リプレイ
レオアリア・フォルシオン
提案者として着手しないとね
前にベルファストで伝えたじゃがいもや蕎麦の農耕が伝わっているならそれらを使い、伝わっていないなら新宿島の食料を持ってベルファストに
じゃがいもならドイツ料理ね
様々なじゃがいもを使った料理や蕎麦生地で作ったガレット等を作り、残留効果でそれらを増やしていくわ
で、今後の話だけど…ベルファストの造船と航海事業が始まれば仕事が手に這入るわ
直接関わるのでないにしても仕事をした人に料理を振る舞ったりアイルランド内の交通や流通に関わる仕事なんかもいいわね
農業に勤しんだ元アイルランド軍の兵士達にも声をかける必要もありそうね
食と職を確保し与え、自立を促していくわ
内方・はじめ
復興支援ねえ……
まあ、街は広いし、互いの居場所や行動を把握するのも大変でしょうから、【パラドクス通信】で連絡体勢を構築しとくわね
情報収集を活かし、各自の交信内容を傍受……じゃなかった、確認しつつ、人手や技能が必要そうな場所があれば、該当技能に長けた人に応援して貰う等の根回しを
ある程度、調整がついたら……交信内容を確認しつつ、情報収集、忍び足、偵察、看破を活かして、人目につかないように物陰や人の波に紛れて、街の裏通りや飲み屋街等の治安が悪そうな場所や、人が集まる市場等の様子を確認しに行くわ
飲み屋街だからって、一杯引っ掛けに行く訳じゃないわよ?
だって、まだこの時代には……ウィスキーできてないし
「そう。アイルランドへの亡命策、実施が決まったんだね」
幻想竜域キングアーサー。パラドクストレインからベルファストの町に降り立ったレオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)は、思わず喜色の声を零してしまう。
提案者として、これほど喜ばしい事は無い。これで、理不尽にドラゴンから搾取される竜の花嫁達を、ドラゴン達の圧政に苦しむ人々を救える。その思いの成就が、嬉しかった。
(「っと、まだ終わったわけじゃない。これが始まりよ。気合い入れなきゃ」)
パンパンと己の頬を叩き、キリリと表情を整える。中々の忙しさであった。
「……と言うわけで、此処を作戦基地としましょう」
その提案は、内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)からであった。仮設テントならぬ、空き家を借宿とし、小型通信機を幾多も置く。これらは全て、【パラドクス通信】の賜物であった。
「さてと。このベルファストでの目的は輸送船の建造。だけど、その為の人手を確保したり、あと、亡命者を迎え入れる為、治安を向上させなければいけないわ」
「そうね」
レオアリアの言葉に、はじめは首肯する。その為に何をするか、だ。
「仕事があれば、スラムで貧困に喘ぐ人々も、自立出来る。自立出来れば生活に余力が生まれ、余力が生まれれば、治安の悪化は防げる。それと、お腹が満たされれば、少しは前向きになる筈よ」
そこで、レオアリアの提案は、農地改革だ。生憎、以前伝えたジャガイモや蕎麦を用いた農耕技術の類いは、排斥力によって失われていたが、彼女の懐には新宿島から用いた種芋と、蕎麦の種子がある。農耕自体、何度でも挑戦出来る筈だ。
「農業に造船と仕事が生まれれば、人の往来や、金銭の流通も始まる。仕事も、その2つに収まらず、色々な物が動き出すでしょう。だったら、顔役を通していた方が良さそうね。皆に伝達しましょう」
「ええ。お願いするわ」
はじめの言葉を是と頷き、レオアリアは港への道を見やる。
今は活気が無いその場所も、しかし、何れ、人で賑わう大通りと化すだろう。その為に尽力する。今、そう決めたのだ。
「食材が集まれば、食堂なんかも出来上がるでしょうし、交通網や流通網が整えば、そこにまた新たな営みが生まれていくわ。ああ、そう。自警団って話もあったっけ? それも治安維持には大切な事だよね」
人々が行き交い、活気づく様を想像し、それが如何に素敵な事かとレオアリアは笑う。
斯くして方針は決まった。後は各々の役目を果たすのみ。レオアリアは腕まくりをし、早速と、食料配膳と喧伝のため、ジャガイモ料理や蕎麦料理に取りかかっていく。作り上げたそれを【口福の伝道者】で増やせば、多くの市民に行き渡る筈だ。その意図を用いて彼女は鍋を振るう。
「……さてと、それじゃ、私は情報収集に行ってくるわ」
急激に忙しくなったレオアリアの背に呼び掛け、はじめの足は裏路地へと向かっていく。目指すは酒場。RPG等でもお馴染みのその場こそ、治安は宜しくなく、故に、生の声を聞くという情報収集が出来るのだ。これからの指針を得るのには、最適な場所だろう。
(「決して、一杯引っかけたい訳じゃないわよ。ほら、この時代、ウィスキーとかないし」)
それは誰への言い訳なのだろうか。
そして、はじめは、酒場の扉を叩くのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
フルルズン・イスルーン
船作るって聞いたよー!!
お、街の理解を得る為の根回し?
うむうむ、そういうの含めて経済活性するからいいよね!
じゃ、ヴァイキング式で。
倉庫区画行こうか。ロック・ゴーレム!
困窮しててもその場の責任者や有力者が居るはず。
裏とか暴とかのタイプね。
まずそれらをシメる。【罪縛りの鎖】で。
下っ端から芋づる式に掘って、元締めの方にご協力願おうね。
大丈夫痛いことしないよー。儲け話するだけだよー。
表向きの治安維持機構とは別の、現場の裏の顔役を担ってもらうだけさ。
荷揚げの責任者なんて、ガラ悪くて怖い人じゃないと務まらないからねぇ。
今のうちに餌付けしつつ、ヤンチャし過ぎ無いよう釘刺しするのだ。
皆で幸せになろうよ。ね?
相原・相真
元々船大工が多くいるなら、
それらを取りまとめる顔役のような方もいるでしょう
そうした方を探して接触、
【プラチナチケット】を使用し輸送船建造の協力をお願いします
こちらから賃金や食料などの対価を支払うことが出来る事、
そうして街を動かすことでベルファストを復興させたい狙いまで伝えます
あとは、イギリスからの移住者の話についても少々話を
元々アイルランドは竜たちに攻め込まれていた
だからそこからの移住者に抵抗がある方も多いでしょう
でも、彼らも竜に従うことができないからこそ移住が必要なんです
そのことにご理解を、そして何とか彼らを受け入れてほしい
出来る範囲の口利きなどでかまいません
…どうか、よろしくお願いします
冰室・冷桜
まー、ドラゴン云々抜きにしても昔々ってーレベルの年代だもんなぁ
そりゃ現代と比べりゃ治安は悪いのも当たり前か
かといって現代知識に合わせて無理矢理状況を引き上げられるわけでもねーし、地道にできることをやりますかー
異世界転生よろしく簡単にはいきませんよ、ってね
色々お仕事やらなんやら船の建造に備えて考えてる人らも居るみてーですし
そこら辺を上手く回せるように復興支援に役立てるような情報収集してきますかね
【友達催眠】を発動して、水とかパンを配りながら話を聞いて回るわ
仕事を回すにしてもじゃあその報酬はどーすんのかーって話とかあるでしょうし、そこら辺の都合をつけれそうな立場の人に話とか通したいですね
ベルファスト、倉庫区画。
「頼もうー」
粗野な小屋とも言うべき、荒ら家に近い建物の中に乗り込んだのは、フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)、相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)、そして、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)の3名であった。
「な、なんだ! てめぇら。此処がどこだか判っているのか?!」
年の頃30代後半と言った処か。スキンヘッドの親父の叫びに、しかし、復讐者達は苦笑する。
普段接しているクロノヴェーダの威圧に比べれば、この程度の恫喝はむしろ、可愛さすら憶えてしまう。それ故の微苦笑であった。
「ええ。存じています。調べ上げた上での訪問ですから」
「上に話を通してくれます? 仕事の話をしに来たって」
一片の怖じ気も見せない相真と冷桜の台詞に、中年男性が浮かべたそれは困惑であった。
そう。此処が何処か等、問われるまでも無い。それを知った上で彼らはこの場所を訪問しているのだ。それを成したのは、相真の【プラチナチケット】と冷桜の【友達催眠】による情報収集であった。そして、辿り着いたこの場所こそ――。
「船着きギルド――いや、ギルドって言葉が出来るのはもう少し後かな? ま、この辺り一帯の顔役だろう? 話を聞いて欲しいんだ。……これは、この町の今後を決める話で、そして、キミ達に美味しい蜜を吸わせて上げようって話さ。聞いて損は無いと思うけどね」
ふふんと薄い胸を張り、フルルズンが得意げな表情を浮かべる。
「……ちっ。そこに座ってろっ」
強面の中年男性は、しかし、腐っても商人なのだろう。舌打ちと共に荒ら家の奥へと、引っ込んでいった。
次に、復讐者達が通された其処は、それなりに整えられた部屋であった。調度品と思わしき置物達は、荒ら家に相応しくなく、小綺麗なものであった。
(「まー、この年代にしては……って感じだけどねー」)
熟々、この幻想竜域キングアーサーが五世紀のイギリスなんだなぁ、と冷桜は内心で呟いてしまう。この頃のアイルランドをイギリスと見なすかは、波紋を呼びそうなので言及を避けることにした。
(「異世界転生宜しく簡単には、って行きませんよ。ってね」)
娯楽本によく有り勝ちなご都合主義が、自分達に降りかかる訳でも無い。こう言う人脈形成、コミュニケーションもまた、行うべき方策だ。
「話は聞かせて貰った。船を造りたい、と言う事だが」
通された先に居たのは、先程のスキンヘッド親父と、それより歳の行った壮年男性、そして、置物の様に鎮座する老婆であった。成る程、先程の中年親父では足りない圧が、この二人からは感じられた。
「ええ。それと、イギリスからの移住者の受け入れ出来る体勢を整えたいと考えて居ます」
相真の言葉に、壮年男性は目を見開く。彼が反論を紡ぐ前に、しかし、と、相真は更なる言葉を重ねていった。
「勿論、ここがドラゴン達に攻め入られていたアイルランドだと理解した上での発言です。ドラゴンの圧政に苦しんでいたのは此処だけではない。それはイギリス内部も同じです。そこから亡命を行いたい人は、ごまんと居ます」
「だけど悲しいかな。亡命先が存在しないのだよ」
これは、フルルズンからの援護射撃。粗末な杯に満たされた水をぐぐっと飲み干した彼女は、更なる言葉を紡ぎ出す。
「そして、その亡命者達がこちらに流れたらどうなるか。想像してみたまえよ」
「……ぐ」
「いえ。これは脅しではなく、転機と考えています」
冷静な冷桜の言葉に、一瞬唸った壮年男性は、口を紡ぐ。おそらく彼も商人。聡明さでは、中年男性以上の様であった。
如何なる時代も、商人根性は逞しい。そうでなければ生きていけないのだろう。
「金が生まれるな」
亡命者達が財を持ち出せば、そこに流通が生まれる。人が動けば仕事が生まれる。何より――。
「ボク達ディアボロスも、出来る限りの支援をすると約束しようじゃないか」
手付けにと彼女が出したのは、宝石の詰まった革袋であった。机の上に置かれたそれに、目を引かれない者はいまい。中年男性は息をのみ、壮年男性は眉を顰める。
「何を望む?」
最初に口を開いたのは、老婆であった。眼光鋭く、歴戦の勇士を感じさせるそれは、クロノヴェーダに負けず劣らずの威圧を放っていた。
「そうですね。造船の許可と、それに掛かる人員の確保。あと、町のある程度の整備と、……治安の改善、と言ったところでしょうか?」
相真の言葉に、老婆はふむ、と頷き、壮年男性を促す。やってやれ。その一言で場の流れが動いていくのを感じていた。
「判った。それらの取り仕切りは約束しよう。だが、人員の確保の約束は出来ん。それは理解しているだろう?」
「何分、ベルファストには人がいない……いや、真っ当な人がいない、と言う事かしら?」
冷桜の言葉に、壮年男性はこくりと頷く。それが、このベルファストの現状であった。
ドラゴン勢力が撤退した結果、多くの市民達はベルファストから田舎へと戻ってしまっている。残されたのは帰る場所のない者達のみだ。そして、彼らはその日暮らしの生活を余儀なくされ、町は荒れに荒れ果てている……と言うのが復讐者達の理解であり、壮年男性の言葉はその裏付けであった。
「そこは大丈夫なのだよ。仲間がスラム街に向かっている。自警団の編成もボクらが担おう。だけど……」
「それらの取り纏めや賃金などは、貴方達に任せたい。当面は俺達の支援で。だが、行く行くは市民からの徴税という形で、かな?」
「ね。悪い話ではないでしょう?」
三人の言葉に、中年男性と壮年男性は是と頷く。老婆のみが身動きせず、しかし、復讐者達の動向を探る様に、眼だけがギョロリと動いていた。
「いやー。良かった良かった。もしも駄目とか言うならこの【罪縛りの……】。んっ。モガモガ」
「おっと。そこまでです。フルルズンさん。それ以上はいけない」
立ち上がり、何かを宣言しようとしたフルルズンの口は敢え無く冷桜の手と、相真の台詞によって防がれてしまう。
思わず零れた呻き声に、中年男性、壮年男性、そして老婆は微苦笑を以て破顔するのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
ナイナ・ヴィラネスティズム
絡みアドリブOK
「お腹が空いていらして?腹の虫が鳴っていましてよ」
復興支援の一歩は人の心の穴を埋める事
私には私のできる限りの行いをするまでですわ
新宿島の行きつけのドーナツ屋からありったけのドーナツと紅茶を買い込んでベルファストへ持参
私が推したこの味を知らしめる意味でも現地の方々に推して参ります
簡易屋台を設置したらまずは子供や空腹の者を狙い目にドーナツと紅茶を薦める
飲食物の試食をパフォーマンスも兼ねて口福の伝道者で個数を増やし、餓死者数を撲滅させる勢いで広めていきましょう
空腹さえなくせば心の余裕も生まれますでしょ?
