大和国のヒルコ爆弾
大和国を支配する『松永久秀』は、ディアボロスから国を護る為に、卑劣な策略を準備しているようです。
その策略とは、トループス級に一般人の村を襲わせてディアボロスを誘き寄せた後、村ごと爆破して、ディアボロスに大打撃を与えて撃退するという非道なものです。
この村を爆破する為に、ヒルコの生贄とする儀式も準備されており、村が爆破されてしまえば、生贄のヒルコも命を落としてしまいます。
村人とヒルコの双方を助けるには、村に救援に向かう前に儀式場からヒルコを救出した後、村を爆破する儀式を中止させる必要があります。
儀式場を警備するトループス級を排除して、ヒルコを救出し、儀式を中止させてください。
その後、村を襲うクロノヴェーダを撃破すれば、事件を解決できます。
松永久秀
棄て児流し(作者 荒雲ニンザ)
#天正大戦国
#大和国のヒルコ爆弾
#大和国
⊕
タグの編集
現在は作者のみ編集可能です。
🔒公式タグは編集できません。
|
|
🔒
#天正大戦国
|
|
🔒
#大和国のヒルコ爆弾
|
|
🔒
#大和国
|
●
時は改竄された過去。
まるで深い洞窟の奥から響いてくる唸りのような声で、白髪縮毛の男が能を舞う。
微笑みをつけた穏やかな面とは裏腹に、謡(うたい)は気味の悪い不吉なものであった。
『墨一筆を、子の腹に』
『伊耶那岐命(イザナキ)おのこ、黄泉の紋』
『天磐櫲樟(アメノイワクス)、船に乗せ』
『伊耶那美命(イザナミ)おなご、三途川』
『奈落につけど、手足出ず』
『目も無き蛭子、術有らず』
『口無き蛭子、術有らず』
『為す術有らず、術有らず』
男は舞い終わり、視線を上げた。
夕日のように赤く燃え上がる周囲のそこかしこから、人々の甲高い悲鳴が鼓膜を震わせてくる。
群がる式神と、薄気味悪い肉魂が村人達を叩きのめし、奇妙な『音』を発した。
「もっと泣け、もっと叫べ」
「もっと命乞いをしろ」
「間抜けなディアボロスが罠とも知らず、駆け付けて来るように、もっと、もっと」
声に聞こえるその音で、白髪縮毛の男が拍子を取り始め、繰り広げられる暴力を前に、ゆらり、ゆらりと、再び舞い始めた。
時は今。
場は新宿改札内、ホームにある待合室。
遠目からでも分かるほど、大和屋・酔仙(妖狐の妖怪博士・g03240)は深刻な面持ちをしていた。
食べることが大好きな彼はいつも何かしら食べているのに、この日は手にした干し柿も口にしていない。
こちらに気がつくと、急いた様子で話しかけてきた。
「皆様! お待ちしておりました!」
先日の話。
遂にパラドクストレインは、天正大戦国のディヴィジョンに行けるようになった。
天正大戦国は日本の戦国時代をクロノヴェーダが改竄したディヴィジョンで、断片の王である『織田信長』を中心に、有力な大名が国を支配しているようだ。
「さっそくですが、本題です。時間が惜しい」
今回攻略するのは、平安鬼妖地獄変のディヴィジョンと隣接していた『大和国』となる。
現代でいう奈良県だが、平安鬼妖地獄変の領域だった吉野山より北側は奪還済みだ。
「今回我々が向かうのは、残る南側となります」
大和国は、平安鬼妖地獄変奪還戦でも戦った『松永久秀』が支配している。
酔仙が言うには、平安鬼妖地獄変奪還戦で、多くの戦力を失っている事もあり、松永久秀は卑劣な手段でディアボロスを撃退しようと策を巡らせているようだ。
「その策略とは、村を襲う事でディアボロスを誘き寄せ、ディアボロスが村に入った所で、ヒルコを生贄にした儀式を発動させ、村ごと爆発させてディアボロスにダメージを与えるというもの」
爆発でダメージを受けた所を攻撃し、ディアボロスを撃退しようと言うのだろう。
「こんな非道を許す事は出来ませぬ……!」
悔しさに思わず力が入り、手にしていた干し柿の中身が酔仙の狩衣の袖を少し朱に染めた。
それが何かを彷彿とさせ、それに抗わなくてはならないと脳裏に訴えかけてくるようでもある。
「敵を撃破するだけでなく、襲撃されている村人も、生贄にされるヒルコも、どうか助けてあげて下さいませ」
詳細に入る。
村を襲っているクロノヴェーダは、ディアボロスを誘き寄せようとしているので、すぐに村人を殺しはしないようだ。
「まずは、村に向かう前に、儀式の生贄にされようとしているヒルコの救出に向かって下さい」
