麗しの天使は美を求む(作者 秋山霧夏
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#TOKYOエゼキエル戦争  #品川区の大天使による港区侵攻作戦  #品川区 

●港区の廃墟にて
「助けて!」
「助けなんて来るわけないだろ」
 そうゲスな笑みを浮かべて言った悪魔は突如として飛んできた大量の剣に細切れにされた。住民を追い回していたほかの悪魔も明らかな過剰攻撃を受けてミンチになる。
 唐突に始まった惨劇は、あっという間に終わった。悪魔を倒した剣の天使達は隊列を組み整然と住民達の前に並ぶ。逃げ惑っていた人達も異変を感じ集まってきた。
 十分に人が集まると天使は隊列を二つに割り、一糸乱れぬ動きで片膝をつき剣を捧げる。太陽に無数の剣がきらめく中、さらに目映い光を放ちながら一人の翼を持つ女性が現れた。
「私はいかなる小さな悪でも見逃さない」
 よく通る涼やかな声で紡がれた言葉は啓示のように響く。
「これからは悪魔達に好きなようにはさせません」
 神々しさすら感じられる天使達に住民達はひざまずき、感謝の祈りを捧げる。想定通りと微笑む天使達の真意を知らぬままに。
 悪魔は嘘をつかなかった。助けなんてこなかった。

●新宿駅グランドターミナルにて
「TOKYOエゼキエル戦争行きの列車が到着したよ」
 慣れない様子でタブレットを突っつきながら道先案内人は緊張した面持ちで言った。
「あ、私はガクハ。新米の案内人だよ、よろしくね」
 ガクハ・シアレット(双発複葉飛行艇のガジェッティア・g03242)はぺこりと頭を下げた。
「今回は港区の芝浦でアークデーモンとアークエンジェルが住民に手を出そうとしてるからとっちめてきて欲しいんだ」
 かなりはしょった説明をしながら資料を配る。
 TOKYOエゼキエル戦争のディヴィジョンである新宿区を除く22の中でも港区は、区民達のクロノヴェーダに対する畏怖や信仰が非常に低く、港区を支配するアークデーモンに従わずに抵抗活動を続ける区民も多い。この混乱に乗じて品川区のアークエンジェルが、港区への侵攻を画策している。
 港区民の前でアークデーモンを撃破する事で、自分達が救世主であるように振る舞い信仰を集め、港区全域を品川区に併合しようとしている。
 品川区が港区を制圧する事になれば、ディヴィジョンの戦いに大きな影響を与えてしまう。

●新宿駅のベンチにて
「と、言うわけで悪魔と天使をボコボコにして港区を助けて欲しいんだ」
 資料を読み上げるとガクハはさらなる説明を行う。
「ディアボロスが駆けつけた刻には刈取の悪魔はまだ住民を見つけていないし、天使は品川区と港区の境目にいる」
 資料の地図を開き港区側を指さす。
「刈取の悪魔達は普段はもっと強い悪魔の取り巻きをしているが、今は別行動でここら辺でふらふらとうろついている。運悪く住民と遭遇して助けが必要になる前にサクッとヤって欲しい」
 所詮は取り巻きだから弱いけど一般人相手なら強気に出るタイプとうんざりした顔で付け加える。
「天使側は大天使ウリエルを筆頭に大群のソードメイデンが港区に入ろうとしている。こいつらは住民を見つけたら神々しい演出で信者に取り込もうとするから品川区に追い返して撃破して欲しい」
 港区民に見られて『天使が自分達を救うために来てくれたんだ!』と信じてしまったら、クロノヴェーダに抵抗する心を失ってしまうかもしれない。

 うまく押し返せば品川区への侵攻の下準備になるだろうとガクハは告げると深々と頭を下げる。
「港区民を助け、クロノヴェーダの企みをぶっ壊して欲しい」
 君達ならできる! と、激励しながらガクハはにこやかに笑った。

●品川区閑静な住宅街にて
「そこ、三センチずれている」
 整然と並んだソードメイデン達の前で大天使ウリエルは神経質に指摘する。何度も修正し、満足する出来にようやくなったのか、うなずきながら後方に引く。
「それでは最終リハーサルです。抜剣! 捧刀!」
 副官らしきソードメイデンのかけ声に合わせて一斉にトループスが動くが、それをウリエルが止める。
「後方、優雅さが足りません。もっと観客の視線を意識しなさい」
 再び整列からやり直しになり、副官がため息をついた。
「せめて人数がもっと少なければ合わせやすいのですが……」
「何を言う! 数は力、力は正義。そして正義とは美! すなわち数は美なのです!! 暗愚たる民衆を魅了し這いつくばせるには圧倒的な数が重要なのです」
「ああ、なんたる慧眼でしょう! わたくしてっきり臆病から来ているモノと勘違いしていました」
「……あなた、はっきり言うわね」
 顔を引きつらせるウリエルだったが、整列に乱れを見つけるとそちらへ注意を向ける。
「さあ、圧倒的な正義を体現するまで品川から出さないよ。いくわよ! 最終リハーサルテイクツー!」


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
4
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
2
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【無鍵空間】
3
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。

効果2

【能力値アップ】LV5 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV3 / 【反撃アップ】LV4 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV2 / 【ダブル】LV1

●マスターより

秋山霧夏
まだまだ新米秋山霧夏です。

今回の選択肢
①【攻略旅団】大天使の軍勢を押し返す
 天使の軍勢を押し返してもらいます
 指揮者は美にこだわりが強く、自分たちの思惑がうまくいかないと立て直そうとします。
 選択肢③が始まる前にクリアしないと港区民に信者が発生します。
②取り巻きトループス級『刈取の悪魔』
 弱いですがクロノヴェーダです。反撃もしますし、一般法則は効きません。
 選択肢③が始まる前にクリアしないと港区民に被害が発生します。
 三体が徒労を組んでます。でも弱いです。
③大群のトループス級『ソードメイデン』
 一般的なソードメイデンの大群です。
 副官が全体をとりまとめています。倒さないとウリエルへの接近は難しいでしょう。
③アヴァタール級との決戦『大天使ウリエル』
 今回のボスです。
 槍を振るって美しく戦います。美しくないと体勢を整えるために撤退します。
 ですが、部下を見捨てるのは美しくないので絶対にしません。
 また、美しい部下を倒した敵を見逃すような見苦しい事は絶対にしません。

今回の登場人物
港区住民 一般人。悪魔と天使が無事に掃討されれば出番はなく、それなりに平穏に過ごせそう。
刈り取りの悪魔 クロノヴェーダ。弱いです。
ソードメイデン 規律を持って襲ってきます。規律を守ることを大事にし、融通が利きません。無口でウリエルの奇行には戸惑っていますが、上司の言うことは絶対と思っています。
ソードメイデン副官 戦闘能力は普通ですが、ウリエルと馬が合う唯一のソードメイデンなので副官になっています。意外に他のソードメイデンからは頼りにされています。
ウリエル 美と正義を愛する厳格な性格の大天使です。美しいの判断基準は意外にストライクゾーンが広い。

皆様の活躍をお待ちしております。
11

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


アリテラエル・ナツキ
どうやら天使側は戦いにおいて拘りを持ってるタイプのようだな。ではそこを遠慮なく付かせてもらうとするか。

港区へ進行を画策している敵軍勢に一つ●エンジェリックバスターにて遠距離砲撃でも仕掛けてみるか。

見た目を重視する以上砲撃を食らって欠員が出でもした状態で進んでくるとは思えんからな。部隊を再編成して準備を再度整える、それだけでも侵攻を足止めさせる時間稼ぎにはなるだろう。

それでも強引に攻めてくるのであれば容赦なく砲撃の雨を降らせるのみだがな!

(アドリブ・絡み大歓迎です)


箱庭・のぞみ
進軍するのに見栄えや体裁を気にしているなんてずいぶんな拘りがあるのね。
今回はその拘りを利用させてもらいましょう。

大天使達が港区に行くまでに通りそうな場所の道の傍らに【フライトドローン】を仕掛けておくわ。
命令内容は「大天使達が近くを通ったら体当たりをする」
脛ぐらいの場所狙って転んでくれれば良し、そうじゃなくても急に現れた物に対して足を止めるぐらいはしてくれるかもという【時間稼ぎ】ね。

港区に入れる訳にはいかないもの。だから、拘った量だけ自分達の首を絞めてもらうわ。


緋薙・紅花
うーん…美って…わたし一番自信がない部分なんですが…
姉さんなら嬉々として突撃してたんだろうなー
まぁやれるだけやってみましょう

≪魅了する脚≫

こーゆー時は勢いが大事!
高い建物の上から弾丸のように飛び蹴りで仕掛けます!
「てやぁぁぁぁ!!」
姉さん曰く、強さと美しさは直接関係ないけど
強い人の動きは美しいとのことでした!
つまり、敵を倒すわたし強い!=美しい!
いえ、言っていて恥ずかしくなってきたので無視してください……

と、とにかくここから先には行かせませんよ
少し大振りな動きになりますけど
≪魅了する脚≫でがんがん攻撃
後ろ回し蹴りはもちろん
空中前回転からの踵落としとか
かわされてもいいので仕掛けてみたりします!


