リプレイ
咲樂・神樂
⚰️樂祇
見てご覧
竹がぴかぴか光ってるわよ
桐に鳳凰、彼岸花の浴衣を纏い妹を招く
あたし達のかぐや姫はどんな子かしら
あたしのには赤い柘榴の様な小石が入っていたわ!祇伐のはかぁいいお人形さんね
不格好なのが愛らしい
勿論と、笑みを交わす
幸せ
かぐや姫
無理難題で求婚を跳ね除け誰にも手が届かぬ月に帰った
祇伐みたいね?
不思議そうな愛しい妹の頬を撫で
どんな願いも叶えてあげる
どんな我儘だってきく
だから
遥か遠い月(故郷)になんてかえらずに
ただ
私のそばに居てほしい
そんな戀は輝夜に秘めて
礼にシマエナガを描いた小石を忍ばせる
奪うでなく私にも
誰かを笑顔に出来るのかと
前は思いもしなかったのに
…祇伐のそれは
見つけた人泣いちゃうかも
咲樂・祇伐
🌸樂祇
綺麗ですね、お兄様!
竹灯籠から溢れるのは優しい心で、気持ちで
私も胸があたたかくなります
花札浴衣をひらり翻して先ゆく兄の冷たい手に触れる
この竹にします!
私のかぐや姫は…可愛い!
お姫様のお人形さん
不格好さから伝わる優しい想いが嬉しい
大切な人の元に帰れたのかな
私も誰かの笑顔を守れたのかな
そう?
ならばお兄様は…かぐや姫の揺籃ようだと思うわ
近くに居るのに遠く
何れ離れねばならない揺籃
我儘を云えば繋ぎ止められるの?
願えば居られるの?
輝夜に秘めるのはそんな淡い心
…兄が本当の兄でない事を思い出してしまったから
私もお礼に
小石に桜兎を描いて入れておきましょう
少し不格好ですが
え?!泣いて?
もうっ
お兄様ったら!
●輝夜、朧
咲樂・神樂(離一匁・g03059)の視界で、甘いフリルがふんだんにあしらわれた浴衣の袖が躍る。
実に目に華やかだ。それでいて柄が花札や日常小物なのが、楽しくもある。
「、祇伐」
竹灯籠がともす優しい光に溶ける姿を呼び戻すのが切ないようで、でも堪らなくて。無意識の間を一拍おいて、神樂は彼岸花を咲かせた鳳凰の翼のような袖をゆるりと振った。
「見てご覧。あっちに桜柄の灯篭があるよ」
「そうなのですか!」
声と下駄を弾ませて、咲樂・祇伐(花祇ノ櫻禍・g00791)は数歩の距離を兄の元へと戻ると、より桜の灯篭に近寄ろうと兄の手を取った。
「綺麗ですね、お兄様」
ほわり。
桜の花弁型に切り取られた優しい光に頬を照らし、祇伐が蕩ける砂糖菓子めく笑みを咲かす。
祇伐が神樂に見せる貌としては、さして珍しいものではない。けれどその笑顔に、神樂は血の通わぬ冷たい白膚にまでも、微熱が通う心地を味わう。
「私、この竹にします!」
「じゃあ、あたしはこっちにしようかしら」
二本並んだ桜の竹灯籠は、きっと揃いで作られたものだ。
その背が低い方を祇伐が選び。ならばと神樂は背の高い方を択ぶと、光を放つ節の上に開けられた空洞を覗き込む。
「さあて、あたし達のかぐや姫はどんな子かしら」
慎重に指を伸ばし、触れた感触を摘まみ出す。ころりと掌中に転がったのは、柘榴のような小石ひとつぶ。
シンプルだが不思議と目が惹かれる赤に、神樂は逢魔が時の空を思わす色の双眸を糸のように細めた。
「綺麗だこと。祇伐、そっちには何が――」
「お兄様、見てください! 私の方は、可愛らしいお姫様です!」
神樂が尋ねきるより先に、祇伐が差し出したのは、小さな小さな――そしてちょっぴり不格好なお姫様。
「かぁいいお人形さんね」
不慣れななりに懸命に手を尽くしたのがありありと分かるお姫様は、どうしたって愛でずにおれない。込めた想いは、疑うべくもなく『優しさ』だ。
もしかすると、大切な人の元に帰れた礼――なのかもしれない。
ふと過った可能性に、祇伐は桜色の頬をさらに明るくする。
