【平安鬼妖地獄変奪還戦】怨毒の深潭(作者 志羽
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#平安鬼妖地獄変  #【平安鬼妖地獄変奪還戦】菅原道真  #平安鬼妖地獄変奪還戦  #ファーストアタック 

 離宮八幡宮――なまぬるい風がその者の頬を撫でると同時に、その唇は酷く歪に動く。
「怨――」
 ただその音だけを発するというのに。
「怨・怨・怨・怨怨怨怨――」
 そのすべてに込められた情動が溢れ、募り、全てを塗り潰すように発される。
 その「怨」をまき散らすものは、本来ならばこの場に祀られている菅原道真。
 かの怨霊は今は「怨」と、ただただその言葉を重ねつづけ、己の中にあるものを噴き零しているようでもあった。
 そして、菅原道真の周囲を飛び回る飛頭蛮も、またその口から怨みを零す。
「殺す、殺す――」
「この恨み晴らさずおくべきかッ!」
 この影喰ろうて、魂を引きちぎってやろうか。
 その面喰ろうて、怒りのままに撃砕してやろうか。
 それとも、この眼で裁定のままに串刺しにしてやろうか――赦されてはならぬ、赦してはならぬ。
 赦してなどやるものか。この恨みのすべてを受けなければならぬものがいるのだから。
 飛頭蛮たちは口々に、怨嗟をまき散らす。それは菅原道真に呼応するように、互いがまた口々に零すことで互いの恨みを高めて、深めて。
 ここは深潭。まだその怨みは底知れぬ。底など無く溢れ続ける。

●戦いの前に
 藤臣・明鶴(白雷・g03329)は大きな戦いがあるとただ告げる。
「平安鬼妖地獄変の断片の王である『安倍晴明』が平安鬼妖地獄変のディヴィジョンを、隣接するディヴィジョン『天正大戦国』の断片の王『織田信長』に売り渡そうとしてるっぽい」
 しかし、平安鬼妖地獄変が天正大戦国のディヴィジョンに統合されてしまえば、京都や奈良の奪還を行う事ができず、更に天正大戦国のディヴィジョンが大幅に強化されてしまうことになるのだと明鶴は言う。
「てことで、安倍晴明が平安鬼妖地獄変を売り渡す前に決戦を挑み安倍晴明を撃破、平安鬼妖地獄変の最終人類史への奪還を成し遂げなければならない、ってことなんだよな」
 それが、平安鬼妖地獄変奪還戦――これから挑むことになる戦いだ。
「平安鬼妖地獄変奪還戦では鬼や妖怪に加えて、天正大戦国の天魔武者の軍勢とも闘うことになると思う」
 ゆえに、これらの軍勢に対して戦争直前に攻撃を仕掛け、戦力を削る。それが出来れば奪還戦の機先を制することができるってわけだと明鶴は告げた。
 つまり、先に行われた奪還戦と同じように、削るだけと。
「ただ戦力はでけーから、ある程度十分につついたら引き際を間違えず撤退な! ここで倒れちゃ意味ねーし」
 てことで、行ってほしい場所の説明をするなと言葉は続く。

 向かってもらう場所は本来であれば菅原道真公を祀る霊廟である『離宮八幡宮』。
 しかし今そこに、改竄された歴史である平安鬼妖地獄変においては平安時代の貴族にして、日本史上屈指の怨霊の名を持つジェネラル級妖怪である菅原道真がいるのだ。
「歴史の授業で習ってた相手が、なんかこーして戦う相手なの不思議な感じしねぇ?」
 日本、ってとこで馴染があるのもあるだろーけどと言いつつ、明鶴は続ける。
 安倍晴明の命令によりその力の全てを封印して結界を築き、ディヴィジョン西方からの敵軍の侵攻を食い止めていたが、今その結界は解かれているのだと。
 そして、その菅原道真の周囲には丑三つ刻の怪異・幽隠の『飛頭蛮』が飛び交っていく。
 皆に倒してきてほしいのはこの『飛頭蛮』だと明鶴は言う。
「一体逸れてるのもいるかもしれねぇし、固まってるのもいるかも。あとは、やっぱ菅原道真のいる方に迎えばめっちゃいると思う」
 どう攻めるのかは、好きに――戦いたいようにと明鶴は言う。
 それぞれどう戦いたいかはあるだろうからと。

 何はともあれ、まずは戦力削ってかねーとなと言いながら明鶴は頼むと言う。
 このまま、好きにさせてしまってはいけないのだから。
「安倍晴明が天正大戦国へ降伏しちまうと、平安鬼妖地獄変は天正大戦国に統合されて、奪還できねーことになる」
 やっぱとりもどしたいじゃん、京都に奈良と明鶴は言う。
 だから、今はまずできることをと、パラドクストレインへと向かう復讐者たちを見送るのだった。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【命中アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV4 / 【反撃アップ】LV2 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

