リプレイ
●
その女性はブリードデーモンたちに追い立てられるまま建物内を逃げ回っていたが、いたぶるような追跡に焦ってしまったか、周囲に散乱する瓦礫に足を取られ倒れこんでしまう。
「ひっ……!」
引きつったような悲鳴と共に視線を後ろへ。追いかけっこは終わりだとばかりに舌なめずりしながら近づいてくる数体のブリードデーモンが、女性を包囲するように近づいてくるのが目に入った。
這うようにしてそれでも何とか逃走を続けようとするのだが、恐怖と焦りで体に力が入ってくれない。
もう駄目だ。自身めがけて迫りくる触手の群れに、女性は思わず目を閉じて――……
呉守・晶
チッ、キモい奴らだな
デーモンつーか薄い本に出てくるオークじゃねぇのか
い、いや、薄い本もエロ本も読んだことないぞ!?(年齢的な建前)
ともかく情報取られるのは覚悟の上で急いで駆け付けるぞ
一般人に被害を出さない方が俺として優先だからな!
舞うように動き回って触手を避けながら、魔晶剣アークイーターで触手を切り払いながら隙を見て懐に飛び込んで斬り捨てるぞ!
隙は、どうせ勝手にできるだろ
激しく踊るように動くから胸がバインバインと揺れまくるからな、普段は無自覚だが今回は意識的にやってやる
非常に嫌だが、こういう奴ら相手には効果的だろう。隙を作るのにも、一般人から俺に標的を移すのにもな
あ?オセ?誰と勘違いしてんだ?
「チッ、キモい奴らだ。デーモンつーか薄い本に出てくるオークじゃねぇのか」
「お、オセぇ!!?」
「あ? オセ? 誰と勘違いしてんだ?」
直後、ブリードデーモンたちの狼狽したような声に女性はそっと閉じていた視界を開く。
目の前にいたのは、剣を構えた少女。どこか男性的な気配を持ちつつもメリハリの利いた体を持った彼女――呉守・晶(TSデーモン・g04119)は、弾いた触手を介して手元の剣に付着した粘液に実に嫌そうな表情を浮かべたが、すぐに気を取り直して武器を構えた。
すでにメンゲの放ったネズミは交戦の様子をカメラに収めていることだろう。相手側に情報を取られるのは癪ではあるが、それよりも一般人へ被害を出さないことの方が優先すべきことだ。
「お姉さん。俺があいつらの注意を引くから、その間に逃げな」
「え……?」
返事も待たずに、晶は駆けるようにブリードデーモンめがけて跳躍。その挙動に伴い、シャツの胸元に描かれた文字が自己主張するように上下に揺れる。
健全な男子ならば思わず目が行ってしまうその動きに、本能と欲望だけで生きている存在は面白いくらいの過剰反応を見せた。
「たまらねえなァ! とっ捕まえりゃオセとヤッてる気になれそうだ!」
下卑た表情を隠すことなくブリードデーモンたちは空中の晶を捕らえるべく一斉に触手をけしかけるが、彼女は迫るそれを振り払うように蹴り上げた。
続いて飛来する別の触手を足場に更に跳躍、地面へ着地。着地際を狙って次々と飛来する触手の群れを舞うような動きで振るわれる剣で弾き、回避していく。
防戦一方にも見える状況ではあるが、晶の目にはブリードデーモンたちの隙がすぐに見えてきた。
なにせ、触手をいなす晶の激しい動きに伴って彼女の巨乳が揺れ動くたび、明らかにブリードデーモンたちの手が緩むのだ。
揺れ動くその様を一秒たりとも見逃さないといわんばかりの凝視具合である。なんなら拝むように手を合わせている奴すらいる。
そういう反応を示すだろうと見込んだ上でわざと揺らしてみたものの、こうも無遠慮に凝視されれば嫌悪感は隠せない。
(「男ってやつは
……!」)
呆れと怒りを足に込め、床を踏み抜くような勢いで地面を蹴る。
鋭い踏み込みと共に彼我の距離が一気に詰まったことにブリードデーモンたちが動揺を見せたが、遅い。
晶の振るう魔晶剣が触手をバラバラに切り裂くと、突如生まれた痛みにブリードデーモンたちはたまらず悲鳴を上げた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
ディアナ・レーヴェ
※一般人を守る邪魔にならないよう動く
※性的描写苦手です
これ、復讐者を強大な共通の敵と認識させる材料にするんでしょう?
――だったら!
行動タイミングは他復讐者の戦闘開始辺り
戦闘がよく見えそうな物影から鼠を探すわ!
見つけたらまず知らんぷりしつつ、その鼠の通信だけ残し【通信障害】
そして眼の前で【(鼠以外の)敵へパラドクスではない銃撃】をする
「堅い!?」とか悔しげに叫んで派手に反撃一撃貰うわ
傷押さえて痛そうな顔して、足りなかったら仕込んだ血糊でも撒いて
で、余計な優勢を映す前に改めて全て【通信障害】!
仲間に「上演終了よっ!」と笑顔を向け、油断させる映像を流す作戦と示すわ
…多少の怪我はまあ、やせ我慢っ
●
敵にデータを採取されるよりもまずは目の前の一般人を救う方が先だとブリードデーモンへ突撃していった晶であるが、その攻防の様子は実はメンゲの手元まで届いていない。
何故か。
端的に回答のみを出すならば、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)の工作の賜物である。
晶が敵へと飛び込んでいった瞬間、その傍らにいたディアナの視線はむしろ周囲に散乱する瓦礫へ向けられた。
戦いに意識を向けていれば見逃してしまいそうになる傍観者の存在を、軍師を自称する少女は目ざとく捕捉しているのだ。
(「これ、復讐者を強大な共通の敵と認識させる材料にするんでしょう?」)
――だったら!
