リプレイ
イツカ・ユメ
楽しい夢や希望を見せておいてから、絶望に突き落とすなんて……わたし、そーゆーの1番嫌い!
可愛いピエロの格好で遊園地のスタッフっぽく紛れ込むわね。
…遊びに来てくれた人達に罪はないもの。【歌唱】【ダンス】【演奏】で目一杯楽しませちゃうよ♪
周囲を【観察】したり、怪しい人の後を【追跡】したりして、秘密工場の場所や黒幕に関する【情報収集】も忘れずに。
子供達を物色している人を見つけたら、囮として紛れ込んでいるディアボロスの人達が上手く攫われるように「あの子はどう?」なんて、さりげなく勧めてみるよ。
攫われた人達がいるテントを見つけたらキットを紛れ込ませて。皆と【パラドクス通信】で連絡が取れるようにしておくね
宝心・ライラ
「サーカスは皆を笑顔にする為のもの。私が本当のサーカスを教えてあげるわ!」
自前の衣装とゾルダート達を模倣したピエロメイクで遊園地に紛れ込む
まずは一輪車に乗って、パラドクスで描き出した「?」マークでジャグリングをしたり、「!」マークで投げナイフをしたりして子供たちを笑顔にしてあげるわ
その後は【プラチナチケット】の効果で遊園地のバックヤードに侵入して、工場や牢屋の情報を集めて皆と共有しようかしら
もしピエロさんに怪しまれたら話を逸らす
「臨時で雇われたの!でも私の方がたっくさん子供達を笑顔にできたし、正規で雇ってもらえるかもね。その時までにそのへたっぴな作り笑顔、直した方がいいわよ?」
アドリブ大歓迎
虹空・アヤ
貧民街ならやり易い、っつうなら――胸糞悪ぃハナシだ
同じような場所で育った記憶がある
その時感じてた事はよく思い出せねぇが、それでも自分に重なるようで
……赦せないってのは、こんな感情なんだな
見世物小屋の案内人等のスタッフに扮する
帽子等で顔を判別し難くし、奇抜な衣装でオレ自身の印象を薄めるようにしよう
紛れられるなら配置はどこでもイイ
働きつつ避難時に使えそうな経路や仲間が隠れやすい場所の確認
警備のルートやタイミングも調べパラドクス通信で仲間と共有しよう
倒せそうな警備の目星もつけ迅速に行動に移せるようにしとく
子供らの失望には程遠いだろうが
お望みなら存分に味わせてやるさ、壊される為にある希望ってヤツを
――愉快な音楽とともにカーニバルがやって来て、見慣れた風景の中にふと、何食わぬ顔をした異質な存在が混ざっている。
華やかな喧騒の裏側で、夜にひしめく怪しい影。光が眩しいほどに闇は深まり、過去と未来を行ったり来たりする回転木馬が、あわいの世界へ人々を攫う。
「……何だか、こういう話があったような気がするわ」
思い出すのはまだ幼かった頃、薄暗い部屋で本のページを捲っていた日々のこと。やがて、今の自分を見つめ返した宝心・ライラ(ミス・ハッピーエンド・g01071)は、ちいさく溜息を漏らしてから移動遊園地へと向かう。
(「人を攫って無理矢理改造する、なんて」)
自前の衣装でピエロに扮したライラの貌には、ゾルダートを模倣した機械のメイクが施されている。元から芸を生業とする身だ――赦せぬ怒りを仮面の裏に隠すと、彼女は浮世離れした仕草で一輪車に飛び乗った。
「サーカスは皆を笑顔にする為のもの――私が、本当のサーカスを教えてあげるわ!」
オーキードーキー、と砕けた調子で相棒の名を口にすると刃の車輪がくるくる回り、ライラの周囲に現れたカラフルな記号たちが、たちまち実体を持って踊り出す。
「ほーら。これを使えば、ジャグリングだってお手のものよ!」
「うわ、すげー! どうやってんの?!」
「魔法みたい、おもしろーい!」
矢印のマークはグラブのように。形が複雑なクエスチョンマークだって、上手にバランスを取って回転させつつ、一輪車の上でトリックを決める。
そうこうしているうちに、ライラの周りにはどんどん子ども達が集まって――良い感じに盛り上がってきたところで、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)も広場のステージに飛び込んでいった。
「みんな、サーカスにようこそ! わたしも目一杯楽しませちゃうよ♪」
パステルピンクの道化服の後ろでは、キュートな悪魔の尻尾がひらひら揺れている。無邪気な笑みを見せるイツカはサキュバスで、誰かを悦ばせることは彼女の本能に近いのだけれど――子ども達が笑顔を見せてくれて、一緒に楽しい時間を過ごすのは、やっぱりあたたかくて幸せなことだと思うのだ。
(「それに……遊びに来てくれた人達に、罪はないもの」)
例え、この移動遊園地が人攫いの舞台になっているのだとしても。囮となる仲間たちも居るのだし、イツカ自身はスタッフとして、彼らが楽しんでくれるように力を尽くしたい。
「それじゃ、ハッピーな歌とダンスでアゲてくね!」
――波打つイツカの翠玉の髪に、時おりぱちりと瞬く火花は、相棒のモーラット・コミュによるものか。よく見れば、似たような電波は広場の向こうでも発生しているようだ。
(「貧民街ならやり易い、か。……胸糞悪ぃハナシだな」)
その向こう側――帽子を深く被り、お世辞にも柄の良いとは言えぬ顔つきを隠すのは虹空・アヤ(彩・g00879)で、彼の傍に居るふかふか毛玉のサーヴァントは、見た目のままに手鞠と言う。
(「ガキの一人や二人、居なくなっても気に留めやしねぇってんなら……ま、実際そうなンだろうが」)
ひっそりと悪態を吐くアヤのほうは、バックヤードでの打ち合わせを耳にしたばかりなのだろう。
ピエロに扮した配下たちが、厚塗りの化粧の下で人攫いの算段を立てているのには反吐が出そうだが――此方も奇抜な衣装で紛れ込んでしまえば、それこそ彼らも「気に留めやしない」のだった。
(「……よく、思い出せねぇけど」)
おぼろげな記憶のなかでは、自分も同じような場所で暮らしていた気がする。実際はどうだったのか、その時のアヤがどう感じていたかは定かでないが、それでも子ども達の姿が過去の自分と重なるようだった。
「ああ、……赦せないってのは、こんな感情なんだな」
彼の手元で揺れる硝子の根付を追いかけて、ころころと転がる手鞠も、恐らくやる気を見せているのだろう。
やがて裏方に配置されたアヤが、攫った子ども達を集めておくテントの場所や、秘密工場へ送り届ける段取りなどを通信で伝えると――広場に居るイツカのほうは囮作戦が上手くいくように、仲間のディアボロスをさりげなく薦めておくことも忘れない。
「おい、ちゃんとガキどもを見張っているだろうな」
「はーい! さっそく希望に叶いそうな子を見つけましたけど」
誘拐団のリーダーと思しきピエロが、風船を手に近づいてきたのに合わせて、イツカはちらちらと仲間たちに合図を送る。こっそり紛れ込ませたキットの能力があれば、何かあっても連絡を取り合うことが出来るだろう。
(「楽しい夢や希望を見せておいてから、絶望に突き落とすなんて……わたし、そーゆーの一番嫌い!」)
ピエロの背を見送るイツカが、そう囁いてわざとらしく舌を出してみせたのに合わせて、鮮やかにナイフを投げて見せたのはライラだった。
「うぉっ……危ねぇぞ!?」
「あら、ごめんなさいね。臨時で雇われたので!」
直後、見るからに腕っぷしの強そうな、用心棒と思しきピエロが突っかかってきたが、ライラはそれさえも道化たちのショウとして笑いに変える。
やがて――周囲の喝采を浴びながら、彼女たちピエロが広場から離れていったところで。
「ああ、でも……私の方がたっくさん子供達を笑顔にできたし、正規で雇ってもらえるかもね」
くるりと振り向いたライラが浮かべていたのは、正に悪魔と呼ぶに相応しい、清々しくも完璧な微笑みだった。
「その時までに、そのへたっぴな作り笑顔、直した方がいいわよ?」
「――……っっ!!!」
そう、物語の結末はいつだって、笑顔溢れる幸せなハッピーエンドでなくてはならないのだ。
昔ライラが読んだ本の、邪悪なサーカス団のお話だって、最後に勝ったのはひとびとの笑顔と愛だったのだから。
(「子供らの失望には程遠いだろうが、お望みなら存分に味わせてやるさ」)
人攫いの『雇い主』――それは歪んだ欲望を持ち、機械化手術を繰り返すクロノヴェーダ。ああ、アヤの手の中で震える魔晶の牙は、その飢えと渇きを一時でも満たすことが出来るのだろうか。
(「――壊される為にある希望、ってヤツを」)
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV2が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
和月・充
充は年端も行かない幼子たちが攫われるこの事件を見過ごしておくことは出来なかった。自身も夢を強力な外力により絶たれた身。未来ある子どもたちが夢だけではなくその生命や人間としての尊厳まで失うことがあっていいのかーー。そう思いながら握りしめた硬球はいつもより硬く感じた。
まずは相手の懐に飛び込む、話はそれからだーー。根は冷静な充であったが、不安がないとウソになる。それでも一秒でも早く行動することに疑問はなかった。一人でも多くの命をオレが救ってやる。充は少年を装うためにボールを大きく空に投げた。その孤は大きく空を流れ、一人のピエロの前に落ちた。充はピエロからボールを受け取り、目が合うと二っと笑った。
プレシア・アルニラム
●アドリブ等歓迎
念の為に現地の文化に合わせた服装で
年相応に幼い子供として
周囲の状況に目を輝かせている態度と行動を心がける
◆行動
やってきました遊園地!
夢の国、だと聞いたことがあります
匂いも何かをさわった感じも、そして音も有る、とっても素敵な夢ですね
気になる物がいっぱい、です
あっ、ふうせん!私もほしいです!ピエロさん、待ってー!
いっつもふしぎに思うんですが、あれってどうやって浮い、てるのでしょう?
同戦場にいるであろう復讐者が把握できる程度に
ピエロの視線が外れたすき間を狙って手を振る、パラドクスの光等で合図を送る
その後、無邪気にはしゃぐ子供達の中に紛れ込んで
テントまで後をついていく様に追いかけます
シル・ウィンディア
ゆうえんち?
確か、子供たちが遊ぶ場所だっけ?
それを利用するなんてね…
そんなこと、させないよっ!
でも…
不謹慎だけど、ちょっと楽しみかも?
初めて見る遊具に興味津々で、目をきらきらさせて楽しみます
何だろ、この馬がくるくる回っている遊具は…
ねね、これってのってもいいの?
初めて乗るメリーゴーランドに、はしゃぎながら楽しんでいます。
しばらく遊具で楽しんだ後は、見世物のテントに行くね
ちょっと気にしつつ、入ろうか入らないかで悩んでるふりをして…
スタッフ(ピエロ)さんに尋ねるよ
このテントは何しているの?
