オーストリア淫魔掃討戦

 大淫魔都市ウィーンに攻め寄せた、4体のジェネラル級淫魔を全て撃破した事で、断頭革命グランダルメの淫魔勢力は壊滅状態となりました。
 指揮系統を失ったオーストリア周辺の淫魔達は、大きく混乱しています。
 この機を逃さず、オーストリアの主要都市を支配する淫魔を撃破する事が出来れば、オーストリア全土の解放も夢ではありません。
 敵が態勢を立て直す前に主要都市に向かい、混乱する淫魔を撃破した上で、街の人々にウィーンの解放などの情報を演説して、オーストリア地域が新しく生まれ変わる事を、説明してください。

 この作戦は、『大淫魔都市ウィーンの最期』で全てのジェネラル級淫魔を撃破した事で可能になった作戦です。
 また、この作戦と同時に、攻略旅団の提案によって『大淫魔都市ウィーンの復興』も行われています。
 2つの作戦を完遂できれば、オーストリア地域の安定化を実現できるでしょう。

おっぱいください(作者 池田コント
17


#断頭革命グランダルメ  #オーストリア淫魔掃討戦  #オーストリア  #淫魔 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#断頭革命グランダルメ
🔒
#オーストリア淫魔掃討戦
🔒
#オーストリア
🔒
#淫魔


0



「アイゼンシュタットと連絡が取れないと聞いたが?」
「それだけではない、リンツも。ザルツブルグもだ」
 ザンクト・ペルテンは混乱の中にあった。
 ウィーンの西方約56kmに位置するこの都市はニーダーエスターライヒの州都である。
 クロノヴェーダによってその歴史も成り立ちも改変されたが、バロック建築の美しい街並みは変わらずそこにある。
 大淫魔都市ウィーンの、淫魔大樹の崩壊の報がもたらされたのは記憶に新しい。
 大樹のエネルギー回収のために向かったジェネラル級淫魔のために戦力を供出したおかげで、このザンクト・ペルテンを守る配下は少ない。今ディアボロス達が襲ってきたらと思うとなんとも心もとなかった。
 くわえて。
 この都市の支配者、アヴァタール級宮廷芸術家ヴィジェは現在のところ新しい楽器の開発に没頭していて、戦いの趨勢にまるで興味を持っていない。
 その開発中の楽器というのは人間やクロノヴェーダの肉体を改造したもの。
 さらに言えばその胸部。
 ぶっちゃけおっぱいであった。
 おっぱいオルガン、おっぱいチェンバロ、おっぱいヴァイオリン等々。
 彼女の作るおっぱい楽器から奏でられる音の響きには、万物を魅了する魔性が宿る。
 おっぱいには無限の可能性があった。
 彼女の音楽の発展もまた無限であった。
 その音楽性の高さは配下達も認めるところではある、が。
 しかし、この緊急事態においても趣味の探求に耽溺しているのはどうなのか。いや、淫魔らしいといえばそうなのであるが。
「ヴィジェ様、現在の警備状況についてなのですが」
「あー、いいからいいからそんなの。そんなことよりおっぱいください!」
「あ、いえ、ですから」
「ああー、降りてきた降りてきたよ! なんで今まで気づかなかったんだ。このおっぱいでボクの音楽は更なる高みに到達するよ! 必要なのはおっぱいだったんだ! おっぱいを! 男でも女でもいい、もっと良質のおっぱいを! おっぱいをもってくるんだ!」
 新しい楽器を作ってはその旋律を確かめる支配者に、部下は天を仰ぐしかなかった。
 ダメだこりゃ。

 大淫魔都市ウィーンで行われた決戦において4体のジェネラル級淫魔を撃破することに成功した。
 これは淫魔勢力を壊滅せしめる程の大打撃、大戦果といえよう。
 このアドバンテージを最大限に活用すべく、オーストリアの主要都市を支配する淫魔達の掃討作戦を行うことが決定した。
 オーストリアを支配する淫魔達を一掃する事ができれば、ウィーンを中心としたオーストリア地域の安全を確保する事が出来る筈だ。

 まずは、淫魔大樹の撃破とそれに続くジェネラル級の壊滅によって混乱している淫魔の撃破を行ってください。
 敵は、都市内の大聖堂、修道院などを拠点としているようですが、混乱状態である為、くわえてこの都市の支配者がまともに統治するつもりもない為に、警備ができていないようです。
 敵の拠点に踏み込んで、混乱しているトループス級を一掃し、都市の支配者であるアヴァタール級を討ち取ってください。
 アヴァタール級撃破後は、都市市民達に向けて演説を行ってください。
 淫魔が支配した都市では、住民達は堕落して退廃的な生活を送っているので、彼らの目を覚まさせる必要があるでしょう。
 具体的には、この都市の住民達は全員おっぱいと音楽をこよなく愛しています。
 もれなくおっぱい派です。小さいもの大きいもの、形や質感などおっぱいの良さなら一昼夜語り続けることができるでしょう。
 そんなことばかりさせているわけにはまいりません。
 ちゃんと働け。
 幸い、攻略旅団の方針で、ウィーンの再建が始まっていますので、やる気のある住民には、ウィーンへの移住や出稼ぎを推奨するのも良いでしょう。

 フレイメル・アストリンド(エルフの妖精騎士・g05818)は赤面している。
「あの、ね。ジェネラル級淫魔を4体とも倒したという戦果はとても素晴らしいことだと思うの。だって、撃破することはほぼ不可能だろうって思われていたんだもの。だから、これに乗じて一気に州都を攻略しようっていうのもわかるわ。これに成功すればオーストリア地域を奪還できるものね。クロノヴェーダの非支配領域になるのかしら。獣神王朝エジプトのオアシス都市みたいに」
 ただ、ね、と彼女は続ける。
「私、淫魔って苦手なの。どうしてあんなにおっぱいが好きなの? おっぱいが大きいとチェロの音がよくなるってどういうこと? ザンクト・ペルテンの住民達もおっぱいが大好きだから、それに絡めて演説を行えばより効果的だと思うけど……おっぱいに絡めた演説ってなに? なんなの、もう」
 フレイはそう言って顔を手で覆ってしまった。
 彼女がおっぱいの深淵に触れるのはまだ早かったのかも知れない。

「ヴィジェ様の次の演奏会楽しみだなぁー」
「今度はどんなおっぱいなんだろうなぁ。俺は円錐型の、ボリュームのあるやつがいいなぁ」
「出たよ。巨乳好き。でかけりゃいいと思ってやがる」
「なんだよ、音の幅が違うんだよ。音の幅が」
「俺はやっぱり釣り鐘型だよ。撥弦楽器にしてもよし、擦弦楽器にしてもよし、音の伸びが違うしなにより音色に色気があるね」
「ハッ。なにが音色に色気だ。自己を見つめられず大衆に呑まれているだけだろ」
「なんだてめぇ、ケンカ売ってんのか。おっぱい出せ!」
「僕は小さくて幼……」
「てめえは黙ってろ!」
 と男衆が騒げば、女衆もあーだこーだとかしましく。
「新しいおっぱい楽器の彼見た? 超イケメンなんだけど!」
「推せる。ていうか、フェロモン垂れ流しでヤバいんですけど」
「あのヴァイオリンの彼でしょ。あの子さぁ、フルートの子となんか怪しくない?」
「わかるぅー。あの間奏のときの目配せとか絶対昔なんかあったよね。幼馴染からのぉ元カレ的な?」
「なにそれ妄想乙」
「いや絶対そうだってー」
 退廃的。
 というか腐ってやがる。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
2
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【現の夢】
2
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【勝利の凱歌】
4
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
7
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【エイティーン】
2
周囲が、ディアボロスが18歳から「18+効果LV」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【液体錬成】
2
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【使い魔使役】
2
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【おいしくなあれ】
1
周囲の食べ物の味が向上する。栄養などはそのまま。効果LVが高いほど美味しくなる。
【ハウスキーパー】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV7 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV8 / 【ガードアップ】LV6 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV3 / 【アクティベイト】LV3(最大) / 【リザレクション】LV2 / 【先行率アップ】LV2 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV3

●マスターより

池田コント
 罰ゲームを実行したと聞いて。
 池田です。

 州都の一つ、ザンクト・ペルテンを奪還するシナリオになります。
 戦闘後、演説するまでいって完結となります。
 この都市の宮廷芸術家ヴィジェは都市防衛については無能ですが住民にはとても人気があるので注意してください。

 あとあれです。
 おっぱいです。ご注意ください。
69

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


百鬼・運命
アドリブ絡みネタ描写歓迎
※失敗に繋がる行為は慎む

どうやらまずトループス級(と書いて「巨乳」と読む)を倒さないといけないようだな。おっぱいください

ん?語尾が変だって?なに語尾変罰ゲーム生活ロスタイム突入しているだけだよ。おっぱいください

※以下、語尾に「おっぱいください」がつきますが当人の性格(ネタに全力、照れ皆無)もあり、いやらしくない為、知り合いからは「罰ゲームになっていない」と評判です

戦闘では「離間の計」使用
敵を胸の大きさで分断し同士討ちを計りますが…いつの間にか嫉妬団オーストリア支部名誉支部長に就任。貧乳型淫魔達(と一部復讐者?)を率いて巨乳達への聖戦を引き起こそうとし仲間に止められます


吉音・宮美
アドリブ連携歓迎
死ぬほど頭の悪いクロノヴェーダが居ますね!!?
ですが音楽と肉体美を同時に侮辱されたら黙ってるわけにはいかないでしょう!最速最短で殴りに行くので今日はトループスの皆さんへの演奏は無しです!!

選択PDを発動
吹雪で相手の情欲の纏った大気を押し返しつつ【氷雪使い】の力で身体の節々を凍らせて動きを鈍らせたら『吉音式グレイプニル』で【捕縛】
その後『吉音式スノーバレット』で死なない程度に【強打】して無力化しましょう

後は本陣に真っ直ぐ突き進む!本当の音楽ってやつを教えてやらあ!!!!


トータ・キサラギ
※戦闘中は音を立てないのですべて心の声
※アドリブ、連携歓迎

オレはおっぱいに関してはうるさいぞ
だいたいなあ、おっぱいってのはお姉さんのものであるから美しいんだ
おっぱいだけなんて情緒のカケラもねえな

ふーん、お前もいいおっぱいしてるじゃねえか
【瞬閃光断】でぎゅっと締め付けてやればおっぱいがさらに強調されるんじゃねえの?

まあなかなかってとこか
オレはお前のおっぱいを眺めつつトドメは他のヤツに任せるぜ

それはそれとしておっぱいください


クロ・レヴァント
【アドリブ&ツッコミ歓迎します】
こいつ誰
☞ロボ乗りの少年クロ

おっぱいください。
オレはおっぱいがすきだ!

暴かれ待つ膜中の淫魔ちゃんはなんというか
おおきい!
すばらしい!
揉み揉みしたい!

⚠️警告
▼敵との接触は禁止されております。

すごくHだ!すてきだ!
Hって言ったな?HはHでもhellの方だよ
ふはははは!
川越ではよくあることだ!(?)

装甲機兵に搭乗して、パラドクス【ミサイル】を発射します。
ミサイルというのはRS-B三連装レッグミサイルというもので脚部から発射されます

⚠️警告
▼熱源のブレス攻撃が来ます。退避して下さい。

「わかーってるよ!」
オレは理解してる、おっぱいは世界を救うんだってね。(わかってない)


薬袋・明莉
異議あり!!

どいつもこいつもおっぱいおっぱいいっぱいおっぱい……
脚派は!いないんか!!この際尻派でも良い!
むちむちの太もも!食い込み!大臀筋!
美しき黄金曲線のヒップ!
最高だろうが……!
という俺の個人的な性癖はさておきまずはこいつらを何とかしないと

パラドクス使用、宙に描いた自分や仲間の似姿を囮に【光学迷彩】で隠れ不意打ち攻撃
武器改造された義手から放つ弾丸の制圧射撃

炎まで吹くのか?だったらこっちも義手からの火炎放射(火炎使い)で迎えうってやる!
理性?んなもんとっくに溶かしたわ!!

アドリブ絡みギャグ歓迎


アンジェリーカ・リヴィンスキー
皆の説得は後でするとして…ちょっとあっちのアヴァタール級に用事があるのよね、どいてもらえる?

アンタ達弱点を責めるのが得意みたいだけど、ウチも得意なのよね。
そんなウチが肉体的にも精神的にも弱点への備えして無いなんて…あるわけ無いわよね?

急所を狙うのが分かってるなら集中してガード、人質がいる的な脅しをしてきてもどうせ苦し紛れの嘘だろうしね。

そしてアンタ達の弱点ももう見抜いてるわ。
大体のヤツは…顔面を殴られて首の骨が折れたら死ぬ。
折れるほどの勢いで顔面にアースクエイクを叩き込んでやるわ!

…まぁ大分頭の悪い戦術だけど、こういう奴らには搦手より直接的な方がてっとり早いでしょう。


月下部・小雪
おっぱいおっぱいとおっぱいを欲しがるなんて、
ザンクト・ペルテンのみなさんは赤ちゃんさん、なのでしょうか。
ボクはママではありませんが、が、がんばって赤ちゃん達を解放して、あげます!

ま、街が混乱しているうちに一気に攻め込みましょう。
修道院の近くにいる大きな赤ちゃん達は巻き込まないように【避難勧告】で逃げておいて、もらいます。

一般市民の安全を確保できたら、【毛玉分身術】で108匹に増えたコダマでトループス級を攻撃、です!
コダマのもふもふ力で逆に魅了しちゃって、ください!

あ、あれ、味方のはずの一部の人もおっぱいを欲しがって、ます?

※アドリブ連携大歓迎


エヴァ・フルトクヴィスト
おっぱい楽器って想像出来るような出来ない様な?
とても淫魔らしいと言えばらしいのがなんともなのですが。
ザンクト・ペルテン市民のおっぱい批評も男女とも終わっている気が……。
更正させる為にも、まずは淫魔の影響を排除しないとですね!

相手の動きを観察し、吐息の動作を看破。
高速詠唱で雷を招来して、吐息を吹き飛ばしたり。
避け切れず喰らった場合は界雷に浄化の力を付与して、
理性を取り戻したりと臨機応変に対応。

この期に及んで、おっぱいを持ってきてと言われてご愁傷様ですが。
手加減はしません!

そのまま残影のフェイントを絡めて攪乱しつつ。
味方の動きに合わせるように、
適宜統率した貫通の雷撃を喰らわせて追い込んで行きます!


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
……懐かしい風の香りがする

肉体改造……?
淫魔が嗜好を突き詰めるのは見てきたが
ここの淫魔はどこへ向かって走っているんだろうな

街を偵察、観察し情報収集し
淫魔のいる大聖堂、修道院等の拠点を炙りだし襲撃を

……まあしかし、危機感のない指揮官を持ったようで、残念だったな
悪いがヴィジェはどこ?

楽器が斬新すぎて音色は気になるよ……
その音色は如何程か。勝負しようか

戦況を観察し把握
チェロを演奏し、音色をもって気絶させよう
技巧を詰め込んだ曲で一気に注意を吸い奪う
味方と狙い合わせ確実に掃討

反撃には魔力障壁を展開しつつ
放たれる大気から物理的に距離を取り
己の演奏と音色に集中し対抗しよう

連携歓迎
アドリブお手柔らかに歓迎


緋詠・琥兎
とりあえず、これだけはツッコミを入れておこうか

人の身体そのものを楽器にするな
セクハラのオーケストラ状態じゃねぇか

おい、そこの嫉妬団司令塔
変な状況を作るな?!

(存分にツッコミ役として扱ってやってください)

というか、自分に色仕掛けしても意味はないんだが?
(忍耐力・結界術・精神集中など
(普段から男装してる性欲0の人


何はともあれ
ここは1発かますとするか、燈杜美

燈杜美の浄化の演奏と共に
輝華護颯を歌唱・高速詠唱・連続魔法で行使
燈杜美の演奏と自分の謳を風使いでより広範囲に響かせながら
敵を一掃していこう

ついでに楽器部分も
狙銃槍の狙撃銃モードで破壊していこうか
(貫通撃・粉砕・連撃・フェイントなど


アドリブ
連携歓迎


シャトン・ヴォロンテ
アヴァタールでもヴィジェはヴィジェか……。
何だよおっぱいくださいて、殴りテー……殴ロウ(決意)

デ、ソノ前に先ずは部下共の排除しなキャだガ。
マア、淫魔ナンだしエロいのは分かる。

ダガ。

何だそのワザ要するニ誘い受けじゃネーカ!
マダルッこしーワ!チマチマじわじわやってんじゃネー!
ソーユーのが一番ウットーシくて嫌ェー何だオレは!!
(ズカズカ肉薄して至近距離からの甘幻密悟で欲女の求牝と真っ向からの力比べ)

ット、後の説得の事考えリャ胸の流行りは把握しとク方が良い。
淫魔共の胸トカ、おっぱい芸術ヤラ楽器の胸を見て傾向を……形もサイズも多種多様で参考にナラネーナ。
クソ、本当芸術に対してダケは真面目だなアイツは!?


エスト・リンフィールド
……えっと
つまり、おっぱいが雄っぱいでいっぱい?

ごめん
訳がわからないよ

て言うか、おっぱいで音は出ないと思うんだ
雄っぱいならば……ワンチャンあるかも?

ほら、ゴリラさんがフンガフンガって胸を叩くやつっぽく

そうだ
ゴリラさんは無理だけど、【使い魔使役】で近くに居る野良ワンコを連れていこう

ワンコやネコは子沢山
おっぱいも確か8個位あったと思う

やったねおっぱい祭だね

ワンコが淫魔にマウント取って、なんかヘコヘコしたりしたら……ワンコを巻き込まないように、アイスエイジブリザードで攻撃して誤魔化そう

元々は淫魔を倒しにきたんだ
予定どおりの展開で、問題なし

誰だ
「あのptnエルフちゃんは貰っていきますね」

とか言う奴は


長月・夜永
ボクは、グランダルメ、、、
んー、、、むしろ淫魔って苦手なんだよね
デリケートな内容をズカズカ土足で入り込んでくる神経がどうにも許せないんだよ

しかもさ、さっきから
おっぱい、おっぱい、おっぱいって、、、
マジ五月蠅いんだけど?(底冷えする冷めた笑み)

(無い胸が超コンプレックスで下手に触れるとブチ切れます)

やるせないムカムカする気持ちをのせ、遠慮なく『暗殺』【爆裂怨讐波】を叩きつけます


瀧夜盛・五月姫
……おかしい。
あのときの罰ゲーム、だけだったはず、なのに、感染拡大、してるような……?
そ、そもそも、罰ゲームを箱に入れたのは、フレイメルさんたち、だよね……?!

ひ……っ
姫のこれは、今の世《最終人類史》に来てから、だから、ただ太ってるだけ、なんだよ……?!

――愚かなる衆生の一二三四五六七八九十(ひふみよいむなやこと)なる余殃を、高龗神(たかおかみのかみ)に祓い浄め給へと祈願奉り、大願を成就なさしめ給へと恐み恐みも白す
暴風雨よ、彼の淫魔たち、ふきとばしてっ

……ねえ、百鬼さん。もう罰ゲーム、終わったはず、だけど、まさか口癖になった……?(ジト目)


ベアタ・アンシュッツ
ところで……おっぱいって、たべもの?
やっぱりのみもの?

どっちなんだろ?

楽器?
木琴代わりに長さが違うチョコ叩いても、音は出るじゃないか

で、チョコは食べてもおいちい

つまり……おっぱいじゃなくて、チョコでもいいじゃない

駄目?
うっせえ淫魔め

てめえのおっぱいレンチンしちまうぞ?

