リプレイ
マティアス・シュトローマー
住人が自分の意志で貢いでいる以上、詐欺ではないんだけど……。
黒幕がクロノヴェーダで苦しんでいる人達がいる。放っておけないな。
信者のフリをしつつ【友達催眠】を使って周りの人と仲良くなっておく。友達の会話なら関心を持って聞いてくれるだろうし。握手会ではアルナヴェトを挑発するように話してみよう。
アルナヴェト様、お会いできて嬉しいです。……なんてな。
随分と金回りが良いみたいだが、それは街の外に追いやった信者から奪ったものじゃないのか?
実際に君が金持ちになるにつれて、街の外の貧困層が増えている。
親衛隊の中にも、金が無くなってから姿を消した人がいるらしい。
困っている人を救うのが、神の役目なんじゃないのか?
●
「今日はアルナヴェトちゃんの握手会にきてくれてありがとうねー」
アルナヴェトの小神殿の正面。
アルナヴェトが民衆に歌と踊りを披露し、その後で握手会が開かれていた。
「こうして神(エンネアド)であるアルナヴェト様に直接触れられるなんて、なんとありがたいことか」
「うんうん、そうだよね。だからしっかりとお布施もしていくんだよ。このアルナヴェトちゃんの慈悲に感謝してよね」
ありがたやと涙を流す男にアルナヴェトは愛想良く握手をする。
「さあ次の民はキミ……かな?」
次にやってきた握手希望者にアルナヴェトはいぶかしげな目を向けた。
「アルナヴェト様、お会いできて嬉しいです」
彼女の前に現れたのはマティアス・シュトローマー(ザ・フール・g00097)だ。
彼女はマティアスが普通の人間でない事に気づいているようだが、周囲の人間は『友達催眠』の効果もあり彼を好意的に見てくれている。
(「仕掛けるタイミングは今が良さそうだな」)
穏やかな笑みを顔に張り付けて、マティアスは周囲に聞こえるよく通る声でアルナヴェトへと問いかける。
「流石はアルナヴェト様の神殿だね。絢爛豪華のひと言に尽きるよ」
「そうでしょそうでしょ。このアルナヴェトちゃんの御威光の賜物だもん」
本当に褒められたと思って気を良くしている。かなり単純な性格でこれなら手玉に取るのもそう難しくなさそうだ。
顔には微笑みを張り付けたまま心の中でマティアスは意地の悪い笑みを浮かべた。
「ところで豪華な神殿を作るための富だけど、元は誰のものだったんだい?」
「えっ?」
マティアスはこのやり取りに民衆の注目が集まっている事を確認し、言葉を続ける。
「街の外に追いやった民から奪ったものだよね」
「……ッ!?」
時先案内人から今回の悪事についての詳細は既に聞いている。
もはや事実確認の必要はない。情報をカードにどうやって彼女を追い込んでいくかが今回は重要なのだ。
街の外の人間の身元について民に知られるのはマズいのだと、彼女の顔は物語っていた。
「君の親衛隊の中にも、お布施が出来なくなってから姿を消した人がいるらしいじゃないか」
この発言には彼女の側に控えていた親衛隊からもざわめきが起こる。
「街の外の貧しい民が増加しているのも、君が富を奪って街の外に追い出したからだろう?」
ざわめきが民に伝播していく。
マティアスの質問にアルナヴェトは苦い顔をして口をつぐんだ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
ベリンダ・パッヘルベル
アドリブ・連携歓迎
これはまた絵に描いたような腹黒さんだねぇ。
アルナヴェトはどうやら富に執着があるようだしここは偶像としての外面と我欲どちらが勝るのか試してみようかな。
結構な勢いで富を吸い上げているなら生活がきつくなっているご家庭もあるだろう。
ボクはボロを身にまとって現地風に変装、それからちょっと街中の食べるのに困っていそうな子供たちにご馳走する約束をしてアルナヴェトの前に連れてきて金品を無心してみよう。
アルナヴェト様、ここにいる子供達はあなた様の敬虔な僕でございますが、明日の糧もなく困窮しております。
どうかこの哀れな子供達に御慈悲を垂れ下さいませ。
あ、この子達には後からちゃんとご馳走はするよ。
●
マティアスの登場で広場は騒然となった。
そんな中、ざわめく民たちの隙間を抜けて、アルナヴェトの前に現れた集団がいた。
ボロをまとったみすぼらしい子どもたちだ。
場違いの存在にアルナヴェトが顔をしかめる。
「アルナヴェト様、お願いがございます」
集団の中から他よりも年長者と思われる者がアルナヴェトに深々と頭を下げた。
声からすると女のようだが、すっぽりと頭を覆い隠すフードのせいで顔はよく見えない。
アルナヴェトが何か答えるよりも早く、女はたたみかけるように言葉を続けた。
「ここにいる子どもたちはみな、あなた様の敬虔な僕でございます」
民の目が女と子どもたちに集まる。
「しかし家族もろとも街の外に追い出されたために、明日の糧もなく困窮しております」
アルナヴェトはギョッとした顔を子どもたちに向ける。
「どうかこの哀れな子どもたちに御慈悲を垂れ下さいませ」
女の懇願にアルナヴェトは視線を彷徨わせて、ススッと後ろに後ずさった。
そして。
「あっ、この後の仕事がおしてるわー。もう少しお話ししたかったけど残念。それじゃばいばい」
くるっときびすを返して小神殿の中へと消えていく。まさに脱兎のごとくと形容するのがお似合いだろう。
その姿を見届けて女はボロを脱ぐ。
「あれで体面を保ったつもりかな。最悪の対応にしか見えないけどさ」
ボロの中から姿を現したベリンダ・パッヘルベル(人間の戦闘工兵・g01536)が敵ながらひどいものだとため息をつく。
今回の敵の対応はベリンダから見れば0点だ。
まず、こちらが現れた時点で異常事態が発生している。その時点で周りの者たちを使って追い返すなり、先に話しかけて意図を探るなりできたはずだ。
ちなみに街の外から誰にも見咎められずに子どもたちを連れて来れたのは『モブオーラ』によるものである。
次に会話の主導権をベリンダに握られた事。ただしこれはベリンダが意図して口を挟ませないように仕掛けた結果でもある。
こちらの目的は彼女と会話をする事ではなく、民に敵の悪事を印象づける事だったのでその行動は当たり前なのだが。
最後は民を前に何もフォローせずに逃げかえった事。たとえ口約束でも施しをすると言っておけばもう少し体面は保てたはずだろう。
「我欲が強いわりに、頭は良くなさそうだね」
この後で子どもたちにふるまう料理の献立を考えながら、ベリンダはその場を後にした。
大成功🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
シアン・キャンベル
神よ――嗚呼、神よ。私の空腹を如何か、その腕(うで)で満たし給え。跪き、供物を捧げた私の仲間は、金銭尽き果て、早々にゴミ屑と蔑ろにされたのだ――この中には『命令(それ)を実行した』ものも居た筈で、異厭、染みた涙は数知れずと解せよう。『我々は自らの脳内を再度冷やし、傍観するが如く思惟すべき』ではないのか!