ヒルコの儀式場は、村の近くにある大きな楠木だが、儀式場の周囲はトループス級が警戒しているので、まずは、その排除が必要となる。
「その後、儀式場のご神木である楠木に辿り着いたら、奇妙な儀式を阻止しなくてはなりません」
ヒルコの儀式を止める為には、ヒルコに繋がれた『爆破儀式に繋がる配線』のうち、正しい1本を切断する必要がある。
「しかしお気をつけ下さい。間違った配線を切断してしまうと、ヒルコが死に、村も爆破されてしまうようなのです」
ヒルコは切断すべき配線を知っているが、それを伝えるのは禁じられている。
「ですが彼らは、できる限りの必死の抵抗で、『切断すべき配線を謎解きの形で』ディアボロスに伝えようとしてくれているようなのです」
謎が難しければ、答えを伝えた事にはならない……という裏技のようなものなのだろう。
ヒルコの謎を解き正しい配線を切断し、儀式を中断させればヒルコの救出もできるだろう。
「彼らの救出後、襲われている村に向かい、敵を撃破して下さい」
村のクロノヴェーダは、ディアボロスが侵入したはずの村が爆破されない不具合に混乱するので、その混乱を利用すれば、有利に戦う事が出来るかもしれない。
「松永久秀の軍勢は、平安鬼妖地獄変でも被害を受けております。今回の作戦が最後の足掻きなのかもしれません」
この事件を阻止して、村々を解放すれば、松永久秀の居城に攻め寄せる事もできるだろう。
「それにしても、何という卑劣な策略……断じて許すことはできませぬ!」
罪の無い村人を犠牲にし、ヒルコを利用して生贄に捧げて殺そうとする行いは、悪逆非道と言って相違ない。
何としてもこの流れを断ち切らなくては。
●
これから話すは、これから起きるであろう、過去の出来事。
知っての通り、囚われヒルコの物語。
村のご神木とされる楠木に、太縄でくくりつけられたヒルコたちが見える。
大木には無数の御札が張られており、木の皮に痛々しく埋め込まれ、幾重にも重なった導線が張り巡らされていた。
その頭上に、風で煽られている長半紙のような紙が何枚もバタバタと音を立てており、それぞれに墨で書いた文字が読める。
『墨一筆を、子の腹に』
『伊耶那岐命(イザナキ)おのこ、黄泉の紋』
『天磐櫲樟(アメノイワクス)、船に乗せ』
『伊耶那美命(イザナミ)おなご、三途川』
『奈落につけど、手足出ず』
『目も無き蛭子、術有らず』
『口無き蛭子、術有らず』
『為す術有らず、術有らず』
爆弾儀式と連動した配線に繋がれたヒルコたちが、苦しみながらうめき声を漏らしている。
「村の人を爆発で殺すなんていや」
「誰か助けて、この儀式を止めて……。『 』を切れば……」
「だめ、どの配線を切れば良いか伝えるのは禁止されている」
「それならば……」
「切るべき配線は……『国産み神話の最初の過ち』」
言うや、ヒルコたちは背に走る激痛に身をよじり、息を止めてその痛みに耐えた。
それでも歯を食いしばり、幾度とその言葉を謡に乗せた。
「国産み神話……過ち有り……」
「国産み神話……過ち有り……」
リプレイ
伊藤・真九郎
我等を誘きだし罠にかける為に、罪無き民に非道を働く外道ども。許す訳にはゆかぬ。
仲間と連携し、警護の肉塊どもに突撃をかける。
大小二振りの刀を抜き放ち、敵が迎撃に備えるより速く間合いを詰め斬り込む。
「其方らの望み通り、推参つかまつった!いざ、尋常に勝負!」
周囲の気配を読み、合戦で培った【戦闘知識】による予測を加えて触手を避け、刀で斬り払いつつ縦横無尽に戦場を駆け、敵を切り払ってゆく也。
たとえ貫かれようと、救うべき民の苦難を目の前に膝をつく訳にはゆかぬ。
触手を切り、もぎ抜いて戦い続けよう。
一騎塚・喜一
我々をおびき出すために無関係の人々を巻き込む非道
ディアボロスでなくとも武士として、いえ人として許せません
これまでにも何度か似たような事がありましたが
これまでも、そしてこれからも全て思い通りにはさせません
ヒルコの方々を早く救出して差し上げたいです
周囲と連携して攻撃を合わせ、手負いのものから確実に仕留めていきましょう
愛刀を構えて接近し【横雲】で肉塊を薙ぎ払っていきます
触手に貫かれようと、今後起こり得る悲劇に比べれば大した痛みではないはず…!
