リプレイ
不二山・ロウカ
一応おまわりさんのオレが、誘拐に加担することになるとはなァ。
まぁ、これも一種の囮捜査か。最後には帳尻合わさせてもらうことにするよ。
「良い儲け話があるって聞いたんだが、おたくら知ってるか?」
ならず者たちの仲間になるため治安の悪そうな場所をうろつこう。怪しい集団を見つけたら、仲間になるために実力を示そう。
マロンちゃんを懐に忍ばせ、誘拐の標的に何気なく近づく。肩に触れながら、マロンちゃんの放つ電撃《電撃使い》で標的を気絶させよう。
「気を失ってるだけだ。傷付けずに相手を捕まえんのは得意なの、元々」
……やれやれ。己の行為に虫唾が走るねェ。
【パラドクス通信】を使い、他のディアボロスに場所を共有しよう。
纐纈・刻子
…不本意ではありますが、誰かがやらねばなりませんね
ならず者たちにも事情がありそうですし、そこを突きましょう
無辜の人々には、事件解決をもってお詫びとするとして…
貧民街で、ならず者の集団を探して声をかけます
遅れました、「仕事」の手伝いに参りまし…いや、来たぞ
(演技で口調を敢えて乱暴にするのに必死)
ドクトルに一人でも多く健康な実験体を持ち帰らないとな、
私もどうなるか分かったもんじゃない
絶妙な手加減をしながら、他のならず者役がいれば連携を取り
適度に数人麻袋に詰めてみせれば、どうでしょうか
上手く取り込めれば上等です
余裕があれば麻袋の中の人に「後で必ず助けます」と
お詫びの一言も言えれば良いのですが…
伊斗浜・蘭華
へーい。うへへー。良い子のねんねじゃねーんだー。大人しくしろー(棒読み)
聖女です。何の因果かならず者に紛れて誘拐作業に勤しんでおります。
脳改造ばんざいー。神様ばんざいー。
え。私が疑わしいですか?どうぞ私の目を見てください。
みょんみょんみょんー(UC)
さあ、ご一緒に。脳改造ばんざいー。神様ばんざいー。
分かり合えるということは素晴らしいですね
おや?誘拐される側にディアボロスがいるようですね。
ではきつく縛るふりをし、いつでも解けるように手首を紐で括りましょう。
げへへー。おらー、きりきりあるきやがれーです。(棒読み)
ではそのまま仲間や信者達と共に秘密工場まで赴くとしましょう。
(アレンジアドリブ大歓迎)
カイド・グローサベア
木を隠すなら森の中、
ならず者に隠れるならならず者のフリ――ってか。
いやはや、そうやって有象無象の『普通』に紛れ込むのは平気なんだけどな。
……果たしてどこまで『隠し通せる』かな、っと。
そう、暗殺の手筈とやることは変わらねぇんだよ。
【モブオーラ】で違和感なく背景(モブ)に溶け込んで。
連中に混ざり込むのがその為の技術(パラドクス)なんだよ。
うっかり話しかけられても大丈夫なように腹芸は仕込むけどな、一応。
「……安心しなぁ、兄弟」
「『やり過ぎなければ』俺達の安全は保障されるんだ、お祈りすんならまず――」
「……『やられる側』にされないこと、だよ。改造だなんて、お断りだろ?」
※アドリブ連携歓迎ですー
●ならず者に混ざろう
「入るぜ。良い儲け話があるって聞いたんだが、おたくら知ってるか?」
かつて酒場だったと言う廃屋。
今はならず者のたまり場になっているそこに、不二山・ロウカ(あなたの街のおまわりさん・g02440)が無遠慮に扉を蹴り開け、ズカズカと踏み込んで行く。
「遅れました。『仕事』の手伝いに参りまし……いや、来たぞ」
少し遅れて、纐纈・刻子(夜明けを告げる鐘の音・g02291)も、普段の口調を演技で隠しながら駆け込んできた。
時代と場所が違えども、『治安の悪い場所』の空気は似ているものだ。かつておまわりさんであったロウカにとっては、特に。
逆に刻子には、そういう空気も馴染みがないものだっただろう。だからこそ、他のごく普通の街との違いならわかる。
かつてお嬢様学校の学生だった頃ならば、近づく事がなかった様な雰囲気。そう言う場所を敢えて選べば良いのだ。
「なんだ、テメェら」
「儲け話なんかねえよ」
取り付く島もなく、ならず者達は2人に出ていけと手で示す。だが、はいそうですかと出ていくわけにもいかない。
「大体、そんな男か女かわからん細腕で、何が出来るって――」
ならず者の1人が刻子に伸ばしかけた腕を、ロウカが伸ばした手が掴んで止めた。
「オレは結構、役に立つと思うぜ?」
ロウカは自信あり気な笑みを浮かべて、男の腕を引くと同時に足を払って引き倒し、背中に膝を当てて床に押し付ける。
「僕の事など、どうでもいいだろ」
性別を勘違いされたならそれでいいと、刻子は演技を少し変えて、押し倒されたならず者を踏みつけ、他のならず者を睨みつけた。
「ドクトルに一人でも多く健康な実験体を持ち帰らないとな? 僕もどうなるか分かったもんじゃない」
「こ、こいつらっ!」
「やる気か!」
「……落ち着けよ、兄弟」
ならず者達の多くが色めき立つ中、そのざわつきを抑える声が上がる。
「使えそうじゃないか。なあ、人手足りねえのは事実だろぉ?」
そうして肩に手を置いたのは、ロウカの知った顔だった。カイド・グローサベア(凍獄の戦刃・g00510)――ディアボロスの1人である。
一体いつから、カイドはここにいたのだろう。
耳目を集めず、背景に溶け込むように、集団に『普通』に紛れ込む技術――パラドクス――を、カイドは持っている。その中から、『暗殺』と言う結果を抜いただけの事。
カイドは昔からの一員の様な顔で、誰よりも『普通』にならず者の側にいた。
「それに、ドクトルからの手伝いを疑うのは悪手だぜ? ……『やられる側』にされたくはないだろう?」
「……確かにな」
「ドクトルに目を付けられるのはゴメンだ」
ドクトルの名を出したのが効いたか。カイドの助け舟もあり、ロウカと刻子も、ならず者の集団に迎えられた。
「おい、また誰か……って、やべえ。あれはシスターだ!」
招かれざる訪問者が続いたからか、外を見ていたならず者の一人が、近づいてくる人影を見つけて声を上げた。
「聖女です」
ざわつくならず者達に構わず踏み込んで来たのは、伊斗浜・蘭華(悪霊憑きの聖女・g00580)である。
「せい……じょ」
「はい。神様のお告げで、誘拐作業に勤しみにきました。脳改造ばんざいー。神様ばんざいー」
「「「怪しすぎる!!!」」」
演技する気がない蘭華に、ならず者達の声が重なる。
「……」
この流れには、カイドも流石に目を逸らしていた。
「脳改造とか言ってるな。おい、こいつもドクトル側から来たのか?」
「え、ええと……わ、僕達の他にも送るとは聞いてるから、そうじゃないかな?」
急にならず者から話を振られて、刻子は演技をギリギリで保ちながら答える。
「そんなに疑わしいなら、どうぞ。私の目を見てください」
中々晴れない疑いに、蘭華は両手を広げて何も持っていないのをアピールし、ならず者達を招き寄せる。
「あん? 目だと?」
「そんなことして、何を……」
みょんみょんみょん。
神のありがたさを諭す威光という名目の、何か悪霊の呪い染みた神々しさと怪しさが入り混じった洗脳系パラドクスの後光が、ならず者達に浴びせられる。
その効果は、覿面だった。
「さあ、ご一緒に。脳改造ばんざいー。神様ばんざいー」
ばんざーい。
蘭華の言葉に合わせて、ならず者達が虚ろな目で両手を上げる。
「……大丈夫なのか、これ?」
「大丈夫です。神様の素晴らしさをわかって貰っただけですから。彼らの人格はそのままですよ?」
ロウカの問いに、蘭華はしれっと頷いた。
そして――今日も誘拐の夜が来る。
●誘拐しよう1
「はぁ……ここもハズレね」
貧民街の廃屋から、少女が1人で出て来た。着ている服は月明かりでも汚れているとわかるくらいのもので、如何にも貧民の少女と言った風体である。
「……あの子、良いんじゃないか?」
そんな疲れ切った様子に見える少女の後を、刻子は組まされた2人のならず者と共に着けていた。
「ああ、良さそうだな」
「あれなら、チョロそうだ」
薄汚れた見た目なわりにしっかりとした少女の足取りに、ならず者達は刻子の提案を疑う事無く受け入れた。3人は足音を殺して少女に近づいていく。
(「……不本意ではありますが、誰かがやらねばなりませんし、無辜の市民を相手にするよりは良いですね」)
そう言い聞かせ、刻子は自分が真っ先に少女の背中の飛びかかり、手加減しつつ路地に押し倒す。
「麻袋を!」
――少し辛抱してください。
ならず者に指示を飛ばしながら、刻子は押さえ付けるふりをしつつ、少女にこちらの身分を明かす。
「おうよ!」
「大人しくしやがれ」
刻子が押さえつける間に、ならず者2人が少女を麻袋に詰め込んで、袋の口をぎゅっと硬く結んで抱え上げた。
●誘拐しよう2
ぴょん、ぴょん。
夜道で少女が、飛び跳ねている。
「何やってんだ、ありゃ……」
「さあ……」
少女の謎の行動に、後をつけていたならず者たちは思わず顔を見合わせていた。ただジャンプしているように見えるが、何か意味があるのだろうか。
「ま、良いじゃねェか。元気は良さそうだ。ここは、オレに任せな」
困惑した様子のならず者たちに告げて、同行していたロウカは飛び跳ねる少女の方へ近づいていく。
(「一応おまわりさんのオレが、誘拐に加担することになるとはなァ……」)
やるせない思いを胸中で呟くロウカの懐から、忍ばせていたモーラット・コミュ『マロンちゃん』が顔を出す。
――もきゅ。
マロンちゃんが囁くように鳴いた直後、パチッと小さな音を立てて電撃が瞬いた。
「ふぎゅっ」
気絶したのように、少女が崩れ落ちる。
「お前……何したんだ?」
「気を失ってるだけだ。傷付けずに相手を捕まえんのは得意なの、元々」
(「……やれやれ。一種の囮捜査みたいなもんとは言え、己の行為に虫唾が走るねェ」)
ロウカは自嘲気味に胸中で呟いて、ならず者が広げる麻袋に少女を放り込んだ。
●誘拐しよう3
「こっちに誘拐するのにぴったりな子がいます。神様のお告げです。へーい」
「「へーい」」
パラドクス通信をお告げと言い張る蘭華を疑いもせず、ならず者達は言われるがままに貧民街の路地を進んで行く。
――なぁーぅ!
