【獣神王朝エジプト奪還戦】オアシスに咲く薔薇(作者 花々実コノネ)
#断頭革命グランダルメ
#【獣神王朝エジプト奪還戦】竜騎皇妃ジョゼフィーヌ
#獣神王朝エジプト奪還戦
#ファーストアタック
#断頭革命グランダルメ
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澄んだオアシスが明るい空を映している。
砂漠の人々の生命を支えてきたオアシス。その周辺はオアシスの水の恩恵を受けた植物が……美しき薔薇の庭園が広がっていた。
庭園にはフランス風の小宮殿までもが建てられている。
その小宮殿の中、オアシス都市を制圧した『竜騎皇妃』ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネは優雅にソファで寛いでいた。
「こちらに向かってきたファラオの軍勢を撃破したのね、良くやったわ」
解体少女からの報告に、ジョゼフィーヌは満足そうに頷いた。ジョゼフィーヌの趣味なのか、この小宮殿にいる解体少女たちは侍女のような服装をしている。
「たかがファラオの一体が、竜騎皇妃たる私に敵うとでも思っているのかしら」
微かに細めたジョゼフィーヌの瞳には、嘲りの色があった。
「まぁ、今は泳がしておきなさい。時が来れば、あのファラオを滅ぼして、この地を断頭革命グランダルメに奪い取るのですから」
ジョゼフィーヌの中で、それはすでに決まっていること。
含み笑いながらジョゼフィーヌが視線を動かす。その先にいたのは、平伏したマミーたちだった。
「獣神王朝エジプトは風前の灯火のようね。どう思います?」
楽しくてたまらない様子のジョゼフィーヌの問いかけに、
「まさに、その通りでございます」
「どうぞ、我らを断頭革命グランダルメにお導き下さい」
マミーたちは追従するような卑屈な表情で、口々に答えたのだった。
「いよいよ獣神王朝エジプトの奪還戦ですね」
新宿駅のホームで久住・野乃(六尾のもふ狐・g03512)はディアボロスたちを迎えた。
獣神王朝エジプトは、一般人をリターナーとし、見せかけの死者の復活を演出することにより、絶大な信仰のエネルギーを集めていた。目の前にある奇蹟によって、人々はエンネアドを信じ、奉り、そのエネルギーは七曜の戦いのための強大なクロノ・オブジェクトを生み出した。
崩すことのできない盤石の備え。
そう見えた態勢を、ディアボロスたちは少しずつ、だが確実に揺るがし、成果を積み上げてきた。
そして遂に――クフ王を追い詰めた。
「追い詰められた『クフ王』は、七曜の戦いのために準備していた『太陽の船』をはじめ、歴代のファラオであるジェネラル級マミーを解き放ち、決戦態勢に入りました」
だが、動いたのはクフ王ばかりではない。
この決戦に乗じ、排斥力の弱まった獣神王朝エジプトの土地を奪おうと、幻想竜域キングアーサーのドラゴン、断頭革命グランダルメの自動人形が介入、更に、南からは『巨獣大陸ゴンドワナ』の巨獣の群れ、東のシナイ半島からは『蹂躙戦記イスカンダル』のジェネラル級ディアドコイ『救済者プトレマイオス』が多数の亜人を率いて、攻め寄せてくる。
「獣神王朝エジプト奪還戦では、エンネアドやマミーだけでなく、4勢力のクロノヴェーダとも戦うことになりそうです。奪還戦の前にこれらの軍勢の戦力も削っておきましょう」
だが相手は大戦力。深追いすることなく、充分な打撃を与えた後はすみやかに撤退するのも、奪還戦への備えだ。
「ここまでこられたのは、攻略旅団での提案と、がんばってきたみなさんのおかげですね」
揺るがぬ態勢に打ちのめされそうになりながらも諦めずに前進し続けた、その結果としての奪還戦が始まろうとしている。
「少しでも勝率をあげるために、この戦い、がんばりましょう!」
よろしくお願いします、と野乃はディアボロスを送り出すのだった。