「……私も誰かの笑顔を守れたのかな」
祇伐の呟きがかそけき調べになったのは、過去と未来の繋がりを断定できないからだ。しかし祇伐の歩みを知る神樂は、迷いなく是を唱える。
「勿論。祇伐もたくさん頑張ったもの」
胸を張って太鼓判を押した兄は、妹を慈しむべく、熱のない手を紫烏の髪へ運び――撫でようとして、気付く。
「そういえば、かぐや姫って。祇伐みたいね?」
他意は、ない。
ただ何となく、無理難題で求婚を跳ね除け誰にも手が届かぬ月に帰った古の姫君が、妹の在り様に重なったのだ。
「そうですか?」
不思議そうに小首を傾げた祇伐の頬へ、神樂は手の伸べ先を変える。
「ええ」
玻璃細工を包む繊細さで、神樂は愛しい妹の頬を撫でた。そして妹もまた、そんな兄の仕草に身を預ける。
「ならばお兄様は、かぐや姫の揺籃ようだと思うわ」
祇伐は輝夜におもい、秘める。
揺籃とは、何れ離れねばならぬもの。
(「我儘を云えば、繋ぎ止められるの?」)
近くに居るのに、遠い兄。
(「ずっとを願えば、共に居られるの?」)
兄が、本当の兄でない事を思い出してしまったがゆえの、未だ名前のない、淡い心。
神樂は輝夜に抱き、秘める。
祇伐の願いであるなら、如何なものでも必ず叶えようと。どんな我が儘だって、歓んで受け入れようと。
だから、だから――。
(「遥か遠い月(故郷)になんてかえらずに、私のそばに居てほしい」)
(「ただ、ただ、それだけで、いいから」)
其れは疑うべくもない、戀心。
「じゃあ、あたしはこれをお礼に」
桐紋用の帯の裡に柘榴の石を仕舞って、神樂はシマナガエを描いた小石を竹灯籠へ忍ばせた。
奪うばかりではない。己にも、誰かを笑顔に出来るのかと、以前には思いもつかなかったことをするために。
覚えたむず痒さを誤魔化そうと、神樂は祇伐の手元へ目を遣る。
「祇伐、それは……」
「もう、お兄様ったら」
言葉を失した神樂に、祇伐は桜兎を描いた小石を、慌てた手つきで竹の洞へ納めた。
「少し不格好になった自覚はあります、だからそんなに――」
「いいわ! 羨ましいわ!! 見つけた人は、泣いちゃうわね、きっと!!」
「え、え、え? そっちです?」
泣いちゃうわ、と言いなら、既に泣く神樂に、祇伐は頬に朱を走らせた。
「だって、とってもかあいらしいんですものっ」
「もうっ、お兄様ったら!」
秘めしものは、秘めしもの。決して顕わにならず、朧のままで、夜はいつも通りに過ぎ行く。
零れ溢れた心を知るのは、無辜の人らが灯した優しい光たちのみ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【傀儡】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV2が発生!
朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と
聳え立つ竹の緑壁を見上げれば
ほぉと間の抜けた声が漏れ出てしまう
何かを隠す為に立ち並んでいるようにも見えるし
小径の奥へと導いてくれるようにも見える
竹灯籠たちの灯火も
色も形も取り取りな姿を見て歩けば
あっという間に時間を奪われちゃいそうだ
こういうときは直感で選ぶのが一番かな
目に留まったのは少し歪だけれど努力の跡が見える灯籠
これまた不格好な笑顔の小石を取りだせば
不器用な優しさが垣間見える気がする
ぶきっちょなお父さんと小さな子の合作かな
これは素敵なお返しをしないとだね
信玄袋から取り出した薄緑の水琴鈴をひとつ竹灯籠の中へ
レオはどんな想いに出会えたかな
見せあいっこしないとだね
朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と
