バスチーユ監獄の断頭台

 断頭革命グランダルメのバスチーユ監獄には、犯罪者が断頭台で連日処刑されています。
 処刑されるのは、ナポレオンを褒め讃えなかったとか、大陸軍に愚痴を言ったという理由で捕らえられた囚人達のようです。
 この断頭台の処刑を阻止し、捕らえられた囚人を脱獄させ、処刑を行うクロノヴェーダを撃破してください。
 バスチーユ監獄からの脱獄を成功させる為には、ディアボロス自身が囮になり、警邏に捕縛され、断頭台で殺される必要があります。
 監獄で脱出準備を整えることが出来れば、囚人の一部が、混乱を利用して自力で脱出してくれるかもしれません。

その命はバスティーユに散るのか(作者 朝下万理
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#断頭革命グランダルメ  #バスチーユ監獄の断頭台  #1802年 


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#1802年


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 その要塞の如き監獄は、今日も群衆の騒めきと罵声に満ちていた。
 いま断頭台に寝かされているのは絵描きの老人の亡骸。あのギロチンが落ちるまではじたばたと動いていたというのに、今は完全に脱力している。
 断頭台の向こうでは、美しい淑女の自動人形が笑みを浮かべながら、今しがた落とした老人の首を湧き上がる群衆に掲げてみせる。
 切断面からはだらだらと血が滴る。
 処刑台の下では、後ろ手に縛られた青年は胃から込みあがってくるものをひたすら耐えていた。
 あぁ、彼はあんなに拒んでいたのに。
 これからは王を称える絵だけを描くと、命乞いをしていたのに……。
 すでに今日、10人近くの首を落としている刃は血で赤黒く染まっていて、老人の亡骸は黒尽くめの自動人形によって粛々と処理され。
 断頭台は再び無人となる。
「次の者」
 淑女の自動人形が声高らかに号令をかけると、黒尽くめの自動人形は青年を無理やりに断頭台の真ん前に立たせた。その様子を見届け、淑女の自動人形は続ける。
「この者は戯曲作家。生かしておけばいずれ王を侮辱する物語を上演し、この世に混乱を呼ぶことでしょう」
「……憶測だけで断頭台行きか……」
 呟いた声は群衆の怒号やら悲鳴やらで掻き消える。
 どうせ自分もこの断頭台に散る。今更、王を崇め奉る話だけを書くなどといっても、話が通じる相手ではない。
 それに、自分にそんな気は毛頭ない。生きて帰れたら、これからも同志たちと王政を批判する話を作るだろう。
 だがそれも叶わぬ夢。
 青年は眉間にしわを寄せ、迫りくる運命にぐっと腹を括った。


「みなさん、お集まりいただきありがとうございます」
 笑顔でディアボロスたちを迎えたリュカ・アルページュ(人間のサウンドソルジャー・g01327)は、早速ですが、と話し始めた。
「断頭革命グランダルメではその名の通り、断頭台での処刑が日常茶飯事で行われています。恐らくですが、この断頭台で処刑を行う事で、このディヴィジョンを支配する自動人形達の力を増しているのだろうと思われます」
 この断頭台の一つが、バスチーユ監獄前。
 この断頭台では毎日、些細な罪を犯しただけの人々が次々と断頭台で首を落とされている。
 例えば酒場で、ナポレオンや大陸軍への不満を言っただけ……という罪とも呼べない罪で処刑されてしまう。
 バスチーユの監獄には、そういった人々が多数囚われている……。
 リュカは嘆き、静かに顔を上げた。
「なので皆さんには、敵にわざと捕まって監獄内に潜入していただき、捕えられている罪なき人達を脱出させてあげて欲しいのです」
 なお、処刑前に脱獄しても逃げ切る事は不可能だという。
「なので、脱出の算段をつけた後は処刑場で処刑人であるクロノヴェーダを撃破し、混乱に乗じて脱獄のチャンスを作って欲しんです」
 ただ残念なことに、バスチーユ監獄には多数の監獄がある。ゆえにその全てを解放する事はできない。
「これは本当に心苦しいんですけど、仕方のないことです。なのでせめて、自分達が入れられた牢と、その近くの牢の囚人達の脱出をお願いいたします」

 監獄に送られるためにはまず、公衆の面前等でナポレオンや大陸軍を侮辱するような事を叫ぶ。そうすれば早速とばかりに警邏が飛んでくるので難しいことではない。
「町のみなさんの共感を得られるような不平不満を叫べば、人々の大陸軍への不満を大きくすることが出来るかもしれません」
 そう告げたリュカはさらに続ける。
「収容された囚人は、罪が大きな人から順番に処刑されるようですので、皆さんはできるだけ罪が大きくなるように工夫をお願いいたします」
 なお、処刑される対象がディアボロスでなく一般人である場合、戦闘時に一般人を庇いながら戦う必要がある。その上、脱出させる手間も必要になるだろうと、リュカは続ける。
「みなさんが処刑台でクロノヴェーダを撃破すれば、監獄はかなり混乱します。なのであらかじめ、助けた人々に手に入れた牢の鍵を渡しておいたり、見回りの兵を眠らせておいたり、脱出する扉を開けておくとかしておくと、いいと思います」

「バスチーユ監獄には毎日多くの囚人が連れてこられており、囚人は常に満員。そのため多少脱獄された程度では、厳戒態勢を敷いて捕まえる――という事はしないようです。そもそも、誰がどのような罪で捕まったかなどの記録も一切取っていないようなので、人数が減っていようが誰が脱獄しようが分かりません」
 説明を終えたリュカは、いつものように笑顔を見せた。
「皆さんなら無事、人々を解放してくれると信じてます」


 時は少し遡り、バスティーユ監獄の牢屋。
 戯曲作家の青年は、膝を抱えて座っていた。
 なぜ自分は捕まってしまったんだろう。なぜ、こんな冷たいところにいるんだろう。
 自問自答する青年には、一つだけ心当たりがあった。
 それは先日のこと。
 芝居の打ち上げにおいて次回作の話になり、「次はあの暴君をぎゃふんといわせる話を書きたいな」と同志と笑いながら語り合ったのだ。
 だとしたら、あれだけで。
 たったあれだけのことで、俺は筆を折られ翼をもがれなければならないのか……。
 青年は悔しさのあまり、ぎゅっと拳を握りこむ。
 不意に落ちた涙は冷たい石の床に落ち、すっと消えていった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
5
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【勝利の凱歌】
2
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
2
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【建造物分解】
4
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【落下耐性】
1
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【ハウスキーパー】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV5 / 【命中アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV8 / 【ガードアップ】LV2 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV3 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV3 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

朝下万理
 こんにちは、朝下万理です。
 断頭革命グランダルメのシナリオです。
 よろしくお願いいたします。

 概要などはリュカくんの説明の通りです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
29

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ



 パリのとある広場では、今日も警邏が目を光らせていた。
 不敬な市民はいないか。
 王を侮辱し、罵倒し、冒涜する不遜な輩はいないか。
 戦戦兢兢とした不穏な空気は、市民たちから言論の自由を奪い口を塞がせる。そのため街を行く人たちの表情は皆、硬く暗い。
天夜・理星
将来王様を目指す身として、やっぱりいただけないんだよねこんな理不尽なの。
というわけで誘拐されます☆ 行くぞー!

通りすがりの一般人を演じよう。
言いたいことだけ言って罰を恐れない人間を。
それっぽい演技で、ちゃんとアタシが捕らえられる状況に持っていくよ。

あーあー嫌ですねえ。
こんなにも窮屈な世界で命ばかり貪るアホがいるというのですから。
暴君だ暴君。何も学ばない!
ナポレオンの下にある時点であなたたち兵隊は暴君と同じくカスだ!
民たちが同じく身をやつしてしまうのも時間の問題ですよ。
あんなものを王と呼ぶな虫唾が走る!!

こうは言うけれどアタシ自身は暴君なんて呼ばれたくないね。
アタシが目指すのは…世界を救う王だ。


 そんな市民たちの様子に、天夜・理星(復讐の王・g02264)はひどく憤っていた。
 この街の人々は不満を抱くことさえ許されず、我が物顔で街を闊歩する警邏たちに怯える日々。
 今は失われた過去において、人徳によって人々に好かれ慕われていた少女は思う。
 王には絶対に従うべき、異論は一切認めないなどという理不尽は、やはりいただけない。
 理星は正義感を胸に意気揚々と歩を進めると、広場を行く人々に紛れた。
 人々に紛れて改めてわかること。それは、不安に揺れる人々の姿。警邏を遠巻きに見、目が合うとぱっと視線を外している。
 この人々の中に、罰を恐れずに言いたいことを言う人間が一人いれば、かなり目立つだろう。
 理星は人波が途切れて警邏と真正面になったところを見定めて、大きく息を吸った。
「あーあー嫌ですねえ。こんなにも窮屈な世界で命ばかり貪るアホがいるというのですから」
 理星の清々しい一声に、周囲の人々は慌てふためいて彼女と距離をとった。
 そんなこと言ったら、連れていかれるぞ!! 人々は理星にそう忠告しようにも、こちらに迫りくる警邏が恐ろしくて声を上げることもできない。
 対して警邏は「その言葉、聞き捨てならぬ!」と飛んできた。
「きっ、貴様! 今何と言った!!?」
 猛り立つ警邏を、理星は睨みつける。
「聞こえなかったの? こんな窮屈な世界で命ばかり貪るアホが存在してることが嫌だと言ったんだ」
「……きさっ……よくもそんなことを……!」
「なんて言ったって聞かれたから答えたのに、まだ聞き足りない?」
 顔を真っ赤にして憤慨する警邏に呆れ顔の理星。だけど言い足りないのはこっちの方だ。
「暴君だ暴君。何も学ばない! ナポレオンの下にある時点であなたたち兵隊は暴君と同じくカスだ!」
 ちらと周りを見れば、自分を心配している人々が視界に入った。皆、心配そうに理星を見ている。
「民たちが同じく身をやつしてしまうのも時間の問題ですよ。あぁ、あんなものを王と呼ばねばならないと考えるだけで虫唾が走る!!」
「っ不敬罪で現行犯逮捕する!! 貴様はバスチーユ送りだ!!」
 激怒する警邏たちの口から『バスチーユ』の言葉を聞いた人々がひっと息を呑んだ。『バスチーユ』はそれほどまでに人々の心に暗い影を落とす場所なのだ。
 警邏に縄を掛けられて捕らえられる理星は、抵抗する演技をしながら思う。
 アタシ自身が王になったら、暴君なんて呼ばれたくない。
 アタシが目指すのは……世界を救う王だ!
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

ネリリ・ラヴラン
目的は、選択肢の通り捕まる事と、内外で連絡取れるように【パラドクス通信】を残すことね。

公職(今でいう警官っぽい)の人を探して詰め寄るよ。
警らとかで普通の街中、一般人もたくさんいる所が良いわね。

「パパを返して!」って感じで、親が既に捕まってる設定でいくわ。
「少し悪口言われたくらいで何よ、王様とか軍人さんってわたし達を幸せにするためにいるんじゃないの?職務怠慢じゃない!」
大声で文句言って観客を集めるのが第一ね。

観客が増えた所で、杖で殴りかかるよ。でも、フリだけね
簡単にあしらわれて、泣き崩れてみせて
「パパがいなくなったらわたしどうやって生きて行けば良いの…!」
心苦しいけど可哀そうな子、を演じよー!


