砂上の涙、星の笑み(作者 棟方ろか
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#獣神王朝エジプト  #アヴァタールの小神殿 

 今日も毛並みは美しく。櫛で梳くのだって丹念に。
 今日も身なりは美しく。ぴっかぴかの宝石たちで飾り立てて。
「みゃっふふー♪」
 アルナヴェトは軽やかなステップと鳴き声で街を訪れた。
 同時にそこかしこから、彼女のなが~い耳へ届く称賛の嵐。アルナヴェト様だ、アルナヴェト様がいらっしゃった、なんと麗しいお姿で。なんと夢と希望に満ちたお姿で。街の人たちは、絢爛とゆく彼女に希望を見ていた。街は良い方向へ発展すると。生活ももっと華やかになると。
 何故なら賑わう市場には果物だけでなく、砂漠で珍しい花だってある。そこにいる誰もが言う。土壌を整えたのはアルナヴェトで、育つ植物は成長が早く、収穫も容易い。空腹に悩まされる心配もなく、他の街と物々交換もしやすいと。
 そして今日も彼女へ話しかけるのは、町政を担う白ヒゲの男性だ。
「アルナヴェト様、本日もこの街は美しさを保っております」
「良いことじゃ」
「しかし貧民街の連中が、より通りで悪さをしてまして」
「悪いことじゃ。任せよ、ちょっと躾てくるぞ」
 有力者の言葉で察したアルナヴェトは、それだけ告げて彼の元を後にする。
「みゃふふ、汚いものは今日もコロコロしておかねばなー」
 ぴょんぴょこ楽しげに弾む彼女を見て、街の人たちも嬉しそうに笑う。
 ああ、これなら今日もこの街は安泰だと。

●始発
「やあやあ諸君! 砂漠の街へ行こうじゃあないか! ついでに星も眺めておいでよ!」
 木庭・国男(デーモンの魔創機士・g03330)は今日も活き活きと話しはじめた。
 此度の行き先、獣神王朝エジプトディヴィジョンは、古代の神話が現実となったかのような世界。一般人は神を信仰し、そして凄まじい力を持つクロノヴェーダも信仰している。
「今から向かう街でも、信仰心がクロノヴェーダ『アルナヴェト』の力になってるんだよ」
「じゃあ、その信仰心を崩せたら、クロノヴェーダの弱体化が期待できるのか」
「そゆこと! 信仰心さえ揺るげば、力を与えてる神像が壊せるようになるのさ!」
 神像――アルナヴェトの姿を模した像が、街の小神殿に隠されている。
 小とは付いても神殿だ。警備を担う神官たちもいる中で、探し出す必要がある。前もって街で神殿や像の情報を得られれば、探索も捗る。また、神官は街の人たちで一般人のため、攻撃はするべきでないと、国男は念を押して。
「とにかく大勢にアルナヴェトへの信仰を疑わせるのが肝になるよ」
「像を破壊して弱体化できたら、アルナヴェトを倒しやすくなるんですね」
「イエース! 普通に戦うよりは断然そっちのがいいよねぇ」

 流れについて話した国男は、早速詳細を説明し始める。
 街に着いたら、まずは情報収集だ。アルナヴェトの情報、小神殿の情報、神像の情報、信仰を疑わせるのに必要そうな街の人の情報。小神殿では、神殿そのものや神像の情報が手がかりとなる。信仰心を崩す時には、街の人やアルナヴェトの情報が鍵となりやすい。
「規模は小さいけど、スラムみたいな地域もあるみたいだよ」
 仲間たちがざわつく。つまりきらびやかなこの街にも、そうした顔はやはりあるのだ。
 こうしたものを礎に、次の行動――信仰を崩す作戦へ移るのが順当だろう。
「信仰を高めて得るために、そのうち街へやってくるよ、クロノヴェーダは」
 このタイミングでアルナヴェトに接触し、人々へ疑念を持たせるよう、動いてほしい。
 今までに得た情報も、ここで活用できるはずだ。
「で、形勢不利になったら小神殿へ逃げ帰るだろうから、追って小神殿へ突入しておくれ」
 そして神殿内でクロノヴェーダを撃破する流れになる。この時点で神像が現存したままなら、強大なクロノヴェーダと戦うしかない。この場合、かなり苦戦を強いられるため、覚悟が要るはずだ。
 国男はここで、もうひとつ街で調査できそうなことを話し出す。
「ディヴィジョン攻略旅団で、提案があったのは知ってるかい?」
 仲間たちの顔を一通り見回して、国男は連ねる。
「神への反抗勢力に関しても、調べれば何か得られるかもしれないよ」
「かも、ってことは……やり方次第か」
「そだねー。あと神様について聞いて回りすぎると疑われるから、最少人数で頼むよ」
 神への信仰が、当然のものとして根付いているディヴィジョンだ。
 下手に怪しまれたり、警戒されると他の行動に影響する可能性が高い。

「……ところで君たち、星は好きかい?」
 国男からの突然の質問は、妙にやさしい声色で紡がれた。
「パラドクストレイン、夜明け前に着くんだ。街が目覚めるまで少し時間があってねぇ」
 この時間に、砂漠で星を見上げて過ごすのも良いかもしれないと、彼は続けた。
 残夜はより冷え込むけれど、空はどこまでも澄んで、星と語らうだけの静寂が広がる。
 運命の8月15日を迎えてこの方、ゆっくり気持ちと向き合う時間が取れなかったディアボロスもいるだろう。新たな出逢いを得た友人や、相棒となるサーヴァントと過ごすのも乙なもの。改竄された世界でも、星は静かに微笑んで見守ってくれる。
「僕がこの一夜を勧めるのはね、星明かりで『砂の涙』が見つかる可能性があるからさ」
「砂の、涙?」
「そ。鉱石片や宝石の欠片なんかが光るんだ。涙なんてロマンがあるだろう?」
 星明かりに照らされた一面砂の世界で、キラキラを探して歩くのは乙なもの。
 国男はしみじみとそう話す。
「まあ何にせよ、静かに考える時間を持つのって大事だからねぇ」
 想い出を手繰り、または失ったものを想って過ごせば。
 そのとき覚えた感情も、クロノヴェーダと戦うための力になる。
「ってなワケで頼んだよ諸君! さあいざ行かん、砂の国へ!」
 よくわからない方向を指差して、国男は仲間たちを見送った。

●街なかで
「アルナヴェト様、また貧民街へ向かわれたのね」
 店で花を買っていた娘が、跳ねていったアルナヴェトの姿が見えなくなった頃に呟く。
 彼女の言を掬った店の主人が、そうさなあ、と顎髭を撫でる。
「貧民街のガキはすぐパンを盗むし汚らしいが……」
「そうね、私も何度かパン屋と子どもの追いかけっこを目にしたわ」
「身寄りが無ぇだけで、可愛そうな奴らだからな、何もなきゃいいが」
 主人の発言に、娘も「そうね」と眉尻を下げた。
 賑わう市場の一角で交わされた密かなやりとりは、そこで咲く花だけが聞いている。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【強運の加護】
2
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【罪縛りの鎖】
2
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【友達催眠】
5
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
6
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【隔離眼】
4
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
2
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【光学迷彩】
2
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【過去視の道案内】
2
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【活性治癒】
4
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【修復加速】
2
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV6 / 【命中アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV10(最大) / 【ガードアップ】LV5 / 【反撃アップ】LV2 / 【アクティベイト】LV2 / 【先行率アップ】LV2 / 【ドレイン】LV4 / 【アヴォイド】LV4 / 【ロストエナジー】LV4

●マスターより

棟方ろか
 お世話になっております。棟方ろかです。
 説明書や選択肢のルールもご一読頂き、楽しんで頂ければと思います。

●最終目標
 アルナヴェト(アヴァタール級)の撃破

●選択肢についての補足
①クロノヴェーダとの対話
 ここで、アルナヴェトを信仰する人々に疑問を持たせましょう!
 すぐには現れませんので、序盤は②などで行動するのがオススメ。

②街に潜入して情報を得る
 クロノヴェーダを疑わせるための材料を得れば、①がスムーズに。
 街の情報を得て動けば、①の場所や人の流れを操作しやすくなるかも。
 小神殿内の情報を得ると、⑤で神像が発見しやすくなります。

③絶景を観光しよう(※最初は、こちらの執筆を優先します)
 砂漠で星空を見上げたり、「砂の涙」を探して過ごします。
 こちらは、ソロまたはプレイングで指定のある方同士でのリプレイです。
 なお、「砂の涙」のアイテム発行はございません。

④【攻略旅団】神への反抗勢力の調査
 神への反抗勢力を、街で調査します。

⑤神像の破壊
 発見したら壊しましょう。条件さえクリアしていれば普通に壊せます。
 条件は、クロノヴェーダを信仰する人たちが、信仰に疑問を持つこと。
 つまり①のクリアが必要となります。

⑥👿アヴァタール級との決戦『アルナヴェト』(攻略必須!)
 ボスとの戦闘。撃破すると、このシナリオは攻略完了となります。

 それでは、いってらっしゃいませ!
111

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


鈴燈・春
「わあ、綺麗だなあ…。」

東京にいた頃には街灯やビルの明かりであまり見れなかったのでこういう星空を見れるって貴重な経験ですね。

「…なんか歌詞が思い浮かびそう。ああいやいや、作戦、作戦…。」
こんな景色を見る機会に恵まれるのも復讐者になったお陰、……なんですかね。職業柄すぐに歌詞や曲を考えてしまいますが今はいけませんね。これからの事を考えなくちゃ。

寝転がって星を眺めるのもいいですが、先程聞いた「砂の涙」も気になりますね。
機嫌よく【ヒロイックシンフォニー】を口遊ながあまり遠くへ行かないように探してみましょう。見つかったら運がいい、ということで。

※アドリブ歓迎。


 天に広げられた星の五線譜が、夜の濃淡を歌いあげていく。光の強弱が音のそれに聞こえ、わぁ、と吐息に交えて鈴燈・春(MayLily・g00536)が零したそれも、弾む音色となって謡う空へと昇華した。
 綺麗だなあ、と呟き目線を下ろしてみる。すると地平もや水平を描く線が分からないぐらい、砂原はまろやかな波を描き、どこまでも続いた。そして砂たちは、訪れた春を足から攫うようにして楽しげに滑り、星たちの歌を聞いてまた滑りゆく。
 だから春も思わずつられて、かれらと共に歩む。かれらの流れる方向へ。かれらが笑う方角へ。
(「東京とは全然違う」)
 遥かな天を衝く高層ビルも、硝子めいた艶を全身に纏ったビルも、ここにはない。
 それどころか寝静まる頃になっても道を、一角を照らす街灯も無かった。
 おかげでこういう星空が眺められるのだと、春は胸いっぱいに息を吸い込んで。
「なんか歌詞が思い浮かびそ……ああいやいや、作戦、作戦を考えないと……」
 自らへ言い聞かせるように、かぶりを振った。
 そう。遊びにきたわけではないのだと、瞼を落として思惟をくゆらす。
(「こんな佳景に恵まれたのだって、復讐者になったから……」)
 想いの糸が途中でぷつんと切れる。
 復讐者になったお陰で、見られた風景。
(「……そう、なのかな。本当に」)
 自問は砂へ滴った水のように、静かに彼の内へ吸い込まれていく。
 だから春は徐に瞼を押し上げた。燻らせていた思考は霧散し、代わりに彼は夜空へ向かう砂煙を知る。星の輝きにも負けぬ金の砂は、日中にたっぷり浴びた陽射しを思わせる色彩で。けれど今かれらを照らすのは星明かり。
 二色の光彩を着た砂たちの舞いは、歴史の変化なぞ露ほども知らず、いつまでも楽しげだ。
 小さく息を吐いた春も、かれらや星と戯れるように口遊む。

 ――忘れられない歌をうたいましょう。

 後夜に春が巡らせるのは、唄と瞳と、砂に気に入られたつま先で。
 彼の手元へ、煙った残滓から『砂の星』が落ちて来るのは、それからほんの少しだけ先のお話。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

アッシュ・シレスティアル
「エジプトも砂漠も初めて訪れるが…これはすごいな。」
周りの風景を見渡してただただ圧倒される。

【絶景を観光】
「たまにはこうゆうのも悪くはないな…」
ゆっくり星空を見るなんていつぶりだろうか思えば新宿島に流れ着いてから何かと動き回ってて落ち着いた時間ってのはほとんどなかったからな…。

「こうも落ち着いてると一曲奏でたくなるもんだな」
持ってきた魔楽器「勇奏剣」を横笛のように構えて演奏する。
【果敢なる兵士】(雰囲気に合うように控えめに)を奏でて調査などをしやすくする下地を整える

「さてそろそろ行動開始と行くか。」
夜明け前特融の寒さを感じながら、街へと向かう。


 やさしい水面を思わせる髪を揺らし、アッシュ・シレスティアル(蒼き疾風の復讐者・g01219)は砂漠をゆく。すごいな、と意識せず呟いた彼はその拍子に夜気を思い切り吸い込んだ。星月夜の空気はあまりにも冷たく澄んで、考えまで冴えていくようだとアッシュは思う。
「これがエジプト……これが砂漠なんだな」
 言葉で模り、漸く実感できた。
 ゆっくり星空を見るなんて、いつぶりだろうと。
(「そうか、意外となかったんだな。落ち着いた時間ってのが」)
 新宿島へ漂着してから、慌ただしい日々が続いた。
 東京だけでなく、かの三国の戦を連想させるディヴィジョンにだって出かけたし、機械油と堅苦しい匂いに満ちたドイツのディヴィジョンへも足を運んだ。
 目まぐるしさの中、立ち止まる時間を彼は忘れていた。立ち止まる時間を、持たなかった。
 だからか妙にそわそわしてしまう。
 静かだ、と呟いても返る声はなく。機械や人で賑わう都市ならば当たり前に耳へ入り込むカラードノイズも、砂の原では流れない。あるとするなら風の音と砂のお喋り、そしてアッシュ自身の鼓動や呼気だけ。
(「……たまには悪くないな」)
 静寂にくるまれながら、アッシュはふと勇奏剣を手にとる。
 刃は光を失わず、横笛もまた歌いたくて仕方が無いらしい輝きを帯びている。
 こんな風光のもとを歩んでいるのだ。アッシュもそっと目許を和らげて。
「わかってるって」
 横笛を奏ではじめた。星を抱きしめた空へと、澄んだ音色が舞い昇る。邪を退ける音色は、境界も知らず世界の果てまで広がっていくようだった。何処まででも届けばいいのにと、アッシュの胸裡で情が僅かに疼く。この曲を世界の端っこまで届かせる、そんな力をいつしか欲するようになっていて。
 きっとアッシュのその芯が、彼自身の足を奮い立たせ、前へと進ませているのだろう。
 こうして笛を吹く間も、調査の下地となるよう祈っていたから。
 ただただ圧倒されるばかりの星と砂の世界で、アッシュは夜明けを待って音を紡ぎ続けた。
 観客となった砂が足元でくるくると踊り、星たちが共鳴するようにきらきら笑う、美しい世界で。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

シエル・エンフィールド
星は好きです。
綺麗なのは元より、沢山の顔を見せてくれるのも勿論ですが…何よりは、私自身からは既に零れ落ちてしまった輝きを見てしまうから。

ディヴィジョンを訪れるのは初めてですが…
新宿島の『今』とは違う輝き。
でもきっと『今』へと続いているはずの輝き。
それなら…私から零れた欠片もどこかに続いているのでしょうか。

そんな感傷に浸る心すら無いのに思わせてくれるとは。
感謝しましょう。そして覚えていましょう。
同じ景色をまた見たときに、この思いが間違いではなかったと思い出すために。

それなら、自分にもまだ残ってる物があると信じられるから。


 砂原を渡る夜風が含んだにおいを、シエル・エンフィールド(はいいろ・g00369)はゆっくり吸いこんでみる。夜のにおいだ、とわかって落ち着く。けれど新宿島で嗅ぐものとは種類が違って、だからこそシエルは思う。
 ああ、ここは『今』ではなく過去なのだと。
 過去だというのに、仰ぎ見れば星空はそこに居てくれる。
 だからシエルは双眸を細めた。星は好きだと、改めて思いながら。
(「今夜は、どんなお顔をしているでしょうか」)
 こてんと頭を傾けて、本日の夜空を目に焼き付ける。両手で額縁を模りながら、ぐぐっと天へ伸ばしてみた。切り取る空間によって、星の顔色は違ってくる。
(「あそこは、楽しそう」)
 ひときわ眩しい一粒を、たくさんの小さな光が四囲する様子は、はしゃいでいるようで。
(「こっちは、眠たそう」)
 別の所を切り取れば、シエルを見下ろす星がどこかゆったりとした光彩を放つ。
 綺麗な景色を捉えるたび、彼女は短い息を吐いた。星たちが披露する表情の豊かさは、シエルのお気に入り。けれど何より少女へと沁みゆく『かがやき』がそこにはあって。やがてシエルは、翳してばかりいた腕を下ろした。
(「これらもまた、『今』へと続く輝きなのでしょうか」)
 連綿と受け継がれてきたはずの、歴史のように。
 連鎖を繋げてゆく、ディアボロスの戦いのように。
 どれもが『今』へと到るために必要なものなら、もしかしたら。シエル自身から零れた欠片も――。
 思考は不意に途切れ、彼女は俯いた。まるで感傷に浸ったかのような己の姿が、もどかしいけれど。
(「そう思えたこと……感謝しましょう。そして……」)
 今の情景を記憶へ刻む。色もにおいも温度も、ぜんぶ。
 次にまた、同じ景色を望めたなら。この思いが間違いではなかったと、思い出すために。
 やがてシエルは、砂を掬いあげた。
 殆どの砂が指の間から流れ落ちていくも、掌の窪みに星の輝きがひとつ残る。
「砂の涙……?」
 小さく細い指をそっと折りたたみ、残ってくれたカタチを包み込んだ。
 残されたものを愛おしむように。今度は、零さぬように。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
そういえば、最近は落ち着いて空を見上げるって中々なかった気がする
元々は機械の手足なんてなかったんだがなぁ、いつの間にこうなったんだろう

【行動】
ドイツで戦って負けて流れ着いて、気づいたらサイボーグ
これはこれでいいが人間のままでよかったんだがな
そういえば、サイボーグの昔の仲間が砂が機械の隙間に入って大変だったって言っていた
靴を履いて歩こう
家族も昔一緒に戦った仲間も失ったが、もう一度戦う仲間と機会を得た
なら、草(スパイ)として頑張るしかないな
砂の涙、綺麗なのは俺には似合わない
ただの鉱石で十分だ
拾った鉱石をポケットに入れていたら夜が明けていた
さてと、仕事をするしようか


 そういえば、と荒田・誠司(雑草・g00115)は顎を撫でながら砂漠の夜を見上げた。
 風音が結ぶ砂上のダンスをよそに、ぬか星たちは小さな小さな輝きで世界を照らしている。真闇から縁遠い夜だと、誠司は感じた。霧に煙り、そして雲にも阻まれないから広い空を仰げる。
 何気ないことだ。なのに、いつからしていなかったのか。
 だからこそゆっくり空を見上げる機会の稀少さに、苦々しく唇を引き結ぶ。
(「想いに耽らなくたって、空を見るぐらいできそうなのにな」)
 平穏の香りが漂う空だったなら、もっとじっくり、腰を据えて過ごしたのだろうか。
 考えてみるも肩を竦め、誠司は砂漠を進む。機械の手足を布や靴で確りと守り、歩む砂丘はなだらかなのに砂がどんどん流れていく。丘を登ろうとする身をからかうかのように、さらさらとつま先へ砂が被さった。ぐっと踏み込んでから、次なる一歩へ向かうと、今度は砂たちが一斉に散る。
(「機械を守っておいて良かった。あいつらに感謝しないとな」)
 想い出を手繰りながら、誠司はゆっくり瞬いだ。
 これだけ静かだと思い出してしまうものが多そうで、目線を星影から砂へと落とす。
(「……仲間、か」)
 呟いてみれば声は出ず、ほぼほぼ吐息に近いものとなった。
 名を思い浮かべれば顔が、顔を思い起こせば名前が、連鎖して蘇っていく。
 失ったという認識を誠司へ強く刻み付けた。だが――もう一度、戦う仲間と機会を得た。
 ふと手を見やり、誠司は眦をほのかに和らげる。
(「……いつの間にこうなったんだろうな」)
 誠司は言葉にせず胸に留めた。独り言として吐き出すには、あまりにもやりきれぬ想いだったから。
 かぶりを振って、彼は意を決する。
(「せっかく得たんだ。なら、草(スパイ)として頑張るしかない」)
 もしかしたら疾うに定まっていたのかもしれないが、向き合った心を呑みこんだことで、誠司は足元の砂へ意識を移せた。そして、鉱石の一片を――涙めいた形の石を拾い上げて、こう笑う。
 俺にはただの鉱石で十分だ、と。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV2になった!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!