――うなぁーお!
やがて、野良猫の鳴き声が聞こえて来た。
――フシャーッ!
「ふにゃー! 我とやる気かー!」
野良猫に威嚇されているのは、銀髪の少女だ。
「……おぉう。我と勝負とは、良い度胸」
少女はそっと手を出しては、にゃきーんと爪が伸びた猫パンチを食らいそうになって、慌てて手を引っ込めている。
「……何で、あんなとこで猫とじゃれてんだ」
「わからんが元気そうだからいいんじゃね? 頭の中はどうせ、改造されるんだ」
ならず者達が顔を見合わせている間に、少女は「待てー」と声を上げ、逃げる野良猫を追って路地の奥へ駆けていく。
「あー。ねこー」
ならず者と蘭華が追いかければ、少女は行き止まりで、ひらりと壁の向こうに消えていった猫を追って、ぶんぶんと手を伸ばしていた。
「良い子のねんねじゃねーんだー。大人しくしろー」
後ろから、蘭華が少女に手を伸ばす。
「な、なにをするー」
「げへへー。おらー、きりきり縛られやがれーです」
棒読みな蘭華に、少女は抵抗らしい抵抗もせずに縄に縛られ、麻袋に放り込まれた。
●誘拐しよう4
「見つけたぜ、ガキ共!」
「抵抗なんかするなよ!」
廃協会に踏み込んで、2人のならず者が声を荒げる。そこにいた数人の少年の1人が、目をつけられた。
「やめろ!」
ならず者達が少年の腕を掴んだ所に、男が割って入る。連れていかれようとしている少年よりは、少し年上だろうか。
「彼を連れて行かないでくれ!」
「邪魔すんじゃねえ!」
懇願するように足を掴んできた男を、ならず者が蹴り飛ばした。
「お願いだ! 彼を連れて行くくらいなら、俺を! 俺を連れて行ってくれ!」
しかし男は、蹴られても怯むことなく、再びならず者の足に縋りついて来る。
「お、おい。しつこいぞ」
「いい加減に――」
「……まぁ待ちなぁ、兄弟」
更に男を蹴ろうとしたならず者達を、同行していたカイドが止めた。
「望み通りにしてやろうじゃねえか」
そう言いながらならず者達の肩に腕を回し、カイドは顔を近づけ小声で続ける。
「……今日はこいつを連れてって、明日はあっちにすりゃあいいだろ? 誰かを連れて行ってる限り、俺達の安全は保障されるんだ」
「それもそうだな……」
「よし。連れてくのはテメェだ。抵抗すんじゃねえぞ!」
カイドの言葉に納得したならず者達は、少年を手放し、代わりに懇願していた男の手を掴んで縛り上げていく。
――この夜、貧民街から4人の男女が誘拐された。だが、実のところ、貧民街からはただの一人もいなくなっていない。
4人全てが、囮役となったディアボロス達なのだから。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
クィト・メリトモナカアイス
きかいかしゅじゅつ。のうのきかいか。
なるほどわかった。(わかっていない)
つまり止めればいい。
元気にしていればいいのかな? それなら得意。
他の復讐者の【パラドクス通信】でならず者たちに見つかるような場所を選んだらそこで野良の動物を見つけて遊び、目立ちつつ元気な様子を見せます。
何しようかな……あ、猫。
おいでおいで。おぉう。(猫パンチされそうになって手を引っ込める)
我と勝負とはいい度胸。
野良猫に手を出しては引っかかれなないように手を引っ込め、逃げられたら追いかけ回して遊び、ほどほどのところで誘拐されやすそうな路地に入り誘拐されます。
色々終わったら遊んでくれたお礼にご飯持っていく。
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
ならず者に絞ったのか、誘拐されても何も言われないからとかか?
まあ、これ以上の蛮行はさせないがな
【行動】使用技能:演技、忍耐力、計略、臨機応変
機械の腕は長袖の服と手袋、機械の足は長ズボンと長靴で隠す
友達催眠を連れて行かれそうになっている一般人に使い仲間の振りをする
彼を連れて行かないでくれ!とみっともなく懇願する
俺を、俺を連れて行ってくれ!殴られようが蹴られようが反抗しないからお願いしますとひれ伏すのも厭わない
青葉・美宇
貧民街で身寄りのない少女、っていう感じで、誘拐されるように誘導しよう。
基本一人で行動して、隙だらけですよーという感じで、
貧民街の人気のないほうへ歩いて行ったり、
廃屋に入っていって何かないか漁ったりして、一人で生きています感をだしていきたいな。
誘拐してもらうときは無抵抗……というか、気づかないまま誘拐される振りで行くね。
うまく誘拐されたら、【inceppamento】を発動。
【パラドクス通信】を使えるようにして、みんなとの連絡役ができたらいいなって思ってるよ。
お洋服も、わざと汚したりして、拾ってきたのを着ています。みたいな雰囲気にしておきたいな。
……あとで洗わないとだけど、そこはしかたないかな!
湯泉・あそび
ふむ、ひどいことはやめさせねばならないな。
可能ならすべての人を助けたい、助けたいが……。
まずは場所の特定が必要なんだな。
では私は囮として捕まってこようじゃないか!
まずは貧民街をぶらついていればいいだろうか
服は質素なものを選ぼう
貧民っぽい服装とは……。
現地にいる人を見て服をぼろぼろにしてみたり髪をばらつかせてみようか
無意味にジャンプして健康体をアピールしてみようか。
(私はジャンプして遊んでいる誘拐するにはお手頃な貧民だ。さぁ連れていくがいい!)
捕まったら泣きそうな顔で帰してくださいぃとでも言っておけばいいだろうか。
●貧民になり切ろう
ならず者に紛れ込む事に4人のディアボロスが成功した事は、囮役を選んだディアボロス達にも大きな恩恵があった。
パラドクス通信によって、本日の誘拐計画が明らかになったのだ。
いつどこで誘拐が起こるのか調べる必要がなくなった。何なら、囮側から場所を指定する事だって出来る。
それはつまり、本物のならず者に怪しまれない準備を整える時間が増えた事を意味していた。
「貧民っぽい服装とは……やっぱ質素な感じ?」
「みたいだね」
湯泉・あそび(道の化・g04842)と青葉・美宇(自称『すーぱーめかにっく』・g00445)は、観察のために貧民街を歩いていた。
2人が特に注目しているのが、同年代の女性達の様子だ。服装だけでも寄せる事が出来れば、ここの住人らしく、なり切る事が出来るだろう。
「髪をばらつかせて……服もぼろぼろにした方がいいかな?」
あそびは自分の髪に手を入れかき乱し、自分の衣服を見下ろす。
年代問わす、多くの人は毎日洗髪をしている様子もなく、服も所々に継ぎ接ぎをして長く着ているのが伺えた。
穴が開いたりほつれた程度なら、直して着続けていると言う事だろう。
とは言え、そこまで合わせるとなると、服を一つ駄目にするようなものだ。
「わざと汚しておくくらいで大丈夫じゃないかな? 拾った服をろくに洗いもせずに着てる、みたいに見せられると思う。あとで洗濯が大変だけど」
しかたないかな!、と美宇は溜息をつきたい気分を笑い飛ばす。機械弄りで付いた油汚れを落とす大変さは、身に染みている。
貧民街の住人になり切るのは、楽な事ではなさそうだ。
「この辺、いる気がする」
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は、誘拐計画の実行場所の近くで、特に人気のない辺りをうろついていた。
「……あ、猫。こっちにも。あっちにもいる……!」
やがて、クィトに気づいて、数匹の野良猫が物陰から顔を出してきた。
「おいでおいでー」
警戒しながらも近づいてきたトラ猫に、クィトはそっと手を差し出す。
――フシャーッ!