 理星が捕らえられて十数分の時が経過し、広場はまるで先ほどの騒ぎなどなかったかのような、いつも通りの光景が広がっていた。
 我が物顔で街を闊歩する警邏たち。その警邏に怯えるたくさんの市民。そして些細なことで捕まる人。
 これがパリの日常なのだ。
「パパを返して!」
 広場に甲高い叫び声が響いた。
 警邏の前に飛び出したネリリ・ラヴラン(クソザコちゃーむ・g04086)の声だ。震える手で杖を握り、必死の形相で警邏を睨みつける。
「……なんだ小娘?」
 警邏たちは訝しげにネリリを見下ろした。パパとは。と言いたげだ。
 彼らの不誠実な対応に、ネリリは憤慨のあまり瞳を潤ませる。
「自分たちで連れて行った人を、覚えてないの? それって無責任すぎるわ……!」
 悲壮な演技を打てば、周りの市民たちも表情を同じくする。なぜならば、この辺りの人々が皆同じような経験をしているから。
 身内がたった一言の失言で警邏に連れていかれ、首を落とされた。
 そんな暗く辛い出来事に、胸を痛める者ばかりだ。
「……市民に少し悪口言われたくらいで何よ。王様とか軍人さんって、わたし達を幸せにするためにいるんじゃないの? それなのに……それなのに……! こんなの、職務怠慢じゃない!」
 震える手に握っていた杖を弱弱しく振りかぶって警邏に殴り掛かれば、息を呑んだ警邏はそれを腕で防いでみせた。
「……小娘、貴様も父親のところへ行きたいか……?」
 杖を振り払い、これが最後も忠告だとばかりに歯を軋ませる警邏を前に。
「……連れて行けばいいじゃない、バスチーユでもどこでも! ……パパがいなくなったらわたし……どうやって生きて行けば良いの……!」
 ネリリは振り払われた杖を抱きながら、瞳からぽろぽろと大粒の涙を零して泣き崩れる。慟哭は広場に響き渡り、まるで哀歌のようだった。
 しばらくして無理やりに立たされて引きずられてゆくネリリを、人々は憐みの目で見つめていた。
 ネリリはそんな人々の様子をちらと見、俯く。波うったような髪が顔を隠すと同時に、彼女は微かに笑んだ。
 彼らの心の傷を抉るようで心苦しかったけど、これで多少は人々の心は揺り動かされただろう。
 それに何よりも、後に続くディアボロスがやりやすくなるはずだ。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!

緋薙・紅花
なるほど
悪いことすればいいんですね?
ふふふ(悪い顔

ナポレオンの像とか彼を称える記念碑とかを探しまして
よーし、やっちゃいますよー
≪魅了する脚≫を使用

はいはーい
【避難勧告】の警告がわかる人は早く逃げましょうねー
わからない人は……一般人じゃなさそうです
それじゃ紅花いきます!

全力ダッシュの助走からジャンプ&体を回転させての後ろ回し蹴り!
「てやああああああっ!」
体の回転を乗せた最高の一撃で
ナポレオンの功績を足蹴にしましょう!
万が一クロノオブジェクトで壊れなかったとしても
不敬罪まちがいなし!
砕けたら死刑間違いなしじゃないでしょうか!

はーっ、すっきりした!
あ、侮辱の言葉も叫んでおいた方がいいです?


 ネリリが連行された広場の近く。その通りにはレンガ敷きの道路にプレートがはめ込まれている。
 ナポレオンの功績を称える銅製のプレートだ。凛々しい横顔が印象的である。
 もちろん道行く市民はそのプレートを避けて歩く。跨ぐこともしない。馬車も、野良犬でさえもそうだ。たまに気ままな野良猫や鳩がそれを足蹴にしようものなら、街角に立つ警邏たちがすっ飛んできてシッシと追い払っている。
 そんなに大切なものならば空中にでも掲げておけばいいものを、わざわざ足元に飾って踏みぬく人間を探しているのだ。
(よーし、やっちゃいますよー)
 中緋薙・紅花(サージェナイト・g03888)はプレートを物陰から見つめ、人知れず悪い顔で笑んだ。すると、突如として通り一帯に赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。
 避難勧告だ。
 通りのただならぬ様相に市民は一斉に逃げ出し、後にはなんだなんだと辺りを見回す警邏たちだけがそこに残る。もうこれで、市民を巻き込むこともない。
「紅花、行きます!」
 名乗りを上げた紅花は脚に力を込めてダッシュで飛び出し、勢いづいたところで軽快にジャンプ。あとは重力に乗りプレート目掛けて――。
「てやああああああっ!」
 体を回転させながら豪快に踵落としを食らわせたのだ。
 それはまさに『魅了する脚』。通りから逃げうせた市民が、物陰から一部始終を見、その大ぶりな攻撃に魅せられていた。
 銅像や壁掛けの記念碑なら後ろ回し蹴りで破壊してやったが、地面に埋まっているのならばこうするほかない。
「貴様! 何やってるんだ!! 足蹴にしているそれが何か分かってのことか!!」
 恐ろしい形相で警邏が駆け付けたタイミングで、プレートから足をどけた紅花。プレートは見事に凹み、ナポレオンの横っ面は完全につぶれ、功績を称える文字も何も読めなくなっている。
 紅花は集まった警邏を一瞥するでもなく、ダメ押しと言わんばかりにつま先でプレートを突く。するとプレートはものの見事に割れてしまったのだ。
 これでもう、紅花に下されるのは死刑だけだ。
「はーっ、すっきりした! あ、侮辱の言葉も叫んでおいた方がいいです?」
 息をつき清々しく笑う紅花。警邏は驚きのあまり目を丸くしている。まさかプレートをここまで破壊されるとはとは思ってもみなかったのだろう。
「……すっきりした、だと? 貴様はその愚行を後で酷く後悔することになるだろう!」
 そう怒鳴ると紅花の体を抑えつけ、連行していった。
 
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

鳴神・雷羅
いい加減な憶測だけで罪人扱いして即処刑たあ気に入らねえな

酔客たちが集う酒場の客として潜入
市民がついうっかり口を滑らせそうになったら、泥酔したふりをしてそいつの声が聞こえない程の大声で叫び、官憲の注意をこっちに引きつけてやろう
「何か言われる前に口を封じてしまおうたあ、そんなに市民の戯言が怖いのかい?この臆病者のイカレ●●野郎!」
敵の足止めついでに市民も迂闊に近づかないよう、周囲の空いてる椅子やテーブルを蹴倒して障害物にする(地形の利用)
グラスの酒を敵の顔にぶちまけたり、その辺の空き瓶で殴ったりで派手に暴れりゃ注目度もアップだ

最終的には降参して敵に捕まらなきゃいけねえが
それまでは適当に遊んでやるさ


 こんなパリ市内にも、市民が和気あいあいと語りあえる場所があった。
 その一つが酒場だが、カウンター席で難しい顔をしている客がいる。
 鳴神・雷羅(獄道デスペラード・g02984)だ。
「はい、おまちどおさん」
 酒場のマスターが雷羅の前にグラスに入った酒を置いても、浮かない顔。
「おう」
 と簡単に礼を言うなり、また黙り込んで酒場全体を見渡す。
 酒場の市民たちはいい加減出来上がっている。そのうえ、いつ何時警邏がこの酒場に入ってくるかわからない。
 いや、すでに私服警邏が紛れ込んでいるかもしれない。
 まったく、いい加減な憶測だけで罪人扱いして、即処刑たあ気に入らねえな。
 雷羅が酒が入ったグラスに口を付けたその時、少し遠い席でべろんべろんに酔っぱらった中年男性がおもむろに立ち上がった。
 顔は赤く、目も座っている。
「俺は何も怖くねぇ。もう言っちゃうぜぇ?」
 ふわふわと男性が言い始めると、入り口付近に座っていた男が机に手を掛けた。
 あれが私服警邏か。
 だがあの男性はその存在に気が付かない。このまま喋り始めたら、確実に彼は――。
「ったく、王もひ――」
「っでぇ野郎だよなぁ、ナポレオンって奴はよぉ!! こんなひどい世にしやがって、あたいらに何の恨みがあるってんだ!!」
 雷羅は男性の声が掻き消えるほどの大声を上げ、カウンターに拳をダンっと落とした。
「なんだと貴様。不敬罪で逮捕する!」
 立ち上がり正体を現した私服警邏に酒場中が騒然となる。あの中年男性も一瞬にして血の気が引いたようで真っ青だ。  
「あ? 何か言われる前に口を封じてしまおうたあ、そんなに市民の戯言が怖いのかい? この臆病者のイカレクソ野郎!」
 雷羅も立ち上がり、今まで座っていた椅子を持ち上げた。
「なんだと! 侮辱罪も適用されたいのか貴様!!」
「適用適用うるせぇんだよ!!」
 向かってきた警邏に椅子を投げつければ、椅子は警邏一人にヒットし、激しく倒れた。
「……暴行罪も追加だ!!」
「上等だ、コノヤローー!!」
 後は市民に警邏の手が及ばないように、椅子や机をバリケードにしながらうまく立ち回り、手にしていた酒を浴びせかけたり、市民たちが飲み散らかした酒の空き瓶でそのド頭を殴ったりと、暴れたい放題に暴れてやる。
 そして市民全員が逃げ切ったところで、雷羅は酒が回ったふりをして突然ばたりと倒れこんだ。
「……この、酔っ払いが……。己の、酒癖を、呪うがいい……!」
 警邏の息はひどく上がっていた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!

ニコル・リヴィエール
少しの批判も許されないばかりか命を奪うとは、到底許されることではございません……


一般人の方々と世間話をしながら、処刑について話し、気持ちが抑えられなくなった風を装って声をあげましょう
「まさか、冗談を冗談と一笑に付すことすらできない短絡的な方だなんて驚きました。道理で大陸軍の皆様も短絡的な方々ばかりなのですね。上が上なのですもの」
と、トップがトップだから今こんなに自分の発言に気を使わなければならい、安心すらできない暮らしにくい場所になったのだ、と思いっきり批判いたします
そしてとらえられそうになったら軽く抵抗して、兵隊の一人でも軽く蹴飛ばしてしまいましょう
些細なことでも罪の積み重ねは大切ですから


 街の外れに人だかりができている。
「どうしたんですか? 何かあったんです?」
 ニコル・リヴィエール(リヴィエール家のメイド・g00574)が尋ねると、彼の声を聴いた女性が振り向いた。
「あぁ、酒場で暴れた酔っ払いが警邏に連れていかれたんだってよ。なんでも王様の悪口を言ったとか……」
 馬鹿なことを……。と女性が連れていかれた人物を憐れむ。
「そうなのですね……」
 二コルが神妙な面持ちで相槌を打つと、女性はあぁと嘆く。
「王様の悪口なんて冗談でも言ってはダメなのに……あぁ、連れていかれた人もきっと……」
 処刑されるであろう人を憂いているのだろう。女性は眉尻を下げながら両手で口を塞ぐ。
 この世界の人々の心は、思った以上に蝕まれている。
 二コルはぐっとこぶしを握りこんだ。
「……自分の気持ちを正直に言っただけで処刑だなんて……」
 少しの批判も許されないばかりか命を奪うとは、到底許されることではない。
 思えば思うほどこの世界の王政が許せない。
 そんな体で、二コルはすっと息を吸った。
「まさか、冗談を冗談と一笑に付すことすらできない短絡的な方だなんて驚きました。道理で大陸軍の皆様も短絡的な方々ばかりなのですね。上が上なのですもの」
 急に王と大陸軍の批判を始めた二コルに驚いた女性は、
「あんた、やめな……」
 と二コルを諫めたが、遠くに目線を移すなり、ひっと息を呑んで後ずさりを始める。
「今、我が王と軍の誹謗をしたのは、お前か?」
 現れたのは二人組の警邏。
 二コルは蜘蛛の子を散らすように逃げてゆく人々を守るように彼らと向き合うと、警邏とにらみ合った。
「これはこれは警邏殿、とてもいい地獄耳をお持ちなのですね」
 そう皮肉って二コルは続ける。
「それに私がしたのは誹謗ではなく批判でございますが、何か。……本当のことを言って、何が悪いのですか? 少しは人々のために働いたらどうです!」
「なんだと? その口、二度と利けないようにしてやる!」
 恫喝されて腕を掴まれた二コルは、痛みで顔を顰めながらも警邏の足を蹴飛ばした。
 これも些細な積み重ねだが、この国では重罪になるのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!