ディアナの意思が電波の往来を拒むべく世界を書き換える。それだけで本来メンゲへと送信される戦闘の様子はカメラの中に留まってしまい、外に出ることは許されなくなる。
あるいはそのままであれば、通信が続かない状況をメンゲが訝しんでいたのかもしれない。だが、疑念を抱かせるよりも早く、ディアナは銃を構えネズミが潜んでいそうな瓦礫の前に陣取った。
一瞬、通信障害を解いて映像の往来を復活させる。
ネズミが向けたカメラの先に映るのは、破壊されたオブジェに身を隠しブリードデーモンへ発砲を繰り返すディアナの姿だ。
「堅い!?」
パラドクスでなければクロノヴェーダへ傷を与えることは叶わない。それを知らないように愕然と銃口を見つめるディアナを前に、まず抵抗する力を奪うのが近道だと判断したのか、ブリードデーモンは彼女へ無造作に距離を詰め、そのまま叩き潰すように拳を振り下ろす。
「ぅあっ!」
直撃だけは何とか避けた。そんな様子で後ろへ飛び退るディアナであるが、拳の衝撃に打たれたか軍服の内からじわりと滲む赤をカメラは見逃さない。
苦悶の表情でブリードデーモンを見上げながら再度通信障害を引き起こし、これ以上の情報漏洩を塞ぐ。
「上映終了よっ!」
ひとまずこれで、苦戦するディアボロスの様子を敵の手元へ押し付けられただろう。この映像が他区の支配者へ出回るとすれば、むしろこちらを甘く見る要素となりうるはずだ。
ネズミへの対応に動く他の者たちが同様に苦戦する様子を流し続けるか、そもそも映像の流出を嫌いネズミの排除を優先するか。そこはやりやすいようにやればよい。
服に滲む血の匂いに虚偽の様子は見られないが、それでもディアナはやせ我慢を交えた不敵な笑みで、迫りくる敵を見遣った。
大成功🔵🔵🔵
効果1【通信障害】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
テレジア・ローゼンタール
力なき民を守るのは騎士の責務です
鬨の声(大声)をあげて【突撃】
女性を襲おうとしている悪魔を魔剣で突き穿つ
おおおお!!
いかにも体力自慢、一突きで殺せるとは思っていない
女性から意識を逸らさせ、こちらへ向けるのが目的
生臭い豚面め
弱い者いじめとは、その腕は虚仮威し用か?
雄としての意気地があるなら、私を屈服させてみせろ
見え透いた【挑発】だが、知能が低い手合いははっきり言わないと伝わらない
怒りと共に繰り出される触手の動きを【看破】し【命中アップ】
【斬殺の一閃】を以って【斬撃】
触手に捕らわれても、【破壊】の魔力(オーラ操作)を纏った拳(グラップル)で【強打】して脱出
至近距離で魔剣を【薙ぎ払って】【両断】する
野口・希実
(ブリードデーモンをひと目見た瞬間、忌まわしき記憶が蘇る。ディアボロスと化し、髪が青くなるよりも前の記憶だ……希実はこの豚めいた存在の『被害に逢ったことがある』。地獄という形容すら生温い責め苦を受け、三桁を優に超す数の兵隊を”生産”させられた。黒かった髪も極度の心身負荷で真っ白になり、義兄弟姉妹もそこで多く喪われた。
未だ彼女を夜な夜な苦しめる程の心的外傷は、彼女の正気容易く消し飛ばした。
激しい動悸が襲い、胃液がこみ上げる。そして、それらを飲み下し塗りつぶさせる程に強烈な憎悪と殺意が溢れ出して止まらない。
喉が擦り切れんなかりの絶叫を上げながら、鎌を振り回して豚という豚を切り刻まんとする。)
虚偽の情報を押し付けるためとはいえディアナが受けたダメージは小さくない。
明らかに動きの鈍った彼女を捕らえようと、ブリードデーモンは舌なめずりをしながらまだ無事である触手を伸ばしかけ――
「おおおお!!」
それよりも早く、凛々しい声を周囲に響かせながら突撃してくるテレジア・ローゼンタール(魔剣の騎士・g01612)が構える刃の輝きが敵を捉えた。
その切っ先は人体における心臓部に間違いなく突き立てられたはずであるが、どういう了見なのか性欲にまみれ血走ったブリードデーモンの目は未だその輝きを失わない。
「生臭い豚面め」
距離をとるよりも早くテレジアの腕に巻き付いてくる触手たちを、吐き捨てるような言葉と共に拳に魔力を込めて振り払う。
「弱い者いじめとは、その腕は虚仮威し用か? 雄としての意気地があるなら、私を屈服させてみせろ」
「活きのいい女だ! 俺に傷つけたことを後悔するまで可愛がってやるぜ!」
他者への注意をそらすことが目的であるにしても、あからさますぎるほどの挑発。けれど、目の前に獲物になりそうな女性が目の前にいればそれ以外への注意が揮発するのがブリードデーモンという存在だ。
もはや目の前の個体は銀髪の女騎士にしか目が行っておらず、当初狙っていたはずのディアナや、ディアボロスの乱入によって徐々にこの場から離れていく一般人の女性は意識にないようだ。
「ァ、……アアアアアアッッ!!」
そんな下半身で物を考える存在ですらも、突如周囲に振りまかれた野口・希実(東京解放義勇軍四天王・"ソティラス"の影・g03701)の喉から放たれる擦り切れんばかりの絶叫には、思わず意識を向けてしまう。
その場の全ての視線の先、まだ身体も完成しきっていないような希実の小さな体躯が鎌を持ちブリードデーモンの一体へと突撃していく光景に、誰もが一瞬動きを止めた。
「待って、無理な突撃は……!」
テレジアの声も届かないのか、一瞬で間合いを詰めた希実はテレジアと対峙していた個体とは別のブリードデーモン……希実から一番近い位置にいた個体目掛け、がむしゃらに鎌を振り回す。
その攻撃をブリードデーモンは自身のタフネスに任せて両腕で受け止め、武器を振り回す少女を捕らえようと触手を蠢かせた。
攻勢一色に染まる意識は迫る触手へ有効な回避手段を打ち出せず、身体が侵食されるような不快な感触と共に少女の身体は触手によって拘束されていく。
「ひ、」
直後、ディアボロスとして力を得るよりも前の記憶が希実の脳裏を埋め尽くし、知らずの内に少女の喉から引き攣ったような声が漏れた。
豚めいたこの存在の『被害にあった』時の、言葉で語ることすら憚られるような体験。
髪が真っ白になるような心身の負荷、そして多くの義兄弟姉妹を喪った記憶。
腕にまとわりつくぬるりとした触手の感触は、夜な夜な彼女を苛む強烈なトラウマを無遠慮なくらいに踏み抜いていた。
「さぁて、ここからがお楽しみ……」
「させるか!」
希実へ汚らわしい視線を向けていたブリードデーモンへ、この一瞬の間に対峙していた個体を片付けたテレジアが大剣を振るう。
怒りを食むことで破壊力を増していく刃と、神速の踏み込みとを掛け合わせて生み出される斬撃の威力は、体力自慢のブリードデーモンといえどそう易々と耐えられるものではない。
