湖水地方と竜の花嫁

 氷のベディヴィア卿を撃破したディアボロスは、グレートブリテン島の湖水地方に上陸する事に成功しました。
 風光明媚な湖水地方は、富裕層の保養地として有名であり、ジェネラル級ドラゴン『氷将竜サグラモール』によって守護されているようです。

 湖水地方には、竜の花嫁の湖と呼ばれる湖が多く存在しており、イギリス各地から集められた『竜の花嫁』達が、最後の時を穏やかに迎える為に滞在する別荘地になっています。

 ドラゴンの生贄である『竜の花嫁』は、命を捧げることで竜鱗兵の『卵』を出現させるのです。
『竜の花嫁』となることは、幻想竜域キングアーサーでは非常に名誉とされており、花嫁の親族はそうして生まれた竜鱗兵を大切に扱うようです。

 別荘地では『竜の花嫁』を楽しませる為に、芸人や料理人などが常に募集されています。
 この芸人や料理人に紛れて『竜の花嫁』と接触して、情報を集めていきましょう。

いずれ散るべき花(作者 都築京
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 モイラは大切な一人娘なんだから、と何度も懸命に訴えても聞き入られられなかった。一蹴という表現がこれ以上なく似合いだと思う事もそうそう起こらないだろう。
 確かにモイラとは家族ではないし恋人の立場でもない、ただ家が隣同士の幼馴染み。
 だからこそ彼女の身を案じている。遅くに恵まれた一人娘で小さい頃はしょっちゅう熱を出していたのが懐かしい。自分が男ばかりの大家族の末子という立場だったからか、齢の離れた妹ができたようで本当に嬉しかった。
「お前がモイラを大事にしてくれているのはよく理解しているよ、ライアン。でも花嫁になる事は至上の名誉だ、お前もその事はよくよくわかっているはず」
 いとけない子供を諭す口調で宥められても全く納得できない。
 確かにそれは名誉な事なのだろう。でもその名誉は、モイラのたったひとつの命と引き換えるだけの価値はあるのか。
 今日まで大切に大切に守ってきたのは、15歳で死ぬためではなかったはずだ。それなのに。
「さあ、もう帰りなさい。宴は明日の日暮れ後だ。……それまでには気を取り直して、お前の妹を祝福してやっておくれ」
 目の前で閉じられた扉をただ茫然と凝視するしかなかった。

●いずれ散るべき花
「やぁ、先日のドイツでの大規模作戦が成功して本当によかったよ。お疲れ様だったね」
 分厚い本を片手に、ヴィクター・リントヴルム(ドラゴニアンのレジェンドウィザード・g01290)は笑ってディアボロス達を迎える。
「アイリッシュ海の戦いにおいて氷のベディヴィア卿を撃破し、グレートブリテン島に上陸することができるようになったことはすでに皆も知っての通りだ。そして現在、円卓の騎士の一体『氷将竜サグラモール』が支配する湖水地方での調査が進んでいる」
 そこには『竜の花嫁の湖』と呼ばれる湖が多く存在している。
 花嫁が命を捧げるまでの最後の時間を幸福に穏やかに暮らすための別荘があり、風光明媚なその周辺には湖への観光を目的とした富裕層による別荘地が発展している、という状況だ。
 そして別荘地には竜の花嫁を楽しませ、穏やかに生活してもらうために、近隣の町や村から何らかの腕自慢が集まってきている。町に潜入して花嫁の別荘の関係者に取り入るか、あるいは腕自慢本人となることで花嫁の別荘に招かれることができるはずだ。

「今回向かってもらうのは、周辺が深い森に覆われた『竜の花嫁の湖』だよ。町は湖畔すぐそばだけど、花嫁の別荘はそこから森の中を10分ほど入った場所にある」
 町の顔役が花嫁を楽しませる宴のために芸人や武術自慢、あるいは音楽家などの人材を募っているので、これはと思う特技があるなら花嫁の別荘での宴に招待され潜入できるだろう。
「そんな特技なんかないよって人は、町の食堂を手伝って雇われるといいんじゃないかな。ここの食堂を切り盛りしている主人が宴の料理を取り仕切るそうだから、当日スタッフとして別荘に入ることができると思う。大人数の宴だから、料理ができなくてもウェイターや皿洗いの人数はいくらでも欲しいだろうしね」
 宴の席では花嫁当人と接触できるので、事前に花嫁の好みなどがわかっていれば説得で良い雰囲気を作ることに役立つはずだ。
 また、宴には竜の花嫁であるモイラの他にもその家族や友人知人などが祝福するために集まっている。彼等は『竜の花嫁』となることは大変な名誉であると信じて疑ってないが、命を捧げて死ぬことに疑問を抱く者もいるようだ。
「疑問を抱いている相手はもちろん、そうではない相手だとしても花嫁の過去だったり思い出だったり、説得に役立つ話題は聞けると思う。問題は花嫁当人が命を捧げることに全く疑問を抱いていない事だね。洗脳でもされているのかという位だから、なかなか難しいよ」
 あれこれと花嫁に関する情報の幅を広げようとするよりかは、ここぞという情報を深掘りしたほうがよいかもしれない。難しい説得のための鍵は、それなりに深い場所に落ちているというものだ。
「それから色々な所から人が集まっているだけあって、円卓の騎士やエディンバラ、マンチェスターについての情報を持っている旅人もいるかもしれない。話を聞いてみることはできるけど、敵地での情報収集ということを肝に銘じておいてほしい」
 要するに、言葉と内容をよく選べという事だ。

 ともあれ町の中にクロノヴェーダはおらず、上空から監視しているドラゴンに見咎められるような真似さえしなければかなり自由に動けるはずだ。この機会を活用し、竜の花嫁となる運命から女性達を助けることに繋げられればなお良い。
「『竜の花嫁』は幻想竜域キングアーサーにおいて重要な制度のようだからね。これを覆せればドラゴンの力を削ぐことだってできるかもしれない」
 気を付けて行ってくるんだよ、とヴィクターは分厚い本を懐へ仕舞った。

 花嫁の宴を準備するため町は活気づいている。
 多くの人々やドラゴニアンが行き交い、珍しい料理がふるまわれ、吟遊詩人が遠い異国の伝説を歌い喝采を浴びていた。風光明媚かつ珍しい物が遠方からも集まるその特性から、富裕層むけの観光地とされている側面もあり、金払いはよく治安もいい。
 治安のよい場所には富めるものがさらに集まり、街の賑わいは好循環を生み出していた。
 一人の竜の花嫁という命の上に成立している平和と賑わいの円環。
 その円環がいずれ何に至るかも知らないまま。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【友達催眠】
4
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
3
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【アクティベイト】LV3(最大) / 【リザレクション】LV1