改めて日本の一部、しかも古都を取り戻せたということは
みんなの心もちょっと明るくなるよね、きっと
それにしても本当に立派な竹林だよねぇ
実際に初めてみて思わず目を見張っちゃう
ふと隣の兄を見れば同様に驚いたみたいでため息が聞こえて
思わず頬が緩んでしまったよ
そうだね、隠している様でもあり導かれている様でもあり不思議だね
私も目に止まった一つの竹燈籠を見てみるね
中にはニコニコ笑った猫ちゃんが描かれていたよ
想像するに小さな子が一生懸命描いたのかなって思ったよ
思わず私も猫ちゃんと同じニコニコになっちゃう
お礼にお気に入りの桃色リボンを一つ入れておこう
うん、リオちゃんのも見せてね
●『日常』
どこまでも続いているかに見える緑の双璧は、さながら異界に続く門のようだ。
無数に立ち並ぶ様は、俗世と浄土を隔てる帳。そして声も仕草もないのに、小径を奥へ奥へと誘う。
「……ほぉ」
聳える竹がかもす幽玄さに、朔・璃央(昊鏡・g00493)は夕暮れの静寂に感嘆を吐く。
観光地として知られた景色ではあるが、画面で眺めるのと、体感するのでは訳が違う。
璃央が場に呑まれるのもやむを得まい。だが――。
「リオちゃん、なんだかおじいちゃんみたい」
並んだ双子の妹――朔・麗央(瑞鏡・g01286)の感じ取り方は、璃央のそれとは少しだけ違ったらしい。
目を見張りながらも、いつもの調子を崩さぬ麗央の様子に、璃央は先ほどとは異なる息を細く吐く。
「おじいちゃんって」
「何となく? そんな感じ?」
自分より上背のある兄の顔を下から覗きこみ、妹は綿菓子のように破顔する。
見入るほどに美しい竹林に驚く気持ちは、麗央の中にもあった。でもそれを如実に表す璃央の姿の方にこそ、麗央の頬は緩んでしまったのだ。
「レオは何かを隠しているようとか、奥に導いてくれているようにとかは見えない?」
「見えるよ。同じだなぁって思ったら、嬉しくなっちゃった」
「嬉しくなって、おじいちゃん?」
「ふふ?」
他愛なく戯れながら、双生の兄妹は竹灯籠がともる小径を歩み出す。
袖を通した浴衣は、揃いの牡丹蝶文。璃央の方が幾らか柄が大ぶりだが、誰の目にも二人が仲の良い兄妹なのは明かだろう。
秋の祭りへ、家族と訪れる。何気ない日常の一コマだ。しかしこの地を奪還しなければ、祭はおろか、この地そのものが輪郭を持たぬ海であったろう。
「日本の一部、しかも古都を取り戻せたということは、みんなの心もちょっと明るくなるよね、きっと」
おそらく誰に聞かせるものでなく、自身を納得させるだけのような麗央の呟きに、璃央は小さく、短く「そうだね」と是を頷く。
灯った優しい光よりもっともっと多くの人々の『日常』が、古都には戻った。そして古都の帰還は、新宿島の人々の心にも新たな灯を点してくれたろう。
そう考えると、この祭の為に用意された竹灯籠の明かりがいっそう尊く見得、眺めるばかりで時間はあっという間に過ぎてゆく。
――と、そんな時だ。
「レオ、ちょっとごめん」
そぞろ歩く麗央に一言詫びて、璃央は草履の足を止める。
出逢いは直感だった。他と比べて彫りが歪で、漏れ出る光も不安定な、なれど努力の跡が見える竹灯籠。
「……ふふ」
なかにそっと置かれていた、これまた不格好な笑顔の小石を摘まみ上げ、璃央はそっと笑う。
嘲りではない。垣間見えた不器用な優しさに、見知らぬ親子の姿が思い浮かんだのだ。
「これかかなりぶきっちょなお父さんと見た。お子さんは……小学校低学年くらいの男の子かな」
――おとーさん、もっと上手につくってよう!
――これでお父さん、めいっぱい頑張ってるんだ。
――えぇー、そうなの?
