火計の一角、駒を抜く(作者 ねこあじ)
#大戦乱群蟲三国志
#赤壁、呉水軍強襲作戦
#呉
#赤壁
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まるで監獄のような多層の船体。
その頂上には呉軍の旗が悠々と風にたなびいている。
大陸が誇る雄大な長江は今の時期、満水であり船が征くには最適ともいえるだろう。
一見長閑なこの場所で、出航準備を整えているひとつの楼船があった。
「止まるな! さっさと乗り込むんだ」
といった檄が飛び交い、縄で数珠つなぎにされた力なき人々を追い立てる。
この戦乱にて細々と暮らしていた人々は疲労も増しているのだろう、力なくうなだれていた。
「魏の大軍と戦える戦力は、今の呉には残っていない。この作戦を成功させねば、呉は滅びてしまうのだ」
みすぼらしい長蛇の列と、荷役の仕事振りを眺めながら呟くのは白蛾のような蟲将・周泰であった。
「準備が整い次第、出航せよ」
積み荷の可燃物たちが乗り込み、運び込まれていくのを眺めながら周泰は言った。
「魏の軍勢の姿はまだ見えぬが、船の準備が間に合うか……時間との勝負だな」
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「皆さん、お疲れさまです。魏軍の攻略も順調に進められているわね」
集まったディアボロスたちに、イリス・マーフィー(人間のリアライズペインター・g03321)が声を掛けていく。
許昌突入作戦は大戦果を挙げることが出来た。許昌では、この機に乗じた多数のジェネラル級の撃破もされている。
この戦いと同時に、攻略旅団の方針により、呉への侵攻作戦も開始されたことは周知のことだろう。
「魏呉蜀の三国の中では、呉が最も戦力が低いみたいだから、ディヴィジョンの勢力を削ぐといった意味でも、呉を攻めるのは妥当なところよね」
イリスは現在の情勢を話し始めた。
呉軍は現在、襲い来る魏の大軍を迎え撃つべく、赤壁に水軍を集めているようだが、普通に戦えば勝ち目は無いと思われる。
「それが分かっているのか、呉軍は火計を練っているみたい。赤壁に集めた船に油を詰め込んで、魏の軍勢が来たら自軍諸共火計で焼き尽くす――なんて作戦を用意しているみたい」
……さらに狂気的なことといえばね、と言葉を続ける。
「船には呉の国内から集められた一万人以上の民衆を押し込めているようなの。魏軍が動員してくる一般人と共に焼き殺して、戦死者を増やそうとしているみたいだわ」
これには理由がある。
多くの戦死者が出れば、そこから新たな蟲将が生まれるため、呉軍は勢力を盛り返せると考えているのだろう。
「追い詰められた軍故の恐ろしい作戦よね。でも、魏の軍勢が大軍で押し寄せないと実行できない作戦でもあるのよ。大軍で侵攻してくると思いこんでいるからこそ、私たちが突いていけるというわけ」
魏軍が大軍で侵攻してくると思い込んでいる呉の水軍に、ディアボロスたちが少数精鋭で水中から潜入するのだ。
「火計の一角を崩しちゃいましょう! 囚われた人たちの脱出準備を行って、船の指揮官であるアヴァタール級クロノヴェーダと護衛たちを撃破する――それが私たちディアボロス側の作戦ね!」
「呉の水軍は絶賛警戒中だけど、彼らの警戒は大軍であることが大部分を占めているから、水中は結構見過ごされているの。皆さんには長江の北側から河に入って、水中から目的とする楼船へと向かってくれるかしら?」
この時期、満水となっている長江は深い。十分に潜水すれば難なく近付くことができるだろう。
「クロノヴェーダは上層部分にいて、船底には一般人が閉じ込められているわ。押し込みの様子からして千人はいるみたい」
まさにすし詰め状態。奴隷船のような状態となっているに違いない。
「楼船への潜入は、船自体はクロノ・オブジェクトではないから、船の壁面に穴を開けたりして内部に潜入できると思うの。もっともやりすぎると船は沈んじゃうから、穴を開ける場所や方法は選ばなくちゃだけど。クロノヴェーダに見つからずに、囚われた人々の所に向かってね」
囚われた人々の脱出の準備としては、例えば、彼らがいる下層には多くの櫂がある。クロノヴェーダを撃破すれば、後々漕ぎ手が出来る者が出てくることだろう――その指揮系統を立てる指示。
例えば、自軍諸共の火計が狙いなので、楼船には小舟が備わっていない。脱出して泳がせるにしても与える浮輪などの準備がいることだろう。
「他にも様々な脱出準備が考えられると思うの。皆さんの最良と思える案を出して頂戴」
準備を整えたら、もしくは同時に手を分けて行うこととなる、上層にいる護衛の呉軍鋭蜂兵やアヴァタール級の管亥との戦闘。
「この時点で敵が下層の状況に気付いていなかったら、初手は不意を打つことも見込めるわね」
敵にとって今回の作戦はある意味要ともいえる。ディアボロスを排除すべく、果敢に向かってくることだろう。
説明はこんなところだろうか――そんな表情になったイリスが皆を見回す。
「国の民を焼き殺してしまうだなんて、決して許されるべきではないと思うの。途絶された未来への絶望――それを私たちディアボロスはよく知っている。囚われた人たちへ生きられる未来を、皆さんが示してあげてね」
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きっちりと重ねられた板間。厚そうな壁が光を通すことはない。
囚われて以降、何も与えられない飲まず食わずの状態――そんな人々がこの船底にはたくさんいた。
泣きつかれた子供がしゃくりあげる声、座る力もなくなって横になっている老人、老人が踏まれないように守るようにして壁になっているのは家族だろうか?