●マスターより

都築京
こんにちは、都築京です。よろしくお願いいたします。

●依頼の流れについて
OPに記載の通り、町で説得のための情報収集等を行ったうえで竜の花嫁が暮らす別荘へ潜入し、花嫁を説得して下さい。
何か一芸があれば別荘での宴に招かれますので、②は特技がない方用です。ただ、それはそれとしておいしいもの食べたいです、という理由で②にプレイングかけていただいても問題ありません。このため、②→④⑤→③→①の順での執筆になるかと思われます。

●花嫁の関係者
現時点で竜の花嫁・モイラ、その幼馴染みのライアンが判明しています。
この2名は別荘内にいますが、他の場所にも家族や友人がいるかもしれません。

●その他
ほとんどの技能ではパラドクスのような超常の効果は得られません。


それでは皆様のプレイング、お待ちしております。
19

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


 真冬には雪が降る湖水地方も、4月末ともなれば春本番の暖かさに恵まれる日も増える。
 他の街からかそれとも様々な村や町をめぐっているのか、旅慣れた様子の吟遊詩人が竪琴をつま弾き、足を止めた通りすがりの人々がコインを気前よく帽子へ投げ入れていた。ずいぶん小綺麗な服装で、労働者ではないと知れる夫婦の姿もちらほら見える。
 春の陽気と、竜の花嫁の滞在に沸く街角はほどよい賑わいだ。まして行き交う人々の懐を狙うような輩の心配もしなくて良いとくれば、多少のことでは騒ぎにも諍いにもなることなく、さもしいやりとりで日々心を磨り減らすようなこともない。
 みな大らかで平和で、すみずみまで幸福が行き渡っている。
 その幸福の源泉が竜の花嫁の命であることを最初から承知のうえで、そしてそれを大多数が疑問にすら思わない、そんな歪な平和が。
ヒュー・ハルウェル
あぁ、やはり湖水地方は景色が美しいですな。
この辺りの料理は『いい意味で』期待を裏切られると聞きますし、楽しみです。
お嬢様、参りましょうか。

食堂に赴き、まずは食事をいただきましょう。
店主殿、こちらの店のオススメは?
今代の誉れある竜の花嫁、かのお方に関わりあるものならば尚良いですな。

ふむ、これはこれは。噂に違わぬ腕前でございますな。
店主殿の素晴らしい腕前、感服致しました。よろしければ、しばらくここで働かせてくださいませんか?
……いえ、給金などは結構。
その代わりと言ってはなんですが、私にもこちらの料理を教えていただきとうございます。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎

ブリテン島は竜の本拠地か……
……美しい景色だが、行われてることは………竜への生贄とは
ただ、平和な町であればいいのにと、思ってしまうよ

特技はあるのだが……町の雰囲気に馴染んでみたくてな
プラチナチケットを使って、さりげなく町の食堂を手伝おう

この町の料理に触れてみたい
今頃はどんな食材があるのだろう
世間話を楽しみながら情報収集、宴の献立や、花嫁さんの好みを聞いておこう
苦手なものを運んでしまっては大変だからな
料理? ……給仕と皿洗いは任せておけ

俺は食べる方が得意なんだ……
馴染みついでに
名物料理など食せる機会があれば、嬉しいものだ

新宿島に持ち帰れそうな、レシピや食材が手に入れば重畳だな


田淵・あゆみ
アレンジ連携歓迎

生贄を花嫁って言い換えるのはずるいよなぁ

ウェイターで潜入します、昔結婚式場のバイトやってたから、それなりに手際良く動けるよ
洗い場もやるよ、鼻唄で【ヒロイックシンフォニー】発動
忙しい時ほど歌うんだよ、手は塞がってても口は自由だ。と笑う
(…お祝いの席に、このガラガラ声じゃあね)

スタッフやお客に話しかけ、モイラさん病弱だったというから、この地方で発熱時に食べられてる料理、スープなどのレシピや味付けを聞き出す
姪が居る事にして、姪っ子も体弱くて心配、あの!竜の花嫁になれるくらい無事に育つにはどうやって育てたか、と理由つけて聞く
モイラさんの小さい頃の様子や親しい友人などを聞ければベストかな