それに寧ろ貫かれている間は敵を逃さずに済むという事でもあります
そんな好機を逃す我々ではありません
邪魔はさせません、推して参ります
小佐田・輪
フフ、これはこれはいかにもな肉塊……
いろいろ気になりマスが今は突破を優先デス
『魑魅魍魎オカルト千夜一夜行』を使いマス
フフ、混沌を制するのはどちらデショウ
オカルト軍団で撹乱しつつ攻撃、仲間を守りつつ戦いマス
撃破できそうな敵を優先、頭数を減らしていきマス
敵の攻撃は召喚したものを盾にしたり、特攻させたりで対処デス
皆サンとも可能な限り連携、援護しマス
他に有用な残留効果、技能があれば活用しマス
こちらの性質をよく分かった罠デスね
見過ごす理由にはなりマセンが
●
遠目に、村から火が出ているのを確認できる。
依頼内容から、クロノヴェーダは襲われている村人達をすぐに殺めはしないと聞いていたが、いくら作戦とは言え、目の前で実際の暴力を見ては穏やかでいられない。
先にヒルコを救出するべく、ディアボロスたちはご神木の楠木まで数十メートルという位置に身を潜めていた。
苦しむヒルコが喘いでいるのを目にした一騎塚・喜一(一騎刀閃・g04498)が唇を噛む。
「早く助けてやらねば……」
知らず身を乗り出している喜一の前に、伊藤・真九郎(人間の戦国武将・g08505)の手がそれを制す。
はたと気がつきその目を見れば、鎧兜の隙間から細めた目を覗かせた。
各々怒りを押し込め、武器に手をかける。
「フフ」
背後から不気味な笑い声が鼓膜を震わせ、小佐田・輪(紡ぎ紡がれしオカルトマスター・g01356)が黒々と見事な長髪を一度撫でた。
「どうぞ。多少の無茶も、カバーしマスよ」
「ありかたい」
真九郎が言い、喜一と共に飛び出した。
砂を巻き上げ、二剣が神木へと走りゆく。
その後ろから、影の矢が1本、鋭く追いかけた。
急速に接近してくる殺気を感じ取った肉の塊は、伸びて縮みを繰り返し、ご神木の周囲に身体を広げてそれを阻止しようと互いを結びあう。
その拍子に鼻面を腐った脂の異臭が撫で、嗚咽を吐き出すように喜一が飛躍した。
そちらに肉魂の意識が向いた所を、真九郎が切り込む。
「其方らの望み通り、推参つかまつった!」
肉魂の触手が数本逸れて来るのを寸で避け、左の腰から十字に刀の柄を握り、間合いを一気に詰寄ったところで抜き放つ。
「いざ、尋常に勝負!」
言うや勇鼓吶喊が肉の壁を切り裂き、びじゅ、という鈍い音を土の上へ投げつける。
生き残った数本が鎧を圧してきたが、それを刀で払いのけて後方に退いた。
痣となるだろう足の痛みを感じながら頭上を仰ぎ見れば、隙を作ってやった場所へ喜一が飛び込むのが見えた。
「推して参る!」
少年は抜いた愛刀を素早く横手に構え、全体重を乗せるようにその刃を振り抜いた。
肉の散らばる様は見るに堪えぬ惨さがあったが、横雲によって薙ぎ払われた空間には血糊一つ飛んでいない。
その狭間に身を落とし、穢れ一つ冒されずに地に足をつける。
目の前で繰り広げられる剣技にほれぼれし、輪が小さく笑った。
「フフ」
断ち切られた肉の断面を目で追い、土に文様のようについた肉魂の脂を満足そうに眺めた後、喜一との間合いにいる肉魂に視線を投げる。
彼女がささやかに笑うや、肉魂の周囲の空気が渦を巻いて歪み、そこから魑魅魍魎、混沌たちが手を伸ばしていく。
どこを的にすればよいか分からぬのか、肉魂が大きく身体を揺らしてそれらを払いのけようとしている隙に、喜一が間合いを退いた。
それを見届け、輪が黒い髪を盛大になびかせる。
彼女の黒い影が自らの肉体を追いかけて行く先、妖艶に光る赤いまなこが見開かれた。
「今夜は月が赤く沈みマスね……」
大量の百鬼夜行が肉の塊を圧しつぶし、滴る肉汁一滴残さず黒い狭間に呑み込むと、小気味悪い破裂音が一度鳴り響き、彼女の小さな笑い声だけが静寂に残された。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【未来予測】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
ラウム・マルファス
ココのヒルコは沢山いるんだネ
