奪還した大地に勝利の凱歌を(ドイツ)

 機械化ドイツ帝国奪還戦の勝利により、ドイツを中心としたヨーロッパの広い地域を奪還することに成功しました。
 最終人類史に奪還されたばかりの地域は、クロノヴェーダに歴史を奪われた「2021年8月15日」の状況で時間を止められたように停止し、人間の姿は見当たりません。
 この大地に人々を帰還させる為には、ディアボロスにより【勝利の凱歌】を響かせなければなりません。

 残念ながら、機械化ドイツ帝国奪還戦で奪還した地域は、ディアボロスの本拠地である新宿島から遠く離れており、また広大かつ人口も膨大なため、残留効果で生活を支える事は困難です。
 そこで投票の結果、安全な『帰還』が可能になるまでの間は、新宿島に移住が可能な程度の少人数のみの『帰還』に留める事となりました。

 パラドクストレインでドイツに向かった後、第一陣で帰還する人々の為に【勝利の凱歌】を響かせてください。
 第一陣で帰還した人々については、既に奪還している羽田空港から派遣したジェット機を利用して、新宿島に移動します。

ドイツの夜明けに、友の名を(作者 彼方星一
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#最終人類史(新宿島)  #奪還した大地に勝利の凱歌を(ドイツ)  #機械化ドイツ帝国奪還戦  #『帰還』 


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「みなのおかげで、『機械化ドイツ帝国』からドイツを中心としたヨーロッパ地域を奪還することができた。まずは、おれからも、みなに礼を言いたい」
 フランク・アイゼンベルク(サイボーグの殲滅機兵・g03487)は言った。
 鋼の巨漢は落ち着いているように見えたが、その実、あふれる気持ちを抑えつけていたのかもしれない。続く言葉が出るまでには、しばしの間を要したからだ。
 奪還した地域は広大で、そこに暮らす人の数も膨大であった。
 まして新宿島から遠く離れた位置にある欧州を、いかにパラドクスの残留効果を活用したとして、支えてゆくのは難しい。そこで、攻略旅団での投票の結果、一度に全住民を帰還させるのではなく、まずは少人数を「第一陣」として帰還させることになった。
「帰還した人々は、当面は、新宿島で生活してもらうことになる。だがパラドクストレインには、ディアボロス以外は乗れないからな……。ベルリン・ブランデンブルク国際空港に、羽田空港から移住用のジェット機を向かわせる段取りになっている」
 あくまでも、と、フランクは続ける。
「今回の帰還は『第一陣』であって、最終的には全員を帰還させる。ドイツのインフラを整える手順やアイデアも、追々、考えていくべきだろうな」

 さて、今回の帰還について、だ。
 奪還した地域に人の姿はなく、2021年8月15日の時点で時間が止まったように停止している。
 この地域でディアボロスが勝利の凱歌を響かせることで時間が動き出し、人々が最終人類史に『帰還』するのは、すでに東京で経験したとおりである。
「帰還してもらう人々は、現地に向かったディアボロスが直接決める。パラドクストレインを降りたら、各自それぞれの目的の人物がいた場所に向かってくれ」
 この地が最終人類史から奪われたとき、現地時刻は深夜だった。
 そのため、多くの人は自宅で就寝していたと思われる。正確な居場所を知らなくても、どうやら帰還させたい対象がいる場所については、方向と距離がなんとなくわかるようである。
 ただ、帰還させたい相手については、『新宿島の役に立つ人』のような漠然とした指定は避けた方が良いらしいとフランクは語った。
「どのような相手を『帰還』させるか具体的に考えておく方が、望んだ人を『帰還』させやすいだろう。帰還させてすぐは、多少、混乱するかもしれないので、そこは帰還を呼び掛けたディアボロスが説明を行い、安心させてやるといいだろう。人々は、無意識に『自分達の歴史を奪還してくれたディアボロスを信頼』してくれるので、事情を説明すれば納得はしてもらえるはずだ」

