洛陽城門前『呂布』決戦!

 洛陽・長安を護る巨大昆虫の森を突破したディアボロス達は、遂に、洛陽の都の入り口に到達することが出来ました。
 洛陽の都には『司馬』の軍旗が掲げられており、洛陽が、魏・呉・蜀とは別系統の勢力である事を示しているようです。

 ディアボロスが更に、洛陽へと近づこうとすると、洛陽の城門が開き、屈強な蟲将が次々と出陣してきます。

 この蟲将こそ、三国志最強の武将『呂布』だったのです。
 出陣した『呂布』は8体。
 この8体全てが、ジェネラル級に匹敵する戦闘力を持っているのです。

 最強の『呂布』8体を撃破しなければ、洛陽の都に入城する事は叶いません。
 しかし、ジェネラル級並の戦力を持つ8体の『呂布』を撃破するのは至難と言えます。
 幸い、敵は、洛陽を防衛し、巨大昆虫の森を再制圧する事が目的のようなので、ディアボロスが攻撃を仕掛けなければ、戦いを避ける事も可能かもしれません。

雲内黄天(作者 土師三良
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●大戦乱群蟲三国志にて
 龍の咆哮もかくやという禍々しい音を立てて、洛陽の城門が開いた。
 そこから出てきたのは、黄色い布を頭や腕に巻きつけた蟲将の兵士たち。いや、隊列を組まず、足並みも揃えず、談笑を交えてだらだらと歩くその姿は兵士というよりも野盗や山賊の類に見える。
 しかし、烏合の衆には見えない。
 ふてぶてしい態度は歴戦の猛者であることの証し。彼らは戦場を舐めているわけではない。戦場と日常を線引きしていないだけだ。
 もっとも、先頭を行く指揮官――大きな方天画戟を肩に担いだ偉丈夫に比べれば、この猛者たちとて新兵も同然だろうが。
「うん。快晴、快晴」
 偉丈夫は目を細めて蒼天を見上げ、口元をニヤリと歪めた。
「殺し合うにはいい日和だ」
「へへっ」
 と、兵士の一人が笑った。追従めいた笑いだが、そこに込められた畏怖と敬意の念は偽りのものではない。
「旦那が参戦するとあっちゃあ、殺し合いなんざ起きるわけがありませんや。一方的に殺しまくって、はいおしまいってなもんでしょ」
「いや、今回ばかりはそうもいくまい」
『旦那』と呼ばれた偉丈夫は視線を空から地上へと戻した。
 細められていた目が大きく開かれ、ぎらぎらとした輝きを放つ。
 殺人鬼のごとき凶悪な眼光。
 同時に、戦争ごっごに臨むガキ大将を思わせる輝きでもあった。
「奴らは俺を楽しませてくれるはずだ。なにせ、巨大昆虫の森を突破してきた連中なんだからな」

●新宿駅グランドターミナルにて
「このパラドクストレインの行き先は『大戦乱群蟲三国志』だ」
 パラドクストレインの車内に足を踏み入れたディアボロスたちにそう告げたのはインクセティアの精悍な青年。
 時先案内人の李・令震である。
「巨大昆虫の森を探索していた奴らの奮闘が実り、漢の首都であった洛陽への道が開かれた。しかし、まだ洛陽に入ることはできないぜ。黄巾党の残党で構成された部隊が迎撃に出てきやがったからな」
 黄巾党の残党軍は戦い慣れた老兵たちではあるが、所詮はトループス級。撃破することは難しくない。
 しかし、彼らを指揮する蟲将は強敵だ。
「残党軍を率いているのは、三国時代最強と謳われた武将……そう、『呂布』だ。同じ外見の奴が八体もいるから、アヴァタール級の類なのかもしれないが、どいつの強さもジェネラル級に匹敵すると思われる」
 八体すべてを倒すのは並大抵のことではないだろう。
 しかし、だからこそ、勝利の暁に得られるものは大きいはずだ。

「当然のことながら、たった一人の力で呂布に勝つことはできないぜ。戦闘不能になることを覚悟の上で挑み、実際に戦闘不能になったら、後のことは仲間に託し、その仲間もまた戦闘不能になるまで戦い、別の仲間に託して……といった具合に敵へのダメージを積み重ねていくことになるだろう」
 泥臭い戦い方ではあるが、馬鹿にはできない。今までのジェネラル級もそうやって倒してきたのだから。
「それと、残党軍を全滅させる必要はない。呂布がくたばったら、一目散に撤退するはずだ。さっさと片をつけるために呂布だけに注力するもよし、パラドクスの効果を累積するためにあえて残党軍の相手もするよし。おまえたちの好きにするがいいさ」

 更にもう一つの情報を令震は皆に伝えた。
 洛陽には『司馬』という旗が掲げられているという。
 つまり、かの都市は魏呉蜀のどれでもない勢力に属しているかもしれないということだ。
「洛陽はまだまだ謎に包まれている。呂布を倒すことができれば、その謎を引っ剥がすための足掛かりもできるはずだ。だから……頼んだぞ」
 期待の眼差しを皆に向けて、令震は力強い声で宣言した。
「では、行くぞ!」
 パラドクストレインが走り始めた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【勝利の凱歌】
3
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。

効果2

【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV5 / 【ガードアップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【ラストリベンジ】LV2 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV2 / 【ロストエナジー】LV2 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

土師三良
 土師三良(はじ・さぶろう)です。よろしくお願いします。

●このシナリオの概要
 三国志きってのレジェンド『呂布』同名のクロノヴェーダ(全八体のうちの一体)と真っ向勝負する純戦シナリオです。

●戦闘について
 黄巾党残党を放っておいて、呂布にいきなり挑むことも可能です。
 呂布との戦闘においては『どれだけ大きなダメージを与えることができたか』というのが重要なポイントとなります。たとえPCが呂布にボコボコにされたとしても、同じくらい呂布の野郎をボコることができれば、判定が『大成功』になる可能性があります。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。
84

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ゼット・ノアール
「敵性存在、『黄巾党残党』…軍規模か。まずは掃討する」

首都洛陽の指揮官はデータによると名高い武将らしい
だがまずはトループス級だな
仲間の復讐者と連携し、これを倒す
多くを巻き込む火砲とゼットンシャワーで援護しよう

敵の攻撃は多くのバリアユニットを展開し、軽減する
本作戦の本命を前に消耗は出来るだけ抑えておきたい
だが武将が相手となると血が騒ぐ者が多いからな…
中距離~遠距離を保ち、援護射撃しよう

※アドリブ・連携大歓迎です


菱神・桐梧
アドリブ連携大好き
戦闘中は適度に煽って【挑発】

威勢が良いのは大いに結構。
やる気のある奴と闘うのは面白いからな。
楽しい喧嘩にしようじゃねえか!

と言いたいとこだが、なんか騒いでやがるな
『黄天まさに立つべし』だったか?
小せえ小せえ、鬨の声には程遠いぜ!
雄叫びってなこうやんのさ!
パラドクスの御披露目だ、本物を聴かせてやるよ!

さァて、気合いも入れたとこで全員ぶっ潰しに行くか!
わざわざ加減してやる必要も無え
挨拶代わりにハンマー、鎖分銅を【投擲】
狙いを定められないよう【ダッシュ】で駆け回り
手近な奴から大太刀でぶった斬る!

楽しい楽しい大喧嘩だ!
ビビって逃げたりすんじゃねえぞ!


アオイ・ダイアログ
戦闘狂は面倒ですね
とはいえ放置は出来ませんね
それなら私もやってやろうじゃないですか!
呂布、相手にとって不足なし!
その為にまず、あなた方を蹴散らします!

イナゴはあまり近寄らせたくないですねぇ
BOWスタイル(弓道着)で今の私は弓兵です、雷撃の言霊で以て虫ごと黒焦げにしてやりましょう🎵
一度に複数の矢に言霊を詰めて連射です!

可能なら他の味方に【パラドクス通信】で連携しつつ戦いたいですね
攻撃タイミングや窮地を知らせて連携します!

悪いですがあなた方は前座です
たかだか老兵で私たちを止められると思わないで下さい!


八栄・玄才
三国最強と名高い呂布と闘り合えるってんなら、砦超え、森超え、遠路遥々来た甲斐があったってモンだ!

《飛翔》で飛び上がり、連中が既に死んだと言った蒼い天(そら)から双翼魔弾を降らせる【空中戦】を行う

魔弾と一緒に【電撃使い】の力でヤルダバオートの譴雷を降らせて敵を威圧し、士気を挫く
悪ぃがやる気のねぇヤツには帰ってもらうぜ

さあ、黄天は立つか、死ぬか、決めるのはおたくらの頑張り次第だ!
それでもやるってヤツは地上に降りて行って、この拳の【強打】でブッ飛ばしてやる

ついでに《ダメージアップ》の残留効果を残し、呂布に与えられるダメージを上げておく

びりびり来るな……
面を合わせる前から強いってのが伝わるぜ、呂布!


