シテ島強行調査

 攻略旅団の提案に従い、1803年の機械化されたパリの『シテ島』に対して強行調査を行います。
 『シテ島』は、1793年では、ダブー元帥の拠点とされていましたが、1803年でも要塞化され拠点化されているようです。
 少々危険ですが、セーヌ川からシテ島に強行上陸し、威力偵察を大なってください。
 シテ島は周囲を厳しく警戒されている上、島の周囲にはトループス級の防衛拠点が連なっている為、突破に手間取れば、防衛の為のアヴァタール級が駆けつけてきてしまいます。
 防衛のアヴァタール級は次々に現れるので、1体目が現れた時点で、それ以上の探索は行えません。
 この場合は、最初に現れた一体を撃破して撤退を行ってください。
 素早く、トループスの防衛拠点を突破できた場合は、シテ島を守護する重要な存在と邂逅し、情報を得る事が出来るかもしれません。
 重要な存在と邂逅した場合も、アヴァタールの増援は駆けつけてくるので、アヴァタール級が近づいてきたら、敵についての情報をもって速やかに撤退を行ってください。

セーヌを越えて(作者 水綺蒼猫
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●シテ島強行調査
 攻略旅団からの提案を受け、1803年の『シテ島』への強行調査が決定した。
 パリ中心部を流れるセーヌ川の中州、シテ島。
 1793年のパリでは『ダブー元帥』の根拠地であったこの地は、1803年でもクロノヴェーダの重要拠点となっている。
 調査は、非常に危険かつ困難であることが予想される。
 だが島で行われている敵の作戦を暴くことが出来れば、重要な情報が得られるばかりか、パリの機械化を目論むジェネラル級自動人形『不滅のネイ』との戦いにも有利に働くに違いない。

「……で、まずはシテ島への潜入についてなんだけど」
 手元の資料に目を落としたリュシル・ポワリエ(人間のリアライズペインター・g03179)が、1803年当時のパリ市内を描いた地図を広げて説明を始める。
「島の周囲は敵の警戒が厳しくて、簡単には近づけそうにないんだって」
 では、どうすればいいのか。
 そう尋ねたディアボロスへの答えは、意外なものであった。
「対岸からセーヌ川に入って、水の底を通って島のそばまで近づいて欲しいの」
 水中ならば絶対に見つからないという保証はないが、発見される確率は大幅に下がるはずだとリュシル。
 パラドクスを駆使するなどしてシテ島に接近した後は、上陸に適した地点やタイミングを見極める必要がある。
 とはいえ、いつまでもぐずぐずと水の中に留まってもいられない。
「とにかく少しでも早く行動して、うまく敵の警戒の隙をつく……それが大事だね」
 上陸後は警備のトループス級を撃破し、シテ島の中枢を目指すことになる。
「素早くトループス級の防衛拠点を突破出来たら……」
 シテ島を守護する『重要な存在』に会えるかもしれない。
 逆に突破に手間取って時間をかけ過ぎてしまった場合、異変を察知したアヴァタール級のクロノヴェーダが次々と駆けつけてくる。
 そうなれば、調査は中断。
 最初に遭遇するアヴァタール級クロノヴェーダ『アンドレ・マッセナ』との戦闘の後、その時点までに得られた情報を持って速やかに撤退……という流れになりそうだ。

 機械化ドイツ帝国の技術を手に入れた不滅のネイは、パリを機械化し、ゾルダートを量産しようとしている。
 要塞化したシテ島も、恐らくはこの計画の一部なのだろう。
 仲間のディアボロスたちはゾルダートの秘密工場を破壊し、現在は市内にある機械化工場を破壊する作戦を行っている。
「シテ島の秘密を暴くことが出来たら、さらに次の作戦に繋がるかもしれない」
 パリを機械化しようとしている、不滅のネイを打倒するためにも──。
 皆の力を貸して欲しいと、リュシルは頭を下げた。

●堅城鉄壁
「おい、見ろ!」
 シテ島内を警備するトループス級クロノヴェーダ『フリアン・ドール』たちが、にわかに騒ぎ出す。
 彼らは島の上空を舞う一羽の鳥を発見するなり、装備した管楽器型の銃砲を一斉に構えた。
「撃て、撃てーっ!」
 掛け声とともに発せられる無数の銃弾。
 何も知らぬげに悠然と翼を広げた鳶は全身を撃ち抜かれ、たちまち憐れな肉片となって水面に墜落した。
「ディアボロスは、動物を利用する能力があるというからな」
「うむ」
 硝煙の向こうで頷き合う、フリアン・ドール。
 ただの動物であろうと、島に侵入する者はすべて抹殺する。
 それが、鉄壁の守りを誇る彼らの掟であった。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


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POW  ラ・ポタンス

技能:捕縛/暗殺/早業 (各15LV)

触手型サブアームで掴んだ敵を吊り上げながら、マニピュレーターで頸部を絞め上げます。
(元パラドクス:デッドリーバインド)

SPD  ラ・ピヤージュ

技能:捕縛/暗殺/早業 (各15LV)

触手型サブアームで敵を鷲掴みにし、振り回して周囲に叩き付ける等して弄びます。
(元パラドクス:デッドリーバインド)

WIZ  ラ・トラックゥール

技能:臨機応変/地形の利用/フェイント (各15LV)

触手型サブアームと四肢を器用に用いて戦場を縦横無尽に走り回り、敵の死角から奇襲を仕掛けます。
(元パラドクス:ストリートストライク)

特殊ルール 【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。
👑11

●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【泥濘の地】
3
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV5 / 【ガードアップ】LV3 / 【アクティベイト】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ロストエナジー】LV1 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

水綺蒼猫
 こんにちは。水綺蒼猫です。

 機械化の進む1803年のパリの街。
 セーヌ川の中州であるシテ島は要塞化され、侵入者を固く拒んでいます。
 そこに水中から近づき、上陸を強行して調査を行っていただくことになりました。
 オープニング中にもあるように、素早くトループス級防衛ラインを突破することで、『シテ島を守護する存在』に相まみえることが出来るかもしれません。

 今回のシナリオは可能な限り迅速に進める必要があるため、『選択肢②セーヌ川からの、シテ島上陸作戦』へのプレイングは、『12月7日(水)の朝8時30分』までにいただいたものの中から採用の予定です。
 同様に、次の『③👾拠点防衛のトループス級『フリアン・ドール』』も、『12月10日(土)の朝8時30分』までの受付を予定しています。
 予定に変更があれば雑記でお知らせしますので、チェックをお願いします。

 それでは。
 みなさまのご参加をお待ちしております。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
残留効果は皆で活用

安全と速さ念頭に臨機応変
常に光学迷彩
事前に支障なければ、対岸から建物等に身を隠し双眼鏡でさっと偵察し情報収集
移動の支障となる城壁などの有無、上陸ポイントを可能なら目星つける
銃眼など重点警戒の地点は回避

ドライスーツ、視界確保のマスク着用
死角となる少し離れた場所から水中へ
【水中適応】とあれば完全視界使用、川底を歩き静かに島へ接近
水面付近の滞在は最小限に
味方と情報共有し連携、より良い手段を

安全な上陸地点とタイミングはセーヌの水色に迷彩した潜望鏡で手早く観察し確認
地形の利用し身を隠しつつ行動

警備のいない隙を見計らい上陸
素早く遮蔽物に身を隠す

時間経過や不利になる前に対処


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

ようやく1803年のシテ島の偵察ができます
あの場所をいつまでも大陸軍に抑えられているのは業腹ですから
何としてでも一端を掴みたい所
迅速かつ隠密に行きます

シテ島や両河岸の警備の様子を見て
上流のサン=ルイ島辺りから川に入り
光学迷彩と可能なら水中適応・完全視界・パラドクス通信を使用
ドライスーツに川色に近い外套を羽織り隠密
流れに沿い川底からシテ島へ