 第一陣の帰還者は、本格的な帰還が始まった時には、新しく帰還する欧州の人々への説明や指導の役を担うことになるだろう。だが、それはそれとして、パラドクストレインに乗り込む多くのディアボロスは、自身の友人や知人を帰還させるため、ドイツへ向かうようだ。
 そんなディアボロスたちを、どこか眩しげに見遣ると、時先案内人、フランク・アイゼンベルクは、力強く言うのだった。
「さあ、そろそろ出発しよう。おれたちの、ドイツの友人たちを迎えに行こうか」


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【無鍵空間】
2
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【おいしくなあれ】
1
周囲の食べ物の味が向上する。栄養などはそのまま。効果LVが高いほど美味しくなる。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【アクティベイト】LV2 / 【リザレクション】LV1

●マスターより

彼方星一
 祝・ドイツ奪還!

 ということで、「勝利の凱歌」の時間となりました。詳細はOPのとおりですが、必ず「誰を帰還させたいのか」をプレイングで指定するようにしてください。
 基本的には知人・友人となると思いますので、リプレイで描写しやすいようなプレイング内容だと助かります(書かれてないことは盛ってしまうかもしれませんのであしからず!)。

 こういう感じの人を帰還させる(「優秀な技術者」など)という指定も可能ですが、帰還させられる人数は少人数となります。

 リプレイでは、対象者のもとに赴き、帰還させ、説明などを行うという一連の流れのシーンを連続的に描写していくことになると思います。過去に行われた、東京での同趣旨のシナリオも参考にしてみてください。

 それでは、ご参加お待ちしております。
20

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

……空は広くとも、飛ぶ翼があっても
人がいなければ……
正史の人々の生活を取り戻すために……手を尽くす
それが俺の役目

帰還に先駆けてブランデンブルク国際空港の運行と安全確保

操作会得、書物解読、怪力無双を駆使
管制塔の方にいるラズ(g01587)とパラドクス通信を繋いで
気づいた事や必要な事を伝えあう

滑走路に出たままの車両や飛行機の移動を行い
航空機の機器や機体の整備を確認
スムーズに離着陸・運行できる体勢を整える

悲劇感知も併用し、事故が起きないように、危険の原因を取り除いていく

飛翔で、周辺上空と空港全体を偵察、細部は近くで観察
空港周辺は空の出入りも多そうだ
危険があれば情報として纏め伝えておく


ラズロル・ロンド
アドリブ歓迎

フランク君も思う所があるだろうね
良ければ今度話し聞くよ~と大きな肩を叩き
さぁ、帰還の準備に向かおう!

僕は、空港の管制塔へ向かおう
【操作会得】【書物解読】を活用し飛行機を飛ばずのに必要な準備を整えよう
マニュアルを読み大まかな流れを把握しそれぞれの機器の声を聴き操作して行こう
管制塔内を走り回り、電源を入れたり計器の操作をして
羽田空港と連絡を取れるようにして…
深夜帯に飛んでた飛行機はあるかな?
【悲劇感知】も活用し安全に航行出来る経路計画を立てよう
沢山の声に帰還を誓い…

エトヴァと【パラドクス通信】で連絡を取り合い
情報のやり取りを

一段落したら帰還者がココまで来る足の準備もしよう
バスの手配かな


 ベルリン・ブランデンブルク国際空港は静けさに包まれていた。
 東京において、ディアボロスはすでに経験しているが、最終人類史に奪還されたばかりの大地は、『時逆』の瞬間のまま時間を停めて保存されたような状態であらわれる。
 今、空港で動いているものは、パラドクストレインでやってきたディアボロスたちだけ。
 今回、ドイツの全住民を帰還させない方針であるため、ドイツ全土を勝利の凱歌によって目覚めさせることはしない。ディアボロスたちが空港にやってきたのは、目覚めさせた人々を日本に輸送するため、空港だけを起こす必要があったからだ。

