全を呑み込む悪意(作者 凪未宇
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#平安鬼妖地獄変  #鬼狩人の武士  #鬼狩人 

 どんよりとした厚い雲が広がり、強く吹き付ける大風がその小さな集落を襲い。朽ちて壊れかけていた堤は、いとも簡単に壊れ、溢れ出でたのは泥水と無数の水妖達。
 瘦せ細った子供の様な体躯に、異様に膨らんだ腹を抱え、緑の水妖は高笑いを上げながら集落に豪雨を招き。逃げ惑う民を見つければ襲い掛かり、その命を奪っていく。
 長い月日を費やし、荒れ地を耕し切り開いた田畑も。古材やムシロで、造り上げた家も。
 彼らの呼ぶ豪雨に襲われ、全てが泥に呑まれて。
 命からがら逃れた人々は何とか近くの小山へと避難するも、待ち受けていたのは黒い影。
 無数の羽と彼らに追い立てられ、動きを奪われ。
 助けを求め手を伸ばす先に見えたのは、この場に不釣り合いな黒馬に腰掛け笠と垂れ衣で顔を隠す女人の姿。
 村人らが纏うボロとは違い、明らかに高貴な者と分かる上等な着物に身を包み。小山の頂より、事の全てを優雅に眺めていた。
 何故こんな所に……。
 そう村人らが疑問を浮かべた時には、その視界は大きく開かれた真っ赤な大蛇の口に埋められていた。

 兼ねてより集落近くを流れる川の上流に、妖怪が棲みついているのは知っていた。
 この地で生まれ他の土地も知らず、移る術も財も無い彼らは此処で生きるしかない。
「この集落には15人の行き場所の無い人が、何とか身を寄せ合って暮らしています。都からは離れてるし、土地も痩せている。それでも彼らが生きていけたのは、豊富な川の資源のおかげなんです」
 新宿グランドターミナルのパラドクストレインの傍らで、スケッチブックに描いた集落の地図を広げ、蒼狐・珠萌(猫狐な天使・g03640)は辛そうな表情を浮かべる。
 この集落の人々は、川の魚と何とか耕すことのできた僅かな田畑で何とか生きていた。
 平安鬼妖地獄変の世は、飢えで亡くなるか、物の怪によって亡くなるか。そんな事態が日常だと言えるほど、厳しい生活を強いられている人々が決して珍しくなかった。
「このディヴィジョンには、そんな鬼や妖怪と戦う武士とかがいるけど必ず現れるわけじゃない。待っていても、願っても、誰も助けてくれないまま。この集落は、妖しの襲撃で消えようとしているんです」
 パラドクストレインのドアが開いた。
「だから、ボクらの力で助けてあげて欲しいんです」

 今回パラドクストレインが到着するのは、事件の起こる前日。
「今まで村に現れることの無かった妖しが、川を下って襲って来るので、それを食い止めてください」
 集落近くの川には、大水対策として古くから築かれていた堤がありましたが、長年の雨風で朽ち放置されています。
 上流に棲んでいる妖しは河童といい水の中で活動することが多く、余程の事が無い限り川から出てくることは無かったのですが、大風で堤が壊れ川の水が溢れるのに便乗して、集落を襲おうとします。
 恐らく堤が壊れなければ、簡単に集落に訪れることは無いでしょう。
 集落が戦場とならないよう、襲撃までの時間を使って堤の修復や、色々な補強をしたり。
 村人達により信用して貰えるよう、彼らの生活を助けてあげるのもいいかもしれません。
 日が変われば、妖し達の襲撃が始まるので、それまでに準備をし迎え撃てるといいかもしれません。
 そこまで説明し、珠萌は表情を険しくした。
「たぶん河童を煽ったのは、この妖しではないかと思われます。既にその妖しは白蛇姫と確認されており、周囲を黒虚天狗に護られているのも判っています」
 白蛇姫は小山の頂より全てを見下ろしており、事態を愉しんでおり。護衛の黒虚天狗が居なくならない限りは、己の手を汚すつもりはないようです。
「高見の見物ってやつだよねぇ、最低……。部下を倒さない限り出てくる気はないようですけど、逆に白蛇姫さえ倒しちゃえば他の妖しは統率を失って逃げていくでしょう」
 上流の河童、そして小山の黒虚天狗と白蛇姫に挟まれた集落の図を最後に、珠萌はスケッチブックを閉じた。

「たった1日だけど、襲撃までのこの1日はとっても大事。この時間で、集落を支援したり、襲撃してくる妖しへの対策を相談することも出来ます」
 少しでも被害を、命を助けられるように何が出来るか。
 選べる手段も敵の数も多いからこそ、チーム毎に別々の車両で相談し合うのも良いかもしれない。
「都の陰陽師はクロノヴェーダの手駒の可能性もある、仮初の希望らしいです。でもボクらは違う、本当の希望になれる。だから何が出来るか精一杯考えて頑張りましょう!」

 暗くなってきた空に、川へと釣りに来ていた士郎と蒼次郎の兄弟は不安を浮かべた。
「兄ちゃん、何だか不気味な空だ。緑のあいつらが出てきそうだ」
「大丈夫だ。ここに現れるあいつらは水から離れた場所には来ないって、おじじも言っていただろ。早くここから離れれば大丈夫」
 そう士郎は弟を促し、桶を見る。
 獲れた魚はほんの3匹。5人兄弟の彼らには到底足りない数だが、天気が崩れてきた以上長居するわけにはいかない。
 ふと目にした堤は、かつてこの地に立派な村があった頃の名残。今ではそれを整備できるような知識も資材も無いので、いつ崩れてもおかしくない程荒れ果てている。
 きっと大丈夫。この前の大風でも、その前の年も、何とか無事に過ごせたのだから。
 そう不安を振り払うよう自分自身に言い聞かせ、水かさの増え始めている川に背を向けた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
4
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【セルフクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【トラップ生成】
3
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【落下耐性】
1
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV5 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV3 / 【アヴォイド】LV1 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

凪未宇
皆様こんにちは、凪です。
平安鬼妖地獄変のパラドクス。都から離れた、小さな集落で起こる妖怪の襲撃事件の依頼になります。

・集落が現場となります。
 小さな畑を囲む3建の建物に、15人の住人が住んでいます。大人はそのうち5人、他は10代以下の子供です。

・河童は川の水が溢れなくても、時間をかけて集落を襲撃しようと下って来ます。
 集落に入り込まれた場合その場が戦場となる為、集落への被害は免れません。

・復興支援が行えるのは前日まで。事件当日は風の強い昼下がりになります。
 護衛の黒虚天狗を無視し、白蛇姫を狙う事も可能ですが、その分複数の妖しから攻撃を受けることになります。
 逆に護衛が攻撃されても、自分に手出しされなければ、白蛇姫は事態を傍観しています。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
80

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


樫谷・都黒
希望を背負う鬼狩人もいない、村の人はたった15人。
さらには村を潰して皆殺し。
腹が膨れるのでしょうか?
何故、この村なのかと興味が湧きますが、今は妖怪退治の準備をしないといけませんね。

