煌めく宝珠と竜の花嫁(作者 波多蜜花
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#幻想竜域キングアーサー  #湖水地方と竜の花嫁  #湖水地方 

●祝福されし花嫁
 竜の花嫁に選ばれる――それはこのグレートブリテン島において、何よりも名誉あること。そして、湖水地方に多くある竜の花嫁の湖のひとつがあるこの地でも竜の花嫁に選ばれた乙女がいた。
「まあ、まあまあ……グレース、あなたが竜の花嫁に選ばれるなんて! お母さん、嬉しくって……」
 笑みを浮かべ、感激のあまり涙を浮かべる女性がグレースと呼ばれた美しい乙女からハンカチを受け取って、涙を拭う。
「ありがとう、お母さん。私もまだ信じられないけれど……精一杯務めてみせるわ」
 そう言ったグレースの表情は誰よりも明るく、誇らしげだ。
「あなたを女手一つで育ててきことを、私も誇りに思うわね」
 一人娘が授かった名誉を噛み締めるようにして、母親である彼女――アリアが微笑む。そして、黙ってそれを聞いていた男性に声を掛けた。
「アレク、あなたも喜んでちょうだいな」
 俯いていた男性、アレクが顔を上げる。
「グレースの恋人であるあなたが、一番に喜ぶべきだわ」
「あ、ああ。そうだな、女性にとってこの上ない名誉なことだものな」
 ほんの少しだけ強張ったような笑みを浮かべ、心にもないことをアレクが口にして、それから。
「……すまない、今日は帰るよ」
「え?」
 どうしたの? とグレースがアレクを見上げる。
「宝珠を捧げる準備をしないと、だから」
「ああ、そうよね! 竜の花嫁が選ばれたのだから、皆宝珠の準備を始めている頃だわ」
 アリアが納得したように手を叩き、わざわざ来てくれてありがとうね、とアレクを見送る為に立ち上がる。
「本当に大丈夫? アレク」
 グレースはいつもと様子の違うアレクを心配しつつも、竜の花嫁に選ばれた喜びで彼が何に対しておかしいのかわかってはいなかった。
 彼女の家をあとにして、アレクは竜の花嫁の湖へと向かいながら呟く。
「……どうしてあんなに喜べるんだ? おかしいだろう、竜の花嫁になったら死んでしまうんだぞ?」
 そうすればもう二度と恋人である自分にも会えなくなるし、たった一人の母親であるアリアとだって。
「グレース……」
 喜ばなければいけないという思いと、死んでほしくない、今からでも自分と逃げて欲しい。そう思いはすれども、名誉ある役目から逃げる女性などいるわけもない。
 どうすることも出来ず、アレクは目の前に拡がる湖を眺める。
 それはどこまでも美しく空を映し、宝石のように輝いていた。

●新宿駅グランドターミナルにて
「竜の花嫁の話は皆知ってるかしら?」
 そう切り出したのは時先案内人たる朱山・椿(夜の愛し子・g03185)で、空中にホログラムを展開しながら話を続ける。
 アイリッシュ海の戦いで氷のベディヴィア卿を撃破した事により、ディアボロスである我々はドラゴンの本拠地であるグレートブリテン島に上陸する事に成功した。
 上陸した場所は景勝地として有名な湖水地方であり、ジェネラル級ドラゴンであり円卓の騎士の一体『氷将竜サグラモール』の庇護下にあるのだと椿が言う。
「まず、竜の花嫁っていうのは簡単に言えば生贄よ」
 ドラゴンの生贄である『竜の花嫁』は、命を捧げることで竜鱗兵の『卵』を出現させる――普通であれば誰もが忌避感を抱くものであるが、この地においては何よりも名誉あること。竜の花嫁となった乙女は手厚くもてなされ、また花嫁となる乙女も家族も周囲の人間も、竜の花嫁となって命を捧げることに一切の疑問を抱かない。
「ある種歪んでるっていうか……そう刷り込まれてるって感じかな?」
 これは私の所感だけどね、と付け加えて椿が切り替える。
「でね、この湖水地方には『竜の花嫁の湖』と呼ばれる湖が多くあって、竜の花嫁が命を捧げる前に、穏やかに満足して暮らせる別荘が建てられているの」
 風光明媚な湖水地方は富裕層の保養地としても有名で、お祭りであったり催し物が開催されることも多い。
「その中でも、竜の花嫁を楽しませるために様々な芸事に秀でた人達が集められたりしているのよ」
 コンテストが開催され、そこで良い成績を収めれば竜の花嫁がいる別荘に招かれるのだとか。
「だからね、今回は荒事はちょっとお休みって感じの依頼なの。コンテストに出場して、竜の花嫁と接触することが目的よ」
 そうすれば、幻想竜域キングアーサーの中核に迫ることが出来るかもしれない。

「今回行われるコンテストは、竜の花嫁が身に纏う花嫁衣裳を飾る装身具を競うコンテストなの」
 装身具といっても様々あって、頭部に飾るティアラや編んだ髪に飾る髪飾り、首飾りに耳飾り、腕飾りや指輪――そして、ドレスやベールに縫い付けて飾る小さな石飾りなど多種多様だ。
「それからね、この装身具に使う石は宝珠と呼ばれていて、皆に向かってもらう街にある湖で採れるものでね」
 サイズや色は様々だが、不思議なことに全て丸い形をしていて、宝石のように澄んだ石なのだとか。
「本物の宝石かどうかはわからないけれど、街の人は宝珠と呼んで竜の花嫁に捧げる為の石として重宝しているそうよ」
 街の名産品として、加工された物も売られているけれど、竜の花嫁に捧げられる宝珠は飛び切り美しい物が多いという。
「でね、このコンテストに参加する前に、まずは湖で宝玉を探してきてほしいの!」
 コンテストが開催されるのは午後から、それまでに息抜きも兼ねて湖で目一杯遊んでくるのも悪くないと思う、と椿が笑う。
「向こうでは少し暑いくらいの気温みたいだし、この湖は水温も丁度いいはずよ」
 富裕層の人々が湖畔でピクニックや水遊びをしているし、街の人々も同じように水遊びをしたり、宝珠を採りに来たりしているから混じっても違和感はない。

「この街や別荘のある辺りにはクロノヴェーダの姿は見当たらないわ。でも、街の外からは多くのドラゴンが空を飛びながら地上を観察しているの」
 ドラゴン達に怪しまれぬよう、周囲の人々に溶け込む必要がある。待ち時間には湖で宝珠探しや水遊びを楽しみ、その後は街に出てコンテストの為の準備をするのもいいだろう。
「装身具を作る為の他の素材は大抵街で揃うから、見に行くのも楽しいと思うわ」
 それから、と椿が続ける。
「竜の花嫁となる乙女の名はグレース、母親であるアリアと二人暮らしよ。今はアリアと共に別荘にいるわ。グレースにはアレクという名の恋人がいるんだけど……彼は竜の花嫁に疑問を持っているの」
 彼もまた、竜の花嫁に捧げる為の装身具を作るべく街に来ている。疑問を持ち、葛藤する彼とうまく会話ができれば、色々な話が聞けるかもしれない。
 竜の花嫁は自分の命を捧げることに対し何の疑問も持っていない、けれど何かしらの切欠によっては竜の花嫁としての使命に疑問を持たせることが出来るはずだと椿が復讐者達を見遣る。
「コンテストが始まるまでは、自由に過ごしてもらって構わないわ。少しの息抜きを楽しんできてね!」
 その後は、どうか彼女達の為に尽力してくれたら嬉しい、そう微笑んで椿はパラドクストレインに復讐者達を案内するべく歩き出した。

●彼の想い
 街はいつもと変わらぬ――いや、竜の花嫁が選ばれたという事により更に活気づいた様相を見せていた。
 竜の花嫁を讃える吟遊詩人の歌が聞こえ、食堂や数ある出店では料理やお酒を振舞う声が響いている。大道芸人が人々の目を楽しませ、観光にやってきた富裕層の人々が気前よく金を払っているのが見えた。
 観光地として栄え、特産品とされる宝珠を使ったアクセサリーもあちらこちらで良心的な値段で売られている。
 竜の花嫁という、犠牲のもとに成り立つ賑わいではないのか? アレクは拭いきれぬ思いを抱きながら、それでも竜の花嫁の……グレースの為にと、宝珠を飾る為の細工を探しに街を歩いていた――。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
2
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【セルフクラフト】
2
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【書物解読】
2
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【おいしくなあれ】
1
周囲の食べ物の味が向上する。栄養などはそのまま。効果LVが高いほど美味しくなる。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV5 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【アクティベイト】LV1 / 【リザレクション】LV2 / 【先行率アップ】LV1

●マスターより

波多蜜花
 閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
 今回は幻想竜域キングアーサーより、竜の花嫁のシナリオをお届けいたします。
 こちらは戦闘のないシナリオとなっております、ご注意くださいませ。シナリオ進行は『③→④→②→①』を予定しています。

●シナリオについて
③待ち時間でヴァカンス(👑5)
 コンテスト前日の日中。
 竜の花嫁の湖で、水遊びや宝珠探しができます。宝珠は水際にもありますので、泳ぐのが苦手という方は無理に泳いで中に入る必要はありません。
 水着で水遊びもいいですし、湖畔でお弁当を持ち寄ってピクニックもできます。湖で出来そうな事であれば、大抵の事は出来るかと思いますので色々考えてみるのも良いかと思います。ですが、公序良俗に反する事や時代にそぐわない事は難しいと思いますのでご了承くださいませ。

④竜の花嫁の家族や恋人との接触(👑5)
 コンテスト前日の午後~夕方。
 湖で遊んだり、宝珠を手に入れた後は街に出ます。
 ここではコンテストの準備をしたり、グレースの恋人であるアレクとの接触が可能となっております。
 アレクと接触した場合、彼の悩みやグレースの話を聞き出すことができるので、上手くいけば彼女の好みを聞き出したりもできます。
 街を楽しむ7割、アレクとの接触3割くらいでも問題有りませんし、がっつり彼の話を聞くのでも構いません。
 コンテストで優秀な成績やグレースの心に響く物を作るのであれば、アレクに彼女の話を聞きだすのは有効です。

②コンテストへの参加(👑7)
 コンテスト当日の午前。
 竜の花嫁の花嫁衣裳や身を飾る装身具などの装飾品を競うコンテストです。プレイング内容とダイスによって結果を判定します。

①竜の花嫁との接触(👑7)
 コンテスト当日の午後。
 コンテストで良い成績を収めた人が花嫁の別荘に招待されます。別荘の庭で湖を眺めながらのお茶会方式で、コンテストに出した品物をグレースに見てもらったり身に着けたりしてもらいつつ、話をすることができます。
 彼女に『竜の花嫁として命を捧げる事に疑問を持たせる』ことができれば、成功となります。

●採用人数
 ③と④についでは採用人数の制限をいたしません、採用期間中に書けるだけ書きます。
 ②と①については👑達成を大幅に超えての採用はお約束できません。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


神坂・樟葉
【真秀等場亭】で参加。連携アドリブばっちこい。

すっかり暖かくなったので散策に出たい、と話をしておったところじゃ。
椿の提案はまさに渡りに船じゃの。
こういう自然の中に来るのは、しばらくぶりな気がするわい。

弁当は特に変わった物でなく、若者が喜ぶ物を詰め込んである。
うちの若者らはどんな顔をするかのう。
……ちと張り切りすぎて量が多くなったかも知れんな。
余すくらいなら誰か食わぬか?

