建業城壁決戦~我が忠義は孫家の為に(作者 七尾マサムネ
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#大戦乱群蟲三国志  #建業城壁決戦  #呉  #建業 

●孫呉の護り
 三国が1つ、呉。
 その本拠地たる建業。高くそびえたつ城壁に、蟲将がいる。
 槍を携えたジェネラル級の視線の先には、像がある。呉の王である孫権を象ったそれを前に、将……韓当が呟いた。
「陸遜、今この場にそなたがおれば、護りも盤石であったろうにの」
 失われた将の名を口にした韓当は、槍の柄尻で地を突いた。
「されど、孫権様の為、呉の為。不退転の覚悟を以て、このわし、韓当が、城門を絶対に護り抜いてみせよう」
 孫権の像に、ひざまずく韓当。
「我が王よ! 万一の敗北すら、我が忠義を断つ事叶わず。この身朽ち果てようとも魂は英霊となり、孫権様の盾と成りましょうぞ!」
 宣誓と共に、韓当が掲げた槍が、天に向けて炎を噴き上げた。

●いざ建業
 集結したディアボロス達へと、王・天花(人間の無双武人・g03356)は、三国の1つ、呉との決戦の時が訪れた事を告げた。
「ジェネラル級蟲将『呂蒙』を討ち、南荊州の軍勢を打ち崩した事により、呉の本拠地である『建業』に攻め入る事が叶いました」
 攻略旅団提案の警戒作戦が功を奏し、蜀や南方ディヴィジョンなどから横やりが入る事は無く、決戦に専念できる。
 だが、呉の本拠地だけあって、守護の任についているジェネラル級もまた強敵ぞろい。周泰、韓当、蒋欽の三将軍、宿将と呼ばれる蟲将達だ。
「彼らは、陸遜や呂蒙のように大軍を率いる素養に秀でた武将ではありませんが、呉、そして孫権に対する忠誠心と戦闘力の高さは、十分すぎる脅威となります」
 脅威はそれだけではない。建業の城には、強力なクロノ・オブジェクトが2種類も存在するというのだ。
「1つは『忠義の守護像』と呼ばれるもの。この像は3つ存在し、それぞれ、ジェネラル級によって守られています。この『忠義の守護像』がある限り、呉王『孫権』に戦いを挑む事は出来ません」
 そして、ジェネラル級が孫権に対し、絶対の忠誠を持って戦い続ける限り、『忠義の守護像』が破壊される事はないのだと、天花は言う。
「もう1つは、孫権が、自分を守って撃破されたジェネラル級を英霊として召喚し、自らを守らせる効果を持つクロノ・オブジェクト『孫呉英霊珠』です」
 これによって召喚された英霊は、生前のジェネラル級と同等の武力を発揮する。
 ただし、対象が「殺された直後」であると同時に「一定の距離の範囲内で殺されたジェネラル級」でなければならないという条件がつくが。
 防御的な効果を持つこれらのクロノ・オブジェクトが機能し続ける限り、『孫権』を討ち取るのは困難と言わざるを得ない。

 孫権を守る3体の敵ジェネラル級は、建業の城壁の三方に別れて布陣している。
「呉王『孫権』との対決に臨むためにも、まずはジェネラル級に挑み、『忠義の守護像』の破壊をお願いします」
 天花が討伐を依頼したのは、『三代の忠臣・韓当』。その高い忠誠心は、孫権個人はもとより、孫家そのものに向けられているようだ。
 韓当の元に辿りつくには、まず、城壁を護るトループス級『東呉郡主侍女隊』を突破しなければならない。
 侍女隊は、方形の防御施設に陣取り、空いた窓部分か攻撃を仕掛けてくる。韓当への忠誠心も高く、力任せに攻めいっても、苦戦を強いられるだろう。
 なお、『忠義の守護像』は、韓当を撃破する事でも破壊は可能だ。しかし、そうなるともう1つのクロノ・オブジェクトが発動してしまい、英霊化した韓当が孫権に加勢してしまう。
「それを防ぐ為には、韓当の撃破前に、忠義の守護像を破壊しなければなりません」
 忠義の守護像の破壊方法は、「ジェネラル級に一定の打撃を与えた上で、ジェネラル級の忠義の心を揺さぶる」事。
 3つ全ての忠義の守護像を破壊し、孫権との戦いが始まった後ならば、ジェネラル級を英霊として召喚する事が出来なくなる。その時こそ、韓当にとどめを刺すのだ。

「孫権の行動は、強力なクロノ・オブジェクトを用意し、韓当達配下の死さえ利用して、自己保身を図ろうというもの。それを韓当に語る事で、忠心を揺るがす事が出来れば、守護像を破壊する事が出来るはずです」
 それでは、ご武運を。
 天花は、呉攻略をディアボロス達に託したのだった。

●孫呉の王
 玉座の間。
 韓当ら3将らの『忠義の守護像』の目を通じ、誓いの言葉を聞いた孫権は、吐き捨てるように言った。
「絶対に護り抜く? 信用などできるものか!」
 これがただの像だったなら、床に放り投げてしまいそうな剣幕。
 しかしこれは、自身に対する保険であり生命線。ゆえに、孫権は、怒りを嘆きに変えた。
「あぁ、儂は、なんと部下に恵まれておらぬのか。信じられるのは、このクロノ・オブジェクトと、この本拠地『建業』の排斥力だけだ」
 孫権の言葉が、韓当達に届くことはない。だが、万が一聞こえていたなら、その忠誠心はどうなっていただろう。
「お前達の忠義が本物だというのならば、排斥力が敵を退けるまでの時間を稼いでみせるがいい」
 傲然と言い放つ孫権の姿。
 果たしてそれは、王の器に相応しいものであったろうか。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【勝利の凱歌】
2
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【プラチナチケット】
2
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【壁歩き】
2
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【寒冷適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV7 / 【ガードアップ】LV3 / 【リザレクション】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ロストエナジー】LV3 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

七尾マサムネ
 いよいよ呉の命運も尽きようとしています。孫権を討ち、呉に引導を渡す時です!

 と、いう訳で、こちらのシナリオでは、ジェネラル級『韓当』との決戦を行います。

 作戦の流れはオープニングの通りですが、改めて、今回のシナリオ攻略の手順は以下の通りです。

 まず「③トループス防衛ライン『東呉郡主侍女隊』」を攻略。
 その後、「④建業城壁決戦『三代の忠臣・韓当』」との戦闘を行います。
 韓当が『🔵15』に到達した時点で、「①宿将の忠誠に疑問を抱かせる」を行い、「②『忠義の守護像』を破壊する」を攻略します。
 守護像を破壊する事で、呉王『孫権』への援護を断ち切る事が出来ますので、後は孫権戦開始後に、韓当を撃破すればこの依頼は成功となります。
 ※「②『忠義の守護像』を破壊する」は、孫権決戦シナリオの戦闘開始条件にもなっていますので、①②③は、採用プレイング数を絞らせていただく可能性が高いです。

 それでは、皆様の武勇知略を存分に発揮し、決戦を勝利に導いてくださいませ!
64

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


孫・リア
…………あんな事は……『叔父様』は絶対に言わない……
さぁ行きましょうか、あの『孫権』の名を騙る愚かな蟲の王の元へ行く道を!
いくら韓当殿の名を奪ったジェネラル級が相手でも私達は立ち止まったりはしないわ!

皆と連携して防御施設を制圧していくわよ!

『天馬』で空を飛んで鴉の阿黒た達の幻影をそれぞれの窓から内部へ向ってビームを発射!飛んでくる矢は偃月刀と槍でなぎ払ったり星星に乗ったまま回避して誘き寄せる。地の利は敵にあるからねしっかりと動きを見て行動していくわ、そして万が一に彼女達が窓から出てきたら私が直接攻撃して確実に倒していくわよ!
         
【アドリブ共闘歓迎】


杏・紅花
忠誠とか忠義とか...あたしはよく分かんないけど
仕える相手をほんとに信じてるって言うより、仕える自分に酔ってるようにも、見える
いのち、そんな使い方で仕えても、主のためになるとは思えないんだよなあ〜

ま、どーでもいいんだけどねっ

窓から弓を射ってくるなんてずるいぞぉ
飛火を投げつけて敵の視覚と聴覚を瞬間瞬間で眩ませながら、素早く防御施設に接近
【壁歩き】で防御施設の壁を登って乗り込む

歓迎──してくれそうにないから、あたしからちょっと手荒な歓迎
片っ端から蹴り飛ばしていくね
剣は腕を狙うことで叩き落として、仲間と連携して混乱させてゆく

自分のいのち、ほんとうに望むこと、そういうのに耳傾けたらいいのに


御須統・昴
アドリブ・連携歓迎
では、行きましょうか。
その忠義を崩しに。王手をかけに。

【飛翔】を使い、空中へ移動。
そして直ぐパラドクス発動。
相手に春の長雨の如く多数の武器の雨を降らせます。
何処にいようとも、矢を射る隙間があればそこから投げ込めます。
問題ありません。
そして、春の長雨の如く振り続く武器の雨。
何処まで避けられますか?
という事で只管に破壊していきましょう。
相手の反撃は<薙ぎ払い>等で対象。
もしくは【飛翔】で回避を。
多少のダメージは気にせず攻め立てます。


