葛飾区のラミエル、台東区海上決戦

 ディアボロスは、台東区の支配者である『光の調停者イーリス決戦』との決戦に勝利し、台東区を最終人類史に奪還する事に成功しました。
 同時に、イーリスの身柄の引き渡しを要求してきた、葛飾区のラミエルを撃破するチャンスを得られています。

 ラミエルは葛飾区の支配者でしたが、イーリス決戦の前に支配者としての権限を一時的に墨田区の熾天使『ミカエル』に移譲しています。
 そのためラミエルを撃破しても、すぐに葛飾区は奪還出来ず、ミカエル勢力に組み込まれます(ザドキエルに品川区の支配権を移譲したハルファスと同様の状況)。
 ですが区の奪還が出来ないとしても、ここで決戦を挑み、孤立した有力なジェネラル級大天使を倒す意味は充分にあるでしょう。

!特殊ルール!

 ラミエルを帰還させるかどうかは、以下の方法で特別な判定を行います。
・12/20朝8時30分時点の「選択肢②『ラミエルを葛飾区に撤退させる』の確定済プレイング数」と、「選択肢③『台東区海上決戦』で既に執筆されたプレイング数+確定済プレイング数」を比較します。
・選択肢②のプレイング数が上の場合、プレイングの一部を採用してラミエル撤退リプレイが執筆され、シナリオは完結します。
・そうでなかった場合(同数を含む)は戦闘を続行し、ラミエルの撃破を目指します。

!特殊ルール判定結果!

 12/20朝8時30分時点で、
 ②の確定済プレイング数『32』
 ③の既に執筆されたプレイング数9+確定済プレイング数24=『33』
 となりました。以上の結果から、ラミエルの撃破を目指します。

海上決戦、大天使ラミエル(作者 犬塚ひなこ
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#TOKYOエゼキエル戦争  #葛飾区のラミエル、台東区海上決戦  #葛飾区  #台東区  #ラミエル 


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●境海上の大天使
 TOKYOエゼキエル戦争、台東区。
 ディアボロスの活躍によって光の調停者イーリスは撃破され、この区は最終人類史に奪還された。TOKYOエゼキエル戦争内においての台東区は海へと変わり、この区で改竄された歴史や状況は跡形もなく消え去っている。
 夕暮れの色彩が水面を染めていく最中、ある大天使が漂っていた。
「ここは……」
 それまで気絶していた大天使『ラミエル』は濡れた翼を広げ、暮れなずむ空へと飛び立つ。
 ラミエルは自分の身体にそれほど損傷がないことを確かめながら、意識を失う前のことを思い出した。イーリスが撃破された直後、背浅草寺も周辺地域も消えた。
「あれが『奪還』……。ディアボロスが、台東区を文字通りに奪ったのですか」
 奪還という現象のことを詳しくは知らなかったラミエルは台東区に留まり続けていた。そのため、奪還される台東区と一緒に一時的に最終人類史に引き寄せられたようだ。
 しかし、そこでラミエルは弾かれてしまい、TOKYOエゼキエル戦争の時代に戻されてきた。
 翼を羽ばたかせ、更に上空へ飛翔したラミエルは考えを巡らせる。
「奪われた区は海に変えられる、ですか。報告には聞いていましたが、自ら巻き込まれるのとはやはり違いますね。どうやら、私以外は戻って来れなかったようですが……」
 葛飾区から出立した際には護衛代わりの軍勢を引き連れており、ディアボロスの会話の時は身を潜めさせていた。
 だが、どの配下も奪還に巻き込まれて何処かへ消えてしまったようだ。もしかすれば違う場所に漂着しているかもしれないが、今のラミエルにその行方は分からない。ただ、周囲に配下がひとりもいないことだけは確かだ。

 結果、ラミエルは『台東区がディアボロスの土地に統合された』ということを、本能的に知った。
 奪還の実態を知らなかったとはいえ、これは失態だ。
 沸々と湧き上がる感情には怒りと焦燥が混じりはじめている。されど、ラミエルは自分が冷静さを欠いていることも自覚していた。彼女は焦りを抱きながらも、ディアボロスと交わした会話や、これまでに得た情報を思い返す。
「ですが、全く収穫が無かったわけではありません。あの瞬間、垣間見た光景……奪われた区は、ディアボロスが支配するディヴィジョンに統合されただけで、おそらく消滅させられてはいない……」
 意識を失うまでの僅かな間ではあるが、ラミエルは最終人類史の景色を見ていた。
 其処から導き出されるのは、ある可能性だ。
「それならば……ディアボロスがやってみせたように、私達が奪われた区を奪い返す事も可能ということ……。台東区を奪い去った余波が残っているうちに、ディアボロスのディヴィジョンへの手がかりを探さなければなりませんね」
 ラミエルは台東区だった場所の上空を飛ぶ。
 何かひとつでも手掛かりを見つけ、葛飾区に持ち帰るために――。

●決戦か、撤退か
「みんな、聞いて! 大天使ラミエルの消息が掴めたわ!」
 時先案内人のひとり、東城・リリカ(デーモンのレジェンドウィザード・g01222)は集った仲間に現状を告げていく。
 先日、台東区の支配者であるジェネラル級大天使『光の調停者イーリス』を撃破し、台東区を奪還することが出来た。これによりTOKYOエゼキエル戦争の台東区は海となった。
 それまで台東区にいたクロノヴェーダは、消滅するか隣接区に漂着したようだ。
 しかし、決戦時に台東区に居た大天使『ラミエル』だけは違う経緯を辿り、海上に取り残されたらしい。
「ラミエルは台東区の奪還に巻き込まれたときに、最終人類史についての断片的な情報を得たようなの。台東区奪還の余波について調査を始めようとしているらしくて、今は海上を飛翔しているわ」
 このままでは、これまで大天使に知られていなかった情報が持ち帰られる可能性が高い。
 とはいえ、ラミエルが考えている調査方法は的外れなものでもある。放っておいても、かつて文京区が新宿海を散々探して何も手がかりを得られなかった二の舞いになるだろう。
「奪還の際にどうなるか、といったこと以外の情報的な被害はあまりないわ。だけど調査の邪魔はしておく方が良いはずよ」
 今こそラミエル撃破のチャンスだ。
 さっそく台東区の海上に向かって欲しいと願ったリリカは、仲間達に信頼の眼差しを向けた。

 ラミエルは海上に孤立している状態なので、こちらも飛翔すれば戦いを挑むことが出来る。
「もうエゼキエルの台東区に地面はないから、つまり――空中戦ね!」
 まずは何よりも先に【飛翔】の効果を持つパラドクスで攻撃を仕掛けるのが良いだろう。
 今回、ラミエルを撃破しても『葛飾区の奪還はできない』が、ジェネラル級を討ち取る好機であることは間違いない。
「以前までのラミエルはディアボロスとの融和を望んでいたわ。だけど、目の前でTOKYOエゼキエル戦争の大地が奪われたことで前よりもディアボロスへの敵意を強めているようなの」
 そのため以前のように交渉は行えず、情報を教えてくれることもない。
 ある程度の時間が経てばラミエルは冷静さを取り戻すだろうが、戦いの中では友好的な会話は期待できないだろう。だが、今回はラミエルを倒さず撤退させる選択もありえる。
「融和交渉や、友好的な返答はもう期待できないわ。だけど、ラミエルと会話を行ったディアボロスのおかげもあって、聞く耳を持たない状態ではないの。だから、こちらからの意志を告げておくことだけはできるわ」
 葛飾区の支配権や、ミカエルの件。
 そういった諸々の情報から、敢えてラミエルを葛飾区に撤退させておく戦法だ。ラミエルの頭が冷えた後に思い出して貰えるように、会話を通じてディアボロスの意志を示しておくのも良いかもしれない。

 イーリスに引き続き、ラミエルも撃破できれば大天使勢力に大きな打撃を与えられる。
 敢えて撃破せずにこちらの意志を伝えて撤退させれば、新たな可能性が広がるかもしれない。しかし、これまでのようにラミエルがディアボロスとの融和路線を取るかどうかは不明だ。
「憂いを断つなら、このままラミエルを撃破した方が良いわ。でも、ここで撃破した場合は墨田区のミカエルが葛飾区を併合して二区の支配者となる可能性が高いわね」
 リリカは現状を整理していき、可能性の話をしていく。
「墨田区のミカエルは、アルケー亡き後に大天使を纏められる唯一の実力者――という情報もあるの。このままミカエルに力を持たせすぎるのは悪手かもしれないわ。だけどラミエルが生きて戻ったら、ミカエルと一緒にディアボロスへの対策や、奪われた区を奪い返す作戦を練るかもしれないし……難しいところね」
 複雑そうな表情を浮かべたリリカは仲間達を見渡す。
 ラミエルを撃破するか、見逃すか。
 究極の選択は今、台東区に向かう者達の意志と行動に託されている。



 台東区だった海上で、ラミエルと言葉を交わそうとします。
 台東区奪還までの経緯により、ラミエルはディアボロスと敵対的な関係となっており、会話を試みても、まともな返答は期待できず、情報収集なども行えないでしょう。

 この選択肢では、一方的にラミエルにディアボロスの意志を伝えます。
 ラミエルを撤退させた場合は、ここで伝えたディアボロスの意志が、撤退後のラミエルの行動に影響を及ぼすかもしれません。



特殊ルール この選択肢には、特殊ルールはありません。
👑5 🔵​🔵​🔵​


 ラミエルを葛飾区に撤退させます。
 ディアボロスとの融和を考えていたラミエルの存在は、生かしておく事に価値があるかもしれません。
 また、ラミエルを撃破すると、ラミエルが支配していた葛飾区が、墨田区のミカエルに統合されてしまうので、それを避ける事もできるでしょう。

 ただ、今回の事件の影響で、ラミエルがディアボロスとの融和の考えを捨てる可能性もある為、検討が必要です。
 撤退したラミエルがミカエルに従属して、ディアボロスと完全に敵対するようならば、撤退させる意味は少ないかもしれません。



特殊ルール 【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、安全に撤退でき、シナリオは成功で完結する(作戦目的は一部未達成となる)。
👑2

→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
6
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV4 / 【リザレクション】LV1 / 【先行率アップ】LV2 / 【ドレイン】LV3 / 【アヴォイド】LV2 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

犬塚ひなこ
 今回の時代は『TOKYOエゼキエル戦争』!
 台東区の奪還に巻き込まれていたジェネラル級大天使『ラミエル』が見つかりました。
 ラミエルは現在、海上を飛翔しています。彼女と接触して撃破するか、意志を伝えて撤退させるか、どちらかひとつの選択が迫られています。

●⚠️特殊ルール⚠️
 このシナリオは、以下の方法でトミーウォーカーが特別な判定を行います。

【⏰『12月20日の朝8時30分』⏰時点で届いている『確定済プレイング数』でシナリオの展開が決まります】

・選択肢②の20日の朝までの確定済プレイング数
・選択肢③で20日の朝までに執筆されたプレイング数+確定済プレイング数

 上記を比較し、②のプレイング数が上の場合はラミエル撤退のリプレイが執筆され、シナリオは完結します。そうでなかった場合(同数を含む)は戦闘を続行し、ラミエルの撃破を目指す展開になります。