●序幕
 異形の木々が繁る森と『司馬』の旗が掲げられた城壁との間に広がる草原。
 レールなど敷かれていないその地に、JR山手線の車両に似た列車が停まっていた。
 異様な光景ではあるが、それがパラドクストレインとなれば、話は別だ。
「三国最強と名高い呂布と闘(や)り合えるとはな!」
 車両側面に並ぶ黄緑色の扉が一斉に開き、勝色の道着姿の青年がそのうちの一つから降り立った。
 八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)である。道着の背から伸びる翼はデーモンの証し。
「時越え、砦越え、キモい森越え、遠路遥々来た甲斐があるってもんだ!」
「ふむ。データによると、呂布なる者が強者であることは間違いないらしいが――」
 無表情で語りながら、群青色のコートを纏った長身の男が降りてきた。
 サイボーグのゼット・ノアール(群青の傭兵・g01952)だ。
「――正史において呂布が覇を唱えていた時期には三国はまだ鼎立していなかったそうだ。だとすれば、『三国最強』という表現は正しくないのではないか? あるいはこの場合の『三国』というのは魏呉蜀ではなく、『万国』や広義での『三国時代』を意味するのかもしれないが、だとしても『最強』の定義を明確にしないことには……」
「だぁーっ! めんどくせえ野郎だなぁ!」
 と、三番目の降客――眼鏡をかけた赤毛の青年が怒声でゼットの長広舌を断ち切った。
「細けえことを言ってねえで、さっさと始めようぜ! 楽しい楽しい喧嘩よぉ!」
 バウンサーの菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)。言動もさることながら、その姿(そこかしこを装甲で補強した赤いジャケットを着込み、身の丈もゼットとほぼ同じ)からも威圧感が溢れている。
 もっとも――
「いやー、玄才さんも桐梧さんも元気いっぱいですねー! ゼットさんはマイペースって感じですかー?」
 ――最後に降りてきた弓道着姿の少女は桐梧の威圧感など意に介していなかった。
 玄才や桐梧と同じくらい元気いっぱいで、ゼットとは別のベクトルでマイペースな彼女の名はアオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)。四人の中では最年少の十三歳であり、身長も最も低い。しかし、声の大きさでは一番だろう。
「あちらの方々も元気いっぱいみたいですけどね!」
 緑色の弓を手にして、弦を軽く引いては離し、引いては離しを繰り返しながら、アオイは見やった。
『あちらの方々』を。
 洛陽の城壁が聳える方角からやってくる軍勢を。
 先頭にいるのは、方天画戟を携えた蟲将の偉丈夫――『三国最強』であるところの呂布。
 後に続くのは、黄色い布を頭や腕に巻き付けたイナゴ型の兵士の群れ。
 彼らの中には、大きな旗を掲げている者たちもいた。
 誰もが知るあのスローガンが記された旗だ。

『苍天已死
 黄天当立
 岁在甲子
 天下大吉』

●菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)
 呂布が立ち止まった。
 俺らとの間にはまだ結構な距離があるんだが、強者の『圧』がビンビン伝わってくる。おかげで遠近感がストを起こしやがった。視界の中で奴が占めてる割合は猫の額どころか鼠の耳ほどもないのに、聳えたつ山を見上げてるような気分になってくるぜ。
 ……あー、たまんねえー。こんなのと戦えるたぁ、喧嘩屋冥利につきるってもんだ!
 だけども、お楽しみは後回し。まずは史上最古のカラーギャングども(チームカラーはイエローだとよ)をかたづけないとな。
 向こうも俺らをかたづける気満々らしく――
「こいつら、たったこれだけの人数で洛陽を落とせるとでも思ってんのか?」
「こりゃあ、旦那の手を煩わせるまでもねえな」
「一人残らずイナゴのエサにしてやらあ!」
 ――その場に呂布を残して、こっちに驀進してきた。
「敵性存在、確認……」
 ゼットが呟いた。いつも通り、クールなこって。
「舐めないでください! たかが老兵ごときに止められる私たちではありませんよー!」
 アオイが叫んだ。いつも以上に騒がしいこって。
 だが、騒がしさという点では敵さんも負けちゃいない。
「舐めてんのはそっちだろうが! この青二才どもぉ!」
「老兵呼ばわりは構わねえが、『たかが』だの『ごとき』だのを付けるのは許せねえ!」
「年を食ってるってことは、それだけ場数を踏んできたってことなんだぞ!」
 挑発に乗せられて、ぎゃあぎゃあ喚いてやがる。
「では、今日が場数の踏み納めですね!」
 アオイは緑の弓に矢を番え、きりりと引き絞った……と、言葉にすると勇ましい感じがするが、実際の姿はちょいと頼りない。いや、姿というか武器が頼りない。矢の先っぽが丸まってんだ。タンポ矢みてえによ。
「おいおい! そんな矢で大丈夫か?」
 玄才が慌てて声をかけたが、アオイはどっしり構えたまま――
「大丈夫ですとも!」
 ――弦から手を離し、殺傷能力ゼロって感じの矢を放った。

●八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)
 アオイの丸っこい矢が黄巾党の一人に『ぺちん!』と当たり、『ぽとん!』と落ちる。
 俺の心に浮かんだのはそんなイメージだった。
 だけど、現実は大違い。
 矢が黄巾党に命中した瞬間に聞こえたのは『ぺちん!』なんて軽い音じゃなくて、雷鳴のような……いや、『ような』はいらないな。雷鳴そのものだ。
 もちろん、『ぽとん!』もなし。丸っこい矢は雷鳴を轟かせると同時に雷光を閃かせ、三人ほどの黄巾党を弾き飛ばした。
「はっはー! 初っ端から派手にやってくれるじゃねえか!」
 豪快な笑い声を響かせながら、桐梧がアオイに目をやった。
「この『ピースグリーン』は――」
 誇らしげに胸を張り、弓を掲げるアオイ。
「――落雷を受けた神木から生まれた武具なのです!」
「マジかよ!?」
「……というのは嘘です!」
「ウソかよ!!」
 と、二人が漫才めいたやりとりをしている間に雷鳴の残響は消え去った。
 代わりに聞こえてきたのは黄巾党たちの叫び。
「蒼天すでに死す! 黄天まさに立つべし!」
「蒼天すでに死す! 黄天まさに立つべし!」
「蒼天すでに死す! 黄天まさに立つべし!」
 当然のことながら、ただ叫ぶだけじゃなくて、こっちに迫ってきている。槍だの剣だの旗だのを振り回し、土煙を巻き起こし、地響きを立てて。
 なんとも凄まじい迫力だ。
 でも、俺たちの側は誰一人として気圧されてはいない。
「こいつぁ、思っていた以上に楽しめそうだぜ」
 アオイを見ていた桐梧が敵に向き直り、眼鏡を指先で押し上げた。
「もう一度……いえ、何度でもお見舞いしてさしあげますよ! 雷撃の言霊を!」
 アオイが新たな矢を番えた。
「……掃討を開始する」
 ゼットが静かに宣言した。
 そして、俺は――
「いくぞっ!」
 ――翼を広げて舞い上がった。
 奴らが『すでに死んでいる』と言った蒼い空に。

●アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)
「蒼天すでに死す!」
「黄天まさに立つべし!」
「立つべし、立つべし、立つべしぃーっつ!」
 黄巾党の皆さんは私たちを半円状に取り囲み、左右前方から襲いかかってきました。
 私は素早く飛び退りましたが(逃げたわけじゃなくて、弓を射るために間合いを広げたんですよ)が、前方に飛び出した人もいます。
「おうおう! 威勢が良いのは大いに結構! ……と、言いたいところだが、まだまだ小せえ小せえ!」
 そう、桐梧さんですよ。
「そんなもんは鬨の声とは呼べねえ! せいぜい、癇癪おこした雀の喚き声ってところだ! 俺がお手本を見せてやるぜ! いや、聞かせてやるぜぇ!」
 桐梧さんは大きく息を吸い込むと――
「うぉぉぉぉぉーっ!」
 ――咆哮を轟かせました。
『咆哮』と言っても、ただの大声じゃありませんよー。何人かの黄巾さんが文字通り吹き飛んじゃったんですから。
 続いて、上からも咆哮が聞こえてきました。
「俺たちの蒼天はまだ死んじゃいないぞ!」
 玄才さんですよ。こちらはただの大声ですが、黄巾さんたちは無傷では済みませんでした。大声と一緒に光弾が落ちてきて、『どかーん!』と炸裂したからです。デーモンのパラドクス『双翼魔弾』ですね。
 魔弾だけじゃなくて奇妙な電流みたいなものもビリビリと落ちてきましたが、それはパラドクスではないらしく、全く効いていません。
「ほほう」
 と、空にいる玄才さんが感心したような声を出しました。
「パラドクスに電流を添えれば、威嚇になるかと思ったんだが……まったく動じてないな」
「あったりめえだろうが! こんなショボい稲光でビビるわけねえだろ!」
 黄巾さんの一人が空を見上げて怒鳴っていると――
「広がれ、ゼットン!」
 ――ゼットさんが今日初めて大声を発し、両腕を突き出しました。
 途端に数人の黄巾さん(うち一人は、玄才さんに怒鳴っていた人です)がのけぞりました。なんだかよく判りませんが、ゼットさんの両腕からなにかが放射されたみたいです。

●ゼット・ノアール(群青の傭兵・g01952)
 パラドクス『ゼットンシャワー』を浴びた四体の敵が俺めがけて槍を繰り出してきた。
 四種のバリアシステムのうちの一つを起動。実体なきエネルギーの盾で槍を凌いでいると(さすがにノーダメージとはいかなかったが)、別の敵たちも攻撃をしかけてきた。そちらは『ゼットンシャワー』で反撃。
 その間も連中は『黄天、まさに立つべし』というスローガンを叫び続けていたが、俺の聴覚センサーは別の波形も捕捉していた。
 それは激しい雷鳴。
 アオイが例の矢をまた放っているんだ。
 彼女自身の声も聞こえてきた。パラドクス効果で出現した通信機越しに。
『ゼットさん! 桐梧さんのフォローをお願いしまーす!』
 右斜め後方から飛来した矢が俺の目の前を通過。十時の方向で爆発して、何体かの敵を雷撃で打ち倒した。
 その『何体か』に含まれなかった者たちの相手をしているのは桐梧だ。長大な太刀で斬りかかっている。
 だが、しかし――
「くそっ! ぜっんぜん通用しねえじゃねえか!」
 ――通用するわけがない。パラドクスを用いることなく、太刀をただ振り回しているだけなのだからな。
「無駄に消耗するような戦い方はやめろ、桐梧」
 俺は桐梧の傍に駆け寄り、奴めがけて突き出されていた槍をバリアシステムで防いだ(今回もノーダメージとはいかなかったが)。
「本命がまだ残っていることを忘れるな」
「そうです!」
 アオイの叫びが後方から飛んできた。今度のそれは通信機越しではなく、肉声だ。
「私たちの本命は呂布! 悪いですが、黄巾の皆さんは前座に過ぎません!」
 並み居る『前座』どもはそれに対して反論しかけたが――
「前座じゃないっていうのなら、根性を見せてみろ!」
 ――空を飛んでいた玄才が垂直に降下し、着地と同時に双翼魔弾を発射した。
「黄天は立てるか! それとも、死ぬか! 決めるのはおたくらの頑張り次第だ!」
 魔弾は二体の敵に命中。どちらの敵も無様に吹き飛んだ。
 皮肉な話だが、玄才はその攻撃を以て証明したようなものだ。自分の言葉が間違いだと……。
 そう、黄巾党がどんなに頑張ったところで、黄天が立つことはない。
 戦いが終わった時に立っているのは俺たちディアボロスだ。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!