 いざ、孫呉征伐へ。杏・紅花(金蚕蠱・g00365)が、敵陣……侍女隊の控える防御施設を見上げた。
「韓当様の為、孫権様の為! ディアボロス、お前達はここで仕留める!」
 紅花へと、侍女隊の矢と口撃が、早くも飛んでくる。
 容姿こそ可憐に見えるが、相手は、韓当配下の精鋭だ。
「忠誠とか忠義とか……あたしはよく分かんないけど」
 仕える相手を心から信じているというより、忠義の臣である自分自身に酔っている。紅花にはそんな風に見えて仕方ない。
「いのち、そんな使い方で仕えても、主のためになるとは思えないんだよなあ~」
 牽制の矢をかわしながら、紅花は、そんな思考を鼻で笑い飛ばした。
「ま、どーでもいいんだけどねっ」
「どうでもいいことがあるか!」
 紅花の呟きを、耳ざとく聞きつけた侍女隊が、怒りの矢を返答とした。
 真なる歴史を、道筋を取り戻すために。紅花と共に、建業の城壁を見上げる孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)。その胸には、違和と怒りが渦巻いていた。
(「……あんな事は……『叔父様』は絶対に言わない……」)
 そしてリアは、同道する仲間達と共に、敵防衛線への攻撃に移る。
「さぁ行きましょうか、あの『孫権』の名を騙る愚かな蟲の王の元へ行く道を!」
 リアの決意に満ちた宣言に、侍女隊が、勇ましく応える。
「ここは通さぬ! それが韓当様の命!」
 大軍の指揮官としての器ではない、とされた韓当だが、部下からの信頼は決して薄くないと見える。
「いくら韓当殿の名を奪ったジェネラル級が相手でも私達は立ち止まったりはしないわ!星星! 阿黒!」
 リアに呼ばれた無双馬と鴉が、鳴き声を上げる。
 天高く跳びあがった無双馬に、飛翔する鴉が重なる。
 二身一体! 黒翼を得た白馬の背にまたがったリアが、敵陣制圧へと飛翔する。
 御須統・昴(十星連・陸昴『六連星の守り人』・g06997)が、リアの決意に首肯し、ともに攻め上がる。
「では、行きましょうか。その忠義を崩しに。王手をかけに」
 流石は、三国が一角、呉の本拠。
 この侍女隊のみならず、守りは幾重にもなって、昴達を阻んでくる。しかし、昴は、その全てを打ち破る覚悟で、この戦場に足を踏み入れたのだ。
 敵は、防御施設という地の利を生かして、紅花達に応戦する。
 敵本拠なのだからそのくらいのアドバンテージ、あって当然だが、それはそれとして不平等感はある。
「窓から弓を射ってくるなんてずるいぞぉ」
「ならば大人しく引き下がれ!」
 そうはいかない。
 紅花は、手荒いもてなしのお返しとばかり、『飛火』を投げつける。
「!?」
 激しい光が辺りを塗り込め、轟音が響き渡る。
 視覚と聴覚を妨げられた侍女隊は、紅花の姿を、束の間見失う。
 そんな僅かな隙に、紅花は、防御施設に接近。壁を平然と歩き、混乱に乗じて敵陣内へ!
「馬鹿な! 直接乗り込んで来るとは」
 接近戦の間合いに入られた侍女たちは、とっさに弓矢を剣に持ち替えた。
 だが、紅花が仕掛ける方が、ほんのわずかばかり早かった。
 ゆるり、舞いを始めるように動き出した紅花は、すぐに戦の速度に転換。切りかかってくる敵を、蹴撃で次々と吹き飛ばしていく。
「飛んで火にいる夏の虫よ!」
 四方八方から次々閃く斬撃。紅花は、それを受け流しつつ、片っ端から相手を蹴り飛ばす。その身はもちろん、腕を打ち付け、武器を奪っていく。
「く、よくも……!」
「自分のいのち、ほんとうに望むこと、そういうのに耳傾けたらいいのに」
 からん、と床に転がった剣を、相手の届かぬところに蹴り飛ばしながら、紅花が嘆息した。
 紅花の創出した混乱に乗じて、リアが敵陣に接近する。
「たかだか一騎で何が!」
「一騎? そう見える?」
 侍女隊に言葉を返したリアの周囲には多数の鴉、その幻影が飛翔していた。
「ええい、撃ち落してくれる!」
 弓矢を駆使して、リア達を射殺しにかかる侍女隊。武芸のみならずパラドクスの力が備わった射撃を、リアは偃月刀と槍でそれを跳ね除け、前進を続ける。
 いかに敵施設に防御力が備わっていようと、相手からこちらが狙えるという事は、こちらからも同じ事ができるという証左。
「さあ、狙いはあそこよ!」
 リアの号令が、まばゆき光を呼ぶ。
 鴉……阿黒達の幻影は、攻撃用に備えられた敵陣開放部目がけ、ビームを発射した。
 射線が通れば攻撃も通る。次々と倒れていく侍女たち。
「いいようにはやらせぬ!」
 紅花の襲撃もあり、このままではらちが明かないと判断した者達が、施設を飛び出し、直接リア達への攻撃に転じた。
 しかし、地の利を欠いた状態では、天馬と一体となったリアに叶うはずも無し。
 弓矢を剣に持ち替えた侍女隊を、天馬ともども体当たりで蹴散らしていく。
 内に籠ればビーム、外に出れば人馬の襲来。
 リアの両面攻撃で劣勢に追いやられる侍女隊を、更に翻弄するのは、自在に飛び回る昴だ。
「それで制空権を奪ったつもりか?」
「すぐに撃ち落として……!」
 ぎりり。
 侍女達が、一斉に昴を的とする。
 だが、空中の昴は、侍女隊が弓矢の狙いをしかと定める暇を与えなかった。
 そして好機を掴んでパラドクスを発動。防御施設へと一気呵成に攻撃を仕掛けた。
「一度や二度ほころびを生じたとて、この護りは崩れはせん!」
 自分達こそ、孫呉の守護の要。そんな決意に満ちた敵目がけ、昴が投擲したのは、縄鏢、そして鏢。
 しかも、それは一度や二度ではない。春の長雨の如く、多数の武器の雨を降らせたのだ。
 確かに、敵の守りは堅い。だが、
「何処にいようとも、矢を射る隙間があればそこから投げ込めます」
 問題はない。
「そして、春の長雨の如く振り続く武器の雨。何処まで避けられますか?」
 開口部を的確に狙った、昴の攻撃。
 間断ない攻性の洗礼は、侍女隊から攻撃の機会すら奪い取っていく勢いだ。
「おのれ、小癪な!」
 一方的に攻められ、削り取られるよりは。
 侍女隊は、負傷も恐れず、反撃に転じる事を選択した。
 昴の見たてでも、彼女らの士気は高い。孫権への忠義以上に、直接の上官である韓当への信頼か。
「その堅い忠義、いつまで保つでしょう」
「黙れ!」
 雨には雨。
 侍女達から一斉に放たれた矢は、豪雨の如くなって、昴を襲った。
 素早く虚空を蹴って加速、それらから逃れる昴。追いすがって来るものあれば、縄鏢を振るって薙ぎ払い、勢いを殺す。
 とはいえ、数が数だ。全てを防ぎ切ることはできないが、負傷に揺るがぬ心を持つのは、昴も同じだ。
 受けた傷を多少と判断し、昴は、再び雨を招いた。
 それは、敵対するものには死を。味方たるディアボロスには勝利をもたらす、武の流星雨。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV2が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

音羽・華楠
この改竄世界史の、三国の一角を崩す……まさに大一番ですね。
復讐者として、その戦へ馳せ参じないわけにはいきません!

トループス級が籠もる防御施設、厄介ですね。
ですが――私には関係ありません!

《雷幻想・煉獄》!!

このパラドクスで放たれる魔術的マイクロ波は、防御施設の壁など透過し、内部のトループス級を焼きます。
……むしろ、下手に外部から閉ざされてる分、一度燃え始めたら内部は窯の如く温度を上げ――蒸し焼きになりますよ?
耐え切れず出てきたところで良い的ですけど!

敵の反撃は、攻撃は最大の防御の精神で対処。
反撃の暇も与えないくらいのつもりで苛烈に攻めます。
それでも反撃があれば、【ガードアップ】で堅実に防御を。


 孫・リアや御須統・昴、杏・紅花らが、連携して敵防衛線を攻めたてる中。
 音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)もまた、呉を追いつめるこの決戦場へと駆け付けていた。
「この改竄世界史の、三国の一角を崩す……まさに大一番ですね。復讐者として、その戦へ馳せ参じないわけにはいきません!」
 華楠の進撃を阻むのは、文字通りの壁。
 立ちはだかる城壁に備えられた、防御施設だ。その中には、未だ多くの敵兵、侍女隊が籠っている。
「たとえこの命に代えようとも、この場は護り抜く! 韓当様の為!」
 施設開口部から、侍女隊の勇ましい声が飛んでくる。
 損害は少なくないはずだが、なおも戦力と戦意は健在らしい。
 このまま防戦に徹せられるような事があれば、韓当はもちろん、孫権との開戦もままならぬ。
「厄介ですね。ですが――私には関係ありません!」
 華楠は、不敵に言い放つと、術式の構築を執り行った。
「激しい大いなる怒りの姿をされる不動明王よ。迷いを打ち砕き給え、障りを除き給え、所願を成就せしめ給え……! 急急如律令!!」
 弾ける雷と燃え盛る火。
 華楠に呼び起こされたエレメントが、妖精達の助力によって、更なる技へと組み上げられる。
 生成されたのは、魔術的マイクロ波。対象は、防御施設……その中に潜む侍女達。
「この程度の術で……ぎゃ、ぎゃああ!?」
「こ、これは一体!?」
 内部の侍女達が、突如その身を焼くような痛みに、苦悶を張り上げた。
「まさか、火計を仕掛けた!?」
 電子レンジ、と言ったところで理解できるのか否か。
 華楠は、原理を説明する代わりに、現象を伝えてやった。
「下手に外部から閉ざされてる分、一度燃え始めたら内部は窯の如く温度を上げ――蒸し焼きになりますよ?」
「くっ、せめて一矢報いる!」
 内より身をさいなむ熱より逃れようと、施設を飛び出してくる侍女達。
 華楠を旋風に巻き込み、矢の的とする。だが、その反撃が実る事は、なかった。
 それどころか、華楠に向けられた矢は、侍女の手を離れる事さえなかった。
 華楠が直接浴びせた煉獄によって、その身ごと焼滅したからだ。
「無策で飛び出してくるなんて、良い的ですよ!」
 かくして、侍女隊による守りは突破した。
 ならば次は急ぎ、三宿将が一角……韓当の元へ!
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

白水・蛍
アドリブ・連携歓迎

韓当将軍。お目見えできてうれしく思いますわ。
しかし、悲しきかな。我々は敵同士。
故に語るは言葉に非ず。この武にて。お互い、語り合うと致しましょう!
≪コンダクタースピア≫の穂先を出してパラドクス発動。
この身に英雄の武勇を降ろして敵と打ち合いいたします。
その身に一撃を与えて差し上げます!
と言いつつ<撹乱・計略>を混ぜつつ行きましょう。
敵の攻撃に関しては防具による魔法障壁や【飛翔】による回避を試みましょう。