「くそ、こんなにも人がいちゃあ、見動きすらままならねェ」
「出口はどこだ? それっぽいものの近くに誰かいないか?」
体力ある青年たちが抗おうとしているのだろう、掛ける声が時折響き渡っていた。
五月蠅いと言ってくる兵も訪れない。
塵芥同等と、まるで捨て場のような船底は、見放されているも同然の場所だった。
リプレイ
有栖川宮・永遠
妹の永久(g01120)と参加
家族同然の知り合いから作戦の詳細は聞いていましたが、酷いものですね・・状況の正確な把握もせずに罪無き人々を犠牲にして勝ちを得ようとすると
は・・どうにかして救わないと。
水中メガネとケミカルライトを用意。式神の蛟を呼び出して【水中適応】で水中で行動できるように。永久の【完全視界】の効果も活用し、敵地の真ん中という事で警戒して慎重に進みます。永久が前を警戒してくれますので私は後ろを警戒し、二人で上を見上げるようにします。
永久と声を掛け合いながら進み、入り口を見つけたら穴を開けて中へ。
船の中に入ったら、助けに来ました、大丈夫ですから落ち着いてくださいね、と声を掛けます。
有栖川宮・永久
姉の永遠(f00976)と参加
家族から話は聞いていたけど、酷い作戦だよね。間違った状況の理解のままで何も悪い事してない人達を纏めて焼き殺すなんてね。うん、絶対阻止だね
、お姉ちゃん。
水中メガネとケミカルライトを用意し、お姉ちゃんの式神の蛟の力も借りつつ、前に出て、【完全視界】を使用。前を警戒しつつ、慎重に進んでいく。お姉ちゃんと声を掛け合い、連携して上を見上げる。
船に辿り着いたら私が穴を空けて船の中に侵入。
船の中の皆さんには助けに来たから安心して、必ずここから出れるようにしてあげる、と静かな声で保証を。
戦乱の最中でなければ長閑な景色と言えただろう。
だが遠く見える楼船、訪れる大戦乱群蟲三国志は絶えず戦乱の中に在る。
呉軍がとる作戦内容を聞いた有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)は眉を寄せた。
家族同然である知り合いから、呉水軍の狂気の沙汰具合は聞いていたが――、
「酷いものですね……」
魏の大軍が赤壁に攻め寄せれば、というたられば的な情報で行おうとしている敵の作戦。
「状況の正確な把握もせずに罪無き人々を犠牲にして勝ちを得ようとするとは……」
どちらかといえば、永遠は計画を立てて行動するタイプなのだろう。これは不確定要素が大きすぎる気がした。
「……ですが、魏軍が来なくとも火計を行えば、蟲将は生まれる、と」
どう転んでも呉軍はいずれ火を放つ。それは確実だ。
「何も悪い事してない人たちを纏めて焼き殺すだなんて」
有栖川宮・永久(燦爛のアンフィニ・g01120)は「だめだめ」という風に頭を振った。
「永久……そうですね、どうにかして救わないと」
「うん、そして絶対阻止だよ、お姉ちゃん」
河の水深が大きな場所を永遠の式神「蛟」が征く。蛟の前方に掴まり泳ぐのは永久だ。
潜水時に先を視るように放った刹那の一閃は、ディアボロスたちの視界を良好にしていた。
ゆらりゆらめく軌跡を追うように蛟と永久が進む。辺りは陸上であるかのように呼吸が出来ていた。
ここは敵地の真ん中だ。蛟に掴まり、後方の警戒にあたるのは永遠。
上をいく船体がないか、横切るものはないか、と、二人は周囲をよく見回していく。
怪しいものを見つければ迂回。
やがて大きな影――楼船の底を見つけた永久が前方を指差した。
船の速度に合わせてぴったりとくっついた蛟が、ふいに頭を上げた。頭に乗り浮上した永久が船の出っ張りへと手を掛けて、海上へと出る。
竜骨なき楼船は強度が欠ける。あくまでも乗り手を主戦とした戦法のための船。
永久が魔力を込めた燦爛の剣は容易く船体に穴を開けた。
「お姉ちゃん、行こう」
小さな声で呼べば、永遠が手を伸ばした。合図などなくともタイミング良く行動を合わせられるのがこの姉妹なのだろう。難なく引き上げられた永遠がケミカルライトを手に船内へと侵入する。
穴を開けた場所は船底へと続く階段の近くであった。天から注ぐ光に、ざわざわとした声が広がっていく。
(「わ、わっ」)
大きく手を振った永久が直ぐに『しーっ!』とジェスチャー。仄かに輝くケミカルライトはディアボロスたちが隠密なのだということを知らせている。
階段を降り切るかという部分で、老婆が永遠へと手を差し出した。
「……ここは暗いから気を付けてね」
「――ありがとうございます。不安でしょう、どうぞ灯りを」
ライトを渡して、微笑む永遠。老婆を見つめて、そして周囲へと目を向けた。
「助けに来ました、もう大丈夫ですから、落ち着いてくださいね」
永久も力強く頷いた。静かな声で告げる。
「安心して、必ずここから出れるようにしてあげる」
「ほ、ほんとに? ここから出られるのか」
良かった、という風に青年の呟き。さわさわと「よかった」「うちに帰れる?」「でも、どうやって」と安堵したもの、不安そうなものと声は様々だ。
「……だが、おれたちをここに閉じ込めた奴らは……」
恐れの中に期待は少し――そっと天井を見上げる者が何人かいた。きっとクロノヴェーダのことをディアボロスたちに伝えたいのだろう。
悟った永久が心得たように頷いた。
(「すんなりと逃がしてくれるわけないよね、うん」)
そのこと含め、任せてね! と、永久は皆を安心させるように言うのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
有栖川宮・永遠
妹の永久(g01120)と参加
このまま犠牲にさせる訳にはいきませんので、全力を尽くします。【口福の伝道者】で弱っている方に食事・・具無しのシンプルな饅頭がいいでしょうか。を配ります。これだけの数の方に配るのは相当頑張って食事しなければいけませんが、水を飲みながら頑張ります!!