神山・刹那
へぇ。虎の威を借る狐とは違うみたいだな
お前らなら呂布とやる前の肩慣らしにはなりそうだ
とどのつまり、俺も呂布と同じ様な戰狂よ
強い奴と戦って、自分の技を、強さを磨きたい人でなしよ
さぁ、やろうか。お前らの強さも刻んで、呂布のところに行かせてもらうぜ

蝗襲来で蝗を召喚されても、焦らず、臆さず、残像を残しながら一気に間合いを詰め、相手の防御ごと斬り捨てる
「お前らの強さ、しかと刻んだ。次は、俺の力を呂布に刻むとしようか。くくく、心の昂りが抑えられそうにない。いくぞ、三國無双!」


平良・明
いざ待ちに待った洛陽、往ってきます
蝗さん達には申し訳ないですが、はったおします

門を叩くならやはり拳で
いや、門はもう開いていますが、門とは門にあらず
最近身体を動かせていなかったもんもんを叩きつけます

なんか羽音がとんでもないので、気つけに缶コーヒーを一杯
たぶんなんとかなります、突っ込んでから考えましょう
簡単、一回拳を振れば門に一歩近づきます

真正面に走り込んで殴りますが
正直、呂布とまみえる前に傷は負いたくありません
味方ともよく連携して
緩急つけて一発一発丁寧にぶん殴ります
敵群の動きをよく観察して、囲まれそうなら吹き飛ばし
とどめには、身に染みわたるような強烈な一撃を

狼藉失礼、今殴りにいきます


瀬島・大輝
■アドリブ歓迎

ちっ…
呂布ねェ…歴史に興味無い俺でも知ってるような奴が出てくるとはな
上等じゃねェか まずはコーキンとか言うのを蹴散らすか

閻魔大王から立ち昇る焔鬼の炎を腕に宿らせ
殺気を撒き散らしながら焔魔の焼爪で焼き裂くぜ
物量で白兵戦を仕掛けてくるようだが
んなの抗争で慣れてんだよ 篭手とドスと気迫(結界術)で怪我を抑える
んでまた暴れる その繰り返しよ

こんな人間くせェのが蟲だっつうんだから
ワケわかんねェ場所だよここは 


十六夜・ブルーノ
なるほど強敵だ
少しでもパラドクスを累積させよう
行くよ、ドゥー

残党くんらの動きや
その槍捌きも
拍子を捉えれば避けるのは難しくない

これがきみ達の音楽か
今度はこちらのを聞いてもらうよ

じゃんとブズーキを演奏
ドゥーに頼んで敵陣を飛び回らせる

ブズーキが生む旋律と
ドゥーの槍から放たれる電磁波が変換された音(電磁波音)とが
いいカンジに響き合ってスローガンを打ち消す

お気に召してくれたかな?

そのまま
ドゥーの電磁槍と
旋律が生む光の♪や五線譜との
息の合ったコンビネーション攻撃で
残党くん達を倒していく

事後には
残党くんらの死出の旅路の無事を祈って
餞として演奏を続ける

さて次が本番だ
いざ(じゃかじゃん


●幕間
「蒼天すでに死ぃーす! 黄天まさに立つべしぃーっ!」
 黄巾党の喊声が荒々しさを増した。
 新たなディアボロスたちが戦場に現れたからだ。
 そのうちの一人――ターバンを巻いた少年が黄巾党の面々に笑顔を向けた。
「盛大なシュプレヒコールで出迎えてくれてありがとう」
 サウンドソルジャーの十六夜・ブルーノ(希望の配達人・g03956)である。傍らを飛んでいる小さな黒い影はメーラーデーモンのドゥー。
「お礼に今度はこちらの演奏を聴かせてあげようか」
 ブルーノはブズーキ型の魔楽器『ブリギッド』を軽く鳴らしてみせた。
 もちろん、黄巾党は耳を傾けたりはしなかったが。
「このコーキンとかいう連中のことはよく知らねえが――」
 左頬に大きな傷のある男がサングラス越しの視線をぐるりと巡らせた。
「――向こうにいる呂布ってのは、歴史に興味のねえ俺でも知ってる大物だ。相手にとって不足はねえわな。ちっ!」
 舌打ちのおまけが付いたが、機嫌が悪いわけではない。この男――瀬島・大輝(怒りし地獄の閻魔・g06270)の癖なのだ。
「馬鹿野郎! 呂布の旦那からすれば、おまえらは不足だらけだ!」
「旦那の相手をするなんざぁ、四千年早いってんだよ!」
「だから、おとなしく俺らに殺されとけ!」
 黄巾党が次々と口汚く罵ると――
「へえ」
 ――と、ラフな衣装に身を包んだ青年が緊張感のない声を出した。
 気だるげな目で黄巾党を見つめる彼の名は神山・刹那(梟雄・g00162)。日本刀を得物とする無双武人である。
「虎の威を借るナントヤラって類だと思っていたんだが、そうでもないらしいな。こいつらなら――」
 愛用の刀『覇龍』を刹那は抜き放った。
「――呂布とやる前の良い肩慣らしになりそうだ」
 冷たい刃が白い鞘から滑り出ると、気だるげだった彼の目が一変した。サングラスに隠された大輝のそれと同種のものに。
「その肩慣らし、私もお付き合いさせてください」
 と、青い作業着と作業帽という出で立ちの青年――平良・明(時折の旅行者・g03461)が言った。
「イナゴさんたちには申し訳ありませんが、一人残らすはったおさせていただきます。でも、その前に気付けを一杯……」
 明は懐中から『気付け』を取り出した。
 ホットの缶コーヒーである。

●神山・刹那(梟雄・g00162)
「蒼天すでに死す! 黄天まさに立つべし!」
「蒼天すでに死す! 黄天まさに立つべし!」
「蒼天すでに死す! 黄天まさに立つべし!」
 ナントカの一つ覚えって感じで叫び続けながら、イナゴ兵は俺たちを攻撃した。槍で、あるいは刀で、あるいは手刀や蹴りで、時には中華料理屋のメニューみたいに漢字が書き連ねられた大きな旗まで使って。
「『まさに立つべし』ということは……まだ立ってないってことなのかな?」
 イナゴ兵たちの猛攻を躱しながら、ブルーノが誰にともなく問いかけた。
「ちっ! そうかもな」
 と、舌打ちして頷いたのは大輝だ。今回のチームの中では(この時点で確認できる限りでは)最年長の四十路のオッサンなんだが、年齢だけじゃなくて人相の悪さという点でもぶっちぎりの一番だ。
「寝転がってんのか座ってんのか知らねえが、どちらにせよ――」
 大輝の体から炎のようなオーラがめらめらと立ちのぼっていく。
 ほんの一瞬、スーツの背中のところが透けて、オーラの発生源が見えた。それは刺青だった。罪人をぎろりと睨む閻魔大王の刺青だ。
「――立ち上がらせやしねえ」
「いやー、立派な紋々ですな」
 缶コーヒーを飲み終えた明が大輝の背中に目をやった。
「かく言う私もモンモンを抱えているのですが、それは紋々ならぬ悶々です。そう、最近あまり体を動かせていなかったので悶々としているのですよ。この悶々を拳に託して洛陽の門に叩きつけましょうか。やはり、門を叩くには拳ですね」
 ……こいつはなにをいってるんだ?
「わけの判らねえことをほざいてんじゃねえぞ!」
 明を除く全員の思いを代弁するかのようにイナゴ兵の一人が怒鳴った。

●平良・明(時折の旅行者・g03461)
 残念ながら、私のウィットは黄巾党の皆様に通じなかったようです。
 たとえ通じたところで友好的な関係を結べるわけではありませんけどね。この拳の役割は悶々とした思いを叩きつけることであり、握手ではないのです。
 正しい役割を拳に果たさせるべく、私は身構えました。
 しかし、行動を起こすより先に――
「黄天! まさに! 立つべしぃーっ!」
 ――何体かの黄巾党員が叫びの調子を変え、パラドクスを発動させました。
 それは増殖……いえ、召喚系のパラドクスでした。増殖と見誤ったのは、召喚された者たちの姿形が黄巾党員と同じくイナゴ型だったから。もっとも、黄巾党員たちと比べると、ちょっと貫目不足です。武装は貧弱ですし、面構えも古強者に相応しいものではありません。現地徴集された平信徒といったところでしょうか?
「蒼天スデニ死ス! 黄天マサニ立ツベシ!」
「蒼天スデニ死ス! 黄天マサニ立ツベシ!」
「蒼天スデニ死ス! 黄天マサニ立ツベシ!」
 おなじみのスローガンを棒読み気味に唱えながら、信徒たちは私たちに襲いかかってきました。貫目不足とはいえ、人数は多いですから、脅威と言えなくともないですね。
 しかしながら――
「さて、刻ませてもらおうか」
 ――刹那さんを尻込みさせるほどの脅威ではなかったようです。
 信徒たちの群れに向かって、彼は走り出しました。残像が生じるほどのスピードで……いえ、残像どころか、それは実体のある分身だったようです。信徒たちを日本刀で次々と斬り捨てたのですから。
 分身が信徒を処理している間に本体の刹那さんは召喚者たる黄巾党員の懐に飛び込み、斬撃を浴びせました。
「刹那よぉ。そういうのは『刻む』じゃなくて――」
 別の黄巾党員に大輝さんが斬りつけました。
「――『ブッた斬る』と言うべきじゃねえか?」
 彼が敵を『ブッた斬る』ために用いているのは刀剣の類ではありません。背中から立ちのぼっていたオーラを前腕部に集めて半透明の巨大な爪を形成し、それを振るっているのです。
「刹那さんの刀も大輝さんの爪も切れ味抜群って感じだね」
 ブルーノさんが魔楽器の弦をかき鳴らしました。戦いをヒートアップさせるかのように。
「でも、ドゥーの電磁槍の刺し味も負けちゃいないよ」
「めぇー!」
 メーラーデーモンのドゥー嬢が高らかに鳴き、大立ち回りに加わりました。