私の仲間など『ここには』いないが『真実』と混ぜれば効果的であろうか。演説を行い民の意識を不信に傾けよう。心地の良いアイデアはきっと脳内で閃く。今一度神の行いを改め、何が起きているのか考えさせるべきだ。
●
街の中心の広場。多くの住人が行き交うその場所で、濡羽色の髪と瞳を持つ神秘的な女が虚空を見て語り始めた。
「神よ——嗚呼、神よ」
神に仕える神官か何かであろうかと、周りの人々の耳目が女に集まる。女のどこか浮世離れした容姿もそれに拍車をかけていた。
「私の空腹(はら)を如何(どう)か、その腕(うで)で満たし給え」
女は言葉もどこか意味深で、周りの人々はきっと彼女はどこかの神の関係者なのだろうと早合点する。
「おい、どういう意味だ?」
「腹が減ったから何とかして欲しいって事だろ」
周囲のボソボソとした呟きも聞こえていないのか、女の語りは続いた。
「跪き、供物を捧げた私(おまえ)の仲間(とも)は、金銭(ざいさん)尽き果て、早々にゴミ屑と蔑ろに(ついほう)されたのだ」
「神に供物を捧げた知り合いが、それで蓄えを無くしてゴミくずといわれて追放されたのか……」
「この中には『命令(それ)を実行した』ものも居た筈で、畏厭(いやになり)、染みた(こうかいの)涙は数知れずと解せよう」
「この中にも追放に加担したやつがいて、きっと後悔してるだろう、っていうのか!?」
「『我々は自らの脳内(あたまのなか)を再度冷やし、傍観するが如く思惟(みなお)すべき』ではないのか!」
「『ちょっと落ち着いて自分たちのやって来た事を客観的に見た方がよい』と」
女——シアン・キャンベル(妖蟲・g01143)の意味深な言葉は民たちにはどこかの神の神託のように聞こえた。
民たちの間にざわめきが広がっていく。
シアンの知り合いが事実この改竄世界史にいるわけではないが、彼女の述べたアルナヴェトのやった事は真実(ほんとう)である。
(「心地の良いアイデアはきっと脳内で閃く」)
シアンの思う通り、事実を突き合わせていけばやがては民たちもアルナヴェトの本性に気づくはずだ。
民たちの喧騒と心に浮かんだ微かな疑念(うたがい)を背に、シアンは広場(そのば)をあとにした。
大成功🔵🔵🔵
効果1【現の夢】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
十六夜・ブルーノ
改竄世界で歴史侵略者に苦しめられている人たちを
救うのも俺達、復讐者が為すべきことだ
精一杯努めよう、ドゥー
旅の楽士として皆の前で歌と演奏を披露
演目の題材は悪い兎ちゃん
いい子ぶりっこの兎の神様が営業スマイルで人気だけど
裏では悪どいことを沢山してるって詩
アルナヴェトくんへの当てこすりって判るように歌う
真実を知りたい?
ここで予め街の外で頼んで同行してもらっていた
アルナヴェトくんの被害者にその実情を語ってもらう
皆さんもきっと二面性に気付いているはずだ
このままだと皆さんが街の外へ放り出される日がくるかも
真実から眼を逸らさぬ勇気を持つこと願い【勝利の凱歌】
神様相手だけど安心して
希望は必ずある
●
昼下がりの広場。
旅の楽士といった格好の十六夜・ブルーノ(人間のサウンドソルジャー・g03956)と相棒のメーラーデーモンのドゥーの周りには人だかりができていた。
「さあ、ドゥー。俺たちに出来ることを精一杯努めよう」
膝元のドゥーから顔を上げて、ブルーノは観衆たちへと一礼する。
手に持ったアイリッシュブズーキの弦を軽く弾いて調律を確認する。ドゥーもどこか誇らしげにラッパを口元にあてる。
「これから歌うのはぶりっ子兎の裏の顔。善良な民を騙し、富を吸い上げ贅沢三昧。いらなくなった民は街の外へポイ捨てる。そんな悪い悪い兎の歌さ」
そんな前口上の後に前奏が始まり、ブルーノの歌と演奏が広場に流れる。
兎の表の顔を皮肉気たっぷりに、兎の悪事を臨場感たっぷりに、騙された人々の悲しみを情緒たっぷりに——。
その旋律は人々を魅了し、歌の世界へと人々は没入していく。
観衆たちの心の内で、悪事を働く兎を厭う気持ちと、追放された人々を同情する気持ちがかき立てられる。
いつしか観衆たちの頭の中にアルナヴェトの姿が浮かび始めた。悪い兎とアルナヴェトの言動にに多くの共通点があったからだ。
そして観衆は思い至る。
この歌の内容は事実なのではないかと。
ポロンと、最後の旋律を奏で終えたブルーノが観衆へと向き直った。
「真実を知りたい?」
ブルーノの言葉はある意味では神に対する不敬である。普段ならば民たちはアルナヴェトの怒りを畏れ、真実に目を背けたかもしれない。
しかし不思議とそんな気にはならず、観衆たちはブルーノの言葉をじっと待つ。
ブルーノが合図を送ると広場に数人のボロをまとった人々が現れる。彼らは街の外に追放された人たちであった。
その彼らが涙ながらに語るアルナヴェトの仕打ちに広場の民はじっと耳を傾ける。
「次はキミたちが街の外に放り出される事になるかもしれないよ」
ブルーノの忠告に広場の民は複雑な表情を浮かべていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
イシュア・アルミゴス
僕が提案したことだしちょっと調査してみようかな
というわけで市場でちょっとした聞き込みを行うよ
聞くのは親衛隊の中でアルナヴェト神の行為に疑問を持った人
見つけたらちょっと人気のないところで質問しようかな
君…アルナヴェト神についてどう思う?
