血染めの新年(作者 Oh-No
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#吸血ロマノフ王朝  #創造伯アレクセイの吸血実験室  #創造伯アレクセイ  #ウプイリ  #吸血実験室 


 人々がなみなみと血が注がれた杯を手に、座らされた椅子で震えている。
「さあ、その杯の血を飲み干すが良い。高々その程度で今日のところは許してやろうというのだ、何をためらう必要がある」
 彼らの前では、黄金の鎧をまとった騎士が仁王立ちとなって睥睨しているのだから無理もない。
 ここにいる人々は、各地から実験に供されるために連れてこられた者たちだ。そして今日の実験は、死亡した実験体から抜き取った血を飲ませるというもの。実験体からの採血は、先ほど目の前で行われたばかりだ。
 ――実験体、すなわち彼らの行く末そのものである。同じ人間の血を飲み干すだなんて、とても出来はしないのだが。
「どうした、なぜ飲めない。……そうか、血を飲むよりもさっさとそこで死んでいる実験体の仲間入りをしたいということか」
 騎士はふむ、と頷いて、唇を歪めた。
「なるほど、それもよかろう。だが楽に死ねるなどと思わないことだ。血を飲ませてくださいと哀願するなら今のうちだぞ」


「あけましておめでとうございます。今年もよろしくね」
 新年の挨拶とともに、ルフィナ・スローヴィン(吸血鬼のダークハンター・g07231)は柔らかく微笑んだ。
 けれど、すぐに硬い声音になって、淡々と話を続ける。
「さて新年から悪趣味な話で申し訳ないのだけれど、『吸血実験室』なる大領地が吸血ロマノフ王朝のウクライナ方面に存在するようです」
 『吸血実験室』の存在は、攻略旅団の提案に基づく調査で判明したものだ。この大領地を支配するジェネラル級『創造伯アレクセイ・K・トルストイ』によって、一般人のヴァンパイアノーブル化を目的とした非道な実験が繰り返されているのだという。
「個々の『吸血実験室』はアレクセイ公伯爵配下のアヴァタール級によって管理されていて、各地から実験用に送られてきた一般人を利用した非道が現在も継続されています。この実験に供されようとしている一般人を救出し、クロノヴェーダを撃破してください」

 大領地『吸血実験室』は大領地にしては狭く、幾つかの実験を行う実験施設が点在している。実験に供される一般人は各地から集められるのみで、周囲に一般人集落などはなく、すべての一般人は実験室にある牢に収監されている。
「牢に囚われた人々は、当然ですが、実験の恐怖によって心理的な傷を受けています。彼らのメンタルをケアしつつ、脱出の手引をしてください」
 ルフィナは珍しくも僅かに言いよどむ。
「……また同じ建屋には、実験体である『人面コウモリ』も存在しています。一般人が変異させられたものですが、すでにトループス級であり、例え人間の意識を保っていたとしても、救出は不可能です。ここで葬ることが、彼らに対して出来る最善でしょう」
 実験室に詰めているトループス級クロノヴェーダは非道な実験に明け暮れており、ディアボロスが侵入しても攻撃されるまで気づかないだろうという。
「そしてトループス級を撃破し、実験室を支配するアヴァタール級を討伐して作戦を終了させてほしいの」
 ここまで説明して、ルフィナは一度間を空けた。固かった表情が少し和らぐ。

「そうです、せっかくの新年ですから、現地に向かう前に奪還した地域の神社へ初詣するのはどうでしょう。現地では厳しい状況が想定されます。状況に向き合うためにも、精神的余裕が大事かもしれません。その上で一般人を材料にするなどという、この最悪な実験を終わらせて来てください。よろしくお願いしますね」


「……もう、だめだ。こんな実験を受けさせられて、いつかはあの『人面コウモリ』にされちまうんだろう?」
「そうね……。少しでもまともな死に方をしたいけれど、それも望めそうにないわね……」
 牢に繋がれた十数人の人々は疲れ果て、すでに生きる希望も失っている。考えていることは、この苦痛から逃げるためにどう死ぬかばかり。
 だが、クロノヴェーダたちが簡単に死なせてくれるわけもない。苦しんで死ぬか、『人面コウモリ』となるか。人々には、その最悪な2択しか残されていなかった。
 感情も擦り切れかかり、人々は静かに嘆いている――。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
2
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【悲劇感知】
2
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【一刀両断】
3
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【託されし願い】
4
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【セルフクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【エアライド】
2
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【光学迷彩】
3
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【活性治癒】
4
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【コウモリ変身】
1
周囲が、ディアボロスが小型のコウモリに変身できる世界に変わる。変身したコウモリは最高時速「効果LV×50km」で飛行できるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV6 / 【ガードアップ】LV1 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【アヴォイド】LV3 / 【ダブル】LV1

●マスターより

Oh-No
 こんにちは、Oh-Noです。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

●初詣について
 初詣のみへの参加も歓迎いたします。よろしければ、どうぞご参加ください。

 参拝する神社を指定して、プレイングをかけてください。解放できていない区の神社などは、もちろん参拝できません。
 初詣期間は、神社の境内に屋台や露天なども並び、新しい年を祝っているようです。
 他の選択肢についてリプレイが作成された後では採用ができませんので、ご注意ください。

●囚われた牢からの脱出について
 人々との接触は問題なくできますが、すぐに脱出することは困難です。
 彼らを力付け、ディアボロスたちがクロノヴェーダたちと戦闘している間に、混乱に乗じて脱出してもらうなどの手引をすることになります。

●トルストイの実験体『人面コウモリ(ウプイリ)』について
 非道な実験によって人面コウモリに変えられてしまった一般人です。
 倒すこと自体は簡単です。呼びかけを試みた場合、人の心を取り戻すことがあるかもしれません。
 その場合『自分を殺してくれ』と願い、人として死ぬことが出来るでしょう。もちろん、呼びかけないこともできます。

●『黄金騎士団』について
 高位のヴァンパイアノーブルに仕える、黄金の鎧を纏う騎士達です。実験を遂行するために、実験室に詰めている状況です。実験室に突入するまでは気づかれずに行動することが可能です。

●『アレクサンドル二世』について
 ニコライ二世の先々代の皇帝の名を持つ吸血貴族。とはいえ、ただのクロノヴェーダに過ぎませんが、皇帝のような尊大な性格をしています。
 今回の実験についても、積極的に推進しています。

 それでは、よろしくお願い致します。
34

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


赤上・イズル
■ツキ(g04892)と一緒に初詣
■アドリブ・絡み歓迎

ツキと一緒に京都の貴船神社へ行く

赤い燈籠が並ぶ石造りの階段は見事ですね…
ツキ、貴船神社に連れて来てくれてありがとうございます

大好きな友達に連れられてきたのだから
それはもう笑顔を隣のツキに向けながら石段を上がる

タカオカミノカミ…ここは水の神様なのですか
水の精霊さんとご縁のあるツキにぴったりな所ですね

お賽銭を入れ参拝

どうかツキのこと見守ってください
そしてツキがいつも笑顔でいられますよう…お願いします

石段を下りながら

何をお祈りしたのですか?内緒ですか?
むー、仕方ありませんね
と、ところで…寒いのでしたら…て、手を繋いでもいいのですよ
ほ、ほら、どうぞ


ツキシロ・フェルドスパー
イズル君(g04960)と一緒に初詣!
アドリブ/連携歓迎

イズル君と一緒に京都の貴船神社に初詣。
冬やし山の中やから暖かいかっこしていこな。

といって一緒に石段登ってっと……
まずは本宮。で、奥宮。最後に結社って順番でお参りしよ。
本宮の神さんもええねんけど……最後のな結社のとこでお参りしたいんよ。
……お願い事?内緒。

と隠しつつ、お賽銭入れて参拝。
磐長姫命様。縁結びの神様。
イズル君とはな。全部終わったらもっぺん会えるかどうかわからんねん。
せやから神様お願いいたします。
どうかご縁をお願いします……

っと。帰りも気を付けて帰ろな。
ふふーん。ほな、手つないで帰ろ。とイズル君が差し出してくれた手を握って帰る。


 山肌に刻まれた石段、その両脇にはどこまでも赤い燈篭が連なっている。
「いやあ、見事な光景ですね……」
 赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)は、ツキシロ・フェルドスパー(非日常に迷い込んだ漂流者・g04892)と訪れた貴船神社の情景に息を呑んだ。
「せやろ?」
「ツキ、貴船神社に連れて来てくれてありがとうございます」
 自慢げに胸を張ったツキシロだったが、イズルから率直に感謝されて少々照れた様子だ。
「ええから石段登ろうや。まずは本宮。で、奥宮。最後に結社って順番でお参りしよ」
「ええ、おまかせします」
 イズルは満面の笑みを浮かべて、ツキシロに応じた。

 季節は冬、貴船神社は山の中でもあるから、油断なく暖かい格好をしてきた二人である。とはいえ石段を登っているうちに身体も温まってきて、ツキシロは首元を少し緩めた。
「タカオカミノカミ……ここは水の神様なのですか。水の精霊さんとご縁のあるツキにぴったりな所ですね」
 最初にたどり着いた本宮で、イズルは説明書きを読んで納得したように頷いた。
 それから賽銭を入れて、神前に手を合わせる。
(「どうか、ツキのことを見守ってください。そしてツキがいつも笑顔でいられますよう……お願いします」)
 願掛けをして一礼し、参拝を終える。
 だが、イズルが参拝する間、ツキシロはその様子をただ見ているだけだった。
「ツキはお参りしないのですか?」
「あー、本宮の神さんもええねんけど……最後のな、結社のとこでお参りしたいんよ」
 不思議に思って聞いてみても、妙に歯切れの悪い言葉が返ってくるだけ。
 まあいいかと首をひねり、奥宮に向かう。