●戦闘選択肢について
⏩③👿台東区海上決戦『ラミエル』
 戦場は海になった台東区上空。まずは【飛翔】の効果が必要な空中戦です。

 こちらのシナリオは撤退の判定が決まる12月20日以前に完結させることはございませんが。
 それまでにラミエルとの戦闘を行うプレイングが届いていた場合、書ける範囲で執筆していきます。

 飛翔などの残留効果を重ねたり、ラミエルの力を削っておくのは悪いことではありませんので、遠慮なくどうぞ!
 また、この選択肢では戦闘内の軽い会話はできますが【情報収集はできません】。戦いの中に情報収集を入れ込んでもラミエルは一切答えません。情報収集がメインのプレイングも不採用とするしかないため、どうかご理解ください。

●撤退選択肢について
⏩①ラミエルにディアボロスの意志を伝える
 こちらは20日以降にしか、採用・執筆を行いません。
 ②の撤退が決まった際、完結までに間に合うように①へプレイングを送って頂いていた場合に採用を行います。

 告げる内容次第で大天使陣営との関係が変わるかもしれません。
 ディアボロスが今後に大天使に何を望むかや、しっかりした意志を伝えておくと、ラミエルが改めて融和を考え直すきっかけになる可能性があります。逆にここで敵対する言葉を向けていれば、完全なる決別となります。
 すべては皆様の判断とお言葉次第です。
 この選択肢でも【情報収集はできません】のでご注意ください。

(撃破ルートに決定した場合も一応はこちらにプレイングをかけることができますが、採用率は低めです。死にゆくラミエルに言葉をかけるだけの行動になり、作戦の成功に影響はありません)

⏩②ラミエルを葛飾区に撤退させる
 上記の特殊ルールで撤退が判定された場合、一名様または一組様が採用されます。
 ラミエルをあえて見逃し、撤退を見送るシーンとなります。それまでにラミエルとの戦闘が行われていても展開が不利になるようなことはありませんので、戦闘を行いたい方を止めるようなことはしなくても大丈夫です。

●その他
 こちらは『決戦、光の調停者イーリス』から続くシナリオです。
 https://tw7.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=4686
 イーリス決戦にご参加された方はもちろん、されていない方も大歓迎です。ぜひ皆様の意志をお聞かせください。

 今回は特殊ルールが適用されています。シナリオ選択肢の説明や、事件の概要欄もよくお読みくださると幸いです。
 また、このシナリオでは20日まで『採用宣言』は行わずに運営していきます。
 特殊ルールにある『確定済みプレイング』とは、こちらに内容が確定状態で送信されている状態かつ、失効していない(20日朝8時30分時点で流れていない)プレイングのことを指します。
 とても大切なことなので、お間違いのないようお願い致します。
216

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


レイア・パーガトリー
ラミエル、初めまして…よね?
私はイーリスに用があったし、イーリスを許せなかったから
貴公の意に添える形に物事を運べなかったわ
人生がままならぬものなのは人だけでなく、大天使もそうみたいね

無防備な状態で本気を出されたら死んでしまうから
精一杯抵抗させてもらうけど
挑発せず、敵の飛翔を止めることを最優先で考えて
竜翼翔破で組み付いて足止めを行うわね
相手はたいへんな強敵なので、わずかにはなるでしょうけれど
少しでも時間を稼いでおきたいの

反撃には一撃離脱の要領で直撃を避け、重傷を負わないように回避を試みるわ
どうか、落ち着かれますように


●交戦開始
 元台東区・上空。
 TOKYOエゼキエル戦争におけるこの場所は最終人類史に奪還され、海へと変わった。
 奪還という現象をその身で体験した大天使ラミエルは、土地をこの時代に戻すための手掛かりを探そうとしている。その姿を捉え、レイア・パーガトリー(毒棘の竜騎士・g01200)は竜翼を広げた。
 ラミエルへと素早く飛翔したレイアは身構え、その名を呼ぶ。
「――ラミエル」
「あなたは……ディアボロスですか」
「ええ、そうよ。私とは初めまして……よね?」
「イーリスを討ち、この地を奪った者の中にいたのは見かけましたが……」
 レイアに敵意を向けたラミエルの眼差しは鋭い。しかし、問答無用といった様子ではない。それこそが奪還の前にラミエルと言葉を交わしていたことで生まれた僅かな変化だ。
 いつでも攻勢に移れるように備えながら、レイアはそっと頷く。
「私はイーリスに用があったし、イーリスを許せなかった。だから貴公の意に添える形に物事を運べなかったわ」
「……ええ」
「人生がままならぬものなのは人だけでなく、大天使もそうみたいね」
「そうですか」
 イーリスのことについてレイアが語ると、ラミエルは否定でも肯定でもない言葉を返した。自分もイーリスのように討たれると考えているのか、ラミエルはレイアの話にそれ以上答えようとしない。
 レイアは奪還を目指し、大天使は融和を求めた。
 条件が重ならず、折り合いもつかなかった今、こうして対立構造が出来ている。ラミエルも歩み寄ろうとしたゆえに帰還せずにこの地に残ったのだろうが、ディアボロスの意志とは相反するものになった。
 レイアは挑発などはしないと決めていたが、戦う意思を持っている。このまま無防備な状態で大天使に本気を出されたときに、死が待っていることも知っていた。
「交渉はもう難しいのね。だったら、私は精一杯に抵抗させてもらうわ」
 竜翼を広げたレイアは其処から翔破を放つ。
 相手の飛翔を止めることは至難だが、体力そのものを奪っていけばいずれ彼女は地、もとい海に落ちるだろう。レイアが組み付くように急襲していく中、ラミエルは力ある言葉を紡ぐ。
「幻に抱かれて堕ちなさい」
「そうなるわけにはいかないの……!」
 ラミエルが具現化させたのは空中に浮かぶ亀裂、レイアを引き裂く鋭い幻。無数に出現した力に対抗するレイアは両腕をクロスさせ、襲ってきた衝撃に耐えた。
 雷霆を思わせる巨大な形ある斬撃は容赦なくレイアを斬り裂き、刃のように迸る。
「まだ終わりませんよ」
「こっちだって、あなたをそう簡単に倒せるとは思っていないわ。だけど、やられるわけにもいかないから!」
 相手は強敵。しかし、少しでも時間を稼いでおきたい。
 レイアは更に翼を羽撃かせていき、ラミエルの翼を貫く狙いで一撃を繰り出す。たとえ僅かであっても構わない。
(「どうか、彼女が落ち着かれますように」)
 静かな願いと共に、レイアは力を揮った。だが、おそらくラミエルはこの戦いが終わるか、葛飾区へ帰還した後にしか普段の冷静さを取り戻すことはないだろう。それでもレイアは意思を強く持ち、勇敢に戦い続ける。
 此処から繋がっていく未来はどんなものなのか。
 未だ誰も知らぬ先へ、思いを馳せて――。
 
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

秋風・稲穂
へえ、大天使様…か
逃がしても面白い展開になりそうだけど…頭が回る敵はあんまり残って欲しくはないかな
そういう訳だから悪いね、積極的に攻撃させて貰うよ

飛翔し『空中戦』の為の戦闘態勢
Burn the darkとL・デルフェスを抜刀
最大速度まで加速し、『一撃離脱』の戦法を取る!
一気に此方の射程まで『突撃』して【ダイブアンドズーム】発動
2剣による『連撃』で攻撃を与えた後、即離脱
敵の攻撃に備えよう

私に雷撃のような軌道は迂闊だよ
『電撃使い』としての経験則で、形ある斬撃の軌道を予測
全部回避する必要は無い、致命傷になりかねない起動のものを予測してそれだけは回避
残りは『念動力』で威力を殺し受けきる!

アドリブ等歓迎


●夕暮れよりも深く
 台東区の海上に舞う白い影。
 その正体は三対六枚の翼を羽撃かせて飛ぶ、大天使ラミエルだ。
 夕暮れ時特有の橙の光を受けて舞う姿は美しくも思える。神々しいとはこのような光景を指すのかもしれない。
 されど、此処は今から激しい攻防が巡る戦場になっていく。
「へえ、大天使様……か」
 秋風・稲穂(剣鬼・g05426)は大天使が飛ぶ天空を見上げ、自らも飛翔した。
 ラミエルは今、瀬戸際に立たされている状態だ。
 ディアボロスによって倒されるか、見逃されて葛飾区に戻るか。その選択をするのは彼女ではなくディアボロス側。稲穂は仲間達が導いた今の状況について考え、敵影を追う。
「逃がしても面白い展開になりそうだけど……頭が回る敵はあんまり残って欲しくはないかな」
「……! またディアボロスが訪れましたか」
 おそらく稲穂が呟いた言葉をラミエルも聞いていただろう。稲穂は漆黒の刀身と同時に、光の力を宿す剣を抜き放った。彼女の敵意を受け止めたラミエルも魔力を渦巻かせ、迎撃体勢を取る。
「そういう訳だから悪いね、積極的に攻撃させて貰うよ」
 言葉と共に最大速度まで加速した稲穂。
 彼女が狙うのは一撃離脱の戦法だ。一気に射程まで突撃していった稲穂はダイブアンドズーム発動する。二振りの剣による連撃がラミエルの腕を斬り裂き、痛みを与えた。
 そのまま即離脱しようと試みた稲穂だったが、相手はジェネラル級でもある。孤立しているとはいえどかなりの力を持っている者であり、油断は禁物だ。
「やっぱり反撃は来るか。受けて立つしかないね」
「轟け、我が力。大天使に仇成す者を貫きなさい」
 身を翻した稲穂に向けられたのはクシフォスの斬言。力ある言葉によって、雷鳴のような轟音と衝撃の幻を巡らせ、息つく暇もなく発生させ続けていく技だ。
 縦と横、凄まじく鋭い形ある斬撃はまさに雷撃の如く。激しく揺らめきながら迫る軌道をしかと見つめた稲穂は、二刀を交差させていき、攻撃を受け止めに掛かった。
「私に雷撃のような軌道は迂闊だよ」
 此方とて電撃使いだ。ジェネラル級が圧倒的な力を持っていても、稲穂にもこれまでの経験則がある。斬撃の軌道を予測しながら稲穂は果敢に立ち回った。
 全てを回避する必要はない。寧ろ完全な回避を狙い続けることは無理な動きに繋がり、致命傷を招くことになりかねない。僅かでも威力を殺し、受けきること。それがこの戦いにおいて重要になっていくはずだ。
「まだまだ、私の攻撃は終わっていないよ」
 此処からも立ち向かい続けることを宣言した稲穂はラ・デルフェスの切っ先をラミエルに向けた。そして、もう片手に握った漆黒の刀身に強い魔力を込めることで、その刃は紅く輝きはじめる。
 本番はこれからだと告げるかの如く。
 突撃していく稲穂の剣閃は眩い煌めきを宿し、夕陽よりも紅い斬撃が大天使の翼を散らした。
 
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!

