リプレイ
ルウェリン・グウィンリウ
ドラゴンも大概だけど、こちらの蟲どもも人の命を何だと思ってるんだ。
ともかく、一刻も早く向かおう。
◆
【水中適応】を発動しながら潜水。
灯りの方角をよく確認して、そちらにまっすぐ進んでいこう。
……しかし遠目にも大きい船だね。
サクソン人たちが使ってた細長い船とは比べ物にもならない。
昔のローマの軍船も巨大だったと聞くけど、こんな感じだったのかな?
と、余計なことを考えるのは後でいいかな。
後の避難の為に、この一帯の水温や深さ、水流の強さ、陸地までの距離などを分かる範囲で確認しておこう。
それによって取る手段も変わって来るかも知れないしね。
船に接近したら、櫂を出す窓のある辺りの壁を音立てぬよう剥いで中へ。
「ドラゴンも大概だけど、こちらの蟲どもも人の命を何だと思ってるんだ」
暗夜の長江、その岸辺で。
雄大なるその流れを前にルウェリン・グウィンリウ(灯火のエクィテス・g02040)は憤然と言った。
大戦乱群蟲三国志のクロノヴェーダである蟲将の悪辣さもまた、他に引けを取らないものだ。無数の命を犠牲にしてまさに蟲そのもののように増殖するのだから、全く以て、たちが悪い。
「ともかく、一刻も早く向かおう」
水中適応の効果を使用して水に飛び込んだルウェリンは、闇の色に浸された大河を滑空するように泳ぐ。水中に適応するというその名の通りに、水の中で呼吸が可能となり、水圧に阻まれることもなかった。
となれば、その前進が速まるのも道理である。
泳ぎながらルウェリンは河の様子に注意を払っていた。
水温、水深、水流――そして陸地までの距離。
夏であるので、水の冷たさも泳ぐのに支障はない。
これが冬であったことを考えると背筋が寒くなる。水に浸かれば体温を奪われ、大勢の一般人が命を落としただろう。
「あれが楼船か」
夜の大河に、大きな船影と、そしてちらちらと揺らめく炎が浮かんでいた。
灯りは甲板や楼台に据え付けられた篝火と見て間違いない。
「……しかし遠目にも大きい船だね。サクソン人たちが使ってた細長い船とは比べ物にもならない」
ロングシップと呼ばれる船は、喫水が低く、浅瀬でも航行できるという特徴があった。水を切って進む速度もなかなかのものだが、楼船ほど大勢が乗れるものではない。
「昔のローマの軍船も巨大だったと聞くけど、こんな感じだったのかな?」
多くの櫂で漕ぐという特徴から、ローマの三段櫂船はかなり似たような大船であるように思えた。その漕ぎ手の苦労は相当なものだったろうが――漕ぎ手でもなく前途に希望もなく、楼船の船底に押し込められている人々の苦しみは如何ばかりか。
(「と、余計なことを考えるのは後でいいかな」)
思考に沈んでいたルウェリンは、船壁に手を触れられるくらいまで近付くと、先ず周囲の状況を油断なく確認した。
蟲将に気付かれたような気配はない。
櫂が出ている窓のところまで登っていくと、ルウェリンはそこの壁を慎重に剥いで、入り込めるほどの隙間を作った。
その物音に気付いたのは、船底に押し込められた大勢のうち、近くにいた人々だけだろう。
「よし、これで入れそうだ」
手際よく事を進めたルウェリンが、船底に入り込む。
大成功🔵🔵🔵
効果1【水中適応】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
エレナ・バークリー
クロノヴェーダは、人間を治めようというつもりなんてありませんね。戦略物資のように使い潰すとは。
こういう手合いこそ、叩き潰すのに遠慮はいらないというものです。
【水中適応】で岸から船まで泳いでいきます。邪魔なので、防具の鎧は外して。
カイさんの【アイテムポケット】を使わせてもらって、必要になる物資を持ち込みましょう。準備などは可能な限り手伝います。ロープで繋いだブイなんかもいいですね。
船の側まで来たら、上に気付かれないよう気をつけながら、『深淵は深き闇の底に』の高圧高熱の熱水カッターを使って船の側面に穴を空けましょう。
そこが船底ならば良し、上階になっていたら、蟲将に気付かれないよう、そうっと船底へ。
カイ・オーベルト
アドリブ、連携希望
任務了解、だ。大量虐殺を見過ごす訳にはいかない。何としても食い止める
救助に必要な物を事前準備する。
携帯食料と飲料水。ロープやケミカルライト。簡易浮袋になる気密性の高い袋を多数。
【アイテムポケット】に詰め込んで行く。仲間に協力して貰えるなら出来るだけ多くを持ち込みたい。
潜水具を用意。【水中適応】の効果を借りられるなら使用。
敵に気取られない様に静かに船に近付き潜入する。喫水線上、船が沈まない程度の高さの船壁をチェーンダガーで切り、逃走口を作っておく。
「任務了解、だ。大量虐殺を見過ごす訳にはいかない。何としても食い止める」
事件の内容を受けてそう告げたカイ・オーベルト(アイゼンフント・g05787)は、今、夜の長江の岸辺に立っていた。
調達した様々な物資はアイテムポケットに詰めて持ち込んでいる。携帯食料と飲料水。ロープやケミカルライト。簡易浮袋になる気密性の高い袋等々――適切な準備と連携こそ、作戦を成功させる為の要素だ。
「クロノヴェーダは、人間を治めようというつもりなんてありませんね。戦略物資のように使い潰すとは」
生命を使い捨ての道具として扱う非道に、エレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)は怒りを燃やしていた。容赦なく希望を摘み取り、人命を使い潰す悪逆など決して認められるものではない。
「こういう手合いこそ、叩き潰すのに遠慮はいらないというものです」
エレナはカイの準備を手伝い、またアイテムポケットの恩恵を受けていた。
収納できる物体とポケットの個数には制限があるが、ロープなどを始めとした脱出と退避に必要そうな道具は詰められるだけ詰め込んでいる。
何しろ楼船から人々を脱出させることが出来ても、周囲に広がるのは夜の大河。
老若男女、無慮1000人の退避を支援するとなれば、用意をするに越したことはない。
「さてと、行きますか」
軽く準備体操をしたエレナは、美しいフォームで大河に飛び込んだ。水中適応の効果を活かして泳いでいく。
「防具の鎧を外しておいたのは正解でしたか」
水中で呼吸ができ、水圧の影響も受けなくなっていることに加え、動きやすくなるというのは泳ぐ上でプラスになる。
「水中適応、俺も使わせてもらおう」
水の中で活動するにも、準備があるのに越したことはない。潜水具も用意してそれを纏っていたカイは、長江の北側地点から、目標の楼船めがけて水中を進んでいった。
河を泳いでいくカイとエレナが、やがて暗夜に揺らめく船上の篝火を見た。
「あれか……」
「わざわざ目印を置くなんて迂闊なものです」
魏軍を警戒する余り、ディアボロスたちの接近など、夢にも思っていないかのような蟲将の警備体制であった。
夜の帳が降りた河の上に、大きな船影、そして赤々とした炎が揺らめいているのが見える。
エレナが言った通り、楼船の甲板などに設置された篝火は、潜入する者にとって、恰好の目印だった。或いは、人々が逃げ出すときにも、自分たちのおおよその位置を知る手がかりになるのかも知れない。