 そして最後に訪れた結社で、ツキシロは念入りに願掛けをしていた。
(「磐長姫命様。縁結びの神様。イズル君とはな、全部終わったらもっぺん会えるかどうかわからんねん。せやから神様お願いいたします。どうかご縁をお願いします……」)
 その様子があまりにも真摯だったものだから、帰りの石段を下る最中、イズルは無作法とは知りながらもツキシロに聞いてみたけれど。
「ずいぶんと熱心にお祈りしていましたが、何をお祈りしたのですか? 内緒ですか?」
「……お願い事? 内緒や、内緒」
「むー、仕方ありませんね」
 ぞんざいにあしらわれてしまい、口を突き出した。
「と、ところで……寒いのでしたら……て、手を繋いでもいいのですよ。ほ、ほら、どうぞ」
 それはそうとして、このままただ帰るのも寂しかったから、イズルは頬を染めながら手を差し出す。
「……ふふーん。ほな、手つないで帰ろ」
 ツキシロはそんなイズルの表情を見てにんまりと笑い、差し出された手を柔らかく握ったのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎

去年なら一昨年に復帰した渋谷区の東郷神社が相手がロマノフって事もあって参ってたんだが……ま、熱田神社も高名な武神日本武尊を祀る神社
充分に加護は在ると思うが

しかしアレクサンドル二世とは偶然にしてもなあ
創造伯の名の由来アレクセイ・K・トルストイにとっては忠義を誓った主であると同時に子供の頃遊び相手となり友であり続けた相手でもある
(ロシア版W●kiにそう言う表記在り)
其れが創造伯に部下として従ってるって言うんだからクロノヴェーダの歪みの酷さが垣間見えるぜ

さて、奴等を討ち滅ぼし人々を開放できますように、と

静かにお参り
今年は故郷を開放出来るようにと静かに日本武尊に願掛けをしていく


 ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は、台東区にある熱田神社へ初詣に向かっていた。
(「相手は吸血ロマノフ王朝だから、東郷神社も良かったかもな」)
 吸血ロマノフ王朝打倒という目的に対して、バルチック艦隊撃破に掛けた験担ぎをするという選択も確かに魅力的ではある。
(「ま、熱田神社も高名な武神、日本武尊を祀る神社。十分に加護はあるだろう」)
 そんなことを考えているうちに、比較的こじんまりとした熱田神社が見えてくる。
 それにしても、とルィツァーリは今回の敵『アレクサンドル二世』の名前を思い浮かべた。史実においては、アレクセイ・K・トルストイから見たアレクサンドル二世は忠義を誓うべき主であると同時に、皇太子時代の学友であったともいう。
(「そのアレクサンドル二世が創造伯アレクセイに部下として従ってるって言うんだから、クロノヴェーダの歪みの酷さが垣間見えるぜ」)
 あまりの逆転ぶりに、苦笑せずにはいられない。
 ただ、有り様がどうであるにせよ彼らが倒すべき敵だという事実は変わらない。だから、ルィツァーリは祭神である日本武尊に向けてシンプルに願いを捧げる。
(「奴らを討ち滅ぼし、人々を解放できますように。今年、故郷を解放できますように」)
 静かに、厳かに、ルィツァーリはただそれだけを願った。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

エラ・パーカー
【築土夫妻】

奪還した千代田区はあんまり来たことなかったなって思いながら、慣れない道で離れないように繋いだ手をぎゅっと握って歩くの

ううん、一緒に初詣来れて嬉しいの

初めてお聞きした由縁に目を瞬かせながら、鳥居を潜り進んで

ありがとう…その為にここにしてくれて、すごく、嬉しいの
心配かけちゃうかなって思いながら、いつも好きな事ばっかりしてごめんね
でもなにがあっても、絶対帰ってくるの…ずっとお傍にいるの
この神社みたいに、形が変わっても心は変わらないの

時々声が詰まりつつそう返して、エラも手を合わせるの
いつだってこの人の傍に絶対無事に帰ります、見守ってください
そう決意を込めた願掛けを

うん!よろしくね、游くん♪


築土・游
【築土夫妻】
エラにわがままを言って千代田区は築土神社への参拝
九段下から降りると新年ということ、寺社が多くある地域ということもあり人混みが
彼女の手を握って逸れないように

ごめんね、我儘言って…ココ俺の由縁があってさ

ビル街に紛れるように立つ鳥居を潜って

今はエラの方が戦争、依頼に行く機会多いし
武運と勝負事の願掛けになるから…俺もエラの無事を祈りたくて
それに…ココはすごく古い神社だけど現代な建物になっているんだ
だから、いつまでも形を変えてもずっと一緒に居られると良いかなって…

そう言うと手を合わせて、彼女が今年も無事に過ごせますように、ずっと一緒に居られるように頑張りますと願掛けし

今年もよろしくね、エラ♪


 新年の九段下駅は、周囲に寺社が集まっていることもあって混んでいた。
 築土・游(アトミックハーツ・g00727)は万が一にもはぐれることがないように、エラ・パーカー(cân serch o morganite・g03253)の手を優しく握る。
「ごめんね、我儘言って……。ココ、俺の由縁があってさ」
「ううん、謝らないで。エラ、一緒に初詣来れて嬉しいの」
 エラも游の腕を抱えるようにして、繋いだ手をギュッと強く握り返した。
 どんな由縁が游にあるのかを簡潔に話しながら、駅から出た先にある坂を登っていると、ビルに挟まれて窮屈そうな鳥居が見えてくる。
 そのまま鳥居を潜って、ビルの谷間にひっそりと鎮座する築土神社の社殿へと向かった。
「今はエラのほうが、戦争や依頼に行く機会が多いだろ。武運と勝負事の願掛けになるから……俺もエラの無事を祈りたくて」
 握った手の熱を感じながら、游はしんみりと語る。
「それに、ココはすごく古い神社だけど、現代的な建物になっているんだ。だから、いつまでも、形を変えたとしても、ずっと一緒に居られたら良いかなって……」
 そこまで話して、游は足を止めたエラに気づき、振り返る。
 エラは游の腕を胸に抱いて、揺れる瞳で游を見上げていた。
「ありがとう……、その為にこの神社を選んでくれて、すごく、嬉しいの。心配かけちゃうかなって思いながら、いつも好きなことばっかりしていてごめんね」
 こみ上げる想いで声を詰まらせながら、それでも余さずぜんぶ伝えるために、エラは懸命に言葉を紡ぐ。
「でも、何があっても、絶対帰ってくるの……。ずっと、お傍にいるの。この神社みたいに、形が変わっても心は変わらないの」
 そのまましばし、ふたりは互いの瞳の奥を見つめ合っていたが――。
「……参拝しようか」
「うん、そうするの」
 周囲の視線を感じて、社殿の前に向かう。
(「エラが今年も無事に過ごせますように、ずっと一緒に居られるように頑張ります」)
(「いつだって、この人の傍に絶対無事に帰ります。見守ってください」)
 そして並んで手を合わせ、それぞれの決意を込めた願掛けを済ませた。
 頭を上げた2人は、視線を合わせて微笑みを交わす。
「今年もよろしくね、エラ♪」
「うん! よろしくね、游くん♪」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

リノーカ・ヴィエルィリーニャ
京都伏見の乃木神社に初詣

日露戦争で大きな働きをした将校、乃木希典を祭る場所か…。
帝政ロシアの陸軍人としてかつての敵将であるその名前は良く知っているし、水師宮を始めとした彼の振る舞いには敬意も抱いていたけれど。
まさかその所縁の社に来られる日が来るなんて。

っと、この石碑は…乃木三絶?
…山も川も荒れ果て馬も進まず……多くの命が失われ……どれほどが帰って来られただろうか……か。
去年はひとり、だったけれど。
これからどれだけのディアボロスが、消えて…忘れられてしまうんだろう。

…でも、止まったりはしないよ。
この悲しみと自責の句さえ、失われてしまわぬように。
今もなお失われ続ける同胞の命を、少しでも護る為に。


 京都伏見、御陵の麓に乃木神社はある。
「日露戦争で大きな働きをした将校、乃木希典を祀る場所か……」
 神門を潜り、境内に足を踏み入れて、リノーカ・ヴィエルィリーニャ(赤錆びた樹の末裔・g04321)は感慨深く息を吐く。
 帝政ロシアの陸軍人だったリノーカは、かつての敵将として乃木希典の名前はよく知っていた。水師営の会見などに象徴される彼の振る舞いを聞き知ったときには敵ながら敬意を抱いたものだが、まさか所縁の社に訪れる日が来るとは思ってもみなかった。
 拝殿で参拝してから、境内をゆっくりと散策する。本殿の周囲は内苑として整備されているようで、リノーカは気ままに足を踏み入れた。
「っと、この石碑は……乃木三絶?」
 漢詩が彫られた石碑の前で、足を止める。優れた詩人でもあった彼の人の作の中でも、特に有名な漢詩三作のうちのひとつであるようだ。傍らに掲げられた説明に目を通し、しきりに頷く。
「……山も川も荒れ果て馬も進まず……多くの命が失われ……どれほどが帰って来られただろうか……か。去年はひとり、だったけれど。これからどれだけのディアボロスが、消えて……忘れられてしまうんだろう」
 激戦の後に詠まれた詩に、自らの経験が重なる。これから戦いは一層激しくなるのかもしれない。
「……でも、止まったりはしないよ。この悲しみと自責の句さえ、失われてしまわぬように。今もなお失われ続ける同胞の命を、少しでも護る為に」
 それでも、この先に何があろうとも歩み続けるのだと、そう心に誓って、リノーカは次なる戦場へと向かう。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

