リプレイ
一・百
※アドリブ連携歓迎
俺としては、古風なものとか自然な物の方が好みなんだが…
服装は普段の中世の貴族服のジャケットは脱いだシャツ姿でラフに街の人風に
友達催眠を使いながら酒場へ
愚痴を言っている人と一緒にお酒を飲んで相槌をうったり機械化への
反対意見に同調しよう
機械なんて操作を間違えれば何も出来ないじゃないか
便利って言うけど逆に不便なんじゃ…
それに、そういう細かいの面倒じゃないか…?
元々騒いでいた人には多めにお酒をすすめ彼らより先にお店を出て
人気のない路地へと歩いていく
まぁ、ぶっちゃけお酒は強いわけではないので、ちゃんと酔っている訳で、抵抗は普通にできないかな
ちゃんと少し休めば動ける程度には抑えるけどな…
ラシュレイ・ローレン
アドリブ、連携歓迎。
パリ市民の服装に身を包み、酒場に向かう。
酒と食事を頼み、酒場でかわされる会話に耳を傾ける。機械化の風潮への非難が聞こえれば、席に向かい会話に加わろう。【友達催眠】使用。
「貴方達の意見に賛成だ。如何に効率的だろうと、代々伝わる伝統を軽んじるなど許される事ではない。」
と話を合わせる。徐々に会話の主導権を奪い、店外まで聞こえる様な大声で、身振りを加えながらの熱弁で目立ってみよう。
さて、これで敵の目標となれただろうか。店を出て無防備に裏路地へ向かう。上手く教われたら大人しく捕まろう。
技術の発展は是非もなし。だが、それについて来られない者を切り捨てるなど許す訳にはいかない。叩き潰す。
ディアナ・レーヴェ
※酒場に居そうなパリ市民の服装。極力肌は見せず、翼は服の背に押し込む
まず酒場でムスっと酒を注文
2、3杯速攻で飲み干すわ!
泥酔したフリして(実は私お酒強いの。ただのフリよ!)
隣の席の人に【大声】で絡む
「聞ーいーてー!!」
「うちの人の仕事が!あのずる賢い機械達に!ぜーーんぶ取られちゃったのーッ!」
「軌道に乗り始めてたのに!」
「頑張ったのに!」
「機械、嫌いーっ!!」
畳み掛けるように愚痴るっ、リアクション封じる勢いよ!さぁドン引きどうぞ!?
私に同調して目をつけられる一般人は増やしたくないの
「うう…もう嫌よ、こんな街で暮らすのー!」
頃合で酒場をフラフラ出たら
"道を間違え裏路地で居眠りする酔っ払い"のフリ
●
「店長ぉー、酒もう一杯ー」
「気持ちは分かってやらないでもないが、飲み過ぎだぜ。その辺にしときな」
注文を飛ばした青年はかなりの量の酒を飲んでいるようで、その顔はもう真っ赤であった。
その彼に店長と呼ばれた男はため息と共に水を青年の前に置いてやる。これ以上は体に毒だとやんわり告げるも、酔いも手伝ってか青年はそれを素直に受け入れようとはしない。
「だってよぉ。機械のせいでどんどん仕事が減ってくんだぜ? 飲まなきゃやってらんねえよぉ……
安けりゃ良い訳じゃねえだろうよお。うちはジジイの代からこの仕事やってんだぜ……」
喉を鳴らしてと水をあおる青年を前に、はてどう止めてやるべきかと店長が頭を悩ませていると、不意に近くのテーブルで食事をしていた二人の男が青年の方へと歩み寄る。
「貴方の意見に賛成だ。良ければ話に混ぜてもらえないだろうか」
酔った目で青年が二人の男へ視線を向ける。
いかにも市井の人間、と言った風貌の二人は、各々をラシュレイ・ローレン(人間の妖精騎士・g04074)、一・百(気まぐれな狐・g04201)と名乗った。
賛同者が現れたのがよほど嬉しかったのか、青年が上機嫌にまあ座れよとテーブルに着くように促すと、二人も愚痴の言える相手を探していたのだと言わんばかりに席に着く。
「そもそも、機械なんて操作を間違えれば何も出来ないじゃないか。便利っていうけど逆に不便なんじゃ……」
「そう! ニノマエさんつったか、分かってるじゃないか!」
百のぼやきに青年が上機嫌に両手を叩いて笑うと、ラシュレイもそれに同意を示すように頷いた。
「如何に効率的だろうと、代々伝わる伝統を軽んじるなど許される事ではない。
今のパリは早急すぎるのだ! 技術の発展について来られない者を切り捨てるなど、許す訳にはいかない!」
拳を握りながらの熱弁は次第に声量を増していき、当初は口数の多かった青年も徐々に聞き役へ回るようになっていく。
「それに、機械の操作みたいな細かいのって面倒じゃないか……?」
「そうそう……」
元々酒量が多かったこともあるのか、上手く口が回らない、といった具合の青年から機械化への異論はほぼ出なくなっている。
その様子に、ラシュレイと百は小さく目配せ。声量的にも、会話の流れ的にも、どちらかと言えば目立つのは自分たちであろう。
外で聞き耳を立てている連中の目は、こちらに向いていると考えていい。
「聞ーいーてー!!」
一般人を極力巻き込まない。その作戦の駄目押しとばかりに、先程まで別のテーブルで飲んでいたディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)が話に割り込んできた。
が、明らかに酔ってますと言わんばかりの泥酔具合に、男三人は流石に呆気にとられたような表情を浮かべた。
大丈夫なんだろうな、と百がアイコンタクト。存外に冷静さを保つディアナの瞳の奥がただのフリだと返す。
彼女が先程まで飲んでいたテーブルに視線をやれば、もうグラスが三杯ほど空いているのが目に入る。ザルかこの女。
ともあれ。
「うちの人の仕事が! あのずる賢い機械達に! ぜーーんぶ取られちゃったのーッ!