川面に映る影が比較的少ない場所から上陸すべく
仲間と手分けし迅速に探索を行います

流れに逆らって動くのは避け
必要な場合は波立てぬ様に気をつけ
川の生き物を驚かせぬようにも注意します

上陸する時は仲間と機を合わせ
人目は勿論、水音も立てぬよう慎重に動きます


レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。
残留効果は積極的に使用

速度と隠密性、そして皆の連携。
この任務リスクは大きいですがきっと得られる物も大きいはず。
今日を待ちわびていた人も多いですよね、必ず全員で情報を持ち帰りましょう。

【水中適応】を使用し、川の深い所を移動しシテ島へと接近します。
シテ島に向かうその前に、事前に川の中で魚を見つけ
【使い魔使役】を使用してシテ島へ先行させておきます。

魚の目を通じてシテ島に上陸するに最も良い、敵の死角となりそうな場所を見繕います。
魚から得た情報は【パラドクス通信】で仲間に伝達を、
【完全視界】で実際に自身でも確認を行い、周囲に警戒が無い事を確認したのち速やかに上陸を行います。


ナディア・ベズヴィルド
アドリブ・連携歓迎
中洲の島と言うからこじんまりした島かと思えば…意外に大きかった

迅速な移動、そして上陸と時間が勝負ね
色の暗い外套を纏い、夜の暗さに紛れやすいように細工を

仲間の【光学迷彩】、【水中適応】、【完全視界】を利用し
なるべく水の流れに逆らわぬように移動、水中から要塞の方の警戒を怠らない

パラドクス通信で常に皆と連絡を取り合い一糸乱れぬ行動を心掛け
魚の目で人影の確認をしている間は要塞からの警戒に注意を払いながら
上陸時も音を立てないように気を付けて、迅速に上陸をし敵がいつ来てもすぐに対応できるようにする。

さて、こんなに厳戒態勢なシテ島…。何が潜んでいるのでしょうね。


逆叉・オルカ
時間が肝心、か。
敵に把握される前に動きたいところだな。
川を前に立ち止まっている時間はなさそうだ。

水中に入る前に地図を確認。物陰に隠れた上で、持ち込んだ小型の望遠鏡を使い敵配置を確認しておく。

水中では底辺を迅速に移動。
パラドクスで作り出した水の鯱で汚水から守りながら【完全視界】を使おう。
更に防御ガジェットで水を操り活動しやすくサポート。
水流を読みながら、波を荒立てないように注意。敵に気づかれたくはない。慎重かつ迅速に行動。
先行して比較的安全な上陸地点を探そう。

上陸は静かに、手早く行う。

他にも役立つ残留効果は全て使用。
アドリブ、連携歓迎だ


レイラ・イグラーナ
エルミタージュ博物館、バクー油田、ここグランダルメでも1793年のシテ島に続いての水中行軍ですね。
いつまでも通用する手ではございませんが、通用するうちは有効に活用させて頂きましょう。

【光学迷彩】を使用。エトヴァ様の【水中適応】も使用させて頂き進みます。とにかく速度と隠密性を重視した方が良いのであれば、光学迷彩は可能な限り重ねておきましょう。
川の警戒も行われている可能性がございます。可能な限り迅速にですが、水面が波打たないように水底を歩いて進みます。

上陸後まで見つからないというのは困難。一人が上がった後に後続が上陸中を狙われないよう、可能な限り一斉に上陸、トループス級と戦闘に移ります。


シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携
皆で協力し隠密を旨とし
速やかに移動して
シテ島に上陸を
流石に警戒が厳しいが
シテ島を守護する『重要な存在』とはどのような者なのだろうか

未来予測を利用し
可能な限り最適な行動を予測し
P通信で皆に共有しつつ進む
シテ島やセーヌ川両川岸の様子を確認
地形の利用、情報収集で敵の目を盗み
川の色に混じるようなウェットスーツと水中眼鏡
可能なら光学迷彩、水中適応を利用し密かに河へ
完全視界で視界をクリアに
なるべく流れに逆らわず移動
敵に悟らせないように
必要なら百の手助けを

陸の様子を予測しつつ
まとまって行動するのが危険なら
何組かに分散し音を立てず
隠密裏に上陸

その他有効そうな残留効果は全て使用

アドリブ等歓迎


一・百
※アドリブ連携歓迎
確認した情報等は仲間と共有

迅速に隠密に行動だな…
水中適応を借りて完全視界で視界確保し川を進む
前にも来たから大体の位置は分かる

泳げないが水中適応があるから大丈夫…
いざとなれば川底を歩けばいいわけだし…
でも心配なのでジンのキューコンを呼び出し捕まりながら進む
シャムスが助けてくれるときは手を借りよう

上陸時敵が近くに居ないか確認するためジンを最少に
普段は九尾の銀狐姿を取らせているがエネルギー体の粒子状になってもらい
目立たないように上陸地点の確認を
安全確認後、素早くかつ音を立てないよう浮遊を使って浮上上陸

さて、シテ島を守護する重要な存在とは何者なんだろうか…


●水中渡河
 機械化の進むパリの街。
 セーヌ川の中州に位置するシテ島も、今や巨大な要塞と化し、クロノヴェーダの重要拠点になっている。
「中洲の島だっていうから、もっとこぢんまりとした島かと思えば……」
 さりげない風を装って対岸から島を眺めたナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)が、意外に大きいのねと呟きを洩らす。
 全長約1キロ。
 東西に細長く延びたシテ島は、セーヌに浮かぶ舟のような形をしている。
「あの背の高い建物は監視塔だろうか」
 小型の双眼鏡を覗き込み、素早く偵察を行うエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。
 油断なく物陰に身を潜めたその傍らには、同様に双眼鏡を構えた逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)の姿も見える。
「あっちの橋のとこの壁みたいなのは、バリケードだな」
 当然のことながら、シテ島に続く橋はすべてクロノヴェーダたちによって封鎖されている。
 オルカは、その位置と数を地図と照らし合わせて確かめる。
 ここからでは敵の動きまでは見えないが、物々しい雰囲気は手に取るように分かる。
 事前の情報の通り、簡単に上陸を許してくれる相手ではなさそうだ。
「急ごう」
「ああ、そうしよう」
 これ以上立ち止まっている時間はないと告げたオルカに頷き、エトヴァは歩き出す。
「迅速な移動、そして上陸と時間が勝負ね」
 上流のサン=ルイ島方面に向かったソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)らの後を追い、闇色の外衣を纏ったナディアも足を急がせた。