私?
いやいや、人様にオススメできるほどのものは持ち合わせてないんで

つうか……おっぱい楽器って、どんな音すんだよ
あ、これ聞いちゃ駄目な質問かも

とりあえず、迫って来る淫魔にレンチン☆バニシングで応戦
敵に(食欲的に)魅了されたら、気付かないうちに丸かじりしてるかも

一仕事したら、【おいしくなあれ】済いもようかんモグモグし、次に備え魔力補給


 歴史は告げる。革命前夜は狂熱のただなかにあった、と。
 であるならば、この日ザンクト・ペルテンがまさにそれであった。
 宮廷芸術家ヴィジェ率いる淫魔達によって醸成された退廃のムードはそこに住む人々の脳にまで浸透しきっていた。
 不満のない享楽に耽溺する生活。だが、人々はなにかが変わる空気を肌で感じていたという。
 おっぱい革命。
 それはいわばコペルニクス的レボリューション!
 『彼ら』の手によって、今まさに歴史が動かんとしていた。

「オレはおっぱいがすきだァー!」
「いきなりどうした!?」
 クロ・レヴァント(黒き死神†KuroRevant†・g06271)は叫んだ。叫ばずにはいられなかった。健康的な女装男子として叫ばずにはいられなかったのだ。
 ペチン。
「なにするだぁー!」
「いや、お前がどうした!?」
 緋詠・琥兎(その身に潜むは破滅か。それとも朧げな標か・g00542)はツッコんでいるが、薬袋・明莉(情熱のアーティスト・g02002)はクロがいてもたってもいられなくなった気持ちを理解できた。
 この街はどこか普通と違う。
 これは期待感。これは中高生の頃に。
「あそこに住んでいるお姉さん水商売しているんだって」
 あるいは。
「あの先輩、本気で頼めばヤラせてくれるらしいよ」
 そんな、根も葉もないけれど希望に満ちた噂を知ってしまったときの。
 なんだか、なんだかじっとりする感じ。それは中高生の幻想と妄想の凝り固まったものに過ぎないが、若い内はそういったものに翻弄されるのも確かで。
 心身に異常をきたすような威力ではない。
 だが、どこか抗いがたい。
 ほろ酔いのいい気分になってきたような受け入れてしまいたい心地よさがこの街には溢れている。
 ヴィジェの魔力の波動が街全体に染みついている……?
「……懐かしい風の香りがする」
「なんて?」
「あ、いや違う。そうではなくて」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、今日だけはうかつな発言をしてはならないと理解した。
 なんでかはわからないが、そうなのだからそうである。

 エトヴァ達は街に潜入し、偵察及び情報収集を行った。
 著名な建築家を居を構えたことで、素晴らしい建築物が多い。
 クロノヴェーダの拠点といえば普通に考えれば役所や領主の館であろうが、音楽に精通するということで礼拝堂や讃美歌の歌われる修道院、劇場ということもありえる。
「ザンクト・ペルテン市民のおっぱい批評も、男女とも終わっている気が……」
 エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)は時先案内人の情報が間違っていないことを知った。
 疑っていたわけではないが、まさか住民全員が老いも若きもおっぱいおっぱい言っているとは思うまい。
 だが、この街では信じがたいことに全員がおっぱいおっぱい言っている。
「おっぱいおっぱいとおっぱいを欲しがるなんて、ザンクト・ペルテンのみなさんは赤ちゃんさん、なのでしょうか」
 月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)の疑問はもっともで。
 もしかしたら、この街の淫魔達の魔力には幼児化させる効果があるのか。
 もしくは欲望に走ると人間の言動は年齢が下がって見えるのか。
「ボクはママではありませんが、が、がんばって赤ちゃん達を解放して、あげます!」
「はい、先生! それはつまりおっぱいをくれるということですか!?」
「え、え、それは……あ、あれ、味方のはずの一部の人もおっぱいを欲しがって、ます?」
「くれるということですね!?」
「十一歳の少女になにを迫っているんだおのれらはー!?」
 仲間達の暴走が始まっている。
 これはまずい?
 いや、この依頼さえ終わればまたいつもの仲間達に戻るに違いない。そうであってほしい。そうじゃなきゃやだ。
「更正させる為にも、まずは淫魔の影響を排除しないとですね!」
 エヴァはそういって強引にその場をまとめた。

 戦端は広場で開かれた。
「おのれ、復讐者共。ここまで潜入していたとは。仲間達は浮足立っている者も多い。我らだけでも迎え撃つぞ」
 迎え撃つは、暴かれ待つ膜中の淫魔。
 足並みの揃わない淫魔達の中においては、彼女らは忠誠心が高く、戦闘力もある。
 逆に言えば、彼女らさえ倒せば後は領主であるヴィジェ以外に恐れるべきものはない。
「どうやらまずトループス級(巨乳)を倒さないといけないようだな。おっぱいください」
 百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)が敵を見定め呪術符を構える。
 その言葉尻に違和感をとらえて、瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)が尋ねると運命はなにもおかしなことなどないという顔で平然と返す。
「ん? 語尾が変だって? なに、語尾変罰ゲーム生活がロスタイム突入しているだけだよ。おっぱいください」

 いざ戦闘開始、という段ではあるが。
 敵との戦いを前にして、どうしても言っておきたいことがあった。
 それは……。
「おっぱいは楽器じゃねえ!」
「そうだそうだ! 人の身体そのものを楽器にするな」
 吉音・宮美(限界ギリギリ狐娘・g06261)と琥兎の指摘に淫魔達は、本気でキョトンとした表情を浮かべた。
 ……え、伝わらないの?
「おっぱい楽器とか! こんなのセクハラのオーケストラ状態じゃねぇか!」
 琥兎の一言にドッと笑い転げる淫魔達。
「セ、セクハラのオーケストラだって」
「楽器だけに、楽器だけに」
「言うよね~?」
「うわ、なんかめちゃくちゃ腹立つ……!?」
 おかしいのはこっちって空気マジ腹立つ。その上で茶化してくるし。
「つうか……おっぱい楽器って、どんな音すんだよ」
 ベアタ・アンシュッツ(天使のハラペコウィザード・g03109)のつぶやきに「よくぞ聞いてくれました」という顔をする淫魔達。
(「あ、これ聞いちゃ駄目な質問だったかも」)
 と思ったがもう遅い。
 淫魔達はコートをはだけて自らのおっぱい楽器を披露する。
 そう、彼女達の何人かはヴィジェに認められて改造されていたのだ。
「わー! やったー! おっぱいだー!」
 喜ぶエロガキ共をよそに。
 見えちゃいけない部分はすかさず小雪のモーラット、コダマが毛玉分身術で隠してくれた。
 モザイク代わりは不本意であろうが、グッジョブ、コダマ。ナイスモザイク。
 DVD版は無修正でお楽しみいただけます。

 淫魔は自らのおっぱいヴァイオリンを奏で始めた。
 その音色は、突飛な見た目のわりに地に足のついた、素晴らしい音だった。
 確かに普通の楽器とはどこか違う。人体を使用することで独特な重みが出る。普通ならあり得ない。単純につなぎ合わせるだけでなく、おそらく魔力的な処理がなされているのだろう。
 音楽を愛する宮美などは、予想外の音に驚きを隠せない。
(「なんかこう猟奇的な音がするのかと思った。もしくはおっぱーい、な感じとか」)
 試しにちょっとだけ、ほんのちょっとだけ演奏してみたくなる。
 だが、それすらクロノヴェーダの誘惑に他ならない。
 人体改造など冒涜だ。認めるわけにはいかない。
 特に、エトヴァはどんな音だろうとほんのちょっとも感心するわけにはいかなかった。
 楽器が斬新すぎて正直、興味はあった。そこは認めよう。
 だが、それを周りに察知されてしまったら、明日からどんな目で見られるかわからない。
 彼自身の尊厳を守るためにも、エトヴァは鉄の表情を崩すわけにはいかない、
 例えほんの冗談でも、エロヴァ、とか絶対呼ばれたくないのだ。

「フ、その程度。オレはおっぱいに関してはうるさいぞ」
「トータ、鼻血鼻血」
 トータ・キサラギ(忍者の末裔・g06840)は鼻血をぬぐって続ける。鼻血なんかなかった。
「だいたいなあ、おっぱいってのはお姉さんのものであるから美しいんだ。おっぱいだけなんて情緒のカケラもねえなと思っていた時期がオレにもありました」
 だけど、おっぱい楽器の実物を目の当たりにして。
 ほうほうなるほどこういうことかと。
 あ、そう、こんな音を。そんな表情で? え、え、そんな風になるの?
 それ以上は……あ、あ、そう。それならよし。
「ふーん、なかなかいいおっぱいしてるじゃねえか」
 過酷な環境を生き抜いてきた少年忍者はニヒルに笑う。
「トータくん、さっきから心の声が漏れてますよ?」
「……!?」
 このことに一番ショックを受けているのはトータ自身であった。
 彼は戦闘中は決して音をたてず、声も発しない。それは忍びの里で幼少から厳しい訓練を受けて身にしみこんだ習性である。
 だが、彼は今、声を発していた。
 体が戦闘中であると認識していない?
 なぜ?
 おっぱいだから?
 今日はおっぱいカーニバルだから!?
 だから体が戦闘モードに移行しない?
 じゃあ仕方ないよね! おっぱいください!

 暴かれ待つ膜中の淫魔を前にして、クロはどうしようもなく興奮してしまって。
「あのお姉さんはなんというか、おおきい! すばらしい! 揉み揉みしたい!」
 目の前にごちそうを出されたようなそんな気分になってしまって。
 その気持ちを抑えることができず、装甲機兵に飛び乗って駆け出した。
 それを先攻一機駆けととった琥兎は戦功を焦るなと言いかけたが、
「わかーってるよ!」
 クロは言葉を遮った。
「みなまでいうな。オレは理解してる、おっぱいは世界を救うんだって」
「わかってねぇー!?」

 長月・夜永(は普通の女のコである・g03735)の怒りは頂点に達しようとしていた。
(「ボクは、グランダルメ、いや、んー……淫魔って苦手なんだよね」)
(「デリケートな内容をズカズカ土足で入り込んでくる神経がどうにも許せないんだよ」)
「しかもさ、さっきからおっぱい、おっぱい、おっぱいって……マジ五月蠅いんだけど!?」
 底冷えするような冷たい視線。侮蔑のこもったその視線を受けて、淫魔は……。
「あ、ありがとうございます!」
 ゾクゾクと歓喜に打ち震えたりなんかして。
 ダメだ。なにしても喜びやがる。高いレベルの変態だ。
「どいつもこいつもおっぱいおっぱいいっぱいおっぱい……いい加減にしろーっ!」
 叫んだ明莉へと期待を込めて視線を送る。
 まともなやつがいた。
 こんな依頼に参加する男子はスケベか朴念仁ばかりと思っていたが、まともな子もいたのだ。
 だが、夜永の希望は数秒で砕け散った。
「どいつもこいつもおっぱいのことばかり。脚派は! いないんか!! この際尻派でも良い!」
 むちむちの太もも! 食い込み! 大臀筋!
 美しき黄金曲線のヒップ!
「最高だろうが……! 最高だろうがぁー!」
 絶叫。魂の叫びだった。
「腰のくびれから続く尻のライン、美しい脚線美。なんで、なんでみんなわかってくれないんだ。いや、わかってるけど、乳派が多すぎる、多すぎるんだ……くクゥゥ」
 泣くまで至った。
 ダメだこいつ、早く何とかしないと。
「男泣き、です」
「小雪ちゃん、あれは違う。あれは男泣きじゃない」
「男には泣いていいときが3つある……」
「違うから。あれをカウントしたら他なんでもよくなるから」
 純真な少女小雪ちゃんを優しく導いていってあげるのは今日のノルマです。
 もし将来恋人ができることになっても、ああいうんじゃないのにしようね。

「マア、淫魔ナンだしエロいのは分かる。ダガ」
 シャトン・ヴォロンテ(enfant perdu・g04732)の前に現れた淫魔達は、とてもきわどい格好をしている。
 厚いコートからのびる生足。境界線ギリギリのライン。
 まさにギリギリガールズ。激しい運動をしたらいけないところが見えちゃいそう!
 そんな彼女の技は『欲女の求牝』。
 相手を欲しながらも待ち続ける強烈な情欲を大気に漂わせて相手に放ち、精神を侵食する技だ。
 思えば、この場にいる挙動不審な連中は全員少なからずこの技の影響下にあったのかも知れない。
 今回の依頼に際して、説明に窮した男性陣は、こちらを言い訳にお使いください。
「何だそのワザ、要するニ誘い受けじゃネーカ!」
 相手を発情させる精神攻撃は、シャトンの望むところではなかった。
「マダルッこしーワ! チマチマじわじわやってんじゃネー! ソーユーのが一番ウットーシくて嫌ェー何だオレは!!」
「ひぃいい!?」
 シャトンは淫魔につかみかかり、真っ向からの力比べを挑む。
 甘幻密悟。
 シャトンもまたサキュバスであり、かつてクロノヴェーダに弄られたことで魅了の魔力を宿す分泌物資を散布することができる。
 淫魔の扱う情欲と本来同質のそれは、せめぎ合い混ざり合いながら、シナジー効果を生み、淡紅色の気体と化してむせ返るような香気を辺り一帯に漂わせた。
 こんなパラドクスにあてられたとあっては、多感な青少年達が男装三白眼の娘という本来タイプじゃないはずの彼女に性癖をこじらせてしまっても致し方ないことである。
「ウッシッ!」
 力技で敵を降したシャトンは、その直後に告白されることになる。
「シャトンさーん! 目つき悪いとこに惚れましたー!」
「パンツは何色ですかー?」
「おっぱいください!」
「アアァァ、ヤラネーよ!?」
 あからさまな好意を向けられて、そう答えるのが精一杯だった。

「ところで……おっぱいって、たべもの? やっぱりのみもの? どっちなんだろ?」
 戦いの最中であるが、ベアタは唐突な疑問に襲われた。
 生きることは食べること。その欲求が人一倍強いベアタである。
 この難問は彼女の当然の帰結である。
「おっぱいは楽器です。至上の音楽なのですよ」
「楽器? 木琴代わりに長さが違うチョコ叩いても、音は出るじゃないか。で、チョコは食べてもおいちい」
 チョコレートは美味である。これは例え淫魔相手でも譲れない。
 人類共通の絶対価値観。
「つまり……おっぱいじゃなくて、チョコでもいいじゃない」
「いや、そうはならんやろ」
「チョコで楽器つくればいいじゃなーい!」
 淫魔は恐怖した。
 自分達もたいがいな連中であることは自覚がある。
 他のクロノヴェーダからも『淫魔ってたいがいだよね』って目で見られてる。それは知ってる。
 だが、こいつの発想も人間から見てもおかしくない?
 淫魔は反論した。
「いや、チョコは体に塗りつけるものでしょ?」
「いや、それもおかしい」
「食べ物を粗末にするな」
 反論されたベアタの怒りは即座に沸騰する。
「ああ? うっせえ淫魔め。てめえのおっぱいレンチンしちまうぞ?」
「沸点が低い!?」

 トータは困惑していた。
 普段はちゃらんぽらんの適当な発言キャラ、でも依頼ではその本質冷酷な面がのぞく。
 それが自分のキャラ性であったはず。
 だが。
 脳がチグハグになる。思考と言動があべこべになる。
 これが淫魔と戦うということ。淫魔初体験。また一つ大人になりました。
 すべてはおっぱいが悪いのか、おっぱいは刺激が強すぎるっていうのか。
 瞬閃光断。
 目に見えない糸で敵の全身を絡め取る。
 その淫魔はもはや指一本動かすことができず、後はトドメを刺されるのを待つばかり。
(「そうやってぎゅっと締め付けてやればおっぱいがさらに強調されるんじゃねえの?」)
 仕上げは味方に任せて、トータ自身はじっくりと強調されたおっぱい、強制パイスラッシュを眺めていると。
 横合いからアンジェリーカ・リヴィンスキー(吸血鬼のダークハンター・g07564)にぶん殴られた淫魔が吹っ飛んできた。
 不意打ち気味にトータの顔面に決まるおっぱい。
 トータがそのあまりの弾力に吹っ飛ぶ。
「だ、大丈夫か! トータ!」
 地面に叩きつけられるトータの表情はなんだか安らかで。
 心配して駆けつけてきたアンジェリーカの前で、トータはそっと目を閉じた。
 おっぱいには勝てなかったよ。

「この期に及んで、おっぱいを持ってきてと言われてご愁傷様ですが。手加減はしません!」
 エヴァは相手の動きを観察し、予備動作を看破。
 高速詠唱で雷撃招来、機先を制して敵の動きを咎める。
 統率のとれない淫魔達の間を縫うように動いて攪乱し、宮美のアイスエイジブリザード、夜永の爆裂怨讐波で足が止まった淫魔達に雷撃を追い打ちしていく。
「雷神が用いし粉砕するものよ。言の葉に込められし神が力を顕現し、雷の世界と為せ!」
 エヴァ達が敵を確実に殲滅していく。
 もちろん、他のメンバーもちゃんと戦っているのだが、とてもそうとは見えない。不思議。
(「でも、この戦いが終わった後、みんなの記憶に残っているのはおっぱいのことだけの気がします」)
 世の無常をかみしめるエヴァであった。
 エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は連れてきた犬猫を淫魔に見せてあげている。
「わぁ、かわいいワンコにネコさん」
「そうなんだ。この子達は子だくさんでね。おっぱいも確か8個くらいあったと思う。やったねおっぱい祭りだね」
「え、あ、はい……そうですね」
「あ、こら、ワンコ。相手が淫魔だからってヘコヘコしちゃだめだろ、こら、離れなさい」
「あー、いいんですよー。ワンちゃんのすることですからー」
 といった微笑ましい一幕もあったりして、最早戦うということのゲシュタルト崩壊を起こしているのは間違いない。
 戦いってなんだろう。おっぱいってなんだろう。
 小雪の周囲には毛玉分身術で108匹に増殖したモーラットのコダマがわいわいしている。
 コダマ達は大好きな小雪の命令一つで果敢に敵に襲いかかるのだ。
「コダマのもふもふ力で逆に魅了しちゃって、ください!」
 たくさんの毛玉にわちゃわちゃされて、さしもの淫魔達もモフモフの魅力に抗えない。
 全身を毛玉に覆われて……。
「いや、これはこれで……ゴクリ」
「モフモフでエッチなのっていいよね」
「こらー男子は邪な目で見なーい。つーか戦えー」
 エトヴァは魔力障壁を展開して淫魔達の情欲の波に抗いながら、チェロを演奏している。
 音楽の神が降臨したかのような超絶技巧。
 それに、琥兎の歌唱と彼女のオラトリオ燈杜美も演奏を合わせる。
『―――儚くも その緑の輝きよ 尊き息吹と為りて 駆け抜けん』
 美しい旋律のセッション。
 一心不乱に奏でられる天上の音楽は、風に乗り、一帯に満ちるどうしようもない空気を清廉に洗い流していくかのようで。
 これで終われたら本当によかったのだけれど。
「よーし、淫魔ちゃん達おっぱい楽器で対抗だ!」
「おっぱいの底力見せてやれー!」
 お前達はどっちの味方なんだよ、と心乱しそうになるのを必死にこらえて演奏しきったエトヴァくんは本当にえらい。
 宮美は地面を凍らせて動きの鈍った淫魔達へすかさず吉音式グレイプニルを投擲する。
 この投輪は淫魔達の関節を固め拘束する。身動きできない淫魔へと宮美は吉音式スノーバレットを構え……。
「本当の音楽ってやつを教えてやらあ!!!!」
 ドガァァン!
 芸術が爆発した。

 死を感じたとき生殖本能が活発になるのは生物としての自然な在り方である。
「匂う、匂うぞ、いいおっぱいの匂いがする」
 いよいよ劣勢を感じて、一部の淫魔達の本能は仲間を増やすことに傾いた。
 精鋭たる淫魔には独特の嗅覚が備わっている。
 それは第六感に近い。人間と同じ生殖方法をもたない彼らの、それはいわば魂に刻まれた本能であった。
「いいおっぱいは、お前だー!」
 淫魔達が一斉に指をさしたのは……。
 五月姫。その胸部。
「ひ……っ、姫のこれは、今の世《最終人類史》に来てから、だから、ただ太ってるだけ、なんだよ……?!」
 怯える彼女を囲い込もうとする淫魔達。絵面がやばい。
「巨乳はみんなそう言うわー!」
「いや、言わねーだろ!? てか、名指しでセクハラやめろーっ!?」
 琥兎が五月姫をかばうように前に立った。
 すん……。
 琥兎の胸を見て、水を打ったように静まり返る、淫魔達に怒りを覚える。
 いや、ちょっと待て。
 琥兎は男装して隠しているだけで実は胸が大きいのだが、こんなにもあからさまな態度をされると一瞬この場でバラしてやろうかという気分にもなる。
「待て。まだ他にもいいおっぱいの匂いがするぞ!」
「力に満ち足りたクロノヴェーダの礎となるべき素材だ!」
 次いでターゲットにされたのは……。
 ベアタ。
「私? いやいや、人様にオススメできるほどのものは持ち合わせてないんで」
「いやぁ、目の肥えた淫魔ちゃん達に認められるなんて、なかなかのことだよ。そのおっぱいもすきです」
「おっぱいください」
「脚、尻……」
「こらぁ! そこのクソガキ共味方にセクハラすんなっ!」
「異議あり! 俺は二十歳です!」
「なお悪いわ!?」
 すると、淫魔は唱和し始めた。
 それに呼応するように住民達も建物から顔を出す。
 新たな逸材。素晴らしいおっぱいに出会えた、人間賛歌。おっぱい賛歌。

 よく見れば、宮美も、小雪も、エヴァも、琥兎も、シャトンも。
 エストも、夜永も、五月姫も、ベアタも。
 運命も、トータも、クロも、明莉も、エトヴァも。
 みんなみんな、それぞれの良さがある。
 みんなみんな、いいおっぱい。
 いいおっぱいでいっぱいじゃないか!
 こんなにおっぱいで満たされるとは!
 今日はなんていい日だ。
 祝おう! 今日はおっぱい記念日!
 領民の祝日である。
 おっぱいを讃える歓声が上がる。
 おーっぱい! おーっぱい! おーっぱい! おーっぱい!