志羽
 お目通しありがとうございます、志羽です。
 受付、執筆状況などについては、マスターページ等でお知らせ予定ですのでご確認いただけると幸いです。

 集団戦、一章のみのシナリオとなります。
 「成功シナリオ数×5%」だけ、「⑬菅原道真」の敵残存率を低下させる事が出来ます。
 その戦いぶりによっては、菅原道真と対することがあるかもしれません。
 また、戦闘シナリオではありますが、戦いに対する意気込み、奪還への思いや己が持つ『怨』、持たれているであろう『怨』など、そういった心情こみこみのプレイングも大歓迎です。

 奪還戦までに完結の必要もありますので、👑達成を大幅に超えての採用はしません。
 予めご了承ください。

 以上、ご参加お待ちしております。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


レイ・シャルダン
イズル(g04960)と参加します。

ドイツ人のボクにはわからない存在ばかりではありますが。
ドイツ奪還の際には誰もが協力してくれました。
その恩は、これからの全てを持って返さなければ…。
さぁ、行きましょうイズルさん!
後ろはお任せを!

フラストデバイス『アクロヴァレリア』を点火して"飛翔"
掌に蒼き煌めく光を紡ぎ、それを光の矢へと変え
機械魔導弓に番えて敵を射ます。

あんな大きい顔面の敵、狙いやすい事この上ないですね。
そして全てが急所に見えてしまいます…!
イズルさんへの援護射撃、そして隙あれば敵の額を狙います。

敵の攻撃には『アルヴァーレ』を展開
敵と結界が触れた瞬間にフラットスピンでいなして回避します。


赤上・イズル
■レイ・シャルダンさんと(g00999)
■アドリブ・絡み歓迎

ディヴィジョンを売り渡すなどと…
思いもよらない事をしでかそうとしているものですね
流石は安倍晴明と言ったところでしょうか
しかしそうはさせません
必ずや平成ディヴィジョンは取り返させて頂きます!

それにしても禍々しい敵ですね…数も多い
レイさん大丈夫ですか?奴らの言葉に耳を貸してはなりませんよ

幾重にも重なりあったその怨念…
もはやどんな言葉も届かず浄化も叶わずでしょう
ならば…せめて紅蓮の炎でその怨念ごと滅して差し上げましょう!

刀を抜き刀身に炎を纏わす
レイさんの援護を受けつつ敵へ突進
一瞬の敵の隙も見逃さず間合いに入り【紅蓮雀】を放つ
頃合いを見て離脱


 丑三つ刻の怪異・幽隠の『飛頭蛮』が飛び交う。
 レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)と赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)はそれらの姿を視界の中に。
 怨嗟をまき散らす飛頭蛮――それはレイにとってわからない存在だった。
 それはレイがドイツ人であるから。しかしドイツ奪還の際には誰もが協力してくれたことはレイの心に深く残っている。
 今度は、このディヴィジョンを奪還したいと思うものたちへの助けに自分がなる番だ。
「その恩は、これからの全てを持って返さなければ……さぁ、行きましょうイズルさん!」
 後ろはお任せを! とレイはイズルに言葉向け、イズルはその言葉に頷いて返す。
「ディヴィジョンを売り渡すなどと……思いもよらない事をしでかそうとしているものですね」
 流石は安倍晴明と言ったところでしょうかとイズルは零す。
 しかし、そうはさせないと心に抱いて。
「必ずやディヴィジョンは取り返させて頂きます!」
 そう言ってイズルは敵の中へと向かう。
 レイはフラストデバイス『アクロヴァレリア』を点火して飛翔を。そして掌に蒼き煌めく光を紡ぎ、それを光の矢へと変え、機械魔導弓【ACRO】へと番えた。
 ふたりの姿を飛頭蛮たちも捉えて向かってくる。
 それにしてもとイズルは瞳細める。禍々しい敵だと。
 その口から零すのは怨嗟の言葉。延々と、呪い、恨み、そう言った言葉を吐き続けている。
 そして数も多く、イズルとレイを囲むように動いていた。
「レイさん大丈夫ですか? 奴らの言葉に耳を貸してはなりませんよ」
 その言葉に大丈夫ですとレイは返す。
「あんな大きい顔面の敵、狙いやすい事この上ないですね。そして全てが急所に見えてしまいます……!」
 サイバーゴーグル【Boeotia】による戦場解析、 機械魔導弓【ACRO】によるAUTOAIM、 魔術で編んだホーミングする矢――レイは狙いを定める。
 それは目を瞑っても、後ろに放っても、狙いを付けない速射でも 必ず敵の弱点を正確に貫く魔術の一撃だ。
 イズルへと飛び掛かろうとする飛頭蛮へと向けて放たれた一矢は、その額を貫いて。
 しかしそれでもまだ、それは怨念を吐き散らす。
「許すものかッ!!! 死してもその身喰らうてやる!!」
 その叫びを耳にイズルは零す。
「幾重にも重なりあったその怨念……もはやどんな言葉も届かず浄化も叶わずでしょう」
 それは飛び掛かる一体だけではなく、他にも――この場に居る全ての者達に向けてのものでもある。
「ならば……せめて紅蓮の炎でその怨念ごと滅して差し上げましょう!」
 摩利支天の加護が込められた日本刀――陽炎一文字をイズルは抜き放つ。
 レイの一撃受けて怯んだ敵へと突進して、間合いに踏み込んだイズル。
「九字切流奥義・紅蓮雀」
 刃に走る炎が一層強く耀いて燃え上がる。炎の鳥の如く浴びせられた攻撃に飛頭蛮は怨嗟の声を零しながら途切れ消えていく。
「イズルさん、次がきますよ!」
 援護するように弓を再び放ちつつ、超常結界式【アルヴァーレ】を展開し敵をいなすレイ。
 まだ沢山の敵がいる――振り返りざまにその刃を振るってイズルもまた対する。
 敵の怨嗟の声がとどまらぬ中で。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