「あとで治療してあげるカラ、もう少し待ってネ」
国産みの神話を全知の魔法書で調べるヨ。
ウーン、答えはそのままでいいのカナ?ひねった答えも思いつかないケド
他の人にも確認して、大丈夫そうなら伊耶那美命の紙を引きちぎろウ
淤能碁呂島で国産みのために、天の御柱の周りを回って伊耶那岐命と伊耶那美命が出会ったときに、女性である伊耶那美命が先に声をかけたから不具の子が生まれた、って話だネ
現代の倫理的には過ちと呼びたくはないものだけど、神話当時やこのディヴィジョンの時代なら、過ちと言われても仕方ないだろうシ
上手く解放出来たら、活性治癒と薬品で治療をして、隠れているようお願いしよウ
一騎塚・喜一
ヒルコの方々とは初めてお会いします
配線で繋がれるなど、なんて酷いことを…生きた心地がしなかったでしょうね
自身も苦しい中で村人のために、この小さな体で今まで頑張って耐えてきたのでしょう
少しでも早く安心させてあげたいです
私も国生み神話で「過ち」と言えば伊耶那美命が先に声を掛けた事が真っ先に思い浮かびます
この苦しみの中でそこまでひねったヒントを考えるのも厳しいと思いますし
恐らく伊耶那美命の紙でよろしいかと思います
為す術有らず、術有らず。か…
このような謡でヒルコの方々の絶望を煽っていたのでしょうか
良い趣味とは言えませんね
無事に開放できましたら「後のことは我々にお任せ下さい」とお伝えしますね
伊藤・真九郎
ヒルコの方々の解放に向かおう
我等を誘き寄せる囮にされたとなれば詫びる言葉もない。
この報いは必ずや奴等に喰らわせてやろう
謎めいた歌であり、色々読み解く事も出来ようが、これは木阿弥が詠んだ歌。裏読みの必要はあるまい
言葉通り受け取り、イザナミについて記された紙を切る、で良かろうと解く
女性であるイザナミが男性であるイザナギに先に声をかけた為にヒルコが産まれた
これを過ちとされているが、その理由は定かではない
男尊女卑とも解釈されるが、それは現在(戦国)の考え。どうも違う気もする
男性が申し込み女性はそれを認める。上下無く、摂理の問題と解釈しているのだが……いや、今は関係なき事
一刻も早くヒルコ達を解放せねば
●
怪異ならざる肉塊を倒し、周囲に邪魔なものがいなくなったところで、ディアボロスたちはご神木に駆け寄った。
苦しむヒルコたちは片目を開け、助けに来た彼らに口を開く。
「……うっ、だめ、罠よ……」
一騎塚・喜一(一騎刀閃・g04498)と 伊藤・真九郎(人間の戦国武将・g08505)が足を止め、周囲を見回す。
無数の長半紙が風で音を立てている中、墨で書かれたものに目を留める。
『墨一筆を、子の腹に』
『伊耶那岐命(イザナキ)おのこ、黄泉の紋』
『天磐櫲樟(アメノイワクス)、船に乗せ』
『伊耶那美命(イザナミ)おなご、三途川』
『奈落につけど、手足出ず』
『目も無き蛭子、術有らず』
『口無き蛭子、術有らず』
『為す術有らず、術有らず』
「切るべき配線は……『国産み神話の最初の過ち』」
ヒルコたちは口々に謡を読み、ディアボロスに解除法のヒントを与えている。
その度に激痛を当てられ、もだえ苦しみながら息を切らせていた。
「国産み神話……過ち有り……」
「……うううっ!!!」
その時、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)の声が聞こえた。
「アー可哀想ニ。あとで治療してあげるカラ、もう少し待ってネ」
先に来ていた喜一と真九郎が視線の端で彼を捉える。
「国産み神話……」
喜一が思い出そうとしていると、ラウムが手にしていた魔法書を広げた。
「エート、国産み神話、国産み神話……ト、あった」
そこに浮かび上がった文字を簡略化して読み上げる。
「淤能碁呂島で国産みのために、天の御柱の周りを回って伊耶那岐命と伊耶那美命が出会ったときに、女性である伊耶那美命が先に声をかけたから不具の子が生まれた、って話だネ」
それから少し肩をすくめ。
「ウーン、答えはそのままでいいのカナ? ひねった答えも思いつかないケド。現代の倫理的には過ちと呼びたくはないものだけど、神話当時やこのディヴィジョンの時代なら、過ちと言われても仕方ないだろうシ」