スタッフに案内されたら、ついていくよ
さて、誘拐されたら…
眠らせられる前にパラドクス通信でみんなに連絡だね
くすんだ色の街並みへ、ぽとりと鮮やかな絵の具を落としたように、空地の一角が色づき華やいでいた。
サーカス団のテントや機械仕掛けの遊具がずらりと並ぶそこは、フォルクスフェストの名で親しまれる移動遊園地――こう言った催し物は馴染みのあるもので、此処のものは貧民街の孤児救済の一環だとか何だとか、近くの大人が話していたような気がする。
「それはさておき、やってきました遊園地!」
好奇心に満ちたまなざしをあちこちに向けながら、ぱっと両手を広げたのはプレシア・アルニラム(天使の風塵魔術師・g00844)。念の為にということで、服装は現地に合わせた質素なものに変えているが、キャスケットから覗く三つ編みが何とも愛らしい。
「……ゆうえんち? 確か、子供たちが遊ぶ場所だっけ?」
「はい。夢の国、だと聞いたことがあります」
その隣で目を瞬かせるシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)の方は、見るもの聞くもの全てが初めてのようで――無邪気な様子でプレシアと並んで歩く姿は、仲の良い姉妹と言ったところだろうか。
「夢……あっ、この馬がくるくる回っている遊具は何だろ?」
「ええと……ゴリラはいないようですね、残念です」
やがて、広場できらきら輝きを放つメリーゴーランドの前までやって来たふたりだったが、それぞれに記憶だったり知識を奪われたりした影響もあり、どうやって遊べばいいのか分からないらしい。
――仕方ないので、周りを一緒にぐるぐる歩いてみたり。プレシアのゴリラ探しに付き合ってみたり。
「えっと、……メリーゴーランドに乗りたいのか?」
そんな仲間たちの姿を見つけて、つい声を掛けた和月・充(人間の破軍拳士・g04971)も、囮となるべく駆けつけたディアボロスのひとりだった。
年端の行かない幼子たちが攫われ、ゾルダートに改造されてしまうこの事件――成す術もなく夢を断たれてしまう、と言う経験を充自身も味わったが故に、このまま見過ごしておくことは出来なかったのだ。
「ねね、これってのってもいいの?」
「ああ、あそこの係の人に言えば乗せてくれるぞ」
そんな訳で、遊園地デビューを果たす姉妹を引率するお兄さん――と言った感じで、充が仲間に加わると。初めて乗るメリーゴーランドの躍動感に、シルとプレシアの方から歓声が飛ぶ。
「わああ……囮作戦中に不謹慎かもだけど、すごく楽しい!」
「正に夢の国。匂いも何かをさわった感じも、そして音も有る……とっても素敵な夢ですね」
――こうして心から祭りを楽しんでいる姿は、周囲の子ども達も何ら変わることはない。だからこそ充は「赦せない」と強く怒りを滾らせる。
(「未来ある子どもたちが夢だけではなく、その生命や人間としての尊厳まで失うことが、あっていいのか――」)
握りしめた硬球の感触とともに、叶わなかった真夏の舞台が、微かに彼の目の前を過ぎった。
三年目の最後の夏――甲子園で会おうと別れたチームメイトも、自分を送り出してくれた家族も、新宿島の遥か彼方に消えてしまったのだ。同じような思いを誰かが味わうのは、もう沢山だった。
(「まずは相手の懐に飛び込む、話はそれからだ」)
一秒でも早く行動することに、疑問は無い。いつもより硬く感じる白球を、充は何気ない素振りで、ピエロ達の居る方角へゆっくり放り投げる。
大きく弧を描いて空を舞うボールは、野球であればワイルドピッチだが、配下たちが気づいてくれたのならセーフだろう。
(「……一人でも多くの命を、オレが救ってやる」)
ちいさくバウンドして広場を転がるボールに、ピエロのひとりが気づいたところで、充はニッと彼らに笑いかけた。
活発な少年を装いつつ、ピエロからボールを投げ返して貰ったところで、駆け寄って来たプレシアが「あっ」と声をあげる。
「ふうせん! 私もほしいです!」
「はい、どうぞお嬢ちゃん。楽しんでいってね♪」
「わ、ふわふわです。不思議ですね……どうやって浮いてるのでしょう?」
――華麗なダンスを披露していたピエロが、魔法のような手つきで風船を取り出したのに合わせて、ころころっと紛れ込んだ白い毛玉はモーラット・コミュ。
(「あ、この子……イツカさんの」)
そのパラドクス通信の範囲を広げようと、シルもそっと雷の魔法を繰り出していったのに、彼女のほうでも気づいてくれたようだ。
やがて――元気に手を振るプレシア達を、誘拐のターゲットにすれば良さそうだとか、配下の間ではそんな話が纏まってきたらしい。作り笑いを貼りつけたピエロのひとりが、素敵な場所に案内してあげると囁いて、広場の奥のテントに手招きをした。
「君たち、すごく楽しんでくれているみたいだから、とっておきのショーに招待してあげるよ!」
「本当? 何をしているのかな、猛獣のサーカスとか」
「……ゴリラはいるでしょうか」
「ああ。会えるかもな、ゴリラにも」
小首を傾げて尋ねるシルに続き、風船を手にしたプレシアが考え込む素振りを見せると。面倒見の良さそうな兄を装う充は「行こう」と言うように、彼女たちの背中を押す。
「さ、ついておいで!」
「ピエロさん、待ってー!」
――とっておきのショー、と言うのが機械化手術のことを指すのなら、随分と悪趣味な誘い文句だ。そうしてテントへ足を踏み入れた直後、薬か何かを嗅がされて囚われてしまうのだろう。
(「不安がないと言えば、ウソになるが――」)
それでも、冷静に行動しようと己に言い聞かせている充に、青い瞳を向けたシルも決意を固めていた。
まだまだ思い出せないことも多いけれど、子ども達が遊ぶ場所を悪事に利用するなんて赦せない――。
(「……そんなこと、させないよっ!」)
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV3になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
ナタリア・ピネハス
指に絡みつく赤い糸を手繰れば
『おともだち』はかりそめのいのちを抱いて踊り出す
私は道化。幼子を誑かす、夢魔の道化
認めたくはないけれど
今の私に、御誂え向きの役だわ
人形劇を披露し乍ら囮役の子らを誘い混む
夢魔の霧で【現の夢】を
ヒトガタに近い、殿方の配下の一人へ
とびきり甘やかでしあわせなゆめを
……共に向かう勇気ある子らにだって
こわい思いは、けしてさせないわ
配下の心を【撹乱】するように
耳元に唇寄せて、囁き問うの
この『材料』を。何処にお連れしたら宜しくて?
わたくし。道を覚えるのが苦手で……
お願い、案内して下さらないかしら
おねだりが上手くいったなら
ナフムを手繰り仲間たちの視界へ向かわせ
ついてきてと招きましょう
ユーフォリア・アルテニー
ドイツで今の時期に移動遊園地
「もうすぐ、オクトーバーフェストですの」
読み通り、祭の陰の悪事
スタッフに紛れこみます
「淫靡なる誘い」でジンの魔力を身にまとい
魅惑的な女魔人の姿に
今回は精神攻撃せず、可視化された欲望を眺めるのみ
契約したジンと同じ緑の肌で、一般人から見れば
変わり種のピエロそのものでしょう
【現の夢】を試してみます、状況にも合うかと
全く違和感を感じさせない、堂々たる【演技】は【勇気】の賜物
ナタリアさんの人形劇のそばで風船配りをしたり
囮役の子たちの搬送を手伝いながら
周囲の状況をさりげなく観察して【情報収集】に努めつつ
【臨機応変】に脱出計画を練り、いざというタイミングで
実行できる準備を
標葉・萱
ただ夢を見る時間は、短いものでしょう
そこへ傷をつけたくは、ないので
移動遊園地のスタッフに紛れ込みに
道化の格好に翼の仮面
風船片手の、寡黙な道化に
そうですね、本職には劣るけれど
風を起こして見せるくらいはできますし
袖の花一つで言葉の代わりにごまかして
こどもへ風船手渡すついでに、どこへ行くのか見届けましょう
本当は、心から楽しむだけの時間になれば良かったのですが
……いつか歪んだ支配の、終えるまで
今の時期、ドイツで開催されるお祭りと言えば、オクトーバーフェストが有名だろう。
けれど――貧民街に現れたヴィーズンは、ミュンヘンの賑わいに比べればささやかなもので、ビールテントやブルワリーの馬車と言ったものは来ていないらしい。
(「お祭り向けに醸造されるビールとか、どんなものか興味はありますけど……今回は任務ですの」)
――気を取り直して、深呼吸。お供のジンを呼び出すと、ユーフォリア・アルテニー(指輪の姫・g01755)の姿が、妖しのヴェールに包まれて揺らいでいった。
(「さ、行きますわよ」)
ジンの魔力を身にまとい、魅惑的な女魔人に扮したユーフォリアは、変わり種のピエロと言ったところだ。エキゾチックな緑の肌と、地元の民族衣装であるディアンドルの組み合わせが眩しく――現の世界で夢をみる子ども達は、無邪気に手を振りながらユーフォリアの後に着いていく。
「はい、この風船をどうぞですの!」
「此処は、現の夢……ただ夢をみる時間は、短いものでしょうけれど」
その魔人の姫君の近く、寡黙な道化に扮しているのは標葉・萱(儘言・g01730)で。ユーフォリアが風船を膨らませていくのに合わせて、彼の袖からは魔法のように白い花が零れ落ち、子ども達を広場の方へ誘っていく。
(「そこへ傷をつけたくは、ないので」)
囮となる仲間も居るようだし、今この時だけは嫌なことを忘れて楽しんで欲しいと、萱は願う。
ピエロの配る風船が誘拐の符丁になっているのだと、人攫い達は話していた。ならば萱とユーフォリアは『相応しい』子を、それとなく選別できる訳で――ふたりが風船を配る後ろでは、丁度ナタリア・ピネハス(Hitbodedut・g00014)による人形劇が始まって、広場には大勢の子ども達が集まっているようだ。
「『おともだち』の、ナフムと……こちらはミカ、よ」
――紙吹雪が舞う広場の一角に、ふっと不思議な風が吹いた直後。ベルベットのカーテンがゆっくりと開いて、絡繰り仕掛けの雄鹿が顔を覗かせる。
(「私は、道化」)
ナタリアの指先に絡みつく赤い糸が、弦を弾くようにぴぃんと震えれば、かりそめのいのちを吹き込まれた人形たちが踊り始めた。
(「幼子を誑かす、夢魔の道化」)
手繰る糸のもうひとつ――ツギハギの仔羊の歌うメロディが、子ども達の瞼を静かに下ろしていく。風とともに舞い上がった銀色の砂は、萱の魔術によるものだろう。
(「……そう、これはゆめ」)
眠りへ誘うザントマンの風貌が、どんなものであったかは分からない。生者か死者かも、定かではない。寡黙な道化は翼の仮面を被ったまま、花びらの雨を舞台上に降らせていく。
(「痛くて、寒くて、……くらくて」)
可愛らしいようでいて、何処か奇妙なオルガンの音色が同じフレーズを繰り返すなか、霧の向こう側で、誰かの昏い欲望が首をもたげたような気がした。
(「――ああ、認めたくはないけれど。今の私に、御誂え向きの役だわ」)
やがて、様子を見に来た配下のひとりが、魅入られたようにナタリアのほうへ近づいてくる。そう、現の夢が支配する世界では、ピエロでさえも夢をみるのだ――それもとびきり甘やかで、しあわせなゆめを。
「この『材料』を。何処にお連れしたら宜しくて?」
――彼の耳元にそっと唇を寄せたナタリアが、甘い声で囁き問えば。囮役の仲間との通信を終えたユーフォリアのほうも、堂々とした態度で報告を行う。
「ふふ、バッチリですわ。このまま、テントまで大人しく着いてきてくれると思いますの」
「あ……でも、わたくし。道を覚えるのが苦手で……お願い、案内して下さらないかしら」
彩りの違う美女ふたりに言い寄られて、満更でもない様子の配下の男は、直ぐに人攫い用のテントへ誘導を始めていく。その様子を最後まで見届けた萱は、他の子ども達が巻き込まれないように、砂塵を操って花の導を吹き消していった。
「……本当は、心から楽しむだけの時間になれば良かったのですが」
ぽつりと零した錆色の聲に応えるように、萱の視界の隅でガラス玉の瞳が煌めく。どうやらナタリアの遣わした人形が、後から来る仲間たちへ道案内をしてくれるらしい。
(「……共に向かう、勇気ある子らにだって。こわい思いは、けしてさせないわ」)
そう言って、引っ込み思案らしい彼女が、ユーフォリアと演技をしていた姿を思い起こしつつ――仮面の道化もまた、後に続くもの達へ鎖を繋げていくのだ。
「いつか歪んだ支配の、終えるまで――」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【現の夢】LV2が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV3が発生!
