リプレイ
オスカー・メギドューク
・心情
はてさて、このディヴィジョンの出身ということにはなるのだろうが、まさかこの地で水の中を歩くことになるとは思わなかったよ
こればかりは、ディアボロスに覚醒したことを喜ぶべきかな?
さて……かの美術館には、どのようなお宝が眠っているのやら?
・行動
残留効果の≪水中適応≫を用いて、バルト海を進むとしようか
この極寒の海を水中から観ることになるとは思わなかったが……目的を忘れないように、初めての試みを楽しむとしよう
・その他
アドリブ等は大歓迎だよ
フルルズン・イスルーン
むーん、最初のロマノフの潜入で興味本位で芸術に関して聞いてみたとはいえ、
まさか直接美術館に行って見ることになろうとは。
それにしても短い。決め打ちしておこうかな?
ま、とりあえず行動を阻害する要素を排除しようなのだ。
まずは【寒冷適応】で寒さ対策。ブロッケン・ゴーレムくんお願いねー。
で、上がった時に服が濡れて凍ると困るし、素直に潜水服持ち込んで着よう。
むぎゅー体がしぼむー。
【水中呼吸】あるなら水圧に問題ないって? 気分の問題なのだ。
後は、隠密手段だね。目立たないように動くのは前提として。
うーん、ゴーレムくんや。偵察とかできない? ダメ?
レイラ・イグラーナ
便宜上最終人類史での呼び名に従い「エルミタージュ美術館」と呼ばせて頂きますが……19世紀に生きた私にとってはそこは皇帝の冬の居城。
本来の歴史であればすでにアレクサンドロフスキー宮殿に居城を移している年代らしいですが、警戒は厳重で当然。気を引き締めて参りましょう。
可能であれば【水中適応】を使用される方と共に行動し、私の【光学迷彩】と合わせて水中を密かに進みます。
バルト海から目的地へ向かう流れは大きく分けて3本。最短距離かつペトロパヴロフスク要塞の近くも通らずに済むリカ・ボリシャヤ・ネヴァを遡上します。
まさかこのような形で潜入できるようになるとは思いませんでした。
ですが、本番はここからです。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
海からロマノフに渡るのは……何度目だ?
ドイツから初めてロマノフの地を踏んだのが、つい先日のようだ……
復讐者の意志は、強いな
ドライスーツとマスク、ダイビング器材を使用
荷物は防水バッグに収納
海底を歩いてネヴァ川の河口を目指す
【水中適応】は借り、俺は【完全視界】を発動し共有
前方、または後方で周囲を偵察、観察しつつ、警戒を務める
防水地図と水中コンパスで方角を確認
仲間とコミュニケーションを取りつつ
あれば寒冷適応や光学迷彩も借り
バイザー・Allsehendのサーモグラフィ・暗視モードも併用し
危険や発見があれば真っ先に知らせよう
正史での首都たる場所……何が潜むのだろうな
気を引き締めて行こう
改竄世界史、吸血ロマノフ王朝。バルト海、海底。
常冬の気候の海底を、幾人の男女がゆるりと歩いている。常識的に考えれば有様もない筈の光景は、非常識に対抗する存在――彼ら、復讐者によって、生み出されていた。
復讐者達はまるで、幻想動物の如く、海底を歩んでいく。
静かに。そして、緩やかに。
それは、見る物が見れば、まるで地上と変わらない歩みであると、評する物であった。
海中から見る吸血ロマノフ王朝の空は暗く、昏く、青く。まるで、夜空の様だと、オスカー・メギドューク(“槍牙卿”・g07329)は口にする。
穏やかな海の中、しかし、視線の遙か上空――海底から見る水面を上空と表現するのであれば、だが――海面は波立ち、極寒の外気がその周囲を彩っている。水の凝固点は0℃で、それ以下の数字となれば凍る故、融解状態のそれから寒さを感じるはずは無い、と言ったのは誰の台詞だったか。確かにそれは是で、そして否であった。
「そうなのだ。【水中適用】がある以上、寒さはボクらを標的とするだろう。即ち、極寒対策は必至。やはり【寒冷適応】は正解だったのだ! 素晴らしいぞ、ブロッケン・ゴーレムくん!」
弾む声は、彼女と共に歩む復讐者の一人、フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)が零した賛美であった。
確かに彼女の言う通り、凍てつく水は、常に復讐者達の体温を奪い、その熱を下げていく。氷点下の気温よりマシとは言え、この常冬の海中は、生命活動に適した物ではないのだ。
何せ、オスカーの知りうる限り、バルト海は凍る。それは、流氷どころの騒ぎではない。最終人類史には完全氷結したと言う記録もあった筈だ。それ程の極寒の海で、平然と活動出来る生物など、希有に違いなかった。
(「少なくとも、私達はその希有な生物になれなかっただろうね」)
芝居がかった仕草で、大仰に手足を振り、彼女は嘆きを示す。だが、同時に、そこに浮かぶのは、喜びの色でもあった。
そう。確かに復讐者達は、ただそこに在るだけであれば、希有な生き物ではない。だが、知恵と工夫、そして能力――残留効果で、その生態を獲得出来たのだ。
それ故に、今、正に、雄大なバルト海を海底から望むと言う、夢のような光景が広がっている。その事に感動すら憶えてしまうのは、致し方なかった。
とは言え、それが為されたと言う事は、即ち、隠密行動を是とするミッションが発令された、と言う事だ。故に、複雑な思いを抱いてしまう。もし叶うのであれば、何事も無く、ただ、この海中散歩を楽しみたかった。そう思ってしまうことは悪では無いだろう。
「目的地は……便宜上、最終人類史での呼び名に従い、『エルミタージュ美術館』と呼称します。そこへ至る道は三つ。此度、私達は最短距離、かつ、ペトロパヴロフスク要塞の近くも通らずに済むリカ・ボリシャヤ・ネヴァを遡上します」
生真面目な台詞は、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)が紡いだ物であった。
彼女が示す要塞こそ、目的地であるサンクトペテルブルクを守る為に建設された要塞であり、別名、サンクトペテルブルク要塞と呼ばれる物だ。成る程。この時代、皇帝の居城とされたサンクトペテルブルクが重要拠点であれば、それを守護する要塞もまた、強固な物だろう。彼女の言葉通り、近寄らないに越したことはなさそうだ。