静かに様子を見ていた真九郎が口を開く。
「過ちが過ちたる理由は定かではない。倫理、摂理、時代によって解釈は色々あろう」
喜一も頷く。
「私も、国生み神話で『過ち』と言えば、伊耶那美命が先に声を掛けた事が真っ先に思い浮かびます」
「大丈夫ソウ?」
「これは木阿弥が詠んだ歌。裏読みの必要はあるまい。言葉通り、イザナミについて記された紙を切る、で良かろうと解く」
それを確認した後、ラウムは飄々と会釈して真九郎に『ドウゾ』と手で促す。
すると鎧向こうの鋭い視線が1枚の半紙に目をつけ、腰の刀に手をかけた瞬間、光が線を描く。
風が吹くまで何ごともなかったが、空気がぴゅうと音を立てた時、『伊耶那美命おなご』と『三途川』が二つに分れた。
風にのる『三途川』が遠くに過ぎ、ヒルコをきつく縛り付けていた太縄がずるりと緩んで落ちる。
「ああっ……!!」
地に身体を打ち付けたヒルコに喜一は駆け寄り、小さな身体を抱き寄せた。
「う……あ、あいつが……来る……」
ラウムが治療しようとするのをヒルコは止め、村の方に視線を動かす。
「む、村の人達を……早、く……」
「後のことは我々にお任せ下さい」
胸を焼かれる思いで喜一はそう伝え、ディアボロスたちは焼ける村の上空に飛ぶ、無数の白い式神の光景を睨み付けた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【防衛ライン】LV2が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【ダブル】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
ラウム・マルファス
「任されたヨ」
軟膏の傷薬だけ投げ渡して、フライトドローンを召喚
足場にして飛び渡りながら村の上空へ行くヨ
狙いが復讐者なら、ボクが駆けつければ、むやみに村人を攻撃しないだろウ
カラス型ドローンに爆薬を搭載
撹乱するように動きつつ、敵の爆破を狙うヨ
ボクはなるべく敵より上を動き回りつつ、イバラの冠を飛ばして牽制していよウ
下に行っちゃうと、流れ弾が村に当たるかもしれないからネ
光線は放った敵の周りをぐるっと回って他の敵を巻き込みたいケド、難しそうならフライトドローンを盾にしてなるべく威力を削ろウ
村人が危なそうなら庇うヨ
彼らの安全が第一サ
一騎塚・喜一
儀式は無事に阻止できました
あとは人々の治療と安全の為、敵を一掃するのみです
飛び回る敵ならばこちらも飛んでその行動を阻止するまでです
【山颪】で形代兵を蹴り落として参りましょう
攻撃が命中するまでこちらを追尾するならば好都合、
その間は村や人々に手出しは出来ないでしょう
優先する攻撃対象は一般人へ向かう者、距離が近い者からです
【防衛ライン】があるとは言え元々飛び回る相手への効果を過信するのも危険かもしれませんので
敵の体当たりは避けずに防御姿勢で受け止めます
自身の治療よりも村人の安全を願っていたヒルコの方々を思えば
これしきの攻撃耐えてみせねばディアボロスの、そして武士の名折れです
伊藤・真九郎
ヒルコ達は救えたが、未だ守るべき人々は多い。足を止める暇など無し。
即座に襲われている村へと向かおう。
村へ駆け込み、人々を村の外へと避難させる。
「民々よ、村の外へと退避するがいい!かの妖怪共は我等が退治いたす!」
【士気高揚】の効果で怯えを拭い、避難を呼び掛ける。
【飛翔】を借りられるなら【空中戦】。
【砂使い】で砂鉄を操る。 巻き上がる鉄の砂嵐で敵の突撃から身を守りつつ、敵を巻き込み攻撃。
奴等の計画は潰した。多少なりとも動揺はあろう。隙を逃さず殲滅致す。
事後、【建物復元】で家屋を修理して回ろう。
此度の被害の遠因は我等ディアボロス。時間はないが出来るだけの事はしておこう。
●
村にいるクロノヴェーダは、いつまでも爆破されない状況に首を傾げ始めた。
風で煽られ飛んで逃げた『三途川』の切れ端を追いかけるように、ディアボロスたちは村へひた走る。
枯れ草の上を滑り、砂埃を後にして迫り来る復讐者に気がついた形代兵たちは、一斉に標的を変えた。
一騎塚・喜一(一騎刀閃・g04498)が口を開く。
