新宿島のバレンタイン2023

 新宿島及び奪還済みの地域で、バレンタインを楽しみます。
 チョコを作ったり、造ったチョコを渡したりして、楽しいひと時を過ごしましょう。
 チョコを作る場所や材料などは、時先案内人と、新宿島や帰還した地域の人々が用意していますが、特別な材料などを持ち寄っても良いでしょう。心を込めたチョコレートを作ったり、渡したりして、バレンタインを楽しんでください。
 今年のバレンタイン期間には、攻略旅団の提案の影響により、『吸血ロマノフ王朝北限のオーロラを鑑賞する』ための特別なパラドクストレインも現れます。

※重要

 人々の『帰還』の成功により、最終人類史の力が強化されています。
 多くのディアボロスや住民達が、最終人類史のお祭りを心から楽しむ事で、最終人類史の力はさらに高まり、ディヴィジョンの排斥力を弱められます。
 この効果により【3月2日】に、【2月末日までに完結した『新宿島のバレンタイン2023』のシナリオ数】と同じ日数だけ、その時点で発生している全てのディヴィジョンの全ての事件の【攻略期限】が延長されます。
(例えば【10シナリオ】が完結していれば、全ての事件の攻略期限が【10日】延長されます。なお、3月2日よりも前に攻略期限が来る事件や、攻略期限が無い事件には影響はありません)

玫瑰月季掌中譚(作者 絵琥れあ
7


#最終人類史(新宿島)  #新宿島のバレンタイン2023  #バレンタイン2023  #挿絵あり 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#最終人類史(新宿島)
🔒
#新宿島のバレンタイン2023
🔒
#バレンタイン2023
#挿絵あり


0



 蒋・綱月(待宵之蜜・g08567)は植物が好きだ。
 花も勿論、緑も好きだ。植物は、心に癒しと潤いを与えてくれる。
 そんな彼女には最近、お気に入りの場所が出来た。
 新宿島にある大温室。ここでなら、いつ足を運んでも様々な植物を楽しむことが出来る。
 この日も緑を堪能していると、ふと、あるものが目に留まった。
「……薔薇……ですか」
 春薔薇にはまだ早い筈の蕾。
 スタッフの話によると、開花時期は例年、早くても四月頃なのだが、時折早咲きの薔薇が咲くのだと言う。とは言え、それでもこれはかなり早い方なのだが。
「季節の花をその時々に楽しむことを至福としておりましたが……こういった発見も、満ち足りた気持ちになるものですね」
 綱月はその表情を綻ばせ。
 ……ふと、あることを思い出した。


「最終人類史における私の故郷では、バレンタインには男性から愛する女性へと、薔薇の花束を贈る習わしがあるようですね」
 集まったディアボロスたちを前に、そう切り出す綱月。
 そう、これは彼女からの、バレンタインのお誘いなのだ。
「ご存知の方も多いと思いますが、先日の節分で地獄変のエネルギーを蓄積することが出来たのと同様に、バレンタインにもまた特別な力がございます」
 最終人類史の力を高め、ディヴィジョンの排斥力を弱めることの出来る力。
 それは、多くの人々がこういった季節の催しを心から楽しむことで発揮される。ディアボロスも、一般人もその別なく。
「というわけでございますので、私からもひとつご提案させていただきます。新宿島にある大温室で、薔薇をメインにプリザーブドフラワーのアレンジメントを作成してみませんか」
 プリザーブドフラワー。
 瑞々しい姿のまま長く咲き続けるよう、生花に保存加工を施したものだ。
「温室のスタッフの皆様や、近隣の花屋の皆様にご協力いただいて、薔薇を始めとした各種プリザーブドフラワーと、それを受け入れる器も取り揃えております」
 王道に則って、愛する人へと薔薇のアレンジメントを作って贈ってもよし。
 ちょっとそれだと敷居が高い……という人向けに、黄色の薔薇を始めとした、友情に関する花なども揃っているから、友人や家族などで交換するのもよし。
 楽しみ方は参加者それぞれだ。
「今の時期ですと、ロマノフの北限へと北極光を観測するための特別なパラドクストレインが新宿駅に現れるようですから。そちらで贈り合ったりするのもよろしいかと。勿論、贈り物とは関係なく観測を楽しむことも可能でございますよ」

 説明を終え、綱月は徐にふと穏やかな笑みを湛えて。
「花も、移ろう季節も、どれだけ手を尽くしても、如何なる魔法を以てしても、永遠ではございません」
 けれど、それでも。
 絆は、想いは、確かに残り続けるものもあると信じたい。
「ですからこれは、そんな皆様の心を預けるもののひとつになれればと、そう願ってやみません」
 集まった皆にとって、そして、日々を懸命に生きる全ての人にとって。
 今日が善き日であるように。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【寒冷適応】
3
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV1 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【アクティベイト】LV1 / 【ドレイン】LV3 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあと申します。
 正確には薔薇と玫瑰花は別物(後者はあくまでバラ科の植物)だとか。

●選択肢について
 ①&③(気持ちやや①優先)→②の順で執筆となります。
 アレンジメント作成のみ、オーロラ鑑賞のみといった参加も可能です。
 また、①で使える薔薇以外の花につきましては断章にてご説明させていただく予定となります。
 【断章投稿直後から受付開始】を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、オーロラ鑑賞に向かう場合は事前に【寒冷適応】か、温かい格好の準備をお願いいたします。

