許昌突入作戦:魏将討伐

『大戦乱、許昌の戦い』の勝利に浮かれる魏の首都・許昌に攻め込んだディアボロスは、魏の軍勢を大きく混乱させました。
 この混乱に乗じて、魏の名だたるジェネラル級に対して決戦を挑みます。
 掴んだ勝機を逃さず、一気呵成に勝利を目指しましょう。

 決戦では史実では魏王『曹操』の一族である『曹仁』『曹洪』、魏の五大将軍に数えられる『于禁』『徐晃』、魏を代表する謀将『賈詡』、次代の名将である『鄧艾』と戦うことが出来ます。
 全員を撃破できれば、魏の重要戦力は大きな打撃を受け、関羽を喪った蜀と拮抗する程度まで落ち込むと予想されます。
 魏がディヴィジョンを統一する日は確実に遠ざかるでしょう。

立ち塞がる壁、五大将軍(作者 七尾マサムネ
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●魏王守りし大斧
 目下、混乱の渦中にある許昌。
 魏将が一体、徐晃は、とある門の前にて兵力を結集させていた。
 魏王曹操の許昌撤退を完遂せよ。それが、徐晃らジェネラル級に下った命だった。
「ディアボロスをあなどっていたつもりなどないが、かくも電撃的な動きを見せるとは」
 徐晃は、手勢の士気の高さを確認する。あの宴は、期待通り、気力回復の一助となったようだ。
「敵たるディアボロスは、あの関羽をも討ち果たしたと聞く。曹操様が無事許昌を離れられるまで、奴等を食い止めねばならぬ」
 そして徐晃は、自らの得物である大斧を掲げた。
「奴等を疾く追い払い、我らも『陳留』へと向かう。曹操様が真なる王となる日は近いのだ」

●魏将討伐戦
 王・天花(人間の無双武人・g03356)は、かねてより進行していた許昌突入作戦の進捗状況を報告した。
「皆さまの奮闘を受け、魏王である曹操は、大混乱に陥った許昌を放棄し、北の都市『陳留』へと退去する事を決断した様子。その完遂の為、多数のジェネラル級を前線に投入しているもようです」
 これは、脅威であると同時に、望んでいた好機でもある。本来であれば1体撃破するのも困難であるジェネラル級を、一度に複数撃破出来る、願ってもない機会だ。
 当然、ジェネラル級の武力は、アヴァタール級を遙かに上回る。
 しかし、皆さまの力を合わせれば、それを打ち破る事は困難であっても不可能ではありません、と、天花は皆を奮い立たせる。

「混乱した許昌の街中には、烏合のトループス級が多数残留していますが、いちいち相手をしている必要はありません。……ですが」
 天花の懸念は、別にある。
 ジェネラル級が撃破されれば、烏合の衆どもも許昌から脱していくが、その撤退時の混乱に巻き込まれ、多くの一般人が命を落とす危険性を心配しているのだ。
 その為、魏将討伐に支障の無い範囲で、このトループス級『強欲の文官』を掃討して欲しいのだという。
 そして、天花が討伐目標として示したのは、ジェネラル級・質実剛健の猛将『徐晃』。魏の五大将軍に数えられ、今回相対するジェネラル級の中では、トップクラスの武力を誇る。
 徐晃は、曹操の脱出経路の途中にある門に陣取り、ディアボロスを迎え撃つ算段らしい。
「無視して通過しようとしても、向こうから打って出てきますので、いずれにせよ、戦闘は避けられません。曹操への高い忠心を抱く徐晃との戦いは、開幕から乱戦が予想されます」
 まずは護衛のトループス級『魏軍虎衛兵』を一掃してから、徐晃討伐に専念するのが定石だろう。
 だが、戦況の推移次第では、護衛に構わず徐晃を狙うのも手である。

「現状、三国の中では、魏が抜きんでた戦力を保持しています。ですが、ここで将達を失えば弱体化は免れず、躍進に待ったをかける事が出来るでしょう。それでは、ご武運を……!」
 そして天花は促す。
 決戦の地となった許昌へと向かう、パラドクストレインへの乗車を。

●宴の後で
 許昌の街中、逃げ惑う人々の悲鳴や怒号が飛び交う。
 だが、人々の流れに逆らう存在もあった。荷物をまとめて脱しようとする商家に、押し入る人影。
「一体何を……お、お役人様!?」
「ええい、騒ぐでない! 酒を寄越すのじゃ」
 略奪行為に及んだのは、あろうことか、蟲将の文官であった。命の危険を感じつつも、中断させられた宴への未練が断ち切れぬようす。
 混乱に乗じて酒を奪い取ろうとする文官へと、すがりつく商人。文官がそれを振り払った拍子に、酒樽が倒れ、酒がこぼれ出る。
「フハッ、庶民は地べたに這いつくばって酒を舐めておるのが似合いよ」
「ふむゥ、そこにいるのはお前の娘か? ちょうど酌をする者がいなくてなァ……」
「なっ、それだけはご勘弁をッ!」
 拒む娘を、強引に連れ出す文官たち。
 彼らの頭の中には、ディアボロスへの警戒心など無い。あるのは宴の続きをいかに楽しむか、それだけだ。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
4
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【怪力無双】
2
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【フライトドローン】
2
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【託されし願い】
2
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【隔離眼】
2
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【トラップ生成】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
2
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV7 / 【ガードアップ】LV3 / 【反撃アップ】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ロストエナジー】LV3

●マスターより

七尾マサムネ
 いよいよ許昌での魏将決戦です!

 当シナリオでの討伐対象は「徐晃」です。
 許昌を守るジェネラル級の中でも、上位の武力を誇る将軍のようです。
 曹仁のようにディアボロスの危険性を認識しているため、油断する事はありません。

 また、①護衛するトループス級「魏軍虎衛兵」、及び、②烏合のトループス級「強欲の文官」は、クリアに必須ではありませんが、スルーした場合、②に関しては一般人の犠牲者が増え、①の方は「徐晃」戦の難易度が若干上がります。

 それでは、皆様の手で魏将を討ち取ってくださいませ!
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


光道・翔一
……戦略とは関係なく個人的に虫唾が走る。見るに堪えねぇ。

…どの道放置する必要もない。とっとと片付けて徐晃に集中させてもらうか。


いっそ憐れみすら感じないでもない、情けない有様の一文官共が、金頼みで引っ張り出してきた衛兵……油断する気はねぇがとてもまともな実力の持ち主とは思えねぇな

『精神集中』して見張ったら、ある程度行動中の隙は見つけられるだろうし、そこを逃さず『早業』で仕留めていけばいいだろ


…衛兵を倒してから文官に当たるのが定石だが

明らかに衛兵以上に戦闘力に乏しそうだからな、衛兵が不利なのを見るだけで動揺してそうだ

もしそうならその隙を突いてさっさと『不意打ち』の『一撃離脱』で文官を仕留めていくか


椋井・矢一
■アドリブ・連携歓迎

■心情

……救いようがないな。
空っぽの頭でもわかるよう、思い知らせてやるよ。
お前らの敵の、その力を。
――知った頃には、遅いだろうけどな。

■行動

敵が一般人に被害を与える余裕なんて、与えるモノかよ。
【泥濘の地】を使用して敵機動力を剥奪。
加えて〈殺気〉を撒き散らして威圧、注意を惹きつつ〈ダッシュ〉で〈突撃〉する。

足が鈍れば、退く為の諸々も捗るまいよ。
敵の投擲等を〈捨て身の一撃〉の気概で以て突破し、発動するのはパラドクス『怨讐の腕』。

「這いつくばれよ、クズにはソレが似合いだ」

無数の亡者の腕を以て強引に敵陣地を〈破壊〉、〈撹乱〉しつつ敵を地面に引き倒し、叩きのめす。

「――応報の時間だ」


エレオノーラ・アーベントロート
あらあら、それではわたくしがお酌をしてさしあげましょうか?
こんな美人の申し出ですもの。嫌とは言いませんわよね?

お酒を注ぐ? 何を言っていますの?
わたくしが、わざわざ、ゴミ虫の頭を抑えつけて、地にこぼれたお酒を飲ませて差し上げる。と言っていますのよ。

【飛翔】の速度で逃げる文官を追い、「フェアレーター」から放つ「第十三の魔弾【愛執】」の「誘導弾」で上空から陣地に隠れようとする敵を狙いますわ。

あぁ、逃げてしまわれるものですから、お酒を注げませんでしたわ。
構いませんわよね? ゴミ虫は土でも舐めている方がお似合いですもの。うふふ。


近衛・悠
都が陥落しそうになったのも魏の軍勢が油断しきって宴なんか開いていたのが原因だろう。まあ、状況をまるで理解してない屑もいるようだな。

このような醜悪な奴らは虫唾が走る。即刻始末するか。

【光学迷彩】で姿を消し、逃走する暇を与えないように【早業】で【呪詛】【毒使い】【気絶攻撃】【両断】を併せた【斬撃】で素早く倒す。逃げようとしたら【風使い】【吹き飛ばし】で吹き飛ばすか、【ダッシュ】で追いかけて残らず仕留める。

混乱に応じて狼藉を働くような奴らはどこにでもいるんだな。心の底から気に入らねえ。早く消えろ!!


李・暁華
民草への狼藉を無視して徐晃を討つは我が望みに叶わず…
然らばまずは後顧の憂いを断ち、本命に臨むでござる

この期に及んで狼藉を働くばかりか、まだ酒でござるか!呆れたものでござる!
酒に酔っているなら好都合
酔いから醒めぬ暇も与えぬまま、偃月刀の錆としてくれる

「爆砕刃」を敵に叩き込み、陣地を作るなら纏めて【薙ぎ払い】
投げつけられる物は【残像】で避けつつ、逃げ切られる前に駆け抜け地の染みに変えてくれる
貴様らには勿体ない限りではあるが、地に染みた酒をお供に地獄に落ちるがよい