「そうだな。まずはネヴァ川の河口を目指そう」
頷くエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の目には、既に残留効果【完全視界】が宿っている。この力を用いれば、濁った海の中と言えど、通常の空間と変わらない視界を保てる。道を見失う筈はないだろう。
「……しかし、また、海からロマノフに渡る事になるとはな」
何度目か、との問いは、やや自嘲気味に呟かれていた。
「成る程。エトヴァ様達はそうやって、機械化ドイツ帝国から吸血ロマノフ王朝へと渡って来たのでしたね」
当時、まだ縁が結ばれておらず、新宿島に流れ着いていなかったレイラに、彼の感慨は判らない。だが、共感は出来る。彼らが辿ったそれは、改竄世界史を界渡りする旅路だ。きっと、険しく、波乱に満ちた物だったに違いない。
「ああ。だがその思い出は、つい先日の様に思えてしまう。半年……いや、4、5ヶ月程、経っていると言うのにな」
吸血鬼達を連れた行軍を行ったのは、確か、まだ春先の事であった。そんなにも経ったのか、と言う思いと、まだそれだけしか経っていないのか、と言う両極端な思いが、エトヴァの思考に浮かび、そして、消えていく。
その後、ロシア艦隊の拠点となった街、ケーニヒスベルクの調査を経て、吸血ロマノフ王朝へと至る事となった。
ならば、此度の道も同じだろう。
エルミタージュ美術館に潜む何かを探り、その情報を持って帰る。それが吸血貴族達の機密情報なのか、或いは些細な謎なのか、今は推測すら出来なかったが、それでも、道は繋がった。ならば、それを辿るまでだ。
「ああ。そうだとも。さて、彼の美術館にはどのようなお宝が眠っているのやら?」
「宝とは限らないのだよ」
大仰なオスカーの言葉を、フルルズンの台詞が追蹤する。眠っているのは宝か、それとも鬼か蛇か。どのみち、訪ねてみなければ判らない事柄に変わりは無いだろう。
(「しかし、それにしても時間が無いのだ」)
それは焦燥だった。
最終人類史に於けるエルミタージュ美術館は、4万6000平米の広さを持つ、文字通り世界最大級の美術館なのだ。それをぱっと見てぱっと帰る事など、不可能に近い。決め打ちすべきか? との思いが首を擡げ、そして、フルルズンの心をザワつかせている。それもまた、一つの方法だと言う思いと、それを是とするのか? と言う漫然とした思いとが、彼女の中で衝突し、火花を散らしていた。
「ともあれ、直ぐに乗り込める訳ではありません」
まだ、考える時間はありますよ、とのレイラの忠告に、是と頷く。
時先案内人が示したネヴァ川を遡上すれば、そこには敵の防衛網が敷かれている。まずはそこを突破する事が、肝心であった。
「だが、その先を考えれば些か心が馳せる。それは確かに仕方ない」
未知とは恐怖であり、同時に、好奇の対象でもあるのだ。故に、人はそれを既知にすべく、奔走する。それもまた、確固たる事実であった。
エトヴァの言葉に、「まあ、確かに」と一同は頷く。特にフルルズンは「うむ! そうなのだ!」と力強く、首肯していた。
(「好奇心猫を殺す、と言う諺もありますが、果たして」)
見事なまでのポーカーフェイスなまま、レイラは内心でのみ、言葉を紡ぐ。もしもそうであるならば、自分達はエルミタージュ美術館に潜むその『何か』に誘き寄せられた事になるが、さて、どうだろうか。
「……ともあれ、無事、ネヴァ川河口には辿り着いたようだ。後は……ま、これまで通りだね。周囲に警戒しつつ、川底を進み、川を上ろう。そう、ここは既に敵地! 努々、油断無きように、だね」
オスカーは相変わらずな仕草で台詞を口にし、仲間達へと注意を促す。
彼女の視線の先に、群青色の光景が広がっていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
阿良々木・蘭
アドリブ、連携、大歓迎
可能な限りやり過ごすためにギリギリ行けるところまで【水中適応】で冬運河の中を進み、【寒冷適応】で水中から【完全視界】で様子を窺ってチャンスを待つ
音が出ないようにくしゃみを我慢していたらくちゅんとかわいらしいくしゃみがでる
慌てて周辺を窺い【光学迷彩】の効果があったか見つかってないことに安堵する
美術館の前にいるのは避けられそうにないね
巡回してるのが遠ざかった時に時間をかけずに速やかに倒そう
水中から気づかれないように【天架ける虹の輝き】で冷たい雨を降らせて氷雨で攻撃
美術館の中に入ったら大丈夫かな
暖かい雨を降らせて【クリーニング】で乾かす
濡れたままじゃ風邪ひくといけないからね
レイラ・イグラーナ
ここからは警備も一層厳しくなってくるはずです。気を引き締めなければ……
探索の時間を増やすため、可能な限り戦闘は避けましょう。
ネヴァ川自体もまたサンクトペテルブルクの水路でもある重要地点。警備は厳重でしょうが、200m近い川幅全てをカバーはできないはず。
【光学迷彩】【水中適応】を使い、左右どちらの川岸にも寄らず、川の中央付近の川底を進んでいくことで両岸のトループス級に見つからないように。
しばらく遡上すればエルミタージュ美術館が見えるでしょうが、冬運河に入るにはもうしばらく進まなければなりません。手前に見えるのは「冬宮殿」。警戒も厳重でしょうし、迂闊に近寄らないように進み、冬運河へと入ります。
フルルズン・イスルーン
潜入調査で必要なものは何か。
気配を消す方法? 敵を見つける方法?
んむんむ。それらも大切だけど、情報の共有もやはり大切なのだ。
ニュース・ゴーレムくんホウレンソウ頼んだよー。ほうれん草じゃなくて報連相ね。
さて、では警戒の網をくぐるために、みんなで複数の観点から観察して警備の穴を調べるのだ。
という事で【パラドクス通信】設置。
半径1kmというのに気をつけて運用するべし。
【水中適応】【寒冷適応】【光学迷彩】【完全視界】
目立たないようにして観察する為の効果はバッチリだね。
冬運河を静かーに進もうなのだ。
ゴーレムくんはビート板役ね。
しかし、この段階で既に警備キツくないかい?
