかは……マリアにも予測はできないの」
 指を、ぱちん……と鳴らした。
『何を言ってるかわからないけど、喰らいなさい!……え?』
 途端に、ウルリケはバランスを崩し、沼地へと落ちた。
 そこは、やや底が深い場所。足を取られ、ウルリケは沈み始める。
『なっ、何を! 何をした!』
「わからないの。けど、『沼地』は、生物の数がすごく多いから……ウルリケの背中の装置に、虫でも入ったんじゃあないの?」
 マリアラーラの言う通り。ウルリケの背中の装置内には、小さな虫が入り込んでいたのだ。
『くっ! え? これは……!』
「……ワイヤーも、切れたみたいなのね」
 まさに然り。ウルリケが沼地に落ちたと同時に、ワイヤーは切れてしまった。つまり……手元から、『モラン・ドール』の残骸を操る事は出来ない。
「……東洋の諺に『風が吹くと、桶屋が儲かる』って言うのがあるけど……あなたに放ったのは、まさにそれなの」
 マリアラーラのパラドクス『夢魔の社会科見学(ピタゴラストライク)』。
 それはまさに、『バタフライ・エフェクト』。物理学で言うところの、カオス理論で扱う『カオス運動の予測困難性』『観測誤差を無くすことができない限り、正確な長期予測は根本的に困難』という提言そのもの。
 マリアラーラのこのパラドクスは、まさにそれ。因果に働きかけ、『全く予測が付かない因果』が連鎖的に働き、自然に、かつ偶然に、『困難が排除される結果』がもたらされる。
 マリアラーラ本人ですら、何が起こるか、どのような結果になるかは予想できない。まさに諸刃の刃。
『……なるほど、そういう事。でもそれは、あなたにもあてはまるわねっ!』
「え? きゃあっ!」
 マリアラーラは、何かに足を取られ、ひっくり返った。
 偶然にも、彼女の足下に切られたワイヤーが伸びて、絡んでおり……ウルリケはそれを引っ張ったのだ。
 小さなその身体は沼地に捕らわれ……そのまま、沈み始めた。
(「沈むの、早いの! このままじゃ……」)
 遅かった。土が緩いその場所は、マリアラーラを飲み込み、彼女を地の底へと引きずり込んでいった。

 マリアラーラを転ばせたと同時に、ウルリケはそのまま後方へと逃げた。
 背中の機械は既に捨てている。ずぶずぶと足が捕らわれるが、なんとか進み、路地の上に立った。
『!?』
 が、次の瞬間。忍び足で背後から接近したメルセデスに、その首根っこを掴まれた。
「油断大敵、でしてよ? 『剣虎拳(ケンコケン)』!」
 掴んだままメルセデスに持ち上げられ、空いた手から打撃を受け、更には地面に叩きつけられ、足で踏まれ、抑え込まれ、
 その急所へ、刀剣による斬撃が叩きこまれた。
 が、それは浅かった。ウルリケの剣が、辛うじてだがメルセデスの刃を受け止めていたのだ。
 なんとか転がり、距離を取る。
 服はほぼ破れて脱げ落ち、裸になっていた。ダメージも負ってしまったが、ここは撤退して反撃の隙を伺わないと……、
 と思っていたら、音流に捕まった。
「もう、離さないんだから……♪ 『熱く激しく抱き締めて(パッショネイト・エンブレイス)』♪」
『……ひっ!』
 音流は正面を向き、抱き締めてくる。その巨大な胸の心地良さは、先刻と同様。
 だが、その下腹部には。変化した『肉の槍』が。
 股間部にそそり立つ『それ』は、ウルリケの身体を、彼女の下腹部を貫く。
 痛みを伴った、強烈な快感。それとともに、貪るように音流はウルリケの唇を奪った。
 互いに、互いの劣情が注ぎ、注がれていく。肉の槍をウルリケは受け止め、破壊するかのようにきつく締め付け、音流に快感を与えていく。
 音流もまた、負けじと腰を振り、奥の奥まで貫き、攻め続けた。
「あっ、あっ、あっ、あっ……あふうっ! あひぃっ!」
『はっ、はっ……あううっ! あっ! あああっ!』
 その様子は、
(「うわあ、これは……ジャンル違いとはいえ、薄い本創作の参考になりそう」)
 と、メルセデスも思わず目を奪われ、じっくりと観察。
「……は、はじめて、かも……あっ、こんな、感覚……んっ……はじめて、かも……ああああっ!」
『わ、私も……はじめて……あああっ!』
 敵味方で、戦場。しかし、強い快感の中、
「あっ、あっ……アナタのコト、きっと、……ひああっ、忘れられなく、なっちゃう……ああああああっ!」
『わ、私も忘れない……あああああああっ!』
「『あああああっ!』」
 二人は同時に、背中を反り返し、絶頂し……果てた。

「……逃げます!」
 だが、メルセデスの目前で。ウルリケは音流を突き飛ばし、裸のままでそのまま逃走した。
 背中の装置が無くとも、素早く跳躍する。
(「やった、なんとか逃げられそう……」)
 と、ウルリケが思ったその時。
「フィナーレよ。〈切り札〉起動!」
 アインの声が響き、悟った。既に自分の『処刑』の用意が終わっていた事に。
 アインの装備中のガジェット。それらに格納されていた砲塔が一斉に展開し、
「全砲門解放、大砲(カノン)セット! ありったけ、ぶちかますわ! ってぇーーい!!』
 不可視の、見えざる砲弾が一斉に放たれた。
『『最終楽章』アイネ・クライネ・ナハトムジーク(アナタニオクルサイゴノウタ)』。
「能力に自信があるんでしょうけど。『不可視の砲弾』、これはいかがかしら?」
『……負けたわ』
 観念したのか、ウルリケは立ち止まり、正面を向き、
 不可視の砲弾を『あえて』その身に受け、爆発とともに……果てた。
「…………」
 アインは見た。最後の瞬間、ウルリケが微笑みを浮かべていた事を。