●復讐者、狼藉者を誅する
 一路、徐晃の元を目指す李・暁華(暁の戦華・g01302)。
 その足を引きとめたのは、娘の悲鳴と、男の下卑た笑い声だった。
 混乱する許昌の街、暁華の視界に映るは、卑しき蟲将の悪行。
「民草への狼藉を無視して徐晃を討つは我が望みに叶わず……然らばまずは後顧の憂いを断ち、本命に臨むでござる」
 その道行を少々変えるのに、暁華が躊躇う事は、なかった。
「フハハ、この混乱に感謝せねばな。たたで酒が飲めるぞ」
「待て! この期に及んで狼藉を働くばかりか、まだ酒でござるか! 呆れたものでござる!」
 暁華の凛とした声に、文官がそちらを振り返る。娘と酒からは手を離さぬまま。
「ううん? なんじゃお前達は」
「ワシらの酒宴に加わりたいと言うのか? 器量は……まあまあじゃなァ」
 大笑する文官達は、すっかり酩酊している様子だ。
 それが、怒り……ディアボロスの原動力たる炎となり、暁華の心を燃え上がらせた。
「酒に酔っているなら好都合。酔いから醒めぬ暇も与えぬまま、偃月刀の錆としてくれる」
 暁華が、偃月刀の切っ先を文官達へと向けた。
 そこに加わったのは光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)。翔一にとっても、文官達の行為は唾棄すべきものに他ならぬ。
「……戦略とは関係なく個人的に虫唾が走る。見るに堪えねぇ」
 武将の道にも人の道にも外れた悪行。翔一の瞳にも、刹那、鋭い光が走る。
「……どの道放置する必要もない。とっとと片付けて徐晃に集中させてもらうか」
 翔一のまとう、常人ならざる気配に、さすがの文官達もその正体を察したようだ。
「まさかお前達は。あれだ。復讐者という奴か」
「ワシらを誰と心得る、下賤が!」
 唾を飛ばして、翔一に罵声を浴びせる文官達。
 口を開けば勝手ばかりを並べ立てる文官に、近衛・悠(黄昏のフィラメント・g02300)は実に冷めた視線を注いだ。
「都が陥落しそうになったのも魏の軍勢が油断しきって宴なんか開いていたのが原因だろう。まあ、状況をまるで理解してない屑もいるようだな」
「屑だと? 無礼な! 首を出せ! 刎ねてやる」
 手足を子供のようにばたつかせる文官に、悠は醜悪さ以外の何物も感じられなかった。
「このような奴らは虫唾が走る。即刻始末するか」
 悠達によって、この場は、すぐに凄惨な景色へと変わるであろう。
 商人や娘達にこの場から離れるよう促すと、悠は、仲間達と共に、敵の処断にとりかかった。
「ワシらに手出しすれば曹操様が黙ってはおらぬぞ! そうなれば……」
「……救いようがないな」
 なおも続こうとする文官の無駄話を遮ったのは、椋井・矢一(マグマ・g04848)の嘆息だった。
 一から十まで弁護のしようがない文官の行動。余りにも自分勝手、余りにも愚か。浅慮にもほどがある。
「空っぽの頭でもわかるよう、思い知らせてやるよ。お前らの敵の、その力を」
 矢一が文官を睨むと、その足場が変容した。
「――知った頃には、遅いだろうけどな」
「なんじゃ、地面がぬかるみおったぞ」
 矢一の超常の力を目の当たりにして、ようやく状況を理解し始めたらしい。
 ずいぶんと遅れて危機感を覚えたようだが、既に運命は定まった。矢一達による地獄行は、もはや覆しようがなかった。
「全くつまらぬことになったもんじゃ!」
「ワシらはただ美味い酒が飲みたいだけじゃのに!」
 ディアボロス達に睨まれ、憤懣やるかたない文官達。
 しかし、圧を発するディアボロスの中、魅惑的な言葉を放ったのは、エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)だった。
「あらあら、それではわたくしがお酌をしてさしあげましょうか? こんな美人の申し出ですもの。嫌とは言いませんわよね?」
「おお、話のわかるものがおるではないか」
 エレオノーラの美貌を前にして、文官の顔が、だらしなく崩れる。
「よきよき。それでは、ワシらの酌を……」
「何を言っていますの? わたくしが、わざわざ、ゴミ虫の頭を抑えつけて、地にこぼれたお酒を飲ませて差し上げる。と言っていますのよ」
「え……」
 にっこり。
 エレオノーラの残酷な宣告が、文官の笑顔を凍り付かせた。
 次の瞬間だった。硬直した文官を、暁華が切り捨てたのは。
「な」
 問答無用の斬撃は、相手の太ましい体を両断するだけでは飽き足らず、その地面まで破砕する。力こそ正義……暁華の怒りが体現した技である。
「ななななんという野蛮な!」
 吹き上がる鮮血。暁華の殺気に震えあがった文官は、とっさにため込んだ略奪品で、壁を築き始めた。
 人間に近しい姿ゆえ忘れがちだが、こう見えて蟲将の端くれ。フンコロガシの能を発揮し、陣地を築いてこの場をしのぐ算段なのだ。
「これでその刃も届くまい、フハハ!」
 安寧を得たと勘違いし、ふんぞりかえる文官。
 そんな声など、暁華の耳に入れるに値しない。すう、と息を吸い、そして、吐く。
 投げつけられる物品の数々を、残像を生んでかわしつつ、繰り出すは斬撃。
「ハ……」
 暁華の一閃が、文官ご自慢の陣地ごと、その身を切り倒す。
 暁華の技により、次々と血の染みに変えられていく、文官達。
「貴様らには勿体ない限りではあるが、地に染みた酒をお供に地獄に落ちるがよい」
 昇天する文官を一瞥すると、暁華は、次なる誅殺対象へと向かう。
 一方、自分に迫る翔一を追い払おうと、文官が、袖の下から金銭をばら撒く。駆け付けたのは、欲深き衛兵達。
「金ならいくらでもやる。この下賤の者を始末せい!」
「承知しました」
 文官に従えられた衛兵達を見て、翔一は嘆息する。
 いっそ憐れみすら感じないでもない、情けない有様の一文官共が、金頼みで引っ張り出してきた衛兵。
 一応は、人を越えた力を持つ敵共に、翔一が油断するつもりはなかったが、さりとて、ひとかどの武人同様に扱ってやるつもりもまた、ない。
「まともな実力の持ち主とも思えねえ」
「言ってくれるじゃねえか」
「怨みはないが、死んでくれ、復讐者!」
 じわり、翔一を取り囲む衛兵達。
 対する翔一は、偃月刀を構え、精神集中。有象無象の兵を見据える。武器こそ一丁前だが、構えはまるでなっていない。隙だらけだ。
 だから、仕置きするのは容易かった。相手が動き出すより先に、的確な武技にて仕留めていく翔一。無論、どこぞの欲に塗れた文官のように、酒樽を傷つけるような失態は犯さない。
「なんたる無様! そんなヤツ1人に何を苦戦しておるのだ! 金が欲しくないのか?」
 翔一の武力におののき、文官は、衛兵に怒鳴り散らした。
 蟲将の端くれとは言え、武官のような武力も胆力もない。
 絵に描いたように狼狽する文官へと、衛兵をすり抜け、翔一は、直接の一撃をくれてやった。
「ひぃやあああ」
 血しぶきと、悲鳴が、同時に上がる。予想外の攻撃だったことを差し引いても、翔一には、戦場に臨む覚悟など一片も感じられなかった。
「こ、こんな事が許されていいはずが……ひいふうみい……はて、もう1人いたような気がするが?」
 文官の1人が、指折り数えて、首を傾げる。悠の姿が無い事に気づいたようだ。数を数える事に関しては才を発揮するらしい。主に金銭だろうが。
「ワシらに恐れをなして逃げたようだな。フハハ……」
 高笑いが、停止する。
「フハ」
 どさり。倒れる文官。
 ひらり、舞い散るのは、天使の羽根。
 ゆらり、景色が歪み、悠の姿が現れる。
 これぞ、影の一族の秘技、その一端。
 魔力による隠ぺい……光学迷彩で姿を消し、早業で必殺の斬撃を披露。こちらの攻撃をゆっくり観覧させる間も与えず、文官を仕留めたのである。
「ひい、コヤツ化け物か?」
 同僚があっという間に倒されたのを見て、文官がよたよたと後退する。
「こんなところで死ぬなど御免じゃ!」
 身を翻し、他の仲間などどうでもよい、とばかり、逃走する文官。
 そう見せかけ、反撃に転じた。だがその策は、悠に見抜かれていた。
「ひやあああ」
 肥えた体が、突風に吹き飛ばされる。悠は、自身の放った風に即座に追いつくと、空中でさかさまになった文官に引導を渡す。
「混乱に応じて狼藉を働くような奴らはどこにでもいるんだな。心の底から気に入らねえ。早く消えろ!!」
 ほとばしる悠の怒りとともにその一撃が、文官を物言わぬ骸へと変えた。
 次はどいつだ。振り返った悠の視線に耐えきれず、文官達が恐怖に震えあがった。
「ひいい、もう勘弁してくれええ」
 びしゃり、ぬかるんだ地面に踏み込み、履物を汚す文官。しかし、それ以上退く事さえ出来ぬ。矢一の放った殺気に威圧されて。
 そこへ、疾走、突撃する矢一。足が鈍れば、退く為の諸々も捗るまい。
「ひいい、来るな来るな!」
 せっせとため込んだ食物や酒樽を壁とする文官。命を長らえるためならば、力仕事などという無様もいとわぬ。しかししょせんは悪あがきだ。
「死ね! 死ね!」
 樽にツボ、瓶を投じる文官。語彙力の乏しさは、聞く矢一の方が情けなくなるほどだ。
 が、投擲された物品は、どれも矢一に弾かれ、蹴散らされる。一層強い覇気をまとい、接近する矢一。
「這いつくばれよ、クズにはソレが似合いだ」
 矢一が繰り出したのは、刃でも矢でもなかった。
「ひわわ、これは、これは!」
 文官のふくふくとした顔が、途端にやせ細ったように見えた。
 迫るのは、無数の腕。矢一によって招来された。亡者の腕だ。
 文官の創り上げた、陣地というには貧相な防壁を、倒し、引き剥がし、破壊する。
 腕が蹂躙するのは、陣地だけではない。その手は文官そのものにも及び、その衣服を掴み、身体を地面に引き倒し、そのまま叩きのめす。
「やめよ! 金ならいくらでもやる! だから……」
「――応報の時間だ」
「ひ……!」
 矢一の眼光が、文官を射抜いた直後。
 恩讐の腕が、その身を地獄へと引きずり込んだ。
「も、もう助けてくれ、ワシは他の連中に巻き込まれただけで悪い事はしておらん!」
 手を振って、エレオノーラ達ディアボロスから、逃げ惑う文官。見栄も誇りも容易くかなぐり捨てて。
 いや、元から誇りの方は持ち合わせていませんわね、とエレオノーラは嘲笑する。
 どたどたと逃走する文官を、飛翔して追うエレオノーラ。電磁レールガン『フェアレーター』が、既にその身を照準に捉えている。
「なんか知らんがあんなものに撃たれたらひとたまりもない」
 観念したのか、文官が逃げ足を止める。
 いや、せっせと奪い取ったものを積み上げると、即席の陣地と為した。
 だが、エレオノーラがトリガーを引く指にためらいはなかった。放たれる魔弾。その威力をもってすれば、陣地を貫く事も容易かったが、魔弾は更に無慈悲だった。
 空中でその軌道を転換、陣地を迂回して、安全と信じる文官を直接撃ち抜いたのである。
「ひぎゃあああああ!!」
 文官の、高貴さの欠片もない悲鳴が響く。地面をのたうち回り、泣き叫ぶ無様を、観察するエレオノーラ。
「あぁ、逃げてしまわれるものですから、お酒を注げませんでしたわ」
 にっこり。エレオノーラの笑顔が、文官のそばで花開く。
「構いませんわよね? ゴミ虫は土でも舐めている方がお似合いですもの。うふふ」
「ゆ、許し……」
 ゴミ蟲……すなわち文官が最期に発した言葉が、それであった。
 愛執の魔弾が、その身を撃ち抜いた。
 かくして、ディアボロスによる、害虫駆除は成ったのである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

平良・明
酒の味も歓声も、手から落ちる砂のように消え去る許昌です

今日も旅歩き、歩いて曹操に追いつけるかはわかりませんが
歩いてでも、追いつけるものはあります
待ち受けるもの、徐晃は歓迎してくれそうです

まずは周りから、邪魔な手合いを剥がしていきましょう
ゆらり旅歩き、人の歩行は瓦礫の海ですら歩き通すもの

歩くとは、人が一生をかける、遥かな技
障害物はするりと脇に見て、敵に近づき、強く蹴りつけます

足蹴にするのは失礼、そのまま砕けて道になってください
そこに待つ徐晃の所まで、歩かせてもらいます


鋤・六郎兵衛
アドリブ、連携歓迎でござる。

任務、承った。
敵将を討ち取る好機、逃す訳にはゆかぬ。御下命如何にしても果たすべし。

確実に首を取る為にも、まずは衛兵を片付けるでござる。
仲間と連携し攻撃を仕掛ける。
【飛翔】し「空中戦」。【秘剣·篝刈り】にてつかまつる。
高速で戦場を飛び回り、「光使い」で己の残像を残しつつ敵を「撹乱」。忍者刀による「斬撃」にて切り裂いてゆくでござる。
反撃の気配があらば、「一撃離脱」の心得にて迅速に上空へと飛翔し、大地より距離を取り攻撃を回避するでござる。


雅諒院・基経
さぁ、関門となるは魏の名将と名高い徐晃殿か!…一度会ってみたかったが、蟲将ではな…だが名を使うだけの強敵だろう、気を引き締めねばな。

…しかしそうか、門に陣取り、刺し違えても、例え敗れたとしても主人の命を生かすための時間を稼ぐために全力で戦う…か、その忠誠心見事なり、蟲将にしてはだがね。

まずは護衛であるこ奴らを片付けねばならないか…だが、蟲の弱点は火と決まっているよ。

神通力を見せようか…天狗火を口から吐き、徐晃もろとも敵陣を焼き尽くす。火で焼かれて出てきた所を独鈷杵のビーム剣で切り裂いて仕留める。

…さぁ、高らかに名乗るがいい徐公明。汝を倒して進ませてもらうぞ…!


西堂・千衛蔵
「この門を通して貰おう。断るなら力づくでこじ開ける」
身体を張って王を逃がそうという覚悟は、敵ながら見上げたもんだ
ならば、こちらも全力で戦うのが礼儀だな

数はそこまででもないが堅い守りだ
やはり五大将軍一の武闘派、部下も精強と見える(文官のことは一先ず置いておく)

「行くぞ、赤煙!」
敢えて突出する
どれだけ守りを固めようと、反撃の瞬間には無防備になる
そしてカウンターを破るには、相手が反応するより速く動く事だ
一気に飛翔効果の最高速度まで加速し、装備の【鬼火】で射程を伸ばして攻撃する
一撃離脱を繰り返して、防御の陣形に穴を開けて行こう
「俺たちに時間稼ぎは通用しない!」


神山・刹那
なるほど。並々ならぬ覚悟を感じるぜ。これが徐晃の手勢か
相手にとって不足なし、お前らを真正面からぶち抜いて、徐晃のところに行かせてもらう
大将首しか興味ないんだよ。俺は

虎衛覇王拳で前方に衝撃波を飛ばされても、残像を残して移動し、フェイントで狙いを定めさせず、一気に近づいて、朱雀を彷彿させるような剣筋で斬り捨てる
初太刀を避けられても、着地からの返しの太刀で斬り捨てる
「お前らの忠義はしかと見届けた。安らかに眠れ。主人もすぐにそこに送ってやる」


有栖川宮・永遠
復讐者の皆さんの頑張りにより、許昌の都を陥落直前まで追い詰められましたね。気力が充実した魏将の軍勢が盛り返す前に叩いてしまいましょう。

地上からまともにぶつかっては痛いめに会いますので、【飛翔】で空中へ。【戦闘知識】【観察】で敵の群れが集まっている所を捉え、【連続魔法】【全力魔法】で【電撃使い】で電撃属性を付与した光の輪を敵の群れに連射。

大岩が飛んできたらできる範囲で【風使い】【吹き飛ばし】で大岩を吹き飛ばして対処。迎撃が間に合わないなら【残像】で大岩を回避します。


ええ、命をかけて主君を逃すのは立派だと思います、私達はこの先に行かねばなりません。道を開けて貰いますよ!!