秘綴・雪娜
砂の海に寝転び、夜を仰ぐ
静かだ
神託を望む欲得にまみれた声も特別な力を妬む声も聞こえない

平安の、京から離れた小さな島
それがわたしの世界のすべて
そこでは歴史侵略者が信仰心を利用して力を得ていた
わたしはそのための道具

信仰心を利用することが、この街も似ていると感じた
だから、あの走る箱…パラドクストレインに初めて飛び込んだ
外から見てみたかったのかもしれない
信仰というものを、客観的に
いっしょに来た人たちはどう思うのだろう…

物心ついた頃には歴史侵略者に育てられて
歪んだ歴史しか知らなくて
…正しい歴史を取り戻したら、わたしは何になるんだろう?

せっかく、きれいな石の欠片があると教えてくれたのに
砂の海は滲むばかり…


 朱の瞳が、青を映す。ちゃぷんと音を立てることのない砂の海へ寝転がり、秘綴・雪娜(秘綴の巫女・g04697)は茫として夜を仰いだ。力無く転がした手足に、時おり砂が纏わり付く。遊ぼうと誘うかのような、さらさらとした感触と音。それ以外には何もなくて、雪娜は自身の呼気をも控えめにした。
 静かだ。
 ひと気がない、というだけではない。
 欲得にまみれた声も、力を妬む声も、ここならば聞こえなかった。
 混じり気のない、愛らしい幼子の欲であったなら。まだまだ雪娜も子どもとはいえ、力になろうと頑張れたかもしれない。闇にも影にも染まらぬ子であったなら、もしかしたら。けれど雪娜にとっての世界は小さく、あまりにも小さくて――何も、知らなかった。
 似ている、と感じたのはその所為だろうか。
 信じる心、頼る気持ち、すがりたい情。いずれも誰もが持ち得るもので、だからこそ雪娜にはひどく濁って、淀んで、先が見えなくなってしまう危うさを抱えていると思えた。街ひとつを侵食していった悪意が、こんなにも美しい風景の下、どのように広がったのかは想像に難くない。
 だから気になるのだ。
(「外から見たら、どう……思うのだろう」)
 あどけなさを宿した顔で、雪娜は星空へ息を拭きかける。
(「見てみたかった……のかもしれない」)
 閉ざされた世界に蔓延るモノを。客観的に。
 しんしんと降り積もる雪のごとく、静かな表情のままで雪娜はただまばたきだけを繰り返す。
 砂は冷たく、雪娜をやさしくくるんでなどくれない。ぽんぽんと宥めるように叩いてもくれない。そういうものだと理解しているのか、雪娜は安らかな海へ多くを求めなかった。ただ、吹き付ける夜風はいつまでも寒くて、もう少し弱ってくれたらと思うけれど。
(「……せっかく、きれいな石の欠片があると教えてくれたのに……」)
 砂の海は滲むばかりで、雪娜はひとつだって見つけられやしなかった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

獅子王・リョウコ
初依頼!砂漠だ!
星空も気になるが、一番はやっぱ『砂の涙』だな。探すぞッ!
怪我で動けねェ「センコー」への土産にピッタシだろうから

でもよォ
3週間くらいまで仲間内でバカやってたのが、何十年も昔みてェに感じるな

ケンカやら、バイクやら……
今まで数えきれねェほどバカなことしてきたし、それでもアタシを見捨てなかったチョーお人好しな「センコー」のこと、けっこう好きなンだぜ?

《刻逆》の混乱に乗っかりやがった火事場泥棒に、一人で向かってくほどバカとは思ってもいなかったけどなァ…
アタシが居なきゃ今ごろ死んでたンだぞ、アイツ

だから、アイツへの土産と早く元気になれよ!ってのを籠めて、『星の砂』プレゼントしねェとな


 冴えた金色を振りかざす勢いで、獅子王・リョウコ(初恋拗らせヤンキー・g04412)は両腕を星空へと突き上げた。
「ここが噂の砂漠だな。よっしゃ、探すぞッ!」
 意気揚々と笑う面差しは、まだ少女らしさを残しながらも、大人へ近づきたい影を醸し出す。
 そしてパラドクストレインに乗ってきたのも初めてだというのに。リョウコの関心は『砂の涙』のみへ向かっていた。それもそのはず。彼女が砂に降り注いだ星燈りを探すのには、重大かつ重要な理由がある。
(「やっぱお守りっつか、綺麗なもンって大事っしょ」)
 今の時勢では、怪我が治ったとてこれまで通りの日常は送れない。
 だからこそ支えになるものをひとつ、リョウコは「センコー」に渡したかった。もちろん、負傷したセンコーへの見舞いの意味が先行しているが、彼女的にはそれだけが理由ではない。リョウコは常に胸へ抱きながら砂原をゆく。
(「……なんかよォ」)
 ひとり砂面とにらめっこをしながら、思い起こす。
(「仲間内でバカやってたのが、何十年も昔みてェに感じるな」)
 数えきれないぐらいの『バカな』こと。どれもがほんの数週間前まで、当然のように繰り返していた日々だというのに。信じられねェ、と吐息混じりに呟けば、さらさらと砂が囁きで返した。
 失われてしまったものを、リョウコは今も思い出す。受け止めるのに時間がかかっていたかもしれない。
 もし、あの日に何も起こらなかったら。いつまでも彼女を見捨てなかったセンコーが、いてくれなかったら。
「っとに、チョーお人よしだよな! アイツ!」
 思わず声に出しながら砂を掻き分けるも、自然と持ち上がってしまう頬はごまかせない。
 口振りは荒々しくも、彼女の眼差しが輝きを宿しているのを、砂も星もよーく知っている。
「こンだけ集めりゃ、充分だろ!」
 やがて彼女が拾い集めた鉱石片や石の欠片たちが、幾つもの彩りを添えてきらきらと歌い出す。
 一粒一粒は小さくても、これだけ綺麗なのだから効果抜群な気がしてならない。
 そう思えて、リョウコは眦を緩める。
「早く元気になれよ! ってキモチも、ちゃーんと籠めとかねェとな」
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!

甲斐・司
瑚雛・凛櫻(g00518)とコンビ参加
凛櫻(幼馴染だけどそれに関する司の記憶は欠落している)に対してはぶっきらぼう&名前は呼ばない

元々、古代へのロマンを抱いている。
改竄された世界なのは不服だけど、それでも古代エジプトの夜空に輝く星を眺める機会に恵まれたのは嬉しいし、折角だからこの時間を楽しもう。

それにしても……おい(凛櫻)、今日はやけに静かだけど、やれば出来るんだな。
偉いから、ご褒美をやるよ。
意外だろうけど、親父が研究者で、それに連れられて発掘調査をしてたから、こういうのはそれなりに得意なんだ。

そう言いながら『砂の涙』を探して、見つけたら放り渡してやろう。
魔弾を作るのに役立つだろうしな?


瑚雛・凛櫻
甲斐司(g00131)くんと参加

砂と言っても色々あるのね
はっ…もしかして砂の涙って魔弾の材料になるんじゃ…?(発明オタク
見つけたいわね…

思考を馳巡らせつつ静かに空を見ていると不意に呼ばれ彼に目線を向ける

私は『覚えている』から意外ではないのだけれど貴方は私の事を忘れてしまったからそう言うのね

「そう、なのね。意外だったわ」
ちゃんといつも通り対応出来てるかしら?
以前、彼に貰った桜の髪留めを無意識的に触れて『大丈夫』と心の中で唱える

ぶっきらぼうに渡されたソレを見れば気になっていた砂の涙
「流石凄いわ!得意と言うだけあるわね。これで新しい魔弾が作れそう!」
先程の気持ちはどこえやら
いつの間にか笑みに変わって


 揺れる髪に夜色を帯びて、甲斐・司(神殺士・g00131)は「おお」と感嘆の唸りをあげた。
「これが……古代エジプトの風景……」
 目にすることなど決して叶わないはずだった、遥かなる過去。
 想像でしか語れぬからこそのロマンを抱いていた司だ。
 実際に件の世界へ降り立ち、目の当たりにすれば、夢中になるのも必然だろう。広がる砂の原を右へ左へ、忙しなく意識を動かすばかりだった。
(「これが改竄されてなかったら……いや、それはそれとして、こんな機会なかなか無いな」)
 司には夜空が高く思えた。だからか、砂漠がより広大だと感じる。茫たる世界で視界を阻む存在も殆どないからこそ、砂丘からの眺望は司をより奮わせた。
 陶然とため息をついた彼の後背を、瑚雛・凛櫻(滅びの箱庭、綻びの記憶・g00518)が黙したまま見守っている。時おり砂礫を確かめ、次の瞬間には夜空を仰ぐ司に、凛櫻もそっと眦を和らげたのち、果て無き砂漠を見渡した。
(「砂といっても、色々あるのね」)
 波打つ姿を、そこへ留めたかのような景勝の地。
 波間も波頭も、降り注ぐまろい星影で淡く輝き、美しいと凛櫻は感じた。
 感じながらも凛櫻の意思は、いつからか夜空へと吸い上げられていく。
「……おい」
 唐突に呼ばれたことでぴくりと跳ねた凛櫻の瞼が、振り返るときにぱしぱしと瞬いだ。
「今日はやけに静かだけど、やれば出来るんだな」
 やればできる、と評価されたことに凛櫻が首を傾ぐと。
「偉いから、ご褒美をやるよ」
「えっ? ご褒美?」
 意識せず同じ響きを返せば、司も司でこくりと頷いて。
「意外だろうけど、こういうのはそれなりに得意なんだ」
 司が発した音を漏れなく拾いあげて、凛櫻が人知れず息をのむ。
 そんな彼女の様相に気付くはずもなく、司は話を続けた。
「親父が研究者で、それに連れられて発掘調査をしてたから」
「……そう、なのね。意外だったわ」
 いつもの調子で、いつもの面差しで、凛櫻が応える。
(「ちゃんと出来てたかしら。いつも通りに」)
 自身の顔や声音を誰かに確認してもらう訳にもいかず、凛櫻はひとり緊張が募らぬよう、ゆっくり呼吸を繰り返す。「意外だろうけど」なんて紡ぎながら射抜いてきた眼差しに、偽りはないと理解しているから――貴方はそう言うのね、と凛櫻は胸裡に秘めるしかない。
 桜の髪留めを撫でればきっと、くるくると渦巻く気持ちも落ち着くはず。
 大丈夫、と心で繰り返しつつ息をして、巡る熱を少しずつ冷ましていた、そのとき。
「ほら」
「えっ、わ!」
 突然、司が光を放り投げてきた。慌てて凛櫻が宙空でキャッチする。
 ころん、と硬い感触が両手の中にあったから、そろりと開いてみると――彼女が光だと思って受けとったのは、小さな鉱石だ。不思議と涙のかたちをしていて、透き通っている。
「砂の涙。魔弾を作るのに役立つよな?」
 司が明瞭な音で言ったのを機に、凛櫻の双眸がこれでもかと輝く。
「流石! 凄いわ! 得意と言うだけあるわね、これで新しい魔弾が作れそう!」
 砂へ沈みかけていた気分も、瞬く間に砕け散った。
 ぱあっと笑みを咲かせた凛櫻の興味と視線は、司ではなく砂の涙へと注がれる。
 これを使って何を発明しよう。そんなことを想像するだけで凛櫻は、夜空へ鼻歌だって聞かせられる。
 はしゃぐとまではいかない。だが随分静かだった先ほどに比べ、浮き立つ凛櫻の足取り。
 日常風景とも呼べる彼女を眺めて、司は星空相手に肩を竦めてみせた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV3になった!
【修復加速】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【能力値アップ】LV1が発生!

坂登・悠日理
惺音g03409と

肌寒いな
さすが砂漠寒暖の差が…
惺音寒くない?
ユキミは暖かそうだな

でも星はすっごく綺麗だ
探しやすいし
新宿とは違う
ほら昔も
言い掛け口噤み
(惺音は…覚えているのか?
一緒に星を探した事)
何でもない
昔でも星は変わらないんだなって
(俺は変わらない
惺音は惺音だし
俺が覚えていればいい話だ)
視線落とし
それにしても見つかんないなぁ
惺音本格的に探してもいい?
真剣な顔

砂漠で鉱石片なんて
まさに砂金を探すって奴だけど
けど変わってしまった世界で
惺音とまた会えた
俺が見つけられない訳ないよ
自信満々な笑顔

勿論
専門だからな
二人分見つけてやる

あっ
光った!
手を取り駆け出し

悪い悪い
楽しげに満面の笑み
よく分かってるじゃん


森瀧・惺音
ゆぅ君g04140と

少し冷える分はユキミを抱えて暖を取ろう
もふもふ
うん、抱えてる部分は暖かいね

星は…本当だ
ゆぅ君が言い掛けたのは、何だろう

砂の海を眺めて
ゆっくりな時間は、久し振りかもと思う
考えても、記憶は不完全だし…
私は本当に『惺音』なのか、不安にもなる
惺音になりすました、悪魔だったりして

ふるっと震えてユキミを抱え直し
やっぱり少し、肌寒いね

うん、探そう
砂金より大きいし、色も違うから見付け易いよ
砂の涙は私も好きだけれど
ゆぅ君はもっと好きそう
ちゃんと覚えている事も、大事な気持ちも
此処にあるから

え?
手を取られて駆けて
ゆ、ゆぅ君、急に引っ張らないで…っもう

つい、口から出たのは

昔から、そうなんだから…!


 好奇心に色を塗るとしたら、こんな色になるのかもしれない。
 そんな双眸で坂登・悠日理(叡智の眼・g04140)は、小夜ならではの色彩を映していた。
「星、すっごく綺麗だ。探しやすいし」
 衣を掻き寄せる彼のそば、森瀧・惺音(眠れる森の魔女・g03409)は小さく頷く。
 本当だ、と囁くと悠日理も心なし嬉しそうに頬を上げる。
「やっぱり新宿とは違うな、ほら昔も……」
 つい口を衝いて出た音は、悠日理自身も知る由なく言葉を形作る。
 けれどすぐさま呼吸ごとその音を吸い込んで、彼は別の音と交代させた。
「昔でも星は変わらないんだな。……それにしても寒いな。惺音、寒くない?」
 彼の挙動が揺らめいたことに、惺音はきょとりと瞬くも。
「うん。もふもふで暖かいよ。抱えてるとこは」
 ユキミをぎゅっと抱きしめた瞬間、もきゅぅ、とか細い声がユキミから搾り出された。
 温もりをユキミと分かち合いながら、最果てがないと錯覚する砂漠の先を眺める惺音は、いつも通りだ。平時と変わらないからこそ悠日理も惑う。一緒に星を探したこと――覚えているのか、わからないから話題にし辛い。
 ただひとつ、彼の芯で確実に守られているものは。
 自分はいつだって変わらないという決心と、自身が覚えていればいい話だという線引き。
「見つかんないなぁ」
 目線を砂原へ這わせて悠日理が呟けば、惺音もまんじりともしないで口を開く。
「見つからないね」
「……なあ惺音、本格的に探してもいい?」
 真剣さを塗りたくった顔で告げた悠日理に、尋ねられた側はこくりと肯うしかない。
 そして本格的にと言い出した彼は、砂の海へ迷いなく飛び込んで行った。
 わ、と惺音が控えめに驚くと、抱いたユキミも「もきゅ!?」と共鳴する。悠日理があまりにも軽やかに砂上を駆け、転げ回るぐらいの勢いで夜を切り裂いていくものだから、ついていく惺音には目まぐるしい。
 動き続ける彼を認めて、ふと惺音は思う。
 不完全な記憶が自分の存在を疑ってくるけれど、そこへ陥りかけるたび、彼が動き出してくれるから。自分のことを『惺音』になりすました悪魔かも、と惺音が震え上がって固まってしまっても。彼がいれば、きっと。
 そのときだ。
「あっ、光った!」
 突然どこかを砂丘を指差した悠日理が、彼女の手を取った。
 前触れのなかった温度に掴まれ目を瞠った彼女にも構わず、悠日理は一直線に走る。そして滑りながらゆく二人を、足や衣服へ戯れるようにして、砂礫たちが見送った。或いは応援してくれているのか、さらさらとかれらは声を発する。
「俺が見つけられない訳ないんだ、絶対二人分の輝きだって、あれは!」
 惺音とまた会えたように。どんなに世界が変わろうとも。
 そんな感情が衝動となって、悠日理の両足を動かす。あの光へと到達するためなら、いつまでだって。
「ゆ、ゆぅ君、ちょっと、急にそんな引っ張らないで……っもう……」
 活き活きと弾む彼の足取りと、もたつきながら走る惺音とでは、砂地に残る足跡だって違う。
 ぐいぐいと引っ張る手が強くて、強くて、心強いのに。
 頬を上気させ、困ったように眉をひそめる惺音の口から飛び出したのは、思いがけない言で。
「昔から、そうなんだから……!」
 清夜だった空へと、響き渡る訴え。
 悪い悪い、と微かな揺れを含んで答え、ばっと勢いよく振り向いた悠日理は。
 それはそれは楽しげに、満面の笑みでこう続ける。
「よく分かってるじゃん!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!