「気がついたようです。背後の村人達を何とかしなくては……」
それを受け、伊藤・真九郎(人間の戦国武将・g08505)が鎧の向こうから鋭い視線を前方に投げた。
「守備は任されよ」
「しかし」
「存分に晴らして貰って結構」
喜一は瞬きすら惜しむように空を睨み続けている。
「目を閉じれば、ヒルコたちの苦悶の表情が浮びます……」
「それがしとて同じこと。討ち漏れた者は必ず仕留める」
日本人特有の堅苦しい情のやりとりを前に、それを聞いていたラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)が切り出してやる。
「じゃあ、よろしく、お願いします、ヨッ……と!」
その合図で、フライトドローンが一斉に背後から飛び立った。
黒光りする烏のようなフォルムの自律機構は、浮ぶ形代兵に向かって突き進む。
ラウムがそれを足場に飛躍し、純白の式神と入れ違い様に間合いに入った2体にけしかけた。
「さァ、あの子とあの子だ、行っておいデ」
薬をヒルコに渡して荷下ろしし、代わりに爆弾を搭載したドローンが、主人の命令通りに起爆する。
風圧を受けてよろめいた形代兵たちを盾にし、奴らの間合いの中に飛び込んだままラウムは落下していく。
頭上で爆発が起き、村人達が悲鳴を上げて仰ぎ見た。
恐怖でパニックになりそうな人々の前に真九郎が滑り込み、声を張り上げる。
「民々よ、村の外へと退避するがいい! かの妖怪共は我等が退治いたす!」
それからラウムの着地点を作るべく構え、身を低くして前方の空を睨み付ける。
邪魔だと言わんばかりに式神目がけて剣を抜き放ち、大振るいで周囲の砂を巻き込んだ。
振り切る一太刀はさながら砂嵐。みるみる目の前の視界を奪い、上空の形代兵たちを切り刻む。
かろうじて逃れた1体が落ちる勢いで回転し、寸で避ける真九郎を執拗に追い回し始めた。
逃げれば背後の村人達を巻き込んでしまう。
真九郎は自ら作り出した砂嵐の中に身を投じ、守りに入りながらその連撃を身体で受け止める。
「かかりましたネ」
頭上から声がし、式神は真九郎からラウムに鋭く視線を投げた。
その更に上、【飛翔】を発動させた喜一が激しく髪をなびかせながら刀を構え、急降下する姿が。
「ぉおおお……!!」
それを見るなり、形代兵は退こうと身を翻す。
「遅い!!」
山颪の不意打ちが形代兵の胴を裂き、間を押し入るように喜一が着地した。
少し遅れてラウムがフライトドローンと共に地に降り立つのを視界の端に入れ、ここでようやく一同が一呼吸。
真九郎が立てた砂嵐がやみ、舞い上がって弄ばれた『三途川』が静かに大地に辿り着く。
「生きとし生ける、幸あれど」
「贄は裂かれて、形代おらず」
「肉魂滅び、生も無く」
「意味無意味、虚空界」
「読みの演目、三途川」
「黄泉の演目、三途川……」
深い老人の声がかすかに震えながら謡を止めると、『狂幻廻師』木阿弥がゆっくりとこちらに面を向けた。
「ヒルコを逃したのはお主達じゃな……? 肉魂も形代も壊しおってからに……台無しじゃろう」
落ちた三途の紙をじっと見つめ。
「だがしかし、ここは三途じゃ……お主達が骸となれば、よいだけのこと」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
奴崎・娑婆蔵
ここが三途だァ?
ではあっしみてえな亡者が出たとて文句は言いなさんなよ
等活地獄より遥々と
しがねえ人斬り、黄泉返り
手前、姓は奴崎名は娑婆蔵――
人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』
宴たけなわ、よござんしょ
その演目、いっぺん八ツ裂きにしてやりまさァ
・敵の足取りを【呪詛】にまつわる見識にて観察
・千鳥足と見せて、しかしその実、足の置き所の順序で星の並びを模すことで成し得る術か技の類ではあるまいかと類推
・妖刀『トンカラ刀』抜刀
・こちらも一見無為に宙へ剣を振るうと見せて、その実「剣の影法師」を実体化させ不意打つ技【斬影刃】を発動
・敵の「次の一歩の置き先」に見越しを付けられ次第、地より出でる刃の形をその足元へ置き襲う!