レジスタンスを想定してるのかねぇ。
オスカー・メギドューク
・心情
さて、冬運河にたどり着いた訳だが……時先案内人の言葉もある
できる限り、隠密を重視して動こうか
・行動
残留効果の≪光学迷彩≫、≪水中適応≫、≪寒冷適応≫を使用する
運河内に身を隠せるようなものがあれば、それをうまく使って物陰に隠れるように動けば、≪光学迷彩≫もうまく機能するだろうね
念の為【闇使い】を使って運河の中を水上からは見えづらくさせ、≪完全視界≫も併用してこちらは水上を見えるようにしておこう
どうしても戦闘になった場合は、【貫通撃】【突撃】【一撃離脱】【破壊】を載せたパラドクス『槍牙侵撃』で一気に仕留めるようにしよう
・その他
アドリブ等は大歓迎だよ
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
警戒も厳しいだろうし注意していかないと拙いな……
俺の場合、パラドクスも悪目立ちするんで戦闘は避けないと他の皆の足を引っ張る事になりかねないしな
服は目立たない様な物を着用
残留効果の【光学迷彩】【水中適応】【寒冷適応】を用い川の真ん中側を匍匐前進で移動
少しでも敵の接近を察知しやすい様に【完全視界】の使用も忘れない
例え攻撃等を敵が放ってきたとしても此方の存在に完全に気付いてない限りは耐え忍ぶ
どうしてもばれた場合のみ【高速詠唱】【氷雪使い】での氷柱の【誘導弾】で攻撃
可能なら蛇腹剣で引き込み川に沈め無理なら【氷雪使い】により【看破】されにくい様に雪で覆いつくし隠蔽
兎に角ばれにくい様動く
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
有効な残留効果を活用
水中適応、寒冷適応を発動
ドライスーツ、マスク等を使用
呼吸は水中適応で確保し、なるべく気泡を立てない
いよいよ本格的に接近だな
まるで巨狼の心臓を目指すようだ
【光学迷彩】をできるだけ重ね、発見率を下げたい
【完全視界】、水中双眼鏡で周囲を偵察、観察
警備の気配あればハンドサインで周知
隊列は一列かなるべく密集し、手薄な箇所を辿る
全方向に警戒を
河を遡上し
警備の気配があれば、視野から外れるように迂回
地形の利用し、障害を避け、遮蔽物あればやり過ごしに利用
波や音を立てず静かに歩く
見つかった際は水中戦
気づいた敵を優先し集中攻撃
包囲し、連絡される前に倒す
戦闘不可避の際は不意打ちを
そして、復讐者達の行軍は、冬運河へと移っていく。
周囲を取り巻く水は、海水から淡水へ。しかし、厳かな雰囲気に変わりは無い。
(「ここからは警備も一層厳しくなってくるはずです。気を引き締めなければ……」)
むしろ、敵の気配は濃くなったと、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は内心で唸る。何せ、復讐者達の目指すエルミタージュ美術館は吸血ロマノフ王朝の重要拠点と目されるサンクトペテルブルクの真っ只中なのだ。警備が薄い筈も無い。
「楽観的にはいられないよね」
言葉に緊張を滲ませる阿良々木・蘭(エデンズイノベイター・g02198)に、こくりと頷く。
このままクロノヴェーダ達に見つからず、エルミタージュ美術館へ乗り込めれば、と切に願わずにいられない。
だが、その反面、それが叶わないであろう事も、頭の何処かで悟っていた。
「それでも、隠密を重視し、可能な限り動こうか」
オスカー・メギドューク(“槍牙卿”・g07329)の言葉に、是と首肯した。
さて、潜入調査で必要な物とは何か?
気配を消す方法? それとも敵を見つけ、無事、やり過ごす方法だろうか?
確かにそれらも大切だと、フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)は思考する。前者は【光学迷彩】と【モブオーラ】が、後者は【完全視界】と、……まあ、残留効果その物の働きでは無いが、【水中適応】による隠れ蓑が役に立つだろう。
だが、この潜入調査は自身一人で行う物ではない。複数人の復讐者達が力を併せる以上、もう一つ、必須な物があった。
(「ニュース・ゴーレムくん。ホウレンソウを頼んだよー。ほうれん草じゃなくて報連相の方だね」)
報告、連絡、相談。その頭に着く一文字ずつをとって報・連・相。社会人として当たり前と推奨されている所業は、見た目は年若く、しかし実年齢は内緒なフルルズンにとって、慣れた物だ。
「つーか、戦闘になったら目立つだろうな」
「当然、戦闘は極力、避ける必要がある」
斯くして、【パラドクス通信】の向こうからルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)の呟きが聞こえ、それに応えるエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の口調も、些か硬く感じられる。まるで巨狼の心臓を目指すようだと評する彼の表情に浮かぶそれは、戦闘への憂いか、それとも、この先に広がる何かへの期待と不安に対する想いか。
「静かーに、ゆっくーりと、進むのだー」
いつもの口調で、しかし声量を抑えながら、フルルズンは仲間の行軍を促す。
静かに、ゆるりと。
零れる気泡すら可能な限り抑え、匍匐全身と見紛う構えのまま、復讐者達は川底を進んでいく――。
果たして、その発見はどちらが早かっただろうか。
自分達だったようにも、敵だった様にも思える。
「――きゃんっ?!」
トループス級クロノヴェーダ『棺桶巨狼』の悲鳴は、しかし、取り付いたレイラの手に塞がれ、木霊することはない。水中で心臓を一突きにされ、そのまま昇天していく敵の最期を見送った彼女は、そのまま、その遺骸を川底へと破棄していく。
「せきとうおうりょくせいらんし、煌めけペンタプリズム、レインボーシャワー」
川底に、虹色の雨が降る。雨を降らせたのは蘭で、その召喚した降雨は棺桶巨狼の一体を捕縛。洗い流すかのように浄化、消滅させていった。
「海や川底は、あまり警戒していないのではなかったのかねー」
「つまり、『あまり』と言う事だったのだろう!」
フルルズンの軽口は、ゴーレムののし掛かりと共に。重量と膂力で身動きを封じた狼の頭を、ルィツァーリの暴風混じりの一撃が吹き飛ばす。
一斉に行われた不意打ちに、応対する棺桶巨狼達は為す術もなかった。急襲、そして各個撃破。一刀の元に数体が倒され、そして、撃ち漏らされた敵達もしかし、逃げる暇は与えられない。二陣、三陣と振るわれたパラドクスに押さえ込まれ、或いは動きを封じられたまま、続く復讐者達のパラドクス一斉掃射に、儚く命を奪い去られてしまう。
「色彩の迷宮へ誘おう」
「単純明快に、突き進ませてもらおうかっ!!」
一方的な暴力、とは正にこのことであった。色彩の迷宮に封じられ、メギドュークの槍に貫かれた一体の絶命が、棺桶巨狼の最期となる。
再度沸き上がる筈だった悲鳴が木霊すことはない。ただ、ぶくぶくと気泡が零れ、それが泡となって川面へと昇っていったのみであった。
「彼奴らにしても、俺達との遭遇は想定外だったんだろうな。おそらく巡回のついでに川を覗いていた……ぐらいの感覚だったに違いない」
「運が良かったのか、悪かったのか。それが問題だ」
エトヴァの言葉に、大仰に空――天頂の水面を仰ぐオスカー。此度の遭遇は自分達にとっても、敵にとっても不運な物で、そして、運命の女神が微笑んだ先は自分達だったようだ。幸運の天秤の傾きに感謝しつつ、ほっと胸をなで下ろす。
「ともあれ、不意を打てたお陰と彼奴らの数が多くなかったお陰だ」
大した被害無く、撃破出来て良かったと笑うルィツァーリに、しかし、ふむと唸るレイラの表情は険しかった。
「レイラちゃん、どうしたの?」
「おそらく、この一件で、水中への警戒も高まりますよね?」
「……いやはや。致し方ないのだ」
敵も愚かではない。数度に渡って行われた海や川からの侵入は、明確に復讐者達の行動範囲を示している。
パラドクスに残留効果を持たないクロノヴェーダ達ではあるが、残留効果を認識していない訳では無い。今後、彼らが水中をも警戒し出すのは必至だろう。
「でも、それは今日では無いのだ。まずはそれで良しとするのだ」
フルルズンの言葉に、一同は是と頷いた。
斯くして、復讐者達の行軍はエルミタージュ美術館と到達する。
運河を上がり、中へと潜り込む彼らは、しかし、その先に広がる光景を未だ知らない。
「とりあえず、濡れたままだと風邪、引いちゃうから」
蘭の【クリーニング】に身を委ねながら、復讐者達はその先に視線を送る。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか。果たして……」
「ああ。エルミタージュ美術館に巣くう物がどのような輩か、或いは如何なる秘密を隠しているのか。是非とも陽の元に出でて貰おうじゃ無いか」
ゴクリと唾を呑むルィツァーリの台詞に、芝居がかったオスカーの言葉が重なった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV3になった!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【水中適応】がLV2になった!