桜之宮・春風
初詣、去年は手伝わなくていいから楽だなーって思いましたけど
2年目ともなるとちょっと寂しいかも
向かう前に行けるんなら今年は参拝ぐらいはしておきましょーか

まーうちの神様はまだいないでしょーから場所はどこでもいいかな
出来るだけ人のいないとこを見つけていこ

人気のないとこなら賑やかしでも来ててくれれば神様も喜んでくれるでしょ
他所の神社だから参拝手順もちゃんとしてーっと

神様、今年もクロノヴェーダを倒しまくって
ぜーんぶ取り戻して見せますんで見守っててください

……よし☆
あとはお守りとか買っておみくじも引いてこよー

今のうちにお金落としとかないと
来年にはうちの神社も取り戻してるだろーから来れないでしょうしね


 望んだ事態ではなかったけれど、結果として恒例である実家の神社の手伝いがない年末年始。昨年は、楽だなとも思ったりもしたが。
(「2年目ともなると、ちょっと寂しいかも」)
 白い息を吐きながら、桜之宮・春風(明日も春の風が吹く・g00839)は境内に向かう階段を登る。
 戦いへ向かう前に行けるなら今年は参拝くらいしておくかと、春風は神社へと向かう最中だ。とはいえ有名所はパスして、あまり人気のない近所の神社を詣でる先に選んだ。
(「まー、うちの神様はまだいないでしょーから場所はどこでもいいかな。……人気のないとこなら、賑やかしでも来てくれれば神様も喜んでくれるでしょ」)
 考えていることはそこそこ罰当たりだったが、神社の娘だけあって参拝手順はしっかりと把握している。他所の神社であるだけに入念に作法を守って参拝する春風の姿を神職が見ていたら、若いのに感心だと目を細めたかもしれない。
(「神様、今年もクロノヴェーダを倒しまくって、ぜーんぶ取り戻して見せますんで見守っててください」)
 春風らしい、軽妙ながらも力強い願掛けも済ませた。
(「……よし☆。あとは、お守りとか買って、おみくじも引いてこよー」)
 初詣らしく、破魔矢や干支の土鈴などもお守りに混じって社務所の前に広げられている。
(「今のうちにお金を落としとかないと。来年にはうちの神社も取り戻してるだろーから、来れないでしょうしね」)
 お気に入りの一品を見つけ出すために、縁起物をじっくりと見定める。
 ――来年の正月は実家を手伝う。意識はせずとも、それが春風にとってなによりも大事な抱負だったのかもしれない。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【壁歩き】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

レイラ・イグラーナ
※初詣の行き先はお任せ、他の人がいればそちらに合わせます

1年の始まりにこうしてお祈りへ向かうということでしたね。
私もこの国の習わしに倣いましょう。

作法に則り二礼二拍手一礼。
攫われたシベリア地域の方々、食料や命を奪われた農村の方々、戯れに殺害されたパイプライン沿線の村の方々、そして今から向かう吸血実験室へと攫われた方々……
間に合わないことばかりです。
全てを救うことができる力は私にはない、分かってはいますが……自分の無力さが嫌になります。

せめて、私の力が及ばず、亡くなられた彼ら、彼女らのご冥福と、これから先、一人でも多くの方を救えるよう祈りを捧げます。


キリ・ヴェルウィスト
新年を迎えたが、七曜の戦いもすぐそこか。
とりあえず今は新たな年を祝うとしよう。
京都の神社に赴いて、おみくじやお守りを買うとしよう。
後は祈願だな、一刻も早く、大地が奪還されるように。
……まあ、これに関しては俺たちディアボロスの技量が試されるところだが、神頼みも悪くない。

後は屋台で売っているものを買って、と……この時期ぐらいまったりするのも悪くはないよな。


(「もう新年を迎えたか。この調子じゃ七曜の戦いもすぐそこだな」)
 時が流れる早さを噛み締めながら、キリ・ヴェルウィスト(小さき何でも屋・g08516)は新年の京都を歩く。昨年の夏に取り返したばかりの京都だが、往来は初詣に向かう人々で賑わっていた。
 道路をまたがる巨大な大鳥居を通り過ぎて、平安神宮へと向かう。参拝する人々の後に並べば、それほど待たされることもなく神前へ。
 手を合わせて、真摯に祈る。
(「一刻も早く、すべての大地を奪還できますように」)
 『七曜の戦い』は半年と少し先にあるという。まだ何が起きるかはわかっていないが、『七曜の戦い』がどんなものであれ、ディアボロスの目標そのものが変わるわけではないだろう。
 もっとも、奪還できるかどうかは自分たち次第だ。
(「……まあ、俺たちの技量が試されるところだが、神頼みも悪くない」)
 そんなことを考えながら礼をして、神前から離れる。
 さて、あとはどうするか。混み合っている授与所で種々のお守りを見比べるのも悪くないし、おみくじを引いて今年の運勢を占うのもいいだろう。参道に並んでいた多くの屋台から漂う香りには、来る道中も食欲をそそられたものだ。
(「この時期ぐらい、まったりしていてもいいよな」)
 とりあえず傍の授与所に立ち寄ることにして、キリは台上に展示された様々のお守りを背伸びして覗き込む。

 平安神宮には、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)も訪れていた。
(「1年の始まりにこうしてお祈りへと向かうのでしたね。私もこの国の習わしに従いましょう」)
 初詣という風習を聞いたレイラは、京都でも有名な神社に参拝に来たのだった。
 新年を迎えるという晴れやかな行事だけあって、華やかに着飾った人々も散見される境内は、荘厳な空気は保ちながらも明るい雰囲気に包まれている。
 その中にあって、レイラは新年を祝うめでたさには浸れずにいた。どうしても、苦しんでいた人々すべてを助けられなかったことが、常に意識の片隅にある。
 レイラは神前まで進んで、作法に則って二礼二拍手。周囲の参拝に手慣れた人々よりも、ずっと折り目正しい所作でそれを済ませ、手を合わせて目をつむった。
(「攫われたシベリア地域の方々、食料や生命まで奪われた農村の方々、戯れに殺害されたパイプライン沿線の村の方々、そしてこれより向かう吸血実験室へと攫われた方々……」)
 吸血ロマノフ王朝で関わった人々のことが去来する。思い返せば、間に合わないことばかり。
(「全てを救うことができる力は私にはない。そうわかってはいますが……自分の無力さが嫌になります」)
 だから、せめてレイラの力が及ばず、亡くなられた彼ら、彼女らが安らかな眠りにつけるように祈った。
 これから先、自分の手が一人でも多くの方に届き、救えるようにと誓い、祈った。
 ――ざわめきの中で、真摯な祈りを捧げている彼女の周囲にだけは静謐な気配が満ちている。
 やがて目を開けたレイラは深く礼をして、神前を去った。
 強い決意をその瞳に湛えて。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】がLV2になった!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎

人々を苦しめ傷付ける……そんな奴等が騎士を名乗る等と!

……いや、今は怒りを抑えて人々を救うのが先決、か


遅くなってすまない
貴方達を助けに来たぞ!

先ずは口を洗い流し此の飴玉で口の中を上書きすると良い

騎士として誓おう
貴方達がもう奴等に苦しめられぬ様に俺は奴等を、偽りの騎士と下道共を倒すと!

此れ以上犠牲者を出してたまるものか!


牢に辿り着いたら彼等と目を合わせ穏やかな口調で助けに来た事を告げる

その上で先ず○活性治癒をし血を洗い流す為に水を、口の中を上書きする為に飴玉を差し出す

そして、助けに来るのが遅くなった事を謝り、再び彼等が苦しまずに済む様に奴等を、創造伯を倒すと騎士として誓う


リノーカ・ヴィエルィリーニャ
仲間と連携重視

実験の真意も気になるけれど、まずは同胞を救い出さないと
まだ救える命がいるのだから

牢に至るまで道筋を良く観察
人々が素早く逃れやすい導線を紙に描いておく
【一刀両断】で経路短縮が出来そうな場合は音に気を付けて行う

人々には親しみを与え易い様に少し故郷訛りのある綺麗で無いロシア語で話す
武器を置いてから傍に寄り、低めの落ち着いた語調で敵で無いと伝える
その後まず話を聞いて痛みを共有し寄り添ってから、改めて救助に来た旨を伝え道筋を書いた紙を渡す

俄には信じ難いかも知れないけれど、どうか信じて欲しい
あなた達に危害は加えない
私達が望むのはあなた達が逃れ得ること、そしてあなた達を苦しめる者を討つことだよ


桜之宮・春風
さてさて、神様に言った通りクロノヴェーダ倒しまくる……
前に人助けをしないといけないみたいですね

とりあえずカギの捜索に牢番とかもいたらパパっと倒しちゃうのとー
脱出ルートを決めるお手伝いですかね

見つからないよう天井とかを走って先行偵察してきますよ
ついでに余計な道とか危なそうな道はセルフクラフトで行き辛くして
皆と話しながら安全で早い脱出ルートを決めればオッケーかな