リプレイ
シューニャ・シフル
アドリブ連携歓迎
もう死に体の軍勢なんて相手にしてもつまんねぇだろ。俺が相手になってやるからかかってこいよ。
【挑発】しながら突っ込んで手にしたククリで斬りつける【フェイント】から、顔面に膝蹴りを叩き込んで【爆破】してやるよ。
人形の攻撃は左腕を盾にして防ぐ。
デカイ獲物だけどな、そんな手入れも出来てねぇもんで俺の左腕を斬り落とせると思うなよ。
ま、今はこんなもんだろ。後でむざむざ部下を死なせたジョゼフィーヌってらつの顔を拝ませてもらうぜ。
*敵を貶すような発言はしません。
リノーカ・ヴィエルィリーニャ
出来得る限り味方と協働
戦闘中口調、淡々と口数少なく被弾時も無表情で機械的
エジプトは死体の物でも人形の物でも無い
どちらにも虐げられた者達の物だ
銃剣を用いて味方への支援或いは敵への制圧射撃
接近された場合は猶予があれば腰の曲刀を抜いて応戦、無い場合は銃剣で体重を乗せた刺突
大腿部等の比較的太く尚且つ行動を阻害し得る部位を狙いつつ、パラドクスを用いて速射する
完全視界で砂や煙等が立ち込めた場合でも視界と広い視野を確保し、状況に合わせ位置を変える等の地形の利用を
必要に応じて確保した視界から得た情勢情報を味方に口頭で伝達し、突出した者がいれば引き留める
撤退の際は信号拳銃で信号弾を用い、射撃による撤退支援も行う
シャルロット・アミ
グランダルメにいい顔はさせないわ…って
まあ、あなたたちは侍女姿なのね
可愛らしいけれども、それだけのこと
モーラットのモラさんを少し前へ配置
私は愛用のバイオリンを構えるわ
おいで、暗い雲
オアシスにはふさわしくない暗い雲
孤独を苛む雨を降らして、あの人形を壊して頂戴
モラさんには少し先で戦況を見ていてもらうわ
こちらに大勢向かってきたら撤退の合図
走ってバイオリンは弾けないから、潔く逃げるわ
逆に穴を開けられそうなら、少し踏み込んで
とは言っても無理はしないわ
ジョゼフィーヌには謎も多いけれど
引き際は見極めるつもり
アドリブ、連携、歓迎です
パラドクストレインを降り、小宮殿のあると言われた方向へ歩くと、すぐにオアシス都市が見えてきた。
咲き誇る薔薇は美しい。だが、その風景がシューニャ・シフル(廃棄個体 No00・g07807)に与えてくるのは違和感でしかない。
「気色悪いな」
「そうね。グランダルメをこんな場所に広げさせてはおけないわ」
早々にお引き取り願わなくては。グランダルメにいい顔はさせないわと、シャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)は呟いた。
「獣神王朝エジプトにも渡せないね。ここは死体の物でも人形の物でも無い。どちらにも虐げられた者たちの物だ」
奪われ、そして踏みにじられた場所を必ず取り戻すのだと、リノーカ・ヴィエルィリーニャ(赤錆びた樹の末裔・g04321)は固く誓う。
「なら、まずはあの人形たちの相手からだな」
こちらの侵入に気付いたのだろう。向かい来る解体少女へと、シューニャは顎をしゃくった。
「まあ、侍女姿なのね」
自動人形に装いを変えさせることもあるのかと、シャルロットは解体少女たちの服装に目を見張った。なんと可愛らしい。
「でも、それだけのこと、ね。モラさん、お願い」
見た目は変われど、倒さねばならない敵なのに変わりはない。シャルロットはモーラット・コミュのモラさんを自分の少し前に配置し、自身は愛用のバイオリン『シャコンヌ』を構えた。
「おいで、暗い雲」
シャルロットのバイオリンから流れ出したのは、寂しく暗い曲。
その曲が呼ぶのは、オアシスにはふさわしくない暗い雲。
解体少女たちの頭上から、暗い雲は雨を降らせる。
「あの人形を壊して頂戴」
