パラドクストレイン強襲~韋駄天の騎蟲隊(作者 雷紋寺音弥
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#大戦乱群蟲三国志  #馬超軍のパラドクストレイン強襲作戦  #馬超 

●騎蟲隊、動く
 漢中北部。
 揺らめく炎に照らされた夜の野営地。伝令より授かった手紙に目を通すのは、蜀軍五虎将軍が一人、血塗れの錦『馬超』。
「諸葛亮が、ディアボロスの侵入を警戒せよと伝えてきた。巡回中の部隊に伝令を出すのだ」
 手紙を一通り読み終えると、馬超は静かに立ち上がり、側近達に命令を下した。
「奴の推測では、ディアボロスは小部隊を前線に運ぶ移動手段を持っているらしい。俺達に、その移動手段を見つけて叩き潰せとの事だ」
 漢中より南部は魏延などが担当するので、そこまで足を運ぶ必要はない。自分達の守備範囲は、あくまで長安から漢中までの範囲であると、馬超は側近達に付け加え。
「諸葛亮の言う事には、情報が大切なので、隙を見て撤退して情報を伝えろとの事だ。まぁ、倒してしまっても別に構わないが……一応、伝えておいてくれ」
 なぜなら、自分の部下ににディアボロスに敗北するような者はいないはずだから。圧倒的な自信を持つ馬超だったが、それは虚勢でもなんでもない。彼の軍勢は単なる寄せ集めの部隊とは違い、末端のトループス級でさえ、他の軍勢とは一線を画す装備を与えられているのだから。
「おっと、敵を撃破するか情報を集めた奴らは、ここに集結させるように命じておけよ。戦力が集まったら……俺も、ディアボロスに挨拶に行くとしよう」
 その時が来るのが待ち遠しくて仕方がない。手紙を握り締めて呟く馬超の顔には、不敵な笑みが浮かんでいた。

●恐るべき騎蟲隊
「貴殿らの攻略旅団の方針により、蜀の将軍を各個撃破する作戦が提案されたようだな。五丈原に出てきていた諸葛亮との接触には失敗したが、蜀の戦力を確実に削いでいけば、いずれは雌雄を決することもできようぞ」
 そのための最初の標的になるのは、ジェネラル級蟲将、血塗れの錦『馬超』だと蒼・勝峰(インセクティアの無双武人・g03511)はディアボロス達に告げた。司馬懿が支配していた長安と、蜀の拠点である漢中との境界及び、大戦乱群蟲三国志の北西の境界を護る蟲将だ。
「馬超軍は、全員がクロノ・オブジェクト化した巨大昆虫に騎蟲する騎蟲軍団だ。その数は決して多くは無いが、縦横無尽に走り回る巨大昆虫を足とする騎蟲隊の戦闘力は、トループス級の蟲将とはいえ侮れぬ」
 加えて、敵は神出鬼没で補足するのも難しい。だが、補足するのが困難であるならば、向こうから来てもらえば良いのだと勝峰は付け加え。
「奴らは貴殿らの移動手段を狙って探索を行っている。故に、パラドクストレインを目にすれば、向こうから駆け寄ってくる筈であろう」
 だが、それはパラドクストレインを囮にするという危険な作戦。敵が確認され次第、パラドクストレインは撤退するが、それでも最初の一撃を食らってしまう可能性がある。最悪の場合、新宿島への帰還手段を失ってしまうので、それだけは防がなければならない。

「向かってくる蟲将に対して先制攻撃をするか、或いは敵の攻撃から身を挺してでもパラドクストレインを護る以外に、パラドクストレインへの攻撃を阻止する術はない。危険な任務ではあるが……これに成功すれば、パラドクストレインは新宿島へと撤退できる」
 蟲将の目から見れば、目の前から、いきなり消失したように見えるだろう。その後は、残された騎蟲隊を蹴散らせば終了だ。もっとも、その騎蟲隊の用いる昆虫が、なんとも厄介な相手なのだと勝峰は顔を曇らせた。
「敵が騎蟲している昆虫は、ハンミョウと呼ばれる甲虫が巨大化したものだ。その動き、正に光陰の如し。数ある昆虫の中でも、あの虫を超える速度で走り回れるものは、他に存在しないであろう」
 素早い昆虫といえばゴキブリが挙げられるが、ハンミョウはその2倍近い速度で脚を動かすことができる。瞬きした瞬間、別の場所に移動していることもあり、何も知らない者が見たら瞬間移動したように思えるかもしれない。
 唯一の幸いは、蟲将が騎乗している状態では、巨大昆虫は空を飛ばないということだ。加えて、甲虫型の巨大昆虫にしては、ハンミョウは耐久性が極めて低い。そのため、攻撃さえ当てることができれば、騎蟲している蟲将よりも先に巨大昆虫の方が戦闘不能になってしまう。
「貴殿らが優勢になると、蟲将は撤退を試みるようになるようだ。隙さえ見せねば、撤退を許す事は無いが……敢えて隙を見せて、撤退させる事も可能であるぞ」
 撤退した敵を追撃したり、先回りして逃げ道を塞ぐ対応が必要になったりするものの、撤退する方角などから馬超の拠点の場所を推測する事が出来るようになるかもしれない。
 もっとも、本当に逃がしてしまえばパラドクストレインの情報を敵に教えてしまう事になる上に、万が一にも拠点まで深追いしてしまえば、馬超と彼の率いる精鋭に囲まれ成す術もなくやられてしまうだろう。あくまで、本当に逃走させない範囲で、可能であれば探りを入れる程度が望ましい。

「馬超は荊州で戦った『関羽』と同じ五虎大将……。相当な手練れであることは疑いようもない。だが、馬超の拠点を特定できれば、決戦を挑む事ができるようになるやもしれぬ」
 馬超の撃破。それは漢中より北側の蜀の勢力を一掃できることを意味しており、後背を気にせずに漢中の攻略に掛かるには不可欠なものだ。なお、敵が騎乗しているのは、クロノ・オブジェクト化した巨大昆虫だが、残念ながら、蟲将以外が騎乗する事は不可能なように造られているので、生け捕りにすることは諦めるしかない。
「兵装の鹵獲は戦術の基本とはいえ、こればかりは致し方あるまいな。戦闘終了後は、破壊するか自然に返してやるのが望ましいであろう」
 望まぬ姿に改造され、兵器として扱われる巨大昆虫もまた、ある意味ではクロノヴェーダの被害者なのかもしれない。最後にそれだけ言って、勝峰はディアボロス達の乗るパラドクストレインを見送った。

●疾走する関小姐
 枯れた草木の点在する荒野を、疾風の如く駆ける騎蟲隊。
 彼らの脚となる巨大昆虫は、その全てが瑠璃色の甲殻に身を包んだハンミョウだ。
「関銀屏様! 此度の敵は、如何様なる策を講じて来るのでありましょうか?」
「分からぬ。馬超殿からは、敵の正体については何も教えられておらぬのでな」
 配下の兵を諫めるようにして、部隊を指揮する関銀屏が告げる。しかし、彼女とて何も考えていないわけではない。少しでも怪しい影を視界に捉えた瞬間、全力で排除する覚悟は決めている。
「我が父の名に泥を塗らぬよう、無様な戦いをするわけにはいかぬ。それが、騎蟲隊を預けてくださった、馬超殿へ報いることにもなるが故に……」
 未だ、その実力が父である関羽に届かぬのは、彼女自身が良く理解している。複製のアヴァタール級ともなれば、それはもはや覆せぬ事実。
 だが、それでも気迫だけはジェネラル級にも負けるつもりはない。女であることよりも武人であることを選んだ小姐の瞳には、決意の炎が宿っていた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
4
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【神速反応】
2
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【泥濘の地】
3
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【トラップ生成】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【防衛ライン】
2
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV2 / 【ダブル】LV1

●マスターより

雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 大戦乱群蟲三国志の時代において、パラドクストレインを囮に馬超の軍勢の力を削ぐシナリオになります。
 詳細は、以下の通りです。