遊びついでに宝珠も探すか。
全て形が同じ石か……まるで何かが釣りでもしているようじゃな。
ま、今はその時ではあるまい。拾っておくだけにしておこうかの。


ブロス・ブラッドハート
【真秀等場亭】連携アドリブ歓迎だぜ
ピクニック〜♪美味しいお弁当も水遊びも楽しみだなー!あ、もちろんお仕事もちゃーんとするぜっ
翼をたたんで、尻尾をくねらせて湖に潜水開始だー。負けないぜ松露にーちゃん
狙うは大物なんだぜ!色は深紅ならなおよしだなっ♪

どーしても見つからない時にはちょっとズルっこして【照明】
湖のなかを照らせばキラキラし宝珠も見つけられそーかな?

いーっぱい泳いだら腹減ったぁ〜。樟葉おべんとおべんとー!
ハンバーグに唐揚げに卵焼きに…んぁ~~どれも美味そうなんだぜ…!でもやっぱり大好きなハンバーグからはむっ
にしし、いつも美味しいけど。今日はもっと美味しい気がする~
余る?それはないぜ(にやり)


葉切・松露
【真秀等場亭】

やったー!ピクニック、ピクニックですよー!!
樟葉ねーさんのお弁当、とっても楽しみにしてたんですよね……!

まずはたくさん遊んで、お腹をすかせておかないと。
湖のそばなら、草滑りも木登りも、釣りだってできちまうですね!
そうだ、宝珠……っていうのも探さなきゃですよね。
よーしブロス、行くですよー!

お腹が空いたら待ちに待ったお弁当です!
いただきま~す!!
ふふふ……樟葉ねーさんの卵焼き、やっぱり最高です!

(アドリブ歓迎!)


●本日ピクニック日和!
 空はどこまでも高く、湖面はキラキラと太陽の光を反射して輝く。
 観光地として栄えていると言うだけあって、湖にはバカンスを楽しむ富裕層の人々や宝珠を探しに来た地元の人々の楽し気な声が響いていた。
「やったー! ピクニック、ピクニックですよー!!」
 目の前の湖に負けないくらい瞳を輝かせ、葉切・松露(ハキリアリのきのこ農家・g03996)がくるりと振り向き神坂・樟葉(自称超特級厨陰陽師・g03706)とブロス・ブラッドハート(意気衝天・g03342)に向かって叫ぶ。
「えへへ、ピクニック〜♪ 美味しいお弁当も水遊びも楽しみだなー!」
 あ、もちろんお仕事もちゃーんとするぜっ? と、ブロスが幾分か声を落として笑う。
「ふっはっは、松露もブロスも元気じゃのう」
 元気なのはいいことじゃ、と樟葉が頷きながら両手に持ったお弁当を木陰に置き、湖を眺める。
「すっかり暖かくなったので散策に出たい、と話をしておったが丁度いい依頼があったものじゃな」
 時先案内人の提案はまさに渡りに船、話を聞きつけてきたブロスには感謝せねばのう、と大き目のシートを広げるブロスと松露を見遣って微笑んだ。
「わ、お弁当箱大きいですね!」
「少々張り切ってしまったかも知れんな」
「大丈夫だぜ! 今からうんと遊んで腹を空かせてくるからなっ♪」
「おれも! 樟葉ねーさんのお弁当、とっても楽しみにしてたんですよね……!」
 全部残さず食べる為にも、まずはたくさん遊ばなくてはと松露も張り切った笑みを浮かべる。
「何をしましょうか? 湖のそばなら、草滑りも木登りも、釣りだってできちまうですね!」
 松露の言葉に応えるかのように、魚が水飛沫を上げて飛び跳ね、湖の中へと潜り泳いでいく。
「やりたいことは全部すればよい……とは思うがな、遊びついでに宝珠も探さぬか?」
 どうじゃ? という樟葉の言葉に、ブロスと松露が顔を見合わせた。
「そうだ、宝珠……っていうのも探さなきゃですよね」
「じゃあ、宝珠探しだな!」
 ブロスが泳ぐ準備だ! と、竜の翼をちょんとたたみ、尻尾をくねらせて潜水の準備はばっちりだぜと笑う。
「潜るのか? ならば準備運動をきちんとしていくのじゃ」
 自分より年若く、まだまだ少年の二人にそう言って樟葉が促す。
「準備運動だ、松露にーちゃん!」
「任せろです!」
 おいっちにー、と二人が仲良く準備運動するのを眺め、さてわしは少しばかり散策してから浅い場所で石を探すかと樟葉が立ち上がった。
「こういう自然の中に来るのは、暫くぶりな気がするわい」
 折角じゃから森林浴でも楽しむかと、木漏れ日を見上げる。
「よーしブロス、行くですよー!」
「おー! 負けないぜ、松露にーちゃん!」
「気を付けて行くのじゃぞ」
 はーい! と二人が返事をして湖へと駆けていくのを見送って、樟葉も湖畔をゆるりと歩き出した。
 湖へと駆けて行った二人は丁度いい水の温度や底まで見渡せるような湖の美しさにはしゃぎ、どちらが綺麗な宝珠を見つけられるかの勝負を始めていた。
「狙うは大物なんだぜ! 色は深紅ならなおよしだなっ♪」
 深紅はブロスが大事にしている大剣の色、ブロスの角の色でもある大事な色だ。
「おれだって負けないですよー! 色は……」
 どうしようかな、と松露が考えて思い付いた色に笑みを浮かべる。
「おれは琥珀色にするですよ!」
「琥珀色?」
「琥珀色はおれの髪色で、見ようによっては樟葉ねーさんと、ブロスの髪の色にも見えるでしょう?」
 だから琥珀色! と松露が湖へと潜っていく。
「あっ! おれも潜る!」
 水音を立て、尻尾をくねらせて潜水を開始する。湖は水面だけでなく水中もキラキラと光っているかのようで美しく、目を凝らして底を覗けばまぁるい飴玉のような石が見えた。
 多分これ! というのを二人で集め、時折水面に顔を出して樟葉に手を振って再び潜っていく。
「二人とも元気じゃの」
 どれ、わしも探してみようかと樟葉が足先を水に浸けながら浅瀬に目を凝らす。
「全て形が同じ石か……まるで何かが釣りでもしているようじゃな」
 ふっと空を見上げれば竜が飛んでいくのが見える、すぐに視線を戻せばキラリと光る何かが見えた。
「ま、今はその時ではあるまい。拾っておくだけにしておこうかの」
 小さいながらも美しく輝く丸い石、虹色にも見える透明なそれを手にして太陽に透かしてみれば、ブロスと松露が戻ってくるのが見えた。
「樟葉! いっぱい見つけたぜー!」
「樟葉ねーちゃん、おれもいっぱい見つけたです!」
 ぶんぶんと手を振る二人に手を振って、上がっておいでと声を掛けた。
「ほうほう、二人とも随分色々見つけたのう」
「おれの一番はこれ! 深紅の宝珠だぜ!」
「おれはこれです、琥珀色の宝珠ですよ!」
 見つけた宝珠を見せ合って、必要そうなものだけ選んで後は湖へと戻す。
「いーっぱい泳いだら腹減ったぁ〜。樟葉おべんとおべんとー!」
「それじゃあ、お弁当の時間にするかの?」
「待ちに待ったお弁当です!」
 慌てなくても弁当は逃げぬと樟葉が笑い、二人が身体を拭いている内に包みを解いて見事なお重弁当を披露する。
「ハンバーグに唐揚げに卵焼きに……んぁ~~どれも美味そうなんだぜ……!」
「わあ、おいしそうですね! おれは最初に食べるのは卵焼きと決めているんです!」
「じゃあ、おれは大好きなハンバーグから!」
「二人とも、よく噛んで食べるのじゃ」
 いただきます! を揃って言うと、ブロスと松露がお目当てのおかずにかぶりつく。
「にしし、いつも美味しいけど。今日はもっと美味しい気がする~!」
「ふふふ……樟葉ねーさんの卵焼き、やっぱり最高です!」
 特に変わった物でなく、若者が……二人が喜ぶ物を詰め込んできた樟葉が二人の反応に笑みを浮かべる。
「……食べ切れるか? ちと張り切り過ぎて、量が多くなったかも知れんな」
 もしも残すようならば、誰かに食ってもらおうかと樟葉が思案した時だった。
「余る? それはないぜ。な! 松露にーちゃん!」
「ええ、こんな美味しいお弁当を残したら罰が当たるというものですよ!」
 全部おれたちが食べるから、安心してとブロスと松露が笑う。
「そうか、そうじゃな。どれ、わしも食べるとしようかの」
 たくさん食べて、お腹がいっぱいになったら次は何をしようかと楽し気に話す二人を眺め、作った甲斐があったというものじゃな、と樟葉が嬉しそうに微笑んだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【おいしくなあれ】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ガードアップ】LV2が発生!