「あぁ、やはり湖水地方は景色が美しいですな」
 スフィンクスの『お嬢様』を伴い、ヒュー・ハルウェル(猫狂いの老執事・g04975)は機嫌よく街のメインストリートを歩いていた。
「このあたりの料理は良い意味で期待を裏切られる、と聞いております」
 何かとネタにされるうえ英国人自身が自虐ネタにするほど、英国の食への無頓着さは有名でもある。しかし西暦5世紀のこの時代、現代ほど食材や調理法が豊富であったとはとても思えないが、新宿島に持ち帰れば素朴なメニューになりそうな料理はきっとあるだろう。
「ネギ類があるかどうかは不明ですが、塩分に留意すればお嬢様も口にできる料理は多そうです。楽しみでございますね、お嬢様」
 よきにはからえ、とばかりにすまし顔で髭をそよがせているスフィンクスを抱き上げたヒューに、前掛けをつけた田淵・あゆみ(人間のサウンドソルジャー・g06882)が歩み寄った。当然、初対面同士を装っている。
「そこのお人、そろそろ昼だよ! 店を決めかねているなら休んでいかないかい」
「これはこれは、お声がけありがとうございます。着いたばかりでございますので、ありがたく寄らせていただきましょう」
 すでにその食堂にはエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の姿もあった。実は花嫁の別荘へ潜入するのに必要な特技の心当たりはあるのだが、あらかじめ街の雰囲気になじんでみたかったという理由で給仕として臨時雇いされている。
「こちらの店のオススメは? 誉れある竜の花嫁、かのお方に関わりあるものならば、なお良いですな」
「花嫁に関わりあるメニュー等は特にないですが、鱒のローストは評判良いですね」
 湖が近いだけあり、料理長は鱒の類のローストや揚げ焼きをこの時期のお薦め料理としていた。まだ胡椒が伝来していないので、ローズマリーをはじめとしたハーブ類と塩のみの味付けという大変にシンプルなものだが、現代でも英国のトラウト(鱒)やサーモンは有名なので、素材の味を味わうにはこれで充分なのかもしれない。
 怪しまれないよう通常通り注文をとって厨房へ伝え、あゆみとエトヴァは手の空いたタイミングだったらしい中年女性をつかまえた。
「鱒以外、春の名物と言えばそりゃあネトル(イラクサ)さ。雪解けすぐにそこら中に生えてくれるから、たくさん摘んでスープにするんだよ」 
 そこの籠に入っているのがネトルだよ、と洗い場を仕切る彼女が教えてくれたので蓋を開けてみると、青紫蘇によく似た濃い緑色の葉がぎっしり詰まっていた。
「冬の間は使える野菜が少ないからね。竜の花嫁もよく飲んでいたみたいだよ」
「そうだったんですか」
「なんでも昔は病弱だったって聞いたぜ。何かに効くのか、それ」
「何かの病気に効くとかは聞かないねえ。ただ、春先はどうしても冬からの保存食ばかりで、食の細い病人が食べられるようなものは少ないから」
 木の実や塩漬けのかたまり肉に、いくらかの干した根菜やオートミール、といった食事では栄養も偏らざるを得ないだろう。栄養学などこの時代はろくな知識もないはずなので、雪が溶ければ豊富に葉をつけるネトルは恐らく多くの人間の健康を守ったに違いない。
「いや、実は俺の姪っ子も身体弱くてさ。竜の花嫁になれる年齢まで無事に育つには、どんなもん食ってたのかと」
「普通の家で裕福というわけでもなかったみたいだからねえ……食べてたものはあたしらとそう変わんないよ、きっと。ただ、やっぱり病気がちだから、普通はこのくらいの大きさに切るものをもっと細かくとか、形がなくなるまで軟らかく煮るとか、そういう事は多かったんじゃないかねえ」
 栄養学はもちろん、食材の流通や調理法が現代ほど発達していないという事もあるのだろう、消化しやすく胃腸に負担をかけない柔らかいもの、という程度の情報しか聞き出せずあゆみは内心つい落胆する。
「好きな物とか苦手な物とかについて心当たりはありませんか? ほら、宴の時にうっかり苦手な物を運んでしまってはいけないので」
「好きな物ねえ……選り好みしてちゃ治るものも治らないし、なんでも食べられるとは聞いているけど」
「そうですか……」
 こちらもだめか、と一瞬溜息をつきかけたエトヴァに、ああそういえば、と女性は手を打った。
「スミレの花は聞いた覚えがあるねえ」
「花?」
 なんだそりゃ、と喉まで出かかったのをあゆみはかろうじて呑み込んだ。
「なんだ知らないのかい、食べられるんだよ、あの花」
「でも、花をどうやって……」
「病弱で楽しみ事が少ないから、湯冷ましに浮かべて飲んでいたみたいだよ。いい香りがするんだとか」
 いわゆるハーブティー的な使い方をしていたのだろう、とエトヴァは推測する。ほかにも、花のついでで摘んできた葉は他の葉野菜同様、スープやシチューの具、軽く茹でてオートミールに刻んで入れる等していたようだ。ただし葉のほうは特に好物というわけではないらしい。
「……美しい街と景色だが、行われている事は竜への生贄だ。ただ平和な町であればいいのにと、思ってしまうよ」
「モイラさんの小さい頃の様子や、親しい友人なんかまで聞ければベストだったんだがな」
 昼食をとってこいと厨房を追い出され、エトヴァとあゆみの二人は店の隅で情報の突き合わせをする。すぐ隣のテーブルにお嬢様と優雅に長居をしているヒューが座っているので、色々と好都合だった。
「しかし雇われたばかりの者があれこれ訊くのも憚られる。雇われさえすれば別荘への侵入は容易とは言っても」
「こちらは先ほど店主に、宴のメニューからいくらかを給金代わりに教えていただく、という条件で雇い入れの確約を」
「そっちは順調なようだな。こっちの収穫はスミレの花くらいだ」
 もう少しこう、ボリュームと言うか、『料理』と呼べるものを期待していたのでなかなか残念、としか形容できない。しかし収穫がゼロではない事もまた真実なので、ここはある意味踏ん張り所なのだろう。
「……でも生贄を花嫁って言い換えるのは、ずるいよなぁ」
 幼いうちは身体が弱かったという彼女の二親も、死ぬためにここまで育ててきたわけではないだろうに、今の所はそれを疑問に思いもしないようだ。洗脳という単語が脳裏をよぎるくらいには、程度が度を超しているようにも思える。
 その犠牲の上に成り立っているのが、この欺瞞の繁栄と平和なのだ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV2が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!

アンゼリカ・レンブラント
仲間と手分けして
湖水地方の北と南の情報を集めるよ

旅人等が訪れるような宿を訪れ、
食べるものを注文しつつ旅人に接触しよう。

私もこの町のお祭りが終わったらちょっと足を伸ばそうと
思っているんだけど、
北部や南部ってどんな地方なんですか?

ドラゴンさまのお力でこの地域のように活気づいているのか、
それとも氷竜将さまとは違う形で治められているのかな
治められている円卓の騎士様はどなたでしたっけ
もし旅をするのに危険なことがあれば教えていただけると

怪しまれない程度にあくまで興味を前面に出す形で聞き込み
エディンバラ、マンチェスターという地方名など、
現代の知識がそのまま生かせるか分からないし
うかつなことは言わないよう注意


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
友達催眠を使用
仲間と手分けする

旅の外套、大荷物を提げて
市場、広場、酒場など人の集まる場所へ

銀細工の行商人を装い
旅人や行商人から世間話に情報収集
竜の花嫁様に、一目会いたいとやってきたが
この後は、また行商の旅に出る……
これから向かうなら、北と南、どちらが良いだろうか
何かわかる事があれば、教えてほしい
勧められた方、勧められなかった方、南北両方の「理由」を聞く
可能な限り、多角的な視点の情報が集まるよう
聞き込みを続けよう