いやアルナヴェト神の統治って自分にとって有用な人を残して
使えなくなったら捨てる統治だよね。でもさ、人が捧げられる供物って
限度があると思わない?全部出しちゃったらどうなるんだろね
でさ、こんな噂聞いたことない?最近近隣で神を倒す人達が出てきたって
前々から不信感を持ってる人は居たけど反抗する人って居なかったよね
居るって噂があったけど何か…知らないかな?
●
「それでは話を聞かせてもらえないかな?」
イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)の前にはひとりの男がいた。
アルナヴェトの親衛隊のひとりを街中でイシュアが呼びとめて話を聞く事ができたのだ。
復讐者たちの活躍でアルナヴェトのやっている事に疑問を抱く民も増えているようで、この男も案外と素直にイシュアの申し出に応じてくれた。
「君……アルナヴェト神についてどう思う」
歯に衣着せないイシュアの問いに男はぽつりぽつりとその本心を語ってくれた。
「以前は心優しいお方だと思っていました。ですがよくよく考えてみれば、我々から富を巻き上げて贅沢をし、慕ってくれる民を平気で街の外に追放しています。今では強欲で自分勝手で薄情なお方だと感じています」
そう語る男はどこか悲しく寂しそうに見えた
熱心に信じていたアルナヴェトに裏切られたような結果になったのだ。その心の内はイシュアにも察せられた。
「でさ、こんな噂を聞いたことない? 最近近隣で神を倒す人達が出てきたって」
イシュアの言葉に男はポカンとした顔をする。
しかし男の中で何かに納得がいったようで、すぐにイシュアに笑いかけた。
「私は街の外の事はよく知らないのでそんな話は初めて聞きました」
「そうなんだ。それでさ——」
——前々から神(エンネアド)に不信感を持ってる人は居たけど、反抗する人って居なかったよね。
そう続けようとしたイシュアに男は思ってもみなかった返答をした。
「その方達はおそらく太陽神ラー様の御遣いなのでしょう。太陽神様の命で悪神を懲らしめているに違いありません。ひょっとするとアルナヴェト様の元にも遣わされるかもしれませんね」
そう話す男の嬉しそうな顔。
それはアルナヴェトのような存在を間近で見ても、神(エンネアド)という存在への信仰そのものは全く揺らいでいない事の証明にみえた。
アルナヴェト個人は悪い神(エンネアド)でも良い神(エンネアド)は当然いて、神(エンネアド)は民の祈りを聞き届けてくれると。
先ほどの言葉を続けていたら、男はイシュアの事を怪訝な目で見たに違いない。
神(エンネアド)への信仰そのものに不信感を持つ事も、ましてや反抗することなど想像の外の話だろうから。
(「……神(エンネアド)が偽物の神であると気付いたり疑問を持った人たちは、クロノヴェーダの歴史改竄によって葬られてしまったのかもしれないな」)
……僕がそうであったように。
目の前で何の疑いもなく太陽神ラーへの感謝を捧げる男を、イシュアは何ともいえない表情で見つめていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
ベリンダ・パッヘルベル
アドリブ・連携歓迎
さて、アルナヴェトが居ないうちに邪魔なマミー兵団を削っておこうかな。
どうやら手に持っている剣を使った突進攻撃が主なようだねぇ。
突進しにくい高所に陣取って【地形を利用】して戦おうかな。
戦場を渡せる多層階の建物を選んで上階の窓際に機関銃を設置して【弾幕】を張ってマミー兵団を攻撃するよ。
兵団の数的優位を活かせないように味方へ攻撃の構えを見せている敵を重点的に【制圧射撃】を行い行動を阻害しよう。
特に突進を仕掛けている敵は動きが単調に単調になるだろうからこちらの攻撃も当てやすいよね。
もし接近されたらショットガンに持ち替えて応戦しよう。
ハインツ・ゼーベック
連携・アドリブ可
「アフリカ戦線はきついとは聞いていたがなるほど、この暑さは老体には応えるな」
普通に姿を現し、向こうがこちらに気づくギリギリで足を止める。
「私自身が囮になるかしかないというのは不便なものだ。――さて、マミーの諸君。すまないが消えてもらおう」
航空騎兵隊による空対地攻撃を使用。上空からの飛行部隊による急降下攻撃、射撃でマミーを殲滅する。
部隊の一部をハインツの護衛にし、その護衛を盾にして敵からの反撃を防ぐ。
【地形の利用】というかこの時代に空からの攻撃は想定していないだろうからね。
上空に気を取られれば潜入する他のディアボロスへの【時間稼ぎ】にもなるだろう
●
ハインツ・ゼーベック(好奇心は猫を殺す・g00405)は照りつける日差しを手で遮りながらポツリと呟いた。
「アフリカ戦線はきついとは聞いていたが、なるほど。この暑さは老体には応えるな」
齢六十に達しようかというハインツであるが、このうだるような暑さの中でも、着用した詰襟の軍服は襟元までしっかり止めている。
たとえ灼熱の太陽が照りつける古代エジプトであっても、身だしなみに注意を払うのは紳士の嗜みといえる。
ましてや彼はここに観光に来たわけではない。はるか五千年の時を遡りここに戦争をしに来たのだ。
下手をすれば彼はこの地で命を散らすことになるだろう。戦いを前にその覚悟ももてないほど、ハインツの歩んだ人生は軽くない。
一部の隙もない軍服は彼の覚悟のあらわれで、死装束でもあるのだ。
「老骨に鞭を打つのは辛いところもあるが、こういう役割は生い先短い老人の方が良いだろうね」
ハインツが居るのはアルナヴェトの小神殿の中庭。ひとり正面から堂々と押し入ってきた。
前方からは警護のマミーたちが侵入者を排除しようとやってくる。
彼は敵を引きつける囮をかってでていた。
ハインツはちらりと後ろに目を向ける。その視線の先に敵に高所——神殿の屋根の上に陣取るベリンダ・パッヘルベル(人間の戦闘工兵・g01536)の姿があった。
屋根の上からベリンダはハインツに殺到するマミーたちへと架設した機関砲を放った。
断続的な弾丸の雨が中庭へと降り注ぐ。
敵にとって全く予想外であったベリンダの攻撃は面白いようにマミーたちを翻弄していく。