上篠・竜矢
【アドリブOK】
大切な人が竜の花嫁に選ばれて喜ばない人が他にいて良かった……うん。俺もそうだったから。
とりあえず、宝珠を探そうか……湖の中とかなら良さげなものが見つかるかな。できれば同じ形のか、対になるような色か形。そういうのを見つけたい。
コレを良い形にしたいな。うん……(自分の大切な「あの人」を少しでも思い出そうとする)やっぱり難しいか。
でも、あの人に同じ思いをして欲しくない。だから頑張ろう。


●誰かの為に
 視界いっぱいに広がる美しい湖を眺め、上篠・竜矢(「あの人」を探して・g00238)は安堵の息を小さく零す。
「大切な人が竜の花嫁に選ばれて、喜ばない人が他にいて良かった……うん」
 焦茶色の瞳を優しく細め、そう呟く。
 本来であれば異常ともいえる竜の花嫁制度、幼い時より言い聞かされていれば――洗脳のように言われ続けていれば、誰でもそう信じてしまうものかもしれない。けれど、それをおかしいと思う人がいる、それは竜矢にとっては喜ばしいこと。
「俺も、そうだったから」
 初夏を思わせる風が竜矢の髪を攫うように乱し、湖へと抜けていく。
「……さて、とりあえず俺も宝珠を探そうか」
 竜の花嫁に捧げる宝珠、見ればわかると言われるほど綺麗な石だという。少しの間浅瀬を探し、それなりの物は見つけたけれど、どうせならもっと良いものを見つけたいと竜矢が湖へと入る。
「少し潜ってみるか」
 とぷん、と小さな水音を立てて潜れば、湖の底まで光が差し込んで思わず目を瞬かせる。綺麗だな、そう素直に感じながら光の反射を頼りに宝珠を探した。
 何度か潜り、納得のいくものを手にして湖から上がる頃には様々な色の宝珠が集まっていた。
「どれがいいか……できれば同じ形で、対になるようなものがいいな」
 色も合わせて、と宝珠を選別し、使わないものは湖へ戻していく。
「そうすると、この辺りか」
 粒の揃った丸くて美しい石、どれも内側から光を放っているように思えた。
「コレを良い形にしたいな。うん……」
 竜矢が自分の大切な『あの人』を少しでも思い出せないかと、ふっと目を閉じて形を探る。
「……デザインは何となく浮かんだけれど、やっぱり難しいか」
 でも、と竜矢が宝珠を握り締めて湖に視線を向けて、息を吐く。
「あの人に同じ思いをして欲しくない」
 その為に自分にできる限りのことをしようと、竜矢が目元を優しく緩ませた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

オズワルド・ヴァレンティ

湖水地方と竜の花嫁か
この世界に於いてはどの地域でも
存在を尊ばれているようだな
……感傷はさて置いて
先ずは現地調査にあたる事としよう

湖の水際にて宝珠と呼ばれる石を探す
コンテストの装身具を飾るものが
卵に似た形というのは
何とも言えない気もするが…
石自体や街の者に罪はないだろうしな

髪飾りに使えそうな翠や碧の石を眺めながら
少しだけ原理の気になる好奇心はさて置いて、
…美しいものが捧げられる為にあるのは
やはり納得はいかないのだから
彼女の未来を飾るためにも善処しようか


●美しいもの
 湖水地方と竜の花嫁か、とオズワルド・ヴァレンティ(砂塵の・g06743)がキラキラと煌めく湖面を眺めながらそっと呟く。確かに美しい湖だと思うし、綺麗な石が採れるとなれば観光地になるのもおかしくはない。
 けれど、竜の花嫁が輩出される地域だからこそ、こんなにも賑わっているのだろうなとも思い、オズワルドがその翠眼を僅かに細めた。
「この世界に於いては、どの地域でも存在を尊ばれているようだな」
 どんなに美しい名が付けられていようとも、生贄だ。
 それに違和感を抱けない者が多いほどに、この世界の人々はクロノヴェーダに、ドラゴンに心身共に支配されているのだろうか――。
「……感傷はさておいて、先ずは現地調査にあたる事としよう」
 少々遊んできてもいい、そう言われはしたが勤勉な魔法使いたる彼からすれば湖で宝珠と呼ばれる石を探す、それ自体が息抜きのようなもの。
「どのような石なのだろうな」
 僅かに楽しそうな声でそう言って、靴を脱ぐと浅瀬へと足を踏み入れた。
「コンテストの装身具を飾るものが卵に似た形というのは何とも言えない気もするが……」
 もしかしたら、花嫁にとってはそれすらも喜ばしいことなのかもしれないが。
 じり、と照りつけるような陽射しの中、水に浸けた足が気持ちいい。ぱちゃりと水音を立てながら、ゆっくりと歩いて水底を見ればキラリと光る何かを見つけて指先で掴んだ。
「これは綺麗なものだな」
 陽光に翳せば、一層美しく見える。同じように浅瀬にいる街の人々も、同じように石を手にして笑っているのが見えた。
 この石や街の者に罪はない、あるとすれば――クロノヴェーダに。
「もう少し探してみようか」
 ひとつでは心許ないと、髪飾りに使えそうな幾つかの翠や碧の石を眺めながら、何故この湖の宝珠と呼ばれる石は全て丸いのだろうか、なんて原理が気になりつつも好奇心は押さえて浅瀬から上がる。
「……美しいものが捧げられる為にあるのは、やはり納得はいかないな」
 竜の花嫁と呼ばれる彼女の未来を飾るためにも善処しようか――。
 そう、新たに決意すると足を拭き靴を履いて立ち上がり、オズワルドは街へ向かう為に歩き出した。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【セルフクラフト】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!

シル・ウィンディア
綺麗な風景だねー。
湖もとってもきれいだし…
よし、せっかくだから泳いでみようっ!

こんなこともあろうかと、服の下に水着を着てきたのー

水着は、重ね着(レイヤード)タイプのセパレートなもの
胸元には大きなリボンがついて、ボトムのサイドにも小さいリボンが付いているの。
さて、服を抜いでっと…
いざ、宝珠探しに行きますかっ!!

目的のものを探しつつ、でも、せっかく綺麗な湖だし、水中の光景も堪能だね。
宝珠を見つけたら、そっちにゆっくり泳いでいってゲットするよ。
せっかくだから、いろんな色の宝珠を持って帰りたいなぁ~
わたしの好きな青だけじゃなく、花嫁さんに映えそうな色もあると思うしね。


●水中遊泳
 澄み渡る湖を前にして、シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)が思わず小さな歓声を上げる。
「わあ、綺麗な風景だねー! 湖もとってもきれいだし……」
 陽射しは暖かく、少し暑いくらいの気温。僅かに汗ばむ自分の眼前には綺麗な湖とくれば――。
「よし、せっかくだから泳いでみようっ!」
 そう、泳いでみたくなるのが人情というもの。
「ふふふ、こんなこともあろうかと、服の下に水着を着てきたのー」
 備えあれば患いなしだね、とシルが笑いながら木陰で服を脱ぐ。現れたのは水色を基調とし、白いフリルなどで彩られたレイヤード風のセパレート水着、胸元には大きなリボンが付いていて、とっても可愛らしい。
「胸元のリボンが気に入ったのもあるけど、ボトムのサイドに小さなリボンが付いているのもお気に入りなんだよねー」
 パッと見た限りでは、普通の洋服にも見えるお洒落な水着にシルがご機嫌な笑みを浮かべ、湖の浅瀬にそっと足を浸けた。
「わ、ちょっとひんやりしていて気持ちいい」
 思ったよりも冷たくなく、丁度いい温度だとゆっくりと足を進めていく。
「綺麗、湖の底まで見えるくらい透明度が高いのね」
 空の青を写し取ったように、湖は青く美しい。
「いざ、宝珠探しと行きますかっ!!」
 すう、と息を吸い込んで、水底目掛けて身体を潜らせた。
 目的の宝珠、丸い形の石だというけれど……どんなものなの? とシルが水底を探す。すい、と泳げばキラリと光る何かを見つけ、シルがそっと手に取る。
 水面に顔を出し、手にしたそれを眺めれば丸くて綺麗な青い石。
「綺麗……きっとこれが宝珠ね」
 他にもないか探す為、再び潜って水中を眺める。水の中の世界も美しく、差し込む光が揺れる様子はどこか神秘的だ。
 水中遊泳を楽しみながら、幾つか宝珠を手にしてシルが浅瀬へと戻る。
「これだけいろんな色があったら、わたしの好きな青だけじゃなく花嫁さんに映えそうな色もあるはずよね」
 手の中の宝珠を眺め、シルがどんな形の装飾品にしようかと楽し気に微笑んだ。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

一ノ瀬・綾音
【クロパラ】
よーっし、宝珠探しするよー!
お土産に持ち帰れるかはともかくとして!

綾音ちゃんは樹さんと一緒に水際を探すよ。なんか装身具に使えそうなものはないかな?
あとはちょっと軽く水を投げつけて水遊びをしかけてみたりとか…え?真面目に探せ?あ、ごめん…でもなんか楽しんできてって言うから…ごめんちゃんとやるって!

ある程度集め終わったらクリーニングで自分と宝珠をいい感じに綺麗にするよ。
真珠かー、丸い真珠なら確かに希少だね。綾音ちゃんもそういうのプレゼントされるような存在になりたく…いやいや、何言ってるんだ綾音ちゃんは。
まぁでも、こういう遊びと仕事の両立っていいよねー。


御守・樹
【クロパラ】名前呼び捨て

宝珠探ししようぜ。
竜の花嫁の装身具に使うもんらしいけど、一個ぐらいなら土産に持ち帰っても大丈夫じゃないか?
水際にもあるらしいから潜んなくてもいいらしいぞ。
靴脱いでズボンのすそまくって適当に水際を探す。見つかったらいいなとは思うけど、なかったらまぁそれはそれで楽しければ十分。
水際の綺麗な石っていうとシーグラスに翡翠、琥珀あたりが有名だけどここのはそれとは違うんかな?
まん丸ってとこ聞くと真珠とかに近そうだけど、真珠だって天然の丸い物はかなり希少だって聞いたが。

遊んだっていいけど…俺自身が女子との遊び方知らんのよな。
不用意に水かけたらセクハラにならんか?