(「……空は広くとも、飛ぶ翼があっても、人がいなければ……」)
 飛翔効果で高空にとどまり、空港の敷地に目を向けながら、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は思いを巡らす。
 奪還された世界は美しい。しかし人間の姿がまったくない様子は寂しいものだ。
 いつか必ずドイツすべての――ひいては、全世界の人々が戻り、この場所も元の賑わいを取り戻してほしい。そんな願いのもと、人々の帰還のために、なすべきことをなそうと、エトヴァは空を翔ける。
 まずは飛行機をはじめ、空港内を行き交う車や重機などの位置を確認していく。
 この地が最終人類史から奪われたとき、現地時間は深夜だったというが、思いのほか、深夜発着の便があったようで、空港には多数の飛行機があった。
「乗り物類はすべて停止させるつもりだ。邪魔にならない場所へ移動させたいので、位置はそちらから見て指示してくれ」
「了解。……屋内はさほど危険はないかな?」
 パラドクス通信の向こうから、ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)の言葉が届く。
 ラズロルがいるのは管制塔。
 大勢の管制官が詰めていたはずの部屋はもちろん無人だ。ここには特に危険はなさそうである。テーブルの端に置かれた熱々のコーヒーが入ったマグカップといった、ささやかなものを除いては(ラズロルはそっと移動させた)。
 それでもやるべきことはたくさんある。今回は、この空港に再び生命を吹き込んだあと、帰還した人々を移送できるよう、ディアボロスたちで稼働させなくてはならないのだ。空港の人員も一部は帰還するだろうし、新宿島の一般人にも協力者いるが、大仕事なのは間違いない。
 とりあえず、ラズロルは、電源を入れたり消したりすることから始め、管制塔内を走り回る。
 それから、マニュアルの類を探し出して積み上げていった。書物解読の効果を使い、この内容をマスターすれば、古代エジプト出身のラズロルでもにわか管制官が務まるはずだ。
 窓から滑走路に目をやれば、ゆっくりと、飛行機が動き出している。
 といっても、まだ出発するのではない、エトヴァが滑走路の整理のために動かしているのだ。動かし方は操作会得の効果で学んだのだろう。
「状態には問題ないようだ。この機体はどこへ動かしておく?」
 エトヴァからの通信だ。
「えっと……じゃあ、そのまま第1ターミナルで待機、かな?」
「わかった」
「帰還した人の、この空港までの足も必要だね。バスがいいかな?」
「車両の手配も必要か」
 パラドクス通信で話を続けながら、ふと、ラズロルは機械化ドイツ帝国出身のディアボロスのことを思った。
 エトヴァも、時先案内人のフランクも。
 クロノヴェーダの支配を打ち破ったことは喜ばしいことは間違いない。だがかれらのいた歴史は、「改竄世界史」であり、今やどこにも存在しないのだ――。

 ほかにも、時を同じくして作業にあたったディアボロスたちにより、ブランデンブルク国際空港は静止した時間のなかから目を覚ます。そして、帰還した人々を送り出すべく、かつてと同じ、活気ある空気を、その内部に満たし始めた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【照明】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

薄雪・灯子
し、知り合いとか友達はいませんけど
票を投じた責任感をもって、全員が無事に帰ってこれる準備をしたいです……っ!

できるだけ大きな地域で、都道府県庁に相当する行政庁で
どれだけの水やエネルギーや食料が供給できれば現地の人々が冬を越せるか見積もれる人を帰還させたいです。
わ、わたしたちはいろいろなものを奪われました。これ以上誰も欠けずに未来を取り戻すため、みんなで力を合わせる先陣としてあなたの力を貸してください……っ!

もし帰還を受け入れてもらえたら、近づきすぎない位置から武器を持っていないことをアピールして落ち着かせつつ
少しずつ理解を待ちながら世界の現状を伝えて新宿島に招きます。あらかじめ住居も用意します


ラズロル・ロンド
アドリブ歓迎

エトヴァと行動
彼の考えを尊重フォローし動こう
医療従事者は絶対必要だね
生命の危機に必要だし
薬が無ければ生きられない人達も居る
そんな人達に薬が行渡るよう帰還者を探そう
人々の心に寄り添える医師、薬剤師とか
帰還した人達でも支えあえるといいな