後は余裕があるなら住民を3人一組に分けて動けない方をフォローできるように。浮き輪や浮きに板切れになるものの準備は奏に任せましょうか。
纏めて指示が出来る方がいるようなら、脱出そのものは手助けできないので自力で脱出をお願いします、と伝える。私達は脱出の邪魔になる蟲将を倒して来ますので、脱出の指揮をお願いできますか、と話す。
有栖川宮・永久
姉の永遠(g00976)で参加
うわ、酷い状況だね。絶対助けるから!!
まず【活性治癒】で少しでも住民の皆さんの怪我の状態が良くなるようにするね。
これだけの住民を3人1組にするのはお姉ちゃんだけで大変だろうから、手伝うね!!
後は脱出に使えるような板切れや浮き輪を集める。櫂も出来るだけ集めておくね。後は動けない方の介助かな。大丈夫、こういう時こそ落ち着いて行動すればきっと助かるよ。皆の力を併せる時だよ。
指揮が出来そうな人に直接の脱出の指示をお願いするね。うん、脱出の邪魔する奴は必ず倒すよ!!胸を張って励ますように宣言する。
リオーネ・クア
※アドリブ・連携OK
まずロッソを召喚する
どのくらい効果があるか読めないけど、可愛いロッソを見て怖がっている子供達は落ち着いてくれないかな
ロッソは撫でられるのが大好きだし、知らない人に触られるのも平気
「めー」とたまに鳴くくらいで大人しくしてる
続いて【モブオーラ】を発動して
これからの俺達の活動が見張りに気付かれにくいようにしよう
【口福の伝道者】による食料増やしは積極的に手伝うよ
空腹を満たすって落ち着くのに非常に効果的だよね
頃合いを見て次の行動
船の沈没が起きないか様子を見ながら船の構造物をちぎって解体、浮きに使える板切れに加工しよう
脱出開始前に船内を歩き回って情報収集
脱出困難な人がいないかチェック!
周囲に伝播していくような、皆の不安げな様子につられ、息を潜めていた子供がひくっとしゃくりあげた。
「――っと、だいじょうぶ、大丈夫」
リオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)が子供のところに駆けつけて、メーラーデーモンのロッソを召喚した。まっさらな毛並みはさらさらと、もふもふなものを羽織ったロッソはその可愛らしい鼻先を子供へと擦りつけた。
「わ」
「かわいい」
腕に飛び込んできたロッソの人懐こい様子に、子供たちは笑顔になった。
「ロッソって言うんだよ。ほら、ロッソ、挨拶」
「めー」
「ろそちゃん」
残留効果であるモブオーラが辺りに浸透していくのが、ディアボロスたちにはわかった。一部のギラギラとした期待の目が和らぎ、落ち着きを取り戻していく。
「リオーネさん、ありがとうございます。少し活動しやすくなりましたね」
有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)がこっそり持ってきた、饅頭をぱくっと食べた。濡れないように包んだそれはふかふかな舌触り。
するとどうだろう。同じく包まれた饅頭が出現し、楼船に囚われている彼らの手におさまっていく。
「皆さん、これを食べて英気を養ってください」
名の如く口福が伝道されていき、永遠が続けて竹筒の水を口に含ませれば同じような水筒が出現する。
ほら、と子供たちへ渡すリオーネ。
食べることのできる者は食事を。
そうやって人が動き始める中、室内の隅に蹲る者たちに有栖川宮・永久(燦爛のアンフィニ・g01120)は気付いた。
楼船に連れ込まれる際に抵抗した者たちだろう。
永久は自身のパラドクスを扱って、治癒力を活性化させていく。
「しばらくしたら動けるようになるはずだから――頑張って……!」
排斥力の強いディヴィジョン内で、ディアボロスたちが力を浸透させるこの場は生命力が湧く一時的なシェルターのようなものだ。
「これ、怪我してる人たちの分だよ」
