河内国の鬼妖一夜城

 撤退した豊臣秀吉を追って『河内国(かわちのくに)』に向かったディアボロスの前に立ち塞がったのは、故郷を奪われた鬼や妖怪達の怨念を材料にして造られたクロノ・オブジェクト『鬼妖一夜城』でした。
『鬼妖一夜城』の内部は、鬼や妖怪の力を高める、敵にとって有利な環境となっており、工夫して戦わなければ、思わぬ苦戦を強いられるかもしれません。

 河内国には、現在も、平安鬼妖地獄変から鬼や妖怪が漂着し続けているようなので、その妖怪達を撃破しつつ、クロノ・オブジェクト『鬼妖一夜城』を撃破して、『河内国』の攻略を進めていきましょう。
 河内国を攻略できれば、摂津国、和泉国といった大阪方面に進出できる筈です。

!2022年11月の攻略旅団提案による追加情報
 攻略旅団より、瀬戸内海の調査が提案されています。
 この調査を実現する最短ルートとしては『河内国』を制圧した後、瀬戸内海と隣接する『摂津国』或いは『和泉国』を制圧するのが最短であると考えられます。

鬼妖一夜城に蜘蛛は征く(作者 秋月きり
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 改竄世界史、天正大戦国。その中をアヴァタール級妖怪『絡新婦『焔』』とトループス級天魔武者『伊賀忍者』達は巡回していた。
 彼女達の目的はただ一つ。彼女同様、この地に流れ着いた同胞の確保であった。
「漂着する我らが同胞を救わなければならない」
「是!」
「私の故郷である平安鬼妖地獄変は消えてしまった。多くの同胞がディアボロスの手によって屠られてしまった。そして、その魔手は平安鬼妖地獄変のみにあらず。この天正大戦国にも伸びている」
 だが、と焔は己に与えられたクロノ・オブジェクトへと視線を落とす。彼女が有するそれは、量産型クロノ・オブジェクト『鬼妖一夜城』と言った。
「我々には秀吉様に賜ったクロノ・オブジェクト『鬼妖一夜城』がある。この鬼と妖怪の怨念が詰まったクロノ・オブジェクトがあれば、ディアボロスにも勝てる筈」
 そうなれば、同胞を救うだけでは無い。復讐者を屠り、自分達が受けた恨みを晴らせる筈だ。
「我らを助けて下さった秀吉様の恩義に報いるため、我らは修羅と化す」
 その誓いと共に、焔は天正大戦国の地を、巡回していく――。

「皆様、追討戦、お疲れ様でした!」
 新宿島新宿駅ホーム。到着したパラドクストレインを背景にした時先案内人、シルシュ・エヌマエリシュ(ドラゴニアンのガジェッティア・g03182)が放った開口一番の台詞は、そんな労いの言葉であった。
「追討戦の成果により、遂に改竄世界史、天正大戦国へパラドクストレインで向かえる様になりました」
 天正大戦国。それは元平安鬼妖地獄変に隣接する改竄世界史の名だ。天正大戦国は日本の戦国時代をクロノヴェーダ達が改竄したディヴィジョンであり、断片の王である『織田信長』を中心とした有力な大名達が、諸々の令制国を支配している、そんな改竄世界史のようなのだ。
「此度、皆様が向かう場所は『河内国(かわちのくに)』――現代で言う大阪府の多くを占める令制国になります」
 河内国は豊臣秀吉の勢力下にある令制国の一つである。この河内国を制圧すれば、摂津国や和泉国といった、大阪方面の中枢に攻め込む足掛かりになるだろう。
「ただし、当然ながら、敵はあの豊臣秀吉の名を奪ったクロノヴェーダ。ただで攻め入らせる筈もありません」
 復讐者達の信仰に対し、秀吉は、平安鬼妖地獄変から流れ着いた鬼や妖怪達に特殊なクロノ・オブジェクトを与え、防衛に徹させているらしい。
「この特殊なクロノ・オブジェクトを与えられた妖怪達を撃破し、河内国の制圧を進めて下さい」
 それが、此度の任務のようだ。

「さて、今在る情報を整理します。皆様の向かう河内国ですが、現時点では一般人が一人もおらず、無人の状態となっているようですね」
 豊臣秀吉は、復讐者達を迎え撃つ為だけに『河内国』の一般人を全て、近隣諸国へと移住させたようだ。
 彼がどれ程、復讐者達を危険視しているか。それを窺わせる状況であった。
「その上で、豊臣秀吉は近隣諸国の戦力を呼び集め、河内国内で皆様に決戦を挑もうとしている……と言ったところでしょうか」
 その河内国内は、先程シルシュが進言した通り、特殊なクロノ・オブジェクトを与えられた鬼や妖怪達が、同胞を保護する為、そして復讐者と戦う為、巡回を行っている。
「皆様が此度、遭遇するのはアヴァタール級クロノヴェーダ『絡新婦『焔』』に率いられた一団になります」
 彼女らは、現在も漂着し続けている鬼や妖怪達の保護も行っている。よって、作戦はこうだ。
「まずは、漂着したばかりのトループス級妖怪を撃破して下さい。そして、そこに駆けつけてくる彼女達をも、撃破してしまいましょう」
 戦闘になれば、敵はクロノ・オブジェクト『鬼妖一夜城』を起動し、自身らの有利な戦場と化した城の中で戦いを挑んでくる。
「城内は蜘蛛の糸が張り巡らされた立体的な戦場、と言った処でしょうか」
 それだけを見て見れば、確かに絡新婦の独壇場だろう。
 だが、敵も敵。超常現象を操る者であるならば、こちらもまた、超常存在である。有利を潰す、或いは逆に利用することで、勝利を招けるだろう。
「このアヴァタール級クロノヴェーダ『焔』を撃破すると、鬼妖一夜城は、天守閣に死した焔を取り込み、皆様に襲いかかってきます」
 強力な攻撃を繰り出す巨大な敵相手となるが、既に死に体となっているため、その分脆い。上手く立ち回り、鬼妖一夜城を撃破出来れば、本作戦は成功となる。

「この河内国を制すれば、大阪方面への進出が可能となります。故に、おそらく、天正大戦国内でも、屈指の激戦区となるでしょう」
 だが、それを攻略しない限り、次に進めない。不安と期待の入り交じったシルシュの表情に、復讐者達は承知、と頷く。
「日本の殆どを統べる天正大戦国は強力なディヴィジョンです。ですが、絶対ではありません。皆様ならば一歩ずつ、しかし確実に攻略できると信じています」
 そして、時先案内人は復讐者達をパラドクストレインへと送り出す。
 ご武運を。
 死地に赴く戦士達に彼女は祈りを添え、そして見送るのであった。

 カタカタカタ。
 河内国に今宵もまた、鬼や妖怪が流れ着く。此度、流れ着いたのは巨大な人骨の妖怪――トループス級妖怪『粗骨』であった。
「な、何が起きたというのだ?」
「こ、ここは、平安鬼妖地獄変ではない?! ここは一体何処なのだ?!」
「おのれディアボロス! この恨み、晴らさずにおくべきか!」
 しかし、これからどうすべきだろう。
 粗骨達は怒りに身を震わせ、しかし、その後、途方に暮れた嘆息を口にするのであった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【罪縛りの鎖】
3
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【エアライド】
3
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【光学迷彩】
2
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【平穏結界】
2
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【建物復元】
1
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【アイスクラフト】
2
周囲が、ディアボロスが、一辺が3mの「氷の立方体」を最大「効果LV×3個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。出現させた氷は通常の氷と同様に溶ける。

効果2

【能力値アップ】LV6 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV2 / 【ダブル】LV2 / 【ロストエナジー】LV3

●マスターより

秋月きり
 お世話になります。秋月きりです。とうとう始まりましたね、天正大戦国! と言うわけで、河内国にまつわるシナリオをお届けします。

 以下、補足です。

●選択肢について
①鬼妖一夜城決戦
 撃破したアヴァタール級クロノヴェーダ『絡新婦『焔』』を取り込んだクロノ・オブジェクト『鬼妖一夜城』との決戦になります。
 使用するパラドクスは焔と同じ物です。
 巨大且つ強力な敵ですが、崩壊の一途を辿っているため、脆くもあります。油断無きように、しかし、崩壊へと導いて上げて下さい。

 鬼妖一夜城を破壊すると、本シナリオは終了となります。

②烏合のトループス級『粗骨』
 河内国に流れ着いたトループス級クロノヴェーダです。皆様が最初に遭遇する相手となります。

③巡回警備のトループス『伊賀忍者』
④アヴァタール級との戦闘『絡新婦『焔』』
 ②を撃破した瞬間、駆けつけたトループス級クロノヴェーダ『伊賀忍者』達とアヴァタール級クロノヴェーダ『絡新婦『焔』』との戦いになります。
 到着早々、焔はクロノ・オブジェクト『鬼妖一夜城』を展開しますので、戦闘は鬼妖一夜城内で行う事になります。