アンゼリカ・レンブラント
五大将軍をここで討ち取るため、
まずは進ませてもらうよ

まずは踏み込むタイミングを仲間と合わせ
パラドクスの突撃戦法!
敵は守りが固いから、その場にはとどまらず
一撃離脱を心がけ徐々に崩していこう

相手からの反撃も身を包む光とオーラ操作で凌ぐね!

仲間の作り出した隙を突き
めいっぱい強打して、
逆にこちらに注意が引きつけられているようなら、
フェイントも駆使した撹乱に努め
仲間に作り出した隙を攻撃してもらおう
臨機応変に動いていくよ!

弱った個体を優先的に倒し、数を減らしていこう
連携も得意な相手だけれど、私達の方が上さ

呼吸を整え、力を最大まで溜めた
《光輝勇突撃》で粉砕するよ!
さぁ、敵兵は片付いた。敵将のところに行こう!


●精鋭兵、その身を曹孟徳の盾と為す
 一陣の忍風が、吹く。
 風……鋤・六郎兵衛(新宿忍者・g06539)が、混沌と化した許昌の都を駆ける。
「敵将を討ち取るこの好機、逃す訳にはゆかぬ。御下命如何にしても果たすべし」
 無論、街の混乱も見過ごせぬ。
 なれど、敵将さえ退ければ、街に蔓延するこの混乱も、落ち着かせる事が出来よう。
 何より、別働のディアボロス達が、悪逆非道の蟲将を成敗してくれている。仲間を信じ、六郎兵衛は、標的の元へと急いだ。
 平良・明(ダイヤのK・g03461)もまた、六郎兵衛と目的地は同じ。しかし、明の足取りは確かではあるものの、急ぎはしない。
「酒の味も歓声も、手から落ちる砂のように消え去る許昌です」
 焦らず、急がず。徐晃が明達ディアボロスを待ち受けているというのなら。逃げも隠れもすまい。
「今日も旅歩き、歩いて曹操に追いつけるかはわかりませんが。歩いてでも、追いつけるものはあります。待ち受けるもの、徐晃は歓迎してくれそうです」
 会うべき相手と会うために。明は歩みを続けた。
 やがて程なく……有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)達は、徐晃の守る門へとたどり着いた。
 既に敵方は、永遠達の襲来に備え、万全の態勢を整えているようす。
 しかし、戦いのすう勢を左右するのは、覚悟や武力のみにあらず。許昌に混乱をもたらした事で、勢いは、永遠達の方にある。
「皆さんの頑張りにより、許昌の都を陥落直前まで追い詰められましたのです。宴にて気力が充実した魏将の軍勢が盛り返す前に叩いてしまいましょう」
 徐晃を守るべく、肉体そのものを盾とする構え。虎衛兵達の士気の高さは、永遠にも伝わって来る。
 何より、彼らには、守る意思を体現するだけの、強じんな肉体がある。
「地上からまともにぶつかっては痛いめにあいますわね」
 あえて、敵の得手とするタイミングでぶつかる必要はない。永遠は、相手の出方をうかがいつつ、いつでも動けるよう身構えた。
 そして、一同の前に進み出たのは、西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)。
 殺気だつ敵陣に対しても、一切臆する態度を見せず、堂々と、告げる。
「この門を通して貰おう。断るなら力づくでこじ開ける」
「曹操様の命に背く事は出来ぬ」
 千衛蔵に応えたのは、先頭に立つ虎衛兵だった。短い応答からも、彼らの忠義の程がうかがい知れる。
「なるほど、仕方ない。身体を張って王を逃がそうという覚悟は、敵ながら見上げたもんだ。ならば、こちらも全力で戦うのが礼儀だな」
 拳を固め、構えを取る千衛蔵。お互い無手での戦い。相手にとって不足なし。
 千衛蔵と敵とのやりとりをうかがいながら、神山・刹那(梟雄・g00162)は、愛刀『覇龍』を抜き、敵の実力を測っていた。
 虎衛兵、そして、その背後に控える徐晃から漲る気迫を受け止めながら。
「なるほど。並々ならぬ覚悟を感じるぜ。これが徐晃の手勢か」
 部下は、上官の鏡。虎衛兵が、武力は勿論、心構えまでも精鋭と言うべきならば、徐晃もひとかたならぬ武人であるだろうと、刹那は読んだ。
「相手にとって不足なし、お前らを真正面からぶち抜いて、徐晃のところに行かせてもらう
大将首しか興味ないんだよ。俺は」
 悪いが、と刹那が付け足すと、虎衛兵達は、無言で返した。返答は、己が武で示すと言う事か。刹那も是非はない。
 虎衛兵、そして敵将・徐晃。
 彼らの放つ並々ならぬ戦意は、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)にもまた向けられていた。
 だが、アンゼリカも負けてはいない。持ち前の意気で押し返す。
「五大将軍をここで討ち取るため、まずは進ませてもらうよ」
 虎衛兵の、剣矢も跳ね返す堅固なる甲殻。それを打ち破る為、刃を抜くアンゼリカ。その黄金の大剣から、獅子の波動が溢れ出る。
 頼もしき仲間達と肩を並べ、雅諒院・基経(天狗道からの使者・g00191)もまた、敵と睨み合う。
「魏の名将と名高い徐晃殿! ……一度会ってみたかったが、蟲将ではな……だが名を使うだけの強敵だろう、気を引き締めねばな」
 実際、基経と相対した徐晃は、その名に恥じぬ武勇を感じさせる佇まい。
 すると口を開いたのは、他ならぬ徐晃であった。
「我が任は、曹操様の命を脅かすものの排除。万が一にもこの身が砕けようとも」
「刺し違えても、例え敗れたとしても主人の命を生かすための時間を稼ぐために全力で戦う……か、その忠誠心見事なり、蟲将にしてはだがね」
 徐晃には、基経達の実力を侮る素振りはない。
 そして、徐晃を守り、前に出る虎衛兵達もまた、屈強。主の手を煩わせまいと、基経達の前に立ちはだかる。
「まずは護衛であるこ奴らを片付けねばならないか……」
 だが、蟲の弱点は火と決まっている。基経は勝算を心に秘めた。

●復讐者、虎衛兵と乱戦を生ず
 六郎兵衛の見立てでは、並び立つ敵は、いずれも精鋭。
 ならばこちらも、仲間と連携し攻撃を仕掛ける。先鋒の任を請け負ったのは、六郎兵衛自身だった。
 虎衛兵達へと、すみやかに切りかかる。徐晃の首を確実に取る為にも、まずは護衛から片付けなければならぬ。
 忍ぶがニンジャの真髄ならば、命を賭して任務を果たすのもニンジャの務め。
 迎え撃つ虎衛兵。しかし、六郎兵衛を粉砕せんとした剛腕は、残念、空を切る。六郎兵衛が、空中に逃れたからだ。
 そのまま空を飛び回り、相手に戦を仕掛ける。虎衛兵達は、地より反撃の機会を狙う。
 如何に六郎兵衛が俊敏であろうとも、攻撃に移る瞬間には、兆しが見えるというもの。それを掴むつもりだ。
「捉えた!」
 虎衛兵が思わず発した言葉は、しかし虚言となる。貫いたと思われたのは、六郎兵衛が光を編んで作り出した残像に過ぎなかったのだ。
 自在に戦場を飛び回る六郎兵衛に、虎衛兵達は攪乱されるばかり。
 その間にも、他のディアボロス達が攻撃を加える。それをしのがねばならぬが、飛び回る六郎兵衛が、集中させてはくれない。
「ぐはっ」
 唐突に、虎衛兵の一体が体を折る。六郎兵衛の忍者刀による秘剣を受け、切り裂かれたのだ。
 精鋭の名にかけて、戦場を支配されたままではいられぬ。虎衛兵もまた、六郎兵衛へと攻撃を仕掛ける。
 しかし。その攻撃を看破した六郎兵衛は、一撃離脱の心得にて、迅速に上空へと飛翔。大地より距離を取り、攻撃を回避した。
 六郎兵衛の華麗な忍技によって、手玉にとられる虎衛兵達。
 その様子を、明は観察していた。
「まずは周りから、邪魔な手合いを剥がしていきましょう」
 飛びかかって来た虎衛兵の攻撃を、軽くいなす明。
 相手は、言葉を発する労力も暇も、戦いの力に注いでいるようで、無言のままに武力を振るって来る。
 だが、明の戦い方は、それとは一線を画するものだ。
「ゆらり旅歩き、人の歩行は瓦礫の海ですら歩き通すもの」
 相手が闘志をむき出しにするのに対し、明の動きは、流水の如く。
「歩くとは、人が一生をかける、遥かな技」
 静と動。虎衛兵達の拳も健脚も、明をとらえる事は叶わない。
「その歩みごと叩き潰してくれよう……!」
 虎衛兵が、満を持して声を発した。剛力にて持ち上げるは、大地そのもの。
 しかし、こちらを壊滅せんとする障害物はするりと脇に見て、敵に近づく明。陽炎の如く揺らめくその姿、逃がさぬと気張っても、つかみ取れぬ。
 相手が距離感を見失った隙を突いて、明は前に出る。繰り出すは、強き蹴り。
 ただしなやかなだけではない、勇気を秘めた一撃は、剛健なる虎衛兵の肉体さえも芯まで届く威力を発揮した。
「何と凄まじい……!」
 想像を凌駕する強烈な明の技に、呆気にとられる虎衛兵。武技に優れしつわもの達が、だ。
 他のディアボロスより与しやすいとあなどったのが間違いだと、気づいた時には既に遅い。
 明の歩調に巻き込まれ、打開は最早叶わぬ。
「足蹴にするのは失礼、そのまま砕けて道になってください。そこに待つ徐晃の所まで、歩かせてもらいます」
 悠然と立つ明。迂闊に攻め込もうとするものは、最早いない。
「皆さん奮戦なさっていますね。……あら」
「奮ッ!」
 飛びかかって来た虎衛兵の剛力が炸裂する寸前、永遠は、空へと逃れた。
 相手との距離を保ちつつ、味方と虎衛兵の交戦をつぶさに観察する。
 敵の動き、陣形。敵の集まっている箇所を看破すると、永遠は味方に合図を送った。
 共に戦った時間は長くはないが、永遠の意図を、皆は正確にくんでくれたようだ。
 巻き込んでしまう危険がないのを確かめると、永遠は、魔法を解き放つ。くるりと円を描いたまばゆき光が、輪の形へと構築される。
 永遠の意思を受けたそれは、電撃を放ちつつ、虎衛兵達に降り注いだ。
 光と電撃の乱舞が、虎衛兵達を蹂躙する。その甲殻の防御力さえも突破して、相手を打ちのめしていく。
 もっとも、永遠に手玉に取られているばかりではない。虎衛兵の一体が、大岩を持ち上げる。
 巨大質量が、永遠へと迫りくる。視界を覆い尽くすほどの巨岩……しかし永遠は、その弱点となる箇所を即座に見抜くと、巻き起こした風にて、それを吹き飛ばした。
「!」
 これには、豪胆なる虎衛兵も驚愕したか。
 だが、それでも、怯むことなく永遠達ディアボロスへと立ち向かう。これぞ忠義の証。
「ええ、命をかけて主君を逃すのは立派だと思います、私達はこの先に行かねばなりません。道を開けて貰いますよ!!」
 再び、永遠の放つ光輪が、虎衛兵達に襲い掛かった。
 敵味方の武技とパラドクス飛び交う戦場。千衛蔵は、拳を交える中で、敵の武力を実感していた。
「堅い守りだ。やはり五大将軍一の武闘派、部下も精強と見える」
 何処ぞの文官のように、私利私欲に走ったものの件は置いておくことにする。いやあれは、徐晃直属というわけではないのかも知れぬ。
 さておき。
 眼前の相手は、守勢に回った。千衛蔵達を撃破するというより、曹操離脱の時間稼ぎの方に重点を置いているのだろう。万一、千衛蔵達が撤退すれば、追って来る事すらないのかもしれない。
 だが、その選択は、千衛蔵達にはありえないものだ。
「行くぞ、赤煙!」
 千衛蔵が、吼えた。頼もしき小竜が転じた巨大なる竜の背にまたがり、飛翔する。
 これまで仲間より突出する事はなかったが、ここにきて、敢えてそれを破り、攻勢を強める。
 長所である甲殻を生かした守勢戦術。しかし、どれだけ守りを固めようと、反撃の瞬間には無防備になるはず。
(「そしてカウンターを破るには、相手が反応するより速く動く事だ」)
 赤煙が、一気に加速する。出しうる最高速度まで加速し、まとうオーラ、『鬼火』を噴出させ、長剣の如く成形。標的とした虎衛兵を、すれ違いざま、焼き払う。
 相手のカウンターをしのぐと、そのまま離脱。一撃離脱戦法を駆使して、敵陣に穴を穿っていく千衛蔵と赤煙。
 そこに、仲間達の攻撃が食いこみ、敵陣を破っていく。
「俺たちに時間稼ぎは通用しない!」
 千衛蔵の宣言に、赤煙が同意するように咆哮した。
 タイミングを計っていたアンゼリカが、千衛蔵の勢いに乗じて、敵へと踏み込んだ。
 全身を光輝で包み、突撃する。虎衛兵も、地面を踏みしめ、正面から受け止める構え。
 しかし、アンゼリカもそれは承知の上。一撃で守りを突破する事は望まず、一撃離脱を繰り返し、徐々に崩していく戦法に出た。
 向こうもアンゼリカの策を見抜いたのか。アンゼリカの一太刀を受け、後退する虎衛兵。そして、アンゼリカが離れた瞬間を狙い、虎衛兵は、一気に闘気を高めた。
「破ッ!」
 大気が震える。アンゼリカの光の獅子すら震わせて。
 虎衛兵より、突き出される拳。闘志のオーラが、質量さえも伴って、繰り出される。
 アンゼリカの獅子と、虎衛兵の虎。両者がぶつかり合う。大地をも砕く虎の一打は、しかし、アンゼリカを噛み砕く事は叶わなかった。
「我が拳を受け、健在だと」
 心を乱さぬよう、精神修養を積んできたはずの虎衛兵も、驚きを隠せない。
 それはごく小さな動揺であったが、この乱戦場にあっては、命取り。
 アンゼリカの作り出した隙を、ディアボロス達が見逃すはずがない。他方からの攻撃に対応するため、虎衛兵に隙が生まれる。
 アンゼリカは、その機を掴んだ。
 呼吸を整え、力を最大まで溜めると、全身を光輝で包み、一気に突撃を敢行する。
 凄まじき力をこめた強打が、虎衛兵の甲殻を打ち砕く。
「そちらも連携が得意だと思うけれど、私達の方が上さ」
 殊更に、勝ち誇った笑みをのぞかせたアンゼリカは、自らに集まった注目を引きつれ、転戦する。
 慢心にも聞こえる言葉を放ったのも、仲間が攻め入る隙を作り出す為。そして虎衛兵達は、アンゼリカの策に、見事にはまってくれたようであった。
「やはり徐晃様の見立ては正しかった。復讐者あなどりがたし」
 入り乱れる敵味方を背に、一体の虎衛兵が、刹那と相対する。
 その肉体から、闘気が溢れ出る。これまでとは違う……刹那の本能が危険を告げた直後だった。闘気の高まりが最高潮に達すると同時、拳が繰り出される。
 その威力は虚空を叩き、質量まで有した拳気を放つ。直撃すれば、ひとたまりもない。
 だが、如何に高い粉砕力であっても、当たらなければ意味がない。残像を生み出し、かわす刹那。
 しかしながらその理論、口にするのは容易いが、実際行動してみせるのは並み大抵の事ではない。
 刹那のフェイントを交えた挙動に、狙いが定められず、破壊の力を無駄にまき散らす虎衛兵。
 そこに、刹那が飛び込んだ。一気に相手との間合いを制すると、一太刀を浴びせた。その剣閃は、朱雀をも彷彿させるものであった。
「無念」
 どう、と背中から倒れる虎衛兵。
 だが、息つく暇も無く、次の敵が襲い来る。刹那は素早く態勢を整え直すと、再び斬撃を繰り出す。
「その剣筋は見切った……!」
 虎衛兵が、刹那の刃をかわす。
 だが、初太刀を避けられても、刹那が動じる事は無かった。着地からの返しの太刀で斬り捨てる。
「お前らの忠義はしかと見届けた。安らかに眠れ。主人もすぐにそこに送ってやる」
 ぶん、と虎衛兵の血を払いながら、残敵をみやる刹那。
 かようにして、基経達に追い込まれながらも、虎衛兵達の士気は、一向に下がる気配を見せない。
 むしろ、訓練された連携で、基経達へと反転攻勢の機会を狙っているようだ。
 最大の目的は、曹操が安全圏に逃れるまでこの場を耐え凌ぐ事。
 虎衛兵達は、その命令を忠実に実行した。乱戦のさなか、自身を壁として築いた陣にて、基経の攻撃を受けるつもりなのだ。
 堅牢なる陣。睨み合いを続けたところで、相手の強靭なる精神ならば、千日とて動くまい。
 過ぎる時間は、相手を、曹操を利するのみ。基経は、動くことを選んだ。独鈷杵のビーム剣を振るう。だがそれは牽制だ。
「ならばこちらも神通力を見せようか……」
 口から噴き出すは、天狗火。妖の焔が、敵陣を焼き尽くしていく。頑丈なる甲殻とて、いつまでもその炎熱に耐えられるものではない。
 焼かれて朽ちてしまっては本末転倒。
 基経の火に焼かれるままではいられず、こちらに踏み込んできた所を、本命の焔が待ち受けていた。
 くすんだ甲殻の隙間から吹き込み、全身を焼く。仲間達との攻防で摩耗した甲殻だ。破るのは難しい事ではなかった。
 それでも、虎衛兵は、誰一人として戦場を放棄する者はいなかった。
 皆と共に敵勢を沈黙させたところで、基経は高らかに告げた。控える敵将に。
「……さぁ、高らかに名乗るがいい。汝を倒して進ませてもらうぞ……!」
「我が精鋭を、1人残らず討ち取るとは。復讐者、想定以上の武の者よ」
 部下を鎮魂するように、徐晃が大斧を掲げ、そして。
「兵達よ、汝らが果たせなかった命は、我が成し遂げよう。徐公明が、この愛斧にて!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【狐変身】LV1が発生!
【飛翔】がLV4になった!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!