リューロボロス・リンドラゴ
アンデレ(g01601)と共に。

我はリューロボロス。
ラミエルよ。
貴様は命を賭け、言葉を尽くし我等との対話に望み……そして決裂した。
選んだのは貴様であり、我等である。
ここで貴様の賭けそのものを無かったことになどせぬ。
貴様を討つことが……命を賭けたぬしへの我が誠意と知れ。

アンデレと共に【飛翔】し《空中戦》よ。
我が強襲、受けるが良い!
『力ある言葉』か。
ふん、交渉にも使えそうな力だが……敢えて使わなかった、か。
動きを封じてからの斬撃、つまりは“来る”と覚悟はできるということ。
ならば我はこう応えよう。来い、と。
後は耐えるのみ、よ。

聞いたぞ、貴様の言葉。効いたぞ、貴様の斬撃。
決して軽いものではなかったよ。


ア・ンデレ
リューロボロスちゃん(g00654)と一緒に、ラミエルを殺しにきた。
アンデレちゃんはともだちパワーの翼で空を飛ぶ。
「ラミエルちゃん、ごめんね。ディアボロスと、はなしにきてくれたことはうれしいけど、でも、しんでもらうね。」
アンデレちゃんは、笑顔でラミエルに宣戦布告する。
「ラミエルちゃんは、なんで、イーリスちゃんといっしょにたたかわなかったのかな。
なんで、ミカエルちゃんといっしょにこなかったのかな。
けっきょく、ひとりで。けっきょく、ごうまんで。けっきょく、てんしだ。」
アンデレちゃんはともだちパワーを拳に集める。
突撃して、最強のパンチをラミエルに喰らわせる。
「うまれかわったら、ともだちになろうね。」


●言葉と意思
 台東区海上にて、ディアボロスはラミエルが飛ぶ領域に向けて飛翔する。
 此方を一瞥した大天使に向け、リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)とア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)は名乗りを上げる。
「――我はリューロボロス」
「アンデレちゃんだよ」
「貴方がたもディアボロスですね」
 ラミエルは少女達に敵意を向けていた。
 奪還された海の上空まで訪れるのはディアボロスしかいない。それゆえにラミエルにとっては、此処に来る者すべてが退けるべき敵に思えているのだろう。
 リューロボロスは竜翼を広げ、アンデレはともだちパワーのパラドクスを巡らせる。
 飛翔の力が重ねられることでディアボロスは更に高くまで上昇できるようになった。この後がどのような展開に繋がったとしても、これならば不利にはならない。リューロボロスは身構えながらラミエルへと呼び掛けていく。
「ラミエルよ。貴様は命を賭け、言葉を尽くし我等との対話に望み……そして決裂した」
「そうですね、確かに決裂しました」
 少女から投げ掛けられた言葉に対し、ラミエルは事実だと認めた。リューロボロスは真っ直ぐな視線を向けたまま凛とした口調で言い放つ。
「選んだのは貴様であり、我等である。ここで貴様の賭けそのものを無かったことになどせぬ」
「――というと?」
「貴様を討つことが……命を賭けたぬしへの我が誠意と知れ」
「随分と身勝手な言い分ですね。ですが、戦いならば受けて立ちましょう」
 リューロボロスとラミエルの眼差しが交錯する。
 一触即発の雰囲気が漂う中、ア・ンデレも己の思いを声にしていく。
「ラミエルちゃん、ごめんね。ディアボロスと、はなしにきてくれたことはうれしいけど、」
 笑顔を見せたア・ンデレは拳に力を集め、一気に飛翔する。
「でも、しんでもらうね」
「我が強襲、受けるが良い!」
 宣戦布告と同時に放たれたのはア・ンデレによるともだちパワーを宿した一撃。それと同時にリューロボロスが高速で突撃していき、双方からの攻撃がラミエルに迫った。
 はっとしたラミエルは身を翻し、ア・ンデレの一撃をいなす。だが、直後に見舞われたリューロボロスの強襲にはうまく対応できなかったようだ。
 されど相手はジェネラル級。反撃に移ったラミエルは雷鳴のような轟音と亀裂、引き裂く幻を具現化した。
「轟け、雷霆。引き裂かれろ、ディアボロス達よ」
 リューロボロスとア・ンデレに向けて放たれた力ある言葉は激しく広がる。
 鋭い痛みの幻と共に形ある斬撃が叩きつけられ、リューロボロスの体勢が僅かに揺らぐ。ア・ンデレは何とか避けたようだが、相手の力が強大であることは十分に分かる。
「それがぬしの力か。ふん、交渉にも使えそうな力だが……敢えて使わなかった、か」
「そのような使い方をして融和が認められるのならばやっていましたよ」
 リューロボロスの言葉に対し、ラミエルは力には使い時があるのだと告げた。おそらく彼女が言いたいのは、戦いのための力を揮うのが今だということだ。
 その間、リューロボロスは相手の攻撃がどのようなものか確認した。動きを封じてからの斬撃。
 つまりは、来る、と覚悟はできるということ。それならば――。
「我はこう応えよう。来い、と」
 厳しくなることは承知の上。後は耐えるのみ。リューロボロスの覚悟は強く、再び突撃を見舞いに向かう。その際に斬言が振るわれようとも彼女は止まらない。
 ア・ンデレも攻勢に入り続けながら、ラミエルに疑問を向けた。
「ラミエルちゃんは、なんで、イーリスちゃんといっしょにたたかわなかったのかな」
「イーリスと共に滅ぼされる道を選べと?」
「なんで、ミカエルちゃんといっしょにこなかったのかな」
「それは貴女のお仲間に伝えてあります」
 ア・ンデレは自分がさいきょうだと信じる力を巡らせ、鋭いパンチを繰り出した。ラミエルの体勢が揺らぎ、痛みを堪えるような表情が見える。ア・ンデレは次の一手に備えつつ、感じたままの思いを言葉に変えた。
「けっきょく、ひとりで。けっきょく、ごうまんで。けっきょく、てんしだ」
「……好きに思っていなさい」
 ア・ンデレとのまともに会話することを諦めたのか、ラミエルは返答を放棄した。そして、其処へ迫り来るのはリューロボロスによるオーラ強襲だ。
「あれを受けてまだ動けるのですか」
「聞いたぞ、貴様の言葉。効いたぞ、貴様の斬撃。決して軽いものではなかったよ」
 それゆえに覚えている。
 リューロボロスの言いたいことを理解したらしいラミエルは、そっと頭を振る。
「成る程。貴女は武人のような方なのですね。しかし、私がその意志を受け入れると思わぬことです」
 更に力ある言葉を放ったラミエルはディアボロスを退けようとしてきた。
 攻撃は激しいが、戦うならば此方に勝機がある。そう感じたア・ンデレは別れの言葉を先に告げておくことにした。
「うまれかわったら、ともだちになろうね」
 生まれ変わりという言葉をクロノヴェーダである大天使は信じているのか。それすら分からない現状だが、ア・ンデレはただ真っ直ぐに伝えていた。
 そして――戦いは更に深く、激しさを増していく。
 
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV4になった!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!

橡・広志
ラミエルとの融和は不可能ではないかもしれない…
だが東京の奪還を考えるのならいずれは倒さなければならない敵だ……なら倒せるときに倒したい
なにより、俺は最初から大天使との関わりが有益になるとは限らないと思っている
対して生かしておくデメリットは確実だ

だからラミエルはここで倒す!
仲間から【飛翔】の力を受け取り、不規則な動きで攻撃を回避しつつ距離を詰めていこう
至近距離まで接近して鉄パイプの打撃と、ピストルのゼロ距離射撃、ディガーパックの工事用アームを叩きつける、組み付いて250mmバールでの突き刺しと異空間から武器を次々と取り出し手を替え品を変えつつ攻撃を繰り出すぞ


音羽・華楠
残留効果の【飛翔】を使い、ラミエルに空中戦を挑みます。

ラミエルは雷使い……の振りをした幻使いですか!
本物の雷使いとして負けられない相手です!

そう自分を鼓舞し、雷鳴を模した轟音や衝撃、その後に来る『形ある斬撃』もまとめて斬り払ってラミエルに一撃を届かせるくらいつもりで、《雷幻想・斬鉄》を振るいます。
ラミエルが逃れようとしても、《斬鉄》の雷の刃は変幻自在!
伸びて曲がってラミエルを追いますよ!

ラミエルと敵対する私の意志は、イーリス決戦で既に彼女に伝えてますが……もう一点だけ。
私たちサリエルと戦った復讐者は、彼女から頼まれてるんです――

――あなただけは絶対に殺せと!

その約束、反故にする理由も無いので!


●可能性と選択
 ――ラミエルとの融和は不可能ではないかもしれない。
 それが橡・広志(理不尽への叛逆・g05858)が此度の交渉に抱いた印象だ。
 しかし、現実はそう簡単には進まない。どれほどに融和を望み、望まれようとも、超えられない壁があることも確か。それに東京の奪還を考えるのならば、大天使ラミエルもいずれは倒さなければならない敵となる。
「……それなら、倒せるときに倒したい」
「同感ですね」
 広志が出した結論はラミエルの討伐だ。
 彼の言葉を耳にした音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は頷き、自分も同じ考えだと語る。
 戦いをこの場で行っておくか、いつかどこかで後々に行うかの違いだ。加えて現状の冷静ではないラミエルを帰還させた場合、どうなるか不明だ。何より、広志は最初から考えていたことがある。
「大天使との関わりが有益になるとは限らない。対して生かしておくデメリットは確実だ」
「貴方はそうお考えなのですね」
 残念です、と言いたげな声が空から降ってきた。広志が言葉にしたことが聞こえていたのか、ラミエルは翼を羽撃かせた。頷いた華楠と広志は周辺に巡るディアボロスの力を使い、声の主のもとまで飛翔した。
「聞いていたなら話が早い。ラミエル、お前はここで倒す!」
「ならば、私は全力で抵抗します」
 ラミエルがいる高度まで一気に近付いた広志は宣戦布告した。対する大天使は他の復讐者からの攻撃を交わしながら、広志達にも警戒と敵意を向ける。
 華楠はこれまでに仲間に向けられた攻撃から敵の力を分析した。
「ラミエルは雷使い……の振りをした幻使いですか! 本物の雷使いとして負けられない相手です!」
 自分を鼓舞した華楠は身構える。
 ――雷幻想・斬鉄。
 それは陰陽木行に属する雷の術を妖精たちの補助で昇華した技だ
 雷鳴を模した轟音や衝撃、その後に来るはずの形ある斬撃すらも、まとめて斬り払ってラミエルに一撃を届かせる。心に決めた華楠は力を巡らせた。
 たとえラミエルが逃れようとしても、斬鉄の雷の刃は変幻自在。
「ラミエル、この力はどこまでも追いますよ!」
「成る程、貴方の力はこのようなものですか。私の力もじっくりと見せてあげましょう」
 華楠が強く呼びかけると、ラミエルは雷刃をいなしながら身を翻す。おそらく先程、華楠がパラドクスのことを聞いたので向こうも気に留めていたのだろう。今は何も押し隠すことなどなく、双方から全力のパラドクスが解き放たれている。
 広志は敢えて不規則な動きを取り、少しずつ距離を詰めていった。
 狙うは至近距離。
 ひといきに接近した広志は異空間に繋がる穴から鉄パイプを取り出す。打撃を与えるべく振るった一撃の直後、彼はもう片手に構えていたピストルの銃爪を引いた。
「……!」
 クシフォスの斬言が反撃としてラミエルから放たれ、雷鳴の如き轟音が響き渡る。
 斬撃が襲い来る中、広志は身を反転させながらディガーパックの工事用アームを叩きつけた。そのままラミエルに組み付く勢いで飛んだ広志は、バールの一閃を叩き込んだ。
「あのような宣戦布告をするだけのことはあるようですね」
 されどラミエルも抵抗を続ける。渾身の突き刺しが躱されても広志の手は止まらなかった。
 異空間から武器を次々と取り出した広志。彼は手を変え品を変え、打倒ラミエルを狙う。戦いは激しいが、続々と仲間が集っている。このまま押し切れば勝てるはずだ。
 華楠は仲間と連携を続けながら、ラミエルに声を掛けていく。
「ラミエルと敵対する私の意志は、イーリス決戦で既に彼女に伝えていますが……もう一点だけ」
「何ですか?」
「私たちは……サリエルと戦った復讐者は、彼女から頼まれてるんです」
「大天使との融和をよしとしない貴方が、サリエルの願いを?」
 ラミエルは一瞬、これまでとは違った表情を見せた。まずは疑問。更に別の感情が裡にあったようだが、ラミエルはすぐに思いを隠したようだ。そして、華楠は強く言い放つ。
「――あなただけは絶対に殺せと!」
 その約束を反故にする理由もない。宣言した華楠は更に高く舞い上がった。
 雷刀から伸びる斬撃は鋭く、見事にラミエルを穿つ。
 復讐者達はそれぞれの思いを抱いてこの場に訪れていた。戦いは徐々に此方の優勢になってきているが、此処からどのような展開に転ぶかはディアボロスの行動や思い次第。華楠も、広志も己の考えを貫くことを決意していた。
 しかし、誰にも『正解』は選べない。
 言い方を変えれば、今は正しいことを選ぶ場面ではない。
 決戦を成し遂げるか、帰還させるかか。どちらがよりよいことであるかはまだ誰にも断定できないからだ。