「ふむ。高所からの攻撃を想定していないとは、あまり練度は高くなさそうだね」
混乱するマミーたちからハインツは絶妙な位置にたたずむ。自分自身を敵の視界から外さないように、戦場の注意を自分だけに向けるように。
「あの人……一体何者なんだ?」
高所から戦場を一望できるベリンダから見ればハインツは囮としての優秀さは一目瞭然だった。
14歳という年齢に反してベリンダは戦闘経験が豊富である。年若いベリンダが戦争の中でしか生きてこられなかった事は皮肉というしかないが、そのベリンダから見てもハインツの立ち回りは驚くべきものだった。
おかげで非常に戦いやすい。あっけなく高所からの制圧射撃でマミーたちは数を減らしていく。
「ほう、あの若さで彼女は素晴らしい兵士だね。敵の急所を的確に突ける戦術眼と判断力を兼ね備えている」
まだあどけない顔をした少女であるベリンダの働きにハインツは感嘆の声をもらす。
常に変化する戦場でこちらの意図を正確に察して、これ以上ない的確な打撃を敵に与える彼女の動きはハインツの知る歴戦の兵士たちのそれであった。
そして、勝利を確実にするためにハインツが動く。
「――さて、マミーの諸君。すまないが消えてもらおう」
彼の藍色の目が険しさを増す。
マミーの頭の上に影がさす。マミーたちが見上げると、そこに空を飛ぶ機械化兵士たちがいた。
「『航空騎兵隊による空対地攻撃(ルフトキャバリエ)』。諸君らは空からの攻撃は想定していないのではないかね?」
ハインツが麾下の航空部隊に命令を下す。
中庭にマミーたちの阿鼻叫喚の声が響く。
「さあ、多少の時間稼ぎにもなるだろう」
空と高所からの攻撃に翻弄されるマミーたちにハインツはこの先の一手を考え目を細めた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【フライトドローン】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
ゼット・ノアール
他のディアボロスは件の兎に接触したり街で捜査を開始しているようだな。
ならば俺は後の障害となる神殿の護衛を減らしておこう。
「敵性存在、護衛兵士【マミー】多数。掃討開始」
一体ずつ確実に。ニードルチェインで刺し、鎖で捕らえ、ブラックステークで撃ち抜く。
これの繰り返しだ。
派手にやって注意を向けてもいいが状況を見てだな。
一般人が俺を捕らえようとした場合、【罪縛りの鎖】で足止めさせてもらって離脱しよう。
※アドレス大歓迎です。
●
小神殿に襲撃者が出現したとの通達を受けて、マミーたちは薄暗い通路を焦った様子で移動していた。
と、先頭を走っていたマミーが急に動きを止めた。マミーはその場に膝をつき、苦しそうにうめき声を漏らす。
後続の仲間たちが駆け寄ろうとした瞬間、何かに引っ張られるようにマミーは前方の暗がりへと引きずりこまれていった。
異常事態に後続のマミーたちは足を止めて前方へと注意を向ける。
前方の暗がりへとおそるおそる目をこらす。
すると暗がりからドゴッという鈍い音と引きずりこまれた仲間の悲鳴が聞こえ、マミーたちの身体がビクリと跳ねた。
コツン、コツンと石畳の床を叩く靴音が近づいてくる。呆然と暗がりを凝視するマミーたち。
暗がりの中に金色の双眸が浮かび、やがて群青のコートを纏った黒スーツの男が姿をみせた。
男の手元からは鎖が伸びて、足元に倒れ伏したマミーを引きずりながら近づいてくる。
十分な距離まで接近した男は足元のマミーから鎖を回収し手元へと引き寄せる。
「敵性存在、護衛兵士マミー、残数3」
ゼット・ノアール(群青の傭兵・g01952)は青ざめた表情のマミーのうちの1人へと先端の尖った鎖を撃ち出す。鎖は狙いを外さずに標的の四肢を貫きその身を拘束する。
呆気にとられる残りのマミーたちが動き出すよりも早く。ゼットは鎖を強く引き、鎖にとらわれたマミーを自分の懐へとたぐり寄せ渾身の一撃を叩き込む。
一撃で意識を刈り取られたマミーはゼットの足元に力なく崩れ落ちる。
「残数2。戦闘行動を続行する」
恐怖にかられて襲いかかってくる残りのマミーたちに、ゼットは冷徹な瞳を向けて再び鎖を手元に引き寄せた。
「残数0。作戦を継続する」
マミーたちを殲滅したゼットは小神殿の暗がりの中へと再び消えていく。表で派手に戦う仲間たちを隠れ蓑に小神殿内部のマミーたちを各個撃破していくのがゼットの役目であった。
それから数十分後。
小神殿を警護するマミー兵団は復讐者たちによって全て排除されたのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
樫谷・都黒
神殿を見に行きたいのですが、案内をお願いできないでしょうか。
ついでに神さまの宝と言うのもみてみたいですね。
【友達催眠】【現の夢】【平穏結界】【モブオーラ】
貢物を神殿に運び入れる人に仲間と思わせ同行
自身の気配を薄くすることで誰でもない人になる
兎の神ですし耳を破壊すれば良いでしょうか。
商売の神なら金の像はご利益がありそうですけど、芸能の神では不向きではないでしょうかね。
神像:
解体、粉砕、観察の技能にて信仰を奪う為に効率的な破壊を行う。
壊した金の破片は【フライトドローン】にて一般人の多い所に運びばら撒く
壊す道具はパラドクスにて呼び出された大ノミ、大金槌、金鋸など解体道具全般
貸し出し可能
●
アルナヴェトの小神殿。クロノヴェーダの住む場所であるがここを出入りする関係者全てがクロノヴェーダであるわけではない。
「アルナヴェト様の住む奥殿はあっちだ。供物はこっちに運ぶようにいわれている。遅れずについてくるんだぞ」
樫谷・都黒(臥し者は独り路に・g00233)は隣の男の説明にこくりとうなずく。
彼女の両手は大きな荷物を抱えていて、周りにも同じような人々の列があった。
都黒は仲間の復讐者たちと共に供物を小神殿内に運び込む人夫の列に紛れ込んだのだ。
アルナヴェトは小神殿内の身の回りの世話や、清掃や荷運びなどの雑用に街の民たちを使役していた。