ライカ・ヴァイスシュワルツ
キハハハハ!ボク死ぬなら処刑じゃなくて戦死とかのほうが良いんですけどねぇぇ!
あと力による支配も微妙に怒りポイントじゃないけど……
「ま!クロノヴェーダってだけで死刑ポイントカンストなんで関係ないっすねアハハハハハハ!」

さーて、適当に捕まらないといけないんスよね
「ナポレオンは小心者♪悪口怖くて兵隊が毎日見張ってる♪ナポレオンは臆病者♪直接出てきて言い返しもしやしない♪」
歌いながら歩いてりゃすっ飛んできた警邏に会えるでしょ
タダで捕まってやる気もないし2,3人ぶん殴ってから捕まってやろっと
「さぁって、これからどうなりますかねぇ……アイタタ」


「ナポレオンは小心者♪ 悪口怖くて兵隊が毎日見張ってる♪ ナポレオンは臆病者♪ 直接出てきて言い返しもしやしない♪」
 ライカ・ヴァイスシュワルツ(キカンシャのホウコウ・g00496)は、なんとも不敬な歌を歌いながら通りを練り歩いていた。
 その様子を遠巻きに見ているのは、近くにいた市民である。そんな歌を歌ったら警邏に連れていかれるぞと忠告したいけど、仲間だと認識されてしまうことを酷く恐れているのだ。
 それはそれで市民を巻き込まずに済むので、かえって好都合。ライカの歌はますますノリにノっていく。
「ナポレオンはマジで雑魚♪ いつまですっこんでるつもり♪ ナポレオンはガチでチキ――っ」
 突然後ろから羽交い絞めにされて、ライカの体は宙に浮いた。見ると警邏が周りを取り囲んでいる。
「ふざけた歌を歌ってるのは貴様か!? バスチーユ送りだ。こっちにこい!!」
 ライカは怒号を浴びせ怒っている目の前の警邏をチラッと見るや、足を振り上げて顔に蹴りを入れてやる。
「ぐあっ……!!」
 警邏は顎に一撃を食らい、派手に転げてしまった。その様子にびっくりした市民が思わず息を呑む。だが、タダで捕まってやる気はない。ライカはまだ歌い続ける。
「ナポレオンは横暴だ♪ 犬を街にはなってさっ♪」
「犬ぅ? それは誰のことだ!!」
 顎を抑えながら起き上がる警邏はライカの至近距離で怒鳴り散らす。
「わんわんは自分のことをわんわんだって、きづかーなーい♪」
ライカはニヤリと笑いながら再び歌うと、今度はその鼻っ面に頭突きを食らわせてやる。
「貴様、一度ならず二度までも!!」
 耳元でギャンギャン吠える警邏に羽交い絞めにされた体がさらに浮き、肩が後ろにぐっと持っていかれたので、ライカは思わず顔を顰めた。
 警邏はまだ続ける。
「断頭台の上で思う存分後悔するがいい!!」
 死ぬなら処刑じゃなくて戦死とかのほうが良いんですけどねぇぇ! という本音は、まだ心の中にしまっておく。
 クロノヴェーダってだけで死刑ポイントカンストなんで。という本心もだ。
「さぁって、これからどうなりますかねぇ……アイタタ」
 手負いの警邏たちは、無駄口を叩くライカを問答無用で連れて行った。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

マリーミレイユ・ベルブランシュ
ふふっ。囮となって皆さんを救い出せれば幸いね。

私は吟遊詩人、歌で心を惹きつけましょう。
人の集まりやすい場所に移動するわね。
リール(ライアー)を奏で、朗々と。

「愚かなる王ナポレオン。数多の民の血に濡れた玉座に座り、数多の民の骸で作られし王冠を戴く者。民の命を狩り尽くす穢らわしき王」
(恐ろしい歌詞だがあくまでエレガントに)

大きな声で長く歌えばそれだけ目にはつきやすくなるでしょう。

誘拐される際にはわざと抵抗するふりをすれば、それなりに大きな罪にはなるかしらね。


 マリーミレイユ・ベルブランシュ(Diva de l'eau・g00104)は、ぽろん、ぽぽろん、と愛用のリールハープを弾きながら、建物の壁にそっと寄り掛かった。
「皆様、ごきげんよう。私はマリーミレイユ、吟遊詩人です。皆様のお耳にこの歌が届きましたら僥倖に存じます」
 彼女が麗しい笑顔で微笑めば、ぽつりぽつりと市民が足を止め始める。
 美しい娘が奏でる歌は、さぞ皆の心に癒しをもたらしてくれるだろう。
 と思いきや――。
「愚かなる王ナポレオン♪ 数多の民の血に濡れた玉座に座り、数多の民の骸で作られし王冠を戴く者♪ 民の命を狩り尽くす穢らわしき王♪」
 マリーミレイユはそら恐ろしい歌を歌い始めたのだ。
 その歌の恐ろしいところは、ナポレオンを侮辱しているということだけではなかった。
 旋律が美しいのだ。
 優美で気品のある曲調はまるで、クラシックミュージック。
 心が洗われる曲調と超絶危険な歌詞の、夢のコラボレーションが実現したのだ。
 ゆえに足を止めて聞いていた市民も一旦は「いい歌だなー」などと呟き、「えっ?」と首を傾げる。
 近くにいた警邏たちも一度は目を閉じて、静かに曲を聴いていたが、己の心の中で歌詞を反芻したのだろう、目を丸くして飛んできた。
「おい、そこの娘! 今何と歌った!?」
 すごい剣幕の警邏たち。その後ろでは市民がすごすごと解散していく。
 対してマリーミレイユはふわりと笑んだ。
「リクエストでございますね。畏まりました」
 そう言うと再び、リールハープを奏で始め。
「愚かなる王ナポレオン♪ 数多の民の血に濡れた玉座に座り、数多の民の骸で作られし王冠を戴く者♪ 民の命を狩り尽くす穢らわしき王♪ あぁ、邪知暴虐の王に鉄槌をー♪」
 最後まで高らかに歌い上げてしまったのだ。
 警邏たちはまたしても聴き入ってしまい、最後の『鉄槌を』の行まで反芻したところでマリーミレイユの両腕をぐっと掴む。
「……王への侮辱は重罪だ!!」
「……っ、離してっ!!」
 突然掴まれて腕に痛みが走った。顔を顰めたマリーミレイユはお返しとばかりに警邏の足を、ギュっと踏みつけてやった。
 これで王への侮辱罪と警邏に対する公務執行妨害罪が付き、マリーミレイユはバスチーユへと連行されていった。
 囮となって皆さんを救い出せれば幸いね。
 彼女の思惑など、警邏は知る由もなかった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!


 バスチーユ監獄には、今日も新たに囚人が送り込まれる。
 不注意で王の銅像の柱に小指をぶつけた者は、王の像を蹴り上げたとして。
 飼い犬にナポレオンと名付けた者は、王への侮辱甚だしいとして。
 王を称える歌の歌詞を間違えた者は、不敬だとして。
 皆、些細な罪で監獄に送り込まれている。
 そんな中、今日はやけに重罪で捕らわれる市民が多かった。

 
雨下・葛実
生きていれば愚痴ぐらいいうがな
酒…は飲めないからその時の状態は理解できないが、一介の芸術家の攻撃的な発言くらい許せよ
捌け口になるのもトップの仕事だろ
まあ、クロノヴェーダにはその辺どうでも良いんだろうが

・脱出の準備
パラドクスを使用
牢番を罠に嵌めて身動きを取れないようにし脱出時の無力化を狙う
また、可能であればパラドクスで麻痺させ、鍵を回収し救出対象達に渡しておく
その際、仲間が騒ぎを起こすから混乱に乗じて逃げるよう伝える

安心させられるかは分からないが…
俺は頼りないかもしれんが仲間達は凄えぞ
必ず逃げる機会を作ってくれる
大丈夫だ
逃げる時に足がもつれないように筋肉をほぐしておく方が良いぞ
とか言っておく


 他のディアボロスたちが次々とバスチーユ監獄へと収容されていく中、雨下・葛実(勿忘草を直視できない・g01795)もまた収監されていた。
「ほらもたもたするな! 歩け!!」
 看守に後ろ手にされながら歩を進める葛実はため息を吐く。
 まったく、生きていれば愚痴ぐらいいうがな。
 酒の席でのことだし状態は理解できないが、一介の芸術家の攻撃的な発言くらい許せよ。
 市民の捌け口になるのもトップの仕事だろうが。
 酒が飲めない葛実にとって、酒が入った人間がどれだけ開放的になるかは知る由もない。だが、クロノヴェーダにとってそんなことはどうでもいいことなのだろう。
 時先案内人が見せたあの戯曲作家を案じていると、止まれと命じられる。
「ここが今日から死ぬまでの間、お前の部屋だ」
 看守の声に顔を上げれば、そこはそれなりに広い牢。中には十数人が留置されている。
「貴様ら新入りだぞ」
 看守は嘲笑うように言うと腰にぶら下げていたキーリングを外し、鍵を探したのちに牢の扉に掛けている錠の穴に鍵を刺して続ける。
「死ぬまでの短い間、なかよくするんだな――っ!?」
 錠の開く音とともに、蜘蛛の糸状の亀裂が地面に走ったかと思った瞬間、看守の足元が一気に崩落したのだ。
 葛実がパラドクスで看守の足元だけを崩落させたのだ。
 蜘蛛の糸を手に絡ませながらしゃがみ込んだ葛実が穴の中を覗き込むと、看守は落下の衝撃で気絶している。
「しばらく嵌っててくれ……って、聞こえないか」
 立ち上がった葛実は開いた錠から鍵を抜くと、扉の一番近くにいた少年にキーリングごと手渡した。そして、牢にいる人々に向かい口にひとさし指を当てて『静かに』とジェスチャーをする。
 錠が開いていることを自分たち以外に知られないためだ。
「これから俺の仲間が騒ぎを起こすから、その混乱に乗じて逃げろ。鍵はおそらくこの周辺の牢のものだろう」
 こう説明しても、牢の中の人々の表情は暗い。自分たちを助けるという人物も前にいて、看守は気絶し鍵も手元にあるが、本当に逃げられるのかという不安の方が大きいのだ。
「俺は頼りないかもしれんが仲間達は凄えぞ。必ず逃げる機会を作ってくれる」
 算段が正しければ、この鍵が開く範囲の牢に他のディアボロスも収監されている。
 葛実はそれでも不安げな少年の頭を、鉄柵越しにポンと撫でた。
「大丈夫だ。皆も逃げる時に足がもつれないように、今のうちに筋肉をほぐしておく方が良いぞ」
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

金森・椿
このディヴィジョンもおかしなことになっていますね。
今は革命の大きな波は変えられずとも手の届くみなさんを脱出させる下準備をするといたしましょう。

薬売りの行商の荷物に入っている丸薬や粉薬、軟膏などを配って牢に捕らわれている人々の傷を癒やし、滋養強壮の漢方をお出しして脱出に使う体力の回復を手助けします。
外で騒ぎが起きたら監獄外へ脱出してくださいと今後の予定もお伝え致しますね。