●宝珠探しをご一緒に
 風光明媚な土地とは聞いていたけれど、実際に目にするのとではやはり違うもの。思っていたよりも数倍綺麗な湖に一ノ瀬・綾音(星影の描き手・g00868)の瞳が輝く。
「わぁ、すっごく綺麗な湖だよ、樹さん!」
 隣に立つ御守・樹(諦念の珪化木・g05753)に視線を向け、ほら! と湖を指さした。
「水底まで見えるな」
 透き通った水が燦々と輝く陽光を受けて煌めき、まるで湖が薄っすらと光っているようにも見える。確かにこれは観光客も集まるというものだと思いながら、樹が吹き抜ける風に目を細めて小さく笑った。
「よし、それじゃ宝珠探ししようぜ」
「よーっし、張り切って宝珠探しするよー!」
 丸くて綺麗な石を探せばいいんだよね、と綾音が張り切ったように樹に笑う。
「らしいな、竜の花嫁の装身具に使うもんらしいけど、一個くらいなら土産に持ち帰っても大丈夫じゃないか?」
「どうなのかな? お土産に持ち帰れるかはともかくとして、沢山見つけたいよね!」
 うーん、やっぱり潜った方がいいのかな……と、真剣な顔をして湖を見つめる綾音に樹が靴を脱ぎながら口を開く。
「水際にもあるらしいから、潜んなくてもいいらしいぞ」
「それなら、綾音ちゃんは樹さんと一緒に水際を探すよ」
 綾音も樹に倣うように靴を脱ぎ、靴下を丁寧に畳んで靴の上へ置く。ズボンの裾を捲り終えた樹が無造作に浅瀬に足を踏み入れ、その水の心地良さに空を見上げて伸びをした。
「この気温なら泳いでもよかったかもな」
「そうだね、とってもいいお天気だものね!」
 浅瀬に足を浸けるだけなのは少し勿体ないような気がしたけれど、宝珠探しが目的だからね、と綾音も水へ足を浸けて水底を覗き込んだ。
「なんか装身具に使えそうなものはないかな?」
「そうだな、いいのが見つかるといいな」
 見つかったらいいなとは思うけど、なかったらまぁそれはそれだと樹は思う。楽しければ充分、宝珠探しが目的ではあるけれど、多少の息抜きは大事だ。
 ちゃぷちゃぷと水音をさせながら、浅瀬を二人で歩いて軽い探検気分。あれは? これは? と、石を拾って違うなと戻していく。
「水際の綺麗な石っていうとシーグラスに翡翠、琥珀あたりが有名だけどここのはそれとは違うんかな?」
「シーグラスって湖でも見つかるのかな?」
「大きな湖だと見つかるらしい」
 なるほど、と綾音が頷き、翡翠に琥珀もあったらいいなと笑う。
「丸い石らしいから、どれも当てはまらないような……」
「まん丸……ってとこ聞くと真珠とかに近そうだけど、真珠だって天然の丸い物はかなり希少だって聞いたが」
「真珠かー、丸い真珠なら確かに希少だね」
 湖で採れるとなると淡水真珠だろうけれど、そうなると貝を探すところからになるねと綾音が頷く。
「綾音ちゃんもそういうのプレゼントされるような存在になりたく……」
「え?」
「いやいや、何でもないよ!」
 何を言ってるんだ綾音ちゃんは、とぷるぷると首を振って誤魔化し、何となく視線を落とした先にキラリとした物を見つけて綾音が拾う。
「これ、これじゃないかな?」
「どれ? ああ、確かに丸くて透明感がある宝石みたいな石だな」
 綾音が拾ったものは青い色をしていて、確かに美しい。
「やったー、この調子でもっと探すぞー!」
 でも、ちょっと遊んでもバチは当たらないかな? と、綾音が樹に向けて軽く水を投げて水遊びを仕掛ける。
「うぉっ、もっと探すんじゃなかったのか?」
 至極真面目な顔で言われ、綾音がそうっと視線をあらぬ方向へ向けた。
「あ、ごめん……でもなんか楽しんできてって言うから……ごめん! ちゃんとやるって!」
「いや、遊んだっていいけど……あー、俺自身が女子との遊び方知らんのよな」
「え? そうなの?」
「不用意に水かけたらセクハラにならんか?」
 真面目な顔のままそう言われて、ちょっとしょんぼりしていた綾音の顔に笑みが広がる。
「ふ、あはは、そんなの気にしなくていいよ!」
 だから少し遊びながら探そう? と綾音が言うと、綾音が言うならと樹が軽い水遊びに付き合う。少しばかり水を掛け合って、宝珠を探して、たっぷり遊びと仕事を両立させてから陸へと戻る。
「これだけ集めたら充分だよね?」
 クリーニングの残留効果を使い、自身と宝珠を綺麗にした綾音がほら! と樹に手の中の宝珠を見せた。
「いいんじゃないか?」
「やった! ふふ、こういう遊びと仕事の両立ってのもいいよねー」
 そうだな、と返事をしながら樹も手の中の宝珠を眺めて笑った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!

茜來・雪璃
【雪星】

彗、ここの湖で宝珠?が拾えるらしいよ!
どんな色のがあるんだろうねえ?

泳いでみる?それとも水際お散歩コース?
し、沈む!?うん、うん。じゃあそっちにしよ!

どっこにあるのっかなー
キョロキョロ見回せば二尾も一緒にふっさふぁさ
彗、見つかった?

あ!みーっけ!
見てー、桜色と紺色が混ざってる!
…御屋敷の夜みたい
バイカラーっていうんだっけ?
ころり掌に転がる宝珠を摘まんで光に透かす

わぁ、彗のも綺麗!
彗の方が夜明けが近そう?
対…偶然だけどなんか嬉し
ぁ、どっちも桜と瞳の色だねえ

…これで彗とお揃いの何か作れたら良いなあ、なあんて
へ…?ふふふ。うん、しよう!
どんなアクセにしよっかあ
掌で煌めく宝珠は今日から私の宝物


朔・彗藍
【雪星】

宝珠………
私達も見つけてみたいですね

游ぐと沈みそうな気がするので
水際散歩に致しましょう

周りを見渡し慎重に、じっと目を凝らす視界に入る
ふわふわしっぽ………もふ…もふ…
はっ、み、見つかってませんよ!
決して余所見してませんとも!

わ、雪璃やったー!ですね
綺麗……夜桜のようです
浮かべるのは互いに馴染む屋敷の景色
ころり、足元で光る宝珠を拾えば桜色と薄紫
見て、雪璃……まるで対のようなのです
並べ翳して、うつろう天桜

竜の花嫁のための、宝珠ですが
私達も何かお揃いでアクセサリーなんかにしたいですね
一番最初に見つけたこのふたつを、と
手のひらに転がる其れを大切に


●君とお散歩
 きらきら、ゆらゆら。
 目の前の広大な湖の水面が煌めくのを朔・彗藍(ベガ・g00192)が薄紫華の瞳を瞬かせ、わあ、と小さく唇を開いて眺める。
「綺麗だねえ、彗」
 彗藍の名を呼び、彼女が湖の美しさに見入っているのを笑うのは茜來・雪璃(朧夜ノ蝶華燈・g00793)で、彼女もまた聞いていたよりも美しい湖に感嘆するように、ほう、と息を吐いた。
「彗、ここの湖で宝珠? が拾えるらしいよ!」
「宝珠……」
 聞くところによれば、全てが丸い形をした様々な大きさと色を持つ石。竜の花嫁の装身具となるならば、それはきっと、とても美しいのだろう。
「私達も見つけてみたいですね」
「ね! どんな色のがあるんだろうねえ?」
 気になるよねえ、と、雪璃が笑って彗藍の手を引いた。
「どうする? 泳いでみる? それとも水際お散歩コース?」
 どこまでも澄み切った湖は泳げば水底にある宝珠を見つけることができるだろうし、浅瀬に足を浸けて歩くだけでもきっと見つけることが出きる。どちらでもいいよ、と雪璃が彗藍に問い掛ける。
 手を引かれながら、ううん、と少し迷うように視線を泳がせ、彗藍が雪璃に視線を返す。
「泳ぐと沈みそうな気がするので、水際散歩に致しましょう」
「し、沈む!? うん、うん。じゃあそっちにしよ!」
 泳ぐの苦手だったかあ、と雪璃が言って、靴を脱ぎ出す。
「ほら、彗も脱いで!」
「はい、では……」
 彗藍もそっと靴と靴下を脱ぎ、裸足になって二人せーの、で浅瀬へと踏み出す。
「わ、ひんやりして気持ちいいねえ」
「少し暑いくらいですから、丁度いいですね」
 ちゃぷちゃぷと水音を立て、二人で宝珠探しにいざ出発!
「どっこにあるのっかなー」
 雪璃がきょろきょろと見回すと、彼女の立派なふさふさな二本の尻尾もふっさふさと揺れて。周りを見渡し慎重に……と、彗藍がじっと目を凝らして水底を眺めている視界に、ふわふわ、もふんっと音がしそうな雪璃の尻尾が入り込む。
「ふわふわしっぽ……」
 思わず小さく呟いて、ふわふわ……もふもふ……きっと空のふんわり雲と同じくらいの手触り……と彗藍が手を伸ばしかけ――。
「彗、見つかった?」
 びくんっと肩を揺らして、伸ばしかけた手を引っ込めた。
「はっ、み、見つかってませんよ!」
「意外と見つけ難いのかなあ?」
「決して余所見してませんとも!」
「彗藍?」
 そんなことは聞いてないけども、と振り向いた雪璃に誤魔化すように笑って、彗藍が頑張って探しましょうと再び浅瀬を覗き込んだ。
 そんな事を数回繰り返しつつ、雪璃が声を上げる。
「あ、みーっけ! 見てー、桜色と紺色が混ざってる!」
「わ、雪璃やったー! ですね。綺麗……夜桜のようです」
 雪璃の見つけた宝珠を眺め、二人が思い浮かべるのは互いに馴染む屋敷の景色。
「……御屋敷の夜みたい」
 桜花咲き誇る、二人の拠り所のひとつ。
「バイカラーっていうんだっけ?」
 一つの石に、二色の色。
 得した気分、と雪璃が笑って宝珠を摘まんで光に透かした。
 その光が水底に当たって、きらりと光る。
「あ……」
 その光に視線を向ければ、彗藍の足元にころりと転がっていた石を拾えば、桜色と薄紫の宝珠。
「見て、雪璃……まるで対のようなのです」
「わぁ、彗のも綺麗!」
 二つ並べてみれば、まるで夜明けと宵闇のような――うつろう天桜。
「彗の方が夜明けが近そう? 対……偶然だけどなんか嬉し」
 ふふ、と笑う雪璃が宝珠を見て、彗藍を見て、宝珠との共通点を見つけ出す。
「ぁ、どっちも桜と瞳の色だねえ」
「……本当ですね」
 そう答えた彗藍が嬉しそうな顔をしたから、思い付いたままに雪璃が言葉を紡ぐ。
「……これで彗とお揃いの何か作れたら良いなあ、なあんて」
「はい、竜の花嫁のための、宝珠ですが……私達も何かお揃いでアクセサリーなんかにしたいですね」
 彗藍の返事に、雪璃がぱちぱちと瞳を瞬かせる。
「へ……?ふふふ。うん、しよう!」
「では、一番最初に見つけたこのふたつを……お揃いで」
 手のひらの上で転がる宝珠を大切そうに握り締めて、彗藍が微笑む。
「どんなアクセにしよっかあ」
 二人で考えるのも楽しいねえ、と雪璃が笑みを返して。
 互いの手の中で煌めく宝珠は、きっと大切な宝物になるはずだから――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【腐食】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV4になった!