「いつもならもっと神殿に奉仕に来る人が多いのだが……ここの所少なくてな。新人は大歓迎だ」
アルナヴェトの事を疑う民が増えており、無料の奉仕活動に来る人間が減っているのだという。これまで行なってきた民への工作が上手くいった結果だ。
都黒は人夫たちと取り留めのない話を交えながら小神殿の中を進んでいった。
彼らに紛れこんだ今の彼女は、彼らから見れば、名前もなくこの時代に存在すらしていない『誰でもない人』といえるだろう。
自分というものが少し……まあ、それなりに曖昧な感じになっている都黒にとって、そんな奇妙な存在はむしろ自分らしいとさえ思えてしまう。
——自分がそこに無いのが自分らしいとは皮肉な話であるが。
やがて人夫の列は倉庫のような一室にたどり着く。都黒が周りを見れば民からの供物と思われるものが雑多に置かれていた。
(「ここは一時的な保管場所でしょうか?」)
都黒はアルナヴェトが蒐集した財宝をこんなところに置いておくはずがないと思った。クロノヴェーダである彼女には本来不要な財宝をなぜ集めているのかは分からないが、そうやって蒐集したものをどうするのかについては都黒は良く分かる。
「ここから先はマミーたちが供物を持っていくんだ」
都黒の予想通りの答えを男が口にする。
そして都黒は財宝と同じ場所に探し求める神像もあるはずと予想していた。
同じ蒐集家としての勘のようなものであるが、間違いないと思えた。
「大変だ、小神殿に侵入者があったらしい」
どうやら仲間たちの襲撃が始まったようだ。
逃げるように立ち去っていく人々を尻目に都黒は部屋の奥の扉に目を向ける。
「きっとこの先に隠し部屋があるのでしょうね」
そうに違いないと、都黒は確信できた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【平穏結界】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
十六夜・ブルーノ
隠し部屋とは
力の源だけあって流石に厳重だ
だからこそ破壊できれば効果は大きそうだ
神殿内の音の反響に耳を澄ませる
警備トループがいないのなら
堂々とブズーキを爪弾いて
その反響音から
壁や行き止まり、天井や床下など
音の反射が異なるところ≒その先が空洞っぽい
場所の見当をつける
更にじゃんと爪弾けば霊気が眼に宿る
どんな些細な違和感
僅かな隙間や切れ込み、色の違いとか
まるっとお見通しになるよ
きっとそこが隠し部屋の入口だ
開ける為の仕掛けも【完全視界】で観察すれば見当がつくと思う
念のため罠にも注意する
神像とご対面したら壊すだけ
きっと信仰と共に結界も弱まっている
ブズーキで葬送曲を奏でて粉々に
さて次は兎くんの番だ
マティアス・シュトローマー
マミー兵団は仲間に任せて、アルナヴェトの神像を探そうか。
小神殿にそのまま置いてあるとは思えないから、どこかに隠し部屋があるはず。
まずは神殿内の壁や床、天井を【情報収集】。どこかに亀裂や凹みがないか調べる。
コンコン叩くのは確実だけど時間がかかるな……。よし、【フライトドローン】に乗ってスピーディーに見ていこう。
怪しい箇所を見付けたら、シュリュッセルの【無鍵空間】で鍵やパスワードを突破できるようにしておく。
像を見付けたらそのまま破壊。
仲間と一緒に、アルナヴェトの悪事を街の人達に伝えてきたんだ。信仰心が弱まっている今ならきっと壊せるはず。
これで、舞台は整った。
●
人々が供物を置いていた部屋からつながる扉。
神像のある隠し部屋を探すために、都黒と十六夜・ブルーノ(人間のサウンドソルジャー・g03956)、マティアス・シュトローマー(ザ・フール・g00097)の3人は扉の先へと足を踏み入れた。
中は明かり窓や照明の類もなく真っ暗闇であったが『完全視界』の残留効果(エフェクト)により視界は良好である。
ブルーノは静かに両耳をすまして周囲の気配を探る。音ひとつない静寂が暗闇を支配する。
「見張りなどはいないな」
その言葉にマティアスも頷く。配下のマミーたちは神殿に襲撃を仕掛けた仲間たちにかかりきりになっているのだろう。
「むしろ見張りの1人でもいればそいつから隠し部屋について聞き出せたのにね、残念だよ」
ニヤリと悪戯じみた物言いのマティアスに「確かに」とブルーノも苦笑する。
ここから先は地道に隠し部屋を探すしかない。3人は手分けをして探索を開始した。
●
マティアスは通路の壁や床に何か仕掛けがないかを調べて、そこに耳を当ててコンコンと叩く。
それで違和感を感じたら、さらに調べるつもりなのだ。地味だが確実な方法といえる。
「やっぱりこのままだと大変だよな。少しでもスピーディーにいかないと」
いってフライトドローンを呼び出す。
フライトドローンに乗れば天井付近を調べるには便利だろうし、下の方もいちいちしゃがんだりする手間は省けるだろう。
とはいえ時間はかかりそうだ。小さくため息をついて地道な作業へと意識を戻した。
●
通路からつながる部屋のひとつ。何もない殺風景な小部屋の真ん中でブルーノは愛用のブズーキを取り出す。
「ドゥー、ちょっとの間じっとしていてね」
不思議そうにこちらを見つめるメーラーデーモンのドゥーにブルーノは優しい目を向ける。
背中を丸めて必要以上に身を縮めるドゥーの姿にクスリと笑みが溢れた。
気を取り直し、目を閉じ視界を塞いだブルーノはそっとブズーキの弦を爪弾く。
微かに奏でられた音は硬い石の壁や天井に反響して部屋の中に響きわたる。
ブルーノはその音の波にじっと耳を傾ける。
少しの違和感も逃さないよう。
深く、深く、耳を澄ます。
音の反響や流れに違いがあればその近くに空洞があるということだ。
「この部屋にはないか。次の部屋にいこう」
主人の言葉にじっと身を縮めて毛玉のようになっていたドゥーがブルーノの足元に嬉しそうにかけよった。
●
ブルーノが探索を始めて4つ目部屋でそれは起こった。
反響音に微かに混じる違和感。
すぐにブルーノは都黒とマティアスを呼んで3人で部屋の探索を始める。
「ここに何か引きずった跡があるね」