それと牢にいる人が元気出るかと思って
魔除け用に兎柄の土鈴も沢山買って来たから渡しておきまーす

ヴァンパイアでも何でも兎さんが払ってくれます
もし、それでもだめだーってなった時は思いっきり振って見て下さい
私たちが音を聴いてすぐ駆け付けますからね☆


 作戦前に初詣を各々済ませたディアボロスたちは、今度は一転して、大領地『吸血実験室』に存在する実験施設に侵入した。事前に聞いていたとおり警戒は薄く、侵入自体は容易だった。
(「さてさて、神様に約束したとおりクロノヴェーダ倒しまくる……前に人助けをしないといけませんね」)
 桜之宮・春風(明日も春の風が吹く・g00839)たちが受け持った役割は、実験に供されるために囚われている一般人が脱出するための筋道をつけることだ。
 これも大暴れをする前に必要な段取りだが、具体的にはどうするか。春風は早々に決断して、壁に手をついた。
「私、先行して偵察してきますよ。ついでにカギとかも探してきますね」
 喋りながら続いて壁に足をつき、なんでも無いかのように壁面を歩いて天井近くまで登った。
 春風はそのまま天井スレスレの位置で身を潜めながら進んでいく――。
「私たちも進もうか」
 リノーカ・ヴィエルィリーニャ(赤錆びた樹の末裔・g04321)は姿を消した春風から、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)に視線を向けた。
(「人々を苦しめ傷付ける……そんな奴等が騎士を名乗るなどと!」)
 ルィツァーリは怒りに我を忘れて、リノーカの声も聞こえていないようだ。リノーカはルィツァーリに近づいて、軽く肩をたたいた。
「ねえ、進んでいい?」
「……!」
 ルィツァーリは、やっとリノーカの呼びかけに気づいて、はっとした顔で振り返る。
(「……いや、今は怒りを抑えて人々を救うのが先決、か」)
 少々感情的になっていたことを自覚して、頭が冷えた。
「……ああ、そうだな」
 ルィツァーリは決意を込めて、力強く頷く。
「何か気づいたら教えてね」
 リノーカはメモ帳とペンを取り出して、記録を取りながら歩き出した。
(「実験の真意は気になる。でもまずは同胞を救い出さないと。まだ救える生命がいるのだから」)
 リノーカも気になっていることはある。何を狙ってこのような大規模な実験を繰り返しているのか、わかっていないのだから。だが、人々の命が危険にさらされているのなら、彼らを救わないなんて選択はないのだ。

(「ここ……、だね」)
 侵入した建物の探索を開始して、しばらく経った頃。身を潜めて屋内を探索したリノーカたちは、人々が囚われているだろう部屋の目星をつけた。
(「さすがに見張りは居るか……、ん」)
 扉の前に立つ見張りをどうしようかと、その姿を隠れ見るリノーカの前で、見張りの背後に天井から春風が降ってきた。
「えい☆」
 可愛らしい掛け声とは裏腹に鋭い一撃が突き刺さり、見張りは何もわからないうちに昏倒する。
「あ、ちょうどよかったです」
 それからリノーカの姿を見つけて手を振る春風と合流、3人で情報を交換し合い、脱出ルートを決めた。
「あとはこの牢の扉だけど、鍵はあった?」
「まだ見つけられてないので、探すか、それとも壊しちゃいましょーか?」
「そうだね、これくらいの扉なら……」
 リノーカはコンコンと軽く木の扉を叩き、感触を確かめた。続けて意思の刃を繰り出して、一刀両断! 牢への扉を斬り飛ばす。
 ――扉の向こうでは、力なく床に佇む人々が驚いた顔をしていた。
「遅くなってすまない。貴方達を助けに来たぞ!」
 間髪入れず、ルィツァーリは堂々と部屋に踏み入った。人々からどんよりとした視線を浴びせられても身動ぎせず、胸を張って穏やかに笑ってみせる。
「にわかには信じ難いかもしれないけれど、どうか信じてほしい。私達は、あなた達に危害を加えない」
 リノーカは両手を開いて、危険なものは何も持っていないと示しながら、彼らの傍に近づいて身を屈めた。
「私達が望むのは、あなた達が無事に逃れること、そしてあなた達を苦しめる者を討つことだよ」
「……ああ、なんてことだ。もう希望はないと思っていたのに」
 リノーカの穏やかで落ち着いた声音でなされた呼びかけは、囚われた人々に優しく響く。
「血を飲まされたのではないか? ここに水がある、口を濯ぐと良い。それとこの飴玉も」
 ルィツァーリが水や飴を希望者に渡している横で、春風は意気消沈している妙齢の女性に土鈴を手渡した。
「よかったら、これ、どうぞ」
「なにかしら。兎さん、かしらね」
 女性は春風に手渡された兎型の土鈴を、物珍しそうに眺めている。
「これは私の国の魔除けで、ヴァンパイアでも何でも兎さんが払ってくれます。もし、それでもだめだーっってなった時は、思いっきり振ってみてください。私たちが音を聴きつけて、すぐに駆けつけますからね☆」
 春風はそういって、チリンチリンと土鈴を鳴らしてみせた。
「たくさん持ってきたので、よかったらみなさんもどーぞ」
 興味を持った人々にも、遠慮させずに次々と渡していく。

 空気が少し和んだところで、リノーカは彼らの代表者に脱出経路を示したメモ書きを渡す。
「もうすぐ騒ぎになるから、そのときに脱出を。焦らないで」
 代表者の男はリノーカの瞳を見つめ、ゆっくりと頷いた。
「あんたたちが奴等と戦うのかい? 大丈夫?」
「ああ、任せてくれ」
 心配そうに見つめる女には、ルィツァーリが堂々と応じた。
「騎士として誓おう。貴方達がもう奴等に苦しめられぬように、俺は奴等を、偽りの騎士と下道どもを倒すと!」
 そして、3人は牢を後にする。
(「此れ以上、犠牲者を出してたまるものか!」)
 そう心に強く誓って。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】がLV3になった!
【一刀両断】がLV3になった!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】LV1が発生!

レイラ・イグラーナ
実験室で『人面コウモリ』とされた方を討つか、牢に囚われた方々を救出するか。
必要であれば、こちらは私一人で背負うつもりでいましたが……皆様とともに参りましょう。

せめて恐怖なく、痛みも絶望もなく、皆様が安らかに眠っていけますよう。
【光学迷彩】を併用しつつ【手製奉仕・匿】を使用し、人面コウモリに忍び寄り、頭部を狙い一撃で確実に仕留めていきます。
もし人としての意識をまだ持っている方が居られたら話しかけます。
貴方を助けることができない、私の無力をお許しください。
もしよろしければ……最期に残す言葉はございますか?
ご家族がいれば、必ずやお伝えいたします。


 クロノヴェーダたちが行ったロクでもない実験の後始末なんて、どうしたって汚れ仕事だ。
 だから、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は自分ひとりで手を下す覚悟も決めていたけれど、どうやら一人で背負わなくてもいいらしい。
「では皆様、参りましょうか」
 突き止めた人面コウモリがいる場所へ、ディアボロスたちは手分けして向かった。

 人面コウモリが屯する場所が近づいて、レイラは光学迷彩で身を潜めた。
 そのまま自らの存在を感づかせることなく、人面コウモリへと迫る。
(「せめて恐怖なく、痛みも絶望もなく、皆様が安らかに眠っていけますよう」)
 力が足りない彼らでは、迫りくるレイラの気配に気づくなど到底できない。手の内に握りしめた針を人面コウモリの頭へと突き立てて、容易くその生命を奪った。
 動きを止めた人面コウモリを静かに床に下ろして、次の目標へ。音もなく、次々に方を付けていく。
「……ああ、やっと終わるのね」
 その一連の動きの中で、レイラはこぼれ落ちたつぶやきを聞いた。
 どうやら、死の間際で意識を取り戻した者がいるようだ。
「貴方を助けることができない、私の無力をお許しください。……もしよろしければ、最期に残す言葉はございますか? ご家族がおられるなら、必ずやお伝えいたします」
 大したことはできないけれど、せめてもの奉仕をとの思いで丁重に言葉をかける。
「……死んだとだけ伝えて」
「――承りました」
 女の回答はそっけなかったが。
 レイラは彼女が息を引き取るまでの僅かな時間、恭しく頭を下げていた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!

赤上・イズル
■ツキ(g04892)と
■アドリブ歓迎

この人面コウモリ達は…実験の成れの果ての人間なのですね…

…赦せません…このような非道…
ツキ…、彼らを眠らせてあげましょう…
そしてその先にいるアレクサンドル二世を、
さらには創造伯アレクセイを必ず…!

諸悪の根源の打倒を心に燃やしつつ人面コウモリと対峙する決意をする
心に宿る怒りは今は奥底に押し込み、
彼らが苦しみを感じる間もなく命を絶つ事に専念する

(呼び掛けはしません…
人の心を取り戻した所とてむしろ彼らを苦しめるだけ…)

祈りを込めるように日輪の軌跡を描きつつ刀を振るう

もし、生まれ変わりがあるのなら今度こそ…
日の光が当たる場所で幸せな人生を…

そう願わずにはいられない


ツキシロ・フェルドスパー
イズル君(g04960)と一緒
アドリブ・連携歓迎

……やだなあこういうの。
助けれないのも。助けるほどの力がないのも。
今できるのは倒してあげる事だけ。
さくさくっと【エアライド】と【飛翔】で飛び回ってさくさくやる。
怒りは溜めといて、次に活かす。
……イズル君大丈夫かなあと最後にちらり。
まあ、イズル君の前では笑顔で、ね?