「ようやく、ですね」
 感慨深げに胸を押さえ、呟いて。
 ナディアたちとの合流を果たしたソレイユは、手早く身に着けたドライスーツの上に川の水色に合わせた外套を羽織る。
「何としても、まずは一端を掴みたい所……。あの場所をいつまでも大陸軍に抑えられているのは業腹ですから」
 人目を避け、シテ島へと続く橋の下で準備を整えると、静かに水の中に踏み入った。
 用意周到、念には念を入れて……といったところか。
 周囲の環境に合わせた迷彩模様で覆われたその姿は、少しも不自然さを感じさせることなく景色に溶け込んでいる。
「エルミタージュ博物館に、バクー油田……そして、ここグランダルメでも。1793年のシテ島に続いての水中行軍ですね」
 数多の戦歴。
 さまざまな場面の記憶や仲間たちから得た報告のあらましを、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は瞼の裏に甦らせる。
「そう何度も通用する手ではございませんが、通用するうちは有効に活用させて頂きましょう」
「この任務リスクは大きいですが、きっと得られる物も大きいはず……」
 今日という日を待ち侘びていた者も少なくないだろうと、レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)。
 自分たちの働きに期待し、応援してくれる仲間のためにも──。
「必ず全員で情報を持ち帰りましょう」
 そうしてレイとレイラもまた、『光学迷彩』を用いて姿を眩ませた。
 通常、セーヌの水深は平均で3メートル前後。
 浅いところだと、1メートルほどしかない。
 常に全身が川水に浸かっていられるよう、なるべく深い場所を選んで水底を進む。
 流れに逆らうことは避け、極力水を波立たせぬように。
 仲間同士の会話や情報共有には、『パラドクス通信』を利用。
 エトヴァが施した『水中適応』のおかげで、息苦しさも動きづらさもまったく感じられない。
 地上を歩くのと変わらぬスピードで、一行は先を急いだ。
「視界良好。これなら、『防御ガジェット』は必要ないか……おっと。おまえも、水しぶきにはぐれぐれも気をつけてな」
 濁った水の中でも『完全視界』の効果でクリアな視界が保たれているのを確認したオルカのそばで、水の鯱が悠然と泳いでいる。
 主を汚水から守るべくつくり出されたそれは、影もなく輪郭すらない。
 水中にあって、オルカのみが姿や気配を感じられる存在だった。
「あら……」
 何かに気づいたレイが立ち止まる。
 そよそよと足をくすぐられるような感覚。
 下を向くと、どこからか泳いできた小ぶりなマスが、じゃれるように膝の辺りに纏わりついていた。
「こんにちは、お魚さん。あ……そうだ」
 ちょうどよいところに来てくれましたと、小さく口許を綻ばせる。
「お使いをお願いしてもいいかしら?」
 身を屈めて目線を合わせると、マスは左右に尾びれを振ってレイに答えた。
 レイの視界がマスのそれに変わる。
 もちろん、レイ本人の双眸が映す景色もまったく見えなくなった訳ではない。
 望むまま切り替わる視覚情報は慣れるまで大変そうだが、これはこれでなんだかちょっと不思議で面白い。
 レイに使役されたマスは、命じられるまま、シテ島の沿岸に向けて泳ぎ始めた。

 時に後方に陣取り、時に先行して辺りを確かめる。
 川の色に混じるような潜水用のスーツと水中眼鏡を装着した一・百(気まぐれな狐・g04201)も、仲間との距離を適度に取りつつ、セーヌの川底を進む。
「一気に機械化された街中はともかく、さすがに10年くらいじゃあまり変わった感じはしないか」
 この場所には、『1793年、シテ島の戦い』の際にも訪れたことがある。
「おかげで、大体の位置は分かる。ただ、泳げないのが少し心配ではあったけど……」
 こうして歩いて行けば大丈夫。
 それに……。
「俺には、キューとシャムスがいるからな」
 頼もしい相棒の頭を、もふもふと撫ぜる。
 すると九尾の銀狐の姿をしたジンのキューコンは、「ワイにまかしときー」とでも言いたげに百の顔に頬を寄せた。
「なんだが……」
 妬けてしまうな、と言いかけた続きをシャムス・ライラ(極夜・g04075)は胸に押しとどめる。
 そもそも、サーヴァントと自分が同列扱いなのも気になるところなのだが。
「ま、いいか」
 結局、百にはついつい甘くなってしまうシャムスであった。
「それにしても……」
 シテ島を守護する『重要な存在』とは、どのような者なのだろうか。
 百もそれについては、随分と気にしていた。
 先走って無茶をしなければいいのだが……。
 ふと、そう考えたそのとき。
「待って……百、そっちはダメだ」
 以前の記憶だけを頼りに歩いて行こうとする百に気づいて、あわてて呼び止める。
 数瞬先を視るシャムスの『目』が、危険を知らせる。
「そのまま行くと、浅瀬に出てしまう」
 仮に百がうっかり水面から顔を出したとしても、『光学迷彩』でカモフラージュしているおかげで、敵に気づかれる心配はほとんどない。
 とはいえ、無駄な騒ぎを起こさないためにも、細心の注意を払う必要があるとシャムスは考えていた。
「ああ、悪い……」
 慎重かつ迅速な行動を尊ぶのは、百も同じ。
 キューとともにすぐさま踵を返し、シャムスが示す方へつま先を向けた。

 水面に近づいたマスが見た、シテ島の景色。
 直接自らの目にも伝えられた情報が、レイの前に映し出される。
 島の周囲には頑丈な柵らしきものが張り巡らされ、ひっきりなしにいくつもの影が水の向こう側を横切ってゆく。
 ひとつ、ふたつ、みっつ……。
 あまりに多すぎて、数えきれないほどだ。
 途中、魚のすぐそばに石か何か投げ入れられる気配がしてひやりとするが、それ以上怪しまれた様子はない。
 はっきりとは分からないが、現時点で島にいるのはクロノヴェーダのみ。
「となれば……」
 影の主は拠点防衛に当たっているトループス級クロノヴェーダ、『フリアン・ドール』であろうとエトヴァは推測する。
「敵の軍勢は、我々が考えていた以上に大規模なのかもしれないな。他に……例えば、銃眼のようなものは?」
「残念ながらこの角度からは分かりません」
 申し訳なさそうなレイの返答に、エトヴァも他のディアボロスたちも判断に困って顔を見合わせる。
 こんなことなら、危険を冒してでも囮を立てた陽動作戦を行い、敵の意識を一点に集中させるべきだったのかもしれない。
 だが、今更悔いている暇はなかった。
 これも、慎重を期しておこなった行動の積み重ねの結果なのだから。
「では、せめて敵の姿が極力少ない地点を」
 レイラに促され、レイはさらにマスを泳がせる。
 その間にも、声も立てずに緊張を頬に宿したナディアは、地上への警戒を怠らない。
「……船着き場? あっ……」
 水面ギリギリまで浮き上がり、荷物運搬用の船着き場らしきところまで来たところで、魚の目が見たもの──それは、ひっそりとその奥に存在するもうひとつの船着き場であった。
 今はもう使われていないのか、手入れされた様子もなく朽ち果て、打ち捨てられている。
 当然、その周辺にはクロノヴェーダの気配も感じられない。
「うむ、確かに……」
 セーヌの水色に迷彩した潜望鏡を僅かに水面から覗かせ、エトヴァも島の様子を視認する。
「対岸から見た、例の監視塔。あの場所であれば、ちょうど死角になっていそうだね」
 廃された船着き場の周りには、比較的大きな樹木が茂っているのも好都合だとエトヴァ。
「一か八かの賭けになるかもしれませんが、近くまで行ってみますか?」
「それなら、まず俺が」
 レイラの提案に、オルカが名乗り出る。
「私も行きましょう」
 川の生き物を驚かせぬよう、ソレイユも後に続いた。
「その間に、私は百さんやシャムスさんと合流出来るように連絡を入れておくわ」
 さて、こんなに厳戒態勢なシテ島……何が潜んでいるのでしょうね。
 そんなことを考えながら、急ぎ通信機を手に取るナディア。
 レイラやエトヴァ、レイも、整然と移動を開始した。
 これまで以上に万全の注意を払い、慎重に慎重を重ねて岸へと近づく。
「あの石段から陸に上がれそうです」
 水上に張り出した、かつて荷下ろし台であったであろう場所に設置された小さな石段。
 上陸するならあそこがよさそうだと、ソレイユは目星をつける。
「行こう」
 水音をたてるのすらもどかしい。
 背中に冷たい汗を感じなから、オルカは水面に浮かび上がった。
 そのまま、ひと息に石段に飛びつく。
 続けてソレイユ、他の仲間たちにも合図を送った。
「大丈夫そうですね」
 後続が敵に狙われることのないよう、可能な限り短時間で全員一斉に上陸するのが望ましい。
 そう考えたレイラが、参りましょうと仲間を促す。
 その背後で、ふわりと水中から浮上する百とシャムス。
「え、な、なに……?」
 音もなく現れた彼らは一瞬ナディアを驚かせたが、百は意に介さず地上数センチのところをふわふわと進む。