 選んだ道筋を、自らの手で正解にしていく。
 それこそがディアボロスとして――或いは、この世界に生きる者としての歩み方だ。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

カイ・ハイデッガー
今となっては、流石に見逃すことは難しいな
対話がイーリス決戦のタイミングでなければ……
或いは討伐が成された時点で他区へ移動していたなら、また違ったのかもしれないが

さて、【飛翔】を使っての【空中戦】だ
仲間と連携できそうなら敵の視界外からの【不意打ち】を検討、そう出来ない場合でも何とか一撃入れられるように努力しよう

何方が先に仕掛ける形になるかは判らないが、やる事は単純
雷霆を思わせる斬撃ならば、軌道を【電撃使い】の知識で割り出し【看破】
致命的なものは回避、それ以外はオーラで防御しつつ最高速度で突っ込む【捨て身の一撃】を行うまで
攻撃後はその勢いのまま離れよう(【一撃離脱】)。追撃が来るのは避けたいからな


●一撃離脱
 もし、あのような状況でなければ。
 復讐者と大天使の対話は別の可能性を経て、うまく巡っていたのだろうか。
 カイ・ハイデッガー(ユーバーシュライベン・g03134)の胸裏に巡るのは、もしもの話。だが――。
「今となっては、流石に見逃すことは難しいな」
 彼の思いは固まっていた。
 もし対話を持ちかけられたのがイーリス決戦のタイミングでなければ。或いは、討伐が成された時点で大天使ラミエルが他区へ移動していたなら、また違ったのかもしれない。
 されど、この過去はどうやっても変えられない。ディアボロスが変えていけるのはこれから続いていく未来や、行く先のみだ。しかし、それでいい。
 翅を広げたカイは高く飛び立ち、仲間達とラミエルが交戦する上空へと向かった。
 空中戦は激しいものになるだろうが、既に仲間が大天使への攻撃を仕掛けている。攻勢に対応するラミエルには隙が出来るはずだ。その瞬間を見極めたカイは不意打ちに入る。
「――ッ!」
「!?」
 武器である思念を全身に纏い、重心移動を利用した飛翔を行ったカイ。彼の一撃が直撃した瞬間、ラミエルはカイという新手が現れたことに気が付いた。翅を使った急加速はラミエルが捉えるよりも疾かった。カイは手応えを感じた直後、加速の勢いを殺さないように更に飛翔する。
「この攻撃はなんと忌々しい」
 対するラミエルは苦しげな声をあげる。悪態めいた言葉が聞こえたが、それはカイにとっての褒め言葉となる。ラミエルに強い一撃を与えられたからこそ、あのような反応を引き出せたからだ。
 続けて、大天使は力ある言葉を紡ぐ。
「引き裂かれて海に墜ちなさい」
 亀裂と引き裂く幻を無数に具現させたことで、ラミエルはカイを惑わそうとした。それと同時に雷霆を思わせる巨大な形ある斬撃が次々と叩きつけられる。
「く……ッ! さすがはジェネラル級ってところか」
 軌道を看破しようとしたカイだったが、斬撃は数え切れないほどのものだ。一撃目、二撃目は読めてもその後に迫ってきたものを見切るのはきりがない。だが、それでも致命的なものだけは回避できた。
 オーラを纏ったカイは痛みを堪らえ、果敢に次の一手を見舞いに向かう。翅で風を切り、今の自分が出せる最高速度で突っ込んでいくカイ。それは捨て身の一撃だ。
「いずれお前にも終わりが訪れる。分かっているだろ?」
「う……くぅ……っ! それが今ではないことを、願うのみです」
 カイの体当たりを受け、その言葉を聞いたラミエルは鋭い視線を返してきた。そうか、と答えたカイは突撃した勢いのままにラミエルから離れていく。
 追撃が来るのは避けたい。あの攻撃をまともに受ければラミエルの言葉通りに海に落下するだろう。そう考えて一撃離脱戦法を取ったカイは、そのままラミエルの攻撃が届かない視界外へ飛び立った。
 あの一撃が、確かにラミエルに効いていたことを確かめながら――。
 
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】がLV5になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!

八百陣・葵漆
そもそものところで、ディアボロスというのはその全てがクロノヴェーダへの怒りを抱く復讐者だからね
融和なんて、土台無理な話というわけさ
そして最終人類史も見られた以上、逃がす手は無いね

残留効果の飛翔を利用して空中戦だ
とはいえ、基本は回避重視
残留効果のアイテムポケットで取り出した絡繰り道具を使おうとしつつ
攻めあぐねているように見せかけようか
といっても、ジェネラル級相手では本当に致命傷の回避で手一杯になるかもだけどね

まあ、それでこちらに敵の注意を引きつけられれば問題なし
『偽・足下注意』
本命の絡繰り兵器は敵の頭上に辿り着いた
後はそこから投射される爆弾等で、不意打ちさ


真紅堂・乎乎那
アドリブ連携歓迎にて。
そうだねェ……。勘の良いヤツだ。
再奪還という発想に至ったのは危険すぎる。
愛すべき隣人達をまた失う訳にはいかない。
というワケで、いざ灼熱の空へ。
・フム。攻撃チャンスはあって一度と予想。
なるべく早めに攻撃して、私より攻撃力の高い者へ命中アップを繋げよう。

・飛翔とフライトドローンを利用し、目標まで一直線だ。
そしてデモニックボム。旋回しながら突っ込んで爆破しろ。
私に空中戦の心得は無いが……この子達は優秀でね。

祈ってやるよ。
「せめて、私達の思い出と融和できますように。」


●いつかは倒すべき者
 対話と融和を求めていた大天使、ラミエル。
 彼女が望んだ交渉は決裂しており、現状はまともな返答は期待できない。
 しかし、八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)はそれでいいのだと感じていた。寧ろ変な方向に話が拗れていかないのならば、この状況は良いものだ。
「そもそものところで、ディアボロスというのはその全てがクロノヴェーダへの怒りを抱く復讐者だからね」
 融和など土台が無理な話だ。
 おそらく現在のラミエルも融和路線を前に出してこない。それ以上に重要なことを探り、知ろうとしているからだ。そのように葵漆が言葉にすると、真紅堂・乎乎那(埋火の魔創剣士・g02399)が頷く。
「そうだねェ……。それに勘の良いヤツだ。再奪還という発想に至ったのは危険すぎる」
「そして最終人類史も見られた以上、逃がす手は無いね。おそらくラミエルは今までのクロノヴェーダよりも更に先を見てしまっていて、その上でどうすべきか判断しようとしているかもしれないね」
「あぁ、愛すべき隣人達をまた失う訳にはいかない」
 既に取り返した区にはディアボロスを信じている人々がいる。
 彼らが住み、愛する土地を、もしも何らかの形で再びTOKYOエゼキエル戦争の地に戻されたとしたら――。其処に待っているのは今まで以上の地獄だろう。
 現状のラミエルをただ撤退させるということは、かなり危険なことだ。
 だが、もし逃したとしても勝算がなくなるわけではない。撤退までにラミエルの考えや復讐者への思いを変えるほどの言葉を掛けられたならば、未来は変わるだろう。
 それでも、どのような言葉がラミエルの心に届くかは誰にも分からない。
 それならば後はリスクに対してどう出るかだ。葵漆と乎乎那は此処でラミエルを倒すべきだと判断した。
「おっと、向こうもこっちに気付いたようだよ」
「フム」
 葵漆は一気に飛翔していき、乎乎那もそれに続く。
 ラミエルはディアボロスに抵抗しようとしており、熾烈な攻撃を解き放ってきていた。他にも強力なジェネラル級がいるといえど、ラミエルとて同じジェネラル級。
 彼女が放つ力ある言葉は形ある斬撃となり、容赦なく迫ってくる。
「攻撃チャンスはあって一度だろうか」
 そう予想した乎乎那は味方の配置を確かめるために周囲を見渡した。それならば出来る限り早く行動することで仲間に次の一手を繋げることが重要だ。
 葵漆は正攻法よりも搦手で攻めることを決め、共に戦う仲間の援護に入っていく。
 攻撃には敢えて転じず、葵漆はラミエルの攻撃を回避することを目指した。アイテムポケットから取り出した絡繰り道具を使おうとしていく葵漆だが、なかなかそれを使おうとしない。
 その様子に気付いたラミエルは怪訝な様子を見せた。
「……?」
(「よし、こちらが攻めあぐねているように見せかける作戦はいける」)
 葵漆の行動は敢えてのものだった。
 ただしこの行動は何度も使えるものではないだろう。それにジェネラル級相手では本当に致命傷の回避で手一杯になるかもしれない。だが、こちらに敵の注意を引きつけられれば問題はない。
 その間に乎乎那がパラドクスを巡らせた。
「私に空中戦の心得は無いが……この子達は優秀でね」
 コウモリの如く敵に向けて飛ぶ悪魔爆弾の群れが放たれていく。それらは目標まで一直線に飛び、旋回しながら突っ込んで爆破しろ、という乎乎那の命令を忠実に実行していった。
 爆発がラミエルの周囲で巻き起こり、ダメージが巡る。
 其処に生まれた隙を逃さなかった葵漆は攻撃を叩き込むに相応しい好機を掴み取った。
「足下注意……ふふ、本命はこっちさ」
 ――偽・足下注意。
 これで本命の絡繰り兵器は敵の頭上に辿り着いた。後は兵器から投射される爆弾で不意打ちを見舞っていけばいいだけだ。はっとしたラミエルが上を振り仰いだときには既に遅かった。
 反撃の余地も与えぬまま巡った爆風が大天使を貫く。
 葵漆は身を翻して飛び、乎乎那も戦いの行方を見据えるような眼差しを敵に向けた。
 祈ってやるよ、とラミエル告げた乎乎那は金の瞳を細め、心からの言の葉を紡ぐ。どのような結末になろうとも、此処からどんな未来が続いていこうとも、この思いだけは嘘ではない。
「――せめて、私達の思い出と融和できますように」
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!

⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔

●決戦の覚悟
 海上での戦いが続く中、ディアボロス達が決断を下す時がやってきた。
 ラミエルをこの場で倒すか。
 それとも撤退させるか。
 二者択一の状況で、仲間達はそれぞれの思いを掲げていた。

 たとえば後顧の憂いは断っておきたいとして撃破を目指す者。
 または、ラミエルともう一度だけでも話をしたいと願った者。
 或いは決戦の時を此処ではない所に移したいと考えた者。
 約束を守るために戦うことを決意した者や、リスクの差を的確に計算した者。
 一見は相反した意見や意思に見えても、その中には共通した『ある思い』が存在している。
 それは――誰もが最終人類史、ひいては世界を思い、過去や未来を取り戻したいと願っていること。

 復讐者達の思いはどれも間違いではない。元より最初から絶対的な正解など存在しなかった事柄だ。
 大切なのは先を見据えること。
 そして、答えすら用意されていなかった道に自分達だけの正解を見つけ出していくことだ。
 ディアボロスの意思は今、『決戦』へと繋がった。
 大天使ラミエルをこのまま撤退させるよりも、この場所で決着を付けることを望んだ者が多かった。これまでの攻防によってラミエルは徐々に弱り始めている。この機を逃すわけにはいかない。

 それに加えて、ラミエルも決意を固めているようだ。
「隙を見て逃げようと考えてもいましたが、気付きました。それは私にとっての正解の道ではありません。このまま逃げ帰ったとしたら、あのときに撤退しなかった意味がなくなってしまいます」
 戦う意志を宿しているディアボロスからは、そう簡単には逃げられないと察したのだろう。
 心の内は分からないが、交渉決裂の後に敢えて台東区に残ったことの理由があるようだ。並々ならぬ思いを抱いたラミエルは復讐者に鋭い視線を向ける。
「私は死ぬまで……いいえ、僅かでも勝機を見つけるために――ここで戦い続けます」
 最早、ラミエルに交渉を持ちかけることや、撤退を促す余地はない。
 復讐者との融和は既に諦めており、最期を予感しながらも、力の限り戦い続けることを選んだらしい。決死の覚悟で挑んでくるラミエルの猛攻は侮れないものだ。それゆえに此方も全力で挑むしか道は残されていない。
 戦いの終わりを導くのは他でもない、復讐者だけだ。

⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔

【ディアボロスの決断として『ラミエルを撃破する』ことになりました】
 
 ※以後『②ラミエルを葛飾区に撤退させる』選択肢は採用されなくなります。
 
バラニィ・エアリーズ
どっちにしろリスクはある…なら、気持ちの問題で決めていいよね?

あたし的には敵側に新情報を得させたくないって感が強めかな。
今あいつがやってる調査は無意味っぽいけど、生かして戻すと天使勢が“奪われた区を奪い返す作戦を練るかもしれない”んでしょ?
うちら普段攻めてばっかだし、防衛戦は結構キツいって。必ずそういうコトになるとも限らんけどさ。

あくまでも倒す派なんで、撤退の呼びかけとかするのに協力したりは出来ないと思うけど…当然、総意には従うつもり。
恨みっこなし、って相談の時にも言ってたしね!

…まあ余裕は一切ない状況なんだけどな!ジェネラル級相手だぞ!?
もし戦うとなったら死ぬ前に倒す気ではいます!いくぞー!


ティベルデ・バルツァー
連携OK

初お目にかかるラミエル殿。貴女とは初対面である筈なのに、そこはかとなく奇妙な縁を感じるよ。
いや……今そこに言及する必要はないか。
しかし特異だね。以前より融和を唱えていたのだろう? それが何を由来とするものであれ興味が湧いて仕方がない。
出来れば他愛ない物を含めて会話をしたいと思う程だよ……嘘じゃない。
そして願わくば……。

……では尋常にやろう。周囲の空間をハッキングして少しでも影響が来るのを遅らせる。
そしてやろうサフアグ。水使いの様な流麗な槍捌きの、貫通撃を見舞うんだ。
必要なのは弱所を見切る観察眼と、踏みこむ勇気。そして【飛翔】。皆がいるなら私がやるべきは……喉元へ矛先を突きつける事だけ。


●歪んだ慈愛の大天使
 最期まで抵抗する意思を見せた、大天使ラミエル。
 その前に飛翔していくのはティベルデ・バルツァー(突き穿つ蒼・g06493)だ。周囲に雷霆の如き力が巡る中、彼女は少しも怯まずに大天使に声をかける。
「初お目にかかるラミエル殿。私はティベルデ・バルツァー」
「貴女もディアボロスですね……」
 丁寧に自己紹介を告げたティベルデは双眸を細める。
「貴女とは初対面である筈なのに、そこはかとなく奇妙な縁を感じるよ」
「縁……?」
「いや、今そこに言及する必要はないか」
「どういう意味ですか、ティベルデ」
 ラミエルは彼女の物言いに対して不思議そうな様子を見せた。名乗られた名を口にしたのは、もしかすれば何かを感じ取っていたからかもしれない。
 其処に訪れたのはバラニィ・エアリーズ(ゲーミングサキュバス・g02889)だ。
「キミを逃すにしろ倒すにしろ、どっちにしろリスクはあるんだよね」
 だから自分の気持ちを優先した、と語ったバラニィは真っ直ぐにラミエルを見つめた。対するラミエルは機を計っているらしく、無言のままディアボロス達に視線を返す。
「あたし的には敵側に新情報を得させたくないんだよね」
「それもリスクだな」
 バラニィが小声で話したことを聞き、ティベルデは頷いた。
 この場に訪れた者は誰も間違ってなどいない。何を重視するか、何を大切に思うかの違いに貴賤はない。バラニィは警戒を強めつつ、眼下の海を見下ろす。
「下はただの海だし、今あいつがやってる調査は無意味っぽいよね」
「ああ、そのように聞いている」
「……無意味?」
 その際、ラミエルが会話の一部分だけを聞きつけたようだ。
 バラニィは声を潜めている理由はなくなったと判断し、逆に問いかけてみることに決めた。
「正直に話すね。ラミエル、キミを生かして戻すと大天使勢が奪われた区を奪い返す作戦を練るかもしれないよね?」
「ええ。調査が進んで私の意見が通ったなら、そうなった可能性が高いでしょうね」
「やっぱり……」
 バラニィの言葉に同意したラミエルは包み隠さず語った。融和交渉は既に決裂していたので、ディアボロスに敵対心を抱くのはおかしなことではない。
(「うちら普段攻めてばっかだし、防衛戦は結構キツいって。必ずそういうコトになるとも限らんけどさ。でも、あたしの嫌な予感が当たってそうでよかった……!」)
 思いを敢えて声に出さなかったバラニィは、ある種の安堵を覚えていた。
 可能性の話だが、ラミエルに別の交渉をうまく持ちかけられれば、作戦を変えさせることも出来ただろう。
 だが、それが成功するかは賭けでしかない。それならば、今この場所で倒した方が将来的な被害は減らせるというわけだ。そう考えた刹那、ラミエルから雷鳴のような轟音と衝撃の幻が解き放たれた。
 危ない、と声にしたバラニィはすぐさま身を引く。
 彼女達のやり取りを聞いていたティベルデも雷撃めいた一閃を避け、ラミエルの横に回り込む。
「しかし特異だね。以前より融和を唱えていたのだろう? それが何を由来とするものであれ興味が湧いて仕方がない」
「……」
「出来れば他愛ない物を含めて会話をしたいと思う程だよ……嘘じゃない。そして願わくば……」
「既に融和の可能性は失われました。意味の無い問答です」
 すると、ラミエルはティベルデの言葉を遮る形で声を発した。睥睨する様な目線がティベルデに向けられている。
 融和について、これ以上は語りたくないのだろう。
 ディアボロスを信じたかった、という言葉をラミエルが使ったのは過去のことだ。
「私は進む道を間違っていたのです。こんなことになるならば、信仰を抱く者のみに目を向けていればよかった。信者達を完全に支配して慈愛を与えればよかったのでしょう」
「ちょっと待って、良いこと言っているように思えるけどなんか違うでしょ。支配って!?」
「黙りなさい」
 ラミエルが口走った言葉に驚いたバラニィに向け、力ある言葉が放たれた。
 やはり相手はクロノヴェーダだ。人を大切にしているようでいて、その実は見下している。そういう点では寧ろ神話的な天使の考えであるとも言えるのだろうか。
「やはりもう戦うしかないようだね。……では尋常にやろう」
 ティベルデはディアボロスのへの攻撃を遮るようにして、即座に契約ジン・サフアグを突撃させた。
 連なる波濤の如く、ティベルデは連撃を放つ。
「やろう、サフアグ」
「く、ぅ……っ!」
 そういってジンに語りかけたティベルデは水使いのような流麗な槍捌きで以て、ラミエルの片腕を貫いた。
 それに合わせてバラニィが万死一生の力を紡ぐ。
「ジェネラル級相手に手は抜けない! こっちが死ぬ前に倒す! ――オラァァア、いくぞー!」
 恨みを抱く犠牲者達の怨念を己が身に纏い、バラニィは捨て身の一撃を叩き込みに向かう。犠牲者達の怨念が渦巻かせるのは負の感情。瘴気となってラミエルに纏わり付く念が空を黒く染めた。
 その攻撃をまともに受けたラミエルはよろめき、再びティベルデ達を睥睨する。
「私にもわかりました。縁というものが。貴女達と私は、殺し合うしかない相手同士なのだと!」
「そうか、残念だよ」
 ティベルデは一瞬だけ目を伏せる。この場面で必要なのは急所に成り得る箇所を見切る観察眼と、踏みこむ勇気。
 そして――。
「皆がいるなら私がやるべきは……喉元へ矛先を突きつける事だけだ」
 猛烈なる刺突の荒波から巡る衝撃波は、眼下に満ちる海までも激しく波立たせた。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【先行率アップ】がLV2になった!