 侍女隊による防御陣は瓦解した。
 そして白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は、守りの要、その1つとの相対を果たす。
 三方の守りの一角、槍を手に待ち受けし宿将。
「ここまで来たかディアボロス。こうも易々と防壁が突破されるとは思わなんだぞ」
「韓当将軍。お目見えできてうれしく思いますわ」
 蛍が、淑やかにその意を表明する。
「しかし、悲しきかな。我々は敵同士。故に語るは言葉に非ず。この武にて。お互い、語り合うと致しましょう!」
「よかろう。だが、わしにも為すべき事がある。孫権様を断片の王とする為、卑怯と謗られようとも必ず勝利してみせる!」
 すっ。蛍が取り出した≪コンダクタースピア≫から穂先が出現し、槍を形成する。
 韓当も、武器は相似。ならば、それに比肩するための技を。
「我が声に応えて降りよ。我はその御業を再現する者なり!」
「む!」
 建業の空に向け、響き渡る勇壮なる宣言。
 その瞬間……蛍の気配が変じた事を、韓当はすぐに読み取った。
 蛍の身に今宿るのは、英雄の妙技。韓当ら一騎当千の武将にも引けを取らぬ、武が備わっている。
「ふん、他者の力を借りるという訳か。ならばわしも研鑽の全てでもってそれを叩き潰してくれるわ!」
「存分においでください。その身に一撃を与えて差し上げます!」
 かくして、決戦の火ぶたが切られた。
 英傑と、韓当という将。互いに、力を借りた蛍と韓当が、城壁の上で打ち合う。
 傍から見れば、シンプルな武と武のぶつかり合い。
 だが、その一合ごとの裏側では、フェイントや攪乱、計略など、様々な思惑が火花を散らしている。
 槍同士がぶつかり合うのも、蛍の魔法障壁と韓当の槍撃が甲高い音を立てるのも、そして、空を切るのも、互いの知略や技の激突の結果だ。
 数多の戦地を切り抜けてきた武将・韓当としての知識が、敵の武を高みに押し上げている。それも全ては、孫家への忠義の賜物。
「やるではないか」
「そちらも」
 一進一退。互いに戦技を駆使したぶつかり合いは、しかし、蛍の優勢であった。
「馬鹿な、わしの技が、このような若造に劣るはずがない……!」
「そのように相手を侮る心、慢心こそが最大の敵だと、これまでの戦で学ばなかったのですか?」
 動揺。
 僅かな隙をついて、蛍の華麗なる一槍が、韓当の鎧の間隙を突いたのである。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

御須統・昴
アドリブ・連携その他諸々歓迎

さて、あなたがどのような武将でも関係ありません。
倒すだけなので。
行きますよ!
【飛翔】で相手に突撃しつつ、空中へ。
そこでパラドクスを発射。
全てを押し流す水ですか。ではこちらは春の長雨の如く振り続く武器の雨です。
全部撃ち抜いてさし上げます。
あなた諸共ね。
水は撃ち抜く事は出来ない?あなたを貫けば終わるでしょう。


伏見・萬
(連携アドリブ歓迎・残留効果はできるだけ利用)
忠義ってなァ、喰えるのか?
喰えるかどうか、ちょっと齧ってみるか、なァ
(忠誠心か、自分を保つ為の盲信か…まァ、俺としてはその辺りに大して興味はねぇ
ちょいと叩いてみなきゃ、本音なんぞ出て来ねぇだろうしな)

周囲のディアボロスと声を掛け合い、隙が生じないように立ち回る
敵を観察し、消耗の具合や動きの癖等の情報を共有

攻撃時は【追跡不能の捕食者】使用
追跡してくる水の猛虎はフェイントや呪詛の靄で撹乱、動き回って振り切る
韓当の隙を見極めて攻撃をねじ込み、呪詛の靄で侵して喰らう
自分の負傷は気にせず攻撃優先
必要があれば、仲間の攻撃に合わせて自分を囮にして、敵に隙を作る


 白水・蛍との一戦を通し、武力を示した韓当。
 だが、御須統・昴(十星連・陸昴『六連星の守り人』・g06997)が、韓当の武に臆する素振りは一片もなかった。
 その反応を見て、韓当は、ハッ、と一笑した。
「こんなもの、大した傷ではないわ。仮にわしを討てたとして、その頃には貴様らも満身創痍。孫権様に敵うまい。それでもわしとやり合おうと言うのか?」
「あなたがどのような武将でも関係ありません。倒すだけなので」
 韓当の『慈悲』を跳ね除けて、昴が踏み出した。
 共に敵将の忠義に、瑕疵を刻むべく参戦した伏見・萬(錆びた鉄格子・g07071)は、敵将にこう言葉を投げた。
「忠義ってなァ、喰えるのか? 喰えるかどうか、ちょっと齧ってみるか、なァ」
「ふざけた事を言う。真の忠義とは何者にも傷付けられる事のないものよ!」
 ぶん! 槍を振るう韓当。
 みなぎる活力と覇気、その源こそが、彼の口にする忠義なのだろう。だが、萬にとってそれも、懐疑の対象でしかない。
(「忠誠心か、自分を保つ為の盲信か……まァ、俺としてはその辺りに大して興味はねぇ。ちょいと叩いてみなきゃ、本音なんぞ出て来ねぇだろうしな」)
「では……行きますよ!」
 萬と視線を交わすと、昴が空へと飛びあがった。
 上空から見おろす敵の背後には、孫権の像……『忠義の守護像』。
 しかし、これを破壊する為には、韓当の忠義を揺るがさなければならない。その為にも、まずはこの宿将の武を打ち砕く。
 空中から攻撃を仕掛ける昴と声を掛け合い、油断なく立ち回る萬。
 建業の守りを託されるだけあり、相手は歴戦とみえる。その一挙手一投足は無駄なく、こちらを威圧して来る。
 しかし、自動人形の類ではない。必ずや乱れ、隙が生じる。それを読み取るべく、萬の視覚と意識は、相手を捉え続ける。
 天地より攻め来る昴らを、一挙に打破すべく、韓当がその力を発揮した。
「来たれ猛虎、孫呉の敵を押し流せい!」
 韓当が頭上にかざした槍が、天に水を呼ぶ。数多の河より招来した流水が、虎を象る。これも一種の水計と呼ぶべきか。
 韓当の招来した水の猛虎達が、昴へ牙を剥く。
「この流れは、いわば孫呉の地の血。貴様らは、孫権様の領土そのものを相手しているに等しいのだ!」
 空を戦場とする昴へと、襲いかかる猛虎の群れ。疾駆する様は、地上と何ら変わらぬ。
 昴は、彼らと空の追撃戦を演じた後、転身。十分、敵は引きつけた。
「全てを押し流す水ですか。ではこちらは春の長雨の如く振り続く武器の雨です。全部撃ち抜いてさし上げます。あなた諸共ね」
 猛虎を襲ったのは、縄鏢と鏢の大軍だった。敵軍の視界を埋め尽くす、無数の凶器が、怒涛の雨となって進軍を真っ向から押し返したのだ。
 無数に至る刃の群れが、猛虎群を貫いていく。
「はッ、愚かな。水の流れに槍を突き立てたところで何の意味があろうか」
 体を刻まれ、穴を穿たれながらも、虎の形を取り戻そうとする水流を見上げ、哄笑する韓当。
 だが、昴に動揺はない。
「水は撃ち抜く事は出来ない? あなたを貫けば終わるでしょう」
「!」
 そう。
 昴の真の狙いは、猛虎退治にあらず。その奥に待つ敵将、韓当その人だ。
「く……この程度の苦難、我が忠義を揺るがすには値せぬわ……!」
 だが、鎧に包まれた敵将を、刃の洗礼が襲った。容赦なく。
「ええい、こざかしい。して、そちらはかかってこぬのか? 時間を稼いだところで有利となるのはわしの方だが?」
 韓当の挑発。萬がそれに乗ってこないとわかると、自ら先手を取った。
「大河は不滅なり。孫呉に仇なすものを喰らい尽くすまで、決して絶える事はない!」
 一度は水泡と化し、無力化されたかに見えた猛虎たちが、再度形を構築。
 列を為し、一斉に萬へも襲い掛かった。
 それを迎え撃つべく、萬が展開したのは、靄。パラドクスによって生成された呪詛だ。妖の猛虎にとっても無視できるものではない。
「まやかしには構うな! 食いちぎってしまえ!」
 靄に妨げられながらも、それを食い破るようにして猛進する水虎。
 何とか噛みついて来た一頭を振り払うと、萬が、韓当へと反撃を繰り出す。
「動きは見切っているぞ……何!」
 突き出しかけた韓当の槍が、止まった。靄の中に、萬の姿が呑みこまれたからだ。
「姿を消したか。だが、わしを狙うとすれば……死角に違いあるまい!」
 韓当の読みは正しかった。ただ、実際の反応は、萬の方が早かったと、それだけで。
「!?」
 黒き靄が結実した獣が、韓当に食らいついた。
 突き立てた牙から、呪詛の靄が侵食。その身を染め、喰らっていく。
 それは、刹那の攻防。仕掛けた萬はもちろん、標的たる韓当さえも、声を発することはなく。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV3になった!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

レオニード・パヴリチェンコ
 ……ん。不退転の覚悟に実力
一筋縄ではいかないのは分かっていたつもりだけれど
目の前にすると迫力も違うものだ、ね
でも引けないのはボクたちも同じ……押し通らせてもらう、よ

【飛翔】を発動して急上昇、狙撃銃を構え、高高度から狙い撃つつもりという構えを見せる、よ
逆連鎖戦ではどんなに実力差があっても一度は反撃できる
未熟なボクはその一度にすべてを賭ける

槍が体に突き刺さって動きが止まったのに合わせて、隠し持っていた"Freischütz"での零距離射撃、撃てるだけの魔弾を撃ち込む
魔弾を撃てるのは狙撃銃だけじゃないんだ