支援などはそれほど得意ではありませんが、【活性治癒】にて皆さんが疲れず動けるように支援しましょうか。
あとは協力者が必要ですけど溢れる水の方向を調整して、河童達が出る所を制御できれば良いですかね。

あとは村の人達に水が流れにくい所を教えてもらって、皆さんそちらに避難してもらうように伝えておきましょう。

何故こんな所で暮らしているのかは知りませんけれど、教えてくれる方はいますでしょうかね。


喩・嘉
直接戦いに入る前に準備ができる時間があるのは重畳
無駄にしないように効率的にいこうか

【トラップ生成】で罠をかける
罠といっても、物は使い方次第
川に網籠状の罠をかければ、放っておいても魚がとれるだろう
村人に望まれれば、網籠の形状や作り方も教えてやれる
そうして村人と触れ合う中で、明日は家に籠もって決して外に出ないようにと言い含める
今日たくさん魚をとっておけば、
明日漁をする必要はないだろう?

そうして村人の腹を満たし、
皆で堤や家の修繕を行おうか
他の仲間とも連携して
村人たちにも適宜指示を出して人手を増やせば思うような成果が出せるはず

俺達がいなくなっても、この村が水害に遭わないように


風間・響
うっし、敵がやってくるまでの1日。上手に使わねぇとな!
……つっても、励ますとかそういうのはどーも苦手だからよ、俺は堤の修理の方に回るぜ!

とりあえず、水が流れなきゃいいんだよな?ってことは、色々詰めもんして塞げばいいわけで……うっし、めっちゃ土集めてガッチガチに固めてやるか!

≪鬼神変≫で巨大化した腕を使って、ごっそり土を掘り起こして。できりゃ粘土質っぽいのとかがいいよな?
そーれーを!堤に塗り込んで、【怪力無双】のパワーで圧縮!圧縮!下手なコンクリートとかより硬くなるんじゃね?


命護・凌哉
大変な環境の中でも毎日生きる為に大人子供問わず頑張ってきたんだ、その気持を踏みにじるような悪党は許しちゃおけねえ。

にしてもこの堤の状態ひっでえな!
こんな状態で台風や大雨きたらやばいってレベルじゃねえ、先に何とかすっか!
【高速詠唱】でパラドクスを発動、【セルフクラフト】を展開して堤の補強に努めるぜ!
平安時代にコンクリートは矛盾も甚だしいが堤がぶっ壊れて被害がでかくなるよかマシだマシ!
レジェンドウィザードの魔術だから陰陽術とはまたちょっと違うけどもし見られたら似た奴っつっときゃ大丈夫だろ。

ついでに魚も釣れそうなら釣って【料理】して、それを囲って集落の人から話を聞けるなら聞いてみよう。


那木・遠名
まずは堤の強化と村人の暮らしの改善ね!

五尾の大鋤で堤より少し手前の地面を掘り上げて堤の高さを増すわよ。
更に盛った土を尻尾で固めて、強度も増すようにするわ。
他の強化は別の人にお任せね。
掘った地面の周りには【土壌改良】が発動するか、これで小さかった畑が大きくなるわ!
村人に見てもらって元気を出して欲しいわね!


●只より弱き者
 先日までの暑さは何処へ行ったのか。まだ昼下がりだというのに、どこか肌寒さを感じる程。
 家というよりは納屋と称したほうが相応しい小さな家に。人々も、畑に辛うじて実っている物も、痩せ細り。過酷な環境であるのは誰の目にも明らか。
 集落から川へ向かう道は、道というより獣道に近く。伸びっぱなしの草が、人の足で踏み分けられていなければ分からない程の有様であった。
「何故、ここを狙うのかと興味が湧きますが、今は準備をしないといけませんね」
「うっし、敵がやってくるまでの1日。上手に使わねぇとな!」
 集落の暮らしも気にはなったが、樫谷・都黒(臥し者は独り路に・g00233)の言葉に促されるように、風間・響(一から万屋・g00059)達は、堤のある川の方へと向かう。
 そこへ丁度、川の方から戻って来ていた兄弟が姿を見せた。士郎と蒼次郎だ。
「鬼狩人……?」
「……っと、励ますとかそういうのはどーも苦手だからよ、俺は一足先に修理の方に回るぜ!」
 見知らぬ人達に戸惑いと警戒の色を見せる兄弟の様子に、響は仲間達に説明を任して駆けだした。その背を苦笑交じりに眺めつつ、那木・遠名(魑魅魍魎の主(再出発)・g01355)は、兄弟と目線の高さを合わすようしゃがんだ。
「こんにちは。鬼狩人とは、少し違うかしら。でも、私達はあなた達を助けに来たのよ」
「おいら達を、助ける?」
 不思議そうに呟いた士郎の横で、蒼次郎の腹の虫が盛大に鳴いた。
「まずは腹を満たさないとな。魚を沢山獲ってやろう」
「釣れた魚は、俺が料理してやるな」
 喩・嘉(瑞鳳・g01517)と命護・凌哉(大地の守護者・白黒の竜・g02519)の言葉に、兄弟は腹の虫で応えた。

「ひっでえな!」
 壊れかけの堤を目にするなり、思わずそんな言葉が凌哉の口をついて出た。
「本当にひでぇよな!」
 鬼神変で巨大化させた腕を振るい、ごっそりと土を掘り起こしながら響が同意する。
「こんな状態で台風や大雨きたらやばいってレベルじゃねえ」
「だよなー。とりあえず、水が流れなきゃいいんだよな?」
「パラドクスを発動させて堤の補強に努めるぜ!」
「うっし、めっちゃ土集めてガッチガチに固めてやるか!」
 二人が賑やかに身体を動かし補修作業に勤しむ向こうより、遠名がその五尾を地面に突き立て。
「よいしょー!」
 掛け声と共に五尾の大鋤で掘りあげた土砂を放り、堤に積み上げていく。
 それを、響が鬼神変で力を振るい土を押し固め。更に凌哉がセルフクラフトを展開させ、立方体のコンクリートを組み合わせた壁を作って。
「もし水が溢れる事態になりましたら、あちらに流れるように出来ないでしょうか?」
 パラドクス効果の活性治癒で支援しつつ、都黒は周囲の状態を見ながら助言する。
「どんどん強化するわよ。よいしょー!!」
「圧縮! 圧縮!! これ、コンクリートとかより硬くなるんじゃね?」
「平安時代に矛盾も甚だしいが、堤がぶっ壊れて被害がでかくなるよかマシだマシ!」
 かなり賑やかな補修作業の光景に兄弟達が呆気に取られていると、少し離れた上流の方より嘉が手招きをした。
 そこにはパラドクスの効果によるトラップ生成で、魚に対して張られた網籠状の罠が川にかけられていた。
「物は使い方次第ってな」
 見てごらんと、嘉が引き上げた網籠には既に魚の姿が。
 どうやら向こうで行っている作業の騒ぎから逃げて来ているので、予定より早く罠に掛かってくれているようだ。
「この方法なら、ずっと糸を垂らして待たなくても放っておいても魚が獲れるだろう」
「兄ちゃん、こんなにあったら1匹ずつ食べれるよ!」
「凄い、どうやって。魚が勝手に入っているなんて」
 感動と興味津々といった兄弟に、嘉が丁寧にこの道具の作り方や罠のコツを教えている内に、補修作業も無事に終わったようだ。