菅原・小梅
◆行動
やはり道真公…曾々お爺様と同じ名を騙る者が居るのですね。
紛い物とは言え、尽きぬ妄執に駈られているのならば菅原の一門たる私がその怨念を晴らしてみせましょう。

故に木っ端の妖怪風情が邪魔をするならば有象無象の区別なく愛刀『月下残滓』にて斬り薙ぎ払うのみ。
刀に宿る炎熱の力と氷雪の力を解放し、剣劇の音色を以て
【天神刀法『飛雪千里』】の極意を披露しましょう。
時には剣気とも呼ばれる殺気を放って牽制し、敵の動きに先んじるのです。

道真公よ、神算鬼謀にして琴心剣胆たる菅原の小梅が武威をご覧あれ。
瘴気や狂気などに囚われたままでは…幾ら雑兵を並べようとも我が道を阻む事は叶いませんよ?

※アドリブ&連携歓迎


大角豆・茜
※アドリブ、連携歓迎

ん……あなた達は、一体何を怨んでいるのかな?
或いは、もうそれすら忘れてしまう程の……
それがどうあれ、このディヴィジョンを取り戻すためにもその怨み、鎮めさせてもらうよ。

敵の小集団へと突撃、「刻継」で〈薙ぎ払い〉つつ、敵をある程度引き付ける。
敵が集まって来て影を喰らおうとしたら、「ホーネット」から『雷喰八蛇』を、前後左右上下−−自身の周りに〈誘導弾〉の要領で拡散、影が一分も無くなる位、周囲を電光で満たすよ。
そして影が無くなって混乱している〈不意を打ち〉、『雷喰八蛇』で辺りの敵を喰らい尽くす。

敵は大軍な上、これは前哨戦。
無理はせず、戦力をある程度減らせたなら離脱。
決戦に備えるよ。


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

結構、結構。ずうっと胸に抱えてるより吐き出すほうが健全さ
ねー?と既に呼び出してる妖精に声を掛けて
そんじゃ行こっか。“魔槍”のデータ取りだ!

Moon-Childを両脚に這わせ活性化
妖精が僕に粉を掛ければ合図めいて“魔槍”の穂が危険な輝きを帯び
よーい、しょっと!小集団に“魔槍”を投擲
追い打ちめいて妖精が好き勝手悪戯をしに行きます
もどれー!と手を挙げれば摩訶不思議な軌道を描き槍が戻って来て
反撃の対処に【残像】を伴うステップをしつつ突入
妖精と【ダンス】を踊るように戦場を槍で撹拌しちゃう!