乂八・南
【魚竜】
うん、許しちゃダメだ
ちゃんと助けてさ
ほんとに夢いっぱいな幸せ
プレゼントしたいな
あ、リビトくんは初めてか
にひひ、じゃあ俺が遊園地の楽しみ方、教えてあげる
まずはそうだなー、観覧車とか…ってあれ
リビトくん?リビトくん迷子!?
きょろきょろした先
小さな子供に混じる大きな姿に慌ててかけ寄る
もー!勝手に移動したらダメ…って
くれんの?…自分で風船なんて持つの、久々だなぁ
(妹はよく、貰ってたっけ――)
落としたやつをね、貰えるんだよ
俺は――あのうさぎにしよっと
当てたら持って帰る
いつか妹が帰って来た時あげるんだ
うん、楽しい
テントに案内されたら目配せ
わあ、何があるんだろっ
そんな風に無邪気に中へ
津・リビト
【魚竜】
楽しそうに遊んでいる子供から攫っていくとは許さない
夢が壊される前に俺達が守らなければ
そうだな
俺達も子供に交じってはしゃごう
遊園地は初めてだ
南は来たことあるか?
ああ、教えてくれ
あれは誰だ。子供に風船を渡している怪しい奴
風船がもらえるのか。俺も並んで貰おう
小さい子供の列に並んで待つ
思えば南がいない
風船だ!星とハートの風船を貰った!
南!どっちかやろう
……あれはなんだ?なるほど、楽しそうだ
よし、全て落としてみせる
見てろ
あのクマのようなぬいぐるみを狙おう
こめかみ部分に狙いを定める
――ここだ!
落ちなかった。もう一度だ
落ちたら羨ましそうに見ていた子供に渡そう
南、楽しいな
目配せに気付き頷く
ああ、行こう
見慣れた街の、いつもは何気なく通り過ぎていくような原っぱには、幾つものテントが建ち並んで賑やかな音楽が奏でられている。
貧しさも空腹も、今だけは忘れて楽しもうと手招くように。手を伸ばせば触れられる夢が、其処にはあって――最初は恐る恐る足を踏み入れた子ども達も、気がつけば頬を上気させて、競うように駆け出していく。
「楽しそうに遊んでいるのに……そんな子から、攫っていくとは」
ぶつかってきた子が転びそうになったのを、津・リビト(釣人・g00145)がさりげなく手を引いて助けると、隣に居た乂八・南(WONDERFUL LIFE・g00139)は「気をつけるんだよ」と声を掛けつつ笑顔で見送る。
「うん、許しちゃダメだ。……ちゃんと助けないと」
――遠く離れた砂漠の街でも、彼は似たような光景に出くわしたことがあった。
クロノヴェーダの支配下にあっても、ひとびとはこうして日々を懸命に生きている。戯れのように改造され、意志を奪われた兵士に変えられてしまうことなど、あってはならない。
「……夢が壊される前に、俺達が守らなければ」
「それとね、ほんとに夢いっぱいな幸せを、俺達がプレゼントしたいな」
やがて顔を見合わせ、決意を口にすると。リビトも南も子ども達に混じって、精一杯はしゃいでやろうと不敵な笑みを浮かべてみせた。
「あ、でも……俺、遊園地は初めてだ」
「ああ、リビトくんは来たことないんだ。にひひ」
「……その笑い方、南は来たことあるか?」
「うん。じゃあ俺が遊園地の楽しみ方、教えてあげる!」
現代日本の遊園地に比べれば、此処のものはミニチュアのような可愛らしい遊具ばかりだが、折角なので最初は観覧車に乗ってみようかと、南はリビトのほうに向き直った――のだけど。
「リビトくん? リビトくん迷子!?」
少し目を離した先に居なくなるなんて、彼の方向音痴を甘くみていたようだ。ああ、リビトならライン川をどんぶらこしてもおかしくないのかも、と――南がきょろきょろ辺りを見回していると、やがて小さな子ども達に混ざる大きな姿を発見して、慌てて駆け寄る。
「もー! 勝手に移動したらダメ……って、」
「ほら、風船だ! 並んでいたら風船を貰えたぞ!」
南の心配を余所に、リビトが初めての遊園地を堪能していたのなら何よりだが、彼がじっと子どもの列に並んでいる姿を想像すると何だか微笑ましかった。
「さあ南、星かハートの風船か、どっちかやろう」
「……自分で風船なんて持つの、久々だなぁ」
――爽やかな秋の空に、ふよふよ仲良く並んで浮かぶ風船を見上げれば、いつかの遊園地の思い出が浮かんで吐息が溢れる。
(「ああ、妹はよく貰ってたっけ――」)
それでも南は、感傷を振り払って歩みを再開する。パラドクス通信を通して、スタッフに扮した仲間が教えてくれたのだ――変わった形の風船を配られた子は、誘拐のターゲットとしてマークされたのだ、と。
(「なら……屋台で遊びながら、囮役のアピールを続ければ良さそうかな」)
風船を配る仮面の道化に目配せをしてから、南たちが向かったのは射的の店。狩猟を模した景品は、可愛い動物たちのぬいぐるみのようだ。
「落としたやつをね、貰えるんだよ。俺は――あのうさぎにしよっと」
「なるほど、楽しそうだ」
ならば全て落としてみせると言わんばかりに、リビトが狙うのはクマのぬいぐるみ。こめかみを狙って玩具の鉄砲を手にするも、一番大きな獲物はなかなか手ごわい。
「……もう一度。むむ、これは楽しいな」
――いつか、誰かに渡すことが出来るように。そうこうしている内に、彼らをテントに案内する準備が整ったらしい。
「わぁ、とっておきのショーか。何があるんだろうね!」
人攫いのピエロが近づいてくるのに気づいた南が、そう無邪気に声を上げると。頷くリビトもぬいぐるみを子どもに手渡してから、ゆっくり彼らの後に着いていくのだ。
「ああ、――行こう」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
シオン・ラモール
【紫蝶】
おれたちも子供みたいなものだし、きっと囮になれるはず
姉弟みたいに見える、かな
……レベッカ、おねえちゃん?
な、なんだか照れ臭い……
場所を突き詰めるのが目的だし、抵抗はしないように
でもレベッカに酷いことをするなら守るぞ
おれは……弟だから
お姉ちゃんは守らなきゃ
遊園地を楽しむような、無邪気な子供に見せればいい、んだよね
じゃあ……えっと
おずおずとレベッカの手を繋いでみる
こうした方が、仲良しの姉弟に見えないかな、って
おれも……おれも、遊園地とか、好きだったとおもう
だから、こういうの、騙すのは、許せないんだ
ぜったい、ぶっつぶす
うん、レベッカも、離れちゃダメだよ
改めて、繋いだ手をぎゅっと握って
レベッカ・ブルーゾイス
【紫蝶】
これが、ゆーえんち…!
シオンから聞いた時は想像つかなかったけれど
当然だわ、見た事ない不可思議なものばかり
五感全てで受け止める光景に心が弾けて
たとえ貧民街の子供でなくとも惹きこまれてしまうわ
身に纏うエプロンドレスがふんわりはためいて
これは飽くまで囮作戦
さあシオン、何処へ行こう!
甘いスイーツ?夢の様な乗り物?
見て見て、馬のオブジェが沢山回っているわ
あれも魔法なの?