一騎塚・喜一
生きとし生けるもの、いずれは三途の川を渡る時が来るのでしょう
ですが、少なくとも貴方を倒すまで私は倒れるつもりは御座いません
次の演目もぶち壊して差し上げましょう
舞のような動きに水流に異形の召喚
年の功と言いますか、多彩な攻撃で私とは対照的です
近くに村がある以上は可能な限り接近戦を挑みたいところです
【飛翔】し動きに惑わされぬよう【精神集中】
【戦闘知識】【未来予測】で斬撃が繰り出される時機を予測し急所を防御
捨て身の【斬月】にて渾身の一太刀を浴びせます
まだ動けるなら【グラップル】で相手を掴み足さばきの調子を崩せないか試みます
雅に舞うことが出来ぬ身ならば少しでも味方の有利に働くよう泥臭く足掻くのみです
伊藤・真九郎
三途の渡し守と振る舞われるか、御老。
苦界なれどもここは現世。日々を生きる民を連れ行かせる訳にはゆかぬ。
川向こうへは御一人で行かれるがよい。
愛刀を鞘に納め、居合の構えにて相対す。
間合いの遥か遠くで腰を落とし、全身を捻る様に力を溜め、柄に手をかける。
奥義、【変位抜刀術】にてつかまつる。
神速の跳躍にて瞬時に間合いを詰め、加速を威力に加えた抜き打ちにて一刀両断せしめんとす。
突進の勢いのまま敵の傍らを通り過ぎ、そのまま【飛翔】し上空へ飛び上がり残心の構え。反撃の水撃を回避試みる。
ラウム・マルファス
おおぅ、顔いっぱイ
全部見えてるのカナ、アレ
三途でも地獄でも構わないサ、鬼も妖怪も武者ロボも全部やっつければ、住めば都ってなるかもネ
カラス型ドローンに爆薬搭載
なるべくなら接近攻撃する人と連携して、死角から爆破して体勢を崩したいナ
真後ろとか真上なら死角になってるかもしれナイ
異形もカラスで爆破しよウ
カラスは自律行動だし機械だから、怖い敵でも平気ヘーキ
ボクは怖いから正視したくないケド、動きを観察しないと対応できないからネ
我慢して観察するヨ
飛翔で距離を取りつつ、遠距離攻撃をしてくるようならフライトドローンを大量召喚して盾にしよウ
村人に流れ弾が当たっても困るからネ
●
刀に積もった砂埃を肘の内側で撫で、伊藤・真九郎(人間の戦国武将・g08505)が木阿弥に鋭い視線を投げつける。
「三途の渡し守と振る舞われるか、御老」
「ほほっ。この世は地獄。儂がそれに興を入れておるだけのことよ」
これは娯楽の一つだとでも言わんばかりの物言い。
それを聞いた一騎塚・喜一(一騎刀閃・g04498)が眉間に深くしわを寄せた。
「生きとし生けるもの、いずれは三途の川を渡る時が来るのでしょう。ですが、少なくとも貴方を倒すまで私は倒れるつもりは御座いません」
ぎゅと音を立て、刀の柄を握りしめる。
ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は互いの台詞に耳を傾けながら、背後の村人たちを気配で探っていた。
カラス型ドローンをいつでも飛ばせるように警戒させ、自らはそれを気取られぬよう飄々として知らぬ顔。
真九郎も前へ。
「苦界なれどもここは現世。日々を生きる民を連れ行かせる訳にはゆかぬ。川向こうへは御一人で行かれるがよい」
「あやつらは、助けが来たと思うたであろう? それをくじくのも、また愉快な演目となろう。娯楽、極楽、奈落、みな興をそそる」
印を結んでいた木阿弥の背後から4本の腕がのび、その内1本が音を立てて扇を開く。
すると、ぐぐ、と周囲の空間が歪み、老人を中心とした空気が一気に淀んだ。
ラウムはそこで初めて視線を向ける。
「三途でも地獄でも構わないサ、鬼も妖怪も武者ロボも全部やっつければ……」
ドローンの羽音が少し変わった。
「住めば都ってなるかもネ」
喜一がつま先で間合いの位置を探り、それから怒りを押し殺した深く静かな声で、相手に最期の通達をする。
「一幕、二幕、三幕、そして次の演目も……我々がぶち壊して差し上げましょう」
横にいた真九郎が親指で鯉口を切る音が聞こえ、それを合図に飛び出した。
「さあ、お行キ!」
ラウムの支持でドローンが一斉に仕掛け、正面から攻撃に入る。
爆弾を背負った烏どもが動かぬ老人に喰らいかかり、その場で起爆。
中心から吹き上がる爆風に圧され、一同が足に力をこめれば、場は一瞬停止したようにも見えた。