 攻略推奨順:②→③④→①
 ①を攻略しない限りシナリオが終了になりません。ご注意下さい。

●その他
・「忍者に蜘蛛。どちらも張り巡らされた糸? いえ、ロープと呼ぶべきでしょうか? の上では有利に戦える存在ですね」
・「鬼妖一夜城に張り巡らされた糸は足場になる他、蜘蛛の糸の如く粘着性を有する物もあるようです。【飛翔】等では絡め取られる可能性もありますので、注意して下さい」
・「糸もクロノ・オブジェクトのようですね。破壊も出来ない為、そちらを主軸とした作戦は避けた方が良さそうです」
 以上、時先案内人からの進言でした。何らかの参考にしていただけると幸いです。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
 この勢いのまま、一気に河内国を制し、天正大戦国攻略の足がかりとしちゃいましょう!
 よろしくお願いします。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


リーシャ・アデル
・心情
豊臣秀吉に妖怪にとなかなか忙しない状況ね
まぁ、ひとつひとつ片付けていって敵の企みを防ぐとしましょうか

・戦闘
パラドクス『虚心・幻創:ラピュセール』を使用して、アタシが憑依合体した大天使「ラピュセール」の再現体を【召喚】して、リアライズペインターの力で描雅した武器による【斬撃】や【貫通撃】を交えて攻撃するわ

・その他
大天使「ラピュセール」はリーシャと瓜二つで、銀色の軽装鎧に炎のような翼を3対6枚備えた姿をしています
アドリブ等は大歓迎よ


ナイナ・ヴィラネスティズム
POW
同選択肢の味方との連携可
使える効果2は全て使用

「聞きしに勝る戦国の世とはかようにも殺伐としていますのね。嫌な空気が漂いますわ」

流れ着いてきた骨共にはヴィラネスト・レイジモード
内面に宿し怒りの感情で威力を増した魔散弾銃による制圧射撃で突撃貫通撃のご挨拶と参りましょう
これが私のご挨拶でしてよ!
すでに死している身であるにも関わらず炎を燃やしながら突撃をかけてるなんてとんだお笑い種でしてよ
囲まれないように射撃時の適切な距離をとりながら回避を意識、マジックグレネードによる投擲爆破でお返しいたしますわ
まともに相手をするなどくたびれ損の骨儲け
死した者は冥府の果てまでお帰りくださいな


花塚・夜壱
今なお、混乱の最中の様だが……
躊躇はしない、叩かせてもらおう

数の利はあちらにあるか、囲まれると厄介だ
【一撃離脱】を意識して行動
囲まれそうになれば如意棒を伸ばして、棒高跳びの様にその場を脱却する
近距離攻撃を意識させた所で、『業火絢爛』を使用する
綺麗な花だが、見惚れている暇はないぞ
いや……そもそも、それは花ではなく、お前を焼け焦がす炎の化身だ

敵の猛進は、如意棒を盾にして受け止める
ぶつかる際には、後方に自ら飛んで衝撃を軽減しよう
とは言え、予想よりやはり一撃が重いな
ならば俺も、骨が折れる覚悟で挑もう
すまないが、俺も易々と負ける気はないのでな


アイネズ・レーヴェ
アドリブ・連携等大歓迎です。

ここが戦国の世……ですが、まずはその前に平安の残党狩りですね。
こんにちは、骨の皆さん。貴方達が恨んでいるディアボロスですよ……今度こそ滅ぶが良い。

ショットガンで牽制しつつ間合いまで操り人形、アモルと共に近づきます。アモルに来る攻撃を防ぎつつアモルを操り、まるで待っているかのような動きで攻撃させます。
多少数が多くても逆に好都合です。縦横無尽の動きで、同士討ちも誘ってやるとしましょう。

さあさあ骸骨の皆さん、可憐な人形による踊りはいかがでしょう。少々激しくてもご愛嬌、お楽しみくださいませ。


御森・白露
アドリブ連携歓迎

おや。何処かで見た顔と思えば……平安の残党共か。遥々川内国まで逃げ延びてきたとはな。
して……恨み、恨みときたか!く、はははは!!!
――笑わせてくれるな、蛆虫共。
世界を失った我らと、故郷を失った貴様ら。
漸く同じ土俵に立っただけじゃろう?
己らだけが被害者面するなよ、反吐が出る。

鈞天儀、展開。闇夜に眠れ、骸。
呼び出した黒の短刃が群れを粗骨らに放ち、骨身に突き立てる。
斬り裂くというより叩き砕く。打撃の部類じゃな。
元より脆き刃、諸共砕けるじゃろうがその分は数で補うぞ。

存外この地でも妖や鬼は見る事になりそうじゃのう。
まだまだ吸う血には事欠かぬようじゃぞ?忌椿よ。


一角・實生
漂着して現状の把握もできないまま屠られる
漂着直後の自分と重ねてしまいそうになるが俺はディアボロス、奴らはクロノヴェーダ
倒さねばこちらがやられるだけだ

遮蔽物の陰から敵集団を偵察、ディアボロスに気付いたもの達を狙おう
敵の意識が仲間に向いているうちにパラドクスを発動
敵の大まかな配置や数も情報収集し仲間に伝えていくよ

降り降ろす骨はぎりぎりまで引きつけてエアライドで後方や横に回避しよう
地面に幾度も叩きつけていれば骨も脆くなり砕けるはず
囲まれないよう変則的に動き回っていくよ

巡回する敵が次の相手なら足跡や目印が残っていないかな
凡その会敵位置が分かれば知っておきたい
動き回るついでにそれも観察していけたらいいな


文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

故郷を追われた者の行く末か
怒りと、恨みと、その気持ちは少し分かる
俺の故郷を奪った者こそ、焔の本体なのだから
これが歴史を改竄し、多くの人からその故郷を奪ってきた鬼妖達の今と思えば
何とも因果な話だよ

同胞を救おうと、怒りを胸に戦う者達
いつか道満様も言っていたっけ
ディアボロスの力は妖怪どもと同質のように思えると
成程、激戦は必至なのだろう
ならば此方も全力で戦うまで

仲間と連携し、油断なく戦場へ
素早い観察で状況把握、敵の攻撃を看破して
困惑する粗骨達が焔達と合流する前に倒す

向かい来る粗骨を前に
竜笛の音を響かせて『共鳴結界』形成
全力魔法で結界の力を極限まで高めて
砕けた骨も残さず浄化し消滅させる


内方・はじめ
もう秋だと言うのに、上半身マッパどころか身もないだなんて
それなんて我慢大会?

まあ、一般人を疎開させてるのなら暴れ放題
これも、秀吉がこちらの力量を量るための細工かもしれないけど……手を抜く理由はない

私は忍び足で木陰や岩陰等に潜み、情報収集、偵察、看破を活かし敵の状況を把握しつつ、【パラドクス通信】で、仲間同士の連絡体勢を構築し、互いの位置や敵況等の情報交換

敵の数が思ったより少ないなら……時間差で漂着する敵も居るかも
周辺を警戒し、敵の急な出現にも備えましょ

そんな感じで警戒しつつ、仲間の側面、背面等を狙う敵へ、迅雷の魔弾を放ち火力支援も
反撃してくるなら、別の遮蔽物に隠れる等してやり過ごしてみるわね


 改竄世界史、天正大戦国。
 パラドクストレインに導かれ、その地に辿り着いた復讐者達を迎え入れたのは、剣呑たる雰囲気――重々しい空気であった。
 周囲を覆うのは黒雲。そして火薬と血肉爆ぜるような臭気、死の臭いであった。
「聞きしに勝る戦国の世とはかようにも殺伐としていますのね。嫌な空気が漂いますわ」
 自身の肌感覚に従い、ナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)はそんな感想を零す。近くに遺体が投げ棄てられている訳では無いだろうが、それでも彼女が捉える空気は重く、寒々しい。ピリピリとしている、とも形容出来そうであった。
「ここが戦国の世……」
「まあ、判っていたけど、新宿島とも、平安鬼妖地獄変とも違うわ」
 アイネズ・レーヴェ(薄汚い実験台・g00773)の感嘆に、是と頷くのはリーシャ・アデル(絆紡ぎし焔の翼・g00625)だ。未だ敵と遭遇していない時分、しかし、受ける圧迫感は、過去の改竄世界史よりも強く感じる。不知に対する緊張なのか、それとも、この令制国を納めるジェネラル級クロノヴェーダ『豊臣秀吉』が醸す物なのか、判らなかったけれども。
(「豊臣秀吉に妖怪にとなかなか忙しない状況ね」)
 彼の武将の真意は未だ、判らない。それはこれから探ることになるのだろうか。
「行こう。時先案内人の言葉通りならば、今頃、骨達が漂着しているはずだ」
 当初の標的であるトループス級クロノヴェーダ『粗骨』が傍に居るはず。そう断ずるのは、一角・實生(深潭鷲・g00995)であった。
「ああ。叩かせて貰おう」
 花塚・夜壱(月下鬼人・g00016)の頷きに、残りのメンバーも同意を示す。
 その一歩こそ、此度の目標であるアヴァタール級クロノヴェーダの撃破、そしてその先の戦いへと続いていくはずなのだから。