虹空・アヤ
モーラットの手鞠と

へえ、こりゃ凄ぇ。お前にも分かるか、手鞠
見上げる星空に素直に感嘆の声をあげ
暫くぼやっと眺めて過ごす
空を見上げるのが、好きだった
そんな記憶だけはしっかりある癖、見上げた時の感動は覚えちゃいない
初めて覚えるような感覚、けれどきっと同じだっただろうと思える心地好さ

あんなキラキラを表現出来たらイイよなぁ、ナンて
手鞠以外聞いて無いのを良いことに声に出し
手掛ける硝子の彩り思い起こして夜空と重ね合わせたり

そういや砂の涙ナンてのも見られるンだっけか
浪漫が分かるクチじゃあねぇが
宝探し的で楽しそうだし、験担ぎってヤツだ
手鞠、星みたいなキラキラしたの探すぞ


 へぇ、と零した虹空・アヤ(彩・g00879)の感嘆の息さえも、砂原の風が連れ去っていく。
 けれど彼が受けた情まで拭うことは叶わない。
 そのためひんやりとした夜気は、ただただアヤの行く末を見守った。
「こりゃ凄ぇ。お前にも分かるか、手鞠」
「もきゅ?」
 名を呼ばれ身体ごと傾いた手鞠を一瞥したのち、アヤは再び終わりなき星空を仰ぎ見る。
 さらりと流れゆく砂が歌い、闇に紛れた砂紋が煌々と燈る星に照らされて、浮かんだ世界。そこで彼がまばたきを惜しむほど目に焼き付けたのは、両腕を広げたって抱えきれない、大きな空。ちりばめられた星屑たちの囁きは、地上へ届かないけれど。それでもアヤには、かれらがお喋りに夢中になりながら世界を見守ってくれている気がした。
 ――空を見上げるのが、好きだった。
 他のすべてを失くしたって、この記憶だけはしっかり残っている。
 心当たりのある難を模るのなら、見上げた時の感動を覚えていないという点か。これだけ「好き」だとわかっているのに、どうしたってその瞬間の感覚が蘇らない。しかし、具体的に「何か」と表現はできないが、きっと在りし日に、全身を駆け巡った情も同じだっただろうと思える心地好さが、ここにはある。
「……あんなキラキラを表現出来たらイイよなぁ」
 あえかな声で呟けば、手鞠がもきゅぅと身をぷるぷる揺らした。風に運ばれた砂が、手鞠にもかかったらしい。アヤも衣服に砂を浴びていたが、気に留める要素には成らなかった。だからぼんやり眺めて、のんびり砂上のひとときに沈む。
 雑貨店で手掛ける硝子の彩りを想起して、色と輝きを満天の星空に重ねてみても、やはり「凄ぇ」という感想が喉から熱を持って溢れ出るばかり。
(「そういや、砂の涙ナンてのも見られるンだっけか」)
 ふと思い出して頭を掻き、アヤは宙から大地へと目線を下ろしていく。
「浪漫が分かるクチじゃあねぇが……担ぎってヤツだ」
 唸りつつ顎を撫でてから、手鞠を見やる。
「験手鞠、星みたいなキラキラしたの探すぞ」
「もきゅきゅぴ!」
 手鞠もきりっと表情を決めて、アヤとせーので駆け出した。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!

咲樂・祇伐
🌸弐祇

弐珀さん見てください!
とっても綺麗です!

初めての砂漠
綺麗な星々に感嘆の声をあげ
星々が満開に咲いている光景は美しくてたまらない
星灯は教えてくれる
例え深淵の闇の中にいたってひとりではないのだと

ついはしゃいでしまって
気がついた時にはもう遅く
恥ずかしさに頬を染めながら弐珀さんの方をみる

何を描いていらっしゃるの?

覗き込んだ先には私が
恥ずかしくなって頬を膨らませる
いいえ
弐珀さんの絵は美しくて
その
照れただけです

弐珀さん
砂の涙、探してみませんか?
星灯に導かれ私達が出会う涙は如何なるものなのでしょう

あれでしょうか?
わぁ、綺麗
砂の涙…ふふ、初めて砂漠に来た記念です
ええ、書架に飾りましょう
今宵の物語と一緒に


灯楼・弐珀
🖼弐祇

おやおや…これまた心躍る空ですね
これは何とも…絶景だ

砂漠の星空は初めてだが
祇伐くんの言葉に見上げた星空は感嘆の息を漏らすほど美しい

…よし
スケッチブックを取り出して、風景と祇伐くんを鉛筆を使いスケッチ
これほど喜んでる姿も含めて、この景色は描いて残しておきたいからね

ん?お兄さんが描いてるものかい?
君と風景かな
魅せるのは、楽しそうな君と星空と砂漠
おやおや、あまりお気に召さなかったかな?
良いものが描けたつもりだったのだが

砂の涙、かい?
そうですね、探してみましょうか
きっと今宵の記念になるだろうし

あれ…みたいだね
此れも綺麗だねぇ…僕も良い記念になったよ
砂の涙
図書館の書架に飾って置くのも良いかもね?


 なだらかな丘の向こうにも、また別の丘が見える。連なる砂丘の向こうから、ほのかに滲んでくる白の影。しかしまだまだ遠くに感じて、訪れた二人は砂の海と空とを分かつ、星が眠る境界線を目指して歩いた。
「弐珀さん見てください! とっても綺麗です!」
 咲樂・祇伐(禍厄メルヒェンリート・g00791)の声色に歌うような調子が乗る。
「おやおや……これまた心躍る空ですね。絶景だ」
 感心を含んだ灯楼・弐珀(絵師お兄さん・g00011)の一言もまた、いつになく強い。
 互いに初めての砂漠で、二人して初めての砂漠の夜を越そうとしていた。
 だからだろうか。
 後夜へと向かう星屑たちの光がまろく思えて、綺羅星がひときわ精彩を放つ。満開に咲いた星々がこちらへ微笑みかけるたび、祇伐はくすぐったくて目線を彷徨わせるし、弐珀は弐珀でさらさらと流れる砂に似た音を奏でて、スケッチに勤しむ。
(「……星灯は教えてくれる。私は、ひとりではないのだと」)
 例え深淵の闇の中にいたって。例え砂の海に沈んだって。
 ついつい踊ってしまった歩を運んでいくうち、ふと祇伐は思い出したように振り返る。
 気が付けば、共に砂駆ける予定だった相手を置いてきていた。顔色も窺える距離しか離れなかったとはいえ、ひとりはしゃいだのが気恥ずかしくて、夜風に理由をつけて涼ませてもらいながら、祇伐が来た道を戻っていく。
「何を描いていらっしゃるの?」
「ん? 君と風景かな。ほら」
 弐珀が見えやすいようにと、星が照らせる角度に絵を傾けた。
 宣言通りそこでは、楽しげな祇伐がひらりと舞っている。星空と砂漠に見守られながら。
「おやおや、あまりお気に召さなかったかな?」
 けれど肝心の当人がぷっくと頬を膨らませていたから、瞬いだ弐珀が小さく笑う。
「いいえ。……弐珀さんの絵は美しくて、その……照れただけです」
 彼女が少々やり場のない口振りで応じれば、それもまた弐珀の笑い声へ灯りを点した。
「……弐珀さん」
 祇伐の声が心なしか震えて聞こえ、弐珀は目線をわずかに外して、首肯のみで続きを待つ。逸れた眼差しの行き着き先も、祇伐だ。そうとわかって祇伐がゆっくり息を吐き出す。音を寄せて、緊張の影を孕んだ指先も冷えきったままに。
「砂の涙、探してみませんか?」
 星灯が導いてくれるのなら。ふたりが出会う涙は如何なるものなのか。知りたいと疼く気持ちと、焦れるような熱が喉から頭のてっぺんへと昇っていく。そんな彼女の様相を知ってか否か、ふうむと唸った弐珀は。
「良い記念にもなりますね、探してみましょうか」
 道行きへ促すように手を差しだし、さあこちらへ、と示す。
 弐珀が前を守ってくれるから。歩むべき場所を形作ってくれるから、祇伐は浮き立つ心と安堵とをぐるりと掻き混ぜて、合わせて、楽しく穏やかな色彩と共に進むことが叶った。
 やがて二人は砂の海で出会う。星の微笑みが降る場所で、ひときわ輝く涙に。
 わぁ、と祇伐のあげた声をも映すように、拾った石片が瞬く。
 ふたつ、似ているようでちょっとだけ違う二種類の石を手に、ふたり顔を見合わせて笑った。
「ふふ、初めて砂漠に来た記念、ですね」
「僕も良い記念になったよ。あ、図書館の書架に飾って置くのも良いかもね?」
 弐珀からのさりげない提案は、桜の彩を咲かす祇伐の双眸を揺らす。
「ええ、書架に飾りましょう。今宵の物語と一緒に」
 ――そうしたらきっと、もっと素敵な想い出となるでしょう。
 願いにも似た言の葉を編んで、祇伐は揺れたばかりの瞳をそおっと瞼で包み込んだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【現の夢】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!

クレイ・ロックウェル
同行:フェリシティ(g03901)

「エジプトに来るのは初めてだ。気を引き締めて…
おい!遊びに来たんじゃないんだぞ」

時先案内人の勧めで星を見に来たはずだが
家主(g03901)を捕捉するのに忙しい。
何なんだ。そんなに「砂の涙」とやらが欲しいのか、オマエは。

なるほど。事情はわかった。
「だがそれは一緒にいるのが俺で良かったのか?」
…おそらく他意はないのだろうが、いかんな。勘違いする。

俺も「砂の涙」を探すのを手伝うとしよう。
姿勢を低くして地面を良く【観察】する。
見つからなかったとしても星空も砂漠も家主の姿も
記憶に刻み込む。
いやだから、待て。遠くに行くな。
迷ったらどうするんだ。傍にいろ。


フェリシティ・マーノット
同行:クレイ(g03894)

「こんな星空見たの初めてや!」
(都会育ちで満天の星空を見るのは初めて。
砂漠も初めてなのでテンション高めにはしゃぎ回ります)
「砂の涙」も探そ!夜明けまでに見つかると良えな。
お仕事は忘れてへんよ。
俺も(たぶん)貧乏やったから他人事とは思えへん。
砂の涙が欲しいちゅうか…先月に色々失くなってもうて。
世界は滅茶苦茶やし色々なこと忘れて思い出せへんし。
せやからその分物とか思い出とか新しく手に入ったら良えなと思うて。
うん。お前と一緒が良い。
俺は忘れっぽいけどお前は頭良いから忘れへんやろ?
(それに俺より丈夫や。簡単にくたばったりせんやろ)
せやせや。しっかり覚えといて


 クレイ・ロックウェル(アーベントロート・g03894)は神妙な面持ちで砂上へ降り立った。
「ここがエジプトディヴィジョンか、初めて来たからな、気を引き締めて……」
「たまげたもんやなあ! こんな星空、見たの初めてや!!」
 散在するぬか星たちの佳景に圧倒されたフェリシティ・マーノット(ラココット・g03901)が、綺羅星のごとき嬉々たる声で天を衝く。声だけが弾むならともかく、フェリシティの身も心も弾んでやまない。都会育ちに、この絶景は刺激が強すぎた。
 ひゃっほー、と砂という砂を浴びる勢いで駆け回る様は、まるで水を得た魚……。
 いや、猫じゃらしを得た猫か。散歩を得た犬か。
「おい! おい! 遊びに来たんじゃないんだぞ」
「お仕事は忘れてへんよ! 他人事とは思えへんしっ」
 笑ってフェリシティが返すも、クレイの顔つきに変化がない。
 居候先である家の主が、跳んで跳ねて大ジャンプの喜びようではしゃぐから、クレイとしても手綱を握っておかねばという本能が働く。ドイツゆえか軍人気質ゆえ、規律に厳しいとも言えるだろう。
「はっ! アレやアレ、雀の涙やっけ?」
「砂の涙か?」
「せや! 『砂の涙』も探そ! 夜明けまでに見つかると良えなっ」
 歌うようにフェリシティが、期待で満たした双眸を細める。
 そんな家主を捕捉するやクレイは、むうと眉根を寄せて。
「……何なんだ。そんなに『砂の涙』とやらが欲しいのか、オマエは」
 純粋な疑問から尋ねてみると、途端にフェリシティの眼差しがクレイをじいっと見つめた。
 底まで見透かされるかのような、澄んだ紫。それに覗きこまれた心持ちがして、クレイが思わず息をのむ――にも拘わらず、フェリシティはううんと唸って、日々の想い出を手繰り寄せて、引き寄せて、昔日へと至る道を繋ぐ。
「砂の涙が欲しいちゅうか……」
 一泊だけ、言葉選びに迷う時間があった。
「先月に色々失くなってもうて。世界は滅茶苦茶やし、色々なこと忘れて思い出せへんし」
 今となっては昨日のことのようで遠い、八月。
 クレイは唇を固く閉ざし、フェリシティへ耳を傾けた。
「せやからその分、物とか思い出とか、新しく手に入ったら良えなと思うて」
 たとえほんの一部だとしても、大切な記憶が波に呑まれて消えてしまったフェリシティは、どこか急いていた。穴があいた分を補おうとしているのか、単に好奇心がやまないだけかは、本人にしかわからないが。
 彼女の心境を掬ったクレイは、なるほど、と一度首肯して。
「事情はわかった。だがそれは……」
 一考してからクレイが紡いだのは。
「一緒にいるのが俺で、良かったのか?」
「うん。お前と一緒が良い」
 即答で、しかも簡潔だった。聞いた側であるクレイの眉がぴくりと動いた程に。
「俺は忘れっぽいけど、お前は頭良いから忘れへんやろ?」
 信を置くフェリシティの声音があまりにやさしく、クレイは小さく息を吐いた。
(「……おそらく他意はないのだろうが、いかんな」)
 徐にかぶりを振った彼は、次に眠らずの砂漠を一瞥する。
 頼れる彼の横顔を眺めながら、フェリシティはそっと目許を和らげた。
(「それに俺より丈夫や。簡単にくたばったりせんやろ」)
 口には出さないけれど、吐息へ笑いを混ぜて――走りだそうとする。
「いやだから、待て。遠くに行くな」
 しっかり監督していたクレイが、早速彼女をつかまえる。
「迷ったらどうするんだ。傍にいろ」
 クレイがほんの僅かに厳しめな声を出すも、端的な一言を耳にしたフェリシティはにっこり笑って、刻み込む。
「せやせや。しっかり覚えといて」
 なんとも無邪気そうな笑顔と眼差しで。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!

ノスリ・アスターゼイン
涼やかに夜を清める星燈りの下
砂の海を漫ろ歩き

涙と呼ばれし欠片は
地上の理不尽を憂えて星が落とした雫だろうか
或いは
砂地に還りし古生物達が
嘗ての緑豊かな日々を夢見て落涙したか

風が吹くたび足跡がさらわれ
何にも無かったみたいに
軌跡が消えていく
まるで奪われた歴史の如く

そうして砂地に描かれる波紋に
足形をつけてみる戯れを
繰り返し、繰り返し
波打ち際で燥ぐ子供のよう

鼬ごっこだなぁ、と
悪戯っぽく笑ってみせる視線の端で
煌めいた輝石は
砂の涙か――否、星の笑みのようだ

清かで優しく
擽ったいくらいに淡い灯火が、ちろちろ
石の中で燃えている
さそりの火みたいだね

夜明けに白む空に双眸を細める

誰かの悲しみの涙も
いつか
笑顔に変わると良い


 夜気が撫でていった砂の絹に誘われ、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は大海へと訪れる。漫ろ歩く砂の海は夜にぼうと浮かぶ波のように、波頭を淡く光らせていた。その輝きが星燈りから来るものと知り、ノスリは涼夜を進む。あの波へ向かって。
 不意に風が戯れても、ご愛敬。衣に触る風だって、夜の奥へ行こうと笑う風だって、ノスリには見慣れたもの。だから砂粒が楽しげに足跡をさらうのも、彼は見届けた。己の軌跡が跡形もなく消えていく。
 緩く息を吐いてみれば、それは思いのほか細長い息だった。見慣れたものが存外、気になっていたのかもしれない。無邪気な砂たちのごとく歴史もまた、さらわれてしまったから。
 やがて彼はまろやかな波を登り、砂紋から風の流れを辿る。
(「ここならば、どうだろう」)
 試すようにひとつ足形をつけて。夜風が埋めてしまったのなら、またひとつ。
 戯れは暫く続き、いつしかノスリは金波の頂きに立っていた。波打際で燥いでいた筈が、どうしたことか星空に最も近い所を踏んでいる。波の先端は多少踏んだところで崩れもせず、ゆるやかに砂を滑らせ、ひゅうひゅうと吹き渡る風音をノスリへ届けた。
 ふと振り返るも、やはり描いた足跡は風が運ぶ砂で消えていて。
(「鼬ごっこだなぁ」)
 蜜を溶かしたようなまなこで、悪戯めいた笑みを燈す。彼はそこで視界の片隅に、煌めく何かを見た。
 茫洋たる海から波の花を掬ってみれば、清かな欠片が笑ったように思えて。
(「砂の涙、か。所以は何処に在るだろうか」)
 何とはなしに天へと首を伸ばす。地上の理不尽を憂い、星が落としたのだとしたら――きっと今も泣いている。けれどノスリはそうと思えず、落涙の証を覗き込んだ。
 ちろちろと燃える淡い光。灯火に似た姿がさそりの火みたいだと、双眸へ映す。
 徐に、再び石から空へ意識を送れば、夜明けの兆しが微かに滲む。
(「誰かの悲しみの涙も……いつか。笑顔に変わると良い」)
 明日を迎えようとしている『今』は、暮れゆく陽を見送るのと心持ちが違った。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

ジズ・ユルドゥルム
思えば「起き上がって」からというもの、
あまりに色々なことが起きて、故郷の景色を眺める暇もなかったな

まだ時間はある。
少し、歩くか。

(おもむろに靴を脱ぎ、冷えた砂の上を素足で歩く。
不安定な砂丘の上を、慣れた様子で躍るように軽快に進む。)

いい風が吹いている。
変わらないな。音も、匂いも、感触も。

この世界に私を知る人はいない。
だが不思議と、砂と風だけは、よく帰ったと迎えてくれているように感じる。

…さて、郷愁に浸るのはこのくらいにし…うぷっ!!(何か踏んづけて砂に顔面から転倒)

これは…「砂の涙」か?
(淡く光る青い石を拾い上げる)
ふふ。帰還祝いとして受け取っておこう。

そろそろ夜が明ける。街へ向かうとしよう。


 醇乎とした清夜のにおいは、どことなく死のにおいに似ている。
 ジズ・ユルドゥルム(一つ星・g02140)は漠然とそう感じた。砂漠は夜のはじまりから終わりまで、ずっと伸びている。空で色彩が移ろったとしても、変わらぬ姿をジズへ見せてくれた。来訪者にも構わず踊る砂礫たち。阻むもの無き風の唄。そして、冴える星の瞬き。
 息吹を強く感じさせられる砂の世界は、ジズの郷愁を誘った。
(「……少し、歩くか」)
 彼方が白む前にと、彼女は歩き出す。脱いだ靴を手に、凍てつく砂上を何処までも。
 指を撫でていく砂が心地好い。足の窪みへ乗った砂粒が、進むたびに零れていく。今度は砂を蹴るように進み、足へ砂たちを乗車させまいとした。そうして軽快に跳ねていくジズを夜風が追い、彼女も少々熱を入れて逃げ回る。
(「いい風だ……どこだろうと、いつだろうと、変わらないな」)
 音もにおいも、感触さえも。砂地が漂わせる空間を、ジズはめいっぱい堪能した。
 そして、悠久の風を総身で浴びながら思い起こす。佳景を眺めて過ごす余裕を、これまで持てなかったことに。
 あまりにも、色々なことが起きすぎた。仕方がないと割りきれる精神こそあれど、ジズはどこか寂しげに駆け抜ける。
 何故か砂と風だけは、自分を出迎えてくれていると感じたから。
 懐旧の念を吹き飛ばすつもりで、自身が走った。来たる朝の方角へ。ひたすら。
「うぷっ!!」
 追い風に乗った辺りで、ジズは思い切りすっ転んだ。
 砂丘へ顔を突っ込み、そのままズササーと滑り落ちていく。
 どうにか丘の中腹で停まってくれたおかげで、ジズは勢いよく起き上がる。まみれにまみれた砂を払いのけて振り返ると、そこには見事、綺麗な線が砂紋を引き裂いていた。これもまたジズの軌跡だろう。
「ん? これは……?」
 ふと目にしたのは、淡い青の輝石。
 指の腹で砂を拭い、よく星燈りに翳してみれば。ほのかな光が応えるように、ジズの眼前で踊った。
「ふふ。帰還祝いとして受け取っておこう」
 ジズは思わず微笑んだ。時間を閉じ込めたかのような琥珀色の瞳に、弾む気持ちを宿らせて。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!