軌道に乗れば相談窓口も受付
手に職をつけたい者には船舶建造の仕事を勧めてみましょう
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
復興は地道な積み重ね……だが、この街には希望がある
スラム地域へ
持参と地元の食糧で調理し口福の伝道者で増やし、炊き出しを
現状の不満や困り事を聞き、仕事の話を広めておく
問題にはできる限りの対応を
傷病人には持参の医薬品で応急対応
現地の周辺で手に入る薬草など植物知識を伝え
医者と連携できれば上々
困窮している者は先に仕事につけるよう把握し名簿を作成
造船の他、移住者のための住居建設や、肉体労働以外に一時宿泊所、食堂の経営などの仕事の話もする
衣食住の充足は必要な事だ
現地で保存のきく食べ物は食事に組み込んで増やし、スラムの配給に回し
代わりに体力のある者に地域の清掃を手伝ってもらう
衛生面の向上だな
「お腹が空いていらして? 腹の虫が鳴っていましてよ」
ベルファストの中心街から外れたその場所は、暗澹たる雰囲気に包まれていた。崩壊し掛かった荒ら家。屋根も壁も機能しておらず、満足な風雪を凌げないことが明白なそれは、しかし、一軒や二軒処の話ではない。完全にスラム街と化していた。
其処に降り立ったナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)は、住人達に笑顔で呼び掛ける。
「私達はディアボロスですわ。聞き覚えはありませんか? ……いえ、無いとは思いますが、まあ、そこは気にしなさんな、ですの」
「この町の重役に頼まれて、皆の食事の世話に来た。炊き出しを行う。皆。この先の広場に集まってくれ」
援護射撃はエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の物であった。
大鍋に幾多の食器、そして多くの食材を抱え、彼らはスラム街を喧伝と共に練り歩く。やがてその足は止まり、広場に調理器具を広げていった。
(「復興は地道な作業の積み重ねだ。得てして、楽しいのみのものではない。だが――それでも、この街には希望がある」)
集まった人々に食事を行き渡らせながら、エトヴァはベルファストの現状をそう評する。町は荒れ果て、活気そのものは失われている。だが、人々の目は曇っていない。彼らの心はまだ、折れていないのだ。
「なんだか、凄いことになりましたの」
炊き出しの粥と汁物、そしてドーナッツと紅茶。
後者の2点はナイナが新宿島から持ち出した物だ。自身の推した味をベルファストに知らしめると息巻く彼女は、【口福の伝道者】でそれらを増やしながら、子供中心に配っていく。その最中、もぐもぐと口が忙しく動くのは致し方ない。残留効果の真価を発揮するためには、復讐者が食べる、と言う行為が必須なのだ。
「保存食が増やせれば言うこと無しだが」
甘味を苦手とする者達中心に、粥と汁物を配るエトヴァも、彼女同様、それを食しながら独白する。自画自賛になりかねないが、我ながら上出来な味に、舌鼓さえ打っていた。
「空腹を満たせば心の余裕が生まれますでしょ? さあ、皆様、まだまだ在りますわ。たんとお食べになって?」
「……まあ、頑張ろう」
何分、【口福の伝道者】は二人の使用分、そして残留効果を鑑みても、今や、3レベルに相当する効果を発揮している。二人が食すれば食した分だけ、その300倍の食事を生み出すことが出来るのだ。今、二人が人々を集めたスラム街一区画の住人処か、その気になれば、ベルファストの住人全てを支える事が可能であろう。その分、二人が多くを食する必要があるが、今、考えないことにした。
「まあ、食事ばかりしていられないけどな」
「ええ。そうですわね」
ナイナの言葉通り、空腹が満たされば心に余裕が生まれる。心に余裕が生まれれば、その後を授けなければならない。それが彼らの想いだ。
「傷病人の手当と、掃除による衛生の向上。やることはまだまだ多い」
「あと、輸送船の建造について、人集めですわね」
自分達以外にも、方々に復讐者達は散り、それぞれの手腕を発揮している。それらが満たされれば、次は自分達の望みを果たす番だ。だが、全て一足飛びというわけには行かないのも事実だ。
「ともあれ、復興が優先だ」
「衣食足りて礼節を知る、ですわね。家々を直し、人々を勇気づけ、仕事を斡旋し、流通を整え、治安を回復し……言葉にすると本当、大変ですわね」
「まさしく、地道な作業の積み重ね、だな」
ナイナの言葉に、自身が先程行った内心の呟きを吐露するエトヴァであった。
「それでも、一歩一歩進めばいい。さて、食事が終わったら、次の作業に取りかかろう」
「はい、ですわ」
住民達の礼と喜びの賞賛を受けながら、二人は立ち上がる。
まだまだ復興支援は始まったばかりであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】がLV3になった!
効果2【凌駕率アップ】LV2が発生!
一蝶・信志
荒くれ者を雇って警備隊を組織するのはどうかしら
治安の悪さに一役買いがちなヤンチャ坊主たちを
「守る側」に迎えられれば一石二鳥!
町でワルい子たちの溜まり場を探して声をかけてみましょ
手荒く歓迎されるでしょうけど
ヤダこわ~い💦(演技
でも、ちょっとやそっとじゃ退かないわよ
これから大きい船を造るんですって
船大工の募集も始まるでしょうけど、
ワタシからは「用心棒」のオシゴトを提案したいのよ
人が集まれば何かとトラブルになる
その時にみんなを守ってくれる人がいたら安心できるわ
アナタたちも腕を振るって食い扶持が稼げる
悪くない話じゃない?
どーしても悪いコトがしたいって子は
ワタシがお仕置きしてあげるから
それで満足してネ
佐島・真己
リリーさんとオリヴィアさんにいつまでも隠れてもらうわけにはいかないからな
まずは治安の回復を目指してみようか
治安維持のために警察を組織できないだろうか
自警団くらいはあるだろうからそれをベースに
正義感が強い人間をスカウトして訓練すれば人手は増やせるだろう
後は新宿島から警官用の装備を持って行く、現地で作ってもらうなどして体裁を整えていけばいい
それと生活していくのに十分な給料を払えばなり手も増えるだろう
最初は新宿島の金品を持ち込んで賄い、軌道に乗ってきたら行政に掛け合って給料を増やしてもらおう
これから産業が興るはずだからうまく回れば安全な街として人も集まるだろうしいいだろう
治安の改善。そして人々の手に職を付ける。その二つを一気に改善する方法がある。
その提案を口にしたのは、一蝶・信志(シンディ・g04443)と佐島・真己(暗闇の中の光・g01521)の二人であった。
己のアイディアを形にするべく、二人はスラム街の一画へと足を踏み入れる。
剣呑な雰囲気のその場所は、見るからに身なりの良い旅行者の二人を、歓迎のムードで向かい入れてくれていた――。
「何だァ? テメェら?」
年の頃二十歳に届く届かないと言った辺りだろうか。口調は荒く、眼光は鋭く。今は見せていなかったが、おそらく帯刀の一つや二つはしている。そんな雰囲気の若者が、二人に声を掛けてきたのだ。
その数、一人や二人とレベルではなかった。目に見える範囲で五人ほど。建物の陰や中を含めれば、十数人に及ぶだろうか。
(「これはあれか。ストリートギャングって奴か」)
威圧的な若者特有の無鉄砲さに思わず真己は苦笑を浮かべる。彼らの存在は道行く旅人達にとって確かに脅威だが、日頃、クロノヴェーダを相手取る真己達にとっては子供が戯れてくる様な物だ。可愛くすら思えてくる。
だが。
「ヤダこわ~い」
そんな彼の傍らで、脅えた声が発せられた。声の主である信志は、真己を遙かに凌ぐ巨漢で、しかし、戦い慣れしていないのだろう。その声は迫真の――。
(「……演技だな」)
(「そりゃそうよ」)
悪戯っぽい笑みを向けられ、真己は頭を振ってしまう。
「説得するか。小一時間ほど掛かる、か?」
「まあ、やってみましょう」
二人の言葉に、目の前の男が沸き立つのも無理はなかった。
「ごちゃごちゃ五月蠅ぇんだよ! やっちまえ!」
雄叫びの如き砲声が、スラム街に響き渡った。
「と、言う訳で。私達は人を探しているの。これから大きい船を造るから、その船大工だったり、……『用心棒』だったり、かしら?」
「自警団を組織する、と言うのも考えている。手に職を付ければ無闇に人を襲う必要も無いし、そんな不埒な輩をどーにかする事が仕事になる。そう言う提案を死に来たんだが、どうだろうか?」
「は、はい……」
小一時間。半刻ほど時間が経過し、血気盛んな若者達の大半は、地べたに正座させられる結果に陥っていた。その顔が腫れ、腕や足、脇腹を押さえながら呻く者が居るのも、ご愛嬌と言う奴だろう。信志と真己の指導の結果、彼らは改心してくれた。めでたしめでたし。と言う話であった。
「痛ぇてててて。バケモンかよ……」
「ドラゴンの再来かと思ったぜ。畜生……」
「其処、聞いてる?」
こそこそと悪態付く彼らに、鋭く信志の檄が飛ぶ。それだけでブルリと震えた彼らは一斉に首を振り、恭順の意を示すのであった。
「ま、お前達も好きで暴れている訳じゃないだろう?」
「そりゃ、仕事があるなら、ってみんな思っているよ。だけどなぁ」
今や、ベルファストは流通が滞り、人々にも活気がない。たまに訪れる旅行者がいても、それが経済活性化に結びつく訳も無く、ただ、彼らの様な無法者の餌になるだけだ。
「さっきも言った通り、お前達の腕を役立てて見ないか? その為の手筈は整えよう」
この町の顔役連中には、既に仲間が根回ししている。今の課題は人手不足の解消であり、目の前の若者達はその貴重な人材なのだ。
(「まあ、『教育』は色々必要だと思うけどね」)
信志は内心でにぃっと笑う。今、彼らが従順なのは、信志と真己に脅え――もとい、二人を慕っているが故だ。この矛先を、町のためと言う思いに変える必要があった。
それには何よりもお金、そして職だ。誇りも良いだろう。
「これからベルファストは潤っていく。旅人や商人も多く集まるだろうし、活気が出てくるわ。そうなれば、多くのトラブルも予想できる。その時に人々を守る存在になるのか、それとも排除される存在になるのか。……さて、どっちを選ぶのかしら?」
「ぐ、ぐぬぬ」
後者を選べば再度の教育が待っている。そんな雰囲気に、若者達は息を飲む。無論、選択の余地などなかった。
「訓練と装備の準備だとか、バックアップは俺達、ディアボロスが担おう。お前達が働き、上手く安全な街が回れば、更なる人々が呼び込めるだろうし、お前達への感謝も尽きないだろうな」
真己の呼び掛けが止めとなったのか。若者達は顔を上げ、二人に視線を送る。
それは、先程まで彼らが帯びていた昏いそれではなかった。瞳に灯った光の名を、二人は知っている。それは、希望と呼ばれる物であった。
「判ったよ。俺達、何をすれば良い?」
「そうね。とりあえず着いてきて。まずは挨拶からかしら?」
信志の言葉に、彼らはこくりと頷く。そして。
(「リリーさん、オリヴィアさん。いつか貴方達を呼べる街にする。もう少しだけ、待っていてくれないか?」)
遙か彼方でドラゴンの脅威から隠れ住まう竜の花嫁とその義姉を想起し、真己は天を仰ぐのだった、
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】がLV2になった!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
シル・ウィンディア
花嫁さん達の為にも、アイルランドの人達の為にも…。
出来ること、やれることをしっかりしないとね。
まずは、新宿島でサンドウィッチを買っていくよ
ええと、スーツケースいっぱいにくださいっ!