「おぉう」
思いっきり威嚇されて、クィトは慌てて手を引っ込めた。
中々に野性的で、元気の良い猫達だ。これならば、演技の相手には丁度いいだろう。
「また来るね」
全部が終わってからでは、そんな時間はないかもしれないから。
クィトはお礼のご飯を前払いして、野良猫の路地を後にした。
「よう。邪魔するぜ」
「なんだよ。誰だよ、あんた」
廃協会に入って来た長袖長ズボンの青年――荒田・誠司(雑草・g00115)に向けられたのは、少年達の訝しむ視線だった。
「なんだ。誰だよ、あんた」
「セージってんだ。腹、減ってないか?」
訝しむ少年に、誠司はパンの入った袋を投げ渡す。
「食って良いぜ。お近づきの印ってやつだ」
「どういうつもりっ」
ぐぅぅぅっっ。
誠司の行動をますます訝しんだ少年だったが、胃袋の方が正直だった。
「しばらく置いて貰おうと思ってな」
少年の警戒をよそに、誠司は隣に腰を下ろして口を開く。
友好の仮面――フェイクフレンズ。
本来は、親し気な振る舞いで認識を歪めて敵を騙す為の業。廃協会に身を寄せ合っている身寄りのない少年達に近づくには、十分過ぎる。
「帰る当てがなくてな。お前たちも、そうなんだろ?」
「くそ……また狭くなるだろうが」
誠司の親し気な振る舞いに、少年は毒気を抜かれていた。
こうして、囮役のディアボロス達は、それぞれに誘拐される準備を整えた。
そして――夜が来る。
●誘拐されよう1――美宇と刻子
「ふぅ……」
廃屋の扉を静かに閉めて、美宇は溜息を零す。
衣服は月夜でもそうとわかるくらいには汚してあり、片手にはそれ以上に薄汚れた袋を持っていた。これは本当に拾ったもので、ちょっと臭う。
お陰で、廃屋でゴミを漁る身寄りのない少女、と言う風体に近づけた筈だ。
これならば、美宇が囮だと気づかれる事はないだろう。
「はぁ……ここもハズレね」
何件か目の廃屋の扉を閉めて、美宇は溜息交じりに呟く。
(「そろそろ、誘拐して貰っていいんだけどな」)
ならず者らしい気配は感じている。手筈通りなら、その中に1人、紛れ込んだディアボロスもいる筈なのだ。
そんな事を考えていると、後ろから誰かが美宇に飛び掛かって来た。
「麻袋を!」
――少し辛抱してください。
「な、なに? 何なの?」
ならず者に叫んだ声の後に耳元で囁かれ、美宇は押し倒してきたのが刻子だと察して、驚いたフリをしつつ身体から力を抜いた。
「大人しくしやがれ」
――inceppamento。
麻袋に詰め込まれながら、美宇はパラドクスを発動する。今は破壊する敵の通信機器はないが、これでパラドクス通信の通信範囲が広がる。
よほど遠くでなければ、どこに連れていかれても、外の仲間と連絡が取れなくなることはなくなる筈だ。
●誘拐されよう2――あそびとロウカ
ぶらぶらと、あそびは夜道をぶらついていた。
特に何をしているとも見えないが、服装を変えて、髪もばらつかせてある。きっと、着いてきているならず者にも、宿も無い貧民の少女とみられるだろう。
(「ふむ……仕掛けて来ないな。なら、健康体をアピールしてみようか」)
ならず者の気配は感じているが、まだ遠い。
それならばと、あそびは足を止めて――ぴょーん!
その場で、ぴょんぴょんと、連続でジャンプをしてみせた。
(「私はジャンプして遊んでいる、誘拐するにはお手頃で健康な貧民だ。さぁ連れていくがいい!」)
胸中で呟きながら、あそびは何度も何度も飛び跳ねる。
ジャンプできるくらいの健康体だと言う事は、これでバッチリ伝わっている筈だ。
(「何をしている!」)
流石に少し足が疲れて来た頃になって、あそびの背後に誰かが立った。
と同時に、背中にもふっとした感触を感じる。
――もきゅ。
囁くような鳴き声が聞こえた直後、パチッと小さな音が聞こえて、あそびの身体を弱い電流が走り抜けた。
「ふぎゅっ」
痺れたふりをしようと敢えて変な声を上げて、あそびは身体を脱力させる。
(「ふりでこれか。こんなひどいことはやめさせねばならないな」)
胸中で決意を新たにしながら、あそびは痺れたふりをしたまま麻袋に放り込まれた。
●誘拐されよう3――クィトと蘭華
――なぁーぅ!
――うなぁーお!
夜の貧民街の片隅に、野良猫の鳴き声が響いている。
「ふにゃー! 我とやる気かー!」
昼間も訪れた路地で、クィトは野良猫と対峙していた。
――フシャーッ!
そっと手を出そうとして、やっぱり威嚇される。それでもめげずに手を伸ばせば、にゃきーんと爪が伸びた猫パンチが降って来た。
「……おぉう。我と勝負とは、良い度胸」
一定の距離を保って、クィトはトラ猫と対峙する。
背後に意識を向ければ、3人ほどがいるようだ。
(「もう少し奥の方が、誘拐されやすいかな?」)
そんなクィトの胸中を察したかのように、野良猫達は急に尻尾を返して路地の奥へと駆け出していった。
「あ、待てー」
あくまで猫を追いかけている素振りで、クィトは実際に猫を追いかけて行った。
「あー。ねこー」
そして袋小路で、壁の向こうに逃げた猫を追うふりをして、手をぶんぶんと壁の向こうに伸ばそうとしてみる。
そこに――背中から手が伸びて来た。
「良い子のねんねじゃねーんだー。大人しくしろー」
「な、なにをするー」
「げへへー。おらー、きりきり縛られやがれーです」
棒読みな蘭華に、クィトも同じテンションで合わせて縄で緩く縛られ、麻袋に放り込まれた。
●誘拐されよう4――誠司とカイド
乱暴な音を立てて扉が蹴破られ、廃協会にならず者が雪崩れ込んで来た。
「な、なんだお前ら!」
「おら、立て!」
「抵抗なんかするなよ!」
少年達は慌てて奥へ逃げ込むが、逃げ遅れた少年が1人ならず者に捕まってしまう。
「やめろ!」
そこに、誠司が割り込んだ。
「彼を連れて行かないでくれ!」
「邪魔すんじゃねえ!」
懇願するように足を掴めば、ならず者の蹴りが誠司に降って来る。
「お願いだ! 彼を連れて行くくらいなら、俺を! 俺を連れて行ってくれ!」
だが、ただのならず者の蹴りがサイボーグでありディアボロスの誠司に効く筈もない。機械の腕とばれない様に受け止めて、誠司はならず者にひれ伏し、縋り続ける。
「お、おい。しつこいぞ」
「いい加減に――」
「……まぁ待ちなぁ、兄弟」
ならず者達がじれて来た所に、紛れ込んでいたカイドが止めに入った。
「望み通りにしてやろうじゃねえか」
そう言いながらならず者達の肩に腕を回し、カイドは顔を近づけ小声で続ける。
ここまで全てが、手筈通り。
そもそも、この教会の場所を通信したのが誠司だ。こうすれば、確実に自分が誘拐されて、一晩とは言え彼らを守れる。
「よし。連れてくのはテメェだ。抵抗すんじゃねえぞ!」
手筈通りにカイドに説得されたならず者に黙って頷いて、誠司は抵抗せずに両手を縄で縛られてから、麻袋に詰め込まれた。
こうして4人は、目論見通りに誘拐される側となった。
だが、彼らの手足を縛る縄は緩く、放り込まれた麻袋はどれもこれも何処かに穴が開いている。誘拐されながら、途中の様子をある程度伺う事が出来る。
そんな状態で荷車に載せられ、4人はガタゴトと何処かへ運ばれていった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【迷宮化】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
【パラドクス通信】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
●幕間――秘密工場の正体
「今日ハ4人カ」
「ヨクヤッタ」
ならず者達が運んで来た、人間――のふりをしたディアボロス――入りの麻袋を、下級ゾルダートが受け取って、別の荷車に載せ直す。
「コレナラドクトルモ2日ハ使ウ」
「明日ハ休ンデイイゾ」
「明後日ニマタ持ッテコイ」
ゾルダート達の言葉に、ならず者たちは揃って喜びに声を上げた。
元々悪人であっても、人を攫うと言う行為は少なからず精神をすり減らすもの。こうしてたまの休みと言う飴と鞭で彼らを従えたのかと、ならず者に紛れ込んだディアボロス達は感心する。
とは言え、秘密工場の場所はわかった。
あとはどう動くか。
街へ戻るならず者から離れるディアボロス達の目の前で、錆付いた鉄の門扉が、ゆっくりと閉じていった。
「変ナ気ヲ起コスナ」
「大人シクシテレバ、食事ハ保証サレル」
一方、囮役となったディアボロス達は、ひとりひとり別の牢獄へ入れられた。
自分達に抗し得る者だとは気づいていないのだろう。足枷こそ付いているが、両手は自由になっている。枷も牢も、鍵は恐らく普通のものだろう。