姉と呼ばれ一瞬驚くも、頬緩ませ
わたしにとってシオンは弟みたいな存在だもの
迷わずその手を握り返します
恥じらう姿も微笑ましい
本来楽しい想い出をつくるべき場所の筈
なんて残酷なこと…
いつ何があるかわからないわ
シオン、わたしから離れないで
確か、お伽噺の仲の良いきょうだいは、森に捨てられてお菓子の家に辿り着いたのだったか。
(「おれたちも子供みたいなものだし……姉弟みたいに見える、かな」)
シオン・ラモール(紫石英の彷徨者・g03591)の行く先に、仄かな薫りを放つ白い花が揺れていた。迷わぬように仲間が置いてくれたその目印は、人攫いの待つ場所まで点々と続いているのだという。
(「大丈夫。きっと囮になれるはず」)
ぎゅっと握りしめた手と手の間、ぬくもりに混じってとくりと音を立てた胸の鼓動は、レベッカ・ブルーゾイス(嫉みの星魔女・g02252)に届いただろうか。
――無邪気な子どもを装うために、おずおずと伸ばしたシオンの手を、彼女は迷わず握り返してくれた。
「だって、わたしにとって、シオンは弟みたいな存在だもの」
「じゃあ……えっと、……レベッカ、おねえちゃん?」
ぎこちなく返した『姉』と言う言葉に、レベッカの瞳のなかで、ちいさな星が瞬いて消える。
照れ臭さの余り、シオンが顔を背けようとした瞬間――レベッカの頬がふんわり緩むと、無邪気な少女の貌を覗かせた彼女は、紙吹雪の舞う広場へ『弟』の手を引っ張っていった。
「ふふ……これが、ゆーえんち……! さあシオン、どこへ行こう!」
その身に纏うエプロンドレスが、ふんわりはためく様子は蝶の羽ばたきにも似ていて。お祭りの甘いスイーツを食べ比べしてみるのもいいし、夢のような乗り物たちに揺られてちょっぴり微睡んでみるのもいいと、姉弟は連れ立って辺りを駆けていく。
(「最初、シオンから聞いた時は想像つかなかったけれど――」)
遊園地と言う場所は、子ども達の夢がぎゅっと詰まった玩具箱のよう。聴こえてくる喧騒はオルゴールのようにくるくるといつまでも回っていて、色とりどりの電飾で飾りつけられたテントは、広場のあちこちで宝石みたいな輝きを放っていた。
「……見た事のない、不可思議なものばかりね」
五感全てで受け止める光景に心が弾けて、魔法をかけられたような気持ちになる。貧民街の子どもでなくとも惹きこまれて、帰りたくないと思ってしまう――。
「おれも……おれも、遊園地とか、好きだったとおもう」
「あら、シオンは憶えているものがあるの? ……見て見て、馬のオブジェが沢山回っているわ」
――レベッカが指さす機械仕掛けの回転木馬だって、本当は魔法で動いているのかも知れない。
だって此処は、現の夢。シオンの背で輝く紫色の翼も、堕天の記を刻んだレベッカの翼も、幻想の世界であれば何もおかしくはないのだから。
「あ、人形劇ですって」
「……あっ、待ってレベッカ」
やがて、配下に紛れた仲間が子ども達を集めているところに、何気ない顏をして加わると――目印の風船を手にしたふたりは、人攫いから声を掛けられるまで『子どもらしく』振る舞うことに決めたのだった。
――ああ、本来ならば楽しい想い出を作るべき場所で、なんと残酷なことが行われているのだろう。
(「いつ何があるかわからないわ。……シオン、わたしから離れないで」)
(「うん、レベッカも、離れちゃダメだよ」)
いとけない姉弟が、繋いだ手をぎゅっと握りしめる様子は、さぞかし良い『獲物』に見えている筈。案の定、人形劇が終わったところで、ピエロからふたりの元に『とっておきのショー』への招待が来た。
そのまま人攫いのテントに案内されて、眠らされて捕まる時も抵抗はしないように。だけど、レベッカに酷いことをするなら守るぞ、とそっとシオンは決意する。
(「だって、おれは……弟だから。お姉ちゃんは守らなきゃ」)
奪われた記憶のなかで、微かに感じた『楽しい』と言う気持ちがあって――だからこそ、こんな風に騙すのは赦せないと、きつく唇を噛みしめる。
(「……ぜったい、ぶっつぶす」)
魔法を解いて、冷たい牢獄に彼らを迎え入れた時。ゾルダート達は、きっと後悔することになるだろう。
攫ってきた姉弟の正体は、恐ろしいディアボロス――嫉妬の魔女と、紫石英の悪魔であったのだから。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【腐食】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV4になった!
瀧夜盛・五月姫
さあさあ、皆、さま。
おいでませ、おいでませ。
世にも、珍し。蛙たちの、マーチング。
ここは、ドイツ。さながら、ブレーメンの音楽隊。
楽しい、楽しい、音楽で。お子様の、警戒を、解きに、いくよ?
皆は、一緒に、ついていけば、いい、よ?
当然、音は、にぎやか。だけど、大丈夫。
姫、敵を【薙ぎ払い】、護って、あげる。
だから、安心、して。ね?
シル・ウィンディア
パラドクス通信で味方に牢屋の位置を連絡だね
囚われの子達が逃げられるようにするけど
だけど、ショックだよね…
みんな、ここから出たら何をしたい?
あなた達の望みを、わたし達に聞かせて?
子供たちが話してくれたらいいけど
沈黙状態になるならこっちから話すね
わたしは…
ここから出たらね、おいしいものを食べたいな
日頃食べることができない、ちょっといいものを食べたいのっ♪
だから、ここで閉じ込められてなんていられないよね
今度はあなた達の望みを教えて?
話し始めたらしっかり聞くよ
聞き終わったら
あなた達の願いは、わたし達がかなえてあげる
願いは、力になるから
だから、願ってほしいな
ここから出ることができるって、諦めないでねっ♪
イツカ・ユメ
【パラドクス通信】で連絡を取り、急いで工場に向かうよ。
目立たないようにこっそり侵入して、警備が手薄な脱出ルートを調べて捕まっている人達を逃すね。
大丈夫!実はこれも、サーカスのアトラクションだから!
怖い人に見つからないように気をつけて、悪の秘密工場から脱出しちゃおう♪
無事に脱出できた子には、素敵なご褒美が待ってるよ♪
……なんて、子供達を元気付けて【士気高揚】できたらいいな。
もし警備に見つかっちゃったら、子供達を逃がしつつ敵を引きつけるね。【時間稼ぎ】と【撹乱】は得意だよ!任せて!
わたしが相手よ!かかってこい、こんにゃろーっ!
勇気を出して脱出出来た子供達には、花まる笑顔とお菓子をプレゼントするね♪
ナタリア・ピネハス
道化を装ったまま、捕らえられた子らのもとへ
『補充』に来たのだと、夢魔の霧を纏わせながら嘯けば
見張りの目も、すこしの間
私たちを、霧の奥に隠してくれるはず
子どもたちと視線を合わせるよう膝をつき
涙を拭い、その背を優しく撫でましょう
【現の夢】を重ねながら、歌うように囁くの
これは。たのしいゆめの、つづき
『おばけやしき』の外を目指しましょう
ナフム、ミカ
この子たちが、みんなのみちしるべよ
さ、いらっしゃい
戯けるように唇に人差し指添えて
しい、と片目を瞑って見せ
おばけに見つからないように
外に出られたら、走って
真っ直ぐにお帰りなさい
みんな、いい子ね
どうか……今日という一日が
楽しいばかりの思い出で、満たされますように
虹空・アヤ
パラドクス通信で情報共有
避難人数、経路、万一の退避場所、仲間の配置等
アトラクションの体で行くならソレに乗っかろう
手鞠は子供らの近くにつけて和ませ役
いいか、コレは如何に安全に脱出出切るかがポイントだ
静かに、近くの子と手を繋いで
途中で怖いヒトに見付かったら?
そりゃ困るなぁ、君達じゃとても敵わないだろう
そこで提案だ、この俺様と契約しよう
どんな化物からも守るし悪いヤツはやっつける
――俺様が、負けるように見えるか?
ようし、なら契約成立だ
道中、*光使いで経路から外れた場所を明るく照らしたり
経路は周囲より暗くなるよう調整し見付かり難くする
万一の時は子供を抱える等して保護し活性治癒
掠り傷ひとつ、負わせやしない
お伽噺の魔法が解けてしまうのは、いつだって突然の出来事だった。
広場のテントや遊具が次々に撤去されて、夢の名残りも消え去ってしまえば、其処でどんな子どもが遊んでいたのかなんて分からない。
――誰が居なくなったのか、気づくものさえ居ない。
(「そして……目が覚めると牢屋、なんて。ショックだよね……」)
囮となって、大人しく連れ去られることに成功したシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)は、薄闇のなかでそっと辺りを見渡していた。
彼女と一緒に捕まった子ども達は、最初はこれもサーカスの見世物かと思っていたようだが――周囲の物々しい雰囲気や、巡回をする不気味なゾルダート達の姿を見て、直ぐに違うと分かったらしい。
「うぅ……っ、何で、さっきまであんなに楽しかったのに……!」
すすり泣く声は弱々しく、溌剌とした笑顔にも哀しみが混ざって、今は何とも言えない表情になっているのが痛々しかった。
それでも――血がこびりついたような、厭な色をした鉄格子の具合を確かめながら、努めて明るい声でシルが問いかける。
「……ね、みんな、ここから出たら何をしたい?」
「……っ
、………、ぅぅ」
――短い時間に色んなことがあって、彼らも直ぐに言葉が出てこないのだろう。だけどシルはゆっくり待って、それでも沈黙が続いたのを見て取ると、ちいさな胸を反らしつつこう言った。
「わたしは……ここから出たらね、おいしいものを食べたいな」
日頃食べることのできない、ちょっといいものを食べたい。そんなささやかなシルの夢は、貧民街の子ども達にとっても想像し易いものだったのだろう。
「おいしいもの……お母さんの作ってくれた、スープを飲みたい」
「あ、わたしはお砂糖いっぱいのお菓子、また食べたいなあ」
そんなシルの話題に合わせて、狭い牢屋のあちこちで子ども達の声が上がると、いつしか湿っぽい牢屋の中にも華やいだ空気が生まれてくる。
「だったら、ここで閉じ込められてなんていられないよね。……ね、他には何をしたい? あなた達の望みを教えて?」
――話し始めたら、しっかりと聞くよと微笑んで。くりっとしたシルの瞳に促されるようにして、子ども達が次々に願いを口にすれば、きっともう大丈夫。
「えっと。楽しい遊園地もね、良かったけど……やっぱりお家に、帰りたい」
「うん、俺んちもすっげえビンボーだけどな! 帰って弟の面倒みないとダメだわ」
攫われた子は元々元気のある、希望に溢れた子が多かったのだ。後は、シル達ディアボロスが少し手を貸してあげれば、彼らは無事に『帰る』ことが出来る。
「あなた達の願いは、わたし達がかなえてあげる――」
「そう、いつか夢は叶う……ってね♪」
ぱぁん――と勢いよく風船が弾けて、色とりどりの紙吹雪が舞うような気配とともに、現れたのはイツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)。直後、鉄格子の扉が一気に開いて、閉塞感の漂っていた牢獄がぱっと明るくなった。
「大丈夫! 実はこれも、サーカスのアトラクションだから!」
明るい歌を口ずさむ、イツカの指先では鍵束がくるくる回っている。そのまま何気ない素振りで合図を送った、瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)の方も、「ん」とちいさく頷くと、召喚した雅楽蛙たちの演奏で脱出劇を盛り上げていった。
「さあさあ、皆、さま。おいでませ、おいでませ」
五月姫の後ろに続く蛙の楽団は、愛嬌たっぷりの姿をしているものの、奏でる音色はあくまで美しい。
「世にも、珍し。楽しい、楽しい、蛙たちのマーチング――」
百鬼夜行の怨霊姫によって紡がれる、異国のメルヒェンに乗せて、ぽふんと牢屋に飛び込んでいったのはモーラット・コミュ――それは、虹空・アヤ(彩・g00879)の向かわせた手鞠だった。
「お、何だこれ! 蛙じゃねーぞ!」
「わあ、ふわふわ……!」
「……これは。たのしいゆめの、つづき」
手鞠のもふもふ感に癒されている女の子と、膝をついて視線を合わせるナタリア・ピネハス(Hitbodedut・g00014)はサーカスの道化を装ったまま、内緒話を囁くようにそっと指を立てる。
「これからみんなで、『おばけやしき』の外を目指しましょう」
「でも、怖い人に見つからないように気をつけて! 悪の秘密工場から脱出しちゃおう!」
そう――イツカが続けるように、桃色の霧が魅せる現の夢では、不気味な牢獄からの脱出だって心躍る冒険に変わるのだ。それでも、子ども同士でしっかり手を繋ぐように言ったアヤは、真剣な顔つきで彼らに尋ねる。
「いいか、コレは如何に安全に脱出出切るかがポイントだ。……でも、途中で怖いヒトに見付かったら?」
兄ちゃんの顏がコワイ――と言いかけた少年に、拳を喰らわせる振りをしつつも。ちょっぴり悪どい笑みを浮かべてみせたアヤは、こんな提案を持ちかけるのだ。
「君達じゃとても敵わないだろう……そこで提案だ、この俺様と契約しよう」
どんな化物からも守るし、悪いヤツはやっつける――自信たっぷりにそう言った彼の笑みが、悪魔のように見えたのは気のせいでは無い。
「――俺様が、負けるように見えるか?」
アヤの背にある翼は紛れもなくデーモンのもので、骸喰の牙が獲物を喰らおうと、今も舌なめずりをしているかのようだ。
「あ、何かあったら、わたしも相手になるわよ。かかってこい――なんてね♪」
勿論、警備のトループス級に出くわした時には、イツカだって時間稼ぎをするつもりだ。配下として忍び込んだ際、秘密工場の脱出経路は把握しておいたし――万が一何かあっても、広範囲をカバーするパラドクス通信があれば、他の仲間が直ぐに駆けつけることだって出来るだろう。
――霧に紛れ、そっと手招くナタリアの指先で。赤い糸がゆらゆら揺れると、がらんどうの人形たちが優雅に会釈をする。
「ナフム、ミカ。……この子たちが、みんなのみちしるべよ」
ずっとぐすぐす泣いていた子も、ナタリアが涙を拭ってその背を優しく撫でてあげれば、頑張って立ち上がってくれたようだ。
そうして更に、現の夢を重ねていきながら――歌うように彼女が囁くのは、怖いおばけに見つからない為の、おまじない。
「外に出られたら、走って。真っ直ぐにお帰りなさい」
「無事に脱出できた子には、素敵なご褒美が待ってるからね♪」
片目を瞑るナタリアと一緒に、ウインクをしたイツカの『ご褒美』とは、花まる笑顔とお菓子のセットだ。
「皆は、一緒に、ついていけば、いい、よ?」
――さあ、準備が出来た子から、脱出開始だ。賑やかなパレードを見守るのは五月姫で、手にした大薙刀で敵をなぎ払う素振りをした彼女は、表情を変えぬままぽつりと呟いた。
「姫、護って、あげる。……だから、安心、して。ね?」
「そうそう。ここから出ることができるって、諦めないでねっ♪」
シルも言う通り、願いは力になるのだ。それに、子ども達と契約を成立させたアヤだって、掠り傷ひとつ負わせやしないと意気込んでいるのだから。
(「……だから、願って欲しいな」)
きっと帰れる。そう信じて歩き出す子ども達に、もう絶望のいろは無い。いい子ねと呟くナタリアは、彼らの幸いを祈らずにはいられなかった。
(「どうか……今日という一日が」)
――楽しいばかりの思い出で、満たされますように。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】がLV2になった!