●採用について
 採用人数に明確な上限は設けておりません。
 但し参加状況や参加人数によっては全採用をお約束出来なくなる場合がございます。

 また、特定の相手にプレゼントを渡したりデートをするという場合【両方のディアボロスが参加している】必要がございます。
 プレイングの冒頭にお相手様のお名前とID、またはチーム名の記載をお願いいたします。

 今回は団体様でいらっしゃってくださる場合は【二名様まで】を上限とさせていただきます。
 悪しからずご了承いただけますと幸いです。

●NPCについて
 綱月が参加しております。
 お声がけいただければ、細やかながらご一緒させていただきます。
 アレンジメント作成のお手伝いや話し相手など、何かありましたらお気軽にどうぞ。
 特にお誘いがなければリプレイ中には登場しません。

 それでは、ご縁がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
31

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ



 新宿島に存在する大温室。
 平素であれば展示スペースとなっているその場所はこの日、アレンジメント製作のために開放されていた。
 薔薇をメインにした、プリザーブドフラワーのアレンジメントを。
 そういった触れ込みで開催された今回の企画。
 ディアボロスたちの前には、色とりどりの花々と、飾る器が並んでいた。
 用意されたメインの薔薇は、五色。
 まずは王道の、赤。鮮やかな赤から深い紅まで揃った情熱の色は、言葉なくとも愛していますと伝えるだろう。
 次いで透き通るような、白。清廉な純白は尊敬を表す花でもあり。家族へ贈るには誂え向きだ。
 更には明朗快活な、黄。優しい色合いも並ぶそれは、実は友情の花。但し嫉妬や失恋の印象もあるから気をつけて。
 その隣には愛らしい、桃。淡い色合いも、華やかな色合いも揃うその色は、西洋では感謝を表すとか。誰に贈るにも相応しく。
 最後を彩るは奇跡の、青。かつて不可能の色と言われたほどで本数は少なく、ふんだんには使えない。けれど祝福を込めて贈ろう。
 また、薔薇以外にも種類は少ないが、花や葉物も取り揃えられて。薔薇を主役に据えることを推奨されているものの、強く希望するのであればこちらの花を立ててもいいとのこと。
 大まかな花言葉ごとにコーナーが分けられており、恋愛関連であればアイビー各色、赤のアネモネ、カスミソウ、ジャスミンの葉。友情関連であればミモザ、橙のヘリクリサム、白と黄色のフリージア、ダスティーミラーの葉。感謝関連であれば白いダリア、桃色のガーベラ、同じく桃色のカーネーション、葉物にモルセラ、といった具合に。
 最後に、それらを受け入れ飾り立てる器も忘れてはならない。
 籠製の器はシンプルなものから手提げのバスケット型、ボックス型なんてものもあり、ナチュラルだったり可愛らしい演出が出来る筈だ。
 陶器製の器は皿のような形の花器から、花瓶のような壺型のものまで各種取り揃えられている。まるで生花を生けているような雰囲気を出せるだろう。
 そして硝子製。こちらも花瓶型からポット型など種類があり、透明感や瑞々しさをより楽しめるが、特筆すべきは密閉型の容器があることだ。
 ドーム型やテラリウム型のものは密閉可能で、ロマノフへで贈り合う予定があるならまさにこれらがうってつけ。
 ……とは言え。
 やはり作って楽しくて、贈った相手の笑顔を思い浮かべて嬉しい。そんな作品が出来るなら、花の種類や意味などを気にしすぎることはきっとない。
 大切なのは、作り手が込める心からの想いなのだから。
ハーリス・アルアビド
草花をそのまま長く保存できるとは、このような技術が生まれるほどに草花は人々に愛されて来たのですね。
その恩恵に与れることに感謝いたします。

しかしこれだけ美しい草花ばかりでは何を選べばよいか…。
複数の色を選んでもよいでしょうか?黄と赤を。器は陶器製の皿を頂けますか?青い物があるならそちらを、なければ白をお願いします。

生前私は誰かに贈り物ができる身分ではありませんでしたが、今の時代であれば私を奴隷とも被差別民とも呼ぶ者はいません。
ようやく誰に気兼ねすることもなくあなた方に贈り物ができます。