天音・梓
隊列や見栄えに拘っているようですね
ではイグジストハッキングで空間に干渉、地形や光の見え方をいじくってみましょう
並び直しても並び直してもどこかがずれるように、行進を始めても足並みのリズムがずれるように、「隊が曲がっていてよ」となるように

近くのスピーカーに【ハッキング】して足並みの音も少しずれたものや不協和音交じりのマーチも時々流してみましょうか

あとボーガンで水の矢を射て水たまりも作っておきましょうほら、ここを行進すると水が跳ねて服にかかりますよ、迂回でも隊列の変更でもするといいです

そこで集中が途切れたところで本格的にイグジストハッキングで方向感覚をずらつつ味方を援護して追い返しましょうか


呉守・晶
よし、まだ何も起きてないな。なら、なにも起きないようにしてやるぜ
今の状況は俺らTOKYOエゼキエル出身の不始末みたいなもんだしな、汚名返上といくぜ

はー、美しさに拘る大天使なぁ?
いや、この拘りようはむしろ神経質なだけじゃねぇか?
まぁいいさ、こっから先は通行止めだ。港区には行かせねぇぜ
ちなみに一応聞いとくが、俺らは美しさの基準だとどうなんだ?
踊るように激しく大剣を振るって、バインバインと胸も揺れてる状態で聞いてみるが
俺が思うにディアボロスは全体的に顔面偏差値高いと思うんだよな、顔隠してるソードメイデンよりは美しい奴が多いんじゃないか?
ん?おい、なんか俺の胸見て動きが乱れてねぇか?


●区境にて
 芝浦には品川区と港区の境目が走っている。瓦礫だらけの港区と違い道路一本隔てた品川区は整然と建物が建っている。天使と悪魔の住民への態度の差がここにも出ているようだ。
 あかねに染まる夕刻の港区側に降りた呉守・晶(TSデーモン・g04119)は大きな胸を反らしてぐっと背伸びをするとあたりを確認する。
「よし、まだ何も起きてないな。なら、なにも起きないようにしてやるぜ」
 二手に分かれたディアボロスが向かった北側から聞こえるはずのない悲鳴が聞こえたのはたぶん気のせい。
「やはり天使側は戦いに拘りを持ってるタイプのようだな」
 品川区側に目をこらせば強い光を放つ軍団が遠くに見える。燦めきが刺さらないように目を細めディアボロス達は無駄に整っている隊列を観察する。
「進軍するのに見栄えや体裁を気にしているなんてね」
 そのこだわりを利用しましょうと箱庭・のぞみ(サンドボックス・g00611)は割れた電脳ゴーグルの残り少ないリソースをうまく振り分けて大量のドローンを呼び寄せると命令を与え道ばたに伏せていく。ドローンの邪魔にならないように水の矢を放ちながら天音・梓(雨兆す・g03821)はExpeditusとハッキングツールをつなぐと周囲のスピーカーをハッキング、流す音源をセットし天使達の襲来に備えていく。
「姉さんなら嬉々として突撃してたんだろうなー」
 崩れかけたビルの上で瓦礫に腰掛けると緋薙・紅花(サージェナイト・g03888)は一つため息をつく。美にはあまり自信がないがいつか家族を取り戻すためにもここで立ち止まるわけにはいかない。
「見た目を重視する以上欠員が出でもした状態で進んでくるとは思えん」
 アリテラエル・ナツキ(騎士天使・g04112)はランスを抱えるように構え、照準を調整しながら紅花に語りかける。
「隊列を再度整えさせる、それだけでも侵攻を足止めするには十分だ」
「まぁそうですね。やれるだけやってみましょう」
 差し出された拳に拳を付き合わせると、お互いの手の内を話ながら天使達を待つ。
 天使の軍勢が何度目かわからなくなった最終リハーサルを終え、ようやく港区に近づいてきた刻にはディアボロス達の準備は整っていた。
 整然と隊列を組んで歩いていたソードメイデン達をウリエルが止める。
「足音が乱れている。その場足踏み開始」
 綺麗に音がそろっているのを確認して行進を再開するが、すぐに足音が乱れる。立ち止まって騒いでいる天使達を覗き、梓はスピーカーの再生タイミングを見計らう。が、
「総員、浮上!」
 解決をあっさり諦め天使達は浮かび上がる。思ったより足止めが効かず、水も役に立たないかと次の策を繰り出す。街灯跡にくくりつけてあったり、瓦礫に放棄されたスピーカーが一斉に行進曲を鳴らし始める。行進を盛り上げるような曲に合わせて神々しさを増しながら進む。しかし次の瞬間、絶妙に外したタイミングの不協和音で一斉にずっこけた。足音で惑わされて浮上し、水を意識していなかった事がさらに被害を拡大させ、何体かのソードメイデンが頭から水たまりに突っ込んだ。地面から数段高いところにいたせいで余計に水飛沫を上げ、天使達の列がまだらに染まる。
「美を歪める力だと! 数は美であり力である。ということはこの力もまた美! 私たちの美が美に劣るというのか!」
 最後尾でウリエルが驚愕して意味不明な事を叫んでいる。
 追い打ちをかけるように伏せていたドローンが地面を滑るように飛び、足を払っていく。
「拘った量だけ自分達の首を絞めてもらうわ」
 港区に入れる訳にはいかないとのぞみはさらにドローンをけしかける。隊列が崩れて混乱しているソードメイデンは面白いように転んでいく。
「ドローンの行動自体は地味なものの、操作自体は様々な技術を積極的に取り入れ無駄がない。確かな技術の研鑽が描くは機能美の放物線!」
 目をむいて驚くウリエルのすねに『別に放物線は描いていない』と言いたげなドローンが直撃し、羽を美しく散らせながら華麗にすっころんだ。顔を上げたウリエルの瞳に二つの人影が映る。
「天使の力ここに解き放たん!」
 金糸の髪をたなびかせ偽りの正義を睨み、静かに引き金を引く。偽天を狩る騎士天使の槍から宵の明星のような一条の光が放たれる。その浄化の光は二人の姿を白く、鮮やかにあかねの空に焼き付けると幾筋に分かれ地上に降り注ぐ。直撃を受け吹っ飛ぶソードメイデン副官を慌ててソードメイデン達が受け止める。
「その光の纏う確固たる意志の美しさ! 迷いなき力強さはまさに浄化の一撃!」
 見惚れるウリエルの近くに、残光を纏いながら屋上から飛び降りた紅花が艶美な脚線を描く。姉の『強い人の動きは美しい』という言葉を思い浮かべながら、急降下蹴撃でアスファルトを蹴り割った足を軸に身体を払い後ろ回し蹴りでまとめて吹っ飛ばす。
「つまり、敵を倒すわたし強い! イコール美しい!」
「そう、力とは美なのだ。あなたは美しい!」
 勢いで叫んだ紅花にウリエルがすかさず反応して叫び返す。
「……いえ、恥ずかしくなってきたので無視してください」
「何を言う。自分の美を理解してそれを存分に見せつけるその所作は美。それだけでなく、大胆さに似合わぬ表情が一涼の風のようではないか」
 感動した様子でうなずきながら言うウリエルの言葉に追い打ちをかけられながら、振り払う様に高く飛び上がると身体を丸めてくるりと遠心力をかけかかと落としで断ち切る。ディアボロス達に見とれながらも隊列の組み直しの指揮をとるウリエルに、ソードメイデンに剣を振るいながらあきれたように晶は突っ込む。
「いや、この拘りようはむしろ変態なだけじゃねぇか?」
 激しいステップを踏みながら。アークイーターを振り回す。人並み外れた美胸が揺れ身体を引っ張る勢いすら利用して、視線を集めながら踊る。
「踊りと揺れる物は人目を引く、人の気持ちを集める物それすなわち美なり!」
 雷に打たれたように身体を震わし叫ぶウリエルに、皮肉気に笑いながら指摘する。
「おい、なんか俺の胸見て動きが乱れてねぇか?」
「そう、私は乱れた! 君達の美と共鳴して揺らいでしまったのだ!」
「「「はぁ?」」」
 あっけにとられるディアボロス達をよそ目にウリエルは叫ぶ。その様子を見てソードメイデン副官はこっそりと撤退準備指示をだす。
「曖昧模糊にして我らを崇めぬ愚かな愚民なら私たちの美で一も二もなく帰依して我々の楽園の土台になると思ったのに、なんだこの美の水準の高さは!」
 さらりと人間を見下しながら熱狂した様子で叫び続ける。
「この水準をクリアするに私たちに足りない物がある! それは連携、ギャップ、音楽、地形の利用そして揺れ物だ! というわけで私たちは撤収する! 決して君達が強そうだなとか戦うの怖いとか思ったから後退するではない。さらなる高みへの第一歩だ!」
 ディアボロス達の手が止まった一瞬の隙を利用し整列し直したソードメイデン達がきびすを返す。
「ちょっと待て、俺の胸――」
「君の肉感的な胸は美しい、しかし我々の求める神秘的な美と美の方向性が違うな。というわけでさらばだ、美の体現者共よ! 私はさらなる美を掴み、そして帰ってくる!」
「新たな美を見つけるだけでなく、撤退を格好良くしたなんてさすがですわ」
 露出はないが母性を感じさせる胸をそらし笑うウリエルと追従する副官は器用に後ろ走りで去って行く。

 こうして、一部の心にダメージと釈然としない気分を残しながらも、ディアボロス達は天使の軍勢を品川区に追い返すことに大成功した。
 静けさが戻った道路にドローンの羽音だけが響く。残されたのはディアボロス達はなんともいえない表情で追撃すべきか話し合う。
「下手に追い詰めて意地になられてもこっちが困る……よな?」
「港区から追い返したのには変わりないですし」
 妨害を中止していたディアボロス達は、大きなため息をつく少女に同意し天使達の行方を探り始める。ドローンを回収しながらのぞみはぽつりと言う。
「変に拘るのよりいいですよね」
「あれと同類には、なりたくないからな」
 ナツキが見上げる夜空にキラリと一番星が輝いた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

幾ヶ谷・安里
天使の真似事とはねぇ……いやまぁ、仕事ならやるけどね、仕方なく。
さてと、とにかくこちらはこちらのできる地形を活用するしかない。【壁歩き】で積極的に相手を壁近くまで誘導してから、ギリギリまでひきつけて、かわす。

分の悪い賭けだけど、まぁもとから悪いものは悪いしね?