しゃがみ込んだマティアスの視線の先。石壁と石畳の床の境目に注意すれば分かる程度の擦り跡があった。
3人ががりで壁を押せば重厚な石壁はゆっくり奥へと押し込まれていく。
動いた石壁によってできた空間。その床部分に錠前のかかった大きな扉のようなものがあった。
「これで開けられるはず」
マティアスの眼前に人の身長ほどもある巨大な金色の鍵が浮かびあがり、真下の扉へと突き刺さる。鍵がクルリと回転するとカチリと錠前の外れる音がした。
扉を開けると地下へむかう階段があった。
●
3人が階段を降りた先は部屋のようになっていた。部屋には備え付けの照明があり全体を明るく照らしている。
「よくもこれだけ集めたものだね」
マティアスが部屋を見回す。
小さくない部屋にはところ狭しと金銀宝石が積まれていて、明かりに照らされてキラキラと輝きを放っていた。
その輝きに3人は顔をしかめる。ここにあるものは元をただせば街の外に追放された民たちのものなのだ。目に入る金銀宝石のきらめきはアルナヴェトによって苦しめられた人々の涙のように見えた。
「元の持ち主のところに返してあげたいですね。でもその前に」
都黒が部屋の中央に目を向ける。
そこには黄金でできた神像があった。
まわりの財宝に照らし出される黄金像はギラギラと下品に輝いている。信仰を失ったためか神像の結界はなきに等しい。
「もはや神々しさの欠片もない三流以下のガラクタですね。しかし素材は金です。解体して街の人々に有効利用してもらいましょう」
都黒が手をかざすと何もない空間から大きなノミや金槌、金鋸などの解体道具が出現し、神像を手際よくバラバラに解体していく。
「もっと細かい方が運びやすいだろ」
ブルーノがブズーキの弦を爪弾く。奏られた葬送の旋律がバラバラになった神像を更に細かく砕き、砂金へと変わっていった。
●
砂金の詰まった袋や部屋にあった財宝をフライトドローンで外に運びだす3人。
「これで舞台は整ったね」
信仰と神像を失ったアルナヴェトは完全に追い詰められた事になる。
「ああ、次は兎くんの番だ」
復讐者(ディアボロス)たちは決着をつけるべくアルナヴェトの元へと向かうのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【完全視界】がLV2になった!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
樫谷・都黒
信者も減り、寄る辺も無くなりました。
こうなっては神というものは憐れな物ですが、他に繋ぎとめる物が無かった故の末路です。
同情はしますけど、逃す事もありません。
不慣れな力なのであなたの神殿を壊してしまっても許してくださいね。
敵パラドクス狂信者に対して【罪縛りの鎖】で拘束
【建造物分解】で神殿を可能な範囲で破壊しつつ行動範囲削減
ビル破壊用ハンマーを装備した解体工事用大型重機のアームを呼び出す
神殿か神自体か外れても大丈夫なようにどちらかを狙う
人は狙わない
自分がされて嫌な事は、他人に対しても効果的でしょう?
幸い、『御前様』はそんな目には合わなかったようですけど。
変なマウントを悪魔の影響でやろうとしてしまう
●
「ア、アンタたち……なんてことをしてくれたのよ。これじゃ信仰を集められないじゃないっ!」
奥殿から姿を現したアルナヴェトが頭から湯気を立てる勢いでわめき散らす。
「このアルナヴェトちゃんに何の恨みがあるっていうのよっ!」
地団駄を踏むアルナヴェトにクスリと笑った樫谷・都黒(臥し者は独り路に・g00233)が片方隠れた大きな眼(まなこ)をジロリと向けた。
「な、なによ……」
「寄る辺の無くなった神というのは憐れな物ですね。その容姿以外に信仰を繋ぎとめる物が無かった故の末路といったところですが」
同情と呆れの半分半分が都黒の言葉からにじみ出す。そして大きくため息をついて都黒はアルナヴェトへ冷たく言い放った。
「どうにせよ、ここであなたを逃しはしません」
都黒からゾクリと冷たい空気が流れ出したように感じてアルナヴェトがブルっと震える。
慌てて都黒に攻撃を仕掛けようとするアルナヴェトを制して、都黒のパラドクスが発動した。
「恐れ知らずな余所者共は、一夜明けたら何処にもおらぬ。何処に行ったか誰も知らず。『御前様』にも内緒の話。何処にやったか誰も答えず——『塵塚拾遺集《消エタ罰当タリ》(チリヅカシュウイシュウ・キエタバチアタリ)』」
空中に古びた錆の浮いた鉄球の取り付けられた解体重機のアームが出現する。
鉄球がゆらりゆらりと揺れる。そしてアルナヴェト目掛けて飛んでいった。
「こんなおっそいの、くらうわけないじゃない」
ぴょいっと鉄球をかわして余裕の表情のアルナヴェト。だがその表情はすぐに驚きに変わる。
「アルナヴェトちゃんの神殿が!?」
アルナヴェトを外した鉄球が小神殿の壁面を破壊したのだ。豪華な彫刻の施された壁に無惨に穴が空いて欠片がパラパラと落ちる音がする。
「あらごめんなさい。不慣れな力なのであなたが避けたら『また』周りに当たってしまうかもしれませんね」
都黒がわざとらしく言ってのける。実際はパラドクスが誤射する事などあり得ないのだが。
「アンタ……性格悪いわね!」
「ふふふ、自分がされて嫌な事は、他人に対しても効果的でしょう?」
自慢の小神殿を壊されてはたまらないと、鉄球を気にしてアルナヴェトの動きは次第に精彩を欠いていく。
意地悪く微笑む都黒のペースに、アルナヴェトはすっかりのまれてしまっていた。
成功🔵🔵🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
十六夜・ブルーノ
力を削がれて少々可哀そうな気もするけれど
歴史侵略者に情けは無用かな
頑張ろうね、ドゥー
狂信者くんたちを
【完全視界】で動きをよく観察して
軽く当身で気絶させたり
【勝利の凱歌】の勇気や希望で
マインドコントロールを打ち破る
跳ね回る?アルナヴェトくんの動きもよく見えている
なんか団子を食べたくなるね
更にブズーキを爪弾こう
自分の動きに伴奏される形になるから
少々いい気になるかも
お気に召したかな?