「到着したな。ここまでは問題なし、か」
カイは楼船の舷側辺りで浮上すると、慎重に船壁を調べ始めた。穴を開けるにしても、考えて作業を行わなければ、沈没を招きかねない。喫水線上の安全そうな高さを見極め、カイはチェーンダガーで船壁を慎重に切っていく。
「仕事が速いですね」
エレナもまたパラドクスの力を発動。
――全ての水の生まれしところ。光届かぬ灼熱の深淵よ。原初の水を吐き散らし、嘘偽りを洗い流せ。
激しい物音を立ててしまえば、魏軍を注視している呉の蟲将たちも、気付くかも知れない。
慎重を期して行われた作業により、船壁が綺麗に切断されていく。
木片を取り外すエレナ。
カイがそれを見て頷いた。
「侵入口の確保はこれでいいだろう。脱出にも使えそうだが、状況次第だな」
――潜入開始だ。
言うと、カイは大勢の人間が押し込められている船底に身を滑り込ませた。
「ええ、ここまでは上手くいきましたね」
接近から潜入までの経過は、大成功と言っていい。
気を引き締めると、エレナもまた闇の凝る船底に忍び込んだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
黄泉王・唯妃
アドリブ&連携歓迎
ふむ。たまには人助けもいいですか。
もたもたしている時間はなさそうですから手早く片付けましょう。
【水中適応】、そしてパラドクスを使って水中を跳ねるように移動します。
船底に辿り着いてしまえば木製の船ですから力業で側面に穴をあけることくらいは可能でしょう。
「さて、と。後はこの人数を落ち着いて脱出させるだけですか。まあ口八丁手八丁でなんとでもしてみせますが」
「ふむ。たまには人助けもいいですか」
夜の闇に満たされた大河の岸辺に黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)は立っていた。
射干玉の髪、そして蠱惑的な光を湛える深紅の瞳の持ち主である彼女は、水の流れに片足首を浸し、そして言った。
「もたもたしている時間はなさそうです。手早く片付けましょう」
水面もまた夜の色を浸したように暗かったが、水中適応の効果を発揮した唯妃は、躊躇いなく大河の中に身を沈めた。
沼跳沓(アレニェ・ド・ヴェール)。そのパラドクスによりもたらされる効果は、絶大だ。
水の中で呼吸ができるようになるばかりでなく、水圧の影響を受けずに行動が出来るとなれば、この状況にうってつけの力であるとさえ言える。
「邪魔者はいないのですから、楽なものです」
水中を蹴り、跳ねるようにして幽雅に進んでいく唯妃。
もし水中適応の効果がなかったらと思うと――いや、もしもの話は止めておこう。
「あれですか」
と、彼女は頭上で揺蕩う水面に、何やら明るい光が揺らめいているのを発見した。
それこそは、楼船の甲板や建造物の上に焚かれている篝火と見て間違いない。
目標の船に近づいていることを確認した唯妃は、更に水中を跳ね進むと、頃合いを見計らって浮上した。
船壁に手を当てて、僅かに口角を上げる。
「所詮はクロノ・オブジェクトでもない木製の船。力業でなんとかなりそうですね」
暗闇に満たされた船底に押し込められた人々は、壁が壊され、微かな光が外から入ってきたのを目にした。
そして次の瞬間、黒髪の美女が開いた穴から軽々と入り込んできたのに絶句することになる。
可能な限り慎重に壁を剥がして侵入を果たした唯妃は、船底に押し込められた人々を見て――口元にそっと人差し指を立てて見せた。
ひといきれが酷い。何しろ1000人もの人間が押し込められ、縛られているのだ。
少し見渡しただけでも、闇の中に、老若男女、様々な人がいるのが見えた。
下手をすれば逃げようと必死になるあまりにパニックを起こす可能性さえあり、単に脱出口を確保するだけでは不足なのは明らかだ。
船底を見渡して、唯妃は言った。
「さて、と。後はこの人数を落ち着いて脱出させるだけですか。まあ口八丁手八丁でなんとでもしてみせますが」
大成功🔵🔵🔵
効果1【水中適応】がLV3になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
「おお……」
ディアボロスたちが楼船の船底に侵入を果たすと、人々が小さく声を上げた。
老若男女1000人が、縛られ、灯りもない場所に押し込められているのだ。
それだけでも、蟲将の悪辣さが知れるというものである。
「あなた方は……?」
希望を捨てるなと人々を励ましていた青年が、小声で言った。
ディアボロスたちの登場は、絶望の暗闇に差し込む光明そのものだろう。
人々は呉の住人ゆえ、水泳が得意な者も多いだろうが、子供や体力の衰えた者もいる。
或いは腹ごしらえをする必要もあるかも知れない。
そして見渡せば所々に油壺があった。その処理も考えておくべきだろうか。
船上の蟲将との決戦があるため、ディアボロスが人々を安全圏まで誘導することは難しい。
自力で逃げてもらわねばならないのだ。
だが、工夫すれば、大勢の命を救うことも決して不可能ではないだろう。
夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
すっかり出遅れてしまったが、助太刀いたす
偃月刀で縄を切っていきながら弱ってる者に声をかけ
押し込められている民たちの<情報収集>を行い状況を把握しよう
【口福の伝道者】で仲間が持ち込んだ食料や持参した桃で食事を取り増やし
民らに与えていく
「さて、脱出には皆で手を取り合うことが肝心だ」
例えば水練が苦手な者は得意な者に引っ張ってもらう
川の流れを読むのが得意な者は経路を先導する
上の蟲将らは私たちが足止めをするから
その間に速やかに脱出してくれ
船の板を<両断>、縄を再利用して浮きに
油を塗って水をはじくようにしておけば、より安全かな
あまりの油壺は、いい手があればいいんだが
エレナ・バークリー
まずはこの暗闇を払わなければ。
持ち込んだマグライトを光源に、「光使い」で船底を広範囲に照らします。
自分達は囚われた皆さんを助けに来たと簡単に「演説」して、脱出手段を用意する旨を伝えます。
まずは縛られた手を解くのが先決。フェアリーコンボで「召喚」する妖精さん達に、短剣を持って手を縛る縄を切って回ってもらいます。
私は船殻の穴を出易い形に広げておきます。
最初に川へ飛び込む方達は、このブイの付いた綱を持っていってください。陸に着いたら木にでも結んで。次の人からは綱を手がかりに陸まで行けるように。
実際に動き出す前にまず腹ごしらえですね。干し肉でよければどうぞ食べてください。
私達は蟲将を片付けてきます。
カイ・オーベルト
アドリブ、連携希望
ケミカルライトを灯し人々の状況を確認
若者の拘束を切り、ナイフを渡して全員の縄を切って回って貰う
解放はそいつに任せ、頼りになそうな者を選び今後の統率を頼む。俺達が敵を引き付け、全滅させる。その後に全員を逃がして欲しい。
【口福の伝道者】使用。持ち込んだ食料と水を増やし配る。仲間にも増やすのを手伝って貰いたい。