「な、何が起きたというのだ?」
「こ、ここは、平安鬼妖地獄変ではない?! ここは一体何処なのだ?!」
「おのれディアボロス! この恨み、晴らさずにおくべきか!」
 それは、予知の通りであった。
 告げられた言葉と一言一句変わらない叫びは、カタカタと骨が打ち合う音と共に広がっている。
 トループス級クロノヴェーダ『粗骨』。今は亡き改竄世界史、平安鬼妖地獄変から流れ着いた彼らは、現状の把握すら出来ず、叫び声を上げるだけで精一杯の様子だった。
(「何とも因果な話か」)
 混乱し、途方に暮れる彼奴らに、しかし、掛けるべき言葉は持ち合わせていないと文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は嘆息する。
 これが歴史改竄し、多くの人々から故郷を奪ってきたクロノヴェーダ――鬼妖の末路と思えば、それ以上出来る事は無かった。
 せめて全力で戦い、屠ろう。
 それが雪人の掛けられる情けであり、全てであった。
 そして、彼は済んだ竜笛の音色を響かせる。それが為すは清涼な音と、そして浄化の響き。
 奇しくもそれが戦闘開始の合図となった。

「おや。何処かで見た顔と思えば……平安の残党共か。遥々、河内国まで逃げ延びてきたとはな」
 粗骨達の中、黒き刃が翻る。それを為したのは御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)。呪われし刃を携えた妖狐であった。混乱と怨念に染まる粗骨に、しかし、彼の放つ言葉は冷たく響き渡る。其処に込められたそれは哄笑――嘲りの笑いであった。
「して……恨み、恨みときたか! く、はははは!!! ――笑わせてくれるな、蛆虫共」
 彼奴らは人類から歴史を奪った歴史簒奪者、クロノヴェーダだ。世界を失った復讐者達と、平安鬼妖地獄変と言う改竄世界史を失った彼奴ら。ようやく同じ土俵に立ったのみ。
 それこそ、白露に言わせればただの被害者面だ。元々の加害者は誰だったか。それを知らぬ訳ではあるまい。
「鈞天儀、展開。闇夜に眠れ、骸」
 ――反吐が出る。
 唾棄の思いで呪言を紡いだ白露は、その怨を全て黒き刃と化し、粗骨達へと突き立てる。それは無数の斬撃と言うよりも、無数の殴打であった。標的と化した粗骨数体の骨を砕き、粉塵へと帰していく。
「もう秋だと言うのに、上半身まっぱ処か身もないなんて。それで良く海に飛び込んだものね。なんて我慢大会かしら?」
 白露のそれが憤怒であれば、次に響くそれは揶揄――ただの挑発であった。薄く笑った内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)は、雷の魔弾を自身の榴弾砲へ装填。粗骨達へと鉛玉の雨嵐を降らせていく。
(「まあ、秀吉の策だかなんだか知らないけれど、一般人を疎開させているならそれはそれで歓迎よね」)
 いくら派手に暴れても、無辜な一般人に対する被害を考えなくて済む。それはストレスなく暴れられると、はじめは内心笑う。即ち、ジェネラル級クロノヴェーダ黙認の元、暴れ放題というわけだ。
「――先手を打てただけでも由とするか」
 威勢良く飛び出した二人に追随する實生は、思わず嘆息してしまう。
 天使の翼で大空へと舞い上がった彼は、そのまま銃撃、斬撃、炎撃と、幾多の攻撃を粗骨達へと浴びせて行った。ぐぎゃぎゃぎゃとの悲鳴と共に、戸惑う粗骨の数体が消滅していくのをさも当然と、見送っていく。
「こんにちは、骨の皆さん。貴方達が恨んでいるディアボロスですよ……今度こそ滅ぶが良い」
 更なる追い打ちは、アイネズから。操り人形アモラ=リエルと紡ぐ死の舞踏は、その海岸を処刑場へと仕立て上げていく。繰り糸が、散弾銃が、そして、操り人形の手足が屠るのは、骨と、そしてそれを現世につなぎ止める魔力達であった。
「加虐憤怒! 傷痕残る逆さ鱗を撫でられた悪女の乱暴狼藉!」
 徒手空拳、そして銃撃による舞踏ならば負けてはいないと、奮闘するのはナイナである。乙女の怒りは、襲い来る骨の殴打や人魂の延焼など何の其の。魔散弾銃が吐き出す銃弾、そして、杭の如き貫手の穿孔が粗骨を砕き、その場へと散らしていった。
「『描雅・顕現』――限定召喚!! とっておきよっ!!」
 そして、蹂躙の後を、乙女の魔術が駆け抜けていく。顕現するはリーシャに憑依合体する大天使『ラピュセール』の再現体。それが繰る武器とリーシャの振るう大型槍が重なり、粗骨らを打ち倒していく。
「おのれディアボロス共! おのれ!!」
 零れた怒号は、粗骨達に現状を把握させるに充分であった。
 自身らが流れ着いた先は、平安鬼妖地獄変ではない何処ぞの改竄世界史で、その場に於いて尚、復讐者達の襲撃を受けている。
 なんたる理不尽だろう! なんたる巡り合わせの悪さだろう。
「だが、ただで倒れる我々と思うなよ!」
 彼奴らが復讐に燃える悪鬼であるならば、粗骨達もまた、復讐に燃える妖怪だ。彼奴らの一人が言っていたでは無いか。此処に至り、ようやく同じ土俵に立った、と。
「そうだな。お前達にも応戦する筋合いはある。――もっとも、俺達も易々と負ける気はないがな」
 鬼火を燃やし、奮闘の声を上げる粗骨の顔に、薄桜色の花が咲く。否、それが花ではなく、炎の塊と悟った刹那、その粗骨の命は失われていた。炎がその粗骨の頭蓋を、否、顔のみならず全身を焼き、たいまつの如き炎を上げていた。
 それを為したのは、夜壱であった。如意棒を振るい、敵陣真っ只中で殴打を繰り返す彼は、短い文言と共に更なる炎を紡ぐ。それは粗骨の群を焼き、ただの燃え滓へと貶めていく。
「貴方達が焔と合流する前に、倒す」
 浄化の音を立てながら、雪人は因縁を口にする。この後、第二第三の戦いが待っている。彼奴ら粗骨との乱戦に掛ける時間は一分一秒も惜しいと、その静かな瞳は語っていた。
「でぃ、ディアボロス……ッ?!」
 圧倒的な数、そして先制攻撃に押され、粗骨達は打ち砕かれていく。
 その勢いは、まるで全てを舐め取る炎の如し、であった。
 斯くして、粗骨達は焼かれ、撃たれ、砕かれ、そして消え入っていく。最後の一体になるまで、彼らが現状を把握する暇は与えられなかった。
 そして、その最後の一体すらも。
「死した者は冥府の果てまでお帰りくださいな」
 ナイナの蹴りに弾き飛ばされ、虚無の海へと叩き付けられる。上がった水音は一度のみ。足掻く音も、浮上する音も聞こえなかったことから、それが沈んでいったことは間違いないだろう。その先に冥府があるのかどうか、ナイナには断ずる事は出来なかったけれども。
「ふむ。呆気ないな。存外この地でも妖や鬼は見る事になりそうじゃのう。まだまだ吸う血には事欠かぬようじゃぞ? 忌椿よ」
 復讐者以外動く物の居なくなった戦場で、白露は己の妖刀に語り掛ける。
 ぶるりと震えるように感じた圧は、それを歓迎するかのようであった。

 そして。
「……遅かったようだね」
 不意に聞こえた声に、實生は頭を振り、視線を向ける。
 其処に立つのは幾多の天魔武者を従えた蜘蛛の怪異――、アヴァタール級クロノヴェーダ『絡新婦『焔』』であった。
「足跡が無かったので、ここはまだ巡回していない場所と踏んでいたが……成る程。このタイミングで現れるのか」
 それが幸か不幸か。少なくとも彼奴らに取っては不幸毎だろうと、實生は小さな笑みを浮かべる。
「さあ。絡新婦のお嬢さん。可憐な人形による踊りは如何でしょう? 少々激しくてもご愛嬌、お楽しみくださいませ」
「――連戦か。まさしく『骨が折れる』と言う奴だな。折った骨はそこら中に散らばっているが」
 アイネズと夜壱の挑発、そして広がる惨状に全てを悟ったのだろう。
 焔は手にしたクロノ・オブジェクトを地面に叩き付けると、立ちこめる煙の中、その力に身を委ねていく。カシャリカシャリと多重の鈍音が響いた後、其処に立つのは一体の城であった。
「まったく。こんな所に一夜のみならず、瞬時にして城が建つとか、どう言う原理よ!」
「豊臣秀吉の名を奪ったのは伊達では無い、と言う事かしら?」
 リーシャの叫びに、はじめの達観した言葉が重なり、しかし、其処に返答は無い。
「……入ってこい、と言う事でしょうね」
 クロノ・オブジェクトで在る以上、燃やすなどの手段は取れない。かと言って、放置する訳にもいかない。自分達の目的は粗骨を討つことのみでは無い。この城の主であるアヴァタール級クロノヴェーダを討つこと迄もが、任務なのだから。
 雪人は嘆息し、行きましょうと、ナイナは呼び掛ける。
「くっくっく。鬼妖一夜城に巣くう蜘蛛女に、目に物見せてくれるわい」
 白露の笑みのみを残し、そして、復讐者達は開かれた門戸を潜り行く。

 戦いは未だ、始まったばかりなのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV3が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV5(最大)が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

リーシャ・アデル
・心情
さーて、この城をぶっ壊す前にこいつらを蹴散らさないとね!!