アルク・メル
星は好きだよ
花ほど詳しくないけれど、きれいだから

シンシャ、ほら見て、きれいだね
……いつかも、こうして星を眺めていた気がする
あの人が教えてくれた星座はここでも見られるのかな
見つかっても、見つからなくても
あの時見た星とはどうしたって違うんだ

変わってしまったね、シンシャ
ぼくも、きみも
変わることも、戦うことだって
何もこわくはないけれど
……もう戻れないんだなあって
ここが広いからかな、何だか迷子みたいだ

……子どもなのに黄昏すぎてる?
そうかあ、じゃあ砂の涙を探しに行こうか
どちらがたくさん見つけられるか勝負だよ、シンシャ
その後は何の鉱石か当てっこゲームだ
――子どもらしく、或いは錬金術師らしく、ね


 歩を運んでいくにつれ、砂が表情を変えていくものだから、アルク・メル(花こぼし・g01955)は薄く微笑んだ。
 仰ぎ見た星たちは、ただただそこで輝き続けているというのに。地上と空とで、こうも様子が違ってくるなんて。ふふ、と吐息で笑ったアルクが次に意識を向けた先は、共に砂の海をゆくシンシャだ。
「シンシャ、ほら見て。きれいだね」
 アルクが移した目線に沿って、シンシャも思い切り頭をもたげる。
 きゅわ、とひと鳴き。あえかな声が夜気に吸い込まれていくのを、アルクは目撃した。まるで砂原が紗のようにたなびき、夜の奥へと消えていく。不意の風にきょとんとアルクが目を丸くすると、シンシャが顔を覗き込んでくる。
 ねえ、と呼びかければシンシャは頭を傾いでくれた。
「……ぼく、いつかも……こうしていた気がする」
 紡ぎながらまた、星月夜を眺めてみる。
 ぬか星たちの囁きが降り注いできそうな、きらきらとした空だから思い出せた。
「ここでも、見られるかな」
 在りし日に教えてもらった星座を探すも、少女はまもなく目線を大地へ落とす。ちがうんだ、と音にして漸く感じた。胸のあたりがちくちくと痛むから、そっと押さえてみる。治らないけれど、アルクは知った。
 ――あのとき見た星とは、どうしたって違うんだ。
 理解してしまったから、少女は星燈りに透けた睫毛を震わす。睫毛が濡れたように重たい。喉まで込み上げてきた情が痞え、呼気をも奪うから、アルクは言の葉を模った。詰まりかけのものを、吐き出すために。
「変わってしまったね、シンシャ」
 声音が、幼さと現実を見据えた心とを綯い交ぜにして、揺れる。
 これから変わっていくことも、戦うことだって、こわくはないけれど。
「シンシャ」
 渺茫とした砂の世界で、彼女はわかってしまった。
「……もう戻れないんだなあ、って」
 沈黙が揺蕩う間も、四辺で砂と風の遊ぶ声がする。だからアルクはかぶりを振り、頬をふくりと持ち上げて。
「砂の涙、どちらがたくさん見つけられるか勝負だよ、シンシャ」
 陽のにじむような眸を細めて、そう笑った。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!

月宮・宵
乗り込んだパラドクストレインで伝えられた砂の涙の話

(あいつなら喜んで探し回るだろうな)

思い出すのは今は亡き親友の姿

街が目覚めるまでのしばしの時間を砂漠で星空を見上げて過ごす
寒さに体を竦めつつ、空の星を数えれば不思議と心は落ち着いていって……。

(今はまだ前を向くのは難しいが、俺はお前のことを忘れない)

そう決意すれば星の瞬きが親友の頷きのようにも思えて

ふと足元に覚えた硬い感触
足先にぶつかったのは親友の瞳の色と同じ橙色の鉱石片

(お前の目の色は月みたいだな。俺の色は太陽の色なんだ)

そう言っていた親友の言葉を思い出す

お守り代わりにその鉱石片を拾って胸に仕舞うとまだ微睡む街へゆっくりと歩を進めた


 星たちが空で咲う頃、砂たちは涙を流す。
 ならば空が泣き明かす夜は、砂漠も泣いてくれるのだろうかと、月宮・宵(妖狐の王墓守護者・g03926)は想いを馳せていた。砂の涙に心惹かれたからではない。想起した友の声がそうさせただけ。浮かんだ友の顔が、宵には見えていただけ。
 もし。もしも『砂の涙』の話を、友が耳にしていたら。
(「あいつなら、喜んで探し回るだろうな」)
 静かに顔をもたげ、夜空と砂丘の境界線を見据える。明らむには近くて遠い。だからか宵の足取りもゆっくりと、砂に包まれるようにして進んでいた。泣かずの星たちは煌めく一方だというのに、宵の双眸はただただ寂しげに揺れるばかり。
 ひとたび思い出してしまったら、抜け出せなくなる。
 亡き友の声が、砂の涙を探す。亡き友の姿が、砂の涙を探していく。
 そんな一場面を容易に想像できてしまうからこそ、宵は星影から目を逸らした。
 いないんだ、と自らへ言って聞かせる。わかっていると思おうとするほど、砂へ沈んでいくような心地になった。親友の面差しが過ぎるたび、底のない世界へ引きずり込まれていく。地中は深く、どこまでも深くて暗い。そんな冷たい場所へ、身も心ももっていかれるようだった。
 息を飲んで砂原へ手を押し当ててみれば、昼にはたっぷり陽を浴びていたはずの砂上が、ひどく冷えきっている。宵は身体を竦めたのち頭を振り、鏤められた星屑をひとつひとつ数え始めた。コツ、とつま先が堅いものにぶつかるまで。
「? なんだ……?」
 確かめると、蹴りかけた物が鉱石の欠片だったと気付く。
 そろりと摘んでみれば、石を染め上げた色に懐かしさを感じて。
 ――お前の目の色は月みたいだな。俺は太陽の色なんだ。
 何故か渇きを覚えた。
(「今はまだ、前を向くのは難しい。だが……」)
 旅は道連れとばかりに一片を抱き、宵は再び歩き出す。
(「……俺は、忘れない」)
 瞬く星が頷いてくれたようで、宵はふっと吐息だけで笑った。
 そして黒衣は夜と朝の狭間をゆく。その色では溶け込めぬ景色へ、涙を友に。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!

中々・時音
すごく遠くから来た旅人として行動します
「アルナヴェト様について教えて欲しいアル。ワタシ、すごく東から来たから初めて知ったけど凄く知りたいアル!」
という感じで、アルナヴェトに対する好感と敬意が強く見える演技を行いながら、『頭が良く』『お人好し』な人を探して質問しようとします
花屋やパン屋の店員や店主になるかも
私は見た目もこの土地の人間ではないから、ぽろっと本音(反クロノヴェーダ)を零したり、私をスカウトしようとする……かも?

「宗教は難しいアル……。ワタシは初詣と盆とクリスマスに喜んで参加する日本人アルから」
宗教と宗教を信じる人に敬意を抱くようにはしています!
 
アドリブアレンジ連携、苦戦描写も大歓迎


冰室・冷桜
ま、神様にケチつけるってーんならまずは理不尽な扱い受けてる人らでしょ
なんで、スラムとかが怪しそうだけども
いきなり部外者がやってきても信用される話もなし
まずは【情報収集】といきましょ

街に初めてやってきた旅人、この街のあれこれに詳しくない風を装って市場で花でも買いながら話を聞いて回りましょうか

綺麗な街ね、ここ
さぞ立派な神様が治めて、しっかりと信仰を集めてるのが伝わってくるわ
っと、そういえば途中でちらっと見えたんだけど……ちょっと荒れてるというか、よくない雰囲気の場所があったのよね
あっちの方って大丈夫なのかしら……ほら、他の街だとああいう場所に不信神な人らが集まってて危ないから気になってしまってね


 市場通りは、街の目覚めと共に動き出す。
 荷を抱えた人でごった返す様は、この街にとって日常風景だった。瑞々しい果実の香気がふわりと漂ってくる。
「んん~っ、このパンおいしいアル!」
 中々・時音(自称美貌の破軍拳士・g03098)の声色が弾んだのも、そんな香りの真っ只中だった。
 むしろ黒パンをはむはむする時音の姿は、通りすぎる住民の目に微笑ましく映る。
 うまそうに食うなあ、と感心を寄せる店の主は、果実を籠へ盛るのに忙しい。
「美味だから『うまそうに食う』当然アルネ!」
 えっへんと胸を張った少女も、店主もカラカラと笑う。
 そこへふらりと、ひとりの女性がやってきた。
「ご主人、奥さんの体調はいかが?」
 常連らしい女性は物腰穏やかだ。店主は彼女が持参した籠へ果実を置きながら、口を開く。
「おかげさんでピンピンしてるさ」
「よかった。また何かあったら呼んでちょうだいな」
 用件だけ済ませた女性は、すぐに雑踏へ溶けていった。
 首を傾いだ時音は、なんだか頭が良くて話しやすそう、という直感から彼女を追う。
 時音とすれ違いざま、後背をちらと認めるだけに留めた冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)もまた、ある場所を目指していた。本当は真っ直ぐに貧民街を当たりたい心持ちだが、いきなり訪れて、いきなり陰に生きる人々へ問うたところで、獲得できる情報になど期待はできない。
 それを予想していたから花屋へ立ち寄り、冷桜は頻りに街なかを見渡してみせて。
「綺麗な街ね、ここ」
 そして物珍しげに、花屋の男性へ声をかけた。
 自分たちの街を褒められて、悪い気になる人はいない。花屋の主も冷桜の想像通り、頬をふくふくと持ち上げてくれた。
「旅人さんにも気に入ってもらえるたぁ、嬉しいね」
 鼻高々な様子が分かりやすくて、冷桜も一度だけ瞬ぐ。
「っと、そういえば……」
 花屋の機嫌も上々なところで、何気なく冷桜が話題にあげたのは貧民街。
 散策する途中で見かけた、路地の裏側の話だ。
「荒れてるというか、よくない雰囲気の場所に思えたのよね」
 もちろん入ってはいないと暗に告げた冷桜へ、あそこは貧民街だと花屋が静かに答える。
「やっぱし危ないの?」
「危なくはねぇ。荷物がいきなり消える奇術に遭遇できるがな」
 平然と話す彼に、くすんだ地域を嫌悪している様子はない。
 ふうん、と冷桜も大して興味なさそうな素振りを示しながら、不安を唇に刷いてみる。
「でも……大丈夫なのかしら」
「何がだ?」
「他の街だと、ああいう場所に不信神な人らが集まってたりするのよね」
 旅の者らしい発言で誘うも、男性はきょとんと目を丸くして。
「不信神? そういう奴は本人が悪さしたか、神様の気まぐれで罰を受けただけだと思うが」
「貧民街の人たちは、悪さとかしないの?」
「んーまあ、生きるために盗んじゃいるが……誰かを殺めたりはしねぇから、あいつら」
 冗談めいた音を一切もたない花屋の口振りから、冷桜は察した。この街の人たちは、花屋のような考えばかりなのだろうと。
(「ま、ここでケチつけたがってる人が見つからないってのも、大事な情報だし」)
 冷桜が小さく肩を竦める一方、時音は。
「このパンおいしいアルっ!」
 またもやパンに舌鼓を打っていた。
 彼女に自家製パンをご馳走したのは上品そうな女性――先ほど時音が追っていた相手だ。旅人の話が聞きたいと家へ招き入れた彼女は、飾らず偽らず食べてくれる時音の様相に、頬を緩めている。もちろん、時音を招待したのにはもうひとつ理由があった。
 アルナヴェト様について教えて欲しいと、時音が神と信者への敬意を払いつつ、彼女へお願いしたからだ。
「遠方から訪れた子が、アルナヴェト様のことを学びたいなんて。嬉しいわね」
「ワタシ、いろんな神様について詳しくなかったアル。だから凄く知りたいアル!」
 女性を射抜く時音の好奇心。信者としては喜ばしい状況だ。
「大丈夫。私もアルナヴェト様を信仰してるけど、他の神には明るくないの」
「そういうものアルか!」
「そういうものよ。だから旅のお嬢さん、よそでは悪い神に出会わないよう気をつけてね」
 多神教ゆえの反応を示す女性に、ほへえ、と時音が感心の息をこぼす。
 すると女性は「おかわりいかが?」とどこまでも穏やかに微笑みかけた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!

アッシュ・シレスティアル
心情
信仰者からすれば幸せな街なんだろうが…結局は幻想だ。早いうちに断ち切ってやらないとな。

潜入調査
旅をしている楽士で物資の補給に寄ったと言って入ろう。求められれば演奏する。

街に入ったら人通りの多い場所を歩き住人の雰囲気をうかがい、市場で物々交換をするタイミングで話を聞く。
聞く内容は最終的に神殿の場所と神像についてになるかな。

「それにしてもこの街はすごく栄えてるんだな、活気がすごいぜ。」
「アルナヴェト様ってお方はそんなにすごいお方なのか?」
「それはすごいな!この食料も恩恵の一つならせめてお祈りを捧げていきたい。神殿や神像といったものはないのか?」
「助かる、早速向かってみるぜ。」

※アドリブ歓迎


月宮・宵
影に生きるものを踏み台にして栄えているのか…
光あるところに闇もまたある、とは聞くがその闇を統治者がより濃いものにしてしまえば文字通り足元から崩れて瓦解してしまうだろうに…

旅人を装い、街の人からアルナヴェトの情報収集を行う

「こちらの街にアルナヴェト様が訪れると聞いてやってきたんだが間違いないか?」
「アルナヴェト様は長い耳を持つ、毛並みの美しい麗しい方だと聞いてな……一目だけでも見ることが出来れば旅の加護にもなるかと思ったんだが……」
「せっかくなら貢物の一つや二つあった方がいいだろうか……。好みの物等は知っているか?」

*アドリブ歓迎
*有効な残留効果は全て使用


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
美しいだけの物なんてこの世にあるわけが無い
汚い物って何だろうな、彼らだって望んでいるわけじゃないはずなのに

【行動】使用技能:演技、情報収集、看破
機械の腕と脚は長い服や手袋、ブカブカの靴を履いて誤魔化して情報収集する
まずは食料品を買いつけてから貧民街に行く
食料品を配りながら聞き込み
敵はここにきてどういう事をしているのか、貧民街に来てしまった経緯、何か敵の事について知っている事や気になった事がないかどうか
もちろん、無理に聞き出すとかはしない


クレイ・ロックウェル
「空腹に悩まされる心配もないのに
パン泥棒がいるとはどういうことだ」
どこかに歪みがあるはずだ。それを探すぞ。

顔に泥を塗り、ボロ布をまとって流浪の民に変装する。
足には包帯を巻いて棒を杖代わりにして、
足を引きずって街の通りを歩く。
街の者は貧民街の者に対して嫌悪感はあまりないらしいが
富める者はどうだろうな。
【観察】【偵察】
特に裕福そうな家を訪ねて物乞いをする。
「オアシスを追われて…命からがらこの街に辿り着いた。
食べるものを…分けてはもらえないか」
たとえ乱暴な扱いを受けても抵抗はしない。
様子や雰囲気は良く覚えておく。

連携・アドリブ歓迎
一連の行動内容は事前に仲間に知らせ、
互いの行動を妨害しないようにする。


 星たちへさよならを告げた街の朝は、夜の静寂が嘘のように、日常を刻む人々の息吹で忙しい。
 既に別口の調査へ向かったディアボロスもいる中、アッシュ・シレスティアル(蒼き疾風の復讐者・g01219)は横笛を手に市場を散策していた。パンと野菜のにおいがする一角を抜けたと思いきや、今度は水と花の香が混ざってきた。種々の店が軒を連ねる市場通りは、どこよりもにおいと音で満ちている。
「どうぞ見ていって、旅の楽士さん!」
 声がか掛かり振り向けば、十代前半の娘が花も綻ぶ笑顔でアッシュを手招いていた。
「よく旅の楽士ってわかったな」
「だって、ふふ、楽器を持ってキョロキョロしてらっしゃるんですもの」
 黒髪を揺らして笑った娘の前に並ぶのは、整えられた麻織物だ。街の人たちの服などを綺麗にするのが、彼女の仕事らしい。
「さっき広場も通ったが、活気もすごいし綺麗なものが多いんだな、この街は」
「綺麗な布もお花も、アルナヴェト様のおかげで授かったもの。それを皆で交換してるの」
「へえ、アルナヴェト様がいるから、こんなに栄えてるんだな」
 娘の様相から信心深さが窺えて、アッシュは顎に手を添えた。
 なるほどな、と理由に納得する素振りを示しつつ、織物から娘へ視線を移す。
「俺も、アルナヴェト様にお祈りを捧げていきたいとこだ。どうしたらいい?」
「まあ。では神殿へ向かわれるのはいかが?」
 神殿。同じ響きを繰り返したアッシュへ、黒髪の娘はこくこくと肯う。
「広場から太陽の昇る方角へ進めば、神殿に着きますわ」
「助かる。……けど、いきなりお祈りに行ったりして問題ないか?」
 自分はよそ者だということを念頭に尋ねると、娘は手元の果実をひとつ自分の服で磨きだす。
「でしたら楽士様、一曲お願いしてよろしいかしら?」
 光沢の増した果実を差し出す娘に、アッシュが首を傾いだ。すると彼女はふくりと頬をもたげて。
「外の方も、街のものを一つお持ちいただければ、通して頂けるはずですよ」
 できれば一等きれいな物の方が良い。
 そう話した娘からの厚意に、それならお安いご用だと笑いかけ、アッシュは瑞々しい果実を受けとった。
 まもなく市場から、横笛の音色が流れはじめる。喧騒に紛れながらもその音色は、路地や家と家の隙間にまでするりと抜けていく。


