廃都洛陽の蟲将の巣

 ジェネラル級に匹敵する強力なクロノヴェーダ、呂布を撃破したディアボロス達は、漢の首都であった洛陽への入城を果たしました。
 しかし、洛陽には生きた人間の姿は無く、積み重ねられた人骨と、徘徊するトループス級の蟲将、そして、呂布を生み出したと思しき『蟲将の巣』が発見されました。
 蟲将の巣は、巨大な蟻塚のような構造で、多数の人間の死体を苗床に、強大な蟲将を生み出そうとしているようです。
 現在の所、呂布に匹敵する『完成体』は存在していないようですが、放置すれば、この蟲将の巣から強大な蟲将が次々と湧き出てくるかもしれません。
 その前に、この蟲将の巣を破壊しなければならないでしょう。

 巣の効果で強化されている蟲将と有利に戦う為の工夫が重要になるかもしれません。

玉肌花貌(作者 都築京
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#大戦乱群蟲三国志  #廃都洛陽の蟲将の巣  #洛陽 


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 その肌は磨かれた玉のごとき美しさ、美貌は咲き誇るさかりの花のよう。
 香りよい油の灯台がいくつも据えられた部屋で、口々に麗しさを賞賛された美姫は脇息にもたれかかり丸い果実か飴のようなものを舐めている。
 なにぶん地中の部屋なので灯台の明かりがあっても多少薄暗さは否めないが、肌の美しさや琥珀色の瞳の輝きは何ら衰えていない。むしろ明るすぎる屋外よりも、彼女のどこか退廃的な美貌にとってはふさわしい明るさなのかもしれなかった。
「退屈ですわ」
 短い呟きをこぼし、蟲将・甄夫人はちろちろと手元の白い飴をねぶる。半面に大きく塗りつぶされた二重丸のような装飾が施されたそれは、大粒の梅の実よりひとまわりかふたまわり大きかった。
「いつまで続くのでしょう。早くお役に立ちたいのに、つまらない」
 ――すべてはそのための『目』だというのに。
 興味を失ったのか、甄夫人は一向に減らぬ飴をぽいと投げ捨て、脇息へふて寝の姿勢に入る。
 高い脚がついた皿のうえ、彼女に飽きられてしまった『飴』が恨めしそうに小山を築いて睨んでいた。

●玉肌花貌
 門番として配置されていた呂布を撃破し、かつて漢の首都だった洛陽での調査は着実に進んでいる。
「でも今は無数の白骨死体が転がる死の都だし、蟻塚みたいな見た目の蟲将を強化するクロノオブジェクトもいっぱい造られてるし、知れば知るほど……って感じだよね」
 はあ、と岩崎・礼音(Diagrammar・g03225)はひとつ溜息をついた。
 すでに周知の事実ではあるが、廃都となった洛陽は『蟲将を強化する巨大な実験場』とでも言うべき様相を呈している。蟻塚に似た見た目の建造物はどこか獣神王朝エジプトのピラミッドに似ており、内部に多数蓄えられた人間の死体を贄として、蟲将の強化を行っているようだ。
 この強化はまだ不完全な状態であるため、なんらかの手段で打ち消すことができる。それをせずに戦っても勝てない相手ではないが、打ち消しておいたほうが楽に済むのは言うまでもない。
「今回向かってもらうのは、曹丕の妻としても有名な甄夫人のところだよ」

 今のところ洛陽の警戒は甘く、攻略目標の蟲将の巣がある区画までは危険なく移動できるだろう。
 しかし巣の周辺は祈祷師兵が多数徘徊しており、これらを駆逐しなくては侵入できない。排除後に甄夫人の強化を打ち消すカギを探したり、攻略旅団からの要請である洛陽の探索を行えるだろう。
「甄夫人は視線による誘惑と言うか、弱体化させると言うか……よくある邪眼? 的な能力を付与されてるみたい。その依り代にされているいくつか死体を巣の中から探し出して、こう、頭をすっぽり覆ってほしいんだ」
 大きいとは言え巣の構造は割に単純だ。ディアボロスが探索に専念すれば、依り代の死体はそう苦労せず見つけられるだろう。そして死体の頭部、特に目元を覆ってしまえば、覆うための品物はなんでもよい。布でも植物の葉でも砂でも紙でも、なんなら巣の周辺から土を持ち込んで顔に盛ってしまってもよい。
「なんで目元かは……ううん、見ればすぐにわかる、と思う」
 礼音はやや言葉を濁し、次いで攻略旅団からの要請について触れた。
「三つの提案のうち『廃都になる以前の洛陽の記録』と『伝国の玉璽』の調査や探索ができるから、気になっていた人は探しに行ってみるといいかもね。ただ『洛陽の強力なクロノヴェーダが生み出された目的』については、作業者というかこう……強化作業をする側のクロノヴェーダがいないから、強化されてる当人……当蟲? に訊いてみるしかないんじゃないかな」
 我ながら説得力がないなと思ったのか、ほら意外とすんなり答えてくれるかもしれないし! と礼音は声を強める。作業者が不在なのは事実なので、確かに甄夫人や祈祷師兵に直接尋ねるのも方法のうちだろう。
「それから最後に祈祷師兵についてだけど、残っている塀や建物の残骸なんかをバリケードや盾代わりにして立ち回ってくるから、ただの力押しではスムーズに倒せないかもしれない。何か工夫の必要があるね」

 残念ながら洛陽は廃墟となってしまっているが、長安には生き延びた人間が残っている可能性は高いだろう。この一連の事件を解決後に長安に向かいたい場合、攻略旅団で提案を行うとよいかもしれない。

 ゆらりゆらり、祈祷師兵達の長い衣の裾が揺れている。
 彼女達が守る蟻塚は、崩れた邸宅の中から突き出すように築かれていた。
 かつては瀟洒な邸宅だったのだろう、高い塀に守られた区画内はそこかしこに雑草が伸び放題だったが、舗装の玉砂利や飛び石の痕跡が敷地内には多く見て取れる。
 一定のリズムで杖をつき何事か呟きながら、門や塀の四隅をめぐる祈祷師兵。それはどこか祈りのようにも、呪いのようにも見えた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
3
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV5 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV3 / 【ロストエナジー】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

都築京
こんにちは、都築京です。よろしくお願いいたします。

●依頼の流れについて
OPに記載の通り、『蟲将の巣』周辺を守るトループス級を排除、蟲将の強化を打ち消したのちアヴァタール級の甄夫人と対峙していただきます。
具体的には③で祈祷師兵を排除→②で依り代の死体を探索→④で甄夫人との戦闘、です。
①の『【攻略旅団】洛陽の探索』は③クリア後に解禁ですが、依頼成功に必須の要素ではないのでスルーでも問題ありません。
OP内での説明通り、『廃都になる以前の洛陽の記録』と『伝国の玉璽』についての調査はこの選択肢でプレイングをかけて下さい。『洛陽の強力なクロノヴェーダが生み出された目的』についてのみ、③か④でのプレイングとなります。

●祈祷師兵との戦闘について
塀や建物の残骸を盾にする等してきますので、これらの対策を行わない場合苦戦する確率が上がります。

●その他
ほとんどの技能ではパラドクスのような超常の効果は得られません。


それでは皆様のプレイング、お待ちしております。
19

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ノイン・クリーガー
[心境]
洛陽か…
相変わらず地獄のような所だ。

[行動]
【地形の利用】を行い身を隠しつつ【忍び足】で可能な限り接近し、諜報機材で【情報収集】を行う。
何やらぶつくさ言ってるようだから音声を拾えるか試す。
それが済んだら発煙弾を投げ込み、煙幕に身を隠しつつ、【完全視界】で敵を捕捉して【制圧射撃】を行う。
瓦礫などを盾にするならこちらもそれと煙を利用して攻撃を凌ぎながら有利な位置へ移動し、射撃する。

途中で挑発がてら探りを入れる。

「貴様ら大したことないな。
一体何のために強化されたんだ?
そんなことではディアボロスには勝てんぞ」

強化されてるのはアヴァタール級らしいが、こいつらも何かボロを出してくれんかね。


八栄・玄才
塀くらいで拳士を止めれると思うなよっ!