「……大丈夫!?」
「……げほっ……大丈夫、なの」
 そして、マリアラーラは。
 そのまま沈んで、姿を消してしまったが、
 暁翔や十佐、クリアルトにガートルードがすぐに探し、濁った沼の水中から引き上げられていた。
「……よくわからないけど、パラドクスは上手く行ったようよ」
「ああ、ボクも見た。逃げたウルリケはメルセデスと音流、アインが追ってる」
 ガートルードとクリアルトが介抱する。差し出されたハンカチで顔を拭かれ、マリアラーラはようやく人心地がつけた。
「……戻って来たようです。どうやら……」
「俺たちの勝ち、って事らしいな」
 十佐と暁翔の言葉通り、三人がマリアラーラを囲む皆の元へと戻って来た。

「……さて、と。とりあえずテントに戻り、身だしなみを整えたいと思うが、どうだ?」
 ウルリケを倒した事を、全員で確認。その後で、暁翔は提案した。
 先刻に調べたところ、テント内には簡易的なシャワーもあり、タオルなど日用品も揃っている。最後の探索依頼の前に、少しばかり体を休めるのにちょうどいいだろう。
「……まだ、先刻のお茶会の、お菓子や食べ物も多少残ってます。お茶を淹れて、一息入れませんか?」
 続き出されたアインの提案に、皆は賛成する。『モラン・ドール』たちに、ウルリケ。思ったより苦戦したため……ディアボロスたちは疲労を強く感じていた。
「……ウルリケ」
 テントへと戻る際。
 ウルリケの居た方へと、音流は顔を向けると。
「……アナタのこと、ボクは……忘れないよ」
 奇妙な愛情めいた感情を覚えつつ、静かに、呟いていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】LV1が発生!
【エアライド】がLV2になった!
【託されし願い】LV1が発生!
【土壌改良】がLV2になった!
【猫変身】LV1が発生!
【士気高揚】がLV2になった!
【アイテムポケット】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】LV2が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【ダブル】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV5になった!

楠井・十佐
調査書類の燃え残りを【書物解読】で分析。石板や竹簡の残骸も研究者にとっては立派な書物。僅かしか読み取れなくても「書かれていない内容まで読み取る」という効果に賭ける。
【アイテムポケット】で崩さない様に保存し新宿に持ち帰る。最大レベルの修復加速書物解読なら、奴が隠そうとした調査結果を読み取れるかもしれない。

後は普通に調査を楽しむ。銃やナイフを準備。
完全視界で視界確保。パラドクス通信で連携。マッピングしながら進みスーパーGPSで現在地確認。
連中が調査済なら奴らの行動の痕跡を探る。何かを見つけてる可能性は高い。
危険な存在を感知したら、敢えて逃げずに攻撃を仕掛ける。殺されてもそれはそれで情報になる。


ガートルード・シェリンガム
ふう……生きた心地がしなかった
準備が整ったら、【完全視界】を活かして、海岸線目指して調査に向かおうか

敵が居るかもしれないし、周囲を警戒しつつ、何かあれば木々や岩陰に隠れられるように心掛けよう
うまく海岸線に到達したら、海岸線に沿って地形を調査
必要なら、ダンジョン探索を活かし地図を描きつつ、【スーパーGPS】で位置を把握し地図の精度を上げたい

地図を描くのに集中しすぎて、磯場で転んだりしないように
一張羅のスカートが蛎殻で破れたりしたら大変だ
潮溜まりで尻餅なんかついたら、海水に浸かって……パンツまでぐっしょりだし

蛎殻で怪我したりしたら、【活性治癒】で治療
まさか、血の匂いで何か寄ってきたりしないよな?


マリアラーラ・シルヴァ
なんで書類を燃やしたか
無難に考えれば時間稼ぎだけど
ウルリケはあっちのジェネラルと出会ってて支配され済み
なんて突拍子もない解釈すらできるかも?
予想だけで動機を特定するのは難しいから
燃え書類の読解に期待なの

調査では例の対岸が見える海岸に向かい
霧の届かない海中にザブンして【水中適応】【完全視界】すれば
何かあってもすぐ発見・行動できると思うの

霧の影には人形とか機械とかの共通項が無さ過ぎだし
仕掛けとか無いのかな…

海底を周囲や海上を警戒しつつ進み対岸に向かうけど
辿り着いても対岸海外線の記録に留め上陸はやめとくね
ミュラが居ないうえに大陸軍の排斥力が下がってるから
逆侵攻準備中なジェネラルと相対しちゃうかもだし


メルセデス・ヒジカタ
確か……【建物復元】は、家財も含めて復元できるんでしたっけ
ならば、さっき燃やされた書類や物品も復元できるかも

テント内の燃やしたり壊されたものを含めて、建物復元でテントの復元を試みましょう
テントは傷んでない?

なら……適度に壊せばいいじゃない

うまく復元できたら、内容を確認し、重要そうなものは回収しましょう

それが済んだら、得られた情報も参考にしながら、海岸線に向かい【完全視界】を活かし視界確保しつつ、地形や謎の存在について調査
オカルト好きとしては……血が騒ぎますわ

【パラドクス通信】で仲間と交信し、空からの監視・襲撃にも備え【防空体制】で警戒

【強運の加護】に期待しつつ、ヤバいと思ったら、とっとと撤収


クリアルト・ハイランド
手ごわい相手だったけれど、
まだ終わりじゃないし気は抜けないね
僕は調査も兼ねて周辺の警戒をしておくね
何あってもすぐに駆け付けられるよう無双馬に騎乗して
スーパーGPSも活用して自分と仲間の
位置を常に把握しておくようにかな
危険な状況なら彼等を救助を優先するよ
痕跡を見つけたり気配を察知したら皆に知らせるよ
見たこと感じた事はしっかりと記憶に焼きつけておくよ
残党か増援が現れたなら無理はせずに
皆の生還と帰還を優先に行動するね

「流石に簡単に痕跡は残してくれてはいないかな?」
「深みに嵌るのは危険だね」


嵐柴・暁翔
ウルリケからの情報がどこまで信用出来るのかは知らないけど、どちらにせよ直接行ってみるしかないだろう

まずは件の海岸線を目指します
霧が濃いなら【完全視界】を使い【パラドクス通信】で連絡を取り合いながら進みます

異形の影とやらが見えるか声が聞こえた際は近くにいる方に本当に自分と同じものを認識しているのか確認します
怖れとかの自分自身の精神的ななにかを影や声として認識させられているだけという可能性は…?