「……えっと。つまり、おっぱいが雄っぱいでいっぱい?」
 エストは必死に考えを巡らせるが……。
「ごめん。訳がわからないよ」
 現実を目の当たりにして宮美の胸に去来したのは、
『くるんじゃなかった!』
 という思いだった。
「もうやだ、ほとんど全員頭悪い……!」
 目の前で繰り広げられるおもしろ馬鹿々々しいやりとりを見つめていた小雪はポソリとつぶやく。
「真理を悟りました」
「この状況で!?」
「目を覚まして小雪ちゃん、こんなところで悟った真理はまやかしよ! ろくなもんじゃないわ!」
 ろくなもんじゃなかった。

 戦いは過熱し、クロのRS-B三連装レッグミサイルが飛び、明莉の義手から火炎が放射される。
「すごくHだ! すてきだ! Hって言ったな? HはHでもhellの方だよ。ふはははは! 川越ではよくあることだー!」
「理性? んなもんとっくに溶かしたわ!! ふははは、燃えろ燃えろ。ブラもパッドも、偽乳は燃えろーっ!?」
 見えない振り。
 聞こえない振り。
 仲間がおかしなことになってる気がするけど気にしない。
 アンジェリーカは暴力に徹することにした。
 いちいちツッコミをしていたらノリに流される。なにもできなくなる。
 ウチは攻撃役。そしてストッパーとしてやってきた。
「ストリッパー?」
 ……流されるな。ツッコむな。
 相手は非道なクロノヴェーダ。悲劇を繰り返さないために、この手を緩めることはない。
「アンタ達の弱点も、もう見抜いてるわ」
「な、なんだと……!?」
 敵がおっぱいの先端部分や耳たぶを隠す。
 違う違う。そうじゃ、そうじゃない。
「大体のヤツは……顔面を殴られて首の骨が折れたら死ぬ!」
「あ、当たり前だろ」
「死ななかったら、死ぬまで殴ればいいこと!」
「こいつ、脳筋だぁー!?」
「折れるほどの勢いで顔面にアースクエイクを叩き込んでやるわ!」
 搦め手を得意とする淫魔は単純な暴力に弱い。うまくベクトルを変えさせれば圧倒できるのだが。
「ま、待て。これ以上攻撃したら後悔することになるぞ!」
 命乞い? 人質がいるとでもいうつもりか?
「どうせ苦し紛れの嘘でしょ? そんなことでウチがやめるとでも?」
「み、見るんだ、このおっぱいを」
「見るわけないわよね」
「後悔するぞ。こっちには人質がいるんだ!」
 淫魔は必死の形相で、いや、露出魔まるだしの喜びの表情でコートを開いた。
「見なさい、この美乳を! 形よし、サイズよし。世が世なら全米が震える驚異のバスト! このおっぱいこそが人質だぁー!」
「寝言は寝て言いなさい!?」
 ゴガン!
 アンジェリーカは拳で黙らせた。
「どれどれ?」
「見せて見せてー」
「寄っていくな男子共ー!?」
 動揺か。狙いがそれて、顔面でなく胸を殴ってしまった。
 淫魔は打たれた場所を押さえて苦しそうに呻く。
「ぐ……なんて威力だ。Fカップじゃなかったら衝撃を受け止めきれず死んでいたぞ」
「いや、サイズ関係ないでしょ」
 淫魔は夜永に向かって叫んだ。
「Fカップじゃなかったら死んでたぞーッ!」
「こっち見て言うなぁー!?」
 夜永はコンプレックスを刺激され、そのムカムカをパワーに変えて爆裂怨讐波を放つ。
「……おっぱいに勝って、勝負に負けた」
「マジ五月蠅ぇー! 黙って倒れろ!」
 怒り狂う夜永は気づかない。
 ナイチチに対する過剰な煽り。
 心の内に募っていく巨乳ヘイト。
 そこには黒幕がいたということに。
 いつの間にか嫉妬団オーストリア支部名誉支部長に就任した百鬼・運命によって貧乳と巨乳は争わされていたのだ。
 いや、それは価値観の転換。
 コペルニクス的転回。
「貧乳はステータスなのだよ!」
 運命は貧乳型淫魔達と一部の復讐者を率いて巨乳達へと戦いを挑む。
 これは聖戦である。
 運命は手近な建物の屋根に立ち、塔の壁に手をかけて広場で戦う淫魔達を睥睨していた。
「ふふ、ふははは、争え、争え……おっぱいの為に。フォーザおっぱい。おっぱいください」
 その背後には妬み嫉みといった感情が澱み凝り固まったような禍々しいオーラを背負っている。
 今や貧乳達の負の感情は彼の手中にある。他人に対する暗い想念を意のままに操り争わせていた。
「憎み、妬め、嫉妬の炎ヲ燃え上がらセロ……この地ヨリ巨乳を駆逐スルノダ……! おっぱいくガッ!?」
「お前が魔王じゃねぇかっ!?」
 琥兎の狙撃が精確に運命のこめかみにヒットした。
「おい、そこの嫉妬団司令塔! 変な状況を作るな?!」
「誰だ! 『あのptnエルフちゃんは貰っていきますね』とか言う奴は! 訂正しろー!」
「ああっ、仲間まで嫉妬団に……」
「パッドやろうか?」
「余計なお世話だ!」
 夜永はトータ(幻影)をぶん殴った。

 場はカオスを極め、大混戦。
 どうしてこうなった。
 五月姫はめちゃくちゃな現状を見て戸惑う。
(「……おかしい。あのときの罰ゲーム、だけだったはず、なのに、感染拡大、してるような……?」)
 五月姫が運命をイカトゥーンで負かした、それが原因でこの戦いにまでチェインしたとでもいうのか。
 いやいや、そんなまさか。
 五月姫は考えないことにした。祝詞を唱えよう。祝詞は心を静めてくれる。
 ――愚かなる衆生の一二三四五六七八九十なる余殃を、高龗神に祓い浄め給へと祈願奉り、大願を成就なさしめ給へと恐み恐みも白す。
「暴風雨よ、彼の淫魔たち、ふきとばしてっ」
「キャーッ! いやーん!」
 暴風雨をいいことに淫魔達は濡れ濡れになったり、コートの裾がめくれそうになってイヤーン的なことをやったりして。
「死ぬほど頭の悪いクロノヴェーダが居ますね!!?」
 宮美は絶望した。
 ああ、どこまでいっても淫魔は淫魔なんだねって。喜んじゃうんだねって。
 五月姫はそっと舞を止めた。

(「ット、後の説得の事考えリャ胸の流行りは把握しとク方が良い、カ」)
 シャトンはそう思いつき、戦闘不能状態の淫魔達を並べてその形やサイズを見比べ始めた。
 すかさず彼女の背後に並ぶ男子ーズ。
「ねぇねぇ、なにしてんの?」
「コレはだナ、淫魔共の胸トカ、おっぱい芸術ヤラ、楽器の胸を見て傾向をだナ……」
 ところが、同じ暴かれ待つ膜中の淫魔であっても、そのおっぱいはバラエティに富んでいる。
 小ぶりで形がいいの。ロケットみたいに攻撃的なの。巨大なマシュマロ。
「形もサイズも多種多様で参考にナラネーナ」
「さわってみたら?」
「ナルほど、肌触りや質感でも何か分かる……って誰がさわるか!?」
 ボケられたと思って反論したが、クロの瞳は純真であった。
「さわって、揉み揉みしないとわからないこともあるよ! むしろなにもわからない!」
「そうだ。揺らしてみよう」
「それだ!」
 純粋なエロガキパワーに言葉をなくす。
 それにしても、ヴィジェが配下のおっぱい具合にまでこだわっているというのなら、この結果も当然と言えるのだろうか。
「クソ、本当芸術に対してダケは真面目だなアイツは!?」

「……まあしかし、危機感のない指揮官を持ったようで、残念だったな。ヴィジェはどこだ?」
 エトヴァは淫魔の胸倉をつかんで問い詰める。
「か、カルメル修道院」
 サンクト・ペルテンには歴史的建造物がいくつもある。
 市庁舎広場、旧郵便局、英国女子学問所、ヤーコブ・プランタウアーの家、ありすぎて特定しきれなかったほどだ。
 おそらくはバロック建築の有名な修道院のどれかだと思っていたが……。
「あーっ!? あいつ今、おっぱいつかんでたー!?」
「えーマジー!?」
「あなただけはそういうんじゃないと思っていたのに」
 エトヴァはあくまで冷静に対応する。焦ってはダメだ。実際つかんでないし。
「……っ! つかんでいないが」
「うっそだー! 見たもん! 今つかんでたもん!」
「違う。つかんでない。つかまない。一生つかまない」
 エトヴァはおっぱいをつかんでいない。

 広場の敵は壊滅した。
 だが、復讐者達は満たされぬ想いを抱いていた。
 数々の悲劇虐殺を体験した彼らの怒りはこの程度では収まるはずもない。
「おっぱいだ、もっとおっぱいをよこせ……」
 この怒りはクロノヴェーダを殲滅せしときまで尽きることはない。
「ABCDEFG♪ HHHHフゥフゥフゥーッ!」
「脚だ、脚なんだー!」
「おっぱいください!」
 戦慄した。
「ダメだ、いくらナレーションしてもフォローできない……」
「おかしいよ! こんなの絶対おかしいよ! 嘘だと言ってよ!」
 クロは慟哭した。
「倒した淫魔ちゃんのおっぱいを揉み揉みできないなんて、じゃあオレ達はなんのために……なんのために戦ったっていうんだ!?」
「いや、そんな戦争アニメの主人公みたいに叫ばれても」
「はいはーい、いい加減にしようねー」
「あ、あの、だったらボクが……」
 おっぱいの代わりにモフモフを……。
「いいから。小雪ちゃんがなにかする必要ないから」
 この件に関して小雪ちゃんがなにかする必要はなかった。

「なんだか、すごく疲弊した」
 宮美達はがっくり肩を落とした。
 こんなところにくるんじゃなかった。大事なものがごりごりと削られた気がする。
「まぁまぁ、まだトループス級を退治しただから、もうちょっとがんばろう?」
「いもようかん食べるー?」
 エストとベアタに励まされた。疲れた時には甘味が効く。
「……ねえ、百鬼さん。もう罰ゲーム、終わったはず、だけど、まさか口癖になった……?」
 ジト目を送る五月姫に対して運命は爽やかな笑みを返した。顔は誰かに殴られたかのように真っ赤に腫れている。
「まさかそんなことはないよ。おっぱいください」


 効果1【おっぱいください】LV1が発生!

「してねーから!?」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【使い魔使役】LV2が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【おいしくなあれ】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV4が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【リザレクション】LV2が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!

吉音・宮美
アドリブ連携歓迎
色々ありましたがなるほど…音色を聴いてわかりました、貴方は本当に至高の音を求めていたんだと
自分にしか見えてない道を進むのは辛いですよね。馬鹿にされたり、呆れられたり、奇異の目で見られたり…私も同じ経験があるからわかります
だからこそ、私は『人を傷つけて作る芸術に良いものはない』という自らの道を確めるために、貴女に挑みます!私が磨いてきた【アート】で!

選択PDを【演奏】!
道は外道と言えど至高の音楽を求めたものに全力の【歌唱】を行います
せめてその最後に、最高の音楽を聴いてほしいという思いを込めて!

……どうですか、貴女とは違う道で作った私の曲は
もし良いものだと思うなら、とても嬉しいです


ベアタ・アンシュッツ
嫌な……事件だったね(遠くを見る目で)
とりあえず、「俺は……おっぱいにはなれない……」とか、言い出す人が居ないように願おう

だって、最後に、


\\\「俺が、俺達が……おっぱいだ!!」///


とか言い出されても困るし
一緒くたにされたくねえ

と言うわけで、クロノヴェーダ☆マッシャーでおっぱいの一欠片も残らないように【土壌改良】しよう
つうか、おっぱいおっぱい言うけど、遠くのおかずを取ろうと箸を伸ばしたときに、気付かないうちに胸部で醤油さしを倒しちゃったときは、すごく泣けちゃうんだぞ

杏仁豆腐に醤油がインなんだぞ
それが、おっぱいに秘められた悲劇なんだよ

思い出したら腹立ってきた
潰そう、マッシャーで潰してしまおう


トータ・キサラギ
アドリブ連携歓迎

運命にーちゃんは怪我を負ってしまったらしい
だからオレが引き継ぐぜ!【おっぱいください】の罰ゲームを!おっぱいください!!

八方分身でありとあらゆる場所から叫ぶ!そう、おっぱいください、と!!
【おっぱいください】の残留効果を最大限に利用してやるぜ!!

いや待ってくれ!これはあくまで運命にーちゃんから託されたおっぱいくださいの願い!
そして残留効果の影響だ!信じてくれ小雪ちゃん!おっぱいください!


クロ・レヴァント
【アドリブ&ツッコミ歓迎します】


ヴィジェ様…!可憐なお姿でございます!
おっぱいください!
更なる高みを目指したいのです

効果1【おっぱいください】LV1が発動しています

おぃイ?
何故野郎のおっぱいの旋律が流れる?
違うでしょう
違うでしょうッ!!!

ってオレの姿が女の子の姿だからってアッー!

「来るな、寄るな、近づくな!
なんかよくわからんイケメン男の旋律ゥ!」

装甲機兵に搭乗して、パラドクス【ミサイル】を発射します
ミサイルは味方に被害を与えないように撃ち込みます

そう、この鋼鉄の鎧だ
オレは触れられないし触れない物理的に
ロボットから降りないと触れない
だから安全…
アッー!野郎の旋律を奏でるなー!

おっぱいください…


エヴァ・フルトクヴィスト
何というか、敵からは勿論、味方からも。
おっぱいおっぱいと沢山聞く事になろうとは思いませんでした。
私をはじめとして真面目に戦っていた方もいらっしゃったはずですが。
見事におっぱいしか印象にないですよ!?

って私のおっぱいに批評は結構です!
降りてきたぁ~~~って何が何ですか!?
あ、結構ですので!

収集が付かなくなる前に、私の最大火力を見舞って。
淫魔の手からザンクト・ペルテンを解放させて貰いますよ!

パラドクス通信でやり取りしながら、味方とタイミングや連携を取って。
召喚で妖精さん達に演奏をして貰いながら。
歌唱には歌唱で対抗して、浄化を込めた歌声で誘惑の浸蝕を飲み込んで無くすと共に、そのまま貫通の一撃へ!


アンジェリーカ・リヴィンスキー
さて、追い詰めたわよ。
人体改造して楽器を作るなんて悪趣味な事、故郷の糞度思い出すのよね。

という事で死んでくれる?って言いたい所だけど、あんたと因縁のある子が居るみたいね、その子に譲りましょう。

一気に踏み込んで真正面から…と見せかけて背後に回り込んで粉塵を巻き上げて目くらまし!隙が出来た所を味方に追撃してもらうわ!
急所って言うのは拡大解釈すれば状況何かで生まれる隙だってそう、自分で直接攻撃するばかりが暗夜の一撃じゃないのよ。
敵の反撃が精神攻撃なら自傷なりで対処よ。

こんなどっちつかずな物作ったのは、あんたが胸にも楽器にも自信を持ちきれなかったからじゃないかしら?
その自信の無さがあんたの敗因よ。


瀧夜盛・五月姫
なるほど、手に持ってるのは、トライアングル。
すなわち、体鳴楽器。
だから、人体《おっぱい》を鳴らした、と……って、やかましいよ!?

姫にできるのは、懐、飛び込んで、クロノヴェーダとディヴィジョンの“縁”、断つこと、だけ。
薙刀を構え、【精神攻撃】には集中することで耐えて、クロノヴェーダに叩き込む、よ。

……クロノヴェーダとシンコペーション、しちゃってる、復讐者もいる、ね。
洗脳、されたか。はたまた、元来の気質か。
……別に要求するのはいい、けれど、ね。
あいにくと姫、身も、魂も、予約済みだから、ね。

ひょっとして、一緒に退治した方が、最終人類史の為、かも……?
ふふ、ふふふ。


月下部・小雪
あ、あわわっ、な、なにか見覚えのない残留効果が出て、ます。
これが今特訓中の新しい残留効果、ですか?
こ、この後の演説のためにもっとレベルを上げた方が、いいのでしょうか……おっぱいください。

けど、まずは事件の元凶のボス退治です。
大きなおっぱいには大きくなったコダマで対抗、です。
【巨大毛玉墜とし】でどしーんと落ちてきて、ください!
(運悪く巻き込まれる人がいるかもしれないし、いないかもしれない)

トータくんや他の人達もおっぱいを欲しがって、ます。あ、赤ちゃんになって、しまいました!?

※アドリブ連携大歓迎


シル・ウィンディア
援護に来た…よ??
……えと?これ、どういう状況??
正気な人は一体何人いるんだろ…。

と、とりあえず、敵味方問わずにぶっ飛ばすことのないように気を付けないと…。

あ、でも、(味方からの)振りかかる火の粉は、剣で対処しますよ?しますよ?

とりあえず、気を取り直して…
敵の音楽は気合で耐えるけど…
これ、何人か影響受ける人多そうだなぁ…。やだなぁ…

邪魔(味方含む)を抜け出してダッシュして…
高速詠唱からの全力魔法の七芒星精霊収束砲で撃ち抜いてみるよ
おっぱいとか、そんなの無理だから、撃ち抜かせてもらうよーーーっ!!

威力見て、正気に戻る人いるかなぁ。いければ…

いっそ、撃っちゃう?いや、撃たないけど


薬袋・明莉
ちょっと待て!一部発動してるじゃねーか!効果1【おっぱいください】が!