そして――ここがどういう場所であるか、彼らはもう判っていた。
特徴的な消毒液のアルコール臭。
運ばれる途中でも見えた、白い壁が続く内部。
秘密工場の正体は、第一次大戦期に戦火に巻き込まれ建物が損壊した事で放棄された、廃病院であった。
シルヴァーナ・バルタン
フォッフォッフォッフォ
銀行強盗が出来る金庫破り位
忍者が出来ない訳無いのでござるよ
私に任せるでござる
こういうのは雰囲気が大事でござるからな
ちゃんと聴診器を当てながら破るでござるよ
まずはこのLとRでござるが
これはそのまま左右の回転方向を表しているでござる
そして
↓,9,2,6,1は、文字の方と矢印を合わせようとすると
1,9,2の逆,6,↑となるでござるな
フォフォッと困るでござるが
ここで表記をデジタル表示にするとあら不思議
2はひっくり返しても2に見えるんでござるな
これで後は文字と数字を対応させれば
左に1、右に9、右に2、左に6
これでご開帳でござる
さて裏帳簿も手に入れた事でござるし
ドロンと撤収でござる
●裏帳簿を盗み出せ
ゾルダートの秘密工場が、廃病院と明らかになった。
その一方で、敵はまだディアボロスの動きに気づいていない。
警戒が薄い内にと、シルヴァーナ・バルタン(宇宙忍者・g01173)は1人、廃病院に忍び込んでいた。
「さて、隠し金庫はどこでござるかな?」
裏帳簿を隠しているのなら、金庫のある部屋は今でも出入りがある筈だ。シルヴァーナはそうした痕跡のある部屋に絞って調べて回る。
「この絵画……如何にもでござる」
幾度目かの部屋で、シルヴァーナは壁にかけられた古い絵画の額縁が他の調度品に比べて新しい事に気づいた。
「フォッフォッフォッフォ」
絵画を外した裏のスペースを見つけ、シルヴァーナの目が輝く。
そこにはダイヤルが1つとデジタルの表示板からなる『クロノ・オブジェクトの機械錠』がついた隠し金庫が置かれていた。
雰囲気作りの聴診器を金庫に当てながら、シルヴァーナはまず、ダイヤルを右と左に数回ずつ回してみた。
「やはり、LとRはそのまま、左右の回転方向を表しているでござるな」
音の変化はなかったが、右でも左でも、ダイヤルを回せば、その回数が表示されるのは確かめられた。
ヒントの1つはこれで解けた。
「次は『↓,9,2,6,1』のヒントでござる」
これを『L,R,R,L,↑』の方と矢印を合わせようとする、つまり180度回転させると、『1,9,2の逆,6,↑』となる。
「フォフォッ。ただ2をひっくり返すとなると困るでござるがな」
その問題を解決する鍵を、シルヴァーナは既に思いついていた。
金庫にある表示板に表示されるのは『デジタル数字』なのだ。
「デジタル表示だと、2はひっくり返しても2に見えるんでござるな」
これで、文字と数字が対応する。
即ち――左に1回、右に9回、右に2回、左に6回。
その通りにシルヴァーナがダイヤルを回せば、ガチャッと機械錠のロックが外れた小さな音が聞こえた。
「御開帳でござる」
中にあったのは、レザーファイル1冊のみ。
「銀行強盗が出来る金庫破り位、忍者が出来ない訳無いのでござるよ。これにて、ドロンと撤収でござる」
こうして、ゾルダートの裏帳簿がまた1つ、宇宙忍者の手によってディアボロス側に渡る事になる。
大成功🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
伊斗浜・蘭華
では捕まった哀れな子羊達を安全に救済すべく私は廃病院内の清掃と参りましょう。
せっかくの病院ですし出来れば長い廊下で戦いたいですね。
戦闘前に前もってカラミティには属性弾丸Aを装填しておきましょう。
こんにちは。聖女です。それではさようなら。
進軍を止める意味でもパラドクスによるミニガンの乱射により直線での制圧を試み
遮蔽物などがあり敵が隠れるようなら怪力無双にてミニガンを持つ反対の手でカラミティを持ち属性弾丸Aにて遮蔽物ごと爆破しましょう。
ああ、何と戦いとは無益で残酷なのでしょうか。では次に参りましょう。
息がある者には順番にカラミティで打ち抜きトドメをさしておきましょう。
(アレンジアドリブ連携大歓迎)
●清掃
――カツン、カツン。
「異常ナシ」
「次ノ巡回ルートヘ移行ス……ム?」
巡回に当たっていた3体の歩兵型インファントリー・ゾルダートは、遠くに聞こえた物音に顔を見合わせ、巡回中の廊下の真ん中で足を止めた。
「こんばんは。聖女です」
カツン、カツン――靴音を隠そうともせずに、伊斗浜・蘭華(悪霊憑きの聖女・g00580)はインファントリー・ゾルダート達の前に姿を晒す。
「……何者ダ。ドコカラ入ッテ来タ」
「入口からに決まってるじゃないですか」
秘密工場の正体は明らかになった。内部へ囮も送り込んだ。この上、何を潜む必要がある。そう蘭華の中で聞こえる声は、神様の言葉か、彼女自身の意志か。
「目的ハナンダ」
「清掃に来ました」
訝しむゾルダート達に、蘭華は微笑みすら浮かべて近づいていく。
「あなた達の様な大きいゴミがいるのでは、使った哀れな子羊達を安全に救済出来ないじゃないですか」
「「「敵性存在ト認定シ排除スル!」」」
笑みを歪ませた蘭華の掌にミニガンが現れるのと同時に、ゾルダート達も右腕の銃砲を構え――。
パンッ!
乾いた音が響いて、蘭華の正面のゾルダートが倒れた。
腕ひとつを改造した銃砲とミニガン。単純な火力はゾルダートの方が上だろうが、この距離ならば、蘭華の浄化の方が速い。
「では神様に捧げる踊りをどうぞ」
蘭華はミニガンをショットガン『カラミティ』を両手で同時に構えると、そのまま両手を広げて、踊るようにぐるりと回った。
同時に響く、種類の異なる銃声。
先にカラミティに込めておいたショットシェルの散弾一粒一粒が爆発を起こし、それに1体が怯んでいる隙に、反対側のゾルダートに弾丸と言う名の浄化の光を撃ち込んで行く。
「グゥ……コレシキノ爆発デ!」
ついにゾルダートの右腕の砲が、火を噴く。蘭華がただの侵入者であれば三重奏となったであろう砲撃音は、しかしドンッと1発が鳴り響いたに過ぎなかった。
「ああ……」
しかもその1発の砲弾は、ふわりと身を翻した蘭華の頬を掠め、ベールを吹き飛ばしたに過ぎない。
「何と戦いとは無益で残酷なのでしょうか」
パンッと再び乾いた音が響いて、3体目も蘭華に撃たれて廊下に倒れた。
「それではさようなら」
1体ずつ、カラミティでトドメを刺してから、蘭華は次を探して進んで行く。血とオイルが混ざったような、朱黒い足跡を残しながら。
大成功🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
霧宮・悠希
「……狩りの時間だ」
※戦闘に意識を集中。必要なこと以外ほぼ喋らなくなります
潜入作戦は成功したらしい。
ので、脱出経路の確保も兼ねて警備ゾルダートの撃破に向かう。
【モブオーラ】でこっそりと。【過去視の道案内】で、牢屋だとか重要そうな場所に向かう影を追って。
時には【飛翔】による高速移動も利用しつつ。
あちこちで警備するゾルダートの様子を見て、隙を捉え次第『復讐者の狩り』を始める。
自身が操る2つの得物、それぞれ身の丈を優に超える長剣と複合兵器。「執行人」と「狩人」。
「狩人」に組み込んだ機関砲を掃射し、ミサイルランチャーを撃ちかけ、
体勢が崩れたところに突貫。「執行人」で叩き切る、或いは貫いて切り裂く……!
●復讐者の狩り
先行したディアボロス達によって判明した、秘密工場の廃病院。
その中を、霧宮・悠希(小さき復讐者・g02383)は、過去視の道案内で生まれた影を追って、ゆっくりと飛翔していた。
足音を立てない為だ。ディアボロスが周囲の耳目を集め難くなっているとは言え、ここは敵地だ。自由でいる人間自体が異質となるのでは、効果を過信は出来ない。
なればこそ、こちらが先に攻撃を仕掛けるべきだ。
先に囚われていた人々の解放に向けた動きも始まっている頃合いだろう。警備のゾルダートを倒せば、脱出経路の確保の一助になる筈だ。
「……狩りの時間だ」
悠希は瞬時に意識を切り替え、飛翔速度を一気に上げた。
「――見せてやる」
自身の背丈よりも大きな銃器型複合兵器『狩人』を片手で構え、悠希は廊下の先にいる2体のインファントリー・ゾルダートの片方に砲身を向けた。
『狩人』に組み込んだ小型ミサイルが放たれる。
「何ノ音ダ?」
「後ロガッ!?」
ゾルダート達が音に気づいた時には、片方が小型ミサイルの直撃を受けていた。
「襲撃! ドコカラ……ッ!」
戸惑うゾルダートのもう片方に、大口径の弾丸が浴びせられる。
ッドドドッドドドッ!