●瀬島・大輝(怒りし地獄の閻魔・g06270)
「『刻ませてもらおう』とは言ったが、それは『切り刻む』って意味じゃない」
 新たなコーキン野郎めがけて刹那がヤットウを振りおろした。
「こいつらの強さを己に刻み、血肉に変える――そういう意味だ」
「その前におまえ自身をただの血と肉に変えてやらあ!」
 コーキンが怒声を吐き出した。ほぼ同時に刹那のヤットウを食らったもんで、大量の血も吐いたけどな。黄味がかった半透明の血だ。
 で、その血を拭いもせずに例のスローガンを他の奴らと一緒に連呼したが――
「蒼天すでに死す! 黄天まさに£々〒∴!」
「蒼天すでに死す! 黄天■Ω$♪÷△@!」
「蒼天すでに死す! ※%♯†×Ф↑-∀!」
 ――まともに聞き取れねえよ。
 俺の耳がおかしくなったわけじゃないし、コーキンどもの発音がおかしくなったわけでもないぜ。
 ノイズが混じってるせいだ。
 おっと、『ノイズ』呼ばわりするのは失礼かもしれねえな。それはブルーノが奏でている音楽なんだから。
 コーキンどもはその音楽に調子を狂わされたらしく、攻撃の制度がちょいと低下しているようだ。一方、ドゥーのほうは音楽に合わせて素早く飛び回り、電磁槍をコーキンどもにブッ刺しまくってやがる。
「俺の演奏はお気に召してくれたかな?」
 魔楽器を弾き続けながら、ブルーノはコーキンどもにウインクしてみせた。
 すると、敵もノイズで対抗してきた。こっちは『ノイズ』と呼んでも問題ねえよな? 翅を擦り合わせるかなんかして発生させてる不愉快極まりねえ音なんだからよ。
 言うまでもねえだろうが、それはただのノイズじゃなくてパラドクスだった。
 そして、これも言うまでもねえだろうが、そんなパラドクスごときで俺らは怯んだりしなかった。
「狼藉失礼」
 そう言って動いたのは明だ。
 翅の音を立ててるコーキン野郎どもに突進して――
「今、殴りにいきます」
 ――宣言通り、拳を顔面に叩きつけていった。一発一発、確実に。動きを読まれないように緩急つけて。
 ズレた言動ばっかりのおかしな野郎なんだが、戦い方はシンプルで判りやすいな。

●十六夜・ブルーノ(希望の配達人・g03956)
 前後左右に跳ねるようにして動きながら、明さんはイナゴ君たちを殴り倒していった。実に見事なフットワーク。
 彼の死角に回り込もうとするイナゴ君たちもいたけれど、そっちはドゥーが対処した。見事なフットワークならぬウイングワークで相手の行く手を塞ぎ、穂先に翠の光を帯びた電磁槍をグサっと突き刺していく! これは通信障害の効果を持つパラドクスだから、敵の連携も乱れるかもね。
 もっとも、通信手段(銅鑼だの手旗だの狼煙だの)を必要としない連携はその限りにあらず。何体かのイナゴ君が声を合わせて大輝さんを取り囲み、同時に槍を繰り出した。
 だけど、大輝さんは――
「ちっ! 大人数を相手にすんのは抗争で慣れてんだよ!」
 ――その場でぐるっと回転してオーラの爪を一閃させ、四方八方から迫り来る槍の穂先を切り落とした。
 さすがにすべてを切ることはできず、何本かの槍を体に受けたけど、その程度のことで大輝さんの動きが澱むことはない。
「まとめて、おっ死ねやぁーっ!」
 気合いの叫びとともに逆回転。勢い余ってたたらを踏んでいたイナゴ君たちの喉笛を続けざまに斬り裂いた。
 大輝さんだけじゃなくて俺のほうにもイナゴ君たちは襲いかかってきたけれど、恐るるに足らず。例によって『黄天まさに立つべし!』のスロガーン(俺の演奏がノイズとして混じり込み、まともな言葉になってないけど)に合わせて攻撃しているから、拍子を捉えて簡単に回避することができた。
 攻撃を躱されたことによって、イナゴ君たちは体勢を崩した。
 その隙を見逃すことなく――
「どうぞ、私の悶々を受け取ってください」
 ――明さんが殴りつける。
 続いて、刹那さんが斬りつけた。
「おまえらの強さをしかと刻んだ後は俺の力を呂布に刻んでやる」
 イナゴ君たちを相手にしながらも、意識は既に呂布のほうへと向いているようだ。気が早いとは言えないね。大勢はほぼ決したようなものだから。
 でも、イナゴ君たちはその事実を認めたくないらしい。刹那さんの意識を自分たちに引き戻すために大声をあげた。
「てめえらは旦那になにも刻めやしねえよ!」
「そうだ! ここで俺たちに殺されるんだからな!」
「黄天まさに立つべし! いや、すでに立ったぁーっ!」
 敗北目前という状況なのに威勢がいいねえ。さすがは元・反乱軍。
「ちっ!」
 金属製の篭手に突き刺さった槍(さっき切り落とし損ねた槍だよ)を抜きながら、大輝さんが負けず嫌いのイナゴ君たちをねめつけた。
「こんな人間くせえ連中が蟲だっつうんだから……ワケわかんねえ場所だよ、ここは」
「はぁ? 蟲が人間くさいのは当たり前だろうが!」
 と、イナゴ君の一人が言い返した。
「むしろ、おまえらみたいな猿どもが人間くさく振る舞っているほうがおかしいんだよ!」
 なるほど。蟲将からすれば、自分たちこそが『ニンゲン』ってことか。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【神速反応】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ダブル】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!

●幕間
「こ、こうてん……まさに……た、たつ……べ……」
 黄巾党の最後の一体が息絶えた。
 しかし、ディアボロスたちは冥福を祈ることも勝利に酔うこともできなかった。
 そんな余裕を与えることなく、呂布が歩き出したのだ。
 ディアボロスたちに向かって。
「おまえらとの一戦を少しばかり楽しみにしていたんだぜ。巨大昆虫の森を抜けて洛陽の門前まで来れる奴なんて、そうそういるもんじゃないからな。だが、しかし――」
 方天画戟の間合いに達したところで、呂布は足を止めた。
「――正直、がっかりだよ。黄巾党の連中との戦いぶりをじっくり見せてもらったが、おまえらの強さはせいぜい並ってところだ」
 その言葉に反して、呂布の目は期待に爛々と輝いていた。喧嘩の口上代わりに挑発しただけであり、本当に『並』と見做しているわけではないのだろう。
「とはいえ、並程度の奴が格上相手に思わぬ力を発揮することもあるよな。窮鼠猫を噛むってやつだ」
 三国最強と謳われた蟲将はは方天画戟を垂直に構え、石突きを足下に叩きつけた。
 地面が揺れたような気がした。
「かかってこい、ネズミども!」
 
シークローネ・メーベルナッハ
遅参となりましたが、拙もこれより参戦致します!
あれに見えるが呂布にございますか。距離を置いても感じられる凄まじき威圧感…成程、三国最強の将の名を名乗るに値しましょう。
なれど、拙らも負ける訳には参りません!
いざ、推して参ります!

【ダッシュ】と【飛翔】を組み合わせての三次元機動にて【撹乱】を試みますが、あれ程の敵なれば拙の動きは見えておりましょう。
牽制の意を込めた【一撃離脱】を繰り返しつつ間合いを変えながら敵の動きを見据え、翻弄されぬよう見定めて参ります。
攻撃に移る際は、敢えて敵の間合いで一瞬足を止めて攻撃を誘い、其処に斬り込む形にて『疾風、即ち無間絶影』を発動。

この一撃、届きませ…!


神山・刹那
よう。呂布
三國無双と謳われた伝説の豪傑なんだろ?
口で語るのは苦手なんでな。こいつ(刀)で語らせてもらうぜ
さぁ、一勝負しようぜ
俺の武をお前に刻み、お前の武を踏み越え、俺はさらに先に進んでみせる!

その舞、飛ぶが如く!で行動されるより前に、神速反応で先手を取り、雲を裂き、大地も砕けよと言わんばかりの渾身の一太刀を呂布に打ち込む
呂布の攻撃は、致命傷と急所を避ける様に、最低限の防御で応じる
「くくく、流石は三國無双。楽しいなぁ。自分の全てをかけて戦える相手のいる事の何と楽しいことか。呂布、俺はお前を超え、お前がたどり着いた以上の境地に至ってみせる。続きは地獄でやろうぜ。修羅道の入り口で待ってな」


黄泉王・唯妃
※アドリブ&連携歓迎
効果2を全使用。

さてお次の蟲は貴方ですか?
呂布奉先、三國志を知らずともその勇名は天下に轟いてはいますが……。
関羽すらも退けた復讐者相手に一匹で出向くとは舐められたものですね。
いいでしょう、後で八匹纏めてくればよかったと後悔させてあげますよ。

硬質化した蜘蛛の手足で接近戦を仕掛け、相手の意識を打撃に注視させたところで鋼糸による【早業】【捕縛】で【不意打ち】、首狙いで【暗殺】せしめんと【計略】を練ります。
反撃に対しては、事前に【トラップ生成】で蜘蛛の糸を周囲に張り巡らせておき相手の動きを目で追わず切れていく蜘蛛の糸から相手の動きを読んで致命傷だけを避けるように立ち回ります。


御守・樹
アドリブ連携OK

呂布でアヴァタール級ならそれ以上のジェネラル級の将ってどうなんだよ!って言いたくなる。単なる武力だけじゃないって事なのかもしれないけど、それでもネームバリューっていうのか?それの意味するところはでかいと思うんだよな。

【光学迷彩】を纏い身を隠し【忍び足】で移動しなるべく自分自身の気配を絶つ。呂布の様子を【観察】し、状況か隙を見て【ダッシュ】か【飛翔】で一気に距離を詰め、アサシネイトキリングで攻撃を。とにかく全力の一撃を叩き込む。
一応相手の攻撃が来るときには【一撃離脱】の要領で、攻撃されたほうに動く事で力を逃がすようにする。しないよりはマシって程度だが。