軌道に乗り始めてたのに! 頑張ったのに!」
「あ、あぁーー……そりゃ大変だ。でもちょっと落ち着いた方が……」
「機械、嫌いーっ!」
主張の内容は青年も大いに同意できるところではあったが、最早彼は泥酔した女を宥める側だ。
水を飲ませたり延々と吐き出され続ける機械への怨嗟を聞き続けたりするその姿は、完全に酔っ払いに絡まれてしまった哀れな介助者であり、ここまでやれば青年は誘拐犯のターゲットから外れるに違いない。
自身へ向けられる視線が最早ドン引きの域まで来ていることにそれを確信すると、ディアナはテーブルに飲食代を勢いよく叩きつけるようにして立ち上がる。
「うう……もう嫌よ、こんな街で暮らすのー!」
店の誰もが――なんなら手筈は共有している筈のラシュレイと百すらも――唖然とした表情を浮かべる中、彼女はそのままフラフラと酒場を出ていった。
「……俺たちもこれでお暇するよ」
頃合いだ、とラシュレイと百も立ち上がった。
話に付き合ってくれた礼に、と青年の分の料金も支払い、もう少しゆっくり飲んでいけばいいと百が促すと、青年はなんだか狐につままれたような表情で礼を言うのであった。
●
店を出たラシュレイと百はそのまましばらく夜のパリを歩いていたが、やがて後ろから何者かが付いてきている気配を感じるようになってきた。
その気配に上手く誘拐犯のターゲットとなることができたことを確信すると、少し酔っ払ったような口調で百は路地裏の方を指さして。
「ラシュレイ、少し暗いがあっちが近道だ」
「ああ、もう夜も遅い。早く戻ろうか」
あまりにも無防備に暗い路地裏へ消えていく背中に、誘拐犯たちは酒による危機感の欠如を見たようだった。
それを狙ったのだろう。路地の角を曲がった瞬間、不意に二人の視界が暗くなる。
続いて背中を押される衝撃。それに逆らわず地面に転がると、流石にその辺りは手馴れているのか、即座に足首を拘束され身動きが取れない状況が作り上げられた。
視界を覆っているのは麻袋か何かか。二人は冷静にそう分析しながらも、周囲の様子を音で探る。
「これで二人、と……もう一人の女は?」
「路地裏で気持ちよさそうに寝てたよ。一応袋は被せてはおいたが、普通に連れて行っても気付かれなかったかもな」
女、というのはおそらく先に店を出たディアナであろう。彼女もまた、うまく誘拐犯に捕まることができたようだ。
雑な手つきで荷台のようなものに放り込まれる衝撃、しかる後にガタゴトという音と地面が動いているような振動。おそらくリヤカーのようなものに乗せられ、移動させられているのだろう。
ここまでくれば、後は彼らに秘密工場へ運んでもらうだけだ。
パリにはびこる悪意を砕くため、リアカー上の三人は静かに機を待ち続ける。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV2が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
●
「新入りだ。短い間だろうが、精々仲良くやるんだな」
嘲笑うような声と共に牢屋に入れられたディアボロスたちは、去っていく誘拐犯たちの背が消えたことを確かめると、慎重に周囲を見渡した。
牢屋の内部も、そこに至るまでの通路も、さほど広い場所ではない。
この牢屋に連行されるまでに見えた景色から判断するに、どこかの倉庫の地下を拡張してこの秘密工場を作り上げたのだろう。
続けて視線を牢屋内へ向ける。
さほど広くはないスペースに五人ほどの一般人が不安そうな表情で新入りことディアボロスたちを見つめている。
「アンタたちもあいつらに連れてこられたんだな……」
すでにもう何名もの人間が牢屋から連れ出され、そして戻ってこなかった。人々の中で一番の年長者である男は、ぽつぽつとそんなことを語った。
連れ出された先で何が起きているのかまでは分からないが、やがては自分も……人々の表情には、そんな諦めの色が見て取れる。
ディアボロスがこの秘密工場へ潜り込めたことにより、救援機動力によって外部からこの場所へと駆けつけるのは容易になった。あるいは別所で捕まって、既に牢に入っている者もいるかもしれない。
牢にいる者、外部から侵入する者、それぞれの状況でどう動くのが最善か。
これから為すべきことをもう一度各々が頭に思い描き、ディアボロスたちは行動を開始する。
一蝶・信志
拘束プレイって、――ステキよねぇ?
縛られてるのが若くて力もあって元気な男の子なら
なおさら背徳感と征服欲が満たされるものね
(長らく歌舞伎町で生活してきたが故の倫理観)
でも、それは双方の合意があって初めて成立するものよ
グランダルメもドイツ帝国も、近代とはいえ人権意識は赤ちゃんだわね
…クロノヴェーダがやることに言ってもしょうがないケド
【無鍵空間】を展開して…みたけど、
これ、もしかすると普通に鍵ぶっ壊した方が早い気がするわ
とにかく手早くできる方で安全な避難経路を確保しましょ
※話し言葉は男性口調
みんな、力を振り絞って立って!
逃げ遅れてる子はいない?
流れ弾は俺が全部防ぐから
ここが崩れる前に脱出するよ!
ディアナ・レーヴェ
敵がいなくなるや否や
「あーっ、肩凝った!でも、バッチリ潜り込めたわね!」
陰鬱な空気を変えつつ牢の皆の気を引く為、殊更に明るく笑おう
但し大声はナシ
「私達、パリの機械化を進めている勢力の敵なの。つまり、機械化反対を唱えて捕まっちゃってるあなた達の味方ね」
「これから仲間と一緒にこの施設を壊すわ!今のうちに逃げてくれる?」
疲れた顔してるなら【水源】で水を渡す。…一般人じゃない証明も兼ねて、ね
鍵・拘束具もわざと素手で壊すわ!
逃走経路は【記憶術】で簡易地図にして渡し、合流次第、救援機動力組の情報で補完
「途中まで先導する。ついてきて!…あと、暫く機械の悪口は心の中だけでね」
「大丈夫、皆で元気に帰るわよ!」
ラシュレイ・ローレン
アドリブ、連携歓迎。
見張りに聞かれる恐れが無くなったら
「私達は、貴殿方を助ける為に敢えて捕らえられた者だ。
脱出の算段はつけてある。どうか安心して欲しい」
と、要点から単刀直入に説明する。
我等だけでなく、仲間達が外部でも行動している。
ここにいても事態は好転しない。勇気を出して逃走して欲しい。
【士気高揚】を使用する。
騒ぎが起きるまで警戒されるのは危険。なるべく静かに。
連れ込まれるまでの記憶を頼りに逃走経路を想定。人々に伝える。
静かに解錠を試み、猶予が無ければ破壊する。
逃走時、他にも牢が無いか確認。捕らわれた全員を助けられる様に捜索しよう。
●
「あーっ、肩凝った! でも、バッチリ潜り込めたわね!」
周囲に見張りのような存在がいないことを確かめると、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は陰鬱な場の空気を吹き飛ばすような明るい声で笑顔を見せた。