でもこれで動きのリズムは掴んだ
そこだ
アルナヴェトくんへ葬送の旋律
この世界から掻き消えてもらおう
事後にこの街と人々の未来を願い
又これまでの犠牲者と兎くんらへの鎮魂も込めて
演奏を続ける
きっと未来は素敵だよ
よい旅を
●
都黒の鉄球に気を取られ動きの鈍ったアルナヴェトに復讐者たちは怒涛の攻撃を仕掛けていった。
その攻撃をアルナヴェトは目を丸くさせ、紙一重でぴょいぴょいとかわしていく。
(「あの動きを見ていると、なんか団子を食べたくなるね」)
兎そのもののアルナヴェトの動きに十六夜・ブルーノ(希望の配達人・g03956)の口角がわずかにゆるむ。
信仰を失った影響なのか今のアルナヴェトに余裕は無さそうに見える。
「少々可哀そうな気もするけれど、歴史侵略者に情けは無用かな」
相棒のブズーキ『ブリギッド』を手に、もう一人の相棒である黒いメーラーデーモン『ドゥー』へと語りかける。
「頑張ろうね、ドゥー」
コクコクとドゥーはうなずきラッパを口元に持っていく。
ブルーノとドゥーがアルナヴェトへと向き直り演奏を始めようとしたところで、アルナヴェトが反撃をみせた。
「親衛隊ちゃん、やっちゃって」
時空が歪み、パラドクスで呼び出された狂信者が一斉に襲いかかる。
信者たちをパラドクスで呼び出された人形のようなものだと判断したブルーノは、信者たちから逃げるように距離を取りつつ、ブリギットの弦を爪弾く。
「ぷぷぷ、そうやって情けなく逃げ回ってるのがお似合いよ」
信者たちとブルーノの鬼ごっこにアルナヴェトは良い気味だとばかりに笑い声をあげる。
一方のブルーノは落ち着いた顔つきでアルナヴェトを観察し、奏でる旋律を調整させていった。
ご機嫌なアルナヴェトの動きに合わせて。
より軽快に、気分を高揚させて。
「ハハハハ、アンタ大した事ないわね!」
足元の石ころにさえ気づかないように——。
「キミの為の『葬送の旋律(レクイエム)』。その前奏はお気に召してくれたかな?」
アルナヴェトのリズムを完全に捉えたブルーノがニコリと微笑み、旋律を転調させる。
「えっ?」
「冥界の扉が開く。さあ、失われた歴史の復讐の始まりだ——『サウンの祭』」
「キャァアアアアッ!?」
恐怖に目を見開くアルナヴェトの周りを葬送の旋律が取り囲み、全身を青白い霊気が彼女を包み込んだ。
成功🔵🔵🔴
効果1【完全視界】がLV3になった!
効果2【ロストエナジー】がLV4になった!
ゼット・ノアール
「敵性存在、首魁【アルナヴェト】確認。
…大層な名を冠しているがやってる事は神とは到底言えないな」
どちらかと言えばアイドル…偶像だ。
偶像崇拝は脆いぞ。意にそぐわない者を切り捨てたツケがきたな。
正しき怒りを【エルガーマックス】に込めて放つ。
仲間と連携して一気に終わらせよう。
兎というのは動物として見ても実は侮れないからな。
追い詰められたら何するか分からない。
鎖を駆使して暴れないように動きを牽制していく。
臨機応変に対処する。
※アドリブ大歓迎です。
●
「クッ……なめんじゃないわよ!」
青白い霊気に全身の毛皮を切り裂かれながらも、アルナヴェトは大きくジャンプして空中へと逃げだす。
その足にジャラリと鎖が巻きついた。
「ヒエッ!?」
「敵性存在、首魁『アルナヴェト』捕捉。神などと大層な名を冠しているが、やっている事は神とは到底思えん。むしろアイドル……偶像か」
その鎖は地上からゼット・ノアール(群青の傭兵・g01952)が放ったものだ。
ゼットはさらに両腕、もう片足と、3本の鎖を放ちアルナヴェトを空中で拘束する。
「離しなさいよ、このっ!」
もがくアルナヴェト。しかしアルナヴェトに鎖を振り解く事はできない。
「そんな非力で逃れる事は不可能だ。意にそぐわない者を切り捨てたツケがきたな」
ゼットが事実を冷たく言い放つ。
中身のない外ヅラだけの偶像崇拝は脆い。寄る辺のない信仰は何かあればあっという間に霧散してしまう。
まさに今のアルナヴェトのように。
しかし、だからといってゼットに油断はなかった。歴戦の戦士が追い詰められた者の怖さを知らないわけがないのだ。
故に己の最高(ゼット)で敵を迎え討つ。
「目標確定……無辜の民たちの怒りをうけろ」
アルナヴェトの四肢を拘束した4本の鎖を一気に自分の方へと巻き込む。途端に空中から地上へとアルナヴェトの落下が始まる。
同時に最大出力でゼットは跳躍する。
天に向かって放たれた群青の矢となってアルナヴェトに迫る。
「これが、正しき怒りだ——『エルガーマックス』」
勢いよく落下するアルナヴェトと、真っ直ぐ上昇するゼットが交差する瞬間。大きく蹴り上げられたゼットの足がアルナヴェトの無防備な胴を撃ち抜いた。
——ドガァッ!!
身体をくの字に曲げたアルナヴェトが再び空へと飛んでいった。
成功🔵🔵🔴
効果1【落下耐性】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
マティアス・シュトローマー
握手会以来だな、アルナヴェト様。
ここでまた会えたのも何かの縁。また話を聞かせてよ。
上手く動揺させられなくても、一瞬の間があれば十分だ。隙をついて【突撃】し、一気に敵との間合いを詰める。
さらに【エアライド】で高く跳び、勢いを付けたらアイゼンハントで攻撃。
アルナヴェトを衝撃波で突き飛ばし、信者の人達から引き離す。
守らなきゃいけないはずの信者を盾にする神様なんて、信仰する意味あるのかなあ。
アルナヴェトの奇跡で創造された地形も【計略】と【地形の利用】でうまく使わせてもらおう。
今まで何回も不利な状況を覆してきたんだ。
エアライドでアルナヴェトの立つ場所まで行けば、条件はイーブン。こちらも銃で迎撃するよ。
●
空中へとふき飛んだアルナヴェトを見上げマティアス・シュトローマー(ザ・フール・g00097)はその落下地点へと走りだす。
「ここまで大きな隙をさらしている以上、徹底的につかせて貰うよ」
アルナヴェトが足場のない空中で無防備な姿をさらしているうちに、マティアスはさらなる追撃を叩き込むつもりなのだ。
「あ、アンタはッ!?」
「握手会以来だな、アルナヴェト様」
近づいてくるマティアスに気付いて目を見張るアルナヴェトに、マティアスはニンマリと良い笑顔を見せる。
「ち、近よんな!」
マティアスの意図を察した空中のアルナヴェトは、必死の形相でパラドクスを発動する。
瞬く間に無数の輝く金銀宝石がアルナヴェトの周りに出現してマティアスに向かってマシンガンのように撃ち出される。
「つれないね。随分と嫌われちゃったかな?」
ギリギリまで引きつけて高く跳躍。
金銀宝石の弾幕を紙一重でかわしたマティアスは、さらにもう一度空中を蹴ってアルナヴェトの頭上をとる。
「まあ……それはお互い様なんだけど!」
マティアスのパラドクス『アイゼンハント』が発動する。鈍く光る鋼鉄の籠手を纏った拳を全力でアルナヴェトへと振り下ろす。
——ドゴォッ!
「グボァッ、グヘッ……」
身体にめり込んだ鋼鉄の拳にアルナヴェトから苦悶の息が漏れる。
さらに。
「Leck mich am Arsch!(カエルのように潰れちまえ、この性悪クソ女!)」
——ドンッ!