饅頭と水筒を確保してきたリオーネが、一人一人に持たせる。
「食べられるようになったら食べて。逃げる力を付けなきゃ」
「……――」
彼の言葉に衰弱した一人がこくりと頷いた。
食べてひとごこちついた頃。
永遠は比較的若い者たちへと声を掛ける。
「誰か、皆を纏められる方はいらっしゃいますでしょうか?」
「あ、ああ、俺が――俺たちが」
ぱらぱらと手が挙がった。老人の面倒を見る者、階上へと警戒の目を向けていた青年たちだ。
「良かった、結構いた」
ほっとした様子で呟く永久。この多人数である。手分けして纏められるのならそうした方がいい。
永遠は彼らを見て、頼もし気に頷いた。説明を始める。
「私たちは脱出そのものには手助けできません。皆さんには自力で脱出をお願いしたいのです」
「今から使える道具とか、持ってくるからね」
一瞬戸惑った彼らにリオーネが明るく言ってみせた。何の憂いもない、というように。
「だが――どうやって外に……この船を動かしている彼らには逆らえない……」
「私たちが脱出の妨げとなる蟲将を倒して来ます。ですから脱出の指揮をお願いできますか」
「倒す……わ、わかった。『そう』なったら、皆を促すよ」
「必ず倒すよ! 任せて!」
胸を張って宣言するのは永久だ。自信満々な彼女の様子に、覚悟を決めたのか青年たちはしっかりと頷き返してくれた。
「はい、これ櫂ね!」
漕ぐための櫂は、予備を含め、直ぐ上の階に備えられていた。永久が青年たちへと手渡していく。
だが楼船にいる一般人は多い。恐らくこの櫂の数では、全員を乗せたままだと河上を十分に進めることもできないだろう。
「体力のある人は泳いで逃げられるように、板切れも用意してみたよ」
リオーネが楼船から剥いだ板を抱えて持ってくる。
泳げる者、漕ぐ体力がある者と分かれ、すぐに対応できるようにと永遠は力なき者を数人単位で分けていく。その多くは老人と子供だ。
「隣人――手の届く範囲で大丈夫です。動けない人がいたらどうか助けてあげてくださいね」
逃げる段取りを話し合った後、ディアボロスたちは階上へ向かう。
「ありがとう」
「どうか気を付けてくれ」
様々な見送りの言葉を掛けられて、振り返る永遠、永久、リオーネ。
「達者で」
互いに健闘を祈る視線を交わし、いざ戦場となる船上へと意識を向けるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
ディアボロスが窺う船上には人の背丈はゆうに超える蟲人、クロノヴェーダの姿が散見している。
一番広い甲板上には管亥の姿。指揮官を囲うように、見張り台、船室や外を行き来する鋭蜂兵。
彼らは楼船の下層にいる民のことなど気にもしていないらしい。――まあ気を配る必要性がないのは明らかだ。
彼らが気にしているのはこの河の様子。大きな軍船がないか、偵察している小舟がないか、敵影の有無だ。
さて。
どうやってクロノヴェーダを相手にしていこうか。
己が持つ戦法を現場に照らし合わせながら、隠れ潜むディアボロスは狙う敵を定めた。
有栖川宮・永遠
妹の永久(g01120)と参加
敵もどうしても住民の皆さんを逃したくないようで、流石に精鋭を揃えてきますね。でもこれらを突破しないと住民の皆さんが安全に避難できません
。
永久、行きますよ。
敵から毒の攻撃を受けるのを覚悟の上で前衛に立つ永久を支援します。【観察】にて敵軍の動きを見定め、危ない動きがあればすぐ知らせます。【光使い】での目眩しや、【高速詠唱】からの【電撃使い】で奏の攻撃をサポート。
奏が敵に囲まれて危なくなったら、【高速詠唱】からの裂帛の一撃を【全力魔法】で放ち、敵集団を【薙ぎ払い】
奏から敵集団を引き離す必要を感じたら【風使い】で【吹き飛ばし】ます。
有栖川宮・永久
姉の永遠(f00976)と参加
むむ、何だが手強そうな集団だね。でも避難の邪魔はさせないと約束したしね。必ずやっつける!!