【完全視界】がLV2になった!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV3になった!
【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
レイラ・イグラーナ
仮定の話であればいくらでも可能ですものね。そんな仮定の話よりは、今この場で最善の結果を得られるよういたしましょう。
潜入場所:エルミタージュ美術館本館冬宮殿・北西部2階
史実であれば皇帝一家の居住区域となっていた場所
ニコライ二世の書斎などがある場所が本命
【光学迷彩】【飛翔】で可能な限り居住空間そばの2階窓まで近づいてから窓を割り侵入。
同じ個所を調べる方とは【パラドクス通信】で連携、残留効果は適宜役割分担
断片の王はニコライ二世……というのはラスプーチンの言葉から得られた情報。私は彼を微塵も信用していません。
皇帝の居住区であった場所で皇帝本人や一族、一家の情報が手に入れば良いのですが。
(「本音を言えば、冬宮殿を探りたかったのだけど」)
辿り着いたエルミタージュ美術館の入り口で、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は嘆息する。場所の目星も付けていた。そして、ニコライ二世の情報を入手する、と言う目的も明瞭。
だが、それでも、情報入手までの壁は厚いことを認識する。――認識せざる得なかった。
「気配は濃い、ですね」
入り口や通路だけではない。至る所に気配を感じる。それらを全て制し、或いは躱して冬宮殿乗り込む事は、至難の行為であった。
それだけ、この地が重要地点だと言う事だろうか? そしてレイラは、果たしてと唸る。ネヴァ川からの距離を考えれば、自案は放棄せざる得ない。だが、それでも――。
「手土産も無しに、戻るわけにいきません」
意を決し、入り口を潜る。少なくとも、其処に飾られた調度品や美術品達が何らかの情報を付加してくれる筈だ。
僅かな期待はしかし、次の瞬間、別の感情へと染まっていく。
それは、嫌悪だった。
「――ッ」
その光景は、レイラを圧倒させるのに充分であった。
流石は世界随一の美術館と言うべきか。白い壁、赤く染め上げられ、人々を迎え入れる絨毯は何処までも柔らかく、成る程、いくらでもこの場所に滞在したいと醸す空気は、最終人類史にあったそれと、変わりは無いようだ。
だが、彼女の目を引いたのは、そんな調度品でも、壁に掛けられた絵画達でも無かった。
壁に佇むように並べられた何かの形代達が、レイラを迎えるよう、ただ、佇んでいた。
(「人形? それにしては精巧な――いえ」)
それらは、少女の形をした何かであった。着飾られ、装飾の一部と化した彼女達は、それこそがこの通路の主役と思わしき存在と化していた。壁を彩る華やかな絵画や花飾り、レース飾りも、彼女らを引き立てる装飾、と言う事だろう。些か少女趣味に思えたが、主役を思えば当然の彩りであった。
だが、問題は、それが少女を模した人形等では無かった、と言う事だ。
「……吸血貴族が」
正体を看過したレイラは、ぎりりと犬歯を鳴らす。
それは、人形などでは無かった。否、形代と言えば形代だろう。其処に用いられているそれは人間の皮革そのもので、即ち、それらは、死した人を剥製と化してこの世界に残したオブジェ以外の何物でも無かったのだ。
(「死んだ少女をそのまま剥製にしている……?」)
剥製達は、何れも見目麗しい外見の少女であった。それが、主の趣味なのだろうか?
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
幾重にも廊下に並べられたオブジェ――その全てが、少女の剥製であった――を前にした復讐者達が受けた驚愕と嫌悪は、如何程ばかりであっただろうか。
そんな彼らへ追い打ちを掛けるように、無数の足音が木霊する。それらは正確に、彼らが身構える入り口へと、辿ってきていた。
「侵入者です! フランツィースカ様!」
「ええい。棺桶巨狼達は何をしていたと言うの?」
逃走の暇は与えられない。神速と見紛う速度で復讐者達を包囲したトループス級クロノヴェーダ『ノーブルメイド』とアヴァタール級クロノヴェーダ『深窓の令嬢フランツィースカ』は、誰何すら行わず、ただ、パラドクスを繰り出してくる。
彼女達の目的が、侵入者の排除であることは、明白であった。
オスカー・メギドューク
・心情
さて、怒りも一周して逆に頭が冷えてきた訳だが、逃げるとしようか
・戦闘
脱出する為に行動しつつ、残留効果の≪トラップ生成≫を用いて、周囲のオブジェ(心苦しいが、もちろん少女の剥製もだ)をワイヤーで操り盾にしたり敵に飛ばしたりするブービートラップもどきの空間を作り上げる
こんな悪趣味な空間はぶち壊したいのが本音の半分、もう一つは非パラドクスの攻撃でダメージはないだろうが敵がどう反応するかの確認さ
悪趣味とはいえ『美術館に飾られているコレクション』だ、警備する存在が壊せば何か情報を漏らしてくれるかもしれないだろう?
そうやって隙を突き、パラドクス『槍牙旋撃』を叩き込むさ
・その他
アドリブ等は大歓迎だよ
レイラ・イグラーナ
美術館を見に来た者に対する仕打ちとしては些か手荒い歓迎ですね。
ここまでの悪趣味は聞いたことがありません。貴女たちの趣味でもあるのでしょうか? それともここの主特有の趣味だとすれば、貴女たちも剥製志望でしょうか?
挑発しつつ無理に情報は聞き出そうとはしません。
敵の練度も高く、包囲された状況。情報は他の方に任せ私は切り抜けることを重視します。
「銀の糸」を括り付けた「銀の針」を投擲、美術館内に銀の糸を張り巡らせましょう。
高い天井を利用し【飛翔】で三次元に動きつつ、赤い手でこちらを狙うノーブルメイドを誘導、【手製奉仕・檻】で引き裂きます。
取り繕った美しさよりも、血で汚れた姿の方がこの建物にはお似合いです
フルルズン・イスルーン
エルミタージュ(隠者の庵)だから、誰か居るかなーとは思ってたけどねぇ。
リターナーとか自分の事とかで色々思うことはあるけど……、
んー、スネグーラチカかな?