 集落に戻った一同は住民達に声をかけ、獲って来た魚を凌哉が調理し振る舞う。
 ただの焼き魚でもごちそうである住民達にとって、料理は驚きと感動の代物。美味しすぎて暫し彼らは言葉を忘れたかのように、食べ続け終いには有り難いと拝む程。
 まさか拝まれるとは思いもしなかった、凌哉は少し困ったように照れた。
「地面がこう盛り上がって、飛んでいったんだ」
 夢中になって蒼次郎は、両親に先程目にした光景を話し説明していた。
「あのぼろを直してくれたのかい?」
 別の家の男が、目を丸くし聞いて来た。
 都黒は小さく頷き、言葉を続ける。
「補修を施しましたが、川が溢れて来た時は、安全な場所へ避難してください」
「雨風の心配ならもうないぜ!」
 安心しろと響が笑顔を見せる。
 仲間と協力して、家も補強も出来る限りのことはした。
「川が溢れない限り、決して外に出ないように。今日これだけ魚を獲ってあれば、暫く漁をする必要はないだろう?」
 嘉が言うように、明日だけでなく彼らにとっては数日の食料が確保できている。
「それから堤を直すのに掘り過ぎちゃったところは、ならしておいたから畑にでも使うといいかしら」
 遠名は土壌改良で、植物が育ちやすい土に変えた地面を披露して見せた。
「これで小さかった畑も大きくできるわね」
 補修に食料にと突然の奇跡のような出来事に、この集落のまとめ役でもある弥輔が口を開いた。
「何から何まで、こんな誰も気にかけないような我々を助けて。いったいあんた方は何者なんだね?」
 陰陽師のような違うような、鬼狩人のような違うような。
 はっきりとした答えは出さなかったが、それでも集落の人々はディアボロス達に感謝し続けた。
「少しは元気になって貰えたかしら」
「こんな環境の中でも、生きる為に大人子供問わず頑張ってきたんだからな」
 喜ぶ彼らの姿を、遠名と凌哉は安堵するように見つめ思った。
 パラドクスの効果によっては、ディアボロスの帰還と共に消えて忘れ去られてしまう物もあるが、十分にこの地に残し繋げられるものもある。
「俺達がいなくなっても、きっと大丈夫だ」
 嘉の視線の先では、早速教わったばかりの罠を伝えている士郎の姿があった。
 これで集落の人々の明日は十分に繋がった。例え川の水が増えたとしても、こちらへ奴らが雪崩れ込んでくることはないだろう。
 奇跡のような出来事に集落が喜びに包まれる中、ポツリポツリと静かに雨が降り始める。
 この雨があの不幸を招くのか。
「希望を背負う鬼狩人もいない。たった15人の住人。この集落を潰して皆殺し……」
 妖怪が彼らを食べたとしても、到底腹が膨れるような数でも場所でもない。
 都黒の口から小さな呟きが零れた。
「何故……」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【ガードアップ】LV2が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

ヴェルゼ・バーガンディー
村の復興にゃ仲間たちが大勢で作業してるから俺は
下劣な河童を刻んで川流れさせるか
「舐め腐った態度が気に食わねぇな」

水妖怪相撲術放ってきたら、力比べは得意だぜ
腕力で河童の腕やあばら骨をへし折る
「力勝負で適うと思ってんのか?」
尻子玉抜きで後ろに回られたら、獄刀で真後ろを素早く突こう
「何するつもりなんだ気色悪ぃな」
水霊氾濫陣を発動、これは共に行動する仲間に任せよう、
可能ならリボルバーで援護射撃だ

一通り技を防いだら今度はこっちの番だ、
大斧で縦に真っ二つにしようぜ
今更泳いで逃げようとしても無駄だ、水面から出てる箇所狙って
鎖分銅を絡めて腕力で引きずり上げる、荒い河童釣りだ
「気に入らねぇ、地獄で懺悔してな」


フルール・メール
……士郎くんも蒼次郎くんも、もっとお魚を獲って、家族を助けようとしているの
その想いを、クロノヴェーダの愉悦のための玩具にはさせないわ

何としても、集落への侵入を阻止しましょう
私はピラミッドコンバットで河童の足止めを試みます
集落への経路を阻むように立ちふさがり、ひとつひとつ、確実に数を減らしていきます
皆さんと連携して、取りこぼしには注意したいです

トラップ生成が有効なら、簡単な落とし穴を仕掛けて動きをけん制できるといいわね
昔のことばで『陸に上がった河童』ともいうし……隙をついて頭のお皿も割れないかしら?

せっかくの田畑が台無しになる光景も見せたくないわ
集落に被害が及ばないよう、注意しつつ行動しましょう


奉利・聖
さて!今日も元気にゴミ掃除のお時間です!
懸命に生きる人々の営みを決して邪魔させませんとも!
この世に蔓延る害悪は残らず掃除し、世界を清潔に保たねば

復興支援は人出を割いて頂いてる様子
であれば、暴力的な掃除が必要ですね
【飛翔】で空から奇襲してやりましょう
『凝気功』からは逃げられませんよ?
その指先で環境を変えようとしても無駄です
力の流れを止める、即ちパラドクス発動に必要な力を空に飛ばさせなければ良い
片っ端から指を…へし折って気を送り込んで差し上げましょう
せっかく良い環境なのですから、乱してはなりません

さぁ、あとは皿を砕いて首をへし折るだけです
不衛生なお客様は必要ありませんので、お引き取りくださいませ


神山・刹那
まぁ、随分とせこい奴だな
漁夫の利を得ようとしてるのかただの気まぐれか
まぁ、どっちでも良い。お前らみたいな奴は徹底的に叩きのめして、分からせてやるしかないからな

尻子玉抜きで背後に回ろうとしたら、それを上回るスピードで河童の背後に回り込み、目標を見失っている河童を見下ろしながら情けをかけることなく斬り捨てる
「はぁ、口車に乗ったのか、漁夫の利を得ようとしてるだけなのか、どっちでも良いが、楽しくもない勝負だ」