あとは、オレンジジュースも買って別のスーツケースにコップと一緒に入れていくよ
スーツケース1つはアイテムポケットに
もう一つは手に持っていくね
現地についたら配給を行うよ
おなかが膨れたら気持ちに余裕が出るでしょ
それじゃお話を聞いて?
あなた達にお仕事を紹介しに来たんだ。
もちろん、しっかりお仕事してくれた人たちには
ちゃんとした報酬も支払うよ。
人を襲ったりするよりまっとうになれるけど
…どうする?
襲われたら手加減で取り押さえるよ
アンゼリカ・レンブラント
ディヴィジョン内でも安全地帯は希望の火になるね
私達で出来ることからやり、
その火を大きな焔にしよう!
新宿島で食糧調達、なるべく当時の食べ物と味が近いの
食べ物は少なめな具で作ったサンドイッチ
無添加の100%ジュースとか選んでケースに詰めていくね
アイテムポケットも駆使したくさん運ぶ!
現地では仲間と手分けし食料を配給
私も大食い、おなかが減ってる時は頭も回らないの分かる
まずは食べよう!おなかが膨れたら
みんなにお仕事を紹介しに来たんだ。
生活できるだけのお金をお仕事の対価に渡せるし、
今のように食べるもの、休む時間も保証する。
どうか私達のお話を聞いてほしいな
暴れる人、襲われるなどあれば手加減して無力化させるね
飛鳥・遊里
人が人らしく生きるために必要なものは何か?
衣食住…どれも外せないが、やはりまずは住だな。雨風をしのぎ、安心して眠れる場所は当然必要だ。
ギガントマキアの巨体なら、重機として使える。まずは仮設住宅の建築だな。材料は近くの森から調達。その他の建材はそこいらのガラクタからなんとかする。機械屋や工兵としての能力フル活用だ。家というよりは宿舎みたいな感じになるが、まずは町の人全員が、清潔な住居に住めるようにすることが大事だ。簡単な浴場も併設する。薪のボイラーを用意すればいけるだろう。身体の汚れは心にまで影響が出るからな。衛生環境を整えることは心のケアにもなる。目指せ、全住人スラムからの脱却、だ
人が人らしく生きるために必要な物は何か?
飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)の問いに、シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)とアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)はこう返す。
衣。食。そして住。その何れが欠けても、人は人で無くなる、と。
「ああそうだ。住――、雨風を凌ぎ、安心して眠れる場所は当然必要だ。次の日の活力を養う場がなくては、人は生きていけない」
食も大事だ。人々が生きていく上で、栄養補給は怠れない一手だと、シルとアンゼリカは言う。パンパンに詰まったシルのスーツケースと、二人の振るう【アイテムポケット】の残留効果は、その証左を運ぶ物であった。
そして衣。身を包むそれがあって初めて、人は人となる。裸一貫との言葉があるが、衣服を纏わない人は獣同然だ。そして衣とは服のみを指すのではない。それは法であったり距離感であったり……とにかく、人として大切な物なのだ。
斯くして、三人は降り立ったベルファストの町で、それぞれの想いを展開していく。
それが荒んだ人々を癒やす何かになれば良い。
その想いだけを胸に、彼らは町を突き進んでいく。
「配給ですよー。皆さん、食して下さいー」
「ああ、慌てないで! たっぷり持ってきているから! お腹が減っているときは頭も回らないよね。私も大食いだから判るわ」
各種サンドイッチとジュース。二人が配給と称し、配る食料と飲料は、新宿島から持ち込んだ物だ。使用出来る【アイテムポケット】と両手一杯に抱えてきた筈のそれらは、しかし、瞬く間に底を尽きそうであった。余所でも同じように配給を行っている筈だが、それでも、彼らは満たされていない、と言う事だろうか。
(「これ、【口福の伝道者】も必要かなー」)
手掴みで食べるサンドイッチと、杯さえ在れば配れるジュースにしたのは、食器を慮っての事でもあった。頭を振るシルに、アンゼリカが微笑を向ける。
「盛況で良かった、かな?」
「そうだね。持ってきた食料が無駄になるとは思ってなかったけど……ここまでだなんて」
まずは子供に。それから老人に。そして青年中年問わず様々な男女へ。食を待つ人々が、ここまで溢れている事態はむしろ、想定外であった。ベルファスト――否、幻想竜域キングアーサーに於ける一般人の困窮具合をまじまじと見せつけられるような気さえしてしまう。
「ま、暴れる人が居なくて良かったよ」
子供とは言え、身なりの整った旅人が突然食料を配り出せば、それなりに不埒な事を考える輩も出るだろう。
それを押さえる自警団は、未だ、成立に至っていない。故に、そんな輩が現れれば、押さえ込むつもりだったのだ。
(「遊里さんのお陰かな……?」)
間近でパラドクスを振るい、荒ら家を解体、仮設住宅を建築していく重機の様な彼の存在は、そんな不埒な輩の威圧としては充分であったのだろう。
そもそも、幼い外見と言えど、シルもアンゼリカも立派なディアボロス、しかも、歴戦の勇士だ。喩えそれらが軍隊であっても、一般人であれば即座に無力化するだけの実力は有している。とは言え、それを振るわないで居られるのは有り難い。そんな気概は持っていた。
「うおおお。目指せ、全住人スラムからの脱却だ!」
次なる彼の野望は、簡易宿舎に浴場の併設、とのことだ。つくづく、お風呂を大事にする日本人的な思想だな、とシルはむしろ、感心すらしてしまう。衛生観念の大切さは、理解しているつもりだけれども。
(「大丈夫かなぁ。歴史、変わっちゃわないかなぁ」)
大量のお湯はむしろ、贅沢品と認識しかねないこの時勢。浴場が何処まで受け入れられるか、受け入れられ過ぎても困ったことにならないかと、一抹の不安が過ってしまうものの。
(「まあ、でも、改竄世界史の中だし、大丈夫じゃないかな?」)
苦笑いを浮かべるアンゼリカに、そうだねと同意してしまう。そもそも、ドラゴンが我が物顔で飛び交い、喋る植物までもが存在する世界だ。自身の浮かべた疑問に対する今更感に、シルはそっと苦笑した。
腹が満たされれば、話を聞く余裕がある。
大量の果糖は脳を活性化させ、果汁の栄養素達は肌つやを与えるのみにあらず、住民達の気力をも充実させていた。今や、彼らは、満ち足りていた。
「と、言うところで。聞いて欲しい。今日はみんなにお仕事を紹介しに来たんだ」
「しっかりと働いてくれた人にはちゃんとした報酬を約束するよ」
二人の呼び掛けに、人々の視線が集まっていく。中には逸る気持ちを剥き出しに、コクリコクリと首肯で続きを促す者もいた。
「勿論、休む時間も保証する。今みたいな食事だって用意出来る。……どうだろう? やってみない?」
少なくとも、今の様な次の日の食も困る様な暮らしからは脱却できるし、何より、人を襲う様な犯罪紛い、否、犯罪そのものに手を染めなくて済む。そんな暮らしを望まないか? との問いに、人々は是と頷く。
(「進んで犯罪者になりたい、って人はいないよね」)
シルの呟きに、アンゼリカも同意を示す。
彼らが苦しい生活を余儀なくされているのは、仕事がないからだ。ドラゴンの脅威が去ったこの地は安全地帯で、だが、言ってしまえばドラゴンが振りまいていた経済的な恩恵を失った地域でもある。職を失った人々は田舎に引っ込み、その方針を取れなかった人々が残されただけの町が、やがて淀めいて行くのは、致し方ない事象であった。
「それでも町は死なない。俺達が死なせない」
断言する遊里の口調は強いものであった。彼の視線が映す先にある物は、活性化した町の賑わいなのだろうか。彼の作った建屋を背景に、人々が暮らしを営む様を、その眼はハッキリと捉えているに違いない。
「輸送船を作りたい! その為にみんなの力を貸して!」
「この町に活気を取り戻そう。そのお手伝いを私達が行うから。……ねえ、頑張ろう!」
アンゼリカとシルの呼び掛けに人々は沸き立っていく。
宣言する二人を、そして町の修復に飛び交う遊里を中心とした歓声が、町の中へと響いていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV2が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
ここをドラゴン無しでも安心して暮らせる地とする為
出来るだけの事をさせて頂きます
生活基盤を作るには、現地の人達だけで回していくシステムが大切
友情催眠を使用しスラムの女性や船大工の奥さん方に声を掛けます
これから造船や運送の仕事を復活させたいと考えています
それらの仕事を支えるには、温かい食事と清潔な衣服が住居が不可欠
手の空いている女性の皆さんで労働者達の寮や下宿を作りませんか?