 こうして、ディアボロスたちはシテ島への上陸を果たした。
 木立ちの向こうには、大勢の敵──トループス級クロノヴェーダ『フリアン・ドール』が待ち構えている。
 シテ島の中枢部に向かうためには、まずはそれを突破しなくてはならない。
 敵は地上はもちろん、監視台からも目を光らせている。
 いつまでもフリアン・ドールに手こずっていては、好機を逃す。
 地形や建物の陰を上手く利用するなどして、一刻も早く障害を乗り越え、さらなる先を目指すのだ。
苦戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
残留効果活用

PD通信で味方と密に連携し情報共有

常に周囲の警戒を怠らず、偵察、観察し情報収集
監視塔の死角と視野にも注意し移動
味方の情報も得て最適経路を

常に【平穏結界】し地形の利用、忍び足
遮蔽物や樹木、死角を伝いつつ隠密で速やかに移動

防衛拠点で武力突破が必要な場合
タイミング合わせ奇襲をかけ速やかな撃破
狙いを合わせ一点突破する
火力で仕留め
伝令に走る者は狙う
反撃には魔力障壁を展開し鳴動と音を緩和
意志で耐える

拠点突破後は速やかに中枢へ向かう
道中、時短を旨に
可能なら敵をやり過ごし、時間のかかる場合は不意打ちで集中撃破
中枢の場所は警備状況、建物の規模、外観、歴史的建造物等(歴史知識)で特定を


レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎
使用できる残留効果は積極使用

『Boeotia』を起動し【観察】による【情報収集】を絶えず行い
気付き点があれば【パラドクス通信】を使用して仲間へ情報共有

島内での行動は島の中枢に向けて隠密行動を行います。
現在でも名を残す有名な建造物等ある程度の目星をつけつつ
情報に無い未知の施設、敵の警備が厚い所等、
現地行動で情報を処理して移動します。

見かけた敵が少数ならタイミングを合わせた奇襲による速攻撃破
突破が必要と判断される敵拠点、多数の敵と戦う場合は
初手奇襲からの積極攻勢で突破します。

宙を舞う様に軽やかに跳躍し
敵の死角から『シュトライフリヒト』による斬撃を放ちます。


シル・ウィンディア
まずは目立たないように木立に隠れてぎりぎりまで敵に気づかれないようにするよ。狙うは島の中枢…。
そちらにめがけて移動を開始だね。

敵群を発見したら、隠れて敵を観察して
敵の動きも見てからパラドクス通信で攻撃タイミングを伝えるよ
狙うは、こちらから意識を逸らしたタイミング。
戦闘を開始したら、スピード勝負!
高速詠唱からの七芒星精霊収束砲を撃つよ。
敵が態勢を立て直す前に、一気に押し通るっ!!

同じ行動をする味方とはパラドクス通信で連携を取りながら動いていくよ。
敵の撃破は最速でロスがないように攻撃を仕掛けていくよ。
この先が大切なんだから!

みんなと連携しつつ、中枢部分を目指していくよ。

※連携・アドリブ歓迎


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

ここからが本番ですね
中枢を目指し急ぎましょう

監視塔の視認範囲は常に注意
戦闘・移動中問わず建物や樹木の影に入り
発覚を可及的に遅らせる
エアライド、パラドクス通信使用

木立向こうの敵兵に見つからぬギリギリまで近づき
仲間と機を揃え一斉奇襲

戦闘時はネメシス化
宮廷服のマエストロ姿に変化
宙に展開した鍵盤でヒロイックシンフォニーを演奏
仲間と攻撃対象を揃え
ダメージアップも使用して素早い突破を目指す
応援を呼ぼうとする者は優先撃破

撃破完了したらシテ島の中枢へ急ぐ
ノートルダム大聖堂かサント・シャペルか
監視塔そのものが中枢の可能性もあるでしょうか
シテ島の地図は把握していますから、何か違和感を感じた方へ


プターハ・カデューシアス
連携アドリブ歓迎
技能・残存効果は適宜利用
同旅団
ソレイユ:呼び捨て
オルカ:おじいちゃん

エグニママントで周囲に紛れる工夫
仲間と方針やタイミングを合わせ潜入・移動・攻撃

立木や建物等の遮蔽物も存分に利用し有利な位置取りを心がけ
臨機応変に移動

撤収時の退路も確認を
敵の重要拠点である事を肝に銘じます

私は桜散春風の【通信障害】で監視塔からの通信を含む敵の情報網を妨害
なるべく監視塔が効果範囲内に入るよう移動を心がけ
状況を冷静に判断落ち着いて行動

騒がしそうな敵です
巡回の小隊や防衛拠点を個別に【平穏結界】で囲い中で戦闘

戦闘時は疲弊者を狙い
素早く数を減らし速攻での攻略を目指します

深追いが危険と判断した場合
撤退提案


逆叉・オルカ
ネメシス。爺の姿

厳重な警戒に困難な依頼……血が激るな
この先にあるものを是非とも拝ませてもらおうじゃないか
その為にも、仲間を守りたいところだが

移動は隠密行動
戦闘中も常に監視塔の死角を意識し、建物などの物陰を移動しよう。視認されにくいようにな
敵軍の動きから重要地点を推測していこう

戦闘はライフルで狙撃、道を切り開く
必要分だけ倒し強行突破(と伝令役も倒しておく
同時に周囲を凍らせる事で、増援の足止めも行いたい
突破に手こずるようなら、仲間だけでも先に行けるよう身を犠牲とするのも覚悟の上だ
一応煙幕も用意しとくが…さて
建物からの敵の攻撃も警戒しておこう

立ち止まる時間はない
いくぞ

使える効果は全て利用
連携歓迎


レイラ・イグラーナ
さて、なんとかここまではこれましたが……先はまだ長そうですね。
一層気を引き締めて参りましょう。

他の復讐者と【パラドクス通信】で連携を取り、建物や木立を利用し、【完全視界】で視界を確保、敵に見つからないよう進みます。
外縁部は見張り台の目も向いているでしょうし、できるだけ避けます。

どうしても戦闘を行わなければならない時は、基本的には全員で戦闘および突破。敵の数が多く、どうしても短時間で全員での突破が不可能な場合のみ、私単独あるいは少人数で突破を狙います。
戦闘時は他の復讐者と狙いを合わせて「手製奉仕・嵐」で殲滅。また、他の復讐者をSPDでディフェンスを行うことで反撃でも敵にダメージを与えていきます。


ナディア・ベズヴィルド
戦闘時はネメシスで(銀髪、銀の尾、緋色の瞳)

ヤな感じ…ピリピリするわね。
ぎりぎりの所までは戦闘を避けて進めるように尽力を
移動中は物陰や植物の影をうまく利用し皆で行動、PD通信を使い状況を確認しあう
周囲もそうだけども高い所からの監視もないか気を付けるわ
敵に発見されたら一点突破を目指し目的地まで駆け抜ける

有象無象のガラクタ共が!邪魔よ!
「風よ吹き荒れろ 嵐と共に葬り去る 滅びの叫びを聞け!」

先手を切って前方にいる敵に【高速詠唱】で呪を完成させて相手が動く前に速攻をかけ早々に黙らせよう
何せ敵の数が多い、全部を相手にするのは愚かしい
仲間と協力し合い中枢を目指し駆け抜けましょう