●水辺の乱
 昨晩の雨で川の水位は増し、濁流が脆弱な岸を削っていく。
 ディアボロス達は、仲間が補強した堤や漁場よりも上流へと足を運んでいた。
 集落へ水が向かわなくなったことで、潜んでいる河童がいつ現れるのか予測しにくくなっていた。
 とはいえ、集落や補強した堤が巻き込まれる事態は避けたい。何とか雨風を凌げたのだ。田畑や家が台無しになるような光景を住民達には見せたくない。
 上流のどこかに棲家があるというのならば、こちらから近付いていけば人の気配に誘い出されてくれるだろう。
(「……士郎くんも蒼次郎くんも、家族を助けようとしているの。その想いを、クロノヴェーダの愉悦のための玩具にはさせないわ」)
 フルール・メール(Morpheus・g02593)は蝶の羽根を緩やかに震わせた。
 空模様は芳しくないが、雨が降っていないだけでも嬉しい。
「何としても、集落への侵入を阻止しましょう」
「まぁ、随分とせこい奴らのようだからな」
 漁夫の利を得ようとしてるのかただの気まぐれなのか。これに紛れてやって来るのかと、神山・刹那(梟雄・g00162)は濁流を眺め嘆息した。
 近くに棲みながら今まで襲っていなかったのだ、ただの便乗ではなく唆されたかもしれないと思いつくのは自然なことであろう。
「見つけたら、刻んで川流れでもさせるか」
 力比べは得意だぜとヴェルゼ・バーガンディー(紫色の狂魔・g02195)が、八重歯を見せて笑った時だ。
 川より水飛沫をあげながら、待ちかねていた河童達が飛び掛かって来た。
 クアアアァァ!
 鳥のような獣の叫び声をあげながら、河童が狙うはディアボロス達の背後。
「凝気功からは逃げられませんよ?」
 飛翔していた奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)は、デッキブラシを真上より河童の皿に叩き込んだ。
 思いがけない奇襲と、皿への衝撃に耳が割れんばかりの悲鳴を河童はあげた。
「さて! 今日も元気にゴミ掃除のお時間です! この世に蔓延る害悪は残らず掃除し、世界を清潔に保たねば」
 あくまでも爽やかに、聖は笑顔を浮かべお掃除を開始した。
 尻子玉を抜き取ろうと河童は拳を伸ばしていたが、刹那に触れることは無く残像を揺らしただけ。反対側、河童の背後の頭上より退屈そうな溜息が零れる。
「口車に乗ったのか、漁夫の利を得ようとしてるだけなのか、どっちでも良いが」
 言葉を終えると同時に、容赦なく振り下ろされた一太刀が河童を斬り捨てた。
「舐め腐った態度が気に食わねぇな」
 四股を踏みつつ様子を伺う河童を、ヴェルゼは掛かって来なと挑発する。
 河童としても相撲には自信があったのだろう。やる気満々で、水妖相撲術を仕掛けてくる。
 のこったとばかりに、立ち上がりざまぶつかり合い両者は組み合った。
 河童特有の汚水と爬虫類めいた臭いが、鼻につく。
「力勝負で適うと思ってんのか?」
 怪力無双を発揮しているヴェルゼが、河童の腕力に一方的に押し負けるわけがない。
 あばらを圧し折るつもりで、腕に力を込めその緑の体を投げ飛ばす。
 まずは一勝。
「うっし! 次はどいつだ?」
 ギラギラと目を輝かせ、ヴェルゼは控える河童達に不敵に笑いかけた。
 男性陣の猛攻に、怯んだ一部の河童達は散り散りに逃げようとした。
 川へ飛び込んだ彼らの前に立ち塞がるのは、ピラミッド。流れを止めんとする小型ピラミッドが、その行く手を阻み。陸へと逃れた河童達は、トラップ生成で仕掛けられていた落とし穴に見事に引っ掛かっていった。
「昔のことばで『陸に上がった河童』ともいうし……」
 落とし穴でもがく河童を見下ろし、メールはその頭の皿を割って沈黙させた。
 ひとつひとつ確実に。逃しはしないと叩いていく。
 パラパラと雨が降り出す。河童が天を指さしていた。水霊氾濫陣だ。
「嫌い……」
 羽根が濡れてしまうから。だけど今は、奮い立たせるとき。絶対に集落には行かせないと、メールは強くなる雨と河童に対峙した。
「懸命に生きる人々の営みを決して邪魔させませんとも!」
 営業スマイルで、だが容赦なく。聖は天に向けられた河童の指を折り、気を送り込む。
「せっかく良い環境なのですから、乱してはなりません。その指先で環境を変えようとしても無駄です」
 凝気功は触れた対象の『流れ』を凝り固まらせる。
 豪雨を呼ぶ力とはいえ、その妖力を上手く発揮できなくすれば簡単には天を操る事は叶わないだろう。
 河辺の地形を広げることが叶わなければ、力も速さも押し負けた河童に勝ち目はない。
「お前らみたいな奴は徹底的に叩きのめして、分からせてやるしかないからな」
 又、一匹。刹那の刀に臥せられた河童が地に倒れる。
 大水が起こっていれば、もっと有利だったかもしれないが全ての目論見は崩れている。河童達の思っていたのとは、違う顛末へと全ては向かっていた。
「今更泳いで逃げようとしても無駄だ」
 慌てて背を向けても既に手遅れ、ヴェルゼは大斧の鎖分銅を絡め河童を釣りあげると、そのまま一刀両断した。
「気に入らねぇ、地獄で懺悔してな」
 全てを綺麗に。暴力的に掃除をし尽して。
「不衛生なお客様は必要ありませんので、お引き取りくださいませ」
 最後と思われる河童を片付け、聖は顔をあげた。
「次は、向こうのゴミ掃除ですね」
 集落を挟んだ向こう。小山を振り返った。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【トラップ生成】がLV2になった!
【飛翔】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV4になった!
【命中アップ】LV1が発生!

葛葉・狐狛
「思った以上に戦力が集まってるし、攻めよっかね」
ご同道の面々にとりあえず提案。
集落の修繕にはもう十分過ぎる面々が取り組んでる。
河童の相手も腕利きが居れば、足りるだろう。
なら残留効果は少ないが、集落の近くで迎え撃つ道理もない。ので、打って出る。

「この辺で迎え撃てば行けるんじゃない?」
【歴史知識】で拙いまでも周辺地形が分かれば御の字。

「こっちも分散してるし。気をつけてね」
人数も少ないので、全呪解放、加減は抜きだ。
【捕縛】【結界術】【不意打ち】【フェイント】活用。
【犬神招来】放って他の面子の射程に落っことし、投げやすいように崩し、浮かせ。

「おつさま。食べる?」
終わったら手持ちの菌類の山を囓りたいね。


紅・蘭
【心情】
あぁ〜もう!すばしっこい黒ハエめ!
今日という今日は今までのようにはいかないよ!
必勝法を思いついて来たからね!
これまで散々飛び回っていたようだけどそれも今日までさ!
地を這え、羽虫共!

【行動】
必勝法則ち肉斬骨断
防御を捨て、敵の攻撃を受けることを前提に警戒
攻撃されたら攻撃が通り油断しているであろう敵へ自分から近づいてくるとはこれ幸いとばかりに鬼神変で巨大化した腕で天狗の足を掴み、そのまま地面へ幾度も幾度も思い切り叩きつける
もしそのまま絶命あるいは行動不能に陥った場合は何らかの拍子にその顔が晒されることのなきように鬼神変の腕でその顔を剥ぐ或いはレーティング的にオッケーな描写で素顔をどうにかする


樹・春一
山! そして川!
海の見える風景もいいですが、僕はやっぱりこっちの方が好きですね!
清流は心が癒されますとも! ええ!