 色とりどり、並ぶ花。
 ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)は感嘆を禁じ得ず、思わず溜息ひとつ零れる。
「草花をそのまま長く保存できるとは、このような技術が生まれるほどに草花は人々に愛されて来たのですね」
 秀麗な相好も微かながら、柔らかく綻ぶ。
(「その恩恵に与れることに感謝いたします」)
 今も昔も、植物に心癒されることに変わりなく。
 胸中で捧げるのは、感謝の祈り。
「しかし、これだけ美しい草花ばかりでは何を選べばよいか……」
 一方で、そんな戸惑いも覚える。嬉しい悩み……と言ってしまえば聞こえはよいが、ハーリスには決めきれず。
 熟考の末、スタッフの一人に声をかける。
「複数の色を選んでもよいでしょうか? ええ、黄と赤を。器は……」
 有識者を頼り、その言葉を聞き入れられるのは、ハーリスが生まれ育った境遇ゆえのこともあるだろうが、何より生来の人柄がそうさせるのだろう。間違いなく、彼の美徳だ。
「陶器製の皿を頂けますか? 青い物があるならそちらを、なければ白をお願いします」
「解りました。それなら……こちらは如何でしょうか」
 ハーリスの希望を聞いたスタッフが揃えたのは、赤と黄色の薔薇。それから、赤はアイビーにアネモネ、黄色はミモザにフリージア。それから、葉物を幾つか。
 器は、水面をイメージしたと思しき陶器の皿を。藍に近い青と、碧色と呼ぶのが相応しいような、二種。よりイメージに近い方を選べるように。
 用意して貰ったそれらを、ハーリスは吟味し、気に入った花を、色艶のよいもの、形のよいものと選別してゆき、皿の上で彩る。
 次第に完成に近づいていく様子に、比例するようにその表情にも柔らかさが増していく。
(「生前、私は誰かに贈り物ができる身分ではありませんでしたが……」)
 今、この時代。ハーリスに隷属を強いる者はいない。行動に移さずとも、奴隷だの何だのと呼ぶような者も。
 かつて善き主に巡り会えたことは幸いだったが、それでも当時は、周囲の目が容赦なく身を刺すことが、なくなったわけではなかったから。
 けれど今は二度目の生なれど、真の意味でハーリスは自由だ。何を好むかは勿論、どう生きるのかも。
「ようやく、誰に気兼ねすることもなくあなた方に贈り物ができます」
 余りにも優しい安堵の言葉を、水面の色に浮かぶ花々は確かに受け止めただろう。
 それこそを『想い』として。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

永辿・ヤコウ
長く長く咲き続けてくれる花達に
大切な人への
褪せない想いを託そう

花々へ
そっと「こんにちは、宜しくお願いします」の挨拶
誰にも聞かれない程の囁き声だけれど
風に幽かに揺れた花や葉が
微笑み返してくれたみたいで愛おしい

アレンジメントは
花束と
ブートニア

赤薔薇をメインに
濃淡織り交ぜた赤系統を揃え
レースに見立てたカスミソウは
全体を柔らかく見せる為の
色のぼかし効果も

サテン地の赤リボンで結めば花束の完成

次いで
花束と揃いの赤薔薇を用い
ブートニア作り

シンプルに一輪
だけど
艶やかさに少しどきりとしてしまうから
カスミソウで可憐さを足し
リボンで仕上げよう

婚礼衣装の胸元で、手元で
鮮やかに咲いてくれるに違いなく
想像するだに笑み綻ぶ



 花も人も、命は有限なれど。
 今、永辿・ヤコウ(繕い屋・g04118)の目の前で華やぐのは、時を遅らせたように瑞々しく咲き続ける花。
 ヤコウの心は、既に決まっていた。
(「この、長く長く咲き続けてくれる花達に、大切な人への褪せない想いを託そう」)
 そうして手に取る……その前に。
 花々へと、語りかけるように少し、顔を寄せて。
「こんにちは、宜しくお願いします」
 そっと、挨拶を。
 誰にも聞かれない程の囁きで、感謝と敬意の念を込めれば。
 風にそよぐように、花や葉が幽かに揺れる。
 まるで想いを解し、微笑み返してくれたようにヤコウには感じられて、愛おしさが募る。
 最高の作品にしよう。この花々にとっても、誰かの想いを彩れることを、誇れるように。
 改めて、まず手にしたのは主役の赤い薔薇。
 鮮やかな赤に揃えるのも、愛を告げる赤の色。濃淡を織り交ぜて、美しく整うように並べて揃え。
 そしてレースに見立てて添えたカスミソウが、全体を柔らかく見せ、色合いに程よくぼかしをかける。
 サテン地の赤リボンで結んで、完成したのは愛の色した花束。この胸に温かく灯り続ける熱を込め、具現化したかのような、心の彩。
 だが、これで終わりではなく。
 次いでヤコウが手を伸ばしたのも、花束と揃いの赤い薔薇。但し今回はシンプルに一輪。
 けれど、鮮やかな一輪ゆえに。
(「その艶やかさに少しどきりとしてしまう」)
 だから、やはり寄り添うのは可憐な白のカスミソウ。
 包まれて、赤も映えるが、孤独にその存在を誇示することはなく。白を伴い艶めきながらも楚々として、洒落て垢抜けた印象に。
 花も、魅せ方を変えれば見せてくれる表情はひとつだけではない。まるで人のそれのように。
 だから、あの人の顔を想起しながら心を込めて、ふわりとリボンで仕上げれば。
 花束と揃いのブートニアが花開く、ヤコウの掌の中。
(「今はまだ、僕の手の中だけど」)
 ゆくゆくは、婚礼衣装の胸元で、手元で。
 今この瞬間と変わらず、鮮やかに咲いてくれるに違いなく。
 想像するだに笑み綻び、想い馳せずにいられない。
「ああ、楽しみだな」
 その唇から我知らず、ぽつり零れた真心。
 花弁のように、色づいて。
 未来を想い描いて、咲う。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【傀儡】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

咲樂・祇伐
🌸樂祇

時をとめた薔薇は繊細で触れるのも躊躇われてしまうくらい
お兄様?永遠の想をしっているかのようね

私?私は…
目に入ったのは赫
あなたの双眸の色にも似た赤
愛を示す薔薇の彩
…どうにも口にするのが躊躇われて

私だってあなたを想って薔薇を選びたい
咲き綻ぶ想いを枯らさずにこうして
ブリザーブドフラワーのように……咲かせておきたい
けれど

あっ!
攫われた指先が冷たくて、熱いのは気の所為ではなくて
お兄様……!
……一緒に、ならいいです
素直になれない心を
分かち合うことが叶うなら

この器、可愛い…
円かなポット型の硝子の器

誘われるように手にしたのは
真っ赤に熟れて染まった赤い薔薇
お揃いのそれを並べて飾る

…あなたは
本当に…狡いわ


咲樂・神樂
⚰️樂祇

咲いては散る華に
刻をとめる魔法をかけたようね
例え本当の永遠ではなくても
射止められた刻に咲く花に込められた想いは、永久にだってなるのかも

私はね
君を想い薔薇を選ぶよ
人は薔薇に愛を託すのだろう?