……故郷を、家族を、師を奪われていく過去の幻覚
今度は正面から乗り越えたい、ね……


 韓当の発する圧を、レオニード・パヴリチェンコ(“魔弾卿”・g07298)は実感していた。
 御須統・昴と伏見・萬の連携で手傷を負いながらも、その気迫はむしろ高まっているようにさえ見える。
「……ん。不退転の覚悟に実力。一筋縄ではいかないのは分かっていたつもりだけれど、目の前にすると迫力も違うものだ、ね」
 韓当の覇気を受け、"Freikugel"を持つ手に一層力が加わるレオニード。
「わしの実力が理解できるならば、疾くこの地より去れ。孫権様の命を狙うなど不遜の極み!」
 忠告の韓当に、レオニードはかぶりを振る。
「引けないのはボクたちも同じ……押し通らせてもらう、よ」
 決意と共に、レオニードは城壁の床を蹴った。そのまま、韓当の頭上へと急上昇。
 狙撃銃を構え、高高度から狙い撃つ。
「はッ、そんな飛び道具でわしの守りを打ち崩せるものか!」
 挑発めいた言葉をレオニードに投げる韓当。
 確かに、歴戦の将である韓当と、未熟と自覚するレオニードでは、経験も格も違うだろう。
 だが、逆説連鎖戦では、どんなに実力差があっても一度は反撃できる。それが、ディアボロスとクロノヴェーダを支配する真理だ。
 だから、レオニードは、その一度にすべてを賭ける。
「こちらが弾より速ければいい、それだけよ!」
 韓当もまた、地を蹴った。
 超常的速度でレオニードに肉薄し、神速の槍撃を放つ。それは炎をまき散らし、狙いたがわず、レオニードを捉えた。
「手応えあり!」
 だが、槍が体に突き刺さり、動きが止まるこの瞬間。これこそ、レオニードの待望していたチャンスだった。
「!?」
 韓当が、危険を察した時には、既に遅い。
 韓当の腹に押し当てられたのは、狙撃銃ではない。拳銃だ。
 レオニードが隠し持っていた"Freischütz"が、火を噴いた。それも、対象を逃さぬ零距離射撃。
 間断なく魔弾が撃ち込まれるたび、韓当の体は氷に覆われていく。
「魔弾を撃てるのは狙撃銃だけじゃないんだ」
 敵に全力を叩き込む間にも、レオニードの心身は、炎に焼かれる。
 故郷を、家族を、師を奪われていく過去の幻覚。
(「今度は正面から乗り越えたい、ね……」)
 心の内で呟くと、レオニードは韓当の身を蹴って離脱した。
 相うつ二者、しかし韓当が受けた傷は、レオニードよりいささか深いものであった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

音羽・華楠
韓当の使う《突撃刺撃》なる技……相当の速さのようですね。
ですが、私も速さには自信があります――

――速度勝負と参りましょう、《雷幻想・瞬動》!

《瞬動》で得た雷速の体動を頼りに、槍の間合いの内側まで韓当へ肉迫を。
それで少しでも振るい難くさせれば、槍撃の速度も下がるはず。
その隙を縫い、私は雷速を以って『フェアリーレイピア・ティンカーベル』で韓当を滅多斬りにします!

向こうは攻撃に炎を纏うそうですが、私の攻撃にも雷が纏われます。
想像以上に痺れますよ!

幻覚を見せられても――私が最も恐れたこと……兄さんを、家族を救えないかもしれない不安は、平安鬼妖地獄変の奪還で乗り越えた!
その事実を頼りに撹乱を抑制します。


 防御陣を突破し、宿将・韓当と相まみえた音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)。
 その視線と意識は、レオニード・パヴリチェンコへも振るわれた槍へと向けられていた。
(「韓当の使う《突撃刺撃》なる技……相当の速さのようですね。ですが、私も速さには自信があります――」)
「何度、たとえ束になってかかってこようと、わしは退かぬ、倒れぬぞ!」
 華楠を威圧する韓当。迸る忠義の心は、もはや鬼神の如き気迫。
 その構えは、槍による刺突を狙うものだ。
「その骸、孫呉の礎としてやるゆえ、心置きなく散華するがよい」
「ならば――速度勝負と参りましょう、《雷幻想・瞬動》!」
 ばぢっ、と華楠の体が、雷を放った。
 パラドクスの発動により得た、雷速の体動。その技は、華楠を、韓当の槍の間合いの内側まで肉迫させた。一瞬にして。
「これほどの速さで、わしの間合いに食い込んでくるとは……!」
 予測を上回る華楠の速力に、さしもの韓当も、動揺を隠せぬようす。
 懐に入られれば、如何に超常の技とは言え、槍のリーチの長さが徒となる。華楠に対する槍撃の速度も、自然と低下せざるをえない。
 必殺の機を掴みかねる韓当。その停滞を好機に変えて、華楠は『フェアリーレイピア・ティンカーベル』を振るった。
「想像以上に痺れますよ!」
 雷速の剣舞が、韓当を滅多斬りにする。斬撃のたびに迸る雷は、それ自体が韓当の身を焼いていく。
「やるではないか……だが、わしもこの時を待っていたのよ」
 よろめきながらも、韓当は槍に炎を灯した。間近の華楠を貫き通すために。
「攻撃の後ならば必ずや付け入る隙が出来るであろうとな!」
 雷で全身を痺れさせながらも、韓当は無理矢理、高速の炎槍を繰り出した。舞い散る火の欠片が、華楠を焼く。
「……!」
 華楠の視界から、束の間、韓当の姿が消える。
 代わりに現れるのは、恐怖。華楠の家族が、救いの手からこぼれていく、悪夢の光景……。
 しかし!
「なに!」
 韓当が、槍を引く。身の危険を感じたからだ。
 危険の源は……他ならぬ、華楠。
「馬鹿な、恐れに呑みこまれぬというのか?」
「――私が最も恐れたこと……兄さんを、家族を救えないかもしれない不安は、平安鬼妖地獄変の奪還で乗り越えた!」
 華楠の瞳に、強き意思の光が戻る。
 思いのままにならぬその姿に、韓当から歯ぎしりの音がこぼれた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【エイティーン】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!

杏・紅花
明サン(g03461)と連携強化
連携、アドリブ歓迎

油断するつもりはさらさらないの
ただ、悲観して自分のいのちを何かのために捧げようって、虫がいいなって思うだけ
あ、全身虫そのものかあ

「眩の躍」
ねえ、さっき見てたかな
同じ技は、喰らわない?んふふ、油断大敵、慢心はよわさ
明サンを【ディフェンス】しながら仲間とよく連携
臨機応変に不意打ちを狙っていく
あたしは囮かもしれないでしょ

反撃の動きを見極めながら、地形に反って流れる水のようにお相手
形を変えてたえず豊かに流れる川の水、自由に大地を駆ける虎
あたし、どっちも大好き
水の虎、とってもすてきだねえ
あたしもその動きを見習って、ステップ変えながら対応していくぞっ


平良・明
紅花さん(g00365)と連携強化
連携、アドリブ歓迎

よもや侮られているなんてことは無いでしょうが、まず一撃
陸遜を正面から超えてきた復讐者の有様を証明しましょう

韓当、覚悟は出来ているでしょうか
孫権を討ち果たすこの道、通してもらいます

陸遜は逃げのびて再起を図る器を持っていましたが
足を止めて待つのが韓当の戦でしょうか
その程度ならその足元縛りつけてしまいます

「山歩き」を使い、秋の風を起こします
秋に赤く紅葉する七竈の幻影でもって、韓当を【捕縛】して攻撃
紅花さんを【ディフェンス】しつつ、連携して挑みます

どんなに高い城壁も、千年経てば木々に包み込まれるのです
私たちがここにいるのは、決してまぐれではありません


 音羽・華楠の雷閃に続くのは、侍女隊との交戦を経て韓当の元に辿りついた、杏・紅花(金蚕蠱・g00365)。
 紅花が敵将に注ぐまなざしは、単純な敵に向けるものとはいささか違うようだ。
 韓当の方も、それを敏感に察したらしい。
「勝ちの勢いに乗っているようだが、わしはあの侍女どもと同じではないぞ」
 釘を刺す韓当に、紅花は首を横に振って応えた。
「油断するつもりはさらさらないの。ただ、悲観して自分のいのちを何かのために捧げようって、虫がいいなって思うだけ。あ、全身虫そのものかあ」
「それで上手い事を言ったつもりか。悲観だと? 呉の勝利には微塵の揺らぎも無い!」
 紅花の挑発を受け取った韓当が、戦の気を解き放ち、攻めかかった。
「むうっ!」
 その時、韓当が上げたのは、驚きの声。
 韓当をおののかせたのは、紅花と反対側から飛び込んできた平良・明(嶺渡・g03461)の、鋭い一撃だった。
「咄嗟に退いてしまったが……パラドクスも使わずにその技の冴え。復讐者が陸遜を討ち取ったというのも信じざるを得まい」
 明の実力を、韓当は正しく認識したようだ。その証拠に、明達を侮るような態度は見られぬ。
「韓当、覚悟は出来ているでしょうか。孫権を討ち果たすこの道、通してもらいます」
「笑止千万! わしがここに立つ限り、貴様らが孫権様と相まみえる事はない。たとえわしが倒れても貴様らが孫権様の首を獲る事はない!」
 明を一喝する韓当。
 いずれにせよ、明達が勝利を手にする事はないと、そういう事か。
(「陸遜は逃げのびて再起を図る器を持っていましたが、足を止めて待つのが韓当の戦でしょうか」)
 もしもその程度なら……明は、紅花と互いに守りあいながら、韓当に仕掛けた。
「孫家三代に仕えし宿将の真髄……とくと見るが良い!」
 韓当の槍が、明を狙う。
 若武者のように大胆かつ鋭い突きを繰り出したかと思えば、老獪な技にて、明を翻弄する。
 『韓当』という存在そのものに蓄えられた武の数々が、明を征圧すべく披露されて来る。
 だが、その全ては、守りの為。
 防戦という形での勝利でしかない限り、明には、勝算があった。
「眩の躍」
 明との連携の中、ゆらり、紅花の舞いが始まる。その足さばきは、侍女戦で披露したものよりいささか慎重だ。
「ねえ、さっき見てたかな」
「侍女共との戦か。その動きは知っておるぞ」
 うかつに攻めようものなら……わかっているな?
 言外にそう告げる韓当に、紅花は笑みで応じる。
「同じ技は、喰らわない? んふふ、油断大敵、慢心はよわさ」
 鮮やかな挙動を相手の目にしかと刻みながら、しかし、実際には、相手に捉えさせぬ自在さ。
 韓当は、自由になる槍を使ってしのごうとするも、限界がある。
 そして、連続する蹴撃が、韓当の強じんな肉体と忠義の心を打ちのめしていく。
「ぐうう、主たる攻め手は、小娘の方であったか」
「そう? あたしは囮かもしれないでしょ」
 紅花の微笑みに呼ばれるようにして、韓当に風が吹き付けた。秋の風だ。
 そして、周囲に広がるは、秋の景色。
 困惑する韓当。秋に紅葉する七竈の幻影が、その足に絡みついた。
 幻影を呼んだ明の歩みは、ごく自然。戦のさなかにあるとは思えぬ趣だ。
「こんなまやかしでわしを制したつもりか。草木など……」
 力をこめて振り払おうとする韓当だが、蔓の束縛は強かった。明の意思の固さを反映したように。
 その場に釘付けにされた韓当へと、紅花が仕掛けた。韓当の不意を突いて。
「おのれ! だが、この程度でわしを止められたと思うな!」
 攻めかかる紅花に向け、韓当が掲げた槍に従い、水流が吹き上がった。
「ゆけ孫呉の大河よ、歯向かうもの全て押し流せ!」
 呼び出された流れは、猛虎の形をとって、紅花へと跳びかかってきた。
「水の虎、とってもすてきだねえ」
 賞賛する紅花は、乱れ舞う猛虎の牙や爪を見極めながら、かわし、反撃する。その動きは、地形に反って流れる水のよう。
「形を変えてたえず豊かに流れる川の水、自由に大地を駆ける虎。あたし、どっちも大好き」
 襲い来る流水を見習うように。
 紅花も、ステップを転調させながら、猛虎群を『もてなして』いく。
 そして、紅花に意識が向いたままの韓当の体を、明の束縛が一層締め付けた。
「くっ、わしの武が通用しない戦など、あろうはずがない。ならば、運をも味方につけるか復讐者よ!」
 韓当の負け惜しみともとれる発言に、明はかぶりを振った。
「どんなに高い城壁も、千年経てば木々に包み込まれるのです。私たちがここにいるのは、決してまぐれではありません」
 明が、韓当の攻めと守りを封じながら、しかと告げた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【壁歩き】がLV2になった!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!