そうだな、大きな街といえば?
街の名も絡めつつ
現地の活気はどうだろう
これからの季節は、行事や祭りなどあるのかな
賑やかな方が、商売繁盛するだろうしな

適当に理由をつけ情報収集


 花嫁のための宴が始まるまでのあいだ、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)とエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は旅装に着替えて他地域の情報収拾に当たることにした。
「竜の花嫁様にひとめ会いたいと思いやってきたのだが、この後はまた行商の旅に出るつもりだ」
 かねてより攻略旅団から調査目標とされていた、エディンバラとマンチェスターについて。珍しい物や花嫁の噂を聞きつけて遠くの町や村から来た旅商人や吟遊詩人が多く滞在しているとなれば、この機会を活用しない手はない。
「私もこの町のお祭りが終わったらちょっと足を伸ばそうと思っているんだよね」
 人が集まっている酒場を探し、湖水地方のそれぞれ北と南について知っていそうな相手を探す。竜の花嫁が滞在しているという時期が時期なだけに、各地を放浪して巡る吟遊詩人や商人はさほど苦労せず見つけることができた。
「……これからの季節、向かうならば北と南、どちらが良いだろうか。良さそうな街の情報があれば、教えてほしい」
「わかる事と言われてもなあ」
 若いが旅慣れた様子の男が、竪琴をほろほろと鳴らしながら考え込む。一人で酒杯を傾けていた所に声をかけたのだが、存外退屈していたようですぐに打ち解けた。もっとも、ディアボロスには友達催眠という切り札があるのだが。
「これから暖かくなるしな、北のほうで商売に向きそうな街とか」
「うーん、ここから北ならキャメロットはあるけど、あそこは商売向きじゃないしなあ」
 エディンバラという単語を想像していたエトヴァとアンゼリカは、一瞬息を飲みかけた。……自分達は今、この世界の住人ということになっているのだ。その単語に驚きを示してはいけない。
「キャメロット、ですか」
「そうキャメロット。許可された人間しか入れないしな、あそこ。商売や旅には向かないよ」
 知っての通りだ、と言わんばかりの男の口調に、エトヴァは不必要に深掘りしないよう沈黙を守ったまま首肯した。
「あとはまあ南と言えばマンチェスターだが、お嬢さんは楽器か歌でもやるのかい?」
「え? あ、いえ、特には」
「そうか、あそこは雨が多くて陰気な所だってよく言われるが、音楽家はマンチェスター出身のやつが多いよ。歌や楽器で食い扶持稼ぐつもりならそこそこかもしれん。ほら、雨が多くて、外で遊べないから子供達が楽器で遊ぶことが多いんだな」
 ああ、とやや曖昧に笑いつつアンゼリカは相槌を打っておく。
「大きな街と言えばその位だよなあ……他はあんまり稼ぎにはならないし、商売には向かないよ」
 だから俺も今ここにいるんだけどな、と明るく笑い飛ばした吟遊詩人の男にエトヴァはうすく笑った。
「そうか。とても参考になった、ありがとう」

 酒場を離れたエトヴァとアンゼリカが得られた情報を纏めると、このようなものだった。
 一つ、距離や方向からして、現代でエディンバラにあたる地域は『キャメロット』と呼ばれている。その都市は誰でも出入り自由ではなく、許可を受けた人間しか入ることはできない。
 二つ、湖水地方の南にあるマンチェスターは雨が多く陰気な街という評判だが、子供が外で遊べず楽器で遊ぶことが多いため、音楽家を多く輩出しているらしい。
 三つ、その他はあまり経済的に発展はしておらず、商売には向かないと思われる――以上、だ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【照明】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【アクティベイト】がLV2になった!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
プラチナチケット、友達催眠使用
地元の衣装を調達、現地人を装い世間話
市場、広場、酒場など旅人の集う所へ
服装等の違いで目星、なるべく多方面の旅人から情報収集

この辺りはサグラモール様の守護下だが
他の地方の騎士様の話は聞かなくて
そっちの円卓の騎士様の名は存じないが……湖水地方の話も届いているのかな

サグラモール様は、空に孤独な姿を見るばかり
円卓の騎士のお仲間と、交流があれば
お慰めになるだろうと思ったのだが
あるいは、武勇を競っておられるのだろうか
何か聞いたことはないかい?
どこかに……キャメロットとか……騎士の皆様で出かける機会があったり?
騎士様のための季節のお祭りだってあるだろう

適度に濁し
不都合時は即中断


アンゼリカ・レンブラント
プラチナチケット
エイティーンを使用
酒場にも入れるよう成人した現地人の姿を取り
旅人の集まる場所等で情報収集を行うよ

同じ情報収集を行う仲間とは協力し
予め話を合わせておきたいね

ドラゴン様のお噂に興味深々な娘として聞き込み
優雅に空を飛んでおられるサグラモール様
他の騎士の方々とは交流などあるのかな?

円卓の騎士の方々はみんな偉大だけど
勇猛なお噂を聞いたラモラックさまと
サグラモール様は少し印象違うよね、
仲はよろしいのかなー

湖水地方のような素敵な場所をめ治られる
サグラモール様ならきっと仲の良い騎士様も
多いと思われるけれど
湖水地方に他の騎士様が訪れることなどあったり?

深入りせず適度に切り上げ
怪しまれないよう注意


 西の空がそろそろ赤くなりはじめる頃合いともなれば、街は昼間と違った賑わいに切り替わる。子供の歓声がなりをひそめる替わり、そこかしこの店から物珍しい音楽や酒杯をかわす音が聞こえはじめていた。
 引き続き現地人に紛れる服装のまま、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)とエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は別の酒場へと場所を変えて円卓の騎士についての情報収集を試みる。泥酔まではいかないが警戒心が薄れる程度にはアルコールが入っていそうな旅人を見繕い、様々な旅の話へ興味津々といった体を装って話しかける。
「ねえ、ところで円卓の騎士の方々はみんな偉大だけど、ラモラック様? はとても勇猛だって噂だね」
 情報の出どころが明解でない、あるいは話が盛られているなと感じたものなどは注意深く取捨選択しつつ、アンゼリカは目を輝かせながら尋ねた。
「ああ、そうだな。俺はお目にかかった事はないが、いつか必ず、と思っているよ」
「そうか。しかしこちらのサグラモール様は、空に孤独な姿を見るばかり……円卓の騎士のお仲間と交流があれば、お慰めになるだろうと思うのだが」
「そうそう、サグラモール様とラモラック様は少し印象違うよね。仲はよろしいのかなー」
 ――が、返ってきた反応は二人にとって少々意外なものだったかもしれない。
「え? サグラモール様とラモラック様との仲……?」
「さ、さあ……どうだろうね……? 円卓の騎士の方々は皆素晴らしいドラゴンと決まっているし……」
 ひどく戸惑ったように仲間うちで顔を見合わせる旅人達に、エトヴァはやや緊張する。介入しようにもここで前言を翻すような事を言い出すのもおかしな話なので、ひとまずここは黙って聞いているしかなかった。
「だいいち円卓の騎士の仲が良いかどうかなんて我々があれこれ言うものじゃないよ、それこそ不敬ってもんだ」
「えーと、まあそれはそうだよね……ごめんなさい、お祭りの空気にあてられちゃったかな」
 年齢を上に見せかけていることもあり、調子に乗ってしまった、という風情でアンゼリカは苦笑して誤魔化した。アルコールという実に偉大な助け船のおかげで、場の空気はすぐに元の穏やかなものに戻る。
 竜の花嫁の周辺でも彼女らが命を落とすことを疑問に思うものはごく少なく、ましてそんな花嫁を歓待し街をあげて祝福するような土地だ。ドラゴンの人となりにあれこれ想像を巡らせたりするものも同様に皆無ということなのだろう。……いわゆる竜鱗兵システムとでも言うべきこの制度、そもそも「まともな」人となりをしたものが許すはずがないし、「まともな」住人が易々と従っているはずもない。彼等の支配や存在にそもそも異を唱えるものがいないのはディヴィジョン特有の排斥力によるものか、それとも他の手段で信じ込まされてでもいるのか、今は委細は不明だが。
 そっとエトヴァに視線を送り、アンゼリカは次の質問を考える。……いや、駄目だ、そもそも円卓の騎士へ興味を抱かず互いの関係にも無関心となれば、これ以上余計な詮索をするのは藪をつつく可能性のほうが高い。
「そうか、騎士様のための祝祭などあればと思ったが、これも邪推かな。なにぶんこの街の事しか知らないもので」
「さあ……? 聞いたことはないね」
 微妙に言い回しを変えて自己完結した呟きを漏らしたエトヴァを、旅人達は特に不審がらずに聞き流したようだった。
「そっかー、あんなに立派なサグラモール様だもの、他の地方の騎士様もそれぞれに立派なお方なんだろうね。私もいつかお目にかかりたいな」
「長く旅を続けていれば、いつかは機会があるかもな。何か一芸でも磨けば、街から出ても食いつないでいけるんじゃないか?」
「何かあるかなあ」
 機嫌よく酒杯をかさねる旅人達。これ以上に目新しい情報はなさそうだと判断し、二人はきりのよいタイミングを見計らって酒場を出る。
 攻略旅団からの調査依頼ではあったが、期待されていたほど有益な情報はなかった、というのが正直なところだろう。しかし「円卓の騎士同士の関係を知りたいとは思わず、彼等の仲をどうこう言うのは不敬だと考える」という一般人の認識を知る事ができたのは、それはそれで今後の情報収集を行うにあたりディアボロス達が留意できる点かもしれない。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV3になった!
【エイティーン】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】がLV3(最大)になった!
【リザレクション】LV1が発生!