手ごたえあり。両断せんと袈裟に振るわれた斬撃は敵の身体を強かにとらえ、その身体に明確な傷跡を刻んだ。
そして、テレジアの斬撃によって触手の拘束が緩んだ隙を、ディアボロスとしての野口希実は見逃さなかった。
喉奥までせり上がっていた胃液も、動けなくなりそうなくらいに全身に響く動悸も、それを上回る憎悪と殺意が飲み下す。
腕を引き抜くように触手の戒めから逃れ、希実はもう一度ブリードデーモンへと突撃。
けれど、今度は衝動に任せた突撃ではない。
再度獲物を捕らえるべくブリードデーモンは触手を希実へけしかけるが、それらが青の少女へ届くことは最早なかった。
左右から飛来する触手を、小柄な体をかがめるように潜り抜けて回避。復讐のため繰り返されてきた弛まぬ努力が生んだ、流体のごとく滑らかな動きはそのまま容易にブリードデーモンの背後をとる。
豚もどきが慌てたように後ろを振り返ろうとするが、それよりも早く、魂すらも裂くほどの鋭さを湛えた大鎌が三度閃いた。
「コマ切れに、してやる……!」
「が……!」
首が、胴が、両足が。目にもとまらぬ速度で空間をなぞった線の軌跡に存在していたブリードデーモンの身体は易々と四つのパーツに分かれ、そのまま音を立てて床に転がる。
狂気にも似たその一撃によって、残っている個体に恐怖が生まれたのかもしれない。
その後のブリードデーモンたちの動きは明らかに精彩に欠くものであり、弱気の虫が取りついたトループス級など最早ディアボロスの敵ではなかった。
建物の中が静まり返るまで、さほど時間はかからなかった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
大和・恭弥
・一般人を守る行動の邪魔にならないよう注意する
・過激な描写はNGです
仲間がブリードデーモンの討伐に向ってくれてるようだな。
苦手だけど……俺も情報工作に助力させてもらおう。
他の仲間が戦闘を始めると同時に動き始める。
行動中は物陰や混乱の最中に紛れて【光学迷彩】で移動
晴彦を呼び出して潜んでいる鼠らを残らず探し出していく。
おそらく仲間が戦闘するところを映そうと集まるだろう。
あらかじめ俺も戦いに参戦する体で藍雪花染を抜刀し、
演技をして鼠をおびき寄せておく
臨機応変なタイミングで【通信障害】を借り
晴彦と協力して苦戦している自分を映したあとに通信障害、
一気に虚無剣の秘技で鼠を空間ごと一閃し存在を抹消しておこう
●
(「向こうはあらかた片付いたようだな」)
戦闘音が次第に止んでいくのを耳で受け止めながら、大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)はそんなことを思う。
散乱する瓦礫に紛れて視認がされにくくなるように己の認識を書き換えながら、傍らに控えるクダギツネ『晴彦』の手も借りながら散乱する瓦礫の下の気配を探っていくと、ほどなく戦闘が繰り広げられている地点から少し離れた場所でそちらを観察するネズミの姿を見つけることができた。
(「情報工作は苦手だけど……」)
とはいえ、ディアナが展開した通信障害によってカメラの映像がメンゲへ届いていないことには気づいていないのならば、この状況に乗らない手はない。
別所を探していたのだろう。残存するブリードデーモンが一体、物陰から希実たちへ少しずつ距離を詰めていくのを見遣り、恭弥は光学迷彩を解除し妖刀を抜き放ち。
「そこまでだ!」
周囲へ飛んでいく通信をせき止めていた力を一時的に止め、潜伏するネズミにも届くように張り上げた声と共に、ブリードデーモンへ斬りかかる。
「んだよ、男かぁ?」
つまらなそうなブリードデーモンの表情よりも、発した声にネズミが潜んでいる地点から視線が向けられたことに手ごたえを感じる。
迎撃する剛腕は恭弥からすれば容易に回避できる速度でしかなかったが、それでも彼は振るわれた拳を剣で受けることを選んだ。
「……っ!!」
その膂力に、吹き飛ばされる――そんな体を装って、恭弥の身体がネズミの潜んでいる瓦礫の方へと飛んでいく。
苦戦の様子を収めつつ巻き上がる砂煙を嫌いネズミが場所を変えようとするが、その進路を読んでいたように晴彦の鼻先がネズミの身体を小突いた。
「!」
動揺したような気配が手に取るように分かる。まさか感付かれていたとは夢にも思っていなかったのだろう。
媒介者はクダギツネから逃れようと慌てて四肢を振り回すが、それよりも杖代わりにしたと言わんばかりに床に突き立てられた妖刀がネズミの身体を貫く方が早い。
「仕切り直しだ。もうこの場にネズミもいないようだし、遠慮の理由もない」
周辺の気配から察するに、もう一匹、二匹はこちらを観察するネズミはいるだろうが、隠密を優先する性質上また別所に潜んでいるはずだ。
であれば、無駄に苦戦を演じる必要もない。
一度オフにしていた通信障害を再度展開し、恭弥は先の返礼だと言わんばかりにブリードデーモンへと素早く切り込んでいく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
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さて。未だ残存する媒介者とは別に、戦闘を繰り広げるディアボロスの様子を静かに観察していた者がいる。
戦闘の舞台となった建物の屋上に陣取っていた彼女たちは、コンクリート越しに建物内の状況を見つめながら言葉を交わしあう。
「やるじゃんディアボロス。あたしあの豚ちゃん嫌いだったからちょっとスッキリかも」
「スッキリは同感だけれども、いけ好かない奴だとは言えブリードデーモンをあっという間に片づけたあの力量、油断しちゃだめよ。トループスとは言えあなただってまだ死にたくはないでしょ?」
「オセちゃんがそう言うならそうかもね。りょーかい。それじゃま、行きましょうかー!」
建物内を徘徊するブリードデーモンを完全に根絶やしにした瞬間、ディアボロスたちは頭上から降ってくる強烈な敵意に弾かれたように視線を向ける。
そう。まだ戦いは終わっていないのだ。
アークデーモン『デーモンギャル』の集団、そしてそれを指揮するアヴァタール『悪魔の雌豹オセ』。
彼女たちはディアボロスがブリードデーモンを撃破したことによって生まれた一瞬の空隙を狙いすまし、建物の屋上をぶち抜いて強襲を仕掛けてきた!
ディアナ・レーヴェ
アドリブ連携歓迎
機関銃を手に【昏迷乱擾の計】――覚えたての拙いギャル語(「っていうかー?テンション?あげあげぇー!イケイケぇー!!」)で敵集団に割り入っては「ずっと思ってたんだけどぉ、あんたうざくなーい? いぇーい!」みたいな悪口で【撹乱】するわ!