聞えた会話は、璃央の脳裡にのみ響いたもの。実際、そうであったかは定かではない。でも、当たらずとも遠からず、ではありそうである。
「これは素敵なお返しをしないとだね」
くく、と璃央は喉を鳴らし、手にした信玄袋の中から薄緑をひとつとりだし、ころりと竹灯籠へと忍ばせた。
しゃらん。
涼やかな歌声を残したのは、水琴鈴。これならば、小さな子供も満面笑顔で喜んでくれるに違いない。
「お待たせ、レオ――」
「ねえねえ、リオちゃん見て見て!」
璃央が幸せの交換に要した時間は、さして長くはなかったはず。だが璃央が再び顔を上げた時には、随分と先まで行ったと思しき麗央が駆け戻ってくる最中。
「レオ、慣れない草履だと転ぶよ」
「平気だよ、それより見て」
まるで自らが大輪の花になったように、麗央の顔には満面の笑みが浮かぶ。それだけで、とても素敵な出逢いが麗央にあったことが璃央には分かる。
目に楽しい灯につられて進んだ先で、ふっと麗央の心を捉えたのは、シンプルに割られただけの竹灯籠。しかし、しゃがんで顔を近付けた途端、ニコニコの猫と目が合った。
「たぶん、小さな子が描いてくれたんだと思うの。ピンクの鈴がついてるから、女の子かな」
決して、筆の運びは立派とは言えない猫だ。ぺたぺたと指の跡がついていることからも、大人が作ったものではあるまい。けれどとても愛嬌があって愛くるしい。
「何だかとっても嬉しくって。お礼に、お気に入りの桃色のリボンを入れてきちゃった」
嬉し気に語る麗央の貌は、小石の猫とそっくりで。
ついつい璃央の表情まで同じになる。
「良かったね、レオ。俺の出逢いも見る?」
「もちろん! 見せて、リオちゃん」
果てなく見える竹林の小径を、璃央と麗央はゆっくりと歩く。
揺れる優しい灯に照らされた二人の笑顔は、どこにでもいる仲の良い兄妹のそれであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ドレイン】がLV3になった!
如月・莉緒
総二さん(g06384)と
2022浴衣と四つ葉と鈴蘭の髪飾り着用
帰ってきた人達の不安を少しでも減らせるといいよね
そう話をしながら総二さんと竹林の小路を歩く
幽玄な雰囲気漂う中、竹灯篭に視線を落とす
色んな竹灯篭があるね
透かし彫りみたい。これはお花で、そっちは鳥、これは金魚かな?
その中から一つを選んで小石を取り出すと
ね、見てみて!
描いてあったのは四葉と可愛いハート
ちょうどよかったかも
お礼はレジンに四葉と鈴蘭を封入したキューブ型ストラップを二つ
竹灯篭と小石を用意した人それぞれにお礼がしたくて
四葉と鈴蘭は私達のラッキーモチーフみたいなものだしね?
と総二さんに微笑む
受け取った人にも幸運が訪れることを祈って
神刀・総二
莉緒(g04388)と同伴
2022浴衣と四葉と鈴蘭のお守り着用
ああ、帰還した人達が少しでも安心できればいいな
莉緒と二人浴衣を着て
竹灯篭から漏れた灯りで照らされた竹林の小路を歩き
そうだな、切っただけの物もあれば
彫りも色々種類があって
そう言えば中に小石が入っているんだったと
一つ選んで取り出すと
莉緒が灯篭から取り出した
四つ葉とハートの書かれた小石を見せてくれて
自分が取り出した小石は
奇遇だな……俺も四つ葉だ、ハートはないが
そういって莉緒に見せて
お礼に用意していた竹鈴を入れておいて
ラッキーモチーフか、確かに……
そう言って二人で身に着けた四つ葉と鈴蘭の飾りに触れて
微笑みあいながら
また竹林の小路を歩き始めて
●さちあれ
「帰ってきた人達の不安を少しでも減らせるといいよね」
「ああ、出来るだけ安心して過ごしてもらえたらいいな」
一歩の距離を前に歩く少女の方は、白地に笹葉。それを見護る位置から僅かもブレない男の方は、紺地に竹。
まさに竹林の小径が似合いの装いで、如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)と神刀・総二(闘神・g06384)は常緑の坂道をゆっくりと登り歩む。
すっくと伸びた竹に切り取られた空は、夕暮れ色から深い藍へと移ろい始め、夜の印象を濃くし、竹灯籠に燈されたあかりを鮮やかにしている。
まるで『今』ではない何処かに、二人で迷い込んだような心地だ。