埒が明かないようなら状況を【パラドクス通信】で伝えながら影に向かって【飛翔】で突撃してみます
攻撃されるとか、俺がどうなるのかも情報だしな

影に遭遇しない等大した収穫がなければ海岸線や周辺地形を確認し帰還します


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
残留効果を活用

何度目の海……
定まらぬ影はキマイラウィッチ、か

漂う嫌な気配、水の気配を頼りに「対岸が見えた」海岸線を目指す
スーパーGPSが可能なら地図で所在確認
PD通信で仲間と協力

未来予測で危険警戒しつつ偵察、観察し
異形の獣の影がいたら、様子に注意を払う
仲間が海に入るならロープを持ってもらい岸から引き上げられるように
自分も同様にし、水面歩行で少しだけ進み、水面の揺らぎで変化はないか
不測の事態で飛翔で救援か離脱
戻る岸の方角を把握し無茶しない

貴殿はなぜ殺意を抱く?
呼掛けは駄目かな

敵の襲撃時は飛翔で全速離脱
交戦時は狙い合わせ最低限突破、戦いの情報収集する
魔力障壁で防御
連絡し全員で撤退を


アイン・トロイメライ
あのウルリケが攻撃を“あえて”受けた…
何故?どうして?

照準は間違えてない、あの様相では逃げようとしても致命傷を受けていたはず
でも、あの一瞬わざと足を止めて砲撃に身を晒したように見えたわ
直前まで確かに逃げようとしてたのに

敵将としてせめて名誉ある死を選ぼうとしたのなら理解する
でも…霧の中から発された声…得体の知れない何かの干渉から解放されたがっていたとしたら?
同情はしないけど、だとしたら哀れね
自分の行動が自分の物か確信を持てないなんて

【残響効果】フル活用
『流言』の情報収集能力と【使い魔使役】を利用
霧の中と声の発生源を調べる
中の存在は推定ウルリケより強大
慎重に警戒、情報を持って帰る事こそ最優先


●『〇月××日の手記』より。『影を発見、しかし……』
「……さて、と」
 テント内で、その身を整えたディアボロスたち。その中の一人、楠井・十佐(ファントムスレイヤー・g02957)は、外に出て海岸へと目を向けたが……、
 どこか……『不安』な思いだった。
 いや、『不安』以外の何物でもない。
 十佐は、燃やされた調査書類の『燃え残り』。それを、『書物解読』を用い、解読を試みた。
 解読自体は、それなりに成功。しかし……。
「……十佐さん……どう捉えるべきなんでしょうね。あれらは」
 同じく、メルセデス・ヒジカタ(冥腐魔道・g06800)もそれに参加。同じく『建物復元』……家財も含め、復元できる効果を用い、テントの物品を修復。その結果、
 6割程度だが、燃やされた書類の復元には成功した。
 しかし……それは、新たなる困惑を産み出していた。
「とりあえず、確認。地図を描きつつ、このまま南の海岸線へ移動。『スーパーGPS』も併用して、その精度をあげる……かな?」
 気分を新たにせんと、ガートルード・シェリンガム(転生者の妖精電脳騎士・g09370)のあえて明るめな言葉に、
「うん。それからボクたちも、『自分と仲間の位置を、常に把握しておくように』心がけておくことも、忘れずにね」
 と、クリアルト・ハイランド(人間の妖精騎士・g01311)が、同様に明るい口調で相槌を打つ。
「ああ。それと、霧が濃いなら……つーか、さっきよりももっと濃くなってないか?……『完全視界』でよく観察して、『パラドクス通信』での連絡も、密にする。だな」
 嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)と、
「……そうだな」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が、それに続く。
「…………」
 エトヴァは、目を細め……顔をこわばらせた。
 感じた何かが『不快』なもの、そんな気がする表情だった。何かを感じたのだろう。
『不快』と思う、何かを。
「…………」
 マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)も、同様の表情を浮かべていた。彼女も同じく、なんとなく感じ取っていた。濃い霧の中の『不快』な何か、『嫌な気配』の存在、その気配めいたものを。
「……何かが、『いる』。または、『ある』のは間違いないの。けど……その『何か』が何なのか、それがわからないのが……厄介なの」
 そう思った彼女は、いきなり驚いた。自分の立っているすぐ近く、テントの外布の場所に。
 多くの『蛇』が、塊になって絡まり合っていたのだ。
「!」
 今まで、そんなものの気配など無かった。そのため、マリアラーラは状況を理解するのに時間を要した。
「どうかした? 顔色が良くないけど?」
 隣に立つ、アイン・トロイメライ(子どもの夢でさようなら・g00491)が問いかける。
「アイン! 見えないの!? ここに……」
 落ち着き払った彼女に対し、声を荒げたマリアラーラは、
「……え?」
『蛇』と思ったのは、絡んだロープの塊だった。どこをどう見ても、ロープにしか見えない。
 一瞬だが、確かに蛇が絡まり合い、蠢いていたように見えたが、
「……ごめん、何でもないの」
 きっと、この不安のせい。それが幻を見せたの。
 彼女は無理やり、自分をそう納得させた。