あまり脅威と見られて殺到される前に退くよ
もちょっと試したい気分もあるけれど、無理攻め禁物だもんね


「やはり道真公……曾々お爺様と同じ名を騙る者が居るのですね」
 菅原・小梅(紅姫・g00596)は走る。この奥に居る相手を見据えるかのように。
「紛い物とは言え、尽きぬ妄執に駈られているのならば菅原の一門たる私がその怨念を晴らしてみせましょう」
 小梅は向かってくる飛頭蛮へ向かって愛刀たる大太刀『月下残滓』を抜き放つ。
「木っ端の妖怪風情が邪魔をするのですね」
 ならば、有象無象の区別なくこの刃で斬り薙ぎ払うのみと構え、踏み込む。
【天神刀法『飛雪千里』】の極意を披露しましょう――小梅の唇は緩やかに動く。
「秘剣・雪月花。其は人の太刀にして『雪』。雪は遥か遠く、彼方へと飛ぶもの」
 白銀を閃かせ、加速した思考が次の動きを導き出す。斬り結ぶ剣戟の響きを持って、月下残滓は凍て付く氷刃と灼熱の焔刀の姿をかわるがわるに見せるのだ。
 飛頭蛮はその一閃を受け、視線をもって攻撃を返す。
 見てる、診てる、観てる、看てる、視てる――鬼の視界、裁定の剣を振り落とすべく。
 小梅に向けられたその視線。だが彼女はそれを弾いて返す。
 お前に用はないのだというように
「道真公よ、神算鬼謀にして琴心剣胆たる菅原の小梅が武威をご覧あれ」
 この声が届くだろうか――今はここで届かなくても小梅はその抱いた想いを零す。
「瘴気や狂気などに囚われたままでは……幾ら雑兵を並べようとも我が道を阻む事は叶いませんよ?」
 斬り伏せる――飛頭蛮はそれでもまだそこにある。
「おおおおお、許すものか! 私を殺したあいつもお前も許すものかッ!!」
 焔に焼かれるままに飛び込んでくる――けれど、此処に居るのは一人ではない。
 走りこんだのは大角豆・茜(呪刻を継ぎし者・g03477)だ。
 集団となっている場所へと突撃し、呪刀『刻継』を抜き放つ。
「ん……あなた達は、一体何を怨んでいるのかな? 或いは、もうそれすら忘れてしまう程の……」
 飛頭蛮たちが零す怨嗟に茜は瞳細める。
 それがどうあれ――己がすべき事はわかっている。
「このディヴィジョンを取り戻すためにもその怨み、鎮めさせてもらうよ」
 向き合うは飛頭蛮たちの群れ。そこへ飛び込んで、茜は薙ぎ払う。
「喰らい尽くせ……!」
 無数の電撃の蛇が放たれ、その言葉のままに喰らいつきその魂を茜へと、生命力として返す。
 そこへ、闇に紛れて茜の影を喰らおうと飛び出してきた飛頭蛮がひとつ。
 茜は咄嗟に、前後左右上下、己の周りに再び電撃の蛇たちを放ちその攻撃を、己の影が一部もなくなる程の雷光で満たしてかわす。
 そして再度、その雷撃の蛇たちを見舞うのだ。
 その雷光に引き寄せられるかのように敵が集う。
「口惜しや……!」
「何故殺されねばならなかったのか……!」
 その口から零れる怨嗟もとどまらず、しかしそれをロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は結構、結構と受け止めていた。
「うっと胸に抱えてるより吐き出すほうが健全さ」
 ねー? とすでに呼び出していた妖精に声かけてロキシアはそれを手に持つ。
「そんじゃ行こっか。“魔槍”のデータ取りだ!」
 ロキシアの両脚の上を滑るものがある。それはMoon-Child――膨張・硬質化し人工筋肉・強化外骨格等の機能を果たす懐に忍ばせたナノマシン流動体だ。
 そして手にあるのは伝承のゲイ・ボルグの機能を、技術の粋を集め可能な限り搭載し作られた槍型決戦兵器の“魔槍”だ。
 妖精がロキシアに粉を掛ける。それは合図めいて、“魔槍”の穂が危険な輝きを帯びていく。
「よーい、しょっと!」
 集団へと“魔槍”を投擲すれば妖精は好き勝手に悪戯をして翻弄する。
「もどれー!」
 そしてロキシアが手を上げて号令駆ければ摩訶不思議な軌道を描いて槍が戻ってくる。
 妖精とダンスを踊る様に戦場を槍でかき回して混乱させて。
 怒りのままに突進してくる飛頭蛮を躱し、しかし自分の方へとさらに殺到されてきたならば――それは引き時。
「もちょっと試したい気分もあるけれど、無理攻め禁物だもんね」
 そう考えたのは茜も同じだ。
 敵が集えばこの場から逃げることは難しくなる。戦力を減らすことは、出来ている。
 この場でやるべきことは十分――あとは決戦に備えるために引くべきだろう。
 茜は近くにいた小梅にも声かける。小梅は離宮八幡宮の奥へと視線向けた。
 そしてまた改めてというように、踵返してこの場を去る。
 戦いの喧騒は響いているがこの場ではすでに十分に尽くしたのだから。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

御森・白露
おお、許すまじ。怨敵よ、恨み募りて幾星霜――
それはこちらも同じ事。
恨み辛みが貴様らの専売特許と思っては困る。
我が呪詛とて、その首をどうしてくれようかとまさに手薬煉を引いておるのだからな。

【呪詛】を【オーラ操作】の要領で自分の周囲に撒き散らし、飛頭蛮の突撃を察知出来るようにする。
【精神集中】しながら時を待ち、攻撃が来ればカウンターの形で【朔絶】を叩き込み、その首を真っ二つに両断してくれるわ。

あまりに来ないようであれば自分から吶喊してパラドクスを放つ。
また、複数体に囲まれるようになったら多少強引にでも【捨て身の一撃】で飛頭蛮を叩き斬り、離脱する。

くく、そう喚くな首共。
次は大戦にて相まみえようぞ。


シューニャ・シフル
アドリブ連携歓迎

何がそんなに憎いのか知らねぇが、今まで人の怨みを腐る程買ってきたんだ。今更生首に怨まれた程度でビビるわけねぇだろ。

飛頭蛮の動きを偵察して、こっちから気が逸れた瞬間を狙って突っ込む。
両手のククリで相手にしながら突っ込んでくる奴には足の仕込みナイフで目を潰してやるよ。

避けられねぇのは左腕で受けて捌く。損傷が増える前に撤退するぜ。

戦い足りねぇが、まだまだ前哨戦だしな。今度来る時は最後までやりあおうぜ。後ろにいる奴もな。

*敵を貶すような発言はしません。


伏見・しろがね
アドリブ・連携可

「盲亀の浮木、優曇華の花待ちたること久し、此処で逢うたが百年目!」
と、復讐心に燃えてはいたが、道真公のあの様子を見てすっかり落ち着いてしもうたわ。
まさに正気を失っておるわい。
いつでも凛とした佇まいを崩さなかったあの者がああなるとはのう。
本物もあれほど脆ければまだやりやすかったのじゃが。