ま、そっちが踊りたいのならしょうがないとも。
……【連撃】ならこちらにもある。少しだけ踊ってあげよう、苦手なりにね!


無堂・理央
信仰心を得る為に悪魔を討つかぁ。
天使の力にならなかったら、そう言う助太刀大歓迎なんだけど、そうはいかないよね。


無双馬『クロフサ』に乗って悪魔と戦うよ。
まずは悪魔を見つけないといけないけど、一般人が居そうな方角を探せば向こうから来てくれるかな?

戦う時はまずは和弓で矢を射って。悪魔の注意をこっちに引き付ける。
今のボクとクロフサは空中戦は出来ないし、向こうが追跡モードに入ってくれた方が何かと都合が良いからね。
悪魔が追跡してくれたら、本格的に戦闘だね。
武器を馬上槍に持ち替えたら、Uターンして追跡してくる悪魔に真正面から突撃ー!
そのまま馬上槍の騎馬突撃とクロフサの踏みつけで【蹂躙】しちゃえ!


金刺・鞆
ここは新宿……以外の、二十二区、です? ええと、新宿、まんなかのほう。湾のほう、となり、港区。しながわ……テンシ? いるのは、南。
むむむ。なれば、先にアクマなるもの、討ってから南進、です。
【パラドクス通信】、用います。南にゆく御同輩の、助けになれば、僥倖。

敵数、三。まずは……索敵、必要、です?
飛んでいる、なれば。頭上警戒。不意を打たれないよう、注意しましょう。
攻撃できるまで近づいたら、仕掛けどき、です。
いぬ、走って、跳んで。雷撃。
反撃、ともも走る、ですよ。ひきつける間、他二体にも牽制して。
弱っているアクマは、先んじて叩きましょう。消耗、できるかぎり、おさえる、です。
……もしや、戦力過剰、です?


●港区住民の隠れ家近くにて
 どうしてこうなったんだろう。夕暮れの瓦礫街を悪魔を追いかけて奔る無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)はクロフサに進路を任せながらパラドクス通信で連絡を取り合う。想定外の遭遇に慌てながらも仲間は進路に先回りしてくれる様だ。
 ディアボロス達の計画に問題はなかった。ただ、一つだけあるとすれば……悪魔らは弱すぎた。ディアボロス達の想像以上に弱すぎた。

 刻は戻ってパラドクストレインから降り、二手に分かれた直後。幾ヶ谷・安里(無巡・g02632)達は瓦礫を軽々と飛び越えながら刈取りの悪魔を探していた。
「天使の真似事とはねぇ……」
 ぼやきながらも安里は仕事だから仕方がないと割り切って辺りを探る。
「クロノヴェーダの力にならなかったら、悪魔を討つ助太刀大歓迎なんだけどね」
 頭を寄せて尻尾を高く上げる無双馬のクロフサの馬鎧にぽんと手を乗せ、理央はひらりと飛び乗り手綱を握る。
「まずは……索敵、必要、です。」
 三方に分かれようとの金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)の提案に乗り、三人はそれぞれ夕暮れの街をかける。
 真っ先に敵を見つけたのは理央だった。馬上からチャラチャラとした刈取りの悪魔を見つけると和弓を引き絞る。弓返りをし、鋭く飛んだ矢は狙い違わず先頭の悪魔をかすめ壁に突き刺さる。狙い道理注意を引いた理央がきびすを返すより早く、悪魔達は悲鳴を上げながら逃げ出した。
「ヤバいヤバいヤバいヤバい!!」
「なんすか、あの馬と弓。絶対つーよーいー!」
「いつもえばってんだからやっつけて……ってこんな時に限ってボスいねぇ!」
 飛ぶのを忘れてドタバタと走る悪魔達をとっさに理央は追跡する。
「なんか考えてたのと逆なんだけど!」
 クロフサを疾走させながら理央は器用に頭を抱えた。

 話は冒頭に戻る。鷹の目に弓をつがえ牽制で撃ちこみ悪魔の進路をコントロールしていた理央は、一体の悪魔が横道にそれるように追い込むと残り二体を再び追い回す。

「た、助かった~」
 壁に手をつき肩で息をする悪魔が安堵した様に言うが、
「お疲れ、でも元はといえば君達が悪いことしたからだしね」
 真上から降ってきた声に悪魔はビクリと身体を震わす。見上げた目が壁に垂直に立つ安里を見つけ驚きで丸くなる。恐怖に駆られ悲鳴を上げながら翼をはためかせ悪魔は大ぶりの一撃を
放つ。
「ま、踊りたいのならしょうがないとも」
 わかりやすい鎌筋の振りを一歩上に上がることで回避し、足下に突き刺さった鎌を踏み押し込む。壁歩きを解除すると攻撃の勢いと踏みつけで抜けなくなった鎌の上を走り肉薄する。
「少しだけ踊ってあげよう、苦手なりにね!」
 鉄骨を握る十指に結ばれた糸が踊るは死の舞踏。安里が操る自動人形に切り刻まれ、悪魔は血の華を咲かせながら地に落ちた。
 音もなく地面に降り立ち血振りをし納刀すると、振り返ることなく理央達が走り去った方へ歩いて行く。

 クロフサの上で鷹の目を背中に背負い直し、馬上槍を構えた理央は鐙を推す。押さえた力で走っていたクロフサは理央の合図を受け取り一気にスピードを上げる。距離は一瞬でゼロになり、鞍の上でバランスを失わずに突き出した槍は悪魔の背中に吸い込まれる。悲鳴を上げるまもなくクロフサの前蹴りが槍から吹っ飛ばし、道に転がる悪魔の上を理央とクロフサは駆け抜けた。

 残った悪魔は腰を抜かすが、その眼前に現れたのはまだ幼い少女だった。もしかしたら勝てるかもしれない、人を見る目のない悪魔は破れかぶれで襲いかかるべきか悩む。
「いぬ、」
 鞆に呼ばれて新宿島和装の袖の影からコロコロとかわいらしいモーラットが現れる。
「走って、跳んで。」
 鞆の言葉通りに跳ねて近寄ってくるモーラットのいぬは非常にかわいらしく、刈取りの悪魔もついつい和んでしまう。
「雷撃。」
 パチンと火花が散ったかと思うと強力な電撃が悪魔をこんがりとローストにする。
「やっぱりこうなるのか……」
 ぴょんぴょんと嬉しそうに消し炭の前で踊るいぬを抱き上げると鞆は二人と合流する。あっという間に瞬殺された刈取りの悪魔たちを見て鞆がぽつりと言った。
「……もしや、戦力過剰、です?」
「蹂躙しつくしちゃったね……」
「ま、仕事だしね……」
 なんともいえない沈黙が漂う。が、悪魔の殲滅は大成功に終わったのは事実だ。
「先にゆく御同輩の、助けに南進、です。」
 沈黙を振り払い、三人は品川区へと走って行く。

●星夜の品川区、広場周辺
 天使達は最終リハーサルを行っていた場所からさらに奥に進み、広場で陣を引く。その様子を合流したディアボロス達は観測していた。
「あいつらここから動かないみたいだね」
「警戒はしているからあまり近づけないけど……怪しい物があっても近づいては来ないみたい」
 ディアボロス通信から流れる情報を聞きながら辺りの様子をうかがう。
「巻き込まれそうな住民、いない」
「ウリエルは陣の中央にいることを確認……あいつ光りすぎだな」
「と、言うことは問題はソードメイデンの数ね」
 ビルの上から攻撃するには距離がある。地上から直接ウリエルに攻撃するには大量にいるソードメイデンを倒さないと防がれてしまうだろう。
「さて、どうするかね」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【壁歩き】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】LV1が発生!

ベアトリス・リュウフワ
乱れなき統率、淀まぬ美。
美しさを追い求めるのは結構ですが、軍の指揮者としては二流ですわね。
一流は綻びすら戦略に組み立てますの。

味気ない雑兵ですわね。攻撃はさぞかし正確なのでしょうけど、逆を言えば『想定外の行動』に弱いのではなくて?
大軍を前に、あえて優雅に歩いてみせますわ。規律に縛り付けられた存在ならば【挑発】的に見えると推測いたします。
困惑して動きが止まるならそのまま近づき、先制するのみ。
機械的に判断して手を出すならば尚のこと都合が良いですわね。その時は、天使の予備動作を【戦闘知識】で読み切って、【残像】を残すほどの【ダッシュ】で敵陣を駆け抜けざまに切り刻みます。

さあ、舞踏会の幕開けですわ。


金刺・鞆
これだけの兵をしたがえていては、将のくび、さすがに至れず、です。
なれば、やはり数を減らす……定石、大事。むん。

これだけの大軍とあらば、兵の質まで管理するのは、むずかしい、はず。……されど、それは所詮ひとのいくさの話であり。くろのべーだ、あてはまらない、やもしれません。油断はせずに、臨みましょう。

『青龍水計』、他と連携望めれば、大きく敵数削げましょう。
大水清水、囲い水。呑み込みうねり、敵を討て。副官とやらの守り薄ければ、狙いたい、です。見たところ、指揮の要はこちらにあるようなので。
反撃はこちらも扇で競り合い、急所、まもります。こう扱うのであれば、仕掛け針、あつらえておくべきだった、でした。むん。


無堂・理央
悪魔の方は片づけたし、今度は天使を片付けちゃおう。


引き続き、無双馬『クロフサ』に騎乗して参戦。
【復讐の刃】で投槍を作って投げつけたり、火薬入りの爆発する矢を作って射ったりと射撃戦で対応だね。
クロフサには駆け回って貰うから、形としては流鏑馬かな?
面制圧で攻める人達が居るし、ボクはその取りこぼしとか建て直そうとする敵を優先して狙って、面制圧が上手く行く手助けをするよ。

敵の反撃は戦場を駆け巡っての速度で回避狙い。
障害物があればそれを盾にするコースとかもとるよ。
そう言えば、【復讐の刃】でショットガンとか作って、飛んでくる剣を迎撃とかできるのかな?