ボと煙を押しのけ、木阿弥がラウムの目の前に飛び出した時、見たくもないクロノヴェーダの能面を直視してラウムが顔をしかめる。
扇を持つ手が左から迫るのが分かったが、相手が早い。
「これなる異形は、あの山海経にも載っとる、恐ろしい化物ぞ」
一仰ぎすれば異界の魔物が煙の中から溢れ出し、ラウムの身体をすり抜ける。
不快感に声を張り上げたが、どっと押し寄せる疲労感を誤魔化すように吐き捨てた。
「うあああァ……!!! ……ッ気持ち悪イ!!」
苦痛に震える膝を立たせ、木阿弥を睨み付けると、煙の中から死角を責めた喜一が追撃にかかる。
(「頼んだヨ」)
滑る動きで喜一が走れば、流れる舞いで木阿弥が横につく。
「くっ……早い!」
老人と侮るなかれ。アヴァタールクラスのクロノヴェーダと扱わねばこちらがとられる。
(「真九郎さんに繋げねば……」)
間合いの外で構えたままの真九郎を視界の端に入れ、何とか一太刀の隙を作ろうと喜一は場を駆け回る。
ラウムが背後を守ってくれてはいるが、近くに村がある以上は可能な限り接近戦を挑みたい彼は、そこで勝負を仕掛けた。
「ふほほ。ほれほれ、お若いの、足元がお留守になっておるぞ」
錦絵の巻物を翻し、面白半分に足をすくわれそうになったが、それを避けず、一歩を止めて身を低くする。
「斬月!!」
鋭く細身の月が光となって筋を残し、木阿弥の肩を切り裂いた。
「おおっと、と、と……!!」
老人は勢いでくるりと輪を描き、その遠心力で喜一に反撃を食らわせる。
「ほおれ、ほっほっほ!」
「ぐあっ……!!」
背後にはじき飛ばされたが、倒れるものかと砂埃を上げて足をつく。
「参った参った、お主には到底敵わんよ」
砂埃の向こう、立っている喜一目がけ、木阿弥が追い打ちを食らわせようとした時だ。
「……鋭!」
声が後を追い、真九郎の残像が風を吹き飛ばし、砂埃の中から変位抜刀術が木阿弥の腕を切り落とした。
「ギャッ!!」
老人は悲鳴を上げたが、居合いを抜いた真九郎が身を低くして追撃をかけようとしているのを目に入れると、手にした掛け軸を広げて技を繰り出した。
突如錦絵の中から大量に溢れ出る水流に下肢をとられ、圧された真九郎が身を崩す。
「ええい……! 往生際の悪い人間どもめ……、お主らはすでに地獄におるのよ。何を足掻いても、この濁流からは逃れられんのじゃ。三途を越えるはヒルコの演目。棄て児は流されるのが定め。ヒルコを流すのが嫌なら、お主らが代わりにその魂を黄泉に渡せ……!」
「等活地獄より遥々と」
「しがねえ人斬り、黄泉返り」
流れ去る水流の向こう、奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)がよろり、よろりと千鳥足でこちらに来ようとしている姿が見える。
全身を包帯でくるみ、死に装束を纏ったカースプレイドの男は死人のような肌色で、目だけが月食で喰らわれた月のような赤色をしていた。
「ほ、おもしろい男がやって参った」
木阿弥は興をそそられたのだろう、真九郎に向けていた面を娑婆蔵に移した。
「手前、姓は奴崎、名は娑婆蔵――人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』」
「ほっ、ほっほほ、ほほほほ! 八つ裂き、とな。する側、される側、三途川。どう見ても、お前さんが八つ裂きされた後じゃわい」
娑婆蔵は鼻で笑い。
「宴たけなわ、よござんしょ」
ふらふらとしていた足の運びで、また白い足を一歩、前に出した。
「その演目、いっぺん八ツ裂きにしてやりまさァ!!」
足が地に振れたと同時、点々と続いた足跡が浮かび上がる。
木阿弥が気づいた時には娑婆蔵の術中にはまった後で、剣の影法師が目前に迫っていた。
「馬鹿な……!!」
舞い逃げる隙も無し。
興に現を抜かしたばかりに、懐に剣を差し込まれた形となったのだ。
娑婆蔵の千鳥った足跡の通り、木阿弥の身体に切れ目が入る。
それは各々ずるりと落ちて、肉の塊となり、謡を止めた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【フライトドローン】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV2になった!