【託されし願い】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【現の夢】がLV3になった!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【ロストエナジー】がLV4になった!
【ドレイン】がLV2になった!
ユーフォリア・アルテニー
【パラドクス通信】で脱出組と連絡取りつつ
【エアライド】で最適な移動経路を見つけ隠密に別行動
脱出組に不都合な状況が起きたか、避難完了した時点で
離れた場所で騒ぎを起こし、注意を引き付けます
最初の一撃は、なるべく不意打ちで
見つかったら、アイゼンヴォルフが【ヴォルフカノン】で
動きを止めてる間に、一気に間合いを詰めて【竜尾遣徳】!
マメノキソードは、直接斬る武器ではありません
至近距離で【薙ぎ払う】ように振り抜けば
さやが弾けて、中から豆が飛び出し
「これは植物でありながら、金属の装甲を貫く魔弾!」
反撃には【オーラ操作】で、AVP織張魂の出力を上げて耐えます
すぐ離脱し、機をうかがいます
宝心・ライラ
「遊園地からこんにちはー!愉快なピエロさんがとびっきりのハッピーエンドを届けに来たわ!」
【パラドクス通信、プラチナチケット】の効果で工場に潜入して脱出作戦が始まるまで待機
防衛システムが動き始めたら、逃げる子供達を守るように行く手を塞ぐわ
「サーカスといえば猛獣ショー♪今日の私は猛獣使いさんよ!」
ダブルピースの障壁で道を塞ぎ、オーキードーキーの機動力でアイゼンヴォルフの包囲を突っ切る
そのまま狼の群れを引き連れたら、群れの中にリアライズペイントの狼を紛れ込ませる
「新しいお友達をプレゼントしてあげる。暴れん坊さんだけど仲良くしてね」
群れの和が乱れたら、一気に反転して刃の車輪と鞭のようにしなる筆で追撃よ
古城・雪凪
黒幕へと向かうのに
露払いは必要かな
先に来てる皆の為にも俺も暴れようか
戦闘に関する残留効果は全て利用
パラドクス通信等を利用し仲間と連携
多数に囲まれすぎないように注意
さて、邪魔な君たちは破壊させてもらおうか
花葬姫を踊らせ
エアライド、神速反応、強運の加護を活用し
敵を翻弄し不利にならないよう立ち回る
壊しきれそうなものから優先的に狙い
連撃を意識して蹂躙を
ああ、…君たちのパーツを使えば
もっと良い武器改造ができる、かもしれないね
でも君たちのところの工場長と同列に並べられるのも嫌だし
…やっぱりいいや
何かをアレンジするより、1から創り上げる方が楽しいからね
攫ってきた子ども達を、秘密工場の搬入口で引き渡したところで、スタッフの仕事は完了となった。
その後、人目に付かない場所で身を潜めていた宝心・ライラ(ミス・ハッピーエンド・g01071)は、仲間たちの脱出作戦が始まったのに合わせて、素早く内部へ踏み込んでいく。
(「命の保証は無い……って、随分大げさだったこと」)
これ以上、不用意に足を踏み入れれば、自分たちであっても警備のゾルダート達から蜂の巣にされる――そんなことをピエロのひとりが言っていたが、元よりライラ達は彼らを倒すつもりで来たのだ。
(「関係者を装う、面倒な手間が省けたってものよ」)
――通信でそれぞれの状況を確認したあと、牢屋とは離れた場所、今まさに巡回が行われている場所に見当をつけて、派手なパフォーマンスで飛び出していく。
「遊園地からこんにちはー!」
四つ足の機械獣が、こんな時だと言うのに狼狽えた素振りを見せたことに、ライラはクスクスとした笑いを抑え切れない。だけど――、
「愉快なピエロさんが、とびっきりのハッピーエンドを届けに来たわ!」
極彩色のペンキに商売道具のブラシを浸して、先ずは虹の筆先で元気なダブルピースのサインを描く。その実体を持ったピースの障壁が、アイゼンヴォルフの出鼻を挫いたところで、次にライラが取り出したのは一輪車だった。
「さーて、サーカスといえば猛獣ショーよね♪」
――どうにかデータを得ようと、狼たちが集団で取り囲もうとするが、僅かにライラの方が早い。オーキードーキーの刃の車輪が火花を生んで、がりがりと工場の床を削っていくのに合わせて、鉄狼の包囲を突っ切っていく。
「今日の私は猛獣使いさんよ!」
襲い来る機械牙を一輪車に乗ったまま躱し、曲がり角でも難なくターンを決めて、ライラは狼の群れを子ども達の居る方から引き離す。
「……おや、これは」
一方で、全身の火器を解放しようとするアイゼンヴォルフの数体へ、狙いをつけたのは古城・雪凪(繰創者・g01119)だった。サーカスを思わせる喧騒のなかに、突如として現れた美貌の妖孤を、何ごとも無く受け入れてしまいそうになるのは――その柔和な笑みの所為か、水のように流れ移ろう立ち振る舞いの所為か。
「黒幕へと向かうのに、露払いは必要かな」
「ああ、お願いー!」
真っ直ぐに此方の方へ向かって来るライラに、微かに頷いてから雪凪が取り出したのは、黒きドレスを纏う花葬姫。すれ違い様に自動人形のあちこちで、仕込まれた刃が顔を覗かせているのが見えたが、それも瞬く間に花びらの向こうに見えなくなってしまう。
「さて、俺も暴れようか。……邪魔な君たちは、破壊させてもらうよ」
――サーカスの演目が変わって、戦場に響くのは軽やかな円舞曲。黄金色の光が溢れる世界で、雪凪がその指先の糸を操れば、獣たちの群れに飛び込んだ花葬姫は、優雅に腕を振りかざすと周囲を刃で薙ぐ。
「ああ、舞う血肉は花……とはいかないけれど」
鋼鉄の獣から剥ぎ取ったパーツを使えば、もっと良い武器改造ができるかもしれない、と微笑みながら。刃の凶器と化した人形を、敵陣でくるりと回転させた雪凪の囁きにふと、ひと匙の狂気が混じった。
「……やっぱりいいや」
此処の工場長と同列に並べられるのも嫌だし、何かをアレンジするより、一から創り上げる方が楽しい。
(「例え壊れても、……壊すことに、なっても」)
滑るように跳躍した雪凪が、アイゼンヴォルフの一斉射撃を引きつけ、そのまま大破した個体に花葬の一撃を落とした瞬間――其処へ鮮やかな翠色の鞘が混ざると、正に竜の尾の如き一撃が、続けて狼の群れをなぎ払っていったのだった。
「竜尾遣徳!! 食の国よりいざ見参、ですわ!」
巨大な枝豆の剣を頭上に掲げて、高らかに名乗りを上げるのは、ユーフォリア・アルテニー(指輪の姫・g01755)。しかし――今の彼女はおてんば姫では無く、救民の志を抱く武人の心意気を持っているのだ。
「脱出作戦は上手くいったようですの。後は、こいつらを全部倒してしまえば、工場長まで一直線ですのよ!」
隠密行動を心掛けていたユーフォリアのほうは、仲間たちと連絡を取り合いつつ、子ども達が秘密工場の出口まで辿り着いたのを見届けたらしい。
その後、ライラの起こした騒ぎに便乗して、警備のゾルダートをこそこそっと引きつけたりして此方へ来たそうだが――そこまで簡単に説明したところで、ユーフォリアは自分を狙うヴォルフカノンに向き直り、再度マメノキソードを構えた。
「誘導弾でわたくしを狙っているみたいですが……これは、直接斬るだけの武器ではありませんのよ」
――極光のオーラで護りを固めつつ、飛来する砲弾の衝撃に備える。直後、至近距離でマメノキの刀身を振り抜けば「ぽん」とさやが弾けて、其処から飛び出した豆が砲弾を貫通した。
「そう、植物でありながら……金属の装甲を貫く魔弾!」
「じゃ、新しいお友達も揃ったところで、そろそろフィナーレといきましょ♪」
おおお、と残り僅かとなったアイゼンヴォルフがどよめく気配に、一気に反転して襲い掛かったのはライラだった。
実体化させた狼の絵が、群れに紛れ込んで暴れているど真ん中へ、刃の一輪車で乗り付けると――雪凪はそのまま、畳み掛けるように艶舞を繰り出し蹂躙する。
「そう、舞い散る花のように、」
――艶やかに魅せてくれ、俺の花葬姫。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】がLV2になった!