●神山・刹那(梟雄・g00162)
 いつの間にやら、新たな面子が戦場に加わっていた。
 ミニ丈仕様の巫女装束を纏ったインセクティアの娘――シークローネ。
 セーラー服姿の同じくインセクティアの娘――唯妃。
 そして、俺と同世代(ちなみに俺は今年で二十二だ)なのに中高生みたいなツラをした男――樹。
 仲間が増えたのは心強い。呂布は窮鼠に例えやがったが、こいつらは(もちろん、俺も)猫に噛みつくネズミなんかじゃない。龍をも食い殺す餓狼か猛虎ってところかな。
「呂布奉先」
 唯妃が赤い瞳で呂布をじっと見据えて、フルネームで呼びかけた。
「たとえ三国志を知らぬ者でも、天下に轟くその勇名を耳にしたことはあるでしょうが――」
「そうだろうとも」
 と、胸をそびやかす呂布を無視して、唯妃は言葉を続けた。
「――関羽すらも退けたディアボロスを相手に一匹で出向くとは驕傲が過ぎるというもの。私たちを舐めないでいただきたい」
「笑わせるな!」
 呂布はそう叫んが、べつに笑ってはいない。
「関羽ごときを退けたことが自慢になるかよ! いや、相手が関羽でなかったとしても、『退けた』程度で勝ち誇るんじゃねえ! 戦場で勝利者と呼べるのは、敵の首を取った奴だけだ!」
 いやいやいやいや。『関羽ごとき』なんて言ってるけど、おまえはアヴァタール級に過ぎないだろうが。ジェネラル級の関羽と相対すれば、あっさりと支配下に置かれるぞ。
 シークローネも俺と同じことを思ったらしく――
「やれやれ」
 ――呆れと感嘆が混ぜ合わさったような溜息をついた。
「さすがは呂布。矜持と自信はジェネラル級に匹敵するようですね」

●黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)
「矜持と自信だけじゃない」
 指ぬきグローブに包まれた両手を何度も開いては握りながら、樹さんが言った。
「たぶん、強さという点でもジェネルラル級に匹敵……とまではいかないまでも、アヴァタール級の枠に収まってはいないだろうな」
「確かに……これほど凄まじい威圧感を発しているのですから、強者であることは間違いないのでしょう」
 シークローネさんが腰から武器を抜いた。刹那さんの得物と同じく日本刀よ。
「なれど、拙らも負けるわけにはいきません!」
 走り出すシークローネさん。その雄姿は、猛々しくも美しい豹を想起させた。
 四歩目か五歩目で豹は鷹に変わった。そう、パラドクスの効果で空に舞い上がったの。
「いざ、推して参ります!」
「けっ! 『推して参る』とかなんとか、つまらねえ断りは入れなくていいんだよ。おまえらが――」
 呂布のほうは走り出したりしなかったけど、なにもしなかったわけじゃない。垂直に突き立てていた方天画戟を両手で構え直した。
「――無礼な推参者だってことは最初から判ってんだからな!」
『無礼な推参者』であるところのシークローネさんは呂布めがけて急降下。でも、武器の間合いに達する寸前に虚空を蹴るようにして上昇した。呂布の頭上で螺旋を描き、今度は別の方向から急降下……と、見せかけて、また攻撃せずに離脱。おそらく、敵を牽制しつつ、攻撃のタイミングを計っているのでしょう。
「おいおい。小蠅みたいに飛び回ってるだけじゃあ、俺を倒すことはできないぜ」
 方天画戟を回転させながら、呂布がシークローネさんを挑発した。
「ほら、さっさとオシテマイれよぉ」
「では、お言葉に甘えて……」
 シークローネさん、三度目の急降下。
 きっと、今度は牽制では終わらないでしょうね。

●御守・樹(諦念の珪化木・g05753)
 シークローネは大胆にも呂布の目の前に降り立った。着地の姿勢は隙だらけ。だが、それは相手の攻撃を誘うためだろう。
 百戦錬磨の呂布のことだから、シークローネの意図は容易に見抜くことができたはず。にもかかわらず、躊躇や逡巡の素振りなど見せず、プロペラのように旋回させていた方天画戟を素早く繰り出した。
 ほぼ同時にシークローネが地を蹴り、呂布の真横を突っ切っていった。刀を振り抜きながら。
「この一太刀、届きませ!」
 すれ違い様に呂布の脇腹から血らしきもの(茶色がかった白い液体だ)が噴き上がった。叫びに託した願い通り、シークローネの一太刀は届いたらしい。
 しかし、彼女も無傷では済まなかった。左肩を深く斬り裂かれ、血(もちろん、こっちは赤い)がどくどくと流れ出している。
 その傷を与えた呂布はといえば、駆け抜けていった標的を目で追うこともなく、新たな標的――刹那をまっすぐに見据えていた。
「くくくっ……」
 不気味に笑いながら、刹那はゆっくりと呂布に近寄っていく。
「呂布よ。俺は口で語るのは苦手なんでな。こいつで語らせてもらうぜ」
『こいつ』というのは、手にしている日本刀のことだろう。
「俺の武をおまえに刻み、おまえの武を踏み越えて、俺はさらに先に進んでみせる! そう、おまえがたどり着いた境地の更に……」
「ゴチャゴチャうるせえ!」
 刹那の言葉を呂布が咆哮で遮った。
「『口で語るのは苦手』とか抜かしときながら、ベラベラと喋りまくってんじゃねえよ。カッコつけてないで、さっさとかかっ……」
「たぁーっ!」
 今度は刹那のほうが咆哮で遮った。
 大上段から刀を振り下ろしながら。
 呂布の体の中心に垂直の線が引かれ、真っ二つに……なったように見えたが、それは残像。奴は大きな図体に似合わぬ華麗かつ俊敏な動きで後退していた。
 とはいえ、刹那の刀が斬ったのは残像だけじゃない。三国最強と謳われた男の胸には縦向きの傷跡がしっかりと刻まれていた。

●シークローネ・メーベルナッハ(其は生ける疾風怒濤・g00007)
 後方に跳ね退いた次の瞬間、呂布はステップターンのごとき軽やかな足さばきで前進しました。
 本人のターンに合わせ、水平に構えられた方天画戟も唸りをあげて回転。
「うおっ!?」
 方天画戟の穂先の軌道上にいた刹那さんが慌てて飛び退りましたが、半秒ほど遅かったようです。斬撃を胸に受けてしまいました。
「これでお揃いだな」
 刹那さんの胸に生じた傷を見て、呂布がニヤリと笑いました。お揃いといっても、傷の形は違います。呂布のそれは縦方向に走っていますが、刹那さんに刻まれたのは横方向。
「くくくっ……」
 刹那さんもまた不敵な笑みを見せました。
 そして、再び斬りかかる……と、思われた矢先、呂布の背後から人影が飛び出しました。
 樹さんです。
 呂布の意識が刹那さんに向いている間に気配を消して忍び寄っていたのでしょう。気配を消すだけでなく、パラドクス効果の光学迷彩も用いたようですが、あまり役には立たなかったと思われます。光学迷彩というのは名前が持つ印象に反して完全に透明になれるわけではありませんから(身を隠した時に迷彩模様で覆われるだけです)。およそ戦闘には向かない効果です。
「おりゃあ!」
 樹さんの拳が呂布に叩き込まれました。しかし、残念ながら、致命傷にはならなかったようです。呂布は攻撃を察知して瞬時に身を捻り、急所への命中を避けましたから。
「小狡い手を使いやがって!」
 呂布は再びステップターンを披露して反転し、樹さんめがけて方天画戟を突き出しました。
「だが、許してやろう! ネズミごときが正攻法で俺に勝てるわけないもんな!」
「ぐあっ!?」
 反撃を受けてのけぞる樹さん。
 呂布は二撃目を繰り出すことなく、先程と同じように反転しました。
 またもや背後から刺客が迫ってきたからです。
「聞いたところによると、あなたは全部で八匹いるそうね。きっと、後悔するわよ。私たちを相手に――」
 今度の刺客は唯妃さん。武器は持っていません。硬化した手足による格闘戦を仕掛けたのです。
「――八匹全員でかかってこなかったことを!」
「『八匹』じゃなくて『八人』だろうが! 言葉に気を付けろ、このメスザルが!」
 特大ブーメランのごとき発言ですね……。

●幕間
『八匹』という言葉に憤った呂布であったが、今は余裕たっぷりの表情を見せている。
「ぬるすぎるぜ。こりゃあ、八人どころか半人で……いや、四半人で充分だ」
 実際、呂布は四半分の力も出していないのだろう。いとも簡単に唯妃の手刀や蹴りを方天画戟で受け流し、あるいは躱していた。
「他の連中はネズミだが、おまえはそれ以下だよ。ネズミにたかるダニってところだな」
「ダニの一噛みが――」
 唯妃は奇妙なモーションで両の拳を突き上げた。
 相手を殴るためではない(殴ろうとしていれば、また受け流されるなり躱されるなりしていただろう)。
 だが、それは確かに攻撃のための一手であった。
「――命取りになることもあるのよ」
 二つの拳が交差し、なにかが呂布の首に絡まった。
「……う゛っ!?」
 呂布に呻き声を出させたその『なにか』の正体は、粘性を有した極細の糸。唯妃のパラドクス『絲妃(アラクネ)』の産物である。
 糸は蟲将独特の硬質の体表に深く食い込んだ。バターでも切るかのように容易く。トループス級ならば、一瞬で首と体が離れ離れになっていたかもしれない。
 しかし、トループス級ならぬ呂布は力任せに糸を断ち切り、唯妃に反撃を加えた。
 愉快そうに笑いながら。
「意外とやるな、ネズミ!」
 ダニへの降格は取り消したらしい。
 
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV2になった!
【一刀両断】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!

ゼット・ノアール
「敵性存在、『呂布』…この名を聞くだけで何人かはテンションが上がるようだ。
…しかし、武人などではない。簒奪者だ」

データによると裏切り者の代表格でもあるらしい
ジェネラル級並の力は油断ならないが、痛い目を見せてやろう

負傷している者はミサイルで煙幕を張っている間に離脱するといい


接近戦を仕掛ける者の合間をぬってゼットンを発射
バリアシステムで囲み、動きを制限して爆発させる

防御ごと粉砕してくるらしいが
阻むものが多ければ多い程消耗は早くなる 武装も身体もな
ブラックステークの杭とバリアでその一撃、削ってやろう

※アドリブ大歓迎です


八栄・玄才
小細工は不要
一撃、一番イイのをブツけるしかねぇな

関羽に攻撃を届けられた時の、"敵を叩く"以外の何もかもが削ぎ落とされたような集中
あの状態に到達できれば、呂布にも拳は届くハズ

大地を踏み締め、【呼吸法】で逸る気を抑え意識を集中
敵の動きに【臨機応変】に対応できる開手の構えで呂布が攻めて来るのを待つ

方天画戟の攻撃に合わせて《神速反応》で敵の懐に【突撃】し、錬気帯電を解放しての利器砕きによる全力【粉砕】の一撃
倒れてもイイって李さんも言ってんだ
呂布の甲殻の奥まで衝撃を届けることだけ考えろ!