マイグレックヒェン・ペルドルレーヴ
私はクロノヴェーダを恐れています。
それは実態を何も知らないから。恐れとはそういった心の暗がりに宿るのでしょう。
そういった『未知』は、可能性も内包しているのだと昔誰かからか教わりました。
……私は、あなたがそうではないかと考えていました。

私たちはどうしても殺し合う運命なのかもしれませんが……せめて、多くを知ってからにしたい。
この身を通り過ぎていく者の存在を背負って生きるのが、ディアボロスなのだと私は考えているからです。

ラミエルからの攻撃はなるべく避けて受けないようにしたいですが、避け切れなければそのまま受けます。
言葉はすれ違う。だから私はこの身で意志を表しましょう。


●死にゆくものへ
 ラミエルは今、終わりへと向かっている。
 戦いの決着が付けばクロノヴェーダである大天使は滅ぼされ、死を迎えるだろう。
 マイグレックヒェン・ペルドルレーヴ(底なしの夜・g02971)はその前に、僅かでも言葉を交わしたいと願った。情報も得られず、ただ己の言葉だけを伝えるだけになるだろう。それでも向かうことを決めた心は尊い。
 飛翔の力を使い、マイグレックヒェンはラミエルの元を目指す。
 そして、彼は思いを声にしていく。
「私はクロノヴェーダを恐れています」
「…………」
「それは実態を何も知らないから。恐れとはそういった心の暗がりに宿るのでしょう。そういった『未知』は、可能性も内包しているのだと昔誰かからか教わりました」
 何度も攻撃を受け、苦しげな様子を隠せないラミエルは無言のままだ。
 それでも、マイグレックヒェンは彼女に声を掛け続ける。青い瞳はただ静かに、傷ついた大天使を映していた。
 希望と絶望は相反するもの。
 だが、物事を識ることで絶望が希望に繋がるものだと認識しなおすこともできるかもしれない。
 これはただの物の例えだが、そういった可能性は何にでも存在する。
 マイグレックヒェンは決してラミエルを攻撃することはなく、己の思いを言葉に変えていった。
「……私は、あなたがそうではないかと考えていました」
「…………」
 ラミエルは相変わらず無言を貫いている。
 しかし、マイグレックヒェンの言葉が聞こえていることは確かだ。返答を貰えることは稀なのだと覚悟しながら、マイグレックヒェンは視線を向け続けた。
「私たちはどうしても殺し合う運命なのかもしれませんが……せめて、多くを知ってからにしたい。この身を通り過ぎていく者の存在を背負って生きるのが、ディアボロスなのだと私は考えているからです」
「そう、ですか……」
 するとラミエルが僅かな言葉を返した。
「私も、もっと知りたかった。ディアボロスのこと、あの景色のこと。そして、この先の未来も――」
 ラミエルは一瞬だけ瞳を伏せ、身を翻す。
 おそらく相手はマイグレックヒェンが攻撃してこないことを悟っていたが、他のディアボロスの勇敢な猛攻は止まらない。マイグレックヒェンはその後を敢えて追わず、ラミエルの背を静かに見送るだけに留めた。
 間もなく訪れる、彼女の終幕を見届けるために。
 
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【照明】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!

ラキア・ムーン
【練馬】
以前ぶりか…悪いが此処で滅するぞ
繰り返すが総意を示すのは無理だし何が正しいかなど知らん
だから貴様には私の信条を手向けとしよう
私は常に正しいし、貴様らクロノヴェーダは常に間違っている
そうでなければ、やってられんしな
それに例外は少ない方が良い
貴様の存在は危険だ

マルケトともがりをディフェンス
飛翔し《RE》Incarnationを構えて戦闘態勢へ
前へ出て前衛として積極的に攻勢を掛ける
【未来予測】で先読み
得られた情報から敵攻撃軌道と幻を『看破』し対応
直撃を受けないように飛翔速度を『臨機応変』に変化させ致命傷だけは回避
【Call:Strike_Slash】起動し『突撃』
『斬撃』でラミエルを斬り裂く


白戸・もがり
【練馬】
最終人類史を知られた以上は帰せないなー
多分あなた真面目だし、周りに嫌われてようが情報共有するんでしょ?
いや、高く買ってるんだよ。だから倒すんだけどね

後衛。ある程度距離を取った状態で飛翔
全体を【観察】し、前衛に合わせる形で【臨機応変】に行動

稲光の幻って事は眩しいかな
予兆を感じたら、目を閉じ即座に後方へ飛行。僅かでも斬撃が此方に届く迄の【時間稼ぎ】、未来予測で【看破】した攻撃軌道から直撃を避けるよう回避

凌いだら、仲間の攻撃に合わせて杖をラミエルに向け、パラドクス使用
向けた杖はブラフ。氷槍を彼女の背後に作り放ち【不意打ち】を狙うよ
ブラフや攻撃自体に意識を割かせられれば、皆にとって好機になる筈


マルケト・キサウェ
【練馬】
もしもの話ですが。
彼奴等が知り得た情報を基に、最終人類史へ自発的に侵入する何らかの方法を探り当てたなら。侵攻の規模はどうあれ、守るべき市民の方々に被害が及ぶのは避けられない。
そして、不死性を持たない人々が最終人類史で死亡してしまったら、その命は永遠に失われてしまう──そのような取り返しのつかない事態が起こる可能性は、ごく僅かであっても完全に潰しておくべき。奴を倒すことで別の懸念が生じるとしても、です。

《一羽は郭公の巣の上へ》にてこちらも幻影を用い、撹乱を目論みます。【飛翔】効果を重ねれば〈空中戦〉も有利になるはず。
強敵相手と言えど気合いは十分、闘技場で培った連携攻撃を見せてやりますよ!


●信を貫く
「以前ぶりか……悪いが此処で滅するぞ」
「貴方は――融和を一番に拒んでいた者ですね」
 ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)と大天使ラミエルの視線が交錯する。
 イーリス決戦の前、両者には言葉を交わした因縁ができていた。融和を望む者と、未来を見据えて拒む者。双方の意思が交わることはなかったが、それも決して間違いではない。
「繰り返すが、総意を示すのは無理だし何が正しいかなど知らん」
「ええ、理解しています」
「だから貴様には私の信条を手向けとしよう」
「……信条?」
 一触即発の雰囲気の中、ラキアは告げていく。
「私は常に正しいし、貴様らクロノヴェーダは常に間違っている。そうでなければ、やってられんしな」
「そうそう、最終人類史を知られた以上は帰せないなー」
 其処で言葉を発したのは白戸・もがり(葬送の虎落笛・g02018)だ。ラキアの隣に飛翔してきたもがりはラミエルを一瞥した後、周囲に巡り始めている幻想の雷を警戒する。
「やはり、私が見たものが貴方がたにとってまずいものだった、ということですね」
「多分あなた真面目だし、周りに嫌われてようが情報共有するんでしょ?」
「……否定はしません」
「いや、高く買ってるんだよ。だから倒すんだけどね」
 もがりの言葉にラミエルが首を振る。
「いいえ……。嫌われているという部分に反応してしまいました」
「もしかして気にしてる?」
「…………」
 もがりが問うと、ラミエルはそれ以上何も言わなかった。マルケト・キサウェ(docta ignorantia・g03412)は戦場に到着した時点から大天使を見据えており、彼女を生かした場合のリスクについて考えていた。
 マルケトが思考したのはもしもの話だ。
「彼奴等が知り得た情報を基に、最終人類史へ自発的に侵入する何らかの方法を探り当てたなら。侵攻の規模はどうあれ、守るべき市民の方々に被害が及ぶのは避けられないだろうな」
「そうだね、そんな未来はディアボロスの誰も望んじゃいないからね」
 皆、未来を勝ち取るために戦っている。
 マルケトともがりは素早く更に上空に飛んだ。すぐそこまで雷の斬撃が迫ってきていたからだ。ラキアは二人をディフェンスすることを心掛けながら自らも飛翔する。
 ラミエルがこの地に残った理由のひとつは、奪還の際に起こる現象をよく知らなかったからだろう。
 ただ今までの前例から大地が海に変えられることだけは理解していた。それゆえに融和交渉が決裂した後に空に舞い上がり、地面から離れた。そうすることで海化に備えられると考えていたはずだ。
 しかし、奪還の影響は空にまで影響した。
 それがラミエルの誤算であり、彼女が僅かな間でも最終人類史に至ってしまった原因だ。このことはディアボロスにとってもイレギュラーな事態であり、かなりの例外であった。
「例外は少ない方が良い。つまり、貴様の存在は危険だ」
「私にとっても貴方がたの存在はもはや危険そのものです。こちらに都合の良い条件でも持ちかけられない限り、全力で排除するべきだと進言するつもりでした」
 ラキアが宣言するとラミエルが言葉を返した。
 相容れない者同士だということはラミエルも深く理解しているようだ。
 マルケトは自身と酷似した姿形の幻影を出現させていき、大天使への攻撃に移っていく。
「人々が最終人類史で死亡してしまったら、その命は永遠に失われてしまう」
 数体の幻影と共に俊敏に飛び交い、敵を翻弄するマルケト。彼女が語っていったのは懸念と予想だ。
「――そのような取り返しのつかない事態が起こる可能性は、ごく僅かであっても完全に潰しておくべき。奴を倒すことで別の懸念が生じるとしても、です」
 目の前で起こっていることを逃せば、取り返しのつかないことに繋がるかもしれない。
 マルケトは自分の思いを強く持ちながら激しい連続射撃を撃ち込んでいった。もがりは敵からある程度の距離を取り続けることを決め、飛翔を付ける。
「稲光の幻でも眩しいことは変わりないよね」
 もがりは全体を観察していき、前衛として戦うラキア達に行動の機を合わせる。自分が臨機応変に行動できれば二人のサポートに回り続けられるだろう。
 ラキアは突撃槍を構え、ラミエルの動きを先読みする。
「そこから来る気か」
「……!」
 敵からの攻撃の軌道と幻を看破したラキアは即座に身を翻した。同様にもがりとマルケトもラキアに続く。ラミエルが驚く様子が見えたがそれには構わず、ラキアは術式を展開した。
 槍に風の魔力を纏わせた彼女は一気に突撃していく。
 その間に新たな幻の雷が轟いたが、マルケトは決して怯んだりなどしなかった。
「闘技場で培った連携攻撃を見せてやりますよ!」
「やろうか」
 杖をラミエルに向けたもがりはパラドクスの力を巡らせた。しかし、向けた杖はブラフでしかない。氷槍をラミエルの背後に作りあげたもがりは、ひといきに相手の身体を貫いた。
「今が好機だね。後はお願いするよ」
「引っかき回しますっ!」
 射撃の雨が降り注ぐ中、ラミエルは大きく体勢を崩す。
 ラキアともがり、マルケトは視線を交わして頷きあった。最早、大天使ラミエルが生き残る未来は残されていない。
 誰もが終わりの時を感じ取り、最後まで戦い続けることを誓っていた。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【飛翔】がLV6になった!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!

音羽・華楠
私がサリエルとの約束を告げた時、ラミエルは何を思ったのか――
……いえ、今さらですね。
言葉を交わす時間はとっくに終わってます。

――ラミエル、私はあなたを殺します!

【飛翔】の残留効果を用い、ラミエルへ再度の空中戦を。
今度は、私の最強のパラドクスをお見せします!
充分な数の妖精たちを【召喚】し、万全の補助を願いましょう。

――《雷幻想・閃耀》!!

ラミエルの反撃……五感にすら作用する膨大な稲光の幻は、逆に私の《閃耀》の耀きに呑み込んでやるくらいのつもりで!
『形ある斬撃』も、私に届く前に決めるつもりなので関係ありません!!

幻の雷などぬるいんです!
本物の雷使いを舐めるな――真の、至高なる雷の神威、思い識れ!!