「ぎゃぁあああああ!?」
拳から発生した衝撃波で、アルナヴェトは勢いよく地面に向かってふっ飛んでいった。
成功🔵🔵🔴
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
シアン・キャンベル
嗚呼――空腹で目眩がするのだよ、貴様
二等辺三角形の回転に存在諸共ミンチにされ給え
信者を呼び出してきたならば現の夢、トラップ生成などを利用し動きを止めようか。不可能であるならば仕方がない、いつもの如くに物理的だ
ピラミッドの超越性(エネルギー)を身に纏い飢餓感が儘に突撃だ。投げ棄てた身に宿る我が神意(プロヴィデンス)、貴様に理解が出来るとでも?
破滅的なまでの偶像崇拝に落下照明だ、証明書を造るのにその頭は脆いだろう。早々に砕けるが好い、味噌だけは丁寧に扱ってやる
ブブブと翅を鳴らしつつ頭の中まで侵してやろう、嗚呼、そろそろ兎鍋が食みたくなってきたな?
甘くとろけた精神に蹴撃のオマケだ
これにてフィニッシュ
●
ブブブブ——。
強く地面に叩きつけられ地面に伏したアルナヴェトの耳に不快な音が聞こえた。
ブブブブ——。
虫が羽をこすりつける耳につく音だ。
五月蝿(うるさ)い、とダメージで朦朧とした頭で感じた瞬間、アルナヴェトの背筋にゾクリと冷たいものが走った。
「嗚呼――空腹で目眩がするのだよ、貴様」
その声が聞こえたのと同時。とっさにアルナヴェトはゴロリと身体を転がす。
ドスンという音が聞こえ、先ほどまでアルナヴェトがいた場所を見ると、そこに逆さになったピラミッドが突き刺さっていた。
「二等辺三角形の回転に存在諸共ミンチにされ給え」
抑揚の無い不気味な女の声。アルナヴェトがビクッと地面からはね起きると、どこまでも深淵(ふか)い漆黒の目をたたえるシアン・キャンベル(妖蟲・g01143)がそこにいた。
ブブブブ——。
その音はシアンの背中の羽が発する羽音だった。脳に直接響くような不快(いや)な音が彼女の羽から掻(か)き立てる。
さらによく見れば、シアンの周囲(まわり)には宙に浮かぶ無数の三角形(ピラミッド)が存在しており、その超越性(エネルギー)が羽音を増幅しているようであった。
ブブブブブブブブブブ——。
「ひえっ!」
たじろぐアルナヴェトに向かって、おもむろにシアンは突撃を仕掛ける。
「投げ棄てた身に宿る我が神意(プロヴィデンス)、貴様に理解が出来るとでも?」
一気に距離を縮めて、怯えるアルナヴェトの頭をその手で掴む。その細腕に宿(あ)るとは思えない力で、もがくアルナヴェトを持ち上げて——。
「破滅的なまでの偶像(アイドル)崇拝に落下照明(フィナーレ)だ、証明書を造るのにその頭は脆いだろう」
頭蓋(のうてん)から地面に勢いよく叩きつけてみせた。
「早々に砕けるが好い。味噌だけは丁寧に扱ってやる」
嗚呼、そろそろ兎鍋が食みたくなってきたな?
ブブブブ、ブブブブ、ブブブブブ——。
成功🔵🔵🔴
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
イシュア・アルミゴス
君にも少しは期待したかった
神様は偉大な強大なものだと思いたかった。けど君も違った
ただ弱者を食い物にしているだけだった。享楽の日々は終わりを告げた
ここからは悪神を裁く審判だ、後悔する準備はできたかい?
砂漠の蠍は尾に毒を持つ。だけど僕のは特別製さ
アルナヴェト神の攻撃をアヌビスの守護とセルケトで防ぎ突進する
セルケトクロウを射出し敵を拘束。クロウを引き戻す加速を利用し速度を
上げたセルケトテイルで一刺しした上で電撃を流す
痺れるだろう?
奪って楽しんだ日々はよかったろう?君は弱者を食い物にした
だけどね、それはね?君にも当てはまるんだ
君は弱者だった、だから強者に奪われるんだ。ここが君の終着点だ
●
「ヒギャァアアアアッ!!」
恐怖から生まれた渾身の力でアルナヴェトはシアンの腕を振りほどく。
そしてふらふらと立ち上がると、首筋に熱いものを感じて手で触れる。
ヌラリとしたそれは、アルナヴェトの頭から止めどなく流れる血であった。
「あ、ああ……」
呆然と声にならない声がもれる。
そんなアルナヴェトを眺めていたイシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)は大きなため息をついた。
「少しは期待したかったが、君も違ったようだ」
落胆の声だ。
もはや意識も定かではないアルナヴェトにイシュアは語りかける。
「奪って楽しんだ日々はよかったろう?」
驚くほどに無機質な声色だった。イシュアがアルナヴェトへと向ける目は、まるで路傍の石でも見るような、何の感情も宿していないものに変化していた。
偉大で強大な神はここにはいない。
ここからは悪神を裁く審判を淡々と進めよう。
「う、あああ……」
「君は弱者を食い物にした……だけどね、それはね——」
イシュアが両腕に装着した蠍の爪のような『セルケトクロウ』をアルナヴェトへと射出する。
その大きな爪がアルナヴェトの両腕を強く挟み込む。
爪からイシュアへと繋がれたワイヤーがどんどんと巻き取られ、無抵抗のアルナヴェトはイシュアの元に引きずり込まれていった。
「君にも当てはまるんだ。君は弱者だった」
目の前のアルナヴェトにイシュアは刑の執行を宣告する。
「だから強者に奪われるのは当然なんだよ」
イシュアの背中の『セルケトテイル』の蠍の針がアルナヴェトの胸を貫き、赤い染みが広がっていく。
「ここが君の終着点だ——『王墓を守る蠍の一刺し(セルケトテイルスタッブ)』」
針から電撃が流れる。高圧の電流が全身の血液を沸騰させる。
「グギャァアアアアアアアッ!!!」
口から泡をふいてアルナヴェトが全身を激しく痙攣させる。
「因果は廻るんだ、その身で罪を償え」
やがて電撃がおさまり、全身焼け焦げた兎神の死体がドサリと地面にころがった。
こうして復讐者たちの活躍により民たちを苦しめた兎神は葬られ、兎神に追放された人々も奪われた富を取り戻すことができたのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!