 やがてディアボロスたちは、それぞれで思うところありつつ、出発した。
 前方を十佐と暁翔、その次にメルセデスとエトヴァ。アインにマリアラーラ、ガートルードがそれに続き、最後尾には無双馬に乗ったクリアルト。
 R9地区の、沼沢地。その沼地に続く小道と、小道が集まりでできた広場。それらが縦横に広がる中を……迷路を進むように、ディアボロスたちは進んでいった。
 しかし……進むにつれて、不安は更に増加していた。
 何も起こらず、何も見つからなかったのだ。
 正直、道中は何も無かった。霧も、先刻に比べ晴れてきたので、『影』とやらは見られるのか、出て来るのかと一行は身構えていたが……、
 その期待に反し、しばらくの間進んでも何も起こらず、何も出てこなかったのだ。地形を調べ記録しつつ、一行は進んでいく。
 順調すぎるほどに、順調。それがより一層、ディアボロスたちの不安を招く。
 一時期、沼地の泥に足を取られそうになったが、なんとかそれは免れた。
 やがて、
『……こちら、暁翔。みんな、潮の臭いがする。となると……もうじき『海岸』に到着すると思われる。それでも、充分に注意するように……』
 パラドクス通信で、連絡が入って来た。まさか、霧の中の何かはもう出てこないのか? 
 はたして、霧がうっすらと明けると、
『海面』が見えてきた。海岸は目と鼻の先だろう。
 進みながら、十佐とメルセデスは思い出していた。再生し、復元した『書類』の『記録』を。

 数刻前。
「…………この状態なら、この程度までが限界かな」
 テント内。十佐の目前、先刻に茶が並べられた机の上に、今広げられているのは。書類の燃え残り。
 十枚程度は回収されたが、燃え残りの多くは失われてしまい、読み取ることはほぼ不可能。
 他にもあったようだが……その灰すらも残って無かった。ひょっとしたら外のゴミ箱にでも捨てたかと思ったが、そこにもない。沼に灰をぶちまけたのかもしれないが……そこまで確認するのは恐らく無理だろう。
「…………」
 この燃え残りに対し、『書物解読』で分析してみるが……、その結果は、『奇妙』だった。
「?」
『書物解読』。この効果は、『執筆者の残留思念を周囲の書物に宿らせ、ディアボロスにその知識を伝える』というもの。描かれていない関連知識すらも、髙い技量を持つ者なら得る事が出来る。
 結果、思念は読み取れた。
 十佐が『奇妙』と思ったのは……読み取った思念からは、『意味が分からない』『正体不明』『あれは……恐るべきもの』といった感情や確信ばかりが伝わって来たため。
 もっと言えば、『未知なる存在への混乱や恐怖』。そのような感情ばかりで、具体的に『何を発見したのか』は、伝わってこなかった。これを書いた時、ウルリケは……かなり動揺していたに違いない。恐怖の中には、『拒否感』すらあった。
 困惑する十佐に、
「このまま、新宿に持ち帰る?」
 と、メルセデスが。
「……そのつもりです。最大レベルの修復加速書物解読なら、修復した書類から、奴が隠そうとした調査結果を読み取れるかもしれません」
 それでも、この混乱と恐怖の正体が何かは、判明できないだろう。十佐はそんな事を思ってしまった。
「だったら、この場で私にも修復させてもらえないかしら? 『建物復元』をこれにも応用すれば……ひょっとしたら……具体的に何を書き記したのか。少しでもその手がかりが得られるかもしれないわ」
「……お願いします」
 十佐は、彼女に任せた。
 そして、復元は完了。若干不完全ではあったが、辛うじて中身を閲覧できる程度には、復元する事に成功した。
 その中身を精査しようとした時、
「……なあ、そろそろ出発しないか? 『完全視界』を持ってはいるが、霧がさっきより濃くなってきてる気がする。……一応周囲を見て、何もないと確認はしてるが……なんとなく、長居すべきじゃないとも思う。正直……薄気味悪いぜ」
 外を調べていた暁翔にそう言われ、出発する事にしたのだった。

 と、そこまで思い出した時、
「……皆、止まってくれ」
 暁翔からのパラドクス通信が、皆に停止を指示した。
「何か分からんが、後ろの方を見たら……でかい『影』がある!」
 全員が止まる。皆……あまり前後の間を開けずに行進していたが、霧が更に濃くなっていた。徐々に日も傾きつつある。『完全視界』が無ければ、視認はほぼ不可能だったろう。
 しかしそれでも、どこか……怪しさを感じてしまう。もっと言えば、『不気味』だったのだ。
「……こちらの周囲には、何もいないです。けど……」
 ガートルードが、自身の『完全視界』で周囲を見回す。自分の周りには、接近する得体のしれない『何か』はない。
 なのに……気配めいたものが感じられてならない。
『何か』が、近くに居る。それは確実。しかし、その『何か』が具体的に何なのか、それが分からず……それを『確認』できない。
 感じるのは『気配』だけ。一体、何が、どうなっているのか……。
 近くの沼の水面に、小さな蛇が身をくねらせつつ、その場を離れていった。
 やがて、ガートルードが振り向くと、
『後方』に、左後ろの北東の方角に、
「……発見しました!」
 巨大な何かの『影』が、霧の中に映し出され、ディアボロスたちは全員、身構えた。