幽玄な景色に馴染みながら、莉緒と総二は手作りされた灯ひとつひとつに目を留める。
「色んな竹灯籠があるね」
「そうだな」
莉緒が巡らす指先を、総二は視線でゆるりと追う。
異性との会話には、緊張を覚えがちな総二だ。が、莉緒とは自然体でいられる。決して、莉緒が女性らしくない、というわけではない。むしろ莉緒は、絵に描いたような年頃の女子大生だ。にもかかわらず、こうも余計な力を入れずに居られるのは――。
(「……」)
取り取りな竹灯籠らを視界の内に収めつつ、総二は懐に仕舞った四葉と鈴蘭をあしらったお守りの存在を肌に感じて、口元を緩める。
だがそんな一人得心の間は、わずかだけ。
「見て、総二さん。これ透かし彫りみたい。上手だよね」
刻逆を経て金に変わったという髪を羽ばたきのように揺らし、莉緒は惹かれるひとつひとつに声を華やげ、総二の目と耳をも楽しませる。
「これはお花でしょ。そっちは鳥かな? こっちは金魚!」
すごいね、すごいよ、と莉緒の惜しみない称賛が、作り手たちに直に届けられないのを、総二は少し勿体ないと思う。
けれど、もてなしへの礼は違う形で贈ることが出来る。
「莉緒、そろそろどれか択ばないと。このままだと終着点に辿り着く」
「! そうだったね。ええと、どれにしようかな……」
総二の言葉に、莉緒はピっと背筋を伸ばして立ち止まり、ぐるりと周囲を見渡す。
意図的に、択ぶつもりはなかった。こういう時にこそ働くのが、乙女の勘というもの。
そうして結ばれるのは、運命の出逢い。
「ね、見てみて!」
大小様々なまあるい穴が幾つも開いた――けれど自己主張しすぎない竹灯籠の中から取り出した小石に、莉緒は今日一番の笑顔で総二を振り返った。
その掌中に在ったのは、四葉と可愛いハート。
「――へぇ」
思わぬ縁に、総二も目を細める。しかし偶然とは、更なる偶然を呼び込むものだ。
「……あ」
「あ!」
驚嘆が重なったのも、さもありなん。
せっかくだからと莉緒に倣った総二が手を伸べたのは、剣の達人が一刀で仕上げたような竹灯籠。その中から出て来た小石が、まさかの四葉を彩ったものだったのだ。
「すごい、お揃い!」
「奇遇だな……俺の方にはハートはないが」
「それでもお揃いはお揃いだよ。でも、ちょうどよかったかも」
嬉しそうに、ほのかにはにかむように。莉緒は抱いた膝の上で巾着袋の口を寛げると、キューブ型のチャームがついたストラップたちを取り出す。
「二つ?」
「うん。竹灯籠と小石と。それぞれ用意してくれた人の両方にお礼がしたくって」
ね? と小首を傾げ、莉緒が光に翳してみせたキューブは、四葉と鈴蘭を封入したレジン。
「四葉と鈴蘭は私達のラッキーモチーフみたいなものだしね?」
目と目を合わせ、莉緒は総二へ細波のように微笑み。
受けて頷いた総二は、莉緒の髪にもう一つの四葉と鈴蘭を見る。
「ラッキーモチーフか、確かに……」
総二の懐に在るそれは、莉緒が総二の幸せを祈って贈ったもの。
莉緒の髪に在るそれは、総二が莉緒の幸せを願って贈ったもの。
「みんな、みんな。幸せになれたらいいよね」
穏やかな笑みを湛えたまま、裾を正して莉緒が立ち上がる。
追いかけるように立ち上がりかけた総二は、素朴な竹鈴を潔い切り口の竹灯籠の内に託し、今度は莉緒の隣に並ぶ。
「ああ、そうだな。いや、きっと幸せになれるだろう」
総二が口にしたのは、無責任な期待ではなく、実現可能な志。
祈りを、誓いを胸に、莉緒と総二は温かな小径を再び歩き出す。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【動物の友】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
花柳・細
宵に浮かぶ竹灯籠の灯り
その中を白と歩む
綺麗ねぇ、白!
灯りも灯籠の細工や並ぶ姿も
このひとつひとつをさ
戻った人達が作ったのよ
灯りの数だけ
それ以上の人がさ
戻ってきたって
生きてるって実感するの
他の場所も人達も
こうして戻ってこれるわよね
取り返せるわよね
その為なら、私…
数多の輝き眺め手繰るのは
双子薔薇のペンダント
握り想うは消えた双子の――
なーんて
しんみりしちゃっても駄目ねっ!
故郷じゃないけど
馴染みの京都が戻ってさ
しかもこんな素敵な灯りの道っ
楽しまなきゃ損っ、ね?