……ああ、でも
オレがブッ倒れる前に、呂布が倒れるところは見てぇなぁ……
そっちの方が「勝った~~」って気がするしよ


安藤・優
※アドリブ連携歓迎
自分が弱いって事くらい自分が一番理解してるよ?
まぁ相手が強いからって引く理由にはならないだろうし
…自称最強に負ける気はないよ。

真っ向から全力でぶん殴ってそのまま吹き飛ばされる感じで、捨て身の一撃を食らわせてやる

怒り、怨み、憎み、呪え、我が怨讐は焔と成りて、仇なす者を灼滅せん…

力一杯踏み込んだ全力の突撃で確実に一撃は当ててやる!

灼滅せよ、煉獄の刃!


●八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)
 何発ものミサイルが不規則な軌道を描いて乱れ飛び、次々と炸裂した。
 それによって発生したのは紅蓮の爆炎じゃなくて、灰白色の煙幕だ。
「今のうちに負傷者は離脱しろ」
 ミサイルの撃ち手であるゼットが手負いの仲間たちに告げた。
「わざわざ煙幕なんざ張らなくても――」
 濛々と立ちこめる煙幕の向こう側から嘲りの声が聞こえてきた。
「――『見逃してください』と泣いて頼めば、追い討ちをかけたりはしねえよ。こちとら、尻尾を巻いて逃げ出すような弱っちい連中をいびり殺して喜ぶような趣味は持ち合わせちゃいないんだ」
「確かに僕は弱っちいよ」
 と、言い返したのは優。まだ十二か十三くらいのボウズなんだが、煙幕(の向こうにいる敵)のほうに向けられた眼差しからは、およそ『弱っちい』とは言えない意志の力が感じられる。
 一方、優の横にいる女の子がどんな眼差しをしているのかは判らない。オラトリオだから、目が隠れてんだ。
「自分の弱さは自分が一番理解してる。でも、『見逃してください』と泣いて頼んだりはしない。相手が強いからって、退く理由にはならないし……そもそも、ぜっんぜん負ける気がしないんだ」
「はっ! 言うじゃねえか」
 煙幕が晴れて、声の主が俺たちの視界に戻ってきた。
 呂布だ。
 方天画戟を手にして威風堂々と立ってやがるが、その体は無傷じゃない。胸のところを垂直に断ち切られているし、白い血の滲む線が首を一周しているし、その他にもいくつかの傷がついている。シークローネ、刹那、唯妃、樹――仲間たちが刻みつけたパラドクスの痕跡。
 今度は俺が刻みつける番だ。
 小細工は不要。
 一撃……一番いいのをブツけてやる。

●ゼット・ノアール(群青の傭兵・g01952)
 玄才が足を開き、腰を落として身構えた。
 無言ではあるが、口の辺りから『すぅー』という音が聞こえる。息を吐いているんだ。
 暫くすると、今度は深く吸い込み、また吐き出し、吸い込み……。
 そうやって呼吸を整えている間に優が動いた。オラトリオのアウロラをその場に残し、ゆっくりと呂布に近付いていく。手にしているのは巨大な鉄塊剣。
 そして、俺もまた呂布に向かって歩き出した。
「敵性存在、呂布――その名を聞くだけでテンションが上がる者は少なくないようだ」
 実際、何人かの仲間たちのテンションは上昇している。新宿グランドターミナルでのブリーフィングの際に『呂布』の名前が出た瞬間から。
「それはおまえが勇猛なる武人として知られているから……という理由だけではないらしいな。データによると、おまえは裏切り者の代表格でもあるそうだ」
「ふん!」
 と、裏切り者の代表格は鼻を鳴らした。
「それはおまえらの偽りの歴史における『呂布』の話だろうが。ここにいる本当の俺は裏切り者なんかじゃない」
 偽りの歴史? 聞き捨てならないな。
 だが、俺より先に優が指摘した。
「おまえたちが改竄した歴史こそ、偽りじゃないか!」
 彼が抱いているであろう激しい怒りが炎として顕現した……という表現は詩的に過ぎるか? まあ、とにかく、炎が発生したのは事実。パラドクスが発動し、鉄塊剣の分厚い刀身が燃え上がったんだ。
 その炎に驚く様子も見せず、呂布はなにか言い返そうとしたようだが――
「灼滅せよ、煉獄の刃!」
 ――優が叫ぶほうが早かった(『灼滅』なる言葉の意味は判らない。おそらく、造語だろう)。
 もちろん、ただ叫ぶだけでなく、鉄塊剣で斬りかかっている。

●安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)
 攻撃命中!
 炎を纏った刃が呂布の左肩の甲殻を打ち砕き、肉に食い込んだ。
 鉄塊剣の柄から伝わる手応えは重かった。
 だけど、たいしたことはない。
 次の瞬間に僕の体全体を襲った衝撃に比べれば……。
 そう、方天画戟による反撃を受けたんだ。
 僕は吹き飛ばされ、背中から地面に落ちた。体に受けたダメージは小さくないけど、気持ちのほうはべつにヘコんでない。こうなることは覚悟の上で真正面から斬りつけたんだから。それにダメージが小さくないという点は敵だって同じはず。
 アウロラに助け起こしてもらって、僕は再び呂布に向き直った。でも、呂布は僕を見ていない。
 なぜなら――
「全エネルギー収束」
 ――そう呟くゼットのほうに気を取られているから。
「最大パワー……吹き飛べ!」
 ゼットが片腕を突き出すと、灼熱のマグマを丸めたかのような球体が掌から放たれ、呂布にぶつかった。
 そして、爆発!
 赤い炎と黒い煙が轟音とともに広がり、呂布の姿を覆い隠した。
 これがフィクションなら、誰かが『やったか?』なんてフラグめいた台詞を口にすることだろう。でも、現実の戦場にはそんな脳天気な人はいない。
「……」
 ゼットがなにも言わずに防御の姿勢を取った。黒い篭手を装着した両腕を胸の前で交差し、ビームシールドを展開。
 数秒後、その判断が正しかったことが証明された。
 炎と煙を突き破り、呂布がまた姿を現したんだ。笑い声を響かせながら。
「うはははは! こういう派手な攻撃は嫌いじゃないぜ!」
 僕のパラドクスがそうであったようにゼットのパラドクスも結構なダメージを与えたはずだけど(球体が命中した胸の部分は大きく抉られている)、まったく怯んでいないようだ。
「しかし、攻撃に比べて防御のほうはぬるすぎるな! そんなもので俺の戟を防げるものかよ!」
 方天画戟が振り下ろされ、ビームシールドはあっさりと断ち切られた。
 その後方にいたゼットもろとも。
「防げないのは百も承知だ」
 表情筋をほとんど動かさずにゼットはそう言ってのけた。強烈な一撃を食らったにもかかわらず、呂布と同様にまったく怯んでいない。
「だが、阻むものが多ければ多いほど、おまえの消耗は早くなる」

●幕間
「だったら、消耗し尽くす前にケリをつけるまでぇーっ!」
 呂布が方天画戟を構え直した。咆哮をぶつけた相手はゼットだが、視線の先にいるのは彼ではない。
 静かな足取りで前に出てきた玄才だ。
 もっとも、すぐに『静かな足取り』ではなくなり――
「利器砕きっ!」
 ――裂帛の気合いを発して、一気に踏み込んだが。
 雷光を帯びた掌底が呂布の脇腹に打ち込まれ、火花が散るような音が響いた。
 その音に重なったのは呂布の大音声。
「たぁーっ!」
 痛みに悲鳴をあげたのではなく、こちらも気合いの叫びである。
 垂直に構えられた方天画戟が杵のように打ち下ろされ、玄才の右肩に穂先が抉り込んだ。
 一方、玄才の掌底は相手の甲殻に傷一つつけていない。しかし、彼は確信していた。自分の与えた衝撃が甲殻をすり抜けて内部に浸透し、目に見えぬダメージを与えたことを。
 玄才と呂布は同時に飛び退り、距離をあけた。互いに相手の第二撃を警戒したのだ。
「いいのを食らわすことができたが、こっちもいいのを食らっちまったな」
 無惨な傷口を晒している肩を玄才は一瞥し、すぐにまた呂布に視線を戻した。
「最後まで立っていられるかどうかは判らねえが、できれば、てめえがブッ倒れるところをしっかり見届けたいもんだ。そっちのほうが『勝ったぁーっ!』って気がするしよ」
「残念だったな。おまえは最後まで立っていられないし――」
 不遜とも無邪気とも取れる笑みを浮かべて、呂布は断言した。
「――俺は絶対にブッ倒れたりしない!」
 自信に満ち満ちたその声は、聞く者の戦意を喪失させるに充分なものであった。
『聞く者』がディアボロスでなければの話だが。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!

菱神・桐梧
アドリブ連携大好き
戦闘中は適度に煽って【挑発】

――俺達が並ならてめえは三下ってとこだな。
あんなもんで判った気になってんじゃ、三國最強の名が泣くぜ?
ま、喧嘩してえのはこっちも同じだ。
お望み通り遊んでやるよ、蟲野郎!

あの力量相手に小細工も防御も無駄か
多少のダメージは無視、倒れるまで前のめり
のっけから【突撃】かまして真っ向勝負だ!

最後にどデカい一発をぶちかます
その狙いを気取られない様
持ってるもん全部で全力の【連撃】を仕掛ける

自慢の大技見せてみな
御礼にパラドクスでお返しだ
【捨て身の一撃】全力カウンターでありったけをぶち込んでやるぜ!

ネズミに喰われちまったな?
まだ足んねえだろ、ついでに踏み潰されてな!