●敵中突破
「……さて」
 ひと気のない船着き場に降り立ったレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)が、近くの小屋の陰に身を滑り込ませる。
「なんとかここまではこれましたが、先はまだ長そうですね」
「ヤな感じ……ピリピリするわね」
 レイラとともに緑の大木に囲まれた辺りを見回し、唇を噛むナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)。
 息苦しいまでに張り詰めた空気が、ちりりと肌を刺す。
「こうしていても、どこからか見られてるような気がするわ」
 不快そうに眉根を寄せるナディアだが、不思議と恐れや不安はなかった。
 いつ敵が現れてもいいように、周囲……特に、高所からの監視に警戒する。
「ここからが本番ですね」
 僅かな緊張、そして高揚感。
 水中装備と偽装の衣を脱ぎ捨てたソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)も、黄昏を映した双眸に強い光を宿して。
「急ぎましょう」
 島の中枢部を目指すべく、決意の一歩を踏み出した。
「厳重な警戒に、困難な依頼……」
 血が滾ると、静かに闘志を燃やす逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)。
 まだ年若い顔に、見た目にそぐわぬ老成した表情が浮かぶ。
「この先にあるもの……そいつを、是非とも拝ませてもらおうじゃないか」

 足音を潜め、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は仲間とともに林の中を進む。
 エトヴァがつくり出した仮初の平穏、外部から把握されにくい空間内は、すべてがしんと静まり返っている。
 空を翔って最適な移動ルートを探る手も考えられたが、『平穏結界』の効果があるとはいえ、なるべく目立つ行動は避けたいところ。
 仲間との会話や連絡はここでも『パラドクス通信』を主とし、全員が常に警戒を怠ることなく五感を研ぎ澄ませた。
「奇妙なものだな……」
 こんなにも樹木がたくさんあるというのに、小鳥のさえずりどころか羽音ひとつ聞こえてこない。
「許可なく侵入する者はすべて抹殺する……か」
 蟻の這い出る隙もない、強固な守り。
 たとえ無抵抗の動物であろうと、決して見逃してはならない。
 島内を警備するトループス級クロノヴェーダ『フリアン・ドール』の鉄の掟を、エトヴァは身をもって知らされたような気がした。
「エトヴァさんっ!」
 小さく叫んだレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)の声が、通信機越しに届く。
 装着した『Boeotia』の青いゴーグルが、木陰の途切れた先で動く『何か』を検知したのだ。
 瞬時にレイは分析し、エトヴァとともに答えを弾き出す。
 鋼の巨体に、大陸軍の軍服を身に着けた兵士。
 大型管楽器型砲を両肩や背中に装備し、かつては一般の人々の暮らしがあった島の大通りを占拠する者、それは──。
「フリアン・ドールに違いありません」
 レイは、そう断言してエトヴァと頷き合った。

 木立ちを抜けたその先には、堅牢な敵の防衛拠点が待ち構えていた。
 通りや橋といった要所要所にコンクリート製のバリケードや土塁が築かれ、侵入者の行く手を拒む。
 土塁の形は単に土を掘って造ったものから、堆く土嚢や瓦礫を積んで守りを固めたものまでさまざまだ。
「ね、見て。あれ……」
 注意深く敵の動きを観察するシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)が、もっとも規模の大きなバリケードを目で指し示す。
 鈍く黒光りする砲身。
 バリケードの隙間からわずかに覗くそれを、シルは見逃さなかった。
「大砲……しかも、史実ではこの時代にはまだ存在しなかった高性能な物の様に思われますね」
 ここにも機械化ドイツ帝国の技術が応用されているのかもしれないと、プターハ・カデューシアス(エジプトの龍人・g03560)が分析する。
 パラドクスを伴わない攻撃がディアボロスに致命傷を与えることはないとはいえ、厄介な足止めであるのは間違いない。
「それに……」
 バリケードの後方に位置する監視台が気になると、ソレイユ。
「ここから斬り込むには、どうにも場所が悪い」
「確かに、このまま突っ込めば監視台から丸見えだ」
 エトヴァとオルカも、それぞれそう危惧した。
「ひとまず、俺がライフルで狙撃して戦端を開くとして……」
「おじいちゃん」
 プターハが、平時と変わらぬ親しみを込めてオルカに呼びかける。
「では、こう致しましょう。おじいちゃんやソレイユが攻撃を仕掛けた隙に私が……」
 可能な限り監視塔に近づき、『通信障害』で監視塔からの通信を含む敵の情報網を妨害。
「劇的な成果は望めないかもしれませんが、敵を混乱させる事くらいは可能でしょう」
 冷静に状況を判断し、決して危険は冒さない、深入りはしないと仲間に約束して。
 擬態用に纏った『エグニママント』のフードを深く被り直し、プターハは密かに行動を開始した。
「俺たちもいくぞ」
 ネメシス形態に変化したオルカの姿が、ダンディな白髪の老人のそれへと変わる。
 オルカはデータ粒子化していた『ガジェットライフル』を具現化させると、バリケード横の土塁に陣取ったフリアン・ドールに狙いを定めた。
「……凍てつけ!」
 冷気を纏ったビーム、特殊ガジェット弾が発射される。
 それは、これから繰り広げられる厳しい戦いのはじまりを告げる合図でもあった。
「うぐっ……」
 突然襲い来るビーム砲に、気づく間もなく身を貫かれるフリアン・ドール。
「襲撃だ!」
「な、何っ!?」
 わらわらと四方から集まってきたフリアン・ドールたちは、一斉に迎撃態勢をとる。
 その数、10体あまり。
 これ以上、敵の戦力を増大させないためにも……。
「先手必勝、スピード勝負!」
 この先が大切なんだから! と、『風妖精の外套』を翻すシル。
「六芒星に集いし世界を司る6人の精霊達よ、過去と未来を繋ぎし時よ……」
 宙空に魔方陣を描き、それらすべての属性エネルギーを一点に集中させる。
 風翼の装飾と、杖頭に藍鉱石の蕾を鏤めた白銀の長杖。
 魔力が集うと同時に花が咲き、風翼が開く。
 さらに時の力を乗せ、シルは超高出力型の複合魔力砲を発動させた。
「七芒星に集いて虹の輝きとなり、すべてを撃ち抜きし光となれっ!!」
 眩いばかりの七色の光が放たれる。
 その威力はシル自身、四対の魔力翼を展開して反動を抑えなくてはならないほどに凄まじい。
 当然ながら、トループス級のクロノヴェーダごときが防ぎ切れるものではなかった。
「ぐぅぉぉぉぉぉー!!」
 狂ったように雄叫びを上げ、フリアン・ドールは反撃の歌、大陸軍の正義の意志を宿した行軍歌を響かせる。
 それは聞く者の心身に大きな重圧を与えたが、シルとフリアン・ドール、力の差は歴然であった。
「一気に押し通るっ!!」
「ぐはっ!」
 再度攻撃を受けた大きな身体が揺らぎ、前のめりに倒れる。
 それきり、フリアン・ドールが起き上がることはなかった。
 その後もシルは時間のロスを避け、最小限の手数で敵を撃破してゆく。
「有象無象のガラクタ共が!」
「これ以上、邪魔をしないで下さいまし!」
 なるべく戦闘を避け、少しでも早く進みたいと考えるのはナディアやレイラも同様。
「逆巻く颶風、跳ねる水煙。詠う妖雲が試練を運ぶ」
 駆けながらひらめかせたスカートの下から、レイラが大量の銀針を取り出す。
 一斉に投げつけた針は回避困難な弾幕となり、フリアン・ドールの全身に突き刺さった。
「ぐっ、これしき……」
 大したことはないと、敵は体勢を整える。
 その巨体からは想像もつかない身のこなし。
 地形を縦横無尽に踏破しながらレイラに掴みかかり、急加速して地面に叩きつけようとした。
 だが──。
「な、なぜ、だ……?」
 どうにも力が入らないと、フリアン・ドールは自ら膝をつく。
 そこへ、すかさずナディアが強烈な旋風を吹かせた。
「風よ吹き荒れろ! 嵐と共に葬り去る、滅びの叫びを聞け!」
 風は大きな渦となり、周囲のフリアン・ドールをも巻き込んで翻弄する。
「残念だったわね」
「……覚悟さないませ」
 じわりと食い込む針に蝕まれ、強風に打ちのめされて立ち上がることすら出来なくなった敵の背に、ナディアとレイラはとどめの一撃を加えた。