何か接近しないと大変そうなので集中攻撃されるのを確保の上で前衛で戦う。ただ、そう簡単に攻撃されないように【残像】【撹乱】でヒラヒラ動き回って敵の的を絞らせないように動き、【不意打ち】で両手の剣を力任せの一撃で全力で【薙ぎ払い】!!更に【グラップル】で敵の一人を群れの中に蹴
り飛ばして陣形を乱す。
流石に敵の群れに囲まれて接近戦が危なくなったら【一撃離脱】で一度距離を取って、【氷雪使い】【吹き飛ばし】の遠距離戦に切り替えるね。
護衛のクロノヴェーダは放置していても良いことはないだろう。
放っておけば一般人への害ともなる。彼らが楼船から無事に脱出できるよう、敵の排除にディアボロスたちは努めるつもりであった。
「もし楼船から逃げ出す者がいても対応する、そんな位置取りですね」
甲板へ上がるための階段から、少しだけ頭を覗かせて有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)は様子を窺っている。
敵の意識は外へと向けられているのが分かった。
「お姉ちゃん」
私も見たい、という風に押しあがってきた妹――有栖川宮・永久(燦爛のアンフィニ・g01120)の表情にふと永遠の心に懐かしい気持ちが湧いた。
正義感に満ちた、素直でありながら負けん気の強そうな様子は幼い時のことを思い出す。
「――永久、行きますよ」
「うん!」
身を隠して攻撃を行ってもそれが可能となるのは最初の二手ほどだろう。
幸い、この場へと突入する仲間達は存分に暴れるつもりらしい――仲間の一手が敵へと通ずるよう、永久は攪乱に駆ける。
「侵入者だ!」
「排除しろ!!」
「止まれ!!」
「止まれと言われて止まる妹ではないのです」
敵陣の声を聞き、微笑みながら呟いた永遠が放った陰陽符から瞬間的な光の奔流。
鋭蜂兵の複眼は細やかな視界を持つが故、その明滅に大きく怯んだ。
姉の目くらましを利用し、飛ぶように我が身をしならせ接敵した永久が風霊の剣で薙ぎ払う。敵胴へ横一文字の鋭風が入り、残滓の風が周囲に散った。
すぐに身を翻しながら両手の剣を薙ぐ。
敵の硬い蟲体へ斬り込まれた刃は上手く節を捉え、一肢を切断した。
刹那、永久の耳を劈く雷と真横を突き抜ける風――否、穂先。雷気を纏ったそれは永遠の雷撃が軌道を逸らしたことを証明していた。
永久が距離を取る前に穂先は翻り、敵の怒涛の槍捌きが放たれる。
「っ!」
穂先が永久の身体を掠め、赤き飛沫と同時に肌は毒に侵され変色していった。
「……のっ、しつこいよ!」
燦爛の剣で長柄を捉え絡めて弾き、敵懐へと飛びこんだ永久は体勢を崩した鋭蜂兵の胴へ蹴撃を入れる。踵を僅かに繰り、狙った方角へと蹴り飛ばした。
先には仲間であるフロッシュ・ギルアダーを追う鋭蜂兵の群。
永久と敵一体。作られた彼我の距離に厚き電撃が迸り、船上を駆け抜けた。永遠だ。
「ありがと、お姉ちゃん」
そう言って永久は舞うような跳躍。次敵に向かって両手の剣を振るい、永遠の放つ雷と風を纏うようにして敵を倒していくのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【完全視界】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!
リオーネ・クア
指揮官も見えるね
部下が蹴散らされるのを黙って見ているとは思えない
自分も向かってくるなり、指揮して部下達に統率ある動きをさせるかしそうだ
一人で向かうのは無謀かもしれないけど
彼がフリーな状態で部下をすんなり倒せるとは思えないので指揮官に挑む
大丈夫、無理はしない
大切な人に必ず無事で戻ると約束してるから
【飛翔】して兵士を強引に突っ切り指揮官の元へ
ある程度距離を詰めたところで双翼魔弾を発動
飛び回りながら魔弾を繰り返し放ち兵士と戦う復讐者から気を逸らそう
敵からの攻撃は距離を保ちつつ【飛翔】効果を使い激しく動き回って躱したい
捉えられたら悪魔の大鎌で受け流しを試みつつ、魔力障壁を展開してできる限りダメージ軽減
アヴァルタール級クロノヴェーダ、管亥。
仲間のディアボロスと共に場を窺っていたリオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)はこの楼船の指揮官へ目を留めた。
楼船の甲板から上は広々としていて、故に何事も見通せる場所である。
上層に立つ管亥はいざ戦いとなれば直ぐに飛び降りて来るであろう位置。
「指揮官の姿も見えるね。部下が蹴散らされるのを黙って見ているとは思えない」
リオーネの言葉に反応したのは陳・桂菓。
「ならば、二手に分かれるか?」
戦場に突入することになる仲間たちを見回して桂菓は言った。
「――ひとまず、容易に指揮へ繋げないよう、俺が妨害してみるよ。彼がフリーな状態で鋭蜂兵たちをすんなり倒せるとは思えないからね」
「承知した」
「あんま無理すんなよ」
桂菓の硬い頷きとフロッシュ・ギルアダーの言葉に、リオーネは頷きを帰した。
「大丈夫、無理はしない」
メーラーデーモンのロッソも皆と行く気なのだろう。やる気満々な様子で槍を抱えている。そんなロッソを軽く撫でながら、それに、と思考する。
(「大切な人に必ず無事で戻ると約束してるから」)
「侵入者だ!」
「排除しろ!!」
「止まれ!!」
一斉に飛び出したディアボロスたちが攻撃を仕掛ければ、戦場の銅鑼は鳴ることなく乱戦へと叩きこまれた。
管亥が蜂群と化した部下へ大きく声を掛けようとする。
「敵襲か! 鋭蜂兵よ、一旦距離を取り隊列を――」
指揮を執る管亥へ飛来する赤き弾。下段から鋭く弧を描き上昇する双翼魔弾は管亥を撃ち、残る魔弾は上空で翻った。
「何奴!」
管亥が辺りを見回すなか、ディアボロスの攻撃によって切り開かれた鋭蜂兵群から抜け出るリオーネ。
気流を捉える悪魔の翼を拡げて接敵――真横をすり抜けるとともに死角から指揮官へ向かって新たな魔弾を放った。
管亥の複眼は的確にリオーネを捉えたのだろう、飛翔する彼の動きにあわせて頭が動いた。
身を捻り、次手となった魔弾に被弾しながらも半ばは避ける。
「ハァァッ!」
抉られた身体から体液を噴出させながらも、果敢に跳躍する管亥。――釣れた。敵の意識はリオーネへと向かっていた。
腕一つが槍を振り被り、残る腕三つが正拳と上段からの拳がリオーネへと迫る。
伸びるような蝗の跳躍にリオーネは悪魔の大鎌を構えた。鎌下から石突へ腕を広げるように持ち、魔力障壁を展開すれば刹那の盾。
百撃の拳嵐なんてまともに受ければ最終打に大地へ叩きつけられるか、千鳥足の如き後退を迫られるか。だがここは空中だ。
一撃目、二撃目を長柄で受け、態勢を崩したリオーネは受ける三撃目をいなし敵の膂力によって彼我の距離を作り上げた。――もっとも弾かれた方向は、敵拳により促されたようなものだが。
リオーネの眼下に広がる甲板の戦場。鋭蜂兵は目に見えて減っていた。
安堵の息を吐くにはまだ早い。だが明らかな手応え。
攻防の刹那の掛け合いが戦場を作り上げていく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
フロッシュ・ギルアダー
ハンミョウ、参上、助太刀だ!さっき脱出船が見えたから、もう救出は無事に、終わっているんだよな……じゃ、あとは暴れるだけだな、うん!