祇伐、あなたはどの色の薔薇が好き?

躊躇い惑うような彼女の指先を握って咲む
じゃあ一緒に選ぼう
二人なら大丈夫
二人でひとつのアレンジメントをつくろう!
心を分け合うなら悪くないだろう?

花器は硝子のものを
祇伐がポット型が気になるなら、それに

薔薇は──赤を
あかい、赫い、黒にも近い程に紅い
深い愛の彩を
祇伐が選んだのも同じなんて嬉しいな

寄り添うふたつをみて咲う
ふふ
私達のこころの彩だ
隣合っているなんて……私達のようだね



 ほぅ、と咲樂・祇伐(花祇ノ櫻禍・g00791)の薄紅色した唇から、小さく吐息が零れる。
 瞳に映る綻びは、時をとめた薔薇。そのあまりの繊細さは、徒に愛でれば壊れてしまいそうで。
(「触れるのも躊躇われてしまうくらい……」)
 言葉を失う彼女の傍ら、咲樂・神樂(離一匁・g03059)が柔らかい声音で紡いだ言葉は。
「咲いては散る華に、刻をとめる魔法をかけたようね」
 はたと、祇伐がその面を向けるには、充分すぎるほど。
 心の中を、識られているかのような感覚に、ひとつ、とくん、と。
 けれどすぐに心を占めたのは、神樂の声で続く、その。
「例え本当の永遠ではなくても、射止められた刻に咲く花に込められた想いは、永久にだってなるのかも」
 微かに、ともすれば聞き逃してしまいそうなほどの。
 だから、首を傾げる。
「お兄様?」
 呼べば、神樂は微笑み絶やさず祇伐へとその柘榴の彩した瞳を向ける。
「まるで永遠の想をしっているかのようね」
 神樂は答えず、代わりに告げるは惜しみのない慕情を。
 ほんとうなら、幾ら言葉を尽くしたところで足りないくらいの。
「私はね、君を想い薔薇を選ぶよ」
 不意に浮いたような熱に、祇伐の双眸もまた、同じ柘榴の光を宿して瞬いた。
「人は薔薇に愛を託すのだろう?」
 綾なす花のいろごとに、秘める詞も変われども。
 やはり人が薔薇へと込めるのは、愛なのだろうと思うから。
「祇伐、あなたはどの色の薔薇が好き?」
 今度は神樂が誘うように問いかければ、はっと祇伐は我に返り。
「私? 私は……」
 口を開いて、言葉に詰まる。
 喉の奥に、見えない蓋をされたように。
 祇伐の目に入ったのは、赫。我がまなこに映る、あなたの双眸の色にも似た、赤。
 だけど、それを口にしてしまったら。
 愛を示す薔薇の彩、まるで時をとめたそれのように。
 去来する、様々の想いが口にするのを躊躇わせる。
(「私だってあなたを想って薔薇を選びたい」)
 祇伐のこころは悲鳴のように希うのに。
 唇は想いを紡がない。この指は花に触れられない。
(「咲き綻ぶ想いを枯らさずにこうして、ブリザーブドフラワーのように……咲かせておきたい」)
 けれど、けれど……。
 逡巡ばかり胸を灼く。焦がれるほどに苦しくて。
 その戸惑いと憂いの間を揺蕩う瞳の光の震えすら、神樂にはひどく、いとおしい。
「あっ!」
 祇伐が声を上げたのは、躊躇い惑うようなその指先を、神樂が握って咲んだものだから。
 掬うように、或いは、攫うように。
「じゃあ一緒に選ぼう」
 悪戯っぽく、ぱちり目配せひとつ。
 魔法のように綺羅めいて。
「お兄様……!」
「二人なら大丈夫」
 攫われた指先が冷たくて、熱いのは気の所為ではなくて。
 抗議するように声を上げても、その言葉ひとつで安らいでしまうのだから、ああ、もう。
 どうしようもないのだ、この熱情は。
「ねえ祇伐、二人でひとつのアレンジメントをつくろう! 心を分け合うなら悪くないだろう?」
 誘いの言葉の、その声音の、何と甘やかな響き。
 祇伐にとっても、口にした神樂にとっても。
「……一緒に、ならいいです」
 雫ひとつ落とすように、か細くそれだけ唇に乗せて。
 素直になれないこの心を、分かち合うことが叶うなら。
 二人で選ぶ、心のかたち。
 あ、と祇伐が上げる声を、神樂の耳は逃さず拾う。
「この器、可愛い……」
 円かな硝子の器は愛らしいポットの姿。
「じゃあ、それに」
 こういう時の神樂は躊躇わない。
 愛しの君が愛おしむものは何だって。
「薔薇は──赤を」
 神樂の指先は彷徨わず、花弁を撫でる。
 その色は、鮮やかなだけでなく。
 あかい、赫い、黒にも近い程に紅い、どこまでも深い、愛の彩。
 そうして漸く祇伐もまた、誘われるように手にしたのは、深紅。
 戀い慕うごとに真っ赤に熟れて、狂おしいほどに深く染まった赤い薔薇。
 お揃いのそれを並べて飾れば、花綻ぶよう神樂の咲みも華やいで。
「祇伐が選んだのも同じなんて嬉しいな」
 ふふ、と。
 ほんとうに、嬉しそうに咲うものだから。
「私達のこころの彩だ」
 織り成す言葉のひとつひとつに。
「隣合っているなんて……私達のようだね」
 とくん、と。
 また、跳ねる。
「……あなたは」
 とくとくと。
「本当に……狡いわ」
 狡いひと、
 重ねて零した、吐息も熱く。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!