田淵・あゆみ
宴会のメニューに、ネトルのポタージュを入れて貰えるよう提案

両親に聞きたい
(娘を愛して育ててきて、ここで捧げて終わって満足?んなわけないだろ)

親族控室にお茶出しの名目で入る
「本日はおめでとうございます、こんな幸せそうな花嫁さんは初めて見ました
ご両親にとても愛されて育ってこられたんですね!」
スミレを使ったお茶を出して、モイラさんがお好きだと聞いたから、今日の宴会でも出そうかと
何かこれが好きになったきっかけは思いあたりますか?
小さい頃の思い出や苦労した話も聞きたい
…これからの幸せな姿をもっと見たいとは思いませんか?
(思い出と名誉だけ抱いてこれから生きていくつもりですか、と聞こえるかどうかの声で呟く)


 ――身体の弱いひとり娘を愛しここまで育ててきて、捧げて終わってそれで満足? んなわけないだろ。
 日暮れ後、花嫁を楽しませるための音楽を奏でる楽士や、贈り物を抱えた数多の招待客、そのほかにも街の有力者等々で広間はごった返している。熱気と喧噪で羽目を外すものも多いのかと思いきや、意外にも宴は一定の節度が保たれていた。
 親族控え室があるものと田淵・あゆみ(人間のサウンドソルジャー・g06882)は踏んでいたが、別に式次第のある結婚式や式典というわけでもないので、上座にモイラの両親のための席が設けてありそこで客の挨拶を受けている。
 それに相手がライアンならばまだしも、周囲の誰かに聞かれて困る話でもない。モイラが好んでいたというスミレのお茶をトレイへ乗せ、客が途切れたタイミングを狙って近付く。
「こんな幸せそうな花嫁さんは初めて見ましたよ。これまでご両親にとても愛されて育ってこられたんですね!」
 本日はおめでとうございます、と前置きをして声を掛けると、モイラの両親は慎ましやかに笑い合ってカップを受け取った。
「ありがとうございます。本当に親として誇らしいかぎりで」
「……ああ、良い香りだと思ったら、スミレだね。あの子がよく飲んでいたのを思い出すよ」
 お茶はもちろん、宴会のメニューへネトルのスープを入れてもらえるよう提案している。緑の葉が美しいスープはこの地方における春の味なので、特段何の違和感もなく受け入れられていた。
「以前、よく飲んでいたと聞いたので。好きになったきっかけ等、思い当たることはありますか」
「そうね……小さいうちは身体が弱くて、外で子供らしい遊びもろくにできなくて。家のまわりに咲いたスミレを湯冷ましに浮かべて飲むと、香りがよいことに気付いたみたいね」
 それで子供なりに気分を紛らわせていたと、事前に聞いていた情報と矛盾はない。父親も懐かしそうに首肯している。
「そうですか。これからの幸せな姿をもっと見たいとは思いませんか? ……思い出と名誉だけ抱いてこれから生きていくつもりですか」 
 彼等はあゆみの台詞の後半から、質問の意図を理解できない顔をした。しかしこれ以外の何があろうかと言わんばかりの迷いない笑顔と回答が返ってくる。
「ああ、これから誰よりも幸せで名誉な姿を見られるだろう? むしろこれ以上の何を望めるんだい?」
「本当に楽しみで楽しみで……あの子が花嫁に選ばれて本当に良かった」
 ――そうだ、花嫁となり死んでいくことを疑問になど思わないのがここでは「当然の反応」なのだ。それを今一度確認した形で、あゆみは苦い思いを隠して空になったカップを受け取る。
苦戦🔵​🔴​🔴​

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

友達催眠、プラチナチケット使用
旅の楽士か、料理人の手伝いとして訪問
別荘内のライアンさんに接触

周囲を気にせず話せる場所へ誘い
モイラさんへの想い、本音と
思い出の話を促す

……モイラさんのお兄さんのような存在だと聞いた
彼女は一人娘で……あなたも、親御さんも、守り育ててきたのだろうな
彼女の事を想っているか?

……実は、他の花嫁にも、心から想う者がいて、苦しんでいたのを見てきた
どんな大義であれ
彼女を愛する者にとっては、ただ奪われるだけ
納得など出来るはずがない…
心に、彼女がいなくなった空虚を一生抱えていけというのか
……竜の花嫁など、馬鹿げている