来るのが遅れたぶん、得意分野で取り返す!
まずは先制攻撃として、早業で爆風の衝撃波を放ち、それが叩きつけられると同時に、突撃。ダッシュで敵の間をぬいながら、残像を作って位置を掴ませないようにしつつ、距離によって攻撃を変えるじゃん。
近距離は、斬撃による一撃離脱。遠距離は、風使いの力を活かした、両断する鎌風の連射、ってな。
こーやって、スピード任せにひとりで戦う、ハンミョウだという印象を植え付けてから……来い、【アブロホロス】!超絶速い【ダブル】連撃を、敵にみせてやろうぜ!
陳・桂菓
遅ればせながら、増援と洒落込もうか。
隠密に敵を討つというのはそう得意ではないが……先の味方が戦闘状態になっているなら、そう意識しないでも大丈夫だろうか。
使用武器は双短戟『騰蛟昇竜』
一瞬でこちらを刺し貫く、超速度の毒槍。
集団で殺到するそれに対抗しようと思えば、【阻竜矛林獄】がいいだろう。
まずは片方の戟を地面(というか船の甲板)に刺して、闘気の槍を己を中心に円形に展開。
こちらに迫る鋭蜂兵らの足を止めたところで、逆手の戟で第二陣の槍を放って鋭蜂兵らを刺し貫く。あるいは戟で直接斬ってもいいだろう。
まず足を止めるのが重要なので、精密に敵を狙って槍を生み出すというより、まず数と密度を揃えることを重視。
甲板上の鋭蜂兵、さらに上層に立つ管亥を窺い見るディアボロスたち。
下層に繋がる階段にて彼らは打ち合わせをする。先に鋭蜂兵、その最中の指揮の足止めにリオーネ・クアが名乗りをあげた。
「容易に指揮へ繋げないよう、俺が妨害してみるよ。彼がフリーな状態で鋭蜂兵たちをすんなり倒せるとは思えないからね」
「承知した」
「あんま無理すんなよ」
頷き応じる陳・桂菓(如蚩尤・g02534)と、軽く言葉を返したフロッシュ・ギルアダー(ソニック・ホリック・g00750)。
いち、にの、で甲板上へとディアボロスたちは躍り出た。
蜂群が気付いて応戦態勢へと入るまで完全有利に打てる手は一手、二手。
【JET】の刻印を扱い、風を呼ぶフロッシュ。湿度ある赤壁の空気をかき混ぜ、放つは爆風の衝撃波。圧ある風塊が甲板上の鋭蜂兵へと叩きつけられた――同時にフロッシュは駆ける。
間近の敵へ踏み込むと同時に斑ノ赤翅を薙げば赤き軌跡。一拍遅れて蜂の体液が噴出した時には既に身を翻し、次敵に倭刀が貫く。
「ハンミョウ、参上だぜ!」
「――っ、侵入者だ!」
「排除しろ!!」
一斉に飛び出したディアボロスたちが攻撃を仕掛ければ、戦場の銅鑼は鳴ることなく指揮系統なき乱戦状態となる。
有栖川宮・永久の放つ閃光を刹那の目くらましにしてフロッシュは舞うように再び身体を翻した。
敵槍が彼女の身に触れ交差する。剣戟が鳴り、鋭蜂兵がハッと息を呑んだ時には既にフロッシュの姿は消えていた。
初手に放たれた圧ある風がこの時虚空で霧散して、風となり敵群の間を抜けていく――それは鋭き鎌刃の風。
大きな鎌風をフロッシュが繰れば、散開して敵陣を切り刻んでいく。
「隠密は得意ではないが、こういった手合いならば任せてくれ」
指揮を抑えられた蜂の群れを見据えながら桂菓は双短戟『騰蛟昇竜』――その一本を甲板に突き刺した。
「その身、喰らってくれる!」
敵の穂先が向けられ、螺旋を描く突きが桂菓へと迫る。
だがその肢は地面から突き上げられた闘気の槍に阻まれた。赤き長柄は剣山の如く、桂菓を中心に展開した阻竜矛林獄は鋭蜂兵たちの足を止める。
その一瞬で十分だ。
もう片方の戟が甲板を貫けば、地が呼応したかのように新たな穂先を放った。真下から頭頂へ、綺麗な一筋が貫き蟲体の節々を砕いていく。
敵の怯みは彼らにとって致命的なもの。
次手を既に捉えていた桂菓には近付くこともできないまま、鋭蜂兵が倒れゆく。