神山・刹那
徐晃、流石は三国に名を轟かせた豪傑
あんたの手勢たちは立派だった。あんな奴らと戦えたのは俺の誇り
誇り高い豪傑に、俺は最大の敬意を持って挑ませてもらう
行くぞ。雲耀の太刀、その身でしかと受け止めよ!

長駆直入でこちらの間合いに入り込まれる前に、神速反応で先手を取り、勇気で反撃を恐れず、残像を残す速さで跳躍し、雲を裂き、大地よ砕けよと言わんばかりの渾身の一太刀を打ち込む
「チェェストォォォォォッ!」


アンネローゼ・ディマンシュ
僅かに風使いとしてはわたくしの方が上
ならばこそ、滅龍波に対し幻夢の調べを以て討ち取りましょう!

ヴァイオリンを演奏しながら地を蹴り、砂と混ぜ込まれた徐晃のオーラを飛翔の速度と神速反応、この許昌と最終人類史の人々からの託されし願いで回避していきますわ

回避に成功したら反撃開始
妖力を籠めた風を操り、真空波として形成
その真空波を以て遠距離斬撃を繰り出し、防御にはオーラを切り裂いて迎撃しますわ
反撃に対しても同じように真空波を用い、戦闘を繰り広げますわ

見事なまでの剛の者
ですがわたくしが仮に首級を上げたならば、柔を以て剛を制すという事になるのでしょうか?

そう言ってオーラと真空波の打ち出し合いを繰り広げる


リーシャ・アデル
・心情
どうやら、トループス級は他の人が倒してくれたみたいね
それじゃあ、こっちも徐晃を倒すのに助太刀するわっ!!

・戦闘
残留効果の≪飛翔≫で【空中戦】に持ち込みつつ、≪泥濘の地≫で徐晃の周囲の地面を変化させて、パラドクス『翠焔・創像:ウェポンズダンサー』で展開した、リアライズペインターの力で描雅した武器を【早業】の【連撃】で【投擲】していくわ
あっちの攻撃はなるべく躱し、万が一は武器を重ねて盾代わりにして受け止めつつ、警戒していくわ

・その他
アドリブ等は大歓迎よ


西堂・千衛蔵
「俺の名は『竜燈鬼』西堂・千衛蔵
貴様の一撃、この拳で破る!」
護衛兵とは比べ物にならない膂力とプレッシャー、本来なら無策でぶつかるべき相手じゃない
だが、それは承知の上で、意地を張らせて貰う
赤煙には下がっているように言って正面から徐晃と相対する
理屈は無用
山を割るという一撃と、直接やり合ってみたかったまでよ!

こちらも全ての力を込めて正拳突きを放つ
異形巨大化した腕なら、間合いも大斧と同じようなもんだ

敵の反撃は、頭に乗せた燈篭の硬さ、そして肉体改造を繰り返した身体の筋力で耐える
腕は防御に使わず、ただ拳を前に押し出す事に集中する

力と力、頑丈さと頑丈さの勝負だ!


●徐晃、五大将軍の名にかけて曹操を守らんとする
 リーシャ・アデル(絆紡ぎし焔の翼・g00625)が門に駆け付けた時、そこに立つのは、ほとんど無傷なディアボロス達と、敵将・徐晃のみであった。
 精鋭たる虎衛兵達は、ディアボロス達の手によって、一兵残らず撃破されていたようだ。
「それじゃあ、こっちも徐晃を倒すのに助太刀するわっ!!」
 リーシャの気合の高まりを示すように、頭上の光の輪が、ひときわ強い輝きを放った。
「相手は魏の将軍……力でも技でもかないませんね」
 アンネローゼ・ディマンシュ(『楽士大公』ディマンシュ大公・g03631)は、徐晃から圧倒的な実力を感じ取りながら、それでもなお、勝機を見出していた。
「しかし、風使いとしてはわたくしの方が僅かに上。ならばこそ、超絶の技に対し、我が演奏を以て討ち取りましょう!」
「我が武を知ってなお挑むか。だが、我も曹操様の為、倒れるわけにはいかぬ」
 徐晃が、アンネローゼへと大斧を掲げてみせた。
 西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)達複数人を一挙に相手取っても、卑怯と罵る事も、臆する事も無く。
 ただ受けて立つ徐晃の姿に、千衛蔵は、武人の魂を見た。こちらも正々堂々を示さねばならぬと、そう思うほどに。
「俺の名は『竜燈鬼』西堂・千衛蔵。貴様の一撃、この拳で破る!」
 大斧を手に、立ち塞がる徐晃。先ほど拳を交えた護衛兵とは比較にならぬ膂力とプレッシャー。本来ならば、無策でぶつかるべき相手ではないだろう。
 だが、それは承知の上。
「意地を張らせて貰う」
 千衛蔵は、赤煙に下がっているように告げると、徐晃とあえて正面から相対した。
「その高き士気。そこまで曹操様の首を欲するか」
 曹操。その名を口にした途端、殺気を高める徐晃に、千衛蔵は、しかし首を振った。
「理屈は無用。山を割るという一撃と、直接やり合ってみたかったまでよ!」
 千衛蔵の発言に、徐晃はわずかに肩を震わせた。笑ったのかもしれない。
 その場に在って、言の葉を紡ぐ。それだけでこちらを圧倒する徐晃に、神山・刹那(梟雄・g00162)は、その身が震えるのを感じていた。
 否、これは、強者と戦える事への期待に打ち震えているのだ。
「徐晃、流石は三国に名を轟かせた豪傑。あんたの手勢たちは立派だった。あんな奴らと戦えたのは俺の誇り」
「復讐者といえども、自らを下した相手。そのように評価されるのなら、あの者達も少しは報われるであろう」
 刹那の言葉に、徐晃がうなずいた。
 曹操にさえ仕えていなければ、そしてクロノヴェーダとして生まれていなければ、武人として互いを高め合う事も出来たのかもしれぬ。
 しかし、そのような歴史は今までも、そしてこれからも、ありえない。
 だから刹那は、この一度きりの相対に、全てを注ぎ込む。
「誇り高い豪傑、俺は最大の敬意を持ってあんたに挑ませてもらう」
 構える刹那。
「行くぞ。雲耀の太刀、その身でしかと受け止めよ!」
「よかろう。その刃、その決意、全力で阻んでみせよう」
 刹那と徐晃の戦意が、ぶつかり合った。