【液体錬成】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
乂八・南
【魚竜】
うん、俺たちに出来ること
精一杯やろ
土台がしっかりしてるから
かなり正確にこっちを狙ってきそうだ
今の俺に出来ることはひとつ
描く一筆
頼む、今回も力を貸して!
言うや否や、リビト君の手を引き彼の背へ乗り飛翔
動物――っていうか、恐竜!
ふふん、かっこいいだろっ
この子の名前はプテラノドンって言うんだ
うん!弾はしっかり避けるから
リビトくんは隙があったら攻撃してっ
真上?分かった、プテラ、お願い
リビトくんの力強い攻撃に瞬くも
頼もしさに心を奮い立たせ
攻撃した彼をしっかり受け止められるように先回り
俺たちの連携、ばっちりだったな
もっと褒めてくれていいよ
なんて。リビトくんもありがと
だね。もう少し、頑張ろ
津・リビト
【魚竜】
南、力を合わせて戦おう
あの追ってくる弾が厄介だ
どうするか
急に手を引かれ
目を瞬かせつつ付いて行く
南の描いた大きな生き物の背に乗り
踏んだ時の硬い感触と俺達を乗せて飛ぶことに
驚きが隠せなかった
南!この動物はなんていう名だ!
大きくてとても強そうだ!
それに絵を形にするなんて凄いな!
恐竜……初めて聞いた
プテラノドン、素敵な名前だ
ああ、格好良い
凄い!これなら弾を避けれるぞ!
だが、このままでは攻撃が出来ない
任せろ、この槍で倒してみせる
南、アイツの真上まで行ってくれるか
俺は飛び降りて槍にオーラを込め貫こう
その機械全てバラバラにしてやる
ああ、良い連携だ
南と恐竜のお陰だな
けど、まだ油断は出来ない
残りも倒そう
――サーカスのテントに案内されると、ふっと視界が暗転してから場面が変わった。
無事に秘密工場まで運ばれてきたことを確かめつつ、一気に枷を引きちぎったのは津・リビト(釣人・g00145)。周囲に漂う腐食の霧のお陰もあって、彼が少し力を入れれば砂糖菓子のように鉄格子が崩れていった。
(「……とっておきのショーが、始まったか」)
すぐに不気味な牢獄を飛び出して、灰色の工場内を駆け抜ける。逃げ出した自分たちの靴音に混ざって、鋼鉄の獣が追いかけてくる気配を感じたが、まずは行けるところまで行こうと視線を交わした。
「南、力を合わせて戦おう」
「うん、俺たちに出来ること、精一杯やろ」
一緒に攫われた乂八・南(WONDERFUL LIFE・g00139)も、迫るアイゼンヴォルフの群れにどう対処しようかと、考えを巡らせているようだ。
「……あの追ってくる弾が厄介だ。どうするか」
「そうだね、土台がしっかりしてるから――」
ふと。群れの一体の動きが止まり、背中の砲台を此方へと向けた瞬間。リビトの手を強く引いた南は、そのまま三叉路の向こうへ飛び込んで、素早く物陰に身を潜めていた。
「――かなり正確に、こっちを狙ってくる」
直後――高威力の誘導弾が、彼らを追尾しきれずに壁にぶち当たって、閃光と轟音が工場内に轟く。目を瞬かせたリビトが何かを言う前に、スケッチブックを取り出した南は筆を走らせていた。
(「今の俺に、出来ることはひとつ」)
一筆でさらりと描き上げたのは、可愛らしい空の王者で――南はリビトの手を引いたまま、実体化したその背に飛び乗り、叫ぶ。
「頼む、今回も力を貸して!」
ぎゃおう、と勇ましい鳴き声が聞こえてきそうなその大きな生き物は、工場内の吹き抜けをぐんぐん上昇し、悠々と空を舞うことが可能なようだ。
「南! この動物はなんていう名だ!」
一方のリビトは、自分たちを乗せて飛ぶ不思議な生き物に、驚きを隠せない様子だった。ぬいぐるみのような姿に反し、背を踏んだ時の感触は硬くてしっかりしている。「ふふん」と得意げに笑う南は恐竜だと教えてくれたが、リビトにとっては初めて聞く言葉だ。
「かっこいいいだろっ、この子の名前はプテラノドンって言うんだ」
「プテラノドン……素敵な名前だ。ああ、格好良い。それに大きくて、とても強そうだな!」
その間にも四つ足の獣たちは、しつこく誘導弾で此方を狙おうとしているが、空を飛んで回避を行えるのなら怖くない。
「うん! 弾はしっかり避けるから――」
「俺が攻撃をすれば……とは言え、空中からか」
ぽつりと呟くリビトの得物は槍で、地上に居るアイゼンヴォルフ達に一撃を喰らわせるには、少々工夫が必要になりそうだ。
――しかし。任せろと頷いたリビトは、プテラノドンの背で立ち上がり、そっと相棒に合図を送る。
「南、アイツの真上まで行ってくれるか」
「真上? 分かった」
滑るように向かった敵の一体は、ヴォルフカノンを撃ち出す体勢に入っているようだが――リビトは反撃を怖れること無く、自身の力を高めることに集中した。
(「……心を海に沈めるように」)
――海ノ鼓動が高鳴れば、三叉の先に魔力が宿る。そうして水中の魚を狙うかの如く、リビトは恐竜の背から一気に飛び降りていたのだった。
「その機械、全てバラバラにしてやる――!」
落下の勢いを乗せた捨て身の一撃が、アイゼンヴォルフの装甲を貫き、獣の目から光が消える。
そのまま、リビトのほうも地面に叩きつけられる――かに見えたのだが、先回りをしていた南によって事なきを得たようだ。
「俺たちの連携、ばっちりだったな」
「ああ、良い連携だ。南と恐竜のお陰だな」
「あはは、もっと揉めてくれていいよ……なんて」
再び翼竜の背に乗ったふたりが、ちいさくハイタッチを決めて笑顔を浮かべるも、まだまだ油断は出来ない。彼らの他にも黒幕の工場長を倒さなければ、人体改造の悲劇は終わらないのだ。
「残りも倒そう」
「……だね。もう少し、頑張ろ」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【隔離眼】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
レベッカ・ブルーゾイス
【紫蝶】
はふ…と欠伸を噛んで
硬く冷たい牢獄の寝心地といったら最悪ね
さぁ、わたしの眠り姫…準備は良いかしら
鍵穴に炎蝶を忍び込ませ破壊・脱出
あれはなぁに?…狼?
鋼鉄の姿色から匂う生気すら造りモノのよう
新宿に流れ着いてからと云うもの
想像を凌ぐ造物ばかり
敵応力を試されている気分
放たれる銃砲は光障壁で防ぎ
足元から氷柱を生成しては尚防御を厚く
成程…これでは動きづらいわ
ならばと、音に乗せるより速く
雷と化し軌跡に蝶を残すだけ
捉える間すら与えず、重厚な水檻へと封じます
シオン、今よ
彼のひとつひとつの言葉がわたしを酷く高揚させる
随分懐かれたものね…ええ、嬉しいわ
貴方のくれる“特別”が何よりチカラになるのだもの
シオン・ラモール
【紫蝶】
硬くて冷たくて、公園のベンチよりつらい寝床だった
こんなところ(牢獄)、長くいたくない
暴れよう、レベッカ
……姫、じゃ、ないけど
(おうじさま、は、流石にはずかしいな)
鎌で牢を断ち斬り脱出
有効なら【腐食】も併用
鋼の獣と対峙
造り物だとしても、その威圧感はきっと本物の獣と変わらない
向けて来るのが爪牙か火砲かの違いでしかない
でも怖くない。ひとりじゃないから
レベッカの前に出て大鎌を構える
濃紫の呪詛を帯びた鎌で銃器を狙って斬りかかる
根元から断ち斬ればもう撃てないだろ
それに、それをレベッカに向けるな、あぶないだろう!
レベッカが動きを封じてくれた隙に、大鎌で機体を両断してみせる
さあ次だぞ、どんどん来い!
――連れて来られた秘密の工場で、仲良く寄り添う影がふたつ、身じろぎをした。
(「はふ……」)
可愛らしく欠伸を噛む、レベッカ・ブルーゾイス(嫉みの星魔女・g02252)の仕草は、普段よりあどけなく見えたけれど――直後に演技を止めて立ち上がった姿は、既に立派なレディと言ったところだ。
「全く、硬く冷たい牢獄の寝心地といったら……最悪ね」
「んん……あ、レベッカ」
隣で目を瞑ったままの、シオン・ラモール(紫石英の彷徨者・g03591)が微かに眉を顰めていたのは、思い出したくもないようなことを、思い出していたからなのかも知れない。
「……硬くて冷たくて、公園のベンチよりつらい寝床だ」
例えば――冷たい風が吹きすさぶ公園で、たったひとり夜を過ごした時、のこと。
「こんなところ、長くいたくない」
ちょっぴり塞ぎ込んだ様子で目を伏せると、己の身体を掻き抱くシオンが「暴れよう」とぽつり呟く。
「なら、わたしの眠り姫……準備は良いかしら」
「……姫、じゃ、ないけど」
――優雅に微笑むレベッカの手元で、揺れているのは炎の蝶。それを牢の鍵穴に忍び込ませ、一気に破壊しようとしている彼女を見たところで、鎌を手にしたシオンも鉄格子に向き合った。
(「でも……おうじさま、は、流石にはずかしいな」)
溜息に混じる腐食の霧が、彼の意思に応じて金属を急激に錆びつかせていく。そうしてぼろぼろになった格子を、紫水晶の刃で鮮やかに断ち切れば、お菓子の家からの脱出は成功だ。
「さ、行こう」
――魔法の炎に包まれて消えていく鉄格子は、こんがり焼き上がったレープクーヘンを思わせて。その匂いに釣られたのか、ふたりの向かう先からは獣たちの唸り声が聞こえてくる。
「あれはなぁに? ……狼?」
鋼鉄の姿かたちも、それから匂う生気すらも造り物のようだった。それでも、その威圧感はきっと本物の獣と変わらない。
「獣、……否、ひとだったもの、かな」
それは人体改造の果てに、狼の如き外観に至ったゾルダート――アイゼンヴォルフ。
脳まで機械化された犠牲者たちが、獣の動きで襲い掛かってくるのに合わせて、レベッカが光の障壁を展開した。
「新宿に流れ着いてからと云うもの、想像を凌ぐ造物ばかりね」
「でも、怖くない。ひとりじゃないから」
機械獣の全身から覗く火器が、此方へ向けられるより早く、シオンがレベッカの前に出て大鎌を構える。
「さあ、捉えてご覧なさい……」
――音に乗せるより速く。レベッカの肉体が雷霆を纏って呪文を紡いでいけば、足元から生まれた氷柱が銃弾を次々に弾いていった。
(「成程……これでは動きづらくなるわね。でも、」)
戦場を駆け巡る狼たちが、彼女たちの動きを抑え込もうとするのに先駆けて、砕かれた氷の破片がきらきらと宙に舞う。
「シオン!」
咄嗟にレベッカの零した吐息が、微かに白く染まるなか――反撃を怖れずに向かっていったのは、紫水晶の呪いを解放したシオンだった。
「その砲身をレベッカに向けるな、あぶないだろう!」
――大丈夫、野犬の群れと向き合うようなものだ。向けて来るのが、爪牙か火砲かの違いでしかない。
己にそう言い聞かせて、一気に跳ぶ。そのまま呪詛に塗れた大鎌を難なく振り回すと、生み出された濃紫の軌跡が、獣たちを纏めて両断していく。
「……根元から断ち斬れば、もう撃てないだろ」
アイゼンヴォルフの武装が、呪詛に侵蝕されて腐り落ちていっても、其処で終わりになどしない。捉える間すら与えずに、水の檻を作り上げたレベッカが狼の群れを封じ込めていくのだ。
(「随分懐かれたものね……」)
――姉弟の振りなんて、戯れのお芝居だった筈。なのに今は彼のひとつひとつの言葉が、彼女のこころを酷く高揚させていく。
「ええ、嬉しいわ。貴方のくれる『特別』が――何よりわたしのチカラになるのだもの」
雷と化した魔女はもう、その軌跡に蝶を残すだけ。そうして勇敢な狩人にひと声かければ、彼は狼たちの腹を真っ二つに斬り裂いて、彼女の期待に応えてくれる。
「シオン、今よ――」
「次、どんどん来い!」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【神速反応】がLV2になった!