削岩機にも似た銃声を響かせる機関砲を『狩人』から撃ち続けながら、悠希は反対の手に別の武器を構えていた。
執拗な程の機関砲の掃射は、敵の足を止めさせる為。本命のトドメの一撃は、間合いを詰めて振り下ろした、悠希の背丈よりも長い両手剣『執行人』。
「ナニ……モノ……」
装甲板を構える暇もなく斬り裂かれ、ゾルダートが崩れ落ちる。
「オノレ、侵入者メ!」
ミサイルの直撃から立ち直ったもう1体のゾルダートが、右腕の砲を構える。だが、狙いを定めるより早く、悠希の『執行人』が砲身を斬り落とし、ならばと構えた手斧は投げる間もなく機関砲の掃射で手から弾き飛ばされる。
攻撃する術を失ったゾルダートを、悠希の刃が貫いた。
――復讐者の狩り。
クロノヴェーダと戦い、倒し、破壊するために悠希が編み出した戦い方。技と言うには未だ粗削りだが、戦い方次第では充分に通じる。
「ドコダ!」
「音ハコッチカラ……」
悠希の耳に、別のゾルダートの声が届いた。次はもう、隙は突いて無傷で勝つ、とはいかないかもしれない。それでも、悠希は先へ進む事を選んだ。
成功🔵🔵🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
湯泉・あそび
私の目的は1つ!
1に人助け、2にその為の敵の根絶
まずは敵は他の皆に任せ人命救出に動きたい
あそびは足枷などでは止まらないのだ!
病院だったならば正面以外にも出入口はあるだろうか
まずは脱出路の確保を優先しよう
より目立たない出入口を見つけ、ルートを確保し囚われてる方々に伝えよう
外も大丈夫かな?
鍵もあけ、同じく足枷されているならそれを外していこう
敵との戦いは避けれるようなら避けよう
不要な敵を集めても脱出に邪魔だからな
巡回敵がいるとのことでどうしても邪魔になるなら戦うぞ
脱出が出来そうであれば根源を断ちに行くよ
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
上手く入り込めてよかったが、両手が舐めすぎだろ
このまま油断していてくれると有難い
脱出を邪魔されないように俺の出来る事をしますか
【行動】使用技能:時間稼ぎ、罠使い、地形の利用、情報収集、看破、ダッシュ
まず怪力無双で出来るだけ音を立てないように鎖を千切って外し、牢屋を抜け出す
俺は脱出路に敵が来ないように動きを止める罠を張っておく
パラドクス通信で仲間と情報交換して
脱出路を確認、それに繋がる脇道に指定パラドクスの罠を設置
パラドクスだから他の仲間が見れば罠がある場所も分かる
カイド・グローサベア
まー、一時的な『兄弟』達には悪いことしたが、舌先三寸はここまで。
廃墟を無理矢理転用してるって時点で耐久力ってのはお察しだ。
んじゃあ、俺らは何をすればいいか?
……簡単。『戦う必要のねぇ連中を逃せば良い』。
俺のやることは簡単。囮になってくれた連中を含めた『逃走補助』。
【モブオーラ】【過去視の道案内】【パラドクス通信】を併用して、
脱出しようとしてる仲間のトコに素早く合流する。
ついでに道中情報は<情報収集>しとこうか。
ぶっ壊すのもいいが――『何故か正式に開いてた』方がスマートだろ?
普通の鍵ってのは俺の前には【無鍵空間】で無意味なんだよ。
さぁ、パーティの騒ぎに乗じてずらかろうぜ?
※アドリブ連携歓迎です
●脱出劇
「ああ……またこんな若い子達が」
「せめて、ドクトルの目に留まるのが遅いのを祈るくらいしか……」
秘密工場――廃病院に囚われている人々の中でも年配の数人が、まだ若いディアボロス達が牢に入れられたのを見て、ある者は嘆き、ある者は無機質な天井を仰ぐ。
「心配無用なのだ!」
そんな重苦しい空気を吹き飛ばす、明るい声が響いた。
「私は、皆を助けに来たのだからな!」
牢の中で身を起こした湯泉・あそび(道の化・g04842)が、向かいの牢の白髪交じりのおっちゃんに笑いかける。
囚われの身だと言うのを感じさせない、あそびの笑顔。しかしおっちゃんは苦笑を浮かべるのが精いっぱいだった。
「……いやいや、お嬢ちゃん。助けるって……」
「まあ、信じ難いだろうけどな。本気だぜ。そいつも、俺もな」
あそびの隣の牢――おっちゃんから見た斜め向かいで、荒田・誠司(雑草・g00115)も声を上げる。
「そうは言っても……」
それでも、おっちゃん達の表情は晴れない。
まあそうだろう。お互いに牢の中にいる状態で言っても、説得力がない。ならば、まずは、本当の虜囚ではないと、示すべきだ。
「あそびは足枷などでは止まらないのだ!
「両手が自由とか舐めすぎだろ」
メキメキッと鈍い音を立てて、あそびと誠司の足に繋がれていた足枷の鎖が、あっさりと砕け散った。
「さて、お次はっと」
『あー。聞こえるか?』
こじ開けようと牢屋の格子に誠司が手をかけた所に、パラドクス通信の小型通信機から声が届いた。
『良く、聞こえてるのだ!』
『捕まえてくれたお陰で、上手く入り込めた』
「そいつぁ何よりだ。一時的な『兄弟』達に悪い事した甲斐があったな」
あそびの声に続いて通信機から聞こえて来た誠司の軽口に、カイド・グローサベア(凍獄の戦刃・g00510)も軽口を返す。
「舌先三寸はここまでだ。今そっちに向かってるんだが、そろそろ動き出してる頃だと思ってなぁ。力任せに抉じ開けようとしてんじゃねぇか?」
過去視の道案内によって生まれた影の後を追いながら、カイドは通信機に向かって言葉を続ける。
「他に捕まってるのは何人だ? 全員分を、連中に気づかれずに抉じ開けられるか?」
『出来るだけ音を立てないでやるつもりだった』
返って来た誠司の声音で、彼自身、それが難しいと感じているのを示していた。
「そこでだ。鍵は俺に任せな。ぶっ壊すのもいいが――『何故か正式に開いてた』方がスマートだろ?」
カイドは既に、その為の布石を打っている。
Paradox Repaint。
理不尽を理不尽で上書きし、律を歪ませ、事実を捻じ曲げるハッキング系の術式。その中には、どんな鍵でも開けられる【無鍵空間】の残留効果もある。
「時間はかかっちまうがな」
『時間稼ぎなら、任せな』
そこに、おまわりさんのロウカの声も通信機から聞こえて来た。
「そう言う事なら、私は脱出路の確保を優先するのだ!」
方針が決まりつつある中、あそびは通信機に向けて自分の意志を伝える。
「私の目的は1つ! 1に人助け、2にその為の敵の根絶だ!」
2つになってる――と言うツッコミを、誠司もカイドもぐっと飲み込む。
「病院だったなら、出入口はひとつじゃない筈なのだ。裏口とか、外から見てなかっただろうか?」
『俺は見てねぇなぁ。ただ、外から見た限り、結構な廃墟を無理矢理転用してるみたいだ。建物の耐久力ってのはお察しだぜ』
あそびの問いに、カイドの真面目な声が返ってくる。
いざとなれば、出口を作る事も可能と言う事だ。今のディアボロスなら、脆くなった壁ならば、一度だけ、断ち切る事も出来るのだから。
「そうか。でもまずはより目立たない出入口を探してみる。不要な敵を集めたくはないからな」
「なら、そっちは任せた」
通信機に告げたあそびに、牢の外で誠司が答えた。
その両手があそびのいる牢の鉄格子を掴むと、ぐいっと捻じ曲げられた。あそびがその隙間から抜け出せば、隣の、誠司が入っていた牢の鉄格子も、同じように拉げている。
そこに、ガシャンッと音が響いて、2人の横で鉄格子が内側から外に倒れた。
「ドクトル探しに行く。トループスも倒す」
叩き壊した鉄格子を乗り越え、クィトはスタスタと廊下の向こうに歩き去って行く。
「あ、あんた達は一体……」
「言っただろう? 皆を助けに来たのだ!」
呆然と視線を向けて来るおっちゃんに、あそびは笑顔を返し、クィトとは別の方向に脱出口を探して駆け出して行った。
「さて。俺も俺の出来る事をしますか」
あそびの背中を見送って、誠司は抉じ開けた牢の中に戻った。
「な、何で戻るんだ?」
「脱出を邪魔されないようにな」
背中に聞こえた虜囚の声に返して、誠司は蹲ってワイヤーを巡らせた。
罠設置:蜘蛛の巣――トラップインストール・ウェブ。
設置型の蜘蛛の巣型のワイヤートラップ。掛かればクロノヴェーダと言えど、そう簡単には抜け出せない。力任せに出ようとすれば、ワイヤーは鋭利な刃となる。
「これだけ派手に抜け出してれば、調べに来るかも知れないからな」
誠司は自分が抜け出した牢だけでなく、他の2人が抜け出した牢の中、さらには牢の中以外も、脱出の妨げにならない場所にワイヤートラップを仕掛けて回る。
「こんなもんか」
「鍵は開いてるぜ」
誠司がめぼしい場所に罠の設置し終える頃には、カイドがいつの間にか合流していた。