船材等を切り出しロープで結んで浮具を作る
老人や病人、子供には袋を配る。空気を入れて縛れば浮袋になる
呉軍は同じ作戦を他でも行っている。だが俺達が悉く阻止してきた。今回も奴等の思い通りにはさせない。信じて、諦めず逃げ出してくれ。
ルウェリン・グウィンリウ
ご対面だね。
しかし想像よりも酷い所だ――牢獄かよ。
なに、すぐにおさらばさせてあげるさ。
◆
一般人たちの拘束を解きつつ、救出に来たと告げ安心して貰おう。
少ないけど手持ちの食料や水を渡して信頼も掴みたい。
脱出手段として、僕からは 【フライトドローン】を召喚。
体力に自信のない子供や老人たちはこれに乗って岸まで移動してくれればいいと説明する。
ドローンには、乗せた人の合図があれば陸地まで飛ぶよう命令しておく。
もし数が足りなければ、降ろした後での往復も指示。
もし彼らが見慣れぬ機械に対して警戒するなら、誤解を解いておこう。
えーとこれは……うん、あれだ。仙人? の道具みたいなものだよ。
ぱおぺえ。そうそれ。
黄泉王・唯妃
アドリブ&連携歓迎
流石に皆さん手慣れていますね。
やるべきことは手が足りているようなので【避難勧告】で危険な場所を避けさせて避難させましょう。
女子供老人には声を掛けつつ、皆がパニックにならないように周囲に気を配りましょう。
「さあ、ゆっくりで大丈夫です。ここには誰一人も足手まといは居りません。皆等しく生き残るべき仲間なのですから、お互い助け合ってここを脱出しましょう(建前)」
●解放
「想像よりも酷い所だ――牢獄かよ」
暗闇の中に大勢の人が縛られて押し込められているとなれば、その惨状は推して知るべしである。
船底に入り込んだルウェリン・グウィンリウ(灯火のエクィテス・g02040)は、蟲将のやり口に眉を顰め、そして言った。
「なに、すぐにおさらばさせてあげるさ」
「まずはこの暗闇を払わなければ」
真っ暗な船底に足を踏み入れたエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)が、即座に持ち込んだマグライトを点灯する。
何しろ灯り一つない場所である。
どんな作業をするにしても、闇の中では思うように進まないものだ。
光使いの技能も用いて光を拡散させ、船底を出来る限りに照らすエレナ。どよめきの声を上げそうになった人々を制して、甲板の蟲将に気付かれない程度に声を発した。
「落ち着いて下さい。皆さんの避難を手伝いに来ました。今から縄を解きますから、その場でじっとしていて下さい」
1000人という人数は、それだけで事態を困難なものにしていると言っていい。助かると分かれば、それだけでパニックを起こしかねないのが、危機に陥った人間というものなのだ。
だからこそ、エレナはまず人々に声掛けをして落ち着かせることに務めた。
「なるほど、やはり人命の維持など考えていないらしいな」
ケミカルライトを灯したカイ・オーベルト(アイゼンフント・g05787)も、素早く船底の状況を確認していた。
闇の中、大勢の人間が縄で縛られていたのだ。満足に身動きを取ることもできず、これでは火計で焼き尽くされる前に、息絶える者が出たとしても不思議ではない。
幸い、未だそこまで絶望的な状況ではなく、それを見て取ったカイは、まず人々を励ましていた気骨のある若者に近付いて手早くナイフで縄を切ってやった。
「あ……ありがとうございます」
「こいつで他の者の縄も切って解放してやれ」
短く言ってナイフを手渡すカイに、青年が瞳に強い意志の光を湛えて頷いた。
「今から俺たちが脱出を支援するが、皆の統率はあんたに任せた。冷静に行動するよう促して欲しい」
理路整然と説明し、託そうとするカイの言葉を、青年はよく聞いていた。
「分かりました。ですが、貴方がたは……」
「俺達は上の奴らを引き付け、全滅させる。事が終わった頃に逃げるといい」
確信の込もった言葉に、青年が深く頷く。
「やるべきことは多い。手早く済ませたいですね」
エレナに呼び出された妖精が、ふわりふわりと周囲を舞う。
妖精と共に、短剣を手にして手近な人々の縄を切っていくのだ。
だが、1000人という人数を解放するのは、やはりなかなか容易なことではない。
「すっかり出遅れてしまったが、助太刀いたす」
その時、楼船の船底に駆けつけた夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)が、黒龍偃月刀を手にして縛られている一団に歩み寄った。
「此処までよく持ち堪えた。もう大丈夫だ」
このような暗闇に押し込められた人間たちが恐慌に陥らなかっただけでも、称賛に値すると言っていい。ディアボロスたちの介入もまた迅速であり、手分けをして足りない人手を補い合っている。
状況を把握した錬晏は、未だ不安げな人々に穏やかな声色で言った。
「いま縄を切ろう。……暫し、じっとしていてくれ」
安心させるように語りかけてから、錬晏は、黒龍偃月刀を閃かせた。縛られた人々の縄がぱさりぱさりと断ち切られ、人々が狭い中、平伏せんばかりに礼を告げる。
今まで何隻かの楼船に潜入し人々を解放してきた錬晏である。優先順位をつけ、縄を切りながら次の行動を考えていた。
「岸まで泳ぎ切って貰わねばならんが、腹が減ったままではな。さて」
「流石に皆さん手慣れていますね」
船底で作業するディアボロスたちを見て黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)は言った。
人々の縄を切る者、食事を調達する者、避難具を用意せんとする者――人で溢れた中でもディアボロスたちは手際よく事を勧めている。
1000人もの人間を無事に避難させるとなれば、機転と連携が不可欠とさえ言える。
「概ねやるべきことは手が足りているようです」
唯妃は判断を下し、女子供たちに声をかけていた。
「まずは落ち着いて。上に気取られることさえなければ時間はあるのですから」
焦れば事を仕損じる。
唯妃は女性や老幼を中心に声をかけ、冷静な行動を促していた。
その口調は穏やかでありながら、どこか妖しい、不思議な響きを帯びている――。
●腹が減っては何とやら
「空腹だろう。食料や水の用意もあるから、まずは飲み食いして一息つくといい」
持ってきた食料や水を取り出すルウェリン。
何しろこの状況に追いやられた人々である。突然現れたディアボロスたちに戸惑う者もおり、信頼の確保も重要であった。
「桃も持参した。これで少しは気分も上向くだろう」
錬晏が持ってきた食事に桃を添えると、小さく子供たちの歓声があがった。果実だけでも水分を取ることができ、その味わいは体に染み渡るように疲れを癒すだろう。
「動き出す前に、まず腹ごしらえですね。干し肉でよければどうぞ食べてください」
そこに、エレナが持参した干し肉を添えた。
勿論、それだけで1000人の腹を満たせる量にはならない。
「少し待っていてくれ」
子供たちや弱っている者にまず水分を摂らせている間に、カイは自身がアイテムポケットで運んできた携帯食料や食事も広げ、皆が持ち寄った食事を一揃えにした。
――協力して欲しい。