あちらが盾代わりの向こうに陣取っているのなら、その真正面に立って向こうからも攻撃ができない位置取りに潜り込む
その状態で柱礎崩しを使い、敵が盾にしている物体を崩して【破壊】
あとは互いの姿が露わになった瞬間に早打ち勝負、拳での【強打】を叩き込んでやる
敵が風を吹かせるなら、地面に足を突き刺して耐えてみせよう

オレの見立てじゃ、お前ら洛陽の兵は三国が闘り合って兵力も損耗することを見越して用意された補充要因ってところだろ?
三国の勝者に仕えて「七曜の戦い」に臨むつもりだったか?
それももう、叶わない未来だけどな

自分の予想を口にして相手の反応から洛陽の目的の【看破】を試みる


 足音を消したまま、ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)は高い塀の崩れた箇所を目指して慎重に進む。ちょうど八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)もまた、塀の向こうを警戒しつつ逆方向から接近してくる所だった。
 邸宅の敷地内では複数の祈祷師兵が規則的に行きつ戻りつしながら、小声で何か呟いている。塀に身を寄せれば難なく聞き取れる声量ではあったので、ノインはそのままじっと息を潜めた。
「……取り越し苦労か」
 しばらく彼女達の呟きを聞き取ってはみたが、特に気になる単語や表現はない。『祈祷師』兵と言うくらいだ、パラドクスの域に達しない一般的なまじないや祈祷くらいはもはや日常のものなのだろう。
「塀ごときで拳士を止められると思うなよ」
 祈祷師兵の声が聞こえている位置を探り、玄才は塀が崩れれている箇所からも見えている建物の瓦礫の山へ目星をつけた。まずはここから見えていない、あるいは身を隠している祈祷師兵の位置を把握し、戦闘に適した箇所へ釣り出さねばならない。
 ノインが見たところ塀の内部で最も高い建物は、蟲将の巣が中央付近から突きだしている、かつて母屋であったと思しき邸宅だ。できれば戦闘を行うに有利な高所部分を確保したいが、不用意に蟲将の巣へ近付きすぎるのはよろしくない。敷地を囲う塀は無事な箇所がわりあい多く、あえてこちら側の突入箇所を絞って狙わせ、祈祷師兵の位置を探るほうが手っ取り早いはずだ。
 飛翔で上から狙い撃つつもりでいたディアボロスもいたが、相手の位置を把握するよりも前に遮るもののない空中に送り出すのは、どうぞ撃ってやってくれと言うようなもの。ここは地上組が先に役目を果たすべき場面だ。
 玄才がいつでも突入できそうな事を確認してから、ノインは目星をつけた瓦礫のやや奥をめがけて発煙弾を投げこむ。
 からころと金属音が響き、異常を察した祈祷師兵の声音が誰何に変わった。間髪入れず瓦礫の向こうから白炎が噴き上がり、玄才が走り出す。
「おのれ、敵襲かっ」
「貴様ら、たいしたことないな。一体何のために強化されたんだ」
 瓦礫の向こうの様子を探りつつ、玄才の援護のためノインもまた塀の内側へ踏み込んだ。庭石だったのかそれとも風雅な目隠しなのか、巨石の陰に入って今はまだ見えない祈祷師兵めがけてトリガーを引く。
「そんなことではディアボロスには勝てんぞ」
「オレの見立てじゃお前ら洛陽の兵は、三国がやりあって兵力が損耗することを見越して用意された補充要因ってところだろ?」
 瓦礫の向こうを走る複数の硬い足音が聞こえるが、返る声はない。答えを持ち合わせていないのかそもそも答える気がないのか。
「三国の勝者に仕えて『七曜の戦い』に臨むつもりだったか? それももう、叶わない未来だけどな」
 返答のかわり、玄才の背後にあった立ち枯れの松、その半ばあたりへ疾風が叩きつけられへしゃげて折れる。祈祷などと悠長なことをやっているわりに気が短いらしい、と玄才は他人事のように考えた。
 遅れて降ってきた枯れ松葉を頭から払いのけ、可哀想な松を狙った射線を読む。一番手前の瓦礫のさらに向こうにある崩れた東屋の陰にひとり。そして足音からするにそこから左手に見えている庭石と、離れの出入り口へ続く石段の陰にひとりずつ。最後の一人は母屋の瓦礫の近くだ。
 ノインが発煙弾を追加し、薄まりつつあった煙がもう一度濃くなる。東屋の陰のトループス級をひきずり出そうと言うのか、銃撃音は玄才の視線の先へ集中していた。
 あるかなしかの風にぶわりと押し出されるようにして、煙のかたまりが瓦礫を呑み込む。次いで玄才が動いた。汚れ、割れた石畳を蹴る。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

ソレイユ・クラーヴィア
【賽】
連携アドリブ歓迎

これが噂に聞く洛陽…
エジプトも人を贄とする施設はありましたが
助ける事すら叶わぬ死体が積まれてしまっては…
これ以上の被害を広げぬ為、尽力しましょう

仲間とタイミングを合わせ攻撃
飛翔を使い上空から攻めます
宙に展開した鍵盤で月虹を演奏
喚び出した月の化身に命じて
正面から攻める方と狙いを合わせ
相手の注意を分散させましょう

地上から攻める仲間の攻撃が通りやすように
注意を引き続ける事を優先
シャムスと錬晏への苦手攻撃はディフェンス

ここで強化個体を生み出した目的は何ですか?
ええと、司馬懿、でしたか
彼の指示ですか?
それにしては強化の方法が杜撰な様ですね

戦闘に合間に挑発も兼ね言葉をかけてみましょう


シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携

腐臭がする…
まさに死の都
(心の中で犠牲となった人々を悼み)

地形の利用、情報収集で戦闘に有利な位置取り
建物の残骸等を盾として使ってくるなら
こちらも残骸を盾に忍び足等で潜み
ソレイユが敵の注意を引いている隙に
可能なら敵背後もしくは比較的障害物がない側に回り込み
仲間と呼吸を合わせ一気に攻撃
「星の銀」で無数の盾を生成
太陽の輝きを反射させ敵の目をくらまし攪乱
生成した盾で敵の幻術の兵の攻撃を防ぎ
押し付けるようにしてシールドバッシュで攻撃