私ですか? 通りすがりの薬売りですよ。
お代は持ち合わせがある時で結構です。
またどこかでお会いしたら御贔屓のほど宜しくお願いしますね。

先用後利の精神は大事にしないといけません。

セリフや動きなどは流れで適当に合わせてください。


 近くで何かが崩れた音がした。
 驚いて、なんだなんだと辺りを見回す囚人の中。
「なんの音でしょうね」
 金森・椿(薬売り・g02220)も背筋を伸ばして辺りを見渡した。彼女もまた、バスチーユに収監された一人。行商姿が怪しいと荷物を暴かれた挙句、国家転覆罪をでっちあげられ逮捕されたのだ。
 まったく、このディヴィジョンもおかしなことになってますね。
 そう思う彼女は、合い部屋になった市民が少しでもスムーズに脱獄できるようにと薬の提供をしていた。
 目の前の老人が膝が痛いといえば痛み止めを処方して患部に軟膏を擦り込んでやり、壁際に動く気力もつきかけた男性がいればほっと一息つけるように暖かな薬湯を差し出し。
 柵の付近に捕えられたときにできた傷が痛む女性がいれば清潔な水で清めて手当てをし、いずれ執行される死刑に慄き胃を痛める少女には胃薬を与えてしばらく横になるように促す。
「ありがとう娘さん。お題を払いたいんだけど、今、手持ちが……」
 そう謝る女性に、椿はにっこり笑んだ。
「お代は持ち合わせがある時で結構です」
「……それって、脱獄しない限り無理だねぇ……」
 その言葉に、周りの人々の表情が一気に曇る。
 今は革命の大きな波は変えられない。だけど、小さな一歩は必ず大きなうねりとなる。
 そのためにまずは椿たちディアボロスが、この監獄から人々を脱獄させなければならない。
「……ほかにどこか具合の悪い方はおられますか? もう皆さん、お体の方は大丈夫ですか?」
 声を潜めて牢の中を見回して、望んだすべての人に処置が施されたと確認した椿は、一つ咳ばらいをし――。
「これから私の仲間が外で騒ぎを起こします。騒ぎが起こりましたら監獄外へ脱出してください。」
 と、宣言したのだ。
 一瞬はざわっとした牢の中、皆が皆、お互いに口元に指を当て静かにしようと注意しあった。そしてもう一度、椿を見た。
 この女性が、我々に治療を施してくれた人が。
 嘘をついているようにはとても見えない。
「……娘さん、あんた一体……」
 動揺を隠せずにいる女性に問われ、椿はまたにっこりと笑んだ。
「私ですか? 通りすがりの薬売りですよ。この監獄を脱出して、またどこかでお会いしたら御贔屓のほど宜しくお願いしますね」
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV2になった!

ライカ・ヴァイスシュワルツ
あらよいしょ、っと(牢の格子を腕力で曲げて脱出しつつ)

この後はえーっと、楽しい大脱走の為にちょっと準備しておくんだったっけ
「じゃあとりあえず見張り番の人たちは全員永眠して貰いましょうねぇぇ!!」
眠らせるとか言ってた気もするけど
死体が残ってれば快眠も永眠も対して大差ないでしょ

「後は他の牢の面倒をどうとかこうとか…鍵?これ?」
まぁ適当に牢に鍵束放り込んでっと

え?体が痛い?腹減った?一緒に捕まった娘?
そりゃーボクに言うのは間違ってるっすー
「ボクは殺して壊すしか出来ないスクラップっすからねぇぇぇ!!」

ボクの神様から有難いお言葉を送っておくッスよ
「パワーイズジャスティス(自分の腕力でどうにかしろ)」、な


「あらよいしょ、っと」
 ライカ・ヴァイスシュワルツ(キカンシャのホウコウ・g00496)は鉄格子を両手で持つなり、くにゅりと広げて廊下に出た。怪力無双の力だ。
「ボク、ちょっとお散歩に行ってくるっす。けど、みなさんはそこにいてくださいねぇー」
 呆気にとられている捕らわれの市民の目の前で、もう一度格子をくにゅっと戻す。万が一看守が見回りに来て、鉄格子がひん曲がっているのを発見されたり、脱獄している市民が見つかったりしたら、この一連の計画がダメになってしまうからだ。
「だーいじょうぶ。絶対に戻ってくるっす。んじゃ、いってきまーす」
 と意気揚々と駆け出したライカ。
「じゃあとりあえず見張り番の人たちは全員永眠して貰いましょうねぇぇ!!」
 とスキップしがてら宣言したはいいものの、バスチーユ監獄には膨大な数の牢屋があると言っていたな思い直し。
「じゃぁ、エンカウントしたやつ全員永眠コース! ひゃっはー」
 と、であった看守を片っ端からぼっこぼこにしていった。
 眠らせるだけでよいとは言われたが、快眠も永眠も大差ない。数時間後に痛みを感じて起き上がるか永遠の死かは、看守のひごおこ――日ごろの行いで決まるんじゃね?
 まさに、デッドオアアライブ。
 倒した看守の中には鍵を持たされている者もいて、ベルトのチェーンを手繰ればポケットからじゃらりと鍵が出てくる。
「鍵? これ……」
 ふんと引っ張ればブチィっとチェーンが切れる。その流れで放れば鍵は落下し床を滑り、近くにある牢の中に滑り込んだ。
 結局、ライカのお散歩は数分で終わり、自分が捕らわれた牢の前に戻ってきた。
「はーいお土産っすよ」
 と、自分の近くにいた少女に手渡した。
「ありがとう……」
 少女はお礼を言い、こう続ける。
「看守室なかった? 何か食べたい」
「え?」
 ライカが聞き返すと、少女の奥にいる老人が腰をさすりながら、
「薬はありゃせんか」
 と訴え、また別の男性は、
「娘を探してきてくれないか!!」
 と懇願する。
「ちょちょ、まーって! そりゃーボクに言うのは間違ってるっすー。ボクは便利屋じゃなく、殺して壊すしか出来ないスクラップっすからねぇぇぇ!!」
 困り果てて後ろ頭を掻くライカの脳裏に浮かぶのは、ある言葉。
「そんな皆さんに、ボクの神様から有難いお言葉を送っておくッスよ」
 イヒヒと笑むライカの口から飛び出した言葉は――。
「パワーイズジャスティス!!」
 あとは、自分の腕力でどうにかしろ! だった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

鳴神・雷羅
さあて、無事に監獄入りしたことだし、次は脱獄の下準備だな

「ちくしょー!あたいをここから出しやがれ!」
ヤケっぱち演技で悪態ついて、馬鹿力で壁を蹴ったり殴ったり

【建造物分解】の残留効果で、看守からは見えない壁の死角に、囚人一人がギリギリ這って通れる程度の抜け穴ぐらいは開けられねーかな?
最低でも、あと一押しで市民の力でも壊せる程度に壁の強度を脆く出来れば
念のため同室の囚人に、壊した壁の前で(絶望したフリして)うずくまって隠してもらおう

素行の悪さを見せつけて、自分の処刑順を繰り上げて、残った市民が逃げる隙を作るぜ
断頭台へ連れ出される前にニカッと笑って
「あたいのことは気にすんな。奴らも地獄へ道連れだ」


「ちくしょー! あたいをここから出しやがれ!」
 鳴神・雷羅(獄道デスペラード・g02984)が鉄格子を掴んで揺らせば、がしゃがしゃと騒がしく金属が鳴る。それに負けないほどの大声はバスチーユ監獄の壁に反響し、早速とばかりに看守が飛んできた。
「煩い!! あまり騒ぐと刑が重くなるぞ」
「あぁ上等だよ! ンな辛気クセぇとこ居られっか!」
 看守相手に臆することがない雷羅を市民たちはかなり驚いた様子で見ていた。
 態度が悪い囚人に向かい、看守は不敵に笑む。
「望みどおりにしてやるから、待ってろ」
 と、踵を返した。恐らく鍵でも取りに行くのだろう。
 雷羅は看守の背を黙って見送って、よし。と呟いた。
「んじゃ、ちょっと実験しますかねぇ」
 くるり振り返ると牢の壁を見回し、窓の下に目を付けた。
「ちょっとアブねぇから、そこ退いてくんね?」
 と市民を退かすと、拳を鳴らした後に一発ぶんなぐってみる。
 だが監獄の壁は分解されず、少しの亀裂が入っただけ。
 この監獄内には、監獄が分解されることを良しとしない人間がいるのだ。
 雷羅はチッと舌打ちをし、ぼりぼりと後ろ頭を掻く。ここは整合法で『怪力』に頼るしかなさそうだ。
「……仕方ねぇな」
 雷羅は呟くと今度は腕を大きく振りかぶり、全身全霊の力を拳に込めて壁を何度か殴りつけた。すると壁面が抉れ、外の光が漏れてくるようになる。
「あともう一発かぁ……?」
 呟いて、くるっと振り返り市民たちに言う。
「この穴開いたらさ、穴塞ぐようにうずくまって隠してくんね?」
 市民の返事はもうわかっている。雷羅はすぐに壁に向かうと、穴の中に渾身の一撃繰り出した。
 すると激しい音とともに腕が壁を貫通する。
 雷羅は腕を抜き思わず飛び上がって、
「やった――」
 と腕を振り上げたその時――。
「おい、何をしている」
 と柵越しに声を掛けられた。先ほどの看守だ。
 こういう時、人の頭というものはよく回るもので。
「――どこほっつき歩いてたんだよ無能。お迎えがおっせぇんだよ!」
 腕を下ろした拍子に雷羅はくるっと振り返ると、市民に看守の目が向かないように悪態をついた。
 看守は顔を顰めたまま錠を開けると、雷羅に出るようにとジェスチャーする。話もしたくないということか。
 牢屋から一歩外に足を踏み出した雷羅がふと振り返れば、市民たちが不安げな表情で雷羅が開けた穴を背に隠している。
 雷羅は彼らに向かい、ニカッと笑んだ。
「あたいのことは気にすんな。奴らも地獄へ道連れだ」
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【怪力無双】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!

緋薙・紅花
(牢の中)
あ、こんにちはー皆さんお仲間ですか?
え?わたし?何したかって……
ナポレオンのプレートを足蹴にして叩き割っただけ?
えへへ、たぶんわたし一番に処刑されるんじゃないでしょうか!

まぁ笑ってますけど至って正気です
ええ、実は助けが来る手筈が
わたしが処刑台に送られたら騒ぎが起きるはず
警備も手薄になると思います
皆さん、その隙にここから逃げちゃってください

もちろん準備もお手伝いしますよ
≪相伝・使役獣召喚の術≫で
仔猫にこっそり牢屋の鍵を盗ってきてもらいまして
盗ってきた鍵は小鳥に預けて窓から外の木の上に
その時まで守っててね

さて後は機を待つのみ
皆さん、逃げる時に余力があれば隣とかも解放してあげてくださいね


 同じころ、別の牢。
「わたし、ナポレオンのプレートを足蹴にして叩き割ったんですよねー」
 緋薙・紅花(サージェナイト・g03888)が笑って言うものだから、同部屋の市民たちが驚きの声を上げた。
「た、た、叩き割る!? どうやって……!」
「……お嬢ちゃん、すごいな……」
「えへへ。だから、たぶんわたしが一番に処刑されるんじゃないでしょうか!」
「笑い事じゃないよ!!」
「まぁ笑ってますけど、わたしは至って正気です。わたしが処刑台に送られたら騒ぎが起きるはずですので、警備も手薄になると思います」
 そんな他愛ない……他愛なくないが、話をしている最中も紅花の目線はちらちらと廊下に向いていた。
 召喚した使役獣――仔猫がどこからかともなく見つけた鍵を、紅花のところまで持ってきたのだ。
 仔猫の頭を撫でてやれば、満足したように一声鳴いてスッと消える。では次に召喚する動物をと思った矢先、看守が紅花のいる檻の錠を開けた。恐らくこの看守は自分を呼びに来たのだろう。
 作戦変更。
 紅花は近くにいる市民に鍵を手渡す。
「皆さん、その隙にここから逃げちゃってください」
 看守は紅花を見つけるなり、恐ろしい形相で彼女を見下ろした。
「王のプレートを破壊したのは、お前か?」
 対して紅花は、すっと立ち上がると堂々と答える。
「えぇ、わたしです。なのでどうそ断頭台へお連れください――」
 そうして今。
 紅花は処刑台の上にいた。
 隣には、牢での素行が悪く処刑の順番が前倒しにされた雷羅もいる。
(……これは心強いですね……)
 ほんの微かに口角を上げた紅花を一瞥し、淑女の自動人形・鉄爪貴婦人は口を開く。
「この者は王のレリーフを破壊した罪、その隣の者は王を侮辱し警邏に暴行。生かしておいてはならない劣悪な市民です。いずれ反旗を翻し、国を混乱させることでしょう」
 その言葉に「あぁん!?」と凄んだ雷羅。
 紅花は表情一つ変えずに判決理由を聞いていた。
 主文は、断頭刑。
 ――後は。
 この群衆に紛れるディアボロスを信じるだけだ。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!