声量こそ控えているものの、ぐりんぐりんと肩を回しながらのディアナの声に、閉じ込められていた一般人たちは何を言っているのだろうかとばかりに互いの顔を見合った。
「私達、パリの機械化を進めている勢力の敵なの。つまり、機械化反対を唱えて捕まっちゃってるあなた達の味方ね」
「私達は、貴殿方を助ける為に敢えて捕らえられた者だ。脱出の算段はつけてある。どうか安心して欲しい」
何か問いたげな気配を見せる人々に軽い口調で言ってのけるディアナの言葉を補強するするように、同じく牢に放り込まれたラシュレイ・ローレン(人間の妖精騎士・g04074)も力強く頷いてみせる。
「これから仲間と一緒にこの施設を壊すわ! 今のうちに逃げてくれる?」
「に、逃げるって言っても……」
突然飛び出してきた言葉に戸惑うように、一人の女性は不安げな声を漏らす。
多少なり牢で過ごしている内に、この工場の異質さを感じ取っていたのだろう。
そんな場から逃げろと言われても出来るとは思えない――そんな意図を人々の表情から読み解くと、ディアナはそれを軽く笑い飛ばした。
「連中が普通じゃないのは分かってるみたいだけれど、じゃあ私たちも普通じゃないっていったら、ちょっと頑張ってくれるかしら?」
言葉と共に、視線を自身の手首……手錠をかけられ拘束されたそれへ向ける。
誘拐犯は反社会的勢力の者とはいえ、所詮ディアボロスなんて存在を知る筈もなく、拘束の手段は一般人に施すそれと変わらない。
すなわち、こんな物は自称軍師にとっては拘束具には成りえないということである。
ふん、と小さく息を吐き出すと共に両手を左右へ広げるように動かす。その挙動だけで、彼女の動きを封じた気になっていた手錠は簡単に千切れてしまう。
その光景に、囚われていた人々の目が驚きに見開かれた。
屈強な男でも破壊できなかった手錠を難なく壊してみせた銀糸の女、そしてその隣で同様に手錠を破壊した美丈夫の姿に、彼らに従っていればあるいは――という希望が人々の中に芽生えたのを、二人のディアボロスは確かに感じた。
「この施設を破壊しようとしているのは我等だけではない。仲間たちも外部で行動している。
ここにいても事態は好転しない。どうか、勇気を出して逃走してほしい」
ラシュレイが重ねて告げる騎士の矜持を乗せた言葉には、必ず人々を助け出すという決意を込めた熱があった。
「……そっちの兄さんの言うとおりだ。ずっとここにいたって連中が出してくれる訳もない。だったら、この人たちを信じてみないか、皆!」
「そ、そうだ! 何されるか分からないなら、いっそ逃げちまおう!」
言葉の熱は、心に伝搬する。
一人の男が振り絞った声を呼び水に、牢の中の人々は次々と逃げる決意を固めたようだ。
「拘束プレイって、――ステキよねぇ? 縛られてるのが若くて力もあって元気な男の子ならなおさら背徳感と征服欲が満たされるものね」
次々に脱出の決意の言葉が吐き出されていく中、不意に牢の外から聞こえてきた男の声に、人々はぎょっとした表情と共に視線をそちらへ。
向けられた視線にウインクを返して見せたのは、どこか女性的な気配を持つ浅黒い肌の男、一蝶・信志(シンディ・g04443)。
「安心してほしい。私たちの仲間だ」
ラシュレイのフォローの言葉に、人々は安堵の息を一つ。そういうこと、と紹介された信志はもう一度ウインクを牢の中へ投げかけつつ。
「安心なさいな、双方の合意があって初めて成立するものを無理強いする赤ちゃんみたいな人権意識が相手なら、俺としても巻き込まれただけの子を放っておけないもの」
クロノヴェーダがやることに言ってもしょうがないケドね。そんな風にうそぶくと、彼はそのまま牢の鍵穴に針金のようなものを突っ込み開錠を試みる。
残留効果により一時間もあれば突破は可能であろうが、もしかしたら普通に壊してしまった方が早いかもしれない。
そうは思いつつも折角の残留効果である。見張りの類も来る様子はないため、完全に準備が整うまでは鍵穴との格闘を続けることにする。
「さて。この鍵が開いたら脱出することになる。ルートは今ディアナ殿が地図を起こしているからそれを頼りにして欲しい。一蝶殿、一番記憶が新しいのは貴殿だ、鍵を開けたら地図の補完を頼みたい」
「任せといて」
その間にも、牢の中では淡々と脱出の準備が整えられていた。
牢を出て、工場内に騒ぎが起きるからそれに乗じてルート通りに脱出する――ラシュレイが指示する言葉は端的なものであったが、脱出で頭が一杯である人々にとってはこの要点のみの説明はかえって受け入れやすいもののようであった。
その脇で記憶を頼りに簡易の地図を書き上げたディアナはそれをラシュレイ、信志双方に見せ、大きな相違がないことを確かめた上で年長者の男に手渡す。
そうこうしている内に、信志もまた己の仕事を成し遂げた。かちん、と小さな音を立てると共に、牢屋の扉を開くことに成功したのだ。
「みんな、力を振り絞って立って! 逃げ遅れてる子はいない?」
ラシュレイが周囲に同様の牢がないか確認している間、最終確認とばかりに呼びかけられた信志の言葉に、人々は大丈夫だとディアボロスたちに頷いてみせた。
「途中まで先導する。ついてきて! ……あと、暫く機械の悪口は心の中だけでね」
どこか茶化すようなディアナの声に勇気づけられたか、人々は先導する彼女の背を信じて走り始めた。
道中、他にもいくつか点在していた牢をラシュレイとそちらに放り込まれていた別のディアボロスが解放し、また数名の一般人を合流させる。
そうやってしばらく秘密工場の中を進んでいると、突如、通路の奥……出口と目される地点とは別の方角から爆発音が響いてきた。
「大丈夫、皆で元気に帰るわよ!」
「ここが崩れる前に脱出するよ! 流れ弾は俺が全部防ぐから、みんなは安心してお逃げなさい」
不安げに音のした方角へ視線を向ける人々を勇気づけるようにディアナと信志が呼びかけ、構わずに脱出するようにもう一度促した。
ディアボロスたちにはこの音の正体は分かっている。他の味方たちが、敵の注意を引くべく交戦を開始したのだ。
一度戦闘が始まれば、ディアボロス排除のため敵はそちらへ戦力を集める。そうなれば、人々にクロノヴェーダの脅威が迫る可能性はほぼなくなるだろう。
「……ご、ご無事で!」
ディアボロスたちにも、この場でまだやることがあるのだろう。
そう察した人々は、一言激励の言葉を投げかけると、手元の地図を頼りに早足に脱出ルートを進んでいき、通路の角を曲がってその姿を消した。
ここまでやれば、彼らはもう自力で脱出してくれる。
後は、もう一つの目的を達成するだけだ。
ディアボロスたちは改めて視線を通路の奥……他の味方がすでに戦い始めているだろう、戦場の方角へと向けるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
マティアス・シュトローマー
アドリブ連携歓迎
さすが!上手く潜入してくれた仲間のお陰で秘密工場の場所はバッチリ