「毒槍も、こちらに届かなければ造作もない」
「そう思うかっ!」
新たな敵が毒槍を投擲するが、闘気の槍が伸び軌道を逸らす。抜いた戟を振るい、桂菓は長柄の先で毒槍を弾いた。
「フロッシュ!」
仲間の名を呼べば駆け抜ける風。
刃の一閃が遠くの敵を真っ二つにする。たんっと着地したフロッシュが甲板に飛沫を散らした。
「……来い、アブロホロス!」
角蟲・アブロホロスが召喚と同時に甲板上を翔けていく。
加速するフロッシュとアブロホロスが阻竜矛林獄の生き餌となった蜂たちへと迫る――桂菓が展開した闘気の槍はまるで蟲籠のよう。
狩る、喰らう、屠る――ディアボロスたちが重ねる攻撃に弱っていく鋭蜂兵たち。弱りきった個体が刈り取られていく様はまさしく容赦なき自然の構図であった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
陳・桂菓
使用武器は双短戟『騰蛟昇竜』
「小虫どもに喰わせてやるには、私の肉は贅沢に過ぎよう?」
数の多い蝗の群れに対し、こちらは【蚩尤超限暴】の速度と手数で対抗する。
両手の戟による斬撃、および硬殻に覆われた足による蹴りに衝撃波をまとわせ、超高速の連続攻撃をもって蝗がこちらの体に届くより先に叩き落としていく。いちいち蝗を狙って叩くというより、衝撃波の面制圧力攻撃速度によって、広範囲の空間を根こそぎにするという感じ。
ただ管亥自身による矛の攻撃は蝗に比べれば格段に強力だろうから、上昇した速度を利用してしっかり回避。その後間髪入れず反撃を喰らわせる。
脅威が消えたら、慌てずゆっくり人々を避難させるとしよう。
リオーネ・クア
みんな、ナイス撃破!
このまま指揮官も倒しちゃおう
【飛翔】効果を使って激しく動き回るのは変わらず
今度は魔骸連刃で攻めよう
手と脚を黒い悪魔のものに変異させて、そこから刃を生やしたら指揮官に向かって突撃
刃を突き立てて即座に離れる
失敗(躱されたり防御されたり)しても慌てず即離れるようにするよ
ヒット&アウェイを繰り返す
俺はひとりじゃない、みんながいる
協力して攻撃を加えて指揮官を消耗させるんだ
[戦闘知識]はそこそこ蓄積してるから、敵からの攻撃も何度か受けてくれば慣れてくる、[看破]できる
攻撃を受けること自体が避けられなくても、
受けたときの衝撃を軽減するように魔力障壁を展開したり身のこなしで和らげよう
有栖川宮・永遠
妹の永久(f01120)と参加
さて最後の一押しです。この蟲将を倒せば住民の皆さんは脱出できる。永久、共に頑張りましょう。
【飛翔】の効果を使わせて貰い、空中に。【観察】で敵の動きを観察、付け入る隙が【看破】出来たら永久と情報を共有しますか。
私は式神「六花」にて攻撃。外さないようにしっかり【精神集中】した上で【全力魔法】。確実に痛手を与えられるようにしましょう。
もちろん作戦を任せられる程の将です。簡単に倒せるとは思ってません。
【連続魔法】で【電撃使い】で雷で更なる追撃を加えましょう。
有栖川宮・永久
姉の永遠(g00976)と参加
うん、大分苦労したけど、こいつを倒せばこの作戦は終わり。気合い入れて頑張るよ、お姉ちゃん!!
【飛翔】で空へ。【ダッシュ】【撹乱】【残像】で敵の上を飛び回って敵の突きの的が定まらないように撹乱しちゃえ。更に【風使い】【吹き飛ばし】で吹き飛ばししたり!!
散々引っ掻き回した上でお姉ちゃんの情報で付け入る隙が出来たら【不意打ち】で上から奇襲して【両断】【薙ぎ払い】で斬り払うように斬る!!
ただ、これだけの作戦の指揮を任せられる強さだから、危なくなったら【一撃離脱】ですぐ上空に退避してお姉ちゃんと連携して【電撃使い】の雷落っことしで攻撃!!