目に留まった竹灯籠に近づいて
手にする石はどんなかしら
作った人
込められたものへ思い馳せ
私からは藤花の根付
あなた達の帰りをさ
歓迎させてね?おかえりって
●いつか
角らしい角のない一本道は、馬で一息に駆け抜けるのも良さそうだ。
「……だめ、駄目。今日はゆっくり眺めてまわるのよ。ね、白」
疼く猪突心を、花柳・細(非花・g07664)は添うて歩む白毛の無双馬――名は、見目の通りの『白』だ――の鬣を梳くことで宥める。
外界と竹林で隔絶された小径に灯る、数多の竹灯籠。心づくしの細工を施された明かり達は、さながら地上の星だ。
「綺麗ねぇ。このひとつひとつをさ、戻った人達が作ったのよ」
――信じられる?
嘯きが混ざる細の語尾は、跳ねるようでいて、宵の気配にしっとりと染む。
糸のようにした紅玉の眸に、細はちらちら揺らめく灯を映す。
(「この灯りの数だけ……ううん、もっとそれ以上の人が、戻ってきたのね」)
波濤の如く押し寄せた感慨に、成し遂げた事の大きさを細は実感する。
失われたと思った人々が、戻ってきた。そして『今』を生きている。
(「そうよ。そう。これから、だって」)
細の足が止まったのは、無意識だ。怪訝に思ったのか、白が鼻を寄せるが、それさえも細は気付かない。
いつしか灯りの輪郭は溶け、幻想的な小径の景色は、心象風景へと移ろう。
(「戻ってこれるわよね、取り返せるわよね」)
視得ぬものを見て、細の目頭が熱を帯びる。
(「その為なら、私……」)
駆け出したい心地を押し込めるように、細は胸に下げた双子薔薇のペンダントを手繰り、握り締めた。
「――、」
はくり。
ぱちり。
かつん。
「……なーんて、ね?」
呼びかけた名に、細は我に返って瞬き、踵を高く鳴らす。
形にしかけた音は、双子の――。なれど細は、余韻の一切を断ち切った。
「こんな素敵な灯の道、楽しまなきゃ損でしょ! さぁて、どの子にしようかしら」
追い続けはする。夢で終わらせはしない。だから湿っぽくなるのは御免だった。
然して細は出逢う。帰還を歓迎する藤花の根付の代わりに、勇姿を讃えるような見事な朱金に。
青海波文様の竹灯籠を目に留めたのは、白が気にかけたようだったから。
「白、よい趣味してるじゃない」
潔い一色を、故郷でこそないが馴染み深い京都の『連れ』と細は心得、縁を結んでくれた白の頬を撫で――また、歩み出す。
細の足はきっと止まらない。
『いつか』の日を、現実にするその日まで。
大成功🔵🔵🔵
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
拾い、洗い拭った小石を手に
どこかに腰かけて、小筆と絵具で
無数の小さな花を描いて、塗り重ね、色とりどり輝く宝玉の如く
仕立てた浴衣で、竹林を散策
竹灯籠の燈がともる路
写真を撮って、みせたい人がいるんだ
竹灯籠の一つへ、出会いを期して
この時代、この地に生きるだれかの
たしかな想いが籠った小石のひとつを見つけて
手に取り、微笑んで、大切に仕舞おう
(小石の詳細お任せ)
花の小石を灯籠にそっとしのばせて
時空を超えた遠くからきて、どこかで取り戻すために戦っている
俺の、存在をこの世界に燈す
不安もあるだろうけれど
誰かが、あなたのために戦うから
希望をもって、穏やかに日々を過ごせますように
そう、願いをこめて
密やかな文を交わす
●pregando
どこを切り取っても絵になる風情に、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の指先に命運を託されたレンズは、息を潜めるように瞬きの時を待っていた。
「この静寂をどう切り取るか……いや、灯りを多く取り入れる方がいいだろうか」
一つの都に名が通った画家であったが故か、それともエトヴァ生来の気質か。はたまた、みせたい人がいる為か――おそらく最大の要因は三つ目だ――、竹林の小径を写真に収めようとするエトヴァの歩みは、とても緩徐だ。音楽のテンポに例えるならば、Adagioといったところか。
秋の清流めく薄青と大柄な花文の浴衣姿と相俟って、エトヴァ自身が夜を渡る灯の小川の一部となったよう。