まずは厄介な警備から片付けさせてもらおうか
敵は機動力に難あり。その代わり多彩な砲撃を行えるんだっけ? それなら——
仲間とタイミングを合わせてパラドクスを発動。【エアライド】で宙を蹴り衝撃波を伴う一撃をお見舞いするよ
反撃はキャタピラでの全力走行か
工場内は広くはないとはいえ、【地形の利用】で障害物を足場にアクロバットな動きができれば敵を翻弄しつつ攻撃を躱せるはず。もちろん【エアライド】も継続して使用
ここは仲間が動き易いよう、派手な動きで陽動に努めよう
アンネリーゼ・ゾンマーフェルト
アドリブ連携歓迎
機械化ドイツ帝国が滅びても、ゾルダートという忌み子は残り続ける
その全てを駆逐するために私は戦うわ
あの国に生を受け、人体機械化技術を扱った技術者の一人として──けじめをつけるのよ
救援機動力で現場に到着し、私自身の【発明】品≪対ゾルダート電磁銃≫を手に戦う
作戦進行状況は【パラドクス通信】で仲間に適宜伝えるわ
敵に狙いをつけたら、跳ね回る人造稲妻の【連射】──『#電磁 #広域放電 #感電注意』で攻撃を仕掛けましょう
広いとは言えない空間の中を跳ね回る電撃は、容易には回避できないはずよ
ゾルダートの回路をショートさせてやりましょう
反撃に対しては電磁銃の【弾幕】で牽制し、退避を目論みましょう
●
少しだけ、場の時間を巻き戻す。
ディアナたちが秘密工場に連れ込まれたことにより、ディアボロスたちは容易にこの場に侵入できるようになっていた。
「さすが! 上手く潜入してくれた仲間のお陰で秘密工場の場所はバッチリ」
外界に続く扉を静かに開き、工場への侵入を果たしたマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)が、パチンと小さく指を鳴らす。
入った瞬間から感じる独特の緊張感のようなものは、ここがクロノヴェーダが悪事と働く場所だと確信するには充分だ。
共に侵入していた信志が一般人の脱出を手伝うために別行動をとると、場に残されたマティアスとアンネリーゼ・ゾンマーフェルト(シュタールプロフェート・g06305)は信志とは逆の方角を選んで通路を進む。
無論、工場側の警備もザルというわけではない。殺風景な通路をただ進んでいけば程なくして侵入者の存在に気が付いた警備兵たちが集まってくる。
二人は敵の目を集めるよう、あえてどこかへ隠れることはしないまま警備から逃げるように走り続けていたが、やがて倉庫として使われていた一室へと追い込まれてしまう。
「捕縛シーケンスへ移行する」
パラドクス通信を介して一般人の解放に動く仲間たちに連絡を取りつつも、アンネリーゼがゾルダート……『シュプールフート・クリーガー』へ向ける視線は徐々に鋭くなっていく。
機械化ドイツ帝国が滅びた後も今なお残り続ける、悪意に満ちた忌子。その全てを駆逐するため、彼女は今ここにいる。
これはけじめだ。ドイツ帝国で生を受け、そして人体機械化技術の礎を築いた技術者の一人としてなさねばならない、彼女のけじめ。
「抵抗確認。排除へ移行」
その決意を込めた視線を、どうやら相手は抵抗の意図と受け取ったようだ。
人間戦車のゾルダートは脚部のキャタピラを激しく回転させ、追い込んだ鼠をそのまま轢殺すべく一気に距離を詰めてくる。
両の耳と妖狐の二尾、都合四つの器官がドイツ帝国の遺物へ敵意を向ける中、アンネリーゼは流れるような手つきで対ゾルダート用の電磁銃を構えた。
「電磁銃、出力安定。敵味方識別よし。広域放電開始よ!」
腰だめに構えられた銃口が一度見得を切るように明滅。然るのちに空間を切り裂く音と共に飛来する人造の稲妻に、人間戦車たちの目に当たる部位が動揺を表すように何度も点滅を繰り返す。
「敵性存在、パラドクス使用確認。至急応援を求む」
事ここにきて目の前の存在がただの人間ではないことに気付いたのだろう。どこかに応援を要請する声を周囲に響かせつつも、人間戦車はなおも浴びせられる電撃を振り切るようにキャタピラを加速。
多少のダメージは飲みこんだ上で速度と重量に任せたぶちかましでアンネローゼを黙らせようという意図が恐らくそこにはある。
(「回路のショートは望めないみたいね」)
いくら外見が機械とはいえ、相手はクロノヴェーダという超常存在だ、ということだろう。
その辺りの都合はディアボロスと同じだ。仮に全身機械化されたディアボロスがいたとて、そいつだけが電撃に殊更弱くなる訳ではない。
「右に飛ぶんだ!」
このままでは撥ね飛ばされる。アンネリーゼの脳裏に浮かんだその危機を、横合いから響くマティアスの声が救った。
弾かれたように右へ。跳躍先に転がっている荷箱の存在に言葉の意味を理解すれば、荷箱を足場にもう一度、そして足場も何もない空中で、もう一度空気を蹴って跳躍する。
これによって、アンネリーゼは床をひた走る人間戦車を飛び越え突進を回避。
着地と共に視線をマティアスへ向けると、同様のアクロバティックな動きで敵を飛び越えていたオレンジ髪のトリックスターの両腕には、いつの間にか鋼鉄の籠手が纏われていた。
「Leck mich am Arsch!」
失せろ、という意志を込めて振るわれた嵐のような乱打が、したたかに人間戦車たちの背中を打ち据える。
突き立てられた拳と共に外部装甲に伝播する衝撃が骨を砕くような音を立てて金属の装甲を歪ませると、背面からのその一撃にバランスを崩したか、ゾルダートたちは体勢を立て直すことが出来ずそのまま横転。
戦車のような外観に反して復帰そのものは器用かつ速やかに行われたが、その一瞬はディアボロスたちが体勢を立て直すのにも十分な時間である。
「このまま仲間が動き易いように、派手に暴れてようか」
「ええ。向こうの脱出は始まってるみたい。すぐに応援が来てくれると思う」
ならば、ここが踏ん張りどころだろう。
顕現した鋼鉄の籠手そのままにマティアスが一歩前に出て、それを援護するようにアンネローゼが電磁銃を構える。
応援要請を受け徐々に数を増やしていく敵にも、その姿を今度こそ捉えんと迫りくるキャタピラの音にも、二人は一歩も譲ることなく床を蹴った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
機械化ドイツ帝国では多くの同胞達が切り刻まれ、捨て石部隊に仕立て上げられた。
あんな惨劇は二度と繰り返させてはならない。……たとえそれが、元敵国民のフランス人だったとしてもだ。
●行動
【飛翔】し空対地攻撃。
狭い施設内でも問題は無い。地下空間でも飛んだ経験はある。
【空中戦】技能と【地形の利用】を併用し、天井のパイプ等があればそれらを縫う様に飛んで遮蔽物に使い、
壁や天井を蹴って変則的な空中機動で敵を翻弄する。
【制圧射撃】で敵の出鼻を挫き、【一撃離脱】【戦闘知識】を活かした急降下攻撃と反転・反復攻撃を繰り返して敵の頭数を減らして行く。
……仕えるべき祖国を捨てて敵国に鞍替えか?恥知らずの鉄屑どもめ!