刀術(【斬撃】)の腕前は一般人の達人並みですが、刀を使う復讐者と比べると少しだけ見劣りするレベルですので、戦闘は刀(小狐丸白銀)、狐火(幻術)、クダギツネ、九尾(【貫通撃】)、ハッタリ(【挑発】)、騙し討ち(【フェイント】)を組み合わせた、狐らしい戦い方(【不意討ち】)をします。


ミシェル・ロメ
※アドリブ、連携歓迎

理不尽な世間への恨み
踏み躙られた願い
底知れぬ絶望
僕が生まれ育ったグランダルメにも、同じような怨嗟は溢れていた

それでも僕は救世の道を、生きる意志を捨てはしない
神父様や仲間たちから受け継いだ優しさを守り伝えると決めたから
絶望に囚われ沈むわけにはいかない

生きる為に抗うことを罪だというのなら
僕はその業も背負って何度でも立ち上がろう
全てを恨み破壊する絶望をこれ以上広げないために
温かな想いを胸に携え心身の傷に耐え
命を尊ぶ光を解き放って
その悲しみごと浄化しよう

比較的敵の数が少ないところを狙い各個撃破
囲まれたりしないよう、深追いはせず周囲に気を配る

頃合いを見て撤退
逃走困難な仲間がいれば援護


「何がそんなに憎いのか知らねぇが、今まで人の怨みを腐る程買ってきたんだ。今更生首に怨まれた程度でビビるわけねぇだろ」
 シューニャ・シフル(廃棄個体 No00・g07807)は飛頭蛮たちを前にしても、怯むことなどない。
 怨みを腐る程買ってきた――それは全ての命は等しく尊いから。だからこそ奪い合う価値があると嘯いて。
「殺してやる殺してやる!!」
 シューニャは飛び掛かる飛頭蛮を両手にククリ持って相手をする。
 怒りのままにシューニャへと飛び込んでくる飛頭蛮へはその足を振り上げた。
 その靴先から飛び出した仕込みナイフが突き刺さるのはそのぎょろりとした瞳。
「ぎゃああああ!!! 怨むぞ、怨むぞ!!!」
 その痛みに飛頭蛮は叫んで、唸るように撒き散らして絵再びシューニャへと突っ込んでくる。
 その大きく開いた口が捕らえたのはシューニャの左腕、黄金のサイボーグアームがその歯を受け止めギンッと鈍い音立て受け止めた。
 それを振り払い、怨嗟の中でまだ彼女は立っていた。
 その騒乱の中にまたひとり。
 ふは、と息を吐く。御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)は怨嗟零す飛頭蛮らに言の葉向ける。
「おお、許すまじ。怨敵よ、恨み募りて幾星霜――それはこちらも同じ事」
 白露は琥珀の瞳向けてただただ言い放つ。
「恨み辛みが貴様らの専売特許と思っては困る」
 そして唇引き上げて、笑むのだ。
「我が呪詛とて、その首をどうしてくれようかとまさに手薬煉を引いておるのだからな」
 午睡をこよなく愛するような、そんな面を今は見せることはなく、その身の周囲に呪詛を撒き散らす。
 その手には主から切り離されし半身。刀という器に封じられて尚燃え盛る憎悪は贄を求め狂い哭く――荒魂・忌椿が在った。
 その身の周囲に広がる呪詛が、それを感じる。
 どこからともなく突撃を掛けてくる飛頭蛮の攻撃の一瞬を、精神を集中し捉えるのだ。
 ただ真直ぐに、怒りのままの突撃を。
「喜べ、態々構えてやろう。 ――暗き月をその眼に刻め」
 飛頭蛮が飛び込んでくる、その勢いさえも掌の上というように神呪の刃閃をふるう。
 居合の構えから一瞬にして両断する。新月の呪斬、黒き軌跡としてのみ、世界に残影刻む。
 一体――斬り伏せられた。その様をみてオオオと飛頭蛮たちが啼く。
 同胞を、怨嗟を共に奏でてきた同胞をと、今度は白露に怨嗟を、怒りを向けて。
「盲亀の浮木、優曇華の花待ちたること久し、此処で逢うたが百年目!」
 怨嗟の中に声ひとつ、たからかに。伏見・しろがね(鬼斬り稲荷🦊・g01292)はそう零してみたものの――その心は、復讐心に燃えていたはずのそれは、すっかり落ち着いてしまった。
 それは怨嗟を零す道真公――まさに正気を失っておるわいとしろがねは零し、息一つ吐いた。
「いつでも凛とした佇まいを崩さなかったあの者がああなるとはのう。本物もあれほど脆ければまだやりやすかったのじゃが」
 しろがねは嘆息して、しかしこの場に立ったのならば向かい合わねばならぬだろうのと、飛頭蛮と向き合う。
 小狐丸白銀を抜き放って、走る。その刀を閃かせて飛蛮頭たちと戯れるように戦いを。
 其処に居たかと思えば幻術でおらず、狐火で作られた姿は消える。
 その九尾が攻撃仕掛ければ、それは騙し討ちで本当の攻撃は――新たに生み出した狐火。
「あまり見つめるでないぞ。道を踏み外す」
 そうころりと笑うように紡いで、鬼の視線。その裁定は躱された。
 飛頭蛮たちは歌うように怨嗟を紡ぐ。
 これではまだ足りぬ、まだ満たされぬと――その声にミシェル・ロメ(とわにひびくうた・g04569)は痛ましげに眉を寄せる。
 理不尽な世間への恨み。
 踏み躙られた願い。
 底知れぬ絶望――それらをミシェルは知っていた。
「僕が生まれ育ったグランダルメにも、同じような怨嗟は溢れていた」
 それでも、とミシェルは紡ぐ。
 それでも僕は救世の道を、生きる意志を捨てはしない、と。
 神父様や仲間たちから受け継いだ優しさを守り伝えると決めたから、絶望に囚われ沈むわけにはいかない。
 飛頭蛮たちの怨嗟につかまらないとミシェルは強く思うのだ。
「生きる為に抗うことを罪だというのなら、僕はその業も背負って何度でも立ち上がろう」
 全てを恨み破壊する絶望をこれ以上広げないために、温かな想いを胸に携え心身の傷に耐えて。
「光あれ。生命の始まりと共に世を照らす星よ。輝ける陽よ。燃ゆる焔よ。其は生きとし生ける者を導く力。何者も穢すこと叶わじ」
 この耀きは誰にも消させないと、暖かな光を、命を尊ぶそれを解き放ってその悲しみごと浄化しようと。
 その光を眩しいと、飛頭蛮は瞳伏せその視界を閉ざす。
 一体ずつ向き合うようにミシェルは対していく。囲まれないように、深追いはしないようにしつつ――そして、その場の敵の数を減らしていく。
 だがいつまでも此処で戦うわけにもいかない。
 敵の攻撃が途切れた一瞬に、撤退の声をかけてこの場を後にする。
 その声に、確かにそろそろ頃合いかと白露も零す。
 己の向かって突撃をかけてきた飛頭蛮を切り伏せて、そして集う者達を視線でひと撫で。
「くく、そう喚くな首共――次は大戦にて相まみえようぞ」
 今はまだ早いと身を翻して白露は引く。
「戦い足りねぇが、まだまだ前哨戦だしな。今度来る時は最後までやりあおうぜ。後ろにいる奴もな」
 そしてシューニャも、飛頭蛮たちのそのさらに奥に居るものへと言葉向ける。
 その姿は見えないが、その存在の気配は感じて。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV2が発生!
【ドレイン】がLV2になった!