エトヴァの凱旋を真似て歌う
歌は自信無いけど気持ちは盛って
コホン…立ち上がろう、生活を取り戻す為に

帰還した人を集め
ディアボロスである事、これまでの経緯を説明
今後の話、必ずドイツ全ての人を帰還させる事
その為に協力して欲しいと誠意を込め説明を

不安を覚える人の話を聞き
共感しこれから待つ希望を話す
大丈夫、必ずうまくやれる
僕等と一緒に

他所へも赴き同じ要領で帰還を


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ/g01587と共に

この地が元の生活を取り戻すよう
祈りを込めて勝利の凱歌を

・帰還させる人
医療関係の識者
大学教授や研究員等、「専門的で幅広い医療知識」とともに「現地の医療事情に横断的に通じている」方
国家レベルのリスク管理等の問題に対処しうる知識と経験を持ち
人を救う強い意志を持つ
医療で有名な大学か、国の分析機関や研究所等から探す
可能ならドイツ国内と共に機械化帝国圏の周辺国まで詳しい方

穏やかな物腰で
納得するまでラズと現状説明

もし人数的にも可能そうなら
帰還者が望む人物を若干名、共に呼べたらと
目的をなす為の協力者(識者や専門家)あるいはその人が生きていくのに不可欠だと感じる方(配偶者や家族等)を想定


ノイン・クリーガー
ここが最終人類史のドイツか。
ゾルダートに蹂躙されつつもよくぞここまで……
…しかし今は感傷に浸る時ではないな。

[行動]
外国の資源に頼らずに生活を維持するとなるとやはり再エネ。
幸いにしてドイツはその分野では先進的。
ボーフムの地熱システム研究所に向かい、そこの研究者を帰還させる。
【友達催眠】と【プラチナチケット】も使用。

『我々はドイツの奪還に成功した。
しかし、全ての人々を戻す為には成すべきことがある』

『その為には諸君の知識が要る。
どうか協力して欲しい』

『復讐者は歴史を取り戻した。
諸君は未来を作ってくれ』


エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
従属と屈辱の日々は終わった
けれど、新宿島に来て学んだ未来の歴史では、私達マジャール人の苦難の歴史はまだまだ続くのだという

この時代の同胞達は、その苦難を乗り越えた先に居る
きっとやり遂げてくれるだろう

●行動
ドイツに出稼ぎに来ているハンガリー人労働者の一人、欧州の大手物流会社の現場リーダーを選ぶ
歴史改竄の事や、今も世界の時間が止まっている事、これからインフラや資源を確保しながら少しずつ元に戻していく事等を説明

自分もブダペスト出身である事、そしてハンガリーも取り戻せた事を伝えるわ
故郷の土を踏める日は暫く先になりそうだけど、今後復興の為に多くの物資を扱う事になる
祖国の為に貴方の力を貸してくれないか


茶神・十愛
わたし達の力は、逆説連鎖……つまり、繋ぐこと。
人と人とを繋ぐ、誰もが生まれ持った力、だけど。
少しだけ超えなきゃいけないハードルがあるとしたら、それは言語なのです。
新宿の皆さんは、多くの場合ドイツ語での会話は、困難だから。
わたし達と、他に帰還される人々を繋ぐための――

「ドイツ語と日本語の通訳が出来る方」
「人と人とが、言語の壁を超えて繋がることに、心から喜べる方」

を探して、勝利の凱歌を……帰還を。

ディアボロスであることと、まだ世界の多くは時間が止まったままな等、現状を落ち着いて説明しますね。

全ての人々が帰るための、第一歩として。
まず、わたし達と皆さんから繋げ(はじめ)ませんか……?
どうか、一緒に。


ハインツ・ゼーベック
連携・アドリブ可

ハインツは機械帝国の出身であって最終人類史のドイツ出身ではない。
「なので、帰還させるとすればドイツの復興に必要な人材、となるが」
必要なのは情報の伝達だ。なんとなくわかっているとしても情報を手早く届けるのは混乱を避けうるのに必要だ。
「となれば通信関係の復旧だな。テレビと電話が最優先。連邦経済エネルギー省はボンだったか。電気・ガス・通信・郵便・鉄道連邦ネットワーク庁の実務担当官僚を帰還させよう」
プラチナチケット、士気高揚を使って説得。
「いずれくるドイツ国民の全帰還、その時に起こりうる混乱を最小限にするため、協力して欲しい。情報の伝達が混乱を素早く収拾できるのだ」