カイの依頼を受けて、応じたディアボロスたちそれぞれが、口福の伝道者の力を行使する。条件を満たせば、何とか人々の腹を満たせる量が用意できる。
「無論、否やはない」
錬晏も同じく口福の伝道者を使用して食事を増やした。
腹が減っては戦はできぬというが、脱出せんとする呉の人々にとって、暗夜の退避そのものが『戦い』なのである。
「これは見たこともない……」
「美味しいよこれ!」
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
物珍しそうに携帯食を口にし、恐らく見知った食べ物であろう干し肉や桃を食べ、人々は人心地ついた様子であった。幼子の母親などは、大層腹が減っているだろうに、自らの分を口にする前に何度も何度もディアボロスたちに頭を下げていた。
「食べ過ぎないように。これから此処を脱しなければならないのですから」
腹を空かしていたところだったので、皆、用意された食事にがっついている。
注意しておくに越したことはないだろうと唯妃が念のために声をかけていた。
●脱出準備
「さて、この人数です。脱出口は広げておくべきですね」
エレナが短剣を手に、進入路にも使った船壁の穴を問題がない程度に広げ、効率よく避難ができるように拡大しておく。
流石に大きな楼船とあって、少しばかり『木材』を拝借してもそう容易く沈むものではないようだ。
「脱出するにも道具が必要だな」
錬晏が手伝って黒龍偃月刀で船の壁板を切り取る。先程切った縄を再利用し、木板に開けた穴に通して浮き具にする。
「あっしらにもやらせてくだせえ」
体を動かすという行為が、時に人々に安心感を与える。
錬晏は応じ、若者や壮年たちと共に浮き具作りを続けた。
それは人々が自らの手で自らの希望を紡ぎ上げる作業とも言えよう。
「道具さえあれば溺れることはないだろう」
同じく木材に穴を開け、ロープで結ぶことで浮き具を作るカイ。
「これも使えるはずだ」
持参した袋に空気を入れて縛ることで、浮き袋になるのだ。
老人や子供、泳ぎが苦手な者も、それに捕まれば、泳げる者に引っ張ってもらうこともできる。
「呉軍は同じ作戦を他でも行っている。だが俺たちが悉く阻止してきた」
作業を続けながら、確信を込めて、カイは告げた。
「今回も奴等の思い通りにはさせない。信じて、諦めず逃げ出してくれ」
「最初に川へ飛び込む方たちは、このブイの付いた綱を持っていってください」
アイテムポケットから、エレナはロープに繋いだブイを取り出して、脱出の方法をレクチャーする。
「陸に着いたら木にでも結んで。次の人からは綱を手がかりに陸まで行けるように」
真剣な表情で耳を傾け、頷く人々。
「油壺の処分はなかなかに難しいようだな……是非もない」
言いながら、錬晏は浮き具に油壺の油を塗る工程に入っていた。勿論、適度に、である。
使えるものを何でも使い、必要に応じて現地調達もする。
その機転と手際は、流石のものだ。
「脱出には皆で手を取り合うことが肝要だ」
手を動かしながら諭すように錬晏は言う。
「水練が苦手な者は得意な者に引っ張ってもらう。川の流れを読むのが得意な者は経路を先導する――出来る者はいるか?」
「では、我々が」
頭立った青年を中心に、まだ若い男たちが申し出た。
その面魂を見て頷いた錬晏が一瞬、隻手を止めて、
「任せよう。私たちは上で戦う。脱出の邪魔などはさせん」
「さてと、あと出来ることは……」
と、作業が順調に進んでいるのを見たルウェリンが言った。避難を安全に進めるために、彼は一計を案じていたのだ。
よくよく人々の様子を窺ってみると、避難に不安そうな子供たちがちらほら見えた。
「泳ぐの……?」
「そうすれば助かるんだ。気を強く持て」
縄を解かれた子供のうち、泳ぎが苦手な者がおり、大人がそう言い聞かせていた。
恐怖に駆られれば、泳いで大河を渡るのは難しい。木の板や浮袋も用意があるので、それに乗せたり泳げる者が引いていくこともできるだろうが、
「一人ずつであれば何とかなりそうだ。往復もさせよう」
ルウェリンは呟き、フライトドローンを召喚した。
(「一気に運ぶことはできないにしても……」)
呼び出したフライトドローンのうち、指示が出来るのは一機のみであるから、他のディアボロスにも効果を使ってもらい、数機を往復させる使用法となる。それでも命令を工夫すれば、泳ぎが苦手な者にとってかなり安全な方法だ。
体力の弱った老人も、乗っているだけで岸まで辿り着ける。
「すごい……!」
「なにこれー!」
腹が満たされて、少し落ち着いたのだろう。子供たちがその子供らしさを発揮して、瞳をキラキラさせていた。
食事を与え会話する中で、短い間にも信頼関係が生じたのだろう。
「えーとこれは……うん、あれだ。仙人? の道具みたいなものだよ」
ルウェリンが苦笑しつつ、ドローンに命令を下す。
●準備完了、そして
「さあ、ゆっくりで大丈夫です。ここには唯の一人も足手まといは居りません」
一通りの用意が整ったのち、唯妃は人々に囲まれながら言った。
演説するように、それでいて蟲将どもに気取られないように声を潜めて、身振りを交えて言葉を繋ぐ。
「皆等しく生き残るべき仲間なのですから、お互い助け合ってここを脱出しましょう」
彼女にとって、それは建前だ。
けれど、そうした言葉も危機的状況にあっては人々の心に響く。それを如何にも尤もらしく言う唯妃の弁舌により、老若男女が頷き合っていた。
本音を包み隠して語る唯妃の胸の内を、人々が推し量ることなどできはしない。怯える心を鼓舞し優しく諭す彼女は慈悲深く見え、その実、容易に窺えぬ底知れなさがある。
「上の蟲将どもに敢えて気付かせる必要はありませんね」
避難勧告の使用も考えていた唯妃だったが、あれはサイレンが鳴り響く。連携と声掛けにより想定した結果は既に得ているので、敢えて使用する必要もなかった。
これで人々がパニックを起こす事はないだろう。
蟲将どもの目論見はこの船底と同じく、気付かぬうちに穴を開けられた形である。
「貴方がたは、本当に……?」
「ええ、私達は上の蟲将を片付けてきます」
問う声に、エレナが凛とした面持ちで言った。
彼女を始めとしたディアボロスたちの的確な支援によって、人々は物心共に楼船から逃げる準備を整えたのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV2が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
「異常なし。魏軍の接近、確認できません」
護衛の東呉郡主侍女隊がそう報告した。
楼船の屋形部分を、ぐるりと囲む板廊の上である。
東呉郡主侍女隊の中には、甲板の上を警戒している者もある。
「このまま待ちぼうけっていうのも退屈なものねぇ」
報告を受けて、蝶型の蟲将、即ちアヴァタール級の猩紅妃が言った。
魏軍が来るであろう方角をひたすらに遠望していた蟲将たちは、足元の脅威に気付くことはなかったのだ。
篝火が赤々と揺らめいている。
灯台下暗しとでも言おうか。
ディアボロスたちが素早く甲板に上がり、今にも攻撃を仕掛けようとしていた。