幻想的な光景だ。だが、現実を取り戻したおかげで創造された美でもある。
「……見事なものだな」
ふ、と。何とはなしに目に留まった竹灯籠の前でエトヴァは足を止め、地に膝がつかぬよう踵に腰を下ろす。
縦に伸びた小さな円がひゅるりと連なり、頂点付近に菊花が如き大輪が咲いたそれは、きっと花火の意匠だ。同時に、エトヴァには此れを作った誰かの笑顔が、橙色の光に重なって見える。
そして秘されていた小石も、また――。
「いい顔だ」
幼子の手と思しきえびす顔は、歓喜の顕れ。
此れこそが、ディアボロスが取り戻したものであり、取り戻して征くもの。
「――よく、帰って来た」
穏やかに相好を崩したまま、エトヴァは返し文として、無数の小花を咲かせた七宝めく小石を竹灯籠へ忍ばせる。
輝く宝石もかくやの彩石は、エトヴァが丁寧に作り上げたものであり、エトヴァ自身の存在を『今』に刻む証左。
ディアボロスは皆、時空を超えて戦っている。寄る辺を失った者も、少なくない。だからこそ、祈るのだ。
(「不安もあるだろうけれど。誰かが、あなたのためにこれからも戦うから」)
――どうかこれからは。希望をもって、穏やかな日々を過ごして欲しい。
想いとは、言葉を介さずとも伝わるもの。だからきっと、エトヴァの想いも誰かの心に届く。
そしてその誰かの胸には、エトヴァが送った宝玉のような光が燈り続けるのだ。
「あとは、写真だな」
ゆるり立ち上がり、エトヴァは再び歩み始める。
今日という日に得た喜びを、誰かと分かち合う為に――。
大成功🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
七森・実
g01118/ノスリくんと
茜色に揺れる秋草の柄
夕暮れを染め付けた浴衣で
からんころんと隣を歩く
涼やかな竹の葉擦れの音も
燈火の柔く揺れるあかりも
……今ここにいるあなたも
胸が痛いほど、きれいだって思うの
うん? 私が選んだのはね、これ
七竈の赤い実、渋い筆致はご年配の方かしら
どんなに燃えても灰にならない七竈は
弱くて脆くて、だけど強い、
人々の希望のようでしょう
ノスリくんの名に籠められた祝福も
きっとそんな風に、消えずに残る何かになるのね
あなたが語るいつかの未来が訪れるよう願って
私からはフォルテの音楽記号を贈るわ
──拝啓、見知らぬ誰かさんへ
いのちを鳴らし続けて待っていて
力強く高らかに、全てを、取り戻す日まで
ノスリ・アスターゼイン
g01241/実
浴衣は生成地に縦縞
濃紺の角帯
並んで竹灯籠の路を逍遥
穏やかな光に心が凪いで行くよう
綺麗だね
気に入りは見つかった?
飾らぬ風情の竹を取り
ころんと掌に乗せた小石には
未だ咲かぬ蕾の絵
小石は『恋し』か
嘗ての日々を
歴史を
これからの未来を恋い願うもの
石のお礼に、と
足許の小石を拾って丁寧に擦り
『ζήν』
綴った文字は、ゼイン
『生きる』と言う意味の
俺の名の欠片だよ
島に流れ着いてのち付けた名だ
失くした記憶の彼方の真名とは違うかもしれないけれど
今は此の名を自身に冠しているから
受け取った誰かのお守り代わりになると良い
どうか
想いも
夢も
諦めず生きて
生き抜いて
いつか蕾が花になりますように
人々の恋が実りますように
●可惜夜の福音
初更の暗がりに、千々の灯りが咲っている。
天を衝くが如き竹たちに切り取られた小径は、さながら地上に伸びる星の道。
(「天の川の中を歩いているみたいね」)
幻想的な景色に溶け込みながら、七森・実(F・g01241)は匂い立つよう相好をくずし、浴衣の袖をふわと揺らす。
茜に秋草の柄をあしらう装いは、竹灯籠にやさしく照らされ、夕暮れ色をいっそう鮮やかにしている。
気に入り袖を通したものが、ますます見栄え好くなるのに、乙女心が躍らぬわけがない。けれど実の胸中に吹く風は、まさに秋色。
からん、ころん。
耳に涼やかな竹の葉擦れに相俟る実の足音は、軽やかでありながら、常より緩やかな音色を奏でている。
不慣れな足元ゆえに、それもさもありなん。歩幅だって、きっといつもより狭いはず。