 人面コウモリたちは、薄暗い部屋に閉じ込められていた。
「この人面コウモリたちは……実験に供された人々の、成れの果てなのですね……」
 赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)は硬い表情で彼らを見つめる。人面コウモリは姿を見せたイズルたちに襲いかかってくるが、簡単にあしらえてしまう程度の脅威だ。
 その有り様からは、理性の欠片も感じない。
「……許せません、このような非道……。ツキ……、彼らを眠らせてあげましょう」
 傍らに立つツキシロ・フェルドスパー(非日常に迷い込んだ漂流者・g04892)には顔を向けず、ずっと人面コウモリを見つめたまま、イズルは言葉を紡ぐ。
「そしてアレクサンドル二世を、さらには創造伯アレクセイをも必ず……!」
 諸悪の根源を必ずや打倒するのだと誓うイズルの横で、ツキシロは顔を歪めていた。
(「……やだなあ、こういうの。助けれないのも。助けるほどの力が自分にないのも」)
 力の無さをまざまざと見せつけられて、心が重くなる。できるなら、ここからすぐに立ち去ってしまいたいくらいだ。
 ――こんな顔はイズルに見せたくはないから、振り返らないでくれて助かった。そんな事を考えながら、剣を構える。
「……そやね。はよ眠らせてやろ」
 できることなんて、せいぜい苦しませずに倒すことくらい。
 怒りや悲しみで剣筋が鈍らぬように心を凍らせて、剣を振るう。部屋を飛び回る人面コウモリたちを追って、ツキシロは軽やかに舞って次々と彼らを斬り伏せた。
 イズルもまた、淡々と刀を振るっている。
(「呼びかけて人の心を取り戻したとて、むしろ彼らを苦しめるだけ……」)
 今できることは、何も感じさせぬ間に命を絶つことだけだから。
(「もし生まれ変わりがあるのなら次こそ……日の光が当たる場所で幸せな人生を……」)
 眩く輝く二刀が薄暗い部屋に日輪の軌跡を描き、イズルの祈り、願いとともに彼らを呪われた肉体から解き放っていく。

 そして動くものがいなくなった部屋で、ツキシロは覗き見るようにイズルへ視線を向けた。
(「……イズル君、大丈夫かなあ」)
 やはり、彼は険しい顔をしていたけれど。
 もしイズルと目があったなら、せめて自分は笑顔を向けようと思う。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!

キリ・ヴェルウィスト
……どこまでも、このディヴィジョンは卑劣と見える。
お前たちはもう人間には戻れない。だが、最期にその願いを訊くことはできる。
お前たちの無念はなんだ。俺たちは、ヴァンパイアたちを倒すためにここに来た。
人間たちの尊厳を踏み躙り、さも当然かのように悪辣を振る舞う吸血鬼たちを殺すためにな。
家族はいたか、友はいたか。ウプイリになってなお、心の内にあるお前たちにとっての譲れないものを俺が背負おう。

大鎌を振りかざし、ウプイリを倒していく。……ヴァンパイアノーブルたちにはそれ相応の報いを受けさせるぞ、必ず。


 つまるところ、キリ・ヴェルウィスト(小さき何でも屋・g08516)は吸血ロマノフ王朝のあり方が気に食わないのだ。
(「……どこまでも、このディヴィジョンは卑劣と見える」)
 目の前を飛び交う人面コウモリこそ、その卑劣さ、悪辣さが結実した代物に違いない。
「お前たちはもう人間には戻れない。だが、最期にその願いを聞くことはできる」
 襲い来る人面コウモリたちをさばきながら、キリは彼らに残る人間としての意識に言葉を届かせようと、次々と問いかけた。
「お前たちの無念はなんだ。俺たちは、ヴァンパイアを倒すためにここに来た。――人間の尊厳を踏み躙り、さも当然かのように悪辣に振る舞う吸血鬼たちを殺すためにな」
 自分たちなら、彼らの無念を果たすことができる。
「家族は居たか。友は居たか。ウプイリになってなお、心の内に譲れないものがあるならば、俺が背負おう」
 無念を抱いているのなら、心残りがあるならば、せめてそれだけは置いて行けと、彼らに言葉が届くことを信じて、キリは淡々と問いかけ続けた。
「……あ、あんた」
「ああ」
 辛抱強く続けて、反応はようやく返ってきたけれど。
「助けてくれ! 違う、もう殺して、いや殺さないでくれ。死にたくない、でもこんな生はもう嫌だ……」
 意識を取り戻した男が言うことは、ひどく混乱しており要領を得ない。
「――そうか」
 キリに出来ることは、もはや意識を絶つことくらいだった。
 目の前を飛び交う人面コウモリに大鎌を振るい、斬り捨てるたび怒りが降り積もっていく。
 そして、部屋が静寂に包まれて。
(「……ヴァンパイアノーブルたちには、相応の報いを受けさせるぞ。必ずな」)
 キリは決意をいっそう固くし、この部屋を去ったのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【悲劇感知】LV1が発生!

レイラ・イグラーナ
革命家というのは無力なものです。
人民の血を踏みしめて立ち、人民を率いて死地へと連れ出す。
人民のためにありながら、人民の血が流れるのを止める術を持ちません。
ですが、だからこそ……必ずや、成すべきことだけは成しましょう。

……お話にあった通り、気付かれてはいないようですね。
【光学迷彩】を使い攻撃の瞬間まで気付かれぬようにします。
【手製奉仕・隠】を使用。死角より黄金の鎧の隙間から喉などの急所を狙い銀の針での刺突。一体ずつ確実に仕留めていきます。

これ以上の実験など、させるわけには参りません。
貴方がたを討ち、支配するアヴァタール級を討ち……この実験室と支配を破壊します。


赤上・イズル
■ツキ(g04892)と
■アドリブ・連携歓迎

…ツキ、俺は大丈夫ですよ。先へ、進みましょう

振り返り、多分無理に笑ったかもしれない
でもごめん…この先は見せられない顔になるかもしれない
ここにいる奴らを殲滅するまで俺は…修羅になる

さぁ、あなた方には消えて頂きますよ
ぜひとも苦しんで死んでいって欲しい所ですが…
うっかり早死にさせてしまったらすみません

静かな怒りを雷として刀に纏わせる

あなた方の雷と俺の雷…どちらが上か決着をつけましょう!

言葉は交わさなかったけれど彼らの想いは痛いくらいに分かる
その彼らの想いに報いる為にも…!
黄金騎士団の攻撃に真向から向かい
死んでいった実験体の彼らの想いを込め【雷轟】を放つ


ルィツァーリ・ペルーンスィン
アドリブ連携歓迎

本来なら一番得意なやり方で行くのが利巧なんだろうが……騎士を目指す身としてお前らが騎士を名乗るのも、雷神ペルーン様を信仰する身としてお前みたいな輩が雷鳴を用いるのも許す訳にはいかないんでな!
行くぞスヴェルカーニエ!

電撃対策は先ず〇高速詠唱の〇連続魔法で〇誘導弾を展開
〇電撃使いで誘導弾に雷を引き寄せる強力な雷ストリーマを付与し周囲の物品に放って当てた物品を避雷針に改良という〇地形の利用で対処

其の上で自身は電撃使いと〇結界術、〇オーラ操作により電撃耐性を付けた障壁を自身と相棒の無双馬へ付与して〇騎乗し〇戦騎疾駆

馬上槍で〇突撃しての〇貫通撃や誘導弾の〇弾幕での〇制圧射撃をし屠っていく


桜之宮・春風
人面コウモリの方も大変だったみたいですね
私的には胸糞悪いの見なくてラッキーでしたけど
ま、ラッキーの分は頑張って働きましょーか

牢屋の人が逃げやすいよう派手にやりたいところですけど
まずは実験室の中に無事な人がいないかの確認ですかね

いるなら最優先でその人を抱きかかえて部屋の外まで連れ出して
いなかったり連れ出した後は天井を走って敵のど真ん中におりて敵を引き付けまーす

ついでに実験を受けさせられてた人が座ってた椅子も拝借ー
隠密用にでっかい武器は持ってこれなかったし鈍器代わりに使っちゃいましょう☆

実験室の出入り口を塞ぐように壊しながら暴れて
逃げ出してる人のことなんて気にならない様にしてやりますよー


ツキシロ・フェルドスパー
イズル君(g04960)と一緒
アドリブ・連携歓迎

イズル君だいじょぶ?
だいじょぶならええけどなー

ほな、いこか。先行して【飛翔・エアライド】で上から強襲。
パラドクスで水ばしゃーってぶちまける。
水に濡れたらな、雷って通りやすくなるんよな。
そこをやっちゃえイズル君!