カイ・オーベルト
アドリブ、連携希望
仲間とタイミングを合わせ突入する
足元の人々が人質になり得る事を思い付かせてはならない。一気に殲滅する
右手にマシンガン、左手にチェーンダガーを構える
【加速装置】使用。「肉体改造」された全身の駆動系の可動速度を限界まで加速。補助電子頭脳で思考速度をクロックアップし、高速戦闘を仕掛ける
敵の戦闘スタイルに合わせ「臨機応変」に対応。遠距離にはマシンガンによる「制圧射撃」、近距離にはダガーによる「斬撃」で攻撃。打つ手が同じなら、単純に速い方が勝つ。加速された「早業」で先手を取る
「一撃離脱」「ダッシュ」による高速機動戦で反撃を回避する
ルウェリン・グウィンリウ
よし、じゃあ――後はぶちかますだけだ。
◆
一気に甲板へと上がり強襲。
敵が油断している所を叩いて、主導権を奪い取ってやろう。
風と共に弓を向けられれば、即座に【ヴィンディケア・ブリタニア】で兵士たちを召喚。
密集しながら盾を掲げさせ、二重三重の防御陣で矢を防ぐ。
身動き出来ないなら、その場で守りを固めるだけさ。
射撃が途切れたら投槍で反撃。
敵を穿ち抜いて動揺させた隙に全員で斬り込み、奴らが纏まって動けないよう分断して撃破に持ち込もう。
僕自身も【フライトドローン】の一機に搭乗して上昇させ、楼の上など狙い難い箇所にいる個体をクロスボウで排除していく。
味方の優勢が確信出来たら、後は兵たちに任せて敵将を探そう。
「敵は未だこちらに気付いていないか」
楼船の甲板は、嵐の前の静けさを思わせた。
カイ・オーベルト(アイゼンフント・g05787)は、屋形のような甲板室の影に身を潜めて船首の敵を窺う。
魏軍を警戒しているらしく、夜の大河を見張る東呉郡主侍女隊は背を向けたままだ。
甲板の各所に同様の蟲将が配置されているのだろうが――幸いカイも一人ではない。
「よし、じゃあ――後はぶちかますだけだ」
言ってルウェリン・グウィンリウ(灯火のエクィテス・g02040)が戦場に躍り出たのを見てカイが頷いた。
敵が無防備な今が好機。ここまでの状況を作り出す事ができたのも、船底での行動が迅速かつ適切であったためだ。
構造物の影から駆け出したカイが、右手にマシンガン、そして左手にチェーンダガーを構えて突撃をかけた。
――加速装置!
パラドクスの解放と共に、改造された肉体を構成する駆動系が猛然と回転、限界まで速度を上昇させる。オーバーロード寸前の高速機動は世の条理に反逆し、時間を圧縮したかのような超常の速さを以て、カイは敵群に迫った。
補助電子頭脳のクロックアップによりもたらされる情報処理速度が尋常ならざる機動に追随している。
瞬時に現れ、そして瞬時に攻撃を仕掛けてきた鉄犬(アイゼンフント)に、流石の東呉郡主侍女隊も驚きを見せた。
数々の戦闘を潜り抜けてきた愛用の機関銃が火を吹き、バラ撒かれたにしては正確過ぎる銃弾の連続が飛び上がった蟲将どもに殺到する。
「まだだ」
「そんな……!?」
滑るように床に着地した蟲将が今度こそ絶句した。その華奢な体を切り裂いたのはカイが左手に持っていたチェーンダガーだ。戦闘用の大型ナイフのようでいて、微細な刃を刀身に連ねたチェーンソーとも言うべき形状の切断兵器である。
一連の攻撃は、殆ど瞬きする間に行われた。
「迎撃を……!」
それでも何とか態勢を立て直した辺り、流石にアヴァタール級の護衛を担う侍女隊だけのことはある。
ひらりひらりと飛び、その空中戦の技量によって弓に矢を番え、射撃してきたのだ。
「させん」
常人なら肉体が壊れてしまうであろう身のこなしで矢を避け、甲板を駆けるカイ。
床や板壁に蟲将の矢が次々に突き刺さっていく。
「敵の連携は乱れたか」
速攻こそが肝要だった。
(「足元の人々が人質になり得る事を思い付かせてはならない。一気に殲滅する」)
マシンガンとチェーンダガーを握りしめ、再び高速戦闘をかける。
「敵襲だって!?」
「まさか、魏軍……いや、違う!」
甲板室の上に立っていた東呉郡主侍女隊が慌てふためいていた。
援護する間もあらばこそ――不意に横合いから空を切って飛んできた矢が蟲将どもに襲いかかる。
「何奴!?」
視線の先にあるのは、フライトドローンに乗ってクロスボウを構えたルウェリンの姿だ。
「ここにいるぞ!」
甲板室の上に飛び乗ったルウェリンは、敢えて侍女隊の注意を引きつつパラドクスの力を解放した。
クロノヴェーダとの戦いにおいては、パラドクスを用いない武器による攻撃であっても、即座に反撃を受ける危険性がある。が、自身のパラドクスに繋げる為の隙を作ったルウェリンの射撃は奏功したと言っていい。
即ち――本命はここからだ。
東呉郡主侍女隊がはたはたと羽を羽ばたかせて宙に躍り上がり、弓に矢を番えてルウェリンを狙う。
「復讐の焔を抱く者は馳せよ! 嘗て敵だった者とて、今は盾を並べん!」
対する撃竜騎士の呼び声に応じて現れたのは、ヴァイキングと思しき鎧兜や円盾を装備した屈強な兵士たち――その幻影だった。
周囲に現れた彼らにルウェリンは盾を掲げさせ、密集陣形を取らせる。声をあげて応じた幻影が身を挺して守るように頭上からの攻撃に備えた。
東呉郡主侍女隊が羽ばたきで暴風を巻き起こすが、兵士たちは怯まない。
続けざまに放たれた矢が盾に突き刺さるが、恐れることもない。
羽ばたいて空中戦を敢行した侍女隊は、そこで驚きに目を見張ることになった。
「――復讐せよ(ヴィンディケア)、ブリタニア!」
矢を防ぎ切った兵士たちの投じた槍が、空中の侍女隊を串刺しにしていったのである。
「今だ、斬り込め!」
バタバタと落ちてくる侍女たちが、ルウェリンと共に突撃した兵士たちによって瞬く間に蹴散らされた。
「ここは敵船だ、地の利は向こうにある。油断はできないな」
船の各所で戦いが繰り広げられている。
不意を突いたこともあり戦いを有利に進められたが、アドバンテージなくぶつかれば、侍女隊も決して弱い相手ではない。
フライトドローンも駆使して援護に回りつつも、ルウェリンは辺りを見回し――そしてこちらを睥睨する蟲将を見た。
その燃えるような羽を持つ敵将を。
「随分と余裕だな」
睨み返すルウェリン。
決戦の時は刻一刻と近づいていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】がLV2になった!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
エレナ・バークリー
これより蟲将の殲滅戦です。船底は皆さんを信じましょう。
それでは、推して参る。
この季節の温暖な呉の地方。防寒対策なんてありませんよね。
「全力魔法」「氷雪使い」「風使い」で『凍てつきの桜吹雪』を行使。身体の芯から凍えなさい。
身体に震えが走れば、反撃の手も定まらぬというもの。「雪中戦」でそんな態勢からの攻撃、容易くかわしてみせます。
吹き荒れる吹雪の中、精霊剣に氷の力を宿して、身動きが見るからに鈍っている個体から、「斬撃」と「強打」を「臨機応変」に使い分けて討滅していきます。
鱗粉ですか。この冷たく吹き荒ぶ吹雪の中で、満足に展開できますか?