ま、言うだけ言っとこうか。
兆しとは一瞬の閃きに似たり、オーメン・ゴーレム!
まず前提。
ボクは二度極東ロシア探索に参加して、マントを着た髭の長い初老の男を見ている。
ということで、早業アートでゴーレムくんをあの仮称ジェド・マロースの姿に似せて再現。
そしてハッタリの時間だ!
「おっと、家主のご帰還だ! 控ぇい、控ぇい!」
といいつつ、ゴーレムくんに大立ち回りをさせるのだ。
これで引っかかったらびっくりだね。
ま、ホラーハウスしてるんだし、これくらいはね。
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
今迄も禄でもないと思っていたが……どうやら俺はお前達を見誤っていたらしい
潜入の為に抑えてきた分も含め全力でぶちかまさせて貰う!!
攻撃を避ける為に距離をとって【飛翔】し【空中戦】
又【残像】をばら撒いて【攪乱】
攻撃は【誘導弾】の【弾幕】を【連続魔法】で敵を分断する様に【制圧射撃】
更に【双翼魔弾】を弾幕の中に混ぜ込み放つ【フェイント】で敵を【攪乱】
人の剥製とは悪趣味に過ぎるが……動き出すとか何らかの仕掛けもあり得るか?
吸血鬼が仕込む仕掛けとなると血をかけるとかだが……考えすぎだろうが念の為だ
又、剥製に仕掛けがあるか確認に可能なら敵の血が剥製にかかる様に誘導
自分の血も可能ならかけ確認
「今迄も禄でもないと思っていたが……どうやら俺はお前達を見誤っていたらしい」
ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)の浮かべる怒りは如何程か。ぎりりと歯噛みの音すら聞こえる怒りに、しかし、トループス級クロノヴェーダ『ノーブルメイド』達は顔色一つ変えず、赤い蛇腹剣を引き抜く。
怒りの矛先は、飾られた剥製達、そして、それを為したと思わしきクロノヴェーダ達だ。目の前に居るアヴァタール級クロノヴェーダ『深窓の令嬢フランツィースカ』はその先兵に過ぎないだろう。元凶で無い事は充分に理解している。だが、それでも。
「まあ、この場所の名前がエルミタージュ……隠者の庵だからね。誰か居るかなーとは思っていたけどねぇ。よっぽど悪趣味な兇人が住んでいるらしいね」
フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)の零したそれは、呆れの混じった嘆息であった。
おそらく、この美術館に巣くうクロノヴェーダ――おそらくジェネラル級だろう――は死んだ少女達を剥製にして飾る程の異常者だ。さて、その尖兵達はそれでも付き従う同類か、それともクロノヴェーダの序列の前に、無理矢理従わされている憐れな敵兵か。
「ここまでの悪趣味は聞いたことがありません。貴女たちの趣味でもあるのでしょうか? それともここの主特有の趣味だとすれば、貴女たちも剥製志望でしょうか?」
「居直り強盗が、偉そうに!」
レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)の独白に、返ってきたのはフランツィースカの罵声で有った。
どうやら、前者の様だ。無言で得物を構えるトループス級同様、フランツィースカも血煙の靄を纏うと、がるると牙を剥き出しに威嚇の声を上げた。
「居直るつもりはないよ。クロノヴェーダのお嬢さん。このまま逃げさせて貰う」
継承者の槍を引き抜き、オスカー・メギドューク(“槍牙卿”・g07329)は断言する。
無論、敵もただで逃がすつもりはないだろう。ならば、押し通るまで。
「このエルミタージュ美術館は、死妖姫カーミラ様の崇高なる美術品が飾られた場所! 貴様らの様な下賎な輩が好き勝手して良い場所じゃないわ!」
フランツィースカの叫びが、開戦の合図となった。
「ん? 死妖姫カーミラ?」
ゴーレムの操る山車でノーブルメイド達を轢き、或いは撥ねながら、フルルズンはその名を反芻する。
(「そうかぁ。折角オーメン・ゴーレムに仮称ジェド・マロースの姿を再現させたが、無駄だったかー」)
髭の長い初老の男を模したゴーレムは、しかし、ノーブルメイド達やフランツィースカに何の感銘も与えなかったようだ。まあ、引っかかったら吃驚だったし、と少しだけ憮然としながら、それでもゴーレムへ更なる進撃を命ずる。
対するノーブルメイド達もまた、ただで吹き飛ばされてはいない。赤く染まった手でゴーレムを抉り、或いは破壊しながら、その猛攻を捌き、逆にフルルズンへ手傷を負わせている。
「いやはや。槍牙卿たる私を下賎と来たか。――では、下賎の戦い方だ。こういうのはお好みかな?」
美術館の床や壁、天井と問わず駆け抜けるノーブルメイド達に、向けられた笑みはオスカーの物で有った。
にぃっと笑みを浮かべた後、槍に括り付けたワイヤーを強く引く。他端に結われたそれは、一体の剥製――彼女達が飾っていた少女の形代で有った。
「ああっ。エミリーっ!」
「おや、彼女はエミリーと言うのかな?」
流石はクロノ・オブジェクト扱いの美術館と言う事か。パラドクスを伴わない攻撃で、少女の形代が砕ける事は無い。だが、敵の動揺を誘うのは充分だった様だ。
「死した後もカーミラ様の寵愛を受ける貴方が、何故こんな酷い事にっ」
「死した後も、だと?!」
疑問の言葉を零したのはルィツァーリだ。悪魔の双翼から魔弾を発し、ノーブルメイド達を打ち砕く彼は、オスカーの振り回すそれが、ただの剥製である事を知る。エミリーと呼ばれた彼女だけではない。そこらに飾られているそれは、ただの剥製。皮を剥がれ、人型に戻された形代達で有った。
(「トラップの可能性も懸念していたが……よもや、本当に剥製だとは……」)
つまり、此処の主、カーミラとやらは美少女達を集め、彼女達が死んだ後もその身体を剥製として保存するという異常者、と言う事だろうか。
常軌を逸した感覚に、ぞわっと全身の毛を総毛立たせた彼は、それでも飛びかかるノーブルメイド達を魔弾ではたき落とす。ズシャリと叩き落とされ、地面に倒れるメイド達は、しかし、次の瞬間立ち上がり、再度、復讐者達に肉薄、己の五体全てを武器に襲いかかってくる。
「ここは吸血ロマノフ王朝。ええ。そうですね。ここは、ロマノフ王朝である前に、吸血貴族の為す改竄世界史だと言う事ですか」
銀の糸を張り巡らせるレイラは静かに呟く。
ノーブルメイド同様、飛び、或いは銀の針で飛ばした銀の糸を足場に宙を駆る彼女は、その身のこなしでノーブルメイド達を、そしてフランツィースカの視線を翻弄していく。糸と針はノーブルメイド達を切り裂き、しかし、朱腕の一刀は、レイラのメイド服を、そしてその下の血肉を梳っていった。
(「流石は、サンクトペテルブルクの施設を任される警備兵達。練度は高いようですね」)
己が受けた手傷を無視し、冷静に周囲を見渡す。