だのに傍らに添う男とは、ずっと並んだまま。
――歩調を合わせてくれているのだ。
「穏やかな光だな。心が凪いで行く気がする」
陽を封じた蜜色の双眸を細め、心地よさげに呟いたノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)の横顔に、実は喉元までせり上がって来た吐息を、そっと肺の奥まで押し返す。
生成地に縦縞の浴衣に濃紺の角帯を合わせたノスリの装いは、肩肘を張らないシンプルなものだ。
けれど――。
(「燈火の柔く揺れるあかりも、……今ここにいるあなたも」)
実には、胸が痛むほど「きれい」だと思える。それこそ刻が流れてゆくことさえ忘れさせられるほどに。
と、その時。ノスリの瞳に実の琥珀色が映る。
「綺麗だね。気に入りは見つかった?」
気負いなく、衒いないノリスの科白に、実の意識はかくりよめく現世に舞い戻った。
「うん? 私が選んだのはね、――あれ」
す、と。実は迷わず、無数の中からひとつを指差す。
急場を凌ぐ仕草ではない。歩きゆくさなかに、まるで何かが腑に落ちるように目に留まっていたのだ。
それは今日の浴衣と同じ、秋草があしらわれた竹灯籠。
近寄り眺めても、なかなかに巧みな出来だ。そして竜胆の小窓から取り出した小石もまた、円熟味のある風情があった。
「七竈の実みたいだと思わない?」
思わぬ出逢いに声を華やげた実は、指先の赤をノスリの目線に合わせる。
渋い筆致は、相応に歳を重ねた人物の手に思えた。竹灯籠の作風からも想像するに、高齢の夫妻が仲睦まじく作り上げたものかもしれない。
どんなに燃えても灰にならぬという七竈は、弱くて脆くて、されど強きものの象徴。
「まるで人々の希望のようでしょう」
どことなく誇らし気な実に、ノスリは静かに是を頷き――、
「ノスリくんはどれにするの?」
「ああ、俺は――」
続いた実の尋ねに、ノスリは元来た路をゆるりと幾らか戻って、飾り気のない竹灯籠の前で足を止めた。
覗き込むまでもなく、潔い切り口の縁に姿を見せていた小石に描かれていたのは、未だ咲かぬ蕾の絵。
拾い上げ、掌にころりと転がし。意外な重みに気付かされたのは、ノスリの思い込みではあるまい。
「小石は、『恋し』と響きが同じだろう」
人々は恋ているのだ。嘗ての日々を。歴史を。これからの未来を。
路傍の石でありながら、帰還を果たした人々のよすがたり得たのが小石であり、ディアボロスへ贈るに相応しき彩。
だからこそ、ノスリは人々の想いに我が身を以て応える。
「ノスリくん、それは?」
つっと背伸びをして手元を覗き込んで来た実へ、ノスリは取り出した小石に記した異国の文字の意味を示す。
「『ζήν』――『生きる』と言う意味の、俺の名の欠片だよ」
ゼイン。
おそらく耳馴染みがないだろう実の為に、ノスリは願いを音として形作る。
それは生来の名ではなく、新宿島に流れ着いてのちに自ら付けたものだ。
失くした記憶の彼方の真名とは異なるかもしれない。けれど、だからこそ。
「受け取った誰かのお守り代わりになると良いと思ったんだ」
「素敵。ノスリくんの名に籠められた祝福も、七竈みたいに消えずに残る何かになるのね」
自らの名を希望として残そうとするノスリに、実は心から微笑み。自分が用意しておいた返礼にいっそうの意味を見い出す。
「私も置いて来るね」
音楽記号のフォルテ――それが、実が想いの丈を託して小石に記した一文字。
(「あなたが語る、いつかの未来が訪れるよう、私は願うわ」)
(「だから、どうか――」)
――拝啓、見知らぬ誰かさんへ。
いのちを鳴らし続けて待っていて。
力強く高らかに、全てを、取り戻す日まで。
からり、ころり。
ノスリが小石を竹灯籠へ託す間に、実は足音を弾ませ一足先を駆け。その後ろ姿を、ノスリは自然と人の手が創り出した景色の中に眺め見て、おもい、いのる。
――どうか。
想いも、夢も、諦めず、生きて、生き抜いて。
そうしていつか、蕾が花になりますように。
人々の恋が、実りますように――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!