相手の雷はっと。≪霊銀の水羽衣≫とジンのアンちゃんにお願い(<召喚・戦闘知識>)して「純水」の水の防御壁を作る。
水は電気を通すけど、純水は電気通せへんねんって!
その理屈でダメージ少しでも減らすでー


リノーカ・ヴィエルィリーニャ
仲間と連携重視(アドリブも歓迎)
戦闘中は態度・口調が変化(言い捨て、口数少ない、機械的)

騎士ごっこは終わり。
同胞を虐げ帝政ロシアの名を穢す金メッキども。

敵の逃走を強く警戒
兆候が見えたら追跡or仲間へ報告

仲間より少し後ろに陣取り膝射姿勢で銃剣を速射
制圧射撃での行動阻害、仲間へ向かう敵へ不意打ち等、仲間の支援を優先
余裕がある場合のみ関節周りなど装甲の薄い箇所に貫通射撃

好機or有事でパラドクスを使用
姿勢を低く保ちダッシュで銃剣突撃、反撃を厭わず重心を乗せ甲冑を貫く一突き
再び射撃へ

射撃中接近された場合or銃剣突撃後の近接攻撃には銃剣で迎撃
間に合わない場合は左腕で受け、右手で信号拳銃を抜いて焼夷弾を射撃


キリ・ヴェルウィスト
騎士、などと聞いて呆れる。
自らが行っていることに騎士の心構えもないことに気付きも……いや、そもそも貴様らに道徳心の欠片もありはしないか。
【影憑】による闇の奔流で、黄金騎士団を飲み込み削り切り刻む。
稲妻の波濤、なるほど、大いに結構。……閃光さえも飲み込む暗黒の暴食で消え失せろ。


 人面コウモリたちがいた部屋で、出来ることがなにもなくなった後のこと。
「イズル君、だいじょうぶ?」
 ツキシロ・フェルドスパー(非日常に迷い込んだ漂流者・g04892)の声が耳に入って、赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)はゆっくりと振り返った。
「……ツキ、僕は大丈夫ですよ。先へ進みましょう」
 そう応じた自分の声は震えていないだろうか。心配させないように笑えていただろうか。
「……だいじょぶなら、ええけどなー」
 ツキシロの顔をまともに見ることもできないまま、イズルは彼に背を向けた。
(「でも、ごめん。……この先は、とても見せられない顔になるかもしれない。ここにいる奴等を殲滅するまで俺は……修羅になる」)
 強い決意を秘めて、イズルは狂気の実験室を目指す。

(「人面コウモリの方も大変だったみたいですね」)
 桜之宮・春風(明日も春の風が吹く・g00839)たちが牢に囚われた人々を解放する段取りを付けている間に、人面コウモリの対処に当たっていた仲間の表情は一様に硬い。
 ――なにがあったのかなど、聞くまでもないだろう。
(「私的には、胸糞悪いの見なずにすんでラッキーでしたけど。ま、ラッキーの分は頑張って働きましょーか」)
 牢に至るまでの探索で既に突き止めていた実験室に忍び寄り、そっと扉を開けて様子をうかがう。
(「派手に突入したいとこですけど……」)
 牢の人々を逃がすだけならそれでいいが、おそらく中にはまだ――。
「さあ、早く杯を乾すんだ。まだまだ残っているだろう?」
 ビンゴ。実験の真っ最中だ。
「――桜之宮様。私が不意を打ちますので」
「おっけー、その間に連れ出しますね」
 レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は手短に告げ、扉の隙間から室内へと滑り込んだ。春風もレイラの後を追って、実験室に忍び込む。

(「革命家など、無力なものです。人民の血を踏みしめて立ち、人民を率いて死地へと誘う。人民のためと願いながら、人民の血を流さぬ術を持ちません」)
 『人民のための革命』を謳っても、革命には常につきまとう。ああ、先刻も犠牲者を見たばかりではないか。
(「ですが、だからこそ……。必ずや、成すべきことだけは成しましょう」)
 レイラは間近に迫った黄金騎士の背後で迷彩を解き、懐から針を抜き出した。
「……! 貴様、いつの間にッ!」
 攻撃へと移行した途端に気づかれたが、もう遅い。腕を伸ばし、煌めく針先で首筋の隙間を狙う。
「――失礼しまーす。あ、杯はもう捨てちゃっていいですよ」
 騒ぎに紛れて天井から降ってきた春風が、被験者を抱きかかえるのが視界の端に見えた。
 被験者のことは彼女に任せ、針を黄金騎士に突き刺して。
「これ以上の実験など、させるわけには参りません。貴方がたを討ち、権力に座するアヴァタール級を討ち……この実験室と支配を破壊します」
 そのままレイラは苦しむ騎士を盾にして、周囲に立つ騎士たちと対峙した。
 残る仲間たちも、レイラが攻撃を仕掛けたタイミングで実験室に突入している。
「騎士を目指す身として、そして雷神ペルーン様を信仰する身として、お前らのような輩が騎士を名乗ることも、雷鳴を使うことも許しがたいのでな! 行くぞ、スヴェルカニーニ!」
 ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は馬上槍を手に相棒の無双馬に飛び乗って勇躍、実験室へと踊り込んだ。
「小童が騎士を語るなど笑止!」
 不意を打たれた黄金騎士団だが、即座に態勢を整えた何人かの騎士がハルバードを振りかぶり、黄金色の稲妻を解き放とうとする。
 だが、実験室の入り口から放たれた牽制の弾丸が、わずかにその狙いを反らした。
「騎士ごっこは終わり。同胞を虐げ、帝政ロシアの名を穢す金メッキども」
 険しい表情を浮かべるリノーカ・ヴィエルィリーニャ(赤錆びた樹の末裔・g04321)が片膝を立てて構えた長銃から、白煙が吹き上がっている。
 その隙にルィツァーリと彼の愛馬は稲妻の波を切り裂いて駆け抜け、突き出した馬上槍で黄金騎士を貫いてまわった。
「騎士、などと聞いて呆れる。自らの行いに、騎士の心構えなど微塵もない事に気づきもしない……。いや、そもそも貴様らに道義心の欠片もありはしないか」
 冷たい表情で彼らの所業を切り捨てながら、キリ・ヴェルウィスト(小さき何でも屋・g08516)は実験室に奔った稲妻の波の跡を目で追った。
 それから小さく笑い、機械仕掛けの杖を床に突き立てて、杖の先を黄金騎士へと傾ける。
「稲妻の波濤、なるほど、大いに結構。……閃光さえも飲み込む暗黒の暴食で消え失せろ」
 杖を中心に、暗い魔力の波紋が広がった。その後を追うように闇が徐々に、やがては奔流となって、黄金騎士たちを目掛けて吹き出す。騎士たちに覆いかぶさったそれらは、彼らの輝きを漆黒で塗りつぶすかのように貪欲に飲み込んでいく――。

「ほな、いこか」
 ツキシロはイズルにそう言い残して、天井近くまで軽々と飛び上がった。輝く鎧をまとった騎士たちの姿と、部屋から慌てて出ていく被験者たちの姿が眼下に見える。もう室内に被験者たちは残っていない。
 だから、遠慮なく――。
「精霊さん、妖精さん、力を貸してな」
 騎士たちに流水の刃を放ち、彼らを切り刻むとともに水浸しにした。
「やっちゃえ、イズル君!」
 ツキシロに呼びかけられたイズルは、返事代わりに手早く九字を切った。
 そして雷のような気を纏った刀を手に、騎士たちとの間合いを詰めて。
「さぁ、あなた方には消えていただきますよ。ぜひとも苦しんでいって欲しいところですが……、うっかり早死させてしまったらすみません」
 口から溢れる呪詛とともに、刃を振るった。
(「言葉こそ交わさなかったけれど、彼らの想いは痛いくらいに分かる。その想いに報いるためにも……!」)
 手ずから滅した彼らの姿は脳裏に焼き付いている。
 騎士たちが放つ薙ぎ払いなどどうということはないと真っ向から退治し、彼らの代わりにと斬り伏せた。

「椅子、もういらないですよね? 拝借ー」
 被験者たちを連れ出し終えてから、春風は被験者たちが座らされていた椅子を大槌代わりに振り回し、騎士に叩きつけていた。おそらくもっと凶悪な拷問の際にも使われていただろう椅子は堅牢だが、ハルバードを叩きつけられても耐えられるようにはできていない。
「あ、壊れちゃいました。じゃあ、次です」
 壊れた椅子は放り投げ、次から次へと持ち替えた。残骸は入口付近へ投棄。
 頼りないバリケードだが、無いよりはマシだろう。もっとも、黄金騎士たちが被験者を追うような素振りを見せることはなかったが。
 同様に、リノーカが警戒していたような逃走の素振りもない。
(「それならそれで、叩き潰すだけ」)
 リノーカの眼前には1体の騎士がハルバードで薙ぎ払おうと迫っている。速射した一撃は無視され、鎧で弾かれた。
 パラドクス以外の攻撃は、それが何によるものであれ傷も与えられず、牽制程度の役にしか立たないが……。
(「油断してくれれば、それで十分」)
 膝射姿勢から前傾し、低く低くダッシュ。
 銃剣の剣呑な輝きを突き出して、騎士の懐に体重を乗せて飛び込む。
 ――確かな手応えを感じた。
 リノーカに覆いかぶさるようにして倒れ込む騎士の身体を避けると、その首筋には針も突き立っていた。
「失礼、余計な手出しでしたか?」
「いえ、倒せたならそれでいい」
 騎士の背後から現れたレイラに言葉少なく返し、残る騎士に意識を向ける。
 それから、わずかに時が過ぎて。
「――お前で最後だッ!」
 声高に叫んだ馬上のルィツァーリは、逆手に握った馬上槍を騎士に突き下ろす。
 これで黄金騎士団の輝きは最後の一つまで全て失われ、実験室に残っているのはディアボロスのみとなったが……。
 ――ドゥン!
 ちょうどそのとき、実験室の扉が爆音とともに吹き飛ばされて、虚ろな目をした兵隊たちが突入してきた。
 そして兵隊たちに傅かれた『アレクサンドル二世』が、実験室に足を踏み入れる。
 アレクサンドル二世は倒れ伏した黄金騎士団の屍に汚物を見るような視線を向け、続けてディアボロスたちを尊大な態度で睥睨した。
「……なるほど、汝らが騒がしくしていた元凶か。余は寛大である。汝らが滅びる前に、余の耳を穢すことを許そう。それで満足したら、疾く死ぬがよい」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
【託されし願い】がLV3になった!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【エアライド】がLV2になった!
【コウモリ変身】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ドレイン】がLV4になった!