どうかしらこの完璧なギャルの擬態!!(【観察】)
服装だってね、ちゃんと軍服の上着を脱いで、胸元のボタンを2つ分くらい着崩したりしてるのよ?
ほーら私ったら悪い子さん!
(ドヤ顔しているが、要するに根っこのギャル適正は皆無のようだ…)
反撃のギャル語は謹んでメモって己の糧とさせていただくわ。
よし、
┣っヶ¨(キーッ!!
●
直後、何かが床を転がった音がデーモンギャルの耳に届いた。
一瞬遅れて周囲を白に塗りつぶさんばかりの閃光、そして轟音。
突如巻き起こるそれをスタングレネードによるものとまでは理解できないものの、デーモンギャルもまたクロノヴェーダだ。一瞬動揺した気配を見せながらも、すぐに警戒を交えながら白の闇に負けない視界を確立し周囲を見渡して。
「右よ!」
近場からの声に素早くそちらへ視線。いない。
「やっぱ左!」
ぐりんと首を左へ向けるが敵性存在はいなそう。
「ていうかー、ずっと思ってたんだけどぉ、あんたうざくなーい? いぇーい!」
何言ってんの。
視線を声のする方……いつの間にかデーモンギャルの集団に紛れ込んでいたディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)へ向ける。
機関銃片手にノリノリで拙いギャル語をまき散らす白い肌は、対照的な肌を晒すデーモンギャルの中では何とも目立つ。
本人の感覚からすれば完璧にギャルとして擬態できているらしいのだが、前述の肌の色であるとか、ギャルの定義が『衣服着崩してる悪い子』であるとか、それを表現するための行為が上着を脱いだ上でボタンをちゃんと留めていないだけであるとか、こう言っては何だがギャルをやるには無理がある。
それを感じたのはデーモンギャルたちも同様で、自信満々のドヤ顔を前に、どうしたものかと顔を見合わせる。
(「どうする?」)
(「んー、頑張ってるみたいだし、ちょっとギャル道伝授しちゃう?」)
(「おけ」)
ぱぱぱとアイコンタクトを交わし、生ぬるい結論に至った数名のデーモンギャルがやおらディアナの肩へ腕を回しがっちりとその身体を拘束。
「まず日サロ? マンバまでやるかは後で考えるとしても」
「ネイルもやらないとねー」
「それとまつエクしねーと。この辺お店あんだっけ?」
「え? え?」
頭上で飛び交う謎の言葉にディアナの視線は行ったり来たり。
現代の日本から4600年前のエジプトまで問題なく意思疎通を行えるディアボロスであれど、繰り広げられる会話は難解が過ぎる。
略語だらけの会話が何一つ呑み込めないままのディアナを抱え、ギャルたちは日サロを求めてそのままどっかへ去っていくのであった。
「と、┣っヶ¨(キー?」
「そうそう、┣っヶ¨(キーッ!」
ギャルたちの頭数を減らせたのでまあ、結果オーライという奴だ。
その代償として彼女が何を学んだかまではわからぬが、ディアナ・レーヴェ、一時戦線離脱――……
成功🔵🔵🔴
効果1【通信障害】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
テレジア・ローゼンタール
ひとまず一般人が狙われる危急の事態は片付いたようですね
護衛を突破し、アヴァタール級との決戦は激戦必至
ネズミを放置すれば、復讐者の力量が露呈することに繋がる
なので強襲のどさくさに紛れて前線を退き、確実に潰す
決戦の重要性は敵も重々承知の筈
最もよく観察できる場所できる場所となれば限られてくる
掲示されている見取り図も参考(情報収集)に、候補を絞っていく
邪魔な壁を残留効果【一刀両断】で斬り裂き、最短経路で急襲
【怨憎の斬閃】でネズミをバラバラに斬り殺す(斬撃・両断)
見せたパラドクスはSPD属性のみ
本当はPOWが得意なのですが、私のことを速度重視と誤認してくれるでしょう
●
さて。
ディアナによって場がグダグダになった訳だが、生まれた閃光によって誰もの視界が一瞬潰れた瞬間、テレジア・ローゼンタール(魔剣の騎士・g01612)は動きだしていた。
(「ひとまず一般人が狙われる危急の事態は片付いたようですね」)
敵の集団から一度距離を取り、ブリードデーモンに襲われかけていた女性が姿を消していることを確認しつつ、視線を鋭く周囲に巡らせる。
彼女の目的は、まだ周囲にたむろしているであろうネズミたちの排除だ。いくら通信障害でリアルタイムの映像を塞いでいるとはいえ、カメラを回収されたらデータはメンゲの手に渡る。
アヴァタール級を釣り出せている状況、この場の決着はそう遠くない。こちらの力量が露呈することを防ぐためにも、このタイミングで確実に観察者を排除しなければならない。
考える。この状況を観察したいのならばどこに張るべきか? アヴァタールというそれなりに力を持つ存在との激突を観察できる場所、それを考えればベストポジションは限られてくる。
足元に散乱する瓦礫の下、否。戦闘を始終観察することを目的とするならば、恭弥がやったように戦闘の余波ですぐに視界が塞がる場所は好ましくない。
逆はどうだ。上からならば戦闘による地形の変化を気にせず一部始終を捕らえることはできる。
テレジアの視線が天井――オセやデーモンギャルたちがぶち抜いた結果、ぽっかりと空いた穴へ向いて。
(「いた!」)
眼鏡の奥、テレジアの視線が鋭く細められる。
上階、ディアボロスたちは来ないだろうと高をくくっているのか、申し訳程度に物陰に潜みながら、下の階の様子を見つめているネズミの姿が確かにそこにあった。
それを確認するや、テレジアは倒壊した背の高い棚まで音もなく駆け抜け、それを足場に跳躍。
「!」
事ここにきて、ネズミもテレジアが接近していること、そして彼女の視線に排除の意図を認めるが、己の職務に忠実すぎたが故か気づくのが遅すぎた。
大剣を振るったとは思えない速度と軽い音を立て、天井を刃が通り抜ける。
魔剣の騎士の逃さないという意思がネズミが足場としていた周辺を撫でたかと思えば、一瞬遅れて通り抜けた刃によって床は断たれ、重力に囚われたネズミは落下。
「叩っ斬る――!」
猫の牙と呼ぶには無骨すぎる大剣に、怨嗟と憎しみを纏わせて。振るわれた刃は空中に囚われたままのネズミに回避の余地を与えるよりも早く、その身体をバラバラに切り刻んだ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【温熱適応】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
呉守・晶
あ?またオセ呼ばわりかよ
って、あぁ……納得だ。くそっ、忌々しいな
あの顔ってことは元のクロノス級はグレモリー配下だったんだろうなぁ
おっと、その前のまずはこいつらだな
おい、俺の顔が地味って……じゃあ、ほぼ同じ顔のオセはどうなんだよ?