掃除をする人、食事を作る人、衣服を洗ったり繕ったりする人
労働者が増える程、仕事は盛り沢山
無理なく交代で働ける様にシフトを決め
今後ベルファストで働きたいと考える女性が来た時
手に職を持てる様、環境を整えておきたい
「さて、人々に活気が戻ってきましたが、それでもまだ、足りませんよね」
船大工を集める仲間達。自警団を組織し、治安の改善を謳う仲間達。それらも大事だが、まだするべき事がある。ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)の呼び掛けは、その補佐に回る物であった。
仲間達のそれは、組織で言えば、直接部門と言う奴だ。だが、それだけで円滑に進まないことも、彼は理解している。所謂間接部門――バックアップは、如何なる組織であったも必要なのだ。自分達に対する新宿島の住人、そして時先案内人がいる様に。
そんな訳で、彼が働きかける標的と定めたのは、船大工達が擁する家族――その奥方ら女性陣であった。
「ベルファストで色々な仕事話が飛び交っている話は聞き及んでいると思います。ですが、それらの仕事を支えるのに、温かい食事や清潔な衣服、住居が必要不可欠です」
家のある者は未だ良い。だが、そうでなく、スラムの空き家を転々としている人だって、多く存在するのだ。彼らを支える仕組みの運用が必要だろう。ソレイユは力強く、そう説く。
「一人の力は限界があります。でも、皆で力を合わせれば大きな事が出来るはずです」
そんな彼の弁舌に聞き入っているのは、何も【友達催眠】の力だけではなかった。彼女達にとってもまた、彼の挙げるそれは、魅力的な提案だったのだ。
人が増えれば、シフトを組むことが出来る。交代で業務を遂行すれば、長時間の運用だって可能だ。そして何より、そこで支払われる報酬は彼女達を潤し、家族を潤し、経済を回していく者になるだろう。
(「まあ、どう見ても家長制な時代の幻想竜域キングアーサーに、組合組織とか、共働きの概念を持ち込むのも如何かな、とも思うのですが」)
とは言え、排斥力を突破出来る下地があるのなら、やれる限りやっておきたい。それが彼の想いだ。
何より、今後、このベルファストで働きたいと考える女性が到来したら、その人が働ける環境を整えておきたい。それは彼自身の願いもであった。
「それでは、早速取りかかっていきましょう。まずは……」
そして、ソレイユは彼女らに向き直る。
他同様、この場はこの場として、歴史が大きく動こうとしていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
コンスタンツ・トパロウル
出遅れたが、船造りの手伝い位はしないとね
資材が足りなさそうだし、傷んで航行不能の廃船や沈没船、廃屋等の持ち主や街の顔役に相談して、新造船の資材に使わせて貰えるようお願いするよ
OKが出たら、【建造物分解】で資材化
こうすれば、流用できる資材も相当あるだろう
資材が調達できたら、造船の作業を手伝うよ
船の大きさは、運用の方針次第だけど……船舶航行用のレーダーは必須だろうし、新宿から持っていこう
GPSは、衛星とやらが時代的になさそうな気がするけど、パラドクスで穴埋めできるかもだし、一応、可能なら機材を持ち込もうか
発電機や蓄電池とやらは、他の仲間が持ち込むよう期待しとくか
資材的に木材メインの木造船になるかな
「何はともあれ、資材の調達だよね」
ベルファスト港部に降り立ったコンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)は、大海原を前に、うんうんと頷いていた。
これから仲間達は輸送船造りに励むだろう。ならば、資材の調達は必須と、一足先に波止場へ向かったのだ。
彼女の予想通り、打ち捨てられた船や廃屋――即ち、持ち主の居なくなった建造物が幾らか見受けられる。それらは全て【建造物分解】の格好の的だ。
(「許可を取り付けた奴もいくつかあるしね」)
便宜上、船着きギルドと呼ぶそれらに仲間が接触してくれたことは、彼女の思惑にピタリと嵌まる物であった。お陰で【建造物分解】の作業が滾って行く。半刻もすれば、資材の山の上で、良い汗を拭う彼女の姿があった。
「どんな船にするかはこれから協議だろうけど、準備程度はしておいて良いよね?」
そして、彼女が広げるのは新宿島から持ち込んだ、様々な通信機器の類であった。
排斥力の問題がクリアできる下地がある以上、レーダーは原理的に、この幻想竜域キングアーサーでも問題無く稼働するだろう。だが、もう一つ持ち込んだGPSによる測量は……。
(「うん。知ってた」)
流石にGPS衛星の存在しない改竄世界史の中で、稼働するとは思っていなかったが、現実として突きつけられるとむむっと唸ってしまう。
(「折角持ってきたし、もしかしたら何かの役に立つかも知れないから取っておこう」)
そんな、所謂捨てられない人間的な思考の後、GPS測量機器もまた、資材の上に載せていく。
斯くして、あとは船の製作を待つばかりである。
果たしてどんな船が出来上がるのか。
喧々囂々とした会議が開かれようとしている事を、今のコンスタンツはまだ、知らないでいた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
さて。
一口に船と言っても、種々、様々な物が存在していた。
その中で、復讐者達が求めるそれは輸送に特化した『輸送船』である。
だが、その機能は一概に決められない。それが、船着きギルドの設計士が出した結論であった。
「皆さんのアイディアを纏め、取捨選択します。7日――いや、3日! 3日で形にしましょう!」
自棄っぱちのようにも聞こえる台詞は、何処か、彼の本心だったかも知れない。
だが、長く時間を掛けられないのも事実だ。輸送船さえ完成すれば、即座に迎えに行きたい人達がいる。そう逸る復讐者達の存在や有り様もまた、正しい物であったのだ。
「アイディアは全て頂きます。日が昇り、月が翳り、火が燃えるその朝までに集ったそれらを下地に、図面を引かせて下さい!」
さて。如何なる船が出来上がるのだろうか。
それは全て、ディアボロス達の意見に託されていた。
レオアリア・フォルシオン
輸送船兼空母という感じのコンセプトがいいでしょうね
内包しているのは戦闘機でなくディアボロスだけど、この船にディアボロスが常在するならそのコンセプトで行くべきでしょうね
人を運ぶ客室に相応する区画と荷物を運ぶ貨物室、ディアボロスと有志が立ち入り戦術・戦略を指揮する司令室の区画を制定
外装は水中からの攻撃にも耐えられるよう走行と対空・水中の攻撃を察知するレーダーも備えておくわ
空母と輸送船を兼ねるなら甲板は平らで良いわね
ドラゴンも空母の知識は恐らくは無いでしょうから、侮りももしかしたら狙えるかも
総括して船に関して攻撃はディアボロスが担うしかない
故に輸送量と防御力、敵を察知する機能を重点的にね
冰室・冷桜
さーて、いよいよ本番のお仕事をー……ってもアタシにゃそっちの本格的な知識も技術もないからアレなんですが
アタシらが常駐するってーもなんでもかんでも現代仕様にしたら運用やら管理にも無理がでるでしょーし、現地の人を動員して作るならやっぱ木造メインに中の設備もなるたけこっちで用意できる感じがいいわよね
仕事を斡旋する意味でも
てーわけで、新宿島で技術屋さんのお知恵を借りつつ、そんな感じのオーダーで設計図を作ってもらいましょうか。もち、現地の人も理解できるレベルで
んで、用意ができましたら現地の人たちへと指示と伝達、そっち系メインで動きましょ。力仕事とかは自信ねーですし、できることを効率よくってなー
佐島・真己
船を作るにも道具が必要だ
船は大きい、あまり大きなものは持ち込めないからベルファストで作るしかない
なら工作機械を用意しよう
はじめは小さな機械でもそこから大きな工作機械を作れば大きな部品も作ることができると思う
最低でもスクリューが作れればかなり速度が出る船が作れるはずだ
エンジンは液体錬成が使えるとしてディーゼルエンジンかタービンエンジンが作れればいい
作れる船体の強度に合わせないといけないからそんなに高出力にはできなそうだけど
どのくらいのサイズのものが作れるかわからないからちょうどいい
後は金属部品と船大工用の道具を作れば生産効率を上げられるし保守にも役立つはずだ
一つ一つ積み上げていけばいい
フルルズン・イスルーン
作るぞぅ! ロングシップよりもデカいの!
機材持って来れて木造船ならクリッパー船だよね!
ボクより未来の船はワクワクするよね!
動力? エンジン? もっと未来的に? 機械は分からぬ……。
んーまあ【液体錬成】は置いとくのだ。
兎にも角にも現地素材の増産だ。リキッド・ゴーレムくん!
燃料用はさておき、まずは【液体錬成】
油、樹脂、その他諸々。
腐食劣化コーティングから木を曲げる蒸し剤に、接着他。
樽に入れておく資材はいくらでも増やせるぞー!
船体に関してはマンパワーの分、手が入れにくい所をささっと行こうね。
液体ゴーレムくんは便利だ!
え? ワイン? エール?
はいはい増やしたげるから。酔ってトチったらぶっ飛ばすよ?
相原・相真
根回しはよし
それじゃあ建造の方にいきましょうか
設計図の方から少々意見のすり合わせ
輸送船は輸送を手早く行うことで海上での襲撃を出来るだけ受けないよう快速帆船を推します
あとエンジンはバラシて持ち込めるサイズで準備し、
帆と合わせて使う補助動力にできればと思います
それらを他の方や専門家の意見とすり合わせながら設計に盛り込んでいきたいです
設計図完成後は分担をきちんとできるようにしっかり確認、
機械部分など技術的に俺たちがやるべき部分以外は現地の方にお願いします
その他説明の必要があればできるようちゃんと読み込んでおかないとですね
適材適所、残留効果も必要に応じて使いながら建造を行っていきましょう
内方・はじめ
酒場で、飲んだくれだけど腕っこきの元船長とかがくだ巻いてたら、スカウトしておきたいわね
さて、ドラゴンに打撃を与えられるのはディアボロスだけだし、火力は乗艦するディアボロス頼りね
そうなると、重視すべきは積載量、耐久力、そして速度かしら
いっそ、マストや艦橋以外は全通甲板みたいにフラットにして、積載スペースやらに当ててもいいし
……って、何故に特定部位に注目する
あと、船底には防蝕亜鉛板付けて、船底塗料で海洋生物の付着を防止すれば、船をドック入りさせる手間も減らせるんじゃない?
電子機器の電力は、発電機を持ち込んで
燃料は【液体錬成】で増やそう
作業進捗は【パラドクス通信】で共有
負傷者は【活性治癒】で手当てね
飛鳥・遊里
さって、どういう船にするにしろ、外装の強度は必要だな。というわけで、ここはお手軽に出来ることで対処しよう。なにせその方が、他の人員…力仕事に向かない人とかでもやろうと思えばできるからな
で、用意するのはこれ、【防水用シーリング剤】と【木材防腐剤】
シーリング剤で継ぎ目を防いで防水性を高くする、防腐剤で内装のカビや腐食を防ぐ…重要だぞ?船の耐久性にもろに影響する要素だ。俺は仕事柄こういうのは扱いなれてるし、指導する分には問題ない。大量に持ち込めるしな
船全体となると流石に難しいかもしれないが、特に重要になる場所…輸送船のキモであろう倉庫区画や居住区には特に重点的にやるように提言しておこう。
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
ふむ、船ですか…
畑違いではありますが、考えてみましょう
現地の人に手伝って頂けるよう木造船をベースに
アイリッシュ海は比較的波は穏やかながら、干満の差も激しく浅瀬もある
大型船では操船技術が求められそうです
ならば小回りの効く双胴型高速輸送船は如何ですか
新宿島で設計図を引き
造波抵抗を最小限に、人や貨物の運搬容積を最大限とれる良いバランスを模索します
設計が確定したらアイテムポケットを使用
エンジンとスクリュープロペラを持ち込み
エンジン船なら、風向きに関わらず最短距離を走行できますし
帆船より出港準備に必要な人足も少なくてすむ
あとは設計図通りに作るだけ
ベルファスト造船の職人魂に期待しています
シル・ウィンディア
ん-、船の知識はそこまでないからなぁ…。でも、木造船だけど、大型輸送船にするなら、動力は必要だよね。人力でするわけにもいかないし…。
ふむ、帆船…。これなら技術的にも行けるかな?
図面を新宿島で引いてもらってから行くか。
となると、丈夫な布に丈夫なロープが必要か…。
アイテムポケットに、図面と丈夫な布とロープ、そして、帆を作るための道具を一杯詰め込んでいくよ。
木材は現地でもあるから、あとは、帆を作るだけだね。
これは一人とかでは無理だし、力仕事ってわけでもないから女の人でも行けるのかな?
丈夫な布が足りないなら…。
普通の布を多重に合わせて強度を強化するのがいいかな?
こんなプランはどうでしょ?
アンゼリカ・レンブラント
うまい具合にみんなとすり合わせできるならってことで
私は乗り込んでもらう花嫁達が
少しでも快適に過ごせるような空間を作れればかな
木造船の客室部分に
新宿島から【アイテムポケット】を
持ち込んだ壁紙で華やかにできるだろうか
現地の人に作ってもらう想定で、
木材で机や椅子なんて作れるといいよね
電化製品とはいかないだろうから飲み物を置くスペースとか
お話ができるスペースとか
防腐剤等を持ち込んでくれる仲間もいるから
協力して快適な空間つくりをしちゃおう!