カイドが虜囚のいる牢を引いてみれば、鍵などなかったかの様に軽々と鉄格子が開く。虜囚達の足からも、枷が外れてカランと乾いた音を立てた。
「こ、これは一体……」
「見つけたのだ!」
突然の自由に虜囚達が戸惑うそこに、あそびが息せき切って戻って来る。
「正面口? 裏口? 良くわからないけど、あそび達が運び込まれたのとは違う出入口があったのだ。外も大丈夫そ――」
あそびが矢継ぎ早に告げ終わる前に、遠くで爆発音の様なものが響いて、建物が僅かに揺れた。誰かが、戦い始めたのだ。
「さぁ、パーティの騒ぎに乗じてずらかろうぜ?」
十数人を連れての逃避行。
とは言え、出口を見つけたあそびが先頭に立てば、道順は問題ない。
「見えないことは何もない証明にはならないぜ」
追手に対しては、殿に付いた誠司が、そこかしこに蜘蛛の巣型のワイヤートラップを設置していく。どの脇道から追手がかかるかなど分からないので、数で補う。
通信の通りなら、ロウカがどこかで敵の目を引き付けている筈だ。、他のディアボロス達が戦っている気配もする。
結局、巡回している敵に見つかる事もなく、3人は虜囚を連れてあそびが見つけた出入口へ到達した。
「行くのだ。外も大丈夫だったぞ!」
「君達は、一緒に来ないのか?」
「そうだ。こんな所、早く逃げよう」
扉を開け、出るように促しながら自らは出る様子の無いあそびに、虜囚達は共に逃げるように言って来る。
「私は、まだやる事があるのだ!」
さっきまで囚われていたのに此方を案じている彼らを安心させようと、あそびは笑って彼らの背を押した。
「外に出たら、なるべく遠くまで逃げろ」
「近くをうろついて、まーた捕まりたくねぇだろ?」
ドクトルを倒せばこの廃病院が爆発する――と言う事実を隠し、誠司とカイドも逃げるように促す。
「ん。待ってた。ここ、からは、姫、逃がす」
外には、駆け付けていたディアボロスが虜囚達を待っていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
瀧夜盛・五月姫
さぁさぁ、おい、でませ。おいで、ませ。
【怪怨召喚『丑刻荒御霊』】。
皆、脱出、助けて、あげて。
捕虜の、体力、無いなら肩を、貸して。
どこへ逃げるか、惑うなら行く先を、示して。
敵が、襲うなら、壁に、なればいい。
捕虜が、骸骨に怖がる? ならそれは、それで。
姫の仕事、“一般人を逃がす”事。
道は、皆が作って、くれ、てる。
追い立ててでも、外へ、だす、よ。
●百骨夜行
「行くのだ。外も大丈夫だったぞ!」
古びた扉が開いて、中からあそびの声が響いてきた。
「外に出たら、なるべく遠くまで逃げろ」
「近くをうろついて、まーた捕まりたくねぇだろ?」
誠司とカイドにも促され、十数人の虜囚が出て来る。
「ん。待ってた。ここ、からは、姫、逃がす」
そこに瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)が待っていたのは、別段、おかしなことでもなかった。過去視の道案内にせよ、パラドクス通信にせよ、合流や連絡の手段は既に確立されている。
「さぁさぁ、おい、でませ。おいで、ませ」
五月姫は虜囚達の前で八尺五寸の大薙刀を掲げるように構えると、コツ、コツと、石突で数回、何かを呼ぶように足元を叩いた。
五月姫の足元から、怪し気な気配が広がっていく。
「な、なんだ?」
「今度は何が……?」
その気配に動揺を隠せない虜囚達の背中で、変化は起きていた。
何本もの骨の腕が、地から生える。骨はどんどん伸びて、腕だけではなくなり、虜囚達よりも遥かに多い数の骸骨の群れが這い出て来た。
怪怨召喚『丑刻荒御霊』。
「姫の仕事、“一般人を逃がす”事。皆、手伝って?」
五月姫の言葉に、召喚された骸骨達が揃って頷く。
「な、ななあなあ……」
「ほほ、ほね!?」
まさに百鬼夜行な骸骨の群れに、恐れ慄く虜囚達。
さもありなんと言った所だが、彼らが骸骨を怖がるかもしれないくらい、五月姫だって考えている。一般人は、こういうのは怖がるものだ。
「体力、ある? 疲れて、ない? 骸骨、肩、貸す、よ?」
五月姫は敢えて、骸骨達を彼らに近寄らせた。
「……」
驚きでか恐怖でか、立ったまま気絶している人は、骸骨達が何だか手慣れた様子で抱え上げて運び出す。
――腰を抜かしでもすれば、ああなるのか。
そんな思いが、虜囚達の足を動かさせる。
畏れられるならそれでいい。
ここまで道を作って彼らを逃がしたディアボロス達の苦労を無駄にしない為、五月姫は骸骨達が与える恐怖すらも利用して、彼らを廃病院から遠くへと逃がしていく。
成功🔵🔵🔴
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
クィト・メリトモナカアイス
我ながら名演技だった。(ふんす)
黄金猫拳打棒で足枷を叩き割り、扉も叩き壊して脱走します。
ドクトル・マシーネの部屋を探して病院内を探索し、
トループス級ゾルダートに見つかったら戦闘を行います。
どっちかな? あっちかな?
んお……ドクトル? 違うか。
まぁいいか、倒そう。
クロノオブジェクトである浮遊球形ガジェット『モナカ』射撃型による『制圧射撃』を掃射します。敵が装甲版で攻撃を防ぐようなら側面、背面から周りこんだ「斬撃のセイロンキャット」による浮遊球形ガジェット『モナカ』斬撃型の突進で敵を切り裂きます。
敵がこちらに徹甲弾で反撃をしてくるなら素早い『ダッシュ』、『ジャンプ』で回避します。
●猫が隠した刃
(「……我ながら名演技だった」)
足枷と鉄格子を叩き壊して牢を抜け出したクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は、ご満悦で歩いていた。
結果として、囮の役目は充分に果たせたのだから、名演技と言って良いだろう。求められたのは、舞台の上の演劇ではないのだ。
とは言え、いつまでも浮かれている状況ではない。
「あ。ドクトル探さないと。どっちかな?」
ふと我に返って、クィトは気を引き締める。
「――あっちかな?」
きょろきょろ視線を巡らせて、クィトは気配のする方へ小走りに駆け出した。
「んお……ドクトル?」
ガシャン、ガシャンと言う重たい音のする方に進んで行けば、クィトの視線の先に現れたのは、巡回中のインファントリー・ゾルダート3体の集団。
「違うか……」
「ム?」
「アイツハ……」
溜息を零すクィトに、僅かに遅れてゾルダート達も気づいていた。
「マサカ脱走者カ?」
「馬鹿ナ。人間ガ抜ケ出セル筈ガナイ」
「ドクトルノ新シイ改造手術……?」
怯えも警戒もないクィトの表情が読めず、ゾルダート達は脱走者なのか測りかねて、顔を見合わせる。
(「きかいかしゅじゅつ。のうのきかいか。なるほど、わかった」)
ゾルダート達の様子に、クィトは胸中で呟いていた。機械化手術をされたらこうなるのかと、改めて認識する。
それだけだ。――止めなくてはならない事は、最初から判っている。
「倒そう」
短く告げたクィトの周囲に、6つの球体が浮かび上がる。
猫の顔の様な模様に耳と尻尾らしいパーツも付いた、それぞれタイプの違う浮遊球体ガジェット『モナカ』達。
その内の1つの中から、にゅっと突き出て来る銃口。
「『モナカ』射撃型――制圧射撃」
ガガガガッ!
「ヌォッ!?」
「機銃ダト」
「コイツ、一体!」
予想外のクィトの攻撃に困惑しながら、ゾルダート達は改造によって備え付けられた装甲板で機銃の弾丸を防ぎつつ、右腕の砲をクィトに向ける。
だが――その時には、既にクィトの周りに浮かぶ『モナカ』は5機になっていた。1機はどこに行ったのか?
「『モナカ』斬撃型、連携攻撃」
斬撃のセイロンキャット。
刃を生やした斬撃型の『モナカ』が、背後からゾルダート達に突進していく。
『何……ダト……』
モナカの刃はゾルダート達に徹甲弾を撃つ暇を与えず、首を切断していた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【エアライド】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
不二山・ロウカ
さあて、現場に行くかねェ。囮の子達の身も心配だし、なるべく最初はバレないように潜入するのが良いだろうね。
【過去視の道案内】で行き先を特定したら【パラドクス通信】【モブオーラ】も使いつつ、仲間と連携しながらひっそりと病院の中枢へ向かっていくぜ。
出会った敵はその場で倒しちまわないと、後々面倒だ。
……おたくら、ひょっとして元人間だったりする?