●選択肢①:パラドクストレインを護れ
 馬超の支配地域にパラドクストレインで移動する事で、敵を誘き寄せる選択肢です。
 最初の一撃さえ防げば、パラドクストレインはその場から消失し、新宿島へと帰還します。

●選択肢②:騎蟲軍団の追跡
 馬超配下の騎蟲軍団との戦闘中で、ディアボロスが優勢になった後、敵に隙を見せてわざと撤退を試みさせる選択肢です。
 ディアボロス側が優勢であっても、アヴァタール級の騎蟲している巨大昆虫が生き残っていない場合は、隙を見せても撤退はしません。
 また、追跡後は何らかの形で必ず敵を足止め、あるいは再包囲する必要があります。

●選択肢③:騎乗するトループス(蜀軍剣蟻兵)
 巨大昆虫に騎蟲したトループス級との戦いになります。
 騎蟲しているのは蜀軍の一般的なトループス級蟲将ですが、機動力と移動力が強化されています。

●選択肢④:騎乗するアヴァタール(美髯公の娘・関銀屏)
 巨大昆虫に騎蟲したアヴァタール級との戦いになります。
 トループス級同様、移動力と機動力が大幅に強化されています。
 彼女が騎蟲する巨大昆虫を先に撃破した場合、敵は撤退しなくなります。

●巨大昆虫(ハンミョウ)
 馬超軍の用いる巨大昆虫です。
 クロノ・オブジェクト化されている為、一般法則では破壊できません。
 本シナリオで登場するのはハンミョウ型の巨大昆虫で、スピードにスペックを全振りしている関係で、耐久性は極めて低いです。
 初手で攻撃を当てるのが難しい場合は、パラドクスの残留効果などを駆使して上手く対処してください。
 なお、巨大昆虫を先に破壊した場合はクロノヴェーダの騎蟲状態も解除されますが、クロノヴェーダ自身が撃破されるわけではないので、攻撃を当てられる状況であるならば、巨大昆虫だけを狙うメリットは特にありません。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


備傘・鍬助
パラドクストレインにディフェンス

ま、敵さんも、いつかは、気が付くわな
とはいえ、破壊させるわけにはいかない

風使いで姿勢制御しつつ、銃剣の射撃と、衝撃波、誘導弾で敵をけん制
M.B.Cを、広く展開、タクティカルARMSを盾状にして、パラドクスドレインを守る

接近してきている敵がいたら、結界術で閉じ込めつつ、投整体をかまして、防衛ラインを展開させてもらおうか

パラドクストレインはな、私達、復讐者の生命線なんだ
悪いが、徹底して守らせてもらうぞ

…それにだ、トレインにはいつか、私がどこかに医療専用車両を作る野望があるのだよ
ポッとでの敵になぞに、それを邪魔されてたまるか!

アドリブ、絡み、好きにしてくれ


新城・橙花
他の人たちと協力してぱらどくすとれいん、を守るよー。
ここが道かどうかわからないけど、【防衛ライン】を展開。
接近しての攻撃を邪魔するね。
「通行止めってのだねっ」

後は遠距離攻撃を持っていそうな敵を見つけて、接近できれば一気に近づいて【七影斬】。
間に合わなければトレインをディフェンス。
手にした大剣型呪刀【譲葉】を振るって相手の攻撃を切り飛ばす。
「やらせないよっ!」


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎

パラドクストレイン
俺も最初乗り込んだ時、驚愕した
行き先に制限があるものの、瞬時に移動が可能
しかも時空を超える
騎馬で駆けるのとは桁違いの移動速度

通常なら想像もできないことだが
『諸葛亮』は何処まで我らの事が見えているんだろうか

だが、我らの要だ
攻撃を届かせる訳にはいかない

トレインの窓から外の様子を<情報収集>して
蟲らを確認すると同時に飛び出し【神速反応】で攻撃を〈両断〉
パラドクストレインをディフェンスする

重力に自分の体重も乗せた強烈な<薙ぎ払い>を叩きこみ
巨大昆虫も蟲将もトレインから遠ざけ撤退の<時間稼ぎ>を


十野・樞
アドリブ歓迎
有用な残留効果は有り難く使用
仲間と情報共有し連携

さすが諸葛亮、情報の重要さを熟知している
それを逆手に取ってのこの作戦、ある意味皮肉が効いているぜ

【砂使い】【風使い】で大地の振動や進軍音の捕捉を試み
敵早期発見に努める

敵発見後は【高速詠唱】にて叶う限りの速度でパラドクス展開
【泥濘の地】と持ち込んだ酒で精製した「万能溶解液」での騎蟲狙いの溶解で
敵の機動を殺ぐと共に仲間の攻撃を補佐

ハンミョウの飛行距離は洒落にならねえ
騎蟲単独の飛行による突撃があれば【結界術】で阻み優先的に攻撃

パラドクストレインに寄せ付けねえよう陣取るが
トレインが攻撃されたらディフェンスしトレインの撤退を補助


月下部・小雪
だ、大事なパラドクストレインを使った囮作戦、です。
し、失敗はできません。頑張りましょう!

新宿島から持ち込んだ双眼鏡を使って監視して、敵の位置を一刻も掴みます。
攻めてくる方向が分かったからこっちから先制攻撃、です!

【巨大戦鎚装備型モーラット・コミュ】のコダマを呼び出して、地面を殴って吹っ飛ばして、やります。
【泥濘の地】も重ねて、近寄ってくるスピードを落としてやりましょう。

そ、それでもパラドクストレインに攻撃が届きそうなら、ボ、ボクが「ディフェンス」します。
「魔力障壁」を全力で張って、ぜ、全部受け止めてやります。

※アドリブ連携大歓迎


●薄氷背水の陣
 新宿島からパラドクストレインが出発してしばらく後。
 逆行する時の流れを抜けた先に見えたのは、唐突に現れた開けた土地。草木もまばらで岩塊も多い、荒涼とした大地がディアボロス達を出迎える。
「さすが諸葛亮、情報の重要さを熟知している。それを逆手に取ってのこの作戦、ある意味皮肉が効いているぜ」
「通常なら想像もできないことだが……『諸葛亮』は何処まで我らの事が見えているんだろうか」 
 酒瓶を片手に呟く十野・樞(division by zero・g03155)の言葉に、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)が続けた。
 諸葛亮・孔明。三国志に名を残した天才軍師。その手腕は劣勢に追い込まれた蜀の窮地を幾度となく救い、不可能を可能にしてきたともされる男だ。
 蟲将になっても、その知略と才能が健在であるとすれば、これほど恐ろしい相手はいない。パラドクストレインの存在や仕様など、普通は想像もできないはずだが……孔明であれば、あるいは時間渡航や瞬間移動さえも想定した上で、何らかの作戦を立てているのではと疑いたくもなってしまう。
「……ま、敵さんも、いつかは、気が付くわな。とはいえ、破壊させるわけにはいかない」
「は、はい! だ、大事なパラドクストレインを使った囮作戦、です。し、失敗はできません。頑張りましょう!」
 緊張した面持ちで、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)が備傘・鍬助(戦闘医・g01748)頷きながら双眼鏡を構える。すると、なにやら荒野の向こう側から、恐ろしいスピードで迫る影が。
「もう来たのかな? よ~し、がんばろー!」
 あくまでマイペースに拳を上げる新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)だったが、どうやら敵は、こちらの都合に合わせてなどくれないようだ。瑠璃色の甲殻を持った韋駄天の甲虫が、その背に蟷螂を思わせる蟲将達を乗せて、一気にパラドクストレインへと距離を詰めて来た。