そんな癒されポイントを襲うなど言語道断です!
大人しく癒されているのであれば! ちょっとだけしか手出しはしなかったと思いますのに!

低めの位置にいるものを狙って神速で先手を打ちます!
落下する前に次の獲物に目をつけて突撃! これを繰り返して敵から敵を渡殴っていきましょう!
静かに接近するということはゆっくり近付いてくるということ
それ以上の速さを出せばよいと神もおっしゃっておられます!
空に攻撃目標がいなくなったら?
その時は地面に落ちたものへ追撃すればよかろうでしょう!
トドメは大事ですからね!


奉利・聖
さぁ、ゴミ掃除はまだまだ終わりませんよ?
そこにゴミがある限り、掃除屋の仕事は続くのです
徹底的に綺麗に仕上げますので…
どうぞ気持ちよく掃除されてください

羽音は消えてるだけです 羽ばたきは確かにある
空気の流れを<観察>して、接近を<看破>出来るでしょう
隙を突いてデッキブラシによる<強打>を見舞い──『絶気功』
翼を狙いたいですねえ…何しろ、その部分の感覚を失わせるのですから
つまりもう飛べない…アドバンテージは消え去りました

他の二体にもスクレーパーの<投擲>で絶気功を流し込みます
後は簡単です、手足の感覚を潰し、逃げられなくしてから頭を<破壊>する
掃除には綺麗に行う為の順序があるのです お分かりですか?


●影に踊る
「思った以上に戦力が集まってるし、攻めよっかね」
 ご同道の面々の意見は如何なものかと、葛葉・狐狛(狐憑き・g00840)は、大きな狐の尾を揺らし伺った。
 彼が言うように、このまま妖怪達が来るのを待ち集落の近くで迎え撃つ道理もない。集落を防衛する憂いが無いのであれば、待つという選択肢は消極的だ。
 一同は、小山へと向かった。
 拙い知識とはいえ、大まかな場所は聞いている。向こうとは高低差があるはずと、慎重に件の場所へと近付いていく。
「山、そして川! 海の見える風景もいいですが、僕はやっぱりこっちの方が好きですね!」
 集落があったことの方が不自然だと思うほど何もない。逆に言えば自然だけしかない光景に、樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)は嬉しそうだ。
 その外見だけだと性別が良く解らないが、春一はれっきとした男である。
「清流は心が癒されます!」
 あいにくの天気に、別の妖怪と対峙するため川の方に向かえないのが少し残念だ。
 小山に近付くにつれ、黒雲に混ざるように飛ぶ黒い影もはっきりと見えてきた。
 成程。混乱して逃げ惑っていれば、あの影には気付かず妖怪の群れの中に飛び込んでしまっても仕方ない。
 ましてや水に追われていたら、他に高い場所も見当たらないのだから。
 この辺りで。気付かれる前に打って出ようと互いに目配せし、ディアボロス達は駆けだした。
「これまで散々飛び回っていたようだけどそれも今日までさ! 地を這え、羽虫共!」
 肉を斬らせて骨を断つ。紅・蘭(灼角金剛鬼・g00215)は、攻撃を受けることに物怖じせず突撃していく。
 格好の的とばかりに、彼に気付いた黒虚天狗達は、次々と鴉の黒矢を放つ。
 考えるのは他の者に任せ、錫杖を構え接近してきたところを、鬼神変で巨大化させた腕で
黒虚天狗の足を掴み、そのまま叩きつけた。地面が勢いよく抉れ、土塊が飛び散る。
「螺旋の塔に住まう猟犬、疾く来たりて己が理を示せ」
 印を結び、狐狛が呼ぶのは犬神。
「急々如律令」
 全呪解放、加減は無し。先を嗅ぎつけた犬神の見せる先、春一が駆け込む先へと誘い落とす。
「見えました! いざ!」
 瞬間移動したかのような神速で、距離を縮めた先には飛び込んでくるように放られた黒虚天狗の姿。相手に態勢を立て直させる暇を与えず、春一の一撃が決まる。
 そうしてもう一方。狐狛の見た先より、投擲され飛んできたスクレーパーが黒虚天狗の翼に突き刺さる。
 このスクレーパーが削ぎ落すのは、汚れだけではない。
「何も感じないでしょう?」
 額の汗を拭い息を整えながら、奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)は戦場へと近付いてくる。
「徹底的に綺麗に仕上げますので……どうぞ気持ちよく掃除されてください」
 間に合ったと安堵する一方で、まだまだ汚れが多いなと黒虚天狗を見上げた。
 更にその奥、小山の頂きには黒馬に乗った姫の姿があった。
 住民達はこうしてる今も日々の生活で精一杯で、まさか妖怪に蹂躙されようとしていたなどと夢にも思っていないことだろう。
 全ての元凶は、この事態を優雅に眺め微笑んでいる白蛇姫にある。
 護衛が傷つき倒れても、目論見通り集落が大水に呑まれなくても。彼女は動かずただ眺めているだけ。全てが余興でしかないのだ。
 一方、黒虚天狗は姫を護る為なら命も惜しくないのか、次々とディアボロス達に向かってくる。空が、それこそ真っ黒に染まったかのような勢いで。
 ある意味、彼らも躍らされている一部なのかもしれない。
「あぁ〜もう! すばしっこい黒ハエめ! 今日という今日は今までのようにはいかないよ!」
「まるで黒い雨のようだねぇ」
 近付いてきた敵は、逃さないよう蘭と狐狛が捕らえ。
 距離のある敵は、春一と聖が落としていく。
 翼を大きく広げ、黒虚天狗は黒翼影討ノ術にて不意打ちを狙おうとするも、春一は神速で宙の敵にも肉薄してみせた。
「近付いてくるというのなら、それ以上の速さを出せばよいと神もおっしゃっておられます!」
 そう強力な一撃を放ち、次の獲物を目に捕えると再び神速で突撃する。空を飛べない不利を感じさせない動きである。
「さぁ、ゴミ掃除はまだまだ終わりませんよ? そこにゴミがある限り、掃除屋の仕事は続くのです」
 スクレーパーで翼を狙い、聖は絶気功を行使していく。
 感覚の奪われた翼はただの飾り。墜落したところに、脳天よりデッキブラシが振り下ろされる。
「掃除には綺麗に行う為の順序があるのです お分かりですか?」
「大人しくこの自然に癒されているのであれば! ちょっとだけしか手出しはしなかったと思いますのに!」
 両者共に言葉は穏やかだが、攻撃は苛烈だ。そういう意味では、蘭は判り易い。
「地を這え、羽虫共!」
 言葉通りの容赦ない力が、最後の黒虚天狗を捕まえ地に叩きつけた。
 錫杖も笠も大破し、地面に半身をめり込ませたまま、その身体は力を失った。
 ひとまず、これで姫を護るものはいない。
「おつさま。食べる?」
 強まる緊張を解すかのように、狐狛は取り出した菓子の菌類の山を仲間にもすすめつつ、一つを口に放った。
 白蛇姫の顔は、まだ見えない。だが蛇が獲物を狙うかのような、強い視線がディアボロス達を静かに見つめていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【未来予測】LV1が発生!
【怪力無双】がLV3になった!
【落下耐性】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【先行率アップ】LV1が発生!