アンゼリカ・レンブラント
竜といえば東洋で描かれる竜には宝珠を掴んでいる絵もあるよね

それじゃあまずは宝珠探し頑張るぞー♪
サンドイッチを希望者に渡せる分準備して、
水着着用で湖に遊ぼうっ!

仲間の姿を見つけたら一緒に遊ぼうって声をかけたり
サンドイッチを食べて楽しんだり
たくさん作ってきたからみんながよければ振る舞ったり

水に潜って宝珠を探したりして
英気を養っていきたいね

腕飾りとか髪飾りとかに使えそうな宝珠を狙って
何度も潜ったりするよー
金髪によく似合う輝きは何かなー?

その場で髪に合わせてみせて、似合うかな?
と仲間がいたら聞いてみたり。

ここは透明度も高い綺麗な湖とか、
美しい土地だよね
でも誰かの犠牲の上に成り立つなら、絶対止めないと!


●全力で楽しんで
 竜、竜か、とアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)は晴れ渡る空を見上げ、視界の端にドラゴンが飛んでいるのを見つけて視線を湖へと戻す。
「竜といえば東洋で描かれる竜には宝珠を掴んでいる絵もあるよね」
 如意宝珠と呼ばれる、願いを叶えると言われる宝珠。天に昇った竜は宝珠を取りに行っているのだとか、逸話は色々。
「西洋と東洋じゃ伝わる話も違うしね」
 うんうん、と頷きながら持ってきたサンドイッチを木陰に置いて、まずは宝珠探しを頑張るぞー♪ と、アンゼリカが水着に着替えて駆け出した。
「結構人が多いんだね」
 地元の人間であろう人々、バカンスに訪れた富裕層らしき人々、そして今回の依頼によって訪れた復讐者達。
「知ってる人とかいるかな?」
 もしも見つけられたら、一緒に遊んだりサンドイッチを食べてもらったり、楽しいひと時を過ごせたらいいなとアンゼリカが笑う。
「わ、本当に綺麗な湖!」
 水底が見える程の透明度、更には降り注ぐ陽光に照らされて、まるでこの湖そのものが宝珠のように輝いている。
「よーし、いっくぞー♪」
 いざ、水の中に潜ってその美しさを楽しんだり、水底にキラキラと転がる宝珠を探したりと、アンゼリカが力一杯このひと時を楽しんで、腕飾りや髪飾りに使えそうな宝珠を幾つか集めて陸へと上がった。
「水の中で見ても綺麗だったけど、光に当たると一層綺麗だねー!」
 金髪によく似合う輝きは何かなー? なんて、自分の髪に当ててみたりして宝珠を厳選していく。
「うーん、沢山潜ったらお腹が空いてきちゃったな」
 サンドイッチを食べようと、濡れた髪を軽く絞り、アンゼリカがふと湖を振り返る。
「綺麗な湖もあって、バカンスに訪れる人も沢山いて、ここは美しい土地……だよね」
 でも、とアンゼリカが視線を落として小さく呟く。
「誰かの犠牲の上に成り立つものなら、絶対止めないと!」
 そんなのは仮初の美しさに過ぎないのだから、とアンゼリカが決意を新たにして顔を上げ、木陰に向かう。そして、見知った顔を見つけるとサンドイッチが入った籠を手に、大きく手を振って駆け寄るのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

●街歩き
 美しい湖での憩いの時間を過ごし、宝珠を手にした復讐者達は賑わう街へと足を向ける。
 街は貧富の差はほとんど感じられず、誰もが笑みを浮かべて吟遊詩人の歌声や大道芸人の芸を楽しみ、観光客らが大きな食堂や出店の料理と酒に舌鼓を打っていた。
 街の人々は親切で、声を掛ければ宝珠を装飾品に仕立てる道具や材料が揃う店を教えてくれる。店の中は広く、様々な装飾品にする為の石座があり、どんな宝珠のサイズにも合うようにと種類も豊富だ。
 どんな石座を選び、どんな装飾品を作り出すのか考えるのも楽しいだろう。一般的な装飾品から、リボン等の布地に縫い付けるものまでと見本も色々で、眺めているだけでも楽しいはず。
 そして、竜の花嫁の恋人である彼も、少しぼんやりとしながら街を歩いていた。
 竜の花嫁の恋人ということもあり、彼は街の人々からもめでたいことだと声を掛けられている。本来気さくな性格の男だ、何処で声を掛けても快く話し相手になってくれるはず――。
マリアラーラ・シルヴァ (サポート)
『知ってるよ?【たぶらかす】すればいいんでしょ?』

 サキュバスの歌ったり踊ったり演技したりするのが得意な女の子です。
 自称、愛称はマリア。人懐っこく、人タラシ。口調はおこさま的です。

 情緒は童女ですが発想がエキセントリックで時に俯瞰的な視点で発言する時もあるサポートキャラです。

「クロノベータもお腹が空くのかな?それなら美味しい匂いで誘い出せるかもだよ!」
「スマホで録画して、と…新宿にもどったら友達に活躍自慢しよっかなって」
「トレインで移動中に遊ぶためにトランプ持ってきたよ!」

 お話を賑々しく彩る場合に是非使っていただければと思います。

※例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。


日向・葉月 (サポート)
こんにちは、アタシはリターナーの葉月!
楽しいこと、賑やかなこと、食べることが大好きなんだ。
だから、皆の平和な日常を奪ったクロノヴェーダは絶対に許せない……!

情報を集める時は、人懐っこく笑顔で話しかけていくねっ。
作業を頼まれたら、ちょこまか動いて、テキパキ働くよーっ!

戦うときは、スフィンクスの『シトロン』と一緒!
周囲のみんなと連携して、持ってるパラドクスを使い分けていくよっ。
多少の怪我は気にしない!

落ち込むこともあるけど、ネガティブにはならないようにしてる!
公序良俗を乱したり、他の人に迷惑をかけたりするのはNG!
よろしくお願いしまーす!

「行こっ、シトロン!」
「よーしっ、頑張るぞーっ!」


●可愛いと楽しいは正義っ!
 ドキドキハラハラするような大道芸に、それを見物して歓声を上げる人々。賑やかな街の様子に、日向・葉月(リターナーの吟遊詩人・g03413)は満面の笑みを浮かべていた。
「すごいねっ、とっても賑やかだよシトロン!」
 名を呼ばれた彼女のサーヴァントであるスフィンクスのシトロンも、その背の翼を軽く羽ばたかせて主人たる葉月を見上げる。
「あっちには美味しそうな屋台があるし、こっちには綺麗なお土産物屋さんもあるし……どこに行こうか迷っちゃうね」
 うーん、と葉月が腕を組んで悩んでいると、小さな女の子が彼女に話し掛けた。
「こんにちは、お姉さんも迷ってるの?」
「そうなんだよね、美味しい物を食べるのが先か、お土産物を見るのが先か……でも大道芸もとっても楽しそうで目を離せないし……っと、こんにちは! キミは?」
「マリアはマリアラーラっていうのよ」
 小さな女の子――マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)がそう名乗ると、葉月も自分の名を名乗って微笑む。
「ね、もしよかったら一緒に見て回らない?」
「もちろん、そうしてくれたらマリアも嬉しいよ」
「やった、それじゃ一緒に行こっ!」
 はい、と葉月が差し出した手をマリアラーラが握って、一人より二人、旅は道連れだよねと共に歩き出した。
「マリアちゃんは何が見たいのかな?」
「マリアはね、綺麗な物がみたいかも!」
 それならお土産物屋さんを見ようかと、並ぶ露店で足を止める。
「わ、綺麗なのがいっぱいだね」
 この地にある湖で採れるという宝珠をあしらったアクセサリーが所狭しと並べられていて、見ているだけでも楽しくなってくるほどだ。
「葉月はどれが好きなの?」
「アタシ? どれも素敵で選びきれないけど、このリボンが付いてるのとかかな?」
 宝珠を石留めした物にリボンを通し、チョーカーのようにしたアクセサリーを指さして、葉月が笑う。
「これなら、髪に結んでもいいし、シトロンに結んでも可愛いかなって」
「わ、きっと似合うと思うの!」
「マリアちゃんにも似合うと思うよ! こっちの水色のリボンのとか」
 こっちも、この宝珠の色も素敵、ブローチもお揃いにしたらもっと可愛いなんて話しながら、あちこちの露店を冷やかしながら歩く。その途中、マリアラーラが葉月の服の裾をちょん、と引っ張った。
「ね、葉月」
「どうしたの?」
「あの人、すっごく悲しそうな顔をしてるの」
 マリアラーラの視線を辿ると、この賑わいの中で一人浮かない顔をしている男性が見えた。
「あの人じゃないかな、竜の花嫁の恋人」
「そうかも! 話し掛けてみよっか」
 少しでも話を聞くことができれば、彼の気持ちが穏やかになるかもしれないと二人は男性――アレクへと声を掛けた。
「こんにちは、お兄さん」
「元気なさそうだけど、どうかしたの?」
「やあ、こんにちは。そんなに元気なさそうに見えたかな」
 アレクが笑って見せるけれど、元気のない笑みなのは一目瞭然。
「あのね、もしよかったらお話してみて? マリアたち、もしかしたら力になれるかもしれないし」
「そうだよ、人に喋るとすっきりすることだってあるよ」
「……君達はこの街の人じゃないようだし、そうだね」
 聞き流してくれて構わないと前置いて、アレクが事情を話す。恋人が竜の花嫁に選ばれたこと、それが嫌でたまらない事を。
「そんなの、大切な人がいなくなっちゃうんだもん、嫌だって思って当たり前だよ」
「そうだよ、キミは何も間違ってないよ」
「そう、そうか……ありがとう、少し心が軽くなった気がするよ」
 そろそろ行かないと、とアレクが二人に礼を言って立ち去る。
「何とかしてあげたいね」
「うん、マリアも……大切な人がいなくなっちゃうのは、悲しいもんね」
 二人はどうにかできないかと話しながら、アレクの後ろ姿を視線で追うのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【書物解読】LV1が発生!
【照明】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!