孫・リア
ねぇ韓当殿、貴殿の忠義は立派よ、だけど……その忠義は『孫権』には全く届いていないわ

だってそうでしょう「死んでも英霊になってでも守れ」なんて自分の保身しか考えてないわ、呂蒙殿も……あの人『陸遜』もいなくなって呉のジェネラル級で残ってるのは『孫権』以外にはもう貴殿達しかもういないのに捨て駒扱いされてるのよ?『孫権』だけ残ってどうするの?

貴殿達が忠義の為に倒れて英霊になったとしても『孫権』は私達が『建業』の排斥力で撤退することを望んでいる……これが真の断片の王に相応しい者が行う作戦?おかしいわよ

貴殿達を信用てないくて捨て駒にする気満々な者が……その忠義を捧げるにふさわしいと思う?

【アドリブ共闘歓迎】


 常人の立ち入れぬ領域にて、復讐者達との激戦を繰り広げる韓当。
 不屈にも見えるその武に、陰りが見えた。今こそ、付け入る好機。
 それを逃さず、孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)が、攻め手を、刃から言の葉に変えた。
「ねぇ韓当殿、貴殿の忠義は立派よ、だけど……その忠義は『孫権』には全く届いていないわ」
「そんなはずがあるものか。わしはこの建業の守りを託されておるのだぞ」
 大気すら震動させる怒気で、リアの言葉を否定する韓当。
「だってそうでしょう。その像の力、まさか知らないわけではないでしょう?」
 リアが示したのは、韓当が後生大事に護っている、背後の『忠義の守護像』。
「『死んでも英霊になってでも守れ』なんて自分の保身しか考えてないわ」
「孫家あっての孫呉、それは当然ではないか!」
 リアの嘆息混じりの指摘を、喝破する韓当。
 流石は忠臣。だが、リアには、まだまだ繰り出す言葉は残っている。
「呂蒙殿も……あの人『陸遜』もいなくなって呉のジェネラル級で残ってるのは『孫権』以外にはもう貴殿達しかもういないのに捨て駒扱いされてるのよ? 『孫権』だけ残ってどうするの?」
「そ、孫権様をお支えするものは、いずれまた現れる。たとえわしらが失われようとも……」
 リアの畳みかけるような口撃に、韓当の反論の勢いが、削がれ始めた。
「貴殿達が忠義の為に倒れて英霊になったとしても『孫権』は私達が『建業』の排斥力で撤退することを望んでいる……これが真の断片の王に相応しい者が行う作戦? おかしいわよ」
「王とは、時に謗りを受けても英断を下さねばならぬもの。その為ならば、捨て駒になろうとも……構わぬッ」
 韓当に生まれた疑念は、取るに足らぬほど。しかし、迷いを抱いた事自体が、忠臣にとっては恥ずべき事。
 主君に疑念を抱いてしまった自分への怒りが、三代の忠臣の心を乱していく。
 そしてリアは、その疑念に、更なるほころびをもたらす。
「貴殿達を信用していなくて捨て駒にする気満々な者が……その忠義を捧げるにふさわしいと思う?」
「いい加減、その口を閉じるがいい! 我が忠義は、命は、既に孫権様に捧げたのだ、それをどのよう使われようとも!」
 韓当の否定は、頑なままだ。
 しかし、そこに確かな揺らぎが生じ始めたのを、リアはしかと感じ取っていた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!

ロキシア・グロスビーク
きみはこの苦境、最初に誰を頼りたいと思ったの?
孫権じゃあないなら、真に忠を尽くすべきはきみの心がよく知ってるはず
陸遜も呂蒙も、最後まで生き延びて呉を救うつもりでいた
だから二人とも強かったし、僕たちに敬意を払う者も居たと思う

……ここまで追い詰めたのは僕たちだ。それでも!
いくらクロノ・オブジェクトが立派でも、
あるじに三達徳が揃ってるかなんて、きみが一番判断出来ることで
そんな孫権に殉ずるという選択は今は良くても国が死ぬよ
韓当はここにしか居ないんだ。死んだら策の上奏なんてできやしない
ほんとうの守護者になりたいなら!刃を鈍らせるような忠義じゃあなくて、
きみの義憤(ネメシス)でっ!僕たちを退けてみせてよ!


ラウム・マルファス
「やっと、孫家について詳しそうな人に会えタ。ずっと、聞きたいことがあったんダ」
嘘も演技も下手だからネ
本心で聞くヨ

「昆虫の森の奥で、孫策に会ったんダ。弟のためと苦しみながら、分身が産まれる卵を産んでいタ」
「アヴァタールの仕組みは知ってるけどサ、ホントに弟のこと想ってる人だったヨ」
「そんな人なのにサ、孫権は彼を改造して虫を産む装置にしてしまっタ」
「それが戦力になるならわかるサ、苦渋の決断ってやつダ。でも実際産まれた蟲は戦力にならないくらい弱かっタ、孫策自身もボロボロで弱ってタ」

「あの作戦は正しかったのカイ?孫策の力なら、もっと活躍できる場はあったハズダ。それとも、邪魔な兄を遠ざけただけなのカナ?」


 孫・リアとの言葉の応酬により、韓当の忠義も、難攻不落では無いと証明された。
 ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は、ひたすらに復讐者の言葉を否定する敵将に、こう呼びかけた。
「やっと、孫家について詳しそうな人に会えタ。ずっと、聞きたいことがあったんダ」
 嘘も演技も上手な方でない、という自覚がある。ゆえにラウムは、本心でもって問い掛けた。
「昆虫の森の奥で、孫策に会ったんダ。弟のためと苦しみながら、分身が産まれる卵を産んでいタ」
「孫策様、だと?」
 韓当にとって、ラウム達ディアボロスは、相容れぬ敵対者。その言葉の真偽は、疑ってしかるべし。
 だがそれでも、ラウムの出した名を聞き逃す事は、三代の忠臣にはできようはずもなかった。
「アヴァタールの仕組みは知ってるけどサ、ホントに弟のこと想ってる人だったヨ。そんな人なのにサ、孫権は彼を改造して虫を産む装置にしてしまっタ」
「そんな話でわしの心を揺るがそうというのか。しかし……」
 話を遮ろうとする韓当を、ラウムは差し出した手で、やんわりと制した。
 続ける。
「それが戦力になるならわかるサ、苦渋の決断ってやつダ。でも実際産まれた蟲は戦力にならないくらい弱かっタ、孫策自身もボロボロで弱ってタ」
 自身の語りに、韓当が耳を傾けているのを確かめ。ラウムは、訴えかける。
「あの作戦は正しかったのカイ? 孫策の力なら、もっと活躍できる場はあったハズダ。それとも、邪魔な兄を遠ざけただけなのカナ?」
「黙れ黙れ!」
 槍を振り上げ、ラウムの言葉を掻き消そうとする韓当。
「孫権様が私心でそのような策を取るはずがない。全ては断片の王となる悲願成就のため。成果が得られぬは結果に過ぎぬ。わしが孫権様を疑う事などあろうはずがない!」
 盲信、ともとれる発言。
 韓当がディアボロスであるラウムの言い分をただただ受け入れる理由は、ない。だが、それが全くの憶測、でたらめであると判断する要素もまた、何一つないのだ……。
 しかし。刹那でも疑いを抱いてしまった、その事実に、韓当自身も気づいたのか。
「……くっ。おのれ、おのれ復讐者! 孫策様の名を使い、わしを惑わすとは許すまじ!」
 再び、怒り狂う韓当。
 ラウムの真っ向からの働きかけによって、明らかに韓当は動揺している。
 それを受ける形で、ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)が、忠義に生じた亀裂を、更に押し広げる。
「きみはこの苦境、最初に誰を頼りたいと思ったの? 孫権じゃあないなら、真に忠を尽くすべきはきみの心がよく知ってるはず」
 韓当は、槍を振るうのも忘れ、ロキシアの指摘の否定に徹する。
「陸遜も呂蒙も、最後まで生き延びて呉を救うつもりでいた。だから二人とも強かったし、僕たちに敬意を払う者も居たと思う」
「ええい、今は戦の時。武勇を示さんかッ!」
 韓当の制止には構わず、弁舌で相手を追いつめるロキシア。
「……ここまで追い詰めたのは僕たちだ。それでも!」
「……ぐ」
 ロキシアの気迫に、韓当が遂に口をつぐんだ。
 不動の忠義に、さらなる陰が落ちる。忠義、そしてこの防衛戦の意義に、新たな疑問が生じたのだ。
「孫権様は孫家を継ぐもの、為される事にわしがとやかく言うべきでは……ない……」
 微かに、韓当の槍の切っ先が、下がる。
 武力で遮られる事はない、そう確信したロキシアは、無防備なまま、訴えかける。
「いくらクロノ・オブジェクトが立派でも、あるじに三達徳が揃ってるかなんて、きみが一番判断出来ることで、そんな孫権に殉ずるという選択は、今は良くても国が死ぬよ」
「国が、か」
 韓当の怒気が、僅かに和らいだ。
 韓当にとって、大事なのは、孫権という個人だけではないのだ。呉という国に、孫家という家柄そのものに忠義を捧げた男。
「韓当はここにしか居ないんだ。死んだら策の上奏なんてできやしない」
「ええい、黙らぬか……!」
「ほんとうの守護者になりたいなら! 刃を鈍らせるような忠義じゃあなくて、きみの義憤(ネメシス)でっ! 僕たちを退けてみせてよ!」
 はっ、と何かに気づいたように、顔を上げる韓当。
 ロキシアの懸命な訴えかけが、宿将の心に何かを思い起こさせたのかもしれぬ。
「……もうよい。ここでわしが貴様らを阻めば、全てよし! 孫権様の覇道は何人たりとも邪魔させぬ!」
 勝利が、迷いを打ち消してくれる。
 そう断じるように、韓当がロキシアに槍の切っ先を向けた。
 その行為こそが、ロキシア達により、石の如き忠義が穿たれた事の肯定であると、韓当は気づいていないかもしれない。