●復讐者集いて敵将を圧倒せんとす
 リーシャが気合の声を発した。先行したディアボロス達の残留効果をその身にまとい、空中へと飛翔する。
 徐晃は、空中戦を得手とするタイプではあるまい。繰り出される六本の腕、そして大斧から逃れながら、攻撃の機を探るリーシャ。
 相手は魏が誇る五大将軍、クロノヴェーダとしても、実際ジェネラル級だ。生半可なけん制では、その挙動を乱す事は難しい。
 ゆえにリーシャは、本気も本気で挑みかかる。
「描雅(エディット)!!」
 リーシャの周り、虚空へと描き出された、武器の数々が列を為した。
「パラドクスの武器ならば我にも届くは道理。しかし我が甲殻、破れるか?」
「出来るか出来ないかじゃない! やるんだ! さあ、思いっきり舞い踊れっ!!」
 リアライズペインター。
 生粋の武人には想像もつかぬ攻撃方法を駆使して、リーシャが攻撃を仕掛けた。
 ダガーに青龍偃月刀、炎槍に突撃槍。ありったけの力をこめた描画武器が、徐晃へ連続して投擲されていく。
 それらが織りなすのは、舞いだ。リーシャの勝利への意思を表現した、戦舞。
 技ではとてもかなわぬが、ならば手数。そして情熱で、相手へと届かせる。
 そして、リーシャの闘志は、確実に相手の体力を削り取っていく。
「荒いがいずれも心魂のこもった一撃ばかり……ならばこちらも返礼せねばなるまい」
 数々の武器を撃ち返し、払いのけていた徐晃が、前へと踏み出した。
 何本目かのダガーをはじき返した大斧を、そのまま振りかぶる。
「塵と化せ!」
 轟。
 空間そのものすら切り裂く勢いの斬撃が、リーシャを襲った。
 これは、かわしきれない。そう判断したリーシャは、とっさに描雅した武器を自身の前に呼び寄せた。
 直後、大山をも断ち割る衝撃が、リーシャを吹き飛ばす。
「ほう、我が必殺を受けてなお健在とは」
 もうもうとたちこめる煙の中、リーシャは、健在であった。描雅武器を重ねて、盾と為したのだ。
 立ち上がるリーシャの耳に届いたのは、この戦場には似つかわしくない旋律だった。アンネローゼのヴァイオリンの演奏だ。
 ここはいつの間にか、アンネローゼのステージへと変化している。幻夢の調べ……徐晃が自陣と疑わぬこの場は、既にアンネローゼの夢幻の世界なのだ。
「幻惑術か。しかし我が見る夢は、曹操様が王となられる光景ただ1つ!」
 徐晃が、一気に闘気を高める。周囲を構成する空気をあまねく揺るがすオーラ。
 そして地面の砂が、鳴動して舞い上がる。
「滅びよ、魏王に仇為す者よ!」
 押し寄せる奔流。アンネローゼは、飛翔の速度と神速反応にて回避を試みた。
 その心には、この許昌と最終人類史の人々の解放……その思いが宿っている。敗れるわけにはいかぬ。
「ほう、我が技を受けてなお立ち上がるか」
 地に突き立てていた大斧を持ち直し、徐晃が前方のアンネローゼを見遣る。
 そこには、滅龍波を喰らい吹き飛ばされながら、しかし健在ぶりを示すアンネローゼの姿。僅かながら幻に惑わされた事で、狙いが逸れたと見える。
 はらり、と着衣に付着した砂塵を払って、アンネローゼは告げる。
「ここからですわ。第二幕とまいりましょう」
 アンネローゼの得手は、演奏だけではない。風を扱う事も、だ。
 幻の根源、妖力のこもった風を奏でる。そこから形成される真空波を以て、遠距離斬撃を繰り出した。
 徐晃の防御を切り裂いていく、風の刃。幻夢の中に囚われてはいるが、受けた傷は現実のものとなる。
「見事なまでの剛の者。ですがわたくしが仮に首級を上げたならば、柔を以て剛を制すという事になるのでしょうか?」
「そう容易く破れはせぬ」
 言葉のぶつけ合い、オーラと真空波の打ち合いを繰り広げるアンネローゼ。
 武将と演奏家、異なる『楽器』を用いた二重奏が、戦場を彩った。
 武人ではない相手への、手加減しない徐晃。ならば千衛蔵もまた、今発揮できる武の全てを込めて応じるまで。
 千衛蔵が振りかぶった腕が、巨大化する。単にサイズを増しただけではない。人のそれから鬼のそれへと変貌を遂げた。
 その事実は、肉体の変化に止まらず、間合いをも変化させた事を意味する。
 一瞬にして相手との距離を縮めた千衛蔵は、全力をこめた正拳突きを繰り出した。
「奮ッ!」
 千衛蔵の気合を見て、脅威と判断したか。
 徐晃は大斧を盾として、千衛蔵の拳を受け止めた。だが、その威力、衝撃を全て消す事は叶わなかった。
 徐晃の巨体が吹き飛ばされ、後方へと追いやられていく。
 がががッ!
 両の足で地面を抉りながら、勢いを相殺する徐晃。そして踏みとどまった瞬間、前へと踏み込む。
「此方も全力で応じねば武人の名折れよ」
 千衛蔵の拳を受け止めたまま、大斧を六本の腕にて握り、跳ねのけるようにして振り上げる。大地も空も、あるいは空間さえも引き裂く勢いで、斬撃が千衛蔵を襲う。
 だが。
 砕けるものかと、頭に乗せた燈篭の硬さ、そして肉体改造を繰り返した身体の筋力で耐える。
 腕は防御に使わず、ただ拳を前に押し出す事に集中する。
「力と力、頑丈さと頑丈さの勝負だ!」
 純粋なる力の激突が、両者を反対の方向へと弾き飛ばす。
 先に立ちあがったのは、徐晃。しかし千衛蔵もまた、傷を負いながらしかと立ちあがって見せたのだった。
 千衛蔵を仕留めようと大斧を持ち直す徐晃に、刹那は殺気を浴びせかけた。不意打ちなどつまらぬ。しかと此方を認識してもらわねば、戦い甲斐がないというもの。
「その技、見せてもらおうか」
 刹那のけん制を、徐晃はかわす素振りさえ見せない。
 相手が注意しているのは、刹那の本気。パラドクスだけだ。
 パラドクス以外で傷つくことはない……いかにクロノヴェーダといえど、その理を知ったうえでも、相手の攻撃動作に無防備でなどいられない。どの動作がパラドクス発動の兆しかわからぬ。
 それだけに、徐晃の割り切り、覚悟の程が知れるというものだ。
「我が精鋭を讃えた礼はしよう」
 いよいよ徐晃が、力を発揮せんとする。
 刹那もまた、いよいよ力強く踏み込んだ。
 知覚不能の転移技。こちらの間合いに入り込まれる前に、神速の反応で、身体を前進させる。
 反撃による負傷、そして敗北への恐怖。それらを、振り絞る勇気で跳ね除ける刹那。
 残像を発する速さで跳躍。雲を裂き、大地よ砕けよと言わんばかりの渾身の一太刀を打ち込んだ。
「チェェストォォォォォッ!」
「ぬぅぅぅん!」
 龍の咆哮が如き叫びが、天を衝く。
 刹那は、徐晃に吹き飛ばされながらも、相手の硬き鎧、そして魂にまで傷を刻みつけたのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
【平穏結界】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!

園田・詠美
この気迫とオーラ……許昌に残った将軍トップクラスというのに偽りはないようですね!
私一人では到底敵わない相手……それでもできることはあるものです!

【神速反応】を発動し、敵の一撃に備えます
直撃すれば私一人などその一撃で戦闘不能になるでしょう
それならば……その一撃への反撃に私のすべてを乗せましょう!

タイミングが速すぎても遅すぎても、威力は落ちてしまう……確実に今の私の最大火力を叩き込めるタイミングを上昇する反応速度で図ります
敵の振り下ろしに合わせて【高速詠唱】で発動した【全力魔法】を叩き込みます!
特性の貫通術式を込めた魔力砲弾……その頑丈そうな甲殻だろうと罅の一つでも入れてあげます!
業務、執行!!


平良・明
背負うものが折り重なり積み重なるのは蟲も同じ
それを見れて、ここまで歩いてきたかいもあります

じゃあ私も、火を重ねましょう
重なる五枚の折り紙の、私はその先を歩く
「幾重火」の、つくる形は穿山甲
絡めとった蟲を腹の中ですり潰したりもします

燃え重なる鱗をまとい、真正面から勝負
砂風にあおられても、転がっても、懐に潜り込んで燃える拳でぶん殴る
炎に絡めとられ、この許昌に倒れて、魏王まで続く道になるといい


アンゼリカ・レンブラント
お前達の兵は皆強かった
守るべきものは違えど、敬意を以て相対

【飛翔】を駆使し最高速度で突撃し
パラドクスの格闘戦で攻めかかる
相手は強敵、一度の攻撃に固執せず
消耗させるまでは一撃離脱を心がけ、
相手の隙を作り出した後パラドクスを打ち込む

時に飛びつつフェイントを駆使したかく乱に努め
隙を作り出しつつ仲間に攻撃を入れてもらうなど
臨機応変を心がけ攻めていくよ

相手からの反撃も
獅子状のオーラを全開にして衝撃を軽減させ凌ぐ
私の勇気は消えないよっ!

相手の消耗が分かれば
今こそ私達の守るもの…人々の【託されし願い】と共に!
全力の《光獅子闘拳》で粉砕、決着を狙うっ
徐晃の武、忠義、確かに凄かったよ
相対できたこと、誇りにするね


光道・翔一
…流石に五大将軍の一角って所か。生半可な手じゃ文字通り傷一つつける事すら叶わねーだろうよ。

…だからこそ、持つ限りの力を振り絞って、でもって他の復讐者とも共闘して、勝ちをもぎ取らせてもらうとするか。

…アンタ等の王は奸計も辞さない性分の筈だ。
数の不利をまさか卑怯とは言うまい?(魔術書と杖を構え)


敵の挙動は逐一『精神集中』し、【神速反応】効果も使い注視
必要なら【泥濘の地】効果で機動力を削ぐ


収集し増幅した水を巨大な水壁にして、宛ら津波の様に前進させ敵にぶつける

相手の攻撃で消し飛べば即座に『早業』の『連続魔法』で次の壁をぶつけていく


別の復讐者に攻撃を仕掛けている時の割込み、妨害として動くのも考慮に入れる


曖明・昧
「五大将軍か……。強そうな肩書だな。よくわかんないけど。」
昧は二メートルほどの鋏、天廻器『肆妖断』を構える。
「ダン、暴れてもいいぞ。今回の蟲は、なかなか断ちがいがありそうだ。」
ダンとは、昧が肆妖につけた愛称だ。昧はダンをペットとして可愛がっている。
ダンは、昧の言葉を聞き、自身の持つ星の力を解放する。
元々白銀色だった部分が黒くなり、禍々しい姿となる。
「君も他の蟲のように、パラドクスで兵を呼ばなくていいのか?
蟲は群れるものだろ。よくわかんないけど。」
昧はダンを両手に持ち、徐晃を断ちにかかる。
徐晃のワープはダンに感知を任せる。
「星の力は全てを見通す。よくわかんないけど。」


●連戦する徐晃、なおも武力を揮う
 ディアボロス達との戦を繰り広げつつも、徐晃は門前より一歩も退く事はない。
 もはや、生ける門ともいえる堅牢さを発揮する徐晃を、曖明・昧(十星連・肆妖『無知蒙昧』・g06110)は見つめた。
「五大将軍か……。強そうな肩書だな。よくわかんないけど」
 徐晃が掲げるのは、巨大な斧。一方の昧は、天廻器『肆妖断』を構える。その形状は、二メートルにも及ぶ鋏だ。これで得物のサイズならば、将軍にも引けは取らぬ。
 味方の攻撃を受けてなお、健在な姿を誇示する徐晃を目前に、光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)は、改めてジェネラル級の強さを実感していた。
「……流石に五大将軍の一角って所か。生半可な手じゃ文字通り傷一つつける事すら叶わねーだろうよ」
 だからこそ、持てる限りの力全てを振り絞った上で、更にはこの場の復讐者とも共闘して、勝ちをもぎ取らせてもらう。
 翔一の覚悟は決まった。いや、この場に来ると決めた時から定まっていたか。
「……アンタ等の王は奸計も辞さない性分の筈だ。数の不利をまさか卑怯とは言うまい?」
「無論。我とて曹操様の為に兵を率いたのだ」
 魔術書と杖を構えて告げる翔一に、徐晃は無言でうなずいた。曹孟徳への忠心は揺らがぬ。
 徐晃から溢れ出す意気と闘志を、平良・明(ダイヤのK・g03461)は平然とした顔で受け流していた。
 しかし実のところ、先ほどの敵とは比較にならぬ圧だ。明とて、徐晃への警戒心は強い。見た目の表情より、ずっと押されてはいる。
「背負うものが折り重なり積み重なるのは蟲も同じ。それを見れて、ここまで歩いてきたかいもあります」
 徐晃は、明の様子に警戒心を強めた。
 一見、わかりやすい戦意を見せぬようでいて、実際、自分の圧を受け流すようなたたずまい。明の内心は推し量れぬ。その事が、徐晃にとって敵と認めるに相応しい要素なのかも知れぬ。
 園田・詠美(社畜(元)系魔法少女・g05827)は、その場に立つだけでこちらに重圧を感じさせる徐晃の覇気に、ぐぐ、と耐えていた。
「この気迫とオーラ……許昌に残った将軍トップクラスというのに偽りはないようですね! 私一人では到底敵わない相手……それでもできることはあるものです!」
 問題ない、その場には、頼もしい仲間が集っている。
 加えて、ディアボロス達の闘いの記憶……残留効果もある。詠美はやる気を振り絞って、敵の圧に耐えた。
 詠美同様、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)は、徐晃の矢の如き鋭いを眼光をも、臆さず受け止めていた。
「お前達の兵は皆強かった。守るべきものは違えど、敬意を以て相対させてもらうよ」
「この道は譲らぬ。この先は曹操様の覇道ゆえに」
 主人の名を出した途端。徐晃の全身から、威圧感が迸った。アンゼリカ達に吹き寄せるそれは物理的な圧すら有してその身に押し寄せる。
 そしてアンゼリカは、皆と共に、将の討伐にかかった。六の腕を持ち蟲の姿をした壁を、乗り越えるために。