●記憶の欠片
 それは何時ぞやの事であっただろうか。
 その数ある鱗の一つは、山間の里に匿われていたとある姫であった。
 決して豊かな暮らしではないその里の者達は、行き場を失った姫を心優しく受け入れ助けてくれた。
 だがある時、里は凶作に見舞われ、多くの人々と山の命が失われていった。
 助けを求める人々は、誰からともなく神の怒りを鎮めなければと、生贄を求め供物として姫を山の淵へと沈めたのだ。
 帰る場所の無い私。悲しむ者のいない私。余所者の私。
 間違っていない。助けてくれた人達に、やっと恩返しが出来たのだ。それなのに、こんなに悲しいのは何故だろうか。
 沈められた淵の水は、凍えるように冷たく。重しとして岩を結んだ足の縄はきつく、肌に食い込み。ただただ苦しくて、苦しくて……。
 ——生贄など無意味な事を。
 最後に聞こえてきた声は、焼けつくように心を刺し、忘れようとしていた口惜しさが一気に溢れだし。苦しみの中、姫の命は消えた。
喩・嘉
トループス級の討伐も順調に進めば、狙うは将。

白蛇に黒馬。姫を守るように動く奴らが厄介だな。
将を射んと欲すれば先ず馬を射よと言う
俺はまず馬を止めるか

【トラップ生成】で辺りに円を描くように火を撒き、走る黒馬の行動範囲を狭めていく

「五里霧計」を使用、辺りに霧を立ち込めさせると殺気を消し
霧に紛れて死角から急襲。
馬の喉に「鳳凰爪」の毒針を深々と刺して攻撃。

蛇による反撃が来るだろうが、霧に紛れての逃走を試みよう


葛葉・狐狛
「順調すぎてむしろ怖いねぇ」
身構えているときは死神は来ないって言うし、警戒は怠らない。

「アンタの負けは、揺るがない。降参しろとは言わないけどさ」
駆けつけた他の面々と轡を並べつつ、糸を構え。

「なんであの集落を狙った?」
化生に転じる前の連れ添いか、連れ去りたい我が子でも居たのか。
理由が何だろうが、決着が付くまで止まれないのはお互い様。
【未来予測】に【神速反応】で不意打ちに対処。
味方の援護中心に動くよ。

「どのみち手遅れ……せめて鎮守になれるように祀ってやるさ」
【セルフクラフト】でコンクリの石碑。
【怪力無双】で安定設置。

「祟りも祀れば守りになる、ってね」
最期に両手を合わせて、締められるといいなぁ。


奉利・聖
どうも、最後のゴミが貴方ですか?いやはや、近くで見るとやはり醜い
どれだけ振る舞いを正そうが、世界を害するゴミであることに変わり無し
消し去ってあげましょう 徹底的にね

おや、蛇をけしかけますか?
よろしい…【神速反応】でしっかり構えておきましょう
飛来する尾の一撃に合わせて、掴むように手を伸ばします
触れたらそれまで──『朽気功』
このまま蛇が朽ちるまで握っていましょうか?

あぁ、ちなみに…【トラップ生成】で足元に透明な罠を仕掛けておきました
足をからめとってダウンを取る代物です──では、行きましょう
蛇を投げ捨て、本体に向かって肉薄
気功を纏った武器で<連撃>をかまし、ボロボロに成り果てるまで攻め立てましょう


ヴェルゼ・バーガンディー
「てめぇが大将首かよ、教えてくれ何故あの村を狙う?恨みか?」
と、問い掛け、理由を聞こう、教えてくれりゃいいが
「だとしても、俺はてめぇと死合わなけりゃなんねぇ」

まずは馬の脚に鎖分銅を絡めて
すっ転ばせてやるよ
蛇の尻尾は籠手で防御!
蛇なんてけしかけてきたら大斧で払って真っ二つだ!

「どんな理由があろうと!何をされたとしても!
殺戮を行う時点で!アンタが悪くなっちまうんだ!」

「地獄に行くかどうか知らねぇ!解んねぇけどよ!あの世で!詫びな!」
地獄陥のけさ斬りを放つ、せめて顔は綺麗に残しておくぜ

全て終わった後
白蛇姫から「理由」を聞けてたら村人達にその理由を言い
「生贄なんて、そんな風習もう必要ねぇよ」と言い放つ


命護・凌哉
こんな小さな集落を狙うなんて愉快犯かそれとも別の目的か……
どの道全く関係のない人たちを巻き込む以上、どんな理由があってもお前は俺の敵でしかねえ。覚悟してもらうぜ!

『氷天の白き逆鱗』を発動!蛇は寒さに弱い、これで敵を牽制するぜ!
同時に【使い魔使役】で鳶でも鷹でもいいから鳥を使い魔にして上から戦場を俯瞰して情報を伝えてもらう。
【未来予測】使って照らし合わせながら【神速反応】で攻撃が当たりそうな仲間を【高速詠唱】からの【結界術】使ってディフェンス!
ダメージは【活性治癒】でカバーだ。
同時に【連続魔法】で【浄化】の術をカウンターでぶつけて怯ませる!
俺の目が黒い内は簡単に仲間をやれると思ってくれるなよ!


風間・響
うっし、ラスボスタイムに間に合ったみてぇだな。んじゃ、ネメシスモード全開でいっちょけりをつけにいきますか!

お馬さんでぱかぱかしながらつっこんでくるってか?だったら、正面から迎え撃ってやるぜ。
【飛翔】でこっちも空に飛びあがって、【未来予測】で蹴りの飛んでくる方向を事前に予知して回避。≪悪鬼粉砕撃≫で全身の力を込めた一撃を、カウンターで馬のどてっぱらにぶちこんでやらぁ!そりゃもうそのあとのことなんて考えずにな!まぁ、なんかダメージくらったりして落ちても、【落下耐性】とか【活性治癒】とかあんだしなんとかなるっしょ!


樹・春一
どのような理由があったとしても、今は今を生きる人々が穏やかに暮らすもの!
せめて神に祈りましょう! 迷える魂が無事天に届きますように!

悟りを開いて涅槃へ至るという手もありますがどちらになさいますか!

どちらにせよ拳で解決してみせましょう!
飛んでいれば届かないとお思いですか! こちらには翼と【飛翔】があります!
蛇は足場として足りるでしょうか。拳を打ち込む際にはまず脚に力をいれなければなりませんからね!
向かってくる蛇であればある程度は蹴れるはず!
姫外周をぐるりと飛行し蛇と姫の間をとれればいざ! 蛇を踏み込んで神槌です!