 コツリ、コツリと杖の音が響く。振り返った街の人たちは、しかしすぐに顔を逸らしてしまう。道行く男の姿が、表通りに似つかわしくないぐらい、汚れていたからだ。その男、流浪の民に変装したクレイ・ロックウェル(アーベントロート・g03894)は街の歪みを探して歩く。
 顔には泥が塗りたくられ、杖を支えに歩く彼を一目見れば、近づこうとする街の者はなかなか居ない。
 襤褸も足も引きずりながら、クレイが向かうのは綺麗な町並みの少し奥まった区画――富める者たちの住み処だ。他の民家より一回り大きい程度で、明らかに裕福と呼べる代物ではない。だが丸々とした体を軒先で晒す男性は、そこらの民より格上と思える綺麗な衣服を着ていた。
 あれだ、と狙いを定めて近寄るクレイに、男性もすぐに気付く。
「なんだお前は」
 声に露骨な拒否を滲ませて彼が言えば、クレイは薄汚れた掌を天へ向けたまま、そろりと差し出す。
「食べるものを……分けてはもらえないか」
「何?」
「オアシスを追われ……命からがらこの街に辿り着いた。どうか……」
 掠れさせた声で懇願してみるも、男性に物乞いを哀れむ気配はない。
「この街では物を交換し合うのが定め。まあ、お前は渡せる物も持っていないようだが」
 男性は大袈裟なほど鼻息を鳴らして、クレイを睨みつけた。視線に怖じけた振りをして、クレイは乞うための手を襤褸布へ引っ込める。
「何も持たぬのに欲しいなら、貧民街に紛れ込め。あそこにおれば、アルナヴェト様が恵んでくださる」
「貧民街……アルナヴェト、様……?」
 よそ者ゆえに知らぬ振りをすると、この街を誇らしげに思っているらしい男性は、わかりやすく胸を張る。
「連中は労せず食料を貰っている。お前も今日を生き延びるぐらいできよう」
 貧民街の人々を良く思っていないらしい物言いだ。
 そこで突然、なんだかんだ口の緩い男性は、顎だけでこの街一番の広場を示した。
「ほれ、もうすぐアルナヴェト様もいらっしゃる。貧民街へ急がねば、貰い損ねるぞ」
 言うや男性は家へ戻ってしまった。中からは頻りに、アルナヴェト様への貢ぎ物はまだかと、女性へ催促する声が届く。
(「空腹に悩まされる心配がないというのは、そういうこと……なのか?」)
 思考を巡らせて、クレイは自身が通ってきた道を振り返る。ゴミも思しき物の転がっていない、綺麗な道だ。道中、住民たちが清掃している姿も散見した。だからだろうか。この街へ入ってから、ずっと感じてきた不穏な感覚が拭えない。
 すべてが『アルナヴェト様』の為に整えられているようで、微かに身震いした。


 表の通りが妙に騒がしい。
 そう感じて、喧騒の方へ目線を向けた月宮・宵(妖狐の王墓守護者・g03926)に、薬草を煎じていた主人が語りかける。
「旅人さん、ご安心を。アルナヴェト様が訪れたのでしょう。それで賑やかなのです」
 願ってもない話題に、宵は瞠目した。
「何? アルナヴェト様がこちらに?」
「おや、ご存知でしたか」
 今度は主人が目を見開く番だ。自分たちが信じる神の名を、外の人間である旅人が口にしてくれたのが、よほど嬉しかったのだろう。主人の声色もどこか弾んで聞こえる。彼の反応を認めたからこそ、宵はならばと彼らの神を褒めたたえる。
「ああ、長い耳を持つ、毛並みの美しい麗しい方だと聞いてな……」
 恍惚を点した宵の声色は、主人の耳朶を快く打つ。そうでしょうそうでしょう、と肯う主人の笑顔は実に穏やかなもので。
「一目だけでも見ることができれば、旅の加護にもなるかと思ったんだが」
「たいへん素晴らしい心がけかと存じます」
 すっかり目許を朱に染めた主人へ、宵は顎を撫でながら話しを連ねる。
「外の者でも、お目通り叶うだろうか」
「あの方は綺麗なものを好まれます。直接お会いするのでしたら、心を配ると良いでしょう」
 群集へ紛れて眺める分には、身なりを問わないと主人は言う。
 なるほど、と宵は人々が足早に急ぐ方角を瞥見した。どの人物も、つま先から頭まで小綺麗にまとめている。花や細工を身につけている人も目立つが、かといって派手ではない。
 宵の考えが面差しに滲んだのか、それとも流れから察したのか。店の主人は小さく笑ってから、こう告げた。
「宝石などで過度に飾ってしまうと、アルナヴェト様の機嫌を損ねるのですよ」
「そうなのか、何故」
「たいへん綺麗なもの……特に宝石などは、ご自身が身につけるのを望まれますからな」
 薬草屋の話を聞いて、宵が握り締めたのは、やり場のない感情だ。
 綺麗なものを好み、欲する神。それが『汚らしい』と称される貧民街を、残したままでいるとは。
(「影に生きるものを踏み台にして、栄えているというのか……」)


 美しさだけで構成された世界なんて、ない。
 込み上げ情が喉に痞えたまま、荒田・誠司(雑草・g00115)は貧民街を訪れていた。突然子どもにぶつかられ足取りを崩しはしたものの、すぐにむんずと捕まえる。
「……なんだよ」
 少年が睨みつけてきてくる。彼は、先ほど誠司が用意したパンを華麗に盗んでいこうとしていたらしい。懐へ入り切らないパンは、誠司が今しがた抱えていたもので。
「パンはあげるから、話しをしてくれないか」
 目線を少年に合わせて告げると、意外にも少年はすんなり頷いた。
「交換な。パンと話」
 念を押すように彼が言うものだから、誠司は少しばかり口の端を緩める。
「なあ、ここに居たいからここに住んでる、ってわけじゃないよな」
「……居たくは、ない」
 口を尖らせた少年に、誠司はぱしりと瞬ぐ。
「じゃあ、なんで貧民街に居続けているんだ?」
 核心をついた途端、少年の顔色に陰りが見え始める。
「あ、いや悪い、聞かれたくないよな、好奇心とかじゃなかったんだが……」
 無理に聞き出すまいとしていたため、咄嗟に誠司がそう連ねると、少年は大きく頷く。
 わかってる、と応じた子の声音はまろい。出会ってからのほんの僅かな時間で、気を遣おうとしていた誠司の人柄を察したのだろう。
「ここから出ると、アルナヴェトさまの神罰が落ちる」
「神罰?」
 物騒な音に誠司が眉根をひそめるも、少年はけろっとした顔のままだ。
「ここから出るの、悪いことなんだって。だから神さまが来て、罰が降る。怪我して熱にうなされたり、病気になったり」
 アルナヴェトの来訪を機に怪我や体調不良になるなど、一般人からしてみれば罰を受けたと思うのも無理はない。誠司はそう思考を繋いでいく。
「アルナヴェトさま、粉っぽい食いもんはちょっとだけくれるけど、パンはくれない」
 しかし今度は結び付かない言葉の並びに、誠司の眼が点になった。
「……腹が満たされないんだな?」
「それもある。でもパンは、一番手っ取り早く交換できるから」
 だからパンが欲しいのだと、はっきりした眼差しで彼は言う。
「薬草とかも、きれいなモノとしか交換できない。パンはきれいなモノにたどり着くために使う」
 ああそうか、と思わず誠司が呻いた。
 パンさえあれば、とりあえず何らかの物品に換えられる。神とやらが僅かな食料しか配らないのなら、必要な『何か』を得たい時、貧民街の人々に手持ちはない。彼らの神が、怪我や病めいたものを貧民街へ持ち込んでいるのなら、尚更――パンを盗む機会も増えるはずだ。
 クロノヴェーダの目的はわからずとも、悪意があるのには変わりなく。
 嗚呼、やはり美しいものだけで成り立ちはしないのだと、誠司は顔を手で覆った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】がLV4になった!
【狐変身】LV1が発生!
【友達催眠】がLV4になった!
【修復加速】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV9になった!
【アクティベイト】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!

レベッカ・ブルーゾイス
【紫蝶】
うー、わたしも『砂の涙』見たかった~!
星も石も大好きよ
弱く強く自分らしく輝く姿に憧れるの、何より美しいわ
…まあ、済んだ事を言い続けても仕方ないし
気を取り直して行きましょ

使役出来そうな蝶や小鳥を捜しつつ行動
人通りの多い店の主に尋ねてみましょう
神殿や神像の手入れをしている方、供物を運ぶ方、等
仕えている方はいらっしゃいますか?
わたしもアルナヴェト様にご奉仕したいんです、と
…潜入する際に関係者のフリに役立つ筈

後にシオンと合流
情報を聞き出せたなら褒めてあげなくちゃ
優しく頭をなでなで

神殿の傍で隠れつつ
使い魔を操り内部を探りましょう
ひぃらり…さぁ、いっておいで
神官や警備体勢はどう?
神像はいずこかしら


シオン・ラモール
【紫蝶】
うん、おれも見たかったな。綺麗な星
いつかまた見れるよ、きっと
でも、うん。その前にやる事やらなきゃだ

おれは小神殿の場所を聞き込もう
「ねえねえ、その、アルナヴェト様、を祀ってる場所とか無いの?」
神様や、崇めてるひとを祀る場所や、そのひとを模した像に、好きな物をお供えする習慣があったんだ
【友達催眠】の力も借りよう。なんとか聞き出せないかな

……レベッカの方は、うまく行ってるかな?

合流したら聞けた情報を共有
う……ひ、人前でなでないで。はずかしいから
(本当は、嬉しいけど)

神像を壊すには、潜入したり、警備兵をなんとかしなきゃいけなくなるかも
……大丈夫だ。レベッカはおれが守るから


「うー、わたしも『砂の涙』見たかった~!」
 悔しげに目をきゅうっと細めて、レベッカ・ブルーゾイス(嫉みの星魔女・g02252)は拳を握りしめていた。
「うん、おれも見たかったな。綺麗な星」
 小さく息を吐いて、シオン・ラモール(紫石英の彷徨者・g03591)が同調する。すっかり明けてしまった空は晴れ渡り、星の余韻すら残っていない。
「いつかまた見れるよ、きっと」
 シオンがそう続ければ、レベッカの表情にも明るさが戻る。
「そうね。気を取り直していきましょ」
 言い終えると同時、二人して歩き出す。
 砂のにおいが漂う街、クロノヴェーダが悪事を働いている街の中へと。

「わたしもアルナヴェト様にご奉仕したいんです。神殿でお勤めするには、どうしたらよいでしょう?」
 きらきらと瞳を輝かせながら懇願するように尋ねるレベッカに、通りを箒で掃っていた男性が、難しげに顎を撫でた。
「……まず街の人間でないと、無理だと思うぞ」
「あ、やっぱりですか?」
 ひどく残念がる素振りを示しながら、ちらりと男性の様子を窺う。外の人間にも気さくに応じてくれはしたが、やはり神殿内の情報については簡単に口を開かない。迷う仕種を見せつけて、レベッカは空を軽く見上げる。小鳥がくるくる頭上を旋回するのを認め、あれならばと閃く。
(「ちょっと鳥に見てもらおうかな、神殿の方を」)
 使い魔として鳥を飛ばしていると、ふいに先ほどの男性がレベッカへ声をかけてきた。
「お祈りぐらいなら、外のもんでもできるんだ。ちょっと行ってみたらどうだい」
「い、いいんですか?」
 思わぬ促しに目をぱちぱちさせれば、男性もにっこり微笑んで。
「ああ。あんなに残念そうにされちゃあな。でも、よそのもんは簡単にゃ入れんよ」
「え。じゃ、じゃあどうしたら……?」
 レベッカは、胸の前で両手をぎゅうっと拳に変えて尋ねる。彼女の真剣な面差しと、震える長い睫毛は、信仰の徒である男性へ微笑ましい感覚を抱かせた。
「この街のものをひとつ、持っていけば通してもらえる。綺麗なものでないとダメだ」
 綺麗なもの。それを聞いてレベッカは逡巡した。綺麗な砂の涙を見逃したばかりだというのに、次なる綺麗なものがなければ、神殿には入れない。ならばと踵を返し、レベッカは小鳥の飛んで行った方角へ急いだ。
(「あっちはたしか……シオンが向かった方角……」)

「ねえねえ、その、アルナヴェト様、を祀ってる場所とか無いの?」
 昼と夜の狭間に似た瞳でシオンが聞き込みしていたのは、道を掃除していた女性だ。
「なんだい坊や。アルナヴェト様に関心が?」
「あ、うん……おれのいるとこ、好きなものをお供えする習慣があって……」
 少しばかり鼓動が弾むのは、緊張をはらんでいるから。彷徨いそうになる双眸をどうにか堪え、そしてどうにか喉を開き、初対面の女性へ続ける。
「そのひとを模した像に、お供えするんだけど」
「ああそれなら、神殿にあるアルナヴェト様の像へお供えするのが良さそうね」
 ひくりと、シオンの眉が動く。
(「街のひとは、像のこともちゃんと知っているんだ……それなら」)
 意を決して、カラカラの喉から声を出した。
「神殿の中って、迷子にならない……よな?」
「あはは、そこまで広くはないよお。でもアルナヴェト様が好まれるものを知らないと、迷うかもねえ」
 女性がさらっと当然のように話したものだから、シオンも聞き逃しかけた。
 ――クロノヴェーダであるアルナヴェトの好みを知らないと、迷うかもしれない。
 不穏とも言える流れに、シオンはもう一度口を開く。
「知らないと迷うって、中には何が……?」
「好みと違う物が飾られた道には、汚れる仕掛けがある……って聞いたことはあるねえ」
 そして女性はこうも言う。
「ま、あたし迷ったことないから、わからないんだけどね! あっははは!」
 アルナヴェト神を信仰する人々だ。
 確かに詳しくないのも仕方がないだろうと、シオンは立ち去る彼女へ会釈をした、そのとき。
「シオーン!」
「! レベッ……うわっ」
 呼び声に気づき振り返るや、駆け寄ったレベッカがご褒美とばかりにシオンの頭を撫でる。
「えらい、えらいねシオン」
 人通りがあるというのに、実に楽しげになでなでするものだから、シオンは真っ赤になってしまって。
「う……ひ、人前でなでないで。はずかしいから」
 そんな二人のやりとりを目撃した街の人たちは、この上なく良い笑顔で通りすぎていった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【隔離眼】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【命中アップ】LV1が発生!

アッシュ・シレスティアル
調査も一通り終わったし、そろそろうって出るとしようか。

対話
相手が出てくるまでは群衆に紛れ、出てきたら素早く前に飛び出すぜ。

よく考えられてると思うぜ。
貧民は一つの区間に閉じ込め出てはいけないと言って渡す食料はとてもじゃないが腹を満たせる量じゃない。調達しようにも交換する物資もなく外に出て盗むしかないって状況を作るわけだ。
そうして悪さをさせて自分は正義のもとに罰を下し、怪我や病気をばらまく。直すためにはまた盗みを働かないといけない悪循環もおまけだ。
こうやって表では理想の支配者を演じつつ、裏で弱者をおもちゃにして自分の欲求を満たしてるってわけだ。

どうだ俺の推理は、間違ってるか?

※アドリブ歓迎


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
綺麗じゃない物を排斥なんてできる事じゃない
彼らだって好きで居るわけじゃないんだ
ここで彼らの事を皆に分かってもらおう

【行動】使用技能:演技、看破、情報収集、計略、臨機応変
まずは服を小綺麗な物に変える
機械の手足は服で隠し、この土地の布を被り口元を隠す
敵の偉業を伝える為の取材と称し接触
初めは敵や綺麗な街を褒める言い方で進めてから本番の貧民街の事を言う
貧民街から出れば罰で病に犯され、薬と交換する物を盗む為に街へ出て盗んで病になるの繰り返し
これで安寧を齎していると言えるのか、答えろよ
そんな救われない状況にしたのは一体誰だ?
敵がどう言い繕うと問いかけ続ける
俺だって怒っているんだ


ジズ・ユルドゥルム
市民達は虚構の安寧に浸りきっているようだな。
ならば、自分達と貧民達の差は、ただ偽神の気まぐれでしかないと彼らに思わせ
信仰心を不信と恐怖にすり替えよう。

告発は仲間達に任せる。
私は偽神へ問いかけつつ、不信を煽るため市民にも語りかけよう。

アルナヴェト。同じ顔ぶれの貧民を弄ぶのも、飽きたのではないか?
「次」は誰を弄ぶつもりだ。

そう言えば…
そこの花屋は、花が少し萎れているな。
あの布屋の店主の首飾りは、豪華すぎるように見える。
そこの八百屋は、店の前に野菜の屑が落ちている。
次は彼らか?

普通に暮らす人々が突然安寧を奪われ絶望するさまは
貴様にはさぞ愉快だろう。

次は誰を使ってその後ろ暗い欲求を満たすつもりだ?


月宮・宵
まともに話が通じるとは思わないが…それでも言わなければ気が済まない

身なりを整え、喜びそうな品(絹織物か花。渡す気は無いが砂の涙として手に入れた鉱石片)を手に向かう

「アルナヴェト様、か。確かに宝石類が好きなようだな」
「考えたことがあるか?その宝石一つで貧民街にいる人達の命が、生活が救えるのだと。その宝石一つで一体どれくらいのパンや薬と換えられるかを」
「自らを神だと言うのなら貧民街にいる人すらも救えるはずでは?」
「ここにいる人々も薄々気付いてきただろう。お前を信仰し続けたところで幸せにはなれない。それどころか明日にはここにいる誰かが貧民街にいる者と同じ扱いをされるかもしれない」

*アドリブ、連携歓迎


クレイ・ロックウェル
「持つ者は貢物を捧げて更に富み、
持たざる者は貧民街に押し込められて
痛めつけられる。そんな神を俺は認めん」
奴の本性を暴くぞ。

顔を洗い身なりを整えてから広場に向かう。
小奇麗かつ派手過ぎないようにできているか
家主(g03901)に確認を頼む。

話しかける場合は【大声】で
「神に問う!
綺麗なものが好きらしいが心はどうだろうか。
弱者を労わり、困窮した者には施しを与え、助け合う、
そうした心こそ綺麗ではないか?