リオーネ・クア
「約束するよ、ラミエルを倒すって。ミカエルも倒す」
約束した
復讐者が代わりに復讐するとの言葉を信じ
ラミエルの存在始め多くの情報を残したサリエルとの約束を果たしたい
己の消滅を嘆きつつも戦い続け
存在した証を俺に刻み込んだあの人の想いを貫き通したい

わかって欲しいなんて言わない
必死に生きた証を遺そうと足掻いたサリエルも大天使
あの人が正しい証拠もない
でも俺はあの必死さに報いるためにここにいる

倒すのは今でなくても良いのではと悩んだ
けど逃がせばきっと俺達の本拠地の脅威になる

魔骸連刃発動
肉体変異で刃を生やし異形の肉体で接近戦を挑む
ラミエルの攻撃は――
俺は幻じゃ止まらない、止まれない
あの人の慟哭がこの胸にある限り


呉守・晶
へぇ、覚悟を決めたか
サリエルにトドメを刺して「必ず怨敵ラミエルを殺せ、必ずだ」と念押しされた身として、いい度胸だと褒めてやるぜ
弱敵とサリエルが言ってたが、流石はジェネラル級だな
いくぜ。これは俺達ディアボロスだけでなく、サリエルの復讐でもあると覚悟しな!

最後に一つ、何故葛飾区を奪ったんだ?
葛飾区だからか相手がサリエルだからか?
サリエルが大天使を裏切るまで追い詰めて、何がしたかったんだ?

味方との戦いに気を取られてるところを、海中から【飛翔】で飛び出して奇襲的に懐まで飛び込むぞ!
魔晶剣アークイーターの封印を一部解除して巨大な牙と口のような異形の大剣に変異させて叩き斬るぞ!
噛み千切れ、アークイーター!


●サリエルとラミエルの真実
「へぇ、覚悟を決めたか」
 ラミエルの言葉を耳にした呉守・晶(TSデーモン・g04119)は、強い眼差しを向ける。
 その際に思い浮かんだのは、かつて倒したジェネラル級大天使『墜ちた大天使サリエル』が遺した言葉。

 ――『忘れるな、必ず……怨敵ラミエルを殺せ………必ずだ……』――

 大天使サリエルは息絶える直前まで、葛飾区を奪ったラミエルを恨んでいた。敵とはいえ、サリエルが抱く禍根が並々ならぬものだと誰もが感じていた。
 やり遂げてみせると約束した者達にとって、ラミエルは倒すべき存在だ。
 サリエルにトドメを刺して念押しされた身として、晶はあの言葉をずっと覚えていた。
「いい度胸だぜ、ラミエル」
 弱敵だとサリエルは言っていたが、あれは力を持つ者としての意見だ。こうしてディアボロスの猛攻を凌いでいる姿は、流石はジェネラル級といったところか。
「いくぜ。これは俺達ディアボロスだけでなく、サリエルの復讐でもあると覚悟しな!」
「サリエル……どれほど私を恨んでいたのですか……」
 晶の声に対し、ラミエルは小さく呟いた。
 音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)はその様子を見据え、思いを巡らせる。
(「私がサリエルとの約束を告げた時、ラミエルは何を思ったのか――……いえ、今さらですね」)
 言葉を交わす時間はとうに終わっていると華楠は認識していた。
 聞けたとしても、今になってはどうにもならないことばかりだろう。おそらくラミエルは死を覚悟しており、大天使陣営の不利になるようなことは一切話さない。
「――ラミエル、私はあなたを殺します!」
「俺も約束したからね。ラミエルを倒すって。いつか、ミカエルも倒すよ」
 華楠の宣言に続き、リオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)が決意を宿した言葉を向ける。
 確かに約束した。
 復讐者が代わりに怨敵に必ず復讐を遂げるという言葉を信じ、大天使サリエルは此方に多くの情報を遺した。敵として、味方としては相容れない存在ではあるが、あの意思をただ利用しただけで終わりたくはない。
 リオーネはあの約束を守り抜くため、此処に馳せ参じた。
 サリエルは己の消滅を嘆きつつも戦い続け、存在した証をリオーネに刻み込んで逝った。
「俺はあの人の想いを貫き通したい。それが未来に繋がるなら、尚更だよ」
 わかって欲しいなどとは告げなかった。
 必死に生きた証を遺そうと足掻いたとしても、サリエルもまた大天使だ。彼女が正しかった証拠もない。
 それでもリオーネはあの必死さに報いるために訪れた。分かりあえはしない敵であったとしても、死した者を尊ぶ気持ちを忘れたりなどしない。
 倒すだけならば、今でなくても良いのかもしれないと悩みもした。
 しかし、此処で逃がせばきっといつか新宿島や最終人類史の脅威になる。
 リオーネは魔骸連刃の力を発動させ、攻勢に入っていく。激しい一閃がラミエルの身体を切り裂いていく中、華楠も追撃に移った。先程から戦い続けている華楠はラミエルへの対抗策を巡らせる。
「今度は、私の最強のパラドクスをお見せします!」
 此処まで形ある斬撃によって妖精達が薙ぎ払われていた。されど華楠は更に充分な数の妖精を召喚し、万全の補助を願っていく。意思を固めている以上、後には引けない。そして――。
「雷幻想・閃耀!!」
 ラミエルの反撃は五感にすら作用する膨大な稲光となっている。しかし、華楠はその幻ごと逆に自分の閃耀に呑み込んでやるつもりでいた。
 攻防が繰り広げられる中、晶はラミエルに問いを投げ掛ける。
「最後に一つ、何故葛飾区を奪ったんだ? 葛飾区だからか、相手がサリエルだからか?」
「そのくらいの話ならしてもいいでしょう……。サリエルとの因縁は、私が葛飾区を手に入れた後に生まれました。いうなればそれ以前には何もなく、向こうが一方的に恨みを向けていただけです」
「じゃあ、サリエルが大天使を裏切るまで追い詰めて、何がしたかったんだ?」
「私の正しさを証明するために力が必要でした。この状況に追い込まれた今、証明はできませんでしたが……」
 ラミエルの息は上がっている。
 晶と言葉を交わす間も大天使への攻撃は続いていた。それに、と口にしたラミエルは逆に晶に問いかける。
「恨みの感情に振り回されるような者が、支配者に相応しかったと思いますか?」
「確かに大天使側から見ると不都合だな」
「……そういうことです。しかし、今だからこそ思うことですが、サリエルには悪いことをしたかもしれませんね」
「そんなこと、今更思っても遅いだろ」
 晶は聞きたいことは聞けたとして、これ以上の問答は意味がないと判断した。後は味方との戦いに気を取られているところを狙うため、それまで身を潜めていればいい。
 リオーネも攻撃を続け、ラミエルの力を削り取っていく。
 肉体変異で刃を生やしていた彼は異形の肉体で接近戦を挑み続けていた。ラミエルの攻撃も激しいが、リオーネが抱く思いの強さもかなりのものだ。
「俺は幻じゃ止まらない。ううん、止まれない」
 ――あの人の慟哭が、この胸にある限り。
 リオーネの一閃がラミエルを更に切り裂けば、華楠が再び前に出た。
「その斬撃も、私に届く前に決めるつもりなので関係ありません! 幻の雷などぬるいんです!」
「!?」
「本物の雷使いを舐めるな――真の、至高なる雷の神威、思い識れ!!」
 華楠の猛攻撃がラミエルを貫き、多大な衝撃を与えた。声すら出せずにいたラミエルの身体が大きく揺らぐ。
 其処に好機を見出し、飛び出した晶は奇襲めいた動きでラミエルの懐まで飛び込んでいった。
 晶は魔晶剣アークイーターの封印の一部を解除していき、巨大な牙と口のような異形の大剣に変異させる。そして、ラミエルを叩き斬る勢いで飛翔した。
「噛み千切れ、アークイーター!」
 貪リ喰ラウモノの名に相応しい斬撃が見舞われ、敵の身は激しく喰い千切られていく。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【土壌改良】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【ドレイン】がLV3になった!

クロセル・ノートリア
話せる間には間に合ったか。
余はクロセル・ノートリア。汝…いや貴女と対話の継続の為に参ったディアボロスの一人、であった。
余としては貴女と長期的な関係を築く算段であったが…
種族の軛を越えうると期待しておったのだよ、同じ異端者としてな。
最早貴女の身柄の確保も出来ぬ以上、余と知識を共有する事も許されぬ。
かくなる上はその身の一部でも余と共に連れて行きたいと思う。
羽の一枚でも良い、貴女の求めた景色の先へ連れて行ってやりたい。
そして何か希望があれば最大限善処しよう。最もこのディヴィジョンの存続は無理な相談だが…。

…世界の法則というのも残酷であるものだ。知を求むる貴女とはよき友となれただろうにな。


●歪んだ慈愛の正体
 夕暮れが宵色に染まっていく中、大天使の羽根が海風を受けて舞い上がった。
 死の間際に立たされている状態のラミエルの元へ、クロセル・ノートリア(魔公・g01918)が訪れる。
「余はクロセル・ノートリア。汝……いや貴女と対話の継続の為に参ったディアボロスの一人、であった」
「……」
 クロセルの言葉が過去形だったのは、過ぎてしまった事柄であるからだ。
 半身を食い千切られ、疲弊したラミエルは何も言わないままだった。
「余としては貴女と長期的な関係を築く算段であったが……種族の軛を越えうると期待しておったのだよ、同じ異端者としてな。しかし最早貴女の身柄の確保も出来ぬ以上、余と知識を共有する事も許されぬ」
 しかし、次の瞬間。
 ラミエルは重い口を開き、息も絶え絶えに語り始めた。
「どうして……何故……。多くの者は、融和を望まないのでしょうか……。戦略的に均衡を保つこと願っても、大天使にもアークデーモンにも嫌われるだけで、私の願いとは逆の方向に進んでしまう……。そして、多くのディアボロスにも私は……ああ……」
 大天使は譫言のような声を絞り出す。
 まだ口を挟むべきではないと考えたクロセルは黙って聞いていた。
 ラミエルの意識は朦朧としているらしく、独り言めいた声が零れ落ちていく。
「でも……嘘偽りなく『嫌いではない』と言ってくれたディアボロスがいた。それだけだというのに、何故かとても嬉しかった……。もう一度だけでも、言葉を交わしたいと願ってしまった。きっと……それが、私が無意識にこの場所に残った理由でした。けれども、もう彼には会えずに終わるでしょう……」
 ラミエルの言葉は本音のようだ。
 だが、それは此処まで追い詰められなければ決して出なかった言葉でもある。
「これまでも……皆と融和して、慈愛を向ければ……私も愛し返してもらえると思いました。しかし、誰も応えてくれなかった……。こんなことになるならば人間達を完全に支配して、愛と信仰を向けさせればよかった……」
 クロセルはラミエルが歪な精神を持っていると見抜き、静かに考察する。
(「融和への拘りは、自己愛が変じたものだったのか?」)
 結局のところ、歪んだ愛への考えと大天使としての立場がある以上、ラミエルは変わらない。融和が叶わぬと知れば、いつか信仰や偽りの愛で自分を満たすための道具として人間を扱っただろう。人間相手ではないものの、イーリスを手に入れられないと分かった後、ラミエルが彼女を見捨てる選択をしたことが証拠にもなる。
 それでも、クロセルは死にゆくものへ敬意を払うことにした。
 彼女が敵であることは未来永劫変わらない。
 だが、誰かに愛されたいと願ったこと自体を否定してはいけないような気がする。他のディアボロス達が死したサリエルとの約束を守ろうとしたように、全てを否とする必要はない。
「何か希望があれば最大限、善処しよう。最もこのディヴィジョンの存続は無理な相談だが……」
 クロセルが話を持ちかけようとするとラミエルがはたとした。
 今の自分の言動を顧みて正気にかえり、語りすぎたと察したようだ。
「いいえ、希望など語りません。……後はミカエル様に任せ、私は戦いにて幕を下ろすだけです」
 そして、ラミエルはクロセルの前から飛び去った。
 此処が死地になると悟りながらも、最期まで抗うためだろう。
「……世界の法則というのも残酷であるものだ。知を求むる貴女とは、よき友となれただろうにな」
 クロセルに出来るのは見送ることだけ。
 その手には、激しい攻防の中で散った大天使の羽根が一枚、握られていた。
 