喩・嘉
幸児(g03876)と一緒に北限へ

つい先日、幸児と一緒に南極に行ったばかりだが
今度は北の果てに行けるのか
色々な光景を幸児と見られるのは嬉しいな

暖かい格好をして、幸児の寒冷適応に守ってもらいながら
オーロラを見る

途中、新宿島で作ってきた薔薇のアレンジメントを渡す
ドーム型の密閉容器に、溢れんばかりの赤い薔薇だけで丸く仕立てている
「薔薇は密閉されているが、俺がいれば薔薇の匂いも嗅げるだろ」
と、馥郁香計で、心安らぐ芳香を漂わせて

幸児からもらったアレンジメントを見て
「青い薔薇が、幸児みたいだな。すごく綺麗だ。ありがとう」
俺からも体を寄せて、光景と共に記憶に残そう


守都・幸児
喩嘉(g01517)と一緒に北限へ

南の次は北の果てに行けるとはなあ
世界の果てから果てまで
いろんな光景を喩嘉と見れるのがすごく嬉しいぞ

【寒冷適応】で喩嘉を寒さから守りながら
あったかい格好をして
オーロラを見るぞ
ここのオーロラは南極とは違う色かな、同じかな
楽しみだ

俺も作ってきた薔薇のアレンジメントを渡すぞ
ドーム型の密閉容器の中に、めいっぱい赤い薔薇を入れたんだ
その赤い薔薇の中に一輪だけ、こっそり青い薔薇が隠れてる

「うん、すっごく綺麗で…いい匂いだ。ありがとうなあ」
喩嘉に肩を寄せながら、香りを胸いっぱいに吸い込んで
青い薔薇に気付いてもらえたら
「見つかったー」って笑う
この花も、この記憶も
ずっと大事にする



「つい先日、幸児と一緒に南極に行ったばかりだが」
「ああ、南の次は北の果てに行けるとはなあ」
 北限の地に、喩・嘉(瑞鳳・g01517)と守都・幸児(祥雲・g03876)は連れ立って降り立つ。
 白き足元を踏みしめて、共に耽るのは同じ想い。
 世界の果てから果てまで様々な光景を、二人で見て、感じて、そして、その心ふたつに焼きつけていくのだ。そんな今を、未来を想像して、嬉しくなるその気持ちも二人分。
「ここのオーロラは南極とは違う色かな、同じかな。楽しみだ」
「俺も楽しみだが……今の幸児を見ていると、より伝搬するな」
 心は温かく、服装もしっかりと着込んできたものの、寒くないのはそれだけではなく。幸児が書き換えた世界は彼自身のみならず、喩嘉のことも凍てつく寒さから守る。
 何に煩わされることもなく、ただ冬の空を仰いだならば。
「おぉ……」
 どちらともなく、感嘆の溜息が零れる。
 降り注ぎ、天幕のように揺らめく緑の煌めきが、幻想的な光景を創り出していた。
 二人、暫くは言葉もなく、並んでその光を瞳に、心に映していたが。
 ややあって、互いに互いへ向き直る。
 同じタイミングにふふと笑って、それでもまずは幸児から、喩嘉へと贈る。
「これ、喩嘉に。めいっぱい赤い薔薇を入れたんだ」
 ドーム型の器は硝子で出来ていて、その中で美しく咲く、沢山の赤い薔薇。
 だが、受け取った喩嘉は、すぐに気がつく。
「青い薔薇が、幸児みたいだな」
 そう。『青い』薔薇の存在に。
 一輪だけ、こっそり隠した奇跡の色は、幸児を彩るそのもので。
「見つかったー」
 なんて屈託なく笑う幸児に、喩嘉も口元の笑みを深めて。
「すごく綺麗だ。ありがとう」
 飾らない、心からの感謝の言葉を。
 そして、喩嘉からも。
「俺からも、これを」
 喩嘉が幸児へと手渡したのは、新宿島で作ってきた薔薇のアレンジメント。
 同じくガラスドームで守られたそれは、丸く仕立てられた溢れんばかりの赤い薔薇。その熱の色に魅せられるだけで匂い立つほど美しくあれど。
「薔薇は密閉されているが、俺がいれば薔薇の匂いも嗅げるだろ」
 秘された筈の香気が揺蕩うのは、喩嘉自身がそれを纏っているからだ。
 甘さと艶やかさの中にも柔らかさを併せ持ち、心安らぐ芳香を。
「うん、すっごく綺麗で……いい匂いだ」
 何とも喩嘉らしい、と笑みを深めながら、幸児は喩嘉へと肩を寄せ、その香りを胸一杯に満たした。
 幸せな気持ちも、共に。
「ありがとうなあ」
 そんな幸児へと、喩嘉からもそっと身を寄せて。
 寒くない。ばかりか、温かい。身体も、心も。
 南の果てのそれとはまた違う表情を見せた北の極光も祝福するように、二人の姿を照らしている。
「この花も、この記憶も、ずっと大事にする」
 いつもなら、自分自身に聞こえるだけの声。
 けれど、幸児の間近に添っていた喩嘉も、その言葉は聞いていて。
 優しい決意に、彼もまた頷いた。
 緑の光に彩られるこの冬の星空も、光を受けてきらきらと煌めく白銀の世界も、何ひとつ取りこぼさないように、忘れないように。
 喩嘉と幸児、二人で生きていく世界を、その度に増えていくのだろう想い出を……きっとこれからも。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV2になった!
【寒冷適応】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