貧民街に施しているのは死なない程度の食料と
暴力と病気だな。
パンを盗むように仕向けているようなものだ。
何故そんな真似をする!」

他の仲間の邪魔をしないようにタイミングには留意し
可能な限り連携する。
アドリブ歓迎


フェリシティ・マーノット
「(土壌整えるとかパラドクスの効果やん。
そら町の人には神様みたいやろうけど
自分で名乗るんは厚かましすぎや)」
化けの皮剥がすの頑張るで

まずは身支度。清潔で控えめにコーデする。砂の涙は隠しとこ。
クレイ(g03894)の服装チェックも任しとき(顔を拭く)

・対話
丁寧にはっきりとした言葉で話す
「貧民街におる子供は身寄りがない。
生きるために盗みをしてるのに
罰するのは可哀そうやし
何度も通ってるなら
罰も躾も効いてないやろ?
神殿で引き取って面倒を見ればいいのに。
躾や罰は何度も通ってできるのに
身を清めてやったり育ててやれないはずがない。

躾たり罰すること自体が目的みたいや。」

(アドリブ・連携歓迎・他の邪魔はしない)


 服装は彼女の思うがまま、豊かな色彩を踊らせて。
 宝石たちは彼女の望むまま、飾り立てられて。
「みゃっふふーん♪ 今日も街は綺麗じゃなー」
 呑気にやってきたアルナヴェトは、今日も今日とて信仰を集めて糧にしようと、いつものようにステップを踏む。
 そして彼女を目にした人々が歌うのだ。
 アルナヴェト様だ。この街を導き給うたアルナヴェト神がお目見えだ、と。
 快い音色に耳を揺らし、崇められた神は広場を訪れる。そして現れた神の名を呼び重ねてゆく広場の群集に、ディアボロスたちの姿も混ざっていた。
「……見目はどうだろうか」
 フェリシティ・マーノット(ラココット・g03901)へ問い掛けるクレイ・ロックウェル(アーベントロート・g03894)の声量は、実に控えめだ。アルナヴェトへ近付く都合上、清潔さを心掛けた彼の頭からつま先まで確かめて、フェリシティは大きく頷く。
「男前やで」
 片目を瞑って言いながら、フェリシティは彼の頬に残る泥を指の腹でぐりぐりと拭き取った。
「アルナヴェト神よ、今日もまた一段と麗しく……!」
「おお、アルナヴェト様、本日の景観はいかがでしょう」
 その間も、神は人混みの中をゆく。人々から声をかけられるたび声の主を見つめては、奇妙な笑い声と共に一言二言返しているようだ。
 なるほど、とジズ・ユルドゥルム(一つ星・g02140)は顎をさすって民心を理解した。
(「市民達は、虚構の安寧に浸りきっているようだな」)
 平穏であれば、それが穏やかであればあるほど、周りへ目が向きにくくなるのだろうか。
 そこへ、取材をさせてもらいたい、と歩み寄る一人の青年がいた。取材という響きに首を傾げる信者もいたが、青年は動じず言を連ねていく。
「ああ、神の成した偉業なんて誰もが知るから言うまでもないだろうが……」
 ふいと青年が布越しに神を見やって。
「改めて口に出し、信仰を深めていくのも悪くないと思ってな」
 小綺麗な身なりに、街でよく見かける布を被った青年――荒田・誠司(雑草・g00115)の取材への姿勢と神への敬意は、町人たちを唸らせた。ここまで準備を整えた誠司の手腕は着実で、輪へ溶け込むのにも、神との距離を縮めるのにも充分で。
「うむ、望むものがあらば答えようぞ」
 当の神も胸を張る。信者が蝟集した広場では、不満を持つ者が在ろうと手出しできない。
 それが解りきっているからだろう。
 誠司が街の美化や整備に関して、アルナヴェトや信者へ尋ねる間、群集に紛れて月宮・宵(妖狐の王墓守護者・g03926)が様子を窺う。
(「まともに話が通じるとは思わないが……」)
 それでも、言わなければ気が済まない。
 神とやらが喜びそうな花へ目線を放れば、気持ち良さそうに風に揺らいでいる。そして宵の手にはもう一つ、夜の思い出を刻んだ光が握られていて。
 不意に感嘆が民から放たれた。たしかに綺麗な街だと、誠司が街を評価したからだ。
「砂と風であらゆる罪を洗い流したかのように、全てが整えられている」
 褒める誠司の声色に、周囲も色めき立つ一方だ。だから誠司は砂混じりの吐息を零す。
「……そう、整えすぎたんだ」
「本当、よく考えられてると思うぜ」
 アッシュ・シレスティアル(蒼き疾風の復讐者・g01219)が人だかりを飛び出し、告げた。
「なんじゃなんじゃ、催しでも始めるんかの~?」
 アルナヴェト本人の、何かできるものならしてみろと言わんばかりの態度をディアボロスは感じる。現に、彼らを四囲する街の人々の視線は、抉るように熱い。よそ者である自分たちの行動次第では、かえって民衆が抱く神への想いを深めてしまう。
 異様な空気に圧されまいと、アッシュは口端をもたげた。
「自分の欲求を満たすのに、街をまるごと利用するなんてな」
「みゃふ? 何を言うておる」
 こてんと首を傾いだアルナヴェトの表情は、変わらない。そこへ。
「神に問う!」
 すかさずクレイが大音声で空気を震わせた。
 声の在り処が定まらぬほど響いたものだから、誠司とアッシュを射抜いていた民の眼が一斉に散る。誰だ、何処から叫んだ、と彷徨う民衆の視線と異なり、アルナヴェトだけは真っ直ぐにクレイを見つめていた。
「綺麗なものが好きらしいが、心はどうだろうか」
「神に心を問うのか? 面白い」
 あくまで神様として振る舞うアルナヴェトに、クレイの陰から窺うフェリシティが眼を眇める。
(「自分で名乗るんは厚かましすぎや。ぜっったい化けの皮剥がしたる」)
 フェリシティとクレイは、同じものを双眸に映し続けた。
「弱者を労わり、施しを与え、助け合う、そうした心こそ綺麗ではないか?」
「知らぬのか? 余は行き場も力もない民にも、慈悲を与えておるぞ」
 アルナヴェトがふふんと鼻を鳴らせば。
「そうだぞ旅の者ら! 何て無礼なことを……」
 周りの信者たちも当然ながらアルナヴェトに加勢する。人々の勢いが増さぬうちに、クレイは連ねた。
「慈悲? 貧しい民に与えているのは死なない程度の食料と、暴力と病気だろう」
 暴力と病気。不穏な言葉に周囲がざわつくも、神は悠然と笑ったままだ。
 アッシュが思わず溜息をつく。
「こうやって表では理想の支配者を演じつつ、裏で弱者をおもちゃにしてるってわけだな」
 瞬きののちにアッシュが見据えたものこそ、表と裏を使い分ける神の姿。華やかな衣装、纏う宝石たち、整えた毛並み。己を美しく気高いものとする神の在り方だ。ただそこに、思いやりという名の清らかな綺麗さは、ない。
「腹を満たせる分の食料や薬を調達しようにも、元手となる物資を貧民街の人は持たない」
「貧民街から出れば、罰で病に犯される。今度はそれを治す薬と交換する物を盗みに、街へ出る」
 アッシュの話へ、誠司も静かに言の葉を寄せた。そして畳みかけるようにクレイも繋いでいく。
「パンを盗むように仕向けている。仕組みができている」
「我等の神がそんな仕向けるだなんて!」
「するわけないでしょう!」
 人々の間に走る動揺が、そうだそうだとの叫びを引きずり出す。
「どうだ? 間違ってるか?」
 アッシュが真っ向から突きつけるも、肝心の神はみゅふふと笑って。
「盗みは悪いゆえ神として罰しているだけじゃ。他は言い掛かりにすぎぬ」
 素直に認めやしない。
「正義のもとに罰を下し、怪我や病気をばらまいてるのが言い掛かりか?」
「身寄りもない子たちなんやろ? 誰にも頼れへんし」
 言い募るアッシュとフェリシティにも怯まず、神は白い耳を撫でながら知らぬ存ぜぬを貫こうと鼻歌を交える。
「ちゃんと答えろよ」
 頃合いを見計らっていた誠司の声が、そこへ突き刺さった。
 頭や首周りに巻いていたこの街の布を下ろして、しかと標的をねめつけながら。
「こんな救われない状況にしたのは……誰だ?」
 めらりと誠司の瞳が炎が揺れる。怒りを孕んだ炎だと、誰が指摘せずともわかるものだ。彼を始めとする旅人らの気勢に、街の人々も戸惑いの色を顔へ塗りたくっていた。
「証拠も何もなしに神を告発とは、良い度胸じゃ」
 真実を突きつけたところで、アルナヴェトも簡単に落ちてはくれないらしい。
 しかし決定的でなくとも、旅人たちの言葉は着実に、人々へ不安を染み込ませていく。
 不意に民衆を掻き分けて飛び出した宵が、手の平をそっと神と信者たちへ見せた。そこに転がるのは、砂の涙とも呼ばれる鉱石片――宵とのえにしが結ばれた、夜の残滓で。
「みゃふ!? 綺麗な石じゃ、余への貢ぎ物かの~」
 途端に白い耳をぴんと立たせて、アルナヴェトが迫った。
 だから宵は砂の涙を陽にめいっぱい浴びさせて、唇を震わす。
「考えたことがあるか? その宝石一つで、どれくらいのパンや薬と換えられるかを」
 陽の始まりが宵の双眸で揺らめけば、神の歩もぴたりと止む。
「死なない程度どころか、飽きるほど食べさせてやれるはずだ」
 ぐっと握りこむと砂の涙が泣いたような気がして、宵は寒気を覚える。
「自らを神だと言うのなら、貧民街にいる人すらも救えるはずでは?」
 宵が綴った正論に、むう、と唸ったアルナヴェトが片眉をあげた。そのとき。
「た、たしかに……貧民街があるなんて、思えばおかしい……のか?」
「んなわけないだろ! 惑わされんなよ」
「けどよ、アルナヴェト様なら、貧民街も綺麗になさりそうだし」
 雲集のそこかしこから、疑問めいた意見が上がり始める。
 だからここぞとばかりにフェリシティは、喉を開いて。
「ちゅーか、貧しい人らを神殿で引き取って面倒見ればいいんちゃうの?」
 思いの外、彼女の声音が響いた。空を通して、集まりの向こう側にまで。
「躾や罰は何度も通ってできるんや。なのに育ててやれん神なんて、おる?」
 神に限った話ではない。フェリシティの振った話題は、街の人たちへ息を呑ませた。
「面倒見る気ぃあらへんの、まるで罰すること自体が目的みたいや」
 フェリシティの話に、誠司もそうだと頷く。
(「貧民街の彼らだって、好きで居るわけじゃないんだ」)
 皆に解ってもらわねば、この街はいつまで経っても『危うい綺麗さ』にくるまれたまま、解放されない。だから誠司の握る拳にも、自然と力が篭った。
 そこへ、告発を始めた仲間の動向を眺めていたジズが、ゆるりと踏み出す。
「アルナヴェト。同じ顔ぶれの貧民を弄ぶのも、飽きたのではないか?」
 ジズの問い掛けは、神だけでなく市民への語りかけでもある。
「……では、『次』は誰を弄ぶつもりだろうか」
 アルナヴェトの耳がひくりと動き、民衆からは一瞬の静寂が届いた。
 綺麗に並ぶパン屋の主か。花へ水やりを終えたばかりの店の主か。それとも、通りや街角を綺麗に掃除していた誰かか――ジズの問い掛けによって、人々に波紋が生まれる。自分たちが嫌な目に遭う可能性が出るや、彼らは揺らいだ。
 何気なくジズが町並みを一瞥する。民が誇りに思っているらしい、綺麗な街を。
「神の気まぐれが次に向かうのは? 次は誰を使って、その後ろ暗い欲求を満たすつもりだ?」
 ジズの琥珀色に射抜かれて、整えてあった神の毛並みも逆立っていく。ディアボロスたちの話が積もったことで、感情が揺らいでいるようだ。機を逸さず、宵も深くまで吸い込んだ呼気を、言葉に換えて吐き出す。
「ここにいる人々も薄々気付いてきただろう」
 呼応するものはないけれど、騒然となった広場が返答に近い。
「明日には、ここにいる誰かが貧民街にいる者と同じ扱いをされるかもしれない、と」
 辺りを見渡しながら云う宵の音もまた、砂を孕んだ風に負けじと拡がっていく。
 そしてジズが連ねた。ほのかな笑みを、指先と口の端へ燈して。
「そう、普通に暮らす人々が、突然安寧を奪われ絶望するさまは……」
 弧を描いた唇で、人心へ渦を巻かせていった。ぐるり、ぐるりと。
「貴様にはさぞ愉快だろうな?」
 笑いと欲を絶やさぬ神にとっては。
 ジズが言い終えるや、広場に溢れるは不穏な人声。それは疑念か、迷いか。いずれにせよ信仰にひびが入ったことを報せる囂然たる人混みの中、やっていられないとアルナヴェトは踵を返す。
「そのような話で人心を惑わすなど言語道断、旅の者をつまみだすのじゃ!」
 云うが早いかアルナヴェトは、おそらく巣とも呼べるであろう神殿へ、一目散に逃げ出した。
 賑わいが減らない広場で、ディアボロスたちは民衆へ被害が及ばなかったことに安堵し、神殿へと急いだ。
 神殿へ逃げ込んだところで、クロノヴェーダに逃げ場はない。討ち取る機会を、彼らは手繰り寄せたのだ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【強運の加護】がLV2になった!
【過去視の道案内】がLV2になった!
【活性治癒】がLV3になった!
【隔離眼】がLV3になった!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!
【アヴォイド】がLV3になった!
【ドレイン】がLV3になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV3になった!

シオン・ラモール
【紫蝶】
おれのお手柄、かな
ん……次もがんばる、から

おれも一応、身綺麗にしなきゃ
服を綺麗にして整えて……あと、細工ものとかあると良いって聞いた、よな
レベッカ、いっしょの着けたり……する?
ちょっと、照れ臭いかも……

神殿の中に入れば、情報に従って道を進む
アルナヴェトは、綺麗なもの……宝石を好むみたいだから
宝石とかが飾られた道を進めば、きっと神像のもとに行けるはず
行こ、レベッカ。おれが先に行くから

後ろからレベッカの視線を感じる
くすぐったくて、あたたかいような……

神像の元へ来れたなら、うん
おれにはためらいなんて無い
大鎌で神像の首を一閃、斬り飛ばしにかかるぞ
ーーこれが、この後のお前の姿だぞ、アルナヴェト


レベッカ・ブルーゾイス
【紫蝶】
シオンのお手柄で神像への道も拓けたわ
華美過ぎたらいけないのよね
身なりを整え…さあ、ゆきましょう
お揃いの装飾?ふふ、構わないわ
神殿に入る為にと用意した
街で購入したシオンと対の美しい御守りを胸に
お願いです、祈りを捧げたいんです…と嘆願

無事潜入が叶えば
シオンの後をついていきます
まだわたしより小さな背
なのに精一杯、わたしを守ろうとしてくれる
それが微笑ましいと同時に
弟のようでどこか放っておけない
宝石以外にも綺麗と思しき路へ

神像に辿り着いたなら
惑う事は無くとも一瞬の躊躇い
…神に仕えていた記憶が胸の奥で疼くけれど、振り払って
《星黎》に魔力を注ぎ
火球を穿ちて破壊しましょう
偽りは、いつか滅ぶものよ


 街を見下ろすような圧迫感が、神殿から滲み出ている。神殿の大きさが原因ではないだろうと、レベッカ・ブルーゾイス(嫉みの星魔女・g02252)は思った。外面だけ見れば、ある程度は街に溶け込める質素な造りだ。しかし仲間によって既に内部の状況は判明している。宝石や綺麗なもので飾られた道があると。
 だからか、渋い感覚がレベッカの喉へと流れ込んできた。そんな通路を作った神とやらに、どうしても思うところはあったから。
「……神像への道も拓けてる。シオンのお手柄よ」
 紛らすように語りかけた先、並び立つシオン・ラモール(紫石英の彷徨者・g03591)がぱちりと瞬ぐ。
「おれの……お手柄?」
 思わず問い返したシオンへ、レベッカの頷きは迷いがない。
「ん……次もがんばる、から。あ、そうだ」
 ごそごそとシオンが取り出して抱きしめたのは、レベッカと対になるお守り。
「いっしょの着けたり……する?」
 首をこてんと傾げて尋ねてくるシオンに、聞かれた側はくすぐったく笑みを綻ばせる。
「ふふ、構わないわ。それじゃ、行きましょう」
 互いの胸で咲く幸が、二人の足取りを軽くさせた。
 神を名乗るクロノヴェーダ、アルナヴェトが逃げ込んだ神殿は思いのほか静かだ。入口を守る神官らしき若者たちも、特別よそ者だからといった警戒はしていない。アルナヴェトが、広場での顛末も伝えずに神殿へ逃げ込んだのだろうか。
 どんな状況にせよ、怪しまれれば神像の破壊が難しくなる。だから身なりを整えたレベッカは淑やかに振る舞う。
「祈りを捧げに参りました。どうか、通していただけませんか?」
「……えっと、いただけませんか?」
 嘆願するレベッカの傍ら、シオンも倣って同じ音を紡ぐ。
 こうして神聖なる場に相応しい恰好で神殿を訪れた二人は、外観からは想像もつかぬほど、内部で細い道が分かれていると知る。
「行こ、レベッカ。おれが先に行くから」
「……わかったわ」
 僅かながらレベッカの声がくぐもった。次に彼女が眺め始めたシオンの後背は、小さくて、細くて、柔らかそうに思える。それが精一杯レベッカを守ろうと、背筋を伸ばしながら進んでいってくれる。導いてくれる。
 沈黙によって思考ばかりが廻り、レベッカの頬が緩む。
(「なんか、放っておけないな」)
 思えば思うほどレベッカの心をあたためていく、静かな情。
 それをやさしく燈したまま、レベッカはシオンに続いて宝石だらけの道を進んだ。
 反対にシオンはというと。
(「視線を……感じる」)
 振り返って何か尋ねようかとも考えてしまうぐらい、レベッカからのやさしい眼差しを浴びていた。おかげで陽も射していない背中が温かい。
(「へんな、感じだ。くすぐったい」)
 もぞもぞと背や肩を動かしたくなるのを堪えながら、シオンは歩を運ぶ。
 レベッカも胸飾りを煌めかせながら進み、道中ひしひしと感じたものを口にする。
「露骨ね」
 壁にかけられた宝石類は恐らく、アルナヴェト本人を彩っているものより小振りだ。それでも通路だけを見れば宝石や花、布のガーランド以外の物はなく、アルナヴェトにとっての『余分』なものを排した環境とも言える。
 分岐に分岐を重ねた通路はやがて、行き止まりに辿り着いた。おかしい、と二人して辺りを見回す。
「神像、はまだ先かな」
 シオンの呟きが響く細道は、人ひとり分の幅だ。壁に触れてみるとやすりでもかけたように滑らかだが、これもまた綺麗な道だからかとシオンは目を眇める。もし順路を間違えていたら、ごつごつした砂岩に衣服や肌をこすりつけながら進むはめになったのだろうか。
 先陣を切るのも容易ではないと、彼が小さく息を吐いたときだった。
 何気なく手で押した、重たそうな壁掛け布の向こう――屈めばくぐれる大きさの通り道に気づく。シオンはそろりと布をめくってみた。
「きっと、もっとこの奥にある、はず。後から来る人のために、布……外しておくね」
 布を剥がして畳んだシオンに続いて、レベッカも深呼吸をした後に歩き出す。
「ええ、進みましょう。偽りを滅ぼしに」
 胸裡で疼く、清浄なる神仕えの記憶を振り払って。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【隔離眼】がLV4になった!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