 その時、ラウムとロキシアは、見た。韓当が背後に守る『忠義の守護像』。それがかすかに帯びていた輝きが、薄れたのを。
 韓当の武力と忠誠、双方に揺らぎが生じた結果だ。
 今ならば、この堅牢なるクロノ・オブジェクトも、砕くことが叶うに違いない……!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!

孫・リア
……もうこの『呉』は終わってるのよ『あの人』がいなくなった時点で……『孫権』が忠臣たちを信用しなくなった時点で!

聞こえてるかしら?『孫権』
自分を慕う忠臣を信じないで断片の王になれると思う?
現に彼らを捨て駒にして私達ディアボロスに勝ったとしても、呉でたった一人のジェネラル級になってどうやって魏と蜀を倒して巻き返すつもりなのかしら……?
まぁそんな事ここで聞いたってしょうがないわ……私達は貴殿の元へ行くその時……答えてくれるならまた聞かせてちょうだい!

さぁ『乱舞』を使ってこの偃月刀と槍、そしてこの私の勇武の炎でこの『忠義の守護像』を跡形もなくすつもりで壊すわよ!

【アドリブ共闘歓迎】


 ラウム・マルファスとロキシア・グロスビーク、そして、孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)。
 三者の呼び掛けによって、韓当の鉄壁なる忠義には、看過できぬヒビが生じていた。
 それすなわち、『忠義の守護像』の絶対防御が、効力を維持できなくなった事を意味する。
 ならば今こそ。リアは、偃月刀と槍を構えた。
「おのれ、我が忠心を愚弄した復讐者、もはや許さぬ!」
一層の闘気を振り絞る韓当。揺らいだ忠義を糊塗するように。
 それに対し、リアもまた、全力で応じる。
「……もうこの『呉』は終わってるのよ『あの人』がいなくなった時点で……『孫権』が忠臣たちを信用しなくなった時点で!」
「黙れ! わしの、わしら宿将の忠義に、一片の曇りなし!」
 忠義の心ばかりか、戦に必要な冷静さすら欠いた韓当ではなく、強大な敵……真にリア達が討ち倒すべきものに声を飛ばす。
「聞こえてるかしら? 『孫権』」
 『忠義の守護像』は、黙して語らず。
 しかし、向こうから反応が無くとも、リアの声は、玉座の孫権に届いているはず。
「自分を慕う忠臣を信じないで断片の王になれると思う? 現に彼らを捨て駒にして私達ディアボロスに勝ったとしても、呉でたった一人のジェネラル級になってどうやって魏と蜀を倒して巻き返すつもりなのかしら……?」 
 やはり、孫権からの返答はない。
 だが、リアには、玉座にて憤懣やるかたない呉王の様子が、容易に思い描く事が出来た。
「まぁそんな事ここで聞いたってしょうがないわ……私達は貴殿の元へ行くその時……答えてくれるならまた聞かせてちょうだい!」
「貴様らのまなこに、孫権様の尊顔が映る事はない! ここでわしが貴様らに引導を渡してくれるからだ!」
 リアに向かう韓当。だが、応じるリアの矛先は、韓当には向いていなかった。
 ひらり。
「なッ!」
 韓当を飛び越え、空中にて、炎の弧を描くリア。狙うは……守護像!
『待て、止せ、やめろおおおお』
 突如、守護像が、声を発した。孫権の声だ。
 しかし、王たる威厳の欠片すらもない哀願が、リアの足を止める事は、叶わない。
 偃月刀と槍。双の炎撃が『忠義の守護像』を薙ぎ払い、塵芥へと帰する。
「……!!」
 孫権を守る結界。
 その楔の1つが、跡形も無く消し飛んだのを見て、韓当は絶句した。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

 三将の『忠義の守護像』全ては破壊され、呉王・孫権との戦いの火ぶたも切られた。
 孫権の虎の子……宿将達の英霊化を行うクロノ・オブジェクトもまた、用を為さぬ。
 もはやディアボロスの足枷となるものはない。今こそ韓当を討ち取る時!
月見山・伊吹
※連携、アドリブ歓迎だよ!

呉の将である韓当だね
あんたが護る呉は斜陽の時を迎えてるし
腹ペコの猫も食わずに跨ぎ砂かけする程に王としての器が無い
あの呉王の孫権ももうじきやっつけられるから跡形も無く火葬どころか溶かされて倒される覚悟してね?

長毛種スフィンクスのシフォンに私がもし幻覚見せられたら目が覚めるくらいにガブッと手を噛んでねと頼んでから
【飛翔】【エアライド】【ガードアップ】【ドレイン】をフル活用して攻撃反撃による負傷を最低限に抑えられるよう対処しつつも、
パラドクス『日天子砲』で炎を纏った槍ごと敵を溶かすような高温の太陽光の魔砲を撃つ!!


 忠義と、武人気質というべきものが徒となったか。
 自らの目前で、『忠義の守護像』を破壊され、膝を屈し、自身の失態を悔いる韓当。
「おお、孫権様、なんと詫びればよいのか……!」
 そこへ、影が落ちる。月見山・伊吹(小春日和・g04125)のものだ。
「呉の将である韓当だね。あんたが護る呉は斜陽の時を迎えてるし、腹ペコの猫も食わずに跨ぎ砂かけする程に王としての器が無い」
「……我が王を愚弄する事は、許さぬッ!」
 伊吹の、容赦ない宣告。
 だが、折れかけた戦意を必死に立て直し、韓当は立ち上がる。
「あの呉王の孫権ももうじきやっつけられるから跡形も無く火葬どころか溶かされて倒される覚悟してね?」
「覚悟? ……そうとも、貴様ら全てをわしが退け、忠義の証明とする覚悟ならば!」
 韓当の肉体は、ディアボロス達の猛攻に遭い、傷だらけだ。
 しかしそれでも、長毛種スフィンクスのシフォンを伴った伊吹に、攻めかかる。
 韓当が振るう轟槍に、迷いはない。あるのは、暴走した忠義だけだ。
「私がもし幻覚見せられたらガブッと手を噛んでね。目が覚めるくらい」
 伊吹に役目を託され、頷くシフォン。可愛い。
「獣を使おうと、わしにはかなわぬぞ!」
 二手に別れ、連携を披露する伊吹達に、韓当は、巧みな槍さばき、体さばきで応戦する。
 伊吹を征する為に選ばれた武技。それは、『韓当』という武将の名に刻まれた戦の記憶の発現だ。
 対する伊吹も、数々の戦技を駆使して、韓当の猛攻を少しでも軽減しようと努める。
「いつの間にか敵の数が増えて……!」
 伊吹が気付かぬ間に、韓当は部下を伴い、包囲陣を敷いていた。これでは、攻めかかるタイミングが見いだせない……!
「はっ」
 この兵が幻影であると、伊吹が気づいたのは、シフォンに手を噛まれる直前だった。
「ありがとうシフォン! その幻は任せたよ」
 スフィンクスにそう頼むと、伊吹は、ただ韓当だけを狙った。
 眼前に魔法陣を描き出す。天に座す太陽、その恩恵たる光輝を収束した魔法光線が、韓当へと撃ち放たれた。
 射線上にいた幻影兵が、一瞬にて消し飛ばされる。
「これは攻城兵器か!? なれど我が槍で打ち破って……ぐぬうううっ!」
 パラドクス『日天子砲』に向け槍を突き出す、韓当。
 だが、かなわぬ。
 自慢の炎槍ごと、韓当の身は魔砲によって焼かれたのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【クリーニング】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

きみも僕らも、同じ改竄世界史で生まれた生物……
生存競争が定めというならば。状況はこれ以上なく、シンプルになった

ロキシア・グロスビークの名において
呉将・韓当に一騎討ちを申し込む
いいかな、それじゃあ。いざ、勝負!

虎穴に入らずんば、かあ。上等
“魔槍”の穂を地へ向けた特有の構えをとり
5種、伝承開放!
穂に剣呑なオーラを灯し
逃げればそれだけ多くの虎に追われ、食われるなら!

僕は逃げも隠れもしない!
全力の【ダッシュ】で一直線
量産型“魔槍”を抜き回転させることで水虎を幾らか退けようと試み
傷付きながらもロキシアを進ませるのは!

誰にも負けない、【勇気】だっ!
禍えり裂く赤棘の槍(ゲイ・ボルグ)ッ!