キリ・ヴェルウィスト
このような野蛮極まる所業、本来の人類史に於けるアレクサンドル二世は望まないだろう。
……その尊大な態度、かつて存在した皇帝に対する侮辱そのものだ。その下劣極まる口を閉じてもらおうか。

【悲劇感知】を使用しながら立ち回ろう。悲劇の内容に対して対処できるように立ち回る。
襲い来る吸血蝙蝠の群れ、ならば俺も同様に数で攻めるとしようか。
【アーケイン・ヴォイド】による暗黒の魔弾の雨でアレクサンドル二世を攻撃する。

他者の痛みを知れ、などと説教を垂れるつもりもない。己がしたことの報いを受けてもらうぞ……!


赤上・イズル
■ツキ(g04892)と
■アドリブ・連携歓迎

てっきり騒がしいのがお好きなのだと思っておりましたが
…元よりこれからお聞かせするのはあなた自身の絶叫です

今まであなたが人々に与えてきた苦悶を味わって頂きましょうか!

共に戦うツキの存在を意識しつつ刀を手に敵へと対峙
召喚された兵隊達を薙ぎ払いつつ
確実にアレクサンドル二世へと間合いを取る

ツキの攻撃をうまく繋ぎつつ攻撃の手を緩めず
反撃を食らおうとも歯を食いしばり食らいつく

刀に炎を纏わせそして自身も炎の鳥となって敵の懐へ飛び込み
パラドクス【紅蓮雀】を放つ

討つべき対象が無くなりしばし静寂に立ち尽くすも
帰りましょうか、とツキが笑顔でいられるように自身も笑顔を作る


ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎

国体の維持の為とはいえ農奴制を廃し秘密警察の廃止に議会の導入を行おうとしたアレクサンドル二世の名をこんな奴が騙るとはな
本来の歴史から主従が逆転しているのも含めクロノヴェーダの歪さは酷いな!

貴様の言葉にはこう返そう
貴様の言葉を聞くと耳が穢れる
疾く黄泉地に赴くが良いってな!!

自身に銃弾を〇吹き飛ばす風の障壁を〇風使いと〇結界術で纏い戦闘

〇高速詠唱による〇連続魔法で敵の兵隊への指示を〇吹き飛ばす程の轟音を轟かせる雷鳴の力を付与した〇誘導弾の〇弾幕による〇制圧射撃とパラドクスを同時にぶちかます!

自身の意思を持たず指示に従うって言うんなら……其の指示の声ごと吹き飛ばして邪魔してやるさ!


リノーカ・ヴィエルィリーニャ
仲間と連携重視(アドリブも歓迎)
戦闘中の口調、態度(言い捨て、機械的)

あの実験に何の意味がある?
少なくとも順調だったようには見えない。

戦闘中は無感情に対応
仲間の動きも極力把握し、状況に応じパラドクスの為の隠密と仲間を支援する牽制射撃を使い分け

パラドクスで肉体と魂を薄らがせ、【光学迷彩】と【エアライド】を併せ死角に回り込み銃剣で不意打ち
察知される恐れも加味し深入りは避けるが、仲間の突撃には同調し囮覚悟で重心を乗せた貫通撃を

蝙蝠は【光学迷彩】や黄金騎士団の骸を盾とし逃れる
捕捉されたら外套を広げるように放り投げ、そこに焼夷弾を撃つ

穢されたのはその卑しい耳じゃない。
アレクサンドル二世陛下、その御名だ。


ツキシロ・フェルドスパー
イズル君(g04960)と一緒
アドリブ・連携歓迎

さわがしゅうて悪かったなあ。
せやけどこっから静かになると思うで。
誰もこっからいなくなるからな!

【飛翔・エアライド】で接近しつつ、撹乱して、イズル君とタイミング合わせてパラドクス発動。
アンちゃん、妖精さん力を貸してな!
弾丸ぶつかったら痛いで!

水の弾丸を発射して蝙蝠諸共全部貫いたるわ!!
その身をえぐられる痛みを喰らえば少しは他の人の痛みも分かるやろ!

イズル君の炎を消さんようにだけ、勢い弱めんようにだけ注意しとこ。
ダメージだって耐えてみせるで!

終わったら最後イズル君にはにこーって笑顔見せる。
さ、帰ろ。イズル君。


レイラ・イグラーナ
……まさか、貴方の顔を再び見ることになるとは思っていませんでした。

私が磨いた技は、ある意味では貴方のためにあった。
あの時代に別れを告げるためにも……第12代皇帝アレクサンドル2世、貴方を討ちます。

まるで血の壁のようですが、決して越えられないことはございません!
蝙蝠たちの間を縫い、その牙で多少体が食いちぎられようと肉薄。【手製奉仕・縫】で銀の針をアレクサンドル2世の右目に突き立てます。

この国において、貴方は皇帝ではありません。
貴方の死は王朝の終わりと革命の成立を意味することはありません。ですが、この地で苦しみ亡くなった人民のため、そして私が一歩を踏み出すため……! これで、終わりです!


桜之宮・春風
なんか偉そうなのが出てきましたね?
皆の反応を見るにけっこービッグネームなんでしょーか

でもまー倒しちゃえば全部一緒ってことで
言いたい事はありますけど消えてくれれば許してあげます
私すっごい寛大ですから☆

それに私よりもっと言いたい事がある人がいるみたいですし
私は兵隊を削って行きますよ

椅子は壊しちゃったし良い感じにハルバード残ってないかな?
最悪仕込んだナイフあるから良いんですけども
蹴散らしてくにはでかい方が都合が良いんですよね

ともあれ、大事なのは皆がボスに集中できることです
あとは一応土鈴の音が聞こえてこないかーもですね

ここじゃ散々嫌なことが起きてるんですし
最後は完璧にハッピーな終わりにしちゃいましょー


 ついに姿を現した『アレクサンドル二世』を名乗るクロノヴェーダは、いかにも傲慢で威圧的な姿である。
 史実に於けるアレクサンドル二世について知る者は、このクロノヴェーダに対して一様に違和感を感じているようだった。
「国体の維持が目的であったとしても、農奴制や秘密警察を廃し、議会の導入まで行おうとしたアレクサンドル二世の名を、貴様みたいな奴が騙るとはな。本来の歴史から主従が逆転していることといい、クロノヴェーダの歪さは酷いもんだ」
 ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)がそう吐き捨てれば、
「このような野蛮極まる所業、本来の人類史に於けるアレクサンドル二世は望むまい。……尊大な態度といい、かつて存在した皇帝に対する侮辱そのものだ。まずは下劣極まる口を閉じてもらおうか」
 キリ・ヴェルウィスト(小さき何でも屋・g08516)も眼前に立つクロノヴェーダに冷たく告げる。
「知らぬならばまだしも、余を知っておきながら、その物言いとは愚かだ。それで? もう満足か?」
 アレクサンドル二世は何を言われようと、あくまで尊大な態度を崩さない。
「さわがしゅうて悪かったなあ。せやけど、こっから静かになると思うで。誰もこっからいなくなるからな!」
 ツキシロ・フェルドスパー(非日常に迷い込んだ漂流者・g04892)は、そんなクロノヴェーダを睨みつけて吠えた。厳しい顔のアレクサンドル二世にじっと見返されても、一歩も引かない。この実験施設で目にしたことが、目の前に立つクロノヴェーダによって引き起こされたのだと思うと、怒りが己の身を焦がした。
「いやいや、ツキ。この方は騒がしいのがお好きなのでしょう」
 赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)はツキシロをなだめるように言う。
「そんなあなたには、これから御自身の絶叫をお聞かせしましょう。これまであなたが人々に与えてきた苦悶を、同じように味わっていただいてね」
 けれど、イズルの言葉に込められた感情は凍てつくような激しさだ。ツキシロの率直な怒りをも飲み込みかねないほどに冷たく響く。
 ちらと見た先で、ツキシロが頷いていた。イズルはそれを見て、抜き放った刀を手に動き出す。
 クロノヴェーダの周囲を固める兵たちは小銃を斉射して撃退しようとするが、イズルは軽やかに飛び込んで薙ぎ払いつつ、アレクサンドル二世との間合いを計った。
 その間に精霊と妖精を従えたツキシロが、天井スレスレを飛んで距離を詰める。
 迎えるは、血のように赤い蝙蝠の群れだ。ツキシロは握った剣を前に突き出して、魔力を集中させた。
「アンちゃん、妖精さん、力を貸してな!」
 蝙蝠の群れの先にいるアレクサンドル二世に照準を合わせ、剣を振る。
 水の弾丸となって飛び出した魔力は、蝙蝠の群れを突き抜けて、アレクサンドル二世に届く――。
「その身をえぐられる痛みを味わえば、少しは他の人の痛みも分かるやろ!」
 我が身を食いちぎっていく蝙蝠にも怯まず、ツキシロは弾丸を撃ち続ける。
(「――今!」)
 ツキシロが攻撃を仕掛けた瞬間、イズルもまた前進していた。炎を纏わせた刃を引っ提げて、兵隊たちを突き抜けて。
 紅蓮の刃を横一文字に振るい――、その切っ先でクロノヴェーダを切り裂いた。