もし言い淀む事、隠し事がありそうなら
違和感を突こう


 事前に雇われていた事実を利用しない手はなく、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は料理人手伝いの名目で宴に潜入済みだった。
 花嫁の幼馴染みというライアンはすぐに見つかる。皆が喜び花嫁を祝福するこの宴で、沈んだ顔の人間は目立つものだ。
「ちょっと、良いかな」
 友達催眠という切り札があれば、特に苦労もなく別荘の外へ連れ出すこともできる。エトヴァはモイラへの本音や思い出の話を中心に聞き出すつもりでいた。
「単刀直入に訊かせてもらうよ。貴方はモイラさんの兄のようなものだと聞いてきた。彼女は一人娘、……親御さんはもちろん、貴方も一緒に彼女を守り育ててきた、ということで間違いないだろうか」
「それは、もう。兄とは言ってもずいぶん上の兄だけどね」
 やや自嘲ぎみに笑うライアンは、事前情報通りモイラよりかなり年上に見える。二十代後半か、ややもすれば三十路の可能性もありそうだ。
「実は他の花嫁にも心から想う者がいて、苦しんでいたのを俺は見てきた。彼女のことを想っているか?」
「想う? まあ、想うと言うか、もちろん愛してはいるが」
「彼女を愛する者にとっては、ただ奪われるだけ。納得などできるはずがない――」
「? いや、ちょっと、待ってくれ。……参ったな」
 ライアンは花嫁に妹以上の感情を抱えているに違いない。何なら隠しているその想いを突こうとさえエトヴァは考えていたが、そんな彼を押しとどめるようにライアンは両手を上げる。
「つまり君が言いたいのはこうだろう、秘めた本心も告げずに恋い焦がれる相手を死ぬに任せるのかと。モイラを愛しているのはあくまで妹としてだ、そこだけは訂正させてもらう」
 それもやはり事前情報通りであったし本心から後ろ暗い事はないのだろう、ライアンは堂々としていた。
 しかし、これで気付けた事もある。……ディアボロス達は「モイラを説得する」ための情報を彼を含め関係者から聞き出さねばならないのだ、彼等を説得するのではない。彼女が「死にたくない」と思えるようになるための情報を聞き出すべきだと、エトヴァは気分を切り替えた。
苦戦🔵​🔴​🔴​

 彼女についてわかっている情報は今の所まだ少なく、そして浅い。
 幼少時に身体が弱かったことや、スミレのお茶を好むこと。この地方の春の味覚というネトルのスープについて、何らかの思い出があるかは不明だ。一方外に出て遊ぶことが少なく、自らスミレのお茶で心を和ませていたという事は、尋ねる友人も少なかったと考えるのが自然だろう。あるいはそもそもライアンくらいしか友と呼べる相手はいなかったのかもしれない。
 これまでの反応を見るかぎり、両親はモイラが花嫁となることに異論はないという立場で間違いない。情報の裏付けを得たり過去にあった事の確認はできるだろうが、彼等を叛意させるのは現時点では不可能と考えるべきだ。
 友人は少ないか、あるいはライアンのみ。ここまでの情報と現状を鑑みるに、やはりあれこれと花嫁に関する情報の幅を広げようとするよりかは、ここぞと思うものを掘り下げるほうがよいだろう。モイラ当人にまだ話を聞ける段階ではないので、彼女のことをよく知り、かつそれに適した相手は――これ以上は言うまでもない。
 そして肝心なのは何を訊くか、だ。
 判明しているのは身体が弱かったこと、そして好物のスミレのお茶。これだけだ。
 しかしそのどちらに関しても、まだ彼女の友人の口から仔細は聞けていない。
 難しい説得のための鍵は、それなりに深い場所に落ちているはずだ。
霧崎・和月
プラチナチケットでウェイターを装って潜入
友達催眠を活用し、ライアンさんへ接触

浮かない表情ですね
食事はお口に合いませんでしたか
雑談混じりに声を掛け

…竜の花嫁となることは、名誉で幸せなこと
そう思う人にとっては一つの真実かもしれません
けれど、命の終わりを迎えることは本当に幸せでしょうか

生きてこそ、幸せがあると俺は思うのです
だから俺は、俺たちは彼女に生きていてほしいと願います

そのために、教えてください
モイラさんが花嫁になる以外に幸せを掴むヒントを
体の弱かった彼女はスミレのお茶を好んだと聞きます
なぜ好きなのか、どうして好きになったのか
どんな瞬間が好きなのか…
貴方が感じた、彼女の幸せをどうか聞かせて


「浮かない表情ですね」
 花嫁を言祝ぐ宴もたけなわという時間帯、窓の外を見つめたまま一人きり。
「もしかして食事がお口に合いませんでしたか」
「いや、そういう事では」
 青いお仕着せの前掛けが見えたのだろう、給仕を装って近付いた霧崎・和月(彷徨う器・g06070)にライアンは慌てて否定する。
「――少し、よろしいですか」
 竜の花嫁となることは名誉で幸せな事。そう思い、考え、信じている人間にとってはそれが真実なのだろう。しかしその名誉が幸福は花嫁の死に直結しており、それを本当の幸福と言ってよいのか、と異を唱えることができるのはドラゴンの支配下にないディアボロスだけだ。
 実際、生きてこそ幸福はあると和月は思っている。
 宴を楽しむ、多くの人々の目がこちらへ注意を払っていないことを確かめ、和月は低い声音で続けた。
「身体が弱かった彼女――モイラさんはスミレのお茶を好んだと聞きました。どうしてですか」
「お茶……ああ、あれの事か」
 スミレのお茶とは言ってもこの時代、茶葉や喫茶の習慣がまだ欧州には存在していない。フレーバードティーではなくハーブティーの分類だが、供されているテーブルには客がひっきりなしに訪れている。
「最初はどうやら、温めればもっと香りが立つと考えたみたいだな」
 しょっちゅう熱を出して、外でやれる事と言えば家の周りの花を摘む位だったようだ。花束にしたり花冠にしたり、壁に掛けてドライフラワーにしたりも飽きて、最後には食べられる花なのだから飲めるはずだと考えたらしい。
「まあ、ろくに外へ出られない、長い時間話し込むと熱を出す、となれば友達も当然少なくなるしな」
 庶民の識字率など限りなくゼロに近い時代、身体を動かせない幼い子供の娯楽は限られる。健康な者に比べれば食の楽しみすらも皆無だ。
「……そう言えば、冬の寒さが厳しかった年だったかな。確か7歳くらいの年で」
 決して豪雪地帯ではないこの地方で、一冬に軒下まで雪が積もった年があった。
「その時に何て言ってたんだったか、生きて冬を越えた証明だかご褒美だか、そんな風に言っていた事もあったよ」
 諦めたようなほろ苦いような表情でライアンは溜息をつく。
 子供心ですら明日をも知れぬ身であったことを理解し喜んでいたはずの彼女が、今となっては己が命を失うことをどうとも思わない。そっと肩越しに上座のモイラを遠く眺め、和月はこの世界の怖ろしいまでの歪さを垣間見た気がした。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【書物解読】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

ラウム・マルファス
心を操るようで、あんまり好きじゃないケド
花嫁の命には代えられナイ
友達催眠を使ってライアンと話をしよウ

「思い出したくないかもだけどサ、彼女が病床にいた頃のこと、少し話したいんダ」
「スミレを浮かべたスープが好きになったのもその頃だッケ?死ぬのかもって怯えながら、それでも外の世界で元気に遊ぶ自分を夢想していたのカナ。春ってサ、冬が終わるって実感できる季節だよネ。彼女、君に何て話してタ?」
嘘は苦手だカラ、ブラフはナシ
不快に思われない範囲で表情を観察しつつ、更に思い出を聞き出すヨ(情報収集)