ラシュレイ・ローレン
アドリブ、連携歓迎。
戦闘している仲間の元へ駆け付ける。すまない、遅くなった。
囚われた人々は解き放った。今、逃走中だ。
後は敵を食い止め殲滅するのみ。いざ、参る!
兵器と融合された人間の姿が、これほどに哀しく恐ろしいものとは。この様な存在を生み出す改造計画、必ずや阻止してみせよう。
【黄金騎士】使用、剣や盾、全身鎧を召喚、身構える。
盾を構えて砲撃に備えつつ、突入接近戦を挑む。
「強打」「斬撃」「貫通撃」。間接部等、装甲の薄い部分に渾身の剣撃を叩き込む。
一つ所に居着かぬ迅雷の動きで「一撃離脱」し、敵を撹乱。反撃に備える。素早く身をかわし突進を回避。通路が狭く退路がなければ「ジャンプ」し飛び越えてかわそう。
「すまない、遅くなった!」
数に任せて猛攻を続けるゾルダートたちを相手に奮闘を続けるアンネリーゼとマティアスの耳に、ラシュレイ・ローレン(人間の妖精騎士・g04074)の力強い声が届く。
「囚われていた人々は解き放った。今、逃走中だ」
二人が一番気にしているであろう一般人の無事を告げ、ラシュレイが剣を抜き放つと同時に、その剣や彼の纏う防具が黄金の輝きを宿す。
光の届かない地下の一室であるにもかかわらず相対する物の視界を焼くような輝きを誇る黄金は、その輝きに恥じぬ矜持に応じ、振るう戦技を迅雷たらしめる。
「いざ、参る!」
マティアスたちの奮戦によりすでに消耗していた個体へ狙いを定め、黄金の輝きと共にラシュレイが地を蹴った。
迷いなきその踏み込みに、ゾルダートたちが一瞬の迷いを見せる気配。
遅い。愛用の剣が三度閃くと、一瞬の後にそれを斬撃と認識した三体のゾルダートが関節や既に損壊した装甲に感じる重い一撃へ苦悶を表現するように小さく体を震わせた。
「ギ……!」
既に相応にダメージも蓄積していたのだろう。斬撃を受けた二体がその威力に耐えきることが出来ず爆発する中、かろうじてまだ行動できるだけの余地を残した一体が最後のあがきとばかりにラシュレイへと突撃。
自身の命を守る心すら失い、特攻じみた攻勢を仕掛けてくるその姿に、ラシュレイは哀れみと恐ろしさを感じずにはいられない。
これが兵器と融合された人間の成れの果てだ。
守るべき命も、生きたいと願う人々の心すらも、何もかもを踏みにじる悪趣味な改造計画は必ず阻止してみせる。
それは、物語のような英雄を志す男が心底に据える、揺るぎなき正義の気持ち。
それを示すためにも、ここで膝などついてはいられない。
猛進する機械の獣を前に、黄金の騎士は一歩も退く気配を見せず、前へ。
狭い屋内であるが故に逃げ道を塞いだつもりで加速を続けるゾルダートの肩へと跳躍すると、それを足場に敵の突撃を飛び越えてみせる。
頭上を飛び越すその華麗な動きにゾルダートの視線が上空へ向くと、その視線の先で、ラシュレイと入れ替わるように赤い女の姿が割り込んだ。
それを認識すると同時、エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)が構えたマシンピストルから降り注ぐ銃弾の雨が、人型戦車へ降り注いだ。
閉所という環境を物ともせず、鳥のように飛び回るエリザベータをラシュレイよりも先に排除しなければならないと判断したか、ゾルダートはキャタピラを更に駆動。
クロノヴェーダやディアボロス以外の存在であれば、直後目の前に広がる現象に目を見開いていただろう。
鎌首をもたげるようにわずかに上部へ向けられた人型戦車のキャタピラはそのまま宙を噛み、物理法則の合切を無視して自在に宙を飛び回りながらエリザベータを轢き殺してしまおうと迫っていくのだ。
だが、餅は餅屋だ。キャタピラで悪路を踏み倒し地上を走破することが戦車の領分であるならば、空中は航空突撃兵たるエリザベータの領分である。
迫るキャタピラの音を、天井を蹴り壁面へ飛び退ることで回避。
回避した先へ素早く視線を向け突進の方向を転換する相手を嘲笑うように、逆側面へ更に跳躍。
敵が方向を転換するたびに天井、壁面、地面、四方へ飛び退る機動を取ると、最早人間戦車はその挙動に追いつくことが出来ないようで、当てずっぽうに動いているとしか見えない挙動を見せるのみだ。
(「あんな惨劇は二度と繰り返させてはならない」)
一度着地したエリザベータを質量に任せて押しつぶすべく上空から襲い掛かる人型戦車を、ハンガリー王の剣はその機動力を以て回避し頭上を取る。
一瞬にして彼我の位置が入れ替わったような錯覚。踏みつぶすべき敵を見失った人型戦車が相対する敵を求めて周囲に視線をやるのを見下ろしながら、エリザベータは静かに破砕槌を構えた。
脳裏に浮かぶのは、彼女と共に飛んだ多くの同胞たち。
機械化ドイツ帝国では多くの同胞が切り刻まれ、捨て石部隊として仕立て上げられた。
そんな存在を、これ以上増やしてはいけない……たとえそれが、元は敵国の民である、フランスの人間であったとしてもだ。
「恥知らずの、鉄屑どもめ!」
敵の視線が上空――こちらの存在を認識すると同時、エリザベータもまた、天井を蹴っていた。
飛翔の速度と天井を蹴った勢いを加え、音にも迫る速度で飛来する女の姿が、ゾルダートの視界を一瞬で埋め尽くして。
炸裂音。
いぎたなくグランダルメへ逃げ延びたドイツ帝国の敗残兵へ向けた怒りが、その遺物たる人型戦車を完膚なきまでに打ち砕いた瞬間だった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
●
「ふむ、困ったな。被検体を集めろとは言ったが、ディアボロスが混ざってくるとは想定外だった」
その後も次々に襲い来るゾルダートを翻弄しながら打ち倒していくディアボロスたちの耳に、不意にかつんと靴音が響く。
視線をそちらへ向ける。立っていたのはマントの裏に様々な医療器具を隠し持つ、冷たい視線を湛える男――アヴァタール、『ドクター・ピネル』
「折角ゾルダートたちの数も増え、工場としても軌道に乗ってきたというのに、何もかもがご破算だ。この落とし前、どうつけてくれるんだい」
怜悧な視線の中に僅かに苛立ちのような気配を交え、ピネルはディアボロスと、その足元に転がるゾルダートたちの亡骸を順に見て、小さくため息。
「……まあいい。減ってしまったゾルダートは、君たちで補填させてもらおう」
あまり抵抗してくれるなよ。その言葉と共に、悪意に囚われた医師が武器を構えた。
一・百
※アドリブ連携歓迎
前にも一度戦ったが、人形が機械を従えるようになるとはな…
いや、人形が人間を機械にしてるのか
(人の尊厳を穢す行いに苛立ちを感じてる)
まぁ、いい…
さっさと片付ければ同じだ…
紅玉姫を抜きパラドクスで攻撃
先ずは見えない氷刃を飛ばし氷華を咲かす
人形といえど関節が凍り付けばまともに動くことは叶わないだろう…
お前は何人刻んだんだ…
正面よりジンのキューコン(狼程の九尾銀狐)で気を引き後方に回り込み
パラドクスの妖気を纏わせた刀で首を落とすつもりで
後は肉薄しメスなどはキューの伸縮する尾で受け直接は斬らせない
ダメージには耐え常に斬り込む姿勢で
悪いが、こういった戦い方しかしらないんだ…
ディアナ・レーヴェ
アドリブ連携◎
※元機械化ドイツの軍人です
ゾルダートを倒したディアボロス達に敵の目が向いている隙に(出遅れない程度の短時間だけ)物陰から【完全視界】【観察】
で、火砲を手に【不意打ち】狙いの【Rat】――あなた、WIZで似たような戦術を仕掛けてきてるみたいだけど、さてどっちの戦術眼が上かしら!