 バスチーユ監獄前の広場。
 処刑台を見上げる群衆の中には、今、断頭刑に処される寸前の彼女たちを市民がいた。
 あの煩わしいレリーフに踵落としを喰らわせてくれたあの子が――。
 酒場に侵入していた警邏と一人やりあったあの酔いどれの彼女が――。
 皆、見ず知らずの彼女たちを案じ、心配そうに処刑台を見上げている。
 そんな中。市民とは全く別の意図を持って群衆に紛れている者たちが、この瞬間を待っていたとばかりに動き出した。
 
火撫・穂垂
悪戯に火を吹き消すばかり。
灯が消えたら、誰がキミ達を照らすのかな?
でも……強い火は、風に煽られた程度じゃ消えないもの。
その風を受け、より強く、焼き返すほどに、燃え上がろう。

煽って、捕まるのは、みんながやってくれるだろうから……ボクは、暴れさせてもらうね。
その方が、他のみんなも逃げやすいでしょ?
行こう、喰火。耐え忍ぶ時は過ぎ、今こそ積み上げた憎悪を解き放つ時だ。
襲え、燃やせ、喰らえ。これがキミたちが育て、煽った悪意の火だ。

ボクだって、命を刈り取る者でもある。
首を落とすための動きは、よく知ってるつもりだよ。だから、致命傷くらいは避けられる。

だけど、キミたちは刈りすぎる。だから、ボクが止めるよ。


 人は『火』だ。
 揺らぎ、立ち上がり、吹き消されて、消える。
 この世界の人々も、邪風に踏みにじられてゆくのだろうか。
 群衆の後方。火撫・穂垂(奉火・g00006)は、自身の左腕に黒い炎を纏わせながら語り掛ける。
「行こう、喰火。耐え忍ぶ時は過ぎ、今こそ積み上げた憎悪を解き放つ時だ」
 すると炎は穂垂の声や、穂垂の敵意や殺意などの悪意に呼応しながら、徐々に勢力を増していく。
 狙うは鉄爪貴婦人の護衛をしているサンソン式断頭人形。
 クロノヴェーダは悪戯に火を吹き消すばかり。
 だけど灯が消えたら――、 
「……誰がキミ達を照らすのかな?」
 黒い炎は、穂垂が願えば願うほど益々大きく燃え盛る。
 ――強い火は、風に煽られた程度じゃ消えないもの。
 その風を受け、より強く、焼き返すほどに、燃え上がろう――。
「さぁ、思う存分喰らっておいで」
 穂垂が命ずれば黒い炎は風を帯び、舞い上がり、やがて火の竜巻――火災旋風となって鉄爪貴婦人の前にいた護衛のサンソン式断頭人形に襲い掛かった。
 炎に巻かれて悶え暴れるサンソン式断頭人形。
 その様子を目の当たりにし、処刑台の前にいた市民たちは一斉に逃げ出してゆく。
 襲え、燃やせ、喰らえ。
 これがキミたちが育て、煽った悪意の火だ。
 穂垂が左腕に力を籠めれば、サンソン式断頭人形に絡みつく炎はもっともっと盛んに燃え上がる。
 炎に巻かれて悶えるサンソン式断頭人形だったが、炎の持ち主を見つけるや否や処刑台から飛び降りた。そして斬首斧を構えながら見通しかよくなった広場を駆けてくる。
 穂垂はその様子を見据えた。
「ボクだって、命を刈り取る者でもある。首を落とすための動きは、よく知ってるつもりだよ」
 だから、致命傷くらいは避けられる。
 タンと垂直に跳ね上がり宙返りをし、さらりと攻撃をかわした穂垂は呟く。
「だけど、キミたちは刈りすぎる。だから、ボクが止めるよ――」
 ――戦いの火蓋は切って落とされる。
 その騒ぎの音は、バスチーユ監獄内にも響いていた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

ネリリ・ラヴラン
*選択肢②のあとなので捕まってる状態での行動になります!

わたしの罪は、いの一番にみせしめなきゃいけないほどじゃないかもって事でうごく時間があったら、の行動だよ。

お外で動いてくれてる人と【パラドクス通信】で会話したいの。
手筈を整えてくれてるみたいだから、それを囚人に伝えて、行動を起こす時の混乱を防ぎたいわ。

ただ、安心させ過ぎると囚人の様子が変わって敵に不信がられるかもだから
顔に出ちゃいそうなら落ち込んだフリでもして顔隠しておいてってお願いするよ。

いざって時は【建造物分解】で自分の牢をあけて騒ぎを起こしちゃお
「なんか、壊れてたんですけど!」
順番繰り上がるかもだけどそれで守れるならやるわ!



 時間は少し前に遡り、バスチーユ監獄内。
 看守に見つからないように牢の奥の方で、ネリリ・ラヴラン(クソザコちゃーむ・g04086)は無線機に耳を当てていた。   
 ボリュームはもちろん極小で、聞いているのは監獄前の音声。
 電源をオンにしている仲間の無線機から飛んでくるものだ。
 今、仲間のディアボロスが鉄爪貴婦人に断罪されているところ。
 ネリリは立ち膝になると、この牢だけに聞こえるほどに声を潜めて市民たちに告げる。
「みんな聞いて? もうすぐ外で騒ぎが起きると思うの。そのタイミングで脱獄するから、みんな『慌てず騒がず落ち着いて』でお願いします!」
 その発言に市民は驚きの声を上げたので、慌てて「シー!」とジェスチャーするネリリ。柵の向こうを見ると、看守は普段通り仁王立ちで各牢獄に目を光らせていた。
 ネリリはほっと胸をなでおろすと、再び市民たちに向き直る。
「だからもう少しだけ、悲壮そうなふりをしていて? じゃないと……」
 看守にバレたらこの牢にいる人間だけではなく、他のディアボロスたちが捕らえられている牢の人間も救い出せない。
 ネリリの言葉を受けて頷いた市民たちは、それぞれ俯いたり蹲ったりしだした。
 市民たちが自分に従ってくれたことに安堵したネリリは、再び無線機から流れてくる音声に耳を傾ける。
 しばらくすると無線機から聞こえてくる音の質が変わる。人々の悲鳴とサンソン断頭人形のものと思わしきうめき声。そして、轟轟と燃え盛る炎の唸り声だ。
「始まったわね」
 立ち上がったネリリの目に映るものは、突如勃発した非常事態に次々に扉から外に飛び出してゆく看守の姿と、柵の向こう側。ネリリたちが入っている牢の錠を震える手で開けた少年の姿だ。
 おそらく他のディアボロスが彼に、こうするように指示したのだろう。
 ネリリは少年のもとへ向かうと、鍵を握る震える手を取ってにっこり笑んだ。
「……ありがとう。あなたのおかげで助かったわ」
 そして同室の市民たちに向かう。
「さぁ、脱獄するわよ!!」
 彼女の声に、市民も声を上げて応えた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【ダブル】がLV2になった!

天夜・理星
さてここまでは予定通り♪
まあ全てを今すぐ救うことは出来ないけども。
だけどだからこそ、アタシに出来ることをしよう。

鍵は大丈夫らしいし、傷を癒すことも同様にやってもらえるとのことなので、アタシは避難の協力をする。
牢から脱出して一般人たちを可能な限り多く救って、外の復讐者の皆が騒ぎを起こしたタイミングを狙って、安全に民たちが避難できるように先導を開始しよう。
勧告の残留効果が無いのはネックだけど…いや、寧ろ無い方がいいのかもね。
あんま変にサイレン鳴らして牢番に気づかれても困るしさ。
首尾良く脱出が出来たなら後はご安全を祈ろう。

世の中綺麗事ばかりじゃないけれど、こんな奇跡…いくらあったっていいよね♪


 監獄に収監され、監獄前で起こる騒ぎも予想通り。
 天夜・理星(復讐の王・g02264)は、外の騒ぎを耳に捉えて立ち上がる。
 バスチーユ監獄前の広場で、他のディアボロスたちの攻撃が始まったようだ。
「みんな、ここから出るよ!!」
 理星が声をかけると市民たちは素直に応じてくれた。あらかじめ、騒ぎが起こるタイミングで脱獄させる計画を共有していたからだ。
 理星は先ほど他のディアボロスから投げ込まれた鍵を使って錠を開けると、先を走って市民を誘導する。しばらく行くとネリリと遭遇した。彼女は市民たちを伴いながら、非常事態に飛び出していった看守が開けっ放しにしている扉を指で指し示し、走っていく。
 理星も後から来る市民やディアボロスたちが分かるように、扉を指さし告げる。
「あの扉を目指して、前の人に続いて!!」
 そして、目の前で後れをとる老人に肩を貸して、自身も扉の外へと向かった。
 バスチーユは大監獄。
 全ての囚人を今すぐ救うことは出来ないけども。
 だけどだからこそ、アタシに出来ることをしよう。
 光に目が眩み、思わず目を閉じる。そして、再び目を開けると青い空とパリの街並みが広がり、広場では仲間のディアボロスがサンソン式断頭人形へ攻撃を仕掛けているところだった。
 理星は老人をゆっくり下ろす。
「ここからはひとりで行ける? どうぞご安全に!」
 と戦場へと体を向け、散り散りになってゆく市民を背中で見送った。
 そんな彼女に声を掛けたものがいる。声の方を向くと同じ牢の中にいた青年であった。
「あの、助けてくれて、ありがとう」
「お礼なんかいいよ。それよりここは危ないから早く逃げて」
 そう言って笑んだ理星。だが彼はまだ何か言い足りないらしく、あの、と続ける。
「……あなたは、あなた方は、一体……?」
 青年に問われて理星は微笑んだ。
「アタシたちは……『復讐を行うもの』。アタシに限って言えば、世界を救う王……志望ってとこかな」
 青年は微かに首を傾げたが、理星の言葉を自身の心の中に落とし込んで笑む。
「ありがとう、優しい王様。いつか自由に物語を綴ることが出来たら、俺は今日の『奇跡』を戯曲にするだろう」
 では。
 そう言って、青年はパリの街へと消えていった。
 世の中綺麗事ばかりじゃないけれど、こんな奇跡……いくらあったっていいよね♪
 嬉しくて、理星は胸を弾ませた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

湯上・雪華
みんなが逃げる用意するために注意を引くんだね。任せて、目立つの得意だもん!

脱獄する人たちの手伝いになるようにできるだけ敵の注目を集めようか。
こういう時はナポレオンを侮辱するようなこと言えばくるのかな?
こんなことしてるのなんて間違いだ!とかナポレオンなんて怖くない!とか言いながら戦おう
倒しやすい敵から攻撃。神蝕呪刃発動、一撃で倒しきれないなら腐食効果で防御を減らしていくよ。一緒に戦ってくれる組のみんなと連携して確実に倒す

私の空腹を満たす闘争を頂戴?こんなんじゃ足りないよ!

アドリブ、連携等大歓迎


奴崎・娑婆蔵
●POW



機械仕掛けの首切り役人と来やしたか
その手際、興味がありまさァ
一丁披露頂けやせんか?