知りたいのは、病床での彼女の支え、生きる希望
もし生きてやりたかったコトが今も叶ってないなら、生きる理由になるはずダ


 実のところ何かこう、心を操るようで友達催眠は好きではない。しかしモイラの命には代えられないと、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は本心を呑み込こんだ。
「もしかして思い出したくないかもだけど、サ」
 あまり特定の相手と長く話し込んでは怪しまれる。それまで会話をしていたディアボロスから後をひきとり、ラウムは広間の隅のほうへと場所を替えた。
「彼女が病床にいた頃のこと、少し訊きたいんダ。春を迎えられずに死ぬのかもって怯えながら、それでも外の世界で元気に遊ぶ自分を思い描いていたりしたのカナ。彼女、君に何て話してタ?」
 スミレのお茶と身体の弱さの関連については、さきほどある程度までだが聞けた。そして冬が終わりスミレの香りを楽しむひとときは、彼女にとって冬を生き延びたことへのいわゆる『ご褒美』だった。
 ラウムが聞き出したいのはそんな彼女が病のなかにあって支えとしたものや、生きるための希望。それがもしも今も叶っていないのなら、この先も彼女が生きていくための理由になってくれるはず。
「外で元気に遊ぶ……か。それはなかった。割と早いうちにどこかで諦めていたと言うか、子供の頃から達観していたと言うか」
 しかし語られたのは子供らしくない少々意外な事実だった。
「ただ、遊べるようになることを期待してはいなかったけれど早く元気になりたい、なる、とはよく言っていたよ。両親の苦労が無駄になるからと」
「……」
「この年齢じゃ子供は無理だと諦めていたって、村じゃ誰もが知っていたからね。若い親じゃなかったから、そもそもモイラが丈夫でも他より苦労は多かっただろうと思うよ、色々な意味で」
 体力的な意味なのは当然として、親が老いればそれだけ万事にさく労力は重くなる。精神的安定感は若い親には培いようのない大きな長所と言えるが、病がちな子供というデメリットが打ち消した形なのだろうと想像できた。
「だから自分が死ねば両親のその苦労は無駄になるし、苦労をさせるために生まれてきたと思いたくない、と言ってはいたね……よくよく子供の台詞じゃないけど、あれだけ何度も5歳やら7歳まで生きられたら上々だとか、言われ続ければそうもなるのかな」
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

ラウム・マルファス
残るは花嫁の説得カナ
一筋縄じゃいかないだろうけど、何はともあれ話してみないとネ
ウソは苦手だから、知り合いのフリとかはしないヨ

「やァ、キミがモイラかイ?病気がちだったって聞いたけど、もうすっかり良いんだネ」

「キミを元気にするために、ご両親は苦労したんだろうネ。心労も大きかったろウ。死ぬ前に、受けた恩は返せたかイ?」
って少し挑発しよウ

「そりゃ、名誉だもんネ。『死んで欲しくない』とか『今までの苦労は』とか、親は言わないサ。心から喜んでると思うヨ。でも、キミはそれで良いのかイ?両親を残しテ。兄のように慕う人が、『死んで欲しくない』と嘆いても、見ないフリしてサ」

託されし願いで、ライアンの様子を見せよウ


 大勢の客からの一通り寿ぎの挨拶は終わったのか、上座の花嫁は一息ついた様子で椅子に座っている。ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)はライアンと別れるとそのまま、まっすぐモイラへと近付いた。
「やァ、キミがモイラかイ?」
 気安い雰囲気の声音に、モイラはぱっと笑顔を見せて立ち上がる。年齢もあるが全体的に華奢で小柄な印象なのは、やはり幼少時が病がちであった事が影響しているのかもしれない。
「はい。今晩はようこそお越し下さいました」
「昔は病気がちだったって聞いたけど、その様子だともうすっかり良いんだネ」
「両親のおかげです。かと言って丈夫になったわけでもありませんが、人並みの生活はできるようになりました」
 見る限りでは血色も良く、肌には年頃の女性らしい張りとつやがあった。長く外に出られない生活であったことから大人しい性格なのかと思いきや、話し方は歯切れ良く、闊達であるとすら感じる。なるほど子供らしくない物言いだったとライアンが評価するはずだ、と納得する。
 招待客との歓談のためだろう、モイラから革張りのスツールを勧められラウムは素直に応じた。
「キミを元気にするために、ご両親は苦労したんだろうネ。一人娘が病気がちでは心労も多大きかったろウ。……死ぬ前に、受けた恩は返せたかイ?」
「……え?」
 ただの労いや祝福などではない事はすぐに伝わったようだ。表情を一瞬曇らせたものの、モイラはすぐに笑顔になる。
「死ぬ前と言いますか、こうして竜の花嫁に選ばれたことでとても両親は喜んでくれています」
「そりゃ、名誉だもんネ。『死んでほしくない』とか『今までの苦労は』とか、親だからね、言うはずがないサ」
 心から喜んでいると思う、とラウムが笑顔で重ねて囁くと、徐々に笑顔が固くなってきた。
「……それは……どういう……」
「でもキミはそれで良いのかイ? ――両親を残しテ。兄のように慕う人が『死んでほしくない』と嘆いても、見ないフリしてサ」
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
アドリブ歓迎
友達催眠使用

スミレのお茶を運ぼう
モイラさん、お茶はいかがだろうか
良い香りだな……
さっきライアンさんに伺った

子は宝という
長じて生まれた子なら想いも一入
ご両親は、君に人一倍の苦労と愛情を注がれたのだろう

早く元気になりたいと……
君自身も、ご両親の苦労に報いたい気持ちは人一倍強かったのだろう
君が健やかになり、ご両親もさぞ喜ばれただろう
報いる事ができたのだな

病と闘い抜いて……冬を越えた、ご褒美
今、その喜びはあるか

君自身も、ご両親も……ライアンさんも
皆の気持ちをふいにしてもいいのか?
死して彼らを後に残すのが、本当に報いることだと思うのか……?
君の代わりはいない
やっと皆の願いが叶った所じゃないか


ソラス・マルファス
「悪かったな、兄貴(ラウム)が失礼なことを言ったようだ」
嘘の苦手な兄貴のことだ、言ったことは本心だろうが

「案ずるな。お前さんの親は、苦労だなんて思ってねぇよ。親の望みは、いつだって子供の幸せだけだ。我が子がいつか親になって、幸せに暮らしてくれるならそれで充分。せいぜい望むのは、傍らで見守りたいってぐらいか」

「至上の名誉と引換えでも、我が子の命は差し出せねぇよ。アンタの両親も同じはずだ。それはアンタの方が知っているだろう?」
聡いようだからな
違和感に気付いてくれるだろう

「アンタが望むなら、竜の花嫁になる必要は無ぇよ。俺達が必ず助け出す。さぁ、どうしたい?」
士気高揚で、本心を口に出す勇気を与えるぜ


田淵・あゆみ
花嫁のご友人の方ですね、こちらのお席へどうぞ
今お茶などお持ちします
花嫁近くの席を用意して皆が話しやすいように場を作ろう

あなたが花嫁になることで、確かにご両親は名誉だけは得られます
ただ、もう貴方の笑顔も、喜びを共に分かち合う事も、全て失われてしまいます
これからの人生、愛娘の思い出だけ抱えて生きて行く。……それは幸せ?