「そろそろ、でしょうか」
 戦場をぐるりと見渡したソレイユが、監視台の方に向き直る。
 ネメシス化したソレイユは髪を下ろし、常とは違う宮廷服のマエストロ姿。
 宙に展開させた鍵盤に指を走らせ、身も心も奮い立つような雄々しき音色を響かせる。
 その旋律は通常よりもさらに強く激しく、英雄の幻影に力を与えた。
 同じ頃、隠密に監視台の下まで近づいたプターハは、行く手を阻む敵と対峙していた。
「さすがに、簡単には通して頂けそうにありませんね」
 望むところですと、手の中の鞭『メルセゲル』をしならせる。
 伸縮自在、しなやかに伸びる仕掛け式の鞭は、フリアン・ドールの腕に巻きつき、搦め取った。
「桜散りて恵み与えよ」
 電磁波を帯びた花びらが、美しい桜吹雪となって舞い上がる。
 空いっぱいに広がった薄紅色の花片。
 それは地上の敵のみならず、監視塔にいる者たちの視界までもを奪い、通信を分断した。
「なっ、なんだこの花は……」
 監視塔の中のざわめきが、プターハの耳にも届く。
「綺麗でしょう? ……おや、お気に召しませんでしたか」
「この野郎……」
「お黙りなさい」
 口汚く罵る目の前の敵を強く締め上げ、プターハは刃と化した無数の花びらで敵を覆い尽くした。
「ほう、お見事じゃな」
 貴重な茶飲み友達の活躍に、オルカは思わず素に戻って舌を巻く。
 若い者には負けていられない。
 間断なく発せられる砲撃を避け、放たれた氷の弾丸はバリケードの僅かな隙間を通り、その向こうにいる兵士を銃砲ごと凍りつかせた。
「わ、わわわ……」
 残されたフリアン・ドールの間に動揺が走る。
 ディアボロスたちはバリケードを包囲し、一斉に襲いかかった。
「逃げる敵には構わず……いや、行かせる訳にはいかないな」
 バリケードの奥へと駆け出した、数体のフリアン・ドール。
 すべての通信手段を遮断された今、伝令として戦場の様子を島の中枢部まで直接異変を伝えに行こうとしているのをエトヴァは見抜く。
「このまま泳がせるのも手ですが、増援を呼んで来られても厄介ですしね」
 放ってはおけないと、ソレイユはふたたび勇壮な曲を奏で、幻の英雄を鼓舞した。
「――閃け」
 誓いの神聖模様が施された大ぶりな銃の名は、『Νέμεσις―β』。
 青白き銀に閃く弾丸に聖なる祈りを込め、エトヴァは目にも留まらぬ速さで次々と敵を抜き討つ。
 撃たれたことすら、すぐには気づけないでいるのだろう。
 数瞬の後、フリアン・ドールたちはハッと我に返って反撃を試みる。
「そのような偽りの正義をうたった曲など……」
 耳障りなだけだと、振り払う。
 ソレイユの援護の下、苦しみに耐え、次なる一撃のチャンスをエトヴァは待った。
 その間にもレイは宙を舞って軽やかに跳躍し、逃げる別のフリアン・ドールの前へと回り込む。
 レイの手には、煌めく光の剣閃を放つ剣──自身の名を冠した、サイバーレイピアが握られている。
「それは、大空を翔る翼の様……クレッシェンドファング・フリューゲル!」
 大空を舞う翼は何者にも止められない。
 風と戯れ、音を奏で、歌を口ずさみ、花を摘むように──。
 殺意なく放たれた無邪気な一撃は、気まぐれに吹き抜ける風にも似て。
「し……」
 信じられないと驚愕の表情を浮かべ、振り上げた両腕がだらりと垂れ下がる。
 フリアン・ドールは最期の声を絞り出し、息絶えた。

 最初で最大の関門を突破したディアボロスは、次々とバリケードや土塁を打ち破り進む。
 シテ島を守護する存在。
 それは『何』で、『どこ』にいるのだろう。
 今のところ、アヴァタール級のディアボロスが駆けつけてくる気配はない。
 敵の姿が絶えた通りをしばらく往くと、前方に荘厳なゴシック建築の教会が見えてきた。
「ノートルダム大聖堂か……」
 あの場所に何かあるというのか。
 ある程度予測はついていたと、ソレイユ。
 だが、まさか……。
「……音?」
 ふいにどこからか聞こえてきた機械音に、レイラが耳をそばだてる。
「自動車か何かかな」
「キャタピラの音のような気もするけど……」
 シルとナディアが話している間にも、時代にそぐわぬ異様な音はどんどん大きくなって近づいてくる。
 地響きを立て、立ち木を震わせて。
「なんだ、あれ……」
 巨大な黒い影を見つけたオルカが指をさす。
 危険を察知して身構えた彼らの前に現れたのは、両手、両肩、胸に大砲を装備した威容。
 全長7メートルはあろうかという、機械化ドイツ帝国の戦車を思わせる超弩級の大型自動人形であった。
 博識なエトヴァやプターハ、情報収集に長けたレイにも何ひとつデータはない。
 すっかり圧倒されて立ち尽くすディアボロスの前で、戦車型自動人形は高らかに名乗りを上げる。
「ワレは、A7Vメフィスト。機械化ドイツ帝国の技術により生まれた、最新鋭ジェネラル級自動人形である」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV3が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

●鋼の悪魔
「この強大な火力と、鉄壁の防御力を恐れるがいい」
 威圧的に言い放つなり、『A7Vメフィスト』はすべての砲口をディアボロスに向ける。
 ためらうことも、抵抗する暇も与えず、一斉に行われる砲撃。
「くっ……」
 エトヴァは瞬時に身を躱したものの、すべてを回避する余裕はない。
 少なくないダメージを受けながらも、ディアボロスたちは各自連携するなどして反撃に転じる。
 針や銃弾を撃ち込み、音を響かせ、剣を振り上げて。
 しかし、そのどれもがA7Vメフィストには通用しない。
 強烈な旋風を受けてもびくともすることなく、刃と化した桜の花びらは傷ひとつつけることすら叶わなかった。
「そんなこと……」
 あるがはずがないと、レイは顔を青ざめさせる。
「ここは、一旦撤退した方が良いかも知れません」
 プターハはあらかじめ調べておいた退路に仲間を誘導しようとするが、とてもその時間はなさそうだ。
 ふたたび向けられた砲口。
 堕天使の名を持つ巨大人型戦車は、すぐそこまで迫っていた。
レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。

これが…A7Vですって!?
まるで別物…、冗談じゃないです…!
…ちょっとばかり混乱していますが…撤退しましょう!
攻撃が意味を成していない以上戦うのは無謀です。

【飛翔】を使い、超低空飛行により撤退
ただし、走った方が早い場合は走るを選択。
逃げる際に敵ジェネラルと自分達の間に【泥濘の地】を展開し。
撤退に支障を起こさない範囲で敵の挙動等を動画に収めておきます

『Boeotia』による【観察】で【情報収集】を行い
現在地が何処にあるか、
元の経路がどれだけ長いか
最短経路に敵のバリケードが目視されるか
等の条件で撤退経路を総合的に判断
【パラドクス通信】で連携しつつ全員で同じ方向に撤退します。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

帝国の残滓が実体を得て蘇る……か
悪夢は二度と繰り返させない
いずれ必ず。
迅速に撤退だ

通信で連携
常に平穏結界、通信障害、効果活用

初手A7Vに足止めのため
発煙弾(アイテム)を投げ
仲間のトラップと連動し、特に上部の視野を塞ぐよう無数のフライトドローンを出現させ視界を奪う
一瞬の隙でいい、迅速に離脱