で、あれがボス?こだわってるだけあって彼奴自身もいいおっぱいしてるな
美しい丸みを帯びた造形美だ
脚派の俺でも認めざるを得ない(本音入り交じりつつおだてながら早業&アート、クロッキー)
いや、うん。下心うんぬん抜きに美しいものみたら書き留めたくなるのは芸術家のサガだろ?

と、お遊びはここまでだ
パラドクスで攻撃
不意打ちの斬撃を浴びせる
実はさっきのクロッキーはこのときのための仕込みだったんだぜ
あと俺はやっぱり脚に心踊るタイプだからな

アドリブ絡み歓迎


エスト・リンフィールド
とりあえず、
「君のおっぱいに心奪われた漢(おとこ)だ!!」
「身持ちが堅いな! おっぱい!!」
「抱き締めたいな! おっぱい!!」
「君の圧倒的なおっぱいに私は心奪われた……この気持ち、まさしく愛だ!!」

とか、叫んだり自己紹介する人が居ないことを祈ろう
まさか、敵自身がそんなこと言ったりは……全年齢だし、ないよね?

とりあえず、隙をみてアースシェイカーで敵を攻撃しよう
まさか、地震が収まってるのに、自分でセルフぶるんぶるんしてたりしないよね

うん、【浮遊】でじわっと距離を取っておこう

「キミはもっとこう……薄い方がいいね!」
とかいって、いきなり改造とかしてきたら、アースシェイカーでずっとぶるんぶるんさせよう


シャトン・ヴォロンテ
(息を大きく吸って)
バカじゃネーノ
バッカじゃネーノ!
何がおっぱい楽器だバアアアッカじゃネーノ!!
て言うかバカ!ドバカ!ソレはオモシロ愉快楽器でアッテ何一つ芸術じゃネー!
正史のヴィジェ=ルブランに謝レ!ンナアホな事すんなラ名前使うナ可哀想だロ!?
(パラドクス煽声口撃の為の動揺を誘う……と言うより思い存分ぶち撒けて罵倒してるだけな気もする)
発想がオヤジなんだヨこのクソバカ!!
(一応シャトンの知るヴィジェならこれで十分ショックを受けそうと言うのもあるけど、アヴァタールだし同じかは知らない。まあ良いや!)
バーカ!
(頭突き)
アホー!
(そのまま組み付いてvolontéを使ったキャットファイト)

(何だこれ)


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
えー……何か俺も巻き込まれた気がする
一瞬ミイラ取りがミイラになった方が楽かもって思った、恐ろしい
紛らわしい楽器を作っているヴィジェを倒して
ザンクト・ペルテンの善良なる市民を解放しよう

肉体改造はクロノヴェーダだけにしておきなさい……
素朴な疑問だけど、それどうやって弾くんだ
などと迂闊なことは聞かないでおこうか
ところで俺のも素質ある?

冗談はさておき真面目に戦闘
街に、秩序を取り戻す

敵の動きをみて隙を看破
チェロの演奏で対抗
音色に描くは秩序ある世界の物語
相手の音色に真向からぶつけて狙いと魔力を掻き乱し
秩序と規律で魔性の音色を吹き飛ばし
魔力障壁で防御を
いや、本当、皆正気に戻って……

連携、アドリブお手柔らかに


南雲・琴音
大きさか

かたちか

それとも感触か

……音色?
音、出んの!?

……ハッハーン、察した
イヤーンアハーンウフーンなアレですね!

でも、そいつはショーネンシーの防衛ラインを突破するんで
正義は守んないけど、ゼンネンレーは守らせていただかないと、悪役のお仕事に影響するのよね

というわけで、戦闘員突撃で敵を攻撃
お前達……やっておしまい!

敵が子ども達にもおっぱいを押し売りしようとするなら、【防衛ライン】で食い止めましょう
子ども達に……なんてこと教えてるんですか!

それを教えるのは、私の役目なのに
……じゃなかった、これも悪のためにさ

だって、18禁戦隊だなんて……子ども達に見せられないよ!
そしたら、悪役も用無しになっちゃう!


緋詠・琥兎
※味方のツッコミ(物理)用にBB弾用意

さっきも同じような事を言ったが
とりあえず、つっこませろ

この状況を止めるべき自分らが
そっち方面に暴走してどーすんだよ?!

絶対的に駄目だろっ?!
というか、あってたまるかっ
こんな残留効果っ!?
(引き続きツッコミ役として存分にry

燈杜美
浄化の演奏を全力で響かせてくれ
不埒な発言も敵の音楽も悉くかき消す勢いでな

悪いが
自分はデーモンイーターだ
肉体改造の耐性を持ってんだよ
(情報収集・看破等

テメェは絶っ対に喰わねぇけどな!

喰葬変で左腕を結晶化
全力でぶっ潰す!
(強打・破壊・粉砕等


胸を欲しがっている奴は全力で無視していいぞ


二人称
苗字(男性
苗字+嬢(女性

アドリブ
連携歓迎


百鬼・運命
アドリブ絡みネタ大歓迎

効果1【おっぱいください】LV1により語尾が「おっぱいください」

「トータよ。後はお前に託す。「おっぱいください」と共にあらん事を…皆トータを頼む」

と一部腐女子の需要を満たしたものの重症も治ったので、「神楽舞」の応用で機動戦士や宇宙戦争、美少女戦士のネタを取り入れ、敵か味方か謎の仮面戦士『嫉妬仮面』として参戦
どどめ色のタキシードに身を包み、バラの代わりにすっぽん鍋の香りのするラフレシアを投げつけ、その触手による攻撃で一部味方に喧嘩をうりつつ支援

「こういう時は触手で攻撃と決まっている」

なお仮面をかぶった後なので、エストさんのネタ台詞は言いませんが、被った後のネタ台詞は多用


「あ、あわわっ、な、なにか見覚えのない残留効果が出て、ます」
 月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は予期せぬ事態に驚愕していた。
 少し遅れて薬袋・明莉(情熱のアーティスト・g02002)も気づく。
「ちょっと待て! 一部発動してるじゃねーか! 効果1【おっぱいください】が!」
「これが今特訓中の新しい残留効果、ですか?」
「なんに使うんだよ。世紀末かよ」
 体の内から湧き上がる欲求。
 おっぱいください。
 おっぱい、あげる? もらう?
 イエス、オア、オーケー。
「いやいやいやいや、そんなわけあるかっ!? あってたまるかっこんな残留効果っ!?」
 緋詠・琥兎(その身に潜むは破滅か。それとも朧げな標か・g00542)が強い意志をもったツッコミを放つと、芽吹きかけていた感覚は霧のように消えていった。
 あれは、おっぱいが見せた、一瞬の幻だったのかも知れない。
「こ、この後の演説のためにもっとレベルを上げた方が、いいのでしょうか……おっぱいください」
「大丈夫、大丈夫だから。小雪さん戻ってきてー」
 動揺か期待か幻想か。
 心を占める胸騒ぎは収まることを知らない。
 戦いの最中はどうしても昂るものだが、それに足を取られることもあるのだと復讐者達は経験していた。
 であるからして。
 これから敵のアジトに乗り込むにあたって、一度引き締めていこうと思ったのは自然な流れであった。
「さっきも同じような事を言ったがとりあえず、つっこませろ」
 琥兎は百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)達に向かって指摘する。
 ちょっと聞いて男子ー。
「この状況を止めるべき自分らがそっち方面に暴走してどーすんだよ?! しっかりしろ!
 運命は一度琥兎を見てキョトンとした表情を浮かべたが。
 既読スルー。
「こら、百鬼聞け!?」
 と、その運命の顔が苦痛に歪み、その場に倒れこんでしまった。
「百鬼さん、大丈夫?」
 運命は先刻の戦いにおいて膝に矢を受けてしまった。
 額のたんこぶや顔面の腫れの方が酷いような気もするがそこはそれ。
 呼吸は荒く、目はどこか虚ろ、口の端からは血が流れ出ている。
 そんな運命をトータ・キサラギ(忍者の末裔・g06840)は腕の中で支える。
「トータよ。後はお前に託す。『おっぱいください』と共にあらん事を……」
「ああ、任せてくれ、運命にーちゃん。オレが引き継ぐぜ! 【おっぱいください】の罰ゲームを! おっぱいください!!」
 運命はフ、と微笑んで仲間達に視線を向ける。
「皆トータを頼……む」
「にーちゃん! 運命にーちゃぁぁんっ!?」
 安らかな表情を浮かべて運命は瞳を閉じた。

「嫌な……事件だったね」
 遠くを見るような目でベアタ・アンシュッツ(天使のハラペコウィザード・g03109)はつぶやいた。
「いや、なにも終わってないから。過去にしないで」
「というか、運命さん、そんなに重傷じゃないのでは?」
「いや、重症だよ。心音がおっぱいになってる」
 心音がおっぱいになってる!?
 ベアタの言うことは信じがたい事象であったが、あえて誰も確かめようとはしなかった。
 運命なら、そういうこともあるかも知れない。
 あと、もうそれでいいやと思ってしまったのも事実。
 まだアヴァタール級が残っているが、戦力的には十分に対抗できるだろう。
 それにしても。
「何というか、敵からは勿論、味方からも。おっぱいおっぱいと、これ程までに沢山聞く事になろうとは思いませんでした」
 エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)はこめかみを指で押さえてそういった。
 頭が痛い。めまいがする。早く終わらせたい。
「私をはじめとして真面目に戦っていた方もいらっしゃったはずですが。見事におっぱいしか印象にないですよ!?」
 段々となにと戦っているのかわからなくなってくる。
 敵はクロノヴェーダ。淫魔だ。
 おっぱいじゃない。敵はおっぱいじゃない。
 おっぱいは敵じゃない。
「ま、まぁ、そう言わず、ここは一つおっぱいでも」
「あ、どうもありが……って、お水を勧めるみたいに言わないでください」
 エヴァに指摘されて、エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は自らの行動に驚いた。
 彼女はもちろん水を勧めたつもりだったのだが。
「おっぱいに、侵食されている……?」
 まともな子にさえ影響を与えてしまうとは。
 恐ろしい。おっぱい都市恐ろしい。
(注:ザンクト・ペルテンはおっぱい都市ではありません)

「そんなことより、早くボスのおっぱい見に行こうぜー!」
「早く早くぅー!」
 まるで小学校の放課後みたいに。
 居ても立っても居られないクロ・レヴァント(黒き死神†KuroRevant†・g06271)達は早く敵の本拠地に向かおうとせがむ。
「まったくうちの男どもときたら。あんなおバカしかいないのか」
「えー……何か俺も巻き込まれた気がする」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)としてはセクハラも行わず、妄言も吐かず、最低限のラインはキープしたつもりなのだが。
 おかげで、全身にどっしりとのしかかるような疲労感。
 そして、削られかけている尊厳。
 しかし、どうだ。
 クロ達のあの生き生きとした表情。
 なんの不安もなく、青い空の下を駆け回っていた少年の頃のような。
 ただ純粋におっぱいだけを追いかけることができたら、自分もあんな風になれるのだろうか。
「一瞬ミイラ取りがミイラになった方が楽かもって思った、恐ろしい」
「エトヴァさん、負けないで!?」
 折れそうになっているエトヴァの心を仲間達が鼓舞する。
 急げ、復讐者達よ。
 男子の良心が挫ける前に。
 おっぱいに侵食されきってしまう前に、この戦いを終わらせるのだ。

 だというのに。
「君のおっぱいに心奪われた漢だ!!」
「身持ちが堅いな! おっぱい!!」
「抱き締めたいな! おっぱい!!」
「君の圧倒的なおっぱいに私は心奪われた……この気持ち、まさしく愛だ!!」
 向かう道中に、エストは全然知らん淫魔達に告白されていた。
 そんなにエストのおっぱいが気に入ったのか!?
 と、彼女の胸を再確認してみると。
「うん、貧乳派か」
 貧乳派なら仕方ない。
「貧乳はねぇ、ステータスなんですよぉ」
「それさっきも誰か言っていたな」
 執拗にエストに迫る淫魔達。
「そんな君達にあえて言おう。揉むなよ!」
 どかどかどかぁーん。
 エスト自らが起こした地震によって貧乳好き淫魔達は成敗された。
 早く行こう。
 長居すればするだけ知能指数が下がってしまう。
 それはある意味、戦争より怖かった。

 たどり着いたカルメル修道院は明らかに改造されていた。
 そうでなければ、これ程大きく立派なはずがない。
 迷宮化のようなものだろうか。それにしては迷うようなことはない。
 それに。
 改造とはいっても、元のバロック建築を拡張したような、建築家の意思を尊重したような丁寧なものである。
 それに気づいてしまい、シャトン・ヴォロンテ(enfant perdu・g04732)の神経はむしろ逆撫でされたような感覚を味わっていた。
 クロノヴェーダのくせに、芸術に対しては真摯である。
 アンジェリーカ・リヴィンスキー(吸血鬼のダークハンター・g07564)がその部屋の扉を開くと、宮廷芸術家ヴィジェは何人ものおっぱい楽器を部屋に並べて調律を行っているところだった。
 私室か楽器の調整室か。
「さて、追い詰めたわよ」
 拳の具合を確かめながらアンジェリーカを先頭に歩を進める。
 彼女の怒気を感じていないはずもないが、ヴィジェは調律に集中してこちらを向きもしない。
 予報通り、復讐者に対して興味を持っていないのだ。
 ならば強引にでも興味を持ってもらおう。
 アンジェリーカは護衛をしていた雑魚淫魔を一撃で屠るとヴィジェの足元へ放り投げた。
「人体改造して楽器を作るなんて悪趣味な事、故郷の糞どもを思い出すのよね」
 ヴィジェは足元の部下に視線を向け、心底面倒くさそうにため息を吐き、そうしてようやくこちらを向いた。
「知らないよ。悪いけど、他人のウンチに興味ないんだ」
 赤いドレスに身を包んだ物憂げな表情の女性。
 美人と言っていいだろう。だが、芸術に身を捧げている今は、それ以外のよしなしに時間を取られたくない。
 他人を寄せ付けないオーラを漂わせている。
 明莉は感心したように好奇の視線を注ぐ。
「あれがボス? こだわってるだけあって彼奴自身もいいおっぱいしてるな。美しい丸みを帯びた造形美だ」
「おいおい、本気か?」
「大丈夫だ問題ない。美しいものは美しい。脚派の俺でも認めざるを得ない」
 明莉はその場でクロッキー帳を取り出してヴィジェの姿を描き始めた。
「下心うんぬん抜きにして、美しいものみたら書き留めたくなるのは芸術家のサガだろ?」
 まったく、うちの男子共ときたら、と呆れる仲間達。
 ヴィジェはトライアングルを取り出して戦闘態勢に移る。
 あの音色が運ぶ魔力は人を惑わす。精神をいじり、肉体を変容させる。冒涜の音色。
 ヴィジェは楽器を媒介に魔力を照射して攻撃するのだが……。
 瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)はそこで気づいた。
 なるほど、トライアングル。
 すなわち、体鳴楽器。体を鳴らす楽器。
「だから、人体(おっぱい)を鳴らした、と……って、やかましいよ!?」
「落ち着け、瀧夜盛嬢!? てかノリツッコミ!?」
 クロはヴィジェの姿を見るなり、その足元にすべりこむような勢いで片膝をついた。
「ヴィジェ様……! 可憐なお姿でございます! おっぱいください!」
「おい、待て、おい!?」
「更なる高みを目指したいのです。ぜひ、ぜひ!」
 愛の告白のような熱烈アプローチ。
 内容はアレだけども。
「ふーん? キミ、なかなか見どころあるね。欲望に忠実な子は好きだよ。いい音がするならもっと好きだ」
 パチン。
 ヴィジェが指を鳴らすと、たちまちおっぱい楽器達が動き出す。
 ヴィジェによって改造された楽器達の、中でも選りすぐりのイケメン達が!
「おぃイ? 何故野郎のおっぱいの旋律が流れる? 違うでしょう違うでしょうッ!!! ここは美しいお姉さん方がくるところでしょう!?」
「ふふ、怖がっているのかい、仔猫ちゃん」
「なにも怖がることはないんだよ。俺達が君の心を慰めてあげる」
 おっぱいヴァイオリン(イケメン)とおっぱいフルート(イケメン)に迫られて、硬直するクロ。
 違う。オレの求めてたおっぱいはこんなんじゃない。
 SixTONESみたいな美男子おっぱいでも、山本耕史みたいな筋肉おっぱいでもない!
「オレの姿が女の子の姿だからってアッー!」
 クロは恐怖のあまり装甲機兵へと逃げ込んだ。
「来るな、寄るな、近づくな! なんかよくわからんイケメンの旋律ゥ!」
 おっぱい楽器達は戦闘力を持たない。ただ改造されただけの人間。この中にまでは手出しできまい。
「くっ、酷い目にあ……ハッ!? 画面がなぜか女性向け恋愛ゲーム風に!?」
 コクピット画面にでかでかと映し出されるイケメンとアイコン。
『はは、おもしれー女』
『お前みたいなやつ、初めてだ』
 ときめき☆パラドクス。ガールズサイド。
「いやだぁぁぁ!」
 絶叫が響く。
「うわぁ……」
 明莉やエトヴァ、男子達から見てもあれは辛い。女装男子であるクロだから見た目的には合っているのだが。
 エヴァは危惧した事態になったと直感した。
 どんどんおっぱいに飲まれてしまう。ここからは、ずっとおっぱいのターンだ。
 いや、まだ間に合う。
「収集が付かなくなる前に私の最大火力で……」
 エヴァが魔術を編み上げるより早く。
「……あ」
 事は起きてしまった。
「どうしましたか、クロくん?」
「……母乳、でちゃった」
 !? 母乳が、でちゃった?
「はぁぁ!? なに言ってんだ、落ち着け、お前は男だ!」
「で、でも、おっぱいの辺りがじっとりと」
「それは汗だろ!?」
 某ケンドーコバヤシは格闘家の試合に感情が高まり過ぎてミルクが出てしまったことがあるという。
 また、世の中には色汗症といって、青色等の色付きの汗をかく症状もあるという。
 人体はいまだ神秘の塊だ。
 クロも似たようなことで、極度の緊張で限りなくミルクっぽい汗が噴き出したのであろうが。
 装甲機兵もろともイケメン達に囲まれたクロは。
「いやだぁぁぁ、女の子になっちゃう! オレ、女の子になっちゃうぅ!?」
 聞くに堪えない悲鳴を響かせることになった。
「エロ漫画かな?」
「あいつはもうダメだ」
「肉体改造はクロノヴェーダだけにしておきなさい……頼むから」
 ある者は十字を切り、ある者は沈痛な面持ちでヴィジェに願った。
「嫌な……事件だったね」
「また言う!?」
 ベアタが過去にしようとしている間にもヴィジェの暴虐は続いていた。
 トライアングルの音色が響く。
「君はもっとこう……薄い方がいいね」
 これ以上減らせと申すか。
 エストが貧乳のシンボルにされそうになって憮然としているかと思えば。
 ヴィジェはエヴァを見て、なにやらインスピレーション得てしまったようで。
「お、キミいいね。いい魔力、いいおっぱいだね。例えるならそう、強靭でしなやかなスプルースのような……」
「って、私のおっぱいに批評は結構です!」
「降りてきたぁぁ~~~。早速加工始めよっか!?」
「降りてきたぁ~~~って何が何ですか!? あ、結構ですので! そういうの結構ですので!」
 グイグイくるボスの執拗なスカウトを逃れるのは、エヴァにとっても初体験かも知れない。
 凶悪な攻撃を避けるとかならいつものことなのに。
 おっぱい楽器の素材として勧誘されるのは他にもいて。
 アンジェリーカはコントラバスに、吉音・宮美(限界ギリギリ狐娘・g06261)はファゴットに誘われたがその良し悪しはわからないし、当然受け入れられない。
「悪いが自分はデーモンイーターだ。肉体改造の耐性を持ってんだよ!」
 と、どう考えてもフラグをぶち抜いた琥兎は一瞬で超絶イケメンになっていた。
 一時的な魔力の影響。もしくはこれそのものが幻覚なのかも知れないが。
「えらいことになってきた」
 つい好奇心を刺激されて、エトヴァが問う。
「ところで俺のも素質ある?」
「キミは、ボクのイスになりなよ。座り心地よさそう」
 エトヴァは家具にされそうになった。ピンチ!