地味っていうなら派手にしやる、黄金は好きか?好きなら幾らでもくれてやるよ!
砂金を展開してギャル共を覆い尽くして、手を握り込むのを合図に砂金で圧し潰して引き裂いてやる!
これ元はグレモリーのパラドクスだけあって、あんま好きじゃないんだがな
先制されるか締めきれずにギャルメイクされそうになったら
や、やめろ!俺は男だぞ!?ぐ、ぐわぁぁぁ!?
ち、チョベリバー!?
尚、意味は良く知らん
「あっれー、オセちゃんなんか地味くなったね? てかなんでそっちいるの」
(「またオセ呼ばわりかよ」)
同じ日にまた『オセ』と呼ばれた事実に、呉守・晶(TSデーモン・g04119)は怪訝な顔。
けれど、デーモンギャルたちの背後に控えるアヴァタール……女性としての己の顔に酷似した存在を認めると、その表情を忌々し気に歪めた。
(「あの顔、ってことは元のクロノス級はグレモリー配下だったんだろうなぁ」)
「やーぱ偽オセちゃん地味くね? もっと派手にいこうよー」
何か思うところがあるのか考え込む気配を見せる晶へ、デーモンギャルたちは無遠慮に肉薄。そのまま化粧っ気のない顔をペタペタと触ってくる。
「おい、触るな! 俺の顔が地味ってなら、ほぼ同じ顔のオセはどうなんだよ?」
「顔が同じだからメイクで差ぁ出んじゃん。もっと可愛くなろうぜー!」
まるで達人が名刀を抜き放つ時のような威圧感と共にギャルたちがバッグの中から化粧品を取り出す。
じりじりと距離を詰めてくる化粧水やベースメイクの道具、果てはアイライナーや口紅といった数多のアイテムに気圧されてしまい、晶の足は自然と後ろへ下がっていた。
「や、やめろ! 俺は男だぞ!?」
「あたしらより立派なカラダしといてそれは無理あるんじゃね?」
ぐわぁぁぁ!? と普段ならどれだけ強大な敵が相手でもあげないような悲鳴と共に抵抗を見せる晶であるが、こういう時のギャルは妙に強い。
しばしの間顔にあれやこれや塗りたくられたかと思えば、不意に手鏡を手渡される。
恐る恐るのぞき込んだ鏡の中。そこに映っていたのはかなり濃いメイクを施された己の表情。
元は男であったが故にここまで踏み込んで化粧を施すことがなかった彼女にとって、鏡に映る顔はまるで別の存在のようで。
――これが、わたs
「チョベリバー!?」
なんて言うとでも思ったか畜生がー! みたいなことを言いたかった気配を醸しつつびたーんと手鏡を床に叩きつける。
「ちょ、偽オセちゃんそれあたしのなんだけど大事に使ってよ!」
「うるせー! そんなに派出がいいならいくらでもやってやるよ! 黄金は好きか!?」
「へ?」
呆気にとられた表情を浮かべるギャルたちの周囲に、不意に黄金色の砂が渦巻いた。
元はグレモリーのパラドクス。晶としてはあまり好きなものではないが。
だが、構わないとばかりに右手を握りこむ。その挙動に伴いギャルたちの視界を覆うほどにその量を増やしていた砂が、一瞬で収縮。
「……!?」
強烈な圧が込められた砂の中で、悲鳴のようなものが漏れた気配。
数秒の後、砂が霧散していく。その時点でこの攻防は決着がついていたようで、デーモンギャルたちはそのまま床に崩れ落ちた。
成功🔵🔵🔴
効果1【現の夢】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV2になった!
大和・恭弥
急襲してきたから、迎撃しようと構えたものの……。
(仲間の惨状を含め呆気に取られる現代16歳男子)
現代じゃ白ギャルが多いんだよな。昔、幼い頃に見た人たちだ……。
聞き慣れない単語に困惑しながらも、攻撃は精神集中して避ける。
一般人を傷つける心配はなさそうなので藍雪花染の呪詛は全解放。
状況として【光学迷彩】も使えそうだけど、敵の攻撃は見境なさそうだから【飛翔】で躱し、呼吸を読んで先手を打てるように動こう
…申し訳ないけど、その完璧にメイクした顔狙わせてもらうな。
--晴彦、頼む。
仲間は巻き込まないように晴彦を敵の顔に突撃させ、
動揺した隙を狙って斬りかかり藍雪の糧にさせてもらうよ。
アドリブ・連携可
一種、惨状と言ってもいい状況かもしれない。
仲間たちを襲うデーモンギャルからの強烈な攻撃……うんまあ攻撃ってことにしておこう。強烈な攻撃を前に、敵からの強襲を警戒し迎撃の姿勢を見せていた大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)は呆気にとられたような表情を作ることしかできない。
「ていうかイケメンいんじゃーん! ねえねえあたしたちと遊ぼうよ!!」
真っ黒に焼けた顔を喜びで満たしこちらへ突っ込んでくるギャルたちに、目をつけられたかと恭弥は内心で嘆息。
現代では白ギャルが多いんだよな……などと幼い頃に流行っていたメイクを前に思いはしたが、迂闊に何か口走ろうものなら途端に面白いことになりかねないので言葉を飲み込む。沈黙は金。
「お兄さんいくつ? どこ住み? 電話番号教えて?? あと壁ドンして???」
物凄く肯定的に捉えるならば、デーモンギャルたちの言動は場の主導権を握るための手段の一つなのだろう。
矢継ぎ早に繰り出される勢い任せの言葉たちを前に困惑が生まれるのも事実であるが、ここでペースを乱してはいけない。
砂煙を巻き起こす勢いで突っ込んでくるデーモンギャルを前に、恭弥は跳躍。空を滑るような軌道を描き彼女の頭上を飛び越える。
その動きを追うようにデーモンギャルの視線は自然と上へ。恭弥の動きを追いかける視線が、真上を通り過ぎる瞬間の彼を素早く捉えて。
「申し訳ない。その完璧にメイクした顔狙わせてもらうな」
「わっ!!?」
降ってきた言葉と共に、不意にデーモンギャルの視界が暗くなる。
閃光によるものではない。デーモンギャルの注意が上空に向けられた瞬間、命じられていたクダギツネの『晴彦』が敵の視界を塞いだのだ。
「もう! 獣クサーい!!」
言葉の中に苛立ちを交え、デーモンギャルはすぐさま晴彦を引きはがしたが、その一瞬でギャルの背面を抑えた恭弥は刀を抜き放っていた。
手に持つ刀が、碧い気に包まれる。
数多の感情を呪詛となし刀身に帯びることで空間すら断つことができるほどの力を帯びた刃は、ギャルが恭弥の方を振り返るよりも早く彼女の身体を横一文字に通り抜けた。
「……へへ。顔斬らないってのはわかってんじゃん」
「女の命とは言うからな」
胴から上下二つに分かれたデーモンギャルが、呪詛に食われてその存在を失っていく。
冬の夜空に舞う牡丹雪のように散っていく彼女の最後の表情は、恭弥の回答に満足したと言わんばかりの笑顔だった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【ダブル】がLV3になった!