●電撃防衛戦!
 数ある昆虫の中でも、特にスピードに特化した能力を持つハンミョウ類。その能力は巨大化しても変わることなく、恐るべき速度でパラドクストレインへと迫り来る。
「わわ! あっちにさんにん、こっちによにん……あれ、ごにん? ろくにん? う、うまく数えられ、ません!」
 双眼鏡を覗いて敵の数を数えようとした小雪だったが、ともすれば残像を伴い瞬時に消えたと思わせる程の速さを誇る騎蟲隊の姿を、正確に捉えることがなかなかできない。そうこうしている内に、敵の何体かはトレインと並走しながら、手にした刀を大きく振り被り突進して来た。
「見つけたぞ! あれが彼奴等の秘策であろう!」
「地を走る鉄の箱とは面妖な! だが、相手にとって不足なし!」
 鉄や岩塊さえも斬り捨てる強烈な斬撃が、走行中のパラドクストレインへと迫る。時間移動が可能とはいえ、非武装の列車がパラドクスに晒されれば一溜りもない。
「そうはいかないよ! 通行止めってのだねっ」
 だが、振り下ろされた強靭なる刃は、橙花の構えた巨大な剣によって受け止められた。ならばと、反対側からも蟲将が迫るが、そちらには錬晏が回り込む。
「我らの要だ。攻撃を届かせる訳にはいかない」
 いつものように、扉から出て行く暇などない。予め開け放していた窓から飛び出し、敵の斬撃に自分の斬撃を合わせる形で、強引に薙ぎ払って後退させる。さすがに、これには耐えきれなかったのか、仕方なく騎蟲隊は距離を取り始めたが。
「現れたな、ディアボロスども!」
「今日こそは逃がさぬ! その鉄の箱、馬超様への手土産として貰い受ける!」
 やはりというか、この程度で諦める相手ではなく、なんと今度は走りながら岩や土で拠点を築き始めたではないか。
「ちっ……! やつら、こちらの進路を岩で塞ぐつもりか?」
 敵の狙いに気付いた樞が思わず舌打ちをする。拠点のサイズはそこまで大きくはないので、軽く迂回すれば避けられないことはない。しかし、そのために側面を拠点側に晒したところで、今度は拠点を構築する岩塊が、一斉にパラドクストレイン目掛けて降って来た。
「マジかよ……こいつは洒落にならねぇな」
 咄嗟に酒から溶解液を生成し、樞が岩塊目掛けて撒き散らした。本来は敵の蟲を狙うつもりだったが、こうも速く動き回るのであれば、まともに当たるとは思えない。ならば、今は少しでも岩塊の飛来を防がねば、パラドクストレインが致命的なダメージを負ってしまう。
「の、残りの岩は、ボクが全部、受け止め、ます!」
 そして、討ち漏らした岩塊は、小雪が身を挺した魔力障壁でしっかりとガード。その代償に、小雪は早くも動けなくなってしまったが、彼女の代わりに戦ってくれる者がいれば問題はあるまい。
「コ、コダマインパクト、です!」
「モキュ!!」
 小雪の相棒であるモーラット・コミュのコダマが、巨大なハンマーを抱えて現れた。コダマは、そのままハンマーを大地に叩きつけ、盛大な振動が騎蟲隊を襲う。時に、ぬかるみの上でも問題なく疾走できるとされるハンミョウだが、さすがにこれは耐えられない。
「ぬおっ! だ、大地が……!」
「体勢を立て直せ! 狙い撃ちされるぞ!」
 身の危険を感じたのか、慌てて距離を取り始める騎蟲隊たち。これで一安心かと思われたが……そんな中、雑兵の軍勢を掻き分けるようにして、こちらに突っ込んで来る蟲将が。
「現れたな、ディアボロス! いざ、尋常に勝負!!」
 それは、この騎蟲隊を馬超より任された、関銀屏に他ならなかった。相手がアヴァタール級ともなれば、先の雑兵のようには行かないはず。果たして、そんなディアボロス達の予想は正しく、関銀屏は手にした鎌をパラドクストレイン目掛けて投げつけて来た。
「やらせないよっ!」
 トレインに直撃する寸前、鎌を橙花が弾き飛ばす。軌道の狂った鎌は天高く跳ね上げられ、しかし瞬時に消え去ると、再び関銀屏の手に戻り。
「パラドクストレインはな、私達、復讐者の生命線なんだ。悪いが、徹底して守らせてもらうぞ」
 そこを逃さず、鍬助が攻める。できれば関銀屏のことを叩き伏せてやりたかったのだが、さすがにそこまでは適わない。が、しかし、代わりに突っ込んで来た雑兵達の攻撃をその身で受けつつ、強引に距離を詰めて首を絞め。
「……それにだ、トレインにはいつか、私がどこかに医療専用車両を作る野望があるのだよ。ポッとでの敵になぞに、それを邪魔されてたまるか!」
 なんと、巨大昆虫から引きずり倒す形で、ぬかるんだ大地へと叩き落した。もっとも、鍬助自身も負傷してしまったので、そう何度も使える手段ではなさそうだが。
「……っ!? しまった! 彼奴等の駆る鉄の箱が!!」
 目の前でパラドクストレインが瞬時に消失したことで、関銀屏は両目を丸くしながら歯噛みしていた。
 これでもう、後ろを気にしながら戦う必要もない。後は、残された騎蟲隊を片付けるだけだが……関銀屏を始めとした蟲将達を上手く利用すれば、敵の本拠地を割り出せる可能性もある。
 即効性を重視して目の前の敵を叩き潰すか、それとも敢えて敵に隙を見せ、逃げた敵を追撃するか。
 どちらにせよ、まずは目の前の敵が駆る巨大昆虫をなんとかしなければ難しそうだ。まずは敵のスピードを殺す術を考えねばらなないと思いつつ、ディアボロス達は改めて、荒野に列を成す騎蟲隊と対峙した。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【防衛ライン】LV2が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【泥濘の地】LV2が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

●関三小姐の尊心
 パラドクストレインを無事に新宿島へと帰還させ、ディアボロス達は改めて関銀屏の率いる騎蟲隊と対峙する。
 彼女達の駆る巨大昆虫はハンミョウ。そのスピードは、先の戦いで嫌という程に思い知らされた。クロノ・オブジェクトとして見た場合、耐久力は極めて低い存在ではあるものの、そもそもの攻撃が当たらなければ話にならない。
「鉄の箱は仕留め損ねたか……。だが、まだ終わったわけではない。馬超殿に報いるためにも、我が父の名に懸けて、ここで我らがディアボロスを討つのだ!」
 関銀屏が高らかに宣言すれば、それに合わせて再び蟲将達も突っ込んで来る。彼らの武器は、とにかく速さ。騎蟲しているのは見慣れたトループス級の蟲将かもしれないが、巨大昆虫という足を得た、彼らの機動性を甘く見るわけにはいかない。
 着実な勝利を得るために、まずはハンミョウの方から始末するか、それとも騎蟲しているトループス級の方を先に倒し、少しでも戦闘の時間を短縮するか。
 どちらにせよ、敵のスピードを殺すことができなければ、一方的に蹂躙される未来しかない。獰猛なカマイタチの如く大鎌を振るい、関銀屏と彼女の従者達が、一斉にディアボロス達へと狙いを定めて襲い掛かって来た。
龍統・光明
『その業喰わせて貰う。さぁ、貴様の業を数えろ……』

ドラゴニアンのガジェッティア × レジェンドウィザード

特徴:基本冷静沈着。行動の際は【残像】【忍び足】を使用
普段二刀流と蹴術を織り交ぜる戦闘スタイルだが、
AS展開時は一転二丁銃と羽形ブラスターを操り戦う

基本回避優先で防御の際は左腕を盾代わりに使う

常にクールである事に努めており、他に迷惑をかけない様に心掛けている

『例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません』

よろしくおねがいします(連携大歓迎・NG:ギャグ・コミカル)