●『〇月×〇日の手記』より。『どういう事だ。影は映ったのに、その本体が……』
「……俺は『見える』! 皆はどうだ!?」
 暁翔が、確認するように皆に問いかける。その答えは、
「……見えます! 影のようなものが……霧の中に!」
 エトヴァが肯定。彼以外の、他の皆も……『影』は見えている。
 つまり、『幻ではない』。実体の持つ何かが、影を作っている。それは一体……、
 しかし、マリアラーラが、
「!……そういうこと、なのね」
 驚愕したがすぐに立ち直り、そして、『見抜いた』
「え? どういう事?」
 アインが聞き返すと、
「……ドイツの、ブロッケン山の現象。この霧と、地形や、太陽の方向からして……おそらくそうなの」
 マリアラーラは見解を述べ、そのまま右前へ、南西の方角へと目を向ける。
 そこには、沼の中に潜む小山めいた土の塊、そしてその上にワニが居た。なりは小さく……大きさは1m程度……皆からも離れているが、口を大きく開けて威嚇している。
「太陽の方向。今は正午を過ぎて、日は西に傾きかけてる。あれの影が……霧に反射して、影になったのね」
「……確かに……そうね」
 ガートルードが何度も、『影』と『ワニ』とを見比べる。
 確かに……そこにはワニの影があった。
「……なるほど、『ブロッケン現象』ですね」
 近付いてきたメルセデスが、その正体の名称を口にする。
 ドイツはハルツ山脈の最高峰、ブロッケン山でよく見られる自然現象。簡単に言えば、『山岳地帯などで、濃霧の中。背後から太陽の光を受け、そこから生じた影が霧に反射する』、というもの。確かにワニの影の周囲をよく見ると、虹に似た光輪も出ている。
「……聞いたことが有ります。ドイツでは、『グローリー(光輪)』や、『ブロッケンの妖怪』などと言われてる現象で、かつては妖怪と思われていたとか」
 と、十佐も口を挟んだ。
「……となると、この地形と天候が、この現象を起こしているとみて間違いなさそうですね」
 エトヴァの言葉に、
「という事は、ウルリケが見た影の正体は、これという事で……」
 アインが言い終わらぬ前に、
「きゃっ!」
 ガートルードは石に躓き、尻餅をついてしまった。
 そして、気付いた。いつの間にか海岸近くに来てしまったらしい。
「……とりあえず、地形の調査を済ませましょうか」
 十佐が、口を開いた。

 ディアボロスたちは、当初の目的である『地形の調査』を開始。それぞれのやり方で記録していくが……、
 どこか『奇妙』な気分だった。『影』が、先刻のブロッケン現象だとは、正直……納得できていなかったのだ。
 全員が、それぞれ広がり、海岸やその周辺の地域を調査し、記録していく。クリアルトは無双馬を近くの岩場……浅い洞窟がある場所に繋げると、
「ここで待ってて。すぐに終わらせるから」
 そう言って、海岸に戻っていった。
 そんな中、
「……ねえ、対岸が見えるのね。マリア、霧の届かない『海中』も調べてみたいと思うの」
 霧の切れ間に、海面と、対岸らしきものを見たマリアが言い出す。海上はやや霧も薄めだった。
「それでは、俺がロープを持っていよう。『水面歩行』で途中まで水面を進むから……」
 エトヴァの申し出に、
「わかった、お願いするの」
 マリアラーラは承諾。自分の身体にロープを結び、
 ともに海岸へ、そして海の水面へと向かっていった。

 海中。
(「……『水中適応』で呼吸は大丈夫だし、『完全視界』で、視界も確保。それに、エトヴァの助けもあるから……」)
 何かあっても、すぐに発見し、行動ができる。そう考えつつ、マリアラーラは水中を、海底を進む。
 エトヴァの用意したロープは、充分な長さがあった。海底に辿り着いても、まだ余裕がある。おそらく、対岸に上陸しても大丈夫だろう。
 でも……。
 気になる。先刻に対岸が見えたが、『完全視界』でも、どこか……はっきり見えた気がしない。
 十佐も、暁翔も、メルセデスも、他の皆も、なぜか『完全視界』を用いたところで、『対岸』は、はっきりと見えないらしかった。
 水中は、クリアに周囲を見渡せる。正直、平和すぎる。サメのような危険な海洋動物すらいないし、見当たらない。
「…………ここには、何もないの?」
 当てが外れたかもしれない。というか、あまりに平和すぎて、気が緩みそう。
 そう言えば、『霧の影』も気になった。思うに、自動人形や機械などの『共通項』がない。ブロッケン現象が全部の影の原因とは思えないし、その程度で説明が付くとも思えない。
 加えて、先刻に見た『蛇の塊』。
 あれは見間違いでは片付けられないほどに、迫真的だった。生臭い爬虫類の臭いまで漂ってきたのだ。
 しかし、あの場所に蛇は一匹もいなかった。となると、何だったのか?
 ……いや、考えても答えは出ない。
 そうこうしているうちに、対岸近くの海底に。
 イングランドはネス湖の怪物になった気分で、マリアラーラは浮上。海上に顔を出した。
「……?」
 浮上した目前には、対岸の海岸線があった。もう少し泳げば、上陸もできる。できるが……、
「……!」
 やめておいた。強烈に、嫌な予感がしたのだ。
 海岸線は、ここからもはっきりとは見えない。そして、説明できないが……本能的に『これ以上近づくな、引き返せ』と、細胞そのものが警告している気がする。
 マリアラーラは、ロープを数度、引っ張った。
 その合図を受けて、エトヴァが自分を手繰り寄せるのを、彼女は感じ取った。

●『〇月〇×日の手記』より。『わからん、実体の観測結果が……それとも……』
「……ああ、ここにいたんですか」
 十佐は、メルセデスを発見した。彼女は、海岸近くの浅い洞窟の内部、そこにある石に腰かけていたのだ。先刻に復元した、書類をチェックしている。ここも若干、霧はやや薄かった。
「メルセデスさん、それは復元した書類?」
「ええ。地形の調査はひと段落したから、休みがてらにね。復元した後に、ちゃんと中身を読んでなかったから……」
 言いつつ、資料に目を走らせるメルセデス。だが、彼女の顔が曇り、それ以上言葉を発しないのを……十佐は訝しく思った。
「メルセデスさん?」
「……どういう、事? これは……?」
 彼女は立ち上がり、叫んだ。
「すぐに皆に知らせないと! これが事実なら……」
 しかし、
「「!?」」
 いきなり、不気味な咆哮が響いてきた。
 何かはわからないが、まるで……太古の昔から存在していた、名状しがたき何かが目覚めたかのような、怖気を覚えさせるような咆哮だった。
「……あの声は……」
「……『霧』の中から?」
 落ち着かんと、息を整える。たかが咆哮、この程度で恐怖するほど、二人はヤワなディアボロスではない。恐ろしい相手とは、過去に何度も対戦し勝っている。
 なのに……『声』だけ聞いただけなのに、ねっとりとした恐怖が、二人の心にこびりついて離れない。あの『声』の主、その姿を見てはならない。先刻のテント時に感じた警戒心、あの時以上に強いそれが、二人の心臓を鷲掴んでいる。
 二人は時間をかけ、深呼吸し、心を落ち着かせた。
 そこへ、
「十佐! メルセデス! 今の声、聞いた!?」
「他の皆さんは?!」
 マリアラーラとエトヴァが、二人の元へと駆けつけてきた。