ソレイユ、錬晏の苦手能力はディフェンス

死骸で強化された身体等忌まわしいばかり
何故そこまでして自らを変えようとするのか
※やや挑発気味に情報収集

アドリブ等歓迎


 エジプトでも人を贄とするカラクリはあった。しかし命が去ってしまっていては助けることもできやしない。ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)としてはこれ以上、生命を啜るようなクロノヴェーダの所業を看過するわけにいかなかった。
 発煙弾による煙が薄まらないうちにシャムス・ライラ(極夜・g04075)は塀と瓦礫の間、わずかな空間を選んで敷地内へ侵入する。
 死骸で強化された身体など忌まわしいばかり、なぜそこまでして強化を望むのかと問うのは『まともな人間』の感覚だ。そもそも死体を苗床として生まれるという蟲将の理屈からして、『まともな人間』とは対極にある。
 ならば尋ねたところで有意義な回答など望み薄、とシャムスは喉奥へ詰問を押し込んだ。
 先に突入していたディアボロスのパラドクスだろう、突如瓦礫の山が爆ぜる。すぐに、ぎゃっ、と短い悲鳴が聞こえ、そこへ無事を訪ねる祈祷師兵の声が続いた。
 先行したディアボロスがどうなったかは不明だが、少なくとも祈祷師兵の一人へはそこそこの打撃を与えたはず、そう判断しソレイユは宙へ鍵盤を展開する。
 祈祷師兵の位置からは絶えず煙幕ごしになる位置を意識しつつ宙空へ飛び出すと、さらに爆発音。東屋の陰から手前へ移動しようとしている祈祷師兵とそこへ向かうシャムスを見つけ、咄嗟に鍵盤を叩いた。現れる月の化身と、枯れ葉や砂塵を巻き上げる烈風が激しく入り乱れる。
「ここで強化個体を生み出す目的は何ですか!」
 吹き荒れる風に負けじと張り上げる声にも、応じるものはいない。
 司馬懿の指示なのか、それとも他の誰かなのか。司馬懿のやりようにしては杜撰ではないかと重ねて問おうとしたものの、ソレイユはそれ以上言い募るのをやめた。挑発するにしてももっと材料が欲しい。
 知己のため上空で祈祷師兵の注意を惹くソレイユを視界の端に捉えつつ、シャムスはトループス級までの距離を一足で縮めた。手元へ出現した銀色の光沢を放つ大盾を全身で支え、そのまま自重をも乗せた突き当ては、ほぼ体当たりに近い。
 いわゆるシールドバッシュだが、盾の向こう側でシャムスは骨の砕ける生々しい音を聞いた。盾ごしの拮抗が急反発に変わったので慌てて踏ん張ると、祈祷師兵の替わりに見上げるほど屈強な幻影の兵士が出現している。
 信じられないほどの力でそのまま押し切られかけ、シャムスは唇を噛んだ。
 断続的に聞こえている射撃音、相対している祈祷師兵とは別の、しかしさほど離れていない場所から女の断末魔があがる。おそらく最初の祈祷師が仕留められたのだろう。幻影兵が押し返してくる圧倒的なまでの重さが全身へのしかかり、びきりと嫌な音を立てて足元の石畳が割れた。
 これまでかと思われた瞬間、月の狂気を凝らせた化身が幻影兵との間へ割り込む。盾の表面へ食い込んでいた剣をなんとか滑らせて流すと、間髪入れずもう一度盾で殴りぬいた。
 幻影兵のほぼ真後ろから女の悲鳴が上がって、恐らくソレイユが上から畳みかけたのだと知る。荒い砂を踏むような音を立てて幻影の巨漢が消え去った。
 反発力が予告なしに消失したせいでつんのめりかけながら、シャムスは顔を上げ石畳を叩くことで体勢を立て直す。儚い、しかし鋭い月の化身の笑い声。乱舞するように飛び回る化身ごと烈風で押し戻そうとしたのか、黒い眼球を剥いた祈祷師兵が片腕で杖を振り上げたところだった。右腕が肩のあたりから力なく垂れ下がっている。
 時間の流れが急激に緩慢になるような錯覚。
 白い髪が揺れて深紅の瞳孔がシャムスを捉えた。繰り出す盾の狙いはその首元。真正面からではなく斜め方向からだったせいで、何か壊れた人形じみた角度に首をねじ曲げた祈祷師兵が塀際まで吹き飛んでいった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

夏候・錬晏
【賽】を積極ディフェンス
連携アドリブ歓迎

洛陽の惨状を目にするのも3度目

なぜ多くの民が犠牲に?
司馬懿が強化した兵で何をしようとしている?
…なぜ洛陽である必要があったのか

多くの疑問を胸に
一つでも明らかにするために
まずは目の前の敵を討つ

<地形の利用>で気取られないように目的の邸宅まで進み祈祷師兵を観察

「…これは儀式か何かか?」

耳を澄ませ口の動きを見て読み取れるかな
兵の行動を把握して仲間と一気に畳みかける

障害物があろうが関係ない
偃月刀で<両断>し
勢いそのままに咆哮を叩きつける

【泥濘の地】で足元を崩し攻撃をずらしながら切り込めば
目星をつけた一匹の杖を<薙ぎ払い>捕縛
朱殷も合わせて尋問して情報を吐かせよう


 この洛陽の惨状を夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)が目にするのは三度目になる。
 なぜ多くの民が犠牲になったのか。
 強化した蟲将をもって司馬懿は何をしようとしているのか。
 なぜ強化の場が洛陽である必要があったのか。
 その答えを得るにはまず目の前の敵を討たなければならない。それとも祈祷師の一人でも縛り上げてやって尋問でも行えば答えに近づけるだろうか。もっとも、自白した後のメリットも示さぬままに敵を脅して得られるような回答は、さほど信憑性も高くないのだが。
 ソレイユからの援護を受けつつ、庭石の陰に隠れた祈祷師兵へ錬晏は大喝する。
「これは儀式か何かか?」
 得物を叩きつけて瓦礫を蹴散らし尋ねても、答えはない。赤くうすい唇が笑みにつりあがり、枯れ木か骨か何かを繋いだような外観の杖を上段へかざす。偃月刀を振り抜こうと吐いたはずの呼気が逆に肺腑で膨張し、錬晏は己が肋骨の悲鳴を聞いた。
 ――が、その程度で歩みを止めていては復讐者の名折れというもの。さすがにいつものように得物の重さを乗せきるまでには至らなかったものの、祈祷師兵へ力任せの振り下ろしは返せた。
 どのみち敵を捕縛して尋問等するには、たとえトループス級でも戦闘の片手間で行うのは無理がある。捕縛の可能性を模索するにしても、攻略旅団での提案、あたりから探っていくのが現実的な落とし所かもしれない、と錬晏は考えた。
 上空で矢継ぎ早にパラドクスを繰り出しているソレイユ、そして敷地中央の廃屋に潜んだ祈祷師兵を押しとどめているシャムスと息を合わせ、いま一度祈祷師兵へ肉薄するため地面を蹴る。上空からソレイユではない誰かが撃ちこんだのだろう、誘導弾のような軌跡と熱量が廃屋の瓦礫を吹き飛ばしていった。
 乱舞する木っ端を縫うように一歩を、振り下ろしへ体重を乗せきるためのさらなる一歩を踏みこみ、錬晏は偃月刀を振りかぶる。片腕で爆風から目元を守っていた祈祷師兵がその接近に気付いても、もう遅い。
苦戦🔵​🔴​🔴​

エレオノーラ・アーベントロート
ふぅん……クソみたいな街並みですわね。
ここの防衛を任されている蟲将……確か司馬懿とかいいましたわね。いい趣味をされているようですわね?