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎

「さて…あれを見られた以上は、ここで死んでもらうぞ」

暗に洩らしたくない秘密を見られた、という事を匂わせて
相手の中でのパラドクストレインの価値を高めておく

機動力が高いのなら、その足を潰す
仲間と連動するように動き出し巨大昆虫に騎乗する剣蟻兵に偃月刀を振るう
【神速反応】で相手の動きに合わせて立ち回る

打ち合いの中で<情報収集>して次に動く先を<看破>
あらかじめ仕掛けておいた【トラップ生成】で粘度のある網を張る

まるでハンミョウの虫取りのように

機動力を削げば何とでも
<地形の利用>のように巨大昆虫の巨体を伝って
剣蟻兵を討ち取っていく


新城・橙花
他の皆と協力するねっ。

「将を得るなら馬を射よ。だよっ」
ということで狙うはハンミョウ。
【泥濘の地】で動きを鈍くして、【腐食】で足元をぼこぼこにして、そしてパラドクス呪剣【月蝕乃刃】で叩き切るよっ。
「落馬…じゃなくって落ハンミョウすればそれなりに痛いよねっ」

敵に迫られそうになったら[攪乱]するように[ダッシュ]して距離を取るか、他の味方の支援を待つよっ。


●神速の剣蟻兵
 パラドクストレインの撤退には成功したが、代わりに荒野へ置き去りにされる形になったディアボロス達。
 気が付けば、周囲は既に騎蟲隊によって包囲されている。彼らからすれば、何の手土産もなく帰還するわけにもいかないため、ここで一人でも多くの首を取っておこうということだろうか。
「さて……あれを見られた以上は、ここで死んでもらうぞ」
 敢えて重要な秘密を握られたことを仄めかしつつ、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は偃月刀を抜いた。
 ここでパラドクストレインの重要性を相手に示しておけば、相手は是が非でもこちらを阻止しに来るだろう。情報収集のためには撤退が最善策なのだが、そこは血気盛んな騎蟲隊。敵に背中を見せるくらいなら、安全確保の意味も込めて、必ずこちらの排除に回るはず。
 果たして、そんな錬晏の読みは正しく、騎蟲隊は一斉に刃を抜いてディアボロス達に突撃して来た。
「来るよ! 気を付けて!」
 散開しながら、新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)が声をかける。既に周囲の地形はぬかるんでおり、相手の機動力はそこまで気にしなくても良いと思われたが。
「……っ!? 速い!」
 敵のスピードが殆ど落ちていないことに、龍統・光明(千変万化の九頭龍神・g01001)が思わず顔を顰めた。
 先の戦いでもそうだったが、ハンミョウはその身軽さを利用して、ぬかるんだ泥の上でも軽々と疾走できる。それは巨大昆虫と化しても同様であり、小刻みに飛ぶような動きをしながら、騎蟲隊は瞬く間に距離を詰めて来る。
 ブラスターで迎撃しようとする光明だったが、縦横無尽に跳ね回る騎蟲隊相手では、なかなか狙いを定めることができなかった。ともすれば、敵は要所に簡易的な拠点を設け、そこから巨大な岩塊を投げつけて来る。咄嗟に左腕で受け止め、払い除ける光明だったが、敵は岩塊の後ろ側なので反撃を当てられない。遠距離戦闘ではこちらが圧倒的に不利だ。
「まずは、あの蟲をなんとかしないとね。将を得るなら馬を射よ、だよっ」
 その一方で、迫り来る騎蟲隊を迎撃すべく、橙花は呪剣より腐食の呪詛を広げて行く。狙うは蟲将ではなく、それを乗せているハンミョウの方だ。いくら泥の上でさえ自在に跳ね回るハンミョウとて、大地そのものを呪いによって汚染されてしまえば。
「うぉっ! な、なんだ!?」
「くっ……! こちらの足をやられたか!」
 呪詛が自身に広まり切るのを懸念してか、ハンミョウの足を腐らせられた蟲将達は、次々にハンミョウから飛び降り始めた。中には受け身を取り損ね、そのまま大地に叩きつけられる者もおり、見ているだけで痛そうだ。
「落馬……じゃなくって落ハンミョウすれば、それなりに痛いよねっ」
 このまま、一気に畳みかければ勝てるのではないか。誰もがそう思える展開であり、橙花もまた例外ではなかった。が、しかし、人間であれば骨折間違いなしな勢いで落下していながらも、蟲将達は瞬く間に大勢を立て直し、そのまま橙花の方へと向かってくる。
「おのれ……馬超様より授かった巨大昆虫を、よくも!」
「許さん! 貴様の首、取って馬超様へ捧げてくれる!」
 落下の際のダメージなど、蟲将達にはないも同然であった。ディアボロスやクロノヴェーダは、戦いにおいて一般法則を無視できるという能力がある。これに対抗できるのは、クロノ・オブジェクトかパラドクスのみ。故に、目の前で爆弾が爆発しようとも、それがクロノ・オブジェクトやパラドクス自体の効果でない限り、ダメージは無効化されるか、あるいは理屈を抜きにして攻撃を回避されてしまう。
 巨大昆虫を破壊したのはパラドクスだったかもしれないが、落下そのものはパラドクスの効果でもなんでもない。そのため、敵の足を奪うことにこそ成功したものの、肝心の蟲将には何のダメージも与えられなかったのだ。
「こ、これって、ちょっと、まずい感じだよね!?」
 さすがに敵の数が多過ぎると察し、距離を取ろうとする橙花だったが、なにしろ周囲は泥沼だ。巨大昆虫を失った敵も容易に距離を詰めては来ないが、しかし橙花も思ったほど動き回れず、このままでは敵の的にされてしまう。
「……させんぞ!」
 だが、橙花の首を狙い新たな蟲将が迫るも、それを防いだのは錬晏だった。
 戦場に出現したピラミッド。その力を纏い、極限まで精神を高めれば、敵の素早い動きにも対応できる。問題は、こちらの肉体の速度が敵の速度を超えられないことだが……刃を斬り結んだ状態であれば、相手もそう簡単には動けない。
「どうした? 速さはあるようだが、力はそこまでないようだな」
「えぇい、小癪な!」
 岩塊をも両断する程の斬撃を受け止められ、蟲将達は仕方なく錬晏から距離を取った。このまま、速さを生かして一撃離脱を繰り返すつもりだろうか。もっとも、そんな行動は既に錬晏も読んでおり、ここぞをばかりに仕掛けておいた罠を起動させ。
「残念だが、そこは既に私の領域だ」
「な、なにっ! ……うぉっ!?」
 突然、ぬかるんだ泥沼の中から網が競り上がり、ハンミョウ達の脚を絡め取った。どれだけ素早く動けるハンミョウでも、さすがにこれでは動きが取れない。網そのものはクロノ・オブジェクトではないので相変わらず敵へのダメージは皆無だが、それでも動きさえ止まってしまえば。
「待ってたよ、この瞬間をねっ!」
「その業喰わせて貰う。さぁ、貴様の業を数えろ……」
 橙花が動きの取れないハンミョウを次々に斬り飛ばし、そこに光明の放った龍の気弾が追い打ちをかける。放たれた双頭の龍は敵の肉体こそ傷つけないものの、その精神を直に蝕み、記憶そのものを食らって行く。
「あ……がが……」
「お、俺は……誰……だ……」
 膨大な知識を一度に喰らわれ、蟲将達は次々と精神を病んで行った。もはや、彼らにはパラドクストレインを視た時の記憶どころか、満足な思考力さえ残ってはいまい。
「せめてもの情けだ。恐怖を感じる前に逝くがいい」
 錯乱状態になった蟲将の首を、錬晏が偃月刀で刎ね飛ばす。足となる巨大昆虫さえ失ってしまえば、彼らは有象無象のトループス級に過ぎない。今までの苦戦が嘘のように、脚を失った剣蟻兵達は、容易く討ち取られて行くのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!