●復讐者、技の連鎖にて猛将を追いつめる
 徐晃から視線を外さぬまま、昧は、口を開いた。
「ダン、暴れてもいいぞ。今回の蟲は、なかなか断ちがいがありそうだ」
 昧に与えられた愛称で呼ばれ、ダン……肆妖が、どくん、と震えた。昧は、ダンをただの武具としてだけでなく、ペットとして可愛がっている。その愛情に、ダンが応えた。
 昧の言葉を聞き、自身の持つ星の力を解放するダン。
 元々は白銀色だった部分が、黒へと染まってゆく。そして、全てがその色に染められた時、ダンは、禍々しい姿へと変貌を遂げていた。
 そして昧は、徐晃に向け、問いを発する。
「君も他の蟲のように、パラドクスで兵を呼ばなくていいのか? 蟲は群れるものだろ。よくわかんないけど」
「兵ならばこの身に宿り、復讐者を共に討たんとしている」
 先ほどディアボロス達によって倒された虎衛兵達。その魂や意志を、徐晃が背負って戦っている、ということか。それが武将としての心意気というものなのだろう。
 よくわかんないけど。昧は思った。
 ともあれ昧は、ダンを両手に持ち、徐晃を断ちにかかった。
 ダンの斬撃が、徐晃の甲殻を断つ。
「む……!」
 凄まじき切れ味に、徐晃が声を漏らす。
 一方で、強敵を斬った喜びのためか、心なしかダンのサイズは先ほどより一回り増しているように見えた。
 しかしその斬撃も、やがて空を切る。ワープ……いや、高速移動か。いやもうこれはワープだと思う。それだけの絶技である事は、昧にもわかった。
 だが次の瞬間。がきぃん、と鋭い音が響いた。
「何だと」
 再び姿を現した徐晃は、昧の直近にいた。大斧を繰り出した姿勢のまま。しかしその刃は、防がれていた。ダンによって。
「こちらの接近を看破したというのか」
「星の力は全てを見通す。よくわかんないけど」
 要するにダンの感知だ。
 とはいえ、その超感覚をもってしても、威力の全てを受け切る事は出来ず、昧の身体は吹き飛ばされていた。
「……よいしょっと」
 しかし、ダンを支えに立ち上がった昧の五体は、満足。戦果は上々と言っていいだろう。これは間違いない。
 無策で仕掛けるのは、それこそ愚策。昧達との激突の全てを、翔一は、見逃すことなく集中して観察していた。
 敵の動きは超一流。アヴァタール級を遙かにしのぐ技量を、如何なく発揮している。翔一とて、ディアボロスとして覚醒した身でなければ、全てを捉える事は難しかっただろう。
 だが、自身だけではなく、仲間達との交戦が、翔一に情報を与えてくれる。
 そして、翔一は仕掛けた。徐晃が味方へと攻めかかろうとした瞬間を捉え、妨害に入る。
「これは……」
 徐晃へと押し寄せたのは、天変地異。その正体は、水。
 収集し増幅した水を巨大な水壁にして、津波の如く前進させ、徐晃へとぶつけたのだ。
「これだけの水など何処から……」
 翔一は、徐晃の動きを観察する傍ら、空気中の水分を集め、解き放つ時を伺っていたのだ。
「水の奔流……ならばこちらは波動だ。格の違いを示してくれようぞ」
 驚異的な速度で、気を練り上げる徐晃。オーラによって舞い上げられた砂粒をも自らの力として従え、翔一へと奔流として放出した。
 津波と奔流のぶつかり合い。だが拮抗は一瞬。すぐに徐晃の波動が、翔一の水壁を押し返し始める。
 翔一に吹き付けたオーラが、その身を傷付けていく、このままならば、翔一自身が波に呑みこまれるのも時間の問題……。
 しかし。
「何」
 水の勢いが増した。
 翔一の連続魔法によって、次の壁、第二波が出現していた。
 勢いを減衰した第一波の後を継ぐようにして、滅龍波を押し返していく。
 そして遂には、波動を弾き散らし、徐晃へと到達。圧を解放した水壁は、徐晃の頑健なる肉体を押し潰し、押し流したのであった。
「じゃあ私も、火を重ねましょう」
 此処までの道のりと、翔一の水技。その二つに重ねるべく、明が取り出したのは……折り紙だった。
 すらり、と折られた紙は、またたく間に形を与えられ、炎となる。
「重なる五枚の折り紙の、私はその先を歩く」
 何が来るか。身構える徐晃。
「その獣は……」
 明の折り紙、仮初の炎が形作ったものを見て、ほう、と声をこぼす徐晃。
「おやご存じでしょうか。穿山甲。絡めとった蟲を腹の中ですり潰したりもします」
 そう、蟲を。
 そして明は、燃え重なるその身に鱗をまとい、真正面から勝負を挑んだ。
 先ほどの虎衛兵戦での明の戦い方を見ていたのだろう。
「その激情の発露、受ければ我とて無事では済むまい」
 徐晃は両足を踏ん張ると、オーラを高めた。共振するように砂が舞い上がり、覇気と混じり合う事で、その強度を高めていく。
「喰らえ、龍すら滅する我が覇気を!」
 轟!
 六の腕に押し出されるようにして放たれた波動が、奔流となり、明へと襲い掛かった。
 龍喰らうそのアギトに食まれれば、明など容易く噛み砕いてしまうであろう。
 だが、砂風にあおられても、地に無様に転がっても、明が屈する事はなかった。膝も、心も。
 それどころか、徐晃の懐に潜り込み、燃える拳で殴り返した。応報の拳だ。
「なんと……」
 大斧で、明の焔拳を防がんとする徐晃。
 しかし、その執念めいた打撃に、守りは崩れ、やがてその胸に拳が炸裂した
 明の一打を浴び、徐晃の身体は炎を灯す。命まで焼き尽くすパラドクスの炎熱が、その身を蝕んでいくのだ。
「炎に絡めとられ、この許昌に倒れて、魏王まで続く道になるといい」
 そして、明のひときわ強烈な一打が、徐晃の巨体を吹き飛ばした。
「やはり復讐者侮りがたし。そこの娘は来ないのか?」
 なおも身体を焼く明の炎を振り払い、詠美の方へと歩みを進めながら、徐晃が言う。
「まるで堪えていないみたいですね……」
 詠美が、一瞬そう錯覚するのも無理はない。
 一歩一歩が力強い。ありふれた所作1つで、アヴァタール級との格の違いを見せつけてくる。
 何より、無駄な動きは一切ない。こちらのけん制攻撃を見極め、余計な防御行動すら取ろうとしない。
 それは慢心ではない。徐晃自身と、敵である詠美の力を、正確に分析した上での行動だ。
 そして、先に仕掛けたのは、徐晃の方だった。
「後の先を狙っているつもりのようだが……一我が撃を受けて立っていられようか」
 大斧が振り上げられる。
 そこから繰り出されるのは、大地も虚空も割る強大なる一撃。
(「こんなもの、直撃すれば私一人などその一撃で戦闘不能になるでしょう」)
 迫る斬撃を、真っ向から見据える詠美。そのこめかみを、雫が伝う。
(「それならば……その一撃への反撃に私のすべてを乗せましょう!」)
 速すぎても遅すぎても、威力は落ちてしまう。
 今の詠美の出せる最大火力、それを叩き込めるタイミングを、上昇する反応速度で計っていた。
 そして遂に、徐晃が大斧を振り下ろす。すなわち、今こそ、詠美が動く時!
 出現する巨大な魔法陣。高速で詠唱を完了させた、発動した全力魔法!
 そこから生成されるのは、特性の貫通術式を込めた魔力砲弾だ。乾坤一擲、詠美はこの一手に賭ける。
「その頑丈そうな甲殻だろうと罅の一つでも入れてあげます!」
 斬撃と砲撃。
 両者のパラドクスが激突し、戦場に爆砕の音を奏でる。
 両者、命中。
「見事な一射であった」
 なおも立つ徐晃、しかしその甲殻には、確かな傷。
 そして、吹き飛ばされながらも、高らかに掲げられた詠美の腕。ぐ、と親指を立てて、
「業務、執行!!」
 それは、詠美の勝利宣言であると同時に、味方への合図でもあった。
 詠美の攻撃の成立を待たずして、アンゼリカが飛びかかっていた。命中を信じて疑っていなかったからだ。
 空を翔け、すぐさま到達した最高速度を以て、徐晃へと突撃を敢行する。
 ここまでの戦闘で、徐晃もさすがに損耗しているはず。振るう武力自体には、一片の曇りも生じていないのが恐ろしいところではあるが。
「来るか」
 大斧を構え直す徐晃。迎撃ではなく、防御の構えだ。アンゼリカの攻撃、それが生半可なものではないと、この時点で見抜いているようだ。
 ならばアンゼリカとしても、その期待に応えないわけにはいかない。
 手甲:戦姫闘拳『Shine Fist』を振り上げる。まとわれるのは、黄金獅子の形を取った覇気。
 活力に満ちた攻撃が、徐晃を圧倒する。
 相手は強敵、アンゼリカも一度の攻撃に固執する事はしない。少しずつ、確実に相手を消耗させるべく、一撃離脱を心がけ、フェイントも交えて相手をかく乱。
 そして、実力で、徐晃の隙を作り出す。とどめ、必殺の一打を繰り出す!
「ぐうう」
 ひときわパワフルに繰り出されたアンゼリカの拳が、徐晃の腹部に突き刺さる。
 徐晃から、うめき声を引き出したことに手応えを感じたアンゼリカは、しかし、すぐに気を引き締めた。
「そちらが命を賭して向かって来るならば、此方も同様の意気にて応えよう」
 大斧を一気に振り下ろす。
 だが、天地鳴動の斬撃に対し、アンゼリカは、獅子のオーラを全開。吹きつける破壊の血枷を軽減させて、凌いだ。
「どうだ! 私の勇気は消えないよっ!」
「これが復讐者の実力か、曹操様が撤退を選ぶのも理解できる」
 徐晃に、アンゼリカは笑顔を見せた。それは、敵に対してのぞかせる類のものではなく。
「徐晃の武、忠義、確かに凄かったよ。相対できたこと、誇りにするね」
 にっ、と破顔したアンゼリカに、徐晃は沈黙を保つ事しかできなかったのである。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【動物の友】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【怪力無双】がLV2になった!
【水源】LV1が発生!
【一刀両断】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!

アルラトゥ・クリム
…聞こえる?虚空に刻まれた人々の声。蝕まれた世界の悲鳴。
その想いを一つに集い、一握の希望(ひかり)で未来を切り拓く!

儚く散った、ひとりひとりの希望なんて。ほんの一欠片に過ぎないけど…
この遙か虚空に満ち満ちた、それを一つに集い集めたら。
貴方の様な強大な力も、穿つ事が出来る。
覚えておいて。私達が、最後の希望の顕現だ!

使用可能な残留効果は全て掻き集め
詠唱を終えたら、小細工抜きの最大速度で突撃
敵の砂刃は相打ち上等で、突撃の威力と光の鳳と振り絞れるだけの魔力
そして自身の生命力を含めた『持てる全ての力』を叩き付け、突き破り
突破が叶えば、自身に残った何もかもを叩き付け…後は地力の勝負!

アドリブ&絡み連携OK


ラウム・マルファス
さすがジェネラル、強そうダ。まずは相手のペースを崩さないとネ。
カラス型ドローンに爆薬を搭載。1機は防御用に、広範囲を吹き飛ばすタイプ。もう1機は攻撃用に、狭い範囲を高威力で破壊するタイプにしよウ。

「これだけ強い将がいっぱい居ても曹操は逃げるんだネ。ウンウンわかる、戦場怖いもんネ」
って挑発しよウ。演技は苦手だし本心だヨ。
イバラの冠で牽制しつつ、近接攻撃は飛翔で逃げ回って避けル。上手く見方が攻撃する隙になると良いんだケド。
敵の動きを観察し、砂は広範囲を爆破することでなるべく吹き飛ばス。多少の怪我は覚悟の上サ。爆煙で視界が塞がれてる隙に、高威力のカラスで爆破攻撃しよウ。


椋井・矢一
■アドリブ・連携歓迎

■心情
大した忠義だ。
なんだよ、随分と立派じゃないか。
成程――その首、値千金だ。
真っ当な果し合いを期待するなよ。
俺は武人じゃなくて――復讐者だ。

■行動
戦術は、後の後。
〈挑発〉の笑みをくれてやり、誘う。
絶技の接近ご自由に。重撃、貰ってやるさ。
――だが、俺が一撃貰っている間は、お前も俺の間合いの内だ。
放つは、やられながらやり返すカウンター。
手遅れじみたタイミング、故にこそ〈不意打ち〉ともなるだろう。
煮え滾る〈殺気〉を込め、パラドクス『幽鬼の剣』を〈捨て身の一撃〉で叩き込む!