平良・明
待ってました、呂布を名乗る強そうな方
並でけっこう、並は並なりに本気で波乗らせて頂きます

人の行い彩雲、その上に蒼天死すこと無し

「時重」で自分と呂布との間にある強い引力を確かめて
ひたすら地面を宙を飛翔しつつ、敵に向かって落ちながらの戦闘です

呂布の攻撃は「斥力」でお互いバシッと弾き飛ばして何とかこらえ
落ちる距離が大きければ大きいほど衝撃は強くなる
重力の波を乗りこなしましょう

門叩かずともここにあり
「ゲート」に渾身一切を込めて
質量のこもった熱い蹴り


ソフィア・ローザモンド
あれが…呂布さん…。三国でも最強と名高いだけあって…見ているだけでも気圧されますね…。でも…!
「弱虫にだって意地はあるんです…!それを…私は届けてみせます…!」

みんなを…。そして弱気に負けそうな自分を鼓舞するように力一杯【演奏】と【歌唱】することでケルベロスさんを創造します…!
そして…愛馬と共に駆ける呂布さん目掛けて…。ケルベロスさんに空からは『雷』の力による落雷を。地面からは『氷』の力による氷柱を広範囲にばらまくことで動きを制限させて…。動きが鈍った時に『炎』の力による火炎放射による一撃を狙います…!

(心情:ボロボロになる覚悟でせめて残留効果だけでも支援をと覚悟を決めてます)


●菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)
 傷が男の勲章だというのなら、今の呂布は勲章まみれだわな。
 左肩の殻は優のドデカい剣で砕かれてるし、胸んところはゼットのかめはめ波(正式名称は知らん)を受けて石榴みたいに弾けてるし、他にもいろんなところに『勲章』をぶら下げてやがる(玄才の掌底は『勲章』を与えなかったが、きっと体の中をグチャグチャにシェイクしたはずだ)。
 強敵相手にこれほどの『勲章』を授けることができた仲間たちを褒めるべきか、『勲章』の重みに押し潰されることなく立ち続けている呂布を褒めるべきか……迷っちっまうなあ。とりあえず、今からカッコよく活躍するであろう自分を褒めとくか。俺様、サイコー! ヒューヒュー!
 と、気分を盛り上げていると――
「さすが呂布さん……見ているだけで気圧されますね……わ、私みたいな弱虫とは格が違いすぎます……」
 ――自己肯定感低めの独り言に水を差された。
 その震え声の主はソフィア。機械化ドイツ帝国出身の小娘だ。
「で、でも……」
 リアライズペインターの武器であろう絵筆をぎゅっと握りしめて、自称『弱虫』は呂布をまっすぐに睨みつけた。
「弱虫にだって意地はあるんです……そ、それを……私は届けてみせます!」
 ビビッてるけども、やる気はたっぷり。いいぜ、弱虫。上等、上等。
「先程、あなたは私たちのことを『並』と評されましたが――」
 と、もう一人の上等な野郎が落ち着いた声で呂布に話しかけた。
 オヤジギャグが大好きな明だ。
「――並で結構ですよ。並は並なりに本気で波に乗らせていただきます」
「はぁ?」
 呂布は眉をひそめた。
「上手いこと言ったつもりで悦に入りやがって……並じゃなくて調子に乗ってんじゃねえか」
 おまえこそ、上手いこと言ったつもりかよ?

●ソフィア・ローザモンド(どこにでも居た少女・g06906)
「俺たちが並なら、てめえは三下ってとこだなあ」
 桐梧さんが憎たらしげな声で呂布さんを挑発しました。
 効果は覿面。呂布さんの体からめらめらと怒りの炎が燃え立っています。もちろん、本当に燃えているわけではなくて、私の恐怖心が生み出したイメージに過ぎないのですが……。
「あ、あまり刺激しすぎないほうがいいのでは?」
 と、小声で意見を述べてみましたが、桐梧さんは耳を貸すことなく、挑発を続けました。
「てか、俺たちのことを本気で並だと判断したのなら、審美眼ならぬ審強眼が腐ってるぜ。スカウターがブッ壊れてんじゃねえの?」
 ……すかうたー?
「『飛将』と謳われた俺を三下扱いかよ? 審強眼が腐ってるのはどっちだかな」
 呂布さんは静かにそう言い返しました。怒鳴らなかったのは意外ですが、その声は怒気を帯びている……というか、怒気だけで構成されているような気がします。
「じゃあ、どっちの審強眼が正しいか確かめようじゃねえの」
 熱風のごとき怒気を涼しげな顔で真正面から受け止めて、桐梧さんが身構えました。
「そうしましょう」
 明さんが小さく頷き、足を踏み出しまた。
 前ではなく、空に。
 パラドクス効果を使って、ふわりと舞い上がったのです。
「宣言通り、波に乗らせてもらいます」
『飛ぶ』というよりも『泳ぐ』といった感じの動作で、明さんはすいすいと上昇して――
「ご指摘の通り、調子にも乗っていますよ。ついでに図にも乗らせていただきます」
 ――呂布さんに向かって一気に急降下!
 そして、頭頂部めがけてキック!
 かなり痛そうな一撃です。でも、呂布さんは屈しませんでした。
「じゃあ、俺も乗らせてもらうか!」
 叫んだ瞬間、彼の背丈がぐぅーんと伸びました。
 いえ、怒りの炎が見えた(ような気がした)時と同じように、それはイメージに過ぎません。
 だけど、彼の頭の位置が高くなったのは紛れもない事実です。
「この赤兎馬によぉ!」
 どこからともなく出現した大きな赤い馬(あるいは馬に似たなにか)に跨がったのですから。

●平良・明(時折の旅行者・g03461)
「ヒヒィーン!」
 赤い馬(おそらく、『赤兎馬』と呼ばれるクロノ・オブジェクトでしょう)が嘶き、前半身を上げて前足で激しく宙を掻きました。
 私は素早く高度を上げて離脱……したつもりだったのですが、自分で思っているほど素早くはなかったようです。馬上の呂布が突き出してきた方天画戟を受け、墜落してしまいました。なんとか受け身を取ることはできましたし、追撃を受ける前に立ち上がることもできましたけどね。
「だ、大丈夫ですか、明さん?」
 ソフィアさんの声が横から聞こえてきました。凄惨な戦場には似つかわしくない陽気な旋律と一緒に。
 見ると、彼女はピアノを奏でていました。さっきまで、そんな物はなかったはずですが……おそらく、リアライズペインターの筆で描き、具現化したのでしょう。
「大丈夫ですよ」
 鍵盤を叩くソフィアさんに私は頷いてみせました。ピアノから流れる旋律を『戦場には似つかわしくない』と評しましたが、仲間(おそらく、自分自身も)を励ましたいという彼女の想いはしっかり伝わってきましたし、実際、励まされました。どんなに勇ましい軍歌や行進曲を聴いても、これほどまでに心強くはならないでしょう。
 しかも、旋律の作用はそれだけでありませんでした。
「お願いします! ケルベロスさん!」
 三つの頭を有する地獄の番犬――ケルベロスが現れ出たのです。
 ただ、そのケルベロスも戦場には似つかわしくない存在でした。外見が可愛らしくデフォルメされている上に子犬ほどの大きさしかないのですから。
「な、なんだ、この珍妙な犬っころは?」
 さすがに呂布も鼻白みましたが、すぐに気を取り直したらしく――
「たぁーっ!」
 ――ぬいぐるみじみたケルベロスを無視して、ソフィアさんに向かって赤兎馬を走らせました。
 そして、ピアノの横を通り過ぎ様に方天画戟を一閃。
「……っ!?」
 脇腹を突かれて、ソフィアさんは小さな呻きを漏らしました。しかし、ピアノから離れることはありませんでした。もちろん、演奏も続けています。
「そのうっとうしい音楽をとめろ!」
 呂布は赤兎馬を反転させて、今度は後方からソフィアさんに襲いかかろうとしました。
 しかし、ケルベロスが短い足でちょこまかと駆け、行く手を塞ぎ――
「がおー!」
「がおー!」
「がおー!」
 ――三つの口を大きくあけて雄叫びをあげながら、呂布に攻撃を加えました。
 左の頭は雷撃で。
 右の頭は氷柱で。
 そして、中央の頭は炎弾で。

●幕間
 雷、氷、炎。呂布に浴びせられたものはその三つにとどまらなかった。
「おい、三下! いつまでワン公なんかと遊んでんだよ!」
 四つ目は桐梧の悪態だ。
『かかってこい』とばかりに彼は指先をくいと動かした。
「ふん!」
 呂布は馬首を返して桐梧に向き直り、鞍から降りた(彼の足が地に着いた瞬間、赤兎馬は消え去った)。
「そのクソ度胸だけは褒めてやる……と、言いたいところだが、度胸に実力が伴ってなければ、滑稽なだけだ。ネズミが強がっているようにしか見えないぞ」
「確かに滑稽だな。強がってるネズミに食い殺される奴がドヤ顔を決めてんだからよ」
「ほざけ!」
 呂布は怒号とともに地を蹴った。方天画戟の間合いに持ち込むために要したのはたったの三歩。
 彼が繰り出した稲妻のごとき突きを桐梧は躱せなかった。
 いや、あえて躱さなかったのだ。
「やっぱ、訂正。てめえはネズミに食い殺されるんじゃなくて――」
 激痛のせいで消し飛びそうになる意識をなんとか繋ぎ止め、桐梧はパラドクスを発動させた。敵から受けた衝撃を己の力に変じるパラドクス。
「――殴り殺されるんだよぉーっ!」
『ネズミ』の拳が唸りをあげ、『三下』の左胸にめり込んだ。
 
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
【飛翔】がLV3になった!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】がLV2になった!
【グロリアス】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV5になった!

瀬島・大輝
■アドリブ歓迎

ちっ…さっきのはやけに煩い奴らだったが…
こっちはアヴァタールとは思えねェ覇気が有んな
龍でも背負ってやがるのか?