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

一里塚・燐寧
ぶっちゃけ、めっちゃくちゃ悩んだけど……
新宿島とダイレクトに隣接してるエゼキエルの連中に場所を知られるのは
今までの戦争で見られちゃってるのと重みが違うかな

あたし達が他のディヴィジョンに攻め込むみたいに、新宿島を襲われたら?
応援してくれるふつーの人達には、もう謝るしかないや
少しでもそーゆー可能性があるなら……ラミエルはここでブッ殺す

海上のラミエルに引導を渡すべく【飛翔】で戦域へ
≪DCブラスター≫を砲撃モードで構えて接近し
その間、高速詠唱で怨念のエネルギーを砲身にチャージ
満タンまで溜まった瞬間『闇雷収束咆・猛爆砕』をブチ込むよぉ!
こーゆー時、どんな顔すればいいか分かんないけど……それでも、進むっ!


アンゼリカ・レンブラント
話すこと
討つこと
これだけの復讐者が真剣に想いを乗せている
どちらでも間違いではない、断じて!

それだけを心に留め、自分の出来ることを行う
光剣を手に挑むよ

【飛翔】を生かしダッシュ、近接戦を挑む
斬りこんだら反撃を堪え一撃離脱、
共に戦う仲間と攻撃を合わせ挟み込むように攻撃する
仲間たちがラミエルにここまで与えた傷を抉るよう突くよ

自分では声をかけないが、
ラミエルが誰かの声に反応するならその隙を穿つ

お前を斬った感触も、上がる血潮も
命を散らす確かな罪も
全部忘れないし報いを受けるが必要ならいずれ必ず
けれど今は――

幼き日憧れた英雄とは真逆の行いかもしれない
けれど進むんだ!
己の全てを込めて《光剣収束斬》で両断を狙うよ


リューロボロス・リンドラゴ
死中に活を求めるか。
よくぞ言った。
ああ、そうだ。
選んだのは我らだけではない。貴様でもあるのだ。
生かすも殺すも我ら次第?
違う。
貴様の命も。貴様の死も。
我らのものではない。ぬしのものだ。
だが。勝つのは、我だ。

――真体降臨(ネメシス)。神剣抜刀。

我は龍。我こそはドラゴン。
我が全身、我が全霊を以て。
ラミエル! 貴様に勝つ!

我が真体で【飛翔】しながら切り結ぼうぞ。
互いに手の内は割れておる。
小細工は無用であろうよ。
ただ奴だけを見て、真っ向から打ち勝つまでよ!

……ラミエルよ。
我らと融和を望んだこと、後悔しておるか?
いや、この問いかけそのものが侮辱であったか。すまぬ。
ではな、ラミエルよ。さらばだ。


●選び取った未来
 海上で繰り広げられる戦いは激化している。
 空を舞い、宙を翔け、敵を貫き、或いは斬り結ぶ。交錯する力は拮抗しあい、夕暮れの空に雷鳴が轟く。
 アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)は大天使ラミエルを鋭く見据えた。あの大天使が他の大天使と違う意見を持ち、独自に動いていることは分かっている。
 話すこと。
 討つこと。
 ディアボロスが選ぼうとした道筋は分かれていたが、どの者も真剣に想いを貫こうとした。其処に貴賤はない。
「どちらでも間違いではない、断じて!」
 アンゼリカはそれだけを心に留め、自分の出来ることをしたいと願った。
 光剣を手にしてラミエルへ挑んでいくアンゼリカに続き、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)も敵に立ち向かっていった。相手が紡ぐ力ある言葉は激しいが、誰も気圧されるようなことはない。
「ぶっちゃけ、めっちゃくちゃ悩んだけど……」
 燐寧は決戦を行う現状について、自分なりの思いを馳せた。
 新宿島と地理的に隣接しているTOKYOエゼキエル戦争。其処を支配している者達に新宿島の場所や存在を知られることは、きっとあってはいけないことだ。
(「やっぱり、今までの戦争で見られちゃってるのと重みが違うかな」)
 ラミエルに聞かせるわけにもいかないので、燐寧は胸中で思いを確かめる。万が一にしか起こらないことであっても、可能性があるのならば消しておきたい。
 そう判断した理由は、力を持たぬ人々への思いがあるからだ。
(「あたし達が他のディヴィジョンに攻め込むみたいに、新宿島を襲われたら? 応援してくれるふつーの人達には、もう謝るしかないや。だから、少しでもそーゆー可能性があるなら……」)
 燐寧はダブルチェーンソーブラスターを砲撃モードにしていき、戦意を差し向ける。
「大天使……ラミエルは、ここでブッ殺す」
 此処で戦っている者は皆、信念を持って挑んでいる。
 リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)もこの場で決着を付けることを願っていた。追い詰められたラミエルは逃げるでもなく、戦い抜くことを宣言している。
「死中に活を求めるか。よくぞ言った」
「くっ……そのように仕向けたのは貴方がたでは――」
「ああ、そうだ。選んだのは我らだけではない。貴様でもあるのだ」
「……」
 リューロボロスが語りかけると、ラミエルは複雑な表情を浮かべた。
「生かすも殺すも我ら次第? 違う」
「……」
「貴様の命も。貴様の死も。我らのものではない。ぬしのものだ」
 ラミエルはリューロボロスの言葉を黙って聞いている。無論、その間に雷霆の如き力を紡ぐことも怠らない。リューロボロスは力を巡らせながら大天使に宣言していく。
「だが。勝つのは、我だ」
 ――真体降臨。神剣抜刀。
 言葉と共にネメシス形態へと変じたリューロボロスは、蒼炎を巡らせるドラゴンに成った。
「その姿は……!?」
「我は龍。我こそはドラゴン。我が全身、我が全霊を以て。――ラミエル! 貴様に勝つ!」
 真体で飛翔したリューロボロスはラミエルを切り結びに掛かる。
 既に互いに手の内が割れているならば小細工は無用。リューロボロスはただラミエルだけを見据え、真っ向から打ち倒しに向かった。その一撃は地を薙ぎ、海を断ち、空をも引き裂くほどのもの。
 燐寧もラミエルに引導を渡すべく、高く飛んだ。
 接近する間、高速で詠唱を紡いだ彼女は怨念のエネルギーを砲身にチャージしていく。
 アンゼリカは燐寧と共に近接戦を挑みにいった。一撃を斬り込めたならば、反撃を堪えて一撃離脱の形を取る。共に戦う仲間と攻撃を合わせ、挟み込むように攻撃していけばラミエルは逃げられない。
 仲間が敵につけた傷を抉るように、アンゼリカは剣で急所を突く。
 アンゼリカは自分からは声をかけないが、これまでにラミエルに語りかけた者の言葉を聞いていた。
 終わりが近付いていることを察したアンゼリカは言葉を紡ぐ。
「お前を斬った感触も、上がる血潮も、命を散らす確かな罪も、全部忘れない」
 報いを受けるが必要なら、いずれ必ず――。
 けれど、今は未だ。
 幼き日に憧れた英雄とは真逆の行いかもしれない。もしこれが物語の中であるとしたら、敵すら許してやるのが英雄の強さなのだろう。されど、この世界は残酷でもある。
 ディアボロスとクロノヴェーダ。即ち、復讐者と歴史侵略者。
 双方は戦うことを宿命付けられている。決戦を先延ばしにしたとしても、いずれはぶつかりあう運命だ。
 きっと勧善懲悪にはならない。
 誰かの心に傷を刻んでしまうかもしれず、相手を救うことも出来ない。それでもアンゼリカは光剣を構えて飛び、燐寧もダブルチェーンソーブラスターを抱えて突撃していく。
「こーゆー時、どんな顔すればいいか分かんないけど……」
「けれど、進むんだ!」
「それでも、進むっ!」
 アンゼリカと燐寧の声が重なり、そして――。
 己の全てを込めた光剣収束斬が相手の翼を両断していき、燐寧の猛爆砕が闇雷の力を広げながらラミエルを貫く。ほぼ零距離から放たれた火球はラミエルを穿ち、戦う力を完全に奪った。
「ここまで……ですね……」
 ラミエルが反撃することはなく、雷撃が起こることはもうないだろう。誰もが最期の時を感じ取っている最中、リューロボロスは大天使に語りかけていく。
「……ラミエルよ。我らと融和を望んだこと、後悔しておるか?」
「…………」
「いや、この問いかけそのものが侮辱であったか。すまぬ」
 リューロボロスが話を切り上げようとすると、ラミエルから震えた声が紡がれた。
「後悔など、していません。死の運命が待っていたことは予想外でしたが……。以前、イーリスが強く主張していたように、ディアボロスはTOKYOエゼキエル戦争にとって危険です……。それだけは……わかりましたから……」
 最期の最後にラミエルは自分が間違っていたことを認める。
 クロノヴェーダとディアボロスは相容れない。
 光の調停者イーリスが強く主張していたように、そのことをやっと知れたのだ、と。
 その言葉を聞いたリューロボロスは、此処で決着を付けるべきだったのだとはっきりと実感した。
「ではな、ラミエルよ。さらばだ」
 先程まで夕暮れ色に染まっていた空は今、深い夜の様相へと変わりつつある。
 リューロボロスが振るった一刀は星薙となり、大天使ラミエルに刻まれる最後の一撃となった。
 海へと還りし、海から来たりし奪還者。
 凛々しき竜に討たれたラミエルは、最期に一度だけティベルデを一瞥した。
 そして、彼女は静かに瞼を閉じる。
「ああ……これは報いでしょうか。サリエルを堕とし、イーリスを見捨てたことへの……」
 そういって大天使ラミエルは自ら飛ぶことを止めた。
 彼女はあっという間に眼下の荒波の中に落ちていき、やがてその気配が消え去った。ラミエルが海中で完全に消滅したことは誰の目にも明らかだ。
 ディアボロス達はこの戦いの終幕と勝利を悟り、遠く沈む夕日を見つめた。

 こうして、海上決戦は終わりを迎える。
 この世界で生きていくうえで完璧な正解などない。しかし同時に、絶対的な間違いも存在しない。
 それゆえに此度のディアボロス達の選択も、きっと――正しき道へと、繋げていくことが出来るはずだ。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【一刀両断】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【リザレクション】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年12月24日
宿敵 『ラミエル』を撃破!