あなたがたのような替えの効く有象無象なんて殺す価値も薄いのですけれど……生かす価値はさらにありませんの。
「フェアレーター」で遠距離戦闘、技の発動のためにこちらを観察する暇など与えず一気に擦り潰して差し上げますわ。
敵が塀や残骸、瓦礫をバリケードにしてきたなら【飛翔】、さらに上空からの「第十三の魔弾【愛執】」の「誘導弾」でブチ抜きますわ。

どこかで挑発兼ねて反応を見ますわ。
がっかりですわね、この程度ですの?
来るべき戦いではここが一番に脱落していきそうですわ。


光道・翔一
……こっちの指揮官は司馬懿だってわかった訳だが、元々の司馬懿の言い伝えを思うと、な。
…調査の1つを提案した身でもある。こっちも手早く対応にかかりたい所だな。

…向こうが残骸を利用するなら、こっちも利用してやるだけだ。


パラドクスを発動し、建物の残骸を武器に変え武器として利用

【不意打ち】を主体とした攻撃の他、【誘導弾】として陽動に用いる、武器生成の過程で残骸を【破壊】し敵に利用させないといった、他の復讐者のサポートとなる行動も有用そうであればとる


……恐らく、ここの目的は端的に言って「いずれ決まる王の軍勢の強化」何だろうが………

…王ってのは曹操か?
…それとも、王なら誰でもいいのか?


連携やアドリブ歓迎


 爆風に抗う祈祷師兵が短い驚愕の声を上げる。庭石とともに身を守らせていたはずの目の前の瓦礫がまるごと消失した。
「そっちが残骸を利用するなら、こっちも利用してやるだけだ」
 してやったりと光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)は笑い、塀の内側へ侵入する。
 彼の手にはもちろん、その周囲にも無数の弾丸が浮遊していた。祈祷師兵が身を隠していたそこそこの大きさの建物の瓦礫がまるごと弾丸へ変換されたのだから、その数と向かう先は推して知るべし、だろう。
 身を隠すものもなく蜂の巣になるしかない祈祷師兵は、先行していたディアボロスがさらに偃月刀を叩きつけ杖ごと真っ二つになっていた。
 ともかく翔一はこの洛陽を預かる指揮官が司馬懿であったという情報が気になる。元々の、史実の彼の言われようを思うと嫌な予感しかしなかった。それに調査の一つを提案した身としても今は手早く対応にかかりたい。
「そう言えば」
 ふと思い出したようにエレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)声を上げる。
「ここの防衛を任されている蟲将……確か司馬懿とか言う。ずいぶんといい趣味をされているようですわね? 特に、この、クソみたいな街並みが」
 眼下の祈祷師兵へ聞こえるように続け、エレオノーラは目を凝らした。
 煙幕は薄まりつつあり、大詰めは近い。愛用の電磁レールガンを手に飛翔するその目へ、巣を中心にして崩れた廃屋やすっかり荒れ果てた庭跡の光景が見えた。そして廃屋となっている母屋から動き出そうとしている祈祷師兵。
「あなたがたのような替えの効く有象無象なんて、殺す価値も薄いのですけれど」
 黒い肌と銀色の髪、白いはずの部分が漆黒に彩られた祈祷師兵の目がエレオノーラを捉えた。最後に残った一人を面白そうに見下ろし、エレオノーラはさらに言い募る。
「生かす価値はもっとありませんのよ」 
 言い終わるが早いか電磁レールガンが火を吹いた。それとほぼ同時に、祈祷師兵までの距離を詰めていた翔一が走り出す。
「王ってのは曹操か!?」 
「!」 
 不意討ちで姿を現した翔一に気を取られ、エレオノーラへの祈祷師兵の反応が数瞬遅れた。即ち、誘導弾が着弾するまでには充分な時間。それでも見るからに邪悪な気配を滾らせ、上空のエレオノーラへ一矢報いたのは敵ながら天晴れと表現するべきかもしれないなと翔一は考える。
「それとも王なら誰でもいいのか!?」 
「さっきからあれやこれやごちゃごちゃと」
 至近距離からの弾丸の雨を幻影に肩代わりさせるも、完全に被弾を免れることは不可能だった。血痕のようなものに汚れていなければそこそこ麗しいはずの衣装を穴だらけにしつつ、祈祷師兵はそこで初めて返答らしい返答をする。
「ここで私が、私自身が王だと言えばどうする?」
 もちろん信じるわけがないと言い返しかけ、翔一はすんでの所で呑み込む。ディアボロスですらクロノヴェーダに常に真実を答えるはずがないものを。そういう相手に正確な情報を吐かせるにはそれなりの手順と材料が要る。
「ならばご退場いただくだけですわね」
 いつのまに地上へ降りていたのだろう、祈祷師兵の背へエレオノーラが電磁レールガンを当てていた。振り向く時間すら与えられずに胸へ大きな風穴を開けられ、祈祷師兵は崩れ落ちる。
「がっかりですわね」
 この程度ですの? と身を屈めて問いを重ねるエレオノーラへ、祈祷師兵は呪い殺すかのような視線を向ける。しかし血泡じみた体液を吐きながらも今度は沈黙を守り、そのままごとりと重い音を立てて頭を垂れた。
「来るべき戦いでは真っ先に脱落しそうですわ」
 今やこの死の廃都よりもなお不吉で、冥い場所を凝視している祈祷師兵。すっかり興味をなくした顔でエレオノーラは屈めていた半身を起こした。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV2になった!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!

安藤・優
さてと、これは別のチームからの報告で確認した事なんだけど……
伝国の玉璽が洛陽にあったとされるのは後漢末期…つまり現在の洛陽に無い可能性も考慮しなきゃなんだよね…。

ついでに聞いた事と言えば…孫堅が焼け野原となった洛陽の古井戸の底にあった伝国の玉璽を見つけたって事くらいか。

古井戸なぁ……井戸っぽい物をしらみ潰しに探してみるか…

移動時間の短縮の為に低空を【飛翔】して移動、一応【平穏結界】も起動しておくよ。井戸の中を確認する為に【完全視界】も使って…あとは【強運の加護】が上手く働く事を祈るくらいかなぁ…何か収穫でも有ればいいけど。


八栄・玄才
逸る血気を抑えて探索を行う

攻略旅団での言い出しっぺだし、『廃都になる以前の洛陽の記録の調査』をやってみっか

この時代じゃ映像記録はないし、探すなら住民のしたためた手記とかになんのかね
ある種のダイイングメッセージというか……、都が滅ぼされ、隣人が虐殺される無念を言葉に残した人がいたかもしれない