束ねるは戦場に満ち、己が心より溢れる負の想念。
――思い知らせてやる。

「省みろ――猛将潰える、今日がその日だ」


●復讐者の武、連なる鎖となり敵将を縛る
 敵将との対面。
 ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)も、徐晃の武勇と存在感に、これぞ強者だと思い知らされていた。
「さすがジェネラル、強そうダ。まずは相手のペースを崩さないとネ」
「崩す? 曹操様の盾たる我を、か? 笑止」
 発言とは裏腹に、徐晃には、ラウムらをあなどる態度の片鱗すら見せない。
 圧倒的な武力以上に、この心構え自体が徐晃を五大将軍たらしめているのだと、ラウムは認識した。
 そしてアルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)は、立ちはだかる徐晃へも、臆さず告げる。
「……聞こえる? 虚空に刻まれた人々の声。蝕まれた世界の悲鳴。その想いを一つに集い、一握の希望(ひかり)で未来を切り拓く!」
「既に未来は定まれり。曹操様が断片の王となられる道ただ1つ」
 アルラトゥの決意をねじ伏せるように、徐晃が言った。
 有象無象の蟲将のように、ディアボロスへの侮りからくる言葉ではない。ただ、曹操こそが徐晃にとって世界の中心であると、ただそれだけ。
 しかし、アルラトゥの志もまた、徐晃の忠義になんら劣るものではない。
「儚く散った、ひとりひとりの希望なんて。ほんの一欠片に過ぎないけど……この遙か虚空に満ち満ちた、それを一つに集い集めたら。貴方の様な強大な力も、穿つ事が出来る」
「む……」
「覚えておいて。私達が、最後の希望の顕現だ!」
 アルラトゥの意思を体現する双眸に射抜かれ、徐晃がわずかにたじろいだように見えた。
 そんな敵将へと、椋井・矢一(マグマ・g04848)が発したのは、賞賛だった。ディアボロスの集団攻撃をものともせず、単騎立ちはだかり続ける事への。
「大した忠義だ。なんだよ、随分と立派じゃないか。成程――その首、値千金だ」
 矢一の言葉に、徐晃は、しかし、微動だににせぬ。
「おっと、真っ当な果し合いを期待するなよ。俺は武人じゃなくて――復讐者だ」
「元より承知の上。こちらとて曹操様の命を果たす為ならば、手を汚す事厭わぬ故」
 とんだ曹操馬鹿だ。
 一片の迷いもなく告げる敵将に、矢一は思わず苦笑した。率直に『脳筋』と称した方がいいだろうか? もっとも、それも極まれば、こうして将軍にも至るのだろう。
 改めての開戦。ラウムは、敵に必殺の機会を与えまいと、イバラの冠で牽制を仕掛ける。
 徐晃の強さを真に支えるのは、心の強さ。ならばそれを乱せば、肉体も技も、自然と崩れよう。
「これだけ強い将がいっぱい居ても曹操は逃げるんだネ。ウンウンわかる、戦場怖いもんネ」
 返答となった徐晃の斧から、飛翔して逃げ回るラウム。
 もっとも、演技は苦手だ。ゆえにこれは、ラウムの本心からの言葉。
 それでも、徐晃の注意を惹きつける事には成功していた。それも、十二分に。
「曹操様を愚弄する事、許さぬ!」
 これまで、如何なる攻撃を受けようとも冷静さを欠く事のなかった徐晃が、怒りを露わにしていた。
「曹操の事となると周りが見えなくなるタイプみたいだネ」
 そして、ラウムが作り出した隙を突いて、味方が、背後から徐晃へと攻撃をしかけた。一気に押し込む。
 その直後。ラウムは、矢で射られたような感覚を得た。徐晃の眼光だ。
「喰らえ、我が必殺の滅龍波!!」
 足元の砂すら使役し呑みこんだ徐晃のオーラが、空中のラウムへと放出された。
 それを迎え撃つのは、ラウムのカラス型ドローン。爆薬を搭載済みの機体は、しかし、相手を破壊するためのものではない。
 炸裂する爆薬。それは徐晃のオーラと、そこに含まれる砂を吹き飛ばす。結果としてもたらされるのは、威力の減衰。
 徐晃とラウム、両者の間で派手な爆発が生じた。ジェネラル級の技と、ディアボロスの仕掛け、パラドクス同士の激突だ。
 ラウムとて、元より多少の怪我は覚悟の上。そして、ラウムの本命は、もう一機に託されていた。
 徐晃の視界を塞ぐ爆煙。その間隙を縫って、攻撃タイプのカラスが飛び込んでいた。
「カラスが一羽だと思っタ? 慢心ってヤツだネ」
「我が、慢心など!」
 徐晃の鋭い反論の直後。
 カラスのくちばしがその体を捉え、更なる爆砕の宴へと誘った。破壊の花が、門下に開く。
 徐晃がラウムの爆撃の渦中にある間、アルラトゥは詠唱に専念していた。
 アルラトゥが賭けるのは、ただ一瞬。
 そして、その身体が光に包まれた。光の粒子……希望の欠片が、アルラトゥへと集約されていく。
 まとうは、自身の魔力を重ねて生み出した『黄金の鳳』。最大戦速で徐晃に肉薄する。
 徐晃も、アルラトゥの力の発動を感知していたか。
 己が周りへと、オーラと砂を混ぜ合わせた、波動の奔流をまきあげる。
「捨て身の技か? 龍すら滅する我が技を受け、塵となれ!」
 迸る闘気の渦が、光輝の鳳となったアルラトゥを呑みこんだ。
 圧倒的な威力が、アルラトゥの輝きを跳ね除け、こちらの全身を打ち据えようと押し寄せてくる。
 アヴァタール級のパラドクスとはまるで違う。同じ原理で発生したものとは思えぬほど、圧が強い。
 だが、元より相打ち上等。
 突撃の威力と、光の鳳と、振り絞れるだけの魔力。そして自身の生命力を含めた、全精力をこめて挑みかかる。
「馬鹿な……足すら止められぬ、だと?」
 真っ向からぶつかり合ったとは思えぬ速力を保ち、突撃してくるアルラトゥに、さしもの徐晃も動揺を隠せなかった。
 そして、アルラトゥは、徐晃の存在そのものに叩き付けた。自身に残った何もかもを。
 砕けゆく徐晃の肉体。手応えは十分以上。
「まだだ、曹操様の完全勝利をこの目にするまでは……倒れるものかッ」
 存在そのものを削り取られても、なお門番の役目を果たそうとする徐晃は、矢一達にこう告げた。
「退くならば今のうちだぞ。曹操様も無事退避された頃合いであろう……」
「まさか曹操だけが狙いだとでも思ったのか? その首にも十分価値があるんだよ」
 矢一は、徐晃に、ふっ、と笑みを向けた。挑発の色を含めて。
「でもまあ、曹操が臆病者って事は間違いないな」
「貴様!」
 怒気を露わにして、迫る徐晃。矢一の期待通りに。
「絶技の接近ご自由に。重撃、貰ってやるさ」
「その望み叶えよう。後悔する暇も与えぬ!」
 徐晃の姿が掻き消えた。
 転移、いや、超・高速移動術。いわゆる歩法の一種を、パラドクスにて実現したものだ。
 だが、矢一の戦術は、後の後。
 徐晃の一撃は、大斧の柄を持ち替え、コンパクトなスイング。
 それに対して矢一が放つは、重い一撃を加えられながらも相手に逆襲する……すなわちカウンター。
「俺が一撃貰っている間は、お前も俺の間合いの内だ」
「先ほどの挑発はこのためか! しかし!」
 渾身の攻撃を浴びせた後だ。たとえ反撃を繰り出せたとしても、その手は鈍ると、徐晃は判断していたようだ。
 だが、手遅れじみたタイミング、故にこそ、徐晃にとっては不意打ちとなった。
 矢一の手には、暗黒の剣。そこに煮え滾る殺気を込め、捨て身の一撃として叩き込んだ。
 束ねるは、戦場に満ち、己が心より溢れる負の想念。
 ――思い知らせてやる。
「省みろ――猛将潰える、今日がその日だ」
 相手の存在そのものを否定する。
 矢一の迸る復讐心が、五大将軍の甲殻を打ち破った。
「ぐ、おお……」
 不屈に見えた徐晃も、立て続けにパラドクスを受けては、無事ではいられなかった。
 矢一の負の念に蝕まれた事で、押し堪えていた損傷が決壊したのか。
 遂にディアボロス達は、徐晃を後退せしめたのである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
【フライトドローン】がLV2になった!
【託されし願い】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!

鋤・六郎兵衛
その歩法、縮地の術と見たり。
間合いを無視する絶技…ならば自ら間合いを詰めるべし。
刀を鞘に納め抜刀術の構え。一撃に全てを込める「捨て身の一撃」にてつかまつる。我が身は敵に放たれた只の一矢。この命、任務の為の道具に過ぎぬ。

【飛翔】の効果も使い一気に相手の懐に入る。渾身の「斬撃」による居合斬り。これぞ【秘剣·山鹿驚】。

既に至近。反撃は即座でござる。
鞘内に仕込んだ猛毒…「毒使い」による一瞬の動作の遅延と【泥濘の地】による踏み込みの浅さ。ほんの僅かな隙を死力にて掴み刀で斧を受け自ら吹き飛び威力を減らす。

死して屍拾う者無し。されど御下命如何にしても果たすべし。
その素っ首落ちる様を見るまでは死ねぬでござる。


雅諒院・基経
…さぁ、やろうか徐公明、その心意気や大変よし。主らの精鋭は見事に役割を果たした。…逃げた者はおらぬ。曹操だけでなく、主を信じていたのであろうな。

敬意を払おう、主は強い、集団で戦うというのは少し気が引けるが…こうでもせねば勝てぬでな。

瞬間移動…いや、縮地の歩法か、この時代に使い手がいるとは…だがそれならばおおよその足さばきで分かる、完璧なタイミングで撃ちこませてもらうぞ。

…個人的に、情けというわけではない、だが、奴の体は残したい。体に大きな風穴を開けさせてもらうぞ。

…本当に、頑固なのだな。いや嫌みではないぞ、だからこそ主はそんな体になりながらも立ち続けているのだからな。

…見事、主の勝ち逃げだな。


エレオノーラ・アーベントロート
あら、ようやく話の分かりそうなのが出てきましたわね。
今すぐに降伏するのであれば、最期のお酒くらいはお酌してあげてもよろしくてよ?

それは残念。それではいつも通りに――ブチ殺して押し通らせて頂きますわ。

「フェアレーター」に弾丸を一発のみ装填し、堂々と近づいていきますわ。
逃げも避けもしませんので、ちょこまかと移動したり、砂を巻き上げたり、回りくどい小細工は不要ですわ。
きっと貴方もそちらの方がお得意でしょう?

すべての力を込めて放つ一撃に対してこちらも一撃に全ての力を込め『第四十五の魔弾【破城】』を解放。純粋な破壊力で敵の一撃を撃ち砕きますわ。


シエルシーシャ・クリスタ
……これがジェネラル級。
私、残留効果が飽和してる奪還戦以外で向かい合ったのは初めて。
洛陽の蟲将も、強化されててさえこれほどじゃなかった。
武人ぶるのに付き合う余裕、ないね。

逆説連鎖戦でも意識が逸れてれば少しは当てやすいはず。
よく観て、皆の攻撃に意識が向いた瞬間に徐晃の足元から「招き手」で襲う。
そのまま足を捕える罠や投網みたいなのを【トラップ生成】。避けられても振り払われても、一瞬でも気を逸らせられればきっと意味があるはず。

一瞬で懐まで潜り込んでくる技には、【トラップ生成】で鳴子みたいに糸の警報を張り巡らせて察知しやすくしておいて【泥濘の地】も利用して、なるべくダメージを抑えて受けられるように……


李・暁華
そこを退け
…と言って退くなら苦労はせぬか
事ここに及んで貴殿を陳留に向かわせる訳にはいかぬ
その首、ここに置いていって貰おうか

まともに打ち合える相手ではなく、一撃でも貰えば致命傷になり得る
故に、最初から全力を込めた一撃を動ける限り叩き込む
【神速反応】に【残像】にて敵の一撃を避けつつ【飛翔】
空を舞ってからの急降下の加速も加え偏月刀で「爆砕刃」を叩き込み
一撃入れたら即距離を取りヒット&アウェイで
あの多数ある腕の一本か首くらい斬り飛ばせなければ我が家の名折れよ