【腐食】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
シル・ウィンディア
さぁ、子供たちも助けたし…
あとは、怖いドクターさんを退治するだけだね
…残念だったね。
これから絶望するのは、あなたの番だからっ!!
世界樹の翼をtype.Cにして、誘導弾を連射して
味方が取り付きやすいように牽制だね
ダッシュで移動をして、同じ位置に立ち止まらないように立ち回るよ
味方が近接時には様子を見るけど
被弾しそうな時は、誘導弾で、敵の邪魔をしていくよっ!!
このまま、遠距離戦を続けて、遠距離型と思わせて…
隙ができたら、ダッシュ・ジャンプとエアライドを駆使して、急速接近っ!
全力魔法での、精霊収束斬で、一刀両断にするよっ!!
これが、あなたが絶望させた人達の怒りだよ
…向こうで謝るんだね
瀧夜盛・五月姫
嗚呼、赦せない。赦したくない、赦さない。(【殺気】)
七つ前は神のうち。まぁ、いろんな歳、いたけど。
でも、あなた、子たちに、手を出した。
そんなの、赦されるわけ、ない。よね?
姫、今から【突撃】、胴、狙うから。
止められる、なら、止めて?
【神速反応】で、避けて、みせるけど。
【ただ現に 漂ひ給ふは 姫の末つ方】
“罪を断つ”と、書いて“断罪”。
でも、断たれた如きで、赦されるとは、思わないで。
全部で、108は刻んでみせる、から。
プレシア・アルニラム
◎アドリブ、共闘・連携等歓迎
この狂博士的な方が悪の親玉でしたか
子供を改造する企みも
その悪辣な性質も非人道的な工場も
纏めて潰します!
◆行動
多少のダメージは覚悟の上で
残留効果の飛翔・神速反応・壁歩き等をお借りして
レーザーメスの軌道や威力を観察
「光使い」勝負なら此方も負けていられません
一定の法則を見出したら
上から「ハッキング」「浄化」を重ねて装置の威力軽減や回避を図ります
相手の動きが鈍る、僅かな隙を見せる等の機会を逃さずに
パラドクス『サンドストーム』で反撃を
砂や風では、確かに光の速さは超えられませんが
魔法と質量でゴリ押しです
砂嵐で遮る事は出来ますからね
光を散乱させて綻んだ所を「斬撃」で斬り落とします
鋼鉄の狼たちの骸を踏み越えて、シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)は遂に、秘密工場の深部へと辿り着く。
「さぁ、子供たちも助けたし……あとは」
無機質なコンクリートの壁が、その場所だけはサーカスの天幕で彩られていた。鮮やかな赤と白のストライプに囲まれた手術台が、悪趣味極まりなくて顔を顰めそうになるが、精一杯明るい表情を浮かべてシルは宣言する。
「怖いドクターさんを、退治するだけだね」
「はい。この狂博士的な方が、悪の親玉でしたか」
――彼女の隣で揺れた三つ編みは、プレシア・アルニラム(天使の風塵魔術師・g00844)のもので。
「……おや。見張りは一体、何をやっていたのやら」
機械化手術を行う秘密の部屋に、子ども達自らが乗り込んで来たことに、ドクトル・マシーネは驚きを隠せぬようだった。その手で弄ぶ幾つものメスが、カチャカチャと神経質そうに音を鳴らしていたが、空を薙いだ妖刀の一振りがそれを沈黙させる。
「仲間が。配下、全部、倒して、くれた」
「ほう、随分と威勢の良いことです」
そのまま大薙刀の切っ先を突きつけた、瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)の言葉に、ドクトルは形だけの笑みを浮かべてみせた――が、内心では大分苛立っているのだろうと、シルは笑顔を返す。
「……残念だったね」
――無邪気な子ども達が、もう希望から絶望に堕ちることは無い。悪夢を楽しい夢に塗り変えて、既に彼らは秘密工場からの脱出を果たしたのだから。
「これから絶望するのは、あなたの番だからっ!!」
世界樹の翼を大砲に、シルが誘導弾を連射してクロノヴェーダの動きを牽制する。敵の腕部で輝いた光はレーザーメスのものだろうが、光使いの能力ならプレシアだって負けていない。
「子供を改造する企みも、その悪辣な性質も……非人道的な工場も、私達が纏めて潰します!」
多少の被弾は覚悟して、レーザーメスの軌道を読もうと壁を蹴る。シルの援護もあって、小刀の数は充分に躱し切れるくらいか――装置のハッキングまで行えるかは分からないが、少しでも威力を軽減させようとプレシアは集中を続けていた。
「生意気ですね! 無様に泣き叫んで、命乞いの一つでもすれば良いものを!」
――醜い本性も露わに、肉体を縫合しようと襲い掛かるドクトル・マシーネ。それを引き付けつつ、加速したシルが魔力弾を放ったところで、反対側からは殺気の塊と化した五月姫が一気に迫る。
「……嗚呼、赦せない。赦したくない、赦さない」
呪詛を口ずさむ彼女の貌は、影に覆われて良く分からない。だが、爛々と輝く青の瞳は鬼火のようで、八尺五寸の得物がカタカタと不気味に震えていた。
「七つ前は神のうち。まぁ、いろんな歳、いたけど。でも――」
過去を読み、現在を断つ。胴を狙うと宣言した言葉の通り、五月姫の刃がゾルダートの装甲を捉え、途切れること無く未来へ向かう。
「あなた、子たちに、手を出した。……そんなの、赦されるわけ、ない。よね?」
――止められるのなら、止めたかった。なのに次から次へと吹きつける砂嵐が、ドクトルを封じて身動きを取れなくしてしまっているのだ。
「砂や風では、確かに光の速さは超えられませんが。魔法と質量でゴリ押し出来ます。……ゴリラ推しです」
砂塵を舞わせるプレシアが、レーザーの光を散乱させて反撃を封じる――その僅かな隙を、見逃すまいと動いたのはシルだった。
「急速接近っ!」
馬鹿な、と砂嵐のなかでドクトルの悲鳴が上がったが、シルが遠距離型だと決めつけていた彼が悪い。
プレシアの生んだ砂の波を、軽やかに蹴ってその勢いに乗るシルの掌中には、複数の精霊たちの魔力が渦巻いている。これを全力で叩きつけた精霊収束斬で、クロノヴェーダを一刀両断にする――!
「……『罪を断つ』と、書いて『断罪』」
――光の剣が振るわれた向こうで渦を巻くのは、夜叉に堕ちた姫君の一振りで。嘆きとともに吐き出された声には、五月姫とは異質な、凄まじい怨念が宿る。
「でも、……断たれた如きで、赦されるとは、思わないで」
――全部で、一〇八は刻んでみせるから。刃の直撃を受けて粉々に破壊された、ドクトル・マシーネの胴体を一瞥したシルは、一片の慈悲も見せること無くきっぱりと言い切った。
「これが、あなたが絶望させた人達の怒りだよ。……向こうで謝るんだね」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
【土壌改良】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【ロストエナジー】がLV5になった!
標葉・萱
帰り路を、きちんと辿れただろうか
きっと、きっと
だから二度ともう、偽りの門が開かれぬように
随分迷子をしましたが
片付けの手伝いをいたしましょう
仮面を外して礼を
一時の夢で終わるならば
すこしでも楽しい記憶だけが残るならば
その分くらいは、お礼をしましょう
人形劇もおしまいに、砂上の絵を吹き消そう
サンドストームでドクトルの動きを足止めに
沢山腕をお持ちなので牽制を兼ねて
他の方の助力となるように
巻き起こる砂で、投擲される光を散らすように
楽しい夢を蹂躙する目論見もここでおしまい
ねえ、後始末はするものでしょう
古城・雪凪
ここの工場長は随分といい趣味をしているね
わかるよ、俺も罪なき人を弄んで楽しむ奴の顔が
絶望に歪む瞬間は大好きだぜ
優雅な所作はそのままに
荒い口調が見え隠れ
エアライド、飛翔、壁歩きを活用して
花葬姫を踊らせ連撃を意識しながら
縦横無尽に立ち回って敵を翻弄しよう
ただし味方の邪魔をしないよう、連携を意識して
けれど相手の動きが鈍ってきたなら
発明した魔導機械を出して
夢はいつか終わりを迎えるもの
君の夢も現実も、これにて終幕
けど最後に、ただ朽ちるくらいなら、
贄を喰らうモノでそのエネルギーをもらおうか
たんとお食べ、マクスウェル
ナタリア・ピネハス
おそろしいわ、とても……けれど、私
かなしみを誰かと分かつくらいなら
いかりで奮い立つのだと
立ち向かうのだと、決めたのよ
あなたの、糸
私の、糸
どちらがうつくしいかしら
【命中アップ】を用いた【連撃】を
手術糸へ赤い糸を絡ませて
我が身に兇刃が降り注ぐよりも早く
ドクトルを舞踏へ誘いましょう
ミカ、おうたの時間よ
ナフム、座長さまにご挨拶して
円舞曲はお好き?