「そんな余裕でいられるのもここまでだ!」
 動いたのはトータだった。
 いまだ本調子ではない。だが、彼には運命から託された想いが、使命がある。
 2体、4体、8体。
 16体、32体……んー、思い切って128体!
 ヴィジェの周囲を大量のトータが取り囲み、あらゆる場所、あらゆる角度から叫ぶ。
「おっぱいください!」
「おっぱいください!」
「おっぱいくださぁーい!」
「く……なかなかいい、おっぱいくださいじゃないか」
「いいおっぱいくださいってなんだよ!?」
「だけど、それくらいじゃまだまだ。キミも、もっとキミを解放しなよ!」
 澄んだ音が鳴り響く。音の波動。そこには膨大な魔力が潜んでいる。
 魔力が収束し、トータの体が変調をきたした。
 体がムズムズする。傷もなく直接体を弄られる不快感。苦しく呻く声が高くなっていく。
 なんということでしょう
 真っ平だったトータの胸に、豊かな果実が実ったのです。
「オ、オレにおっぱいが……!?」
 これが業というものか。
 おっぱいを求めるがあまり、自らがおっぱいになってしまった。
「トータくんが女の子になってしまいました」
 小雪はその事実に抗うことなく受け止める。
「おっぱいを求めるものが、おっぱいになる。これが真理。悟りました」
「また小雪ちゃんが悟っちゃった!?」
「忘れて! 今すぐに忘れて小雪ちゃん!」
「月下部嬢戻ってきてー!?」
「オ、オレが、オレこそがおっぱいだー!?」
 自分の身に起きた事実を受け止めきれず、トータは再び大量に分身して叫びまわった。
「おっぱいくださーい!」

「援護に来た……よ??」
 シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)と南雲・琴音(サキュバスの思想家・g07872)が援軍として到着したのは、まさにそんな昏迷深まりしときであった。
「……えと? これ、どういう状況??」
「どういう状況って……見たままだよ」
 そうとしか答えようがない。
 超絶イケメン(琥兎)は説明するのを諦めかけていた。
 さすがに現状を逐一説明するのは無理だ。
 がんばった、すごいがんばったんだけどね。
「これ、正気な人は一体何人いるんだろ……」
 おっぱいの収穫祭だと喜ぶヴィジェに、翻弄される復讐者達。
 クロは悲鳴を上げて、トータは暴走してる。
 戦闘力はないけど、おっぱい楽器もいるし。
 琴音はおっぱい楽器に興味深々で。
「おっぱいって、かたちかそれとも感触か……音色? 音、出んの!?」
「いや、それさっきやったんだわ」
「私達もびっくりしたんだわ」
「やっぱりそうなるわよね……」
 琴音の反応に共感する仲間達。
「……ハッハーン、察した」
 そのとき琴音は閃いた。
「イヤーンアハーンウフーンなアレですね! ドージンシかなぁ!」
「いや、それが違うんですよお姉さん」
「そうなんですよ。これがあれで、あそこをこうやって、つまりはこうなんです」
「あーなるほどそういうことね。完全に理解した」
 わかってない。
「そいつはショーネンシーの防衛ラインを突破するんで」
 琴音の合図で怪しげな悪の秘密結社風戦闘員達の幻影が出現する。
「正義は守んないけど、ゼンネンレーは守らせていただかないと、悪役のお仕事に影響するのよね」
 そう言って笑った。

「……クロノヴェーダとシンコペーション、しちゃってる、復讐者もいる、ね」
 洗脳されたか。はたまた元来の気質か。
「ひょっとして、一緒に退治した方が、最終人類史の為、かも……? ふふ、ふふふ」
 五月姫の瞳が妖しい色を灯す。
「いや、怖い。怖いって!」
「帰りは何人か減ってそうだな……」
 おっぱいに踊る連中を見て、ヴィジェも満更ではなさそうで。
「みんなおっぱい楽器の良さが理解できてるみたいじゃないか。復讐者も捨てたもんじゃないね」
「いや、別におっぱいに反応しているだけで、楽器の方がどうこうというわけじゃないと思うが」
 ヴィジェはこちらの声など聞こえていないかのように陶酔したように笑う。
「このまま、みんなおっぱい楽器の素材にしてあげるよ。個性豊かで、きっと素晴らしい演奏ができる。そうだ、キミ達で楽団を作ろう。ディボロス・オーケストラだ。あー、次の演奏会が楽しみになってきたなぁ」
 夢見るように口にするヴィジェ。
 その様子は、ただの芸術狂いの女性に見えないこともない。
 だが……。
 この敵を決して許せない者もいた。
「……バカじゃネーノ」
 シャトンの口からは自然と想いがこぼれ出ていた。
「バカじゃネーノ、バッカじゃネーノ! 何がおっぱい楽器だバアアアッカじゃネーノ!!」
「あぁ?」
 気分を害したヴィジェが睨む。シャトンはその強すぎる想いゆえに体を打ち震えさせていた。
 そんなにおっぱいおっぱいしてることに怒っちゃったの?
 と仲間達が心配するが、どうやらそういうことでもないらしい。
「て言うかバカ! ドバカ! ソレはオモシロ愉快楽器でアッテ何一つ芸術じゃネー! 正史のヴィジェ=ルブランに謝レ! ンナアホな事すんなラ名前使うナ可哀想だロ!?」
 煽声口撃。
 聞く者の精神に影響を与え易い声と発音によって相手の動揺を誘うパラドクスであるが……。
 思う存分、思いのたけをぶちまけて罵倒しているようにも見える。
「わっかんないかなー。この崇高な芸術活動がさぁ」
「全ッ然、わっかんネーヨ! 発想がオヤジなんだヨこのクソバカ!!」
 シャトンはオリジナルを知っている。
 だから、ヴィジェの怒りを買う加減はわかっているつもりでいた。
 だが、自然と体が動いていた。
 シャトンはヴィジェに飛びかかり、組みつくことに成功した。
「バーカ!」
 勢いをつけて頭突きをぶちかます。
 衝撃で、自身の視界も激しく揺らぐ。
「なんだよ!? いきなりー!」
「アホー!」
 シャトンの体から3つの人影が滲み出てヴィジェに喰らいつく。目と耳と口しか持たぬその影は、醜くて、暗い想念を感じさせた。
 スマートさの欠片もない、泥臭いキャットファイト。
「すげえ、女子プロレスみたいだ!」
 女の子同士が激しく戦う様子に興奮する、拗らせ性癖の者も世の中にはいるらしいが。
 シャトンの表情には冗談ではない、真剣さが見えた。
 ヴィジェがシャトンの手首をつかんだ。
 罵倒されて怒りの表情を浮かべていたのが一転、興味を惹かれたような表情をしている。まるで猫の目のように。
「突然叫び出して意味わかんなかったんだけどさぁ、キミさぁ」
 耳元に囁くように。
「もしかして、嫉妬してる?」
 ヴィジェの瞳は新しい玩具を見つけたように喜々としている。
「ナっ……ンナ、ワケ、あるか」
 ヴィジェはシャトンの顎をつかみ、クイっと自分に向ける。
 吐息が届く距離で見つめ合う。
「キミの体にある魔力。癖。弄られ具合。よく知ってるなぁ。キミ、ボクになにかされた?」
 アヴァタール級はオリジナルとは別物だ。記憶を共有しない。
 ヴィジェはシャトンの反応や少ないヒントからそこにたどり着いたのだろう。
 芸術以外に興味のないくせして。また自分を見つけるのか。
「知るカ、バーカ!」
 シャトンは拒絶するようにヴィジェの顔面に頭突きを放ち、拘束を振りほどいてその場を退いた。
「大丈夫、ですか?」
 シャトンの尋常ではない様子に小雪や五月姫が近寄るが、彼女は掌を向けて仲間達が近づくのを制止した。
「……全然、平気ダ。なんでもネー」
 そう告げるシャトンはいかにも辛そうで。
 それになんだか、シャトンの姿が幼くなっているような。
 いや、彼女の年齢は13歳、少年のような格好をしているとはいえ、立派な少女なのであるが、なんだか、もっと幼く、儚く見える。
「もしかして、シャトンさ……」
「わー!? 俺にまでおっぱいがぁ!?」
「あの淫魔と昔な……」
「わーお! 明莉にーちゃんボインボイーン!」
 おっぱいが、シリアス展開を許さない。
 ものすごく大事なとこな気がするが、おっぱいパニックによって皆一様に黙ってしまった。
 てか、こんな流れで過去が発覚するの嫌だし。
「ま、まさか、俺まで女の子に……!」
 明莉がおそるおそる鏡で確認すると、かわいらしい顔が映った。
「これが、俺……?」
 ベタなセリフがこぼれる。
 かわいい。おっぱいはちょっと大きいか。
 元々女性と間違われる女顔なこともあってか、超絶美人になってる。
 化粧もしてないのに肌は透明感があって、え、てか、妹に似てない? 俺、妹の姉になっちゃったんじゃない?
 もしも平和な時代に女の子として生まれていたら、こんな姿もありえたかも知れないのだろうか。
「え? じゃあ、脚は? 脚はどうなってる!? 誰か全身鏡を!?」
「明莉にーちゃんおっぱいくださーい!」
「わぁやめろーっ!? 俺は今、脚を確認したいんだぁー!?」
「お前らいい加減に……っ」
「……と、お遊びはここまでだ」
 明莉はクロッキー帳に描画したヴィジェの姿を切り刻んだ。
 瞬間。
 ヴィジェの体が切り裂かれる。明莉の描いた絵とまったく同じところがまったく同じように。
 カースオブペイント・インビジブルリッパー。
 絵姿から相手に呪いをかけるパラドクス。
 先程のクロッキーはこのときのための仕込みであった。
 明莉はヴィジェに見惚れていたわけではなかったのだ。
「あと俺はやっぱり脚に心踊るタイプだからな」

 不意打ちをくらって生まれたわずかな隙に入り込むように美しく激しい音色が流れた。
 Paradiesmelodie。
 エトヴァのチェロの旋律は明確な意味を持って周囲に伝播する。
 音色に描くは秩序ある世界の物語。
 修道院に満ちるヴィジェの音色と魔力を払拭するように、秩序と規律の音色が波及していく。
 音と音。波と波。魔力と魔力。
 敵もさしたるもので音色は圧力を感じる程に迫ってくる。
 エトヴァはしかし、全身全霊で弾き続けた。
 この街に秩序を。そして……。
(「いや、本当、皆正気に戻って……」)

 エトヴァに演奏で対抗されてヴィジェは更に一層の魔力を籠めてトライアングルを打ち鳴らす。
 その音色を吹き飛ばすように、爆発が起きた。
 クロのミサイルだ。
 彼はまだ、メス堕ちなどしていなかった!
 なにげに小雪達によって非戦闘員は避難している。おっぱい楽器(イケメン)のみなさんには帰っていただいた。
「そう、これは鋼鉄の鎧だ。オレは触れられないし触れない。物理的にロボットから降りないと触れない。だから安全……」
 再び画面が変わった。
『男性革命☆グラングルメ。絶対運命黙示録』
「アッー! 野郎の旋律を奏でるなー! ヤダー!」
 やっぱりダメか。

「子ども達に……なんてこと教えてるんですか!」
 琴音は身を震わせ怒りをあらわにした。
 まさか、アニメや特撮なんかにたまにある女装回だったなんて。
 それが淫魔によって引き起こされるなんて。
 悔しい。悔しい。
「それを教えるのは、私の役目なのに!」
「ちょいちょいちょーい! なにいってんの!?」
「……じゃなかった、これも悪のためにさ」
 琴音の指示で戦闘員達がヴィジェに襲いかかる。
 敵との戦力差はいなめない。一瞬で吹き飛ばされる戦闘員達。しかし、戦闘員はすぐさま復活して再び襲いかかる。画面を賑わすためにも、戦闘員は休まない。
「だって、18禁戦隊だなんて……子ども達に見せられないよ! そしたら、悪役も用無しになっちゃう!」
「あの人、なにいってるの?」

 戦闘っぽい雰囲気になってきたとはいえ、正直、シルはまだ現状を把握できていない。
 残すところ敵はヴィジェ一人のはずだが、仲間達は縦横無尽に跳ね回っている。
「と、とりあえず、敵味方問わずにぶっ飛ばすことのないように気を付けないと……」
 高速詠唱からの全力魔法。
 自他ともにトップクラスと目される、アタックホルダー。
 その彼女の強力なパラドクス。
 七芒星精霊収束砲。
「おっぱいとか、そんなの無理だから、撃ち抜かせてもらうよーーーっ!!」
 シルの背中に四対の魔力翼が展開。
 目のくらむような、六光のまばゆい輝きがヴィジェを飲み込む。
「くっ……」
 激しい光の奔流の中で、ヴィジェは魔力障壁を展開して抵抗する。
 さしもの彼女もこれ程の魔力を照射されては無傷ではいられまい。
「あ、ちょっと、右、向けて」
「え? 右? こう?」
 ドガァァン!
「ぎゃぁー!?」
 五月姫にお願いされて、魔砲の向きをちょっとだけ変えてみたのだけど。
「……あれ? 今なんか聞き覚えのある声がしたんだけど」
「気の、せい」
「なんだか知り合いを巻き込んじゃった気がするんだけど」
「気の、せい」
 シルに問いかけられても、五月姫は不敵な笑みを浮かべるばかりだった。
「ふふ、ふふふ」
 やっちゃった気がするけど、五月姫さんがかわいいので、よし。

 その五月姫が八尺五寸に及ぶ大薙刀を構えて果敢にもヴィジェに斬りかかる。
 刃を魔力障壁で弾きながらも、ヴィジェの瞳は欲求のままに獲物を見逃すことはなかった。
「いいねぇ、いいおっぱいだね。キミ、最高の素材になるよ」
 五月姫の持つそれが魅力的に映るのは、先程の戦いでも明らかである。
 これだけの淫魔が求めるとは、よほどのことだろう。
「……別に要求するのはいい、けれど、ね」
 五月姫は翻り、重さを感じさせない動きで院の床に降り立つ。
 そこへ、トライアングルの音色に乗った魔力の波動が押し寄せた。
 仲間達はこれに変えられた。
 心がかき乱される、精神がめちゃくちゃにいじくられる、激しい不快感。
 抗えば抗うほどに倍増する頭痛。
 立っていることも難しい状態で、思考もままならぬ痛みの中で、頭に思い浮かぶはただあの人。
「あいにくと姫、身も、魂も、予約済みだから、ね」
 今の私を好きだと言ってくれる人がいる。
 愛してくれる人がいる。
 だから、変わりたいなんて思わない。
 何物にも変わるつもりはない。
 五月姫は懐に飛び込み、神速のひと薙ぎを放った。
 クロノヴェーダとディヴィジョンの縁を断つその一撃。
 その全ての力を振り絞った一撃を放ったところで、五月姫の精神は遂に限界に達し、意識を失った。
 五月姫の体を宮美が受け止める。
 琥兎は五月姫と入れ替わるように駆け出した。
 燈杜美が浄化の演奏を響かせてくれている。その旋律をたどるように、魔力の波動の中を突っ切っていった。
 粘つくような魔力も、不埒な音色も振り払うように跳ぶ。
 喰葬変。
 かつて喰らってきたクロノヴェーダが、彼女の左腕を変容させる。結晶化した腕は大きく鋭く、禍々しい。
 強敵を喰らい、取り込んできた彼女の力。
「テメェは絶っ対に喰わねぇけどな!」
 激しい衝突が起こり、互いに跳ね飛ばされた。そこへ。
「つうか、おっぱいおっぱい言うけど、大きいと大変なんだぞ!」
 ベアタが叫ぶ。肩が凝るとでも言うのかと思ったら。
「遠くのおかずを取ろうと箸を伸ばしたときに、気付かないうちに胸部で醤油さしを倒しちゃったときは、すごく泣けちゃうんだぞ! 杏仁豆腐に醤油がインなんだぞ! それが、おっぱいに秘められた悲劇なんだよ!」
「いや、それは君が不注意なだけなんじゃないかな!?」
「思い出したら腹立ってきた! この怒りを注ぎ込む!」
 クロノヴェーダ☆マッシャー。
 おっぱいが大きいことによってもたらされた悲劇。
 ベアタの悲痛な想いが籠められた巨大なマッシャーがヴィジェを押し潰す。
 完全に八つ当たり?
 イエス! 敵を倒せるならオッケー!
「好機です! このまま畳みかけましょう!」
 エヴァの合図に、エストがアースシェイカーを放ち、小雪が巨大化したコダマを落とす。
 宮美が歌い、アンジェリーカが突撃を駆ける。
 召喚した妖精さん達の演奏に魔力を籠めた詩を乗せ、エヴァの歌声が響き渡る。
「ヴァルヴァとして詠いましょう。過去を、現在を、そして未来を」
 星写す者の詩。
 浄化の願いを込めた歌声は誘惑の侵食を打ち払う。
 ヴィジェの魔力障壁がガラスのように砕け散った。
 その一瞬を狙って、エヴァが魔力を解き放つ。
 結果、ヴィジェ自身の魔力と反発を起こし、激しい明滅を引き起こした。
 目がくらむような一幕。
 静寂の帳が修道院に落ちて……。
「やったか!? やったか、おっぱいください!」
 焦げてアフロ頭になったトータがそう叫んだとき、琥兎達は悟った。
 この流れ、絶対死んでねえ!!!