彼女達が侵入経路として用いた扉は既に、フランツィースカによって押さえられている。そして、その前にはトループス級であるノーブルメイド達が展開している、と言うわけだ。要するに。
「逃げるのであれば、彼女達を撃破しないと始まらない、と言うわけだな」
「まあ、致し方ありません」
ゴーレムを繰るフルルズンの声に、同意を示すオスカーは槍を振るい、ノーブルメイド達を弾き飛ばしていく。
「その悪趣味さも踏まえ、全て、ぶっ飛ばす。全力でぶちかまさせて貰う!!」
ルィツァーリの咆哮がエルミタージュ美術館の中を木霊していた。
果たして、それは彼の言葉の通りであったか。
復讐者達の放つパラドクスはノーブルメイド達を打ち砕き、その身体を美術館の床に転がす結果となっていた。
「ああ、貴方達……」
血を流し、倒れる者も居る。力尽き、動かなくなった者も居る。そんなノーブルメイド達の奮闘に涙したのか、フランツィースカが零したそれは、大仰な嘆きであった。
「でも、大丈夫。カーミラ様のコレクションを守り、倒れた貴方達もきっと、カーミラ様は愛してくれるわ。死した皆も喜びなさい。あの御方は貴方達をずっと愛してくれる。そう、永遠に、ずっと愛してくれるわ」
それは寵愛への約束ではなかった。
むしろそれを例えるならば。
「……妄信、いえ、狂信ですね」
死後も愛される。だから死ね。
そんな言葉を述べるそれが、正常な思考を持つ筈もない。
「胸糞悪い。畜生」
「上位のクロノヴェーダには逆らえないとは言え……これはちょっとやり過ぎなのだ」
ルィツァーリ同様、顔を顰めるフルルズン。
だが、彼女の言葉にフランツィースカはハンと鼻で笑う。幼ささえ残る美貌に宿るそれは、嘲りであった。
「貴方達はカーミラ様を知らない。貴方達は私達の生き方を知らない。でも、だからって、貴方達の死生観を私達に押しつけないで」
「まあ、それも一理あるな」
狂信者に何を言っても無駄だと、オスカーは槍を構える。後は彼女さえ討てば、このエルミタージュ美術館から脱出出来る。ならば、それを為すのみだ。
「貴方達も何処かのディヴィジョンで、力を貯めているのでしょう? ならばやっていることは同じ――いいえ、愛がない分、もっとそれは悍ましく、酷い事よ」
復讐者達は何処かのディヴィジョンの使者。流布されたその妄言を、彼女もまた知っているのだろうか。
同じ穴の狢、否、それ以下の存在だと唾棄する様子に、しかし、レイラは首を振る。
「果たして貴方の言う愛が、本当のそれとは思えませんが」
ともあれ、此処で問答するつもりはないと、得物を構え直す。フランツィースカの目的は復讐者達の排除、そして、復讐者達の目的はこの場所の突破、そして脱出だ。その二つは交わらず、故に、交わす言葉に意味など存在しない。
「ここで貴方を倒します。取り繕った美しさよりも、血で汚れた姿の方がこの建物にはお似合いです」
事実上の宣戦布告を果たし、復讐者達は廊下を駆ける。
敵はアヴァタール級クロノヴェーダ。それを打ち砕く為、復讐者達はそれぞれのパラドクスを紡ぎ、吶喊していく――。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV4になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
完全視界使用、パラドクス通信で連携
狂信か……
果たして、剥製にされた少女達の幾人が、その愛とやらを望んだのか
散々独りよがりな押し付けを、この国で見てきたのだがな
安全圏に至るまで常に【平穏結界】を展開
フランツィースカを倒し、速やかな脱出を
偵察、観察し状況を把握
味方と連携し、包囲の位置取りを
屋内に合わせ【飛翔】し空中戦体勢
敵が壁や天井に飛べば牽制し、有利を取らせない
フェイント交えつつ、早業で弾丸を放ち援護
隙を看破し、狙い澄ました一撃を穿つ
反撃の剣には、魔力障壁を展開し炎を防ぎ
剣の軌道を観察し飛翔速度で回避
美術館を出たら、残留効果を駆使し帰還を
……この国は中枢まで化け物の巣窟のようだ
「狂信だな」
アヴァタール級クロノヴェーダ『深窓の令嬢フランツィースカ』の物言いに、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。
恋は盲目。愛も盲目と言った騒ぎではない。彼女の物言いは即ち、ただの思考放棄だ。
飛翔を繰り、銀の弾丸を歌う彼にとって、少なくとも、そうとしか思えなかった。
「果たして、剥製にされた少女達の幾人が、その愛とやらを望んだのか。散々独りよがりな押し付けを、この国で見てきたのだがな」
「あら。エミリーもイヴァンナもアレーシャもみんなみんな、愛を望んだわ。そして永久にカーミラ様に愛して貰える道を選んだの。素敵でしょう?」
対するフランツィースカの応戦は、具現化召喚された炎の剣だ。
その切っ先はエトヴァの衣服を焼き、肌に裂傷と火傷を負わせていく。
「それを愛と呼ぶのか、貴様らは」
剥製の少女達がその終わりを望んだのかどうか。おそらくそれを知る方法は無い。絶対的な支配者であるクロノヴェーダに一般人が否と唱えられる筈もなく、また、彼女達の常識は、彼の侵略者によって書き換えられる物だ。心の底から望んだとしても、それが本当に真意なのか、計る術があるはずもないのだ。
「この国は中枢まで化け物の巣窟のようだ」
「あら? 私達、吸血貴族を化け物呼ばわりとは酷くなくて? 侵入者風情が」
そして、目の前のアヴァタール級もまた、このエルミタージュ美術館に巣くうジェネラル級を心酔する一体なのだろう。激しい連撃の中、それでも憤慨の色は褪せることなく、エトヴァを斬り裂き、痛めつけてくる。
「ああ。闇に蠢く者がどの様な存在なのか、とうに理解したつもりだったがな!」
対するエトヴァの銀の弾丸もまた、フランツィースカに食い込み、血肉を美術館内にまき散らしていく。
舌戦、銃弾、そして投擲。
復讐者と歴史侵略者が交わすそれらは、次第に激しい物へと転じていく――。
成功🔵🔵🔴
効果1【平穏結界】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
オスカー・メギドューク
・戦闘
「では、無知な我々にご教示願おうか?力を貯める我々に『愛』がなく悍ましく酷いと言うのなら。『愛』あるカーミラの行為は何を力へ変えるのか?そしてカーミラはそれによって何を成すのかをね?それほど素晴らしいのなら口をつぐむ必要はないだろう?」
戦闘は≪トラップ生成≫で周囲の物品を敵に放ち、敵の攻撃への盾兼動きを阻害する罠として使う等して隙を作り、パラドクス『槍牙激哮』を彼女に叩き込むよ
彼女を倒したら速やかに脱出するとしよう
『死妖姫』カーミラ……『姫』をわざわざ名乗るんだ、皇帝の娘として(そうではないかも知れないが)、この美術館と繋がる冬宮殿に居るのかもしれないしね?