 月見山・伊吹の魔砲により生じた爆炎の中から、人影が進み出る。
「我が忠義が一片でも残る限り、この体も不滅……!」
 鬼気迫る韓当に、ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)が、再び相対した。
「きみも僕らも、同じ改竄世界史で生まれた生物……生存競争が定めというならば。状況はこれ以上なく、シンプルになった」
 『忠義の守護像』は灰燼に帰し、孫権のもう1つのクロノ・オブジェクトも、もはや発動の時を迎える事はない。
「ロキシア・グロスビークの名において呉将・韓当に一騎討ちを申し込む」
「感謝しよう復讐者、雪辱の機会を与えてくれたことにな! この韓当、受けて立つ!」
 孫権の矛、そして盾として。自らの忠誠を証明する術は、もはや勝利をおいて他になし。
 背水の陣となった韓当と、向き合うロキシア。
 横やりはない。ただ、一対一の命のやりとり。
「いいかな、それじゃあ。いざ、勝負!」
「勝利を我が王に!」
 韓当が振り上げた轟槍が、呉の大河を呼ぶ。
 地に、民に、そして国に恩恵をもたらす流れは、今、韓当の意を受けて猛虎と化す。
 群れを成した水虎の群れが、揃ってロキシアに牙を剥いた。
「虎穴に入らずんば、かあ。上等」
 ロキシアは、“魔槍”の穂を地へ向けた。特有の構えから、迎撃を放つ。
「5種、伝承開放!」
 槍の穂に灯るは、剣呑なるオーラ。
「逃げればそれだけ多くの虎に追われ、食われるなら!」
 韓当の怒りを体現するが如く、次々と迫る猛虎達を、しかと睨むロキシア。
「僕は逃げも隠れもしない!」
 自ら、虎群へと飛び込んでいく。
 ロキシアが抜いた小槍群……量産型“魔槍”の回転が、守りを形成。迫る水虎の勢いを牽制する。
 それでも猛虎群は、ロキシアの身に牙を突き立て、爪で切り裂く。
「蛮勇よな。わしの元に辿りつく頃には骨に成り果てておるわ」
 韓当が、笑みの気配をこぼす。
 だが、ロキシアの進撃は止まらない。豪雨のように襲来する虎の猛威にさらされ、傷付きながらも、ロキシアをひたすらに前へと進ませるのは、
「誰にも負けない、【勇気】だっ!」
 ロキシアの構えた槍が、その身を、戦場を、紅に染め上げる。
「禍えり裂く赤棘の槍(ゲイ・ボルグ)ッ!」
 渾身の一槍は、猛虎達を打ち払い、韓当へと突き立つ。
 槍の威力は、それで終わらない。貫いた韓当の肉体を、内側から破砕したのである。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【浮遊】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!

音羽・華楠
気持ちだけが突っ走って空回りしてますよ、韓当。
……私たちにとっては撃破の好機ですけれど。
あなたの屍を踏み越え――呉、落とさせて頂きます!

私の最速の技、《瞬動》は既にお見せしました。
今度は最強の技をお見せしましょう――
充分な数の妖精たちを【召喚】し、万全の補助を願います。
次いで、種族特徴が消え、黒髪黒瞳のネメシス形態へ。
その上で――《雷幻想・閃耀》、発射です!
魔術的荷電粒子砲、その威力、思い知りなさい!!

韓当の反撃には――
…………。
あのですね。
正史の、古の中華に生きた韓当という人間の知識に、『荷電粒子砲への対処法』なんてあると思いますか?
真っ向から《閃耀》の威力で捻じ伏せるつもりで、行きます!!


 残る気力と体力を振り絞り、ロキシア・グロスビークの槍を払い除けた韓当。
 だが、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は、その力の底が見え始めた事を察していた。
「気持ちだけが突っ走って空回りしてますよ、韓当」
「黙らぬかあ!」
 ぶうん! 韓当が力任せに振るった槍は、しかし、華楠に容易くかわされる。
 パラドクスなしの技、それも、満身創痍の状態では不発もやむなし。
 何より華楠には、これまでの戦の蓄積がある。
「……私たちにとっては撃破の好機ですけれど。あなたの屍を踏み越え――呉、落とさせて頂きます!」
 いよいよ引導を渡す時。華楠は、覇気を高める。
「私の最速の技、《瞬動》は既にお見せしました。今度は最強の技をお見せしましょう――」
「最強だと? ほざけ!」
 帯電音と光が重奏する。
 高まる力を支えるべく、華楠の周りに、妖精達が次々と姿を現す。
 火行、土行、金行。妖精達の補助を受けて、パラドクスを励起する華楠。
 そして、自身もまた、変貌を遂げていく。特徴的な狐耳が消え、黒髪黒瞳のネメシス形態へ。
「それが貴様の本当の姿という訳か! しかし、勝敗を決するのは姿かたちの差異にあらず!」
 韓当が、踏みしめた地面が、陥没する。
 華楠のパラドクスを今度こそ打破すべく、自身も力を発動、持ちうる知を動員して抗する構えだ。
「『韓当』の名は伊達ではないと、示してみせようぞ!」
「…………。あのですね」
 幻影の兵士を呼び出して、迎撃を仕掛けた韓当に、華楠は、あえて告げた。
「正史の、古の中華に生きた韓当という人間の知識に、『荷電粒子砲への対処法』なんてあると思いますか?」
 そして、破壊は現実となる。
「魔術的荷電粒子砲、その威力、思い知りなさい!!」
 ――《雷幻想・閃耀》、発射!
 カッ!
 城壁を白く染め上げる閃光と共に、光輝の束が放たれた。
 韓当が奔流の外側に脱するいとまも与えず、その肉体を構成する原子レベルにまで、破壊をもたらす。
「く……グう……!」
 光が収まり、元の景色が戻って来た時……韓当の身はくまなく焼かれ、鎧も開戦当初の勇壮さとは雲泥の差。
 それでも、心まではくじかれていないのか。
「『韓当』の名にかけて。仕える主を残して倒れるわけにはいかぬのだ……!」
 華楠に届いた韓当の言葉は、しかし、何処か虚しく響いた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV3になった!

白水・蛍
アドリブ・連携歓迎
使用出来る効果は適宜使用。

……将軍。言葉は不要です。
最後まで、我々は打ち合うのみ!!
≪コンダクタースピア≫の穂先を出してパラドクス発動。
この身に英雄の武勇を降ろして再度韓当と打ち合いします。
<計略・吹き飛ばし>も交えながら、正面から打ち合いましょう。
その武勇に、その気高さに私は敬意を表す。
だから、手加減はしません。最後まで全力でお相手させていただきます!


 音羽・華楠の優勢を引き継ぎ、韓当との決戦に臨む白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は、再戦を挑んだ。
「その武勇に、その気高さに私は敬意を表す。だから、手加減はしません。最後まで全力でお相手させていただきます!」
「わしの前に二度立つ事の愚かさ、その身に叩き込んでくれるわ!」
 一喝する韓当。汚名をそそぐ機会、逃すわけにはいかぬ。
「……将軍。もはや言葉は不要です。最後まで、我々は打ち合うのみ!!」
「わしもいささか喋りすぎたわ。死にゆく相手に必要なのは、ただ葬送の言葉のみ!」
 蛍に突きつけられた韓当の炎槍も、今や歪み、当初の雄々しい姿を失っている。だとしても、使い手の魂が挫けぬ限り、敵を貫く役目を忠実に果たそうとするだろう。
「武器も、使い手に似ているのですね」
 蛍の呟き、それはつまらぬ感傷であったろうか?
 そして、両者ともに無言で睨み合うと、次の瞬間、決着に向けた戦いが始まった。
「奮ッ!」
 韓当の槍が来る。直撃の寸前、蛍は穂先を出現させた≪コンダクタースピア≫で払いのける。
 既にその技、反応速度は、蛍自身のものを越えている。蛍の身は、再び英雄の武勇を降ろし、韓当と打ち合っているのだ。
 対する韓当もまた、己の存在の全てをかけて、それに抗する。
 蛍と韓当の、真正面からの打ち合い。
「同じ技は通じぬぞ」
「それはこちらも同じです」
 すると、韓当の周りに、幻影の兵士達が加勢する。蛍を遮る壁となって、韓当の姿さえ覆い隠す。
 この期に及んで恐れをなして、防戦に徹した? 否、韓当が、そんな選択をするはずがない。
 蛍の推測は的中した。突如、兵士達の間隙を縫って飛来した矢が、蛍の肩へと突き立ったのだ。
 兵達が真に隠したのは、武器を槍から弓に持ち替える様であったか。
「本来、わしはこちらの方が得意のようでな」
 韓当の声が、蛍を嘲笑うように届く。
 相手が、策を用いるなら。蛍もまた、利用できるものは利用させてもらう。
 英雄を讃える伝承歌が、転調する。
「む!」
 自身へと投じられたスピアを、片腕で弾いてかわす韓当。
 攻撃をしのいだ時には、眼前に蛍の姿。
「此度の妙技の真髄は、徒手空拳であったか……!」
 今度は、蛍が兵士を遮蔽として利用させてもらったのだ。
 拳を浴びて吹き飛んでゆく韓当から視線を外さぬまま、蛍は落下してきたスピアをつかむのだった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!

アンゼリカ・レンブラント
韓当が立ち直る前に畳みかけよう
地力では尚脅威、
だからこそ弱る機は逃さないで攻め切る!

【飛翔】を生かしたダッシュで近づき、
パラドクスの格闘戦で攻撃をしかける!
反撃を堪えたらそのまま
怪力無双とグラップルの技量を生かして
超至近距離をキープしたまま戦おうか

韓当にとりつき、小回りを生かしかく乱しつつ打撃を見舞う
時に韓当を抑えて仲間に攻撃を当ててもらうね

至近距離で戦うのはリスクはあるだろうけど、
捨て身の覚悟に勇気を燃やし離れないで戦うよ

揺らがせたとはいえ、その忠義は見事だよ
けれど忠義よりより尊いものの為私達は戦っているんだ

大地を、人々を、歴史を奪還する大義――
それを《光獅子闘拳》に込め、韓当を粉砕するよ!