・戦闘
敵の動きの【観察】と残留効果の≪エアライド≫と≪壁歩き≫を駆使して、上手いこと足場になりそうな糸を見極めつつ戦うわ
そして、敵の手裏剣をうまく受け流しつつ、パラドクス『翠焔・創像:ウェポンズダンサー』で攻撃するわね!

・その他
アドリブ等は大歓迎よ


花塚・夜壱
お招きありがとう……と言うべきだろうか
慣れない戦場ではあるが、それだけだな
負ける気はしない

エアライド、壁歩きを使用して縦の移動をこなす
如意棒を伸ばして、高跳び棒代わりに使っても良い
糸が絡みついた際は、【火炎使い】の技能を利用し焼き切る

今回は如意棒ではなく、小回りの利く『月花』をメインに攻撃
投擲技術を用いて『月下布舞』を繰り出す
遠距離での攻撃が可能だが、
同じ所に留まらず、【一撃離脱】を心掛ける

分身の術……か、忍者らしい技だな
月花で対応しつつ、如意棒で攻撃を防ぐ


御森・白露
アドリブ連携歓迎

ふぅむ……糸の戦場ときたか。
下手に走り回る訳にもいかぬし、さりとて破壊も難しいと。
足場として活用しようにも、絡めとられる罠でもある……
存外厄介な質よな。

致し方無し。動けぬなら動けぬなりの戦い方をするまでよ。
我が刃は波濤となりて、遠方さえも呑み込み喰らう。
周囲の糸に引っかからぬよう注意し、繊月を放ちて霧を晴らし、その先の忍を斬り裂こう。

ま、どうとでもなる範疇だがな。
我らを本気で封殺したいなら、次は一面水攻めにでもしてくるがよいわ。
どんな手で来ようが打ち砕いてやるがのう。


時任・夕弥 (サポート)
 俺の目的は他のディアボロスのサポートだ
 ……元々ガンナーだしな。必要とあらば前に出るが、他のディアボロスをサポートする方が性に合ってる。
 残留効果があれば徹底的に利用し、位置取りを常に心がけていこう。
 突出して無駄に注意を引くのはガンナーとしてどうかと思うしな。
 勿論、いざとなれば撃つのは躊躇わない。どのパラドクスでも冷静に狙って撃つのみ、だ。
 もし同様に遠距離攻撃の仲間がいるなら、ひと声かけて連携していこう。
 ああ、任せてくれ。タイミングはこっちで合わせる。いつものようにやってくれればいい。

 近距離攻撃の仲間だけの時は、その時の作戦に合わせるが、敵の真正面から撃ちにいこう。
 真っ向勝負だ。


カマル・サディーク (サポート)
ぼ、ボクは主に【観察】技能を活かした状況の整理、【過去視の道案内】での目的地移動、戦闘の序盤、露払いや小手調べ、引き立て役、場の繋ぎなどで使ってほしいぞ。と、トドメは誰か仲間に任せた。

補足動作:観察やイプエルの訓戒のときは左目の包帯を外して、左目で対象をじーっと見るぞ(左目は右目と同じ色だぞ)

戦闘ではあえて敵の攻撃を一度受けて、イプエルの訓戒で敵の攻撃を再現するぞ。
敵はどんな攻撃をしてくるのか、自分のコピー攻撃が回避されたのなら敵はどうやって避けたのか。
後に続く仲間達に少しでも情報を与えられたら、それはボクにとって成功なんだ。
わかったことがあれば仲間達に(可能ならパラドクス通信で)伝えるぞ。


 門戸を潜り、中に入る。
 外観は確かに城だったそれも、しかし、中は伽藍堂。張りぼても良いところであった。
「ふぅむ……糸の戦場ときたか」
 一夜城の正体見たり、と言葉を口にする御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)は、しかし、己の眼前に広がるそれに嘆息する。
 高さにして10mくらいであろうか。最終人類史の技術ならば三階建てのビルぐらいに相当するだろう。その中に太糸、細糸問わず、糸が縦横無尽に張り巡らされている。成る程、蜘蛛女が生み出した城とはよく言った物だ。おそらくそれもまた――。
「蜘蛛の糸、と言った処か?」
 問いを発したのは中性的な声の主、カマル・サディーク(人間の王墓守護者・g03220)であった。声はそれであっても、見目は大胆不敵な女性そのもの。妙に範囲の広い灰色の肌が目を引くが、まあ、動きやすそうだな、と結論付け、そんな彼女の問いに、是と頷く。
「お招きありがとう……と言うべきだろうか。慣れない戦場ではあるが、それだけだな」
 白露と同じく、城内を見上げ、花塚・夜壱(月下鬼人・g00016)がにぃっと笑む。
 確かにこのような立体的な戦場、なかなかお目にかかれる物ではない。逆に感心してしまう。よくぞこんな物を設えた、と。
(「だが、負ける気はしない」)
 己にもパラドクスが、そして残留効果の支援がある。戦う前から敗北を予期する理由など、何処にも無かった。
「援護は任せろ」
 その背を預かる時任・夕弥(人間のガジェッティア・g03228)の言葉は、とても頼もしい。彼らの援護があれば、戦い続けられる筈だ。
「さーて、城をぶっ壊す前にこいつらを蹴散らさないとね!!」
 リーシャ・アデル(絆紡ぎし焔の翼・g00625)の言葉に呼応する様、無数の忍者達――トループス級天魔武者『伊賀忍者』らが、糸の合間から姿を現したのだった。

 ガキリ、と激しい音が響き渡る。それは、伊賀忍者に躱された夜壱の棍が奏でる、糸との衝突であった。
(「流石はクロノ・オブジェクトと言った処か」)
 絡め取られなかった所を見ると、おそらくこの糸は蜘蛛の縦糸に相当する物だろう。だが、横糸――粘着糸もほぼ同様だろうと推察する。時先案内人の推測は正しかったようだ。
「ふん。まあいい。破壊出来ずとも、焼き切れずとも、やりようはある」
 ならばと取り出したのは、無数の小刀、投擲用のナイフ達であった。月花と名付けたそれらが奏でる煌めきは、糸をすり抜け、宙を走り、そして、伊賀忍者達の身体へと吸い込まれていく。
「ぐぎゃぁ」
 何人かが犠牲になっただろうか。応戦にと放たれた無数の残像群をいなしながら、夜壱は唇に笑みを貼り付ける。
「そうさのう。動けぬなら動けぬなりの戦い方をするまでよ」
 それに倣うと笑うのは、白露であった。溢れ出る冷気と共に呪を紡いだ彼は、琥珀色の睨眼を伊賀忍者達へと叩き付けていく。
「刃の波濤に溺れ潰えよ」
 その呪は波。その呪は斬撃であった。怒濤――否、狂濤と繰り出された剣戟に、幾多の伊賀忍者達が斬り裂かれ、地面へと落ちていく。そして、それを免れた数人でさえ。
「凍れ……!」
「歴史は繰り返す。あの頃を取り戻すために、歴史を終わらせる訳にはいかないんだ!」
 それは吹雪の再現であった。
 白露の冷気と共に放たれた夕弥の凍結光線が、そして、模倣の呪を紡ぐカマルが放つ冷斬撃が伊賀忍者達を斬り裂き、蜘蛛糸をも凍結させていく。
「いくよ!」
 その間隙に、リーシャが飛び出す。
 凍て付いた蜘蛛糸を、そして空気そのものを踏み台にし、飛び上がる様はまさしく化鳥の如しであった。
「馬鹿な! 蜘蛛糸を足場に!」
「こっちには、【エアライド】の加護が付いているのよ!」
 驚愕に染まる伊賀忍者達へ、叩き付ける文言は律儀な返答であった。
 エアライド――空気すら踏み台にして跳躍できるこの残留効果の本領は、むしろ、其処だ。跳躍中に最適な移動経路を見つけられると言う事は即ち、効果範囲内であれば、粘着糸を足場と選択することはない。
 そう。その見極めは何も焔や伊賀忍者達だけの専売特許ではないのだ。残留効果の恩恵であるならば、それは此処に居る全ての復讐者達が得られる。
「描雅!! 舞い踊れっ!!」
 空中に無数の刃が描画され、その一本一本が現界。胃が忍軍達を貫いていく。零れるのは彼らの血肉、そして悲鳴であった。
「怯むな! この戦場、我らの優位は揺るがない! ディアボロス共に目に物を見せてやれ!」
「ふ。その言い様は既に負けを認めているようなものだがな」
 棍を交えた垂直跳びの後、冷笑を浮かべた夜壱の言葉は、再度紡がれる無数の小刀と共に。
 いくらでも喰らわしてやる。何度も放たれる投擲は、その文言を口にするかのようであった。
「貴様らの罠は厄介だが、存外、どうとでもなる範疇だ。我らを本気で封殺したいなら、次は一面水攻めにでもしてくるがよいわ」
 まあ、どんな手で来ようが打ち砕いてやるがのう。
 不敵な笑みと共に放たれた冷気は、伊賀忍者達を圧し、そして斬り裂いていく。尾を引くように紡ぐ白露の笑みは、伊賀忍者達にとっては悪鬼の如く響いたであろうか。
「ええ。アタシ達は負けない! あんたらにも、この城に巣くう蜘蛛なんかにも、ね!」
「お、おのれ、ディアボロスゥゥッ!」
 手裏剣、霧隠れ、そして分身。
 幾多の忍術を繰り出し、しかし、所詮は烏合の衆。否、彼らの連携を、復讐者達が上回っているだけか。
 糸や壁を駆け上がる復讐者達の勢いを削ぐことは出来ず、そして、伊賀忍者達は斬り裂かれ、或いは地面へと叩き落とされていく。
「この先は予知するまでもない、かな」
「そうだな。みんなの圧勝だ」
 勢いづく仲間を見送り、二人の時先案内人がただ、その文言を紡いでいた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【平穏結界】がLV2になった!
【完全視界】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