雑兵をとにかく蹴散らし進み、この船を統べる将の元を目指します。
夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
※残留効果活用
相手の得物が飛び道具なら
素早く接近して間合いに入るに限る
仲間と息を合わせて強襲
【エアライド】を活用して接近するとひと息に<薙ぎ払う>
「なんだ、この程度か?
少数の我らにすら太刀打ちできんのであれば
魏の大群と渡り合うなど、不可能だぞ」
初撃を叩きこんだ後は
私たちとの戦いに注力させるように<挑発>を交えながら大立ち回りを演じて
意識して広範囲の敵を相手取るようにする
【士気高揚】は、脱出する民らが少しでも動きやすいようにと餞別だ
ご武運を
「これより蟲将の殲滅戦です。船底は皆さんを信じましょう」
甲板に駆け上がったエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)は、他のディアボロスたちと呼応して素早く東呉郡主侍女隊に接近していた。
「それでは、推して参る」
風のような疾さで精霊剣を閃かせたエレナが、蝶のような蟲将たちに斬りかかり、引き付ける。
「奇襲に適した状況だ。皆に合わせるとしよう」
一方。
武人の漢服を翻し、広い船首甲板めがけて疾駆した夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は跳躍し、更に虚空を蹴って跳んだ。エアライドだ。東呉郡主侍女隊の数名が羽ばたいて空より弓射を見舞おうとしたところへ、横合いから攻撃を仕掛ける。
(「相手の得物が飛び道具なら――素早く接近して間合いに入るに限る」)
黒龍偃月刀が満月の如き円弧を描いて篝火に照らされた闇を裂き、斬撃に切り裂かれた蟲将たちがそれこそ羽蟲のように両断されて甲板へと墜落していく。
一拍遅れて屍の周囲に着地する錬晏。
「これは餞別だ。……ご武運を」
錬晏は士気高揚の効果により船底の一般人たちの勇気を奮い立たせんとする。
そして黒龍偃月刀を振るって大立ち回りを演じ、人々を苦しめた蟲将どもを圧倒するのだ。
侍女隊が彼を包囲すべく集まってくるが、取り囲まれつつある本人の表情は、至って涼しげなものだった。
「なんだ、この程度か? 少数の我らにすら太刀打ちできんのであれば、魏の大群と渡り合うなど不可能だぞ」
人類史に刻まれた赤壁の戦いにおいて呉が勝利出来たのは、如何なるわけか。それはその奇策もさることながら、恐らく各人が力を合わせて命を賭し、文字通り死力を尽くしたが故だろう。
連携の力は侮れないと錬晏は知っている。
そしていまその連携を実現しているのは、乱れた蟲将どもではなくディアボロスの方であった。
「このような体たらくでは魏に圧されるのも道理。少人数を相手にかくまで苦戦するとはな」
「黙れ、その口を閉じよ」
「ここで撃ち殺されるか、或いは水に逃れて我らが弓に射抜かれるかだ。活路はないと知れ」
「ああ――それはどちらも御免被る」
苦笑する錬晏を囲み、問答無用とばかりに羽ばたきによる大風を巻き起こす東呉郡主侍女隊。
その風を受けつつも、錬晏は続く攻撃を迎え撃った。
黒龍偃月刀を振るって襲来する矢を切り払う。
次々と床に突き刺さっていく矢はしかし錬晏自身には突き立たない。
「貴女たちの相手はここにもいますよ!」
侍女隊は船首甲板上でパラドクスの力を解放するエレナを見た。
「――はらりはらりと散る桜。凍れる風に乗りて氷雪の遣いとなり、世界を覆え」
紡ぐ言葉通りの事象が立ち現れる。
それは楼船の上に現れた。美しくそして容赦のない絶景であった。
薄紅色の桜吹雪――いやそれは花弁ではない。雪の一片が数えきれない程に舞い散ることで織りなされる超常の光景だ。
「この季節の温暖な呉の地方。防寒対策なんてありませんよね」
酷寒の旋風に舞い踊る無数の雪片は、渦を巻いてエレナを中心に美しい死地を描き出す。全力で氷雪を操り、精霊剣を舞うように振るうエレナに呼応して、凍てつきの桜吹雪が瞬く間に東呉郡主侍女隊を包み込んだ。
「身体の芯から凍えなさい」
「怯むな……!」
「こんなことで……!」
後手に回った東呉郡主侍女隊が、宙を舞って鱗粉を辺りにまき散らす。触れた者の肌に焼けつくような痛みを与え、粘膜を侵すそのパラドクスは、多数の侍女隊に放たれると酷く厄介な攻撃だ。
「鱗粉ですか。この冷たく吹き荒ぶ吹雪の中で、満足に展開できますか?」
だが、態勢を崩され寒気に取り巻かれた彼女たちの鱗粉に、むざむざと包まれるようなエレナではない。
甲板を蹴ってバックステップし、鱗粉の猛威をやり過ごした彼女が見れば――凍え死んだ侍女隊が物言わぬ屍となって甲板に倒れ伏していた。
「流石だな」
「護衛に邪魔はさせません。将のもとへ通してもらいましょう」
錬晏は黒龍偃月刀を。
エレナは精霊剣を。
自在に武器を振るい、パラドクスによって残る侍女隊を掃討する。
不意を突くことに成功したディアボロスたちの迅速果断な攻撃によって、東呉郡主侍女隊は瞬く間に全滅したのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
「これはこれは。魏軍が忍び込んできたとばかり思っていたけどねえ」
楼船と呼ばれる船の構造は少々特殊だ。
最上段に屋敷のような建物があり、その正面の開けた空間でアヴァタール級の蟲将――猩紅妃が一連の戦闘を見下ろしていた。
「無聊を慰めるには丁度良い。少し遊んでやるとしようか」
手勢が殺されたというのに、猩紅妃は余裕そのものだ。
酷薄な笑みを浮かべて、赤き蝶の蟲将がディアボロスたちを迎え撃つ。
エレナ・バークリー
配下は殲滅しましたよ、アヴァタール級。後はあなただけです。
無辜の民を生きながら焼き殺そうとした罪、あなたの命で贖ってもらいます。
生きながら焼かれるということがどういうことか、身を以て知ってもらいましょう。
「全力魔法」「火炎使い」「風使い」で『灰燼招く紅蓮劫火』を敵将に対して行使します。
よけることは出来ませんよ。あなたの居場所を起点に、この術式は吹き上がるのですから。
こんな時に魅了の踊りですか。焼け爛れていくあなたに魅了されるはずないでしょう。反撃の蝶もまとめて紅蓮劫火で焼き払います。
せいぜい、炎に包まれて死の踊りでも踊るんですね。
甲板に降りたら、船底の皆さんの脱出する姿が見えないでしょうか。