フィロメナ・ラウレアノ
私たちも復讐者だから
皆、どこかに負の感情を抱えているかもしれないけど
私たちには、守りたいものや取り戻したいものがあるんだから
乗り越えていかなくちゃね
怨嗟をまき散らすのなら、放ってはおけないよ

皆と連携を図ろう
魔力で顕現させた誘導弾を使って、突進の矛先を逸らせないかな
好機が訪れたら、その隙に攻撃を仕掛けるよ

君たちが抱いている怨みごと
神蝕呪刃の呪詛でさらに蝕ませてしまおう
その怨みが深いほど、苦しみも大きくなるから覚悟して
今はまだ、全ての怨みを消し去ることはできないけど
その一端をここで解消させてもらうよ

怨みに飲み込まれる前に退路を確保して、撤退を呼びかけるよ
誘導弾で牽制をしながら皆と退こう


渦中・浪刃
※連携・アドリブ歓迎

奪還の為に力を尽くすのは勿論ですが
この怨嗟を戦場に持ち込ませる訳にはいきませんね

[伝承知識]に使える情報があれば活かし
戦況を[観察][情報収集]、敵の行動パターンや隙を[看破]
【未来予測】も使い一体でも多く削る為に立ち回る
片影を敵の目へ[投擲]して怯ませ【廻風一陣】

見れば良い、観れば良い
しかし裁定には及びません
失くしたものを戻せぬまま、闇雲に力を振るう私が善のはずはない
赦しなど望まない
私が怨むのは…未だ過去を取り戻せない無力な己自身なのだから

それでもこの世界を奪還すれば、何かが戻るかもしれない
故に足掻きましょう
怨むなら怨めば良い
それすらも糧として進みましょう

頃合いを見て撤退


古城・雪夜
・他者と連携可

突出はせず、極力戦場を広く見渡し状況把握は意識しつつ
ツキノハナを主体に、可能な限り数を減らすことに専念
深追いはせずとも討ち損じの無いよう、水虎霊も適宜使用して確実に叩き潰します
機動力で勝るようであれば、手段選ばす死角より攻撃
但し、自身や味方の退路も常に意識し、引き際を決して見誤らぬように
必要なら声をかけ、連携も意識
激しい憎悪の分、意識は冷静に、冷酷に