天か涅槃か心は決まりましたか!
拳は止まりませんので今決めてください! 今!!!


樫谷・都黒
生贄という風習には否定的ではない
ただ、それを無意味と断ずる者は蔑視
事実、この村は何年間かは無事だったのだから

というわけで、その不快な輩か縁者だけ祟ってお帰り願うというのは如何でしょうか?
きっと来年からきちんとお祭りしてもらえると思いますよ。
それとも、恨みを持つ憐れな誰かを上手く操っているだけでしょうか?
であれば、ここに眠る誰かは恨みつつも村を守っていたでしょうに、騙したという事でしょうか?

悲劇感知・未来予測・神速反応にて攻撃回避
呪詛は土地から集めて髑髏から唄い放つ
村を護る遺志も少しはある事を願いつつ

生贄になった事を蔑ろにされた事による祟りと村人に告げ、祭るか逃げるかそのままか判断は任せる


●想緋結びて
 己の護衛が倒されたというのに、白蛇姫は微笑みを浮かべたまま、ゆっくりと馬を降りた。黒い垂れ衣越しでも判る程、毒々しく赤い唇が弧を描く。
「お食べ」
 鈴のように美しい声が鳴り、姫の背後より呼び出された白い大蛇が鎌首をもたげたかと思うと、転がっていた黒虚天狗の骸を次々と頭から丸呑みにした。
 その光景、醜悪の一言に限る。
「てめぇが大将首かよ、教えてくれ何故あの村を狙う。恨みか?」
「こんな小さな集落を狙うなんて愉快犯か、それとも別に目的があるのか……」
 ヴェルゼ・バーガンディー(紫色の狂魔・g02195)と命護・凌哉(大地の守護者・白黒の竜・g02519)の問いかけに、白蛇姫は笑む。
「見てわからぬか、虫けら共よ。妾が愉しむ他に何があろう」
 煩わしそうに白蛇姫が手を払う動きに合わせ、白蛇の尾がディアボロス達を薙ぎ払おうとするも、事態に集中し構えていた奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)が神速反応で掴み止める。
「成程、貴方が最後のゴミですか? いやはや、近くで見るとやはり醜い」
 聖が掴んだ部分より、白蛇の尾は朽ちて崩壊し始める。朽気功を成したのだ。
 咄嗟に尾を断ち、白蛇は身体全ての崩壊は塞いだ。
「消し去ってあげましょう。徹底的にね」
「愉快、愉快。妾に抵抗するというのか。手足の出ない虫けらよりは愉しめそうじゃ」
 白蛇姫は微笑みながら、黒馬に鞭を入れるよう煙管を振るう。
 両の前足を高く上げ棹立ちになった黒馬は、一声嘶くと強く地を蹴った。
「うっし。んじゃ、ネメシスモード全開でいっちょけりをつけにいきますか!」
 復讐神形態へと成った風間・響(一から万屋・g00059)が、その内なる鬼と呼応するかのように高らかに言い放つと、飛翔し飛び上がった。
 空を翔る黒馬の向かう先は、既に未来予測で垣間見ている。黒馬が突撃してくる正面に躍り出た響は、鬼人らしく牙を剥き笑む。
「ぱかぱか突っ込んでくるだけじゃ、みえみえだぜ!」
 全身のバネを使い、膂力を込めた悪鬼粉砕撃の一撃で、黒馬を叩き落とす。
 黒馬の墜落する先は、喩・嘉(瑞鳳・g01517)がトラップ生成した火円の中。
「将を射んと欲すれば、先ず馬を射よと言う」
 焔に染まった瞳が、何処からともなく漂ってきた霧に隠されていく。
 火計に捕らわれし黒馬は再び空へと逃れようとするも、ヴェルゼの真紅の鎖分銅がその脚を絡め、葛葉・狐狛(狐憑き・g00840)の繰る糸が辺りに張り巡らされる。
 もがく合間に、嘉の姿は五里霧計の霧の向こう、黒馬は完全に霧に包まれた。
「深き霧の中で、迷い子のように惑え」
 燃え上がる火の照り返しが立ち込める霧に歪められ、迂闊に動くことも出来ない。
 憤るかのように鼻息荒くたたらを踏んだ黒馬は、不意に咽を突く痛みに身体を強張らせた。
 見開かれた黒馬の三つの瞳が見下ろすのは、咽を突きあげるよう鳳凰爪を刺す嘉の姿。
 血を零しつつ黒馬が、悲鳴のように嘶き声をあげ、力任せに跳ね暴れ霧に飛び込んだ。
 と、走り去る蹄の音に混じり、白蛇姫の和歌が聴こえてきた。
「ミナソコノ……ヒトコソシレネ……サビシサニ……アクルコトナシ……カナシカルラン……」
 ——来る!!
 誰もが白蛇の攻撃に備え身構えるとほぼ同時。霧を突き破って、白蛇が大口を開け迫る。
 一足早く動いた狐狛の繰り糸が、動きを止めようと白蛇に絡みつく。
 束の間動きは止まるものの、一本、又一本と糸を引き契り、白蛇は尚も突き進もうとするも、その口に大斧を咬ませヴェルゼが押しとどめ堪えた。
「ほぅ、見事なものじゃ」
 霧が晴れ、目の前の光景に白蛇姫が感嘆の声をあげ喜んだ。
 その傍らには、たてがみも尾も焦がし、血を吐き続ける黒馬が気丈にも控えてた。
「なんであの集落を狙った?」
「どんな理由があろうと! 何をされたとしても! 殺戮を行う時点で!アンタが悪くなっちまうんだ!」
 白蛇を懸命に押さえる狐狛とヴェルゼが、投げかけた。
「先の返答では不服かえ?」
「どのような理由があったとしても、今は今を生きる人々が穏やかに暮らすもの! せめて神に祈りましょう!」
「生贄という風習を否定はしません。事実、何年間かは無事だったのでしょう。無意味と断ずる者は蔑視しますが」
 樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)と樫谷・都黒(臥し者は独り路に・g00233)が、様子を伺いながら距離を詰めていく。
 すると、白蛇姫は突然大きな声で笑い始めた。
「贄とな、懐かしや。随分と前に天災が起こる度、妾に人を捧げにくる里があったわ」
 確かこの集落の近くにあった里のことだったと。
 関係ないというのに捧げてくるので食べていたが、人の肉を覚えれば又欲しくなる。そうしているうちに天災を待ち、一人の肉では物足りなくなったと白蛇姫は笑う。
「だからな、喰ろうてやったわ。里の者全て」
 それまでの笑みとは違い、笑う口が蛇のように裂けた。
「そう……恨みを持つ憐れな誰かを上手く操ってるのですね。であれば、その誰かは恨みつつも守ろうとしていたでしょうに、騙したという事でしょうか?」
 都黒が悲しそうに尋ねた瞬間、迫り合っていた白蛇の動きが強張る。何かが邪魔をしたような、そんな不自然な。
 その隙を逃さず、凌哉は氷天の白き逆鱗を発動する。
「其は終末を告げし偉大なる凍気、吹雪きて舞い散れ!」
 凌哉の周囲に、凍気が集まる。
「術式展開!」
 白蛇を襲うは翡翠の吹雪。
 凌哉に使い魔使役された鳶は、生じた上昇気流にのって全てを見下ろし。吹雪によって、垂れ衣の捲れ一瞬白蛇姫の顔が垣間見えた。
 その頬を、一粒の涙が零れ落ちていくのを。
 凍てつく寒さに動きの鈍った白蛇は、狐狛とヴェルゼから逃れず刻まれるしかない。
「アンタの負けは、揺るがない。どのみち手遅れ……せめて鎮守になれるように祀ってやるさ」
「そうだとしても、俺はてめぇと死合わなけりゃなんねぇ」
 両者は白蛇姫を振り返る。
「どんな理由があっても関係のない人たちを巻き込む以上、お前は俺の敵でしかねえ。覚悟してもらうぜ!」
 再び凌哉は、翡翠の吹雪を巻き起こす。
「虫けら風情が、妾の片腕を奪っただけで頭に乗るでない!」
 美しさは何処へ行ったか。その性根を隠すことなく、黒馬をけしかける。
 満身創痍に近い黒馬は果敢にも、主を護ろうと飛び出すが、先程の勢いはもう無くほぼ地を駆けていく。
 激しく響とぶつかり合った黒馬は衝撃に大きくふらつき、崩れるように倒れると動かなくなった。
「おのれ。おのれっ、口惜しや!! 」
 怒りを露わに、白蛇姫は後退る。だがその行く手を阻むように、炎が彼女の周囲を囲う。
 こちらにも嘉の火計があったか。もう逃げ出すことは叶わない。
 怯む白蛇姫の背後に、聖と春一が迫る。
「何があろうと、世界を害するゴミであることに変わり無し。いえ、それ以下ですね」
「いざ、迷える魂が無事天に届きますように!」
 白蛇姫は己の盾にしようと、もう一匹の白蛇を身に纏おうとした。だが意に反しその口が、和歌を紡ぎ出す。
「チリニケリ……ミヲバオモハズ……ネガワクバ……ハナノサカリニ……アハマシモノヲ……」
 その声は悲しく白蛇を動かし、白姫蛇から引き剥がす。
 白蛇に大口を開ける暇も与えず、その頭を春一が踏み台に飛翔し、翼を広げ上空からの神槌。
「天か涅槃か、どちらにせよ拳で解決してみせましょう! ハレルヤ!」
 信じる教えのままに、白蛇に拳を叩き込む。辺りに眩い光が飛び散り、仲間を援護する。
 これも想定内。聖の手は既に白蛇の鼻先に触れており、朽気功による崩壊が一気に浸食していく。
「──では、行きましょう」
 朽ちて散り行く白蛇であったものを払い捨て、聖は白蛇姫に肉薄し掃除の仕上げに取り掛かる。
 カラカラと髑髏が唄う。
「唄う髑髏は数あれど、恨みを晴らしたは幾人いるか。塵塚より唄いたまえ」
 都黒の声に内なる御前様の力が、この地に眠る者達の悲劇を声を呼ぶ。
「その頭蓋の中身を、今は昔な空虚な恨みを」
 塵塚拾遺集《唄フ髑髏》。創られた髑髏は呪詛の瘴気を、重く悲しく唄い続ける。 
 追い詰められていく白蛇姫を護る黒馬はいない。辛うじて白蛇を呼び出しても、聖に次々と掃除されていく。もう彼女に、後はなかった。
「ああぁ、ぁぁぁ! 苦しい、助けて、助けてたも……」
 もがきながら白蛇姫は、助けを求めた。
 今までに、何度同じように助けを懇願した者を呑み込んで来たことだろうか。ここで止める道理はない。
「妾を、助け……」
 ——私を消してください。
 白蛇姫の言葉を掻き消し、響いたのは懇願の声。現か幻か分からないが、その身体は確かに最後の時を待っていた。
 あぁと短く応じた、ヴェルゼは刃を上段に構え一気に振り下ろす。
「地獄に行くかどうか知らねぇ、解んねぇけどよ! あの世で! 詫びな!」
 斬首よろしく、袈裟に振り下ろした刃は白蛇姫の命を、この世の楔から絶ち斬った。