「だ、誰だっ……!?」
「落ち着いて。驚かせて申し訳ない」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が勝利の凱歌を響かせると、ベッドのうえでひとりの男性が目覚める。彼の顔にまず浮かんだのは、驚きと混乱と恐怖の表情。それも無理からぬことだ。本人の認識ではいつもと同じ日常を過ごし、眠りについたはずが、突然、昼間になり、見知らぬ人間が寝室にいるという状況なのである。
「危害を加えるつもりはない」
「僕らは待ちますから、落ち着いたら説明させてください」
 エトヴァは距離をとって、穏やかに話す。傍らでラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)もできるだけやわらかな口調で言葉を添えた。
 相応の間があり、『帰還』した人物は、なにか異常な事態が起きていたこと、そして目の前の青年たちが、彼をどうやら助けてくれたらしいことを理解する。それもまた、勝利の凱歌の本質的な効果のひとつであった。
 この人物は、当地の大学病院の教授である。
 地域の医療に長年貢献し、尊敬を集めてきた人物であり、医師としての腕も申し分なかった。
 エトヴァは、医療関係の識者が必要だと考えて、彼を選んだ。専門知識に加えて、人々を救いたいという意志を持っていることが大切だ。医療従事者なら、新宿島でも歓迎されることは間違いなく、今後、ドイツの帰還が進むなかで、必ず必要になる人材と言えるだろう。
 そんなエトヴァの考えにラズロルも賛同した。
「……きみたちの話はわかった」
 医師は、さすがに明晰で、話の理解は早かった。しかし、感情が追い付くのにはまだかかるようだ。
「突然のことで混乱してると思うけど、これから僕らは世界をどんどん取り戻していくから」
 ラズロルは気持ちに寄り添いながらも、未来の希望を語る。
「あなたはまず日本に来てもらうことになるが……そのとき傍にいてほしい方がいれば、その方も帰還してもらおう」
 エトヴァの提案に、医師は、それでは妻を――と言い、エトヴァは頷く。
 ラズロルが、先ほどのエトヴァの歌をお手本に凱歌を響かせ……、医師のとなりに彼の妻の姿があらわれた。医師が妻を抱きしめるのを、ふたりは優しく見守る。


 こうして、ディアボロスたちは、奪還地域の各地で、それぞれが選んだ人物の『帰還』を行っていった。
 個人的な知人・友人に加えて、今後のドイツ全体の帰還を助けられるような人々……ということで、多くのディアボロスが考えたのは、やはり知識人や、官僚など行政の関係者たちである。

「……というわけなんです! わ、わたしたちはいろいろなものを奪われました。これ以上誰も欠けずに未来を取り戻すため、みんなで力を合わせる先陣としてあなたの力を貸してください……っ!」
「だいたいわかったわ。あなたが敵じゃないことも。だからもう少し近くで、もっと詳しく聞かせて」
 薄雪・灯子(赤い欺瞞の根・g00882)は、行政庁でエネルギー政策に関する参与として働く研究者を帰還させた。
 まずは近づきすぎない位置から武器を持っていないことをアピールしつつ、話す。『帰還』した人物は、いずれも当初は混乱するが、無意識にディアボロスに救出されたことを記憶しているため、敵意のないことが伝われば、信頼への糸口は掴みやすい。 
「……ドイツ国民が全員帰還するのに、どれだけの供給があればいいかの、判断基準が必要ということね?」
「はいっ! それがわかれば、全員帰還の最適なタイミングがわかるので、できるだけ早くみなさんに帰還してもらえると思うんです」
 灯子はていねいに状況と、相手に期待するところを話す。
「私がどこまで役に立てるかわからないけれど……もちろん協力できることはします。そのためには、まず、そのパラドクス?の効果について知る必要があるわ。私の思う前提条件がまず違っているはずだから、そこから考えていかないと……」
「ゆ、ゆっくりでいいんです。新宿島に住まいも用意しますから……、みんなで考えていきましょう」
 そう言って、灯子は笑みを向ける。