トループス級を相手取る他の人とは可能な範囲で連携するよ。


呉守・晶
よぉ、さっきぶりだな。新しい美しさは身に付いたか?
なぁ、お前ら。ぶっちゃけ、あのウリエルに従ってて頭痛くならないか?
俺はさっきちょっと会話しただけでも頭痛がしてきたぞ?
というか会話になってなかったような。しかも、俺の胸について、あれセクハラってやつじゃないのか?

美しさ基準で行動するから咄嗟の対応が苦手そうだな
ソードメイデンって見た目と名前からして、もう戦い方がモロバレだよな
つーわけで飛翔しながらシースバスターライフルで魔力の誘導弾をぶっ放して攻撃するぞ
どうする?誘導弾だから避けても追尾するぞ、それ以前に下手に避けると美しい行動が乱れるぞ?
そもそも美しい対処法ってなんだろうな?


緋薙・紅花
な、なんかよくわからないボスでしたね(汗)
まぁとりあえず一回退いたみたいですし
その間にこっちも整えて…迎撃です!

空を飛ばれると現状どうしようもないですねこれ……
仕方ありません、肉を切らせて骨を断つ
攻撃のタイミングを狙いましょう
ソードメイデンのクロススラッシュに合わせて
こちらも≪紅花さんのお料理教室≫で対抗!
二刀の斬撃を相殺する勢いで炎の拳の超連打を叩き込みます!

美しく剣を振るう姿はまさに天使のごとき
それでも負けるわけにはいきません
「花と侮るなかれ! 首断つ刃とて、灰と化すまで焼き尽くしましょう!」
簡単に言うと、皆まとめて、炎の拳でお料理しちゃいますよ!


幾ヶ谷・安里
綺麗な花には棘があるって言うけど。
棘どころか刃とはねぇ……いやはや、嫌いじゃないけど天使がそれってのは頂けない。
差し伸べた相手を傷つけるしか能がないじゃないか。

そうだね、だからこそちょっと手を加えてあげようじゃないか。
【壁歩き】でうまく立ち位置で優位を保ちながら、【イグジストハッキング】。
【ハッキング】で、そのあり方そのものに手を加えさせてもらおう。
生け花のようにね。

そんな姿で踊るなんて、あまりに品がないからね。
ちょっと剪定位していきなよ。


天音・梓
……どうやら、今回のあなた方の信仰集めの作戦は失敗しました。一応聞くだけ聞きますが、それでもまだ貴女は戦いますか?

何が美しいか、何をして生きていくかはその生き物それぞれ違いますから、否定する気はありません
ですが、お互い貫きたいことは一致せず。こういう時、解決策の一つは武器の先に宿っています
……せめて、お互いに悔いなく終われるようにしたいですね

◎戦闘
リングスラッシャーで周囲に光輪を出現させてから、大鎌を構えて翼で【飛翔】しながら空中戦を仕掛けます
大鎌は相手の槍をいなして隙を作るために使い、鍔迫り合いやお互いの距離が離れるようなら滞空させておいたリングスラッシャーを起動してウリエルを攻撃します


「あとは頭を潰して終わりにしたい所だけどね」
「これだけの兵をしたがえていては、将のくび、さすがに至れず、です。」
 肩をすくめながらディアボロス通信をするのぞみと金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)に同意すると、ディアボロス達はそれぞれの配置に散らばっていく。
「悪魔のように、今度は剣の天使を片付けちゃおう」
 ビルの影に身を潜め軽く弦を弾き、弓の調子を確かめながら無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)は鼻でトントンと肩を突っつくクロフサに飛び乗る。

●月が昇りかけた広場にて
 浮かび上がってきた月がゴシックドレスにそっと金の装飾を施していく。ベアトリス・リュウフワ(強欲と傲慢のミルフィーユ・g04591)は背に月を従え、剣と懐中時計を手に傲岸な程優雅に歩みを進める。平然と姿を現した敵にソードメイデン達がざわつく。が、戦闘態勢準備、抜刀の声に落ち着きを取り戻し、整列すると一斉に剣を抜く。
 思ったよりも統制がとれている軍勢を見ながらベアトリスは懐中時計の時刻を確認し、蓋をパチリと閉め朗々と号令をかける。
「さあ、舞踏会の幕開けですわ」
 ベアトリスに警戒が集まった隙を突き、ディアボロス達は一斉に攻撃を開始する。
「これだけの大軍とあれど、兵の質までそろえるとは。」
 人間には質、量共に不可能な程そろった隊列に鞆は扇を向ける。
「大水清水、囲い水。」
 月に奉納するように扇を掲げる鞆の周囲に清流が現れる。月光を受け巻き込まれた泡が真珠のように輝く流れは、瞬く間に水量が増えていく。危険を感じてソードメイデンが蹴りかかってくる。連続して跳ね上がった足先をのけぞって避け横薙ぎの一刀をあえて見逃すと、本命の頭めがけた右手の突きを扇の鹿目で受け止め競り合う。鋭い呼気と共に鞆は天使をうち払い扇を振り下ろす。
「呑み込みうねり、敵を討て。」
 振り下ろしたその先へ、朱の混じった水流は天使達を飲み込み押し流す。
 水流が荒れる陣の反対側で幾ヶ谷・安里(無巡・g02632)はビルの壁に立って天使を見下ろす。
「嫌いじゃないけれど……綺麗な花には刃がある、とはねぇ」
 ハッキングツールから天使達にアクセスしながら独りごちる。
「助けるどころか傷つけるしか能がないじゃないか」
 情報をまとめてクラッキングすると天使達の羽が甲高い金属音を響かせながら崩壊する。そこで初めて安里に気がついた天使達がかけた翼を羽ばたかせ襲いかかる。急所を狙った攻撃だけを鉄骨で受け流し、足元を狙った攻撃を壁を強く蹴って避けるが、その身体は重力に引かれ天使達の列に飛び込むことになる。落下する安里を迎え撃ち、ソードメイデンが折れた刀を逆手に振るう。空中で避けられるはずが無いと確信して放たれた一撃はあっさりと空を切る。
 壁歩きから飛翔に切り替え、安里はたしなめるように言う。
「あまりに品がないからね」
 ちょっと剪定していきなよ、とからかうように笑うと、さらなるハッキングに晒された刃はもろくも崩れ去った。
 左右を挟まれ押し出された天使達を後ろから強襲し、剣衾の隙間を緋薙・紅花(サージェナイト・g03888)が無理矢理押し通る。身を裂く傷から流れた血より緋い炎が拳から吹き上がる。
「花と侮るなかれ!」
 炎に炙られ変形した刃をハイヒールで蹴り払うとその首めがけて交差する二刃を拳で迎え撃つ。
「刃とて、灰と化すまで焼き尽くしましょう!」
 振るわれた拳をソードメイデンはさばいていくが、炎と闘気の連打に刃より先に身体がねをあげる。出来た隙に重い一撃をたたき込むと紅花は次の相手を料理し、陣形を崩していく。
 優雅な足取りは瞬時に捕食者の疾駆に変わる。攻撃する手間すら惜しんで、ベアトリスは綻びを突いて駆け抜ける。想定外の動きに天使達は虚を突かれ振り向くのかそれとも列を整えるべきか、混乱が生じる。
「一流は綻びすら戦略に組み立てますのよ」
 あなた達は二流ですわね、との呟きすら背後に残し前向きな悪女は広げた綻びを剣を供に踏みにじる。
 なんとか反応できた少数の兵が力ずくで止めようとした刃を身に受けながらもベアトリスの進撃は止まらない。
 最初の混乱から立ち直りかけた天使達が防御陣を展開しようとするが、矢が次々に突き刺さり足並みを乱れさせる。矢を放った片手で鞍の持ち手を掴むと、それに併せてクロフサは首をもたげ高らかに飛ぶ。空を蹴り、直角に曲がると目標を失った大量の剣が空に銀線を描く。着地し天使をなぎ倒しながら走るクロフサに進路を任せながら理央は新たな矢を生成する。
 ディアボロスの猛攻を受けなかった所では剣衾を作るのに成功した集団もいたが、そこに魔力弾が降り注ぐ。陣形を保ったまま飛びずさり避けようとするが意志を持ったように弾は曲がりくねり着弾する。
「どうする? 誘導弾だから避けても追尾するぞ」
 悪魔の羽を大きく広げ、呉守・晶(TSデーモン・g04119)が嘲笑する。十字を切るように放たれた二刀を片方は抜き身で持っていた剣で切り折り、もう片方は翼で絡め取って投げ返す。
「それ以前に下手に避けると美しい陣形が乱れるぞ?」
 アークイーターを肩に担ぎながらシースバスターライフルを連射すると強固で美しかった列があっという間に乱れていく。
 ウリエルを挟んで反対側の空、天音・梓(雨兆す・g03821)も攻撃を開始する。天使の羽を羽ばたかせ天泣につがえた水矢を撃つと、光を雨の様に滴らせるリングスラッシャーが夜空に呼び出されていく。空を覆う光雲のような光輪は梓が手を振り下ろすと一斉に天使達を襲う。その様は光の雨嵐すら想起させながら天使達を穿っていく。
 上空で天使の翼と悪魔の羽がひらめくたびに光輪と魔弾は数を増やし、地上を地獄に変え命を刈り取りウリエルと副官が立て直しかけた軍勢を崩していく。
 三人が開けた穴からディアボロス達は防御陣に突入する。
 一方天使側も負け続けでは無い。防御陣を引くのを諦めて一転攻勢、数の暴力で襲ってくる。