 嵐の終わりを告げるよう、集落に立ち寄ったディアボロスは、ことのあらましを説明した。
 集落をまとめていた弥輔は、静かに聞き入り涙を零した。
 生贄風習のあった里の事も、周りの里村が妖怪に滅ぼされている話も知っていたが、何もしなかったのだと助けなかったのだと……。
「祟りだったのかもしれません。ですが、皆さんを護りたい遺志も少しはあったのではないでしょうか」
 都黒は、垣間見えた白蛇姫の中にいた誰かの事を思い浮かべ伝えた。
 集落の大人達は、石を積み重ね簡単な碑を造り、名も知らぬ姫を思い手を合わせた。
「祟りも祀れば守りになる、ってね」
 この集落が続く限り、きっとこの碑は護られるだろう。
 静かに両の手を合わせ、狐狛と一同はその場をあとにした。
 小さな集落の明日は、様々な思いがめぐらされ優しく静かに護られた。
 きっと、明日には元気に畑や釣り場で誰かが笑い、誰かが名も無い碑に手を合わせていくのだろう。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【トラップ生成】がLV3になった!
【飛翔】がLV2になった!
【怪力無双】がLV4になった!
【使い魔使役】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV5になった!
【ドレイン】がLV3になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2021年09月11日

鬼狩人の武士

 平安鬼妖地獄変ディヴィジョンの京の都を一歩出れば、鬼や妖怪達に多くの人々が虐げられている、地獄絵図が広がっています。
 その荒廃した都の外では、鬼や妖怪を狩る武士がいると噂されていますが、その武士に出会った事がある者など、殆ど存在もしていません。
 妖怪によって殺される人々を救う為、噂の中の鬼狩りの武士に成り代わり、ディアボロスの手で鬼や妖怪を撃ちとってください。

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#平安鬼妖地獄変
🔒
#鬼狩人の武士
🔒
#鬼狩人


30




選択肢『復興支援』のルール

 クロノヴェーダの襲撃などで困窮している人々を救う、復興支援を行います。
 事件で破壊された直後の建物の修復はパラドクスで行う事ができるので、事件以前から壊れていた建物の修復、食料の支援、農地の開墾などの支援を行ってください。  どのような支援が必要であるかは、オープニング及びリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾一般人を襲うトループス級『河童』のルール

 周囲の一般人を襲撃するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 放置すると村や町を破壊したり一般人を虐殺してしまうので、被害が拡大する恐れがあるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾護衛するトループス級『黒虚天狗』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『白蛇姫』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「シメオン・グランツ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。