「ここが最終人類史のドイツか」
 ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)は深い感慨とともに、現代のドイツの街並みを眺めた。
 ゾルダートに蹂躙されていた『機械化ドイツ帝国』の風景からは、百年の時を隔てたとしても、考えられないような変貌ぶりだ。この地には、健全な科学の発達が見てとれる。
 そんな思いとともに、ノインが訪れたのは、まさしく科学の中枢である研究機関だ。
 『帰還』させるべき人物のいるところがわかるディアボロスの直感に導かれるまま、ノインは、エネルギー研究の研究者のもとへ赴き、勝利の凱歌を響かせた。
 最終人類史において、ドイツは持続可能なエネルギーの研究に熱心な国として知られている。
 パラドクスの助けはあるにせよ、限られた資源で暮らしていかなければならない今の人類にとって、エネルギー問題の専門家は必要な人材だと、ノインは考えたのだ。
「我々はドイツの奪還に成功した。しかし、すべての人々を戻すためには成すべきことがある。大勢の人間の暮らしを支える基盤づくり……そのために諸君の知識が必要なのだ」
 ノインが『帰還』させた研究者は、事情を理解したものの……。
「……ドイツ周辺の一部と、日本列島の一部しか陸地がない……あとはすべて海だと……!?」
 ノインから今現在の世界の様子を聞くと、この難問に渋面を浮かべた。
 研究者たちの専門知識は有益だが、前提となる世界の様相が激変しており、一方でパラドクスという未知の要素があるなかでは、あまりにも以前とは勝手が違うというところだろう。
 しかし。
「復讐者は歴史を取り戻した。諸君は未来を作ってくれ」
 という、ノインの、熱のこもった言葉は、響いたようだ。
 難問に挑むのは研究者の常でもある。渋面はやがて、挑戦するものの不適な表情に変わってゆく。
「まずはもう少し情報を集めてからだな……」
「新宿島で、もっと詳しい話が聞けるだろう。空港まで案内しよう」
 ノインは研究者と、力強い握手をかわす。

 ハインツ・ゼーベック(好奇心は猫を殺す・g00405)が考えた、ドイツ全土の帰還にあたって必要不可欠なこと、それは――。
「通信関係の復旧だな。テレビと電話が最優先。連邦経済エネルギー省はボンだったか。電気・ガス・通信・郵便・鉄道連邦ネットワーク庁の実務担当官僚を帰還させよう」
 多数の人々に、正しい情報を、迅速かつ適切に伝えること。
 『帰還』する人間は、本能的にディアボロスを信じてくれるし、パラドクスを用いた情報伝達も可能だ。
 とはいえ、対象となる人数が、今後、膨大なものになると予測されるため、大規模な通信や情報伝達の仕組みについて、専門的な知見を持つものがいれば心強いだろう。
「ドイツの日本以外の国は消えたままで……ドイツもまだ大半の人間は戻ってきていない……」
 『帰還』した官僚は、あまりの衝撃に呆然としている。
 だがハインツの落ち着いた語りを聞くうちに、徐々に表情に熱が宿ってゆくのだった。
 残留効果「士気高揚」の効果が、ハインツの熱意を伝染させたのかもしれないし、本当の意味で、熱意が伝わったのも事実だったろう。
「いずれくるドイツ国民の全帰還、その時に起こりうる混乱を最小限にするため、協力して欲しい。情報の伝達が混乱を素早く収拾できるのだ」
「わかった。どのみち、ドイツ国民がほとんど戻ってきていない以上、昨日までの仕事はできない。同胞を迎えるための準備に、全力で協力させてもらう」