そこらに落ちてたら蟲将にグチャグチャにされてそうだし、《怪力無双》で崩れた家屋の瓦礫の下なんかを中心に捜索
あとは、軒下とかを《完全視界》で覗いてみたりな

この荒れっぷりだと紙の資料は痛んじゃってるかな?
石に刻んだ文字なんかが残ってたらありがたいが

……あまり気は進まないが、必要があれば白骨死体の山もあさってみるか


エレオノーラ・アーベントロート
当然と言えば当然ですけれど、情報なんてそうそう上手く吐いてはくれませんわね。
拷問にでもかけられる余裕があればよかったのですけれど。

さて、洛陽の記録か、玉璽の捜索か……
蟲どもがどこまで正史に拘っているかはわかりませんけれど、事前に色々と新宿島で調べたところこの年代では玉璽は魏が握っていそうですし、洛陽の記録の方を当たりましょうか。

とはいえきちんとした記録の文書があるならおそらく敵の本拠地、生き残りの人々もいないでしょうし……探し方は考える必要がありそうですわね。
【平穏結界】を使用し、文化人やちょっとしたお金持ちが住んでいたような大きな家を探して家探しを。日記のようなものがないか調べましょう。


「まあ、当然と言えば当然ですけれど。下っ端が有用な情報なんて上手いことすんなり吐くはずありませんわね……」
 人っ子一人どころか生き物自体なにも見かけない洛陽の真ん中、エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は溜息をつく。
 捕らえて拷問にでもかけられればとも考えるが、その方法や選択肢を確立させたいと思うなら攻略旅団への提案、が妥当なところだ。
「確かにな。旅団での言い出しっぺだし、地道に廃都になる以前の洛陽の記録でも探してみっか」
「なら僕は伝国の玉璽を」
 ちらりと胸の高さに手をあげた安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)を肩越しに振り返りつつ、八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)は周囲を見回してみる。気は進まないが、必要があれば白骨死体の山もあさってみる必要もあるかもしれないと覚悟を決めた。それほどまでに健全な状態と思われるものが少ない。いっそ一周回って感心するほどに荒廃している。
 当然この時代に映像記録はないので、探すとなると住民が書き残した手記なり何なりになるのだろうかと想像しながら、玄才は完全に潰れてしまっている民家の軒下を覗いてみた。
「この荒れっぷりだと紙の資料はとっくに傷んでるんだろうな……」
「人が住まなくなるだけで建物は荒れますものね。あるいは紙より硬い木簡や竹簡のほうが保つのかも」
 エレオノーラも探索に加わって、比較的原形を留めている瓦礫やら潰れた屋根やらを怪力無双で持ち上げてはその下を覗いていく。文化人が住んでいそうな瀟洒な庭の雰囲気が残っている箇所や、見るからに裕福そうな家の大きな区画を選んで家捜しを続けた。
「そう言えば、別のチームからの報告で確認した事なんだけど」
 玄才とエレオノーラを見失わないよう留意しつつ、優は移動時間の短縮のため廃墟の中に点々と残されている井戸まで飛翔しつつ覗いている。
「へぇ。何かわかったんだ?」
「いや、わかったって言うより残念なお知らせと言うか……伝国の玉璽が洛陽にあったとされるのは後漢末期の話で、つまり現在の洛陽には存在していない可能性も考慮しなきゃなんだよね」
 ああそういう意味……と玄才がやや半目になった。
 史実では董卓が190年に洛陽から長安へ遷都、翌191年春に洛陽を焼き払い長安に逃れている。呉の孫堅が焼け野原となった洛陽で、古井戸の底にあった伝国の玉璽を発見したとされるのはその頃だ。
「だから古井戸っぽいものをしらみつぶしに探そうかなと、思って」
 石積みの囲いからして井戸かと思われるものへ近付き、優はその中を覗く。
 手入れもなく放置されて久しいのだろう、底には枯れ葉と汚れた泥水が混じった、とても飲用に適すると思えないものが溜まっていた。
「……何か収穫でもあればいいけど」
 こうして自分の目で確認していくと、やはり伝国の玉璽はもうここには存在しないのではという思いのほうが強くなる。現在は220年。史実通りに事が進んでいたと仮定するとしても、洛陽が焼かれてから数年以上経過しているということだ。
 蟲どもがどこまで正史に拘っているかはわかりませんけれど、と前置きした上で、エレオノーラは砂埃で汚れた手を何度か払う。
「わたくしも少々新宿島で調べてまいりましたけれど、この年代ではここ洛陽と言うよりも、魏が玉璽を握っていそうではありますわね。残念ですけれど」
「やっぱりそういう事になるのかな……」
 落胆の溜息をついたものの、それでも優は諦めきれず井戸を覗いて回っていた。
 何か都が滅ぶさいに住人が書き残したダイイングメッセージでも残されていないかと玄才は根気よく探しまわったが、やはりまともな状態で残っている資料は見当たらない。いよいよ白骨死体の山を漁ることも考えたが、冷静になってみれば白骨死体になるまでに肉や内臓が腐り落ちるという過程を経ているはずなので、逆に保存状態は一切期待できないだろう事に気がついた。
 最後に木簡などと違い岩盤や石材に掘られそう簡単には朽ちないはずの文字、つまるところ記念碑や石碑のたぐいを玄才は調べてみることにする。判読可能はものは比較的すぐに見つかったが、あまり重要と思えるような情報ではなかった。
「一応残っていることには残っている、って辺りか。でもこれじゃなあ……」
 見る者が見れば歴史的な価値があるものかもしれないが、ディアボロス達が欲しいと思う大戦乱群蟲三国志の謎に迫るような内容ではない。改竄される前に刻まれクロノヴェーダが改竄する必要がないとして、そのまま残されたたぐいのものだろう。
 洛陽での調査は結果的に、少々落胆が否めない内容だったかもしれない。しかし一つ一つ調査を進めることが無益なわけではない。実際、洛陽にこのディヴィジョンの謎に迫れるような文字情報は残っていないと考えられること、洛陽に伝国の玉璽が残っている可能性は低い、という事実はこれまで完全に不明だったのだから。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【平穏結界】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV2になった!

安藤・優
…外の調査で得られる情報に有益な物は無いって事だけは分かったかな。それじゃ気を取り直して巣の中に向かおう。

依代にされてる死体を探して目元を覆えばいいんだっけ?