上篠・竜矢
【アドリブOK】
よし、準備できたし、アレクさんを探そう。こんな言い方は良くないかも知れないけど、このお祭り騒ぎの中で落ち込み気味な人を探せば見つかるだろう。

あ、見つけた。そこのお兄さん。ちょっとお話があるんだけど。(そう言って作った一組の細工を見せる)
1つは思い人に……なんてな。本当は大切な人を奪われたくないんだろう。(確かめるように言う)
あなたの気持ちは分かる、と思う。竜の花嫁に選ばれたからって、ドラゴンなんかに渡したくないだろ。俺たちディアボロスがサポートするから……その思いは間違ってないから、彼女に、全力でぶつけてほしい……ドラゴンの犠牲を減らすのが、俺の願いだから


●細工に込めた想い
 よし、と手の中の繊細な細工を見つめて上篠・竜矢(「あの人」を探して・g00238)が満足気に瞳を細めた。
「準備もできたし、アレクさんを探そう」
 楽し気な人々の合間を縫うように歩き出した竜矢は、賑やかな雰囲気を楽しんでいるかのようにあちらこちらに視線を向ける。
「こんな言い方は良くないかもしれないけど……」
 このお祭り騒ぎの中で落ち込んだ顔をしている人なんて、きっと彼くらいだろうから……と、指先で軽く頬を撫でた。
 なるべく他の人に違和感を感じさせぬようにと竜矢が出店の串焼きを買い、食べ歩きを満喫しているようなふりをして街を歩く。人々の会話にもなるべく聞き耳を立てていると、気になる単語が飛び込んできてさり気なく視線を向けた。
「よう! おめでとうアレク! お前さんの彼女が選ばれるとはなぁ」
「ああ……うん、ありがとう……」
「彼女を飾る装飾にも気合が入るってもんだな。飛びっきりのを作ってやれよ!」
 機嫌よく喋る男に当たり障りのない返事をして、アレクと呼ばれた男が急ぐからと場を離れる。顔色はあまりよくなく、唇を噛み締めている様子からも、彼がそうなのだろうと竜矢はそっと後を追った。
「ふぅ……」
「ああ、そこのお兄さん」
 小さく溜息を零し、ぼんやりと遠くに見える大道芸に視線を向けたアレクを驚かせぬよう、竜矢がそっと声を掛ける。
「ん、俺かい?」
 竜矢を旅行者だと判断したのだろう、道でも聞かれるのかとアレクが竜矢に返事をして丸くなっていた背を伸ばす。
「ちょっとお話があるんだけど」
 そう言いながら、自分が作った一組の細工を見せた。
「これは……対になっているのかい?」
「そう、一つは思い人に……なんてな」
「思い人がいるのかい? ……大切にしてやりなよ、俺が言う事じゃないかもだけど」
 はは、と笑ったアレクに竜矢が真っ直ぐに視線を向ける。
「あなたも、本当は大切な人を奪われたくないんだろう」
「……ッ! それは……」
 ぐっと奥歯を噛み締めて俯いたアレクに、竜矢が自分の言葉で出来る限り伝えようと言葉を紡ぐ。
「あなたの気持ちはわかる、と思う。竜の花嫁に選ばれたからって、大切な恋人をドラゴンなんかに渡したくないだろ」
「……ああ、俺は、他の誰がそう思わなくても、そう思うよ」
「その思いは間違ってない」
 間違っていないのだと、竜矢が後押しするように頷く。
「俺が……いや、俺たちディアボロスがサポートするから、その思いを全力でぶつけてほしい」
 ドラゴンの犠牲を減らすことが俺の願いだからと、竜矢がアレクに微笑んだ。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

●花嫁の為のコンテスト
 コンテスト当日は朝から街中に活気が溢れ、参加する者は自信のある品を手にコンテスト会場へと向かっていた。
 見物客も多く、どんな装飾品が集まるのか楽しみだという声があちらこちらから聞こえてきて、コンテストへの期待が大きいことが知れた。
 審査員は街の長老やグレースの友人である女性、宝石商を営む名士など、偏りや贔屓なく選ばれるようにと選出されている。花嫁が付ける装飾品はその年の流行りにもなるらしく、流行に敏感な若者達からも注目されているのだ。
 会場付近には軽食の出店も並び、コンテストの開始が今か今かと待ち望まれていた――。
白王・シギトロ (サポート)
『くすくす、お願いしますね。』
 人間の無双武人×鬼狩人、女の子です。
 普段の口調は「妖しげな感じ(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 嘘をつく時は「真面目な口調(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
少し相手を戸惑わせる様な飄々とした感じで話し
不敵な微笑みを浮かべたり妖艶な印象を与えるが本人は真面目。
刀を得意武器にしている。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


エルティ・アーシュ (サポート)
『ぼくもみんなのために頑張るのー!』
オラトリオ『アウリーネ』を連れたドラゴニアンの吟遊詩人
口調は無邪気でのんびり(ぼく、~くん、~ちゃん、ね、よ、なの、なの?)

音楽と森、平和を愛し、純真で無邪気
クロノヴェーダに平和を脅かされた過去から、クロノヴェーダに赦せぬ気持ちを抱き、勇気を持って戦う
アウリーネには大切な絆を感じており、仲間だけでなく彼女をも護るように戦う

ハープソードを使用した剣撃や歌が得意
戦闘では真剣で一生懸命
植物や歌は主従共に大切に扱う
アウリーネはエルティを気にかけ、気づきがあると傍で教える

他のディアボロスに迷惑をかける行為や、依頼の成功の為でも公序良俗に反する行動はしない
アドリブ等歓迎


アンナ・ローザ (サポート)
復讐に燃え、真面目に依頼に取り組む少女です
自身の感情より任務の成功優先、一般人の安全も可能な限り優先

日常、冒険はマリアと共に頑張ります

戦闘は、手に持った大きな旅行鞄から自分と同サイズの球体関節人形を取り出し戦わせたり、マリアに協力してもらったりします
人形はただの武器であり道具であると思っているので素体のまま飾り付けず、丁寧に扱うこともありません

己を律し真剣に戦う姿、マリアに振り回されつつ頑張る姿、どちらを描写いただいても嬉しいです

●マリア
かわいいもの大好き、マイペースなモーラット
アンナを遊びに巻き込むのが得意
もきゅとかきゅーとか好きに鳴いて動いていると嬉しいです!

あとはお任せします!


●想いを込めて
 コンテスト会場は時折空を飛ぶドラゴンの姿が視認できる程に晴れ渡り、人々は竜の加護がありますようにと笑い合っていた。
「ドラゴンの加護……ね」
 口元を手で隠しながらくすりと笑ったのは白王・シギトロ(白き妖星・g03771)で、その視線は本当に加護なんてあるのかと懐疑的だけれど、それ以上を口にすることはない。
「でも、お天気が良くてよかったねー!」
「本当ね、マリアも喜んでるわ」
 シギトロの隣で空を見上げたエルティ・アーシュ(受け継ぐ小竜・g01898)が笑い、モーラットのマリアと共にアンナ・ローザ(ヴェンデッタの糸・g03283)が頷いた。
 年の頃が近しい彼女達が楽しそうにしている姿はコンテストに参加する他の人々の目にも楽し気に映り、思わず笑みを誘うほど。
「コンテストの開始までもうすぐだね、花嫁さんのためにも頑張るのー!」
「私も精一杯のものを作ってきたわ。マリアにも手伝ってもらって、だけど」
 名を呼ばれ、マリアがもきゅー! と鳴いてぴょこんと跳ねた。
「可愛いモーラットだね! ぼくのオラトリオは『アウリーネ』っていうんだよ、よろしくね」
 マリアに向かって、アウリーネがちょこんとお辞儀をすると、マリアも可愛らしい尻尾を揺らした。
「どちらも可愛らしい相棒さんね。私たちの作ったものが少しでも花嫁さんに気に入って貰えたらいいのだけど……」
 審査するのは花嫁ではないけれど、花嫁の好みを知る者や確かな審美眼を持つ者達だ。シギトロがそう言うと、エルティとアンナもそうだねと頷いて、互いの作品を見せあいっこしなはらコンテストの開催を舞台裏で待った。
 パン、パン! と、空に空砲が響き、とうとうコンテストの舞台が幕を開ける。参加者は老若男女問わず、自分が作った装飾品で花嫁が綺麗に飾られ、無事に務めを果たせますようにと望む人々。
「善意……ですね」
 シギトロがぽつりと零した言葉に、エルティが小さく眉根を寄せる。
「栄誉あるお役目……なんだもんね」
「この事に違和感を抱く人は少ないでしょうね」
 それこそ、違和感を抱く方が異端だと思われる程に、とアンナが小さく息を零した。
「ふふ、折角のコンテストだもの哀しい顔をしては駄目ね」
「うん、シギトロちゃんの言う通りだね!」
「そうね、そろそろ私達の番のようだし、笑顔でいくべきよね」
 三人が顔を見合わせて笑みを浮かべ、名を呼ばれるとそれぞれ作り上げた装飾品を手にして舞台へと上がった。
「こちらは可愛らしいお嬢さん達の作品です! アピールポイントがあれば、ぜひ教えてくださいね!」
 そう紹介され、前に出たのはアンナだ。
「これは刺繍されたリボンに宝珠を縫い付けたものです」
 白いレースのリボンに敢えて白い糸による刺繍は花嫁衣裳の邪魔にならないようにという配慮、そして縫い付けられた宝珠は小振りで薄い水色をしたもの。
「髪飾りにしても、腕に巻いても、ドレスに結んでも、かわいいと思うの」
 マリアもアンナの作ったリボンをかわいいと言うように、もきゅ! と鳴いて跳ね回り、作品をアピールする。
「大変可愛らしかったですね! では次の方どうぞ!」
 次の方、と言われてシギトロが前に出る。
「どうぞ、よろしくお願いしますね。私が作ったのは宝珠を連ねた額飾りなの」
 シギトロの手には鮮やかな色の宝珠をまるで虹のように連ねた額飾り、実際に自分の額に当ててアピールしてみるとその華やかさが一層見る者に伝わるよう。
「他の髪飾りの邪魔にもならないと思うのよ」
 さりげない気遣いを見せつつ、以上だと後ろに下がった。
「これも素敵な作品でしたね! では次の方どうぞ!」
「はーい!」
 元気よく返事をしてエルティが手にした装飾品を観客や審査員に向けて、笑みを浮かべた。
「ぼくが作ったのは腕飾りだよ! 緑の宝珠をメインにして、綺麗な花模様の金具を合わせたんだよ」
 まるで草花を編み込んだような出来上がりに、素敵だという声も聞こえてくる。
「三者三様の素敵な作品でしたね! 可愛らしい淑女達に拍手をどうぞ!」
 会場からの大きな拍手に、三人が少し照れたような顔で微笑んで舞台袖に下がっていく。
 誰の作品が選ばれてもおかしくなく、全員の作品が選ばれる可能性だってある。結果が楽しみだと笑いながら、もしも選ばれなくても作ったものは自分で使えるものね、とシギトロが手にした額飾りを見つめる。
「私はマリアに付けてあげるのもいいかなって思っているの」
「あ、それいい案だね! ぼくもアウリーネに付けてあげようかな」
 きっと似合うわ、とシギトロが二人のサーヴァントを眺めて微笑んだ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【リザレクション】がLV2になった!