アイネズ・レーヴェ
アドリブ連携歓迎。

糸……敵にとっては動きやすい足場、俺達にとってはただの障害物。ふむ、厄介ですね。ですが……それなりに対策手段はあるのですよ。
残留効果【エアライド】を使い相手への最適な道筋を見極め【壁歩き】で近づきましょう。

人形の糸を自らの体に絡ませ、まるで自身が操り人形となったかのように操ります。体を犠牲に限界を超えた速さと動きで【捨て身の一撃】を人形と共に与えます。

体の軋む音が聞こえると共に激痛が走りますが、関係ない。可憐な人形……そして薄汚いこの俺による踊りは、まだ続く。


文月・雪人
アドリブ連携歓迎

やあ焔、久しぶりだね
といっても君はアヴァタール級
元のクロノス級が何をしたかなど
きっと覚えていないのだろう
それでも、ここで見えたのもまた縁だ
付き合って貰うよ、その身を焦がす戦いに

素早く[観察]状況把握
クダ吉を密かに放つ
地の利は向こうにある
無理に先手は取らず機を窺う

焔の手の内は知っている
魅了の[精神攻撃]に備え耐えつつ
囮の[演技]で油断誘う
隙狙いクダ吉が[不意打ち]攻撃
影に牙を突き立て[捕縛]したら
【エアライド】で一気に距離を詰め
[火炎使い・呪詛・全力魔法]の力込めた
【能力値・反撃・命中アップ】な『管狐影縛法・閃』の斬撃で斬り伏せる

どちらが修羅なのだろうね(苦笑
復讐の炎は今尚ここに


一角・實生
蜘蛛、忍者、糸
忍者のことはよく知らないけれど、敵にとってかなり有利な状況なのだろう
けれどそれを覆すのが俺達だ

どの糸が粘着性を持っているのか分からないうちは足場として使わずにおくよ
【光学迷彩】で身を隠し、敵の立ち回りを肉眼とスコープを通して観察・偵察
足場として使用できる糸を【パラドクス通信】で仲間に伝えたい

グラナトゥムを構えパラドクスを発動
呪詛を纏った銃弾で狙撃する
妖力を宿した糸は【エアライド】で後方に移動・跳躍し避けたいな
敢えて粘着性を持つ糸のそばを通過することで糸同士絡まったりしないだろうか

縁深い仲間がいるのなら隙を生み出すことに注力
糸に絡まぬ程度に翼を広げ敵の意識を僅かでも俺に向けられたら


「やあ、焔。久しぶりだね」
 伊賀忍者と仲間達の剣戟の響く中、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)はしかと、その声を放つ。
 応対する敵はただ一体。アヴァタール級妖怪、絡新婦『焔』であった。
「久々? 何を言っているか知らないね!」
 キシャーと紡がれる吠え声は、しかし、雪人にしても承知の上だ。むしろ、彼女の文言が予期できた台詞だっただけに、思わず微苦笑を零してしまう。
「そうだね。君はアヴァタール級。大元のクロノス級が何をしたかなど、きっと覚えていないのだろう?」
 それでも、と言葉を紡ぐ。これもまた、縁なのだ、と。
「付き合って貰うよ、その身を焦がす戦いに」
「蜘蛛屋敷に真っ向から付き合うつもりはないのだけどな」
 淡々とした言葉を紡ぐのは、一角・實生(深潭鷲・g00995)であった。グラナトゥム――大型の狙撃銃を構えた彼の視線は、むしろ、焔が足場とする糸へと注がれていた。
 仲間と対峙する忍者達と言い、この蜘蛛女と言い、粘着質の糸に絡め取られている兆候は一切無い。彼奴らが足場にしている以上、通常の糸と粘着糸が分かれているのは自明の理だが、しかし、糸同士の差異は、彼の観察眼を以てしても見抜くことは出来なかった。
「貴様らに有利すぎる状況、か。ならば、それすらも俺達は覆してやろう」
 それは勝利宣言――鬨の声であった。自身らを奮い立たせ、敵を威圧する言葉に、しかし、焔はふふりと笑む。
「私達がそれを許すと思ってかい?」
 居丈高な台詞であった。余程、このクロノ・オブジェクト、鬼妖一夜城に自信と信頼があるのか、それとも彼女が自意識過剰なだけなのか、それは判らなかったけれども。
「相当な自信を持たれているようですが……俺達もそれなりの対策を講じているのですよ? それをご覧に入れましょう」
「吼えるな、ディアボロス! 同胞の仇、此処で取ってくれよう!」
 薄い微笑を口元に張り付け、アイネズ・レーヴェ(薄汚い実験台・g00773)が言い放った挑発の文言に、焔の叫びが重なる。
 それが、戦闘開始の合図となった。

「俺の身は傀儡となる」
 その跳躍は、まるで空を飛ぶが如し、であった。
 空気を蹴り、糸を蹴り、そして壁すら足場にし、焔への彼我の距離を詰める。通常ではあり得ない物理法則無視のアイネズの跳躍に、思わず實生は感嘆の声を零してしまう。
(「その手があったか!」)
 彼が用いた残留効果は【エアライド】。その効果は三度、空気を足場に出来るのみではない。跳躍の中、最適な移動経路を見出すとの効能は、むしろ、それこそがアイネズの本命だったのだろう。
 最適な経路――即ち、粘着糸では無い通常糸を足場とする事だ。
「――ッ?!」
 焔の舌打ちは、彼の挙動に対してなのだろう。よもや歴史侵略者側ではないアイネズが、糸の違いを見出す事など、夢にも思っていなかった。そんな表情を形成していた。
「舐めるんじゃないよ! ディアボロスが! その程度で私の城を崩せると思うてか?」
 だが、その動揺も一瞬で終結する。糸の上を高速で駆け抜ける彼女が零すのは、紫色の煙のような吐息、そして蠱惑的な笑みであった。並の男であれば誘惑され兼ねないそれもまた、彼女の妖力・妖術の類なのだろう。絡新婦の異名は伊達では無いという事か。
「壊れた俺に、そのような笑みは通じない」
 焔の熱視線を、しかし、アイネズは頭を振って否定する。妖力は妖力。彼の心を泡立たせる力はあるが、それを全て押さえ込むと、その刹那に焔へ貫手の嵐を降り注いでいった。
「クダ吉!」
 追撃の呼び声は、雪人からであった。
 焔の甘言への誘惑に唇を噛んで耐えた彼もまた、怒りの燃える眼でパラドクスを振るう。狙うは一点。焔の影だ。忍び寄ったサーヴァント、クダギツネの牙が、糸の上にくっきりと残る黒影に、ざくりと牙を突き立てていた。
「なっ?!」
「これぞ管狐影縛法・閃! お前達を縛るために生み出した法だ!」
 それはまさしく神速。それはまさしく縮地。【エアライド】の恩恵で肉薄した雪人は、白銀の刃は煌めかせ、焔の身体を袈裟状に斬り裂いていく。零れ行く血は、人と同じく朱の色をしていた。それらが糸を汚し、城の中へ散布されていく。
「どちらが修羅だろうね。復讐の炎、今此処に果たさせて貰おう」
「ごちゃごちゃと五月蠅い輩だね!」
 怒りの咆哮は、当然と言えば当然だった。同胞を破壊され、今や、自身まで傷つけられているのだ。焔に渦巻く怒りは如何程の物だろう。
 だが。
「突き破って、届かせる」
 放たれる蜘蛛糸を掻い潜り、浄化の弾丸が絡新婦へと突き刺さっていく。それを為した實生が零した物は、意外にも安堵の溜め息であった。 
「貴様っ!」
「そちらの攻撃は届かないよ、焔」
 飛び交う妖糸を跳躍して躱し、或いは紙一重で身を翻しながら、更なる銃撃を加えていく。無数の銃弾は、まるで尽きる事が無いかのように、彼女の身体を穿っていった。
「推して参る、と言った処か?」
「巫山戯るな、ディアボロス!」
 アイネズの挑発に対し、紡がれた焔の叫びが、一夜城の中に木霊していった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【傀儡】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!