一通り客室について出来たら他のところも手伝いに行くよ
現地の人に仕事を斡旋するのもいいけど、
やっぱり自分で汗を流さないとね
みんなで大きなものを作り上げるって気持ちいい!
コンスタンツ・トパロウル
船の大きさや動力も大事だけど、この船の目的は人々を輸送することだから……できれば、戦いを避けられるような工夫もあった方がいいかな?
例えば、灰色なんかの……なるべく目立たない色で甲板、船体を塗装するとか
帆船なら、カモフラージュ用のネットを用意して、停泊中はそれでマストを隠蔽してみるとか
岸に接岸できるなら、甲板もネットで覆えば……島の一部に見せかけることもできるかも
あとは、有事の脱出用に救命ボートを積んでおけば、想定外の事故が起こっても……生き残れるかもしれない
それに、浅瀬が多いところを進む必要がある場合は、水先案内の船も必要になるかもしれないしね
ついでに、ネットや救命胴衣やら新宿から持ってこよう
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
目指すは安全確実迅速な航海だな
アイテムポケットで新宿島から機材の持込
高性能の精密なコンパスと、修理の容易な羅針盤の2種
風向風速、気象、海流の変化の観測機材を持込し、船に搭載
当時の海図、潮流や航海記録も
余剰空間には、防水塗料の瓶や要の部品
理想は木造の船体の大型船
建造、塗装、修繕維持、持込品以外の整備は、働き口として募集
乗せるのは一般人だ
到着が速ければ食料や旅の負担も減るだろう
正確な方角を知り、風や天候、潮流を味方につけたい
空から目立たないように
甲板や船体を洋上迷彩塗装、帆も染められるといい
燃料や塗料は液体錬成に協力
難しい機械の扱いは操作会得し、他者が容易に解読できるマニュアル作成
エスト・リンフィールド
見知った花嫁さんを運ぶ船だし……確実にアイルランドに渡れる船にしたいね
機械のことはよくわからないけど、機械に詳しそうな人と協力して、【書物解読】を活かして、機械のマニュアルや専門書を読み込んで……使い方の基本をまとめてみるね
あと、定期的に乗り込むディアボロスについてだけど……天候予測や機械知識、統率に長けてる人や、【避難勧告】、【スーパーGPS】、【完全視界】、【活性治癒】、【修復加速】、【液体錬成】、【操作会得】、【口福の伝道者】、【ハウスキーパー】、【クリーニング】何かを使える人を、可能なら乗船させたいね
そうすれば、食料や水、燃料も節約できるし、有事にも対応しやすい
よ、欲張り過ぎかな!?
そう。正にその様は喧々囂々。白熱した会議であった。
日が昇り、月が翳り、そして、火が燃える朝。船着きギルドの用意した会議室――とは名ばかりの、ただの大部屋だった――に集まった復讐者達は、協議に協議を重ねていく。
それを見守っていた設計士は、後にこう、述懐する事となった。
「いやー。ディアボロスの皆さんの熱意が凄まじくて――」
良い仕事をさせて頂きました。
そう語る彼の表情もまた、負けず劣らずな熱意に溢れた物であった。
「さて、ともあれ、輸送船のコンセプトから決めたいわ。とは言え、対ドラゴン――クロノヴェーダとの戦いを想定すれば、彼奴らに打撃を与えられるのは私達ディアボロスだけ。火力は乗艦するディアボロス頼みとなる。そうなると、重視すべきは積載量、耐久力、そして速度かしら」
口火を切ったのは内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)であった。そもそも輸送船はイギリス、もとい、グレートブリテン島から竜の花嫁らを始めとした、亡命者を脱出させる為に作る物だ。ならば想定する仮想的は、それらを害する者、クロノヴェーダ達であった。
「賛成ね。船そのものはクロノ・オブジェクトと言う訳でも無いし、戦うのが私達なら、輸送船兼空母と言った処かしら?」
こちらはレオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)の進言であった。
二人の言葉に、概ね、皆は賛成の意を示す。
クロノヴェーダに対抗出来るのは、ディアボロス、そして、彼らの使用するパラドクスだ。船そのものはその余波だけでも大事になる。それが此処に集まった復讐者達の総意であった。
「となりますと、耐久性、と言う辺りは疑問ですね。先に集めた資材はほぼ木材。そもそも、この世界で作る以上、木造の船となることは明白でしょう」
「こっちの人々の力も借りるわけですしね。いや、アタシは造船知識も技術無いんで、アレなんですが」
「鉄製であっても、ドラゴンの炎に炙られたら不味いのは変わり無いと思う、かな」
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)の言葉に、注釈と共に頷くのは冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)、そして、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)であった。
そう。先も述べた通り、輸送船を襲撃する仮想敵は常識外の存在、クロノヴェーダなのだ。そんな奴らに襲われたら一溜まりも無い。流れ弾を警戒して、最低限の防御は考えるべきだが、それ以上はおそらく無意味。
故に、とソレイユは言葉を重ねる。
「求められるのは高速輸送船、でしょうか?」
「そうですね。新宿島の技術を用いれば、この時代にはない高速輸送船を作り上げられる筈です」
同意の言葉は相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)から。是と頷く彼に、更なる意見が重ねられた。
「スクリュー、ディーゼルエンジン、タービンエンジン。その辺りでも用意出来れば、快速船の生産は可能だろうな」
佐島・真己(暗闇の中の光・g01521)の言葉に、しかし。
「でも、スクリューは兎も角、流石にエンジンの類いは、こっちじゃ作れないと思う。新宿島から持ち込んで、こちらの資材で改良、大型化するにしても、出力はたかが知れている、かな?」
「鉄類の使用が限られているのが痛いな。プレス成形とか出来ない、ただの鋳造行為で何処まで作れるかは判らないが……これは試行錯誤するしか無い様だ」
シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)と飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)の言葉は、現実的だった。
確かに、ここ、幻想竜域キングアーサーは、五世紀の世界であり、この世界の建造物の主流は木材、そして皮革や布類であった。復讐者達がその気になれば、それなりの鉄鋼を集めることは出来るだろうが、しかし、その加工が容易になるわけでは無い。排斥力を除外できる分、やれることは普段より多いだろうが、それでも限度があった。
「となると目指すは帆船――クリッパー船だよね!」
身を乗り出したフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)がびしりと指を差しながら興奮した声を上げる。もしも会議テーブルに着いていたら、椅子を蹴倒し、テーブルそのものに足を掛けんばかりの勢いであった。幸い、会議室にはそのような調度品は無く、ただのだだっ広い空間であったため、被害は免れたのだが。
「ボクより未来の船はワクワクするよね! 良く判らないけどそのエンジン? 動力? 未来的なそれは補助動力源としてさ!」
「おや? フルルズンは同郷の人? それともエジプトとかそっち方面かな?」
嬉しそうな声は、コンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)が紡ぐ物であった。
クリッパー船。19世紀に活躍した大型帆船は、所謂多くの人が想定する『マストが沢山ある帆船』を指す語句である。蒸気船が席巻するまでは様々なクリッパー船が産まれては消えていったのは、確かにこの幻想竜域キングアーサーを基準にすれば、1300年以上未来の話であった。
「……う、頭が。残念ながら良く判らないのだ」
「そっか。いつか思い出せるといいね」
年下に語り掛けるような口調のコンスタンツに、しかし、その実、倍近い年齢のフルルズンは曖昧な微笑で誤魔化していた。
「そうですね。俺も帆船を推します。海上での襲撃を出来るだけ避け、輸送を手早く行う。俺達の持ち込める技術力と此処での人手を考えれば、それが折衷案じゃないかと思うのですが」
「そうだな。勿論、諸々やることはあるだろう。持ち込んだ機材をどれだけ使えるか判らないが、そのコンセプトで良いのでは無いか?」
大型エンジンでも持ち込めれば違ったのだろうが、とエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は嘆息する。だが、現状を鑑みれば、それもなかなか厳しい状況だ。何より、造船が盛んな地域を奪還出来ていない現状は痛かった。よって、新宿島の技術力と言えど、知識が主となるのは致し方ない。
(「機械化ドイツ帝国……もとい、ドイツの奪還は住んでいるが、完全復興ではない、と言うのもな」)
ともあれ、時先案内人が用意出来た準備期間を考えれば、ドイツの工業都市を巡ると言う訳にも行かず、さりとて、復讐者で無い技術者達を連れてくる訳にも行かなかったのも事実だ。
ならば、今、出来る限りの事をやろう。
エトヴァの言葉に、一同は鷹揚に頷く。
「み、みんなの力で、花嫁さん達を運べる、立派な船を作ろう!」
ぐっと拳を掲げたエスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)の言葉は、復讐者達の総意であり、望みでもあった。
斯くして、彼らの造船が始まったのだった。
「うーん。帆船である以上、甲板は平ら、と言うわけに行かないわよね」
「そうね。フラットにして全て積載スペースに……と思ったけども、運ぶのは主に人だしね。……なんで特定部位に注目する?」
「いえ、そもそも何処でしょうか?」
図面を引く設計士に対し、顔を突き併せるのはレオアリア、そしてはじめだった。確かに帆船になる以上、甲板上の凹凸は必須。とは言え、快速帆船を目指すのであれば、レオアリアの想定通り、居住区は空母に準じて艦内に置くのが望ましいだろう、と言うのが設計士の意見であった。
ちなみにフラットなのははじめであり、レオアリアは凹凸の主張が激しかった。何の話か良く判らなかったが。
「正直に言えば、出っ張りを無くせば早くなると言うのも良く判らないのですが、まあ、皆さんの言う通りやってみます」
空気力学の概念を持たない設計士は、素直に従うことを明言していた。ちなみにエンジンの説明に対しても似た様な物で、早々に自分の意見を放棄した様は、柔軟な思考、と言うべきなのだろう。
「スクリューは問題無く作れるよな?」
「ええ。こちらは木を削るだけなので問題無く」
真己の疑問にソレイユはこくりと頷く。
「あと、いざと言うときの救命艇と接舷用の小型船舶は必須と思います。こちらは真己の提案したエンジンを使わせて貰いましょう」
こちらは、通常の小舟型でも、安定した双胴型でも良い、とソレイユ談。エンジンを搭載できれば、素早い上船が可能となるだろう。
「あー。そうか。この時代、アレが無いのか」
「あれ?」
むむっと唸る冷桜に、エストが疑問の声を上げる。成る程、と頷く相真と、真己の言葉が重なった。
「桟橋だな。そうか。……作れるのか?」
「ベルファストにと言う意味なら大丈夫でしょうけど、俺達の目的地に都合良く歴史改竄で作られている……って事はないでしょうね」
輸送船単独であれば、必要に応じて砂浜に乗り上げ、と言う形を取らざる得ないだろう。
その為の接舷船である。
「いざとなったら【飛翔】や【浮遊】、【水面歩行】に頼れると思うけど」
「まあ、あるに越したことは無い、か」
エストの意見は正しく、しかし、【飛翔】の影響範囲はディアボロスのみ。【浮遊】や【水面歩行】は一般人にも影響するとは言え、限度がある。それ以上の人間を輸送船に乗り込ませる際、時間を有する結果となりかねないのだ。
「それに、海洋だとカモフラージュが陸地より楽になると思うんだけどどうかな?」
これは、コンスタンツの意見であった。カモフラージュ用のネットを掛ければ、遠目には岩礁や島、その一部に見えるだろう。接舷・停泊となれば、どうしても近付いた者の目を誤魔化すのは難しい。輸送船は沖合に残す運用の方が安全な気がしてきた。