但し、生半な技を見せてみなせえ
その不粋のツケ、首で払って頂きやすぜ

奴崎娑婆蔵
人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』
――八ツ裂きにしてやりまさァ


・陽動の企図を含み正面より堂々接近、抜刀し挑発

・敵攻撃は首を狙い来るものと知れている
・ならば【精神集中】し狙うは後の先
・【怪力無双】を込めた腕力で『鉄鞘』を己の首の傍に掲げ構え、敵の斧を受ける

・返す刀で【ティアーズリッパー】
・【ダメージアップ】の威も乗せ、相対せし敵を妖刀にて【両断】し返さん
・首、胴体、斧を持つ腕、斧の柄――より致命かつ戦術的優位を見込める箇所を優先し狙う



 時は少しだけ遡る。
 サンソン式断頭人形がディアボロスに襲われたことを皮切りに、バスチーユ監獄前の処刑広場は大混乱に陥り、バスチーユ監獄から慌てふためき出てきたのは看守たちだった。
 しかし看守たちは監獄の扉を閉めるのも忘れ、事の重大さに逃げ出してしまった。
 それはそうだ。クロノヴェーダと対等にやりあう勢力に、『逆説連鎖戦』を行える力を持たぬものが適うわけがない。下手したら、巻き添えを喰って命を落とす可能性すらある。
 奴崎組組員である穂垂の先陣に、【奴崎組】の士気も上がる。
「どうする組長さん。あの人形、処す?」
 湯上・雪華(悪食も美食への道・g02423)がわくわくしながら訪ねるので、奴崎組組長である奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)は、黒い炎を払い除けたサンソン式断頭人形を見据えつつも微かに笑んだ。
「……それは愚問にありやすよ」
 呟いて前に歩み出れば、サンソン式断頭人形が『次のターゲットを見つけた』とばかりに斬首斧を振り上げ、娑婆蔵に向かい走り出した。
「……機械仕掛けの首切り役人と来やしたか」
 サンソン式断頭人形とタイマンを張る位置に着いた娑婆蔵も、『トンカラ刀』の柄に手を掛けると、タッと駆け出した。
「その手際、興味がありまさァ。一丁披露頂けやせんか?」
 ――但し。娑婆蔵は続ける。
「生半な技を見せてみなせえ。その不粋のツケ、首で払って頂きやすぜ」
 娑婆蔵もまた走りながら刀を抜いた。
 任侠の世界では刀を抜いたら最後、あとは斬るしかない。
 娑婆蔵は精神を集中させると腕に万力を込め、自身の首の傍に掲げ構た『鉄鞘』でサンソン式断頭人形が振り下ろした断頭斧を軽々と受け止めた。
 ガキンと乾いた音が響く。
 鞘で斬首斧を押し戻すと、よろけたサンソン式断頭人形の防御がおろそかになる。その隙を娑婆蔵は見逃さない。
「奴崎娑婆蔵。人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』――八ツ裂きにしてやりまさァ」
 それは一瞬の出来事。一閃の技。
 振りぬいた得物の妖刀を静かに鞘に納めれば、サンソン式断頭人形の首がゴロンと地面に落ち、その体も大きな音を立てて地面に倒れた。
「やったぁ組長さん、カッコいい!! よし、私も負けないよ!」
 意気込む雪華は、これから監獄の扉を飛び出してくる市民にサンソン式断頭人形が向かわないように、扉から少し離れた位置まで駆けていく。目立つのは、得意中の得意だ。
「えっと、ナポレオンを侮辱するようなこと言えばくるのかな? あの人形……」 
 呟くと、立ち止まってすっと息を吸った。
「こんなことしてるのなんてナポレオンは間違ってる!」
 すると狙い通り、処刑台から飛び降りたサンソン式断頭人形が、こぞって走ってくる。
「わ、本当に来た、やったぁ! 大成功!」
 喜びのあまりぴょんと跳ね、雪華はさらに続ける。
「ナポレオンもお前たちも、全っ然、怖くないからねーだ!」
 そう叫んだ雪華は得物の妖刀を抜き構える。すると刀に宿った呪いがゆらりと揺らめき、雪華が刀を振るうたびにサンソン式断頭人形を呪詛が蝕んだ。
 呪詛の浸食により、サンソン式断頭人形の体の腐食が始まる。
 痛みに悶えるサンソン式断頭人形も、反撃に転ずる。背負った断頭台を『自律形態』に変形させ、次々と雪華に襲い掛かった。
 ドン、ドン、と断頭台から刃が落ちるが、雪華はそれをすんでのところでひらりと交わしてみせたのだ。
 軽やかに着地した雪華は、不満げに頬を膨らませる。
「……こんなんじゃ足りないよ! 私の空腹を満たす闘争を頂戴?」
 その時だった。
 監獄の扉から、捕えられていた市民たちが一斉に飛び出してきた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【腐食】LV1が発生!
【怪力無双】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!

ヘルガ・ブラッドウォーデン
――うん、ちょっとやってみたいことがあるんだよね
実用的なことをいうと、指揮官狙えば部下も混乱するかな?って

戦法は単純。ディガーパックのアームとブッチャーピートの刃で敵のいるところまでの壁面を全部ぶち抜いて奇襲
流石に囚人収用区画は避けるけど、他の人の邪魔したくないし

魔剣解放、悪性充填、弾殻形成
敵と相対した瞬間にアームと“悪魔の見えざる手”での瓦礫投げとショットガンでの牽制をしつつ、魔剣を「槍」に変えて全力投擲
お腹狙うよ。せいぜい防御を固めてね?ってあえて機械腕での防御を促すよ
あの腕壊せば敵の戦闘力も落ちるし、防御も減らせる

私ひとりでどこまで通用するか、試させてもらうよ
さあ、“戦争”をしよう



 突然の乱入者に驚いた表情も素振りも見せないところは、さすが自動人形といったところか。
 ヘルガ・ブラッドウォーデン(死銀の硬貨・g00717)の狙いは、処刑台の上で涼しい表情を浮かべている鉄爪貴婦人。
 当初は壁面をぶち抜き破壊して奇襲する作戦を練っていたが、処刑場が広場であったため、その必要はなさそうだ。
 なら作戦を変更して、バスチーユ監獄の壁に大穴くらいはあけられそうか……。
 娑婆蔵と雪華がサンソン式断頭人形と対峙し、鉄爪貴婦人の目がそちらに向いているこの隙に……。
 ヘルガは人知れず駆け出して、処刑台の裏手に回った。そして処刑台の骨組みを足掛かりに跳ね上がると瞬時に、ディガーパックから工事用のアームを展開させてバスチーユ監獄の壁を掴む。
 下を見ると鉄爪貴婦人はきょろきょろと周りを見やっている。どうやや、ヘルガが処刑台の足場を足掛かりに飛び上がった時の異音を気にしているようだ。
 だが、上にまでは注意が向いていないように見える。
 ヘルガは壁に張り付いたまま得物の大剣『ブッチャー・ビート』を構えると、バスチーユ監獄の壁目がけて大きく振りかぶった。
 激しい破壊音に鉄爪貴婦人が上を向き、目が合った。
 ――さあ、“戦争”をしよう。
「悪性充填、弾殻形成」
 大剣からショットガン『ノック・ノック』へと持ち替える。同時に、アームと自身から延びる影『悪魔の見えざる手』で掴んだ瓦礫と投擲するとともに、ショットガンから散弾を放出する。
 自動人形とて防御態勢はとる。大きな鉄爪で頭や胸を庇う鉄爪貴婦人。
 だがこの攻撃は牽制に過ぎない。瓦礫や散弾は処刑台の周りに着弾した。
「魔剣解放」
 ヘルガがショットガンを魔剣『フロム・ヘル』へと持ち替えながら魔剣を瞬時に槍へと変化させると、
「お腹狙うよ。そのまませいぜい防御を固めてね?」
 と告げ、凌駕駆動『嘆きの一撃』を繰り出した。
 そのまま防御態勢をとっていた鉄爪貴婦人の機械腕は、ヘルガの思惑通りひどく傷んでしまった。
 相当の痛手を負ったであろう鉄爪貴婦人はやはり表情の一つ変化させずに、複数の機械腕でヘルガを捉えようと高速で上空に腕を伸ばし、壁から離脱したヘルガの足元に爪を立てる。
「……っ!」
 鋭い痛みに思わず顔を顰めたヘルガだった。が、作戦を変更したものの、根本の奇襲は成功したといえる。
 地面に着地し、思う。
 私ひとりでここまで通用した。
 その成果がヘルガに達成感を与えていた。

 
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【建造物分解】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!

グリム・グリモア
おや…奴崎組で見かけた顔がいる
彼らがどんな戦い方をするのか興味あるね。ちょっとお邪魔させてもらおうかな
…それにしてもあの人形達、耳障りな歌を歌うね
【悪魔の仕事場】を使い謎のキューブから「地形に潜む小さな個体」を【召喚】
サンソン式断頭人形の口の中に突っ込むよう【号令】を出し、歌を無理やり止めるよ
【時間稼ぎ】出来れば十分。トドメは他の連中に任せるよ
…口の中に物を詰め込む処刑方法ってあるのかな?
まあ人形が苦痛を感じるとは思えないから、どうでもいいか


樹・春一
ありもしない罪を被せて裁くとはなんたることか!
神の名において裁きを下しましょう! ええ!
これは捏造じゃないですからね! 正当な裁きですからね!

ギロチンって初めて見ました! 軽く持ち運べるものなんですねえ
あれが飛んでくると。当たったら普通に痛そうです!
ならば当たらなければよいのです! どんな拳も当たらなければ意味がありませんから!

距離を開けてこの目でしかと相手を捉え、ギロチンの飛来を待ちます
十分にギロチンを引き付けたら神速! 間にある色々を全部通り越して殴りに行きますよ!
ひとり殴ったら体制を整えられる前に次のやつを殴ります!
動き回っていれば敵同士ギロチンをぶつけあってくれるかもしれませんしね!



 雪華に投げつけた断頭台を背負いなおしたサンソン式断頭人形は、あと二体。
 所属する【奴崎組】の面々の活躍を、感心して眺めている者がいた。
 アンニュイな表情を浮かべているグリム・グリモア(燃えさし悪魔・g02064)だ。
「……ふぅん、みんな、なかなかやるじゃない」
 自分も負けていられないな。と思った矢先に聞こえてきたのは、サンソン式断頭人形たちが歌う罪人への裁きと罪の浄化を願う陰鬱な歌。
「……耳障りな歌……」
 手で耳を塞ぎながら顔を顰めて取り出したのは、謎のキューブ。
「さぁお前達、仕事の時間だよ」
 キューブにそう話しかけるとバスチーユ監獄前広場に『地形に潜む小さな個体』を呼び出した。
「あの耳障りな歌を止めてきて? 行ってらっしゃい」
 そうグリムに送り出された『地形に潜む小さな個体』は、一直線でサンソン式断頭人形に向かって行く。そして、サンソン式断頭人形の足元にたどり着くなり地表に姿を現して、その口を無理やりに封じてしまった。
 サンソン式断頭人形たちは突然口の中に入ってきた遺物に驚き藻掻いたが、一体がそのまま倒れて動かなくなった。どうやら、個体の入りどころが良かったのだろう。
「……口の中に物を詰め込む処刑方法ってあるのかな?」
 まぁ人形が苦痛を感じるとは思えないから、どうでもいいか……。
 漠然と思うグリムだった。
 そんな彼女の隣。
「ギロチンって初めて見ました! 軽く持ち運べるものなんですねえ」
 樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)はサンソン式断頭人形の断頭台を見て感嘆の息をついていた。だが、同時に思う。
 アレが飛んできて万が一当たったら、普通に痛そうだ、と。
 痛いのは嫌だ。なら、どうするか。
 そう、当たらなければければいいだけのこと。
「どんな拳も当たらなければ、意味がありませんからね!」
 そう宣言すると春一は、サンソン式断頭人形の視界に入るなりファイティングポーズをとった。
 へいへい、そのギロチン投げてみろよ。
 指をちょいちょいと動かすと、サンソン式断頭人形は春一をその目に捉え、どたどたと駆けてくる。そして背負っている断頭台に手を掛け、乱暴に振りかぶって投げた。
 断頭台は春一にまっすぐ迫る――。
 春一は断頭台を十分に引き付け、あと一寸で――というところでレンガ敷きの地面を跳ね上がり、迫る断頭台を叩き落とす。後ろに派手な崩壊音を聞きながら前進し、闘気を纏わせた拳をその鳩尾に食らわせてやる。
「ありもしない罪を被せて罪なき人々を裁くとはなんたることか! 神の名において裁きを下しましょう!」
 叫んだ春一はサンソン式断頭人形ごと、拳を天へと突き上げた。
 放り上げられたサンソン式断頭人形も重力には逆らえない。地面に叩きつけられるなり、体が木っ端微塵の瓦礫と化した。
 春一はもう動かないサンソン式断頭人形に向かって、びしっと指さし言い放つ。
「……神の名においてーのくだりは捏造じゃないですからね! 正当な裁きですからね!」
 こうした【奴崎組】の巧みな連携で、サンソン式断頭人形たちは全て倒すことができたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV3になった!