周囲を偵察、観察しつつ状況把握
遮蔽物や地形の利用しつつも留まらず
地面近くの低空を【飛翔】し高速で離脱
全員で脱出を

予め島の地図を記憶術、大聖堂の所在から川までの距離を概算認識
来た道を戻る>大きな障害あればA7Vを避け、警護の手薄なより近い川の方へ脱出
障害に遭遇時、突破可能なら一点突破
臨機応変に対処


レイラ・イグラーナ
話に聞くドイツでの戦いからまだ1年と経っていないというのに、ここまでのものを作りますか……!
はい、詮索も対策も後。まずは退きましょう。

ネメシス形態で潜入のためのメイド姿から革命家としての姿へ。
【泥濘の地】を使用し、A7Vメフィストの足を鈍らせます。他の方と重ね掛けをすればそれなりの効果はでるでしょう。

【パラドクス通信】で味方と敵が少ないルートやA7Vメフィストの追撃を共有。逃走は【飛翔】での低空飛行か、ダッシュで。
他のクロノヴェーダに見つかり、敵が増えることを避けるため、【通信障害】で増援阻止と、気づかれないように【平穏結界】も併用します。

ここも放ってはおけませんね……どう攻めるべきか。


シル・ウィンディア
ネメシスモード開放!
銀髪銀目の天使モードです。

高火力で防御も強い相手…。
しかも、無傷?どうなってるのよ…
気になるけど、今はみんなで情報を持ち帰ることが大切だからっ!


飛翔の効果を使っての超低空飛行で高度を取らずに撤退。
みんなと一緒の方角へ最大戦速で駆け抜けるよ
移動は、エアライドのジャンプも使って最適ルートも利用

敵の攻撃が来たら、光の翼を展開してのガードアップで防御。
ディフェンス可能な味方がいたら、ディフェンスで庇うよ。
但し、自身のダメージが蓄積して倒れそうな場合はディフェンスはしないよ。

撤退中、バリケードなどがあればパラドクスと通常誘導弾で破壊して進むよ。こんなところで止まってられないからっ!


プターハ・カデューシアス
残存効果や技能は適宜利用

わざわざ名乗りを上げるとは、見上げた敵ですね
…本当に見上げる程の巨体ですが

自己主張が激しいので
「くっ、何故攻撃が通じない!」
と振ったら、饒舌に話してくれそうな気もしますが…さて?

じっくり観察する暇は無さそうですが
飛行能力だけでも見極めましょう

ネメシスで完全龍体
ピラミッドパワーで全力の…【トラップ生成】!
敵の足下に完全に嵌まる程の「蟻地獄状の巨大な落とし穴」を
勿論、範囲内でも数個準備

一瞬でもいい、敵の意識を逸らし我らを狙えぬよう

冷静に状況を判断し仲間と連携
負傷者はフォロー
低空飛行で可能な限り最大速度維持し一点突破
島から脱出を図る

敵の情報を手に
全員で、生きて帰りましょう!


ナディア・ベズヴィルド
連携・アドリブ可
引き続きネメシス姿

ピエロのような外見、成程悪魔っぽさが際立っているわね
此方の攻撃が効かないのも悪魔の効果ってわけ?

調子に乗って何か情報をポロリしてくれるかしらね

【泥濘の地】を即座に展開、長くは持たないがほんの僅かでも時間を稼げれば僥倖

悪いけど貴方と遊ぶ時間はないの

ジェネラルを相手にこの人数で不利なのは重々承知
《風使い》《砂使い》を用いて、砂嵐で視野を阻害し撤退の一助に

後方を警戒し【飛翔】で超低空で移動し【パラドクス通信】で撤退経路を確認しながら川の方へ

道中敵が現れた時は無視して一点突破
相手にしている暇はないのだから

皆が無事に戻れるよう尽力を


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

聖なる島の守護者が悪魔の名を持つジェネラル級とは
自動人形にしては良いセンスですね
当然、悪い意味で

用は済みましたから、早々に撤退させて頂きます
引き続きネメシス姿
通信障害、パラドクス通信、平穏結界を使用
初手でメフィストの足元へ泥濘の地を発動させ移動力を削ぎ
即座に反転して来た道を戻りましょう

途中の塹壕やバリケードはエアライドで飛び越え
飛翔で飛んだほうが早そうなら、できるだけ低空で飛びます
道中に敵が立ち塞がった場合は仲間と攻撃対象を揃え一点突破
来た道が封鎖されて突破困難であれば、川の方角で警備の薄い方へ翔けます

この地にはまだまだ縁があるようですね
次に見える時は、必ず倒します


●鎧袖一触
「こんなときに話すことでもないのですが……」
 極度の緊張を紛らわすためか、誰に向けるともなく言い置いて。
 息を飲み、敵の様子を窺っていたプターハ・カデューシアス(エジプトの龍人・g03560)がその先を続ける。
「わざわざ名乗りを上げるとは、敵ながら見上げたものですね」
 物理的にも、まさしく『見上げる』ほどの巨体。
 あそこまで大きいとあってはもう、笑うしかない。
「メフィスト……」
 確かに『彼』は自らをそう名乗ったと、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)。
 聖なる島の守護者が悪魔の名をしたジェネラル級だなど、いかにクロノヴェーダとはいえ、悪趣味にもほどがある。
「とはいえ、自動人形にしてはなかなかのセンスかと」
 もちろん悪い意味で……と、ソレイユは皮肉げに口の端を歪めた。
 悪魔といえば──。
「ピエロのような外見、成程……悪魔っぽさが際立っているわね」
 ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)も、改めてA7Vメフィストの姿に目を向ける。
「……だとしたら、此方の攻撃が効かないのも悪魔の効果ってわけ?」
 その問いは次なる一撃、砲撃の音にかき消されてしまった。
 低いエンジン音を響かせ、ジリジリと迫りくる巨体。
 ディアボロスたちは素早く通りの左右に散り、街路樹や建物の陰に姿を隠した。
「高火力で、防御も強い……しかも、無傷?」
 攻守ともにとんでもない化けものであるのは、シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)も身をもって知るところ。
 あれが悪魔でなければ、なんだというのだろう。
「まったくどうなってるのよ……」
「帝国の残滓が、実体を得て蘇る……か」
 ギリっと歯噛みするシルの傍で、まるで亡霊にでも出会ったような気がするとエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が独りごちる。
「話に聞くドイツでの戦いからまだ1年と経っていないというのに、ここまでのものを作りますか……!」
 任務中は冷静を常とするレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)も、さすがに驚きを禁じ得ない。
「あれが……A7Vですって!?」
 再度、急ぎデータを検索してみたものの、レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)にとっても、にわかには信じられないことばかり。
「まるで別物……冗談じゃないです……!」
 史実とは異なると分かっていても、どうにも頭が追いつかない。
 その狼狽ぶりに気づいたのか、A7Vメフィストはふんと尊大に鼻を鳴らす。
「旧式とは違うのだよ、旧式とは!」
 自分は、過去の古臭い遺物よりも何もかもが優れている。
 最新鋭の機体を誇るよう、居丈高に言い放った。
 そうしている間にも、A7Vメフィストとディアボロスたちとの距離がさらに縮まる。
 次々と大砲が放たれ、尽きぬ火力を見せつけるような砲撃が続く中。
「……ふむ」
 逃げ込んだ壁の後ろでプターハは思案する。
 A7Vメフィストは、意外に話の通じる相手……否、結構なお喋り好きなのではないだろうか。
「ここは軽く探りを入れて、相手の出方を探ってみるのも悪くないかと」
「そうね、調子に乗って何か情報をポロリしてくれるかも?」
 プターハの提案に、フフッと悪戯っぽい笑みを浮かべるナディア。
 そうと決まれば、即実行。
 ここで躊躇していては、時間の無駄になる。
 意を決し、プターハはA7Vメフィストの眼前へと躍り出た。
 利き手には棒状に収納した『メルセゲル』──手首のスナップを利かせ、その反動で伸びる鞭。
 それを軽くしならせ、敵の巨体に打ちつける。
 だが、当然のようにA7Vメフィストはまったくびくともしない。
「くっ、何故攻撃が通じない……!」
 プターハは、信じられないといった風に、大袈裟に頭を抱えてみせた。
 さすがに、少しわざとらしすぎたろうか……。
 芝居を見破られはしないかと内心冷や汗ものであったが、幸い敵に怪しまれた様子はない。
「無駄、無駄ァ! その様なへなちょこ鞭、痛いどころか痒くもないわ。フワッハハハハハー!」
 辺りに、地鳴りのような哄笑がこだまする。
「キサマらの仲間がパリ市街の工場を破壊してくれたようだが……」
 ディアボロス如きの小賢しい企みなど、何ひとつ通用しない。
 すべてが無駄だと、A7Vメフィストはさらに耳障りな声で笑い飛ばした。
「随分とご機嫌ね、悪魔さん」
「……悪魔、だと?」
 プターハの傍らにふっと姿を現した褐色の肌の女を、機械の目が睨みつける。
「ええ。だってあなたには、此方の攻撃がちっとも効かないんだもの。それに、あなたの姿……」
 まるで悪魔そのものだと、ナディアは艶然と微笑み返した。
 ギギッと軋む音がして、鋼の頭が左右に動く。
 怒るでも笑うでもなく首を振り、次にA7Vメフィストはまっすぐナディアを見下ろした。
「先程も申したであろう? ワレは機械化ドイツ帝国の技術により生まれし者、最新鋭のジェネラル級自動人形だ」
 だが、悪魔と呼ばれるのも悪くない。
 なぜなら……。
「このシテ島の秘密工場にてワレの後継機が量産されれば、断頭革命グランダルメは地獄と化す。キサマらディアボロスなど、ひとり残らず鎧袖一触にしてくれるわ!」
「秘密工場……だ、と……?」
 思いがけないそのひと言に、エトヴァが建物の陰から飛び出す。
「まさか、そんなものがここにもあるなんて……」
 ソレイユも一瞬、立ち尽くして言葉を失った。
「フンッ。虫けら共が、またうろちょろと……」
 まずはキサマらからと、A7Vメフィストが備えた全身の砲口が向けられる。
 この距離で攻撃を受けては、さすがのディアボロスとてひとたまりもない。
「それに……」
 見て下さい! とレイが敵の後方を指し示す。
 辺りに『平穏結界』を張り巡らせた上で敵の通信を妨害しているとはいえ、それらも決して万能とはいえないらしい。
 ノートルダム大聖堂の方から、次々と現れる異形たち。
 ただならぬ気配と容貌で、彼らがみなアヴァタール級のクロノヴェーダであると知れた。
「……不味いな」
 アヴァタール級はまだディアボロスたちの位置を把握している訳ではないようだが、状況的に分が悪すぎる。
 そう分析したのは、エトヴァだけではなかった。
「攻撃が意味を成していない以上、戦うのは無謀です」
「はい、詮索も対策も後。まずは退きましょう」
 退却を促すレイに、すぐさまレイラが同意する。
「そ、そうね。気にはなるけど、今はみんなで情報を持ち帰ることが大切だからっ!」
 きっとまたチャンスはある。
 今はまだそのときではないのだとシルも納得し、頷いた。