まあ。まあ。いけないわ
座長さまが――道化よりも『不器用』だなんて!
召しませ、あまい【現の夢】を
カーテンコールには血のいろよりも
子どもたちの歓喜の声に染まるほうが、うんとすてきだわ
……わたくしは。このゆめに、さいわいを垣間見たのよ
夢は夢へ
眠りの淵へ、お還りなさい
――ガラクタの散らばるけたたましい音が、次なるショーの始まりを高らかに告げた。
「おのれ、おのれオノレェェェ……!」
胴体を断ち切られたかに思えたドクトル・マシーネだが、かろうじて鋼の骨格が残っていたらしい。ゆらゆらと不安定な体勢で近づいてくる彼の姿は、正に出来損ないの人形を思わせて――古城・雪凪(繰創者・g01119)は思わず、浮かべた笑みを隠しきれぬまま呟いた。
「ここの工場長は、随分といい趣味をしているね」
手術用のアームから伸びた照明が、ぐるぐるとスポットライトのように周囲の光景を照らしている。瞬く間に入れ替わる、光と影――その最中、雪凪の纏う雰囲気ががらりと変わったことに、果たしてドクトルは気づけたのだろうか。
「わかるよ、俺も」
――凪いだ声にさざ波が生まれて、優美な破壊者がにたりと笑った。解体手術を行うゾルダートを、此方が解体してやるのだと言うように、機械仕掛けのカンテラを従えてサーカスの舞台に上がる。
「罪なき人を弄んで楽しむ奴の顔が、……絶望に歪む瞬間は大好きだぜ」
「――オォォァア!!」
理性無きドクトルの絶叫を引き連れて、天幕を駆け上がった雪凪の手元で焔が弾けた。スポットライトに照らされたその影に、不気味に揺れているのは悪魔の翼だろうか。マクスウェル――と雪凪が囁くのに合わせて、機械のアームを食いちぎった魔導機械が、得た情報をそのまま主に伝達していくのが分かる。
(「おそろしいわ、とても……けれど」)
今も凄惨なショーが繰り広げられる手術室で、ナタリア・ピネハス(Hitbodedut・g00014)はそっと、脱出に向かった子ども達のことを思う。
――ああ、帰り路を、きちんと辿れただろうか。人形劇の名残を窺わせるように、標葉・萱(儘言・g01730)の傍で燻ったのは白い花の香だった。
(「きっと、きっと」)
大丈夫――と一歩を踏み出せば、その香も忽ち灰と化して消えていく。道化の仮面を外して、そのまま一礼。演技を終えた萱がいま為すべきことは、もう二度と偽りの門が開かれぬようにすることだ。
「随分迷子をしましたが……片付けの手伝いをいたしましょう」
「ええ、……もうすこし、つきあって下さる?」
ナタリアの伸ばした赤い糸の先では、おともだちの人形たちがお辞儀をして、最終幕の舞台へ出て行こうとしている。からくりの雄鹿とつぎはぎの仔羊――彼らの紡ぐ一時の夢が、このフォルクスフェストのフィナーレになるように。
「そうして、すこしでも楽しい記憶だけが残るならば……その分くらいは、お礼をしましょう」
――最後の夢を彩るべく、萱が操ったのは砂の魔法。巻き起こる砂嵐が、ドクトル・マシーネから投擲された光を散らしていくなかで、ナタリアの糸だけが確かに、真っ直ぐに舞台に向かって伸びていた。
(「かなしみを、誰かと分かつくらいなら」)
肉体を削り取られながらも、縫合手術を行おうと迫ってくる工場長へ、一気に食い込んでいく赤い糸。金属糸を手にした機械の指を、そのままナタリアは雁字搦めにして舞踏に誘うと、直ぐに人形たちも加わって円舞曲が始まった。
(「いかりで奮い立つのだと。……立ち向かうのだと、決めたのよ」)
――ドクトルの糸と、ナタリアの糸。どちらがうつくしいかなど、比ぶべくもない。
「ミカ、おうたの時間よ。ナフム、座長さまにご挨拶して」
踊りながら連撃を繰り出す人形劇の、本日のゲストは花葬姫だ。雪凪の操る黒き姫君も、縦横無尽に立ち回って敵を翻弄していくなかで――ダンスに着いていけなくなったドクトルの足が、歯車をまき散らして弾け飛んでいった。
「まあ。まあ。いけないわ。座長さまが――道化よりも『不器用』だなんて!」
甘いあまい現の夢。なのに、ひとり踊るクロノヴェーダだけが悪夢を味わい続けている。
「……楽しい夢を蹂躙する目論見も、ここでおしまい」
夢はいつか終わるもの。そう思えることは救いなのかも知れないが、萱も雪凪も、安易な救済は与えないつもりのようだった。
「……ねえ、後始末はするものでしょう」
「だな。たんとお食べ、マクスウェル」
――砂上の絵を吹き消すが如く、乾いた砂が舞うと同時に、痕跡ひとつ残さぬように悪魔が贄を喰らう。
そう、カーテンコールには血のいろよりも、子どもたちの歓喜の声に染まるほうが、うんとすてきだとナタリアも思うから。
「……わたくしは。このゆめに、さいわいを垣間見たのよ」
ショー・マスト・ゴー・オン――このお芝居は、最後まで夢のまま終わらせないといけない。
――夢は夢へ。眠りの淵へ、お還りなさい。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】がLV3になった!
【断末魔動画】LV1が発生!
【壁歩き】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】がLV6になった!
【ドレイン】がLV3になった!
シオン・ラモール
【紫蝶】
オマエが、親玉か
子供達をだまして、攫って、改造して……何様のつもりだっ
ぜったい許さない。ぶっとばす!
やろう、レベッカ
【飛翔】と【エアライド】を駆使した三次元戦闘を見せる
敵のアームの動きに気を付けて、魔弾を撃ち込み牽制・破損させ、時には距離を詰めて大鎌を振るう
攪乱、翻弄して、レベッカは狙わせない
おれはちょっとくらいケガしてもいい。男のケガは勲章って言うし
レベッカがケガするより、ずっといい
トドメは肉薄して大鎌の刃を首へあてがう
情けなんて無い。死んじゃえ
レベッカに寄り添って、溜息に視線を向けて
いつか、さ。ちゃんとした遊園地に、遊びに行って
気が済むまで遊ぼうよ。
うん、帰ろう。いっしょに
レベッカ・ブルーゾイス
【紫蝶】
あの鋼鉄の狼すら元は人間だったなんて…
身勝手だろうと非道だろうと構いやしないわ
おまえのおかげで夢見が悪くなりそうよ
責任とって頂戴
翠香る精霊に囁く
シオンを包み援け導く守護の風を此処に
怖れを知らず、無茶ばかりするのだから
あぁやだ、血濡れの腕をよこさないで
ドレスが汚れてしまうじゃない
《星黎》に魔力を注ぎ顕現せし星の幻海
漣は次第に世界を呑み込む大津波へ
お仕置きの時間よ
煌きに紛れ喉元へ喰らいつくは鏡鱗の大鰐
鋭く埋もれし牙の餌食となりなさい
凶を断てば現の檻も夢の園も爆ぜてしまう
熱風と黒煙の最中、光の結界領域にシオンと佇み
一時の愉しさに馳せては溜息ひとつ
直ぐに彼へとちいさく咲って
…さ、帰りましょ
――幕が下りる、ほんの少し前のこと。地に伏した筈のドクトル・マシーネの腕が、蜘蛛のように蠢いて手術器具を掴んだ。
「ァ、……解体、しテ。手術ヲ手術手ゅ」
血がこびりついたままの鋸刃が、甲高い音を立てて壁に叩きつけられる。最後の執念で子どもを狙おうとしたのだろうが、駆けつけたシオン・ラモール(紫石英の彷徨者・g03591)のまなざしは、冷たい熱を帯びてあやしい輝きを放っていた。
「オマエが、親玉か」
悪魔の力を解放することに、躊躇いは無い。紫石英の光翼で羽ばたいたシオンは、這いつくばった敵を嘲笑うようにして空へと向かう。そのまま魔弾を撃ち込んで、アームのひとつを根元から引きちぎった。
「子供達をだまして、攫って、改造して……何様のつもりだっ」
「ええ、あの鋼鉄の狼すら、元は人間だったなんて……」
ゾルダートの群れを片付けて、シオンと此処までやって来たレベッカ・ブルーゾイス(嫉みの星魔女・g02252)のほうも、淀みない手つきで精霊を操りながら、ちいさく悪態を吐く。
「おまえのおかげで夢見が悪くなりそうよ。……責任とって頂戴」
身勝手だろうと非道だろうと構いやしない。元々、魔女だ何だと囁かれる身の上なのだ。辺りに守護の風を舞わせる一方で、彼女が顕現せしは星の幻海――魔女の幻想が産み落としたシュシュ・ソワレの大津波で、綺麗さっぱり押し流してやろうと魔力を注ぐ。
「ぜったい許さない。ぶっとばす! やろう、レベッカ」
「……程々にね、シオン。貴方は怖れを知らず、無茶ばかりするのだから」
――直後、少年らしさと男らしさがない交ぜになった貌で、レベッカのほうを振り向いたシオンは。
「おれはちょっとくらいケガしてもいい。男のケガは勲章って言うし、」
アームを伸ばすドクトル・マシーネの動きなど、お見通しだと言わんばかりに大鎌を一閃させてから、きっぱりとこう告げたのだった。
「レベッカがケガするより、ずっといい」
――何かが満たされるような悦びに、魔女の漣は次第に世界を呑み込む大津波へと姿を変えていく。その煌きに紛れるようにして鏡鱗の大鰐が牙をちらつかせると、クロノヴェーダの首へ刃をあてがうシオンとともに、最後の一撃を叩き込んだ。
「さあ、お仕置きの時間よ――」
「情けなんて無い。……死んじゃえ」
カーテンコールの花束のように、鮮やかにドクトルの首が舞ったのが見えたが、それも直ぐに見えなくなってしまう。
力尽きた機械のアームが、ドレスに染みを作ってしまうのを避けながら、レベッカがぼろぼろの天幕に寄りかかった直後――遠くから爆音が聞こえて、工場が振動したのが分かった。
「これで本当に、お終い……ね」
魔法が解ける瞬間は、どうしてこんなにも切ないのだろう。凶を断てば、現の檻も夢の園も爆ぜてしまうと分かっていたのに、溜息が溢れる。
熱風と黒煙が押し寄せてくるなかで足を止めて、一時の愉しさに想いを馳せたところで、此方に視線を向けていたシオンと目が合った。
「……いつか、さ。ちゃんとした遊園地に、遊びに行って。気が済むまで遊ぼうよ」
――また、いつか。そんな夢をみても良いだろうか。
「……さ、帰りましょ」
「うん、帰ろう。いっしょに」
ちいさく咲って駆け出す子ども達は、もう振り返ることは無かった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
【動物の友】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!