ナイナ・ヴィラネスティズム
WIZ
同選択肢の味方との連携可
使える効果2は全て使用

「鬱陶しい事この上ない蜘蛛の糸ですわね。せっかくの髪が乱れますわ」

張り巡らされた蜘蛛の糸は回避や足場確保に活用
敵の放つ子蜘蛛の群れはアイスクラフトによる氷壁を三段張りで生成、群れの侵攻を防ぎつつ、エアライドで蜘蛛の糸の足場へ跳んで高所からマジックグレネードの投擲で爆破一掃
オホホホホ!炎を司るだけありよく燃えますこと!
反撃のお返しにはヴィラネスト・ダイヤモンドブレイク
溢れる魔力から巨大な氷塊を生成し、敵よりも高い位置から落として差し上げます
敵が身動きできぬように魔銃による銃撃でフェイントをかけつつアイスクラフトの氷壁で退路を塞いであげましょう


内方・はじめ
糸が張り巡らされて、その糸は壊せない
敵は、その糸を足場に動き回る

面倒くさい糸よね

だけど、そこまで敵が優位なら……もし、糸から落ちたり降りたりしても、
無意識のうちに糸に戻ろうとするはず

私は忍び足を活かし、【光学迷彩】で物陰等に姿を隠して、敵の動きを注視
情報収集、偵察、看破を活かし敵の動きや位置を把握し、必要なら【パラドクス通信】で仲間にも伝達

敵が糸からジャンプしたり、糸から落ちたら……最寄りの糸に戻ろうとするはず
そこが、忍耐力で待ちに待ったチャンス

その隙を狙って、ライフルを構え無形の反逆者で応戦よ

そうすれば、敵は反撃してくるはず
その隙を狙い、【パラドクス通信】で仲間に号令して一斉攻撃を狙いましょ


「オホホホホ! 鬱陶しい事この上ない蜘蛛の糸ですわね。せっかくの髪が乱れますわ」
 妖糸巡らされた一夜城の中、淑女の高笑いが響き渡っていく。声の主の名はナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)。復讐者の一人にして、傲慢に仁王立ちする戦闘令嬢であった。
「そうね。面倒臭い糸よね」
 同意と頷くのは、内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)その人であった。辟易の顔は、焔に向けてか、それとも余裕な台詞を口にしたナイナに向けてか、それは判らなかったけれども。
「それでは真打ち、行きますわよ! 氷魔巨成! 漂う冷気から作りし金剛石の芸術!」
 ナイナの気合い一閃の元、生み出されたのは巨大な氷塊群であった。それらを以て蜘蛛糸を絡め取り、或いは氷結させることによって、新たな足場を形成していく。そして、ナイナ自身、その勢いのまま、城の中を跳躍していった。
「私の糸が?!」
「おーっほっほっほ。焔を冠するだけありまして、氷結や水撃には弱いようですわね!」
 無論、そんな事実は無く、これはナイナのハッタリだ。
 更に言ってしまえば、ナイナの繰る冷気、そして【アイスクラフト】には蜘蛛糸を封じるような力は無い。【エアライド】による看過と空中跳躍が、彼女による蜘蛛糸攻略の要であったが、しかし、それを正直に打ち明ける理由など何処にもなかった。敵は驚愕し、その間隙を突く。それのみで充分だった。
「そらそらそらそら! 氷と共に踊ると良いですわ、焔!」
「戯れるな! ディアボロス!!」
 氷塊を投擲する令嬢に、対する焔が喚び出すのは、炎の群――正確には、炎を背負う子蜘蛛の群であった。喚ばれ、射出されたそれらはナイナの身体に潜り込むと、その炎毎、爆破四散していく。
 戦闘服は裂け、鎧は砕かれ。何より皮膚を焦がす痛みは、重度な火傷へとなりかねない。だが、それを受けつつも、ナイナは不敵に笑う。
 その先に起こりうることを予想できていたからだ。
「行きますわよ! はじめ!」
「はいはい。――さあ、かくれんぼの時間よ。見つけることができるかしら?」
 鋭い命の元、放たれたそれは、狙撃の弾丸であった。
 あり得ない角度から撃たれた焔は、目を見張り、狙撃手へと視線を送る。
 天井すれすれに張り付いたはじめの射撃は一度や二度に収まらない。その数五度。肩を、胸を、腿を、尻を、そして蜘蛛腹を貫かれ、焔の絶叫が一夜城内に響き渡る。
「馬鹿な! そんなところにディアボロスが……?」
「死にゆく貴方に言う台詞じゃ無いけども……憶えていなさい。目に見える物が全てじゃない、って事を」
 反撃の妖術は【光学迷彩】交えた移動で躱し、再度の狙撃で焔の身体を穿って止める。元より、近付く気のないはじめだ。誘惑に載せられ、蜘蛛の巣へ突入するつもりなど、毛頭にも無かった。
(「まあ、それでも誘い出すのがパラドクス、妖術の類って所なのだけど」)
 気を抜けば、焔の誘いの元、ふらふらと行ってしまいそうになる。あの脚に抱かれたら、あの白い肌に溺れたらどうなるか。そんな誘惑に乗る筋合いなど無いと言うのに、理性に反して、本能は歪み、焔へと身を差し出せと囁いてくる。
「全く以てこざかしい! 絡新婦の名に相応しい御仁ですこと!」
「同意よ。でもまあ、今や分はこちらにあるわ。彼女の最期も時間の問題、と言った処かしら?」
 ナイナの呟きに、冷静なはじめの呟きが重なる。
 決着の時は、もはや目前。
 ならば、それまで耐え抜き、それを制するのが、復讐者達の有様だ。
「全力でぶっ潰してやりますわ!」
「そうね。この初戦、勝利で飾りましょう」
 乙女二人の決意は如何に。
 巨氷塊の投擲と銃弾の雨霰が焔を捉え、白く美しい容姿をズタズタに裂いていく――。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【アイスクラフト】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!

リーシャ・アデル
・心情
さーて、本命がこの城自体な以上……前座と言っても手強いことには変わりはないんだけど
ともかく、ぶっ倒させて貰うわ

・戦闘
引き続き、残留効果の≪エアライド≫と≪壁歩き≫を駆使して、上手いこと足場になりそうな糸を見極めつつ戦うわ
召喚してくる敵ごと、パラドクス『翠焔・創像:ブレイジングジャベリン』による槍の【投擲】と【貫通撃】でぶち抜いてやるわよ!!

・その他
アドリブ等は大歓迎よ


白水・蛍
アドリブ、連携歓迎です。

ほー……あなた方も忙しい事ですね。
あっちにつき、こっちにつきとまるで蝙蝠みたいです。
蜘蛛が蝙蝠みたいというのもおかしな話かもしれませんけどねえ。
としれっと。
挑発になればよし、そうじゃなくとも、まあ、それはそれで。

相手が多数を呼び出すのであればそれら全て縛ってしまいましょう。
パラドクス発動。
――我が声にて、我が音にてきたれ、その身縛りし、音の弾丸!
声が、音がと弾丸の如き勢いで飛び、相手の呼び出した子蜘蛛ごと、撃ち貫いてさし上げましょう!


「ほー。あなた方も忙しい事ですね。あっちにつき、こっちにつきとまるで蝙蝠みたいです。蜘蛛が蝙蝠みたいというのもおかしな話かもしれませんけどねえ」
 蜘蛛糸の城の中、そんな挑発を口にする者が居た。復讐者の一人、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)であった。
 その物言いに、アヴァタール級妖怪『絡新婦』焔はぎりりと歯噛みする。その思いはただ一つであった。
(「誰のせいでこうなったと思っているのか!」)
 全ては彼奴らが彼女達の断片の王、安倍晴明を討ったからである。行き場を無くした彼女達を、むしろ天正大戦国のジェネラル級クロノヴェーダ、豊臣秀吉は温情を以て保護してくれた。断じて、この蛍の言う通り、尻尾を振りながら寝返った訳では無い。
「黙れ! 貴様らに私達を咎める権利があると思うな!」
 怒りは子蜘蛛の群となり、蛍を襲撃する。子蜘蛛の抱く炎の一つ一つは大きく、彼女の身体を焼くの充分な威力を秘めていた。
 だが、蛍もまた、ただ挑発の言葉を口にしただけではない。その対処もまた、当然の如く紡がれていく。
「――我が声にて、我が音にてきたれ、その身縛りし、音の弾丸!」
 言霊は銃撃となり、音の弾丸が子蜘蛛らを貫いていく。響き渡る悲鳴は子蜘蛛達が零す物。そして、怒号は怒りに燃える焔が発する物であった。蛍の声と焔の叫び、そして子蜘蛛の呻きの三重奏が城の中に響き渡って行った。
「この後に本命が控えているのは知っているの! 兎も角、今の貴方はぶっ倒させて貰うわ」
 響き渡る声の中、駆け抜ける影があった。
 リーシャ・アデル(絆紡ぎし焔の翼・g00625)。
 TOKYOエゼキエル戦争を故郷とする天使にして、復讐者の一員たる彼女は、残留効果【エアライド】、そして【壁歩き】を駆使し、焔へと接近していく。
 その手に握られたのは、翠色の槍。槍状にまで凝固した、翠色の炎であった。
「せーのっ!!!」
 糸を蹴り、壁を踏みしめ。そして行われたのは、ジャベリックスロー――槍投げであった。弓のように撓ませた全身から放たれた投擲は、人間が、そして人型が勝ち得た戦闘手段であった。
 腕のみならず、上体を、下半身を、そして背に広がる対の翼すら発射台の勢いと変えた彼女の槍投げはまさしく、百歩穿揚。群と襲い来る子蜘蛛達を、そしてその先の焔を貫き、翠色の炎を上げさせた。
「お、おのれ。ディアボロス。同胞の仇を、この恨みを、晴らさずに……」
「あー。はいはい。そう言えば粗骨もそんな事、言っていたっけ」
 幾渡と仲間に斬り裂かれ、妖怪の数多な体力は、しかし限界だったのだろう。胸を貫かれ、燃え上がる焔は、しかし、その炎を消すことも出来ず、ただ恨みの言葉を口にする。
 それが彼女の末期であった。
 呪いを口にした彼女は、そのまま脱力したかのように地へと墜ちていく。どうっと鈍い音が響き、燃え残った遺骸のみが、リーシャと蛍、二人の眼下に晒されている。
「リーシャさん」
「蛍!」
 二人の紡ぐハイタッチが、景気の良い音を響かせる。
 アヴァタール級クロノヴェーダ『絡新婦』焔の最期を見届けた。戦いを制した喜びは大きく、だが。
「……とは言え、もう一働き在りますが」
 主の死に、しかし、クロノ・オブジェクトは消滅の気配を見せない。そして、これから起きる事を、彼女達は承知していた。全て、時先案内人の言の通りであった。
「――さあ、仕上げと行くわよ。……その前に、アタシ達も取り込まれないように!」
「ええ。まずは脱出しましょう!」
 リーシャと蛍は頷き合い、【エアライド】の導きのまま、城外へと転がり出でる。
 その刹那、城内には蜘蛛糸がぶわりと広がり、そして――。