怨み、憎悪、怒り、深潭ならば胸の底にどす黒く際限なく
正義を成す大義とは言いません
理不尽に奪われた分、1体でも多く命を奪って踏み躙ってやりたい
彼らが苦痛に歪み絶える姿だけが、凍った心に熱をくれるから


水上・瑠璃青
慣れない戦……遂に、この時が来たんだね。
逸る心音を落ち着けるように深呼吸をしよう

これ以上、奪わせない。
親しんだ世界が消えるのを見過ごせない。
たとえ怨嗟を向けられたとしても……
立ち向かって、斬り祓ってみせるよ。

シンジュクにて生活するあたしでは無く
平安に住まう水上瑠璃青として
青の当主として、倒すべき者達の数を減らす。

抜刀前の所作にて精神集中
刃部分へと喚び起こすのは先々代の刀そのもの
……とても重くて、扱い難いけれど
蔓延る怪異へと向けて、その刃を振るっていく。

降り注ぐ稲妻の合間を縫って
怨みたちを一つずつ仕留めていこう
私たちは、決して諦めない。負けるものか

当日への決意を胸に刻んで
その意思を、見せ付けるよ


「慣れない戦……遂に、この時が来たんだね」
 深く息を吸って、吐く。そして水上・瑠璃青(縹の疆界/・g00530)は、飛頭蛮たちの飛び交う戦場を見詰めた。
 逸る心音を落ち着けるようにして瑠璃青はその戦場へと足を踏み入れた。
 これ以上、奪わせない。
 親しんだ世界が消えるのを見過ごせない――瑠璃青は飛頭蛮たちへと瑠璃の視線を、紫の艶色宿す黒真珠の髪をなびかせ走る。
 飛頭蛮たちから向けられる怨嗟の声に僅かに眉顰める。殺せ、殺せと。この怨みをどれほどと思うと唸る声に。
「たとえ怨嗟を向けられたとしても……立ち向かって、斬り祓ってみせるよ」
 瑠璃青にはここに在るために覚悟があった。
 シンジュクにて生活するあたしでは無く――平安に住まう水上瑠璃青として。
「青の当主として」
 倒すべき者達の数を減らすと、飛頭蛮たちに囲まれたところで足止めて、構える。
 その手にあるのは刃無き鍔付きの柄の刀。
 抜刀前の所作は精神集中のためのもの。刃は無い。しかしそこに今、喚び起こすのは先々代の刀そのものだ。
「青の当主の名において、一の祈りを賜う。鉄紺の志と眠りし誉が刃よ、鋼の如き礎を水上の楔とし――今代の青に応えよ」
 それは、とても重くて、扱い難いもの。その重さに柄を握りなおして瑠璃青は、水上家当主として振るう。
 怒りのままに稲妻のままに走る飛頭蛮たちの合間を縫って、動いて、瑠璃青はその刃を振るう。
「我等の怒りをおもい知れ!!」
 その怨みに伏すことなんてないと瑠璃青は重い一撃をもって飛頭蛮を斬り伏せる。
「私たちは、決して諦めない。負けるものか」
 この場にある怨みになんて。そしてこの先に待つ戦いも――瑠璃青は刃を振るうごとにその決意を胸に刻んで強くしていく。
 その意志をこの場で、見せつけるように一層激しくなる戦いへと踏み込んだ。
 そこはまた飛頭蛮たちが集う場所――それはまた、この戦いの場にあって異質でもある。
 奏でられる音は月光が如き旋律にて。それを奏でるは古城・雪夜(黒帝・g01145)。
 飛頭蛮の身へその旋律が染み入れば、表皮破って狂い咲く無数の氷の花。飛頭蛮たちの全てに咲き誇り命を吸い上げ死に至らしめる。
 雪夜の十指が奏でる音は時に甘く、時に激情を伴って――飛頭蛮に終わりを齎せていた。その飛頭蛮が最後に見たのは蠱惑の笑みか、それとも漆黒の憎悪なのか。
 雪夜の、紫の瞳が落ちていく飛頭蛮の姿を撫でていく。怨みを零すその存在を。
 怨み、憎悪、怒り、深潭ならば胸の底にどす黒く際限なく――そう、視線で云うのだ。
 正義を成す大義とは言いませんと、僅かに吐息に混ぜて落とす。
 そしてまだここで戦えるか、この戦場を広く見渡し状況を把握する雪夜。
 まだ十分に戦える。己の在り様を、雪夜はわかっていた。激しい憎悪の分、意識は冷静に、そして冷酷に在るのだ。
 ここは大丈夫と中前に声かけて、視線向けてくる飛頭蛮に口端上げて笑み向ける。その視線からの裁定など届かぬというように。
 理不尽に奪われたのだ。一体でも多く、命を奪って踏み躙ってやりたい――雪夜の瞳は穏やかに、冷え灯る。
 その姿、苦痛に歪み絶える姿だけが、己の凍った心に熱をくれるから。
 また一体、向かってくる飛頭蛮へと雪夜の視線が向けられた。
 飛頭蛮たちは何体も溢れるように、現れてくる。
 口々に零す怨嗟は、終わりなきもののようだ。
 攻撃躱して渦中・浪刃(渦隠・g02250)は瞳眇める。
「この怨嗟を戦場に持ち込ませる訳にはいきませんね」
 奪還の為に力を尽くすのは勿論だ。けれどこの場にあるものが戦場に溢れたならば――今ここで削れるならその方が良いだろうと浪刃は思う。
 飛頭蛮たちの動き、戦況を観察し情報を収集して、浪刃は敵を一体でも多く削る為に立ち回る。
 どこからも感じるその視線。それの持つ力――その視線を払うようにも片影を目へと向かって投擲する。
 それは飛頭蛮にとって痛烈なるものとはならない。しかし、視界に向かうものがあれば僅かに怯む一瞬は生まれるのだ。