 雅な扇と機能美をたたえた剣が交差する。
(こう扱うのであれば、仕掛け針、あつらえておくべきだった、でした。)
 むん。と力を入れ天使の羽を力一杯押し返すと飾り羽が激しく揺れる。
 四方を囲まれた鞆の背後には、「一歩も通さないよ」と言いたげないぬが眉尻を上げて気合い満々に通せんぼをしている。
 青龍水計を放たせてたまるかと猛攻を仕掛ける天使達に防戦一方になる鞆を地上を俯瞰していた雨兆すは上空から援護する。天使の大鎌を構えてExpeditusが集めた情報を解析、鞆を囲う軍勢の緩みを的確に突きながら光輪が縦横無尽に駆け回る。
 丁寧に礼をすると、鞆は通信しながら計をかける。
「他と連携望めれば、大きく敵数削げましょう。」
 ビルの壁面を飛び移る安里に飛行する天使達が楔形に隊列をとりながら併走する。ハッキングを繰り出すが、無個性で巧みに隊列を変えながら迫るソードメイデンに狙いが定めきれず手応えを感じられない。
「さてとどう手を加えさせてもらおうか」
 敵を引き回しながらぼやく安里にパラドクス通信が届く。内容に笑みをこぼし、屋上から一気に駆け下る。地面すれすれで膨大な熱量と交差する。
「空を飛ばれたら飛び返せばいいのですね……迎撃です!」
 楔を砕くサージェナイトと入れ替わり、地上をイグジストハッキングが歪めていく。
 ベアトリスの進撃の最後の一撃を終えた所に仕留めきれなかった天使達が襲いかかる。罰責の鞭を振るい絡め取るが、動けなくなった天使を踏み台にしてソードメイデン達が襲いかかる。
 バックステップで避けるが、さらなる追撃がベアトリスに迫る。迫る白刃を睨み付けるが、唐突に腐食し砕け散る。
「それでは、ごきげんよう」
 混乱する天使を切って捨てると、とっさにハッキングし剣を砕いた無巡に手を上げると鉄の冠を直し再び戦場を駆け抜ける。
 戦場をフォークで突き刺したミルフィーユの様に貫き、崩しながら進む少女をTSデーモンは赤い目を愉快そうに細めながら追いかける。
「こんなこともあろうかと、ってなぁ!」
 強欲と傲慢のミルフィーユを喰らおうとした天使は、進路上に転がっていたスフィアボムを食らって退場する。
「なんかよくわからない敵ですが、美しく剣を振るう姿はまさに天使のごときですか」
 顔を滴る血と汗を拳で拭うと紅花は構えをとりなおす。自身の発する熱と焼かれた剣の熱さで紅花のいる周囲だけ温度が高くなっている。硬い剣の乙女達を殴り続けた拳が痛むのを意識から追いやりながら、スカーレットを纏い直し紅花さんのお料理教室は続いていく。そこに熱くなった天使を洗い場に追いやるように流水が襲いかかる。水は一瞬で水蒸気に代わり爆発するが、それすらも清水は飲み込んで熱くなった戦場を落ち着かせる。
 焼き入れされた金属が一気に冷え、もろくなった剣は拳で面白いように砕けていく。虚氏の仔に御礼を言いながら紅花は後ろ回し蹴りで天使を吹っ飛ばした。

 膨大な数の敵を自らの血潮と時間を引き換えに倒し、
「よぉ、さっきぶりだな。新しい美しさは身に付いたか?」
 ディアボロス達は天使の中核にたどり着いた。

●天使達の中央にて
「副官とやら、指揮の要。狙いそろえるべき、です。」
 ディアボロス達の攻撃が副官に集中するが、ソードメイデン達とウリエルがその攻撃を防いでみせる。鉄壁の陣を構築する
「なぁ、お前ら。ぶっちゃけ、ウリエルと話してて頭痛くならないか?」
「美を愛するものとして当然の言動ですわ」
 副官は言い切るが、ざっという音が聞こえそうな勢いでソードメイデン達は晶から目をそらす。視線がそれた隙に再び攻撃が集中するが、今度はウリエル一人でしのいでみせる。
「しかも、俺の胸について、あれセクハラってやつじゃないのか?」
 今度はウリエルの目が明らかに泳いだ。
「美をたたえることは間違っていない! 間違って無いが、あー、え~と……悪かった」
 ウリエルは素直に頭を下げた。大分イカれた相手の真面目な対処法に一瞬虚を突かれる。
「美しいものを褒め称えるのに一生懸命でそういった人間社会の問題を考慮に入れていなかった。次は気をつける。すまなかった」
 新たな頭痛をもらった晶は額を押さえながら投げやりに言う。
「次は無い。あってたまるか」
 緊張感が一気に薄れた戦場で、ナツキが前に出る。
「決闘を申し込ませてもらう」
 戸惑うウリエルへ言葉を重ねる。
「よもや決闘という美しいものを断る訳無いだろう?」
 一瞬言葉に詰まるが断ろうとするウリエルの肩を副官がおす。
「美しさで勝ってる様を発揮してきて下さい」
 そうして始まったナツキとウリエルの決闘に背を向け、副官は目隠しのに半ば隠れた口に笑みを浮かべる。
「さあ、来なさい。クロノヴェーダの意地にかけてウリエルの邪魔はさせません」
 残り少ない天使達はファランクスを組み前進する。これまでとは比類にならない精度で固めた防御と翼を失う覚悟で放たれる剣にディアボロス達は後退を強いられる。だが、その勢いは自分の身を削って生み出したもので、続くものでは無い。
 剣の猛攻から逃れ下がったクロフサの上で理央は集中する。ありったけの火薬を詰めた矢をつがえると戦場の音も色も意識から消え去り、守りの綻びだけを浮かび上がらせる。
 射線が通った瞬間にびょうと矢を放つ。狙い違わず飛んだ矢は副官の胸甲を射貫き、周りを巻き込み大爆発する。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【水面歩行】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【飛翔】LV2が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【無鍵空間】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【ガードアップ】LV2が発生!

アリテラエル・ナツキ
ウリエルに一つ一騎打ちでの勝負を持ちかけてみるか
美しさに固執してるのならこういう決闘には望んで挑んでくるだろう

それと戦闘中相手の美意識に同意して調子付かせるのもいいかもしれんな
そうだな……
先程の軍勢を押し返す際ウリエルを見て感銘を受けたとかそういう風に反応でもしておくか。

相手に合わせて正面から打ち合ってやろう
とはいえ相手の裁きの槍はこちらの盾による防御も貫いてくる。ランスで反撃はするが分が悪いか……

とここまでくれば相手も油断するだろう、そこに●シールドスマッシュを叩き込んでやるぞ!
盾は防御のみに使うにあらず、こういう使い方もあるのだ!

(アドリブ、絡み大歓迎です)


●邪魔の入らない戦いにて
 槍を携えた二人が対峙する。ランスと大楯を油断なく構えたアリテラエル・ナツキ(騎士天使・g04112)に対し、ウリエルは両刃の長槍を美しく大上段に構える。
 盾に隠していた半身を伸ばし、相手の間合いの外からの攻撃を柄で受け流すと無駄に回転しながら胴凪の一閃を放つ。盾の縁でせき止めると、ウリエルはくるりと槍を回わし石突きで喉を突こうとする。ガントレットで弾くとそのまま相手の槍を遡るように繰り出す。軽く首をかしげ避けたウリエルに柄をたたき付けようとするが、中断し盾を掲げながら距離を詰める。打点をずらされた槍がむなしく縁を叩く間に突こうとするが、相手が後ろに距離をとったのに併せて距離をさらに取り直す。
「それにしても、なぜ一騎打ちを望んだ?」
「先ほどの美意識を見てな、感銘を受けた」
 時間稼ぎに出された言葉にウリエルは懐いた子犬のような物凄く嬉しそうにする。
「そうですか……仲間として会いたかった」
 感動に打ち震えるウリエルにほんの少しの罪悪感を感じる。心の揺れを打ち消すようにナツキは槍を振るう。何合か打ち合うと実力差を感じたのかウリエルは芝居じみた動作でナツキに声をかける。
「見せてみください。あなたの美をこの戦いで!」
 片手を離して下がったウリエルの穂先を槍で地面に縫い付けると、てこ代わりに使いながら地面を蹴る。装備と自らの重量を運動エネルギーに変え、大楯ごとぶち当たる。
 正面からまともに打ち据えられたウリエルは槍を手にしたまま吹っ飛ばされるが、空中で天使の翼を広げ姿勢を整え浮かび上がったまま槍を構える。
「盾は防御のみに使うにあらず、こういう使い方もあるのだ!」
「なるほど、あなたの美しい戦いを確かに見させてもらいました。素晴らしい、騎士としての誇り高い美は秀麗だ。」
 全身に光の粒子を纏いながらウリエルは大きく翼を広げ、天に突き上げた光を槍に集める。
「ならば敬意を祝してこちらも至高の美で打ち倒しましょう」
 力強く翼を震わせると一気に速度と高度を上げ、逆しまにナツキに突撃する。その姿はまるで一振りの槍と化した様。大楯でしっかりと受け流そうとするが盾すら貫く勢いを殺しきれないと判断、とっさに力を抜いて大きく跳ね飛ばされる。地面にたたき付けられ転がり立ち上がろうとするが、呼吸が乱れた上に槍を受けた手がしびれて力が入らない。その時爆発音が聞こえ、梓が慌ててウリエルとの間に入る。呼吸を整え立ち上がると周囲ではディアボロス達がソードメイデンの残党を片付けていた。ナツキは十分な時間を稼いだ様だ。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【避難勧告】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