「まあ、救命具とかも用意しておきたいよね。そんな事態、引き起こしたくも無いけど」
コンスタンツの言葉に、皆、一同で全くだ、と頷く。
「内装は可愛く、綺麗にしたい」
少女らしいアンゼリカの意見に、エトヴァは成る程、と頷く。
「竜の花嫁のみんなは色々苦労しているし、少しでも快適に過ごせる様な空間が作れれば、かな」
「そうだな。移動を早くすることで負担を減らせるだろうが、それだけだと味気ない。良い意見だと思う」
気遣いの素晴らしさに、思わず唸ってしまう。諸々の意見は一人では出せない物だ。皆で集まって様々な意見を形にしていく。その作業は少なからず彼の心を躍らせていた。
「と言うか、共同作業はいいんだけどさー!」
目の下に大きな隈を作り、現れたフルルズンが頬を膨らませていた。液体のゴーレムを伴っているところを見ると、先程まで【液体錬成】の作業に没頭していたらしい。
「なんで油とか樹脂とか、接着剤とか、増やす種類とか量が山積みなのに、【液体錬成】を持ってきたのはボクだけなのさー!」
現状、残留効果【液体錬成】はフルルズンの持ち込んだ1レベルのみである。8時間で10倍にまでしか増やせないため、時間が掛かって仕方ないよ、とはフルルズンのぼやきであった。
「まあ、お疲れ様。眠気覚ましにコーヒーでも入れようか。……それにしても、フルルズンさん。思ったのだけど」
マグカップを渡すエトヴァの言葉は、しかし、途中で遮られる。
彼女を探していたらしい一組の男女が、部屋に入ってきた為、続く言葉は有耶無耶になってしまったのだ。
「おーい。フルルズンさん。次は防腐剤も増やして欲しいんだけど」
「また増えたー!」
遊里の声に、表情を曇らせるフルルズン。作業の大切さが判るだけに、断れない環境は彼女を追い詰めていく。
「……いや、誰かと変わっても良いんだし、別にフルルズンさんがつきっきりになる必要もないんだけど……」
「あ」
シルのツッコミに、やはり、とエトヴァが渋い顔をする。先程彼が言いかけたのも、同じ内容だったのだろう
「い、いや。違うのだよ! 其処は理解しているのだ。ただ、ボクの手が離せないのは、【液体錬成】の制約の問題なのだよ!」
「と、言うと?」
アンゼリカが促すと、溜め息と共にフルルズンは自らが携えた液体ゴーレム――リキッド・ゴーレムを指し示す。水を湛え、常に波立つ動きを示すそれは、夏の暑さが残る室内でも、幾らかの涼しさを醸していた。
「暗所は兎も角冷所の制約が、なのだよ」
新宿島より緯度が高く、気候的に涼しいとは言えまだまだ9月。北半球には茹だる様な暑さが残っている。
「成る程。【冷気の支配者】か【アイスクラフト】でもあれば違ったかも知れないが……残留効果の持ち込みも要相談だな」
「あー。フルルズンさんの籠もった部屋から破壊音が聞こえるのも、それが理由か……」
フルルズンの嘆きに納得とエトヴァは頷き、シルが是と声を上げる。
「と言うと?」
「いくらリキッド・ゴーレムくんが部屋を冷やそうと、彼はボクのパラドクスだからね。攻撃用である事は否めない。維持するためには攻撃せざる得ないのだよ」
「なんだか……凄くメタだな」
引き攣った笑みを浮かべた遊里に、小さなロリッ子ゴーレムマスターは、全くだ、と深く頷く。
斯くして図面は引かれ、船の建設へと取りかかっていく。
機械部位は復讐者達に。それ以外は現地で雇った大工やその他の人手にと振り分けられ、工事は進んでいく。
「平行して帆も作っていこう。帆布そのものの知識あるから良いけれど……」
「ええ。任せて下さい。力仕事にあたらないのであれば、女性や子供の皆様にも依頼しましょう」
シルの提案に、是と返すのはソレイユだ。可能な限り工期を縮めたい今、人手はいくらあっても足りない。その人員確保は彼を始めとした復讐者達の尽力で成されていた。
「さーて。作るわよ!」
「一つ一つの積み重ねだ。頑張って行こう」
忙しく走り回るレオアリアと真己は、人々を先導し、船を形造って行く。
竜骨を造り、その周囲を補強していく。まるで生物の肉付けのような製作を前に、エストは目を細め、感嘆の吐息を零す。
「おーい。防腐剤はしっかり塗布してくれ。シール作業も忘れずにな。やるとやらないじゃ大違いだからな!」
「あいよ、大将!」
現地人と既に打ち解け合っているのだろう。遊里の言葉に、軽快な応答が返ってくる。
「さーて。昼はしっかり働いて、夜は宴会にしましょう。そして英気を養って、明日もまた頑張りましょう」
「うん。酒は元より、料理も期待していてくれ」
「さっすが姐さん兄さん、話が判るぅ!」
人々を動かすのに飴も鞭も重要だ。はじめが持ち込む大量の酒もエトヴァが【口福の伝道者】で増やす料理も、ベルファストの大工達にとって、多大な飴であった。
もっとも。
「その酒はボクが【液体錬成】で増やした奴なのだよ」
「流石フルルズン、頼りになるわ」
連日の作業に憔悴するフルルズンに、にこりと満面の笑みで返すはじめ。毎日、それなりに酒精に塗れた彼女は、それはもう、素敵な笑顔を浮かべていた。
「ええい! 酔って暴れなければそれでいいよ! コーティング材だろうが防腐剤だろうが、お酒だろうが、何だって増やして上げようじゃないか!」
自棄にも似た言葉に、ひゃっほーっと歓声が重なっていく。
次第に船は形を成し、作業は加速していく。
「ベルファスト造船の職人魂、と言う奴ですね。あっという間に船が出来上がっていきます」
「と言っても、無茶な工期での突貫作業じゃ無いわ。工期短縮を強要して質の悪い船を造っても、後で困るのはアタシ達だしね」
ソレイユの言葉に頷く冷桜。【活性治癒】である程度の疲労を抜いている物の、そこには限度がある。適度な休息と美味しい食事。そして、労働。メリハリは大事だ。
「ディーゼルエンジンを使えるなら、軽油を使って発電とか出来ないかな? 灯りとかあると便利だよね」
こちらは居住区の飾り付けを担うアンゼリカの問いだった。
「確かに各部屋にランプを置くのは、火災の危険がありますね。それで行きましょう」
その問いに、了解を示した相真は、仲間への要求事項として、項目を書き足していく。壁紙、机椅子にふかふかの寝具、そして、発電機と、項目が列挙していた。
幸い、発電機の持ち込みはある。そして、燃料はいくらでも調達できるのが、復讐者達の強みであった。ならば照明のみならず、冷暖房も用意出来るかも知れない。
「カモフラージュ用のネットもOK。救命艇も準備。……船が完成したら、持ち込まないとね」
一つ一つの完成を確認していたコンスタンツは、ようやく確認終わりと、一息吐く。それら一つ一つが欠けても正常な運用に支障を来す。だが、それは、それさえ乗り越えれば正常な運用が期待出来る小差でもあった。
「こうやってみんなで汗を流して色々作り上げていくの、楽しいよね!」
アンゼリカの言葉は喜色に富んでいて。
復讐者達は顔を見合わせ、ほっこりとした微笑を浮かべる。
斯くして、輸送船は形を成していく。
多量の丸太が砂浜に敷き詰められる様に、人々は期待で胸を躍らせていた。
「そうか。そろそろ進水式なのか」
誰かの言葉に、人々はうなずき合い、そして。
「祭りだ! 宴だ! 皆! 進水式は派手な祭りにするぞ!」
「応!」
そんな喜びが町に沸き起こり、それが町を満たす頃。
「輸送船が完成したぞ!」
「あんな大きな船、見たこと無いわ!」
「何でも色々秘密があるってよ。ディアボロスの凄い技術が詰まった船か。わくわくするな!」
「前祝いだ、こんちくしょう! 輸送船に幸あれ! ディアボロスに幸あれ! 我らがベルファストに幸あれ、だ!!」
吉報が町を駆け巡っていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【友達催眠】がLV4になった!
【操作会得】がLV4になった!
【液体錬成】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV4になった!
【建造物分解】がLV2になった!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【アクティベイト】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【先行率アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【命中アップ】がLV2になった!
佐島・真己
進水式ね
祭りだよな、こういうのは派手にやるのが一番だ
言わなくても仲間達ならそうするだろう
なら俺は最終のチェックをしようか
線内を見回って気になるところが無いかを探す
もちろん、何も無いことを確認するためだ
この作戦に関しては「何も無い」事が大事だと思うからな
大丈夫なことを確認する
安心と無事、竜の花嫁に選ばれた人達とその近くにいる人達は不安にさらされているだろうから
ここベルファストが安寧の地になるようにできることは全てしよう
産業を興すことも、治安をよくすることも
船体の最終チェックが終わったらそのまま進水式に出席
その後は街を散歩してから新宿島に帰る
「仮の住まいだろうけど住めば都になって欲しいからな」
全てが眠る丑三つ時。それはここ幻想竜域キングアーサーでも変わりは無かった。
否。新宿島より闇が深い分、それはなお濃く、なお静かであった。視界に灯りはなく、聞こえるのは潮騒の音のみ。
(「とうとう、明日は進水式か」)
最後の確認に、と輸送船に上がった佐島・真己(暗闇の中の光・g01521)は、万感の思いを込めて溜め息を吐く。
遂にこの時を迎えた。明日、この船は海に浮かび、船としての役目を始めることになる。
「おや? 真己様。まだ起きていたのですか?」
声を掛けられ、ふと見上げれば、其処に立っていたのは設計士兼技士の青年であった。思えば、この船を型造る為、彼にも色々骨を折って貰った。だが、その事を指摘すると彼は。
「いえいえ。勉強になりました。……とは言え、正直に申して、皆様の言っていることの半分以上は理解していませんけど」
浅学で申し訳ないと、微苦笑する。
「新宿島の技術だからな。仕方ないと割り切ってくれ」
「いやはや。皆様の故郷は凄いですね。私もいつか、行ってみたい物です」
だが、復讐者ならぬ彼にそれが出来ない事を、真己は知っている。だからこそ、肯定も否定もしない。ただ、曖昧に笑うのみであった。
「我等が船着きギルドの総力と、ディアボロスの皆さんの知恵を集結させたこの船です。きっと、獅子奮迅の活躍をしてくれることでしょう」
「そうだな」
まるで我が事のように胸を張る青年に、同意する真己。彼らと復讐者達が総力を結集したのは船だけではない。このベルファストと言う町の復興も、治安の向上も、産業の振興も、全てはこの場所が安寧の場所とする為だ。
「さて。問題無さそうだな。ここまでお疲れさんだ」
通路。船室。操縦席。船底倉庫。補助エンジンにマスト達。虱潰しに一つ一つ見回り、大きな問題が無いことを確認する。見回りも自警団の仕事だったが、彼らも上手く働いてくれているようだ。
「真己様はこの後、どうされますか?」
気がつけば空は白み始めていた。夜明けだ。日の昇りはまるで、自分達の事にも思えて、少しだけ心が逸ってしまう。
「そうだな。進水式に出て、それから帰るかな」
住めばの都となって欲しい。そう願った町を散策する事以上の贅沢はない。そう笑う彼に、青年は微笑を向ける。
「判りました。それでは、お気を付けて」
復讐者達の戦いがまだ続くことを、青年は知ってか知らずか。ただ、労いの言葉だけが紡がれていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
フルルズン・イスルーン
光がボクを包む。月だか太陽だかわからないけど眩しいのだ……。
色々デザインも色々と内装アートしたかったけど、ボクより技術的に上のエトヴァ居たし良かろうなのだ。
ところで船の名前決めた?
ということで、これより名前決めイベントを執り行う!
必要なきゃお歌で宴を盛り上げてしんぜよう(音痴)
はーい名前募集するよー。かっこいいのやカワイイの、伝統的にコレっていうのも何でも良いぞー。
これからの前途を占うものだ。奮って参加したまへ。
ボク? 生憎そういうセンスは無いのだ! ということで辞退するのだ。
代わりに【セルフクラフト】で出した素材にアートで刻んで、名前を石碑にして残そうね。
大々的に発表して盛り上げよう!