機械化、ね
覚悟と必要性があって、リスクがそれに見合うと思う人だけやればいい
…サイボーグ自体は、私は否定しないわ
でも、碌に説明もしないで――ていうか一足飛びに脳改造までもってくあなた達のやり口だけは、本気で気に入らないのよっ!
反撃は、針の刺さった瞬間に地を蹴って大きく動き、少しでも入る呪毒の量を減らすよう試みる
●
(「前にも一度戦ったが、人形が機械を従えるようになるとはな……」)
武器を構えたままの姿勢で少しずつこちらとの距離を詰めてくるドクター・ピネルの姿を前に、一・百(気まぐれな狐・g04201)の表情に揺らぎはない。
けれど、内心渦巻く苛立ちだけは、どうにも抑えられそうにない。
人形が人を機械とし、そしてその機械を従え更なる混乱を引き起こそうとしている。奪われるものの尊厳を踏みにじるこのクロノヴェーダの所業を考えれば、そうもなる。
「お気に召さないようだね」
変わらない百の表情に何かを感じ取ったか、投げかけられたピネルの声に、狐耳の男は静かに刃を抜き放つ。
『紅玉姫』と銘される赤い刃の切っ先をピネルへ向けると、喉から刃のような声が出た。
「お前は何人刻んだんだ……」
「沢山、さ。ヤブであるつもりはないからね」
「まぁ、いい……」
言葉の刃は刺さらない。どこか軽さすら感じる声を塞ぐように、一度目をつぶる。
「さっさと片付ければ同じだ……!」
絞り出した声に合わせて百の目が強く見開かれた瞬間、戦端が開いた。
まだ互いに刃の射程にはいない距離で百が赤刃を振るうと、ピネルの周囲の気温が明らかに落ちる。そしてその直後、彼の腕や肩の関節を中心に、氷の華が咲いた。
光を透過するほどの純度を持つ氷の刃を飛ばしてきたのか。
突然の現象に、しかしピネルの表情には冷静さがある。
『キューコン』と名された百のジンが正面から突撃してくる影で、百本人が背面を取るように静かに移動する様子を視界に収め、次は挟撃か何かか、と動きを組み立てる。
「側面、がら空きよ!」
ピネルのその思考に割り込むように、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)が抱える巨大な砲が火を噴いた。
飛来する弾丸にピネルの意識は即応したが、迎撃のために動かすはずの手の動きが鈍い。百によって凍らされた関節部が動きを阻害しているのだ。
「見積もりが甘いみたいね、ドクター。随分と頭がおよろしいみたいだけど、さてどっちの戦術眼が上かしら!」
(「氷など、簡単に振り解けると思っていたが」)
女の言う通り、甘かったということか。腹部へ突き刺さった弾丸が炸裂し生まれた爆発の中、ピネルはディアボロスという存在への警戒度を大きく引き上げる。
その間にも百はキューコンと敵を挟撃するような位置を取ると、爆発に飲み込まれたピネルへ追撃を見舞うべく、一気に距離を詰めていく。
「悪いが、こういった戦い方しかしらないんだ……」
「別に卑怯とは言わないさ。だが、関節を凍らせた程度で動きを止めたとは思わない方がいい」
声と共に、爆炎を割るように幾つもの影が飛び出した。
正面のキューコンへは巨大な鋏が、油断なく次弾を装填するディアナへは呪毒を孕んだ注射器が、そして百へはピネル本人がメスを構え飛び掛かる。
飛来する鋏をキューコンが弾いているのを視界の奥に、百の視線はピネルへ施した氷華へ。
恐らく強引に砕き割るか何かして戒めから抜け出たのだろう。一部は肉体に突き刺さっているようだが、それでもこの瞬間、氷は拘束具たり得ない。
背後では主人を守ろうとキューコンが尾を伸ばそうとしているが、挟撃を選んだ以上、盾たるそれが百の目の前に届くには時間がかかる。
風を切り裂くような速さでピネルの持つメスが閃いて、そのたびに百の身体に次々と切り傷が生まれていく。
けれど、構わないとばかりに妖狐は強く踏み込んだ。
生まれる痛みにも流れる血にも怯むことなく振るわれた刃を、ピネルはメスで一度受け、続く横薙ぎの連撃を左へ跳び退ることで回避する。
「しかし何故君たちはここに攻めてきた? 別に仲間がゾルダートに改造された訳でもないのだろう」
「……サイボーグ自体は、私は否定しないわ」
ダメージ状況を確認しながら問いを投げたピネルに、ディアナが応えた。
飛来した注射針が腕に突き立てられた瞬間、注射器を叩き落とし体内に侵入する呪毒の量を減らしたようで、その表情にはまだ余裕が感じられる。
ともあれ、機械化そのものはディアナも容認できるものではある。
必要なものは、それを受け入れるだけの理由と覚悟。起こりうるリスクを飲みこんだ上で尚それをしたいと思う人間だけが、それを行えばいい。
「でも、碌に説明もしないで――ていうか一足飛びに脳改造までもってくあなた達のやり口だけは、本気で気に入らないのよっ!」
「成程、義憤。私には解せないが、それを理由とする存在がいることは知っているよ」
言葉の応酬を続ける間に、百はディアナの隣へ。刻まれた傷は多いが、まだ気力も体力も充分に戦えるだけの余地がある。
(「もう一度相手の視界を塞ぐから、そこを狙って」)
端的に隣の百へ伝え、ディアナはもう一度手元の重キャノンから弾丸を放つ。
真正面からのその攻撃をピネルは迷わずメスで迎撃。
爆発する弾丸から生まれた煙が彼我を遮った瞬間、再度百は地を蹴った。
戦いはまだ、始まったばかりだ。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【完全視界】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
マティアス・シュトローマー
アドリブ連携歓迎
へえ、自動人形がゾルダートにご執心だなんて
目の付け所は面白いけど、祖国の悪き技術はここできっちり潰させてもらうよ
仲間とタイミングを合わせてパラドクスを発動。七発の弾丸が狙うのは頭部や脚、仲間の攻撃で脆くなった部分等の弱点。敵はアヴァタール級。油断せずに効率的にダメージを与えていきたい
生きたまま解剖される趣味は無いんだ
反撃は【飛翔/エアライド】でギリギリまで引き付けて躱す。工場内の障害物を【地形の利用】で足場にし、狭い中でも大きく動けるようにすればより安心かな。間に合わなければ【臨機応変】に銃で迎撃を
落とし前なら言われなくてもちゃんと付けるつもりさ。クロノヴェーダを倒す事でね
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
お前は……お前もゾルダートか?それとも自動人形?