自覚があるのか知らねぇが 武人ぶっても手前ェは盗人なんだよ
閻魔の裁き、受けてもらうぜ‥‥
宴魔の活裁で変異して、殺気と気迫(結界術)を纏いながら突撃する

だが一撃を真面に食らうのは拙い
ドスでほんの少し矛先をずらす事が出来れば俺も最大の一撃を食らわせられる
勝負は一瞬だ 死線は根性で乗り越えてやる…
後は他の手を借りるか


十六夜・ブルーノ
いよいよだ
如何にも剣呑な相手だけれど
精一杯やるだけだ
くれぐれも気を付けてね、ドゥー

さて次は俺達がお相手仕ろう
英雄豪傑は詩に歌われるもの
きみの最期を歌わせてもらうおうか

ブズーキをじゃん
呂布の動きにBGMを付けるみたいに

流石に武人、豪速の技だけれど
魔力を込めた音色が空間に干渉しているから
微妙に冴えが鈍るんじゃないかな

そして戟の拍子を捉えて先読みし
【完全視界】で霊気宿した瞳で軌道を把握すれば
十分に避けられる

正確無比な技故に見切りやすいってやつ?
…結構冷や冷やものだけど

葬送の旋律で
呂布くんを空間ごと改竄世界史から消し去る
じゃあね

そのまま演奏を続けて
死出の旅路の餞とする
今度こそ歌えた、かな?


アオイ・ダイアログ
並で結構
別に自分が強いとは思ってませんしね
ですが、強者に食らいつく闘志には事欠きませんよ!
万夫不当と謳われた呂布の名、相応しいか試しましょう🎵

IDOLスタイル(アイドル衣装姿)にチェンジです🎵
歌届く限り燃やしてあげます!

勇気よ輝け闘志を燃やせ
聳える恐怖に挫けぬ為に
一寸前の闇を貫き、先にある希望を掴め!

赤兎馬で突っ込んできたら薙刀を呼んで受け流します
そのまま受けずわざと吹っ飛んだりして威力を殺しますよ
歌は止めてあげませんがね!

歌に宿る言霊から逃れる術なし
そのお命、頂戴します!


●瀬島・大輝(怒りし地獄の閻魔・g06270)
 呂布の野郎はボロボロだ。体中が白い血に塗れ、面具みたいな殻には亀裂が入り、左胸のあたりは窪んでる(面具を壊したのは明で、左胸を凹ませたのは桐悟だ)。
 それでもなお堂々と立ち、ゴツい得物を構え、殺気を漲らせた目でこっちを睨みつけてくる様には凄みがあるぜ。たいしたもんだ。
 俺の背中に陣取ってる閻魔ほどじゃあないけどな。
「『並』だの『ネズミ』だのと言われても、そんなに腹は立ちませんよー。べつに自分が強いとも思っていませんからね」
 呂布を睨み返しながら、アオイが薙刀を構えた。
「ですが、強者に食らいつく闘志には事欠きません!」
 あー……言葉は頼もしいが、格好のほうは『強者に食らいつく闘志』とやらに事欠いているような気がするな。この娘が弓道着姿で決めていたのも今は昔。いつの間にやら、アイドルかなんかが着てそうなヒラヒラキラキラした衣装に着替えてんだよ。
 そんな衣装と薙刀という取り合わせは珍妙に思えるかもしれないが、そうでもない。薙刀の峰のところには、アイドルの商売道具とも言える(?)マイクが付いてるから。
「さて……」
 同種の商売道具――魔楽器を持つブルーノが前に出た。
 一緒に前進したメーラーデーモンのドゥーも楽器を構えてる。くるっと輪を描いた形のラッパだ。
「英雄豪傑は詩に歌われるもの。きみの最期を歌わせてもらうおうか」
「めぇー!」
 ブルーノとドゥーは各々の楽器の演奏を始めた。音楽のことはよく判らねえが、離れた場所から流れてくるピアノの調べ(ソフィアがまだ弾いてるんだ)と混じり合って、いい感じだ。
 もちろん、呂布は聴き惚れちゃいないけどな。
「おまえが歌うのは自分の最期だよぉーっ!」
 演奏に対抗するかのように怒声を張り上げてやがる。

●アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)
「おまえが歌うのは自分の最期だよぉーっ!」
 ブルーノさんの(それに、ドゥーちゃんも)音楽は素晴らしいんですが、呂布の大声が加わってしまうと台無しです。まさに不協和音。
「できれば、静聴してほしいんだけど……まあ、無理だよね」
 ブルーノさんは肩をすくめて、曲の調子を変えました。
「むっ!?」
 呂布が呻いたのは、新たな曲目もお気に召さなかったから……だけではないはずです。
 だって、ブルーノさんが奏でる音楽はパラドクスなのですから。
「冥界への道行きを飾る葬送の旋律だよ」
 彼の指が魔楽器の弦を弾く度に青白い光がピカッと一閃。その冷たそうでいて温かそうでもある不思議な光は実体ある礫のように飛び、呂布の体を何度もビシッと打ち据えました。
「クソッ! 耳障りな曲だ!」
 耳どころか体全体に障りがあるはず。だけど、呂布は音と光の猛攻に屈することなく、方天画戟をぶんぶん振り回しながら、ブルーノさんに突進しました。
「本気で俺を冥界送りにしたけりゃあ、もっと景気のいい曲を弾きやがれ!」
「じゃあ、こんな感じでどうかな?」
 演奏のテンポをアップするブルーノさん。余裕綽々といった様子ですが、その目は呂布にしっかりと向けられています。
「キミの攻撃は正確無比だ。ゆえに見切りやすい。おまけにこっちにはパラドクス効果の『完全視界』もあるから、動きを完全に把握でき……」
「御託を並べてんじゃねえよ!」
 呂布はブルーノさんの言葉に割り込みました。
 同時に方天画戟を叩き込みました。
 ブルーノさんは素早く飛び退ろうとしましたが――
「うわっ!?」
 ――残念! 回避することはできませんでしたー。

●十六夜・ブルーノ(希望の配達人・g03956)
 キツい一撃をもらっちゃったよ。
 よく考えてみたら、『完全視界』で攻撃を見切ることはできないんだよね。あれは闇だの霧だのを見通せる効果に過ぎないから。
 とはいえ、俺もパラドクス『サウンの祭り』でダメージを与えることができたんだから、痛み分けってところかな?
 呂布くんは痛み分けで終わらせるつもりはないらしく(いや、俺だって終わらせるつもりないよ?)、更なる攻撃を仕掛けようとしてきたけど――
「次は俺のパラドクスを食らってもらおうかい」
 ――俺を庇う形で大輝さんが割り込んできた。その手にあるのは鍔なしの短刀。新宿島で『ドス』と呼ばれてる武器だ。
「いえ! その前に私のパラドクスを聴いてくださーい!」
 呂布くんの側面に移動しながら、アオイが叫んだ。
『聴いてください』と言うからには、俺の『サウンの祭り』と同じくパラドクス系なのか? ……と、尋ねる間もあらばこそ、彼女は元気よく歌い始めた。

「勇気よ、輝け

 闘志を燃やせ

 聳える恐怖に挫けぬために

 一寸前の闇を貫き

 先にある希望を掴め」

 やっぱり、それはパラドクスの歌だった。聴いてるだけで闘志が燃えてくる。歌詞の通りにね。
 一方、呂布くんにはダメージを与えている模様。体の傷がどんどん増えてるよ。
「えーい! 黙れ!」
 呂布くんが忌々しげに怒鳴ったけど、もちろん、アオイは黙ったりしなかった。
「黙れって言ってんだろうが!」
 土煙をあげて、呂布くんはアオイに突進した。いや、正確に言うと、土煙をあげているのは赤い馬型のクロノ・オブジェクト――赤兎馬だ。呂布くんはそれをパラドクスで召喚し、一瞬にして飛び乗ったというわけ。
 赤兎馬が迫っても、アオイはその場から動くことなく、歌い続けた。
 そして――
「食らえー!」
 ――馬上の呂布くんから方天画戟の一撃を受け、あっけなく吹き飛ばされた。あるいは、衝撃を逃がすために自分で飛んだのかもしれない。
 まあ、どちらにせよ、たいしたものだ。
 吹き飛ばされている間も(もしくは自分で飛んでいる間も)、地面に叩きつけられた後も、ずっと歌うのをやめなかったんだから。

●終幕
「ちっ!」
 ブルーノの演奏とアオイの歌声に重なったのは大輝の舌打ち。
 灰色のスーツの背中を透過して立ちのぼる炎のごときオーラを大きく吸い込み、彼は呂布に語りかけた。
「自覚があるのか知らねえが、どんなに武人ぶっても――」
 言葉を発している間に大輝の顔が変化した。
 牙を剥き出した鬼のごときものに。
「――てめえは盗人なんだよ。閻魔の裁き、受けてもらうぜ」
「はぁ? さっきも言ったろうが! それはおまえらの歴史の『呂布』のことであって、俺とは関係ねえんだよぉ!」
「だったら、『呂布』を名乗ってんじゃねえ!」
 反論に暴論を返して、鬼神と化した大輝は呂布(赤兎馬はいつの間にかまた消えていた)に向かって走り出した。
「クソがぁ!」
『盗人』呼ばわりされた三国最強の蟲将は怒りの咆哮とともに方天画戟を繰り出した。
 その穂先は大輝の脇腹を斬り裂いた。
 浅い傷ではない。しかし、致命傷というわけでもない。大輝はドスの切っ先を方天画戟にぶつけて軌道を反らしたのだ。急所から脇腹へ。
「おまえら!」
 仲間たちに呼びかけながら、閻魔の代行者は相手の懐に飛び込んだ。
 そして、鬼神の力で以てドスを胸板に突き立てた。
「やっちまいなぁーっ!」
 その叫びに応えて、他のディアボロスたちが次々とパラドクスを放った。

 数分後。
 呂布はまだ立っていた。
 あるいは『ただ立っていた』というべきか?
 アオイが歌唱を中断し、背伸びして呂布の顔を覗き込んだ。
 彼女の姿を映す呂布の瞳に生気の光はない。
「これは……立ち往生ってやつですか?」
「そのようだな」
 人の姿に戻った大輝が小さく頷き、呂布の胸を軽く叩いた。
「盗人らしからぬ見事な散り様じゃねえか」
「生前のリクエスト通り――」
 ブルーノが演奏の曲目を変えた。
 亡き強敵のための鎮魂曲に。
「――景気のいい曲で送ってあげよう」
 
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【勝利の凱歌】がLV3になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年04月15日