・その他
アドリブ等は大歓迎だよ
ファビエヌ・ラボー
(サポート)
『イイコトしましょ。つまり善良で美徳にのっとった、ね』
サキュバスの人形遣い×サウンドソルジャー、22歳の女です。
普段の口調は「淑女(わたくし、~様、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、時々「小悪魔(わたくし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
特徴は、礼儀正しい、柔和な表情、スタイルが良い、露出度が高い、そして実は勤勉です。
子供のぬいぐるみ型人形の名前は男の子がジョス、女の子がジュリ。
パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。
NG無し、アドリブ、絡み大歓迎です。
歴史侵略者と復讐者達の応戦は続いていく。
それは剣や槍、魔術と言った戦技のみならず、舌戦でもそうであった。
「では、無知な我々にご教示願おうか? 力を貯める我々に『愛』がなく悍ましく酷いと言うのなら。『愛』のあるカーミラの行為は何を力へ変えるのか? そしてカーミラはそれによって何を成すのかをね?」
貴様の言うそれが、それほど素晴らしいのなら口をつぐむ必要はないだろう?
それがオスカー・メギドューク(“槍牙卿”・g07329)の問いであった。
煽り、挑発し、アヴァタール級クロノヴェーダ『深窓の令嬢フランツィースカ』が抱く心酔すら糧にした言葉に、しかし、返ってきたのは。
「あら? 知らないの。『愛』は世界を変えるわ!」
「その、思いっきり駄目な様子ですわね」
激しいまでの思い込みに、ファビエヌ・ラボー(サキュバスの人形遣い・g03369)は呆れの声を零す。
「……いやはや、問うた私が馬鹿だったと言うべきか。その言い草では自身の主を貶めるだけに過ぎんと言うのに」
「あらあら? 死妖姫カーミラ様は寛大な御方よ? 何より、私を愛して下さるわ! その愛は世界を雪景色に変え、薄氷に閉ざし、そして全てを塗り替えるの!」
メギドュークの槍に相対するのは、無数の吸血蝙蝠の群だ。空を――美術館の天井までを覆うそれらは牙や爪を用いて、全てを蹂躙していく。その最中にオスカーとファビエヌの姿があった。
「つまり、『ディヴィジョンの拡大をする』って当たり前の事を言っているだけですわね」
「なんたる無意味且つ無価値な宣言だろう!」
情報の一片でも取れればと思ったが、彼奴が口にした事に目を見張る物はなかった。
冷静な時先案内人らしく、人形を繰る糸で吸血蝙蝠達を斬り裂きながらのファビエヌの言葉に、思わずオスカーは呻いてしまう。
「『死妖姫』カーミラ……『姫』をわざわざ名乗るんだ、皇帝の娘として、この美術館と繋がる冬宮殿に居る、と言う事か?」
槍撃と共に繰り出された言葉に、しかし、フランツィースカはにぃっと笑みを浮かべたままだった。肯定も否定もしないその様は、むしろ、オスカーを小馬鹿にしている様にも思える。
「『何も知らないのであれば黙っていろ』ぐらいは内心で思っているやも知れませんわね」
「成る程。助言、痛み入る。――腹立たしいことこの上ないがね!」
憤怒の言葉と共に繰り出す槍撃は、紙一重で躱した筈のフランツィースカの脇腹を抉り、その勢いのまま、壁すら穿って行く。
思わず、おーと賞賛を送るファビエヌの言葉に、芝居がかった仕草で笑みを浮かべるオスカー。
「ならば、この話は此処で終幕だ。全て、終わらせてくれよう!」
槍を構え、オスカーは新たなる刺突を繰り出すのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV2になった!
フルルズン・イスルーン
うーん。やだねぇ、ああいう一途を履き違えた輩は。
だがしかし、ゴーレムくんの世界を作り出す野望は止められぬのだ~!
え? そういう与太話はもういいって? ぇーゴーレムくんに関してはボクは真面目に……。
はいはい、しょうがないねぇ。
収める躰無き棺よ、声無き乙女に応えて現われ出よ。コフィン・ゴーレム!
船葬墓ミサイル装填よーい! 吶喊のち、槍を放てぇい!
ふはは、隠密する必要が無いならボクは派手にゆくぞー!
狂信がなんぼのもんじゃーい! ゴーレムくんのが一番だぞー!
ホントなら収めて帰りたい所だけど、無理なものはスパッと諦めるのが肝心なのだ。
そう、ココで逃げ帰るときに使うべき言葉は一つさ。
おぼえてろよー!
レイラ・イグラーナ
お互いの価値観について、議論を深めるつもりはございませんが……
そういえば、1つだけ訂正しないとならないことがありました。
先ほど、居直り強盗と呼びましたが……Нет、私は革命家です。
空を覆うほどの無数のコウモリも、お互いがぶつからないようにするため、本当に隙間なく埋まっているわけではありません。そして少し足並みが乱れればそれはさらに顕著になります。
銀の針を投擲し、無数のコウモリを牽制、全体で見れば些細な数でも、落とせばその瞬間、その空間は隙間が空きます。
空いた隙を縫うようにして吸血コウモリの群れを抜け【手製奉仕・縫】。フランツィースカに銀の針を突き立てます。
死妖姫カーミラ……いずれ戻ってきます。
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アドリブ連携歓迎
とりあえず此れだけは言っておくが……貴様等と一緒にするな!
お前達の常識による思い込みを押し付けるな!
それに、あんな歪んだ物を愛だと俺は認めない!
認めて堪るか!
改めて誓おう!
貴様等ロマノフは絶対に倒す!
特にカーミラとか言ったか……現れたならば必ずその首頂く!