 案の定、ヴィジェは健在だった。
 いや、フラグがどうとか、気の抜けた語尾を叫んだからではない。
 だったらこの戦いは最初から呪われている。
「よくもやってくれたよねぇ、もうこうなったら本気の本気、出しちゃおうかなぁ」
 追い詰められたヴィジェの魔力が急速に高まっていく。
 可視化する程に濃密に練り上げられた魔力が渦巻き、うねりをあげて所狭しと荒れ狂う。
 トライアングルの音色と共に、その魔力はアンジェリーカを襲った。
「こんなもの……!」
 アンジェリーカが強引に跳ねのけようとしたその瞬間。
「危ない!」
 突如として現れた謎の人影が彼女をかばった。
 存在すら歪めかねない高濃度の魔力の直撃を喰らい、しかし、その人影は余裕の笑みを浮かべた。
「可愛いおっぱいじゃないか、セーラートータ。しかし目を覚ませ!」
「あ、あの人は!?」
 とぅるとるぅるーるるー♪
 どどめ色のタキシードに身を包み、バラの代わりにすっぽん鍋の香りのするラフレシアを投げつける、その人は。
「穢れなきおっぱいのピュアーな心を弄ぶ者よ、音楽は音を楽しむもの。人を苦しませるためのものではない。そのような音楽への冒涜は、この嫉妬仮面が許さん!」
「タキ……嫉妬仮面様!」
 運命だった。
 どこからどう見ても仮装した運命だった。
「運命さんじゃん」
「こういう時は触手で攻撃と決まっている。これから私が触手攻撃をしかける。その瞬間に一斉攻撃をしかけるんだ、セーラトータ!」
「わかりました、タキ……嫉妬仮面様!」
 運命はラフレシアを成長させ、嬉し恥ずかし触手攻撃をしかける。
 の、だったが……。
「いまだ、今夜は君達が主役、だ……あ、あ、おっぱいくださぁい!」
 突然発作のように叫んだかと思うと苦しみ始めた。
「嫉妬仮面様!? あ、ぐ、あ……おっぱいください」
 トータもクロも苦しみだす。二人ともヴィジェの魔力の標的にされたばかり。
 さては魔力による変調か。
「トータくんや他の人達もおっぱいを欲しがって、ます」
「いや待ってくれ! これはあくまで運命にーちゃんから託されたおっぱいくださいの願い! ああああ、バブゥー!」
「あ、赤ちゃんになって、しまいました!?」
「男なんて、いくら大きくなっても赤ちゃんみたいなものよ」
「そうではなく、ほ、本当に赤ちゃんに!」
 そう。超強力超高密度の魔力を浴びた彼らは肉体もしくは精神を赤子にまで後退させることによって強制的に戦闘不能状態に陥らされたのだ。
 通常ならこんなことにはならない。
 戦いによって消耗し、抵抗力が下がっていたということだろう。
「いや、ちょっと待って。まだ一度も攻撃してな……バブゥ」
「お前なにしにきたの!?」

 意識を取り戻した五月姫の目に移ったのは、肉体か精神か、もしくは両方を幼児化させられた仲間達の姿。
「バブゥー」
「バブゥー」
「おっぱいくだちゃーい」
 え、一体、なにが起きたの?
 五月姫がそう思ったのも無理はない。シル達も説明に窮する。
 せっかくクライマックスっぽかったのに。
 せっかくシリアスだったのに。
 赤ちゃん達がバブみのある女性陣に寄っていくだなんて。
 主導権を取られた。ヴィジェに、というよりはおっぱいに。
「まだだ、まだ自分らは負けてない!」
「そうダ、こんなバカバカしく負けてたまるカ!」
 ヴィジェを追い詰めているのは間違いない。
 シャトン達は更なる攻勢を賭ける。
 シャトンは大きく息を吸い込み、思いつく限りの罵声を浴びせかけた。
 涼しい顔を取り繕っているが、ヴィジェの動揺が魔力の波動に現れている。
「お前達……やっておしまい!」
 琴音の戦闘員達が執拗に攻撃をしかける。その鬱陶しいまでの粘り強さに、ヴィジェは歯噛みしてその場を退く。
 飛び退いた先を狙って、アンジェリーカが追撃をしかける。
 一気に踏み込んで間合いを縮め、真正面からのボディブロー。防御するヴィジェ。
「くっ……ん?」
 と見せかけて、アンジェリーカはその場で粉塵を巻き上げ背後に回った。
「死んでくれる? って言いたい所だけど、あんたと因縁のある子が居るみたいなのよね」
 次の瞬間。
 粉塵を突き抜けて、シャトンの拳がヴィジェの頬を打った。
 大きく態勢の崩れたヴィジェをシルの魔砲が撃ち抜く。

 果敢な猛攻を受けて尚、ヴィジェはしぶとく生き延びていた。
 彼女とて生き残りたい、芸術を続けていきたいという思いがある。
 そう思う自分をせせら笑いながらも、彼女はトライアングルを鳴らし続けた。
 その魔力の波動にあてられて、宮美は自分のなにかが狂っていくのを自覚する。
「これが彼女が見ている世界……」
 魔力によって五感を高められ、通常なら感じることのできない様々な情報が洪水のように脳へと流れ込んでくる。
 ほんのちょっとの音の揺らぎ。響き。それが確かな感触をもって感じられる。
 音と音とのつながり。
 次にどの音がきたら心地よいか。
 わかる。高次元な物事の連鎖。法則。その美しさ。
 新たな領域。広がっていく世界。
「色々ありましたがなるほど……音色を聴いてわかりました、貴方は本当に至高の音を求めていたんだと」
 変容していく自分に耐えながら、宮美は言う。
「自分にしか見えてない道を進むのは辛いですよね。馬鹿にされたり、呆れられたり、奇異の目で見られたり……私も同じ経験があるからわかります」
 しかし。
 だからこそ。
「私は『人を傷つけて作る芸術に良いものはない』という自らの道を確めるために、貴女に挑みます! 私が磨いてきたアートで!」
 ソング・オブ・マイハート。
 宮美は歌う。
 せめてその最後に、最高の音楽を聴いてほしいという思いを込めて。
 その歌声に、エトヴァはチェロを合わせた。エヴァも、その妖精さん達も。琥兎の燈杜美も浄化の演奏を響かせる。
「辛いなんて思ったことはないね。らしく生きることが邪悪なら、ボクは邪悪のままでいい!」
 音楽対決を挑まれて、ヴィジェは喜々としてそれを受けた。
 トライアングルはそれ一つで七色の音色を響かせて、ヴィジェの歌声がそれに乗る。
 こうなったら意地の張り合いだ。
 どちらの音が優れているのか。いや、そこに優劣などない。
 ただ、自分の信じるものをすべて相手に届ける。心に刻む。
 仲間達の期待も希望も宮美達に託された。

 がんばれ、がんばれ、宮美さん、がんばれ。
 おっぱいに負けるな。負けるな、がんばれ。
 がんばれ、がんばれ。おっぱいに負けるな。
 声の限り叫ぶ。声援はいつしか何重にも重なっていく。
 がんばれ、がんばれ、おっぱいがんばれ。
 がんばれおっぱい、がんばれおっぱい。
 負けるなおっぱい。おっぱい負けるな。

 おーっぱいはぁー無限だー!
 おーっぱいはぁー美しいー!
 母なる象徴! ナイスバディ!
 人はみなおっぱいに生まれおっぱいに返る!
 孤独にならないで。おっぱいはそこにあるよ。

 おっぱいに貴賤なんてない。
 みんなきれいで、みんないい。
 がんばれがんばれ、がんばれおっぱい。
 負けるな負けるな、負けるなおっぱい。
 バブみを感じて。わっしょいわっしょい!

 応援する仲間達も。
 赤子と化していたはずの仲間達も。
 避難していたはずのおっぱい楽器達も。
 声を合わせて大合唱。
 死力を尽くした演奏は街中に響くかのようだった。
 おっぱい万歳。おっぱいください。

 ヴィジェの人生最後のコンサートは、盛大な拍手と共に幕を下ろした。
 いやぁ、おっぱいって、本当にいいものですね。あなたの心にはなにが残りましたか?
 なお、諸事情により歌詞の代わりにおっぱいエールをお送りしました。
「……どうですか、貴女とは違う道で作った私の曲は。もし良いものだと思うなら、とても嬉しいです」
 力を出し尽くしたヴィジェを前にして、宮美は微笑みかけた。
 全力の演奏、最高の音楽を届けることができた。その想いで胸がいっぱいになる。
「ボクが目指す音楽こそが一番だよ。そこは譲れないね」
 ヴィジェはつっぱねるように言い、
「でも、まぁ、キミらもなかなかじゃない? 人間にしては。いい音楽家になりなよ」
 かすかに笑った。
「じゃあ、最後にいきますよ、せーの」
 どしーん! 巨大毛玉墜とし!
 巨大化したコダマにのしかかられて、ヴィジェは滅びたのだった。
「モ、モフモフだぁ~!」

「……こんなにおっぱいおっぱい言ったり、言われたりすることになるなんて思ってなかったよ」
 疲弊した。
 かなり疲弊した。
「確認するけど、重いケガしてるやつはいないな?」
 獣神王朝エジプト奪還戦を控え、こんなところで重傷になるわけにはいかない。
 もう一度言おう。
 こんなにおっぱいだなんだ言ってる依頼で重傷になるわけにはいかない!
 そんな潜在的な意志が彼らに勝利を引き寄せたのかも知れない。
 多くの者にとって、こんなに酷い戦いは初めての経験であろうが。
「だが、なんとか削られきる前に終わることができたな」
 正気も、尊厳も。
「いや、残念ながらまだ終わってないんですよ」
 クロノヴェーダは一掃された。
 しかしまだ領民に対する演説が残っている。
 いくつかのため息が重なった。
「どうせまたおっぱいおっぱい言うんでしょうね」
「いいか、演説は多くて3人までな? じゃないと収拾つかなくなるからな!?」
「例の残留効果、やっぱり、レベルを上げた方が、いいのでしょうか……おっぱいください」
 勇気を出した少女の願いが奇跡を起こす。


 効果1【おっぱいください】LV2が発生!

「だからしてねーって!?」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【エイティーン】がLV2になった!
【勝利の凱歌】LV2が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
【悲劇感知】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
【液体錬成】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV2が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV6になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!

吉音・宮美
アドリブ連携歓迎
…いい加減音楽とおっぱいを引き剥すかディアボロス含めて

選択PDを【歌唱】
楽器を使わないアカペラで人々の注目を集めたら高々と宣言しましょう
皆さん、良い音はおっぱいに関わらず出せます!私の歌がその証拠です!これからは一つの楽器に縛られることなく自分だけの音楽を見つけてください!
ですが一つだけお願いがあります、自分が好きだった音楽を簡単に否定しないでください
誤ったものだからと時代遅れだからと掌を返さないで
熱狂から覚めた今だからこそ、しっかりと思い出して、改めて好きか嫌いか決めてください

こんなものですかね
馬鹿で私的には嫌いな楽器でも、光る音があったことを否定すれば腐るのと同じですから


瀧夜盛・五月姫
【現の夢】の『眠りを誘う歌声』、きっとクロノヴェーダより、いいクワイア、響くはず。
みんなが夢現になった、ところで、一言。

あなた達が、その……胸が好きだろうと、かまわない。
だけど、フェチシズムはいつも間違える。
大も小も関係ないから自信を持て?
――各々が理想、あるから、人間だよ。
大胆さより奥ゆかしさ?
――個性を否定して、なにが愛好家か。

写真や実物を舐める……ように、見るのは勝手、だけれど、相手には相手の、事情がある。
相手も人間、なのだから。
そして、姫にも、好き、否定する権利、ない。

だから「おっぱいください」という、低姿勢には、好感、もてる、よ。

まあ、姫の身は、――さんのものだからダメ、だけど、ね。


トータ・キサラギ
※好きに弄ってくれ!

いいか皆の衆!おっぱいというものは!秘められているからこそ美しい!
その美しい旋律は!お互いを認め合い!愛し合ったもの同士の間にだけ!奏でられるものである!!

え?よくわからねえ?
簡単にいえばパンモロよりパンチラのほうがいいもんだろう!!
スカートめくり上げてダッシュで近づいてこられたら逃げるだろう!!
だがどうだ!風のいたずらでふわりとめくれたスカートから覗くパンツのなんと奥ゆかしきものか!
おっぱいもそうあるべきだ!そんな奥ゆかしいおっぱいください!

お っ ぱ い く だ さ い !!!

えーと何の話だっけ?


元野・ジゾー
戦いには参加せずここにいることを詫びたい。怖かったんですよ。
ほら適材適所って言葉あるじゃん?

えー、皆さん。
残念なお知らせがあります。
俺は無職です。アホでクズでボケの無職です。生きている価値なんてない!
そう……おっぱいにありつけない。
悲しいけどそれが現実なんです!

働かざるもの、おっぱいべからず!

いや、君たちの言い分も解るよ?
見ているだけのおっぱいは確かに無料!
でも見ているだけの君でいいのかい?!

自分だけのおっぱいへの道を作らずして、真のおっぱい好きと言えるでしょうか?!
登り始めよう、労働という名の……この果てしないおっぱい坂を……!

そして聞いてください、俺の……なんかいい感じのハーモニカ!


クロ・レヴァント
皆さん聞いてください
皆さんの洗脳は解かれました
正気なあなたたちは思うはずです
今まで「おっぱいください」と叫んで恥ずかしいと
ですがそれは淫魔による洗脳です
洗脳は終わりました。だから安心してください。

お仕事をして、勉強をして
健全な生活を送りましょう
僕から皆さんへの贈る言葉は以上です

🪞 🪞

ナルシスト状態
一人称は僕

演説中はPDを使用して【友達催眠】を発動

あぁ!なんて僕は美しいのだろう
美しさは罪と言いますが、僕自身の美しさが恐ろしい!まるで完璧な美の演説だ!

それに、イケメンな男に責められ…そして…一輪の花になる…
あぁ…!なんて、罪作りなぼ・く♪
そう思わないかね?キミ

…ん?
…川越三銃士?

…誰こいつ?


南雲・琴音
いきなりのおっぱい断ちは、おっぱい欠乏による禁断症状が出るかもです
ですんで、1日真面目にお仕事できたら、1おっぱいのご褒美とかで、無理なくおっぱいから卒業しましょう!

ご褒美のおっぱいはどこにあるかって……?
自分で探すといいよ!

こうすれば、禁断症状で子ども達のおっぱいを狙う、悪いオトナも出ないでしょう

ほらほら
禁断症状で辛いけど耐えているイイオトナには、【活性治癒】で治療したげましょう

折角ですし、ナース服着てみる

ていうか……おっぱい欠乏ってなんだろう?
みんな持ってて、みんないいじゃないですか

先ず隗より始めよ

というくらいですし、まずは自分のおっぱいを愛すればいい
これがホントの、ご自愛ください!

て言う


百鬼・運命
演説は多くて3人まで・・・なるほどネタ依頼でそう言うという事はフリに違いない

「おっぱいください」の残留効果が高まっているな…ならばそれを利用させてもらおう。Lv2ともなれば「おっぱいください」のみで人々と会話しわかり合うことが可能となる

どこぞの戦争大好きな少佐やギレ○ばりの演説(ただしおっぱいくださいと繰り返しているのみ)で市民を集め、同調させ、高揚させ、涙を流すほどの感動と狂熱の渦を作り出そう

そう、これがかつてオパイ・ズム・ダイクンが提唱した「誤解なくわかり合える残留効果」というニューパイツ理論

…ところで都市の新しい名前はザンクト・ペタンテンとザンクト・プルンテンのどちらが良いだろうか?


薬袋・明莉
事態が落ち着いたところで改めて。脚の魅力について語ろう。

むちむちの太もも!食い込み!大臀筋!
美しき黄金曲線のヒップ!

おみ足を崇めよ!……等と熱弁していたら片割れ登場

透、お前も来てたんだ……もしかして聞いてた?今の……あ、あのなこれは作戦で……

あっ、痛い!その自分大丈夫判ってる的な生暖かい優しげな目線が痛い!蔑まれるよりも心にくる!

あ、本は…俺の部屋に戻しといてください…

……と、まあこんな風に身内に見つかった時に精神ダメージ食らうので……あまり堂々と性癖ひけらかすの、良くないぞ……

グフッ(吐血&崩れ落ちる)

アドリブ絡み歓迎


薬袋・透
なにあれ、おっぱいがおっぱいしてもうカオスじゃない……
しかもあそこに居るのは明莉?
なにやってるのかしら大掃除で人手が欲しいときに……

バッチリ聞いてたわ、むちむちがどうとか叫んでたあたりから

あら、ふふ。明莉だって健全な成人男性だもの
そういう趣味嗜好のひとつやふたつあってもおかしくないわ
僕は気にしないわよ?

ところで偶然ベッド下から出てきた『網タイツ女教師と秘密の授業』『蹴られたいおみ足百選』ていうタイトルの本は……OK部屋に戻して置くわね

……あら?動かなくなっちゃった。全く仕方ない、帰りは僕がおんぶしてくしかないわね


アンジェリーカ・リヴィンスキー
ハァイ、皆!
…あら、ウチのおっぱいが気になるの?
まぁその気持ちは分かるけど…ごめんなさい、ウチのおっぱいは安くないの。

それより皆!
おっぱいを求めるなら…まずは自分のおっぱいからだと思わない?
いいおっぱいは規則正しくメリハリのある生活から!
要するに…働きましょう!少なくともこうやっておっぱい語りしてる間は手に入らないわ。
そうやって生きて行くうちにもしかしたらおっぱい以外に興味のあるものに出会うかもしれない…でも安心して!おっぱいはいつでも貴方達と共にあるわ!
そしていつの日かふと気づいた時、そこには立派なおっぱいがあるはずよ。

さぁ、皆!今こそ巣立ちの時よ!
Let'sおっぱい!


ベアタ・アンシュッツ
やれやれだぜ

ヘイ!
ボーイズ&ガールズ

おっぱいおっぱい……シャウトするのは終わりだ
もう、乳離れの時間だぜ

ヒップがブルーだったボーイも、大人になって……男になるもんさ
おっぱいは小学生までだぜ……たぶん

なに?
男はいくつになっても、おっぱいだいちゅきだから……永遠に乳離れなどできないだと!?

いつまで……ママのおっぱいから離れられないんだい?

……ママのよりも、私のの方がいいだと!?
残念ながら、おっきなベイビーはノーサンキューなんだ

あれだ
ぶっちゃけ言おう

You!
働いちゃいなYO!

食っちゃ寝しておっぱいおっぱい言う○十歳児とか、ぶっちゃけドン引くわ
お前はおっきな赤ちゃんなのかと

仕事のあとのごはんは最高だぜ☆


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
俺も残留効果に当てられかけた気がする
だが、俺は巻き込まれないと決めた

親愛なるザンクト・ペルテンの善良なる市民達よ
人体の一部の美に目覚め、愛でる
大いに結構

だが、体型とは、食生活、適切な運動、栄養状態
様々なものをもって維持されるのだ
今こそ、一部ではなく、全体を見るときだ
調和をもって美はなる

肉体は精神を宿し、魂を主とする
人そのものを愛するがいい
愛する者を支え、日々に足をつけ共に歩むがいい

美しい音色を奏でる楽器は他にちゃんとある
淫魔が去った今、変化に気づくはずだ
大事なことだが……おっぱいは楽器じゃない

音楽に目覚めたなら、ウィーンに行かないか
絵画や彫刻の美にも出会える
働き口も待っているぞ

連携アドリブ歓迎


シャトン・ヴォロンテ
他のヤツも言ってるガ、一気に全部捨てさせるノハ上手くネーと思う。
洗脳は解けてモ、ヴィジェのヤツの人気は洗脳由来ノミじゃネー。
腹立つガ音楽は綺麗だったシ、オレの趣味じゃねーガ造形美の拘りモあいつなりのがアル様に見えタ。…多分、あの性格と言動も人気の一要素だろーサ。
ソノ辺マデ全否定したっテ反感買うだけダシ…
ソレに、スジが違うだロ。

おらオマエラ!
おっぱいも芸術も音楽も良いダローサ!
ダガそのドレも生活が立ち行かなキャ続けれネー!
街が機能してなキャ流通もしネー!

芸術家も観客もメシ食えなきゃ死ヌ!
死んだラ音楽も芸術も…おっぱいも楽しめネーダロ!
ダカラ死なネータメにメシを食え!
デ、メシ食うタメに!
働ケ!!!


エスト・リンフィールド
とりあえず、おっぱいおっぱい言ってても……淫魔はもう居ない
つまり、雛鳥みたいに口開けて、おっぱいおっぱい囀ずってても、誰も食料を配っちゃくれない

修道院に少しは食料あるかもだけど……すぐになくなる
それが現実

さあ、お仕事しないと、遺言が「おっぱい」になっちゃうよ?
それが嫌なら、仕事しよう

言っておくけど、おっぱい鑑定士とか、おっぱいコンサートマスターとか、おっぱいマイスターなんて仕事はないから
絶対にないから

さあ、目を覚まそう

等と、【勝利の凱歌】に乗せて事実と正論でぶん殴る勢いで説得
と言うか、いい加減目を覚ませお前ら

「やっぱ時代は貧乳ですよね!」
とか、意味不明な方向に開眼する人は……居ないよね?