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ!」

 響き渡ったのは、まるで産声のような咆哮であった。

「ああ、成る程。焔を取り込むって言っていました物ね」
「取り込んだのはアヴァタール級クロノヴェーダのみじゃないようね。伊賀忍者達の遺体もまた、ご馳走って所かしら?」
 聞こえて来た咆哮は焔の声、そして、伊賀忍者達の声の二重奏であった。それが発せられる様に是と頷かざる得ない。
 ともあれ、これが絡新婦『焔』と、彼女の駆使する鬼妖一夜城を巡る最後の戦いとなる。これを倒すか、それともこの城の前に敗北するか。残された道は二つに一つだ。
「当然、後者は無いけどね」
「ええ。行きましょう。巨大建造物と化した言っても、所詮は再生怪人。私達の敵ではありません」
 リーシャは破顔し、蛍は冷笑と共に切り捨てる。
 斯くして、復讐者と歴史侵略者、絡新婦『焔』との戦いの終局が幕を上げる。終焉は、目前まで迫っていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!

リーシャ・アデル
・心情
さぁて、一夜城を文字通り『一夜の夢』にしてあげましょうか!!
後はもう、全力で行くだけよ!!

・戦闘
ネメシスモードを発動
パラドクス『皓焔・纏想 HOLLOW-HEART』で竜人の姿になりつつ、残留効果の≪飛翔≫で【空中戦】に持ち込みつつ、全力の一撃をお見舞いしてやるわ!!!

・その他
ネメシスモードの姿はパラドクスの影響で淡い紫色の翼、角、尾を持ち、淡い桃色の長髪、マゼンタっぽい色の瞳を持つドラゴニアンになります
アドリブ等は大歓迎よ


ナイナ・ヴィラネスティズム
WIZ
同選択肢の味方との連携可
使える効果2は全て使用
ネメシスモード「凍れる妖精賢者」発動!

「オホホホホ!最後の悪あがきにと合体したお城ごと攻め滅ぼしてくれましてよ!」

飛翔とエアライド活用にて空間を思うがままに飛びつつ敵の攻撃を回避
回避が間に合わない場合は妖精刀で切り払って防御
敵からの攻撃を一通り凌げばヴィラネスト・ダイヤモンドブレイク
冷気の支配者で周囲の気温を下げながら魔銃の銃口の先に氷の魔力を集積(氷雪使い)
巨大な氷塊(拳形)を形成し銃の引き金を引くと共に撃ち出し(砲撃、貫通撃)
少々時期早々ですが落とし玉をくれて差し上げますわ!有り難く受け取りなさいな!


アイネズ・レーヴェ
さて、文字通り一夜の夢の如く。このまま滅ぼしてしまいましょう。


ネメシス状態になり先程と同じく、そしてさらに強く自身に糸を絡ませます。
他の方が空中戦に持ち込むのならば、地上は俺にお任せを。より激しくより速く、全身に絡む糸を無理やり動かすことで敵の想像を超えるスピードを出して見せましょう。

無様な怨念よ、どうか足下にお気をつけて。
そして……今のうちに景色を見ておくと良いですよ。お前の墓標になる土地だ、ゆっくり目に刻んどけ。


御森・白露
アドリブ連携歓迎
ネメシス形態

キ、ヒャハハハハハ!!!
いいなァいいなァ!その怨念、俺は嫌いじゃあねェぜ?
お前らの憎悪、どれほどの物か――試してやるよ。

ネメシス形態に変貌。瓦礫を、壁を、蜘蛛糸を、全て踏み砕きながら城を駆けあがる。
溢れ出る【呪詛】の焔を【攻城戦】仕様の特大巨剣の形状に収束させ、【神咒・旱之剣】起動。
天守閣のド頭からぶっ刺して何もかもを吸い涸らし、一夜城を塵の残骸に変えてやる。

ああ……いーい恨みだったぜェ。
だがまあ、その程度じゃあ俺達には届かねェよ。
無念を抱えて闇に眠れ。


文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

復讐者への復讐の念か
例え彼らが倒れようとも、その骸も怨念も全て取り込み余さず使い尽くす
成程鬼妖達は、秀吉にとって都合のいい手駒なのだろうね

故郷を奪われた怒りなど、今更言われなくても分かっているさ
だからこそ全力で、その恨みごと打倒す

城の状態を油断なく観察し情報収集
仲間と【パラドクス通信】で情報共有し連携する
【反撃アップ】で攻撃看破して
『光明一閃』の機会を狙う

必ず打倒すという不屈の意志で魅了攻撃を耐え凌ぎ
蜘蛛脚(城足?)の直撃を回避
突き出された足をも足場として
【エアライド・壁歩き】活用し巨体を駆け登り『光明一閃』!
浄化と炎の力込めた【能力値・命中・ダメージアップ】な斬撃で城を斬る


内方・はじめ
ふぅん……怨念ねえ
でも、あんたらの怨念って、謂れない人々を虐げた結果の自業自得じゃない

虐げられた人々の無念に比べたら……屁のつっぱりにもなりゃしない

それを、物理的に教えてあげるわ

空中戦、弾幕、誘導弾、撹乱、残像、時間稼ぎ、挑発を活かし、城外を【飛翔】し飛び回って撹乱し、仲間が暴れるための時間稼ぎ

隙あらば、砲撃、一撃離脱も活かし報復の魔弾で敵を攻撃
敵の反撃は、周囲の木々等を盾にしたり、【エアライド】での急旋回、急上昇・急降下等し逃げ回り嫌がらせ

必要なら【パラドクス通信】で互いの状況を情報交換し、連携のタイミング合わせ等に活かしたいわね

さあ、惨劇の犠牲者達の無念、恐怖、怨嗟をその身で味わいなさい


白水・蛍
アドリブ・連携歓迎
ネメシス発動。

さてと、一夜の夢の如く、全てを破壊いたしましょう。
飛翔・エアライドを使用しつつ、敵の攻撃を回避しながら、力を溜め込みます。
パラドクス通信を使いながら連携のタイミングを計ります。
そして、タイミングがきましたらそのタイミングでパラドクスを発動します。

その怨念ごと、その怒りごと、全部全部、吹き飛ばしてさし上げます!
全力全開で【喚願響鳴砲音】、発射致します!!