緋薙・紅花
んーいつの間にか戦闘始まってました?
どうも空気読まなくて大丈夫な展開っぽいので
全力で暴れるとしましょう!

まずは処刑のギロチンに駆け上がって
上からの≪魅了する脚≫で鉄爪貴婦人に一撃!
着地しつつ状況確認
一般人がまだいるようなら「一般人をディフェンスする」
ついでに【避難勧告】です
サイレンで一般人が無事避難が終わるまで
『スカーレット』を纏った両手足で【ガードアップ】護衛

避難が終わればもう一度攻勢に回りますよ
「ふっっっとべー!!」
今度はダッシュ&体を回転させての後ろ回し蹴り!≪魅了する脚≫
ギロチン台に叩きつけるように放つとしましょう
「花と侮るなかれ。舐めてたら蹴り飛ばしますよ!」
あ、もう蹴ってましたね


鳴神・雷羅
処刑場へ引っ立てられたあたいの目に映ったのは
先行したディアボロスと自動人形のガチンコ勝負
そう来なくっちゃ!このあたいが混ざらない手はあるかよ
本気出して暴れてやるぜ!

舐めた真似してくれんじゃねえか鉄クズ女
逆にあたいがテメェをスクラップにしてやんよ!

あたいらを応援する市民の声が【勝利の凱歌】のように響いてくるぜ
まるでプロレスのリングみたいじゃねえか

そっちが機械腕で来るならあたいも「鬼の腕」で勝負だ
【怪力無双】に「破壊」の力も乗せて
茹でガニの足みたいにバキバキにへし折ってやるよ!

とどめは硬化した腕に力を込めて
鉄クズ女のドテっ腹に拳をぶち込んで風穴開けてやる!
テメェが地獄へ堕ちやがれ!!



 突然バスチーユ監獄の壁が崩れ、処刑台の上にいた緋薙・紅花(サージェナイト・g03888)と鳴神・雷羅(獄道デスペラード・g02984)も咄嗟に壁を見上げた。
 空の青さに目が眩み、やっと慣れた目で捉えたものは、先ほどまで涼しい顔をしながらサンソン式断頭人形の戦いを見ていた鉄爪貴婦人が槍を投げ放ったヘルガに襲い掛かっている姿だった。
 ガキィン――。と空中で、鉄爪貴婦人の腕が交差する。
 仲間のディアボロスによる奇襲に、雷羅の胸が躍り、闘争心に火が付き燃えあがる。
 紅花もふふっと笑んだ。もう空気を読まなくていいんだから。
「わたしたち、もう囚人の振りをする必要はないわね」
「あぁ、このガチンコ勝負にこのあたいが混ざらないなんてあるかよ!」
 ドレスを膨らませながら断頭台の隣に降りてきた鉄爪貴婦人を見据え、二人はそれぞれ悪い笑顔を浮かべていた。
「全力で暴れるとしましょう!」
「本気出して暴れてやるぜ!!」
 ふたり同時に叫び、紅花が思えばバスチーユ監獄前広場には避難勧告の赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。これで市民――特に脱獄してきた市民たちの足も速くなるだろう。
 紅花は断頭台を軽やかに駆け上ってゆくと、鉄爪貴婦人の向こう側に跳んだ。
 長い髪を揺らしタンっと音を立てて、木製の処刑台に降り立った紅花は、微かに表情を変えて驚く鉄爪貴婦人に向けてにっこり笑んで見せる。次の瞬間、短い助走距離でもダッシュで駆け抜け――。
「ふっっっとべー!!」
 踏切間際に体を回転させ、『魅了する脚』での後ろ回し蹴りを喰らわせた。
 ガードが遅れた鉄爪貴婦人は機械腕で防御する間も無く断頭台へと打ち付けられ、そのまま処刑台の下まで転げ落ちてしまった。
 だが鉄爪貴婦人はすぐさま跳ね起きると、機械的に展開させた機械腕で次々と紅花に襲い掛かる。
 しかし紅花は、巧みな脚さばきでその腕全てを蹴り飛ばし防御した。
「花と侮るなかれ。舐めてたら蹴り飛ばしますよ!」
 あ、もう蹴ってましたね。
 そう告げ。
 足元に残った鉄爪を踏みつけ破壊した紅花の脚からは緋色のオーラがあかくあかく立ち昇っていた。
 一方、処刑台の縁。
 アジアンスクワットで座った雷羅は、眉間にしわを寄せて鉄爪貴婦人を睨みつける。
「おぅ、舐めた真似してくれんじゃねえか鉄クズ女」
 すっと立ち上がると処刑台から飛び降り間際、雷羅の耳に、いや、ディアボロス全員の耳に届いたのは、勇気を奮い起こす歌声。
 救えるだけの市民を全員救い切ったディアボロスを称える歌声だ。
 歌声に背を押され、雷羅の士気は最高潮に達する。
「……逆にあたいがテメェをスクラップにしてやんよ!」
 吠えて巨大化させたのは、腕。鬼の腕だ。
 機械腕には鬼の腕で。腕と腕の真っ向勝負に出たのだ。
 雷羅の腕の変化も興味ないという風に、涼しい顔をしている鉄爪貴婦人。だが彼女はクロノヴェーダ。本能的に雷羅の腕は危険なものだと認識し、複数ある機械腕を瞬時に伸ばし雷羅の鬼の腕を――いや、雷羅ごと捉えに来たのだ。
「させるか!!」
 荒々しく上に跳んだ雷羅は、再び処刑台の縁に派手に降り立った。
「ナメたマネしやがって……」
 拳をぐっと握りこめば巨大化した腕がさらに筋肉隆々とし、さらに血管も浮き上がる。その腕を振り上げた雷羅は断頭台から再び飛び降りた。
「茹でガニの足みたいにバキバキにへし折ってやるよ!」
 重力に乗って腕を振り下ろせば、鉄爪貴婦人の腕が何本かが派手な音を立てて折れてゆく。だが、雷羅はさらに拳を前に前に突き出して、鉄爪貴婦人の腹の前面をも破壊した。
「テメェが地獄へ堕ちやがれ!! この鉄クズ女!!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】がLV2になった!
【怪力無双】がLV4になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【能力値アップ】がLV4になった!

ライカ・ヴァイスシュワルツ
うんうん、やっとお待ちかねの処刑ターイム♡
あ、殺すのはボクでぶち殺されるのはオマエな

「こちとらこれが楽しみで今までお行儀よくしてたんすからねぇぇぇ!とことんまで付き合って貰おうじゃないっすか痩せすぎガリガリ女ぁあぁぁ!!」

【デモニック・ブロウ】のパワーを信じてガチンコの打ち合いをするっすね
痛くても我慢!最後に立ってたほうが勝者で正義!
わかりやすくて良いっしょ?

イカれたように笑いながら、力いっぱい手持ちのチェーンソー剣を叩きつけてダメージを奪っていく
相手を壊して無力化すれば、防御なんて考える必要なくなるとばかりに

「死体をもう一度殺せるものかよ!終わるのはテメェだ!」


「ちょっとちょっとぉ。ボクの取り分も残しといてよねぇぇぇ!」
 雷羅と鉄爪貴婦人の間に割って入ったライカ・ヴァイスシュワルツ(キカンシャのホウコウ・g00496)は、心底楽しそうに笑っていた。
 なぜなら、待ちに待ったお待ちかねの処刑タイムだからだ。
 もちろん、この処刑人は鉄爪貴婦人ではない。
 鉄爪貴婦人は死刑囚であり、処刑人はライカである。
「こちとらこれが楽しみで今までお行儀よくしてたんすからねぇぇぇ! とことんまで付き合って貰おうじゃないっすか痩せすぎガリガリ女ぁあぁぁ!!」
 ライカがそう吠えても鉄爪貴婦人の表情はさして変わらない。先の攻撃で腹が砕かれたというのにまだ、原動部分は壊れてはいないようで、機械腕を持ち上げライカに迫る。
「痛みすら感じてねぇって? チョーおもしれぇじゃないっすかぁぁ!!」
 イカれた笑みを浮かべながら、ライカが得物のチェーンソー剣の『Thinker』のスターターロープを乱暴に引けば、相棒はソーチェーンをギャンギャン鳴らしてくれる。
 ライカは得物を振りあげると、豪快に鉄爪貴婦人のもとへと駆け出した。
 迫る鉄爪を避けることなく突っ込んでいくライカ。身体のあちらこちらが斬れて皮膚が裂けるが、イカれた笑みはさっきと全く変わらない。
「痛くても我慢! 最後に立ってたほうが勝者で正義ぃぃっ!」
 手にした得物はさらに甲高く鳴く。傷だらけになりながらもライカは鉄爪貴婦人の懐までたどり着き――。
「砕けろ! 消えろ! 汚ぇシミになって歴史から消えやがれぇぇぇー!」
 その身に宿した悪魔の心臓の咆哮を聴き、ライカは荒々しく乱暴に得物を振り下ろす。すると、鉄爪貴婦人の胸元が粉々に砕け落ちた。
 零れ落ちた残骸にも目をくれず、ライカはさらに壊れた笑みを鉄爪貴婦人に向けた。
「このボクを――死体をもう一度殺せるものかよ! 終わるのはテメェだ!」
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】がLV5になった!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!

マリーミレイユ・ベルブランシュ
この辺りの囚人の方達はほぼほぼ逃げ出せたようかしら?
やはりここはあの貴婦人に一太刀浴びせなければ。

幸い、先程の歌も相まって、勝利の凱歌の力もあるし、
このまま奇襲と行きましょう。

【飛翔】を行って、貴婦人の頭上高くまで移動するわ。
「Halo d'ange 展開!」
リングスラッシャーをそのまま打ち込みましょう。

革命は時代の流れとして、不可抗力だったのかも知れない。
でも、私のいたフランスがこんな血に穢れていいわけがない。

いつかみんなが「Vive La France」そう言える日がきますように。


 留置区画の一部が解放されたバスチーユ監獄から最後に出てきたのは、マリーミレイユ・ベルブランシュ(Diva de l'eau・g00104)だった。
 捕らえられた脱獄する市民たちの殿について、彼らが全員逃げ切るまで見届けていたのだ。
「皆、あの区画の囚人たちは全員解放したわ!」
 声を張れば仲間のディアボロスが状況を把握し、各々が小さく息を吐いた。
 それは安堵でもあるし、手加減無用とばかりのリミッター解除でもあるだろう。
 一方の鉄爪貴婦人はマリーミレイユの声に反応するや否やボロボロのドレスを翻すと、彼女の元へと駆け出した。その鉄爪てマリーミレイユを抱き、超低温の冷気で凍らせようというのだ。
 だがマリーミレイユにとっては彼女の靴音さえ復讐の序曲。
 広げられた腕が閉じる瞬間を見極めてタンッと跳ねあがると、その拍子に彼女の翼が大きく広がり羽搏いた。
 勝利の凱歌は救出できる市民を全て解放したことにより、さらに高らかにバスチーユ監獄のあるサンタントワーヌに響き渡る。
 その歌を聴きながら、みるみるうちに鉄爪貴婦人の頭上高くまで飛んだマリーミレイユは、空中停止。
「Halo d'ange 展開!」
 自身の周りに回転する無数の光の輪を出現させると、間髪入れずにリングのすべてを鉄爪貴婦人に打ち出した。
 鉄爪貴婦人に降り注いだ光の輪は、防御態勢をとった彼女の体を切り刻み、ついに腕の一本がレンガ敷きの広場へと落ちたのだ。
「やったわ!」
 一太刀を浴びせることができ、マリーミレイユはぐっと拳を作って喜んだ。
 革命は時代の流れとして、不可抗力だったのかも知れない。だげど、私がいたフランスがこんな血に穢れていいわけがない。
 いつかみんなが「Vive La France」そう言える日がきますように。
 理不尽に怒り、だけど祈りは強く――。
 マリーミレイユの心の中、炎は静かに燃えていた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