周りから色々な言葉もあったかもしれない
けれどご両親は貴方を愛して、幸せであるように育ててきた

そしてあなたも、幸せになって良いんです
幾度も夜を冬をも越えて、貴方は朝を迎えた
誰に何言われても、胸張って生きてていいんです
それこそがご両親やライアンさん、貴方を愛する人達の望みだと


 目を瞠って自分の膝を凝視するモイラへ、ソラス・マルファス(呪詛大剣・g00968)は兄と入れ替わりに声をかける。嘘をつかない、もとい嘘が言えない兄のこと、口にした言葉は本心であるに違いないが。
「悪かったな、兄貴が失礼なことを言ったようだ」
 いえ、と小声で呟くものの、どうにも顔色が悪い。すぐに気を利かせた田淵・あゆみ(人間のサウンドソルジャー・g06882)が美しい青色をしたカップをいくつか運んできた。
「応対でお疲れなのでしょう、皆さんもこちらのお席へどうぞ」
 注目を集める上座を避けられる席へソラスやエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)も含めて案内し、あゆみはテーブル上へカップを並べる。恐らくモイラは急に体調を崩したというわけではないようだ。先のディアボロスの言葉で、気付いてはならない事に気付いてしまったという印象がある。
 それも、決して無視できないほど決定的な。
 しかし何故だろう、地雷を踏んだ気はしないものの、予期しない何かの蓋を開けたような、どうにもそんな気配がする。
「先ほどライアンさんに色々と話を伺った」
 カップへ手をつけようとしないモイラを気遣いつつ、エトヴァは話を切り出した。ライアンの名前に小さく肩を震わせる。
「子は宝と言う。長じて生まれた一人娘なら思いもひとしおかと――ご両親は、君に人一倍の苦労と愛情を注がれたのだろう」
「これまで、まわりから色々と心ない言葉もあったかもしれません。けれどご両親はあなたを愛し、幸せであるように育ててきた。そうではありませんか」
「はい。その通りです」
 エトヴァとあゆみの言葉にモイラは素直に首肯した。
 死が大前提にもかかわらず、喜ばしく名誉と信じて疑わなかった状態から目が覚めた――そう考えればおかしな反応ではない。しかし別の何かに怯えている気がするのは、勘ぐりすぎだろうか。
「あなたが花嫁になれば、確かにご両親には名誉なことでしょう。でもそれ以降はあなたの笑顔も、喜びを共に分かちあう機会もすべて失われる。残りの人生、思い出だけを抱えて生きていくのは……それは幸せなことでしょうか?」
「いいえ。そうは思いたくありません」
 やはり素直にモイラは首を振った。
「……早く元気になりたいと、そう願ったとも聞いた。健やかさを得てご両親もさぞや喜ばれたことだろう。君自身の、ご両親の苦労に報いたい気持ちは人一倍強かった」
 二親の苦労に報いることができたのだ、と続けたエトヴァにもモイラは首肯する。……これは何だろう、とエトヴァは違和感を覚えた。恐らく彼女への説得は問題なく成功している、それは良い。でも。
「なあに案ずるな、親の望みはいつだって子供の幸せだけだ」
 ことさら子の幸せという部分を強調し、ソラスはモイラの様子をそれとなく注視する。
 彼女は賢い。そう確信している。必ず違和感に気付くだろうと踏んでいた。予期しない何かが彼女にとってのパンドラの筺の蓋である可能性に、わずかなりとも気付いていたのはこの時点でソラスだけだっただろう。
「我が子がいつか心に決めた相手と結ばれて親になって、幸せに暮らしてくれればそれで充分。せいぜい望むのは、傍らで見守りたいってぐらいか。――至上の名誉と引換えでも、我が子の命なんか差し出せねぇよ」
 愕然とした表情にある意味での深い満足すら覚えて、ソラスは駄目押しとばかりに続けた。
「アンタの両親だってそう考えるはずだ。それはアンタの方がよくわかっているだろう?」
「……わかっています。わかっているから、――どうしたらいいかわからない」
 絶望した声をあげて顔を覆うモイラに、エトヴァは少なからず息を飲む。何が起こったのかと視線で尋ねても、ソラスは黙ったままだった。
「死んではいけないと言ってくれました。苦労ではないとも」
 それは彼女にとって間違いなく喜ばしい言葉のはず。しかし今や涙ながらに語るモイラの様子がそれをどうしようもなく否定する。
「でも、――私が死ぬことを、今はあんなに喜んでいるのは、どうしてですか」
 ……そういうことだ。予期していなかったパンドラの匣。二親からの偽りない愛に支えられ、信じ、死を乗り越えたはずなのに、死んでもよいと言われるどころか喜ばれてすらいる現実。モイラが怯えていたのはこの事だったのか、とエトヴァは目元を歪めた。
 しかし考えようによっては予想以上の成果とも言える。彼女には辛い現実だが、この世界の途方もない歪さを認識させられたという意味でもあった。そして匣の中に残っていたものの名前をディアボロス達は知っている。
「病と闘いぬいて冬を越えた今、その喜びはあるか」
「ありますが、でも」
「君の代わりはいない」
 でも、とエトヴァへ言い募る花嫁にソラスが力強く請け負った。
「アンタが望むなら、竜の花嫁になる必要は無ぇんだよ」 
「そんな事があるはずは」
「そんな事があるのさ、この世界には。必ず助け出すと約束する。さぁ、どうしたい?」 
「誰に何を、何と言われようとも、胸を張って生きていていいんです、あなたは」
 支配者たるドラゴンに都合のよい思想へ染め変えられている可能性については言及を避け、あゆみは声へ力をこめた。
「……いきていたい」
 しにたくない、と涙に曇った呟きが落ちる。
「それで良い」
 やや冷えてしまったものの、あざやかな青色をたたえたカップを差し出して、エトヴァは続けた。
「……それで、良い」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV4になった!
【士気高揚】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2022年06月08日