カイ・オーベルト
アドリブ、連携希望
部下を倒されたのに余裕だな。俺達を見くびって油断しているのか……いや、こちらの油断を誘っているとみるべきか
何にせよ、やる事は変わらない。任務達成に集中する
【グラヴィティドライブ】で重力場を纏い【飛翔】、「空中戦」を挑む
慣性を無視した「臨機応変」の機動で「撹乱」し、マシンガンの「制圧射撃」を叩き込む
弾丸の速度と威力を重力場で加速、強化
重力場のバリアで「拠点構築」。鱗粉を斥け、反撃の威力を削ぐ
親しい者の幻影。この世界に仲間はいても友人はいない。見えるのは過去の反乱軍時代の戦友だろうか
笑止な。彼らは皆死んだ。ドイツを取り戻しても彼らは帰ってこない
怒りで幻影を退け飛翔し鱗粉から逃れる
ルウェリン・グウィンリウ
余裕だね――虚勢か、一騎でも挽回できる自信があるのか。
いずれにしろ、やる事に変わりはない。
今も船底に囚われている人たちの為にも。
◆
ドローンから降り立って、飛翔しながら猩紅妃の周囲を旋回。
舞いが始まれば、それに魅了される事を認めつつ、刃の蝶を剣や盾で払いつつ距離を取る。
そちらの使う術は分かった。じゃあこちらも得意技だ。
そのまま行ける限り上空まで昇り、その位置から最高速での急降下突撃。
魅了されようが何されようが、こちらも止まりたくても止まれない。
盾を前に突き出して蝶を防ぎつつ、目の合う距離まで接近したらそのまま剣を振り抜いて叩き切る。
無聊の慰め? そう遠慮せず、冥土の土産まで持っていきな。
夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
「さて、その余裕…いつまで続くかな」
仲間と息を合わせ攻撃を途切れさせないように偃月刀を振るう
得物を持たない相手とどう打ち合えるかはわからんが…油断する気はない
その四肢を、その羽を、確実に〈両断〉していく
彼女の踊りに合わせるように刃を走らせ
興に乗ってきたところで【トラップ生成】で閃光弾を至近距離で破裂させる
破裂の直前に己は右目を閉じて光の直撃を避け
光が収まる間もなく動き出す
(多少距離感は狂うが、これだけ近ければ外しようもない…!)
朱殷色に染まり鋭さを増した偃月刀を
パラドクスを乗せて思い切り〈薙ぎ払い〉一撃を叩き込む
侮るなよ
この時代の覇権を争う前に、我らが貴様らの脅威だ
大河を渡る夜風が、船上を吹き抜ける。
楼船の最上段こそが蟲将とディアボロスの決戦場だった。
「配下は殲滅しましたよ、アヴァタール級。後はあなただけです」
典雅な挙止の中に隠しようもない高慢さを湛えた猩紅妃に、エレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)は美麗な剣の切っ先を突きつける。その鋭い視線もまた蟲将の妖艶な顔に据えられていた。
「護衛を倒しただけで随分思い上がっておいでだねえ。まあいい、そういう手合いが絶望に顔を歪めるのも嫌いじゃないさ」
「部下を倒されたのに余裕だな。俺達を見くびって油断しているのか」
エレナと同じく猩紅妃と対峙するカイ・オーベルト(アイゼンフント・g05787)がマシンガンを構えつつ呟いた。
「……いや、こちらの油断を誘っているとみるべきか」
変幻自在の舞いで敵を翻弄する妖しき蟲将だ。
その言辞を以て油断や心的動揺を誘ってくることも十分にあろう。もし隙を見せでもすれば、思わぬ痛打を浴びることになるかも知れない。それがアヴァタール級との戦いであると、数多の戦場を駆け抜けてきたカイは知っている。
――何にせよ、やる事は変わらない。任務達成に集中する。
その時、猩紅妃が眼前のディアボロスたちを威圧したまま、視線を上に向けた。
フライトドローンに乗り、眩い剣と円盾を携えたルウェリン・グウィンリウ(灯火のエクィテス・g02040)が眼下の蟲将を見下ろしていたのだ。
「ハッ、次から次へと。揃いも揃って私の手で殺されにきたのかい? 面白いねえ」
「余裕だね――虚勢か、一騎でも挽回できる自信があるのか」
追い詰められた様子もないのは、恐らくの後者の理由からだろうとルウェリンは思う。アヴァタール級は個の力で比べればディアボロス単体を大きく上回るもの。けれどそれは一対一でぶつかった場合のことだ。
「無辜の民を生きながら焼き殺そうとした罪、あなたの命で贖ってもらいます」
「なぜそれを……? まさかお前たち」
エレナの言葉に、猩紅妃の顔つきが変わった。
上甲板にいて護衛たちを指揮していた赤き蟲将には、船底の努力など知る由もない。が、嫌な予感を覚えたのだろう。
何かを言わんとしたその時、疾風のように踏み込んできた武人の刃が、戦いの幕開けとなる一閃を虚空に描いた。
「余裕も傲慢さから来るものか」
猩紅妃の喉元をかすめて横切る、黒龍偃月刀の切っ先。
「さて、その余裕……いつまで続くかな」
「チッ……!」
態勢を立て直す暇など与えはしない。
共に戦うディアボロスと連携し呼吸を合わせ、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は文字通り息もつかせぬ猛攻に出た。
だが流石に猩紅妃も強大な力を持つ蟲将だ。振るわれる刃を軽やかな足運びでひらりひらりと避け、笑みに口端を歪めるだけの余裕がある。
「なかなかの腕前だねえ。でも残念、そんなもので私を捉えられるとでも思ったかい?」
これが何らかの得物を持っている相手であれば、鍔迫り合うことも、弾くことも出来たかも知れない。
しかし回避に徹し反撃の隙を窺う猩紅妃を相手に、それは出来ない。下手な攻撃は却って敵に好機を与えるだけだ。
「なるほど、舞いには自信があると見える」
錬晏の言葉に、猩紅妃が苛立たしげに顔を歪めた。
瞬間、足元で罠が起動し、閃光が爆ぜる。
右目を閉じた錬晏は我と我が身を敵に突っ込ませ、全力で愛刀たる黒龍偃月刀を振るった。
(「多少距離感は狂うが、これだけ近ければ外しようもない……!」)
朱殷闘刀――その名が示す通りに朱殷色の闘気が偃月刀を燃え立たせる。
ここぞと開放したパラドクスにより戦場に小型の金字塔が現れ、錬晏の疾さが飛躍的に上昇した。
斬撃を見舞い、飛んで避けようとした猩紅妃を追って、錬晏は高らかに跳躍。
それは夜の船上に描き出された超常の光景と言えよう。
赤き軌跡を描いた斜め一閃が蟲将の胴を薙ぎ、深々と切り裂く――!