アッシュ・シレスティアル
心情
この事件もそろそろ終盤だな。
このままアルナヴェトに行ってもいいがここは堅実に神像の破壊をこなすとするか

神像破壊
「逃がすかよ!」
とりあえず逃げるアルナヴェトを追うために翼を用いた飛翔で群衆を抜けて神殿に入る。
「そういえば神像の破壊がまだできてなかったな、奴の好きな物…宝石とかが飾られた道を行けばいいんだな。」
そう呟きながら進んで神像のある場所へと向かう
「よし、これが話にあった神像だな。」
「て事で…爆ぜろ、ブーストスマッシュ!」
「これで万全の状態で奴に挑めそうだな。」

※アドリブ歓迎


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
何とか信仰は崩せたか、像の破壊もしておいて損はないな
こういう時の爆弾だ、綺麗に粉砕と行こう

【行動】使用技能:発明、情報収集、看破、計略、投擲、早業、臨機応変
最初は敵の方へ行く仲間に遠隔操作できるブザーを渡しておく
プラチナチケットの効果を使い侵入
敵が好む者を知らないと迷うという事は綺麗な物が飾られている可能性が高い
宝石などがある道を選んで進んで神像の所へ向かう
神像のある場所に着いたらパラドクスの爆弾を幾つか投擲
像に張り付いたのを確認したら仲間に離れて欲しい事を伝える

像を破壊したらブザーを遠隔操作して鳴らし伝える


シエル・エンフィールド
本体と戦われる方の一助になりますよう、確実に破壊させていただきましょう。

神像は神殿に…と伺いましたので。
止められるようなら、お供え物をしに来たと…朝方見つけた砂の涙を見せて。
(供える気は毛頭ありませんけれど)

道行きは綺麗なほう…でしたっけ。
もし先行されてる方を見つけたら迷うのは嫌ですしご一緒したいところ。
しかしまぁ…宝石自体に罪はありませんが上辺を飾るためと思うと悪趣味ではありますね。

辿り着いたらサモンデバイスから鴉の姿をしたアークデーモンを召喚。
頼りたくはありませんが…今は置いておきましょう。
あの神像、全力で食い散らかしてください。

【連携やアドリブはお任せいたします】


冰室・冷桜
仕込みは上々、舞台は整いました、と
そんな感じかしらね。んじゃ、アタシもお仕事の続きと行きましょうか

お供え物ってーことで、街で調達した綺麗な石で飾られた首飾りを持って、小神殿へ
これをお供えしたいんですぅってな感じで【友達催眠】発動しながら、中へ入りましょ
んで、仕入れた話通りなら宝石や石とかで綺麗に飾られた道が神像に繋がっている……はず
【過去視の道案内】で一応確認しながら進むわね。街の人らの話通りなら日常的にお祈りとかお供えしてる人が来てる筈だもの

んで、無事についたらだいふく召喚
アタシが部屋の外で見張りをしている内に、はでーにぶっ壊してもらいましょう


フェリシティ・マーノット
「尻尾巻いて逃げよった。後は神像を壊して狩るだけやな」
なるべく一般人が怪我せんようにやったな。
人命第一や。

服はさっきの小綺麗な格好で
綺麗な街のものは街の花でいけるやろか。
炭と灰をハンカチに包んで隠し持っとく。

綺麗なものが飾ってある道…宝石とか花の道が正解やろな。
神像のあるとこまで行けたら
関係者っぽく人払いを試みるで。
【プラチナチケット】
「旅の商人のロバが暴れ出して
近くで逃げ回ってるそうや。
神殿の前は積み荷の炭が落ちてて汚れてるし(炭を見せる)
早くロバを捕まえて
掃除しないとアルナヴェト様がカンカンや。
皆もお参り済んだら早く帰るんやで」【演技】

他の仲間の邪魔はしない。
連携・アドリブ歓迎


 鮮やかな空色の翼で神殿までの道程を翔けてきたアッシュ・シレスティアル(蒼き疾風の復讐者・g01219)は、内部の窮屈さに目を瞠った。
(「ここからいよいよ終盤だな。長いようであっという間だった。それにしても……」)
 陽から遠ざかってゆくばかりの神殿内は、こびりつく砂のざらつきを感じる。指や肩、髪に触れるたびさらさらと唄う砂塵は、恐らく神殿の天井や壁から降ってきたもの。道の狭さもあって息苦しいとさえ感じる。それぐらい、内部では異様な空気が漂っていた。
 少し後ろでは、花の茎をつまみながらくるくると回して、フェリシティ・マーノット(ラココット・g03901)が息をつく。
「見事な逃げっぷりやったなあ。尻尾巻くってあんな感じなんやな」
 どうにも情けない姿だったと、思い返す。街の仕組みをも好みに築き上げた狡猾さは大したものだが、結局ディアボロスに言い負かされて脱兎した辺り小悪党じみていて、フェリシティは笑みを湛えた唇を引き結ぶ。
 すると、仲間それぞれの動きを把握した冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)が、おかげで仕込みは上々、と首肯した。
「舞台は整いました、と。そんな感じかしら」
 小さな宝石の装飾を手で遊ばせつつ、冷桜も進む。
「んで、このゆとりのない神殿でお相手さんは千秋楽を迎えるわけね」
「ああ。アルナヴェトに有終の美なんて飾らせないけどな」
 首から提げたゴーグルの位置を整えながら、荒田・誠司(雑草・g00115)もひとつ呟く。
(「何とか信仰は崩せた。これで像も破壊できるはずだ」)
 前を見据え、未来を見つめる誠司の後ろ、随分と星から遠いところへ来てしまったと物思うのはシエル・エンフィールド(はいいろ・g00369)だ。淡くやさしい空を映した髪を揺らし揺らし、少女は壁を眺めた。
「道行きは綺麗なほう……でしたっけ?」
 確認するシエルに、アッシュが頷く。
「そう、奴の好きな物で飾ってある方だな。……話には聞いていたけど、こんな感じなんだな」
 何とはなしにアッシュも左右へ意識を流す。壁に垂らしてある布には、埃こそないが砂塵が薄ら積もっていて、ほんのり金の光を帯びて見えた。各所に燈された灯りの色を取り込んでいるのだろう。
 布飾りを担った宝石もあれば、紐により吊された鉱石や花もあり、壁面はたいへん賑やかだ。
「ほんま宝石も花も綺麗に揃っとるなあ。神官たちが手入れしとるんやろか」
 フェリシティは人々のマメさに感心を示した。入り組んだ通路を日々行き来し、掃除をして花に水も与えていると思うと、神職の苦労が偲ばれる。しかも信仰対象はクロノヴェーダ。覚える心境もより複雑になってしまう。
 そこでふと、冷桜が声をあげる。
「ついでだから、道案内してもらって確実性を高めましょ」
 冷桜はそう云うと、留まる過去視の力を頼った。街の人による礼拝を常としている神殿だ。人影はすぐに浮かび上がり、拝むような姿勢のまま神殿の奥へ奥へと歩んでいく。とりあえず今の道で間違いはないと判り、ディアボロスたちの足も速くなる。
 そんな彼らを咎める神官もいない。
「友達催眠にプラチナチケット……効果抜群だな」
 誠司が思わず唸る。重ねに重ねただけあって、神官らの愛想も良かった。神官の数はそう多くないが、探索中にすれ違うことは幾度もあった。対策が無かったら、進行が滞っていた可能性も高い。培ってきたものと銘々の行動が繋がった結果、今現在に至っているのだ。
 狭まった通路を抜け、奥へ続く穴を潜れば、そこには一人の神官が佇んでいた。彼が背にしているのは扉だ。ディアボロスたちは顔を見合わせて頷き合う――扉の向こうに在るものを想像しながら。
「神官さん、砂の涙をお持ちしました」
 シエルが恭しく一礼してみせると、おお、と感嘆の声が神官から返る。
「わざわざ砂の原からお持ち頂けるとは、我らが神も喜ばれることでしょう」
 神殿内で務めを果たしている彼の反応も、この上なくまろやかだ。だからシエルもそっと連ねる。
「お祈りするのであれば神像にお供えを、と伺いましたので」
「なんと尊い精神でしょう。この扉をくぐれば神の間です。皆様、どうぞごゆるりと」
 ありもしないアルナヴェトへの信心をシエルたちから感じとった神官は、満足げに告げると道をあけた。神官へ礼を述べ、シエルたちは先へ急ぐ。押した扉は重たく、いかにも重要な部屋であると予感させた。
 そして『神の間』と呼ばれたそこへ入り、ディアボロスたちは唖然となる。
 後ろで戸が閉まった音を聞く頃になって漸く、空間の異様さにそれぞれ溜息を零す。部屋の奥、祭壇めいた砂岩の上に置かれたアルナヴェト像。その像を包み込むように壁や天井で輝く満点の星は、綺麗な石でできていた。
「……宝石自体に罪はありませんが」
 四辺を見回したシエルが、難しげな顔をする。
「上辺を飾るためと思うと、悪趣味ではありますね」
「……本当にな」
 誠司も額を押さえてしまう。アルナヴェトとやらは、とにかく宝石やら何やらに囲まれていないと気が済まないらしい。そう再認識したところで、あっ、と声を発したアッシュが祭壇の奥を目で示す。
 神官たちと、そして祭壇で誇らしげに笑う神像の後ろから、ディアボロスたちへあっかんべをしたアルナヴェトが、ささっと引っ込んでいく。それを爛々と輝くアッシュの金の瞳は見過ごさなかったのだ。
「っ、あいつ……!」
「俺たちが追う、神像は任せた」
 数名の仲間がアルナヴェトの追走を試みた瞬間。
「任せとき!」
 フェリシティが動く。警備と思しき神官たちが行く手を阻まぬよう、踏み出した彼女が告げたのは。
「ちょお聞いてや、旅の商人のロバが暴れ出して、近くで逃げ回ってるんやて」
 すると神官たちが「本当か!?」と瞬ぐ。特別ディアボロスを警戒もしていない彼らだ。慌てた素振りのフェリシティの話を、前のめりで聞き始める。こくこくと頷きながら、フェリシティは神殿の前で起きた事態を説明した。積み荷が崩れたのもあり、相当汚れてしまっていると。
「ロバを捕まえるのに人手も取られとって! 掃除しないとアルナヴェト様がカンカンや」
「それはいかんな、教えてくれて感謝する!」
 警備を任されていたはずの神官たちは、これっぽっちも疑わず部屋を出て行った。
「人払い終了や。後は神像を壊して狩るだけやな」
「ああ、木っ端微塵にして、力を一切与えないようにするか」
 腕まくりでやる気を見せたフェリシティに、小さく笑って誠司も乗る。
(「こういう時の爆弾だ、綺麗に粉砕と行こう」)
 実に活き活きした面差しで、吸着爆弾を投げた。
 では、とシエルもサモンデバイスを取り出し、アークデーモンを喚んだ。
「あの神像、全力で食い散らかしてください」
 シエルの一言を受けてアークデーモンが羽ばたき、冷桜もメーラーデーモンのだいふくを召喚して。
「んじゃ、アタシもお仕事の続きと行きましょうか。だいふく、ゴー!」
 電槍片手に、だいふくが像へ突っ込んでいく。
 そこで誠司が、タイミングを合わせるため時を数えだす。
「参、弐、壱!」
 零は口に出さなかった。
 その瞬間、飛び上がっていたアッシュも、ぐっと拳を握り込み、像へと滑空する。
「て事で……爆ぜろ、ブーストスマッシュ!」
 各自のパラドクスが華麗に、それこそ綺麗にアルナヴェトの像へと吸い込まれていき、そして像は砕けた。ディアボロスたちの願い通り、跡形もなく。
「これで……本体と戦う際の一助になるのですね」
 シエルがほっと胸を撫で下ろせば、仲間たちも首肯を交わして。
「万全の状態で奴に挑めそうだな」
 像の破壊を見届けたアッシュの一言を受け、誠司も皆と目線を重ねる。
「よし、先行した仲間に報せるぞ」
 こうして彼らは祭壇の奥、砂色の木戸の向こう側を目指した。

 そこは、宝石で飾られた『神の間』よりも、遥かに狂気的な世界。
 くすんだ砂のにおいが満ち、生物の息吹すら感じられない広々とした空間。
 幽閉され続けた宝石や金が地面を覆い尽くし、無感情に来訪者たちを見上げている、そんな場所だった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】がLV2になった!
【光学迷彩】がLV2になった!
【友達催眠】がLV5になった!
【罪縛りの鎖】がLV2になった!
【プラチナチケット】がLV5になった!
効果2【アヴォイド】がLV4になった!
【ロストエナジー】がLV4になった!

甲斐・司
瑚雛・凛櫻(g00518)とコンビ
凛櫻にはぶっきらぼう&名前は呼ばない

「さて、そろそろ悪い神サマにはご退場願おうか!」

アイツ(凛櫻)のハッキングが終わるまで邪魔をさせまいと守る。
ハッキングで敵の存在が曖昧になったら、拾い集めていた『砂の涙』をバラ撒いて、敵の意識を惹きつける。

後は敵の本質、『信仰と輝き』を集めた杖を打ち砕き、神殺士(かみごろし)の名の下に斬り伏せる!

「『砂の涙』に気を取られるんなら、住民の涙も気にかければ良かったのにな」

そんな事にも気付かない偽りの神の化身(アヴァタール)を哀れに思いつつ、ハッキングを頑張ったアイツの頭に手を伸ばして、わしゃわしゃと。

まあ、頑張ったんじゃないか?


瑚雛・凛櫻
甲斐司(g00131)くんと参加
彼の塩対応には慣れてる

いよいよボス戦の開始ね
ちょっと時間掛かるかもしれないけれどハッキングをして神様の自我を歪ませるわ(自分でも警戒網を敷く為にザクッと梅花話譚を地面に刺して警戒態勢を補助
「良かったわね。電脳の海は宝石のように綺麗よ。――沈みゆく世界にさようなら」

エンターを押してたら後は彼へバトンタッチ
「ハッキングが終わったわ!司くん、後は任せたわよ!!」

唐突に頭を撫でられて驚いたけれど、きっと他の人にもやってる事なのよね
平常心よ、私…
「……ま、まぁ…これ位は当然よ。アナタこそ…―いえ、なんでもないわ。お疲れ様」
『素敵だった』と言う言葉を飲み込んで、労いの言葉を


「さて、そろそろ悪い神サマにはご退場願おうか!」
 身体も充分解れた甲斐・司(神殺士・g00131)のまなこで、黒が爛々と輝く。
「だぁれが悪い神様じゃ! 不敬にも程があるぞ」
 目を吊り上げたアルナヴェトが司を追走し、司は司で「悪いものは悪いだろ」などと煽りながら、部屋中を駆け回る。
 その間に愛らしい仕込み傘を地面へ突き立てた瑚雛・凛櫻(滅びの箱庭、綻びの記憶・g00518)が、深く息を吸い込んだ。
(「お願い司くん……!」)
 声には出さず、眼差しだけで司を追う。
 そのとき、傘を伝った凛櫻のパラドクスによって、アルナヴェトの築きあげた綺麗な光景が崩れ出す。みぎゃっ、と悲鳴を挙げたアルナヴェトは頭を押さえ込んだ。
「良かったわね、あなたの好きな綺麗なものだらけの世界で眠りなさい」
 沈みゆく世界に、さようならを。
 ここはいわば、金銀財宝を溜め込んだ宝物庫。所狭しと敷き詰められた綺麗なものが乱れ、『綺麗ではなくなる』なんて、アルナヴェトにとっては正に楽園の崩壊を意味する。凛櫻が靴先で足元の宝箱をつついてみれば、簡単に転がってしまう。綺麗なものを収集し、身につけていた割に管理は杜撰だったらしく、凛櫻はため息をつく。
(「ちゃんと扱わないと、かわいそうじゃないの」)
 自分自身のことだけは、随分綺麗に飾っているのに。そう思わずにいられない。
「みゃ、ぐぐぐ……よくもやってくれたのう!」
 凛櫻のパラドクスを真っ向から受けたアルナヴェトは、くらくらした頭で叫ばずにいられなかった。そして矢継ぎ早、長くて白い耳を怒りで震わせて神罰を落とす。異端者を裁く輝きに撃たれ、痛みが走りながらも凛櫻は口を大きく開いた。
「終わったわ! 司くん、後は任せたわよ!!」
 攻撃のバトンを、彼へ渡した。
「……よし!」
 すぐさま反応した司が、アルナヴェトの眼前で『砂の涙』を撒き散らす。
 アルナヴェトが集めに集めた宝石や鉱石と同様、砂の涙も美しく、そして何よりこの空間で最も新鮮な輝きだ。陽射しから遠ざけられ、閉じ込められていた周囲の『綺麗なもの』たちに比べ、拾って間もない砂の涙は、非常に艶やかで。
「みゃふ!! ぴっかぴかは余のモノ!」
 アルナヴェトが食いつく。ぴょおんと跳ねた白兎がきらきらの中へ飛び込めば、すかさず司が得物を構えて。
「逃げ場も隠れる所も、もうないぞ」
 力強く踏み込むや否や、壊れやすくて美しいものばかりをかき集めようとしたクロノヴェーダ――アルナヴェトをその場へ切り伏せる。情けない悲鳴をあげながら、アルナヴェトは収集物たちが冷たく見上げてくる床へ、べたんと顔から突っ込む。
 司の一太刀があまりに勢い良かった結果だ。
「……『砂の涙』に気を取られるんなら、住民の涙も気にかければ良いのにな」
 鼻か額かはわからぬが痛そうにさする神の有り様を見下ろして、司が呟く。
「うぅ、なんという一撃……なればこそ仕返しじゃ!」
 アルナヴェトの云う神罰を浴びながらも、哀れだ、と吐息へ混じらせて。
 そこで司はふと、偶然近くに立ったばかりの凛櫻を振り返る。
 ぬっと伸びてきた司の手は、何の前触れもなく凛櫻の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「……まあ、その。頑張ったんじゃないか?」
 両目を真ん丸にさせた凛櫻の心持ちなど、司には知るよしもなく。
(「へ……平常心よ、私………きっと他の人にもやってる。みんなにやってることなの」)
 おまじないのように頭の中で繰り返しながら、えへんと言わんばかりに胸を張る。
「ま、まぁほら? これ位は当然よ。アナタこそ……いえ、なんでも。なんでもないわ」
 素敵だった、だなんて口が裂けても言えそうになくてぐっと喉奥へと飲み込むと。
「……何なのじゃ、こやつら」
 痛みを振り払い終えたアルナヴェトが、二人の様相を怪訝そうに見つめていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV5になった!

中々・時音
頭が良い人達が作ってくれたチャンス、絶対に活かすアル!」
像の捜索とか全然分からないの…(WIZを捨てたSPD特化型破軍拳士の発言です)

「というわけで先手必勝! 死ねアルー!!」
POW勝負やWIZ勝負に持ち込まれた時点で何もできずに撃退されそうだから必死です!
敵がどこにいても真正面から突っ込んで、ただし攻撃直前にだけ全力で加速しての不意打ちを狙います
破軍衝の衝撃波か、グラップルによるパンチで毛並みにダメージを与えられたら十分かなー

「あわわ、効いてな……あぅっ」
POWやWIZが得意な人にガードして貰えたら嬉しいです
私もSPDが苦手な人のガードをしたいです

アドリブ・連携・苦戦描写OK!