 マリアラーラとエトヴァが、洞窟のメルセデスと十佐へと合流する数刻前。
「……おい皆! 見えるか!?」
 暁翔は、書き記した地形の地図を皆で照らし合わせていたが、
 霧が徐々に濃くなってきた。R9地区の沼沢地より、更に深く、濃くなっていく。数m先のディアボロスであっても、見逃しそうになってしまうほど、霧は濃くなっていく。
 そして、
『それ』が出現したのを、見てしまった。
 ディアボロスたちが今向いている、前方……つまり、太陽がある方角。
 南の方角に、今の時間帯では、そちらに絶対影など伸びない方向。
『霧の中の影』が、そこに見えたのだ。
「「「「!?」」」」
 その場に居たディアボロスたち、
 すなわち、暁翔、クリアルト、ガートルード、そしてアインは、それを見た。
「……『見た』か? 皆、確かに……『見えてる』んだな?」
 暁翔が、確かめるように皆に訊ねる。
 彼自身も、それを見たが……、
『わからない』。詳細が見えそうなのに、なぜか……はっきりとは見えないし、『はっきり見る事を拒んでいる』とすら思えてくる。大まかに、蛇か何かのようだが……。
 よく怪談に出る、『幽霊らしき怪人物の顔を思い出そうとしても、はっきり思い出すことが出来ない』といった記述。暁翔はそれを思い出していた。
「……ああ、ボクは見えてるぜ!」
「私も、見えてる!」
「……見てるわ、わたしもね」
 クリアルトにガートルード、アインが、『それ』を目にしたことを口にする。
「あれは……龍?」
「私は……高射砲に見える!」
「……巨大な塔?」
 そして、見える内容もそれぞれらしい。
「「「「!!??」」」」
 続き、咆哮が。サイレンのようにも聞こえる。
『恐怖』とともに、『心を挫けさせる』何か、『おかしくさせる』何かが、耳に入ってくる。

『お前はこの世界で、このディビジョンで、最もちっぽけな存在だ』『超常の存在の前に、お前は無力だ』

 言葉はないが、そういった『概念』を、強制的に脳へ刻み付けてくるかのよう。そんな音響が、咆哮の中に感じ取れる。
「……くそっ! 舐めるなっ!」
 暁翔は飛翔し、『影』に向かって空中から突撃した。
 こちとらバウンサー、人間も人外も、どんな奴だってブチのめしてきたんだ! 『影』ごときにビビらされてたまるかよ!
 彼に続き、
「……『流言』ツヴィチアン(ヒバリノササヤキ)」
 妖狐の神算軍師にしてガジェッティアたるアインは、己がパラドクスを使用した。
 周辺の魔力を吸い上げ、その魔力に刻まれた情報を解析。その情報を用い、敵への『言霊』として攻撃する情報魔力に変換する機能を有する。
 が、今回は『情報収集』に機能を特化した。
 海中の『魚』や、空中の『鳥』を、『使い魔使役』効果を用い操る。
(「おそらく、中の存在はウルリケ以上。注意深く、『霧』の中と、『咆哮』の発生源を探らないと……!」)
 使い魔とした魚や鳥の見聞きした内容が、アインに伝わってきた。きたが……、
「……これは? まずい! 何か分からないけど、まずいわ!」
 すぐに使い魔とのリンクを切った。ほんのわずかに触れた『影』は、
 実体は感じられず、それ以上に……強烈に危険な『予感』があったのだ。『知るな、関わるな』という、危険を避けるための予感が。
 激しい動悸とともに膝を付いたアインは、
 実感した。『脳みそをかき回される』という苦痛を。鼻血が垂れ、耳と目からも血が流れるのを感じ取る。
「?! アイン?」
「アインさん!?」
 クリアルトとガートルードに助けられるが、足に力が入らず、立てない。
「……り、理解、したわ……」
 理解できない事を、理解できた。
 もしもあのまま、使い魔を介して情報収集し続けていたら、自分は間違いなく発狂していただろう。それだけ、濃密かつ膨大な情報量を有した魔力の塊が、あの『影』にはあったのだ。
 魔力だけならなんとかなったかもしれない。しかし、同時に生じる、この激しい警戒心と恐怖。それらにはどうしても抗えない。たとえ無表情かつ無感情、怖いもの知らずで有名なヤツだとしても、あの『霧の中の影』に接したら……、赤子のように泣き叫び、恐怖を覚え、そのままショック死するだろう。
 そして、
「ぎゃあああああっ!」
 暁翔の悲鳴が響き、
 続き、墜落音が響いた。
 それに対し、アインは警告せんと口を開いたが、
「り、理解した。理解できた……わ、私の妹から聞いた話、ブルーの草木が生い茂って、真っ黒な白無垢を着た一人一人が、あんなところで何してやがるのかと、とととととと、とても不自然なくらいに自然に関節をくねらせてお姉さまは今とてもかわいいいいいいい」
 言葉が言葉になっていない、会話の体になっていない、言葉の羅列、支離滅裂な言葉が響いてくるのみ。そしてそれが分かるのに、それを直せない。
「ど、どうする?」
「活性治癒で治療? でも、効果は? イグジストハッキングの方が?」
 クリアルトとガートルードも、それに混乱し、
「どうする?どうするの? 日が登りさっきのブロッケン現象みたいなのがまた起こったら……真昼にさしかかって、そのままピタピタとナマ暖かいナマハゲの風が吹いてくるだけなら大丈夫。既に兄貴じゃなくボクが真後ろで沸騰させて凍ったに違いないんだ。ああ、ザリザリって言うからザリガニって言うわけないだろ。馬鹿な魚たちだ」
 クリアルトの言動も支離滅裂になった事を、ガートルードは理解した。
「ちょっと! 何を……」
 ガートルードはクリアルトを揺さぶったが、
「何をって聞いてるだろ! なんでお前までくびりってるの! あぶらいだろーが? あぶらガラスで炙り烏がくるのに、あぶらいあぶらいためあぶらアブラあぶらあぶらカタブラ……精霊王アブラクサスがアブラを腐す……」
 彼女もまた、自分の言葉が支離滅裂になった事を、自分自身理解した。
「……おい、お前ら!」
 やがて、バシャバシャと……海面から暁翔が戻って来た。
「大丈夫か!? おい、しっかりしろ!」
 彼もまた、三人の状態異常に気づき、揺さぶるが、
「しっかりしろ! どうかしたのか! そもそもどうかしたんなら同化したんじゃないのか? 何かを見てなにかを感じたならその感じた道化で銅貨をどうか恵んでやればいいけど、どうにもこうにもにんともかんともいかないから認知して認知ができない? じゃあ人間じゃない人でなし人じゃないナニカを…………」
 暁翔自身もまた、……ペラペラと訳の分からないことをしゃべり始めた。