アウロラに頼んで死体を花で埋めるかな…
頭だけってのもなんかアレだし、全身を花で埋めておこう。


光道・翔一
連携、アドリブ歓迎

…邪眼的な能力に、「目元」、か……。
……考えるより動くべきか。早いとこ済ませるとしよう。


探索中は【完全視界】を使い視界を確保
念のため【平穏結界】と【光学迷彩】も使い、不意の事態への対策とする

予め持ち込んだ古布や、廃都内で調達した布切れ(いずれも出来るだけ綺麗そうな白色の物)を使い、依代の死体の目元、もとい頭部全体を覆う


(恐らく推測した通りの)死体の有様には、表情には乏しいとはいえ一旦は立ち止まるかもしれない

直後、目を伏せ少し頭を下げ、僅かながらに黙祷を捧げて、作業に取り掛かる


…洛陽方面への進出は、出来得る限りここまで最速だったはずだ。

…無責任かもしれないが……今は、安らかに。


 これまでの洛陽までの歩みを思い返すに、できうるかぎりの速さで行われていたはずだと光道・翔一(意気薄弱なりし復讐者・g01646)は記憶している。
「……邪眼のような能力に、『目元』か……」 
 強化の依り代とされている死体の頭部、特に目元を覆うことで打ち消せるとのこと、翔一は周囲の廃屋からいくらかの布を調達していた。用途が用途なのでできるだけ色柄がなく、かつ汚れのないものを選んだつもりだったが、すっかり黄変しているばかりか雨染みだらけというものが精一杯だった。覆うとなるとある程度の大きさも必要になってくるが、そもそも腐食や虫食いがひどく大きさを確保することさえ難い。
「いくらか予測はしていたが、これほどとは。……しかし今は考えるより動くべきだな。早いとこ済ませるとしよう」
「そうだね」 
 洛陽内で得られる情報にもはや有益なものはないと見切りをつけ、安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)は翔一と共に蟲将の巣の中へ踏み入る。
 完全視界のおかげで巣の中を進むのに不自由はない。しかし壁や天井に埋め込まれるように混じっている巨大な虫の脚めいたものや、触角に似た突起やらが不気味だ。ただ埋まっているだけなら良いが、触れば動き出しそうな気がするせいで始末が悪い。
 漂う死臭を辿っていけば依り代と思われる死体はすぐに見つかった。一見、壁へ背を預けて休んでいるようにも見える青年のもとへ駆け寄ろうとして、しかし翔一は立ち止まる。
 見ればわかると言われただけあり、その凄惨さは想像通りだった。両の眼窩にあるはずのものは存在せず、その替わりになにか、妙に赤黒く見える土が詰められている。土が死体から吸ったのか、それともそこへ詰められる前に血で練られたものかはわからない。
「……依代を探して、その目元を覆えばいいんだっけ?」
「そうだな」
 黙祷を捧げてから翔一は死体を通路へ横たえ、頭部を布で包みはじめた。
 優はアウロラの協力も得つつできるかぎりの花を廃墟から集めてきていたが、なにぶん人の手も入らなくなって久しい荒れた廃都、死体を覆うだけの量は見つけられなかった。古い布で厳重に頭部を包まれ、胸元へ両手一杯ほどの花を乗せてやる。そして、見つけることのできた花はそれで全部だった。
 もちろん新宿島から持ち込むのも充分に現実的な選択肢ではある。しかし彼にとっては異境の地の花で送られるよりかは、たとえ僅かなりとも自身の生きた土地の花のほうが心安らげるはずだ。
 行こうか、と呟いた優の声はいつも通り感情が薄い。
「これひとつだけってはずはないだろうし」
「……ああ、そうだな」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【植物活性】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【アヴォイド】がLV2になった!

エレオノーラ・アーベントロート
玉璽を探すなら魏、ここに暮らしていた方々を探すなら……長安でしょうか?
近々魏とは大きな戦いもありそうですし……うふふ、愉しみですわね。

さて、依り代ということでしたけれど白骨死体ではありませんわよね。
それらしいのを探してみますわ。

それらしいのを見つけたらひっくり返して目元を……というより、眼があるかを確認いたしましょう。

ふぅん、司馬懿とかいうクソの部下もまた、クソみたいな趣味をしているようですわね?
廃墟となった町で服などの布を探して依り代の死体の顔に被せましょう。
どうしてもなければ先ほどブチ殺した術師が着ていたもので我慢して頂きますわ。

いずれ、この街は全て焼いてしまうのもいいかもしれませんわね。


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
※残留効果活用

案内人の説明だと…遺体の目が関連しているんだったか?
覆う物は新宿島から遮光性の高いカーテンの古布をもらってきた

仲間に【平穏結界】を付与して見つかりにくいように
目的の遺体を見つけたら
一度静かに黙とうを
戦場で多くのむごい死に際を見てきたとは言え
その状態に少し心がざわめく

荒らさない程度に観察して<罠使い>の知識として持って置く
後々役に立つかもわからないし、ささいなことは見逃したくないから
【完全視界】の力も借りよう

朱殷闘刀で小刀を作り
一人ひとりの顔を覆えるような大きさに<両断>していき
布はズレないように端を手近な石などで抑える

せめて死後は安らかに
蟲将らからの解放を誓おう


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

目、か……。
遺体を探して回るのは、あまり気持ち良い行為ではありませんが
仕方ありません

完全視界を使用し、仲間と手分けして出来るだけ多くの遺体を探します
念の為迷わぬ様に地図に行動範囲を記録
弱体化の細工をしていることがバレないように隠密行動を心がけます
大ぶりの白いハンカチを何枚も用意しておき
目の無い遺体を見つけたら、十字を切って顔にハンカチをかけましょう

異教徒の祈りがどれほど意味があるかは分かりませんが
魂の安寧を
主の御元へ

できればきちんと埋葬したい所ですが、難しいのが残念でなりません
遺体を辱める蟲将に、その対価を支払って頂かなくては


 エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)はうつ伏せに倒れていた少女の死体を仰向けにして、その顔を覗きこむ。苦悶の表情を貼りつかせたままの少女と視線は合わず、目があるはずの場所には血の臭いを色濃く漂わせる土が詰められているばかり。
「……ふぅん」
 軽く唇を尖らせて、エレオノーラは夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)の黙祷が終わるのを待った。ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)のほうは十字を切り、大振りの白いハンカチを取り出している。
「確かこの洛陽に関わっているのは司馬懿、とかいう輩だったかしら? そのクソの部下もまた、クソみたいな趣味をしているようですわね」
「案内人の説明では遺体の目が関連しているという話だったが、こういう事か……」
 戦場でのむごい死に際など錬晏にとっては珍しくもない話だった。攻城兵器に巻き込まれヒトの形状を残さなかった場面だって当たり前に見てきてもいる。しかし目の前のこの惨状は話が別だ。
 兵なら戦いの中で命を落とすことは、大なり小なり可能性として必ず想定している。でも彼等は違う。ただの無辜の民が、なぜこれほどむごい扱いをされなければならなかったのだろう。
「……。目、か」
 邪眼のような能力を付与されているというアヴァタール級。ソレイユとしても死体を探してまわるのはあまり気が進まない。しかし強化を打ち消すためには必要なもの、と割り切らなければならなかった。
「できればきちんと埋葬したい所ですが、難しいですよね。残念です」
「『蓄えられている』という表現がされた巣もあるようですわ。見えている数を葬るくらいはできそうですけど、見えないものは放っておく、という事にもなりかねませんもの」
 ソレイユが白いハンカチで少女の顔を覆うのをエレオノーラは見守っている。
「いずれこの街はすべて焼いてしまうのも良いのかもしれませんわね」
「……」
 顔を覆い終えるとソレイユは無言で立ち上がり、さらに奥へと進んでいった。
 後々この巣のことが役に立つかもしれないと考え錬晏は周囲の様子を注視しながら進む。やがて通路はひとつの部屋へ辿りつき、そこには数体の依り代がなんとも無造作に転がされていた。
 ここまでの通路上に放置されていたものもいくつか見てきたので、もう驚きもしない。せめてきちんと並べられているなりして扱いが丁重ならば、多少は気持ちのやり場もあっただろう。
「この対価、いずれ支払っていただかなくては」
「いずれ、と言うほど遠くもないだろう」
 ここでも黙祷を捧げてから、錬晏は死体の頭部を覆いはじめた。新宿島から持ち込んだ遮光カーテンを扱いやすい大きさに切りつつ、手近な石で重石もしておく。
 依り代がどういう基準で選ばれているのかは不明だった。ただ死亡した時期は全員同じはずではないにも関わらず、不思議と皆一様に腐敗の程度が抑えられている。まだ生きているかのように、とまではいかないものの、これだけの死体がありながら死臭は思っていたほど強くはない。恐らく腐敗を抑えるなんらかの方法があるのだろう。……まあ、知りたいとも思わないが。
 ともあれ、この洛陽にはもはや生きた人間はおらず玉璽はもとより有用な情報も残っていない。エレオノーラは周辺の廃墟から探してきた衣服で壮年の男性の頭を覆いながら考えた。玉璽がある場所と言えば、おそらく魏だろう。ここで暮らしていた人々は長安に移されたのかもしれない。
「近々魏とは大きな戦いもありそうですし……愉しみですわね」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【平穏結界】がLV3になった!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV4になった!
【ドレイン】LV1が発生!