「ガ、ァッ……!?」
「侮るなよ」
着地し、振り返って、錬晏は言った。
「この時代の覇権を争う前に、我らが貴様らの脅威だ」
「お前たち如きに何ができるって言うんだい!」
青筋を立てた猩紅妃が、マシンガンより放たれる弾丸の数々を軽やかに避け、頭上からの攻撃に備える。
背後の楼が弾丸に穿たれ、ドローンの足場を蹴って飛翔していたルウェリンがその龍翼で空を切って猩紅妃の周囲を旋回。眼下でエレナと錬晏がその剣と偃月刀を振るって挟撃をかけ、蟲将の足場を狭めていく。
「流石だね。敵もなかなかやるようだけど」
空から激闘を見下ろしてルウェリンが言った。
場数を踏んだディアボロスたちの連携により、さしもの猩紅妃も決定打を出せずにいた。それでも攻めかかる各人を捌きつつ目立った隙を見せず、軽やかな足運びで戦場を舞い踊る――その戦い振りからも決して尋常な相手とは思えない。
「ちょこまかと煩いねえ! 落ちなッ!」
刃のような羽を持つ蝶が、猩紅妃の手の動きに呼応してルウェリンを追いかける。
その優雅にさえ見える闘法に思わず魅了されそうになりながらも、追いすがる蝶を振り切ろうとするルウェリン。
残留効果を用いた飛翔速度は、そのレベルから、決して速いものとは言えない。すぐにでもその体が切り裂かれてしまうかに見えたが、剣と円盾を駆使して蝶の斬撃を弾き、防ぎ、ルウェリンは夜闇に火花を散らせた。
多少の傷など織り込み済みである。
宙を舞うような動きから一転、全速の急降下攻撃に出る。
「無聊の慰めとか言っていたな」
渾身の竜翼翔破。パラドクスの力を解き放った突撃の鋭さ、速さは、先程までの比ではない。
「そう遠慮せず、冥土の土産まで持っていきな」
円盾を前に突き出し、襲い来る蝶の猛威を防ぎながら肉薄するルウェリン。
「自分から斬り裂かれにきたのかい!」
勿論、無傷ではない。
飛沫く鮮血が夜闇に散る。
けれどその程度で止まることがあろうか。
「貰った!」
「嘘だろう……!?」
流石の猩紅妃も避けることはできなかった。
斬撃一閃。龍の牙を思わせる白柄の剣が、猩紅妃の体を、錬晏がつけた傷の上から更に重ねるようにして切り裂いた。
独楽のように回転し、滑るように床に片指をつく妖艶なる蟲将は、驚くべきことにそこから自らの舞いに繋げて見せた。篝火に照らし出される装束、羽、そして血に濡れた貌は恐ろしくも美しい。
「ハハハッ! お前のその綺麗な顔に傷を入れてやるよ!」
哄笑と共に舞い踊り、刃の如き蝶を生み出す猩紅妃。差し出したその手の先に、エレナがいた。
鋭い刃そのものの蝶がエレナに殺到し、ひらりひらりと動きの読みにくい挙動を取って四方八方から切り刻もうとする。
「こんな時に魅了の踊りとは」
けれどエレナもまた舞うように迎え撃ち、後方へと跳躍して。
剣の切っ先を蟲将に向け、不敵な笑みを返した。
「生きながら焼かれるということがどういうことか、身を以て知ってもらいましょう」
剣を振り上げた瞬間。
羽で軽く飛び距離を詰めようとした蟲将を、灼熱の炎が瞬時に包み込んだ
轟々と燃えるそれは罪人を責め抜く地獄の業火を思わせ、空中で炎の柱に包まれた猩紅妃が悲鳴を上げる。
「焼け爛れていくあなたに魅了されるはずはありません」
刃の如き蝶さえも、紅蓮劫火の前では虚しく灰燼に帰す他はない。
「せいぜい、炎に包まれて死の踊りでも踊るんですね」
甲高い悲鳴が夜の大河にこだまする。
「体が……顔が……アアァァァァ……殺す……切り刻んで皆殺しにしてやる……!」
もはや鬼のような形相となった猩紅妃が最後の力を尽くして攻撃に出ようとした――その刹那である。
「重力子、展開!」
パラドクス解放――グラヴィティドライブ。
カイの重力操作機能が作動し、スラスターが爆発的にその推力を上昇させた。まるで重力などないかのような高速起動で猩紅妃の周囲を駆け、翻弄せんとするカイ。
炎に身を焼かれながら装束を翻して舞い踊る猩紅妃は、此処に来て鬼気迫るという言葉通りの戦い振りを見せていた。幻惑するように羽から鱗粉がばら撒かれ、飛散し、空を疾駆する鉄犬(アイゼンフント)を包み込む。
「惑え! そして悶えながら死んでいきな!」
僅かに顔をしかめるカイ。
その焦げ茶色の瞳が、霧の如く広がった鱗粉の中に多数の人影を見出していた。
(「これは――過去の反乱軍時代の戦友か」)
故国の戦士たち。
共に戦った人々。
武器を掲げる影、影、影――。
飛翔しながらカイは鋭く『その先』を見ていた。
鼻で笑う。
今その双眸に宿っているのは、紛うことなき怒りだ。
「笑止な。彼らは皆死んだ。ドイツを取り戻しても彼らは帰ってこない」
決して逃げず、惑わず、カイはただ正面から突っ込んだ。
幻影は霧散し、消え果て、その先に驚愕に目を見開いた猩紅妃が立っている――。
「なっ……越えてきたってのかい……!?」
「終わりだ」
至近距離から放たれたマシンガンの弾丸が、猩紅妃の腕を、脚を、そして胴を吹き飛ばし、死の舞いを踊らせた。
ふらふらとよろめき、遂に倒れ伏す蟲将。
数多の戦場を共に駆けた機関銃を手に、カイは無言で敵の屍を見下ろしていた。
「脱出が始まりましたね。蟲将も倒しましたし、これでもう心配は要りません」
去り際、エレナは闇をすかして大河を、その水面を見た。
船底に押し込められていた呉の人々が、ディアボロスたちの用意した方法に則り、協力し合いながら逃げていく。
「これは私たちの勝利であり、あなたたちの勝利です」
軽く剣を掲げ、餞別の言葉を口にする。
あれだけの準備と心構えが出来たのだ。きっと無事に逃げ果せるだろう。
逃れゆく人々のこの先の無事を祈りつつ、エレナは共に戦ったディアボロスたちと共に帰還するのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【飛翔】LV2が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV3になった!