●
「……なるほどね」
場のデーモンギャルたちが全滅し、そこで初めてアヴァタール級『悪魔の雌豹オセ』は口を開いた。
コツリとヒールを鳴らして瓦礫の影に近寄ると、携えている黄金の剣を目に見えないほどの速度で振るい、瓦礫を粉砕する。
その下にいたのは、ネズミ型のトループス。瓦礫を切り刻む軌跡に巻き込まれたそれが細切れになったのを確認してから、ようやくオセはディアボロスの方を向いて。
「ネズミはこれで最後。これでもう出歯亀はいないから安心なさい。
まったく、私たちを当て馬にしようだなんて気に食わないわね。あなた達がネズミを探してるのを見なければそれに気づけなかった私も大概ではあるけれど」
穏やかな声色に反して、オセがディアボロスへ向ける視線に込められた臨戦態勢の気配は、いまだ消えていない。
「とはいえ、この場で引き上げるのも格好がつかないのも事実だからね。悪いけど、当初の目的通りあなたたちはここで倒させてもらうわよ。
安心なさい。メンゲにはあなた達は強敵だったって言っておいてあげる」
建物の照明を受け、オセの持つ剣がぎらりと怪しい輝きを放つ。
その輝きをもって、彼女は場のディアボロスへ宣戦布告を突き付けた。
ディアナ・レーヴェ
連携歓迎
そこまでよ!
(【飛翔】で高所に登って高らかに告げる。…妙にまつ毛パッチリした顔で!)
※日サロは勘弁頂いた
随分と品のない兵と、あと…えーと色々愉快な兵だったわね!?おかげで私大惨事よ!!
…まあその、あのネイルって奴は少ーし楽しかったけど…!(もそもそ)
――等と、阿呆っぽい無駄話をわざと。
私ここまで「何か殴られた人」「何か連行された人」位にしか見えてないだろうし、ポンコツだと思って甘く見てくれていいのよ?
話の間、冷静に敵の挙動を【完全視界】で【観察】
頃合で【Rat】――その隙を、軍師は突く!
反撃で知性が下がるなら、動きも読み易くなるかしら?
凶暴な敵でも、行動を誘導して隙を突けばいけるはず!
●
「そこまでよ!」
頭上から降ってきたその声に、武器を構えたままのオセは弾かれたように視線を上へ。
視線の先、強襲のため自身がぶち抜いた上階の穴の縁に、妙にまつ毛がぱっちりとした女……ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)が立っている。
「随分と品のない兵と、あと……えーと色々愉快な兵だったわね!? おかげで私大惨事よ!!」
「品がない方はごめんなさいだけど、愉快な方とは楽しくやってくれた?」
「あ、うん。ネイルってやつは少し。少ーし!」
何やら施されたらしい爪をこちらへ向けるディアナの姿にオセは表情を緩めた。
「それはよかった……けど、」
言葉と共に、オセの身体が黒く染まっていく。だけではない。両手の剣までも体の中へ取り込んで、その姿を豹へと変貌させていく。
「ここに来たってことは戦いに来たんでしょう? 容赦しないわよ」
次の瞬間、豹の姿がその場から掻き消えた。
ディアナの目が大きく見開かれる。ディアボロスの目でも負いきれぬ速度で黒豹が床を蹴ったのだと、そこまでは瞬時に理解できた。
(「そうであれば、読み通り
……!」)
豹の姿を取るとき、低下する理性の分オセの動きは直線的になる。
そう読んでいたディアナは周囲に敵の姿を求めるよりも早く携行していた巨大な火砲を水平に構え、発砲。放たれた弾丸は自身が立っている地点の対面の縁へと着弾。
「っと
……!?」
生まれた爆発に一瞬遅れて黒豹が飛び出してきた。ディアナが砲撃した地点を足場にするつもりだったようだが、先んじて足場が破壊されたことに驚きの声が漏れる。
かといってそのまま落下するような無様は晒さない。即座に物理法則を書き換えて空中に足場を作成。
改めてディアナを襲うべく空中で一瞬の貯めを作り――それよりも早く、銀髪の女が次弾を装填する方が早かった。
構わず飛び掛かるか、一度距離をとるか。
凶暴性に満ちた思考の中で、それでもオセは追撃の一射を前に、攻撃よりも回避を選んだ。
空中で作った足場を蹴る向きを強引に変え、迫る砲弾とその爆発から強引に体を逃す。
ディアナの立っている地点から距離を置いて着地した黒豹が、再び女の姿に戻っていく。爆発に身を焼かれたか、その身体は少し煤けていた。
「ポンコツだと思って甘く見てくれていいのよ?」
「冗談。もう油断なんてしてあげない」
軽口を投げ合いながら、双方が静かに睨みあう。
次はどう動くべきか。自称軍師は次の手立てを組み立てていく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
真崎・冬弥
(サポート)
オレはオレ自身の怒りの為だけに戦う事は赦されない
これは贖いの戦い。手助けさせて貰おうかな
◆対一般人
忘れている事を悲しく思いながら、優しく微笑み
『ディアボロス』が希望の名であると、思い出して貰える様に