 アインも、クリアルトも、ガートルードも、そして暁翔も、
 自分たちが『おかしな言葉を発している』ことは、喋りながら理解していた。
 しかし、理解しているのに、『黙りたくない』『おかしくなりつつある事はわかってる』『だがそれでも、良いんじゃないか』と、心の中で考えている。
 その事実が、恐ろしかった。そして、『別にこのままでもいいだろう』と思いかけたその時。
「みんな、ごめん!」
「強めに、いくわよ!」
「お願いするの!」
「任せて!」
 そこに駆け付けた、十佐、メルセデス、マリアラーラ、そしてエトヴァ。
 彼らは、
 暁翔、ガートルード、アイン、クリアルトに、それぞれ当身を食らわせた。
 かなり強めに殴りつけ、気絶させたのだ。

「……え?」
「……オレ……私は、何を?」
「……痛っ! 何するの! ……あら?」
「……ボクは、一体……?」
 当身を受け、気絶していた四人は、目を覚ますと、
 リセットされたかのように、正気に戻っていた。少なくとも、そのように見えた。

●『〇月〇〇日の手記』より。『ああ、近くに……テントの外に、外に!』
「……マリアはエトヴァと上陸した後、メルセデスと十佐を探しててね」
「お二人を洞窟で見つけて、近づいたらあの咆哮が聞こえてきて。で、四人で皆を探し出し……」
 結果、なんとか助けられたのだと、マリアラーラとエトヴァが説明した。
 既に『霧の中の影』は消え、霧自体もうっすらと薄くなっている。
 ディアボロスは全員が海岸から離れ、先刻の洞窟内に避難をしていた。適当な大きさの石や岩に座り、なんとか平静を取り戻さんとしていたが……、
「……俺たちは、一体どうしちまったんだ?」
 暁翔が、頭を振りつつぼやいた。
「……すみません。ウルリケが破棄した『資料』ですが……これを復元した後、すぐに確認し、皆さんに知らせるべきでした」
 メルセデスが、その資料を取り出す。
「でも、今の皆を見て……確信できました。おそらくこの『霧』には……」
 濃くなった状態で、恐らく多く吸い込む事で、強力な『認識阻害』を発生させ、幻覚を見せる作用がある。十佐は、そう述べた。
「……認識阻害? どういう事?」
 アインの質問に、
「さっき、復元した書類の『内容』ですが……地形調査がひと段落したので、内容を確認したんです」
 その内容を、メルセデスは、
 十佐とともに語り始めた。

・・・・・・・・・・・・・・

『……何度もモラン・ドールたちに調査させているが、その原因は不明。何かがいる事は間違いないが、その何かは不明なまま……(関連性の薄い内容に移行)』

『……アドレサンスに知らせず、自身で独自に調査に赴く。モラン・ドールを数名随行。件の「影」と思しきものに自分も遭遇・視認。しかし観測装置全て、対象に対する反応は無し。これはどういう事か。懸念材料としてここに記録………』

『……調査に出たモラン・ドールたちの思考回路が、少々狂ったような気がする。彼女らは人と同じ。それゆえ狂気に陥ったり、恐怖の感情もある(臆病というわけではない)。ゆえに、あの霧に関して『恐怖』を覚えるのはわかる。わかるが……』

『これで四度目の調査。しかし、正体の判明どころか、ますます謎が深まる。海岸線に数名のモラン・ドールを連れてやってきたが、霧が濃く、ブロッケン現象のような巨影を目撃したのみ。……(中略)……調査は今回も失敗と思いきや、部下が影を目撃したと無線連絡有、一名のみ帰還……(以下殴り書きで判読不能)』

『……昨日の詳細をここに記す……(中略)……昨日に目撃した巨影に関し、部下たちは『ドラゴン』、『巨蛆』『百足』などと言っていたが、自分が目撃した限りでは、『それら全てを兼ね備えた何か』という印象。更には『復讐せよ』だの、『侵略者を、全てを殺せ』という内容の声も聞こえる……自分もじっくり観察したが、次第にそれに対する疑問が沸き上がって来た。説明は難しいが、自分の認識に何らかの影響があった模様……後を部下たちに任せ、自分は先に帰投……(中略)』

『(中略)……モラン・ドールは一名を除き、未帰還・行方不明。帰投した一名は、支離滅裂な言動を繰り返すのみ。最後には自分の頭を打ち抜き自害……(後略)』

『(前略)……調査五度目。再び『影』を霧の中に目撃。今回は注意深く接したためか、異常は無し。しかし、部下はまた支離滅裂になりそうになった……『霧』に認識阻害能力は、確実に存在する様子……(後略)』

『……アドレサンスと協議する予定だが。近々この地を離れようと思う。その際、この件に関する資料は破棄……その理由として、我々の上層部は(独自につかんだ情報から)、おそらく我が部隊の事を忘れている。奴らに義理立てる必要は無い……』