天夜・理星
奇跡の戯曲の始まりを知ってる?
世界を救う王の決め台詞を知っている?
知らないなら結構。今教えてあげるよ。
「んじゃ、今日も復讐復讐…!!」

というわけでただ今戻りました♪
腕がいちにーさんしーわーおもしろーい♬
じゃあアタシを引き裂こうとする腕は感情の波を宿した右腕でそもそも引っ掴めばいいのかな。
それで怪力無双の残留効果を利用して逆に派手に引き千切っちゃおうか…!?
ダメそうなら聖剣で弾いて一度ダッシュで避けるけど、うまくいったら多少は隙が出来るんじゃないかな♪
あ、もし危なそうな仲間がいたらちゃんと庇うよ。
で、パラドクスは思い切り右腕を振り抜いて…ドカーン☆

自由をこれ以上奪わせてたまるかっての…♪


ネリリ・ラヴラン
一緒に脱出した人達を退避させたら、ひと時のお別れを言って踵を返し
貴婦人と戦ってる人達の所へ向かうよ。
あれを残しておいたら折角助けた人達もまた危ない目にあわされちゃうもんね。

【勝利の凱歌】がわたし達の心も奮わせてくれるのなら、それはこの国を変えて欲しいって期待の詩がお好み!
この世界での恨みはないけれど、頼りにしてくれる人がいるのって頑張らなきゃって気持ちを生みだしてくれると思うの。

「言葉は止められても、気持ちまでは止められないよ?」
近づかれる前に黒の衝撃を発動して構え、声掛けると共に射抜くよ。
「ギロチンが無くなったら貴女を讃える人なんて一人もいなかった、悲しいね。」


「それじゃお気をつけて。またどこかで」
 ネリリ・ラヴラン(クソザコちゃーむ・g04086)は一緒に脱獄してきた人たちに笑顔で手を振って。その背が見えなくなるとくるりと踵を返した。
「……さて、あともうひと仕事。あれを残しておいたら折角助けた人達もまた危ない目にあわされちゃうもんね」
「うん、今日も復讐復讐……!!」
 一方の天夜・理星(復讐の王・g02264)も人々を見送り、向かうはあの処刑人の元。
 街中に響き渡る勝利の凱歌は、人々の耳にも届いているだろう。
 もちろん、駆け出したネリリの耳にも凱歌は届いているし、この国の変化を期待する詩は彼女の心を強く震えさせる。
 たとえこの場所がネリリにとっては縁も所縁もないディヴィジョンであっても、頼りにしてくれる人や助けを求めてくれる人がいるのであらば――。
 それが、ネリリが彼らの元に駆け付ける理由にもなるし、彼女が頑張る原動力になるのだ。
 鉄爪貴婦人は胸から腹までボロボロで、体の中の構造もむき出し。だがまだ闘志は衰えてはいないようで、向かってくるネリリと理星を交互に見ると、ネリリの方へと体を向けて駆け出してきた。
「……あら、先にわたしの相手してくれるの?」
 光栄ね。とネリリはその場で足を止めると、弓を引く一連の動作ののちに発射のタイミングが熟すのを待った。
「言葉は止められても、気持ちまでは止められないよ?」
 ネリリが力と気持ちを揉めれば込めるほど、黒い弓と矢は彼女に呼応し――。
 打ち放たれた矢は鉄爪貴婦人の胸に突き刺さるや否や、爆発を起こした。
 だが油断は大敵。爆破の煙の奥から現れた鉄爪貴婦人はボロボロになりながらもネリリを絡めようと、機械腕を伸ばす。
 ネリリは捕らえられる一瞬の隙でレンガ敷きの地面を蹴って宙返りしながら、鉄爪貴婦人に憐みの目を向けた。
「ギロチンが無くなったら貴女を讃える人なんて一人もいなかった……悲しいね」
 ネリリが地面に降り立つのとほぼ同時、鉄爪貴婦人の標的が変わる。ギギギと不快な音を立てて向く先には――。
「腕がいちにーさんしー……わーおもしろーい♪」
 目の前にいるクロノヴェーダの姿かたちを好奇心旺盛な瞳で見ていた理星。
 鉄爪貴婦人は、まだ数ある機械腕をぐわっと持ち上げると、そのすべてで理星を引き裂かんと振り下ろした。
 引き裂かれ間際。
 地面をタンと跳ねた理星は、右腕に感情の波・闘気『刻源』を宿して目の前に降りてきた一本をぐっと掴むなり、鉄爪貴婦人の腕をもぎ取ってしまう。
 力いっぱい引っ張ったわけではない。残留効果のお陰である。
 理星は引き抜いた腕を後ろに放るなり、にぃっと笑んだ。
「次はアタシの番ね」
 そう言うと、右腕に宿した感情の波を最大剣に揺さぶり震わせながら駆けだした。狙いは、鉄爪貴婦人の腹。
 闘気に押され引こうとする鉄爪貴婦人。だが遅い。
「刻は今、逆現せよ!!」
 理星の右ストレートは、内部がむき出しになったその腹に深く深く食い込んだ。
 吹っ飛ばされた鉄爪貴婦人は、処刑台の足場に背を打ち付ける。
「自由をこれ以上、奪わせてたまるかっての♪」
 ――奇跡の戯曲の始まりを知ってる? 世界を救う王の決め台詞を知っている?
 知らないなら結構――。
 もしあの戯曲作家が物陰から見ているのなら、アタシたちの活躍をメモしているのかもしれない。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】がLV4になった!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV8になった!
【ドレイン】がLV3になった!

雨下・葛実
司令塔をぶっ倒せば暫くは処刑止まるだろうか
せめて、そうだと良いんだが
俺は攻撃が当たるか分からないし、他の仲間の命中率も知らないから少しでも当たりやすくしたいね
……よく的外すんだよな、俺

・持参パラドクスの命中アップを残存効果に残す事を優先
技能の観察を使って行動パターンや弱点を予測し、実際に攻撃して反応を見る
接近戦を目指し、神砂時計で時間を歪めて攻撃する
……近づくから拘束されやすいよな…はっ、美人に抱擁されるとは光栄だ
(強がり。本当はなるべく近づきたくない)
自身の命中率が分かれば数値を頭に叩き込んで今後の参考にする
俺はまだ戦闘に慣れていないし、何かしらの情報を得る事が出来れば御の字だわ


金森・椿
もう始まっていますね。遅参とはお恥ずかしい限り。
あまり派手な立ち回りは得意ではないのですが、捕らわれたみなさんが無事に逃げ出せるようできるだけ敵の注意を引きつけると致しましょう。

隠し持っていた忍者刀を抜いてこれまで多くの罪無き人々の命を奪ってきたであろう断頭台を一刀両断、象徴を破壊してマダムを挑発します。

もういらないものでしょうから誠に勝手ではございますが当方にて処分させていただきました。
刀を構えながら不敵に笑って。

鉄爪との斬り合いに付き合うと見せかけて刀は防御に使いさらに一歩踏み込んで苦無で斬撃をお見舞いします。

セリフや動きなどは流れで適当に合わせてください。


 処刑台も断頭台もボロボロで、暫くは使い物にはならないだろう。
 その、今にも崩れそうな処刑台から出た木屑が頭や体に落ちているというのに、鉄爪貴婦人はそれを意ともせずにゆらりと立ち上がる。外側の素材もドレスも内部も見るも無残な状態。一歩踏み出すたびに体から欠片が零れ落ちる。
 鉄爪貴婦人は顔を上げるとギギと首を左右に振り、次の標的を定めた。
 雨下・葛実(勿忘草を直視できない・g01795)だ。
 鉄爪貴婦人と目が合って葛実は、次は俺か、と得物を構える手にぐっと力を込めた。
 ……あのクロノヴェーダが司令塔。なら、あれをぶっ倒せば暫くは処刑止まるだろうか……。
 せめて、そうだと良いんだが。
 そう願う葛実は、監獄の外に出た時点から今までの間、鉄爪貴婦人の一挙手一投足を観察していた。
 淑女なだけあって走るのはそこそこ。だが、あの何本も生えてる機械腕と大きく鋭い鉄爪を用いて、力技や氷の吐息を使う。
 だが、この戦いも後僅かで終わるだろう。
 自分はよく的を外す。この攻撃も当たるかどうかはわからないし、本当はなるべく近づきたくない。
 だが、後にしっかり繋がるように。
 葛実は鉄爪貴婦人の懐まで一直線に駆けた。そして敵の目前で得物の神砂時計を掲げると、自分と敵の間の時間がぐらりと歪む。
 観察から分かったこと。
 この敵は打撃に弱い。
 葛実は神砂時計を両手で抱えると、鉄爪貴婦人の顔を目掛けて思い切り振り下ろした。
「……ーー!!」
 衝撃に声にならない叫びのような音を絞り出した鉄爪貴婦人だったが、すぐさまぎろりと葛実を見据ると広げた機械腕をぐっと閉じてくる。
「……美人に抱擁されるとは光栄だ」
 言葉では強がってみるが、内心は全くそんなこと思っていない。葛実は何とか氷の接吻から逃れようと頭の中で考えを巡らせ、鉄爪が背に掛かるか掛からないかのところで、咄嗟に跳ね上がると空中で一回転して地面に着地した。
「……間一髪でしたね」
 思わずのんだ息まっじりの金森・椿(薬売り・g02220)は、さて、と続けて駆け出した。
「あまり立ち回りは得意ではないのですけど」
 駆け出し際に手を掛けたのは、懐に隠し持っていたのは忍者刀。素早い足さばきで鉄爪貴婦人の横を通り過ぎ、壊れかけの処刑台に向かうと直前で飛び上がり、一閃――。
 これまで多くの罪無き人々の命を奪ってきたであろう断頭台を、処刑台ごと一刀両断にしてしまったのだ。
 市民たちを怯えさせた畏怖の象徴も、もうこうなってしまったら恐れるに足りぬ木材と鉄クズ。
 地面に降り立った椿は刀を構えたまま、振り返っている鉄爪貴婦人に向かって不敵に笑む。
「もういらないものでしょうから誠に勝手ではございますが、当方にて処分させていただきました」
 挑発された鉄爪貴婦人は、もう華麗でも優雅でもない姿。だが、踊るが如き優雅で軽やかな足取りで椿に近づくと、目にもとまらぬ速さで鉄爪を伸ばしてきた。
 椿も忍者刀で鉄爪とやり合う――と見せかけ、忍者刀でその爪を弾いて見せた。そして一歩踏み込むなり、さらに隠し持っていた苦無を振るって鉄爪貴婦人をも一刀両断にして斬り捨てた。
「……もう終わりにしませんか?」
 貴女の戦いも、罪もない市民を痛めつけるのも――。
 椿の呟きに呼応するかのように。
 二つに分かれた鉄爪貴婦人はゴトリゴトリと倒れ、もう二度と動くことはなかった。
 これでバスチーユ監獄前の広場もパリの市内も、一時だけではあるが平穏が訪れるであろう。
 ディアボロスたちはそう、願わずにはいられなかった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】LV1が発生!
【一刀両断】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2021年09月16日