マリアラーラ・シルヴァ
◎共闘歓迎

マリアの【夢の羽衣】に
小宝珠を散りばめ作品にして
【風使い】で羽衣をヒラヒラさせながら作り話な逸話を吟って
入賞目指すよ!


♪これは花嫁の羽衣
双子の機織り姉妹の姉が花嫁に選ばれたよ
寂しんぼの妹は姉と一緒に連れてってと竜にお願いしたよ
妹想いの姉もこの子を残していくなんてって竜にお願いしたよ

想い合う二人の絆にほだされた竜は
願いを聞き入れ妹を羽衣にしたよ
羽衣をまとう花嫁となれば姉妹は離れずに済む
羽衣をまとう花嫁となれば竜と共に空も飛べる

竜と花嫁と羽衣は一つになって空に溶けたよ♪


空の竜にバレない低速低空【飛翔】で本物?って注目を隠蓑に
慣例には例外もありえるってアレクや人々の心に物語を差し込みたいの


●花嫁の為の唄
 コンテストは様々な想いの込められた品が続き、観客達も審査員達もその出来栄えの良さに感心し一層の盛り上がりを見せていた。
 そんな中、マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)は自分の番がくるのを目を煌めかせながら待つ。
「皆の装飾品、とっても綺麗なんだよ」
 花嫁の為に、という想いが込められた飾りはどれも綺麗で、身に着けた花嫁を喜ばそうとするものばかり。
「これが普通の結婚式の花嫁さんへの贈り物なら、もっと素敵なのに……」
 生贄になる花嫁への贈り物になるのはなんだか哀しい、と手にした羽衣を握り締めた。
「っと、いけないいけない! 皴になっちゃう」
 これも何かの縁、花嫁を助ける手助けになるならばとコンテストに出場を決めたマリアラーラの手には、小さな宝珠を鏤めて作品にした羽衣。丁寧に皴を伸ばして、自分の出番を待った。
「次は可憐なお嬢さんですよ、どうぞ!」
 作品のアピールも含めて審査対象となる、ならばとマリアラーラは舞台の真ん中に立つと羽衣を身に着け、そよ風を起こす。
「小さな宝珠を鏤めた羽衣だよ、これにはマリアの知る逸話があるの」
 勿論、その逸話とはマリアラーラの作り話だけれど、この逸話を謡い語ることで少しでも人々の心に物語を差し込めればと幼くも可憐な歌声を響かせた。
「これは花嫁の羽衣♪」
 歌い出しはわかりやすく、ひらりと舞いながら羽衣の美しさもさりげなくアピールして。
 昔々、双子の機織り姉妹がとある地に住んでいました。
 誰から見ても仲の良い双子は毎日機を織って暮らしていたけれど、ある日姉妹の姉が花嫁に選ばれたのだとマリアラーラは歌う。
「寂しんぼの妹は姉と一緒に連れてってと竜にお願いしたよ♪」
 そしてまた、妹想いの姉もこの子を残してはいけないと、竜にお願いをする。想い合う二人の絆は強く、引き離すのを忍びなく思った竜は願いを聞き入れ妹を羽衣にしたのだと、いとけない少女が歌い踊る姿に人々は次第に見入っていく。
「羽衣をまとう花嫁となれば姉妹は離れずに済む、羽衣をまとう花嫁となれば竜と共に空も飛べる♪」
 マリアラーラが歌と共に、とん、と軽く爪先で床を蹴る。それと同時にふわりと……ほんの少しの間だけ舞台の上で飛翔し、羽衣を揺らしながら舞い降りた。
「竜と花嫁と羽衣は一つになって空に溶けたよ♪」
 歌の終わりと共に儚げに微笑み、マリアラーラが観客と審査員に一礼すると、割れんばかりの拍手が起きた。
「これで、慣例には例外もありえるってアレクや皆が少しでも感じてくれたらいいな」
 小さく息を零して、マリアラーラはこれから彼らが選ぶ道が幸せなものであるようにと――心から願うのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!

●花嫁の別荘にて
 コンテストに無事入賞した復讐者達は、花嫁の別荘へと招かれていた。
「どうぞ緊張なさらないで、私に装飾品のお話を聞かせてくださいね。勿論、他の楽しいお話だって歓迎だわ」
 プラチナブロンドの長い髪を揺らし、優しく微笑むのが花嫁に選ばれたグレースだ。
 コンテストに入賞した人々を招いたお茶会は、彼女たっての希望で行われている。焼き菓子や現代で言うところのスコーンに似たものや、パンやジャムなど招いた人々をもてなす為にと彼女が母親であるアリアと共に作ったもの。
 今このお茶会にいるのは招いた側であるグレースと彼女の母親、招かれた側である復讐者達とコンテストに参加した数名の街の人々、そして彼女の恋人であるアレクであった。
 お茶会は立食形式で、花嫁とだけ話すチャンスや、アレクや母親を交えて話すチャンスもある。
 上手く彼女に竜の花嫁として命を捧げる事に疑問を抱かせることができるのは、復讐者たる君達のみ――。
マリアラーラ・シルヴァ


立ち竦むお兄さんを勇気づける内緒話するよ

役目を悪く言えば花嫁さん可哀想だし
皆も嫌な思いするだけ
ずっと何も言えなかったのは臆病じゃなく
それを配慮したからだよ
その優しさに自信持って!

そう褒めつつダメ出しもするの
でも慮る優しさは愛とは違うと思うのって


マリアは羽衣で機織姉妹(花嫁母娘)の絆に訴えるつもりだけど
それだけじゃきっと「足りない」の
だから…ずっと抑えてきたお兄さんの愛情を
花嫁さんは渡さないって激情を見せて欲しいな


招待客はマリアが物語を差し込んでるから
歌のように強い絆で竜が絆されるかもと
成り行きを二人に委ね見守ってくれると思うの

だから気配りはもう要らないよ
マリアと花嫁さんの所に我儘言いに行こ?


●勇気をあなたに
 湖を一望できる丘の上、花嫁の為の別荘はまるで小さなお城のように美しく、マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)は思わず溜息にも似た小さな歓声を上げる。
「わぁ……! とっても素敵!」
 案内されるままに庭の方へ向かえば、並んだテーブルには真っ白なテーブルクロスが掛けられて様々なお菓子や軽食、飲み物が置かれているのが見えた。
 そしてその向こうには、煌めく湖がこのお茶会に彩りを添えるかのように煌めいていた。
「ええと……」
 マリアラーラが探すのはグレースの恋人であるアレクで、なんとか彼を勇気づけて上げられないかと彼と話をしてからずっと考えていたのだ。
「あっ、お兄さん!」
「やあ……君は街で会った……」
「マリアラーラ、マリアだよ」
 その名に頷いて、アレクがマリアラーラに微笑む。けれどその顔は浮かなく、花嫁を遠くに見つめて立ち竦むばかり。
「あのね、お兄さん」
 うん? と、アレクがマリアラーラに視線を合わす。
「お兄さんは、花嫁さんに死んでほしくないんだよね?」
「……ああ、それは勿論そうだとも」
「でも役目を悪く言えば花嫁さんが可哀想だし、皆も嫌な思いをするだけだってお兄さんは知ってるから」
 マリアラーラの言葉にアレクが静かに頷く、確かにその通りだったから。
「俺はなんて言えばいいんだろうな」
 そもそも、あの子があんなに喜んでいるのに水を差すような真似をしてもいいのだろうか。自分の気持ちを押し付けることにならないだろうかと、アレクはずっと悩んでいたのだ。
「ずっと何も言えなかったのは臆病じゃなくって、それを配慮したからだよ。その優しさに自信を持って!」
「自信を……俺はグレースに言ってもいいのかな」
「お兄さんが一番花嫁さんを大事に思ってるって、マリアは思うよ」
 でもね、とマリアラーラは言葉を続ける。
「でも、慮る優しさは愛とは違うと思うの」
 きっと今言わなくっちゃ、後悔するとマリアラーラは彼の背を押す。
「俺が……そうか、そうだな」
「うん、あのね、マリアもおかしいって言うつもりだけど」
 コンテストでも踊り歌った機織姉妹の絆に訴え、グレースとアリアに疑問を抱かせる――けれど、それだけではきっと。
「マリアだけじゃ『足りない』の」
 だからこそ、ずっと抑えてきたアレクの愛情を……花嫁を渡さないという激情を伝えてほしいのだとマリアラーラが訴えた。
「ありがとう、マリア。後悔しないように、俺の想いを伝えてみるよ」
「うん!」
 招待客である街の人達にはマリアラーラが既にコンテストで物語を心に差し込んである、きっと絆の力を感じて成り行きを見守ってくれるはず。
「マリアと一緒に、花嫁さんの所に我儘言いに行こ?」
「ああ、行こう!」
 きっと彼女の心にも伝わるはず――そう信じて、マリアラーラはアレクと共にグレースの所へと向かうのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!