 同胞の仇、その恨みを晴らさずにおくべきか。
 奇しくもアヴァタール級クロノヴェーダ『絡新婦・焔』の末期の台詞となったそれは、巨大城の化け物と言う形で具現化していた。
 恐ろしくはその怨念。全てを焼いても未だ足りないと振りまく呪詛に、しかし、復讐者の一人、内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)は嘆息する。
「怨念。怨念、ねぇ」
 確かに郷里である平安鬼妖地獄変を追われ、異なる改竄世界史で生きることを強要された。仲間を倒された。主である断片の王、安倍晴明を倒された。局所的に見るそれは、確かに復讐者達の行動の結果であり、それ自体、彼女の抱く恨みが正当である事を認める。
 それ自体のみであれば。
「でも、あんたらの怨念って、謂れない人々を虐げた結果の自業自得じゃない」
 刻逆を用いて世界を奪い、そして、無辜の人々を虐げ、エネルギーを得ようとした。
 だから自分達が来た。否、自分達の様なディアボロスが産まれた。それを鑑みれば、彼女達に降り注いだ厄災など、当然の結果、はじめ曰く『自業自得』でしかない。
「キ、ヒャハハハハハ!!! いいなァいいなァ! その怨念、俺は嫌いじゃあねェぜ?」
 そして、御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)は怨念に笑う。それは嘲笑。それは哄笑。それは狂笑であった。狂い咲いた怨念に負けず劣らずの笑いは、はじめに同調するが故か、それとも、彼なりの信念に基づくそれか。
 だが、異形と化した彼は、その爪で、その顎で怨念そのものを試してやると宣言する。それすらも己の糧と取り込むかのような、強い宣誓であった。
「たとえ彼らが倒れようとも、その骸も怨念も全て取り込み余さず使い尽くす。成る程、鬼妖達は秀吉にとって、都合のいい手駒なのだろうね」
 冷静な文言を紡ぐのは、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)であった。
 城に取り込まれ、新たなる戦力に組み込まれる。鬼妖一夜城を与えた真意がそうであるならば、豊臣秀吉とは何と冷徹、何と恐ろしき天魔武者であろう。良い様に使われた焔に一抹の憐憫すら感じるが、しかし、それもこれも、彼女の盲信――否、妄信の結果だ。同情するべき話では無かった。
「オホホホホ! 最後の悪あがきにと合体したお城ごと攻め滅ぼしてくれましてよ!」
 青き女騎士――彼女曰く、『凍れる妖精賢者』に身を転じたナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)は、高笑いの元、空へと駆け上がっていく。これまで積み重ねた残留効果【エアライド】と今し方、仲間が敷いた【飛翔】は、その行動への後押しとなっていった。
「さぁて、一夜城を文字通り『一夜の夢』にしてあげましょうか!!」
「文字通り一夜の夢の如く。このまま滅ぼしてしまいましょう」
「一夜の夢の如く、全てを破壊いたしましょう」
 そして、酷似の文言をリーシャ・アデル(絆紡ぎし焔の翼・g00625)、アイネズ・レーヴェ(薄汚い実験台・g00773)、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)の三名が紡ぐ。
 恨み辛みが詰まり、具現化した鬼妖一夜城。だが、それを放置出来ないのも事実だ。これが復讐者達への恨みの権化ならば、その昇華もまた、自身らの役目だろう。その意味では、三者の言葉は正しく、そして一致していた。
「がああああああっ」
 獣の如き砲声のみが、辺りに響き渡る。
 それが、最終局面の開始を告げる狼煙であった。

「氷魔巨成! 漂う冷気から作りし金剛石の芸術!」
 叩き付けるは蒼色の疾駆。魔力を帯びた氷の塊はナイナの命の元、鬼妖一夜城に砲撃の如く叩き付けられていく。その様は、無数の砲撃に晒され、しかし、逃げる事を許されない城の如しであった。
「オホホホホ。動き出せても、俊敏さはない! ただの的ですわね!」
 まさしく彼女の言葉の通りであった。
 絡新婦・焔の転じた――否、彼女を取り込んだ城の動きは鈍く、復讐者達の放つパラドクスは全て被弾している。まるで回避の概念が存在していないかの様であった。
「でも、耐久性は流石に城、って感じね」
 漆黒の魔弾を穿つはじめは、そんな感想を口にする。
 頑強さだけを取って見れば、彼奴のそれは随一と認めざる得ない。復讐者達のパラドクスを一身に受け、しかし、倒れる様子はない。当然ながら、復讐者達も全身全霊を以て攻撃している。刻まれた瑕疵の多さ、深さがそれを物語っていた。
「これが、怨念――」
 白銀の竜人に天使の身を転じたリーシャは、その執念に思わず呻き声を零す。
 幾多切り裂き、幾多穿ち、幾多破壊し。しかし、城は動きを止めない。獣の叫びを上げ、復讐者達へと吶喊、まるで恨みを晴らすかのように、執拗な殴打を繰り返してくる。
「蜘蛛脚のみならず、蜘蛛糸も厄介ですね」
 呆れの言葉を零すのは、蛍であった。城の巨体を支える蜘蛛脚は、太く、そして長い。現実にこのような蜘蛛が居れば、化け物レベルではない。もはや怪獣だ。そして、その表皮は硬く、まるで鋼のよう。蛍の一刀ですら、斬り裂くのに苦労する物であった。
「ですが、その怨念ごと、その怒りごと、全部全部、吹き飛ばして、さし上げます!」
 音が響く。蛍の周囲に魔力を通した音が満ち、そして、その音は反響。彼女の中で巨大な音を形成する。
「我が音に応えて来たれ。これ即ち全てに響き渡る音の一撃!」
 音とは揺らぎであった。音とは波であった。魔力で音を集約させ、一点集中で放射。それは、音の砲撃、空気の戦鎚であった。
「ぐぎゃあああっ」
 天守にまともに受けたためだろうか。鬼妖一夜城はよろめき、その場に踏鞴を踏む。倒れなかったのは、蛍の言にもあった蜘蛛脚が、その巨体を支えたからだ。流石に8本もあれば、安定度合いは違う様だ。
「……見えた、進むべき道はこの先に!」
「……俺の身は傀儡となる」
 だが、それもまた、勝機。この機を逃すまいと、鬼妖一夜城へと肉薄する影があった。雪人とアイネズである。
 蜘蛛脚を足場に、城壁を足場に、そして放たれる蜘蛛糸を躱し、それぞれの一刀が、鬼妖一夜城に叩き込まれていく。
 響く鈍い音は、城の壁が梳られた音。だが、何より、城そのものが破壊されていく音でもあった。
「無様な怨念よ、どうか足下にお気をつけて。そして……今のうちに景色を見ておくと良いですよ。お前の墓標になる土地だ、ゆっくり目に刻んどけ」
 限界を超過した一撃を放ったアイネズは、落下の最中、そんな言葉を口にする。
 それは死の宣告だった。最期も近い。そう告げる言葉を、鬼妖一夜城は挑発と捉えたのだろう。巨大な咆哮が、周囲に響き渡った。
「ねえ。焔。お前ではないお前が憶えているかどうかは知らない。ただ、俺は告げよう。故郷を奪われた怒りなど、今更言われなくても分かっているさ」
 故郷を追われたのは、何も彼女のみだけでは無い。雪人自身も、クロノヴェーダに排され、新宿島に流れ着いた復讐者の一人だ。
 その彼が浮かべたのは憐憫でも同情でも無く――ただの現状把握であった。
「だからこそ全力で、その恨みごと打ち倒す」
「ヒャー、ハッハッハッハッ。不遜! 不遜である!」
 雪人の言葉を引き継ぎ、哄笑が、狂乱の爪と牙の連撃が、そして、呪詛の剣が疾走る。
 それを為したのは、白露のパラドクスであった。全てを奪い、崩壊へと導く枯渇の権能は、呪詛の剣と化して、鬼妖一夜城に突き立てられる。
 再度の悲鳴。再度の咆哮。だが、復讐者達の攻撃は止まらない。
 漆黒の弾丸が天守を穿ち、剣戟が壁を、蜘蛛糸を断っていく。鋼の如き蜘蛛脚を斬り裂く程の刃の一刀、そして音の砲撃は、鬼妖一夜城を崩壊に導くのに充分過ぎるほど、巨大で、多大な痛撃であった。
 一夜城を一夜の夢に変える。
 復讐者達が述べた台詞は、今、正に成就使用としていた。
「ああ……いーい恨みだったぜェ。だがまあ、その程度じゃあ俺達には届かねェよ。無念を抱えて闇に眠れ」
「少々時期早々ですが、落とし玉をくれて差し上げますわ! 有り難く受け取りなさいな!」
 トドメとなったのは、呪詛の一薙ぎ、そして、氷塊の殴打であった。
 白露とナイナの一撃は、蓄積された損害の、最後の一押しとなる。呪詛の剣は天守を切り裂き、降り注ぐ氷塊は、その天守を端から潰していく。
 それは、まるで、切り飛ばした首を粉々に砕く行為であった。
 断末魔の悲鳴は一度のみ。
 やがて鬼妖一夜城は動きを止め、その身体を崩壊させていく。
「……流石、クロノ・オブジェクトと言った処かな」
 崩れ行く城壁も、瓦も、何もかもが消失していく。崩壊を引き金とし、存在そのものを消失させていくそれは、この世の常識を超越した物質であるが故か。
 雪人の嘆息に、そうね、と呟くのはリーシャだ。其処に何も残らない。取り込まれた絡新婦や忍者達の遺骸もまた、異物として消失していったのだろうか。ただ、鬼妖一夜城が暴れ回った跡のみが、その存在を示唆するのみであった。
「跡には何も残らない。だが、これで、豊臣秀吉の策に一投を放てた。それで充分、だと思う」
 それでも成した物はあると、アイネズは呟く。
「惨劇の犠牲者達の無念、恐怖、怨嗟をその身で味わった絡新婦・焔は此処で果て、城は崩壊した。戦果としてはそれで充分」
 アイネズの言葉を是と首肯し、はじめは仲間達の労を労うのだった。

 天正大戦国、河内国に出現した一夜城は、一夜の内に滅ぶ結果となった。
 それを成した者達の名は、ディアボロス。
 しかしそれは、幾渡と繰り返される天正大戦国の戦いの、ほんの序章に過ぎなかった――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV2が発生!
【アイスクラフト】がLV2になった!
【罪縛りの鎖】がLV3になった!
【腐食】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV6になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年10月18日