冰室・冷桜
ほへー、やっぱなんだかんだで完成すっと感慨深いですわねー
や、アタシは実務的なことはほぼしてないんだが
船の進水式を見学モードで眺めて回りつつーっと
町の様子も見て回っていきますかね
万が一ではあっけど、なーんか進水式が気に入らないって―人も居るかもですし? 見回りも兼ねて―ってことで
100人居れば全員が同じ考えにーなんてのは現代基準でもありえねーわけですし。実力行使にでるほどの人は、ま、いないだろうけどさ。用心用心
ついでにお祭りで食べ物とか売ってればそれも買い食いして経済活動に貢献ーっと
一蝶・信志
お祭りとなったらワタシの本領発揮よ🌟
お酒の提供だったら任せてちょうだい
人手や道具、現地調達できるものはお借りしましょ
異世界(?)出店は初めての体験だから、
何がどこまでできるのかは手探りしながらになるわね
ピルスナーにシュヴァルツ、贅沢品のワイン
まだ発明もされていないラムやジン、
色と香りの豊かな各種リキュールに炭酸水
…排斥力さん、お祭りだったらセーフかしら?
運び込める量と液体錬成できる量を計算して
必要な時間と場所を確保できるように用意するわ
珍しい色も楽しんでもらうために
プラスチックのカップで提供したいところね
ゴミ箱の設置も手を抜けないわ
出たゴミはきちんと新宿島に持ち帰らないといけないもの
アンゼリカ・レンブラント
船の名前ってそういえば決められるのかな
みんなの素敵な名前があれば其方に賛成するけど
チェインエクスプローラー、なんてのはどうかな
新天地へと渡る竜の花嫁の家族へ未来を拓いていただきたい
冒険者の意味を込めて。
そして、排斥力が記憶を消したとしても
私達との絆は繋がっているはずという鎖の意味も込めて。
ともあれ、進水式は派手に楽しもうーっ!
街でやっているお祭りにも元気よく飛び込むよ
私、食べるの大好きなんだっ!それもちょうだいっ
この時代灯は限られているかもしれないから、
問題ない範囲で【照明】を使用し照らしていこう
折角の楽しい時間だもの、夜が来たらおしまい
なんて寂しいよね
今日は夜通し、めいっぱい楽しんでいこう♪
シル・ウィンディア
進水式かぁ。大きなお祭りだよね。それじゃ、わたしも張り切っちゃおうっ♪
マジカル・アリア・デバイスを装着して、青が基調のふりふりのアイドル服を着ていくよ。
広場を見つけたら、そちらに行って、真ん中で挨拶っ!
みんな、こんにちわーっ!お祭り楽しんでる?
一曲歌うので、聞いてくれると嬉しいなっ!
足でリズムを取って、歌い出していくよ。
歌うは、希望の朝を迎えるような、明るい感じの歌を…。
歌と同時に、ダンスも併せて行っていくよ。
「新しい朝を迎えよう、新しい希望の翼でっ!」
最後の締めにはこのフレーズを大声で楽しそうに歌うよ
ええと、船のお名前?
希望の翼…。船だけど、新天地に向ってという願いも込めてだね。
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
いよいよ進水式ですね
新宿島から持ち込んだ色とりどりのリボンで船と港を繋いで、セレモニーを行いましょう
舳先に付けたリボンを切るのは、船大工の棟梁にお願いしたく
ディアボロスとベルファストの人たちの協力無くして、この船は存在しなかったと思えば感動もひとしお
無事に船が進水したら、花吹雪を散らしてお祝いしましょう
式典には盛大な音楽も必要ですよね
宙に展開した鍵盤で、楽しい行進曲を演奏して場を盛り上げます
船の名前は…
この船が、アイルランドとキングアーサーを繋ぐ希望の架け橋となりますようにという願いを込めて
虹の架け橋号だと、安直でしょうか
華やかなお祭りも楽しみ
あとは花嫁達を迎えにいくだけですね
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
見事だな
船の進水式を眺め拍手
竜の花嫁達に希望を運び
ベルファストの人々に新たな風をもたらす
船名は…
『グィー・ドーハイシュ』
ゲール語で希望の風はどうだろう
帆船に風は必要だろう?
塗料を持って飛翔し船体に決まった名をペイントしたい
以前、この街に描いた壁画を思い出すよ
フィドルじゃないけど、チェロで陽気なアイルランドの伝統音楽を奏で、式を華やかに盛り上げる
そのまま祭りになだれ込んで、舞曲の音楽家をやろう
アイルランド民謡なら幾つも知ってる
現地の演奏家達とも共演できるかな
大いに歌い、踊り、騒ごう
俺も踊るし酒は飲む
夜には
アイテムポケットで持込んだ花火を操作会得で上げよう
皆の記憶に楽しさ残る一日を
コンスタンツ・トパロウル
祭なら、まずは食べ物がないと始まらない
料理を活かして、フィッシュアンドチップスでも作りまくろうか
新宿で食べたけど、これにビネガーを掛けたら絶品なんだよね
ジャガイモは、この時代はまだイングランドにはないから……新宿から持ってきとこう
これなら、飲み物片手に気楽に食べられるし、大人も子供も大好きだろ?
衣に少し麦酒を入れるのが隠し味さ
ほら、順番に並んで……って、誰だ?
揚げたてのをトレイからつまみ食いしてるのは
まだ材料はあるから、大人しく順番待ってな
こりゃー……ドラゴン狩りより忙しいや
船の名前ね
母港に無事に戻ってこれるよう、母港のベルファストの名をいただくのはどうだい
軍艦でも都市名を冠したりするそうだし
相原・相真
アドリブ・連携歓迎
無事完成、ですか
まさか船を造るなんてことまで出来るなんて、
本当に協力してくれた皆さんに感謝ですね
進水式の前後に協力してくれた皆さん(顔役さんたちなど)に向けての船内ツアーなどしてみましょう
協力してくれた皆さんのためのお披露目として、
というのは建前で、俺が改めて見て回りたいのもあるんですけどね
…船造り、終わってみれば楽しかったな
船の名前…、レイ・オブ・ホープ号はどうです?
この船が誰かの希望の光になればいいなって思って
誰の名前が選ばれるのか、楽しみです
花火上げるなら俺も手伝いたいですね
竜の襲撃だ、なんて思われないように宣伝したうえで準備
これもみんなに楽しんでもらえたらいいですね
エスト・リンフィールド
遂に船が……これも、街の人達のお陰だね
ベルファストの街の協力がなければ、きっと……この船は、船出できなかった
進水式に間に合うように、残ってた板に協力してくれた街の人達の名前を書いていこう
一枚で足りないなら二枚
それで足りないなら……もっとだ
その板を全部繋げたら、きっと、凄いことになる
これだけの人が、協力した
その結果が、今日……形になった
花嫁とその家族達だけじゃない
ベルファストの街の人々の思いも、この船には乗ってるんだ
さあ、【勝利の凱歌】を乗せて、船と街の門出を祝おう
竜から解放された花嫁達と、ベルファストの街に祝福あれ
嵐乗り越え、いざ往かん
戻ってくるぞ、我が母港
……って、気づかない内に歌ってた!?
飛鳥・遊里
さあ、進水式だな。出来るだけ派手にやりたいところだが…俺はモノづくりならではのサプライズでも施してみるか
これだけの人たちが関わって、希望と熱意を込めて、出来上がったのがこの船だ。この船だって立派なこの街の子供ってわけだ。ならさ。コイツもお祭りに参加しなきゃ嘘ってもんだろう?
てなわけで、【操作会得】……さあ、皆に見せてやれよ?新しく生まれたお前さんの想いってやつをさ。どういう形になるかは俺達にはわからないけどな
…いつまでもお前さんって言うのもアレだし名前も決めないとな。俺の一存じゃ決められないけど、船の片隅に刻む分には問題ないだろ。この街の希望の鐘…【Bell of hope】…愛称はベルっと
内方・はじめ
できたー!
さー、酒だ酒だー!
昨日も飲んでた?
あれよ……前祝いって奴ね
その前も飲んでた?
予行演習って奴よ
来たときも飲んでた?
顔合わせの歓迎会って奴に決まってるじゃないの
まあ、人生の潤滑油ね
さて、新宿から持ってきてたウィスキーの21年もの
こいつをこっそり、【液体錬成】で作業の合間に増やしてたの
こいつを……今日はみんなで飲み干すぞー!!
そういえばおにーさん
船作りに気合い入ってらねー
もしかしたら、感謝した竜の花嫁さんが、
『竜なんかじゃなくて、あんたの花嫁になりたい』
とか言って、惚れてまうかもよー!
とか飲んだくれムーヴ
船の名前?
アルカディアとかどう?
酒池肉林の理想郷だぜわーい
明日のことなんて考えないぜ
レオアリア・フォルシオン
さて、ベルファストの復興と進水式よ!
パラドクスで料理を取り出し、住人に振る舞っていくわ
コーラにチョコレートに…
最終人類史でしか食べられないような食べ物も振る舞うわね!
口福の伝道者で増やしていき、住民全体に行き届ける
ベルファストを中心として円卓の騎士との決戦が見えてくる中、少女は宴を楽しむ
この幸いが円卓の騎士を穿つならば…と、願いながら
そして船の名前ね
この世界の希望となると…
グレイスブリンガー、というのはどうかしら?
ドラゴンの不条理に抗うあらゆる者…
その願い、祈りを運びもたらす者の意よ
どんな者であってもドラゴンに対して共に戦うなら同志
その意味を込めて、ね?