●数多の死体転がる広場にて
「今回のあなた方の作戦は失敗しました。一応聞くだけ聞きますが、それでもまだ貴女は戦いますか?」
 追撃もせずに副官がいた方を呆然とみるウリエルは梓の言葉で我に返る。
「美を愛する同志をこれだけ殺して、私を唯一理解してくれた人を殺しておいて、戦いを続けるか、だと」
 怒りをたたえながらも優雅にウリエルは叫ぶ。
「ふざけたことを言うな! 貴様ら全員美の名の下に葬り去ってやる!」
刻乃・亜里夜
信仰を集めるやり方はいかにも天使らしいよね
そういう私もいたいけな天使だけれどね

一定の距離を保ちながらリングスラッシャーで
大天使ウリエルを切り刻んじゃうよ
向こうの反撃で逆にやられないよう
狙われた時はリングスラッシャーでウリエルの槍を切り落とせればかな
思うようにダメージを与えられなくてもウリエルを
かく乱して後に続くディアボロス達の為にも消耗させられればだね

「初めてだから優しくしてね…なんちゃってね♪」
「危ないなあ…当たったら死んじゃうよ」


箱庭・のぞみ
これでひと先ず大天使側が信仰を得ることはなくなったわね。
あとは頭を潰して終わりにしましょう。

私は拘りを持っている訳ではないのだけど、私も槍をちょっと扱えるの。
勝負しましょう、お前の槍と私の槍。
地上は他の仲間達に任せて、私は【Pb01-Tp『Achernar』】を抱え、上空へ飛んでいくわ。
相手を見失わない程度まで飛び上がったら武装や防具から一部パーツを突撃に適した位置に脱着して【天翼機甲翔破】で上空から【一撃離脱】の【貫通撃】よ。

仕事というのは拘る時は拘るべきなのでしょうけど、個人の拘りは持ち込むべきではなかったわね。


「仲間を大切にして、いかにも天使らしいよね」
 するりと音もなく現れた刻乃・亜里夜(天使のワールドハッカー・g04427)はかわいらしい笑顔を浮かべながら懐に手を伸ばす。
「信仰を寄せない相手は蹂躙するってやり方もね」
 笑顔を崩さずに拳銃を抜き打ち光輪を飛ばす。梓に飛びかかろうとしていたウリエルは槍の柄を狙って撃たれた光輪を後退する。
(ソードメイデンの残党も退治したみたいだし、もうちょっと攪乱して時間稼ぎしないとね)
 ナツキが後退して戦場を抜け、散らばっていたディアボロス達が集まってくるのを通信で確認しながら、距離を詰めようとするウリエルを拳銃で牽制し、光輪を生み出す。足を止めたウリエルは優美にスナップを利かせ槍を投擲する。
「危ないなあ……初めてだから優しくしてよ」
 大きくステップした亜里夜のすぐ脇を猛スピードで
 鋭くクイックターンした槍が再び亜里夜めがけて襲ってくる。慌てた様子で亜里夜は振り向く。
「当たったら死んじゃうよ!……なんちゃってね♪」
 残っていた光輪が槍の直情から落ち、深い傷をつける。反動で軌道がずれ、地面で跳ねてあらぬ方向に槍が飛んだ。槍を回収しに飛んだウリエルに蠱惑的な笑みを向け、亜里夜はリングスラッシャーを乱れ打ちにする。
 リングスラッシャーに追いやられ、削られながらも再び槍を手にしたウリエルを、青い光を放つ大型槍を抱えて箱庭・のぞみ(サンドボックス・g00611)が待ち構えていた。
「私も槍をちょっと扱えるの。勝負しましょう、お前の槍と私の槍」
 Pb01-Tp『Achernar』を腰だめに構えるとウリエルも穂先を引き下段に構え、にらみ合う。のぞみが軽く突きを放つと下から跳ね上がった刃が薙ぐ。逆らわずに上に跳ね上げた黒と金の槍をのぞみが振り下ろしたのに合わせ、ウリエルは両手を掲げ柄で受け止める。
「このまま接近戦は不利ね、突っ込むわよ」
 力押しで距離をとろうとするウリエルの力に逆らわず、のぞみは勢いよく上空へ舞い上がる。瞬く間に上空に上がり、ウリエルが見上げた先でのぞみは自身の装備を次々にパージする。外した武装は次々にAchernarに集積する。星々の名を冠した大剣と双刀が刃を長大にし、ジャケットと盾がのぞみと槍を流線形でつなぎ空気抵抗を抑える。大槌が全体のバランスをとりながら重量を増やし光線銃が細かな照準調整のスラスターになる。
照準器代わりの電脳ゴーグルをウリエルに合わせコネクティングナイフを抱え込み、天翼機甲翔破で突撃する。青白い一等星の光を放ち天から加速する流星と化したのぞみと、金の光を全身に纏い地上から飛び立ったウリエルが激突する。
 光を散らし合いながらしばらく拮抗を保つが、お互いの力に耐えきれなくなりはじけ飛ぶ。光の尾を引きながら地上に落ちたのぞみは手応えを感じつつ、衝突で開いた傷を押さえながら立ち上がる。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV4になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV4になった!

天音・梓
◎戦闘前
(ウリエルの戦う意思を確認したので、ため息をつきつつ)……まあ、そうですよね。一応聞いてみただけです

壊滅したのは貴女の部隊、だから貴女は私たちを葬りたい、私たちはそれを許容し難い……それなら戦場で晒していただきましょう屍と醜態を
(大鎌を放り出して身軽になりボウガンを手に持つ)

◎戦闘
【味方をディフェンスします】

私は遠距離からの援護射撃に努めましょう
翼で【飛翔】して高所に移動しながらボウガンに矢を番え《銀箭》、光を受けて輝く雨の矢を戦場に雨霰とばら撒き、相手の動ける場所を少しでも局限して移動の自由を奪う様にします

近接戦闘で敵が留まったら、矢を何本も番えて一点に斉射、集中豪雨を浴びせましょう


金刺・鞆
テンシ、アクマ。外つ国の信仰に根付いた人ならざるものたち。……どうにも、ともには、違いがよくわかりません。容貌の美醜など些末ごと。利己のままにひとを踏みにじるは、同じこと。そこに、いかなる差がありましょう。
テンシも、アクマも、ひとしく首を落とします。お覚悟を。

『鬼神変』、単体へ仕掛けるならば最大の力にて。
通常、槍の優位は間合いにありますが。その一撃、おそれるべきは貫くちからにありましょう。
かいなを硬く、軽く、攻撃を逸らし、いなすに適したかたちに変えて。鋭く裂き、切りつけるように攻める、ですよ。反撃は受けようとしないこと。腕も駆使して、かわします。

……されど、その潔さやよし。
将として、共に散れ。


ベアトリス・リュウフワ
『美』を追い求める貴方に、わたくしが『本物』の美しさをお見せいたしましょう。
対価は、貴方の命で――。

その槍はなかなか厄介そうですわ。気を付けましょう。
防御は無意味、ならば回避しかございませんわね。単純明快で実に清々しい。
受け流すことすら考えませんわ。わたくしの全力を以て、かわして差し上げましょう。
幸い、その攻撃は面ではなく点。その一点さえ見抜ければ、回避は容易ですわね。
ですが、もしも万が一にも避けられないのであれば――身をよじって致命傷は防ぎますわ。
一撃でもいなせれば、そこはすでに、わたくしの舞台。
【残像】を残すほどの速度で接近し、正道に則った――三の【斬撃】で貴方を圧倒いたしましょう。


無堂・理央
配下の天使は一掃出来たし、残るは大天使だけ。
先行した人も居るし、一気に押し切っちゃおう。


引き続き、無双馬『クロフサ』に騎乗して戦闘だよ。

【飛翔】の効果でクロフサに天を駆けさせて、敵の周囲を巡りながら、生み出した槍で投擲してくよ。
直接倒すよりも、敵の防御を崩したり、敵の攻撃の出鼻を挫いたりと支援的な攻撃タイミングを狙ってく。

敵の反撃が来たら、逃げの一手!
投げた槍が戻るまで、敵の武器が無い状態なら、その内に味方が倒してくれる。
そうでないなら、物陰とかで敵から見えなくなるタイミングで槍を武器で受け止め。
その後にパラドクスで生み出した槍を弓に番え、敵の意識外から長距離の一矢を放つよ。


呉守・晶
美、美って煩いっての!
そこはせめて神の名とか大天使ヘルヴィムの名の下に、って言えよな!
大体、美の名の下にって意味わかんねえよ!