……どちらにしたって同じか。人の血肉を弄び、人の尊厳を切り刻む……そんな暴挙は赦してはおけない。
これから解体されるのは、お前の方だ!
●行動
【飛翔】し立体的に敵を強襲する。
先程までと同様【地形の利用】を活かした壁蹴り、天井蹴りに加え、【空中戦】技能と【戦闘知識】をフル活用。
【一撃離脱】で飛び回って撹乱しつつ、
周囲の友軍との連携を念頭に、敵が味方を狙う素振りを見せれば【制圧射撃】で出鼻を挫いたり姿勢を崩させたりして
有効な攻撃を行えない様にして味方を援護。
無論、攻め手を緩めるつもりもない。
隙あらばダイブアンドズームから爆撃槌を叩き込んでやるわ。
アンネリーゼ・ゾンマーフェルト
どこの国にも、あなたのような手合いはいるようね
人の命を実験材料としか考えていない、狂った技術者――吐き気を催すわ
工匠としての誇りにかけて、あなたを打倒するわよ!
【トラップ生成】を発動し、周囲をトラップ地帯へと変化
敵の行く先々に強い粘着性を持つシートや視認性の低い網を展開し
立ち回りがしづらくなり、隙が出来るように仕向けて行くわ
トラップへの対処で敵の意識が少しでも散漫になった瞬間や
仲間の攻撃を受けた後を狙って『#捕縛 #運搬 #弱点追撃』を発動よ
捕縛するや否や≪対ゾルダート電磁銃≫の連射を浴びせてやるわ!
この工場と運命を共にしなさい!
反撃の刃は≪リヒトシュヴェーアト≫で切り払って傷を抑えましょう
「どこの国にも、あなたのような手合いはいるようね」
百とディアナの猛攻に一歩も引かずメスを振るい続けるピネルの視線が、声の主――アンネリーゼ・ゾンマーフェルト(シュタールプロフェート・g06305)へ向けられる。
その挙動に合わせ、交戦を続けていた二人は一度敵から距離を取った。選手交代という奴だ。
「工匠としての誇りにかけて、あなたを打倒するわよ!」
「誇り、ハハ。いい言葉だ。つまりそれをくすぐってやれば、君のような輩はいくらでも釣れる訳だ」
怒りに満ちた少女の声を冷酷に近い無表情で受け止めてると、ピネルは次の狙いをアンネリーゼと定めたか、コツリと足音を響かせ彼女の方へ一歩踏み出す。
その一歩目で何かに引っ掛かったように頭が後ろに引っ張られる感覚。周囲を見渡せば、いつの間に展開していたのか、細い網のようなものが周囲に張り巡らされているのが見えた。
「……面倒な」
構わず、ピネルは大きく踏み込んだ。トラップ生成によって仕掛けられた罠そのものはパラドクスではない以上、クロノヴェーダやディアボロスにとって脅威にはならない。
それを示すように、突進と共に振るわれるメスが周囲に張り巡らされた網を易々と斬り裂いていき、ピネルの動きにさほどの影響を与えていないようだ。
同様に網が設置されたタイミングに合わせて張り巡らされた粘着性のシートも、足の周りの物理法則を書き換えているのか相手の足に絡みつく様子はない。
一瞬で距離が詰まる。アンネリーゼはバックステップでその場を退きつつレーザーブレードで次々に振るわれるメスを受け止めていくが、相手の神速のメスさばきは簡単に抑えきれるものでもない。
どの傷も致命傷には程遠いが、その体にはすでにいくつもの血の華が咲いている。
「誇りとやらが私を打倒するのではないのかい? そら、解体してしまうよ」
揶揄するような言葉と共に、ピネルは少女へもう一歩踏み込み追撃の刃を振るおうとし……突如足を止めた。
その直後、アンネリーゼとピネルを分断するように弾丸の雨が上空から降り注ぐ。
「これから解体されるのは、お前の方だ、自動人形!」
激情と共に、頭上から爆撃槌を携えたエリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)が降ってくる。
人の血肉を弄び、人の尊厳を切り刻む……そんな暴挙は赦してはおけない。
そんな、この場のディアボロス全てが持つ憤りを込めて振り下ろされた槌を、ピネルは舌打ちと共にメスで受け止める。
炸裂音。メスと槌の衝突で散った火花が槌内の機構に着火し、周囲の荷物箱が易々と吹き飛ばされるほどの爆発がピネルを容赦なく打ち据える。
「っち、こんな狭い所で器用に飛ぶものだね」
爆発の勢いに乗ってエリザベータは敵の刃から逃れようと飛翔能力を働かせるが、ピネルの追撃もまた早い。
彼がすかさずマントの裏から取り出した鋏がしゃりん、と一つ音を立てた。
その音に付随して生まれた左手の痛みに、表情をさらに険しくしながらエリザベータはピネルの上空を取る。
手元を見ずともわかる。手の甲の辺りに刃を突き立てられ、そしてそのまま骨に沿うよう肉を切られているのだ。どう切れば容易に敵を刻めるか、それを熟知しているのは流石医者を模したクロノヴェーダといったところだろう。
とはいえ、手が断たれた訳ではない。銃を持つことも槌を振るうこともできるのであれば、まだ戦うことに支障はない。
「生憎、生きたまま解剖される趣味は無いんだ。それに落とし前なら言われなくてもちゃんと付けるつもりさ。クロノヴェーダを倒す事でね」
頭上のエリザベータとしばしの睨み合いを続けていたピネルの視線が、その言葉と共に黒のハンドガンを構えたマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)へ向く。
「君にその趣味が無くても、私の目の前にいるのならば素体となるのはもう決まっているようなものだよ?」
一見何の変哲もないハンドガンだが、どんな攻撃の起点となるかは分からない。早めに潰した方がよいと判断したか、ピネルはカツンと踵を鳴らし、その勢いで躍るように宙を駆けた。
当然、それを見逃すエリザベータではない。
機先を制するように頭上また弾丸が降り注いでいくが、今度はピネルが彼女のお株を奪う番だ。壁や天井へ跳び退る軌道で飛来する弾丸を回避し、瞬く間にマティアスへ肉薄。
とはいえエリザベータの牽制が稼いだ時間で、敵の挙動への動きを組み立てる猶予は出来ている。
刃が届く一瞬前に後ろへ退くと、追いかけるように投擲された鋏を銃の台座で叩き落しつつ荷箱を足場に跳躍、鋏の影に隠れていたもう一本の針を飛び越える。