「おはよう!」
日の出と共に迎えた式典の開口一番。フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)の元気な声が響き渡る。
「光がボクを包む。月だか太陽だかわからないけど眩しいのだ……」
「いや、太陽だ」
冷静な突っ込みはエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)から。言動から推測するに、おそらくまた完徹したのだろうと、微苦笑を浮かべてしまう。
「いよいよ進水式ですね」
「無事、完成となりました。まさか改竄世界史の中で船を造ることが出来るなんて……。本当に協力してくれた皆さんに感謝ですね」
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)と相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)の言葉は感嘆に染まっていた。
その感慨は二人も一緒だ。揃って視線を送れば、その先に映るのは、豪華客船斯くやと言わんばかりの巨大な帆船だ。上から迷彩塗装を施した船は、しかし、砂浜の上では艶やかな存在感を放っている。艶めかしい程美しい流線型は、船が速度に特化している証しでもあった。
「遂に完成したんだね」
これも、街の人達のお陰。ベルファストの街の協力がなければ、きっと、この船は、出来上がらなかった。
エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)が感慨深く呟く台詞に、一同は是と頷く。
確かに復讐者達は技術を齎した。だが、この大型船を造り上げるに於いて、何よりも必要だったのは人力――ベルファストの人々の力だ。復讐者達と一般人。皆が力を合わせ、今日、完成に至ったのだ。
「あ、そうそう。ところで船の名前、決めた?」
「ああ」
「ええ」
「任せて下さい」
フルルズンの言葉に、帰ってきたのはエトヴァ、ソレイユ、相真の頷き。
そして。
「グィー・ドーハイシュ。ゲール語で『希望の風』と言う。これでどうだろう?」
「アイルランドとキングアーサーを繋ぐ希望の架け橋となりますようにという願いを込めて、虹の架け橋号、と言うのは安直でしょうか?」
「レイ・オブ・ホープ号はどうです? この船が誰かの希望の光になればいいなって思って」
三者三様の意見に、たははと微苦笑を浮かべるフルルズン。それぞれの名前の意味を理解し、しかし、悲しいかな、与えられる名前とは基本、一つだ。流石に三つも付ける訳に行かない。
「よし。一先ず保留にしよう。みんなの意見も聞かないとね」
「そうだね。私達だけで決められないしね」
その宣言にエストが首肯し、エトヴァ達も微苦笑で応じた。
「お祭りとなったらワタシの本領発揮よ!」
威勢の良い台詞は、一蝶・信志(シンディ・g04443)が紡いだ物だった。斯くして、取り出したるはピルスナーにシュヴァルツと言った麦酒の類い、そして、並々に満たされた葡萄酒の瓶が豪華絢爛にテーブルを彩り始める。
「それと、この時代だとまだ発明されていない蒸留酒、ラムやジンもあるし、色と香りの豊かな各種リキュール、それと、割る様の炭酸水ね。……排斥力さん、お祭りだったらセーフかしら?」
「私達がいる限り、大丈夫よ」
信志の並べる酒瓶の中、ウィスキーを追加していく内方・はじめ(望郷の反逆者・g00276)の台詞であった。なお、既にその表情は上気していて何処か色っぽい。その実、既に出来上がった酔っ払いであった。
「あれ? 貴方、確か昨日も飲んで……?」
「前祝いよ」
「でも、その前も……」
「予行練習って奴よ」
律儀な信志のツッコミに、ぴしゃりと返すはじめであった。ちなみに、ベルファスト到着直後も、酒場に向かい飲んでいた。併せて言うなら着工直後も歓迎会と称し、痛飲していた筈だ。アルコール万歳、であった。
「まあ、いいわ。綺麗どころが飲んでいれば、みんなも気楽に遊びに来られるでしょう。さあ、飲んで飲んで」
促す信志と満面の笑みを浮かべるはじめに、しかし、鋭い声が掛けられる。
「飲むだけじゃ駄目よ。おつまみも食べないと、身体に悪いわ!」
「料理とソフトドリンクも振る舞っていきましょう」
コンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)とレオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)であった。
コンスタンツは多量の伝統料理、チップアンドフィッシュを。レオアリアは【口福の伝道者】で増やしたチョコレートなどの菓子類と、【液体錬成】で増やした炭酸ジュースを振る舞っている。新宿島では慣れ親しんだ、しかし、ベルファストの住人にとっては未知の食材に、しかし、彼らは躊躇いも無く口を付け、陽気に食している。造船を通して得た絆は、何事にも代えがたい物であった。
「そう言えば、ジャガイモ、栽培していたんだっけ?」
コンスタンツの問いに、是と頷くレオアリア。此度の食材は新宿島からの持参だが、何れ、この大地に芽吹いた芋類は、こうやって人々の腹を満たし、笑顔を導く事が出来るだろう。
「いえーい。今日はみんなで飲み干すぞー! 花嫁を救出に行くぞー。感謝した花嫁さんから惚れられてしまうかもしれないわね。きゃー。この、幸せ者ー!」
絡み酒に勤しむはじめが、一番幸せそうでもあった。
やれやれと酔っ払いを善良な市民から引き剥がし、信志は微苦笑を浮かべる。
「……そうね、この幸いが、円卓の騎士を穿つなら。そう少女は願うのでした」
「いや、良い風に纏めようとしていない?」
レオアリアの独白に、コンスタンツの鋭いツッコミが冴え渡っていた。
(「ほへー、やっぱなんだかんだで完成すっと感慨深いですわねー」)
輸送船を眺め、ベルファストの町を巡り、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)の内心は心躍る物であった。
道行く人々は誰もが笑顔を浮かべ、陽気に歌に、踊りに、食べ物に、お酒にと祭りを楽しんでいる。そこに悪しき考えの者がいないとも限らなかったが、まあ、幸い、今はその様子も無かった。
(「杞憂でしたかねぇ……」)
だが、用心に越したことはない。何事も無ければ何事も無いで終わればよい。冷桜の想いもそれはそれで正しいものであった。
「それに、経済活動に貢献ーっと言う奴よね」
要するに立ち食い、歩き食いである。一見、行儀悪い行為にも見えるが、此度は許して欲しい。なんて言ったって祭りなのだ。
賑やかな市場通りを抜け、広場へと向かう。彼方此方で出来ている輪は、歌に踊りに酔いしれる人々の集まりであった。
「おや?」
「あれ?」
5世紀に似つかわしくないポテトアンドフィッシュとフレッシュジュースに舌鼓を打っていた冷桜は、同じく食事に舌鼓打つアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)に遭遇する。彼女が広げるそれは、フランクフルト、焼きそば、綿菓子に焼き菓子。所謂屋台飯と呼ばれるそれらは、復讐者達の教育の賜物だろう。排斥力の突破と言うか、歴史改竄が過ぎると言うか、まあ、うん。楽しければいいか、と考え直す。そもそも改竄された世界だ。更に改竄したところで今更感が強過ぎた。
「美味しそうですね」
「うん! すっごく美味しい!」
食事を広げているのは彼女だけではない。その周囲には簡易椅子とテーブルが設置され、繰り広げられる祭りの光景を肴に、人々が昼餉を、或いは酒宴を広げていた。なんだか進水式と言うよりも、ただのお祭りの様相を示していた。
「みんな、こんにちわーっ! お祭り楽しんでる? 一曲歌うので、聞いてくれると嬉しいなっ!」
その肴の一員として、歌に踊りを披露するのはシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)であった。青が基調のフリフリドレスに身を包んだ彼女は、広場の中心をステージ代わりとして、可憐なステップを踏んでいる。歌と踊り、その双方に人々は足を止め、彼女の動きに見入っていた。
「つまり、あれね。平和ってことよね」
「まだまだ終わらないよ。今日一日、名一杯楽しんじゃおう!」
冷桜の呟きに、アンゼリカの笑顔が重なった。
そして、進水式は、その時を迎える。
メインセレモニー、即ち、進水の儀であった。
「さて。お前さん。出航……とまでは行かないけど、試運転といくか」
操縦席に立つ飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)は、静かに己のパラドクスを起動する。プラズマキューブは上空に投げ出し、彼が紡ぐべきは、無数の残留思念――残留効果、【操作会得】であった。
同時に、がこりと船体が動く。船大工衆、そして、仲間達が船を海へと押しやっているのだろう。年が下ればトロッコなどが代用しているそれも、今は人力。丸太による車輪的な補助があるとは言え、一大作業だ。なかなかに大変だな、と思う。
(「まあ、俺達には【怪力無双】もあるしな」)
船大工衆が顔を真っ赤にしている中、復讐者達――男性のみならず、小柄な少女までも――が涼しげな顔をしながら輸送船を押している場面を想像し、思わず口元を緩めてしまう。まあ、それは兎も角。
「行こうか。ベル。皆に見せてやれよ? 新しく生まれたお前さんの想いってやつをさ」
それがどんな形に実を結ぶか、遊里は知らない。ただ、さらりと自身用の愛称を呟いた彼は、まるで頭を撫でる様、舵輪の上で掌を動かすのであった。
式典は恙無く進行していく。
ソレイユの用意したリボンは船大工衆の棟梁によって切られ、船はゆるりと港を離れ、周遊する。復讐者と人々。甲板に乗りその短い船旅を楽しむ人々は、一同に喜びの表情を浮かべていた。
(「皆さんの協力があったからこそ、この船は出来上がった」)
先のエストの言葉を想起すれば、感動もひとしおだ。
ならば、自身もまた、彼の船出を祝う他なかった。
「高らかに謳え、その歌を」
指揮棒を掲げ、幻想を喚び覚ます。召喚された楽器達は幻想を奏で、そして、人々はソレイユの奏でる音楽に耳を傾け、酔いしれていく。
「さあさあ、こっちですよ」
その音楽の中、案内役と称した相真が人々を導き、船の中を歩き回っている。その瞳が好奇で輝いているのは、誰よりもその視察を楽しんでいるからに違いなかった。
「嵐乗り越え、いざ往かん。戻ってくるぞ、我が母港、いざ行かん♪」
ソレイユの曲に併せ、聞こえてくる歌声はエストが奏でる物。甲板に何かを並べながら紡ぐ彼女のそれは、おそらく、無意識の内だったのだろう。
視線が合ったソレイユが微笑み掛けると、頬を真っ赤に染め、口を押さえる仕草が、その証拠であった。
「何をされていたのです?」
音楽は幻想に任せ、問うソレイユに、エストが指差したのは先程まで並べていた板――人々の名前が刻まれた板であった。
その名前に見覚えがある。自分の名前もあれば彼女の名前も、そして仲間達の名前もある。それだけではない。設計士の彼、船着きギルドの長や船大工の棟梁、若手達……その全ての名前が無数の板に刻まれていたのだ。
「みんなで造ったから、みんなの名前を……」
「ああ、いいですね」
これだけの人が協力し、形を作った。それが目に見える形で認識出来、ほっこりとした笑顔を浮かべてしまう。
「ここに、色々な人の名前を足していこう。これから乗る花嫁さんとか、その家族とか」
「ええ。やっていきましょう。花嫁達を迎えにいきましょうね」
誓いは潮風の中、やがて輸送船に広がるように溶けて行く。
そして、陽は落ち、辺りは夜に染まっていく。月が昇り、星が瞬き、しかし、宴は終わらない。
「……まあ、流石に船は動かせないけどな」
何があったら事だし、と地上に降り立った遊里は微苦笑する。暗い海の上で、転落事故とか在れば目も当てられない。今集まった仲間達が居れば、それを防げる筈だが、余計な気を回す必要は無いはずだ。
「でも、夜が来たらお終い、なんて寂しいよね。今日は夜通し、めいっぱい楽しんでいこう♪」
これは【照明】を駆使し、夜闇を払うアンゼリカの台詞だった。彼女のお陰か、人々の宴は未だ終わっていない。終わらせないという気概が、其処に見え隠れし、思わず苦笑してしまう。
「わぁ……」
「ほら、見て。綺麗」
そこに、更なる灯りが広がっていく。
それは、エトヴァと相真が持ち込んだ花火の光だった。暗い海の上、大輪が夜空に咲き、そして儚く散っていく。音と光の祭典は何処か綺麗で、そして何処か儚く、復讐者の心を、人々の心へと突き刺さっていく。
「ま、これが終わりじゃ無いわよ」
むしろ始まりなのだ。コンスタンツの言葉に、一同は頷く。
「竜の花嫁を、その家族を亡命させて、明日に繋ぐ。そして、幻想竜域キングアーサーを攻略する。まだまだ、やることは沢山あるわ」
「そうよねぇ。私達の船旅はまだまだ終わらない。始まったばかりよ」
「上手いこと言うわね」
「ま、やるだけやりましょう、っと」
レオアリアの言葉に信志の微笑と、はじめと冷桜の笑みが重なる。そう。これからが、目の前に佇む輸送船の活躍の場となるのだ。
「新しい朝を迎えよう、新しい希望の翼でっ!」
びしりと、船を指さし、シルが宣言する。
何処までも翼を広げ、何処までも羽ばたいていけ。
その願いを込め、彼女は更なる歌を夜の海、そして輸送船へと、捧げ上げるのだった。
「ところで」
そして再度、少女は問う。フルルズンの目の前に佇む石碑は、そこに刻む名をただ、待ち続けていた。
そう。これは造船の最後の儀式だ。そして、航海の最初の一歩であった。
「名前は決まったかな?」
「ええ」
こほりと空咳の後、声が響く。
其処に刻む名は、彼、或いは彼女のこれからの役割を強く願った物。
その名は――。
「グレイスブリンガー、よ」
ドラゴンの不条理に抗い、その願い、祈りを運びもたらす者の意。
彼もまた、ドラゴンと戦う者であるならば、復讐者の一員。同志だ。
石碑に刻まれた名は、照明の明かりを受け、煌々と輝いていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【セルフクラフト】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
【アイスクラフト】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【勝利の凱歌】がLV4になった!
【液体錬成】がLV2になった!
【口福の伝道者】がLV5になった!
【操作会得】がLV6になった!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV7になった!
【ダブル】がLV3になった!
【命中アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV4になった!
【凌駕率アップ】がLV3(最大)になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【先行率アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV7になった!