飛翔するリオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)を追うように百撃拳を放った管亥から、彼を叩き飛ばす衝撃波が巻き起こった。
「ククク! いくら飛び回ろうとも、止めるのは容易!」
交差する風の奔流を魔力障壁の面にあて、圧を削るように受け流したリオーネは衝撃に逆らうことなく後退した。彼我の距離を取る。
作られるは僅かな膠着時間。そこへ割り入るように有栖川宮・永久(燦爛のアンフィニ・g01120)の明朗快活な声が渡った。
「リオーネさん! おっ待たせー!」
泥臭い湿度に満ちるこの赤壁にて永久の疾風は薫風そのもの。弧を描いた飛翔、そして捻りをくわえた斬撃は円舞そのもの。燦爛の剣が管亥へと到達する。
横一文字になぎ払い、剣身が捉えた敵胴を起点にして永久は方向転換した。追撃に一閃するのは風霊の剣。二拍にも満たない妹の早業に呼応するのは姉である有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)であった。
永久の疾風に雪花が乗り、式神「六花」による攻撃が放たれた。氷でできた式神と管亥の飛蝗の如き弾のオーラが虚空で爆ぜあった。手のひらを重ね、永遠が耐える。
「――最後の一押しです。この蟲将を倒せば住民の皆さんは脱出できます」
「うん、大分苦労したけど、こいつを倒せばこの作戦は終わり。気合い入れて頑張るよ、お姉ちゃん!!」
オーラを放つ管亥の更なる隙を練り上げるべく、牽制の一撃を与えつつ永久が空中へと離脱する。
永遠と式神の攻撃にあちこちへと飛散した黄天のオーラが自立したかのように飛翔し始める。
ワン! と虚空を叩き羽撃つ音が戦場を支配した。超音波のように張られた管亥の罠が、虚空のディアボロスたちの位置取りを狂わせんとする。
「鬱陶しい者たちよ……!」
その時、甲板から跳躍した陳・桂菓(如蚩尤・g02534)が振り上げた戟を撃つ!
敵の矛をすり抜けて敵肢を深く貫いた戟は刹那の支柱となり、手首を翻して逆手に長柄を握った桂菓が身を滑らせるようにして敵懐へと飛び込んだ。
狙うは至近距離からの蹴撃だ。
勢いにのり、戟に重心を預けた水平の蹴りは管亥を鋭く後方へと飛ばした。続け軸脚を替えた回し蹴りが現れた無数の蝗を消滅させる。
腰を捻り跳躍すれば、その速度に蝗たちも着いてはいけない。
「小虫どもに喰わせてやるには、私の肉は贅沢に過ぎよう?」
戦神の力を宿す、鎌鼬の如き桂菓の動きは既に次手へと繋がれていた。
戟を振るえば式神「六花」が凍らせた上空の蝗たちがひと薙ぎの衝撃波によって砕け、氷粒が戦場に降る。
――蹴り飛ばされ、桂菓に届かぬ敵の矛。受け身からの千鳥足であるかのような管亥のたたら踏みは大きな隙。
捉えたのは死角に迫るリオーネだ。
変異した手脚は黒い悪魔のもの。
変異と、湾曲する黒刃が生えた四肢により彼の間合いは伸びている。管亥が寸前に気付き身を捻るも、間合いの読み違えは必至であった。リオーネの斬撃が真胴へと喰いこんだ。
ヒット&アウェイ。離脱も目的にした突き抜ける一閃は速い。
ぐう、と管亥が呻き、迫る桂菓へと身を振った。クロノヴェーダとしての力があろうとも、複数のディアボロスに翻弄され、敵は対峙に至る時間の確保すら難しい。歪んだ時空からディアボロスの眼前へと迫る攻撃、その僅かなタイムラグを連携するディアボロスは突いていた。
(「ひとりじゃない、みんながいる」)
戦場にてリオーネがいつも自身を鼓舞し、思うこと。蓄積した残留効果と、仲間との連携は戦場の勝鬨を目指すもの。それがディアボロスたちの要となる戦法だ。
飛翔する蝗は刻一刻と駆逐されゆく一方だ。
敵矛は避けるに努め、左右に跳び時に突く桂菓の戟術は舞う蜂のよう。僅かな滞空にインセクティアの翅を震わせてのホバリングは、
「隙だらけだぞ、女ぁ!」
――それは管亥からの突きこみを誘う戦術。
誘われた管亥の動き。それは飛翔するディアボロスから見れば直線となる、短絡的な動き。
「お姉ちゃん!」
「ええ!」
有栖川宮姉妹が放つ電撃が管亥へと落ち、耳を劈く轟音と雷気の衝撃が赤壁の河を駆け抜けた。
力を合わせた落雷の束。同じ軌道を辿り落ちてくるのはリオーネと悪魔の腕。
敵を脳天から真っ二つに割るであろう斬撃が入るとともに、桂菓の戟が管亥を貫いていた。
「――見事……! 申し訳ございませ、ぬ、周泰、様……!」
管亥の身体が節からばらりと砕け散り、死のための楼船に落ちていった。
●
掛かる排斥力にあまり長居も出来ない。
甲板へと出てきた呉の民に岸辺の方角を教える永遠と永久。
リオーネはロッソとともに子供たちを勇気づけている。
敵を払った楼船で見つけた梯子と縄と降ろす手伝いをする桂菓。
「……脱出は慌てずにな。皆の武運を祈る」
この楼船の脅威は去ったのだ。恐々としている彼らを落ち着かせるように、一時的に脱出の指揮をとる青年たちへと告げた。
残された時間で可能な限りの手助けを、と動くディアボロスたち。
助力してくれる彼らへと、呉の民は深々と頭を下げる。
「ありがとうございました」
「皆さんも、どうぞお達者で……」
――こうして、長き歴史、刹那の邂逅に救われた命は多く。
別れを告げて、ディアボロスたちは帰路へとつくのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【エアライド】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
【アイスクラフト】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ドレイン】がLV2になった!
【ダブル】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!