夏候・錬晏
【賽】連携アドリブ歓迎

強化の仕掛けを解き後は首魁を討ち取るだけ

あの遺体を見れば先に何があるかは大体わかる
ソレイユ殿には見せたくないが
最後までやると決めた彼の気持ちは尊重したい

(…気は進まないが)

【完全視界】で部屋の状態を見れば
布を被せた民たちの表情が思い浮かび
<殺気>が爆発するかのようにネメシス化
黒い闘気が籠手や佩楯、脛当てを成形する

仲間と連携して仕掛け素早く接近
鱗粉を<薙ぎ払い>【泥濘の地】に叩きつけ羽を封じる

「は、強化してもこの程度で何の役に立つ」

強烈な嫌味で<挑発>しつつ攻勢を激化
思考を<撹乱>させて口滑らせを狙う

正史通り憐れだな…綺麗な方だったが

シャムス殿は怪我をしていないだろうか?


ソレイユ・クラーヴィア
【賽】
連携アドリブ歓迎

犠牲になった人々の無念を少しでも晴らす為、進みましょう
錬晏の気遣いは嬉しく
しかし目を閉じて見ぬふりする事はできません

完全視界を使用
仲間と連携して仕掛け
宙に展開した鍵盤で「嵐」を演奏
喚び出した嵐で薙ぎ払う

美しい姿に擬態しようとも
こうも隠しきれぬ死臭を纏っていては
千年の夢も醒めるというもの

貴方が生み出された目的は何なのです?
司馬懿も断片の王の資格を得ようなどと
夢を見ているのでは無いでしょうね

反撃には飛翔で後ろに飛び距離を取ります
目が狙われそうな気もするので
危険を感じたら腕で庇うようにします

今はかれらを弔うことは出来ない
ならば奪還に力を注ぎ
この誤った世界を一刻も早く修正するまで


シャムス・ライラ
【賽】
仲間と情報共有、連携
有効そうな残留効果は臨機応変に使用

仲間達が目の無い躯を弔う様を見
突然の頭痛
失われたはずの記憶が…

目には不思議な力が宿る
私の故郷でもそう言い伝えられていた

痛みを振り切り任務に集中

地形の利用、情報収集で戦闘に有利な位置取り
完全視界、光学迷彩も使いつつ潜み
仲間と息を合わせ敵を挟撃
飛翔で素早く接敵
ネメシス化して
日狂星落乱舞で鋭い一撃を

敵攻撃はジャンプや一撃離脱で可能な限り損害を減らす
舞には精神集中で抗う

あの「目」の躯を見せられたら
痛ましさに仮初の美等消し飛ぼうと言うもの

ただひたすら「許し難い」
ただそれだけ
泥濘の地に沈むが良い

可能なら間合いを取りつつ隙を見て再攻撃

アドリブ等歓迎


 強化の仕掛けはもはや無く、あとは首魁を討ち取るのみ。
「今は彼等を弔うことはできません」
 しかしあの惨状を思えば、先に何が待っているかなど夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)にはおおむね想像がつく事だった。ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)にあまり見せたくない、と考えるのは無理からぬ事だったかもしれない。
「ならばディヴィジョン奪還に力を注ぎ、この誤った世界を一刻も早く修正するまでです」
 しかし毅然と前を向く表情に迷いはなかった。正直錬晏としては気が進まないが、最後までやり通すと決めたソレイユの気持ちは尊重すべきだろう。
「そうか、勇ましいことだ――シャムス殿?」
 目元を覆い、土壁に手をついているシャムス・ライラ(極夜・g04075)に気がついて錬晏は通路を戻った。目眩か頭痛、あるいはその両方か。軽く頭を振り、大事ない、と呟くものの顔色は悪い。
「そうか? 顔色が悪い」
「本当に、心配いらない。件の死体にあてられたのだろう」
 あるべき部分にあるべき物がなく、替わりに土を詰められていた惨状を思い出して錬晏とソレイユはそれ以上の追求を避けた。
 ……そう、別に嘘を言っているわけではない。シャムスは額の汗を拭いながら、眉間の奥の疼痛が通り過ぎるのを待つ。目には不思議な力が宿る、それが彼の故郷の言い伝えだ。だから失われた記憶のパーツをあの陰惨な光景がひどく刺激するのも、別におかしな事ではない。……そのはずだと思う。
 ディアボロス達が進む暗い通路の奥、なにか芳しい香りが漂ってきていた。
 ぼやりと煙るように灯る灯台の明かりのもと、豪奢な飾り彫りのはいった脇息へ身を預けるようにそのクロノヴェーダは待っている。高坏(たかつき)に似た器へ白地に丸が入った、つやつやとした菓子めいたものが盛られており、なぜか嫌な予感がしたシャムスは努めて視界の外へ追いやった。何しろ正視しておらず委細は不明だが、凝視したそばから後悔する気しかしない。
「甄夫人だな」
「ご挨拶ですこと。女人の部屋へ先触れもなしに土足であがりこんでおいて」
 錬晏へ手厳しい台詞を吐くものの、甄夫人の口ぶりに咎める様子はなく、むしろ面白がっている気配すらあった。香油でも混ぜられているのか、芳しい香りは灯台から漂っている。しかしほんのうっすらと死臭が混じっているのが暗示的だった。
「なら話は早い。貴女のような蟲将がここで生み出された目的は何なのですか」
 三国の王をさしおき司馬懿も断片の王の資格を得ようと画策しているのではないか、とソレイユは推理している。
 そんな彼の問いに甄夫人はうすく笑い、事も無げに言ってのけた。
「決まっているではありませんか。断片の王のもとへ馳せ参じ、七曜の戦いに勝利するため」
 それ以外に何があるのかと言わんばかりの台詞に、ソレイユはやや眉根を寄せる。別の案件での報告とも矛盾はない。蟲将の強化理由は『断片の王の配下として七曜の戦いに備えるため』で確定、と考えていいだろう。
 これ以上彼女から訊くべき情報はない。爆ぜるようは黒い闘気が錬晏の四肢を覆い、防具じみて固着する。隻腕の武人は手慣れた武具捌きで黒龍偃月刀を小脇にし、その切っ先を玉肌花貌とうたわれた佳人へ向けた。
「では早速その実力を発揮してもらおう」
 美しきクロノヴェーダが身構えるよりも先、腰よりやや低い位置へ顕現した鍵盤をソレイユの指が高音から低音へ駆け下りる。巨星が墜ちるような、暴風を招くようなグリッサンド。その音を追い風にシャムスが動いた。
「逃がさない……!!」
 彼女の所業はおよそ度し難く、そして許し難い。
 地を切り取ったかのようにシャムスは一瞬で距離を詰め、長い袖をたなびかせようとした甄夫人の腕を裏拳で叩き落とした。動きの速さに目を眇めた甄夫人はそのまま反転し、着物の両袖をシャムスへ投げかける。まとった領巾(ひれ)の端を地面へ落とすことなく手脚のように操り続ける舞の演目があるが、彼女の動きはそれに似ていた。
 回避ではなく逆に軽く当てに行くことで確実に痛打を避けた判断は、シャムスが彼女の動きに集中していたためだろう。
「その程度の実力で何の役に立つものか!」
 甄夫人は錬晏へ厳しい視線を向けるものの、己が視線に何の力も宿っていないことはもうわかっていたようだ。錬晏の足元、土の床へ得物を叩きつけた一点から放射状に襲いきた射線につかまり、薄紫色の大きな羽の端が千切れる。大きく体勢を崩しつつも苦しまぎれに繰り出した爆炎が、ひとつに括られた錬晏の髪束を揺らしていった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV3になった!