飛翔しつつ魔晶剣アークイーターの封印を一部解いて異形の大剣貪リ喰ラウモノに変異させるぜ
槍の突きに合わせて、フライトドローンを俺とウリエルの間に多数出現させてウリエルに向かって飛ばすぞ
無論、フライトドローンなんざ幾らあっても壁にもならず普通に蹴散らされるだろうが目隠しにはなるだろ
一瞬でも俺を見失えばそれでいい!
その隙で槍を躱して、カウンター気味に叩っ斬ってやる!
美しくない戦い方だろうが勝てればいいんだよ。戦い方に拘って負けられないし死ねるかよ!
喰い千切れ、アークイーター!


幾ヶ谷・安里
あぁあぁ、もうめんどくさいなぁ!
几帳面が過ぎる!やってる事は大して変わっていないくせにいっちょ前にキレイに見せようとしているその魂胆がまずは無理だ!気に入らないし気に食わない!
文字通りの同族嫌悪だ、吐き気がするね!

だから……歪めてあげるよ。綺麗な綺麗な天使。
その綺麗な肢体を、その美しい顔を。
俺達と同じ地に引きずり降ろさないと気が済まないんだ。

どこまでも追いかけてくる【誘導弾】。それを補う【戦闘知識】。全てこちらの【ハッキング】で歪めてやる。
【壁歩き】して、【飛翔】してやる。誰が当たってやるものか。

……さぁ。
堕ちる時間だぜ、ミス天使。


緋薙・紅花
まぁそうですよね
わたしたちの間に戦いを止めるなんて選択肢はないはずです
貴女にそんな感情を抱かせてしまったこと『だけ』はお詫びします

じゃあお話はここまで
後は、勝った者が全てです
「花と侮るなかれ。槍の一撃とてしのいでみせましょう」
勝負です!

防御も突き破るというなら受け止めるだけ
『スカーレット』を両手に集中
【ガードアップ】も利用してダメージ軽減
どうにか穂先を逸らして致命傷を避ける動きを

その、槍がわたしに刺さった一瞬が隙です!
≪秘伝・緋炎陣/刃の舞≫攻!

今まで手を抜いていたわけではないんですけども
奥義は簡単に見せちゃダメって言われてるので!

この炎の刃の舞を美しいと思った時が貴女の負けです!


●ビルに挟まれた広場の上空にて
 上空で翼を広げ姿勢を立て直すとウリエルは傷を押さえる。シールドスマッシュやリングスラッシャー、天翼機甲翔破を立て続けにくらった身体は痛むが、まだ戦意も美しさも衰えてはいない。地上を見下ろすと七人のディアボロス達がそれぞれの獲物を手にそれぞれの位置で見上げ返してくる。

 二度の衝突で大分緩慢になった槍を投げる予備動作を見て、一斉にディアボロス達は駆け出す。
「まあ、狙われますよね。一応聞いてみただけなんですけど」
 真っ先に狙われた天音・梓(雨兆す・g03821)はため息をつくと天使の大鎌を放り投げる。円を描いて飛ぶ鎌と槍がぶつかり合い高い金属音を奏でる。
「わたしたちの間に戦いを止めるなんて選択肢はないはずです」
「ああ、私の仲間と友を殺されておめおめと引き下がることはあまりにも美しくない」
 勢いを失った槍を緋薙・紅花(サージェナイト・g03888)のヒールを履いたすらりとした足が蹴り飛ばす。追撃を諦めたウリエルは紅花に言葉に返事しながら戻ってきた槍を手にとる。まっすぐな目をウリエルと合わせると紅花は闘う意志を高め、スカーレットを両手に集中させる。
「貴女にそんな感情を抱かせてしまったことだけはお詫びします」
「私たちはその復讐を許容し難い。……それなら戦場で晒していただきましょう屍と醜態を」
 空へ上昇した梓は天水を突きつけ宣言すると、水の矢を連射する。
 始まった戦闘を虎視眈々と眺めながら、ベアトリス・リュウフワ(強欲と傲慢のミルフィーユ・g04591)は機会をうかがう。
「防御は貫かれる。ならば全力を以て、かわすしかございません」
「分の悪い賭けだねぇ」
 幾ヶ谷・安里(無巡・g02632)は重力に引かれ横に落ちる髪を白手袋に包まれた指で払い、軽薄に笑う。
「単純明快で実に清々しいでしょう」
 傲慢なまでにきっぱりと、ベアトリスは言い切ると何かに気づいたかの様に顔を横に上げる。二人はとっさに壁を蹴り左右に散る。立っていた壁面に槍が突き刺さり外壁が見る影も無く崩れていった。
 翼で風を捉えながら梓は軽やかに空を舞う。時折飛んでくる槍をかわしながら冷静にウリエルの隙をうかがう。
「美、美って煩いっての!」
 雲霞のように湧き出たフライトドローンの風圧で和風スカジャンが派手にひらめく。
「大体、美の名の下にって意味わかんねえ!」
 目隠し代わりに召喚したドローンをいらだち紛れに突撃させるが、ドローンはウリエルの前に美しく火花を散らしながら墜落していく。召喚を続け残骸を重ねながら、呉守・晶(TSデーモン・g04119)は魔晶剣の封印を解いていく。
「そこはせめて神の名とか大天使ヘルヴィムの名の下に、って言えよな!」
「この想いは私の感傷だ。いるかいないかわからないモノに誓う趣味は無い。それにこの想いは他のウリエルには持てないものだ」
 妙な所には反応するウリエルが片手を振ると、押し寄せていたドローンが電源が落ちたかの様に墜落する。
「そして他のウリエルのアヴァタールに無く、私にあるものは美! すなわち私イコール美! というわけで私は美に報復を誓う」
 両手を天に掲げ秀麗なポーズをとる。華やかに広げた翼からこぼれた光に射貫かれるようにドローンは力を失う。
「それと個人的な復讐を上になすりつけるのは、美意識的にちょっと……無理」
「やっぱり会話が成立してねえよ!」
 しごく真面目な様子で始まったウリエルの話をまともに聞いてしまい、頭痛が再発した晶はおもいっきり顔をしかめながらさらにドローンを飛ばし、力を高め隙をうかがう。
 
 クロフサが空を蹴り天を駆ける。その背に乗り背後を見ていた無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)は鋭く息を吸い前を向くと斜めに空中を駆け下りる。クロフサの背中に伏せた途端、一瞬前まで頭があった所を槍が勢いよく通り過ぎる。前方でくるりと回転し穂先を向ける槍に向けて走りながら理央は大きく手綱を引く。飛び上がって避けたクロフサの鎧と槍が触れ火花を散らす。理央が槍を引き連けている間に金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)が接近戦を仕掛ける。
「テンシ、アクマ、外つ国の信仰に根付いた人ならざるものたち。……どうにも、ともには、違いがよくわかりません」
 鬼神と化した腕を暴風の様に振るいながら、鞆は静かに問いかける。
「どちらも種族は違えどクロノヴェーダ。違いは美醜くらいでしょう」
 抜き手に金の髪を断ち切られ次々に傷を増やしとながらも、ウリエルは相変わらず美を誇る。
「例えば町並みも港区と品川区で大きく違うでしょう」
「外見など些末ごと。利己のままにひとを踏みにじる。」
 じりじりと踏み込みながら振るった腕をなんとかウリエルが掴み、つばぜり合いになる。至近距離で力をぶつけ合う、曇りの無い青水晶の瞳がサファイアの目を静かにのぞき込む。
「そこに、いかなる差がありましょう。」
 饒舌なウリエルが初めて言葉に詰まる。姿勢が崩れ美しくない地から押しで無理矢理鞆を弾き飛ばし、苦悩の表情のまま戻ってきた槍を掴みウリエルは言葉を絞り出す。
「……たとえ同じでも私は、私は……」
「あぁあぁ、もうめんどくさいなぁ!」
 赤黒く染まった翼を広げ、叫びながら安里が真上から飛び込んでくる。振るった鉄骨が振るわれた槍を叩き落とす。
「やってる事は大して変わっていないくせにいっちょ前にキレイに見せようとしているその魂胆がまずは無理だ!」
 ただただ力任せにたたき付けられる刀を、時折ミシリと音を立てる槍の負担にならないようにウリエルは下がりながら受け流す。
「気に入らないし気に食わない! 文字通りの同族嫌悪だ!」
「自由意志で行動できるあなた達と同族にするな。こちらは命令に逆らって美を、自らを貫くことすらできないんだ!」
 次々にたたき付けられるどこか八つ当たりの様な言葉に、愁眉を寄せウリエルも苛立った声を上げる。
「「吐き気がするね!」」
 吐いた言葉はお互いに向けてだけで無く、どこか世界を呪うようで。お互いに向けて大きく振るわれた武器がぶつかり合いきしみ声を上げる。双方大きく弾き飛ばされ、空中で姿勢を入れ替え安里はビルの壁に着地する。
「だから……歪めてあげるよ。綺麗な綺麗な天使。」
 鉄骨が刻んだ傷から安里はハッキングを始める。前進をさいなむ存在を置き換えられる悪寒を振り払う様に飛びかかろうとしたウリエルに、雨霰と光り輝く矢が降り注ぐ。慌てて後退したウリエルに上空から冷然な声と共に再び水の矢が局地的集中豪雨と化して降り注ぐ。
「貴女の意思ごと、穿ちます」
 天水に次の矢を構え直す間に、所在なげに漂っていたドローンの影から鞆が飛び出す。
「テンシも、アクマも、ひとしく首を落とします。お覚悟を。」
「たとえ違いが無かろうと、皆を率いた者として彼女の友人としておまえ達に負けるわけにいかないんだ!」
 何かを振り切ったかのように鋭い突きを、いなすに適した流線形に変えた鬼神の腕で滑らせる。深い傷を負った腕を平然とその細首めがけて鋭く突き込む。
 とっさに掲げた槍の柄がその一撃を防ぐが、
「その綺麗な肢体を、その美しい顔を。俺達と同じ地に引きずり降ろさないと気が済まないんだ。」
 底冷えした声が響く。安里はウリエルの翼を浸食していた存在改変を一気に槍に集中させる。
 あまりに軽い音が響く。深い傷を刻まれていた槍は鞆の強力と安里のイグジストハッキングに耐える力は無く、真っ二つに折れる。
「……されど、その潔さやよし。将として、共に散れ。」
 槍を砕いた腕をそのまま突き出し、首を引き裂くが、浅い。短槍と化した槍を振り回すウリエルからするりと距離をとる。
 ウリエルは左手に持っていた折れた柄を投擲する。鋭く尖った棒は光を纏いながら正確に安里を追尾する。壁を踏み切り飛び上がるとウリエルめがけて飛んでいたドローンを足場代わりに蹴落とし、大きくとんぼを切る。
「誰が当たってやるものかっ!」
 飛翔だけじゃ出来ない急旋回に対応できず目標を失った棒が明後日の方へ飛んでいき、力を失い地面に落ちる。
「一気に押し切っちゃおう」
 追おうとしたウリエルめがけて、理央が和弓を器用に引き絞る。黒瞳を細め、右頬に引分けた空の手に投げ槍を生み出し即座に放つ。光を想わせる速さで瞬時に着弾する槍を避けることも出来ずにウリエルを貫く。ふらりと美影が揺れるが踏みとどまり理央を探すがその姿はビルの背後へ消える。