平良・明
紅花さん(g00365)と一緒にオーロラ鑑賞へ向かいます

オーロラ、小さなころから見てみたかったんです
今は紅花さんと一緒に見られる、こういう機会がとてもうれしいです

寒すぎてめったに雪も降らないのがマイナス30度の世界らしいです
あまり雪が降らないから、私たちのしばらく足跡も残りそうです

服装は極地仕様のもっこもこな防寒具に身を包み
呼吸するだけで吐く息がつららになって顔から垂れる極寒を楽しみます
オーロラを鑑賞するのには【寒冷適応】も使ってあたたかく

好きなカーテンの色なんて聞かれたのは初めてですが
私は生地で選びたい派かもしれません
あんなオーロラみたいに、手触り良さそうなものがいいですね


杏・紅花
明サン(g03461)とロマノフにオーロラ見にきたよおっ

もこもこに防寒して、さらに【寒冷適応】かけて北の国っ
何気にロマノフに来るの初めてだったりするんだあ〜実際の寒さ、ちょっとだけ体験してみようかなっ…、あ、これ、…あたし寒冷適応活用しまぁす
雪景色って、足跡つけたくなるね!
えへへ。ぽんと軽く足跡つけて、あたしたちが来たぞって印だあ

オーロラって、ひらひら風にゆれるカーテンみたいだよねえ
あんな翡翠色のカーテンほしいなあ、なんて思ったりする
ねえねえ明サン、カーテンの色って、何色が好き?
確かにい。手触りも大事っ

そんな、たわいのない話
ふたりで話すこと
あたし、こんな話できるの、しあわせ。



 北の果てに、新たな来客。
「オーロラ、小さなころから見てみたかったんです」
「あたしも北のオーロラはお初っ。と言うか何気にロマノフに来るの初めてだったりするんだあ〜」
「おんなじですね。……今は紅花さんと一緒に見られる、こういう機会がとてもうれしいです」
 共に初めて尽くしの平良・明(嶺渡・g03461)と杏・紅花(金蚕蠱・g00365)。降り立つ足取りも楽しげに軽く。
 寒い寒いと聞いていたから、極地仕様のもっこもこな防寒具に身を包んで防寒し、寒冷適応の準備だってばっちりだけど。
「実際の寒さ、ちょっとだけ体験してみようかなっ……」
「いいですね、何事も経験と言いますから」
 と言うわけで、一旦素の寒さを味わってみることに!
 ……結果。
「見てください紅花さん、呼吸するだけで吐く息がつららになって……あ、顔から垂れてきた。流石極寒と言うだけあって、寒さの桁が違いますね」
「わぁほんとだ顔すっごぉい……あ、これ、……あたし寒冷適応活用しまぁす」
 明はこれはこれで楽しんでいたのだが、紅花の方が音を上げてしまったので、寒冷適応適用。是非もない。
 寒さに震えることもなくなったところで、オーロラの下を目指して歩き出す。
「雪景色って、足跡つけたくなるね!」
 えへへ、と笑ってぽんと軽く、白の世界に新しい足跡、ひとつ。
「あたしたちが来たぞって印だあ」
 ころころと笑う紅花の隣、明もふわり柔らかく笑んで、さくりと落とす足跡。
 これで、ふたりぶん。
「寒すぎてめったに雪も降らないのがマイナス30度の世界らしいです」
 だから、降り積もる雪に上書きされるなんてことも、きっとそうそう起こらないから。
「私たちのしばらく足跡も残りそうですね」
「えへへ。やったあ」
 永遠でこそないけれど、それでもふたり、共に過ごした証が少しでも長く残ってくれるのは、嬉しい。
 ご機嫌に、さくさくぽんぽんと足跡並べながら、ようやく辿り着いた光の源。
 降り注ぐ輝きが、鮮やかな緑を纏ってゆらゆらと揺らめいていた。
 白く浮かぶ吐息に感嘆が籠る。晴れ空色した紅花の瞳にも、緑がかかって輝きを増した。
「オーロラって、ひらひら風にゆれるカーテンみたいだよねえ」
 ぽつり、徐に不意に零れたそんな無邪気な呟きに、傍らの琥珀色がぱちりと瞬く。
「あんな翡翠色のカーテンほしいなあ、なんて思ったりする」
 輝くように美しく降りるカーテンは、きっと暗がりでも幻想的で麗しく、朝日に透ければ鮮やかに澄み渡って、その目を楽しませてくれるだろう。
 想像を膨らませれば、心躍って。その気持ちを、今隣にいる大切な人と共有したくなるのは、きっとごく自然なことで。
「ねえねえ明サン、カーテンの色って、何色が好き?」
 そう問いかけられた明は、ふむ、と少し考えてから。
「好きなカーテンの色なんて聞かれたのは初めてですが……」
 正直なところ、すぐにぱっとは思いつかなかった。
 だとすれば、きっと明が求めるものは、また別のところにあるのだろうと、自ら結論づけた。ならばそれは何かと考えてみれば、ひとつの答えに行き当たる。
「私は生地で選びたい派かもしれません」
「生地?」
 小首を傾げる紅花へと、ええ、と微笑み頷いて。
「あんなオーロラみたいに、手触り良さそうなものがいいですね」
「確かにい。手触りも大事っ」
 その発想はなかった、でも確かにそうだ、と。
 言葉よりも雄弁に、紅花の表情が語る。
 ひらりたなびくようなオーロラは、きっと絹のように滑らかだ。触れて、撫でて、心地のよい手触りがありありと想像出来る。
 ふたり、語り合って広がっていく想像が、この上なく楽しい。
 いや、ほんとうは、何だっていいのだ。
 こんなたわいのない話、ふたりで話すこと。
 何でもない、けれど、かけがえのない時間。
「ねえ、明サン」
「はい?」
 呼べばその顔を向けてくれる。
 その琥珀色に、自分を映してくれる。
 だから、その瞳の中を満たすように、紅花は笑った。