しとしとと降る雨は解体少女たちを寂しさと孤独へと追い込み、その精神をむしばんでゆく。
そこに銃声が連続して響いた。
シャルロットがダメージを負わせた敵めがけ発射されたのは、リノーカの【継続射撃】だ。
素早く精確な速射に必要な物は、良く整備された銃と良く鍛えられた兵士。身の丈ほどもあるシスチェルニの手入れは万全。重心を低くした安定姿勢で放たれた銃弾は、解体少女の大腿部を撃ち抜いた。
沈み込んでいきそうなダメージと追い打ちの銃弾。致命傷を受けながらも、解体少女たちは鋸剣を掲げた。発せられるおぞましき波動が四方からシャルロットを押し包み、その上に斬撃が振り下ろされる。
「ジョゼフィーヌ様のお邪魔はさせません!」
高速で振動させた鋸剣の刃を、リノーカを解体せんと関節部分を狙って押し当て、そこで力尽きて解体少女は庭園に倒れた。
鋸剣の痛みには顔ひとつしかめず、リノーカは負わされた傷を確かめた。どれも深手ではない。だが積み重なればここに留まれなくなる。
一体でも多く倒しておくために、リノーカは与えたダメージと負ったダメージを冷静に頭に入れると、また次の敵に狙いを定めた。
「つまんねえ軍勢よりも、俺と戦うほうがずっと面白いぜ。さあ、かかってこいよ」
シューニャはこれみよがしに、手にしたククリを解体少女へ振ってみせた。
「言われずとも、侵入者はすべて排除します」
解体少女は鋸剣を頭上に構えた。侍女の細腕と見えるが、構えに揺るぎはない。見た目がどうであれ自動人形に変わりなく、その腕力も侮れない。
「殺る気か。そうこなくっちゃな」
挑発の言葉を投げかけながら、シューニャは解体少女へと突っ込んでゆく。
高くククリを振り上げて解体少女の目を引き付け……ておいて、ヘッドドレスがついた解体少女の頭の後ろに両手を回す。
『キレイに吹き飛ばしてやるよ』
打ち込んだのは、顔面目掛けての飛び膝蹴り。だけではなく、直撃と同時に膝当てに仕込んであった指向性爆弾を炸裂させる。
大穴が空いた顔から部品を垂らしながらも、解体少女は鋸剣を振り下ろす。それをシューニャは左腕を盾にして受けた。受けた腕を払うと、解体少女はそのまま前のめりに崩れ落ちた。
「デカイ獲物だけどな、そんな手入れも出来てねぇもんで俺の左腕を斬り落とせると思うなよ」
鋸剣がかすめた傷と自分のパラドクスで負った火傷、そのどちらも気にせずシューニャは次へ向かった。
ぱたぱたと短い手とリボンのついた尾をモラさんが振り回す。
「敵が大勢やってきたわ。どうする?」
逃げるか、もう少し留まるか。シャルロットは皆に尋ねた。
「ま、今はこんなもんだろ。後でむざむざ部下を死なせたジョゼフィーヌってやつの顔を拝ませてもらうぜ」
深追いをして、奪還戦に影響を残しても本末転倒だと、シューニャは判断する。
「それが賢明なようだね」
リノーカも同じ判断に至ると、信号拳銃で信号弾を撃ちあげて、他のディアボロスたちにも撤退することを知らせた。
撤退と決まれば迅速に。
3人は速やかに帰還を果たしたのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
プターハ・カデューシアス
ようやくここまで辿り着いたのです
みすみすグランダルメに侵略させません
オアシスの町を勝手に改築し寛ぐ
余裕ですね、ジョゼフィーヌ
皇妃自らおいで頂いたのなら
こちらも全力を持って「おもてなし」しなくては
エジプトが気に入ったのなら、首だけ永住して下さって結構ですよ?
まぁ…その前に
配下は減らしておきましょうか
敵陣と戦況を冷静に観察
花吹雪で敵の通信を妨害
要となる個体(小隊長等)を判断し攻撃
効果的に連携の分断をするよう試み
敵の連携を断ち孤立した所仲間に止めを任せます
ソレイユにディフェンス
息のあった連携を
共に戦える事、頼もしいです
効率よく撃破していきましょう!