エルティ・アーシュ


ほわー…花嫁さん、綺麗だねー…
とと、いけない
花嫁さんと装飾品の事から話をして、話が弾んできたら思うことを話してみるよ

ぼくね、腕飾りを作ったよ
花嫁さんやみんなに、平和と幸せが訪れるような、そんな花を選んだんだよ

花嫁さんがお母さんと作ったお菓子、とっても美味しかったよ
幸せって感じがしたの
花嫁さんにはもっとずっと幸せでいてほしい…けれど、それが竜の花嫁になると命を捧げなきゃいけないの、ぼくは寂しく感じるの
ぼくも大切な人…アウリーネはいるけど、他の家族、いなくなっちゃったから

花嫁さんがいなくなったら寂しい…そう思ってる人、きっと近くにいると思うの

【モブオーラ】とか、効果も有効ならこっそり活用するよ


シャロン・ライリー
花嫁さまに晩餐会への招待のお礼を申し上げます

花嫁になるものが死ぬと言うのはご存じ?
わかっていながら、ここにいるということは……
街の幸せと未来の為に命を差し出す、なんて、慈悲深い女性!
さぞかし、見識のある親御さまに大切に育てられたのでしょうね
お母さまの苦労に報いる為でもあるのでしょうか?
ご立派です。わたくしの考えは少し違います
グレースさま自身の力で素養を高め、愛し愛されて幸せな人生を送ること
お母さまとアレクさまが、真に望んでいることではないでしょうか?
お料理。美味しいだけでなく優しく心も満たしてくださいました
あなたが最後の花嫁にならないかしら
グレースさまとお母さまの手料理を、もっと味わいたいです


●幸せを守りたいと願う心
 竜の花嫁のお茶会に招かれたエルティ・アーシュ(受け継ぐ小竜・g01898)とシャロン・ライリー(陽だまり用心棒・g05619)もまた、別荘地の美しさと共に花嫁の美しさに目を瞬かせていた。
「ほわー……花嫁さん、綺麗だねー……」
「本当ですわね」
 太陽の光を反射して煌めくプラチナブロンドも、すっと通った鼻筋も、緑の瞳も――選ばれるべくして選ばれた、と街の人々が囁くのも無理はない。
「とと、いけない。見惚れてる場合じゃなかったね」
「ええ、まずはご挨拶を……それから花嫁さまとお話を致しましょう」
 先に接触を図っていた復讐者が離れ、彼女が一人になったのを確認し、エルティとシャロンが竜の花嫁――グレースへと近付いた。
「花嫁さまにお茶会への招待のお礼を申し上げます」
「こんにちは! お招き、ありがとうございます、だよ!」
 淑女のような礼をしたシャロンと、元気いっぱいに感謝を伝えるエルティにグレースがハッとした様な顔をして笑みを浮かべる。
「こちらこそ、素敵な装飾品を作って下さったと聞いています。ありがとうございます」
 彼女の反応が一瞬遅れたのは、きっと先程話をしていた復讐者とグレースの恋人の声が届いていたからだろうと、エルティはシャロンをちらりと見遣る。その視線にシャロンも頷き、まずは一緒に軽食を楽しみましょうとグレースを誘った。
「わ、このクッキーおいしいね!」
「ふふ、私とお母さんとで作ったのよ。沢山食べてね」
「こちらのお料理もとても美味しいですわ」
「それはジャガイモをペーストにしてチーズと焼き上げたものなの、お口に合えば嬉しいわ」
 暫くの間、三人で料理を楽しむと爽やかな飲み口のアイスティーをグレースが運んでくれて、グラスを受け取るとエルティが自分の作った装飾品を取り出し、グレースへと見せた。
「ぼくね、腕飾りを作ったよ」
「まぁ、素敵ね! これは緑の宝珠なのね、私の瞳と一緒ね」
 腕飾りを受け取って、グレースが微笑む。
「花嫁さんやみんなに、平和と幸せが訪れるような……そんな花を選んだんだよ」
 その言葉に、街の人々だけではなく自分への想いも込められていると気付いたグレースが腕飾りから視線をエルティへと向けた。
「私にも……?」
 こくりとエルティが頷くと、シャロンが隣からグレースに向けて言葉を紡ぐ。
「花嫁になるものが死ぬと言うのは、ご存じ?」
「ええ、勿論。それが花嫁の役割だもの」
「わかっていながら、ここにいるということは……きっとグレースさまは慈悲深い女性なのでしょうね」
 街の幸せと未来の為に命を差し出す、それは幾ら小さい時から竜の花嫁に選ばれるという事が栄誉あることだと教え込まれていても、生中な想いでは成し遂げようと思えないはずだとシャロンが微笑む。
「さぞかし、見識のある親御さまに大切に育てられたのでしょうね」
「私を育ててれたのはね、お母さんなの」
 父は幼い時に亡くなってしまって、とグレースが少し寂しそうに笑う。
「まぁ、ではお母さまのご苦労に報いる為でもあるのでしょうか?」
「そう……そうね、私が選ばれたことをとても喜んでくれて……私も、お母さんの期待に応えられるのだと思うと嬉しいの」
 そうですか、とシャロンがアイスティーを口にしてグラスを置く。
「ご立派だと思います、けれど……わたくしの考えは少し違います」
「え?」
 ぱちり、と目を見開いたグレースに、優しく諭すようにシャロンが語り掛ける。
「街の人の手前や、長くそれが幸せであると教えられているのなら、きっとそう言うでしょう。けれど――グレースさま自身の力で素養を高め、愛し愛されて幸せな人生を送ること、それがお母さまとアレクさまが、真に望んでいることではないでしょうか?」
「そうだよ、ぼくもそう思う。花嫁さんがお母さんと作ったお菓子、とっても美味しかったよ! 幸せって感じがしたの」
 シャロンに続き、エルティも真剣な瞳をグレースに向けて、精一杯の想いを伝えようと言葉を紡ぐ。
「花嫁さんにはもっとずっと幸せでいてほしい……けれど、それが竜の花嫁になると命を捧げなきゃいけないの、ぼくは寂しく感じるの」
 きっと本当は、お母さんもアレクさんも、同じ想いなんじゃないかな? とエルティが離れた場所で明るく振舞うグレースの母、アリアを見遣った。
「ぼくもね、ぼくも大切な人……アウリーネはいるけど、他の家族、いなくなっちゃったから」
 家族が居なくなる寂しさを、知っているから。
「お父さんがいないなら、花嫁さんがいなくなっちゃったら、お母さん一人になっちゃう。花嫁さんがいなくなったら寂しい……そう思ってる人、きっと近くにいると思うの」
「ええ、お料理。美味しいだけでなく優しく心も満たしてくださいました」
 そんな料理を作る方が、栄誉ある事だというだけで娘の死を望むだろうか。
 そして、アレクもまた愛しく思う恋人を死地に追いやりたくはないと思っているのではないか。
「わたくし、あなたが最後の花嫁にならないかしらと思っているの」
「最後の……?」
「この悪習を断ち切る為の」
「ぼくら、その為なら協力するよ」
 グレースの新緑のような瞳が揺れる、そして自分の母と恋人であるアレクを見た。
「……私、どうすれば」
「大丈夫、なんとかしますわ」
 だってわたくし、グレースさまとお母さまの手料理をもっと味わいたいですもの、とシャロンが微笑む。
「ぼくも……ううん、ぼくらだけじゃない」
 ここにいるディアボロスがきっと花嫁さんを救うから、とエルティも力強く頷くのだった。


 ディアボロス達の説得により、竜の花嫁の心は湖面のように揺れ動いていた。
 竜の花嫁になることは何よりも栄誉な事、残された家族は手厚くもてなされ一生を裕福に暮らせるはず。けれど、それは本当に幸せなのだろうか。
 残されることになる母と恋人であるアレクを想うと喜びよりも胸が苦しい事に気付き、グレースは顔を上げる。花嫁になるという栄誉と幸せ、それと母と恋人は天秤に掛けられるようなことではなかったのだと、気付いたのだ。
 ありがとう、とぽつり呟いたグレースの心は、青い空のように澄み渡っていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV5になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2022年06月08日

湖水地方と竜の花嫁

 氷のベディヴィア卿を撃破したディアボロスは、グレートブリテン島の湖水地方に上陸する事に成功しました。
 風光明媚な湖水地方は、富裕層の保養地として有名であり、ジェネラル級ドラゴン『氷将竜サグラモール』によって守護されているようです。

 湖水地方には、竜の花嫁の湖と呼ばれる湖が多く存在しており、イギリス各地から集められた『竜の花嫁』達が、最後の時を穏やかに迎える為に滞在する別荘地になっています。

 ドラゴンの生贄である『竜の花嫁』は、命を捧げることで竜鱗兵の『卵』を出現させるのです。
『竜の花嫁』となることは、幻想竜域キングアーサーでは非常に名誉とされており、花嫁の親族はそうして生まれた竜鱗兵を大切に扱うようです。

 別荘地では『竜の花嫁』を楽しませる為に、芸人や料理人などが常に募集されています。
 この芸人や料理人に紛れて『竜の花嫁』と接触して、情報を集めていきましょう。


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🔒
#幻想竜域キングアーサー
🔒
#湖水地方と竜の花嫁
🔒
#湖水地方


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選択肢『竜の花嫁との接触』のルール

 コンテストで披露した芸などで、竜の花嫁を楽しませてください。
 竜の花嫁に気に入られれば、竜の花嫁と直接話す栄誉を得る事が出来ます。
 竜の花嫁は、自分が竜の花嫁である事に疑問を感じず、名誉な事であると信じているようですが……。
 竜の花嫁を心配する家族の言葉や、ディアボロスの心からの説得があれば、竜の花嫁となり命を捧げる事に疑問を持たせることが出来るかもしれません。
 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『コンテストへの参加』のルール

 街などで開かれる様々なコンテストに、一般人のふりをして参加します。
 コンテストに参加して、目的の順位を取ったり、参加者と接触する事で、敵クロノヴェーダの拠点に招かれたり、或いは、表彰の場で接触する事ができるようになります。
 コンテストの内容や、コンテストに参加する目的については、オープニングやリプレイの内容を確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『待ち時間でヴァカンス』のルール

 パラドクストレインで事件現場に移動した後、敵が動き出すまで、ただ待つだけという時間があるかもしれません。
 この時間を利用して、英気を養うのも、ディアボロスの仕事のうちです。
 オープニングやリプレイで指定された状況で、ちょっとしたヴァカンスを楽しみましょう。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】他の選択肢のリプレイが一度でも執筆されると、マスターはこの選択肢のリプレイを執筆できなくなる。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『竜の花嫁の家族や恋人との接触』のルール

 ディアボロス達は、竜の花嫁を楽しませる為に雇われて、竜の花嫁の為に催される宴会に参加します。
 この宴会には、竜の花嫁の家族や恋人などの親しい人も参加しています。
 竜の花嫁になる事は名誉である為、多くの家族や恋人は心から祝っているようですが、竜の花嫁となり死んでしまう事を悲しんでいる者もいるようです。
 彼らに接触し、その心の内を聞き出しましょう。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『登場人物(NPC)との会話に専念する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。