●徐晃、大斧を振るいて使命を果たさんとす
 ディアボロスと刃を交えるほどに、高まる鬼気。
 シエルシーシャ・クリスタ(鬼人の妖精騎士・g01847)は、徐晃の存在感の濃密さに、圧倒されていた。
「……これがジェネラル級」
 残留効果が飽和している奪還戦を除けば、シエルシーシャが上級クロノヴェーダと向かい合ったのはこれが初めての事となる。
 凡百の蟲将であれば、何度地に伏した事か。それでも徐晃は、盾としての任をまっとうせんと立ち続けている。
「洛陽の蟲将も、強化されててさえこれほどじゃなかった。武人ぶるのに付き合う余裕、ないね」
 シエルシーシャは、武具を総動員して立ち向かう。なりふり構っていられる戦いではない。
 決着を前に、エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は、徐晃へと語り掛けた。傷つき、血に塗れた敵将へと。
「ようやく話の分かりそうなのが出てきましたわね。今すぐに降伏するのであれば、最期のお酒くらいはお酌してあげてもよろしくてよ?」
「生憎、我が次に酩酊するのは、曹操様が断片の王となられた時よ」
 エレオノーラの『魅力的』な提案を、徐晃は即座に払いのけた。
「それは残念。それではいつも通りに――ブチ殺して押し通らせて頂きますわ」
「左様。そこを退け」
「断る」
 李・暁華(暁の戦華・g01302)の言葉を、徐晃は一蹴した。
「確かに、こう言って退くなら苦労はせぬか」
 肩をすくめる暁華。しかし、次の瞬間には、きりりと敵を見据えて、
「事ここに及んで貴殿を陳留に向かわせる訳にはいかぬ。その首、ここに置いていって貰おうか」
「それは此方も同じ。曹操様を脅かすものをこの先に進ませるわけにはいかぬ」
 暁華と徐晃、それぞれが己が武器を構えたのは、同じタイミングであった。
「曹操様は既に安全圏へと脱せられた頃合い。退くと言うのならば命までは取らぬ」
「お優しい事よ。だが、私達の目的は貴殿を討つ事だ」
 暁華と言葉の刃を交える徐晃を、鋤・六郎兵衛(新宿忍者・g06539)は、しかと括目していた。
(「その歩法、縮地の術と見たり」)
 瞬間移動したようにしか見えない、一瞬での移動。
 その正体を、六郎兵衛は既に看破していた。間合いを無視する絶技。ならば自ら間合いを詰めるべし。
 雅諒院・基経(天狗道からの使者・g00191)も、これまでの激戦で相手の武技は見届けている。かくも満身創痍に陥りながら、なお健在ぶりを示す徐晃に、感嘆せざるをえない。
「……さぁ、やろうか徐公明、その心意気や大変よし。主らの精鋭は見事に役割を果たした」
 こちらの言葉に徐晃が耳を傾けるのを確かめ、続ける基経。
「……逃げた者はおらぬ。曹操だけでなく、主を信じていたのであろうな」
「我にそれだけの器などない。ただ曹操様の斧となり盾となるしか能のない男よ」
 基経の賞賛を、徐晃は首を振って否定した。
「いや、敬意を払おう、主は強い、集団で戦うというのは少し気が引けるが……こうでもせねば勝てぬでな」
 味方と共に、敵将に挑む基経。
 こちらが倒れるか、相手が倒れるか。決着の時は迫っている。

●復讐者と五大将軍、死闘の末勝敗を決す
 クロノヴェーダを滅する手段は、パラドクスをおいて他にはない。
 シエルシーシャも承知の上だが、この徐晃、パラドクスさえも跳ね返してしまうのではないかと、そう思わせるだけの武がある。
 であっても、意識が逸れていれば、少しは当てやすいはず。
 シエルシーシャは、全神経を集中して、徐晃の動きの把握に努めた。
 ディアボロスが同時に攻めかかっているのだ。如何に超人的な武力を有していても、全てをさばききるのは不可能。
 シエルシーシャは、仲間の攻撃へと意識が逸れた僅かな隙を、見逃さなかった。
「ナックラヴィー、呪え、縋れ、啜れ」
 シエルシーシャの背後、水棲馬の幻影が浮かび上がる。
 宝玉より発せられた呪詛、それは、徐晃の足元に無数の水たまりとなって現れた。
「これは面妖な」
 びしゃり、徐晃が惑わされまいと踏みしめた水たまりから、腕が伸びあがる。『門』となった水たまりの数だけの腕が、この場を埋め尽くす。
 徐晃の巨体をとどめるべく現れた呪詛の顕現は、その足を、鎧を掴み取る。
「この忌まわしき気は……力が抜けていくだと?」
 何度振り払っても、執拗に縋りつく異形の手の群れ。
 それは、徐晃の充溢した気力を奪い取り、戦場に立つ時間そのものを削り取っていく。
「文字通りの搦め手という訳か。しかし」
 突然、シエルシーシャの視界から、徐晃の姿が消えた。対象を失った手も、動揺するように虚空を掴む。
 次に現れた敵は、シエルシーシャの眼前に迫っていた。既に大斧は振りかぶられている。
 ワープじみた挙動。五大将軍、ジェネラル級の力はやはり常軌を逸している。
 だが。
 これまで相手の挙動を観察していた事が、シエルシーシャの運命を左右した。
 すんでのところで大斧をかわす。前髪が数ミリ持っていかれたが、四肢や首に比べればあまりに安い代償だった。
「我が斧をかわすとは」
 シエルシーシャを睨み、地面から大斧を引き抜く徐晃へも、堂々と近づいていくエレオノーラ。
 現在、『フェアレーター』に装填された弾丸は、一発のみ。相手はジェネラル級。半端な技ではびくともしないだろう。となれば、必殺の一撃にかける。ゆえに二発目は不要。
 自信に満ちた足取りのエレオノーラを見て、徐晃は大斧を守りの構えとした。何か策があるのだろうと、そう勘ぐるのも無理はない。
 しかし、エレオノーラは、それを杞憂だとしてこう告げる。
「こちらは逃げも避けもしませんので、そちらもちょこまかと移動したり、砂を巻き上げたり、回りくどい小細工は不要ですわ」
「ちょこまか」
 むむっ、と徐晃の眉間に、しわが寄った。そんな気がした。
「きっと貴方もそちらの方がお得意でしょう?」
「そうだな。小細工や計略は好かぬ。曹操様も我が武を買ってくださったのだ」
 大斧を構えなおす徐晃。今度は相手を……エレオノーラを粉砕するための、攻めの構えだ。
 そして、エレオノーラが眼前に迫った時、斧を振り下ろす。
 六本の腕の力を束ねた一振りは、大地を砕き、曹操の覇道を阻む者全てを処断する。
 滅殺の一撃に対し、エレオノーラもまた、一撃に全ての力を込めた。
「【破城】解放――」
 徐晃の目前、『フェアレーター』が、砲火を放つ。
 そこにこめられたのは、ただひたすらに純粋なる破壊力。
 二つの破壊の力が、至近で衝突した。
 斬撃と砲撃。どちらも超常の威力を持った渾身は、ぶつかり合った瞬間、破壊をまき散らす。
 かき乱される大気、地面が鳴動し、許昌の酔いを醒ます。
「何という……」
 徐晃を驚嘆させたのは、2つの事実だった。
 1つは、自らの身体が穴を穿たれた事。
 そしてもう1つは、離脱したエレオノーラがほとんど無傷であった事。
 あの一射は、狙いたがわず、徐晃の一撃ごと、その肉体を撃ち砕いていたのだ。
「これを受けては、五大将軍といえども無事では……」
 ずん、と踏み出す徐晃。その足取りの強さに、これが真なる強者か、と暁華は驚嘆した。
 己の血に塗れ、満身創痍となりながらも、徐晃の挙動には重みを感じる。
 まともに打ち合える相手ではなく、一撃でも貰えば、致命傷になり得るだろう。
 そしてこちらの技も、生半可なものが通じないのは承知済み。その堅牢な肉体、そして何より忠義の心を折らぬ限り、徐晃は戦場に立ち続けるに違いない。
 故に、最初から全力を込めた一撃を、動ける限り叩き込む。
 暁華が勝機を見出せるとすれば、相手が攻撃を放った時。
「曹操様の三国統一を見られぬ無念と共に塵となれ。天地鳴動!」
 徐晃が、幾度めかの全力を発した。動作としては、大斧を振り下ろす、ただそれだけ。
 しかし、その代名詞ともなる得物から繰り出される一撃は、大地のみならず天さえも震わせた。
 だが、破壊がもたらされる瞬間を、暁華は、神の如き反応で察知した。その場に残像すら置いて、その場から離脱する暁華。
 真っ二つに切り拓かれた地面、それを空から見おろす。しかし、相手の武に見惚れている時間はない。
 即座に徐晃目がけて急降下、加速を乗せて、偃月刀の必殺を叩き込む。
 この一刀、徐晃とは比べるべくもないとしても、必ずや届くと信じて。
「砕けろッ!!」
 暁華の斬撃が、五大将軍を切り下ろした。確かな手応えと共に。
 両者を支える大地がめくれ上がり、爆砕する。その爆風に身を任せ、瞬時に逃れる暁華。
 舞い上げられたのは、丸太。否、徐晃の腕の一本だった。
「我から腕を奪い取るとは!」
「これくらい成し遂げられなければ我が家の名折れよ」
 自らの失った腕を見つめる徐晃に、暁華はそう言って見せた。
 ディアボロス達の猛攻にさらされ続けながらも、なおも揺らぐところのない徐晃。
 暁華を守るように前に出た六郎兵衛は、刀を鞘に納めた。抜刀術の構えだ。
「一撃に全てを込める『捨て身の一撃』にてつかまつる」
「面白い。我とて斧の一振りに全てを賭けるゆえ」
 複数の腕を持ちながら、武器は大斧ただ1つ。それが徐晃の戦い方なのだろう。
 そして、同様に、六郎兵衛にも流儀がある。
「我が身は敵に放たれた只の一矢。この命、任務の為の道具に過ぎぬ」
 次の瞬間。六郎兵衛は消えた。
 飛翔の技も駆使して、一気に相手の懐に入りこんだのだ。先刻見たばかりの徐晃の技をも取り込んだか、その技は普段以上の冴えを見せた。
 繰り出されたのは、渾身の斬撃による居合斬り。
 目にも止まらぬ、という形容さえも陳腐に感じられるほどの、神速。
「ぬ……!」
「これぞ【秘剣·山鹿驚】」
 大斧の守りを破った一斬が、徐晃に刀傷を刻んだ。
 しかし、互いの距離は既に至近。徐晃にとっても、六郎兵衛を逃す距離ではない。
「我が技にて返礼しよう!」
 余力を振り絞り、徐晃が動く。
 その瞬間、ごくわずかながら、徐晃の読みづらい表情が、歪んだように見えた。
 それが錯覚ではないことを、六郎兵衛は承知している。
 今、徐晃の肉体を蝕んでいるのは、鞘内に仕込んだ猛毒……それによる一瞬の動作の遅延。
 そうして、意図的に作り出した、芥子粒の如く僅かな隙を、六郎兵衛は死力にて掴んだ。
 徐晃の技が成立する。その斧を、六郎兵衛は刀で受け、自ら吹き飛び、威力を減じてみせた。
「まこと、何処までも生き汚い。我のように立ち続けねばならぬ理由があるとみえる」
「死して屍拾う者無し。されど御下命如何にしても果たすべし。その素っ首落ちる様を見るまでは死ねぬでござる」
 徐晃に応える淀みなき言葉が示すように。
 六郎兵衛は、健在であった。その覚悟の姿に、徐晃は、自身の忠義と同質のものを垣間見たのかもしれぬ。
 徐晃の見せた技に、基経は改めて感嘆していた。
「瞬間移動……いや、縮地の歩法か、この時代に使い手がいるとは……」
 クロノヴェーダの能力があってこそだろう。しかし、それを使いこなすには、それ相応の練度が必要。ならばこれは徐晃自身の技、鍛錬の賜物であろうと基経は思う。
「だがそれならば、おおよその足さばきで分かる、完璧なタイミングで撃ちこませてもらうぞ」
 基経は、徐晃の姿形を残しておきたいと、そう思った。情け、というわけではない。個人的な思いだ。
 睨み合う、徐晃と基経。
 2人の姿が消失したのは、ほぼ同時だった。
「!」
 徐晃が、驚きの気配を発した。基経が、自身の背後に回り込んでいたからだ。
「こちらの速力を凌駕したか……!」
 独自の歩法【神速通】……そして徐晃が振り返った瞬間、魔弾を撃ちこむ。
 あらゆる属性を混合させた、究極にして至高の一射。基経の覚悟と勝利への飽くなき執念の結晶。
 それは、徐晃の体をたがわず穿ち、抉り、そして貫いた。
「見事なり」
 徐晃は言った。巨大な風穴を自らの腹部に空けながら。
 構え直す基経。今の技を受けてなお、倒れぬか。ならば今一度……。
「……いや」
 基経達が、構えを解く。
 徐晃は、腕を広げたまま、物言わぬ骸と化していた。曹操の元へは何人たりとも進ませぬ。その意志を体現するように。全身に数え切れぬほどの傷を刻みながら。
「……本当に、頑固なのだな。いや嫌みではないぞ、だからこそ主はそんな体になりながらも立ち続けているのだからな」
 ふっ、と脱力する基経。
「……見事、主の勝ち逃げだな」
 命を賭して己の任を成し遂げた質実剛健の猛将を前に、基経はしばし、その場に立ち尽くすのであった。
 徐晃討伐……ここに完遂せり。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【トラップ生成】LV2が発生!
【隔離眼】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV7になった!
【ドレイン】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年06月30日
宿敵 『質実剛健の猛将『徐晃』』を撃破!