元人間として同情はするけど、……そこは潔く戦うのが互いのためだね。
《Dトリガー『リョコウバト』》で多数のドローンを出現させる。
敵の撃ってくる砲撃は『忍耐力』で、ドローンの影に隠れて凌ぐ。隙を見て、『臨機応変』にドローンに突撃してもらおう。
●鳩首突撃
『あー。聞こえるか?』
廃病院に潜入した不二山・ロウカ(あなたの街のおまわりさん・g02440)の耳に、パラドクス通信の通信機から、別ルートで潜入したカイドの声が聞こえて来る。
『良く、聞こえてるのだ!』
『捕まえてくれたお陰で、上手く入り込めた』
「無事だったか……」
自分が誘拐させたあそびの声も聞こえて、ロウカは知らずに笑みを浮かべていた。
囮の子達の身も心配だと、過去視の道案内の影も頼って潜入してきたが、懸念のひとつは解消された。
もうバレない潜入は必要はない。むしろ、敵をその場で倒していかないと、後々面倒になる。
「時間稼ぎなら、オレに任せな」
小型通信機を手に取ると、ロウカは自分も手を貸すと告げて、駆け出した。
「見つけたぜ! ――Dトリガー起動! 『リョコウバト』!」
2体のインファントリー・ゾルダートを見つけ、ロウカは声を張り上げた。
――《System all green. Ignition》――。
アークデーモンの力を宿したトリガーカードをセットした『Dドライブ』からシステム音声が発せられる。
「アイツ、運バレタ人間ジャナイ」
「侵入者カ!」
光を放つ『Dドライブ』を構えるロウカに気づいて、ゾルダート達も身構える。
だが――。
「何ヲスルカト思エバ」
「ソンナ小サナドローンデ、何ガ出来ル」
光の中から飛び出した『ハト程度の鳥を模したドローン』を見たゾルダート達が、嘲笑するような声を上げた。
「……おたくら、ひょっとして元人間だったりする?」
ゾルダート達のそんな所作に人間の名残を感じて、ロウカは思わず訊ねていた。
「ソレハ恥ズベキ過去ダ」
「我ラハ生マレ変ワッタノダ」
ゾルダートは『機械の体』を誇りとする。脳まで改造された彼らはもう、文字通り身も心もゾルダートなのだ。
「そうかい。元人間として同情はするけどな……」
潔く戦うのが、きっと互いの為なのだ。
その間にも、鳥を模したドローンは現れ続けていた。
「オ、オイ……」
「何体イルンダ……」
未だ出現し続けるロウカのドローンに、ゾルダート達から嘲笑が消える。
「終わらせてやるよ。行け!」
リョコウバト。
最終人類史では絶滅したが、かつて50億羽も生息したとも言われている鳥類。
その規模すら模しドローンの群れの突撃は、ゾルダート達に砲撃の暇を与えずに、機能停止に陥らせた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
湯泉・あそび
諸悪の根源を、断つ!
以外に考えてなかった!
救出は完了したし、同じことを繰り返さないためにも、ここで倒れてもらおうじゃないか。
鬼神変でつっこませてもらう。
……。
いや、なんか背中につけてるのえげつなくない?
んー。
んーー。
えーい、いくぞ!
私にとっての悪を断つ!
思い切りつっこむぞ!
伊斗浜・蘭華
はあ。それはそうとあなたその背中の手、寝る時不便じゃないですか?
仰臥位で眠れないやつじゃないですか。神様は言ってますよ。健全な眠りは健全な心を保つと。
さて、戦闘です。
適度にショットガンで牽制しつつ、属性弾丸Bを装填
頃合を見て真正面から突貫、駆け出しましょう。
ある程度近づいたら頭のヴェール(もしくは適当なベッドシーツ)を
ばっと前に広げて目隠しを行い、そのままDrの横をスライディングですり抜け背後を付きましょう。
すり抜けつつ、狙いを定めてパラドクスを使用。狙う箇所は背中の腕の根元です。
神託を下します。「腕多すぎんだよバカヤロウ」
大きな隙を作り出しましょう。
(アレンジアドリブ連携歓迎!)
霧宮・悠希
「……後は、お前だけだ」
※戦闘中のため、必要なこと以外はほとんど喋りません
脱出の備えに隠し金庫からの情報獲得、配下のゾルダート達の破壊。
どれも成功した。ならば、あとは……。
ドクトル・マシーネとの戦いに向かう。
流石に無傷でも疲れていない訳でもないが、問題無い。
使えそうな残留効果を引き出して、全力で敵に当たる。
【飛翔】そして【エアライド】、限られた空間内で滑るように、不規則な軌道を描きつつ飛んで『超高速戦闘』。
狩人の機関砲を撃ちかけつつミサイルランチャーも叩き込み、果敢に距離を詰めていく。
反撃は可能な限り避けるが、もし受けてしまったとしても最悪、左腕で防いで……
執行人で敵を貫き、切り裂いてやる!
クィト・メリトモナカアイス
見つけた……変な恰好。
何言ってるかよく分からないからとりあえず殴り倒そう。
浮遊球形ガジェット『モナカ』突撃型と浮遊球形ガジェット『モナカ』斬撃型を交互に黄金猫拳打棒で打ち出し、中距離から戦闘を行います。
モナカ発射ー。
飽きてきたorモナカが縫い付けられる等でできなくなったら「震わすは鬣なき獣」を使用、モナカたちの操作をやめて手に持った黄金猫拳打棒での近接戦闘に移行。
ちょっとだけ本気。
『ダッシュ』で接近し、ドクトル・マシーネの縫合手術を黄金猫拳打棒の『早業』で捌いていきます。
我の方が早い。
縫合手術を捌いたらドクトル・マシーネの頭の高さまで『ジャンプ』、頭部に黄金猫拳打棒の『強打』を叩きつけます。
不二山・ロウカ
おたくが犯人ってわけね。ここまで追い詰めたんだから、大人しく捕まってくれるなら互いに楽……んなわけないねェ。
ーー弁明の余地はないってこと、思い知ってもらおうか。
『Dトリガー『ニホンオオカミ』『エゾオオカミ』』で二丁拳銃を出現させる。仲間との連携重視、サポートや牽制に回れたらいいね。位置どり、攻撃タイミング含め『臨機応変』に戦おう。
敵の手術用アームによる攻撃は【フライトドローン】で一発防御してもらい、その隙にこっちの反撃を叩き込むスタイルで。多少の傷は『忍耐力』で耐えられるかねェ。
大人の役割は果たせたかねェ。あとは仲間にお任せといくよ。
●狂気のドクトル
「全く。さっきから騒がしいじゃぁないか」
ドクトル・マシーネは改造手術を中断し、血塗れの白衣のまま廊下を歩いていた。
「警備のゾルダートは何をしているんだね? あんなに建物が揺れたら、幾らこの僕でも気が散るじゃぁな――おや?」
ブツブツと愚痴りながら、中待合だったらしき広い空間に出たドクトルは、そこで足を止めてレンズの両目を明滅させる。
そこに転がっていた、下級ゾルダートの残骸に気づいて。
「……後は、お前だけだ」
呟いた声は置き去りに。
物陰から飛び出した霧宮・悠希(小さき復讐者・g02383)は、驚きでレンズの両目をチカチカさせるドクトルに、銃器型複合兵器『狩人』の機関砲の連射を浴びせかける。
「っ……もしかして、ゾルダートは全滅したのかい?」
驚いた様子のドクトルに、悠希は答えの代わりに『狩人』に組み込んだミサイルランチャーから、小型ミサイルを放つ。
ドォーンッ!
爆音が響いて、建物がビリビリと揺れる。
「いいねぇ、君! 実にいい!」
舞い上がった噴煙の中から、ドクトルが飛び出してきた。
1つの腕にある矢床の様に太い鉗子の様なものから、受け止めた小型ミサイルを投げ捨てて。他のミサイルは、手術器具と思しきもので――切ったか。
「小型ミサイルなんてものをぶっ放せる兵器を使いこなせるなんて、君、実はサイボーグだったりしないかい? しないなら――良い素体じゃあないか!」
ドクトルの興奮した声もカァッと光る両目も無視して、悠希は『狩人』を撃ち続けながら、飛翔速度を上げた。
(「――やってやる」)
右旋回から、急反転して左旋回。天井ギリギリまで上昇してから斜めの急降下。目まぐるしく飛び回りながら、『狩人』の機関砲の弾丸を放ち続ける。
――超高速戦闘。
「何とすばしっこい! 本当に、元気な素体だ!」
悠希の戦闘機動の速さに愉悦を深めながら、ドクトルは悠希を捕縛しようと、改造手術用の金属糸を張り巡らせる。一度でもその糸にかかれば、悠希の手か足の自由が奪われるだろう。
ディアボロスとクロノヴェーダの戦いは、時空を歪ませる。単純な速度だけでは、敵の反撃を振り切る事が出来ない。
(「最悪、左腕で防いで……」)
それでも悠希は、果敢に近接攻撃を仕掛ける道筋を頭の中で描く。
だが――戦っているのは1人ではない。
「そろそろだな」
進む先で誰かが戦っている気配を感じて、不二山・ロウカ(あなたの街のおまわりさん・g02440)は《R・D・B》――レッド・デッドエンダー・ブックを取り出した。
(「ここまで追い詰めたんだから、大人しく捕まってくれるなら、互いに楽……んなわけないねェ」)
おまわりさんのならいが抜けきらない自分に苦笑しながら、ロウカは2枚のカードをまとめて『Dドライブ』にセットした。
この戦いは、犯人を逮捕すれば良いというものではないのだ。
「Dトリガー起動! 『ニホンオオカミ』『エゾオオカミ』!」
――《System all green. Ignition》――。
アークデーモンの力を宿したトリガーカードに反応し、『Dドライブ』が放ち始めた光の中に、何かが2つ、浮かび上がる。
ロウカが光の中から取り出したそれは、二丁の拳銃だ。どちらも銃身に狼の意匠が施された珍しい造りをしている。
ニホンオオカミとエゾオオカミ。
どちらも最終人類史に於いては、絶滅した狼。それを模した2つ拳銃を両手に握って、ロウカは通路の先に飛び出した。
「大人しく、僕に捕まってくれないかねぇ!」
そして悠希を捕えようと糸を巡らすドクトルに照準を定め、引き金を弾く。
――ガォンッ!