十野・樞
アドリブ連携歓迎
残留効果は有り難く使用
仲間と情報共有

あの諸葛亮に正確な情報を持ち帰られる訳にはいかねえ
……ってのは、半分以上本音だがね

【トラップ生成】し
霞網やトリモチ等の罠を戦場に生成
騎蟲の機動力を殺ぐ
動きが鈍れば、仲間の攻撃も当てやすくなるだろうさ

【観察】【看破】で投げられた岩塊の軌道見極め
【結界術】【吹き飛ばし】で弾き投げ返す
反射的にそれを回避・防御する敵を、戦場に展開した『魔』を封じた魔導糸の渦へ、顕現した地獄の欠片へと追いやる地点へ、な
また【衝撃波】で敵を攻撃すると見せて魔導糸を揺らめかせ操
思いもかけぬ方角から敵を絡めとり『魔』に喰らわせよう

敵が脇目もふらず逃げるように
徹底的にやるぜ


月下部・小雪
ひ、ひとまずパラドクストレインの安全は確保、です。
あとは完全に逃げ切られないように注意しつつ、馬超の拠点を探りましょう。

まずはぼこぼこにして撤退に追い込みましょう!
【泥濘の地】で機動力を落として、ボクとコダマは【飛翔】して空中からの攻撃、です。

頭上から「アクマ印の魔法爆弾」をばらまいてかく乱しつつ、
コダマが【超高機動型モーラット・コミュ】になって強襲、です。

い、一応、逃げやすいように一箇所だけは攻撃の手を緩めておきますね。

※アドリブ連携大歓迎


●先の先の、そのまた先
 圧倒的な機動力を武器に、ディアボロス達へと迫る騎蟲隊。
 だが、それでも戦いを重ねることで、彼らの弱点は既に見切った。沼地さえ物とも言わぬ機動力は確かに脅威だが、その代償としてハンミョウ達の防御力は極めて低い。乗っているのも有象無象のトループス級が大半なので、足さえ止めてしまえば、後は好き放題に蹂躙できる。
「ひ、ひとまずパラドクストレインの安全は確保、です」
「ああ、そうだな。後は、本当に逃げ切られる前に倒すだけだ」
 月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)の言葉に、十野・樞(division by zero・g03155)は少しばかり考え込む素振りを見せつつも頷いた。
 敵の背後には、かの有名な諸葛亮・孔明の存在がある。蟲将と化しても、その頭脳が健在であるとすれば、正確な情報を持ち去れるのは命取り。敵を敢えて逃がし拠点の位置を探る足掛かりにするとしても、本当に逃がしてしまったが最後、こちらが一気に不利となる。
「ま、まずは、ぼこぼこにして撤退に追い込みましょう!」
 そちらが地上を高速で走るなら、こちらは空から対抗しようと、小雪がアクマ印の魔法爆弾をバラ撒いた。だが、敵はその爆撃を軽々と避け、一気に距離を詰めて来る。
「怯むな! 進め!」
「あんなもの、落下地点を先読みすれば恐れることはない!」
 ともすれば、爆風よりも速く疾走し、巧み攻撃を避けて来る蜀軍の蟲将達。もっとも、その程度のことは小雪も十分に承知していた。この爆撃は、あくまで撹乱と牽制に過ぎない。敵の目を爆撃に引き付けることで、真の狙いから反らすための。
「……ぬぅっ! な、なんだ、これは!?」
「いかん! 蟲の足を取られたぞ!」
 気が付くと、敵の軍勢は網やトリモチに囚われて、身動きが取れなくなっていた。樞の仕掛けた罠のせいだ。小雪の爆撃は、最初からこれを狙ってのこと。爆風に気を取られるあまり、敵は足元への注意が疎かになってしまい、巨大昆虫の動きをまんまと止められてしまったというわけだ。
「い、今です! きょ、今日のコダマは竜巻のような荒々しい動きで、行きます!」
「モキュ!」
 高機動型の装備を施されたモーラット・コミュのコダマが、凄まじいスピードで敵の間を飛び回りながら、着実に砲撃によって仕留めて行く。これにて、形勢は完全に逆転だ。トリモチに捕縛されたハンミョウは身動きが取れず、その上に陣取る蟲将もまた、この状況では完全に単なる的に過ぎない。
「えぇい、早く脱出するぞ!」
「この程度の網で、我らを止められると思うな!」
 的にされることを恐れてか、網に捕らわれていた蟲将達は、手にした武器で網を切断し始めた。罠自体はクロノ・オブジェクトではないので、昆虫にも蟲将にもダメージはない。しかし、それ以外の効果はしっかりと生じてしまうため、早々に脱出せねばと思ったのだろうが。
「Stat sua cuique dies――。もはや、逃げ場はどこにもないぞ」
 突然、戦場に奇妙な糸が展開され、それらが巨大昆虫諸共に、蟲将達を絡め取って行く。罠を構築する網とは異なり、こちらは触れた者を直に侵食し、問答無用で食らって行く恐るべき代物だ。
「あの男の仕業か!」
「させるな! 城塞を築いて対抗しろ!」
 樞の仕業と感づいたトループス級の何体かが岩で簡素な拠点を築いて対抗して来たが、それも空しい抵抗だった。
 飛来する岩塊を、樞は結界によって軽々と跳ね返す。パラドクスとしての効果を失い宙を舞う岩塊は、蟲将にとっては単なる岩に過ぎないが……それでも、樞は敢えて相手が回避するのを見逃した。
「ふん! その程度で、我らの動きを封じられるとでも思ったか?」
「避けるだけなら、騎蟲していなくとも造作もないことだ!」
 岩塊が落着すると同時に、まるで時間の法則を無視したかの如く、敵が瞬間的に移動する。しかし、その移動した先にあったのは、樞の張り巡らせていた魔性の糸。どれだけ足が速かろうと、一部の法則を無視できようと、回避したその先全てに逃れられぬ罠が仕掛けてあれば、どうすることもできないのだ。
「残念だったな。そこがお前達の終着点だ」
 樞が糸を軽く引けば、蜘蛛の巣の如く張り巡らされたそれは、四方八方から蟲将達に絡みつく。やがて、その糸が巨大昆虫と蟲将を全て食らってしまったことで、荒野はいつしか静寂を取り戻していた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【トラップ生成】がLV2になった!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

●悩める関三小姐
 馬超軍の誇る虎の子の騎蟲隊は、気が付けばアヴァタール級の蟲将である関銀屏を残すだけとなっていた。
「くっ……! やってくれたな、賊どもめ!」
 この場を預かる指揮官として、なにより武人として、こうも好き放題に蹂躙されたことが我慢できないのだろう。歯噛みする関銀屏だったが、しかし彼女とて自分の使命を忘れたわけではない。
 今回の任務は、あくまで偵察。情報の収集が最終目的である以上、ここで自分が死んでしまったら、全てが水の泡ということぐらいは理解している。
 武人としての誇りを守るのであれば、死を恐れず戦うことも必要だろう。だが、与えられた使命を全うすることこそが、騎蟲隊を預けてくれた馬超への忠義を示すことになるのであれば、退くという選択もまた道理。
(「まだだ……私はまだ、ここで死ぬわけには……」)
 理想と現実。使命とプライドの狭間で、関銀屏の心は揺れ動いていた。
 アヴァタール級である以上、ジェネラル級からの命令は絶対。ならば、やはり重要なのは情報を持ち帰ることなのだろうが、後はそのための策をどうするか。
(「ここで敵に背中を見せれば、そこを襲われるやもしれぬ。ならば、敵を全て倒して突破するか?」)
 思考が頭の中でループして、関銀屏は攻めるも退くもできない状態。故に、少しでも隙を見せれば、彼女は全力で撤退するだろう。だが、反対に隙を全く見せなければ、覚悟を決めて突貫してくるはずである。全ての手駒を失った今、彼女が取れる策は少ない。
 ここで彼女を逃がして敵の拠点の位置を探るか、それとも憂いを断つために問答無用で殲滅するか。
 戦いの主導権は一転して、ディアボロス達の方に委ねられることとなっていた。
夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
※残留効果活用

「どうした?劣勢になって怖じ気ついたか?」

勇ましく戦場に立つ『関銀屛』を真っ直ぐと見つめ
まずは切り結ぶために偃月刀を向けて<挑発>する

『関羽』健在の頃、何度か刃を交わした<戦闘知識>を思い出しつつ
ハンミョウの機動力が加わわることを加味して【神速反応】を使いながら立ち回る

徐々にその速さについていけなくなった、とばかりに苦戦を演じ
必要に応じて、急所を守りつつ攻撃を受ける
苦し紛れに先ほど使った【トラップ生成】の網を向けるも届かない