月下部・小雪
ボ、ボクも恥ずかしいですけれど、が、がんばります。
ザンクト・ペルテンのみなさんが楽しくお話を聞けるように、お、おっぱいください、です。

ま、まじめなお話だけだと聞いてもらえないかもしれないので、ボクが語尾に「おっぱいください」をつけていきます。
きっとみなさんのお話をザンクト・ペルテンのみなさん、あれ、ザンクト・プルンテン、なのですか?
いえ、な、名前は変わってもきっと皆さんの心には残るはずです。
みなさんの大好きは、否定しません。でも、は、働きましょう!
働かざる者、おっぱいを得ず、です。

※アドリブ連携大歓迎


 革命が起きようとしていた。
 熱気は高まり、このザンクト・ペルテンの空気に満ち満ちていた。
 広場に群衆は集まり、淫魔の支配からの解放者達を一目見ようと騒いでいる。
「なんだ。あいつら急にやってきて。あんなの知らね……いや、あれ、知ってるか? ああ、そっか。知ってるわ」
 友達催眠もきちんと効果を発揮しているようだ。
 怯えるようなこともなく話を聞いてくれることだろう。
 広場の中央に復讐者達が立つ。
 こんなところで演説するのか。学園祭どころではない。大群衆を前に否が応にも緊張する。
 普通なら二の足を踏みそうになるところだが、さすがは復讐者達か。
(「さすが一連のおっぱい騒動をくぐりぬけてきた連中だ。面構えが違う」)
 百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)はこの仲間達とここまで来れたことを頼もしく、誇りに思う。

 トップバッターはクロ・レヴァント(黒き死神†KuroRevant†・g06271)だ。
「この演説、最初の僕で終わらせてしまっても問題ないんだろう?」
 自信満々で宣言して、即席の壇上に登る。
「皆さん聞いてください。皆さんの洗脳は解かれました。正気なあなたたちは思うはずです。今まで『おっぱいください』と叫んで恥ずかしいと!」
 ざわ、ざわ……。
 群衆に動揺が広がる。
 え? 恥ずかしい?
 おっぱいって恥ずかしい?
「ですがそれは淫魔による洗脳です。洗脳は終わりました。だから安心してください。お仕事をして、勉強をして、健全な生活を送りましょう。僕から皆さんへの贈る言葉は以上です」
 暮れなずむ街にクロの声が響き渡った。
(「決まった……! 余韻まで完璧」)
 クロは内心ガッツポーズをする。
 実は演説の最中、衆人環視の目にさらされたことで、あろうことかクロは興奮の極致にあった。
 見られてる。すっごいたくさんの人に見られてる。かっこよく、美しい僕を。
 こんな大群衆を前にして臆することなくスマートに決める自分。
(「あぁ! なんて僕は美しいのだろう!」)
(「美しさは罪と言いますが、僕自身の美しさが恐ろしい! まるで完璧な美の演説だ!」)
(「それに、イケメンな男に責められ……一輪の花になる」)
(「あぁ…! なんて、罪作りなぼ・く♪」)
「そう思わないかね? キミ……ん? キミ?」
 クロの隣にはいつのまにか、美青年天使(自称)および美青年アークデーモン(自称)がいた。
 無意識にパラドクスを発動させて召喚してしまったようである。
 彼らは女性向け官能小説の表紙のようにお耽美な姿でクロをサンドイッチ。
 まぁ、おモテになるのね。
「え、いや、これはどういう状況なんでしょうか……?」
「フフ、怯えているのか?」
「心配することなどない。お前さえいれば戦い抜ける」
「七曜の戦いも。ラグナロクも怖くない」
「さぁ、俺だけを見ろ」
 ローマやギリシャが有名であるが、かつて男色は法律で禁止され、失われた現代ヨーロッパでも禁止している国がある。
 実際に裁判にまで及んだ事例こそ少ないが、男色は一般に猛威を振るい、世論でその存在を懸念される程であった。
 なにが言いたいかというと。
 そんな下地の醸成されつつあるザンクト・ペルテンにおいて、クロの女装男子ぶりは歓喜と共に迎え入れられた。
 きゃーきゃー。三角関係? 女装男子を取り合い!? やーんかわいいー。
 黄色い歓声が上がる中、進むムーンライト的な展開。
「さぁ、俺の断片の王を受け入れて」
「断片の王を隠語みたいに使うなー!? いやぁー!?」
 女装男子と美形天使(腹黒王子様)と美形悪魔(実直犬系)と。
 『転生したらディアボロスでした。女装男子の私が美形の天使と悪魔に取り合われています』
 まもなく発売。
「誰か助けてー川越三銃士がーっ! アーッ!」
 クロは天使と悪魔に挟まれて退場していく。

 うわぁ、わけがわからないよ……。
 エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)は戦慄した。
 でも、どうせこんなことになる気もしていた。
 気づいたら、夜永も琥兎もエヴァもいなかった。息を吞む。
 ツッコミが、ツッコミが足りない!
「お前さん達、今日一日ずっとこんな感じだったの……?」
 元野・ジゾー(整髪料はワックス派・g02885)が顔を青くしている。
 一発目がこれ? このまま進むのか。
 進むのだ。
 続いて、瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)が壇上に立つ。【現の夢】の眠りを誘う歌声を響かせて、いざ演説を。
「あな……」
「あなた様はぁぁぁ!?」
 !?
 突如として老婆が天地がひっくり返ったような叫び声を上げた。
「知っているのか、バァさん」
 なぜか隣にいるトータ・キサラギ(忍者の末裔・g06840)。
「あのお方こそ、伝説に謳われるおっぱい、おっぱいマイスター様じゃぁ」
「おっぱいマイスター、だと!?」
「ババ様! 本当か!?」
「え、姫、違……」
「その者、白き衣をまといてザンクト・ペルテンに降り立つべし……」
 老婆はさも由緒ある文句のように語るが、現の夢を見ているババ様の寝言かも知れない。もしくは年齢によるもの。
 だが、トータは真剣に頷く。
「伝説のおっぱい、そいつはもまずに帰れないな……」
「やめるんだ。あの人にバラバラにされるぞ」
 さすがの運命も躊躇うおっぱい。
 戸惑う五月姫。群衆の視線が一点に注がれる。
「見よ、あの方のおっぱいを。形、大きさ、まさに究極のおっぱい」
「いや、至高のおっぱい!」
「あのおっぱいを育てたのは誰だー!」
「おっぱい様だー」
 拝み始める信者達。
「子供たちよ、わしのめしいだ目のかわりによく見ておくれ。あの、おっぱい様を」
 ありがたや、ありがたや!
 おっぱい、おっぱい、ありがたや!
 暴走する信者達に、五月姫は精一杯抵抗した。
「姫のは、――さんのもの、だから、ダメー!」
「そんなご無体な! あなたのおっぱいがなければ我らは飢え死にしてしまう!」
「どうかご慈悲をー! 慈悲おっぱいをー!」
「私もあなたのようなおっぱいにしてください!」
「どうかうちの子におっぱいの祝福をー!」
 熱狂が広場を席巻する。
 まさか、これ程までにおっぱいへの情熱があるとは。あたおか。
「ダメだわ、五月姫さん。ここは一旦中断して仕切り直しを……」
『ハハハ、この吾“新皇将門”の怨念の深さ、そしてこの娘の呪いの深さを存分に味わわせてやろうぞっ!』
「五月姫さんー!?」
 無意識に禁呪を発動させていた五月姫を吉音・宮美(限界ギリギリ狐娘・g06261)が止める。
「五月姫さん、ダメ、怨霊出てるー!?」
 伝説のおっぱいマイスターは退場した。

 広場に充満した熱気は焼け付くような真夏のごとくであった。
 ゴクリ。
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は息を呑む。
 これも残留効果の影響なのだろうか。
 エトヴァ自身も残留効果に当てられかけた気がしていた。
 この熱狂の渦に身を投げてしまえばどんなに楽か。宴席なのに自分だけ車できた、みたいな。いや、忘年会じゃないんだけど。
「だが、俺は巻き込まれないと決めた」
 エトヴァは強い意志と共に壇上に立つ。
「親愛なるザンクト・ペルテンの善良なる市民達よ。人体の一部の美に目覚め、愛でる、大いに結構。だが、体型とは、食生活、適切な運動、栄養状態、様々なものをもって維持されるのだ」
 エトヴァは滔々と人間の美、そのバランスについて説いた。
 美しく高尚な語り口。
 だったのだが……。
「いや、おっぱいが一番だろーがー!」
 野次が飛ぶ。暴走する狂熱が高尚なものを許さない。
「静粛に、お願いします」
「そんなこと言って、お前もおっぱいが好きなんじゃないのー!?」
「なーに? あたしんの見せてやろうかー?」
「カカアのおっぱいじゃ頼まれても嫌だよなぁ! カカカ!」
 お母さん、お父さん、どうかお静かに。それ今じゃセクハラですから。
 よく知らない田舎の親戚が集まった時の困ったノリですから。
 下世話な民衆に、エトヴァの言葉は立派過ぎたのかも知れない。
「おっぱいが好きだって、そういえー。こっちはおためごかしなんか聞きたくないんだ」
 おっぱいが好きだと、言えだと?
 言えばいいのか。言えば俺は迎え入れられるのか。
 それは致命的なアイデンティティの崩壊になるんじゃないのか?
(「俺は、俺は……!?」)
 葛藤がエトヴァを悩ませる。
 苦しみながらもエトヴァは演説を続け……。
「大事なことだが……おっぱいは楽器じゃない」
 そう彼が言ったとき、事件は起こった。
 ジャララーン! ジャラジャラジャラジャー!
「それは聞き捨てならないね」
「あ、あいつらは……!」
 エトヴァの背後にいつの間にかそいつらはいた。
「おっぱい楽器(イケメン)!」
「あいつらまだ楽器なの!?」
 おっぱいヴァイオリン、おっぱいフルート、おっぱいチェロ、おっぱいタンバリン。
 その登場にトラウマを引き起こされたクロが泡を吹いて気絶する。
 イケメンの中でもどことなく知り合いに似ているおっぱいチェロ(イケメン)が進み出て、なにを言うのかと思ったら。
「体が戻ろうとしている。僕が楽器でいられるのもあと少しだろう。完全に僕が人間に戻ってしまう前に、あなたを見込んで頼みがある」
「お、俺に何をしろと……」
「僕を……僕のおっぱいを弾いてくれ!」
 僕のおっぱいを弾いてくれ。
 いまだかつてお願いされたことのない事態にエトヴァの頭が真っ白になる。
 それはつまり、どういう、ことだ……?
「あなたの演奏の腕、見事だった。僕はもう、何のとりえもないただの人間に戻る。でも、その前に、最後に、おっぱい楽器としての最高の思い出が欲しいんだ」
「……いや、ちょっとそういうのは。俺じゃなくてもいいんじゃ」
「あなたじゃなきゃダメなんだ! あなたがチェロを弾く手さばき、僕はもう、あなたじゃなきゃ満足できない!」
「俺達からも、頼む。どうかこいつの願いをかなえてやってくれ。そしてあわよくば俺達も弾いてくれ。最後に、最高の音を届けたいんだ!」
 イケメン達による熱烈なアプローチの現場を仲間達は遠巻きに見つめていた。
「モ、モテモテ、です。アッチッチー、です」
「本当だなー。一つもうらやましくないなー」
「お、おい、あの兄さん白目向いてない!? 助けてあげた方がいいんじゃない?!」
「人の恋愛を邪魔すると、馬に蹴られて死んじゃうぞ?」
「あれはそういうんじゃなくない!?」
 多分そういうんじゃない。
 結局、エトヴァがおっぱい楽器を弾いてあげたのかはわからない。彼に聞いて。

「うーん、おっぱいくださいの残留効果が悪い形で出ているな」
 運命が重々しくつぶやく。
「おっぱいくださいの残留効果ってなに。聞いたことないんだけど?」
「ここはむしろ熱を冷ます形で誰か行くべきか」
「あくまでその前提でいくのね。そうなのね」
「ここは俺に任せてもらおう!」
「あ、あんたは!?」
 煌めく鉛筆、はためくクロッキー。
 何色にも染まらない白いページに次々と描かれていく、お尻、脚線美!
 異端のアーティスト、ラスト脚派侍。薬袋・明莉(情熱のアーティスト・g02002)の登場である。
「ここは仕切り直して、この俺、薬袋明莉が脚の魅力について語ろうじゃないか!」
「帰れー」
「なんだとこの野郎!?」
 ここはおっぱいの総本山。脚派に対する風当たりの強いこと。
 むちむちの太もも! 食い込み! 大臀筋!
 美しき黄金曲線のヒップ!
 ぷにっとしたお肉に食い込むソーックス! 絶対領域!
 しかし、どれだけ叫んでもなしのつぶてであった。
 脚派と乳派の間にはこれほどまでに深い溝があるのかと。
 マリアナ海溝程もあるのかと。マリアナ海溝っていったら、おっぱいがエベレスト並にあっても海底に届かない程深いのだと。つまりおっぱいでは塞ぎきることのできない溝なのかと。
 だが、しかし、明莉は気づいた。
 名も知らぬ、阿部寛似のおじさんがこっそりと脚派の演説に頷き、サムズアップしているのを。
 いたんだ。こんなにおっぱい一色の世界で。仲間がいたんだ。こんなに嬉しいことはない。
「おみ足を崇めよ!」
 演説をし終えたとき、明莉の胸中に後悔はなかった。

 バロック建築の建ち並ぶ、異国情緒と歴史を感じさせる街並みを一人の女性が歩いてくる。
 明莉に面影の似たその女性は、薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)。明莉の妹である。
 今日はここで任務が行われている。話ではどうやら大詰めらしいのだが。
「なにあれ、おっぱいがおっぱいしてもうカオスじゃない……」
 大群衆がおっぱいおっぱいと連呼している様は、なかなかのアレであった。
 想像してみて欲しい。サッカーのワールドカップで全員おっぱいと叫んでいたら。
 そんな気持ちである。
「あ、透さん。こんにちはです。おっぱいください」
 月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)が気づいて挨拶をしてくれる。
「え? え? なになに。なにかの罰ゲーム?」
「い、いえ、これは領民のみなさんを導くため必要なこと、なのです」
「ん、んー? そうなんだ。ところで明莉はどこに……」
 小雪が教えていいものか悩んでいると、トータがあっちあっちこっちこっちと案内する。
 その先で、透の血を分けた兄弟は女性の足がいかに美しく欲情するか熱弁していたのだった。
「なにやってるのかしら大掃除で人手が欲しいときに……」
 透は深いため息をついて明莉に近づいていった。
「お疲れ様。言いたいことは全部言えた?」
「うえっ?! 透、お前も来てたんだ……もしかして聞いてた? 今の……」
「バッチリ聞いてたわ、むちむちがどうとか叫んでたあたりから」
「あ、あのなこれは作戦で……」
「あら、ふふ。明莉だって健全な成人男性だもの。そういう趣味嗜好のひとつやふたつあってもおかしくないわ。僕は気にしないわよ?」
 大丈夫、と透は菩薩のような男子の劣情をすべて受け入れるような微笑みを浮かべた。
 だけど、思春期の家族が言う大丈夫だなんて、ちっとも大丈夫じゃないやい。
「あっ、痛い! その自分大丈夫判ってる的な生暖かい優しげな目線が痛い! 蔑まれるよりも心にくる!」
「ところで偶然ベッド下から出てきた『網タイツ女教師と秘密の授業』『蹴られたいおみ足百選』ていうタイトルの本は……」
 決して見られたくなかったものを近親に見つかったと悟り、明莉の口から魂が出そうになる。
「あ、本は……俺の部屋に戻しといてください……」
「OK。部屋に戻して置くわね」
 こんなショックがあるだろうか。大群衆と戦友達を前にして実妹に性癖を暴露されるだなんて。
 心がポッキリ折れそうだよ。
「ところでこの『パンスト美脚お姉さんに足でして欲しい』と『レザースーツに包まれた足』ってDVDは」
「それ分けて言う必要あるか!? その、DVDも本と同じとこに、はい……」
「じゃあ、こっちの『蜂蜜をぬりこんだ極上のおみ足』は」
「いや、多すぎじゃない!? というか知らんのまであるんですけど!?」
 動揺する明莉にトータがにっこり微笑んだ。
「足しといたよー」
「足ぁーすーなーよー!」
 余計なことをしたトータの首をつかんでガクガク揺らす。
「あと、これ、下着、だよね。まさかとは思うけど盗んだやつとかじゃ、ないよね。さすがに犯罪は」
「いや、違っ。あれもお前かぁ!?」
「クレーンゲームでとれたやつ足しといた」
「足すなよぉぉ!」
 ちょっと古びたクレーンゲームの景品でセクシーランジェリーってなんであるんだろうね。悪ノリして獲っても必ず持て余すよね。
「……と、まあこんな風に身内に見つかった時に精神ダメージ食らうので……あまり堂々と性癖ひけらかすの、良くないぞ……」
 精神に深刻な障害が発生して生ける屍となった明莉が身をもってご教授してくれた。
 こうなるから。こうなっちゃうから。
「はーい、先生、わかりましたー」
「明莉さん、靴下とか好き、です?」
 もうやめて、明莉のライフはゼロよ!

「次は私が行くわ」
 宮美は声の調子を整えてアカペラで歌った。
 それは透き通るような美しい歌唱。
 例え知らない歌曲だとしても、どこに出しても恥ずかしくない出来栄え、のはずなのだが……。
「皆さん、良い音はおっぱいに関わらず出せます! 私の歌がその証拠です! これからは一つの楽器に縛られることなく自分だけの音楽を見つけてください!」
 拍手の合間に、耳に入る。
「……でも、なぁ」
「私、やっぱり好きだったな、ヴィジェ様のコンサート……」
 反応が悪い。
 ヴィジェの歌曲と比べても遜色ないはずなのに。楽器がない、アカペラではあったけれども。
「ねぇねぇ、お母さん。もう、ヴィジェ様には会えないの? ヴィジェ様の演奏は聞けないの?」
 愛されていたのか。
 音狂いおっぱい狂いの淫魔が。
 あんな馬鹿々々しくて好きになれない、おっぱい楽器なんかで。
 敗北感が胸をよぎる。
 いや、きっと淫魔の魔力が抜けきっていないせいだ。領民はまだ彼女の支配下にある。
 本当に、そうか?
 そう決めつけてしまうことこそ偏狭というのではないのか。
「ですが一つだけお願いがあります、自分が好きだった音楽を簡単に否定しないでください。誤ったものだからと時代遅れだからと掌を返さないで」
 誤っていると、決めつけているのは私自身ではないのか。
 違う違う違う。私が誤っているといったのは魔力による支配、楽器に対する冒涜であって。
(「僕を……僕のおっぱいを弾いてくれ!」)
(「最後に、最高の音を届けたいんだ!」)
 私は、私は……。
 迷宮に迷い込んだ宮美のもとに、一人の、小さな女の子がやってきた。
「あなたは……」
「私、お姉ちゃんの歌も好きよ」
 少女から捧げられる一輪の花。それが彼女の今の報酬。
 ささやかな、けれど確かな一歩。
 認めよう。言葉通り、音楽に一生を捧げたヴィジェの方が多くの人の心をつかんでいる。
 けれど、私はここから。私には未来がある。自分の音楽を完成させ、勝ち取る未来が。
「ありがとう」
 宮美が花を受け取ると、少女は楽し気に母親のもとへと帰っていった。
 ちなみに、彼女の名前はエリーザ・デームス。
 パウル・バドゥラ=スコダ、フリードリヒ・グルダと並びウィーン三羽烏と呼ばれる偉大なピアニスト、イェルク・デームスに連なる系譜の少女。
 か、どうかは誰にもわからない。