 より身近なところで、ほかの帰還者の力になれるようなものを帰還させようと考えたディアボロスたちもいた。

 茶神・十愛(イニシャライズペインター・g00682)が選んだのは「ドイツ語と日本語の通訳が出来る人物」だ。
(「わたし達の力は、逆説連鎖……つまり、繋ぐこと。人と人とを繋ぐ、誰もが生まれ持った力、だけど」)
 ドイツとその周辺に暮らしていた人々が、新宿島に移り住んだとして、まず問題になるのは言葉だ。
 新宿島の住人は、皆無ではないにせよ、多くはドイツ語を話さないし、逆も然りである。ディアボロスなら残留効果で急速にドイツ語を身につけることはできようが、一般人はそうもいかない。
(「人と人とが、言語の壁を超えて繋がることに、心から喜べる方を、帰還させたい」)
 十愛の思いは、ふさわしい人物のもとへと、彼女を導く。
 勝利の凱歌によって目覚め、帰還したのは、日本語通訳を生業としていたドイツ人で、相当の日本フリークである女性であった。
「まあ、日本に住めるの!?」
 事情を理解するまでは神妙な顔つきであったが、一度理解したあとは、通訳の女性の表情にはむしろ喜びしかなかった。
「今はまだ東京の一部しか取り戻せていませんけど……」
「東京で暮らせるなんで最高よ! 今聞いた話はまるでアニメみたいで驚くことばかりだけど……なぜか真実だとわかる。私が役に立てるのね?」
「ええ、もちろん! すべての人々が帰るための、第一歩として。まず、わたしたちと一緒に繋げはじめてくれませんか……?」
 通訳の女性は笑顔で頷いた。彼女ならきっと、人々の架け橋になってくれる、と十愛が確信できる笑みだった。

「話はわかった……と、思う……」
 エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)の前にいるのは、ハンガリーからドイツ国内にやってきて、ドイツの大手物流会社で働いていた青年だ。
 勝利の凱歌によって『帰還』した人間は、本能的に、重大な出来事が起こったことを察知するので、ディアボロスの説明を比較的容易に受け入れる。
 青年も事情を理解するのは早かったが、受け止めるべき事態のあまりの大きさに戸惑っているようだった。
「おれで、良かったのか? 日本に連れて行ってもらったら……できるだけのことはするけど、おれにできるのは、せいぜい、荷物を運ぶ仕事とか、その程度のことで」
「それがどれほど大切なことだと思ってるの!」
 エリザベータは否定的に聞こえないようにしながらも、激励の熱を言葉にこめた。
 青年は現場のリーダー職だ。力仕事も得意そうだが、物流の現場でなら、チームを率いることもできるだろう。そして、なによりも――。
「私もブタペストで生まれた」
「えっ、そうなのか」
 エリザベータの言うブタペストは、しかし、今や時の彼方にある。
 彼女は新宿島に残されていた最終人類史の歴史書で、彼女の本来生きた時代より後の、マジャール人のたどった歴史を知った。決して平穏ではなかった、苦難の歴史を。
「……あなたたちは、その歴史――最終人類史を経て、現代に生きていた。さまざまな苦難を乗り越えた先にいた同胞なの。きっとやり遂げてくれると信じているわ」
「そう言われると……。でも、これから、ハンガリー人が戻ってきたとき、少し先に帰還してたおれが、いろいろ説明できればいいってことだよな?」
 エリザベータは力強く頷く。
 いまだ世界の大半が失われているなか、一般人にとっては、同胞に出会えることほど心強いことはないはずだ。
「祖国の為に貴方の力を貸してくれないか」
「わかった。やってみる」
 青年の瞳のなかに、エリザベータは確かな希望の光を見た。

 ディアボロスたちは、それぞれの考えにもとづいて、目覚めさせるべき人物を『帰還』させていった。
 帰還した人々は空港へ送り届けられ、ディアボロスたちがパラドクストレインで新宿島に戻るのを追いかける格好で、ほどなく羽田空港へ降り立つだろう。
 今回の帰還は、元『機械化ドイツ帝国』領からの第一陣帰還事業であり、今後の世界各地からの大規模な帰還を進めていくうえでの、重要な一歩と言える。
 いつかすべての大地と歴史を取り戻せるその日に向けて。
 ディアボロスたちは、勝利の凱歌を、ドイツの空に響かせていった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】LV1が発生!
【友達催眠】LV2が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【無鍵空間】がLV2になった!
【おいしくなあれ】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【アクティベイト】LV2が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【リザレクション】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年05月01日