「くっ…思った以上に速い、」

焦ったようすを<演技>して隙をつくり
悔しそうに背を見送る


●敢えて退路を
 全ての配下を失い、残るは関銀屛ただ一人だけ。
 彼女を倒せば全てが終わる。だが、それを知った上で、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は敢えて策を仕掛けることにした。
「どうした? 劣勢になって怖じ気ついたか?」
「なにを! まだ、勝負はついてなどおらぬ!!」
 プライドの高い彼女のこと。案の定、関銀屛は錬晏の挑発に乗って来た。そのまま正面から切り結べば、後は互いに超高速の戦闘へとなだれ込む。
「娘だと思っていたが、少しは武術に覚えがあるようだな?」
「当然だ! 私を美髯公、関羽の娘だぞ!!」
 アヴァタール級であったとしても、そのプライドは一人前。己の敗北は即ち父である関羽の名を穢すことであるとばかりに、関銀屛は大鎌を振り回して錬晏へと迫った。
 右へ、左へ、周囲のぬかるみなど気にもせず、二人は互いに武器を交える。機動力だけであれば、関銀屛の方が圧倒的に上。しかし、錬晏はかつて関羽が健在だった頃、幾度か彼と戦った際のことを思い出しつつ、的確に関銀屛の攻撃を捌いて行く。
(「……なるほど、確かに、あの美髯公の娘を名乗るだけはあるようだ。だが、まだ浅いな……全てにおいて」)
 関羽の戦い方を良く知っているからこそ、錬晏は関銀屛の動きが手に取るように分かった。どの攻撃も、確かに真っ直ぐで強力なものだが、素直過ぎるが故に軌道は読み易い。関羽に比べて踏み込みも浅く、敵を倒すためには手数を要するものばかりだ。
 この程度の相手であれば、楽勝とまではいかずとも、善戦できないはずはなかった。もっとも、ここで調子に乗って彼女を倒せば元の木阿弥。急所を守りつつ、防戦一方の姿を演じることで、錬晏は敢えて関銀屛に撤退する隙を与えることにした。
「くっ……思った以上に速い。だが、あれを見られた以上、ここで逃がすわけには……」
 パラドクストレインの重要性を仄めかすことで、関銀屛に本来の任を思い出させる。彼女の性格からして、このまま戦い続けたところで、玉砕覚悟で突っ込んで来るに違いない。しかし、同時に彼女は超が付くほどの真面目な性格。故に、任務を最優先するならば、敵に背を晒すこともまた躊躇わないはず。
「どうやら、この辺りが潮時のようだな。馬超殿から預かった騎蟲、ここで失うわけにはいかぬ」
 錬晏の繰り出した網をハンミョウの跳躍で軽々と避け、関銀屛は戦場から立ち去った。その背中を悔しそうに見つめる錬晏だったが、しかし彼の顔には、同時に不敵な笑みが浮かんでいたのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【神速反応】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

無堂・理央
ピンポイント参戦ってね。
騎兵への追撃は騎兵にお任せあれ!


無双馬『クロフサ』に騎乗して逃走する敵を追走するよ。
【泥濘の地】でハンミョウの足回りを悪くすれば、少し位は速度が落ちるでしょ。
後はクロフサの脚で追いつくのみ!
【騎乗】と【ダッシュ】で全力でクロフサを走らせて堂々と後ろから追いついたげる!

追いつくまでに時間は掛かりそうだけど、時間が掛かるのは裏を返せば馬超の拠点を割り出す情報が増えるって事だから悪くは無いよね?
敵に追いついたらそのままパラドクスで生み出す衝撃波でハンミョウの脚を叩いて逃がさないようにする。
まぁ、他の人が戦闘してた感じ、パラドクスの衝撃波でハンミョウ自体が潰れそうだけどね。


月下部・小雪
理央さんが地上から追いかけるなら、ボクはお空を飛んで、追いかけます。
ふ、二手に分かれましょう!

【飛翔】を重ねてスピードをあげて、【超高機動型モーラット・コミュ】のコダマと一緒に追いかけます。
地上の地形で時間がかかりそうな場所があれば、お空を飛んでいるのをアドバンテージにして先回り、です。
理央さんと協力して、関銀屏を挟み撃ちにして、しまいましょう!

※アドリブ連携大歓迎


●泥濘と蒼穹の狭間で
 パラドクストレインの存在を本隊に知らせるべく、恥を忍んで撤退した関銀屏。このまま彼女を逃がしてしまえば、敵にむざむざ情報を与えるようなもの。だが、そんな彼女を敢えて泳がし追跡すれば、それは敵の拠点を割り出すために使えるわけで。
「よし、ここはボクの出番だね。騎兵への追撃は騎兵にお任せあれ!」
 無双馬『のクロフサ』に騎乗して、無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)が逃げる関銀屏を追いかける。そんな彼女の後ろから、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)もまたモーラット・コミュのコダマにつかまって、空から関銀屏をを追うことにした。
「理央さんが地上から追いかけるなら、ボクはお空を飛んで、追いかけます。ふ、二手に分かれましょう!」
 このまま地を這う形で追いかけても追いつけない。そんな小雪の判断は正しく、関銀屏はどんどん二人との距離を離して行く。慌てて追いかける理央だったが、周囲の大地は先ほどまでの戦闘で泥だらけ。関銀屏にとっても不利は不利だが、それは理央にとってもまた同じ。
(「ハンミョウの足回りを遅くすればって思ったけど……これ、下手に足場を確認しないで突っ込んだら、もしかしなくてもクロフサの方が足を取られちゃう!?」)
 比較的、液状化の緩い場所を狙って走りながら、理央はなんとか関銀屏を見失わないようにするのが精一杯だった。細長い足を持つ馬は、一度でも深みに嵌ってしまえば、自力での脱出が困難になる。現に、周りの兵との戦いで足場の確認を怠り、無残にも首を取られたという武将の話は古典の中でも語られる話として有名だ。
 その一方で、関銀屏はハンミョウを巧みに操りながら、泥だらけの大地を駆けていた。ハンミョウの素早さの秘密は、その足を入れ替える速度にある。前足が沈む前に後ろ足を出し、後ろ足が沈む前に前足を出せば、泥の海の上であろうと、ある程度は問題なく動けてしまう。
 このままでは、いずれ関銀屏には逃げられてしまうかもしれない。なんとかして彼女の行く手を阻みたい理央だったが、この状況で攻撃を仕掛けても避けられるのがオチだ。一瞬でも良いので、なんとか関銀屏の動きを封じたいが……そんな彼女の想いを察してか、空から追いかけていた小雪が颯爽と関銀屏の前に飛来した。
「そ、そこまで、です! もう、逃がしません!」
 コダマにビーム砲を撃たせて牽制させることで、小雪は関銀屏の行く手を遮った。攻撃こそ命中しなかったものの、無数のビームが大地を抉って泥を巻き上げ、関銀屏の前に泥水の壁を生み出して。
「今だ! これでっ、どうっ!?」
 そこを逃さず、理央はクロフサの足を強化すると、その蹄を凄まじい力で大地に叩きつけさせた。振動は周囲の泥を巻き上げ、発生した衝撃波が関銀屏に襲い掛かる。この程度の攻撃でやられる関銀屏ではなかったが、しかし騎乗している蟲は別だ。
「……っ! しまった!?」
 咄嗟に蟲から跳び下りることで関銀屏は難を逃れるも、反応の遅れたハンミョウは、衝撃波から逃れることはできなかった。
 泥の津波に飲み込まれ、バラバラに砕かれたハンミョウの身体が泥濘の底へと沈んで行く。機動性に全てを注ぎ込んだハンミョウは、その分だけ防御力が極端に低くなっている。ディアボロス達からすれば紙同然の強度しか持たない甲殻など、本体諸共に破壊することは造作もない。
「おのれ……馬超殿から授かった騎蟲を……よくも!」
 泥の海から立ち上がり、武器を構える関銀屏。逃げるための足を失った以上、彼女に残された道は、ただ一つ。
「斯くなる上は、お前達を全て討ち倒し、情報を馬超殿のところへ届けるまでだ! さあ、この線より先を踏み越えし者は、その命、無事では済まぬと知るがいい!!」
 鎌の柄で泥沼に線を引きながら、関銀屏は高々と叫ぶ。それは強がりにしか聞こえないものだったが、しかしここで彼女を逃す道理はない以上、ディアボロス達にとってもまた、手心を加えるという選択肢はあり得ない。
「さあ、行こうか。ここからが正念場だからね」
「は、はい! なんとしても、ここで食い止め、ましょう……」
 前後から挟み込む形で、理央と小雪が関銀屏の退路を断つ。騎蟲を失った関銀屏との、最後の戦いが幕を開けた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】がLV3になった!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【アヴォイド】がLV2になった!