 その視線――見れば良い、観れば良いと浪刃は零す。
 しかし裁定には及びませんと。
「失くしたものを戻せぬまま、闇雲に力を振るう私が善のはずはない」
 そう、緩やかに紡いでいくその唇。その心は赦しなど望まないのだから。
「私が怨むのは……未だ過去を取り戻せない無力な己自身」
 飛頭蛮たちの一瞬を奪って、浪刃は妖怪伝承書に手を掛ける。
「境鳥よ 我が前に立ちはだかる全てを退け給え」
 その一瞬のうちに、浪刃は巻物を広げた。そこに描かれた召喚陣より出でるのは木の葉天狗。大きな鳥の姿をした天狗が巻き起こす風は、忽ち廻風となり飛頭蛮へと向かう。
 切り裂かれる飛頭蛮。
 それでも、と浪刃は思う。それでもこの世界を奪還すれば、何かが戻るかもしれないと。
 故に、足掻くのだ。
「怨むなら怨めば良い」
 それすらも糧として進みましょうと、新手に浪刃は対する。
 募る声を躱して、そしてまた対するだけだ。
 怨嗟は募っていく。フィロメナ・ラウレアノ(ヴァルプルギスの夜・g00015)もまた、飛頭蛮たちを向き合って思うのだ。
 私たちも復讐者だから――皆、どこかに負の感情を抱えているかもしれないけど。
 でもそれだけではないとフィロメナは知っている。
「私たちには、守りたいものや取り戻したいものがあるんだから」
 だから、乗り越えて行かなくちゃねとその瞳は前を向く。
 怨嗟をまき散らすのなら、放ってはおけないよと一歩踏み出して。
 どこもかしこも混ぜ返したような戦況だ。その中でもフィロメナは近くにいる者達と連携図って動いていた。
 魔力で顕現させた誘導弾。フィロメナはそれを使って、飛頭蛮の突進の矛先を逸らせないか試す。
 誘導弾を獲物と見たか、飛頭蛮は突進を。けれどその行く先がわかっていればそれも好機となる。
「君たちが抱いている怨みごと」
 さらに蝕ませてしまおう――フィロメナが振るうのは神蝕呪刃の呪詛だ。妖刀に宿る呪いを解放して纏う。
「その怨みが深いほど、苦しみも大きくなるから覚悟して」
 飛頭蛮たちが抱える怨みを、さらにこの奥にいる者が抱えたものはどれほどのものか。
 今はまだ、全ての怨みを消し去ることはできないけれどとフィロメナは思う。
 それでも、全てではなくとも、その一端をここで解消すべく。
「アアアア、このようなところで朽ちてなるものかあああ」
 太い声で嘶きながら飛頭蛮はフィロメナの刃を受ける。その身を切り裂かれ、呪詛に苛まれ落ちていくのだ。
 怨みの深さ、どこまでか――フィロメナにそれは分からないがこれに飲み込まれるわけにはいかない。
 それが深く、全てを飲み込もうとする前に撤退する道を残して、開いて。
 飲み込まれる前に、この場で戦っていたディアボロスたちもまた、撤退する。
 本当の戦いがこののちにあることを、また知っているから。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【腐食】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【一刀両断】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2022年08月26日

【平安鬼妖地獄変奪還戦】菅原道真

 このシナリオは【平安鬼妖地獄変奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 平安鬼妖地獄変のジェネラル級と、断片の王・安倍晴明の手引きで侵攻してきた、天魔武者の軍勢に、戦闘を仕掛けます。
 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。

 このシナリオの攻撃対象は、平安鬼妖地獄変の西方を守護する為に封印されていたジェネラル級妖怪『菅原道真』と、道真と共に封印されていた大量の『丑三つ刻の怪異・幽隠の『飛頭蛮』』と戦闘を行います。
「成功したシナリオ数×5%」だけ、「菅原道真」の敵残存率を低下させます。


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#平安鬼妖地獄変
🔒
#【平安鬼妖地獄変奪還戦】菅原道真
🔒
#平安鬼妖地獄変奪還戦
🔒
#ファーストアタック


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選択肢👾大群のトループス級『丑三つ刻の怪異・幽隠の『飛頭蛮』』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)配下のトループス級クロノヴェーダ(👾)の大群と戦闘を行います。
 敵の数が多いので、撃退するには時間が掛かるかもしれません。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える行う必要があるでしょう  詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。