今回はご挨拶まで
引き時を見極め、深追いせずに撤退を
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
グランダルメの戦力増強は何としても避けたく
エジプト征服など砂上の夢だと思い知らせてやりましょう
宙に展開した鍵盤で「月虹」を演奏
月の化身を喚び、飛翔しつつ上空から奇襲を仕掛けます
突出は避け、仲間とタイミングを合わせて攻撃
体力の少ない者を優先撃破
プターハと連携し
隊長格等の強敵には互いの死角をカバーするよう立ち回ります
プターハへのW技はディフェンス
頼もしい仲間と共に戦えるなら、普段以上に頑張れる気がします
反撃は魔力障壁で軽減
グロリアスで回復し、できるだけ粘りたい所
わざわざ宮殿まで作って寛ぐ余裕っぷりには
多少なりとも冷水を浴びせてやりたいですから
とはいえ無理は禁物
程々の所で撤退致します
タオタオ・ザラ
人様のディヴィジョンででかい顔してんじゃねえ
迷惑極まりないこって、何様のつもりだっての
魔石を砕いてジンの分霊を呼び出す
さァて、シャムも一緒に遊ぼうぜ
お人形遊びなんてやったことねえけどよ
けらりと笑いながら、加護を得て強化された武器を振るう
シャム、死角のフォローと取りこぼしの処理は任せた
手足を捥げばいいのか、首を落とせばいいのか
はは、なァんだ
お人形遊びも案外楽しいもんだなァ、シャム?
なァ、お姫様
砂漠に薔薇は咲かねえよ、おとぎ話じゃねえんだ
完全に根付く前に、ほぅら、散れ散れ
ファラオ如き蹴散らしたくらいで調子乗んな
とは言え先もあるので、腕に力が入らなくなったら撤退
はてさて、解体されるのはどちらでしょ?
砂漠に暮らす民にとって、オアシスはかけがえのないものだ。貴重なオアシスを大切に守り、その恩恵を受けて人々は生きる。
そんなオアシスの周囲に、華やかな薔薇園が広がっていた。
「……なんだこれ」
タオタオ・ザラ(大喰らい・g05073)が薔薇の花びらを指先でつまむ。
「人様のディヴィジョンでなにしてくれてんの。迷惑極まりないこって、何様のつもりだっての」
小宮殿の奥にいると思われる、『竜騎皇妃』ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネに向かってタオタオは毒づく。
花が悪いのではない。だが我が物顔にオアシスを作り変える、その行為にプターハ・カデューシアス(エジプトの龍人・g03560)は顔をしかめた。
「オアシスの町を勝手に改築し寛ぐ。余裕ですね、ジョゼフィーヌ」
「すっかりここを手に入れた気分なのでしょうね。ですが、グランダルメの戦力増強は何としても避けたいところです」
必ずやジョゼフィーヌを退けねばならない。ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)の言葉に、プターハも大きく頷いた。数々を乗り越えてきたのだ。一片たりとも渡さない。
「ようやくここまで辿り着いたのです。みすみすグランダルメに侵略させません」
そう言ってプターハはちょっと悪い顔をして笑った。
「皇妃自らおいで頂いたのなら、こちらも全力を持って『おもてなし』しなくてはなりませんね」
「ほぉー、『おもてなし』。喜んでもらえそうじゃ」
タオタオがけらけら笑った。
「ええ、それはもう。エジプトが気に入ったのなら、首だけ永住してもらいましょうかね」
「首を残されても邪魔でしょうが、わざわざ宮殿まで作って寛ぐ余裕っぷりには、多少なりとも冷水を浴びせてやりたいですからね」
軽口を交わしながら進むうちに、解体少女たちが湧きだすように現れた。揃いの侍女姿に、物騒な鋸剣を振りかざす。
それに応えてプターハは錫杖型をした命運の鍵を構えた。
「その前に配下を減らしておきましょう」
「はい。エジプト征服など砂上の夢だと思い知らせてやりましょう」
ソレイユがFonte de la musiqueを起動させると、宙にピアノの鍵盤が出現した。
自動人形に連携を取らせては、こちらが不利となる。
「まずは断たせていただきましょう」
プターハが発生させた桜吹雪が、解体少女を包み込む。ただの桜吹雪ではない。電磁波を纏うそれは、視界と通信を分断する。惑う解体少女たちが向けた視線の先にいる個体へと、プターハは狙いをつけた。
『桜散りて恵み与えよ』