 手応えが薄い。そうみんなが感じていた。
 というか、なんか途中でおかしなことになって上手くいっているのかよくわからない。
「せっかくみんなが真剣に考えた演説がおっぱいに阻まれて心に届いていない気がするな」
 運命は深刻そうな口調でつぶやいた。
 演説は一旦休憩を挟み、今は戦略会議中。
「いや、おっぱいに阻まれてはいなくないか?」
「ま、まじめなお話だけだと聞いてもらえないかもしれないので」
「知れないので?」
「ボクが語尾に『おっぱいください』をつけていきます」
「OK。一旦待とうか小雪ちゃん」
「おっぱいください」
「もう始まってる!?」
「モット寄せていく必要があるんじゃねーカナ」
 シャトン・ヴォロンテ(enfant perdu・g04732)の表情には言いづらそうな苦渋の色が滲んでいる。
「寄せるって、おっぱいを?」
「ちげーヨ、ココの連中の気持ちにダヨ」
 仲間達に促され、シャトンは続ける。
「洗脳は解けてモ、ヴィジェのヤツの人気は洗脳由来ノミじゃネー。腹立つガ音楽は綺麗だったシ、オレの趣味じゃねーガ造形美の拘りモあいつなりのがアル様に見えタ……多分、あの性格と言動も人気の一要素だろーサ」
 確かに、ヴィジェに対して肯定的な声は目立っていた。
 おっぱい楽器達がまだ完全に人間に戻ってないのも、彼ら自身が望んでいるからなのかも知れない。
「ソノ辺マデ全否定したっテ反感買うだけダシ……ソレに、スジが違うだロ」
「しかし、ならばどうする?」
「……他のヤツも言ってるガ、一気に全部捨てさせるノハ上手くネーと思う」
 シャトンの意見に、南雲・琴音(サキュバスの思想家・g07872)も頷く。
「いきなりのおっぱい断ちは、おっぱい欠乏による禁断症状が出るかもです。ですんで、1日真面目にお仕事できたら、1おっぱいのご褒美とかで、無理なくおっぱいから卒業しましょう!」
 無理なく禁煙ならぬ禁おっぱいするために。
「ご褒美のおっぱいっていうのは?」
「そんなものは自分で探すといいよ!」
「唐突な突き放し!?」
「てかなんで、ナース服?」
「せっかくですし」
 琴音はナース服に着替えていた。せっかくだからという理由はさっぱりだが、ナース服はいい。ナース服は正義。
「姫、なぜ、失敗?」
「五月姫さんはほら、かわいすぎたから」
 伝説のおっぱいだから仕方ない。下手をすれば新しい宗教が始まる勢いであったし。
「ていうか……おっぱい欠乏ってなんだろう?」
「あなたが言ったんですけど!?」
「いえ、そーでなくて。みんな持ってて、みんないいじゃないですか。先ず隗より始めよ、というくらいですし、まずは自分のおっぱいを愛すればいい」
 救世主のいわく、汝のおっぱいを愛せよ。
「これがホントの、ご自愛ください!」
「たはー。それがいいたかっただけかー」
「え? 今の落ちてる? 本当に落ちてる?」
 だいたい。
 彼らは解放など求めていないのだ。
 彼らが欲しているのは安定した生活。その点ではヴィジェ達は怠惰でも暮らせる生活と夢中になれる娯楽とを保証していた。
 甘い菓子で作られた揺りかごのような暮らし。
 一度味わった生活水準は、なかなか低くはできない。
 それが人間の弱さ。
「ウチ、この後自分のおっぱいを働いて育てようって話をしようって思ってたんだけど」
 アンジェリーカ・リヴィンスキー(吸血鬼のダークハンター・g07564)の発言に、運命が思案するような表情をする。
「難しいかも知れないね」
「え、じゃあ、どうする? 殴る?」
「殴らないで!?」
「というか、おっぱいは自分のじゃダメだろー?」
 トータがテキトーに言ったセリフに注目が集まる。
「え?」
「えって、ねーちゃんのおっぱいの方がよくない?」
 それは確かに。
 他人のおっぱいでしか得られない栄養がある。
 それは周知の事実。
 おっぱいが大好きで知られる声優の某原田ひとみも自身も立派なものをお持ちながら、女性声優のおっぱいをこよなく愛するという。
「その方向で話をした方がいいか」
 とはいえ急に内容を変えるのは難しいし、プロポーションを鍛える女子もいるだろう。
「とりあえず、理想のおっぱいを鍛える系の話をしてくるわ」
 アンジェリーカが壇上に立つと、その美しさに口笛がピューピュー! と鳴る。
「ハァイ、みんな! 元気におっぱい欲しがってるかしら?」「おっぱいください」
「……あら、ウチのおっぱいが気になるの?」「おっぱいください」
「まぁ、その気持ちはわかるけど……ごめんなさい、ウチのおっぱいは安くないの」「おっぱいください」
「ヒュー!」
「イケてるー!」
「お姉さまー! ステキー!」
「アンジェリーナお姉さまー!」
 アンジェリーカだから。ジョリーじゃないから。
 アンジェリーカが演説をしている間、トータは花占いをしていた。
「おっぱい、ください、おっぱい、ください、おっぱい……おっぱい!」
 満面の笑みを浮かべるトータ。この遊びの正解はわからぬ。
「さぁ、皆! 今こそ巣立ちの時よ! Let'sおっぱい!」「おっぱいください」
「おぉぉぉぉ!」
 盛大な歓声を背に、アンジェリーカが舞台裏に帰ってきた。
「ありがとう、小雪。もう大丈夫よ」
「おっぱいください……じゃなくて、はい、です」
「どうだった?」
「んー? なんだか、ウチ、明日から新領主になったわ」
 新領主就任!?
「いやいやいや、なんでそーなる!?」
「さぁ? いいおっぱいだから……?」
「え、そんな理由もあやふやな感じで?」
「で、五月姫が聖女だって」
「……え?」
「おめでとう」
 聖女就任おめでとう。

 洗脳はありふれている。
 洗脳と聞くと強大な組織の悪しき所業とイメージしがちだが、例えばその地域の風習を学び、学校にいって教育を受けることもまた洗脳である。
 洗脳には本来善悪がなく、それをなす側に悪があるだけ。
 だから。
 これから起こることの善悪を判断するのは君達に委ねよう。
 壇上に立った運命は拳を振り上げた。
「諸君、おっぱいは好きか!?」
「おおおおおぉぉおお!」
「おっぱいのパラダイスに行きたいかッ!?」
「おお、おぉぉぉぉぉぉぉっ!」
 シンクロ率すげえ。
 そう、これがかつてオパイ・ズム・ダイクンが提唱した『誤解なくわかり合える残留効果』というニューパイツ理論(運命談)。
「おっぱいください! 巨乳ください! 乳房ください! ぱいぱいください! ボインください! ぷるるんください! ピーチパイください! たわわなやつください! ぱいおつください! ロマンください! 光子力ミサイルください! チチビンタください!」
「く、だ、さい!」
「く、だ、さい!!」
「く、だ、さい!!!」
 魂の叫びに全欧が泣いた。おっぱいというシンボルに対する信仰が群衆を一体化させる。
 それぞれの思い描く理想は違えど、おっぱいで一つになる。
 あるいは激情に駆られ、あるいは涙を流し、狂熱の渦が嵐のように雄叫びを上げる。
「湧いてるな」
「頭がナ」
 そんな感想は焼け石に水。大河に放り込んだ小石に過ぎず。
 トータが運命の傍らに立って、更なる薪をくべる。
「いいか皆の衆! おっぱいというものは! 秘められているからこそ美しい!」
「その美しい旋律は! お互いを認め合い! 愛し合ったもの同士の間にだけ! 奏でられるものである!!」
 それは世阿弥が風姿花伝で提唱した『秘すれば花』に通ずる美意識。
 この時代、日本的寄りな感覚ではあったが、これだけ多くの民衆の中には共感する者も当然潜在していた。
「え? よくわからねえ? 簡単にいえばパンモロよりパンチラのほうがいいもんだろう!!」
「スカートめくり上げてダッシュで近づいてこられたら逃げるだろう!?」
「だがどうだ! 風のいたずらでふわりとめくれたスカートから覗くパンツのなんと奥ゆかしきものか!」
「おっぱいもそうあるべきだ! そんな奥ゆかしいおっぱいください!」
「く、だ、さい!!!!」
「く、だ、さい!!!!!」
「く、だ、さい!!!!!!」
 おっぱいへの想いは、差別区別なく受け入れる。包容力。それは真骨頂。
 人類は、おっぱいから始まりおっぱいへと還る。
 狂熱は最大に高まっていき。
 その直後に起きたのは、復讐者達であっても想像だにしない珍事いや神事であった。
 最早それがなんであるかは、誰にも説明することができない。
 運命とトータのパラドクスを契機に、彼らの力を核としてその幻影は生み出された。
 π・アジール。
 巨大なおっぱいがついた機動兵器がザンクト・ペルテンの空を覆った。
 これはおっぱいを愛する領民達の想念が固まった幻影である。もはや呪いといっていい。
 乳タイプのみに操縦することが許されたこの巨大兵器は、つまりおっぱいに対する憧れ、欲求の象徴である。
 永遠不滅の願いがこの機体には詰まっている。機体だけに期待。
「やかましいよっ!」
 五月姫の声もむなしく、π・アジールは無数のビーム口を開いた。
 いわゆる強化人間にあたるところのトータが叫ぶ。
「おっぱいは重力に縛られてる。その重さもいいよな!」
 放たれる拡散ビーム砲。幻影なのでなんの影響もないが、なんかおっぱいをあげたくなってくるようなそうでもないような!
 こうなってはおっぱい狂信者共は聞く耳など持たない。
 運命達に操られるがままにおっぱいを求め続ける。
「圧倒的じゃないか。おっぱいは」
 目を覚ませ、僕らの世界がおっぱいに侵略されてるぞ!
「もうカオスもカオスじゃない……どうなっちゃうのよ」
「これが、みんながおっぱい楽器を求めた結果……こんなもの、どうして好きになればいいの?」
 透や宮美の困惑をよそに、π・アジールを討つ為にベアタ・アンシュッツ(天使のハラペコウィザード・g03109)とエストが飛び立つ。
「ヘイ! ボーイズ&ガールズ。おっぱいおっぱい……シャウトするのは終わりだ。もう、乳離れの時間だぜ」
「淫魔はもう居ない。つまり、雛鳥みたいに口開けて、おっぱいおっぱい囀ずってても、誰も食料を配っちゃくれないよ」
 2人がそれぞれ機動戦士的な機体に載っているように見えるのも、勿論幻影である。
「ヒップがブルーだったボーイも、大人になって……男になるもんさ。おっぱいは小学生までだぜ……たぶん」
 ベアタの搭乗するプリン・ドーガが巨大なバケツ入り兵器でπ・アジールの胸部を撃つ。
 しかし、装甲が厚すぎて動きが止まらない。
「ちぃ、硬すぎる。そのおっぱい硬すぎだぜ、ボーイ」
「このままだと遺言がおっぱいになっちゃうよ? と言うか、いい加減目を覚ませお前ら」
 エストの搭乗するジェガンペキが放ったビーム竪琴がπ・アジールの首元を損傷させる。
「目を覚ませ! おっぱい鑑定士とか、おっぱいコンサートマスターとか、おっぱいマイスターなんて。そんなもの、ないんだ!」
 更に追撃を駆けようとしたエスト機。だが、その背後におっぱいファンネルが回り込んでいた。
「連邦の平たいやつ! 落ちろ、落ちろっ、体重と一緒に!」
「まだ、まだいける……きゃあ!?」
「エストっ!?」
 大破するエスト機。次いでベアタ機を襲うおっぱいファンネルが、次々に爆散していく。
「弾幕薄いわよ! 打ち尽くして構わないわ。全部落として!」
 宮美の指揮のもと、砲撃手のクロが撃ちまくり、ファンネルを落としていく。
 クロはこれまでの間に川越三銃士となにかがあったのか、その瞳から光が失われていた。
「遊びでやってんじゃないんだよ、僕は!」
「なにがあったんだクロ……」
「堕ちろ、堕ちろ、堕ちろ! みんな堕ちろぉ!」
 汚ねえ花火が空中に投影される。ファンネルを失って尚、π・アジールの火力は凄まじく、加えて脚部の代わりに備えた強襲用ブースターが機動力を与えている。
 出撃したアンジェリーカの搭乗する乳ガンドムをもってしても、このたくさんの怨念のこもった妄執は捉えきれない。
 そこで、ベアタ機は特攻をしかける。π・アジールの巨体にとりついて自爆装置を起動させた。
「残念ながら、おっきなベイビーはノーサンキューなんだ。ぶっちゃけ言おう……You! 働いちゃいなYO!」
「ベアタぁぁ!?」
 そんな特攻を受けて尚、π・アジールは動き続けた。
 生き残っているアーム砲をアンジェリーカ機に向け、破損させる。
「まだよ、まだメインカメラがやられただけ!」
 激しく閃光を放ち、想いが浮かんでは消えていく。
 そんな光景を前にして、ジゾーは自分の知っている戦いじゃないと激しく怯え、小雪はコダマと食い入るように見つめていた。
「ろうそくみたいできれい、です」
 援護射撃を受けながら、アンジェリーカ機がπ・アジールへと迫る。
「おっぱい、おっぱい、おっぱい! アンジェリーカねーちゃん、おっぱい、くださいよぉ!」
 ピキーン。
 なにかが閃いた。頭の中でなにかが閃いていた。
 アンジェリーカ機はビームの雨を紙一重で避けて、もはや機体と同化したトータ・アジールへと衝突する。
「さわらせない、さわらせないわ! おっぱいはさわらせない!」
 アーススクレイパーが分厚い装甲を穿つ。トータ・アジールのアームが砲撃を受けて弾け飛んだ。
「これは魂。容易くさわることはできないの! ウチが、ウチらがおっぱいなのよッ!」
 アンジェリーカ機の拳がコアを貫いた瞬間、激しい閃光が周囲を真昼よりも明るく照らした。
 広場は、さっきまでの狂騒が嘘のように静まり返った。
 あれだけあった民衆達の情念が黒雲が晴れるように流れ去っていく。
「終わった、のか……LV3あればあるいは。いや、よそう」
 運命が振り仰いだ空に、トータの無邪気な笑顔が浮かんだ。

(注意:先程までの戦闘はイメージです)

「あ、雪だ……初雪」
 傷ついた者達を癒す振りをしているナース服の琴音の手のひらに白い物が落ちてきた。
 いや、雪じゃない。
 モーラットだった。分身したコダマだ。
 たくさんのコダマ達が、オーストリアに降る雪のように、ハラハラとロマンチックに降り注ぐ。
「みなさん、聞こえますか……今、皆さんの心に直接語りかけています……実際には壇上から語りかけています……」
 民衆達の視線が壇上に集まる。
 そこにいたのは、女神……ではなかった。
 ジゾー。30代も半ばを過ぎた天然パーマの男性だった。
「えー、皆さん。残念なお知らせがあります」
 ジゾーは語り出す。悔しそうな、泣き出しそうな面をして。
「俺は無職です。アホでクズでボケの無職です。こんなやつ、生きている価値なんてない!」
「そう……だから、当然、おっぱいにありつけない。ありつく資格がない! そうなんです。そういうもんなんです。悲しいけどそれが現実なんです!」
 俺もおっぱいが好きだ。けれど、おっぱいにありつけない。
 そんな悔しさが、やるせなさが、惨めさが、滲み出ている。
 先程の戦いでトータ・アジールが遂におっぱいへと手が届かなかったシーンが脳裏をよぎった。
「でも、俺……働きたくない!」
 民衆の中の誰かが言った。その怯えが伝染するように他の誰かも言う。
「そうだ、働きたくないんだ!」
「おっぱいに、おっぱいに挟まれていたい……!」
 そんな連中に向かってシャトンが叫ぶ。
「おらオマエラ! しっかりしろ!」
 シャトンは激しい戦いを経たように傷だらけだった。心はそれ以上に傷だらけだ。
「おっぱいも芸術も音楽も良いダローサ! ダガそのドレも生活が立ち行かなキャ続けれネー! 街が機能してなキャ流通もしネー!」
「芸術家も観客もメシ食えなきゃ死ヌ! 死んだラ音楽も芸術も……おっぱいも楽しめネーダロ!?」
 そう、もういくら甘えてもおっぱいを与えてくれるママなんていないのだ。
 家族を、子供を、自分自身を守るために働かなければならない。
 何度も、何度も繰り返した復讐者達の想いが、今ようやく彼らの胸に届こうとしている。
「ダカラ死なネータメにメシを食え! デ、メシ食うタメに! 働ケ!!!」
 なんで忘れていたのか。いや、わかっていて、目を背けていたのだ。
 衣食住、そしておっぱい。大切なものなのに。
 シャトンに賛同するように、ジゾーも、小雪も続ける。
「働かざるもの、おっぱいべからず!」
「そう、です。働かざる者、おっぱいを得ず、です!」
「おっぱいの禁断症状で辛いけど耐えているイイオトナには治療したげましょう」
「音楽に目覚めたなら、ウィーンに行かないか。絵画や彫刻の美にも出会える。働き口も待っているぞ」
 いくらか顔色の悪いエトヴァも言う。
 ようやく、ようやく終えられる。多くの頼もしい友(ツッコミ)が去り、どうなることかと思ったが、これでようやく終われる。尊厳を保ったまま。
「いや、君たちの言い分も解るよ? 見ているだけのおっぱいは確かに無料! でも見ているだけの君でいいのかい?! 自分だけのおっぱいへの道を作らずして、真のおっぱい好きと言えるでしょうか?!」
 ジゾーは言う。
 男なら、いや、女でも。
 手に入れられるなら手にしたい。
 結局、届くことがなくとも、それでも目指し続ける。
 それが、おっぱい。
「登り始めよう、労働という名の……この果てしないおっぱい坂を……!」
 拍手が。
 最初は誰か一人のかすかな拍手が、呼び水になって、誰かが続き、他の誰かもまた違う誰かも続いて。
 やがて、万雷の拍手が鳴り響く。
 ここに、ザンクト・ペルテンのおっぱいの呪縛は昇華され、革命がなった。
 ご飯のため、おっぱいのためにも、働こう。
 ごくごく当たり前の、労働革命である。
「ボ、ボク達やったんですね、お、おっぱいください革命、です」
「そうだな。やったな」
「やっと、やっと終われるのね……」
 げっそりとした仲間達をよそに、小雪は感極まった表情をしていた。
「心から、おめでとう、です。おっぱいください」

「新領主就任と共にこの街は生まれ変わる! この都市の新しい名は……」
 運命の言葉を遮るように一部の男達が叫び出した。
「異議あり! 俺はそんな胸の大きい新領主など認めない! エストたんが領主となるべきだー!」
「……連れていけ!」
「俺は、俺は諦めない! やっぱ時代は貧乳ですよね!」
 エストの死んだ魚のような目が彼を見送る。
「異議あり! やっぱ脚です!」
「連れていけ」
「わぁぁぁ、机の上に宝物を全部置くのやめてぇぇ!」
「新しい都市名は、賛成多数により、ザンクト・プルンテンだ!」
「おおおおおおぉぉ!」
 ただ待っていればおっぱいが与えられた時代は終わった。
 大人になった。
 これからはおっぱいを手にするために、歩き出さなければならない。
 淫魔の支配から解き放たれたのだ。幾人かの復讐者達の心の傷を代償に。
「やっぱり演説は3人までがちょうどいいな」
「どこがだよ」
「1、2、たくさん」
「数が数えられない子なのかな!?」
「こんだけ無茶苦茶やって、一般のピーポー達はどう思うだろー?」
「五月姫さんが現の夢かけてたから大丈夫だよ、きっと」
「ジゾーさん達、なんか歌とか絵とか作られてるよ」
「え、戦ってないから複雑! でも超めっちゃ嬉しい!」
 なんかそんな空気じゃなくて出しかけたハーモニカをしまって、ジゾーはアートなおじさん達に囲まれた。
「あれ? シャトンさんは?」
 マイスタージンガーという風習がある。
 ざっくりといえば、職人の技と共に歌を継承していくというものだ。
 ナポレオン登場の余波により、この組合も文化もやがて徐々に消えていくことになるが。
 けれど、その代わり、革命をもたらした復讐者達のことは、民衆一人一人の心に宿り、長らく語り継がれていくことになるだろう。
 この都市の明るい未来に祝杯を!
 おっぱいください。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【現の夢】がLV2になった!
【友達催眠】がLV7になった!
【勝利の凱歌】がLV4になった!
【活性治癒】がLV2になった!
【液体錬成】がLV2になった!
【建造物分解】がLV2になった!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【士気高揚】LV2が発生!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!
【アクティベイト】がLV3(最大)になった!
【ガードアップ】がLV6になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV7になった!

最終結果:成功

完成日2022年12月18日