新城・橙花
他の人たちと協力するねっ。

まずはこっそりくぼ地あたりに隠れながら相手の後方へ移動。
敵が逃げ出すようならその方向を確認してから、一気に【飛翔】で前に回り込む。
そのままパラドクスをぶつけて動きを封じるよー。
「通せんぼだよー。どこに行くつもりなのかなー?」

後は突破されないように足止めしつつ、味方が追い付いてくるのを待つばかり、かな?


●関三小姐の後悔
 騎蟲を失い、ついに追い詰められた関銀屏。逃走手段を失った以上、彼女はもう逃げられない。
 この状況を打破するには、目の前の敵を全て倒すしかない状況。ならば、なんとか隙を見つけて包囲網から逃れんと考える関銀屏だったが、彼女を追い詰めていたのは先の二人だけではなかった。
「通せんぼだよー。どこに行くつもりなのかなー?」
「……っ! 伏兵か!?」
 窪地に隠れて様子を窺っていた新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)が、空を飛んで関銀屏の前に回り込む。騎蟲さえなければ、スピードで負ける理由もない。ぬかるんだ大地は関銀屏の足に容赦なく絡みつき、彼女は思うように動けない。
「小癪な真似を! ならば……命に代えても押し通る!!」
 それでも、もはや手段が残されていないことを察してか、関銀屏は真正面から橙花に斬り掛かって来た。だが、当然のことながら、そんな攻撃では橙花を捉えることはできない。泥に足を取られて速度が落ちている上に、橙花と異なり関銀屏は飛翔するための手段も持っていないからだ。
「賢しいやつめ! 叩き落してくれる!」 
「そうはいかないからねっ。呪いの葉の乱れ撃ちだよっ」
 関銀屏が鎌を投げつけたのに合わせて、橙花もまた大量の葉を竜巻の如く散布すると、その勢いに任せて相手の攻撃を相殺する。それだけでなく、呪詛によって硬質化した無数の葉は、関銀屏を手数の多さで圧倒して、その身を四方八方から斬り裂いた。
「こいつ……できる……っ!!」
 再び大地に降り立った橙花を見据え、関銀屏が思わず呟いた。
 騎蟲の力によって、どのような敵も圧倒できると信じていたこと。それが単なる慢心であったと悟った時には既に遅く、彼女はディアボロス達の策に嵌ったことを、歯噛みしながら悔やむ他になかった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

陳・桂菓
関羽の娘を名乗るか。親が剛勇なら娘もそうとは限らないだろうに、妙な名を奪った蟲将もいたものだ。
まあ、戦神の末裔を自称する私が言えた義理でもないのだが。

使用武器は双短戟『騰蛟昇竜』
飛行速度が売りの【単駆突赴】だが、真紅のオーラで敵の目を引きもする。投擲の的としては狙いやすかろうな。
ならば、下手に回避するより戟の手数をもって飛来する大鎌槍を斬り払いつつ、一気に肉迫しよう。
関銀屏の腕前を思えば、近接戦に持ち込めたとして容易に競り勝てはせんだろう。が、払う、斬る、突くと何でもできる戟のマルチぶりを発揮できれば、大鎌槍を防ぐと同時に攻撃を加えることもできるはず。
多少の怪我は覚悟の上で、強攻して押し勝つ。


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
※残留効果活用

足止めもうまくいったか
流石だな、と称賛しつつ【飛翔】で仲間の元へ急行する

我らの情報は易々とは渡せない
『関銀屛』、ここで討ち取らせてもらうぞ

先程の戦闘が頭に残っているだろうが、あれは逃げさせるための演技
騎蟲を失い、足元の環境にも適応できないようなら勝機は十分
これまでの<戦闘知識>を存分に使い<地形の利用>で立ち回る

偃月刀に朱殷の闘気を纏わせ、龍頭を模した形に<武器改造>
投擲の瞬間の隙を【神速反応】で<看破>して、その腕を噛み砕く

…愚直ゆえに他の蟲将とは違って嫌悪感は少ないが
武人として経緯を払い、容赦なく全力でお相手しよう


月下部・小雪
に、逃がしません!
パラドクストレインの情報を渡すわけには、いきません。

【泥濘の地】や【トラップ生成】で仕掛けた罠で足止めしつつ、
【飛翔】して上空から「アクマ印の魔法爆弾」を投げつけて牽制です。
ボクを排除しようと飛び上がってきたところを【毛玉電気抜刀術】でコダマが斬り裂いてやります!

ふぅ、な、なんとかなったでしょうか。
この調子で馬超の本拠地を特定、していきましょう!