心慰む桜の花も、敵に対しては無数の刃となり、敵を刻む。その伴奏をつけるように、静かに始まる曲はソレイユの弾く【幻想ソナタ「月虹」】。
『月の調べ、光の加護よ』
闇夜を照らし出すさやけき月光。それは穏やかな加護、そして荒々しい狂気を孕む化身へと変ず。
眼下に桜吹雪を見ながら、月の化身はプターハが傷を負わせた解体少女へと奇襲を仕掛け、確実に2体の息の根を止めた。
無数の傷を刻まれながらその桜吹雪を突破して、解体人形たちはプターハめがけて鋸剣を高々と振り上げた。自動人形の腕力が武器に一層の威力をのせて、次々にプターハへと振り下ろされる。
ソレイユへの反撃は、おぞましい波動とそれに続く斬撃。血塗られた解体少女の武器がなにに使われてきたのかと思わずにはいられない。
鍵と魔力障壁とに鋸剣の当たる音、それが終わったときに、2体の解体少女ががしゃりと倒れた。
勝利の栄光はソレイユの受けた傷を見る間に回復させる。できるだけ多くの敵を減らしておきたいから、グロリアスの効果はとても有難い。
「頼もしいですね」
ソレイユに声をかけながら、プターハはすでに次の攻撃を開始している。狙うはソレイユが傷を負わせた2体の解体少女を含めた4体だ。
とどめをさすことのできた2体により、勝利の栄光がプターハを癒す。解体少女からの反撃はあるが、回復分でほぼ補える程度にすんだ。
「これはありがたい」
「できるだけ粘りたいところですね」
敵の只中で戦い続けるのは、肉体的にも精神的にも負担が大きい。
けれど、頼もしい仲間と共に戦えるなら、普段以上に頑張れる気がする。ソレイユの演奏する指が軽く感じられた。
タオタオの手の中で砕けた魔石がきらきらと、琥珀に輝きながら零れ落ちた。
砕けた魔石から解き放たれたのは、大蛇の姿をしたジンの分霊。するりと寄り添うように、タオタオの肩から尾を垂した。
「さァて、シャムも一緒に遊ぼうぜ」
シャムと呼ばれた分霊からは、生命のエネルギーが迸り、周囲に膂力の加護をもたらす。
「お人形遊びなんてやったことねえけどよ」
今日は可愛い侍女人形で遊んでみようか。
けらりと笑いながら、タオタオは魔晶剣をすらりと抜き放つ。
パラドクス【燈火の護石・蛇蠍】は、タオタオとシャムの連携技。大蛇に目を奪われれば、すくうように下から突き出されたタオタオの蠍の鋏角に斬り裂かれる。剣の動きを目で追えば、しなる大蛇に打ち据えられる。
片腕を半ば落とされながら、解体少女は残った片腕で鋸剣を振り下ろした。鋸剣にざりと削られても、タオタオは構わず武器を振るった。
解体少女の腕が落ち、壊れた人形が部品を散らす。
「手足を捥げばいいのか、首を落とせばいいのか。はは、なァんだ。お人形遊びも案外楽しいもんだなァ、シャム?」
タオタオが呼びかける先で、大蛇は人形を締め上げていた。
グロリアスの効果もあって、戦闘は長く続いた。
美しかった薔薇園も、いまや壊れた機械が累々と転がる殺伐たる風景へと変わり果てている。
これほどまでに解体少女が蹴散らされても、ジョゼフィーヌは姿を現さなかった。
淫魔の4将を全滅させたディアボロスの戦闘力が侮れないことを、彼女は身にしみて知っているのだろう。
ジェネラル級が出てこないのを幸いと、ディアボロスは期待以上の数の解体少女を破壊した。
だが、いかなディアボロスとはいえ、戦い続ければ疲弊は積もる。
「そろそろ引き時でしょうか」
出てくる解体少女の数が増えてきたのを見計らい、プターハが声をかける。
「今回はご挨拶まで、ということで」
「ではこの一群を片付けたら、撤退と致しましょう」
奪還戦まであとわずか。無理は禁物とソレイユは撤退の妨げとなりそうな解体少女を片付けてから、撤退に移った。
「腕だる……」
剣を収めたタオタオは、腕をぐるぐる回してから、薔薇に手を伸ばす。
「なァ、お姫様。砂漠に薔薇は咲かねえよ、おとぎ話じゃねえんだ」
小宮殿で歯噛みしているだろうジョゼフィーヌへと呼びかけると、ぐしゃりと薔薇の花びらを握りこむ。
「ファラオ如き蹴散らしたくらいで調子乗んな。完全に根付く前に、ほぅら、散れ散れ」
ちぎり取った薔薇の花を風に散らすと、タオタオも2人のあとを追って撤退していった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【怪力無双】がLV2になった!
効果2【グロリアス】LV2が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!