「……さぁ。堕ちる時間だぜ、ミス天使」

 相変わらず突撃して来るドローンをうっとうしそうにウリエルは消し去ろうとするが、ドローンはたどり着く前に唐突に爆発した。爆煙と炎に視界を遮られたウリエルにドローンを貫いて爆発させた槍と矢が天上から襲う。牽制とはいえ十分すぎる威力のこもった攻撃に気をとられたウリエルは、瓦礫を縫うように低く飛ぶ晶の接近にようやく気がいた。
 封印を解かれた魔晶剣が脈動する。槍の間合いの内側に入られたウリエルはとっさに柄をたたき付ける。打ち据えてくる柄を左腕を顔の横に掲げて防ぐ。
「美しくない戦い方だろうが、戦い方に拘って負けられるかよ!」
 腕から身体に響く嫌な音と痛みを食いしばって耐え、魔晶剣を振りかざす。
「変異開始! 喰い千切れ、アークイーター!」
 脈動は剣全体を包み込み、貪リ喰ラウモノの名にふさわしい獣の牙を備えた異形と化す。片手で振られた剣をウリエルは確かに避けた、はずだった。獣じみた剣は世の理すら飲み込み届かないはずの左の翼に伸び喰らいかかる。バキバキと嫌な音が響き、アークイーターは存在が書き換われかけていた翼をねじりかみちぎる。悲鳴を上げるウリエルから晶が距離をとり再封印すると、アークイーターは口に咥えていた翼をまずそうに吐き出し元の姿に戻る。
 墜落し、地面にたたき付けられたウリエルが身を起こすと、そこには優雅に椅子に腰掛けた少女がいた。
「『美』を追い求める貴方に、わたくしが『本物』の美しさをお見せいたしましょう」
「それは楽しみだな」
 ボロボロになりながらもウリエルは迷いの無い動作で突きを繰り出す。避けきれないとみるとベアトリスは低い姿勢でウリエルめがけ飛び込んだ。
 スピードに乗り切る前の槍が肩口を切り裂くが彼女の動きを止めるのには到底足りない。二つの身体が衝突しもつれ合い、片方が吹き飛ばされる。蹴りを入れて距離をとったベアトリスが先に体勢を整え、艶然と嗤う。
「対価は、貴方の命ですわ」
 命をたっぷりと吸って赤くぬれた銀の短剣から血を払い、託された直剣をすらりと抜く。
「基礎こそ究極にして至高の美。お受けなさいな?」
 たとえ刻を隔て、歩みこむ地が空に変わろうとも、ベアトリスの中で生きる剣技の基礎中の基礎である、正道の剣の鋭さには変わりが無い。瞬時に距離を詰めると横に払った一撃目で槍を弾き、下段に突き込んだ二撃目を回避させて追い込むと、何の搦め手も無いひたすらにまっすぐな突きを繰り出す。何度も繰り返し修練したその一撃は苛烈ながら優美でウリエルは自らの肉を貫く痛みすら感じずに感嘆する。
「ああ、見事だ。……美しいな」
 引き抜いた剣を追いかけるように大量の血が流れ出すが、ウリエルはそれすら気にかけずにベアトリスを褒め称える。そのまま力尽きそうになる身体を無理矢理起こし槍を構え直す。
「花と侮るなかれ。来なさい、槍の一撃とてしのいでみせましょう」
「最後の相手が花とはなんたる僥倖。全力でいかせてもらいます」
 あくまで優美に突き込む高速の穂先を両手で迎え打つ。心臓を狙った一撃を右のフックで打ちなんとか軌道を変える。脇腹を割かれながらも、左手で柄をつかみ、抱え力ずくでウリエルの動きをわずかに止める。
「この一瞬が隙です。緋は火なりて、奥義! 秘伝・緋炎陣刃の舞、攻!」
 暁紅を思わせる緋色が円を描いて走り、円陣結界を描く。
「この退魔の炎を美しいと思った時が貴女の負けです!」
 紅花の言葉が力を与え、炎は刃に変わる。結界内の無数の炎は次々にすべてを刃に変へ、剣先をウリエルに向け、一斉に解き放たれる。一閃一閃が舞の様に咲き誇り、花火の様に鋭く弧を描くなか、
「ならば、私はとうの昔に負けていたのですね」
 焼けた肺から静かな声を押し出すと、槍を手放したウリエルは光の粒子を振りまきながら仰向けに倒れた。

●月が照らす広場にて
「完敗しました。戦いでも、美しさでも」
 聞こえ辛い声音で天使は呟く。
「無様に負けた私を皆は許してくれるでしょうか……」
 かすむ目に誰かがのぞき込む影が映る。その相手に末期の力を振り絞ってウリエルは想いを伝える。
「それでも……悔しいけれど、あなた達の美がこの醜い世界を変えることを……私は美しく祈っています……」

 パラドクストレインが広場の端に停車し、ディアボロス達を呼ぶように汽笛を鳴らす。
「今の状況は俺らTOKYOエゼキエル出身の不始末みたいなもんだしな、少しは汚名返上となったよな」
「今回の信仰集めの作戦は失敗しました」
「これでひと先ず大天使側が港区を得ることはなくなったわね」
「あとは新宿島帰って終わりにしましょう」
 広場に背を向け、彼らは列車に乗り新宿への帰還を果たした。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
【無鍵空間】がLV3になった!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV5になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【ドレイン】LV2が発生!
【ダブル】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2021年10月02日

品川区の大天使による港区侵攻作戦

 アークデーモンによる残虐な作戦が行われている港区に対して、隣接する品川区の大天使が、侵略を開始しています。
 品川区の大天使は、アークデーモンの残虐行為を阻止し、港区の人々を自らの信者とし、ゆくゆくは港区を併合して、TOKYOエゼキエル戦争の覇者となろうとしているのです。

 品川区の天使よりも先に、残虐行為をするアークデーモンを撃破し、侵攻してきた港区の大天使の撃破し、その野望を食い止めてください。

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#TOKYOエゼキエル戦争
🔒
#品川区の大天使による港区侵攻作戦
🔒
#品川区


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選択肢『【攻略旅団】大天使の軍勢を押し返す』のルール

 この選択肢は、ディヴィジョン攻略旅団からの依頼によって発生した、【調査・探索】選択肢です。
 品川区の更に奥側にある大田区の動向を探る為、品川区への逆侵攻を企図します。
 品川区から港区に攻め入る大天使の部隊との戦闘中、敵の軍勢を品川区側に押し込み、品川区で撃破します。
 この選択肢を多く成功させると TOKYOエゼキエル戦争の事件が進展した時に、品川区方面の事件に関わることが出来るので、その向こうにある大田区への足掛かりとなるでしょう。
 誘導するべき敵、誘導する場所、誘導する目的などは、オープニングやリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾取り巻きトループス級『刈取の悪魔』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)の取り巻きのトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 取り巻きトループス級は、👿と常に一緒に行動していますが、戦闘時に👿を庇うような行動はとらず、👿が撃破すると、逃走していきます。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾大群のトループス級『ソードメイデン』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)配下のトループス級クロノヴェーダ(👾)の大群と戦闘を行います。
 敵の数が多いので、撃退するには時間が掛かるかもしれません。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える行う必要があるでしょう  詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『大天使ウリエル』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「白石・明日香」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。