安藤・優
※アドリブ連携歓迎
みんな張り切ってるなー…
まぁあの惨状を見た後だし当然と言えば当然かな…

アヴァタール戦が始まったら即座に煉獄を解放して焔を纏いネメシス化、完全視界を発動したら相手をしっかりと見据えて攻撃の隙を窺う

「怒りを燃やせ、心を燃やせ、全て燃やして焼き尽くせ――」
鱗粉を飛ばして着火する事で周囲を大爆発させるなら、いっそ至近距離で爆発してやろう。
鱗粉や爆発に怯まず一気に突撃して距離を詰め、そのまま捨て身の一撃での【緋皇爆焔刃】を叩き込むよ。

至近距離でその鱗粉を着火すれば自爆する事になるけど、お前に自爆する度胸はあるのか?
…まぁ例えお前に出来なくても僕はやるけどね!
「爆ぜろ、緋皇爆焔刃!」


八栄・玄才
弱点を付く攻撃が得意か
オレは弱みを見せない闘い方ってのは得意じゃない
だから突破力で乗り越える

【勇気】をもって前に踏み込む『勇心雄歩』で、敵に超接近
的確に弱点を付く攻撃だからこそ、相手の想定よりもオレが前に出ればその的確さを崩せるハズ
弱点さえ外せばその細腕じゃ大した威力は出せないだろう
クロスカウンターになってでも【強打】を決めてやる

あとは恐れるべきは邪眼か……
え、もう封じてきたの?
巣穴に入ってから真っ直ぐここに来たから知らなかったや

ここでの蟲将の強化を提案したのは三国の将じゃなくて司馬懿のヤツだろ?
オレには分かる
このトレーニングを軽視した強化法は現場の武人のやり方じゃないからな!(迷推理)


 放った爆炎を突き破るようにして現れた安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)から、甄夫人は素早く後退して距離をとる。
「あとは恐れるべきは邪眼――って、あれ? 何ともないって事はもう封じてきたの?」
 追いついてきた八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)を肩越しにながめやり、優は油断なく甄夫人の気配を伺った。状況が芳しくないことは理解しているのだろう、薄い着物の裾を翻しながら間合いを測っている。
「強化についてだけど、とっくに処理済みだよ」
「そうか。巣に入ってからまっすぐ来たから知らなかったや」
 あっけらかんと語る玄才の口ぶりから、甄夫人は己が能力の強化が意図的かつ計画的に排除されたことを知ったようだ。油断ならぬ相手と悟ったのだろう、表情が険しくなる。
 仕掛けて来ないのならこちらから、とばかりに間合いを詰めた玄才が渾身の寸勁を叩きこんだ。
 弱味を見せない戦い方は得意ではない、もとい、できないという表現のほうが近いかもしれない。性に合わないという言い方もできるだろう。壁があるなら持てる全力で叩き壊す、そういうやり方の方がよっぽど後腐れなく戦える。
 謀りごとの気配を一切させない玄才に、ある意味での好感すら覚えたのかもしれない。甄夫人は唇の両端をつりあげるも、鳩尾への痛打は隠せなかった。玄才の足下へと伸ばされた反撃の袖も、脚を絡め取ることはできず一撃を入れるのみに留まる。
「なる、ほど……単にわたくしを狙ったわけではない、ようですわね。一体何者?」
 激しく咳き込んだ口元には、人のものとは違う色の体液。
 これから斃れる相手にいくら秘密をぶちまけた所でどうという事もないのだが、素直に教えてやるのもそれはそれで癪なので優は沈黙を守った。すでに焔を纏いネメシス化している少年が興味深いのか、目を細める。
「見た所、どうみても蜀や呉の兵ではない。なにより蟲将ですらない」
 玄才はこの計画に司馬懿が深く関与しているはずだと考えていたが、彼については攻略旅団から調査要請が出ており、そちらでの調査とするのがふさわしいだろう。洛陽での強化を提案したのは三国の将ではなく司馬懿ではないのか、との問いは今は呑みこんでおいた。
「教えてやってもいいが、それでこっちに利益があるわけでもないしな。それにそっちに訊きたい話も今はないし」
 もはや倒されるだけの存在でしかない、と断じられた形になり甄夫人は唇を噛んだ。その一瞬を狙って玄才は今一度大きく踏み込み、『勇心雄歩』での強打を狙う。弱点の看破すら許さない、そんな覚悟を乗せた超至近距離による再び寸勁。『入った』、と玄才が疑いなく確信する手応えだった。ごほりと大きく咳き込み、衝撃を堪えきれずたたらを踏んだ甄夫人へ業火が迫る。
 ――火種はここに。
 捨て身とも言えるなりふりかまわぬ接近に気付き、琥珀色をした瞳孔が狭まった。
 ――怒りを、心を、命を燃やせ。
 噎せ返るような火の匂いが灯台から漂っていた香りを駆逐する。がちりと何かの歯車が噛み合う錯覚と同時に、優を包んでいた焔の温度が上がった。
 ――すべて燃やして、焼き尽くせ。
「爆ぜろ、緋皇爆焔刃!」
 至近距離から誘爆する鱗粉を浴びる危険性など織り込み済み、むしろ反撃の可能性ごと甄夫人を焼き尽くす意志を乗せた斬撃を袈裟懸けに放つ。並のものには決して踏み込めない領域へ自ら飛び込み、かつ最大級の攻撃を放ってきたディアボロス達を、甄夫人はこの世のものとは思えぬ視線で見つめていた。天を衝く勢いで燃え上がる焔の渦に羽は引き裂けて、断末魔の悲鳴もかき消される。
 かたりと高坏に似たあの器が倒れる音がした。玄才はそれを背中で聞き、振り返ることはしない。どことなく、器に盛られ嬲られる対象から解放された、そんな気がした。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【照明】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV5になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年06月14日