御須統・昴
アドリブ・連携歓迎

終わりですね、この国も貴方も孫権も。
その終わりを見る前に止めを刺してあげましょう。

【飛翔・エアライド】で最短距離で接近してパラドクス発動。
格闘の一撃。その身に受けてください。
と殴りかかりつつ、寸前に拳を開いてその掌に仕込んだ武器と共に気を発射します。
至近距離で喰らって生きれると思わない事ですね。

……忠義に生きる人間は仕える者を選ぶもんですよ。
貴方の見る目がなかった。そう思うしかないでしょう。
自身の選択肢が間違っていたと。
最初は間違えてなかったと思っても、今のあれはそう思わざるを得ない。
それほどまでに堕ちましたよ。孫権は。


 白水・蛍の技を受け、韓当がふらつく。ディアボロス達の猛攻によるダメージは、深刻だった。
 態勢を立て直させる暇など、与えはしない。アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)が畳みかけた。
 敵は、呉の守護の要。地力では尚脅威、だからこそ弱る機は逃さないで攻め切る!
 衝撃波を起こして空を翔け、一気に韓当の間合いに食い込むアンゼリカ。その身には、これまでのディアボロス達の戦いの軌跡が、力となって宿っている。
「孫権様が戦っておられる以上、わしが先に倒れるわけにはいかぬのよ……!」
 韓当もまた、前進を選ぶ。持てる速力の全てを注ぎ込んだ、必殺の一槍!
 その時、槍を振るう韓当の全身が、金色に照らし出される。
 アンゼリカが振り上げた戦姫闘拳『Shine Fist』からほとばしった、パラドクスのオーラだ。
「さぁ受けてみろ韓当、黄金獅子の一撃をっ!」
 黄金に輝く獅子まとう回し蹴りが、韓当の肉体に叩きこまれた。
 一方、韓当の槍は、ただ空を切ったのみ。アンゼリカに届くことはなかった。
 互いに技を放った二者は、片や手ごたえを確かに感じ、片や虚しき悔恨を得る。
 アンゼリカは、なおも離脱せず、敵の動きを制する。
 そのチャンスを受け取った御須統・昴(十星連・陸昴『六連星の守り人』・g06997)が、入れ替わるように、再び攻めかかる。
 主君への忠義に目を曇らせ、本来の武勇を失った韓当に、昴は、憐れみにも似た視線を注いだ。
「終わりですね、この国も貴方も孫権も。その終わりを見る前に止めを刺してあげましょう」
「終わりなどせぬ! わしら宿将がいる限り。何より孫権様が倒れるはずがない!」
 足元に血だまりさえ作りながら、昴の言葉を否定する韓当。
 未だ君主の勝利を信じているのか、それとも、そう思いこまなければ己を保てぬところまで追い込まれたか。
 いずれにせよ、昴達が為すべきは1つ。呉の地を、そして歴史を、クロノヴェーダから奪還する事。
 再度間合いを詰め、追撃にかかるアンゼリカ。直近で争う韓当の息は荒い。
「なんという重い技ばかりか……だが、それでもわしは不屈ぞ!」
 効いていないはずがない。だが、研ぎ澄まされた精神が、痛覚を凌駕しているとでもいうのか。
 再び槍を振り上げる韓当。対するアンゼリカも、格闘術を駆使して、韓当との超至近戦闘を繰り広げる。
 ディアボロスとクロノヴェーダのみしか成し得ぬ戦闘速度域での攻防。
 アンゼリカがキープする間合いでは、韓当の長物は、十分に利点を発揮できぬ。
 間近で浴びる韓当の覇気は、未だ相当なものだ。この距離を保つリスクの大きさは、アンゼリカも承知している。だが、捨て身の覚悟に勇気を燃やし、恐れを殺す。
 しかもアンゼリカは、小回りを生かし、相手をかく乱しつつ、打撃を見舞っていく。
「まだだ、まだこの四肢が動く限りは……!」
「……忠義に生きる人間は仕える者を選ぶもんですよ。貴方の見る目がなかった。そう思うしかないでしょう。自身の選択肢が間違っていたと」
 昴の否定に、韓当は吠える。
「そんな事はない! 孫権様こそ孫家を継ぐもの、呉を継ぐもの! あの方以外に呉王はおられぬ! 間違いなどあるものか!」
「最初は間違えてなかったと思っても、今のあれはそう思わざるを得ない。それほどまでに堕ちましたよ。孫権は」
「ぐ……!」
 押し黙る韓当。
 側近ならば、孫権の振る舞いも知っていよう。過去のやりとりが胸に去来したのかもしれぬ。
 昴への反論は、遂に封じられ、返す言葉も失われた。
 そこに、アンゼリカの拳が再び唸る。
「揺らがせたとはいえ、その忠義は見事だよ。けれど忠義よりより尊いものの為私達は戦っているんだ」
 大地を、人々を、歴史を奪還する大義――。
 全ての想いを《光獅子闘拳》に込め、アンゼリカが韓当の肉体はおろか、戦意までも粉砕せしめたのである。
 打撃の反動でアンゼリカが韓当から離れたタイミングをつかみ、昴が空から攻めかかった。しかしそれは、相手の頭上を取る為ではなく、素早く間合いを征するためだ。
「格闘の一撃。その身に受けてください」
「速い! だが復讐者の拳などかわすに値せぬ!」
 自らも神速の槍撃を放つ構えを見せた韓当に、昴は容赦しなかった。
 交錯する二者。昴は、殴打のモーションから、インパクトの寸前、拳を開く。
 昴は、その掌に仕込んだ武器と共に、気を発射。
 思わぬ形で至近距離からパラドクスを直撃した韓当が、吹き飛ぶ。
 全威力を浴びた韓当の体が、瓦礫と共に宙を舞い、壁面に叩きつけられる。
「が……はッ!」
「直前に防ごうとしたようですが……今のを喰らって生きれると思わない事ですね」
 着地した昴が、遂に倒れ行く韓当から目を外さず、告げる。
「そ、孫権様……孫家に、我らが呉に、栄光あれ!」
 玉座の主に届けとばかり、最期の忠義を轟かせ。
 アンゼリカと昴が見守る中、韓当が散華する。
 粒子となったその輝きの行く先は、天。孫権の元に辿りつくことは、ついぞなかったのである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【グロリアス】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年11月21日
宿敵 『三代の忠臣・韓当』を撃破!

建業城壁決戦

 ジェネラル級蟲将『呂蒙』が率いる南荊州軍を瓦解させたディアボロスは、遂に、呉の本拠地である『建業』への侵攻を開始しました。
 建業を守るのは、呉の宿将である、韓当、周泰、韓当 の3体のジェネラル級の蟲将達です。
 彼ら3体のジェネラル級は、不退転の決意を持ち、
====================
 自分達を撃破しなければ、呉王『孫権』の元に向かう事が出来ない。
 自分達が死ねば、英霊となって、孫権を守り続ける事が出来る。
====================
 という2種類のクロノ・オブジェクトを発動させ、建業の城壁でディアボロスを迎え撃とうとしています。
 彼らを撃破し、呉王『孫権』の座す建業の玉座の間への道を切り開いてください。

三代の忠臣・韓当

周泰

蒋欽


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#大戦乱群蟲三国志
🔒
#建業城壁決戦
🔒
#呉
🔒
#建業


30




選択肢『宿将の忠誠に疑問を抱かせる』のルール

 呉王『孫権』を守護する宿将たるジェネラル級蟲将と会話をして、呉王・孫権への忠誠に疑問を抱かせます。
 呉王『孫権』は、断片の王の候補ではありますが、現状では断片の王そのものではありません。
 その為、言葉を重ねる事で、配下の蟲将の忠誠を揺るがせる事は不可能では無いようです。

 これまでの呉王『孫権』の失態などをあげつらう事で、忠誠に疑問を持たせる事が出来るかもしれません。
 ほんの少しでも忠誠に疑問を持たせれば、『忠義の守護像』の破壊条件を満たす事が出来るでしょう。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『👿または👾で出現する敵との会話に専念する。戦闘行動は行わない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『『忠義の守護像』を破壊する』のルール

 呉王・孫権が創り出したクロノ・オブジェクト『忠義の守護像』を破壊します。
『忠義の守護像』は、呉王孫権の姿を象った3m程の石像型クロノ・オブジェクトです。
『忠義の守護像』が破壊されるまで、敵は孫権の元に近づく事は出来なくなります。
 また『忠義の守護像』には、『強大な力を持ち、呉王・孫権に絶対の忠誠を抱く守護者(ジェネラル級)』が設定されています。その守護者を撃破しなければ、『忠義の守護像』の破壊は行えません。

 ジェネラル級を撃破した場合、この選択肢をクリアしなくても撃破と同時に『忠義の守護像』は破壊された扱いとなります。
 ジェネラル級を撃破する前に、『忠義の守護像』を破壊する為には、以下の2つの条件を両方とも達成する必要があります。
====================
条件1:戦闘においてジェネラル級を追い詰める(🔵15個以上を獲得する)
 守護者の強大な力を揺るがせる事で、破壊可能な状態します。

条件2:会話によってジェネラル級の忠誠心を揺らがせる(選択肢を成功あっせる)
 守護者の絶対の忠誠を揺るがせる事で、破壊可能な状態にします。
====================

 条件が満たされていれば、『忠義の守護像』を破壊する事が出来ます。
 条件が満たされていない場合は、破壊に失敗します(プレイングは採用されません)。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『🔵が👑に達すると、選択肢の説明で指定された特別な効果が発生する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾トループス防衛ライン『東呉郡主侍女隊』のルール

 ディアボロスの侵入を防ぐ為に、トループス級クロノヴェーダ(👾)による防衛ラインが引かれています。
 防衛ラインは、都市を守る城壁や、道を塞ぐバリケード、関所の検問や、秘密基地の監視所などがありますが、この防衛ラインをクリアしなければ、事件の核心に迫る事は出来ません。
 防衛ラインを守るクロノヴェーダは、防衛拠点を利用して戦う為、戦闘で有利になります。
 なんの工夫も無く漠然と戦うだけでは、苦戦(🔴を得やすくなる)してしまうので注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿建業城壁決戦『三代の忠臣・韓当』のルール

 呉王・孫権を守護する宿将たるジェネラル級蟲将との決戦を行います。
 呉王・孫権を守る為に、ここで戦って死ぬ事を覚悟しており、逃げるような事は決してしません。
 彼らは、撃破された命を落としたとしても、呉王・孫権の元に英霊としてはせ参じて、孫権を守って戦い続ける事でしょう。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【撃破】【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、宿敵を完全に撃破し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「孫・リア」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。