かつてオレが戦う力ない頃、憧れたヒーローたるべく
◆対クロノヴェーダ
怒りを露わに、侮るような挑発を向けつつも、力量は常に自らが劣ると自覚し
いくら傷付き、血を流しても厭わず
痛みを負うことが己への罰のように。誰かの為に傷付く事が贖罪のように
「思い出せ。ディアボロスが来たぞ」と、その名がクロノヴェーダにとっての脅威である事を示す
無自覚ながらアークデーモンが畏怖、『畏れ』を集めるように
セリフはお任せ
距離を取りながら砲撃を繰り返すディアナ、黒豹へ姿を変えながら離れた分の距離を詰めて襲い来るオセ。
その攻防の中、繰り返される砲撃の暇を縫いディアナへ肉薄したオセであったが、振るわれたその爪が捉えたのは軍師の肉体ではなく、間に割って入った真崎・冬弥(妖魔五剣・g02934)が盾のようにかざした妖刀であった。
「あら、ナイトさん?」
「そんな御大層なものではないさ。ただ、」
オレはお前の脅威だ。視線だけが真っ先にオセに刃を突き付け、冬弥は力任せに妖刀を振りぬきオセに後退を強いる。
その勢いに従いバックステップで一歩、二歩と退く彼女を逃すまいと、退いた分の距離を即座に詰めて冬弥は刀を振り上げた。
「――抉れ」
一閃。後退を続ける彼女を追い抜く踏み込みの速度と共に豹の姿を撫でた刃は、ディアナの砲撃によって少なくないダメージを与えられていた黒豹の肌を易々と切り裂き、彼女の身体にいくつもの傷を刻んでいく。
「っ、女の身体を傷物にする意味、分かってるんでしょうね!」
身体を裂かれた痛みに表情を歪めながら、けれど雌豹の姿を保ったままのオセは低く吠えると反撃に出た。
すり抜けるように背面へ移動した冬弥の姿を追うように後ろ足が地面につくよりも早く空中を踏めるよう世界を書き換え、その地点を軸にぐるりと体の向きを変える。
かと思えば即座に妖刀の振るい手へ向き直り、勢いのまま肉薄。
意趣返しだと言わんばかり。横薙ぎに振るわれた黒い腕に光る豹の爪が冬弥の脇腹を狙い過たず抉っていくが、その痛みに構わず彼は彼我の距離を機とみなしもう一度剣を振り下ろす。
自身の傷を押して振り下ろされた刃に、オセは少しばかりの動揺を見せた。振るった爪とは逆の腕で振り下ろされた一撃を受け止めると、鍔迫り合いの中で黒豹の姿は徐々に二刀を構えた女の姿へと戻っていく。
「……! 痛みがわからないとかそういう話?」
「そんなことはないさ。痛い物は痛い。だが。お前には思い出してもらわないといけないんだよな」
ディアボロスが来たのだと。
その名が、クロノヴェーダにとって脅威であるのだと目の前の敵に刻み付けるために。
互いが互いの意を読み取ったように刃を弾き、そのまま双方が大きく距離を取る。
腹部から血を滴らせながらも涼しい表情を崩さない冬弥とは対照的に、体中から血を流すオセは憎々しげに彼を睨み続けていた。
成功🔵🔵🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
大和・恭弥
仲間とは密に連携を
残留効果は随時使えるものを利用
油断はしない、か。さっきの彼女といい、はっきりと言葉にしてくれたり自ら退路を断つあたりは律儀なんだな。
メンゲにはちゃんと伝えておくよ。お前も強敵だった、って。
藍雪花染の呪詛は全解放にしたまま戦闘態勢へ
剣舞は精神を研ぎ澄まし、妖刀に集う死魂の扱いだけに集中する。
生憎と、俺が誰を慕っていたかは記憶の彼方だし、
いま慕っているひとたちはそんな剣の振り方はしない。
黄金や蠱惑よりも怒りや復讐の念、絶望の方が支配力は強いよ。
【断末魔動画】で心身と刀を共鳴させ、呪詛の力を強化する
オセと因縁のある人に最後は託すよ
薙ぎ払って押し返したところで足止めに回ろう
テレジア・ローゼンタール
油断はしない、か
ならば敗北は、即ち純粋に貴様の実力不足が原因ということになるわけだ
魔剣に【破壊】の魔力(オーラ操作)を纏い、【挑発】と共に威圧する
文字通りの豹変による知能低下には、挑発がよく刺さるだろう
【ダッシュ】で距離を詰め、巧緻性を欠いた大振りな爪牙の狙いを【看破】して身を躱す
双方の【突撃】の勢いを用い、【暴虐の殲刃】で突き穿つ!
人に仇なす害獣の駆除、狩りは騎士の務めだ!
呉守・晶
まさかグレモリーを斃してからその面を見ることになるとはな(化粧拭いながら
見た感じからトループス級「グレモリーの娘達」にクロノス級に成長したのがいたのか
江戸川区の戦いで見なかったが、まぁアヴァタール級じゃそういうこともあるか
ぐっ!最も嫌う姿、こう来るか。まぁオセのあの顔見た直後だしな
グレモリーの娘達の姿にされるぞ
元々あれに憑依合体されてこの身体になったわけだしな。いや、もしかするとオセだったのかもな
だが攪乱とかでこの姿に変装したこともある。だから、この程度で倒れはしねぇ!
魔晶剣アークイーターの封印を一部解除してグレモリーの娘達が持ってた呪いの黄金処刑剣に変異させて、その首を叩き斬って落してやる!