「あたし、こんな話できるの、しあわせ」

 心から、満ち足りた笑顔で。
 明は、意表を突かれたようにまた目を丸くしたけれど。
 すぐにまた、淡く温かく、愛おしむように微笑んだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【寒冷適応】がLV3になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

カナト・ラウルス
紅花(g03888)と一緒に

オーロラってすごく綺麗だとは聞くけれど…とっても寒いところに行くんだよね…?
僕は寒いの苦手なんだけど大丈夫かな?
寒さが平気になる便利なパラドクスも持ってないから…ちょっと覚悟を決めて頑張ります…!
炎は…多分怒られるから禁止…!

…って意気込んだけどやっぱり寒い。
紅花とくっついてたら暖かくなる?
よし!と意気込んで背中からすっぽり抱きしめるようにくっついて暖をとります。
いや…平気なわけでは…
顔が見えるとオーロラどころじゃなくなりそうだなという僕なりの判断…?

わあ…これがオーロラ…?
なんだか夢の中にいるみたいな風景…。
いつもの青空も良いけど、こんな幻想的な空もとても良いね。


緋薙・紅花
【カナト(g00321)さんと】
えへへーカナトさんとデートだー♪
オーロラってとっても綺麗だって
日本じゃ絶対無理ですからね!
わくわく……え、寒いんですか?めちゃくちゃ?
い、いざとなれば自分で炎を……あ、ダメですか?

さ、さむいっ?!
じゃ、じゃあカナトさんで暖を取るもんっ!
こう、カナトさんに抱きつ……なんか想定と違うんですけど!?
いえ、あの、あったかいんですけど落ち着かないっていうか
むしろ何故カナトさんが平気なのか聞きたいです……(まっか)

ちょっと落ち着かない気分のまま空を見上げてオーロラを

わぁ……すごーい
本当、夢の中のような幻想的な景色
それに……ふふ、なんかこう世界に二人きりって感じですね
嬉しいな



「えへへーカナトさんとデートだー♪」
 揺られるパラドクストレインの中、期待に胸ふくらませる緋薙・紅花(サージェナイト・g03888)の声音も自ずと弾む。
 伝え聞く美しさもさることながら、日本の現在の奪還地域ではまず見るのは無理というその特別感が、どうしたってそうさせるのだ。
 それは勿論、カナト・ラウルス(桜華狂咲・g00321)だって同じ気持ちではあるのだけれど。
「オーロラってすごく綺麗だとは聞くけれど……とっても寒いところに行くんだよね……? 僕は寒いの苦手なんだけど大丈夫かな?」
「わくわく……え、寒いんですか? めちゃくちゃ?」
 その口から零れた呟きに、思わず聞き返す紅花。
 カナト自身、寒さが平気になるような便利なパラドクスは持っていない。
 きっと他に向かったであろうディアボロスたちがもしかしたら残留効果を残してくれているかも知れないけれど、そうであることを前提に向かうのも少々怖いし。
 二人とも厚着で備えはしてきたけれど、実際の寒さは想像することしか出来なかったから。
「ちょっと覚悟を決めて頑張ります……!」
 けれど、紅花がとても楽しみにしてくれているのは伝わったから。
 寒さに負けないよう、意気込むカナトだけれど。
「い、いざとなれば自分で炎を……」
「炎は……多分怒られるから禁止……!」
「あ、ダメですか?」
 退魔の炎を操る紅花の提示した最終手段は、残念ながら却下と相成りました。