 速やかな撤退には、何よりもまずA7Vメフィストの足止めが必要。
 最初に退路を開くきっかけをつくったのは、エトヴァであった。
 キャタピラの前方に発煙弾を投げ、視界を奪う。
 それだけでは心もとないと考えたエトヴァは、次に無数のフライトドローンを出現させてA7Vメフィストの頭部を包囲した。
「くっ、何だこれは……!?」
 邪魔だと身体をよじって振り払おうとするが、キリがない。
 エトヴァの命令に忠実なドローンたちは、やぶ蚊のようにしぶとく食い下がる。
 業を煮やしたA7Vメフィストは、強引にそのまま進もうとした。
「させません……!」
 ネメシス形態に変異して革命家の姿となったレイラが、敵の行く手を泥濘に変える。
「何のこれしき……」
 この程度のことで走行不能になる自分ではないと、エンジンを吹かせるA7Vメフィスト。
「むっ、むむ……」
 無限軌道のキャタピラは荒地にも強いはずだが、どうにも様子がおかしい。
 前に行こうとすればするほど粘度の高いぬかるみにはまり、ますます動けなくなってゆくようだ。
「……無様ね」
 不敵な笑みを浮かべたナディアも、いつしか銀の髪と尾、緋色の目をした『もうひとつの姿』になっている。
「悪いけど、これ以上貴方と遊ぶ時間はないの」
 ナディア、さらにレイとも力を合わせて重ねがけした『泥濘の地』は、A7Vメフィストの移動速度を大幅に遅らせた。
「くっ、くそっ……」
 虚しく空回りする無限軌道。
 敵がもたついている間に、なんとか少しでも距離を稼ぎたい。
 そう考えたシルが、すかさず周囲をディアボロスが飛行可能な世界へと変える。
「行くよ!」
 監視の目を避け、地面すれすれの超低空飛行で宙を駆ける。
 ナディアの操る風が砂埃を巻き上げ、ネメシスで完全龍体化したプターハは振り向きざま、小型のピラミッドを出現させて蟻地獄状の巨大な落とし穴を生成した。
 当然、罠はひとつだけではない。
 要所要所に仕掛けられたそれらは、ディアボロスを発見したアヴァタール級が後を追ってきた場合にも大いに役に立つはずであった。
「みなさん、こっちです……!」
 『パラドクス通信』を用いて仲間を先導するのは、ゴーグル型のデバイス『Boeotia』を装着したレイ。
 すっかり落ち着きを取り戻したレイは現在地がどこか、元の経路がどれだけ長いかなどの情報を瞬時に収集解析して的確にルートを選び取る。
 すぐ後ろにシルやソレイユが続き、互いをサポートした。
「こんなところで止まってられないからっ!」
 天使の如き白い翼のシルは銀の髪を躍らせ、行く手を遮る塹壕やバリケードを破壊、または『エアライド』で飛び越え、その先へ──。
 ひたすらソレイユも川辺を目指して来た道を辿る。
 A7Vメフィストは、まだ追いついてこない。それに、アヴァタール級たちも……。
「……何か妙だな」
 最初に違和感に気づいたのは、エトヴァだった。
 いかにぬかるみに足を取られたとはいえ、追撃してくるはずのA7Vメフィストはあまりに遅すぎはしないだろうか。
「そういえばそうね」
 エアライドで敵の位置を把握したシルが、ぬかるみの先からほぼ動いた様子がないと告げる。
「これ以上、私たちを追うのは諦めたということなのでしょうか?」
 駆動機関の故障か、それとも……。
 そもそもA7Vメフィスト自身に追う気がないのかもしれないと、ソレイユは推測する。
「単に、敵の罠という可能性もなくはないのですが……」
 確認している暇はない。
 逃げられるだけ逃げるべきだと、ディアボロスたちはひたすら駆けた。
 その背に、プターハの力強い励ましの声が飛ぶ。
「敵の情報を手に、必ず全員で生きて帰りましょう!」

 無事、向こう岸へと逃れたディアボロス一行。
 去り際、レイラはちらりとシテ島の方を振り返って。
「ここも放ってはおけませんね……」
 どう攻めるべきかと、考えを巡らせる。
 この地にはまだまだ縁があるようですね、とソレイユ。
 やり残したことはたくさんある。
 中でもA7Vメフィストの存在は、絶対に見過ごすことなど出来ない。
「次に来る時は、必ず倒します」
 ソレイユは、さらなる決意を口にした。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【泥濘の地】LV3が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【飛翔】LV2が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!
【グロリアス】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2022年12月22日