※アドリブ連携大歓迎


●最後は武人として
 騎蟲を失ったことで、関銀屏は圧倒的な機動力というアドバンテージを失った。
 こうなってしまえば、彼女もまた何の変哲もないアヴァタール級の蟲将に過ぎない。強敵には違いないが、しかし今まで数多の敵を退けて来たディアボロス達からすれば、決して倒せない相手ではない。
「足止めもうまくいったか、流石だな」
「に、逃がしません! パラドクストレインの情報を渡すわけには、いきません」
 飛翔しながら追撃していた夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)と月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)も追いつき、それぞれ関銀屏を取り囲んだ。前後を塞がれ、もはや関銀屏には逃げ場などない。それでも、己の父の名に恥じぬよう最後まで戦う姿勢を崩さない関銀屏であったが、正史を知る陳・桂菓(如蚩尤・g02534)からすれば、それは滑稽以外の何物でもなかった。
「関羽の娘を名乗るか。親が剛勇なら娘もそうとは限らないだろうに、妙な名を奪った蟲将もいたものだ」
 桂菓の言う通り、関銀屏は本来の歴史には登場しない人物である。確かに、関羽に娘はいたものの、別に武将というわけでもない。武将としての関銀屏は、あくまで伝説、あるいは創作の上で登場する人物でしかなく、そんな者の名を騙ることに何の意味があるのか、桂菓には不思議でならなかった。
 だが、それでも関銀屏からすれば、己が関羽の娘であるということが最大のアイデンティティなのだ。喩え、複製でしかないアヴァタール級であったとしても、それは同じ。父親の名を穢すわけにはいかないという、ただそれだけの理由で、今の彼女は立っている。
「……確かに、私の父は剛勇であったが、しかし私もそうとは限らないだろう。だが……だからこそ、ここで負けるわけには行かぬ! 部下も騎蟲も失って、おめおめ逃げ帰るわけにはいかぬのだ!」
 そう言うが早いか、関銀屏は手にした鎌を構えると、それを桂菓目掛けて投げつけた。瞬間、鎌が空中で分裂し、無数の刃が桂菓を襲う。しかし、それらによる負傷さえお構いなしに、桂菓は鎌を強引に戟で払い除けると、そのまま一気に持ち前のスピードで肉薄する。
「……突き破る!」
 真紅の闘気を全身に纏い、桂菓は関銀屏と斬り結んだ。互いの手にした武器の柄が交錯し、力と力がぶつかり合う。純粋な膂力だけなら関銀屏の方が上かもしれないが、桂菓の駆る戟は断つだけでなく、薙ぐことも突くことも可能な万能武器だ。
 大鎌は、その形状からして一度引かなければ斬ることはできない。それに比べ、様々な斬撃を変幻自在に繰り出せる戟は、圧倒的に隙が少ない。
「くっ……! こいつ……やるな!!」
 鎌を振り上げようにも桂菓の連撃がそれを許さず、関銀屏は仕方なく距離を取った。振り下ろしから刺突へ、刺突と思わせて薙ぎ払いへと自由自在に移行する戟の動きは確かに脅威。もっとも、それを避けるために距離を取ったのは、果たして正しい判断かといえば……答えは否だ。
「す、隙あり、です!」
 空高く飛翔した小雪が、手にしたアクマ印の魔法爆弾を、一斉に投下し始めたのだ。
 さすがに、これには関銀屏も敵わない。命中精度は決して良くないが、それでも付近で次々に爆発が起きるため迂闊に動けず、気が付けばぬかるみに足を取られてしまっている始末。飛来する爆弾を衝撃波にて迎撃するも、それが彼女の限界だった。
「コダマの超神速の抜刀術をお見舞い、です!」
 爆風を突き抜ける形で出現したモーラット・コミュのコダマが、凄まじいスピードで擦れ違い様に関銀屏を斬りつける。最初から、これが狙いだったと気が付いた時には既に遅し。脇腹を斬られ、決して浅くない傷を負わされた関銀屏は、ついにその場へ膝をついた。
「お、おのれ……しかし、まだ、勝負は……」
 それでも気力だけで立ち上がる関銀屏だったが、既に勝敗は見えている。今の彼女に、複数のディアボロス達を相手にするだけの余力はない。もっとも、最後まで敵に一矢報いんとする姿勢だけは本物であり、それに敬意を表してか、錬晏は敢えて関銀屏に正面から挑んだ。
「我らの情報は易々とは渡せない。『関銀屛』、ここで討ち取らせてもらうぞ」
 朱殷の闘気を纏った偃月刀が、その刀身を龍頭を模した形に変えて行く。単なる装飾ではなく、本物の龍の頭の如く、それは巨大な顎を開いて関銀屛へと襲い掛かる。
「……っ! 勝負!!」
 身体の痛みを堪え、関銀屛もまた無数の刃を投げつけることで錬晏に応戦した。が、しかし、既に肉体は限界だったのだろう。その動きは先程に比べて随分と粗が垣間見え、また刃の本数も決して多くはない。その一方で、先の戦いとは異なり本気で挑んだ錬晏は、既に関銀屛の攻撃など歯牙にもかけぬ領域へと到達していた。
「なんだと! 貴様……まだ、それだけの力を隠していたか!」
「先程の一戦は様子見だ。だが、もはや出し惜しみする必要はない。容赦なく、全力でお相手しよう」
 巨大な龍の顎と化した偃月刀が、関銀屛の腕を噛み砕く。大鎌が宙を舞って大地に突き刺さり、同時に関銀屛もまた地に倒れ伏し。
「私の……負けだな……。父上……馬超殿……申し訳……ございません……」
 戦うための術を全て失ったことで、諦めもついたのだろうか。己の未熟さを嘲笑するが如く苦笑しつつ、関銀屛は、そのまま静かに事切れた。
「ふぅ、な、なんとかなったでしょうか。この調子で馬超の本拠地を特定、していきましょう!」
 額の汗を拭いながら、小雪が地上に舞い戻る。この戦いだけで敵の拠点を割り出すことはできずとも、少しずつ情報を集めて行けば、いずれは敵の喉元に食らいつくことができるであろうと。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV4になった!
【断末魔動画】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2023年02月22日

馬超軍のパラドクストレイン強襲作戦

 長安の情勢を偵察する為に五丈原まで出てきていた、蜀のジェネラル級蟲将『諸葛亮』には撤退されてしまいましたが、蜀との戦いが終わったわけではありません。
 攻略旅団から『蜀の将を各個撃破する』作戦が提案された事で、改めて、蜀との戦いを開始する事になりました。

 各個撃破に最も相応しい蜀の将軍は、五虎将軍の一体でもある、血塗れの錦『馬超』となります。
 馬超の軍勢は、全員がクロノ・オブジェクト化した巨大昆虫に騎乗する騎蟲軍団で編成されており、まさに神出鬼没。こちらから探して補足するのは非常に困難です。

 しかし、こちらから探すのが困難であるのならば、向こうから出てきてもらえば良いのです。
 馬超は、蜀の拠点である『漢中』の北側から蜀に潜入する敵の警戒を任務としているので、そのテリトリーに、パラドクストレインのような異物が現れれば、すぐに軍勢を派遣してくる筈です。

 この現れた軍勢を撃破する事で、馬超の軍勢の力を削ぎ、馬超の撃破に向けた布石とする事が出来るでしょう。

血塗れの錦『馬超』


※3月20日追記
 曹操がディアボロスに追い詰められている事を知った、蜀王『劉備』が、ディアボロスに曹操を討たせるための策として、馬超に『パラドクストレイン強襲作戦』を中止するように命じたようです。
 この命令により、馬超は撤退、攻略成功扱いとなっています。
 作戦の中断により、馬超の戦力は十分に減っていませんが、攻略旅団の作戦によっては、馬超の撃破を目指す事は可能となっています。

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選択肢『パラドクストレインを護れ』のルール

 敵を誘き寄せる為にパラドクストレインを囮に使用します。
 パラドクストレインは絶対に守るべきものなので、まずは、パラドクストレインを襲撃しようとしてきた敵に対して、パラドクストレインから飛び降りながら攻撃などをして、撃退してから、通常の戦闘に入ってください。

 今回の作戦では、パラドクストレインに対して、逆説連鎖戦の特殊な行動である『ディフェンス』を指定する事が可能です。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『騎蟲軍団の追跡』のルール

 馬超配下の騎蟲軍団は、戦況が不利になれば騎蟲の機動力を生かして、戦場から離脱しようとします。
 もちろん、それでまっすぐ馬超の拠点を目指してくれるわけではありません。
 馬超の拠点を割り出す為には、わざと隙を見せて、離脱を試みさせた上で、それを追跡して攻撃を仕掛ける事も必要となります。
 高い移動速度で追いついたり、敵の移動方向を予測して先回りしたり、敵の速度を落とすような仕掛けを考える等、工夫が必要になるでしょう。

 この選択肢は成功させる必要はありませんが、成功させたシナリオ数が多ければ多い程、今後の馬超との戦いが有利になります。

 詳しくはオープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『🔵が👑に達すると、選択肢の説明で指定された特別な効果が発生する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾騎乗するトループス『蜀軍剣蟻兵』のルール

 馬などに騎乗したトループス級のクロノヴェーダです。
 騎乗する事で、高い移動速度と、人馬一体の戦闘を行なうことが出来ますが、総合的な戦闘力は通常と大きく変わりません。
 騎乗した敵に対応した戦い方を工夫すれば、有利に戦う事が可能でしょう。
 詳細は、オープニングやリプレイで確認してください。

※補足
 騎乗している馬などを狙って攻撃しても、ダメージはクロノヴェーダ本体が引き受ける為、個別に撃破する事は出来ないようです。
 また、クロノヴェーダを撃破すると、騎乗していた馬などは消滅してしまいます。


 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿騎乗するアヴァタール『美髯公の娘・関銀屏』のルール

 馬などに騎乗したアヴァタール級のクロノヴェーダです。
 騎乗する事で、高い移動速度と、人馬一体の戦闘を行なうことが出来ますが、総合的な戦闘力は通常と大きく変わりません。
 騎乗した敵に対応した戦い方を工夫すれば、有利に戦う事が可能でしょう。
 詳細は、オープニングやリプレイで確認してください。

※補足
 騎乗している馬などを狙って攻撃しても、ダメージはクロノヴェーダ本体が引き受ける為、個別に撃破する事は出来ないようです。
 また、クロノヴェーダを撃破すると、騎乗していた馬などは消滅してしまいます。


 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「孫・リア」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。