攻撃を防ぐため距離を取りつつ【飛翔】しての【空中戦】
【残像】をばら蒔き【撹乱】しつつ【高速詠唱】しての【連続魔法】により【誘導弾】の【弾幕】を放ち【制圧射撃】
更に其の弾幕に時折【看破】しにくい様に偽装した【双翼魔弾】を織り混ぜての【フェイント】攻撃で【撹乱】する
時には味方の攻撃が当たるように敵が回避する方向を誘導する事も
「うーん。やだねぇ、ああいう一途を履き違えた輩は」
度重なるフランツィースカの妄言に、辟易したとフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)は表情を歪める。
「だがしかし、ゴーレムくんの世界を作り出す野望は止められぬのだ~!」
「いえ、妄言に妄言を重ねても会話が混沌とするだけです。イスルーン様、お控え下さい」
別の意味でイキるフルルズンに、しかし、冷静なツッコミが叩き付けられる。レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)の弁だ。
「ぇーゴーレムくんに関してはボクは真面目に……。はいはい、しょうがないねぇ」
肩を竦め、大きな溜め息を吐くフルルズンは、そのまま、小さな指をフランツィースカへと突き立てる。浮かぶ造形は船葬墓。現れるそれは無数の戦乙女――を模した、ゴーレム達だ。
「収める躰無き棺よ、声無き乙女に応えて現れ出よ。コフィン・ゴーレム! ……ふはは、隠密する必要が無いならボクは派手にゆくぞー! 狂信がなんぼのもんじゃーい! ゴーレムくんのが一番だぞー!」
それもまた、ある意味狂信の体現であった。
戦乙女たちの投げ槍による攻撃は、フランツィースカを斬り裂き、或いは貫いて血肉を美術館内にまき散らしていく。
「あはっ。良く判らないけど、貴方も愛を歌うのね。ならば、その思慕も全て、捧げて上げましょう」
対する炎の剣は、戦乙女を、そして、召喚者であるフルルズン本人を斬り裂き、肉が焦げる異臭を辺りに漂わせる。思わず顔を顰めるフルルズンに、第二、第三の斬撃が襲い、更なる裂傷と火傷を刻印していった。
「滲む一滴、擦れる凩。銀の野薔薇が狭間を透かす」
だが、フランツィースカの紡ぐ更なる一刀は、飛んできた銀針によって防がれていく。
為したのはレイラの紡ぐ暗器で、そして、二陣、三陣と飛来するそれは、フランツィースカの身体に突き刺さり、その身体を虚空へと縫い止めていった。
「愛を歌い、愛に戯れる貴方の価値観と、私達が抱くごく一般的な価値観。お互いの価値観について、議論を深めるつもりはございませんが……、そういえば、1つだけ訂正しないとならないことがありました」
吸血蝙蝠の間を縫い、突き立てる銀針は、魔除けの象徴だ。
ごく一般的に語られる吸血鬼の弱点を、フランツィースカ達吸血貴族は有していないとは言え、しかし、パラドクスが生み出す物理ダメージだけはどうしようもない。針の筵の如く造形物と化す彼女に、レイラは静かに告げていく。
「先ほど、居直り強盗と呼びましたが……Нет、私は革命家です」
それは彼女の矜持。彼女の誇り。
フランツィースカが主への愛を辛抱する狂信者ならば、その思いこそ、レイラの抱くそれであった。
「はん。革命なんぞ――」
「とりあえず此れだけは言っておくが……貴様等と一緒にするな!」
そこに浮かんだ表情は、嘲笑か、それとも強がりか。
しかし、フランツィースカの言葉は、一喝によって遮られていく。その声はルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)によって発せられた物だった。
「お前達の常識による思い込みを押し付けるな! それに、あんな歪んだ物を愛だと俺は認めない! 認めて堪るか!」
今にも動き出しそうな少女達の剥製を、彼女は愛と語った。愛の果てに彼女達は剥製へとなった、と。
「あらあら。常識を謳うの? 非常識を駆使する輩が」
これ以上語る言葉はないと、伸ばされたのは片手であった。その一抓みが、圧壊が、ルィツァーリの肩を押さえ、革鎧の肩当てごと、骨を砕き、肉を抉り取る。
それは鬼の握力であった。戯れの如く無邪気に伸ばされた指は、しかし、恐るべき破壊を秘めた握撃でもあった。非常識の駆使は、歴史侵略者の十八番であるならば、彼女の行為もまた、その範疇。ただの戯れに見えるそれもまた、歴史侵略者が駆使するパラドクスの一端であった。
「ああ。何度でも言ってやる! お前達クロノヴェーダを認めてたまるか! 貴様等ロマノフは絶対に倒す!」
「はん! 出来もしないことを吼えるのは宜しく無くてよ!」
悪魔の羽根の推進力で【飛翔】し、距離を取るルィツァーリに、しかし、戯れの殴打は止まらない。抉り、穿たれ、彼の身体は血に塗れていく。
これが歴史侵略者の力。これがパラドクスだ。そこに空間や距離、次元などは関係無い。彼女がその気になれば、身動き一つせず、ルィツァーリの身体を解体するだろう。
だが、それを彼も甘んじて受けるつもりは無い。
「宣言はもう一つだ! 特にカーミラとか言ったか……現れたならば、必ずその首を頂く!」
対するそれは、二双に紡がれた魔力の弾丸だった。
フランツィースカの攻撃がパラドクスならば、ルィツァーリの紡ぐそれもまた、パラドクスである。二双の魔弾はそのまま狙い違わず、フランツィースカの身体を貫いていく。
「ええ。よく言いました。ペルーンスィン様。死妖姫カーミラ……。それこそが、私達の倒すべき敵の名です」
続いて放たれたそれは、銀の光であった。
レイラの投擲は、ルィツァーリの貫いた傷口を、そのまま抉り、広げていく。思わず零れた悲鳴に、憐れとフルルズンが十字を切る程であった。
「とは言え、ボクの攻撃も終わらせる理由はないのだ。いけーっ。コフィン・ゴーレムくんっ。船葬墓ミサイル装填よーい! 吶喊のち、槍を放てぇい!」
先程の態度とはうって変わってのノリノリな命令に、しかし、其処はただの被造物。表情を一切返ること無く、戦乙女達は投擲を、そして刺突を繰り出していく。
魔弾と銀針、そして槍の穿孔に晒され、無事な理由など何処にも無い。それら全てに貫かれたはフランツィースカは地面に落ち、そして、大きく息を吐く。
「……カーミラ、さま」
苦悶に満ちた表情は、悔悟に染まっていた。
彼女の愛を零す事への無念か、それとも侵略者を倒す事の出来なかった嘆きか、それを復讐者達は看過する事が出来なかったけれども。
「ともあれ、戻りましょう。エルミタージュ美術館。ここは恐るべきジェネラル級クロノヴェーダの魔窟です。その報告をせねばなりません」
「何れ、討伐の為に動く必要があるだろう。……我が輩は再度、此処に誓う。彼の悪鬼はこの手によって討つ、と」
肩で息を吐くレイラに、ルィツァーリの言葉が重なる。
方針は決まった。邪魔をする輩もいない。ならば、長居は無用だ。
復讐者達は頷き合い、そして、出入り口から身を躍り出していく。
「そう、ココで逃げ帰るときに使うべき言葉は一つさ。おぼえてろよー!」
フルルズンの遠吠えにも似た声と、どぷんと響く複数の水音だけが木霊し、やがて、静かになっていった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【託されし願い】がLV2になった!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!