 そしていざ、北限の地へ。
 トレインを降りた瞬間、二人を待ち受けていたのは。
「さ、さむいっ?!」
「……うん、意気込んだはいいけどやっぱり寒い」
 やはり想像以上の寒さ。
 こればかりは実際、現地で体験しないと解らないところもあるので、仕方ないことではあるのだけれども。
 寒さで折角のオーロラを満足に楽しめない、なんて余りにも勿体ないので。
「じゃ、じゃあカナトさんで暖を取るもんっ!」
 炎禁止令を出された紅花は何とか暖まろうとそう考案したところ。
「紅花とくっついてたら暖かくなる? ……よし!」
 善は急げ、ということで。
 背中からすっぽり抱きしめるようにくっついて暖を取るカナト。あれ? と首を傾げる紅花。
「あれ、こう、カナトさんに抱きつ……なんか想定と違うんですけど!?」
 まさかの不意打ちに狼狽える紅花だが、カナトが離れる様子はない。
 いや、確かに寒いし、くっついて暖を取ろうと先に言い出したのは自分なのだけれども。しかしこの体勢。
「いえ、あの、あったかいんですけど落ち着かないっていうか、……むしろ何故カナトさんが平気なのか聞きたいです……」
 ごにょごにょ。最後の方は殆ど消え入るように。
 おかしい。寒かった筈なのに、急に熱くなってきたような。特に顔の辺りが。恐らく耳まで真っ赤になっていることだろうと、どうしたって自覚せざるを得ない。
 カナトに察されていないといいのだが。
「いや……平気なわけでは……」
 すると、返ってきた言葉も何やら歯切れが悪い。
「顔が見えるとオーロラどころじゃなくなりそうだなという僕なりの判断……?」
 カナトもカナトで、やはり身近に紅花の熱を、存在を意識してしまうというもの。
 せめて互いの顔が見えなければ何とか保つかと、先手を打たせていただいた所存。
 互いに落ち着かない心地でそわそわしつつも、その身が緑の輝きに照らされて、見上げてみれば夜空に広がる煌めきの天幕。
 ふたり同時に感嘆の溜息が漏れたのも、無理からぬこと。
「わぁ……すごーい」
「これがオーロラ……? なんだか夢の中にいるみたいな風景……」
「本当、夢の中のような幻想的な景色……」
 夢心地とはまさにこのこと。
 大自然のもたらす、壮麗で神秘的な光に暫し見惚れる。
「いつもの青空も良いけど、こんな幻想的な空もとても良いね」
 日常と、非日常。
 どちらの美しさも知ったカナトは、心からそう呟いた。
 その言葉に、紅花もこくりと頷くけれど。
 きっと今、一層輝いて見えるのは、それだけではないだろう。
「それに……ふふ、なんかこう世界に二人きりって感じですね」
 互いに、互いの表情は窺い知れない。
 もしかしたら、カナトは目を丸くしているかも知れない。
 けれど。
「嬉しいな」
 今の自分は、きっと幸せそうにその口元に、笑みの形を作っているのだろうと。
 温もりを背に感じながら、紅花は確信する。
 光の中、満たされた気持ちに包まれながら。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!

ハーリス・アルアビド
スタッフの方々に助けて頂いたおかげで美しい物を作ることができました。改めてお礼を申し上げます。
案内してくださった蒋さんにも感謝を。一輪の花でお礼代わりになるでしょうか?

新宿島に戻った後は私が漂着した場所へ。
かつてディアボロスがクロノヴェーダに敗北した戦いでは私も主に敗れ殺されていますが、こうして新宿島に漂着し戦い続ける事ができています。

ここに辿り着けず先に冥界に渡ったかつての仲間達へ。
そして、生前は贈り物をする事もできなかったあの頃の我が主と御子へ。花と共に祈りを捧げます。



 花を抱えて、ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)はスタッフの一人一人へと感謝の言葉をかけていた。
「助けて頂いたおかげで美しい物を作ることができました。改めてお礼を申し上げます」
 植物を愛するゆえに、きっと一人では花を選び切れなかったから。その力と知恵を借りられたことに、心からの感謝を。
 そして、もう一人。
「案内してくださった蒋さんにも感謝を。この一輪の花でお礼代わりになるでしょうか?」
「まぁ……ふふ」
 感謝を表す淡桃の薔薇を。
 一瞬、蜂蜜色の目を丸くした綱月は、しかしすぐに花綻ぶように咲ってみせて。
「こちらこそ、ありがとうございます。ハーリス様にとっても、善き一日となりましたら幸いでございます」
 ハーリスもまた、その言葉に心穏やかに、平らかな微笑みを返した。


 そうして。
 会場を後にしたその足で、ハーリスが向かったのは新宿島の、彼が漂着したその場所。
(「かつて……」)
 ディアボロスがクロノヴェーダに敗北した戦い。
 ハーリスもまた、奮戦虚しくクロノヴェーダに存在を奪われた主の手によって敗れ、その命を絶たれた。
(「それでも私は、こうして新宿島に漂着し戦い続ける事ができています」)
 ただ、その影にはハーリスのように敗れ斃れて、そのまま道を断たれてしまった者が大勢いるのだ。
 無念を晴らすことも、信念を貫くことも、許されずに終わった者が。
 だから今日、手に抱えたこの花は。
(「ここに辿り着けず先に冥界に渡ったかつての仲間達へ」)
 そして。
(「生前は贈り物をする事もできなかったあの頃の我が主と、御子へ」)
 目を瞑り、静かに祈りを捧げる。
 彼らへと贈る、この花と共に。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2023年02月26日