(「まさかグレモリーを斃してからその面を見ることになるとはな」)
仲間たちと一進一退の攻防を繰り広げるオセの動きを観察しつつ、施されたメイクを落としながらも呉守・晶(TSデーモン・g04119)は内心でそう呟いた。
出所を考えれば江戸川区の戦いで彼女の姿を見ることがあっても良さそうであったが、いざ邂逅するのは今回が初めて。同じ顔が何体も出てくる辺りややこしいが、アヴァタール級とはそういうものだろう。
「メイクはもっと丁寧に落とさないとお肌が荒れちゃうわよ、そっくりさん?」
散々似た顔だと言われ続けたオセから不意に投げかけられた言葉に、視線が一瞬交錯する。そこで互いが何を思ったか定かでないが、晶は一言、問いを投げた。
「グレモリーの娘達にクロノス級に成長したのがいたのか?」
「さあ? コピー元の出路までは知ったことじゃないわ」
そこで、オセの表情が怪しげな笑みの形に歪み、同時に痙攣するように晶の体が震えた。
何かをされた。その直感に肯定を示すように、鏡もないのに今の自分がどんな姿をしているのか客観的に観測できる。
獣の頭部をかたどった被り物。そこから垂れ下がるヴェールの下で浮かぶ不愉快な笑み。露出の高い衣装と黄金に輝く長剣……晶の姿は今や、トループス級『グレモリーの娘達』の物となっているのだ。
(「こう来るか
……!」)
おそらく精神への干渉。晶としての意識は明白だが、それでも自身がトループスに成り果てたと錯覚してしまうくらいに見せられた幻覚は実感を伴ったもの。
気を抜けば幻覚に囚われてしまいかねない危機感を前に、晶は精神へのダメージへ抗うように体を身じろぎさせる。
その様子を機と見たか、オセは両手に構える黄金剣で晶を斬って捨てようと踏み出す足に力を籠めるが、それよりも早く割って入る者がいた。
一瞬で距離を詰めてくる大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)の動きにオセは晶への追撃を即座に断念。振るわれた横薙ぎの剣閃を右手の剣が受け止める。
「油断はしない、か」
「ええ。だからあなたがこうやって攻めてくるのも見えた。褒めてくれていいのよ?」
「ああ。メンゲにはちゃんと伝えておくよ。お前も強敵だった、って」
キン、と小さく刃同士が弾きあう音を残し、彼我が構える刃と意識が攻勢色に染まった。
オセの持つ誰もを魅了するような黄金の二刀が間断なく恭弥へ振るわれる。神速と呼んで差し支えない剣閃も、それを追って煌めく黄金色が心に残す蠱惑的な魔力も、並の存在であれば容易にオセの斬撃に捉われる要素足りえただろう。
けれど、恭弥の剣は冷静だ。
呪詛を周囲に振りまき、斬撃を弾くたびに周囲に噴き出す死した魂の制御に注力する集中力が、彼を黄金剣の魔力の虜にすることを許さない。
「随分と死者に好かれてるみたいじゃない」
「分かっているなら無駄だと悟ることだ。黄金や蠱惑よりも怒りや復讐の念、絶望の方が支配力は強いよ」
端的にその魔力は効かぬと告げて、振り下ろされた一撃を迎撃する横薙ぎがオセの右手を弾くように真横へ流した。
流れた右手のコントロールを取り戻すべくオセが腕に力を込めて。次の瞬間、ぞ、と肌が粟立つ感触を彼女は覚える。
恭弥の構える刃を媒介に吹き出る死者の悲しみ・絶望・嘆き。それら全てが復讐の念を持ちオセの身体へ食らいついた感触。幻覚を操る術を持つ彼女とは言え、圧倒的な負の感情が突きつけられればそれに反応せざるを得ない。
「聴こえるだろう、鬼と化した彼らの嘆き声が」
胴が空いた――オセ本人もそう顔をしかめる明確な隙を逃さず、真一文字に振るわれた一閃はオセの腹部を深々と抉り、彼女の身体から鮮血を噴き出させた。
「さっきの彼女といい、はっきりと言葉にしてくれたり自ら退路を断つあたりは律儀だよな、君らは」
「ああ。油断はしないと言ったが、ならば敗北は、即ち純粋に貴様の実力不足が原因ということになるわけだ」
腹部を奔る痛みと熱に、オセの足がたまらず後退を選ぶ。
それはディアボロスの側からすれば明確な好機。一歩、二歩と退くオセを逃すまいと、魔力を帯びた大剣を構え、テレジア・ローゼンタール(魔剣の騎士・g01612)は即座に追撃に出た。
オセとテレジアの距離が詰まっていく一瞬、オセの表情にわずかばかりの逡巡が見えた。押されている。それを自覚してしまったが故の、伸るか反るかの判断の暇。
「逃げても構わんぞ。その場合、私たちが下すお前の評価は残念なものになるだろうがな」
「言ってくれるじゃない……!」
安い挑発だとは分かっている。それでも、投げかけられたテレジアの言葉はオセの矜持をくすぐるには十分すぎた。
女の姿が黒豹へと変貌していき、その爪がテレジアの身体を捉えんと一瞬で距離を詰める。
振るわれる爪の一撃は威力も速度も乗った必殺足りうるものであるが、獣の殺意にまみれたそれは直線的だ。来ると分かっていれば対処は易いとテレジアは体をかがめてその一撃を回避、交錯する二人の間に一瞬距離が出来て。
「――!!」
言葉にならない叫びと共に、黒豹を模したオセが再度テレジア目掛けて突撃していく。それに合わせるように、テレジアは赫怒を帯びた魔剣を構えて地を蹴った。
「突き穿つ――!」
彼我の距離は一瞬でゼロへ。とんでもない相対速度で迫りくる黒豹へと突き出された刃は、黒豹の爪が自身の身体を裂くよりも早く敵の肩を貫いた。
「が
、……!!」
黒豹の身体が、女の姿へ戻っていく。肩に大穴をあけた女が痛みに身もだえるようによろめく様を尻目に、体勢を立て直した恭弥はふいに視線を隣へ。
「さて。お膳立てはこんなところだ。そろそろ復帰もできるだろう?」
「……ああ」
その声に応じて、荒い息を繰り返しながらも晶ははっきりと声を発した。
未だに彼女の認識の中で、自身の姿はグレモリーの娘達のままだ。
だが、仲間が稼いでくれた時間の中で己を分析するだけの余裕は取り戻せた。
元々グレモリーの娘達に――あるいはオセだったのかもしれないが――憑依合体された結果が、今の女性としての身体である。
似た顔だと言われ続けたオセの顔を見た直後だったこともある。おそらくは心底の嫌悪や恐れが幻覚としてこの姿を選んだのだろう。
そこまで分析できればこちらのものだ。攪乱のためこの姿に変装したこともある、この程度で倒れる道理はない。
「魔剣アークイーター、第三封印解除」
グレモリーの娘達の声帯でそう告げる。自身の持つ武器の名を呼んだ直後、黄金剣だったそれは手になじむ魔剣の姿を取り戻す。
「変異開始、コード黄金剣「眩キ惑ワスモノ」っ!」
次いで放たれた声は、間違いなく晶のものだった。己の意思で変貌させた、グレモリーの娘達が持つ呪いの黄金処刑剣。
グレモリーの娘達だから持っているのではない。呉守晶が敵を倒すために変貌させた剣が放つ黄金の輝きは、晶自身の認識を現実に引き戻すと共にオセの視線を一瞬、強く釘付けにした。
「……ぁ、」
欲しい、と。その思考に染まり動きを止めたオセ。その隙を逃すことなく晶が一瞬で彼我の距離を詰める。
そこでオセが正気に返る。手に持った剣を斬り上げ晶を迎撃しようという意図が見えたが、最早それは悪あがきに過ぎず。
黄金色の軌跡がオセの首筋を奔る。一瞬遅れで首を叩き切られたオセの身体が、そのまま床に崩れ落ちた。
破壊が続く豊島区において、アークデーモンの脅威が一つ、潰えた瞬間だ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!