『……話を戻す。自分の考えをまとめるため、改めてこうやって書き記し、然る後に破棄する。(中略)……海岸線にて、この件を調査したモラン・ドールの部下たちは、例外なく行方不明。唯一発見された個体は、破損していた。何かは存在するだろうが、こちらから何もしなければ、被害もない。放置し距離を置くべきだ。それが結論。そもそも、正体が何であれ、調査自体が面倒くさい……(後略)』

『(前略)……後に、ここから撤退する。その準備を整えた後、我々は此処から新天地に赴くつもりだ……(中略)……『霧の中の影』は、夢に出て来る。ミードに酔って見た悪夢、頭に浮かんだ『恐ろしい何か』、が、時折夢に出て来るのだ。夢の詳細は覚えていない。毎回忘れてしまうが、『恐ろしいものを見た』という『事後の感覚』のみが残っている。……そして、徐々にその夢を見る間隔が、狭まっている……(後略)』

『(前略)……これが最後。あのわけのわからん『霧の影』に関しては、思い出したくもない。それに軍からは逃れるわけだし、知らせる義理も無い。故に、『霧の影』に関する資料は、全て破棄する。……この手記もこれを最後にする予定』

『……追記。破棄し、私が忘れてしまえば、『霧の影』から生じた悪夢は、私から消える筈。……くそっ、またあの幻が……あの影が実体化して、外に? 悪夢だ、幻覚だ。ウルリケよ、忘れてしまえ……』

・・・・・・・・・・・・・・

「……と、以上が……復元できた資料の書類から得られた情報の全てです」
 説明を受け、メルセデスと十佐以外の皆は、言葉を失っていた。
「……ほぼ間違いなく、この『霧』には、認識阻害を、平たく言えば、人間の感覚と認知能力に『誤作動を生じさせる』……もっと言えば『狂わせる』作用があるようです。支離滅裂な言動も、その副作用てしょうね」
 メルセデスは補足し、
「霧の中の影そのものもまた、人間の感覚器官と認知を阻害させた結果、生じたものらしく……最初から実体は無かったと思われます」
 十佐がさらに補足した。そして、
「すまなかった、皆に伝えるのが遅くなって」
 そのまま、頭を下げる。
「……いや、俺も悪かった。出発を急かしてしまって。あの場で資料の内容を確認して、情報を皆と共有した上で出発するべきだったな」
 暁翔も頭を下げる。
「いいえ、それを言うなら、全員の責任よ。それより……」
 アインが口を挟み、
「……『疑問』に思っていたのだけど。あのウルリケが『あえて』攻撃を受けた事に、ようやく納得できたわ」
 合点がいったと、頷いた。
「……霧の中の何かに恐怖し、逃れたいと思っていた。忘れようとしても忘れられず、解放されたいと思っていた。だからあえて攻撃を受けて、自分に引導を渡した……と。同情はしないけど……哀れね」
 アインに続き、
「マリアは、さっきテントの側で、『蛇の群れ』の幻を見たけど……多分あれも、『霧』の持つ認識阻害の効果の一部だったと思うの。この『霧』は、人の認識を狂わせる作用があるのね」
 マリアラーラもまた、納得したように頷く。
 そして、
「……でも、だとしたら……この霧、かなり危険だぜ」
 クリアルトが指摘した。
「知らないうちに『自分の認識が、狂わされた』のなら、対処のしようがない。それに……その状態で敵が出現したら、考えるだけでぞっとする。モラン・ドールたちやウルリケと戦った際、ボクらに認識阻害が起こらなくて幸いだった」
 彼に頷きつつ、暁翔も、
「ああ。俺は『自分の中の、精神的なあれやこれや』を、声や影として認識させられると予測してたんだが、大体合っていたな。……できれば外れてほしかったぜ」
 ため息交じりに、そう呟いた。
 そんな彼へ、
「……そういえば、暁翔さん。実際に『影』に飛翔して突撃したそうですが、どうだったんですか?」
 エトヴァは問いかけた。
「それが……覚えていないんだ。気が付くと海に落ち、皆の元へと上陸しててな。認識阻害の効果なんだろうが……それと同時に、とてつもない何かを『見させられた』気がする」
「とてつもない『何か』? それはどういう……」
「わからん。忘れちまったからな。ただ、自主的に『忘れた』ような気もする。それに……仮に覚えていたとしても、そいつは『思い出すべきじゃない』。なんとなくだが、そう感じる」
 その言葉が、ディアボロスたちの間に重く響いた。精神の平穏を保つため、自主的に己の記憶から削除したのだとしたら。一体どれだけ恐ろしいものを見たのか。
 しばし沈黙が流れ、
「……みんな、地形の調査の方は?」
 マリアラーラが、その沈黙を破った。
「俺は、あらかた終わった」
「私も」
「ボクも……できればすぐに、切り上げたいところかな」
「わたしもそうね。8割方といった程度かしら」
 四人からそれを聞き、
「……なら、決まりね。……とっとと『撤退』するわよ」
 メルセデスの言葉に、反対する者はいなかった。

 R9地区の、沼沢地の小路を戻り、テントに戻り、
 パラドクストレインの元へと、ディアボロスたちは帰還した。今回ほど、帰投して安堵した事は無かったかもしれないと、彼らは胸をなでおろす。
「さあ、早く帰ろう。正直ここには……」
 二度と来たくない。連れ帰った無双馬とともに、クリアルトはそう思った。
 他の皆も、それは同じ。
 対岸のディビジョンは、どういうところなのか、それこそまさに、神のみぞ知る。
 だが、それと相対するためには、自分たちも力を付けておかなくては。強くそう思うディアボロスたちだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】LV1が発生!
【無鍵空間】がLV2になった!
【水中適応】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【スーパーGPS】がLV2になった!
【パラドクス通信】がLV3になった!
【飛翔】がLV2になった!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV7になった!
【ダブル】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV4になった!
【グロリアス】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2023年03月25日