狼の咆哮が如き銃声を響かせて。狼が顎を開いた様な銃口が、文字通り火を噴いた。
「ぬぉわっ!?」
横合いから放たれた炎弾に、ドクトルは背中の腕を咄嗟に回して胴体を守る。
パンッ。
そこに響いた別の銃声。
「次から次へと――!」
「ちっ。神様の意に背くなんて」
ショットガンの散弾に、無影灯を盾にしたく取るに、伊斗浜・蘭華(悪霊憑きの聖女・g00580)が、ショットガン『カラミティ』を手に舌を打つ。
「……。いや、なんか背中につけてるのえげつなくない?」
別方向からの射撃を腕の数で防いでみせたドクトルに、蘭華と共に合流した湯泉・あそび(道の化・g04842)は、ちょっと引いていた。
「ふむ……本当に、ゾルダートは全滅させられたんだね。下級とは言え」
ディアボロス達に包囲された形になって、ドクトルは攻め手を止めて俯き、両目をチカチカ点滅させた。
「おたくが誘拐させてた犯人ってのは、わかってんだ。弁明の余地はないってこと、思い知ってもらおうか」
そんなドクトルに、ロウカは両手の銃口を向けて告げる。
「弁明? むしろ感謝して拍手したいくらいだ! 君達のお陰で、今までの改造では不十分だと確信して、新たな改造手術プランが湧いて来たのだから!」
「あらあら。大変。寝不足が祟っておかしくなっているのでは? その背中の腕、寝る時不便じゃないですかね?」
両目を喜色に輝かせるドクトルに、蘭華がカワイソウな人を見る目で冷たく言い放つ。
「そんなに背中に生えてたら、仰臥位で眠れないじゃないですか。神様は言ってますよ。健全な眠りは健全な心を保つと」
「睡眠ン~? そんな無駄なモノ、僕には不要ォ!」
淡々と続ける蘭華に見せつける様に、ドクトルは指が注射器になっている腕を高々と掲げる。そして、その針を剥き出しの自分の脳に突き刺した。
「んんん~~~~っ、キタキタキタァァァァ!」
両目のレンズを明滅させて、ドクトルが奇声を上げる。
「とまあ、ちょっとオクスリで脳内物質を出してやれば、この通り、眠気スッキリお目目パッチリなワケだよ!」
「はあ。それはようございました――本当に見えているのですか?」
ドクトルの狂気に、蘭華は呆れたように返す。
「ぐはっ!」
そこに飛んで来た丸い何かが、ドクトルの背中に直撃した。
「見つけた……変な恰好」
やや遅れて、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)もドクトルとの戦場に辿り着いていた。
――僕には不要ォ!
丁度、ドクトルが注射器の腕を掲げた所だ。
「何してるのか、よく分からない」
ドクトルの行動の意味が分からず、クィトはこてんと首を傾げる。
そうこうしている内に、ドクトルが自分の脳に注射針を突き立て――。
――キタキタキタァァァァ!
「とりあえず殴り倒そう」
ドクトルの奇声にも表情を変えず、クィトは黄金の棒を構える。先端が肉球も再現した猫の手を模した錫杖の様なデザインだが、クィトにとって、それは鈍器だ。
「モナカ発射ー」
パカーンッ!
猫耳と尻尾パーツのついた浮遊球形ガジェット『モナカ』を、クィトは『黄金猫拳打棒』のフルスイングでドクトルへ打ち出した。
「――ぐはっ!」
飛んでった『モナカ』突撃型は、丁度オクスリ注射で眠気飛ばしてハイになっていたドクトルの背中に直撃した。
「な、なんだね、このふざけたガジェットは!」
「モナカ。とても頑丈」
『モナカ』に描かれた猫の顔を指して声を張り上げるドクトルに、クィトは斬撃型『モナカ』を再びフルスイングでパカーンッと打ち出した。
「畳みかけるか」
「お手伝いしましょう」
クィトの飛ばすモナカを避けるドクトルに、ロウカの炎弾と蘭華の散弾が放たれる。
「……」
悠希も再び『狩人』を向けて、機関砲を浴びせていく。
「んー。んーー?」
そんな中、あそびは1人、悩んでいた。
――諸悪の根源を、断つ!
それしか考えてなかった。突っ込んで、ぶん殴る事しか考えてなかった。
他のディアボロス達の多彩な攻撃に、感心するばかりだ。けれども、だからこそ。気を緩めれはいられない。
その時にいつでも飛び出せるように身構え、あそびは好機を待ち続ける。
「流石に、その銃はうるさいな。引き金を弾けなくしてやろう!」
炎弾を撃ち続けるロウカに、ドクトルが手術用アームを向けた。
「ま、そう来るよな――守れ」
腕の腱を斬って銃を撃てなくしようというのか。振り下ろされる血塗れのメスに対して、ロウカはフライトドローンを前に出した。
「それで避けたつもりかい!」
人一人を運べるドローンだが、ドクトルのメスにはあっさりと斬り砕かれた。
「避ける気なんか、ねェんだな」
それでいい。ドクトルに見られずに、拳銃を腰撓めに構え直したかった。狙いは大雑把になるが、この構えなら――ドクトルを懐深くまで潜り込ませられる。
「解体執刀!」
「っ!」
メスに斬られる痛みを堪え、ロウカは至近距離で二発の炎弾をドクトルに浴びせた。
「くっ……このくらいで」
思わぬ反撃に、ドクトルがたたらを踏んでよろける。
――ファサァ。
その視界に、何かが覆いかぶさった。
「うお? なんだコレは!」
それは蘭華が拾って来たベッドシーツだ。
ボロボロで汚れているが、寝るわけでないから、これで十分。
「ええい、鬱陶しい!」
ドクトルが注射器の腕でシーツを振り払うと同時に、蘭華はその下を潜り抜けて背後に回り込んでいた。
「今だ!」
蘭華がドクトルの視界を塞いだ。
その好機に、あそびが床を蹴って飛び出した。
――鬼神変。
拳を握るあそびの右腕が、変化する。流れる鬼の血によって、拳が、腕が、太く大きくなっていく。
「その歪な腕は、ゾルダート化には邪魔じゃぁないか!」
巨大化したあそびの腕を見て、ドクトルはメスと鋸を構えた。
「そんな腕は、解体しないとねぇ」
「やってみろ! 私は、私にとっての悪を断つ!」
血塗れの刃に怯む事なく、あそびはドクトルに突っ込んでいく。
「神託を下します」
ドクトルの背中に、ゴリッと突き付けられる銃口。蘭華は潜り抜けた低い体勢のまま、身を捩る様に『カラミティ』を向けていた。
光が――神様がそこを狙えと言っているから。
「腕多すぎんだよバカヤロウ」
パァン!
「ごふっ」
至近距離から背中に散弾を撃ち込まれた衝撃で、ドクトルが前によろめく。
「くらえぇぇっ!」
そこに、メスが刺さるのも構わずに、あそびが鬼の拳を叩き込んだ。
「げはぁっ!?」
鬼の膂力がメスを粉砕し、殴り飛ばされたドクトルが壁に叩きつけられる。
ガシャンッ。
その背中から、無影灯が落ちた。太い鉗子の腕も、半ばで折れて落ちた。それらを支えていた金属部分が、半ば溶けてなくなっている。
「な、な、な……僕の、腕がぁぁぁ!!」
蘭華が撃ったのは、属性弾丸B。金属を溶かす強力な毒液のショットシェル。その毒で強度が落ちた所に鬼の拳の衝撃が重なり、ドクトルの腕を奪っていた。
「あれ? 変なのなくなった?」
それを見ていたクィトは、自律で戻って来た『モナカ』の操作をやめた。
「じゃあ、お遊びはお終い――ちょっとだけ本気」
モナカを打つのにも飽きて来たところだ。クィトは黄金猫拳打棒を握り直し、全力で床を蹴って飛び出す。
「くっ……このくらい、で」
ふら付きながら、ドクトルが立ち上がる。背中の腕は減ったとて、まだドクトルには腕が残っている。
「まとめて――縫い留めぇぇる!」
ドクトルが改造用の金属糸を放つと同時に、クィトは駆けながら黄金猫拳打棒をくるりと回した。
「我の方が早い」
改造手術糸を絡めて捌き、クィトは床を蹴って跳ぶ。
――震わすは鬣なき獣。
クィトが渾身の力を込めて振り降ろした黄金猫拳打棒の一撃が、光が示すドクトルの頭部を叩いた。
「がぁっ!?」
衝撃で、ドクトルが打ち倒される。その頭部は肉球の模様に陥没し、突き抜けた衝撃で左目のレンズも砕けていた。
「……頭部の改造……不足だった……か……」
出来ないだろうと言われた仰向けで、ドクトルが途切れ途切れに呻く。
(「大人の役割は果たせたかねェ」)
息も絶え絶えなドクトルを見下ろし、ちょっぴり焦げたロウカが胸中で呟く。
「けど……僕は……ただでは……君達もぉ……道、連……」
『ドクトルノ心停止ヲ確認。自爆装置作動シマス』
ドクトルの言葉が途切れると同時に、機械音声がそこらのスピーカーから響いてきた。
『――10――9――』
問答無用に始まったカウントダウン。短いと聞いていたけれど、これほどか。
ディアボロス達が流石に慌てて廃病院の外に飛び出した直後――その背後で、大爆発が起きた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【託されし願い】LV2が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!