(「なんか偉そうなのが出てきましたけど、皆の反応を見るにけっこーなビッグネームなんでしょーか」)
 仲間の何人かがクロノヴェーダの名前に反応していたが、桜之宮・春風(明日も春の風が吹く・g00839)にはとくに思い当たることがない。
 だが、知らなかったところで……。
「まー倒しちゃえば、全部一緒ってことで」
 つぶやきながら、邪魔な兵隊を当て身で吹き飛ばす。
 先程は椅子を振り回して武器にしていたが、それは品切れ。黄金騎士のハルバードでも転がっていれば理想的ではあったが。
「ないなら仕込みのナイフを使いましょーかね、蹴散らすには物足りませんけど」
 覇者の如き威風を纏って、自らの身体も武器にアレクサンドル二世が召喚する兵隊を排除していった。
 そうやって春風が開いた空間で、ルィツァーリはパラドクスを発動し、巨大な砲を自らの前に呼び出した。手早くアレクサンドル二世に照準を定め、砲撃を開始。
「自我も持たない兵隊なんて、命令を出す主人共々吹き飛ばしてやるさ!」
 轟音とともに放たれた砲弾は、射線にいる兵隊たちを蹴散らしながらアレクサンドル二世に着弾する。
「いいか、貴様の言葉にはこう返そう。貴様の言葉こそ吾輩の耳を穢す。疾く黄泉路を行くがいい!」
 もうもうと舞い上がる粉塵の中で、ルィツァーリはそう言い放った。
 砲弾が放たれる間も春風は止まることなく、乱れた兵の間を駆け抜け、すれ違いざまに至近から投げ放った細いナイフで片付けていく。
 そして行き掛けの駄賃とばかりに、アレクサンドル二世へと迫り、
「あ、私も言いたい事はありますけど、消えてくれれば許してあげます。私すっごい寛大ですから☆」
 数本のナイフを放つとともに耳元でささやいて、すぐに粉塵の中へ姿を消した。

 リノーカ・ヴィエルィリーニャ(赤錆びた樹の末裔・g04321)は着剣した銃を抱え、時折牽制射撃を織り交ぜながら、渾身の一撃を叩き込む一瞬を探して戦場を飛び回っている。
 その間にも、脳裏の片隅で考えずにはいられない。
 目の前に立つクロノヴェーダこそ、この施設で実験を主導していた首魁である。
(「あの実験に何の意味があった? 少なくとも順調だったようには見えない」)
 確かな結果なんて、数多の犠牲者が出たことくらいに思えるのだが。彼らは何を求めていたのだろう? そんな思考を巡らせながら、リノーカは戦場の只中で己の存在を薄れさせていく。
(「……まさか、貴方の顔を再び見ることになるなんて」)
 アレクサンドル二世を名乗るクロノヴェーダが現れて以来、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は無表情の仮面の下で静かに動揺していた。
 彼女の中に眠っていたあの日々の記憶が、まざまざと呼び起こされていく。
 だが、あくまで過去だ。今、レイラが生きている時間のことではないのだ。
(「私が磨いた技は、ある意味では貴方のためにあった。あの時代に別れを告げるためにも……第十二代皇帝アレクサンドル二世、貴方を討ちます」)
 決別する覚悟を決めて、眼前に迫る壁のようにそそり立つ血の蝙蝠、そしてその先にいるアレクサンドル二世へと相対した。
 獰猛な牙を剥く蝙蝠の群れは脅威だが、決して超えられない壁ではないだろう。まして、仲間がいるのなら。
「数で押してくるというのなら、俺も同様に数で攻めるとしようか」
 彼の身体には不釣り合いなほどに巨大なガトリング砲を構え、キリは襲い来る蝙蝠の前に立ちはだかった。
「他者の痛みを知れ、などと説教を垂れるつもりはない。己がしたことの報いを受けてもらうぞ……!」
 次第に唸りを上げて回転数を増していくガトリング砲の銃身から魔弾の雨が吐き出され、蝙蝠の群れを引きちぎり、アレクサンドル二世へと吸い込まれていく。
 薄くなった蝙蝠の間を縫って、レイラは駆けた。すれ違う蝙蝠が鋭い牙で肉を幾らか削っていこうとも、足は緩めない。
 死角に潜もうとしていたリノーカも、レイラの動きを見て呼応する。まだ最適な位置ではないけれど、この瞬間を逃してはならない。獲物を見つめる瞳が青く尾を引き――、脇を締めて構えた銃剣が突き出される。
「穢されたのは、その卑しい耳じゃない。アレクサンドル二世陛下、その御名だ」
 本来なら死角からの静かな一突きこそ本懐だが、あえて囮でかまわないと重心を乗せて重い一撃を放つ。ここで確実に終わらせると覚悟を決めて、刃を突き出す。
「――小癪」
 アレクサンドル二世は胸に突き立った刃を見て目を見開き、ついで陰から迫りくるレイラの姿を見た。
 彼女の指先が挟み持った銀の針先が、瞳へと吸い込まれていく。
「この国において、貴方は皇帝ではありません。故に貴方の死は、王朝の終わりも、革命の成立も意味しない。――ですが、この地で苦しみ亡くなった人民のため、そして私が一歩を踏み出すため……! これで、終わりです!」
 突き出された針は眼窩の奥まで、深く深く突き刺さって、致命の一撃となったのだった。

(「――土鈴の音は聞こえませんでしたね。無事、脱出できたみたいです」)
 戦闘のさなかにあっても、土鈴の音が微かにでも聞こえてこないかと気にしていた春風はそっと胸を撫で下ろす。
 今となっては、すべてが静かだった。囚われていた人々も逃げ出して、この実験施設に残っているのは、もう自分たちだけだろう。
 討つべきものを全て片付け終わった静寂の中で、イズルはただ立ち尽くしていた。これまで自分を駆り立てていた激情が抜け落ちたのを感じる。
 ツキシロはそんなイズルを覗き込んで、ただ柔らかな笑みを見せた。
 イズルもまた、ツキシロの笑顔が崩れないように、笑顔を作って返す。
「さ、帰ろ。イズル君」
「――ええ、帰りましょうか」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【悲劇感知】がLV2になった!
【活性治癒】がLV4になった!
【動物の友】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV3になった!
【飛翔】がLV2になった!
【託されし願い】がLV4になった!
【士気高揚】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【アヴォイド】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【能力値アップ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2023年02月11日

創造伯アレクセイの吸血実験室

 攻略旅団の提案により、ウクライナ地域の探索を行っていたディアボロスは、史実でロシアで吸血鬼物の小説を最初に執筆した『創造伯アレクセイ・K・トルストイ』の大領地を発見する事に成功しました。

 トルストイ伯爵が治める大領地は『吸血実験室』と呼ばれており、一般人を吸血鬼化する為の様々な実験室があるようです。
 領地は狭いですが、各地から供給される犯罪者(吸血鬼に都合の悪い一般人)を使い、様々な実験を繰り広げているようです。
『スカーレットデス』『棺輸巨狼』などの、非人間型のヴァンパイノーブルなどは、この『吸血実験室』で生まれたようです。

『吸血実験室』の領地では、配下のアヴァタール級が集められた住民を使って、非道な実験を繰り返しており、人間の意識を残したまま非人間型の『トループスもどき』にされる者も多くいるようです。
 この大領地に向かい、非道な実験の被害者となる住民を救出し、『吸血実験室』の解放を目指してください。

 創造伯アレクセイ・K・トルストイの居城である『吸血実験城館』の位置は、判っていませんが、配下のアヴァタール級を撃破していけば、場所を突き止め、城館へ通じるパラドクストレインを出現させられるでしょう。

創造伯アレクセイ・K・トルストイ


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#吸血ロマノフ王朝
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選択肢『囚われた牢からの脱出』のルール

 牢などに囚われている一般人が脱出するための準備を行います。
 鍵を手に入れる、牢番を無力化する、怪我を治療する、必要な地図を手渡すなど、脱出に必要と思われる準備を整えましょう。
 準備が整っていれば、ディアボロスがクロノヴェーダと戦闘して撃破する混乱を利用して、自力で脱出してくれます。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『👿をクリアするまでに、この選択肢の🔵が👑に達すると、捕らえられた対象の救出は成功する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『トルストイの実験体『人面コウモリ(ウプイリ)』』のルール

 創造伯アレクセイ・K・トルストイの『吸血実験室』で生み出された、人面コウモリのトループス擬きを撃破します(彼らは、実験体の事をウプイリと呼びます)。
 人面コウモリは、全長1m程のコウモリの頭部に、人間の顔がついているという不気味な姿であり、近づくものを無差別に攻撃しようとしますが、戦闘力は低く容易に撃破する事ができるでしょう。
 また、人面コウモリは人間としての意識も残っている為、彼らの心に寄り添うような言葉を賭ける事で、人間としての意識を取り戻させ、攻撃を停止させる事もできるようです。
 意識を保てる時間は短く、時間が経てば彼らは再び暴れ始めます。意識を取り戻したウプイリ達は、自らの死をディアボロスに望みますので、安らかな死を与えてあげてください。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『【期間限定】最終人類史の初詣』のルール

 パラドクストレインで、事件を解決に出発する前に、最終人類史で初詣を行なう選択肢です。
 初詣は、東京都の『新宿区、港区、品川区、大田区、千代田区、渋谷区、江東区、江戸川区、文京区、台東区』および、京都・奈良の奪還した地域となります。
 京都・奈良にはパラドクストレインで往復可能です。
 全員が同じ神社に向かう必要はありませんので、初詣をする神社をプレイングで指定してください。
 初詣期間は、神社の境内に、屋台や露天などが並び、新しい年を祝っているようです。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾作戦行動中のトループス『黄金騎士団』のルール

 なんらかの作戦を行っているトループス級に戦闘を仕掛け、その作戦行動を阻害し、敵を撃破します。
 どのような作戦を行っているかや、作戦を阻害する為に必要な手順などについては、オープニングやリプレイで確認してください。
 なお、作戦行動中の敵を奇襲した場合も、逆説連鎖戦により反撃が発生するので注意が必要です。
(奇襲行動が成功すれば、戦闘時の判定が有利になります)

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『アレクサンドル二世』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「レイラ・イグラーナ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。