月宮・宵
神像を壊す方の人手は足りそうだな
ひと足先にアルナヴェトの方へ向かうか
もし一般人がいるなら先に避難させておきたい

仲間からブザーを受け取り、アルナヴェトの後を追う
もし神殿内に人がいる場合、街での騒ぎを知っているなら率直に逃げるように伝え、騒ぎを知らず信仰しているなら街で騒ぎがあり、信仰心を図るために多くの貢物か宝石をアルナヴェトは欲しているようだと言って神殿から遠ざけよう

「騒ぎを知っているなら出来るだけ多くの人を連れて神殿から出ろ!」
「アルナヴェト様のご機嫌を損ねたくないなら早く貢物を用意した方がいい」

戦いになるなら全力でぶつかるまでだ

・アドリブ、連携歓迎(マイナス行動は避ける)
・残留効果使用


クレイ・ロックウェル
「追い詰めたとはいえ不利を悟れば何をしでかすかわからんからな」
【忍び足】【偵察】
誠司から遠隔操作ブザーを預かってから
アルナヴェトの元へ向かう
可能なら【使い魔使役】で小動物を使役し
神像(と家主(g03901)の様子を確認する

神像破壊までは相手に気付かれないように様子を見る

戦いが始まったなら…戦うべきだな
神像破壊前はこちらからの攻撃は控える
一般人がいればできるだけ逃がしたい

俺以外の仲間をディフェンスする

神像破壊後は自分と相手の特性を考慮して戦う
可能な限り連携・援護を行う
自分の負傷は厭わないが
仲間が不利になるような行動はしない

アドリブ・連携歓迎
ネメシスモード:黒い機械の体
身長2m程度の全身サイボーグ


フェリシティ・マーノット
「あっかんべーとかしよったな。
あの金ぴか兎、ただじゃすまさへん」
先に行った連中も心配やし急いで突入や。
うちの居候(g03894)が大怪我でもしてたら
ことこと煮込んで兎鍋にしたる(※実際にはしません)

使用可能やったら【エアライド】を使って動く。
逃げられへんように他の仲間とは別の方向から
接近戦を仕掛ける【グラップル】
そんで【ヒロイックシンフォニー】で攻撃や。
(相手のパラドクスで熱狂的信者が出て来ても
できるだけ不殺の方針で無力化を頑張りたいとこや)

少々怪我しても構わへん。
なるべく近くで見ときたい。
居候や仲間がバシっと決めるとことか
金ぴか兎がやられるとことか
思い出になるはずやから。

連携・アドリブ歓迎


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
あっかんべーとかガキかよ
神像は壊させてもらったぞ、観念しろって言っても逃がさないがな
援護するぜ、動きを止めておく

【行動】使用技能:罠使い、忍耐力、捕縛、計略、発明、情報収集、看破、早業、斬撃、電撃使い、臨機応変、残留効果2の活用できる物全て
俺は主に援護を主流に行う
呼び出された親衛隊の攻撃を忍耐力で防ぎつつ、足元にこっそりと罠を仕掛ける
仕掛けるのは踏むと動く物を凍らせる水を出すものだ、申し訳ないがしばらく凍っていてもらおう
敵が踏めば一番いいが、踏まなくても罠に注意して大きく動かなくなるはず

必要に応じてワイヤーやアタッチメント・スラッシュ、電撃で攻撃する


 握り締めた拳から熱が巡るのを、クレイ・ロックウェル(アーベントロート・g03894)は感じつつあった。いよいよ決着のとき。迎える対峙に心の何処かが高ぶるのは、きっと街の人たちの笑顔や生き方を思い起こすから。
 神像の破壊が通達されたことで、月宮・宵(妖狐の王墓守護者・g03926)も、よし、と小さく拳を握る。任せて良かったと胸を撫で下ろし、そこで彼は知った。心なしか指先が冷たい。だから緊張を孕んだ己の手をさすり、そっと思う。
(「そう、だよな。戦いになるんだ。これは……戦いだ」)
 アルナヴェトがクロノヴェーダの中でも、アヴァタール級と呼ばれる格なのは宵も知っている。更にここは、かのアルナヴェトの神殿。広場と違い、戦いに専念できる空間だ。それはつまり、敵の攻勢も熾烈になるという証でもあって。
(「今回の首魁との決戦。……気合い、入れていくぞ!」)
 指先へ体温が戻るより先に、呼吸を整えた。
 宵の抱く迷いに感づき、クレイがそっと首肯を添える。
(「確かに追い詰めた。とはいえ、何をしでかすかわからんからな」)
 気持ちを入れ直さねばと、俯きかけの顔を上げた。
 敵が策を講じようと変わらないのは、ただひとつ。悪しきクロノヴェーダを打ち破り、この街へ正常なる気をもたらすために、自分たちは此処にいるという事実だ。手の届くところまで、解決の時が迫っている。それが分かるからこそ、クレイから慎重さは拭えない。
「みんなすごいアル……」
 銘々悩む様相さえも頼もしいと感じ、中々・時音(自称美貌の破軍拳士・g03098)はぺちんと頬を叩いて、気合いを入れ直す。神殿の探索がスムーズに進んだのも、アルナヴェトを追い詰めたのだって仲間たちの存在があったから。
 それらを痛いほど理解しているから、時音の双眸は輝きを失わない。この空間を埋め尽くす宝石たちよりもずっと眩しいものを。
(「頭の良い人達が作ってくれたチャンス、絶対に活かすアル!」)
 意欲は限界まで充填済み。解した身体の準備も万端。
 あとは自分にできることを成し遂げるだけだと、少女はアルナヴェトを視界へ入れる。
「あれが、そうアルか」
 これまでの報告にもあった通り、白い兎のようなクロノヴェーダは過剰なほど着飾っていた。種々の宝石は、灯りの少ないこの一室でも清かに囁く。けれどどことなく元気がないと時音は思う。宝石に明るくはないが、オーラで察してしまう。
 同じ所感を抱いた宵は、任せてくれと一声をあげ、じりじりと白兎へ近寄る。
「さあ、ここから何処へ逃げる?」
 宵が尋ねると、ぐぬぬぬとアルナヴェトが呻く。
「逃げられぬならコロコロするまでじゃ!」
 飛び掛かってきたアルナヴェトの勢いを読み、宵は横へ跳んで素早く躱す。
 むぎぎぎと悔しがって歯を噛み締めた兎の元へ、後続の仲間たがやってきた。
「随分ガキみたいな真似するんだな」
 あっかんべーをした張本人アルナヴェトを鼻で笑ったのは、荒田・誠司(雑草・g00115)だ。駆けつけた彼の表情は、散々街で遊んでは逃げたクロノヴェーダへの憤りに満ちている。そして軽く仲間へ手を掲げてみせてから、誠司はアルナヴェトへ向けて声を張る。
「神像は壊させてもらったぞ」
「みゃふ!? 壊れ……? そ、そんなはずなかろう!」
 知らせた瞬間からアルナヴェトの顔色が悪くなる。
「民の信仰心は決して揺らがぬぞ!」
「ま、思うだけなら自由だがな」
 懲りる素振りを出さないアルナヴェトに、誠司もわかりやすくため息をついてみせた。もっともこれぐらいで降参されたところで、許すつもりもないのだが。
「街の人たちからの信仰心はまだあると思うか、アルナヴェト様」
 わざとらしく突きつけたのは宵だ。すらりと伸びた長身で、魔骸の刃を創りあげながら。
 ひぃ、と声にすら成らぬ悲鳴をアルナヴェトが零した直後、宵はかつて喰らったモノの刃を解き放つ。
「これが、俺の……全力だッ!!」
 ブン、と風を切る音が響き、宵からアルナヴェトへ凶刃が贈られる。宝石などとは程遠い一閃を描けば、アルナヴェトとて平静さを保てない。
「ししし親衛隊! 親衛隊よ来たれ!」
 耳をつんざく指笛が鳴り、聞き付けた信者たちが呼集された。しかし彼らの姿は見るからに弱々しい。街での信仰の喪失、神像の破壊――ディアボロスたちの築きあげてきた道筋によって、アルナヴェト自身が弱体化した点も影響していて。
「なっ!? これはいったい……わ、我らが神を守るぞ!」
「何があったかしらんが、罪深き者らを排除せよ!」
 信心深い神官が数名、困惑しながらも近づいてくる。いずれも街で観かけなかった風貌で、宵は意識せず目を眇めた。
(「騒ぎのとき神殿内にいた人たちなのか……!」)
 騒ぎを知らず、神殿内に留まっていた彼らの突撃を、宵はどうにかいなす。
 突如として賑わった部屋の入口で、めらめらとフェリシティ・マーノット(ラココット・g03901)の双眸が燃えていた。手の平へ打ち付ける握り拳にも俄然力が入る。
「あっかんべーしよったな。あの金ぴか兎、ただじゃすまさへん」
 言葉通り敵を蹴破る勢いで戦場へ飛び込んだフェリシティは、先行した仲間の状況を一目見て、ほっとする。
(「心配しとったけどさすが……強いんやな」)
 濡れた眼差しの先、居候の姿を見かけたことでスイッチが入ったのか、フェリシティの面差しから、急ぎ駆けつけたときの不安の色は、薄れていた。
 思わぬタイミングで間に合った家主たちの登場に、クレイもさすがに目を瞠る。ほんの少しだけ。神像への対処が早かったのもまた、街での情報収集が実を結んだ証だろう。
 機を窺う彼らの中、時音は突破口をつくるべく、ドが付くほど真正面から立ち向かっていく。みゃふふ、と跳ねる兎が露骨に彼女を蔑んだ眼差しで射ったとて、変わらない。時音はいつだって時音のまま、世界を駆るのだ。
「というわけで先手必勝! 死ねアルー!!」
「あまあまの甘なのじゃ!」
 挨拶代わりのパンチは、他でもないアルナヴェトによって撥ねられた。
「あわわ、もしかして効いてな……あぅっ」
 神の輝きが、彼女を射抜こうとするも、咄嗟にクレイが時音の前へ飛びだした。
 反射的に腕で顔を隠そうとした時音は直後、目の前に広がったクレイの背を知る。庇われたとわかり「おおっ」と感激を吐息へ乗せた。
「ありがとうアル! ワタシも負けていられないよ!」
 常時やる気へと全力で傾く時音の心は、時間が経とうとも彼女自身を奮い立たせ、そして動き出す。
 その間、フェリシティは転がっていた空の宝箱を足場に、舞う。宙空を蹴る彼女は、撓った木のようにやわらかな弧を描き、かの憎き白兎へと迫った。それも皆と違う方角から攻め立てたため、ほんの僅か、アルナヴェトの反応が遅れて。
 だから彼女は、むんずと兎の耳をわし掴む。
「これは街の人たちの分!」
「い、痛……みゃぎゃぁ!?」
 雄々しき者を讃える曲が奏でられ、アルナヴェトは浮かび上がった英雄から罰を受ける。フェリシティが兎を掴んでいたおかげで、英雄の鮮やかな一撃は華麗に、そして見事にアルナヴェトを叩いた。そして。破砕された数々の飾りから逃げおおせた石たちが、アルナヴェトの元を去っていく。
「よ、よ、余の……余のキラキラが!」
「云うとくけど街の人の分は、あだまだあるんやから……」
 覚悟しいや、とフェリシティの眼光がアルナヴェトを竦ませる。
 それでも神罰の輝きを燈すのは、忘れない。迸る光はまるでいかずちのごとくフェリシティを襲った。けほ、と咳ばらいと一緒に痛みを吐き出したフェリシティは、度重なる猛攻によりすっかり汚れてしまったアルナヴェトをじいと見据えて。
「まーだどエラいことするんやったら、ことこと煮込んで兎鍋にしたる」
「鍋じゃと!?」
 いつ捌かれやしないかと、アルナヴェトはフェリシティの一挙手一投足から目が離せなくなった。
 そこですかさず誠司が仕掛けたのは、凍水の導き。宝石やら鉱石やらの色彩に溢れたこの一室で、足元を寒々しく染め上げるパラドクスだ。
「援護するぜ」
 キラキラした宝石の山に埋もれる道をアルナヴェトは好むだろうが、誠司には、そんな慈悲を敵へ与える予定など更々ない。
「観念しろ。って言っても逃がさないがな」
 慌てふためく白兎の足取りを重くさせれば、苦痛からもがく様子も激しくなった。ぐむむと言葉で表しがたい掠れ声を発しながら、アルナヴェトは纏わり付く痛みを、凍てつく感覚を払い落とそうとする。
「い、いったい何をしたのじゃ! こんなにも跳ねて駆け回るのが愛らしい余に!」
「自己評価の高さだけは買ってやる。だが……」
 口の減らないアルナヴェトをキッと睨みつけて、誠司は紡ぐ。
「貧民街の子どもたちの歩みを奪ったのが誰か、忘れていないよな?」
 自らの足で立ち、歩き、駆け回り、明日へ向けて生きようとした人々。その足を奪い、貧民街へ閉じ込めたのは他でもないアルナヴェトで。
「うるさいハエどもじゃ! ええい、突撃せよ!」
 びしっと誠司を指差したアルナヴェトに従い、数人の神官が叫びながら駆け出す。
 ディアボロスでもなければ戦士でもない一般人の神官たちの脇をすり抜けて、時音が素早く構え直す。話が通じそうにないのはクロノヴェーダゆえか。綺麗なものへのこだわり方から異常さを感じとり、時音はじりじりと踵で床をすりながら、良い塩梅の距離をつくる。
 そして、すうと細長く空気を吸い込み――地を蹴った。
「これがワタシの破! 軍! 衝っ!」
 岩だろうと砂壁だろうと突き破らんばかりのパンチを繰り出せば、アルナヴェトが衝撃波にまで呑まれてふらつく。足取りが妙に覚束ない。
「……アルナヴェト」
 この街で崇められていた神の名を呼び、クレイはそっと目線を押し上げる。
「クロノヴェーダたる者に、更正の機は訪れない。決して」
 云うが早いか、これまで培ってきた感情の力を解放する。
 復讐者(ディアボロス)が復讐神(ネメシス)へ変異した瞬間だった。
 堅くも穏やかなクレイの輪郭、形でさえも深いくろがねのボディに成る。夜よりも底のない黒の機械生命体――巨躯も相まってクレイが醸し出す物々しさは、この異質な空間にとっての恐ろしい影を伸ばす。金も宝石も飲み込むように覆いかぶさったクレイの影。
 しかし進軍やまぬクレイ自身は、翳した銃剣に光が滑る様も目撃せず、アルナヴェトへ迫撃した。鈍い音が鳴り響き、彼の一手はアルナヴェトの身につけていた宝石たちを、主から切り離す。飾りという飾りの紐がちぎれ、砕けた。
 それだけではない。
「おの、れぇ……」
 仲間たちの気持ちも含んだ刃は、疾うに穢れていた神を――アルナヴェトの命を、砕いた。
「余は、余は……綺麗なのじゃ、お主らと……ちが……ッ」
 恨み言だけが宝石たちの上へ滴り、偽神はもう二度と動かなくなった。
 一息ついたばかりのクレイの背が、思い切り叩かれる。振り返ればフェリシティが親指をぐっと突き出して笑っていて。彼女の清々しい面を認めたクレイは、終わったのだと、漸く重たかった臉を閉ざす。
 するとそこで宵が瞬いだ。
「ん? 外から声が……聞こえてきたような。気の所為か?」
 こんな神殿の奥にまで届くのも不思議な話で、首を傾げた宵へ「ああ」と誠司が思い出したように告げる。
「どうやら事情を知らなかった神官たちにも、行き渡ったみたいだな」
 何を、と戦っていた彼らが改めて問う必要もない。淀んでいた空気も消え、戸という戸のすべてが開かれた神殿内へ、風が吹き込む。そこに乗って届くのは、悪神の行いを暴いたディアボロスたちが再び姿を現すときを、今か今かと待ち望む声。
 砂上の街を侵していたクロノヴェーダの面影も、ここにはもう必要ない。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】がLV2になった!
【活性治癒】がLV4になった!
【水面歩行】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV6になった!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV5になった!
【ドレイン】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV6になった!

最終結果:成功

完成日2021年09月18日

アヴァタールの小神殿

 アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)が、自らをたたえる為の小神殿を作らせています。
 小神殿には、👿を祀る神像があり、その神像に定期的に生贄を捧げる事で、ボス敵の戦闘力が大きく増大しているようです。
 この小神殿のある街に潜入し、神像を破壊してボス敵を撃破してください。
 なお、神像を破壊するには、街の住民の👿への信仰心を下げる必要があるようです。

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#獣神王朝エジプト
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#アヴァタールの小神殿


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選択肢『クロノヴェーダとの対話』のルール

 事件の首魁であるアヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と会話を行います(状況によっては、トループス級(👾)との会話も可能です)。
 戦闘を行わず会話に専念する事になりますが、必要な情報が得られるなど、後の行動が有利になる場合があります。
 問答無用で戦闘を行う場合は、この選択肢を無視しても問題ありません。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『👿または👾で出現する敵との会話に専念する。戦闘行動は行わない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『街に潜入して情報を得る』のルール

 街に潜入して必要な情報を得ます。
 情報は必ずしも必要ではありませんが、情報がある事で、後の行動の成功率が大きく上昇する場合があります。
 潜入する街の情報や、必要とする情報の種類、情報を得る為のヒントなどは、オープニング及びリプレイを参照してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『絶景を観光しよう』のルール

 パラドクストレインで現地に向かった後、事件が発生するまでの間、周囲の絶景を観光します。
 気の合った仲間や恋人・家族と、絶景を刊行してみるのも良いかもしれません。
 詳細は、オープニングの情報を確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】他の選択肢のリプレイが一度でも執筆されると、マスターはこの選択肢のリプレイを執筆できなくなる。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『【攻略旅団】神への反抗勢力の調査』のルール

 この選択肢は、ディヴィジョン攻略旅団からの依頼によって発生した、【調査・探索】選択肢です。
 獣神王朝エジプトでは、砂漠の民などの異教徒を除き、クロノヴェーダを神と崇めています。
 このクロノヴェーダを信じていない、反抗する人々がいないかどうかを調査する選択肢です。
 一般人に対して、神に対する不満を漏らすなどして、その反応から、信仰に否定的な人がいないかどうか調べていきましょう。
 この選択肢で、信仰に否定的な一般人の情報を得た場合、その情報の精度が上昇します。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『登場人物(NPC)との会話に専念する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『神像の破壊』のルール

 クロノヴェーダの中には『一般人の信仰で戦闘力を強化するクロノオブジェクト』を持つ者が居ます。
 この事件のクロノオブジェクトは、👿の姿を象った神像です。この神像を破壊する事で、👿を弱体化させる事ができるでしょう。
 破壊すべき神像が何処にあるのか、破壊に必要な道具や方法は何かといった情報は、オープニングやリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達しない限り、👿のリプレイでは大成功🔵🔵🔵🔵以上が発生しない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『アルナヴェト』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「カルン・ティミド」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。