「それにしても、自動人形がゾルダートにご執心だなんてね」
「それがどうかしたのかい? 折角の技術、有効活用しない手はない」
「いや、目の付け所は面白いけど、玩具に夢中になり過ぎるのもね」
立て続けに投擲される幾本もの刃を空中を蹴る挙動を織り交ぜ交わしながら、マティアスが不意に投げかけてきた言葉。
その意味が理解できず更に言葉を重ねようと口を開きかけたピネルであったが、次の瞬間、突如メスを持つ自身の右腕が宙に持ちあげられるように動き出したことに驚きの表情を浮かべた。
視線を上へ。何らかの機械が頑丈なワイヤーで腕を捉え、そのまま上空へ吊り上げようとしているのが見える。
「黙って聞いていれば人の命を実験材料としか考えていない、その狂った技術者倫理――吐き気を催しそうね」
直後、嫌悪を隠さない声が耳を打つと同時、強烈な電撃にピネルの身体が悲鳴を上げるように痙攣した。
明滅する視界で声の方を向く。
そこには、鋭い視線でピネルを睨みながら電磁銃のトリガーを引き続けるアンネリーゼの姿。
躍るように攻撃を避け続けるマティアスへとピネルの意識が染まった瞬間、彼女が呼び出したドローン部隊が捕縛用ワイヤーでその右腕を捕らえ、更に妖狐の少女が銃による攻撃を浴びせた。
言葉にすればそれで終わりの現象ではあるが、次々に浴びせかけられる電撃によるダメージは中々ピネルに理解を許してくれない。
「この工場と運命を共にしなさい!」
「そういうこと。祖国の悪き技術はここできっちり潰させてもらうよ」
腹に力を籠め、全力で電撃とワイヤーを振り払ったピネルへ向けて、ディアボロスの声と共に銃声が一つ、投げかけらえた。
それがマティアスの構えた銃からの物であると判断したか、ピネルは電撃によって煙を吹き出す体を無視し飛来するであろう弾丸への警戒を強める。
その動きは間違っていない。
だが、彼にとって誤算であったのは、響いた銃声が一つであるのに反し、飛来する弾丸が七つあったことだろう。
「な……!?」
一打ち七つ。一度のトリガーで同時に放たれた弾丸たちは、それを叩き落そうと振るわれるメスの動きを嘲笑うように飛び回り、各々が敵の弱点とみなした部位へ殺到する。
頭部に、間接に、足に。全く同じタイミングで生まれた銃弾によるダメージに、ピネルは思わずたたらを踏むように後ろへ下がるのだが、踏ん張りが効かないのかそのまま尻もちをつくように床に倒れ込んだ。
「貴様ら……!」
最早自動人形の表情に、冷静さを取り繕う余裕は存在しない。
何とか立ち上がったピネルにまだ戦う力は残っているようであるが、それでもあともう一押しだ。
場のディアボロス全てが、それを確信する。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【アヴォイド】がLV2になった!
【ドレイン】LV1が発生!
ラシュレイ・ローレン
アドリブ、連携歓迎。
【竜騎士の鎗】を使用しランスを召喚。【防衛ライン】を展開する。貴公はここで打ち倒す。よもや逃げるとは言うまいな。
人々はもう逃げられただろうか。援護してくれている仲間がいるならパラドクス通信で確認する。
盾と鎗を構え、ランスチャージを仕掛ける。石突きからの魔力の噴射で突進力を高めた「貫通撃」。渾身の力を穂先に集中させ貫く。
そのままランスを手放し、敵を吹き飛ばす。
背後に武器を隠している情報は得ている。反撃を警戒。
即座に剣を抜き切り払い、盾と鎧で防御する。
例え毒を食らおうとも、背後に守るべき人々がいる限り倒れる訳にはいかない。
貴公の培った邪なる技術、ここで断たせて貰う。
「貴公はここで打ち倒す。よもや逃げるとは言うまいな」
歯をむき出す程の険しい表情でディアボロスたちを睨むピネルの前に立ったラシュレイ・ローレン(人間の妖精騎士・g04074)が、光り輝く槍を構え、静かに告げた。
すでに彼の背後にある通路は残留効果により封鎖済み。万が一にもピネルが逃げを打とうとしても、場のディアボロスを倒しきらない限りそれは叶わない状況が完成している。
「やってみたまえよ、ディアボロス……!」
言葉と同時に、ラシュレイとピネル、二人は同時に地を蹴る。
距離が詰まるのは一瞬。槍の穂先がもう一歩踏み込めばピネルに届く、その瞬間を見計らい敵が動いた。
その裏に様々な器具を仕込んでいたマントが不意に膨らみ、弾丸のような勢いで何かが飛んできたのだ。
ラシュレイは大きく目を見開く。迫るそれは髑髏を模した頭を持った、蛇のような部位。ずっとマント裏の器具で戦い続けていたピネルの、奇襲のための一手だ。
(「だが」)
若き騎士はそれでも冷静だった。
例え刃で刻まれようと、毒に蝕まれようと。背後に守るべき人々がいる限り倒れる訳にはいかない。
結局の所、この交錯の明暗を分けたのはそんな背負うべき存在の有無だったのかもしれない。
髑髏の咢から注射針が覗くよりも早く、ラシュレイが携えていた盾を真横に振るい、髑髏の蛇を打ち払う。
それだけで注射針の先端は行先を失う。後は、目の前にがら空きになったピネルの姿があるだけだ。
「貴公の培った邪なる技術、ここで断たせて貰う」
厳かに告げた瞬間、盾と逆の手に構えたランス、その石突から魔力が噴出した。
爆発的な魔力全てを推進力へ変換しさらに勢いを増した突撃に、防御や回避といった行動をピネルは取ることが出来ない。
「が……!」
腹部を貫く槍の硬いな感触。そしてラシュレイが手放しても尚噴き出し続けるランスの推力に押されるように背後の壁まで吹き飛ばされれば、そのまま槍の穂先で縫い留められ磔の状態となる。
ピネルは信じられないとばかりに血走った目で周囲を見渡したが、それが彼が最後にできた行動だった。
磔のまま数度身体を痙攣させ、やがてがくりとその体が崩れ落ちる。
それがクロノヴェーダ『ドクター・ピネル』撃破の証だとばかりに、工場のあちこちから爆発音が聞こえてきた。
「人々はもう逃げられたはずだ。我々も脱出を!」
ラシュレイのその声に場のディアボロスたちは、速やかに工場から脱出していくのであった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!